(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】金属で作られた圧延製品を製造及び/又は処理するためのシステムの遠隔制御
(51)【国際特許分類】
B21B 1/26 20060101AFI20230118BHJP
G05B 13/04 20060101ALI20230118BHJP
B21B 38/00 20060101ALI20230118BHJP
B21B 38/10 20060101ALI20230118BHJP
B21B 38/08 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
B21B1/26 B
G05B13/04
B21B38/00 C
B21B38/00 E
B21B38/10
B21B38/08
B21B38/10 A
B21B38/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529366
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2020082551
(87)【国際公開番号】W WO2021099397
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516128728
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・ウィンター
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ユルゲン・ツァイアー
【テーマコード(参考)】
4E002
5H004
【Fターム(参考)】
4E002AA08
4E002AD02
4E002BA01
4E002BC02
4E002BD02
4E002BD03
4E002BD07
5H004GB03
5H004HA01
5H004HB01
5H004HB07
5H004HB08
5H004HB10
5H004HB14
5H004KC33
(57)【要約】
本発明によると、センサ(9)は、金属で作られた圧延製品(2)を製造及び/又は処理するためのシステムのユニット(10)の状態を検出し、それらを自動システム(8)に伝達する。状態信号(Z)は、部分的に次元信号である。自動システム(8)は、状態信号(Z)を考慮することによって、ユニット(10)に関連付けられたアクチュエータ(11)用の制御信号(S)を判断し、それに応じてアクチュエータ(11)を作動させる。自動システム(8)は、システム及び/又は圧延製品(2)の挙動をリアルタイムでモデリングする少なくとも1つのモデルベースシステムを備えている。自動システムは操作位置に配置されたヒューマンマシンインターフェース(17)にオープンデータネットワーク(16)を介して、状態信号(Z)、制御信号(S)、及び/又は状態信号(Z)及び/又は制御信号(S)から導出される信号を少なくとも一部伝達する。伝達された信号は、次元信号の少なくとも1つを備えている。オペレータ(19)は、制御素子(20)を作動させることによってヒューマンマシンインターフェース(17)にコマンド(B)を特定し、コマンドはヒューマンマシンインターフェース(17)が仕様(V)に変換し、上記ヒューマンマシンインターフェース(17)は自動システム(8)に伝達する。自動システム(8)は、制御信号(S)を判断する場合に仕様(V)を考慮する。データは、高い確率及び低いレイテンシで両方の通信方向に伝達される。関連する帯域幅は十分大きい。自動システム(8)及びヒューマンマシンインターフェース(17)は、どの次元信号をどの範囲で伝達し、それらをオペレータ(19)に出力するかを決定する。決定は、圧延製品(2)及び/又はシステムの状態によって行われる。別の方法では又は加えて、仕様(V)はこのベースで判断される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属で作られた圧延製品(2)を製造及び/又は処理するためのシステムを操作するための操作方法であって、
前記システムのユニット(10)の状態用の重要な状態信号(Z)はセンサ(9)により検出され、
前記検出された状態信号(Z)は自動システム(8)に前記センサ(9)から伝達され、
前記センサ(9)によって記録される前記状態信号(Z)のいくつかは次元信号であり、
次元信号は、単一の個別の測定値が、時間及び/又は位置で隣接する値も考慮する場合、前記システムの特定のユニット又は前記システム自体に対して前記圧延製品(2)の状態に関する重要な情報を提供するだけである信号であり、
前記自動システム(8)は、前記伝達された状態信号(Z)を考慮して、前記ユニット(10)に関連付けられたアクチュエータ(11)用の制御信号(S)を判断し、前記判断された状態信号(Z)により前記アクチュエータ(11)を作動させ、
前記自動システム(8)は前記次元信号を考慮することによって前記制御信号(S)の一部を判断し、
前記自動システム(8)は数学的物理方程式に基づいてリアルタイムに前記システム及び/又は前記圧延製品(2)の挙動をモデリングする少なくとも1つのモデルベースシステムを備え、
前記自動システム(8)は前記モデルベースシステムに前記状態信号(Z)の一部を供給し、前記モデルベースシステムにより前記アクチュエータ(11)用の前記制御信号(S)の一部を判断し、
前記自動システム(8)は操作部位に配置されたヒューマンマシンインターフェース(17)にオープンデータネットワーク(16)を介して、前記状態信号(Z)、前記制御信号(S)、並びに/あるいは前記状態信号(Z)及び/又は前記制御信号(S)から導出される信号の少なくとも一部を伝達し、
前記オープンデータネットワークは、前記自動システム及び前記ヒューマンマシンインターフェースが、他の構成部品がデータネットワークに接続されているかどうか、及びそうである場合にはどの他の構成部品が前記データネットワークに接続されているかに関する知識がないデータネットワークであり、
前記ヒューマンマシンインターフェース(17)に伝達された前記信号が前記次元信号の少なくとも1つを備え、
前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は前記ヒューマンマシンインターフェース(17)の規定の制御(20)を操作することによってオペレータ(19)からのコマンド(B)を許可し、前記オープンデータネットワーク(16)を介して前記自動システム(8)に前記コマンド(B)に対応する仕様(V)を伝達し、
前記自動システム(8)は前記制御信号(S)を判断する場合に前記仕様(V)を考慮し、
前記オープンデータネットワーク(16)上の前記伝達は50msの最大レイテンシ時間で少なくとも99.95%の確率で両方の通信方向で起こり、前記自動システム(8)と前記ヒューマンマシンインターフェース(17)の間の前記伝達の帯域幅は、800×600ピクセル毎ビデオフレームの解像度及び20ビデオフレーム毎秒の少なくとも1つのビデオデータストリームを前記最大レイテンシ時間内に伝達することができるように十分大きく、
前記自動システム(8)は、前記圧延製品(2)及び/又は前記システムの状態によって前記ヒューマンマシンインターフェース(17)にどの次元信号を伝達するか決定する、並びに/あるいは前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は、前記オペレータ(19)にどの次元信号を、前記圧延製品(2)及び/又は前記システムの前記状態によりどの範囲で出力するかを決定し、
前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は前記仕様(V)を前記規定の制御(20)の作動に応じて動的に、並びに前記圧延製品(2)及び/又は前記システムの前記状態に応じて追加的に判断する操作方法。
【請求項2】
前記システムは、圧延装置の下流側に冷却トラックを備えている又は備えていない連続鋳造システム及び/又は圧延装置、及び/又は前記圧延製品(2)の熱処理及び/又は表面処理用の処理ラインを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の操作方法。
【請求項3】
前記オープンデータネットワーク(16)の少なくとも1つのサブセクションは、少なくとも5G標準により設計されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の操作方法。
【請求項4】
前記システムの幾何学的構造モデル(25)は前記ヒューマンマシンインターフェース(17)で実施され、前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は、前記オペレータ(19)に前記幾何学的構造モデル(25)の少なくとも一部を出力し、前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は、出力された前記幾何学的構造モデル(25)で、又は前記幾何学的構造モデル(25)の出力部分で、前記圧延製品(2)及び/又は前記システムの前記状態によって、前記自動システム(8)が前記ヒューマンマシンインターフェース(17)に伝達する領域又は領域の少なくとも1つを視覚的に強調し、並びに/あるいはその領域から前記次元信号が生じ、その信号を前記ヒューマンマシンインターフェース(17)が前記圧延製品(2)及び/又は前記システムの前記状態によって前記オペレータ(19)に出力する、並びに/あるいはそれについて前記ヒューマンマシンインターフェース(17)が前記圧延製品(2)及び/又は前記システムの前記状態によって動的に判断する前記仕様(V)が判断されることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の操作方法。
【請求項5】
前記自動システム(8)と前記ヒューマンマシンインターフェース(17)の間の通信は、圧縮形態で起こることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の操作方法。
【請求項6】
前記自動システム(8)と前記ヒューマンマシンインターフェース(17)の間の通信は暗号化されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の操作方法。
【請求項7】
前記ヒューマンマシンインターフェース(17)に加えて、前記ヒューマンマシンインターフェース(17)にネットワーク接続された少なくとも1つの他のヒューマンマシンインターフェース(17’、17”)は操作位置に配置され、前記オペレータ(19)が前記ヒューマンマシンインターフェース(17)から前記他のヒューマンマシンインターフェース(17’、17”)まで動的に、及び適当な転送コマンドを特定することによって前記自動システム(8)との通信を転送することができることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の操作方法。
【請求項8】
前記自動システム(8)から前記モデルベースシステムに供給される前記状態信号(Z)の少なくとも一部は、次元信号であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作方法。
【請求項9】
金属で作られた圧延製品(2)を製造する及び/又は処理するための一体型システムであって、
前記一体型システムは、それにより前記一体型システムのユニット(10)の状態用の明らかな状態信号(Z)が検出される、前記一体型システムの位置に配置されたセンサ(9)を有し、
前記一体型システムは、前記センサ(9)から自動システム(8)に前記検出された状態信号(Z)を伝達するために前記センサ(9)に接続された自動システム(8)を有し、
前記センサ(9)によって検出された前記状態信号(Z)の一部が次元信号であり、
次元信号は、単一の個別の測定値が、時間及び/又は位置で隣接する値を考慮する場合、前記一体型システムの特定のユニット又は前記一体型システム自体に対して前記圧延製品(2)の状態に関する重要な情報を提供するだけである信号であり、
前記一体型システムは、前記ユニット(10)に関連付けられ、判断された制御信号(S)にしたがって、アクチュエータ(11)を作動させるために前記自動システム(8)に接続された前記一体型システムの前記位置に配置された前記アクチュエータ(11)を有し、
前記自動システム(8)は、前記伝達された状態信号(Z)を考慮して、前記アクチュエータ(11)用の前記制御信号(S)を判断し、
前記自動システム(8)は前記次元信号を考慮することによって前記制御信号(S)の一部を判断し、
前記自動システム(8)は数学的物理方程式に基づいてリアルタイムに前記一体型システム及び/又は前記圧延製品(2)の挙動をモデリングする少なくとも1つのモデルベースシステムを備え、
前記自動システム(8)は前記モデルベースシステムに前記状態信号(Z)の一部を供給し、前記モデルベースシステムにより前記アクチュエータ(11)用の前記制御信号(S)の一部を判断し、
前記一体型システムは、オープンデータネットワーク(16)を介して前記自動システム(8)に接続された、操作位置に配置されたヒューマンマシンインターフェース(17)を有し、
前記オープンデータネットワークは、前記自動システム及び前記ヒューマンマシンインターフェースが、他の構成部品がデータネットワークに接続されているかどうか、及びそうである場合にはどの他の構成部品が前記データネットワークに接続されているかに関する知識がないデータネットワークであり、
前記自動システム(8)は、前記状態信号(Z)、前記制御信号(S)、並びに/あるいは前記状態信号(Z)及び/又は前記制御信号(S)から導出される信号の少なくとも一部を、前記オープンデータネットワーク(16)を介して前記ヒューマンマシンインターフェース(17)に伝達し、
前記ヒューマンマシンインターフェース(17)に伝達された前記信号が前記次元信号の少なくとも1つを備え、
前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は前記ヒューマンマシンインターフェース(17)の規定の制御(20)を操作することによってオペレータ(19)からのコマンド(B)を許可し、前記オープンデータネットワーク(16)を介して前記自動システム(8)に前記コマンド(B)に対応する仕様(V)を伝達し、
前記自動システム(8)は前記制御信号(S)を判断する場合に前記仕様(V)を考慮し、
前記オープンデータネットワーク(16)上の前記伝達は50msの最大レイテンシ時間で少なくとも99.95%の確率で両方の通信方向で起こり、前記自動システム(8)と前記ヒューマンマシンインターフェース(17)の間の前記伝達の帯域幅は、800×600ピクセル毎ビデオフレームの解像度及び20ビデオフレーム毎秒の少なくとも1つのビデオデータストリームを前記最大レイテンシ時間内に伝達することができるように十分大きく、
前記自動システム(8)は、前記圧延製品(2)及び/又は前記一体型システムの状態によって前記ヒューマンマシンインターフェース(17)にどの次元信号を伝達するか決定する、並びに/あるいは前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は、前記オペレータ(19)にどの次元信号を、前記圧延製品(2)及び/又は前記一体型システムの前記状態によりどの範囲で出力するかを判断し、
前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は前記仕様(V)を前記規定の制御(20)の前記作動に応じて動的に、並びに前記圧延製品(2)及び/又は前記一体型システムの前記状態に応じて追加的に判断する、一体型システム。
【請求項10】
前記一体型システムは、圧延装置の下流側に冷却トラックを備えている又は備えていない連続鋳造システム及び/又は圧延装置、及び/又は前記圧延製品(2)の熱処理及び/又は表面処理用の処理ラインを備えていることを特徴とする、請求項9に記載の一体型システム。
【請求項11】
前記オープンデータネットワーク(16)の少なくとも1つのサブセクションは、少なくとも5G標準により設計されていることを特徴とする、請求項9又は10に記載の一体型システム。
【請求項12】
前記一体型システムの幾何学的構造モデル(25)は前記ヒューマンマシンインターフェース(17)で実施され、前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は、前記オペレータ(19)に前記幾何学的構造モデル(25)の少なくとも一部を出力し、前記ヒューマンマシンインターフェース(17)は、出力された前記幾何学的構造モデル(25)で、又は前記幾何学的構造モデル(25)の出力部分で、前記圧延製品(2)及び/又は前記一体型システムの前記状態によって、前記自動システム(8)が前記ヒューマンマシンインターフェース(17)に伝達する領域又は領域の少なくとも1つを視覚的に強調し、並びに/あるいはその領域から前記次元信号が生じ、それを前記ヒューマンマシンインターフェース(17)が前記圧延製品(2)及び/又は前記一体型システムの前記状態によって前記オペレータ(19)に出力する、並びに/あるいはそれについて前記ヒューマンマシンインターフェース(17)が前記圧延製品(2)及び/又は前記一体型システムの前記状態によって動的に判断する前記仕様(V)が判断されることを特徴とする、請求項9、10又は11に記載の一体型システム。
【請求項13】
前記自動システム(8)と前記ヒューマンマシンインターフェース(17)の間の通信は、圧縮形態で起こることを特徴とする、請求項9から12のいずれか一項に記載の一体型システム。
【請求項14】
前記自動システム(8)と前記ヒューマンマシンインターフェース(17)の間の通信は暗号化されることを特徴とする、請求項9から13のいずれか一項に記載の一体型システム。
【請求項15】
前記ヒューマンマシンインターフェース(17)に加えて、前記一体型システムは、前記操作位置に、前記ヒューマンマシンインターフェース(17)にネットワーク接続された少なくとも1つの他のヒューマンマシンインターフェース(17’、17”)を有すること、及び、前記オペレータ(19)が前記ヒューマンマシンインターフェース(17)から前記他のヒューマンマシンインターフェース(17’、17”)まで動的に、及び適当な転送コマンドを特定することによって前記自動システム(8)との通信を転送することができることを特徴とする、請求項9から14のいずれか一項に記載の一体型システム。
【請求項16】
前記自動システム(8)から前記モデルベースシステムに供給される前記状態信号(Z)の少なくとも一部は、次元信号であることを特徴とする、請求項9から15のいずれか一項に記載の一体型システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属で作られた圧延製品を製造及び/又は処理するためのシステムを操作する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、金属で作られた圧延製品を製造及び/又は処理するためのシステムからなる一体型システムに関する。
【背景技術】
【0003】
このようなシステム及び関連する操作手続き及び一体型システムが、一般的に知られている。このようなシステムの例は、溶融金属、例えばスチールが金属ストランドに鋳造される連続鋳造システムである。このようなシステムの別の例は、金属ストランドがより小さい断面に圧延される圧延装置である。鋳造/圧延工場、すなわち、連続鋳造システムが圧延装置と組み合わされた工場は、このようなシステムの別の例である。
【0004】
当業界の最新技術では、これらのタイプのシステムは制御者によって操作される。制御者は普通、システムの同じ場所に配置された制御ステーション内に配置されている。制御ステーションの配置は、制御者がシステムと直接的視覚接触を有するようになっている。
【0005】
このようなオンサイト操作及び制御は、直接的視覚接触が手動の介入のために所要の早い応答時間を保証することができる理由により、圧延装置内で行われるものなどの迅速及び複雑なプロセスにおいて従来技術で必要である。
【0006】
化学業界で起こるものなどの遅いプロセスでは、少なくとも幾つかの場合では、遠隔制御が知られている。遠隔制御が行われる事実により、制御ステーション(しばしば、制御室とも呼ばれる)は、原理的にはあらゆる位置に配置することができる。特に、システムの影響に直接曝される(例えば、雑音及びダストへの露出)位置に制御ステーションを配置する必要はない。システムからの距離は、必要に応じて設定することができる。例えば、数キロメートルをカバーすることができる。しかし、システムはまた、数百キロメール離れている可能性がある。
【0007】
特許文献1は、システムユニットの状態用の重要な状態信号は、センサを使用して取得され、自動システムに伝達される一次工業システム用の操作手続きを開示している。状態信号は、部分的に次元信号、一時的及び/又は局所的コンテキストで意味があるように使用することができる信号である。自動システムは、システムのアクチュエータ用の制御信号を判断するために次元信号を使用し、それによってアクチュエータを制御する。この目的で、自動システムは、システム及び/又は圧延製品の挙動をモデリングするモデルベースシステムを備えている。自動システムは、ヒューマンマシンインターフェースに状態信号の少なくともいくつかを伝達し、制御信号を決定する場合に考慮する、ヒューマンマシンインターフェースから制御コマンドを認める。
【0008】
特許文献2は、物体、特に加工物が、カメラを使用して追跡される金属処理業界での製造プロセス用の制御システムを開示している。カメラによってとられた画像は、クラウドに配置することができる製造システムに伝達される。処理の命令はその後、対応する処理マシンに送信される。マシンは、オンサイトで局所的に制御されるように見える。
【0009】
製造システムはまた、模式画像をオペレータに伝達することができる。
【0010】
多段階モデル最適化を有する工場の制御システムは、特許文献3で知られている。制御システムは、一次産業システムシステム、例えば、連続鋳造システム、圧延装置及び同様のシステムを制御するために使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2018/050438号
【特許文献2】独国特許出願公開第2017121098号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2008028777号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0241793号明細書
【特許文献5】国際公開第2003/000940号
【特許文献6】国際公開第2003/045599号
【特許文献7】国際公開第2004/076085号
【特許文献8】国際公開第2005/076092号
【特許文献9】国際公開第2017/133814号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、遠隔制御を金属圧延製品を製造及び/又は処理するためのシステムにも実施することができることによる方法を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
目的は、請求項1に記載の特性を有する操作方法によって達成される。操作方法の有利な実施形態は、従属請求項2から8に特定されている。
【0014】
本発明によると、操作方法は、金属で作られた圧延製品の一次形成及び/又は再形成のためのシステムに対して形成され、システムのユニットの状態用の重要な状態信号はセンサにより検出され、検出された状態信号は自動システムにセンサから伝達され、センサによって検出される状態信号の一部は次元信号であり、次元信号は単一及び個別の測定値は、時間及び/又は位置で隣接する値を考慮する場合、システムの特定のユニット又はシステム自体に対して圧延製品の状態に関する重要な情報を提供するだけである信号であり、自動システムは、伝達された状態信号を考慮して、ユニットに関連付けられたアクチュエータ用の制御信号を判断し、判断された状態信号によりアクチュエータを作動させ、自動システムは次元信号を考慮することによって制御信号の一部を判断し、自動システムは数学的物理方程式に基づいてリアルタイムにシステム及び/又は圧延製品の挙動をモデリングする少なくとも1つのモデルベースシステムを備え、自動システムはモデルベースシステムに状態信号の一部を供給し、モデルベースシステムによりアクチュエータ用の制御信号の一部を判断し、自動システムは操作部位に配置されたヒューマンマシンインターフェースにオープンデータネットワークを介して、状態信号、制御信号、並びに/あるいは状態信号及び/又は制御信号から導出される信号の少なくとも一部を伝達し、オープンデータネットワークは、自動システム及びヒューマンマシンインターフェースが、他の構成部品がデータネットワークに接続されているかどうか、及びそうである場合にはどの他の構成部品がデータネットワークに接続されているかに関する知識がないデータネットワークであり、ヒューマンマシンインターフェースに伝達された信号が次元信号の少なくとも1つを備え、ヒューマンマシンインターフェースはヒューマンマシンインターフェースの規定の制御を操作することによってオペレータからのコマンドを許可し、オープンデータネットワークを介して自動システムにコマンドに対応する仕様を伝達し、自動システムは制御信号を判断する場合に仕様を考慮し、オープンデータネットワーク上の伝達は50msの最大レイテンシ時間で少なくとも99.95%の確率で両方の通信方向で起こり、自動システムとヒューマンマシンインターフェースの間の伝達の帯域幅は、800×600ピクセル毎ビデオフレームの解像度及び20ビデオフレーム毎秒の少なくとも1つのビデオデータストリームを最大レイテンシ時間内に伝達することができるように十分大きく、自動システムは、圧延製品及び/又はシステムの状態によってヒューマンマシンインターフェースにどの次元信号を伝達するか決定する、並びに/あるいはヒューマンマシンインターフェースは、オペレータにどの次元信号を、圧延製品及び/又はシステムの状態によりどの範囲で出力するかを判断し、ヒューマンマシンインターフェースは仕様を規定の制御の作動に応じて動的に、並びに圧延製品及び/又はシステムの状態に応じて追加的に判断する。
【0015】
本発明は、視覚的情報が特にシステムを制御するために必要であるという認識に基づいている。それにより、システムの位置から操作位置までビデオデータを伝達することが可能である必要がある。これにより、オープンデータネットワークの性能(画像数毎秒及びその解像度)が規定される。システムの動的性質により、画像はまたリアルタイム近くで利用可能でなければならない。この要件は、最大許容レイテンシによって考慮される。さらに、ビデオデータは信頼性のある方法で利用可能でなければならない。この要件は、99.95%以上の伝達信頼性によって考慮される。
【0016】
圧延製品はまだ圧延されていない可能性がある。別の方法では、既に圧延製品である可能性がある。
【0017】
圧延製品を処理することは、圧延製品の特徴が永久的に変化するプロセスである。例えば、このような圧延操作である可能性がある。この場合、圧延製品の断面は、例えば、圧延製品の場合に主に厚さが変更される。別の方法では、又は加えて、熱処理、例えば、圧延装置の下流側の冷却トラック内、又は独立型焼鈍システム内、特にいわゆるCAL連続焼鈍ライン内での冷却である可能性がある。この場合、圧延製品のマイクロ機械性状が変更され、その後に、張力強度及び弾性限界などのマクロ機械性状を判断する。別の方法では、圧延製品のコーティング、例えば、CGL連続亜鉛メッキライン内での亜鉛メッキを必要とする可能性がある。CGLでは、熱処理は普通、コーティングと共に行われる。例えば、圧延製品の処理は、AからBの単なる輸送を必要とする。
【0018】
状態信号の幾つかの次元性、及びこれに基づくこのような信号の評価により、システムの操作のかなりより広範囲の自動化が、従来技術におけるより可能である。
【0019】
オープンデータネットワークを介した自動システムとヒューマンマシンインターフェースの間の通信により、ヒューマンマシンインターフェースをどこでも配置することができる。
【0020】
少なくとも99.95%の確率は、最小要件を示す。多くの場合、確率はさらにより高い、例えば99.99%又は99.999%である。
【0021】
50msの特定の最大レイテンシは、最小要件を示す。最大レイテンシ時間は、20ms又は10msなどのより低い値を有することが好ましい。5ms、2ms又は1msのさらにより低い値が考えられる。
【0022】
所要の帯域幅、すなわち、ビデオデータストリームを800×600ピクセル毎ビデオ画像の解像度及び20ビデオ画像毎秒で伝達することを可能にする帯域幅は、最小要件を示す。もちろん、対応してより高い性能を有するより大きな帯域幅を実施することもできる。例えば、これにより、多数のこのようなデータストリームを伝達することが可能になる、及び/又はビデオ画像がより高い解像度を有することを可能にする、及び/又はより多くの画像を毎秒伝達することが可能になる。また、このようなビデオストリームが伝達されることは重要ではない。重要な要因は、帯域幅がこのような伝達を可能にすることである。800:600=4:3の特定の画像縦横比はまた、強制ではない。
【0023】
オープンデータネットワークの特定の性能により、十分なデータ交換が、伝達される信号の容量、及びレイテンシの両方の意味で両方の通信方向で保証される。圧延製品及び/又はシステムの状態に応じての次元信号の伝達及び/又は出力は、オペレータが多少の中心位置に現在関連する信号を表示することができることを保証する。規定の制御の操作に応じてではなく、圧延製品及び/又はシステムの状態に応じての仕様の判断により、オペレータは異なる制御間で切り換える必要はないが、常に、同じ制御を操作することができる。これにより、オペレータ誤差をかなり少なくし、これを完全に避けることすらできる可能性がある。
【0024】
既に記載されたように、システムは、連続鋳造システム及び/又は圧延装置を備えることができる。冷却トラックは、圧延装置の下流側に配置することができる。別の方法では、又は加えて、システムは、CAL又はCGLなどの圧延製品の熱処理及び/又は表面処理用の処理ラインを備えることができる。
【0025】
オープンデータネットワークの少なくとも1つのサブセクションは、少なくとも5G標準により設計される。特にこのような標準を使用して、所要の性能を容易に達成することができる。データ伝達は完全に又は部分的に無線である可能性がある。しかし、有線データ伝達も可能である。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、システムの幾何学的構造モデルはヒューマンマシンインターフェースで実施され、ヒューマンマシンインターフェースはまた、オペレータに幾何学的構造モデルの少なくとも一部を出力する。この場合、ヒューマンマシンインターフェースは、出力幾何学的構造モデルで、又は幾何学的構造モデルの出力部分で、圧延製品及び/又はシステムの状態によって、自動システムがヒューマンマシンインターフェースに伝達する領域又は領域の少なくとも1つを視覚的に強調し、並びに/あるいはその領域から次元信号が生じ、それをヒューマンマシンインターフェースが圧延製品及び/又はシステムの状態によってオペレータに出力する、並びに/あるいはそれについてヒューマンマシンインターフェースが圧延製品及び/又はシステムの状態によって動的に判断する仕様が判断される。
【0027】
これにより、オペレータがシステム位置での実際のイベントを記録することがより容易になる。
【0028】
幾何学的構造モデル、及びヒューマンマシンインターフェースへの統合自体が知られている。特許文献4は、例として参照することができる。特許文献4と対照的に、本発明で状態依存強調は、緊急又はシステムの通常の操作外の場合だけではく、システムの通常の操作の際にも起こる。
【0029】
自動システムとヒューマンマシンインターフェースの間の通信は、圧縮形態で起こる。データ圧縮は、当業者によく知られている。特にビデオデータでは、よく知られているMPEG標準への言及を行うことができる。
【0030】
圧縮データ伝達の代替形態として、又はこれに加えて、自動システムとヒューマンマシンインターフェースの間の通信が暗号化された形で起こる可能性もある。特に、このアプローチは、不正アクセスに対する通信の保護を大きくする。
【0031】
最も単純な場合では、ヒューマンマシンインターフェースだけが操作位置に存在する。しかし、ヒューマンマシンインターフェースに加えて、操作位置に配置された少なくとも1つの他のヒューマンマシンインターフェースを有することも可能である。この場合、追加のヒューマンマシンインターフェースが最初に記載したヒューマンマシンインターフェースとネットワーク通信される場合、操作方法は、オペレータがヒューマンマシンインターフェースから他のヒューマンマシンインターフェースまで動的に、及び適当な輸送コマンドを特定することによって自動システムとの通信を転送することができるように構成されていることが好ましい。これにより、オペレータが、どのヒューマンマシンインターフェースが自動システムと通信するかを特に動的に判断することが可能である。
【0032】
自動システムからモデルベースシステムに供給される状態信号の少なくとも一部は、次元信号であることが好ましい。これによりまた、モデルベースシステムによる状態信号の評価が改善される。
【0033】
目的はまた、請求項9の特徴を有する一体型システムにより達成される。一体型システムの有利な実施形態は、従属請求項10から16で特定されている。
【0034】
本発明により、金属で作られた圧延製品を製造する及び/又は処理するためのシステムの一体型システムが作り出され、一体型システムは、システムのユニットの状態用の明らかな状態信号が検出される、システムの位置に配置されたセンサを有し、一体型システムはセンサから自動システムに検出された状態信号を伝達するためにセンサに接続された自動システムを有し、センサによって検出された状態信号の一部が次元信号であり、次元信号は、単一の個別の測定値が、時間及び/又は位置で隣接した値も考慮する場合に、システムの特定のユニット又はシステム自体に対して圧延製品2の状態に関する意味のある情報を提供するだけである信号であり、一体型システムは、システムの部位に位置付けされ、ユニットに関連付けられたアクチュエータを有し、自動システムは転送された状態信号を考慮してアクチュエータ用制御信号を判断し、アクチュエータは判断された制御信号によりアクチュエータを制御するために自動システムに接続され、自動システムは次元信号を考慮することによって制御信号の一部を判断し、自動システムは、数学的物理方程式に基づいて、リアルタイムでシステム及び/又は圧延製品の挙動をモデリングする少なくとも1つのモデルベースシステムを備え、自動システムはモデルベースシステムに状態信号の一部を供給し、モデルベースシステムによりアクチュエータ用制御信号の一部を判断し、一体型システムは操作位置に配置され、オープンデータネットワークを介して自動システムに接続されたヒューマンマシンインターフェースを有し、自動システムはヒューマンマシンインターフェースにオープンデータネットワークを介して、状態信号、制御信号、並びに/あるいは状態信号及び/又は制御信号から導き出された信号の少なくとも一部を伝達し、オープンデータネットワークは自動システム及びヒューマンマシンインターフェースが他の構成部品がデータネットワークに接続されているかどうか、及びそうである場合にはどの他の構成部品がデータネットワークに接続されているかに関する知識がないデータネットワークであり、ヒューマンマシンインターフェースに伝達された信号は次元信号の少なくとも1つを備え、ヒューマンマシンインターフェースは、ヒューマンマシンインターフェースの規定の制御を操作することによってオペレータからのコマンドを許容し、オープンデータネットワークを介して自動システムにコマンドに対応する仕様を伝達し、自動システムは制御信号を判断する場合に仕様を考慮し、オープンデータネットワーク上の伝達は50msの最大レイテンシ時間で少なくとも99.95%の確率で両方の通信方向で起こり、自動システムとヒューマンマシンインターフェースの間の伝達の帯域幅は、800×600ピクセル毎ビデオフレームの解像度及び20ビデオフレーム毎秒の少なくとも1つのビデオデータストリームを最大レイテンシ時間内に伝達することができるように十分大きく、自動システムは、圧延製品及び/又はシステムの状態によってヒューマンマシンインターフェースにどの次元信号を伝達するか決定する、並びに/あるいはヒューマンマシンインターフェースは、オペレータにどの次元信号を、圧延製品及び/又はシステムの状態によりどの範囲で出力するかを決定し、ヒューマンマシンインターフェースは仕様を規定の制御の作動に応じて動的に、並びに圧延製品及び/又はシステムの状態に応じて追加的に判断する。
【0035】
一体型システムの有利な実施形態、及びこれで達成される利点は、操作方法の実施形態及び得られる利点に対応する。
【0036】
上に記載した本発明の性状、特性及び利点、及びこれらが達成される方法は、図面と合わせてより詳細に説明された例示的実施形態の以下の説明と併せてより明らか及び理解可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】一次産業からのシステム及び自動システムを示す略図である。
【
図3】巻き取りの後の
図2のコイルを示す略図である。
【
図4】
図1の自動システム、及びヒューマンマシンインターフェースを示す略図である。
【
図5】
図4のヒューマンマシンインターフェースを示す略図である。
【
図6】ストリップヘッドのねじ切り中の製造ラインを示す略図である。
【
図7】ストリップヘッドのねじ切り中の製造ラインを示す略図である。
【
図8】ストリップヘッドのねじ切り中の製造ラインを示す略図である。
【
図9】ストリップヘッドのねじ切り中の製造ラインを示す略図である。
【
図10】ストリップヘッドのねじ切り中の製造ラインを示す略図である。
【
図11】ストリップヘッドのねじ切り中の製造ラインを示す略図である。
【
図12】ストリップヘッドのねじ切り中の製造ラインを示す略図である。
【
図13】ストリップヘッドのねじ切り中の製造ラインを示す略図である。
【
図14】ストリップヘッドのねじ切り中の製造ラインを示す略図である。
【
図15】一次産業からのシステムの幾何学的構造モデルの表示を示す略図である。
【
図16】自動システムを備えた一次産業からの複数のシステム、及び複数のヒューマンマシンインターフェースを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1によると、一次産業システムは、金属で作られた圧延製品2の一次形成のためのサブシステム1を有する。圧延製品2はしたがって、固体、一次形成の場合、既に固体化した金属である。圧延製品2の一次形成のためのサブシステム1は、例えば、
図1の図による連続鋳造システムとして設計することができる。金属は、例えばスチール又はアルミニウムである可能性がある。サブシステム1により、例えば、スラブは、後に金属ストリップに再形成される、圧延製品2として鋳造(=一次形成)することができる。
【0039】
図1によると、一次産業システムはまた、圧延製品2を形成するためのサブシステム3を有する。圧延製品2を形成するためのサブシステム3は、特に圧延装置として設計することができる。圧延装置は、単スタンド粗圧延装置4又はマルチスタンド粗圧延ラインであってもよい。代替形態では、圧延装置は、Steckel圧延装置又はマルチスタンド製造ライン5である可能性がある。圧延製品2は、粗圧延中、及び完成製品を圧延する場合に熱い。しかし、圧延装置はまた、冷却圧延装置である可能性がある。マルチスタンド製造ライン5の場合、リール6は普通、製造ラインの下流側に配置されている。製造ライン5の場合、冷却トラック7はまた、圧延装置の下流に配置することができる。冷却トラック7は、存在する場合、圧延装置とリール6の間に位置付けされている。冷却圧延装置では、例えば、酸洗いラインは圧延装置の下流に配置することができる。特定の場合、圧延製品2を形成するためのサブシステム3は、下流側マルチスタンド製造ライン5、リール6、及び製造ライン5とリール6の間の冷却トラック7を備えた(それにより、単一の粗ローラスタンドを有するだけである)単スタンド粗圧延装置4として、
図1の図により設計される。さらに、
図1の特定の実施形態の一部として、圧延製品2は平らな圧延製品である。しかし、これらの特定の実施形態の全ては、例としてのみ考慮すべきである。さらに、全ての圧延スタンドのうち、作動しているローラのみが
図1に示されている。しかし、圧延スタンドは、別のローラ、特に、支持ローラ及び/又は中間ローラを容易に備えることができる。対応する圧延スタンド及びその設計は、当業者によく知られている。
【0040】
一次産業システムの他の設計もまた可能である。例えば、システムは、圧延製品2の熱処理及び/又は表面処理用の(絶縁)処理ラインとして設計することができる。圧延製品の熱処理の処理ラインでは、圧延製品2のマイクロ機械性状が永久的に変更される。圧延製品の熱処理用の処理ラインは、粒径及び位相構成部品などのマイクロ機械性状を変更する。典型的な熱処理ラインは焼鈍プロセスである。圧延製品の表面処理用の処理ラインでは、名前の通り、圧延製品の表面が変更される。表面処理用の典型的な処理ラインは、酸洗いライン及びコーティングラインである。コーティングラインでは、圧延製品2の熱処理はしばしば、表面処理と併せて行われる。
【0041】
図1の図によると、一次産業システムは、圧延製品2の一次形成のためのサブシステム1及び圧延製品2を再形成するためのサブシステム3の両方を有する。しかし、原則的には、圧延製品2の一次形成のためのサブシステム1、又は圧延製品2の再形成のためのサブシステム3、又は上記システムの別のもののみが存在する場合に十分である。
【0042】
一次産業システムは、自動システム8によって制御される。自動システム8は普通、システム位置に配置されている。しかし、これは絶対的に重要ではない。自動システム8は、例えば、異なる位置に配置し、データ接続を介してシステムと通信することができる。例えば、自動システム8はクラウドに配置することができる。混合形態、すなわち、自動システム8の一部がその場に配置され、自動システム8の別の部分が別の位置に配置されている形態も可能である。一次産業システムはまた、複数のセンサ9を有する。センサ9を使用して、システムのユニット10の状態に重要な状態信号Zが検出される。検出された状態信号Zは、センサ9から自動システム8に伝達される。センサ9は、この目的で自動システム8に接続されている。自動システム8は、アクチュエータ11用の制御信号Sを判断する。制御信号Sを判断する場合、自動システム8は、状態信号Zを考慮する。自動システム8は、判断された制御信号Sにしたがって、アクチュエータ11を制御する。アクチュエータ11は、この目的で自動システム8に接続されている。アクチュエータ11は、システムのユニット10に関連付けられている。自動システム8は、制御信号Sを判断する場合に、伝達された状態信号Zを考慮する。
【0043】
図1では、センサ9、ユニット10及びアクチュエータ11のいくつかだけが示されている。一般的に言うと、ユニット10、センサ9及びアクチュエータ11は必要に応じて判断することができる。しかし、センサ9及びユニット10の両方と、アクチュエータ11は、システムの位置に配置されている。幾つかの可能性のあるユニット10及び関連するセンサ9及びアクチュエータ11が以下に説明されている。しかし、説明は例のみとして理解されたい。必要に応じて、他のユニット10も存在する可能性がある、及び/又は、同一のユニット10の場合、他の又は追加のセンサ9及び/又は他の又は追加のアクチュエータ11が存在する可能性がある。
【0044】
例えば、ユニット10の1つは、連続鋳造システムの連続鋳造金型として実装することができる。この場合、例えば、センサ9は連続鋳造金型の側壁に配置された温度センサである可能性がある。この場合、温度センサは、普通は温度のほぼ2次元パターンを検出するために使用される。自動システム8による検出された温度の評価は、特に、いわゆるステッカの、及び金型破裂の関連するリスクのタイムリーな検出のために使用される。関連するアプローチは普通、当業者に知られている。さらに、メニスカス及び連続鋳造金型の垂直位置を検出することができる。自動システム8は、特に、(振幅、また場合により周波数において)連続鋳造金型、及びラインハウルオフ速度を設定するために使用される連続ガイドローラの振動を制御する。
【0045】
ユニット10の別のものを、例えば、圧延スタンドとして設計することができる。圧延スタンドの場合、例えば、適当なセンサを使用して、圧延スタンドローラ(普通は、作動ローラ)が駆動される速度及びトルクを検出することができる。圧延力及びロールギャップ又は作動ローラの配置位置はまた、適当なセンサを使用して獲得することができる。それぞれの圧延スタンドの上流側又は下流側に配置されたスリングホイストにより、圧延製品2における張力を、それぞれの圧延スタンドの前又は後で検出することができる。自動システム8は、特に、それぞれの圧延スタンドのローラのドライブ、ロールギャップを調節するためのアクチュエータ、又はそれぞれの圧延スタンドの圧延力と、それぞれの圧延スタンドに関連して、ローラベンドを調節するためのアクチュエータ、ロールギャップ楔を調節するためのアクチュエータ、加熱素子、冷却素子、ローラ潤滑、及びその他を制御することができる。問題の圧延スタンドから出るときに、圧延製品2の画像をキャプチャするためにカメラを使用することができる。
【0046】
例えば、システムの特定の部分、例えば、粗圧延装置4と製造ライン5の間、製造ライン5と冷却トラック7の間、及び冷却トラック7とリール6の間に、圧延製品2のそれぞれの温度を測定するための温度測定ステーションを配置することができる。製造ライン5前で記録された温度は、特に、製造ライン5の圧延スタンドの圧延力を判断するため、及び製造ライン5内の中間スタンドクーラの作動を判断するために、自動システム8によって使用することができる。製造ライン5後に記録された温度は、特に、製造ライン5のモデルを適合するため、及び冷却トラック7の冷却デバイスの作動を判断するために、自動システム8によって使用することができる。冷却トラック7後に記録された温度は、特に、冷却トラック7のモデルを適合するために、自動システム8によって使用することができる。
【0047】
システムの特定の部分、例えば、粗圧延装置4の前、粗圧延装置4と製造ライン5の間、及び製造ライン5の後ろに、圧延製品2を異なる部分に分割する、又は圧延製品2の部分を切断するために、必要に応じて自動システム8によって制御することができる剪断刃を配置することもできる。
【0048】
センサ9はしたがって、一方では、回転速度、システムのドライブ(例えば、圧延スタンド用ドライブ)のトルク又は電流、位置(例えば、作動ローラのローラギャップ又は配置位置)、圧力(例えば、ローラ力)などの「通常の」状態信号Zを検出する「通常の」センサを備えている。このような状態信号Zは、単一の状態信号Zを他の状態信号Zとは独立したものとして意味があるように評価することができる意味において次元がない。
【0049】
加えて、センサ9はまた、状態信号Zとして次元信号を供給する検出システムを備え、次元信号を自動システム8に提供する。次元信号は、単一の個別測定値がまた、時間及び/又は位置でこれに隣接する値を考慮することもなく、システムの特定のユニット又はシステム自体に対して、圧延製品2の状態に関する意味のある情報を提供することができない信号である。次元信号の典型的な例は、マイク又は他の音センサによって検出される音響信号である。このような信号の場合、時間的順序及びそれにより規定される振動だけを、意味があるように評価することができる。別の典型的な例は、2次元又は3次元、又は普通は多次元画像である。このような画像は、カメラでキャプチャされるような「通常の」2次元光学画像である可能性がある。これらはまた、3次元画像、すなわち、深度情報も含む画像である可能性がある。このような深度画像は、例えば、レーダ又はライダ又は干渉技術に基づいていてもよい。次元信号はまた、その場で、自動システム8に供給され、アクチュエータ11用制御信号Sを判断するために後者によって評価することができる。
【0050】
キャプチャされた画像は、例えば、判断されるシステムのユニット10に対する圧延製品2の位置を可能にするように判断することができる。この典型的な例は、圧延製品2が金属ストリップである場合、金属ストリップが圧延スタンド、例えば、製造ライン5の圧延スタンドに入る又はそこから出る角度と併せて金属ストリップの横方向オフセットである。しかし、圧延製品2の他の状態、例えば、そのような操作の方向、又は速度を検出することもできる。
【0051】
自動システム8は、「通常の」状態信号Zのみを使用して、すなわち、次元信号を使用することなく、制御信号Sのいくつかを判断する。このような制御信号Sの数を判断するために、自動システム8は、数学的物理方程式に基づいて、システム及び/又は圧延製品2の挙動をモデリングするモデルベースシステムを備えることができる。これらのモデリング機能は、制御信号Sを判断するために使用されるときに、リアルタイムで行われなければならない。このようなモデルベースシステムの例は、製造ライン5におけるスチールの形成のモデリング、又は製造ライン5及び/又は冷却トラック7におけるスチールの温度及び位相変化の一時的プロファイルのモデリングである。このようなシステムの例は、特許文献5、特許文献6、特許文献7、及び特許文献8に詳細に説明されている。
【0052】
状態信号Zの少なくともいくつかは、したがって、自動システム8によってそれぞれのモデルベースシステムに供給され、対応する制御信号Sを判断する場合に考慮される。制御信号Sの少なくともいくつかは、したがって、対応するモデルベースシステムを使用して、自動システム8によって判断される。
【0053】
自動システム8は、次元信号を考慮することによって、制御信号Sの別の部分を判断する。既に記載したように、例えば、製造ライン5の圧延スタンドからの圧延製品2の放出を示す圧延装置2の画像をキャプチャするためにカメラを使用することができる。キャプチャした画像に基づいて、圧延製品2がそれぞれの圧延スタンドから放出される横位置及び角度をその後判断することができる。これらの変数に応じて、対応する圧延スタンドの旋回位置をその後、追跡及び修正することができる。対応する手続きの例は、特許文献9で見ることができる。自己学習システムはまた、次元信号を評価するために使用することができる。単に例として、特許文献1を参照することができる。両方の場合で、当業者によって行われる追加の制御機能を自動的に想定する知的支援システムを作り出すことができる。
【0054】
特許文献9による手続きはまた、自動システム8のモデルベースシステムに供給され、これによって評価され、制御信号Sを判断する際に考慮される次元状態信号Zの例である。しかし、他の実施形態も可能である。
【0055】
引用した例は、製造ライン5内で対応するストリップラン制御を作り出す。粗圧延装置4に対して同様の手続きも可能である。粗圧延装置4内のストリップランの制御は一般的に、楔及びキャンバ制御として当業者には知られている。同様の方法で、楔及びサーベル制御又は平坦度制御を自動化することができる。
【0056】
別の例は、圧延後のコイル12内へのストリップ上の巻き取りである。この場合、例えば、対応するカメラ13は、ストリップ脚部14(すなわち、ストリップの端部)がコイルアイ15に対して特定の位置を有する場合、例えば、コイル12の回転方向で見たときにコイル12の最低点の前で90°より僅かに大きい場合にキャプチャするために、対応するカメラ13を
図2の図にしたがって使用することができる。この場合、ストリップ上の巻き取りは、巻き取りが終了した場合に、巻き取られたコイル12の最低点へのストリップ脚部14からの距離は、
図3に示すように、コイル周面の数パーセントだけ、好ましくは5%以下であるように、自動システム8によって制御することができる。ストリップ脚部14はしたがって、コイルアイ15の最も直ぐ下に配置され、コイル12が堆積される場合に支持体に固定される。コイル12の最後の巻きはしたがって、意図しないばね開きが防止される。
【0057】
自動システム8は、
図4に示すように、データネットワーク16を介してヒューマンマシンインターフェース17に接続されている。ヒューマンマシンインターフェース17は、操作位置に、場合によっては他のヒューマンマシンインターフェース(以下を参照)で位置付けされている。操作位置は、システム及び/又は自動システム8の近くに位置付けられる。しかし、そこから長い距離、極端な場合では、数千キロメートル離れている可能性がある。データネットワーク16を介して、自動システム8は、状態信号Z、制御信号S、及び/又は状態信号Z及び/又は制御信号Sから導き出された信号の少なくとも一部をヒューマンマシンインターフェース17に伝達する。伝達された信号の少なくとも1つは、次元信号の1つ、特に、キャプチャされた画像又はキャプチャされた音響信号である。
【0058】
伝達された信号は、オペレータ19にヒューマンマシンインターフェース17によって出力される。画像の場合、例えば、出力はスクリーン又は同様のものを介して実施することができる。これは、(画像のシーケンスを含む)信号のシーケンスに、また、状態信号Zの評価の一部として自動システム8によって生成される次元信号に適用される。音響信号の場合、出力は、例えば、スピーカ又はヘッドフォンを介して実施することができる。加えて、ヒューマンマシンインターフェース17は、データネットワーク16を介して自動システム8に仕様Vを伝達する。自動システム8は、制御信号Sを判断する場合に、仕様Vを考慮する。
【0059】
データネットワーク16は、オープンデータネットワークである。オープンデータネットワーク16は、
図4に示すように、あらゆる他の構成部品18を接続することができ、また自動システム8又はヒューマンマシンインターフェース17がこれらに関して何も知ることなく、データネットワーク16を介して互いに通信するデータネットワークである。
【0060】
ヒューマンマシンインターフェース17は、
図4に示すように、オペレータ19からコマンドBを受け入れる。コマンドBは、例えば
図4に示すように、ヒューマンマシンインターフェース17の規定の制御20を操作することによって特定することができる。制御20は、標準的キーボード20a、標準的マウス20b、及び特定の制御キー20c、20dを備えることができる。他の制御20も可能である。しかし、制御要素20のタイプに関わらず、ヒューマンマシンインターフェース17は、特定のコマンドBから対応する仕様Vを導き出す。
【0061】
データネットワーク16を介した転送は、50msの最大レイテンシ時間で、両方の通信方向(すなわち、自動システム8からヒューマンマシンインターフェース17まで、及びヒューマンマシンインターフェース17から自動システム8までの両方)で起こる。最大レイテンシはさらにより小さい、例えば、20ms、10ms以下であることが好ましい。最大レイテンシは、確実に近い確率、すなわち、少なくとも99.95%、又は理想的には少なくとも99.99%の確率で維持される。
【0062】
所要の帯域幅及び所要のレイテンシと、伝達安全性の保証(すなわち、少なくとも99.95%の所要の確率を維持すること)は、様々な方法で達成することができる。例えば、自動システム8とヒューマンマシンインターフェース17の間にストリームをセットアップすることができる。ストリームは一般的に、ビデオデータの伝達のためだけではなく、制御データの伝達のためにも、当業者に知られている。特に、国際標準IEEE802.1を参照することができる。
【0063】
さらに、伝達帯域幅は、少なくとも自動システム8からヒューマンマシンインターフェース17までの方向について十分大きく、800×600ピクセル毎ビデオフレームの解像度及び20ビデオフレーム毎秒を備えた少なくとも1つのビデオデータストリームを特定の最大レイテンシ時間内で伝達することができる。ビデオフレームは、8ビットのビット深度を有する少なくともグレースケール画像である。もちろん、データネットワーク16がさらにより良い性能を提供する場合、例えば、2、4、6、8などである場合、このようなビデオデータストリームを伝達することができる、又は例えば、1600×1600ピクセル毎ビデオフレーム又は20より多いビデオフレーム毎秒のより高い解像度を備えたビデオストリームを伝達することができる、又は個別のピクセルは8より大きいビットを有する、もしくは着色されている場合、より良い。もちろん、組合せも可能であり、それによって、例えば、それぞれグレースケール画像として800×800ピクセル毎ビデオフレームの解像度及び20ビデオフレーム毎秒を備えた2つの別のビデオデータストリームに加えて、1600×1600ピクセル毎ビデオフレームの解像度及び30ビデオフレーム毎秒を備えたカラーの単一のビデオデータストリームを伝達することができる。これらの最大レイテンシ時間及び帯域幅は、特にデータネットワーク16(少なくとも1つのサブセクションで)が5G標準にしたがって設計されている場合に達成することができる。しかし、所要の最大レイテンシ及び所要の帯域幅はまた、他の方法で実施することができる。実際に必要な帯域幅を最小限に抑えるために、自動システム8とヒューマンマシンインターフェース17の間の通信は、特に、圧縮した形で起こる可能性がある。最も特に、ビデオデータの伝達に必要な帯域幅は、MPEGなどの適切な標準を使用することによってかなり減らすことができる。
【0064】
さらに、自動システム8とヒューマンマシンインターフェース17の間の通信は暗号化することができることが好ましい。これにより、ハッキングなどが十分起こる可能性が低くなる。
【0065】
伝達された信号は、ヒューマンマシンインターフェース17を介してオペレータ19に出力することができる。これは、「通常の」信号と次元信号に等しく適用される。しかし、従来技術とは対照的に、一般的には、オペレータ19が一次産業システムの制御において動的に介入する必要はない。規則として、オペレータ19がシステムを監視し、個別の場合において制御介入を行うだけで十分である。
【0066】
例えば、ヒューマンマシンインターフェース17は、
図5に示すように、多数のモニタ21を有することができる。この場合、例えば、あらゆる関連する制御信号Sを含む、「通常の」状態信号Zは(少なくとも)1つのモニタ21aを介して出力することができる。しかし、大部分では、別のモニタ21bが利用可能であり、これを介して、次元信号の1つ、特に画像が、ヒューマンマシンインターフェース17への自動システム8からの伝達にしたがってオペレータ19に表示される。必要に応じて、(少なくとも)1つの追加のモニタ21cはまた、特定の位置で一次産業システム周りに分配された多数のカメラによりキャプチャされた画像を出力するために使用することができる。この目的で、モニタ21cは9つのウィンドウに分割することができ、それぞれ異なる画像を示している。モニタ21の数、及びどの情報がどのモニタ21を介してオペレータ19に出力されるかが例としてのみ与えられている。しかし、次元データの一部のみ、例えば、システム側でカメラによってキャプチャされるビデオデータストリームの一部のみが出力される、又は他の次元データも出力される場合、この部分は他の次元データより高い解像度を有する又はより高い解像度で出力されることが重要である。このような次元データは、以下に好ましい次元データとして言及される。
【0067】
操作方法の別の重要な点は、好ましい次元データは圧延製品2及び/又はシステムの状態によることである。これは、単一のビデオストリームが好ましい次元データとして出力される、及びこのビデオストリームがモニタ21bを介して出力されることを想定することによって以下に説明される。しかし、対応する説明は一般的に有効である。
【0068】
例えば、自動システム8が、圧延製品2及び/又はシステムの状態によって、どの次元信号がヒューマンマシンインターフェース17に実際に伝達するかを決定することが可能である。この場合、もちろん、オペレータ19に(モニタ21b、及び存在する場合、モニタ21cを介した例にしたがって)各場合に伝達される次元信号を出力するだけも可能である。別の方法では、全ての次元データ、例えば、システム位置でカメラによってキャプチャされた画像は常に、自動システム8からヒューマンマシンインターフェース17に伝達されるが、ヒューマンマシンインターフェース17は、圧延製品2及び/又はシステムの状態によって、どの次元信号をオペレータ19にどの範囲で出力するか決定することができる可能性がある。
【0069】
どの次元信号を自動システム8がヒューマンマシンインターフェース17にどの範囲で伝達するか、又はどの次元信号をヒューマンマシンインターフェース17がオペレータ19にどの範囲で出力するかに関する決定は、例えば、圧延トラック内のストリップヘッド22(すなわち、ストリップの始まり)及び/又はストリップ脚部14の位置によって、圧延装置としてシステムが設計されている場合に、自動システム8又はヒューマンマシンインターフェース17によって行うことができる。
【0070】
この具体的な例が、以下に示される。
【0071】
図1のシステムの製造ライン5は、
図6から
図14に示したような4つの圧延スタンド23aから23dを単に例として備えていると想定される。さらに、4つの圧延スタンド23aから23dそれぞれでは、カメラ24aから24dが利用可能であり、それによりそれぞれの圧延スタンド23aから23dの後ろの製造ライン5の領域がキャプチャされることを想定している。圧延製品2は金属ストリップであり、ストリップヘッド22は製造ライン5の個別の圧延スタンド23aから23dを通して現在ねじ切られていることを想定する。
【0072】
ストリップヘッド22は、その後、順に、
図6の図によると、圧延スタンド23aの入口側に、
図7の図によると、カメラ24aの対象範囲に到達する前、又はカメラ24aの対象範囲内で、圧延スタンド23aの出口側及び圧延スタンド23bの入口側で、
図8の図によると、圧延スタンド23aの出口側及び圧延スタンド23bの入口側であるが、カメラ24aの対象範囲内ではなく、
図9の図によると、カメラ24bの対象範囲に到達する前、又はカメラ24bの対象範囲内で、圧延スタンド23bの出口側及び圧延スタンド23cの入口側に、
図10の図によると、圧延スタンド23bの出口側及び圧延スタンド23cの入口側であるが、カメラ24bの対象範囲内ではなく、
図11の図によると、カメラ24cの対象範囲に到達する前、又はカメラ24cの対象範囲内で、圧延スタンド23cの出口側及び圧延スタンド23dの入口側に、
図12の図によると、圧延スタンド23cの出口側及び圧延スタンド23dの入口側であるが、カメラ24cの対象範囲内ではなく、
図13によると、カメラ24dの対象範囲に到達する前、又はカメラ24dの対象範囲内で、圧延スタンド23dの出口側に、
図14の図によると、圧延スタンド23dの出口側であるが、カメラ24dの対象範囲内ではなく、位置付けされている。
【0073】
この場合、例えば、ストリップヘッド22が圧延スタンド23aの入口側にまだ位置付けされているときから、カメラ24aのビデオ画像はモニタ21bを介して出力することができ、ストリップヘッド22がカメラ24aの対象範囲から出るときから、カメラ24bのビデオ画像はモニタ21bを介して出力することができ、ストリップヘッド22がカメラ24bの対象範囲から出るときから、カメラ24cのビデオ画像はモニタ21bを介して出力することができ、ストリップヘッド22がカメラ24cの対象範囲から出るときから、カメラ24dのビデオ画像はモニタ21bを介して出力することができ、ストリップヘッド22がカメラ24dの対象範囲から出るときから、カメラ24aから24dによってキャプチャされたビデオ画像はどれもモニタ21bを介して出力することができない。
【0074】
これは、対応するカメラ24aから24dに対するストリップヘッド22のそれぞれの位置により、矢印は、他のカメラ24aから24dによって出力されたビデオ画像が示されていない間に、画像がモニタ21bに現在出力されている、それぞれのカメラ24aから24dから出力されたビデオ画像を示しているという事実によって、
図6から
図14に示されている。
【0075】
もちろん、ストリップ脚部14が圧延スタンド23aから23dから外された場合に、同様の手続きも可能である。同様の手続きは、他の状況でも可能である。
【0076】
もちろん、混合アプローチを採用することも可能である。例えば、上に記載した手続きに加えて、モニタ21cを介して永久的に、しかし縮小した形で(すなわち、縮小した解像度、例えば400×300ピクセルで)、及び/又は減少したフレーム速度(例えば、毎秒1回更新される)で、(適当な場合、他のビデオ画像に加えて)カメラ24aから24dによってキャプチャされたビデオ画像を出力することが可能である。
【0077】
同様の方法で、ヒューマンマシンインターフェース17は、仕様Vを、既定の制御20の作動に応じてだけではなく、加えて、圧延製品2及び/又はシステムの状態に応じて判断する。同じ制御20を作動させることはそれにより、圧延製品2及び/又はシステムの状態によって、異なる仕様Vにつながる可能性がある。
【0078】
この例はまた、以下に示される。
【0079】
前のように、ストリップヘッド22は、
図6から
図14に示すように、その後、製造ライン5の圧延スタンド23aから23dを通して順にねじ切られていると想定される。規則として、現在ストリップヘッド22の直接下流側にある圧延スタンド23aから23dが旋回される。これは、
図6から
図14に、その圧延ギャップ楔が旋回によって調節されるそれぞれの圧延スタンド23aから23d上に矢印で示されている。例えば、ストリップヘッド22が圧延スタンド23bと23cの間に位置付けされている場合、圧延スタンド23bが旋回される。これは、少なくともストリップヘッド22が、それぞれの圧延スタンド23aから23dの出口側に配置されたカメラ24aから24dの対象範囲から出るまで適用される。
【0080】
規則として、圧延スタンド23aから23dは自動システム8によって自動的に旋回される。しかし、オペレータ19は、対応する圧延スタンド23aから23dの作動が欠陥がある又は不十分であることを認識していることが可能である。この場合、オペレータ19は例えば、ヒューマンマシンインターフェース17の制御キー20cを押すことによって、コマンドBを特定することができ、その対応する仕様Vは対応する圧延スタンド23aから23dのローラギャップを対応する圧延スタンド23aから23dのドライブ側で増加させ、対応する圧延スタンド23aから23dの操作側で減少させる自動システム8への影響を有する。もう一方では、オペレータ19が20dの制御キーを押すと、これは反対の影響を有する。しかし、両方の場合で、制御キー20c、20dの作動は常に同じ圧延スタンド23aから23d(例えば、圧延スタンド23a)に影響を与えないが、常に、現在ストリップヘッド22の直接的上流にある、すなわち、そこからストリップヘッド22が最後に出る圧延スタンド23aから23dに影響を与える。
【0081】
オペレータ19が一次産業システムで起こっていることを理解することをさらに容易にするために、システムの幾何学的構造モデル25は、
図5に示すように、ヒューマンマシンインターフェース17内で実施することができる。この場合、ヒューマンマシンインターフェース17は、少なくとも一時的に、オペレータ19に幾何学的構造モデル25の少なくとも一部を出力する。例えば、
図5に示すように、幾何学的構造モデル25又はこのモデル25の一部をオペレータ19に出力する追加のモニタ21dが存在してもよい。
【0082】
幾何学的構造モデル25は普通、3次元モデルである。これに対して、モデル25の表示は2次元である。しかし、表示は、必要に応じて、断面図、平面図(上から)、側面図(例えば、圧延スタンド23aから23dの操作側から見た)などである可能性がある。
図15は、例えば、モニタ21dを介してオペレータ19に出力することができるように、側部から圧延スタンド23aから23dの単なる例示的な2次元表示を示している。しかし、表示のタイプに関わらず、ヒューマンマシンインターフェース17は、幾何学的構造モデル25の出力部分で、圧延製品2及び/又はシステムの状態によって、自動システム8がヒューマンマシンインターフェース17に伝達する領域を視覚的に強調し、並びに/あるいはその領域から次元信号が生じ、それをヒューマンマシンインターフェース17が圧延製品2及び/又はシステムの状態によってオペレータ19に出力する、並びに/あるいはそれについてヒューマンマシンインターフェース17が圧延製品2及び/又はシステムの状態によって動的に判断する仕様Vが判断される。このような領域が1つより多くある場合、ヒューマンマシンインターフェース17は、これらの領域の少なくとも1つを強調する。適用可能な場合、追加の情報を、例えば、制御キー20c及び20dの現在の意味で、この表示上に重ね合わせることができる。
【0083】
また、この例が提供される。
【0084】
前のように、ストリップヘッド22は、
図6から
図14に示すように、その後、製造ライン5の圧延スタンド23aから23dを通して順にねじ切られていると想定される。その後、例えば、システムの幾何学的構造モデル25の表示では、現在ストリップヘッド22の直接的上流にあるそれぞれの圧延スタンド23aから23dを視覚的に強調することができる。例えば、ストリップヘッド22が圧延スタンド23bと23cの間に位置付けされている場合、圧延スタンド23bは視覚的に強調される。これは、圧延スタンド23b周りの破線境界によって
図15に示されている。同じ方法で、例えば、ストリップ脚部14の取り外し中に、ストリップ脚部14が次に入る圧延スタンド23aから23dを動的に強調することができる。
【0085】
ヒューマンマシンインターフェース17は、操作位置に配置された唯一のヒューマンマシンインターフェース17である可能性がある。しかし、また、
図16に示すように、ヒューマンマシンインターフェース17に加えて、操作位置に配置された少なくとも1つの他のヒューマンマシンインターフェース17’、17”を有する可能性もある。最初に記載したヒューマンマシンインターフェース17はそれにより、オペレータ位置に配置されたヒューマンマシンインターフェース17、17’、17”の全体のグループの複数のヒューマンマシンインターフェース17、17’、17”の1つに過ぎない。他のヒューマンマシンインターフェース17’、17”はそれぞれ、例えば、データネットワーク16を介して、静的に又は動的に、別の一次産業システムを制御する、又は
図16に示すように、その自動システム8’、8”と相互作用することができる。他の一次産業システム、及びその自動システム8’、8”は、第1のシステムと同一、又はそれと異なる可能性がある。
【0086】
操作位置に配置された多数のヒューマンマシンインターフェース17、17’、17”の場合、ヒューマンマシンインターフェース17、17’、17”は、
図16に示すように、データ接続26を介して互いにネットワーク接続することが好ましい。これにより、特に、オペレータ19が、特定のグループのヒューマンマシンインターフェース17のどれがシステムの自動システム8と通信するかを動的に特定することが可能になる。オペレータ19はそれにより、ヒューマンマシンインターフェース17から他のヒューマンマシンインターフェース17’、17”の1つに動的に、及び適当な転送コマンドを特定することによって、自動システム8との通信を転送することができる。通常の状況では、例えば、ヒューマンマシンインターフェース17は中心に示した一次産業システムと相互作用することができる。しかし、例えば、ヒューマンマシンインターフェース17’に一時的にインタラクションを転送することが可能である。これは、
図16に、問題の2つのヒューマンマシンインターフェース17、17’の間の破線二重矢印で示されている。インタラクションの転送は、必要に応じて完了する可能性がある、又は一次産業システムの制御の一部のみを含んでもよい。
【0087】
例えば、オペレータ19は、通信が転送される他のヒューマンマシンインターフェース17’、17”を特定するだけである汎用転送コマンドをヒューマンマシンインターフェース17に特定することができる。この場合、通信は汎用転送コマンドの仕様によって転送されるだけである。別の方法では、オペレータ19は、メニューなどの中のシステム制御の分離可能部分を選択し、特定の転送コマンドを特定することによって、選択された部分に対する通信を他のヒューマンマシンインターフェース17’、17”に転送することができる。
【0088】
図1に示すように、制御ステーション27はまた、システム位置に配置することができる。制御ステーション27は、ヒューマンマシンインターフェース17の完全機能性又は機能性の一部を有することができる。制御ステーション27を使用して、オペレータ19又は別のオペレータ19’は、自動システム8に対する仕様V’に制御ステーション27によって変換されるコマンドB’を特定することができる。これは、必要に応じて、例えばシステムのメンテナンス中又はシステムの一種の緊急操作中に、又は現場でのシステムの制御が他の理由を意図している場合に、システムの直接制御は、現場に配置された制御ステーション27を使用して行うことができる。この制御は、データネットワーク16及びヒューマンマシンインターフェース17をバイパスすることによって行われる。コマンドB’及びこれらに対応する仕様V’は、ヒューマンマシンインターフェース17によって認められる、又は通常の操作中に自動システム8にデータネットワーク16を介して伝達されるコマンドB及び仕様Vと同一である可能性がある。
【0089】
本発明は多くの利点を有する。特に、金属で作られた圧延製品2を製造及び/又は処理するためのシステム、すなわち短い応答時間を保証しなければならないシステムをあらゆる操作位置から遠隔で制御するための手段が作り出される。オペレータ19は、かなりの範囲で手動制御介入から解放される。次元信号の動的表示は、所要のモニタ21aから21dの数、したがってシステムを監視する複雑性を管理可能限界内に保持することを可能にする。加えて、オペレータ19は、例えば、ビデオ画像の間での切り換えのためのオペレータ入力から解放される。その結果、操作はかなり単純化される。ヒューマンマシンインターフェース17、17’、17”が互いにネットワーク接続される操作位置での複数のヒューマンマシンインターフェース17、17’、17”の配置は、大きな可撓性及び効率性を多数のシステムの制御において達成することを可能にする。例えば、特定の問題がシステムの制御中に起こると、制御をヒューマンマシンインターフェース17からそのオペレータ19がこれに関してより良い専門性を有する別のヒューマンマシンインターフェース17’、17”に再び位置付けることができる。
【0090】
本発明は好ましい例示的実施形態により、より詳細に図示及び記載されたが、本発明は開示した例によって制約されるものではなく、他の変形も本発明の保護範囲から逸脱することなく当業者によってそこから導き出すことができる。
【符号の説明】
【0091】
1、3 サブシステム
2 圧延製品
4 粗圧延装置
5 製造ライン
6 リール
7 冷却トラック
8、8’、8” 自動システム
9 センサ
10 ユニット
11 アクチュエータ
12 コイル
13、24a~24d カメラ
14 ストリップ端部
15 コイルアイ
16 データネットワーク
17、17’、17” ヒューマンマシンインターフェース
18 他の構成部品
19、19’ オペレータ
20、20a~20d 制御
21、21a~21d モニタ
22 ストリップヘッド
23a~23d 圧延スタンド
25 幾何学的構造モデル
26 データリンク
27 制御ステーション
B、B’ コマンド
S 制御信号
V、V’ 仕様
Z 状態信号
【国際調査報告】