(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】セラミック充填部材を製造するための型
(51)【国際特許分類】
B28B 3/26 20060101AFI20230118BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20230118BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
B28B3/26 Z
B01J35/02 301A
B01J37/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529418
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 GB2020052951
(87)【国際公開番号】W WO2021099787
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521100807
【氏名又は名称】ジェムテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】スタッキー マーク
(72)【発明者】
【氏名】スタッキー ジャスティン
【テーマコード(参考)】
4G054
4G169
【Fターム(参考)】
4G054AA05
4G054AC00
4G054BD14
4G169AA01
4G169AA08
4G169AA11
4G169AA15
4G169BA01A
4G169BA02A
4G169BA03A
4G169BA05A
4G169BA06A
4G169BA08A
4G169BB06A
4G169BC09A
4G169BC10A
4G169BC16A
4G169BC68A
4G169CC17
4G169DA06
4G169EA02X
4G169EA06
4G169EA18
4G169FB30
4G169FB57
4G169FB61
4G169FC05
(57)【要約】
液体セラミック組成物から充填部材を製造するための型であって、型は第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分及び/又は第2の部分は開放した型キャビティを備え、第1及び第2の部分は閉鎖した型キャビティを形成するために係合するように動作可能であり、型はさらにリザーバ形成部材を備え、型は、リザーバ部材がリザーバキャビティを形成し、型キャビティが開放しているように、第1及び第2の部分が少なくとも部分的に間隔をあけている開放位置から、リザーバキャビティの位置が型キャビティに対して移動し、及び/又はリザーバキャビティの容量が減少した部分閉鎖位置へ、さらに、型キャビティが閉鎖されるように第1及び第2の部分が係合される閉鎖位置へ移動されるように動作可能である型。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体セラミック組成物から充填部材を製造するための型であって、第1の部分及び第2の部分を備え、前記第1の部分及び/又は前記第2の部分は、開放した型キャビティを備え、前記第1の部分及び第2の部分は、閉鎖した型キャビティを形成するために係合するように動作可能であり、前記型はリザーバ形成部材をさらに備え、前記型は、前記リザーバ部材がリザーバキャビティを形成し、前記型キャビティが開放しているように前記第1及び第2の部分が少なくとも部分的に間隔をあけている開放位置から、前記リザーバキャビティの位置が前記型キャビティに対して移動し、及び/又は前記リザーバキャビティの容量が減少した部分閉鎖位置に、さらに、前記型キャビティが閉鎖されるように前記第1及び第2の部分が係合される閉鎖位置に移動されるように動作可能である型。
【請求項2】
前記第1及び第2の部分がそれぞれ、開放した型キャビティを備える、請求項1に記載の型。
【請求項3】
前記第1及び第2の部分の前記型キャビティが、開放した部分型キャビティであり、前記型の前記第1及び第2の部分は、前記第1の部分の前記部分型キャビティが前記第2の部分の前記部分型キャビティと整列して、閉鎖した拡大した型キャビティを形成するように係合するように動作可能である、請求項2に記載の型。
【請求項4】
前記第1及び/又は前記第2の部分が複数の開放した型キャビティを備え、好ましくは、前記第1及び/又は第2の部分のそれぞれが、複数の開放した部分型キャビティを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の型。
【請求項5】
前記型キャビティが、前記充填部材上に表面構造を形成するために動作可能なテクスチャリングを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の型。
【請求項6】
前記リザーバ部材が、前記第1の型部分上に配置された第1のリザーバ部材と、前記第2の型部分上に配置された第2のリザーバ部材とを備え、前記第1及び第2のリザーバ部材は、リザーバキャビティを形成するために協働して係合するように動作可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の型。
【請求項7】
前記第1及び第2のリザーバ部材が、雄型及び雌型のリザーバ部材を備える、請求項6に記載の型。
【請求項8】
前記第1及び/又は第2の型部分が、前記型部分の前記型キャビティの反対の側に沿って延在するサイドリザーバ部材を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の型。
【請求項9】
前記第1及び/又は第2の型部分が、ベースリザーバ部材、好ましくは、前記サイドリザーバ部材の間に延在するベースリザーバ部材を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の型。
【請求項10】
前記第1及び/又は第2の型部分が弾性的に変形可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載の型。
【請求項11】
前記第1及び/又は第2の型部分を形成する材料が、最大1%の収縮率を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の型。
【請求項12】
前記型部分が、前記型部分の整列の維持を補助するために動作可能な協働保持部材を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の型。
【請求項13】
型部分が補強部材を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の型。
【請求項14】
前記補強部材が前記型部分から突出してガイド部材を提供する、請求項13に記載の型。
【請求項15】
液体セラミック組成物からの充填部材の製造に使用するための成形装置であって、請求項1~14のいずれかに一項に記載の型と、前記型を開放位置に配置するように動作可能なガイド部材とを備える成形装置。
【請求項16】
前記ガイド部材が、前記型部分の一部が当接し、前記型部分の一部が間隔をあけている開放位置に前記型を配置するように動作可能であり、好ましくは前記開放位置において、前記型は前記型の上に配置された供給部材から成形用組成物の一部を受け取るように動作可能である、請求項15に記載の成形装置。
【請求項17】
充填床で使用するための充填部材を製造するためのプロセスであって、
a.第1の部分及び第2の部分を備える型であって、前記第1の部分及び/又は第2の部分が開放した型キャビティを備え、前記型がリザーバ形成部材をさらに含む型を、前記リザーバ部材がリザーバキャビティを形成し、前記型キャビティが開放しているように、前記第1及び第2の部分が少なくとも部分的に間隔をあけている開放位置に配置するステップであって、前記型は請求項1~14のいずれか一項に記載のものであり得、又は請求項15又は16に記載の成形装置であり得るステップ、
b.前記型の前記リザーバキャビティに液体セラミック組成物を少なくとも部分的に充填するステップであって、好ましくは前記型の上から供給することによって充填するステップ、
c.前記型キャビティに対して前記リザーバキャビティの位置が移動し、及び/又は前記リザーバキャビティの容積が減少するように、前記型を部分閉鎖位置に移動させて、好ましくは、前記リザーバキャビティから前記開放した型キャビティに前記液体セラミック組成物の一部を移すステップ、
d.前記型を閉鎖位置に移動させるステップであって、前記第1及び第2の部分は、前記型キャビティを閉鎖するように係合され、前記液体セラミック組成物の一部はグリーン体を製造するために前記閉鎖した型キャビティ内に保持されるステップ、
e.任意選択的に、前記グリーン体を加熱するステップ、
f.前記グリーン体を型から取り出すステップ、及び
g.任意選択的に、前記グリーン体を焼成して充填部材を製造するステップ、
を含むプロセス。
【請求項18】
充填床で使用するための、好ましくは充填床反応器における触媒担体として使用するための充填部材であって、請求項1~14のいずれかに一項に記載の型において、請求項15又は16に記載の成形装置において、又は請求項17に記載のプロセスによって液体セラミック組成物を成形することにより得ることができる充填部材。
【請求項19】
前記充填部材が、粘土又は非粘土キャスタブル組成物、液体セメント又はゲルキャスト組成物などの鋳造成形用組成物又はスリップから形成される、請求項17又は18に記載の充填部材又はプロセス。
【請求項20】
前記充填部材がゲルキャスト組成物から形成される、請求項19に記載の充填部材又はプロセス。
【請求項21】
前記ゲルキャスト組成物が、セラミック材料、有機バインダー成分、及び任意選択的に孔形成成分を含む、請求項20に記載の充填部材又はプロセス。
【請求項22】
前記有機バインダー成分が重合性成分を含み、重合性成分は好ましくは重合性モノマー及び架橋部材を含み、前記バインダー成分は重合して(共)重合体を形成するように動作可能である、請求項21に記載の充填部材又はプロセス。
【請求項23】
前記重合性モノマーが、1種又は複数種のエチレン性不飽和モノマー、例えばアクリルモノマー又はその誘導体、例えばアクリルアミドモノマー、及び/又はビニルモノマー、例えばメタクリルアミド(MAM)、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(hMAM)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(hEAM)及び/又はN-ビニル-2-ピロリジノン(NVP)のうちの1つ又は複数から選択されたモノマーなどを含む、請求項22に記載の充填部材又はプロセス。好ましくは、前記重合性モノマーは、1つ又は複数のアクリルアミドモノマーを含み、より好ましくは、メタクリルアミド(MAM)、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(hMAM)及びヒドロキシエチルアクリルアミド(hEAM)のうちの1つ又は複数から選択されたモノマーを含む。最も好ましくは、前記重合性モノマーは、MAMを含む。
【請求項24】
前記架橋部材が、ジエチレン性不飽和モノマー、例えばジアクリルモノマー又はその誘導体、例えばジアクリルアミドモノマー、アクリル塩及び/又はポリエチレングリコール置換アクリルモノマーのうちの1つ又は複数から選択される、請求項21~23のいずれか一項に記載の充填部材又はプロセス。
【請求項25】
前記セラミック材料が、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、ジルコニア、シリカ、チタン酸、炭素及び/又は酸化マグネシウムを含む、請求項21~24のいずれかに一項に記載の充填部材又はプロセス。
【請求項26】
触媒床を備える反応器であって、前記触媒床が請求項18~25のいずれか一項に記載の充填部材を備える反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填床用の充填部材の製造で使用される型、特に触媒用の担体、及び担持触媒に関する。より詳細には、本発明は、セラミック触媒担体の製造に使用するための型、及び水蒸気改質及び直接還元鉄(direct-reduced iron)の生産などのプロセスで使用するための担持触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
水蒸気改質及び直接還元鉄の生産などの工業プロセスで使用される金属触媒は、金属表面積を増加するために小粒子に微細に分割される場合、より活性である。大きい金属表面積は、金属粒子を耐火性担体全体広げることにより、このような反応の間維持することができる。このようなプロセスで触媒担体を使用する別の利点は、少量のより高価な触媒金属だけが、大量の安価な担体材料の上に散布するために必要とされ、それによって商業規模で必要な触媒材料のコストを大幅に低減できることである。
【0003】
多くのこのようなプロセスでは、触媒を必要とする反応は非常に速く、ペレット表面に限定される。したがって反応は、担持触媒の幾何学的表面積に依存する。さらに、低い内部表面積(BET)及び非常に小さい内部孔容積を有する担持触媒は、概してこのようなプロセスでは活性が低くなるという難点がある。担持触媒のローディング、作動及び排出の間の破損が、活性を低減し、遅延及びコストを増加させる可能性があるので、担体の強度も重要である。例えば直接還元鉄(DRI)用のミドレックス法では、触媒は、水蒸気改質触媒であるので、高レベルの機械的処理及び熱循環にかけられる可能性がある。さらに、担持触媒は、良好な熱伝達特性を提供する一方で、低い圧力低下を維持するべきである。
【0004】
このような工業プロセスにおける触媒用の担体は、典型的にはセラミック粉末の押出加工、ペレット加工又は造粒加工と、それに続くグリーン体の焼成によって作製される。
【0005】
しかしながら、このような方法は、制限された担体の幾何学的形状及び物理的特徴しか提供できないことが分かった。例えばこのような担体は高い強度に達し得るが、低い幾何学的表面積及び劣った多孔性だけを犠牲にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、経済的に製造できる望ましい特性のより良い組合せを有する触媒のための改良された担体が必要とされている。したがって、前述又は他の問題の1つ又は複数に対処することが、本発明の態様の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、液体セラミック組成物から充填部材を製造するための型が提供され、この型は、第1の部分及び第2の部分を備え、第1の部分及び/又は第2の部分は、開放した型キャビティを備え、第1の部分及び第2の部分は、閉鎖した型キャビティを形成するために係合するように動作可能であり、型はリザーバ形成部材をさらに備え、型は、リザーバ部材がリザーバキャビティを形成し、型キャビティが開放しているように第1及び第2の部分が少なくとも部分的に間隔をあけている開放位置から、リザーバキャビティの位置が型キャビティに対して移動し、及び/又はリザーバキャビティの容量が減少した部分閉鎖位置に、さらに、型キャビティが閉鎖されるように第1及び第2の部分が係合される閉鎖位置に移動されるように動作可能である。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、以下のステップを含む、充填床で使用するための充填部材を製造するためのプロセスが提供される:
a.第1の部分及び第2の部分を備える型であって、第1の部分及び/又は第2の部分が開放した型キャビティを備え、型がリザーバ形成部材をさらに含む型を、リザーバ部材がリザーバキャビティを形成し、型キャビティが開放しているように、第1及び第2の部分が少なくとも部分的に間隔をあけている開放位置に配置するステップ、
b.型のリザーバキャビティに液体セラミック組成物を少なくとも部分的に充填するステップ、
c.型キャビティに対してリザーバキャビティの位置が移動し、及び/又はリザーバキャビティの容積が減少するように、型を部分閉鎖位置に移動させて、リザーバキャビティから開放した型キャビティに液体セラミック組成物の一部を移すステップ、
d.型を閉鎖位置に移動させるステップであって、閉鎖位置で、第1及び第2の部分は、型キャビティを閉鎖するように係合され、液体セラミック組成物の一部はグリーン体を製造するために閉鎖した型キャビティ内に保持されるステップ、
e.任意選択的に、グリーン体を加熱するステップ、
f.グリーン体を型から取り出すステップ、及び
g.任意選択的に、グリーン体を焼成して充填部材を製造するステップ。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、液体セラミック組成物から充填部材を製造する際に使用するための成形装置、好適には本発明の第2の態様のプロセスで使用するための成形装置が提供され、成形装置は、本発明の第1の態様による型と、型を開放位置に配置するように動作可能なガイド部材とを備える。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、充填床で使用するための、好ましくは充填床反応器における触媒担体として使用するための充填部材であって、本発明の第2の態様によるプロセスによって、及び/又は本発明の第3の態様による成形装置において、本発明の第1の態様による型内で液体セラミック組成物を成形することによって得られる充填部材が提供される。
【0011】
第1及び第2の部分は、それぞれ開放した型キャビティを備え得る。好適には、第1及び第2の部分の型キャビティは、開放した部分型キャビティであり得、型の第1及び第2の部分は、第1の部分の部分型キャビティが第2の部分の部分型キャビティと整列して閉鎖した拡大した型キャビティを形成するように、係合するように動作可能である。本明細書で使用される場合「開放した」型キャビティは、充填部材又はグリーン体、或いはその一部が、液体セラミック組成物が型キャビティに導入されるのと同じアパーチャを介して型キャビティから取り出されるように動作可能であることを意味し得る。本明細書で使用される場合「閉鎖した」型キャビティは、液体セラミック組成物が型キャビティから出ることができないように型キャビティ内に保持されることを意味し得る。
【0012】
第1及び/又は第2の部分は、複数の開放した型キャビティを含み得る。好適には、第1及び/又は第2の部分のそれぞれは、複数の開放した部分型キャビティを備え得る。
【0013】
型キャビティは、充填部材上に表面構造を形成するように動作可能なテクスチャリングを備え得る。好適には、成形中に液体セラミック組成物に接触するように動作可能な型キャビティの面が、テクスチャリングを備え得る。
【0014】
型キャビティは、充填部材を貫通して延在するボアなど、充填部材にボアを形成するように動作可能なピンを備え得る。好適には、型キャビティは、少なくとも2つのピン、例えば、少なくとも3つ又は少なくとも4つのピンを含み得る。ピンは、型キャビティの底面に配置され、型キャビティの開口部に向かって上方に延在してもよい。ピンは、型キャビティの底面において実質的に中央に配置されてもよい。ピンは円筒形であり得る。
【0015】
リザーバ部材は、液体セラミック組成物を受け取って保持することができるリザーバキャビティを形成するように動作可能であり得る。リザーバキャビティは、閉鎖位置において、リザーバキャビティが組成物の一部を保持するか又は成形品を形成するように実質的に動作可能でないように成形キャビティでなくてもよい。
【0016】
リザーバ部材は、第1の型部分上に配置された第1のリザーバ部材と、第2の型部分上に配置された第2のリザーバ部材とを備えてもよく、第1及び第2のリザーバ部材は、リザーバキャビティを形成するように協働的に係合するように動作可能である。好適には、第1及び第2のリザーバ部材は、雄型及び雌型リザーバ部材であってよく、その結果、雄型リザーバ部材は、リザーバキャビティを形成するために雌型リザーバ部材の中に受け入れられるように動作可能である。雄型リザーバ部材は舌の形態であってもよく、雌型リザーバ部材は溝の形態であってもよい。好適には、雄型及び雌型リザーバ部材は、係合した時に締まり嵌めを形成するように動作可能であってもよい。本明細書において「締まり嵌め」とは、液体セラミック組成物が係合したリザーバ部材を通過するのを防止するように動作可能な嵌め合いを意味する。
【0017】
第1及び/又は第2の型部分は、型部分の型キャビティの反対の側に沿って延在するリザーバ部材、好適には舌状部又は溝、好適には長手方向に延在するリザーバ部材を含んでもよい。好適には、第1及び第2の型部分は、それぞれ型キャビティを備えてもよく、第1のリザーバ部材は、型部分の型キャビティの反対の側に沿って延在する舌状部を備え、第2のリザーバ部材は、型部分の型キャビティの反対の側に沿って延在する溝を備える。型部分のリザーバ部材は、サイドリザーバ部材の間に延在するベースリザーバ部材をさらに備えてもよい。ベースリザーバ部材は、型部分に沿って横方向に延在してもよい。ベース部材は、型部分の型キャビティの下方に配置されてもよい。好適には、第1のリザーバ部材は、反対側のサイド舌状部の間に延在するベース舌状部を備えてもよく、及び/又は、第2のリザーバ部材は、反対側のサイド溝の間に延在するベース溝を備えてもよい。このようなリザーバ部材の構成は、U字形の形態であってよく、サイドリザーバ部材は、型部分に沿って長手方向に延び、ベースリザーバ部材は、サイドリザーバ部材の間で型部分に沿って横方向に延在している。ベースリザーバ部材は、使用時にリザーバキャビティの底部内面、すなわちベースを提供してもよい。サイドリザーバ部材は、使用時にリザーバキャビティの側面を提供してもよい。サイドリザーバ部材の間に延在する型部分の表面は、型キャビティを含んでいてもよく、リザーバキャビティの前面及び後面を提供してもよい。典型的には、リザーバキャビティは開口を備える。開口は、ベースリザーバ部材に接続されていないサイドリザーバ部材の端部の間に延在してもよい。好適には、リザーバキャビティの開口は、型部分を横切って横方向に、典型的にはベースリザーバ部材と実質的に平行に延在してもよい。
【0018】
好適には、第1及び/又は第2の型部分は、グループ化された複数の型キャビティを備えてもよい。サイドリザーバ部材は、グループの反対の側に沿って延在するように配置されてもよい。ベース部材は、グループの下方に延在するように配置されてもよい。
【0019】
型部分のリザーバ部材は、型キャビティと同じ面に配置されてもよい。型部分のリザーバ部材は、リザーバ部材の係合が、型部分上の部分型キャビティを整列させて、閉鎖位置で拡大された型キャビティを形成するように動作可能であるように配置されてもよい。
【0020】
そのように、型が開放位置にある時、リザーバ部材は、リザーバキャビティの開口を通して液体セラミック組成物を受け取り、次にリザーバキャビティ内に液体セラミック組成物を保持するように動作可能であるリザーバキャビティを形成するために係合するように動作可能であってもよい。好適には、型が開放位置にある時、型キャビティは初期リザーバキャビティ内に配置されてもよい。型キャビティは、型が開放位置にある時、初期リザーバキャビティの外側に配置されてもよい。型が開放位置から部分閉鎖位置、次いで閉鎖位置に移動されるにつれて、型部分のリザーバ部材は、リザーバキャビティが型キャビティのグループに沿って移動して初期リザーバキャビティの現在充填されている型キャビティを閉鎖し、残りの組成物を再配置されたリザーバキャビティ及び新しい型キャビティに移すようにさらに係合するように動作可能であってよい。この移動は、型キャビティが、好適には型キャビティ全体に及ぶ型部分の間の係合によって閉鎖されるようにリザーバ部材が完全に係合されるまで継続してもよい。典型的に、リザーバキャビティは、型の型キャビティの合計容積よりも小さい容積を有する。
【0021】
第1及び/又は第2の型部分は、弾性的に変形可能であってよい。型は、型部分を変形させることによって第1及び第2の部分が部分的に間隔をあけている開放位置から、型部分の変形を低減することによって部分閉鎖位置へ、及び型部分の変形をさらに低減することによって閉鎖位置へ移動させるように動作可能であってもよい。
【0022】
好適には、第1及び/又は第2の型部分は、シリコンなどの高分子材料で形成されてもよい。シリコンは、シリコン樹脂と硬化剤又は触媒とを含む2液型シリコン組成物から形成されてもよい。
【0023】
第1及び/又は第2の型部分を形成する材料は、少なくとも5、例えば少なくとも10、又は少なくとも15、例えば少なくとも20のショア硬度を有していてもよい。第1及び/又は第2の型部分を形成する材料は、最大40、例えば最大35、又は最大32、例えば最大30のショア硬度を有していてもよい。第1及び/又は第2の型部分を形成する材料は、5~40、例えば10~35、又は15~32、例えば20~30のショア硬度を有していてもよい。有利なことに、上記の範囲内のショア硬度を有する材料は、十分な形状及び剛性を維持しながら、本発明による効果的な成形を可能にする柔軟性を有する型を提供することが判明している。本明細書に記載される時、ショア硬度は、ASTM D2240タイプAを用いて測定した。
【0024】
第1及び/又は第2の型部分を形成する材料は、最大1%、例えば最大0.5%、又は最大0.4%、例えば最大0.3%の収縮率を有してもよい。有利なことに、上記範囲内の収縮率を有する材料は、型部分間の整列が改善された型を提供することが判明している。本明細書に記載される際、収縮率は、好適には1週間、例えば1ヶ月又は3ヶ月の期間にわたる寸法変化の量を指す場合がある。
【0025】
型部分は、型部分の整列を維持することを支援するために動作可能な保持部材を備えてもよい。型部分は、液体セラミック組成物の型への供給中に型部分の整列を維持することを支援するように動作可能な保持部材を備えてもよい。供給保持部材は、リザーバキャビティから間隔をあけていてもよい、例えば、リザーバキャビティの内面を提供しなくてもよい。典型的には、供給保持部材は、リザーバ部材に直接取り付けられない。供給保持部材は、第1及び第2の型部分上に配置された協働部材を備えてもよい。好適には、協働する供給保持部材は、雄型部材が雌型部材の中に受け入れられて型部分の整列を支援することができるように、雄型及び雌型であってもよい。雄型保持部材は舌状部であってもよく、雌型整列部材は溝であってもよい。型部分の保持部材は、リザーバキャビティのベース部の下に配置されてもよい。保持部材は、リザーバキャビティのベース部又はベースリザーバ部材と実質的に平行に、型部分に沿って横方向に延在してもよい。有利なことに、供給保持部材の使用は、型部分の良好な整列を保持しながら、より大きな初期リザーバキャビティを形成することを可能にする。
【0026】
型部分は、液体セラミック組成物の供給後に型キャビティの整列を保持することを支援するように動作可能な供給後保持部材を備えてもよい。供給後保持部材は、リザーバキャビティの外側に、例えば、リザーバキャビティの内面を提供しないように配置されてもよい。供給後保持部材は、第1及び第2の型部分上に配置された協働部材を備えてもよい。好適には、協働する供給後保持部材は、雄型保持部材が雌型保持部材の中に受け入れられて型部分の整列を保持することを支援することができるように、雄型及び雌型であってもよい。雄型保持部材は舌状部であってもよく、雌型整列部材は溝であってもよい。供給後保持部材は、型キャビティ又は型キャビティのグループに横方向に隣接して配置されてもよい。保持部材は、型部分に沿って横方向に延在してもよい。供給後保持部材は、型キャビティ又は型キャビティのグループの両側に、好適には型キャビティ又は型キャビティのグループに横方向に隣接して配置された複数の保持部材の組を備えてもよい。保持部材の組はそれぞれ、少なくとも3つの保持部材など、型部分に沿って長手方向に間隔をあけて配置された少なくとも2つの保持部材を備えてもよい。有利なことに、供給後保持部材の使用は、組成物の供給後の型部分間の整列の保持を改善することを可能にする。
【0027】
型部分は、型キャビティの上方、好適にはリザーバキャビティの開口の上方に配置された凹部を備えてもよい。典型的には、凹部は細長く、リザーバキャビティのベース部又はベースリザーバ部材と実質的に平行に延在してもよい。凹部は、型部分が閉鎖位置に達した時にリザーバキャビティに含まれる任意の余分な組成物を受け取るように動作可能であってもよい。
【0028】
型部分はガイド部材を備えてもよい。好適には、ガイド部材は、型部分から外向きに延在してもよい。型部分は、型部分の2つの反対側の面のそれぞれ、好適には型部分の2つの反対側の側面の上に配置されたガイド部材を備えてもよい。型部分は、型部分の2つの反対側の面のそれぞれに少なくとも3つのガイド部材、例えば少なくとも4つ、少なくとも5つ又は少なくとも6つのガイド部材を備えてもよい。型部分の面は、面の反対側の端部に向かって配置されたガイド部材と、端部ガイド部材の間に配置された中間ガイド部材とを備えてもよい。
【0029】
型部分は補強部材を備えてもよく、好適には、補強部材は、型部分の本体よりも剛性が高くてもよい。補強部材は、少なくとも部分的に型部分本体内に配置されてもよい。補強部材は、実質的に型部分本体の1つの端部から別の端部、例えば反対側の端部まで延在してもよい。補強部材は、型部分から突出して、ガイド部材を提供してもよい。好適には、補強部材は、型部分の反対の側で突出して、型部分の反対の側でガイド部材を提供してもよい。このように、ガイド部材は、突出した補強部材によって提供されてもよい。
【0030】
充填部材は、粘土又は非粘土のキャスタブル組成物、液体セメント又はゲルキャスト組成物などの鋳造成形用組成物又はスリップから形成されてもよい。このように、液体セラミック組成物はゲルキャスト組成物であってもよく、好適には、組成物は、セラミック材料、有機バインダー成分及び任意選択的に孔形成成分を含んでもよい。
【0031】
有機バインダー成分は、充填部材の成形後、好ましくは熱処理により、より好ましくは充填部材の焼成中に、充填部材から実質的に除去されるように動作可能であってよい。
【0032】
有機バインダー成分は重合性成分を含んでいてもよく、好適には重合性成分は重合性モノマー及び架橋部材を含んでいてもよく、ここでバインダー成分は重合して(共)重合体を形成するように動作可能である。
【0033】
重合性モノマーは、1種又は複数種のエチレン性不飽和モノマー、例えばアクリルモノマー又はその誘導体、例えばアクリルアミドモノマー、及び/又はビニルモノマー、例えばメタクリルアミド(MAM)、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(hMAM)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(hEAM)及び/又はN-ビニル-2-ピロリジノン(NVP)のうちの1つ又は複数から選択されたモノマーなどを含んでもよい。好ましくは、重合性モノマーは、1つ又は複数のアクリルアミドモノマーを含み、より好ましくは、メタクリルアミド(MAM)、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(hMAM)及びヒドロキシエチルアクリルアミド(hEAM)のうちの1つ又は複数から選択されたモノマーを含む。最も好ましくは、重合性モノマーは、MAMを含む。
【0034】
架橋部材は、ジエチレン性不飽和モノマー、例えばジアクリルモノマー又はその誘導体、例えばジアクリルアミドモノマー、アクリル塩及び/又はポリエチレングリコール置換アクリルモノマーのうちの1つ又は複数から選択されてもよい。架橋部材は、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)、N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)(BIS)、アクリル酸アンモニウム及びPEGメチルエチルメタクリレート(PEGMEM)のうちの1つ又は複数から選択されてもよく、好ましくはポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)、及びN,N’-メチレンビス(アクリルアミド)(BIS)のうちの1つ又は複数から選択されてもよい。
【0035】
有機バインダー成分は、40から95wt%の重合性モノマーと60から5wt%の架橋部材、例えば50から90wt%の重合性モノマーと50から10wt%の架橋部材、又は55から85wt%の重合性モノマーと45から15wt%の架橋部材、又は60から80wt%の重合性モノマーと40から20wt%の架橋部材、例えば65から75wt%の重合性モノマーと35から25wt%の架橋部材で形成されてもよい。
【0036】
組成物は、バインダー成分の重合を促進するように動作可能な重合促進剤をさらに含んでもよい。重合促進剤は、任意の適切な促進剤であってよい。例えば、促進剤はテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)であってもよい。
【0037】
組成物は、バインダー成分の重合を開始させるように動作可能な開始剤をさらに含んでもよい。開始剤は、任意の適切な開始剤であってよい。開始剤は、フリーラジカル開始剤であってもよい。例えば、開始剤は、過硫酸アンモニウム及び/又は過硫酸カリウムであってもよい。
【0038】
孔形成材料は、充填部材の成形後、好ましくは熱処理により、より好ましくは充填部材の焼成中に、充填部材から除去されるように動作可能であってもよい。孔形成材料は、マイクロビーズ、デンプン、種子及び/又はセルロースのうちの1つ又は複数から選択されてもよい。
【0039】
孔形成材料は、D10が5~100μm、好ましくは10~75μm、より好ましくは15~50μm、最も好ましくは20~40μmである粒度分布を有していてもよい。孔形成材料のD50は、50~200μm、好ましくは75~175μm、より好ましくは90~160μm、最も好ましくは100~150μmであってよい。孔形成材料のD90は、120~300μm、好ましくは150~270μm、より好ましくは170~250μm、最も好ましくは185~235μmであってもよい。
【0040】
セラミック材料は、耐火性セラミック材料であってもよい。セラミック材料は、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、ジルコニア、シリカ、チタン酸、炭素及び/又は酸化マグネシウムを含んでもよい。
【0041】
セラミック材料は、D10が0.1~20μm、好ましくは0.5~10μm、より好ましくは1~5μm、最も好ましくは1.5~3μmである粒度分布を有していてもよい。孔形成材料のD50は、0.5~30μm、好ましくは1~25μm、より好ましくは1.5~20μm、最も好ましくは2~15μmであってもよい。孔形成材料のD90は、10~100μm、好ましくは15~80μm、より好ましくは20~70μm、最も好ましくは25~60μmであってもよい。
【0042】
セラミック材料は、セラミック粉末であってもよい。セラミック粉末は、ボールミル粉砕又は噴霧乾燥されてもよい。有利なことに、ボールミル粉砕又は噴霧乾燥されたセラミック粉末は、より容易なキャスティング挙動を示すことが判明している。
【0043】
組成物又は充填部材は、主反応の反応性を高め、及び/又は望ましくない副反応を抑制するように動作可能な促進剤を含んでもよい。促進剤は、ランタン、銅、マグネシウム、マンガン、カリウム、カルシウム、ジルコニウム、バリウム、セリウム、ナトリウム、リチウム、モリブデン、イットリウム、コバルト、及びクロムの酸化物の1つ又は複数から選択されてもよい。
【0044】
組成物は、水性担体などの担体をさらに含んでもよい。好適には、組成物は、水性セラミックスラリーであってもよい。
【0045】
組成物は、さらなる添加物を含んでいてもよい。例えば、組成物は、高分子塩、例えばポリアクリルの塩、好ましくはポリアクリルのアンモニウム塩などの分散剤を含んでもよい。適切な分散剤は、Ecodis P90、Narlex LD42及びDispex A40のうちの1つ又は複数から選択されてもよい。
【0046】
組成物は、組成物の乾燥重量で0.1~10%の重合性モノマー、好ましくは0.5~8wt%、より好ましくは1~6wt%、例えば1.5~5wt%、最も好ましくは2~4wt%の重合性モノマーを含んでもよい。
【0047】
組成物は、組成物の乾燥重量で0.1~10%の架橋部材、好ましくは0.5~8wt%、より好ましくは0.75~6wt%、例えば1~5wt%、最も好ましくは1~4wt%の架橋部材を含んでもよい。
【0048】
組成物は、組成物の乾燥重量で50から95%のセラミック材料、好ましくは50から90wt%、より好ましくは55から85wt%、最も好ましくは60から80wt%のセラミック材料を含んでもよい。充填部材は、組成物の乾燥重量で少なくとも75%のセラミック材料、好ましくは少なくとも85wt%、より好ましくは少なくとも90wt%、例えば少なくとも95wt%、最も好ましくは少なくとも97wt%のセラミック材料を含んでもよい。
【0049】
組成物は、組成物の乾燥重量で>0~40%の孔形成部材、好ましくは0.5~30wt%、より好ましくは2~25wt%、例えば3~20wt%、最も好ましくは4~15wt%の孔形成部材を含んでもよい。
【0050】
組成物は、組成物の乾燥重量で0.1~5%の開始剤を含んでもよく、好ましくは0.5~4wt%、より好ましくは0.75~3.5wt%、最も好ましくは1~3wt%の開始剤を含んでもよい。
【0051】
組成物は、組成物の乾燥重量で最大5%の促進剤を含んでもよく、好ましくは最大3wt%、より好ましくは最大2wt%、最も好ましくは最大1.5wt%の促進剤を含んでもよい。
【0052】
組成物は、組成物の乾燥重量で0.1~10%の分散剤を含んでもよく、好ましくは0.5~8wt%、より好ましくは0.75~6wt%、最も好ましくは1~5wt%の分散剤を含んでもよい。
【0053】
組成物は、組成物の総重量で45~99%の固形分、例えば50~95wt%、好ましくは55~90wt%、最も好ましくは60~85wt%の固形分を有してもよい。
【0054】
組成物は、予め形成された水性バインダー成分をセラミック組成物と組み合わせることによって形成されてもよい。好適には、水性バインダー成分は、重合可能なモノマー、架橋部材及び水を含んでいてもよい。
【0055】
液体セラミック組成物を型と接触させる前に、組成物を開始剤及び任意選択的に重合促進剤と接触させてもよい。
【0056】
本発明の充填部材は、不活性充填部材であってもよい。このように、不活性充填部材は、触媒材料を実質的に含まなくてもよい。有利なことに、触媒床における本発明による不活性充填部材の使用は、熱伝達及びガス流の乱れを改善し、これは反応器にさらに沿った反応媒体が所望の反応に適した温度であることを助ける。
【0057】
本発明の充填部材、又は担体は、触媒材料を含む担持触媒であってもよい。触媒材料は、担持触媒が適用される所望のプロセスにおいて触媒活性を提供するように動作可能であってもよい。
【0058】
触媒材料は、遷移金属、好適には遷移金属酸化物、及び/又は貴金属、好適にはそれらの合金のうちの1つ又は複数から選択される金属を含んでもよい。触媒材料は、鉄、ニッケル、銀、金、白金、ルテニウム、バナジウム、モリブデン、及びコバルトのうちの1つ又は複数から選択される金属を含んでもよい。
【0059】
組成物は、均質なスラリーを形成するために型に配置する前に、好適には開始剤及び任意選択の促進剤を添加する前に、混合してもよい。組成物は、開始剤と任意選択の促進剤の添加後に混合して、均質なスラリーを形成してもよい。
【0060】
型は好ましくは鋳型である。型は、グリーン体に表面構造を形成するように動作可能であってもよい。
【0061】
ステップ(c)によって製造されたグリーン体は、グリーン体を40℃以上、例えば50℃以上又は55℃以上又は60℃以上でベークすることによって乾燥されてもよい。好適には、グリーン体は、10時間以上、例えば15時間以上又は20時間以上、例えば24時間以上ベークされてもよい。
【0062】
グリーン体は、1000℃以上、好ましくは1200℃以上、より好ましくは1400℃以上、最も好ましくは1500℃以上で焼成されてもよい。好適には、グリーン体は、実質的にすべてのバインダー及び孔形成成分が担体又は担持触媒から除去されるまで焼結されてもよい。
【0063】
充填部材は、充填部材を触媒材料の溶液に浸漬することによって、触媒材料を含浸させてもよい。浸漬した充填部材は、浸漬後に乾燥させてもよい。
【0064】
有利なことに、本発明は、グリーン担体又は担持触媒体を、それがまだ比較的ゴム状である形態である間に型から取り出すことを可能にし、より容易な取り扱いを可能にする。このことは、他のタイプの鋳造技術よりも低いスクラップ率につながる。
【0065】
本発明の装置のガイド部材は、好適には、型のガイド部材を受け入れることによって、型を開放構成に案内するように動作可能であってよい。好適には、ガイド部材は、型を閉鎖位置、又は少なくとも部分閉鎖位置に配置するように動作可能な部分と、型部分が開放位置で少なくとも部分的に間隔をあけられた位置に型を配置するように動作可能な部分とを含んでもよい。型は、ガイド部材内で、ガイド部材の閉鎖された部分からガイド部材の間隔をあけた部分へ移動するように動作可能であってもよい。典型的には、ガイド部材は、型部分の一部が当接し、型部分の一部が間隔をあけている開放位置に、好適には、型キャビティが開放されてリザーバキャビティが形成されている間に供給保持部材を係合させることができる位置に、型を配置するように動作可能である。ガイド部材は、型キャビティが開放していてリザーバキャビティが形成されている間に供給保持部材が係合し、及び/又は型部分の一部が当接する位置に型を配置するように動作可能であってもよく、ここで、開放した型キャビティ及び/又はリザーバキャビティは、係合した供給保持部材の上及び/又は型部分の当接する部分の上に配置される。ガイド部材は、ガイド部材のガイド部分を通して型を移動させるように動作可能な駆動部材をさらに備えてもよい。
【0066】
成形装置は、液体セラミック組成物を型内に分配するように動作可能な供給部材をさらに備えてもよい。好適には、供給部材は、ガイド部材のガイド部分の上方に配置されてもよい。
【0067】
充填部材は、触媒担体であってもよく、好適には、セラミック触媒担体であってもよい。充填部材は、担持触媒であってもよい。
【0068】
本発明の充填部材は、ゲルキャスト充填部材などのキャスト充填部材であってもよい。
【0069】
充填部材は、0.7cm2/cm3以上の体積当たり幾何学的表面積(GSA)、及び250kgf以上の側面破壊強度、例えば1cm2/cm3以上のGSA、好ましくは1.2cm2/cm3以上のGSA、より好ましくは1.3cm2/cm3以上のGSA、最も好ましくは1.4cm2/cm3以上のGSAを有してもよい。充填部材は、275kgf以上、好ましくは300kgf以上、より好ましくは325kgf以上、最も好ましくは350kgf以上の側面破壊強度を有してもよい。
【0070】
充填部材は、1.5cm2/cm3以上のGSA及び150kgf以上の側面破壊強度、例えば1.7cm2/cm3以上のGSA、好ましくは1.9cm2/cm3以上のGSA、より好ましくは2.1cm2/cm3以上のGSA、最も好ましくは2.3cm2/cm3以上のGSAを有してもよい。充填部材は、170kgf以上、好ましくは185kgf以上、より好ましくは200kgf以上、最も好ましくは215kgf以上の側面破壊強度を有してもよい。
【0071】
充填部材は、3cm2/cm3以上のGSA及び60kgf以上の側面破壊強度、例えば3.3cm2/cm3以上のGSA、好ましくは3.6cm2/cm3以上のGSA、より好ましくは3.9cm2/cm3以上のGSA、最も好ましくは4.2cm2/cm3以上のGSAを有してもよい。充填部材は、70kgf以上、好ましくは80kgf以上、より好ましくは90kgf以上、最も好ましくは100kgf以上の側面破壊強度を有してもよい。
【0072】
本明細書におけるGSAは、すべてのマクロ構造及び表面構造特徴を含む、充填部材の外寸法を測定すること、並びに表面積を計算することによって計算される。計算された表面積は、次いで充填部材の計算された容積で割る。適切な3Dモデリングソフトウェアは、これらの計算を迅速に正確に提供するために使用することができる。
【0073】
本明細書における側面破壊強度は、kgfで表した値によって示されている。これは、最小直径80mmの2つの平行な平坦な硬化鋼板の間を加圧して圧迫した時に、試料が壊れた点で記録された最大負荷である。一方の板は負荷セル及び記録デバイスに固定され、他方は5mm/分に制御された速度で動くラムに取り付けられている。初期試行テストは、充填部材が最も弱い寸法を決定するために実行される。次いで側面破壊テストは、最も弱い方向で実行される。
【0074】
充填部材は、6%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、最も好ましくは25%以上の多孔性を有してもよい。充填部材は、6~50%、好ましくは15~40%、より好ましくは20~35%、最も好ましくは25~30%の多孔性を有してもよい。適切には担体は、15%以上、より好ましくは20%以上、最も好ましくは25%以上の多孔性を有してもよい。担体は、15~50%、より好ましくは20~40%、最も好ましくは25~35%の多孔性を有してもよい。
【0075】
本明細書における多孔性は、ASTM D4284-12(2017)e1、Standard Test Method for Determining Pore Volume Distribution of Catalysts and Catalyst Carriers by Mercury Intrusion Porosimetryを使用して水銀圧入法によって測定される。
【0076】
充填部材は、マクロ構造及びマクロ構造の外面上の表面構造を有してもよい。典型的には、充填部材の表面構造は、充填部材の成形ステップ、すなわち充填部材のグリーン体が形成されるステップの間に、好適には型キャビティ内の適切なテクスチャリングによって形成される。このように、好ましくは、表面構造は、充填部材のグリーン体の成形後に後加工されない。
【0077】
マクロ構造は、多葉、例えば三葉、四葉若しくは五葉、輪、球、立方体、直方体、円柱、又は歯車の形態であってもよい。
【0078】
歯車のマクロ構造は、半径方向外方に延在する複数のキャスタレーションを含む。歯車のマクロ構造は、キャスタレーションを除いた時に、実質的に円形、三角形、正方形、又は長方形、その他を含む、横方向断面を有してもよい。少なくとも一部、好ましくはすべてのキャスタレーションは、キャスタレーションの深さ及び/又は幅に沿って先細であってもよく、好ましくは、各キャスタレーションは、歯車のその他のキャスタレーションと同じ方向に先細であり、適切にはキャスタレーションの最大幅及び最大深さの点は、キャスタレーションの同じ端部に向かってもよい。
【0079】
マクロ構造は、凹んだ上面及び/又は下面を有してもよく、適切には上面及び/又は下面の少なくとも30%、例えば少なくとも40%若しくは少なくとも50%が凹む。マクロ構造を通って延在するボアは、本発明による上面及び/下面内の凹部ではないことが理解されよう。
【0080】
有利なことに、先細のキャスタレーション及び/又は凹んだ上面若しくは下面を有する歯車のマクロ構造は、低減した連動と組み合わせて改良された充填密度を提供することが分かった。
【0081】
球のマクロ構造は、マクロ構造の外面上の少なくとも1つの線形窪み、例えば少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの線形窪みを含んでもよい。好ましくは、球のマクロ構造は、少なくとも2つ、例えば少なくとも3つ又は少なくとも4つの線形の平行な窪みを含む。好ましくは、窪みは、横方向断面が実質的に半球である。
【0082】
マクロ構造は、一体であってもよく、又はマクロ構造を通って延在する1つ若しくは複数のボアを含んでもよい。好ましくは、充填部材は、マクロ構造を通って延在する少なくとも1つのボアを含み、より好ましくは、マクロ構造は、少なくとも3つのボアを含む。マクロ構造は、ハニカム構造であってもよい。マクロ構造のボアは、真っ直ぐに切断され、又は面を刻まれてもよい。
【0083】
充填部材は、複数の表面構造、適切には、複数の反復する表面構造を含んでもよい。好ましくは、充填部材は、少なくとも5つの表面構造、適切には反復する表面構造部分を含み、より好ましくは少なくとも10個、例えば少なくとも15個、又は少なくとも20個、最も好ましくは少なくとも25個含む。
【0084】
表面構造とは、担体上の隆起部及び/又は凹み部を意味し、その高さは、充填部材のマクロ構造の幅/直径より著しく小さい。このような表面構造は、充填部材のマクロ構造の上の粗面仕上げであるとみなしてもよい。表面構造は、微視的表面粗さを含まないとみなしてもよい。例えば充填部材は、幅32mm及び長さ50mmを有する立方体のマクロ構造からなってもよい。この充填部材の外面は、複数の反復する同一の離散マウンドの形の複数の表面構造を含んでもよく、各マウンドは2mmの高さを有する。歯車の複数のキャスタレーション又は多葉の葉などのマクロ構造の標準的特徴は、本発明による表面構造であるとみなされないことが理解されよう。
【0085】
表面構造は、リッジ及び/又はマウンドの形であってもよい。
【0086】
リッジは環状リッジの形であってもよく、前記環状リッジは円形形状に限定されない。環状リッジは、実質的に円形形状、又は規則的な凸多角形の形、例えば三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形若しくは十角形などであってもよい。好ましくは、環状リッジは、規則的な凸多角形の形、より好ましくは、五角形、六角形、若しくは七角形、最も好ましくは六角形である。環状リッジの間に延在する表面構造の部分は、平坦であり、傾斜し、及び/又は湾曲してもよい。例えば環状リッジの間に延在する表面構造の部分は、反転したピラミッドの形であってもよい。表面構造は、複数の取り付けた環状リッジ構造、適切には少なくとも第1の環状表面構造のリッジが、第2の環状表面構造の一部を形成するように、内部連結した環状リッジ構造を含んでもよい。
【0087】
マウンドの形態の表面構造は、マクロ構造の中に凹み、又はマクロ構造から外方に突出してもよい。マウンドは、湾曲し、ピラミッド型の、及び/又は段が付いたマウンドであってもよい。段が付いたマウンドは2~10段、例えば3~8段を含んでもよい。マウンドは、隣接したマウンドが当接し、又は一緒に融合するように内部連結してもよい。
【0088】
充填部材の表面構造の中間平均高さは、最高10mm、好ましくは最高7mm、より好ましくは最高6mm、最も好ましくは最高5mmであってもよい。
【0089】
充填部材の表面構造の中間平均高さは、少なくとも0.1mm、例えば少なくとも0.3mm、好ましくは少なくとも0.5mm、より好ましくは少なくとも0.7mm、最も好ましくは少なくとも0.8mmであってもよい。本明細書では表面構造の高さは、深さ測定機能を備えたノギスを使用して測定される。
【0090】
充填部材は、最高1000mm、例えば最高750mm又は最高500mm、好ましくは最高400mmの最大寸法を有してもよい。充填部材は、最高500mm、例えば最高300mm又は最高200mm、好ましくは最高150mm、より好ましくは最高100m、最も好ましくは最高50mmの幅/直径を含んでもよい。
【0091】
充填部材の表面構造の中間平均高さは、充填部材の幅/直径の最高40%、例えば最高30%、好ましくは最高25%、より好ましくは最高20%、及び最も好ましくは最高15%であってもよい。
【0092】
表面構造は、充填部材の少なくとも2面、例えば少なくとも1つの側面並びに1つの上面及び/又は底面の上に延在してもよい。
【0093】
表面構造は、充填部材の側面の少なくとも50%、例えば少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の上に延在してもよい。表面構造は、充填部材の外面の少なくとも50%、例えば少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の上に延在してもよい。表面構造が反復する一連のリッジ、例えば環状リッジを含む場合は、リッジの間に延在する表面は、表面が実質的に平坦である時、又はリッジが相互連結しない場合であっても、この計算のための表面構造の一部として含まれる。
【0094】
有利なことに、本発明の型及びプロセスは、改良した幾何学的表面積を有する一方で依然として優れた強度を提供する充填部材の商業的に実行可能な製造を可能にする。さらに本発明を用いて効果的に製造可能な充填部材の強度及び/又は多孔性は、同じ形状を保ちながら修正されてもよく、それによって再設計の必要性及びコストを低減する。さらに、充填部材は、高い多孔性担体を提供する一方で、依然として優れた強度を提供し得る。最も有利なことに、充填部材は、改良した幾何学的表面積を優れた強度及び高レベルの多孔性と組み合わせて提供し得る。充填部材の改良した幾何学的表面積は、触媒反応が表面に基づく適用に特に好都合である。
【0095】
充填部材は、改良した充填などの他の改良した特性と組み合わせた高い熱伝達係数も提供できる。
【0096】
充填部材は、圧力低下が低い優れた充填特徴を提供するためにも使用されてもよい。充填部材は、改良した充填密度を提供する一方で、最適な気流を維持し得る。
【0097】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1から第3の態様のいずれかに記載の型を製造するための方法が提供され、方法は以下のステップを含む:
a.任意選択的に、型のネガのデジタルモデルを作成するステップ、
b.積層造形法、好ましくは3Dプリンタによる印刷を用いて、モデルに従ってネガ型を作製するステップ、及び
c.ネガ型から型を形成するステップ。
【0098】
本発明の第6の態様によれば、触媒用担体、又は担持触媒などの充填部材を製造するための方法が提供され、充填部材は、本発明の第4の態様による充填部材であってもよく、方法は以下のステップを含む:
a.任意選択的に、本発明の第1から第3の態様のいずれかに記載の型のネガのデジタルモデルを作成するステップ、
b.積層造形法、好ましくは3Dプリンタによる印刷を用いて、モデルに従ってネガ型を作製するステップ、
c.ネガ型から型を形成するステップ、及び
d.充填部材又は担持触媒を形成するために、好適には本発明の第4の態様に関連して定義される成形用組成物であってもよい成形用組成物を鋳造成形するステップであって、好適には本発明の第2の態様のプロセスに従うステップ。
【0099】
本発明の第7の態様によれば、触媒床を備える反応器が提供され、触媒床は本発明の第4の態様による充填部材を備える。
【0100】
本発明の第8の態様によれば、触媒床を備える反応媒体が提供され、触媒床は本発明の第4の態様による充填部材を備える。
【0101】
好適には、反応器又は反応媒体は、アンモニア、メタノール、水素、過酸化水素及び/又はオキソアルコールなどの合成ガスの製造、鉄の直接還元(DRI)、吸熱ガス生成、触媒部分酸化、又は自己熱改質用であってよい。
【0102】
本発明の第9の態様によれば、本発明の第4の態様による充填部材の、触媒担体としての使用が提供される。
【0103】
本発明の第10の態様によれば、アンモニア、メタノール、水素、過酸化水素及び/又はオキソアルコールなどの合成ガスの製造方法であって、触媒床が本発明の第4の態様による充填部材を備えている反応器を使用して合成ガスを製造することを含む方法が提供される。
【0104】
本発明の第11の態様によれば、触媒床が本発明の第4の態様による充填部材を備えている反応器を使用することを含む直接還元鉄の製造方法が提供される。
【0105】
本発明の第12の態様によれば、触媒層が本発明の第4の態様による充填部材を備えている反応器を使用することを含む吸熱ガス生成方法が提供される。
【0106】
本発明の第13の態様によれば、触媒床が本発明の第4の態様による充填部材を備えている反応器を使用することを含む触媒部分酸化のための方法が提供される。
【0107】
本発明の第14の態様によれば、触媒床が本発明の第4の態様による充填部材を備えている反応器を使用することを含む自己熱改質の方法が提供される。
【0108】
本明細書に記載されたいかなる数値範囲も、そこに包含されるすべての下位範囲を含むことを意図している。単数形は複数形を包含し、その逆もまた同様である。例えば、本明細書では、「a」第1の部分及び「a」第2の部分、「an」開放した型キャビティ、「a」リザーバ形成部材等に言及しているが、これらのそれぞれの1つ又は複数及び他の任意の構成要素を使用することができる。本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、オリゴマー及びホモポリマーとコポリマーの両方を指し、接頭語「ポリ」は2つ以上を指す。
【0109】
本明細書における「型」の使用は、固体形態への硬化時に液体組成物に形状を与えるために使用される中空部分を有する容器を指すことを意図している。型は、例えば、鋳型、ダイ又はフォーマであってもよい。
【0110】
本明細書における「長手方向」及び「横方向」の使用は、長手方向がキャビティの開口及び底部を通って実質的に延在する軸を指し、「横方向」が長手方向軸に実質的に垂直に延在する軸を指すようにリザーバキャビティに関連する。
【0111】
本明細書に含まれる特徴のすべては、任意の組み合わせで上記の態様のいずれかと組み合わせることができる。
【0112】
本発明をより深く理解するために、また、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを示すために、次に例として以下の図を参照する。
【0113】
次に本発明をもっぱら例として添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【
図1】本発明による型の第1の実施形態の上面斜視図を示す。
【
図2】本発明による型の第2の実施形態の上面図を示す。
【
図3A】開放位置にある第2の実施形態による型で形成された成形装置の第1の実施形態の上面斜視図を示す。
【
図4A】型が部分閉鎖位置にある
図3Aの成形装置の上面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0115】
図1は、本発明の第1の実施形態による型10を示す。型10は、実質的に立方体であり、第1の型部分100及び第2の型部分200で形成されている。第1の部分100及び第2の部分200はそれぞれ、型の質量の約半分を含み、それぞれ、弾性的に変形可能な2液性のシリコン系ゴムで形成されている。
【0116】
第1の型部分100は、実質的に立方体の本体102で形成されている。本体102は、長方形の内面と長方形の外面を有する。内面は型の内面を形成し、外面は型部分が係合された時に型の外面を形成する。本体102はまた、長方形の前面、後面、及び2つの側面も有する。
【0117】
本体102の内面は、キャビティの成形面に表面テクスチャリングを含む12の離散的な概ね半球状の部分型キャビティ104のグループを有する。型キャビティは、1列あたり3つのキャビティ104を有する4列のグループ化された状態で配置されている。部分キャビティ104は、隣接する型キャビティから等しい間隔で配置され、内面の横方向中央に位置するグリッド状のグループ配置を形成している。第1の列は、本体102の前面に隣接する内面の縁に近接し、それと平行であるが、そこから間隔をあけて配置され、最後(第4)の列は、後面に隣接する内面の縁に近接し、それと平行であるが、そこから間隔をあけて配置されている。第1の列は、最後の列がそのそれぞれの上記の縁に対するよりも、その上記の縁に近い。部分キャビティ104のグリッド状のグループの両側に沿って延在した状態で、サイドリザーバ部材舌状部106a及び106bが突出する。サイドリザーバ部材舌状部106a、106bは、凸状の上面を有する全体的に立方体形状であり、前面に隣接する縁から部分キャビティ104の最後の列の直後まで内面に沿って長手方向に延在する。サイドリザーバ部材106a、106bは、下端部(すなわち、本体102の後面に近接する端部)でベースリザーバ部材舌状部106cを介して接続されている。ベースリザーバ部材106cは、サイドリザーバ部材106a及び106bと同じ高さであり、それは、内面を横切って横方向に延びてリザーバ部材106a及び106bを接続する。リザーバ部材106a、106bは、ベースリザーバ部材106cの各端部で一体的に接続され、両側及び底部(すなわち、本体102の後面に近接する端部)で部分キャビティ104のグリッド状のグループを囲む概ねU字形の囲いを形成する。この囲いは、部分キャビティ104が配置されるリザーバキャビティ108の一部を形成している。リザーバキャビティは、ベースリザーバ部材に接続されていないサイドリザーバ部材の端部の間に延在する開放端の形態の横方向に延在する開口を有する。このように、開口は、部分キャビティの第1の列と、本体102の前面に隣接する内面の端部との間に配置されている。
【0118】
型部分100は、内面及びサイドリザーバ部材と2つの側面で一体的に形成されている2組の3つの供給後キューブ状保持部材110a、bをさらに有している。供給後保持部材のそれぞれは、内面及びサイドリザーバ部材から外側に延在する。第1の組の保持部材110aは、サイドリザーバ部材106aの外側面に沿って(リザーバキャビティに対して)配置され、第2の組の保持部材110bは、サイドリザーバ部材106bの外側面に第1の組と反対側に配置される。組110a及びbのそれぞれの3つの保持部材は、組の隣接する保持部材から長手方向に内面を下って等しい間隔で配置され、それぞれの保持部材は、反対側のサイドリザーバ部材上の対応する保持部材の正反対にある。
【0119】
本体102の内面は、ベースリザーバ部材106cから間隔をあけられ、その下に位置し、それと平行に延在し、及び、後面に隣接する内面の縁に近接し、それと平行に延在するが、それから間隔をあけられた供給保持舌状部材112で形成されている。供給保持部材112は、概ね立方体の突出部であり、本体102を横切って横方向に延在し、側縁から間隔をあけて配置されている。
【0120】
細長い凹部114は、本体102の前面に隣接する内面の縁とリザーバキャビティ108の開口との間に、前記内面の縁に近接しているが、それから間隔をあけて、内面上に配置されている。凹部114は、本体102の側縁の間の内面上の比較的横方向中央に位置付けられ、本体102の側縁から間隔をあけて配置されている。凹部114は、概ね楕円形である。凹部114は、リザーバキャビティの開口の幅と概ね末端の位置が揃う(coterminous)。
【0121】
第1の型部分100はまた、本体102に沿った3つの異なる点において、一方の側面から他方の側面まで本体102の中心塊を通って横方向に延在する3つの円筒形の間隔をあけた補強ロッド116を有する。ロッド116は、第1の型部分100の両側にガイド部材として機能する3つの突出部があるように、両側の側面から突出している。ロッド116は、本体102の長手方向の長さに沿って等しい間隔で配置されている。
【0122】
第2の型部分200(図示せず)は、第1の型部分100と同様であるが、リザーバ部材及び保持部材の内側に延在する雌型の等価物を有する。このように、第2の型部分200は、第1の型部分100のリザーバ部材を受け入れるのに適した本体202(図示せず)内の立方体の溝である対応する雌型リザーバ部材206(図示せず)と、雄型保持部材110、112が係合するように内側に収まり、第1及び第2の型部分100、200を整列した状態で保持することを可能にする雌型保持部材210(図示せず)及び212(図示せず)とを有する。第1の型キャビティ100及び第2の型キャビティ200が一緒に係合されると、部分キャビティ104、204は、閉じた拡大された概ね球形の型キャビティ304(図示せず)を形成する。
【0123】
使用時、型10は開放位置に配置され、この位置では、第1の型部分100及び第2の型部分200は、供給保持部材112、212が協働して係合して第1及び第2の型部分100、200を整列した状態に保持するように、且つリザーバ部材106、206(図示せず)が、ベースリザーバ部材がキャビティのベースを形成し、型キャビティのすべてが開放されているリザーバキャビティを形成するよう十分に係合されるように、部分的に間隔をあけて配置されている。この構成では、型部分の前面が間隔をあけて配置され、型部分の後面は間隔をあけて配置されない。
【0124】
この初期a構成において、初期リザーバキャビティ108を、液体セラミック組成物で充填することができる。これは、型部分の間隔をあけて配置された前面の上方からリザーバキャビティ108の開口内に液体組成物を落とし込むことによって行われる。受け取った液体組成物は、キャビティ108内に保持され、また、初期リザーバキャビティ内にある型キャビティ104、204に入り、それらを充填する。
【0125】
型10は、次に、サイドリザーバ部材106、206を、リザーバキャビティの開口に向かってベースリザーバ部材から上方に段階的にさらに係合することによって、部分的閉鎖位置に移動させることができる。この動作は、初期リザーバキャビティの閉鎖をもたらし、これにより現在充填されている型キャビティのいくつかが閉鎖されるが、サイドリザーバ部材をさらに係合することによって、リザーバキャビティは、型部分の前面に向かってさらに型10の上方に移動される。再配置されたリザーバキャビティは、最初に充填された型キャビティによって取り込まれなかった残りの組成物を運ぶ。これは、液体セラミック組成物の一部をキャビティ部材のグループのより高い位置に移送し、それによって組成物が再配置されたリザーバキャビティ108から、再配置されたリザーバキャビティ108内に現在含まれる、以前に空だった開放した型キャビティに移動できるようにする効果を有する。
【0126】
次に、型部分100、200は閉鎖位置に移動することができ、この位置では、リザーバ部材106、206、及び供給後保持部材が完全に係合され、それによってリザーバキャビティを閉鎖し、また型キャビティのすべてを閉鎖することで、液体セラミック組成物が閉鎖した型キャビティ304内に保持される。任意の余分な組成物は凹部114に捕捉される。
【0127】
組成物は、グリーン体が製造されるまで、任意選択的にグリーン体の加熱により製造されるまで、型キャビティ304内に保持される。
【0128】
その後、グリーン体を型から取り出し、グリーン体を焼成して充填部材を製造することができる。
【0129】
図2A及び2Bは、本発明による型20の第2の実施形態を示す。型20は、
図2A及び2Bに示すように、実質的に立方体であり、第1の型部分300及び第2の型部分400を有する。第1の型部分300及び第2の型部分400は、第1実施形態の第1の型部分100及び第2の型部分200と構造的にほぼ同じである。型20は、以下に特に断りのない限り、第1の実施形態で記載したような特徴をすべて有する。
【0130】
第1の型部分300及び第2の型部分400は、より多くの部分キャビティ、それぞれ305及び405を含む。部分キャビティ305、405の11の直線的で末端の位置が揃った平行な列があり、1列あたり15個のキャビティが存在する。
【0131】
サイドリザーバ部材舌状部306a及び306bは、第1の型部分300上に位置し、部分キャビティ305の最後の列の直後から、本体302の前面に隣接する内面の縁まで内面に沿って長手方向に延在する。サイドリザーバ部材舌状部306a及び306b、並びにベースリザーバ部材舌状部306cは、それによって、本体302の内面に位置する部分キャビティ305及び細長い凹部314を囲んでいる。サイドリザーバ部材406a及び406bは、第2の型部分400上に同様に位置している。
【0132】
内面及びサイドリザーバ部材306a、bと2つの側面で一体的に形成される供給後キューブ状保持部材310a、bの数は、第1の実施形態と比較して、各側面に7個ずつに増えている。また、第2の型部分400には、対応する雌型保持部材410a、bが7個設けられている。型部分のそれぞれの中心塊を貫通して横方向に延在する補強ロッド316は、第1の実施形態と同様に等しい間隔で8本設けられている。
【0133】
図3及び4は、本発明による型装置30の第1の実施形態を示す。型装置30は、上述した第2の実施形態による型20と、2つのガイド部材450とで形成されている。ガイド部材450は、垂直な向きで固定されている。各ガイド部材450は、2つの溝452の間の距離がガイド部材450の上部よりも底部において小さくなるように、ガイド部材の長手方向に下に向かってわずかな斜度で走る2つの立方体形状の溝452を有している。各ガイド部材の溝は、他方のガイド部材の対応する溝の方を向き、その正反対にあるように配置されている。
【0134】
補強ロッド316、416は、型部分のそれぞれの側面の溝452に嵌まり、型20が溝に沿って移動し、型部分300、400の前面が上を向き、後面が下を向くように垂直に保持されることを可能にすることができる。
【0135】
使用時、ロッド316及び416がガイド部材の底部で溝452に入り、型部分300及び400の前面がガイド部材450の上部に向かうまで、型をガイド部材450の上に移動させることによって、型20を開放位置に配置する(
図3A)。型部分300及び400がガイド部材450の上に移動されると、溝452が外側に傾斜しているために型部分300及び400は上端で間隔があいて、型部分の間の空間に初期リザーバキャビティが形成される開放位置を提供する。この位置で、供給保持部材312、412は、第1及び第2の型部分300、400を整列した状態で保持し、ベースリザーバ部材がキャビティのベースを形成し、型キャビティのすべてが開放されている大きなリザーバキャビティを形成できるように、型の下端で協働的に係合される。
【0136】
開放位置において、初期リザーバキャビティ308は、型部分の間隔をあけた前面の上方に配置された供給部材からリザーバキャビティ308の開口454に液体組成物を落とし込むことによって、液体セラミック成形体組成物を受け取ることが可能である。受け取った液体組成物は、初期リザーバキャビティ308内に保持され、初期リザーバキャビティ内にある任意の型キャビティ305、405を充填する。
【0137】
型20は、その後、
図4A及び4Bに示すように、型を溝に沿ってガイド部材の下に移動させて、サイドリザーバ部材306、406及び型部分の内面を、リザーバキャビティの開口に向かってベースリザーバ部材から上方に段階的にさらに係合することによって部分閉鎖位置へ移動させることが可能である。部分閉鎖位置で、サイドリザーバ部材及び型の内面は、リザーバキャビティを型部分の前面に向かって型20のさらに上方に移動させるようにさらに係合される。この動作は、初期リザーバキャビティを閉鎖し、それによって、初期リザーバキャビティ内に配置されていた充填済み型キャビティも閉鎖する。再配置されたリザーバキャビティは、最初に充填された型キャビティによって取り込まれなかった残りの組成物を運ぶ。これは、液体セラミック組成物の一部をキャビティ部材のグループのより高い位置へ移送し、それによって組成物が再配置されたリザーバキャビティ308から、再配置されたリザーバキャビティ308内に現在ある以前に空だった開放した型キャビティに移動することを可能にする効果を有する。再配置されたリザーバキャビティはまた、供給部材から追加の組成物を受け取ることができる。部分閉鎖位置で、リザーバキャビティのベースは、最終的に、型部分の内面の当接によって形成される。
【0138】
次に、型部分300、400は、リザーバ部材306、406、及び供給後保持部材310が完全に係合される閉鎖位置に移動することができ、それによってリザーバキャビティ308を閉鎖し、また型キャビティのすべてを閉鎖して液体セラミック組成物を閉鎖した型キャビティ内に保持する。任意の余分な組成物は、凹部314、414に捕捉される。
【0139】
例として、型装置30と、以下に提供する成分を以下の方法で混合することによって形成された型組成物とを使用して担持触媒を製造した。
【0140】
アルミナ粉末、孔形成剤(pore former)及び分散剤を混合して粉末混合物を形成した。鎖形成モノマー、鎖連結モノマー及び水を含有するモノマー水溶液を粉末混合物に添加し、水性スラリーを形成した。次に、この水性スラリーに触媒と開始剤を添加した。得られたスラリー中の各成分の量は次の通りであった。
量
アルミナ粉末 475
孔形成剤 60g
分散剤 12.25g
重合性モノマー 16.3g
架橋剤 8.2
触媒 3ml
開始剤 8ml
水 135g
【0141】
次に、得られた水性スラリーを、型20が開放位置にある間に、型20の上に配置された供給部材から型20のリザーバキャビティに流し込んだ。次いで、型20を、水性スラリーをさらに添加しながら、開放位置から部分閉鎖位置まで徐々に移動させた。その後、型20を閉鎖位置に配置した。閉鎖され拡大された型キャビティ内でスラリーが複数の固体グリーン体にゲル化したら、次にグリーン体を型から取り出した。この時点で、グリーン体はゴムのようなゼリー状の粘度であった。その後、グリーン体を室温で24時間放置して乾燥させた。次に乾燥したグリーン体を1450℃で焼結し、この時点でバインダーと孔形成剤が焼失し、固体の多孔質充填部材が残った。
【0142】
次にこの充填部材を触媒材料Ni(NO3)2を含有する水溶液に浸漬した後、500℃で乾燥させた。この触媒材料の含浸ステップをさらに2回繰り返し、担持触媒を製造した。
【0143】
製造された担持触媒は、
図5の担持触媒500に示すようなマクロ構造及び表面構造を有していた。担持触媒500は、担体の長手方向の長さを通って延在する複数のボア(合計5個)と、担体から半径方向外側に突出する複数の間隔をあけた長手方向に配向されたキャスタレーション(合計10個)とを有する円筒形の歯車形状のマクロ構造を有している。担持触媒500のマクロ構造は、さらに、担体500の上面に凹み502を有する。歯車の各キャスタレーションは、担持触媒500がベース部における最大の外幅F(38.0mm)から担持触媒500の上面における最小の外幅E(35.1mm)を有するように、深さが先細状である。各キャスタレーションは、担持触媒500のベース部における最も広い地点から、担持触媒500の上面における最も狭い幅まで、幅がさらに先細状である。
【0144】
担持触媒500は、担持触媒500の実質的に外面全体にわたって延在する表面構造を有する。この表面構造は、一般に、相互接続された六角形状のリッジ502の形態である。
【0145】
このようにして、改善された特性を有する充填部材は、商業的に実行可能な生産を達成するために必要な時間内に必要な大量の開放型垂直充填を用いて製造することができる。
【0146】
本出願に関連して本明細書と同時又はそれ以前に提出され、本明細書とともに公開されているすべての論文及び文書に注意が向けられ、すべてのかかる論文及び文書の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0147】
本明細書(添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示された特徴のすべて、及び/又は、そのように開示された任意の方法又はプロセスのステップのすべては、かかる特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることが可能である。
【0148】
本明細書(添付の請求項、要約及び図面を含む)に開示された各特徴は、明示的に別段の記載がない限り、同一、同等又は類似の目的を果たす代替の特徴に置き換えることができる。したがって、明示的に別段の記載がない限り、開示された各特徴は、一般的な一連の同等又は類似の特徴の一例でしかない。
【0149】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つ又は任意の新規な組み合わせ、又はそのように開示された任意の方法又はプロセスのステップの任意の新規な1つ又は任意の新規な組み合わせに及ぶものである。
【国際調査報告】