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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ハエの産卵装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/033 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
A01K67/033 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529472
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2020082583
(87)【国際公開番号】W WO2021099416
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】1912887
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522197693
【氏名又は名称】ラ コンパニー デ アンセクト アンデュストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ロッシュ-ブリュイン,アンヌ-ソフィー マリー ドミニク チボー
(72)【発明者】
【氏名】ロベール,ジャン-シャルル カミーユ ベルナール
(57)【要約】
ハエの産卵装置であって、ハエケージ(20)と、該ケージ(20)内に封入されたハエによって産卵された卵を受けるように意図されている産卵床(50)とを備えており、該ケージ(20)には、外部開口(56)を介して該ケージの外部に向かって開口する少なくとも1つの産卵穴(54)が通されており、及び該産卵床(50)は、該ケージの外側に配置されており、該産卵床(50)は、該外部開口(56)と反対側に延在している産卵ゾーン(52)を画定する、前記産卵装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハエの産卵装置であって、
ハエケージ(20)と、
該ケージ(20)内に封入されたハエによって産卵された卵を受けるように意図されている産卵床(50)と
を備えており、
該ケージ(20)には、外部開口(56)を介して該ケージの外部に向かって開口する少なくとも1つの産卵穴(54)が通されており、及び該産卵床(50)は、該ケージの外側に配置されており、該産卵床(50)は、該外部開口(56)と反対側に延在している産卵ゾーン(52)を画定する、前記産卵装置。
【請求項2】
該産卵ゾーン(52)が、3mm超且つ20mm未満の間隔(d)だけ該外部開口(56)から離間されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該ケージ(20)内に及び該産卵穴(54)を通して該ハエを引き寄せる臭いを発生させる為に、該ケージの外側に配置された発臭源(62)を備えている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
該発臭源が、該産卵床(50)によって該産卵穴の該外部開口から離間されており、該産卵床は、該発臭源(62)によって発された該臭いが該産卵穴(54)に到達するように構成された通路(64)を備えている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
該産卵ゾーン(52)が凹入縁端(53)を画定し、該縁端の軸に従った該凹入縁端(53)の長さが40mm超である、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
該凹入縁端(53)がそれ自体の上で閉じている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
該ケージ(20)が、
該ケージ(20)の内部の方を向いた底部表面(30)を画定する底部壁(26)と、
該底部表面(30)を取り囲み、該ケージ(20)の該内部の方を向いた側方表面(33)を画定するところの側方壁(28)と
を備えており、
該装置が光源(80)を備えており、該光源(80)は、自然光又は人工光であり得、該底部表面及び/又は該側方表面(33)に向けて光(Lu)を発し、ここで、該産卵穴(54)が、該光を直接受けないように配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
該ケージが、50個超の産卵穴を有し、該産卵穴が、取り外し可能な産卵板(66)を貫通して配置されており、該産卵床(50)及び該産卵板が、該ケージを貫通して延在している管状支持体(68)内に配置されており、該管状支持体を実質的に閉じるように延在している、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
該管状支持体が、該ケージの内側に5cm超にわたって突出している、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ハエを生産する為のユニット(12)と、該ハエによって産卵される卵を生産する為のユニット(14)と、該卵から若齢幼虫を生産する為のユニット(16)と、該若齢幼虫から成熟幼虫を生産する為のユニット(18)と、タンパク質含有製品及び/又は肥料及び/又は油を生産する為に、該成熟幼虫を加工する為のユニット(19)とを備えている設備であって、卵を生産する為の該ユニットが、請求項1~9のいずれか1項に記載の産卵装置を備えている、前記設備。
【請求項11】
該ハエがアメリカミズアブバエ(Hermetia illucens flies)である、請求項10に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫養殖(entomoculture)の為に意図されている、ハエの産卵装置(an egg laying device for flies)に関する。
【背景技術】
【0002】
昆虫養殖は、一般には人間又は動物用の食品を生産する目的で、昆虫を飼育することを包含する。
【0003】
昆虫の中で、ハエに関して区別がなされ、その利用は、固有の問題を呈し、特別な解決策を必要とする。
【0004】
特に、本出願人企業は、方法であって、
a)ハエを飼育し、それらを交尾させ、そして卵を産ませること、
b)該卵を取り出し、それらが確実に孵化して、若齢幼虫を得ること、
c)好ましくは該若齢幼虫に食品残渣を与えることにより、該若齢幼虫に給餌して、該若齢幼虫を成長させること、
d)得られた成熟幼虫を収穫可能な製品に変える為に、特に動物の飼料として意図されているタンパク質を含有する小麦粉及び農業肥料に変える為に、得られた該成熟幼虫を加工すること
を含む上記方法を利用している。
【0005】
そのような方法を実行することは、ハエMを生産する為のユニット12と、該ハエによって産卵される卵Oを生産する為のユニット14と、該卵から生まれる若齢幼虫Jを生産する為のユニット16と、該若齢幼虫J及び食品残渣Rから成熟幼虫Lを生産する為のユニット18と、油H、タンパク質含有物質Pr及び肥料Fを生産する為に、該成熟幼虫Lを加工する為のユニット19とを備えている設備10(図1を参照)を必要とする。該ユニット18によって生産された該幼虫の一部は、ハエを生産する為の該ユニット12によって使用される。
【0006】
そのような設備の生産性は、該ハエ及び該幼虫の最適な発育条件を保証する能力に密接に依存する。使用される機器は、この目的の為に不可欠である。
【0007】
商業利用は、プロセスの種々の工程の精密な制御も必要とする。特に、該ハエは数千匹の個体の群によって生産され、同じ群からのハエがほぼ同時に卵を産むことが望ましい。次に、得られた該幼虫は同じ方法で育ち、それが生産性を向上する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、そのような設備の生産性が向上されることを可能にする産卵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ハエの産卵装置であって、
ハエケージ、好ましくは容器を備えているハエケージ、ここで、該容器が、
該ケージの内部の方を向いた底部表面を画定し、好ましくは水平である、底部壁と、
該底部表面を取り囲み、該ケージの該内部の方を向いた側方表面を画定し、好ましくは垂直である、側方壁と、及び
該ケージ内に封入されたハエによって産卵された卵を受けるように意図されている産卵床(laying nest)
を備えている上記装置を説明する。
【0010】
該容器の「内側表面」という語は、該容器の内部容積の範囲を定める、該容器の壁の表面を云うことが意図されている。
【0011】
本発明の第1の観点に従うと、該ケージには、外部開口を介して該ケージの外部に向かって開口する少なくとも1つの産卵穴が通されており、該産卵床は、該ケージの外側に配置されており、該産卵床は、該産卵穴の該外部開口と反対側に延在している産卵ゾーンを画定する。
【0012】
発明の詳細な説明の残りの部分でより詳細に分かるように、そのような装置は、該ケージ内に封入されたハエが、該産卵穴を通して、該ケージの外の該産卵ゾーンに卵を産むことを可能にする。従って、該卵は、該ケージに入る必要なしに取り出されることができ、それにより、該ケージ内に封入されたハエが邪魔されることを防止し、それ故に該ハエの発育を促進する。更に、該ケージの外への該卵の取り出しが、有利に非常に迅速になる。それによって、該設備の生産性が向上される。
【0013】
最後に、本発明に従うそのような装置は有利には、該卵の取り出しの間にハエが該ケージから逃げるリスクが防止されることを可能にする。
【0014】
本発明の第1の主要な観点による装置は、以下の任意的な好ましい特徴の1以上を更に備えうる:
該産卵穴は、断面、すなわち、その軸に直角な断面の平面において、好ましくは任意の断面において、全く角度のついていない輪郭を有し、それは好ましくは、該産卵穴の内側から見られたときに厳密に凹面である;
該産卵ゾーンは、該産卵穴の該外部開口から、3mm超、好ましくは5mm超、好ましくは8mm超、及び/又は好ましくは20mm未満、好ましくは15mm未満、好ましくは10mm未満、の間隔だけ離間されている;
該産卵装置が、該ケージ内に及び該産卵穴を通して該ハエを引き寄せる臭いを発生させる為に、該ケージの外側に配置された発臭源を備えている;
該発臭源が、該産卵床によって該産卵穴の該外部開口から離間されており、該産卵床は好ましくは、該発臭源によって発された該臭いが該産卵穴に到達するように構成された通路を備えている。
【0015】
本発明の第2の主要な観点に従うと、該産卵ゾーンは凹入縁端を画定し、該縁端の軸に従ったその長さは、10mm超、好ましくは20mm超、好ましくは30mm超、好ましくは40mm超、好ましくは60mm超、及び/又は、500mm未満、好ましくは300mm未満、である。
【0016】
本発明者等は、そのような凹入縁端の長さは、特に小さいセルの長さと比較して、卵を産もうとしているハエを引き寄せる為に非常に効果的であることを発見した。それは更に、該卵の取り出しの際に該卵の分離を容易にする。この理論によって制限されることなく、本発明者等は、長い縁端は、該縁端によって画定される微小空洞内への該卵の閉じ込めを防止すると考える。
【0017】
本発明の第2の主要な観点による装置は、以下の任意的な好ましい特徴の1以上を更に備えうる:
該凹入縁端がそれ自体の上で閉じている;
該装置が該第1の主要な観点に従う場合、該凹入縁端が、該外部開口と実質的に平行に延在している;
該産卵ゾーンが、そのような凹入縁端のみを備えている。
【0018】
第3の主要な観点に従うと、該容器の該底部表面及び/又は該側方表面及び/又は該内側表面が、
凹入縁端を全く有さないか、又は1以上の凹入縁端を有し、その累積長さLaは、この累積長さと、それぞれ該容器の該底部表面及び/又は該側方表面及び/又は該内側表面の表面積Sとの比La/Sが、該底部表面と該側方表面との間の該接合ゾーン内の凹入縁端を数えずに、好ましくは、該底部表面と該側方表面との間の該接合ゾーン内の凹入縁端を数えずに、1200mm/m未満、好ましくは1000mm/m未満、好ましくは900mm/m未満、好ましくは850mm/m未満、好ましくは800mm/m未満、になるようなものである、並びに/又は、高さ又は深さがそれぞれ5mm超、4mm超、3mm、2mm、1mm、0.5mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mmである、隆起した部分又は凹みを全く有さない、並びに/又は;
その1以上の表面積の90%超、好ましくはその表面積の95%超、97%超、99%超、99.5%超、好ましくはその1以上の表面積のほぼ100%にわたって、0.5cm超、好ましくは1cm超、好ましくは2cm超、好ましくは3cm超、好ましくは5cm超、好ましくは7cm超、及び/又は30cm未満、の曲率半径を有する。
【0019】
本発明の第3の主要な観点による装置は、以下の任意的な好ましい特徴の1以上を更に備えうる:
該側方壁が、複数の実質的に平面の面と、2つの隣り合う面の間、好ましくは任意の2つの隣り合う面の間の、好ましくは垂直である、接合ゾーンとを備え、好ましくはそれらによって構成されており、該接合ゾーンが、該側方表面に凹入縁端を全く画定しない、及び/又は、任意の点において、0.5cm超、好ましくは1cm超、好ましくは3cm超、好ましくは5cm超、好ましくは7cm超、及び/又は30cm未満、の曲率半径を有する;
該容器の該内側表面が、該側方表面と該底部表面との間の該接合ゾーン内に凹入縁端を全く有さない;
該側方表面と該底部表面との間の該接合ゾーンが、任意の点において、0.5cm超、好ましくは1cm超、好ましくは3cm超、好ましくは5cm超、好ましくは7cm超、及び/又は30cm未満、の曲率半径を有する;
該底部表面及び/又は該側方表面が、産卵床支持体との、及び/又は、選択的に閉じられることができ、該ケージ内にハエを導入するように意図されている、接続穴との接合ゾーン内でのみ、7cm未満、5cm、3cm、1cm、又は0.5cm、の曲率半径を有する;
少なくとも該産卵装置がハエを収容しているとき、該底部表面に、構成部品が置かれていない又は固定されていない;
該底部表面及び/又は該側方表面の手触りが滑らかである。
【0020】
特に有利な実施態様において、該底部表面は、連続的に平面である、すなわち、該側方表面との該接合ゾーンに至るまで途切れなく平面内を延在している。
【0021】
それ故に、該底部表面には、例えば溝穴、溝、空洞、又は貫通穴である又はそうでないこともありうる穴の形態である、凹みが配置されていない。例えば材料の細片又は隆起の形態である、突起が、該底部表面から突出していない。言い換えれば、該底部表面上に引かれた任意の直線は、凹み又は突起によって中断されることなく、該底部表面の外部輪郭の2つの点を結ぶ。
【0022】
本発明者等は、該第3の主要な観点による産卵装置が、望ましくない卵の集団、すなわち該産卵ゾーン外側での卵の集団、の大幅な制限につながることを見出した。
【0023】
本発明のこれら異なる主要な観点の特徴は、必須のものであれ任意的なものであれ、組み合わせられ得、好ましくは組み合わせられる。
【0024】
該主要な観点と関係なく、本発明に従う装置は、以下の任意的な好ましい特徴の1以上を更に備えうる:
該側方表面の高さが0.4m~1.8mである;
該側方壁が、多角形の断面を有する輪郭付けされた形状を有する
好ましくは透かし状である、該カバーが、取り外し可能に該側方壁に、好ましくは該側方壁の上縁に、好ましくは面ファスナー片によって、固定される;
該装置が光源を備え、該光源が、自然光又は人工光であり得、該側方表面及び/又は該底部表面に向けて光を発し、ここで、該産卵穴が、該光を直接受けないように配置されている;
該産卵穴が、最も少ない該光を受け取る該ケージの領域に配置される:
該ケージが、取り外し可能な産卵板を貫通して配置された50個超の産卵穴を有する;
産卵穴の外部開口と対応する産卵ゾーンとの間の間隔が、どの該産卵穴が検討されても一定であり、該間隔が好ましくは、3mm超、好ましくは5mm超、好ましくは8mm超、及び/又は好ましくは20mm未満、好ましくは15mm未満、好ましくは10mm未満、である;
該産卵床及び該産卵板が、該ケージを、好ましくは該容器を、好ましくは該容器の該側方壁を、貫通して延在している管状支持体内に配置され、該産卵床及び該産卵板は、該管状支持体を実質的に閉じるように、好ましくは該管状支持体の軸に対して直角に、延在している;
該管状支持体が、該ケージの内側及び/又は該ケージの外側に5cm超突出している;
該底部表面及び/又は該側方表面が、好ましくは均一である、白又は黄色の色を有する;
該容器の該側方壁が、選択的に閉じられることができ該ケージ内にハエを導入するように意図されている、接続穴によって穿孔されている;
該ケージが、10m未満、好ましくは5m未満、好ましくは2m未満、好ましくは1m未満、及び/又は好ましくは0.2m超、好ましくは0.5m超、の容積を有する。
【0025】
一つの好ましい実施態様において、該容器の該底部表面及び/又は側方表面及び/又は内側表面が、凹入縁端を全く有さないか、又は1以上の凹入縁端を有し、該凹入縁端の累積長さLa(全ての凹入縁端の長さの和)は、この累積長さと、該容器のそれぞれ該底部表面及び/又は該側方表面及び/又は該内側表面の表面積Sとの比La/Sが、1200mm/m未満、好ましくは1000mm/m未満、好ましくは900mm/m未満、好ましくは850mm/m未満、好ましくは800mm/m未満、になるようなものである、並びに/又は、該容器の該底部表面及び/又は側方表面及び/又は内側表面が、高さ又は深さがそれぞれ5mm超、4mm超、3mm、2mm、1mm、0.5mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm、である、隆起した部分又は凹みを全く有さない。
【0026】
一つの好ましい実施態様において、該容器の内側と外側との間の流体連通を提供する為に、1以上の貫通開口が、該容器の壁を貫通して作られている。
【0027】
一つの好ましい実施態様において、Laの計算に関して、1以上の上記貫通開口と該容器の該内側表面との間の1以上の該接合ゾーン内の凹入縁端が数えられない。
【0028】
一つの好ましい実施態様において、Laの計算に関して、1以上の上記貫通開口と該容器の該側方表面との間の1以上の該接合ゾーン内の凹入縁端が数えられない。
【0029】
一つの好ましい実施態様において、Laの計算に関して、該容器の該底部表面と該側方表面との間の該接合ゾーン内の凹入縁端が数えられない。
【0030】
一つの好ましい実施態様において、Laの計算に関して、1以上の上記開口と該容器の該内側表面との間の1以上の該接合ゾーン内の凹入縁端が数えられず、且つ、該容器の該底部表面と該側方表面との間の1以上の該接合ゾーン内の凹入縁端も数えられない。
【0031】
1以上の該貫通開口は、実質的に多角形形状、例えば長方形又は正方形、でありうる。代替的には、1以上の該開口は、多角形の形状でないこともあり得、例えば円形又は楕円形でありうる。該容器は、該側方壁の面と同じ数の貫通開口を有することができる。代替的には、該容器は、該側方壁の面よりも少ない貫通開口を有しうる。例えば、該容器は、該側方壁の向かい合う側に2つの貫通開口を有しうる。例えば、該側方壁が、長方形の断面輪郭を画定する4つの平面の面を有する場合、該容器は、2つの大きい方の面の各々に1つずつ貫通開口を有しうる。代替的には、該容器は、2つの小さい方の面の各々に1つずつ貫通開口を有しうる。代替的には、該容器は、該4つの面の各々に貫通開口を備えることができる。
【0032】
1以上の該貫通開口の高さは、それが付いている該側方表面の面の高さの40%超、好ましくはそれが付いている該側方表面の該面の高さの50%超、60%超、75%超、90%超、の高さでありうる。1以上の該貫通開口の高さは、それが付いている該側方表面の該面の高さの95%未満でありうる。1以上の貫通開口は、それ(それら)が付いている該側方表面の該面の上半分に作られうる。
【0033】
1以上の該貫通開口は、それらが付いている該側方表面の該面の面積の40%超にわたって、好ましくはそれ(それら)が付いている該側方表面の該面の面積の50%超にわたって、60%超にわたって、75%超にわたって、90%超にわたって、延びうる。1以上の該貫通開口は、それ(それら)が付いている該側方表面の該面の面積の95%未満にわたって延びうる。
【0034】
1以上の該貫通開口は、それ(それら)が付いている該側方表面の該面の面積の20%超にわたって、好ましくはこの面積の30%超にわたって、40%超にわたって、50%超にわたって、60%超にわたって、好ましくはそれ(それら)が付いている該側方表面の該面の面積の75%に実質的に延びうる。1以上の該貫通開口は、それ(それら)が付いている該側方表面の該面の面積の95%未満にわたって延びうる。
【0035】
1以上の該貫通開口は、金網で覆われうる。この網は、取り外し可能に該側方壁に、好ましくは面ファスナー片によって、固定されることができる。この網で覆われた貫通開口は、個体が逃げるのを防止しながら、該ハエケージの内部に空気が循環することを可能にする。また、そのような貫通開口は、該ハエケージを開ける必要なく、該ハエケージの内側を観察することも可能にする。
【0036】
本発明は更に、本発明に従う産卵装置を備えている設備に関し、該ケージは好ましくは、好ましくはBSFタイプの、1000匹超の、及び/又は100,000匹より少ないハエを収容している。
【0037】
本発明はまた、ハエを生産する為のユニット、特にハエ、と、該ハエによって産卵される卵を生産する為のユニットと、該卵から若齢幼虫を生産する為のユニットと、該若齢幼虫から成熟幼虫を生産する為のユニットと、収穫可能な製品、例えば、タンパク質含有製品、特にタンパク質を含有している小麦、及び/又は好ましくは肥料及び/若しくは油、を生産する為に、該成熟幼虫を加工する為のユニットと、を備えている設備に関する。そのような製品は、例えば動物の飼料、農業、又は専門的用途に使用されることができる。
【0038】
本発明に従うと、卵を生産する為の該ユニットは、本発明に従う産卵装置を備えている。
【0039】
好ましくは、該ハエは、BSFタイプ(Black Soldier Fly)のハエ又はアメリカミズアブ(Hermetia illucens)である。
【0040】
好ましくは、幼虫を生産する為の該ユニットによって生産された該幼虫の一部は、ハエを生産する為の該ユニットによって使用される。
【0041】
該若齢幼虫は、より好ましくは、食品残渣を用いて給餌される。
【0042】
定義
「使用位置」は、該産卵装置が使用されて、該ケージ内に封入されたハエに該産卵床内で卵を産ませる位置である。
【0043】
形容詞「下方の」及び「上方の」、「内部の」及び「外部の」、「水平方向の」及び「垂直方向の」は、該使用位置における向き又は位置を参照する。
【0044】
語「水平方向の」及び「垂直方向の」は、それぞれ完全に水平方向及び垂直方向の平面との間に、20°未満、好ましくは15°未満、好ましくは10°未満、好ましくは5°未満、又は2°未満、又は1°未満、の角度をなす向きと理解されることが意図されている。
【0045】
表面の「縁端」は、より大きい傾斜を有する線が、45°超である傾斜の変動(「傾きの変化」とも云われる)をそれに対して有する、この表面の点によって構成される。ひいては、該縁端の角度が45°超である、又は該表面が45°超である、傾きの変化を有する、とも云える。縁端は、それが窪みを画定する場合に凹入縁端である。例えば、図2は、最大の傾きGを有する線が、線Aの任意の点Mにおいてθの傾きの変化を有している、表面Sを示す。角度θが、該線Aの全ての点について45°より大きければ、該線Aは縁端になる。実際には、3mmの間隔だけ離間されている、該最大の傾きを有する該線の2つの点MとMの間の傾きの変化を測定することが可能であり、該3mmの間隔は、該線をたどることによって測定される。
【0046】
表面のある点における「最小の曲率半径」は、全ての方向を考慮した最も小さい曲率半径である。例えば、円形の断面を有する円筒のある点において、円筒表面のある点における最小の曲率半径は、該円筒の半径である。
【0047】
表面は、面積Asを有し、点の集合によって構成される。それら点の各々は、他の点の曲率半径と同一であるか又は異なる、より小さい曲率半径を有する。その最小の曲率半径がxcm超である(又はxcm未満である)この表面の点の集合が、面積Axをカバーする。比Ax/Asは、それらの点によってカバーされる該表面の面積のパーセンテージを表す。
【0048】
該表面は、比Ax/Asがy%超であるとき、すなわち、最小の曲率半径がxcm超である(又はそれぞれxcm未満である)この表面の点の集合が、この表面の面積のy%超をカバーするときに、「その面積のy%超にわたってxcm超である(又はxcm未満の)曲率半径を有する」。
【0049】
実際には、図2に示されているように、点Pにおいてある方向への曲率半径を測定する為に、該表面上に、該点Pを通り、その方向をたどる、線が引かれる。その後、その線上に、2つの点P1及びP2が置かれ、これらは各々該点Pから1.5mm離間されており、該点Pの各側に配置されている。そして、3つの点P1、P、及びP2を通る円弧Cが引かれる。該曲率半径Rは、この円弧の半径である。
【0050】
語、開口又は表面の「相当直径」は、それぞれこの開口又はこの表面と同じ面積を有する円盤の直径を意味すると理解されることが意図されている。
【0051】
「接合ゾーン」は、2つの他の表面同士を接続し、それら2つの他の表面の間で、該ケージの内部から見られたときに厳密に凹面である、中間表面である。接合ゾーンは、特には、異なる向きを向いた2つの平面の表面同士を接続しうる。
【0052】
語「青色」は、色であり、該色の波長が472nm~490nmであると理解されることが意図されている。
【0053】
語「緑色」は、色であり、該色の波長が490nm~573nmであると理解されることが意図されている。
【0054】
語「黄色」は、色であり、該色の波長が573nm~584nm、好ましくは575nm~579nm、であると理解されることが意図されている。
【0055】
特に指示されない限り、語「固定する(to fix)」は、「剛体的に固定する(to fix in a rigid manner)」ことを意味する。「固定する」は、一時的であり得る、すなわち、解除を許し得、又は確定的なものでありうる。
【0056】
語「備える」(comprise)、「画定する」(define)、「有する」(have)又は「包含する」(include)は、広く、非制限的に解釈されなければならない。
【0057】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な非制限的な説明を読み、添付図面を考察することから更に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、ハエを使用する昆虫養殖設備を模式的に示す。
図2図2は、凹入縁端及び半径曲率の定義を模式的に示す。
図3図3は、カバーが外された状態の、本発明に従う産卵装置の例の概略的斜視図である。
図3bis図3bisは、一つの実施態様の図3と同様の図である。
図4図4は、図3の該装置の細部の簡略例の概略的長手方向断面図であり、産卵穴の数が好ましくは、更に多い。
図5図5は、産卵床の例の概略的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
異なる図中で、同一又は類似する構成要素又は構成要素部分を表す為に同一の又は類似する参照符号が使用される。
【0060】
図3及び図3bisは、本発明に従う産卵装置13の例を示す。この装置は、BSFハエの利用の為に意図されているが、本発明はこのハエに限定されない。
【0061】
この装置は、ハエケージ20と、産卵床50とを備えている。
【0062】
ハエケージ
該ハエケージ20は、ハエMの群を封入するように意図されており、該ハエMの群は好ましくは、500匹超のハエ、好ましくは1000匹超のハエ、及び/又は50,000匹未満のハエ、好ましくは20,000匹未満のハエ、によって構成される。
【0063】
該ケージは好ましくは、容器22と、該容器22を閉じる為のカバー24とから構成される。
【0064】
該容器22は、好ましくは単体構造であり、好ましくはポリマー材料、例えばポリエチレン、からなる。それは、該容器の内側表面を互いと共に画定する底部壁26及び側方壁28を備えている。好ましくは、該容器の該内側表面は、くり抜かれた表面、すなわち、該容器が軸Xに沿って型から取り外されるのを阻止又は妨害するような表面、を全く有さない。
【0065】
該底部壁26は、内側に底部表面30を画定し、底部表面30は好ましくは、実質的に平面であり、使用位置において、好ましくは水平方向に延在している。
【0066】
該側方壁28は、該ケージの内部の側において、側方表面33を画定し、これは、好ましくは該底部表面30に対して実質的に直角に、上縁34に至るまで延在している。
【0067】
該底部壁及び側方壁は、該側方表面33と該底部表面30との間に接合ゾーン36も画定する。該接合ゾーン36は好ましくは、該側方表面33と該底部表面30との間の漸進的な推移を保証する。
【0068】
よって、該容器の該内側表面は、該底部表面30、該側方表面28、及びこの底部表面と側方表面との間の該接合ゾーン36によって構成される。
【0069】
該ケージ20、好ましくは該容器22、より好ましくは該側方壁28、には好ましくは、接続穴29が通され、該接続穴29は、選択的に閉じられることができ、該ハエを該ケージ内に導入するように意図されている。該接続穴29は好ましくは、50cm超、好ましくは100cm超、及び/又は好ましくは1500cm未満、好ましくは1000cm未満、の通過エリアを有する。
【0070】
好ましくは、外部輪郭31によって境界が定められる該底部表面30は連続している、すなわち、それが該接合ゾーン36を該側方表面33に接合する外側輪郭に至るまで、平面で、途切れのないままである。特に、それは、貫通開口、例えば該容器22内に収容されている液体を排出するように意図されている注出口、を全く備えていない。語「平面の底部表面」は、該底部表面の概略平面に直角に測定される高さが、20mm超、好ましくは15mm超、好ましくは10mm超、好ましくは5mm超、好ましくは4mm超、3mm、2mm、1mm、0.5mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm、である、隆起した部分又は凹みを、該底部表面30が全く有さないことを意味すると理解されることが意図されている。好ましくは、該底部表面30は、手触りが滑らかである。
【0071】
より好ましくは、該底部表面30は、白、緑、青、若しくは黄色、好ましくは黄色、の色を有するか、又は透明である。色のスペクトルは好ましくは、472nm~600nmである。
【0072】
該色は好ましくは、均一である。驚くべきことに、本発明者等は、これらの色はハエの繁殖に好都合であることを発見した。
【0073】
一つの好ましい実施態様において、該底部壁26は、パレットトラックのフォークを導入するのに好適であるスリーブ32を画定する。よって、本発明に従う垂直飼育場を構成する為に、本発明に従う複数の産卵装置が積み重ねられうる。
【0074】
該容器の該内側表面の高さh33は好ましくは、一定である。それは好ましくは、0.4m超、好ましくは0.5m超、及び/又は好ましくは2m未満、好ましくは1.8m未満又は1.5m未満、又は0.8m、である。0.4m~1.8mの高さが特に好都合である。これは、本発明者等が、そのような高さは、該ハエの飛翔を妨げず、それ故に該ハエの健康を促進することを発見した為である。しかしながら、一組のハエが交尾する為に該底部表面30上に落下するとき、それらのハエによって受けられる衝撃は、小さいままであり、該ハエが離ればなれになることにつながらない。
【0075】
該側方壁28は好ましくは、ポリマー材料、好ましくはポリエチレン、によって構成され、好ましくは該底部壁と同じ材料から構成されている。
【0076】
好ましくは、該側方表面33は、白、緑、青、又は黄色、好ましくは黄色、の色を有するか、又は透明である。該色は好ましくは、均一であり、好ましくは該底部表面の色と同一である。該色のスペクトルは好ましくは、472nm~600nmである。
【0077】
好ましくは、該側方表面33と該底部表面30との間の該接合ゾーン36は、白、緑、青、又は黄色、好ましくは黄色、の色を有するか、又は透明である。該色は好ましくは、均一であり、好ましくは該底部表面の色と同一である。該色のスペクトルは好ましくは、472nm~600nmである。
【0078】
該側方壁28の形状は、制限がない。しかしながら、好ましくは、該側方壁28は、複数の実質的に平面の面、好ましくは3つより多い面及び/又は10個未満の面、好ましくは6つ未満の面、好ましくは4つの面、によって構成される。2つの隣り合う面の間に形成される角度は好ましくは、どの2つの面のペアが検討されても一定である。1つの実施態様において、該側方壁28の面は全て同じ長さを有する。
【0079】
該好ましい実施態様において、該側方壁28は、多角形、好ましくは矩形、好ましくは正方形、である断面(すなわち、該軸Xに対して直角な面)を有する外郭部材を画定する、複数の平面の面を有する。それにより、該ケージの空間要件が有利に低減される。
【0080】
特に有利な実施態様において、図3において破線によって範囲が定められ、好ましくは実質的に垂直である、2つの隣り合う面の間の該接合ゾーン35は、凹入縁端を画定しない。言い換えれば、該側方表面28の方向の変化が、それら2つの面の間で漸進的である。該接合ゾーン35は好ましくは、該2つの隣り合う面の間の漸進的な推移を保証する。
【0081】
より好ましくは、該側方表面33と該底部表面30との間の該接合ゾーン36は、凹入縁端を全く有さない。
【0082】
縁端が存在しないことは、有利に、該面同士の間又は該側方壁と該底部壁との間の該接合ゾーンにおける卵の集団を制限する。
【0083】
概して、該容器22の該内側表面は、最小限の凹入縁端のみを画定する。平均して、該底部表面30及び/若しくは該側方表面33上で、又は該容器の該内側表面全体で、該凹入縁端の累積長さは好ましくは、Laが検討される表面上の該凹入縁端の累積長さを表し、Sがこの表面の面積Sを表す場合、該底部表面と該側方表面との間の該接合ゾーン内の凹入縁端を数えずに、好ましくは該底部表面と該側方表面との間の該接合ゾーン内の凹入縁端を数えずに、La/S<1200mm/m、好ましくはLa/S<1000mm/m、好まくはLa/S<900mm/m、好ましくはLa/S<850mm/m、好ましくはLa/S<800mm/m、となるようなものである。
【0084】
好ましくは、該内側表面の向きは、あらゆる場所で漸進的に変化する(それが変化する場合)。好ましくは、該側方表面28及び該底部表面30は、それらの面積の70%超にわたって、好ましくはそれらの面積の80%超、90%超、95%超、99%超にわたって、それらの面積の99.5%超、99.9%超、好ましくは実質的に100%、にわたって、0.5cm超、好ましくは1cm超、好ましくは3cm超、好ましくは5cm超、好ましくは7cm超、及び/又は30cm未満、の曲率半径を有する。
【0085】
該カバー24は、該容器22を閉じるように意図されている。それは好ましくは、取り外し可能である。より好ましくは、それは該側方壁28の該上縁34に固定される。それは特には、Velcro(商標)タイプの面ファスナー片によって該容器に固定されることができ、該面ファスナー片の第1及び第2の部分4022及び4024がそれぞれ、該上縁34及び該カバー24の周囲部に接着される。よって、該カバー24の取り付け及び取り外しが非常に迅速である。更に、連続した面ファスナー片は、該ハエが該ケージの外部に向かって移動することを効果的に阻止する。
【0086】
該カバー24は好ましくは、外光、周囲空気、及び液体、好ましくは水、を通過させるように透かし状である。該好ましい実施態様において、該カバーは格子42を備えており、その網目は、ハエの通過を阻止するような大きさにされる。好ましくは、各網目は、2mm未満、好ましくは1.5mm未満、の相当直径を有する。蚊よけネットを構成する為に使用されるタイプの柔軟な格子が、非常に好適である。
【0087】
図3bisに示されている実施態様において、ハエケージ20の容器22は、該側方壁28に少なくとも1つの貫通開口220を有しうる。この貫通開口220は長方形である。
【0088】
該貫通開口220は、それが付いている該側方表面の面の90%超にわたって延在しているものとする。
【0089】
該貫通開口220は、それが付いている該側方表面の面の面積の90%超にわたって延在している。
【0090】
該貫通開口は、カバー24上の網目221と同一の網目221を有する。
【0091】
産卵床及び産卵穴
該産卵床50は、該ケージ内に封入されたハエによって産卵された卵を受け、固定するように意図されている。
【0092】
好ましくは、該産卵床50は、好ましくは取り外し可能に、該ケージに固定される。それは産卵ゾーン52を画定し、該産卵ゾーン52は好ましくは、図4に示されているように、例えばある角度又は隅部の形態の、少なくとも1つの凹入縁端53を画定する。好ましくは、該凹入縁端53の角度は、60°超、80°及び/又は120°未満、100°、好ましくはおよそ90°、である。
【0093】
好ましくは、該産卵ゾーン52の少なくとも1つの凹入縁端53は、5mm超、好ましくは10mm超、好ましくは20mm超、より好ましくは40mm超、60mm又は100mm、の長さを有する。一つの好ましい実施態様において、該凹入縁端53はそれ自体の上で閉じている、すなわち、それは閉ループを形成している。本発明者等は、そのような縁端は特には産卵を引き起こすのに有効であることを発見した。
【0094】
図5は、種々の凹入縁端53を有する産卵床50の種々の例を示す。各例において、凹入縁端は、太線で描かれている。この縁端の長さは、太線の長さである。
【0095】
該産卵床50は好ましくは、ポリマー材料から構成される。
【0096】
図4に示されているように、該産卵床50は好ましくは、該ケージの外側にあり、産卵穴54の近くに配置されており、該産卵穴54は、該ケージ20を貫通して、好ましくは該容器22を貫通して、より好ましくは該側方壁28を貫通して、配置される。
【0097】
該産卵穴54は好ましくは、管形状を有する。断面、すなわち、該産卵穴の軸Yに対して直角な断面の平面において、該産卵穴54は、全く角度のついていない輪郭を有し、それは、好ましくは厳密に凹面であり、好ましくは円形又は楕円形である。それにより、卵が該産卵穴54自体の中に望ましくない形で産卵されるリスクが有利に制限される。
【0098】
断面において、好ましくは任意の断面において、該産卵穴54の相当直径は、好ましくは1mm超、好ましくは2mm超、好ましくは2.5mm超、及び/又は好ましくは5mm未満、好ましくは4mm未満、である。
【0099】
該軸Yに沿って測定された該産卵穴54の長さL54は、好ましくは0.1mm超、好ましくは0.3mm超、好ましくは0.5mm超、好ましくは1mm超、及び/又は好ましくは3mm未満、好ましくは2.5mm未満、好ましくは2mm未満、である。
【0100】
本発明者等は、そのような該産卵穴54の寸法は、該ハエの通過を阻止しつつ、卵が該産卵穴の中に望ましくない形で産卵されるリスクを制限することを発見した。
【0101】
該産卵穴54は、外部開口56を介して、該ケージの外部に向かって開口している。該産卵穴54と対応付けられる該産卵ゾーン52は、該ハエが該産卵穴54を通して卵を産む時に卵を産むことができる該産卵床のゾーンである。それは好ましくは、うねが付いている。
【0102】
該産卵床50は、該産卵ゾーン52が該外部開口56に対向し、且つ好ましくは該外部開口56から離間されるように、該外部開口56との関係で配置される。有利に、それにより、該外部開口56の縁端と接触することなく、及びより一般的には該産卵穴54に接触することなく、卵が該産卵ゾーン52に産み付けられることができる。
【0103】
好ましくは、該産卵ゾーン52は、3mm超、好ましくは5mm超、好ましくは8mm超、及び/又は好ましくは20mm未満、好ましくは15mm未満、好ましくは10mm未満、の間隔dだけ、該外部開口56から離間されている。
【0104】
好ましくは、該産卵ゾーン52は、該外部開口の反対側にあってそれを介して該産卵穴が該ケージに開口する該産卵穴54の内部開口から、4.5mm超、好ましくは6.5mm超、好ましくは9.5mm超、及び/又は好ましくは21.5mm未満、好ましくは16.5mm未満、好ましくは11.5mm未満、の間隔(d+L54)だけ離間されている。
【0105】
より好ましくは、該産卵床50は、該産卵穴を画定する該側方壁の部分と接触していない。好ましくは、それは、0.1mm超、及び/又は5mm未満の間隔δだけ該部分から離間されている。
【0106】
好ましくは、該産卵穴54は、該ケージのうち、該使用位置において、該容器22の該内側表面の残りの部分よりも少ない光を受け取る、特に該側方表面の残りの部分よりも少ない光を受け取る、領域内に設けられる。その目的の為に、特には該ケージ20の内部が該カバー24を通して光を受け取る場合、該ケージは、該光が該産卵穴54を直接照らすのを阻止する障害物58を備えている。この障害物58は、例えば、一方の側において該ケージ内側で開き、反対側で該産卵穴54に向かって開く、キャップ又はスリーブによって構成されうる。該スリーブの形状は、制限されず、例えば管状でありうる。該スリーブは、直線状であることもそうでないこともあり得、特にはバッフルを有しうる。本発明者等は、直接照らされることを防止する為の該産卵穴54の保護は、該産卵穴を通した産卵を効果的に促進することを発見した。
【0107】
発臭源
一つの好ましい実施態様において、該産卵装置は、該ハエを引き寄せる臭い、好ましくは腐敗臭、を発生させる発臭源62を更に備えている。
【0108】
該発臭源62の形態は、制限がない。好ましくは、該発臭源62は乾燥している。それは特に、固体のブロック又は粉体の形態でありうる。一つの実施態様において、該発臭源62は湿っており、例えば発臭液に浸されたウィックによって構成される。
【0109】
該発臭源62は、該ケージ内に存在するハエを該産卵穴54の方へ引き寄せるように配置されている。好ましくは、該発臭源62は、該ハエにとって、該臭いが該産卵穴54から来るように、該産卵穴54の該外部開口56の側に配置される。
【0110】
特に好ましい実施態様において、該発臭源62は、該産卵床50の、該産卵ゾーン52と反対の側に配置される。より好ましくは、該産卵床50は、該発臭源62によって発された該臭いが該産卵穴54に向かって通過することを可能にする、1つの、又は好ましくは幾つかの、通路64が穿孔される。好ましくは、いずれの通路64も、該ハエの卵の通過を阻止するように形成される。該通路64の断面の相当直径は、好ましくは3mm未満、好ましくは2mm未満及び/又は好ましくは0.5mm超である。
【0111】
少なくとも1つの通路64は好ましくは、該産卵穴54の近くに、好ましくは該産卵穴54から30mm未満、好ましくは20mm未満、好ましくは10mm未満、のところに配置される。好ましくは、少なくとも1つの通路64は、任意の産卵穴54から、20mm未満、好ましくは10mm未満、のところに配置される。
【0112】
該ケージ20は好ましくは、複数の産卵穴、好ましくは10個超の、好ましくは50個超の、好ましくは100個超の、産卵穴54、を有する。それにより、産卵穴54をふさぐリスクが制限される。好ましくは、該ケージは、10,000個未満、好ましくは5000個未満、好ましくは1000個未満の、産卵穴を有する。
【0113】
2つの隣り合う産卵穴54の間の間隔は、好ましくは1mm超、好ましくは2mm超、及び/又は好ましくは10mm未満である。本発明者等は、そのような該産卵穴の分散は、寸法と効率との間の良好な折り合いをもたらすことを発見した。
【0114】
好ましくは、1以上の該産卵穴は、好ましくは取り外し可能である、すなわち脱着可能である、産卵板66に配置される。好ましくは平面である、該産卵板66は、特には、実質的に円形の産卵穴によって穿孔された格子の形態でありうる。
【0115】
より好ましくは、該産卵板66は、該産卵床50と平行に、好ましくはそれと接触せずに、延在している。好ましくは、該産卵穴54の該軸Yに沿って測定されたときの該産卵板66と該産卵床との間の最小の間隔δは、0.1mm超、及び/又は5mm未満である。
【0116】
該産卵板66は好ましくは、変形しないのに十分な剛性がある。有利に、それにより、該産卵穴54の該外部開口と対応する産卵ゾーン52との間の間隔が、時間と共に一定になり、好ましくは、どの該産卵穴が検討されても一定である。該異なる産卵ゾーン間の卵の分散が、有利により均一となる。好ましくは、この間隔dは、どの該産卵穴が検討されても、3mm超、好ましくは5mm超、好ましくは8mm超、及び/又は好ましくは20mm未満、好ましくは15mm未満、好ましくは10mm未満、である。
【0117】
該産卵板66の厚さが、該産卵穴の該長さL54を定める。それは好ましくは一定であり、好ましくは0.1mm超、好ましくは0.3mm超、好ましくは0.5mm超、好ましくは1mm超、及び/又は好ましくは3mm未満、好ましくは2.5mm未満、好ましくは2mm未満、である。
【0118】
好ましくは、該間隔(d+L54)は、4.5mm超、好ましくは6.5mm超、好ましくは9.5mm超、及び/又は好ましくは21.5mm未満、好ましくは16.5mm未満、好ましくは11.5mm未満、である。
【0119】
該産卵板66は好ましくは、プラスチック材料又は金属から、好ましくはステンレス鋼から、なる。
【0120】
該産卵床の産卵ゾーンは、各産卵穴に対応付けられている。一つの好ましい実施態様において、全ての該産卵ゾーン52が、一つの同じ単体構造の産卵床によって画定される。該産卵床50は、特に、該産卵板66と平行に延びうる。該産卵板に対して直角に観察されたとき、それは、図5に示されているように、該使用位置において該産卵板66と位置が合った状態で延びるように、該産卵板66の輪郭と実質的に同一の外部輪郭を有しうる。
【0121】
該産卵床50は、図4に示されているように、縦方向に延びうる。しかしながら、縦方向の向きは制限がない。特に、図示されない一つの実施態様において、該産卵床50は水平方向に延びうる。
【0122】
該産卵床50は好ましくは、該ケージに固定されている。有利には、特に垂直飼育場を構成する為に、該産卵装置がより容易に操作可能となる。該産卵床50は、任意の手段によって該ケージ20に固定されうる。
【0123】
一つの好ましい実施態様において、該産卵床50及び該産卵板66は、管状支持体68、例えば、例えばPVC製の、管、の中に配置され、該管状支持体68は、100mm超である内側直径を有し、該容器22を、好ましくは該側方壁28を、貫通して延在している。それらは好ましくは、該管状支持体68の軸Zに対して実質的に直角に延び、より好ましくは、該管状支持体68を実質的に閉じるように、該管状支持体68の内側表面を実質的に補完する外部輪郭を有する。
【0124】
該管状支持体68は好ましくは、該ケージ20の内側に、好ましくは、5cm超、好ましくは10cm超、及び/又は30cm未満、好ましくは20cm未満、の長さd58にわたり、突出している。よって、それは、該装置の空間要件を増すことなく、該容器の内部を照射する該光に対する障害物58を構成しうる。
【0125】
該装置は好ましくは、該ケージと反対の側で該管状支持体を閉じる為の栓69を備えている。
【0126】
液体源
該産卵装置13は好ましくは、液体源70、好ましくは水供給源、を備えており、これは、好ましくは重力の結果として、好ましくは該カバーを通じて、該ケージの内側に液体Liを導入できるように配置される。
【0127】
該液体源の形態は、制限がない。
【0128】
光源
本発明に従う産卵装置は好ましくは、光源80も備えており、これは好ましくは、該ケージに対して外部にあり、該ケージの該内部を光Luにさらすのに好適であり、好ましくは、1以上の該産卵穴54を直接照らさないようにするのに好適である。
【0129】
該光源の形態は、制限がない。
【0130】
動作
本発明に従う該産卵装置13の動作は、上の説明に直接従う。それは、該装置の好ましい非制限的な実施態様に記載されている。
【0131】
最初に、ハエを全く収容しておらず、好ましくは加えて他の物体も収容していない、該ケージ20が、該側方壁28の該上縁34の全長にわたって該柔軟なカバー24を取り付けることによって閉じられる。該産卵床50が、該管状支持体68内で該産卵板66の外部に固定され、該産卵板66はそれ自体、該管状支持体68内に固定される。該発臭源62が、該管状支持体内で、該産卵床の、該産卵ゾーン52と反対の側に配置される。次に、該管状支持体68が、該ケージの反対側で該栓69によって閉じられ、この側からの臭いの拡散を防止する。
【0132】
次に、該接続穴29が、例えば柔軟パイプを用いて、図示されないハエの供給源に接続される。
【0133】
よって、該接続穴29が開かれた後、該接続穴29を介して、ハエMが該ケージ20内に導入される。次に、該接続穴29が閉じられて、該ハエを該ケージ内に封入する。該パイプは取り外されることができる。
【0134】
該ケージ20の寸法は、該ハエが飛び、交尾することを可能にする。特に、雌のハエと雄のハエが交尾の準備をするとき、それらは一緒に該底部表面30上に落下する。該側方壁の制限された高さは、この落下が過度に激しくなるのを防ぐ。
【0135】
少なくとも卵が産卵されるまで、該液体源70によって生成される栄養液、好ましくは水、が該ケージ20に導入される。導入される液体の量は、該容器22の底に液体が蓄積するのを防ぐように制御される。
【0136】
該光源80は、該カバー24の該格子42を通して該ケージの内部を照明する。該管状支持体68は、該産卵穴を、該光源80による直接の照明から保護する。
【0137】
卵を産む準備ができると、該雌のハエは、卵をそこに産み付ける為に凹入縁端によって画定される微小空洞を探す。しかしながら、該容器22の該内側表面は滑らかであり、その向きは、該側方壁の面と面の間の該接合ゾーン35内、及び該側方壁と該底部壁との間の該接合ゾーン36内を含めて、漸進的に変化する。それは、そのような凹入縁端を備えていないか、又はごく少ない量だけそれを備えている。
【0138】
更に、該発臭源62が臭いを発し、それが、該産卵穴54を介して該ケージ20内に導入されるように、該通路64を介して該産卵床50を通過し、次に、該側方壁、この例においては該産卵板66、を通過する。この臭いが、該雌のハエを引き寄せる。
【0139】
更に、該雌のハエは、最も光の当たらない該微小空洞を探し、それ故に、該光源80が該ケージ20の上方にある場合に該管状支持体68によって作り出される陰になったゾーンに引き寄せられる。それ故に、該雌のハエは、卵を産もうとする時に、引き寄せる臭い及び該陰の両方によって該産卵穴の方へ引き寄せられる。
【0140】
ハエMが産卵穴54の近くの場所に到達すると、それは、該産卵穴54を通して、該陰の中にある微小空洞を有し、そこから該引き寄せる臭いが来るように思われる、産卵ゾーン52の存在を認めることができる。それ故に、該ハエは、その場所に卵を産み付けることを強力に促される。
【0141】
その目的の為に、図4に示されているように、該ハエは産卵管を該産卵穴54内に導入する。該産卵穴54は、該ハエが該ケージから出るのを阻止するのに十分に狭い。しかしながら、それは、該ハエがその場所に卵Oを産み付ける為に該産卵ゾーン52に到達することを可能にする。
【0142】
その後、該ハエは該ケージ20に戻る。
【0143】
任意の時に、作業者は、該ケージ20に入る必要なしに、及びハエが該ケージから出ることができるリスクなしに、該産卵床50に接近することができる。それ故に、該作業者は、例えば、該管状支持体の該産卵床を取り外してからそれを振ることにより、該ケージ内部の該ハエの生活を邪魔することなく、該卵を取り出す。次に、該作業者は、幼虫の孵化、次に、それらの飼育を保証する為に、該卵を培養状態に置くことができる。最後に、該作業者は、求められる製品を得る為に、成熟幼虫を加工することができる。
【0144】
これで明らかになるように、本発明は、ハエを使用する昆虫養殖の方法の為に非常に好適な産卵装置を提供する。
【0145】
該卵は、該ケージ内の該ハエを邪魔することなく、任意の時に単純な方式で取り出されることができる。該ケージの形態、特に該凹入縁端の長さの制限、が、望ましくない卵の集団を制限し、それ故に、該産卵装置を管理することをより容易にする。
【0146】
試験は、同じ群からのハエ同士が交尾し、ほぼ同時に卵を産むことを示しており、それが生産性を向上させる。
【0147】
当然ながら、本発明は、説明され、図示されている、説明の目的でのみ提供される、実施態様に制限されない。特に、該BSFハエが、本発明に優先的に関係するハエであるが、本発明はこのハエに制限されない。
【0148】
産卵床の形態及び数、該産卵床を該ケージに柔軟に接合する為に使用される該支持体の形態、該産卵穴の数及び形態は、制限がない。
図1
図2
図3
図3bis
図4
図5
【国際調査報告】