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特表2023-502731ミニビーム放射線療法のためのデバイス、装置、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ミニビーム放射線療法のためのデバイス、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
A61N5/10 H
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529793
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2020082766
(87)【国際公開番号】W WO2021099511
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】19306515.8
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500026533
【氏名又は名称】アンスティテュ・キュリ
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT CURIE
(71)【出願人】
【識別番号】500379381
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシャルシュ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】Centre National de la Recherche Scientifique
【住所又は居所原語表記】3 rue Michel Ange, FR-75016 Paris, France
(71)【出願人】
【識別番号】520179305
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ パリ-サクレー
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS-SACLAY
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, ティム
(72)【発明者】
【氏名】プレザド, ヨランダ
(72)【発明者】
【氏名】パトリアルカ, アナリサ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC05
4C082AE01
4C082AG13
(57)【要約】
第1の方向にしたがって、第1の四極子を通じて、前記入射ビームを集束させること、前記第1の方向に直交する第2の方向にしたがって、第2の四極子を通じて、前記入射ビームを集束させること、第3の方向にしたがって、第3の磁石を通じて、前記入射ビームを偏向させること、前記第3の方向とは異なる第4の方向にしたがって、第4の磁石を通じて、前記入射ビームを偏向させること、前記集束させたビームが、前記第1の四極子の焦点と、前記第2の四極子の焦点との間に延びるボリュームに沿ってミニビームの基準を満たすために、前記第1の四極子の焦点距離が、60cm以上及び/又は250cm以下となり、及び/又は、それぞれ前記第2の四極子の焦点距離が、50cm以上及び/又は200cm以下となるように、前記第1の四極子によって、及び/又は、前記第2の四極子によってそれぞれ生成される磁場勾配を調整すること、からなる各ステップを備えるミニビームを生成する方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミニビームを生成する方法であって、前記ミニビームは、
・10MeV以上及び/又は1000MeV以下のエネルギーと、
・15ミリラジアン未満の発散と、及び/又は、
・0.8以上及び/又は1以下である、入射ビームのサイズと、前記入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値とを示す、荷電粒子の前記入射ビームから生成され、
前記方法は、
- 第1の方向にしたがって、第1の四極子を通じて、前記入射ビームを集束させることと、
- 前記第1の方向に直交する第2の方向にしたがって、第2の四極子を通じて、前記入射ビームを集束させることと、
- 第3の方向にしたがって、第3の磁石を通じて、前記入射ビームを偏向させることと、
- 前記第3の方向とは異なる第4の方向にしたがって、第4の磁石を通じて、前記入射ビームを偏向させることと、
- 前記集束させたビームが、前記第1の四極子の焦点と、前記第2の四極子の焦点との間に延びるボリュームに沿ってミニビームの基準を満たすために、前記第1の四極子の焦点距離が、60cm以上及び/又は250cm以下となり、及び/又は、それぞれ前記第2の四極子の焦点距離が、50cm以上及び/又は200cm以下となるように、前記第1の四極子によって、及び/又は、前記第2の四極子によってそれぞれ生成される磁場勾配を調整することと、からなる各ステップを備える、方法。
【請求項2】
前記ビーム、前記第1及び第2の四極子、並びに前記第3及び第4の磁石を真空環境内に配置することからなるステップを備え、前記真空環境は、50cmより長く、200cmより短い距離にわたって延びる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記真空環境の端部から、前記第2の四極子の前記焦点までの距離は、数cmより長く、及び/又は50cm以下である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記入射ビームのFWHMは、50mm未満である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の四極子の焦点において集束された前記ビームが、ミニビームの基準を満たすために必要とされる、前記第1及び第2の四極子によって生成される磁場勾配の値は、0T.cm-1以上及び/又は1.6T.cm-1以下である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の四極子を前記第2の四極子から分離する距離は、15cm未満、好ましくは6cm未満、より好ましくは3cm以下である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
荷電粒子の前記入射ビームは、医療施設のビームラインから出る、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記荷電粒子は、イオンである、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第3及び第4の磁石の動作周波数は、1Hz以上、及び/又は、200Hz以下である、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
本発明によるミニビームは、前記ミニビームの2mm以下の水平半値全幅(hFWHM)と、hFWHM以下の垂直FWHM(vFWHM)とを示す、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
荷電粒子ミニビーム放射線療法のためのミニビーム走査ノズル(MSN)であって、前記ミニビーム走査ノズル内の前記荷電粒子のビーム経路に沿って、
・第1の方向にしたがって、前記入射ビームを集束させるように配置された第1の四極子と、
・前記第1の方向に直交する第2の方向にしたがって、入射ビームの集束させるように配置された第2の四極子と、
・第3の方向にしたがって、前記入射ビームを偏向させるように配置された第3の磁石と、
・前記第3の方向とは異なる第4の方向にしたがって、前記入射ビームを偏向させるように配置された第4の磁石とを備え、
前記第1の四極子、及び/又は、それぞれ前記第2の四極子は、前記集束させたビームが、前記第1の四極子の焦点と、前記第2の四極子の焦点との間に延びるボリュームに沿ってミニビームの基準を満たすために、前記第1の四極子の焦点距離が、60cm以上及び/又は250cm以下になるように、及び/又は、それぞれ前記第2の四極子の焦点距離が、50cm以上及び/又は200cm以下になるように調整された磁場勾配を生成するように配置される、ミニビーム走査ノズル(MSN)。
【請求項12】
真空チャンバを備え、前記第1及び第2の四極子並びに前記第3及び第4の磁石が配置される、請求項11に記載のミニビーム走査ノズル(MSN)。
【請求項13】
前記真空チャンバの出口面と前記第2の四極子の前記焦点との間の距離は、50cm未満である、請求項12に記載のミニビーム走査ノズル(MSN)。
【請求項14】
医療施設のビームラインを出る荷電粒子の入射ビームから前記ミニビームを生成するように配置され、荷電粒子の前記入射ビームの経路において前記ビームラインの下流に配置されるように意図された、請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のミニビーム走査ノズル(MSN)。
【請求項15】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法を実行するように配置された、請求項11から請求項14のいずれか一項に記載のミニビーム走査ノズル(MSN)。
【請求項16】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法を実施するための請求項11から請求項15のいずれか一項に記載の前記ミニビーム走査ノズル(MSN)の使用。
【請求項17】
荷電粒子ミニビーム放射線療法のためのシステムであって、
- ビーム源であって、
・10MeV以上及び/又は1000MeV以下のエネルギーと、
・15ミリラジアン未満の発散と、及び/又は、
・0.8以上及び/又は1以下である、入射ビームのサイズと、前記入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値とを示す、荷電粒子の入射ビームを生成するように配置されたビーム源と、
- ミニビーム走査ノズル内の前記荷電粒子のビーム経路に沿って、
・第1の方向にしたがって、前記入射ビームを集束させるように配置された第1の四極子と、
・前記第1の方向に直交する第2の方向にしたがって、前記入射ビームを集束させるように配置された第2の四極子と、
・第3の方向にしたがって、前記入射ビームを偏向させるように配置された第3の磁石と、
・前記第3の方向とは異なる第4の方向にしたがって、前記入射ビームを偏向させるように配置された第4の磁石とを備えた、荷電粒子のミニビームを生成するように配置されたミニビーム走査ノズル(MSN)とを備え、
前記第1の四極子、及び/又は、それぞれ前記第2の四極子は、前記集束させたビームが、前記第1の四極子の焦点と、前記第2の四極子の焦点との間に延びるボリュームに沿ってミニビームの基準を満たすために、前記第1の四極子の焦点距離が、60cm以上及び/又は250cm以下になるように、及び/又は、それぞれ前記第2の四極子の焦点距離が、50cm以上及び/又は200cm以下になるように調整された磁場勾配を生成するように配置される、システム。
【請求項18】
前記ビーム源は、医療施設のベースラインを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記MSNは、請求項11から請求項15のいずれか一項に記載のMSNである、請求項17又は請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
資金調達
本発明で開示された結果につながるプロジェクトは、欧州連合のホライズン2020研究・イノベーションプログラム(付与契約番号817908)の下で、欧州研究会議(ERC)から資金提供を受けている。
【0002】
本発明は、荷電粒子ミニビーム放射線療法を提供するための方法、デバイス、及び装置に関する。本発明は、特に、走査ノズルと、陽子ミニビーム放射線療法(pMBRT)のための陽子ミニビームを生成する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
医療施設のビームラインの出力陽子ビーム、例えばペンシルビーム走査(PBS)ノズルの出力陽子ビームは、通常5mrad未満であり、ビームサイズが少なくとも4mmの半値全幅(FWHM)である、狭い発散を有することが当該技術分野で知られている。しかしながら、組織温存は、従来のPBSノズルでは得られない2mmのFWHM未満のビームサイズを必要とするpMBRT技法で大幅に改善できることが分かっている。最新技術で知られている臨床センターで実行されるpMBRT技法が、陽子ビーム源からターゲットに向かって陽子ビームを放出し、ターゲットから事前定義された距離にコリメーターを配置して、谷と呼ばれる低線量値の領域に隣接する、ピークと呼ばれる高線量値の領域の配列を生成することからなるのはそのためである。そのようなミニビームは、正常組織の線量耐性及び温存を大幅に向上させる。マルチスリットコリメーターと呼ばれるこれらのコリメーターは、スライスとスリットの配列で構成され、1つのスライスが2つのスリットの間に配置される。そのようなpMBRTデバイスは、陽子ビームを形成するように配置され、陽子ビーム源、ノズル、及びコリメーターからなる。現在のノズルはボリュームがあり、ビームの伝搬距離がかなり長いため、臨床センターでのミニビームの生成は、コリメーターを使用した場合にのみ可能である。
【0004】
コリメーターを使用することの1つの欠点は、コリメーターを通過するときの陽子ビーム流束の減少にある。pMBRT照射に必要な線量を照射するには、加速器出口での高いビーム電流が必要であり、これは、他の問題を引き起こすか、あるいは、より長い照射時間が必要になる。
【0005】
コリメーターを使用することの別の主な欠点は、陽子ビームがコリメーターによって散乱されるために、患者の近くで有害な二次作用又は有害な副作用が著しく発生することである。有害な二次作用は、治療後にコリメーターを操作している間、患者のすぐ近くと、セラピストの高さにおいて生成される。
【0006】
最後に、コリメーターを使用したpMBRTの谷の線量は増加する傾向にあるため、ピーク対谷の線量比(PVDR)が低くなり、健康な組織への温存効果が得られ、これは、コリメーターのさらに別の欠点となる。
【0007】
Grevillotらによって記載されているように、最新技術に達したアイソセンタでの最小スポットサイズは、FWHMで4mmである。ミニビームによって提供される温存効果は2mmのFWHMより小さいビームで発生するため、この制限は依然として欠点である。pMBRTの利点、並びにビームのサイズと温存効果との間の関係は、当該技術分野で知られており、例えば、ミニビームの温存効果を取り扱う、Meyerらの文献である英国放射線学会、91、20180466(2018年)に記載されている。
【0008】
ノズルからミニビームを生成する必要性が大いにある。したがって、アイソセンタでのビームのスポットサイズを2mm未満に低減することは、依然として大きな課題であり、最新の努力にも関わらず、現在のノズルは、今まで、ノズルからミニビームを提供できない。
【0009】
Grevillotらによる文献、Physics in Medicine&Biology、60、7985~8005(2015年)は、当該技術分野で知られている。それは、ノズルの出口と、治療されるターゲットであり得るアイソセンタとの間のエアギャップを低減することにより、患者のラテラルペナンブラ(lateral penumbra)を減少させることによって、陽子ビームの品質を高めることができることを教示する。エアギャップを減少させることは困難であることが当該技術分野で知られており、Grevillotらによって記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2004004771
【特許文献2】WO2004056875
【特許文献3】WO2006121168
【特許文献4】WO2008156712
【特許文献5】WO2009014708
【特許文献6】WO2009114335
【特許文献7】WO2013043569
【特許文献8】WO2014047350
【特許文献9】US6,984,720
【特許文献10】US8,017,114
【特許文献11】US7,109,003
【特許文献12】US8,143,379
【特許文献13】WO1997020574
【特許文献14】WO2007123737
【特許文献15】US8,491,895
【特許文献16】US20130177557
【特許文献17】US5,773,578
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Meyerら、英国放射線学会、91、20180466(2018年)
【非特許文献2】Grevillotら、Physics in Medicine&Biology、60、7985~8005(2015年)、
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、ミニビーム走査ノズルと、荷電粒子ミニビームを生成する方法とを提供することである。そのようなミニビーム走査ノズルは、
- 最新技術の欠点の少なくともいくつかに対処し、及び/又は、
- 電流帯電粒子放射線療法(RT)機器に取り付けるのに適しており、患者のすぐ近くで生成される有害な二次作用を生成しないように配置され、及び/又は、
- 電流荷電粒子RT機器に取り付けるのに適しており、患者の上流の陽子ビームの流束損失を減少するように配置され、及び/又は、
- 現在の荷電粒子RT機器に取り付けるのに適しており、PVDRを増加させるように配置され、及び/又は、
- 現在のノズルよりも寸法が小さく、及び/又は、
- 荷電粒子の入射ビームから荷電粒子ミニビームを提供し、及び/又は、
- コリメーターを使用する必要性を排除する。
【0013】
本発明によれば、ミニビーム(minibeam)を生成する方法が提供され、該方法は、
- 第1の方向にしたがって、第1の四極子(quadrupole)を通じて、前記入射ビームを集束させることと、
- 前記第1の方向に直交する第2の方向にしたがって、第2の四極子を通じて、前記入射ビームを集束させることと、
- 第3の方向にしたがって、第3の磁石を通じて、前記入射ビームを偏向させることと、
- 前記第3の方向とは異なる第4の方向にしたがって、第4の磁石を通じて、前記入射ビームを偏向させることと、
- 前記集束させたビーム(the focused beam)が、前記第1の四極子の焦点(focal point)と、前記第2の四極子の焦点との間に延びるボリューム(volume)に沿ってミニビームの基準を満たすために、前記第1の四極子の焦点距離(focal length)が、60cm以上及び/又は250cm以下となり、及び/又は、それぞれ前記第2の四極子の焦点距離が、50cm以上及び/又は240cm以下となるように、前記第1の四極子によって、及び/又は、前記第2の四極子によってそれぞれ生成される磁場勾配を調整することと、からなる各ステップを備える、方法である。
【0014】
好ましくは、第4の方向は第3の方向に直交する。
前記方法では、前記ミニビームは、
・10MeV以上及び/又は1000MeV以下のエネルギーと、
・15ミリラジアン未満の発散(divergence)と、及び/又は、
・0.8以上及び/又は1以下である、入射ビームのサイズと、前記入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値とを示す、荷電粒子の前記入射ビームから生成され得る。
【0015】
好ましくは、本発明による方法によって生成されたミニビームは、ミニビーム放射線療法に使用されることを意図される。
【0016】
本発明によれば、調整という用語は、設定として理解され得る。
【0017】
本発明によれば、磁場勾配は、入射ビームのパラメータ、例えば、エネルギー、及び/又は発散、及び/又はサイズ、及び/又は入射ビームのサイズと入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値に基づいて決定、設定、又は調整され得る。
【0018】
前記ミニビームは、
・10MeV以上及び/又は1000MeV以下のエネルギーと、
・1ミリラジアン未満の発散と、
・0.8以上及び/又は1以下である、入射ビームのサイズと、入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値とを示す、荷電粒子の入射ビームから生成され得る。
【0019】
前記ミニビームは、
・10MeV以上及び/又は1000MeV以下のエネルギーと、
・15ミリラジアン未満の発散と、
・0.95以上及び/又は1以下である、入射ビームのサイズと、入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値とを示す、荷電粒子の入射ビームから生成され得る。好ましくは、前記入射ビームの相関係数の絶対値は1に等しい。
【0020】
任意選択で、荷電粒子の入射ビームの粒子のエネルギーは、1000MeV/核子未満である。
【0021】
任意選択で、荷電粒子の入射ビームの粒子のエネルギーは、50MeVから250MeVの間、好ましくは100MeVから230MeVの間で構成される。
【0022】
入射ビームの発散が大きくなるほど、入射ビームのサイズと入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値が高くなり得る。入射ビームのサイズと、入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値が低くなるほど、入射ビームの発散は低くなり得る。
【0023】
前記入射ビームのサイズは、入射ビームの直径として定義され得る。入射ビームがガウスビームと見なされる場合、ビームのサイズは、垂直半値全幅(vFWHM)と水平FWHM(hFWHM)とで構成されるカップルによって定義され得る。
【0024】
第2の四極子、又は第1の四極子のそれぞれの焦点距離は、第2の四極子、又は第1の四極子のそれぞれと、第2の四極子、又は第1の四極子のそれぞれの焦点との間の距離として定義され得る。
【0025】
第1の四極子の焦点と第2の四極子の焦点との間の距離は、前記集束させたビームが、第1の四極子の焦点と第2の四極子の焦点との間に延びるボリュームに沿ってミニビームの基準を満たすために、50cm以下であり得る。
【0026】
好ましくは、第1の四極子の焦点距離及び/又は第2の四極子の焦点距離は、60cm以上、より好ましくは70cm以上、さらにより好ましくは80cm以上、そして好ましい方式では90cm以上である。
【0027】
好ましくは、第2の四極子の焦点距離は、180cm以下、より好ましくは160cm以下、さらにより好ましくは150cm以下、好ましい方式では140cm以下、より好ましい方式では130cm以下、特に好ましい方式では120cm以下である。
【0028】
好ましくは、第1の四極子の焦点距離は、220cm以下、より好ましくは200cm以下、さらにより好ましくは180cm以下、好ましい方式では160cm以下、より好ましい方式では140cm以下、特に好ましい方式では130cm以下である。
【0029】
第2の四極子によって生成される磁場勾配及び/又は第1の四極子によって生成される磁場勾配の調整は、前記集束させたビームのvFWHM及びhFWHMが、ミニビームの基準を満たすように、第2の四極子及び/又は第1の四極子によって生成される磁場勾配を制御することとして定義され得る。好ましくは、前記集束させたビームのvFWHM及びhFWHMは、第1の四極子の焦点と、第2の四極子の焦点との間に延びるボリューム内のミニビームの基準を満たす。
【0030】
前記入射ビームは、荷電粒子ミニビームとターゲットとの間の交点を移動させるように、第3及び第4の磁石を通して偏向され得る。
【0031】
第1及び第2の四極子並びに第3及び第4の磁石は、ノズルの一部であり得る。該ノズルは、走査ノズルであり得る。該ノズルは、本発明による走査ノズルであり得る。
【0032】
好ましくは、走査ノズルの出口の下流で、ビーム経路にしたがって、前記集束させたビームは集束され、偏向される。
【0033】
前記ターゲットは、好ましくはノズルに対して配置されることを意図され、及び/又は、ノズルは、好ましくはターゲットに対して配置されることを意図され、これによって、ターゲットは、第1の四極子の焦点と、第2の四極子の焦点との間に延びるボリューム内に位置され、前記集束させたビームは、ミニビームの基準を満たす。
【0034】
この方法は、ビーム、第1及び第2の四極子、並びに第3及び第4の磁石をボリューム内に配置することからなるステップを含み得、前記ビームは、真空環境に含まれ、該真空環境は、50cmより長く200cmより短い距離にわたって延びる。
【0035】
好ましくは、前記磁石は真空チャンバ内にはなく、前記ビームのみがある。真空チャンバ又はチューブは前記磁石を通過する。しかしながら、すべての構成要素は真空環境に存在するが、イオン化チャンバのみが空気で満たされた環境に存在し得るシステムを設計することが可能である。
【0036】
前記真空環境は、真空チャンバ内で生成され得る。該真空チャンバは、走査ノズルの真空チャンバであり得る。
【0037】
前記真空環境の端部から、第2の四極子の焦点までの距離は、数cmより長く、及び/又は50cm以下であり得る。
【0038】
好ましくは、前記真空環境の端部から第2の四極子の焦点までの距離は、10cm以上であり得る。
【0039】
好ましくは、前記真空環境の端部から第2の四極子の焦点までの距離は、40cm以下、より好ましくは30cm以下であり得る。
【0040】
前記真空環境の端部は、真空環境の縁、及び/又は真空チャンバの端部、及び/又は真空チャンバの縁であり得る。
【0041】
入射ビームのFWHMは50mm以下であり得る。
【0042】
第2の四極子の焦点で前記集束させたビームが、ミニビームの基準を満たすために必要とされる、第1及び第2の四極子によって生成される磁場勾配の値は、0T.cm-1以上及び/又は1.6T.cm-1以下であり得る。
【0043】
第1の四極子を第2の四極子から分離する距離は、15cm未満、好ましくは6cm未満、より好ましくは3cm以下であり得る。
【0044】
荷電粒子の入射ビームは、医療施設のビームラインから出る場合がある。言い換えれば、荷電粒子の入射ビームは、医療施設のビームラインの出力ビームであり得る。
【0045】
前記荷電粒子はイオンであり得る。好ましくは、該荷電粒子はプロトン又は炭素イオンである。
【0046】
前記第3及び第4の磁石の動作周波数は、1Hz以上、及び/又は、200Hz以下であり得る。
【0047】
本発明によれば、ミニビームは、所望される組織温存効果が生じるビームの最大サイズとして定義される。この最大ビームサイズは、照射されるターゲットの入口面で2mmに等しいビームの半値全幅(FWHM)値として定義される。類推により、この最大ビームサイズは、ビームガウス分布の2.355σに等しいと定義することもでき、ここで、σは標準偏差である。照射されるターゲットの入口面は、第1の四極子の焦点と、第2の四極子の焦点との間に延びるボリューム内に位置し得る。
【0048】
好ましくは、本発明によれば、前記ミニビームは、2mm以下のFWHMを示すビームとして定義される。
【0049】
本発明によるミニビームは、ミニビームの2mm以下の水平半値全幅(hFWHM)と、hFWHM以下の垂直FWHM(vFWHM)とを示し得る。言い換えれば、本発明によるミニビームは、2mm以下のFWHMを示し得る。
【0050】
好ましくは、本発明によれば、ミニビームは、第1の四極子の焦点と、第2の四極子の焦点との間に延びるボリュームにおいて、1mm以下、より好ましくは0.9mm以下、好ましい方式では0.8mm以下、より好ましい方式では0.7mm以下であるFWHMを示す。
【0051】
この方法は、ビーム経路にしたがって、第1及び第2の四極子並びに第3及び第4の磁石の下流の前記集束させたビームの強度及び/又は空間位置を測定することからなるステップを含み得る。好ましくは、この方法は、第4の磁石と、第1の四極子の焦点との間に位置する位置において、前記集束させたビームの強度及び/又は空間位置を測定することからなるステップを含み得る。
【0052】
本発明によれば、荷電粒子ミニビーム放射線療法のためのミニビーム走査ノズル(MSN)も提供される。該MSNは、前記ミニビーム走査ノズル内の前記荷電粒子のビーム経路に沿って、
・第1の方向にしたがって、前記入射ビームを集束させるように配置された第1の四極子と、
・前記第1の方向に直交する第2の方向にしたがって、入射ビームの集束させるように配置された第2の四極子と、
・第3の方向にしたがって、前記入射ビームを偏向させるように配置された第3の磁石と、
・前記第3の方向とは異なる第4の方向にしたがって、前記入射ビームを偏向させるように配置された第4の磁石とを備え、
前記第1の四極子、及び/又は、それぞれ前記第2の四極子は、前記集束させたビームが、前記第1の四極子の焦点と、前記第2の四極子の焦点との間に延びるボリュームに沿ってミニビームの基準を満たすために、前記第1の四極子の焦点距離が、60cm以上及び/又は250cm以下になるように、及び/又は、それぞれ前記第2の四極子の焦点距離が、50cm以上及び/又は200cm以下になるように調整された磁場勾配を生成するように配置される。
【0053】
前記MSNは、第1及び第2の四極子並びに第3及び第4の磁石を通過するビームが含まれる真空チャンバを備え得る。真空チャンバは、磁石のボア内に配置されることが好ましい。
【0054】
前記真空チャンバの出口面と第2の四極子の焦点との間の距離は50cm未満であり得る。
【0055】
前記真空チャンバの出口面は、真空環境の出口面及び/又は真空タンクの出口面であり得る。
【0056】
好ましくは、第1の四極子の焦点と第2の四極子の焦点との間に延び、前記集束させたビームがミニビームの基準を満たすボリュームは、真空環境の端部から数cmと、第2の四極子の焦点との間に含まれる。
【0057】
前記MSNは、医療施設のビームラインを出る荷電粒子の入射ビームからミニビームを生成するように配置されることができ、該MSNは、荷電粒子の入射ビームの経路においてビームラインの下流に配置することを意図される。
【0058】
第3及び/又は第4の磁石は、走査型双極子磁石であり得る。
【0059】
任意選択で、第1の四極子、及び/又は第2の四極子、及び/又は第3の磁石、及び/又は第4の磁石は、超伝導磁石である。
【0060】
任意選択で、第1及び/又は第2の四極子は、0T.cm-1以上及び/又は1.6T.cm-1以下の磁場勾配を生成するように配置される。
【0061】
任意選択で、第1、第2、第3、及び/又は第4の磁石は、多極磁石(multipole magnet)の一部である。多極磁石は、8つ以上の極を備え得る。
【0062】
任意選択で、第1、第2、第3、及び/又は第4の磁石は、八極磁石の一部である。
【0063】
第3及び/又は第4の磁石は、荷電粒子ミニビームとターゲットとの間の交点を移動させるように、前記真空チャンバ内を伝搬するビームを偏向させるように配置され得る。
【0064】
前記走査ノズルは、1つ又は複数のイオン化チャンバを備え得る。
【0065】
任意選択で、前記イオン化チャンバを満たすガス状物質は、不活性ガス又は希ガスである。
【0066】
好ましくは、前記イオン化チャンバを満たすガス状物質は、空気又はヘリウム又はガス混合物である。
【0067】
本発明に係るMSNは、本発明に係る方法を実施するように配置され得る。
【0068】
本発明に係る方法を実施するための本発明に係るMSNの使用。
【0069】
フラッシュ荷電粒子ミニビーム放射線療法のための本発明に係るMSNの使用。
【0070】
任意選択で、MSNを使用して腫瘍を照射することができる。任意選択で、MSNは、患者に位置する腫瘍の治療に使用することができる。任意選択で、MSNを、癌の治療に使用することができる。
【0071】
本発明によれば、
- ノズル内の荷電粒子のビーム経路に沿って、
・第1の方向にしたがって、入射ビームを集束させるように配置された第1の四極子と、
・第1の方向に直交する第2の方向にしたがって、入射ビームを集束させるように配置された第2の四極子と、
・第3の方向にしたがって、入射ビームを偏向させるように配置された第3の磁石と、
・第3の方向とは異なる第4の方向にしたがって、入射ビームを偏向させるように配置された第4の磁石とを備えた荷電粒子のミニビームを生成するように配置されたミニビーム走査ノズル(MSN)を備え、
第1の四極子、及び/又は、それぞれ第2の四極子は、前記集束させたビームが、第1の四極子の焦点と、第2の四極子の焦点との間に延びるボリュームに沿ってミニビームの基準を満たすために、第1の四極子の焦点距離が、60cm以上及び/又は250cm以下になるように、及び/又は、それぞれ第2の四極子の焦点距離が、50cm以上及び/又は240cm以下になるように調整された磁場勾配を生成するように配置される、荷電粒子ミニビーム放射線療法のためのシステムも提供される。
【0072】
前記荷電粒子ミニビーム放射線療法のためのシステムは、ビーム源であって、
・10MeV以上及び/又は1000MeV以下のエネルギーと、
・15ミリラジアン未満の発散と、及び/又は、
・0.8以上及び/又は1以下である、入射ビームのサイズと、前記入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値とを示す、荷電粒子の入射ビームを生成するように配置されたビーム源を備え得る。
【0073】
フラッシュ荷電粒子ミニビーム放射線治療のための前記システムの使用。
【0074】
好ましくは、特にフラッシュ荷電粒子ミニビーム放射線療法の場合、ビーム源は、毎秒40グレイ以上、好ましくは100グレイ以上の線量率、及び、500ミリ秒未満、好ましくは100ミリ秒未満の照射時間を示す入射ビームを生成するように配置される。
【0075】
前記ビーム源は、医療施設のビームラインを含み得る。
【0076】
荷電粒子ミニビーム放射線療法のためのシステムのMSNは、本発明に係るMSNであり得る。
【0077】
さらなる発明的な目的、特徴、及び利点は、図面を参照した本発明のいくつかの実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、本発明によるノズル構成要素の配置の概略傾斜図である。
図2図2aは、放射線治療のために医療施設で現在使用されているセットアップの概略側面図である。図2bは、放射線治療の設定のさらに可能なセットアップの概略側面図である。図2cは、放射線治療の設定のさらに可能なセットアップの概略側面図である。図2dは、放射線治療の設定のさらに可能なセットアップの概略側面図である。
図3図3は、図2a、図2b、図2c、及び図2dのノズル配置によってそれぞれ達成される前記集束させたビームの最小サイズを示す4つの棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下に記載される実施形態は限定的ではなく、以下に記載される特徴の選択を備える他の実施形態が考慮され得る。選択は、技術的利点を与えるか、又は本発明を最新技術と区別するのに十分である場合、選択は、(この選択が他の特徴を含む文から分離されている場合でも)特徴のセットから分離された特徴を備え得る。この選択は、好ましくは、構造的特徴のない、又は、この部分が技術的利点を与えるのに十分であるか、又は本発明を、それ自身の最新技術と区別するのに十分である場合、構造的詳細の一部を伴うその技術的機能によって記載された少なくとも特徴を備える。
【0080】
本発明によるミニビームを生成する方法の実施形態が記載される。この方法は、ミニビーム放射線療法のために使用することを意図される。この方法は、
・第1の方向xにしたがって、第1の四極子10を通じて、入射ビーム6を集束させることと、
・第1の方向xに直交する第2の方向yにしたがって、第2の四極子11を通じて、入射ビーム6を集束させることと、
・第3の方向yにしたがって、第3の磁石12を通じて、入射ビーム6を偏向させることと、
・第3の方向yに直交する第4の方向xにしたがって、第4の磁石を通じて、入射ビーム6を偏向させることと、
・前記集束させたビーム16が、第1の四極子10の焦点と、第2の四極子11の焦点との間に延びるボリュームに沿ってミニビームの基準を満たすために、第1の四極子10の焦点距離が、60cm以上及び/又は250cm以下になるように、及び/又は、それぞれ第2の四極子11の焦点距離が、50cm以上及び/又は240cm以下になるように第1の四極子10及び/又はそれぞれ第2の四極子11によって生成される磁場勾配を調整することとからなる各ステップを備える。
実際には、第1の四極子10によって生成される前記磁場勾配は、例えば、ターゲット7(例えば、腫瘍7)、又はターゲット7の断面18、又はターゲット7の入口面18が、本発明によるノズル2の出口面33の所与の距離に配置されるように、事前決定又は設定することができる。次に、第2の四極子11によって生成される前記磁場勾配は、前記集束させたビーム16が、ターゲット7において、又はターゲット7の断面18において、又はターゲット7の入口面18においてミニビームの基準を満たすように、本発明にしたがって調整される。逆に、第2の四極子11によって生成される前記磁場勾配は、例えば、ターゲット7、又はターゲット7の断面18、又はターゲット7の入口面18が、本発明によるノズル2の出口面33の所与の距離に配置されるように、事前決定又は設定することができる。
【0081】
驚くべきことに、四極子10、11の焦点距離を調整することは、前記集束させたビーム16がミニビームの基準を満たすことができるように、前記集束させたビーム16のサイズを2mm未満のサイズに減少させるための主要なパラメータのうちの1つであることが見い出された。実際、最新技術のノズルは、250cmを超える焦点距離を示し、例えば、700cm以上のサイズを開示したGrevillotらを参照されたい。
【0082】
さらに、四極子10、11の焦点距離を低減することにより、前記ノズルの全長を低減することができ、これは、処理プロセスを容易にし得る。四極子10、11の焦点距離を低減すると、散乱を低減し、ラテラルペナンブラ(lateral penumbra)を低減するため、陽子ビームの品質も向上する。
【0083】
通常のpMBRTシステムは、ビーム源を備える。ビーム源は、サイクロトロンなどの陽子加速器と、磁石を備え、入射陽子ビーム6を陽子加速器からノズル2に伝送するように配置されたビーム輸送システムとを備える。他の治療法では、陽子が、炭素イオンなどの他のイオンで置換され得る。輸送システムの後、ビームは、最終的に、コリメーターで成形されて、高線量値の領域の配列を生成し、及び/又は、偏向されて走査ビームを生成する。
【0084】
本発明による実施形態は、陽子ミニビーム放射線療法(pMBRT)システム(表示されず)を備える。このシステムは、本発明によるノズル2を備える。本発明によるノズル2は、入射陽子ビーム6を陽子ミニビーム16の形にし、前記陽子ミニビーム16を、患者7に位置する腫瘍(図示せず)に向けて案内するように配置される。
【0085】
いくつかのpMBRTシステムでは、患者は、pMBRTシステムの一部であるガントリーに位置される。ノズル2は、ガントリー(表示されず)に接続され、ガントリーは、患者7の周りでノズル2を回転させるように配置され、異なる角度からの複数のフィールドでの治療を可能にして、腫瘍をよりよくターゲット化し、周囲の健康な組織を温存する。
【0086】
現在の施設で使用されている現在の陽子ビーム6の典型的なσ値は、2mmと10mmとの間である。現在の施設で使用されている現在の陽子ビーム6の標準エネルギー値は、60MeVと230MeVとの間である。現在の陽子ビーム6によって示される標準的な発散は、約3mrad(ミリラジアン)である。
【0087】
図1は、適切ではない、調査された多くの異なる潜在的なノズル配置(以下を参照)と比較して、ミニビーム生成に適切であることが見い出された本発明によるノズル2の配置の実施形態を示す。ノズル2は、入射陽子ビーム6を受け入れるように配置された真空チャンバ9を備える。輸送システムから到来する陽子ビームは、真空チャンバ9に伝播する。ビーム経路によれば、言い換えれば、図1の左から右へ、ノズル2は、
- 第1の四極子10と、
- 第2の四極子11と、
- 第1の走査双極子(scanning dipole)12と、
- 第2の走査双極子13とを備える。
【0088】
好ましい構成では、ノズル2はまた、イオン化チャンバ14を備える。
【0089】
真空チャンバ9は、陽子ビーム6が真空チャンバ9に入るノズル2の入口面32から、陽子ミニビーム16が、イオン化チャンバ14を通じて、ターゲット7(例えば、腫瘍である可能性がある)に向かって、真空チャンバ9を出る、双極子13の出口まで延びる。四極子10、11、双極子12、13は、真空チャンバ9の真空環境から出ている。陽子ビームは、前記真空チャンバ内を、各四極子10、11を通って、その後、各走査双極子12、13の2つの極の間を伝播し、走査双極子12、13の各極から等距離に位置される。その後、陽子ミニビーム16は、イオン化チャンバ14を通過してから、前記真空チャンバを出て、ターゲット7に向かって伝播する。
【0090】
第1の四極子10は、y方向にしたがって、真空チャンバ9内を伝搬する陽子ビーム6を集束させるように配置され、第2の四極子11は、x方向にしたがって、真空チャンバ9内を伝搬する陽子ビーム6を集束させるように配置される。第1の四極子10及び第2の四極子11の各々は、可変の磁場勾配を提供するように配置される。ビーム経路にしたがって、第2の四極子11の下流で、陽子ビームは、第1の四極子10の焦点と、第2の四極子11の焦点との間に延びるボリュームに沿って、ミニビームの基準を満たすように集束される。
【0091】
イオン化チャンバ14は、陽子ミニビーム16の強度及びサイズ及び位置を測定するように配置される。ビーム経路上にある各イオン化チャンバの壁部分は、マイラー(mylar)製であり得る。イオン化チャンバ14は、空気又はヘリウムで満たされる。
【0092】
第1の走査双極子12は、真空チャンバ9内を伝播する陽子ビームをy方向にしたがって、偏向させるように配置され、第2の走査双極子13は、真空チャンバ9内を伝播する陽子ビーム6をx方向にしたがって、偏向させるように配置される。第1の走査双極子12及び第2の走査双極子13の各々は、可変強度のほぼ均一な磁場を提供するように配置される。ノズル2に関連して使用するための処理ユニットは、陽子ミニビーム16と、ターゲット7の所与の断面18との間の交点を移動させるように、真空チャンバ9内を伝搬する陽子ビーム6を偏向させるように、第1の走査双極子12及び第2の走査双極子13の各々によって提供される磁場勾配値を制御するように配置される。陽子ミニビーム16と、ターゲット7の断面18との間の交点は、所与のパターン17にしたがってターゲット7を走査するように移動される。実施形態によれば、パターン17は、刻み目のある形状(crenellated shape)を示す。前記パターンはまた、ピークと呼ばれる高線量値の領域と、谷と呼ばれる低線量値の領域との任意のタイプの交互の配列であり得る。非限定的な例として、前記領域は、円又は楕円又は正方形又は長方形であり得、同心状であり得る。第1の走査双極子12と第2の走査双極子13はそれぞれ、1Hzから200Hzの動作周波数を示す。ほとんどの場合、3Hzから100Hzの動作周波数範囲が適切である。第2の走査双極子13の下流では、ビーム経路にしたがって、陽子ビーム16が集束され、偏向される。
【0093】
図2a、図2c、及び図2dにおける実施形態は、前記ビームを伝送する真空チャンバ9を含むチャンバ2を示す。前記真空チャンバは、構成要素10~13を通過する。磁石は、前記真空チャンバの内部ではなく、前記真空チャンバの周りに配置される。他の構成要素は、空気で満たされたボリューム内にある。図2bでは、チャンバ2全体が真空環境にあるため、真空チャンバ9と見なされる。図2bを含むすべての図において、イオン化チャンバ14は常に空気で満たされたボリューム内に配置される。
【0094】
図2aは、放射線治療のために医療施設で現在使用されているセットアップを示す。現在のセットアップは、コリメーター(collimator)を受け取り、ターゲット7に衝突する前に、ミニビームではない前記集束させたビーム16から形成された陽子ビーム24を取得するように配置されたスナウト(snout)23を備える。スナウト23は、周囲空気中にあり、スナウトホルダ25に取り付けられる。イオン化チャンバ14は、真空チャンバ9の下流に配置される。現在のセットアップは、真空チャンバ9の上流の周囲空気に配置された真空窓28を備える。第1の四極子10及び第2の四極子11並びに第1の走査磁石12及び第2の走査磁石13は、真空チャンバ9外に配置される。
【0095】
上記及び図2aに示すように、現在のセットアップのかなりの数の異なる変更が試験されている。これらの変更により、セットアップの様々な可能な配置が生まれた。これらの多数の異なる潜在的な配置のうち、4つが図2b、図2c、及び図2dに示される。図2aに示す現在のセットアップに加えて、これら4つの配置の各々が以下に記載されるように調査された。実行された変更は、とりわけ、互いに対する要素の配置、及び/又は要素とターゲットとの間の距離、及び/又はスナウト23、スナウトホルダ25、及びイオン化チャンバ14の除去、及び/又はセットアップの様々な場所における追加の要素、特に1対の追加の四極子30、31の追加を備える。
【0096】
ノズルを通って伝播する陽子ビームのシミュレーションが実行された。シミュレーションは、TOPASバージョン3.2及び3.1で実行された、実行されたモンテカルロシミュレーションであった。調査した所与のセットアップ配置ごとに、100MeV、150MeV、及び200MeVの入射陽子ビームのエネルギーが考慮され、四極子10、11の各々における磁場勾配が、0T.cm-1から0.8T.cm-1まで、0.016T.cm-1のステップで変化され、各四極子10、11に対して51の異なる磁場強度が得られる。さらに、四極子10、11の集束面の2つの方位が考慮された。次に、各セットアップ配置の最小ビームサイズは、四極子10、11のこれら51×51×2構成の各々でシミュレートされたサイズを比較することによって決定された。極の先端に印加された磁場は、四極子10、11の内部に磁場勾配を生成することに留意する必要がある。
【0097】
図3は、前記シミュレーションから計算された前記集束させたビーム16の最小サイズを示し、左から右へ、図2a、図2b、図2c、及び図2dのセットアップ配置によって達成された4つの棒グラフを示す。図2a、図2b、及び図2dの配置に関連する図3a、図3b、及び図3dの棒グラフは、100MeV及び200MeVの入射陽子ビーム6のエネルギーに対するターゲット7において形成された陽子ビーム24の水平FWHM(hFWHM)及び垂直FWHM(vFWHM)を示し、図2cの配置に関連する図3cのチャートは、100MeV及び200MeVの入射陽子ビーム6のエネルギーのターゲット7における前記集束させたビーム16の水平FWHM(hFWHM)及び垂直FWHM(vFWHM)を示す。提示された配置のいずれも、ミニビーム、つまり、2mm未満のhFWHM及びvFWHMを示すビームを提供するのに適していない。調査された多くの異なる潜在的な配置のうち、図1に示される本発明によるセットアップの配置のみが、ミニビームを達成することを可能にする。前記シミュレーションから導出された、図1に示されている本発明によるノズル2の最小化されたビームサイズが、チャート1に示される。
【0098】
したがって、ターゲット7において、5mmの最小FWHMを有するビームを生成する図2aの通常のペンシルビーム走査(PBS)と比較して、本発明によるノズル2によって生成されるビーム16は、ターゲット7におけるミニビームの基準を満たし、pMBRTのために使用され得る。
【表1】
【0099】
説明の残りの部分を通して、図3に示されるように、本発明によるノズル2が考慮される。ノズル2の正確な寸法及びノズル2の構成要素の機能、ノズル2の構成要素の互いの間の離れた距離と、ノズル2の構成要素をターゲット7から分離する距離が、磁場の分析計算コードを使用してシミュレートされ、TOPASコードバージョン3.2及び3.1を使用してモンテカルロ法でチェックされた。前記構成要素は、第1の四極子10及び第2の四極子11、第3の走査双極子12及び第4の走査双極子13、並びにイオン化チャンバ14を含む。
【0100】
ノズル2の各構成要素のサイズ、これらの構成要素を互いに分離する距離、及びこれらの構成要素をターゲット7から分離する距離が導入される。 以下に示される各構成要素の長さは、ビーム経路に沿った構成要素のサイズを記載する。各構成要素のサイズは、構成要素の入口面と出口面とを分離する距離によって定義される。
【0101】
ミニビームを達成するために制御されるノズル2の配置に関連する主要なパラメータのうちの1つは、第2の四極子11の出口面を、ターゲット7の断面18から分離する距離d2であることが見い出された。前記集束させたビーム16の最小サイズを取得するために、距離d2は200cm未満でなければならない。200cm未満の距離d2は、本発明によるノズル2の配置によってのみ、また本発明によるノズル2がスナウト23又は物理的コリメーターを使用しないために達成可能である。実際、図2aに示すように、医療施設で使用されている現在のセットアップでの距離d2は、一般に230cmを上回る。
【0102】
ミニビームを達成するために制御されるべき別の関連パラメータは、真空タンク2の出口面33と、ターゲット7の断面18との間の距離(d5)であることが観察された。計算から、前記集束させたビーム16の最小サイズを得るために、この距離d5は50cm未満である。ここでも、本発明によるノズル2は、スナウト23又は物理的コリメーターを使用しないので、そのような距離d5が達成可能である。
【0103】
最新技術では、ミニビーム、特に医療施設から生成されたミニビームは、スナウト23に取り付けられたコリメーター及び/又はコリメーターを使用することによってのみ達成可能であると考えられる。したがって、スナウト23及び/又はコリメーターを取り外すことは直感に反している。
【0104】
図1を参照して示すように、ノズル2の入口面32と第1の四極子10の入口面との間の距離、第1の四極子10の長さ(Iq1)及び第2の四極子11の長さ(Iq2)、第1の四極子10と第2の四極子11とを分離する距離d1、第1の走査双極子12の長さ(Id1)、第2の走査双極子13の長さ(Id2)、第2の四極子11の出口面と第1の走査双極子12の入口面との間の距離(d6)、第1の走査双極子12の出口面と第2の走査双極子13の入口面との間の距離(d4)、第2の走査双極子13の出口面とイオン化チャンバ14の入口面との間の距離(d7)、イオン化チャンバ14の長さ(li1)、イオン化チャンバ14の出口面とノズル2の出口面33との間の距離、及びノズル2の出口面33と腫瘍の断面18との間の距離d5が適応されて、d2及びd5が上記の値に適合する。
【0105】
以下の例は、ターゲット7に対するノズル2及びその構成要素の特定の実施形態の配置である。これは限定ではなく、さらなる説明の目的で与えられる多くの実施形態のうちの好ましい実施形態である。四極子10、11は、通常、円筒形状である。計算から、このアセンブリの直径は、本実施形態では20cmであり、直径は、ビーム経路に直交している。双極子12、13及びイオン化チャンバ9の高さ及び幅は20cmである。真空チャンバ9の直径は、約5cmである。ノズル2内は、真空に保たれている。この好ましい実施形態では、Iq2に等しい距離Iq1は、20cm未満であり、好ましくは3cmから20cmの間に含まれ、より好ましくは5cmから15cmの間に含まれ、本実施形態では10cmに等しい。距離d1は、15cm未満、好ましくは6cm未満であり、本実施形態では3cmに等しい。距離li1は、30cm未満であり、好ましくは2cmから15cmの間で構成され、本実施形態では10cmに等しい。距離d2は、200cm未満であり、本実施形態では、好ましくは、90cmから110cmの間である。ノズル2のビーム入口面32と、腫瘍の断面18との間の距離(d3)は、260cm未満であり、本実施形態では、一般に130cmから160cmの間、好ましくは130cmから150cmの間で構成される。距離Id1は、Id2に等しく、40cm未満であり、本実施形態では25cmに等しい。距離d4は、10cm未満であり、本実施形態では0cmに等しい。距離d6は、15cm未満であり、本実施形態では5cmに等しい。距離d7は、30cm未満であり、本実施形態では15cmに等しい。
【0106】
本発明によるノズル2は、コリメーターの使用を回避する。現在のpMBRTデバイスでコリメーターを使用すると、陽子ビーム6の全流束の大部分が失われる。したがって、線量率は大幅に低下する。本発明によるノズル2は、陽子ビーム6の全流束を腫瘍に伝達することを可能にする。したがって、線量率は、現在のpMBRTと比較して大幅に増加する。さらに、コリメーターの使用を避けることで、患者の近くで有害な二次作用の生成を大幅に減少させることができる。
【0107】
第2の四極子11の焦点距離が200cm未満であり、したがって前記集束させたビーム16のFWHMが、ミニビームの基準を満たすために、生成される磁場勾配が調査された。そのために、Ωを最小化することが適切なアプローチであることがわかった。ここで、Ω=(hFWHM)+(vFWHM)である。
【0108】
計算は、51×51×2の四極子10、11構成について、0T.cm-1から0.8T.cm-1まで、0.016T.cm-1のステップでインクリメント(増分)された、第1の四極子10及び第2の四極子11の極の先端に印加された磁場によって定義される磁場勾配を使用して実行された。
【0109】
前記集束させたビーム16が、第1の四極子10の焦点と第2の四極子11の焦点との間に延びるボリュームに沿ったミニビームの基準を満たすために、第1の四極子10及び/又は第2の四極子11によって生成される磁場勾配は、第1の四極子10の焦点距離が60cm以上及び/又は250cm以下になるように、及び/又は、第2の四極子11の焦点距離が50cm以上及び/又は240cm以下になるように、処理ユニットによって調整される。
実施形態によれば、四極子10、11によって生成される磁場勾配は、
- 第1の四極子10の焦点が108cm以上になる傾向があり、第2の四極子11の焦点が128cm以下になるか、又は
- 第1の四極子10の焦点が128cm以下になり、第2の四極子11の焦点が108cm以下になるように調整される。したがって、ターゲット7、又はターゲット7の断面18、又はターゲット7の入口面18は、ノズル2の出口面33から、10cmから30cmの間である最適な距離に配置されるであろう。
【0110】
本発明者らは、ノズルの集束能力が、入射ビーム6のパラメータに強く依存することを示した。特に、本発明者らは、入射ビーム6の発散と、入射ビーム6のサイズと入射ビーム6の発散との間の相関係数とのうちの少なくとも1つを制御する必要があることを観察した。直感に反して、入射ビーム6のサイズによる影響はごくわずかである。
【0111】
計算から、前記集束させたビーム16のFWHMがミニビームの基準を満たすために、
- 入射ビーム6の発散が、15ミリラジアン未満であるか、及び/又は、
- 入射ビーム6のサイズと、入射ビーム6の発散との間の相関係数の絶対値が、0.8以上及び/又は1以下であることが見い出された。
15ミリラジアン未満の入射ビーム6の発散と、0.95以上及び/又は1以下である入射ビーム6のサイズと入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値との組合せは、前記集束させたビーム16が、ミニビームの基準を満たすことを確実にする。逆に、1ミリラジアン未満の入射ビーム6の発散と、0.9以上及び/又は1以下である入射ビーム6のサイズと入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値との組合せは、前記集束させたビーム16が、ミニビームの基準を満たすことを確実にする。
実際、1ミリラジアン未満の入射ビーム6の発散と、0.95以上及び/又は1以下である入射ビーム6のサイズと入射ビームの発散との間の相関係数の絶対値との組合せは、本発明によるノズル2によって集束されるビーム16が、ミニビームの基準を満たすことを確実にする。
【0112】
ある特定の医療施設(又は、特定の医療セットアップ)から別の医療施設への場合、入射ビーム6の発散と、入射ビーム6のサイズと入射ビーム6の発散との間の相関係数の絶対値と、入射ビーム6のエネルギーと、医療施設の配置とは異なるであろう。したがって、第1の四極子10及び/又は第2の四極子11によって生成される磁場勾配は、前記集束させたビーム16が、第2の四極子11の焦点でミニビームの基準を満たすために、第2の四極子11の焦点距離が、50cm以上及び/又は240cm以下になるように、処理ユニットを通じて調整される。第1の四極子10の焦点及び第2の四極子11の焦点は、ターゲット7、又はターゲット7の断面18、又はターゲット7の入口面18が、第1の四極子10の焦点と、第2の四極子11の焦点との間に延びるボリューム内に位置するように配置される。
【0113】
したがって、所与の医療施設及び/又は患者のために特別に設計されたコリメーターを備える現在のセットアップとは対照的に、本発明によるノズル2は、第1の四極子10及び/又は第2の四極子11の磁場勾配を調整することのみによって、すべての医療施設で使用するのに適している。
【0114】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で多数の調整を行うことができる。
【0115】
したがって、前述の実施形態の組合せ可能な代替案では、
- 入射ビーム6のエネルギーは、10MeV以上、及び/又は1000MeV以下、好ましくは500MeV/核子未満、より好ましくは100MeVから230MeVの間に含まれ、及び/又は、
- 第1の四極子10の焦点距離は、60cm以上及び/又は250cm以下であり、及び/又は、
- 第1の四極子10の焦点距離及び/又は第2の四極子11の焦点距離は、60cm以上、より好ましくは70cm以上、さらにより好ましくは80cm以上であり、好ましい方式では90cm以上であり、及び/又は、
- 第2の四極子11の焦点距離は180cm以下、より好ましくは160cm以下、さらにより好ましくは150cm以下、好ましい方式では140cm以下、より好ましい方式では130cm以下、特に好ましい方式では120cm以下であり、及び/又は、
- 第1の四極子10の焦点距離は220cm以下、より好ましくは200cm以下、さらにより好ましくは180cm以下、好ましい方式では160cm以下、より好ましい方式では140cm以下、特に好ましい方式では130cm以下であり、及び/又は、
- 距離d5は10cm以上及び/又は40cm以下、より好ましくは30cm以下であり、及び/又は、
- 入射ビーム6のFWHMは50mm未満であり、及び/又は、
- 第3の磁石12及び第4の磁石13の動作周波数は1Hz以上及び/又は200Hz以下であり、及び/又は、
- 前記集束させたビーム16は、ターゲット7で、0.6mm以下、より好ましくは0.5mm以下のFWHMを示す。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明によるMSNは、皮膚癌、乳癌、脳癌、頸部癌、精巣癌、直腸癌、肛門癌、心臓肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、ラブドーム腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫;肺:気管支原性癌(扁平上皮癌、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫、胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋腫)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、癌様腫瘍、非β膵島細胞腫瘍)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カルポシ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、ハマルトーマ、平滑筋腫);泌尿生殖器:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍腎芽細胞腫、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胚性癌腫、奇形癌腫、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維性広汎腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝細胞癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(網状細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨肉腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液性線維腫、類骨骨腫、及び巨大細胞腫瘍、神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜腫(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚芽細胞腫、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、腫瘍前頸部異形成)、卵巣(卵巣癌、漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌腫、肉芽腫髄腔細胞腫瘍、セルトリレイディグ細胞腫瘍、発育不全、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ボトリオイド肉腫胚性横紋筋肉腫、ファロピウス管(癌腫);肌:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カルポシ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬、副腎:神経芽細胞腫などの固形腫瘍を含むが、これらに限定されない癌の治療に使用され得る。
【0117】
本明細書で使用される場合、「癌」という用語は、以下の組織又は器官、すなわち、胸;肝臓;腎臓;心臓、縦隔、胸膜;口腔底;唇;唾液腺;舌;歯茎;口腔;口蓋;扁桃腺;喉頭;気管;気管支、肺;咽頭、下咽頭、口腔咽頭、鼻咽頭;食道;胃、肝内胆管、胆道、膵臓、小腸、結腸などの消化器;直腸;膀胱、胆嚢、尿管などの泌尿器;直腸S状接合部;肛門、肛門管;肌;骨;関節、手足の関節軟骨;目と付属器;脳;末梢神経、自律神経系;脊髄、脳神経、髄膜;中枢神経系の様々な部位;結合組織、皮下組織、及び他の軟組織;後腹膜、腹膜;副腎;甲状腺;内分泌腺及び関連構造;卵巣、子宮、子宮頸部などの女性生殖器;子宮体、膣、外陰部;陰茎、精巣、前立腺などの男性生殖器のいずれかに影響を与える可能性のある任意の癌を指す。
【0118】
前記癌は、神経膠芽細胞腫、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膀胱癌、直腸癌、子宮頸癌、及び頭頸部癌からなるグループから選択され得る。
【0119】
前記癌は、良性、転移性及び悪性の新生物からなるグループから選択され得、末端黒子型黒色腫、化学線角化症、腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫、腺肉腫、腺扁平上皮癌、星状細胞腫瘍、バルトリン腺癌、基底細胞癌、気管支腺癌、毛細、カルチノイド、癌腫、癌肉腫、海綿状、胆管癌、軟骨肉腫、脈絡膜神経叢乳頭腫/癌腫、明細胞癌、嚢胞腺腫、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜過形成、子宮内膜間質肉腫、類内膜腺癌、脳室上衣、エピテロイド、ユーイング肉腫、線維層状、限局性結節性過形成、ガストリノーマ、生殖細胞腫瘍、神経膠芽細胞腫、グルカゴノーマ、血管芽細胞腫、血管内皮腫、血管腫、肝腺腫、肝腺腫症、肝細胞癌腫、インスリン腫、上皮間腫瘍、上皮間扁平上皮癌細胞癌、浸潤性扁平上皮癌、大細胞癌、平滑筋昏睡、悪性黒子黒色腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫瘍、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、髄膜、中皮、転移性癌、粘表皮癌、神経芽腫、神経上皮腺癌結節性黒色腫、オート麦細胞癌、乏突起膠、骨肉腫、膵臓ポリペプチド乳頭状漿液性腺癌、松果体細胞、下垂体腫瘍、形質細胞腫、偽肉腫、肺芽細胞腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、漿液性癌、小細胞癌、軟部組織癌、ソマトスタチン分泌腫瘍、扁平上皮癌、扁平上皮癌、中皮下、表在性拡大メラノーマ、未分化癌、ブドウ膜メラノーマ、疣贅癌、バイポマ、高分化癌及びウィルムス腫瘍をも含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、本発明による方法によって生成されたミニビームは、任意の抗癌剤と組み合わせたミニビーム放射線療法に使用される。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明によるMSNは、任意の抗癌剤と組み合わせて癌の治療に使用され得る。
【0122】
いくつかの実施形態において、本発明によるMSNは、追加の癌治療と組み合わせて使用され得る。特に、本発明によるMSNは、ターゲット療法や、免疫チェックポイント療法及び免疫チェックポイント阻害剤などの免疫療法、共刺激抗体、又は化学療法と組み合わせて使用され得る。
【0123】
チェックポイント阻害剤などの免疫チェックポイント療法は、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、プログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)阻害剤、プログラム細胞死リガンド-2(PD-L2)阻害剤、リンパ球-活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有タンパク質3(TIM-3)阻害剤、Ig及びITIMドメインを含むT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、B及びTリンパ球減衰剤(BTLA)阻害剤、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサ(VISTA)阻害剤、細胞毒性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)阻害剤、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、キラー免疫グロブリン様受容体(KIR)阻害剤、KIR2L3阻害剤、KIR3DL2阻害剤、及び癌胚性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM-1)阻害剤を含むが、これらに限定されない。特に、チェックポイント阻害剤は、抗体抗PD1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗TIM-3、抗LAG3を含む。共刺激抗体は、限定されないが、ICOS、CD137、CD27、OX-40、GITRなどの免疫調節受容体を通じて正信号を伝達する。
【0124】
抗PD1抗体の例は、ニボルマブ、セミプリマブ(REGN2810又はREGN-2810)、チスレリズマブ(BGB-A317)、チスレリズマブ、スパルタリズマブ(PDR001又はPDR-001)、ABBV-181、JNJ-63723283、BI 754091、MAG012、TSR-042、AGEN2034、ピジリズマブ、ニボルマブ(ONO-4538、BMS-936558、MDX1106、GTPL7335又はオプジーボ)、ペムブロリズマブ(MK-3475、MK03475、ランブロリズマブ、SCH-900475又はKeytruda)及び国際特許出願WO2004004771、WO2004056875、WO2006121168、WO2008156712、WO2009014708、WO2009114335、WO2013043569、及びWO2014047350に記載された抗体を含むが、これらに限定されない。
【0125】
抗PD-L1抗体の例は、LY3300054、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、及びアベルマブを含むが、これらに限定されない。
【0126】
抗CTLA-4抗体の例は、イピリムマブ(例えば、米国特許US6,984,720及びUS8,017,114を参照)、トレメリムマブ(例えば、米国特許US7,109,003及びUS8,143,379を参照)、一本鎖抗CTLA4抗体(例えば、国際特許出願WO1997020574及びWO2007123737を参照)及び米国特許US8,491,895に記載されている抗体を含むが、これらに限定されない。
【0127】
抗VISTA抗体の例は、米国特許出願US20130177557に記載されている。
【0128】
LAG3受容体の阻害剤の例は、米国特許US5,773,578に記載されている。
【0129】
KIR阻害剤の例は、KIR3DL2をターゲットとするIPH4102である。
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明によるMSNは、ターゲット療法と組み合わせて使用され得る。ターゲット療法剤は、腫瘍の成長と進行に必要な特定の分子を妨害するように設計された薬剤である。例えば、治療用モノクローナル抗体などのターゲット治療薬は、膜貫通受容体又は細胞外成長因子などの細胞表面に見られる特定の抗原をターゲットとする。小分子は細胞膜に浸透して、細胞内のターゲットと相互作用することができる。小分子は通常、例えばプロテアソーム阻害剤、チロシンキナーゼ又はサイクリン依存性キナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤などのターゲットタンパク質の酵素活性を妨害するように設計される。ターゲット療法は、サイトカインを使用する場合もある。そのようなターゲット療法の例は、限定することなく、アドトラスツズマブエムタンシン(HER2)、アファチニブ(EGFR(HER1/ERBB1)、HER2)、アルデスロイキン(プロロイキン)、アレクチニブ(ALK)、アレムツズマブ(CD52)、アキシチニブ(kit、PDGFRベータ、VEGFR1/2/3)、ベリムマブ(BAFF)、ベリノスタット(HDAC)、ベバシズマブ(VEGFリガンド)、ブリナツモマブ(CD19/CD3)、ボルテゾミブ(プロテアソーム)、ブレンツキシマブベドチン(CD30)、ボスチニブ(ABL)、ブリガチニブ(ALK)、カボザンチニブ(FLT3、KIT、MET、RET、VEGFR2)、カナキヌマブ(IL-1ベータ)、カルフィルゾミブ(プロテアソーム)、セリチニブ(ALK)、セツキシマブ(EGFR)、コフィメチニブ(MEK)、クリゾチニブ(ALK、MET、ROS1)、ダブラフェニブ(BRAF)、ダラツムマブ(CD38)、ダサチニブ(ABL)、デノスマブ(RANKL)、ジヌツキシマブ(B4GALNT1(GD2))、エロツズマブ(SLAMF7)、エナシデニブ(IDH2)、エルロチニブ(EGFR)、エベロリムス(mTOR)、ゲフィチニブ(EGFR)、イブリツモマブ チウキセタン(CD20)、ソニデギブ(スムーズンド)、シプルーセル-T、シルツキシマブ(IL-6)、ソラフェニブ(VEGFR、PDGFR、KIT、RAF)、トシリズマブ(IL-6R)、テムシロリムス(mTOR)、トファシチニブ(JAK3)、トラメチニブ(MEK)、トシツモマブ(CD20)、トラスツズマブ(HER2)、バンデタニブ(EGFR)、ベムラフェニブ(BRAF)、ベネトクラクス(BCL2)、ビスモデギブ(PTCH、スムーズンド)、ボリノスタット(HDAC)、ジバフリベルセプト(PIGF、VEGFA/B)、オラパリブ(PARP阻害剤)を含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、本発明によるMSNは、化学療法と組み合わせて使用され得る。本明細書で使用される場合、「化学療法」という用語は、当該技術分野でその一般的な意味を有し、患者に化学療法剤を投与することからなる治療を指す。化学療法剤は、チオテパ及びシクロスホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メチュレドーパ、及びウレドパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチイレンチオホスホルアミド及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメルアミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチインa;スポンジタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムヌスチンなどのニトロソウレア;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマルとカリケアマイシンオメガル;ダイネミシンAを含むダイネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;ネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストトラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎;フロリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルホルミチン;エリプチニウムアセテート;エポチロン;エトグルシッド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンティナン;ロニダイニン;マイタンシン及びアンサミトシンなどのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;N-メチルヒドラジン(MIH)及びプロカルバジンを含むメチルヒドラジン誘導体;PSKポリサッカライド錯体);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル及びドキセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンなどの白金配位錯体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ヴィンクリスティン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオミチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;アントラサイクリン、ニトロソウレア、代謝拮抗剤、エピポドフィロトキシン、L-アスパラギナーゼなどの酵素;アントラセンジオン;プレドニゾン及び同等物、デキサメタゾン及びアミノグルテチミドなどの副腎皮質ステロイド拮抗薬を含むホルモン及び拮抗薬;カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、及び酢酸メゲストロールなどのプロゲスチン;ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール同等物などのエストロゲン;タモキシフェンなどの抗エストロゲン;プロピオン酸テストステロン及びフルオキシメステロン/同等物を含むアンドロゲン;フルタミド、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体、及びリュープロリドなどの抗アンドロゲン;フルタミドなどの非ステロイド系抗アンドロゲン;及び上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体とを含むが、これらに限定されない。
【0132】
さらに、本発明の特徴、代替物、及び実施形態は、それらが互いに相互に排他的ではないのであれば、関連付けられ得る。
図1
図2
図3
【国際調査報告】