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特表2023-502780腫瘍浸潤リンパ球の活性化及び増殖方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】腫瘍浸潤リンパ球の活性化及び増殖方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20230118BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20230118BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20230118BHJP
   A61P 37/04 20060101ALN20230118BHJP
   A61K 35/17 20150101ALN20230118BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N5/10 ZNA
C12N15/09 110
A61P35/00
A61P37/04
A61K35/17 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530237
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 US2020062094
(87)【国際公開番号】W WO2021108455
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】63/081,539
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/940,035
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520352311
【氏名又は名称】ケーエスキュー セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベンソン, マイカ
(72)【発明者】
【氏名】コレッティ, ニコラス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トゥボ, ノア ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】シュラバック, マイケル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065BB19
4B065BB40
4B065BD39
4B065BD50
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087CA04
4C087NA14
4C087NA20
4C087ZB02
4C087ZB09
4C087ZB26
(57)【要約】
一段階プロセスで腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を活性化し増殖させる方法を提供する。フィーダー細胞を使用することなくTILを活性化し増殖させる方法もまた提供する。セントラルメモリーT細胞表現型が濃縮された、単離された増殖したTILの集団に加え、増殖したTILの集団の組成物もまた提供する。より合理化されたアプローチ、すなわち、一段階のアプローチ、より短い増殖期間を必要とするアプローチ、可溶性の刺激用試薬を使用するアプローチ、臨床的な製造により適したアプローチ、及びフィーダー細胞を使用しないアプローチ等を使用するTILの活性化及び増殖方法を提供する。セントラルメモリーT細胞表現型が豊富な単離された増殖したTILの集団に加えて、増殖したTILの集団の組成物もまた提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解離した腫瘍サンプル中で腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を増殖させる方法であって、前記解離した腫瘍サンプルを培地中で培養することを含み、前記TILを、T細胞受容体(TCR)アゴニスト、CD28アゴニスト、及びT細胞刺激サイトカインと接触させる、前記方法。
【請求項2】
前記培地には、1日、2日、3日、4日、5日、及び6日からなる群から選択される間隔で、前記T細胞刺激サイトカインが補充される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記T細胞刺激サイトカインの最終濃度が、10U/ml~7,000U/mlである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記T細胞刺激サイトカインが、IL-2である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記培地が、1日、2日、3日、4日、5日、及び6日からなる群から選択される間隔で変更される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記培地の成分が維持される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記培地の30%~99%が、1日、2日、3日、4日、5日、及び6日からなる群から選択される間隔で変更される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記腫瘍サンプルが、TILの増殖用に腫瘍サンプルを以前に提出した対象に由来し、前記以前のTILの増殖は、pre-REP段階を含み、前記pre-REP段階から単離されたTILの数が1000TIL未満であったものである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記腫瘍サンプルが、TILの増殖用に腫瘍サンプルを以前に提出した対象に由来し、前記以前のTILの増殖は、pre-REP段階を含み、前記pre-REP段階から単離されたTILの増殖倍率が5倍未満であったものである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記解離した腫瘍サンプルは、サイズが0.5~4mmである腫瘍断片を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記解離した腫瘍サンプルが、消化された腫瘍断片を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法
【請求項12】
前記培地が、フィーダー細胞を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記フィーダー細胞が、末梢血単核細胞または抗原提示細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フィーダー細胞が、前記TCRアゴニスト、前記CD28アゴニスト及び/または4-1BBリガンドを発現する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記TCRアゴニスト、前記CD28アゴニスト及び/または前記4-1BBリガンドが、前記フィーダー細胞の表面で発現される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フィーダー細胞が、前記TCRアゴニスト、前記CD28アゴニスト及び/または前記4-1BBリガンドを発現するように遺伝子改変される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記TCRアゴニストが、CD3アゴニストである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記CD3アゴニストが、OKT3である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記CD28アゴニストが、CD86である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記フィーダー細胞が、抗原提示細胞である、請求項12~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗原提示細胞が、K562細胞を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フィーダー細胞が、前記T細胞刺激サイトカインを発現するように遺伝子改変される、請求項12~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記T細胞刺激サイトカインが、IL-2である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記培地が、フィーダー細胞を含まない、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記CD28アゴニストが、前記培地に溶解する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記TCRアゴニストが、CD3アゴニストである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記TCRアゴニスト及び/または前記CD28アゴニストが、ポリマー鎖のマトリックスのコロイド懸濁液を含むナノマトリックスに連結され、各ナノマトリックスは、その最大の寸法が、1~500nmの長さである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記TCRアゴニスト及び前記CD28アゴニストが、同じポリマー鎖に結合している、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記TCRアゴニスト及び前記CD28アゴニストが、異なるポリマー鎖に結合している、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記TCRアゴニストが、ナノマトリックス1mgあたり25μgで前記ナノマトリックスに結合している、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記TCRアゴニストが、連結された2つの抗CD3抗体を含む可溶性単一特異性複合体を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記CD28アゴニストが、連結された2つの抗CD28抗体を含む可溶性単一特異性複合体を含む、請求項1~26及び31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記培地が、CD2アゴニストを含む、請求項1~26、31、及び32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記CD2アゴニストが、連結された2つの抗CD2抗体を含む可溶性単一特異性複合体を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を増殖させる方法であって、前記TILの集団を、ポリマー鎖のマトリックスのコロイド懸濁液を含むナノマトリックスと接触させることを含み、前記マトリックスが、CD3アゴニスト及びCD28アゴニストに結合し、前記ナノマトリックスが、前記TILの集団に活性化シグナルを提供し、それにより、前記TILの集団を活性化してその増殖を誘導し、各マトリックスは、その最大の寸法が、1~500nmの長さであり、前記TILの集団の増殖の過程でフィーダー細胞の使用を含まない、前記方法。
【請求項36】
前記ナノマトリックスと接触する前記TILの集団が、さらに腫瘍細胞を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記TILの集団が、対象から単離され、前記ナノマトリックスと接触し、前記TILの集団を前記ナノマトリックスと接触させる前に前記TILの集団のさらなる増殖プロセスを含まない、請求項35または36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記CD3アゴニスト及び前記CD28アゴニストが、同じポリマー鎖に結合している、請求項35~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記CD3アゴニスト及び前記CD28アゴニストが、異なるポリマー鎖に結合している、請求項35~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記CD3アゴニストが、ナノマトリックス1mgあたり25μgで前記ナノマトリックスに結合している、請求項35~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記ナノマトリックスが、さらに、前記ポリマー鎖のマトリックス間にまたはその中に埋め込まれた磁性、常磁性または超常磁性ナノ結晶を含む、請求項27~30及び35~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリマー鎖のマトリックスが、デキストランのポリマーを含む、請求項27~30及び35~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリマー鎖が、コロイドポリマー鎖である、請求項27~30及び35~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
ナノマトリックスの体積とTILの体積の比が、1:5以上である、請求項27~30及び35~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
マトリックスとTILの数の比が、1:500以上である、請求項27~30及び35~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記CD28アゴニストが、ナノマトリックス1mgあたり25μgで前記ナノマトリックスに結合している、請求項27~30及び35~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記アゴニストが、組み換えアゴニストである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記アゴニストが、抗体である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗体が、ヒト化抗体である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記CD3アゴニストが、OKT3またはUCHT1である、請求項27~30及び35~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記増殖させるTILが、増殖用にTILのサンプルを以前に提出した対象に由来し、、前記以前のTILの増殖が、pre-REP段階を含み、前記pre-REP段階から単離されたTILの数が1000TIL未満であったものである、請求項35~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記増殖させるTILが、増殖用にTILのサンプルを以前に提出した対象に由来し、、前記以前のTILの増殖が、pre-REP段階を含み、前記pre-REP段階から単離されたTILの増殖倍率が5倍未満であったものである、請求項35~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
TILの集団を増殖させる方法であって、前記TILの集団を、第一、第二、及び第三の可溶性単一特異性複合体を含む組成物と接触させることを含み、各可溶性単一特異性複合体が、連結された2つの抗体またはその断片を含み、各可溶性単一特異性複合体の各抗体またはその断片が、前記TILの集団の同じ抗原に特異的に結合し、前記第一の可溶性単一特異性複合体が、抗CD3抗体を含み、前記第二の可溶性単一特異性複合体が、抗CD28抗体を含み、前記第三の可溶性単一特異性複合体が、抗CD2抗体を含み、前記TILの集団の増殖の過程でフィーダー細胞の使用を含まない、前記方法。
【請求項54】
前記組成物と接触する前記TILの集団が、さらに腫瘍細胞を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記TILの集団が、対象から単離され、前記組成物と接触し、前記TILの集団を前記組成物と接触させる前に前記TILの集団のさらなる増殖プロセスを含まない、請求項53または54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記可溶性単一特異性複合体は、濃度が0.2~25μl/mlである、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記可溶性単一特異性複合体が、四量体抗体複合体(TAC)である、請求項53~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
各TACが、第一の動物種由来の2つの抗体を含み、これらが、前記第一の動物種由来の抗体のFc部分に特異的に結合する第二の種由来の2つの抗体分子によって結合されている、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記抗CD3抗体が、OKT3またはUCHT1である、請求項53~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記増殖させるTILが、増殖用にTILのサンプルを以前に提出した対象に由来し、前記以前のTILの増殖が、pre-REP段階を含み、前記pre-REP段階から単離されたTILの数が1000TIL未満であったものである、請求項53~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記増殖させるTILが、増殖用にTILのサンプルを以前に提出した対象に由来し、、前記以前のTILの増殖が、pre-REP段階を含み、前記pre-REP段階から単離されたTILの増殖倍率が5倍未満であったものである、請求項53~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
さらに、前記TILの集団を、前記サイトカインIL-2と接触させることを含む、請求項35~40及び53~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記TILを、前記サイトカインIL-2と、1日、2日、3日、4日、5日、及び6日からなる群から選択される間隔で接触させる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記サイトカインIL-2の最終濃度が、100U/ml~7,000U/mlである、請求項62または63に記載の方法。
【請求項65】
前記TILを、最大9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25日間増殖させる、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記TILを、9~25日間、9~21日間、または9~14日間増殖させる、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記TILを、500~500,000倍増殖させる、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記TILの集団を、100~100,000個のTILの初期集団から増殖させる、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも1,500倍増殖させる、請求項65~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大100,000倍増殖させる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも15,000倍増殖させる、請求項65~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大500,000倍増殖させる、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記TILの集団の成員が、遺伝子改変される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記TILの集団の成員が、遺伝子調節系によって改変される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記TILの集団の前記成員が、RNA干渉を使用して改変される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記TILの集団の前記成員が、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を使用して改変される、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記TILの集団の前記成員が、ジンクフィンガーヌクレアーゼを使用して改変される、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記TILの集団の前記成員が、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用して改変される、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記TILの集団の成員が、Cas酵素及び少なくとも1つのガイドRNAを使用して改変される、請求項74に記載の方法。
【請求項80】
前記Cas酵素が、Cas9である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記TILの集団の成員が、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aからなる群から選択される1つ以上の遺伝子において改変される、請求項74~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記1つ以上の遺伝子における改変が、1つ以上の核酸の挿入、欠失、または変異である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記1つ以上の遺伝子における改変により、前記遺伝子の発現及び/または前記遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される、請求項81または82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記TILの集団の成員が、エピジェネティックに改変される、請求項74に記載の方法。
【請求項85】
前記エピジェネティックな改変が、ヒストン修飾である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記TILの集団の成員が、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aからなる群から選択される1つ以上の遺伝子において改変される、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記1つ以上の遺伝子における改変が、1つ以上の核酸のメチル化である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記1つ以上の遺伝子における改変により、前記遺伝子の発現及び/または前記遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される、請求項86または87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記TILの集団の成員が、SOCS1遺伝子において改変される、請求項86~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記SOCS1遺伝子の前記改変により、前記遺伝子の発現及び/または前記遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記TILの集団の成員が、複数の遺伝子において改変される、請求項74~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記TILの集団の成員が、前記SOCS1遺伝子及びPTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1、NFKBIAからなる群から選択される1つ以上のさらなる遺伝子において改変される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記TILの集団の成員が、前記SOCS1及びZC3H12A遺伝子において改変される、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記SOCS1及びZC3H12A遺伝子の前記改変により、前記遺伝子の発現及び/または前記遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記TILの集団の成員が、SOCS1及びCBLB遺伝子において改変される、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記SOCS1及びCBLB遺伝子の前記改変により、前記遺伝子の発現及び/または前記遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記TILの集団の成員が、前記SOCS1及びRC3H1遺伝子において改変される、請求項91に記載の方法。
【請求項98】
前記SOCS1及びRC3H1遺伝子の前記改変により、前記遺伝子の発現及び/または前記遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される、請求項93に記載の方法。
【請求項99】
前記TILの集団の成員が、前記SOCS1及びNFKBIA遺伝子において改変される、請求項91に記載の方法。
【請求項100】
前記SOCS1及びNFKBIA遺伝子の前記改変により、前記遺伝子の発現及び/または前記遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される、請求項93に記載の方法。
【請求項101】
前記TILの集団を増殖させ、増殖したTILの集団の少なくとも10%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する前記増殖した集団を産生する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記TILの集団を増殖させ、増殖したTILの集団の少なくとも15%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する前記増殖した集団を産生する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖したTILの集団の5~50%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する前記増殖した集団を産生する、請求項1~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖したTILの集団の10~25%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する前記増殖した集団を産生する、請求項1~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
先行請求項のいずれか1項に記載の方法によって産生される増殖したTILの集団を含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年11月25日に出願された米国仮特許出願第62/940,035号及び2020年9月22日に出願された米国仮特許出願第63/081,539号の優先権を主張するものであり、当該出願の各々は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、リンパ球集団、特に、腫瘍浸潤リンパ球の活性化及び増殖方法に関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入は、特に、予後不良患者において、巨大な難治性がんの治療に対する強力なアプローチである。免疫療法を成功させるためには、多数のTILが必要であり、強力かつ確実な拡大のためのプロセスが必要とされる。通常は、IL-2ベースのTIL増殖「pre-REP」に続いて「急速増殖プロトコル」(REP)を含む多段階プロセスが、治療有効数のTILを生成するその能力のためにTIL増殖用の好ましい方法となっているが、該プロセスは時間がかかるため、依然として制限がある。最大6週間続き得るpre-REP段階の後、REPにより、14日間かけてTILの1,000倍の増殖がもたらされ得る。REPは、大量の抗CD3抗体(OKT3)及びIL-2を必要とすることに加えて、TILを活性化するために大過剰(例えば、200倍)のフィーダー細胞を必要とする困難なプロセスである。
【0004】
現在存在するREPベースのTILの増殖方法の最も困難な側面の1つは、フィーダー細胞の獲得及び使用の必要性である。これらのREPベースの方法では、TILの活性化は、フィーダー細胞の存在に左右される。フィーダー細胞の集団は、通常、同種異系の3~5ドナーから採集されるため、フィーダー細胞の集団の採集、照射、及び維持のプロセスの制御を高価かつ困難なものにしている。従って、フィーダー細胞の使用が高価かつ困難であるにもかかわらず、TILの活性化及び増殖プロセスにはそれらが必須であると考えられている。
【0005】
従って、より合理化されたTILの増殖方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
より合理化されたアプローチ、すなわち、一段階のアプローチ、より短い増殖期間を必要とするアプローチ、可溶性の刺激用試薬を使用するアプローチ、臨床的な製造により適したアプローチ、及びフィーダー細胞を使用しないアプローチ等を使用するTILの活性化及び増殖方法を提供する。セントラルメモリーT細胞表現型が豊富な単離された増殖したTILの集団に加えて、増殖したTILの集団の組成物もまた提供する。
【0007】
本明細書に開示するように、意外にも、T細胞受容体(TCR)アゴニスト(例えば、CD3アゴニスト)及びCD28アゴニストの組み合わせを使用して、フィーダー細胞の非存在下でTILを活性化すること及び増殖させることができることが分かった。該TCRアゴニスト及びCD28アゴニストは、互いに連結もしくは複合化された、またはナノマトリックスに連結された抗体であり得る。驚くべきことに、本明細書に記載のフィーダー細胞を含まないTILの活性化及び増殖プロセスにより、150,000倍のTILの増殖がもたらされ得るとともに、セントラルメモリーT細胞表現型が豊富になり得る。驚くべきことに、本明細書に記載のフィーダー細胞を含まないTILの活性化及び増殖プロセスはまた、一段階プロセスの14日目までに、4,000~100,000倍の増殖がもたらされ得る。この強力な増殖は、pre-REP条件下で増殖しなかった複数のドナー由来のサンプルでも観察された。従って、本明細書に記載のプロセスは、現在の実務基準である2段階のTILの増殖方法が失敗する状況で、増殖したTILの生成が可能である。
【0008】
本明細書に開示するように、意外にも、pre-REP段階及びREP段階を分ける必要性をなくす一段階プロセスを使用して、TILを活性化すること及び増殖させることができることも分かった。
【0009】
1つの態様では、本発明は、解離した腫瘍サンプル中でTILの集団を増殖させる方法に関し、該方法は、該解離した腫瘍サンプルを培地中で培養することを含み、該TILを、その中でTCRアゴニスト、CD28アゴニスト、及びT細胞刺激サイトカインと接触させる。
【0010】
いくつかの実施形態では、該培地には、1日、2日、3日、4日、5日、及び6日からなる群から選択される間隔で、T細胞刺激サイトカインが補充される。
【0011】
いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、10U/ml~7,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインは、IL-2である。いくつかの実施形態では、該培地は、1日、2日、3日、4日、5日、及び6日からなる群から選択される間隔で変更される。
【0012】
いくつかの実施形態では、該培地の成分は、維持される。いくつかの実施形態では、該培地の30%~99%は、1日、2日、3日、4日、5日、及び6日からなる群から選択される間隔で変更される。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、以前に失敗したpre-REP増殖からTILサンプルを取り返すことができる。いくつかの実施形態では、該腫瘍サンプルは、TILの増殖用に腫瘍サンプルを以前に提出した対象に由来し、該以前のTILの増殖は、pre-REP段階を含み、該pre-REP段階から単離されたTILの数が1000TIL未満であったものである。いくつかの実施形態では、該腫瘍サンプルは、TILの増殖用に腫瘍サンプルを以前に提出した対象に由来し、該以前のTILの増殖は、pre-REP段階を含み、該pre-REP段階から単離されたTILの増殖倍率が5倍未満であったものである。
【0014】
いくつかの実施形態では、該解離した腫瘍サンプルは、サイズが0.5~4mmの腫瘍断片を含む。いくつかの実施形態では、該解離した腫瘍サンプルは、消化された腫瘍断片を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、該培地は、フィーダー細胞を含む。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、末梢血単核細胞または抗原提示細胞である。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、TCRアゴニスト、CD28アゴニスト及び/または4-1BBアゴニストを発現する。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、CD28アゴニスト及び/または該4-1BBアゴニストは、該フィーダー細胞の表面で発現される。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、該TCRアゴニスト、該CD28アゴニスト及び/または該4-1BBリガンドを発現するように遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニストは、CD3アゴニストである。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニストは、OKT3である。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニストは、CD86である。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、抗原提示細胞である。いくつかの実施形態では、該抗原提示細胞は、K562細胞を含む。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、該TCRアゴニスト及び/または4-1BBアゴニストを発現する。いくつかの実施形態では、該4-1BBアゴニストは、4-1BBリガンドである。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、T細胞刺激サイトカインを発現するように遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインは、IL-2である。
【0016】
いくつかの実施形態では、該培地は、フィーダー細胞を含まない。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニストは、該培地に溶解する。
【0017】
いくつかの実施形態では、該TCRアゴニストは、CD3アゴニストである。
【0018】
いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト及び/または該CD28アゴニストは、ポリマー鎖のマトリックスのコロイド懸濁液を含むナノマトリックスに連結され、各ナノマトリックスは、その最大の寸法が、1~500nmの長さである。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト及び該CD28アゴニストは、同じポリマー鎖に結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト及び該CD28アゴニストは、異なるポリマー鎖に結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニストは、ナノマトリックス1mgあたり25μgで該ナノマトリックスに結合している。
【0019】
いくつかの実施形態では、該TCRアゴニストは、連結された2つの抗CD3抗体を含む可溶性単一特異性複合体を含む。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニストは、連結された2つの抗CD28抗体を含む可溶性単一特異性複合体を含む。いくつかの実施形態では、該培地は、CD2アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、該CD2アゴニストは、連結された2つの抗CD2抗体を含む可溶性単一特異性複合体を含む。
【0020】
別の態様では、本発明は、TILの集団を、ポリマー鎖のマトリックスのコロイド懸濁液を含むナノマトリックスと接触させることを含むTILの集団を増殖させる方法に関し、該マトリックスは、CD3アゴニスト及びCD28アゴニストに結合し、該ナノマトリックスは、該TILの集団に活性化シグナルを提供し、それにより、該TILの集団を活性化してその増殖を誘導し、各マトリックスは、その最大の寸法が、1~500nmの長さであり、該方法は、該TILの集団の増殖の過程でフィーダー細胞の使用を含まない。
【0021】
いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスと接触するTILの集団は、さらに腫瘍細胞を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、該TILの集団は、対象から単離され、該ナノマトリックスと接触し、該TILの集団を該ナノマトリックスと接触させる前には該TILの集団のさらなる増殖プロセスを含まない。
【0023】
いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト及び該CD28アゴニストは、同じポリマー鎖に結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト及び該CD28アゴニストは、異なるポリマー鎖に結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニストは、ナノマトリックス1mgあたり25μgで該ナノマトリックスに結合している。
【0024】
いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、さらに、該ポリマー鎖のマトリックス間にまたはその中に埋め込まれた磁性、常磁性または超常磁性ナノ結晶を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、該ポリマー鎖のマトリックスは、デキストランのポリマーを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、該ポリマー鎖は、コロイドポリマー鎖である。
【0027】
いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:5以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:500以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:10、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:200、1:300、1:400または1:500である。
【0028】
いくつかの実施形態では、該CD28アゴニストは、ナノマトリックス1mgあたり25μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該アゴニストは、組み換えアゴニストである。いくつかの実施形態では、該アゴニストは、抗体である。いくつかの実施形態では、該アゴニストは、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニストは、OKT3またはUCHT1である。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、以前に失敗したpre-REP増殖からTILサンプルを取り返すことができる。いくつかの実施形態では、増殖させるTILは、増殖用にTILのサンプルを以前に提出した対象に由来し、該以前のTILの増殖は、pre-REP段階を含み、該pre-REP段階から単離されたTILの数が1000TIL未満であったものである。いくつかの実施形態では、該増殖させるTILは、増殖用にTILのサンプルを以前に提出した対象に由来し、該以前のTILの増殖は、pre-REP段階を含み、該pre-REP段階から単離されたTILの増殖倍率が5倍未満であったものである。
【0030】
別の態様では、本発明は、TILの集団を、第一、第二、及び第三の可溶性単一特異性複合体を含む組成物と接触させることを含むTILの集団を増殖させる方法に関し、各可溶性単一特異性複合体は、連結された2つの抗体またはその断片を含み、各可溶性単一特異性複合体の各抗体またはその断片は、該TILの集団の同じ抗原に特異的に結合し、該第一の可溶性単一特異性複合体は、抗CD3抗体を含み、該第二の可溶性単一特異性複合体は、抗CD28抗体を含み、該第三の可溶性単一特異性複合体は、抗CD2抗体を含み、該方法は、該TILの集団の増殖の過程でフィーダー細胞の使用を含まない。
【0031】
いくつかの実施形態では、該組成物と接触するTILの集団は、さらに腫瘍細胞を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、該TILの集団は、対象から単離され、該組成物と接触し、該TILの集団を該組成物と接触させる前には該TILの集団のさらなる増殖プロセスを含まない。
【0033】
いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、濃度が0.2~25μl/mlである。
【0034】
いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、四量体抗体複合体(TAC)である。いくつかの実施形態では、各TACは、第一の動物種由来の2つの抗体を含み、これらが、該第一の動物種由来の抗体のFc部分に特異的に結合する第二の種由来の2つの抗体分子によって結合されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、該抗CD3抗体は、OKT3抗体またはUCHT1抗体である。いくつかの実施形態では、該方法はさらに、該TILの集団をサイトカインIL-2と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、該TILを、1日、2日、3日、4日、5日、及び6日からなる群から選択される間隔で、該サイトカインIL-2と接触させる。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、100U/ml~7,000U/mlである。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、以前に失敗したpre-REP増殖からTILサンプルを取り返すことができる。いくつかの実施形態では、増殖させるTILは、増殖用にTILのサンプルを以前に提出した対象に由来し、該以前のTILの増殖は、pre-REP段階を含み、該pre-REP段階から単離されたTILの数が1000TIL未満であったものである。いくつかの実施形態では、該増殖させるサンプルは、増殖用にTILのサンプルを以前に提出した対象に由来し、該以前のTILの増殖は、pre-REP段階を含み、該pre-REP段階から単離されたTILの増殖倍率が5倍未満であったものである。
【0037】
いくつかの実施形態では、該TILを、最大9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、9~25日間、9~21日間、または9~14日間増殖させる。
【0038】
いくつかの実施形態では、該TILを、500~500,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、100~100,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、増殖から14日目の時点で少なくとも1,500倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、増殖から14日目の時点で最大100,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、増殖から21日目の時点で少なくとも15,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、増殖から21日目の時点で最大500,000倍増殖させる。
【0039】
いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、遺伝子改変される。
【0040】
いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、遺伝子調節系で改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、RNA干渉を使用して改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を使用して改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、ジンクフィンガーヌクレアーゼを使用して改変される。1つの実施形態では、該TILの集団の成員は、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用して改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、Cas酵素及び少なくとも1つのガイドRNAを使用して改変される。いくつかの実施形態では、該Cas酵素は、Cas9である。
【0041】
いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aからなる群から選択される1つ以上の遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAからなる群から選択される1つ以上の遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該1つ以上の遺伝子における改変は、1つ以上の核酸の挿入、欠失、または変異である。いくつかの実施形態では、該1つ以上の遺伝子における改変により、当該遺伝子の発現及び/または当該遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、エピジェネティックに改変される。いくつかの実施形態では、該エピジェネティックな改変は、ヒストン修飾である。
【0042】
いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aからなる群から選択される1つ以上の遺伝子において改変される。該1つ以上の遺伝子における改変は、1つ以上の核酸のメチル化である。いくつかの実施形態では、該1つ以上の遺伝子における改変は、1つ以上の核酸のメチル化である。いくつかの実施形態では、該1つ以上の遺伝子における改変により、当該遺伝子の発現及び/または当該遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される。
【0043】
いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該SOCS1遺伝子の改変により、当該遺伝子の発現及び/または当該遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される。
【0044】
いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、複数の遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAからなる群から選択される2つ以上の遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該2つ以上の遺伝子は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1遺伝子及び1つ以上のさらなる遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1遺伝子及びZC3H12A、PTPN2、CBLB、RC3H1またはNFKBIAからなる群から選択される1つ以上のさらなる遺伝子において改変される。特定の実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1及びZC3H12A遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1及びPTPN2遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該SOCS1及びPTPN2遺伝子の改変により、当該遺伝子の発現及び/または当該遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1及びZC3H12A遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該SOCS1及びZC3H12A遺伝子の改変により、当該遺伝子の発現及び/または当該遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1及びCBLB遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該SOCS1及びCBLB遺伝子の改変により、当該遺伝子の発現及び/または当該遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1及びRC3H1遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該SOCS1及びRC3H1遺伝子の改変により、当該遺伝子の発現及び/または当該遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、SOCS1及びNFKBIA遺伝子において改変される。いくつかの実施形態では、該SOCS1及びNFKBIAの改変により、当該遺伝子の発現及び/または当該遺伝子によってコードされるタンパク質の機能が低減もしくは阻害される。
【0045】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも10%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも15%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の5~50%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の10~25%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。
【0046】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示する方法のいずれかによって産生される増殖したTILの集団を含む組成物に関する。
【0047】
本発明の前述の及び他の特徴及び利点は、添付の図面と合わせて以下の例示的な実施形態の詳細な説明からさらに十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】フィーダー細胞を使用するTIL産生のワークフローを示す略図である。
図2】TILの4つの製造方法を示す略図である。方法1(フィーダー細胞を使用するがpre-REP段階を使用しない一段階REP(「REP様」)、方法2(抗CD3及び抗CD28抗体コンジュゲートDynabeadsを使用する(「Dynabeads」)、方法3(抗CD3、抗CD2、及び抗CD28抗体ベースの四量体抗体複合体(TAC)を使用する(「Stemcell」)、及び方法4(抗CD3及び抗CD28抗体コンジュゲートナノマトリックスを使用する(「Transact」)。
図3】Aは、14日目のTILの増殖倍率を示すプロットを示す。Bは、21日目のTILの増殖倍率を示すプロットを示す。各図のパネルにおいて、各々のドットは、独立した黒色腫ドナーを表す。方法1(REP様)、方法2(Dynabeads、1.5または0.5×10ビーズ/ウェル)、方法3(Stemcell)、方法4(Transact)、及び対照(IL-2単独)を使用して生成したデータを示す。
図4】細胞計数のためのゲーティング戦略を示す一連のFACS分析を示す。
図5】Aは、0、9、及び14日目の培養中のCD3+T細胞である生細胞のパーセンテージを示すプロットを示す。Bは、14日目のセントラルメモリー表現型(Tcm、CCR7+CD45RO+として定義される)を有するT細胞のパーセンテージを示すプロットを示す。方法1(REP様)、方法3(Stemcell)、方法4(Transact)、及び対照(IL-2単独)を使用して生成したデータを示す。
図6】独立した3ドナー由来のセントラルメモリーT細胞表現型の14日目のパーセンテージを示す一連のFACS分析を示す。
図7】独立した3ドナー由来のTIL汎T細胞の増殖のFACS計数ビーズ分析を使用した14日目の増殖倍率を示す棒グラフを示す。
図8】合わせたドナー由来のTIL汎T細胞の増殖のFACS計数ビーズ分析を使用した14日目の増殖倍率を示す棒グラフを示す。方法1(REP様)、方法2(Dynabeads、1.5または0.5×10ビーズ/ウェル)、方法3(Stemcell)、方法4(Transact)、及び対照(IL-2単独)を使用して生成したデータを示す。
図9】独立した3ドナー由来のTIL汎T細胞の増殖のFACS計数ビーズ分析を使用した21日目の外挿の増殖倍率を示す棒グラフを示す。方法1(REP様)、方法3(Stemcell)、及び方法4(Transact)を使用して生成したデータを示す。
図10】播種密度の関数として、培養0日目に対する14日目での経時的な増殖倍率を示すプロットを示す。
図11】方法1(REP様)、方法3(Stemcell)、及び方法4(Transact)を使用して産生されたTILドナーサンプル中のIFNγ(A)、IL-2(B)、IL-6(C)及びTNFα(D)の発現の誘導倍率を示す棒グラフを示す。
図12】電気穿孔の8日後のTILのCD45編集パーセント及び生存率を示す。このTILは、方法1(REP様)、方法3(Stemcell)、または方法4(Transact)を使用して増殖させた。
図13】方法1(REP様または「REP」)、方法3(Stemcellまたは「Stem」)、方法4(Transactまたは「Trans」)、方法5(aAPC-OKT3または「OKT3」)、及び方法6(aAPC-OKT3-CD86または「OKT3+CD86」)を使用した、10日目または11日目の可溶性四量体及びaAPCに関する増殖倍率を示す棒グラフを示す。
図14】可溶性四量体及びaAPC編集TILに関する18日目(D3399)または23日目(D6752及びD6755)の増殖倍率を示す棒グラフを示す。
図15】編集されたTILに関する18日目(D3399)または23日目(D6752及びD6755)のセントラルメモリー表現型を示す棒グラフを示す。
図16】18日目(D3399)または23日目(D6752及びD6755)の編集頻度の表を示す。
図17】14日目または20日目のTILの腫瘍断片の外挿の細胞数を示す棒グラフを示す。
図18】14日目または20日目のセントラルメモリー表現型(%)を示す棒グラフを示す。
図19】14日目または20日目の編集頻度の表を示す。
図20】14日目または20日目の編集頻度の表を示す。
図21】腫瘍断片及び消化物から調製した異なるドナー由来のTILの生存率を示す棒グラフを示す。
図22】腫瘍断片及び消化物から調製した異なるドナー由来のTILに関する細胞数を示す棒グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
TILの従来の活性化及び増殖プロセスは、少なくとも別々のpre-REP段階及びREP段階を含む複数の段階に加えて、フィーダー細胞の使用が必要である。両方の必要条件が、この従来のプロセスを時間及び費用のかかるものにしている。TILの養子移入を使用する免疫療法を必要とする患者は、多くの場合、極めて予後不良であり、治療に利用可能な増殖及び分化したTILの集団をより迅速に有することは、生死の問題を構成し得る。
【0050】
概して遅いpre-REP段階の後、概して速いREP段階を行って、治療的使用に十分なTILの活性化及び増殖倍率を達成する必要性は、ともに時間及び費用がかかる。ある特定の用途では、従来法のpre-REP段階は、2~6週間続く可能性があり、さらに1~3週間のREPを伴う。従って、フィーダー細胞の使用の有無にかかわらず、pre-REP段階を排除し、TILの製造プロセスを一段階に合理化することが必要である。
【0051】
フィーダー細胞への依存は、特に少なくともいくつかの理由で困難である。第一に、生存能力のあるフィーダー細胞集団を得ることは、該細胞が同種異系の3~5ドナーから採取されるために極めて困難である。ドナー細胞の各集団は、TILを増殖させるその能力について、個別に特定しなければならないため、このフィーダー細胞の異種供給源が、それらの使用を標準化できなくする。同様に、フィーダー細胞に固有のばらつきのため、フィーダー細胞を使用するTILの増殖は、再現性が低く予測しにくくなる。第二に、フィーダー細胞を使用する場合、TILはフィーダー細胞の存在下では操作することができないため、TILは、REP相の間ではなく、その前または後にのみ、操作または遺伝子改変され得る。第三に、REP段階を含むTILの製造方法では、フィーダー細胞が死滅するまで増殖したTILの集団を使用することができないため、REPを短縮することはできない。第四に、TILを刺激するためのフィーダー細胞の使用により、該刺激剤を洗い落とすこと及び/または除去することができなくなる。従って、場合によっては、従来のプロセスのpre-REP及びREP段階では、所望の数のTILを産生することができない。少なくとも上記の4つの理由で、フィーダー細胞への依存を排除する必要があり、これが、本発明で達成されたことであり、本明細書に開示される。フィーダー細胞を排除することで、TILの増殖プロセスの高度な制御が可能になる。例えば、TILの増殖プロセスを、必要数のTILが得られた時点で停止することができる。
【0052】
TILを産生するための改善されたより速く単純な方法を提供するため、本開示は、より合理化されたアプローチ、すなわち、一段階のアプローチ、より短い増殖期間を必要とするアプローチ、可溶性の刺激用試薬を使用するアプローチ、及びフィーダー細胞を使用しないアプローチ等を使用するTILの活性化及び増殖方法を提供する。セントラルメモリーT細胞表現型が豊富な単離された増殖したTILの集団に加えて、増殖したTILの集団の組成物もまた提供する。
【0053】
いくつかの態様では、本開示は、フィーダー細胞を使用しない一段階プロセスでTILを活性化し増殖させる方法に関し、活性化は、CD3及びCD28アゴニストとの接触を介して生じる。ある特定の実施形態では、該CD3及びCD28アゴニストは、ポリマー鎖のナノマトリックスに結合している。ある特定の実施形態では、該CD3及びCD28アゴニストは、互いに連結または複合化された、抗体またはその断片である。ある特定の実施形態では、該増殖したTILは、フィーダー細胞ベースの方法を使用して単離されるTILよりセントラルメモリーT細胞表現型を有する細胞のパーセンテージが高い。ある特定の実施形態では、該方法は、さらに、少なくとも1つの4-1BBアゴニストを使用するTILの活性化を含む。いくつかの実施形態では、該4-1BBアゴニストは、4-1BBリガンドである。
【0054】
いくつかの態様では、本開示は、pre-REP段階ならびに別々の急速増殖プロトコル(「REP」)及びpre-REPの必要性をなくす一段階プロセスで、TILを活性化し増殖させる方法に関する。
【0055】
通常、本明細書に記載の細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質及び核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法は、当技術分野で周知であり、一般的に使用される。本明細書に提供する方法及び技術は、別段の指示がない限り、一般に、当技術分野で周知の従来法に従って、及び本明細書を通して引用及び議論される様々な一般的及びより具体的な参照に記載の通りに行われる。酵素反応及び精製技術は、当技術分野で一般に遂行されるように、または本明細書に記載の通り、製造業者の仕様書に従って行われる。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品及び薬化学に関連して使用される命名法、ならびにそれらの検査法及び技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用される。化学合成、化学分析、医薬品調製、製剤化、及び送達、ならびに患者の治療には、標準的な技術が使用される。
【0056】
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書で使用される科学用語及び技術用語は、当業者に一般に理解される意味を有する。潜在的な曖昧性の場合には、本明細書に提供する定義がいかなる辞書的定義にも外部定義にも優先される。文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。特に明記しない限り、「または」の使用は、「及び/または」を意味する。「含む(including)」という用語、ならびに他の形態、例えば、「含む(includes)」及び「含む(included)」の使用は、限定するものではない。
【0057】
本明細書で使用される、「約」及び「およそ」という用語は、所与の値または範囲の5%以内である値を指す。
【0058】
本明細書で使用される、「腫瘍浸潤リンパ球」または「TIL」という表現は、対象の血流を離れて腫瘍内に移行したリンパ球の集団を指す。TILとしては、CD8細胞傷害性T細胞、Th1及びTh17 CD4T細胞、ならびにナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられるがこれらに限定されない。TILは、一次及び二次TILの両方を含む。「一次TIL」とは、本明細書で説明する患者の組織サンプルから得られるものであり(「新たに採取したもの」と呼ばれることがある)、「二次TIL」とは、本明細書で論じる通りに増殖させた(expanded)または増殖させた(proliferated)任意のTIL細胞集団であり、バルクTIL及び増殖したTIL(「REP TIL」または「post-REP TIL」)を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、一次TILは、患者の末梢血から得られる腫瘍反応性T細胞を含む。TIL細胞集団は、遺伝子改変されたTILを含み得る。「TIL」はまた、対象の血流を離れ、腫瘍内に移行し、その後再度離れて血流に入ったリンパ球の集団も指す。
【0059】
本明細書で使用される、「細胞の集団」または「TILの集団」という表現は、共通の特徴を共有する複数の細胞またはTILを指す。一般に、集団は、概して1×10~1×1010個の範囲であり、異なるTILの集団は異なる数を含む。例えば、IL-2の存在下での一次TILの初期成長により、おおよそ1×10細胞のバルクTIL集団を得ることができる。REP増殖は、一般に、注入用の1.5×10~1.5×1010細胞の集団を提供するために行われる。
【0060】
本明細書で使用される、「TILの集団を増殖させる(expanding a population of TILs)」という表現は、「TILの集団を増殖させる(proliferating a population of TILs)」と同義であり、TILの集団内の細胞数を増加させることを指す。
【0061】
本明細書で使用される、「増殖プロセス」という表現は、TILの集団内の細胞数が増加するプロセスを指す。TILの数が実質的に増加することなくTILが単に単離または濃縮されるプロセスは、増殖プロセスではない。
【0062】
本明細書で使用される、「マトリックス(matrix)」または「可動性マトリックス」という用語は、別々の単離可能な三次元格子型構造を指し、該構造の骨格は、柔軟性または可動性の場合があり、ポリマー及びセラミック等の材料からなり得る。三次元構造のため、マトリックスは、最小の寸法及び最大の寸法、例えば、長さを有することができる。可動性マトリックスは、コラーゲン、精製タンパク質、精製ペプチド、多糖、グリコサミノグリカン、または細胞外マトリックス組成物のものであり得る。多糖としては、例えば、セルロースエーテル、デンプン、アラビアゴム、アガロース、デキストラン、キトサン、ヒアルロン酸、ペクチン、キサンタン、グアーガム、またはアルギネートが挙げられ得る。他のポリマーとしては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリクオタニウムポリマー、ポリホスファゼン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ブロックコポリマー、またはポリウレタンが挙げられ得る。該可動性マトリックスは、デキストランのポリマーを含み得る。「マトリックス(matrices)」は、複数のマトリックスの一群を指す。
【0063】
本明細書で使用される、マトリックスの文脈における「最大の寸法」という表現は、当該マトリックスの最長の長さを指す。
【0064】
本明細書で使用される、「アゴニスト」という用語は、細胞の表面でまたは可溶性の形態のいずれかで標的に結合する化学薬品、分子、高分子、分子の複合体、または高分子の複合体を指す。ある特定の実施形態では、アゴニストが細胞の表面で標的に結合する場合、該アゴニストは該標的を活性化して生物学的反応が生じる。アゴニストとしては、ホルモン、神経伝達物質、抗体、及び抗体の断片が挙げられる。
【0065】
本明細書で使用される、「ナノマトリックス」という用語は、ポリマー鎖の複数のマトリックスのコロイド懸濁液を指す。ナノマトリックスは、500nm未満の寸法を有する多相材料であるか、または該材料を構成する異なる相間でナノスケールの反復距離を有する構造を有する多相材料である。ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、多糖、デキストラン、及び多くの繰り返しサブユニットから構成される他の高分子が挙げられ得る。ナノマトリックスはまた、その中に埋め込まれたさらなる機能性化合物、例えば、磁性、常磁性または超常磁性ナノ結晶も有し得る。さらに、機能性部分、例えば、リガンドまたはアゴニストを、特定の用途のためにポリマー鎖に共有結合または結合させてもよい。
【0066】
本明細書で使用される、「デキストラン」という用語は、複雑な分岐グルカン、すなわち、グルコースの縮合で得られる多糖を指す。デキストラン鎖は、3~2000キロダルトンの様々な長さのものである。該ポリマーの主鎖は、グルコースモノマー間のα-1,6グリコシド結合からなり、α-1,3結合から分岐する。
【0067】
本明細書で使用される、「ナノマトリックスに結合したアゴニスト」という表現は、ナノマトリックス内でマトリックスを含むポリマー鎖に共有結合したアゴニストを指す。
【0068】
本明細書で使用される、「コロイド懸濁液」という表現は、1つの物質、例えば、マトリックスが、別の物質、例えば、液体全体に懸濁されている混合物を指す。コロイド懸濁液は従って、分散相、すなわち、懸濁された物質、及び連続相、すなわち、懸濁媒体、例えば、液体を有する。
【0069】
本明細書で使用される、「TILの集団をナノマトリックスと接触させること」という表現は、TILとナノマトリックスを一緒にすることを指し、その結果、該TILは、ナノマトリックスに結合した機能性部分、例えば、リガンドもしくはアゴニスト、またはナノマトリックスに埋め込まれた機能性化合物、例えば、ナノ結晶と、イオン結合、水素結合、または他のタイプの物理的または化学的相互作用を介して会合することができる。
【0070】
本明細書で使用される、「対象」という用語は、腫瘍を有するヒト指し、この腫瘍内に該ヒトの血流を離れたリンパ球の集団が移行しTILに変換されている。このヒトは、患者自身のTILの増殖した集団に関連した免疫療法を必要とする患者の場合がある。
【0071】
本明細書で使用される、「CD3」という用語は、細胞傷害性T細胞(CD8+ナイーブT細胞)及びTヘルパー細胞(CD4+ナイーブT細胞)の両方の活性化を促進するCD3(表面抗原分類3)T細胞共受容体を指す。CD3は、6つの明確なポリペプチド鎖(2つのCD3ゼータ鎖、2つのCD3イプシロン鎖、1つのCD3eガンマ鎖、及び1つのCD3デルタ鎖)から構成されるタンパク質複合体である。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)のアルファ及びベータ鎖(またはガンマ及びデルタ鎖)と会合し、Tリンパ球における活性化シグナルを生成する。TCRのアルファ及びベータ鎖(またはガンマ及びデルタ鎖)、ならびにCD3分子が一緒にTCR複合体を構成する。ヒトCD3E遺伝子は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)遺伝子ID916で識別される。ヒトCD3E遺伝子に関する例示的な核酸配列は、NCBI参照配列:NG_007383.1である。ヒトCD3Eポリペプチドの例示的なアミノ酸配列は、配列番号876として提供される。
【表1】
【0072】
表1において、リーダー配列を有するタンパク質に対する推定リーダー配列は、下線付きで示される。
【0073】
本明細書で使用される、「CD28」という用語は、表面抗原分類28を指し、T細胞の活性化及び生存に必要な共刺激シグナルを与えるT細胞で発現されるタンパク質の一種である。T細胞受容体(TCR)に加えて、CD28を介したT細胞の刺激により、様々なサイトカイン、例えば、インターロイキンの産生のための強力なシグナルがもたらされ得る。CD28は、CD80及びCD86タンパク質の受容体である。トール様受容体リガンドによって活性化されると、CD80の発現は、抗原提示細胞(APC)で上方制御される。ヒトCD28遺伝子は、NCBI遺伝子ID940で識別される。ヒトCD28遺伝子に関する例示的なヌクレオチド配列は、NCBI参照配列:NG_029618.1である。ヒトCD28ポリペプチドの例示的なアミノ酸配列は、配列番号877として提供される。
【0074】
本明細書で使用される、「CD2」という用語は、表面抗原分類2を指し、これは、T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の表面で見出される細胞接着分子である。CD2は、他の接着分子と相互作用し、T細胞及びNK細胞上で共刺激分子として作用する。ヒトCD2遺伝子は、NCBI遺伝子ID914で識別される。ヒトCD2遺伝子に関する例示的な核酸配列は、NCBI参照配列:NG_050908.1である。ヒトCD2ポリペプチドの例示的なアミノ酸配列は、配列番号878として提供される。
【0075】
本明細書で使用される、「4-1BB」という用語は、CD137を指し、これは、T細胞共刺激分子である。ヒト4-1BB遺伝子に関する例示的なヌクレオチド配列は、NCBI参照配列:NC_000001.11である。ヒト4-1BBの例示的なアミノ酸配列は、NCBI参照配列:NP_001552.2(配列番号880)である。
【0076】
本明細書で使用される、「4-1BBリガンド」という用語は、活性化されたTリンパ球で発現され、4-1BBに結合する2型膜貫通糖タンパク質を指す。ヒト4-1BBリガンドに関する例示的なヌクレオチド配列は、NCBI参照配列:NC_000019.10である。ヒト4-1BBリガンドの例示的なアミノ酸配列は、NCBI参照配列:AAA53134.1(配列番号:881)である。
【0077】
本明細書で使用される、アゴニストまたは抗体に関連して使用される、「断片」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持したアゴニストまたは抗体の断片を指す。抗体の断片の例としては、(i)Fab断片、すなわち、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片、(ii)F(ab’)2断片、すなわち、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一のアームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)単一の可変ドメインを含むdAb断片、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、これらを、組み換え法を使用して、VL及びVH領域が組み合わさって一価分子(単鎖Fv(ScFv)として知られている)を形成する単一のタンパク質鎖として形成されるようにする合成リンカーによって接合させることができる。かかる短鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合タンパク質」という用語に包含されることが意図される。他の形態の短鎖抗体、例えば、ダイアボディもまた包含される。さらに、短鎖抗体としては、直列のFvセグメントの対(VH-CH1-VH-CH1)を含む「線状抗体」も挙げられ、これは、相補的な軽鎖ポリペプチドと一緒に抗原結合領域の対を形成する。
【0078】
「抗体」という用語は、通常、4本のポリペプチド鎖、すなわち、2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖から構成される免疫グロブリン(Ig)分子、またはIg分子のエピトープ結合性を保持するその機能的断片、突然変異体、バリアント、もしくは誘導体を指す。かかる断片、突然変異体、バリアント、または誘導体抗体の型は、当技術分野で既知である。完全長抗体の実施形態では、各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域(CH)から構成される。該重鎖可変領域(ドメイン)は、本開示ではVDHとも指定される。該CHは、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域(CL)から構成される。該CLは、単一のCLドメインから構成される。該軽鎖可変領域(ドメイン)は、本開示ではVDLとも指定される。該VH及びVLは、さらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域に組み入れられた相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域に分割される。一般に、各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、以下の順で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)、またはサブクラスのものでよい。
【0079】
本明細書で使用される、「選択的結合」または「選択的に結合する」という表現は、所定の抗原上のエピトープへのアゴニストの結合を指す。通常、該アゴニストは、親和性(K)約10-5M未満、例えば、約10-6M、10-7M、10-8M、10-9Mまたは10-10M未満またはさらに低いKで結合する。
【0080】
本明細書で使用される、「K」という用語は、特定のアゴニスト・抗原相互作用の解離平衡定数を指す。通常、本明細書に記載のアゴニストは、標的に対して、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)技術をBiacore機器にて使用し、リガンドとして該アゴニスト及びアナライトとして該標的を使用して測定して、解離平衡定数(K)約10-6M、10-7M、10-8M、10-9Mまたは10-10M未満またはさらに低いKで結合し、所定の抗原または近縁の抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に対する結合に関する親和性より少なくとも10倍低い、例えば、少なくとも100倍低い、例えば、少なくとも1000倍低い、例えば、少なくとも10,000倍低い、例えば、少なくとも100,000倍低いKに相当する親和性で標的タンパク質に結合する。該親和性の低下量は、アゴニストのKに依存するため、当該アゴニストのKが極めて低い(すなわち、該アゴニストが高度に特異的である)場合、当該抗原に対する親和性が非特異的抗原に対する親和性よりも低下する量は、少なくとも10,000倍であり得る。
【0081】
本明細書で使用される、「k」(秒-1)という用語は、特定のアゴニスト・抗原相互作用の解離速度定数を指す。該値は、koff値とも呼ばれる。
【0082】
本明細書で使用される、「k」(M-1×秒-1)という用語は、特定のアゴニスト・抗原相互作用の会合速度定数を指す。
【0083】
本明細書で使用される、「KD」(M)という用語は、特定のアゴニスト・抗原相互作用の解離平衡定数を指す。
【0084】
本明細書で使用される、「K」(M-1)という用語は、特定のアゴニスト・抗原相互作用の会合平衡定数を指し、kをkで除することによって得られる。
【0085】
本明細書で使用される、「活性化シグナル」という表現は、T細胞を活性化する1つ以上の非内因性刺激を指す。内因性過程では、T細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面で発現されるMHCクラスII分子によってペプチド抗原が提示された場合に活性化する。活性化されると、該T細胞は、急速に分裂し、免疫反応を調節または支援するサイトカインを分泌する。該内因性T細胞活性化過程は、少なくとも(a)CD3を含むTCR複合体の活性化、及び(b)APC表面でのタンパク質によるCD28または4-1BBの共刺激を含む。当技術分野では、該内因性のT細胞活性化は、CD3、CD28または4-1BBアゴニスト(例えば、抗体)によるT細胞の刺激によって刺激され得ることが知られている。従って、CD3、CD28及び/または4-1BBは、一緒になってT細胞に活性化シグナルをもたらし得る。
【0086】
本明細書で使用される、「TILの集団を活性化してその増殖を誘導すること」という表現は、TILが数を増加させるかまたは増殖し、サイトカインの産生を開始して(活性化TIL)免疫反応を強化することができるように、TILの集団を活性化シグナルに供するプロセスを指す。
【0087】
本明細書で使用される、「ナノ結晶」という用語は、少なくとも1つの寸法が100nm未満の材料分子を指し、量子ドットに基づき、単結晶または多結晶のいずれかの配置の原子から構成される。ナノ結晶のサイズは、より大きな結晶からそれらを区別する。
【0088】
本明細書で使用される、「磁性、常磁性、または超常磁性ナノ結晶」という表現は、磁場を使用して操作され得るナノ結晶を指す。かかるナノ結晶は、一般に、磁性材料、例えば、鉄、ニッケル、またはコバルトである少なくとも1つの成分からなる。
【0089】
本明細書で使用される、「腫瘍細胞」または「がん細胞」という表現は、制御されない方法で分裂し、固形腫瘍を形成するか、または異常な細胞で血液を満たす細胞を指す。健康な細胞は、さらなる娘細胞をもはや必要としない場合に分裂を停止するが、腫瘍細胞またはがん細胞は、コピーを産生し続ける。それらはまた、体の1つの部分から他の部分へ、転移として知られるプロセスで広がることができる。腫瘍細胞は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸及び直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口唇及び口腔癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、肺癌、非小細胞肺癌、頭頸部癌、神経芽細胞腫、多形神経膠芽腫、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、小細胞肺癌、ならびに甲状腺癌を含めた多くのがん型から単離され得る。腫瘍細胞は、原発腫瘍及び転移から単離され得る。
【0090】
本明細書で使用される、「腫瘍サンプル」という表現は、対象から単離された腫瘍細胞を指す。ある特定の実施形態では、腫瘍サンプルは、腫瘍を有する対象または患者から全体としてまたは部分的に単離される固形腫瘍の少なくとも一部である。腫瘍サンプルは、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸及び直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口唇及び口腔癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、肺癌、非小細胞肺癌、頭頸部癌、神経芽細胞腫、多形神経膠芽腫、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、小細胞肺癌、ならびに甲状腺癌を含めた多くのがん型から単離され得る。腫瘍サンプルは、原発腫瘍及び転移から単離され得る。
【0091】
本明細書で使用される、「解離した腫瘍サンプル」という表現は、「腫瘍断片」に断片化された腫瘍サンプルを指す。該断片化は、物理的断片化、機械的断片化、超音波断片化、酵素断片化、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。該断片化は、機械的に行われ得るとともに、任意にその後該腫瘍断片が単細胞懸濁液まで酵素消化され得る。機械的解離法は、該腫瘍をより小さい腫瘍断片にチョップ及びスライスすることを含み得る一方、酵素的解離法は、該腫瘍断片を特定の酵素、例えば、プロテアーゼで処理することを含み得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、以前に失敗したpre-REP増殖からTILサンプルを取り返すことができる。ある特定の実施形態では、該腫瘍サンプルは、以前にTILの増殖技術の対象となるサンプルを有していた対象から単離される。いくつかの実施形態では、該以前のTILの増殖技術は、pre-REP増殖から構成されるものであった。いくつかの実施形態では、該pre-REP増殖は、IL-2を該対象の解離した腫瘍サンプルに投与することを含む。いくつかの実施形態では、該pre-REP増殖で該腫瘍サンプルまたは該腫瘍サンプルから増殖させたTILに投与される唯一の免疫調節物質は、IL-2である。いくつかの実施形態では、該以前のTILの増殖技術は、失敗したものである。いくつかの実施形態では、TILの増殖技術は、それが適切な数のTILを増殖しない場合は失敗である。いくつかの実施形態では、適切なTILの数は、1000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000または100,000TILを超える。いくつかの実施形態では、TILの増殖技術は、それが適切なTILの増殖倍率を誘導しない場合は失敗である。いくつかの実施形態では、適切なTILの増殖倍率は、50、100、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、または10,000倍を超える増殖倍率である。いくつかの実施形態では、該以前のTILの増殖技術と本明細書に開示するTILの増殖方法で同じ腫瘍サンプルの部分が使用される。いくつかの実施形態では、同じ対象から2つの異なるサンプルが単離される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、以前の増殖技術より多くの数または増殖倍率のTILを提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、臨床的に有用な数のTILを提供することができ、該以前の増殖技術では、その数のTILを提供することはできなかった。
【0093】
本明細書で使用される、「T細胞受容体アゴニスト」または「TCRアゴニスト」という表現は、T細胞受容体複合体のアゴニストを指す。適切なTCRアゴニストとしては、CD3アゴニスト(例えば、抗CD3抗体)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0094】
本明細書で使用される、「培地」という用語は、人工的な環境で細胞の生存、成長、及び/または増殖を支持するように設計された液体またはゲルを指す。培地は、一般に、一連の明確な成分を含む。かかる成分としては、エネルギー源、成長因子、ホルモン、刺激物、活性化因子、糖、塩、ビタミン、及び/またはアミノ酸、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0095】
本明細書で使用される、「培地の成分が維持される」という表現は、成分の同一性は一定のままであるが、該成分の1つ以上の濃度が変動することがある一連の明確な成分、例えば、特定の刺激物及び活性化因子を含む培地を指す。ある特定の実施形態では、該培地中の1つ以上の成分の濃度は、細胞が該培地で培養される間に経時的に変動する。しかしながら、該培地の変更時には、新たな培地は、変更ごとに同じ成分を有する。
【0096】
本明細書で使用される、「フィーダー細胞」という表現は、別の細胞型の増殖を促進する細胞外分泌をもたらすために使用される細胞を指す。ある特定の実施形態では、本明細書で言及するフィーダー細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)または抗原提示細胞(APC)である。
【0097】
本明細書で使用される、「組み換えアゴニスト」という表現は、遺伝子の発現及びmRNAの翻訳を支持する系でクローニングされた組み換え遺伝子によってコードされるアゴニストタンパク質を指す。該組み換え遺伝子は、十分に特徴づけられたプロモーターの制御下にあるように、また、選択された宿主細胞内で標的アゴニストタンパク質を発現し、高レベルのタンパク質発現を達成するように設計される。組み換えDNA技術による遺伝子の改変により、変異タンパク質の発現または大量のタンパク質の発現がもたらされ得る。
【0098】
本明細書で使用される、「コロイドポリマー鎖」という表現は、互いに共有結合で連結された場合または他の物理的または化学的相互作用により連結された場合にコロイド懸濁液を形成することができるポリマー鎖を指す。
【0099】
本明細書で使用される、「特異的に結合する」という表現は、タンパク質複合体がより低い会合親和性を有する他の抗原と比較して、高い特異性で特定の抗原と相互作用する該タンパク質複合体、例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体または可溶性単一特異性複合体を指す。該特異的な結合相互作用は、イオン結合、水素結合、または他のタイプの化学的もしくは物理的会合によって媒介され得る。ある特定の実施形態では、タンパク質複合体は、それがその標的抗原をタンパク質及び/または高分子の複雑な混合物中で認識した場合に特定の抗原に特異的に結合する。2つ以上のアゴニスト、アンタゴニスト、抗体または可溶性単一特異性複合体は、該アゴニストが交差競合する(一方が他方の結合または調節作用を妨げる)場合、「同じエピトープに結合する」。
【0100】
本明細書で使用される、「セントラルメモリーT細胞表現型」という表現は、ヒトではCD45RO+であり、CCR7(CCR7hi)及びCD62L(CD62hi)を発現するT細胞のサブセットを指す。セントラルメモリーT細胞の表面表現型はまた、TCR、CD3、CD127(IL-7R)も含む。セントラルメモリーT細胞は、主にIL-2及びCD40LをTCR誘発後にエフェクター分子として分泌する。セントラルメモリーT細胞は、血中のCD4コンパートメントで優勢であり、ヒトでは、相対的にリンパ節及び扁桃腺で豊富である。
【0101】
本明細書で使用される、「抗CD3抗体」という表現は、抗体またはそのバリアント、例えば、モノクローナル抗体を指し、成熟T細胞のT細胞抗原受容体におけるCD3受容体に対するヒト、ヒト化、キメラまたはマウス抗体を含む。抗CD3抗体としては、ムロモナブとしても知られるOKT-3が挙げられる。抗CD3抗体としてはまた、T3及びCD3cとしても知られるUCHT1クローンも挙げられる。他の抗CD3抗体としては、例えば、オテリキシズマブ、テプリズマブ、及びビシリズマブが挙げられる。
【0102】
本明細書で使用される、「抗CD28抗体」という表現は、抗体またはそのバリアント、例えば、モノクローナル抗体を指し、成熟T細胞のT細胞抗原受容体におけるCD28受容体に対するヒト、ヒト化、キメラまたはマウス抗体を含む。
【0103】
本明細書で使用される、「抗4-1BB抗体」という表現は、抗体またはそのバリアント、例えば、モノクローナル抗体を指し、4-1BBに対するヒト、ヒト化、キメラまたはマウス抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗4-1BB抗体は、4-1BBリガンドとして使用され得る。
【0104】
本明細書で使用される、「抗CD2抗体」という表現は、抗体またはそのバリアント、例えば、モノクローナル抗体を指し、成熟T細胞のT細胞抗原受容体におけるCD2受容体に対するヒト、ヒト化、キメラまたはマウス抗体を含む。
【0105】
本明細書で使用される、「OKT-3」(本明細書では、「OKT3」とも呼ばれる)という用語は、Miltenyi Biotech,Inc.,San Diego,Calif.,USAによって製造される抗CD3抗体、及びまたはそのバイオ後続品もしくはバリアント(例えば、ヒト化、キメラ、もしくは親和性成熟バリアント)を指す。OKT-3を産生することができるハイブリドーマは、American Type Culture Collectionで入手可能であり、ATCCアクセッション番号CRL 8001が割り当てられている。OKT-3を産生することができるハイブリドーマは、European Collection of Authenticated Cell Cultures(ECACC)で入手可能であり、カタログ番号86022706が割り当てられている。
【0106】
本明細書で使用される、「UCHT1」という用語は、Beverley and Callard(1981)Eur.J.Immunol.11:329-334に記載の抗CD3抗体、及びまたはそのバイオ後続品もしくはバリアント(例えば、ヒト化、キメラ、もしくは親和性成熟バリアント)を指す。例示的なUCHT1を産生することができるハイブリドーマは、Creative Diagnostics,Shirley,NY,USAから入手可能であり、カタログ番号CSC-H3068が割り当てられている。
【0107】
本明細書で使用される、「四量体抗体複合体」または「TAC」という表現は、第一及び第二のアゴニストとして作用する抗体を結合する1つまたは2つのリンカー抗体によって連結された第一及び第二のアゴニストとして作用する2つの抗体を含むタンパク質複合体を指す。該リンカー抗体は、該アゴニスト抗体の定常領域に結合し得るとともに、該定常領域は異なるアイソタイプのものであり、アイソタイプごとに1つの結合領域を有する二重特異性抗体も使用され得る。これらの複合体への支持は、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第4,868,109号に見出すこともできる。他の実施形態では、第一及び第二のリガンドとして作用する該抗体、またはその抗原結合断片は、1つ以上のリンカー分子によって共有結合される場合もあれば、非共有的に結合される場合もある。かかるリンカー分子の非限定的な例としては、アビジン及びストレプトアビジンが挙げられ、これらは、ビオチン化抗体、例えば、Fc領域にビオチン部分を有する抗体を接合するために使用され得る。さらなる実施形態では、四量体抗体複合体は、複合体の混合物として使用される場合もある。これには、複合体の混合物中の複数種の複合体の使用が含まれ、全混合物の複合体は、3つ以上の異なるリガンドと接触し得る。
【0108】
本明細書で使用される、「RNA誘導型ヌクレアーゼ」という表現は、標的ゲノム編集を行うために使用され得るプログラム可能なエンドヌクレアーゼである天然に存在するII型CRISPR-Cas系に基づく核酸/タンパク質複合体を指す。RNA誘導型ヌクレアーゼは、2つの成分、すなわち、5’末端の20個の可変ヌクレオチドを使用して、標的ゲノムDNA配列と塩基対合する短い約100ヌクレオチドのガイドRNA(gRNA)及び標的DNAを切断するヌクレアーゼ、例えば、Cas9エンドヌクレアーゼからなる。
【0109】
本明細書で使用される、「Cas9」という用語は、CRISPR関連タンパク質9、すなわち、ある特定の細菌のDNAウイルスに対する免疫学的防御に重要な役割を果たすタンパク質を指し、これは、遺伝子工学への応用に頻繁に利用されている。Cas9は、Streptococcus pyogenesにおけるCRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)の獲得免疫系に関連するRNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ酵素である。Cas9は、ガイドRNA(gRNA)に相補的な部位を照合することにより、DNAのセクションを調べることができる。DNA基質がgRNAに相補的である場合、Cas9は、そのDNAを切断する。Cas9の標的特異性は、gRNA:DNA相補性に由来し、タンパク質自体に対する改変(TALEN及びジンクフィンガーのような)には由来しないため、新たなDNAを標的とするようにCas9を操作することは容易である。同族DNAに結合するが切断はしないCas9の型を使用して、転写活性化因子または抑制因子と特定のDNA配列に設置し、転写活性化及び抑制を制御することができる。天然のCas9は、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)に関連する2つの異なるRNAから構成されるガイドRNAを必要とする。Cas9の標的化は、キメラ一本鎖ガイドRNAの操作により単純化されている。
【0110】
本明細書で使用される、「不活性型Cas9」または「dCas9」という表現は、Cas9エンドヌクレアーゼDeadを指し、これは、そのエンドヌクレアーゼドメインでの点突然変異によりエンドヌクレアーゼ活性が除去されているCas9の突然変異型である。その突然変異していない型と同様、dCas9は、gRNAとともにCRISPR系で使用され、Cas9の結合を可能にするPAM配列を備えたgRNAと相補的な特定の遺伝子またはヌクレオチドを標的とする。Cas9は通常、RuvC及びHNHドメインと呼ばれる2つのエンドヌクレアーゼドメインを有する。点突然変異D10A及びH840Aは、エンドヌクレアーゼ活性にとって重要な2つの残基を変化させ、最終的にその不活性化をもたらす。dCas9はエンドヌクレアーゼ活性を欠いているが、そのガイドRNA及び標的とされるDNA鎖への結合は他のドメインによって管理されているため、かかる結合は依然として可能である。転写因子及びRNAポリメラーゼがDNAにアクセスできないようにgRNAがdCas9を配置する場合、標的遺伝子の転写を完全にブロックしない場合でも、これだけで多くの場合減弱には十分である。しかしながら、dCas9は、通常は該タンパク質のN末端及びC末端に転写活性化因子を結合するために使用され得る修飾可能な領域を有するため、DNAに結合するこの能力は、活性化にも利用され得る。
【0111】
本明細書で使用される、「サイトカイン」という用語は、細胞のシグナル伝達に重要な小タンパク質(約5~20kDaのサイズ)の広義のカテゴリーを指す。サイトカインはペプチドであり、細胞の脂質二重層を通過して細胞質に入ることはできない。サイトカインは、免疫調節剤として自己分泌シグナル伝達、傍分泌シグナル伝達、及び内分泌シグナル伝達に関与することが分かっている。用語はある程度重複しているが、サイトカインには、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、及び腫瘍壊死因子が含まれ、一般にホルモンや成長因子は含まれない。サイトカインは、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、肥満細胞のような免疫細胞、ならびに内皮細胞、線維芽細胞、及び様々な間質細胞を含めた広範囲の細胞によって産生される。サイトカインは、一般に、細胞表面の受容体への結合を介して作用し、また、それらは、特定の細胞集団の成熟、成長、及び反応性の調節に関与するため、特に免疫反応において重要である。
【0112】
本明細書で使用される、「T細胞刺激サイトカイン」という表現は、T細胞リンパ球を刺激及び/または活性化するサイトカインを指す。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインは、IL-2である。
【0113】
本明細書で使用される、「IL-2」(本明細書では「IL2」とも呼ばれる)という用語は、インターロイキン-2として知られるサイトカイン及びT細胞成長因子を指し、IL-2のすべての型、すなわち、ヒト及び哺乳類型、保存的アミノ酸置換を有する型、糖型、バイオ後続品、及びそれらのバリアント等を含む。IL-2は、例えば、Nelson,J.Immunol.2004,172,3983-88及びMalek,Annu.Rev.Immunol.2008,26,453-79に記載されており、これらの開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。IL-2という用語は、ヒト、組み換え型のIL-2、例えば、アルデスロイキン(PROLEUKIN、単回使用バイアルあたり2200万IUで複数の供給元から市販されている)、及びCellGenix,Inc.,Portsmouth,N.H.,USA(CELLGRO GMP)またはProSpec-Tany TechnoGene Ltd.,East Brunswick,N.J.,USA(カタログ番号CYT-209-b)によって市販されている組み換え型IL-2ならびに他の供給業者からの他の市販の同等物を包含する。アルデスロイキン(des-アラニル-1,セリン-125ヒトIL-2)は、非グリコシル化ヒト組み換え型のIL-2であり、分子量は約15kDaである。IL-2という用語はまた、Nektar Therapeutics,South San Francisco,Calif.,USAより入手可能なペグ化IL-2プロドラッグNKTR-214を含めたIL-2のペグ化型も包含する。本発明での使用に適したNKTR-214及びペグ化IL-2は、米国特許出願公開第US2014/0328791A1号及び国際特許出願公開第WO2012/065086A1号に記載されている。これら公開の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。本発明での使用に適した別の型のコンジュゲートIL-2は、米国特許第4,766,106号、第5,206,344号、第5,089,261号及び第4,902,502号に記載されている。これら特許の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。本発明での使用に適したIL-2の製剤は、米国特許第6,706,289号に記載されている。その開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。ヒトIL2遺伝子は、NCBI遺伝子ID3558によって識別される。ヒトIL2遺伝子に関する例示的なヌクレオチド配列は、NCBI参照配列NG_016779.1である。ヒトIL-2ポリペプチドの例示的なアミノ酸配列は、配列番号879として提供される。
【0114】
本明細書で使用される、「可溶性単一特異性複合体」という表現は、互いに直接または間接的に連結され、同じ抗原に結合している2つの結合タンパク質を含む複合体を指す。該2つの結合タンパク質は、可溶性であり、表面、粒子、またはビーズに固定化されない。
【0115】
さらに、本開示によれば、当業者が備えている技能の範囲内で、従来の分子生物学、微生物学、及び組み換えDNA技術が使用され得る。かかる技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Sambrook、Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Second Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(本明細書では、「Sambrook et al.,1989」)、DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985)、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.1984)、Nucleic Acid Hybridization[B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985)]、Transcription And Translation[B.D.Hames & S.J.Higgins、eds.(1984)]、Animal Cell Culture[R.I.Freshney、ed.(1986)]、Immobilized Cells And Enzymes[IRL Press、(1986)]、B.Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984)、F.M.Ausubel et al.(eds.)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、Inc.(1994)を参照されたい。これら参考文献の各々は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0116】
特に明記しない限り、本明細書に提供する配列同一性/類似性の値は、BLAST2.0の一連のプログラムを使用し、デフォルトのパラメータを使用して得られた値を指す(Altschul,et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-402、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。
【0117】
本明細書で使用される、「核酸標的配列」及び「核酸結合配列」は同義で使用され、核酸に結合する及び/または核酸を標的とする配列を指す。
【0118】
本明細書で使用される、2つの核酸またはポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」または「同一性」には、特定の比較ウィンドウにわたって最大の一致を得るようにアラインさせた場合に同一である2つの配列の残基への言及が含まれる。配列同一性のパーセンテージがタンパク質に関して使用される場合、同一でない残基の位置は、アミノ酸残基が同様の化学的性質(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基に置換されているため、当該分子の機能特性が変化しない保存的アミノ酸置換によって異なっていることが多いことが認識される。配列が保存的置換において異なる場合、配列同一性パーセントは、該置換の保存的性質を補正するために上方調整され得る。かかる保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると言われる。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。通常、これには、保存的置換を、完全な不一致ではなく部分的な不一致としてスコアし、それにより、配列同一性パーセンテージを高めることが含まれる。従って、例えば、同一のアミノ酸にスコア1が与えられ、非保存的置換にスコアゼロが与えられる場合、保存的置換には、ゼロと1の間のスコアが与えられる。保存的置換のスコアリングは、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics,Mountain View,Calif.,USA)に実装されたMeyers and Miller,(1988)Computer Applic.Biol.Sci.4:11-17のアルゴリズムに従って計算される。これらの参考文献の各々は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0119】
本明細書で使用される、「配列同一性パーセンテージ」とは、比較ウィンドウにわたって2つの最適にアラインされた配列を比較することによって特定される値を意味し、該比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適アライメントのため、参照配列(付加も欠失も含まないもの)と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を有してもよい。該パーセンテージは、両配列に同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が生じる位置の数を特定して一致した位置の数を得、該一致した位置の数を比較ウィンドウ内の全位置数で除し、その結果に100をかけることで配列同一性パーセンテージを得ることで計算される。
【0120】
ポリヌクレオチド配列の文脈における「実質的な同一性」または「実質的に同一」という用語は、ポリヌクレオチドが、標準的なパラメータを使用して記載されるアライメントプログラムの1つを使用して参照配列と比較して、50~100%の配列同一性、好ましくは、少なくとも50%の配列同一性、好ましくは、少なくとも60%の配列同一性、好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%及び最も好ましくは、少なくとも95%を有する配列を含むことを意味する。当業者には、これらの値が、コドン縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームポジショニング等を考慮に入れて、2つのヌクレオチド配列によってコードされる対応するタンパク質の同一性を特定するために適切に調整され得ることが認識されよう。これらの目的のため、アミノ酸配列の実質的な同一性とは、通常、55~100%、好ましくは、少なくとも55%、好ましくは、少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%、80%、90%及び最も好ましくは、少なくとも95%の配列同一性を意味する。
【0121】
I.腫瘍浸潤リンパ球(TIL)
腫瘍浸潤リンパ球またはTILは、元々、対象の血流を離れて腫瘍内に移行した白血球として得られた細胞の集団である。TILとしては、CD8細胞傷害性T細胞(リンパ球)、Th1及びTh17 CD4T細胞、ならびにナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられるがこれらに限定されない。TILは、一次及び二次TILの両方を含む。「一次TIL」とは、本明細書で説明する患者の組織サンプルから得られるものであり(「新たに採取したもの」と呼ばれることがある)、「二次TIL」とは、本明細書で論じる通りに増殖させた(expanded)または増殖させた(proliferated)任意のTIL細胞集団である。
【0122】
TILは一般に、細胞表面マーカーを使用して生化学的に定義される場合もあれば、腫瘍に浸潤する能力及び治療をきたす能力によって機能的に定義される場合もある。TILは、一般に、以下のバイオマーカーの1つ以上を発現するとして分類される:CD4、CD8、TCRαβ、TCRγδ、CD27、CD28、CD56、CCR7、CD45RA、CD45RO、CD95、PD-1、及びCD25。さらに、及び代替的に、TILは、患者への再導入後に固形腫瘍に浸潤する能力によって機能的に定義され得る。TILはさらに、有効性によって特徴づけられ得る。例えば、TILは、例えば、インターフェロンガンマ(IFNγ)の放出がTCR刺激後に約50pg/mLを超える、約100pg/mLを超える、約150pg/mLを超える、または約200pg/mLを超える場合に有効であると見なされ得る。
【0123】
従来のTIL製造プロセスによってエキソビボで培養されたTILを使用する養子細胞療法は、少なくとも2つの段階、すなわち、少なくとも1つの急速増殖プロトコル(REP)段階とその前のpre-REP段階を含む。養子細胞療法は、黒色腫の患者において、宿主の免疫抑制後に治療の成功をもたらした。現在の注入受容パラメータは、TILの組成の読み取り値(例えば、CD28、CD8、またはCD4陽性)ならびに増殖の数的倍率及びREP産物の生存率に依存している。
【0124】
実験的発見は、制御性T細胞及び免疫系の競合要素(「サイトカインシンク」)を除去することによる腫瘍特異的Tリンパ球の養子移入前のリンパ球枯渇化が、治療効果を高めるために重要な役割を果たすことを示している。従って、本発明のいくつかの実施形態は、本発明のTILの導入前の患者に対してリンパ球枯渇化段階(「免疫抑制前処置」とも呼ばれることがある)を使用し得る。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇化段階は使用されない。
【0125】
A.TILの増殖
本明細書で一般に説明するように、TILは、一般に、患者のサンプルから採取され、患者への移植前にその数を増やすように操作される。いくつかの実施形態では、該TILは、以下に論じるように遺伝子操作され得る。一般に、TILは、最初に患者の腫瘍サンプルから採取され(「一次TIL」)、その後本明細書に記載のさらなる操作のためにより大きな集団に増殖し、任意に凍結保存及び再刺激され、任意に、TILの健全性を示すような表現型及び代謝パラメータを評価される。
【0126】
患者の腫瘍サンプルは、当技術分野で既知の方法を使用して、通常、外科的切除、針生検、または腫瘍とTIL細胞の混合物を含むサンプルを得るための他の手段を介して採取され得る。一般に、該腫瘍サンプルは、原発腫瘍、浸潤性腫瘍または転移を含めた任意の固形腫瘍に由来し得る。該固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸及び直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口唇及び口腔癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、肺癌、非小細胞肺癌、頭頸部癌、神経芽細胞腫、多形神経膠芽腫、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、小細胞肺癌、ならびに甲状腺癌が挙げられるがこれらに限定されない任意のがん型のものでよい。いくつかの実施形態では、有用なTILは、悪性黒色腫腫瘍から得られ、これらは特に高レベルのTILを有することが報告されている。原発黒色腫腫瘍またはその転移を使用してTILを採取することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、通常は嚢胞も液体領域も含まない異常な組織の塊である。固形腫瘍は、良性の場合も悪性の場合もある。固形腫瘍がんは、悪性、新生物、またはがん性の固形腫瘍を指す。固形腫瘍がんとしては、リンパ腫、肉腫、乳(トリプルネガティブ乳癌を含む)、膵臓、前立腺、結腸、直腸、膀胱、肺(非小細胞肺癌(NSCLC)を含む)、脳、腎、胃、ならびに皮膚(扁平上皮癌、基底細胞癌、及び黒色腫を含むがこれらに限定されない)が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、該がんは、子宮頸癌、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を含む)、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、肝臓癌、卵巣癌、肉腫、膵臓癌、膀胱癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、及び非小細胞肺癌から選択される。固形腫瘍の組織構造は、実質(がん細胞)及び該がん細胞が分散され支持微小環境を提供し得る支持間質細胞を含めた相互依存組織コンパートメントを含む。
【0128】
採取された後、該腫瘍サンプルは、一般に鋭的剥離を使用して、約1~約8mm、または約0.5~約4mmの小片に断片化され、約2~3mmが特に有用である。該TILは、酵素腫瘍消化物を使用してこれらの断片から培養される。かかる腫瘍消化物は、酵素培地(例えば、Roswell Park Memorial Institute(RPMI)1640緩衝液、2mMのグルタミン酸、10mcg/mLのゲンタマイシン、30単位/mLのDNase及び1.0mg/mLのコラゲナーゼ)中でのインキュベーションに続いて、機械的な解離(例えば、組織解離機を使用)によって生成され得る。腫瘍消化物は、腫瘍を酵素培地に入れ、該腫瘍を約1分間、機械的に解離し、続いて37℃にて5%CO中で30分間インキュベーションの後、小組織片のみが含まれるまで機械的解離及び上記の条件下でのインキュベーションのサイクルを繰り返すことによって生成され得る。このプロセスの最後に、細胞懸濁液が多数の赤血球または死細胞を含んでいる場合、FICOLLの分岐親水性多糖を使用した密度勾配分離を行ってこれらの細胞が除去される場合もある。当技術分野で既知の別の方法、例えば、その開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0244133A1号に記載のものを使用してもよい。上記方法のいずれかを、TILの増殖方法またはがんの治療方法に関する本明細書に記載の実施形態のいずれかに使用してもよい。
【0129】
一般に、採取された細胞懸濁液は、「一次細胞集団」または「新たに採取された」細胞集団と呼ばれる。いくつかの実施形態では、断片化は、物理的断片化、例えば、剥離及び消化等を含む。いくつかの実施形態では、該断片化は、物理的断片化である。いくつかの実施形態では、該断片化は、剥離による。いくつかの実施形態では、該断片化は、消化による。いくつかの実施形態では、TILは、最初に、患者から採取された酵素腫瘍消化物及び腫瘍断片から培養され得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、腫瘍が固形腫瘍の場合、腫瘍サンプルが採取された後、該腫瘍は物理的断片化を受ける。いくつかの実施形態では、該断片化は、凍結乾燥前に行われる。いくつかの実施形態では、該断片化は、凍結乾燥後に行われる。いくつかの実施形態では、該断片化は、該腫瘍が採取された後、凍結乾燥をすることなく行われる。いくつかの実施形態では、該腫瘍は、断片化され、10、20、30、40またはそれを超える断片または片が第一の増殖用の各容器に配置される。いくつかの実施形態では、該腫瘍は、断片化され、30または40個の断片または片が第一の増殖用の各容器に配置される。いくつかの実施形態では、該腫瘍は、断片化され、40個の断片または片が第一の増殖用の各容器に配置される。いくつかの実施形態では、該複数の断片は、約4~50個の断片を含み、各断片は、体積が約27mmである。いくつかの実施形態では、該複数の断片は、約30~約60個の断片を含み、全体積は約1300m~約1500mmである。いくつかの実施形態では、該複数の断片は、約50個の断片を含み、全体積は、約1350mmである。いくつかの実施形態では、該複数の断片は、約50個の断片を含み、全質量は、約1グラム~約1.5グラムである。いくつかの実施形態では、該複数の断片は、約4個の断片を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、該TILは、腫瘍断片から得られる。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、鋭的剥離によって得られる。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約1mm~10mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約1mm~8mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約0.5mm~4mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約1mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約2mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約3mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約4mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約5mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約6mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約7mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約8mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約9mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、約10mmである。
【0132】
いくつかの実施形態では、該TILは、腫瘍消化物から得られる。いくつかの実施形態では、腫瘍消化物は、酵素培地、例えば、これらに限定されないが、RPMI1640、2mMのGlutaMAX、10mg/mLのゲンタマイシン、30U/mLのDNase及び1.0mg/mLのコラゲナーゼ中でのインキュベーションに続いて、機械的な解離(GentleMACS,Miltenyi Biotec,Auburn,Calif.)によって生成される。該腫瘍を酵素培地に入れた後、該腫瘍は約1分間、機械的に解離され得る。該溶液はその後、37℃にて5%CO中で30分間インキュベートされる場合があり、その後、再度約1分間、機械的に分断され得る。再度37℃にて5%CO中で30分間インキュベートされた後、該腫瘍は、3回目の約1分間、機械的に分断され得る。いくつかの実施形態では、3回目の機械的分断後、大きな組織片が含まれる場合、1回または2回のさらなる機械的解離が、37℃にて5%CO中でさらなる30分間のインキュベーションとともにまたはなしで、該サンプルに対して施される場合がある。いくつかの実施形態では、最終的なインキュベーションの最後に、細胞懸濁液が多数の赤血球または死細胞を含んでいる場合、FICOLLを使用した密度勾配分離を行ってこれらの細胞が除去される場合がある。
【0133】
いくつかの実施形態では、細胞は、任意に、サンプルの採取後に冷凍または凍結保存される場合があり、増殖相に入る前に、冷凍保存され得る。
【0134】
1.従来のTILの増殖方法の要約
従来のTILの活性化及び増殖方法では、フィーダー細胞の使用に加えて多段階プロセスが採用されている。この多段階プロセスには、少なくとも急速増殖プロトコル(REP)段階、それに先行する別のpre-REP段階を含む。
【0135】
a.従来の多段階TIL製造における第一の増殖段階:pre-REP
従来の多段階TIL製造プロセスは、pre-REPまたは第一の増殖から始まる。一般に、pre-REPは、断片化された、及び/または酵素消化された腫瘍サンプルを使用して開始され、ここに、IL-2が添加されて、該腫瘍サンプル内で、サイトカインが緩やかなTILの成長を引き起こす。一般に、IL-2は、該pre-REPに添加される唯一のサイトカイン、または免疫調節物質である。該pre-REPまたは第一の増殖段階は、2週間~数か月かかる可能性がある。pre-REPは、対象/患者への投与後に複製サイクルを増加させることができるため、古いTIL(すなわち、対象/患者への投与の前により多くの複製をさらに経ているTIL)と比較してさらなる治療的有用性を提供し得る新しいTILを採取することから始まる場合がある。
【0136】
いくつかの実施形態では、pre-REPの間に、腫瘍組織または腫瘍組織由来の細胞は、標準的な人工培地(RPMIを含むがこれに限定されない)で成長し、照射されたフィーダー細胞及び抗CD3抗体等の試薬で処理されて、所望の効果、例えば、TILの数の増加及び/または所望の細胞表面マーカーまたは他の構造的、生化学的もしくは機能的特性を含む細胞に関する集団の濃縮が達成される。pre-REPは、TILの産生を改善するための代替的な戦略を組み込むことを容易にする実験室グレードの試薬が使用され得る(実験室グレードの試薬が後のREP段階で希釈されるという想定の下)。従って、いくつかの実施形態では、本開示のTLRアゴニスト及び/またはペプチドもしくはペプチド模倣物を、該pre-REP段階の培地に含めることができる。該pre-REP培養は、いくつかの実施形態では、IL-2を含み得る。
【0137】
場合によっては、腫瘍断片の剥離または消化後、得られた細胞は、腫瘍及び他の細胞よりTILを成長に有利な条件下でIL-2を含む培地で培養される。腫瘍消化物は、不活性化ヒトAB血清と6000IU/mLのIL-2を含む培地中、2mLのウェル内でインキュベートされる。いくつかの例では、300~6000IU/mLのIL-2が添加される。pre-REPの間に、この一次細胞集団は、数日~数か月間培養され、バルクTIL集団、一般に約1×10のバルクTIL細胞が得られる。
【0138】
場合によっては、該pre-REPまたは第一の増殖段階の間に、TIL培養は、小(約2mm)腫瘍断片の外植片によって開始されるか、または酵素消化腫瘍組織の単細胞懸濁液の1×10個の生存能力のある細胞を6000IU/mlのIL-2を含む2mlの完全培地(RPMI1640系の培地に10%ヒト血清を補充)にプレーティングすることによって開始される。該培養物は、細胞濃度5×10~2×10細胞/mlで、数百万個のTIL細胞が利用可能になるまで、通常2~4週間維持される。複数の独立した培養物を、自己腫瘍細胞(可能な場合)及びHLA-A2+腫瘍細胞株の認識用のサイトカイン分泌アッセイによってスクリーニングする。最高のサイトカイン分泌を示す2~6つの独立したTIL培養物をその後さらに、細胞数が5×10個を超えるまで(この細胞数には、通常は、腫瘍切除から3~6週間後に達する)6000IU/mlのIL-2を含む完全培地で増殖させる。
【0139】
場合によっては、該pre-REPの第一の増殖は、閉鎖系のバイオリアクター、例えば、G-REX-10またはG-REX-100で行われる。
【0140】
遺伝子改変TILが治療に使用される場合は、該第一のTIL集団(バルクTIL集団とも呼ばれる)は、REP段階での第二の増殖の前に、遺伝子改変を受けることができる。
【0141】
該pre-REP段階を組み込む従来のプロセスでは、pre-REPとREPの間の境界は、TILがIL-2の存在下での増殖を経て、REPを開始するために必要な適切な細胞数に達した後、または所定の期間のpre-REPを経た後に生じる。様々な実施形態では、pre-REPは、得られたTILの数が、使用される製造プロトコルに応じて、1×10、10×10、4×10または40×10細胞の場合に完結し得る。別の実施形態では、pre-REPは、培養期間が、断片化が行われてから達した期間が3~14日または最大9~14日の場合に完結し得る。TILは、その後、さらなる使用のために直接凍結保存される場合もあれば、REPに移行する場合もある。
【0142】
場合によっては、該pre-REPまたは第一の増殖段階から得られたTILは、選択用の表現型が決定されるまで保存される。場合によっては、該第一の増殖から得られたTILは、保存されず、第二の増殖またはREP段階へ直接進む。場合によっては、該pre-REP段階から得られたTILは、第一の増殖後、第二の増殖またはREP段階の前に凍結保存されない。
【0143】
b.従来の多段階TIL製造における第二の及び後続の増殖段階:REP
従来の多段階TIL製造では、場合によっては、該TIL細胞集団は、採取及び最初のバルクプロセス、すなわち、pre-REPの後、数を増加させる。このさらなる増殖は、第二の増殖と呼ばれ、これは、当技術分野では一般に急速増殖プロトコル(REP)と呼ばれる増殖プロセスを含み得る。該第二の増殖またはREPは、一般に、フィーダー細胞、サイトカイン源、及び抗CD3抗体を含めたいくつかの成分を含む培地を使用し、気体透過性容器内で遂行される。場合によっては、該第二の増殖またはREPは、当業者に既知の任意のTILフラスコまたは容器を使用して行うことができ、7~14日間またはそれ以上続けることができる。
【0144】
場合によっては、該第二の増殖またはREPは、気体透過性容器内で、当技術分野で既知の方法を使用して行われ得る。例えば、TILは、非特異的T細胞受容体刺激をインターロイキン-2(IL-2)の存在下で使用して急速に増殖し得る。該非特異的T細胞受容体刺激としては、例えば、抗CD3抗体、例えば、約30ng/mlのOKT3、マウスモノクローナル抗CD3抗体(Ortho-McNeil,Raritan,N.J.もしくはMiltenyi Biotech,Auburn,Calif.から市販されている)またはUCHT-1(BioLegend,San Diego,Calif.,USAから市販されている)を挙げることができる。TILは、該第二の増殖の間に、任意にベクターから発現され得るヒト白血球抗原A2(HLA-A2)結合ペプチド、例えば、0.3μMのMART-1:26-35(27L)またはgpl00:209-217(210M)等のがんの1つ以上の抗原を、その抗原性部分、例えば、エピトープ(複数可)を含めて取り入れることにより、任意にT細胞成長因子、例えば、300IU/mLのIL-2の存在下で、インビトロでさらに該TILの刺激を誘導するために増殖させることができる。他の適切な抗原としては、例えば、NY-ESO-1、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼがん抗原、MAGE-A3、SSX-2、及びVEGFR2、またはそれらの抗原性部分が挙げられ得る。TILは、HLA-A2発現抗原提示細胞にパルスしたがんの同じ抗原(複数可)での再刺激によっても急速に増殖し得る。代替的に、該TILは、さらに、例えば、照射された自己リンパ球で、または照射されたHLA-A2+同種異系リンパ球及びIL-2で再刺激され得る。いくつかの実施形態では、該再刺激は、該第二の増殖の一部として行われる。いくつかの実施形態では、該第二の増殖は、照射された自己リンパ球の存在下で、または照射されたHLA-A2+同種異系リンパ球及びIL-2で行われる。
【0145】
場合によっては、該第二の増殖またはREPは、IL-2、OKT-3、及び抗原提示フィーダー細胞を含む補充細胞培地で行われ得る。場合によっては、該抗原提示フィーダー細胞(APC)は、PBMC(末梢血単核細胞)である。場合によっては、該急速増殖及び/または第二の増殖でのTILのPBMC及び/または抗原提示細胞に対する比は、1~25及び1~500である。場合によっては、REP及び/または該第二の増殖は、該バルクTILを、100倍または200倍過剰の不活性化フィーダー細胞、30mg/mLのOKT3抗CD3抗体及び3000IU/mLのIL-2と150mlの培地で混合したフラスコ内で行われる。培地交換は、細胞が別の成長チャンバーに移されるまで行われる(一般に、新鮮培地での呼吸を介した1/2または1/3培地交換)。別の成長チャンバーとしては、G-REXフラスコ及び気体透過性容器が挙げられる。
【0146】
場合によっては、該第二の増殖またはREPが行われ、これはさらに、TILが優れた腫瘍反応性に関して選択される段階を含む。当技術分野で既知の任意の選択方法が使用され得る。例えば、その開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0010058A1号に記載の方法を使用して、TILを優れた腫瘍反応性に関して選択してもよい。任意に、細胞生存アッセイを、該第二の増殖(REP増殖と呼ばれる増殖を含む)後に、当技術分野で既知の標準的なアッセイを使用して行うことができる。例えば、トリパンブルー色素排除アッセイを該バルクTILのサンプルで行うことができ、これにより、死細胞が選択的に標識され、生存の評価が可能になる。場合によっては、TILサンプルを、Cellometer K2自動細胞カウンター(Nexcelom Bioscience,Lawrence,Mass.)を使用して計数し、生存率を決定することができる。
【0147】
場合によっては、さらなる増殖段階を第二の増殖に加えて行うことができる。
【0148】
c.フィーダー細胞
多くの場合、従来の多段階フィーダー細胞系TIL増殖方法で使用されるフィーダー細胞は、健康な献血者に由来する標準的な全血単位から得られる末梢血単核細胞(PBMC)である。該PBMCは、FICOLL-Paque勾配分離等の標準的な方法を使用して得られる。一般に、該同種異系PBMCは、照射または熱処理のいずれかによって不活性化され、REP手順で使用される。場合によっては、PBMCは、該REPの0日目及び/または該第二の増殖の0日目(すなわち、該第二の増殖の開始日)に培養に移された最初の生存細胞数より、14日目の全生存細胞数が少ない場合に、複製能力がないと見なされ、TILの増殖手順での使用に受け入れられる。
【0149】
場合によっては、PBMCは、OKT3及びIL-2の存在下で培養された全生存細胞数が、7日目及び14日目に、該REPの0日目及び/または該第二の増殖の0日目(すなわち、該第二の増殖の開始日)に培養に移された最初の生存細胞数から増加していない場合に、複製能力がないと見なされ、本明細書に記載のTILの増殖手順での使用に受け入れられる。場合によっては、該PBMCは、30ng/mlのOKT3抗体及び3000IU/mlのIL-2の存在下で培養される。
【0150】
場合によっては、該第二の増殖またはREP手順は、約2.5×10個のフィーダー細胞を、12.5×10個のTIL~100×10個のTILに対する比で必要とする。
【0151】
該第二の増殖段階またはREPの後、細胞が採取され得る。いくつかの実施形態では、該TILは、1回、2回、3回、4回またはそれ以上の増殖段階の後、採取される。TILは、例えば、遠心分離を含めた任意の適切な無菌の方法で採取され得る。TILの採取方法は、当技術分野で周知であり、任意のかかる既知の方法が本プロセスとともに使用され得る。
【0152】
2.TILの増殖及び活性化のための新たな一段階法
上記従来のTILの多段階フィーダー細胞依存性増殖及び活性化プロセスは、複数の段階及びフィーダー細胞を必要とし、両方が必要であることにより、該従来のプロセスを、時間及び費用がかかるものにしている。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入を使用する免疫療法を必要とする患者は、多くの場合、極めて予後不良であり、増殖及び分化したTILの集団で迅速に治療することが、生死の問題を構成し得る。
【0153】
一例を挙げれば、かかる治療を必要とする患者は、多くの場合瀕死の状態にあるため、該増殖の期間は困難であり、遅れにより、該治療が施される前に死に至る可能性がある。本明細書に記載の方法によるTILの増殖に必要な期間を短縮する能力により、従来の長期にわたるプロセスと比較して顕著な利点がもたらされる。さらに、本明細書に記載のエフェクター機能を増加させるように遺伝子操作されたTILは、より急速に増殖する能力のため、ひいては増殖のための時間を短縮するため、及び腫瘍細胞をより効果的に殺傷する能力のために有利である。
【0154】
さらに、フィーダー細胞への依存は、少なくともいくつかの理由で困難をもたらす。第一に、生存能力のあるフィーダー細胞集団を得ることは、該細胞が同種異系の3~5ドナーから採取されるために極めて困難である。ドナー細胞の各集団は、TILを増殖させるその能力について、個別に特定しなければならないため、このフィーダー細胞の異種供給源が、それらの使用を標準化できなくする。同様に、フィーダー細胞における固有のばらつきのため、フィーダー細胞を使用するTILの増殖は、再現性が低く予測しにくくなる。第二に、フィーダー細胞を使用する場合、TILはフィーダー細胞の存在下では操作することができないため、TILは、REP相の間ではなく、その前または後にのみ、操作または遺伝子改変され得る。第三に、急速増殖プロトコル(REP)を含むTILの製造方法では、フィーダー細胞が死滅するまで増殖したTILの集団を使用することができないため、REPを短縮することはできない。第四に、TILを刺激するためのフィーダー細胞の使用により、該刺激剤を洗い落とすこと及び/または除去することができなくなる。従って、場合によっては、従来のプロセスのpre-REP及びREP段階では、所望の数のTILを産生することができない。少なくとも上記の3つの理由で、いくつかの実施形態では、フィーダー細胞への依存を排除する必要があり、これが、本発明で達成されたことであり、本明細書に開示される。フィーダー細胞を排除することで、TILの増殖プロセスの高度な制御が可能になる。例えば、該TILの増殖プロセスを、必要数のTILが得られた時点で停止することができる。
【0155】
本明細書に開示する方法の1つの態様では、従来のTILの増殖プロトコルのpre-REP段階は、完全に省略される。驚くべきことに、この単一の増殖段階で、pre-REP段階を使用することなく、すなわち、一段階のTILの活性化及び増殖プロセスにおいて、21日以下で多数のTILを得ることができる。いくつかの実施形態では、TILを、一段階REP様プロセスを使用し、フィーダー細胞によって増殖させる。いくつかの実施形態では、TILを、Dynabeads等の粒子を使用して一段階プロセスで増殖させる。いくつかの実施形態では、TILを、Stemcell製等の四量体抗体複合体(TAC)を使用して一段階プロセスで増殖させる。いくつかの実施形態では、TILを、Miltenyi Biotec(Transact)製等のナノマトリックスを使用して一段階プロセスで増殖させる。いくつかの実施形態では、TILを、該一段階TIL増殖プロセスの間に操作または遺伝子改変する。
【0156】
いくつかの実施形態では、該TILは、上記従来のpre-REPを使用した以前の失敗物に由来する。ある特定の実施形態では、pre-REPの失敗とは、ヒト対象から単離されたTILをpre-REPプロトコルを使用して23日で4×10細胞まで増殖させられないことである。他の実施形態では、pre-REPの失敗とは、ヒト対象から単離されたTILを元の数の100倍超まで増殖させられないことである。他の実施形態では、pre-REPの失敗とは、ヒト対象から単離されたTILをpre-REPプロトコルを使用して1×10または1×10細胞まで増殖させられないことである。ある特定の実施形態では、本明細書に提供する方法は、pre-REPの失敗を取り返すこと、すなわち、pre-REPの失敗を経験したサンプルから細胞を増殖させることができる。
【0157】
本明細書に開示する方法の1つの態様では、解離した腫瘍サンプル中でTILの集団を増殖させる方法は、該解離した腫瘍サンプルを培地中で培養することを含み、該TILを、その中でT細胞受容体(TCR)アゴニスト、CD28アゴニスト、及び/またはT細胞刺激サイトカインと接触させる。いくつかの実施形態では、該TILを、4-1BBアゴニストと接触させる。
【0158】
いくつかの実施形態では、該解離した腫瘍サンプルは、サイズが0.5~4mmの腫瘍断片を含む。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、サイズが0.5~1mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、サイズが0.5~1.5mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、サイズが1.5~2mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、サイズが2~2.5mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、サイズが2.5~3mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、サイズが3~3.5mmである。いくつかの実施形態では、該腫瘍断片は、サイズが3.5~4mmである。いくつかの実施形態では、該解離した腫瘍サンプルは、消化された腫瘍断片を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、該培地には、1~2日、2~3日、3~4日、4~5日、または5~6日の間隔で、T細胞刺激サイトカインが補充される。いくつかの実施形態では、該間隔は1日である。いくつかの実施形態では、該間隔は2日である。いくつかの実施形態では、該間隔は3日である。いくつかの実施形態では、該間隔は4日である。いくつかの実施形態では、該間隔は5日である。いくつかの実施形態では、該間隔は6日である。
【0160】
いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、10U/ml~7,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、10U/ml~200U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、200U/ml~300U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、300U/ml~400U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、400U/ml~500U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、500U/ml~600U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、600U/ml~700U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、700U/ml~800U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、800U/ml~900U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、900U/ml~1000U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、1,000U/ml~1,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、1,500U/ml~2,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、2,000U/ml~2,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、2,500U/ml~3,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、3,000U/ml~3,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、3,500U/ml~4,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、4,000U/ml~4,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、4,500U/ml~5,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、5,000U/ml~5,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、5,500U/ml~6,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、6,000U/ml~6,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインの最終濃度は、6,500U/ml~7,000U/mlである。
【0161】
該T細胞刺激サイトカインは、T細胞を刺激するのに有効な任意のサイトカインであり得る。いくつかの実施形態では、該T細胞刺激サイトカインは、IL-2である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法はさらに、該解離した腫瘍サンプル及び/またはTILの集団を、該サイトカインIL-2と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、該TILを、該サイトカインIL-2と1日おきに接触させる。いくつかの実施形態では、該TILを、2日、3日、4日、5日、または6日の間隔で、該サイトカインIL-2と接触させる。いくつかの実施形態では、該TILを、2日の間隔で、該サイトカインIL-2と接触させる。いくつかの実施形態では、該TILを、3日の間隔で、該サイトカインIL-2と接触させる。いくつかの実施形態では、該TILを、4日の間隔で、該サイトカインIL-2と接触させる。いくつかの実施形態では、該TILを、5日の間隔で、該サイトカインIL-2と接触させる。いくつかの実施形態では、該TILを、6日の間隔で、該サイトカインIL-2と接触させる。
【0162】
いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、100U/ml~7,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、10U/ml~200U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、200U/ml~300U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、300U/ml~400U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、400U/ml~500U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、500U/ml~600U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、600U/ml~700U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、700U/ml~800U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、800U/ml~900U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、900U/ml~1000U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、1,000U/ml~1,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、1,500U/ml~2,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、2,000U/ml~2,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、2,500U/ml~3,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、3,000U/ml~3,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、3,500U/ml~4,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、4,000U/ml~4,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、4,500U/ml~5,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、5,000U/ml~5,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、5,500U/ml~6,000U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、6,000U/ml~6,500U/mlである。いくつかの実施形態では、該サイトカインIL-2の最終濃度は、6,500U/ml~7,000U/mlである。
【0163】
いくつかの実施形態では、該培地の成分は、維持される。いくつかの実施形態では、該培地の30%~99%は、1~2日、2~3日、3~4日、4~5日、または5~6日の間隔で変更される。いくつかの実施形態では、該間隔は1日である。いくつかの実施形態では、該間隔は2日である。いくつかの実施形態では、該間隔は3日である。いくつかの実施形態では、該間隔は4日である。いくつかの実施形態では、該間隔は5日である。いくつかの実施形態では、該間隔は6日である。
【0164】
a.フィーダー細胞
いくつかの実施形態では、該培地は、フィーダー細胞を含む。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)である。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、抗原提示細胞(APC)である。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、T細胞受容体(TCR)アゴニスト、CD28アゴニスト及び/または4-1BBアゴニストを発現する。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、参照により全体として本明細書に組み込まれるBartkowiak and Curran,Front Oncol,5:117(2015)に記載の通り、41BBアゴニストを発現する。いくつかの実施形態では、該4-1BBアゴニストは、4-1BBリガンドである。いくつかの実施形態では、該T細胞受容体(TCR)アゴニスト、CD28アゴニスト及び/または4-1BBアゴニストは、該フィーダー細胞の表面で発現される。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニストは、CD3アゴニストである。いくつかの実施形態では、CD3アゴニストは、OKT3またはUCHTである。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニストは、CD80またはCD86である。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニストは、CD86である。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニストは、該培地に溶解する。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、APCである。いくつかの実施形態では、該APCは、K562細胞である。いくつかの実施形態では、該APCは、上記のタンパク質を発現するように改変される。
【0165】
いくつかの実施形態では、TILは、もう1つの遺伝子の発現を低減するように遺伝子改変される。これらの遺伝子改変に関するさらなる開示を以下に提供する。
【0166】
いくつかの実施形態では、K562細胞は、OKT3「aAPC-OKT3」を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、該操作された細胞は、使用前に照射される(例えば、15,000radで)。いくつかの実施形態では、K562細胞は、OKT3及びCD86「aAPC-OKT3-CD86」を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、該操作された細胞は、使用前に照射される(例えば、15,000radで)。いくつかの実施形態では、pre-REP失敗TILを、可溶性活性化因子または人工抗原提示細胞(aAPC)で増殖させる。
【0167】
いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞は、該T細胞刺激サイトカインを発現するように遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、該フィーダー細胞が遺伝子改変されて発現するT細胞刺激サイトカインは、IL-2である。いくつかの実施形態では、該培地は、フィーダー細胞を含まない。
【0168】
いくつかの実施形態では、TILを、T細胞刺激サイトカイン及びフィーダー細胞を使用して増殖させる。いくつかの実施形態では、TILを、T細胞刺激サイトカインを使用し、フィーダー細胞を使用せずに増殖させる。
【0169】
b.ナノマトリックス
可動性マトリックスを有し、刺激剤(複数可)またはアゴニストが結合した、1μmまたは500nm未満のナノマトリックスは、T細胞を刺激することができる。ある特定の実施形態では、500nm未満のマトリックスは、同じサイズのビーズまたはミクロスフェアとは対照的に、固相表面を有さない(柔軟な可動相をもたらす)。該ナノマトリックスは、可動性ポリマー材料からなるメッシュまたはネットに類似している。ある特定の実施形態では、該ポリマー材料は、デキストランである。ある特定の実施形態では、該ナノマトリックスは、標的細胞、例えば、T細胞の細胞膜にアクセスする能力をもたらすプラスチックである。従って、該ナノマトリックスは、該細胞表面のそれぞれの標的(例えば、受容体)に、該可動性マトリックスに結合したそのアゴニストとともに結合し、それにより、該マトリックスの柔軟性が該結合パートナーとの最適な相互作用を可能にする。ある程度まで、該ナノマトリックスの形状は、該標的細胞表面に適合するため、ナノマトリックスと標的細胞の間の接触表面が拡大される。該マトリックスのサイズは1~500nmのため、細胞で摂動を引き起こすには小さすぎる。すなわち、該ナノマトリックスは、細胞の機能の変化に関しては生物学的に不活性である。サイズが1μm以上のビーズまたはミクロスフェアが使用される場合には、直接的な細胞/ビーズの接触によって引き起こされるかかる摂動は問題である。さらに、優先的には、該ナノマトリックスは、生分解性のポリマー材料、例えば、デキストランのポリマーからなる組成物のため、生分解性であり、細胞に対して毒性がない。その結果、該ナノマトリックスは、細胞機能の変化に関して完全に生物学的に不活性であるが、生分解性である実体である。従って、刺激及び増殖のためにT細胞と接触させた後に該ナノマトリックスを除去する必要がない。これらの細胞のその後の分析、実験、及び/または臨床応用に対して、活性化されたT細胞組成物におけるナノマトリックスの存在に起因する攪乱効果は生じない。
【0170】
さらに、可溶性またはコロイドであるため、未結合のナノマトリックスは、T細胞の刺激プロセス後にT細胞の活性化閾値未満の有効濃度まで、繰り返される洗浄段階によって容易に希釈され得る。
【0171】
該ナノマトリックスの可動性マトリックスは、T細胞に活性化シグナル(複数可)を提供する1つ以上の刺激アゴニストが結合されているため、該T細胞が活性化され、増殖が誘導される。該アゴニストは、細胞表面構造に結合することができ、該細胞の多クローン性刺激を誘導することができる分子である。該ナノマトリックスの可動性マトリックスに結合する薬剤の一例は、抗CD3モノクローナル抗体(mAb)と、抗CD28mAb等の共刺激タンパク質の組み合わせである。
【0172】
滅菌フィルターを通過することが可能なナノマトリックスの特徴により、滅菌フィルター、例えば、細胞培養バッグ(Miltenyi Biotec,Baxter,CellGenics)、G-Rex装置(Wilson Wolf manufacturing)、WAVE Bioreactors(GE Healthcare)、Quantum Cell Expansion System(Terumo BCT)、CliniMACS(登録商標)Prodigy(Miltenyi Biotec,Apel et al.2013,Chemie Ingenieur Technik 85:103-110参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)を備えた、または備えることが可能な閉鎖細胞培養系に添加することが可能になる。該ナノマトリックスは、該フィルターを通して該ナノマトリックスを押すためのシリンジまたはバッグもしくはバイアル(通気孔付きのバイアルアダプターに接続されている)から該フィルターを通して該ナノマトリックスを引くポンプを使用して閉鎖細胞培養系に添加することができる。
【0173】
該接触は、例えば、インビトロで、細胞を保持することができる任意の容器内で、好ましくは、滅菌環境で行われ得る。かかる容器は、例えば、培養フラスコ、培養バッグ、バイオリアクターまたは細胞を成長させるために使用され得る任意の装置でよい(例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるWO2009072003のサンプルプロセッシングシステム、すなわち、CliniMACS(登録商標)Prodigyシステム)。
【0174】
本発明で使用されるナノマトリックスは、少なくとも1つの第一の薬剤及び1つの第二の薬剤が同じ可動性マトリックスに結合したナノマトリックスであり得る。この種類のマトリックスをT細胞と接触させることにより、該T細胞を活性化してその増殖を誘導する。同じ柔軟性マトリックスに結合した該第一及び該第二の薬剤の比は、100:1~1:100、優先的には10:1~1:10、最も優先的には、2:1~1:2の比の範囲であり得る。
【0175】
さらに、本発明のナノマトリックスは、少なくとも1つの第一のアゴニスト及び1つの第二のアゴニストが、別々の可動性マトリックスに結合したナノマトリックスであり得る。これらのナノマトリックスの混合物をT細胞と接触させることにより、該T細胞を活性化してその増殖を誘導する。該第一の薬剤が結合した可動性マトリックスと、該第二の薬剤が結合した可動性マトリックスの比及び/または濃度は、使用されるT細胞及び/または使用される薬剤の種類に応じて、最適な刺激結果を得るように変化し得る。これは、該第一の薬剤が結合した可動性マトリックスと、該第二の薬剤が結合した可動性マトリックスの様々な濃度及び比を滴定することによる特殊なT細胞のサブセットに対する活性化条件の最適化を容易にする。
【0176】
ナノマトリックスは、溶媒蒸発、相分離、噴霧乾燥、または低温での溶媒抽出を含めた当技術分野で既知の様々な方法によって調製され得る。選択されるプロセスは、単純で、再現性があり、拡大可能であるべきである。得られるナノマトリックスは、均一で注射可能な懸濁液を生成するための流動性を有し、非凝集であるべきである。該ナノマトリックスは、無菌であるべきである。これは、例えば、濾過、最終滅菌段階によって及び/または無菌プロセスを介して確保され得る。ナノマトリックスの調製を実施例1に記載する。
【0177】
本明細書で使用される、「可動性ポリマー鎖のマトリックス」及び「可動性マトリックス」という用語は、交換可能な意味を有する。「可動性」という用語は、有機バイオポリマー、例えば、デキストランまたは他のもののナノ粒子上での一般的かつ十分に説明されている特徴を指す(Bertholon et al.Langmuir 2006,pp 45485-5490参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。これらのポリマーは、可動性(運動性)、優先的には、高可動性(運動性)の鎖を含むため、該マトリックスは、該刺激剤、例えば、抗体のための結合点のような固体表面がないことを特徴とし、通常は柔軟性がなく堅い表面を有する現在使用されているビーズまたはミクロスフェアとは好対照をなす。結果として、可動性ポリマー鎖のマトリックスを含む該ナノマトリックスは、柔軟であり、該細胞の表面の形状に調整可能である。さらに、結果として、該ナノマトリックスは、水溶液中で該ナノマトリックスの全体積の過半数(すなわち、50%超)、優先的には、80%超及びより優先的には90%超ならびに最も優先的には、99%超が、可動性ポリマー鎖からなるナノマトリックスである。
【0178】
1つ以上の刺激剤が共役したナノマトリックスと刺激される細胞との間の接触は、該ナノマトリックスが固定した、堅いまたは硬い表面を有さず、該ナノマトリックスを該細胞表面にアクセスさせるという事実から恩恵を受ける。ある特定の実施形態では、該ナノマトリックスは、親水性ポリマー鎖からなり、それにより、水溶液中での該鎖の水和に起因して最大の可動性が得られる。該可動性マトリックスは、結合する薬剤に関係なく、該ナノマトリックスの唯一の成分または少なくとも主成分である。
【0179】
アゴニストは、当技術分野で既知の利用可能な様々な方法によって該可動性マトリックスに結合または共役し得る。該結合は、共有結合でも非共有結合でもよく、静電結合でも疎水結合でもよく、例えば、化学的、機械的、酵素的、またはある薬剤が該細胞を刺激することができる他の手段を含めた様々な結合手段によって達成され得る。例えば、細胞表面構造に対する抗体を、最初に該マトリックスに結合させる場合もあれば、ビオチン化薬剤への結合用にアビジンもしくはストレプトアビジンを該マトリックスに結合させる場合もある。該細胞表面構造に対する抗体は、該マトリックスに直接または間接的に、例えば、抗アイソタイプ抗体を介して結合され得る。別の例としては、プロテインAもしくはプロテインG、または抗体を結合するためにマトリックスに結合した他の非特異的抗体結合分子の使用が挙げられる。代替的に、該薬剤は、該マトリックスに、化学的手段、例えば、該マトリックスへ架橋によって結合され得る。
【0180】
本明細書で使用される、「生物学的に不活性」という表現は、生細胞に毒性がなく、そのサイズが小さいことに起因して、結合しているリガンドまたは抗体の特異的リガンド/受容体の誘発機能を除いて、該細胞表面との物理的相互作用を介した該細胞機能の強い変化を誘導しないナノマトリックスの特性を指す。該ナノマトリックスは、さらに、生分解性であってもよく、例えば、酵素活性によって分解され得るか、または食細胞によって除去され得る。該生分解性材料は、生体液中、例えば、細胞培地及び血液中で分解する天然または合成材料に由来し得る。該分解は、酵素的方法を使用して行われる場合もあれば、酵素的方法なしで行われる場合もある。該生分解性材料は、暴露される環境条件による場合があるが、数日、数週間または数か月以内に分解する。該生分解性材料は、生細胞にとって、及びヒトにおいて毒性がなく、非抗原性であるべきである。該分解産物は、毒性のない副産物を生じる必要がある。生物学的に不活性であるという文脈での重要な側面は、該ナノマトリックスが、標識された細胞の構造にも、機能にも、活性状態にも、生存率にも強い変化を誘導しない、すなわち、該細胞の摂動を引き起こさず、その後の実験及び刺激された細胞の治療への応用を妨げないという事実である。該細胞の機械的または化学的刺激は、該ナノマトリックスが極めて小さく、すなわち、ナノスケールの範囲であり、該細胞表面の形状を変化させたり該細胞に対して強いせん断力を及ぼし、例えば、膜の破裂をもたらしたりするのではなく、該細胞表面に寄り添う可動性マトリックスを有する特性に起因して減少する。
【0181】
いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト及び/または該CD28アゴニストは、ポリマー鎖のマトリックスのコロイド懸濁液を含むナノマトリックスに連結され、各ナノマトリックスは、その最大の寸法が、1~500nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、1~50nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、50~100nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、100~150nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、150~200nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、200~250nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、250~300nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、300~350nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、350~400nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、400~450nmの長さである。いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、その最大の寸法が、450~500nmの長さである。
【0182】
いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト及び該CD28アゴニストは、同じポリマー鎖に結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト及び該CD28アゴニストは、異なるポリマー鎖に結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり25μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約5μg~約10μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約10μg~約15μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約15μg~約20μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約20μg~約25μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約25μg~約30μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約30μg~約35μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約35μg~約40μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約40μg~約45μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約45μg~約50μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該TCRアゴニストは、CD3アゴニストである。
【0183】
いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり25μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約5μg~約10μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約10μg~約15μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約15μg~約20μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約20μg~約25μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約25μg~約30μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約30μg~約35μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約35μg~約40μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約40μg~約45μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約45μg~約50μgで該ナノマトリックスに結合している。
【0184】
いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、さらに、該ポリマー鎖のマトリックス間にまたはその中に埋め込まれた磁性、常磁性または超常磁性ナノ結晶を含む。いくつかの実施形態では、該ポリマー鎖のマトリックスは、デキストランのポリマーを含む。いくつかの実施形態では、該ポリマー鎖は、コロイドポリマー鎖である。
【0185】
いくつかの実施形態では、該解離した腫瘍サンプル中でのナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:5以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:10以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:25以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:50以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:100以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:200以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:300以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:400以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:500以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:600以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:700以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:800以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:900以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:1,000以上である。
【0186】
いくつかの実施形態では、解離した腫瘍サンプル中のマトリックスとTILの数の比は、1:500以上である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:500~1:750である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:750~1:1,000である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:1,000~1:1,250である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:1,250~1:1,500である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:1,500~1:1,750である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:1,750~1:2,000である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:2,000~1:2,250である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:2,250~1:2,500である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:2,500~1:2,750である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:2,750~1:3,000である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:3,000~1:3,500である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:3,500~1:4,000である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:4,000~1:5,000である。
【0187】
いくつかの実施形態では、該アゴニストは、組み換えアゴニストである。いくつかの実施形態では、該アゴニストは、抗体である。いくつかの実施形態では、該抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニストは、OKT3抗体またはUCHT1抗体である。
【0188】
本明細書に開示する方法の別の態様では、TILの集団を増殖させる方法は、TILの集団を、ポリマー鎖のマトリックスのコロイド懸濁液を含むナノマトリックスと接触させることを含み、該マトリックスは、CD3アゴニスト及びCD28アゴニストに結合し、該ナノマトリックスは、該TILの集団に活性化シグナルを提供し、それにより、該TILの集団を活性化してその増殖を誘導し、各マトリックスは、その最大の寸法が、1~500nmの長さであり、該方法は、該TILの集団の増殖の過程でフィーダー細胞の使用を含まない。
【0189】
いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスと接触するTILの集団は、さらに腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、対象から単離され、該ナノマトリックスと接触し、該TILの集団を該ナノマトリックスと接触させる前には該TILの集団のさらなる増殖プロセスを含まない。
【0190】
いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト及び該CD28アゴニストは、同じポリマー鎖に結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト及び該CD28アゴニストは、異なるポリマー鎖に結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり25μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約5μg~約10μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約10μg~約15μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約15μg~約20μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約20μg~約25μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約25μg~約30μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約30μg~約35μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約35μg~約40μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約40μg~約45μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約45μg~約50μgで該ナノマトリックスに結合している。
【0191】
いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり25μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約5μg~約10μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約10μg~約15μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約15μg~約20μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約20μg~約25μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約25μg~約30μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約30μg~約35μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約35μg~約40μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約40μg~約45μgで該ナノマトリックスに結合している。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニスト、またはその断片は、ナノマトリックス1mgあたり約45μg~約50μgで該ナノマトリックスに結合している。
【0192】
いくつかの実施形態では、該ナノマトリックスは、さらに、該ポリマー鎖のマトリックス間にまたはその中に埋め込まれた磁性、常磁性または超常磁性ナノ結晶を含む。いくつかの実施形態では、該ポリマー鎖のマトリックスは、デキストランのポリマーを含む。いくつかの実施形態では、該ポリマー鎖は、コロイドポリマー鎖である。
【0193】
いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:5以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:10以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:25以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:50以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:100以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:200以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:300以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:400以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:500以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:600以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:700以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:800以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:900以上である。いくつかの実施形態では、ナノマトリックスの体積とTILの体積の比は、1:1,000以上である。
【0194】
いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:500以上である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:500~1:750である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:750~1:1,000である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:1,000~1:1,250である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:1,250~1:1,500である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:1,500~1:1,750である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:1,750~1:2,000である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:2,000~1:2,250である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:2,250~1:2,500である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:2,500~1:2,750である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:2,750~1:3,000である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:3,000~1:3,500である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:3,500~1:4,000である。いくつかの実施形態では、マトリックスとTILの数の比は、1:4,000~1:5,000である。
【0195】
いくつかの実施形態では、該アゴニストは、組み換えアゴニストである。いくつかの実施形態では、該アゴニストは、抗体である。いくつかの実施形態では、該抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、該CD3アゴニストは、OKT3抗体またはUCHT1抗体である。
【0196】
c.可溶性単一特異性複合体
本明細書に開示する方法の別の態様では、TILの集団を増殖させる方法は、該TILの集団を、第一、第二、及び第三の可溶性単一特異性複合体を含む組成物と接触させることを含み、各可溶性単一特異性複合体は、連結された2つの抗体またはその断片を含み、各可溶性単一特異性複合体の各抗体またはその断片は、該TILの集団の同じ抗原に特異的に結合し、該第一の可溶性単一特異性複合体は、抗CD3抗体を含み、該第二の可溶性単一特異性複合体は、抗CD28抗体を含み該第三の可溶性単一特異性複合体は、抗CD2抗体を含み、該方法は、該TILの集団の増殖の過程でフィーダー細胞の使用を含まない。
【0197】
いくつかの実施形態では、該TCRアゴニストは、連結された2つの抗CD3抗体を含む可溶性単一特異性複合体を含む。いくつかの実施形態では、該CD28アゴニストは、連結された2つの抗CD28抗体を含む可溶性単一特異性複合体を含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、該培地は、CD2アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、該CD2アゴニストは、連結された2つの抗CD2抗体を含む可溶性単一特異性複合体を含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、濃度が0.2~25μl/mlである。いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、濃度が0.2~1μl/mlである。いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、濃度が1~2μl/mlである。いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、濃度が2~5μl/mlである。いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、濃度が5~10μl/mlである。いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、濃度が10~15μl/mlである。いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、濃度が15~20μl/mlである。いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、濃度が20~25μl/mlである。いくつかの実施形態では、該可溶性単一特異性複合体は、四量体抗体複合体(TAC)である。いくつかの実施形態では、各TACは、第一の動物種由来の2つの抗体を含み、これらが、該第一の動物種由来の抗体のFc部分に特異的に結合する第二の種由来の2つの抗体分子によって結合されている。いくつかの実施形態では、該抗CD3抗体は、OKT3抗体またはUCHT1抗体である。いくつかの実施形態では、可溶性単一特異性複合体は、セントラルメモリーT細胞表現型を増加させるのに特に有効である。
【0200】
d.TILの増殖
いくつかの実施形態では、該TILを、最初の腫瘍断片化または解離から最大で合計9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、合計で9~25日間、9~21日間、または9~14日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計9日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計10日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計11日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計12日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計13日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計14日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計15日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計16日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計17日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計18日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計19日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計20日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計21日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計22日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計23日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計24日間増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILを、最大で合計25日間増殖させる。
【0201】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を、500~500,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、500~1,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、1,000~2,500倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、2,500~5,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、5,000~10,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、10,000~20,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、20,000~30,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、30,000~40,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、40,000~50,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、50,000~100,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、100,000~150,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、150,000~200,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、200,000~250,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、250,000~300,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、300,000~350,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、350,000~400,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、400,000~450,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、450,000~500,000倍増殖させる。
【0202】
いくつかの実施形態では、該TILの集団は、100~100,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、100~1,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、1,000~2,500個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、2,500~5,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、5,000~7,500個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、7,500~10,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、10,000~20,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、20,000~30,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、30,000~40,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、40,000~50,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、50,000~60,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、60,000~70,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、70,000~80,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、80,000~90,000個のTILの初期集団から増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、90,000~100,000個のTILの初期集団から増殖させる。
【0203】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも150倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも500倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも750倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも1000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも1500倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも2000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも2500倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも3000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも4000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも5000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも6000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも7000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも8000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも9000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から10日目の時点で少なくとも10,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、10日目でのこれらの増殖倍率はpre-REPの失敗に由来するTILで生じる。
【0204】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも1,500倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも5,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも7,500倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも10,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも15,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも20,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも25,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも30,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも40,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも50,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも60,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも70,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも80,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも90,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも100,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも110,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも120,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも130,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で少なくとも140,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、14日目でのこれらの増殖倍率は、pre-REPの失敗に由来するTILで生じる。
【0205】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大150,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大5,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大7,500倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大10,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大15,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大20,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大25,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大30,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大40,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大50,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大60,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大70,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大80,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大90,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大100,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大110,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大120,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大130,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から14日目の時点で最大140,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、14日目でのこれらの増殖倍率は、pre-REPの失敗に由来するTILで生じる。
【0206】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも15,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも20,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも25,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも30,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも40,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも50,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも60,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも70,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも80,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも90,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも100,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも110,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも120,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも130,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも140,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも150,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも200,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも300,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で少なくとも400,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、21日目でのこれらの増殖倍率は、pre-REPの失敗に由来するTILで生じる。
【0207】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大500,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大20,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大25,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大30,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大40,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大50,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大60,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大70,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大80,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大90,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大100,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大110,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大120,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大130,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大140,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大150,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大200,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大300,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、該TILの集団を、増殖から21日目の時点で最大400,000倍増殖させる。いくつかの実施形態では、21日目でのこれらの増殖倍率は、pre-REPの失敗に由来するTILで生じる。
【0208】
いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用して遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、Cas9及び少なくとも1つのガイドRNAを使用して遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、該TILの集団の成員は、エピジェネティックに改変される。
【0209】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも2%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも3%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも4%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも5%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも6%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも7%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも8%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも9%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも10%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも11%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも12%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも13%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも14%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖した集団の少なくとも15%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。
【0210】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の5~50%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の10~25%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の5~10%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の10~15%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の15~20%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の20~25%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の25~30%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の30~35%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の35~40%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の40~45%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、増殖から14日目の時点で増殖した集団の45~50%がセントラルメモリーT細胞表現型を有する増殖したTILの集団を産生する。
【0211】
いくつかの実施形態では、該TILの集団を増殖させ、CD8+細胞の存在度が増加した増殖したTILの集団を産生する。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に10%濃縮される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に20%濃縮される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に30%濃縮される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に40%濃縮される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に50%濃縮される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に60%濃縮される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に70%濃縮される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に80%濃縮される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に90%濃縮される。いくつかの実施形態では、該TILの集団は、TILの開始集団と比較して、増殖後に100%濃縮される。
【0212】
別の態様では、本明細書に開示する本発明は、本明細書に開示する方法のいずれかによって産生される増殖したTILの集団を含む組成物に関する。
【0213】
B.増殖したTILの表現型の特徴
場合によっては、該増殖したTILは、本明細書に記載のものを含めた多くの表現型マーカーの発現について分析される。場合によっては、該マーカーは、TCRα/β、CD57、CD28、CD4、CD27、CD56、CD8a、CD45RA、CD45RO、CD8a、CCR7、CD4、CD3、CD38、及びHLA-DRから選択される。場合によっては、調節マーカー、すなわち、CD137、CD8a、Lag3、CD4、CD3、PD-1、TIM-3、CD69、CD8a、TIGIT、CD4、CD3、KLRG1、及びCD154の群から1つ以上の発現が測定される。
【0214】
場合によっては、メモリーマーカーは、CCR7またはCD62Lである。場合によっては、再刺激されたTILはまた、サイトカイン放出について、サイトカイン放出アッセイを使用して評価され得る。場合によっては、TILは、OKT3でのまたは自己腫瘍消化物との共培養での刺激に反応したインターフェロン-ガンマ(IFN-ガンマ)の分泌について評価され得る。
【0215】
場合によっては、TILは、様々な調節マーカー、例えば、TCRα/β、CD56、CD27、CD28、CD57、CD45RA、CD45RO、CD25、CD127、CD95、IL-2R、CCR7、CD62L、KLRG1、及びCD122について評価される。
【0216】
C.TILの遺伝子改変
場合によっては、該TILは、高親和性T細胞受容体(TCR)、例えば、MAGE-1、HER2、もしくはNY-ESO-1等の腫瘍関連抗原を標的とするTCR、または腫瘍関連細胞表面分子(例えば、メソテリン)もしくは系統限定細胞表面分子(例えば、EGFR、CD19もしくはHER2)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)が挙げられるがこれらに限定されないさらなる機能性を含めるために遺伝子操作される。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下をもたらす1つ以上のゲノム修飾を含むTILならびに1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む免疫エフェクター細胞を包含する改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、これらの内在性遺伝子は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aを含む(国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、これらの遺伝子は、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1、NFKBIAを含む。いくつかの実施形態では、これらの遺伝子は、SOCS1ならびにPTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1、及びNFKBIAから選択される少なくとも1つ、2つまたはそれより多くの遺伝子を含む。
【0218】
本明細書では、「改変TIL」という用語は、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下をもたらす非自然的な手段で生じる1つ以上のゲノム改変を含むTIL、ならびに1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる天然に存在しない遺伝子調節系を含むTILを包含する。「改変TIL」という用語は、「操作されたTIL」または「eTIL(商標)」という用語と同義で使用される。
【0219】
本明細書では、「未改変のTIL」または「対照TIL」とは、ゲノムが外因性の手段を使用して改変されておらず、外因性の遺伝子調節系を含まないか、または対照の遺伝子調節系を含む(例えば、空のベクター対照、非標的gRNA、スクランブルsiRNA等)細胞または細胞の集団を指す。TILになされ得る例示的な改変は、参照により全体として本明細書に組み込まれる国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421に示されている。1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能が低下した天然に存在するTILは、未改変のTILまたは対照TILという用語に含まれる。
【0220】
理論に拘束されることを望むものではないが、TILは、腫瘍抗原に対する特異性が増加していると考えられており(Radvanyi et al.,2012 Clin Canc Res 18:6758-6770、参照により全体として本明細書に組み込まれる)、それ故、腫瘍抗原特異的免疫反応(例えば、活性化、増殖、及びがん細胞に対する細胞傷害活性)を媒介することができ、外因性の操作された受容体を導入することなくがん細胞の破壊をもたらすと考えられる(Brudno et al.,2018 Nat Rev Clin Onc 15:31-46、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。従って、いくつかの実施形態では、TILは、対象の腫瘍から単離され、エキソビボで増殖し、対象に再注入される。いくつかの実施形態では、TILは、自己腫瘍抗原に特異的な1つ以上の外因性受容体を発現するように改変され、エキソビボで増殖し、該対象に再注入される。かかる実施形態は、マウスががん抗原(例えば、CD19)を発現するがん細胞株を移植され、該がん抗原に特異的な外因性受容体を発現する改変T細胞で処理されたものであるインビボマウスモデルを使用して具現化され得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、内在性標的遺伝子のゲノムDNA配列に、該内在性遺伝子の発現及び/または機能を低下させる1つ以上の改変(例えば、1つ以上の核酸の挿入、欠失または変異)を含む。かかる改変は、本明細書では、「不活性化突然変異」と呼ばれ、不活性化突然変異を含む内在性遺伝子は、「改変内在性標的遺伝子」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、該不活性化突然変異は、mRNAの転写を低減または阻害するため、コードされたmRNA転写物及びタンパク質の発現レベルを低下させる。いくつかの実施形態では、該不活性化突然変異は、mRNAの翻訳を低減または阻害するため、コードされたタンパク質の発現レベルを低下させる。いくつかの実施形態では、該不活性化突然変異は、内在性タンパク質の未改変(すなわち、野生型)型と比較して機能が低下または変更された改変内在性タンパク質をコード(例えば、下記のドミナントネガティブ変異体)する。TILになされ得る例示的な改変は、参照により全体として本明細書に組み込まれる国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421に示されている。いくつかの実施形態では、該改変TILは、少なくとも1つ、2つまたはそれより多くの改変されたSOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される内在性標的遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、該改変TILは、改変された内在性標的遺伝子SOCS1及び少なくとも1つ、2つまたはそれより多くの改変されたPTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1、及びNFKBIAから選択される内在性標的遺伝子を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、内在性標的遺伝子以外のゲノム位置に、内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させるか、または改変型の内在性タンパク質を発現させる1つ以上のゲノム改変を含む。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子調節系をコードするポリヌクレオチド配列をゲノム内の1つ以上の位置に挿入することによって、該遺伝子調節系の発現の際に、内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させる。いくつかの実施形態では、改変型の内在性タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列が、ゲノム内の1つ以上の位置に挿入されており、該改変型のタンパク質の機能が、非改変型または野生型のタンパク質と比較して低下する(例えば、下記のドミナントネガティブ変異体)。
【0223】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、1つ以上の改変内在性標的遺伝子を含み、該1つ以上の改変によって、該内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物(すなわち、mRNA転写物またはタンパク質)の発現及び/または機能が、未改変のTILと比較して低下する。例えば、いくつかの実施形態では、改変TILは、mRNA転写物の発現の低下、及び/またはタンパク質の発現の低下を示す。いくつかの実施形態では、改変TILにおける遺伝子産物の発現は、未改変のTILにおける遺伝子産物の発現と比較して、少なくとも5%低下する。いくつかの実施形態では、改変TILにおける遺伝子産物の発現は、未改変のTILにおける遺伝子産物の発現と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く低下する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、複数(例えば2つ以上)の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現及び/または機能の、未改変のTILにおける遺伝子産物の発現と比較した低下を示す。例えば、いくつかの実施形態では、改変TILは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれより多くの内在性標的遺伝子に由来する遺伝子産物の発現及び/または機能の、未改変のTILにおける遺伝子産物の発現と比較した低下を示す。
【0224】
いくつかの実施形態では、本開示は、改変TILがmRNA転写物またはタンパク質を発現しないように1つ以上の内在性標的遺伝子、またはその一部が削除された(すなわち「ノックアウト」)改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、改変TILは、複数の内在性標的遺伝子、またはその一部の欠失を含む。いくつかの実施形態では、改変TILは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれより多くの内在性標的遺伝子の欠失を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、1つ以上の改変内在性標的遺伝子を含み、該標的DNA配列に対する1つ以上の改変によって、未改変のTILで発現される対応するタンパク質(例えば、「未改変内在性タンパク質」)の機能と比較して、機能が低下または変更されたタンパク質(例えば、「改変内在性タンパク質」)の発現がもたらされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多くの改変内在性タンパク質をコードする2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多くの改変内在性標的遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、該改変内在性タンパク質は、該改変TILによって発現されるかもしくは別の細胞によって発現される別のタンパク質に対する結合親和性の低下もしくは変化、シグナル伝達能の低下もしくは変化、酵素活性の低下もしくは変化、DNA結合活性の低下もしくは変化、または足場タンパク質として機能する能力の低下もしくは変化を示す。
【0226】
いくつかの実施形態では、該改変内在性標的遺伝子は、1つ以上のドミナントネガティブ変異を含む。本明細書で使用される、「ドミナントネガティブ変異」とは、コードされたタンパク質が、未改変の標的遺伝子によってコードされるタンパク質に対して拮抗的に作用するような標的遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失または挿入を指す。このネガティブな表現型は、対応する未改変の遺伝子のポジティブな表現型に対して、遺伝的に優位なため、該変異は、ドミナントネガティブである。1つ以上のドミナントネガティブ変異を含む遺伝子、及びその遺伝子によってコードされるタンパク質は、「ドミナントネガティブ変異体」、例えば、ドミナントネガティブ遺伝子及びドミナントネガティブタンパク質と呼ばれる。いくつかの実施形態では、該ドミナントネガティブ変異体タンパク質は、該TILのゲノム内の1つ以上の位置に挿入された外因性導入遺伝子によってコードされる。
【0227】
様々なドミナントネガティブの機序が知られている。典型的には、ドミナントネガティブ変異体の遺伝子産物は、未改変の遺伝子産物の機能をいくつか保持しているが、未改変の遺伝子産物の他の重要な機能を1つ以上欠損している。これにより、ドミナントネガティブ変異体は、未改変の遺伝子産物を拮抗阻害する。例えば、例示的な実施形態として、転写因子のドミナントネガティブ変異体は、機能活性化ドメインを欠損しているが、機能性DNA結合ドメインを保持し得る。この例では、ドミナントネガティブ転写因子は、未改変の転写因子のようにDNAの転写を活性化することはできないが、該ドミナントネガティブ転写因子は、未改変の転写因子の転写因子結合部位への結合を阻止することによって、遺伝子の発現を間接的に阻害することができる。別の例示的な実施形態として、二量体として機能するタンパク質のドミナントネガティブ変異が知られている。かかる二量体タンパク質のドミナントネガティブ変異体は、未改変のタンパク質と二量体を形成する能力を保持し得るが、それ以外は機能できないことがある。ドミナントネガティブ単量体は、未改変の単量体と二量体を形成することによってヘテロ二量体を形成し、未改変の単量体の機能的なホモ二量体の形成を阻止する。SOCS1遺伝子のドミナントネガティブ変異は、当技術分野で既知であり、ヒト及びマウスSOCS1のアミノ酸配列の配列アライメントによって特定されたマウスF59D変異体(例えば、Hanada et al.,J Biol Chem,276:44:2(2001),40746-40754及びSuzuki et al.,J Exp Med,193:4(2001),471-482参照)及びヒトF58D変異体を含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む。いくつかの実施形態では、該1つ以上の標的遺伝子は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aから選択される(国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾TILは、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、SOCS1ならびにPTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1、及びNFKBIAから選択される少なくとも1つ、2つまたはそれより多くの改変内在性標的遺伝子から選択される1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む。いくつかの実施形態では、該2つ以上の標的遺伝子は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、SOCS1ならびにPTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1、及びNFKBIAから選択される少なくとも1つ、2つまたはそれより多くの改変内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む。該遺伝子調節系は、該内在性標的遺伝子のゲノムDNA配列を改変することによる(例えば、該ゲノムDNA配列の1つ以上の核酸の挿入、欠失、もしくは変異による)、該内在性標的遺伝子の転写を調節すること(例えば、mRNAの転写の阻害もしくは抑制)による、及び/または該内在性標的遺伝子の翻訳を調節することによる(例えば、mRNA分解による)等の様々な機序によって、該内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。
【0230】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、遺伝子調節系(例えば、核酸ベースの遺伝子調節系、タンパク質ベースの遺伝子調節系、または組み合わせタンパク質/核酸ベースの遺伝子調節系)を含む。かかる実施形態では、該改変TILに含まれる該遺伝子調節系は、1つ以上の内在性標的遺伝子を改変することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、以下を含む遺伝子調節系を含む。
【0231】
a.1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること、もしくはその機能を改変することができる1つ以上の核酸分子、
b.1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること、もしくはその機能を改変することができる核酸分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
c.1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること、もしくはその機能を改変することができる1つ以上のタンパク質、
d.1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること、もしくはその機能を改変することができるタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
e.内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる1つ以上のガイドRNA(gRNA)、
f.内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる1つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
g.gRNAと相互作用すること及び内在性遺伝子における標的DNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
h.gRNAと相互作用すること及び内在性遺伝子における標的DNA配列を改変することができる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
i.内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる1つ以上のガイドDNA(gDNA)、
j.内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる1つ以上のgDNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
k.gDNAと相互作用すること及び内在性遺伝子における標的DNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
l.gDNAと相互作用すること及び内在性遺伝子における標的DNA配列を改変することができる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
m.内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合することができる1つ以上のgRNA、
n.内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合することができる1つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
o.gRNAと相互作用すること及び内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
p.gRNAと相互作用すること及び内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列を改変することができる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、または
q.上記の任意の組み合わせ。
【0232】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、以下を含む遺伝子調節系を含む。
a.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること及び/またはその機能を改変することができる1つ以上の核酸分子、
b.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること及び/またはその機能を改変することができる1つ以上の核酸分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
c.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること及び/またはその機能を改変することができる1つ以上のタンパク質、
d.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること及び/またはその機能を改変することができる1つ以上のタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
e.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ以上の内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる1つ以上のガイドRNA(gRNA)、
f.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ以上の内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる1つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
g.gRNAと相互作用することならびにSOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される内在性遺伝子における標的DNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
h.gRNAと相互作用することならびにSOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される内在性遺伝子における標的DNA配列を改変することができる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
i.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる1つ以上のガイドDNA(gDNA)、
j.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる1つ以上のgDNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
k.gDNAと相互作用することならびにSOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される内在性遺伝子における標的DNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
l.gDNAと相互作用することならびにSOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される内在性遺伝子における標的DNA配列を改変することができる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
m.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ以上の内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合することができる1つ以上のgRNA、
n.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合することができる1つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
o.gRNAと相互作用することならびにSOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
p.gRNAと相互作用することならびにSOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列を改変することができる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、または
q.上記の任意の組み合わせ。
【0233】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、以下を含む遺伝子調節系を含む。
a.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること及び/またはその機能を改変することができる2つ以上の核酸分子、
b.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること及び/またはその機能を改変することができる2つ以上の核酸分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
c.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること及び/またはその機能を改変することができる2つ以上のタンパク質、
d.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させること及び/またはその機能を改変することができる2つ以上のタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
e.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる2つ以上のガイドRNA(gRNA)、
f.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる2つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
g.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる2つ以上のガイドDNA(gDNA)、
h.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性遺伝子における標的DNA配列に結合することができる2つ以上のgDNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
i.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合することができる2つ以上のgRNA、
j.SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される2つ以上の内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合することができる2つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
k.上記の任意の組み合わせ。
【0234】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系をコードする1つ、2つまたはそれより多くのポリヌクレオチドは、該TILのゲノムに挿入される。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系をコードする1つ以上のポリヌクレオチドは、エピソームによって発現され、該TILのゲノムには挿入されない。
【0235】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、1つ以上のゲノム遺伝子座に挿入された1つ以上の外因性導入遺伝子を含む(例えば遺伝子「ノックイン」)。いくつかの実施形態では、該1つ以上の外因性導入遺伝子は、検出可能なタグ、安全スイッチ系、キメラスイッチ受容体、及び/または操作された抗原特異的受容体をコードする。
【0236】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、検出可能なタグをコードする外因性導入遺伝子さらに含む。検出可能なタグの例としては、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ(例えば、6×His)、SNAPタグ、Haloタグ、cMycタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタグ、アビジン、酵素、蛍光タンパク質、発光タンパク質、化学発光タンパク質、生物発光タンパク質、及びリン光タンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、該蛍光タンパク質は、青色/UVタンパク質(BFP、TagBFP、mTagBFP2、Azurite、EBFP2、mKalama1、Sirius、Sapphire、及びT-Sapphire等)、シアンタンパク質(CFP、eCFP、Cerulean、SCFP3A、mTurquoise、mTurquoise2、単量体Midoriishi-Cyan、TagCFP、及びmTFP1等)、緑色タンパク質(GFP、eGFP、meGFP(A208K変異)、Emerald、Superfolder GFP、単量体Azami Green、TagGFP2、mUKG、mWasabi、Clover、及びmNeonGreen等)、黄色タンパク質(YFP、eYFP、Citrine、Venus、SYFP2、及びTagYFP等)、オレンジ色タンパク質(単量体Kusabira-Orange、mKOκ、mKO2、mOrange、及びmOrange2等)、赤色タンパク質(RFP、mRaspberry、mCherry、mStrawberry、mTangerine、tdTomato、TagRFP、TagRFP-T、mApple、mRuby、及びmRuby2等)、遠赤色タンパク質(mPlum、HcRed-Tandem、mKate2、mNeptune、及びNirFP等)、近赤外タンパク質(TagRFP657、IFP1.4、及びiRFP等)、ストークスシフトの長いタンパク質(mKeima Red、LSS-mKate1、LSS-mKate2、及びmBeRFP等)、光活性化可能なタンパク質(PA-GFP、PAmCherry1、及びPATagRFP等)、光変換可能なタンパク質(Kaede(green)、Kaede(red)、KikGR1(green)、KikGR1(red)、PS-CFP2、PS-CFP2、mEos2(green)、mEos2(red)、mEos3.2(green)、mEos3.2(red)、PSmOrange、及びPSmOrange等)、ならびに光で切り替え可能なタンパク質(Dronpa等)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該検出可能なタグは、AmCyan、AsRed、DsRed2、DsRed Express、E2-Crimson、HcRed、ZsGreen、ZsYellow、mCherry、mStrawberry、mOrange、mBanana、mPlum、mRasberry、tdTomato、DsRed Monomer及び/またはAcGFPから選択される場合があり、これらはいずれも、Clontechから入手可能である。
【0237】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、安全スイッチ系をコードする外因性導入遺伝子をさらに含む。安全スイッチ系(当技術分野では、自殺遺伝子系とも呼ばれる)は、改変TILを対象に投与した後に、該細胞を除去可能にする1つ以上のタンパク質をコードする外因性導入遺伝子を含む。安全スイッチ系の例は、当技術分野で既知である。例えば、安全スイッチ系は、単純ヘルペスチミジンキナーゼ(Hsv-tk)及びガンシクロビル(GCV)系(Hsv-tk/GCV)のような、毒性のないプロドラッグを毒性のある化合物に変換するタンパク質をコードする遺伝子を含む。Hsv-tkは、毒性のないGCVを、細胞アポトーシスに導く細胞傷害性化合物に変換する。従って、Hsv-tkタンパク質をコードする導入遺伝子を含む改変TILで処理された対象にGCVを投与すると、該改変TILを選択的に除去することができる一方で、内在性TILをスペアする。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるBonini et al.,Science,1997,276(5319):1719-1724、Ciceri et al.,Blood,2007,109(11):1828-1836、Bondanza et al.,Blood 2006,107(5):1828-1836を参照されたい。
【0238】
さらなる安全スイッチ系は、細胞表面マーカーをコードする遺伝子を含み、該細胞表面マーカーに特異的なモノクローナル抗体の投与によって、ADCCを介した改変TILの除去を可能にする。いくつかの実施形態では、該細胞表面マーカーは、CD20であり、該改変TILは、リツキシマブ等の抗CD20モノクローナル抗体の投与によって除去され得る(例えば、Introna et al.,Hum Gene Ther,2000,11(4):611-620、Serafini et al.,Hum Gene Ther,2004,14,63-76、van Meerten et al.,Gene Ther,2006,13,789-797参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。EGF-R及びセツキシマブまたはパニツムマブを用いる同様の系が、参照により全体として本明細書に組み込まれる国際PCT公開第WO2018006880号に記載されている。さらなる安全スイッチ系は、二量化の化学誘導物質(CID)に対する結合部位を1つ以上含むプロアポトーシス分子をコードする導入遺伝子を含み、該プロアポトーシス分子のオリゴマー化及びアポトーシス経路の活性化を誘導するCIDの投与によって、改変TILの除去を可能にする。いくつかの実施形態では、該プロアポトーシス分子は、Fas(CD95としても知られている)である(Thomis et al.,Blood,2001,97(5),1249-1257、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、該プロアポトーシス分子は、カスパーゼ-9である(Straathof et al.,Blood,2005,105(11),4247-4254、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、キメラスイッチ受容体をコードする外因性導入遺伝子をさらに含む。キメラスイッチ受容体は、内在性細胞表面受容体に由来する細胞外ドメイン、及び異種の細胞内シグナル伝達ドメインを含む操作された細胞表面受容体であり、該細胞外ドメインによってリガンドが認識されると、該細胞表面受容体の野生型によって活性化されるシグナル伝達カスケードとは異なるシグナル伝達カスケードが活性化される。いくつかの実施形態では、該キメラスイッチ受容体は、細胞内ドメインに融合された抑制性の細胞表面受容体の細胞外ドメインを含み、該細胞内ドメインは、該抑制性の細胞表面受容体によって通常伝達される阻害シグナルではなく、活性化シグナルを伝達させる。特定の実施形態では、TILの活性化を阻害することが知られている細胞表面受容体に由来する細胞外ドメインは、細胞内の活性化ドメインに融合することができる。対応するリガンドが結合すると、該TILの活性化を阻害するのではなく、該活性化を増大させるシグナル伝達カスケードが活性化する。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、PD1-CD28スイッチ受容体をコードする導入遺伝子を含み、PD1の細胞外ドメインが、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインに融合されている(例えば、Liu et al.,Cancer Res 76:6(2016),1578-1590及びMoon et al.,Molecular Therapy 22(2014),S201参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、CD200Rの細胞外ドメイン及びCD28の細胞内シグナル伝達ドメインをコードする導入遺伝子を含む(Oda et al.,Blood 130:22(2017),2410-2419参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、本明細書では「改変受容体導入細胞」または「改変RE細胞」と呼ばれる、腫瘍細胞または抗原提示細胞(APC)等の標的細胞によって発現されるタンパク質標的を認識する操作された抗原特異的受容体をさらに含む。「操作された抗原受容体」という用語は、キメラ抗原受容体(CAR)または組み換えT細胞受容体(TCR)等の天然に存在しない抗原特異的受容体を指す。いくつかの実施形態では、該操作された抗原受容体は、ヒンジドメイン及び膜貫通ドメインを介して、シグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインに融合された細胞外抗原結合ドメインを含むCARである。いくつかの実施形態では、該CARの細胞外ドメインは、標的細胞によって発現される抗原に、MHCに依存しない形で結合し、RE細胞を活性化及び増殖させる。いくつかの実施形態では、該CARの細胞外ドメインは、抗体またはその抗原結合断片に融合されたタグを認識する。かかる実施形態では、該CARの抗原特異性は、標識抗体の抗原特異性に依存しており、その結果、ある1つの抗体を別の抗体に置き換えることによって、単一のCAR構築物を用いて、複数の異なる抗原を標的とすることができる(例えば、米国特許第9,233,125号及び第9,624,279号、米国特許出願公開第20150238631号及び第20180104354号参照)。いくつかの実施形態では、CARの細胞外ドメインは、抗体に由来する抗原結合断片を含んでよい。本開示において有用な抗原結合ドメインとしては、例えば、scFv、抗体、抗体の抗原結合領域、重鎖/軽鎖の可変領域、及び短鎖抗体が挙げられる。
【0240】
いくつかの実施形態では、該CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、TCR複合体ゼータ鎖ドメイン(CD3ξシグナル伝達ドメイン等)、FcγRIIIドメイン、FcεRIドメインまたはTリンパ球活性化ドメインに由来し得る。いくつかの実施形態では、該CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメイン、例えば、4-1BBドメイン、CD28ドメイン、CD40ドメイン、MyD88ドメイン、またはCD70ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、該CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの共刺激ドメイン、例えば、4-1BBドメイン、CD28ドメイン、CD40ドメイン、MyD88ドメイン、またはCD70ドメインのうちのいずれか2つを含む。例示的なCARの構造及び細胞内シグナル伝達ドメインは、当技術分野で既知である(例えば、WO2009/091826、US20130287748、WO2015/142675、WO2014/055657、及びWO2015/090229参照、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0241】
様々な腫瘍抗原に特異的なCARが、当技術分野で既知であり、例えば、CD171特異的CAR(Park et al.,Mol Ther(2007)15(4):825-833)、EGFRvIII特異的CAR(Morgan et al.,Hum Gene Ther(2012)23(10):1043-1053)、EGF-R特異的CAR(Kobold et al.,J Natl Cancer Inst(2014)107(1):364)、炭酸脱水酵素K特異的CAR(Lamers et al.,Biochem Soc Trans(2016)44(3):951-959)、FR-α特異的CAR(Kershaw et al.,Clin Cancer Res(2006)12(20):6106-6015)、HER2特異的CAR(Ahmed et al.,J Clin Oncol(2015)33(15)1688-1696、Nakazawa et al.,Mol Ther(2011)19(12):2133-2143、Ahmed et al.,Mol Ther(2009)17(10):1779-1787、Luo et al.,Cell Res(2016)26(7):850-853、Morgan et al.,Mol Ther(2010)18(4):843-851、Grada et al.,Mol Ther Nucleic Acids(2013)9(2):32)、CEA特異的CAR(Katz et al.,Clin Cancer Res(2015)21(14):3149-3159)、IL13Rα2特異的CAR(Brown et al.,Clin Cacner Res(2015)21(18):4062-4072)、GD2特異的CAR(Louis et al.,Blood(2011)118(23):6050-6056、Caruana et al.,Nat Med(2015)21(5):524-529)、ErbB2特異的CAR(Wilkie et al.,J Clin Immunol(2012)32(5):1059-1070)、VEGF-R特異的CAR(Chinnasamy et al.,Cancer Res(2016)22(2):436-447)、FAP特異的CAR(Wang et al.,Cancer Immunol Res(2014)2(2):154-166)、MSLN特異的CAR(Moon et al,Clin Cancer Res(2011)17(14):4719-30)、NKG2D特異的CAR(VanSeggelen et al.,Mol Ther(2015)23(10):1600-1610)、CD19特異的CAR(アキシカブタジンシロルーセル(Yescarta(登録商標))及びチサゲンレクルユーセル(Kymriah(登録商標))である。腫瘍特異的CARの臨床試験について論評しているLi et al.,J Hematol and Oncol(2018)11(22)も参照されたい。本開示に従う使用に適した例示的なCARを、下記の表2に記載する。
【表2】
【0242】
いくつかの実施形態では、該操作された抗原受容体は、組み換えTCRである。組み換えTCRは、特定の標的抗原を認識するT細胞集団から単離及びクローニングされたTCRα鎖及び/またはTCRβ鎖を含む。例えば、TCRα遺伝子及び/またはTCRβ遺伝子(すなわち、TRAC及びTRBC)は、特定の悪性腫瘍を有する個体から単離されたT細胞集団、または特定の腫瘍抗原もしくは腫瘍細胞で免疫化したヒト化マウスから単離されたT細胞集団からクローニングされ得る。組み換えTCRは、その内在性対応物と同じ機序を通じて(例えば、標的細胞の表面に発現した主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質との関連において提示されたその同種抗原を認識することによって)抗原を認識する。この抗原結合が、内在性シグナル伝達経路を刺激し、該TCRで操作された細胞の活性化及び増殖につながる。
【0243】
腫瘍抗原に特異的な組み換えTCRは、当技術分野で既知であり、例えば、WT1特異的TCR(JTCR016,Juno Therapeutics、米国特許出願公開第20160083449号に記載のWT1-TCRc4)、MART-1特異的TCR(Morgan et al.,Science 314(2006)126-129に記載のDMF4Tクローン、Johnson et al.,Blood 114(2009)535-546に記載のDMF5Tクローン、及びvan den Berg et al.,Mol.Ther.23(2015)1541-1550に記載のID3Tクローンを含む)、gp100特異的TCR(Johnson et al.,Blood 114(2009)535-546)、CEA特異的TCR(Parkhurst et al.,Mol Ther.19(2011)620-626)、NY-ESO及びLAGE-1特異的TCR(Robbins et al.,J Clin Oncol 26(2011)917-924、Robbins et al.,Clin Cancer Res 21(2015)1019-1027及びRapoport et al.,Nature Medicine 21(2015)914-921に記載の1G4Tクローン)、ならびにMAGE-A3特異的TCR(Morgan et al.,J Immunother 36(2013)133-151及びLinette et al.,Blood 122(2013)227-242)である(Debets et al.,Seminars in Immunology 23(2016)10-21も参照されたい)。
【0244】
組み換えTCRを生成するため、天然のTRAC(配列番号882)及びTRBC(配列番号883)のタンパク質配列が、目的のタンパク質またはペプチドに特異的なTCR-α及びTCR-β鎖の可変領域のC末端に融合される。例えば、該操作されたTCRは、NY-ESOペプチド(SLLMWITQC、配列番号884)、例えば、1G4 TCRまたは95:LY TCRを認識し得る(Robbins et al,Journal of Immunology 2008 180:6116-6131)。かかる例示的な実施形態では、1G4-TCRのα/β鎖の対は、それぞれ、配列番号885及び886を含み、95:LY-TCRのα/β鎖の対は、それぞれ、配列番号887及び888を含む。該組み換えTCRは、MART-1ペプチド(AAGIGILTV、配列番号889)、例えば、DMF4及びDMF5 TCRを認識し得る(Robbins et al,Journal of Immunology 2008 180:6116-6131)。かかる例示的な実施形態では、DMF4-TCRのα/β鎖の対は、それぞれ、配列番号890及び891を含み、DMF5-TCRのα/β鎖の対は、それぞれ、配列番号892及び893を含む。該組み換えTCRは、WT-1ペプチド(RMFPNAPYL、配列番号894)、例えば、DLT TCRを認識し得る(Robbins et al,Journal of Immunology 2008 180:6116-6131)。かかる例示的な実施形態では、該高親和性DLT-TCRのα/β鎖の対は、それぞれ、配列番号895及び896を含む。
【0245】
該組み換えTCRα及びTCRβ鎖タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列は、両方のTCR鎖の発現を化学量論的に単一のプロモーターから駆動させるようにして生成され得る。かかる実施形態では、該TCRβ及びTCRα鎖をコードするDNA配列の間に、P2A配列(配列番号897)を挿入して、該組み換えTCR鎖をコードする発現カセットが、TCRβ-P2A-TCRαという形態を含むようにすることができる。例示的な実施形態として、かかるカセットから発現されるIG4 NY-ESO特異的TCRのタンパク質配列は、配列番号898を含み、かかるカセットから発現される95:LY NY-ESO特異的TCRのタンパク質配列は、配列番号899を含み、かかるカセットから発現されるDMF4 MART1特異的TCRのタンパク質配列は、配列番号900を含み、かかるカセットから発現されるDMF5 MART1特異的TCRのタンパク質配列は、配列番号901を含み、かかるカセットから発現されるDLT WT1特異的TCRのタンパク質配列は、配列番号902を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、該操作された抗原受容体は、表面抗原分類分子、例えば、CD3、CD4、CD8、CD16、CD24、CD25、CD33、CD34、CD45、CD64、CD71、CD78、CD80(B7-1としても知られている)、CD86(B7-2としても知られている)、CD96、CD116、CD117、CD123、CD133、及びCD138、CD371(CLL1としても知られている)、腫瘍関連表面抗原、例えば、5T4、BCMA(CD269及びTNFRSF17としても知られている、UniProt番号Q02223)、がん胎児性抗原(CEA)、炭酸脱水酵素9(CAIXまたはMN/CAIX)、CD19、CD20、CD22、CD30、CD40、ジシアロガングリオシド、例えば、GD2、ELF2M、導管上皮ムチン、エフリンB2、上皮細胞接着分子(EpCAM)、ErbB2(HER2/neu)、FCRL5(UniProt番号Q68SN8)、FKBP11(UniProt番号Q9NYL4)、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、GPRC5D(UniProt番号Q9NZD1)、mut hsp70-2、腸カルボキシルエステラーゼ、IGF-I受容体、ITGA8(UniProt番号P53708)、KAMP3、LAGE-1a、MAGE、メソセリン、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、PAP、プロスターゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異的抗原(PSA)、PSMA、プロステイン、RAGE-1、ROR1、RU1(SFMBT1)、RU2(DCDC2)、SLAMF7(UniProt番号Q9NQ25)、サバイビン、タグ-72及びテロメラーゼ、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、腫瘍間質抗原、例えば、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)、テネイシン-CのA1ドメイン(TnC A1)及び線維芽細胞関連タンパク質(FAP)、サイトカイン受容体、例えば、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)、EGFRバリアントIII(EGFRvIII)、TFGβ-Rまたはその構成成分、例えば、エンドグリン、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、ウイルス特異的表面抗原、例えば、HIV特異的抗原(HIV gp120等)、EBV特異的抗原、CMV特異的抗原、HPV特異的抗原、ラッサウイルス特異的抗原、インフルエンザウイルス特異的抗原、ならびにこれらの表面抗原のいずれかの誘導体またはバリアントから選択される標的抗原に対するものである。
【0247】
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ、2つまたはそれより多くの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、これらの内在性遺伝子としては、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aが挙げられる(国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。
【0248】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びPTPN2の発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びPTPN2の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、SOCS1及びPTPN2の発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びPTPN2の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びZC3H12Aの発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びZC3H12Aの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、SOCS1及びZC3H12Aの発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びZC3H12Aの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、本開示は、PTPN2及びZC3H12Aの発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びZC3H12Aの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、PTPN2及びZC3H12Aの発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びZC3H12Aの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、本開示は、PTPN2及びCBLBの発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、PTPN2及びCBLBの発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、本開示は、ZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能の低下を含むか、またはZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、ZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能の低下を含むか、またはZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びCBLBの発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、SOCS1及びCBLBの発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、本開示は、PTPN2及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、PTPN2及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、本開示は、ZC3H12A及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはZC3H12A及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、ZC3H12A及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはZC3H12A及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、SOCS1及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、本開示は、CBLB及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはCBLB及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはCBLB及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、本開示は、PTPN2及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、PTPN2及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、本開示は、ZC3H12A及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはZC3H12A及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、ZC3H12A及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはZC3H12A及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、SOCS1及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、本開示は、CBLB及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはCBLB及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはCBLB及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、本開示は、RC3H1及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはRC3H1及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILであるとともに、さらに、該細胞表面上で発現されるCARまたは組み換えTCRを含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、RC3H1及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはRC3H1及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含み、さらに、CARまたは組み換えTCRをコードする組み換え発現ベクターを含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、これらの内在性遺伝子は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aを含む(国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。
【0264】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びPTPN2の発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びPTPN2の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0265】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びZC3H12Aの発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びZC3H12Aの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0266】
いくつかの実施形態では、本開示は、PTPN2及びZC3H12Aの発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びZC3H12Aの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0267】
いくつかの実施形態では、本開示は、PTPN2及びCBLBの発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0268】
いくつかの実施形態では、本開示は、ZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能の低下を含むか、またはZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0269】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びCBLBの発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0270】
いくつかの実施形態では、本開示は、PTPN2及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0271】
いくつかの実施形態では、本開示は、ZC3H12A及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはZC3H12A及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0272】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0273】
いくつかの実施形態では、本開示は、CBLB及びRC3H1の発現及び/または機能の低下を含むか、またはCBLB及びRC3H1の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0274】
いくつかの実施形態では、本開示は、PTPN2及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはPTPN2及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0275】
いくつかの実施形態では、本開示は、ZC3H12A及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはZC3H12A及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0276】
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはSOCS1及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0277】
いくつかの実施形態では、本開示は、CBLB及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはCBLB及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0278】
いくつかの実施形態では、本開示は、RC3H1及びNFKBIAの発現及び/または機能の低下を含むか、またはRC3H1及びNFKBIAの発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系を含む改変TILを提供し、ここで、免疫エフェクター細胞はTILである。
【0279】
D.エフェクター機能
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aから選択される1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下(またはその発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系)を含み(国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)、1つ以上の免疫細胞のエフェクター機能の増加を示す。
【0280】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下(またはその発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節系)を含み、1つ以上の免疫細胞のエフェクター機能の増加を示す。本明細書では、「エフェクター機能」という用語は、免疫細胞の機能のうち、標的細胞または標的抗原に対する免疫応答の発生、維持及び/または増強に関連する機能を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、未改変のTILと比較して、腫瘍への浸潤もしくは移動が増加する特徴、増殖が増加する特徴、細胞の生存が増加もしくは延長する特徴、周囲の微小環境における抑制因子耐性が向上して、該細胞の活性化状態が延長または増大する特徴、炎症誘発性免疫因子(例えば、炎症性サイトカイン、ケモカイン及び/または酵素)の産生が増加する特徴、細胞傷害性が増加する特徴、疲弊耐性が向上する特徴及び/またはTcmのパーセンテージが増加する特徴のうちの1つ以上を示す。
【0281】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、未改変のTILと比較して、腫瘍浸潤の増加を示す。いくつかの実施形態では、改変TILによる腫瘍浸潤の増加とは、所定の期間に腫瘍に浸潤する改変TILの数が、同じ期間に腫瘍に浸潤する未改変のTILの数と比較して増加することを指す。いくつかの実施形態では、該改変TILは、未改変の免疫細胞と比較して、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはそれより高倍率の腫瘍浸潤の増加を示す。腫瘍浸潤は、対象から1つ以上の腫瘍を単離し、フローサイトメトリー、免疫組織化学及び/または免疫蛍光法によって、該サンプル中の改変免疫細胞の数を評価することによって測定され得る。
【0282】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、未改変のTILと比較して、細胞増殖の増加を示す。これらの実施形態では、その結果は、所定の期間の経過後、存在する改変TILの数が、未改変のTILと比較して増加することである。例えば、いくつかの実施形態では、改変TILは、未改変のTILと比較して、増殖速度の増加を示し、この場合、該改変TILは、未改変のTILよりも速い速度で分裂する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、未改変の免疫細胞と比較して、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはそれより高倍率の増殖速度の増加を示す。いくつかの実施形態では、改変TILは、未改変のTILと比較して、増殖期間の延長を示し、この場合、該改変TIL及び未改変のTILは同じ速度で分裂するが、該改変TILの方が長い期間にわたって増殖状態を維持する。いくつかの実施形態では、該改変TILは、未改変の免疫細胞よりも、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはそれより長い時間、増殖状態を維持する。
【0283】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、未改変のTILと比較して、細胞の生存の増加または延長を示す。かかる実施形態では、その結果は、所定の期間の経過後、存在する改変TILの数が、未改変のTILと比較して増加することである。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、未改変の免疫細胞より1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはそれより長い期間、生存を維持し、存続する。
【0284】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、未改変のTILと比較して、抑制因子耐性の向上を示す。例示的な抑制因子は、免疫チェックポイント分子(例えば、PD1、PDL1、CTLA4、LAG3、IDO)及び/または抑制性サイトカイン(例えば、IL-10、TGFβ)によるシグナル伝達を含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変T細胞は、未改変のT細胞と比較して、T細胞疲弊に対する耐性の増加を示す。T細胞疲弊とは、エフェクター機能が低下し、その後、抗原特異的T細胞が枯渇することを特徴とする抗原特異的T細胞機能障害の状態である。いくつかの実施形態では、疲弊T細胞は、抗原に応答して増殖する能力が欠損し、サイトカインの産生の低下を示し、及び/または腫瘍細胞等の標的細胞に対する細胞傷害性の低下を示す。いくつかの実施形態では、疲弊T細胞は、細胞表面マーカー及び転写因子の発現の変化、例えば、CD122及びCD127の細胞表面での発現の減少、抑制性細胞表面マーカー、例えば、PD1、LAG3、CD244、CD160、TIM3及び/またはCTLA4の発現の増加、及び/または転写因子、例えば、Blimp1、NFAT及び/またはBATFの発現の増加によって特定される。いくつかの実施形態では、疲弊T細胞は、サイトカインのシグナル伝達に対する感受性の変化、例えば、TGFβのシグナル伝達に対する感受性の増加及び/またはIL-7のシグナル伝達に対する感受性の低下を示す。T細胞疲弊は、例えば、該T細胞を標的細胞集団と共培養し、T細胞の増殖、サイトカインの産生及び/または標的細胞の溶解を測定することによって特定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILを標的細胞(例えば、標的腫瘍抗原を発現するように操作された自己腫瘍細胞または自己細胞株)の集団と共培養し、エフェクター細胞の増殖、サイトカインの産生及び/または標的細胞の溶解が測定される。その後、これらの結果は、標的細胞を対照の免疫細胞(未改変のTIL、または対照の改変が施された免疫エフェクター細胞等)の集団と共培養することによって得られた結果と比較される。
【0286】
いくつかの実施形態では、T細胞疲弊に対する耐性は、該改変TILからの1つ以上のサイトカイン(例えば、IFNγ、TNFα、またはIL-2)の産生の、対照の免疫細胞集団で観察されるサイトカインの産生と比較した増加によって示される。いくつかの実施形態では、対照の免疫細胞集団からのサイトカインの産生と比較した該改変TILからのサイトカインの産生の1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはそれより高倍率の増加は、T細胞疲弊に対する耐性の増加を示す。いくつかの実施形態では、T細胞疲弊に対する耐性は、該改変TILの増殖の、対照の免疫細胞集団で観察される増殖と比較した増加によって示される。いくつかの実施形態では、対照の免疫細胞集団の増殖と比較した該改変TILの増殖の1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはそれより高倍率の増加は、T細胞疲弊に対する耐性の増加を示す。いくつかの実施形態では、T細胞疲弊に対する耐性は、該改変TILによる標的細胞の溶解の、対照の免疫細胞集団で観察される標的細胞の溶解と比較した増加によって示される。いくつかの実施形態では、対照の免疫細胞集団による標的細胞の溶解と比較した該改変TILによる標的細胞の溶解の1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはそれより高倍率の増加は、T細胞疲弊に対する耐性の増加を示す。
【0287】
いくつかの実施形態では、対照の免疫細胞集団と比較した改変TILの疲弊は、インビトロまたはエキソビボでの製造プロセス中に測定される。例えば、いくつかの実施形態では、腫瘍断片から単離されたTILを、本明細書に記載の方法に従って改変し、その後1回以上の増殖で増殖させ、改変TIL集団が生成される。かかる実施形態では、該改変TILの疲弊は、採取直後及び第1回の増殖の前、第1回の増殖後かつ第2回の増殖の前、及び/または第1回及び第2回の増殖の後に判断され得る。いくつかの実施形態では、対照の免疫細胞集団と比較した該改変TILの疲弊は、該改変TILを対象に移入した後、1つ以上の時点で測定する。例えば、いくつかの実施形態では、該改変細胞は、本明細書に記載の方法に従って産生され、対象に投与される。移入後、サンプルを次いで様々な時点で対象から採取し、インビボでの該改変TILの経時的な疲弊が判断され得る。
【0288】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、未改変のTILと比較して、炎症誘発性免疫因子の発現または産生の増加を示す。炎症誘発性免疫因子の例としては、細胞溶解因子、例えば、グランザイムB、パーフォリン、及びグラニュライシン、ならびに炎症性サイトカイン、例えば、インターフェロン(IFNα、IFNβ、IFNγ)、TNFα、IL-1β、IL-12、IL-2、IL-17、CXCL8及び/またはIL-6が挙げられる。
【0289】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、未改変のTILと比較して、標的細胞に対する細胞傷害性の増加を示す。いくつかの実施形態では、該改変TILは、未改変の免疫細胞と比較して、標的細胞に対する細胞傷害性の1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはそれより高倍率の増加を示す。免疫エフェクター機能を測定するためのアッセイは、当技術分野で既知である。例えば、腫瘍浸潤は、対象から腫瘍を単離し、該腫瘍に存在するリンパ球の総数及び/または表現型をフローサイトメトリー、免疫組織化学及び/または免疫蛍光法によって特定することによって測定され得る。細胞表面受容体の発現は、フローサイトメトリー、免疫組織化学、免疫蛍光法、ウエスタンブロット、及び/またはqPCRによって特定され得る。サイトカイン及びケモカインの発現及び産生は、フローサイトメトリー、免疫組織化学、免疫蛍光法、ウエスタンブロット、ELISA、及び/またはqPCRによって測定され得る。細胞外の刺激(例えば、サイトカイン、抑制性リガンド、または抗原)に対する反応性または感受性は、該刺激に反応する細胞増殖及び/または下流のシグナル伝達経路の活性化(例えば、下流のシグナル伝達中間体のリン酸化)をアッセイすることによって測定され得る。細胞傷害性は、実施例全体を通じて説明されているような改変TILと標的細胞とのインビトロまたはエキソビボでの共培養及びインビボマウス腫瘍モデルを含めた、当技術分野で既知の標的細胞溶解アッセイによって測定され得る。
【0290】
E.内在性の経路及び遺伝子の調節
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される1つ、2つまたはそれより多くの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を示す。該内在性標的遺伝子のさらなる詳細を下記表3に示す。かかる実施形態では、該1つ、2つまたはそれより多くの内在性標的遺伝子の発現または機能の低下により、該免疫細胞の1つ以上のエフェクター機能が増強される。
【0291】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、サイトカインシグナル抑制因子SOCS 1(SOCS1)遺伝子の発現及び/または機能の低下を含む。該SOCS1タンパク質は、C末端SOCSボックスモチーフ、SH2ドメイン、ESSドメイン、及びN末端KIRドメインを含む。キナーゼ阻害領域(KIR)と呼ばれる12個のアミノ酸残基は、SOCS1が、JAK1、TYK2及びJAK2のチロシンキナーゼ機能を負に調節する能力に不可欠であることが分かっている。
【0292】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、PTPN2遺伝子の発現及び/または機能の低下を含む。タンパク質チロシンホスファターゼファミリー(PTP)は、そのホスファターゼ触媒ドメインによって、ホスホチロシン残基を脱リン酸化する。PTPN2は、JAK/STATシグナル伝達複合体を通じてシグナル伝達を行うTCR及びサイトカインの両方に対するブレーキとして機能し、ひいては、シグナル1及びシグナル3の両方に対するチェックポイントとしての役割を果たす。T細胞が抗原と結合し、TCRの活性化後、チロシン残基のリン酸化によって、キナーゼLck及びFynにより、ポジティブシグナルが下流で増幅される。PTPN2は、Lck及びFynの両方を脱リン酸化する働きをし、ひいてはTCRシグナル伝達を減弱する。加えて、T細胞が、サイトカインと遭遇し、共通γ鎖受容体複合体を通じてシグナル伝達を行い、JAK/STATシグナル伝達を通じて、ポジティブシグナルを伝達した後、PTPN2は、STAT1及びSTAT3の脱リン酸化によっても減弱する。PTPN2の欠失が、T細胞の機能に及ぼす全体的な機能上の影響は、TCRを通じてT細胞を急激に活性化するのに必要な活性化閾値の低下、ならびに成長促進及び分化促進サイトカインに対する超感受性である。
【0293】
さらに、マウス全身のPTPN2が欠失すると、サイトカインレベル、非リンパ組織でのリンパ球浸潤、及び関節リウマチ様症状の初期徴候が増大し、これらのマウスは、5週齢までしか生きられない。従って、PTPN2は、マウスの生後発育に欠かせないものとして同定されている。この自己免疫表現型と一致して、出生時から、T細胞系列のPtpn2が欠失していても、非リンパ組織でのリンパ球浸潤が増大する。重要なことには、成体マウスT細胞でPtpn2の誘導型ノックアウトを行っても、いかなる自己免疫発現も生じなかった。自己免疫におけるその役割の他に、Ptpn2の欠失は、ヒトにおいて、わずかな割合のT細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)と関連すること、及び2段階で化学的に誘発した発がん性において皮膚腫瘍の成長を高めることが特定された。
【0294】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、ZC3H12A遺伝子の発現及び/または機能の低下を含む。Zc3h12は、MCPIP1及びRegnase-1とも呼ばれ、CCCH型ジンクフィンガーモチーフのすぐ上流にRNaseドメインを有するRNaseである。そのヌクレアーゼ活性を介して、Zc3h12aは、IL-6等の転写産物のmRNAを標的とし、それら遺伝子の3’UTR内の保存されたステムループ構造と結合することによって不安定化する。T細胞では、Zc3h12aは、c-Rel、Ox40及びIL-2を含めたいくつかの炎症誘発性遺伝子の転写レベルを制御する。Regnase-1の活性化は一過性のものであり、プロテアソームが媒介する分解または粘膜関連リンパ組織1(MALT1)が媒介する切断を含めたネガティブフィードバック機構の作用を受ける。Regnase-1の主な機能は、異なる細胞型における遺伝子のサブセットを特異的に標的とすることによって、そのリボヌクレアーゼ活性を介して、mRNA分解を促すことである。単球では、Regnase-1は、IL-6及びIL-12BのmRNAを下方制御し、ひいては炎症を緩和し、T細胞では、Regnase-1は、c-Rel、Ox40及びIL-2の転写産物を標的とすることによって、T細胞の活性化を制限する。がん細胞では、Regnase-1は、Bcl2L1、Bcl2A1、RelB及びBcl3を含む抗アポトーシス遺伝子を阻害することによってアポトーシスを促進する。
【0295】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、CBLB遺伝子の発現及び/または機能の低下を含む。この遺伝子は、RNF56、Nbla00127及びCblがん原遺伝子Bとも呼ばれるCBL-Bをコードする。CBL-Bは、E3ユビキチン・タンパク質リガーゼであり、CBL遺伝子ファミリーのメンバーである。CBL-Bは、T細胞活性化の負の調節因子として機能する。CBL-BのT細胞での発現により、リガンドが誘導するT細胞受容体の下方調節が生じ、抗原提示の過程でT細胞の活性化の程度が制御される。CBLB遺伝子の突然変異は、自己免疫状態、例えば、1型糖尿病と関連している。
【0296】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、RC3H1遺伝子の発現及び/または機能の低下を含む。この遺伝子は、Roquin-1とも呼ばれるRingフィンガー及びCCCH型ドメイン1をコードする。Roquin-1は、mRNAの3’UTRに存在するconstitutive decay element(CDE)を認識し、これに結合し、mRNAの脱アデニル化及び分解をもたらす。選択的スプライシングにより、複数の転写バリアントが生じる。
【0297】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILは、NFKBIA遺伝子の発現及び/または機能の低下を含む。この遺伝子は、NFKBインヒビターアルファ、MAD-3、NFKBI及びEDAID2とも呼ばれるIκBαをコードする。IκBαは、NF-κB転写因子を阻害するように機能する細胞タンパク質のファミリーの一メンバーである。IκBαは、NF-κBタンパク質の核移行シグナル(NLS)をマスクし、細胞質内にそれらを不活性状態で隔離しておくことによってNF-κBを阻害する。さらに、IκBαは、NF-κBの適切な機能に必要なNF-κBの転写因子がDNAに結合する能力を遮断する。NFKBIA遺伝子は、いくつかのホジキンリンパ腫細胞では変異している。かかる突然変異は、IκBαタンパク質を不活性化し、ひいてはNF-κBが該リンパ腫の腫瘍細胞において慢性的に活性にし、この活性が、これらの腫瘍細胞の悪性状態に寄与する。
【表3】
【0298】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1またはNFKBIAのうちの任意の1つまたは2つ以上の発現及び/または機能の低下を含む。いくつかの実施形態では、該改変TILは、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、CBLBの発現及び/または機能の低下を含む。いくつかの実施形態では、該改変TILは、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、CBLBの発現及び/または機能の低下を含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、PTPN2、ZC3H12A、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、SOCS1の発現及び/または機能の低下を含む。いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、PTPN2、ZC3H12A、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、SOCS1の発現及び/または機能の低下を含む。
【0300】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、SOCS1、ZC3H12A、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、PTPN2の発現及び/または機能の低下を含む。いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、SOCS1、ZC3H12A、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、PTPN2の発現及び/または機能の低下を含む。
【0301】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、SOCS1、PTPN2、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、ZC3H12Aの発現及び/または機能の低下を含む。いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、SOCS1、PTPN2、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、ZC3H12Aの発現及び/または機能の低下を含む。
【0302】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A及びNFKBIAから選択される少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、RC3H1の発現及び/または機能の低下を含む。いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A及びNFKBIAから選択される少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、RC3H1の発現及び/または機能の低下を含む。
【0303】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A及びRC3H1から選択される少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、NFKBIAの発現及び/または機能の低下を含む。いくつかの実施形態では、該改変TILは、CBLB、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A及びRC3H1から選択される少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を含み、さらに、NFKBIAの発現及び/または機能の低下を含む。
【0304】
II.遺伝子調節系
本明細書では、「遺伝子調節系」という用語は、細胞に導入された際に、内在性標的DNA配列を改変することによって、コードされる遺伝子産物の発現または機能を調節することができるタンパク質、核酸、またはそれらの組み合わせを指す。本開示の方法での使用に適した多くの遺伝子調節系が、当技術分野で既知であり、それらとしては、shRNA、siRNA、ジンクフィンガーヌクレアーゼ系、TALEN系及びCRISPR/Cas系が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、遺伝子編集系である。本開示の方法での使用に適した遺伝子編集系は、当技術分野で既知であり、それらとしては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ系、TALEN系、及びCRISPR/Cas系が挙げられるがこれらに限定されない。
【0305】
本明細書で使用される、遺伝子調節系が内在性標的遺伝子に及ぼす作用に関連して使用される場合の「調節する」は、該内在性標的遺伝子の配列の任意の変化、該内在性標的遺伝子のエピジェネティックな状態の任意の変化、及び/または該内在性標的遺伝子によってコードされるタンパク質の発現もしくは機能の任意の変化を包含する。
【0306】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、例えば、内在性標的配列において1つ以上の核酸を挿入するかまたは欠失させることによる等、1つ以上の変異を該内在性標的配列に導入することによって、該内在性標的遺伝子の配列の変化を媒介し得る。該内在性標的配列の変化を媒介することができる例示的な機序としては、非相同末端結合(NHEJ)(例えば古典的または代替的)、マイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)、相同配向型修復(例えば内在性ドナーテンプレート媒介性)、SDSA(合成依存的一本鎖アニーリング)、一本鎖アニーリングまたは一本鎖侵入が挙げられるがこれらに限定されない。
【0307】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、該内在性標的配列のエピジェネティックな状態の変化を媒介し得る。例えば、いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、該内在性標的遺伝子のDNAの共有結合の改変(例えば、シトシンのメチル化及びヒドロキシメチル化)、または関連ヒストンタンパク質の共有結合の改変(例えば、リシンのアセチル化、リシン及びアルギニンのメチル化、セリン及びトレオニンのリン酸化、ならびにリシンのユビキチン化及びSUMO化)を媒介し得る。
【0308】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、該内在性標的遺伝子によってコードされるタンパク質の発現の変化を媒介し得る。かかる実施形態では、該遺伝子調節系は、該内在性標的DNA配列を改変することによって、または該DNA配列によってコードされるmRNA産物に作用することによって、該コードされたタンパク質の発現を調節し得る。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系によって、改変内在性タンパク質が発現され得る。かかる実施形態では、該遺伝子調節系の媒介によって内在性DNA配列が改変されると、未改変のTILにおける対応する内在性タンパク質と比較して機能の低下を示す内在性タンパク質が発現される。かかる実施形態では、該改変内在性タンパク質の発現レベルは、未改変の免疫細胞における対応する内在性タンパク質の発現レベルより増加する場合もあれば低下する場合もあり、対応する内在性タンパク質の発現レベルと同じの場合も実質的に同様の場合もある。
【0309】
A.核酸ベースの遺伝子調節系
いくつかの実施形態では、本開示は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aから選択される少なくとも1つ、2つ、またはそれより多くの内在性遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる1つ、2つまたはそれより多くの核酸を含む核酸遺伝子調節系を提供する(国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも1つの内在性遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる1つ、2つまたはそれより多くの核酸を含む核酸遺伝子調節系を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1ならびにPTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1、及びNFKBIAから選択される少なくとも1つ、2つまたはそれより多くの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる核酸を含む核酸遺伝子調節系を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、かかる遺伝子調節系を含む本明細書に記載の方法によって製造される改変TILを提供する。本明細書で使用される、核酸ベースの遺伝子調節系とは、外因性タンパク質を必要とせずに、内在性標的遺伝子の発現を調節することができる1つ以上の核酸分子を含む系である。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、標的核酸配列と相補的であるRNA干渉分子またはアンチセンスRNA分子を含む。
【0310】
「アンチセンスRNA分子」とは、長さを問わず、mRNA転写物と相補的であるRNA分子を指す。アンチセンスRNA分子とは、細胞、組織、または対象に導入することができ、内在性遺伝子のサイレンシング経路に依存するのではなく、RNaseHの媒介による、標的mRNA転写物の分解に依存する機序を通じて、内在性標的遺伝子産物の発現を低下させる一本鎖RNA分子を指す。いくつかの実施形態では、アンチセンス核酸は、改変された主鎖、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または当技術分野で既知のその他の主鎖を含むか、または天然に存在しないヌクレオシド間結合を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アンチセンス核酸は、ロックト核酸(LNA)を含むことができる。
【0311】
本明細書で使用される、「RNA干渉分子」とは、内在性遺伝子のサイレンシング経路(例えば、ダイサー及びRNA誘導サイレンシング複合体(RISC))を通じて、標的mRNAを分解することによって、内在性標的遺伝子産物の発現の低下を媒介するRNAポリヌクレオチドを指す。例示的なRNA干渉剤としては、マイクロRNA(本明細書では「miRNA」とも呼ばれる)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、RNAアプタマー及びモルホリノが挙げられる。
【0312】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、1つ以上のmiRNAを含む。miRNAは、約21~25ヌクレオチド長の、天然に存在する小分子の非コードRNA分子である。miRNAは、1つ以上の標的mRNA分子と少なくとも部分的に相補的である。miRNAは、翻訳の抑制、mRNAの切断、及び/または脱アデニル化を通じて、内在性標的遺伝子産物の発現を下方制御する(例えば、低下させる)ことができる。
【0313】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、1つ以上のshRNAを含む。shRNAは、ステムループ構造を形成するとともに、相補的なmRNA配列の分解をもたらす約50~70ヌクレオチド長の一本鎖RNA分子である。shRNAは、細胞内に導入されるプラスミドまたは非複製型の組み換えウイルスベクターにクローニングして、shRNAコード配列がゲノムに組み込まれるようにできる。従って、shRNAは、内在性標的遺伝子の翻訳及び発現の安定的かつ着実な抑制をもたらすことができる。
【0314】
いくつかの実施形態では、核酸ベースの遺伝子調節系は、1つ以上のsiRNAを含む。siRNAとは、典型的には約21~23ヌクレオチド長の二本鎖RNA分子を指す。siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)という複数タンパク質複合体と会合し、その際に、「パッセンジャー」センス鎖が酵素的に切断される。その後、活性化RISCに含まれるアンチセンス「ガイド」鎖が、配列相同性によって、対応するmRNAにRISCを導き、同じヌクレアーゼが標的mRNAを切断し、その結果、特異的な遺伝子サイレンシングが行われる。最適には、siRNAは、18ヌクレオチド長、19ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、21ヌクレオチド長、22ヌクレオチド長、23ヌクレオチド長または24ヌクレオチド長であり、その3’末端に、2塩基のオーバーハングを有する。siRNAを個々の細胞及び/または培養系に導入して、標的mRNA配列の分解をもたらすことができる。siRNA及びshRNAについては、Fire et al.,Nature,391:19,1998、ならびに米国特許第7,732,417号、第8,202,846号及び第8,383,599号にさらに記載されている。
【0315】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、1つ以上のモルホリノを含む。本明細書で使用される、「モルホリノ」は、標準的な核酸塩基がモルホリン環に結合しているとともに、ホスホロジアミデート結合を通じて連結されている改変核酸オリゴマーを指す。siRNA及びshRNAと同様に、モルホリノは、相補的なmRNA配列に結合する。しかしながら、モルホリノは、相補的なmRNA配列を分解するために標的とするのではなく、mRNAの翻訳を立体的に阻害し、mRNAスプライシングを変化させることを通じて機能する。
【0316】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、表4、5、9~12、及び17~22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子を含む。本出願の全体を通じて、参照ゲノム座標は、Genome Reference Consortiumから得たヒトゲノムのGRCh38(hg38とも呼ばれる)アセンブリのゲノムアノテーションに基づくものであり、このアセンブリは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトで利用可能である。ある1つのアセンブリと別のアセンブリとの間でゲノム座標を変換するツール及び方法は、当技術分野で既知であり、そのツール及び方法を用いて、本明細書に提供するゲノム座標を、ヒトゲノムの別のアセンブリにおける対応する座標に変換することができる(同じ機関によってまたは同じアルゴリズムを用いて生成された以前のアセンブリに変換すること(例えば、GRCh38からGRCh37)、及び異なる機関またはアルゴリズムによって生成されたアセンブリを変換すること(例えば、GRCh38からNCBI33、International Human Genome Sequencing Consortiumによって生成)を含む)。当技術分野で既知の利用可能な方法及びツールとしては、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトで利用可能なNCBI Genome Remapping Service、UCSC Genome Browerのウェブサイトで利用可能なUCSC LiftOver、及びEnsembl.orgのウェブサイトで利用可能なAssembly Converterが挙げられるがこれらに限定されない。
【0317】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、該少なくとも1つの核酸分子は、SOCS1を標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0318】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4(ヒトゲノム)または表5(マウスゲノム)に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~35及び56~187のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~35及び56~187のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一である標的ヒトRNA配列に結合する。
【0319】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号23~55または23~200のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号23~35及び56~187のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的ヒトRNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号23~55または23~200のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号23~35及び56~187のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一である標的ヒトRNA配列に結合する。
【0320】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、当業者に既知のものから選択される少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子を含む。例えば、いくつかの実施形態では、該SOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号13~22から選択される核酸配列を含むSOCS1を標的とするsiRNAである(国際PCT公開第WO2017120996号、WO2018137295、WO2017120998及びWO2018137293参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)(表6)。いくつかの実施形態では、該SOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号13~200から選択される核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該SOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~35及び56~187から選択されるヒト核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該SOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~35から選択されるヒト標的配列に結合するSOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子である(米国特許第8,324,369号参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)(表7)。いくつかの実施形態では、該SOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号36~55から選択されるマウス標的配列に結合するSOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子である(米国特許第9,944,931号参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)(表8)。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0321】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、該少なくとも1つの核酸分子は、PTPN2を標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0322】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9(ヒトゲノム)または表10(マウスゲノム)に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~314のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~314のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。
【0323】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、SOCS1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号201~314のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号201~314のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表10】
【0324】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、該少なくとも1つの核酸分子は、ZC3H12Aを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12A遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0325】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11(ヒトゲノム)または表12(マウスゲノム)に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~337または331~797のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~337または331~797のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0326】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12Aを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該ZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号328~330または329及び330(ヒト)から選択される核酸配列を含むZC3H12Aを標的とするsiRNAである(Liu et al.,Scientific Reports(2016),6,Article #24073及びMino et al.,Cell(2015)161(5),1058-1073参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号331~797のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号336~789のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号331~797のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号336~789のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該ZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~337から選択される核酸配列によってコードされるZC3H12Aを標的とするshRNA分子である(Huang et al.,J Biol Chem(2015)290(34),20782-20792参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【表11-6】
【表11-7】
【表11-8】
【表11-9】
【表11-10】
【表11-11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【0327】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、該少なくとも1つの核酸分子は、CBLBを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0328】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17(ヒトゲノム)または表18(マウスゲノム)に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~808のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~808のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。
【0329】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLBを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号798~808のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号798~808のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。
【表17】
【表18】
【0330】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、該少なくとも1つの核酸分子は、RC3H1を標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0331】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19(ヒトゲノム)または表20(マウスゲノム)に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~836のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~836のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。
【0332】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号824~836のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号824~836のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。
【表19】
【表20】
【0333】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、該少なくとも1つの核酸分子は、NFKBIAを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0334】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21(ヒトゲノム)または表22(マウスゲノム)に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~856のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~856のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。
【0335】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIAを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号845~856のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするshRNA分子またはsiRNA分子は、配列番号845~856のうちの1つによってコードされるヒトRNA配列と100%同一であるヒト標的RNA配列に結合する。
【表21】
【表22】
【0336】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1またはNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、市販業者、例えば、Sigma Aldrich(登録商標)、Dharmacon(登録商標)、ThermoFisher(登録商標)等から入手される。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1、PTPN2、またはZC3H12Aを標的とするsiRNA分子は、表23に示されるものである。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1、PTPN2、またはZC3H12Aを標的とするshRNA分子は、表24に示されるものである。
【表23】
【表24】
【0337】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、SOCS1を標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、PTPN2を標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0338】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0339】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0340】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0341】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0342】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0343】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、SOCS1を標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、ZC3H12Aを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0344】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0345】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0346】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0347】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0348】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0349】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、PTPN2を標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、ZC3H12Aを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0350】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0351】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0352】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0353】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0354】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0355】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、CBLBを標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、PTPN2を標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0356】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0357】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0358】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0359】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0360】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0361】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、CBLBを標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、ZC3H12Aを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0362】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0363】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0364】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0365】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0366】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0367】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、SOCS1を標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、CBLBを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0368】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0369】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0370】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0371】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0372】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0373】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、RC3H1を標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、PTPN2を標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0374】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0375】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0376】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0377】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0378】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0379】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、RC3H1を標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、ZC3H12Aを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0380】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0381】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0382】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0383】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0384】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0385】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、SOCS1を標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、RC3H1を標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0386】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0387】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0388】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0389】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0390】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0391】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、CBLBを標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、RC3H1を標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0392】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0393】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0394】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0395】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0396】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0397】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、NFKBIAを標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、PTPN2を標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0398】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0399】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0400】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのPTPN2を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0401】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0402】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号201~327のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0403】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、NFKBIAを標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、ZC3H12Aを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0404】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0405】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0406】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのZC3H12Aを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0407】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0408】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号331~797または331~337のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0409】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、SOCS1を標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、NFKBIAを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0410】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0411】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0412】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0413】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0414】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号23~200または23~55のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0415】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、CBLBを標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、NFKBIAを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0416】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0417】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0418】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0419】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0420】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号798~823のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0421】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つの核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマー、またはモルホリノ)を含み、ここで、少なくとも1つの核酸分子は、RC3H1を標的とする核酸分子であり、少なくとも1つの核酸分子は、NFKBIAを標的とする核酸分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0422】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0423】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0424】
いくつかの実施形態では、該核酸ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのsiRNA分子またはshRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子であり、少なくとも1つのNFKBIAを標的とする核酸分子は、siRNA分子またはshRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0425】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0426】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号824~844のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号845~875のうちの1つによってコードされるRNA配列と100%同一である標的RNA配列に結合する。
【0427】
B.タンパク質ベースの遺伝子調節系
いくつかの実施形態では、本開示は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aから選択される少なくとも1つ、2つもしくはそれより多くの内在性遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる1つ、2つもしくはそれより多くのタンパク質を含むタンパク質遺伝子調節系を提供する(国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも1つ、2つもしくはそれより多くの内在性遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる1つ、2つもしくはそれより多くのタンパク質を含むタンパク質遺伝子調節系を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、かかる遺伝子調節系を含む本明細書に記載の方法によって製造される改変TILを提供する。いくつかの実施形態では、タンパク質ベースの遺伝子調節系は、核酸ガイド分子を必要とせずに、内在性標的遺伝子の発現を配列特異的な形で調節することができる1つ以上のタンパク質を含む系である。いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、1つ以上のジンクフィンガー結合ドメイン及び酵素ドメインを含むタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)ドメイン及び酵素ドメインを含むタンパク質を含む。かかる実施形態は、本明細書では「TALEN」と呼ばれる。
【0428】
1.ジンクフィンガー系
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも1つ、2つもしくはそれより多くの内在性遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる1つ、2つもしくはそれより多くのジンクフィンガー融合タンパク質を含むジンクフィンガー遺伝子調節系を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、かかる遺伝子調節系を含む本明細書に記載の方法によって製造される改変TILを提供する。本明細書では、ジンクフィンガーベースの系は、ジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び酵素ドメインという2つのタンパク質ドメインを有する融合タンパク質を含む。「ジンクフィンガーDNA結合ドメイン」、「ジンクフィンガータンパク質」または「ZFP」は、1つ以上のジンクフィンガーを通じて、DNAと配列特異的な形で結合するタンパク質、またはより巨大なタンパク質内のドメインであり、その結合ドメイン内のアミノ酸配列領域のうち、亜鉛イオンへの配位を通じて構造が安定化している領域である。ジンクフィンガードメインは、標的DNA配列に結合することによって、該配列近傍の酵素ドメインの活性を誘導し、その結果、該標的配列近傍の内在性標的遺伝子の改変を誘導する。ジンクフィンガードメインは、実質的にいずれの所望の配列にも結合するように操作することができる。従って、切断または組み換えを行いたい標的DNA配列を含む標的遺伝子座(例えば、表2または3で言及されている標的遺伝子内の標的座位)を特定した後、1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインを操作して、該標的遺伝子座内の1つ以上の標的DNA配列に結合するようにできる。ジンクフィンガー結合ドメイン及び酵素ドメインを含む融合タンパク質が細胞内で発現すると、その標的遺伝子座で改変が行われる。
【0429】
いくつかの実施形態では、ジンクフィンガー結合ドメインは、1つ以上のジンクフィンガーを含む。Miller et al.(1985)EMBO J.4:1609-1614、Rhodes(1993)Scientific American Febuary:56-65、米国特許第6,453,242号。典型的には、単一のジンクフィンガードメインは、約30個のアミノ酸長である。個々のジンクフィンガーは、3ヌクレオチド(すなわちトリプレット)配列(または隣接するジンクフィンガーの4ヌクレオチドの結合部位と1つのヌクレオチドが重複し得る4ヌクレオチド配列)に結合する。従って、ジンクフィンガー結合ドメインが配列に結合するように操作される当該配列(例えば、標的配列)の長さが、操作されるジンクフィンガー結合ドメインのジンクフィンガーの数を決定する。例えば、フィンガーモチーフが、重複するサブ部位には結合しないZFPの場合には、6ヌクレオチドの標的配列には、2つのフィンガー結合ドメインが結合し、9ヌクレオチドの標的配列には、3つのフィンガー結合ドメインが結合する等である。標的部位における、個々のジンクフィンガーの結合部位(すなわち、サブ部位)は、マルチフィンガー結合ドメイン内のジンクフィンガー間のアミノ酸配列(すなわち、フィンガー間のリンカー)の長さ及び性質に応じて、連続している必要はなく、1つまたは数個のヌクレオチドによって隔てられてもよい。いくつかの実施形態では、個々のZFPのDNA結合ドメインは、個別のジンクフィンガーリピートを3~6個含み、それぞれ、9~18塩基対を認識することができる。
【0430】
ジンクフィンガー結合ドメインは、所定の配列に結合するように操作することができる。例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135-141、Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313-340、Isalan et al.(2001)Nature Biotechnol.19:656-660、Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632-637、Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411-416を参照されたい。操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然に存在するジンクフィンガータンパク質と比較して、新規な結合特異性を有することができる。操作方法としては、合理的設計及び様々な種類の選択が挙げられるがこれらに限定されない。
【0431】
ジンクフィンガードメインによる結合対にする標的DNA配列の選択は、例えば、米国特許第6,453,242号に開示されている方法に従って行うことができる。標的DNA配列の選択を行うために、ヌクレオチド配列を単に目視確認することも利用できることは、当業者には明らかであろう。従って、本明細書に記載の方法では、標的DNA配列を選択するためのいずれの手段も用いることができる。標的部位は概して、少なくとも9ヌクレオチド長であるので、少なくとも3つのジンクフィンガーを含むジンクフィンガー結合ドメインと結合する。しかしながら、例えば、4フィンガーの結合ドメインと12ヌクレオチドの標的部位との結合、5フィンガーの結合ドメインと15ヌクレオチドの標的部位との結合、または6フィンガーの結合ドメインと18ヌクレオチドの標的部位との結合も可能である。明らかなように、より大きい結合ドメイン(例えば、7、8、9フィンガー及びそれを超える)と、より長い標的部位との結合も可能である。
【0432】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つのジンクフィンガー融合タンパク質(ZFP)を含み、これは、SOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0433】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0434】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つのジンクフィンガー融合タンパク質(ZFP)を含み、これは、PTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0435】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0436】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つのジンクフィンガー融合タンパク質(ZFP)を含み、これは、ZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0437】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0438】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つのTALEN融合タンパク質を含み、これは、CBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0439】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0440】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つのTALEN融合タンパク質を含み、これは、RC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0441】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0442】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも1つのTALEN融合タンパク質を含み、これは、NFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0443】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0444】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAを標的とするZFPは、市販業者、例えば、Sigma Aldrich、Dharmacon、ThermoFisher等から入手される。例えば、いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1、PTPN2またはZC3H12AのZFPは、表25に示される。
【表25】
【0445】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、SOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、PTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0446】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0447】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0448】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、SOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、ZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0449】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0450】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0451】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、PTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、ZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0452】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0453】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0454】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、CBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、PTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0455】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0456】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0457】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、CBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、ZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0458】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0459】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0460】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、SOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、CBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0461】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0462】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0463】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、RC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、PTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0464】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0465】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0466】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、RC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、ZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0467】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0468】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0469】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、SOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、RC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0470】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0471】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、CBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、RC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0472】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0473】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0474】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、NFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、PTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0475】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0476】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0477】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、NFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、ZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0478】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0479】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0480】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、SOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、NFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0481】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0482】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0483】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、CBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、NFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0484】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0485】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0486】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのZFPを含み、ここで、少なくとも1つのZFPは、RC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含み、少なくとも1つのZFPは、NFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0487】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0488】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0489】
該ジンクフィンガー融合タンパク質の酵素ドメイン部分は、任意のエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼから得ることができる。酵素ドメインを得ることができる例示的なエンドヌクレアーゼとしては、制限エンドヌクレアーゼ及びホーミングエンドヌクレアーゼが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、2002-2003 Catalogue,New England Biolabs,Beverly,Mass.及びBelfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379-3388を参照されたい。DNAを切断するさらなる酵素が知られている(例えば、51ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、膵臓DNaseI、ミクロコッカスヌクレアーゼ、酵母HOエンドヌクレアーゼ。Linn et al.(eds.)Nucleases,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照されたい)。これらの酵素(またはそれらの機能的断片)のうちの1つ以上を切断ドメインの供給源として用いることができる
【0490】
本明細書に記載のZFPの酵素ドメインとして用いるのに適した例示的な制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は、多くの種に存在し、DNAに(認識部位で)配列特異的に結合して、結合部位でまたは結合部位の近傍でDNAを切断することができる。ある特定の制限酵素(例えば、タイプIIS)は、認識部位から離れた部位でDNAを切断し、分離可能な結合ドメイン及び切断ドメインを有する。例えば、タイプIIS酵素であるFokIは、一方の鎖では、その認識部位から9ヌクレオチドの位置で、他方の鎖では、その認識部位から13ヌクレオチドの位置で、DNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号、第5,436,150号及び第5,487,994号、ならびにLi et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4275-4279、Li et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2764-2768、Kim et al.(1994a)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:883-887、Kim et al.(1994b)J.Biol.Chem.269:31,978-31,982を参照されたい。従って、1つの実施形態では、融合タンパク質は、少なくとも1つのタイプIIS制限酵素に由来する酵素ドメイン、及び1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインを含む。
【0491】
その切断ドメインが結合ドメインから分離可能である例示的なタイプIIS制限酵素は、FokIである。この特有の酵素は、二量体として活性を有する。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10,570-10,575。従って、ジンクフィンガー・FokI融合体を用いて、二本鎖DNAの標的切断を行うには、FokI酵素ドメインをそれぞれ含む2つの融合タンパク質を用いて、触媒活性のある切断ドメインを再構成することができる。代替的に、ジンクフィンガー結合ドメイン及び2つのFokI酵素ドメインを含む単一のポリペプチド分子を用いることもできる。FokI酵素ドメインを含む例示的なZFPは、米国特許第9,782,437号に記載されている。
【0492】
2.TALEN系
いくつかの実施形態では、本開示は、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される少なくとも1つ、2つまたはそれより多くの内在性遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる1つ、2つまたはそれより多くのTALEN融合タンパク質を含むTALEN遺伝子調節系を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、かかる遺伝子調節系を含む本明細書に記載の方法によって製造される改変TILを提供する。TALENベースの系は、TALエフェクターDNA結合ドメイン及び酵素ドメインを含むTALEN融合タンパク質を含む。それらは、TALエフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメイン(DNA鎖を切断するヌクレアーゼ)に融合することによって作製される。上記のFokI制限酵素は、TALENベースの遺伝子調節系で用いるのに適した例示的な酵素ドメインである。
【0493】
TALエフェクターは、Xanthomonas細菌が植物に感染する際に、Xanthomonas細菌によって、そのタイプIII分泌系を介して分泌されるタンパク質である。該DNA結合ドメインは、高度に保存された33~34個のアミノ酸の反復配列を含むが、12番目と13番目のアミノ酸は異なる。これらの2つの位置は、リピート中の可変二残基(RVD)と呼ばれ、可変性が高く、特異的なヌクレオチドの認識と密接に相関する。従って、適切なRVDを含むリピートセグメントの組み合わせを選択することによって、TALエフェクタードメインが、特定の標的DNA配列に結合するように操作され得る。RVDの組み合わせの核酸特異性は、以下の通りである。すなわち、HDは、シトシンを標的とし、NIは、アデニンを標的とし、NGは、チミンを標的とし、NNは、グアニンを標的とする(ただし、いくつかの実施形態では、NNは、より低い特異性でアデニンとも結合し得る)。
【0494】
TALエフェクターリピートをアセンブルするための方法及び組成物は、当技術分野で既知である。例えば、Cermak et al,Nucleic Acids Research,39:12,2011,e82を参照されたい。TALエフェクターリピートを構築するためのプラスミドは、Addgeneから市販されている。
【0495】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、SOCS1を標的とするTALエフェクタードメインを含む少なくとも1つのTALEN融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0496】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0497】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、PTPN2を標的とするTALエフェクタードメインを含む少なくとも1つのTALEN融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0498】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0499】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、ZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインを含む少なくとも1つのTALEN融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0500】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0501】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、CBLBを標的とするTALエフェクタードメインを含む少なくとも1つのTALEN融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0502】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0503】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、RC3H1を標的とするTALエフェクタードメインを含む少なくとも1つのTALEN融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0504】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表7または表8に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0505】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、NFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインを含む少なくとも1つのTALEN融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内の標的DNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内の標的DNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0506】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0507】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、SOCS1を標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、PTPN2を標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0508】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0509】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~18723~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0510】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、SOCS1を標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、ZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0511】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0512】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~18723~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0513】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、PTPN2を標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、ZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0514】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0515】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0516】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、CBLBを標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、PTPN2を標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0517】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0518】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0519】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、CBLBを標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、ZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0520】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0521】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0522】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、SOCS1を標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、CBLBを標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0523】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0524】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0525】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、RC3H1を標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、PTPN2を標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0526】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0527】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0528】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、RC3H1を標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、ZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0529】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0530】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0531】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、SOCS1を標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、RC3H1を標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0532】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0533】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、CBLBを標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、RC3H1を標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0534】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0535】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0536】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、NFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、PTPN2を標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0537】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0538】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0539】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、NFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、ZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0540】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0541】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号331~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0542】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、SOCS1を標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、NFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0543】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0544】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号23~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0545】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、CBLBを標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、NFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0546】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0547】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0548】
いくつかの実施形態では、該タンパク質ベースの遺伝子調節系は、少なくとも2つのTalen融合タンパク質を含み、ここで、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、RC3H1を標的とするTALエフェクタードメインを含み、少なくとも1つのTalen融合タンパク質は、NFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインを含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0549】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0550】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするTALエフェクタードメインは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0551】
C.組み合わせ核酸/タンパク質ベースの遺伝子調節系
組み合わせ遺伝子調節系は、部位特異的改変ポリペプチド及び核酸ガイド分子を含む。本明細書では、「部位特異的改変ポリペプチド」とは、核酸ガイド分子に結合し、標的核酸配列(例えば、内在性標的DNAまたはRNA配列)をそれが結合する核酸ガイド分子によって標的とし、該標的核酸配列を改変する(例えば、標的核酸配列の切断、変異、またはメチル化)。
【0552】
部位特異的改変ポリペプチドは、核酸ガイドと結合する部分及び活性部分という2つの部分を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的改変ポリペプチドは、部位特異的な酵素活性(例えば、DNAのメチル化、DNAまたはRNAの切断、ヒストンのアセチル化、ヒストンのメチル化等)を呈する活性部分を含み、該酵素活性の部位は、ガイド核酸によって決定される。場合によっては、部位特異的改変ポリペプチドは、内在性標的核酸配列を改変する酵素活性(例えば、ヌクレアーゼ活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、DNA修復活性、DNA損傷活性、脱アミノ化活性、ジスムターゼ活性、アルキル化活性、脱プリン化活性、酸化活性、ピリミジン二量体形成活性、インテグラーゼ活性、トランスポザーゼ活性、リコンビナーゼ活性、ポリメラーゼ活性、リガーゼ活性、ヘリカーゼ活性、フォトリアーゼ活性またはグリコシラーゼ活性)を有する活性部分を含む。別の場合では、部位特異的改変ポリペプチドは、内在性標的核酸配列と関連するポリペプチド(例えば、ヒストン)を改変する酵素活性(例えば、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、ユビキチンリガーゼ活性、脱ユビキチン化活性、アデニル化活性、脱アデニル化活性、SUMO化活性、脱SUMO化活性、リボース化活性、脱リボース化活性、ミリストイル化活性または脱ミリストイル化活性)を有する活性部分を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的改変ポリペプチドは、標的DNA配列の転写を調節する(例えば、転写を増減させる)活性部分を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的改変ポリペプチドは、標的RNA配列の発現または翻訳を調節する(例えば、転写を増減させる)活性部分を含む。
【0553】
該核酸ガイドは、2つの部分、すなわち、内在性標的核酸配列と相補的であり、内在性標的核酸配列と結合することができる第一の部分(本明細書では「核酸結合セグメント」と呼ばれる)、及び部位特異的改変ポリペプチドと相互作用することができる第二の部分(本明細書では「タンパク質結合セグメント」と呼ばれる)を含む。いくつかの実施形態では、核酸ガイドの核酸結合セグメント及びタンパク質結合セグメントは、単一のポリヌクレオチド分子内に含まれる。いくつかの実施形態では、核酸ガイドの核酸結合セグメント及びタンパク質結合セグメントは、それぞれ、別々のポリヌクレオチド分子内に含まれており、該核酸ガイドは、2つのポリヌクレオチド分子を含み、これらが互いに会合し、機能的ガイドを形成する。
【0554】
該核酸ガイドは、標的核酸配列と特異的にハイブリダイズすることによって、タンパク質/核酸複合型の遺伝子調節系の標的特異性を媒介する。いくつかの実施形態では、該標的核酸配列は、標的遺伝子のmRNA転写物内に含まれるRNA配列等のRNA配列である。いくつかの実施形態では、該標的核酸配列は、標的遺伝子のDNA配列内に含まれるDNA配列である。本明細書で標的遺伝子に言及する場合には、複数の標的遺伝子座(すなわち、特定の標的遺伝子配列の一部(例えば、エキソンまたはイントロン))を含むその特定の遺伝子の完全長DNA配列が包含される。各標的遺伝子座内にあるのは、本明細書に記載の遺伝子調節系によって改変され得る、より短い領域のDNA配列(本明細書では「標的DNA配列」と呼ばれる)である。さらに、各標的遺伝子座は、「標的改変部位」を含み、該標的改変部位とは、遺伝子調節系によって誘導される改変の正確な位置(例えば、挿入、欠失もしくは変異の位置、DNA切断の位置、またはエピジェネティックな改変の位置)を指す。本明細書に記載の遺伝子調節系は、2つ以上の核酸ガイド(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多くの核酸ガイド)を含んでもよい。
【0555】
いくつかの実施形態では、該タンパク質/核酸複合型の遺伝子調節系は、アルゴノート(Ago)タンパク質(例えば、T.thermophiles Ago、またはTtAgo)に由来する部位特異的改変ポリペプチドを含む。かかる実施形態では、該部位特異的改変ポリペプチドは、T.thermophiles Ago DNAエンドヌクレアーゼであり、該核酸ガイドは、ガイドDNA(gDNA)である(Swarts et al.,Nature 507(2014),258-261参照)。いくつかの実施形態では、本開示は、gDNAをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、gDNAをコードする核酸は、発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、本開示は、部位特異的改変ポリペプチドTtAgoまたはそのバリアントをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、部位特異的改変ポリペプチドTtAgoをコードするポリヌクレオチドは、発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターに含まれる。
【0556】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子編集系は、CRISPR(クラスター化した規則的な配置の短い回文反復配列)/Cas(CRISPR関連)ヌクレアーゼ系である。いくつかの実施形態では、該CRISPR/Cas系は、クラス2系である。クラス2のCRISPR/Cas系は、II型系、V型系及びVI型系という3つの型に分類される。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas系は、Cas9タンパク質を用いるクラス2のII型系である。かかる実施形態では、該部位特異的改変ポリペプチドは、DNAエンドヌクレアーゼであるCas9(またはそのバリアント)であり、該核酸ガイド分子は、ガイドRNA(gRNA)である。いくつかの実施形態では、該CRISPR/Cas系は、Cas12タンパク質(例えば、Cas12a(Cpf1としても知られている)、Cas12b(C2c1としても知られている)、Cas12c(C2c3としても知られている)、Cas12d(CasYとしても知られている)及びCas12e(CasXとしても知られている))を用いるクラス2のV型系である。かかる実施形態では、該部位特異的改変ポリペプチドは、DNAエンドヌクレアーゼであるCas12(またはそのバリアント)であり、該核酸ガイド分子は、gRNAである。いくつかの実施形態では、該CRISPR/Cas系は、Cas13タンパク質(例えば、Cas13a(C2c2としても知られている)、Cas13b及びCas13c)を用いるクラス2のVI型系である(Pyzocha et al.,ACS Chemical Biology,13(2),347-356参照)。かかる実施形態では、該部位特異的改変ポリペプチドは、RNAリボエンドヌクレアーゼであるCas13であり、該核酸ガイド分子は、gRNAである。
【0557】
Casポリペプチドとは、gRNA分子と相互作用することができるとともに、gRNA分子に呼応して、標的DNA配列または標的RNA配列に誘導または局在化され得るポリペプチドを指す。Casポリペプチドには、天然に存在するCasタンパク質、及び天然に存在するCas配列とは1つ以上のアミノ酸残基が異なる操作、変更または別段に改変されたCasタンパク質が含まれる。
【0558】
ガイドRNA(gRNA)は、DNA結合セグメント及びタンパク質結合セグメントという2つのセグメントを含む。いくつかの実施形態では、gRNAのタンパク質結合セグメントは、1つのRNA分子に含まれ、該DNA結合セグメントは、別の異なるRNA分子に含まれる。かかる実施形態は、本明細書では、「二重分子gRNA」もしくは「二分子gRNA」または「デュアルgRNA」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、該gRNAは、単一のRNA分子であり、本明細書では、「シングルガイドRNA」または「sgRNA」と呼ばれる。「ガイドRNA」または「gRNA」という用語は、包括的な用語であり、二分子ガイドRNA及びsgRNAの両方を指す。
【0559】
gRNAのタンパク質結合セグメントは、部分的に、互いにハイブリダイズして二本鎖RNAデュプレックス(dsRNAデュプレックス)を形成する2つの相補的ヌクレオチド領域を含み、該二本鎖が、Casタンパク質への結合を促す。gRNAの核酸結合セグメント(または「核酸結合配列」)は、特異的な標的核酸配列と相補的であり、該配列に結合することができるヌクレオチド配列を含む。gRNAのタンパク質結合セグメントはCasポリペプチドと相互作用し、gRNA分子と部位特異的改変ポリペプチドとの相互作用によって、Casが内在性核酸配列に結合し、標的核酸配列内または標的核酸配列周辺で、1つ以上の改変が行われる。標的改変部位の正確な位置は、(i)gRNAと標的核酸配列との塩基対形成の相補性、及び(ii)標的DNA配列内にあるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と呼ばれる短いモチーフの位置(標的RNA配列内では、プロトスペーサー隣接配列(PFS)という)の両方によって決定される。Casが標的核酸配列に結合するには、PAM/PFS配列が必要である。様々なPAM/PFS配列が当技術分野で既知であり、特定のCasエンドヌクレアーゼ(例えばCas9エンドヌクレアーゼ)とともに使用するのに適する(例えば、Nat Methods.2013 Nov;10(11):1116-1121及びSci Rep.2014;4:5405参照)。いくつかの実施形態では、該PAM配列は、標的DNA配列内の標的改変部位から50塩基対以内に位置する。いくつかの実施形態では、該PAM配列は、標的DNA配列内の標的改変部位から10塩基対以内に位置する。本方法によって標的化することができるDNA配列は、PAM配列と標的改変部位との相対的な距離、及び配列特異的かつgRNA媒介性のCas結合を媒介するための特有の20塩基対の配列の存在によってのみ制限される。いくつかの実施形態では、該PFS配列は、標的RNA配列の3’末端に位置する。いくつかの実施形態では、該標的改変部位は、標的座位の5’末端に位置する。いくつかの実施形態では、該標的改変部位は、標的座位の3’末端に位置する。いくつかの実施形態では、該標的改変部位は、標的座位のイントロンまたはエキソン内に位置する。
【0560】
いくつかの実施形態では、本開示は、gRNAをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、gRNAをコードする核酸は、発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、本開示は、部位特異的改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、該部位特異的改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターに含まれる。
【0561】
1.Casタンパク質
いくつかの実施形態では、該部位特異的改変ポリペプチドは、Casタンパク質である。本明細書に記載の方法及び組成物では、様々な種のCas分子を使用することができ、これらとしては、S.pyogenes、S.aureus、N.meningitidis、S.thermophiles、Acidovorax avenae、Actinobacillus pleuropneumoniae、Actinobacillus succinogenes、Actinobacillus suis、Actinomyces sp.、Cycliphilusdenitrificans、Aminomonas paucivorans、Bacillus cereus、Bacillus smithii、Bacillus thuringiensis、Bacteroides sp.、Blastopirellula marina、Bradyrhizobium sp.、Brevibacillus laterospoxus、Campylobacter coli、Campylobacter jejuni、Campylobacter lari、Candidatus puniceispirillum、Clostridium cellulolyticum、Clostridium perfringens、Corynebacterium accolens、Corynebacterium diphtheria、Corynebacterium matruchotii、Dinoroseobacter shibae、Eubacterium dolichum、Gammaproteobacterium、Gluconacetobacter diazotrophicus、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus sputomm、Helicobacter canadensis、Helicobacter cinaedi、Helicobacter mustelae、Ilyobacter polytropus、Kingella kingae、Lactobacillus crispatus、Listeria ivanovii、Listeria monocytogenes、Listeriaceae bacterium、Methylocystis sp.、Methylosinus trichosporium、Mobiluncus mulieris、Neisseria bacilliformis、Neisseria cinerea、Neisseria flavescens、Neisseria lactamica、Neisseria meningitidis、Neisseria sp.、Neisseria wadsworthii、Nitrosomonas sp.、Parvibaculum lavamentivorans、Pasteurella multocida、Phascolarctobacterium succinatutens、Ralstonia syzygii、Rhodopseudomonas palustris、Rhodovulum sp.、Simonsiella muelleri、Sphingomonas sp.、Sporolactobacillus vineae、Staphylococcus aureus、Staphylococcus lugdunensis、Streptococcus sp.、Subdoligranulum sp.、Tistrella mobilis、Treponema sp.またはVerminephrobacter eiseniaeに由来するCas分子が挙げられる。
【0562】
いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、天然に存在するCasタンパク質である。いくつかの実施形態では、該Casエンドヌクレアーゼは、C2C1、C2C3、Cpf1(Cas12aとも呼ばれる)、Cas12b、Cas12c、Cas12d、Cas12e、Cas13a、Cas13b、Cas13c、Cas13d、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても知られている)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3及びCsf4からなる群から選択される。
【0563】
いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、Cas13タンパク質等のエンドリボヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、該Cas13タンパク質は、Cas13aタンパク質(Abudayyeh et al.,Nature 550(2017),280-284)、Cas13bタンパク質(Cox et al.,Science(2017)358:6336,1019-1027)、Cas13cタンパク質(Cox et al.,Science(2017)358:6336,1019-1027)、またはCas13dタンパク質(Zhang et al.,Cell 175(2018),212-223)である。
【0564】
いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、野生型または天然に存在するCas9タンパク質またはCas9オルソログである。野生型Cas9は、DNAの標的鎖を切断するためのHNHヌクレアーゼドメイン、及び非標的鎖を切断するためのRuvC様ドメインを用いるマルチドメイン酵素である。gRNAの特異性に基づいてWTCas9がDNAに結合すると、二本鎖DNAの切断が生じ、これらは、非相同末端結合(NHEJ)または相同配向型修復(HDR)によって修復され得る。例示的な天然に存在するCas9分子は、Chylinski et al.,RNA Biology 2013 10:5,727-737に記載されており、さらなるCas9オルソログは、国際PCT公開第WO2015/071474号に記載されている。かかるCas9分子としては、クラスター1細菌ファミリー、クラスター2細菌ファミリー、クラスター3細菌ファミリー、クラスター4細菌ファミリー、クラスター5細菌ファミリー、クラスター6細菌ファミリー、クラスター7細菌ファミリー、クラスター8細菌ファミリー、クラスター9細菌ファミリー、クラスター10細菌ファミリー、クラスター11細菌ファミリー、クラスター12細菌ファミリー、クラスター13細菌ファミリー、クラスター14細菌ファミリー、クラスター15細菌ファミリー、クラスター16細菌ファミリー、クラスター17細菌ファミリー、クラスター18細菌ファミリー、クラスター19細菌ファミリー、クラスター20細菌ファミリー、クラスター21細菌ファミリー、クラスター22細菌ファミリー、クラスター23細菌ファミリー、クラスター24細菌ファミリー、クラスター25細菌ファミリー、クラスター26細菌ファミリー、クラスター27細菌ファミリー、クラスター28細菌ファミリー、クラスター29細菌ファミリー、クラスター30細菌ファミリー、クラスター31細菌ファミリー、クラスター32細菌ファミリー、クラスター33細菌ファミリー、クラスター34細菌ファミリー、クラスター35細菌ファミリー、クラスター36細菌ファミリー、クラスター37細菌ファミリー、クラスター38細菌ファミリー、クラスター39細菌ファミリー、クラスター40細菌ファミリー、クラスター41細菌ファミリー、クラスター42細菌ファミリー、クラスター43細菌ファミリー、クラスター44細菌ファミリー、クラスター45細菌ファミリー、クラスター46細菌ファミリー、クラスター47細菌ファミリー、クラスター48細菌ファミリー、クラスター49細菌ファミリー、クラスター50細菌ファミリー、クラスター51細菌ファミリー、クラスター52細菌ファミリー、クラスター53細菌ファミリー、クラスター54細菌ファミリー、クラスター55細菌ファミリー、クラスター56細菌ファミリー、クラスター57細菌ファミリー、クラスター58細菌ファミリー、クラスター59細菌ファミリー、クラスター60細菌ファミリー、クラスター61細菌ファミリー、クラスター62細菌ファミリー、クラスター63細菌ファミリー、クラスター64細菌ファミリー、クラスター65細菌ファミリー、クラスター66細菌ファミリー、クラスター67細菌ファミリー、クラスター68細菌ファミリー、クラスター69細菌ファミリー、クラスター70細菌ファミリー、クラスター71細菌ファミリー、クラスター72細菌ファミリー、クラスター73細菌ファミリー、クラスター74細菌ファミリー、クラスター75細菌ファミリー、クラスター76細菌ファミリー、クラスター77細菌ファミリーまたはクラスター78細菌ファミリーのCas9分子が挙げられる。
【0565】
いくつかの実施形態では、該天然に存在するCas9ポリペプチドは、SpCas9、SpCas9-HF1、SpCas9-HF2、SpCas9-HF3、SpCas9-HF4、SaCas9、FnCpf、FnCas9、eSpCas9及びNmeCas9からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該Cas9タンパク質は、Chylinski et al.,RNA Biology 2013 10:5,727-737、Hou et al.,PNAS Early Edition 2013,1-6に記載されているCas9アミノ酸配列に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0566】
いくつかの実施形態では、該Casポリペプチドは、以下の活性のうちの1つ以上を含む:
a.ニッカーゼ活性、すなわち、一本鎖、例えば、核酸分子の非相補鎖または相補鎖を切断する能力、
b.二本鎖ヌクレアーゼ活性、すなわち、二本鎖核酸の両方の鎖を切断し、二本鎖切断を創出する能力(実施形態では、2つのニッカーゼ活性の存在である)、
c.エンドヌクレアーゼ活性、
d.エキソヌクレアーゼ活性、及び/または
e.ヘリカーゼ活性、すなわち、二本鎖核酸のらせん構造をほどく能力。
【0567】
いくつかの実施形態では、該Casポリペプチドは、様々な修復機序による、標的配列の修復の可能性または修復率をさらに向上させるために、DNA損傷シグナル伝達タンパク質、エキソヌクレアーゼまたはホスファターゼを動員する異種タンパク質に融合される。いくつかの実施形態では、相同配向型修復による外因性核酸配列の導入を促すために、WTCasポリペプチドを核酸修復鋳型と共発現させる。
【0568】
いくつかの実施形態では、(例えば、異なるPAM配列選択性、酵素活性の向上または低下、細胞傷害性レベルの上昇または低下、NHEJ、相同配向型修復、一本鎖切断、二本鎖切断等のバランスの変更のために)異なるCasタンパク質の様々な酵素特性を活用するためには、異なるCasタンパク質(すなわち、様々な種に由来するCas9タンパク質)が、提供する各種方法で用いるものとして有益であり得る。
【0569】
いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、S.pyogenesに由来するCas9タンパク質であり、NGG、NAG、NGAというPAM配列モチーフを認識する(Mali et al,Science 2013;339(6121):823-826)。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、S.thermophilesに由来するCas9タンパク質であり、NGGNG及び/またはNNAGAAW(W=AまたはT)というPAM配列モチーフを認識する(例えば、Horvath et al,Science,2010;327(5962):167-170及びDeveau et al,J Bacteriol 2008;190(4):1390-1400参照)。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、S.mutansに由来するCas9タンパク質であり、NGG及び/またはNAAR(R=AまたはG)というPAM配列モチーフを認識する(例えば、Deveau et al,J BACTERIOL 2008;190(4):1390-1400参照)。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、S.aureusに由来するCas9タンパク質であり、NNGRR(R=AまたはG)というPAM配列モチーフを認識する。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、S.aureusに由来するCas9タンパク質であり、NGRRT(R=AまたはG)というPAM配列モチーフを認識する。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、S.aureusに由来するCas9タンパク質であり、NGRRV(R=AまたはG)というPAM配列モチーフを認識する。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、N.meningitidisに由来するCas9タンパク質であり、NGATTまたはNGCTT(R=AまたはG、V=A、GまたはC)というPAM配列モチーフを認識する(例えば、Hou et ah,PNAS 2013,1-6参照)。上記の実施形態では、Nは、任意のヌクレオチド残基、例えば、A、G、CまたはTのいずれでもよい。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質は、Leptotrichia shahiiに由来するCas13タンパク質であり、3’の単一のA、UまたはCというPFS配列モチーフを認識する。
【0570】
いくつかの実施形態では、Casタンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、国際PCT公開第WO2015/071474号またはChylinski et al.,RNA Biology 2013 10:5,727-737に記載されているCasタンパク質と少なくとも90%同一であるCasタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、国際PCT公開第WO2015/071474号またはChylinski et al.,RNA Biology 2013 10:5,727-737に記載されているCasタンパク質と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるCasタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、国際PCT公開第WO2015/071474号またはChylinski,RNA Biology 2013 10:5,727-737に記載されているCasタンパク質と100%同一であるCasタンパク質をコードする。
【0571】
2.Cas変異体
いくつかの実施形態では、該Casポリペプチドは、該Casポリペプチドの1つ以上の特性を変更するように操作されている。例えば、いくつかの実施形態では、該Casポリペプチドは、変更された酵素特性、例えば、(天然に存在するCas分子もしくは他の参照Cas分子と比較して)変更されたヌクレアーゼ活性、または変更されたヘリカーゼ活性を含む。いくつかの実施形態では、操作されたCasポリペプチドは、そのサイズを変更する変化、例えば、該Casポリペプチドの別の特性に有意な影響を及ぼさずに、そのサイズを縮小するアミノ酸配列の欠失を有することができる。いくつかの実施形態では、操作されたCasポリペプチドは、PAM認識に影響を及ぼす変化を含む。例えば、操作されたCasポリペプチドは、対応する野生型Casタンパク質によって認識されるPAM配列以外のPAM配列を認識するように変更することができる。
【0572】
所望の特性を有するCasポリペプチドは、所望の特性を有する変異体または変更されたCasポリペプチドを提供するように、天然に存在するCasポリペプチドまたは親Casポリペプチドを変化させることを含めたいくつかの方法で作製することができる。例えば、1つ以上の変異を親Casポリペプチド(例えば、天然に存在するCasポリペプチドまたは操作されたCasポリペプチド)の配列に導入することができる。かかる変異及び相違は、置換(例えば、保存的置換もしくは非必須アミノ酸の置換)、挿入または欠失を含んでよい。いくつかの実施形態では、変異体のCasポリペプチドは、親Casポリペプチドに対して1個以上の変異(例えば、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、30個、40個または50個の変異)を含む。
【0573】
実施形態では、変異体のCasポリペプチドは、天然に存在するCasポリペプチドとは異なる切断特性を含む。いくつかの実施形態では、該Casは、不活性型Cas(dCas)変異体である。かかる実施形態では、該Casポリペプチドは、いずれの内在性酵素活性も含まず、標的核酸切断を媒介することができない。かかる実施形態では、該dCasは、非切断ベースの形式で標的核酸を改変することができる異種タンパク質と融合し得る。例えば、いくつかの実施形態では、dCasタンパク質は、転写活性化因子または転写抑制因子のドメイン(例えば、Kruppel関連ボックス(KRABまたはSKD)、Mad mSIN3相互作用ドメイン(SIDまたはSID4X)、ERF抑制ドメイン(ERD)、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)、メチル-CpG結合タンパク質2(MECP2)等)に融合される。いくつかのかかる場合では、該dCas融合タンパク質は、sgRNAによって、標的核酸における所定の位置(すなわち、配列)に導かれて、座位特異的な調節、例えば、RNAポリメラーゼのプロモーターへの結合のブロック(それにより、転写活性化因子の機能を選択的に阻害する)、及び/または局在的なクロマチンの状態の改変(例えば、標的DNAを改変するか、もしくは標的DNAと関連するポリペプチドを改変する融合配列を用いる場合)を行う。場合によっては、該変化は、一過性である(例えば、転写の抑制または活性化)。場合によっては、該変化は、遺伝性である(例えば、標的DNAまたは標的DNAと関連するタンパク質、例えばヌクレオソームヒストンに、エピジェネティックな改変を加える場合)。
【0574】
いくつかの実施形態では、該dCasは、dCas13変異体である(Konermann et al.,Cell 173(2018),665-676)。これらのdCas13変異体は、次いでRNAを改変する酵素に融合することができ、該酵素としては、アデノシンデアミナーゼ(例えば、ADAR1及びADAR2)が挙げられる。アデノシンデアミナーゼは、アデニンをイノシンに変換し、該イノシンを翻訳機構がグアニンのように扱うことにより、RNA配列において、機能的なA→Gという変更が行われる。いくつかの実施形態では、該dCasは、dCas9変異体である。
【0575】
いくつかの実施形態では、該変異体Cas9は、Cas9ニッカーゼ変異体である。Cas9ニッカーゼ変異体は、触媒活性を有するドメインを1つだけ含む(HNHドメインまたはRuvCドメインのいずれか)。該Cas9ニッカーゼ変異体は、gRNA特異性に基づくDNA結合性を保持するが、切断できるのは、DNAの一方の鎖のみであることから、一本鎖切断(例えば「ニック」)が生じる。いくつかの実施形態では、同じ細胞内で、2つの相補的Cas9ニッカーゼ変異体(例えば、RuvCドメインが不活性化された1つのCas9ニッカーゼ変異体、及びHNHドメインが不活性化された1つのCas9ニッカーゼ変異体)が、2つのそれぞれの標的配列(DNAセンス鎖上の1つの標的配列、及びDNAアンチセンス鎖上の1つの標的配列)に対応する2つのgRNAとともに発現する。このデュアルニッカーゼ系により、ずれた位置で二本鎖切断が行われ、二本鎖切断を起こすのに十分なほど近くで2つのオフターゲットニックが生じる可能性が低くなるため、標的特異性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、相同配向型修復による外因性核酸配列の導入を促すために、Cas9ニッカーゼ変異体を核酸修復鋳型と共発現させる。
【0576】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCasポリペプチドを操作して、該CasポリペプチドのPAM/PFS特異性を変更することができる。いくつかの実施形態では、変異体Casポリペプチドは、PAM/PFS特異性が、親CasポリペプチドのPAM/PFS特異性とは異なる。例えば、オフターゲット部位を減少させるか、特異性を向上させるか、またはPAM/PFS認識要件を排除するために、天然に存在するCasタンパク質を改変して、該変異体Casポリペプチドが認識するPAM/PFS配列を変更することができる。いくつかの実施形態では、Casタンパク質を改変して、PAM/PFS認識配列の長さを長くすることができる。いくつかの実施形態では、該PAM認識配列の長さは、少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個または15個のアミノ酸長である。指向性進化法を用いて、異なるPAM/PFS配列を認識し、及び/またはオフターゲット活性が低減されたCasポリペプチドを生成することができる。Casポリペプチドの指向性進化法で使用することができる例示的な方法及びシステムは、例えば、Esvelt et al.Nature 2011,472(7344):499-503に記載されている。
【0577】
例示的なCas変異体は、国際PCT公開第WO2015/161276号及びKonermann et al.,Cell 173(2018),665-676に記載されており、これらは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0578】
3.gRNA
本開示は、部位特異的改変ポリペプチドを所定の標的核酸配列に誘導するガイドRNA(gRNA)を提供する。gRNAは、核酸を標的とするセグメント及びタンパク質結合セグメントを含む。gRNAの核酸を標的とするセグメントは、その標的核酸内の配列と相補的であるヌクレオチド配列を含む。従って、gRNAの核酸を標的とするセグメントは、配列特異的な形で、ハイブリダイゼーション(すなわち、塩基対形成)によって標的核酸と相互作用し、gRNAが結合する標的核酸内の位置を、該核酸を標的とするセグメントのヌクレオチド配列が決定する。該gRNAの核酸を標的とするセグメントを(例えば遺伝子操作によって)改変し、標的核酸配列内の任意の所望の配列にハイブリダイズさせることができる。
【0579】
ガイドRNAのタンパク質結合セグメントは、部位特異的改変ポリペプチド(例えば、Casタンパク質)と相互作用して、複合体を形成する。該ガイドRNAは、結合したポリペプチドを、上記の核酸を標的とするセグメントによって、標的核酸内の特定のヌクレオチド配列に導く。ガイドRNAのタンパク質結合セグメントは、互いに相補的であるとともに、二本鎖RNAデュプレックスを形成する2つのヌクレオチド領域を含む。
【0580】
いくつかの実施形態では、gRNAは、2つの別個のRNA分子を含む。かかる実施形態では、該2つのRNA分子はそれぞれ、互いに相補的であるヌクレオチド領域であって、該2つのRNA分子の該相補的なヌクレオチドがハイブリダイズして、二本鎖RNAデュプレックスのタンパク質結合セグメントを形成するヌクレオチド領域を含む。いくつかの実施形態では、gRNAは、単一のRNA分子(sgRNA)を含む。
【0581】
標的座位に対するgRNAの特異性は、該核酸結合セグメントの配列によって媒介され、該核酸結合セグメントは、該標的座位内の標的核酸配列と相補的である約20個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、該対応する標的核酸配列は、およそ20ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、本開示のgRNA配列の核酸結合セグメントは、標的座位内の標的核酸配列と少なくとも90%相補的である。いくつかの実施形態では、本開示のgRNA配列の核酸結合セグメントは、標的座位内の標的核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%相補的である。いくつかの実施形態では、本開示のgRNA配列の核酸結合セグメントは、標的座位内の標的核酸配列と100%相補的である。いくつかの実施形態では、該標的核酸配列は、RNA標的配列である。いくつかの実施形態では、該標的核酸配列は、DNA標的配列である。いくつかの実施形態では、該標的核酸配列は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aを含めた内在性遺伝子に由来するDNA標的配列である(国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。
【0582】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、SOCS1を標的とする核酸結合セグメントを含むgRNA分子(すなわち、SOCS1を標的とするgRNA)を少なくとも1つ含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0583】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表3または表4に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。例示的なSOCS1標的DNA配列は、表26及び27に示される。
【0584】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。該SOCS1を標的とするgRNAの核酸結合セグメントをコードする例示的なDNA配列は、表26及び27に示される。
【表26-1】
【表26-2】
【表26-3】
【表26-4】
【表27】
【0585】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、PTPN2を標的とする核酸結合セグメントを含むgRNA分子(すなわち、PTPN2を標的とするgRNA)を少なくとも1つ含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0586】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。例示的なPTPN2標的DNA配列は、表28及び29に示される。
【0587】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。該PTPN2を標的とするgRNAの核酸結合セグメントをコードする例示的なDNA配列は、表28及び29に示される。
【表28-1】
【表28-2】
【表28-3】
【表29】
【0588】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、ZC3H12Aを標的とする核酸結合セグメントを含むgRNA分子(すなわち、ZC3H12Aを標的とするgRNA)を少なくとも1つ含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0589】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。例示的なZC3H12A標的DNA配列は、表30及び31に示される。
【0590】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。該ZC3H12Aを標的とするgRNAの核酸結合セグメントをコードする例示的なDNA配列は、表30及び31に示される。
【表30-1】
【表30-2】
【表30-3】
【表30-4】
【表30-5】
【表30-6】
【表30-7】
【表30-8】
【表30-9】
【表30-10】
【表30-11】
【表31】
【0591】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、CBLBを標的とする核酸結合セグメントを含むgRNA分子(すなわち、CBLBを標的とするgRNA)を少なくとも1つ含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0592】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。例示的なCBLB標的DNA配列は、表32及び33に示される。
【0593】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。該CBLBを標的とするgRNAの核酸結合セグメントをコードする例示的なDNA配列は、表32及び33に示される。
【表32】
【表33】
【0594】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、RC3H1を標的とする核酸結合セグメントを含むgRNA分子(すなわち、RC3H1を標的とするgRNA)を少なくとも1つ含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0595】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。例示的なRC3H1標的DNA配列は、表34及び35に示される。
【0596】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号824~844または824~836のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。該RC3H1を標的とするgRNAの核酸結合セグメントをコードする例示的なDNA配列は、表34及び35に示される。
【表34】
【表35】
【0597】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、NFKBIAを標的とする核酸結合セグメントを含むgRNA分子(すなわち、NFKBIAを標的とするgRNA)を少なくとも1つ含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0598】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。例示的なNFKBIA標的DNA配列は、表36及び37に示される。
【0599】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子の核酸結合セグメントは、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。該NFKBIAを標的とするgRNAの核酸結合セグメントをコードする例示的なDNA配列は、表36及び37に示される。
【表36】
【表37】
【0600】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、SOCS1を標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、PTPN2を標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0601】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0602】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0603】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0604】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、SOCS1を標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0605】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0606】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0607】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0608】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、PTPN2を標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0609】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0610】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0611】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0612】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、CBLBを標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、PTPN2を標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0613】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0614】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0615】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0616】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、CBLBを標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0617】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0618】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0619】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0620】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、SOCS1を標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、CBLBを標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0621】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0622】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0623】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0624】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、RC3H1を標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、PTPN2を標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0625】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0626】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0627】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0628】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、RC3H1を標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0629】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0630】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0631】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0632】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、SOCS1を標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、RC3H1を標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0633】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0634】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0635】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0636】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、CBLBを標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、RC3H1を標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0637】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0638】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0639】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0640】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、NFKBIAを標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、PTPN2を標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、PTPN2遺伝子(配列番号3)またはPtpn2遺伝子(配列番号4)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0641】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、表9または表10に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0642】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0643】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのPTPN2を標的とするgRNA分子は、配列番号201~327または201~314のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0644】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、NFKBIAを標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、ZC3H12Aを標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、ZC3H12A遺伝子(配列番号5)またはZc3h12a遺伝子(配列番号6)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0645】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、表11または表12に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0646】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0647】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのZC3H12Aを標的とするgRNA分子は、配列番号331~797、338~797または338~789のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0648】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、SOCS1を標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、NFKBIAを標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、SOCS1遺伝子(配列番号1)またはSocs1遺伝子(配列番号2)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0649】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、表4または表5に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0650】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0651】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのSOCS1を標的とするgRNA分子は、配列番号23~200、56~200または56~187のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0652】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、CBLBを標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、NFKBIAを標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、CBLB遺伝子(配列番号7)またはCblb遺伝子(配列番号8)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0653】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、表17または表18に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0654】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0655】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのCBLBを標的とするgRNA分子は、配列番号798~823または798~808のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0656】
いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、少なくとも2つのgRNA分子を含み、ここで、少なくとも1つのgRNA分子は、RC3H1を標的とするgRNA分子であり、少なくとも1つのgRNA分子は、NFKBIAを標的とするgRNA分子である。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、RC3H1遺伝子(配列番号9)またはRc3h1遺伝子(配列番号10)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、NFKBIA遺伝子(配列番号11)またはNfkbia遺伝子(配列番号12)内のDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0657】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、表19または表20に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、表21または表22に示される一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるDNA配列と100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0658】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合し、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一である標的DNA配列に結合する。
【0659】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるDNA配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのRC3H1を標的とするgRNA分子は、配列番号824~844または824~844または824~836のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされ、該少なくとも1つのNFKBIAを標的とするgRNA分子は、配列番号845~875または845~856のうちの1つと100%同一であるDNA配列によってコードされる。
【0660】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のgRNA配列の核酸結合セグメントは、特定の標的座位または標的遺伝子に特有である標的配列を特定するための、当技術分野で既知のアルゴリズム(例えばCas-OFF finder)を用いて、オフターゲット結合を最小限にするように設計される。
【0661】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のgRNAは、ヌクレアーゼに対する安定性を導入する1つ以上の改変ヌクレオシドまたは改変ヌクレオチドを含むことができる。かかる実施形態では、これらの改変gRNAは、非改変gRNAと比較して、自然免疫の低下を誘発し得る。「自然免疫反応」という用語には、概ねウイルスまたは細菌由来の一本鎖核酸を含む外因性核酸に対する細胞反応が含まれ、該反応には、サイトカイン、特にインターフェロンの発現及び放出、ならびに細胞死の誘導が伴う。
【0662】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のgRNAは、5’末端または5’末端近傍(例えば、その5’末端から1~10ヌクレオチド、1~5ヌクレオチドまたは1~2ヌクレオチド以内)が改変される。いくつかの実施形態では、gRNAの5’末端は、真核mRNAのキャップ構造またはキャップアナログ(例えば、G(5’)ppp(5’)Gというキャップアナログ、m7G(5’)ppp(5’)Gというキャップアナログ、または3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)Gというアンチリバースキャップアナログ(ARCA))を含めることによって改変される。いくつかの実施形態では、インビトロ転写gRNAが、ホスファターゼ(例えば、仔ウシ腸アルカリホスファターゼ)で処理して5’三リン酸基を除去することによって改変される。いくつかの実施形態では、gRNAは、その3’末端またはその3’末端近傍(例えば、その3’末端から1~10ヌクレオチド、1~5ヌクレオチドまたは1~2ヌクレオチド以内)に改変を含む。例えば、いくつかの実施形態では、gRNAの3’末端は、1つ以上(例えば、25~200個)のアデニン(A)残基を付加することによって改変される。
【0663】
いくつかの実施形態では、改変ヌクレオシド及び改変ヌクレオチドは、gRNAに存在することができるが、他の遺伝子調節系、例えば、mRNA、RNAiまたはsiRNAベースの系にも存在し得る。いくつかの実施形態では、改変ヌクレオシド及び改変ヌクレオチドは、以下のうちの1つ以上を含むことができる:
a.ホスホジエステル骨格結合において結合していないリン酸酸素のうちの1つもしくは両方及び/または結合しているリン酸酸素のうちの1つ以上の変更、例えば、置換、
b.リボース糖の構成要素、例えば、リボース糖の2’ヒドロキシルの変更、例えば置換、
c.リン酸部分の「脱リン」リンカーへの大規模置換、
d.天然に存在する核酸塩基の改変または置換、
e.リボース-リン酸骨格の置換または改変、
f.オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端の改変、例えば、末端のリン酸基の、または部分のコンジュゲーションの除去、改変もしくは置換、ならびに
g.糖の改変。
【0664】
いくつかの実施形態では、上に列挙した改変を組み合わせて、改変を2個、3個、4個、またはそれより多く有し得る改変ヌクレオシド及び改変ヌクレオチドをもたらすことができる。例えば、いくつかの実施形態では、改変ヌクレオシドまたは改変ヌクレオチドは、改変糖及び改変核酸塩基を有することができる。いくつかの実施形態では、gRNAのすべての塩基が改変される。いくつかの実施形態では、gRNA分子のリン酸基の各々が、ホスホロチオエート基で置き換えられる。
【0665】
いくつかの実施形態では、例えば、ゲノム全体における総オフターゲット活性を最小限にするために、ソフトウェアツールを用いて、ユーザーの標的配列内におけるgRNAの選択を最適化することができる。オフターゲット活性は、切断以外の場合もある。例えば、S.pyogenesのCas9を用いる場合の考え得る各gRNAの選択を行う際には、ソフトウェアツールによって、ゲノム全体において、ある特定の数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)以下のミスマッチ塩基対を含むすべての潜在的オフターゲット配列(NAGまたはNGGのいずれかのPAMに先行する)を特定することができる。各オフターゲット配列における切断効率は、例えば、実験によって導出した重み付けスキームを用いて予測することができる。その後、考え得る各gRNAをオフターゲット切断の総予測数によってランク付けし、上位のgRNAは、オンターゲット切断の可能性が最も高く、オフターゲット切断の可能性が最も低いものを表す。該ツールには、他の機能、例えば、gRNAベクターの構築用試薬の自動設計、オンターゲットSurveyorアッセイ用プライマーの設計、次世代シーケンシングによってオフターゲット切断のハイスループットの検出及び定量を行うためのプライマーの設計の機能も含まれていることがある。
【0666】
III.改変TILの作製方法
いくつかの実施形態では、本開示は、改変TILを産生するための改善された方法を提供する。いくつかの実施形態では、該方法は、遺伝子調節系を免疫エフェクター細胞の集団に導入することを含み、該遺伝子調節系は、ANKRD11、BCL2L11、BCL3、BCOR、CALM2、CBLB、CHIC2、CTLA4、DHODH、E2F8、EGR2、FLI1、FOXP3、GATA3、GNAS、HAVCR2、IKZF1、IKZF2、IKZF3、LAG3、MAP4K、NFKBIA、NR4A3、NRP1、PBRM1、PCBP1、PDCD1、PELI1、PIK3CD、PPP2R2D、PTPN1、PTPN2、PTPN22、PTPN6、RBM39、RC3H1、SEMA7A、SERPINA3、SETD5、SH2B3、SH2D1A、SMAD2、SOCS1、TANK、TGFBR1、TGFBR2、TIGIT、TNFAIP3、TNIP1、TRAF6、UMPS、WDR6及びZC3H12Aから選択される1つ、2つまたはそれより多くの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる(国際公開第WO2019/178422号、WO2019/178420及びWO2019/178421参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、該1つ、2つまたはそれより多くの内在性標的遺伝子は、SOCS1、PTPN2、ZC3H12A、CBLB、RC3H1及びNFKBIAから選択される。
【0667】
本明細書に記載の遺伝子調節系、例えば、核酸ベース、タンパク質ベース、または核酸/タンパク質ベースの系の構成成分は、様々な送達方法及び製剤を用いて、様々な形態で標的細胞に導入することができる。いくつかの実施形態では、該系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドは、組み換えベクター(例えば、ウイルスベクターまたはプラスミド)によって送達される。いくつかの実施形態では、該系が、2つ以上の構成成分を含む場合には、ベクターは、該系の構成成分をそれぞれコードする複数のポリヌクレオチドを含んでよい。いくつかの実施形態では、該系が、2つ以上の構成成分を含む場合には、複数のベクターを用いてもよく、各ベクターは、該系の特定の構成成分をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、シグナルペプチド(例えば、核局在化、核小体局在化、ミトコンドリア局在化のためのシグナルペプチド)をコードする配列が、該系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドに融合されたものも含んでよい。例えば、ベクターは、該系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドに融合された核局在化配列(例えば、SV40に由来する核局在化配列)を含んでよい。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系の細胞への導入は、インビトロで行われる。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系の細胞への導入は、インビボで行われる。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系の細胞への導入は、エキソビボで行われる。
【0668】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子調節系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターは、ウイルスベクターである。適切なウイルスベクターとしては、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス(例えば、Li et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549,1994、Borras et al.,Gene Ther 6:515 524,1999、Li and Davidson,PNAS 92:7700 7704,1995、Sakamoto et al.,H Gene Ther 5:1088 1097,1999、WO94/12649、WO93/03769、WO93/19191、WO94/28938、WO95/11984及びWO95/00655参照)、アデノ随伴ウイルス(例えば、米国特許第7,078,387号、Ali et al.,Hum Gene Ther 9:81 86,1998、Flannery et al.,PNAS 94:6916 6921,1997、Bennett et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863,1997、Jomary et al.,Gene Ther 4:683 690,1997、Rolling et al.,Hum Gene Ther 10:641 648,1999、Ali et al.,Hum Mol Genet 5:591 594,1996、SrivastavaによるWO93/09239、Samulski et al.,J.Vir.(1989)63:3822-3828、Mendelson et al.,Virol.(1988)166:154-165及びFlotte et al.,PNAS(1993)90:10613-10617参照)、SV40、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al.,PNAS 94:10319 23,1997、Takahashi et al.,J Virol 73:7812 7816,1999参照)をベースとするウイルスベクター、レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ならびにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、及び乳癌ウイルス等のレトロウイルスに由来するベクター)等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0669】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子調節系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターは、プラスミドである。数多くの適切なプラスミド発現ベクターが当業者に既知であり、多くは市販されている。例えば、真核宿主細胞用では、pXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVLSV40(Pharmacia)というベクターが提供されている。しかしながら、宿主細胞と適合するものであれば、いずれの他のプラスミドベクターも使用され得る。使用される細胞の種類及び遺伝子調節系に応じて、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーター等を含め、多くの適切な転写調節エレメント及び翻訳調節エレメントのうちのいずれかを発現ベクターで用いてよい(例えば、Bitter et al.(1987)Methods in Enzymology,153:516-544参照)。
【0670】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子調節系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、調節エレメント、例えば、プロモーター等の転写調節エレメントに作動可能に連結される。該転写調節エレメントは、真核細胞(例えば、哺乳類細胞)または原核細胞(例えば、細菌細胞もしくは古細菌細胞)のいずれかで機能するものであってよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子調節系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、原核細胞及び真核細胞の両方でポリヌクレオチドの発現を可能にする複数の調節エレメントに作動可能に連結される。使用される細胞型及び遺伝子調節系に応じて、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーター等を含め、多くの適切な転写調節エレメント及び翻訳調節エレメントのうちのいずれかを発現ベクターで用いてよい(例えば、Bitter et al.(1987)Methods in Enzymology,153:516-544参照)。
【0671】
適切な真核生物プロモーター(真核細胞で機能するプロモーター)の非限定的な例としては、サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼプロモーター、初期SV40プロモーター及び後期SV40プロモーター、レトロウイルスに由来する長鎖末端反復配列(LTR)プロモーター、ならびにマウスメタロチオネイン-Iプロモーターが挙げられる。適切なベクター及びプロモーターの選択は、十分に当業者のレベルの範囲内である。該発現ベクターは、翻訳開始のためのリボソーム結合部位、及び転写ターミネーターも含んでよい。該発現ベクターは、発現を増幅させるための適切な配列も含んでよい。該発現ベクターは、部位特異的改変ポリペプチドに融合されることによりキメラポリペプチドが生じるタンパク質タグ(例えば、6×Hisタグ、ヘマグルチニンタグ、緑色蛍光タンパク質等)をコードするヌクレオチド配列も含み得る。
【0672】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子調節系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子調節系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、構成的プロモーターに作動可能に連結される。
【0673】
ポリヌクレオチド及び組み換えベクターを宿主細胞に導入する方法は、当技術分野で既知であり、任意の既知の方法を用いて、遺伝子調節系の構成成分を細胞に導入することができる。適切な方法としては、例えば、ウイルス感染、バクテリオファージ感染、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、リポフェクション、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレンイミン(PEI)媒介トランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、ナノ粒子媒介核酸送達(例えば、Panyam et al.,Adv Drug Deliv Rev.2012 Sep 13.pii:S0169-409X(12)00283-9参照)、マイクロフルイディクス送達方法(例えば、国際PCT公開第WO2013/059343号参照)等が挙げられる。いくつかの実施形態では、電気穿孔による送達は、細胞と、遺伝子調節系の構成成分とをカートリッジ、チャンバーまたはキュベット内で混合すること、ならびに電気的刺激を所定の期間及び振幅で1回以上加えることを含む。いくつかの実施形態では、混合物をカートリッジ、チャンバーまたはキュベットに送る装置(例えば、ポンプ)に連結された容器内で、細胞を遺伝子調節系の構成成分と混合し、電気的刺激を1回以上、所定の期間及び振幅で加えた後、該細胞を第2の反応容器に送る。
【0674】
いくつかの実施形態では、遺伝子調節系の構成成分を細胞内に導入するために電気穿孔が使用される。pre-REP及びREPプロトコルが使用されるいくつかの実施形態では、電気穿孔は、pre-REP段階の後、REP段階の前に、遺伝子調節系の構成成分を細胞内に導入するために使用される。
【0675】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子調節系の1つ以上の構成成分、または遺伝子調節系の1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、トランスポゾン、ナノ粒子(例えば、脂質ナノ粒子)、リポソーム、エクソソーム、弱毒化細菌、またはウイルス様粒子等の非ウイルス送達媒体で細胞に導入される。いくつかの実施形態では、該媒体は、弱毒化細菌(例えば、Listeria monocytogenes、ある特定のSalmonella株、Bifidobacterium longum及び改変Escherichia coliを含めた、天然の細菌または人工的に操作されて、侵襲性であるが、発病を防ぐように弱毒化されている細菌)、特定の細胞を標的とするための栄養特異的及び組織特異的なトロピズムを有する細菌、ならびに標的細胞特異性を変化させるために、表面タンパク質が改変された細菌である。いくつかの実施形態では、該媒体は、遺伝子改変バクテリオファージ(例えば、パッケージング能が大きく、免疫原性が少なく、哺乳類のプラスミド保持配列を含み、ターゲティングリガンドが組み込まれた操作されたファージ)である。いくつかの実施形態では、該媒体は、哺乳類のウイルス様粒子である。例えば、(例えば、「空の」粒子を精製した後、エキソビボでウイルスを所望のカーゴとともにアセンブルすることによって)改変ウイルス粒子を生成することができる。該媒体を操作して標的リガンドを組み込み、標的組織特異性を改変することもできる。いくつかの実施形態では、該媒体は、生体リポソームである。例えば、該生体リポソームは、ヒト細胞に由来するリン脂質ベースの粒子(例えば、対象に由来する赤血球を溶血させ、球体構造にしたものである赤血球ゴースト、組織標的化は、様々な組織特異的または細胞特異的リガンドを取り付けることによって達成され得る)、分泌エクソソーム、または対象から得られる、エンドサイトーシス由来の膜結合型ナノベシクル(30~100nm)(例えば、様々な細胞型から産生され得るため、標的リガンドを必要とすることなく細胞に取り込むことができる)である。
【0676】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改変TILの方法は、免疫エフェクター細胞の集団をサンプルから得ることを含む。いくつかの実施形態では、サンプルは、組織サンプル、流体サンプル、細胞サンプル、タンパク質サンプル、またはDNAサンプルもしくはRNAサンプルを含む。いくつかの実施形態では、組織サンプルは、いずれの組織型から得てもよく、該組織型としては、皮膚、毛髪(毛根を含む)、骨髄、骨、筋肉、唾液腺、食道、胃、小腸(例えば、十二指腸、空腸もしくは回腸の組織)、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓、肺、腎臓、膀胱、子宮、卵巣、膣、胎盤、精巣、甲状腺、副腎、心臓組織、胸腺、脾臓、リンパ節、脊髄、脳、眼、耳、舌、軟骨、白色脂肪組織、または褐色脂肪組織が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、組織サンプルは、がん性腫瘍、前がん性腫瘍または非がん性腫瘍に由来してもよい。いくつかの実施形態では、流体サンプルは、口腔スワブ、血液、血漿、口腔粘膜、膣粘膜、末梢血、臍帯血、唾液、精液(semen)、尿、腹水、胸膜液、髄液、肺洗浄液、涙、汗、精液(semen)、精液(seminal fluid)、精漿、前立腺液、射精前液(クーパー液)、排泄物、脳脊髄液、リンパ、1つ以上の細胞集団を含む細胞培地、1つ以上の細胞集団を含む緩衝液等を含む。
【0677】
いくつかの実施形態では、該サンプルは、免疫エフェクター細胞等の特定の細胞型を該サンプルの残部から濃縮または単離するために処理される。ある特定の実施形態では、該サンプルは、末梢血サンプルであり、これはその後、白血球分離に供され、赤血球及び血小板を分離され、白血球が単離される。いくつかの実施形態では、該サンプルは、leukopakであり、免疫エフェクター細胞がそこから単離または濃縮され得る。いくつかの実施形態では、該サンプルは、腫瘍サンプルであり、これがさらに処理され、該腫瘍に存在するリンパ球が単離される(すなわち、腫瘍浸潤リンパ球が単離される)。
【0678】
いくつかの実施形態では、単離された免疫エフェクター細胞を培養中で増殖させ、増殖した免疫エフェクター細胞の集団を産生する。該増殖プロセス中、該培養系に、1つ以上の活性化因子または成長因子が添加され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のサイトカイン(IL-2及び/またはIL-7等)を培養系に加えて、細胞の増殖(proliferation)及び増殖(expansion)を増強または促進することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の活性化抗体、例えば、抗CD3抗体を該培養系に加え、細胞の増殖(proliferation)及び増殖(expansion)を増強または促進してもよい。いくつかの実施形態では、該免疫エフェクター細胞は、該増殖プロセス中、フィーダー細胞と共培養してよい。いくつかの実施形態では、本発明に提供する方法は、1回以上の増殖相を含む。例えば、いくつかの実施形態では、該免疫エフェクター細胞は、サンプルから単離した後に増殖させ、増殖を休止させてから、再び増殖させることができる。いくつかの実施形態では、該免疫エフェクター細胞は、ある一連の増殖条件で増殖させた後、第二の異なる一連の増殖条件で、第2回の増殖を行うことができる。免疫細胞の従来のエキソビボ増殖法は、例えば、米国特許出願公開第20180282694号及び第20170152478号、ならびに米国特許第8,383,099号及び第8,034,334号に記載されているように、当技術分野で既知である。
【0679】
培養及び増殖プロセスのいずれかの時点で、本明細書に記載の遺伝子調節系を免疫エフェクター細胞に導入し、改変TILの集団を産生することができる。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、免疫エフェクター細胞の集団に、サンプルからの濃縮の直後に導入される。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、1つ以上の増殖プロセスの前、最中または後に、該免疫エフェクター細胞の集団に導入される。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、該免疫エフェクター細胞の集団に、サンプルからの濃縮または対照からの採取直後、任意の増殖回の前に導入される。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、該免疫エフェクター細胞の集団に、第1回の増殖後かつ第2回の増殖の前に導入される。いくつかの実施形態では、該遺伝子調節系は、該免疫エフェクター細胞の集団に、第1回及び第2回の増殖の後に導入される。
【0680】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法によって産生される改変TILは、直ちに使用され得る。代替的に、該細胞は、液体窒素の温度で凍結され、長期間保存される場合もあり、解凍され、再利用することができる。かかる場合には、該細胞は、通常、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)、50%血清、40%緩衝培地、または当技術分野で一般に使用されるなんらかの他のかかる溶液中で凍結され、かかる凍結温度で細胞が保存され、凍結した培養細胞を解凍するための当技術分野で一般に知られる方法で該細胞が解凍される。
【0681】
いくつかの実施形態では、該改変TILは、様々な培養条件下でインビトロにて培養され得る。該細胞は、培養中で増殖、すなわち、それらの増殖を促進する条件下で成長し得る。培地は、液体でも半固体でもよく、例えば、寒天、メチルセルロース等を含んでもよい。該細胞集団は、適切な栄養培地、例えば、通常はウシ胎児血清(約5~10%)、L-グルタミン、チオール、特に2-メルカプトエタノール、ならびに抗生物質、例えば、ペニシリン及びストレプトマイシンが添加されたイスコフ改変DMEMまたはRPMI1640に懸濁され得る。該培養は、制御性T細胞が反応する成長因子を含み得る。本明細書で定義される成長因子とは、膜貫通受容体に対する特異的作用を通じて、培養細胞または無傷の組織内の細胞のいずれかの生存、成長及び/または分化を促すことができる分子である。成長因子には、ポリペプチド及び非ポリペプチド因子が含まれる。
【0682】
A.CRISPR/Cas系を使用した改変TILの産生
いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞の産生方法は、標的DNA配列と、gRNA及びCasポリペプチドを含む複合体とを接触させることを含む。上で論じたように、gRNA及びCasポリペプチドが複合体を形成し、該gRNAのDNA結合ドメインが、該複合体を標的DNA配列に導き、該Casタンパク質(または酵素的に不活性なCasタンパク質に融合された異種タンパク質)が、標的DNA配列を改変する。いくつかの実施形態では、この複合体は、該gRNA及びCasタンパク質(または該gRNA及びCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド)を細胞に導入した後に、細胞内で形成される。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質をコードする核酸は、DNA核酸であり、細胞に形質導入によって導入される。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas遺伝子編集系のCas及びgRNA成分は、単一のポリヌクレオチド分子によってコードされる。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質及びgRNA成分をコードするポリヌクレオチドは、ウイルスベクターに含まれており、ウイルス形質導入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas遺伝子編集系のCas9及びgRNA成分は、異なるポリヌクレオチド分子によってコードされる。いくつかの実施形態では、該Casタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、第一のウイルスベクターに含まれ、該gRNAをコードするポリヌクレオチドは、第二のウイルスベクターに含まれる。この実施形態のいくつかの態様では、該第二のウイルスベクターよりも前に、該第一のウイルスベクターが細胞に導入される。この実施形態のいくつかの態様では、該第一のウイルスベクターよりも前に、該第二のウイルスベクターが細胞に導入される。かかる実施形態では、該ベクターが組み込まれることにより、該Cas9及びgRNA成分の発現が持続する。しかしながら、一部の細胞型では、Cas9の発現の持続により、オフターゲット変異及びオフターゲット切断が増加し得る。従って、いくつかの実施形態では、該Casタンパク質をコードするmRNA核酸配列は、トランスフェクションによって、該細胞の集団に導入され得る。かかる実施形態では、Cas9の発現は、時間とともに減少し、オフターゲット変異またはオフターゲット切断部位の数が減少し得る。
【0683】
いくつかの実施形態では、この複合体は、該gRNA分子とCasタンパク質を混合し、複合体を形成するのに十分な時間培養することにより、無細胞系で形成される。該gRNA及びCasタンパク質を含み、本明細書ではCRISPR-リボ核タンパク質(CRISPR-RNP)と呼ばれるこの予備形成複合体をその後、細胞に導入し、標的DNA配列を改変することができる。該複合体化は、該Casタンパク質及びgRNAを別々に導入した場合には標的細胞でも生じ得る。
【0684】
B.shRNA系を使用した改変TILの産生
いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞を、該細胞に、標的遺伝子のmRNA転写物に相補的な配列を含む1つ以上のshRNA分子をコードする1つ以上のDNAポリヌクレオチドを導入することによって産生する方法を開示する。該免疫エフェクター細胞は、小さい遺伝子カセットを介して、特定のDNA配列を細胞核に導入することによって、該shRNAを産生するように改変され得る。レトロウイルス及びレンチウイルスの両方が、shRNAをコードするDNAを免疫エフェクター細胞に導入するために使用され得る。導入されたDNAは、該細胞自体のDNAの一部となる場合もあれば、核内で存続する場合もあり、shRNAを産生するように該細胞内機構に指示する。shRNAは、該細胞内でダイサーまたはAGO2が媒介するスライサー活性によって、RNAiが媒介する遺伝子ノックダウンを誘導するようにプロセッシングされ得る。
【0685】
C.siRNA系を使用した改変TILの産生
いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞を、該細胞に、標的遺伝子のmRNA転写物に相補的な配列を含む1つ以上のsiRNA分子をコードする1つ以上のDNAポリヌクレオチドを導入することによって産生する方法を開示する。該免疫エフェクター細胞は、小さい遺伝子カセットを介して、特定のDNA配列を細胞核に導入することによって、該siRNAを産生するように改変され得る。レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、及びレンチウイルスが、siRNAをコードするDNAを免疫エフェクター細胞に導入するために使用され得る。導入されたDNAは、該細胞自体のDNAの一部となる場合もあれば、核内で存続する場合もあり、siRNAを産生するように該細胞内機構に指示する。該siRNAは、遺伝子発現を妨げ得る。
【0686】
IV.養子細胞移入
養子細胞移入(ACT)は、極めて有効な形態の免疫療法であり、抗腫瘍活性を有する免疫細胞をがん患者に移入することを含む。ACTは、抗腫瘍活性を有するリンパ球のインビトロでの識別、これら細胞の多数へのインビトロ増殖及び担がん宿主へのそれらの注入を含む治療アプローチである。養子移入に使用されるリンパ球は、切除された腫瘍(腫瘍浸潤リンパ球またはTIL)の間質に由来し得る。ACT用のTILは、本明細書に記載の通りに調製され得る。TILは、抗腫瘍T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子操作される場合、混合リンパ球腫瘍細胞培養物(MLTC)で強化される場合、または自己抗原提示細胞及び腫瘍由来ペプチドを使用してクローニングされる場合には、血液から得られるまたは血液に由来し得る。該リンパ球が、注入を受ける担がん宿主に由来するACTは、自己ACTと呼ばれる。参照により全体として本明細書に組み込まれる米国公開第2011/0052530号は、主に転移性黒色腫に罹患した患者の治療用のがんの退縮を促進するための養子細胞療法を行うための方法に関し、これは、これらの方法に関して参照により全体として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、TILは、本明細書に記載の通りに投与され得る。いくつかの実施形態では、TILは、単回投与で施され得る。かかる投与は、注射、例えば、静脈注射によって行われ得る。いくつかの実施形態では、TIL及び/または細胞傷害性リンパ球は、複数回投与で施され得る。
【0687】
抗腫瘍活性を有する免疫細胞をがん患者に移入する前に、該患者に対してリンパ球枯渇化段階が使用され得る。該リンパ球枯渇化により、制御性T細胞及び免疫系の競合要素が部分的または完全に除去される。いくつかの実施形態では、リンパ球枯渇化が使用される。他の実施形態では、リンパ球枯渇化は使用されない。
【0688】
V.抗体及び抗体複合体
A.抗体複合体
固定化抗体とは異なり、可溶性抗体複合体は、T細胞に対してより軽度の活性化シグナルを提供し得る。参照により全体として本明細書に組み込まれる米国公開第US2007/0036783号は、T細胞の活性化及び増殖を開始することができるCD28に対する第二の抗体と複合した1つの抗CD3抗体から構成される可溶性二重特異性四量体抗体複合体(TAC)の使用を記載している。
【0689】
本開示は、TILの活性化方法を提供し、該方法は、TILを含むサンプルを、少なくとも1つの可溶性単一特異性複合体を含む組成物とともに培養することを含み、各可溶性単一特異性複合体は、連結されかつ該TILの同じ抗原に特異的に結合する2つの結合タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、対TILは、IL-2の存在下で培養される。ある特定の実施形態では、該2つの結合タンパク質は、同じ結合タンパク質であり、該抗原の同じエピトープに結合する。
【0690】
ある特定の実施形態では、該結合タンパク質は、抗体またはその断片である。使用され得る抗体断片としては、組み換え供給源に由来する及び/またはトランスジェニック動物で産生されるFab、Fab’、F(ab)、scFv及びdsFv断片が挙げられる。該抗体または断片は、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター及びヒトを含めた任意の種に由来し得る。キメラ抗体誘導体、すなわち、非ヒト動物の可変領域及びヒトの定常領域を組み合わせた抗体分子もまた、本発明の範囲内に企図される。キメラ抗体分子としては、例えば、マウス、ラット、または他の種の抗体由来の抗原結合ドメインと、ヒト定常領域を含むヒト化抗体を挙げることができる。キメラ抗体を作製するために従来の方法が使用され得る(例えば、Morrison et al.,Takeda et al.,Cabilly et al.,米国特許第4,816,567号、Boss et al.,米国特許第4,816,397号、Tanaguchi et al.,欧州特許公開第EP171496号、欧州特許公開第0173494号、英国特許第GB2177096B号参照)。ヒト化抗体の調製は、EP-B 10 239400に記載されている。ヒト化抗体は、商業的にも産生され得る(Scotgen Limited,2 Holly Road,Twickenham,Middlesex,Great Britain)。キメラ抗体は、対応する非キメラ抗体よりもヒト対象において免疫原性が少ないことが予想される。ヒト化抗体は、例えば、WO00/61635に記載の通りにさらに安定化され得る。これらの公開のすべては、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0691】
TIL抗原に結合する抗体またはその断片は、商業的に入手可能であるか、または当業者によって調製され得る。1つの実施形態では、同じ抗原に結合する該2つの抗体またはそれらの断片は、直接連結される。該抗体の直接の連結は、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)を使用して、1つの抗体を他の抗体に化学的に結合させることによって調製され得る。
【0692】
別の実施形態では、該2つの抗体は、該可溶性単一特異性複合体において、間接的に連結される。「間接的に連結される」とは、該2つの抗体が、互いに直接共有結合的に連結されないが、免疫学的複合体等の連結部分を介して結合されることを意味する。好ましい実施形態では、該2つの抗体は、四量体抗体複合体を調製することによって間接的に連結される。四量体抗体複合体は、同じ抗原に結合しかつ同じ動物種のものであるモノクローナル抗体と、該第一の動物種の抗体のFc断片に対するものである第二の動物種のモノクローナル抗体をほぼ等モル量混合することによって調製され得る。該第一及び第二の抗体を、該第一の動物種の抗体のFc断片に対するものである第二の動物種のモノクローナル抗体のF(ab’)2断片のほぼ等モル量と反応させてもよい。四量体抗体複合体及びその調製方法の説明に関しては、参照により全体として本明細書に組み込まれるLansdorpに対する米国特許第4,868,109号を参照されたい。
【0693】
1つの実施形態では、該組成物は、少なくとも2つの異なる単一特異性複合体を含み、各々がTILの異なる抗原に結合する。1つの実施形態では、該組成物は、少なくとも2つの異なる可溶性単一特異性複合体を含み、該少なくとも2つの異なる可溶性単一特異性複合体の各々は、CD3、CD28、CD2、CD7、CD11a、CD26、CD27、CD30L、CD40L、OX-40、ICES、GITR、CD137、及びHLA-DRからなる群から選択される異なる抗原に結合する。
【0694】
特定の実施形態では、1つの単一特異性複合体がCD3に結合し、第二の単一特異性複合体がCD28に結合する。別の実施形態では、該組成物は、少なくとも3つの異なる可溶性単一特異性複合体を含み、各々がTILの3つの異なる抗原のうちの1つに結合する。かかる実施形態では、2つの単一特異性複合体が同じ抗原に結合することはない。特定の実施形態では、該組成物は、3つの異なる可溶性単一特異性複合体を含み、1つがCD3に特異的であり、第二はCD28に特異的であり、第三がCD2に特異的である。特定の実施形態では、該可溶性単一特異性複合体の存在下でのTILの活性化は、各々がTILの異なる抗原に結合する2つの異なる結合タンパク質または抗体を含む二重特異性複合体を使用したTILの活性化より大きい。
【0695】
B.抗CD3抗体及び抗CD28抗体
当業者には理解されるように、本発明で用いられるいくつかの適切な抗ヒトCD3抗体及び抗ヒトCD28抗体が存在する。抗ヒトCD3抗体としては、マウス、ヒト、霊長類、ラット、及びイヌの抗体が挙げられるがこれらに限定されない様々な哺乳類由来のポリクローナル及びモノクローナル抗体が挙げられる。特定の実施形態では、OKT3抗CD3抗体が使用される(Ortho-McNeil,Raritan,N.J.またはMiltenyi Biotech,Auburn,Calif.から市販されている)。同様に当業者には理解されるように、本発明で用いられるいくつかの適切な抗ヒトCD28抗体が存在し、これらとしては、抗ヒトCD28ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体が含まれる。
【0696】
CD3に対する抗体は、多くのT細胞増殖プロトコルにおいて中心的な要素である。表面に固定化されると、抗CD3は、T細胞の表面のT細胞受容体複合体の架橋により、活性化及び増殖を誘導するシグナルを提供する。シグナル及び共刺激シグナルを同時に送達するように抗CD3及び抗CD28を固定化することにより、増殖が増加し得る(Baroja et al(1989),Cellular Immunology,120:205-217)。W009429436A1では、固相表面、例えば、培養皿及びビーズを使用して、該抗CD3抗体及び抗CD28抗体が固定化される。通常は、ビーズへの固定化は、直径4.5μmのサイズを有するDynaBeads(登録商標)M-450で行われる。これらの公開のすべては、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0697】
VI.サイトカイン
本明細書に記載の増殖方法は、一般に、当技術分野で周知のように、高用量のサイトカイン、特にIL-2を含む培地を使用する。
【0698】
本明細書で使用される、「IL-2」(本明細書では「IL2」とも呼ばれる)という用語は、インターロイキン-2として知られるサイトカイン及びT細胞成長因子を指し、IL-2のすべての型、すなわち、ヒト及び哺乳類型、保存的アミノ酸置換を有する型、糖型、バイオ後続品、及びそれらのバリアント等を含む。IL-2は、例えば、Nelson,J.Immunol.2004,172,3983-88及びMalek,Annu.Rev.Immunol.2008,26,453-79に記載されており、これらの開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。IL-2という用語は、ヒト、組み換え型のIL-2、例えば、アルデスロイキン(PROLEUKIN、単回使用バイアルあたり2200万IUで複数の供給元から市販されている)、及びCellGenix,Inc.,Portsmouth,N.H.,USA(CELLGRO GMP)またはProSpec-Tany TechnoGene Ltd.,East Brunswick,N.J.,USA(カタログ番号CYT-209-b)によって市販されている組み換え型IL-2ならびに他の供給業者から市販の同等物を包含する。アルデスロイキン(des-アラニル-1,セリン-125ヒトIL-2)は、非グリコシル化ヒト組み換え型のIL-2であり、分子量は約15kDaである。IL-2という用語はまた、Nektar Therapeutics,South San Francisco,Calif.,USAより入手可能なペグ化IL-2プロドラッグNKTR-214を含めたペグ化型のIL-2も包含する。本発明での使用に適したNKTR-214及びペグ化IL-2は、米国特許出願公開第US2014/0328791A1号及び国際特許出願公開第WO2012/065086A1号に記載されている。これらの開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。本発明での使用に適した別の型のコンジュゲートIL-2は、米国特許第4,766,106号、第5,206,344号、第5,089,261号及び第4,902,502号に記載されている。これら特許の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。本発明での使用に適したIL-2の製剤は、米国特許第6,706,289号に記載されている。その開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。ヒトIL2遺伝子は、NCBI遺伝子ID3558によって識別される。ヒトIL2遺伝子に関する例示的なヌクレオチド配列は、NCBI参照配列NG_016779.1である。ヒトIL-2ポリペプチドの例示的なアミノ酸配列は、配列番号879として提供される。
【0699】
インターロイキン-2(IL-2)は、免疫系におけるサイトカインシグナル伝達分子の一種であるインターロイキンである。それは、15.5~16kDaのタンパク質であり、免疫に関与する白血球(白血球、多くの場合リンパ球)の活性を調節する。IL-2は、微生物感染に対する体の自然な反応の一部である。IL-2は、リンパ球で発現されるIL-2受容体に結合することにより、その作用を媒介する。IL-2の主な供給源は、活性化CD4+T細胞及び活性化CD8+T細胞である。
【0700】
IL-2は、免疫系の重要な機能、すなわち、寛容及び免疫において、主にそれが直接T細胞に与える影響を介して不可欠の役割を果たす。T細胞が成熟する胸腺では、IL-2がある特定の未熟T細胞の制御性T細胞への分化を促進し、これが体内の正常な健康細胞を攻撃する状態になっている他のT細胞を抑制することにより、自己免疫疾患を防ぐ。IL-2は、活性化誘発性細胞死(AICD)を増進する。IL-2はまた、初期T細胞が同様に抗原によって刺激された場合に、T細胞のエフェクターT細胞への分化及びメモリーT細胞への分化を促進し、ひいては体の感染との闘いを促進する。他の極性化サイトカインとともに、IL-2は、天然のCD4+T細胞のTh1及びTh2リンパ球への分化を刺激する一方、Th17及び濾胞性Thリンパ球への分化を妨げる。その発現及び分泌は、厳重に制御され、免疫反応の組み込み及び減弱における正及び負の両方の一時的なフィードバックループの一部として機能する。抗原選択T細胞クローンの数の増殖及びその機能に依存するT細胞の免疫記憶の発達におけるその役割を通じて、IL-2は、細胞性免疫の持続に関与する。
【0701】
VII.医薬組成物、用量、及び投与計画
実施形態では、本開示の方法を使用して増殖させたTILは、医薬組成物として患者に投与される。実施形態では、該医薬組成物は、滅菌緩衝液中でのTILの懸濁液である。本開示のPBMCを使用して増殖させたTILは、当技術分野で既知の任意の適切な経路で投与され得る。いくつかの実施形態では、該T細胞は、好ましくは約30~60分間持続する単回の動脈内注入または静脈内注入として投与される。他の適切な投与経路としては、腹腔内、髄腔内、及びリンパ管内投与が挙げられる。
【0702】
任意の適切な用量のTILが投与され得る。いくつかの実施形態では、約1×10~約2×1011のTILが投与される。いくつかの実施形態では、特に、該がんが黒色腫の場合には、約2.3×1010~約13.7×1010のTIL、平均約7.8×1010のTILが投与される。実施形態では、約1.2×1010~約4.3×1010のTILが投与される。いくつかの実施形態では、約3×1010~約12×1010のTILが投与される。いくつかの実施形態では、約4×1010~約10×1010のTILが投与される。いくつかの実施形態では、約5×1010~約8×1010のTILが投与される。いくつかの実施形態では、約6×1010~約8×1010のTILが投与される。いくつかの実施形態では、約7×1010~約8×1010のTILが投与される。いくつかの実施形態では、該治療有効用量は、約2.3×1010~約13.7×1010である。いくつかの実施形態では、該治療有効用量は、特に、該がんが黒色腫の場合には、約7.8×1010のTILである。いくつかの実施形態では、該治療有効用量は、約1.2×1010~約4.3×1010のTILである。いくつかの実施形態では、該治療有効用量は、約3×1010~約12×1010のTILである。いくつかの実施形態では、該治療有効用量は、約4×1010~約10×1010のTILである。いくつかの実施形態では、該治療有効用量は、約5×1010~約8×1010のTILである。いくつかの実施形態では、該治療有効用量は、約6×1010~約8×1010のTILである。いくつかの実施形態では、該治療有効用量は、約7×1010~約8×1010のTILである。
【0703】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物に提供されるTILの数は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013、及び9×1013である。実施形態では、本発明の医薬組成物に提供されるTILの数は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×1011~1×1012、1×1012~5×1012、及び5×1012~1×1013の範囲である。
【0704】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物に提供されるTILの濃度は、該医薬組成物の例えば、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%または0.0001%w/w、w/vまたはv/v未満である。
【0705】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物に提供されるTILの濃度は、該医薬組成物の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25%、9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%または0.0001%w/w、w/v、またはv/vを超える。
【0706】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物に提供されるTILの濃度は、該医薬組成物の約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%または約1%~約10%w/w、w/vまたはv/vの範囲である。
【0707】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物に提供されるTILの濃度は、該医薬組成物の約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/vまたはv/vの範囲である。
【0708】
本発明の医薬組成物に提供されるTILは、広い用量範囲にわたって有効である。厳密な用量は、投与経路、該化合物が投与される形態、治療を受ける対象の性別及び年齢、治療を受ける対象の体重、ならびに担当医の好み及び経験に依存する。適切な場合は、臨床的に実証された該TILの用量が使用され得る。本明細書の方法を使用して投与される医薬組成物の量、例えば、TILの用量は、治療されるヒトまたは哺乳類、当該障害または状態の重症度、投与速度、当該活性医薬品成分の体内動態及び処方医師の裁量に依存する。
【0709】
いくつかの実施形態では、TILは、単回投与で施され得る。かかる投与は、注射、例えば、静脈注射によって行われ得る。いくつかの実施形態では、TILは、複数回投与で施され得る。投与は、1年に1回、2回、3回、4回、5回、6回、または6回より多く行われ得る。投与は、1か月に1回、2週間に1回、週1回、または1日おきに行われ得る。TILの投与は、必要な限り継続され得る。
【0710】
いくつかの実施形態では、TILの有効用量は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1011、4×1012、5×1012、6×1012、7×1011、8×1012、9×1011、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013、及び9×1013細胞である。いくつかの実施形態では、TILの有効用量は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×10″~1×1012、1×1012~5×1012、及び5×10″~1×1013細胞の範囲である。
【0711】
該TILの有効量は、同様の有用性を有する薬剤の認められた投与方法のいずれか、すなわち、鼻腔内及び経皮経路、動脈内注射により、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、局所、移植、または吸入等により、単回投与で施される場合も複数回投与で施される場合もある。ある特定の実施形態では、TILは、静脈内投与される。
【0712】
VIII.細胞数、細胞の生存、フローサイトメトリー
いくつかの実施形態では、細胞数及び/または生存が測定される。CD3、CD4、CD8、及びCD56、ならびに本明細書に開示または記載の任意の他のマーカー等であるがこれらに限定されないマーカーの発現は、例えば、これらに限定されないが、BD Bio-sciences(BD Biosciences,San Jose,Calif.)から市販されている抗体で、FACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)を使用したフローサイトメトリーによって測定され得る。細胞は、ディスポーザブルc-chip血球計算盤(VWR,Batavia,Ill.)を使用して手動で計数することができ、生存は、トリパンブルー染色が挙げられるがこれに限定されない当技術分野で既知の任意の方法を使用して評価され得る。
【0713】
実施形態では、TILの増殖方法は、約5,000mL~約25,000mLの細胞培地、約5,000mL~約10,000mLの細胞培地、または約5,800mL~約8,700mLの細胞培地の使用を含み得る。実施形態では、TIL数の増殖は、1種類のみの細胞培地を使用する。任意の適切な細胞培地、例えば、AIM-V細胞培地(L-グルタミン、50μMの硫酸ストレプトマイシン、及び10μMの硫酸ゲンタマイシン)の細胞培地(Invitrogen,Carlsbad Calif.)が使用され得る。
【0714】
実施形態では、TILを、気体透過性容器内で増殖させる。気体透過性容器は、その開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0106717A1号に記載のものを含めた当技術分野で既知の方法、組成物、及び装置を用いて、PBMCを使用したTILの増殖に使用されている。実施形態では、TILを、気体透過性バッグ内で増殖させる。実施形態では、TILをXuri細胞増殖システムW25(GE Healthcare)等の気体透過性バッグ内で増殖させる細胞増殖システムを使用してTILを増殖させる。実施形態では、TILをXuri細胞増殖システムW5としても知られるWAVEバイオリアクターシステム(GE Healthcare)等の気体透過性バッグ内で増殖させる細胞増殖システムを使用してTILを増殖させる。実施形態では、該細胞増殖システムは、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、及び約10Lからなる群から選択される容積の気体透過性細胞バッグを含む。実施形態では、TILを、G-Rexフラスコ(Wilson Wolf Manufacturingから市販されている)内で増殖させることができる。かかる実施形態により、細胞集団を約5×10細胞/cmから10×10~30×10細胞/cmまで増殖させることが可能になる。実施形態では、この増殖は、新鮮な細胞培地を当該細胞に加えること(該細胞に供給することとも呼ばれる)なく行われる。実施形態では、これは、培地がG-Rexフラスコ内で約10cmの高さにある限り、供給することを伴わない。実施形態では、これは、供給することを伴わないが、1つ以上のサイトカインの添加を伴う。実施形態では、該サイトカインと該培地を混合する必要もなくボーラスとして該サイトカインを添加することができる。かかる容器、装置、及び方法は、当技術分野で既知であり、TILを増殖させるために使用されており、米国特許出願公開第US2014/0377739A1号、国際公開第WO2014/210036A1号、米国特許出願公開第US2013/0115617A1号、国際公開第WO2013/188427A1号、米国特許出願公開第US2011/0136228A1号、米国特許第8,809,050B2号、国際公開第WO2011/072088A2号、米国特許出願公開第US2016/0208216A1号、米国特許出願公開第US2012/0244133A1号、国際公開第WO2012/129201A1号、米国特許出願公開第US2013/0102075A1号、米国特許第8,956,860B2号、国際公開第WO2013/173835A1号、米国特許出願公開第US2015/0175966A1号に記載されているものを含む。かかるプロセスはまた、Jin et al.,J.Immunotherapy,2012,35:283-292にも記載されている。これら刊行物のすべては、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0715】
実施例1:腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の増殖方法
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、原発ヒト黒色腫転移の単細胞懸濁液から直接増殖させた。TILは、異なる3ドナー、すなわち、ドナー1(D3239)、ドナー2(D3399)、及びドナー3(D6755)から得た。培養の0日目に、単細胞懸濁液から200,000~800,000生細胞を採取し、24ウェルのGrexプレート(Wilson Wolf、カタログ番号80192M)のウェルにて、体積6mLのTIL培地(RPMI1640とAIM Vの1:1混合物、5%ヒトAB血清添加)に播種し、これに6,000U/mLの組み換えヒトIL-2(CellGenix、カタログ番号1020-1000)を添加した。条件ごとに播種した生存細胞は、フローサイトメトリーで測定して3.4K~52KのCD3+T細胞を含んでいた。以下に記載の通りに、4つの異なる方法を使用して細胞を活性化及び増殖させた(図2):
・TILの増殖方法1(「REP様」)-pre-REPなしの一段階急速増殖プロトコル。健康な5ドナー由来のフィーダー細胞(PBMC)を照射し(6,000rad)、1:1:1:1:1比でプールした。10Mの照射されたPBMCを各ウェルに加え、同様に360ngのOKT3(Biolegend、カタログ番号317326)を加えて最終濃度60ng/mlにした。
・TILの増殖方法2(「Dynabeads」)-Dynabeadsを1.5または0.5×10ビーズ/ウェルで添加した。表面に抗CD3及び抗CD28抗体がコンジュゲートされたDynabeadsをTILに添加した。
・TILの増殖方法3(「Stemcell」)-Stemcellからの四量体抗体複合体(TAC)。Stemcell Technologiesからの抗CD3/抗CD2/抗CD28四量体抗体複合体(TAC)(カタログ番号10970)37.5μlをTILに添加し、最終濃度6.25μl/mlにした。
・TILの増殖方法4(「Transact」)-Miltenyi Biotecからのナノマトリックス。Miltenyi BiotecからのヒトCD3及びCD28に対するヒト化組み換えアゴニストに共有結合したコロイドポリマーナノマトリックス(MACS GMP T Cell Transact、カタログ番号130-019-011)324μlをTILに添加し、最終濃度54μl/mlにした。
【0716】
上記の4つのすべてのTILの増殖方法では、通常のプロトコルに続いて、以下に示す各方法について離散間隔で変化させた(図2):
・2日目:消費を仮定して、36,000Uの組み換えヒトIL-2を各ウェルに加え、最終濃度6,000U/mlにした。
・4日目:培地の50%を置換/交換した。方法1では、各ウェルから、ウェルの底の細胞を乱さないように注意して4mLの細胞上清を除去及び廃棄した。その後、4mLの新鮮TIL培地及び消費を仮定して、35,000UのIL-2を次いで添加し、最終濃度6,000U/mlにした。方法2では、細胞を採取し、Dynabeadsを除去するために磁石に入れ、その後300×gで5分間遠心分離した。方法3及び4では、培養物を採取し、TILを300×gで5分間遠心分離した。細胞上清を吸引し、細胞培養物の各々を6mLのTIL培地+6,000U/mlのIL-2に再懸濁し、その後24ウェルのG-rexプレートのウェルに播種した。
・7日目:消費を仮定して、IL-2を培地に加え、最終濃度6,000U/mlにした。培養物が5Mの細胞を超えた(Grex膜1cmあたり2.5M細胞超を反映する)時点で、それらを6ウェルのGrexプレート(Wilson wolf)のウェルに移し、6,000U/mlのIL-2を添加したTIL培地で100mLにした。
・9日目:4日目と同様に培地の50%を置換/交換した。
・12日目:消費を仮定して、IL-2を培地に加え、最終濃度6,000U/mlにした。培養物が5Mの細胞を超えた(Grex膜1cmあたり2.5M細胞超を反映する)時点で、それらを6ウェルのGrexプレート(Wilson wolf)のウェルに移し、6,000U/mlのIL-2を添加したTIL培地で100mLにした。
・14日目:10Mの細胞を培養物から取り出し、Grex-10容器に40mlのTIL培地+6,000U/mlのIL-2とともに再播種した。図3Aに示す通り、14日目では、平均で、IL-2単独で成長させた細胞培養物(「対照」と標識)は、約27倍増殖し、方法1(REP様)によって成長させた細胞は、5063倍増殖し、方法3(「Stemcell」)によって増殖させた細胞は、3755倍増殖し、方法4(「Transact」)によって成長させた細胞は、7942倍増殖した。
・16日目:4日目と同様に培地の50%を置換/交換した。
・17日目:消費を仮定して、IL-2を培地に加え、最終濃度6,000U/mlにした。
・21日目:細胞培養物を採取した。図3Bに示す通り、21日目までに、平均で、方法1(REP様)によって成長させた細胞は、60166倍増殖し、方法3(「Stemcell」)によって増殖させた細胞は、37596倍増殖し、方法4(「Transact」)によって成長させた細胞は、80373倍増殖した。
【0717】
実施例2:TILの表現型の特徴
TILの増殖プロセスでの時間の関数としてのTILの細胞組成をフローサイトメトリーによって評価した(図4)。細胞を実施例1の通りに培養し、細胞のアリコートをCD45及びCD3eを発現する細胞を検出する抗体で0、9及び14日目に染色した。時間とともに進行するCD45+CD3+T細胞の濃縮がすべてのドナーに関して認められ(図5A)、実施例1に記載の方法1、3及び4を使用した場合の特異的なT細胞の増殖が実証された。
【0718】
さらに、産生されたT細胞の表現型を評価した。特に、セントラルメモリーT細胞表現型(Tcm、マーカー表現型CD45RO+CCR7+CD45RA-)として定義される細胞の割合をフローサイトメトリーで特定した。実施例1の通りに培養した細胞を取り出し、14日目に、CD45RO、CCR7、及びCD45RAを検出する蛍光標識抗体で細胞のアリコートを染色した。フィーダー細胞を使用した方法1(REP様)と比較して、方法3(Stemcell)及び方法4(Transact)は、Tcmの割合が高かった(図5B)。
【0719】
TILをFACSにより、CD45RO及びCCR7の共発現、すなわち、セントラルメモリーT細胞表現型のマーカーについて分析した(図6)。ドナー3の場合、実施例1に記載の3つのフィーダー細胞を含まないTIL増殖方法(方法2(「Dynabeads」、1.5または0.5×10ビーズ/ウェル使用)、方法3(「Stemcell」)、及び方法4(「Transact」))のいずれかを使用して増殖させたTILは、セントラルメモリーT細胞表現型を有する細胞の濃縮が大きく、約6%~14%であったのと比較して、方法1(「REP」)を使用して増殖させたTILでは、セントラルメモリーT細胞表現型は、約1%を構成したのみであった。ドナー2の場合、実施例1に記載の3つのフィーダー細胞を含まないTIL増殖方法(方法2(「Dynabeads」、1.5または0.5×10ビーズ/ウェル使用)、方法3(「Stemcell」)、及び方法4(「Transact」))のいずれかを使用して増殖させたTILは、セントラルメモリーT細胞表現型を有する細胞の濃縮が大きく、約5%~29%であったのと比較して、方法1(「REP様」)を使用して増殖させたTILでは、セントラルメモリーT細胞表現型は、約3%を構成したのみであった。ドナー1の場合、実施例1に記載の3つのフィーダー細胞を含まないTIL増殖方法(方法2(「Dynabeads」、1.5または0.5×10ビーズ/ウェル使用)、方法3(「Stemcell」)、及び方法4(「Transact」))のいずれかを使用して増殖させたTILは、セントラルメモリーT細胞表現型を有する細胞の濃縮が大きく、約7%~19%であったのと比較して、方法1(「REP様」、フィーダー細胞ベース)を使用して増殖させたTILでは、セントラルメモリーT細胞表現型は、約4%を構成したのみであった。3ドナーすべてに由来するTILを使用した4つの方法すべてによって増殖させたTILに関するセントラルメモリーT細胞表現型%のデータをまとめたところ、方法4(「Transact」)は、3ドナーのうちの2ドナーに関してセントラルメモリーT細胞表現型が有意に濃縮されたTILを産生したことが分かった(図6)。
【0720】
TILの14日目の増殖倍率(図7)(0日目での細胞数に対して)を、IL-2単独の添加(「対照」)ならびに実施例1に記載の4つの方法すべて(方法1(「REP様」)、方法2(「Dynabeads」、1.5または0.5×10ビーズ/ウェル使用)、方法3(「Stemcell」)、及び方法4(「Transact」))によって増殖させたTILに関して評価した。ドナー3及び1の場合、方法4により、方法1(フィーダー細胞ベース)と比較して、約4~5倍の発現がもたらされたが、ドナー2の場合、方法1により、方法4と比較して、約20倍の増殖がもたらされた。ドナー1の場合は、方法3により、方法1(フィーダー細胞ベース)と比較して、約4.5倍の増殖がもたらされた(図7)。3ドナーすべてのデータを合わせたところ、平均で、方法3及び方法4によって増殖させたTILは、方法1(REP様)によって増殖させたTILと少なくとも同じ程度かそれ以上の増殖倍率を示した(図8)。一部の細胞を14日目を過ぎても培養し、さらなる増殖が可能かどうか評価した。細胞は14日目~21日目に増殖し続け、場合によっては、150,000を超える全増殖倍率を示した(図9)。
【0721】
腫瘍は、不均一であり、様々なパーセンテージのT細胞を含み、強力なT細胞の増殖方法により、高密度及び低密度のT細胞で細胞を増殖させることができるはずである。フィーダー細胞を含まずに低播種密度のT細胞が増殖できるかどうかは不明であった。従って、0日目でのT細胞の播種密度が14日目までのTILの増殖倍率に与える影響を評価した。方法1(「REP様」)及び方法3(「Stemcell」)により増殖させたTILに関しては、増殖倍率は比較的直線的に増加したが、方法4(「Transact」)によって増殖させたTILでは、播種密度が約2,000T細胞/cm~約9,000T細胞/cmでピークとなった(図10)。従って、方法4は、低密度でT細胞を増殖させる際には方法1とほぼ同等であり、方法3は、低密度では方法1より良好であった。これにより、培地1mLあたり85T細胞(体積6mL中)ほどの低密度でT細胞を増殖させるためには、本質的にフィーダー細胞は必要ではないことが実証される。
【0722】
ドナー3は、以前にpre-REP/REP法を使用したTILの増殖用にサンプルを提供したことがあった。そのドナー3のサンプルは、pre-REP段階からREP段階に進めるのに適切なTIL数を提供するのに失敗した。ドナー3からのサンプルは、pre-REPを使用して達成されたものよりはるかに高い増殖倍率のTILを提供した。これにより、本明細書に記載の方法は、pre-REP中に適切な増殖が生じる状況を取り返すことができることが示される。
【0723】
実施例3:フィーダーを含まないプロセスの細胞の機能(TILによるサイトカイン産生)
フィーダー細胞を含まない方法(TILの増殖方法3及び4)を使用して生成したTILによるサイトカインIL-2、IFNγ、及びTNFαの産生を評価した。TILを、実施例1に記載の通りに解離組織細胞から増殖させた。このプロセスの14日目に、200,000の増殖したTIL(独立した3ドナー由来)を採取し、6.6μlの四量体抗CD3試薬(Stemcell Technologies、カスタム試薬)をさらに添加した体積200μlのTIL培地にて18時間刺激した。その後、細胞上清を採取し、2連のサンプルを使用して、その上清中のサイトカイン濃度をQuickplex S120(Mesoscale Discovery)で測定した。図11に示す通り、これらの異なる3ドナーの場合、解離した腫瘍細胞から直接生成したTILは、再刺激後にIFNγ、IL-2、TNFα、及びIL-6を産生することが可能であった。さらに、フィーダー細胞を含まない方法(方法3:「Stemcell」及び方法4:「Transact」)を使用して生成したTILは、方法1(「REP様」、フィーダー細胞使用)を使用して生成したTILより、最大約6倍多くのIFNγ、約4倍多くのIL-2、約10倍多くのTNFα、及び約25倍多くのIL-6を生成することが可能であった(図11)。
【0724】
実施例4:CRISPR-Cas9を使用したTILの遺伝子操作方法
実施例1に記載のプロトコルを使用して増殖させたTILを、CRISPR-Cas9を使用して遺伝子操作し、標的遺伝子の機能的遺伝子ノックアウトを創出した。この遺伝子操作は、実施例1に記載の各方法の13日目に行い、0~21日目にわたって他の日にも行った。簡潔には、13日目に、1.2×10の増殖させたTILを、300×gで5分間遠心分離し、40μlのMaxCyte電気穿孔緩衝液(HyCloneカタログ番号EPB1)で再懸濁した。リボ核タンパク質(RNP)のマスターミックスを、Cas9タンパク質(Aldevron、カタログ番号9212)52pmol及びCD45抗原をコードするPTPRC遺伝子(IDT、GAGTTTAAGCCACAAATACA 配列番号909)を標的とするsgRNA240pmolを含めて作製した。100μMのPTPRCのsgRNA溶液を、10nmolの凍結乾燥されたsgRNAを100μlのNuclease Free Duplex Buffer(IDTカタログ番号1072570)で再懸濁することによって作製した。試薬は、以下の通りに添加した:
【表38】
【0725】
RNPマスターミックスの全10μlを40μlの細胞懸濁液に添加した。細胞懸濁液50μlを次にOC100X2プロセッシングアセンブリ(MaxCyte、カタログ番号SOC-1X2)に移した。細胞を、MaxCyte ExPERTエレクトロポレーターにて、「Optimization #9」プログラムを使用して電気穿孔した。その後、TIL培地50μlをウェルに加え、細胞を、TIL培地100μlを含む96ウェルのプレートに移し、これを次いで37℃で20分間インキュベートした。その後、細胞を計数し、500Kの生細胞を次いで、6,000U/mlのIL-2を添加した6mLのTIL培地を含む24ウェルのGrexプレートに播種した。
【0726】
1日後(培養から14日目)、IL-2を、消費を仮定して6,000U/mlまで添加した。培養から17日目、各ウェルから3mLの細胞上清を除去し、廃棄した(ウェルの底の細胞を乱さないように注意した)。これを新鮮TIL培地3mLで置換し、IL-2を、消費を仮定して最終濃度6,000U/mlまで添加した。18日目に、IL-2を、消費を仮定して6,000U/mlまで添加した。21日目に細胞を採取し、計数した。細胞のペレットを凍結し、アンプリコンの配列決定によって編集を特定した。
【0727】
細胞の生存及びCD45の編集パーセントを、編集されたTIL対遺伝子改変されなかったTILに関して評価した(図12)。アッセイは、電気穿孔から8日後に、方法1(「REP様」、フィーダー細胞使用)、方法3(「Stemcell」)、及び方法4(「Transact」)を使用して増殖させたTILについて行った。
【0728】
実施例5:pre-REPで失敗したTILを可溶性活性化因子または人工抗原提示細胞(aAPC)で増殖させる方法
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を原発ヒト黒色腫転移の単細胞懸濁液から直接増殖させた。TILを、異なる3ドナー、すなわち、ドナー3239、ドナー6752、及びドナー6755から得た。ドナー6752及びドナー6755は、以前にpre-REPの失敗として同定され、pre-REPの23日目に4×10細胞まで増殖することができなかった。培養の0日目に、単細胞懸濁液から400,000~800,000の生細胞を採取し、24ウェルのGrexプレート(Wilson Wolf、カタログ番号80192M)のウェルにて、体積6mlのTIL培地(RPMI1640とAIM Vの1:1混合物、5%ヒトAB血清添加)に播種し、これに6,000U/mLの組み換えヒトIL-2(Peprotech、カタログ番号200-02)を添加した。条件ごとに播種した生存細胞は、フローサイトメトリーで測定して22K~52KのCD3+T細胞を含んでいた。以下に記載の通りに、5つの異なる方法を使用して細胞を活性化及び増殖させた:
・TILの増殖方法1(「REP様」)-pre-REPなしの一段階急速増殖プロトコル。健康な5ドナー由来のフィーダー細胞(PBMC)を照射し(6,000rad)、1:1:1:1:1比でプールした。1×10の照射されたPBMCを各ウェルに加え、同様に360ngのOKT3(Biolegend、カタログ番号317326)を加えて最終濃度60ng/mlにした。
・TILの増殖方法3(「Stemcell」)-Stemcellからの四量体抗体複合体(TAC)。Stemcell Technologiesからの抗CD3/抗CD2/抗CD28四量体抗体複合体(TAC)(カタログ番号10970)37.5μlをTILに添加し、最終濃度6.25μl/mlにした。
・TILの増殖方法4(「Transact」)-Miltenyi Biotecからのナノマトリックス。Miltenyi BiotecからのヒトCD3及びCD28に対するヒト化組み換えアゴニストに共有結合したコロイドポリマーナノマトリックス(MACS GMP T Cell Transact、カタログ番号170-076-156)85μlをTILに添加し、最終希釈を70:1にした。
・TILの増殖方法5(「aAPC-OKT3])-OKT3を発現するように操作されたK562細胞を照射した(15,000rad)。1×10の照射されたaAPC-OKT3細胞を各ウェルに加え、最終的な細胞対面積比を5×10細胞/cmにした。
・TILの増殖方法6(「aAPC-OKT3-CD86」)-OKT3及びCD86を発現するように操作されたK562細胞を照射した(15,000rad)。1×10の照射されたaAPC-OKT3細胞を各ウェルに加え、最終的な細胞対面積比を5×10細胞/cmにした。
【0729】
上記の5つのすべてのTILの増殖方法では、通常のプロトコルに続いて、以下に示す各方法について、離散間隔で変化させた:
・2日目:対応するウェルに対して消費を仮定して、36,000Uの組み換えヒトIL-2を各ウェルに加え、最終濃度6,000U/mlにした。
・4日目及び6日目:培地の50%を置換/交換した。各ウェルから、ウェルの底の細胞を乱さないように注意して3mlの細胞上清を除去及び廃棄した。その後、3mLの新鮮TIL培地及び消費を仮定して、36,000UのIL-2を次いで添加し、最終濃度6,000U/mlにした。
7日目:すべての条件に関して、細胞を計数した。全体積(6ml)を、100mlのTIL培地と6000U/mlのIL-2を含む6ウェルのGrex(Wilson Wolf)に移した。
・10日目及び11日目:10日目及び11日目に、実施例4に記載の通り、CRISPR-Cas9を使用して、それぞれ、全aAPCサンプル及び可溶性活性化因子サンプルを操作した。電気穿孔後、2×10の細胞を、6000U/mlのIL-2を含む6mlのTIL培地中、24ウェルのGrex(Wilson Wolf)に移した。
・13日目:対応するウェルに対して消費を仮定して、36,000Uの組み換えヒトIL-2を各ウェルに加え、最終濃度6,000U/mlにした。
・15日目:培地の50%を置換/交換した。各ウェルから、ウェルの底の細胞を乱さないように注意して50mlの細胞上清を除去及び廃棄した。その後、50mlの新鮮TIL培地及び消費を仮定して、36,000UのIL-2を次いで添加し、最終濃度6,000U/mlにした。
・18日目:ドナー3339のサンプルを採取した。ドナー6755のサンプルを採取し、IL-2中でaAPC-OKT3またはaAPC-OKT3-CD86で活性化した嗅細胞(O)、SOCS1(S)、及びSOCS1+PTPN2(S+P2)サンプルに、15日目で記載した通りに50%培地交換を行った。ドナー6752のサンプルに、15日目で記載した通りに50%培地交換を行った。
・21日目:残余のドナー6755のサンプル及びドナー6752のサンプルに、15日目で記載した通りに50%培地交換を行った。
・23日目:残余のドナー6755のサンプル及びドナー6752のサンプルを採取した。
【0730】
実施例6:pre-REPで失敗したTILを可溶性活性化因子またはaAPCでCRISPR-Cas9を使用して遺伝子操作する方法
実施例5に記載のプロトコルを使用して増殖させたTILを、CRISPR-Cas9を使用して遺伝子操作し、標的遺伝子の機能的遺伝子ノックアウトを創出した。この遺伝子操作は、実施例5に記載の各方法の10日目に行い、0~21日目にわたって他の日にも行った。簡潔には、10日目に、1.2×10の増殖させたTILを、300×gで5分間遠心分離し、20μlのMaxCyte電気穿孔緩衝液(HyCloneカタログ番号EPB1)で再懸濁した。いくつかのリボ核タンパク質(RNP)のマスターミックスを、Cas9タンパク質(Aldevron、カタログ番号9212)52pmol及び各sgRNA120pmolを含めて作製した。マスターミックス1は、OR1A2遺伝子(O)(IDT、AGATGATGTCAACCAAGGAG 配列番号910)に対するsgRNAを含んでいた。マスターミックス2は、SOCS1遺伝子(S)(IDT、GACGCCTGCGGATTCTACTG 配列番号61)に対するsgRNAを含んでいた。マスターミックス3は、SOCS1遺伝子及びPTPN2遺伝子(S+P2)(IDT、GGAAACTTGGCCACTCTATG 配列番号206)に対するsgRNAを含んでいた。100μMのOR1A2のsgRNA溶液を、10nmolの凍結乾燥されたsgRNAを100μlのNuclease Free Duplex Buffer(IDTカタログ番号1072570)で再懸濁することによって作製した。試薬は、以下の通りに添加した:
【表39】
【0731】
RNPマスターミックスの全5μlを20μlの細胞懸濁液に添加した。細胞懸濁液25μlを次にOC25X3プロセッシングアセンブリ(MaxCyte、カタログ番号OC-25x3)に移した。細胞を、MaxCyte ExPERTエレクトロポレーターにて、「Optimization #9」プログラムを使用して電気穿孔した。その後、TIL25μlを96ウェルのプレートに移し、各チャンバーを、25μlのTIL培地で2回洗浄し、96ウェルのリカバリープレートに移し、これをその後37℃で20分間インキュベートした。その後、細胞を計数し、2×10の生細胞を次いで、6,000U/mlのIL-2を添加した6mLのTIL培地を含む24ウェルのGrexプレートに播種した。13日目から始まるさらなる細胞操作を、実施例5に記載の通りに行った。18日目及び23日目に、細胞を採取し、計数した。細胞のペレットを凍結し、アンプリコンの配列決定によって編集を特定した(図16)。
【0732】
実施例7:可溶性活性化因子またはaAPCでのpre-REPで失敗したTILの表現型の特徴
18日目及び23日目で産生されたT細胞の表現型を評価した。特に、セントラルメモリーT細胞表現型(Tcm、マーカー表現型CD45RO+CCR7+CD45RA-)として定義される細胞の割合をフローサイトメトリーで特定した。実施例5の通りに培養した細胞を取り出し、18日目及び23日目に、CD45RO、CCR7、及びCD45RAを検出する蛍光標識抗体で細胞のアリコートを染色した。pre-RNP(電気穿孔前の細胞)と比較して、方法3(Stemcell)及び方法4(Transact)は、18日目または23日目で同様のパーセンテージのTcm細胞を生成した(図15)。CD8+T細胞のパーセンテージは、すべての方法に関して18日目及び23日目で、pre-RNP細胞と比較して全体的な濃縮を示した(データは示さず)。
【0733】
電気穿孔の前の10日目及び11日目のTILの増殖倍率(図13)(0日目での細胞数に対して)を、実施例5に記載の5つの方法に関して、IL-2の添加によって増殖させたTILを評価した。2つのpre-REPで失敗したものを含めたすべてのドナーが、方法1、3、4、5、及び6で2600倍を超える増殖を示した。SOCS1編集TILは、嗅細胞及びSOCS1+PTPN2編集TILより、18日目または23日目ですべての方法にわたって大きな平均増殖倍率を示した(図14)。方法6では、方法5と比較して、18日目または23日目でのSOCS1編集TILの平均増殖倍率が大きかった。
【0734】
実施例8:可溶性活性化因子を用いた腫瘍断片からのTILの増殖方法
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、原発患者由来の凍結黒色腫腫瘍断片から直接増殖させた。腫瘍断片は、2ドナー、すなわち、ドナーD4462及びドナーD7283から得た。0日目に、腫瘍断片を解凍し、TIL培地(RPMI1640とAIM Vの1:1混合物、5%ヒトAB血清添加)を含む10cmの皿に入れた。断片を計量し、次いで2つのアリコートに均等に分割し(断片の数で)、各アリコートを24ウェルのGrexプレート(Wilson wolf、カタログ番号80192M)のウェルに入れた。TIL培地6mLを、1:70希釈のGMP Transact試薬(MACS GMP T Cell Transact、カタログ番号170-076-156)を6000U/mLのIL-2(Peprotech、カタログ番号200-02)中に含む各ウェルに加えた。細胞を37℃で培養した。
【0735】
増殖の2日目に、消費を仮定して、36,000Uの組み換えヒトIL-2を各ウェルに加え、最終濃度6,000U/mLにした。
【0736】
増殖の6日目に、D7283に対して培地の50%を置換/交換した。各ウェルからウェルの底の細胞を乱さないように注意して3mLの細胞上清を除去及び廃棄した。その後、3mLの新鮮TIL培地及び消費を仮定して、36,000UのIL-2を次いで添加し、最終濃度6,000U/mlにした。D4462の場合は、サンプルを実施例9に記載の通りにCRISPR-Cas9を使用して操作した。電気穿孔後、4×10の細胞を、6000U/mLのIL-2を含む6mLのTIL培地中、24ウェルのGrex(Wilson Wolf)に移した。
【0737】
増殖の9日目に、培地の50%を置換/交換した。各ウェルから、ウェルの底の細胞を乱さないように注意して3mLの細胞上清を除去及び廃棄した。その後、3mLの新鮮TIL培地及び消費を仮定して、36,000UのIL-2を次いで添加し、最終濃度6,000U/mlにした。
【0738】
増殖の10日目に、D4462の場合は、3mLの培地を24ウェルのGrexの各ウェルから吸引した。残余の3mLを、6,000U/mLのIL-2を含む100mLのTIL培地を含む6ウェルのGrex(Wilson Wolf)に加えた。D7283の場合は、サンプルを実施例9に記載の通りにCRISPR-Cas9を使用して操作した。電気穿孔後、4×10の細胞を、6,000U/mLを含む6mLのTIL培地中、24ウェルのGrex(Wilson Wolf)に移した。
【0739】
増殖の14日目に、D4462のウェルを採取した。D7283の3mLの培地を24ウェルのGrexの各ウェルから吸引した。残余の3mLを、6,000U/mLのIL-2とともに100mLのTIL培地を含む6ウェルのGrex(Wilson Wolf)に加えた。
【0740】
増殖の17日目に、D7283の50mLのTIL培地を除去し、50mLの新鮮TIL培地で置換した。6,000U/mLのIL-2を消費に対して加えた。
【0741】
増殖の20日目に、D7283のウェルを採取した。
【0742】
実施例9:CRISPR-Cas9を使用して可溶性活性化因子で断片増殖させたTILを遺伝子操作する方法
実施例8に記載のプロトコルを使用して増殖させたTILを、CRISPR-Cas9を使用して遺伝子操作し、標的遺伝子の機能的遺伝子ノックアウトを創出した。この遺伝子操作は、6日目または10日目に行った。簡潔には、6日目または10日目に、1.2×10の増殖させたTILを、300×gで5分間遠心分離し、20μlのMaxCyte電気穿孔緩衝液(HyCloneカタログ番号EPB1)で再懸濁した。2つのリボ核タンパク質(RNP)のマスターミックスを、Cas9タンパク質(Aldevron、カタログ番号9212)52pmol及び各sgRNA120pmolを含めて作製した。マスターミックス1は、OR1A2遺伝子(O)(IDT、AGATGATGTCAACCAAGGAG 配列番号910)に対するsgRNAを含んでいた。マスターミックス2は、SOCS1遺伝子(S)(IDT、GACGCCTGCGGATTCTACTG 配列番号61)に対するsgRNAを含んでいた。100μMのOR1A2のsgRNA溶液を、10nmolの凍結乾燥されたsgRNAを100μLのNuclease Free Duplex Buffer(IDTカタログ番号1072570)で再懸濁することによって作製した。試薬は、以下の通りに添加した:
【表40】
【0743】
RNPマスターミックスの全5μlを20μLの細胞懸濁液に添加した。細胞懸濁液25μlを次にOC25X3プロセッシングアセンブリ(MaxCyte、カタログ番号OC-25x3)に移した。細胞を、MaxCyte ExPERTエレクトロポレーターにて、「Optimization #9」プログラムを使用して電気穿孔した。その後、TIL25μLを96ウェルのプレートに移し、各チャンバーを、25μLのTIL培地で2回洗浄し、96ウェルのリカバリープレートに移し、これをその後37℃で20分間インキュベートした。その後、細胞を計数し、4×10の生細胞を次いで、6,000U/mlのIL-2を添加した6mLのTIL培地を含む24ウェルのGrexプレートに播種した。さらなる細胞操作を、実施例8に記載の通りに行った。14日目及び20日目に、細胞を採取し、計数した。細胞のペレットを凍結し、NGSの配列決定によって編集を特定した(図19)。
【0744】
実施例10:可溶性活性化因子またはaAPCで腫瘍断片増殖させたTILの表現型の特徴
14日目及び20日目に産生されたT細胞の表現型を評価した。特に、セントラルメモリーT細胞表現型(Tcm、マーカー表現型CD45RO+CCR7+CD45RA-)またはエフェクターメモリーT細胞表現型(Teff、マーカー表現型CD45RO+CCR7-CD45RA-)として定義される細胞の割合をフローサイトメトリーで特定した。実施例8の通りに培養した細胞を取り出し、14日目または20日目に、CD45RO、CCR7、及びCD45RAを検出する蛍光標識抗体で細胞のアリコートを染色した。調べたすべての条件は、主にTeffメモリー表現型を示した。SOCS1編集は、Tcm表現型を多少増加させた(図18)。
【0745】
この可溶性活性化因子による腫瘍断片増殖法によって14日目または20日目に生成したTIL細胞の理論数を、IL-2の添加によって増殖させたTILについて評価した。理論細胞数は、1グラムの腫瘍断片サンプルを仮定して計算した。調べたすべての条件で、20日後に1×1010TILを超える平均増殖を示した(図17)。
【0746】
実施例11:凍結した腫瘍消化物のTILの増殖及び凍結した腫瘍断片のTILの増殖
凍結した腫瘍消化物のTILの増殖を、凍結した腫瘍断片のTILの増殖と、IL-2の存在下、TransACT活性化因子を使用して比較した。活性化後、嗅細胞(O)及びSOCS1(S)に対する編集を行い、電気穿孔なし(EPなし)の対照と比較した。
【0747】
この評価に使用した材料は、以下の通りである:
【表41】
【0748】
黒色腫消化物は、Conversant Bioから入手し、黒色腫腫瘍断片は、iSpecimenから入手した。ドナー情報及び参照は、以下の通りである:
【表42】
【0749】
両方のTILの増殖では、通常のプロトコルに続いて、以下に示す通りに離散間隔で行った。
【0750】
増殖の0日目に、Discovery Life Sciencesのプロトコル(Thawing Viable Cell Products-1.pdf)に従い、1ドナーあたり3個のバイアルを使用して細胞を解凍した。各TILのドナーチューブを1mLの完全培地に再懸濁し、合わせて合計3mLにした。細胞をNexelcom Cellometerを使用して、製造業者の推奨通りに計数した。FACS染色用に各ドナーから200μLを取り出した。WI-002 ACT FACS Differentiation Panel.docxの作業指示に従って染色した。最後の再懸濁段階で、100μLのAccucheckビーズ溶液を加え(原液濃度200,000ビーズ/mL)、合計20,000ビーズを得た。T細胞の総数を、獲得したビーズに基づいて計算した。その後、最終濃度1:70に、2倍の希釈標準溶液(1:35)からTransAct試薬を調製した。2×10の細胞及び3mLの2倍TransAct試薬を24ウェルのGrexのウェルに加え、残りのTIL培地を細胞に加えて合計体積を6mLにした。IL-2を最終濃度6,000U/mLで加えた。細胞を37℃でインキュベートした。
【0751】
さらに増殖の0日目に、腫瘍断片のバイアルを37℃の水浴で解凍した。それらの断片を次いで10mLのTIL培地を含む10cmの皿に入れた。その10cmの皿を、測定パッドに置き、断片を写真に撮った。これらの断片を2つの同一のアリコートに分割し、各アリコートを、1mLのTIL培地を含む1.5mLのエッペンドルフチューブに入れた。これらの断片を200gで5分間遠沈させた。その培地を吸引し、溜まった断片を計量した。3mLの2倍TransAct試薬及び3mLのTIL培地を24ウェルのGrexのウェルに加えた。断片を24ウェルのGrexのウェルに加えた。D4462では、8個の断片をIL-2と合わせた。D7283では、6個の断片をIL-2と合わせた。IL-2は6,000U/mLで加えた。細胞を37℃でインキュベートした。
【0752】
増殖の2日目に、IL-2をすべてのドナーに加えた。IL-2は、消費に対して6,000U/mLまで加えた。
【0753】
増殖の4日目に、すべてのドナーの培地を交換した。3mLの培地を各ウェルから廃棄し、3mLのTIL培地を各ウェルに加えた。その後、IL-2を最終濃度6,000U/mLまで加えた。
【0754】
増殖の6日目に、D3239、D6138、D6755、及びD4462をFACS染色し、電気穿孔した。嗅細胞sgRNAの濃度を、10nmolのバイアルを100uLのduplex緩衝液で再懸濁することによって100μMに調整した。SOCS1のガイドは、すでに必要な濃度であった。合計15試験用のRNP溶液を、以下の体積で調製した。
【表43】
【0755】
MaxCyte機器を準備し、「optimization#9」OC25X3に設定した。3mLの培地を各ウェルから吸引し、その体積を記録し、細胞を計数した。予め電気穿孔した細胞100uLを、96ウェルのv底プレートに移し、WI-002 ACT FACS Differentiation Panel.docxのプロトコルに従って染色した。1.2×10の細胞を、条件ごとに1.5mLのエッペンドルフチューブに加えた。チューブを300gで5分間遠沈させ、上清を除去した。20uLのMaxCyte電気穿孔緩衝液を1.5mLのエッペンドルフチューブに加えた。5uLの嗅細胞またはSOCS1 RNP溶液を対応するエッペンドルフチューブに加えた。最大25μLをOC25X3アセンブリに移し、細胞を電気穿孔した。25μLの細胞をOC25X3のウェルから、96ウェルのリカバリープレートに移した。このOC25X3のウェルを25μLのTIL培地で2回すすぎ、リカバリープレートのウェルで最終体積75μLにした。これらの細胞を37℃で20分間インキュベートした。細胞を以下によって計数した:リカバリープレートから5μLを、計数ウェルの45uLのTIL培地に加え(10倍希釈)、50μLのAOPIを加えて混合し、計数チャンバーに移し、細胞を計数する。4×10の細胞をその後24ウェルのGrexのウェルに移した。そのウェルを37℃でインキュベートした。
【0756】
増殖の9日目に、すべてのドナーの培地を交換した。各ウェルから3mLの培地を廃棄した。3mLのTIL培地を各ウェルに加え、IL-2を最終濃度6,000U/mLまで加えた。
【0757】
増殖の10日目に、D7283をFACS染色し、電気穿孔した。サンプルを6日目のサンプルに関して述べた通りに調製した。5サンプルに対して十分な量を調製した。
【0758】
さらに増殖の10日目に、D3239、D6138、D6755、及びD4462のサンプルを6ウェルのGrexに移した。100mLのTIL培地を、6,000U/mLのIL-2を含む6ウェルのGrexに加えた。各ドナーのウェルから3mLの培地を廃棄した。細胞を計数し、体積を記録した。3mLのドナー細胞を、サイトカインとともに100mLのTIL培地を含む6ウェルのGrexの対応するウェルに加えた。
【0759】
増殖の14日目に、テイクダウン(takedown)アッセイをD3239、D6183、D6755、及びD4462に対して行った。80mLを6ウェルのGrexの各ウェルから吸引し、混合し、それらの体積を記録した。1つのバイアルをNGSプロセッシング用に残した。すなわち、100万細胞を1.5mLのエッペンドルフチューブに移し、そのチューブを300gで5分間遠沈させた。上清を吸引し、細胞を-80℃で保存した。FACS分析を行った。すなわち、条件ごとに100万細胞を、分化及び多機能パネル用に、それぞれ、v底またはu底96ウェルのプレートに移した。作業指示に従って細胞を処理した。残余の細胞を凍結した。すなわち、5000万細胞のペレットを調製し、その細胞を300gで5分間遠沈させ、その上清を吸引し、cryostoreを加え、細胞を再懸濁して5000万細胞/mLにし、1mLをクライオバイアルに加え、LN2に移す前に-80℃でクージーに終夜入れた。
【0760】
増殖の14日目に、D7283を6ウェルのGrexに移した。100mLのTIL培地を、6,000U/mLのIL-2を含む6ウェルのGrexに加えた。各ドナーのウェルから3mLの培地を廃棄した。細胞を計数し、体積を記録した。3mLのドナー細胞を、サイトカインとともに100mLのTIL培地を含む6ウェルのGrexの対応するウェルに加えた。
【0761】
増殖の17日目に、D7283のサンプルからの細胞を計数し、培地の50%交換を行った。50mLの培地を取り出し、細胞を計数した。50mLのTIL培地を加えて合計100mLにした。消費を仮定して、6,000U/mLまでIL-2を加えた。
【0762】
増殖の20日目に、テイクダウンアッセイをD7283に関して行い、増殖を継続した。6ウェルのGrexの各ウェルから70mLを吸引し、混合して、それらの体積を記録した。500万細胞を取り出し、以下のテイクダウンアッセイを裏付けた。1つのバイアルをNGSプロセッシング用に残した。すなわち、100万細胞を1.5mLのエッペンドルフチューブに移し、300gで5分間遠沈させ、上清を吸引し、-80℃で保存した。編集効率を図20に示す。FACS分析を行った。すなわち、条件ごとに100万細胞を、分化用に、v底96ウェルのプレートに移し、作業指示に従って細胞を処理した。残余の細胞を凍結した。すなわち、5000万細胞のペレットを調製し、その細胞を300gで5分間遠沈させ、その上清を吸引し、cryostoreを加え、細胞を再懸濁して5000万細胞/mLにし、1mLをクライオバイアルに加え、LN2に移す前に-80℃でクージーに終夜入れた。70mLのTIL培地をウェルに加え、合計100mLにした。消費を仮定して、6,000U/mLまでIL-2を加えた。
【0763】
増殖の23日目に、テイクダウンアッセイをD7283に対して行い、サンプルを凍結した。6ウェルのGrexの各ウェルから70mLを吸引し、混合して、それらの体積を記録した。100万細胞を取り出し、以下のテイクダウンアッセイを裏付けた。FACS分析を行った。すなわち、条件ごとに100万細胞を、多機能パネル用に、u底96ウェルのプレートに移し、作業指示「WI-008 ACT FACS Polyfunctional Panel CD25 APC.docx」に従って細胞を処理した。残余の細胞を凍結した。すなわち、5000万細胞のペレットを調製し、その細胞を300gで5分間遠沈させ、その上清を吸引し、cryostoreを加え、細胞を再懸濁して5000万細胞/mLにした。1mLをクライオバイアルに加え、LN2に移す前に-80℃でクージーに終夜入れた。TILは、生存能力が高いと判断され(図21)、TILの外挿の収量は、このプロセスの14日目までに断片及び消化物の両サンプルで1×10細胞を上回った(図22)。
図1
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図22
【配列表】
2023502780000001.app
【国際調査報告】