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特表2023-502767フロントガラスに光学フィルムをラミネートするためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】フロントガラスに光学フィルムをラミネートするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
B29C63/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530143
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 IB2020061093
(87)【国際公開番号】W WO2021105879
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201922053082.7
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】エイスミン,リャン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】フラネイ,エイリーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マシュー ビー.
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AC03
4F211AD04
4F211AG01
4F211AH17
4F211AR02
4F211AR04
4F211SA07
4F211SC01
4F211SD01
4F211SD16
4F211SJ01
4F211SJ11
4F211SN01
4F211SP01
4F211SP04
(57)【要約】
フロントガラスに光学フィルムをラミネートするためのシステムが提供される。光学フィルムは、光学フィルムの底面上に配置されている光学的に透明な接着剤を含む。本システムは、光学フィルムを光学フィルムの外周に沿って保持するための、複数のクランプを含む、クランプ構成を含む。複数のクランプのそれぞれは、光学フィルムに対して張力を加えるように適合されている。本システムはまた、フロントガラスを固定具上に支持するための支持構造体を含む、固定具も含む。支持構造体の上面の形状は、フロントガラスの形状と同様である。本システムは、光学フィルムに対して加えられる張力に基づいて、光学フィルムがフロントガラスの形状に適合するように、光学フィルムとフロントガラスとの接触をもたらすように適合されている、押圧機構を更に含む。更には、光学的に透明な接着剤は、光学フィルムをフロントガラスと接合するように適合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントガラスに光学フィルムをラミネートするためのシステムであって、前記光学フィルムが、前記光学フィルムの底面上に配置されている光学的に透明な接着剤を有し、前記システムは、
前記光学フィルムを前記光学フィルムの外周に沿って保持するための、複数のクランプを含む、クランプ構成であって、前記複数のクランプのそれぞれが、前記光学フィルムに対して張力を加えるように適合されている、クランプ構成と、
固定具であって、前記フロントガラスを前記固定具上に支持するための支持構造体を含み、前記支持構造体の上面の形状が、前記フロントガラスの形状と同様である、固定具と、
前記光学フィルムに対して加えられる前記張力に基づいて、前記光学フィルムが前記フロントガラスの前記形状に適合するように、前記光学フィルムと前記フロントガラスとの接触をもたらすように適合されている、押圧機構と、
を備え、前記光学的に透明な接着剤が、前記光学フィルムを前記フロントガラスと接合するように適合されている、
システム。
【請求項2】
前記押圧機構が、前記フロントガラスに対して前記光学フィルムを押圧するために、前記クランプ構成を前記支持構造体に向けて移動させるように更に適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記押圧機構が、約10kPa~約1000kPaの圧力で、前記フロントガラスに対して前記光学フィルムを押圧するように更に適合されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記押圧機構が、前記光学フィルムに対して前記フロントガラスを押圧するために、前記支持構造体を前記クランプ構成に向けて移動させるように更に適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記押圧機構が、約10kPa~約1000kPaの圧力で、前記光学フィルムに対して前記フロントガラスを押圧するように更に適合されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記クランプ構成が、前記光学フィルムに対して約100MPaの最大張力を加えるように更に適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記光学フィルムの温度を上昇させるための加熱モジュールを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記クランプ構成が、前記光学フィルムと前記フロントガラスとの接触時に、前記複数のクランプのそれぞれによって前記光学フィルムに対して加えられる前記張力を増大させるように更に適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記押圧機構が、液圧プレス及び機械プレスのうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記フロントガラスに前記光学フィルムをラミネートするために、前記光学フィルムに対して圧力を加えるように適合されている、ローラ機構を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ローラ機構が、少なくとも1つのローラを更に含み、前記少なくとも1つのローラが、約10kPa~約1000kPaの圧力で前記光学フィルムに接触する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記押圧機構が、前記光学フィルムの中央部分と前記フロントガラスの中央部分との接触に基づいて、前記光学フィルムと前記フロントガラスとの最初の接触点を確立するように更に適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記押圧機構が、前記光学フィルムの縁部と前記フロントガラスの縁部との接触に基づいて、前記光学フィルムと前記フロントガラスとの最初の接触点を確立するように更に適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記光学フィルムが、前記フロントガラスに真空環境下でラミネートされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
フロントガラスに光学フィルムをラミネートする方法であって、前記光学フィルムが、前記光学フィルムの底面上に配置されている光学的に透明な接着剤を有し、前記方法は、
複数のクランプを含むクランプ構成であって、前記複数のクランプのそれぞれが、前記光学フィルムに対して張力を加えるように適合されている、クランプ構成を使用して、前記光学フィルムを前記光学フィルムの外周に沿って保持することと、
支持構造体であって、前記支持構造体の上面の形状が、前記フロントガラスの形状と同様である、支持構造体を含む固定具上に前記フロントガラスを支持することと、
前記光学フィルムに対して加えられる前記張力に基づいて、前記光学フィルムが前記フロントガラスの前記形状に適合するように、前記光学フィルムと前記フロントガラスとの接触をもたらすよう、前記クランプ構成及び前記支持構造体のうちの少なくとも一方を押圧機構を使用して移動させることと、
を含み、前記光学的に透明な接着剤が、前記光学フィルムを前記フロントガラスと接合するように適合されている、
方法。
【請求項16】
前記フロントガラスに対して前記光学フィルムを押圧するために、前記クランプ構成を前記支持構造体に向けて移動させることと、
前記支持構造体を静止させたまま保つことと、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光学フィルムに対して前記フロントガラスを押圧するために、前記支持構造体を前記クランプ構成に向けて移動させることと、
前記クランプ構成を静止させたまま保つことと、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
加熱モジュールを使用して前記光学フィルムの温度を上昇させることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記光学フィルムと前記フロントガラスとの接触時に、前記複数のクランプのそれぞれによって前記光学フィルムに対して加えられる前記張力を増大させることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記光学フィルムを前記フロントガラスに真空環境化でラミネートすることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
フロントガラスに光学フィルムをラミネートするためのシステムであって、前記光学フィルムが、前記光学フィルムの底面上に配置されている光学的に透明な接着剤を有し、前記システムは、
前記光学フィルムを前記光学フィルムの外周に沿って保持するための、複数のクランプを含む、クランプ構成であって、前記複数のクランプのそれぞれが、前記光学フィルムに対して張力を加えるように適合されている、クランプ構成と、
固定具であって、前記フロントガラスを前記固定具上に支持するための支持構造体を含み、前記支持構造体の上面の形状が、前記フロントガラスの形状と同様である、固定具と、
前記光学フィルムに対して加えられる前記張力に基づいて、前記光学フィルムが前記フロントガラスの前記形状に適合するように、前記光学フィルムと前記フロントガラスとの接触をもたらすように適合されている、押圧機構と、
を備え、前記光学的に透明な接着剤が、前記光学フィルムを前記フロントガラスと接合するように適合されており、前記押圧機構が、前記クランプ構成及び前記支持構造体のうちの少なくとも一方の移動に基づいて、前記光学フィルムと前記フロントガラスとの接触をもたらすように適合されている、
システム。
【請求項22】
前記光学フィルムの温度を上昇させるための加熱モジュールを更に備える、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フロントガラスへの光学フィルムのラミネート(lamination)に関し、より詳細には、フロントガラスに光学フィルムをラミネートするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントガラスは、仮想現実ヘッドアップディスプレイをフロントガラス上に組み込むことができるように、典型的には、多層光学フィルム又はウィンドウコンバイナフィルム(window combiner film)などの、光学フィルムでラミネートされている。光学フィルムは、ゴーストの排除を可能にし、より広い視野角を可能にする、単一反射面として機能する。フロントガラスに光学フィルムをラミネートするプロセスは、フロントガラスの三次元湾曲に起因する問題を提起する。更には、フロントガラスに光学フィルムをラミネートするために現在使用されているプロセスは、ラミネートする間に光学フィルムの座屈を引き起こす恐れがあり、このことは望ましいものではない。それゆえ、より容易で確実な、フロントガラスへの光学フィルムのラミネートを可能にする、改善されたシステム及び方法を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0003】
全般的に、本開示は、フロントガラスへの光学フィルムのラミネートに使用される、システム及び方法に関する。
【0004】
本開示のいくつかの実施形態は、フロントガラスに光学フィルムをラミネートするためのシステムに関する。光学フィルムは、光学フィルムの底面上に配置されている光学的に透明な接着剤を含む。本システムは、光学フィルムを光学フィルムの外周に沿って保持するための、複数のクランプを含む、クランプ構成を含む。複数のクランプのそれぞれは、光学フィルムに対して張力を加えるように適合されている。本システムはまた、フロントガラスを固定具上に支持するための支持構造体を含む、固定具も含む。支持構造体の上面の形状は、フロントガラスの形状と同様である。本システムは、光学フィルムに対して加えられる張力に基づいて、光学フィルムがフロントガラスの形状に適合するように、光学フィルムとフロントガラスとの接触をもたらすように適合されている、押圧機構を更に含む。更には、光学的に透明な接着剤は、光学フィルムをフロントガラスと接合するように適合されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、押圧機構は、フロントガラスに対して光学フィルムを押圧するために、クランプ構成を支持構造体に向けて移動させるように更に適合されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、押圧機構は、約10kPa~約1000kPaの圧力で、フロントガラスに対して光学フィルムを押圧するように更に適合されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、押圧機構は、光学フィルムに対してフロントガラスを押圧するために、支持構造体をクランプ構成に向けて移動させるように更に適合されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、押圧機構は、約10kPa~約1000kPaの圧力で、光学フィルムに対してフロントガラスを押圧するように更に適合されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、クランプ構成は、光学フィルムに対して約100MPaの最大張力を加えるように更に適合されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、本システムは、光学フィルムの温度を上昇させるための加熱モジュールを更に含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、クランプ構成は、光学フィルムとフロントガラスとの接触時に、複数のクランプのそれぞれによって光学フィルムに対して加えられる張力を増大させるように更に適合されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、押圧機構は、液圧プレス及び機械プレスのうちの少なくとも一方を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本システムは、フロントガラスに光学フィルムをラミネートするために、光学フィルムに対して圧力を加えるように適合されている、ローラ機構を更に含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ローラ機構は、少なくとも1つのローラを更に含み、少なくとも1つのローラは、約10kPa~約1000kPaの圧力で光学フィルムに接触する。
【0015】
いくつかの実施形態では、押圧機構は、光学フィルムの中央部分とフロントガラスの中央部分との接触に基づいて、光学フィルムとフロントガラスとの最初の接触点を確立するように更に適合されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、押圧機構は、光学フィルムの縁部とフロントガラスの縁部との接触に基づいて、光学フィルムとフロントガラスとの最初の接触点を確立するように更に適合されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、光学フィルムは、真空環境下でフロントガラスにラミネートされる。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態は、フロントガラスに光学フィルムをラミネートする方法に関する。光学フィルムは、光学フィルムの底面上に配置されている光学的に透明な接着剤を含む。本方法は、複数のクランプを含むクランプ構成を使用して、光学フィルムを光学フィルムの外周に沿って保持することを含む。複数のクランプのそれぞれは、光学フィルムに対して張力を加えるように適合されている。本方法はまた、支持構造体を含む固定具上にフロントガラスを支持することも含む。支持構造体の上面の形状は、フロントガラスの形状と同様である。本方法は、光学フィルムに対して加えられる張力に基づいて、光学フィルムがフロントガラスの形状に適合するように、光学フィルムとフロントガラスとの接触をもたらすよう、クランプ構成及び支持構造体のうちの少なくとも一方を押圧機構を使用して移動させることを更に含む。光学的に透明な接着剤は、光学フィルムをフロントガラスと接合するように適合されている。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態は、フロントガラスに光学フィルムをラミネートするためのシステムに関する。光学フィルムは、光学フィルムの底面上に配置されている光学的に透明な接着剤を含む。本システムは、光学フィルムを光学フィルムの外周に沿って保持するための、複数のクランプを含む、クランプ構成を含む。複数のクランプのそれぞれは、光学フィルムに対して張力を加えるように適合されている。本システムはまた、フロントガラスを固定具上に支持するための支持構造体を含む、固定具も含む。支持構造体の上面の形状は、フロントガラスの形状と同様である。本システムは、光学フィルムに対して加えられる張力に基づいて、光学フィルムがフロントガラスの形状に適合するように、光学フィルムとフロントガラスとの接触をもたらすように適合されている、押圧機構を更に含む。光学的に透明な接着剤は、光学フィルムをフロントガラスと接合するように適合されている。更には、押圧機構は、クランプ構成及び支持構造体のうちの少なくとも一方の移動に基づいて、光学フィルムとフロントガラスとの接触をもたらすように適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下の図に関連して以下の「発明を実施するための形態」を検討することで、本明細書に開示される例示的な実施形態を、より完全に理解することができる。図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図中で使用されている同様の番号は、同様の構成要素を指す。複数の同様の要素が存在する場合、特定の要素を指す小文字の指定を使用して、単一の参照番号を、複数の同様の要素のそれぞれに割り当てることができる。要素を一括して参照する場合、又は、非特定的な1つ以上の要素を参照する場合、小文字の指定を削除することができる。しかしながら、所与の図において、或る構成要素を指すために或る番号を使用することは、別の図において、その構成要素が同じ番号で標識されるように限定することを意図するものではない点が理解されよう。
【0021】
図1】本開示の一実施形態による、フロントガラスと、フロントガラスにラミネートされる光学フィルムとの斜視図である。
図2】本開示の一実施形態による、図1に示されるフロントガラスに光学フィルムをラミネートするためのシステムの斜視図である。
図3】本開示の一実施形態による、図1に示される光学フィルムに対して張力を加えるためのクランプ構成と、光学フィルムの温度を上昇させるための加熱モジュールとを示す、例示的なセットアップの斜視図である。
図4図3に示されるクランプ構成のクランプによって保持されている光学フィルムを示す概略図である。
図5】本開示の一実施形態による、フロントガラスへ光学フィルムをラミネートするための、図3及び図4に示されるクランプ構成を移動させるための押圧機構を示す概略図である。
図6】本開示の一実施形態による、図1に示されるフロントガラスへ光学フィルムをラミネートするための、支持構造体を移動させるための押圧機構を示す、例示的なセットアップの概略図である。
図7】本開示の一実施形態による、図1に示されるフロントガラスへ光学フィルムをラミネートするためのローラ機構を示す、例示的なセットアップの概略図である。
図8】本開示の一実施形態による、図1に示されるフロントガラスへ光学フィルムをラミネートするためのローラ機構を示す、例示的なセットアップの概略図である。
図9】本開示の一実施形態による、フロントガラスに光学フィルムをラミネートする方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明では、説明の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示されている、添付図面が参照される。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施されてもよい点を理解されたい。それゆえ、以下の「発明を実施するための形態」は、限定的な意味で解釈されるものではない。
【0023】
本開示は、フロントガラスに光学フィルムをラミネートするための方法及びシステムに関する。そのようなフロントガラス上での仮想現実ヘッドアップディスプレイを可能にするために、当該方法及びシステムを使用して、自動車のフロントガラスをラミネートすることができる。当該方法及びシステムは、光学的に透明な感圧性接着剤でコーティングされている、多層光学フィルム又はウィンドウコンバイナフィルムを、三次元のフルサイズフロントガラスにラミネートするために使用されてもよい。本システムは、ラミネートプロセスの間に光学フィルムの座屈を誘発することなく、光学フィルムが伸張してフロントガラスの形状に適合するように、張力下で光学フィルムを保持するための、クランプ構成を含む。いくつかの実施例では、光学フィルムを軟化させるために、光学フィルムを加熱してもよく、このことにより、光学フィルムがフロントガラスに容易に適合することを可能とし得る。
【0024】
図1は、例示的なフロントガラス100と、フロントガラス100にラミネートされる光学フィルム102とを示す。フロントガラス100は、自動車において使用することが可能な、三次元のフルサイズフロントガラスとして具現化することができる。フロントガラス100は、湾曲を画定している。一実施例では、フロントガラス100は、ガラスから作製することができる。更には、フロントガラス100は、(図3に示される)第1の表面104と、第1の表面104の反対側に配置されている第2の表面106とを画定している。フロントガラス100は、第1の縁部128と、第1の縁部128の反対側に配置されている第2の縁部130とを画定している。本明細書で示されているフロントガラス100のサイズ及び形状は、本質的に例示的なものであり、フロントガラス100のサイズ及び形状は、適用要件に従って変化し得る点に留意されたい。
【0025】
更には、光学フィルム102は、仮想現実ヘッドアップディスプレイの組み込みを可能にし、ゴーストを排除し、より広い視野角を可能にする、当該技術分野で周知の光学フィルムを具現化し得る。一実施例では、光学フィルム102は、単一反射面を提供する多層光学フィルムを含み得る。別の実施例では、光学フィルム102は、ウィンドウコンバイナフィルムを含み得る。いくつかの実施例では、光学フィルム102のサイズは、フロントガラス100のサイズよりも大きくてもよい。そのような実施例では、光学フィルム102の寸法が、フロントガラス100の寸法と適合するように、光学フィルム102に仕上げプロセスを施すことができる。
【0026】
更には、光学フィルム102は、外周108、上面110、及び、上面110の反対側に配置されている底面112を画定している。光学フィルム102はまた、第1の縁部114、第1の縁部114に平行な第2の縁部116、第1の縁部114と第2の縁部116との間に延びている第3の縁部118、及び、第3の縁部118に平行な第4の縁部120を画定している。光学フィルム102は、光学フィルム102の底面112上に配置されている、(図4に示される)光学的に透明な接着剤122を含む。光学的に透明な接着剤122は、光学フィルム102をフロントガラス100と接合するように適合されている。より詳細には、光学的に透明な接着剤122は、フロントガラス100の第1の表面104を、光学フィルム102の底面112と接合する。一実施例では、光学的に透明な接着剤122は、感圧性の光学的に透明な接着剤として具現化することができる。
【0027】
図2を参照すると、本開示は、フロントガラス100に光学フィルム102をラミネートするためのシステム200に関する。システム200は、クランプ構成202、固定具228、支持構造体230、及び押圧機構224を含む。図示の実施形態では、押圧機構224は、ラミネートプロセスの間に、光学フィルム102とフロントガラス100との接触を可能にするために、クランプ構成202の移動を開始させるように、クランプ構成202に関連付けられている。あるいは、押圧機構224は、ラミネートプロセスの間に、光学フィルム102とフロントガラス100との接触を可能にするために、支持構造体230を移動させることもできる。
【0028】
図3に示されるように、システム200は、クランプ構成202を含む。クランプ構成202は、光学フィルム102を、光学フィルム102の(図1に示される)外周108に沿って保持するための、複数のクランプ204、206、208、210を含む。複数のクランプ204、206、208、210のそれぞれは、光学フィルム102に対して張力を加えるように適合されている。クランプ構成202自体が、光学フィルム102に対して張力を加えるための機構を含み得る点に留意されたい。例えば、張力を加えるための機構は、光学フィルム102を伸張させるために、外向きの方向にクランプ204、206、208、210の移動を可能にする、1つ以上の構成要素を含み得る。更には、クランプ構成202は、光学フィルム102とフロントガラス100との接触時に、複数のクランプ204、206、208、210のそれぞれによって光学フィルム102に対して加えられる張力を増大させるように適合されている。より詳細には、クランプ構成202によって光学フィルム102に対して加えられる張力は、光学フィルム102とフロントガラス100とが互いに接触する前は、最小限である。更には、張力は、光学フィルム102とフロントガラス100とが互いに対して押圧されるにつれて、徐々に増大する。いくつかの実施例では、クランプ構成202は、光学フィルム102に対して約100MPa(Megapascal;メガパスカル)の最大張力を加えるように適合されている。クランプ構成202はまた、概して矩形の形状である、フレーム212も含む。光学フィルム102は、クランプ204、206、208、210、及びフレーム212によって保持される。
【0029】
一実施例では、クランプ構成202は、10個のクランプ204、206、208、210を含む。しかしながら、クランプ204、206、208、210の総数は、光学フィルム102の寸法に従って変化し得る。図示の実施例では、クランプ構成202は、光学フィルム102の第1の縁部114に配置されている2つのクランプ204と、光学フィルム102の第2の縁部116に配置されている2つのクランプ206とを含む。更には、クランプ構成202は、光学フィルム102の第3の縁部118に配置されている3つのクランプ208と、光学フィルム102の第4の縁部120に配置されている3つのクランプ210とを含む。図4に示されるように、クランプ構成202は、第1の軸「A1」に沿って、クランプ204とクランプ206との間に等しい距離「B1」を、維持するように適合されている。更には、クランプ204とクランプ206との間の等しい距離「B1」はまた、光学フィルム102に対して張力を加えている間も維持される。更には、クランプ構成202は、第2の軸「A2」に沿って、クランプ208とクランプ210との間に等しい距離「B2」を、維持するように適合されている。更には、クランプ208とクランプ210との間の等しい距離「B2」はまた、光学フィルム102に対して張力を加えている間も維持される。クランプ204、206、208、210は、光学フィルム102の平面に沿って、すなわち、第1の軸「A1」及び第2の軸「A2」に沿って、張力を加えることができる。
【0030】
クランプ204、206、208、210は、様々な厚さの光学フィルムに適応するための、当技術分野において周知の調整可能なクランプとして具現化することができる。更には、クランプ204、206、208、210のそれぞれは、それぞれ、(図3に示される)バー216、218、220、222を含み、これらのバーは、押圧機構224(図2参照)への、及び/又は、光学フィルム102に対して張力を加えるための、クランプ構成202に関連付けられている機構(図示せず)への、対応するクランプ204、206、208、210の取り付けを可能にする。クランプ204、206、208、210、及びバー216、218、220、222は一体となって、フロントガラス100に対する光学フィルム102の懸架及び位置合わせを可能にする(図1及び図2を参照)。
【0031】
ここで図5を参照すると、図示の実施形態では、クランプ構成202は、ラミネートプロセスの間に、フロントガラス100に対して光学フィルム102を押圧するために移動可能である。クランプ構成202は、概して垂直軸として具現化されている、第3の軸「A3」に沿って移動可能である。より詳細には、押圧機構224は、クランプ構成202、及び、クランプ204、206、208、210によって保持されている光学フィルム102(図3及び図4を参照)の移動を、開始させるように適合されている。別の実施形態では、クランプ構成202を、(図6に示されるように)静止させて保持することができる。そのような実施形態では、クランプ204、206、208、210は、対応するバー216、218、220、222(図3を参照)を介して、システム200のフレームに固定的に取り付けられてもよい。
【0032】
更には、システム200はまた、加熱モジュール226も含む。加熱モジュール226は、光学フィルム102の温度を上昇させる。より詳細には、加熱モジュール226は、光学フィルム102が張力を受けているときに、光学フィルム102に熱を加えるために使用される。一実施例では、ラミネートプロセスの間に光学フィルム102が晒される温度は、室温~摂氏200度の間にあってもよい。熱の適用は、光学フィルム102を軟化させ、光学フィルム102がフロントガラス100と容易に適合することを可能にする。加熱モジュール226は、当該技術分野において周知であり得る、任意の伝導性、放射性、及び/又は対流性の熱源を含み得る。
【0033】
システム200は、固定具228を含む。固定具228は、フロントガラス100を固定具上に支持するための、支持構造体230を含む。支持構造体230の上面232の形状は、フロントガラス100の形状と同様である。より詳細には、支持構造体230は、フロントガラス100を受けるために、フロントガラス100の湾曲に対応する、上面232の湾曲を画定している。図示の実施形態では、固定具228及び支持構造体230は、静止構成要素として具現化されている。固定具228及び支持構造体230は、システム200のフレームに固定的に取り付けられてもよい。あるいは、固定具228及び/又は支持構造体230は、ラミネートプロセスの間に、
フロントガラス100を光学フィルム102に押し付けるために、押圧機構224によって移動可能であり得る。
【0034】
システム200はまた、光学フィルム102に対して加えられる張力に基づいて、光学フィルム102がフロントガラス100の形状に適合するように、光学フィルム102とフロントガラス100との接触をもたらすように適合されている、押圧機構224も含む。押圧機構224は、クランプ構成202及び支持構造体230のうちの少なくとも一方の移動に基づいて、光学フィルム102とフロントガラス100との接触をもたらすように適合されている。押圧機構224は、光学フィルム102の中央部分124とフロントガラス100の中央部分126との接触に基づいて、光学フィルム102とフロントガラス100との最初の接触点を確立するように適合されている。あるいは、押圧機構224は、光学フィルム102の縁部114、116のうちの一方と、フロントガラス100の対応する縁部128、130との接触に基づいて、光学フィルム102とフロントガラス100との最初の接触点を確立するように適合されてもよい。
【0035】
図示の実施形態では、押圧機構224は、フロントガラス100に対して光学フィルム102を押圧するために、クランプ構成202を支持構造体230に向けて移動させるように適合されている。より詳細には、押圧機構224は、クランプ204、206、208、210、及び光学フィルム102を、第3の軸「A3」に沿ってフロントガラス100に向けて移動させるために、バー216、218、220、222を移動させるように適合されている。いくつかの実施例では、押圧機構224は、約10kPa(kilopascal;キロパスカル)~約1000kPaの圧力で、フロントガラス100に対して光学フィルム102を押圧するように適合されている。一実施例では、押圧機構224がフロントガラス100に対して光学フィルム102を押圧するように適合されている圧力は、200kPa~300kPaの間にあってもよい。押圧機構224は、光学フィルム102がフロントガラス100に完全にラミネートされるまで、光学フィルム102に対して圧力を加えることができる点に留意されたい。それゆえ、押圧機構224は、光学フィルム102がフロントガラス100に完全にラミネートされるまで、作動状態に留まることができる。いくつかの実施例では、フロントガラス100のラミネートに必要とされる総時間は、10秒~60秒の間で変化し得る。ラミネートに必要とされる総時間は、フロントガラス100と光学フィルム102との最初の接触から、光学フィルム102がフロントガラス100に完全にラミネートされる時点までの、時間窓として定義することができる。押圧機構224は、フロントガラス100のラミネートに必要とされる総時間よりも長い期間にわたって、作動状態に留まることができる点に留意されたい。
【0036】
押圧機構224は、液圧プレス及び機械プレスのうちの少なくとも一方を含む。押圧機構224が液圧プレスとして具現化される実施例では、システム200は、ラミネートプロセスの間のクランプ構成202又は支持構造体230の移動を可能にする、1つ以上の液圧構成要素を含み得る。例えば、液圧プレスは、ピストン・シリンダ構成を含み得る。押圧機構224が機械プレスとして具現化される別の実施例では、1つ以上の機械構成要素が、ラミネートプロセスの間のクランプ構成202又は支持構造体230の移動を可能にし得る。いくつかの実施例では、機械プレスは、クランプ構成202又は支持構造体230の移動を開始させるモータを含み得る。更には、押圧機構224は、空気圧プレスを具現化し得る。更には、押圧機構224は、ラミネートプロセスの間のクランプ構成202又は支持構造体230の移動に関して電子的に制御される、自動化システムを具現化し得る。
【0037】
更には、本明細書で説明される、クランプ構成202、光学フィルム102に対して張力を加えるための機構、加熱モジュール226、固定具228、支持構造体230、及び押圧機構224の、詳細、構成要素、及び配置は、本質的に純粋に例示的であり、システム200は、本開示の範囲から逸脱することなく、クランプ構成202、光学フィルム102に対して張力を加えるための機構、加熱モジュール226、固定具228、支持構造体230、及び押圧機構224のそれぞれの目的を達成するための、任意の他の構成要素の配置を含み得る。
【0038】
更には、一実施例では、光学フィルム102は、フロントガラス100に真空環境下でラミネートされる。そのような実施例では、システム200を、真空チャンバ(図示せず)内に封入することができる。更には、真空チャンバ内の圧力は、ラミネートプロセスの間、0.1Paなどの好適なレベルまで低下させることができる。そのような技術は、光学フィルム102とフロントガラス100との間の空気の閉じ込めを低減することができる。
【0039】
図6は、別の例示的なシステム600の概略図を示す。システム600は、図2図5を参照して前述されたシステム200と同様である。したがって、システム600に関連付けられている、クランプ構成602、光学フィルム102に対して張力を加えるための機構、加熱モジュール626、固定具628、支持構造体630、及び押圧機構624の、詳細及び機能は、それぞれ、システム200の、クランプ構成202、光学フィルム102に対して張力を加えるための機構、加熱モジュール226、固定具228、支持構造体230、及び押圧機構224の、詳細及び機能と同様である。光学フィルム102は、図3図5を参照して前述されたクランプ204、206と同様の、クランプ604、606によって保持されている。
【0040】
この実施形態では、押圧機構624は、光学フィルム102の中央部分124とフロントガラス100の中央部分126との接触に基づいて、光学フィルム102とフロントガラス100との最初の接触点を確立するように適合されている。更には、固定具228及び/又は支持構造体230は、第3の軸「A3」に沿って移動可能である。より詳細には、押圧機構624は、光学フィルム102に対してフロントガラス100を押圧するために、支持構造体630をクランプ構成602に向けて移動させるように適合されている。それゆえ、押圧機構624は、支持構造体630を、第3の軸「A3」に沿ってクランプ構成602に向けて移動させるように、固定具628及び支持構造体630に関連付けられている。一実施例では、支持構造体230を第3の軸「A3」に沿って移動させるために、固定具228自体が作動して移動することができる。あるいは、固定具228は、第3の軸「A3」に沿って支持構造体230が移動することを可能にする、ピストン・シリンダ構成などの構成要素(図示せず)を含み得る。更には、この実施形態では、クランプ構成602は、静止状態に留まる。
【0041】
いくつかの実施例では、押圧機構624は、約10kPa~約1000kPaの圧力で、光学フィルム102に対してフロントガラス100を押圧するように適合されている。一実施例では、押圧機構624が光学フィルム102にフロントガラス100を押し付けるように適合されている圧力は、200kPa~300kPaの間にあってもよい。押圧機構624は、光学フィルム102がフロントガラス100に完全にラミネートされるまで、光学フィルム102にフロントガラス100を押し付けるように、支持構造体630に対して圧力を加え続けることができる点に留意されたい。
【0042】
更には、一実施例では、光学フィルム102は、フロントガラス100に真空環境下でラミネートされる。そのような実施例では、システム600を、真空チャンバ(図示せず)内に封入することができる。更には、真空チャンバ内の圧力は、ラミネートプロセスの間、0.1Paなどの好適なレベルまで低下させることができる。そのような技術は、光学フィルム102とフロントガラス100との間の空気の閉じ込めを低減することができる。
【0043】
図7及び図8は、更に別の例示的なシステム700の概略図を示す。システム700は、図2図5を参照して前述されたシステム200と同様である。したがって、システム700に関連付けられている、クランプ構成702、光学フィルム102に対して張力を加えるための機構、加熱モジュール726、固定具(図示せず)、支持構造体730、及び押圧機構(図示せず)の、詳細及び機能は、それぞれ、システム200の、クランプ構成202、光学フィルム102に対して張力を加えるための機構、加熱モジュール226、固定具228、及び押圧機構224の、詳細及び機能と同様である。更には、光学フィルム102は、図3図5を参照して前述されたクランプ204、206と同様の、クランプ704、706によって保持されている。
【0044】
この実施形態では、押圧機構は、光学フィルム102の縁部114とフロントガラス100の縁部128との接触に基づいて、光学フィルム102とフロントガラス100との最初の接触点を確立するように適合されている。更には、図示の実施形態では、押圧機構は、光学フィルム102の縁部114、116のうちの一方が、フロントガラス100の対応する縁部128、130に接触するまで、クランプ構成702又は支持構造体730のいずれかを移動させるように適合されてもよい。より詳細には、この実施形態の押圧機構は、図2及び図5を参照して説明された実施形態で示されるように、光学フィルム102とフロントガラス100とを互いに対して押圧するものではない。
【0045】
更には、クランプ構成702は、ラミネートプロセスの間、光学フィルム102に対して張力を加えるように適合されている。更には、システム700は、ローラ機構732を含む。ローラ機構732は、フロントガラス100に光学フィルム102をラミネートするために、光学フィルム102に対して圧力を加えるように適合されている。ローラ機構732は、少なくとも1つのローラ734を含み、少なくとも1つのローラ734は、約10kPa~約1000kPaの圧力で光学フィルム102に接触する。図示の実施形態では、ローラ機構732のローラ734は、フロントガラス100の湾曲に沿って、方向「D1」にフロントガラス100の長さに沿って走行する。ローラ734の外形は、光学フィルム102をフロントガラス100に対して押圧することができるように、フロントガラス100の湾曲に適合し得る点に留意されたい。
【0046】
図8に示されるように、ローラ734が、第1の縁部114から第2の縁部116に向けて方向「D1」に走行する際に、ローラ734は、フロントガラス100に光学フィルム102をラミネートするために、光学フィルム102に対して圧力を加える。一実施例では、ローラ734が光学フィルム102に接触する圧力は、200kPa~300kPaの間にあってもよい。ローラ機構732は、適用要件に従って、液圧式、機械式、又は空気圧式に作動させることができる点に留意されたい。いくつかの実施例では、システム700は、ローラ機構732を省略することができる。そのような実施例では、押圧機構は、光学フィルム102とフロントガラス100とを互いに対して押圧するために、クランプ構成702又は支持構造体730に対して圧力を加えるように適合されてもよい。
【0047】
更には、一実施例では、光学フィルム102は、フロントガラス100に真空環境下でラミネートされる。そのような実施例では、システム700を、真空チャンバ(図示せず)内に封入することができる。更には、真空チャンバ内の圧力は、ラミネートプロセスの間、0.1Paなどの好適なレベルまで低下させることができる。そのような技術は、光学フィルム102とフロントガラス100との間の空気の閉じ込めを低減することができる。
【0048】
図9は、フロントガラス100に光学フィルム102をラミネートする方法900に関する、フローチャートを示す。光学フィルム102は、光学フィルム102の底面112上に配置されている光学的に透明な接着剤122を含む。方法900は、システム200に関連して説明される。しかしながら、方法900は、いかなる制限も伴うことなく、システム600、700に適用可能である。
【0049】
ステップ902において、方法900は、複数のクランプ204、206、208、210を含むクランプ構成202を使用して、光学フィルム102を、光学フィルム102の外周108に沿って保持することを含む。更には、複数のクランプ204、206、208、210のそれぞれは、光学フィルム102に対して張力を加えるように適合されている。一実施例では、方法900は、光学フィルム102とフロントガラス100との接触時に、複数のクランプ204、206、208、210のそれぞれによって光学フィルム102に対して加えられる張力を増大させることを含む。更には、方法900はまた、加熱モジュール226を使用して光学フィルム102の温度を上昇させることも含む。
【0050】
ステップ904において、方法900は、支持構造体230を含む固定具228上に、フロントガラス100を支持することを含む。更には、支持構造体230の上面232の形状は、フロントガラス100の形状と同様である。ステップ906において、方法900は、光学フィルム102に対して加えられる張力に基づいて、光学フィルム102がフロントガラス100の形状に適合するように、光学フィルム102とフロントガラス100との接触をもたらすよう、押圧機構224を使用して、クランプ構成202及び支持構造体230のうちの少なくとも一方を移動させることを含む。更には、光学的に透明な接着剤122は、光学フィルム102をフロントガラス100と接合するように適合されている。
【0051】
一実施形態では、方法900は、フロントガラス100に対して光学フィルム102を押圧するために、クランプ構成202を支持構造体230に向けて移動させることと、支持構造体230を静止させたまま保つこととを更に含む。別の実施例では、方法900は、光学フィルム102に対してフロントガラス100を押圧するために、支持構造体630をクランプ構成602に向けて移動させることと、クランプ構成602を静止させたまま保つこととを更に含む。更には、いくつかの実施例では、光学フィルム102は、フロントガラス100に真空環境下でラミネートされる。
【0052】
本明細書で説明される方法900及びシステム200、600、700は、光学的に透明な接着剤122でコーティングされている光学フィルム102を、フロントガラス100にラミネートするための、効果的で導入が容易な解決策を提供することができる。更には、本開示で説明されるラミネートのための方法900及びシステム200、600、700は、フロントガラス100をラミネートする間の、光学フィルム102の座屈を排除することができ、フロントガラス100の形状に対する、光学フィルム102の容易な適合を可能にすることができる。更には、本開示の適用は、フロントガラスへのウィンドウコンバイナフィルムのラミネートに拡張することができるが、これは、本明細書で説明される方法900及びシステム200、600、700が、湾曲からの座屈を伴わない、フロントガラス上でのウィンドウコンバイナフィルムの完全なウェットアウトを可能にすることができるためである。
【0053】
本明細書において特定の実施形態が例示され説明されてきたが、本開示の範囲を逸脱することなく、図示され説明された特定の実施形態を、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えることができる点が、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態の、あらゆる適応例又は変形例を包含することが意図されている。それゆえ、本開示は、請求項及びその等価物によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】