(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ロボットマニピュレータのインピーダンス制御の較正
(51)【国際特許分類】
B25J 9/18 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
B25J9/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529764
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2020082659
(87)【国際公開番号】W WO2021099452
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】102019131401.1
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521181769
【氏名又は名称】フランカ エーミカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】FRANKA EMIKA GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】スペニンガー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】モルガンティ、マルコ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707KS16
3C707KS21
3C707KS36
3C707KT02
3C707KT03
3C707KT06
3C707KX10
3C707LU06
3C707MS23
3C707MT04
(57)【要約】
本発明は、ロボットマニピュレータ(1)のインピーダンス制御を較正するための方法に関し、以下のステップ:
- ロボットマニピュレータ(1)の基準点(3)をゼロ位置から偏向位置まで偏向(S1)し、ここで、ロボットマニピュレータ(1)は、インピーダンス制御のバネ定数と第1の決定された偏向に依存する反力を加え、第1の決定された偏向は、ロボットマニピュレータ(1)の関節角センサ(5)によって検出された関節角に基づいて決定され、
- 外部位置測定ユニット(7)によって、第2の決定された偏向を検出(S2)し、および、
- ロボットマニピュレータ(1)によって加えられる反力が、第2の決定された偏向に基づくロボットマニピュレータ(1)の所定の反力に対応するように、インピーダンス制御のバネ定数を適合(S3)させる、
を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットマニピュレータ(1)のインピーダンス制御を較正するための方法であって、前記ロボットマニピュレータ(1)は、関節によって互いに接続された複数のリンクを有し、以下のステップ:
- 前記ロボットマニピュレータ(1)の基準点(3)をゼロ位置から偏向位置まで偏向(S1)し、ここで、前記ロボットマニピュレータ(1)は、前記インピーダンス制御のバネ定数と前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)の第1の決定された偏向に依存する反力を加え、前記第1の決定された偏向は、前記ロボットマニピュレータ(1)の関節角センサ(5)によって検出された関節角に基づいて決定され、
- 外部位置測定ユニット(7)によって、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)の偏向位置における第2の決定された偏向を検出(S2)し、および、
- 前記ロボットマニピュレータ(1)によって加えられる反力が、前記第2の決定された偏向に基づく前記ロボットマニピュレータ(1)の所定の反力に対応するように、前記インピーダンス制御の前記バネ定数を適合(S3)させる、
を有する、方法。
【請求項2】
前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)の前記ゼロ位置から前記偏向位置への偏向の後、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)は偏向位置に保持され、前記第2の決定された偏向の検出は、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)が偏向位置に保持されている間に行われ、前記インピーダンス制御の前記バネ定数の適合は、前記ロボットマニピュレータ(1)によって加えられる反力が、前記第2の偏向に基づく前記ロボットマニピュレータ(1)の静止反力に対応するよう行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、以下のステップ:
- 外部速度測定ユニット(9)によって、少なくとも1つの偏向位置における前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)の速度を決定(S4)し、および、
- 前記ロボットマニピュレータ(1)によって加えられる反力が、前記第2の決定された偏向および決定された速度に基づいて、前記ロボットマニピュレータ(1)の所定の反力に対応するように、前記インピーダンス制御の減衰定数を適合(S5)させる、
を有する、請求項1~請求項2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記バネ定数は、前記基準点(3)のゼロ位置とその偏向位置の間の偏向にわたって一定である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記バネ定数は、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)の現在の偏向に依存する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記インピーダンス制御の前記バネ定数の適合は、モード座標で行われる、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)は、ユーザによる前記ロボットマニピュレータ(1)の手動ガイドによって、前記ゼロ位置から前記偏向位置へと偏向される、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)は、前記ロボットマニピュレータ(1)のアクチュエータ(11)の対応する作動によって、前記ゼロ位置から前記偏向位置へと偏向される、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)を偏向させるステップ、前記第2の決定された偏向を検出するステップ、及び前記インピーダンス制御の前記バネ定数を適合させるステップが、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記基準点(3)の複数の異なる偏向範囲および/または異なる偏向方向において繰り返され、前記バネ定数が、それぞれの偏向範囲および/または偏向方向に依存して適合される、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ロボットアーム(101)を有し、制御ユニット(102)を有するロボットシステム(100)であって、前記制御ユニット(102)は、前記ロボットアーム(101)のインピーダンス制御を実行するよう設計され、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法により前記インピーダンス制御を較正する、ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットマニピュレータのインピーダンス制御を較正する方法、及びロボットアームを有し、較正されたインピーダンス制御を実行するための制御ユニットを有するロボットシステムに関するものである。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、ロボットマニピュレータまたはロボットシステムのインピーダンス制御を改善することである。
【0003】
本発明は、独立請求項の特徴から生じるものである。有利な改良および実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の第1の態様は、ロボットマニピュレータのインピーダンス制御を較正する方法であって、ロボットマニピュレータが関節によって互いに接続された複数のリンクを有し、以下のステップを有する:
- ロボットマニピュレータの基準点をゼロ位置から偏向位置まで偏向し、ここで、ロボットマニピュレータは、インピーダンス制御のバネ定数とロボットマニピュレータの基準点の第1の決定された偏向に依存する反力を加え、第1の決定された偏向は、ロボットマニピュレータの関節角センサによって検出された関節角に基づいて決定され、
- 外部位置測定ユニットによって、ロボットマニピュレータの基準点の偏向位置における第2の決定された偏向を検出し、および、
- 前記ロボットマニピュレータによって加えられる反力が、第2の決定された偏向に基づくロボットマニピュレータの所定の反力に対応するように、インピーダンス制御のバネ定数を適合させる。
【0005】
インピーダンス制御のバネ定数の適合でインピーダンス制御の較正が完了するので、方法の最後のステップで、第2の決定された偏向に基づくロボットマニピュレータの反力が実際に加えられるかどうかは、ここでは関係ない。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
ロボットマニピュレータの基準点は、特に、ユーザによって選択可能なロボットマニピュレータの任意の基準点であり、すなわち、基準点は、ロボットマニピュレータのリンクまたは関節または他の構成要素上に物理的に固定されて配置されるか、または少なくともロボットマニピュレータのリンクまたは関節または構成要素と物理的に固定されて動くものと想定される。
【0010】
外部位置測定ユニットは、特に関節角センサとは異なり、ロボットマニピュレータ自体に配置されておらず、ロボット自身のセンサを使用しない。その代わりに、位置測定ユニットとして、ロボットマニピュレータからの反射光やロボットマニピュレータ上の特殊なマーカーからの反射光をカメラが検出し、その対応する較正によって、地球固定空間におけるロボットマニピュレータの基準点の位置をかなり正確に検出できる動体検知システム(いわゆる「モーションキャプチャシステム」)が好ましく使用される。あるいは、別の位置測定ユニットを使用することが好ましく、ここで、複数の可能な既知の位置測定ユニット、例えば、電子測定センサ、超音波距離測定ユニット、レーダユニット、ステレオカメラなどが考慮される。
【0011】
一方、ロボットマニピュレータの関節角センサは、特にロボット自身のセンサであり、共通の関節で互いに接続されたロボットマニピュレータの2つのリンク間のそれぞれの角度を検出する。すべての関節角の合計から、ロボットマニピュレータの基準点の位置は、特に地球固定系に対して、対応する座標系変換、ベクトル代数または代替数学的手法によって推測することができる。特にロボットマニピュレータの特定のポーズにおいて、また座標系変換の性質上、1つ以上の関節角センサが不正確であったり誤差が増幅される可能性があるため、当然、いくつかの不正確さが発生することになる。
【0012】
インピーダンス制御のバネ定数は、スカラーバネ定数でも、マトリックス形式のバネ定数でもよく、特にバネ定数の方向依存性でロボットマニピュレータの基準点を異なる方向に偏向させるには好適である。後者の場合、バネ定数は対角行列であることが好ましいが、特にロボットマニピュレータの基準点の設計方向間の結合が望まれる場合には、行列状のバネ定数の対角外の成分もまた可能である。ロボットマニピュレータの基準点のゼロ位置は、特に直交座標系、地球固定座標系を基準として、ロボットマニピュレータが反力を発生しない位置である。これは、実際の機械ばねの静止位置に相当し、機械ばねは何の力も発生していない状態である。
【0013】
本発明によれば、ロボットマニピュレータの基準点の偏向は、一方ではロボット自身の関節角センサを介して、他方では外部位置測定ユニットを介しての、二つの方法で同時に実施される。外部位置測定ユニットの測定値が正しく、関節角センサのみ、またはその少なくとも1つが故障しているという仮定の下、ロボットマニピュレータの基準点の第2の決定された偏向も、インピーダンス制御がこの第2の決定された偏向に基づいて加えなければならない反力を決定するために使用することができる。この反力は、関節角センサがセンサノイズや座標系変換などの影響で自然に関節角を出力するため、地球固定直交座標系での基準点の位置が、外部位置測定ユニットから出力されるロボットマニピュレータの基準点の決定位置と若干異なるため、実際にかかる反力と若干ずれることになる。したがって、本発明によれば、インピーダンス制御のバネ定数は、ロボットマニピュレータの基準点の第2の決定された位置を用いて、インピーダンス制御が元のバネ定数で計算された場合と同じように、偏向に対してロボットマニピュレータによって加えられる反力が大きくなるように適合される、またはそうなるように適合される。本発明によれば、このようにバネ定数によって、外部位置測定ユニットの位置検出に基づく関節角センサの測定誤差を補償することができる。
【0014】
インピーダンス制御が、ロボットマニピュレータの関節角センサによる関節角の測定における不正確さおよび誤差に従って適合され、したがって、ロボットアームまたはロボットマニピュレータの動作におけるこれらの不正確さおよび誤差が、較正されたインピーダンス制御を使用して補償されることは、本発明の有利な効果である。
【0015】
有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータの基準点のゼロ位置から偏向位置への偏向の後、ロボットマニピュレータの基準点は偏向位置に保持され、ロボットマニピュレータの基準点が偏向位置に保持されている間に第2の決定された偏向が検出され、インピーダンス制御のばね定数の適合は、ロボットマニピュレータによって加えられる反力が第2の偏向に基づくロボットマニピュレータの静止反力に相当するような方法で行われる。特に、インピーダンス制御が、バネ定数の形態の人工ばねを含むだけでなく、ロボットマニピュレータの基準点の移動に対して速度依存の反力を生成する減衰定数を含む場合、この実施形態は、バネ定数のみが第2の決定された偏向に依存して調整され、減衰定数の効果による速度影響はインピーダンス制御のバネ定数の適合に影響しないことが保証される。
【0016】
さらなる有利な実施形態によれば、本方法は、さらに、以下のステップを有する:
- 外部速度測定ユニットによって、少なくとも1つの偏向位置におけるロボットマニピュレータの基準点の速度を決定し、および、
- ロボットマニピュレータによって加えられる反力が、第2の決定された偏向および決定された速度に基づいて、ロボットマニピュレータの所定の反力に対応するように、インピーダンス制御の減衰定数を適合させる。
先の実施形態とは異なり、本実施形態では、ロボットマニピュレータの基準点の速度が明示的に考慮される。少なくとも1つの速度は、有利には、基準点のゼロ位置からその偏向位置までの偏向の間に1箇所で決定または検出され、現在の偏向に加えて考慮される。速度測定ユニットは、位置測定ユニットの一部とすることができ、測定した位置の時間微分から求めることができる。
【0017】
さらなる有利な実施形態によれば、バネ定数は、そのゼロ位置とその偏向位置との間の基準点の偏向に亘って一定である。本実施形態によれば、バネ定数は、特にロボットマニピュレータの基準点の偏向に対して、時間的に不変である、すなわち、変化しない。これにより、ロボットマニピュレータの基準点となる直線状の人工バネが作られる。
【0018】
さらなる有利な実施形態によれば、バネ定数は、ロボットマニピュレータの基準点の現在の偏向に依存する。先の実施形態とは異なり、インピーダンス制御は、偏向依存のバネ定数により、ここでは非線形バネ則を有する。特に、特定の用途で非線形インピーダンス制御を行いたい場合に、有利に使用することができる。本発明の第1の態様または関連する実施形態による方法は、有利には、バネ定数の適合のための複数の支持点を得るために、空間におけるゼロ位置としてのロボットマニピュレータの基準点の複数の位置について繰り返され、したがって、インピーダンス制御における人工ばねの非線形性を考慮するために行われる。
【0019】
さらなる有利な実施形態によれば、インピーダンス制御のバネ定数は、モード座標で適合される。モード座標変換は、インピーダンス制御の微分方程式を、特にインピーダンス制御の慣性行列に依存して変換するので、異なる偏向方向にわたるインピーダンス制御の結合されたダイナミクスは、適切な変換によって切り離され、モード座標で提供される。これにより、バネ定数の各成分をデカップリング座標で適合させることができるため、特にバネ定数の設計が有利に簡素化される。この方法は、インピーダンス制御で減衰定数が設けられている場合、その設計にも適用できる。
【0020】
さらなる有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータの基準点は、ユーザによるロボットマニピュレータの手動ガイドによってゼロ位置から偏向位置へと偏向される。
【0021】
さらなる有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータの基準点は、ロボットマニピュレータのアクチュエータの対応する作動によって、ゼロ位置から偏向位置へと偏向される。
【0022】
ロボットマニピュレータのさらに有利な実施形態によれば、基準点を偏向させるステップ、第2の決定された偏向を検出するステップ、およびインピーダンス制御のバネ定数を適合させるステップが、ロボットマニピュレータの基準点の複数の異なる偏向範囲および/または異なる偏向方向で繰り返され、バネ定数がそれぞれの偏向範囲および/または偏向方向に依存して適合される。特に、本実施形態では、一般的にロボットマニピュレータの関節角センサの誤差や不正確さは、偏向依存性と方向依存性があることを考慮する。このようにして、異なる偏向幅または異なる偏向方向における異なる剛性マトリックスのデータ系列が作成され、ロボットマニピュレータの関節角センサの誤差や不正確さが改善された方法で補償される。
【0023】
本発明のさらなる態様は、ロボットアームと制御ユニットを有するロボットシステムに関し、制御ユニットは、ロボットアームのインピーダンス制御を実行するように設計されており、インピーダンス制御は、方法に従って較正される。
【0024】
ロボットアームを有し、制御ユニットを有するロボットシステムは、ここでは、本発明の第1の側面及びその実施形態に係るロボットマニピュレータと一致させることができる。これは、適合されたバネ定数および/または適合された減衰マトリックスは、インピーダンス制御を較正する方法が実施されるのと同じロボットマニピュレータにも使用できることを意味する。あるいは、インピーダンス制御を較正する方法は、好ましくは、第1のロボットマニピュレータで実施され、そのように較正されたインピーダンス制御は、第2または複数の第2のロボットマニピュレータ(すなわち、ロボットアームおよびそれぞれの制御ユニットを有するそれぞれのロボットシステム)で使用される。このように、較正の結果は、ロボットマニピュレータから、ロボットアームと制御ユニットを有するロボットシステムへも有利に移行することができる。
【0025】
さらなる利点、特徴、および詳細は、以下の説明から明らかになり、その中で、場合によっては図面を参照しながら、少なくとも1つの例示的な実施形態が詳細に説明される。同一、類似、および/または機能的に同一の部品には、同一の参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態に係る方法を示す。
【
図2】
図2は、
図1による方法が実施されるロボットマニピュレータを示す。
【
図3】
図3は、本発明のさらなる例示的な実施形態に係るロボットアームを有するロボットシステムを示す。
【0027】
図中のイラストは模式的なものであり、縮尺通りではない。
【0028】
図1は、ロボットマニピュレータ1のインピーダンス制御を較正する方法を示し、ロボットマニピュレータ1は、関節によって互いに接続された複数のリンクを有する。第1のステップにおいて、ロボットマニピュレータ1のエンドエフェクタ上の基準点3は、ゼロ位置から偏向位置へ偏向S1される。ロボットマニピュレータ1は手動でガイドされ、アクチュエータ11は偏向に対して反力を発生させる。当然ながら、基準点3は、ロボットマニピュレータ1が解放される前に、速度を有することなく、少なくとも短時間、静止位置に留まる。この静止位置で、それぞれの偏向を検出する。ロボットマニピュレータ1の反力は、対角行列の形のバネ定数を持つインピーダンス制御と、ロボットマニピュレータの基準点3の第1の決定された偏向のレベルによって生成される。第1の決定された偏向は、ロボットマニピュレータ1の関節角センサ5によって検出された関節角に基づいて決定される。さらにステップS2において、ロボットマニピュレータ1の基準点3の偏向位置における第2の決定された偏向として、同じ偏向が追加的に検出されるS2。これは、複数のカメラで構成される外部位置測定ユニット7を用いて行われる。最後に、さらなるステップにおいて、これは、ロボットマニピュレータ1によって適用される反力が、第2の決定された偏向に基づくロボットマニピュレータ1の所定の反力に対応するように、インピーダンス制御のバネ定数を適合S3させることが続く。適合したバネ定数は、ロボットマニピュレータ1の基準点3のゼロ位置の位置に割り当てられ、割り当てとともに保存される。上記のステップは、それぞれの場合において、そのゼロ位置におけるロボットマニピュレータ1の基準点3の様々な位置について繰り返され、その結果、それぞれのゼロ位置におけるロボットマニピュレータ1の基準点3の位置の3次元グリッドが得られ、格子点ごとに個別に適合したバネ定数が使用できる。ロボットマニピュレータ1が解放されると、アクチュエータ11の反力により、減衰した動きでゼロ位置に戻る。微分方程式として定式化されたインピーダンス制御の均質解の非周期的限界ケースを達成するよう選択される、バネ定数に類似した減衰定数の適合のために、ロボットマニピュレータ1の基準点3の速度は、位置測定ユニット7に対応し、ロボットマニピュレータ1の基準点3の測定位置経時変化曲線の時間微分を生成する外部速度測定ユニット9によって、ゼロ位置にスイングバックしながらまだ偏向した基準点3の位置で決定S4される。これに続き、ロボットマニピュレータ1が与える反力が、スイングバック中の場所での第2の決定された偏向に基づき、かつこの場所で決定された速度に基づいて、ロボットマニピュレータ1の所定の反力に対応するように、インピーダンス制御の減衰定数を適合S5させる。
【0029】
図2は、
図1による方法が実施されるロボットマニピュレータ1を示す。したがって、方法のステップを繰り返さず、代わりに
図1の説明を参照する。示された構成要素やユニットもそこで説明される。
【0030】
図3は、ロボットアーム101および制御ユニット102を有するロボットシステム100を示し、制御ユニット102はロボットアーム101のインピーダンス制御を実行するよう設計されており、インピーダンス制御は、
図2のロボットマニピュレータ1について、
図1の方法に従って較正される。ロボットシステム100のユーザは、任意に、ロボットアーム101の制御ユニット102上で、基準点3についての位置の3次元グリッドに割り当てられた較正バネ定数と較正減衰定数のデータ列を読み込んで使用することができる。これは、それぞれのロボットアーム101を有し、それぞれの制御ユニット102を有する複数のロボットシステム100に対して可能であるが、
図3では、単一のロボットシステム100のみを例として示している。
【0031】
本発明は、好ましい例示的な実施形態によってさらに詳細に例示および説明されてきたが、本発明は、開示された例によって限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって他の変形形態をそこから導き出すことができる。したがって、考えられる変形形態が多数存在することは明らかである。例として言及された実施形態は、実際には例を表すだけであり、保護の範囲、可能な用途、または本発明の構成を制限するものとして決して解釈されるべきではないことも明らかである。むしろ、前述の記述および図の説明は、当業者が例示的な実施形態を実施することを可能にし、開示された本発明の概念を知っている当業者は、明細書のより広範な説明など、特許請求の範囲およびそれらの法的同等物によって定義される範囲から逸脱することなく、例えば、例示的な実施形態で引用される個々の要素の機能または配置に関して、様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
1:ロボットマニピュレータ
3:基準点
5:関節角センサ
7:外部位置測定ユニット
9:外部速度測定ユニット
11:アクチュエータ
100:ロボットシステム
101:ロボットアーム
102:制御ユニット
S1:偏向
S2:検出
S3:適合
S4:決定
S5:適合
【国際調査報告】