(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】拡張可能なインプラントを展開するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20230118BHJP
A61F 2/04 20130101ALI20230118BHJP
A61F 2/86 20130101ALI20230118BHJP
【FI】
A61F2/966
A61F2/04
A61F2/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529789
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2020083102
(87)【国際公開番号】W WO2021099646
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522200340
【氏名又は名称】プロヴェルム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】リオナ ニー グリアライス
(72)【発明者】
【氏名】コナー ハーキン
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA14
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC16
4C267AA43
4C267AA54
4C267AA56
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB26
4C267BB40
4C267CC26
(57)【要約】
本発明の態様は、患者の前立腺部尿道内のBPHを治療するための拡張可能なインプラントを位置付けるための送達デバイスに関する。送達デバイスは、格納位置と展開位置との間で内側管に対して移動可能な内側管および外側スリーブを備える。外側スリーブは内側管を取り囲み、それらの間に環状部を画定し、外側スリーブが格納位置にあるとき、拡張可能なインプラントは環状部内に保持される。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に自己拡張型インプラントを展開するための送達デバイスであって、
軸方向または円周方向の移動に対して前記インプラントを保持するための少なくとも1つの保持配列と、
前記保持配列または各保持配列の半径方向外側の、細長い長手方向に延びる外側要素と、
前記保持配列または各保持配列の半径方向内側に延びる長手方向軸上に配設された画像化ヘッドと、を備え、
前記外側要素は、
前記外側要素が、前記インプラントを取り囲み、前記保持配列または各保持配列に係合した前記インプラントを保持する格納位置と、
前記外側要素が、前記インプラントの遠位部分を覆っていないが、前記インプラントの近位部分を取り囲んで、前記保持配列または各保持配列に係合した前記インプラントを保持し続ける部分的展開位置との間で、前記保持配列または各保持配列に対して長手方向に移動可能であり、
前記画像化ヘッドは、
前記外側要素が前記格納位置にあるときの前進位置と、
前記外側要素が前記部分的展開位置にあるときの後退位置との間で近位に後退可能である、デバイス。
【請求項2】
前記画像化ヘッドが、前記保持配列または各保持配列に関して半径方向内側にある視点から延びる視野を画定するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記視点が、前記保持配列または各保持配列に対して遠位に配設されている、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記画像化ヘッドが前記前進位置にあるときに、前記視野が前記インプラントの遠位端を実質的に排除する、請求項2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記画像化ヘッドが前記前進位置にあるときに、前記画像化ヘッドの前記視野が前記外側要素の遠位端を実質的に排除する、請求項2~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記画像化ヘッドが前記後退位置にあるときに、前記視野が前記インプラントの遠位端を少なくとも包含する、請求項2または3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記保持配列または各保持配列が、前記インプラントの少なくとも前記近位部分を支持するように構成されている、前記外側要素の半径方向内側にある支持面から半径方向に突出している、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記支持面および前記保持配列または各保持配列を画定する細長い長手方向に延びる内側要素をさらに備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記外側要素は、前記内側要素から半径方向に離間されて、前記外側要素と前記内側要素との間に環状部を画定し、前記環状部が、前記少なくとも1つの保持配列を含み、前記インプラントのための収容部を提供する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記保持配列または各保持配列が、前記内側要素から半径方向外向きに面している、請求項8または9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記支持面が、前記後退位置にあるときの前記画像化ヘッドに対して遠位にある前記内側要素の遠位端まで延びる、請求項8~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記画像化ヘッドが、前記内側要素に対して長手方向に移動可能である、請求項8~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記画像化ヘッドが、前記外側要素とともに移動する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記画像化ヘッドが、固定関係で前記外側要素とともに移動する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記画像化ヘッドがある前記長手方向軸が、前記内側要素内に延びる、請求項8~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記画像化ヘッドが、前記内側要素内に長手方向に延び、かつ前記内側要素に対して長手方向に移動可能である細長い最も内側の要素の遠位端にある、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記画像化ヘッドから近位に延びる前記最も内側の要素の全長が、前記画像化ヘッドに対して可撓性である、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記画像化ヘッドが、前記インプラントの少なくとも前記遠位部分を支持するように構成されている補助支持面を画定する、請求項16または17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記画像化ヘッドの前記補助支持面が、前記最も内側の要素の一部分によって前記内側要素の前記支持面から離間されている、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記内側要素が、前記保持配列または各保持配列に対して近位にあるステアリングセクションでたわむように構成されている、請求項8~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記外側要素は、前記外側要素が、前記体腔内の半径方向の自己拡張のために前記保持配列から前記インプラントを外すのに十分な程度に前記インプラントの前記近位部分を覆わない完全展開位置まで、前記保持配列または各保持配列に対して長手方向に移動可能である、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記外側要素の前記完全展開位置への前記移動を選択的に制御、無効化、および有効化するように配置された戻り止めをさらに備える、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記戻り止めがまた、前記格納位置から前記部分的展開位置への前記外側要素の前記移動を選択的に制御、無効化、および有効化するように配置されている、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記戻り止めがまた、前記画像化ヘッドの移動を制御、無効化、および有効化することができる、請求項22または23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記外側要素が、前記格納位置と前記部分的展開位置との間で双方向に移動可能である、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記保持配列または各保持配列が、前記インプラントを少なくとも部分的に受容するためのスロットを間に画定する近位突起および遠位突起を備える、先行請求項のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項27】
前記近位突起が、2つ以上の角度的に離間された遠位突起間で円周方向に延びる、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記外側要素が前記格納位置および前記部分的展開位置にあるときに、前記保持配列または各保持配列の半径方向外側端部と前記外側要素の半径方向内面との間にギャップが画定され、ギャップが、前記保持配列によって係合される前記インプラントの一部の半径方向の厚さよりも狭い、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記細長い外側要素の近位端に接続されたハンドルをさらに備え、前記保持配列または各保持配列が、前記ハンドルに対して固定され、前記細長い外側要素および前記画像化ヘッドが前記ハンドルに対して軸方向に移動可能である、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記保持配列または各保持配列によって係合され、前記外側要素によって少なくとも部分的に覆われたインプラントと組み合わせられている、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
患者の体腔内に自己拡張型インプラントを展開する方法であって、
インプラント送達システムの細長い送達シースを、前記送達システムの画像化ヘッドを遠位前進位置にし、前記送達シースを前記インプラントが前記送達シース内に保持され、かつ前記送達シースによって覆われた格納位置にして、前記腔内に挿入することと、
遠位に前進した前記画像化ヘッドによって画定される第1の視点から撮影された前記患者の解剖学的構造の画像によってガイドされ、前記腔内の標的部位に前記インプラントをナビゲートすることと、
前記インプラントに対して、前記インプラントが少なくとも部分的に覆われないが、前記送達シースによって保持されたままである部分的展開位置まで近位に前記送達シースを後退させることと、
前記インプラントに対して、前記画像化ヘッドが前記インプラント内にあり、かつ取り囲まれる第2の視点を画定する後退位置へと近位に前記画像化ヘッドを後退させることと、
近位に後退した前記画像化ヘッドによって画定される前記第2の視点から撮影された前記インプラントの画像によって前記取り囲む解剖学的構造に対してガイドされ、前記標的部位に前記インプラントを位置決めすることと、を含む、方法。
【請求項32】
前記インプラントによって実質的に妨害されない前記第1の視点から前記患者の解剖学的構造を画像化することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記送達シースによって実質的に妨害されない前記第1の視点から前記患者の解剖学的構造を画像化することを含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記インプラントの遠位端に対して近位に配設された前記第2の視点から、前記取り囲む解剖学的構造に対する前記インプラントを画像化することを含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記送達シースによって実質的に妨害されない前記第2の視点から、前記取り囲む解剖学的構造に対する前記インプラントを画像化することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記外側要素と前記画像化ヘッドとを一緒に近位方向に移動させることを含む、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記送達シースを前記格納位置に戻すことと、前記インプラントを再展開するか、または展開手順を中止することと、をさらに含む、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記インプラントを前記送達シースから解放するのに十分な程度まで前記送達シースを近位にさらに後退させることによって、前記標的部位に前記インプラントを展開することによって、前記展開手順を完了することをさらに含む、請求項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記送達シースを前記部分的展開位置からさらに後退させるときに、前記腔に対して前記インプラントを実質的に静止状態で保持することを含む、請求項31~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記インプラントに対して近位に配設されたステアリングセクションで前記送達シースをたわませることによって、前記インプラントを前記標的部位にステアリングすることを含む、請求項31~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記インプラントを前記標的部位に位置決めするときに、前記送達シースの長手方向軸の周りで前記インプラントを回すことを含む、請求項31~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記インプラントの展開後に前記送達シースを前記腔から引き抜く前に、前記送達シースを前記格納位置に戻すことを含む、請求項31~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記送達シースの近位移動を最初に無効にし、次いで有効化にすることを含む、請求項31~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前立腺肥大症(BPH)を治療するために前立腺部尿道においてエキスパンダーインプラントを展開するために使用されるときに、請求項31~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記患者の膀胱頸部と外括約筋との間の前記前立腺部尿道における長手方向位置で前記標的部位に前記インプラントを位置決めすることを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前立腺部尿道に沿って前記膀胱頸部まで遠位に、または前記膀胱頸部を超えて遠位に前記送達シースの遠位端を前進させることを含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記送達シースの前記遠位端を前記膀胱頸部から近位方向に引き戻すことをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記標的部位に前記インプラントを位置決めするための基準として前記膀胱頸部を使用することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
遠位に前進した前記画像化ヘッドによって画定される前記第1の視点から前記膀胱頸部を画像化することを含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記インプラントを、前記患者の前立腺葉のうちの少なくとも1つと角度的に位置合わせするように回すことを含む、請求項44~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記インプラントのうちの少なくとも1つの頂点を前記前立腺葉のうちの少なくとも1つと角度的に位置合わせすることを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記インプラントのうちの少なくとも1つの頂点を前記患者の精丘に角度的に位置合わせすることを含む、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記頂点から長手方向に延びる前記インプラントの横方向に離間された部材間に前記精丘を位置付けることを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記頂点が前記精丘と接触するのを避けながら、前記インプラントを近位に引き戻すことを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
近位に後退した前記画像化ヘッドによって画定される前記第2の視点から前記前立腺葉および/または前記精丘を画像化することを含む、請求項50~54のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、拡張可能なインプラントのための送達デバイス、およびそのようなデバイスを使用するための方法に関する。特に、排他的にではなく、そのようなインプラントは、前立腺肥大症(BPH)を治療するために、患者の前立腺部尿道内に位置付けられてもよい。したがって、本発明の態様は、前立腺部尿道内のBPHを治療するための拡張可能なインプラントを位置付けるための送達デバイス、およびそのようなインプラントを送達または展開する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BPHは、前立腺の肥大をもたらす非がん性疾患である。前立腺は、膀胱に隣接する尿道のセクション、すなわち前立腺部尿道を取り囲んでいる。したがって、前立腺が肥大すると、前立腺は前立腺部尿道と膀胱の頸部を内向きに押して圧力をかけて、膀胱から尿を排出するのを困難にすることがある。
【0003】
進行中の投薬、または特に悪い場合には手術を含む様々な方法でBPHを治療することが知られている。しかしながら、これらのアプローチはどちらも望ましくない。例えば、米国においてだけでも、BPHを管理するための投薬に年間50億ドル以上が費やされている。さらに、外科的解決策は、特に侵襲的であり、患者にとって不快である可能性がある。その結果、尿道に挿入して、肥大した前立腺によって尿道および膀胱頸部に加えられる内向きの圧力に反応し、したがってそれを軽減することができる拡張可能なインプラントまたはステントの使用に向けた動きが当技術分野であった。
【0004】
拡張可能なインプラントは、BPHを治療するための低侵襲で低コストの解決策を提供する。しかしながら、尿道内の正しい位置にインプラントを位置付けることは、臨床医にとって難しい。インプラントが正しく展開されていない場合、適切な症状の緩和を提供できないことがあったり、移動または過度の付着により失敗することがあったり、展開されたエキスパンダーを患者の体から取り戻すのが難しく、侵襲的であることがある。
【0005】
BPHを治療するための拡張可能なインプラントまたはエキスパンダーの例は、WO2017/081326に開示されている。WO2017/081326のエキスパンダーは、膀胱頸部と外括約筋との間の患者の前立腺部尿道内に位置決めされ、横方向に拡張するように設計されている。これにより、エキスパンダーは、前立腺部尿道の取り囲む壁に半径方向外向きの力を加えて、BPHの症状を緩和する。
【0006】
エキスパンダーは、長手方向と円周方向または角度の両方において正確に位置決めされなければならないため、前立腺部尿道内にエキスパンダーを正しく位置決めすることは、臨床医にとって難しい。例えば、エキスパンダーは長手方向に膀胱頸部と外括約筋との間の位置に位置決めされるべきであり、また前立腺の3つの葉に係合するように配向されるべきである。例えば、誤ってまたは時期尚早に展開されることによりエキスパンダーが間違った位置に展開された場合、エキスパンダーを取り除いたり再配置したりするために複雑な手順が必要になることがある。結果として、臨床医が患者の前立腺部尿道内に拡張可能なインプラントを正確に位置決めおよび展開することを可能にする低侵襲性送達デバイスが必要である。
【0007】
WO2017/081326は、前立腺部尿道などの体腔内の標的部位にエキスパンダーを送達するための送達デバイスを記載している。送達デバイスは、エキスパンダーと係合して支持するように構成されている三角形の断面を有する排出要素を備える。送達デバイスは、陰茎を通して尿道に挿入され、尿道に沿って標的部位まで前進し得る。エキスパンダーが正しい位置にあると臨床医が確信したときに、排出要素が遠位に前進し、エキスパンダーが送達デバイスから排出されるようにする。
【0008】
WO2017/081326の送達デバイスの助けを借りても、患者の前立腺部尿道内にエキスパンダーを確実かつ正確に位置決めすることが難しい可能性がある。例えば、排出要素を前進させると、展開時にエキスパンダーが前方に跳ねたりジャンプしたりする可能性があり、それにより長手方向および円周方向の両方で、エキスパンダーを前立腺部尿道内に正確に位置決めすることが困難になる。その拡張により、解剖学的構造に対して単に自己位置付けするエキスパンダーに依存することは、信頼できず、予測できない可能性がある。
【0009】
さらに、WO2017/081326に記載されているような単一ステップの送達デバイスは、偶発的な展開の影響を受けやすい可能性がある。また、デバイスは、エキスパンダーが標的部位内に正確に位置決めされていないと臨床医が判定した場合、臨床医がエキスパンダーの展開を一時停止または逆にすることができない。
【0010】
MikusらのUS6093194は、外側および内側シースと、ステント内の画像化構成要素として機能する内視鏡とを備えるステント送達カテーテルを開示している。ステントを内側シースに配向する対策が講じられている。しかしながら、シースおよびステントに対する内視鏡の位置決めは、ステント送達プロセス全体を通した効果的な画像化を促進しない。
【0011】
同じくMikusらのUS6033413は、形状記憶ステントとともに使用するためのステント送達システムを開示しており、ステントがオーステナイト転移温度を超えて加熱されるときに、ステントの拡張が発生する。カテーテルは、処置で使用される内視鏡が流体供給ラインとして、およびステントへの加温流体の流れを制御するための弁として作用することができる加温流体システムを含む。ただし、この複雑なシステムは、ステントを正確かつ確実に位置決めするという課題に対処していない。
【0012】
RichardsonらのUS2005/0278010は、光ファイバー画像化能力を有するステント送達システムを開示している。同様に、JangらのUS5749848は、画像化、バルーン血管形成術、およびガイド付きステント展開のための能力を有するカテーテルシステムを開示している。いずれの場合も、画像化システムおよびインプラントの相対的な位置は、送達プロセス全体を通した効果的な画像化を提供しない。
【0013】
LewisらへのUS8467854は、上記のRichardsonおよびJangらのように、画像化システムおよびステントなどのインプラントを送達することができる治療デバイスの相対的な位置のために、送達プロセス全体を通した効果的な画像化を提供しない神経血管介入デバイスを開示している。実際、展開および画像化を同時に行うことはできないことがある。
【0014】
DerusらのUS6926732は、BPHの治療を含む様々な処置に使用可能であると言われているステント送達デバイスおよび方法を開示している。ステントは、位置決めおよび送達のためにケーシング部材内に位置付けられているが、そのケーシング部材は、デバイスの画像化システムを通して利用可能な解剖学的構造の視野を遮るであろう。特に、解剖学的構造は、ステントの遠位端に対して、もしくはそれに沿って、またはステントの内側から視認することができない。その結果、デバイスがBPHを治療するために使用される場合、画像化システムは前立腺部尿道を特定することができるにすぎず、解剖学的特徴部を有するステントの特定の位置合わせを画定および示すことができない。
【0015】
JordanらのUS2012/283816は、部分的に展開されたステントを回収するための機構を組み込んだ自己拡張型ステントを送達および展開するためのシステムを開示している。DesrosiersらのUS2020/113719は、部分的に展開されたインプラントの再キャプチャも提供している。KaoらのUS2011/301685は、双方向ステント送達システムを開示している。RoederらのEP2745813は、ガイドワイヤ上の管腔内ステントを開示している。いずれの場合も、送達プロセス全体を通したステント送達場所を画像化するための効果的な対策が講じられておらず、ステントの解放および位置決めは信頼できないことがある。
【0016】
本発明の目的は、先行技術に関連する不利点のうちの1つ以上に対処することである。
【発明の概要】
【0017】
一般的に、本発明は、BPHを治療するときに、患者の前立腺部尿道内の拡張可能なインプラントを画像化および位置付けるための送達デバイスを提供する。送達デバイスは、内側管またはロッドなどの他の細長い要素と、格納位置と展開位置との間で内側管に対して移動可能な管状外側スリーブと、画像化デバイスと、を備える。
【0018】
外側スリーブは内側管を取り囲み、それらの間に環状部を画定する。外側スリーブが格納位置にあるとき、拡張可能なインプラントは環状部内に保持される。格納位置では、インプラントが内側管に保持されるように、外側スリーブが拡張可能なインプラントを少なくとも部分的に取り囲む。したがって、格納位置にあるときに、外側スリーブは、拡張可能なインプラントが半径方向に拡張するのを防ぐ。逆に、展開位置では、エキスパンダーは外側スリーブによって覆われず、エキスパンダーが半径方向に拡張できる。
【0019】
格納位置では、画像化デバイスにより、臨床医は解剖学的構造に対してエキスパンダーを視認することができ、それにより臨床医が、エキスパンダーをデバイスから解放する前に、解剖学的構造に対してエキスパンダーを正しく位置合わせすることが促進される。画像化デバイスは、外側スリーブおよび/または内側管に対して長手方向に移動可能であってもよいし、外側スリーブおよび/または内側管に対して長手方向の移動に対して固定されてもよい。例えば、外側スリーブおよび画像化デバイスは、格納位置と展開位置との間で、内側管に対して一緒に移動可能であり得る。
【0020】
概して、本発明は、体腔内に自己拡張型インプラントを展開するための送達デバイスに存在する。デバイスは、軸方向または円周方向の移動に対してインプラントを保持するための少なくとも1つの保持配列と、保持配列または各保持配列の半径方向外側の、細長い長手方向に延びる外側要素と、保持配列または各保持配列の半径方向内側に延びる長手方向軸上に配設された画像化ヘッドと、を備える。
【0021】
外側要素は、外側要素が、インプラントを取り囲み、保持配列または各保持配列に係合したインプラントを保持するか、またはインプラントが保持配列または各保持配列から外れることを防ぐ格納位置と、外側要素が、インプラントの遠位部分を覆っていないが、インプラントの近位部分を取り囲んで、保持配列または各保持配列に係合したインプラントを保持し続ける部分的展開位置との間で、保持配列または各保持配列に対して長手方向に移動可能である。
【0022】
また、画像化ヘッドは、外側要素が格納位置にあるときの前進位置と、外側要素が部分的展開位置にあるときの後退位置との間で近位に後退可能である。画像化ヘッドは、保持配列または各保持配列に関して半径方向内側にあり、したがってインプラントに対しても内側にある視点から延びる視野を画定するように構成されてもよい。
【0023】
外側要素はまた、外側要素が、体腔内の半径方向の自己拡張のために保持配列からインプラントを外すのに十分な程度にインプラントの近位部分を覆っていない完全展開位置まで、保持配列または各保持配列に対して、長手方向に移動可能であってもよい。
【0024】
本発明の一態様によれば、患者の前立腺部尿道内のBPHを治療するための拡張可能なインプラントを位置付けするための送達デバイスが提供される。送達デバイスの送達管は、画像化デバイスを含むか、または支持する第1の細長い要素と、第1の細長い要素を取り囲み第2の細長い要素であって、第1の細長い要素と第2の細長い要素との間に環状部を画定する第2の細長い要素と、を備え、第2の細長い要素は、第2の細長い要素がインプラントを取り囲み、それによってインプラントを環状部内に保持するように構成されている格納位置と、第2の細長い要素が、インプラントを部分的に覆わないように構成されている部分的展開位置と、第2の細長い要素が、インプラントが前立腺部尿道内で半径方向に拡張することを可能にするには十分な程度までインプラントを覆わないように構成されている完全展開位置との間で、第1の細長い要素に対して後退する。
【0025】
格納位置にあるときに、画像化デバイスの遠位画像受信面は、送達デバイスの遠位端またはその近くでロックされてもよい。これにより、臨床医が、好ましくは妨害されない視野で解剖学的構造を視認することを可能にする。部分的展開位置にあるときに、画像化デバイスの遠位面は、エキスパンダーの遠位先端に対して近位の位置で、エキスパンダーの内部内に位置決めされてもよい。これにより、臨床医が、解剖学的構造に対してエキスパンダーの遠位部分を視認することを可能にし、それにより臨床医が、解剖学的構造に対してエキスパンダーを位置合わせすることが容易になる。
【0026】
第1の細長い要素は、例えば、内側管またはロッドであってもよく、第2の細長い要素は、外側スリーブまたは管であってもよい。第1および第2の細長い要素は、断面が楕円形、例えば円形であってもよく、好ましくは円筒形である。
【0027】
本発明の送達デバイスは、患者の前立腺部尿道内のBPHを治療するための拡張可能なインプラントの正確な位置決めおよび展開を有益に提供する。外側スリーブは、エキスパンダーを取り囲み、エキスパンダーが前立腺部尿道内に正しく位置付けられるまでエキスパンダーの半径方向の拡張を防ぐことにより、拡張可能なインプラントまたはエキスパンダーを環状部内に保持してもよい。
【0028】
一実施形態では、部分的展開位置にあるときに、外側要素の遠位先端、および画像化デバイスの遠位先端または面は、内側要素の遠位先端に対して近位に位置決めされてもよい。有益なことに、部分的展開位置は、内側要素上で圧縮構成または保管構成におけるエキスパンダーを保持しながら、エキスパンダーの一部分を覆わない。これにより、臨床医が、解剖学的構造に対してエキスパンダーを視認することを可能にし、それにより臨床医が、解剖学的構造に対してエキスパンダーを位置合わせすることを容易にする。さらに、外側要素を中間の部分的展開位置から完全展開位置に移動することは、格納位置から完全展開位置に移動するよりも小さな長手方向の移動を伴う。これにより、エキスパンダーの展開の精度が改善される。
【0029】
一実施形態では、送達デバイスは、第1の内側の細長い要素と第2の外側の細長い要素との間に位置付けられた第3の細長い要素を備えてもよい。第3の細長い要素は、ステアリング管などの中間管であってもよい。
【0030】
送達デバイスは、エキスパンダーの移動を阻害するための1つ以上の保持機能部を備えてもよい。保持機能部は、環状部内に内側管または中間管に対して拡張可能なインプラントを有利に保持する。これは、エキスパンダーを展開する前に、内側管またはステアリング管に対するエキスパンダーの長手方向または角度の移動を有利に防止する。一実施形態では、保持機能部は、環状部内に位置付けられてもよい。
【0031】
一実施形態では、外側スリーブは、部分的展開位置または格納位置にあるときに、保持機能部を取り囲んでもよい。これにより、エキスパンダーを完全に展開する前にエキスパンダーが半径方向に拡張することを防ぐ。さらに、臨床医がエキスパンダーの展開を中止または一時停止したい場合、外側スリーブを部分的展開位置から格納位置に戻してもよい。
【0032】
保持機能部は、例えば、内側要素上の少なくとも1つの突起を備えてもよい。一実施形態では、保持機能部は、内側要素上に位置付けされた近位突起および遠位突起を備える。エキスパンダーを少なくとも部分的に受容するためのスロットは、遠位突起と近位突起との間に画定されてもよい。エキスパンダーはスロット内に受容されてもよい。例えば、エキスパンダーは、頂点を備えてもよく、エキスパンダーが内側要素上に位置付けられるときに、突起の1つは、頂点の対向する辺の間に位置付けられてもよい。
【0033】
内側要素は、エキスパンダーと係合して保持するように構成されている、角度的および/または長手方向に離間された2つ、3つ、またはそれ以上の保持特徴部のセットを備えてもよい。別の実施形態では、突起は、中間管上に位置付けされているか、または中間管から遠位に延びていてもよい。突起は、送達デバイスが直立した、または他の方法で既知または所定の配向で尿道に挿入されたときに、エキスパンダーが実質的に正しく配向されるように、内側要素または中間管上に配向されてもよい。
【0034】
外側スリーブが格納位置または部分的展開位置にあるとき、保持機能部の上面または半径方向外面と外側スリーブの半径方向内面との間にギャップが画定されてもよい。ギャップは、保持機能部によって係合されるエキスパンダーの一部の半径方向の厚さよりも狭い。例えば、送達デバイスエキスパンダーは、保持機能部によって保持されたワイヤを備えてもよく、ギャップは、ワイヤの厚さよりも小さくてもよい。ギャップは、保持機能部と外側スリーブとの間にクリアランスを有益に提供し、外側スリーブが内側管に対して自由に移動することを可能にする。さらに、環状部が灌漑チャネルの一部を形成する場合、ギャップは流体が環状部に沿って流れることを可能にしてもよい。
【0035】
送達デバイスは、臨床医によって送達デバイスを保持および把持することを可能にするために内側および/または外側要素の近位端に接続されたハンドルをさらに備えてもよい。さらに、ハンドルは、外側スリーブおよび画像化デバイスを、格納位置、完全展開位置、および部分的展開位置との間で移動させるように動作可能であってもよい。
【0036】
一実施形態では、ハンドルは、近位グリップおよび遠位グリップを備えてもよい。別の実施形態では、ハンドルは、中指およびまたは薬指および小指が内視鏡ハンドルを保持し、人差し指およびまたは中指がステアリングおよび他の機構を動作させる内視鏡のものと同様に2本または3本の指のパワーグリップを備えてもよい。
【0037】
ハンドルは、戻り止めとして機能するために、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能なレバー、キャッチ、または他のラッチを備えてもよい。ラッチがロック位置にあるとき、外側要素は格納位置にロックされる。ラッチは中間位置に移動可能であり、レバーがその位置にあるときに、外側スリーブを格納位置から部分的展開位置に移動することができる。ラッチはまた、完全展開位置に移動可能であってもよい。ラッチが完全展開位置にあるときに、外側の要素を部分的展開位置と完全展開位置との間で移動できる。
【0038】
エキスパンダーが使用中の環状部内に保持されるときに、内側要素の遠位端は、エキスパンダーの遠位端に対して遠位に位置付けられるか、または長手方向に位置合わせされてもよい。代替的には、内側要素の遠位端は、エキスパンダーの遠位端に対して近位に、およびエキスパンダーの近位端に対して遠位に位置付けられてもよい。
【0039】
有益には、エキスパンダーが保管構成にあるときに、エキスパンダーの長手方向の支柱が略平行な関係に維持されるように、エキスパンダーが内側要素上に保持されるときに、内側要素がエキスパンダーへの支持を提供する。これは、展開中のエキスパンダーの半径方向の拡張を有利に促進し、エキスパンダーが保持機能部から外れる可能性をさらに低減する。さらに、送達管が尿道に挿入されているとき、および尿道に沿って挿入されているときに、内側要素がエキスパンダーを支持する。これにより、エキスパンダーが尿道によってさらに圧縮されるのを有利に防ぎ、そうでなければエキスパンダーが保持機能部から外れる可能性がある。
【0040】
内側要素は、内側管の長さに沿って延びてもよい内側管腔を備えてもよい。さらに、内側管腔は、視野をクリアし、膀胱および/または尿道から流体を排出するための灌注チャネルとして作用してもよい。画像化デバイスは、少なくとも部分的に内側管腔内に受容されてもよいし、内側要素は画像化デバイスであってもよい。画像化デバイスは、画像化チップまたは光ファイバーを備えてもよいし、画像化デバイスは、望遠鏡を備えてもよい。例えば、画像化チップは、画像化デバイスに接続されてもよく、画像化デバイスを画像表示デバイスに接続するワイヤおよび電源を内側管腔に通してもよい。画像化デバイスは、画像化デバイスが回転できないようにエキスパンダーを保持する内側要素に対して固定された円周方向の位置にあってもよく、したがって、インプラントと解剖学的構造を正確に長手方向および角度の位置合わせを行うことが促進される。
【0041】
格納構成では、エキスパンダーのすべてまたは大部分は、画像化デバイスの視野に対して近位に、したがって視野の外側に位置決めされてもよい。画像化デバイスが患者の解剖学的構造の画像を生成して、臨床医がエキスパンダーの展開前に解剖学的構造を評価することを可能にするため、これは有益である。しかしながら、画像化デバイスの視野は、エキスパンダーが内側管上の保管構成にあるときに、エキスパンダーの少なくとも一部分を含んでもよい。画像化デバイスの視野の原点である視点は、エキスパンダーの内側からのものであってもよい。画像化デバイスは、患者の解剖学的構造に対するエキスパンダーの画像を受信できるため、これは有益である。これは、臨床医が、画像化デバイスからの画像を使用して、解剖学的構造に対する拡張可能なインプラントを正確に位置付け、位置決めすることを可能にする。
【0042】
画像化デバイスは、例えば、内側要素に対して移動可能であってもよいが、外側要素に対して固定されてもよい。したがって、外側スリーブが保管位置、部分的展開位置、および完全展開位置との間で移動されるときに、画像化デバイスは、内側要素に対して移動してもよい。一実施形態では、画像化デバイスは、送達管の中心長手方向軸の周りを円周方向に回転できないように、内側要素および外側要素に対して固定されてもよい。これは、臨床医が、回転移動をすることなく、解剖学的構造に対する特定の軸方向位置に拡張可能なインプラントを正確に位置付けることを可能にし、正確な展開を保証する。
【0043】
別の実施形態では、内側要素、および任意選択で画像化デバイスは、遠位前進位置と近位後退位置との間の中間管に対して長手方向に移動可能である。内側管が遠位前進位置にあるときに、内側要素の遠位先端は、外側要素の遠位先端に対して遠位に位置決めされてもよい。内側要素が遠位前進位置にあるときに、外側要素は、画像化デバイスの視野の外側にあってもよい。しかしながら、画像化デバイスは、その視野が、内側要素が近位後退位置にあるときに、エキスパンダーの少なくとも遠位部分をキャプチャするように構成されてもよい。
【0044】
外側要素は、エキスパンダーを所望の長手方向位置に位置決めするときに臨床医に視覚的な補助を提供するために、長手方向に離間された目盛り線を備えてもよい。しかしながら、内側要素上の目盛り線が臨床医に視認可能であるように外側要素が透明である場合、目盛り線は内側要素上にある可能性がある。
【0045】
一実施形態では、送達デバイスは、拡張可能なインプラントを備えてもよい。インプラントは、第1の細長い要素によって支持され、少なくとも部分的に第2の細長い要素によって覆われてもよい。
【0046】
本発明の概念は、患者の体腔内に自己拡張型インプラントを展開する方法にまで及ぶ。方法は、送達システムの画像化ヘッドを遠位前進位置にし、送達シースをインプラントが送達シース内に保持され、かつ送達シースによって覆われた格納位置にして、インプラント送達システムの細長い送達シースを腔内に挿入することと、遠位に前進した画像化ヘッドによって画定される第1の視点から撮影された患者の解剖学的構造の画像によってガイドされ、腔内の標的部位にインプラントをナビゲートすることと、インプラントに対して、インプラントが少なくとも部分的に覆われないが、送達シースによって保持されたままである部分的展開位置まで近位に送達シースを後退させることと、インプラントに対して、画像化ヘッドがインプラント内にあり、かつ取り囲まれる第2の視点を画定する後退位置へと近位に画像化ヘッドを後退させることと、近位に後退した画像化ヘッドによって画定される第2の視点から撮影されたインプラントの画像によって、取り囲む解剖学的構造に対してガイドされ、標的部位にインプラントを位置決めすることと、を含む。
【0047】
患者の解剖学的構造は、インプラントまたは送達シースによって実質的に妨害されることなく、第1の視点から画像化されてもよい。インプラントは、送達シースによって実質的に妨害されることなく、インプラントの遠位端に対して近位に配設された第2の視点から、取り囲む解剖学的構造に対して画像化されてもよい。外側要素と画像化ヘッドは、近位方向に一緒に移動してもよい。
【0048】
本発明の概念はまた、患者の尿道内に拡張可能なインプラントを展開する方法を包含する。方法は、インプラントおよび画像化デバイスが送達管内に保持され、送達管によって覆われた状態で、送達管を尿道に挿入することと、インプラントに対して近位に、インプラントが少なくとも部分的に覆われないが、送達管によって依然として保持されている部分的後退位置に送達管を後退させることと、画像化デバイスを使用して、患者の解剖学的構造とともにインプラントを画像化することと、尿道内の標的部位にインプラントを位置決めすることと、インプラントを送達管から解放するのに十分な程度まで送達管をさらに後退させることによって、標的部位にインプラントを展開することと、を含む。
【0049】
より具体的には、送達管は、送達システムの最も内側のチャネル内およびインプラントの内径内に位置するカメラまたは他の画像センサによって解剖学的構造を画像化する。部分的後退位置では、インプラント内から画像を生成するカメラを使用して、インプラントを解剖学的構造に合わせることができる。送達管をさらに後退させることによって標的部位にインプラントを展開した後、カメラは、ユーザによるハンドル構成要素のさらなる操作を必要とせずに、解剖学的構造内に展開されたデバイスを画像化することができる。
【0050】
画像化デバイスからの直視下で2段階の展開プロセスにおいてエキスパンダーを展開すると、臨床医がインプラントを間違って展開するリスクが有益に軽減される。さらに、部分的後退位置は、インプラントが部分的に覆われていないとき、および画像化デバイスがインプラント内に位置付けられているときに、インプラントを解剖学的構造に位置合わせすることを可能にする。インプラント内に位置付けられた画像化デバイスでエキスパンダーを画像化することは、エキスパンダーと解剖学的構造の同心円状の画像化を可能にし、中心軸に位置合わせされた同じ平面内の解剖学的構造とエキスパンダーで位置合わせステップを完了することができるようにし、展開の精度が改善される。
【0051】
インプラントが外側スリーブで覆われているときに送達管を挿入することは、インプラントが解剖学的構造に引っ掛かることなく、送達デバイスを尿道に簡単に挿入することを可能にするため有益である。有利には、送達管は、前立腺部尿道を操作およびまっすぐにするための硬い遠位先端部分を有してもよく、前立腺部尿道、取り囲む解剖学的構造、およびエキスパンダーインプラントが実質的に同心であることを保証する。任意選択で、送達管は、その近位端からの制御入力に応答してインプラントをステアリングすることができる。
【0052】
一実施形態では、方法は、患者の膀胱頸部と外括約筋との間の尿道における長手方向位置で標的部位にインプラントを位置決めすることを含んでもよい。方法は、尿道に沿って膀胱頸部まで遠位に、または膀胱頸部を越えて遠位に送達管の遠位端を前進させることを含んでもよい。したがって、送達管の遠位端を膀胱内に前進させてもよい。これは、送達デバイスが尿道に沿って前進すると、尿道の長さに沿った解剖学的構造を視認することを可能にする。これにより、臨床医は尿道内の任意の障害物をチェックし、前立腺葉を視認することができる。
【0053】
次いで、方法は、送達管の遠位端を膀胱頸部から離れるように近位方向に引き戻すことを含んでもよい。それにより、膀胱頸部は、インプラントを前立腺部尿道における適切な長手方向の位置に位置決めするための基準として使用されてもよい。送達管は、展開前に膀胱頸部基準に対して臨床的に許容可能な位置にインプラントをどこに位置付けるかの目盛り線を備えてもよい。
【0054】
拡張可能なインプラントを位置決めすることはまた、インプラントを標的部位に位置決めするときに、送達管の長手方向軸の周りでインプラントを回すか、または回転させることを含んでもよい。インプラントを回転させて、インプラントを患者の少なくとも1つの前立腺葉と位置合わせしてもよい。例えば、インプラントは、少なくとも1つの頂点を備えてもよく、少なくとも1つの頂点を前立腺葉と位置合わせするために回転されてもよい。インプラントは、送達管を回転させるとエキスパンダーが回転するように、送達管に対して固定されてもよい。この方法は、インプラントのうちの少なくとも1つの頂点を前立腺葉または各前立腺葉と位置合わせすることを含んでもよい。
【0055】
送達管は、送達管が部分的展開構成から完全展開構成に移動されるときに、前立腺部尿道に対して静止状態にある内側管を備えてもよい。方法は、部分的展開位置から完全展開位置に送達管をさらに後退させるときに、前立腺部尿道に対して実質的に静止状態でインプラントを保持することを含んでもよい。部分的展開構成にあるときに拡張可能なインプラントを内側管に固定することができ、したがって、送達デバイスが完全展開構成に移動されるときに、エキスパンダーが実質的に変化しない長手方向の位置に留まることができるため、これは有益である。これにより、格納状態から前立腺部尿道内の展開状態へのインプラントの展開の精度が改善される。
【0056】
インプラントを展開することは、インプラントを半径方向に拡張することを含んでもよい。インプラントは、格納状態または圧縮状態から展開状態または拡張状態に半径方向に拡張されてもよい。インプラントは、外側スリーブをインプラントに対して長手方向に移動させることによって展開されてもよい。したがって、インプラントは、インプラントが半径方向に拡張することを可能にするために、脱シースされているか、または覆われていなくてもよい。
【0057】
送達管を部分的展開構成に移動することは、安全キャッチ、ラッチ、またはボタンを動作させて、送達管をそのように移動または再構成されることを可能にすることを含んでもよい。この方法は、安全キャッチを再び動作させること、例えば、安全キャッチをさらなる位置に移動させて、送達管を部分的後退位置からさらに後退させることを可能にすることをさらに含んでもよい。
【0058】
方法は、部分的後退位置において送達管によって覆われたままであるが、インプラントを解放するために送達管の上記さらなる収縮によって露出される保持配列との係合によってインプラントを保持することを含んでもよい。方法は、尿道から送達管を除去する前に、保持配列を再び覆うように送達管を遠位に前進させることをさらに含んでもよい。したがって、方法は、尿道から送達管を取り外す前に、送達管を完全展開構成から格納構成に移動させることを含んでもよい。
【0059】
方法は、送達管が部分的後退位置にあるときに、インプラント内にあり、かつインプラント遠位端に対して近位に配設された視点から尿道に対するインプラントを視認することを含んでもよい。
【0060】
方法は、インプラントのうちの少なくとも1つの頂点を患者の精丘に位置合わせすることを含んでもよい。方法は、インプラントの横方向に離間され長手方向に延びる部材または支柱間に精丘を位置付けることを含んでもよい。方法は、頂点が精丘と接触するのを避けながら、インプラントを近位に引き戻すことを含んでもよい。インプラントの頂点は、前立腺の外側葉、または移行帯および正中葉であるそれぞれの葉と位置合わせされてもよい。
【0061】
方法は、送達管をステアリングすること、または送達管の少なくとも遠位部分をその長さに沿って曲げることによって解剖学的構造を操作することをさらに含んでもよい。
【0062】
本発明に多くの利点を有する。例えば、画像化デバイスの最初の視野は、前立腺部尿道に到達したときに格納されたインプラントを表示する必要がないため、解剖学的構造の遮るもののないビューを与える。これは、臨床医が解剖学的構造を評価し、特定の患者の前立腺部尿道の長さと膀胱頸部の高さの高さに従ってインプラントを位置決めすることに対する判断をするのに役立つ。
【0063】
逆に、位置決めステップは、インプラントと解剖学的構造の同心画像化を可能にし、位置合わせステップを正確かつ容易に完了できるようにし、インプラントと解剖学的構造が同じ垂直面に関して実質的に対称であり、展開ステップ中に実質的に同じ中心軸を有することを保証する。
【0064】
したがって、位置決めステップにより、解剖学的構造における同じ軸方向位置にあるインプラントと解剖学的構造のビューを可能にする。カメラレンズまたは他の画像センサと膀胱頸部に向かうエキスパンダーの遠位端は、互いに対して同じ長手方向の位置にあり、この相対的な位置で進み、常に一緒にロックされる。これにより、送達システムの遠位端部分上の保持機能部により、導入および位置決めステップ中にインプラントが送達システム上を移動できないため、位置決めの一貫した精度が保証される。
【0065】
レンズまたは他の画像センサをインプラント内に配置すると、各重要な解剖学的機能部、つまり膀胱頸部、前立腺の葉、および精丘に対して同時にインプラントを正しく位置決めすることが促進される。インプラントの後方や横の視点からではなく、インプラントと解剖学的構造を同じ平面で視認することで、位置合わせの精度が促進される。
【0066】
送達システムの硬い遠位端は、前立腺部尿道をまっすぐにし、エキスパンダーと前立腺部尿道、したがって取り囲む解剖学的構造が実質的に同心になることを保証する。したがって、カメラレンズまたは他の画像センサは、インプラント内に配向され位置付けられ、内側から外向きに有益に画像化する。より一般的には、ステアリング可能な先端は、前立腺部尿道の曲率、角度、または傾斜に適合するように位置決めすることを可能にする。この点に関して、本発明の実施形態は、従来技術では示唆されていない方法で、ステアリングリングをインプラント保持機能部と組み合わせる。
【0067】
有利には、膀胱内にバルーンまたは他の位置決めデバイスが必要とされないため、処置の期間および複雑さが低減される。また、膀胱頸部に損傷を与える可能性のある膀胱内への展開と引き戻しの必要もない。
【0068】
単純なハンドル機構は、展開に影響を与える可能性がある。インプラントは事前に形成されており、インプラントをその場で調整または形成する必要はない。送達ハンドルのパーツは一緒にロックされ、送達シースと画像化シースの移動と機関を制御する。送達シースは、画像化構成要素に対してロック位置にインプラントを保持する機能部を有する。外側のシースは後方に移動するか、展開中のインプラントと解剖学的構造の視認を覆い隠さないように寸法決定されてもよい。
【0069】
当業者は、本明細書に記載のエキスパンダーがBPHの治療に使用するためのものであるが、本発明の送達システムは、拡張可能なインプラントが体腔内に位置付けられる他の用途において使用できると理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
ここで、添付の図面を参照して、本発明の実施形態は例としてのみ記載される。
【0071】
【
図1】本発明の実施形態での使用に好適な膨張状態のエキスパンダーの斜視図である。
【
図2】格納状態の
図1のエキスパンダーの斜視図である。
【
図3】
図1のエキスパンダーがBPHの治療に使用されている前立腺および前立腺部尿道の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による送達デバイスの斜視図である。
【
図5】患者の前立腺部尿道内に位置決めされた
図4の送達デバイスの遠位端の概略図である。
【
図6】
図4の送達デバイスの内側管の遠位端の下側の斜視図である。
【
図7】
図6の内側管の保持配列とエキスパンダーの長方向断面図である。
【
図9】
図4の送達デバイスのハンドルの概略側面図である。
【
図10】保管構成における送達管およびエキスパンダーの遠位端領域の概略側面図である。
【
図11】部分的展開構成における送達管およびエキスパンダーの遠位端領域の概略側面図である。
【
図12】完全展開構成における送達管およびエキスパンダーの遠位端領域の概略側面図である。
【
図13】画像化デバイスを備える送達デバイスの概略端面図である。
【
図14】
図13の画像化デバイスによってキャプチャされた画像の概略図である。
【
図15】
図4の送達デバイスを使用して拡張可能なインプラントを展開するステップを概説するフローチャートである。
【
図16】別の実施形態による送達デバイスの管の概略図である。
【
図17】本発明のさらなる実施形態による送達デバイスの斜視図である。
【
図19】
図17の送達デバイスのステアリング管の遠位端領域の概略側面図である。
【
図20】保管構成における
図17の送達デバイスの遠位端領域の概略図である。
【
図21】部分的展開構成における
図17の送達デバイスの遠位先端の概略図である。
【
図22】完全展開構成における
図17の送達デバイスの遠位先端の概略図である。
【
図24】別の実施形態によるステアリング管の遠位端領域の概略側面図である。
【
図25】別の実施形態によるステアリング管の遠位端領域の概略側面図である。
【
図26】
図17の送達デバイスを使用して拡張可能なインプラントを展開するステップを概説するフローチャートである。
【
図27】本発明の送達デバイスの送達シースの3つの細長い要素、すなわち、硬いカメラ先端を備えた画像化シース、画像化シースを取り囲むステアリングシース、ならびに画像化シースおよびステアリングシースを囲む外側シースを示す。
【
図28】
図27の送達シースの遠位先端部分の構成要素を示す一連の拡大詳細斜視図である。
【
図29】
図27の送達シースの遠位先端部分の拡大詳細図の選択物であり、画像化シースの硬いカメラ先端の長さの変化を示す。
【
図30】
図27の送達シースのインプラント保持構成要素とステアリング/プルリングアセンブリの選択図である。
【
図31】本発明の送達シースの細長い要素の相対的な移動を制御するためのインターロック機構の動作を示す一連の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
一般用語では、本発明の実施形態は、BPHの症状を軽減するために、患者の前立腺部尿道内に拡張可能なインプラントまたはエキスパンダーを展開するための送達デバイスに関する。広い意味では、送達デバイスは、細長い送達管に動作可能に接続されたハンドルを備える。送達管は、外側スリーブまたはシースに取り囲まれた内側管を備え、それらの間に環状部が画定されている。エキスパンダーは、環状部内に圧縮構成または保管構成において保持されてもよい。内側管の遠位端領域に位置決めされた保持機能は、輪内に圧縮構成または保管構成において内側管に対してエキスパンダーを保持する。画像化構成要素は、内側管に収容されているか、またはこれによって支持されている。
【0073】
使用中、送達管は陰茎を通して患者の尿道に挿入され、尿道に沿って前立腺部尿道まで前進する。遠位端部分、したがってエキスパンダーが前立腺部尿道内に正確に位置決めされていると確信したときに、臨床医がハンドルを動作させて外側シースを収縮させ、それによってエキスパンダーを前立腺部尿道内で拡張および展開することが可能になる。
【0074】
送達デバイスからのエキスパンダーの展開は、外側シースが最初に部分的展開位置に後退される2段階のプロセスであってもよい。部分的展開位置では、エキスパンダーは少なくとも部分的に脱シースされているが、送達デバイスに取り付けられたである。画像化ステップおよび位置合わせステップの後にエキスパンダーが正しく位置付けられていると臨床医が確信した場合、外側シースを完全展開位置に移動させてエキスパンダーを送達デバイスから解放し、それによってエキスパンダーを体腔内の標的部位、この例では前立腺部尿道に位置付けてもよい。
【0075】
送達デバイスは、有利には、直視下で制御された方法で前立腺部尿道内に展開される前に、エキスパンダーを解剖学的構造内に正確に位置決めすることを可能にする。制御された展開は、有益には、エキスパンダーが不注意に展開されるのを防ぎ、展開時および展開後に、エキスパンダーが前立腺部尿道内に正確に位置決めすることを保証する。
【0076】
本発明の実施形態を好適な文脈において捉えるために、最初に、本発明の実施形態とともに使用するのに好適な拡張可能なインプラントまたはエキスパンダー10の概略図を示す
図1を参照する。当業者たる読者は、
図1に示すエキスパンダー10が例としてのみであり、本明細書に記載の送達デバイスが他のインプラントでの使用に好適であってもよいし、使用に適合されてもよい。
【0077】
エキスパンダー10は、正弦波リングを形成するように配置された単一のニチノールワイヤを備える。エキスパンダー10は、
図1に示すように拡張または展開状態と、
図2に示すように圧縮または格納状態との間で弾性的に移動または変形してもよい。解放されるときに、エキスパンダー10は、
図2の圧縮または格納状態から
図1の拡張または展開状態へ弾性回復によってそれ自体を移動または変形させる。具体的には、エキスパンダー10のニチノールワイヤリングは、圧縮状態にあるときに、エキスパンダー10がそれ自体を拡張状態に促す外向きの半径方向の力を加えるように、超弾性形状記憶特性で作用する。
【0078】
エキスパンダー10は、それぞれの頂点18を備えた3つの近位プロング17を備える近位端16と、それぞれの頂点15を備えた3つの遠位プロング14を備える遠位端13とを有する。遠位端13および近位端16の頂点15、18は、円周方向に交互に、長手方向支柱19によって結合されている。
【0079】
エキスパンダー10が
図2に示す収縮または圧縮状態にあるときに、エキスパンダー10によって画定される正弦波リングの直径は、エキスパンダー10が最小限の不快感で患者の尿道に沿って前進するように短縮されている。エキスパンダー10は、その収縮状態または送達状態で前立腺部尿道30に送達される。
【0080】
ここで
図3を参照すると、前立腺11内の前立腺肥大症(BPH)の治療に使用されているエキスパンダー10が示されている。使用中、エキスパンダー10は、膀胱頸部32と外括約筋33との間の前立腺部尿道30内に位置している。この位置に位置付けられるときに、エキスパンダー10は、前立腺部尿道30の取り囲む壁に対して外向きの半径方向の力を加えて、膀胱36からの尿の流れを促進する。
【0081】
膀胱頸部32と外括約筋33との間の正しい長手方向位置にエキスパンダー10を位置決めすることは困難であり、展開前にエキスパンダー10が好適に位置決めすることを保証するように注意を払わなければならない。エキスパンダー10を膀胱頸部32または外括約筋33のいずれかへの近すぎる位置決めすることは、それらの筋肉作用によりエキスパンダー10が時間とともに移動させる可能性があるため、望ましくない。
【0082】
図3に示すように、エキスパンダー10は、精丘25および精管34がエキスパンダー10のワイヤによって遮られないように角度的に配向され、したがって、患者の性的機能を維持する。さらに、エキスパンダー10の長手方向支柱19は、前立腺11のそれぞれの葉と係合するように配向され、それにより各葉に外向きの半径方向の力を加えて、膀胱頸部32と外括約筋33との間の開いた通路を維持する。
【0083】
ここで、
図4に目を向けると、前立腺部尿道30内にエキスパンダー10を位置決めするための送達デバイス40が示されている。送達デバイス40は、細長い送達管42に動作可能に接続されたハンドル46を備える。送達管42は、圧縮状態におけるエキスパンダー10を少なくとも部分的に受容し、患者の前立腺部尿道30内にエキスパンダー10を展開するように構成されている。送達管42は、患者の陰茎を介して尿道に挿入され、尿道に沿って標的部位、この例では、エキスパンダー10が展開され得る前立腺部尿道30に前進してもよい。
【0084】
図5は、前立腺部尿道30内に位置付けられた送達管42の遠位端部分44の概略図を示している。
図5に示すように、送達管42は、外側スリーブ48によって取り囲まれる内側管50を備える。環状部85が、内側管50と外部スリーブ48との間に画定され、エキスパンダー10は、環状部85内に位置付けられる。外側スリーブ48は、エキスパンダー10を取り囲み、それによりエキスパンダー10が保管構成から展開構成に拡張するのを防ぐ。環状部85は、送達管42の遠位端領域44でエキスパンダー10を保持するように機能し、さらに、流体が尿道および/または膀胱36に、またはそこから灌注され得る灌注チャネルとして作用する。
【0085】
ハンドル46は、ハンドル46を動作させることにより、臨床医が外側スリーブ48を内側管50に対して長手方向に移動させることができるように、送達管42に動作可能に連結されている。内側管50上の管腔70は、ハンドル46を通って延びており、望遠鏡などの画像化デバイスを受容するのに好適な望遠鏡プラグ57においてハンドル46の近位端で終端してもよい。プラグ57は、望遠鏡が送達管42の遠位端44からの画像を提供できるように、望遠鏡を内側管腔70内に保持するように構成され得る。有益には、プラグ57は、内側管50および外側管48に接続されている近位ハンドル41上に位置決めされる。したがって、望遠鏡は外側管48に対して固定されており、常にそれとともに移動し、臨床医がハンドル46を動作させるときに望遠鏡も内側管50に対して長手方向に移動するようもする。プラグ57は、有利には、望遠鏡の遠位先端および外側スリーブ48に関してエキスパンダー10の位置が測定され得る基準を提供する。
【0086】
外側スリーブ48は、
図5に示すように、エキスパンダー10がその長さに沿って外側スリーブ48によって取り囲まれているシースまたは格納位置と、外側スリーブ48が内側スリーブに対して近位に相対的に移動して、送達管42によって担持されるエキスパンダー10が覆われない展開または後退位置との間で移動可能である。さらに、外側スリーブ48は、以下でさらに詳細に記載するように、エキスパンダー10が部分的に覆われていないが内側管50上に保持されている中間または部分的展開位置に移動可能であり、そこで一時的に保持され得る。
【0087】
内側管50は、エキスパンダー10が送達管42内に保管構成において保持されているときに、内側管50に対するエキスパンダー10の長手方向または角運動を防ぐための保持配列52を備える。保持配列52は、外側スリーブ48が格納構成にあるときに、エキスパンダー10の全長が、送達管42の遠位端部分44で外側スリーブ48内に保持されるような長手方向位置でエキスパンダー10の近位端16に位置決めされる。保持配列52は、エキスパンダー10を望遠鏡または他の遠位画像化デバイスの遠位レンズに対して固定された関係を保つ。
【0088】
図5は、エキスパンダー10が実質的にその全長に沿って内側管50によって支持されるように、内側管50の遠位端部分44がエキスパンダー10の長手方向の長さに沿って延びる実施形態を示す。エキスパンダー10をその全長に沿って支持することは、エキスパンダー10が変形し、潜在的に保持配列52から外れるのを防ぐので、エキスパンダー10が尿道に沿って前進するときに有益である。しかしながら、別の実施形態では、内側管50の遠位先端72は、エキスパンダー10の長さに沿って途中でのみ保持配列52から遠位に延びていてもよい。
【0089】
ここで、
図6に目を向けると、明確にするために外スリーブ50および画像化デバイスが取り除かれた状態で、内側管50の遠位端部分44の下側の斜視図が示されている。内側管50は、ハンドル46に連結された近位端に対向する遠位端部分44を含む細長いプラスチック管である。内側管50は、画像化デバイス、例えば望遠鏡または関連する支持体および電子機器を備えた画像化チップを受容するために使用され得る中空の内側管腔70を備える。
【0090】
図6~8に示すように、内側管50は、2セットの保持配列52を備える。保持配列52は、内側管50に対するエキスパンダー10の長手方向または回転方向の移動を防ぎ、望遠鏡に対するエキスパンダー10の回転方向の移動を防ぐように構成されている。保持配列52は、内側管50の遠位端部分44上に移動付けられる。
【0091】
典型的には、保持配列52は、エキスパンダー10の長さを超える距離で、遠位先端72の近位の位置で内側管50上に位置決めされる。これは、エキスパンダー10が格納位置にあるときに、内側管50が、エキスパンダーも見えていようがいまいが、望遠鏡が解剖学的構造を視覚化するためのオリフィスまたは開口を提供してもよく、エキスパンダー10をエキスパンダー10の全長に沿って支持できるため有益である。これは、格納位置にあるときに縦支柱19を互いに略平行に維持し、したがって、格納位置から拡張位置へのエキスパンダー10のスムーズな展開を促進する。
【0092】
代替的には、外側スリーブ48が内側管50に張り出すように内側管50が外側スリーブ48よりも短いときに、保持配列52は、エキスパンダー10の遠位端13も、内側管50の遠位端から張り出すように位置してもよい。この実施形態では、内側管50は、エキスパンダー10の一部分にのみに支持を提供する。しかしながら、繰り返しになるが、内側管50によって提供される支持は、エキスパンダー10が保管構成にあるときに、長手方向支柱19を互いに略平行に維持するのに十分である。
【0093】
保持配列52は各々、それらの間に保持スロット58を画定する遠位突起54および近位突起56を備える。スロット58は、エキスパンダー10を内側管50上に保持するように、エキスパンダー10の近位頂点18を受容するように構成されている。エキスパンダー10が圧縮構成において内側管50上に位置付けられるときに、エキスパンダー10の近位プロング17は、保持配列52の遠位突起54を包み込み、これに係合する。これは、エキスパンダー10の遠位方向における長手方向の移動を阻害し、内側管50に対するエキスパンダー10の回転方向の移動も阻害する。近位頂点18はまた、近位突起56に当接してもよく、それによりエキスパンダー10の近位方向における長手方向の移動を阻害し得る。
【0094】
図7は、エキスパンダー10が保管構成にあり、外側スリーブ48によって取り囲まれている状態の保持配列52の長手方向断面図である。保持配列52は、内側管50に対するエキスパンダー10の長手方向または回転方向の移動を防ぐ。
図7に示すように、送達デバイス40の外側スリーブ48は、エキスパンダー10を取り囲み、それによりエキスパンダー10の展開位置への半径方向外向きの拡張を防ぐ。
図7は、エキスパンダー10が、少なくとも保持配列52と位置合わせされて外側スリーブ48によって囲まれて、それによりエキスパンダー10を内側管50上の保管構成に保持する格納または部分的展開位置における外側スリーブ48を示す。
【0095】
保持機能部52の遠位突起54および近位突起56が
図7に詳細に示されている。突起54、56は各々、保持機能部52が保持特徴52の遠位側および近位側に傾斜壁84、86を有するように、傾斜壁84、86を備える。
【0096】
突起54、56の傾斜壁84、86は、エキスパンダー10が前立腺部尿道30内に展開された後、保持機能部52がエキスパンダー10に再係合または引っ掛かる可能性を最小限に抑える。傾斜壁84、86は、保持機能部52の保持スロット58の周りに対向している。したがって、外側スリーブ48が展開位置にあるときに、内側管50が、展開されたエキスパンダー10に対して長手方向に動かされる場合、傾斜面84、86はエキスパンダー10に接触し得るが、エキスパンダー10に捕まるか、または引っ掛かかる可能性は低い。エキスパンダー10が展開された後、エキスパンダー10を捕まえるか、または引っ掛けると、エキスパンダー10が解剖学的構造内で長手方向に移動し、エキスパンダー10が誤って位置決めされることをもたらす可能性があるため、これは有利である。
【0097】
さらに、近位突起56および遠位突起54は、スロット58がU字形のプロファイルを有するようにスロット58の側面を画定する略垂直壁80、82を備える。突起54、56の垂直壁80、82は、エキスパンダー10が展開されているときに、エキスパンダー10の半径方向の拡張へのガイドとして有利に作用する。具体的には、壁80、82は、エキスパンダー10が展開されているときに、エキスパンダー10の拡張する移動を実質的に半径方向に制限し、それにより展開中の内側管50に対するエキスパンダー10の意図しない長手方向の移動を最小限に抑える。
【0098】
遠位突起54および近位突起56によって画定されるスロット58は、エキスパンダー10のワイヤとすきまばめを有するように寸法決定されてもよい。別の実施形態では、スロット58は、スロット58がエキスパンダー10に保持力を加えるように、エキスパンダー10のワイヤと締まりばめを有してもよい。しかしながら、スロット58によって加えられる保持力は、外側スリーブ48が展開位置に引き戻されたときにエキスパンダー10が依然として展開され得るように、エキスパンダー10の半径方向外向きの自己拡張力よりも小さくするべきである。
【0099】
図7に示すように、ギャップ88は、突起54、56の上面または半径方向外面と外側スリーブ48の内面との間の環状部85において提供される。ギャップ88の幅は、外側スリーブ48が格納位置にあるときにエキスパンダー10がスロット58内に保持されるように、エキスパンダー10のワイヤの直径よりも小さい。エキスパンダー10は、エキスパンダー10が外側スリーブ48および保持配列52によって格納位置に保持されているときに、外側スリーブ48の内面に接触してもよい。
【0100】
図8は、内側管50および保持配列52の断面図である。
図8に示されるように、内側管50は、内側管50上にエキスパンダー10を保持するための2つの保持配列52を備える。保持配列52は、保持配列52がエキスパンダー10の近位プロング17のうちの2つと係合し得るように、互いから角度的に約120°離間されている。より一般的には、内側管50の円周を参照して、保持配列52は、それぞれ、およそ4~5時および7~8時の位置にある。
【0101】
この例では、保持配列は、内側管50の下側上にあり、内側管50の中央長手方向平面に関して実質的に対称な位置にあるが、保持配列52は、内側管50の上部には提供されないことに留意されたい。これは、エキスパンダー10の展開中に前部前立腺部尿道が内側管50の上面に接触して押し付けられる場合であり、その場合、そのような圧力は、エキスパンダー10が内側管50の上部に位置決めされた保持部52から外れるのを防ぐ可能性がある。ただし、保持配列52のこの構成は必須ではない。信頼性の高い展開に関してあまり懸念がない場合、保持機能部は、その上部を含む、内側管50のどこにでも位置決めすることができ、例えば、3つの実質的に等間隔の保持機能部が可能である。
【0102】
当業者たる読者は、保持配列52が、内側管50上でエキスパンダーを係合および保持するのに好適な任意の角度だけ角度的に離間され得ることを理解するであろう。さらに、当業者たる読者は、内側管50が、エキスパンダー10と係合して保持するために、2つより多いまたは少ない2つの保持配列52を備えてもよいと理解するであろう。
【0103】
保持配列52は、送達管42が人間工学的で略直立位置にあるハンドル46で尿道に挿入されるときに、エキスパンダー10がすでに前立腺葉11に係合するように配向されるように、内側管50上に角度を付けて位置決めされる。前立腺部尿道30内にエキスパンダー10を位置決めするときに、臨床医が、エキスパンダー10の角度位置に対して、もしあれば、わずかな調整を行うだけでよいので、これは有益である。
【0104】
図9は、送達デバイス40のハンドル46の側面図である。ハンドル46は、ハンドル46が臨床医によって保持され、送達管42を位置付けるために使用され得るように、送達管42の近位端に接続されている。さらに、ハンドル46は、外側スリーブ48が格納位置、部分的展開位置、および完全展開位置との間で移動できるように、内側管50に対する外側スリーブ48の位置を制御するように動作可能であり、それにより臨床医は、ハンドル46を動作させることによってエキスパンダー10を展開することが可能になる。ハンドル46はまた、内側管50および外側管48に対する画像化シースの位置を制御するように動作可能である。
【0105】
ハンドル46は、送達管42の環状部85に流体的に接続されている灌注ダクト39をさらに備える。破片または血液が画像化デバイスの視野を覆い隠したり遮ったりした場合に、流体が環状部85を介して循環して画像化デバイス90の視野をクリアにし得るように、灌注リザーバが灌注ダクト39に連結されてもよい。灌注ダクト39はまた、環状部85を使用して、膀胱36および/または尿道から廃棄物リザーバに流体を排出することができるように、真空部に接続されてもよい(図示せず)。
【0106】
ハンドル46は、臨床医が片手を使用して動作可能であるように設計されている。具体的には、ハンドル46は、互いに長手方向に移動可能な近位グリップ41および遠位グリップ43を備える。近位グリップ41を遠位グリップ43に対して移動させることで、外側スリーブ48および望遠鏡が内側管50に対して長手方向に移動する。この目的のために、近位グリップ41は、内側管50に接続されてもよく、遠位グリップ43は、プラグ57を通して外側スリーブ48および望遠鏡に接続されてもよい。したがって、グリップ41、43を互いに対して移動させることは、内側管50と外側スリーブ48および望遠鏡プラグ57との間の相対的な移動に影響を与える。
【0107】
この例では、近位グリップ41は、臨床医が親指を置くことができる親指リング45を備え、遠位グリップ43は、臨床医が指を置くことができる指ループ47を備える。指ループ47は、臨床医が遠位グリップ43を近位グリップ41に向かって引っ張ることを可能にし、それにより外側スリーブ48および望遠鏡プラグ57を、内側管50に対して近位に移動させる。展開中に内側管50、したがってエキスパンダー50が展開中に前立腺部尿道30に対して静止状態が保たれ、望遠鏡と外側スリーブ48が一緒に移動することを可能にすることを保証するため、これは有益である。また、有利には、臨床医は、エキスパンダー10の頂点が解剖学的構造に対して正しく位置決めされていることを視認および確信することができ、したがって、エキスパンダー10を解剖学的構造内の所望の場所に展開することができる。
【0108】
さらに、臨床医は、例えば、指を指ループ47の遠位側に押し付け、手のスパンを開き、次に遠位グリップ43を近位グリップ41に対して遠位に移動させることによって、近位グリップおよび遠位グリップを逆に動作させてもよい。臨床医が外側スリーブ48を完全展開位置または部分的展開位置から格納位置に戻すことを可能にするため、これは有益である。
【0109】
ハンドル46は、例えば、遠位グリップ43の上面、または遠位グリップ43またはパワーグリップのいずれかの側に位置し得る安全キャッチまたはレバー49をさらに備える。レバー49は、近位グリップ41および遠位グリップ43が互いに対して長手方向に移動するのを防止または許容にするように動作可能である。レバー49は、例えば、外側スリーブ48の格納位置、部分的展開位置、および完全展開位置に対応する3つの別個の戻り止め位置の間で移動可能であってもよい。
【0110】
例えば、レバー49が第1の格納位置にあるときに、外側スリーブ48が
図10に示すように格納位置に保持されるように、近位グリップ41および遠位グリップ43は、互いに対して長手方向にロックされる。臨床医は、外側スリーブ48が展開位置に移動し、エキスパンダー10が誤った位置に展開されるリスクなしに、陰茎を介して送達管42を尿道に挿入し得るので、これは有益である。
【0111】
送達管42の遠位端領域44を尿道に沿って十分に前進させた、例えば膀胱頸部32または前立腺部尿道30まで前進させたときに、臨床医はレバー49を部分的展開位置に移動させてもよい。これにより、近位グリップ41および遠位グリップ43のロックが解除され、その結果、臨床医は、近位グリップ41を遠位グリップ43に対して引き戻して、グリップ41、43、したがって、送達管42の外側スリーブ48を部分的展開位置に動かしてもよい。この段階で、近位グリップ41の移動は、エキスパンダー10が誤って解放および展開しないように、エキスパンダー10の約10~15mmの部分的な長さのみが覆われないように、送達管42に関する。
【0112】
図11は、外側スリーブ48がエキスパンダー10を部分的に脱シースするように後退した部分的展開位置にある送達管42の遠位端領域44の概略平面図を示している。部分的展開位置にあるとき、外側スリーブ48の遠位端は、保持配列52に対して遠位に位置付けられるが、エキスパンダー10の遠位端13に対して近位に位置決めされる。このように、エキスパンダー10は部分的に脱シースされているが、依然として内側管50上に保持されている。この位置から、エキスパンダー10の展開を完了しないことが決定された場合、臨床医はハンドル46を動作させて、外側スリーブ48を格納位置に戻してもよい。
【0113】
外側スリーブ48を部分的展開位置に移動させることで、望遠鏡90は、エキスパンダー10の遠位端13が望遠鏡90の視野94内に入るように近位に移動する。画像化は、内側から外側に向かって、すなわち、エキスパンダー10の少なくとも遠位部分を通して解剖学的構造を眺めるエキスパンダー10内の視点から行われることが明らかであろう。これは、エキスパンダー10を解剖学的構造と効果的に並置し、したがって、臨床医が、前立腺部尿道30に対するエキスパンダー10のすべての部分の角度および長手方向の位置を見て理解するための信頼できる基準を提供する。
【0114】
エキスパンダー10が前立腺部尿道30内に正しく位置していると臨床医が確信すると、レバー49は、遠位グリップ43が完全展開位置に近位グリップ41に向かって長手方向に移動できるように、部分的展開位置から完全展開位置に移動する。これにより、
図12に示すように、外側スリーブ48および望遠鏡90が内側管50に対して近位に移動し、エキスパンダー10および保持配列52は、外側スリーブ48によって完全に覆われていない。保持配列52を覆わないようにすることで、エキスパンダー10が、保持配列52から外れ、展開位置まで半径方向に拡張することが可能である。
【0115】
展開の3つの段階、すなわち、収納、部分的展開、および完全展開は、臨床医が制御された方法でエキスパンダー10を展開することを有益に可能にし、エキスパンダー10が偶然または誤って場所に展開される可能性を軽減する。例えば、レバー49は、エキスパンダー10が間違って展開される原因となる可能性があるハンドル46の偶発的な動作を防止する。さらに、内側管50は、望遠鏡90がその内部を移動するときにハンドル46の動作中に解剖学的構造に対して静止状態で保持されてもよく、解剖学的構造をエキスパンダー10とともに視覚化することを可能にする。これにより、エキスパンダー10の展開の精度が改善し、展開中に、解剖学的構造に対して最小限の長手方向の移動でエキスパンダー10の半径方向の拡張が促進される。
【0116】
図13は、明確にするために外側スリーブ48が取り除かれた状態で、保管構成における内側管50およびエキスパンダー10のエンドオン図を示している。内側管50は、内腔70内に位置付けられる望遠鏡または画像化チップなどの画像化デバイス90を備える。示される画像化デバイス90は、CMOSチップなどの電子画像化チップ92と、画像化デバイス90によって画像化されている領域を照明するための少なくとも1つの光源94と、を備える。光源94は、例えば、画像化デバイス90によって画像化される領域を照明するように構成されているLEDまたは光ファイバーであり得る。
【0117】
画像化チップ92は、例えば、120°以上の広い視野を有し、そのため臨床医が解剖学的構造の広い領域を見ることができる。
図10~12に示すように、画像化デバイス90の視野94は、外側スリーブ48が格納構成にあり、エキスパンダー10が内側管50の遠位端44部分上に保持されるとき、エキスパンダー10を通って延びる。前立腺部尿道30内にエキスパンダー10を角度的および長手方向に位置決めするときに臨床医を支援する解剖学的構造に対して臨床医がエキスパンダー10を視認することができるため、これは有利である。
【0118】
図10に示されるように、外側スリーブ48が格納位置にあるときに、画像化デバイス90の視野94は、外側スリーブ48を通って延びる。しかしながら、
図11では、部分的展開位置にあるときに、外側スリーブ48は、それがもはや画像化デバイス90の視野94内にはないように後退される。部分的展開位置に画像化デバイス90の視野から外側スリーブ48を後退させることは、それが臨床医に提供される画像の範囲および明瞭さを改善するため有益である。さらに、部分的展開位置により、エキスパンダー10の遠位プロング14が前立腺11の葉に接触することが可能となり、そのため臨床医は、完全展開の前に、前立腺部尿道30に対するエキスパンダー10の位置を見て完全に理解できる。これは、臨床医が、完全展開前にエキスパンダー10が正しく位置決めされているかどうかを確認することを有利に可能にする。
【0119】
これを例示するために、
図14は、外側スリーブ48が部分的展開位置にあるときの画像化デバイス90によってキャプチャされた画像の概略図である。
図14の画像は、エキスパンダー10の遠位プロングの各々が、前立腺部尿道30の周りの外側前立腺葉と位置合わせされ、接触していることを示している。具体的には、エキスパンダーの後方プロング140は、精丘25を取り囲むか、またはまたがって示されているが、エキスパンダー10の2つの前方プロング141、142は、それらが前部葉145に係合するように配向されている。
【0120】
画像化デバイス90によって臨床医に提供される画像は、解剖学的構造、例えば、精丘25および膀胱頸部32に対するエキスパンダー10の長手方向位置、およびまた、膀胱頸部25および前立腺葉に対するエキスパンダー10の角度位置の同時の視覚化を有益に可能にすると理解されるだろう。これにより、前立腺部尿道30内でのエキスパンダー10を正確な位置決めすることが促進される。
【0121】
ここで、
図15に目を向けると、前立腺部尿道30内にエキスパンダー10を展開する方法を概説するフローチャートが示されている。第1のステップ151において、臨床医は、送達デバイス40の送達管42を、陰茎を介して患者の尿道に挿入する。送達管42は、エキスパンダー10が外側スリーブ48によって覆われるように、格納構成において尿道に挿入される。
【0122】
送達管42を、送達管42の遠位端が膀胱頸部32に到達するまで、尿道に沿って前進させる。送達管42を尿道に沿って前進させる際に、臨床医は、画像化デバイス90によってキャプチャされた画像から、患者の解剖学的目印、例えば、外括約筋33、精丘25および膀胱頸部32を視認してもよい。臨床医が患者を評価し、エキスパンダー10の展開を妨げる可能性のある構造、例えば閉塞する膀胱内正中葉閉塞をチェックすることを可能にするため、これは有益である。
【0123】
次に、ステップ152では、臨床医は、送達デバイス40をストレージ構成から部分的展開構成に再構成する。そうするために、臨床医は、レバー49を格納位置から部分的展開位置に動かし、次いで遠位グリップ43を近位方向に動かして、エキスパンダー10が部分的に覆われないように外側スリーブ48をエキスパンダー10および内側管50に対して近位に移動させる。これにより、臨床医は、前立腺部尿道30の周りの外側前立腺葉に対して、エキスパンダー10の遠位プロングを視認することが可能となる。
【0124】
ステップ153では、臨床医は、膀胱頸部32から近位方向に送達管42の遠位端領域44を移動させることによって、前立腺部尿道30における標的部位にエキスパンダー10を位置決めする。
図16を参照して述べたように、近位の移動の程度は、膀胱頸部32から移動した軸方向の距離を示すために、送達管42上の目盛り線の補助を借りて判断されてもよい。このようにして、膀胱頸部32は、エキスパンダー10を前立腺部尿道30内に長手方向に位置決めするための基準として使用されてもよい。
【0125】
遠位端領域44、したがってエキスパンダー10が正しい長手方向位置にあると臨床医が確信したときに、臨床医は次いで、送達デバイス40を回転させて、エキスパンダー10を標的部位内で適切な角度に配向させる。エキスパンダー10は、画像化デバイス90によってキャプチャされた画像において見えるエキスパンダー10の遠位頂点15が、前立腺部尿道30の周りの前立腺葉と位置合わせされるように配向される。臨床医はまた、エキスパンダー10が正しい方向にあるときに、精丘25が視野10に入るように、送達管42をさらに遠位方向に動かしてもよい。それにより、エキスパンダー10を、膀胱頸部32と膀胱頸部25との間の臨床的に許容可能な位置に置くことができ、頂点は、外側葉を円周方向に標的とする。
【0126】
エキスパンダー10が前立腺部尿道30内に正しく位置決めされていると臨床医が確信した場合、臨床医は、ステップ154では、送達デバイス40を完全展開構成に再構成してもよい。代替的には、臨床医がエキスパンダー10の位置を確信した場合、送達デバイス40を格納構成に戻し、手順を中止するか、または再試行してもよい。
【0127】
遠位グリップ43を近位方向に移動させる前に、最初にレバー49を完全展開位置に移動させることによって、送達デバイス40は完全展開構成に移動する。これは、内側管50、したがってエキスパンダー10を標的部位に対して静止状態に保ったまま、外側スリーブ48および望遠鏡を近位に移動させる。さらなる実施形態では、内側管50は、エキスパンダー10を標的部位に対して静止状態で保持したまま、近位方向に移動するカメラ管腔であるか、またはそれを備えてもよい。これにより、エキスパンダー10が目的の位置に展開される。
【0128】
外側スリーブ48が完全展開位置に動かされるときに、近位頂点18は、保持機能部52から外れ、外向きの半径方向に拡張する。スロット58の壁80、82は、エキスパンダー10の半径方向の拡張を促進し、展開中のエキスパンダー10の長手方向の移動を最小限に抑える。
【0129】
エキスパンダー10が展開された後、送達デバイス40は、ステップ155において、格納構成または部分的展開構成に戻されてもよい。このように、外側スリーブ48が保持配列52を覆って、展開後に保持配列52が不注意にエキスパンダー10に再係合して移動させるリスクを低減するため、これは有益である。次いで、臨床医は、展開されたエキスパンダー10を画像化デバイス90を通して視認して、エキスパンダー10が正しく位置決めされていることをチェックしてもよい。エキスパンダー10が正しく展開されたと臨床医が確信したときに、送達デバイス40を尿道から近位に引き抜いてもよい。
【0130】
ここで、
図16に目を向けると、送達管42が、エキスパンダー10の位置決めを可能にするために、送達管42の長さに沿って既知の間隔で離間された、すなわち膀胱頸部32とともにある送達管42に対する固定位置にある一連の目盛り線160を備える送達デバイス40の実施形態が示されている。
図16は、内側管50の近位端に取り付けられたオーバーモールドされたハブ164を備える内側管42の概略図を示している。ハブ164は、ハブ164をハンドル46に取り付けるためのボス穴162を備える。ボス穴機能部162は、近位グリップ41に対する内側管42の位置が維持されることを保証する。
【0131】
目盛り線160は、内側管50上に示されている。しかしながら、目盛り線160は、内側管50または外側スリーブ48上にあってもよい。送達管42が尿道に沿って前進される際に、目盛り線160が臨床医に視認可能であり、それにより臨床医に、尿道内の内側管50の遠位先端72の長手方向位置の表示を与える。
【0132】
当業者たる読者は、目盛り線160が、尿道内で長手方向に送達管42を位置決めするのに好適な任意の既知の間隔に位置決めされ得ると理解するであろう。さらに、目盛り線160に番号を付けてもよい。目盛り線はまた、処置中の前立腺部尿道の長さを概算するために使用され得、これは、臨床医がエキスパンダー10のために最も臨床的に許容できる位置を選択するようにガイドしてもよい。
【0133】
目盛り線160は、送達管42を近位方向に移動させる前に、内側管50の遠位先端72が膀胱頸部32に位置付けられるときに使用されてもよい。臨床医は、例えば、エキスパンダー10が膀胱頸部32から近位に2つの目盛り線に位置付けられるべきであることを知り得るため、これは有益である。この場合、送達管42の近位先端が膀胱頸部32に位置付けられるときに、臨床医は次に、送達管42を2つの目盛り線160によって後退させて、エキスパンダー10を所望の長手方向位置に位置決めしてもよい。臨床医は、患者内または患者外の送達管42の部分に沿って目盛り線を読むことができる。
【0134】
さらなる実施形態による送達デバイス40は、
図17~26を参照して以下に記載する。明確にするために、比較可能な機能部の参照番号は、2つの実施形態にわたって一貫性を保っている。
【0135】
図17は、さらなる実施形態による送達デバイス40の斜視図を示している。送達デバイス40は、可撓性送達管42に動作可能に接続されたハンドル46を備える。送達管42は、圧縮状態でエキスパンダー10を少なくとも部分的に受容し、患者の前立腺部尿道30内にエキスパンダー10を位置決めおよび展開するように構成されている。送達管42は、格納位置、部分的展開位置、および完全展開位置との間で移動可能な外側スリーブ48によって取り囲まれた内側管50を備えるという点で、前の実施形態と同様である。しかしながら、
図17に示す送達デバイスは、内側管50を取り囲み、かつ次いで外側スリーブ48によって取り囲まれる中間ステアリング管をさらに備える。ステアリング管は
図17に示していないが、以下でさらに詳細に記載する。
【0136】
図17に示される送達管42の柔軟性は、送達管42が患者の尿道の経路に一致するように曲がり屈曲することができ、それによって患者が経験する不快感を低減することができるため有益である。ステアリング管は、遠位先端領域44の位置および傾斜を制御およびステアリングすることを可能にし、これは、患者内の送達管42の挿入および位置決めを有益に支援する。さらに、ステアリング可能な送達管42は、送達管42の画像化デバイス90を移動させて、臨床医により広い視野を提供することを可能にする。
【0137】
図18は、送達管42の遠位端領域44の斜視図である。明確にするために、外側スリーブ48の遠位端領域44は、
図18において透明として示されている。外側スリーブ48の遠位端部分は、エキスパンダー10によって加えられる外向きの半径方向の力に対応し、エキスパンダー10をシステム内の格納位置に保つことができるように、好適には硬いプラスチック材料のものである。逆に、外側スリーブ48の近位部分は、可撓性プラスチック材料の好適性のあるものであり、例えば、編組シースからなるか、または編組シースを備えてもよい。内側管50の少なくとも近位部分もまた、可撓性プラスチックのものであり、編組シースからなるか、または編組シースを備えてもよい。
【0138】
図18は、内側管50を取り囲み、外側スリーブ48によって取り囲まれたステアリング管170を示している。ステアリング管170は、編組された遠位端172を備えた細長い可撓性プラスチック管である。ステアリング管170は、臨床医がハンドル46を介して、遠位先端領域44、したがってエキスパンダー10の位置および傾斜を変化させるように動作可能である。さらに、この実施形態では、保持機能部52は、編組遠位端172に固定され、そこから遠位に延びる。保持機能部52は、エキスパンダー10と係合し、ステアリング管170に対するエキスパンダー10の長手方向または円周方向の移動を防ぐように構成されている。
【0139】
ステアリング管170の遠位端は、明確にするために内側管50および外側スリーブ48が取り外された状態で
図19に概略的に示されている。ステアリング管170は、編組部分172の遠位端178にステアリングリング174を備える。2つのステアリングワイヤ176は、ステアリングリング174の対向する側に接続され、ステアリング管170の長さに沿ってハンドル46まで近位に延びる。ステアリングワイヤ176は、ハンドル46に動作可能に連結され、それにより臨床医は、ステアリングワイヤ176の張力を変化させてもよい。これにより、ステアリングリング174、したがってエキスパンダー10の位置および傾斜が、ハンドル46を動作させる臨床医によって制御されるようにする。
【0140】
外側スリーブ48の近位部分の柔軟性および内側管50の柔軟性は、ステアリングワイヤ176によって必要とされるたわみ力をねじったり、増加させたりすることなく、ステアリング管170のたわみ角に対応し、それを可能にすることができるようなものである。
【0141】
ステアリング管170は、エキスパンダー10を送達管42内に保持するための2つの保持配列52をさらに備える。保持配列52は、保持配列52がステアリング管170の端部から突出するように、編組部分172の遠位端178から遠位に延びる細長いタブである。保持配列52は各々、エキスパンダー10を保持するための保持スロット58を備え、送達管42が前立腺部尿道30に挿入されるときにエキスパンダー10が前立腺葉と位置合わせされるように配向されるように、ステアリング管170の周りに角度を付けて離間される。
【0142】
図19に示されるように、保持配列52は各々、近位突起56および遠位突起54を備え、それらの間に保持スロット58が画定される。保持スロット58は、エキスパンダー10の近位端16を少なくとも部分的に受容するように構成されており、それにより内側管50に対するエキスパンダー10の長手方向または円周方向の移動を阻害する。外側スリーブ48が、例えば格納構成または部分的展開構成において保持配列52を取り囲むときに、外側スリーブ48は、保持配列52を取り囲み、エキスパンダー10が半径方向に拡張する、したがって保持配列52が外れるのを防ぐ。
【0143】
内側管50は、
図18に示すような遠位位置と近位後退位置との間で、ステアリング管170に対して長手方向に移動可能である。後退位置にあるときに、内側管50の遠位先端72は、エキスパンダー10の近位端16と遠位端13との間に位置付けられる。内側管50を遠位位置と後退位置との間で移動させると、エキスパンダー10に対する画像化チップ92の長手方向位置を有益に変化させる。具体的には、内側管50が遠位位置にあるときに、画像化チップ92は、エキスパンダーが画像化チップ92の視野内にないように、エキスパンダー10の遠位端13の遠位に位置決めされる。逆に、内側管50が後退位置にあるとき、エキスパンダー10の遠位端は、画像化チップ92の視野内にある。これは、エキスパンダー10の遠位端13が、前立腺部尿道30内の解剖学的構造に対して画像化されることを有益に可能にする。
【0144】
図18に示されるように、内側管50は、内側管50の遠位先端72から近位方向に長手方向に延びる2つの溝95を備える。溝95は、保持配列52を少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。これは、溝95が保持配列52の厚さのいくらかを収容し、したがって送達管42の全体の直径を低減するため有利である。さらに、溝95は、遠位位置と後退位置との間のステアリング管170に対する内側管50の移動を可能にし、ガイドする。
【0145】
図20は、格納構成における送達管42の遠位端領域44の一実施形態の概略図である。格納構成にあるときに、内側管50は遠位位置にあり、外側スリーブ48はエキスパンダー10を取り囲む格納位置にある。内側管50の遠位先端72は、内側管50が遠位位置にあるときに、外側スリーブ48の遠位端に対して遠位に延びる。これは、画像化チップ92が、エキスパンダー10または外側スリーブ48によって覆い隠されていない解剖学的構造の画像をキャプチャすることを有益に可能にする。
【0146】
さらに、内側管50の遠位端部分は、内側管50が遠位位置にあるときにその長さに沿ってエキスパンダー10を支持するように硬いプラスチックのものである。送達管42が尿道に挿入され、そしてそれに沿って挿入されているときに、内側管50は、それによって、エキスパンダー10が内側にたわむのを防ぎ、そうでなければ、エキスパンダー10が保持配列52から時期尚早に外れる可能性がある。
【0147】
ここで、
図21に目を向けると、送達管42は、部分的展開構成でここに示されている。部分的展開構成では、内側管50および外側スリーブ48の両方が、エキスパンダー10に対して近位に移動しており、エキスパンダーの遠位端13は、脱シースされている。さらに、内側管50は、内側管50の遠位先端72がエキスパンダー10の近位端と遠位端との間の長手方向位置に位置付けられるように格納位置にある。
図21に示すように、送達管42が部分的展開構成にあるときに、外側スリーブ48の遠位端は、内側管50の遠位先端72に対して近位に位置し、保持配列52に対して遠位に位置付けられる。したがって、外側スリーブ48は、画像化チップ92の視野を覆い隠すことなく、保管構成でエキスパンダー10を保持する。
【0148】
図22は、完全展開構成における送達管42の遠位端領域44の概略図である。完全展開構成では、外側スリーブ48は、その遠位端が保持機能部52に対して近位に位置付けられる程度まで近位に移動される。これにより、エキスパンダー10が完全に覆われなくなり、エキスパンダー10が半径方向に拡張することが可能になり、それにより、保持配列52から外れる。
【0149】
ここで、
図23に目を向けると、これはハンドル46の斜視図を示している。ハンドル46は、3つのボタン230a、230b、230cを備え、これらは、
図20~22に概説されるように、格納構成、部分的展開構成および完全展開構成の間で送達管42を再構成するように臨床医によって動作可能である。ボタン230a、230b、230cにより、臨床医は、様々な構成間で送達管42を容易に調整することが可能である。ハンドル46は、ステアリングワイヤ176に接続されたレバー234をさらに備える。レバー234を動作させて、ワイヤの張力を変化させ、したがって、ステアリング管170の遠位端の位置および傾斜を制御してもよい。
【0150】
ハンドル46は、所望の構成で送達管42をロックすることができるレバーまたはボタンをさらに備えてもよい。これは、エキスパンダー10が患者の解剖学的構造に正しく位置決めされる前に、臨床医が不注意に送達管42を部分的展開構成または完全展開構成に再構成することを防ぐ。
【0151】
図23のハンドル46は、
図17にも示されている灌注管232をさらに備える。
【0152】
図24は、ステアリング管170の代替的な実施形態を示している。
図24では、保持機能部52は、例えば、ステアリングリング174に接続され、ステアリングリング174から遠位に延びるように、ステアリング管170の遠位端178から延びる。各保持機能部52は、遠位突起54を備える。この例では、保持スロット58は、遠位突起54とステアリング管170の編組部分172の遠位端178との間に画定されている。エキスパンダー10は、これまでのように、保持スロット58内に少なくとも部分的に受け入れられてもよい。
【0153】
図25は、ステアリング管170のさらなる実施形態を示している。
図25では、保持機能部52は、
図24に関連して上記に記載のように、ステアリング管170の遠位端から延びる。しかしながら、この場合に、保持機能部52は、保持リング250に取り付けられ、保持リング250から延びる。保持機能部52および保持リング250は、ステアリング管170のステアリングリング174に連結され得る別個のサブアセンブリを形成することができる。
【0154】
ここで、
図26に目を向けると、拡張可能なインプラント10を前立腺部尿道30内に展開する方法を概説するフローチャートが示されている。第1のステップ251では、送達デバイス40の送達管42は、陰茎を介して患者の尿道に挿入される。送達管42は、外側スリーブ48がエキスパンダー10を取り囲み、それによってエキスパンダー10を保管構成に保持する格納構成に挿入される。臨床医は、ハンドル46を動作させて、ステアリングリング174を制御し、送達管42の遠位先端領域44の角度を調整して、送達管42の尿道への挿入および尿道に沿った挿入を補助してもよい。
【0155】
送達管42の遠位端を、膀胱頸部32に到達するまで尿道に沿って前進させる。ステップ252において、送達管42は、格納構成から部分的展開構成に再構成される。部分的展開構成では、内側管50を、内側管50の遠位端にある画像化チップ92がエキスパンダー10の遠位端13を視認し得るように後退させる。さらに、外側スリーブ48をまた、エキスパンダー10の遠位端13が脱シースされているが、エキスパンダー10の近位端16はシースされたままであり、保持層52上に保持されるように後退させる。
【0156】
ステップ253では、臨床医は、膀胱頸部32から移動した軸方向距離を示す送達管42上の目盛り線の補助を借りて、膀胱頸部32から近位方向に送達管42の遠位端領域44を移動させることによって、前立腺部尿道30における標的部位にエキスパンダー10を位置決めする。それにより、膀胱頸部32は、エキスパンダー10を前立腺部尿道30内に長手方向に位置決めするための基準として使用されてもよい。遠位端領域44、したがってエキスパンダー10が正しい長手方向位置にあると確信したときに、臨床医は次いで、送達デバイス40を回転させて、エキスパンダー10を標的部位で配向させる。エキスパンダー10は、画像化デバイス90によってキャプチャされた画像において見えるエキスパンダー10の遠位頂点15が、前立腺部尿道30の周りの前立腺葉と位置合わせされるように配向される。
【0157】
これまでのように、エキスパンダー10が正しい配向にあるとき、臨床医は、送達管42をさらに遠位方向に移動させて、精丘25が見えるようにしてもよい。それにより、エキスパンダー10を、膀胱頸部32と膀胱頸部25との間の臨床的に許容可能な位置に置くことができ、頂点は、外側葉を円周方向に標的とする。
【0158】
ステップ254では、臨床医がエキスパンダー10の位置に確信したときに、エキスパンダー10が前立腺部尿道30内に展開されるように、外側スリーブ48を完全展開位置に後退させる。最後に、ステップ255では、送達管42が尿道から除去される。送達管42は、完全展開構成において引き抜かれてもよく、好ましくは、臨床医が、送達管42を部分的展開構成または格納構成に再構成する。すべての構成ではあるが、最も効果的には格納構成において、臨床医は、画像化チップ92を使用して、展開されたエキスパンダー10を視認し、エキスパンダー10が前立腺部尿道30内に正しく展開されたことを確認してもよい。
【0159】
本出願の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更および修正を行うことができることが理解されよう。例えば、エキスパンダー10が直接的または間接的に固定されている中間管170は、必ずしもステアリング機能を有する必要はない。
【0160】
最後に、
図27~31に目を向けると、これらの図面は、本発明の実際の実施形態のさらなる詳細を示している。
【0161】
図27は、本発明の送達システムの一部を形成する送達シースの3つの細長い要素を示している。送達システムのこれらの3つの細長い要素は、同心円状に位置合わせされたシースである。すなわち、画像化ヘッドを例示する硬いカメラ先端202を備えた最も内側の画像化シース200、画像化シース200を取り囲む内側または中間のステアリングシース204、および画像化シース200およびステアリングシース204を取り囲む外側シース206である。この例では、シース200、204、206のすべてが管状であるが、原則として、画像化シース200は、例えば押し出しプロファイルのそれぞれの平行チャネルにおいて、埋め込まれたカメラ先端202のための任意の配線、ケーブルまたはダクトを備えた中実であるが可撓性のロッドであり得る。いずれにせよ、そのようなワイヤまたはケーブルは、互いから、また画像化シース200に沿って搬送される灌注液体の任意の流れから隔離されなければならない。
【0162】
シース200、204、206は、送達シースアセンブリの全体の直径が有利に小さいことを保証するために可能な限り薄くなければならず、例えば、記載の出願においては、外径が16フレンチ(5.33mm)未満である。非限定的な例示的な例として、外側シース206は、約0.175mmの壁厚を有してもよく、一方、ステアリングシース204の主な近位セクションは、約0.71mmの壁厚を有してもよく、エキスパンダー10およびクリアランスのために約0.61mmを許容する。エキスパンダー10の下の画像化シース200の壁厚は、例えば、約0.195mmであってもよい。
【0163】
シース200、204、206は、男性の尿道の解剖学的構造の湾曲に対応し、前立腺部尿道にアクセスするために、例えば、40~90度のたわみ角を可能にするのに十分に可撓性である。特に、シース200、204、206は、それらが陰茎尿道口の挿入点から膀胱頸部まで男性の尿道に沿って延びるときに、それらの長さに沿って屈曲することができなければならない。したがって、シース200、204、206は各々、送達シースの近位端にあるハンドル(図示せず)によって制御されるステアリング機構によって駆動されるたわみを提供するための可撓性ステアリングセクションを有する。シース200、204、206はまた、各々、例えば陰茎管の湾曲を追跡するために、解剖学的構造によって課されるたわみを提供するための可撓性近位セクションを有する。例えば、シース200、204、206のうちの1つ以上は、解剖学的構造の湾曲および画像化チップのたわみに対応する柔軟性のために編組されてもよいが、構造はまた、エキスパンダー10の挿入、ステアリング、ナビゲーション、脱シース、および必要に応じてエキスパンダー10の再シースの力に抵抗するために軸方向および円周方向に十分に堅くなければならない。以下に記載のように、シース200、204、206のいずれかまたはすべては、これらの目的のために調整された剛性および屈曲特性を有してもよい。
【0164】
シース200、204、206のねじり剛性は、長手方向軸の周りのエキスパンダー10の角度位置合わせ可能にするのに十分でなければならない。この点で、エキスパンダー10の円周方向または角度方向の位置決めは、ハンドルの全体的な回転によって制御される。それにより、ハンドルは、取り付けられたシース200、204、206にトルクを加えるが、シース200、204、206は、ハンドルに対する円周方向の角運動に対して固定され、したがって、ハンドルから独立して回転することができないことに留意する。
【0165】
各シース200、204、206は、その近位端でハブ208を有するが、ここでは、画像化シース200およびステアリングシース204上のもののみが示されており、これらは、シースをハンドルの特定の軸方向位置に差し込むことを可能にする。ハブ208は、システム内でそれぞれのシース200、204、206を、ハンドルを動作させる臨床医によって制御されるように、固定された移動経路に沿って軸方向以外の任意の方向にそれらが移動するのを防ぐような方法でロックする。
【0166】
シースの最も単純で最も基本的な形式は、特定のデュロメータ値を有するポリマー材料を含む単一の押し出しである。しかしながら、壁厚が必然的に薄い単一材料の押し出しは、ステアリング機構によってたわむとき、軸方向の圧縮下、または他の曲げ荷重の下でねじれたり座屈したりする可能性があるため、技術的な課題を呈することがある。このため、シース200、204、206のいずれかまたはすべては、個々のシース、および前立腺部尿道にアクセスし、解剖学的構造をナビゲートし、エキスパンダー10をステアリングおよびサポートするために必要な設計特性を備えた積み重ねられたシースアセンブリを提供するために、それらの長さに沿った異なる材料特性から利益を得てもよい。
【0167】
シース200、204、206の長さに沿って調整される特性化特性の例は、可撓性、ねじれ抵抗、追跡可能性、長手方向軸に平行な軸力を加える能力、すなわち「押し出し性」、および長手方向軸の周りにトルクを加える能力、すなわち「トルク性」を含んでもよい。調整は、例えば、以下のオプションによって達成されてもよい。
剛性またはデュロメータの特性が異なる2つの材料が、リフローまたはジョイントによって結合されるハイブリッド押し出し。
完全に編組されたシースであって、これは、必要な剛性特性に合わせて調整された特定のピッチ設計または編組角度を備えたカスタム多層編組シースである。編組はその長さに沿って均一であってもよい。
ハイブリッド編組シースであって、これは、必要な剛性特性に合わせて調整された特定のピッチ設計または編組角度を備えたカスタム多層編組シースでもある。しかしながら、この場合に、編組は、例えば、シースが多かれ少なかれ可撓性である必要がある異なる長手方向の位置で、より緊密で緩い編組、またはより密度が高くより密度が低い編組を用いて、その長さに沿って変化する。中心長手方向軸に対する編組の角度も、シースの長さに沿って柔軟性を調整するために変化され得る。
硬いチップ成形セクションは、編組シース上にリフローまたはオーバーモールドすることができる。
【0168】
図28は、積み重ねアセンブリとして
図27の送達シースの遠位端部分210の構成要素を示す一連の図であり、内側から外側へと順番に半径方向外向きに機能する。
【0169】
図28(a)は、硬いカメラ先端202を備えた編組画像化シース200を示している。カメラ先端202は、画像化シース202に沿って延び、かつ遠位先端で終端する灌注チャネルまたはダクトに加えて、
図13に示すような画像感知および照明機能部を有する。灌注ダクトは、ハンドル上のルアーコネクタに流体的に接続されてもよく、それにより液体は、近位端から画像化シース200を下って移動することができる。
【0170】
図28(b)は、画像化シース200上にあり、画像化シース200を取り囲み、遠位端部分210の近位端で終端し、したがって、遠位端から離間されて、露出した画像化シース200の遠位突出部分を残すステアリングシース204を示している。
【0171】
図28(c)は、ステアリングシース204の遠位端に追加されたプルリング212を示し、
図28(d)は、プルリング212の周りのステアリングシース204の遠位端に追加されたインプラントホルダー214を示している。プルリング212およびインプラントホルダー214は、画像化シース200とステアリングシース204との間の界面にあり、ステアリングシース204に対する画像化シース200の長手方向の移動を可能にする。特に、画像化シース200は、ステアリングシース204、プルリング212、およびインプラントホルダー214内で、それらに対して長手方向にスライドする。
【0172】
プルリング212およびインプラントホルダー214は、
図30を参照してより詳細に記載される。今のところ、インプラントホルダー214の近位端部分は、ステアリングシース204の直径に対して半径方向に特大であり、したがって、ステアリングシース204に対して盛り上がっている円筒形のベアリング面216を画定していることに留意されたい。インプラントホルダー214は、その遠位端部分がその近位端部分よりも狭く、保持配列52として機能する一対のラグが、前述のように放射状に突出する遠位支持面218を画定するように、長手方向に階段状のプロファイルを有することにも留意する。
【0173】
図28(e)は、ステアリングシース204から遠位に突出する画像化シース200の露出部分を取り囲むように追加されたエキスパンダー10の形態のインプラントを示している。エキスパンダー10のワイヤの太さは、ベアリング面216と支持面218との間のインプラントホルダー214の直径の段階的変化よりも小さい。エキスパンダー10は、インプラントホルダー214の支持面218によって支持される近位端から、カメラ先端202によって支持される遠位端まで延びる。エキスパンダー10は、保持配列52によって、ステアリングシース204に対して軸方向および円周方向の移動に対して保持される。
【0174】
ここで、
図28(f)は、前述のすべての構成要素を取り囲むように追加された外側シース206を示している。外側シース206を、ここでは、ステアリングシース204およびエキスパンダー10に対してエキスパンダー10を保持および包み込む格納位置に遠位に前進させる。薄壁であるにもかかわらず、外側シース206は、過度に変形することなく、圧着されたエキスパンダー10を拘束しなければならない。したがって、任意選択で、外側シース206は、外側シース206の長さの大部分を形成する比較的可撓性のある近位セクションに隣接して、圧着されたエキスパンダー10を拘束するために、その遠位先端で比較的硬いセクションを有することができる。
【0175】
ステアリングシース204に対する外側シース206の長手方向のスライド移動は、インプラントホルダー214のベアリング面216上をスライドすることによってガイドされ、促進されることが明らかであろう。これにより、スライド接触の領域、したがって摩擦が最小限に抑えられ、シース200、204、206間の同心性が維持される。
【0176】
この例では、カメラ先端202の遠位端は、その画像キャプチャおよび照明構成要素、例えば、CMOSチップおよび灌注ダクトに隣接するLEDを備えて、外側シース206の遠位端から遠位に突出している。これにより、エキスパンダー10を展開する前に、送達シースが解剖学的構造をナビゲートするときに可能な限り最良の視野が保証される。しかしながら、他の例では、カメラ先端202の遠位端は、外側シース206の遠位端と実質的に同じ高さであるか、または近位にわずかに凹んでさえあり得る。
【0177】
図29の様々な図は、送達シースの遠位端部分210を示し、送達シースの長手方向軸に平行な、硬いカメラ先端202の長さにおける変形を示している。
【0178】
図29(a)および29(b)は、それぞれ、格納構成および部分的展開構成における、
図28の図にも示されているように、短いカメラ先端202を示している。これに対応して、カメラ先端202は、それぞれ
図29(a)および29(b)において前進位置および後退位置で示されている。この例では、カメラ先端202の長さは、エキスパンダー10の全長の約4分の1である。より可撓性のある画像化シース200の対応する長い部分は、ステアリングシース204の遠位端を越えて露出され、エキスパンダー10の下にある。
【0179】
図29(b)は、部分的展開構成において、外側シース206およびカメラ先端202を含む画像化シース200が、ステアリングシース204に対して、したがってエキスパンダー10に対しても近位に引き戻される方法を示している。したがって、有益なことに、後退位置にあるときのカメラ先端202の画像キャプチャデバイスは、エキスパンダー10内の視点から、隣接する解剖学的構造の背景に対してエキスパンダー10を視覚化することができる。
【0180】
図29(c)および29(d)は、
図29(a)および29(b)に示されるものよりも長いカメラ先端202を示し、両方の図は、エキスパンダー10が外側スリーブ206によって完全に覆われる格納構成における遠位端部分210のものである。
図29(c)では、カメラ先端202の長さは、エキスパンダー10の全長の約半分である。画像化シース200の対応するより短い部分は、ステアリングシース204の遠位端を越えて露出している。
図29(d)では、カメラ先端202は、実質的にエキスパンダー10の全長にわたって延びる。その場合、画像化シース200のいずれも、ステアリングシース204の遠位端を超えて露出される。
【0181】
したがって、より可撓性のある画像化シース200に対してカメラ先端202の長さを変化させることによって、エキスパンダー10の下にある支持体は、その長さに沿って異なる剛性を有するように調整され得る。これは、例えば、たわんだステアリングシース204を通る画像化シース200の移動を収容するのに役立つ可能性があり、画像化シース200は、それを取り囲むステアリングシース204のたわんだセクション内で移動しなければならず、したがって、収容するのに十分な柔軟性がなければならないことに留意する。逆に、再シースの間、カメラ先端202の遠位端は、送達シースの遠位先端に戻るために、エキスパンダー10の遠位頂点を通ってその開始位置に押し戻されなければならない。カメラ先端202は、カメラ先端202を支持する構造のたわみまたは座屈なしにこの遠位移動を受けるのに十分にしっかりと支持されなければならない。
【0182】
潜在的に、画像化シース200の剛性は、その長さに沿って変化するように調整することができ、例えば、密度、ピッチ、角度、および/または厚さが変化する編組要素を備える調整された編組により、エキスパンダー10に対する安定した支持を提供するが、たわんだステアリングシース204の周りを容易にナビゲートするようにする。
【0183】
図30の様々な図は、プルリング212およびインプラントホルダー214のアセンブリをより詳細に示している。
図30(a)および30(b)に最もよく見られるように、円周方向ステップ220は、インプラントホルダー214のベアリング面216と支持面218との間の前述の外径の変化に影響を与える。
図30(a)は、保持配列52の高さまたは半径方向の突出が、ステップ220の高さと同じであるか、またはそれよりわずかに低いことを示している。
【0184】
各保持配列52は、ステップ220から遠位に離間されて、支持面218に対して外側スリーブ206(図示せず)によって保持されるエキスパンダー10のそれぞれの近位頂点を収容することができるギャップまたはスロット222を画定する。したがって、ステップ220は、各保持配列52と協調する近位保持配列として機能する。
【0185】
内部的には、
図30(c)および30(d)の長手方向断面図に最もよく見られるように、インプラントホルダー214は、狭い遠位部分226からより広い近位部分228までのその長手方向管腔の直径のステップ変化に影響を与える円周方向ショルダー224を有する。遠位部分226の内径は、画像化シース200(図示せず)の外径との滑りばめである。
【0186】
インプラントホルダー214の近位部分228は、締まりばめとしてプルリング212を収容する。プルリング212はまた、あるいは、リフローまたはオーバーモールディングなどのポリマーに好適な結合プロセスによって、インプラントホルダー214内に固定され得る。接着剤と硬化剤も使用することができる。プルリング212の遠位端は、近位に面するショルダー224に隣接している。プルリング212の近位端は、インプラントホルダー214の近位端に対して遠位にある。
図30(d)は、ステアリングシース204の狭くなった遠位端部分が受容され、プルリング212内に固定されていることを示している。ステアリングシース204の内径は、インプラントホルダー214の遠位部分226の内径と実質的に一致し、したがって、画像化シース200の外径との滑りばめでもある。
【0187】
図30(c)および
図30(a)にも示すように、プルリング212は、結合プロセス通してステアリングリングをインプラントホルダーに結合することを促進するために、角度的に離間された穴230の円周方向配アレイ、およびステアリングワイヤ(図示せず)を固定するためにプルリング212(そのうちの1つのみが示されている)の直径方向反対側に位置決めされた2つの長手方向スロット246(そのうちの1つのみが示されている)を有する。
【0188】
したがって、この例は、エキスパンダー10を保持するだけでなく、エキスパンダー10、したがってエキスパンダー10を支持するシース、この例ではカメラ先端202を備えた最も内側の画像化シース200をステアリングすることもできるインプラント保持およびステアリング機能部を有する。この点で、エキスパンダー10の後ろから、すなわちエキスパンダー10に対して近位の位置でステアリングして、エキスパンダー10を解剖学的構造を通して展開位置に前方にガイドするようにすることが有利である。
【0189】
したがって、エキスパンダー10から近位に連続して、プルリング212およびインプラントホルダー214が取り付けられたステアリングシース204は、エキスパンダー10を保持および配向する保持機能部と、可撓性のあるステアリングセクションに作用するステアリング機構と、陰茎管を追跡するための可撓性のある近位セクションと、を提供する。画像化シース200および外側シース206と併せて、ステアリングシース204の構造は、エキスパンダー10を脱シースおよび再シースするために、およびエキスパンダーのたわみを可能にするために十分な引張または軸方向強度を提供しなければならない。ステアリングシース204の構造はまた、エキスパンダー10を角度方向に配向するために十分なねじり強度を提供しなければならない。
【0190】
示されている例では、インプラント保持機能部は、ステアリング用のプルリングを収容する成形構成要素であり、別個の構成要素である。しかしながら、別の実施形態では、インプラント保持機能部とプルリングまたは他のステアリング配列を、代わりに1つの構成要素に統合することができる。
【0191】
最後に、
図31は、いくつかの実施形態において、インターロック機構がシース200、204、206の相対的な軸方向の移動をどのように制御できるかを概略的に示している。この例では、その相対的な移動は、例えば、スロット236がピン248に対して移動するときに、スロット236によってこの例で画定された経路に沿って移動できるピン248などの制御要素によって許可および制御される。スロット236は、例えば、ハンドル46の遠位グリップ43によって画定され得、これに対して、画像化スリーブ200および外側スリーブ206が固定されてもよいが、遠位グリップ43は、例えば、ステアリングスリーブ204およびステアリングスリーブ204に固定されたピン248に対して移動してもよい。
【0192】
スロット236は、ピン248と相互作用するように形作られ、ピン248の長手方向の移動を防ぐ戻り止め位置と、ピン248の長手方向の移動が制限される制限された戻り止め範囲とを画定する。戻り止め位置からの、またはこれらの範囲の間およびそれを超えるピン248の移動は、例えば、ハンドル46のトグルを関節運動させることによって、長手方向軸の周りのピン248とスロット236との間の意図的な相対角移動によってのみ可能になる。より一般的には、画像化および外側シース200、206は、ハンドル46の構成要素の関節運動によってのみ移動することができ、これにより、これらのシース200、206は、それぞれ、ステアリングシース204内およびステアリングシース204上で、すべて同心関係で、事前に計算された距離を移動することが可能となる。
【0193】
この例では、戻り止め位置は、スロット236の一端にある横方向にオフセットされたノッチ238によって画定される。戻り止め範囲は、スロット236の第2のセクション242と直列になっているスロット236の第1のセクション240によって画定される。第2のセクション242は、スロット236内の横方向に延びるねじれまたはシケイン244によって第1のセクション240から横方向にオフセットされている。
【0194】
図31(a)に示される開始位置では、ピン248は、スロット236に沿ったピン248の長手方向の移動を防止するノッチ238において受容される。これは、遠位グリップ43がハンドル46の近位グリップ45に向かって移動するのを防ぎ、したがって、エキスパンダー10を不注意な展開から固定するその遠位に前進した格納位置に外側スリーブ206をロックする。
【0195】
図31(b)に示されるように、ピン248をノッチ238から横方向に移動させることにより、ピン248がスロット236の第1のセクション240に入り、それに沿って移動することが可能になり、第1の移動段階において遠位グリップ43を近位グリップ45に向かって引っ張ることが可能となる。ピン248は、
図31(c)に示すように、シケイン244によって制限される程度まで、第1のセクション240に沿って長手方向に移動することができる。そうすることで、外側シース206および画像化シース200は、ハンドル46に向かって一定の軸方向距離だけ近位に移動し、部分的展開位置に入る。
【0196】
外側シース206および画像化シース200は、近位に一緒に移動し、ハンドル46に対する長手方向の移動に対して固定されたままであるステアリングシース204に対して同じ長手方向の距離を移動する。上記に記載のように、この移動は、エキスパンダー10を少なくとも部分的に覆い隠し、解剖学的構造も視野に入れて、エキスパンダー10を内側から外側に画像化することを可能にする。
【0197】
図31(d)に示されるように、ピン248をシケイン244を通して横方向に移動させると、ピン248がスロット236の第1のセクション240から解放され、ピン248がスロット240の第2のセクション242に入ることを可能にする。ピン248は、第2のセクション242に沿って移動することができ、第2の移動段階において、遠位グリップ43を近位グリップ45に向かってさらに引っ張ることが可能である。
図31(e)に示すように、第2のセクション242に沿ったピン248の長手方向の移動は、ピン248が第2のセクション242の反対側の端部に遭遇するまで続く。この段階によって、外側シース206は、さらに固定距離だけ近位に移動されて、エキスパンダー10が完全に覆われず、システムから解放され、したがって展開される完全展開位置に移動した。
【0198】
有利には、ピン248がノッチ238に入る、もしくはノッチ238を出てスロット236の第1のセクション240に入る、またはスロット236の第1のセクション240と第2のセクション242との間のシケイン244を横切っていずれかの方向に移動する前に、ピン248の横方向の移動に対する抵抗を克服しなければならない。これは、不注意な移動を防ぐのに役立ち、スロット236の様々な部分に対するピン248の位置を確認するために臨床医にタッチフィードバックを提供する。
【0199】
別の実施形態では、インターロック機構は、回転運動を使用して、シースの線形運動を駆動または往復運動させてもよい。
【国際調査報告】