(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】電子ビームの特性評価
(51)【国際特許分類】
H01J 35/30 20060101AFI20230118BHJP
H01J 35/08 20060101ALI20230118BHJP
H01J 35/24 20060101ALI20230118BHJP
H05G 1/00 20060101ALI20230118BHJP
G01T 1/29 20060101ALN20230118BHJP
【FI】
H01J35/30
H01J35/08 B
H01J35/08 F
H01J35/24
H05G1/00 D
G01T1/29 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529354
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2020081854
(87)【国際公開番号】W WO2021099202
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317016811
【氏名又は名称】エクシルム・エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】タクマン、ペル
(72)【発明者】
【氏名】トゥオヒマー、トミ
(72)【発明者】
【氏名】ルンドストレーム、ウルフ
【テーマコード(参考)】
2G188
4C092
【Fターム(参考)】
2G188BB03
2G188BB12
2G188CC08
2G188CC28
4C092AA01
4C092AB20
4C092DD01
(57)【要約】
液体金属ジェットX線源において電子ビームを特徴付ける方法が開示される。方法は、前記電子ビームを提供し、前記電子ビームを干渉領域に向けることと、前記電子ビームが前記干渉領域を横断した後に、前記電子ビームを受け取るために接地電位に接続された電子ビームダンプを提供することと、前記干渉領域の少なくとも一部にわたって前記電子ビームをスキャンすることと、X線プロファイルを得るために前記スキャンの間に前記電子ビームと前記電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することと、前記X線プロファイルに基づいて電子ビーム特性を計算することとを含む。対応する液体金属ジェットX線源も開示されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体金属ジェットX線源における電子ビームを特徴付ける方法であって、
前記電子ビームを提供し、前記電子ビームを干渉領域に向けることと、
前記電子ビームが前記干渉領域を横断した後に、前記電子ビームを受け取るための接地電位に接続された電子ビームダンプを提供することと、
前記電子ビームを前記干渉領域の少なくとも一部にわたってスキャンすることと、
X線プロファイルを得るために、前記スキャンの間に前記電子ビームと前記電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することと、
前記X線プロファイルに基づいて電子ビーム特性を計算することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記スキャンの間に前記電子ビームの経路と部分的に交差する物体を提供することをさらに含み、ここで、前記物体は電子を吸収及び/又は反射する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体は、前記干渉領域に存在する液体金属ジェットである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記X線プロファイルに基づいて、前記液体金属ジェットの特性を計算することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
X線プロファイルを得るためにX線放射を測定するステップは、前記電子ビームと前記物体との間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することをさらに含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記干渉領域と前記電子ビームダンプとの間にアパーチャを提供することをさらに含み、前記アパーチャは、前記アパーチャを通過する電子のみが前記スキャンの間に測定されるX線放射に寄与するように配置される、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電子ビームを前記干渉領域にわたってスキャンすることは、前記電子ビームを前記アパーチャにわたってスキャンすることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ピンホールを設けることをさらに含み、前記スキャンの間に発生されるX線放射のプロファイルを測定することは、前記ピンホールを通過したX線放射を検出することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
液体金属ジェットX線源であって、
電子ビームを提供し、前記電子ビームを干渉領域に向けるように配置された電子源と、
接地電位に接続され、前記電子ビームが前記干渉領域を横断した後に前記電子ビームを受け取るように配置された電子ビームダンプと、
前記干渉領域の少なくとも一部にわたって前記電子ビームをスキャンすることができるスキャン装置と、
前記電子ビームと前記電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射を検出するように位置決めされ配置されたX線センサと、
前記スキャン装置及び前記X線センサに動作可能に接続された回路とを備え、前記回路は、前記電子ビームのスキャンの間にX線プロファイルを決定するように構成されている、液体金属ジェットX線源。
【請求項10】
前記回路は、前記X線プロファイルに基づいて前記電子ビームの特性を計算するようにさらに構成されている、請求項9に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項11】
前記スキャンの間に前記電子ビームの経路と部分的に交差するように取り外し可能に設けられた基準物体をさらに備え、前記基準物体は電子を吸収及び/又は反射する、請求項9又は10に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項12】
前記X線センサの視野を制限するコリメータをさらに備える、請求項9から11のいずれか一項に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項13】
前記干渉領域と前記電子ビームダンプとの間にアパーチャをさらに備え、前記アパーチャは、前記アパーチャを通過する電子のみが前記スキャンの間に測定されるX線放射に寄与するように配置される、請求項9から12のいずれか一項に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項14】
前記干渉領域において発生されるX線放射を検出するように位置決めされ配置された第2のX線センサをさらに備える、請求項9から13のいずれか一項に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項15】
前記第2のX線センサによって検出されたX線放射がピンホールを通過するように位置決め及び配置された前記ピンホールをさらに備える、請求項14に記載の液体金属ジェットX線源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される本発明は、概して、液体金属ジェットX線源における電子ビームの特性評価に関する。
【背景技術】
【0002】
X線放射は、電子ビームをターゲット材料に衝突させることによって発生させることができる。X線放射は、ターゲット材料からの制動放射又は特性線放射として発生させることができる。X線源の性能は、とりわけ、電子ビームとターゲットとの間の相互作用によって発生するX線放射の焦点スポットの特性に依存する。一般に、X線放射のより高い輝度及びより小さい焦点スポットに対する努力があり、これは、電子ビーム及びターゲットとのその相互作用の改善された制御を必要とする。特に、ターゲットに衝突する電子ビームのスポットサイズ及び形状をより正確に決定及び制御するために、いくつかの試みがなされてきた。
【0003】
WO2012/087238は、ターゲットとの相互作用点における電子ビームの幅を決定及び制御するための技術を開示している。この従来技術は、電荷敏感エリアを有するセンサの使用を含む。電子ビームの幅の測定は、電子ターゲットが存在してセンサエリアを部分的に覆い隠している間に、センサエリア上で電子ビームを偏向させることによって実行される。電子ターゲットはセンサエリアの一部を覆い隠すか又は部分的に覆い隠すので、記録されたセンサ信号は、ビームの最小減衰(不明瞭にされていないセンサエリア)と最大減衰(ターゲットの背後)との間の遷移を示す。ビーム幅は、この情報から、特に遷移の幅から導出することができる。しかしながら、測定目的のために、センサエリアを電気的に接地することはできない。したがって、この技術は、センサ縁部での短絡及びアーク放電をどのように回避するかのような課題を伴う。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、電子ビーム衝突液体金属ジェットX線源に対する改良を提供し、電子ビームによって発生されるX線放射を測定することによって電子ビームを特徴付けるという考えに基づいている。より具体的には、X線プロファイルが得られるように電子ビームをスキャンしながら、発生されるX線放射を測定することができる。次いで、得られたX線プロファイルに基づいて電子ビームの1つ以上の特性を計算することができる。
【0005】
したがって、本発明の実施形態では、電子ビームの特性は、そのスキャンの間に電子ビームから発生されるX線放射の検出を通して決定される。電子ビームが干渉領域を横断した後に衝突するX線源の部分(「電子ダンプ」)を通る電流の測定は必要とされないので、この部分は接地に接続されることができる(すなわち、電気的に接地されることができる)。電流の測定の代わりにX線測定に依存することによって、電子ビームダンプは、その周囲から電気的に絶縁される必要がなく、それによって、例えば、電子ダンプの縁部における液体ジェットからの材料の液滴の堆積による短絡のリスクを排除する。さらに、電子ダンプ表面上への液滴の堆積に起因する画像歪みは、そのような堆積材料が典型的には構成に応じてX線に対して透明であるか、又は別のX線源として作用するかのいずれかであるため、かなり低減されることができる。
【0006】
関心のある電子ビームの1つの特徴は、その断面拡張(幅)である。電子ビームの幅又は断面拡張は、半値全幅(FWHM)として適切に定義することができる。これは、ビームの「スポットサイズ」と呼ばれることもある。電子ビームが液体金属ジェットターゲットに衝突する干渉領域における電子ビームの幅は、X線発生プロセスに影響を及ぼす重要な因子である。本発明の実施形態は、電子ビームがスキャンされる覆い隠す物体として液体金属ジェットを使用することによって、又は干渉領域にわたって電子ビームをスキャンし、検出される前に電子ビームにアパーチャを通過させることによって、干渉領域における電子ビームの幅を決定するために使用することができる。後者の場合、電子ビームの幅はアパーチャで決定され、次に干渉領域における幅は直接的な幾何学的変換を通して数学的に決定される。電子ビームの他の特性は、例えば、強度プロファイル及び位置合わせを含むことができる。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態では、液体金属ジェットは、電子ビームダンプから電子ビームを覆い隠す物体として使用される。電子ビームは、電子ビームが液体金属ジェットによって覆い隠されない電子ビームダンプに衝突する第1の位置と、液体金属ジェットが電子ビームダンプを最大限に覆い隠される第2の位置と、適切な組の中間位置との間でスキャンされる。電子ビームと電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射は、発生されるX線放射にスキャン位置をマッピングするX線プロファイルを取得するためにスキャンの間に測定され、すなわち、X線プロファイルは、スキャンの間の偏向設定の関数とみなすことができる。したがって、覆い隠されない位置と覆い隠される位置との間の遷移を識別することができ、そのような遷移の幅は、液体金属ジェットで測定された電子ビームの幅に対応する。理解されるように、スキャン位置に関して決定された幅は、液体金属ジェットにおける電子ビームの変位が各スキャン位置について既知である場合、長さの単位に容易に変換することができる。
【0008】
電子ビームが液体金属ジェット上でスキャンされる実施形態では、ジェットの一方の側から他方の側へビームを移動させるのに必要な距離は、液体金属ジェット自体の幅の尺度とみなすことができる。さらに、液体金属ジェットの位置は、電子ビームが液体金属ジェットによって覆い隠された位置から得ることができる。液体金属ジェットの幅及び/又は位置のバリエーションは、液体金属ジェットを発生するプロセスの安定性の指標として考慮されることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、スキャンは、電子ビームの少なくとも半分が、電子ビームダンプに衝突する前に、液体金属ジェットの第1の側を通過する第1の位置と、電子ビームの少なくとも半分が、電子ビームダンプに衝突する前に、液体金属ジェットの第2の側を通過する第2の位置との間で実行することができる。次いで、電子ビームの幅は、電子ビームが第1の側から他方の側へスキャンされると、発生されるX線放射の変化から抽出することができる。このようにして、液体金属ジェット幅を超える電子ビーム幅を測定することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、液体金属ジェット以外の覆い隠す物体が使用される。電子が電子ビームダンプに到達しないように電子を吸収及び/又は反射することを条件として、様々な覆い隠す物体を使用することができる。
【0011】
他の実施形態では、X線プロファイルは、電子ビームと電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射からだけでなく、電子ビームと液体金属ジェット自体との間の相互作用によっても決定される。そのような実施形態では、電子ビームダンプは、主に電荷の廃棄のための特徴として機能する。電子ビームのスキャンの間に電子ビームと液体金属ジェットとの間の相互作用によって発生されるX線放射は、X線検出器を用いて測定される。理解されるように、X線検出器は、電子ビームが液体金属ジェットに衝突するときにX線放射を検出することができるが、電子ビームが液体金属ジェットに衝突しないときにはX線放射を検出しない。電子ビームのあるスキャン位置において、X線放射の発生は最大であり、上述したものと同様に、電子ビームの幅は、スキャン位置と検出されたX線放射との間の関係から、すなわちX線プロファイルから決定することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、発生されるX線放射は、X線検出器によって検出される前にピンホールを通過する。ピンホールのそのような使用は、電子ビームの断面拡張などの特性を決定するために使用することができる画像化能力を提供する。
【0013】
したがって、独立請求項に記載される方法及びデバイスが提供される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態を定義する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
開示される発明の実施形態は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明において説明される。
【
図1】
図1は、本発明による方法を図示するフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による液体金属ジェットX線源の概略的な斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明による液体金属ジェットX線源の第1の実施形態を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本発明による液体金属ジェットX線源の第2の実施形態を概略的に示す。
【
図5】
図5は、本発明による液体金属ジェットX線源の第3の実施形態を概略的に示す。
【
図6】
図6は、本発明による液体金属ジェットX線源の第4の実施形態を概略的に示す。
【0015】
図面において、対応する特徴は、全体を通して同じ参照番号によって示される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態は、液体金属ジェットX線源におけるX線放射の発生のために使用される電子ビームの特性評価を提供する。電子ビームを特徴付けるために、電子ビームは覆い隠す物体上でスキャンされ、そのようなスキャンの間に発生されたX線放射が検出される。覆い隠す物体は、アパーチャ、液体金属ジェット、又は何らかの基準物体とすることができる。
【0017】
一般的な観点から、焦点面は、典型的には、動作の間に電子ビームが液体金属ジェットターゲットと相互作用してX線を発生させる場所であるので、電子ビームの焦点面で測定を行うことが好ましいかもしれない。しかしながら、電子ビームに沿った他の何らかの平面で測定を行い、その結果が焦点面での条件を反映するように数学的に変換することも考えられる。いくつかの実施形態では、そのような変換は、工場較正手順の一部としておそらく確立されることができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、電子ビームの特性評価は、電子ビームの経路に沿って覆い隠す物体を使用して行われる。電子ビームが干渉領域の少なくとも一部においてスキャンされるとき、電子ビームの経路は、いくつかのスキャン方向に対して覆い隠す物体によって少なくとも部分的に交差される一方、電子ビームは、他のスキャン方向に対して覆い隠されない。電子ビームの断面サイズ又は形状などの電子ビームの特性は、したがって、電子ビームが異なるスキャン方向に対してどの程度遮られるかに基づいて得ることができ、これは次に、電子ビームのスキャンの間に発生されるX線放射を測定することによって推定される。
【0019】
覆い隠す物体は、様々な位置に配置されてもよい。例えば、アパーチャを通過する電子のみが前記ビームダンプで検出されるように、電子ビームダンプの前にアパーチャを設けてもよい。このアプローチは、測定されるX線放射が電子ビームと電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生される実施形態において有用である。代替的に又は追加的に、覆い隠す物体は、X線源の動作の間に液体金属ジェットと相互作用する位置又はその近くで電子ビームと交差するように、干渉領域内に配置されてもよい。
【0020】
いくつかの好ましい実施形態では、液体金属ジェット自体が、覆い隠す物体、すなわち電子ビームがスキャンされる縁部として使用され、測定されるX線放射は、電子ビームと液体金属ジェットとの間の相互作用によって発生される放射であってもよい。
【0021】
他の実施形態では、基準物体は、測定が行われるときに電子ビームのビーム経路内に挿入され、次いで、X線源の通常動作の前に除去される。そのような基準物体は、2つ以上の方向に縁部を提供することができ、したがって、例えば電子ビーム非点収差の測定を容易にする。基準物体を使用して実施される測定は、典型的には、工場較正又は保守手順の一部である。
【0022】
診断目的のために「現場で」同様の測定を行うこともできる。次いで、電子ビームの実際の特性を計算することなく、いくつかの量を決定し、予め設定された限界値と比較することができる。電子ビームが仕様外であることを診断測定が示す場合、測定された量が限界内であるまで、システムは、電子光学システムの設定を調節することができ、又は、システム仕様を達成するために保守が必要であることをオペレータに代わりに警告する。
【0023】
最初に、本発明のいくつかの実施形態による液体金属ジェットX線源200の概略斜視図である
図2を参照して一般的な導入を行う。図示したX線源200は、電子ビームのターゲットとして液体金属ジェット210を利用する。X線源200の図示された特徴うちのいくつかは、可能な例として含まれているにすぎず、必ずしもすべての実施形態の動作に存在しなくてもよく、又は必要とされなくてもよいことに留意されたい。
【0024】
X線源200は、電子源214、246と、電子ターゲットとして機能する液体ジェット210を形成するように構成された液体ジェット発生器208とを含む。X線源200の構成要素は、気密ハウジング242内に配置される。しかしながら、電源244及びコントローラ247などのいくつかの構成要素は、気密ハウジング242の外側に配置することができる。ハウジングが有意な程度まで電磁界を遮蔽しない場合(例えばオーステナイト系ステンレス鋼)、電磁相互作用によって動作する様々な電子光学構成要素がハウジング242の外側に配置されてもよいことも考えられる。
【0025】
電子源は、一般に、電源244によって電力供給されるカソード214を備え、電子エミッタ246、例えば、熱イオン、熱電界又は冷電界荷電粒子源を含む。典型的には、電子エネルギーは、約5 keVから約500 keVの範囲であってもよい。電子源からの電子ビームは、加速アパーチャ248に向かって加速され、その点で、電子ビームは、整列プレート250の配置、レンズ252、及び偏向プレート254の配置を含む電子光学システムに入る。整列プレート250、レンズ252、及び偏向プレート254の可変特性は、コントローラ247によって提供される信号によって制御することができる。図示の例では、偏向プレート250及び位置合わせプレート254は、電子ビームを少なくとも2つの横断方向に加速するように動作可能である。初期較正後、整列プレート250は、典型的には、X線源200の作業サイクル全体を通して一定の設定に維持され、一方、偏向プレート254は、X線源200の使用の間に電子スポット位置を動的にスキャン又は調節するために使用される。レンズ252の制御可能な特性には、それぞれの集束力(すなわち焦点距離)が含まれる。
図2は、静電型であることを示唆するような仕方で、整列手段、集束手段、及び偏向手段を象徴的に描写するが、本発明は、電磁機器、又は静電及び電磁電子光学構成要素の混合を使用して、等しく十分に具現化されることができる。X線源200はまた、電子スポットの断面形状の調節を提供することができるスティグメータコイル253を備えることができる。
【0026】
電子光学システムの下流で、出射電子ビームI
2は、干渉領域212において液体金属ジェット210と交差する。これは、X線生成が起こることができる場所である。X線放射は、電子ビームの伝搬方向と一致しない方向にハウジング242から導出されてもよい。
干渉領域212を通過し続ける電子ビームI
2の任意の部分は、接地に電気的に接続された電子ビームダンプ228に到達することができる。図に示すように、電子ビームダンプ228は、X線源200の通常の動作と干渉しないように、干渉領域212から距離Dだけ離して配置することができる。アパーチャを通過する電子が電子ビームダンプ228に衝突する一方でアパーチャを通過しない電子が衝突しないように配置されたアパーチャ(
図2には図示せず)が設けられてもよい。
【0027】
【0028】
液体金属ジェットX線源において電子ビームを特徴付けるための本発明による方法は、電子ビームを提供し、電子ビームを干渉領域に向けるステップS110と、電子ビームが干渉領域を横断した後に電子ビームを受け取るために接地電位に接続された電子ビームダンプを提供するステップS120と、干渉領域の少なくとも一部にわたって電子ビームをスキャンするステップS130と、X線プロファイルを得るためにスキャンの間に発生されるX線放射を測定するステップS140と、X線プロファイルに基づいて電子ビーム特性を計算するステップS150とを含む。
【0029】
好ましい実施形態では、スキャンの間に発生されるX線放射を測定するステップS140は、電子ビームと電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することを含む。例えば、電子ビームの断面拡張(幅)は、電子ビームを干渉領域にわたってスキャンし、それによって電子ビームダンプにわたってスキャンし、同時に、発生されるX線放射を測定することによって決定することができる。X線放射が、アパーチャを通過する電子ビームの任意の部分によって電子ビームダンプにおいてのみ発生されるように、アパーチャが提供されてもよい。例えば、
図3に図示するようにアパーチャを設けることができ、この場合、電子ビームダンプ表面124に到達する電子のみが、検出されるX線放射に寄与する。電子ビームの方向(例えば、対応する偏向プレートに印加される電圧に関して)を検出されたX線放射に相関させることによって、スキャン方向における電子ビームの断面拡張を計算するために使用することができるX線プロファイルが得られる。アパーチャを横切る2つ以上の方向に電子ビームをスキャンすることによって、電子ビームの全断面拡張を計算することができる。
【0030】
あるいは、電子ビームダンプに到達する電子の量を制限するアパーチャに依存するよりもむしろ、電子ビームの経路と部分的に交差する物体を提供することができる。電子を吸収及び/又は反射する任意の物体を使用することができる。この文脈では、この目的のために液体金属ジェットターゲットを使用することが好ましいかもしれない。次いで、電子ビームは、電子が電子ビームダンプに到達するのを防止するという意味で一種の逆アパーチャとして機能する妨害物体を横切ってスキャンされる。電子ビームが物体によって覆い隠されない電子ビームダンプに衝突すると、最大量のX線放射が発生される。電子ビームが物体上でスキャンされると、電子ビームは部分的に覆い隠され、電子ビームダンプにおいて発生されるX線放射の量は、電子ビームが物体によって最大限に覆い隠されるまで減少する。この場合も、電子ビームの断面拡張を計算するために使用できるX線プロファイルが得られる。
【0031】
他の実施形態では、本方法は、電子ビームのスキャンの間に電子ビームと液体金属ジェットターゲットとの間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することを伴う。
【0032】
電子ビームと液体金属ジェットとの間の相互作用によって発生されるX線放射を検出するために1つ以上のX線検出器が配置される、
図4から
図6に概略的に示される液体金属ジェットX線源では、X線プロファイルを得るためにスキャンの間に発生されるX線放射を測定するステップS140は、したがって、電子ビームと液体金属ジェットとの間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することを含む。
【0033】
液体金属ジェットターゲットにおけるX線放射の自己吸収の影響は、
図5に概略的に示すように、干渉領域の両側に配置された2つのX線検出器128a及び128bを使用することによって低減することができる。X線プロファイルを得るためにスキャンの間に発生されるX線放射を測定するステップS140は、例えば2つの検出器からの出力を合計することによって、2つの検出器で検出されたX線放射の合計を考慮することを含むことができる。2つの検出器が干渉領域の両側に対称的に配置される場合、出力の合計は、対応してより高い又はより低いレベルのX線放射が他方の検出器で検出されるので、検出器のうちの一つによって記録されるようなX線プロファイルにおける任意の自己吸収誘導非対称を補償する。検出器が対称的に配置されていない場合、加算する前にそれぞれの出力に適切な重みを適用することができる。
【0034】
液体金属ジェットにおけるX線放射の自己吸収の影響は、
図6に概略的に示すように、電子ビームが液体金属ジェットに衝突するのと同じ側から発生されるX線放射を測定することによってさらに低減することができる。このようなセットアップでは、干渉領域とX線検出器との間で、発生されるX線放射に影響を及ぼす自己吸収はない。これは、電子ビームが液体金属ジェットに衝突する場所を検出器が「確かめる」ので、位置合わせの目的に特に有用であるかもしれない。X線検出器は、例えばCCDアレイを含むことによって画像化能力を備えることができ、画像化を向上させるために、CCDアレイと、電子ビームが液体金属ジェットに衝突する干渉領域との間にピンホールを設けることができる。
【0035】
例えば、CCDアレイ及び上記と同様のピンホールを含むX線検出器はまた、
図4に示されるようなセットアップにおいて有用であることがある。次いで、X線検出器は、発生されるX線放射を「確かめる」。
【0036】
代替的に、電子衝突時にX線放射を発生させることが可能な他の何らかの物体が、特性評価の間に干渉領域に配置されてもよく、そのような実施形態では、液体金属ジェットは特性評価の間に存在しなくてもよい。
【0037】
図3は、本発明の第1の実施形態による液体金属ジェットX線源300を概略的に示す。X線源300は、アノード114に向かって電子を放出する電子源/カソード110を備える。加速電位112をカソード110とアノード114との間に印加して、放出された電子を加速することができる。アノード114の下流には、電子ビームの位置合わせのための1つ以上の位置合わせコイル116が配置されている。1つ以上の集束レンズ118及び偏向板120もまた、電子ビームが液体金属ジェットターゲット122と相互作用できる干渉領域に向かって電子ビームを集束及び向けるように、電子ビーム経路に沿って配置される。通常動作の間、有用なX線放射は、干渉領域における電子ビームと液体金属ジェット122との間の相互作用によって発生される。X線源300はまた、干渉領域を通過した電子が衝突する電子ビームダンプ124を備える。電子ビームダンプ124は、電気的に接地され、その結果、そこに衝突する電子は廃棄される、すなわちダンプされる。
【0038】
図3の実施形態では、電子ビームダンプ124は、電子が衝突したときにX線放射が発生されるように配置される。X線検出器128は、電子ビームダンプ124から発生されるX線放射を検出するために設けられる。検出器128は、電子ビームダンプから発生されるX線放射のみを検出する(例えば電子ビームと液体金属ジェット122との間の相互作用から発生される放射は検出しない)ように配置することができる。このような構成では、例えば上述のWO2012/087238に記載されているように、ビームダンプを通る電流が測定される従来の電子ビームダンプと同様の方法で、位置合わせ及び集束手順を実行することができる。しかしながら、ビームダンプを通る電流よりもむしろ、ビームダンプ124から発生されるX線放射が手順で使用されるので、ビームダンプ124をある特定の電位に維持する必要はない。対照的に、本発明の実施形態では、電子ビームダンプ124は、
図3の126で示されるように、電気的に接地される。したがって、例えば、金属液滴がビームダンプ124の縁部に付着した場合、有害な短絡は発生せず、堆積した金属液滴も電子衝突時にX線を発生し、したがって機能性を損なわない。
【0039】
いくつかの実施形態では、電子ビームダンプ124の材料が、電子ビームのすべての関連する向きに対してX線発生のための同様の断面を提供するという意味で、設計を最適化することができる。一実施形態は、例えば、電子ビームの衝突方向に対して適切な角度で配置された平坦面を含むことができる。他の実施形態では、電子ビームダンプ124は円筒形表面を含むことができ、円筒の半径は、電子ビームダンプのアパーチャを横切る電子ビームのスキャンの間に電子ビームが表面を横切る距離と比較して大きい。
【0040】
好ましくは、電子ビームダンプは、電子ビームの衝突に関連する熱負荷に対処するために、適切な冷却配置を備える。
【0041】
本発明の実施形態では、電子ビームダンプ124は電気的に接地される。これにより、ビームダンプ124における電荷の蓄積が効果的に防止され、ビームダンプと配置の他の部分との間の短絡に関する従来技術の問題が回避される。しかしながら、電子ビームダンプ124は、アースに一貫して接続される必要はないことに留意されたい。例えば、ビームダンプにおける閾値電位に到達したときに、蓄積された電荷を適切な電流制限配置、例えば抵抗器を通して任意選択で接地にダンプするために、接地が断続的にアクティブ化されることが考えられる。しかしながら、好ましい実施形態は、電子ビームダンプが接地電位に維持されるように電気的接地に一貫して接続された電子ビームダンプ124を有する。本発明の範囲内で、筐体及び電子ビームダンプに対して仮想接地電位を作成することが考えられ、すなわち、これらの構成要素は、必ずしも0に等しくない特定の電位に能動的に保持されることができる。このタイプの実施形態は、いくつかの状況において設計上の利点を有することができるが、本発明の一般的な概念は影響を受けない。
【0042】
任意の適切なタイプの検出器、例えば、タングステン(W)ハウジング内のテルル化カドミウム(CdTe)ダイオードをX線検出器128に使用することができる。
【0043】
図3に示す実施形態では、電子ビームのスキャンの間のX線プロファイルは、電子ビームと電子ビームダンプ124との間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することによって得られる。任意選択で、スキャンの間に電子ビームを部分的に覆い隠すために、液体金属ジェットターゲット122などの物体を存在させることができる。X線検出器128は、電子ビームダンプからのX線放射のみを検出し、電子ビームと液体金属ジェット又はシステムの任意の他の部分、例えば、干渉領域と電子ビームダンプとの間に配置されたハウジング又はアパーチャ、との間の相互作用から発生される放射を検出しないように配置される。
【0044】
他の実施形態はまた、電子ビームとソース100の液体金属ジェットとの間、又は電子ビームと電子ビーム経路内に配置された基準物体との間の相互作用によって発生されるX線放射の検出に依存してもよい。
図4は、X線検出器128が干渉領域で発生されるX線を検出するように配置されるX線源400の実施形態を概略的に示す。干渉領域で発生されるX線を検出するためのX線センサは、好ましくは、この目的に専用の第2のセンサである。X線検出器128は、X線源の真空チャンバの外側に都合よく配置され、X線透過窓を通してX線放射を検出することができる。本発明による典型的なX線源は、発生されるX線放射が抽出される1つ以上のX線透過窓又はポートを備えることができる。検出器128は、1つのこのようなポートに都合よく配置することができる。検出器128は、それによって、電子ビームが液体金属ターゲット(又は適切に配置された基準物体)に衝突するときにX線放射を検出することができるが、電子ビームがターゲットに衝突しないときにはX線放射を検出しない。それによって、電子ビームがターゲット上でスキャンされている間にX線検出器128をサンプリングすることによって、X線強度プロファイルを取得することができ、これを使用して電子ビームの断面寸法などの特性を推定することができる。ターゲットにおける自己吸収は、幾分歪んだプロファイルの測定を生じさせるかもしれないと考えられるが、これは、変動するバックグラウンドを差し引くことによって、又はターゲットにおける自己吸収が減少するようなエネルギーのX線放射のみを使用することによって、例えば、ターゲット材料のX線吸収限界を十分に上回るエネルギーを有するX線放射のみを検出することによって、補償することができる。
【0045】
図5は、本発明による液体金属ジェットX線源500の別の実施形態を概略的に示し、自己吸収は、液体金属ジェット122に対してそれぞれ異なる角度で配置された2つのX線検出器128a、128bを使用することによって補償される。従って、2つの検出器で検出されたX線放射の合計を考慮することによって、補償された測定値を得ることができる。
【0046】
図6は、更に別の実施形態を概略的に示しており、この実施形態では、X線検出器128は、干渉領域からの見通し線内であるが電子ビームの下方(又は上方)に配置されている。X線検出器が十分に狭い視野を有する限り、電子ビームダンプ124に衝突する電子から発生される任意の放射線は、X線検出器128によって検出されないようにすることができる。X線検出器のそのような位置決めにより、ターゲットにおける自己吸収によって引き起こされるアーチファクトが低減されることができる。
【0047】
理解されるように、
図3から
図6に示す検出器の配置を組み合わせることもできる。例えば、
図3に示されるような電子ビームと電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射の測定を伴うX線源及び/又は対応する方法は、
図4から
図6のいずれかに示されるような電子ビームと液体金属ジェット又は別の覆い隠す物体との間の相互作用によって発生されるX線放射の測定と組み合わされることができる(すなわち、補足されることができる)。電子ビームと電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射が、X線プロファイルを決定するときに考慮されず、したがって、
図4から
図6を参照して説明した検出方式のうちの1つ以上のみに依存する実装を有することも考えられる。
【0048】
本発明の様々な実施形態では、X線プロファイルは、液体金属ジェット、基準物体、アパーチャ、又はこれらに類するもののいずれかにわたって電子ビームをスキャンすることによって獲得され、それによって得られたX線プロファイルは、電子ビームの焦点を較正又は調節するときに使用することができる。システムの光軸に沿って電子ビームを位置合わせするために、第2のセンサ、例えば後方散乱電子を検出するセンサを使用することができる。しかしながら、そのような後方散乱センサの使用は、電子ビームがターゲットを横切ってスキャンされると後方散乱係数が変化するので、平坦でないターゲットにはあまり有利ではない。
【0049】
金属液滴がターゲットとX線検出器との間のどこかに堆積するケースでは、検出器に到達するX線放射の量の減少が生じるかもしれないが、これは機能性を損なうことはなく、わずかに減少した強度ではあるが、電子ビーム幅を決定するために使用されることができるX線強度プロファイルが依然として得ることができる。
【0050】
例えばピンホールが設けられ、及び/又はCCDアレイを含むことによって十分な画像化能力を有するX線検出器が使用されるケースでは、液体金属ジェットに実質的に平行な方向における焦点の広がりは、検出器に到達する放射線の量を検出しながらその方向に沿って電子ビームをスキャンすることによって得ることができる。X線信号がフル信号から0に移行するために電子ビームスポットが移動されなければならない距離、又は何らかの他の適切に定義された限界は、ビームスポットサイズに対応する。
【0051】
上述の実施形態では、X線放射の検出は直接的である(例えば、ダイオードベースの検出器を使用することによる)。しかしながら、X線放射の検出は、最初にX線放射をより低い周波数を有する放射に変換し、次いで(例えば、シンチレータ及び可視光用検出器を使用して)より低い周波数の放射を検出することによって間接的であってもよい。全ての実施形態において、意図された線源からの放射線のみが検出されるように、X線検出器を遮蔽又は配置することが好ましい。上述したように、このような遮蔽は、Wケーシングの内部に配置されたCdTeダイオードによって実現することができる。好ましい実施形態では、X線検出器は、望ましくないX線放射から遮蔽するためにWシリンダの内部の適切な深さに配置されたCdTeダイオードを有する。X線検出器の視野を制限する他のタイプのコリメータが、本発明の範囲内で考えられる。
【0052】
要約すると、本発明の実施形態は、電子ビームの断面拡張などの特性を決定する方法を提供する。電子ビームは、干渉領域に向けられる。干渉領域を通過した後、電子ビームは電子ビームダンプに衝突し、電荷は電気的接地に廃棄される。電子ビームは、干渉領域の少なくとも一部にわたってスキャンされ、スキャンの間に発生されるX線放射は、測定されたX線放射を電子ビーム方向と関係付けるX線プロファイルを得るために測定される。次に、発生されるX線プロファイルに基づいて、電子ビームの断面拡張などの電子ビーム特性が計算される。
【0053】
いくつかの実施形態では、X線放射は、電子ビームとビームダンプとの間の相互作用によって発生され、電子ビームは、電子ビームダンプに到達する前にアパーチャを通過する。アパーチャを通過する電子ビームの部分のみが電子ビームダンプに到達することができ、したがってX線放射の発生に寄与する。したがって、X線プロファイルを使用して、電子ビームの断面拡張を計算することができる。アパーチャが電子ビームダンプ自体の延長として具現化されることも考えられる。他の実施形態では、アパーチャは、添付図面に概略的に示されるように、液体金属ジェットX線源の壁の開口部として具現化される。理解されるように、そのようなアパーチャを利用する実施形態では、電子ビームは、アパーチャの縁部に到達するように十分に大きな角度にわたってスキャンされる必要がある。
【0054】
他の実施形態では、スキャンの間に電子ビームの経路と部分的に交差する物体が提供される。そのような物体は、物体が電子ビームの経路と部分的に交差するとき、より少ない電子が電子ビームダンプに到達するように、電子を吸収及び/又は反射する特性を有する限り、多くの異なる形態をとることができる。経路と交差する物体は、干渉領域に存在する液体金属ジェットであってもよい。
【0055】
ここではいくつかの例示的な実施形態について説明してきたが、当業者は、本発明の実施形態を実施するときにこれらの例に限定されない。それどころか、添付の特許請求の範囲内において多くの修正及びバリエーションが可能である。特に、2つ以上のターゲット又は2つ以上の電子ビームを備えるX線源は、本発明の概念の範囲内であると考えることができる。さらに、本明細書に記載されるタイプのX線源は、医療診断、非破壊試験、リソグラフィ、結晶分析、顕微鏡検査、材料科学、表面物理学、X線回折によるタンパク質構造決定、X線光分光法(XPS)、限界寸法小角X線散乱(CD-SAXS)、及びX線蛍光によって例示されるがこれらに限定されない特定の用途に合わせたX線光学及び/又は検出器と有利に組み合わせることができる。添付図面に関連して本開示を読んで理解した後、当業者は様々な実施形態を実施することができるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体金属ジェットX線源における電子ビームを特徴付ける方法であって、
前記電子ビームを提供し、前記電子ビームを干渉領域に向けることと、
前記電子ビームが前記干渉領域を横断した後に、前記電子ビームを受け取るための接地電位に接続された電子ビームダンプを提供することと、
前記電子ビームを前記干渉領域の少なくとも一部にわたってスキャンすることと、
X線プロファイルを得るために、前記スキャンの間に前記電子ビームと前記電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することと、
前記X線プロファイルに基づいて電子ビーム特性を計算することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記スキャンの間に前記電子ビームの経路と部分的に交差する物体を提供することをさらに含み、ここで、前記物体は電子を吸収及び/又は反射する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体は、前記干渉領域に存在する液体金属ジェットである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記X線プロファイルに基づいて、前記液体金属ジェットの特性を計算することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
X線プロファイルを得るためにX線放射を測定するステップは、前記電子ビームと前記物体との間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することをさらに含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記干渉領域と前記電子ビームダンプとの間にアパーチャを提供することをさらに含み、前記アパーチャは、前記アパーチャを通過する電子のみが前記スキャンの間に測定されるX線放射に寄与するように配置される、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電子ビームを前記干渉領域にわたってスキャンすることは、前記電子ビームを前記アパーチャにわたってスキャンすることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ピンホールを設けることをさらに含み、前記スキャンの間に発生されるX線放射のプロファイルを測定することは、前記ピンホールを通過したX線放射を検出することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
液体金属ジェットX線源であって、
電子ビームを提供し、前記電子ビームを干渉領域に向けるように配置された電子源と、
接地電位に接続され、前記電子ビームが前記干渉領域を横断した後に前記電子ビームを受け取るように配置された電子ビームダンプと、
前記干渉領域の少なくとも一部にわたって前記電子ビームをスキャンすることができるスキャン装置と、
前記電子ビームと前記電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射を検出するように位置決めされ配置されたX線センサと、
前記スキャン装置及び前記X線センサに動作可能に接続された回路とを備え、前記回路は、前記電子ビームのスキャンの間にX線プロファイルを決定するように構成されている、液体金属ジェットX線源。
【請求項10】
前記回路は、前記X線プロファイルに基づいて前記電子ビームの特性を計算するようにさらに構成されている、請求項9に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項11】
前記スキャンの間に前記電子ビームの経路と部分的に交差するように取り外し可能に設けられた基準物体をさらに備え、前記基準物体は電子を吸収及び/又は反射する、請求項9又は10に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項12】
前記X線センサの視野を制限するコリメータをさらに備える、請求項9
又は10に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項13】
前記干渉領域と前記電子ビームダンプとの間にアパーチャをさらに備え、前記アパーチャは、前記アパーチャを通過する電子のみが前記スキャンの間に測定されるX線放射に寄与するように配置される、請求項9
又は10に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項14】
前記干渉領域において発生されるX線放射を検出するように位置決めされ配置された第2のX線センサをさらに備える、請求項9
又は10に記載の液体金属ジェットX線源。
【請求項15】
前記第2のX線センサによって検出されたX線放射がピンホールを通過するように位置決め及び配置された前記ピンホールをさらに備える、請求項14に記載の液体金属ジェットX線源。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
ここではいくつかの例示的な実施形態について説明してきたが、当業者は、本発明の実施形態を実施するときにこれらの例に限定されない。それどころか、添付の特許請求の範囲内において多くの修正及びバリエーションが可能である。特に、2つ以上のターゲット又は2つ以上の電子ビームを備えるX線源は、本発明の概念の範囲内であると考えることができる。さらに、本明細書に記載されるタイプのX線源は、医療診断、非破壊試験、リソグラフィ、結晶分析、顕微鏡検査、材料科学、表面物理学、X線回折によるタンパク質構造決定、X線光分光法(XPS)、限界寸法小角X線散乱(CD-SAXS)、及びX線蛍光によって例示されるがこれらに限定されない特定の用途に合わせたX線光学及び/又は検出器と有利に組み合わせることができる。添付図面に関連して本開示を読んで理解した後、当業者は様々な実施形態を実施することができるであろう。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1]
液体金属ジェットX線源における電子ビームを特徴付ける方法であって、
前記電子ビームを提供し、前記電子ビームを干渉領域に向けることと、
前記電子ビームが前記干渉領域を横断した後に、前記電子ビームを受け取るための接地電位に接続された電子ビームダンプを提供することと、
前記電子ビームを前記干渉領域の少なくとも一部にわたってスキャンすることと、
X線プロファイルを得るために、前記スキャンの間に前記電子ビームと前記電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することと、
前記X線プロファイルに基づいて電子ビーム特性を計算することとを含む、方法。
[2]
前記スキャンの間に前記電子ビームの経路と部分的に交差する物体を提供することをさらに含み、ここで、前記物体は電子を吸収及び/又は反射する、[1]に記載の方法。
[3]
前記物体は、前記干渉領域に存在する液体金属ジェットである、[2]に記載の方法。
[4]
前記X線プロファイルに基づいて、前記液体金属ジェットの特性を計算することをさらに含む、[3]に記載の方法。
[5]
X線プロファイルを得るためにX線放射を測定するステップは、前記電子ビームと前記物体との間の相互作用によって発生されるX線放射を測定することをさらに含む、[2]から[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記干渉領域と前記電子ビームダンプとの間にアパーチャを提供することをさらに含み、前記アパーチャは、前記アパーチャを通過する電子のみが前記スキャンの間に測定されるX線放射に寄与するように配置される、[1]から[4]のうちのいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記電子ビームを前記干渉領域にわたってスキャンすることは、前記電子ビームを前記アパーチャにわたってスキャンすることを含む、[6]に記載の方法。
[8]
ピンホールを設けることをさらに含み、前記スキャンの間に発生されるX線放射のプロファイルを測定することは、前記ピンホールを通過したX線放射を検出することを含む、[5]に記載の方法。
[9]
液体金属ジェットX線源であって、
電子ビームを提供し、前記電子ビームを干渉領域に向けるように配置された電子源と、
接地電位に接続され、前記電子ビームが前記干渉領域を横断した後に前記電子ビームを受け取るように配置された電子ビームダンプと、
前記干渉領域の少なくとも一部にわたって前記電子ビームをスキャンすることができるスキャン装置と、
前記電子ビームと前記電子ビームダンプとの間の相互作用によって発生されるX線放射を検出するように位置決めされ配置されたX線センサと、
前記スキャン装置及び前記X線センサに動作可能に接続された回路とを備え、前記回路は、前記電子ビームのスキャンの間にX線プロファイルを決定するように構成されている、液体金属ジェットX線源。
[10]
前記回路は、前記X線プロファイルに基づいて前記電子ビームの特性を計算するようにさらに構成されている、[9]に記載の液体金属ジェットX線源。
[11]
前記スキャンの間に前記電子ビームの経路と部分的に交差するように取り外し可能に設けられた基準物体をさらに備え、前記基準物体は電子を吸収及び/又は反射する、[9]又は[10]に記載の液体金属ジェットX線源。
[12]
前記X線センサの視野を制限するコリメータをさらに備える、[9]から[11]のいずれか一項に記載の液体金属ジェットX線源。
[13]
前記干渉領域と前記電子ビームダンプとの間にアパーチャをさらに備え、前記アパーチャは、前記アパーチャを通過する電子のみが前記スキャンの間に測定されるX線放射に寄与するように配置される、[9]から[12]のいずれか一項に記載の液体金属ジェットX線源。
[14]
前記干渉領域において発生されるX線放射を検出するように位置決めされ配置された第2のX線センサをさらに備える、[9]から[13]のいずれか一項に記載の液体金属ジェットX線源。
[15]
前記第2のX線センサによって検出されたX線放射がピンホールを通過するように位置決め及び配置された前記ピンホールをさらに備える、[14]に記載の液体金属ジェットX線源。
【国際調査報告】