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特表2023-502759骨切り術校正方法、校正ツール、読み取り可能な記憶媒体、および整形外科手術システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】骨切り術校正方法、校正ツール、読み取り可能な記憶媒体、および整形外科手術システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20230118BHJP
   A61B 34/20 20160101ALN20230118BHJP
   A61B 17/56 20060101ALN20230118BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B34/20
A61B17/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529885
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2020092436
(87)【国際公開番号】W WO2021098176
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201911151229.4
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522200258
【氏名又は名称】マイクロポート ナビボット(スーチョウ)カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マー,ジンヤン
(72)【発明者】
【氏名】スン,フェン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,フイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘー,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ペンフェイ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL01
4C160LL28
(57)【要約】
骨切り術校正方法、校正ツール、読み取り可能な記憶媒体、および整形外科手術システムを提供する。骨切り術校正方法は、初めに、平面校正ツールを使用して現在の骨切り面の計算位置情報を取得し、その後、計画された骨切り面の所定位置情報に基づいて、計算位置情報と計画された骨切り面の所定位置情報との位置誤差を確定し、位置誤差が既定値を超える場合、ロボットアーム(2)を制御および再位置決めするために再位置決め情報を計算してロボットアーム(2)に送信する。最初の骨切り術によって形成された現在の骨切り面と計画された所定の骨切り面との間の位置誤差を比較および特定し、ロボットアーム(2)を再位置決めし、骨切り面の2次的な修正を行うことによって、骨切り面の最終的な精度を向上できる。加えて、ロボットアーム(2)の再位置決めおよび骨切り面の2次的な修正によって、骨切り術ナビゲーションツール(4)を骨に固定するための追加の骨釘を回避できる。したがって、患者の外傷面と手術時間を縮小することができる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の骨切り面に配置されている平面校正ツールの探知面の位置情報を計算し、前記探知面の前記位置情報を前記現在の骨切り面の計算位置情報として定義することと、
計画された骨切り面の所定位置情報に基づき、前記計算位置情報と前記所定位置情報との位置誤差を確定し、前記位置誤差が既定値を超える場合、再位置決め情報を計算してロボットアームに送信し、前記ロボットアームを制御して再位置決めすることと、
を備える骨切り術校正方法。
【請求項2】
前記計算位置情報は、計算法線ベクトルおよび計算位置を含み、
前記位置誤差は、
前記計画された骨切り面の所定法線ベクトルおよび所定位置に基づいて得られた前記計算法線ベクトルと前記所定法線ベクトルとの間の法線ベクトル回転行列と、
前記計算位置と前記計画された骨切り面の前記所定位置との間の位置偏差と、
を含む、請求項1に記載の骨切り術校正方法。
【請求項3】
前記法線ベクトル回転行列および前記位置偏差のうち少なくとも1つが既定値を超える場合、前記法線ベクトル回転行列および前記位置偏差に基づいて前記ロボットアームを制御して再位置決めする、請求項2に記載の骨切り術校正方法。
【請求項4】
前記探知面には、追跡可能要素が設けられ、前記探知面の前記位置情報を計算するステップは、
前記平面校正ツールの追跡可能要素座標系における前記探知面の法線ベクトルnpおよび位置PP(xp,yp,zp)に基づき、前記追跡可能要素座標系と下肢DICOMデータ座標系との間の変換行列MP→Vを用いて、前記下肢DICOMデータ座標系における前記探知面の計算法線ベクトルnVおよび計算位置Pv(xv,yv,zv)を得ることを含む、請求項1に記載の骨切り術校正方法。
【請求項5】
前記平面校正ツールは、2以上の現在の骨切り面を校正するための2以上の探知面を含み、前記探知面の少なくとも1つには追跡可能要素が設けられ、前記追跡可能要素が設けられた前記探知面は第1探知面として定義され、前記第1探知面に隣接する他の探知面は第2探知面として定義され、前記探知面の前記位置情報を計算するステップは、
前記第1探知面の位置情報を計算することと、
前記第1探知面とそれに隣接する前記第2探知面との間の第1角度を取得することと、
前記第1角度に基づいて前記第2探知面の位置情報を計算することと、
を含む、請求項1に記載の骨切り術校正方法。
【請求項6】
前記第2探知面とそれに隣接する前記第1探知面の前記追跡可能要素との間の距離は調整可能であり、前記探知面の前記位置情報を計算するステップは、
前記追跡可能要素に対する前記第2探知面の変位を取得することと、
前記第1角度および前記変位に基づいて前記第2探知面の位置情報を計算することと、
をさらに含む、請求項5に記載の骨切り術校正方法。
【請求項7】
前記平面校正ツールは、第3探知面を含み、前記第3探知面の第1側および前記第1探知面は、少なくとも1つの前記第2探知面によって離間されており、前記探知面の前記位置情報を計算するステップは、
前記第3探知面の前記第1側に隣接する探知面の位置情報を取得することと、
前記第3探知面と前記第3探知面の前記第1側に隣接する探知面との間の第2角度を取得することと、
前記第1側に配置されるとともに前記第3探知面に間接的に隣接する探知面に対する前記第3探知面の変位を取得することと、
前記第2角度および前記変位に基づいて前記第3探知面の位置情報を計算することと、を含む、請求項5に記載の骨切り術校正方法。
【請求項8】
前記探知面には追跡可能要素が設けられ、前記骨切り術校正方法は、前記探知面と前記追跡可能要素との相対位置を校正することを含む、請求項1に記載の骨切り術校正方法。
【請求項9】
先端を有する追跡可能要素を使用することで前記探知面上の複数のマーク点を校正することと、
前記追跡可能要素の反射球座標系における前記複数のマーク点の座標を取得することと、
前記探知面の実際の位置および実際の法線ベクトルを計算することと、
前記平面校正ツールが変形したかどうかを検出するために、前記実際の位置および前記実際の法線ベクトルとオリジナルデータとを比較することと、
を備える、請求項8に記載の骨切り術校正方法。
【請求項10】
少なくとも1つの探知面と、少なくとも1つの追跡可能要素とを備え、前記追跡可能要素は、少なくとも1つの前記探知面に配置され、前記追跡可能要素と前記探知面との間の相対位置が固定され、前記探知面は、現在の骨切り面上に配置されるように構成され、前記追跡可能要素は、位置決めのために構成される平面校正ツール。
【請求項11】
前記平面校正ツールは、2以上の探知面を含み、前記探知面のそれぞれには、1つの前記追跡可能要素が設けられ、全ての前記探知面は、回転可能に順に接続され、前記探知面が2よりも多い場合、前記探知面の少なくとも中間の1つの長さは調整可能である、請求項10に記載の平面校正ツール。
【請求項12】
前記平面校正ツールは、回転可能に順に接続されている2以上の探知面を含み、前記探知面の少なくとも1つには前記追跡可能要素が設けられ、前記追跡可能要素が設けられた前記探知面は第1探知面として定義され、前記第1探知面に隣接する他の探知面は第2探知面として定義され、前記第1探知面の前記追跡可能要素とそれに隣接する前記第2探知面との間の距離は固定され、隣接する第1探知面及び第2探知面の間に角度センサが配置され、前記角度センサは前記第1探知面と前記第2探知面との間の角度を検知するように構成されている、請求項10に記載の平面校正ツール。
【請求項13】
前記平面校正ツールは、回転可能に順に接続されている3以上の探知面を含み、前記探知面の少なくとも中間のものの長さが調整可能である、請求項12に記載の平面校正ツール。
【請求項14】
前記平面校正ツールは、少なくとも1つの第3探知面を含み、前記第3探知面は、第1側と前記第1側の反対側の第2側とを有し、前記第3探知面の第1側および前記第1探知面は、少なくとも1つの第2探知面によって離間されており、前記第3探知面と前記第3探知面の第1側に隣接する探知面との間に角度センサが配置され、前記第3探知面の第1側に配置されるとともに前記第3探知面に隣接する探知面に変位センサが配置され、前記変位センサは、前記第1側に配置されるとともに前記第3探知面に間接的に隣接する探知面に対する前記第3探知面の変位を検知するように構成されている、請求項12に記載の平面校正ツール。
【請求項15】
前記平面校正ツールは、回転可能に順に接続されている2以上の探知面を含み、前記探知面の少なくとも1つには前記追跡可能要素が設けられ、前記追跡可能要素が設けられた前記探知面は第1探知面として定義され、前記第1探知面に隣接する他の探知面は第2探知面として定義され、前記第1探知面の前記追跡可能要素とそれに隣接する前記第2探知面との間の距離は調整可能で、前記第1探知面に変位センサが設けられ、前記変位センサは前記追跡可能要素に対する前記第2探知面の変位を検知するように構成されている、請求項10に記載の平面校正ツール。
【請求項16】
前記平面校正ツールは、少なくとも1つの第3探知面を含み、前記第3探知面は、第1側と前記第1側の反対側の第2側とを有し、前記第3探知面の第1側および前記第1探知面は、少なくとも1つの第2探知面によって離間されており、前記第3探知面と前記第3探知面の第1側に隣接する探知面との間に角度センサが配置され、前記第3探知面の第1側に配置されるとともに前記第3探知面に隣接する探知面に変位センサが配置され、前記変位センサは、前記第1側に配置されるとともに前記第3探知面に間接的に隣接する探知面に対する前記第3探知面の変位を検知するように構成されている、請求項15に記載の平面校正ツール。
【請求項17】
プログラムを記憶している読み取り可能な記憶媒体であって、
前記プログラムは、請求項1から9のいずれか1項に記載の骨切り術校正方法を実施するためのプロセスによって実行される、読み取り可能な記憶媒体。
【請求項18】
制御装置と、
ナビゲーション装置と、
ロボットアームと、
請求項10から16のいずれか1項に記載の平面校正ツールと、
を備え、
前記ナビゲーション装置は、前記平面校正ツールの追跡可能要素とマッチして前記追跡可能要素の位置情報を取得し、前記位置情報を前記制御装置にフィードバックし、
前記制御装置は、前記平面校正ツールの追跡可能要素の位置情報に基づいて現在の骨切り面の計算位置情報を取得し、前記計算位置情報と計画された骨切り面の所定位置情報との位置誤差を確定するように構成されており、前記位置誤差が既定値を超える場合、前記制御装置は、前記ロボットアームを駆動して再位置決めする、整形外科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット支援手術システムおよび方法の分野に関し、特に、骨切り術校正方法、校正ツール、読み取り可能な記憶媒体、および整形外科手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人工関節置換手術では、骨切り術の作業精度が確保できるように、人工関節の装着前に、骨切り術のために様々なポジショナやナビゲーション装置等が必要となる。人工膝関節全置換術(TKA)の手術中に骨切り術ナビゲーションツールの位置決めを達成するように外科医を支援する様々な方法が提案されている。一般に、既存のロボット支援手術システムでは、骨切り術ツールがロボットアームの端部に配置され、骨切り術ツールの動きがロボットアームによって制御されて、膝関節形成手術中の骨切り術ツールの位置決めを実現する。しかしながら、精度はロボットアームの絶対位置決め精度によって決定し、骨切り術中に骨切り面を追跡および校正することはできず、これは手術の精度に影響を及す。加えて、骨切り術中、鋸刃が力によって鋸刃に垂直な方向に振れ、このことは計画された骨切り位置と実際の骨切り位置との間に簡単に誤差を引き起こし得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、既存の骨切り術の精度の低さの問題を解決するために、骨切り術校正方法、校正ツール、読み取り可能な記憶媒体、および整形外科手術システムを提供することである。
【0004】
上述の技術的問題点を解決するために、本発明の第1態様によると、骨切り術校正方法が提供され、
現在の骨切り面に配置されている平面校正ツールの探知面の位置情報を計算し、前記探知面の前記位置情報を前記現在の骨切り面の計算位置情報として定義することと、
計画された骨切り面の所定位置情報に基づき、前記計算位置情報と前記所定位置情報との位置誤差を確定し、前記位置誤差が既定値を超える場合、再位置決め情報を計算してロボットアームに送信し、前記ロボットアームを制御して再位置決めすることと、を備える。
【0005】
任意選択的に、骨切り術校正方法においては、前記計算位置情報は、計算法線ベクトルおよび計算位置を含み、前記位置誤差は、前記計画された骨切り面の所定法線ベクトルおよび所定位置に基づいて得られた前記計算法線ベクトルと前記所定法線ベクトルとの間の法線ベクトル回転行列と、前記計算位置と前記計画された骨切り面の前記所定位置との間の位置偏差と、を含む。
【0006】
任意選択的に、骨切り術校正方法においては、前記法線ベクトル回転行列および前記位置偏差のうち少なくとも1つが既定値を超える場合、前記法線ベクトル回転行列および前記位置偏差に基づいて前記ロボットアームを制御して再位置決めする。
【0007】
任意選択的に、骨切り術校正方法においては、前記探知面には、追跡可能要素が設けられ、前記探知面の前記位置情報を計算するステップは、前記平面校正ツールの追跡可能要素座標系における前記探知面の法線ベクトルnpおよび位置PP(xp,yp,zp)に基づき、前記追跡可能要素座標系と下肢DICOMデータ座標系との間の変換行列MP→Vを用いて、前記下肢DICOMデータ座標系における前記探知面の計算法線ベクトルnVおよび計算位置Pv(xv,yv,zv)を得ることを含む。
【0008】
任意選択的に、骨切り術校正方法においては、前記平面校正ツールは、2以上の現在の骨切り面を校正するための2以上の探知面を含み、前記探知面の少なくとも1つには追跡可能要素が設けられ、前記追跡可能要素が設けられた前記探知面は第1探知面として定義され、前記第1探知面に隣接する他の探知面は第2探知面として定義され、前記探知面の前記位置情報を計算するステップは、前記第1探知面の位置情報を計算することと、前記第1探知面とそれに隣接する前記第2探知面との間の第1角度を取得することと、前記第1角度に基づいて前記第2探知面の位置情報を計算することと、を含む。
【0009】
任意選択的に、骨切り術校正方法においては、前記第2探知面とそれに隣接する前記第1探知面の前記追跡可能要素との間の距離は調整可能であり、前記探知面の前記位置情報を計算するステップは、前記追跡可能要素に対する前記第2探知面の変位を取得することと、前記第1角度および前記変位に基づいて前記第2探知面の位置情報を計算することと、をさらに含む。
【0010】
任意選択的に、骨切り術校正方法においては、前記平面校正ツールは、第3探知面を含み、前記第3探知面の第1側および前記第1探知面は、少なくとも1つの前記第2探知面によって離間されており、前記探知面の前記位置情報を計算するステップは、前記第3探知面の前記第1側に隣接する探知面の位置情報を取得することと、前記第3探知面と前記第3探知面の前記第1側に隣接する探知面との間の第2角度を取得することと、前記第1側に配置されるとともに前記第3探知面に間接的に隣接する探知面に対する前記第3探知面の変位を取得することと、前記第2角度および前記変位に基づいて前記第3探知面の位置情報を計算することと、を含む。
【0011】
任意選択的に、骨切り術校正方法においては、前記探知面には追跡可能要素が設けられ、前記骨切り術校正方法は、前記探知面と前記追跡可能要素との相対位置を校正することを含む。
【0012】
任意選択的に、骨切り術校正方法においては、先端を有する追跡可能要素を使用することで前記探知面上の複数のマーク点を校正することと、前記追跡可能要素の反射球座標系における前記複数のマーク点の座標を取得することと、前記探知面の実際の位置および実際の法線ベクトルを計算することと、前記平面校正ツールが変形したかどうかを検出するために、前記実際の位置および前記実際の法線ベクトルとオリジナルデータとを比較することと、を備える。
【0013】
上述の技術的問題点を解決するために、本発明の第2態様によると、平面校正ツールが提供され、少なくとも1つの探知面と、少なくとも1つの追跡可能要素とを備え、前記追跡可能要素は、少なくとも1つの前記探知面に配置され、前記追跡可能要素と前記探知面との間の相対位置が固定され、前記探知面は、現在の骨切り面上に配置されるように構成され、前記追跡可能要素は、位置決めのために構成される。
【0014】
任意選択的に、前記平面校正ツールは、2以上の探知面を含み、前記探知面のそれぞれには、1つの前記追跡可能要素が設けられ、全ての前記探知面は、回転可能に順に接続され、前記探知面が2よりも多い場合、前記探知面の少なくとも中間の1つの長さは調整可能である。
【0015】
任意選択的に、前記平面校正ツールは、回転可能に順に接続されている2以上の探知面を含み、前記探知面の少なくとも1つには前記追跡可能要素が設けられ、前記追跡可能要素が設けられた前記探知面は第1探知面として定義され、前記第1探知面に隣接する他の探知面は第2探知面として定義され、前記第1探知面の前記追跡可能要素とそれに隣接する前記第2探知面との間の距離は固定され、隣接する第1探知面及び第2探知面の間に角度センサが配置され、前記角度センサは前記第1探知面と前記第2探知面との間の角度を検知するように構成されている。
【0016】
任意選択的に、前記平面校正ツールは、回転可能に順に接続されている3以上の探知面を含み、前記探知面の少なくとも中間のものの長さが調整可能である。
【0017】
任意選択的に、前記平面校正ツールは、少なくとも1つの第3探知面を含み、前記第3探知面は、第1側と前記第1側の反対側の第2側とを有し、前記第3探知面の第1側および前記第1探知面は、少なくとも1つの第2探知面によって離間されており、前記第3探知面と前記第3探知面の第1側に隣接する探知面との間に角度センサが配置され、前記第3探知面の第1側に配置されるとともに前記第3探知面に隣接する探知面に変位センサが配置され、前記変位センサは、前記第1側に配置されるとともに前記第3探知面に間接的に隣接する探知面に対する前記第3探知面の変位を検知するように構成されている。
【0018】
任意選択的に、前記平面校正ツールは、回転可能に順に接続されている2以上の探知面を含み、前記探知面の少なくとも1つには前記追跡可能要素が設けられ、前記追跡可能要素が設けられた前記探知面は第1探知面として定義され、前記第1探知面に隣接する他の探知面は第2探知面として定義され、前記第1探知面の前記追跡可能要素とそれに隣接する前記第2探知面との間の距離は調整可能で、前記第1探知面に変位センサが設けられ、前記変位センサは前記追跡可能要素に対する前記第2探知面の変位を検知するように構成されている。
【0019】
任意選択的に、前記平面校正ツールは、少なくとも1つの第3探知面を含み、前記第3探知面は、第1側と前記第1側の反対側の第2側とを有し、前記第3探知面の第1側および前記第1探知面は、少なくとも1つの第2探知面によって離間されており、前記第3探知面と前記第3探知面の第1側に隣接する探知面との間に角度センサが配置され、前記第3探知面の第1側に配置されるとともに前記第3探知面に隣接する探知面に変位センサが配置され、前記変位センサは、前記第1側に配置されるとともに前記第3探知面に間接的に隣接する探知面に対する前記第3探知面の変位を検知するように構成されている。
【0020】
上述の技術的問題点を解決するために、本発明の第3態様によると、プログラムを記憶している読み取り可能な記憶媒体が提供され、前記プログラムは、上述の骨切り術校正方法を実施するためのプロセスによって実行される。
【0021】
上述の技術的問題点を解決するために、本発明の第4態様によると、整形外科手術システムが提供され、
制御装置と、
ナビゲーション装置と、
ロボットアームと、
上述の平面校正ツールと、
を備え、
前記ナビゲーション装置は、前記平面校正ツールの追跡可能要素とマッチして前記追跡可能要素の位置情報を取得し、前記位置情報を前記制御装置にフィードバックし、
前記制御装置は、前記平面校正ツールの追跡可能要素の位置情報に基づいて現在の骨切り面の計算位置情報を取得し、前記計算位置情報と計画された骨切り面の所定位置情報との位置誤差を確定するように構成されており、前記位置誤差が既定値を超える場合、前記制御装置は、前記ロボットアームを駆動して再位置決めする。
【0022】
要約すれば、本発明によって提供される骨切り術校正方法、校正ツール、読み取り可能な記憶媒体、および整形外科手術システムは、初めに、平面校正ツールを使用して現在の骨切り面の計算位置情報を取得し、その後、計画された骨切り面の所定位置情報に基づき、計算位置情報と所定位置情報との位置誤差を確定し、位置誤差が既定値を超える場合、再位置決め情報を計算してロボットアームに送信し、ロボットアームを制御して再位置決めする。このようにして、最初の骨切り術によって形成された現在の骨切り面と計画された所定の骨切り面との間の位置誤差を比較して識別し、ロボットアームを再位置決めし、骨切り面の2次的な修正を行うことによって、骨切り面の最終的な精度を向上できる。さらに、ロボットアームを再位置決めし、骨切り面を2次的に修正することによって、ナビゲーションツールを骨に固定するための追加の骨釘を回避できる。したがって、患者の外傷面と手術時間を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
当業者は、添付の図面が本発明のより良い理解のために提供されていること、およびいかなる方法であっても本発明の範囲が限定されることはないことを理解するであろう。
図1】本発明の実施形態1による整形外科手術システムの使用による膝関節形成術の模式図である。
図2】本発明の実施形態1による骨切り術校正方法のフローチャートである。
図3】本発明の実施形態1の第1例による平面校正ツールの模式図である。
図4】本発明の実施形態1の第1例による平面校正ツールの使用法の模式図である。
図5】本発明の実施形態1の第2例による平面校正ツールの模式図である。
図6】本発明の実施形態1の第3例による平面校正ツールの模式図である。
図7】本発明の実施形態1の第3例による平面校正ツールの使用法の模式図である。
図8】本発明の実施形態1の第4例による平面校正ツールの模式図である。
図9】本発明の実施形態1の第5例による平面校正ツールの模式図である。
図10】本発明の実施形態1の第6例による平面校正ツールの模式図である。
図11】本発明の実施形態1の第7例による平面校正ツールの模式図である。
図12】本発明の実施形態1の第8例による平面校正ツールの模式図である。
図13】本発明の実施形態2の第1例による平面校正ツールの模式図である。
図14】本発明の実施形態2の第2例による平面校正ツールの模式図である。
図15】本発明の実施形態2の第3例による平面校正ツールの模式図である。
図16図15に示されているような平面校正ツールの側面図である。
図17】本発明の実施形態2の第4例による平面校正ツールの模式図である。
図18】本発明の実施形態2の第5例による平面校正ツールの模式図である。
図19】本発明の実施形態2の第6例による平面校正ツールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。図面は非常に簡略化された形態で提供されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、実施形態を説明する際の利便性および明確さを容易にすることのみを意図としていることに留意されたい。加えて、図面に示されている構造は、多くの場合、実際の構造の一部である。特に、図面の異なる強調を示す必要があり、場合によっては異なる縮尺が使用される。
【0025】
本発明で使用されているような、単数形「1つ」、「1個」、および「該」は、内容において別途指定のない限り、複数の指示対象を含む。本発明で使用されているような、「または」という用語は、内容において別途指定のない限り、一般に「および/または」を含む意味で使用される。本発明で使用されているような、「複数」という用語は、内容において別途指定のない限り、一般に「少なくとも1つ」を含む意味で使用される。本発明で使用されているような、「少なくとも2つ」という用語は、内容において別途指定のない限り、一般に「2以上」を含む意味で使用される。さらに、「第1」、「第2」、および「第3」という用語は説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を示したり暗示したり、示された技術的特徴の数を暗に示したりするものとして理解されることがあってはならない。したがって、「第1」、「第2」、および「第3」として定義される特徴には、明示的または暗黙的に1つまたは少なくとも2つの特徴が含まれてもよい。
【0026】
本発明は、既存の骨切り術の精度の低さの問題を少なくとも解決するための、骨切り術校正方法、校正ツール、読み取り可能な記憶媒体、および整形外科手術システムを提供するものである。
【0027】
骨切り術校正方法は、平面校正ツールの探知面を現在の骨切り面に配置することで探知面の位置情報を計算し(すなわち現在の骨切り面に配置されている平面校正ツールの探知面の位置情報を計算し)、探知面の位置情報を現在の骨切り面の計算位置情報として定義することと、計画された骨切り面の所定位置情報に基づき、計算位置情報と所定位置情報との位置誤差を確定し、位置誤差が既定値を超える場合、再位置決め情報を計算してロボットアームに送信し、ロボットアームを制御して再位置決めすることと、を備える。
【0028】
平面校正ツールは、少なくとも1つの探知面と、少なくとも1つの追跡可能要素とを備え、追跡可能要素は、少なくとも1つの探知面に配置され、追跡可能要素と探知面との間の相対位置が固定され、探知面は、現在の骨切り面上に配置されるように構成され、追跡可能要素は、位置決めのために構成される。
【0029】
読み取り可能な記憶媒体はプログラムを記憶しており、プログラムが実行されると、上述のような骨切り術校正方法にしたがってプログラムが実施される。
【0030】
整形外科手術システムは、制御装置と、ナビゲーション装置と、ロボットアームと、上述の平面校正ツールと、を備え、ナビゲーション装置は、平面校正ツールの追跡可能要素とマッチして追跡可能要素の位置情報を取得し、位置情報を制御装置にフィードバックし、制御装置は、平面校正ツールの追跡可能要素の位置情報に基づいて現在の骨切り面の計算位置情報を取得し、計算位置情報と計画された骨切り面の所定位置情報との位置誤差を確定するように構成されており、位置誤差が既定値を超える場合、制御装置は、ロボットアームを駆動して再位置決めする。
【0031】
このようにして、最初の骨切り術によって形成された現在の骨切り面と計画された所定の骨切り面との間の位置誤差を比較して識別し、ロボットアームを再位置決めし、骨切り面の2次的な修正を行うことによって、骨切り面の最終的な精度を向上できる。さらに、ロボットアームを再位置決めし、骨切り面を2次的に修正することによって、ナビゲーションツールを骨に固定するための追加の骨釘を回避できる。したがって、患者の外傷面と手術時間を縮小することができる。
【0032】
以下、図面を参照して説明する。
【0033】
[実施形態1]
図1から12を参照し、図1は、本発明の実施形態1により提供されている整形外科手術システムを使用する膝関節形成術の模式図である。図2は、本発明の実施形態1により提供されている骨切り術校正方法のフローチャートである。図3は、本発明の実施形態1の第1例により提供されている平面校正ツールの模式図である。図4は、本発明の実施形態1の第1例により提供されている平面校正ツールの使用方法の模式図である。図5は、本発明の実施形態1の第2例により提供されている平面校正ツールの模式図である。図6は、本発明の実施形態1の第3例により提供されている平面校正ツールの模式図である。図7は、本発明の実施形態1の第3例により提供されている平面校正ツールの使用方法の模式図である。図8は、本発明の実施形態1の第4例により提供されている平面校正ツールの模式図である。図9は、本発明の実施形態1の第5例により提供されている平面校正ツールの模式図である。図10は、本発明の実施形態1の第6例により提供されている平面校正ツールの模式図である。図11は、本発明の実施形態1の第7例により提供されている平面校正ツールの模式図である。図12は、本発明の実施形態1の第8例により提供されている平面校正ツールの模式図である。
【0034】
本発明の実施形態1は、整形外科手術システムを提供する。図1は、整形外科手術システムを使用する膝関節形成術の模式図を示す。しかしながら、本発明の整形外科手術システムは、適用環境に特に制限なく、股関節等のその他の整形外科手術にも適用できる。以下の説明では、整形外科手術システムは、例として、膝関節形成術を使用して説明されているが、本発明を限定するために使用されるべきではない。
【0035】
図1に示すように、整形外科手術システムは、制御装置、ナビゲーション装置、ロボットアーム2、および骨切り術ナビゲーションツール4を含む。制御装置は、実施形態によってはコンピュータであるが、本発明はそれに限定されない。コンピュータは、制御部、主ディスプレイ8、およびキーボード10を備えており、より好ましくは、補助ディスプレイ7も含む。本実施形態では、補助ディスプレイ7および主ディスプレイ8に表示される内容は同じであり、例えば、両方とも骨切り術位置画像を表示するために使用される。ナビゲーション装置は、電磁位置決めナビゲーション装置、光学位置決めナビゲーション装置、または電磁位置決めナビゲーション装置として選択される。本実施形態では、ナビゲーション装置は、光学位置決めナビゲーション装置である。他のナビゲーション方法と比較して、光学位置決めナビゲーションは高い計測精度を有することで、骨切り術ナビゲーションツールの位置決め精度を効果的に向上できる。以下の説明では、光学位置決めナビゲーション装置を説明の例として取り上げるが、それに限定されない。
【0036】
ナビゲーション装置は、ナビゲーションマーカーおよびトラッカー6を含む。ナビゲーションマーカーは、基部追跡可能要素15およびツール追跡可能要素3を含む。基部追跡可能要素15は固定、例えば、基部追跡可能要素15は外科用トロリー1に固定されて、基部座標系(基部追跡可能要素座標系とも呼ばれる)を提供する。ツール追跡可能要素3は、骨切り術ナビゲーションツール4の位置を追跡するために、骨切り術ナビゲーションツール4に取り付けられている。骨切り術ナビゲーションツール4は、骨切り術ナビゲーションツール4がロボットアーム2によって支持され、骨切り術ナビゲーションツール4の空間位置および姿勢が調整されるように、ロボットアーム2の端部に取り付けられている。
【0037】
実際には、トラッカー6は、ツール追跡可能要素3によって反射される信号(例えば、光信号)を捕捉し、ツール追跡可能要素3の位置(すなわち、基部追跡可能要素システム下のツール追跡可能要素の位置および姿勢)を記録するために使用される。制御装置のメモリに記憶されているコンピュータプログラムは、ツール追跡可能要素の現在の位置および所望の位置にしたがってロボットアーム2の動きを制御する。ロボットアーム2は、ツール追跡可能要素3が所望の位置に到達するように骨切り術ナビゲーションツール4およびツール追跡可能要素3を駆動して移動させる。ツール追跡可能要素3の所望の位置は、骨切り術ナビゲーションツール4の所望の位置に対応する。
【0038】
したがって、整形外科手術システムの適用のために、骨切り術ナビゲーションツール4の自動位置決めが実現でき、骨切り術ナビゲーションツール4のリアルタイム姿勢は、手術中にツール追跡可能要素3によって追跡およびフィードバックされ、骨切り術ナビゲーションツール4の位置および姿勢の調整は、ロボットアームの動きを制御することによって達成される。骨切り術ナビゲーションツール4は、高い位置決め精度を実現するだけでなく、ロボットアーム2によっても支持され、これはつまり、ナビゲーションツールを人体に固定する必要がなく、人体への2次的または更なる損傷を回避できる。
【0039】
一般に、整形外科手術システムは、外科用トロリー1およびナビゲーショントロリー9をさらに含む。制御装置およびナビゲーション装置の一部は、ナビゲーショントロリー9に取り付けられ、例えば、制御部はナビゲーショントロリー9の内側に取り付けられ、キーボード10は操作のためにナビゲーショントロリー9の外側に配置される。主ディスプレイ8、補助ディスプレイ7、およびトラッカー6のそれぞれは、ブラケットに取り付けられ、ブラケットは、ナビゲーショントロリー9に垂直に固定され、ロボットアーム2は、外科用トロリー1に取り付けられる。外科用トロリー1およびナビゲーショントロリー9の使用は、外科手術全体をより便利にする。実施形態によっては、制御装置の少なくとも一部は、外科用トロリー1および/またはナビゲーショントロリー9に配置されている。他の実施形態では、制御装置は他の独立した装置に配置されているが、本出願はそれに限定されない。
【0040】
膝関節形成手術を行う場合、本実施形態の整形外科システムの使用には、一般に、以下の操作が含まれる。初めに、外科用トロリー1とナビゲーショントロリー9を病床の隣の適切な位置に移動させる。続いて、ナビゲーションマーカー(ナビゲーションマーカーは大腿骨追跡可能要素11および脛骨追跡可能要素13も含む)、骨切り術ナビゲーションツール4、およびその他の関連コンポーネント(例えば、滅菌バッグ)を取り付ける。続いて、術者18は、例えば骨切り面の座標、プロテーゼのモデル、プロテーゼの取り付け方向、およびその他の情報を含む骨切り術計画を取得するように、患者17の骨のCT/MRスキャンモデルを術前計画のためにコンピュータにインポートする。具体的には、CT/MRスキャンから得られた患者の膝関節画像データに基づき、膝関節の3次元デジタルモデルを作成し、その後、膝関節の3次元デジタルモデルに基づいて骨切り術計画を作成することで、術者は骨切り面に応じた術前評価を行うことができる。より具体的には、骨切り術計画は、膝関節の3次元デジタルモデルならびに得られたプロテーゼのサイズ仕様および骨切り術プレートの設置位置に基づいて決定される。骨切り術計画は、最終的に、外科手術者のための基準の提供のため、骨切り面座標、骨切り量、骨切り角度、プロテーゼの仕様、プロテーゼの設置位置、手術補助具等の一連の基準データを記録し、特に、骨切り角度の選択の理由等の一連の論理的説明を含む、外科レポートの形態で出力される。その中でも、膝関節の3次元デジタルモデルは主ディスプレイ8に表示でき、術者は、キーボード10によって外科的パラメータを入力して、術前計画を容易にすることができる。術前評価後、術者18は、追跡可能要素のペンを使用して、患者の大腿骨および脛骨上の特徴点をマーキングし(すなわち、術者は、患者の大腿骨上の複数の大腿骨の解剖学的特徴点および脛骨上の複数の脛骨の解剖学的特徴点をマーキングし)、ナビゲーション装置(基部追跡可能要素15を基準とする)を使用して、患者の脛骨14および大腿骨12上の全ての特徴点の位置を記録し、全ての特徴点の位置を制御部に送信し、その後、制御部は、照合アルゴリズムによって大腿骨12および脛骨14の実際の向きを取得する。大腿骨12および脛骨14の実際の向きは、大腿骨12および脛骨14のCT/MR画像の向きと一致する。続いて、大腿骨および脛骨の実際の向きは、ナビゲーション装置を通して大腿骨および脛骨に取り付けられている対応する追跡可能要素にリンクされることで、大腿骨追跡可能要素11および脛骨追跡可能要素13は、リアルタイムで骨の実際の位置を追跡できる。手術中、骨に対する追跡可能要素の相対位置が固定されている限り、骨の動きは手術効果に影響を与えない。さらに、手術前に計画された骨切り面の座標は、ナビゲーション装置を通してロボットアーム2に送られる。ロボットアーム2がツール追跡可能要素3を通じて骨切り面の位置を特定し、所定位置に移動した後、ロボットアーム2は保持状態を維持する(すなわち、動かない)。その後、術者は、振子式鋸または電気ドリル等の手術ツール5を使用することにより、骨切り術ナビゲーションツール4を用いて骨切りおよび/またはドリル作業を行うことができる。骨切りおよびドリル作業が完了した後、術者はプロテーゼを取り付けて他の外科手術を行うことができる。
【0041】
位置決め用ロボットアームのない従来の手術およびナビゲーション手術システムは、骨切り術ナビゲーション位置決めツールの手動調整を必要とするが、これは精度が悪く、調整効率が低い。ロボットアーム位置決めナビゲーションツールを使用すると、術者は追加の骨釘で骨にナビゲーションツールを固定する必要がないため、患者の外傷面および手術時間が縮小される。
【0042】
本実施形態では、ナビゲーションマーカーは、大腿骨追跡可能要素11および脛骨追跡可能要素13をさらに含む。大腿骨追跡可能要素11は、大腿骨12の空間的位置および姿勢を特定するために使用され、脛骨追跡可能要素13は、脛骨14の空間的位置および姿勢を特定するために使用される。前述の通り、ツール追跡可能要素3は、骨切り術ナビゲーションツール4に取り付けられているが、他の実施形態では、ツール追跡可能要素3は、ロボットアーム2の端部接合部に取り付けられてもよい。
【0043】
上述の整形外科手術システムに基づいて、ロボット支援手術が実現でき、このことは、術者が骨切り位置を特定することに役立ち、骨切り術を容易にすることに役立つ。術者が整形外科手術システムまたは他の方法(ロボット支援なく手動で骨切り術を行う等)によって骨切り術を行った後、複数の骨切り面が得られる(以下、現在の骨切り面と呼ぶ)。背景技術において説明したように、現在の骨切り面の精度は、ロボットアームの位置決め精度や鋸刃の振れ等の理由により制限されている。したがって、図2に示されるように、本実施形態は、以下を含む骨切り術校正方法を提供する。
ステップS1:現在の骨切り面に配置されている平面校正ツールの探知面の位置情報を計算し、探知面の位置情報を現在の骨切り面の計算位置情報として定義する。
ステップS2:計画された骨切り面の所定位置情報に基づき、計算位置情報と所定位置情報との位置誤差を確定し、位置誤差が既定値を超える場合、再位置決め情報を計算してロボットアームに送信し、ロボットアームを制御して再位置決めする。
【0044】
上述の骨切り術校正方法を達成するために、本実施形態は平面校正ツールを提供する。平面校正ツールは、少なくとも1つの探知面と、少なくとも1つの追跡可能要素とを備え、追跡可能要素は、少なくとも1つの探知面に配置され、追跡可能要素と探知面との間の相対位置が固定され、探知面は、現在の骨切り面の位置情報を取得するために、現在の骨切り面上に配置されるように構成されている。追跡可能要素は、ナビゲーション装置とマッチし、ナビゲーション装置との間の通信接続を通じて追跡可能要素自体の位置情報を確定し、後の探知面の位置情報計算のために制御装置に提供する。ここで参照される追跡可能要素と探知面との間の相対的な位置関係は固定されているが、これら2つが固定的に接続されなくてはいけないことに限らず、むしろ組み立て後のそれらの間の相対的な位置関係が固定されている。実施形態によっては、探知面および追跡可能要素は、取り外し可能に接続されている。平面校正ツールが変形する、または探知面を交換しなくてはならない場合は、平面校正ツール全体を交換せずに、探知面を直接交換できる。さらに、整形外科手術システムは、上述のような平面校正ツールを含んでいる。ナビゲーション装置6は、平面校正ツールの追跡可能要素200とマッチして、追跡可能要素200の位置情報を取得し、その位置情報を制御装置にフィードバックする。制御装置は、平面校正ツールの追跡可能要素200の位置情報に基づいて現在の骨切り面の計算位置情報を取得し、計算位置情報と計画された骨切り面の所定位置情報との間の位置誤差を確定するように構成され、位置誤差が既定値を超える場合、制御装置はロボットアーム2を駆動して再位置決めする。具体的には、所定位置情報に位置誤差を重畳させて再位置決め情報を取得し、再位置決め情報をロボットアーム2に送信してロボットアームを再位置決めする。
【0045】
図3を参照すると、この実施形態の第1例では、平面校正ツールは、探知面および追跡可能要素200を含み、追跡可能要素200は、探知面上に配置される。以下、追跡可能要素200が配置されている探知面を第1探知面111と呼ぶ。任意選択で、追跡可能要素200は、4つの反射球201を含み、4つの反射球201は、光学ナビゲーションシステムNDI(すなわち、前述のナビゲーション装置)によって認識される幾何学的アレイを形成する。第1探知面111と追跡可能要素200との相対位置は固定されており、相対位置関係は事前に記憶装置に記憶されている。具体的には、光学ナビゲーションシステムは、追跡可能要素200上の反射球201によってフィードバックされた情報を受信/追跡するように構成され、こうして、追跡可能要素200の位置情報が取得され、その後、位置情報が制御装置に送信される。制御装置は、探知面に対する追跡可能要素の事前に記憶されている位置関係に従い、探知面の位置情報を計算し、探知面の位置情報を現在の骨切り面の計算位置情報として定義する。制御装置は、計画された骨切り面の所定位置情報(事前に記憶装置に記憶されている)に基づき、計算位置情報と所定位置情報との位置誤差を確定し、位置誤差が既定値を超える場合、再位置決め情報を計算してロボットアームに送信し、ロボットアームを制御して再位置決めする。好ましくは、第1探知面111上に3つのマーク点が提供される。平面校正ツールを使用することによって現在の骨切り面の計算位置情報を取得する前に、骨切り術校正方法は、第1探知面111と追跡可能要素200との相対位置を校正することを含む。当然、実施形態によっては、平面校正ツールを使用することによって現在の骨切り面の計算位置情報を取得した後、第1探知面111と追跡可能要素200との相対位置を校正する。実施形態によっては、先端のある追跡可能なツールを使用することによって、第1探知面111上の複数のマーク点(例えば、3つのマーク点111a)を校正することで、反射球座標系における3つのマーク点111aの座標が得られ、第1探知面111の実際の位置および実際の法線ベクトルを計算し、実際の位置および実際の法線ベクトルをオリジナルのデータ(例えば工場出荷時のデータ)と比較して、平面校正ツールが変形しているかどうかを検出する。平面校正ツールが変形している場合は、校正するまたは変形していない他の平面校正ツールと交換する。
【0046】
さらに、計算位置情報は、計算法線ベクトルおよび計算位置を含み、第1探知面111の位置情報を計算するステップは、平面校正ツールの追跡可能要素座標系(すなわち、反射球座標系)における第1探知面111の法線ベクトルnpおよび位置PP(xp,yp,zp)に基づき、追跡可能要素座標系と下肢DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine 医用デジタル画像および通信)データ座標系との間の変換行列MP→Vを用いて、下肢DICOMデータ座標系における探知面の計算法線ベクトルnVおよび計算位置Pv(xv,yv,zv)を得ることを含む。図4に示すように、任意選択で、追跡可能要素座標系と下肢DICOMデータ座標系との間で座標変換が行われる場合、大腿骨(または脛骨)追跡可能要素座標系は間接的に使用される。これは、大腿骨(または脛骨)上の追跡可能要素及び平面校正ツールの追跡可能要素200が、光学ナビゲーションシステムNDIにおいてそれぞれの位置および姿勢情報を有するからである。具体的には、まず、追跡可能要素座標系と大腿(または脛骨)追跡可能要素座標系との間の変換行列MP→Vを用いて、追跡可能要素座標系における第1探知面111の法線ベクトルnpおよび位置PP(xp,yp,zp)が、大腿骨(または脛骨)追跡可能要素座標系における法線ベクトルnBおよび位置PB(xB,yB,zB)に変換され、その後、大腿骨(または脛骨)追跡可能要素座標系の第1探知面111の法線ベクトルnBおよび位置PB(xB,yB,zB)が大腿骨(または脛骨)反射球座標系と下肢DICOMデータ座標PV(xv,yv,zv)との間の変換行列MB→Vを用いて、下肢DICOMデータ座標系における計算法線ベクトルnVおよび計算位置Pv(xv,yv,zv)に変換される。
【0047】
さらに、位置誤差は、計画された骨切り面の所定法線ベクトルおよび所定位置に基づいて得られた計算法線ベクトルと所定法線ベクトルとの間の法線ベクトル回転行列と、計算位置と計画された骨切り面の所定位置との間の位置偏差とを含む。具体的には、下肢DICOMデータ座標系における第1探知面111の計算法線ベクトルnVおよび計算位置PV(xv,yv,zv)を、それぞれ、計画された骨切り面の所定法線ベクトルn0および所定位置PO(xO,yO,zO)と比較する。2つの法線ベクトルを通じて、第1探知面111と計画された骨切り面との間のオイラー角が得られ、更に、回転行列R3×3が得られる。回転行列R3×3を用いて計画された骨切り面と平行になるように第1探知面111を回転し、2つの平面間の距離dが計算される。法線ベクトル回転行列R3×3および位置偏差dは、第1探知面111と計画された骨切り面との間の位置誤差である。第1探知面111は現在の骨切り面上に位置するため、法線ベクトル回転行列R3×3および位置偏差dは、現在の骨切り面と計画された骨切り面との間の位置誤差である。
【0048】
さらに、計算位置情報と計画された骨切り面の所定位置情報との位置偏差を確定した後、法線ベクトル回転行列R3×3(法線ベクトル回転行列R3×3がオイラー角に変換された後の各軸の回転量)および位置偏差dのうちの少なくとも1つが既定値を超える場合、所定位置情報に法線ベクトル回転行列R3×3と位置偏差dを重畳させて再位置決め情報を取得し、再位置決め情報をロボットアームに送信してロボットアームを制御して再位置決めする。当業者は、実際の状況に応じて、適切な既定値を法線ベクトル回転行列R3×3および位置偏差dにそれぞれ設定することができ、法線ベクトル回転行列R3×3および位置偏差dの少なくとも1つが設定された既定値を超える場合、最初の骨切り術によって形成された現在の骨切り面の精度が要件を満たしておらず、2回目の骨切り術が必要であることが考えられる。このように法線ベクトル回転行列R3×3および位置偏差dをロボットアーム2の再位置決めに加え、ロボットアーム2に送信してロボットアーム2を再位置決めし、さらなる骨切り術を行うことで、より正確な骨切り結果が得られる。一方、法線ベクトル回転行列R3×3および位置偏差dのそれぞれが既定値に一致する場合は、つまり、現在の骨切り面の精度が要件を満たし、外科的処置を続行できる。
【0049】
上述の説明では、4つの反射球が追跡可能要素200として概略的に使用されていることを理解されたい。反射球の配置は、図3に示すように、矩形分配に限らず、図4に示すように、木のように分配することもでき、反射球の数もまた4つに限らない。追跡可能要素200は、光学的追跡可能要素球の形態に限らないことに留意されたい。図5に示すように、本実施形態の第2例では、磁気コイル202が追跡可能要素200として使用される。具体的には、5DOFコイルを追跡可能要素200として使用でき、コイルのケーブルの端部は、SIUモジュール203に接続されている。この構成では、ナビゲーション装置はNDI磁気ナビゲーションAURORAを使用できる。このようにして、追跡可能要素200の位置情報も、コイルの位置および向きを検知することによって取得される。
【0050】
上述の骨切り術校正は、各骨切り術のステップが完了した後に行われるか、または複数の骨切り術のステップが完了した後に一度で行われることが理解されたい。骨切り術校正のタイミングは、作業習慣に応じて決定され、つまり、いつ骨切り術校正を行うかは、作業習慣に応じて決定される。実施形態によっては、平面校正ツールは、2以上の第1探知面111を含み、各第1探知面111には、追跡可能要素200が設けられ、全ての第1探知面111は、回転可能に順に接続され、第1探知面111が2よりも多い場合、第1探知面111のうちの少なくとも中間の1つの長さが調整可能である。図6および図7を参照し、本実施形態の第3例では、平面校正ツールは2つの第1探知面111を含み、各第1探知面111は、追跡可能要素200(好ましくは反射球追跡可能要素)を備え、2つの第1探知面111は、2つの現在の骨切り面を校正するために使用される。実際には、大腿骨または脛骨の端部に骨切り術を行うと、通常、その後のプロテーゼの取り付けのために複数の角度を有する骨切り面となる。本例では、2つの第1探知面111をそれぞれ2つの現在の骨切り面に配置することができる。2つの第1探知面111のそれぞれに追跡可能要素200が設けられているため、制御装置は、ナビゲーション装置6によって得られる2つの追跡可能要素200の位置情報に基づいて、2つの第1探知面111の位置情報を取得し、さらに、2つの第1探知面111に対応する2つの現在の骨切り面の計算位置情報を取得する。上述の方法を参照し、2つの現在の骨切り面の計算位置情報を取得した後、2つの現在の骨切り面の計算位置情報は、計画された骨切り面の所定位置情報と比較され、その後の2回目の骨切り術のためにさらに送信される。詳細については、ここでは繰り返されないため、前述の方法を参照する。平面校正ツールは、複数の第1探知面111を含むため、好ましくは、この例示的な例では、校正ステップは、複数の骨切り術のステップを完了した後に一度で行われてもよい。第1探知面111は回転可能に順に接続されているため、校正ステップは、各骨切りステップが完了した後に行われる。図8を参照し、本実施形態の第4例では、磁気コイル202が追跡可能要素200として使用され、各第1探知面111には、追跡可能要素200として使用される磁気コイル202が設けられている。詳細については、本実施形態の第2例を参照する。
【0051】
図9を参照すると、本実施形態の第5例では、平面校正ツールは、3つの第1探知面111を含み、各第1探知面111には、追跡可能要素200が設けられ、追跡可能要素200は、好ましくは、反射球追跡可能要素である。3つの第1探知面111は回転可能に順に接続され、第1探知面111の中間の1つの長さは、3つの現在の骨切り面の校正に対応するように調整可能である。実際には、3つの第1探知面111のそれぞれが現在の骨切り面に当接する。図10を参照し、本実施形態の第6例では、磁気コイル202が追跡可能要素200として使用され、各第1探知面111には、追跡可能要素200として磁気コイル202が設けられている。同様に、本実施形態の第7例および第8例の模式図である図11および図12を参照する。本実施形態の第7例では、平面校正ツールは、5つの第1探知面111を含み、各第1探知面111は、好ましくは反射球追跡可能要素である追跡可能要素200に接続され、5つの第1探知面111は回転可能に順に接続され、中間に位置する3つの第1探知面111の長さは、5つの現在の骨切り面を校正するために調整可能である。具体的には、3つの第1探知面111のそれぞれは伸縮装置を含む。第8例では、磁気コイル202が追跡可能要素200として使用され、各第1探知面111には、追跡可能要素200として磁気コイル202が設けられている。第5例から第8例の原理は、第3例および第4例の原理と同じである。各第1探知面111に追跡可能要素200が設けられているため、ナビゲーション装置は、各第1探知面111の位置情報を取得し、その後、各第1探知面111に対応する現在の骨切り面の計算位置情報を計算する。詳細については上記説明を参照する。
【0052】
上記方法によれば、最初の骨切り術によって形成された現在の骨切り面と計画された所定の骨切り面との位置誤差を比較して識別し、ロボットアーム2を再位置決めし、骨切り面の2次的な修正を行うことによって、骨切り面の最終的な精度を向上できる。さらに、ロボットアーム2を再位置決めし、骨切り面を2次的に修正することによって、ナビゲーションツールを骨に固定するための追加の骨釘を回避できる。したがって、患者の外傷面と手術時間を縮小することができる。当然、校正は、骨切り術が完了した直後に行うこともできるし、全ての骨切り術のステップが完了した後に一度で行うこともできる。これに基づき、本実施形態はまた、プログラムが記憶されている読み取り可能な記憶媒体を提供し、プログラムが実行される際、上述の骨切り校正方法が実施される。代替的には、上記プログラムは、整形外科手術システムの制御装置に一体化されている等、ハードウェア装置に一体化されている。
【0053】
[実施形態2]
図13から図19を参照し、図13は、本発明の実施形態2の第1例により提供されている平面校正ツールの模式図であり、図14は、本発明の実施形態2の第2例により提供されている平面校正ツールの模式図であり、図15は、本発明の実施形態2の第3例により提供されている平面校正ツールの模式図であり、図16は、図15の平面校正ツールの側面図であり、図17は、本発明の実施形態2の第4例により提供されている平面校正ツールの模式図であり、図18は、本発明の実施形態2の第5例により提供されている平面校正ツールの模式図であり、図19は、本発明の実施形態2の第6例により提供されている平面校正ツールの模式図である。
【0054】
実施形態2によって提供される骨切り術校正方法、校正ツール、読み取り可能な記憶媒体、および整形外科手術システムは、実施形態1によって提供されるものと基本的に同じである。同じ部分は説明せず、相違点のみを以下に説明する。
【0055】
実施形態2では、平面校正ツールは、回転可能に順に接続された2以上の探知面を含み、探知面の少なくとも1つには追跡可能要素200が設けられ、追跡可能要素200が設けられた探知面は第1探知面111として定義され、第1探知面111に隣接する他の探知面は、第2探知面112として定義され、第1探知面111の追跡可能要素200とそれに隣接する第2探知面112のとの間の距離は固定され、これらの探知面の間には角度センサ114が配置され、角度センサ114は第1探知面111と第2探知面112との間の角度を検知するように構成されている。さらに、平面校正ツールが、回転可能に順に接続された3以上の探知面を含む場合、探知面の少なくとも中間の1つの長さは調整可能である。
【0056】
実施形態2では、平面校正ツールは、追跡可能要素200が設けられている第1探知面111のみならず、第1探知面111に隣接する第2探知面112も含み、第2探知面には追跡可能要素200が直接的に設けられていない。上述の構成に基づいて、本実施形態で提供されている骨切り術校正方法において、第1探知面111および第2探知面112の位置情報を計算するステップは、追跡可能要素200が設けられている探知面(すなわち、第1探知面111)の位置情報を計算すること、第1探知面111と第1探知面に隣接する第2探知面112との間の角度を取得すること、および角度に応じて第2探知面112の位置情報を計算することを含む。
【0057】
図13を参照し、実施形態2の第1例では、平面校正ツールは、1つの第1探知面111および1つの第2探知面112を含む。回転可能に接続されている(すなわち、ヒンジ接続と同様)第1探知面111および第2探知面112は、2つの現在の骨切り面上にそれぞれ配置されている。第1探知面111には、追跡可能要素200が設けられている。追跡可能要素200は、好ましくは、反射球追跡可能要素である。第1探知面111と第2探知面112との間には、角度センサ114が配置されている。角度センサ114は、第1探知面111と第2探知面112との間の接続部(例えば、ヒンジ上)に配置されている。角度センサ114は、第1探知面111と第2探知面112との間の角度を検知でき、Bluetooth(登録商標)送信装置等を通してその角度のデータを制御装置に送信する。
【0058】
第1探知面111は追跡可能要素200に接続されているため、平面校正ツールの追跡可能要素座標系(すなわち、反射球座標系)における第1探知面111の法線ベクトルnp1および位置PP1(xp1,yp1,zp1)が得られる。追跡可能要素座標系の角度センサ114が取り付けられている回転軸の法線ベクトルnRのデータは工場にて校正され、すなわち、角度センサ114が取り付けられている回転軸の法線ベクトルnRは既知である。角度センサ114によって提供された第1探知面111と第2探知面112との間の角度に基づき、第1探知面111に対する第2探知面112の回転角θが得られる。この回転角は、回転軸の法線ベクトルnRを中心に回転する角度である。これにより、等価回転行列T4×4が計算でき、第2探知面112の法線ベクトルは、np2 = -np1・T4×4に基づいて計算される。実施形態によっては、第1探知面111に隣接する回転接続装置は、読み取り可能な装置であるように構成される。校正中、視覚的な読み取りが入力装置を通して制御装置の対応位置に入力され、制御装置は角度に応じて等価回転行列T4×4を計算する。
【0059】
さらに、第1探知面111の位置PP1、回転軸の位置PP0により、第2探知面112の位置PP2が、三角形の辺│PP2PP0│、│PP1PP0│および第1探知面111と第2探知面112との間の角度θによって決定される。このように、第2探知面112の位置情報は、角度センサ114によって検知された角度および第1探知面111の位置情報に基づいて計算される。
【0060】
第1探知面111および第2探知面112の位置情報は、2つの現在の骨切り面の計算位置情報を実質的に表す。2つの現在の骨切り面の計算位置情報を取得する場合、実施形態1を参照し、2つの現在の骨切り面の計算位置情報を計画された骨切り面の所定位置情報と比較および計算して、その次の2次的骨切り術を行う必要があるかどうかを確定する。詳細に関しては、ここでは省略されている上述の方法を参照する。
【0061】
図14を参照すると、実施形態2の第2例では、磁気コイル202が追跡可能要素200として使用され、追跡可能要素200が第1探知面111上に配置されている。実施形態2の第2例では、磁気コイル202は、第1例の反射球追跡可能要素に取って代わる。追跡可能要素200の特定構造および原理に関しては、実施形態1を参照する。第1探知面111および角度センサ114を使用して第2探知面112の位置情報を計算する原理に関しては、実施形態2の第1例を参照する。
【0062】
図15および図16を参照し、実施形態2の第3例では、平面較正ツールは、1つの第1探知面111および2つの第2探知面112を含む。第1探知面111は、2つの隣接する第2探知面112にそれぞれ回転可能に接続され、これらは第2探知面112、第1探知面111、第2探知面112の順番で配置される。すなわち、第1探知面111は中間に位置し、2つの第2探知面112は、第1探知面111の両側に配置され、中間に位置する第1探知面111の長さは調整可能であって、3つの現在の骨切り面の校正に適応する。角度センサ114は、第1探知面111と第2探知面112との間の接続部にそれぞれ設けられ、3つの探知面は、それぞれ、3つの現在の骨切り面に配置されるために使用される。第1探知面111には、追跡可能要素200が設けられている。追跡可能要素200は、磁気コイル202である。角度センサ114は、第1探知面111と2つの第2探知面112との間にそれぞれ設けられている。第1探知面111には、変位センサ115も設けられている。第1探知面111は、固定セクション117および伸縮セクション116(図16に示す)を含み、伸縮セクション116は、固定セクションに伸縮的に接続されている。固定セクション117には、変位センサ115のフィードバック部が設けられており、これは、伸縮セクション116と固定セクション117との間の相対距離をフィードバックするために使用される。固定セクションと伸縮セクション116との間の伸縮によれば、第1探知面111全体の長さが調整可能となる。さらに、追跡可能要素200(例では磁気コイル202)は、第1探知面111の固定セクション117上に配置されている。第1探知面111の長さの変化は、固定セクション117と伸縮セクション116との間で生じ、固定セクション117に接続されている第2探知面112と追跡可能要素200との間の距離が固定されることで、第2探知面112は、固定セクション117に対して回転することのみが可能となる。したがって、実施形態2の第1例の説明によれば、固定セクション117に接続された第2探知面の位置情報は、第1探知面111の位置情報および固定セクション117に接続されている第2探知面112と第1探知面111との間の角度に基づいて計算できる。伸縮セクション116に接続されている第2探知面112の追跡可能要素200に対する距離は、調整可能である。伸縮セクション116に接続されている第2探知面112の位置情報は、第1探知面111の位置情報から直接的に取得できない。したがって、変位センサ115も、追跡可能要素200に対する伸縮セクション116に接続されている第2探知面112の変位を表す変位情報D12を捕捉するために必要である。具体的には、第1探知面111の位置PP1、伸縮セクション116に接続されている第2探知面112および第1探知面111の回転軸の位置PP0、伸縮セクション116に接続されている第2探知面112と第1探知面111との間の角度θ12に応じて、伸縮セクション116に接続されている第2探知面112の位置PP2が三角形の辺│PP2PP0│、│PP1PP0+D12│および角度θ12によって計算される。このようにして、全ての探知面の位置情報が計算される。実施形態によっては、変位情報D12は、変位センサ115によって取得され、好ましくは、Bluetooth(登録商標)送信装置を通じて制御装置に送信される。他の実施形態では、伸縮セクション116は、ノギス等の視覚的な読み取りが可能な伸縮装置を含み、ユーザが読み取りデータを、制御装置のコンピュータユーザインターフェースの対応する位置に入力し、コンピュータ内の制御プログラムが位置偏差を自動的に計算する。実施形態によっては、各探知面間の角度センサは、読み取り可能装置である。ユーザは表示可能な角度情報を制御装置のコンピュータユーザインターフェースに入力し、コンピュータの制御プログラムは自動でオイラー角を計算する。
【0063】
他の例によっては、平面校正ツールは、2つの第1探知面111および1つの第2探知面112を含み、第2探知面112は2つの隣接する第1探知面111にそれぞれ回転可能に接続されている。第1探知面111、第2探知面112、第1探知面111の順番で配置されている。すなわち、第2探知面112は中間に位置し、2つの第1探知面111は、第2探知面112の両側に位置する。中間に位置する第2探知面112の長さは、3つの現在の骨切り面の校正に適応するように調整できる。第2探知面112と第1探知面111との2つの接続部間に、一方の接続部には1つの角度センサ114のみ設けられている。このため、第1探知面111の位置情報に基づいて第2探知面112の位置情報が計算される。したがって、この場合、変位センサを設ける必要はない。より多くの数の第1探知面111または第2探知面112が配置される場合、第2探知面112が第1探知面111のうちの少なくとも1つに隣接し、中間に配置されている第2探知面112は2つの第1探知面111に隣接しなければならないため、それに隣接する第1探知面111のうちの1つのみを選択して、角度センサ114を設定すれば、第2探知面112の位置情報を計算することができることが理解されよう。第2探知面112が全ての探知面の最初と最後に位置する場合、変位センサ115は、伸縮セクション116によって第2探知面112に接続されている第1探知面111上に配置される。具体的な原理に関しては、上記説明を参照する。
【0064】
好ましくは、平面校正ツールは、(図17および図18に示されるように)少なくとも1つの第3探知面113をさらに含む。第3探知面113は、第1側113aおよび第1側の反対側の第2側113bを有する。第1側113aは、第1探知面111に向き、第1側113aおよび第1探知面111は、少なくとも1つの第2探知面112によって離間されている。当然、実施形態によっては、互いに離間されている他の複数の第3探知面113が存在する。第3探知面113と第3探知面113の第1側113aに隣接する探知面との間には、角度センサ114が配置されている(第3探知面113の第1側113aに隣接する探知面は、第2探知面112であってもよく、他の第3探知面113であってもよい)。第3探知面113の第1側113aに配置されるとともに第3探知面113に隣接する探知面には、変位センサ115が配置されている(第3探知面113に隣接する探知面は、第2探知面112であってもよく、他の第3探知面113であってもよい)。変位センサ115は、第1側113aに配置されるとともに第3探知面113に間接的に隣接する探知面に対する第3探知面113の変位を検知するように構成されている(第3探知面113に間接的に隣接する探知面は、第1探知面111であってもよく、第2探知面112または他の第3探知面113であってもよい)。
【0065】
図17を参照し、実施形態2の第4例では、平面校正ツールは、1つの第1探知面111、1つの第2探知面112、および1つの第3探知面113を含む。第1探知面111、第2探知面112、および第3探知面113は、回転可能に順に接続されている。3つの探知面は、それぞれ3つの現在の骨切り面に配置される。第1探知面111には、追跡可能要素200が設けられている。追跡可能要素200は、選択的に、反射球追跡可能要素である。第1探知面111とそれに隣接する第2探知面112との間には、角度センサ114が配置されている。第2探知面112とそれに隣接する第3探知面113との間には、角度センサ114が配置されている。第2探知面112には、変位センサ115が設けられている。2つの角度センサ114は、それぞれ、第1探知面111と第2探知面112との間の角度、および第3探知面113と第2探知面112との間の角度を取得できる。変位センサ115は、第1側113aに配置されるとともに第3探知面113に間接的に隣接する探知面(すなわち、第1探知面111)に対する第3探知面113の変位を検知する。実施形態2の第1例に基づき、第1探知面111および第2探知面112の位置情報は、追跡可能要素200および第1探知面111と第2探知面112との間の角度に基づいて計算できる。さらに、第3探知面113と第2探知面112との間の角度、および第1探知面111に対する第3探知面113の変位に基づいて、第3探知面113の位置情報が計算される。計算の原理に関しては、実施形態2の第3例を参照する。第3探知面113の位置PP3は、第2探知面112の位置PP2に基づいて得られ、第2探知面112の位置PP2は、第1探知面111の位置PP1に基づいて得られ、第1探知面111の位置PP1は、追跡可能要素200に基づいて得られ、その結果、各探知面の位置の計算が形成される。追跡可能要素200の位置情報が得られる限り、全ての探知面の位置情報を順番に計算できる。
【0066】
図18を参照し、実施形態2の第5例では、平面校正ツールは、1つの第1探知面111、1つの第2探知面112、および3つの第3探知面113を含む。第1探知面111、第2探知面112、および3つの第3探知面113は、回転可能に順に接続され、第1探知面111に向けられた3つの第3探知面113のそれぞれの側面は、第1側113aと定義され、第1探知面111から離れた側面は、第2側113bとして定義される。5つの探知面が、それぞれ、5つの現在の骨切り面に配置されるように使用される。第1探知面111には、追跡可能要素200が設けられ、追跡可能要素200は、好ましくは反射球追跡可能要素である。第1探知面111とそれに隣接する第2探知面112との間には、角度センサ114が配置されている。第2探知面112とそれに隣接する第3探知面113との間には、角度センサ114が配置されている。全て第3探知面113の間には、角度センサ114が配置されている。最初と最後にそれぞれ位置する第1探知面111および第3探知面113を除いて、他の全ての探知面には変位センサ115が設けられている。説明を容易にするため、第2探知面112に隣接する第3探知面113は、1つ目の第3探知面113として定義される。1つ目の第3探知面113に隣接する第3探知面113は、2つ目の第3探知面113として定義される。第1探知面111から離れる方向に沿って、2つ目の第3探知面113に隣接する第3探知面113は、3つ目の第3探知面113として定義される。実施形態2の第4例に基づき、第1探知面111、第2探知面112、および1つ目の第3探知面113の位置情報が計算され、その後、1つ目の第3探知面113と2つ目の第3探知面113との間の角度、および第2探知面112に対する2つ目の第3探知面113の変位(1つ目の第3探知面113の変位センサ115によって測定)に基づき、2つ目の第3探知面113の位置情報が計算される。3つ目の第3探知面113の位置情報も同じ方法に基づいて計算できることが理解できる。
【0067】
図19を参照し、実施形態2の第6例では、平面校正ツールは、1つの第1探知面111、2つの第2探知面112、および2つの第3探知面113を含む。全ての探知面は回転可能に接続されている。探知面の配置は、第3探知面113、第2探知面112、第1探知面111、第2探知面112、第3探知面113の順番である。第1探知面111に向く第3探知面113の側面は、第1側113aとして定義され、第1探知面111から離れている第3探知面113の側面は、第2側113bとして定義される。5つの探知面は、5つの現在の骨切り面にそれぞれ配置される。第1探知面111には、追跡可能要素200が設けられる。追跡可能要素200は、好ましくは磁気コイル202である。第1探知面111とそれに隣接する2つの第2探知面112との間には、角度センサ114がそれぞれ配置されている。2つの第2探知面112とそれに隣接する第3探知面113との間には、角度センサ114が配置されている。中間に位置する第1探知面111及び2つの第2探知面112には、変位センサ115がそれぞれ配置されている。任意選択で、第1探知面111は、固定セクションおよび伸縮セクションを含み、追跡可能要素200は、第1探知面111の固定セクション上に配置されている。実施形態2の第4例に基づき、固定セグメントの側面に接続される第2探知面112および第3探知面113の位置情報を計算することができ、実施形態2の第3例に基づき、伸縮セクションの側面に接続される第2探知面112の位置情報が計算される。さらに、実施形態2の第4例に基づいて、伸縮セクションに接続されている第2探知面112の位置情報が既知であり、従って伸縮セクションの側面に接続される第3探知面113の位置情報が計算される。このようにすることで、全ての探知面の位置情報が計算される。
【0068】
任意選択で、平面校正ツールは、角度センサおよび/または変位センサによって検知されたデータを制御装置に送信するためのBluetooth(登録商標)送信機をさらに含むことで、制御装置によって計算が行われる。当然、当業者はまた、角度センサおよび/または変位センサによって検知されたデータを他の送信方法を通じて送信してもよい。
【0069】
本実施形態では、探知面の数および探知面の配置が限定されないことに留意されたい。上述の複数の例は、単なる例示であり、限定ではない。当業者は、本実施形態に開示された方法を使用して、角度センサおよび/または変位センサを適切な位置に配置して、全ての探知面の位置情報を取得してもよい。特に、追跡可能要素、角度センサ、または変位センサの構成は、必要な最小数よりもある程度の冗長性を有していてもよい。このようにして、冗長な追跡可能要素、角度センサ、または変位センサを使用し、計算された探知面の位置情報が校正できる。したがって、探知面の計算精度が向上する。本発明はそれに限定されない。
【0070】
本明細書における例示的な実施形態のそれぞれは、漸進的に説明されていることに留意されたい。それぞれが他との相違点に焦点を当てている。それらの間の同じおよび同様の部品に関しては、相互参照する。加えて、例示的な実施形態の異なる部品を組み合わせて使用することもでき、本発明においてこれは限定されない。
【0071】
要約すれば、本発明によって提供される骨切り術校正方法、校正ツール、読み取り可能な記憶媒体、および整形外科手術システムは、初めに、平面校正ツールを使用して現在の骨切り面の計算位置情報を取得し、その後、計画された骨切り面の所定位置情報に基づき、計算位置情報と所定位置情報との位置誤差を確定し、位置誤差が既定値を超える場合、再位置決め情報を計算してロボットアームに送信し、ロボットアームを制御して再位置決めする。このようにして、最初の骨切り術によって形成された現在の骨切り面と計画された所定の骨切り面との間の位置誤差を比較して識別し、ロボットアームを再位置決めし、骨切り面の2次的な修正を行うことによって、骨切り面の最終的な精度を向上できる。さらに、ロボットアームを再位置決めし、骨切り面を2次的に修正することによって、ナビゲーションツールを骨に固定するための追加の骨釘を回避できる。したがって、患者の外傷面と手術時間を縮小することができる。
【0072】
上記説明は、本発明の実施形態の説明にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。上述の開示にしたがって発明の技術分野の当業者によって行われるいかなる変更および修正も、特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0073】
1:外科用トロリー
2:ロボットアーム
3:ツール追跡可能要素
4:骨切り術ナビゲーションツール
5:振子式鋸
6:NDIナビゲーション装置
7:補助ディスプレイ
8:主ディスプレイ
9:ナビゲーショントロリー
10:キーボード
11:大腿骨追跡可能要素
12:大腿骨
13:脛骨追跡可能要素
14:脛骨
15:基部追跡可能要素
17:患者
18:術者
111:第1探知面
111a:マーク点
112:第2探知面
113:第3探知面
113a:第1側
113b:第2側
114:角度センサ
115:変位センサ
116:伸縮セクション
117:固定セクション
200:追跡可能要素
201:反射球
202:磁気コイル
203:SIUモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】