(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】傾斜可能なブーム延長部を備えるクレーン、及び起伏ブームを組み立てるための方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
B66C23/26 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529874
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2020082756
(87)【国際公開番号】W WO2021104999
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】102019131914.5
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーデマン ウルリッヒ
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205CA01
3F205DA01
3F205DA02
(57)【要約】
本発明は、メインブーム(1)と、メインブームに接続され且つ旋回部(6)及び少なくとも1つの起伏ブーム要素を有する起伏可能な起伏ブームと、少なくとも1つのガイフレーム(5)から起伏ブーム先端まで延びる起伏ブームガイと、を備える、クレーン、特にモバイルクレーンに、関する。起伏ブームガイは、組立ガイ要素(8)を起伏ブームガイから分岐させる少なくとも1つの分岐手段を、有する。組立ガイ要素は、少なくとも1つの起伏ブーム要素の組立のために、起伏ブーム旋回部に端部側で固定されている又は固定可能である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインブームと、前記メインブームに関節式で起伏可能に接続され且つ旋回部及び少なくとも1つの起伏ブーム要素を有する起伏ブームと、少なくとも1つのガイフレームから起伏ブーム先端まで延びる起伏ブームガイと、を備える、クレーン、特にモバイルクレーンであって、
前記起伏ブームガイは、組立ガイ要素を前記起伏ブームガイから分岐させる分岐手段を、少なくとも有し、前記組立ガイ要素は、前記少なくとも1つの起伏ブーム要素の組立のために、起伏ブーム旋回部に端部側で固定されている又は固定可能である、ことを特徴とするクレーン。
【請求項2】
前記分岐手段は、前記ガイフレームの領域において、前記起伏ブームガイへ導入されており、前記分岐手段は、特に、前記ガイフレームから延びる前記起伏ブームガイの第1ステーポールに、前記端部側で、直接的又は間接的に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記分岐手段は、並行に延びる前記起伏ブームガイのストランドを接続するストラットを、有し、前記ストラットの外側端部には、前記起伏ブームガイのガイ要素と前記組立ガイ要素との接続のために、接続点が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
【請求項4】
前記組立ガイ要素及び/又は起伏先端に延びる前記起伏ブームガイのガイ要素は、起伏面に対して横断して延びる回転軸回りに旋回可能な前記分岐手段に、関節式で接続されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のクレーン。
【請求項5】
前記組立ガイ要素と起伏先端に延びる前記起伏ブームガイのガイ要素とは、別個の旋回軸によって、前記分岐手段に関節式で接続されている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のクレーン。
【請求項6】
前記ガイフレームに延びる前記起伏ブームガイの第1ガイ要素は、起伏面と平行に延びる回転軸回りに、前記分岐手段に関節式で接続されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のクレーン。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のクレーンの前記メインブームの先端に前記起伏ブームを組み立てる方法であって、以下のステップによって特徴付けられる、
a.)起伏調整を含む前記起伏ブーム旋回部を組立てて、前記少なくとも1つのガイフレームを前記メインブームに構成する、
b.)前記分岐手段によって前記ガイフレームから出発して前記組立ガイ要素を前記起伏ブームガイのガイ要素に組み立てて、前記組立ガイ要素を前記起伏ブーム旋回部に固定する、
c.)前記少なくとも1つの起伏ブーム要素を前記旋回部に組み立てるための、前記起伏ブームの前記起伏調整によって、前記メインブームを起立させて、前記起伏ブーム旋回部を折り下げる、
d.)組み立てられた前記起伏ブームのヘッドピースに前記起伏ブームガイを延長して接続する、方法。
【請求項8】
前記起伏ブームガイを延長するための1つ以上の前記ガイ要素は、補助クレーンによって、受けられて組み立てられる、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの起伏ブーム要素は、先ず、上ピンを介して、前記旋回部に又は既に組み立てられた前記起伏ブーム要素に、接続されて、続いて、補助クレーンによって追跡される、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
延長された前記起伏ブームガイが、前記起伏ブームヘッドにおいて、その固定点の上で、垂直に配置されて、前記起伏ブームが、前記メインブームの後続の倒伏により、そのヘッドピースよって、置下されてグラウンドに支持されるまで、前記起伏ブームは、前記起伏ブームガイを前記ヘッドピースに接続するために、前記起伏調整及び前記組立ガイ要素によって、それまで起立される、ことを特徴とする請求項7から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記メインブームの起立及び前記起伏ブーム旋回部の折り下げの前に、荷重フックは、前記クレーンのホイストロープにおいて組み立てられており、前記起伏ブーム及び前記起伏ブームガイの組立が行われると、前記ホイストロープが既に組み立てられた前記荷重フックによって前記起伏ブームヘッドのブームヘッドトップシーブの領域へ垂直に降され得るように、前記メインブームはそれまで起立され、前記起伏ブームはそれまで倒伏される、ことを特徴とする請求項7から10のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メインブームと、前記メインブームに関節式で起伏可能に接続され且つ旋回部及び少なくとも1つの起伏ブーム要素を有する起伏ブームと、少なくとも1つのガイフレームから起伏ブーム先端まで延びる起伏ブームガイと、を備える、クレーン、特にモバイルクレーンに、関する。本発明は、同様に、そのようなクレーンを組み立てる方法に、関する。
【背景技術】
【0002】
起伏ブームの組立のために、回転中心から計算された全システムのブーム長よりも大きな余地が、一般に必要とされる。ここで、全ブームシステムが、通常、グラウンドで伸ばされて組み立てられ、第2ステップでのみセットアップされるので、これは、メインブームシステムだけ並びにメインブーム及び起伏ブームを含むシステムの両方に、当てはまる。
【0003】
これは、展開現場での狭苦しいスペース条件では不利であり、可能な限り、起立されたメインブームで起伏ブームを組み立てることが、望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、起伏ブームがセットアップメインブームと組み立てられるという点で、クレーンをセットアップするために、より小さなスペースを占める適切なクレーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、クレーム1の特徴に係るクレーン及び独立した方法クレームの特徴に係る方法によって、達成される。クレーン及び方法の有利な実施形態は、従属クレームの主題である。
【0006】
起伏システムを組み立てる本発明に係る方法は、スペース要件としてメインブーム及び起伏組立ユニットの長さのみを必要としており、公知の方法に対して約20~40%のスペースを節約できる。これは、例えば、工業プラントの環境、森林地域又は山頂での使用にて、狭苦しいスペース条件で決定的な要因であり得る。
【0007】
本発明に係るクレーンの起伏ブームガイが、組立ガイ要素、特にロープによって、起伏ブームの既に組み立てられた旋回部への起伏ブームガイの追加的な接続を可能にする少なくとも1つの分岐手段を、有することは、この点において、本方法の性能に不可欠である。起伏ブームの起伏移動は、特に、起伏ブームガイによって、原則としてガイフレームに係合する起伏ロープシステムによって、制御される。次に、起伏ブームガイ自体がまだ組み立てられていない、又はまだ完全に組み立てられていない場合に、起伏ブームの既に取り付けられた旋回部に対して起伏ロープシステムの調整力を与えることも、分岐手段によって可能である。この力は、追加的な組立ガイ要素での組立のための旋回部に対して、少なくとも一時的に直接的に作用し得る。
【0008】
用語「ガイフレーム」は、以下において、起伏ブームガイが、シングルストランドとして設計されるか、又はマルチストランドとして設計されるかにかかわらず、独立して使用される。2つのガイロープ/ステーポールが互いに平行に延びる場合、両方の平行ポールを受けるガイフレームが、通常、使用される。ガイがシングルストランドである場合、1つのサポートのみが、使用される。簡単にするために、以下では、シングルストランド又はマルチストランドのガイが存在するかどうかに関係なく、1つのガイフレームが述べられる。
【0009】
起伏ブームは、ブーム長さを形成するために順次一緒にされる複数の起伏ブーム要素から、形成される。ブームの先端に関節式で旋回可能に接続され得る第1要素は、旋回部として理解される。最後要素は、ホイストロープの撓みのために必要なローププーリを通常有するヘッドピースと、呼ばれる。
【0010】
本発明に係る設計の大きな利点は、クレーン組立のために倒伏されたメインブームでグラウンドに設置されなければならない旋回部のみを、含む。そして、起伏ブームのさらなる全ての部品セグメントは、起立されたメインブームで、空中にて組み立てられ得て、スペース要件に関して対処された利点をもたらす。これは、まだガイされていない旋回部の十分な安定化を提供するだけでなく、位置合わせのために旋回部のアクティブな調整を同時に可能にするので、これは、組立ガイ要素に起因してのみ全く可能である。
【0011】
クレーンは、好ましくは、特に格子設計のメインブームと、メインブームに関節式で起伏可能に接続された格子延長部と、を備えるモバイルクレーンである。少なくとも起伏ブームの格子構造のため、起伏ブームは、個々のセグメントに順次に組み立てられ得る。クレーンは、ブームシステムの全長がこれを必要とする場合には、デリック構造にも設計され得る。しかしながら、クレーンは、起伏ブームが組み立てられるメインブームとして、伸縮ブームをも、備え得る。伸縮ブームでは、組立中に「伸縮」するという追加的な自由度もある。
【0012】
分岐手段は、好ましくは、ガイフレームのすぐ近くで、起伏ブームガイへ導入される。分岐手段は、少なくとも第1又は正確には1つの第1ステーポールによって、ガイフレームに既に接続されていることが、考えられる。したがって、後続のステーポールは、分岐手段を介して、この第1ステーポールに接続される。
【0013】
少なくとも少なくとも1つの第1ステーポール及び/又は後続のステーポールは、好ましくは、関節式で分岐手段に接続される。組立ガイ要素は、分岐手段に回転可能に接続され得る。分岐手段をガイレームに接続する第1ステーポールは、特に、起伏面と平行に延びる回転軸回りに関節式にて分岐手段に接続されることが好ましい。後続のステーポール及び/又は組立ガイロープは、好ましくは、起伏面に対して横断して延びる回転軸を介して、関節式で接続される。後続のステーポール及び組立ガイ要素は、共通の回転軸回りに支持され得るが、しかしながら、別個の接続点が好まれる。第1ステーポールと分岐手段との組合せは、理想的には、1つのコンポーネントとしても、設計されてよい。
【0014】
分岐手段、組立ガイ手段、及びステーポール間の接続は、好ましくは、ステーポール及び/又は組立ガイ手段に設けられた対応するラグによって、行われる。
【0015】
起伏ブームガイは、好ましくは、大きなブームシステムで通例のように、複数のストランド、特にダブルストランドで、設計され得る。この場合、分岐手段は、好ましくは、平行に延び且つステーポール又は組立ガイ要素の関節接続のための外端接続点が設けられた、ガイストランドを接続する横ストラットを、有する。この場合、好ましくは、互いに平行に延び且つ端部側で横ストラットに関節式で接続されるとともに特に各コーナバーで旋回部のトップビームで係合する、2つの組立ガイ要素も設けられる。第1ステーポール、分岐手段及び横ストラットの組合せは、均一なコンポーネントとして、設計され得る。
【0016】
本発明に係るクレーンに加えて、本発明はまた、本発明に係る又は本発明の有利な実施形態に係るクレーンのメインブームの先端に起伏ブームを組み立てる方法に、関する。このような方法は、以下のステップによって、少なくとも特徴付けられる。
【0017】
起伏調整を含む起伏旋回部を組み立てて、少なくとも1つのガイフレームをメインブームに構成する。分岐手段によってガイフレームから出発して組立ガイ要素を起伏ブームガイのガイ要素に組み立てて、組立ガイ要素を起伏旋回部に固定する。少なくとも1つの起伏ブーム要素を旋回部に組み立てるための、起伏調整によって、メインブームを起立させて、起伏旋回部を折り下げる。組み立てられた起伏ブームのヘッドピースに起伏ブームガイを延長して接続する。
【0018】
ここで、クレームされた方法に係る本発明にとって重要なことは、メインブームが、先ず、起伏ブームのさらなる要素の組立のために、起立されることにある。ここで、かなり小さなスペース要件は、展開場所でのブーム組立のために占められており、狭苦しい建設現場でのクレーン展開をも、興味深いものにする。特にトップビームのピンをプラグすることによって、グラウンドに横たわるさらなる起伏ブーム要素を先ず予め組み立てることは、旋回部及び既に組み立てられた起伏ブーム部分の同時制御された折り下げによって、可能である。そして、メインブームは、現在組み立てられている要素を追跡しながら、続いてさらに起立され得て、これにより、要素は、起伏ブームの既に組み立てられた部分と自動的に面一に整列される。そして、残りのピン接続は、ボトムビームに、続いてプラグされ得る。
【0019】
クレーンは、格子構造のメインブームを有し得て、又は伸縮ブームを有し得る。伸縮ブームの場合、伸縮の自由度は、「起立」の自由度に、さらに追加される。起伏ブーム13の組立は、可能な限り内側に伸縮されるメインブームで開始され、次に、必要な外向き伸縮も、メインブームの起立に加えて、常に行われ得る(方法ステップc)。これは、グラウンドからの必要な距離を得るために、行われる。
【0020】
起伏ブームガイを延長するためのガイ要素の組立は、好ましくは、分岐手段から出発して、並行して又は時間的に多少遅れて、行われる。ガイ要素は、補助クレーンで取り上げられて、ワークプラットフォームから吊られた状態で組み立てられることが、考えられる。既に組み立てられたガイ要素は、好ましくは、分岐手段からグラウンドの方向に、ほとんど垂直下方に緩く垂れる。
【0021】
起伏ブームガイの組み立てられたガイ要素の組み立てられた起伏ブームのヘッドピースへの接続は、最後に行われる。延長された起伏ブームガイが、起伏ブームのヘッドピースにて、その固定点の上で、ほとんど垂直下方に垂れるまで、組立ガイ要素と関連する起伏調整によって、起伏ブームが先ずそれまで起立される場合、この目的のために有利である。次に、メインブームは、起伏ブームが、そのヘッドピースを介して、グラウンドに及び/又はグラウンドに立っているローラカートに、支持されるまで、それまで倒伏される。組立ガイ要素は、この処置によって解放され、起伏ブームは、ここで、グランウンドに対して完全に支持される。起伏ブームガイは、ここで、特にガイフレームの起伏調整を作動することによって、それまで降され得て、最後のガイ要素は、ヘッドピースの組立点に固定され得る。組立ガイ要素は、ここで、弛緩され得て、任意に解放され得て、又は代替的にさらなる補助ガイとして起伏ブームに組み立てられたままであり得る。
【0022】
ホイストロープは、後続して組み立てられたブームヘッドトップシーブに亘ってのみ導かれ得るので、起伏ブームの組立が行われると、先ず、メインブームの先端から降ろさせなければならない。ロープの重量力を増大するために、重量、例えば荷重フックを、メインブームの起立前のクレーンのホイストロープに、既に組み立てて、起伏旋回部を、折り下げることが、提案される。そして、起伏ブームと起伏ブームガイとの組立が行われると、メインブームは、それまで起立され得て、起伏ブームは、それまで倒伏され得て、ホイストロープは、起伏ブームヘッドのブームヘッドトップシーブに、既に設置された荷重フックと共に、垂直に降され得る。荷重フックは、続いて、フックブロックに置き換えられ得る。
【0023】
本発明のさらなる利点及び特性は、図面に示される実施形態を参照して、より詳細に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1~
図7は、本発明に係る方法による起伏システムの組立において時系列での本発明に係るクレーンの概略側面図である。
【
図2】
図1~
図7は、本発明に係る方法による起伏システムの組立において時系列での本発明に係るクレーンの概略側面図である。
【
図3】
図1~
図7は、本発明に係る方法による起伏システムの組立において時系列での本発明に係るクレーンの概略側面図である。
【
図4】
図1~
図7は、本発明に係る方法による起伏システムの組立において時系列での本発明に係るクレーンの概略側面図である。
【
図5】
図1~
図7は、本発明に係る方法による起伏システムの組立において時系列での本発明に係るクレーンの概略側面図である。
【
図6】
図1~
図7は、本発明に係る方法による起伏システムの組立において時系列での本発明に係るクレーンの概略側面図である。
【
図7】
図1~
図7は、本発明に係る方法による起伏システムの組立において時系列での本発明に係るクレーンの概略側面図である。
【
図9】
図9は、
図8に係る起伏調整のさらなる詳細表現である。
【
図10】
図10は、ロッカーの形態における分岐手段の詳細表現である。
【
図12】
図12は、分岐手段の第3実施形態のさらなる詳細表現である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るモバイルクレーンは、
図1~10に示される。モバイルクレーンは、
図7に完全に示されるように、先端に格子要素から同様に結合された起伏ブーム13が組み立てられ得る起伏可能な格子メインブーム1を、備える。メインブーム1のガイは、デリックブーム1aの補助で、行われる。2つのガイフレーム4,5は、起伏ブーム13のガイのためにメインブーム1と起伏ブーム13との間で水平軸回りに旋回可能に組み立てられており、当該ガイフレームの端部は、長さ可変起伏調整12によって、接続されている。ステーポール9は、さらに、上のガイフレーム5から起伏ブーム13のヘッドまで、延びている。フックブロック20が固定されたホイストロープは、参照番号11によってマークされている。
【0026】
クレーンの構造詳細は、メインブーム1での起伏ブームの組立のための、本発明に係る今説明された方法の文脈で、以下に説明される。
図1~7は、吊り状態において起伏ブーム13の組立のために実行される個々のステップを、時系列順に、概略的に示す。
【0027】
本発明に係る方法の説明は、通常の手順に従って横たわって組み立てられ得る、既に予め組み立てられたメインブーム1から始まる。次に、起伏組立ユニット2は、メインブームの先端に組み立てられており、
図8及び9から詳細に見られ得る。ユニット2は、2つのガイフレーム4,5を、備え、下のフレーム4は、メインブームの先端に関節式で旋回可能に接続されており、一方、第2フレームは、起伏ブーム13の旋回部6にて、平行な軸回りに旋回可能に組み立てられる。
【0028】
2つのガイフレームは、そこで組み立てられたステーポール9を介して、組み立てられたクレーン状態において起伏ブーム13の起伏角度を設定し得る起伏ロープシステム12によって、それらの自由端に接続される。したがって、第1組立ステップでは、ガイフレーム4,5とメインブーム1における旋回部とを含む、起伏組立ユニット2は、先ず組み立てられる。
【0029】
第1ステーポール9は、上のフレーム5に、追加的に既に組み立てられる。ロッカー91は、
図10に示されるように、その自由端に固定されている。ロッカー91は、第1及び第2ステーポール9,9’間の結合部材として機能するが、しかし、ガイ9から組立ガイロープ8を追加的に分岐するためのスイッチ部材としてさらに機能する。
【0030】
起伏ブーム13のためのガイ9は、平行に延び且つ対応するステーポール9’’,9’’’をそれぞれ有する2つのガイストランドを含むので、ロッカー91は、起伏面に対して横断して延び且つ個々のストランドのステーポール9,9’の関節組立のための接続点に対応する端部に設けられる、横ストラット92によって形成される。具体的には、第1ステーポール9’は、起伏面と平行に延びる回転軸回りに旋回可能な横ストラット92の端部に、関節式で接続される。そこから始まり且つ起伏ブームヘッドの方向に延びるステーポール9’’は、対照的に、起伏軸に対して横断して延びる回転軸回りに旋回可能な横ストラット92の端部に、関節式で接続される。横ストラット92から平行に延び且つしかしながらステーポール9’と比較してその旋回部がさらに外方に変位される2つのガイロープ8についても、同じことが適用される。ロッカー91の設計は、ここで、ガイロープ8とステーポール9’’とが問題なく旋回してすれ違い得るようになっている。簡単にするために、以下では、参照は、1つのストランドのみについて、常になされる、すなわち、ステーポール及び組立ガイロープ8それぞれは、単数形で話される。しかしながら、この点についての記載が、常に両方のストランドを参照することは、明らかである。ロッカー91、横ストラット92及び第1ステーポール9の組合せは、1つの構成ユニットとして設計され得る。
【0031】
起伏組立ユニット2の組立が行われると、起伏ブーム13のための起伏調整12は、先ず引っ込められ、組立ガイロープ8は、ロッカー91を介して第1ステーポール9’に接続され、したがってWAフレーム5にも直接的に接続される。組立ガイロープ8の他端は、起伏ブーム旋回部6に、実際には、トップビーム又は各コーナバーの領域において起伏ブーム旋回部6のほぼ端部に、接続される。
【0032】
次のステップでは、
図2に示されるように、ガイフレーム4,5の起立及び荷重フック10のホイストロープ11への固定が、行われる。そして、メインブーム1は、旋回部6が制御された方法で折り下げられている間に、特定の角度で起立され得る。これは、起伏調整12の長さ変化によって、及び組立ガイロープ8により移動される旋回部に対する力によって、可能になる。
【0033】
図3に示されるように、この位置で、起伏ブーム13の中間ピース7の組立が、開始される。中間ピースは、この目的のためにグラウンドにフラットに横たわっており、トップピンは、旋回部6と中間ピース7との間に、プラグされ得る。そして、中間ピースは、メインブームのさらなる起立によって起立され得て、中間ピース7は、この目的のために補助クレーンで知られているように追跡されることができ、そして、下ピンのピン接続によって空中で組み立てられることができる。さらにステーポール9’’,9’’’を組み立てることによるガイ9の延長は、続く。ステーポール9’’,9’’’は、補助クレーンでの取付手段に取り上げられて、ワークプラットフォームから組み立てられる。
【0034】
さらなる中間ピース7’(
図4参照)と起伏ブーム13のヘッドピース30との組立は、第1中間ピース7と同様に行われる。起伏ブーム13の既に組み立てられた部分は、ほぼ垂直に起立されて保持しなければならず、組立ガイロープ8は、常に張力の下で保持される。起伏調整12を介した起伏ブーム13の既に組み立てられた中間ピース7の所定の位置決めは、この方法でのみ可能である。さらなるWステーポール9’’,9’’’は、既に説明された手順と同様に、等しく組み立てられる。
【0035】
全ての中間ピース7,7’及びヘッドピースが組み立てられると、ガイ9は、起伏ブーム13のヘッドピースで、依然として組み立てられなければならない。この目的のために、起伏ブーム13は、起伏調整12及びガイロープ8の補助で、少し起立される。起立は、ガイ9又は最底ステーポール9’’’’が、起伏ブーム13のヘッドピース30でのそのピン留め点の上で、垂直になるまで、非常に長い間行われる。ヘッドピース30は、メインブーム1の後続の倒伏によって、グラウンド領域109又はローラカート110のような所定の位置に、ある。ここで、起伏ブーム13は、メインブーム1におけるその起伏軸及びそのヘッドピースの領域に、支持されており、これにより、組立ガイロープ8は、同時に緩和される(
図5,6参照)。
【0036】
ステーポール9は、起伏ブーム13のピン留め点で最底ステーポール9’’を組み立てるための、ガイフレーム5のさらなる倒伏によって、さらに降され得る。この組立のために、追加的なワークユニットは、必要とされない。個々のステーポール9’,9’’,9’’’,9’’’’からの張力の長い長さに亘って見ると、ヘッドピース30への接続を確立するための、ピン留め点の必要な水平変位は、最小である。
【0037】
そして、ガイ9のピン留めの後、荷重フック10は、降され得て、グラウンド109に置かれたフックブロック20におけるホイストロープのリービングは、行われ得る(
図6参照)。いくつかの組立室は、好ましくは、この目的のために事前に設けられており、メインブーム1は、起立されて、起伏ブーム13は、同時に倒伏される。これにより、荷重フック10は、ヘッドピース30のビームヘッドトップシーブ111の方向に、垂直に降され得る。ホイストロープ11が全く降され得るように、荷重フック10は、重量として予め取り付けられた。ホイストロープがフックブロック20に掛けられる場合、従来技術から知られているように、クレーンの最終装備は、継続され得て、メインブーム1は、完全に起立され得る。
【0038】
分岐手段の僅かに変更された実施形態は、
図11に示されており、ここでは、ガイのマルチストランド設計にもかかわらず、1つのシングル組立ガイロープ8のみが、使用される。この場合、それは、横ストラット92におけるステーポール9’の間の中央に、関節式で組み立てられる。
図12における実施形態は、シングルストランドガイを有するクレーンのために使用され得る、さらなる代替を、示す。ここに示される変形例では、しかしながら、シングルストランドガイは、平行に延びる2つの組立ガイロープ8によって、旋回接続部6に接続される。
【0039】
本発明に係る方法及びクレーンの技術的特徴及び利点は、以下のように簡単に要約され得る。
【0040】
組立ガイロープ8は、組立中に、ガイフレーム5と旋回部6との間に、所定のジオメトリを確立する。構成要素間の角度は、アクティブに影響され得る。組立ガイロープ8が無いと、ガイフレーム5と旋回部6との間の相対角度は、大きくなりすぎる可能性があり、増大された安全性は、本方法によって確保され得て、コンポーネントに対する損傷は、回避され得る。
【0041】
ステーポール9及び組立ガイロープ8は、組立中に、旋回してすれ違い得る。これは、ステーポール9’,9’’のための1つと組立ガイロープのための1つの、ダブルラグを有するガイフレーム5におけるロッカー91によって、可能になる。例えば、
図2のステーポール9’は、組立ガイロープ8に対して左隣に配置されており、一方、
図3以降では、ステーポール9’’は、右に旋回する。
【0042】
組立ガイロープ8は、クレーン動作時に、張られないが、しかし、変形例として、動作時のベアリング要素としても、設計されてよい。そして、組立ガイロープ8は、運転時に、追加的なガイとして、作用し得る。
【0043】
ロッカー13が垂直に吊り下がり得るように、メインブーム長さは、起伏ブーム長さよりも、長くなければならない。本方法は、原則として、デリック1aの有無にかかわらず使用され得て、デリック1aは、必要な起立トルクのため、より長いブームの組合せで、必要とされる。しかしながら、それは、本発明に係る方法に、不可欠ではない。
【0044】
起伏ブーム13は、ロッカー13のヘッドピース30と共に、ガイ9を閉じるために、グラウンド109又はローラカート110に置かれ得る。
【国際調査報告】