(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】インサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法及びその応用
(51)【国際特許分類】
C21D 11/00 20060101AFI20230118BHJP
G01N 25/02 20060101ALI20230118BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20230118BHJP
C22F 1/04 20060101ALN20230118BHJP
C22F 1/06 20060101ALN20230118BHJP
C22F 1/16 20060101ALN20230118BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20230118BHJP
C22C 21/00 20060101ALN20230118BHJP
C22C 21/10 20060101ALN20230118BHJP
C22C 21/12 20060101ALN20230118BHJP
C22C 23/02 20060101ALN20230118BHJP
C22C 18/04 20060101ALN20230118BHJP
【FI】
C21D11/00
G01N25/02 B
G01N27/04 Z
C22F1/04 A
C22F1/06
C22F1/16 B
C22F1/00 650Z
C22F1/00 660Z
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22C21/00 M
C22C21/10
C22C21/12
C22C23/02
C22C18/04
C22C21/00 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529614
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2020101214
(87)【国際公開番号】W WO2021098234
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201911155993.9
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518309666
【氏名又は名称】中南大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李▲紅▼英
【テーマコード(参考)】
2G040
2G060
4K038
【Fターム(参考)】
2G040AB01
2G040BA08
2G040BA25
2G040CA02
2G040CA13
2G040CA22
2G040DA02
2G040EA01
2G040EC09
2G040HA11
2G060AA10
2G060AD04
2G060AF08
2G060EA06
2G060HB06
2G060HC10
4K038CA01
4K038CA03
4K038DA01
4K038DA03
4K038EA01
4K038EA03
4K038FA02
(57)【要約】
本発明は、インサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法及びその応用である。被測定材の熱処理時に、情報及び/又はデータをインサイチュで収集して、熱処理情報データベース内の対応する情報又はデータと比較し、被測定材の熱処理の程度又は状態を検出もしくは特徴付けし、材料の熱処理プロセスを最適化するか及び/又は被測定材の熱処理を調整制御する。前記熱処理は、均質化処理、固溶化処理、時効処理、回復・再結晶焼鈍を含むが、これらに限らない。前記インサイチュでの収集とは、実際の熱処理環境における被測定材の情報又はデータをリアルタイムに収集することをいう。前記熱処理情報データベースには、材料、熱処理プロセス、熱処理過程に関連する情報及びデータが含まれるが、これらに限らず、引き続いての検出と自己学習によって熱処理情報データベースを継続的に改善して最適化することができる。被測定材の非破壊検出や、熱処理パラメータのリアルタイムな最適化と感度の高い調整制御をオンラインで実現することができ、これにより、被測定材を設定された熱処理の目標及び/又は組織性能に達させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定材の熱処理過程中に情報及び/又はデータをインサイチュで連続して収集し、情報処理及び/又はデータ解析を実施した後、熱処理情報データベース内の関連情報又はデータと比較し、被測定材の熱処理の程度又は状態をオンラインで検出もしくは特徴付けし、材料の熱処理プロセスを最適化するか及び/又は被測定材の熱処理を調整制御することで、被測定材を設定された熱処理の目標及び/又は組織性能に達させることを特徴とする、インサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法。
【請求項2】
前記熱処理は、均質化処理、固溶化処理、時効処理、回復・再結晶焼鈍を含むが、これらに限らず、前記熱処理過程は、昇温、保温、降温のうちの少なくとも1つの操作を含み、好ましくは、前記熱処理の程度又は状態は、亜時効、ピーク時効、過時効、回復、再結晶開始、完全な再結晶を含むが、これらに限らないことを特徴とする、請求項1に記載のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法。
【請求項3】
前記インサイチュでの収集とは、実際の熱処理環境における被測定材の情報及び/又はデータを収集することをいい、好ましくは、前記情報は電気的情報であり、電圧、電気抵抗、電気抵抗率、電気伝導度、導電率を含むが、これらに限らず、
好ましくは、前記情報処理とは、電気的情報-時間曲線及び/又は電気的情報-温度曲線に対する関連処理であり、前記関連処理は、電気的情報変化値の計算、電気的情報変化率の計算、熱処理程度係数の計算を含むが、これらに限らず、
好ましくは、前記熱処理程度係数は、アルファベットPで表され、P=(Eti-E0)/(Eu-E0)×100%として定義し、前記E0は、初期熱処理程度に対応する電気的情報であり、好ましくは被測定材の温度が予め設定された初期条件に達した時に対応する電気的情報であり、前記Etiは、熱処理過程中の任意の時刻に対応する電気的情報であり、目標の熱処理程度に達する前のある程度に対応する電気的情報であり、前記Euは、目標の熱処理程度に対応する電気的情報であり、好ましくは被測定材の性能及び/又は組織が熱処理の目標に達した時に対応する電気的情報であることを特徴とする、請求項1に記載のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法。
【請求項4】
前記熱処理情報データベースには、材料の情報及びデータ、熱処理制度及び関連プロセスパラメータ、熱処理過程の情報及びデータが含まれるが、これらに限らず、前記材料の情報及びデータは、材料の成分、熱処理組織及び性能を含み、前記熱処理過程の情報及びデータは、異なる熱処理過程の温度、電気的情報を含むが、これらに限らないことを特徴とする、請求項1に記載のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法。
【請求項5】
前記熱処理情報データベースは関係型データベースであり、SQL Server、MySQL、MongoDB、SQLite、Access、H2、Oracle、PostgreSQLのデータベースタイプをサポートするが、これらに限らず、データベースアクセス技術は、ODBC、DAO、OLE DB、ADOを含むが、これらに限らず、記憶内容は実際の要求に応じて増加、削除、修正、及び検索可能であることを特徴とする、請求項1又は4に記載のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法。
【請求項6】
熱処理情報データベースに記録されていない材料の場合、異なる熱処理過程については、検出して得られた電気的情報-時間曲線、電気的情報-温度曲線から特徴点を選択して、材料の成分、組織及び性能をそれぞれ検出し、その後材料の情報及びデータ、熱処理プロセスデータ、熱処理過程の情報及びデータをデータベースに記憶し、前記特徴点は、曲線が水平線に変化する始点、曲線の変曲点、曲線の勾配変化が穏やかでない点、設定された熱処理程度の曲線上の対応する点、時間間隔が同じである点、温度間隔が同じである点を含むが、これらに限らないことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法。
【請求項7】
引き続いての検出と自己学習によって前記熱処理情報データベースを継続的に改善及び/又は最適化し、データの信頼性及び利用可能性を向上させることができ、前記自己学習は、ニューラルネットワークアルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、粒子群最適化アルゴリズムのうちの少なくとも1つのアルゴリズムによるものであり、その実行環境はWindows、Android、Linux(登録商標)、Mac OS、IOSのオペレーティングシステムをサポートするが、これらに限らず、学習結果はSOAP、RESTfulを介してユーザへのターミナルサービスの提供に供することを特徴とする、請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法。
【請求項8】
前記熱処理情報データベースはローカルデータベース又はクラウドデータベースであり、前記クラウドデータベースは、異なるクライアントからアップロードされたデータで構成され、権限管理、アクセス認証、データ保存、データ処理、データ管理、データ解析の機能を含むが、これらに限らないことを特徴とする、求項1、4、5、6のいずれか1項に記載のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用であって、前記方法は、材料熱処理プロセスの最適化及び/又は被測定材熱処理のオンライン調整制御に応用可能であり、
好ましくは、前記方法は、均質化焼鈍に応用され、適切な均質化温度や、均質化時間、昇温速度、降温速度の決定を含むが、これらに限らず、前記均質化は1段均質化と多段均質化を含み、
好ましくは、前記方法は、固溶化処理に応用され、適切な固溶温度や、固溶時間、昇温速度、降温速度の決定を含むが、これらに限らず、前記固溶は1段固溶と多段固溶を含み、
好ましくは、前記方法は、時効処理に応用され、多種の時効析出相が沈殿する順序及び新しい相が析出する時間窓の判定や、強度ピークに達する時効時間及び異なる時効程度に達するタイミングの決定を含むが、これらに限らず、前記時効は1段時効と多段時効を含み、
好ましくは、前記方法は、回復・再結晶焼鈍に応用され、材料が特定の温度で特定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間の予測や、材料が特定の冷間変形量で特定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間の予測、同じ熱処理条件での異なる材料の耐再結晶能力の比較を含むが、これらに限らないことを特徴とする、方法の応用。
【請求項10】
情報収集及び処理モジュール、自己学習モジュール、熱処理情報データベース、熱処理制御モジュール、熱処理システムを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法に用いる装置及びソフトウェアシステムであって、前記情報収集及び処理モジュールは、被測定材の熱処理情報をインサイチュで収集してタイムリーに処理するために用いられ、前記自己学習モジュールは、論理的規則及び/又はデータ関係の解析に用いられ、材料と熱処理の間の論理的規則や、情報間又はデータ間の関連性の解析を含むが、これらに限らず、前記熱処理情報データベースは、情報収集及び処理モジュールで得られたデータを記憶し、ターミナルサービスを提供するために用いられ、前記熱処理制御モジュールは、自己学習モジュールの解析結果に基づいて制御コマンドを生成するために用いられ、前記熱処理システムは、前記制御コマンドを実行して、熱処理の温度を調整し、熱処理の時間を制御することを特徴とする、装置及びソフトウェアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法及びその応用に関し、材料熱加工の分野に属し、特に、材料熱処理のオンライン検出及び制御の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
材料又はワークは熱処理により所望の組織構造を形成し、設定された性能要件を満たす。材料の組織性能は、加熱温度、保温時間、温度勾配率等の熱処理のプロセスパラメータに大きく影響されるため、生産では、これらのプロセスパラメータを最適化及び調整制御することで熱処理後のワークに所望の組織性能をもたらすことが一般的である。従来のやり方は、生産前に、異なる温度、異なる保温時間、又は異なる温度勾配率で熱処理を行い、その後、室温で性能検出とミクロ組織の観察を行い、組織性能が目標要件を達成していない場合には、プロセスパラメータを繰り返し調整して熱処理を再度行い、プロセスパラメータを継続的に最適化することで熱処理の目標要件に近づく必要があり、熱処理過程中に熱処理の程度又は状態を直接検出して熱処理過程を制御することができない。
【0003】
現在、熱処理に関する検出方法のいずれも、エクスサイチュで実施され、連続でなく、正確でなく、過程が複雑で、実験量が大きく、コストが過大となる等の問題が存在する。特許CN109536859Aには、7075アルミ合金固溶・焼入れの効果を検出する方法が開示され、該方法では、固溶温度や保温時間が異なる試料の電気伝導度の変化を検出することで熱処理の時間を決定し、測定される電気伝導度は、熱処理過程中にインサイチュで測定されたものではなく、焼入れ後の電気伝導度であり、電気伝導度-保温時間曲線、電気伝導度-加熱温度曲線を得るには、後で複数グループの実験を行う必要があり、実験工程が複雑である。論文『アルミ合金丸インゴット均質化効果の高速検出方法についての研究』には、室温電気伝導度計及び硬度計を使用して6A01、6005A、7B05等の合金の複数ヒートのインゴット均質化後の電気伝導度及び硬度値を検出し、金属顕微鏡と走査型電子顕微鏡で組織を観察して関連の検証を行ったが、その検出過程はエクスサイチュで実施され、連続でない。特許CN108193101Aには、ミクロ硬度を利用して4つのAl-Mg-Cu系合金の最適な時効熱処理プロセスを決定したが、その試料採取の時間間隔が大きく、最終に決定されたピーク時効時間が精確でなく、測定された硬度データの変動が大きく、偶発的な要因に影響されやすい。論文『Coarsening resistance at 400°C of precipitation-strengthened Al-Zr-Sc-Er alloys』には、硬度と室温電気伝導度を利用してAl-Zr-Sc(-Er)合金の最適な時効時間を決定したが、測定された性能はいずれも室温での性能であり、測定結果はサンプリング要因の影響を受けやすく、性能曲線には、離散点が全体的規則からずれて、さらには全体的規則に反する場合があるほか、該方法は必要とされる実験量が大きく、オンライン測定ではない。特許CN103175831Bには、変形アルミ合金材料に適する再結晶組織比率の解析評価方法が提案され、再結晶組織と変形組織を区別し、材料の再結晶状況を識別及び統計することができるが、該方法は、腐食しにくい材料もしくは非常に腐食しやすい材料には適さず、適する材料の範囲が限られている。
【0004】
材料熱処理情報の収集及び記憶について、現在では熱処理後の組織及び性能の検出に基づくものが多く、情報とデータの管理及びその応用システムが完備ではない。特許CN105975727A『材料データの処理、生成、応用方法及び端末、並びにクラウド処理プラットフォーム』には、材料遺伝子工学技術における材料測定とシミュレーション計算の食い違いという実験的問題を解決するために、材料データのクラウド処理プラットフォームが提案されているが、そのデータの生成と材料調製の過程は同時ではなく、材料生産プロセスの制御には応用できない。特許CN106447229A『材料情報学における材料データ管理システム及び方法』には、材料データに対する増加、削除、修正、検索が可能な情報学の研究フレームワークが開示されているが、記憶された情報に対する体系的な解析が行われておらず、生産過程オンラインフィードバックの応用に関する言及がない。特許CN110298289A『材料識別方法、装置、記憶媒体及び電子機器』には、材料識別に利用可能な超音波信号に基づく目標物体材料情報の決定装置が開示さているが、超音波信号が干渉を受けやすく、被測定材に損傷を与える可能性があり、応用範囲が限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ワークを熱処理すると同時に、高温下で情報をインサイチュで連続して収集でき、また、材料熱処理データベースの資源と自己学習の機能によって、収集された情報に対するタイムリーな処理や、解析、記憶が可能であり、さらに、被測定材の熱処理の程度又は状態をオンライン検出して、材料の熱処理プロセスを最適化し、被測定材熱処理のオンライン調整制御を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、インサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法及び装置、並びにその応用を提供する。
【0007】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法は、被測定材の熱処理過程中に情報及び/又はデータをインサイチュで連続して収集し、情報処理及び/又はデータ解析を実施した後、熱処理情報データベース内の関連情報又はデータと比較し、被測定材の熱処理の程度又は状態をオンラインで検出もしくは特徴付けし、材料の熱処理プロセスを最適化するか及び/又は被測定材の熱処理を調整制御することで、被測定材を設定された熱処理の目標及び/又は組織性能に達させる。
【0008】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、前記熱処理は、均質化処理、固溶化処理、時効処理、回復・再結晶焼鈍を含むが、これらに限らず、前記熱処理過程は、昇温、保温、降温等の操作の少なくとも1つを含むが、これらに限らず、前記熱処理の程度又は状態は、亜時効、ピーク時効、過時効、回復、再結晶開始、完全な再結晶を含むが、これらに限らない。
【0009】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、前記インサイチュでの収集とは、実際の熱処理環境における被測定材の情報及び/又はデータを収集することをいい、好ましくは、前記情報は電気的情報であり、電圧、電気抵抗、電気抵抗率、電気伝導度、導電率を含むが、これらに限らない。各電気的情報の間は、対応する換算が可能であり、前記換算は数値換算と単位換算を含み、以下の式の少なくとも1つにより行われる。
【0010】
電気抵抗(Ω)=電圧(V)÷電流(A)。
【0011】
電気抵抗率(Ω・m)=電気抵抗(Ω)×断面積(m2)÷長さ(m)。
【0012】
電気伝導度(S/m)=1÷電気抵抗率(Ω・m)。
【0013】
導電率(%IACS)=電気伝導度(MS/m)÷0.58。
【0014】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、前記電気的情報の収集方法は、直流4点法、シングルブリッジ法、ダブルブリッジ法を含むが、これらに限らない。中でも、直流4点法を用いることが好ましく、情報収集に対するワイヤ及び接触電気抵抗の影響を低減又は排除することができる。
【0015】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、前記情報処理は、情報の選別・分類処理、データの取得・変換により、冗長な情報とノイズ情報を減らし、情報の認識度を高めるものである。前記データ解析は、特徴量抽出、データマイニング・統合によって、データの次元削減とデータ処理を行い、検出の精度を上げるものである。前記情報処理は、好ましくは電気的情報-時間曲線及び/又は電気的情報-温度曲線に対する関連処理であり、前記関連処理は、電気的情報変化値の計算、電気的情報変化率の計算、熱処理程度係数の計算を含むが、これらに限らない。
【0016】
好ましくは、前記熱処理程度係数はPで表され、P=(Eti-E0)/(Eu-E0)×100%として定義する。前記E0は、初期熱処理程度に対応する電気的情報であり、好ましくは被測定材の温度が予め設定された初期条件に達した時に対応する電気的情報である。前記Etiは、熱処理過程中の任意の時刻に対応する電気的情報であり、目標の熱処理程度に達する前のある程度に対応する電気的情報である。前記Euは、目標の熱処理程度に対応する電気的情報であり、好ましくは被測定材の性能及び/又は組織が熱処理の目標に達した時に対応する電気的情報である。
【0017】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、前記熱処理情報データベースには、多種の材料及びその熱処理の情報とデータが記憶されており、材料の情報及びデータ、熱処理制度及び関連プロセスパラメータ、熱処理過程の情報及びデータが含まれるが、これらに限らない。前記材料の情報及びデータは、材料の成分及び基本性質、並びに熱処理組織及び性能指標を含む。前記熱処理制度は、均質化処理制度、固溶化処理制度、時効制度、軟化焼鈍制度を含むが、これらに限らない。前記関連プロセスパラメータは、加熱温度、保温時間、昇温速度、降温速度を含むが、これらに限らない。前記熱処理過程の情報及びデータは、異なる熱処理過程の温度、電気的情報を含むが、これらに限らない。好ましくは、データ駆動型ニューラルネットワークによって複数グループのメタ材料を分類し、主成分解析、関連解析によってデータ内の本質的な構造特徴を抽出し、成分を中心とするプロセス-組織-性能の関係型データベースを構築する。
【0018】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、前記関係型データベースは、SQL Server、MySQL、MongoDB、SQLite、Access、H2、Oracle、PostgreSQLのデータベースタイプをサポートするが、これらに限らない。データベースアクセス技術は、ODBC、DAO、OLE DB、ADOを含むが、これらに限らず、記憶内容は実際の要求に応じて増加、削除、修正、及び検索可能である。
【0019】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、熱処理情報データベースに記録されている材料については、データベースから、設定された熱処理過程における該材料の電気的情報、特徴的な組織及び性能情報を直接取得することができる。
図1に示される電気的情報-時間曲線を例にし、被測定材の温度が予め設定された初期条件に達した場合では、t0は熱処理開始の時点(曲線横座標の始点)であり、E0は初期熱処理程度に対応する電気的情報であり、t1、t2、t3・・・は熱処理過程中の異なる時刻であり、Et1、Et2、Et3・・・は、異なる熱処理時刻に対応する電気的情報であり、熱処理程度と一対一に対応し、tu、Euは目標の熱処理程度に達する時間及び対応する電気的情報である。
【0020】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、均質化、固溶化等の熱処理の場合、電気的情報-時間曲線は、熱処理時間が長くなるにつれて水平になる傾向がある。理論上、
図2に示すように、適切な固溶温度において、第2相が次第に再溶解して基体に完全溶解し、対応する電気的情報-時間曲線は水平になる傾向があるが、実際の生産では、不溶性相や難溶性相が存在することが多く、固溶化処理を一定時間行った後、固溶程度が変化しなくなったり、又は変化速度が非常に小さくなったりするのである。好ましくは、電気的情報-時間曲線の勾配変化率が非常に小さい熱処理過程については、省エネルギーと生産時間短縮のために、目標の熱処理程度として1つのほぼ安定な固溶程度を定義する。前記ほぼ安定な固溶程度の固溶程度及び対応する電気的情報は、安定な固溶程度に近いが、必要とされる熱処理の時間は大幅に短縮される。ほぼ安定な固溶程度を決定する方法として、実測電気的情報-時間曲線の勾配絶対値が設定値より小さくなる始点に対応する固溶程度を、ほぼ安定な固溶程度として設定する方法や、実測の電気的情報と材料熱処理情報データベースに記録されている安定な電気的情報の差が設定値に達した時に対応する固溶程度を、ほぼ安定な固溶程度として設定する方法、熱処理過程中に、材料の性能又は組織が目標に達した時に対応する固溶程度を、ほぼ安定な固溶程度として設定する方法を含むが、これらに限らない。
【0021】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、時効、回復・再結晶焼鈍の場合、沈殿開始、ピーク時効、再結晶開始、完全な再結晶等の臨界の熱処理状態が存在するが、前記目標の熱処理程度Euは、材料熱処理の目標の性能及び/又は組織に応じて決定される。
図3は、合金時効過程中に測定された電気的情報-時間曲線及び特徴的な組織の模式図であり、曲線上に勾配の変化が滑らかでない点が存在し、それぞれ沈殿開始、ピーク時効に対応する。熱処理情報データベース内に既に存在する材料及びその熱処理項目の場合は、該材料の沈殿開始、亜時効、ピーク時効、過時効の組織特徴が検索でき、T6、T79、T76、T74、T73等の熱処理状態の電気伝導度(電気抵抗率)、強度(又は硬度)も検索でき、電気伝導度(又は電気抵抗率)、強度(又は硬度)によりその熱処理程度を特徴付けして、被測定材の熱処理過程を制御することができる。
図4は、冷間変形材料の焼鈍過程中に測定された電気的情報-時間曲線であり、熱処理情報データベース内で該材料の回復、再結晶開始、完全な再結晶、二次再結晶の特徴的な組織及び対応する性能を検索可能である。熱処理程度係数Pで焼鈍程度を表し、例えば、完全な再結晶を熱処理の目標とし、対応する熱処理程度係数P=100%とする場合、P<100%であると部分的な再結晶に対応する。
【0022】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、熱処理情報データベースに記録されていない材料の場合、異なる熱処理過程については、検出して得られた電気的情報-時間曲線、電気的情報-温度曲線から特徴点を選択して、材料の成分、組織及び性能をそれぞれ検出し、その後材料の情報及びデータ、熱処理プロセスデータ、熱処理過程の情報及びデータ等をデータベースに記憶し、後続で同一材料の検出情報を得た場合、それをデータベースの補足と改善に用いることができる。前記特徴点は、曲線が水平線に変化する始点(又は曲線の勾配絶対値がある設定値より小さくなる始点)、曲線の変曲点(曲線の凹凸度が変化する点)、曲線の勾配変化が穏やかでない点(曲線の勾配変化率又は変化値が設定範囲を超える点)、特徴的な熱処理程度又は臨界の熱処理状態の曲線上の対応する点、時間間隔が同じである点、温度間隔が同じである点を含むが、これらに限らない。前記特徴的な熱処理程度又は臨界の熱処理状態は、低融点相の溶解開始、第2相の再溶解開始、固溶体の沈殿開始、ピーク時効、再結晶開始、完全な再結晶、再結晶粒の成長を含むが、これらに限らない。
【0023】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、引き続いての検出と自己学習によって前記熱処理情報データベースを継続的に改善又は最適化し、データの信頼性及び利用可能性を高めることができる。前記自己学習は、ニューラルネットワークアルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、粒子群最適化アルゴリズムのうちの少なくとも1つのアルゴリズムによるものであり、その実行環境はWindows、Android、Linux(登録商標)、Mac OS、IOSのオペレーティングシステムをサポートするが、これらに限らない。学習結果はSOAP、RESTfulを介してユーザへのターミナルサービスの提供に供する。また、本発明に係る上記アルゴリズムは、Bayesian最適化アルゴリズムとインタフェースをとることができ、これにより、アルゴリズム最適化の目的を達成する。
【0024】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、前記熱処理情報データベースはローカルデータベース又はクラウドデータベースである。前記クラウドデータベースは、異なるクライアントからアップロードされたデータで構成され、権限管理、アクセス認証、データ保存、データ処理、データ管理、データ解析の機能を含むが、これらに限らない。
【0025】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法によれば、前記熱処理情報データベース内の情報及びデータの応用形態は、他にも様々あるが、例えば、電気的情報-時間曲線の勾配を計算する等の方法で材料熱処理の程度又は状態等を検出及び特徴付けする等もある。本特許に記載の方法、即ち、電気的情報をインサイチュで連続して収集して関連処理を行う方法を基に行われる、熱処理の程度に対するオンライン検出、特徴付け及び調整制御は、全て本特許の保護範囲に属すると見なされるべきである。
【0026】
本発明において、情報収集及び処理モジュールに使用されるハードウェアは、コンピュータeithley 2450デジタルソースメータ、Keithley 2182Aナノボルトメータ、特別製の治具、及びデータ線を含む。そのうち、コンピュータは、CPU、マザーボード、グラフィックカード、メモリカード、ディスプレイ、ハードディスク等を含む。
【0027】
本発明において、自己学習モジュール及び熱処理情報データベースの構築に使用されるハードウェアは、コンピュータeithley 2450デジタルソースメータ、Keithley 2182Aナノボルトメータ、特別製の治具、及びデータ線を含む。そのうち、コンピュータは、CPU、マザーボード、グラフィックカード、メモリカード、ディスプレイ、ハードディスク等を含む。
【0028】
本発明において、熱処理制御モジュールに使用されるハードウェアは、厦門宇電の高性能なスマートサーモスタットAI-708、K型のサーモカップル、及びUSB転RS485データ線を含む。
【0029】
本発明において、熱処理システムに使用されるハードウェアは、天津中環のfurnace 1200℃三温域真空雰囲気チューブ炉を含む。
【0030】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、前記方法は、材料熱処理プロセスの最適化及び/又は被測定材熱処理のオンライン調整制御に応用可能である。
【0031】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、前記方法は、熱処理プロセスの最適化に応用され、熱処理プロセス-特徴的な組織-電気的情報の基本データセットを基に、大域的最適化のための効率的な自己適応型設計モデルを確立し、熱処理の多目標・多パラメータシステム最適化の問題を解決する。
【0032】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、前記方法は、均質化処理に応用され、適切な均質化温度や、均質化時間、昇温速度、降温速度の決定を含むが、これらに限らず、前記均質化は1段均質化と多段均質化を含む。具体的な操作として、好ましくは、幾つかの温度を選択して均質化を行い、情報をインサイチュで収集し、目標の均質化程度に達するまでの時間が最短で、且つ過焼結が生じない温度を適切な均質化温度とする。適切な均質化温度に対応する電気的情報-時間曲線から適切な均質化時間を決定し、均質化程度係数が100%に達した(又は曲線の勾配絶対値が設定値より小さくなる)時に対応する時間を適切な均質化時間として決定する。
【0033】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、前記方法は、固溶化処理に応用され、適切な固溶温度や、固溶時間、昇温速度、降温速度の決定を含むが、これらに限らず、前記固溶は1段固溶と多段固溶を含む。具体的な操作として、好ましくは、幾つかの温度を選択して固溶を行うと同時に情報をインサイチュで収集し、目標の固溶程度に達するまでの時間が最短で、且つ過焼結が生じない温度を適切な固溶温度とする。適切な固溶温度に対応する電気的情報-時間曲線から適切な固溶時間を決定し、固溶程度係数が100%に達した(又は曲線の勾配絶対値が設定値より小さくなる)時に対応する時間を適切な固溶時間として決定する。
図5は、典型的な合金を異なる温度で固溶する場合の電気抵抗率-時間曲線の模式図であり、T1>T2>T3>T4>T5である。T1及びT5の該当曲線の電気抵抗率は、長時間経っても安定化することができない。T2、T3及びT4の該当曲線の電気抵抗率は、所定の時間内で安定化することができ、いずれも該合金の適切な固溶温度とすることができる。
図6は、典型的な合金を固溶する場合の電気抵抗率-時間曲線である。合金がほぼ完全な固溶程度に達したことがシステムにより検出された場合では、固溶程度係数P=100%と設定し、対応する時間を適切な固溶時間とする。
図7は、典型的な合金を固溶する場合の電気抵抗率-時間曲線、及び固溶程度を特徴付けする模式図である。予め設定された電気抵抗率-時間曲線の勾配絶対値が設定値kより小さくなると固溶が完了し、A点での|dP/dt|>kであると、合金が不完全固溶の状態にあり、B点での|dP/dt|<kであると、合金が目標の固溶程度に達する。
【0034】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、前記方法は、時効処理に応用され、多種の時効析出相が沈殿する順序と新しい相が析出する時間窓の判定や、強度ピークに達する時効時間及び異なる時効程度に達するタイミングの決定を含むが、これらに限らず、前記時効は1段時効と多段時効を含む。
図8は、合金時効時の電気的情報-時間曲線、及び対応する相の析出模式図である。α相、β相の沈殿析出及び成長はいずれも、曲線勾配の変化を生じさせ得るため、勾配の変化及び合金沈殿の規則に基づいて該合金が沈殿する順序及び新しい相が析出する時間窓を判定することができる。
図9は、合金成分最適化前後の電気抵抗率-時間曲線であり、合金成分を僅かに変化させることで、電気抵抗率-時間曲線には顕著な変化が見られ、B、B’点はそれぞれ、成分最適化前後のピーク時効点に対応し、成分の変化によってピーク時効時間に変化が生じ、従って、時効処理の電気抵抗率-時間曲線から、合金が設定温度で異なる時効程度に達するタイミングを決定することができる。
【0035】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、前記方法は、回復・再結晶焼鈍に応用され、材料が特定の温度で特定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間の予測や、特定の冷間変形量の材料が特定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間の予測、同じ熱処理条件での異なる材料の耐再結晶能力の比較を含むが、これらに限らない。
【0036】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、材料が特定の温度で特定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間の予測とは、データベース内に既に存在する材料について、検出されていなかった温度で焼鈍が特定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間を自己学習によって適合予測することである。具体的な操作として、好ましくは、材料熱処理情報データベースから、特定の温度付近の温度の既知情報又はデータを呼び出し、特定の温度で焼鈍が設定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間を自己学習よって予測する。
図10は、同種の材料を異なる温度下(T1>T2>T3)で焼鈍する場合の電気抵抗率-時間曲線である。焼鈍の温度が高ければ、設定の再結晶程度に達するまでの時間が短くなり、T1、T2、T3温度の該当の電気抵抗率-時間曲線から、それぞれP=50%の点を見出して、適合を行って結線し、異なる温度でP=50%の再結晶程度に達するまでに必要な焼鈍時間を適合曲線から予測することができる。
【0037】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、特定の冷間変形量の材料が特定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間の予測とは、データベース内に既に存在する材料について、特定の変形量の冷間変形を行われた後、特定の温度で焼鈍が特定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間を自己学習によって適合予測することである。具体的な操作として、好ましくは、材料熱処理情報データベースから、特定の冷間変形量付近の既知の冷間変形量に対応する情報又はデータを呼び出し、データベースに記憶されていない冷間変形量での焼鈍が設定の焼鈍程度に達するまでに必要な時間を自己学習によって予測する。
図11は、異なる冷間変形量のワークの設定温度での電気抵抗率-時間曲線であり、3つの電気抵抗率-時間曲線から、それぞれP=50%の対応する点を見出して、適合を行って結線し、これにより、設定温度で、異なる冷間変形量の被測定材がP=50%の焼鈍程度に達するまでに必要な時間を予測することができる。本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、同じ熱処理条件での異なる材料の耐再結晶能力の比較の具体的な操作として、好ましくは、複数の金属を同時に1つの熱処理システムに入れて検出を行い、又は同じ熱処理条件下でそれぞれ検出を行い、電気的情報-時間曲線上の同じ時点での焼鈍程度係数を比較し、数値が大きいほど、焼鈍軟化の程度が高く、材料の耐再結晶能力が低く、同じ焼鈍程度係数に達するまでの時間が長いほど、材料の耐再結晶能力が高い。
図12は、2種の材料の同じ焼鈍条件での電気抵抗率-時間曲線である。同じ焼鈍程度に達するまでに必要な時間について、合金1が合金2より短く、合金1の耐再結晶能力が合金2より低いことが示されている。
【0038】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、前記方法は、熱処理のオンライン調整制御に応用され、具体的な操作として、好ましくは、熱処理過程中に、情報及び/又はデータをインサイチュで連続して収集し、タイムリーな情報処理及びデータ解析の後、熱処理情報データベース内の関連情報又はデータと比較し、熱処理の程度又は状態を検出もしくは特徴付けし、熱処理のプロセスパラメータを調整し、熱処理過程を制御することで、被測定材を設定された熱処理の目標及び/又は組織性能に達させる。
図13は、インサイチュで実測した電気的情報と参照電気的情報の比較結果によって、熱処理をリアルタイムに調整制御することの模式図であり、A点は、実測電気抵抗率-時間曲線と参照電気抵抗率-時間曲線が重なり合う点であり、A点では熱処理パラメータをそのまま維持する。B点では、実測電気抵抗率-時間曲線が参照電気抵抗率-時間曲線からずれて、熱処理パラメータを調整する。C点では、実測電気抵抗率-時間曲線が参照電気抵抗率-時間曲線に回帰する。D点では、設定された熱処理の目標が達成され、熱処理を停止する。前記参照電気的情報は、熱処理情報データベースから取得する。
図14は、参照電気的情報を取得することの模式図であり、取得方法として好ましくは、データベース内の同一材料及び同一熱処理過程の電気的情報に基づき、電気的情報と熱処理パラメータとの間の論理的規則及び/又はデータ関係を自己学習によって取得し、サンプルとして熱処理情報データベースに記憶し、データベースは、引き続いての検出によって継続的に最適化される。
【0039】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用装置及びソフトウェアシステムの構成ブロック図は
図15に示すように、情報収集及び処理モジュール、自己学習モジュール、熱処理情報データベース、熱処理制御モジュール、熱処理システムを含む。前記情報収集及び処理モジュールは、被測定材の熱処理情報をインサイチュで収集してタイムリーに処理するために用いられ、その収集頻度が調整可能であり、使用される電気的情報がリアルタイムに換算可能である。前記自己学習モジュールは、論理的規則及び/又はデータ関係の解析に用いられ、材料と熱処理の間の論理的規則や、情報間又はデータ間の関連性の解析を含むが、これらに限らない。前記熱処理情報データベースは、情報収集及び処理モジュールで得られたデータを記憶し、ターミナルサービスを提供するために用いられる。前記熱処理制御モジュールは、自己学習モジュールの解析結果に基づいて制御コマンドを生成するために用いられ、予め設定されたパターンで動作してもよいし、オンラインで調整してもよい。前記熱処理システムは、前記制御コマンドを実行して、熱処理の温度を調整し、熱処理の時間を制御する。
【0040】
本発明のインサイチュで収集された情報に基づく熱処理の調整制御方法の応用によれば、本発明の方法の実際の生産過程における応用形態は、上記応用の他にも様々あるが、本特許に記載の方法、即ち、電気的情報をインサイチュで連続して収集して関連処理を行う方法を基に行われる、熱処理に対するオンライン検出、特徴付け及び制御は、全て本特許の保護範囲に属すると見なされるべきである。
【発明の効果】
【0041】
従来技術に比べて、本発明は、インサイチュで収集された情報及び/又はデータに基づいて熱処理を調整制御する技術的解決手段を提案し、その技術的利点は以下のとおりである。
【0042】
1.あらゆる導電性の被測定材に対するオンライン非破壊検出が可能であり、被測定材の形状や、熱処理の温度、熱処理の場所に限定がなく、実験室と生産現場のいずれにも応用可能である。被測定材の運動状態に限定がなく、静止してもよいし連続的に移動してもよく、好ましくは被測定材と検出装置との間に相対的な動きがない。
【0043】
2.本発明はインサイチュでの情報収集とタイムリーな情報処理によって、熱処理組織の変化に応答する情報を感度良く正確に捕捉することができる。効率的な情報処理と専門化されたデータ解析によって、データに対する効果的な選別、マイニング及び最適化を実現し、データベースの有効情報の記憶量を増やし、システム誤差を低減し、検出及び制御の精度を上げる。
【0044】
3.本発明は自己学習の機能を有し、材料の熱力学及び拡散動力学データベース、材料熱処理エキスパートシステム、ハイスループット計算及び実験プラットフォームと深く融合し、成分を中心とするプロセス-組織-性能の関係型データベースを構築する。組織変化全過程の自動判断によって、性能駆動型のプロセスパラメータ自動調整を実現でき、熱処理をリアルタイムに調整制御することで熱処理の目標を達成させ、被測定材の組織性能要件を厳密に満たせる。
【0045】
4.本発明の情報化の応用は複数種類のオペレーティングシステム及びアプリケーションプラットフォームに対応可能である。ユーザフレンドリーなソフトウェアをインターネットと組み合わせることで、データの高速フロー転送と遠隔操作が可能となり、ビッグデータクラウド計算システム、科学的データ共有システム、材料遺伝子ビッグデータベース統合システム等とのデータ共有を実現することができ、機械学習に基づく材料の設計・開発、材料生産における人工知能の応用にサポートを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図2】合金固溶過程における電気的情報-時間曲線である。
【
図3】合金時効過程中に測定された電気的情報-時間曲線、及び特徴的な組織の模式図である。
【
図4】冷間変形材料焼鈍過程中に測定された電気的情報-時間曲線である。
【
図5】典型的な合金を異なる温度で固溶する場合の電気抵抗率-時間曲線の模式図である。
【
図6】典型的な合金を固溶する場合の電気抵抗率-時間曲線である。
【
図7】典型的な合金を固溶する場合の電気抵抗率-時間曲線、及び固溶程度を特徴付けする模式図である。
【
図8】合金時効時の電気的情報-時間曲線、及び析出挙動を特徴付けする模式図である。
【
図9】合金成分最適化前後の電気抵抗率-時間曲線である。
【
図10】同種の材料を異なる温度下(T1>T2>T3)で焼鈍する場合の電気抵抗率-時間曲線である。
【
図11】異なる冷間変形量のワークの設定温度での電気抵抗率-時間曲線である。
【
図12】2種の材料の同じ焼鈍条件での電気抵抗率-時間曲線である。
【
図13】インサイチュで実測した電気的情報と参照電気的情報の比較結果によって、熱処理をリアルタイムに調整制御することの模式図である。
【
図14】参照電気的情報を取得することの模式図である。
【
図15】応用装置のモジュール構成ブロック図である。
【
図16】実施例1のインサイチュ測定で得られた電気伝導度-時間曲線である。
【
図18】実施例2のインサイチュ測定で得られた電気伝導度-時間曲線である。
【
図20】
図19中の対応領域のエネルギースペクトル分析結果である。
【
図21】実施例3のインサイチュ測定で得られた電気抵抗率-時間曲線である。
【
図22】実施例4のインサイチュ測定で得られた電気伝導度-時間曲線である。
【
図23】実施例5のインサイチュ測定で得られた導電率-時間曲線である。
【
図25】実施例6のインサイチュ測定で得られた導電率-時間曲線である。
【
図27】実施例7のインサイチュ測定で得られた電気伝導度-時間曲線である。
【
図29】実施例8のインサイチュ測定で得られた電気抵抗率-時間曲線である。
【
図31】実施例9のインサイチュ測定で得られた電圧-時間曲線である。
【
図33】実施例10のインサイチュ測定で得られた電気伝導度-時間曲線である。
【
図34】実施例10のAl-0.16Y合金を焼鈍した試料のOM写真である。
【
図35】実施例10のAl-0.16Y-0.15Zr合金を焼鈍した試料のOM写真である。
【
図36】実施例11のインサイチュ測定で得られた導電率-時間曲線である。
【
図37】実施例11の450℃での実測で得られた導電率-時間曲線である。
【
図38】実施例12のインサイチュ測定で得られた電気抵抗率-時間曲線である。
【
図39】実施例12の合金を475℃で実測して得られた電気抵抗率-時間曲線である。
【
図40】470℃の固溶過程中に実施例13の7B50合金をインサイチュで実測して得られた電気抵抗率-時間曲線と参照電気的情報曲線である。
【
図41】実施例14のAl-0.10Zr-0.10La-0.02B合金の実測電気伝導度-時間曲線と参照電気的情報曲線である。
【
図43】実施例15のインサイチュ測定で得られた電気抵抗率-時間曲線である。
【
図44】比較例1において、JmatPro7.0.0ソフトウェアによってシミュレーションして得られたAl-0.13Fe-0.33Si-0.10La合金の電気伝導度-温度曲線である。
【
図45】比較例2のAl-4wt.%Cu合金を異なる時間固溶した試料にさらに170℃/12hの時効を実施した後の硬度曲線である。
【
図46】比較例3のAl-1.00Hf-0.16Y合金均質化の硬度-時間曲線である。
【
図47】比較例4のAl-4wt.%Cu合金の190℃時効における硬度曲線である。
【
図48】比較例5のAl-4.5Zn-1.2Mg合金の170℃時効における硬度曲線と室温導電率曲線である。
【
図49】比較例6のアルミ合金を異なる温度で1h等時焼鈍する場合の硬度変化曲線である。
【
図50】比較例7の7B50合金を異なる時間固溶してから、さらに170℃/8hの時効を実施した後の硬度曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[実施例]
以下、具体的な実施形態によって本発明の技術的解決手段をさらに説明する。熱処理システムの温度が設定温度に達すると情報収集を開始する。電気的情報は、直流4点法で収集され、具体的なパラメータ(電気的情報収集領域の長さ、定電流、電気的情報のタイプ等)は被測定材によって調整される。従来の検出方法で得られた材料の性能や、ミクロ組織は、検出前に材料熱処理情報データベースに入力してもよいし、検出が完了した後で入力してもよい。このようなデータは、本特許の方法に必須なものではなく、本特許の検出結果の検証に利用可能であり、自己学習モデルの精度と適用性の向上に役立つ。以下の実施例の検出内容及び結果は全て、材料熱処理情報データベースの対応する材料項目下に入力され、本発明の材料熱処理情報データベースを充実させて改善し、引き続いての検出及び制御の信頼性を継続的に向上させるのに役立つ。
【0048】
実施例1
Al-0.1Zn-0.2Mg-0.1Fe-0.05Mn合金を異なる温度で異なる時間固溶する場合の固溶程度をオンライン検出し、合金の適切な固溶温度を決定する。
【0049】
材料熱処理情報データベースを検索することで、推奨される固溶温度範囲は510℃~540℃であり、電気伝導度-時間曲線の勾配の絶対値が1.00×10-4MS/(m・h)以下であると、合金はほぼ安定な固溶程度に達し、必要な固溶時間が6~12hである。
【0050】
図16はインサイチュ測定で得られた、異なる温度で固溶する場合の電気伝導度-時間曲線であり、固溶温度はそれぞれ510℃、530℃、550℃である。510℃で12h固溶する場合の電気伝導度-時間曲線の勾配絶対値は1.20×10-4MS/(m・h)であり、1.00×10-4MS/(m・h)より大きく、ほぼ安定な固溶程度に達していないことが示され、システムは自己学習により510℃が適切な固溶温度ではないと認定する。530℃で12h固溶する場合の電気伝導度-時間曲線は安定する傾向にあり、8h固溶する場合に対応する曲線の勾配の絶対値は1.00×10-4MS/(m・h)であり、ほぼ安定な固溶程度に達したことが示され、システムは自己学習により530℃が適切な固溶温度であると認定する。550℃で12h固溶する場合の電気伝導度-時間曲線の勾配絶対値は3.33×10-3MS/(m・h)であり、1.00×10-4MS/(m・h)より大きく、システムは自己学習により550℃が適切な固溶温度ではないと認定する。
【0051】
図17は、550℃で異なる時間(0h、4h、8h、12h)固溶した試料のSEM写真であり、鋳放し状態の組織には多くの粗大第2相が存在する。
図17(a)に示すように、4h固溶した後、依然として粗大相が一部存在する。
図17(b)に示すように、8h固溶した後、一部の粒界が溶け始める。
図17(c)に示すように、過焼結が生じたことが示され、12h固溶した後、多量の粒界が溶ける。
図17(d)に示すように、重度の過焼結が生じたことが示される。
【0052】
実施例2
Al-4wt.%Cu合金を535℃で異なる時間固溶する場合の状態をオンライン検出し、合金を535℃で固溶する場合の適切な時間を決定する。
【0053】
材料熱処理情報データベースを検索することで、Al-4wt.%Cuが535℃でほぼ安定な固溶程度に達した時、その電気伝導度-時間曲線の勾配絶対値が8×10-6MS/(m・s)以下であり、必要な固溶時間が1~6hである情報を得る。
【0054】
図18は、インサイチュ測定で得られた電気伝導度-時間曲線である。3600s固溶した時、電気伝導度-時間曲線上の対応する点での勾配絶対値が3.67×10-5 MS/(m・s)であり、7275s固溶した後、電気伝導度-時間曲線上の対応する点での勾配絶対値が8×10-6MS/(m・s)に達し、システムは自己学習によりほぼ安定な固溶程度に達したと認定し、自動的に7275s(又は2hと整数に丸める)を、合金を535℃で固溶する場合の適切な時間とする。
【0055】
図19は、535℃でそれぞれ3600s、7200s固溶した試料のTEM写真である。
図20は、
図19中のマーキング領域のエネルギースペクトル分析結果である。3600s固溶した場合、大量の未固溶相組織が存在する。7200s固溶した場合、第2相がほぼ基体に溶け込み、合金は535℃で2h固溶するとほぼ安定な固溶程度に達することが明らかになる。
【0056】
実施例3
Mg-10Al-1Zn合金を430℃で異なる時間固溶する場合の状態をオンライン検出し、合金を430℃で固溶する場合の適切な時間を決定する。
【0057】
材料熱処理情報データベースを検索することで、Mg-10Al-1Zn合金が430℃でほぼ安定な固溶程度に達した時、対応する電気抵抗率が1.7890×10-7Ω・mであり、必要な固溶時間が5~20hである情報を得る。
【0058】
図21は、インサイチュ測定で得られた電気抵抗率-時間曲線である。35842s固溶した後、電気抵抗率が1.7890×10-7Ω・mに達し、システムは自己学習によりほぼ安定な固溶程度に達したと認定し、自動的に35842s(又は10hと整数に丸める)を、合金を430℃で固溶する場合の適切な時間とする。
【0059】
実施例4
Zn-15Alろう材を330℃で異なる時間均質化処理する場合の状態をオンライン検出し、合金を330℃で均質化する場合の適切な時間を決定する。
【0060】
材料熱処理情報データベースを検索することで、Zn-15Alろう材が330℃でほぼ安定な均質化程度に達した時、対応する電気伝導度が4.925MS/mであり、必要な均質化時間が2~10hである情報を得る。
【0061】
図22は、インサイチュ測定で得られた電気伝導度-時間曲線である。13795s均質化した後、電気伝導度が4.925MS/mに達し、システムは自己学習によりほぼ安定な均質化程度に達したと認定し、自動的に13795s(又は4hと整数に丸める)を、合金を330℃で均質化する場合の適切な時間とする。
【0062】
実施例5
Al-1.00Hf-0.16Y合金を635℃で異なる時間均質化処理する場合の状態をオンライン検出し、合金を635℃で均質化する場合の適切な時間を決定する。
【0063】
材料熱処理情報データベースを検索することで、Al-1.00Hf-0.16Y合金が635℃でほぼ安定な均質化程度に達した時、その導電率-時間曲線の勾配絶対値が9×10-4%IACS/h以下であり、必要な均質化時間が14~36hである情報を得る。
【0064】
図23は、インサイチュ測定で得られた導電率-時間曲線である。66961s均質化した後、導電率-時間曲線の勾配絶対値が9×10-4%IACS/hに達し、システムは自己学習によりほぼ安定な均質化程度に達したと認定し、自動的に66961s(又は19hと整数に丸める)を、合金の635℃での適切な均質化時間とする。
【0065】
図24は、635℃で異なる時間(10h、19h)均質化した試料のSEM写真である。均質化時間が10hである場合、
図24(a)に示すように、粒内に大量のデンドライト偏析が存在する。均質化時間が19hである場合、
図24(b)に示すように、デンドライト偏析はほぼなくなり、635℃/19hではほぼ安定な均質化程度に達したことが示されている。
【0066】
実施例6
Al-4wt.%Cu合金の150℃時効における沈殿挙動をオンライン検出し、新しい相が析出するタイミングを決定する。
【0067】
材料熱処理情報データベースを検索することで、Al-4wt.%Cu合金の150℃時効における沈殿順序がθ’’相(GPII領域)→θ’相→θ相である。
【0068】
図25は、インサイチュ測定で得られた導電率-時間曲線である。初期時効程度に対応する導電率は32.19%IACSであり、48h時効した後、対応する導電率は33.10%IACSまで上がり、導電率-時間曲線上の11h、20h、37h時効した該当位置には3つの顕著な勾配急変点があり、システムは、材料熱処理情報データベース内の導電率と第2相析出との対応関係に基づき、自己学習によりこれらがそれぞれθ’’相(GPII領域)、θ’相、θ相の析出開始に対応すると認定する。
【0069】
図26は、Al-4wt.%Cu合金を150℃で異なる時間(11h、20h、37h)時効した試料のTEM写真である(電子線入射方向は[100]Al)。時効時間が11hである場合、
図26(a)に示すように、θ’’相(GPII領域)が析出する。時効時間が20hである場合、
図26(b)に示すように、θ’相が析出する。時効時間が37hである場合、
図26(c)に示すように、θ相が析出する。
【0070】
実施例7
Al-4wt.%Cu合金の190℃時効における沈殿挙動をオンライン検出し、新しい相が析出するタイミングを決定する。
【0071】
材料熱処理情報データベースを検索することで、Al-4wt.%Cu合金の190℃時効における沈殿順序がθ’相→θ相である。
【0072】
図27は、インサイチュ測定で得られた電気伝導度-時間曲線である。初期時効程度に対応する電気伝導度は17.15MS/mであり、48h時効した後、対応する電気伝導度は17.72MS/mまで上がる。電気伝導度-時間曲線上の9h、32h時効した該当位置には2つの顕著な勾配急変点があり、システムは、材料熱処理情報データベース内の電気伝導度変化と第2相析出との対応関係に基づき、自己学習によりこれらがそれぞれθ’相、θ相の析出開始に対応すると認定する。
【0073】
図28は、Al-4wt.%Cu合金を190℃で異なる時間(9h、32h、48h)時効した試料のTEM写真である(電子線入射方向は[100]Al)。時効時間が9hである場合、
図28(a)に示すように、θ’相が析出する。時効時間が32hである場合、
図28(b)に示すように、θ相が析出する。時効時間が48hである場合、
図28(c)に示すように、θ相が析出する。
【0074】
実施例8
Al-4.5Zn-1.2Mg合金を170℃で異なる時間時効する場合の時効状態をオンライン検出し、異なる時効程度に達するタイミングを決定する。
【0075】
材料熱処理情報データベースを検索することで、Al-4.5Zn-1.2Mg合金の170℃時効における沈殿順序がη’相→η相であり、ピーク時効時間が9~24hである。
【0076】
図29は、インサイチュ測定で得られた電気抵抗率-時間曲線である。初期時効程度に対応する電気抵抗率は5.75×10-8Ω・mであり、48h時効した後、対応する電気抵抗率は5.04×10-8Ω・mである。電気抵抗率-時間曲線上の6h、12h、19h時効した該当位置には3つの顕著な勾配急変点があり、システムは、材料熱処理情報データベース内の電気抵抗率変化と第2相析出との対応関係に基づき、自己学習により、これらがそれぞれ原子クラスタ、η’相、η相の析出開始に対応し、時効時間が12h未満であると亜時効状態であり、12h時効するとピーク時効状態に達し、時効時間が19hを超えると過時効状態であると認定する。
【0077】
図30は、Al-4.5Zn-1.2Mg合金を170℃で異なる時間(0h、6h、12h、19h)時効した試料のTEM写真である(電子線入射方向は[100]Al)。時効時間が0hである場合、
図30(a)に示すように、合金基体は非常に純粋である。時効時間が6hである場合、
図30(b)に示すように、非常に小さな寸法の点状相のみが析出し、亜時効状態である。時効時間が12hである場合、
図30(c)に示すように、合金から大量のη’相が析出し、ピーク時効状態に対応する。時効時間が19hである場合、
図30(d)に示すように、合金から球状のη相が析出し、粒界からの沈殿の析出がなく、帯幅が400nm以上であり、過時効状態である。
【0078】
実施例9
アズロール型の工業用純アルミニウム板を300℃で異なる時間焼鈍する場合の回復再結晶程度又は状態をオンライン検出する。
【0079】
材料熱処理情報データベースを検索することで、アズロール型の工業用純アルミニウム板について、完全な再結晶を熱処理の目標とすると、0%≦P<65%は回復状態に対応し、65%≦P<95%は再結晶状態に対応し、95%≦P≦100%は結晶粒成長に対応する。
【0080】
図31は、インサイチュ測定で得られた電圧-時間曲線であり、電圧は焼鈍が長くなるにつれて低下する。焼鈍前の電圧は0.6044mVであり、12000s後に電圧は安定する傾向にあり、安定した電圧は0.5973mVである。0s、2000s、6000s、12000s焼鈍する場合の対応する電圧はそれぞれ、0.6044mV、0.5995mV、0.5980mV、0.5974mVであり、対応する焼鈍程度係数を自動的に計算してそれぞれ0%、69.01%、90.14%、98.59%となる。システムは自己学習により、対応する熱処理程度がそれぞれアズロール型、不完全な再結晶状態、再結晶状態、結晶粒成長であると認定する。
【0081】
図32は、それぞれ異なる時間(0s、2000s、6000s、12000s)を焼鈍した試料の金相写真である。焼鈍時間が0sである場合、
図32(a)に示すように、結晶粒が引き延ばされた繊維組織である。焼鈍時間が2000sである場合、
図32(b)に示すように、局所領域で再結晶が生じる。焼鈍時間が6000sである場合、
図32(c)に示すように、不完全な再結晶が生じる。焼鈍時間が12000sである場合、
図32(d)に示すように、再結晶粒が粗大化する。2000s、6000s、12000s焼鈍する場合の対応する熱処理程度はそれぞれ部分的な再結晶、不完全な再結晶、再結晶粒の成長であることが示されている。
【0082】
実施例10
異なるミクロ合金元素を添加したアルミ合金の420℃における再結晶焼鈍過程をオンライン検出し、同じ焼鈍条件での2種の金属の回復再結晶程度を比較し、添加した元素が合金の耐熱性に与える影響を評価する。合金1は、工業用純アルミニウムに0.16wt.%Yを添加したものであり、合金2は、工業用純アルミニウムに0.16wt.%Y及び0.15wt.%Zrを添加したものである。
【0083】
図33は、インサイチュ測定で得られた電気伝導度-時間曲線である。Al-0.16Y合金は、焼鈍前の電気伝導度が13.19MS/mであり、4h焼鈍後に安定する傾向にあり、対応する電気伝導度が13.28MS/mである。Al-0.16Y-0.15Zr合金は、焼鈍前の電気伝導度が13.09MS/mであり、5h焼鈍後に安定する傾向にあり、対応する電気伝導度が13.15MS/mである。完全な焼鈍状態を目標の熱処理程度とし、システムは、2種の合金の焼鈍程度係数がそれぞれ30%、60%、90%に達するまでに必要な時間を自動的に計算する。Al-0.16Yの場合、必要な時間はそれぞれ0.68h、1.67h、3.00hである。Al-0.16Y-0.15Zrの場合、必要な時間はそれぞれ0.70h、1.78h、3.56hである。同じ熱処理程度に達するには、Al-0.16Y-0.15Zr合金のかかる時間がより長く、Al-0.16Y-0.15Zr合金がより高い耐再結晶能力を有すると認定する。
【0084】
図34は、Al-0.16Y合金をそれぞれ異なる時間(0h、2h、4h、6h)焼鈍した各試料の金相写真である。焼鈍時間が0hである場合、
図34(a)に示すように、結晶粒が引き延ばされた繊維組織である。焼鈍時間が2hである場合、
図34(b)に示すように、部分的な再結晶が生じる。焼鈍時間が4hである場合、
図34(c)に示すように、結晶粒が合体して成長する。焼鈍時間が8hである場合、
図34(d)に示すように、再結晶粒が異常成長する。
図35は、Al-0.16Y-0.15Zr合金をそれぞれ異なる時間(0h、2h、4h、6h)焼鈍した各試料の金相写真である。焼鈍時間が0hである場合、
図35(a)に示すように、結晶粒が引き延ばされた繊維組織である。焼鈍時間が2hである場合、
図35(b)に示すように、主として繊維組織である。焼鈍時間が4hである場合、
図35(c)に示すように、合金に部分的な再結晶が生じる。焼鈍時間が8hである場合、
図35(d)に示すように、完全な再結晶が生じる。これらの結果から、Al-0.16Y-0.15Zr合金がより高い耐再結晶能力(又は耐熱性)を有することが示されている。
【0085】
実施例11
材料熱処理情報データベースには、Al-0.1Sc冷間変形状態の合金を400℃、500℃で焼鈍する場合の情報及びデータが記憶されており、450℃の焼鈍における再結晶開始の時間を予測する。
【0086】
材料熱処理情報データベースを検索し、
図36は、材料熱処理情報データベース内の、Al-0.1Sc合金の400℃、500℃の再結晶焼鈍における導電率-時間曲線である。
図36(a)により、合金を400℃で焼鈍する場合、初期程度に対応する導電率は23.63%IACSであり、6.5h焼鈍後に導電率は安定する傾向にあり、対応する導電率は23.93%IACSであり、再結晶開始に対応する焼鈍時間は0.61hであることが示されている。
図36(b)により、合金を500℃で焼鈍する場合、初期程度に対応する導電率は19.91%IACSであり、5.0h焼鈍後に導電率は安定する傾向にあり、対応する導電率は20.16%IACSであり、再結晶開始に対応する焼鈍時間は1.78hであることが示されている。システムは自己学習により、合金の450℃での焼鈍について適合を行い、再結晶開始に対応する時間は3883s、即ち64.7minであると予測する。
【0087】
450℃の焼鈍過程中に、導電率-時間曲線をインサイチュで測定し、結果を
図37に示し、実測された再結晶開始に対応する時間は65.2minであり、予測結果の64.7minに近い。
【0088】
実施例12
材料熱処理情報データベースには、冷間変形量がそれぞれ9%、10%である工業用純アルミニウム(アルミニウム含有量は99.7%)の冷間加工材を475℃で焼鈍する場合の情報及びデータが記憶されており、冷間変形量が12.25%であるアルミニウム材の同じ温度での再結晶開始の時間を予測する。
【0089】
材料熱処理情報データベースを検索し、
図38は、材料熱処理情報データベース内の、冷間変形量がそれぞれ9%、10%であるアルミニウム材の再結晶焼鈍の電気抵抗率-時間曲線である。変形量が9%であるアルミニウム材の場合、初期焼鈍程度の電気抵抗率は8.226×10-8Ω?mであり、4.5h焼鈍後に電気抵抗率は安定する傾向にあり、対応する電気抵抗率は8.122×10-8Ω?mである。変形量が16%であるアルミニウム材の場合、初期焼鈍程度の電気抵抗率は8.242×10-8Ω?mであり、6.2h焼鈍後に電気抵抗率は安定する傾向にあり、対応する電気抵抗率は8.144×10-8Ω?mである。冷間変形量が異なる2種のアルミニウム材が再結晶開始に達した時に対応する時間はそれぞれ0.629h、1.101hである。システムは自己学習により、冷間変形量が12.25%であるアルミニウム材の焼鈍過程について適合を行い、再結晶開始に対応する時間が0.865hであると予測する。
【0090】
冷間変形量が12.25%であるアルミニウム材を475℃で焼鈍する過程について、情報をインサイチュで収集した電気抵抗率-時間曲線を
図39に示し、再結晶開始に対応する時間が0.870hであると解析された。これは予測結果の0.865hに近い。
【0091】
実施例13
7B50合金を470℃で固溶する場合の電気的情報をオンライン検出し、検出された情報を熱処理情報データベース内の参照電気的情報と比較し、比較結果に基づいてフィードバックし、自己学習を最適化する。
【0092】
システムは、熱処理情報データベース内の7B50合金固溶の既存データに基づき、自己学習により470℃で固溶する場合の参照電気抵抗率-時間曲線を取得し、電気抵抗率が9.520×10-8Ω・mに達すると、合金はほぼ安定な固溶程度に達し、必要な固溶時間が60minである。
【0093】
図40は、7B50合金を470℃で固溶する過程中にインサイチュで実測した電気抵抗率-時間曲線と参照電気的情報曲線である。実測された60min固溶した時の電気抵抗率が参照電気的情報曲線の電気抵抗率の数値より低く、固溶程度係数が僅か91.67%であり、システムは熱処理が完了していないと認定する。実測された73min固溶した時の電気抵抗率が参照電気的情報曲線上の60min位置での電気抵抗率の数値に等しく、固溶程度係数が100%に達し、システムは熱処理が完了したと認定し、熱処理制御モジュールは熱処理を停止する。
【0094】
今回の検出結果を熱処理情報データベースに入力し、再度自己学習により7B50合金を470℃で固溶する場合の参照電気的情報を取得し、合金がほぼ安定な固溶程度に達するまでに必要な時間パラメータをさらに最適化することができる。
【0095】
実施例14
Al-0.10Zr-0.10La-0.02B合金の均質化をオンライン検出し、検出された情報を熱処理情報データベース内の参照電気的情報と比較し、比較結果に基づき、均質化温度を調整制御し、さらにAl-0.10Zr-0.10La-0.02B合金を620℃で均質化する過程を制御する。
【0096】
システムは、熱処理情報データベース内の、Al-0.10Zr-0.10La-0.02B合金を異なる温度で均質化する場合の電気的情報に基づき、自己学習により620℃で均質化する場合の参照電気伝導度-時間曲線を取得し、620℃で18h均質化するとほぼ安定な均質化程度に達し得ると認定する。
【0097】
図41は、Al-0.10Zr-0.10La-0.02B合金の実測電気伝導度-時間曲線と参照電気的情報曲線である。
図41(a)は、フィードバック制御ありのシステムで測定された曲線であり、実測曲線が参照曲線より低いと、炉温度を低くすることをフィードバックし、実測曲線が参照曲線より高いと、炉温度を高くすることをフィードバックし、これにより、最終的に得られた実測曲線は参照曲線にほぼ一致するようになる。
図41(b)は、フィードバック制御なしのシステムで測定された曲線であり、実際の温度と設定温度の間にはややずれがあり、その結果、最終的に得られた実測曲線と参照曲線は一部ずれている。
【0098】
図42は、走査型電子顕微鏡で観察された熱処理が完了した後の2種のミクロ組織である。
図42(a)は、フィードバックありの熱処理が完了した後のミクロ組織であり、顕著な偏析や過焼結がなく、均質化の効果が高い。
図42(b)は、フィードバックなしの熱処理が完了した後のミクロ組織であり、粒界の過焼結が生じ、粒内に依然として偏析が存在し、均質化の効果が良くない。その原因は、炉温度が変動しながらもタイムリーに調整していないことにあり、温度が高すぎる場合、粒界の過焼結が生じ、温度が低すぎる場合、元素拡散が不十分である。
【0099】
実施例15
Al-0.1Zr-0.1Sc合金の2段時効をオンライン検出し、1段目時効(300℃)の熱処理程度に基づいて2段目時効の温度と時間を自動的に決定する。
【0100】
材料熱処理情報データベースを検索することで、Al-0.1Zr-0.1Sc合金の推奨される1段目時効の温度範囲が270℃~350℃であり、時効時間が8~24hであり、推奨される2段目時効の温度範囲が370~430℃である。
【0101】
合金を300℃で12h時効させ、電気抵抗率-時間曲線をインサイチュで測定する。
図43(a)に示すように、12h時効した時に対応する電気抵抗率は6.024×10-8Ω・mであり、時効程度係数は60%であると算出される。自己学習モジュールは、2段目時効の温度を400℃として決定し、目標の熱処理状態に対応する電気抵抗率を7.272×10-8Ω・mとして設定し、熱処理制御モジュールは、400℃まで昇温して2段目時効を行う。対応する電気抵抗率-時間曲線をインサイチュで測定し、
図43(b)に示すように、32h時効した時に対応する電気抵抗率は7.272×10-8Ω?mに達し、システムは時効程度係数が100%であると算出し、熱処理を自動的に終了する。
【0102】
比較例1
材料性能シミュレーションソフトウェアによってAl-0.1Zn-0.2Mg-0.1Fe-0.05Mn合金の過焼結温度を計算し、
図44は、JmatPro7.0.0ソフトウェアによってシミュレーションして得られた電気伝導度-温度曲線である。曲線は635℃の位置で急激な変化を示し、この温度より高くなる場合、合金の過焼結が生じ、熱処理の温度が630℃より低くなる場合、過焼結が生じない。実施例1から、Al-0.1Zn-0.2Mg-0.1Fe-0.05Mn合金は550℃の固溶において過焼結が生じ、ソフトウェアにより予測された過焼結温度より85℃低い。
【0103】
比較例2
時効硬度曲線によって、Al-4wt.%Cu合金を535℃で固溶する場合の適切な時間を決定し、
図45は、535℃で異なる時間固溶したAl-4wt.%Cu合金試料にさらに170℃/12hの時効を実施した硬度曲線である。固溶時間が2hを超えた後、時効硬度の数値間はあまり差がなく、ほぼ安定な固溶程度に達したことが示されている。実施例2に比べて、本比較例はエクスサイチュで検出され、操作が煩雑で、試料の処理過程が複雑で、データが離散して精度が十分でなく、サンプリング部位の相違による影響を受けやすい。
【0104】
比較例3
硬度曲線によって、Al-1.00Hf-0.16Y合金を635℃で均質化する場合の適切な時間を決定し、
図46は、異なる時間均質化した後の硬度である。均質化時間が18h以上になると、硬度値の変化が小さく、ほぼ安定な均質化に達したことが示され、18hを適切な均質化時間とすることができる。実施例5に比べて、本比較例は工程が煩雑で、試料の処理過程が複雑で、エクスサイチュで測定され、データが離散して精度が十分でなく、サンプリング部位の相違による影響を受けやすく、プロセスパラメータを調整制御できない等の欠点がある。
【0105】
比較例4
時効硬度曲線によって、Al-4wt.%Cu合金を190℃で時効する場合に新しい相が析出するタイミングを決定する。本比較例では、2hおきにデータを1つ収集する。
図47は、時効硬化曲線であり、10h、36h時効した時に対応する時効曲線にはピーク硬度が現れ、それぞれθ’相、θ相の析出に対応する。本比較例はサンプリング部位による影響を受けており、精度が高くない。一方、実施例7は試料情報をインサイチュで収集し、実験量が小さく、データが密であり、精度が高く、合金のピーク時効を精度よく検出することができる。
【0106】
比較例5
硬度曲線と室温導電率曲線によって、Al-4.5Zn-1.2Mg合金を170℃で時効する場合のピーク時効時間を決定する。
図48は、170℃で異なる時間を時効する場合の硬度と室温導電率である。12h時効するとピーク硬度に達し、室温導電率曲線は全体的に上昇傾向にある。時効時間が21hに達すると、室温導電率の変化率が低下し、析出相の成長と粗大化に対応する。実施例8に比べて、本比較例では大量の試料を採用して、実験量が大きいが、得られたデータは依然として離散しており、サンプリング位置による影響を受けている。
【0107】
比較例6
等時焼鈍硬度曲線によって、Al-0.16YとAl-0.16Y-0.15Zr合金の同じ焼鈍条件での回復再結晶程度を比較し、添加した元素が合金の耐熱性に与える影響を評価する。
図49は、異なるミクロ合金元素を添加したアルミ合金を異なる温度で1h焼鈍する場合の硬度曲線である。曲線から、Al-0.16Y合金の硬度はAl-0.16Y-0.15Zr合金より低く、Al-0.16Y合金の硬度は350~475℃区間で顕著な低下を示し、焼鈍温度が500℃より高くなると安定する傾向にあり、一方、Al-0.15Zr-0.16Y合金の硬度は450℃の焼鈍温度になってから顕著な低下を示し、より高い耐熱性と耐再結晶能力を有することが示されている。本比較例で得られた結果は実施例10に一致するが、本比較例は検出過程の時間が長くかかり、工程が煩雑で、収集された硬度離散点が偶発要因(例えば試料のサンプリング位置、硬度測定の誤差等)による影響を受けやすい。一方、実施例10は異なる温度下でインサイチュ検出し、データが連続で精度が高く、測定にかかる時間が短く、工程が簡単である等の利点を有する。
【0108】
比較例7
硬度曲線によって、7B50合金を470℃で固溶する場合の適切な時間を決定し、使用される材料や検出環境は実施例13と同じである。
図50は、異なる時間を固溶した合金に170℃/8hの時効を実施した後の硬度曲線である。時効時間が70minに達すると、硬度値は安定する傾向にあり、ほぼ安定な固溶程度に達したことが示されている。一方、実施例13のインサイチュ検出では、異なるサンプリング部位による影響が回避され、決定された適切な固溶時間は比較的正確であり、オンラインでフィードバックして熱処理のプロセスを制御することができる。
【0109】
上記比較例は、従来の方法や手段の限界性を示している。エクスサイチュで行われる断続的検出は、試料の調製工程が煩雑で、収集されたデータが離散しており、検出方法による影響を受けやすく、プロセスパラメータ最適化の周期が長い。実施例は、本特許の方法の技術的利点を示している。インサイチュでのオンライン検出は、被測定材の熱処理過程中にデータを直接取得し、実験過程が簡単で、収集されたデータが精確で連続しており、被測定材の熱処理の程度又は状態をリアルタイムに監視して、熱処理をオンラインで調整制御することが可能である。
【国際調査報告】