IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

特表2023-502684ベヘナミドプロピルジメチルアミンを含有するヘアコンディショナー組成物
<>
  • 特表-ベヘナミドプロピルジメチルアミンを含有するヘアコンディショナー組成物 図1A
  • 特表-ベヘナミドプロピルジメチルアミンを含有するヘアコンディショナー組成物 図1B
  • 特表-ベヘナミドプロピルジメチルアミンを含有するヘアコンディショナー組成物 図2
  • 特表-ベヘナミドプロピルジメチルアミンを含有するヘアコンディショナー組成物 図3
  • 特表-ベヘナミドプロピルジメチルアミンを含有するヘアコンディショナー組成物 図4
  • 特表-ベヘナミドプロピルジメチルアミンを含有するヘアコンディショナー組成物 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ベヘナミドプロピルジメチルアミンを含有するヘアコンディショナー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20230118BHJP
   A61K 8/03 20060101ALI20230118BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/03
A61Q5/12
A61K8/34
A61K8/20
A61K8/19
A61K8/36
A61K8/365
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529433
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020062654
(87)【国際公開番号】W WO2021113209
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/942,208
(32)【優先日】2019-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジーン ジエンチュン ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ローレン エリザベス バルハウス
(72)【発明者】
【氏名】ヘザー リン フォフト
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョセフ コーフマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ マリー マックイーン
(72)【発明者】
【氏名】デボラ マリガン
(72)【発明者】
【氏名】リーナ オーロラ ウィッテ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB151
4C083AB311
4C083AB331
4C083AB341
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC231
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC582
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC692
4C083BB53
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD41
4C083DD44
(57)【要約】
水性キャリアと、約2.5重量%~約6.7重量%のベヘナミドプロピルジメチルアミンと、約3重量%~約8重量%の脂肪族アルコールと、1.5重量%未満の塩と、を含有するヘアコンディショナー組成物。ベヘナミドプロピルジメチルアミンの脂肪族アルコールに対するモル比は、約7:50~約4:5であり得る。コンディショナー組成物は、均一なゲル網状構造を有し得る。当該組成物は、ラメラゲル網状構造試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)に従って測定したとき、32nm未満のd-間隔を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアコンディショナー組成物であって、
a.水性キャリアと、
b.2重量%~6.7重量%のベヘナミドプロピルジメチルアミン、好ましくは2.2重量%~6.5重量%のベヘナミドプロピルジメチルアミン、より好ましくは2.5重量%~6.25重量%のベヘナミドプロピルジメチルアミン、最も好ましくは2.75重量%~6重量%のベヘナミドプロピルジメチルアミンと、
c.3重量%~8重量%の1つ以上の脂肪族アルコール、好ましくは3.25重量%~7.5重量%の脂肪族アルコール、より好ましくは3.5重量%~7重量%の脂肪族アルコール、最も好ましくは4重量%~6.7重量%の脂肪族アルコールと、
d.1.5重量%未満の塩、好ましくは1重量%未満の塩、より好ましくは0.8重量%未満の塩、更により好ましくは0.6重量%未満の塩、最も好ましくは0.5重量%未満の塩と、
を含み、
前記塩が、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸カリウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
ベヘナミドプロピルジメチルアミンの脂肪族アルコールに対するモル比が、7:50~4:5、好ましくは3:20~3:4、より好ましくは17:100~7:10、最も好ましくは9:50~2:3であり、
前記組成物が、均一なゲル網状構造を含み、
前記組成物が、本明細書に記載のラメラゲル網状構造試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)に従って測定したとき、10nm~32nm、好ましくは15nm~30nm、より好ましくは17nm~29nm、最も好ましくは20nm~27nmのd-間隔を有する、ヘアコンディショナー組成物。
【請求項2】
前記1つ以上の脂肪族アルコールが、ステアリルアルコール、ブラシカアルコール、セチルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
0.25重量%~6重量%の酸、好ましくは0.4重量%~5重量%の酸、より好ましくは0.5重量%~4重量%の酸、最も好ましくは0.6重量%~3重量%の酸を更に含み、
前記酸が、l-グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、l-グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
0.1~0.6モル濃度、好ましくは0.2~0.5モル濃度、より好ましくは0.3~0.4モル濃度のゲル網状構造含有量を更に含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
本明細書に記載の剪断応力試験法に従って、75Pa~575Pa、好ましくは100Pa~565Pa、より好ましくは105Pa~550Pa、最も好ましくは125Pa~450Paの剪断応力を有する、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
塩化ベヘントリモニウム、塩化セトリモニウム、及び/又はステアラミドプロピルジメチルアミンを実質的に含まない、請求項1~5のいずれかに記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項7】
モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩を実質的に含まないか又は含まない、請求項1~6のいずれかに記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項8】
シリコーン、噴射剤、フタレート、染料、サルフェート、ホルムアルデヒド供与体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を実質的に含まない、請求項1~7のいずれかに記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項9】
本明細書に記載のpH試験法に従って測定したとき、2.5~5、好ましくは3.5~4.5のpHを有する、請求項1~8のいずれかに記載のコンディショナー組成物。
【請求項10】
示差走査熱量測定試験法に従って測定したとき、1つのピークを有する、請求項1~9のいずれかに記載のコンディショナー組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のコンディショナー組成物であって、
a.前記組成物の0.1重量%~0.5重量%の安息香酸ナトリウム、好ましくは0.2重量%~0.4重量%の安息香酸ナトリウムと、
b.0.3重量%~1.5重量%の第2の組成物、好ましくは0.32重量%~1重量%の第2の組成物、より好ましくは0.33重量%~0.8重量%の第2の組成物、更により好ましくは0.37重量%~0.45重量%の第2の組成物と、
を含む保存系を更に含み、
前記第2の組成物が、グリコール、グリセリルエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
安息香酸ナトリウムの前記第2の組成物に対する比が、1:4~1:1、好ましくは1:3~1:1、より好ましくは1:2~1:1、更により好ましくは1:1.7~1:1である、ヘアコンディショナー組成物。
【請求項12】
前記第2の組成物が、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、デシレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリコールを含む、請求項11に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項13】
前記第2の組成物が、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリセリルエステルを含む、請求項11又は12に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項14】
細菌及び真菌微生物感受性試験法に従って測定したとき、微生物のレベルが2日間で検出不可能になる、請求項11に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項15】
湿潤時の感触及び湿潤時のほぐれの観点で満足できるコンディショニング効果をもたらすための、請求項1~14のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアコンディショナー組成物、より具体的には、ベヘナミドプロピルジメチルアミンカチオン性界面活性剤を含むヘアコンディショナー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪のコンディショニングのために、様々な手法が開発されてきた。これらの手法は、リーブオン製品及びリンスオフ製品などのヘアコンディショナーをシャンプー後に適用することから単一の製品で毛髪の洗浄及びコンディショニングの両方を行おうとするヘアコンディショニングシャンプーまでにわたる。
【0003】
一部の消費者は、コンディショナーを含むシャンプーの容易さ及び利便性を好むが、かなりの割合の消費者は、通常シャンプー後にシャンプーすることとは別個のステップとして毛髪に適用する、より従来的なコンディショナー処方物を好む。コンディショニング処方物は、リンスオフ製品又はリーブオン製品の形態であり得、エマルジョン、クリーム、ジェル、スプレー、及びムースの形態であり得る。従来的なコンディショナー処方物を好むこのような消費者は、比較的高いコンディショニング効果、又は毛髪の状態若しくは毛髪の量に応じてコンディショニングの量を変更する利便性を重視する。
【0004】
一部の消費者は、ヘアケア製品における特定の界面活性剤及び保存剤を含む特定の成分の低減又は排除を望んでいる。一部の消費者は、ヘアケア製品中の成分が、EWG VERIFIED(商標)であり、Whole Foods(登録商標)によってボディケアには許容できないとリストアップされている成分のいずれも含まず、Yuka(登録商標)Applicationによって「リスクなし」(緑色の点)として分類されていることを望んでいる。
【0005】
しかしながら、コンディショナーの改変は、製品に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、カチオン性界面活性剤を改変すると、コンディショニング性能が低下する恐れがあり、保存系を改変すると、微生物学的安全性要件に悪影響を及ぼす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、EWG VERIFIED(商標)であり、Whole Foods(登録商標)Marketによって許容できないとリストアップされている成分のいずれも含まず、Yuka(登録商標)Applicationによって「リスクなし」として分類されている、有効な界面活性剤及び保存系を含むコンディショナー組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ヘアコンディショナー組成物は、(a)水性キャリアと、(b)約2.5重量%~約6.7重量%のベヘナミドプロピルジメチルアミンと、(c)約3重量%~約8重量%の脂肪族アルコールと、(d)1.5重量%未満の、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸カリウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、ソルビン酸カリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩と、を含有し得、ベヘナミドプロピルジメチルアミンの脂肪族アルコールに対するモル比は、約7:50~約4:5であり、当該組成物は、均一なゲル網状構造を含み、当該組成物は、ラメラゲル網状構造試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)に従って測定したとき、32nm未満のd-間隔を有する。
【0008】
ヘアコンディショナー組成物であって、(a)水性キャリアと、(b)約2.5重量%~約6.25重量%のベヘナミドプロピルジメチルアミンと、(c)ステアリルアルコール、ブラシカアルコール、セチルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される脂肪族アルコールと、(d)(i)当該組成物の約0.1重量%~約0.5重量%の安息香酸ナトリウム、(ii)約0.3%~約1.5%の、グリコール、グリセリルエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の組成物、を含む保存系と、を含み、
安息香酸ナトリウムの当該第2の組成物に対するモル比が、約1:4~約1:1であり、ベヘナミドプロピルジメチルアミンの脂肪族アルコールに対するモル比が、約3:20~約3:4であり、当該組成物が、均一なゲル網状構造を含み、当該組成物が、ラメラゲル網状構造試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)に従って測定したとき、約15nm~約30mmのd-間隔を有する、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明の主題を具体的に指摘して明確に特許請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付図面と関連させた次の説明によってより容易に理解することができると考えられる。
図1A】ベヘナミドプロピルジメチルアミン(BAPDMA)の化学構造を示す。
図1B】L-グルタミン酸で活性化された後のBAPDMAの化学構造を示す。
図2】実施例1~5並びに比較例A及びBの示差走査熱量測定(DSC)試験法によって測定したときのゲル網状構造の融解転移挙動を示す。
図3】1重量%の安息香酸ナトリウムを含有し、塊状かつ粒状の外観を有する比較例Jのコンディショナー組成物の写真である。
図4】2重量%の安息香酸ナトリウムを含有し、薄くかつ粒状の外観を有する比較例Kのコンディショナー組成物の写真である。
図5】0.20重量%の安息香酸ナトリウム及び0.40重量%のカプリリルグリコールを含有する実施例Aのコンディショナー組成物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する、「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0011】
ヘアコンディショナーは、毛髪の感触、外観、及び扱いやすさを改善するために使用される。ヘアコンディショニング組成物は、概して、カチオン性界面活性剤と、25℃超、いくつかの例では40~85℃の融点を有する高融点脂肪族化合物と、水性キャリアとを含む。カチオン性界面活性剤及び保存系を含む現在のヘアコンディショナー中の成分は、全般的に安全かつ有効であると認識されている。
【0012】
しかしながら、以下の規格のうちの少なくとも1つ、2つ、又は3つ全てを満たすコンディショナー製品及び/又は保存系に対する一部の消費者からの要求が高まっている。
・EWG’s Licensing Criteria:Personal Care Products(2019)に記載されている他の基準に加えて、Environmental Working Group(EWG)基準を満たすこと、EWGの懸念成分を回避すること、完全に透明な標識を有すること、及び優良製造規範を使用することを含む、EWG VERIFIED(商標)(2019年11月25日時点で基準に準拠)。
・Whole Foods(登録商標)がそのPremium Body Care Unacceptable Ingredients(2018年7月)において許容できないとしてリストアップしている、許容できないとしてリストアップしている成分のいずれも含有していない
・Yuka(登録商標)Application(2019年3月)によって「リスクなし」(緑色の点)として分類されている
【0013】
しかしながら、製品性能及び抗微生物有効性を維持しながら、2019年11月25日時点で化粧品における使用がEnvironmental Working Group(EWG)によって制限されている塩化ベヘントリモニウム(BTMAC)及び/又はWhole Foods(登録商標)Premium Body Care Unacceptable Ingredients(2018年7月)にリストアップされている許容できない成分であるステアラミドプロピルジメチルアミン(SAPDMA)などの従来のカチオン性界面活性剤、並びに保存剤を、上にリストアップした規格を満たす成分で代替することは、困難であり得る。
【0014】
ベヘナミドプロピルジメチルアミン(BAPDMA)が、上記の規格を満たすことができるカチオン性界面活性剤として特定された。しかしながら、BAPDMAは図1Aに示す構造を有するC22アミドアミンであるため、BAPDMAを含有する有効なコンディショナー組成物を処方することは困難であり得る。BAPDMAは、L-グルタミン酸と同様に、酸で活性化してカチオン性にする必要がある。しかしながら、カチオン性界面活性剤が形成された後、図1Bの構造に示すように、それは大きな頭部基1を有する。この大きな頭部基は、ゲル網状構造が形成されたとき、融解段階中に界面活性剤及び脂肪族アルコールの充填に影響を及ぼす傾向がある。これにより、コンディショナー組成物におけるゲル網状構造のd-間隔がより大きくなるので、概して、湿潤コンディショニング性能の不十分なコンディショナーとなる。
【0015】
驚くべきことに、本発明のコンディショナー組成物におけるd-間隔(以下の表3~7を参照)は、30nm未満であることが見出された。30nm未満のd-間隔を有するコンディショナーは、良好なコンディショニング、清潔な感触、豊かさ、及び消費者が好む剪断応力をもたらすことができると考えられる。
【0016】
理論に束縛されるものではないが、BAPDMAの脂肪族アルコールに対するモル比及び安息香酸ナトリウムを含む塩の添加によって、良好なツルツルとした感触及び湿潤時の良好なほぐれを含む良好なコンディショニング性能をもたらす、30nm未満のd-間隔を有するコンディショナー組成物を得ることができると考えられる。
【0017】
以下の表1は、4つの市販のコンディショナー組成物のd-間隔を表3~表7の実施例1~実施例28と比較したものである。実施例1~28のd-間隔は、BTMACを含有するHerbal Essences(登録商標)Honey & Vitamin Bコンディショナーと同様であり、そのd-間隔は、実施例1~28と同じカチオン性ポリマー(BAPDMA)を含有するJohn Frieda(登録商標)Sheer Blond Brighteningコンディショナーを含む他の例よりも低かいことが見出された。
【0018】
【表1】
1.ロット#83565395LF、Target(登録商標)(Mason,Ohio)で2019年に購入
2.ロット#82325395LK、Target(登録商標)(Mason,Ohio)で2019年に購入
3.ロット#82165395LC、Target(登録商標)(Mason,Ohio)で2019年に購入
4.ロット#X0J11438 B、Target(登録商標)(Mason,Ohio)で2019年に購入
【0019】
更に、実施例1~実施例28(表3~表7)のコンディショナーは、示差走査熱量測定試験法を実施したときに単一のピークによって示されるように、均一なゲル網状構造を有していた。
【0020】
また、良好な湿潤コンディショニングをもたらすコンディショナー組成物は、毛髪を重みで押し下げて、乾いた状態の毛髪の豊かさを減少させる場合がある、並びに/又は早期に毛髪が不潔である及び/若しくは油っぽいと感じられるようになる場合があるので、消費者がより頻繁に毛髪を洗浄するようになる場合がある。実施例1~実施例35のヘアコンディショナー組成物は、良好なヘアコンディショニングをもたらすことができるだけでなく、良好な毛髪の豊かさを与えることができる、及び/又は清潔な感触を長続きさせることができるので、洗浄頻度を少なくすることができることが見出された。
【0021】
更に、以下の表9及び表10は、規格を満たす安息香酸ナトリウム保存剤を有する実施例を含む。しかしながら、コンディショナー組成物が滑らかでクリーム状の稠度を有していた場合、安息香酸ナトリウムの濃度が低すぎ、微生物の成長を有効に阻害することができなかった。安息香酸ナトリウムの濃度を増加させると、コンディショナー組成物の濃度が薄くなりすぎ、ユーザの手で容易に適用することができず、製品性能及び使用体験に大きな影響を与える恐れがある。表11に示され、添付文書に記載されているように、安息香酸ナトリウム、及びカプリリルグリコールなどのグリコール、又はカプリル酸/カプリン酸グリセリル及びカプリル酸グリセリル(及び)ウンデシレン酸グリセリルなどのグリセリルエステルを含む保存系は、適切な濃度の各成分が添加された場合、有効であり得る。
【0022】
安息香酸ナトリウムと、グリコール、グリセリルエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の組成物とを含有する保存系は、3以下のEWG評価スコアを有し、EWG VERIFIED(商標)であり得、Whole Foods(登録商標)Marketによって許容できないとリストアップされている成分のいずれも含有し得ず、Yuka(登録商標)Applicationによって「リスクなし」と分類され得る成分の全てを含有しており、抗微生物有効性を維持することができ、良好なコンディショニング性能をもたらすことができることが見出された。
【0023】
第2の組成物は、グリコール及び/又はグリセリルエステルを含有し得る。グリコール及びグリセリルエステルは、両方とも、分子上に2つの-OH基を有する。グリコールの非限定的な例としては、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、デシレングリコール(1,2-デカンジオール)、及びこれらの混合物を挙げることができる。一例では、グリコールは、カプリリルグリコールであってよい。グリセロールエステルの非限定的な例としては、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0024】
いくつかの例では、カチオン性界面活性剤、保存系、及び/又はコンディショナーは、COSMOS規格(2019年1月1日)も満たすことができる。この保存系を含有するコンディショナー組成物は、均一で滑らかなクリーム状の外観を有し得、本明細書に記載のとおり細菌及び真菌微生物感受性試験法によって求めたときに微生物のレベル(細菌及び真菌の両方)が検出不可能である(>99.99%減少)、有効な保存系を有し得る。
【0025】
コンディショナー組成物及び/又は保存系は、特定の保存剤、特に要件のうちの1つ以上を満たさない保存剤、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Dow(登録商標)からKathon(商標)CGとして市販されている)を含むイソチアゾリノン、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、シクロヘキシルグリセリン、及び/又はパラベンを含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。コンディショナー組成物は、エチレンジアミン酸四酢酸(EDTA)及びその塩を含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0026】
カチオン性界面活性剤及び保存系の規格を満たすことに加えて、一部の消費者は、以下を含まないか、又は実質的に含まないコンディショナー組成物を好む:シリコーン、噴射剤、フタレート、パラベン、イソチアゾリノン(例えば、Kathon(商標))、フェノキシエタノール、染料、サルフェート、及び/又はホルムアルデヒド供与体。コンディショナー組成物はまた、ビーガンであってもよい。
【0027】
コンディショナー組成物は、塩化ベヘントリモニウム、塩化セトリモニウム、及び/又はステアラミドプロピルジメチルアミンを含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0028】
コンディショナー組成物は、6.75重量%未満のBAPDMA、あるいは約6.50重量%未満のBAPDMA、あるいは約6.25重量%未満のBAPDMAを含有し得る。コンディショナー組成物は、約2~約6.7重量%のBAPDMA、あるいは約2.2~約6.5重量%、あるいは約2.5~約6.25重量%、あるいは約2.75~約6重量%のBAPDMAを含有し得る。
【0029】
コンディショナー組成物は、ステアリルアルコール、ブラシカアルコール、及びセチルアルコールからなる群から選択される脂肪族アルコールを含有し得る。コンディショナー組成物は、8重量%未満、あるいは7.5重量%未満、あるいは7重量%未満の脂肪族アルコールを含有し得る。コンディショナー組成物は、約2.5重量%~約9重量%、あるいは約3重量%~約8重量%、あるいは約3.25重量%~約7.5重量%、あるいは約3.5重量%~約7重量%、あるいは約4重量%~約6.7重量%の脂肪族アルコールを含有し得る。
【0030】
コンディショナー組成物は、約0.1~約0.6モル濃度、あるいは約0.2~約0.5モル濃度、あるいは約0.3~約0.4モル濃度の総ゲル網状構造(GN)含有量(BAPDMA+脂肪族アルコール(FAOH))を有し得る。
【0031】
コンディショナー組成物は、約1:10~約1:1、あるいは約1:5~約9:10、あるいは約3:10~約4:5、あるいは約2:5~約7:10の、ステアリルアルコール(C18脂肪族アルコール)の総FAOHに対するモル比を有し得る。
【0032】
コンディショナー組成物は、約1:2~約7:4、あるいは約3:5~約1:2、あるいは約7:10~約5:4、あるいは約4:5~約1.3:1の、酸のBAPDMAに対するモル比を有し得る。
【0033】
コンディショナー組成物は、約3:25~約9:10、約7:50~約4:5、約3:20~約3:4、約17:100~約7:10、あるいは約9:50~約2:3の、BAPDMAのFAOHに対するモル比を有し得る。
【0034】
コンディショナー組成物は、32nm未満、あるいは30nm未満、あるいは28nm未満のd-間隔を有し得る。コンディショナー組成物は、約10nm~約30nm、あるいは約15nm~約30μm、あるいは約17nm~約29nm、あるいは約18nm~約28nm、あるいは約20nm~約27nmのd-間隔を有し得る。d-間隔は、本明細書に記載のラメラゲル網状構造試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)によって求められる。
【0035】
コンディショナー組成物は、約0.2重量%~約1.5重量%の保存系、あるいは約0.3重量%~約1.25重量%の保存系、あるいは約0.4重量%~約1重量%の保存系、あるいは0.5重量%~約0.8重量%の保存系、あるいは約0.6重量%~約0.8重量%の保存系を含有し得る。
【0036】
コンディショナー組成物は、約0.05重量%~約0.8重量%の安息香酸ナトリウム、あるいは0.1重量%~約0.5重量%の安息香酸ナトリウム、あるいは約0.2重量%~約0.4重量%の安息香酸ナトリウムを含有し得る。コンディショナー組成物は、安息香酸ナトリウムを含有し得、2%未満の安息香酸ナトリウム、あるいは1.5%未満の安息香酸ナトリウム、あるいは1%未満の安息香酸ナトリウム、あるいは0.8%未満の安息香酸ナトリウム、あるいは0.6重量%未満の安息香酸ナトリウム、あるいは0.5重量%未満の安息香酸ナトリウムを含有し得る。
【0037】
保存系は、保存系の約20重量%~約50重量%の安息香酸ナトリウム、あるいは保存系の約25重量%~約50重量%の安息香酸ナトリウム、保存系の約30重量%~約50重量%の安息香酸ナトリウム、保存系の約30重量%~約40重量%の安息香酸ナトリウムを含有し得る。
【0038】
コンディショナー組成物は、約0.3重量%~約1.5重量%、あるいは約0.32重量%~約1重量%、あるいは約0.33重量%~約0.8重量%、あるいは約0.34重量%~約0.6重量%、あるいは約0.35重量%~約0.5重量%、あるいは約0.37重量%~約0.45重量%、あるいは約0.38重量%~約0.43重量%の第2の組成物を含有し得る。コンディショナー組成物の含有するグリコール及び/又はグリセリルエステルが多すぎる場合、ゲル網状構造が破壊される恐れがあり、コンディショナーが、消費者が許容できるレオロジー及び/又は性能を有していないものになる。
【0039】
保存系は、保存系の約50重量%~約80重量%、あるいは保存系の約50重量%~約75重量%、あるいは保存系の約50重量%~約70重量%、あるいは保存系の約50重量%~約67重量%の第2の組成物を含有し得る。
【0040】
安息香酸ナトリウムの第2の組成物に対する重量比は、約1:4~約1:1、あるいは約1:3~約1:1、あるいは約1:2~約1:1、及び約1:1.7~約1:1であってよい。
【0041】
コンディショナー組成物は、約50Pa~約600Pa、あるいは約75Pa~約575Pa、あるいは約100Pa~約565Pa、あるいは約105Pa~約505Pa、あるいは約120Pa~約500Pa、あるいは約125Pa~約450Paの剪断応力を有し得る。剪断応力は、以下に記載される剪断応力試験方法を使用して決定され得る。
【0042】
コンディショナー組成物は、5未満のpHを有し得る。あるいは、コンディショナー組成物は、約2.5~約5、あるいは約3.5~約4.5のpHを有し得る。pHは、以下に記載するpH試験法を使用して決定され得る。
【0043】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲で使用する場合、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味するものと理解される。
【0044】
本明細書で使用するとき、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程/ステップ及び他の成分を加えることができることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「含む(include、includes、及びincluding)」は非限定的であることを意味し、それぞれ「含む(comprise、comprises、及びcomprising)」を意味すると理解される。
【0046】
本明細書で使用するとき、「含まない」という用語は、0%の成分がコンディショナー組成物に意図的に添加された、又はコンディショナー組成物が、当該組成物の総重量に対して0%の成分を含み、したがって、検出可能な量の指定成分が存在しないことを意味する。
【0047】
本明細書で使用するとき、「実質的に含まない」という用語は、組成物の総重量に対して0.5%未満、0.3%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、又は微量未満の指定成分を意味する。
【0048】
本明細書で使用するとき、「混合物」は、材料の単純な組み合わせ、及びそのような組み合わせから得ることができる任意の化合物を含むことを意味する。
【0049】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。全てのこのような重量は、列挙された成分に関する場合、活性成分濃度に基づいており、したがって市販材料に含まれ得るキャリア又は副生成物を含まない。
【0050】
別段の注記がない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0051】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、このようなより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、かかるより大きい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0052】
カチオン性界面活性剤
本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤を含み得る。カチオン性界面活性剤は、本発明の効果をもたらすことを考慮して、組成物の約0.1重量%、あるいは約0.5重量%、あるいは約0.8重量%、あるいは約1.0重量%から約20重量%、あるいは約10重量%、あるいは約8.0重量%、あるいは約6.0重量%の濃度で組成物中に含まれ得る。
【0053】
界面活性剤は、水不溶性であってもよい。本発明では、「水不溶性界面活性剤」とは、界面活性剤が、25℃の水に、あるいは0.5g/水100g未満(0.5g/100gは含まない)、あるいは0.3g/水100g以下の溶解度を有することを意味する。
【0054】
カチオン性界面活性剤は、1つのカチオン性界面活性剤であってもよく、又は2つ以上のカチオン性界面活性剤の混合物であってよい。あるいは、カチオン性界面活性剤は、モノ長鎖アルキルアミン;ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩;モノ長鎖アルキルカチオン性中和アミノ酸エステル;モノ長鎖アルキルアミンとジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ;及びモノ長鎖アルキルアミンとモノ長鎖アルキルカチオン性中和アミノ酸エステルとの組み合わせから選択される。
【0055】
いくつかの例では、コンディショナー組成物は、四級化アンモニウム塩を有するカチオン性界面活性剤を実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。
【0056】
モノ長鎖アルキルアミン
モノ長鎖アルキルアミンは、あるいは19~30個の炭素原子、あるいは19~24個の炭素原子、あるいは20~24個の炭素原子の1本の長鎖アルキル鎖、あるいは20~22のアルキル基を有するものを含み得る。モノ長鎖アルキルアミンは、モノ長鎖アルキルアミドアミンを含み得る。一級、二級、及び三級の脂肪族アミンを使用してよい。
【0057】
約19~約22個の炭素のアルキル基を有する三級アミドアミン。例示的な三級アミドアミンとしては、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、ブラシカミドプロピルジメチルアミン、ブラシカミドプロピルジエチルアミン、ブラシカミドエチルジエチルアミン、ブラシカミドエチルジメチルアミンが挙げられる。本発明におけるアミンは、米国特許第4,275,055号(Nachtigalら)に開示されている。
【0058】
いくつかの例では、コンディショナー組成物は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、及び/又はジエチルアミノエチルステアラミドを実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。
【0059】
これらのアミンは、L-グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、L-グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物などの酸;あるいは、乳酸、クエン酸と、約1:0.3~約1:2、あるいは約1:0.4~約1:1の、アミンの酸に対するモル比で組み合わせて使用される。コンディショナー組成物は、約0.25重量%~約6重量%の酸、あるいは約0.4重量%~約5重量%の酸、約0.5重量%~約4重量%の酸、あるいは約0.6重量%~約3重量%の酸を含有し得る。
【0060】
いくつかの例では、コンディショナー組成物は、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩を含んでいなくてもよい。
【0061】
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
使用される場合、ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、あるいは、レオロジーの安定性及びコンディショニング効果を考慮して、1:1~1:5、あるいは1:1.2~1:5、あるいは1:1.5~1:4の重量比で、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩及び/又はモノ長鎖アルキルアミン塩と組み合わせられる。
【0062】
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、12~30個の炭素原子、あるいは16~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子の2本の長鎖アルキル鎖を有し得る。このようなジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、式(I):
【0063】
【化1】
(式中、R71、R72、R73、及びR74のうちの2つは、12~30個の炭素原子、あるいは16~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子の脂肪族基、又は最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R71、R72、R73、及びR74の残りは、独立して、1~約8個の炭素原子、あるいは1~3個の炭素原子の脂肪族基、又は最大約8個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは、ハライド(例えば、クロリド及びブロミド)、C1~C4アルキルサルフェート(例えば、メトサルフェート及びエトサルフェート)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される塩形成アニオンである)を有し得る。脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基などの他の基を含有し得る。より長鎖の脂肪族基、例えば、炭素数が約16個以上のものは、飽和であっても不飽和であってもよい。あるいは、R71、R72、R73、及びR74のうちの2つは、12~30個の炭素原子、あるいは16~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子のアルキル基から選択され、R71、R72、R73、及びR74の残りは、独立して、CH、C、COH、CH、及びこれらの混合物から選択される。
【0064】
ジ長鎖アルキルカチオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジ水素添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0065】
高融点脂肪族化合物
本発明の組成物は、高融点脂肪族化合物を含む。高融点脂肪族化合物は、本発明の効果をもたらすことを考慮して、組成物の約1.0重量%、あるいは約1.5重量%、あるいは約2.0重量%、あるいは約2.5重量%、更にあるいは約3重量%から約30重量%、あるいは約15重量%、あるいは約8.0重量%、あるいは約7重量%の濃度で組成物中に含まれ得る。
【0066】
高融点脂肪族化合物は、エマルジョン、特にゲル網状構造の安定性を考慮して、25℃以上、あるいは40℃以上、あるいは45℃以上、あるいは47℃以上、あるいは49℃以上の融点を有し得る。あるいは、このような融点は、より容易な製造及びより容易な乳化を考慮して、最高約90℃、あるいは最高約80℃、あるいは最高約75℃、あるいは最高約71℃である。本発明では、高融点脂肪族化合物は、単一化合物として使用してもよく、少なくとも2つの高融点脂肪族化合物のブレンド若しくは混合物として、使用してもよい。このようなブレンド又は混合物として使用されるとき、上記融点は、ブレンド又は混合物の融点を意味する。
【0067】
高融点脂肪族化合物は、脂肪族アルコール、脂肪酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。更に、当業者は、二重結合の数及び位置、並びに分枝の長さ及び位置に応じて、特定の必須炭素原子を有する特定の化合物が、上記の本発明において好ましい融点未満の融点を有する場合があることを理解している。低融点のこのような化合物は、この項に含まれることが意図されない。高融点化合物の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。
【0068】
あるいは、様々な高融点脂肪族化合物の中でも、脂肪族アルコールが本発明の組成物において使用される。脂肪族アルコールは、約14~約30個の炭素原子、あるいは約16~約22個の炭素原子を有し得る。これらの脂肪族アルコールは飽和しており、直鎖であっても分枝アルコールであってもよい。
【0069】
脂肪族アルコールとしては、例えば、セチルアルコール(約56℃の融点を有する)、ステアリルアルコール(約58~59℃の融点を有する)、ベヘニルアルコール(約71℃の融点を有する)、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物は、上記の融点を有することが知られている。しかし、これらは多くの場合、供給されたときはより低い融点を有しており、その理由は、このような供給された製品が、多くの場合、アルキル主鎖がセチル基、ステアリル基、ブラシカ基、又はベヘニル基であるアルキル鎖長分布を有する脂肪族アルコールの混合物であるためである。
【0070】
脂肪族アルコールは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物であり得る。
【0071】
概して、混合物において、セチルアルコールのステアリルアルコールに対する重量比は、あるいは約1:9~9:1、あるいは約1:4~約4:1、あるいは約1:2.3~約1.5:1である。
【0072】
より高い濃度の総カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を用いる場合、混合物は、展延性のために高粘度になりすぎるのを回避することを考慮して、あるいは約1:1~約4:1、あるいは約1:1~約2:1、あるいは約1.2:1~約2:1の、セチルアルコールのステアリルアルコールに対する重量比を有する。この重量比はまた、毛髪のダメージを受けた部分をよりよくコンディショニングすることができる。
【0073】
水性キャリア
本発明の組成物は、水性キャリアを含み得る。キャリアの濃度及び種は、他の構成成分との相溶性及び製品の他の所望の特徴に従って選択され得る。
【0074】
キャリアとしては、水、及び低級アルキルアルコールの水溶液を挙げることができる。低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、あるいはエタノール及びイソプロパノールであってよい。
【0075】
あるいは、水性キャリアは実質的に水である。あるいは、脱イオン水が使用される。ミネラルカチオンを含む天然供給源からの水もまた、製品の所望の特性に応じて使用することができる。概して、本発明の組成物は、約40%~約99%、あるいは約50%~約95%、あるいは約70%~約93%、あるいは約80%~約92%の水を含む。
【0076】
ゲル網状構造
コンディショナーをすすいだ後の毛髪の濡れた感触の改善を含むコンディショニング効果をもたらすために、コンディショナー組成物中にゲル網状構造組成物が含まれてよい。本明細書中で使用するとき、「ゲル網状構造」という用語は、以下に指定されるような、脂肪族アルコールなどの少なくとも1つの高融点脂肪族化合物、少なくとも一種の界面活性剤、特に、以下に指定されるようなカチオン性界面活性剤、及び水又は他の好適な溶媒を含む、層状又は小胞状の固体を指す。層状又は小胞状の相は、高融点脂肪族化合物及び界面活性剤を含む第1の層と、それと交互の、水又は他の好適な溶媒を含む第2の層とから構成される2重層を含む。ゲル網状構造については、全般的に、G.M.Eccleston,「Functions of Mixed Emulsifiers and Emulsifying Waxes in Dermatological Lotions and Creams」,Colloids and Surfaces A:Physiochem.and Eng.Aspects 123-124(1997)169-182、及びG.M Eccleston,「The Microstructure of Semisolid Creams」,Pharmacy International,Vol.7,63-70(1986)に更に記載されている。
【0077】
ゲル網状構造は、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアによって形成され得る。ゲル網状構造は、濡れた毛髪に適用している際のツルツルとした感触、乾いた毛髪における柔らかさ及びしっとりとした感触などの様々なコンディショニング効果をもたらすのに好適である。
【0078】
あるいは、ゲル網状構造を形成する場合、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、湿潤コンディショニング効果を改善することを考慮して、カチオン性界面活性剤の高融点脂肪族化合物に対する重量比が、あるいは約1:1~約1:10、あるいは約1:1.5~約1:7、あるいは約1:2~約1:6の範囲となるような濃度で含有される。
【0079】
あるいは、特にゲル網状構造を形成する場合、本発明の組成物は、ゲル網状構造の安定性を考慮して、アニオン性界面活性剤を実質的に含まない。本発明では、「組成物がアニオン性界面活性剤を実質的に含まない」とは、組成物がアニオン性界面活性剤を含まないこと、又は、組成物がアニオン性界面活性剤を含む場合、このようなアニオン性界面活性剤の濃度が非常に低いことを意味する。本発明では、このようなアニオン性界面活性剤が含まれている場合の総濃度は、あるいは当該組成物の1重量%以下、あるいは0.5重量%以下、あるいは0.1重量%以下である。あるいは、ほとんどの場合、このようなアニオン性界面活性剤の総濃度は、組成物の0重量%である。
【0080】
追加の構成成分
本発明の組成物は、他の追加の構成成分を含んでもよく、それは最終製品の所望の特性によって当業者により選択されてもよく、また組成物をより美容的若しくは審美的に許容可能なものにするために、又は付加的な使用による効果を組成物にもたらすために好適なものである。このような他の追加の構成成分は、概して、組成物の約0.001重量%~約10重量%、あるいは最大5重量%の濃度で個別に使用される。
【0081】
多種多様な他の追加の構成成分を本発明の組成物に処方することができる。これらとしては、他のコンディショニング剤、例えば、アロエベラゲル;アロエ・バーバデンシス(aloe barbadensis)の葉汁;エクロニア・ラジアタ(ecklonia radiata)抽出物;シアバター、ベニバナ油、カカオバター、橙皮ワックス、オリーブ油、マカダミア種子油、メマツヨイグサ(oenothera biennis)油、クランベ・アビシニカ(crambe abyssinica)種子油、アルゴン油、ツバキ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アルガニア・スピノサ(argania spinosa)核油、グレープシード油、ホホバ油、ココナツ油、メドウフォーム種子油、ニーム油、亜麻仁油、ヒマシ油、大豆油、ゴマ油、ミツロウ、ヒマワリろう、キャンデリラろう、米ぬかろう、カルナウバろう、シロヤマモモろう、及びダイズろうを含む天然油及びろう;芳香剤で使用することができるライム皮油、ラベンダー油、ペパーミント油、シダーウッド油、ティーツリー油、イランイラン油、及びコエンサージ(coensage)油などの精油;Hormelから入手可能な商標名Peptein 2000の加水分解コラーゲン、Eisaiから入手可能な商標名Emix-dのビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、Rocheから入手可能なパンテニルエチルエーテル、加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素;pH調節剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム);塩全般(例えば、酢酸カリウム及び塩化ナトリウム)、着色剤(例えば、FD&C又はD&C染料のいずれか);香料;並びにエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどの金属イオン封鎖剤;並びに、サリチル酸オクチルなどの紫外線及び赤外線の遮断及び吸収剤;ローズマリー、トコフェロール、ビタミンE、ビタミンA、茶抽出物、及びヒドロキシアセトフェノン(Symrise(登録商標)からSymSave(登録商標)Hとして入手可能)を含む酸化防止剤;ヒスチジン、l-アルギニン、及びその他を含むアミノ酸が挙げられる。
【0082】
製品形態
本発明の組成物は、リンスオフ製品又はリーブオン製品の形態であってよく、クリーム、ジェル、エマルジョン、ムース、及びスプレーを含むがこれらに限定されない、多種多様な製品形態で処方されてよい。
【0083】
本発明のコンディショニング組成物は、リンスオフヘアーコンディショナに特に好適である。あるいは、このような組成物は、以下のステップ:
(i)毛髪をシャンプーした後、毛髪をコンディショニングするために有効な量のコンディショニング組成物を、毛髪に適用するステップ、及び
(ii)その後、毛髪をすすぐステップ、によって使用される。
【0084】
試験法
細菌微生物感受性試験法
細菌微生物感受性試験を使用して、化粧用リンスオフコンディショナーにおける保存系の抗微生物有効性を評価する。
【0085】
試験で使用される曝露生物の細菌プール(等体積の混合物)は、化粧品から単離された以下の菌株の標準化溶液で構成される:大腸菌(Escherichia coli)(ATCC#8739)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC#6538)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC#9027)、セパシア菌(Burkholderia cepasia)(ATCC#25416)、並びに肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクター・ゲルゴビエ(Enterobacter gergoviae)、及び霊菌(Serratia marcescens)株。約6~8対数cfu/mLの濃度を有するように、細菌プールを調製する。試験を開始するために、細菌プール0.1mLを試験コンディショナー10.0gに添加する。次いで、試験コンディショナーを20~25℃で2日間インキュベートする。インキュベートした後、微生物の回収/計数を支援するために、製品のアリコート1.0gを、1.5%ポリソルベート80(Croda(商標)からTween(登録商標)80として市販)及び1%レシチンを含有する改変Letheenブロスを使用して中和する。次いで、複数の希釈濃度のこの試料を、1.5%Tween(登録商標)80を含む改変Leteen寒天を収容しているペトリ皿に移し、寒天プレートを30~35℃で少なくとも2日間インキュベートする。次いで、細菌コロニー形成単位(cfu)を数え、出発対数cfu/g曝露レベルからの細菌の対数減少を報告する。
【0086】
1対数cfu/gの減少は、約90%の細菌減少と等しい。2対数cfu/gの減少は、約99%の細菌減少と等しい。3対数cfu/gの減少は、約99.9%の細菌減少と等しい。4対数cfu/gの減少は、約99.99%の細菌減少と等しい。対数cfu/gの減少値がより大きいことは、保存系からの抗微生物堅牢性(antimicrobial robustness)がより大きいことを示す。
【0087】
真菌微生物感受性試験法:
真菌微生物感受性試験を使用して、化粧用リンスオフコンディショナーにおける保存系の抗真菌有効性を評価する。
【0088】
酵母のカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(ATCC#10231)及びカビのアスペルギルス・ブラシリエンシス(Aspergillus brasiliensis)(以前はniger)(ATCC#16404)の標準化ATCC株を1:1(v:v)比で混合し、この真菌プールを試験において接種材料として使用する。真菌プールの濃度は、約6~8対数cfu/mLである。試験を開始するために、真菌プール0.1mLを試験コンディショナー10.0gに添加する。接種された試料を20~25℃で2日間インキュベートした後、微生物の回収/計数を支援するために、製品のアリコート1.0gを、1.5%Tween(登録商標)80及び1%レシチンを含有する改変Letheenブロスを使用して中和する。次いで、複数の希釈濃度のこの試料を、1.5%Tween(登録商標)80を含む改変Leteen寒天を収容しているペトリ皿に移し、寒天プレートを20~25℃で少なくとも5日間インキュベートし、次いで、その時点で、真菌コロニー形成単位(cfu)を数え、出発対数cfu/g曝露レベルからの真菌の対数減少を計算する。
【0089】
1対数cfu/gの減少は、約90%の真菌減少と等しい。2対数cfu/gの減少は、約99%の真菌減少と等しい。3対数cfu/gの減少は、約99.9%の真菌減少と等しい。4対数cfu/gの減少は、約99.99%の真菌減少と等しい。対数cfu/gの減少値がより大きいことは、保存系からの抗真菌堅牢性がより大きいことを示す。
【0090】
示差走査熱量測定
ゲル網状構造の融解転移挙動及び温度は、以下の方法に従って示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)を使用して得ることができる。TA Instruments Q2000 DSCを使用して、約15mgのゲル網状構造プレミックス又はゲル網状構造を含有する最終コンディショナー組成物を、Tzeroアルミニウム気密DSCパンに入れる。空の基準パンと共に試料を装置に入れる。試料を、以下の条件/温度プログラムを用いて分析する:50.0mL/分の速度で窒素パージ;20.00℃で平衡化;サンプリング間隔0.10秒/pt;5.00℃で平衡化;1.00分間、等温;5.00℃/分で80.00℃に昇温。得られたDSCデータを、TA Instruments Universal Analysis Softwareを使用して分析する。
【0091】
ゲル網状構造の融解転移挙動及び温度を測定するためのDSCの使用については、T.de Vringer et al.,Colloid and Polymer Science,vol.265,448-457(1987)、及びH.M.Ribeiro et al.,Intl.J.of Cosmetic Science,vol.26,47-59(2004)に更に記載されている。
【0092】
pH法
まず、Mettler Toledo SevenコンパクトpHメータを較正する。これは、pHメータをオンにし、30秒間待機することによって行う。次いで、電極を保存溶液から取り出し、電極を蒸留水ですすぎ、Kimwipe(登録商標)などの科学用洗浄ワイプで電極を慎重に拭き取る。電極をpH4のバッファに浸漬し、較正ボタンを押す。pHアイコンの点滅が停止するまで待ち、2回目の較正ボタンを押す。電極を蒸留水ですすぎ、電極を科学用洗浄ワイプで慎重に拭き取る。次いで、電極をpH7のバッファに浸漬し、2回目の較正ボタンを押す。pHアイコンの点滅が停止するまで待ち、3回目の較正ボタンを押す。電極を蒸留水ですすぎ、電極を科学用洗浄ワイプで慎重に拭き取る。次いで、電極をpH10のバッファに浸漬し、3回目の較正ボタンを押す。pHアイコンの点滅が停止するまで待ち、測定ボタンを押す。電極を蒸留水ですすぎ、科学用洗浄ワイプで慎重に拭き取る。
【0093】
電極を試験試料に浸漬し、読み取りボタンを押す。pHアイコンの点滅が停止するまで待ち、値を記録する。
【0094】
剪断応力
TA InstrumentsからARG2のモード名で入手可能なレオメーターを用いて、剪断応力を剪断速度掃引条件で測定する。幾何学的形状は、直径40mm、円錐角2℃、及び間隙49μmを有する。剪断速度は、1分間で0から1200/sまで対数的に上昇し、温度は26.7℃に維持される。950/sの高剪断速度で剪断応力を、上述のように測定し、特定する。
【0095】
X線回折法
SAXS(小角X線散乱)を使用して多重ラメラ相の存在を確認し、WAXS(広角X線散乱)を使用して、Lα(液体)とLβ(固体)とを区別し、結晶構造を使用して、パーソナルコンディショニング組成物の特徴的な分散ゲル網状構造相の存在を検証した。
【0096】
ラメラゲル網状構造のd-間隔(Lβ-基底間隔):
メソ相における周期的構造を分解するために使用される小角X線散乱(「SAXS」)は、本質的にX線回折技術である。それは、ミセル、ゲル網状構造、ラメラ、ヘキサゴナル及びキュービック液晶などの凝集構造を特徴付けるために、従来的な広角X線散乱(「WAXS」)と併せて使用される。周期的構造を示す異なるメソ相は、ブラッグの式(d=λ/2 Sinθ)(式中、dは面間間隔を表し、λは放射線波長を表し、θは散乱(回折)角を表す)から導出される反射の相対位置(d-間隔)によって特徴付けることができる。
【0097】
1次元ラメラゲル網状構造相は、SAXS領域(長距離秩序)において1:2:3:4:5などの値を有する面間隔の比d/d、d/d、d/d、d/d、d/d、及び広いハロバックグラウンドにわたって約3.5及び4.5Åを中心とするWAXS領域(短距離)の1つ又は2つの不変反射によって特徴付けられる。他のメソ相(例えば、ヘキサゴナル六方又はキュービック)は、特徴的に異なるd-間隔比を有するであろう。
【0098】
Bruker NanoSTAR小角X線散乱装置を用いて、SAXSデータを収集した。マイクロフォーカスCu x線管を、550umのScanTex Pinholeで50kV、0.60mAで操作した。試料から検出器までの距離は107.39cmであり、検出器はVantec2K二次元領域検出器であった。試料をキャピラリーに密封し、分析時間600秒で真空下において分析した。
【0099】
ここで報告するラメラゲル網状構造のd-間隔((Lβ-基底間隔)の値は、d間隔である一次のSAXS反射で得られる。
【0100】
Lβゲル網状構造の存在の(SAXSと組み合わせた)WAXSによる確認
広角データ(WAXS)をStoe STADI-MP回折計で収集した。発電機を40kV/40mAで動作させ、銅アノードロングファインフォーカス銅X線管に電力供給した。回折計には、入射ビーム湾曲ゲルマニウム結晶モノクロメータ、標準入射ビームスリットシステム、及びMythen PSD検出器を組み込んでいる。データを3° 2θのステップサイズ及び15秒/ステップで0°~50° 2θの範囲にわたって伝送モードで収集した。
【0101】
4.2Å付近の反射を伴うWAXSパターンは、SAXSにみられるラメラ反射と組み合わせて、Lβゲル網状構造の存在を示す。
【実施例
【0102】
以下は、本明細書に記載のコンディショナー組成物の非限定的な実施例である。当業者の技術範囲内での本発明の他の修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されよう。
【0103】
本明細書における全ての部、百分率(%)、及び比は、別途指定されない限り、重量基準である。いくつかの構成成分は、供給元から希釈溶液として供給され得る。明記されている量は、別途指定されない限り、添加された材料の重量%を表す。
【0104】
表2~表11における実施例を以下のとおり作製した。安息香酸ナトリウム及びL-グルタミン酸を水に溶解させた。混合物を80℃に加熱した。次いで、カチオン性界面活性剤及び脂肪族アルコール(FAOH)を混合物に添加した。次に、カチオン性界面活性剤及び脂肪族アルコールが溶解し続けている間、混合物を冷却した。次いで、温度が45℃未満になった際、追加の保存剤を添加し、続いて油及び香料を添加した。組成物を室温に冷却して、コンディショナー組成物を作製した。
【0105】
以下の表2は、比較例1~4を示す。これらの組成物は、EWG VERIFIED(商標)であり、Whole Foods(登録商標)Marketによって許容できないとリストアップされている成分のいずれも含まず、Yuka(登録商標)Applicationによって「リスクなし」として分類されている有効な保存系を含有するにもかかわらず、消費者に好まれない。
【0106】
【表2】
【0107】
比較例1~4は全て、示差走査熱量測定試験法に従って2つのピークを有し、これは、ゲル網状構造が不均一であり、不十分なコンディショニング、不十分なユーザエクスペリエンス、及び/又は短い貯蔵寿命を含む不安定性を与える恐れがあることを示す。図2は、選択された実施例:実施例1~5(以下の表3を参照)並びに比較例1及び2のゲル網状構造の融解転移挙動を示す。本明細書に記載の示差走査熱量測定試験法に従って、曲線を作成した。比較例1及び2のDSC曲線は全て、2つのピークを示す。
【0108】
比較例1~2では、BAPDMAの脂肪族アルコールに対するモル比は高すぎ、BAPDMAが過剰に存在するため、消費者が許容できる製品を形成するために良好なコンディショニング及び剪断応力をもたらす的確なゲル網状構造が形成されない。
【0109】
比較例3~4では、BADPMAの脂肪族アルコールに対するモル比は低すぎ、存在するBADPMAが少なすぎるため、十分な脂肪族アルコールがゲル網状構造に組み込まれなかった。これらの例は、良好なコンディショニングをもたらさない不十分なゲル網状構造を有する。また、脂肪族アルコールが多すぎると毛髪上に付着するので、過剰な脂肪族アルコールは、脂っぽい又は重みで垂れ下がった感触を毛髪に残す恐れがある。
【0110】
以下の表3~表8は、消費者が許容できるコンディショナー組成物である実施例1~35を示す。表3~表8における均一なコンディショナー組成物は、EWG VERIFIED(商標)であり、Whole Foods(登録商標)Marketによって許容できないとリストアップされている成分のいずれも含まず、Yuka(登録商標)Applicationによって「リスクなし」として分類されている有効な保存系を含有する。
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】
【0115】
【表7】
【0116】
【表8】
【0117】
表2~表8の例の供給元
1.ベヘナミドプロピルジメチルアミン(BAPDMA)(Incromine(商標)BD)、Croda(登録商標)から入手可能
2.L-グルタミン酸、味の素(登録商標)から入手可能
3.セチルアルコール、95%活性成分濃度、Procter & Gamble(登録商標)から入手可能
4.ステアリルアルコール、97%活性成分濃度、Procter & Gamble(登録商標)から入手可能
5.安息香酸ナトリウム、Kalama(登録商標)から入手可能
6.カプリリルグリコール、Procter and Gamble(登録商標)から入手可能
7.ブラシカアルコール(SustOleo(商標)BA)、Inolex(登録商標)から入手可能
8.ベンジルアルコール、Charkit(登録商標)から入手可能
9.シアバター、Procter and Gamble(登録商標)から入手可能
10.ベニバナ油(カーサマス・ティンクトリアス(Carthamus tinctorius)種子油)、Southern Cross Botanicalsから入手可能
11.アルゴン油(アルガニア・スピノサ(Argania spinosa)核油)、BASF(登録商標)から入手可能
12.ホホバ油(シムモンドシア・シネンシス(Simmondsia chinensis)種子油)、Southern Cross Botanicalsから入手可能
13.ヒスチジン(L-ヒスチジン)、味の素(登録商標)から入手可能
14.アロエ・バーバデンシス(aloe barbadensis)の葉汁、Procter and Gamble(登録商標)から入手可能
15.エクロニア・ラジアタ抽出物(オーストラリア海藻抽出物)、Southern Cross Botanicalsから入手可能
【0118】
実施例1~35は全て、本明細書に記載の示差走査熱量測定試験法に従って1つの融解転移ピークを有し、これは、ゲル網状構造が均一であり、良好なコンディショニング性能、良好なユーザエクスペリエンスをもたらし得、安定であり得ることを示す。図2は、実施例1~5のゲル網状構造の融解転移挙動を示し(表3)、実施例1~5の各曲線は、ピークを1つしか有していない。図2、実施例1~5に示すように、1つのピークは、単一の明確なピークであってもよく、重なっているピークのセットであってもよい。しかしながら、比較例2(表2)は、複数のピークを有し、これは、ゲル網状構造が均一ではないことを示し得る。
【0119】
剪断応力は、消費者が許容できるものであり、107Pa~562Paの範囲であり、剪断応力が低すぎるか又は高すぎる場合、消費者が自身の手でコンディショナー組成物を毛髪全体に適用することが困難になる恐れがある。剪断応力が低すぎる場合、コンディショナー組成物が手及び毛髪から滴り落ちる恐れがあり、剪断応力が高すぎる場合、広がることが困難になる恐れがある。
【0120】
ゲル網状構造のd-間隔は、実施例1~28で20.8~26.9である。このd-間隔のレベルは、コンディショナー組成物が、湿潤時の感触が良好であり、湿潤時のほぐれが良好である、良好なコンディショニングをもたらすことができることを示す。
【0121】
実施例1~35は、BAPDMAのFAOHに対するモル比が20:80以上かつ40:60以下である。驚くべきことに、BAPDMAのFAOHに対するモル比がこの範囲であり、コンディショナーが安息香酸ナトリウムを含有する場合、コンディショナー組成物は、良好な湿潤コンディショニング性能が形成されたことを示すd-間隔を有するゲル網状構造を有することが見出された。サリチル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸カリウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、及びソルビン酸カリウムを含む他の塩は、適切なd-間隔が形成されたゲル網状構造を形成すると考えられる。
【0122】
以下の表9~表11において、2日間の細菌微生物及び2日間の真菌微生物は、本明細書に記載の細菌及び真菌微生物感受性試験法によって求められる。保存系が有効であるために、微生物(細菌及び真菌)のレベルは検出不可能である必要があり、これは、細菌及び真菌微生物感受性試験法によって求めたときに2日間で微生物が99.99%超減少することを意味する。以下の表10において、N/Aは、試験が実施されなかったことを示す。
【0123】
【表9】
【0124】
【表10】
【0125】
比較例Aは対照であり、保存系を含有しない。比較例Aは、細菌及び真菌について2日間で十分に微生物を減少させない。
【0126】
比較例B、C、及びDは、それぞれ0.20重量%、0.25重量%、及び0.40重量%の安息香酸ナトリウムを含有し、これらの例は、2日間で検出不可能なレベル(>99.99%の減少)の細菌を有する。しかしながら、これらの濃度の安息香酸ナトリウムしか含有しない保存系は、2日間で十分に真菌を減少させず、これらの例では約90%しか減少しない。
【0127】
比較例E及びFは、安息香酸ナトリウム及びカプリリルグリコールの両方を有する保存系を含む。これらの例は、2日間で検出不可能なレベル(>99.99%の減少)の細菌を有する。安息香酸ナトリウムとカプリリルグリコールとの組み合わせは、比較例B、C、及びDと比較して、2日間での真菌の減少を改善する。しかしながら、依然として検出可能なレベルの真菌が存在するので、これらの例における保存系は有効であるとはみなされない。
【0128】
比較例Gは、0.20重量%の安息香酸ナトリウム及び0.40重量%のカプリル酸/カプリン酸グリセリル(グリセリルエステル)を含む保存系を有し、この例は、2日間で検出不可能なレベル(>99.99%減少)の細菌を有する。しかしながら、真菌は2日間で>90%の減少であり、有効ではない。
【0129】
比較例GGと同様に、比較例Hは、0.20重量%の安息香酸ナトリウム及び0.40重量%のカプリル酸グリセリル(及び)ウンデシレン酸グリセリルを含む保存系を有し、この例は、2日間で検出不可能なレベル(>99.99%減少)の細菌を有する。しかしながら、真菌は2日間で>90%の減少であり、有効ではない。
【0130】
比較例Iは、0.20%安息香酸ナトリウム及び塩化ベヘントリモニウム(カチオン性界面活性剤)を含有し、この例は、2日間で検出不可能なレベル(>99.99%減少)の細菌を有する。しかしながら、これは、2日間で検出可能なレベルの真菌(>99%減少)を有するので、有効ではない。
【0131】
比較例Jは、1重量%の安息香酸ナトリウムを含有する。図3に示すように、滑らかでクリーム状のコンディショナーであるのではなく、塊状かつ粒状であり、これは消費者に好まれない。理論に束縛されるものではないが、この例における安息香酸ナトリウム濃度は高すぎ、安息香酸ナトリウムが塩であるので、ゲル網状構造の充填に影響を与えると考えられる。例えば、この例では、いくつかの領域で、ゲル網状構造が緊密に充填され過ぎる場合があり、これが塊状の質感につながっている可能性があると考えられる。
【0132】
比較例Kは、2重量%のカプリリルグリコールを含有する。図4に示すように、滑らかでクリーム状のコンディショナーであるのではなく、薄くかつ結晶質の外観であった。この質感を有するコンディショナーは、消費者が手で適用するのが困難になる恐れがあり、良好なコンディショニングをもたらさない恐れがある。理論に束縛されるものではないが、グリコールの濃度が高すぎる場合、それは溶媒のように作用し、ゲル網状構造が崩壊すると考えられる。
【0133】
【表11】
【0134】
表9~表11の例の供給元
1.安息香酸ナトリウム、Kalama(登録商標)から入手可能
2.カプリリルグリコール、Procter and Gamble(登録商標)から入手可能
3.カプリル酸/カプリン酸グリセリル(STEPAN-MILD(登録商標)GCC)、STEPAN(登録商標)から入手可能
4.カプリル酸グリセリル(及び)ウンデシレン酸グリセリル(Lexgard(登録商標)Natural)、Inolex(登録商標)から入手可能
5.塩化ベヘントリモニウム/IPA(Genamin KDMP)、活性成分濃度80%でClariant(商標)から入手可能
6.ベヘナミドプロピルジメチルアミン(BAPDMA)(Incromine(商標)BD)、Croda(登録商標)から入手可能
7.L-グルタミン酸、味の素(登録商標)から入手可能
8.セチルアルコール、95%活性成分濃度、Procter & Gamble(登録商標)から入手可能
9.ステアリルアルコール、97%活性成分濃度、Procter & Gamble(登録商標)から入手可能
【0135】
表11中の実施例は全て、有効である(すなわち、細菌及び真菌が2日間で検出不可能(>99.99%減少)になる)保存系を有し、消費者が好むクリーム状で滑らかな外観を有する。図5は、コンディショナー組成物の滑らかでクリーム状の外観を示す実施例Aの写真である。これらの実施例は、0.20~0.40重量%の安息香酸ナトリウムと、0.40重量%のカプリリルグリコール、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、又はカプリル酸グリセリル(及び)ウンデシレン酸グリセリルとを有する。安息香酸ナトリウムのカプリリルグリコール、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、又はカプリル酸グリセリル(及び)ウンデシレン酸グリセリルに対する重量比は、約1:2~約1:1である。
【0136】
表11中の実施例は全て、消費者が好み得る、クリーム状で滑らかな外観を有する。
【0137】
組み合わせ:
A.ヘアコンディショナー組成物であって、
a.水性キャリアと、
b.ベヘナミドプロピルジメチルアミン(BAPDMA)と、
c.脂肪族アルコールと、
d.安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸カリウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、ソルビン酸カリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩と、
を含み、
ベヘナミドプロピルジメチルアミンの脂肪族アルコールに対するモル比が、約3:25~約9:10、好ましくは約7:50~約4:5、より好ましくは約3:20~約3:4、更により好ましくは約17:100~約7:10、更により好ましくは約9:50~約2:3であり、
当該組成物が、均一なゲル網状構造を含み、
当該組成物が、本明細書に記載のラメラゲル網状構造試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)に従って測定したとき、32nm未満のd-間隔を有する、ヘアコンディショナー組成物。
B.l-グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、l-グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される酸を更に含む、段落Aに記載のヘアコンディショナー組成物。
C.約0.25重量%~約6重量%の酸、好ましくは約0.4重量%~約5重量%の酸、より好ましくは約0.5重量%~約4重量%の酸、更により好ましくは約0.6重量%~約3重量%の酸を含む、段落Bに記載のヘアコンディショナー組成物。
D.2重量%未満の塩、好ましくは1.5重量%未満の塩、より好ましくは1重量%未満の塩、更により好ましくは0.8重量%未満の塩、更により好ましくは0.6重量%未満の塩、更により好ましくは0.5重量%未満の塩を含む、段落A~Cに記載のヘアコンディショナー組成物。
E.約0.1重量%~約0.5重量%の塩、好ましくは約0.2重量%~約0.4重量%の塩を含む、段落A~Dに記載のヘアコンディショナー組成物。
F.当該塩が安息香酸ナトリウムを含む、段落A~Eに記載のヘアコンディショナー組成物。
G.6.75重量%未満のBAPDMA、好ましくは約6.50重量%未満のBAPDMA、より好ましくは約6.25重量%未満のBAPDMAを含む、段落A~Fに記載のヘアコンディショナー組成物。
H.約2重量%~約6.7重量%のBAPDMA、好ましくは約2.2重量%~約6.5重量%のBAPDMA、より好ましくは約2.5重量%~約6.25重量%のBAPDMA、更により好ましくは約2.75重量%~約6重量%のBAPDMAを含む、段落A~Gに記載のヘアコンディショナー組成物。
I.当該脂肪族アルコールが、ステアリルアルコール、ブラシカアルコール、セチルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落A~Hに記載のヘアコンディショナー組成物。
J.8重量%未満の脂肪族アルコール、好ましくは7.5重量%未満の脂肪族アルコール、より好ましくは7重量%未満の脂肪族アルコールを含む、段落A~Iに記載のヘアコンディショナー組成物。
K.約2.5重量%~約9重量%の脂肪族アルコール、好ましくは約3重量%~約8重量%の脂肪族アルコール、より好ましくは約3.25重量%~約7.5重量%の脂肪族アルコール、更により好ましくは約3.5重量%~約7重量%の脂肪族アルコール、更により好ましくは約4重量%~約6.7重量%の脂肪族アルコールを含む、段落A~Jに記載のヘアコンディショナー組成物。
L.約0.1~約0.6モル濃度、好ましくは約0.2~約0.5モル濃度、より好ましくは約0.3~約0.4モル濃度の総ゲル網状構造(GN)含有量(BAPDMA+脂肪族アルコール(FAOH))を含む、段落A~Kに記載のヘアコンディショナー組成物。
M.当該脂肪族アルコールが、ステアリルアルコールを含み、当該組成物が、約1:10~約1:1、好ましくは約1:5~約9:10、より好ましくは約3:10~約4:5、最も好ましくは約2:5~約7:10の、ステアリルアルコール(C18脂肪族アルコール)の総FAOHに対するモル比を有する、段落A~Lに記載のヘアコンディショナー組成物。
N.約1:2~約7:4、好ましくは約3:5~約1:2、より好ましくは約7:10~約5:4、更により好ましくは約4:5~約1.3:1の、酸のBAPDMAに対するモル比を有する、段落A~Mに記載のヘアコンディショナー組成物。
O.本明細書に記載の剪断応力試験法によって測定したとき、約50Pa~約600Pa、好ましくは約75Pa~約575Pa、より好ましくは約100Pa~約565Pa、更により好ましくは約105Pa~約550Pa、更により好ましくは約125Pa~約450Paの剪断応力を有する、段落A~Nに記載のヘアコンディショナー組成物。
P.塩化ベヘントリモニウム、塩化セトリモニウム、及び/又はステアラミドプロピルジメチルアミンを実質的に含まないか又は含まない、段落A~Oに記載のヘアコンディショナー組成物。
Q.モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩を実質的に含まないか又は含まない、段落A~Pに記載のヘアコンディショナー組成物。
R.シリコーン、噴射剤、フタレート、染料、サルフェート、ホルムアルデヒド供与体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を実質的に含まない、好ましくは含まない、段落A~Qに記載のヘアコンディショナー組成物。
S.約40重量%~約99重量%の水性キャリア、好ましくは約50重量%~約95重量%の水性キャリア、より好ましくは約70重量%~約93重量%の水性キャリア、更により好ましくは約80重量%~約92重量%の水性キャリアを含む、段落A~Rに記載のヘアコンディショナー組成物。
T.当該水性キャリアが水を含む、段落A~Sに記載のヘアコンディショナー組成物。
U.本明細書に記載のpH試験法に従って測定したとき、約2.5~約5、好ましくは約3.5~約4.5のpHを有する、段落A~Tに記載のコンディショナー組成物。
V.当該d-間隔が、本明細書に記載のラメラゲル網状構造試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)に従って、30nm未満、好ましくは28nm未満である、段落A~Uに記載のコンディショナー組成物。
W.当該d-間隔が、本明細書に記載のラメラゲル網状構造試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)に従って、約10nm~約32nm、好ましくは約15nm~約30nm、より好ましくは約17nm~約29nm、更により好ましくは約18nm~約28nm、更により好ましくは約20nm~約27nmである、段落A~Vに記載のコンディショナー組成物。
X.当該コンディショナー組成物及び/又は当該ゲル網状構造が、本明細書に記載の示差走査熱量測定試験法に従って測定したときに1つのピークを有する、段落A~Wに記載のコンディショナー組成物。
Y.段落A~Xに記載のヘアコンディショナー組成物であって、
a.安息香酸ナトリウムを含む塩と、
b.グリコール、グリセリルエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の組成物と、
を含む保存系を更に含み、
当該コンディショナー組成物が、ゲル網状構造を含む、コンディショナー組成物。
Z.約0.2重量%~約1.5重量%の保存系、好ましくは約0.4重量%~約1重量%の保存系、より好ましくは約0.5重量%~約0.8重量%の保存系、更により好ましくは約0.6重量%~約0.8重量%の保存系を含む、段落Yに記載のヘアコンディショナー組成物。
AA.当該保存系が、当該保存系の約20重量%~約50重量%の安息香酸ナトリウム、好ましくは、当該保存系の約25重量%~約50重量%の安息香酸ナトリウム、より好ましくは当該保存系の約30重量%~約50重量%の安息香酸ナトリウム、更により好ましくは当該保存系の約30重量%~約40重量%の安息香酸ナトリウムを含む、段落Y~Zに記載のヘアコンディショナー組成物。
BB.当該保存系が、約0.3重量%~約1.5重量%の第2の組成物、好ましくは約0.32重量%~約1重量%の第2の組成物、より好ましくは約0.33重量%~約0.8重量%の第2の組成物、更により好ましくは約0.34重量%~約0.6重量%の第2の組成物、更により好ましくは約0.35重量%~約0.5重量%の第2の組成物、更により好ましくは約0.37重量%~約0.45重量%の第2の組成物、更により好ましくは約0.38重量%~約0.43重量%の第2の組成物を含む、段落Y~AAに記載のヘアコンディショナー組成物。
CC.当該保存系が、当該保存系の約50重量%~約80重量%の第2の組成物、好ましくは当該保存系の約50重量%~約75重量%の第2の組成物、より好ましくは当該保存系の約50重量%~約70重量%、更により好ましくは当該保存系の約50重量%~約67重量%の第2の組成物を含む、段落Y~BBに記載のヘアコンディショナー組成物。
DD.当該第2の組成物が、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、デシレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリコールを含む、段落Y~CCに記載のヘアコンディショナー組成物。
EE.当該グリコールが、カプリリルグリコールを含む、段落Y~DDに記載のヘアコンディショナー組成物。
FF.第2の保存剤が、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリセリルエステルを含む、段落Y~EEに記載のヘアコンディショナー組成物。
GG.当該保存系が、約1:4~約1:1、好ましくは約1:3~約1:1、より好ましくは約1:2~約1:1、更により好ましくは約1:1.7~約1:1の、安息香酸ナトリウムの当該第2の組成物に対する重量比を有する、段落Y~FFに記載のヘアコンディショナー組成物。
HH.本明細書に記載の細菌及び真菌微生物感受性試験法に従って測定したとき、微生物のレベルが2日間で検出不可能になる、段落Y~GGに記載のヘアコンディショナー組成物。
II.5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Dow(登録商標)からKathon(商標)CGとして市販されている)を含むイソチアゾリノン、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、シクロヘキシルグリセリン、パラベン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される保存剤成分を実質的に含まない、好ましくは含まない、段落Y~HHに記載のヘアコンディショナー組成物。
JJ.エチレンジアミン酸四酢酸(EDTA)及びその塩を実質的に含まない、好ましくは含まない、段落Y~IIに記載のヘアコンディショナー組成物。
【0138】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0139】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0140】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】