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特表2023-502712抗PD-1/IL-15免疫サイトカインによる新しいPD-1標的免疫療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】抗PD-1/IL-15免疫サイトカインによる新しいPD-1標的免疫療法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/19 20060101AFI20230118BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 14/715 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
C12N15/19
C07K19/00 ZNA
C07K14/54
C07K14/715
C07K16/00
C07K14/52
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P43/00 107
A61P35/00
A61P31/00
A61K38/19
A61K39/00 A
A61K39/395 L
A61K39/395 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529606
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2020082892
(87)【国際公開番号】W WO2021099576
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】19306499.5
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】513246469
【氏名又は名称】インサーム(インスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル)
【氏名又は名称原語表記】INSERM(INSTITUT NATIONAL DELA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE)
(71)【出願人】
【識別番号】507240336
【氏名又は名称】アシスターンス・ピュブリック-オピトー・ドゥ・パリ
(71)【出願人】
【識別番号】518322621
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・エ・クレテイユ・ヴァル・ドゥ・マルヌ
(71)【出願人】
【識別番号】509004712
【氏名又は名称】ベイラー リサーチ インスティテュート
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
(71)【出願人】
【識別番号】517036884
【氏名又は名称】マブクエスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】MabQuest SA
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ,イヴ
(72)【発明者】
【氏名】パンタレオ,ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】フェンウィック,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ズラウスキ,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ズラウスキ,ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】セディキ,ナビラ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA87X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA07
4C084DA01
4C084NA14
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB221
4C084ZB222
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB321
4C084ZB322
4C085AA03
4C085AA25
4C085BA01
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB42
4C085CC01
4C085CC08
4C085CC21
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA50
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明者らは、新しいIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質を本明細書で提示する。さらに、本発明者らは、抗PD-1治療の補うものとして、免疫活性化プロセスにおける複数のステップを同時に標的とすることができる一連の抗PD-1/IL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)免疫サイトカインを開発した。上述の免疫サイトカインの開発により、個々に投与される抗PD-1抗体とIL-15とに関連する潜在的な利益にいくつかの特定の利点を与える。これらは、IL-15治療に対する、in vivoの半減期の有意な延長、IL-15Rαトランス提示の必要性をなくし得る、予備形成したIL-15/IL-15Rα複合体の投与、低い標的治療用量につながる高活性、及びオフターゲット有害事象を制限し得る、高PD-1細胞を有する領域へのIL-15の標的化送達を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むIL15-Rαsushi含有ポリペプチド、(ii)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するリンカー、及び(iii)配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチド、を含むIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質。
【請求項2】
配列番号4に示すアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質。
【請求項3】
請求項1に記載のIL-15/IL-15受容体α融合タンパク質と融合させた抗体の重鎖。
【請求項4】
リンカーを介して前記IL-15/IL-15受容体α融合タンパク質と融合させた請求項3に記載の重鎖。
【請求項5】
前記リンカーは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の重鎖。
【請求項6】
前記リンカーは、配列番号6に示すアミノ酸配列からなる、請求項5に記載の重鎖。
【請求項7】
PD-1への特異性を有する抗体由来である請求項3に記載の重鎖。
【請求項8】
配列番号7、8、又は9に示すVHドメインを含む、請求項7に記載の重鎖。
【請求項9】
IgG4免疫グロブリンのIgG Fc領域を含む、請求項7に記載の重鎖。
【請求項10】
配列番号10、11、又は12に示すアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の重鎖。
【請求項11】
配列番号13、14、又は15に示すアミノ酸配列からなる、請求項7に記載の重鎖。
【請求項12】
請求項1に記載のIL-15/IL-15受容体α融合タンパク質と融合させた抗体の重鎖を含む免疫サイトカイン。
【請求項13】
PD-1に特異性を有する請求項12に記載の免疫サイトカイン。
【請求項14】
配列番号13、14、又は15に示すアミノ酸配列からなる重鎖を含む、請求項12に記載の免疫サイトカイン。
【請求項15】
配列番号13に示す重鎖及び配列番号16に示す軽鎖を含む、請求項12に記載の免疫サイトカイン。
【請求項16】
配列番号14に示す重鎖及び配列番号17に示す軽鎖を含む、請求項12に記載の免疫サイトカイン。
【請求項17】
配列番号15に示す重鎖及び配列番号18に示す軽鎖を含む、請求項12に記載の免疫サイトカイン。
【請求項18】
請求項1に記載のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項19】
請求項1に記載のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質と融合させた抗体の重鎖をコードする核酸。
【請求項20】
配列番号19又は20に示す核酸配列を含む、請求項19に記載の核酸。
【請求項21】
請求項12に記載の免疫サイトカインをコードする核酸。
【請求項22】
請求項18、19、又は21に記載の核酸を含むベクター。
【請求項23】
請求項18、19、又は21に記載の核酸によって遺伝子導入した、感染させた、又は形質転換した宿主細胞。
【請求項24】
薬剤としての使用のための請求項1に記載のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質。
【請求項25】
薬剤としての使用のための請求項12に記載の免疫サイトカイン。
【請求項26】
治療を必要とする対象における治療の方法であって、治療有効量の請求項13に記載の少なくとも1つの抗PD-1免疫サイトカインを前記対象に投与することを含み、前記投与は前記対象におけるT細胞の増殖性、遊走性、残留性、及び/又は活性を増強させる、方法。
【請求項27】
T細胞疲弊の低減を必要とする対象におけるT細胞疲弊を低減する方法であって、治療有効量の請求項13に記載の少なくとも1つの抗PD-1免疫サイトカインを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項28】
処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、治療有効量の請求項13に記載の抗PD-1免疫サイトカインを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項29】
処置を必要とする対象における感染疾患を処置する方法であって、治療有効量の請求項13に記載の抗PD-1免疫サイトカインを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記感染疾患は、レトロウイルス、ポックスウイルスなど、動物、ヒト、及び植物に感染する単鎖又は二本鎖のRNA及びDNAウイルス、免疫不全ウイルス(HIV)感染、エコーウイルス感染、パルボウイルス感染、風疹ウイルス感染、パピローマウイルス、先天性風疹感染、エプスタイン・バーウイルス感染、流行性耳下腺炎、アデノウイルス、AIDS、水疱、サイトメガロウイルス、デング熱、ネコ白血病、家禽ペスト、A型肝炎、B型肝炎、HSV-1、HSV-2、ブタコレラ、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、日本脳炎、麻疹、パラインフルエンザ、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、いぼ、及び黄熱、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えばHSV-I、HSV-II、CMV、若しくはVZV)、ポックスウイルス(例えば痘そう若しくはワクシニアなどのオルソポックスウイルス、若しくは伝染性軟属腫)、ピコルナウイルス(例えばライノウイルス若しくはエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えばパラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えばSARS)、パポーバウイルス(例えば、性器いぼ、尋常性いぼ、若しくは足底いぼを引き起こすものなどのパピローマウイルス)、ヘパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えばC型肝炎ウイルス若しくはデング熱ウイルス)、又はレトロウイルス(例えばHIVなどのレンチウイルス)によって引き起こされるウイルス感染である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
抗原又は複数の抗原に対するB細胞及び/又はT細胞応答の誘発及び/又は増強を必要とする対象における、抗原又は複数の抗原に対するB細胞及び/又はT細胞応答を誘発及び/又は増強する方法であって、前記抗原又は複数の抗原と組み合わせて治療有効量の請求項13に記載の抗PD-1免疫サイトカインを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項32】
前記抗原又は複数の抗原は、DC標的抗体、特に抗CD40抗体にコンジュゲートされる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
薬学的に許容される担体と共に請求項1に記載のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質を含む、医薬。
【請求項34】
薬学的に許容される担体と共に請求項12に記載の免疫サイトカイン(例えば抗PD-1免疫サイトカイン)を含む、医薬。
【請求項35】
請求項13に記載の抗PD-1免疫サイトカインを含む、ワクチン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学、特に免疫学、腫瘍学、及びウイルス学の分野のものである。
【背景技術】
【0002】
PD-1を標的とする抗体は、腫瘍学においてゴールドスタンダードの免疫療法の方針であり、様々な形態のがんに対してより有効な及び/又はより広範に適用可能な組合せ治療を特定するため、数百の臨床試験が進行中である。治療は、3つの特定の免疫増強ステップで抗腫瘍効果に寄与することができる。それらは、一般に、(1)十分な数及び多様性の腫瘍刺激T細胞を活性化すること、(2)腫瘍への適切な輸送及び腫瘍の透過を確保すること、並びに(3)腫瘍特異的T細胞応答の阻害を抑止することである。免疫媒介抗腫瘍応答における様々な律速ステップを標的とする治療の組合せが、相乗治療効果を有すると予測される。この仮説は、抗原提示細胞を介してT細胞プライミングを増強させるCTLA-4遮断を介して作用するイピリムマブによって腫瘍特異性CD8T細胞の機能的疲弊を軽減するため、OpdivoとPD-1治療とを組み合せた試験において確認された。いくつかの形態のがんにおいて治療上の利益が観察されているが、患者はまた、この免疫療法の組合せの使用を制限する有害事象の少なからぬ増加に直面することとなる。ゆえに、免疫療法の組合せは、抗腫瘍免疫応答の増強において重大な可能性を有するが、これらの組合せの安全性が大きく配慮される。
【0003】
治療ワクチン及び免疫調節剤が、HIV-1特異的細胞媒介免疫応答を増強するとともにウイルス複製を抑えるため、一般に使用されている。前者は、HIV-1特異的T細胞応答の刺激に重要である一方、後者は、刺激されたウイルス特異性T細胞の増殖を支援し、ウイルスクリアランスのため、これらをより細胞傷害性にさせ得る。がんの分野におけるPD-1を標的とする免疫療法の近年の成功は、増強された免疫応答がウイルス複製をより効果的に制御することができるように強力な組合せ治療法を開発するための科学的ベースをもたらすものである。
【0004】
特許文献1は、抗PD-1治療と比較して複数の別個の方策によって腫瘍クリアランスを促進することができる、IL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質を公開している。これらには、NK細胞の活性化及び増殖誘導、抗原特異的CD8T細胞の増殖誘導、CD8T細胞の細胞溶解活性増強、並びに長期持続性抗原経験CD8CD44hiメモリーT細胞の誘導を含む。さらなる利益は、IL-2と対照的に、IL-15は、腫瘍特異性CTLの増殖において抑制性作用を及ぼすTregの増殖を誘導しないということである。上述のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質と組み合わせた抗PD-1Abの使用の裏付けは、マウスのin vivo腫瘍モデルを使用して示されており、組合せ治療で処置した動物では、単独で投与したいずれの単剤治療に対しても腫瘍増殖速度が有意に低下し、生存期間が延長した(Desbois,Meanie,et al.“IL-15 trans-signaling with the superagonist RLI promotes effector/memory CD8T cell responses and enhances antitumor activity of PD-1 antagonists.” The Journal of Immunology 197.1(2016):168-178.)。この相乗作用と関連する機序は、部分的に、抗原特異的刺激、細胞増殖、及び細胞生存を促進するT細胞シグナリング経路の免疫増強によるものである。これらの利益にもかかわらず、IL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質の使用は、いくつかの制限のためクリニックにおける使用がごく限られている。これらは、(1)高いCmax値をもたらすin vivoでの短い半減期(1時間未満、Stoklasek et al.2006)、(2)、血管漏出症候群を含む有害事象による低用量制限毒性、(3)腫瘍微小環境において多くの場合にダウンレギュレートされるIL-15Rαトランス提示の必要性、(4)単剤治療として使用する場合、自己制限性免疫応答をもたらす、T細胞におけるPD-1の急速なアップレギュレート、並びに(5)使用する高治療用量による、重篤だが可逆的な好中球減少症を含む。
【0005】
特許文献2は、(a)コンジュゲート及び(b)該コンジュゲートに共有原子価により直接的又は非直接的に結合した抗体又はそのフラグメントを含み、該コンジュゲートが、(i)インターロイキン15又はその誘導体のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及びIL-15Rαのsushiドメイン又はその誘導体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、免疫サイトカインを公開している。しかしながら、先行技術では、抗PD-1/IL-15免疫サイトカインを開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/046006号
【特許文献2】国際公開第2012/175222号
【発明の概要】
【0007】
特許請求の範囲によって規定されるように、本発明は、新しいIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質、該融合タンパク質を含む免疫サイトカイン、並びにがん及びウイルス感染の処置のための該免疫サイトカインの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、機能的活性及びin vivoの薬物動態特性についてプロファイリングした抗PD-1/IL-15/Rα免疫サイトカイン設計を示す。免疫サイトカインは、(A)PD-1を標的とする1つのアーム、及びIL-15及びIL-15受容体αsushiドメインを送達する第2のアームを含む、ノブ・イントゥ・ホール(knob-into-hole)二重特異性設計(IC:K-in-H)、(B)N末端のコヘシンドメインを介してIL-15/Rα融合部と密に結合するC末端のドックリン融合部を含む、抗PD-1抗体(IC:Doc/Coh)、並びに(C)可動性ループを介して結合したIL-15及びL-15RαのC末端融合部を含む、抗PD-1抗体(IC:Fusion)からなる。
図2図2は、抗PD-1/IL-15/Rα免疫サイトカインが、Keytrudaに対して疲弊CD8T細胞増殖の回復を増強させることを示す。HIV由来ペプチドでの刺激後、HIV特異的CD8T細胞の増殖の回復を示す。複数のCFSE実験の結果では、各研究においてポジティブコントロール基準として使用したKeytrudaに対して示した増殖増強を提示した。
図3図3は、従来の遮断(Keytruda)抗PD-1抗体又は非遮断(135C H1cL1c)抗PD-1抗体のいずれかと直接的に融合させたIL-15/IL-15Rα免疫サイトカインの比較を示す。HIV由来ペプチドでの刺激後、HIV特異的CD8T細胞の増殖の回復を示す。
図4図4は、Keytruda又は抗PD-1/IL-15/Rα免疫サイトカインの存在下で刺激した細胞において観察される抗原特異的CD8T細胞増殖を示す。ウイルス血症HIVドナーのPBMCを、HIV抗原ペプチドで刺激し、6日間培養させた後、五量体MHC-ペプチド複合体で細胞を染色した。
図5図5は、様々な抗PD-1/IL-15/Rα免疫サイトカインと比較した抗PD-1抗体Keytrudaの薬物動態学的プロファイルを示す。全ヒトIgG抗体を、Keytruda試料において測定し、IL-15結合ヒトIgG抗体を免疫サイトカインに対してモニタリングした。
図6図6は実験設計を示す。ワクチン接種の16週後のcART患者のPBMC(試料n=15)を、αPD1、IL-15/IL-15Rα、aPD1+IL-15/IL-15Rα、又はIL-15/IL-15Rαと融合させたαPD1(融合体)の存在下又は非存在下においてGag-P24ペプチドプールで刺激した。44時間の刺激の後、CD4OX40CD25Foxp3CD39特異的Treg及びCD4OX40CD25Foxp3CD39特異的エフェクターを示すため、細胞を採取して染色してからフローサイトメトリーによって分析した。同時に、6日のin vitro刺激の後、CD8五量体HIV-1特異的細胞増殖及びサイトカイン産生を評価した。
図7図7は、CD4HIV-1特異的応答を示す。ワクチン接種の16週後のcART患者のPBMC(試料n=15)を、図2において説明した免疫サイトカインの存在下又は非存在下においてGag-P24ペプチドプールで刺激した。44時間の刺激の後、CD4OX40CD25Foxp3CD39特異的Treg及びCD4OX40CD25Foxp3CD39特異的エフェクターを示すため、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。
図8図8は、CD8特異的応答を示す。Dalia1試料のPBMC(n=5だが、3つのみを示す)を、CFSE標識し、in vitroにおいてGag-P24ペプチドプールで刺激し、αPD1単独又はα-PD1_IL-15/IL-15Rα融合体のいずれかの存在下(又は非存在下)で培養した。フローサイトメトリー染色は、CD8五量体特異的細胞(A)、増殖(B)、及びサイトカイン産生(C)に対するゲート方法を示す。
図9図9は、in vitroの抗CD40.HIV5pep-DCワクチンの実験設計を示す。cART患者のPBMC(病態生理学的(Physioph)コホート、Hopital Henri-Mondor Creteil)を使用した。試料(n=10)を、Dalia1試験に行ったように(図1)、CD14単球単離に使用し(Miltenyiビーズ)、分化、成熟、活性化させ、抗CD40.HIV5pep(DC-ワクチン)をロードした。α-PD1_IL-15/IL-15Rα融合体の存在下(又は非存在下)において、44時間の間、Gag-P24ペプチドプールで刺激した、又は抗CD40.HIV5pepと共培養したPBMCを使用して実験を行った。上述で適用したようなCD4OX40CD25エフェクター及びTregに対するゲート方法を使用した。
図10図10は、CD4HIV特異的応答を示す。図9(上述)のリードアウト実験はTeff及びTreg特異的細胞の存在比率を示す。α-PD1_IL-15/IL-15Rα融合体の存在下(又は非存在下)において、44時間の間、PBMCを、Gag-P24ペプチドプールで刺激した、又は抗CD40.HIV5pepと共培養した。図5で示したようなCD4OX40CD25エフェクター及びTregに対するゲート方法を適用した。
図11図11は、CD4及びCD8HIV-1特異的応答を示す。図9(上述)のリードアウト実験はエフェクターCD4及びCD8T細胞のサイトカイン産生を示す。44時間(OX40アッセイ)終了の6時間前に、細胞内サイトカイン分泌を遮断するため、ブレフェルジンAを添加した。IL-2/TNFα/IFNγの染色を行って、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。青色のヒストグラムは、α-PD1_IL-15/IL-15Rα融合体をPBMC/抗CD40.HIV5pep-DC共培養物に添加したときのサイトカイン産生の増加を示す。
図12図12は、in vivoのPD-1 HuGEMM Panc02腫瘍モデルにおける腫瘍増殖の免疫療法誘導抑制を示す。PD-1 huGEMMマウスに、Panc02腫瘍細胞を移植し、平均腫瘍体積が100mmに達した際、PBS又は示す4つの免疫療法のうちの1つで週2回処置した。各グループに割り当てた10匹のマウスは、週2回腫瘍体積についてモニタリングし、治療における日数に対する平均体積を示す。
図13図13では、NB01/IL-15/IL-15Rα免疫サイトカインが免疫療法開始後の7日目~24日目にPanc02腫瘍増殖における有意な抑制を示す。様々な治療の抗腫瘍効果を、研究開始後の7日目~24日目に曲線下面積(AUC)を計算することによって評価した。ノンパラメトリックマン・ホイットニー検定を使用して、PBSコントロールと個々の治療との間の統計的差を判定した。GraphPad Prism8.3.0を用いて分析を行った。
図14図14は、NB01/IL-15/IL-15Rα免疫サイトカイン治療がPanc02移植PD-1 HuGEMMマウスの生存を延長することを示す。Panc02移植マウスの治療開始後の経時におけるマウス生存のパーセンテージを、カプラン・マイヤー生存曲線分析によって評価した。log順位検定により、NB01/IL-15/IL-15Rα免疫サイトカイン単剤治療及びKeytruda+IL-15/IL-15Rα ALT-803スーパーアゴニスト二剤治療の両方がマウスの生存時間を増加させることを裏付けた。一方で、単独のKeytruda単剤治療も、Keytruda/IL-15/IL-15Rα免疫サイトカイン単剤治療も、Panc02移植マウスの生存を有意に延長させなかった。GraphPad Prism8.3.0を用いて分析を行った。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、新しいIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質をここで提示する。さらに、本発明者らは、抗PD-1治療を補うものとして、免疫活性化プロセスにおける複数のステップを同時に標的とすることができる一連の抗PD-1/IL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)免疫サイトカインを開発した。上述の免疫サイトカインの開発により、個々に投与される抗PD-1抗体とIL-15とに関連する潜在的な利益にいくつかの特定の利点を与える。これらは、IL-15治療に対する、in vivoの半減期の有意な延長、IL-15Rαトランス提示の必要性をなくし得る、予備形成したIL-15/IL-15Rα複合体の投与、低い標的治療用量につながる高活性、及びオフターゲット有害事象を制限し得る、高PD-1細胞を有する領域へのIL-15の標的化送達を含む。
【0010】
最も重要な点として、本発明のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質は、リンカーの特性において特許文献1に記載の融合タンパク質と異なる。本発明のリンカー配列(「フレックス(Flex)配列」)は、特許文献1の教示によって提示される特徴を考慮していない。実際に、特許文献1は、リンカー配列が、機能性タンパク質ドメインとの相互作用を促進するため、最小の疎水性又は荷電性を有し、好ましくは、グリシン(G)、アスパラギン(N)、及びセリン(S)を含むことを教示している。本発明者らは、ここで、主に疎水性(アラニンA、バリンV、プロリンP、及びロイシンLなど)又は荷電(アスパラギン酸D及びグルタミン酸E)アミノ酸によって構成され、しかしながらグリシン(G)、アスパラギン(N)、及びセリン(S)を含まない本発明のリンカーが、機能性融合タンパク質の取得につながることを、驚いたことに示している。
【0011】
(主な定義)
本明細書において使用するように、「PD-1」という用語は当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、プログラム細胞死タンパク質1(CD279としても知られる)を指す。PD-1は、そのリガンドPD-L1又はPD-L2の一方と結合すると、Shp2にCD28の脱リン酸化をさせることができるとともに、T細胞の活性化を阻害する、免疫チェックポイントとして作用する。
【0012】
本明細書において使用するように、「CD40」という用語は当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、ヒトCD40ポリペプチド受容体を指す。一部の実施形態において、CD40は、UniProtKB-P25942によって報告されているようなヒト標準配列のアイソフォーム(ヒトTNR5とも呼ばれる)である。
【0013】
本明細書において使用するように、「インターロイキン15」という用語は当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、IL-2と構造類似性を有するサイトカインを指す(GRABSTEIN et al.,Science,vol.264(5161),p:965-968,1994)。また、このサイトカインは、IL-15、IL15、又はMGC9721としても知られている。このサイトカイン及びIL-2は多くの生物学的活性を共有しており、共通のヘマトポエチン受容体サブユニットを結合することが分かった。したがって、これらは、同じ受容体に対して競合し、互いの活性の負の調節をし得る。IL-15がT細胞及びナチュラルキラー細胞の活性化及び増殖を調節すること、並びにCD8メモリーT細胞の数がこのサイトカインとIL2との間の平衡により制御されることが示されていることが証明されている。IL-15活性は、kit225細胞株におけるその増殖誘導を判定することにより測定することができる(HORI et al.,Blood、vol.70(4),p:1069-72、1987)。
【0014】
本明細書において使用するように、「IL-15Rαのsushiドメイン」という用語は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、IL-15Rαのシグナルペプチド後の第1のシステイン残基(C1)で開始し、該シグナルペプチド後の第4のシステイン残基(C4)で終了するドメインを指す。IL-15Rαの細胞外領域の一部に対応する上述のsushiドメインは、IL-15とのその結合に必要である(WEI et al.,J Immunol.,vol.167(1),p:277-282,2001)。
【0015】
本明細書において使用するように、「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、ペプチド結合により共有結合したアミノ酸残基から構成される化合物を指す。ポリペプチドは、特定の長さに限定されず、少なくとも2個のアミノ酸を含む必要があり、ポリペプチド配列を構成することができるアミノ酸の最大数に制限は設けられない。ペプチド、オリゴペプチド、及びタンパク質はポリペプチドの定義内に含まれ、そうした用語は、特にその他に示さない限り本明細書において互換的に使用することができる。本明細書において使用するように、上述の用語は、当該技術分野において一般に、例えばペプチド、オリゴペプチド、及びオリゴマーとも呼ばれる短鎖、並びに当該技術分野において一般にタンパク質と呼ばれ、多くの種類が存在するより長い鎖の両方を指す。一実施形態において、本明細書において使用するように、「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって共に連結され、好ましくは、約50個未満のアミノ酸残基の鎖長を有するアミノ酸の直鎖状重合体を指す。「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって共に連結された、少なくとも50個のアミノ酸の直鎖状重合体を指す。タンパク質は、任意でグリコシル化された、1つ以上のペプチド又はポリペプチド、及び任意で非ポリペプチド補因子から形成された、機能性実体を具体的に指す。また、この用語は、天然のもの、非天然のものを含め、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、並びに当該技術分野で知られるその他の修飾を除外する。ポリペプチドはタンパク質全体又はその部分配列とすることができる。「ポリペプチド」は、例えば、とりわけ、生物学的に活性のフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異形、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質を含む。ポリペプチドは、天然のペプチド、組換えペプチド、又はその組合せを含む。本発明の文脈において目的とする特定のポリペプチドは、CDRを含み抗原と結合することができるアミノ酸部分配列である。
【0016】
本明細書において使用するように、「融合タンパク質」という用語は、遺伝子融合によって、例えば、別個のタンパク質の別々の機能性ドメインをコードする少なくとも2つの遺伝子フラグメントの遺伝子融合によって得られる又は得ることができる、少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む組換えタンパク質を指す。したがって、「融合タンパク質」という用語は、2つのポリペプチドが直接的に又はリンカーを介して融合したコンストラクトを指す。本明細書において使用するように、「直接的に」という用語は、第1のポリペプチドの末端(N末端又はC末端)における(最初又は最後の)アミノ酸が、第2のポリペプチドの末端(N末端又はC末端)における(最初又は最後の)アミノ酸に融合していることを意味する。言い換えれば、この実施形態では、上述のポリペプチドのC末端の最後のアミノ酸は、上述の異種ポリペプチドのN末端の最初のアミノ酸に共有結合によって直接的に連結されているか、又は、該ポリペプチドのN末端の最初のアミノ酸は、該異種ポリペプチドのC末端の最後のアミノ酸に共有結合によって直接的に連結されている。
【0017】
本明細書において使用するように、「リンカー」という用語は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、タンパク質の適切な二次及び三次構造の形成確保に十分な長さのアミノ酸配列を指す。一部の実施形態において、リンカーは、少なくとも1つだが、30個未満のアミノ酸を含むペプチド性リンカー、例えば、2~30個のアミノ酸、好ましくは10~30個のアミノ酸、より好ましくは15~30個のアミノ酸、なおより好ましくは19~27個のアミノ酸、最も好ましくは20~26個のアミノ酸のペプチド性リンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個のアミノ酸残基を有する。典型的に、リンカーは、化合物が適切なコンフォメーション(すなわち、IL-15Rβ/γシグナリング経路を介して適切なシグナル伝達活性を可能にするコンフォメーション)を採ることを可能にするものである。通常、最も適切なリンカー配列は、(1)可動性伸長コンフォメーションを採り得る、(2)融合タンパク質の機能性ドメインと相互作用し得る二次秩序構造を生じる傾向を示さない、及び(3)機能性タンパク質ドメインとの相互作用を促進し得る最小の疎水性又は荷電性を有し得る。
【0018】
本明細書において使用するように、「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、単鎖又は二本鎖の形態のいずれかにおける、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)などの、リン酸ジエステル結合によって共有結合したヌクレオチドの重合体を指す。具体的に限定しない限り、上述の用語は、基準の核酸と同様の結合特性を有するともに、自然起源のヌクレオチドと同様の方法において代謝される天然ヌクレオチドの既知の類似体を含む、核酸を包含する。典型的に、本発明の核酸はコドン最適化されている。本明細書において使用するように、「最適化」という用語は、生産細胞又は生物体、一般的には真核生物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)又はヒト細胞で好ましいコドンを用いてアミノ酸配列をコードするようにヌクレオチド配列が改変されたことを意味する。最適化ヌクレオチド配列は、出発ヌクレオチド配列によって最初にコードされるアミノ酸配列を完全に又は可能な限り保持するように操作される。また、最適化ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列は、最適化されていると呼ばれる。
【0019】
本明細書において使用するように、「コードする」という用語は、規定したヌクレオチド配列(例えばrRNA、tRNA、及びmRNA)又は規定したアミノ酸配列のいずれか、及びそれらから得られる生物学的特性を有する生物学的プロセスにおける他の重合体及び高分子を合成するためのテンプレートとして機能するための、例えば、遺伝子、cDNA、又はmRNAなどのポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの特定の配列における特有の特性を指す。したがって、遺伝子、cDNA、又はRNAは、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳が細胞又は他の生物学的システムにおいてタンパク質を作製する場合、タンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常配列表に示されるコード鎖と、遺伝子又はcDNAの転写のためのテンプレートとして使用される非コード鎖との両方を、タンパク質又は遺伝子若しくはcDNAの他の生成物をコードするとして指すことができる。その他に特定されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重タイプである、及び同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。また、「タンパク質をコードするヌクレオチド配列又はRNA」という表現は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がいくつかのタイプにおいてイントロンを含み得るという程度にイントロンを含むことができる。
【0020】
本明細書において使用するように、「ベクター」、「クローニングベクター」、及び「発現ベクター」という用語は、DNA又はRNA配列(例えば外来遺伝子)を宿主細胞に導入して、宿主を形質転換し、導入した配列の発現(例えば転写及び翻訳)を高めることができる媒体を意味する。
【0021】
本明細書において使用するように、「プロモーター/調節配列」という用語は、ポリヌクレオチド配列の特定の転写を開始するために必要とされ、それによってプロモーター/調節配列に作動可能に連結される遺伝子産物の発現を可能にする、細胞の合成機構によって認識される又は合成機構によって導入される核酸配列(例えばDNA配列)を指す。場合によっては、この配列はコアプロモーター配列とすることができ、他の場合には、この配列はまた、エンハンサー配列及び遺伝子産物の発現に必要とされる他の調節因子を含むことができる。プロモーター/調節因子は、例えば、組織特異的に遺伝子産物を発現するものとすることができる。
【0022】
本明細書において使用するように、「作動可能に連結される」又は「転写コントロール」という用語は、異種核酸配列の発現をもたらす、調節配列と異種核酸配列との機能性の連結を指す。例えば、第1の核酸配列は、該第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係で配置されるとき、第2の核酸配列に作動可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写又は発現に影響を与えるとき、プロモーターはコード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結されたDNA配列は互いに近接させることができ、例えば2つのタンパク質コード領域を結合する必要がある場合、同じリーディングフレームに存在する。
【0023】
本明細書において使用するように、「形質転換」という用語は、「外来性」(すなわち、外因性又は細胞外)遺伝子、DNA、又はRNA配列を宿主細胞に導入することにより、宿主細胞が、導入した遺伝子又は配列を発現して、所望の物質、典型的には、導入した遺伝子又は配列によりコードされるタンパク質又は酵素を生成することを意味する。導入したDNA又はRNAを受容して発現する宿主細胞は「形質転換」されている。
【0024】
本明細書において使用するように、「発現系」という用語は、例えば、ベクターに含まれ、宿主細胞に導入される外来性DNAによりコードされるタンパク質の発現のための、適切な条件下における宿主細胞及び適合するベクターを意味する。
【0025】
本明細書において使用するように、2配列間の「同一性パーセント」は、2配列の最適アラインメントのために導入される必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮したうえでの、配列が共有する同一位置の数の関数(すなわち、同一性%は、同一位置数/位置総数×100に等しい)である。2配列間における配列比較及び同一性パーセントの測定は、以下に記載するように、数学的アルゴリズムを使用してなすことができる。2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、ニードルマン・ウンシュアルゴリズム(NEEDLEMAN and Wunsch)を使用して測定することができる。また、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の同一性パーセントは、例えば、EMBOSS Needle(対のアラインメント、www.ebi.ac.ukから利用可能)などのアルゴリズムを使用して決定することができる。例えば、EMBOSS Needleは、BLOSUM62マトリックスを用いて、「ギャップオープンペナルティ」が10、「ギャップ伸長ペナルティ」が0.5、偽の「エンドギャップペナルティ」、「エンドキャップオープンペナルティ」が10、及び「エンドギャップ伸長ペナルティ」が0.5を使用してもよい。一般に、「パーセント同一性」は、一致する位置の数を、比較した位置の数で除算し、100を乗算した関数である。例えば、アラインメント後に10個のうちの6個の配列位置が2つの比較した配列間で同一である場合、同一性は60%である。同一性%は、典型的には、分析を行うクエリ配列に全長にわたって決定する。同じ一次アミノ酸配列又は核酸配列を有する2つの分子は、任意の化学的及び/又は生物学的修飾にかかわらず同一である。
【0026】
本発明において、第2のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する第1のアミノ酸配列は、第1の配列が、第2のアミノ酸配列と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の同一性を有するということを意味する。
【0027】
本明細書において使用するように、「抗体」という用語は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性の部分、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を指す。げっ歯動物及び霊長類の自然抗体において、2つの重鎖はジスルフィド結合により互いに結合し、それぞれの重鎖はジスルフィド結合により1つの軽鎖と結合している。ラムダ(1)とカッパ(k)の2つの種類の軽鎖がある。抗体分子の機能活性を決定する5つの主な重鎖のクラス(又はアイソタイプ)IgM、IgD、IgG、IgA及びIgEがある。それぞれの鎖は、別個の配列ドメインを含む。典型的なIgG抗体において、軽鎖は可変ドメイン(VL)と定常ドメイン(CL)との2つのドメインを含む。重鎖は、可変ドメイン(VH)及び3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3、これらをまとめてCHという)の4つのドメインを含む。軽鎖(VL)及び重鎖(VH)の両方の可変領域が、抗原に対する結合認識及び特異性を決定する。軽鎖(CL)及び重鎖(CH)の定常領域ドメインは、抗体鎖会合、分泌、経胎盤移動、補体結合、及びFc受容体(FcR)との結合などの重要な生物学的特性を与える。Fvフラグメントは、免疫グロブリンのFabフラグメントのN末端部であり、1つの軽鎖及び1つの重鎖の可変部分からなる。抗体の特異性は、抗体結合部位と抗原決定基との間の構造的相補性にある。抗体結合部位は、主に高頻度可変領域又は相補性決定領域(CDR)の残基で構成されている。ときとして、非高頻度可変領域又はフレームワーク領域(FR)の残基が、抗体結合部位に関与し得る、又は全ドメイン構造、つまり結合部位に影響し得る。相補性決定領域又はCDRは、共にネイティブ免疫グロブリン結合部位の自然Fv領域の結合親和性及び特異性を規定するアミノ酸配列を指す。免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖はそれぞれ、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、及びH-CDR1、H-CDR2、H-CDR3と呼ばれる3つのCDRを有する。ゆえに、抗原結合部位は、典型的に、重鎖及び軽鎖におけるV領域のそれぞれのCDRのセットを含む6つのCDRを含む。フレームワーク領域(FR)は、CDRの間に配置されたアミノ酸配列を指す。したがって、軽鎖及び重鎖の可変領域は、典型的に、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という配列の4つのフレームワーク領域と3つのCDRとを含む。抗体可変ドメインの残基は、従来より、Kabat等によって考案されたシステムに従って番号付けされている。このシステムは、Kabat等、1987、Sequences of Proteins of Immunological Interest、米国保健福祉省、NIH、米国(Kabat et al.、1992、以下「Kabat等」)に述べられている。Kabatの残基名称は、配列番号の配列におけるアミノ酸残基の線形の番号付けに常に直接対応しているわけではない。実際の線形のアミノ酸配列は、基本の可変ドメイン構造のフレームワーク領域であっても相補性決定領域(CDR)であっても、構造成分の短縮、又は構造成分への挿入に対応して、厳密なKabat番号付けよりも少ない又は多いアミノ酸を含み得る。残基の正しいKabat番号付けは、所定の抗体において、抗体の配列における相同性の残基を「標準的な」Kabat番号付けした配列とアライメントすることによって定めることができる。重鎖可変ドメインのCDRは、Kabat番号付けシステムに従うと、残基31~35(H-CDR1)、残基50~65(H-CDR2)、及び残基95~102(H-CDR3)に位置する。軽鎖可変ドメインのCDRは、Kabat番号付けシステムに従うと、残基24~34(L-CDR1)、残基50~56(L-CDR2)、及び残基89~97(L-CDR3)に位置する。以下に記載されるアゴニスト抗体では、CDRは、www.bioinf.org.ukのCDR発見アルゴリズムを使用して決定されている。抗体のページ内の「配列を見ることでどのようにしてCDRを同定するか(How to identify the CDRs by looking at a sequence)」と題した章を参照されたい。
【0028】
本明細書において使用するように、「IgG Fc領域」という用語は、自然配列のFc領域及び変異体のFc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するように使用する。ヒトのIgG重鎖Fc領域は、一般に、C226又はP230の位置からIgG抗体のカルボキシル末端までのアミノ酸残基を含むとして規定される。Fc領域における残基の番号付けは、KabatのEUインデックスのものである。Fc領域のC末端リジン(残基K447)は、例えば抗体産生又は精製時に、除くことができる。したがって、本発明の抗体の組成物は、K447残基をすべて除いた抗体集団、K447残基を除いていない抗体集団、及びK447残基を有する又は有しない抗体の混合物を有する抗体集団を含むことができる。
【0029】
本明細書において使用するように、「モノクローナル抗体」、「モノクローナルAb」、「モノクローナル抗体組成物」、「mAb」などという用語は、本明細書において使用するとき、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体は、実質的に均一の抗体の集団から得られ、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、わずかな量で存在し得る自然起源の突然変異の可能性を除いて同一である。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性及び親和性を示す。モノクローナル抗体は、Kohler及びMilsteinの方法(Nature,256:495,1975)を使用して作製することができる。本発明に有用なモノクローナル抗体を作製するため、マウス又はその他の適切な宿主動物を適切な間隔において(例えば、週2回、週1回、月2回、又は月1回)適切な形態の抗原(すなわち、PD-1ポリペプチド)で免疫化する。動物には、絶命させる前1週間以内に抗原による最後の「追加免疫」を投与してもよい。多くの場合、免疫化時に免疫アジュバントを使用することが望ましい。適切な免疫アジュバントは、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ミョウバン、Ribiアジュバント、Hunter’s Titermax、QS21若しくはQuilAなどのサポニンアジュバント、又はCpG含有免疫刺激オリゴヌクレオチドを含む。その他の適切なアジュバントが当該技術分野で周知である。動物は、皮下、腹腔内、筋肉内、静脈内、鼻腔内、又はその他の経路により免疫化することができる。所与の動物を複数の経路により複数の形態の抗原で免疫化してもよい。ただし、「モノクローナル」という修飾語は、何らかの特定の方法による抗体の作製を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、モノクローナル抗体はまた、最初にKohlerら,Nature,256:495(1975)が記載したハイブリドーマ法で調製してもよく、又は細菌、真核動物若しくは植物の細胞に組換えDNA法を用いて作製してもよい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson等(Nature,352:624-628(1991))及びMarks等(J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)に記載されている技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することができる。
【0030】
本明細書において使用するように、「キメラ抗体」という用語は、非ヒト抗体のVHドメイン及びVLドメイン、並びにヒト抗体のCHドメイン及びCLドメインを含む抗体を指す。一実施形態において、「キメラ抗体」は、(a)定常領域(すなわち重鎖及び/若しくは軽鎖)若しくはそれらの一部を変化、置換、又は交換して、抗原結合部位(可変領域)が異なる若しくは変化させたクラス、エフェクター機能、及び/若しくは種の定常領域に結合する抗体分子、若しくは、例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬剤などキメラ抗体に新たな特性を与える全面的に異なる分子、又は(b)可変領域、若しくはその一部を、異なる又は変化させた抗原特異性を有する可変領域に変化、置換、又は交換した抗体分子である。また、キメラ抗体は、霊長類化抗体及び特にヒト化抗体を含む。さらに、キメラ抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体に見受けられない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体機能をさらに改良するためになされる。さらなる詳細について、Jones等、Nature 321:522-525(1986);Riechmann等、Nature 332:323-329(1988);及びPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)が参照される(米国特許第4,816,567号明細書;及びMorrison等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851-6855(1984)参照)。
【0031】
本明細書において使用するように、「ヒト化抗体」という用語は、マウス抗体の6つのCDRを有するが、ヒト抗体フレームワーク及び定常領域を有する抗体を含む。より具体的には、「ヒト化抗体」という用語は、本明細書において使用するように、マウスなどの他の哺乳動物種の生殖細胞系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフティングされている抗体を含むことができる。
【0032】
本明細書において使用するように、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことを意図する。本発明のヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダム若しくは部位特異的突然変異誘発により、又はin vivoでの体細胞突然変異により導入された突然変異)を含んでいてもよい。しかしながら、一実施形態において、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、本明細書において使用するように、マウスなどの他の哺乳動物種の生殖細胞系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフティングされている抗体を含むことを意図しない。
【0033】
本明細書において使用するように、「Kassoc」又は「K」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度を指すことを意図する一方、本明細書において使用するように、「Kdis」又は「K」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すことを意図する。
【0034】
本明細書において使用するように、「K」という用語は、解離定数を指すことを意図し、これはKに対するKの比(すなわちK/K)から得られ、モル濃度(M)として表す。抗体のKを測定する方法は当該技術分野で周知であり、リガンドとして抗原の可溶形態及びアナライトとして抗体を使用したBIAcore3000機器における表面プラズモン共鳴法(SPR)技術を限定することなく含む。BIACORE(登録商標)(GE Healthcare、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)は、モノクローナル抗体のエピトープビン群に慣例的に使用されている多様な表面プラズモン共鳴法アッセイフォーマットの1つである。抗体の親和性は、例えば、Scatchard等(Ann.N.Y.Acad Sci.USA,51:660(1949))によって記載されるものなどの他の従来技術を使用して容易に測定することができる。抗原、細胞、又は組織に対する抗体の結合特性は、一般に、例えば、免疫組織化学法(IHC)及び/又は蛍光標識細胞分取法(FACS)などの免疫蛍光法に基づくアッセイを含む、免疫検出方法を使用して測定及び評価することができる。典型的に、抗体は、所定の抗原と同一でない又は密接に関連しない非特異性抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合におけるKよりも、少なくとも10倍低い、例えば少なくとも100倍低い、例えば少なくとも1000倍低い、例えば少なくとも10,000倍低い、例えば少なくとも100,000倍低いKに対応する親和性で、所定の抗原に結合する。抗体のKが極めて低い(すなわち、抗体が高親和性を有する)と、抗体が抗原を結合するKが、典型的に非特異性抗原に対するKよりも少なくとも10,000倍低い。抗体は、そうした結合が検出できない(例えばプラズモン共鳴法(SPR)技術を使用してBIAcore3000機器においてリガンドとして抗原及びアナライトとして抗体の可溶形態を使用して)、又は、その抗体及び異なる化学構造若しくはアミノ酸配列を有する抗原若しくはエピトープによって検出される結合よりも100倍、500倍、1000倍、若しくは1000倍を超えて少ない場合、実質的に抗原又はエピトープを結合しないといえる。
【0035】
本明細書において使用するように、「結合特異性」という用語は、表面プラズモン共鳴法(SPR)測定によって測定されるように、100nM以下、10nM以下、5nM以下のKで、組換えPD-1ポリペプチドなどの抗原組換えポリペプチドを検出するように結合するという抗体の能力を指す。
【0036】
本明細書において使用するように、「特異性」という用語は、非PD-1又はCD40タンパク質に比較的小さい検出反応性を有しながら、PD-1又はCD40などの抗原に存在するエピトープを検出するように結合するという抗体の能力を指す。特異性は、本明細書の他の箇所に記載するように、例えばBiacore機器を使用して結合又は競合性結合アッセイによって、相対的に測定可能である。特異性は、例えば、他の無関係の分子への非特異的結合に対する特異的抗原への結合における親和性/結合力の約10:1、約20:1、約50:1、約100:1、10.000:1以上の比によって示すことができる(この場合、特異的抗原はPD-1又はCD40である)。「親和性」という用語は、本明細書において使用するように、エピトープに対する抗体の結合の強さを意味する。抗体の親和性は、[Ab]×[抗原]/[Ab-抗原]として定義される解離定数Kdによって与えられ、[Ab-抗原]は、抗体-抗原複合体のモル濃度であり、[Ab]は非結合抗体のモル濃度であり、[抗原]は非結合抗原のモル濃度である。親和性定数Kaは1/Kdによって定義される。mAbの親和性を測定するための好ましい方法は、Harlow等、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1988)、Coligan等、eds.、Current Protocols in Immunology、Greene Publishing Assoc.及びWiley Interscience,N.Y.(1992,1993)、及びMuller、Meth.Enzymol.92:589-601(1983)に見受けられ、これらの参考文献は、参照することによって本明細書に全体的に援用される。mAbの親和性を測定するため、当該技術分野で周知である、1つの好ましい標準的な方法は、Biacore機器の使用である。
【0037】
本明細書において使用するように、「エピトープ」という用語は、抗体が結合するタンパク質に位置するアミノ酸の特定の配置を指す。エピトープは、多くの場合、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなり、特定の3次元構造特性及び特定の電荷特性を有する。エピトープは、直線状又は立体構造とすることができる、すなわち、必ずしも近接しない抗原の種々の領域における2つ以上のアミノ酸配列に関与する。
【0038】
本明細書において使用するように、「免疫サイトカイン」という用語は、サイトカイン又はその誘導体に共有原子価によって直接的又は非直接的に結合した抗体を指す。上述の抗体及び上述のサイトカインは、リンカーによって連結することができる。
【0039】
本明細書において使用するように、「T細胞」という用語は当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、細胞媒介免疫における中心的役割を担う免疫系の重要な構成要素を表す。T細胞は、主要組織適合遺伝子複合体の分子による提示又は制限により、そのTCR(抗原のT細胞受容体)で抗原を認識するので、一般のリンパ球として知られている。CD8T細胞、CD4T細胞、γδT細胞、及びTregなど、それぞれ別個の機能を有するいくつかのT細胞のサブセットがある。
【0040】
本明細書において使用するように、「CD8T細胞」という用語は当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、表面にCD8を発現するT細胞のサブセットを指す。これらは、MHCクラスI限定的であり、細胞傷害性T細胞として機能する。また、「CD8T細胞」は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、Tキラー細胞、細胞溶解T細胞、又はキラーT細胞とも呼ばれる。CD8抗原は、免疫グロブリンスーパー遺伝子ファミリーの一員であり、主要組織適合遺伝子複合体のクラスI限定相互作用における関連認識要素である。本明細書において使用するように、「腫瘍浸潤CD8T細胞」という用語は、血流から出て腫瘍に移動した患者のCD8T細胞のプールを指す。
【0041】
本明細書において使用するように、「CD4T細胞」(Tヘルパー細胞又はTH細胞とも呼ばれる)という用語は、表面にCD4糖タンパク質を発現し、B細胞の形質細胞及びメモリーB細胞への成熟並びに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化を含む免疫プロセスにおける他の白血球を支援する、T細胞を指す。CD4T細胞は、抗原提示細胞(APC)表面に発現されるMHCクラスII分子によってペプチド抗原を提示すると、活性化される。これは、活性化されると急速に分裂して、能動免疫応答を調節又は支援するサイトカインを分泌する。これらの細胞は、様々な種類の免疫応答を促進するように様々なサイトカインを分泌するTH1、TH2、TH3、TH17、TH9、TFH、又はTregを含むいくつかのサブタイプの1つに分化することができる。APCからのシグナリングにより、T細胞を特定のサブタイプに誘導する。CD4に加えて、当該技術分野で既知のTH細胞表面バイオマーカーは、CXCR3(Th1)、CCR4、Crth2(Th2)、CCR6(Th17)、CXCR5(Tfh)、並びにサイトカイン及びT-bet、GATA3、EOMES、RORγT、BCL6、及びFoxP3を含む転写因子のサブタイプ特異的発現を含む。
【0042】
本明細書において使用するように、「γδT細胞」という用語は当該技術分野におけるその一般的な意味を有する。γδT細胞は通常、健康な個体(ヒト、サル)において末梢血リンパ球の1~5%を占める。これは防御免疫応答の開始に関与し、抗原提示細胞のMHC分子によって提示することなく、抗原と直接相互作用することで抗原リガンドを認識するということが示されている。γ9δ2T細胞(γ2δ2T細胞と呼ばれることもある)は、可変ドメインVγ9及びVδ2を有するTCR受容体を保持するγδT細胞である。これは、ヒト血液におけるγδT細胞の大部分を構成する。γδT細胞は、活性化されると、種々の種類の細胞、特に病原体細胞の殺傷に効果的である、強力な非MHC制限細胞傷害活性を示す。それは、ウイルス(Poccia et al.,J. Leukocyte Biology,1997,62:1-5)又はマイコバクテリアなどの他の細胞内寄生虫(Constant et al.,Infection and Immunity,December 1995,vol.63,no.12:4628-4633)又は原虫(Behr et al.,Infection and Immunity,1996,vol.64,no.8:2892-2896)に感染した細胞であり得る。また、それは、がん細胞であり得る(Poccia et al.,J.Immunol.,159:6009-6015; Fournie and Bonneville,Res.Immunol.,66th Forum in Immunology,147:338-347)。したがって、in vitro、ex vivo、又はin vivoにおいて該細胞の活性を調節するという可能性により、感染疾患(特にウイルス又は寄生虫)、がん、アレルギー、並びにさらに自己免疫性及び/又は炎症性障害などの種々の病態の処置における新しく効果的な治療アプローチが得られ得る。
【0043】
本明細書において使用するとき、「CAR-T細胞」という用語は、CARを発現するように遺伝子学的に操作されたTリンパ球を指す。CAR-T細胞の定義は、CD4T細胞、CD8T細胞、γδT細胞、及びエフェクターT細胞、メモリーT細胞、及び制御性T細胞などを含むTリンパ球のすべてのクラス及びサブクラスを包含する。遺伝子学的に改変されたTリンパ球は、遺伝子学的に改変されたT細胞を使用して処置を受ける対象から「由来する」又は「取得する」ことができる、又は異なる対象から「由来する」又は「取得する」ことができる。
【0044】
本明細書において使用するとき、「キメラ抗原受容体」あるいは「CAR」という用語は、免疫エフェクター細胞において、標的細胞、典型的にがん細胞に対する特異性、及び細胞内シグナル生成を細胞に与える、セットのポリペプチド、典型的に最も単純な実施形態において2つのポリペプチドを指す。一部の実施形態において、CARは、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、並びに以下に規定するような刺激分子及び/又は共刺激分子由来の機能的シグナリングドメインを含む細胞質シグナリングドメイン(本明細書において「細胞内シグナリングドメイン」とも呼ぶ)を含む。一部の態様において、セットのポリペプチドは互いに近接している。一部の実施形態において、セットのポリペプチドは、二量体化分子の存在下で、ポリペプチドを互いに結合することができる、例えば抗原結合ドメインを細胞内シグナリングドメインに結合することができる、二量体化スイッチを含む。一部の実施形態において、刺激分子は、T細胞受容体複合体に会合したζ鎖である。一部の実施形態において、細胞質シグナリングドメインは、以下に規定するような少なくとも1つの共刺激分子由来の1つ以上の機能的シグナリングドメインをさらに含む。一部の実施形態において、共刺激分子は、本明細書に記載する共刺激分子、例えば4-1BB(すなわちCD137)、CD27、及び/又はCD28から選ばれる。一部の実施形態において、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、刺激分子由来の機能的シグナリングドメインを含む細胞内シグナリングドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。一部の実施形態において、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激分子由来の機能的シグナリングドメインと刺激分子由来の機能的シグナリングドメインとを含む細胞内シグナリングドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。一部の実施形態において、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の共刺激分子由来の2つの機能的シグナリングドメインと刺激分子由来の機能的シグナリングドメインとを含む細胞内シグナリングドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。一部の実施形態において、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の共刺激分子由来の少なくとも2つの機能的シグナリングドメインと刺激分子由来の機能的シグナリングドメインとを含む細胞内シグナリングドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。一部の実施形態において、CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端(N末端)において任意のリーダー配列を含む。一部の実施形態において、CARは、細胞外抗原結合ドメインのN末端においてリーダー配列をさらに含み、該リーダー配列は、任意で、細胞プロセス及びCARの細胞膜への局在化時に抗原結合ドメイン(例えばscFv)から切断される。特定の態様において、CARは、膜貫通ドメイン及び内部ドメインのCD3-ζと融合させた、モノクローナル抗体由来の一本鎖可変フラグメント(scFv)の融合体を含む。一部の実施形態において、CARは、CD3-ζ、FcR、CD27、CD28、CD137、DAP10、及び/又はOX40などのさらなる共刺激シグナリングのドメインを含む。一部の実施形態において、共刺激分子、イメージングのためのレポーター遺伝子(例えば、陽電子放射断層撮影用)、プロドラッグの添加の際T細胞を条件的に除去する遺伝子産物、ホーミング受容体、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン、及びサイトカイン受容体を含む分子を、CARと共発現することができる。
【0045】
本明細書において使用するように、「T細胞疲弊」という用語はT細胞機能異常の状態を指す。T細胞疲弊は、一般に、多くの慢性感染症及びがんの際に生じる。T細胞疲弊は、エフェクター機能不良、阻害性受容体の持続的発現、及び/又は機能性のエフェクター若しくはメモリーT細胞のものとは異なる転写状態によって、規定することができる。T細胞疲弊は、一般に、感染及び腫瘍の最適な制御を妨げる。T細胞疲弊のさらなる情報については、例えばWherry E J,Nat Immunol.(2011) 12: 492-499が参照される。典型的に、T細胞疲弊は、PD-1がそのリガンドPD-L1及びPD-L2に結合することから生じる。
【0046】
本明細書において使用するように、「樹状細胞」又は「DC」は、リンパ系組織または非リンパ系組織に見られる形態学的に類似する細胞型における多様な集団の任意のメンバーを指す。この細胞は、特有の形態及び高レベルの表面MHC-クラスII発現を特徴とする。この細胞は、以下の実施例に記載するように、多くの組織源から、及び簡便に末梢血から単離することができる。
【0047】
本明細書において使用するように、「処置」又は「処置する」とは、臨床における結果を含む、有益な又は所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的において、有益な又は所望の臨床における結果は、以下のうちの1つ以上を含むが、これらに限定しない:疾患から生じる1つ以上の症状を軽減すること、疾患の範囲を小さくすること、疾患を安定化させる(例えば、疾患の悪化を予防若しくは遅延させる)こと、疾患の広がり(例えば、転移)を予防若しくは遅延させること、疾患の再発を予防若しくは遅延させること、疾患の進行を遅延若しくは緩徐化すること、疾患状態を回復させること、疾患を寛解(部分的若しくは完全に)させること、疾患を処置するのに必要な1つ以上の他の医薬の用量を減少させること、疾患の進行を遅延させること、クオリティオブライフを向上させること、並びに/又は生存期間を延長すること。また、「処置」には、がんの病的結果の軽減も包含される。本発明の方法は、これらの処置の態様のうちの任意の1つ以上を考慮するものである。 一実施形態において、「処置する」又は「処置」という用語は、治療的処置及び防止的又は予防的手段を指し、その目的は、標的の疾患を予防又は緩徐化(軽減)することである。したがって、一実施形態において、処置を必要とする者は、既に障害を有する者、及び障害を有する傾向にある者、又はその障害を予防する者を含むことができる。
【0048】
本明細書において使用するように、「がん」という用語は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、固形腫瘍及び血液由来腫瘍を含むが、これらに限定されない。がんという用語は、皮膚、組織、器官、骨、軟骨、血液、及び血管の疾患を含む。「がん」という用語は、原発性及び転移性がんの両方をさらに含む。本発明の方法及び組成物によって処置され得るがんの例は、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸管、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頸部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、又は子宮からのがん細胞を含むが、これらに限定されない。加えて、がんは、具体的には以下の組織型のものであってもよいが、これらに限定されない:悪性新生物;癌腫;未分化癌;巨細胞及び紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;石灰化上皮癌;移行上皮癌;乳頭状移行上皮癌;腺癌;悪性ガストリノーマ;胆管癌;肝細胞癌;肝細胞癌と胆管癌の混合型;索状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープ中の腺癌;家族性大腸ポリポーシス腺癌;固形癌;悪性カルチノイド腫瘍;細気管支肺胞腺癌(branchiolo-alveolar adenocarcinoma);乳頭腺癌;色素嫌性癌;好酸球癌;好酸性腺癌;好塩基球癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞腺癌;乳頭及び濾胞腺癌;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌(endometroid carcinoma);皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘液性類表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭状漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液腺癌;印環細胞癌;浸潤性導管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;乳房パジェット病;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺がん;悪性胸腺腫;悪性卵巣間質腫瘍;悪性莢膜腫瘍;悪性顆粒膜細胞腫;悪性神経芽細胞腫(roblastoma);セルトリ細胞癌;悪性ライディッヒ細胞腫;悪性脂質細胞腫;悪性傍神経節腫;悪性乳房外傍神経節腫;褐色細胞腫;グロムス血管肉腫;悪性メラノーマ;無色素性メラノーマ;表在拡大型メラノーマ;巨大色素性母斑中の悪性メラノーマ;類上皮細胞メラノーマ;悪性青色母斑;肉腫;線維肉腫;悪性線維性組織球腫;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫;悪性混合腫瘍;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫;悪性間葉腫;悪性ブレンナー腫瘍;悪性葉状腫瘍;滑膜肉腫;悪性中皮腫;未分化胚細胞腫;胚性癌;悪性奇形腫;悪性卵巣甲状腺種;絨毛癌;悪性中腎腫;血管肉腫;悪性血管内皮腫;カポジ肉腫;悪性血管外皮腫;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;悪性軟骨芽細胞腫;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;悪性歯原性腫瘍;エナメル上皮肉腫;悪性エナメル上皮腫;エナメル上皮線維肉腫;悪性松果体腫;脊索腫;悪性神経膠腫;上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;膠芽腫;乏突起膠腫;乏突起膠芽腫;原始神経外胚葉腫瘍(primitive neuroectodermal);小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経原性腫瘍;悪性髄膜腫;神経線維肉腫;悪性神経鞘腫;悪性顆粒細胞腫;悪性リンパ腫;NK白血病又はNKリンパ腫、例えば節外性及び非節外性NK/Tリンパ腫;NK細胞由来悪性病変;及び急性NK白血病;ホジキン病;ホジキンリンパ腫;側肉芽腫;悪性小リンパ球性リンパ腫;悪性びまん性大細胞型リンパ腫;悪性濾胞性リンパ腫;菌状息肉腫;その他の特定されている非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄性肉腫;及び有毛細胞白血病。
【0049】
本明細書において使用するように、「感染疾患」という用語は、ウイルス、細菌、原虫、カビ、又は真菌に起因する任意の感染を含む。一部の実施形態において、ウイルス感染症は、アレナウイルス科、アストロウイルス科、ビルナウイルス科、ブロモウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、クロステロウイルス科、コモウイルス科、シストウイルス科、フラビウイルス科、フレキシウイルス科、ヘペウイルス、レビウイルス科、ルテオウイルス科、モノネガウイルス目、モザイクウイルス、ニドウイルス目、ノダウイルス科、オルトミクソウイルス科、ピコビルナウイルス、ピコルナウイルス科、ポティウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、セキウイルス科、テヌイウイルス、トガウイルス科、トンブスウイルス科、トティウイルス科、ティモウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、パラミクソウイルス科、又はパピローマウイルス科のウイルスからなる群より選択される1つ以上のウイルスによる感染を含む。RNAウイルスの関連する分類学的なファミリーは、アストロウイルス科、ビルナウイルス科、ブロモウイルス科、カリシウイルス科、クロステロウイルス科、コモウイルス科、シストウイルス科、フラビウイルス科、フレキシウイルス科、ヘペウイルス、レビウイルス科、ルテオウイルス科、モノネガウイルス目、モザイクウイルス、ニドウイルス目、ノダウイルス科、オルトミクソウイルス科、ピコビルナウイルス、ピコルナウイルス科、ポティウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、セキウイルス科、テヌイウイルス、トガウイルス科、トンブスウイルス科、トティウイルス科、及びティモウイルス科を含むが、限定されない。一部の実施形態において、ウイルス感染は、アデノウイルス、ライノウイルス、肝炎ウイルス、免疫不全ウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、コクサッキーウイルス、ライノウイルス、西ナイルウイルス、天然痘ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、インフルエンザウイルス(ヒト、トリ、及びブタを含む)、ラッサ熱ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、フニンウイルス、マチュポウイルス、グアナリトウイルス、ハンタウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ラクロスウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、クリミア・コンゴウイルス、マールブルグウイルス、日本脳炎ウイルス、キャサヌール森林ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、プンタトロウイルス、タカリベウイルス、ピキンデウイルス(pachindae virus)、アデノウイルス、デング熱ウイルス、A型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルス(ヒト、トリ、及びブタを含む)、フニンウイルス、麻疹ウイルス、パラインフルエンザウイルス、ピキンデウイルス、プンタトロウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、リフトバレー熱ウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、タカリベウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、西ナイルウイルス及び黄熱病ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレーバレーウイルス、ポワッサンウイルス、ロシオウイルス、ルーピングイルウイルス、バンジウイルス、イレウスウイルス、ココベラウイルス、クンジンウイルス、アルファイ(Alfuy)ウイルス、ウシ下痢ウイルス、並びにキャサヌール森林病ウイルス、からなる群より選択される1つ以上のウイルスによる感染を含む。本発明によって処置し得る細菌感染症は、ブドウ球菌(Staphylococcus);連鎖球菌(Streptococcus)(S.pyogenesを含む);腸球菌(Enterococcl);棹菌(Bacillus)(Bacillus anthracis及びLactobacillusを含む);リステリア菌(Listeria);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae);ガードネレラ菌(Gardnerella)(G.vaginalisを含む);ノカルジア菌(Nocardia);ストレプトミセス(Streptomyces);サーモアクチノミセス・ブルガリス(Thermoactinomyces vulgaris);トレポネーマ(Treponema);カンピロバクター菌(Camplyobacter)、シュードモナス(Pseudomonas)(aeruginosaを含む);レジオネラ(Legionella);ナイセリア(Neisseria)(N.gonorrhoeae及びN.meningitidesを含む);フラボバクテリウム(Flavobacterium)(F.meningosepticum及びF.odoraturnを含む);ブルセラ(Brucella);ボルデテラ(Bordetella)(B.pertussis及びB.bronchisepticaを含む);エシェリキア(Escherichia)(E.coliを含む)、クレブシエラ菌(Klebsiella);エンテロバクター(Enterobacter)、セラチア(Serratia)(S.marcescens及びS.liquefaciensを含む);エドワードシエラ(Edwardsiella);プロテウス(Proteus)(P.mirabilis及びP.vulgarisを含む);ストレプトバシラス(Streptobacillus);リケッチア科(Rickettsiaceae)(R.fickettsfiを含む)、クラミジア(Chlamydia)(C.psittaci及びC.trachornatisを含む);マイコバクテリウム(Mycobacterium)(M.tuberculosis、M.intracellulare、M.folluiturn、M.laprae、M.avium、M.bovis、M.africanum、M.kansasii、M.intracellulare、及びM.lepraernuriumを含む);並びにノカルジア(Nocardia)に起因する感染症を含むが、これらに限定されない。本発明によって処置し得る原虫感染症は、リーシュマニア、コクジディオア(kokzidioa)、及びトリパノソーマに起因する感染を含むが、これらに限定されない。感染疾患の完全なリストは、疾病管理センター(CDC)の国立感染症センター(NCID)のウェブサイト(ワールドワイドウェブ(www)at cdc.gov/ncidod/diseases/)において見ることができ、そのリストは言及することによって本明細書に援用される。こうした疾患のすべてが、本発明における組成物を使用した処置の候補となる。
【0050】
本明細書において使用するように、「抗原」又は「Ag」という用語は、本明細書において使用するように、タンパク質、ペプチド、核酸、若しくは組織、又はT細胞応答を誘発可能な細胞調製物を指す。
【0051】
本明細書において使用するとき、「治療有効量」という用語は、所望の治療結果を得るため、必要な投与量及び期間において有効な量を指す。したがって、「治療有効量」という用語は、著しい負の又は有害な副作用を標的に引き起こすことなく、(1)標的疾患の発症を遅延若しくは予防すること、(2)標的疾患の1つ以上の症状の進行、増悪、若しくは悪化を緩徐化若しくは停止すること、(3)標的疾患の症状の回復を生じさせること、(4)標的疾患の重症度若しくは発症率を低下させること、又は(5)標的疾患を治癒することを狙いとする抗体のレベル又は量を意味し得る。治療有効量は、防止又は予防措置のため、標的疾患の発症前に投与することができる。あるいは又はさらに、治療有効量は、治療措置のため、標的疾患の発症後に投与することができる。
【0052】
本明細書において使用するように、「薬学的に許容される担体」という用語は、動物、好ましくはヒトに投与するとき、有害な、アレルギー性の、又は他の有害な反応を生じさせない賦形剤を指す。これは、任意及びすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。ヒトへの投与において、調製物は、例えばFDA機関又はEMAなどの規制機関によって要求される、滅菌性、発熱性、一般の安全性及び純度の標準を満たす必要がある。
【0053】
本明細書において使用するように、「ワクチン」という用語は、免疫応答を誘発するためヒト又は動物に投与可能な組成物を意味することを意図し、この免疫応答は、抗体の産生、又は単に所定の細胞、特に抗原提示細胞、Tリンパ球、及びBリンパ球の活性化を生じさせることができる。一部の実施形態において、ワクチンは、該ワクチンが与える抗原に対する患者における中和抗体の産生につながる免疫応答を生じさせることができる。ワクチンは、防止目的又は治療目的又はその両方の目的の組成物とすることができる。
【0054】
本明細書において使用するように、「対象」という用語は、温血動物、好ましくは哺乳動物(ヒト、飼育動物及び家畜、並びに動物園、スポーツ用、又はペット用動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなど)、より好ましくはヒトを指す。一実施形態において、対象は、「患者」、すなわち、医療を受けることになっている、若しくは医療を受けている、又は医療手技の対象であった/医療手技の対象である/医療手技の対象となる、又は疾患の発症をモニタリングしている温血動物、より好ましくはヒトとすることができる。一実施形態において、対象は成人である(例えば18歳より上の対象)。他の実施形態において、対象は小児である(例えば18歳より下の対象)。一実施形態において、対象は男性である。他の実施形態において、対象は女性である。
【0055】
(本発明の新しいIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質)
本発明の第1の目的は、(i)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むIL-15Rαsushi含有ポリペプチド、(ii)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するリンカー、及び(iii)配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチド、を含むIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質に関する。
配列番号1>IL-15Ra sushi sequence
CPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPP
配列番号2>Flex sequence
DTTEPATPTTPVTTPTTTDDLDA
配列番号3>IL-15 sequence
LDNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
【0056】
本発明において、IL-15Rαsushi含有ポリペプチド、リンカー、及びIL-15ポリペプチドは、IL-15Rαsushi含有ポリペプチドのC末端をリンカーのN末端に融合し、リンカーのC末端をIL-15ポリペプチドのN末端に融合するように、フレームに融合する。
【0057】
一部の実施形態において、本発明のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質は、配列番号4に示すアミノ酸配列からなる。
配列番号4>(IL-15Ra [Flex])〔IL-15 in HC sequence〕
(CPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPP[DTTEPATPTTPVTTPTTTDDLDA])〔LDNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS〕
【0058】
本発明において、本発明のIL-15/IL-15受容体α融合タンパク質は、従来の自動ペプチド合成法又は組換え発現によって作製される。タンパク質の設計及び作製についての一般的な原理は、当業者に周知である。本発明のIL-15/IL-15受容体α融合タンパク質は、従来の技術に従って溶液中又は固体支持体上で合成することができる。種々の自動合成機が市販されており、Stewart及びYoung、Tam等、1983、Merrifield、1986、並びにBarany及びMerrifield、Gross及びMeienhofer、1979に記載されるような既知のプロトコールに従って使用することができる。また、本発明のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質は、Applied Biosystems Incのモデル433Aなどの例のペプチド合成機を使用して固相技術によって合成することができる。自動ペプチド合成又は組換え法によって作製された任意の所定のタンパク質の純度は、逆相HPLC分析を使用して測定することができる。各ペプチドの化学的品質は、当業者に周知の任意の方法で得ることができる。自動ペプチド合成の代わりとして、組換えDNA技術を使用することができ、該組換えDNA技術では、本明細書において以下に記載するように、選択したタンパク質をコードするヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、適切な宿主細胞に形質転換又は遺伝子導入して、発現に適切な条件下で培養する。組換え法は、より長いポリペプチドの作製に特に好ましい。ペプチド又はタンパク質コード配列を含有及び発現させるため、多様な発現ベクター/宿主系を使用することができる。これらは、例えば組換えバクテリオファージ、プラスミド又はコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌;酵母発現ベクターで形質転換した酵母(Giga-Hama et al.、1999)などの微生物;ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス、Ghosh et al.、2002参照)を感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、タバコモザイクウイルス(TMV))を遺伝子導入した、若しくは細菌発現ベクター(例えばTi又はpBR322プラスミド、例えばBabe et al.、2000参照)で形質転換した植物細胞系;又は動物細胞系を含むが、これらに限定されない。当業者は、タンパク質の哺乳動物発現を最適化する種々の技術を認め、例えば、Kaufman、2000;Colosimo等、2000が参照される。組換えタンパク質作製において有用な哺乳動物細胞は、VERO細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、COS細胞(COS-7など)、W138、BHK、HepG2、3T3、RIN、MDCK、A549、PC12、K562、及び293細胞を含むが、これらに限定されない。細菌、酵母、及び他の無脊椎動物におけるペプチド基質又は融合ポリペプチドの組換え発現のための例のプロトコールは、当業者に既知であり、本明細書において以下に簡単に記載する。また、組換えタンパク質の発現のための哺乳動物宿主系は、当業者に周知である。宿主細胞株は、発現タンパク質をプロセシングする、又はタンパク質活性を得るために有用であり得る所定の翻訳後修飾を生じさせるという、特定の能力から選択することができる。そうしたポリペプチドの修飾は、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、及びアシル化を含むが、これらに限定されない。また、タンパク質の「プリプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングも、適切な挿入、フォールディング、及び/又は機能に重要であり得る。CHO、HeLa、MDCK、293、及びWI38などの様々な宿主細胞は、そうした翻訳後活性のための特定の細胞機構及び特有の機序を有し、導入した外来性タンパク質の適切な修飾及びプロセシングを確保するように選択することができる。
【0059】
一部の実施形態において、本発明のIL-15/IL-15受容体α融合タンパク質はその治療有効性を高めるために修飾するということが考えられる。治療用化合物のそうした修飾は、毒性を低下させる、循環時間を増加させる、又は体内分布を改変するように使用することができる。例えば、重要である可能性がある治療用化合物の毒性を、体内分布を改変する多様な薬剤担体ビヒクルとの組合せによって有意に低下させることができる。薬剤の有効性を高める方策は、水溶性ポリマーの使用である。種々の水溶性ポリマーは、体内分布を改変し、細胞取り込みの様式を改善し、生理学的バリアを通じて透過性を変化させ、及び身体からのクリアランスの速度を改変することが示されている。標的化効果又は徐放効果のいずれかを得るため、末端基として、骨格の一部として、又はポリマー鎖上のペンダント基として薬物部分を含む水溶性ポリマーが合成されている。例えば、ペグ化は、種々のポリペプチドの修飾のため、十分に認知されるとともに検証されたアプローチである。その利益には、とりわけ、(a)糸球体濾過限界を超えるまで分子の見かけのサイズを増加させているポリマーの結果としての腎クリアランスの回避による、及び/又は細胞クリアランス機構の回避を通じてのin vivoでの循環半減期の著しい向上、(b)PEGを結合した分子の抗原性及び免疫原性の低下、(c)薬物動態の向上、(d)コンジュゲートタンパク質のタンパク質分解抵抗性増強、(e)ペグ化ポリペプチドの熱安定性及び機械的安定性の向上を含む。
【0060】
(本発明の免疫サイトカイン)
本発明のさらなる目的は、本発明のIL-15/IL-15受容体α融合タンパク質と融合させた抗体の重鎖に関する。
【0061】
一部の実施形態において、重鎖は、リンカーを介してIL-15/IL-15受容体α融合タンパク質に融合される。一部の実施形態において、リンカーは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含む(すなわちFlexV1リンカー)。一部の実施形態において、リンカーは、配列番号6に示すアミノ酸配列からなる。
配列番号5>FlexV1 linker
QTPTNTISVTPTNNSTPTNNSNPKPNP
配列番号6>linker
ASQTPTNTISVTPTNNSTPTNNSNPKPNPDIGM
【0062】
一部の実施形態において、重鎖は、PD-1への特異性を有する抗体由来である。一部の実施形態において、抗PD-1抗体は既に知られている抗体である、又は新しい抗体である。
【0063】
新しい抗PD-1抗体を選択するため、抗体をスクリーニングする多様な方法が当該技術分野において記載されている。そうした方法は、抗原免疫化の際に完全なヒト抗体を作製することができるトランスジェニックマウスなどのin vivo系、並びに、抗体DNAコードライブラリーを作成すること、抗体作製のためにDNAライブラリーを適切な系において発現すること、親和性選択条件で標的に結合する抗体候補物を発現するクローンを選択すること、及び、選択されたクローンの対応するコード配列を回収することからなるin vitro系に分類され得る。これらのin vitro技術は、ディスプレイ技術として知られ、ファージディスプレイ、RNA又はDNAディスプレイ、リボソームディスプレイ、酵母又は哺乳動物細胞ディスプレイを含むが、限定されない。それらは、当該技術分野において記載されている(参考のため、例えばNelson et al.,2010 Nature Reviews Drug discovery,“Development trends for human monoclonal antibody therapeutics”(Advance Online Publication)、及びHoogenboom et al.in Method in Molecular Biology 178:1-37、O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2001参照)。1つの特定の態様において、ヒト組換え抗PD-1抗体は、ヒト組換え抗体ライブラリーのライブラリーをPD-1結合でスクリーニングするファージディスプレイ法を使用して単離される。V及びV遺伝子又は関連するCDR領域のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別々にクローニングするか、又はDNA合成機により合成し、ファージライブラリー中で無作為に組換えた後、抗原結合クローンについてスクリーニングすることができる。ヒト抗体を単離するためのこのようなファージディスプレイ方法は、当該技術分野で認知されているか、又は以下の実施例に記載されている。例えば、Ladner等の米国特許第5,223,409号明細書、米国特許第5,403,484号明細書、及び米国特許第5,571,698号明細書、Dower等の米国特許第5,427,908号明細書及び米国特許第5,580,717号明細書、McCafferty等の米国特許第5,969,108号明細書及び米国特許第6,172,197号明細書、並びにGriffiths等の米国特許第5,885,793号明細書、米国特許第6,521,404号明細書、米国特許第6,544,731号明細書、米国特許第6,555,313号明細書、米国特許第6,582,915号明細書、及び米国特許第6,593,081号明細書が参照される。
【0064】
一部の実施形態において、PD-1に対するヒト抗体は、マウス系ではなくヒト免疫系の一部を有するトランスジェニック又はトランス染色体マウスを使用して同定することができる。このトランスジェニック及びトランス染色体マウスは、本明細書においてそれぞれHuMAbマウス及びKMマウスと呼ばれるマウスを含み、本明細書においてまとめて「ヒトIgマウス」と呼ばれる。HuMAbマウス(Medarex,Inc.)は、内在性μ及びκ鎖遺伝子座を不活性化する標的突然変異と共に、非再構成ヒト重鎖(μ及びγ)並びにκ軽鎖の免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含む(例えばLonberg,et al.,1994 Nature 368(6474):856-859参照)。他の実施形態において、ヒト抗PD-1抗体は、ヒト重鎖トランス遺伝子やヒト軽鎖トランス染色体を有するマウスなど、トランス遺伝子及びトランス染色体にヒト免疫グロブリン配列を有するマウスを使用して産生することができる。そうしたマウスは、本明細書において「KMマウス」と呼ばれ、Ishida等の国際公開第02/43478号に詳細に記載されている。
【0065】
一部の実施形態において、抗体は、キメラ抗体、特にキメラマウス/ヒト抗体である。
【0066】
一部の実施形態において、抗体はヒト化抗体である。
【0067】
キメラ化又はヒト化抗体は、上述のように調製されたマウスモノクローナル抗体の配列に基づいて調製することができる。重鎖及び軽鎖免疫グロブリンをコードするDNAは、対象のマウスハイブリドーマから得られ、標準的な分子生物学的技術を用いて非マウス(例えば、ヒト)免疫グロブリン配列を含むように操作することができる。例えば、キメラ抗体を作成するため、当該技術分野で既知の方法を用いて、マウスの可変領域をヒト定常領域に結合することができる(例えばCabilly等の米国特許第4,816,567号参照)。ヒト化抗体を作製するため、当該技術分野で既知の方法を用いて、マウスCDR領域をヒトのフレームワークに挿入することができる。例えば、Winter等の米国特許第5,225,539号明細書、並びにQueen等の米国特許第5,530,101号明細書、米国特許第5,585,089号明細書、米国特許第5,693,762号明細書、及び米国特許第6,180,370号明細書が参照される。
【0068】
一部の実施形態において、抗PD-1抗体は、MDX-1106(ニボルマブ(Nivolumab)、MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558、及びOpdivo(登録商標)としても知られる)、Merck3475(ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)、MK-3475、ω及びSCH-900475としても知られる)、並びにCT-011(ピディリズマブ(Pidilizumab)、hBAT、及びhBAT-1としても知られる)からなる群より選択される。一部の実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、AMP-224(B7-DCIgとしても知られる)である。
【0069】
一部の実施形態において、抗PD-1抗体は、国際公開第2016/020856号及びFenwick,Craig等、「Tumor suppression of novel anti-PD-1 antibodies mediated through CD28 costimulatory pathway」 Journal of Experimental Medicine(2019):jem-20182359に公開されるような抗PD1Gepi135cである。
【0070】
一部の実施形態において、本発明の重鎖は、配列番号7、8、又は9に示すVHドメインを含む。
配列番号7>VH domain of pembrolizumab
QVQLVQSGVEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYMYWVRQAPGQGLEWMGGINPSNGGTNFNEKFKNRVTLTTDSSTTTAYMELKSLQFDDTAVYYCARRDYRFDMGFDYWGQGTTVTVSS
配列番号8>VH domain of nivolumab
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSS
配列番号9>VH domain of the anti-PD1Gepi 135c
QVQLVQSGAEVKKPGASVKMSCKASGYTFTNFYIHWVRQAPGQGLEWIGSIYPNYGDTAYNQKFKDRATLTVDTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGYSYAMDYWGQGTLVTVSS
【0071】
一部の実施形態において、重鎖は、IgG4免疫グロブリンのIgG Fc領域を含む。
【0072】
一部の実施形態において、重鎖は、配列番号10、11、又は12に示すアミノ酸配列からなる。
配列番号10> heavy chain of pembrolizumab
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号11>heavy chain of nivolumab
QVQLVQSGVEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYMYWVRQAPGQGLEWMGGINPSNGGTNFNEKFKNRVTLTTDSSTTTAYMELKSLQFDDTAVYYCARRDYRFDMGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号12>heavy chain of the anti-PD1Gepi 135c
QVQLVQSGAEVKKPGASVKMSCKASGYTFTNFYIHWVRQAPGQGLEWIGSIYPNYGDTAYNQKFKDRATLTVDTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGYSYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0073】
一部の実施形態において、本発明のIL-15/IL-15受容体α融合タンパク質に融合される抗体の重鎖は、配列番号13、14、又は15に示すアミノ酸配列からなる。
配列番号13>C3711 or C3721[hKeytruda(anti-PD-1)-HC-LV-hIgG4H-C-Flex-v1-hIL-15Ra-hIL-15]
QVQLVQSGVEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYMYWVRQAPGQGLEWMGGINPSNGGTNFNEKFKNRVTLTTDSSTTTAYMELKSLQFDDTAVYYCARRDYRFDMGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKASQTPTNTISVTPTNNSTPTNNSNPKPNPDIGMCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPPDTTEPATPTTPVTTPTTTDDLDALDNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
配列番号14>[nivolumab (anti-PD-1)-HC-LV-hIgG4H-C-Flex-v1-hIL-15Ra-hIL-15]
QVQLVQSGVEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYMYWVRQAPGQGLEWMGGINPSNGGTNFNEKFKNRVTLTTDSSTTTAYMELKSLQFDDTAVYYCARRDYRFDMGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKASQTPTNTISVTPTNNSTPTNNSNPKPNPDIGMCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPPDTTEPATPTTPVTTPTTTDDLDALDNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
配列番号15>C3789[hHC anti‐PD1Gepi 135c-LV-hIgG4H-C-Flex-v1-hIL-15Ra-hIL-15]
QVQLVQSGAEVKKPGASVKMSCKASGYTFTNFYIHWVRQAPGQGLEWIGSIYPNYGDTAYNQKFKDRATLTVDTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGYSYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKASQTPTNTISVTPTNNSTPTNNSNPKPNPDIGMCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPPDTTEPATPTTPVTTPTTTDDLDALDNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
【0074】
本発明のさらなる目的は、本発明のIL-15/IL-15受容体α融合タンパク質と融合させた抗体の重鎖を含む免疫サイトカインに関する。
【0075】
一部の実施形態において、本発明の免疫サイトカインは、PD-1に特異性を有する。したがって、一部の実施形態において、本発明の免疫サイトカインは、上述のような重鎖を含む。
【0076】
一部の実施形態において、本発明の免疫サイトカインは、配列番号13、14、又は15に示すアミノ酸配列からなる重鎖を含む。
【0077】
一部の実施形態において、本発明の免疫サイトカインは、配列番号13に示す重鎖及び配列番号16に示す軽鎖を含む。
【0078】
一部の実施形態において、本発明の免疫サイトカインは、配列番号14に示す重鎖及び配列番号17に示す軽鎖を含む。
【0079】
一部の実施形態において、本発明の免疫サイトカインは、配列番号15に示す重鎖及び配列番号18に示す軽鎖を含む。
配列番号16>light chain of pembrolizumab
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASKGVSTSGYSYLHWYQQKPGQAPRLLIYLASYLESGVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQHSRDLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号17>light chain of nivolumab
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号18>light chain of the the anti-PD1Gepi 135c antibody
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQGISGDLNWYQQKPGKAVKLLIYHTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQYYSKDLLTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0080】
一部の実施形態において、配列番号15に示す重鎖及び配列番号18に示す軽鎖を含む本発明の免疫サイトカインは、PDL-1相互作用の反対面に位置するPD-1エピトープを認識する。したがって、この実施形態において、免疫サイトカインは、PD-1のそのリガンド(PD-L1又はPD-L2)への結合を遮断しない。反対に、免疫サイトカインは、ペムブロリズマブ又はニボルマブ遮断抗PD-1抗体のいずれかに既に前結合した細胞におけるPD-1を標的とすることができる。ゆえに、免疫サイトカインは、PD-1との結合と競合せずに、これらの市販の抗体のいずれかの組合せ治療に使用することができる。また、免疫サイトカインは、抗原提示細胞又は腫瘍細胞のいずれかに発現され得るPD-L1又はPD-L2リガンドのいずれかと複合体を前形成した細胞におけるPD-1と結合する可能性もある。免疫サイトカインの抗PD-1部分は、主に、AKT経路へのシグナリング及びT細胞刺激時のカルシウム動員を回復するCD28共刺激受容体を介して作用する。
【0081】
(本発明の核酸、ベクター、及び宿主細胞)
本発明のさらなる目的は、本発明のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質をコードする核酸に関する。
【0082】
本発明のさらなる目的は、本発明のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質と融合させた抗体の重鎖をコードする核酸に関する。
【0083】
一部の実施形態において、核酸は、配列番号19又は20に示す核酸配列を含む。
配列番号19>nucleic acid encoding for C3711 or C3721 [hKeytruda(anti-PD-1)-HC-LV-hIgG4H-C-Flex-v1-hIL-15Ra-hIL-15]
ATGGATCCGAAAGGTTCTCTGAGCTGGCGTATTCTGCTGTTCCTAAGCCTGGCGTTCGAACTGTCTTATGGTCAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGAGTTGAAGTGAAAAAACCGGGCGCGTCTGTTAAAGTTTCTTGCAAAGCGTCTGGTTACACCTTCACCAACTACTACATGTACTGGGTTCGTCAGGCGCCGGGTCAGGGCCTGGAATGGATGGGCGGTATCAACCCGTCTAACGGTGGCACCAACTTCAACGAAAAATTCAAAAACCGTGTTACCCTGACCACCGATAGCAGCACCACCACCGCGTATATGGAACTGAAATCTCTGCAGTTCGACGACACCGCAGTGTACTACTGCGCCCGCCGCGACTACCGTTTCGACATGGGCTTCGACTACTGGGGGCAAGGTACCACAGTTACCGTATCGAGCGCCAGCACGAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTCGAAGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAAGCTAGCCAGACCCCCACCAACACCATCAGCGTGACCCCCACCAACAACAGCACCCCCACCAACAACAGCAACCCCAAGCCCAACCCCGATATCGGGATGTGCCCTCCCCCCATGTCCGTGGAACACGCAGACATCTGGGTCAAGAGCTACAGCTTGTACTCCAGGGAGCGGTACATTTGTAACTCTGGTTTCAAGCGTAAAGCCGGCACGTCCAGCCTGACAGAGTGCGTGTTGAACAAGGCCACGAATGTCGCCCACTGGACAACCCCCAGTCTCAAATGCATTAGAGACCCTGCCCTGGTTCACCAAAGGCCAGCGCCACCCGATACAACAGAACCTGCAACACCTACAACACCTGTAACAACACCGACAACAACAGATGATCTGGATGCACTCGACAACTGGGTGAATGTAATAAGTGATTTGAAAAAAATTGAAGATCTTATTCAATCTATGCATATTGATGCTACTTTATATACGGAAAGTGATGTTCACCCCAGTTGCAAAGTAACAGCAATGAAGTGCTTTCTCTTGGAGCTCCAGGTAATTAGCTTAGAATCTGGCGACGCCAGCATCCACGATACAGTTGAGAATCTGATCATTCTCGCAAACAACTCTCTGTCTTCTAACGGCAACGTGACAGAGTCTGGCTGTAAGGAGTGTGAGGAGCTGGAGGAGAAGAACATCAAGGAGTTTCTGCAGTCTTTTGTGCACATCGTGCAGATGTTTATCAACACCTCTTGA
配列番号20>nucleic acid encoding for C3789 [hHC anti‐PD1Gepi 135c-LV-hIgG4H-C-Flex-v1-hIL-15Ra-hIL-15]
ATGGGATGGTCTTGGATTCTGCTGTTTTTGTTGAGCGTGACAGCTGGAGTGCATAGCCAGGTGCAGTTGGTGCAGAGCGGAGCCGAGGTGAAGAAACCTGGAGCCTCCGTGAAGATGAGCTGTAAGGCTAGTGGATACACTTTTACAAACTTTTACATTCATTGGGTGAGGCAGGCCCCCGGCCAGGGGCTGGAGTGGATCGGCAGCATCTACCCCAACTACGGCGATACCGCCTACAACCAGAAGTTCAAGGATAGGGCCACCCTGACAGTGGACACCAGCACTAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGCGGAGCGAGGACACAGCGGTGTACTACTGCGCCAGGGGCTACAGCTACGCTATGGATTACTGGGGGCAGGGGACCCTGGTGACAGTGAGCAGCGCCAGCACGAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTCGAAGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAAGCTAGCCAGACCCCCACCAACACCATCAGCGTGACCCCCACCAACAACAGCACCCCCACCAACAACAGCAACCCCAAGCCCAACCCCGATATCGGGATGTGCCCTCCCCCCATGTCCGTGGAACACGCAGACATCTGGGTCAAGAGCTACAGCTTGTACTCCAGGGAGCGGTACATTTGTAACTCTGGTTTCAAGCGTAAAGCCGGCACGTCCAGCCTGACAGAGTGCGTGTTGAACAAGGCCACGAATGTCGCCCACTGGACAACCCCCAGTCTCAAATGCATTAGAGACCCTGCCCTGGTTCACCAAAGGCCAGCGCCACCCGATACAACAGAACCTGCAACACCTACAACACCTGTAACAACACCGACAACAACAGATGATCTGGATGCACTCGACAACTGGGTGAATGTAATAAGTGATTTGAAAAAAATTGAAGATCTTATTCAATCTATGCATATTGATGCTACTTTATATACGGAAAGTGATGTTCACCCCAGTTGCAAAGTAACAGCAATGAAGTGCTTTCTCTTGGAGCTCCAGGTAATTAGCTTAGAATCTGGCGACGCCAGCATCCACGATACAGTTGAGAATCTGATCATTCTCGCAAACAACTCTCTGTCTTCTAACGGCAACGTGACAGAGTCTGGCTGTAAGGAGTGTGAGGAGCTGGAGGAGAAGAACATCAAGGAGTTTCTGCAGTCTTTTGTGCACATCGTGCAGATGTTTATCAACACCTCTTGA
【0084】
本発明のさらなる目的は、本発明の免疫サイトカインをコードする核酸に関する。
【0085】
典型的に、上記核酸はDNA又はRNA分子であり、これは、プラスミド、コスミド、エピソーム、人工染色体、ファージ、又はウイルスベクターなどの任意の適切なベクターに含ませることができる。
【0086】
したがって、本発明のさらなる目的は、本発明の核酸を含むベクターに関する。
【0087】
このようなベクターは、対象への投与の際、該抗体を発現させる又は発現を誘導するため、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター等の調節因子を含むことができる。動物細胞用の発現ベクターに使用されるプロモーター及びエンハンサーの例は、SV40の初期プロモーター及びエンハンサー、モロニーマウス白血病ウイルスのLTRプロモーター及びエンハンサー、免疫グロブリンH鎖のプロモーター及びエンハンサー等を含む。動物細胞用の任意の発現ベクターは、ヒト抗体C領域をコードする遺伝子を挿入して発現させることができる限り、使用することができる。適切なベクターの例は、pAGE107、pAGE103、pHSG274、pKCR、及びpSG1 βd2-4などを含む。プラスミドの他の例は、複製起点を含む複製プラスミド、又は例えば、pUC、pcDNA、及びpBRなどの組込みプラスミドを含む。ウイルスベクターの他の例は、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、及びAAVベクターを含む。そうした組換えウイルスは、当該技術分野において既知の方法により、例えば、パッケージ細胞に遺伝子導入することにより、又は、ヘルパープラスミド若しくはウイルスを一過性遺伝子導入することにより作製することができる。ウイルスパッケージ細胞の典型的な例は、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞等を含む。そうした複製欠損組換えウイルスを作製するための詳細なプロトコールは、例えば、国際公開第95/14785号、国際公開第96/22378号、米国特許第5,882,877号明細書、米国特許第6,013,516号明細書、米国特許第4,861,719号明細書、米国特許第5,278,056号明細書、及び国際公開第94/19478号に見出すことができる。
【0088】
本発明のさらなる目的は、本発明における核酸及び/又はベクターによって遺伝子導入した、感染させた、又は形質転換した宿主細胞に関する。
【0089】
本発明の核酸は、適切な発現系において本発明の抗体を作製するために使用することができる。一般的な発現系は、E.coli宿主細胞とプラスミドベクター、昆虫宿主細胞とバキュロウイルスベクター、及び哺乳動物宿主細胞とベクターを含む。宿主細胞の他の例は、原核生物細胞(細菌など)及び真核生物細胞(酵母細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等)を限定することなく含む。特定の例は、E.coli、クルイベロマイセス酵母、又はサッカロマイセス酵母を含む。哺乳動物宿主細胞は、DHFR選択マーカーと共に使用されるdhfr-CHO細胞(Urlaub and Chasin,1980に記載)を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)、CHOK1 dhfr+細胞株、NSO骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞、例えばGS Xceed遺伝子発現系(Lonza)を伴うGS CHO細胞株、又はHEK細胞を含む。
【0090】
また、本発明は、本発明におけるポリペプチドを発現する組換え宿主細胞を作製する方法に関し、該方法は、(i)in vitro又はex vivoにおいて、上述のような組換え核酸又はベクターをコンピテント宿主細胞に導入するステップ、(ii)in vitro又はex vivoにおいて、得られた組換え宿主細胞を培養するステップ、及び、(iii)任意で、該抗体を発現し、及び/又は、分泌する細胞を選択するステップを含む。そうした組換え宿主細胞は、本発明の抗体を作製するために使用することができる。
【0091】
本明細書に開示する宿主細胞は、したがって、本発明のポリペプチドの作製に特に適切である。実際に、組換え発現を哺乳動物宿主細胞に導入すると、宿主細胞においてポリペプチドを発現するため、及び任意で宿主細胞を増殖させる培養液にポリペプチドを分泌するために十分な期間、宿主細胞を培養することで、ポリペプチドが作製される。ポリペプチドは、その分泌後、標準のタンパク質精製法を使用して、例えば培養液から回収及び精製することができる。
【0092】
(本発明の治療用途)
本発明のさらなる目的は、本発明のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質の薬剤としての使用に関する。特に、上述の融合タンパク質は、がん又は感染疾患の処置に特に適する。したがって、本発明のさらなる目的は、治療を必要とする対象における治療の方法に関し、該方法は、治療有効量の本発明のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質を患者に投与することを含む。
【0093】
本発明のさらなる目的は、本発明の免疫サイトカインの薬剤としての使用に関する。したがって、本発明のさらなる目的は、治療を必要とする対象における治療の方法に関し、該方法は、治療有効量の本発明の免疫サイトカインを患者に投与することを含む。
【0094】
特に、本発明における抗PD-1免疫サイトカインは、増強を必要とする対象におけるT細胞の増殖性、遊走性、残留性、及び/又は活性の増強に特に適する。特に、本発明における抗PD-1免疫サイトカインは、CD4T細胞の増殖性、遊走性、残留性、及び/又は活性の増強に特に適する。特に、本発明における抗PD-1免疫サイトカインは、CD8T細胞の増殖性、遊走性、残留性、及び/又は活性の増強に特に適する。特に、本発明における抗PD-1免疫サイトカインは、γδT細胞の増殖性、遊走性、残留性、及び/又は活性の増強に特に適する。特に、本発明における抗PD-1免疫サイトカインは、CAR-T細胞の増殖性、遊走性、残留性、及び/又は活性の増強に特に適する。
【0095】
したがって、本発明のさらなる目的は、治療を必要とする対象における治療の方法を提供し、該方法は、治療有効量の少なくとも1つの抗PD-1免疫サイトカインを対象に投与することを含み、該投与は対象におけるT細胞の増殖性、遊走性、残留性、及び/又は活性を増強させる。
【0096】
より具体的には、本発明は、T細胞疲弊の低減を必要とする対象におけるT細胞疲弊を低減する方法を提供し、該方法は、治療有効量の本発明の少なくとも1つの抗PD-1免疫サイトカインを対象に投与することを含む。
【0097】
一部の実施形態において、本発明の抗PD-1免疫サイトカインは、抗原に特異的なT細胞の増殖性、遊走性、残留性、及び/又は活性の増強に特に適する。
【0098】
一部の実施形態において、抗原は腫瘍関連抗原(TAA)である。TAAの例は、黒色腫関連Ag(黒色腫に関連するメラン-A/MART-1、MAGE-1、MAGE-3、TRP-2、メラノソーム膜糖タンパク質gp100、gp75、及びMUC-1(ムチン-1));例えば卵巣がん、黒色腫、又は結腸がんに関連し得るCEA(癌胎児性抗原);卵巣癌によって発現される葉酸受容体α;卵巣腫瘍、精巣腫瘍、及び骨髄腫を含むがこれらに限定されない多くの様々な腫瘍によって発現される遊離ヒト絨毛性ゴナドトロピンβ(hCGP)サブユニット;乳がんに関連するHER-2/neu;小細胞肺がんに関連する脳脊髄炎抗原HuD;神経芽細胞腫に関連するチロシンヒドロキシラーゼ;前立腺がんに関連する前立腺特異性抗原(PSA);卵巣がんに関連するCA125;並びに腫瘍特異的免疫(イディオタイプ特異的液性免疫応答に起因する)を生じさせることができるB細胞リンパ腫のイディオタイプ決定基;膵臓がん、卵巣がん、及び肺がんに関連するメソテリン;卵巣がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がんに関連するP53;精巣がん、卵巣がんに関連するNY-ESO-1;乳がん、前立腺がん、肺がんに関連するEphA2、結腸直腸癌に関連するEphA3、肺がん、乳がん、膵臓がん、卵巣がんに関連するサバイビン、子宮頸がんに関連するHPV E6及びE7、NSCLがんに関連するEGFRを含むが、限定されない。さらに、ヒトT細胞白血病ウイルス1型のAgは、特異的細胞傷害性T細胞応答及びウイルス誘導ヒト成人T細胞白血病(ATL)に対する抗腫瘍免疫を誘導することが示されている。他の白血病のAgも同様に使用することができる。本発明において使用することができる腫瘍関連抗原は、「Categories of Tumor Antigens」(Hassane M.et al Holland-Frei Cancer Medicine (2003).6th edition.)という本及びthe review Gregory T.等(「Novel cancer antigens for personalized immunotherapies: latest evidence and clinical potential」 Ther Adv Med Oncol.2016;8(1):4-31)に公開されており、これらのすべてが本明細書において言及することによって援用される。一部の実施形態において、腫瘍関連抗原は黒色腫関連Agである。
【0099】
一部の実施形態において、抗原は感染疾患抗原である。したがって、一部の実施形態において、抗原は、細菌抗原、ウイルス抗原、寄生虫抗原、及び真菌抗原から選択される感染疾患抗原から選択される。典型的に、抗原は少なくとも1つのウイルス抗原である。例えば、少なくとも1つのウイルス抗原は、アデノウイルス、レトロウイルス、ピコルナウイルス、ヘルペスウイルス、ロタウイルス、ハンタウイルス、コロナウイルス、トガウイルス、フラビウイルス(flavirvirus)、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、オルソミクソウイルス、ブニヤウイルス、アレナウイルス、レオウイルス、パピローマウイルス(papilomavirus)、パルボウイルス、ポックスウイルス、ヘパドナウイルス、ロトウイルス(rotovirus)、又は海綿状ウイルス(spongiform virus)からのペプチドを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのウイルス抗原は、HIVウイルス、CMVウイルス、A型、B型、及びC型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、天然痘ウイルス、風疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、日本脳炎ウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザ(flu)ウイルス、又は感冒ウイルスの少なくとも1つからのペプチドを含む。一部の実施形態において、上述のウイルス抗原は、HIV-1 Gag p24、Nef、及びGag p17(GNGと呼ばれる3つの抗原の組合せを含む、以下のアミノ酸配列の詳細を参照)、又はHVP16 E6及びHPV16 E7抗原の組合せ(HPV 16 E6/E7)(HPVとも呼ばれる、以下のアミノ酸配列の詳細を参照)の抗原ドメインの1つ以上から選択される。一部の実施形態において、上述のウイルス抗原は、Gag p17(17-35)、Gag p17-p24(253-284)、及びNef(116-145)、Pol 325-344(RT158-188)、及びNef(66-97)のHIV抗原ドメインの1つ以上から選択される。一部の実施形態において、上述のウイルス抗原は、Gag p17(17-35)、Gag p17-p24(253-284)、及びNef(116-145)、Pol 325-344(RT158-188)、及びNef(66-97)の5つのHIV抗原ドメインの組合せから選択される。
【0100】
本発明のさらなる目的は、がんの処置における使用のための本発明の抗PD-1免疫サイトカインに関する。実際に、本発明の抗PD-1免疫サイトカインは、腫瘍浸潤細胞傷害性Tリンパ球の増殖性、遊走性、残留性、及び/又は活性の増強に特に適する。
【0101】
一部の実施形態において、本発明の方法は、PD-1を発現する細胞傷害性Tリンパ球の高い腫瘍浸潤性によって特徴づけられるがんの処置に適する。典型的に、上述の細胞傷害性Tリンパ球の腫瘍浸潤性は、当該技術における任意の従来の方法によって測定される。例えば、上述の測定は、患者から得た腫瘍試料におけるPD-1を発現する細胞傷害性Tリンパ球の密度を定量化することを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの免疫チェックポイントタンパク質を発現する細胞傷害性Tリンパ球の密度の定量化は、免疫組織化学的検査(IHC)によって測定される。例えば、細胞傷害性Tリンパ球の密度の定量化は、組織腫瘍組織試料を、該細胞の細胞表面マーカーに特異的な結合パートナー(例えば抗体)と接触させることによって行われる。典型的に、細胞傷害性Tリンパ球の密度の定量化は、組織腫瘍組織試料を、CD8及びPD-1に特異的な結合パートナー(例えば抗体)一式と接触させることによって行われる。
【0102】
本発明のさらなる目的は、処置を必要とする患者におけるがんの処置の方法に関し、該方法は、治療有効量の本発明の抗PD-1免疫サイトカインと組み合わせた治療有効量のCAR-T細胞集団を患者に投与することを含む。したがって、本発明の抗PD-1免疫サイトカインは、腫瘍関連抗原に特異的であるCAR-T細胞集団の疲弊を抑止し得る。
【0103】
本発明のさらなる目的は、感染疾患の処置における使用のための本発明の抗PD-1免疫サイトカインに関する。より具体的には、本発明の抗PD-1免疫サイトカインは、ウイルス感染の処置に特に適する。本発明によって処置可能なウイルス感染の例は、レトロウイルス、ポックスウイルスなど、動物、ヒト、及び植物に感染する単鎖又は二本鎖のRNA及びDNAウイルス、免疫不全ウイルス(HIV)感染、エコーウイルス感染、パルボウイルス感染、風疹ウイルス感染、パピローマウイルス、先天性風疹感染、エプスタイン・バーウイルス感染、流行性耳下腺炎、アデノウイルス、AIDS、水疱、サイトメガロウイルス、デング熱、ネコ白血病、家禽ペスト、A型肝炎、B型肝炎、HSV-1、HSV-2、ブタコレラ、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、日本脳炎、麻疹、パラインフルエンザ、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、いぼ、及び黄熱、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えばHSV-I、HSV-II、CMV、若しくはVZV)、ポックスウイルス(例えば痘そう若しくはワクシニアなどのオルソポックスウイルス、若しくは伝染性軟属腫)、ピコルナウイルス(例えばライノウイルス若しくはエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えばパラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えばSARS)、パポーバウイルス(例えば、性器いぼ、尋常性いぼ、若しくは足底いぼを引き起こすものなどのパピローマウイルス)、ヘパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えばC型肝炎ウイルス若しくはデング熱ウイルス)、又はレトロウイルス(例えばHIVなどのレンチウイルス)によって引き起こされるものを含む。
【0104】
また、本発明の抗PD-1免疫サイトカインは、ワクチン接種の目的に特に適する。特に、上述の免疫サイトカインは、ワクチン組成物によって誘発される免疫応答の増強に特に適する。したがって、本発明のさらなる目的は、ウイルス又は腫瘍関連抗原に対するB細胞及び/又はT細胞応答の誘発及び/又は増強を必要とする対象における、ウイルス又は腫瘍関連抗原に対するB細胞及び/又はT細胞応答を誘発及び/又は増強する方法に関し、該方法は、本発明の抗PD-1免疫サイトカインを、誘発及び/又は増強を必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態において、本発明の抗PD-1免疫サイトカインは、連続して又は同時にワクチンに加えられる。一部の実施形態において、本発明の抗PD-1免疫サイトカインは、ワクチン組成物を対象に注射する前に、用時にワクチン組成物と混合する。
【0105】
したがって、一部の実施形態において、本発明の抗PD-1免疫サイトカインは、ワクチン接種の目的で少なくとも1つの抗原と組み合わせて対象に投与される。典型的に、上述の抗原はウイルス抗原である。一部の実施形態において、上述のウイルス抗原は、HIV-1 Gag p24、Nef、及びGag p17(GNGと呼ばれる3つの抗原の組合せを含む、以下のアミノ酸配列の詳細を参照)、又はHVP16 E6及びHPV16 E7抗原の組合せ(HPV 16 E6/E7)(HPVとも呼ばれる、以下のアミノ酸配列の詳細を参照)の抗原ドメインの1つ以上から選択される。一部の実施形態において、上述のウイルス抗原は、Gag p17(17-35)、Gag p17-p24(253-284)、及びNef(116-145)、Pol 325-344(RT158-188)、及びNef(66-97)のHIV抗原ドメインの1つ以上から選択される。一部の実施形態において、上述のウイルス抗原は、Gag p17(17-35)、Gag p17-p24(253-284)、及びNef(116-145)、Pol 325-344(RT158-188)、及びNef(66-97)の5つのHIV抗原ドメインの組合せから選択される。
【0106】
一部の実施形態において、抗原又は複数の抗原は、DC標的抗体、特に抗CD40抗体にコンジュゲートされる。したがって、一部の実施形態において、本発明の抗PD-1免疫サイトカインは、ワクチン接種の目的で、抗CD40抗体とコンジュゲートした少なくとも1つの抗原と組み合わせて対象に投与される。典型的に、上述の抗CD40抗体は、上述の抗体又はその抗原結合フラグメントにおける対応する重鎖又は軽鎖のいずれかに非共有結合することで融合又はコンジュゲート又は結合された1つ以上の抗原を含む。上述の抗原は、抗CD40抗体のポリペプチド鎖に、例えば抗CD40抗体のポリペプチド鎖のC末端において、直接的にコンジュゲートすることができ、任意で上述のようにFlexV1などのペプチドリンカーを介してコンジュゲートすることができる。また、これは、例えばドックリンドメインと結合するためのコヘシン融合タンパク質に含まれるような、非共有結合によって結合することができる。
【0107】
さらに、本明細書に開示するワクチン接種方法はまた、1つ以上のアジュバントの投与を含み得る。アジュバントは、上述のような抗原又は抗CD40抗体などのワクチン組成物の1つ以上に直接的又は非直接的に付着させる又はコンジュゲートすることができる。一部の実施形態において、アジュバントは、ワクチン組成物とは別に提供又は投与することができる。一部の実施形態において、アジュバントは、ポリICLC、CpG、LPS、Immunoquid、PLA、GLA、又はIFNαなどのサイトカインアジュバントである。一部の実施形態において、アジュバントは、Toll様受容体アゴニスト(TLR)であり得る。使用され得るTLRアゴニストの例は、TLR1アゴニスト、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR5アゴニスト、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、又はTLR9アゴニストを含む。
【0108】
一部の実施形態において、本発明のワクチン接種方法は、健康な対象が上述のウイルスに感染することを防ぐために使用され、本発明の抗PD-1免疫サイトカインと組み合わせたウイルスワクチンを、例えば上述のウイルスに感染していない健康な対象に、投与することを含む(予防処置)。一部の実施形態において、本発明のワクチン接種方法は、ウイルス感染に罹患する患者を処置する方法に使用され、本発明の抗PD-1免疫サイトカインと組み合わせたウイルスワクチンを患者に投与することを含む。
【0109】
(本発明の医薬組成物)
本発明のさらなる目的は、薬学的に許容される担体と共に本発明のIL-15/IL-15受容体α(IL-15Rα)融合タンパク質を含む医薬に関する。
【0110】
本発明のさらなる目的は、薬学的に許容される担体と共に本発明の免疫サイトカイン(例えば抗PD-1免疫サイトカイン)を含む医薬に関する。
【0111】
この組成物に使用することができる薬学的に許容される担体は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂を含むが、これらに限定されない。患者への投与における使用では、組成物は、患者への投与のために製剤化し得る。本発明の組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、経局所、経直腸、経鼻、経口腔、経膣で、又は留置リザーバーを介して投与することができる。本明細書で使用されるものは、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病変内、及び頭蓋内の注射又は注入技術を含む。本発明の組成物の滅菌注射剤形は、水性又は油性懸濁液とすることができる。これらの懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、当該技術分野において既知の技術に従って製剤化することができる。また、滅菌注射調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌の注射可能な溶液又は懸濁液とすることができる。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒のなかには、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の固定油は、従来より、溶媒又は懸濁媒体として使用されている。この目的で、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の刺激の少ない固定油を使用することができる。脂肪酸、例えばオレイン酸及びそのグリセリド誘導体は、オリーブ油又はヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油、特にそれらのポリオキシエチル化タイプと同様に、注射剤の調製に有用である。また、これらの油溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、例えばエマルション及び懸濁液を含む薬学的に許容される投与剤形の製剤に一般的に使用されるカルボキシメチルセルロース若しくは同様の分散剤を含有することができる。また、Tween、Spanなどの他の一般的に使用される界面活性剤、及び薬学的に許容される固体、液体、又は他の投与剤形の製造に一般的に使用される他の乳化剤又は生物学的利用能増強剤も、製剤の目的で使用することができる。本発明の組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液又は溶液を含むが、これらに限定されない、任意の経口に許容される投与剤形で経口投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、ラクトース及びコーンスターチを含む。また、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムが、典型的に添加される。カプセル剤形での経口投与では、有用な希釈剤としては、例えばラクトースを含む。経口使用に水性懸濁液を必要とするとき、活性成分は乳化剤及び懸濁剤と組み合わされる。望ましい場合、特定の甘味料、香味料、又は着色剤を添加することもできる。あるいは、本発明の組成物は、直腸投与のための坐剤の剤形で投与することができる。これらは、薬剤を、室温では固体であるが直腸温では液体であり、したがって直腸で融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって、調製することができる。そうした材料としては、カカオバター、ミツロウ、及びポリエチレングリコールを含む。また、本発明の組成物は、特に、眼、皮膚、又は下部腸管の疾患を含む、局所の適用によって容易に到達可能である領域又は器官を処置の標的に含むとき、経局所で投与することができる。適切な局所用製剤は、これらの領域又は器官のそれぞれに対して容易に調製される。局所の適用では、組成物は、1つ以上の担体に懸濁又は溶解した活性成分を含有する適切な軟膏剤に製剤化することができる。本発明の化合物の局所投与のための担体は、鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水を含むが、これらに限定されない。あるいは、組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体に懸濁又は溶解した活性成分を含有する適切なローション剤又はクリーム剤に製剤化することができる。適切な担体は、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルズワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水を含むが、これらに限定されない。下部腸管のための局所の適用は、直腸坐剤(上述を参照)又は適切な浣腸剤で行うことができる。また、貼付剤も使用することができる。また、本発明の組成物は、鼻エアロゾル又は吸入によって投与することができる。そうした組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコール若しくは他の適切な保存剤、生物学的利用能を増強させるための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は他の従来の可溶化剤若しくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製することができる。例えば、この発明の医薬組成物に存在する抗体は、100mg(10mL)又は500mg(50mL)の単回使用バイアルのいずれかにおいて10mg/mLの濃度で提供することができる。製品は、9.0mg/mLの塩化ナトリウム、7.35mg/mLのクエン酸ナトリウムニ水和物、0.7mg/mLのポリソルベート80、及び滅菌注射用水中において静脈内投与用に製剤化する。pHは6.5に調整する。この発明の医薬組成物における抗体の例示の適切な投与量範囲は、約1mg/m~500mg/mとすることができる。しかしながら、これらの計画は例示であり、臨床試験において決定する必要のある医薬組成物における特定の抗体の親和性及び許容性を考慮して、最適な計画及びレジメンを適応させることができるということが理解される。注射(例えば筋肉内、静脈内)のための本発明の医薬組成物は、滅菌バッファー水(例えば筋肉内では1ml)、約1ng~約100mg、例えば約50ng~約30mg以上、好ましくは約5mg~約25mgの本発明のポリペプチドを含有するように調製することができる。
【0112】
また、本開示は、本発明の抗PD-1免疫サイトカインを含むワクチン組成物に関する。一部の実施形態において、ワクチン組成物は、任意で上述のような抗CD40抗体とコンジュゲートすることができる、上述のような少なくとも1つの抗原を含む。一部の実施形態において、本発明のワクチン組成物は、少なくとも1つのアジュバントをさらに含むことができる。有効であり得るアジュバントの例は、水酸化アルミニウム、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン、MTP-PE、並びに、2%スクアレン/Tween80エマルジョン中に細菌から抽出された3つの成分、モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレート及び細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含有するRIBIを含むが、これらに限定されない。アジュバントの他の例は、DDA(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、フロイントの完全アジュバント及び不完全アジュバント、並びにQuilAを含む。更に、リンホカイン(例えば、IFN-[γ]、IL-2及びIL-12)などの免疫調節物質、又はポリI:C若しくはポリICLC(Hiltonol)などの合成IFN-[γ]誘導物質を、本明細書に記載のアジュバントと組み合わせて使用することができる。一部の実施形態において、アジュバントは、ポリICLC、CpG、LPS、Immunoquid、PLA、GLA、又はIFNαなどのサイトカインアジュバントから選択することができる。一部の実施形態において、アジュバントは、Toll様受容体アゴニスト(TLR)であり得る。使用され得るTLRアゴニストの例は、TLR1アゴニスト、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR5アゴニスト、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、又はTLR9アゴニストを含む。ワクチン製剤は、液剤又は懸濁剤としての注射剤として調製されるが、感染の前に液体内の溶解又は懸濁に適する固体形態も調製することができる。製剤を乳化し、リポソームに封入してもよい。活性免疫原性成分は、多くの場合、薬学的に許容されるとともに有効成分に適合する担体と混合される。
【0113】
本開示におけるワクチン又は医薬組成物の投与は、最大(又は場合によっては最小)免疫応答のため部位への抗原の送達を最大化するように、標的組織がその経路を介して利用可能である限り、任意の一般的な経路を介して行うことができる。ワクチンの投与は、一般的に、同所性、皮内、粘膜、皮下、筋肉内、腹腔内、又は静脈内注射によって行うことができる。他の送達領域は、経口、鼻腔、口腔、直腸、膣、又は局所を含む。本開示のワクチンは、好ましくは、非経口で注射によって、例えば、皮下又は筋肉内の注射のいずれかで投与される。
【0114】
本開示のワクチン又は医薬組成物は、投与剤形と適合する方法で、並びに予防的及び/又は治療的に有効な量で投与することができる。投与する量は、例えば、対象の免疫系が抗体を合成する能力、及び所望の防御又は処置の程度を含む、処置する対象によって決まる。好適な投与量範囲は、約0.1mg~1000mgの範囲、例えば、約1mg~300mgの範囲、又は約10mg~50mgの範囲で、ワクチン接種あたり約数百マイクログラムの活性成分である。
【0115】
ワクチンは、典型的には、単回投与スケジュール又は複数回投与スケジュールで投与され得る。複数回投与スケジュールは、ワクチン接種の一次過程として、例えば1~10回の別々の投与を含み、続いて、免疫応答を維持及び/又は強化するために必要なその後の時間間隔での他の投与、例えば、1~4ヵ月の2回目の投与、及び必要であれば、数ヵ月後のその後の投与を行い得るものである。望ましいレベルの防御免疫を維持するためには、1~5年、通常3年の間隔で定期的に追加免疫を行うことが望ましい。免疫化の過程は、抗原と共培養した末梢血リンパ球(PBL)のin vitro増殖アッセイ、及びプライミングされたリンパ球から放出されるIFN-[γ]のレベルの測定が続いて行われ得る。アッセイは、放射性ヌクレオチド、酵素、及び蛍光標識等の従来の標識を使用して行うことができる。これらの技術は当業者に知られており、米国特許第3,791,932号、米国特許第4,174,384号、及び米国特許第3,949,064号に見出すことができる。
【0116】
ワクチンは、1つ以上の「単位用量」で提供することができる。単位用量は、その投与、すなわち、適切な経路及び処置レジメンに関連して所望の応答を生じるように計算された所定量のワクチンを含むものとして定義される。投与する量、及び特定の経路及び製剤は、臨床分野の当業者の技術の範囲内である。また、処置する対象は、特に、対象の免疫系の状態及び所望の防御について評価することができる。単位用量は、単回注射として投与する必要はないが、設定された期間にわたる持続注入を含み得る。送達されるワクチンの量は、約0.001~約0.05mg/kg体重で変動し得、例えば、対象あたり0.1~5mgである。
【0117】
本発明を以下の図面及び実施例によってさらに記載する。しかしながら、これらの実施例及び図面は、本発明の範囲を限定するとしていかようにも解釈されるべきでない。
【実施例
【0118】
(実施例1)
免疫サイトカインの設計において、抗PD-1治療に対して抗原特異的T細胞増殖の増強の効力を高めるとともに、in vivoの半減期が十分に長い治療剤を同定することに焦点を当てた。第2の考察点は、in vivoの試験及び臨床前プロファイリングのため有望な候補を前に進ませ得るこれらの免疫サイトカインの産生量及び生物物理学的安定性であった。図1に示すように、3つの別々の免疫サイトカイン設計を評価した。新しい抗PD-1/IL-15/Rαの免疫増強活性を、長期感染HIV感染ドナーの血液単核細胞を使用して、高度に標準化されているCFSE増殖アッセイにおいてin vitroで評価した。これらのドナーのHIV特異的T細胞は、長期間にわたって高レベルの抗原に曝露され、ゆえに機能的に疲弊し、高レベルのPD-1免疫チェックポイント阻害剤を発現し、抗原特異的刺激の存在下で増殖応答不良となる。HIV由来ペプチドでの血液単核細胞の刺激、その後の6日間の培養により、増殖を経たCFSE低CD8T細胞の増加をもたらした。従来のPDL-1遮断抗PD-1AbのKeytrudaの添加により、ペプチド単独のコントロールに対して、増殖レベルの増加をもたらし、ゆえに抗PD-1AbがCD8T細胞を疲弊から回復させることを示した(図2)。並行して試験した3つの異なる免疫サイトカインコンストラクトは、Keytrudaのコントロール抗PD-1抗体に対して、最低限でCD8T細胞増殖レベルの2~4倍の増加をもたらした。重要な点として、IC:Doc/Coh及びIC:Fusionコンストラクトが、100倍低いタンパク質濃度でも、Keytrudaに対して免疫増強効果の有意な向上を示した。IC:K-in-Hコンストラクトは、1μg/mlにおいてKeytrudaに対するCD8T細胞増殖レベルの増加を誘導したが、IC:K-in-Hは、IC:Doc/Coh及びIC:Fusionコンストラクトよりも10倍を超えて効力が小さかった。別の実験において、さらなる免疫サイトカインを、PD-1/PDL-1相互作用を遮断しない135C H1cL1c抗PD-1抗体と組み合わせてIC:Fusionコンストラクト設計を使用して作製した(Fenwick et al,2019)。CFSE増殖アッセイにおけるIL-15/IL-15Rαに直接的に融合させた135Cの機能的活性は、Keytruda-IL-15/IL-15Rα融合体であるIC:Fusionと同等であると分かった(図3)。興味深い点として、このウイルス血症HIV感染ドナーの血液単核細胞を用いて、0.1μg/mlの2つの異なる免疫サイトカインが、5μg/mlのKeytrudaに対してCD8T細胞増殖における最大20倍の増加を誘導した。
【0119】
(実施例2)
様々な免疫サイトカインの存在下におけるCD8T細胞増殖レベルの増加は、抗PD-1治療単独に対する、その優れた機能的活性を明らかにするものである。しかしながら、CD8T細胞増殖が、刺激に使用したHIVペプチド抗原に特異的であるということが、等しく重要である。免疫サイトカインの存在下におけるCD8T細胞増殖の増強の特異性を、五量体のMHC-HIVペプチド複合体によるCFSE低の増殖CD8T細胞の染色によって測定した。図4におけるフローサイトメトリーの結果は、Keytruda、IC:K-in-H、IC:Doc/Coh、及びIC:Fusionを用いて、増殖CD8T細胞の大多数(60~80%)が、MHC五量体ポジティブであり、刺激に使用したHIVペプチド抗原に特異的であることを示す。一方で、SEB T細胞スーパー抗原による刺激により、増殖CD8T細胞の2%のみが、MHC-HIVペプチド複合体に対してポジティブとして染色される。これらの五量体染色研究により、免疫サイトカイン複合体が抗原刺激の存在下においてCD8T細胞増殖を強力かつ特異的に誘導することを裏付ける。
【0120】
(実施例3)
これらの免疫サイトカインを治療剤としてさらに特徴づけるため、2mg/kgの様々な薬剤を投与したC57BL/6マウスにおいて、薬物動態学的研究を行い、以後の7日にわたって、血清試料を採取した。Keytruda及び3つの免疫サイトカインのPK特性を、ルミネックスアッセイを使用して測定し、研究の経過におけるヒトIgG又はIL-15結合ヒトIgGを検出した(図5)。他の免疫サイトカインに対して、よりネイティブの抗体構造を有するIC:K-in-Hコンストラクトは、Keytruda抗体に最も近いin vivoの半減期(t1/2~5日)を有していた。しかしながら、その薬剤曝露もまた、同等の用量をマウスに投与して、Keytrudaよりも1log少ないものであった。IC:K-in-HコンストラクトがKeytrudaよりも単に約10倍強力であることから、PKが劣っていることで、この免疫サイトカインが与える任意の機能的利点を打ち消す可能性がある。IC:Doc/Coh及びIC:Fusionの免疫サイトカインは、約1日の終末相半減期を有し、Keytrudaと比較してマウスからより速く排除される。しかしながら、この半減期は、in vivoにおけるIL-15に対して報告される1時間未満の半減期よりも有意に長く、7日目におけるこれらの2つの免疫サイトカインの薬剤レベルは、Keytrudaと比較したIC:Doc/Coh及びIC:Fusionのin vitroの機能的効果の有意な向上に対してなお高い(0.01μg/mlを超える)ものである。評価した3つの免疫サイトカインの様々な特性を対比すると、IC:Fusionが、(1)2log範囲の濃度において、Keytrudaに対して一貫して2倍を超える機能的活性の向上、(2)MHC五量体染色によって示すようなCD8T細胞の抗原特異的増殖増強、及び(3)週一回の投与レジメンに対応し得るPKプロファイルを伴う、最も良好な総合プロファイルを有している。IC:Doc/Cohと比較したIC:Fusionコンストラクトのさらなる利点は、免疫原性を増加させやすいものであり得、反復投与で処置した動物におけるPKプロファイルに好ましくないものであり得るドックリン及びコヘシンドメインを有しないことである。
【0121】
(実施例4)
これまでの結果に基づいて、治療用のDCに基づくワクチン接種を、T細胞応答を増加させるため、免疫チェックポイント阻害剤と融合させた免疫調節サイトカインと組み合わせることができ得るということを論じた。このため、がんの分野においてその効力が証明されたαPD-1モノクローナル抗体(Keytruda、臨床分子)、及びエフェクターCD8T細胞増殖に影響を与えることが知られるサイトカインであるIL-15R/IL-15Rαを使用した。
【0122】
ワクチン接種後16週のPBMC(Dalia1,n=15)を、αPD-1_IL-15/IL-15Rα融合体、αPD1単独、IL-15/IL-15Rα単独、又はαPD-1+IL-15/IL-15Rαの存在下又は非存在下においてGag-P24ペプチドプールでin vitroにおいて刺激した(実験設計を参照、図6)。44時間の刺激後、CD4OX40CD25HIV-1特異的細胞を分析した。
【0123】
α-PD-1_IL-15/IL-15Rα融合体の存在下で、cART HIV-1ワクチン接種患者のGag-P24で刺激したPBMCが、他の条件と比較して、HIV-1特異的T細胞応答の有意な増加をもたらすことを示した。図7のパネルAにおいて、α-PD-1_IL-15/IL-15Rα融合体をGag-P24で刺激したPBMCに添加したとき、エフェクター及び調節性細胞(Teff及びTreg)の両方を含むCD4OX40CD25HIV-1特異的細胞の存在比率が、有意に増加したことを示す。αPD-1の添加は、Gag-P24で刺激した細胞単独と比較したとき、CD4特異的細胞の存在比率を増加させない一方、IL-15/IL-15Rα、又はIL-15/IL-15Rα+αPD-1の添加は、わずかに良好であったが、α-PD-1_IL-15/IL-15Rα融合体で得た効力に届かなかった。図7のパネルBにおいて、エフェクター(OX40CD25CD39Foxp3)に注目したとき同様の傾向を示し、興味深い点として、α-PD-1_IL-15/IL-15Rα融合体を添加したとき、Treg(OX40CD25CD39Foxp3)の有意な減少を観察した。これらのデータは、αPD-1のIL-15/IL-15Rαとの融合が、in vitroにおいてHIV-1特異的エフェクターCD4T細胞を増強する良好な方法であることを示す。
【0124】
(実施例5)
CD8HIV-1特異的細胞を示すため、HLA制限ペプチドプールで刺激した6人の患者のPBMC(Dalia1、16週)のin vitroの増殖の後、五量体染色(Proimmune,英国)及びフローサイトメトリー分析を使用した。6日のin vitroの増殖の後、特異的ペプチドで一晩の再刺激を行い、CD8増殖及び細胞内サイトカイン産生(IL-2、TNFα、IFN-γ)を測定するためCFSE染色及びフローサイトメトリーを行った。結果は、α-PD-1_IL-15/IL-15Rα融合体の存在下におけるPBMCの刺激が、αPD1単独と比較したときCD8五量体細胞増殖及びサイトカイン産生を有意に増加させ、これは、ペプチド刺激のみの条件と比較したとき同様の応答を示す、ということを示した(図8)。グラフは、5人のうち3人の患者から得た結果を示す。
【0125】
(実施例6)
αPD-1_IL-15/IL-15Rα融合体が他のDCに基づくワクチン(抗CD40.HIV5pep-DC)とも使用できることを示すため、抗CD40.HIV5pepコンストラクトを、以下の実験設計に示すように成熟及び分化したCD14単球にロードした(図9及びCobb et al.JIM 2011)後、自己PBMCと共培養する、in vitroの実験を行った。図9の下部パネルに示すようにフローサイトメトリーによってCD4特異的T細胞を示すため、OX40アッセイを使用した。
【0126】
留意点として、OX40アッセイを使用するリードアウト実験のため、2つの条件を実施した。1つ目では、αPD-1_IL-15/IL-15Rα融合体の存在下又は非存在下においてGag P24で患者のPBMCを刺激し、2つ目の条件では、αPD-1_IL-15/IL-15Rα融合体の存在下又は非存在下においてPBMCを抗CD40.HIV5pep-DCと共培養した。図10に示す結果は、両方の条件におけるαPD-1_IL-15/IL-15Rα融合体の添加により、CD4HIV-1特異的エフェクター細胞(青色のヒストグラム)を増強するが、この増加は、抗CD40.HIV5pep-DCでPBMCを刺激/共培養したときにより有意であることを示した。さらに、CD4HIV-1特異的Tregの有意な減少を観察した(ヒストグラム、下部パネル)。
【0127】
最後に、CD4及びCD8細胞の両方において細胞内サイトカイン(IL-2/TNFα/IFNγ)を測定した(44時間のOX40アッセイ終了の6時間前にブレフェルジンAを添加)。図11は、PBMCをαPD-1_IL-15/IL-15Rα融合体の存在下で抗CD40.HIV5pep-DCと共培養したときのサイトカイン産生の有意な増加を示す。
【0128】
これらの結果は、併せて、(i)DC標的化(抗CD40.HIV5pep-DCと共培養したPBMC)が、Gag P24刺激したPBMCと比較したとき、より良好なT細胞応答をもたらすこと、及び(ii)αPD-1_IL-15/IL-15Rα融合体増強CD8特異的応答(増殖及びサイトカイン産生)とCD4特異的Tregの減少との組合せにより、αPD-1_IL-15/IL-15Rα融合体が臨床に推し進められる良好なツールとなることが示唆されることを示している。
【0129】
(実施例7) in vivoのPanc02マウス腫瘍モデルにおける抗PD-1/IL-15/IL-15Rα免疫サイトカインの有効性
この研究の目的は、HuGEMM hPD-1メスマウスにおけるPanc02マウス膵臓がん皮下異種移植の処置において、この出願に記載する抗PD-1/IL-15/IL-15Rα免疫サイトカイン試験物質のin vivoの治療有効性を評価することであった。Panc02腫瘍細胞は、免疫原性が不良であり、大部分のがん免疫療法にとって難しい腫瘍モデルに相当する。
【0130】
HuGEMM PD-1モデルは、CrownBioによって作製され、マウスのPD-1対応物を置き換えるようにヒトエクソン2をノックインすることで作製された。これにより、ヒト化PD-1受容体を認識するヒト治療抗体のin vivoの有効性評価を可能にする。6~8週齢のマウスに、0.1mLのPBS中の3×10Panc02腫瘍細胞を移植し、平均腫瘍サイズが約100(70~130)mmに達した7日後に、研究を開始した。すべての動物を、「一致分布(Matched distribution)」方法(StudyDirectorソフトウエア、バージョン3.1.399.19)に基づいて、グループにつき10匹のマウスの5つの研究グループ群に無作為に割り当てた。5つの研究調査群は、(1)PBS未処置コントロール、(2)ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))抗PD-1の5mg/kgでの週2回の処置、(3)5mg/kgのペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))+0.1mg/kgのIL-15/IL-15Rα ALT-803スーパーアゴニスト、この両方を週2回投与、(4)IL-15/IL-15Rα免疫サイトカイン(IC)と融合させたKeytrudaを、2mg/kgで週2回投与、並びに(5)IL-15/IL-15Rα免疫サイトカイン(IC)と融合させたNB01b抗PD-1抗体を、2mg/kgで週2回投与、を含む。研究に使用したKeytrudaは、ローザンヌ大学病院から購入した臨床用ロットの抗体であった。IL-15/IL-15Rα ALT-803スーパーアゴニスト及び免疫サイトカインは、CHO発現又はHEK293T哺乳動物細胞株の一時的な遺伝子導入によって個別に作製した組換えタンパク質であった。上述のタンパク質を、遺伝子導入細胞からの分泌の際に切断されるシグナル配列と共に発現させた。その後、治療用タンパク質のそれぞれを、タンパク質Aアフィニティーカラムを使用して細胞培地から精製した。PBSに対する透析によってバッファーを交換した後、治療剤を、チャールス・リバー社のリムルスアメボサイトライセート(LAL)キットによって検証し、エンドトキシンレベルが1EU/ml未満であることを判定した。すべての治療剤を、PBSバッファー中の液剤として腹腔内に投与した。すべてのマウスにおける腫瘍体積を、ノギスを使用して2次元で週2回測定し、体積=(長さ×幅×幅)/2の式を使用して、体積をmmで表した。腫瘍体積の1500mmのカットオフを、この研究においてマウスの生存基準を定めるために選択した。
【0131】
それぞれの研究群のマウスの腫瘍体積における長手方向の評価は、治療の10日目において、すべての抗PD-1に基づく治療がPBS未処置コントロールマウスに対して腫瘍抑制の徴候を示すことを提示した(図12)。Keytruda単独及びKeytruda/IL-15/IL-15Rα ICの治療は、平均体積の増加が研究の14日目に観察されるように、腫瘍増殖の一時的な抑制を示すのみであった。一方で、Keytruda+ALT-803スーパーアゴニスト及びNB01/IL-15/IL-15Rα ICの治療は、平均体積の増加が7日後に研究の21日目において観察されるのみであるように、持続性のin vivoの機能的活性を示した。この後、Panc02細胞は、様々な免疫療法による抑制を逃れ、腫瘍増殖がすべての抗PD-1に基づく治療群において同様の速度で進行することが認められた。
【0132】
様々な治療群とPBS群と間の腫瘍抑制の相対レベルを、研究の7日目~24日目の腫瘍体積の曲線下面積値を比較することによって評価した(図13)。この期間における最も強力な腫瘍抑制は、Keytruda+スーパーアゴニスト及びNB01/IL-15/IL-15Rα ICの研究群において観察した。PBSコントロールマウスに対して、Keytruda+スーパーアゴニスト(p=0.0021)及びNB01/IL-15/IL-15Rα IC(p=0.0041)の治療群において、有意な腫瘍抑制を観察し、Keytruda単独の治療では腫瘍体積はさほど有意ではない減少を示した(p=0.018)。
【0133】
また、様々な治療における抗腫瘍の有効性を、カプラン・マイヤー生存曲線分析を使用して評価した(図14)。NB01/IL-15/IL-15Rαの免疫サイトカイン単剤治療は、PBSコントロールに対してマウスの生存における統計的に有意な14日の増加を示し(Log順位検定、p=0.029)、これは、Keytruda+IL-15/IL-15Rαスーパーアゴニストの二剤治療の2剤組合せ治療における12日の生存増加(Log順位検定、p=0.049)よりもわずかに長いものであった。一方で、Keytruda及びKeytruda/IL-15/IL-15Rα免疫サイトカイン単剤治療は、免疫原性不良のPanc02腫瘍細胞を移植したマウスの生存時間を有意に増加させなかった。
【0134】
全体として、これらの研究は、NB01b抗PD-1抗体のIL-15及びIL-15Rαとの免疫サイトカイン融合が、未処置マウスと比較してPanc02腫瘍増殖抑制とマウス生存延長との両方において有意な機能的活性を有することを示す。この示された免疫サイトカイン活性は、Keytruda+スーパーアゴニストの二剤治療と比較したとき有効性が等しいものであった。
【0135】
(参考文献)
本願において、種々の参考文献によって、本発明が属する技術の現状が記載されている。これらの参考文献の開示は、本明細書において言及によって本開示に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
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【国際調査報告】