(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】蛍光体温度測定のイメージングシステム及び制御システム
(51)【国際特許分類】
G01J 5/58 20220101AFI20230118BHJP
H05B 45/12 20200101ALI20230118BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20230118BHJP
G01J 5/00 20220101ALI20230118BHJP
【FI】
G01J5/58
H05B45/12
G01J5/48 A
G01J5/00 101C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529818
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 CA2020051623
(87)【国際公開番号】W WO2021102580
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521346357
【氏名又は名称】フォトン コントロール インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PHOTON CONTROL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】シコルスキ,ユーリ
(72)【発明者】
【氏名】シヴェンキー,ユーリー
(72)【発明者】
【氏名】アミニ,アルボルズ
(72)【発明者】
【氏名】ラヒミ ジャニアバディ,エスマエイル
【テーマコード(参考)】
2G066
3K273
【Fターム(参考)】
2G066AA20
2G066AC20
2G066BA14
2G066BC07
2G066BC15
2G066CA02
3K273AA08
3K273BA31
3K273CA02
3K273CA28
3K273DA02
3K273EA03
3K273EA25
3K273EA35
3K273FA03
3K273FA14
3K273FA25
3K273HA12
3K273HA15
(57)【要約】
本発明は、蛍光体がコーティングされた表面の2-D熱イメージングのためのシステム及び方法を提供する。該システム及び方法は、照明システム、及び高速度カメラを含む画像取得装置を共に制御する制御システムを実装することにより、増大された温度測定精度及びデータ分析の速度を可能にする。より具体的に、制御システムは、発光強度範囲が温度測定精度を改善し及びデータ処理の速度を増大するための所望の範囲内にある場合、画像を取得するように照明システム及びカメラを制御できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上に蛍光体を有する該表面の2次元(2-D)熱イメージングのための方法であって、
励起強度を有する光を前記表面に照射して、発光を発生させるために前記蛍光体の燐光を誘導することと、
前記発光の強度である発光強度を測定することと、
前記発光強度が予め決定された閾値強度よりも小さい場合に、前記照射の操作を繰り返す又は前記励起強度を増大し、前記測定の操作を繰り返すことと、
前記発光強度が前記予め決定された閾値強度以上の場合に、光源をオフにすることと、
遅延時間後及び/又は前記発光強度が予め決定された最大戻り強度よりも小さい場合に、複数の画像を取得することと、
前記複数の画像から前記表面における複数の点での前記蛍光体の減衰時間を算出することと、
前記点のそれぞれにおける前記減衰時間を温度に変換して、前記表面の2-D熱画像を生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記発光強度がゼロ付近になることが測定されると前記方法を繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予め決定されたサイクル時間が経過した後に前記方法を繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光は、複数の光源を含む照明システムによって提供される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の光源は、発光ダイオード(LED)である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記発光強度は、少なくとも1つの光強度検出器を用いて測定される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記照明システムは、前記表面に対向する環状部により支持される、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記環状部は、前記複数の光源が配置されたプリント回路基板(PCB)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記環状部は、画像取得装置(ICD)が前記画像を取得できるように配置された中央通路を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記表面は、前記光源と前記表面との間のウインドウを通して照射される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ウインドウは、前記表面が配置される処理チャンバの壁を通るように設けられている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記表面は、チャックに支持された半導体ウェハに設けられている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光と前記表面との間にフィルタが設けられている、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記フィルタは、画像取得装置(ICD)のレンズと前記レンズ及び前記表面の間のウインドウとの間、又は前記レンズと前記ICDとの間に配置されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、制御システムにより制御されたイメージングシステムにより実行され、
該方法を実行するように前記制御システムに指示することをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記遅延時間は、正の遅延時間である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記遅延時間は、画像を取得するのに固有の遅延を考慮した負の遅延時間である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の方法を行うための蛍光体温度測定システムであって、
前記表面の前記複数の画像を取得するように配置された画像取得装置(ICD)と、
前記ICDから前記複数の画像を受け、該画像からのデータを2-D熱画像に変換するように構成されたコンピュータ装置と、
前記表面に照射するように配置された少なくとも1つの光源を含む照明システムと、
前記照明システム及び前記ICDに接続された制御システムとを含み、
前記制御システムは、
カメラを操作することにより発光強度を決定し、
予め決定された閾値強度及び/又は予め決定された最大戻り強度を保存し、前記発光強度と比較し、
少なくとも前記発光強度に基づいて前記照明システムに電力を提供し、
前記複数の画像を取得するように前記ICDを操作する、ように構成されている、システム。
【請求項19】
前記ICDと前記表面との間にフィルタをさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(クロスリファレンス)
本願は、2019年11月26日出願の米国仮出願第62/940504号に係る優先権を主張し、その内容は本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
以下は、概して蛍光体温度測定(phosphor thermometry)を用いた熱イメージングに関し、より具体的には蛍光体コーティング面の高解像度2-D熱画像を生成するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの半導体製造ステップにおいて、ウェハ温度が重要なプロセスパラメータとなる。例えばプラズマエッチングにおいて、小さい温度変動は、エッチング速度又は限界寸法(CD)均一性における顕著な変化を引き起こし、それにより歩留まり損失を引き起こし得る。
【0004】
半導体ウェハの温度を測定する一般的な技術は、蛍光体温度測定である。一般に、蛍光体温度測定は、3つのステップ、すなわち励起、蛍光体減衰及び分析のステップを含む。励起段階は、蛍光体の発光を引き起こすために、外部光源からの光によって蛍光体を刺激することを含む。蛍光体減衰の段階の際に、外部光源のスイッチを切り、蛍光体が外部光源から吸収したエネルギーを放出する。この放出プロセスは、温度の関数である「減衰時間」として知られている時定数による指数関数的方式で行われる。分析段階において、減衰時間が観察され、温度に変換され得る。
【0005】
蛍光体温度測定は、接触蛍光体ベース温度センサを用いて行われる場合が多い。これらのセンサは、遠隔で、蛍光体の光励起及びその後の再放出される温度依存的光信号の分析を行う。単一点ベースの測定は、例えば単一の光検出器を含む光ファイバデリバリーシステムを用いて行われ得る。複数の単一点ベースの測定は、ウェハチャック及びウェハ自体等の表面中で温度プロファイルを構築するために用いられ得る。しかし、そのようなプローブの物理的設置の必要性は、スペースの制約を引き起こし、従ってチャックにおけるアクセス可能な測定点の数が制限され得る。この問題を解決する方法が2-D熱イメージングを実施することである。
【0006】
対象の2-D温度プロファイルを生成するために、蛍光体の減衰時間は対象表面のできるだけ多くの点で測定される。通常、減衰時間は、信号強度を複数回測定し、得られたデータ点に指数曲線を近似することにより算出される。減衰時間は、用いられた蛍光体に依存し、例えば2000μs~4000μsの範囲であり得る。そのような短い減衰時間は、高速度カメラの使用を必要とし、かなりのデータ処理能力を必要とし得る。周知の方法において、カメラ又は画像取得装置(ICD)は、照明装置から独立し、それにより多くの複雑性を引き起こす。例えば、この独立性は、照明システムの状態を決定し、フィードバックがない照明システム及びICDの手動の校正を行い、ICDの手動の起動を行うための追加のデータ処理時間を必要とし得る。また、これは、データ処理の際に通常はフィルタを通して除去される必要がある不要なデータの取得が生じ、さらに処理時間を増大し得る。
【0007】
上述の点から、以下に示す目的は、上記の1つ以上の問題又は欠点を取り扱う蛍光体コーティングされた対象の2-D熱イメージングのための方法及びシステムを開発することである。
【発明の概要】
【0008】
以下に、蛍光体がコーティングされた表面の2-D熱イメージングのためのシステム及び方法を説明する。システム及び方法は、照明システム、及び高速度カメラを含む画像取得装置を共に制御する制御システムを実装することにより、増大された温度測定精度及びデータ分析の速度を可能にする。より具体的に、制御システムは、発光強度範囲が温度測定精度を改善し及びデータ処理の速度を増大するための所望の範囲内にある場合、画像を取得するように照明システム及びカメラを制御できる。
【0009】
一態様において、表面上に蛍光体を有する該表面の2次元(2-D)熱イメージングのための方法が提供され、その方法は、励起強度を有する光により表面を照射して発光を引き起こすために蛍光体の燐光を誘導することと;発光強度を測定することと;発光強度が予め決定された閾値強度よりも小さい場合に、照射操作を繰り返す又は励起強度を増大する、及び測定操作を繰り返すことと;発光強度が予め決定された閾値強度以上の場合に、光源をオフにすることと;遅延時間後及び/又は強度が予め決定された最大戻り強度よりも小さい場合に複数の画像を取得することと;複数の画像から表面における多数の点での蛍光体の減衰時間を算出することと;各点における減衰時間を温度に変換して表面の2-D熱画像を生成することとを含む。
【0010】
他の態様において、上記方法を行うための蛍光体温度測定システムを提供する。蛍光体温度測定システムは、表面の複数の画像を取得するように配置された画像取得装置(ICD)と;ICDから複数の画像を受け、該画像からのデータを2-D熱画像に変換するように構成されたコンピュータ装置と;表面に照射するように配置された少なくとも1つの光源を含む照明システムと;照明システム及びICDに接続された制御システムとを含み、制御システムは、カメラを操作することにより発光の強度を決定し、予め決定された閾値強度及び/又は予め決定された最大戻り強度を保存し、及び発光強度と比較し、少なくとも発光強度に基づいて照明システムに電力を提供し、複数の画像を取得するようにICDを操作するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
実施形態は添付の図面を参照して説明される。
【
図1】
図1は、発光ダイオード(LED)誘導性発光蛍光体温度測定による半導体ウェハの2-D熱イメージングのためのシステムの概要図である。
【
図3】
図3は、ICD及び照明システムを共に操作するための制御システムを示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3の制御システムにより制御された照明システム及びICDの例示的実施形態を示すグラフである。
【
図5】
図5は、
図3に示す制御システムを用いて
図1に示すイメージングシステムを制御するための方法を説明する基本的なフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図3に示す制御システムを用いて
図1に示すイメージングシステムを制御するための方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、LED誘導性の発光蛍光体温度測定を行うための2-D熱イメージングシステムを説明する。本明細書に記載されたシステムは、照明システム及びICDを共に制御して周知のシステムと比較して増大された精度及びデータ分析速度を提供する制御システムを含む。
【0013】
本開示の2-D熱イメージングシステムは、半導体ウェハ温度を測定する上で議論されるが、該システムが、蛍光体でコーティングされた他の面の温度又は他の特性を測定することに関するアプリケーションに適用され得ることが理解され得る。例えば、蛍光体成分が特定のガスの濃度及び周囲圧力に感受性になり得るので、そのような特性は、ウェハに物理的に横切る必要なく測定され得る。ウェハに対する物理的接近を避けることは、処理チャンバにおける環境条件を維持する助けとなり得る。例えば、ユウロピウムがドープされた酸化イットリウム(Y2O3:Eu)は、周囲のガス相(例えばチャンバ環境)における酸素濃度に強い感受性を示す。
【0014】
図1において、上に蛍光体コーティング20を有する半導体ウェハ22の温度を測定するための蛍光体温度測定イメージングシステム100の一例示的実施形態が示されている。システム100は、データ分析システム10、ICD12、照明システム16及び半導体エッチング処理チャンバ24を含む。データ分析システム10は、汎用の又は特殊用途のコンピュータ装置(例えばパーソナルコンピュータ)を用いて提供され得る、及び/又は制御システム、校正システム、ネットワーク接続性、プログラミング機能(例えばICD12のための)等の他のコンピュータ機能を含み得る若しくは他の方法で提供し得る。ICD12は、電荷結合素子(CCD)検出器を組み込む高速度カメラであることが好ましい。ICD12は、チャンバ24の上部に設けられたウインドウ18を通して、蛍光体コーティング20による発光を受け、ICD12内の光活性領域に発光の焦点を調節するように配置されたレンズ14を含む。フィルタ(図示せず)は、レンズ14とウインドウとの間、又はレンズ14とICD12との間に設けられ得る。そのようなフィルタは、周囲光又は反射光等の望まれない光をフィルタで除去する、及びICD12における検出器にそのような光が達することを防止するために用いられ得る。以下でより詳細に議論されるように、励起光の強度が蛍光体による発光よりも実質的に高い(数桁)場合に、フィルタを含むことが好ましいことが理解され得る。照明システム16は、高強度の可視光又は紫外光(UV)の発光のためのLED26等の多くの光源を含み得る。LED26は、例えば約380nm~約450nmの波長を有する光を発する。
【0015】
異なる構造及び/又は作業機構を有し得る他のICD12も用いられ得ることが理解され得る。さらに、以下に限定されないが、レーザ、垂直共振器型面発光レーザ(VCEL)、及びノッチフィルタを含む高圧ガス電球を含む他の狭域帯照明システムが、蛍光体コーティングを照射するために用いられ得る。
【0016】
図2Aに示すように、照明システム16は、LED26が配置され得るプリント回路基板(PCB)を含み得る環状部17を含む。環状部17内の開口、通路又は孔19は、ICD12を受け且つ接続されるように適合されてもよく、それにより、照明システム16がICD12と物理的に統合される。LED26からの発光の位置、強度及び/又は出力分布パターンは、蛍光体コーティング20の表面に例えば均一な照明を提供する。
【0017】
図2Bは、
図2Aに示されるのと類似の照明システム116を示す。従って、類似の特徴のものは同一の符号の前に1を付けて識別させる。多くのLED126に加えて、この例における照明システム116は、環状部117に設けられた少なくとも1つの(好ましくは複数の)光強度検出器127を含む。そのような検出器127は、蛍光体20により発せられた波長に主に感受性があり、以下により詳細に説明されるように、制御システムに対して、蛍光体による発光が、ICD12が画像取得を開始するのに十分な強度であるかどうかを決定できるようにさせ得る。
【0018】
図3において、制御システム34は、照明システム16及びICD12のそれぞれに及びそれぞれから信号を提供する及び信号を受けるために、システム100に含まれ得る。この例において、制御システム34は、図示を簡便にするために分析システム10から分離されているように示されている。任意に、照明システム16は、制御システム34内に物理的に統合されてもよく、及び/又は制御システム34はデータ分析システム10を含む又は該システム10に統合され得る。制御システム34は、LEDドライバ又は駆動回路を含んでもよく、従って、例えば上記のようなLED26からの発光強度を調節するために、照明システム16にエネルギー制御を提供し得る。制御システム34は、ICD12及び照明システム16を制御して、蛍光体コーティング20の温度を正確に反映し且つ相対的に短い後処理時間を必要とする2-D画像を取得する。LEDドライバは、定電流又は定電圧トポロジーを利用し得る。制御システム34は、意図された操作を実行するための適切な回路を含んでもよく、外部のハードウェアに適切に適合され得る。制御システム34は、以下に限定されないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、FPGA、DC-DC変換要素、並びに電流制限及び光ストロボトポロジーを含む確実な操作を保証するための他の周知の要素を含み得る。
【0019】
図4は、LED光パルス44及び44aのそれぞれに起因する蛍光体コーティング20により発せられた光42及び42aの強度を示すグラフを示している。LED光パルス44a及びそれにより生じる発光42aの強度は、単に
図6において説明されるサイクルの第2の繰り返しを説明するために記載されており、従って、部分的にのみ示されている。グラフに示されるように、LED光パルス44は、蛍光体コーティング20の発光を引き起こし、より具体的には燐光を引き起こし、それにより光42を発する。発光42は、LED光パルス44が終わるまで(すなわちLEDパルス時間40の期間にわたって)強度が増大する。LED光パルス44の終了時、発光42は、「閾値戻り強度」43となり、その意味を以下にさらに説明する。LEDパルス時間40の後、蛍光体コーティング20は、発光を継続するが強度は低減する。LED光パルス44が終了した後、ICD12はトリガー時間48において高フレームレートで複数の画像を取得し得る。トリガー時間の期間は、非常に短くてもよく、用いられるICD12における高速度カメラのフレームレート及び/又は所望の画像の数に基づいて変更してもよい。LED光パルス44の終わりとトリガー時間48との間の時間は、トリガー遅延時間38として本明細書において呼ばれる。トリガー時間48において、発光42は、以下にさらに説明されるように、「最大戻り強度」45であり得る。
【0020】
トリガー遅延時間は、任意に負の値(すなわちLED光パルス44の完了前に生じる)を有し得る。そのような負のトリガー遅延時間は、制御システム34と共に用いられたカメラ又は他のイメージング装置の操作において固有の遅延がある場合に、望まれ得る。
【0021】
システム100の性能(例えば測定精度及びデータ分析速度)は、ICD12により受けられる光の強度に依存し得ることが実験から示されている。従って、発光の所望の閾値強度、又は閾値戻り強度は、特定の操作条件(例えば、用いられるサーモグラフィー蛍光体の型、関連する温度等)によって確立され得る。いくつかの場合において、最大戻り強度45レベルが閾値戻り強度と同一となり得ることが理解され得る。以下により詳細に説明されるように、最大戻り強度45及び閾値戻り強度は、温度測定が一貫した発光強度範囲から算出されるように、制御システム34内にプログラムされ得る。
【0022】
従って、この例では正の値であるトリガー時間48は、発光42を最大戻り強度45未満に低下させるために用いられ得る。トリガー時間48後に、発光42は、強度がゼロ若しくはゼロ付近に達するまで、及び/又は次のLED光パルス44aが開始するまで連続的に強度が低減する。LED光パルス44及び44aの間の時間は、サイクル時間又は操作頻度50と呼ばれる。低発光強度は、低い信号雑音比、温度測定精度の低減、又は正確な測定の能力の妨げを引き起こし得るため、閾値又は最小戻り強度に達することが特に重要となり得ることが理解され得る。フィルタの非存在下において、最大戻り強度が検出器の飽和強度に相当するであろう場合に、タイミングだけがICD12における検出器の飽和を防ぐために用いられ得る。しかし、これは、戻り光強度がLEDからの励起光よりも通常は数桁小さくなり得るので、実際には起こらないであろう。
【0023】
図5は、例えば制御システム34を用いてイメージングシステム100を制御するためのコンピュータ実行可能プロセスを説明するフローチャートである。まず、ステップ51において、LED26は制御システム34によって活性化される(すなわち制御システム34は照明システム16に電力を供給する)。電力が照明システム16に提供される間に、蛍光体コーティング20が光42を発する。次にステップ52において、照明システム16は制御システム34によりオフにされ(ステップ52)、トリガー遅延時間38(ステップ53)の後、ICD12が多数の画像を取得するように始動される(ステップ54)。その後、このプロセスは繰り返され得る。
【0024】
例えば、制御システム34を用いてシステム100を操作するための他のコンピュータ実行可能プロセスは、
図6におけるフローチャートにより示される。まず、ステップ60において、制御システム34は、約380nm~約450nmの波長を有するLEDパルス44を発生させるために、LED26に電力を供給する。これは、次に蛍光体コーティング20に光42を発生させる。次にステップ62において、LED26は時間40の間、活性を維持する。
図4に示すように、発光42は、時間40を通して強度を増大する。ステップ64において、発光の閾値強度43に達した場合、プロセスは66に進み、制御システム34はLED26をオフにする。そうでない場合、プロセスはステップ62に戻る。ここで、制御システム34は、閾値強度43に達するまでLED26に電力を供給できる。しかし、制御システム34は、代替的に及び連続的に、閾値戻り強度43に達するまでLED26に供給される電力を増大する。ステップ64において、ICD12を制御することにより、制御システム34は発光42の強度を測定できる。特に、制御システム34はICD12に多数の画像を撮らせることができ、制御システム34は該画像から発光42の強度を測定できる。代替的に、制御システム34は、
図2Bに示すように、照明システム116に設けられた強度検出器127を用いて発光42の強度を測定できる。ステップ66の後、プロセスはステップ68に進み、トリガー遅延時間38の間、LEDはオフのままである。ステップ70において、トリガー遅延時間38の期間は、発光42の強度が最大戻り強度45未満であるかどうかに基づいて決定され得る。発光42の強度が最大戻り強度45未満である場合、プロセスはステップ72に進み、ICD12はデータ分析システム10により処理される多数の画像を取得する(すなわち温度測定を開始する)。そうでない場合、プロセスはステップ68に戻る。プロセスは、Nサイクル繰り返されてもよく、Nは特定のアプリケーション又は環境に従って選択される整数である。
【0025】
適切と考えられる場合、説明の単純化及び明確化のために、対応する又は類似する要素を指すために符号が複数の図面の間で繰り返され得る。さらに、本明細書に記載された例の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載されている。しかし、本明細書に記載された例は、これらの特定の詳細なく実施され得ることが当業者に理解されるであろう。他の例において、周知の方法、手順及び要素は、本明細書に記載された例を不明確にしないために、詳細に説明されていない。また、詳細な説明は、本明細書に記載された例の範囲を限定するとしてみなされない。
【0026】
本明細書で用いられた例及び対応する図は、単に説明の目的のためのものであることが認識され得る。異なる構成及び用語は、本明細書で表現された原理から逸脱することなく用いられ得る。例えば、構成要素及びモジュールは、これらの原理から逸脱することなく、追加、除去、修飾、又は異なる関連で設置されてもよい。
【0027】
本明細書で記載されたフローチャート及び図におけるステップ又は操作は、単なる例である。上記原理から逸脱することなく、これらのステップ又は操作の多くの変更があり得る。例えば、ステップは異なる順序で行われてもよく、又はステップは追加、除去又は修飾されてもよい。
【0028】
上記原理は特定の例を参照して説明されているが、それらの種々の変更は添付の特許請求の範囲に説明されているように、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】