(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】真空プロセスチャンバのための気体流入弁
(51)【国際特許分類】
F16K 51/02 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
F16K51/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529050
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020082566
(87)【国際公開番号】W WO2021099405
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】102019008017.3
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン エーアネ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ネッツァー
(72)【発明者】
【氏名】ハンスペーター フレーナー
【テーマコード(参考)】
3H066
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA19
3H066BA23
3H066BA38
3H066DA09
(57)【要約】
本発明は、真空プロセスチャンバ内へのプロセスガスの制御された流入のための気体流入弁(1)であって、気体流入弁が、-気体入口(21)、気体出口(22)および内部容積(23)を備えた気体通流ユニット(2)であって、内部容積(23)が、気体入口および気体出口への自由なアクセスを有しており、気体通流ユニットが、内部容積内にシール面(24)を有している、気体通流ユニット(2)と、-調節ユニット(31)を備えた調節装置(3)であって、調節ユニットが、内部容積内に突入し、気体通流ユニットの外側で調節装置内において調節可能に支承されており、調節ユニットが、内部容積内に配置されているディスク(32)を有しており、ディスク(32)が、調節装置(3)により閉鎖位置へと移動可能であり、閉鎖位置においてディスクがシール面上に載置され、これにより気体通流を阻止し、ディスクが、調節装置により開放位置へと移動可能であり、開放位置においてディスクがシール面から離間しており、これにより気体通流を可能にする、調節装置(3)と、-2つのフレキシブルなシーリングエレメント(41,42)であって、気体通流ユニットと、調節ユニットとにそれぞれ取り付けられていて、これにより内部容積を密閉する2つのフレキシブルなシーリングエレメント(41,42)と、-位置特定ユニット(5)であって、調節装置に、または調節装置内に配置されていて、調節ユニットの、ディスクに対して固定的な位置関係を有する部分の位置を特定するように調整されている、位置特定ユニットと、を有している、気体流入弁(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空プロセスチャンバ内へのプロセスガスの制御された流入のための気体流入弁(1,100)であって、該気体流入弁(1,100)が、
気体入口(21,121)、気体出口(22,122)および内部容積(23)を備えた気体通流ユニット(2,102)であって、前記内部容積(23)が、前記気体入口(21,121)および前記気体出口(22,122)への自由なアクセスを有しており、前記気体通流ユニットが、前記内部容積(23)内にシール面(24,124)を有している、気体通流ユニット(2,102)と、
調節ユニット(31)を備えた調節装置(3,103)であって、前記調節ユニット(31)が、前記内部容積(23)内に突入し、前記気体通流ユニット(2,102)の外側で前記調節装置(3,103)内において調節可能に支承されており、前記調節ユニット(31)が、前記内部容積(23)内に配置されているディスク(32,132)を有しており、前記ディスク(32,132)が、前記調節装置(3,103)により閉鎖位置へと移動可能であり、該閉鎖位置において前記ディスク(32,132)が前記シール面(24,124)上に載置され、これにより気体通流を阻止し、前記ディスクが、前記調節装置(3,103)により開放位置へと移動可能であり、該開放位置において前記ディスク(32,132)が前記シール面(24,124)から離間しており、これにより気体通流を可能にする、調節装置(3,103)と、
第1のフレキシブルなシーリングエレメント(41,141)であって、前記気体通流ユニット(2,102)と、前記調節ユニット(31)とに取り付けられていて、前記調節装置(3,103)を、前記内部容積(23)から密閉する第1のフレキシブルなシーリングエレメント(41,141)と、
位置特定ユニット(5,105)であって、前記調節装置(3,103)に、または前記調節装置(3,103)内に配置されていて、前記調節ユニット(31)の、前記ディスク(32,132)に対して固定的な位置関係を有する部分の位置を特定するように調整されている、位置特定ユニット(5,105)と、
を有している、気体流入弁(1,100)。
【請求項2】
前記気体流入弁(1,100)が、第2のフレキシブルなシーリングエレメント(42)を有しており、前記第1のフレキシブルなシーリングエレメントと前記第2のフレキシブルなシーリングエレメントとが、前記気体通流ユニット(2,102)と前記調節ユニット(31)とにそれぞれ取り付けられていて、これにより前記内部容積(23)を密閉する2つのフレキシブルなシーリングエレメント(41,42)を具現化する、請求項1記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項3】
前記第1のフレキシブルなシーリングエレメント(41)および/または前記第2のフレキシブルなシーリングエレメント(42)が、前記ディスク(32,132)と前記気体通流ユニット(2,102)とに取り付けられている、請求項1または2記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項4】
前記シーリングエレメントのうちの一方のシーリングエレメントまたは両シーリングエレメント(41,42)が、ダイヤフラムとして形成されており、特に金属ダイヤフラムとして形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項5】
前記ディスク(32,132)が、前記閉鎖位置において予荷重により前記シール面(24,124)に押し付けられ、前記予荷重は、少なくとも部分的に、前記シーリングエレメントのうちの少なくとも一方のシーリングエレメントから、かつ/または少なくとも部分的に、前記内部容積の外側に配置されている予荷重装置から加えられる、請求項1から4までのいずれか1項記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項6】
前記ディスク(32,132)および/または前記シール面(24)が、前記閉鎖位置において圧縮されるシールリングを有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項7】
前記両シーリングエレメント(41,42)が互いに対して予荷重を加えられており、これにより前記調節ユニット(31)の調節時に、前記シーリングエレメントによる抵抗力が生じないか、または比較的小さな抵抗力しか生じない、請求項1から6までのいずれか1項記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項8】
前記シール面(24)、前記ディスク(32,132)および前記シーリングエレメント(41,42)が円形の横断面を有しており、前記内部容積が、少なくとも部分的に円筒形であり、前記シール面が、前記内部容積内の段部により形成される、請求項1から7までのいずれか1項記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項9】
前記内部容積(23)の前記円筒形が、周面としての前記気体通流ユニットと、ベース面としての前記シーリングエレメントとにより形成され、前記気体入口および前記気体出口が、前記周面を介して前記内部容積への自由なアクセスを達成する、請求項8記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項10】
前記調節装置(3,103)が、電気的またはニューマチック式に作動する、請求項1から9までのいずれか1項記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項11】
前記ディスク(32,132)が、前記閉鎖位置において前記内部容積(23)を第1の部分内部容積(231)と第2の部分内部容積(232)とに分割し、前記気体入口が前記第1の部分容積への自由なアクセスを有しており、前記気体出口が前記第2の部分容積への自由なアクセスを有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の気体流入弁(1,100)。
【請求項12】
前記気体出口が前記真空プロセスチャンバへの自由なアクセスを有しており、前記気体入口が気体源への自由なアクセスを有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の気体流入弁(1,100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空プロセスチャンバ内にプロセスガスを流入させるための気体流入弁に関する。
【背景技術】
【0002】
このような真空プロセスチャンバは、集積回路(IC)製造、半導体製造、フラットパネル製造または基板製造のために使用される。この場合、真空チャンバには、複数のプロセスステップの少なくとも一部のために、排気後にプロセスガスが注入される。製造は、保護された雰囲気内で、かつできるだけ汚染性の粒子の存在なしに行う必要がある。排気は、この場合、真空弁により行われる。真空弁は、真空プロセスチャンバを真空ポンプに接続し、真空弁の構成および技術的な要求は、気体流入弁とは異なっている。
【0003】
さらに、このような真空チャンバは、少なくとも1つまたは2つの真空チャンバ開口を有している。これらの開口を通じて、処理すべきエレメントが真空チャンバ内に導入可能であり、かつ/または真空チャンバから導出可能である。たとえば、半導体ウェハまたは液晶基板のための製造設備において、高度に敏感な半導体エレメントまたは液晶エレメントが連続的に複数の真空プロセスチャンバを通過し、これらの真空プロセスチャンバ内で、エレメントはそれぞれ1つの加工装置によって加工される。
【0004】
エレメントは、たとえばロボットを用いてリフトシステムの走出した支持ピン上に置かれ、支持ピンの降下によって支持体上に、たとえば電位プレート(チャック)上に置くことができる。その後に、典型的にはエレメントを支持するロボットアームが、チャンバから走出する。ピンは、エレメントを置いた後に降下させることができ、次いでこのエレメントから分離して位置している、つまりピンとエレメントとの間の接触は生じていない。ロボットアームの除去およびチャンバの閉鎖後に、チャンバは通常は排気され、次いでチャンバにはプロセスガスが充填される。その後、エレメントの加工を開始することができる。
【0005】
気体流入弁は、特に、気体流の定義された制御または調整のために設計されており、たとえば真空プロセスチャンバ(またはトランスファチャンバ)と気体源、雰囲気または別の真空プロセスチャンバとの間の管システム内に位置している。このような気体流入弁の開口横断面は通常、真空弁の開口横断面よりも小さい。
【0006】
気体流入弁は、使用分野に依存して、開口の完全な開閉のためだけではなく、開放位置と気密な閉鎖位置との間で開口横断面を連続的に調節することによる流量の制御または調整のためにも使用することができるので、気体流入弁は調整弁とも呼ばれる。
【0007】
チャンバ内へのプロセスガスの流入時には、チャンバ内における小さな流体技術的な影響と迅速かつ正確に制御可能な充填とが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、真空プロセスチャンバのための改善された気体流入弁を提供することである。特に、本発明に係る気体流入弁は、排気された真空プロセスチャンバにプロセスガスを迅速かつ正確に調整可能に注入することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、真空プロセスチャンバ内へのプロセスガスの制御された流入のための気体流入弁であって、気体流入弁は、気体入口、気体出口および内部容積を備えた気体通流ユニットであって、内部容積が、気体入口および気体出口への自由なアクセスを有しており、気体通流ユニットが、内部容積内にシール面を有している、気体通流ユニットと、調節ユニットを備えた調節装置であって、調節ユニットが、内部容積内に突入し、気体通流ユニットの外側で調節装置内において調節可能に支承されており、調節ユニットが、内部容積内に配置されているディスクを有しており、ディスクが、調節装置により閉鎖位置へと移動可能であり、閉鎖位置においてディスクがシール面上に載置され、これにより気体通流を阻止し、ディスクが、調節装置により開放位置へと移動可能であり、開放位置においてディスクがシール面から離間しており、これにより気体通流を可能にする調節装置と、第1のフレキシブルなシーリングエレメントであって、気体通流ユニットと調節ユニットとに取り付けられていて、調節装置を内部容積に対して密閉する第1のフレキシブルなシーリングエレメントと、位置特定ユニットであって、調節ユニットに、または調節ユニット内に配置されていて、調節ユニットの、ディスクに対して固定的な位置関係を有する部分の位置を特定するように調整されている位置特定ユニットと、を有している気体流入弁に関する。
【0010】
一実施形態では、気体流入弁は、第2のフレキシブルなシーリングエレメントを有していてよく、第1のフレキシブルなシーリングエレメントと第2のフレキシブルなシーリングエレメントとは、気体通流ユニットと調節ユニットとにそれぞれ取り付けられていて、これにより内部容積を密閉する2つのフレキシブルなシーリングエレメントを具現化する。
【0011】
本発明はさらに、真空プロセスチャンバ内へのプロセスガスの制御された流入のための気体流入弁であって、気体流入弁は、気体入口、気体出口および内部容積を備えた気体通流ユニットであって、内部容積が、気体入口および気体出口への自由なアクセスを有しており、気体通流ユニットが、内部容積内にシール面を有している、気体通流ユニットと、調節ユニットを備えた調節装置であって、調節ユニットが、内部容積内に突入し、気体通流ユニットの外側で調節装置内において調節可能に支承されており、調節ユニットが、内部容積内に配置されているディスクを有しており、ディスクが、調節装置により閉鎖位置へと移動可能であり、閉鎖位置においてディスクがシール面上に載置され、これにより気体通流を阻止し、ディスクが、調節装置により開放位置へと移動可能であり、開放位置においてディスクがシール面から離間しており、これにより気体通流を可能にする調節装置と、2つのフレキシブルなシーリングエレメントであって、気体通流ユニットと調節ユニットとにそれぞれ取り付けられていて、これによって内部容積を密閉する、2つのフレキシブルなシーリングエレメントと、位置特定ユニットであって、調節装置に、または調節装置内に配置されていて、調節ユニットの、ディスクに対して固定的な位置関係を有する部分の位置を特定するように調整されている位置特定ユニットと、を有する気体流入弁にも関する。
【0012】
一実施形態によれば、第1のフレキシブルなシーリングエレメントおよび/または第2のフレキシブルなシーリングエレメントは、ディスクと気体通流ユニットとに取り付けられてもよい。
【0013】
シーリングエレメントのうちの一方のシーリングエレメントまたは両シーリングエレメントは、一実施形態ではダイヤフラムとして形成されており、特に金属ダイヤフラムとして形成されている。特に、シーリングエレメントのうちの少なくとも一方のシーリングエレメントと、ディスクの、それぞれのシーリングエレメントに対峙する面は、同様の大きさ、特別な場合にはまさに同一の圧力作用面積を有しており、これによって、少なくとも実質的に圧力相殺が達成され、この圧力相殺はディスクの運動を、存在している圧力とは無関係なものにする。これにより、弁を迅速に調節することができる。
【0014】
閉鎖位置において、ディスクは、特に予荷重によりシール面に押し付けられ、予荷重は、少なくとも部分的に、シーリングエレメントのうちの少なくとも一方のシーリングエレメントから、かつ/または少なくとも部分的に、内部容積の外側に配置されている予荷重装置から加えられる。したがって、特に、シーリングエレメントのうちの少なくとも一方のシーリングエレメントはばね硬さを有しており、予荷重によって、存在している圧力の力に抗して作用することができる。予荷重が少なくとも部分的に予荷重装置から加えられる場合、予荷重装置は調節装置に含まれている。上述の作用面積および/またはばねエレメントのばね剛性は、予荷重バイアスが生じるように互いに適合されていてもよく、この予荷重バイアスは、有利には弁の反応時間に作用する(たとえば、開放のみまたは閉鎖のみを迅速に行うことができなければならない場合)。
【0015】
ディスクおよび/またはシール面が、閉鎖位置において圧縮されるシールリングを有していてよい。圧縮は、予荷重によるものであり、気体入口が気体出口から気密に分離されていることを確実にする。
【0016】
両シーリングエレメントが互いに予荷重を加えられていてよく、したがって調節ユニットの調節時に、シーリングエレメントよる抵抗力が生じないか、または比較的小さな抵抗力しか生じない。
【0017】
シール面、ディスクおよびシーリングエレメントが、特に円形の横断面を有しており、内部容積が、少なくとも部分的に円筒形であり、シール面が、内部容積内の段部により形成される。
【0018】
内部容積の円筒形が、特に、周面としての気体通流ユニットと、ベース面としてのシーリングエレメントとにより形成され、気体入口および気体出口が、周面を介して内部容積への自由なアクセスを達成する。これは、気体入口および気体出口がそれぞれ周面を貫通することを意味する。
【0019】
調節装置は、電気的またはニューマチック式に作動させることができる。
【0020】
特に、ディスクが、閉鎖位置において内部容積を第1の部分内部容積と第2の部分内部容積とに分割し、気体入口が第1の部分容積への自由なアクセスを有しており、気体出口が第2の部分容積への自由なアクセスを有している。
【0021】
気体出口が特に真空プロセスチャンバへの自由なアクセスを有しており、気体入口が特に気体源への自由なアクセスを有している。
【0022】
本発明の別の利点は詳細な説明および図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】気体流入弁の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した気体流入弁を示す断面図である。
【
図3】
図1に示した気体流入弁を示す別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1~
図3は、気体入口21、気体出口22および内部容積23を有する気体通流ユニット2を備えた気体流入弁1の一実施例を示している。内部容積23は、気体入口21および気体出口22への自由なアクセスを有しており、気体通流ユニットは、内部容積内にシール面24を有している。
【0025】
調節装置3は、調節ユニット31とディスク32とを有している。調節ユニット31は、内部容積23内に突入し、気体通流ユニット2の外側で調節装置3内において調節可能に支承されている。ディスクは、内部容積23内に配置されており、調節装置3により閉鎖位置に移動可能である。この閉鎖位置では、ディスク32がシール面24上に載置され、これにより気体通流を阻止する。調節装置3により、ディスクはさらに開放位置へと移動可能である。開放位置では、ディスク32がシール面24から離間しており、これにより気体通流を可能にする。
【0026】
気体流入弁1は、図示の例ではダイヤフラムとして構成されている2つのフレキシブルなシーリングエレメント41および42をさらに有している。これらのシーリングエレメントは、気体通流ユニット2と調節ユニット31とにそれぞれ取り付けられており、これにより内部容積23を密閉する。
【0027】
位置特定ユニット5は、調節装置3に配置されていて、調節ユニット31の上端部の位置を特定するように調整されている。調節ユニット31は、図示の例では、互いに対して位置固定的に結合された複数のエレメントを有しているので、測定の位置(調節ユニット31の上端部)はディスクに対して固定的な位置関係を有している。これにより、ディスクの位置を、常に中断することなしに特定することができる。換言すると、ディスク32は調節ユニット31に固定的に結合されており、これにより調節ユニット31の位置の特定は、同時にディスク32のための位置特定に一致する。ディスク位置の特に持続的または連続的な特定により、弁、ひいては気体流の能動的な制御(および/または調整)を実施することができる。有利には、現在の弁制御に依存した(制御量としての)実際の気体通流量の後からの(気体出口の下流側での)特定を省略することができる。
【0028】
図1は、気体流入弁1を外側から斜視図で示しており、図示の例では、ニューマチック式の装置6と制御ユニット7とが設けられており、これらを介して調節装置3が制御される。別の実施形態では、調節装置3をたとえば電動モータを介して作動させることができる。
【0029】
気体入口21と気体出口22とのために、それぞれ接続部81,82が設けられている。これらの接続部81,82を介して、気体源への管路および真空プロセスチャンバへの管路を接続することができる。
【0030】
図3は、
図2と同様に気体流入弁1の断面図を示しているが、別の角度で示されているので、
図3では調節装置3に組み込まれているコイルばね91,92が可視化される。ばねにおける予荷重を介して、ディスク32が閉鎖位置においてシール面24に押し付けられる。シールリング33は、気密な閉鎖のために働く。このシールリングは、特にエラストマ、熱可塑性樹脂、金属等から成っており、ディスクの形状に合わせた形状(たとえばOリング)を有していてよく、ディスクに加硫されていてよい。
【0031】
シールリングは、(図面に示すように)ディスク32内に、あるいは(別の実施形態では)シール面24に埋め込まれていてよい。
【0032】
さらに、シーリングエレメント41とシーリングエレメント42とは、互いに緊締されていてよく、したがって調節ユニット31に作用する力は生じない。しかし、これにより、シール面24からのディスク32の離間工程時、つまり弁の開放時に、調節方向とは反対に作用する力が最小限にされる。このことは、弁の開放時に、シーリングエレメントのうちの一方のシーリングエレメントがその基本位置に近づき、他方のシーリングエレメントが調整経路により(さらに)続けて緊締される事実によるものである。一方の側での減少および他方の側での増加は、理想的には互いに相殺されるが、少なくとも調節時に生じる抵抗を最小限にする。したがって、弁が開閉される場合には、(実質的に)予荷重装置(ばね91,92)により引き起こされる予荷重のみが克服されればよい。特に、シーリングエレメントは金属ダイヤフラムである。
【0033】
図4は、気体通流ユニット2を詳細に示しており、特に、気体通流ユニット2内で調節可能なディスク32と、図示の実施例において気体通流ユニット2と調節装置3との間、または気体通流ユニット2とロック部材10との間に緊締されている両方のフレキシブルなシーリングエレメント41,42とを示している。この緊締は、ねじ締結によって達成することができる(
図3の101および102を参照)。
【0034】
調節ユニット31におけるフレキシブルなシーリングエレメント41,42の装着は、
図4に示すように、同様に緊締により行うことができる。調節ユニット31は、ロッド311だけでなく、ねじ312、スリーブ313およびディスク32を含んでいる。ねじ312はロッド311内にねじ込まれており、一方ではシーリングエレメント41がロッド311とディスク32との間に緊締され、他方ではシーリングエレメント42がディスク32とスリーブ313との間に緊締されている。当業者には、ディスクが内部容積23内で調節可能であるようにシーリングエレメントを調節ユニットに結合する多数の別の構造可能性が知られている。
【0035】
内部容積23、それぞれ円形の横断面を有するディスク32、シール面24、軸311、スリーブ313、シーリングエレメント41および42、シールリング33が示されている。特に、内部容積23は、中空円筒として示されている。これらの構成部材は、楕円形、方形または任意のプロフィールで製造されていてもよいので、このことは必ずしも当てはまらない。シール面24は、本実施例では、気体入口21への自由なアクセスを有する第1の部分容積231内の段部として示されており、これにより、第1の部分容積内でより小さな横断面が生じる。別の実施形態では、シール面24の段部は、気体出口22への自由なアクセスを有する第2の部分容積232においても存在している横断面に再び戻る。周面は、異なる形状を有していてもよく、中空円筒に合わせられなくてよい。
【0036】
第1の部分容積231は、内部容積23の周面とディスク32の上側の軸方向部分の周面との間で環状に形成され、シーリングエレメント41と前側のディスク面とによって軸方向で画定されている。第2の部分容積232は、内部容積23の周面とディスク32の下側の軸方向部分の周面との間で環状に形成され、シーリングエレメント42と後側のディスク面とによって軸方向で画定されている。
【0037】
制御ユニット7は、特に、ディスク32を定義して調節するように構成されている。閉鎖位置(ディスク32がシール面24に押し付けられる)は、純粋に受動的に、つまり場合によっては生じる予荷重(予荷重装置および/またはシーリングエレメント)により達成することができるか、または制御ユニット7により制御される調節装置3の対応する能動的調節によって達成することができる。ディスク32の開放位置は、ディスク32がシール面24から持ち上げられていることを意味する。ディスク32がどの程度持ち上げられるかは、制御ユニット7により対応して制御される調節装置3によって定義可能である。定義された目標値(閉鎖位置、ある程度の離間での開放位置)の他に、制御ユニット7は、ディスク32の定義された走行経路を取るように調整されていてよい。つまり、乱流を回避する緩慢な開放工程を達成するために、ディスク32を極めて低い開始速度でシール面24から持ち上げることができ、その後にある程度の間隔が空いた後に、より迅速な上昇速度を達成することができる。別の実施形態では、弁を、定義して「パルス式」に開放することができ、したがってプロセスガスを細分してプロセスチャンバ内に導入することができる。
【0038】
制御ユニット7により調節ユニット31を制御するために、特に位置特定ユニット5が連続的に読み出され、フィードバックとして使用される。
【0039】
このような特定の制御では、さらに、気体通流ユニット2の気体入口21においては(接続された気体管路またはガスボンベによる)比較的高い圧力が占めており、気体出口22においては0バール~気体源の正圧の間の圧力が占めていてよいことが常に考慮される。
【0040】
本発明に係る気体流入弁の利点は、気体入口21が自由なアクセスを有している第1の部分容積内にいわば予備気体を集めることができ、この予備気体を、気体流入弁1の開放時に、流体技術的に有利かつ急激に第2の部分容積232に引き渡すことができることである。さらに、この流体技術的な利点に対して、本発明による気体流入弁は、極めて小さな構造サイズを有している。
【0041】
別の利点は、本実施形態では例示的にダイヤフラム41および42として示されているフレキシブルなシーリングエレメントにある。気体流入弁1の開閉時に生じる圧力変化は、これらのシーリングエレメントによって緩衝することができ、このことは、システム全体の耐久性を向上させる。
【0042】
図5aおよび
図5bは、本発明の別の実施形態を示している。
図5aは、調節装置103、気体通流ユニット102および位置特定ユニット105を備えた気体流入弁100を示している。この実施形態は、特に気体通流ユニット102の構成と、(唯1つの)ダイヤフラム141による密閉とによって、先行する図面に示した実施形態とは異なっている。
【0043】
図5bは、気体通流ユニット102の断面を示している。弁100の内部容積内には、弁閉鎖体または弁ディスク132が配置されていて、調節装置103のロッド131によって線形に運動可能である。弁ディスク132は、ロッド131に固定的に結合されている。弁100は、
図5bでは開放状態で示されており、つまり気体または流体が気体入口121を通って内部容積を介して気体出口122へ、かつ気体出口122を通って流れることができる。この状態では、弁ディスク132は、気体通流ユニット102の内部に設けられたシール面124に対して離間して存在している。図示の構成では、弁ディスク132は、シールエレメント133を有している。しかし、代替的な実施形態によれば、シールエレメント133がシール面124に配置されてもよいと理解される。
【0044】
ディスク132とロッド131との固定的かつ特に剛性の結合により、(調節ユニットの一部としての)ロッド131の線形位置を特定することができる位置特定ユニット105によって、ディスク132の位置を直接に特定することができる。したがって、位置特定ユニット105は、弁が閉鎖しているかまたは開放しているかの特定と、シール面124と弁ディスク132またはシールエレメント133との間の生じ得る間隔がどの程度大きいか、つまり存在する開放横断面がどれほど大きいか、ひいては弁100を通る可能な体積流量が現在どれほど大きいかの特定とを可能にする。
【0045】
フレキシブルなシーリングエレメントとして形成されていたダイヤフラム141は、調節装置103に対する内部容積のフレキシブルな密閉を提供する。このために、ダイヤフラム141は、一方では気体通流ユニット102に、他方では調節ユニット、本実施形態ではディスク132またはロッド131に結合されている。
【0046】
図面は常に、上側および下側の軸方向部分(中空軸区分)を有しているディスク32または132を示している。別の実施形態では、ディスク32または132は、単にプレートであってよく、この場合、ディスク32または132の上側および下側の部分は、軸方向でこのプレートに対して密閉されている単純な中空軸によって代替することができる。さらに、図面は常に、気体通流方向で開かれる、つまり図面では上方から下方へと調節されるディスク32または132を示している。しかし、別の実施例では、関与する構成要素は、ディスクが閉鎖位置のために上方からシール面上へと押圧され、開放位置のために上方に向かって移動されるように構成されかつ配置されていてよい。
【0047】
本発明をその好適な実施形態につき説明したが、本発明の範囲を超えることなく、多くの別の変更およびバリエーションを実施することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の実際の範囲に含まれる変更およびバリエーションをカバーすることが規定されている。
【国際調査報告】