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特表2023-502782星状細胞からニューロンへのNeuroD1媒介性変換を介した外傷性脳損傷後の脳の修復
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】星状細胞からニューロンへのNeuroD1媒介性変換を介した外傷性脳損傷後の脳の修復
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20230118BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230118BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230118BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 35/30 20150101ALI20230118BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
A61K38/17
A61P25/00 ZNA
A61K35/76
C12N15/12
C07K14/47
C12N15/864 100Z
C12N7/01
C12N5/10
A61K35/30
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530253
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 US2020062299
(87)【国際公開番号】W WO2021108609
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】62/939,978
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398071440
【氏名又は名称】ザ・ペン・ステイト・リサーチ・ファウンデイション
【氏名又は名称原語表記】The Penn State Research Foundation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゴン
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ジョウ-ファン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA021
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB45
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA02
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
外傷性脳損傷(TBI)を治療する方法が、本開示の態様に従って提供され、方法は、TBIを有するヒト対象の脳などの対象の脳のダメージ領域における少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性神経原性分化1(NeuroDl、本明細書ではND1とも呼ばれる)を提供することによって、反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換することを含む。態様によれば、対象の脳のダメージ領域における非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞の存在は、主に、ダメージ領域における出血および/または虚血に起因するものではない。本開示の態様によれば、外傷性脳損傷は、対象の脳のダメージ領域においてアストログリオーシスの期間を引き起こし、外因性NeuroDlは、アストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内に、対象の脳のダメージ領域における反応性星状細胞に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の脳のダメージ領域における少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性神経原性分化1(NeuroD1)を提供することによって、反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換することを含む、外傷性脳損傷(TBI)を治療する方法。
【請求項2】
前記TBIが、閉鎖性頭部損傷である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脳の前記ダメージ領域が、前記TBIに起因する非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記非機能的ニューロンが、死んだニューロンおよび瀕死のニューロンからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記非機能的ニューロンが、機能的MRI(fMRI)によって検出される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記ダメージ領域における非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞の存在が、主に前記ダメージ領域における出血に起因するものではない、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ダメージ領域における非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞の前記存在が、主に前記ダメージ領域における虚血に起因するものではない、請求項3~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記外因性NeuroD1を提供することが、前記対象に組換え発現ベクターを投与することを含み、前記組換え発現ベクターが、NeuroD1をコードする核酸配列を含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記外因性NeuroD1を提供することが、前記対象に組換え発現ベクターを投与することを含み、前記組換え発現ベクターが、NeuroD1をコードする核酸配列を含むウイルス発現ベクターである、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記外因性NeuroD1を提供することが、前記対象に組換え発現ベクターを投与することを含み、前記組換え発現ベクターが、組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターであり、前記組換えアデノ随伴ウイルスベクターが、NeuroD1をコードする核酸配列を含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
NeuroD1をコードする前記核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結する、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記プロモーターが、グリア細胞特異的プロモーターである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記グリア細胞特異的プロモーターが、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーターである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記GFAPプロモーターが、ヒトGFAP(hGFP)プロモーターである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
NeuroD1以外の外因性転写因子が、前記少なくとも1つの反応性星状細胞に提供されない、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、ヒトである、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記外因性NeuroD1を提供することが、前記外傷性脳損傷後、約2日~約10日の範囲の第1の治療時間において、前記少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記外傷性脳損傷が、前記ダメージ領域においてアストログリオーシスの期間を引き起こし、前記外因性NeuroD1を提供することが、前記アストログリオーシスの期間中または前記アストログリオーシスの期間後4週間以内の第1の治療時間において、前記少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記外因性NeuroD1を提供することが、前記第1の治療時間後で、かつ前記アストログリオーシスの期間中または前記アストログリオーシスの期間後4週間以内の第2の治療時間において、前記少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記外因性NeuroD1を提供することが、前記第2の治療時間後で、かつ前記アストログリオーシスの期間中または前記アストログリオーシスの期間後4週間以内の第3の治療時間において、前記少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記NeuroD1が、配列番号2、配列番号4、配列番号2の機能的断片、配列番号4の機能的断片、配列番号2と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号4と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記NeuroD1が、配列番号1を含む核酸配列、配列番号1と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列、配列番号3を含む核酸配列、または配列番号3と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列によってコードされる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記外因性NeuroD1を提供することが、前記脳の前記ダメージ領域内への注射を含む、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記NeuroD1をコードする核酸配列が、ウイルス粒子内に存在する、請求項8~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記外因性NeuroD1を提供することが、約10~約1014個のウイルス粒子を前記対象の前記ダメージ脳領域に投与することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
対象の脳のダメージ領域において反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換するための医薬品の製造における神経原性分化1(NeuroD1)を含む組成物の使用であって、前記脳の前記ダメージ領域が、外傷性脳損傷(TBI)に起因する非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞を含む、使用。
【請求項27】
前記非機能的ニューロンが、死んだニューロンおよび瀕死のニューロンからなる群から選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記外傷性脳損傷が、閉鎖性頭部損傷である、請求項26または27に記載の使用。
【請求項29】
前記NeuroD1が、核酸配列によってコードされ、配列番号1と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項26~28のいずれかに記載の使用。
【請求項30】
NeuroD1をコードする前記核酸が、配列番号3と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項26~29のいずれかに記載の使用。
【請求項31】
前記NeuroD1が、配列番号2、配列番号4、配列番号2の機能的断片、配列番号4の機能的断片、配列番号2と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号4と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項26~30のいずれかに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月25日に出願された米国仮出願第62/939,978号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
サイズが29,536バイト(MS-Windows(登録商標)で測定)で、2020年11月24日に作成されたファイル名36PST97652WO_ST25.txtに含まれる配列表は、本明細書とともに電子的に出願され、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
外傷性脳損傷(TBI)は、世界中の死亡および障害の主要な原因の1つである。CDCは、米国では毎年約170万人がTBIの医療ケアを必要としており、その費用は年間770億ドルを超えると報告している。世界では、5,000万人が、年間4,000億ドルの費用でTBIによって影響を受けている(Maas et al.,Lancet Neurol.,16(12):987-1048,2017)。
【0004】
TBIは、脳組織に急性のダメージを引き起こし、神経系に二次的な損傷ももたらし、慢性的な身体的および/または精神的欠損の結果をもたらす。TBIは、血液脳関門の破壊、ミクログリオーシス、アストログリオーシス、およびニューロンの変性をもたらす。成体の哺乳動物の脳は、損傷後にニューロンを再生する能力を欠いており、TBI後のニューロン再生を促進することができる治療が不足している。TBI後のダメージを受けた脳の修復を促進する治療についての継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
外傷性脳損傷(TBI)を治療する方法は、本開示の態様に従って提供され、方法は、対象の脳のダメージ領域における少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性神経原性分化1(NeuroD1、本明細書ではND1とも呼ばれる)を提供することによって、反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換することを含む。態様によれば、TBIは、閉鎖性頭部損傷である。本開示の態様によれば、脳のダメージ領域は、TBIに起因する非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞を含む。本開示の態様によれば、非機能的ニューロンは、死んだニューロン、瀕死のニューロン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。本開示の態様によれば、脳のダメージ領域に存在する非機能的ニューロンは、機能的MRI(fMRI)によって検出される。本開示の態様によれば、対象は、ヒトである。
【0006】
TBIを治療する方法は、本開示の態様に従って提供され、方法は、対象の脳のダメージ領域における少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することによって、反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換することを含み、脳のダメージ領域は、TBIに起因する非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞を含む。本開示の態様によれば、ダメージ領域における非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞の存在は、主にダメージ領域における出血に起因するものではない。本開示の態様によれば、非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞の存在は、主にダメージ領域における虚血に起因するものではない。態様によれば、TBIは、閉鎖性頭部損傷である。本開示の態様によれば、非機能的ニューロンは、死んだニューロンである。本開示の態様によれば、非機能的ニューロンは、瀕死のニューロンである。本開示の態様によれば、脳のダメージ領域に存在する非機能的ニューロンは、機能的MRI(fMRI)によって検出される。本開示の態様によれば、対象は、ヒトである。
【0007】
本開示の態様によれば、外因性NeuroD1を提供することは、外傷性脳損傷後、約2日~約10日の範囲の第1の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む。
【0008】
本開示の態様によれば、外傷性脳損傷は、ダメージ領域においてアストログリオーシスの期間を引き起こし、外因性NeuroD1を提供することは、アストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の第1の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む。
【0009】
本開示の態様によれば、外因性NeuroD1を提供することは、第1の治療時間後で、かつアストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の第2の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む。
【0010】
本開示の態様によれば、外因性NeuroD1を提供することは、第2の治療時間後で、かつアストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の第3の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む。
【0011】
本開示の態様によれば、外因性NeuroD1を提供することは、対象に組換え発現ベクターを投与することを含み、組換え発現ベクターは、NeuroD1をコードする核酸配列を含む。
【0012】
本開示の態様によれば、外因性NeuroD1を提供することは、対象に組換え発現ベクターを投与することを含み、組換え発現ベクターは、NeuroD1をコードする核酸配列を含むウイルス発現ベクターである。
【0013】
本開示の態様によれば、外因性NeuroD1を提供することは、対象に組換え発現ベクターを投与することを含み、組換え発現ベクターは、組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターであり、組換えアデノ随伴ウイルスベクターは、NeuroD1をコードする核酸配列を含む。
【0014】
本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸配列は、プロモーターに作動可能に連結する。
【0015】
本開示の態様によれば、プロモーターは、グリア細胞特異的プロモーターである。
【0016】
本開示の態様によれば、グリア細胞特異的プロモーターは、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーターである。
【0017】
本開示の態様によれば、GFAPプロモーターは、ヒトGFAP(hGFP)プロモーターである。
【0018】
本開示の態様によれば、NeuroD1以外の外因性転写因子は、少なくとも1つの反応性星状細胞に提供されない。
【0019】
本開示の態様によれば、NeuroD1は、配列番号2、配列番号4、配列番号2の機能的断片、配列番号4の機能的断片、配列番号2と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号4と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
本開示の態様によれば、NeuroD1は、配列番号1を含む核酸配列、配列番号1と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列、配列番号3を含む核酸配列、または配列番号3と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列によってコードされる。
【0021】
本開示の態様によれば、外因性NeuroD1を提供することは、脳のダメージ領域内への注射を含む。
【0022】
本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸配列は、ウイルス粒子内に存在する。
【0023】
本開示の態様によれば、外因性NeuroD1を提供することは、約10~約1014個のウイルス粒子を対象のダメージ脳領域に投与することを含む。
【0024】
NeuroD1を含む組成物の使用は、対象の脳のダメージ領域における反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換するための医薬品の製造において提供され、脳のダメージ領域は、TBIに起因する非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞を含む。本開示の態様によれば、非機能的ニューロンは、死んだニューロンである。本開示の態様によれば、非機能的ニューロンは、瀕死のニューロンである。本開示の態様によれば、外傷性脳損傷は、閉鎖性頭部損傷である。本開示の態様によれば、NeuroD1は、核酸配列によってコードされ、配列番号1と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列を含む。本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸は、配列番号3と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列を含む。本開示の態様によれば、NeuroD1は、配列番号2、配列番号4、配列番号2の機能的断片、配列番号4の機能的断片、配列番号2と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号4と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0025】
本開示の態様によれば、NeuroD1は、組換え発現ベクターに含まれる核酸配列によってコードされる。本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸配列は、プロモーターに作動可能に連結する。本開示の態様によれば、プロモーターは、グリア細胞特異的プロモーターである。本開示の態様によれば、グリア細胞特異的プロモーターは、GFAPプロモーターである。本開示の態様によれば、GFAPプロモーターはhGFPプロモーターである。本開示の態様によれば、NeuroD1は、ウイルス発現ベクターを含んだ核酸配列によってコードされる。本開示の態様によれば、NeuroD1は、組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターを含んだ核酸配列によってコードされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】外傷性脳損傷の治療の研究のための限局性閉鎖性頭部損傷モデルの確立の態様を示し、モデルには、マウス頭部に図示的に示される運動皮質に限局性閉鎖性頭部損傷を誘導するための電磁石制御デバイスの使用を含む。
図1B】損傷誘導および病理学的調査のためのタイムラインの概略図である。
図1C】ニューロンマーカー(NeuN)および星状細胞マーカー(GFAP)に対する免疫染色の結果を示す一連の画像であり、これは、外傷性脳損傷後の指示された時点における、偽外傷性脳損傷マウス(偽TBI群)由来のマウスの脳、または外傷性脳損傷マウス(TBI群)由来のマウスの脳における生存しているニューロンおよび反応性星状細胞の細胞密度を反映した。
図1D】損傷コアにおいてNeuNの密度が顕著に減少したことを示すグラフである。
図1E】損傷周辺区域においてNeuNの密度が顕著に減少したことを示すグラフである。
図1F】全損傷区域において反応性星状細胞の密度が顕著に増加したことを示すグラフである。
図1G】外傷性脳損傷後の指示された時点における、偽外傷性脳損傷マウス(偽TBI群)由来のマウスの脳、または外傷性脳損傷マウス(TBI群)由来のマウスの脳におけるミクログリアマーカー(Iba1)、星状細胞マーカー(GFAP)、および細胞増殖マーカー(Ki67)に対する共免疫染色の結果を示す一連の画像であり、TBI後のこれらの早い時点での神経炎症プロセスを示している。
図1H】ミクログリア細胞の増殖速度が、TBIの約1日後にピークに達し、星状細胞の増殖速度が、TBIの約4日後にピークに達したことを示すグラフである。
図2A】CHIモデルにおけるマウスの運動皮質の損傷コアおよび損傷周辺区域の定義を示す。
図2B】CHI後の早い時点である6時間後および4日後でのダメージを受けた脳組織の免疫染色の結果を示す一連の画像である。免疫染色の結果は、細胞アポトーシスマーカーのTUNELがニューロンマーカーのNeuNと共局在していることを示し、これは、特にダメージを受けた運動皮質の表層において、多くのニューロンの死および喪失があることを示唆した。
図2C】CHIの7日後のミエリン塩基性タンパク質(MBP)およびニューロフィラメントタンパク質(NF200)対するダメージを受けた脳組織の免疫染色の結果を示す一連の画像である。免疫染色結果は、CHI後の損傷部位でニューロン突起がダメージを受けたことを実証した。
図3A】CHI後の衝撃部位またはその付近でのマウスの運動皮質における閉鎖性頭部損傷およびND1の投与の図解を示す。
図3B】本明細書の実施例に詳細に記載されているCHI誘導、NeuroD1をコードするウイルスの注射、および免疫蛍光実験の実験スキームを図式的に示す。
図3C】AAV-GFAP::GFPウイルス(対照群、左パネル)の注射またはAAV-GFAP::ND1-GFPウイルス(ND1群、右パネル)の注射の7日後の損傷した皮質を示す一連の代表的な画像である。
図3D】示されるマーカーのGFP蛍光および免疫蛍光を示す一連の画像であり、示されるように、GFAPプロモーター制御下で、GFPは、主にGFAP+星状細胞で発現され、一方で、対照群においてはAAV-GFAP::GFPウイルスの注射の7日後に、種々の亜型の他の皮質細胞において、非常に低いGFP発現が見出された。
図3E】対照群(上部パネル)と比較して、AAV-GFAP::ND1-GFPウイルスの注射(下部パネル)の7日後のND1群において、GFP+星状細胞においてNeuroD1が高度に発現されたことを示す、図2Cからの一連の「ズームイン」画像である。
図3F】AAV-GFAP::ND1-GFPウイルスの注射の後の種々の時間点における星状細胞からニューロンへの変換プロセスを示した、GFAP、NeuN、およびND1に対する共染色の結果を示す一連の画像である。
図3G図3Dに示される全GFP発現皮質細胞中の種々の型のパーセンテージの定量化を示すグラフである。
図3H】AAV-GFAP::ND1-GFPウイルスの注射の後の種々の時点での、GFPとともにニューロンマーカーのNeuNを発現する細胞のパーセンテージの定量化を示すグラフである。
図4A】CHIの4日後にダメージを受けた脳由来の一連の画像であり、いくらかのGFP+細胞が同時にGFAPおよびNeuNシグナルの両方を示し、これは、それらが反応性星状細胞からニューロンへの遷移段階にあることを示している。
図4B】変換されたニューロン中で、未成熟ニューロンマーカー(Tuj1)および成熟ニューロンマーカー(MAP2)の変動傾向が、変換されたニューロンが徐々に成熟することを暗示したことを示す一連の画像である。
図4C】GFP蛍光、NeuN免疫蛍光、およびGFAP免疫蛍光を示し、NeuroD1による「星状細胞からニューロンへの」(AtN)変換が、(レトロウイルス)CAG::ND1-GFPまたは(レトロウイルス)CAG::GFP発現構築物を使用して確認されたことを示す、一連の画像である。
図4D】NeuroD1による「星状細胞からニューロンへの」(AtN)変換が、(レトロウイルス)CAG::ND1-GFPまたは(レトロウイルス)CAG::GFP発現構築物を使用して確認され、ND1を担持するレトロウイルスが、GFP発現細胞の約半分をNeuN+に変換したが、対照群においては星状細胞からニューロンへの変換が存在しなかったことを示すグラフである。
図5A】ほとんどの変換されたニューロンがFoxG1シグナルを示し、多くの変換されたニューロンがTbr1シグナルを示したことを示す一連の画像である。
図5B】ND1処置後、表面皮質マーカー(Cux1)および深層マーカー(Ctip2)での免疫染色が、皮質層が依然として十分に組織化されていることを示唆したことを示す画像である。
図5C】いくらかの変換されたニューロンが、マウスの皮質における表層または深層において、Cux1+またはCtip2+であったことを示す一連の画像である。
図5D】GFAP::ND1-GFPウイルスの注射の28日後に、GFPおよびNeuNとともに、皮質マーカーのFoxG1、および/もしくはTbr1、または層マーカーのCux1、および/もしくはCtip2を発現する変換されたニューロンのパーセンテージの定量化の結果を示すグラフである。
図6A】ND1処置の28日後に、いくらかの変換されたニューロンが、GABA作動性ニューロンであることを示す細胞体内のGABAおよびGAD67シグナルの両方を有したことを示す一連の画像である。
図6B】いくらかの変換されたニューロンが、パバブルミン、カルレチニン、ニューロペプチドY、ソマトスタチンなどのマウスの皮質におけるGABA作動性ニューロンの種々の亜型のマーカーに対して陽性であり得ることを示す一連の画像である。
図6C】AAV-GFAP::ND1-GFPウイルスの注射の28日後にニューロン亜型マーカーを発現する細胞のパーセンテージの定量化を示すグラフである。
図7A】GFP蛍光およびNeuN免疫蛍光とともに、a、b、およびcで変換されたニューロンの形態を示す一連の画像である。
図7B】3つの異なる活動電位発火パターンI、II、およびIIIを代表する全細胞パッチ記録によって得られた活動電位発火パターンの一連の3つの追跡である。
図7C】活動電位発火パターンI、II、またはIIIのいずれかを有する変換されたニューロンの定量化の結果を示す円グラフである。
図7D】変換されたニューロンが、周波数および振幅が野生型対照由来のものよりも高いsEPSCを発火したことを示す追跡である。
図7E】変換されたニューロンが、周波数および振幅が野生型対照由来のものよりも高いsIPSCを発火したことを示す追跡である。
図7F】変換されたニューロンが、周波数および振幅が野生型対照由来のものよりも高いsEPSCを発火したことを示す一連のグラフである。
図7G】変換されたニューロンが、周波数および振幅が野生型対照由来のものよりも高いsIPSCを発火したことを示す一連のグラフである。
図8A】sEPSCの周波数が早い時点で増加の傾向を示し、次いで、遅い時点で対照レベルまで減少したことを実証するグラフである。
図8B】NeuroD1投与後の第1の週にsEPSCの振幅が有意に増加し、次いで2ヶ月後に対照レベルに下がったことを実証するグラフである。
図8C】NeuroD1投与後の早い時点(7日目)での変換されたニューロンに対する神経支配を示すための実験的スキームを示す図である。
図8D】NeuroD1ウイルスの注射および反対側のCTB-647の注射の7日後に、変換されたニューロンの細胞体におけるGFPおよびNeuNとともにシナプスマーカー(VGAT)の共局在化を示す一連の画像であり、反対側由来のCTBシグナルも、細胞体上で観察された。
図8E】NeuroD1ウイルスの注射および反対側のCTB-647の注射の7日後に、変換されたニューロンの細胞体におけるGFPおよびNeuNとともにシナプス小胞マーカー(SV2)の共局在化を示す一連の画像であり、反対側由来のCTBシグナルも、細胞体上で観察された。
図9A】グルタミン酸作動性シナプスマーカー(vGlut1)、またはGABA作動性シナプスマーカー(vGAT)が、ND1変換されたニューロンの細胞体上でGPFとともに共局在することを示す一連の画像である。
図9B】シナプス末端マーカー(シナプトフィシン、SP1)、またはシナプス小胞マーカー(SV2)が、ND1変換されたニューロンの細胞境界の周囲でGPFとともに共局在することを示す一連の画像である。
図9C】ND1変換されたニューロンが、マウスの運動皮質における内因性ニューロンと同等のcFos発現を実証したことを示す一連の画像である。
図9D-9F】視床ニューロンが、順行性追跡のために、NeuroD1群において、(AAV)シナプシン::Cre+CAG::Flex-mCherryによって標識化されたことを示す。
図9D】ND1-GFP発現ウイルスが投与されたマウスにおける順行性追跡のために、ウイルスAAV-シナプシン::Cre+AAV-CAG::FlexmCherry(赤色蛍光タンパク質、mCherryを発現する)をマウスの視床にさらに注射し、それによって、ニューロンを標識化して、GFPを発現するND1変換されたニューロンへの軸索突起を可視化することを示す画像である。
図9E】他の変換されたニューロン由来の局所神経支配を示す細胞体上にGFP含有シナプスボタンを有するND1変換されたニューロンを示す一連の画像である。
図9F】遠隔視床ニューロン由来の神経支配を示す細胞体上にmCherry含有シナプスボタンを有するND1変換されたニューロンを示す一連の画像である。
図9G】CTB-467が、NeuroD1発現ウイルスの注射部位の反対側に逆行性追跡のために注射され、CTBシグナルがいくらかの変換されたニューロンで見出されたことを示す一連の画像である。
図9H】変換プロセスが進行するにつれて、NeuroD1発現ウイルスが注射された後、変換されたニューロン内の平均CTBシグナルが経時的に増加したことを示す一連のグラフであり、CTBは、脳試料がすべての指示された時点で取得される7日前に注射された。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有することが意図される。かかる用語は、例示的に、J.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;3rd Ed.,2001、F.M.Ausubel,Ed.,Short Protocols in Molecular Biology,Current Protocols;5th Ed.,2002、B.Alberts et al.,Molecular Biology of the Cell,4th Ed.,Garland,2002、D.L.Nelson and M.M.Cox,Lehninger Principles of Biochemistry,4th Ed.,W.H.Freeman&Company,2004、Herdewijn,P.(Ed.),Oligonucleotide Synthesis:Methods and Applications,Methods in Molecular Biology,Humana Press,2004、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott Williams&Wilkins,21st Ed.,2005、L.V.Allen,Jr.et al.,Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,8th Ed.,Philadelphia,PA:Lippincott,Williams&Wilkins,2004、およびL.Brunton et al.,Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw-Hill Professional,12th Ed.,2011を含む様々な標準的な参考文献の文脈で定義され使用されていることが見出される。
【0028】
「a」「an」および「the」という単数形の用語は、明確に別途示されない限り、または文脈が明確に別途示さない限り、限定することを意図せず、複数の指示対象を含む。
【0029】
選択肢の群化が提示される場合、その選択肢の群化を構成するメンバーの任意の組み合わせおよびすべての組み合わせが具体的に想定される。例えば、ある項目が、A、B、C、およびDからなる群から選択される場合、各選択肢が個々に(例えば、A単独、B単独など)、ならびにA、B、およびD;AおよびC;BおよびCなどの組み合わせが想定される。「および/または」という用語は、2つ以上の項目のリストにおいて使用される場合、それ自体の、または他のリスト化された項目のうちのいずれか1つ以上と組み合わせた、リスト化された項目のうちのいずれか1つを意味する。例えば、「Aおよび/またはB」という表現は、AおよびBのいずれかまたは両方、すなわち、A単独、B単独、またはAおよびBの組み合わせを意味するように意図される。「A、B、および/またはC」という表現は、A単独、B単独、C単独、AおよびBの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを意味することを意図している。
【0030】
数値の範囲が本明細書で提供される場合、範囲は、範囲の縁および定義された範囲の縁の間の任意の数字を含むと理解される。例えば、「1~10」は、1~10の任意の数字、ならびに数字1および数字10を含む。
【0031】
「約」という用語が数字に関連して使用される場合、それは、プラスまたはマイナス10%を意味すると理解される。例えば、「約100」には、90~110が含まれる。
【0032】
対象における外傷性脳損傷(TBI)を治療するための組成物および方法は、本開示の態様に従って提供される。
【0033】
TBIから生じるニューロン損失を逆転させるのに有効な方法が、本開示の態様に従って提供される。意外なことに、グリア細胞、特に星状細胞および/または反応性星状細胞における外因性神経原性分化1(NeuroD1)の発現は、TBIの治療を必要とする対象においてTBIを治療する。したがって、本開示によって提供されるのは、対象への治療有効量のNeuroD1の投与を含む、対象におけるTBIの治療方法である。
【0034】
外傷性脳損傷(TBI)を治療する方法は、対象の脳のダメージ領域における少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することによって、反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換することを含む、本開示の態様に従って提供される。
【0035】
「NeuroD1」という用語は、胎児の脳発達および成人の神経新生に関与するbHLH前神経転写因子である神経原性分化1を指し、Cho,J.H.et al.,Mol,Neurobiol.,30:35-47,2004、Kuwabara,T.et al.,Nature Neurosci.,12:1097-1105,2009、およびGao,Z.et al.,Nature Neurosci.,12:1090-1092,2009を参照されたい。NeuroD1は、発達の後半、主に神経系において発現し、ニューロンの分化、成熟および生存に関与する。
【0036】
NeuroD1を指すために本明細書で使用される「外因性」という用語は、本開示の方法の操作によって機能的ニューロンに変換されるグリア細胞、特に星状細胞および/または反応性星状細胞内に存在し、グリア細胞内に天然には存在しない、NeuroD1を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、ニューロンに関して「機能的」という用語は、ニューロンが特別に適合されるか、または実施するために存在する作用および/またはタスクを実施する能力を示す、および/または維持するニューロンを指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、「治療すること」、および「NeuroD1治療」という用語または文法的均等物は、TBI、TBIの症状もしくは徴候を緩和、阻害または改善し、またTBIの症状または徴候を予防することを指し、治療的および/または予防的処置を含むが、これらに限定されない。
【0039】
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、治療されるTBIの症状もしくは徴候を緩和、改善、または予防するのに有効な本発明の組成物の量を意味することが意図される。本開示の態様によれば、治療有効量は、TBIの徴候および/または症状を有する対象において有益な効果を有する量である。本開示の態様によれば、TBIによって影響を受ける対象への治療有効量のNeuroD1の投与は、反応性星状細胞の機能的ニューロンへの変換による新たな機能的ニューロンの生成、反応性星状細胞の数の低減、新たな非反応性星状細胞の生成、ならびに対象の脳の損傷領域および非損傷領域の両方におけるニューロンネットワークへの新たな機能的ニューロンの統合を提供する。
【0040】
「外傷性脳損傷」という用語は、本明細書では、「TBI」と略され、頭部への衝撃による閉鎖性頭部損傷(CHI)、または貫通性頭部損傷のいずれかとすることができる、脳への突然の損傷を指す。貫通性頭部損傷の非限定的な例は、頭蓋骨を貫通し、脳に入る物体である。本開示の態様によれば、TBIは、CHIである。本開示の態様によれば、TBIは、貫通性頭部損傷である。TBIは、転倒、自動車事故、スポーツ事故、物体が当たる、または爆発からの衝撃波などの間接的な衝撃など、しかしこれらに限定されない様々な原因のうちのいずれかからの頭部への直接の衝撃から生じる可能性がある。爆発の非限定的な例は、戦場の爆発である。本開示の態様によれば、TBIは、転倒から生じる。本開示の態様によれば、TBIは、自動車事故から生じる。本開示の態様によれば、TBIは、スポーツ事故から生じる。本開示の態様によれば、TBIは、物体に当たることから生じる。本開示の態様によれば、TBIは、爆発からの衝撃波などの間接的な衝撃から生じる。
【0041】
本開示の態様によれば、TBIの非限定的な例は、追加の機能的ニューロンによって緩和、改善、または予防される対象の頭部への衝撃から生じる脳損傷である。
【0042】
「閉鎖性頭部損傷」という用語は、本明細書では「CHI」と略され、対象の頭部に対する非貫通性損傷、または頭蓋骨を骨折しなかった、かつ/もしくは頭蓋骨の完全性を損なわなかった頭部に対する損傷に起因するTBIを指す。
【0043】
本開示の態様によれば、TBIは、脳への一次的なダメージが衝撃部位に隣接する脳の区域に局在化するような「限局性」である。脳への二次的なダメージは、一次的なダメージから生じる脳の他の領域に存在する可能性がある。
【0044】
「一次的なダメージ」という用語は、衝撃部位に隣接する区域における死んだニューロンおよび/または瀕死のニューロンなどの非機能的ニューロン、ならびに反応性星状細胞の存在を指し、ダメージ領域における死んだニューロンおよび/または瀕死のニューロンなどの非機能的ニューロン、ならびに反応性星状細胞の存在は、主に、ダメージ領域における出血および/または虚血に起因するものではない。本開示の態様によれば、死んだニューロンまたは瀕死のニューロンは、アポトーシスアッセイおよび機能的アッセイによって測定される。アポトーシスアッセイの非限定的な例としては、電子顕微鏡法、TUNELアッセイ、フローサイトメトリー、DNAラダーアッセイ、シトクロムcの検出、アネキシンVの検出、およびカスパーゼ活性アッセイが挙げられる。機能的アッセイの非限定的な例としては、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)が挙げられる。本開示の態様によれば、TBIは、2つ以上の衝撃から生じ得、2つ以上の衝撃の各々が、脳への一次的なダメージが2つ以上の衝撃部位の各々に関連付けられるように、衝撃部位と関連付けられる。
【0045】
グリア細胞における治療有効量のNeuroD1は、対象におけるTBIの少なくとも1つの徴候および/または症状を治療し、それによってTBIが治療される。
【0046】
TBIの徴候および症状は、かかる徴候および症状の検出および評価方法とともに、当該技術分野で周知である。対象におけるTBIの徴候および症状は、意識の喪失、混乱、方向感覚の喪失、頭痛、疲労、発話の問題、睡眠の問題、めまい、バランスの問題、感覚の問題、光への感受性、視力の喪失または視覚の変化、嗅覚の喪失または変化、味覚の喪失または変化、耳鳴り、聴覚の喪失または変化、記憶の問題、集中力の問題、うつ病、不安、興奮、気分の揺れ、発作、協調の喪失または減少、運動の問題、学習困難を含む認知の問題、推論能力の負の変化、判断の負の変化、および注意または集中の負の変化を含む。
【0047】
対象におけるTBIの徴候および/または症状は、TBIに起因してダメージを受けた脳の領域における、死んだニューロンおよび/または瀕死のニューロンなどの非機能的ニューロンの存在を含む。TBIに起因してダメージを受けた脳の領域における死んだニューロンおよび/または瀕死のニューロンの数は、治療有効量のNeuroD1を対象のグリア細胞に送達することを含む本開示の態様に従って、TBIの治療を必要とする対象においてTBIを治療する方法によって低減する。
【0048】
対象におけるTBIの徴候および/または症状は、TBIに起因してダメージを受けた脳の領域における反応性星状細胞の存在を含む。TBIに起因してダメージを受けた脳の領域における反応性星状細胞の数は、治療有効量のNeuroD1を対象のグリア細胞に送達することを含む本開示の態様に従って、TBIの治療を必要とする対象においてTBIを治療する方法によって低減する。
【0049】
グリア細胞における治療有効量のNeuroD1は、TBIを有する未治療の対象と比較して、TBIを有する対象におけるより多くの数の機能的ニューロンをもたらし、それによってTBIが治療される。本開示の態様によれば、グリア細胞における治療有効量のNeuroD1は、TBIを有する未治療の対象と比較して、TBIによって影響を受ける対象の脳の区域内により多くの数の機能的ニューロンをもたらし、それによってTBIが治療される。
【0050】
治療を必要とする対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得るが、そのうえ非哺乳動物である可能性もある。したがって、「対象」という用語は、ヒトを指し、また非ヒト霊長類、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタ、ならびにマウスおよびラットなどげっ歯類などであるがこれらに限定されない非ヒト哺乳動物、ならびに鳥類、家禽、爬虫類、両生類などであるがこれらに限定されない非哺乳動物も指す。本開示の態様によれば、対象は、ヒトである。
【0051】
本開示の態様によれば、対象は、雄である。本開示の態様によれば、対象は、雌である。本開示の態様によれば、対象は、性別は中性である。本開示の態様によれば、対象は、未熟な新産児(newborn)である。本開示の態様によれば、未熟な新産児は、妊娠36週より前に生まれた新産児である。本開示の態様によれば、対象は、正期産新産児である。本開示の態様によれば、正期産新産児は、約2ヶ月齢未満である。本開示の態様によれば、対象は、新生児(neonate)である。本開示の態様によれば、対象は、約1ヶ月齢未満である新生児である。本開示の態様によれば、対象は、乳児である。本開示の態様によれば、乳児は、2ヶ月~24ヶ月齢である。本開示の態様によれば、乳児は、2ヶ月~3ヶ月齢、2ヶ月~4ヶ月齢、2ヶ月~5ヶ月齢、3ヶ月~4ヶ月齢、3ヶ月~5ヶ月齢、3ヶ月~6ヶ月齢、4ヶ月~5ヶ月齢、4ヶ月~6ヶ月齢、4ヶ月~7ヶ月齢、5ヶ月~6ヶ月齢、5ヶ月~7ヶ月齢、5ヶ月~8ヶ月齢、6ヶ月~7ヶ月齢、6ヶ月~8ヶ月齢、6ヶ月~9ヶ月齢、7ヶ月~8ヶ月齢、7ヶ月~9ヶ月齢、7ヶ月~10ヶ月齢、8ヶ月~9ヶ月齢、8ヶ月~10ヶ月齢、8ヶ月~11ヶ月齢、9ヶ月~10ヶ月齢、9ヶ月~11ヶ月齢、9ヶ月~12ヶ月齢、10ヶ月~11ヶ月齢、10ヶ月~12ヶ月齢、10ヶ月~13ヶ月齢、11ヶ月~12ヶ月齢、11ヶ月~13ヶ月齢、11ヶ月~14ヶ月齢、12ヶ月~13ヶ月齢、12ヶ月~14ヶ月齢、12ヶ月~15ヶ月齢、13ヶ月~14ヶ月齢、13ヶ月~15ヶ月齢、13ヶ月~16ヶ月齢、14ヶ月~15ヶ月齢、14ヶ月~16ヶ月齢、14ヶ月~17ヶ月齢、15ヶ月~16ヶ月齢、15ヶ月~17ヶ月齢、15ヶ月~18ヶ月齢、16ヶ月~17ヶ月齢、16ヶ月~18ヶ月齢、16ヶ月~19ヶ月齢、17ヶ月~18ヶ月齢、17ヶ月~19ヶ月齢、17ヶ月~20ヶ月齢、18ヶ月~19ヶ月齢、18ヶ月~20ヶ月齢、18ヶ月~21ヶ月齢、19ヶ月~20ヶ月齢、19ヶ月~21ヶ月齢、19ヶ月~22ヶ月齢、20ヶ月~21ヶ月齢、20ヶ月~22ヶ月齢、20ヶ月~23ヶ月齢、21ヶ月~22ヶ月齢、21ヶ月~23ヶ月齢、21ヶ月~24ヶ月齢、22ヶ月~23ヶ月齢、22ヶ月~24ヶ月齢、および23ヶ月~24ヶ月齢である。本開示の態様によれば、対象は、幼児である。本開示の態様によれば、幼児は、1歳~4歳である。本開示の態様によれば、幼児は、1歳~2歳、1歳~3歳、1歳~4歳、2歳~3歳、2歳~4歳、および3歳~4歳である。本開示の態様によれば、対象は、小児である。本開示の態様によれば、小児は、2歳~5歳である。本開示の態様によれば、小児は、2歳~3歳、2歳~4歳、2歳~5歳、3歳~4歳、3歳~5歳、および4歳~5歳である。本開示の態様によれば、対象は、子供である。本開示の態様によれば、子供は、6歳~12歳である。本開示の態様によれば、子供は、6歳~7歳、6歳~8歳、6歳~9歳、7歳~8歳、7歳~9歳、7歳~10歳、8歳~9歳、8歳~10歳、8歳~11歳、9歳~10歳、9歳~11歳、9歳~12歳、10歳~11歳、10歳~12歳、および11歳~12歳である。本開示の態様によれば、対象は、青年である。本開示の態様によれば、青年は、13歳~19歳である。本開示の態様によれば、青年は、13歳~14歳、13歳~15歳、13歳~16歳、14歳~15歳、14歳~16歳、14歳~17歳、15歳~16歳、15歳~17歳、15歳~18歳、16歳~17歳、16歳~18歳、16歳~19歳、17歳~18歳、17歳~19歳、および18歳~19歳である。本開示の態様によれば、対象は、小児科の対象である。本開示の態様によれば、小児科の対象は、1日齢~18歳である。本開示の態様によれば、小児科の対象は、1日齢~1歳、1日齢~2歳、1日齢~3歳、1歳~2歳、1歳~3歳、1歳~4歳、2歳~3歳、2歳~4歳、2歳~5歳、3歳~4歳、3歳~5歳、3歳~6歳、4歳~5歳、4歳~6歳、4歳~7歳、5歳~6歳、5歳~7歳、5歳~8歳、6歳~7歳、6歳~8歳、6歳~9歳、7歳~8歳、7歳~9歳、7歳~10歳、8歳~9歳、8歳~10歳、8歳~11歳、9歳~10歳、9歳~11歳、9歳~12歳、10歳~11歳、10歳~12歳、10歳~13歳、11歳~12歳、11歳~13歳、11歳~14歳、12歳~13歳、12歳~14歳、12歳~15歳、13歳~14歳、13歳~15歳、13歳~16歳、14歳~15歳、14歳~16歳、14歳~17歳、15歳~16歳、15歳~17歳、15歳~18歳、16歳~17歳、16歳~18歳、および17歳~18歳である。本開示の態様によれば、対象は、老年科の対象である。本開示の態様によれば、老年科の対象は、65歳~95歳、またはそれ以上の年齢である。本開示の態様によれば、老年科の対象は、65歳~70歳、65歳~75歳、65歳~80歳、70歳~75歳、70歳~80歳、70歳~85歳、75歳~80歳、75歳~85歳、75歳~90歳、80歳~85歳、80歳~90歳、80歳~95歳、85歳~90歳、および85歳~95歳である。一態様では、それを必要とする対象は、成人である。本開示の態様によれば、成人の対象は、20歳~95歳、またはそれ以上の年齢である。本開示の態様によれば、成人の対象は、20歳~25歳、20歳~30歳、20歳~35歳、25歳~30歳、25歳~35歳、25歳~40歳、30歳~35歳、30歳~40歳、30歳~45歳、35歳~40歳、35歳~45歳、35歳~50歳、40歳~45歳、40歳~50歳、40歳~55歳、45歳~50歳、45歳~55歳、45歳~60歳、50歳~55歳、50歳~60歳、50歳~65歳、55歳~60歳、55歳~65歳、55歳~70歳、60歳~65歳、60歳~70歳、60歳~75歳、65歳~70歳、65歳~75歳、65歳~80歳、70歳~75歳、70歳~80歳、70歳~85歳、75歳~80歳、75歳~85歳、75歳~90歳、80歳~85歳、80歳~90歳、80歳~95歳、85歳~90歳、および85歳~95歳である。本開示の態様によれば、対象は、1歳~5歳、2歳~10歳、3歳~18歳、21歳~50歳、21歳~40歳、21歳~30歳、50歳~90歳、60歳~90歳、70歳~90歳、60歳~80歳、または65歳~75歳である。本開示の態様によれば、対象は、前期高齢者の対象(65~74歳)である。本開示の態様によれば、対象は、中期高齢者の対象(75~84歳)である。本開示の態様によれば、対象は、高齢者の対象(>85歳)である。
【0052】
対象におけるTBIの治療方法は、本開示の態様によれば、脳損傷部位の位置またはその付近でのTBIの局所領域における対象への治療有効量のNeuroD1の投与を含む。
【0053】
対象におけるTBIの治療方法は、本開示の態様によれば、TBIによって引き起こされるグリア瘢痕内またはその付近でのTBIの局所領域における対象への治療有効量のNeuroD1の投与を含む。
【0054】
対象におけるTBIの治療方法は、本開示の態様によれば、グリオーシス、特にアストログリオーシスおよび/またはミクログリオーシスの領域内またはその付近でのTBIの局所領域における対象への治療有効量のNeuroD1の投与を含む。
【0055】
「グリオーシス」という用語は、「アストログリオーシス」および「ミクログリオーシス」を含み、脳のダメージに起因する、星状細胞および反応性星状細胞の増加、すなわち、アストログリオーシス、ならびにミクログリアおよび肥大性ミクログリアの増加、すなわち、ミクログリオーシスを指す。いかなる科学的理論にも制限されるものではないが、グリオーシスは、脳のダメージに応答するグリア細胞の保護反応であり、損傷区域を隔離し、死んだ細胞の破片を除去し、残りの健康な細胞を保護するなどの有益な効果を提供すると考えられている。しかしながら、グリオーシスは、神経再生を妨げ、局所微小環境で負の影響を産生し、さらなる神経変性をもたらす可能性がある。したがって、グリア細胞において外因性NeuroD1を発現することによってグリア細胞がグリオーシスに関与するグリア細胞の機能的ニューロンへの変換は、TBIの治療において有益な転帰を提供する。本開示の態様によれば、有益な転帰の非限定的な例としては、TBIに起因して失われたニューロンを置き換えるか、または少なくとも部分的に置き換えるための機能的ニューロンの再生、反応性星状細胞の機能的ニューロンへの変換による反応性星状細胞の数の低減、それによる、グリオーシスの負の影響の調節、TBIによって引き起こされるダメージを受けた神経ネットワークの修復、およびTBIによって途絶された微小環境の再バランス化が挙げられる。
【0056】
本開示の態様によれば、治療有効量のNeuroD1の投与は、TBIの影響の改善を必要とする対象においてTBIの影響を改善する。本開示の態様によれば、治療有効量のNeuroD1の投与は、静止した星状細胞と比較して、反応性星状細胞に投与された場合に増強された効果を有する。本開示の態様によれば、治療有効量のNeuroD1の投与は、対象におけるTBI後、3日~60日、5日~45日、8日~30日とすることができる。本開示の態様によれば、投与は、対象におけるTBI後、2日~1年または1年以降とすることができる。本開示の態様によれば、治療有効量のNeuroD1の投与は、3日~5日、3日~10日、3日~15日、5日~10日、5日~15日、5日~20日、10日~15日、10日~20日、10日~25日、15日~20日、15日~25日、15日~30日、20日~25日、20日~30日、20日~35日、25日~30日、25日~35日、25日~40日、30日~35日、30日~40日、30日~45日、35日~40日、35日~45日、35日~50日、40日~45日、40日~50日、40日~55日、45日~50日、45日~55日、45日~60日、50日~55日、50日~60日、または55日~60日とすることができる。本開示の態様によれば、治療有効量のNeuroD1の投与は、5日~10日、5日~15日、5日~20日、10日~15日、10日~20日、10日~25日、15日~20日、15日~25日、15日~30日、20日~25日、20日~30日、20日~35日、25日~30日、25日~35日、25日~40日、30日~35日、30日~40日、30日~45日、35日~40日、35日~45日、または40日~45とすることができる。本開示の態様によれば、治療有効量のNeuroD1の投与は、8日~10日、8日~15日、8日~20日、10日~15日、10日~20日、10日~25日、15日~20日、15日~25日、15日~30日、20日~25日、20日~30日、または25日~30日とすることができる。
【0057】
本開示の態様によれば、外因性NeuroD1を提供することは、TBI後、約1日~約10日の範囲の第1の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、少なくとも1つの反応性星状細胞に、1日~2日、1日~3日、1日~4日、2日~3日、2日~4日、2日~5日、3日~4日、3日~5日、3日~6日、4日~5日、4日~6日、4日~7日、5日~6日、5日~7日、5日~8日、6日~7日、6日~8日、6日~9日、7日~8日、7日~9日、7日~10日、8日~9日、8日~10日、または9日~10日提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、1日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、2日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、3日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、4日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、5日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、6日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、7日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、8日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、9日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、TBI後、10日の治療時間において少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。
【0058】
本開示の態様によれば、TBIは、ダメージ領域においてアストログリオーシスの期間を引き起こし、外因性NeuroD1を提供することは、アストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の第1の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、第1の治療時間後で、かつアストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の第2の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。本開示の態様によれば、外因性NeuroD1は、第2の治療時間後で、かつアストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の第3の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に提供される。アストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の、外因性NeuroD1の投与を含む、第3の治療後の第4の治療時間における第4の治療、第4の治療後の第5の治療時間における第5の治療、同様に第6、第7、第8、第9、および第10、またはそれ以上の治療などの、4つ以上の治療が、任意選択的に提供される。
【0059】
対象におけるTBIを治療する療法の組み合わせは、本開示の態様に従って投与される。
【0060】
特定の態様によれば、TBIの治療を必要とする個々の対象におけるTBIを治療するために対象に投与される追加の薬学的薬剤または治療的処置は、頭蓋骨骨折の修復、血栓の除去、頭蓋骨内の圧力の軽減、1つ以上の抗炎症剤の投与、1つ以上の抗不安剤の投与、および1つ以上の抗凝固剤の投与、1つ以上の抗けいれん剤の投与、1つ以上の抗うつ薬の投与、1つ以上の筋弛緩剤の投与、理学療法、言語療法、および認知療法などの治療を含むが、これらに限定されない。
【0061】
本開示の態様によれば、NeuroD1治療は、医学的検査によって診断および/または評価されるようなTBIを有する対象に投与される。本明細書で使用される場合、「医学的検査」という用語は、神経学的検査および身体的検査を含む、推定TBIについて対象を診断または評価するのに有効な対象の任意の検査を指す。
【0062】
本開示の態様によれば、医学的検査は、画像化技法および/または電気生理学的技法を含み、NeuroD1治療は、画像化技法および/または電気生理学的技法によって診断および/または評価されるようなTBIを有する対象に投与される。
【0063】
脳波記録法(EEG)などの電気生理学的技法を使用して、TBIに起因するニューロンの細胞死または損傷によって引き起こされる神経発火の機能的変化を評価することができる。
【0064】
磁気共鳴画像法(MRI)、fMRI、近赤外線分光法、位置放出断層撮影(PET)スキャン、コンピュータ断層撮影(CAT)スキャン、および超音波などの画像化技法を使用して、TBIに起因するニューロンの細胞死または損傷によって引き起こされる構造的および/または機能的変化を評価することができる。
【0065】
本開示の態様によれば、TBIに起因する非機能的ニューロンの存在は、fMRIなどの機能アッセイによって検出される。
【0066】
「fMRI」という用語は、関連する血流の変化を検出することによって脳活動を検出し、測定する画像化手順である機能的磁気共鳴画像法を指す。
【0067】
医学的検査の方法は、対象におけるTBIを診断および/または評価するために、単独で、または任意の組み合わせで使用され得る。
【0068】
さらに、対象におけるTBIのNeuroD1治療の有効性を評価するために、医学的検査方法を単独で、または任意の組み合わせで使用し得る。
【0069】
本開示の態様によれば、対象のNeuroD1治療は、治療の進行および/または最終転帰を監視するために治療中または治療後に監視される。順調な機能的ニューロン統合および組織微小環境の回復のための治療後のアッセイは、正常な電気生理学、脳組織構造、およびニューロン機能の回復またはほぼ回復によって診断される。ニューロン機能をアッセイするための非侵襲的方法としては、EEGが挙げられる。ニューロン機能は、近赤外線分光法およびfMRIを介して非侵襲的にアッセイされ得る。
【0070】
脳組織構造をアッセイするための非侵襲的方法には、MRI、CATスキャン、PETスキャン、または超音波が含まれる。
【0071】
行動アッセイは、TBI後の脳機能の回復のための非侵襲的にアッセイするために使用され得る。行動アッセイは、TBIによって引き起こされる機能の喪失と一致する必要がある。例えば、TBIが麻痺を引き起こした場合、患者の可動性および四肢の器用さを試験する必要がある。TBIが発話の喪失または緩慢を引き起こした場合、話し言葉を介した患者のコミュニケーション能力をアッセイする必要がある。NeuroD1治療後の正常な挙動の回復は、効果的なニューロン回路の作製および統合に成功したことを示す。これらの方法を、単独でまたは任意の組み合わせで使用して、ニューロン機能および脳組織の健康についてアッセイし得る。NeuroD1での治療を評価するためのアッセイは、NeuroD1治療の1日後、2日後、3日後、1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後、またはそれ以降などの任意の時点で実施され得る。かかるアッセイは、必要に応じてベースライン比較を確立するために、NeuroD1治療の前に実施され得る。
【0072】
本開示による特定の態様では、NeuroD1は、対象が未治療であるか、またはグリア瘢痕が既に存在する場合、グリア瘢痕が発生する損傷部位の周辺に投与される。グリア瘢痕の位置は、組織の構造または機能をアッセイすることによって決定され得る。上述のように、TBIによって引き起こされる構造的および/または機能的変化をアッセイするための非侵襲的方法としては、MRI、fMRI、CATスキャン、または超音波が挙げられる。機能アッセイには、EEG記録および/またはfMRIが含まれ得る。
【0073】
本開示による特定の態様では、NeuroD1は、NeuroD1をコードする核酸配列を含有する発現ベクターとして投与される。本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸配列を含有する発現ベクターは、注射によって対象の脳内へ送達される。本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸配列を含有する発現ベクターは、定位注射によって対象の脳内へ送達される。
【0074】
本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸を含むウイルスベクターは、対象の中枢または末梢神経組織への注射によって送達される。本開示の態様によれば、中枢または末梢神経組織への注射は、脳内注射、脊髄注射、脳脊髄液への注射、および末梢神経節への注射からなる群から選択される。代替的なウイルス送達方法としては、静脈内注射、鼻腔内注射、筋肉内注射、髄腔内注射、および腹腔内注射が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸を含むウイルスベクターは、対象の脳内への注射によって送達される。本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸を含むウイルスベクターは、対象の脳内への定位注射によって送達される。
【0076】
神経学的状態の治療を必要とする対象における神経学的状態を治療するための方法および組成物は、本開示の態様に従って提供され、それらの方法および組成物は、NeuroD1をコードする核酸を含むウイルスベクターを提供することと、ウイルスベクターを対象の脳に送達し、それによって、ウイルスベクターが、脳のグリア細胞に感染して感染したグリア細胞を産生し、そしてそれによって、外因性NeuroD1が、治療有効レベルで感染したグリア細胞において発現されることとを含み、感染した細胞におけるNeuroD1の発現は、TBIを有する未治療の対象と比較して、TBIを有する対象におけるより多くの数の機能的ニューロンをもたらし、それによってTBIが治療される。新たな機能的ニューロンの生成に加えて、反応性グリア細胞の数が低減し、放出される神経阻害因子の減少、神経炎症の減少、均一にも分布するより多くの血管をもたらし、それによって、局所環境がニューロン成長または軸索浸透に対してより寛容になり、したがって、TBIの少なくとも1つの徴候および/または症状が緩和される。
【0077】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、本開示の態様による方法において特に有用であり、注射部位で分裂細胞および非分裂細胞の両方に感染する。AAVは、パルボウイルス科ファミリーのssDNA動物ウイルスの遍在的で、非細胞障害性で、複製能のないメンバーである。本明細書で使用される場合、「AAVベクター」は、DNAベクター構築物とともにパッケージ化されたAAVを指す。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAVベクター血清型1、AAVベクター血清型2、AAVベクター血清型3、AAVベクター血清型4、AAVベクター血清型5、AAVベクター血清型6、AAVベクター血清型7、AAVベクター血清型8、AAVベクター血清型9、AAVベクター血清型10、AAVベクター血清型11、およびAAVベクター血清型12からなる群から選択される。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型2、AAV血清型5、およびAAV血清型9からなる群から選択される。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型1である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型2である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型3である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型4である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型5である。一態様において、本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型6である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型7である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型8である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型9である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型10である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型11である。本開示の態様によれば、AAVベクターは、AAV血清型12である。
【0078】
「FLEX」スイッチアプローチを使用して、本開示の態様に従って、感染細胞においてNeuroD1を発現する。「FLEX」および「フリップ切除(flip-excision)」という用語は、2対の異型で反平行のloxP型組換え部位が、逆向きNeuroD1コード配列のいずれかの側に配置され、それは最初にコード配列の反転を受け、続いて2つの部位の切除を受け、各直交組換え部位のうちの1つが反対方向に向けられ、さらなる組換えを行うことができず、安定した反転を達成する方法を示すために互換的に使用され、例えば、Schnutgen et al.,Nature Biotechnology 21:562-565,2003、およびAtasoy et al,J.Neurosci.,28:7025-7030,2008を参照されたい。グリア細胞特異的プロモーターの制御下にある部位特異的組換え酵素は、反応性星状細胞を含むグリア細胞において強く発現されるため、NeuroD1は、反応性星状細胞を含むグリア細胞においても発現されるだろう。次いで、NeuroD1の前の終止コドンが組換えから除去されるとき、構成的またはニューロン特異的プロモーターは、NeuroD1の高発現を駆動し、反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換できるようにする。
【0079】
本開示の特定の態様によれば、1)GFAPまたはS100bまたはAldh1L1などの星状細胞特異的プロモーターの転写制御下にある部位特異的組換え酵素をコードするDNA配列を含むアデノ随伴ウイルス発現ベクター、および2)遍在的(構成的)プロモーターまたはニューロン特異的プロモーターの転写制御下にあるNeuroD1をコードするDNA配列を含むアデノ随伴ウイルス発現ベクターの投与によって、NeuroD1の投与を必要とする対象へNeuroD1が投与され、部位特異的組換え酵素がNeuroD1をコードする逆向きDNA配列を逆向きにすることによってNeuroD1の発現が可能になるまで、NeuroD1をコードするDNA配列は、逆向きであり、NeuroD1の発現に対して誤った方向である。
【0080】
部位特異的組換え酵素およびそれらの認識部位には、例えば、認識部位loxPおよびlox2272部位、もしくはFLP-FRT組換え、またはそれらの組み合わせとともに、Cre組換え酵素が含まれる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「AAV粒子」という用語は、その核酸ゲノムを細胞に伝達するAAVウイルスのパッケージ化されたキャプシド形態を指す。
【0082】
最適な感染を達成するために、1010~1014個のAAV粒子/mlの濃度、1~1000μlの体積を、0.1~5.0μl/分の制御された流速で注射する。本開示の態様によれば、1010個のAAV粒子/mL~1011個のAAV粒子/mL、1010個のAAV粒子/mL~1012個のAAV粒子/mL、1010個のAAV粒子/mL~1013個のAAV粒子/mL、1011個のAAV粒子/mL~1012個のAAV粒子/mL、1011個のAAV粒子/mL~1013個のAAV粒子/mL、1011個のAAV粒子/mL~1014個のAAV粒子/mL、1012個のAAV粒子/mL~1013個のAAV粒子/mL、1012個のAAV粒子/mL~1014個のAAV粒子/mL、または1013個のAAV粒子/mL~1014個のAAV粒子/mLの濃度が注射される。本開示の態様によれば、AAV粒子は、1μL~100μL、1μL~200μL、1μL~300μL、100μL~200μL、100μL~300μL、100μL~400μL、200μL~300μL、200μL~400μL、200μL~500μL、300μL~400μL、300μL~500μL、300μL~600μL、400μL~500μL、400μL~600μL、400uL~700μL、500μL~600μL、500μL~700μL、500μL~800μL、600μL~700μL、600μL~800μL、600μL~900μL、700μL~800μL、700μL~900μL、700μL~1000μL、800μL~900μL、800μL~1000μL、または900μL~1000μLの体積で注射される。本開示の態様によれば、流速は、0.1μL/分~0.2μL/分、0.1μL/分~0.3μL/分、0.1μL/分~0.4μL/分、0.2μL/分~0.3μL/分、0.2μL/分~0.4μL/分、0.2μL/分~0.5μL/分、0.3μL/分~0.4μL/分、0.3μL/分~0.5μL/分、0.3μL/分~0.6μL/分、0.4μL/分~0.5μL/分、0.4μL/分~0.6μL/分、0.4μL/分~0.7μL/分、0.5μL/分~0.6μL/分、0.5μL/分~0.7μL/分、0.5μL/分~0.8μL/分、0.6μL/分~0.7μL/分、0.6μL/分~0.8μL/分、0.6μL/分~0.9μL/分、0.7μL/分~0.8μL/分、0.7μL/分~0.9μL/分、0.7μL/分~1.0μL/分、0.8μL/分~0.9μL/分、0.8μL/分~1.0μL/分、0.8μL/分~1.1μL/分、0.9μL/分~1.0μL/分、0.9μL/分~1.1μL/分、0.9μL/分~1.2μL/分、1.0μL/分~1.1μL/分、1.0μL/分~1.2μL/分、1.0μL/分~1.3μL/分、1.1μL/分~1.2μL/分、1.1μL/分~1.3μL/分、1.1μL/分~1.4μL/分、1.2μL/分~1.3μL/分、1.2μL/分~1.4μL/分、1.2μL/分~1.5μL/分、1.3μL/分~1.4μL/分、1.3μL/分~1.5μL/分、1.3μL/分~1.6μL/分、1.4μL/分~1.5μL/分、1.4μL/分~1.6μL/分、1.4μL/分~1.7μL/分、1.5μL/分~1.6μL/分、1.5μL/分~1.7μL/分、1.5μL/分~1.8μL/分、1.6μL/分~1.7μL/分、1.6μL/分~1.8μL/分、1.6μL/分~1.9μL/分、1.7μL/分~1.8μL/分、1.7μL/分~1.9μL/分、1.7μL/分~2.0μL/分、1.8μL/分~1.9μL/分、1.8μL/分~2.0μL/分、1.8μL/分~2.1μL/分、1.9μL/分~2.0μL/分、1.9μL/分~2.1μL/分、1.9μL/分~2.2μL/分、2.0μL/分~2.1μL/分、2.0μL/分~2.2μL/分、2.0μL/分~2.3μL/分、2.1μL/分~2.2μL/分、2.1μL/分~2.3μL/分、2.1μL/分~2.4μL/分、2.2μL/分~2.3μL/分、2.2μL/分~2.4μL/分、2.2μL/分~2.5μL/分、2.3μL/分~2.4μL/分、2.3μL/分~2.5μL/分、2.3μL/分~2.6μL/分、2.4μL/分~2.5μL/分、2.4μL/分~2.6μL/分、2.4μL/分~2.7μL/分、2.5μL/分~2.6μL/分、2.5μL/分~2.7μL/分、2.5μL/分~2.8μL/分、2.6μL/分~2.7μL/分、2.6μL/分~2.8μL/分、2.6μL/分~2.9μL/分、2.7μL/分~2.8μL/分、2.7μL/分~2.9μL/分、2.7μL/分~3.0μL/分、2.8μL/分~2.9μL/分、2.8μL/分~3.0μL/分、2.8μL/分~3.1μL/分、2.9μL/分~3.0μL/分、2.9μL/分~3.1μL/分、2.9μL/分~3.2μL/分、3.0μL/分~3.1μL/分、3.0μL/分~3.2μL/分、3.0μL/分~3.3μL/分、3.1μL/分~3.2μL/分、3.1μL/分~3.3μL/分、3.1μL/分~3.4μL/分、3.2μL/分~3.3μL/分、3.2μL/分~3.4μL/分、3.2μL/分~3.5μL/分、3.3μL/分~3.4μL/分、3.3μL/分~3.5μL/分、3.3μL/分~3.6μL/分、3.4μL/分~3.5μL/分、3.4μL/分~3.6μL/分、3.4μL/分~3.7μL/分、3.5μL/分~3.6μL/分、3.5μL/分~3.7μL/分、3.5μL/分~3.8μL/分、3.6μL/分~3.7μL/分、3.6μL/分~3.8μL/分、3.6μL/分~3.9μL/分、3.7μL/分~3.8μL/分、3.7μL/分~3.9μL/分、3.7μL/分~4.0μL/分、3.8μL/分~3.9μL/分、3.8μL/分~4.0μL/分、3.8μL/分~4.1μL/分、3.9μL/分~4.0μL/分、3.9μL/分~4.1μL/分、3.9μL/分~4.2μL/分、4.0μL/分~4.1μL/分、4.0μL/分~4.2μL/分、4.0μL/分~4.3μL/分、4.1μL/分~4.2μL/分、4.1μL/分~4.3μL/分、4.1μL/分~4.4μL/分、4.2μL/分~4.3μL/分、4.2μL/分~4.4μL/分、4.2μL/分~4.5μL/分、4.3μL/分~4.4μL/分、4.3μL/分~4.5μL/分、4.3μL/分~4.6μL/分、4.4μL/分~4.5μL/分、4.4μL/分~4.6μL/分、4.4μL/分~4.7μL/分、4.5μL/分~4.6μL/分、4.5μL/分~4.7μL/分、4.5μL/分~4.8μL/分、4.6μL/分~4.7μL/分、4.6μL/分~4.8μL/分、4.6μL/分~4.9μL/分、4.7μL/分~4.8μL/分、4.7μL/分~4.9μL/分、4.7μL/分~5.0μL/分、4.8μL/分~4.9μL/分、4.8μL/分~5.0μL/分、または4.9μL/分~5.0μL/分である。
【0083】
本開示の態様によれば、遍在的(構成的)プロモーターまたはニューロン特異的プロモーターの転写制御下にあるNeuroD1をコードする核酸を含むAAVベクターは、部位特異的組換え酵素がNeuroD1をコードする逆向きDNA配列を逆向きにすることによってNeuroD1の発現が可能になるまで、NeuroD1をコードするDNA配列は、逆向きであり、NeuroD1の発現に対して誤った方向であり、さらに部位特異的組換え酵素による組換え酵素活性のための部位を含み、部位特異的組換え酵素をコードするAAVとともに、対象の脳内への定位注射によって送達される。
【0084】
本開示の態様によれば、遍在的(構成的)プロモーターまたはニューロン特異的プロモーターの転写制御下にあるNeuroD1をコードする核酸を含むAAVベクターは、部位特異的組換え酵素がNeuroD1をコードする逆向きDNA配列を逆向きにすることによってNeuroD1の発現が可能になるまで、NeuroD1をコードするDNA配列は、逆向きであり、NeuroD1の発現に対して誤った方向であり、さらに部位特異的組換え酵素による組換え酵素活性のための部位を含み、本開示の態様に従って、中枢神経系(CNS)の正常な血流の途絶の領域または部位において、部位特異的組換え酵素をコードするアデノ随伴ウイルスとともに、対象の脳内への定位注射によって送達される。任意選択的に、定位注射の部位は、CNSにおける正常な血流の途絶によって引き起こされるグリア瘢痕内またはその近くである。
【0085】
本開示の態様によれば、組成物は、部位特異的組換え酵素をコードする核酸に作動可能に連結したグリア細胞特異的プロモーターを含む第1の組換え発現ベクターと、NeuroD1をコードする核酸配列、レポーター遺伝子をコードする核酸配列、エンハンサー、および調節要素に作動可能に連結したプロモーターを含む第2の組換え発現ベクターとを含む。
【0086】
本開示の態様によれば、組成物は、部位特異的組換え酵素をコードする核酸に作動可能に連結したグリア細胞特異的プロモーターを含む第1の組換えAAV発現ベクターと、NeuroD1をコードする核酸配列、レポーター遺伝子をコードする核酸配列、エンハンサー、および調節要素に作動可能に連結したプロモーターを含む第2の組換えAAV発現ベクターとを含む。
【0087】
本開示の態様によれば、部位特異的組換え酵素は、Cre組換え酵素であり、組換え酵素活性のための部位は、認識部位loxPおよびlox2272部位である。
【0088】
「NeuroD1」という用語は、配列番号2として、ここで同定されるヒトNeuroD1タンパク質、および配列番号4として、ここで同定されるマウスNeuroD1タンパク質を包含する。配列番号2および配列番号4のNeuroD1タンパク質に加えて、「NeuroD1」という用語は、本開示の方法および組成物に含まれ得る、配列番号2および配列番号4のバリアントなどのNeuroD1タンパク質のバリアントを包含する。本明細書で使用される場合、「バリアント」という用語は、天然に生じる遺伝的バリエーションおよび組換え調製されたバリエーションを指し、その各々は、例えば、配列番号2または配列番号4などの参照NeuroD1タンパク質と比較して、そのアミノ酸配列の1つ以上の変化を含有し、バリアントは、参照タンパク質の機能的特性を保持する。かかる変化には、1つ以上のアミノ酸残基がアミノ酸置換、付加または欠失によって修飾されているものが含まれる。「バリアント」という用語は、例えば、非ヒト霊長類、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタ、トリ、家禽、ならびにマウスおよびラットを含むがこれらに限定されないげっ歯類由来のNeuroD1オーソログなどの、しかしこれらに限定されない、哺乳動物およびトリNeuroD1を含むヒトNeuroD1オーソログを包含する。非限定的な例では、アミノ酸配列番号4として本明細書に例示されるマウスNeuroD1は、ヒトNeuroD1のオーソログである。
【0089】
好ましいバリアントは、配列番号2または配列番号4と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、バリアントは、参照タンパク質の機能的特性を保持する。
【0090】
変異は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介性変異誘発などの標準的な分子生物学的技法を使用して導入することができる。当業者は、NeuroD1タンパク質の機能的特性を変化させることなく、1つ以上のアミノ酸変異を導入することができることを認識するであろう。例えば、配列番号2または4のNeuroD1タンパク質の機能的特性を変化させることなく、1つ以上のアミノ酸置換、付加、または欠失を行うことができる。
【0091】
NeuroD1タンパク質バリアントを産生するために保存的アミノ酸置換をNeuroD1タンパク質において行うことができ、バリアントは、参照タンパク質の機能的特性を保持する。保存的アミノ酸置換は、同様の特徴を有する別のアミノ酸に対する1つのアミノ酸の当該技術分野で認められた置換である。例えば、各アミノ酸は、以下の、正電荷、負電荷、脂肪族、芳香族、極性、疎水性、および親水性の特徴のうちの1つ以上を有すると説明され得る。保存的置換は、同じ特徴を有する別のアミノ酸に対する特定の構造的または機能的特徴を有する1つのアミノ酸の置換である。酸性アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ、塩基性アミノ酸には、ヒスチジン、リジン、およびアルギニンが含まれ、脂肪族アミノ酸には、イソロイシン、ロイシン、およびバリンが含まれ、芳香族アミノ酸には、フェニルアラニン、グリシン、チロシン、およびトリプトファンが含まれ、極性アミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、およびチロシンが含まれ、疎水性アミノ酸には、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、バリン、およびトリプトファンが含まれ、保存的置換には、各群内のアミノ酸間の置換が含まれる。アミノ酸はまた、相対サイズの観点から記載されてもよく、アラニン、システイン、アスパラギン酸塩、グリシン、アスパラギン、プロリン、スレオニン、セリン、バリンは、すべて典型的には小さいとみなされる。
【0092】
NeuroD1バリアントは、合成アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体、および/または非標準アミノ酸を含むことができ、例示的に、α-アミノ酪酸、シトルリン、カナバニン、シアノアラニン、ジアミノ酪酸、ジアミノピメリン酸、ジヒドロキシ-フェニルアラニン、ジエンコル酸、ホモアルギニン、ヒドロキシプロリン、ノルロイシン、ノルバリン、3-ホスホセリン、ホモセリン、5-ヒドロキシトリプトファン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、およびオルニチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性のパーセントを決定するために、配列が最適な比較の目的のためにアライメントされる(例えば、第2のアミノ酸または核酸配列との最適アライメントのために第1のアミノ酸の配列または核酸配列にギャップを導入することができる)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されている場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性のパーセントは、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性の%=同一の重複した位置の数/位置の総数×100%)。一実施形態では、2つの配列は、同じ長さである。
【0094】
2つの配列間の同一性のパーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin and Altschul,1993,PNAS.90:5873 5877のように修正されたKarlin and Altschul,1990,PNAS 87:2264 2268のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。本開示の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、例えば、スコア=100、ワード長=12にセットされたNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータを用いて、BLASTヌクレオチド検索が実施される。
【0095】
本開示のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るために、例えば、スコア=50、ワード長=3にセットされたXBLASTプログラムパラメータを用いて、BLASTタンパク質検索が実施される。比較の目的のためのギャップ付きのアライメントを得るために、Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389 3402に記載のギャップ付きBLASTを利用する。代替的に、PSI BLASTを使用して、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施する。BLAST、ギャップ付きBLAST、およびPSI BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムの(例えば、XBLASTおよびNBLASTの)既定値パラメータが使用される(例えば、NCBIウェブサイトを参照されたい)。
【0096】
配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、Myers and Miller,1988,CABIOS 4:11 17のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティが使用される。
【0097】
2つの配列間の同一性のパーセントは、ギャップを許容してまたはギャップを許容することなく、上述の技法と同様の技法を使用して決定される。同一性のパーセントを計算では、典型的には、正確な一致のみが計数される。
【0098】
「NeuroD1タンパク質」という用語は、本開示の方法および組成物において作動可能な、配列番号2および4の断片などのNeuroD1タンパク質の断片、ならびにそれらのバリアントを包含する。
【0099】
NeuroD1タンパク質および核酸は、NeuroD1を発現する生物の脳または細胞株の細胞などの天然供給源から単離され得る。代替的に、NeuroD1タンパク質または核酸は、発現構築物を使用した発現などによって、インビトロまたはインビボで組み換えて生成され得る。NeuroD1タンパク質および核酸はまた、周知の方法によって合成され得る。
【0100】
本開示の方法および組成物に含まれるNeuroD1は、好ましくは、組換え核酸技術を使用して産生される。組換えNeuroD1の産生は、インビトロまたはインビボで、NeuroD1をコードするDNA配列またはRNA配列などの核酸配列を包含する組換え発現ベクターを宿主細胞内に導入することを含む。
【0101】
NeuroD1をコードする核酸配列を、宿主細胞に導入して、配列番号2、配列番号4、またはそのバリアントをコードする本開示の実施形態によるNeuroD1を産生する。
【0102】
本開示の態様によれば、配列番号1として本明細書で同定される核酸配列は、配列番号2をコードし、発現ベクターに含まれ、発現してNeuroD1を産生する。本開示の態様によれば、配列番号3として本明細書で同定される核酸配列は、配列番号4をコードし、発現ベクターに含まれ、発現してNeuroD1を産生する。
【0103】
遺伝子コードの縮重性質に起因して、配列番号1および3と実質的に同一の核酸配列は、NeuroD1およびNeuroD1のバリアントをコードし、かかる代替の核酸は、発現ベクターに含まれてもよく、発現してNeuroD1およびNeuroD1のバリアントを産生し得ることが理解される。当業者は、NeuroD1タンパク質の断片を産生するために、NeuroD1タンパク質をコードする核酸の断片を使用することができることを理解するであろう。
【0104】
「発現ベクター」という用語は、NeuroD1をコードする核酸を、インビトロまたはインビボで宿主細胞に導入するための組換えビヒクルを指し、核酸は発現されて、NeuroD1を産生する。
【0105】
本開示の態様によれば、配列番号1もしくは3、または配列番号2もしくは配列番号4またはそれらのバリアントをコードする実質的に同一の核酸配列を含む発現ベクターを発現して、インビトロまたはインビボで発現ベクターを含有する細胞においてNeuroD1を産生する。「組換え」という用語は、2つ以上の核酸が連結されており、かつ天然では連結して見出されない核酸構築物を示すために使用される。発現ベクターには、プラスミド、ウイルス、BACおよびYACが含まれるが、これらに限定されない。特定のウイルス発現ベクターとしては、例示的に、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、およびレンチウイルスに由来するものが挙げられる。
【0106】
発現ベクターは、目的のポリペプチドをコードするセグメントの転写を提供する1つ以上の調節要素に作動可能に連結した目的のポリペプチドをコードするセグメントを含む核酸を含有する。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結した」という用語は、第2の核酸と機能的関係にある核酸を指す。「作動可能に連結した」という用語は、転写される核酸および調節要素などの2つ以上の核酸分子の機能的連結を包含する。本明細書で使用される場合、「調節要素」という用語は、作動可能に連結した核酸の発現のいくつかの態様を制御するヌクレオチド配列を指す。例示的な調節要素としては、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE)、内部リボソーム進入部位(IRES)または2Aドメインなどであるがこれらに限定されないエンハンサー、イントロン、複製起点、ポリアデニル化シグナル(PA)、プロモーター、転写終結配列、および上流調節ドメインが挙げられ、これらは、作動可能に連結した核酸配列の複製、転写、転写後プロセシングに寄与する。当業者であれば、日常的な実験のみで、発現ベクターにおいて、これらおよび他の調節要素を選択および使用することができる。
【0107】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」という用語は、NeuroD1をコードする核酸配列などの転写される核酸配列に作動可能に連結されたDNA配列を指す。プロモーターは、概して、転写される核酸配列の上流に位置付けられ、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子による特異的結合のための部位を提供する。特定の実施形態では、プロモーターは、概して、所望の分子を産生するために転写される核酸配列の上流に配置され、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子による特異的結合のための部位を提供する。
【0108】
当業者によって認識されるように、遺伝子の5’非コード領域を単離し、作動可能に連結した核酸の発現を駆動するために、その全体をプロモーターとして使用することができる。代替的に、5’非コード領域の一部分を単離し、作動可能に連結した核酸の発現を駆動するために使用することができる。概して、作動可能に連結した核酸の発現を駆動するために、遺伝子の5’非コード領域の約500~6000bpを使用する。任意選択的に、作動可能に連結した核酸の発現を駆動するのに必要な最小量の5’非コード領域を含有する遺伝子の5’非コード領域の一部分を使用する。遺伝子の5’非コード領域の指定された部分の、作動可能に連結した核酸の発現を駆動する能力を決定するためのアッセイは、当該技術分野で周知である。
【0109】
本開示の方法によるNeuroD1の発現を駆動するために使用される特定のプロモーターは、インビトロまたはインビボで、発現ベクターが移入される多くの、ほとんどの、またはすべての細胞型における発現を駆動する「遍在的」または「構成的」プロモーターである。NeuroD1の発現に使用することができる遍在的プロモーターの非限定的な例は、サイトメガロウイルスプロモーター、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、ベータアクチンプロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコース調節タンパク質78プロモーター、グルコース調節タンパク質94プロモーター、熱ショックタンパク質70プロモーター、ベータキネシンプロモーター、ROSAプロモーター、ユビキチンBプロモーター、真核生物開始因子4A1プロモーター、および伸長因子Iプロモーターであり、これらはすべて当該技術分野で周知であり、日常的な方法論を使用して一次供給源から単離することができるか、または商業的供給源から得ることができる。プロモーターは、単一の遺伝子に完全に由来することができるか、または2つ以上の遺伝子に由来する部分を有するキメラとすることができる。
【0110】
調節配列の組み合わせは、発現ベクターに含まれ得、NeuroD1の発現を駆動するために使用され得る。NeuroD1の発現を駆動するための発現ベクターに含まれる非限定的な例は、サイトメガロウイルスCMV初期エンハンサー要素、ニワトリベータアクチンプロモーター、およびウサギベータグロビン遺伝子のスプライスアクセプターを組み合わせたCAGプロモーターである。
【0111】
本明細書に記載の方法によるNeuroD1の発現を駆動するために使用される特定のプロモーターは、グリア細胞、特に星状細胞および/またはNG2細胞において優先的に発現を駆動するものである。かかるプロモーターは、「星状細胞特異的」および/または「NG2細胞特異的」プロモーターと称される。
【0112】
星状細胞特異的プロモーターの非限定的な例は、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーターおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリー、メンバーL1(Aldh1L1)プロモーターである。ヒトGFAPプロモーターは、配列番号6として本明細書に示されている。マウスAldh1L1プロモーターは、配列番号7として本明細書に示されている。
【0113】
NG2細胞特異的プロモーターの非限定的な例としては、ニューロングリア抗原2(NG2)としても既知であるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン4遺伝子のプロモーターである。ヒトNG2プロモーターは、配列番号8として本明細書に示されている。
【0114】
本明細書に記載の方法によるNeuroD1の発現を駆動するために使用される特定のプロモーターは、反応性グリア細胞において優先的に発現を駆動するものである。反応性グリア細胞の非限定的な例としては、反応性星状細胞および反応性NG2細胞が挙げられる。本開示の態様によれば、反応性グリア細胞は、反応性星状細胞である。本開示の態様によれば、反応性グリア細胞は、反応性NG2細胞である。本開示の態様によれば、NeuroD1の発現を駆動するために使用されるプロモーターは、「反応性星状細胞特異的」プロモーターと称される。本開示の態様によれば、NeuroD1の発現を駆動するために使用されるプロモーターは、「反応性NG2細胞特異的」プロモーターと称される。「反応性星状細胞特異的」プロモーターの非限定的な例は、リポカリン2(lcn2)遺伝子のプロモーターである。マウスlcn2プロモーターは、配列番号5として本明細書に示されている。
【0115】
遍在的および細胞型特異的プロモーターの相同体およびバリアントを、NeuroD1の発現に使用し得る。
【0116】
本開示によるNeuroD1を発現するための発現ベクターに、プロモーター相同体およびプロモーターバリアントを含むことができる。「プロモーター相同体」および「プロモーターバリアント」という用語は、本明細書に開示されるものと比較して、NeuroD1をコードする作動可能に連結した核酸上でNeuroD1の細胞型特異的発現、またはNeuroD1の遍在的発現など、所望の型の発現を付与するために実質的に同様の機能的特性を有するプロモーターを指す。例えば、プロモーター相同体またはバリアントは、GFAP、S100b、Aldh1L1、NG2、lcn2およびCAGプロモーターと比較して、NeuroD1をコードする作動可能に連結した核酸に対して細胞型特異的発現を付与するための実質的に同様の機能的特性を有する。
【0117】
当業者は、所与のプロモーターの機能的特性を変更することなく、1つ以上の核酸変異を導入することができることを認識するであろう。変異は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介性変異誘発などの標準の分子生物学の技法を使用して導入されて、プロモーターバリアントを産生することができる。本明細書で使用される場合、「プロモーターバリアント」という用語は、単離された天然に生じるか、またはGFAP、S100b、Aldh1L1、NG2、lcn2、およびpCAGプロモーターなどであるがこれらに限定されない、参照プロモーターの組換え調製されたバリエーションのいずれかを指す。
【0118】
他の種由来のプロモーターが機能的であることが当該技術分野で既知であり、例えば、マウスAldh1L1プロモーターは、ヒト細胞において機能的である。他の種由来の相同体および相同プロモーターは、当該技術分野で既知のバイオインフォマティクスツールを使用して同定することができ、例えば、Xuan et al.,2005,Genome Biol 6:R72、Zhao et al.,2005,Nucl Acid Res 33:D103-107、およびHalees et al.2003,Nucl.Acids.Res.2003 31:3554-3559を参照されたい。
【0119】
構造的に、NeuroD1の細胞型特異的プロモーターおよび/または遍在的プロモーターの相同体およびバリアントは、参照の発達的に調節された、および/または遍在的プロモーターと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の核酸配列同一性を有し、RNAポリメラーゼの結合部位、および任意選択的に、転写因子のための1つ以上の結合部位を含む。
【0120】
配列番号1または配列番号3と実質的に同一である核酸配列は、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1または配列番号3にハイブリダイゼーション可能な相補的な核酸配列を有するとして特徴付けられる。
【0121】
NeuroD1をコードする1つ以上の核酸に加えて、追加のタンパク質をコードする1つ以上の核酸配列が、発現ベクターに含まれ得る。例えば、かかる追加のタンパク質には、ベータガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、および抗生物質耐性レポーターを含むが、これらに限定されない、レポーターなどの非NeuroD1タンパク質が含まれる。
【0122】
本開示の態様によれば、組換え発現ベクターは、少なくとも配列番号2のNeuroD1、配列番号2と少なくとも95%の同一性を有するタンパク質、または配列番号1と実質的に同一の核酸配列によってコードされるタンパク質をコードする。
【0123】
本開示の態様によれば、組換え発現ベクターは、少なくとも配列番号4のNeuroD1、配列番号4と少なくとも95%の同一性を有するタンパク質、または配列番号2と実質的に同一の核酸配列によってコードされるタンパク質をコードする。
【0124】
任意選択的に、レポーター遺伝子は、NeuroD1をコードする組換え発現ベクターに含まれる。レポーター遺伝子は、組換え発現ベクターからのNeuroD1の発現のための代理マーカーとして機能するペプチドまたはタンパク質を産生するために含まれ得る。本明細書で使用される場合、「レポーター遺伝子」という用語は、発現した場合、例えば、化学発光、蛍光、比色反応、抗体結合、誘導性マーカー、および/またはリガンド結合アッセイによって容易に検出可能な遺伝子を指す。例示的なレポーター遺伝子としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、増強黄色蛍光タンパク質(EYFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、増強シアン蛍光タンパク質(ECFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、増強青色蛍光タンパク質(EBFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、MmGFP(Zernicka-Goetz et al.,Development,124:1133-1137,1997、dsRed、ルシフェラーゼ、およびベータガラクトシダーゼ(lacZ)が挙げられるが、これらに限定されない。mCherryは、本開示の態様によるレポーターとして使用されるdsRedに由来する単量体赤色蛍光タンパク質である。
【0125】
本開示の態様によれば、配列番号9は、NeuroD1をコードする核酸に作動可能に連結したCAGプロモーター、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードする核酸配列、エンハンサー、ウッドチャック肝炎転写後調節要素(WPRE)およびaを含む核酸の例である。NeuroD1をコードする核酸およびEGFPをコードする核酸を分離するIRES。
【0126】
本開示の態様によれば、配列番号9は、NeuroD1およびレポーター遺伝子EGFPの発現のための発現ベクター内に挿入される。
【0127】
任意選択的に、本開示の態様によれば、IRESおよびEGFPをコードする核酸は、配列番号9から除去され、CAGプロモーターおよびNeuroD1をコードする作動可能に連結した核酸を含む残りの核酸配列は、NeuroD1の発現のための発現ベクター内に挿入される。WPREまたは別のエンハンサーは、任意選択的に含まれる。
【0128】
例えば、宿主細胞内の遺伝子材料によってコードされる所望のタンパク質の一過性または安定な発現のためなどの、遺伝子材料をレシピエント宿主細胞に導入するプロセスは、「トランスフェクション」または「形質導入」と称される。トランスフェクション技法は、当該技術分野で周知であり、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」技術としても既知である粒子加速形質転換、リポソーム媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿媒介性トランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、マイクロインジェクション、ポリエチレングリコール媒介性トランスフェクション、および熱ショック媒介性トランスフェクションが含まれるが、これらに限定されない。形質導入は、レシピエント宿主細胞内への遺伝物質のウイルス媒介性導入を指す。
【0129】
ウイルス媒介性形質導入は、アデノウイルス、AAVおよびレンチウイルスに由来するものなどのウイルスベクターを使用して達成され得る。
【0130】
任意選択的に、宿主細胞をエクスビボでトランスフェクションまたは形質導入し、次いで宿主生物内に再導入する。例えば、細胞または組織を対象から取り出し、NeuroD1をコードする発現ベクターでトランスフェクションまたは形質導入し、次いで対象に戻してもよい。
【0131】
宿主グリア細胞において外因性NeuroD1を発現してグリア細胞を機能的ニューロンに変換するための、NeuroD1またはその機能的断片をコードする核酸を含む、組換え発現ベクターのインビトロまたはインビボでの宿主グリア細胞内への導入は、様々なトランスフェクションまたは形質導入方法論のうちのいずれかによって達成される。
【0132】
本開示の態様によれば、グリア細胞を機能的ニューロンに変換するための宿主グリア細胞における外因性NeuroD1の発現は、インビトロまたはインビボで宿主グリア細胞にNeuroD1またはその機能的断片をコードするmRNAを導入することによって達成される。
【0133】
本開示の態様によれば、グリア細胞を機能的ニューロンに変換するための宿主グリア細胞における外因性NeuroD1の発現は、インビトロまたはインビボで宿主グリア細胞にNeuroD1またはその機能的断片をコードするDNAを導入することによって達成される。
【0134】
本開示の態様によれば、グリア細胞を機能的ニューロンに変換するための宿主グリア細胞における外因性NeuroD1の発現は、インビトロまたはインビボで宿主グリア細胞にNeuroD1タンパク質を導入することによって達成される。
【0135】
これらおよび他の技術の詳細は、例えば、J.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;3rd Ed.,2001、F.M.Ausubel,Ed.,Short Protocols in Molecular Biology,Current Protocols;5th Ed.,2002、およびEngelke,D.R.,RNA Interference(RNAi):Nuts and Bolts of RNAi Technology,DNA Press LLC,Eagleville,PA,2003に記載されるように、当該技術分野で既知である。
【0136】
組換え発現ベクターを使用したNeuroD1の発現は、当該技術分野で認識される昆虫細胞、哺乳動物細胞、酵母細胞、細菌細胞、または任意の他の単一または多細胞生物などの真核または原核宿主細胞発現系に発現ベクターを導入することによって達成される。宿主細胞は、任意選択的に、初代細胞または不死化誘導体細胞である。不死化細胞は、少なくとも5回の複製継代の間、インビトロで維持することができるものである。
【0137】
組換え発現ベクターを含有する宿主細胞は、NeuroD1が産生される条件下で維持される。宿主細胞は、Celis,Julio,ed.,1994,Cell Biology Laboratory Handbook,Academic Press,N.Y.に記載されているような既知の細胞培養技法を使用して培養および維持され得る。特定の栄養素、酸素、張力、二酸化炭素、および低減した血清レベルに関する培地製剤を含む、これらの細胞の様々な培養条件を、当業者によって選択および最適化することができる。
【0138】
本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸を含む組換え発現ベクターを、対象のグリア細胞に導入する。グリア細胞における外因性NeuroD1の発現は、グリア細胞を機能的ニューロンに「変換する」。
【0139】
「変換する」および「変換された」という用語は、本明細書では、グリア細胞、特に、星状細胞または反応性星状細胞の表現型の場合の機能的ニューロンの表現型への変化をもたらす、グリア細胞におけるNeuroD1、そのバリアント、またはその機能的断片の発現の効果を説明するために使用される。同様に、「NeuroD1変換されたニューロン」、および「変換されたニューロン」という語句は、本明細書では、結果として生じる機能的ニューロンの表現型を有する外因性NeuroD1タンパク質またはその機能的断片を含む細胞を指定するために使用される。
【0140】
「表現型」という用語は、本明細書で言及される細胞の周知の検出可能な特徴を指す。機能的ニューロンの表現型は、ニューロンの形態、1つ以上のニューロンマーカーの発現、ニューロンの電気生理学的特徴、シナプス形成、および神経伝達物質の放出のうちの1つ以上であり得るが、これらに限定されない。例えば、ニューロン表現型は、樹状突起、軸索および樹状突起棘の存在などのニューロンの特徴的な形態学的態様;シナプス点におけるシナプスタンパク質の存在、樹状突起におけるMAP2の存在、神経核タンパク質(NeuN)、GABA、GAD67などのグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、フォークヘッドボックスG1(FoxG1)、、Tブレイン1(Tbr1)、Cux1、Ctip2、パルブアルブミン(PV)、カルレチニン(CR)、ニューロペプチドY(NPY)、およびソマトスタチン(SST)のうちの1つ以上の存在などの特徴的なニューロンタンパク質の発現および分布;ならびに自発的および誘発されるシナプス事象などの特徴的な電気生理学的徴候を包含するが、これらに限定されない。
【0141】
さらなる例では、星状細胞表現型および反応性星状細胞表現型などのグリア表現型は、概して「星の形状」の形態などの星状細胞および反応性星状細胞の特徴的な形態学的態様、ならびにグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)の存在などの特徴的な星状細胞および反応性星状細胞のタンパク質発現を包含するが、これらに限定されない。
【0142】
本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸、そのバリアント、またはその機能的断片を含む組換え発現ベクターを、対象の星状細胞内に導入する。星状細胞における外因性NeuroD1、そのバリアント、またはその機能的断片の発現は、星状細胞を機能的ニューロンに「変換する」。
【0143】
本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸、そのバリアント、またはその機能的断片、それのを含む組換え発現ベクターを、対象の反応性星状細胞内に導入する。反応性星状細胞における外因性NeuroD1、そのバリアント、またはその機能的断片の発現は、反応性星状細胞を機能的ニューロンに「変換する」。
【0144】
本開示の態様によれば、NeuroD1をコードする核酸、そのバリアント、またはその機能的断片を含む組換え発現ベクターを、対象のNG2細胞内に導入する。NG2細胞における外因性NeuroD1、そのバリアント、またはその機能的断片の発現は、NG2細胞を機能的ニューロンに「変換する」。
【0145】
NeuroD1、そのバリアント、もしくはその機能的断片をコードする核酸、NeuroD1、そのバリアント、もしくはその機能的断片をコードするDNA、NeuroD1、そのバリアント、もしくはその機能的断片をコードするmRNA、および/またはNeuroD1タンパク質、そのバリアント、その全長、もしくはその機能的断片を含む発現ベクターは、任意選択的に、インビトロまたはインビボで宿主細胞内に導入するための担体と会合する。
【0146】
特定の態様では、担体は、リポソーム、ミセル、単層、もしくは多層小胞を含む脂質粒子、ポリマー粒子(ヒドロゲル粒子、ポリグリコール酸粒子、もしくはポリ乳酸粒子など)、無機粒子(例えば、米国特許第5,648,097号に記載されるようなリン酸カルシウム粒子など)、および無機/有機粒子状担体(例えば、米国特許第6,630,486号に記載されるものなど)などの粒子状担体である。
【0147】
粒子状担体は、脂質粒子、ポリマー粒子、無機粒子、有機粒子、および無機/有機ハイブリッド粒子の中から選択することができる。粒子の種類の混合物はまた、粒子状の薬学的に許容可能な担体として含むことができる。
【0148】
粒子状担体は、典型的には、粒子が約1nm~10マイクロメートルの範囲の平均粒径を有するように製剤化される。特定の態様では、粒子状担体は、粒子が約1nm~100nmの範囲の平均粒径を有するように製剤化される。
【0149】
リポソームのさらなる説明およびそれらの調製および使用に関連する方法は、Liposomes:A Practical Approach(The Practical Approach Series,264),V.P.Torchilin and V.Weissig(Eds.),Oxford University Press;2nd ed.,2003に見出され得る。ナノ粒子のさらなる態様は、S.M.Moghimi et al.,FASEB J.2005,19,311-30に記載されている。
【0150】
外因性NeuroD1またはその機能的断片をコードする核酸を含む組換え発現ベクターの導入後の外因性NeuroD1の発現の検出は、NeuroD1を検出するためのイムノアッセイ、NeuroD1核酸を検出するための核酸アッセイ、および外因性NeuroD1と共発現するレポーター遺伝子の検出を含むが、これらに限定されない、様々な標準的方法論のうちのいずれかを使用して達成される。
【0151】
「核酸」という用語は、一本鎖、二本鎖、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドを含む任意の形態で2つ以上のヌクレオチドを有するRNAまたはDNA分子を指す。「ヌクレオチド配列」という用語は、核酸の一本鎖形態におけるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド中のヌクレオチドの順序を指す。
【0152】
「NeuroD1核酸」という用語は、単離されたNeuroD1核酸分子を指し、配列番号1もしくは配列番号3に記載のDNA配列、もしくはその相補体、もしくはその断片と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有する単離されたNeuroD1核酸、または高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1もしくは配列番号3に記載の核酸、もしくはその相補体、もしくはその断片とハイブリダイゼーションする配列を有する、RNAもしくはDNAなどの単離された核酸の分子を包含する。NeuroD1核酸分子に関して「単離された」という用語は、分子が、その位置にあるNeuroD1プロモーターの制御下で由来した生物のゲノム内にないことを示す。
【0153】
配列番号3の核酸は、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1に記載の核酸にハイブリダイゼーションする配列を有する単離されたDNA分子の例である。
【0154】
NeuroD1核酸の断片は、NeuroD1核酸を含む本開示の態様において作動可能なNeuroD1核酸の任意の断片である。
【0155】
mRNAまたはcDNAなどの標的NeuroD1のRNAまたはDNA分子にハイブリダイゼーションすることができる核酸プローブまたはプライマーは、NeuroD1タンパク質をコードするmRNAもしくはcDNAなどのRNAまたはDNAの検出および/または定量化に使用することができる。核酸プローブは、少なくとも10、15、30、50、または100ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドとすることができ、ストリンジェントな条件下で、mRNAもしくはcDNAなどのNeuroD1のRNAもしくはDNAまたはその相補配列に特異的にハイブリダイゼーションするのに十分とすることができる。核酸プライマーは、少なくとも、10、15、または20ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドとすることができ、ストリンジェントな条件下で、mRNAもしくはcDNAなどのRNAもしくはDNAまたはその相補配列に特異的にハイブリダイゼーションするのに十分とすることができる。
【0156】
「相補体」および「相補的」という用語は、ヌクレオチド間のワトソン-クリック塩基対合を指し、具体的には、2つの水素結合によるアデニン残基に連結されたチミンまたはウラシル残基、ならびに3つの水素結合によって連結されたシトシンおよびグアニン残基と互いに水素結合されたヌクレオチドを指す。概して、核酸は、特定の第2のヌクレオチド配列に対して、ある「パーセントの相補性」を有すると記載されるヌクレオチド配列を含む。例えば、ヌクレオチド配列は、特定の第2のヌクレオチド配列に対して80%、90%、または100%の相補性を有し得、これは、配列の10個のヌクレオチドのうち8個、10個のヌクレオチドのうち9個、または10個のヌクレオチドのうち10個が、特定の第2のヌクレオチド配列に対して相補的であることを示す。例えば、ヌクレオチド配列3’-TCGA-5’は、ヌクレオチド配列5’-AGCT-3’に100%相補的である。さらに、ヌクレオチド配列3’-TCGA-は、ヌクレオチド配列5’-TTAGCTGG-3’の領域に100%相補的である。
【0157】
「ハイブリダイゼーション」および「ハイブリダイゼーションする」という用語は、相補的核酸の対合および結合を指す。ハイブリダイゼーションは、当該技術分野で周知であるように、核酸の相補性の程度、核酸の融解温度、Tm、およびハイブリダイゼーション条件のストリンジェントさなどの要因に応じて、2つの核酸間で様々な程度に生じる。「ハイブリダイゼーション条件のストリンジェントさ」という用語は、ホルムアミドおよびデンハルト溶液などの特定の一般的な添加剤に関する、ハイブリダイゼーション媒体の温度、イオン強度、および組成の条件を指す。
【0158】
特定の核酸に関する特定のハイブリダイゼーション条件の決定は、日常的であり、例えば、J.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;3rd Ed.,2001、およびF.M.Ausubel,Ed.,Short Protocols in Molecular Biology,Current Protocols;5th Ed.,2002に記載されているように、当該技術分野で周知である。高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、実質的に相補的な核酸のハイブリダイゼーションのみを可能にする条件である。典型的には、約85~100%の相補性を有する核酸は、高度に相補的であるとみなされ、高ストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションする。中間ストリンジェントな条件は、中間の相補性である、約50~84%の相補性を有する核酸、および高い相補性を有する核酸がハイブリダイゼーションする条件によって例示される。対照的に、低ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、低い相補性を有する核酸がハイブリダイゼーションする条件である。
【0159】
「特異的ハイブリダイゼーション」および「特異的にハイブリダイゼーションする」という用語は、試料中の標的核酸以外の核酸への実質的なハイブリダイゼーションを伴わない、特定の核酸の標的核酸へのハイブリダイゼーションを指す。
【0160】
ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件のストリンジェントさは、当業者に周知のように、プローブおよび標的のTmならびにハイブリダイゼーションおよび洗浄条件のイオン強度を含むいくつかの要因に依存する。所望のハイブリダイゼーションのストリンジェントさを達成するためのハイブリダイゼーションおよび条件は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001、およびAusubel,F.et al.,(Eds.),Short Protocols in Molecular Biology,Wiley,2002に記載されている。
【0161】
高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、37℃で一晩、6×SSC、5×デンハルト溶液、30%ホルムアミド、および100マイクログラム/mLの変性サーモン精子を含有する溶液中での約100ヌクレオチド長にわたる核酸のハイブリダイゼーション、それに続く60℃で15分間、0.1×SSCおよび0.1%SDSの溶液中の洗浄である。SSCは、0.15MのNaCl/0.015Mのクエン酸ナトリウムである。デンハルト溶液は、0.02%のウシ血清アルブミン/0.02%のフィコール/0.02%のポリビニルピロリドンである。高ストリンジェントな条件下で、配列番号1および配列番号3は、実質的に同一の標的の相補体にハイブリダイゼーションし、無関係な配列にはハイブリダイゼーションしない。
【0162】
本発明の組成物および方法の実施形態は、以下の実施例において例示される。これらの実施例は、例示的な目的のために提供され、本発明の組成物および方法の範囲に対する制限とはみなされない。
【実施例
【0163】
材料および方法
閉鎖性頭部損傷のマウスモデル
野生型(WT)C57BL/6JおよびFVB/N-Tg(GFAP::GFP)14Mes/JトランスジェニックマウスをJackson Laboratoryから購入した。マウスを12時間の明/暗サイクルで飼育し、十分な食べ物および水を供給した。本実施例では、4~6ヶ月齢の両方の性別の成体マウス(25~35g)を使用した。
【0164】
マウスを、腹腔内(IP)注射によってケタミン/キシラジン(120mg/kgのケタミン、8mg/kgのキシラジン)で麻酔した。完全に麻酔した後、各マウスを定位装置に移し、頭部を形状適合フォーム上に固定した。フォームは、過剰な衝撃を吸収するとともに、動物の頭部を安定させるために、柔らかいプラスチック材料によって作られた。正中線に沿って切開を行い、前頂の前方に1.0mm、正中線の外側に1.5mmの座標で、マウスの運動皮質の上にある頭蓋骨の衝撃部位を完全に露出させた。衝撃誘導前に外耳道を損傷しないように、耳バーを取り外した。電磁気制御デバイスであるImpactor Oneは、TBI誘導のためにLeica Biosystems(登録商標)から購入した。頭蓋骨骨折および死亡を防ぐため、5.0m/秒より大きい衝撃力を避けた。
【0165】
直径2mmのインパクタチップを、5m/秒の速度、200msの滞留時間、1.0mmの衝撃深度で使用し、限局性閉鎖性頭部損傷を引き起こした。インパクタチップの底面は、頭蓋骨へ衝撃力を均等に送達し、頭蓋骨骨折のリスクを低減するために、頭蓋骨の衝撃部位に接するように調整された。明らかな頭蓋骨骨折を有する動物を、実験から除外し、直ちに安楽死させた。
【0166】
衝撃送達および切開縫合後、動物を定位装置から取り出し、加熱パッド上に配置し、深く規則的な呼吸が回復するまで、外傷後の酸素を直ちに毎分3~5リットルのOの速度で投与した。動物を加熱パッド上に保持し、処置から回復するまで観察し、次いで、手術後少なくとも7日間毎日監視した。衝撃の後の最初の3日間、ブプレノルフィン(0.05mg/kg)を1日2回投与して痛みを緩和した。
【0167】
ウイルスの注射
閉鎖性頭部損傷の7日後、NeuroD1をコードするウイルスまたは対照ウイルスのいずれかの注射投与のために、マウスを無作為に選択した。マウスを、腹腔内注射によってケタミン/キシラジン(120mg/kgのケタミン、8mg/kgのキシラジン)で麻酔し、定位装置に配置した。鼻ブリッジホルダーおよび2本の耳バーを備えた切歯バーを使用して頭部を固定した。正中線切開を行った後、衝撃部位の中心に約1mmの小さな穴を頭蓋骨に開けた(座標:前頂の前方1.0mm、左外側1.5mm)。選択されたウイルス、1.5μLの(AAV9)hGFAP::GFPもしくは(AAV9)hGFAP::NeuroD1-GFP、またはNeuroD1-GFPもしくはGFP対照を担持する3μLのレトロウイルスを、33ゲージ針を備えた5μLのハミルトンブランドのガラス注射器を用いて、電動化されたマイクロポンプ注射装置を使用して0.15μL/分の速度で10分間、損傷した脳領域に注射した。注射後、針を所定の位置にさらに3分間保持した後、ゆっくりと引き抜いた。手術後、マウスは自由な動きが観察されるまで加熱パッド上で回復した。マウスを単独で飼育し、毎日、少なくとも1週間、または屠殺まで注意深く監視した。
【0168】
ウイルスまたは染料による神経投射追跡
順行性追跡のために、hSyn::CreプラスCAG::FLEX-mCherry-P2A-mCherryを有するアデノ随伴ウイルス(AAV)を視床内に注射した(座標:前頂の後方2.0mm、左外側1.1mm、頭蓋骨表面の前面2.8mm)。逆行性追跡のために、647蛍光プローブと融合したコレラ毒素Bサブユニット(CTB-647)を、損傷部位の反対側の皮質内に注射した(座標:前頂の前方1.0mm、右外側1.5mm、頭蓋骨表面の前面1.6mm)。7日後に動物を屠殺し、分析のために脳試料を収集した。
【0169】
AAVベクターの構築
プラスミドpAAV-GFAP-hChR2(H134R)-mCherryは、Addgene(プラスミド#27055、RRID:Addgene_27055)から得た。pAAV-hGFAP::GFPおよびpAAV-hGFAP::NeuroD1-P2A-GFPベクターを構築するために、GFPまたはNeuroD1をコードするcDNAを、Guo et al.,Cell Stem Cell 14,188-202,2014に詳述されるようにレトロウイルス構築物を使用してPCRによって産生した。GFP遺伝子またはP2A-GFP遺伝子と融合したNeuroD1を、hChR2(H134R)-mCherryがKpnI部位とBsrGI部位との間で切り出されたpAAV-GFAP-hChR2(H134R)-mCherryベクター中にサブクローニングした。pAAV-シナプシン::Creのプラスミドについては、hGFAP-Cre(Addgeneプラスミド#40591)からPCRによってCre遺伝子を得、AAV phSyn(S)-FlpO-bGHpA(Addgeneプラスミド#51669)のKpnI部位とBmtI部位との間に挿入してFlpOが置き換えられ、pAAV-hSyn:Creベクターを生成した。pAAV-FLEX-mCherry-P2A-mCherryベクターは、Chen et al.,Mol Ther.,2020 Jan 8;28(1):217-234に詳述されるように構築された。プラスミド構築物を検証のために配列決定した。
【0170】
AAVウイルスの産生
組換えAAV9を、293AAV細胞(Cell Biolabs、米国カリフォルニア州サンディエゴ)中で産生した。ポリエチレンイミン(PEI、線形、MW25,000)を、pAAV発現ベクター、pAAV9-RC(Cell Biolabs、米国カリフォルニア州サンディエゴ)およびpHelper(Cell Biolabs、米国カリフォルニア州サンディエゴ)の三重プラスミドのトランスフェクションに使用した。トランスフェクションの72時間後、細胞を培地中でこすり取り、遠心分離し、ドライアイスまたはエタノールおよび37℃の水浴中に交互に置くことによって、4回凍結解凍した。AAV粗溶解物を、Beckman SW55Tiロータを用いて、不連続なイオジキサノール勾配で1時間、54,000rpmで遠心分離することによって精製した。ウイルス含有層を抽出し、Millipore Amicon Ultra Centrifugal Filtersによってウイルスを濃縮した。ウイルス力価は、hGFAP::GFPについては、ミリリットル当たり2.2×1011ゲノムコピー(GC/mL)、hGFAP::ND1-GFPについては、2.3×1011GC/mL、hSyn::Creについては、4.6×1011GC/mL、およびCAG::FLEX-mCherry-P2A-mCherryについては、1.6×1012GC/mLであり、QuickTiter AAV Quantitation Kit(Cell Biolabs、米国カリフォルニア州サンディエゴ)によって決定された。
【0171】
レトロウイルスの産生
pCAG-NeuroD1-IRES-GFPおよびpCAG-GFPを、以前に記載されるように構築した(Guo et al.,Cell Stem Cell,14:188-202(2014))。レトロウイルス粒子をパッケージングするために、gpgヘルパーフリーHEK細胞に、水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSV-G)ベクターとともに標的プラスミドでトランスフェクションし、NeuroD1またはGFPを発現するレトロウイルスを産生した。レトロウイルス粒子の力価は、約10個の粒子/mLであり、HEK細胞の形質導入後に決定された。
【0172】
免疫組織化学
Guo et al.,Cell Stem Cell 14,188-202,2014)に詳述されるようにマウスの脳を収集した。簡潔に述べると、麻酔のために動物に2.5%のアヴェルチンを注射した。人工脳脊髄液(ACSF)による経心腔的灌流を実施して、全身の血液を洗い流した。次いで、脳を解剖し、4%のパラホルムアルデヒド(PFA)中で4℃で一晩、後固定した。固定後、脳組織を、Leica-1000ビブラトームを使用して40μmの切片に切片化した。脳スライスを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、続いて、PBS中2%のTritonX-100中で10分間透過処理した。次いで、脳切片を、PBS中5%の正常ロバ血清中および0.3%のTritonX-100中で、2時間ブロッキングした。一次抗体をブロッキング緩衝液に添加し、脳切片とともに4℃で一晩インキュベーションした。一次抗体をPBSで3回すすぎ、続いて二次抗体を室温(RT)で2時間インキュベーションした。PBSで洗浄した後、脳切片を、退色防止搭載溶液(Invitrogen)を有するスライドガラス上にマウントした。画像を共焦点顕微鏡(Olympus FV1000またはZeiss LSM800)で取得した。抗体特異性を確実にするために、二次抗体のみを、並列対照として免疫染色に使用し、明確なシグナルは検出されなかった。
【0173】
ホイールランニングおよびc-Fos検出
閉鎖性頭部損傷(CHI)後のNeuroD1ウイルスの注射の28日後、動物をランニングホイールに置いた。活発に走った30分後に、マウスをホームケージに戻した。1時間後、c-Fos免疫染色のために、屠殺し、灌流した。
【0174】
電気生理学
脳スライス記録は、Guo et al.,Cell Stem Cell 14,188-202,2014、Wu et al.,Nat Commun 5,4159,2014)に詳述されるように実施された。ウイルスの注射の7、14、28、および56日後に、マウスを2.5%のアヴェルチンで麻酔し、次いで、以下(mMで):93 NMDG、93 HCl、2.5 KCl、1.25 NaH2PO、30 NaHCO、20 HEPES、15 グルコース、12 N-アセチル-L-システイン、5 アスコルビン酸ナトリウム、2 チオウレア、3 ピルビン酸ナトリウム、7 MgSO、および0.5 CaClを含有する、pH7.3~7.4、300mOsmのNMDGベースの切断溶液で灌流し、そして95%のO/5%のCOでバブリングした。厚さ300μmの冠状切片を、室温でビブラトーム(VT1200S、Leica、ドイツ)で、AAV注射された皮質区域の周囲で切断した。スライスを収集し、酸素化NMDG切断溶液中で、33.0±1.0℃で10~15分間インキュベーションした。次いで、連続した95%のO2/5%のCO2のバブリングを伴い、以下(mMで):92 NaCl、2.5 KCl、1.25 NaH2PO、30 NaHCO、20 HEPES、15 グルコース、12 N-アセチル-L-システイン、5 アスコルビン酸ナトリウム、2 チオウレア、3 ピルビン酸ナトリウム、2 MgSO、および2 CaClを含有する保持溶液にスライスを移した。保持溶液中、室温で少なくとも0.5時間回復した後、単一のスライスを記録チャンバーに移し、95%のO/5%のCOによって33.0±1.0℃で飽和させた標準的なaCSF(人工脳脊髄液)で連続的に灌流した。標準aCSFは、以下(mMで):124 NaCl、2.5 KCl、1.25 NaHPO、26 NaHCO、10 グルコース、1.3 MgSO、および2.5 CaClを含有した。NeuroD1-GFP感染したニューロンにおける活動電位発火を検出するために、全細胞記録を、以下(mMで):135 グルコン酸カリウム、10 KCl、5 ホスホクレアチンナトリウム、10 HEPES、2 EGTA、4 MgATPおよび0.3 NaGTPを含有し、KOHで調整したpH7.3、280~290mOsmのピペット溶液で実施した。電流クランプモデルの下で活動電位を誘発するために脱分極電流を注射した。自発的興奮性シナプス後電流(sEPSC)および自発的抑制性シナプス後電流(sIPSC)を記録するために、ピペット溶液は以下(mMで):120 メタンスルホン酸セシウム、10 KCl、10 ホスホクレアチンナトリウム、10 HEPES、5 QX-314、1 EGTA、4 MgATPおよび0.3 NaGTPを含有し、KOHで調整したpH7.3、280~290mOsmであった。記録されたニューロンを標識化するために、0.5%のビオシチン(Sigma、Cat.B4261)をピペット溶液に添加した。細胞膜電位は、sEPSC記録については-70mV(GABAA受容体の逆転電位)、sIPSC記録については0mV(イオンチャネル型グルタミン酸受容体の逆転電位)でそれぞれ保持した。データをMultiClamp700A増幅器で収集し、pClamp9.0およびClampfit10.6ソフトウェア(Molecular Devices)で分析した。
【0175】
共焦点画像化および分析
損傷区域の定義。
正中線の外側750μm~2250μmの損傷部位の周囲の皮質区域を、分析のための全損傷区域として定義した。衝撃中心から幅600μm未満、深さ450μm未満の表層を損傷コアと定義した。衝撃中心から幅600~1000μm、深さ450~900μmの中間層を損傷周辺区域と定義した。
【0176】
細胞密度分析。
マウスの脳の切片を、免疫染色後に40倍オイルレンズを備えたOlympus FV-1000のZスタックおよびタイル機能によって画像化した。Zスタックの範囲は、搭載されたスライスの中心面の周囲に1.5μmのステップサイズを有する5層とした。各切片で、Zスタック画像の3つの正方形(解像度:512×512、0.621μm/ピクセル)を、定量化のために損傷コアの内側または損傷周辺区域の内側で選択した。
【0177】
細胞変換および亜型比分析。
損傷範囲および感染範囲の内側の3つの切片を選択した。1つの切片は、損傷および感染の中心に近かった。他の2つの切片は、比較的に感染区域の前半分または後半分の中間の位置にあった。各脳切片の単層共焦点画像を、定量のために40倍オイルレンズを備えたOlympus FV-1000によって撮像した。
【0178】
データ分析および統計
統計分析および棒グラフには、Prism6Graphpadソフトウェアを使用した。2つのデータセットの比較については、スチューデントのt検定を実施した。3つのデータセットの比較については、一元配置または二元配置分散分析(ANOVA)を実施し、続いて事後試験を実施した。統計的有意性は、p<0.05として設定された。データは平均±SEMとして表された。
【0179】
結果
限局性閉鎖性頭部損傷モデルの確立および損傷部位におけるニューロンおよびグリア細胞の病理。
本実施例では、図1A左に図示的に示されている電磁気制御デバイス、Leicaインパクター1を使用して、TBIの一種である正確に制御されたCHIをマウスの運動皮質上の露出させた頭蓋骨に誘導した。図1A右を参照されたい。
【0180】
CHI後、種々の時点で病理学的転帰を調査した。図1Bを参照されたい。病理の調査は、星状細胞およびニューロンに焦点を当てた。予備実験は、発明者らのモデルにおけるCHI後の一次的および二次的な脳損傷が主に衝撃部位の下に限局的に位置していることを証明した。
【0181】
図2A、2B、および2Cは、CHI後の損傷部位におけるニューロンの死および変性を実証している。
【0182】
図2Aに示されるように、衝撃中心に近い3つの脳領域は、破線によって定義された最小の半円区域内に主に位置する損傷コアとしてみなされた。損傷コアの隣の5つの領域は、破線で定義されたより大きな半円形区域の内側に主に位置する損傷周辺区域とした。破線で定義された破線の長方形のボックス内のすべての領域を、分析のための関心領域(ROI)とした。
【0183】
偽TBI群と比較して、損傷の7日後、ならびに14日後および28日後において、NeuNシグナルは明らかに減少し、GFAPシグナルは大幅に増加した。図1Cを参照されたい。損傷部位、反対側、および偽TBI対照におけるNeuN+またはGFAP+細胞の密度を定量化した。結果は、損傷側および反対側の両方が、偽TBI群由来の脳よりもより少ないNeuN+細胞(図1Dおよび図1Eを参照されたい)、ならびにより多くのGFAP+細胞(図1Fを参照されたい)を有していたことを示した。損傷コアは、最も重篤なNeuN損失を受け(図1Dを参照されたい)、これは、CHI後のニューロンの死および星状細胞の再活性化があったことを示した。
【0184】
CHI後の損傷コアの周囲のニューロンの死を確認するために、損傷の6時間後および4日後などの、CHI後の早い時点の脳試料を収集し、アッセイして、細胞アポトーシスのバイオマーカー-末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニックエンド標識化、TUNELを検出した。結果は、損傷コアに近い表層における多くのニューロンが強いTUNELおよび混沌としたNeuNシグナルを有しており、それらが瀕死の細胞であることを表していることを示している。さらに、損傷区域の下の深層においてでさえも、いくらかのニューロンは、他の隣接ニューロンと比較して、蓄積されたTUNELシグナルおよび弱いNeuNシグナルを示した。図2Bを参照されたい。それらの形態に基づいて、これらの細胞は深部皮質層の錐体ニューロンである可能性がある。したがって、CHIは、機械的な力による一次的な損傷またはそれに続く二次的な損傷を伴い、細胞にダメージを与え、アポトーシスを誘導した。衝撃部位から遠く離れた同じ半球または反対側の領域のような、他の脳区域においては、TUNELシグナルは検出されなかった。
【0185】
ニューロン突起に対するCHIの影響をさらに調査するために、CHIの1週間後の動物由来の脳試料を免疫染色して、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)および高(200kD)分子量ニューロフィラメントタンパク質(NF200)を検出した。両方のマーカーは、ニューロン突起の形態を表し、皮質の健康状態を反映している。損傷側と反対側とを比較すると、損傷側には強MBP信号を伴う多くの拡大された軸索末端が見出され(図2C、上部画像を参照されたい)、「退縮球」を形成する損傷した軸索を表している場合がある。NF200染色はまた、CHIが衝撃部位の周囲の細胞骨格の破壊を引き起こしたことを示した。図2C、中央画像を参照されたい。これは、他のTBIモデルの結果と一致している。
【0186】
ニューロンの変性に伴い、損傷コアの周囲の星状細胞は、非損傷側または偽群と比較して、非常に反応性が高くなった。図1Cおよび図1Fを参照されたい。さらに、CHI後の種々の時点で細胞増殖マーカーのKi67を染色することにより、星状細胞の増殖速度が、損傷の4日後でピークに達し、損傷の7日後で静止することが見出された。図1Gおよび図1Hを参照されたい。Iba1染色によって印付けされたミクログリア集団(図1Gを参照されたい)は、早期の損傷の1日後にピークに達する増殖曲線を有するようである。図1Hを参照されたい。
【0187】
マウス新皮質における閉鎖性頭部損傷後のNeuroD1によるインサイチュでの星状細胞からニューロンへの変換。
マウスの皮質の星状細胞に外因性NeuroD1を提供するために、AAVベクター、組換え血清型AAV9を構築して、発現の指標としての増強緑色蛍光タンパク質(GFP)を有するヒトGFAPプロモーターの直接制御下で、マウスの皮質の星状細胞内でNeuroD1を発現させた。構築物はhGFAP::NeuroD1-P2A-GFP((AAV)GFAP::ND1-GFPとも呼ばれる)と指定された。図3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G、および3Hは、マウスの新皮質における閉鎖性頭部損傷後のNeuroD1(ND1)によるインサイチュでの星状細胞からニューロンへの変換を示す。
【0188】
図3Aおよび図3Bに図示的に示されるように、NeuroD1を発現するAAV発現ベクター(AAV)GFAP::ND1-GFPまたは対照発現ベクター(AAV)GFAP::GFP)を、CHIの7日後に、損傷部位内に注射した。これらのベクターの投与後、細胞を検査して、どれが各ウイルスによって感染し、どれがGFAPプロモーターの制御下でコードされた遺伝子を発現するかを決定した。図3Cは、AAV-GFAP::GFPウイルス(対照群、左パネル)の注射またはAAV-GFAP::ND1-GFPウイルス(ND1群、右パネル)の注射の7日後の損傷した皮質を示す一連の代表的な画像である。
【0189】
ウイルスの注射の7日後の対照群の脳試料における種々の細胞亜型マーカーに対する免疫染色とGFP蛍光との比較により、標識化された星状細胞(GFAP)、乏突起膠細胞(olig2)、ミクログリア細胞(Iba1)、ニューロン(NeuN)、および幹細胞(DCX)のパーセンテージが決定された。図3Dを参照されたい。結果により、GFP発現細胞のうちのほとんどが星状細胞であり、いくらかが乏突起膠細胞であり、わずかがニューロンであり、ごくわずかがミクログリア細胞であり、ほとんどが幹細胞ではなかったことが示された。図3Gを参照されたい。これにより、ND1群において変換されたニューロンは、星状細胞に由来することが確認された。この時点で、ND1群におけるほとんどのGFP+細胞は、依然として、GFAPを有するグリア細胞であった。図3E-2を参照されたい。しかしながら、NeuroD1染色は、これらの細胞が内部に高発現のNeuroD1を有していることを示し(図3Eを参照されたい)、対照とは根本的に異なる。
【0190】
「ND1群」(すなわち、(AAV)GFAP::ND1-GFPを注射したもの)の動物由来の脳試料を、ウイルスの注射の4/7/14/28日後などの複数の時点で分析し、星状細胞からニューロンへの変換プロセスを示した。注射の4日後(days post-injection、dpi)などの非常に早い時点で、ほぼすべてのGFP+細胞は、免疫染色による視認可能なNeuroD1(ND1)発現を伴わないGFAP+およびNeuN-であった。図3F-4日目、すなわち4dpi)を参照されたい。しかしながら、この時点で、いくらかの星状細胞は形質転換し始めていた。約5%のGFP+細胞は、NeuNシグナルを有した。それらのうちのいくらかは、依然、同時にGFAPシグナルを有してさえおり、それは遷移段階と呼ばれる。図4Aを参照されたい。図4A、4B、4C、および4Dは、星状細胞からニューロンへの変換、変換されたニューロンの成熟、およびNeuroD1を担持するレトロウイルスによって誘導される変換の遷移段階を示す。後期に細胞内により多くのND1が蓄積されると(図3F-7日目、すなわち7dpiを参照されたい)、ますます多くのGFP+細胞が、星状細胞マーカー(GFAP)を失い、ニューロンマーカー(NeuN)を得た。図3Fおよび図3Hを参照されたい。ND1群の動物由来の脳切片を、未成熟ニューロンマーカーのTuj1、および成熟ニューロンマーカーのMAP2について共免疫染色した。図4Bを参照されたい。ほとんどの変換されたニューロンは、早い時点で、より高いTuj1およびより低いMAP2を示すが、より遅い時点でより低いTuj1およびより高いMAP2を示す。これは、変換されたニューロンが成熟プロセスを受けることになることを反映している可能性があり、それは神経幹細胞の発達段階と同様である可能性がある。
【0191】
さらに、星状細胞からニューロンへの変換は、レトロウイルスベクターを使用して確認され、これは分裂細胞に特異的に感染し、漏出問題を除外することができる。プラスミドは、以前にGuo et al.,Cell Stem Cell,14:188-202(2014)を記載されているように、CAGプロモーターの制御下でND1を発現するように構築された。レトロウイルスの注射の7日後、ND1およびGFPを発現するレトロウイルスを「ND1レトロウイルス」群に投与したマウスの脳において、GFPのみを発現する対照と比較して、ニューロン形態を有する多くのNeuN+細胞およびGFP+細胞が見出された。図4Cおよび図4Dを参照されたい。
【0192】
変換されたニューロンは、皮質の特徴を有する種々の亜型に発達する可能性がある。
グリア細胞がニューロンに変換されることを示したので、変換されたニューロンが内因性ニューロンと同じ分子プロファイルを獲得するかどうかを調査した。本研究のために、細胞を免疫染色して、前脳マーカーのフォークヘッドボックスG1(FoxG1)および前脳ニューロンマーカーのTブレイン1(Tbr1)を検出した。マウスの脳において、FoxG1は、終脳に由来する領域すべてに広く広がる転写因子である。Tbr1は、マウス、特にグルタミン酸作動性ニューロンにおけるニューロンの分化および遊走に関与している。図5A、5B、5C、および5Dは、変換されたニューロンが、局所微小環境と一致する皮質の特徴を獲得し得ることを示す。
【0193】
結果は、変換されたニューロンのほぼすべてが、FoxG1+(88.0%±6.0%、N=3のマウス)であり、変換されたニューロンの大部分が、Tbr1+(59.9%±10.0%、N=3のマウス)であることを示した。図5Aおよび図5Dを参照されたい。さらに、細胞を免疫染色して、皮質表層マーカーのCux1および深層マーカーのCtip2を検出した。図5Bおよび図5Cを参照されたい。ND1処置後、これらの2つのマーカーは、未損傷の皮質におけるものと同じ分布を依然として有した。図5Bおよび図5Cを参照されたい。合計で、GFP+およびNeuN+細胞のうちの24.6%±6.8%が、Cux1シグナルの共局在化を示した。Ctip2の場合、共局在化のパーセンテージは、11.0%±1.5%であった。図5Dを参照されたい。
【0194】
変換されたニューロンをアッセイして、それらが興奮性または抑制性のニューロンであるかどうかを決定した。図6A、6B、および6Cは、変換されたニューロンが異なる亜型に分化し得ることを示す。
【0195】
GABAおよびGAD67を検出するための共免疫染色によって、GFP+およびNeuN+細胞のうちの23.6%±3.5%が、GABAおよびGAD67の両方について免疫陽性であることが決定された。図6Aおよび図6Cを参照されたい。さらなる研究を実施し、パルブアルブミン(PV)、カルレチニン(CR)、ニューロペプチドY(NPY)、ソマトスタチン(SST)、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)、およびチロシンヒドロキシラーゼ(TH)などの主要なGABA作動性ニューロンマーカーを検出するための免疫染色によって、変換されたGABA作動性ニューロンの亜型を決定した。図6Bを参照されたい。以前の研究は、正常なマウスの皮質が主にPV、CR、NPY、およびSSTを有し、ChATまたはTHを有さなかったことを示した。本実施例では、定量化は、PV+の変換されたニューロンのパーセンテージが、19.2%±2.3%、CR+が9.1%±0.7%、NPY+が7.8%±1.1%、SST+が5.3%±3.3%に達したことを示した。図6Cを参照されたい。皮質において、ChATまたはTHと共局在した変換されたニューロンは、見出されなかった。要約すると、これらの結果により、変換されたニューロンが、局所微小環境と一致する種々の亜型に分化したことが示された。
【0196】
変換されたニューロンは機能的に成熟している。
脳の神経ネットワークにおける基本的な機能単位として、各単一ニューロンは、電気信号を受信、統合、および送信することによってその役割を果たす。したがって、変換されたニューロンの電気生理学的特性を、ウイルスの注射の4週間後に調査した。図7A、7B、7C、7D、7E、7F、および7Gは、ND1変換されたニューロンが機能的に成熟していることを示す。
【0197】
変換されたニューロンの活動電位(AP)を発火する能力を、全細胞記録によって評価し、変換されたニューロンの形態を、注射されたビオチンの免疫染色によって評価した。種々の形態とともに、APの発火の3つの主なパターンが見出された。図7Aおよび図7Bを参照されたい。第1のパターンは、記録されたGFP+ニューロンのうちの約60パーセントを表した。図7Cを参照されたい。第1の発火パターンを有するニューロンの代表的な形態と組み合わせると(図7Aを参照されたい)、これらが皮質におけるPV+介在ニューロンである可能性があるようであった。パターン2は変換されたニューロンのうちの約20パーセントを表しており、それは他の介在ニューロンである場合がある。パターン3を有する変換されたニューロンは明らかに錐体ニューロンであった。それらは、表層に達する長い先端樹状突起、およびApsの規則的な発火パターンを有した。図7Aおよび図7Bを参照されたい。
【0198】
次いで、自発的興奮性シナプス後電流(sEPSC)および自発的抑制性シナプス後電流(sIPSC)を含む、変換されたニューロンの追加の電気生理学的特徴を調査した。変換されたニューロンにおけるsEPSC/sIPSCは、細胞が局所神経ネットワークから興奮性/抑制性の刺激を受けることができ、フィードバックを与えることができることを反映していると考えられている。ND1処置の4週間後、sEPSCおよびsIPSCが、パッチされたほとんどのGFP+ニューロンにおいて記録された。それぞれ、図7Dおよび図7Eを参照されたい。sEPSC/sIPSCの振幅および周波数を、ND1群と対照GFPウイルス群との間で比較した。ND1群と対照GFPウイルス群との間のsEPSC振幅に有意差があり(p<0.001)、それぞれ13.3±1.1pAおよび7.4±0.6pAであった。図7Fを参照されたい。sEPSCの周波数は、ND1群では6.0±1.0Hz、対照群では2.6±0.4Hzであり、ND1群と対照群との間に有意差(p=0.01)があった。図7Fを参照されたい。sIPSCに関しては、振幅(ND1:19.4±1.8pA、対照:20.4±2.4pA)でも、または周波数(ND1:1.2±0.3Hz、対照:1.0±0.2Hz)でも、2群間で有意差はなかった。図7Gを参照されたい。sEPSCが、変換されたニューロンと対照との間で明らかな差を示したため、ウイルスの注射の1週間後、2週間後、4週間後、および8週間後(weeks post-injection、wpi)を含む、より多くの時点での変換されたニューロンの電気生理学的特性を評価し、対照と比較した。変換されたニューロンにおけるsEPSCの周波数は、早い時点(1、2、および4wpi)でより高く、次いで8wpiで低下した。図8Aを参照されたい。sEPSCの振幅は、1wpiで低く、次いで2wpiおよび4wpiで高くなり、次いで8wpiで低下した。図8Bを参照されたい。より遅い時点である8wpiにおけるsEPSCの周波数および振幅の両方は、対照と同等であった。図8Aおよび図8Bを参照されたい。sEPSCの周波数は、他のニューロンが変換されたニューロンに与える興奮性神経支配の強度を反映した。sEPSCの振幅は、変換されたニューロンのシナプス後膜上のグルタミン酸受容体の密度によって決定される可能性がある。これらの結果は、変換されたニューロンが、神経幹細胞で生じるものと同様の構造的および機能的成熟プロセスを受けることを示す。
【0199】
変換されたニューロンは、局所神経ネットワークに統合することができる。
変換されたニューロンの機能分析に基づいて、それらは、内因性ニューロンおよび他の変換されたニューロンを含む、局所神経ネットワーク内の他のニューロンと通信することができた。したがって、細胞を免疫染色して、シナプスマーカー、興奮性シナプスを示すvGlut1、抑制性シナプスを示すvGAT、ならびにシナプス伝達を示すシナプトフィシン(SP1)およびシナプス小胞タンパク質(SV2)を検出した。図9A図9B図9C図9D図9E図9F、および図9Hは、ND1変換されたニューロンが局所および遠隔神経ネットワークに組み込まれることを示す。
【0200】
4wpiでは、かなり多くの変換されたニューロンが、細胞体上にvGlut1またはvGAT点を有することが見出され、これは、他のニューロンから興奮性または抑制性の入力を受けることができることを示唆した。図9Aを参照されたい。さらに、変換されたニューロンは、細胞体内にSP1およびSV2の発現を有し、特に膜に並行して局在し、他のニューロンとのシナプス伝達の能力を示した。図9Bを参照されたい。
【0201】
次に、動物がホイール上を走った1時間後に、マウスの運動皮質においてcFosに対する免疫染色を実施し、変換されたニューロンが運動機能に関与しているかどうかを確認した。画像データは、変換されたニューロンのうちのいくらかが高いcFos発現を有し、周囲の内因性ニューロンと同等であることを示した。図9Cを参照されたい。
【0202】
ニューロンは、他の周囲のニューロンだけでなく、遠隔の上流の脳領域のニューロンからも神経突起を受けることが周知である。変換されたニューロンがこれらの遠隔の神経接続を構築したかどうかをさらに調査するために、順行性追跡および逆行性追跡を実施した。
【0203】
順行性追跡については、ウイルス、AAV-シナプシン::Cre+AAV-CAG::FlexmCherry、標識化ニューロンをマウス視床内に注射して、それらの軸索突起を可視化した。図9Dを参照されたい。1週間後、変換されたニューロンの周囲の神経突起およびシナプスボタンが可視化された。多くの変換されたニューロンが、順行性追跡マーカーだけでなく、GFPについてもシグナルを示すそれらの体細胞上の拡大されたシナプスボタンを得たことが見出され(図9Eおよび図9Fを参照されたい)、これは、これらのニューロンが、遠隔の視床ニューロンからの神経支配および他の変換されたニューロンからの局所神経支配の両方を受け取ることができることを示す。
【0204】
逆行性追跡については、フルオロフォアコンジュゲートを有するコレラ毒素Bサブユニット(CTB-647)を、損傷した運動皮質の反対側内に注射した。図8Cを参照されたい。7日後、マウスの脳を収集して検査し、いくらかの変換されたニューロンが、損傷側の体細胞内にCTB-647を有していることを明らかにした。図9Gを参照されたい。これは、変換されたニューロンが、内因性ニューロンと同様に、下流の脳領域に遠位の神経突起を送ったことを示した。これらの実験を、ND1ウイルスの注射の14日後、28日後、および42日後を含む種々の時点で繰り返した。画像データを解析することにより、変換されたニューロン内のCTB-647の平均シグナル強度を計算した。図9Hを参照されたい。絶対CTB-647シグナル強度について、GFP+ニューロンにおいては有意差があった(14日目:185±17、28日目:249±45、42日目:353±50、p=0.01)が、種々の時点間のGFP+グリア細胞においては有意差がなかった(14日目:180±61、28日目:131±15、42日目:150±71、p=0.81)。GFP+グリア細胞中のCTB-647シグナルをバックグランドとして、GFP+ニューロン中の相対的なCTB-647シグナル強度を計算し、これは14日目で1.0±0.1、28日目で1.9±0.3、42日目で2.3±0.3であり、p=0.004の有意差があった。結果は、変換されたニューロンからその下流の脳領域への神経支配の強度が時間とともに増加していることを反映した。
【0205】
図8Dは、NeuroD1ウイルスの注射および反対側のCTB-647の注射の7日後に、変換されたニューロンの細胞体におけるGFPおよびNeuNとともにシナプスマーカー(VGAT)の共局在化を示す一連の画像であり、反対側由来のCTBシグナルも、細胞体上で観察された。
【0206】
図8Eは、NeuroD1ウイルスの注射および反対側のCTB-647の注射の7日後に、変換されたニューロンの細胞体におけるGFPおよびNeuNとともにシナプス小胞マーカー(SV2)の共局在化を示す一連の画像であり、反対側由来のCTBシグナルも、細胞体上で観察された。
【0207】
実施形態
実施形態1.対象の脳のダメージ領域における少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性神経原性分化1(NeuroD1)を提供することによって、反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換することを含む、外傷性脳損傷(TBI)を治療する方法。
【0208】
実施形態2.TBIが、閉鎖性頭部損傷である、実施形態1に記載の方法。
【0209】
実施形態3.脳のダメージ領域が、TBIに起因する非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞を含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0210】
実施形態4.非機能的ニューロンが、死んだニューロンおよび瀕死のニューロンからなる群から選択される、実施形態3に記載の方法。
【0211】
実施形態5.非機能的ニューロンが、機能的MRI(fMRI)によって検出される、実施形態3または4に記載の方法。
【0212】
実施形態6.ダメージ領域における非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞の存在が、主にダメージ領域における出血に起因するものではない、実施形態3~5のいずれかに記載の方法。
【0213】
実施形態7.ダメージ領域における非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞の存在が、主にダメージ領域における虚血に起因するものではない、実施形態3~6のいずれかに記載の方法。
【0214】
実施形態8.外因性NeuroD1を提供することが、対象に組換え発現ベクターを投与することを含み、組換え発現ベクターが、NeuroD1をコードする核酸配列を含む、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
【0215】
実施形態9.外因性NeuroD1を提供することが、対象に組換え発現ベクターを投与することを含み、組換え発現ベクターが、NeuroD1をコードする核酸配列を含むウイルス発現ベクターである、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
【0216】
実施形態10.外因性NeuroD1を提供することが、対象に組換え発現ベクターを投与することを含み、組換え発現ベクターが、組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターであり、組換えアデノ随伴ウイルスベクターが、NeuroD1をコードする核酸配列を含む、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
【0217】
実施形態11.NeuroD1をコードする核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結する、実施形態8~10のいずれかに記載の方法。
【0218】
実施形態12.プロモーターが、グリア細胞特異的プロモーターである、実施形態11に記載の方法。
【0219】
実施形態13.グリア細胞特異的プロモーターが、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーターである、実施形態12に記載の方法。
【0220】
実施形態14.GFAPプロモーターが、ヒトGFAP(hGFP)プロモーターである、実施形態13に記載の方法。
【0221】
実施形態15.NeuroD1以外の外因性転写因子が、少なくとも1つの反応性星状細胞に提供されない、実施形態1~14のいずれかに記載の方法。
【0222】
実施形態16.対象が、ヒトである、実施形態1~15のいずれかに記載の方法。
【0223】
実施形態17.外因性NeuroD1を提供することが、外傷性脳損傷後、約2日~約10日の範囲の第1の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む、実施形態1~16のいずれかに記載の方法。
【0224】
実施形態18.外傷性脳損傷が、ダメージ領域においてアストログリオーシスの期間を引き起こし、外因性NeuroD1を提供することが、アストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の第1の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む、実施形態1~17のいずれかに記載の方法。
【0225】
実施形態19.外因性NeuroD1を提供することが、第1の治療時間後で、かつアストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の第2の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む、実施形態18に記載の方法。
【0226】
実施形態20.外因性NeuroD1を提供することが、第2の治療時間後で、かつアストログリオーシスの期間中またはアストログリオーシスの期間後4週間以内の第3の治療時間において、少なくとも1つの反応性星状細胞に外因性NeuroD1を提供することを含む、実施形態19に記載の方法。
【0227】
実施形態21.NeuroD1が、配列番号2、配列番号4、配列番号2の機能的断片、配列番号4の機能的断片、配列番号2と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号4と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1~20のいずれかに記載の方法。
【0228】
実施形態22.NeuroD1が、配列番号1を含む核酸配列、配列番号1と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列、配列番号3を含む核酸配列、または配列番号3と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列によってコードされる、実施形態21に記載の方法。
【0229】
実施形態23.外因性NeuroD1を提供することが、脳のダメージ領域内への注射を含む、実施形態1~22のいずれかに記載の方法。
【0230】
実施形態24.NeuroD1をコードする核酸配列が、ウイルス粒子内に存在する、実施形態8~23のいずれかに記載の方法。
【0231】
実施形態25.外因性NeuroD1を提供することが、約10~約1014個のウイルス粒子を対象のダメージ脳領域に投与することを含む、実施形態24に記載の方法。
【0232】
実施形態26.対象の脳のダメージ領域において反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換するための医薬品の製造における神経原性分化1(NeuroD1)を含む組成物の使用であって、脳のダメージ領域が、外傷性脳損傷(TBI)に起因する非機能的ニューロンおよび反応性星状細胞を含む、使用。
【0233】
実施形態27.非機能的ニューロンが、死んだニューロンおよび瀕死のニューロンからなる群から選択される、実施形態26に記載の使用。
【0234】
実施形態28.外傷性脳損傷が、閉鎖性頭部損傷である、実施形態26または27に記載の使用。
【0235】
実施形態29.NeuroD1が、核酸配列によってコードされ、配列番号1と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列を含む、実施形態26~28のいずれかに記載の使用。
【0236】
実施形態30.NeuroD1をコードする核酸が、配列番号3と少なくとも85%の同一性を有する核酸配列を含む、実施形態26~29のいずれかに記載の使用。
【0237】
実施形態31.NeuroD1が、配列番号2、配列番号4、配列番号2の機能的断片、配列番号4の機能的断片、配列番号2と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号4と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態26~30のいずれかに記載の使用。
【0238】
配列
配列番号1-終止コドンを含む、ヒトNeuroD1タンパク質をコードするヒトNeuroD1核酸配列-1071ヌクレオチド
ATGACCAAATCGTACAGCGAGAGTGGGCTGATGGGCGAGCCTCAGCCCCAAGGTCCTCCAAGCTGGACAGACGAGTGTCTCAGTTCTCAGGACGAGGAGCACGAGGCAGACAAGAAGGAGGACGACCTCGAAGCCATGAACGCAGAGGAGGACTCACTGAGGAACGGGGGAGAGGAGGAGGACGAAGATGAGGACCTGGAAGAGGAGGAAGAAGAGGAAGAGGAGGATGACGATCAAAAGCCCAAGAGACGCGGCCCCAAAAAGAAGAAGATGACTAAGCCTCCCCTGGAGCGTTTTAAATTGAGACGCATGAAGGCTAACGCCCGGGAGCGGAACCGCATGCACGGACTGAACGCGGCGCTAGACAACCTGCGCAAGGTGGTGCCTTGCTATTCTAAGACGCAGAAGCTGTCCAAAATCGAGACTCTGCGCTTGGCCAAGAACTACATCTGGGCTCTGTCGGAGATCCTGCGCTCAGGCAAAAGCCCAGACCTGGTCTCCTTCGTTCAGACGCTTTGCAAGGGCTTATCCCAACCCACCACCAACCTGGTTGCGGGCTGCCTGCAACTCAATCCTCGGACTTTTCTGCCTGAGCAGAACCAGGACATGCCCCCCCACCTGCCGACGGCCAGCGCTTCCTTCCCTGTACACCCCTACTCCTACCAGTCGCCTGGGCTGCCCAGTCCGCCTTACGGTACCATGGACAGCTCCCATGTCTTCCACGTTAAGCCTCCGCCGCACGCCTACAGCGCAGCGCTGGAGCCCTTCTTTGAAAGCCCTCTGACTGATTGCACCAGCCCTTCCTTTGATGGACCCCTCAGCCCGCCGCTCAGCATCAATGGCAACTTCTCTTTCAAACACGAACCGTCCGCCGAGTTTGAGAAAAATTATGCCTTTACCATGCACTATCCTGCAGCGACACTGGCAGGGGCCCAAAGCCACGGATCAATCTTCTCAGGCACCGCTGCCCCTCGCTGCGAGATCCCCATAGACAATATTATGTCCTTCGATAGCCATTCACATCATGAGCGAGTCATGAGTGCCCAGCTCAATGCCATATTTCATGATTAG
【0239】
配列番号2-配列番号1によってコードされるヒトNeuroD1アミノ酸配列-356アミノ酸
MTKSYSESGLMGEPQPQGPPSWTDECLSSQDEEHEADKKEDDLEAMNAEEDSLRNGGEEEDEDEDLEEEEEEEEEDDDQKPKRRGPKKKKMTKARLERFKLRRMKANARERNRMHGLNAALDNLRKVVPCYSKTQKLSKIETLRLAKNYIWALSEILRSGKSPDLVSFVQTLCKGLSQPTTNLVAGCLQLNPRTFLPEQNQDMPPHLPTASASFPVHPYSYQSPGLPSPPYGTMDSSHVFHVKPPPHAYSAALEPFFESPLTDCTSPSFDGPLSPPLSINGNFSFKJEPSAEFEKNTAFTMHYPAATLAGAQSHGSIFSGTAAPRCEIPIDNIMSFDSHSHHERVMSAQLNAIFHD
【0240】
配列番号3-終止コドンを含む、マウスNeuroD1タンパク質をコードするマウスNeuroD1核酸配列-1074ヌクレオチド
ATGACCAAATCATACAGCGAGAGCGGGCTGATGGGCGAGCCTCAGCCCCAAGGTCCCCCAAGCTGGACAGATGAGTGTCTCAGTTCTCAGGACGAGGAACACGAGGCAGACAAGAAAGAGGACGAGCTTGAAGCCATGAATGCAGAGGAGGACTCTCTGAGAAACGGGGGAGAGGAGGAGGAGGAAGATGAGGATCTAGAGGAAGAGGAGGAAGAAGAAGAGGAGGAGGAGGATCAAAAGCCCAAGAGACGGGGTCCCAAAAAGAAAAAGATGACCAAGGCGCGCCTAGAACGTTTTAAATTAAGGCGCATGAAGGCCAACGCCCGCGAGCGGAACCGCATGCACGGGCTGAACGCGGCGCTGGACAACCTGCGCAAGGTGGTACCTTGCTACTCCAAGACCCAGAAACTGTCTAAAATAGAGACACTGCGCTTGGCCAAGAACTACATCTGGGCTCTGTCAGAGATCCTGCGCTCAGGCAAAAGCCCTGATCTGGTCTCCTTCGTACAGACGCTCTGCAAAGGTTTGTCCCAGCCCACTACCAATTTGGTCGCCGGCTGCCTGCAGCTCAACCCTCGGACTTTCTTGCCTGAGCAGAACCCGGACATGCCCCCGCATCTGCCAACCGCCAGCGCTTCCTTCCCGGTGCATCCCTACTCCTACCAGTCCCCTGGACTGCCCAGCCCGCCCTACGGCACCATGGACAGCTCCCACGTCTTCCACGTCAAGCCGCCGCCACACGCCTACAGCGCAGCTCTGGAGCCCTTCTTTGAAAGCCCCCTAACTGACTGCACCAGCCCTTCCTTTGACGGACCCCTCAGCCCGCCGCTCAGCATCAATGGCAACTTCTCTTTCAAACACGAACCATCCGCCGAGTTTGAAAAAAATTATGCCTTTACCATGCACTACCCTGCAGCGACGCTGGCAGGGCCCCAAAGCCACGGATCAATCTTCTCTTCCGGTGCCGCTGCCCCTCGCTGCGAGATCCCCATAGACAACATTATGTCTTTCGATAGCCATTCGCATCATGAGCGAGTCATGAGTGCCCAGCTTAATGCCATCTTTCACGATTAG
【0241】
配列番号4-配列番号3によってコードされるマウスNeuroD1アミノ酸配列-357アミノ酸
MTKSYSESGLMGEPQPQGPPSWTDECLSSQDEEHEADKKEDELEAMNAEEDSLRNGGEEEEEDEDLEEEEEEEEEEEDQKPKRRGPKKKKMTKARLERFKLRRMKANARERNRMHGLNAALDNLRKVVPCYSKTQKLSKIETLRLAKNYIWALSEILRSGKSPDLVSFVQTLCKGLSQPTTNLVAGCLQLNPRTFLPEQNPDMPPHLPTASASFPVHPYSYQSPGLPSPPYGTMDSSHVFHVKPPPHAYSAALEPFFESPLTDCTSPSFDGPLSPPLSINGNFSFKHEPSAEFEKNYAFTMHYPAATLAGPQSHGSIFSSGAAAPRCEIPIDNIMSFDSHSHHERVMSAQLNAIFHD
【0242】
配列番号5-LCN2プロモーター
GCAGTGTGGAGACACACCCACTTTCCCCAAGGGCTCCTGCTCCCCCAAGTGATCCCCTTATCCTCCGTGCTAAGATGACACCGAGGTTGCAGTCCTTACCTTTGAAAGCAGCCACAAGGGCGTGGGGGTGCACACCTTTAATCCCAGCACTCGGGAGGCAGAGGCAGGCAGATTTCTGAGTTCGAGACCAGCCTGGTCTACAAAGTGAATTCCAGGACAGCCAGGGCTATACAGAGAAACCCTGTCTTGAAAAAAAAAGAGAAAGAAAAAAGAAAAAAAAAAATGAAAGCAGCCACATCTAAGGACTACGTGGCACAGGAGAGGGTGAGTCCCTGAGAGTTCAGCTGCTGCCCTGTCTGTTCCTGTAAATGGCAGTGGGGTCATGGGAAAGTGAAGGGGCTCAAGGTATTGGACACTTCCAGGATAATCTTTTGGACGCCTCACCCTGTGCCAGGACCAAGGCTGAGCTTGGCAGGCTCAGAACAGGGTGTCCTGTTCTTCCCTGTCTAAAACATTCACTCTCAGCTTGCTCACCCTTCCCCAGACAAGGAAGCTGCACAGGGTCTGGTGTTCAGATGGCTTTGGCTTACAGCAGGTGTGGGTGTGGGGTAGGAGGCAGGGGGTAGGGGTGGGGGAAGCCTGTACTATACTCACTATCCTGTTTCTGACCCTCTAGGACTCCTACAGGGTTATGGGAGTGGACAGGCAGTCCAGATCTGAGCTGCTGACCCACAAGCAGTGCCCTGTGCCTGCCAGAATCCAAAGCCCTGGGAATGTCCCTCTGGTCCCCCTCTGTCCCCTGCAGCCCTTCCTGTTGCTCAACCTTGCACAGTTCCGACCTGGGGGAGAGAGGGACAGAAATCTTGCCAAGTATTTCAACAGAATGTACTGGCAATTACTTCATGGCTTCCTGGACTTGGTAAAGGATGGACTACCCCGCCCAACAGGGGGGCTGGCAGCCAGGTAGGCCCATAAAAAGCCCGCTGGGGAGTCCTCCTCACTCTCTGCTCTTCCTCCTCCAGCACACATCAGACCTAGTAGCTGTGGAAACCA
【0243】
配列番号6-ヒトGFAPプロモーター
GTCTGCAAGCAGACCTGGCAGCATTGGGCTGGCCGCCCCCCAGGGCCTCCTCTTCATGCCCAGTGAATGACTCACCTTGGCACAGACACAATGTTCGGGGTGGGCACAGTGCCTGCTTCCCGCCGCACCCCAGCCCCCCTCAAATGCCTTCCGAGAAGCCCATTGAGTAGGGGGCTTGCATTGCACCCCAGCCTGACAGCCTGGCATCTTGGGATAAAAGCAGCACAGCCCCCTAGGGGCTGCCCTTGCTGTGTGGCGCCACCGGCGGTGGAGAACAAGGCTCTATTCAGCCTGTGCCCAGGAAAGGGGATCAGGGGATGCCCAGGCATGGACAGTGGGTGGCAGGGGGGGAGAGGAGGGCTGTCTGCTTCCCAGAAGTCCAAGGACACAAATGGGTGAGGGGACTGGGCAGGGTTCTGACCCTGTGGGACCAGAGTGGAGGGCGTAGATGGACCTGAAGTCTCCAGGGACAACAGGGCCCAGGTCTCAGGCTCCTAGTTGGGCCCAGTGGCTCCAGCGTTTCCAAACCCATCCATCCCCAGAGGTTCTTCCCATCTCTCCAGGCTGATGTGTGGGAACTCGAGGAAATAAATCTCCAGTGGGAGACGGAGGGGTGGCCAGGGAAACGGGGCGCTGCAGGAATAAAGACGAGCCAGCACAGCCAGCTCATGCGTAACGGCTTTGTGGAGCTGTCAAGGCCTGGTCTCTGGGAGAGAGGCACAGGGAGGCCAGACAAGGAAGGGGTGACCTGGAGGGACAGATCCAGGGGCTAAAGTCCTGATAAGGCAAGAGAGTGCCGGCCCCCTCTTGCCCTATCAGGACCTCCACTGCCACATAGAGGCCATGATTGACCCTTAGACAAAGGGCTGGTGTCCAATCCCAGCCCCCAGCCCCAGAACTCCAGGGAATGAATGGGCAGAGAGCAGGAATGTGGGACATCTGTGTTCAAGGGAAGGACTCCAGGAGTCTGCTGGGAATGAGGCCTAGTAGGAAATGAGGTGGCCCTTGAGGGTACAGAACAGGTTCATTCTTCGCCAAATTCCCAGCACCTTGCAGGCACTTACAGCTGAGTGAGATAATGCCTGGGTTATGAAATCAAAAAGTTGGAAAGCAGGTCAGAGGTCATCTGGTACAGCCCTTCCTTCCCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGTGAGACAAGGTCTCTCTCTGTTGCCCAGGCTGGAGTGGCGCAAACACAGCTCACTGCAGCCTCAACCTACTGGGCTCAAGCAATCCTCCAGCCTCAGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAAGCATGAGCCACCCCACTCAGCCCTTTCCTTCCTTTTTAATTGATGCATAATAATTGTAAGTATTCATCATGGTCCAACCAACCCTTTCTTGACCCACCTTCCTAGAGAGAGGGTCCTCTTGATTCAGCGGTCAGGGCCCCAGACCCATGGTCTGGCTCCAGGTACCACCTGCCTCATGCAGGAGTTGGCGTGCCCAGGAAGCTCTGCCTCTGGGCACAGTGACCTCAGTGGGGTGAGGGGAGCTCTCCCCATAGCTGGGCTGCGGCCCAACCCCACCCCCTCAGGCTATGCCAGGGGGTGTTGCCAGGGGCACCCGGGCATCGCCAGTCTAGCCCACTCCTTCATAAAGCCCTCGCATCCCAGGAGCGAGCAGAGCCAGAGCAT
【0244】
配列番号7-マウスAldh1L1プロモーター
AACTGAGAGTGGAGGGGCACAGAAGAGCCCAAGAGGCTCCTTAGGTTGTGTGGAGGGTACAATATGTTTGGGCTGAGCAACCCAGAGCCAGACTTTGTCTGGCTGGTAAGAGACAGAGGTGCCTGCTATCACAATCCAAGGGTCTGCTTGAGGCAGAGCCAGTGCAAAGGATGTGGTTAGAGCCAGCCTGGTGTACTGAAGAGGGGCGAAGAGCTTGAGTAAGGAGTCTCAGCGGTGGTTTGAGAGGCAGGGTGGTTAATGGAGTAGCTGCAGGGGAGAATCCTTGGGAGGGAGCCTGCAGGACAGAGCTTTGGTCAGGAAGTGATGGGCATGTCACTGGACCCTGTATTGTCTCTGACTTTTCTCAAGTAGGACAATGACTCTGCCCAGGGAGGGGGTCTGTGACAAGGTGGAAGGGCCAGAGGAGAACTTCTGAGAAGAAAACCAGAGGCCGTGAAGAGGTGGGAAGGGCATGGGATTCAGAACCTCAGGCCCACCAGGACACAACCCCAGGTCCACAGCAGATGGGTGACCTTGCATGTCTCAGTCACCAGCATTGTGCTCCTTGCTTATCACGCTTGGGTGAAGGAAATGACCCAAATAGCATAAAGCCTGAAGGCCGGGACTAGGCCAGCTAGGGCTTGCCCTTCCCTTCCCAGCTGCACTTTCCATAGGTCCCACCTTCAGCAGATTAGACCCGCCTCCTGCTTCCTGCCTCCTTGCCTCCTCACTCATGGGTCTATGCCCACCTCCAGTCTCGGGACTGAGGCTCACTGAAGTCCCATCGAGGTCTGGTCTGGTGAATCAGCGGCTGGCTCTGGGCCCTGGGCGACCAGTTAGGTTCCGGGCATGCTAGGCAATGAACTCTACCCGGAATTGGGGGTGCGGGGAGGCGGGGAGGTCTCCAACCCAGCCTTTTGAGGACGTGCCTGTCGCTGCACGGTGCTTTTTATAGACGATGGTGGCCCATTTTGCAGAAGGGAAAGCCGGAGCCCTCTGGGGAGCAAGGTCCCCGCAAATGGACGGATGACCTGAGCTTGGTTCTGCCAGTCCACTTCCCAAATCCCTCACCCCATTCTAGGGACTAGGGAAAGATCTCCTGATTGGTCATATCTGGGGGCCTGGCCGGAGGGCCTCCTATGATTGGAGAGATCTAGGCTGGGCGGGCCCTAGAGCCCGCCTCTTCTCTGCCTGGAGGAGGAGCACTGACCCTAACCCTCTCTGCACAAGACCCGAGCTTGTGCGCCCTTCTGGGAGCTTGCTGCCCCTGTGCTGACTGCTGACAGCTGACTGACGCTCGCAGCTAGCAGGTACTTCTGGGTTGCTAGCCCAGAGCCCTGGGCCGGTGACCCTGTTTTCCCTACTTCCCGTCTTTGACCTTGGGTAAGTTTCTTTTTCTTTTGTTTTTGAGAGAGGCACCCAGATCCTCTCCACTACAGGCAGCCGCTGAACCTTGGATCCTCAGCTCCTGCCCTGGGAACTACAGTTCCTGCCCTTTTTTTCCCACCTTGAGGGAGGTTTTCCCTGAGTAGCTTCGACTATCCTGGAACAAGCTTTGTAGACCAGCCTGGGTCTCCGGAGAGTTGGGATTAAAGGCGTGCACCACCACC
【0245】
配列番号8-ヒトNG2プロモーター
CTCTGGTTTCAAGACCAATACTCATAACCCCCACATGGACCAGGCACCATCACACCTGAGCACTGCACTTAGGGTCAAAGACCTGGCCCCACATCTCAGCAGCTATGTAGACTAGCTCCAGTCCCTTAATCTCTCTCAGCCTCAGTTTCTTCATCTGCAAAACAGGTCTCAGTTTCGTTGCAAAGTATGAAGTGCTGGGCTGTTACTGGTCAAAGGGAAGAGCTGGGAAGAGGGTGCAAGGTGGGGTTGGGCTGGAGATGGGCTGGAGCAGATAGATGGAGGGACCTGAATGGAGGAAGTAAACCAAGGCCCGGTAACATTGGGACTGGACAGAGAACACGCAGATCCTCTAGGCACCGGAAGCTAAGTAACATTGCCCTTTCTCCTCCTGTTTGGGACTAGGCTGATGTTGCTGCCTGGAAGGGAGCCAGCAGAAGGGCCCCAGCCTGAAGCTGTTAGGTAGAAGCCAAATCCAGGGCCAGATTTCCAGGAGGCAGCCTCGGGAAGTTGAAACACCCGGATTCAGGGGTCAGGAGGCCTGGGCTTCTGGCACCAAACGGCCAGGGACCTACTTTCCACCTGGAGTCTTGTAAGAGCCACTTTCAGCTTGAGCTGCACTTTCGTCCTCCATGAAATGGGGGAGGGGATGCTCCTCACCCACCTTGCAAGGTTATTTTGAGGCAAATGTCATGGCGGGACTGAGAATTCTTCTGCCCTGCGAGGAAATCCAGACATCTCTCCCTTACAGACAGGGAGACTGAGGTGAGGCCCTTCCAGGCAGAGAAGGTCACTGTTGCAGCCATGGGCAGTGCCCCACAGGACCTCGGGTGGTGCCTCTGGAGTCTGGAGAAGTTCCTAGGGGACCTCCGAGGCAAAGCAGCCCAAAAGCCGCCTGTGAGGGTGGCTGGTGTCTGTCCTTCCTCCTAAGGCTGGAGTGTGCCTGTGGAGGGGTCTCCTGAACTCCCGCAAAGGCAGAAAGGAGGGAAGTAGGGGCTGGGACAGTTCATGCCTCCTCCCTGAGGGGGTCTCCCGGGCTCGGCTCTTGGGGCCAGAGTTCAGGGTGTCTGGGCCTCTCTATGACTTTGTTCTAAGTCTTTAGGGTGGGGCTGGGGTCTGGCCCAGCTGCAAGGGCCCCCTCACCCCTGCCCCAGAGAGGAACAGCCCCGCACGGGCCCTTTAAGAAGGTTGAGGGTGGGGGCAGGTGGGGGAGTCCAAGCCTGAAACCCGAGCGGGCGCGCGGGTCTGCGCCTGCCCCGCCCCCGGAGTTAAGTGCGCGGACACCCGGAGCCGGCCCGCGCCCAGGAGCAGAGCCGCGCTCGCTCCACTCAGCTCCCAGCTCCCAGGACTCCGCTGGCTCCTCGCAAGTCCTGCCGCCCAGCCCGCCGGG
【0246】
配列番号9-CAG::NeuroD1-IRES-GFP
GATCCGGCCATTAGCCATATTATTCATTGGTTATATAGCATAAATCAATATTGGCTATTGGCCATTGCATACGTTGTATCCATATCATAATATGTACATTTATATTGGCTCATGTCCAACATTACCGCCATGTTGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCATGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCAATAAAAGAGCCCACAACCCCTCACTCGGGGCGCCAGTCCTCCGATTGACTGAGTCGCCCGGGTACCCGTATTCCCAATAAAGCCTCTTGCTGTTTGCATCCGAATCGTGGTCTCGCTGTTCCTTGGGAGGGTCTCCTCTGAGTGATTGACTACCCACGACGGGGGTCTTTCATTTGGGGGCTCGTCCGGGATTTGGAGACCCCTGCCCAGGGACCACCGACCCACCACCGGGAGGTAAGCTGGCCAGCAACTTATCTGTGTCTGTCCGATTGTCTAGTGTCTATGTTTGATGTTATGCGCCTGCGTCTGTACTAGTTAGCTAACTAGCTCTGTATCTGGCGGACCCGTGGTGGAACTGACGAGTTCTGAACACCCGGCCGCAACCCTGGGAGACGTCCCAGGGACTTTGGGGGCCGTTTTTGTGGCCCGACCTGAGGAAGGGAGTCGATGTGGAATCCGACCCCGTCAGGATATGTGGTTCTGGTAGGAGACGAGAACCTAAAACAGTTCCCGCCTCCGTCTGAATTTTTGCTTTCGGTTTGGAACCGAAGCCGCGCGTCTTGTCTGCTGCAGCGCTGCAGCATCGTTCTGTGTTGTCTCTGTCTGACTGTGTTTCTGTATTTGTCTGAAAATTAGGGCCAGACTGTTACCACTCCCTTAAGTTTGACCTTAGGTCACTGGAAAGATGTCGAGCGGATCGCTCACAACCAGTCGGTAGATGTCAAGAAGAGACGTTGGGTTACCTTCTGCTCTGCAGAATGGCCAACCTTTAACGTCGGATGGCCGCGAGACGGCACCTTTAACCGAGACCTCATCACCCAGGTTAAGATCAAGGTCTTTTCACCTGGCCCGCATGGACACCCAGACCAGGTCCCCTACATCGTGACCTGGGAAGCCTTGGCTTTTGACCCCCCTCCCTGGGTCAAGCCCTTTGTACACCCTAAGCCTCCGCCTCCTCTTCCTCCATCCGCCCCGTCTCTCCCCCTTGAACCTCCTCGTTCGACCCCGCCTCGATCCTCCCTTTATCCAGCCCTCACTCCTTCTCTAGGCGCCGGAATTCGATGTCGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGACTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGGTCGAGGTGAGCCCCACGTTCTGCTTCACTCTCCCCATCTCCCCCCCCTCCCCACCCCCAATTTTGTATTTATTTATTTTTTAATTATTTTGTGCAGCGATGGGGGCGGGGGGGGGGGGGGCGCGCGCCAGGCGGGGCGGGGCGGGGCGAGGGGCGGGGCGGGGCGAGGCGGAGAGGTGCGGCGGCAGCCAATCAGAGCGGCGCGCTCCGAAAGTTTCCTTTTATGGCGAGGCGGCGGCGGCGGCGGCCCTATAAAAAGCGAAGCGCGCGGCGGGCGGGAGTCGCTGCGTTGCCTTCGCCCCGTGCCCCGCTCCGCGCCGCCTCGCGCCGCCCGCCCCGGCTCTGACTGACCGCGTTACTCCCACAGGTGAGCGGGCGGGACGGCCCTTCTCCTCCGGGCTGTAATTAGCGCTTGGTTTAATGACGGCTCGTTTCTTTTCTGTGGCTGCGTGAAAGCCTTAAAGGGCTCCGGGAGGGCCCTTTGTGCGGGGGGGAGCGGCTCGGGGGGTGCGTGCGTGTGTGTGTGCGTGGGGAGCGCCGCGTGCGGCCCGCGCTGCCCGGCGGCTGTGAGCGCTGCGGGCGCGGCGCGGGGCTTTGTGCGCTCCGCGTGTGCGCGAGGGGAGCGCGGCCGGGGGCGGTGCCCCGCGGTGCGGGGGGGCTGCGAGGGGAACAAAGGCTGCGTGCGGGGTGTGTGCGTGGGGGGGTGAGCAGGGGGTGTGGGCGCGGCGGTCGGGCTGTAACCCCCCCCTGCACCCCCCTCCCCGAGTTGCTGAGCACGGCCCGGCTTCGGGTGCGGGGCTCCGTGCGGGGCGTGGCGCGGGGCTCGCCGTGCCGGGCGGGGGGTGGCGGCAGGTGGGGGTGCCGGGCGGGGCGGGGCCGCCTCGGGCCGGGGAGGGCTCGGGGGAGGGGCGCGGCGGCCCCGGAGCGCCGGCGGCTGTCGAGGCGCGGCGAGCCGCAGCCATTGCCTTTTATGGTAATCGTGCGAGAGGGCGCAGGGACTTCCTTTGTCCCAAATCTGGCGGAGCCGAAATCTGGGAGGCGCCGCCGCACCCCCTCTAGCGGGCGCGGGCGAAGCGGTGCGGCGCCGGCAGGAAGGAAATGGGCGGGGAGGGCCTTCGTGCGTCGCCGCGCCGCCGTCCCCTTCTCCATCTCCAGCCTCGGGGCTGCCGCAGGGGGACGGCTGCCTTCGGGGGGGACGGGGCAGGGCGGGGTTCGGCTTCTGGCGTGTGACCGGCGGCTCTAGAGCCTCTGCTAACCATGTTCATGCCTTCTTCTTTTTCCTACAGCTCCTGGGCAACGTGCTGGTTGTTGTGCTGTCTCATCATTTTGGCAAAGAATTCGCTAGCGGATCCGGCCGCCTCGGCCACCGGTCGCCACCATCGCCACCATGACCAAATCATACAGCGAGAGCGGGCTGATGGGCGAGCCTCAGCCCCAAGGTCCCCCAAGCTGGACAGATGAGTGTCTCAGTTCTCAGGACGAGGAACACGAGGCAGACAAGAAAGAGGACGAGCTTGAAGCCATGAATGCAGAGGAGGACTCTCTGAGAAACGGGGGAGAGGAGGAGGAGGAAGATGAGGATCTAGAGGAAGAGGAGGAAGAAGAAGAGGAGGAGGAGGATCAAAAGCCCAAGAGACGGGGTCCCAAAAAGAAAAAGATGACCAAGGCGCGCCTAGAACGTTTTAAATTAAGGCGCATGAAGGCCAACGCCCGCGAGCGGAACCGCATGCACGGGCTGAACGCGGCGCTGGACAACCTGCGCAAGGTGGTACCTTGCTACTCCAAGACCCAGAAACTGTCTAAAATAGAGACACTGCGCTTGGCCAAGAACTACATCTGGGCTCTGTCAGAGATCCTGCGCTCAGGCAAAAGCCCTGATCTGGTCTCCTTCGTACAGACGCTCTGCAAAGGTTTGTCCCAGCCCACTACCAATTTGGTCGCCGGCTGCCTGCAGCTCAACCCTCGGACTTTCTTGCCTGAGCAGAACCCGGACATGCCCCCGCATCTGCCAACCGCCAGCGCTTCCTTCCCGGTGCATCCCTACTCCTACCAGTCCCCTGGACTGCCCAGCCCGCCCTACGGCACCATGGACAGCTCCCACGTCTTCCACGTCAAGCCGCCGCCACACGCCTACAGCGCAGCTCTGGAGCCCTTCTTTGAAAGCCCCCTAACTGACTGCACCAGCCCTTCCTTTGACGGACCCCTCAGCCCGCCGCTCAGCATCAATGGCAACTTCTCTTTCAAACACGAACCATCCGCCGAGTTTGAAAAAAATTATGCCTTTACCATGCACTACCCTGCAGCGACGCTGGCAGGGCCCCAAAGCCACGGATCAATCTTCTCTTCCGGTGCCGCTGCCCCTCGCTGCGAGATCCCCATAGACAACATTATGTCTTTCGATAGCCATTCGCATCATGAGCGAGTCATGAGTGCCCAGCTTAATGCCATCTTTCACGATTAGGTTTAAACGCGGCCGCGCCCCTCTCCCTCCCCCCCCCCTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAATAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTGAAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATAAGATACACCTGCAAAGGCGGCACAACCCCAG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GGTGCACATGCTTTACATGTGTTTAGTCGAGGTTAAAAAAACGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATATGGCCACAACCATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGTAAGTCGACAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAGCTGACGTCCTTTCCATGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTGGAATTCGAGCTCGAGCTTGTTAACATCGATAAAATAAAAGATTTTATTTAGTCTCCAGAAAAAGGGGGGAATGAAAGACCCCACCTGTAGGTTTGGCAAGCTAGCTTAAGTAACGCCATTTTGCAAGGCATGGAAAAATACATAACTGAGAATAGAGAAGTTCAGATCAAGGTCAGGAACAGATGGAACAGCTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGAACAGCTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATGCGGTCCAGCCCTCAGCAGTTTCTAGAGAACCATCAGATGTTTCCAGGGTGCCCCAAGGACCTGAAATGACCCTGTGCCTTATTTGAACTAACCAATCAGTTCGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTCTGCTCCCCGAGCTCAATAAAAGAGCCCACAACCCCTCACTCGGGGCGCCAGTCCTCCGATTGACTGAGTCGCCCGGGTACCCGTGTATCCAATAAACCCTCTTGCAGTTGCATCCGACTTGTGGTCTCGCTGTTCCTTGGGAGGGTCTCCTCTGAGTGATTGACTACCCGTCAGCGGGGGTCTTTCATTTCCGACTTGTGGTCTCGCTGCCTTGGGAGGGTCTCCTCTGAGTGATTGACTACCCGTCAGCGGGGGTCTTCACATGCAGCATGTATCAAAATTAATTTGGTTTTTTTTCTTAAGTATTTACATTAAATGGCCATAGTTGCATTAATGAATCGGCCAACGCGCGGGGAGAGGCGGTTTGCGTATTGGCGCTCTTCCGCTTCCTCGCTCACTGACTCGCTGCGCTCGGTCGTTCGGCTGCGGCGAGCGGTATCAGCTCACTCAAAGGCGGTAATACGGTTATCCACAGAATCAGGGGATAACGCAGGAAAGAACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAACCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAAGCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGGACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAGAAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTATCAAAAAGGATCTTCACCTAGATCCTTTTAAATTAAAAATGAAGTTTGCGGCCGGCCGCAAATCAATCTAAAGTATATATGAGTAAACTTGGTCTGACAGTTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGACTCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGTGCTGCAATGATACCGCGAGACCCACGCTCACCGGCTCCAGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCATTGCTACAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTTACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGTGTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTGAGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAACACGGGATAATACCGCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCTGTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGTGAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAATAAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATACTCTTCCTTTTTCAAT
【0247】
本明細書で言及される任意の特許または刊行物は、あたかも各個々の刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0248】
本明細書に記載の組成物および方法は、現在、好ましい実施形態を代表するものであり、例示的であり、本発明の範囲に対する限定として意図されていない。その中での変更およびその他の使用が、当業者に生じるであろう。かかる変更および他の使用は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
【配列表】
2023502782000001.app
【国際調査報告】