(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】低温高圧酵素を反応させたカラーベースおよび抽出液を含有する色調化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/98 20060101AFI20230119BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/66 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/96 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/9767 20170101ALI20230119BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20230119BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A61K8/98
A61Q19/00
A61K8/66
A61K8/96
A61K8/9767
A61K8/9789
A61K8/27
A61K8/29
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/891
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021516641
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 KR2021000252
(87)【国際公開番号】W WO2022149634
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002274
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521115708
【氏名又は名称】藤木 貴子
(71)【出願人】
【識別番号】521115719
【氏名又は名称】ビーエヌカンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴子
(72)【発明者】
【氏名】ジュン, ムソン
(72)【発明者】
【氏名】クム, ミンウン
(72)【発明者】
【氏名】ハ, ウンジュー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA021
4C083AA022
4C083AA071
4C083AA072
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB361
4C083AB362
4C083AB431
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
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4C083AC022
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4C083AC121
4C083AC122
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4C083AC132
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC241
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4C083DD23
4C083DD27
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4C083EE01
4C083EE03
4C083EE10
4C083EE11
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、ブロメライン酵素を処理してから、精製した海綿骨片粉末をエアミキサー内に投入した後、ここにヒト臍帯血細胞培養液を追加で投入し、ミックスされた状態で凍結乾燥させて製造されたヒト臍帯血細胞培養液がコーティングされた海綿骨片パウダー、低温高圧酵素反応させたカラーベース、ならびに低温高圧酵素反応させた大王松葉、トウニレ根、月見草、および葛根の混合抽出液、を混合した混合物を有効成分として含有する化粧料組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロメライン酵素を処理してから、精製した海綿骨片粉末をミキサー内に投入した後、ここにヒト臍帯血細胞培養液を追加で投入し、ミックスされた状態で凍結乾燥させて製造されたヒト臍帯血細胞培養液がコーティングされた海綿骨片パウダー、低温高圧酵素反応させたカラーベース、ならびに低温高圧酵素反応させた大王松葉、トウニレ根、月見草、および葛根の混合抽出液、を混合した混合物を有効成分として含有する肌の保湿用化粧料組成物。
【請求項2】
前記カラーベースは、チタニウムジオキサイド、マイカ、ジンクオキサイド、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、トリエトキシカプリリルシラン、ウルトラマリン、ヒドロゲンジメチコンおよびジメチコンからなるものであることを特徴とする請求項1に記載の肌の保湿用化粧料組成物。
【請求項3】
前記低温高圧酵素反応させたカラーベースは、カラーベースに、カラーベースに対して水18~22重量%を混合してから、プロタメックス(Protamex)およびアルカラーゼ(Alcalase)を添加して、30~45℃の低温かつ50~70MPaの高圧で20~28時間反応させたものであることを特徴とする請求項1に記載の肌の保湿用化粧料組成物。
【請求項4】
前記混合抽出液は、大王松葉抽出液、トウニレ根抽出液、月見草抽出液、および葛根抽出液を20~30:20~30:20~30:20~30重量比率で混合した混合抽出液を1~8℃で2~5日間熟成させてから、プロタメックス(Protamex)およびアルカラーゼ(Alcalase)を添加して、45~55℃の低温かつ50~70MPaの高圧で20~28時間反応させたものであることを特徴とする請求項1に記載の肌の保湿用化粧料組成物。
【請求項5】
ブロメライン酵素を処理してから、精製した海綿骨片粉末をエアミキサー内に投入した後、ここにヒト臍帯血細胞培養液を追加で投入し、ミックスされた状態で凍結乾燥させて製造されたヒト臍帯血細胞培養液がコーティングされた海綿骨片パウダー、
チタニウムジオキサイド、マイカ、ジンクオキサイド、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、トリエトキシカプリリルシラン、ウルトラマリン、ヒドロゲンジメチコンおよびジメチコンからなるカラーベースに、カラーベースに対して水18~22重量%を混合してから、プロタメックス(Protamex)およびアルカラーゼ(Alcalase)を添加して、30~45℃の低温かつ50~70MPaの高圧で20~28時間反応させた低温高圧酵素反応させたカラーベース、および
大王松葉抽出液、トウニレ根抽出液、月見草抽出液、および葛根抽出液を20~30:20~30:20~30:20~30重量比率で混合した混合抽出液を1~8℃で2~5日間熟成させてから、プロタメックス(Protamex)およびアルカラーゼ(Alcalase)を添加して、45~55℃の低温かつ50~70MPaの高圧で20~28時間反応させた混合抽出液、を混合した後に、1~8℃で72時間低温熟成した混合物を有効成分として含有する肌の保湿用化粧料組成物。
【請求項6】
色調化粧料に使用されることを特徴とする請求項1に記載の肌の保湿用化粧料組成物。
【請求項7】
プロピレングリコール、エチルヘキシルメトキシシンナメート、乳化安定剤、カプリリック/カプリックトリグリセリド、スクアラン、セチルエチルヘキサノエート、ジメチコン、アルブチン、エチルヘキシルサリチレート、フェニルトリメチコン、ジイソステアリルマレエート、ホホバ種子油、マグネシウムスルフェート、ジステアジモニウムヘクトライト、ビーズワックス、ヒドロキシアセトフェノン、パンテノール、カルシウムステアレート、香料、アロエベラ葉汁、トコフェリルアセテート、カプリリルグリコール、アラントイン、アデノシン、マンニトール、ヘキシルシンナマル、ブチルフェニルメチルプロピオナール、ナイアシンアミド、シトロネロール、リモネン、ヒト臍帯血細胞培養液、ソディウムヒアルロネート、ニコチノイルジペプチド-22および水からなる群から選択される1つ以上の材料を含むことを特徴とする肌の保湿用化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温高圧酵素を反応させた海綿骨片粉末、低温高圧酵素を反応させたカラーベース、ならびに低温高圧酵素を反応させた松葉、トウニレ根、月見草、および葛根の混合抽出液、を混合した混合物を有効成分として含有する化粧料組成物に関し、本発明の化粧料組成物は、長期保存安定性に優れ、保湿力、カバー力、発色力、密着感などの効果に優れた利点がある。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料の一般的な機能としては、皮膚への栄養供給、収れん効果、保湿機能などのスキンケア機能と、肌の欠点をカバーし、肌のキメを整え、色相により肌を美しく美化する機能などがあり、このうち、皮膚の欠点をカバーする機能と色相を与えて肌を美しくする機能は、大部分のメイクアップ化粧料のうちのファンデーション類により行われていると言える。
【0003】
皮膚は、身体の外部を覆っている1つの膜であり、人体で最も広い部位を占めており、外部環境から身体を保護する機能をする。皮膚は大きく分けて表皮(Epidermis)、真皮(Dermis)、皮下脂肪(Hypodermis)の三層で構成されており、それぞれの層は、特殊な細胞で構成されており、血管、リンパ管、神経組織を介して内部の臓器と密接な関係を有して有機的に作用して内部の臓器やその他の体内器官を保護し、調節する役割をする。
【0004】
表皮の最も表面にある角質層は、約20層程度に積み重なっており、生命力のない無色無核の平たい灰白色の組織である。これは、皮膚の類型と肌の状態により、個人ごとに多くの差があり、絶えず入れ替わりや脱落を繰り返す。角質層は、皮膚表面に近いほど細胞間の接着力が低下して間隔が生じ、通常、うろこ状の薄い片として目に見えないように一つずつ落ちていく。古い角質を除去しなければ、肌のトーンがくすみ、新しい細胞が作られる過程が遅くなることによって、全体的な肌の老化を促進することとなる。
【0005】
老化した肌の特徴は、死んだ細胞を脱落させる能力が減少して、細胞の再生回転周期が増加し、かつ肌が活力と弾性とを失い、肌の真皮層の弾力繊維とコラーゲン繊維が変性して、弾力が低下する。一般的に、外部の要因に関わらず、加齢により発生する内因性の老化と長期間の紫外線露出により誘発される光老化に区分される。内因性の老化によって損傷した皮膚は、乾燥して弾力性が低下し、小ジワが増加する。一方、光老化は、皮膚の粗さと太いシワを増加させ、皮膚の萎縮および弾力性消失などの特徴を示す。また、光老化はコラーゲン繊維を減少させ、弾力繊維は量的に増加させ、当該組織に小ジワおよび太いシワを発生させて不規則な色素沈着を誘発する。特に紫外線に繰り返し露出される場合、コラーゲンの分解要素であるMatrix Metalloproteinasesが異常に増加して、皮膚のコラーゲンを分解し、活性酸素種とDNAの損傷を誘発して、肌の老化を促進させる。
【0006】
これを改善するために、基底層の細胞再生を刺激して、弾力のある肌に戻そうとする努力が活発に進められている。
【0007】
上記の問題を解決するための発明として、本発明者が開発し、特許登録された韓国特許番号第10-2150798号(登録日:2020年08月26日)のヒト臍帯血細胞培養液の含浸凍結乾燥コーティングによる海綿骨片パウダーの製造方法、ならびにこれを用いた化粧料組成物および化粧品の製造方法が特許登録されている。
【0008】
上記特許発明は、a)海綿動物を乾燥および粉砕して海綿粉末を準備するステップ、b)上記海綿粉末を蒸留水と混合するステップ、c)この混合物と酵素とを酵素反応器で反応させるステップ、d)反応させた混合物を遠心分離してから、洗浄するステップ、e)ステップd)の混合物を電気炉で加熱して海綿骨片を得るステップ、およびf)上記海綿骨片に肌の有効物質をスプレー噴射しながら、エアミックスしてコーティングするステップを含む。
【0009】
しかし、上記特許発明は、非化学的な方法である高温高圧酵素分解工法により精製され、多孔が確保された針状海綿骨片粉末を、幹細胞由来の物質および皮膚の有効成分が混合された溶液に浸漬させてコーティングした後に凍結乾燥する方法であり、高温で分解される工法であるため、幹細胞由来の物質および皮膚の有効成分が混合された溶液の無駄が多く、製造工程が複雑な問題がある。
【0010】
より効果的なシワおよび老化防止製品の開発のためには、精度と回収率が高く、溶液の無駄の最小化と実行が簡単な製造工程とを必要とする。また、老化現象によるターンオーバー周期を正常化させ、皮膚再生による角質の除去が同時に必要である。上述のように、効果が究明された有効成分の安定的な維持と皮膚の奥深くまでの効果的な伝達が克服すべき課題である。
【0011】
このような背景下において本発明は、従来、シワおよび老化防止効果があると知られているヒト臍帯血幹細胞培養液の皮膚中への伝達の効率を最大化し、安全性を確保するために、混合物に溶解されたり懸濁された化合物を物理的特性に基づいて混合物の他の化合物と分離する技術である酵素分解、および所望の試料成分のみを吸着するSPE(Solid Phase Extraction)方法を用いたC18カートリッジ方法によって精製された海綿骨片に凍結乾燥してコーティングすることにより、皮膚に直接骨片とともに伝達して、従来の効果を最大化させることは勿論、刺激により自己免疫力を増加させ、皮膚のターンオーバー周期を正常化して、美しく健康な皮膚再生のための機能を同時に完成することができる。
【0012】
本発明は、このように皮膚の有効物質をコーティングした海綿骨片粉末を用いた化粧料組成物の製造方法を開示するためのものであって、以下のような目的を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような要求により導出されたものであり、本発明においては、化粧料組成物に含まれる海綿骨片粉末、カラーベースおよび混合抽出液を低温および高圧の条件で酵素反応させることによって、保存安定性と品質に優れた化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、ブロメライン酵素処理してから、精製した海綿骨片粉末をミキサー内に投入した後、ここにヒト臍帯血細胞培養液を追加で投入し、ミックスされた状態で凍結乾燥させて製造されたヒト臍帯血細胞培養液がコーティングされた海綿骨片パウダー、低温高圧酵素を反応させたカラーベース、ならびに温高圧酵素を反応させた松葉、トウニレ根、月見草、および葛根の混合抽出液、を混合した混合物を有効成分として含有する肌の保湿用化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の酵素分解およびC18カートリッジ精製方法による海綿骨片粉末にヒト臍帯血細胞培養液でコーティングする過程により、化学的処理なく海綿を加工処理することができ、シワおよび老化防止効果があると知られている人体臍帯血幹細胞培養液の皮膚中への伝達の効率を最大化させるために、非化学的な活性方法で精製された針状海綿骨片に凍結乾燥してコーティングすることにより、上記人体臍帯血幹細胞培養液を皮膚中に直接針状海綿骨片とともに伝達して、従来の効果を最大化させることは勿論、刺激により自己免疫力を増加させ、皮膚のターンオーバー周期を正常化して、美しく健康な皮膚再生のための機能を同時に達成することができる。
【0016】
また、化粧料組成物に有効成分である海綿骨片粉末だけでなく、カラーベース(Color Base N-30)、混合抽出液(Extract N-30)は、低温および高圧の条件で酵素を反応させることにより、皮膚浸透を容易にし、低温熟成過程を経て、安全な有効成分の含有量を増加させることができる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的を達成するために、本発明は、ブロメライン酵素処理してから、精製した海綿骨片粉末をミキサー内に投入した後、ここにヒト臍帯血細胞培養液を追加で投入し、ミックスされた状態で凍結乾燥させて製造されたヒト臍帯血細胞培養液がコーティングされた海綿骨片パウダー、低温高圧酵素を反応させたカラーベース、ならびに、低温高圧酵素を反応させた松葉、トウニレ根、月見草、および葛根の混合抽出液、を混合した混合物を有効成分として含有する化粧料組成物に関する。
【0018】
本発明の化粧料組成物において、主要構成成分である海綿骨片パウダー(スピキュール)は、淡水に生息する海綿動物の1つの綱である硬骨海綿類(Sclerospongia)の針骨(spicule)に由来すると言われており、別名スポンジ(sponge-spicule)と呼ばれる。この構造物は、微細針の形態をしており、炭酸カルシウムとケイ酸塩、そしてゼリー状のコラーゲンマットレス骨格などからなっている。スピキュールは、表面に多数の多孔が観察されるが、この多孔で摂食し、共生する緑藻類が出入りするようになる。また、スピキュールは、長さが0.01mmから1.0mm以上のものもあり、その形状や大きさが多様である。スピキュールを用いて剥皮する場合、皮膚の新陳代謝を促進し、有効物質の吸収率を高めるなどにより皮膚再生を促進させ、正常な角化現象を誘導して、皮膚の状態を改善するのに効果的である。本発明においても、これによる皮膚再生および正常な角化周期の誘導、小ジワおよび広がった毛穴の改善効果などの様々な肌の改善効果を説明している。
【0019】
本発明の化粧料組成物において、本発明における幹細胞(臍帯血細胞)は、胚または成体にある、数種類の組織に分化することができる未分化細胞を意味する。幹細胞は、主に初期分裂段階の胚から採取される。この段階の細胞はまだ臓器形成能力がないため、事前の入力によって、特定して選択された細胞系に培養することができる。
【0020】
本発明において、ヒト臍帯血細胞培養液(USC1994-FPBN)は、胎児と産婦を繋ぐへその緒中の血液の「臍帯血」の幹細胞を培養して得られた89種のタンパク質を含む複合成分である。
【0021】
ブロメライン酵素処理してから、精製した海綿骨片粉末の具体的な製造方法は、下記のとおりである。
【0022】
淡水で採取した海綿を水分率8%未満になるように乾燥して粉砕し、70meshのフィルタで分離して海綿粉末を前処理するステップ、上記前処理された海綿粉末50gにPBS Buffer(Phosphate-Buffered Saline Buffer)100mLを投入して希釈し、DTT(0.12% w/v)を用いて沈殿させるステップ、上記沈殿された粉末を4℃、15分、16,200rpmで遠心分離してから、95℃で3分間、熱変性処理するステップ、上記熱変性処理後にブロメライン(Brmelain)酵素10mLを添加して、37℃で24時間、分解するステップ、および、上記分解した粉末をC18カートリッジを用いて有機物を精製し、有効成分が残っている固定相を沈殿させた後に、沈殿させた粉末を電気炉に入れ、150℃で20分、350℃で30分、750℃で50分間、順次昇温させるステップにより製造することができる。
【0023】
また、本発明の化粧料組成物において、上記ヒト臍帯血細胞培養液は、ヒト臍帯血細胞培養液をmannitol、niacinamide、human cord blood cell conditioned media、sodium hyaluronateで混合したUSC 1994-FPBN粉末を1:2の重量比で蒸留水に溶解させたものであってもよいが、これに限定されない。
【0024】
また、本発明の化粧料組成物において、エアミキサー(Air Mixer)は、減圧と冷却窒素投入を試運転して、エアミキサーの内部の温度を20℃にセットしたエアミキサーであってもよいが、これに限定されない。
【0025】
また、本発明の化粧料組成物において、上記ミックスは、具体的には海綿骨片粉末100gをエアミキサーに投入してエアゾールの形態になるように冷却窒素を投入しながら分散させてから、エアミキサーの内部を肉眼で確認し、円滑な分散がなされたときに、ヒト臍帯血細胞培養液を3ml/minでスプレー噴射した後、エアミックスできるが、これに限定されない。
【0026】
上記のような条件で、海綿骨片粉末にヒト臍帯血由来の細胞培養液を含浸して有効成分を伝達するシステムにより、剥皮ではなく皮膚細胞の再生力を増進させて、効果的に肌を管理することができた。また、非化学的な方法で抽出され、安全性が向上するという利点がある。
【0027】
上述した本発明のヒト臍帯血細胞培養液がコーティングされた海綿骨片パウダーの製造方法は、シワ、および老化防止効果があると知られているヒト臍帯血幹細胞培養液の皮膚中への伝達の効率を最大化させるために、非化学的な活性方法で精製された針状海綿骨片に凍結乾燥してコーティングすることにより、上記ヒト臍帯血幹細胞培養液を皮膚中に直接針状海綿骨片とともに伝達して、従来の効果を最大化させることは勿論、刺激により自己免疫力を増加させ、皮膚のターンオーバー周期を正常化して、美しく健康な皮膚再生のための機能を同時に達成した。
【0028】
本発明のヒト臍帯血細胞培養液がコーティングされた海綿骨片パウダーを有効成分として含む化粧品は、人体の皮膚再生だけでなく、針状海綿骨片パウダーの物理的な刺激による炎症反応を伴った後の自己免疫の改善による皮膚再生、シワ改善、美白、肌の弾力改善、肌の老化防止、肌の保湿改善、シミの除去、にきび治療および傷の除去効果を示し、より詳細には、平均200マイクロサイズの針状海綿骨片が基底上層部まで吸収され、刺激が皮膚の表皮細胞の分裂を促進させ、表皮細胞のターンオーバー周期を、一般的に28日であることを、72時間前後に短縮させながら、皮膚を再生させることを確認した。また、上記針状海綿骨片に含浸コーティングされたヒト臍帯血由来の細胞培養液が凍結乾燥コーティングされた有効成分が針状海綿骨片に吸収されている約24~36時間の間に、表皮に有効物質が直接伝達される。さらに、刺激による血流量の増加と代謝促進のために、有効成分の吸収と転移は、一般的な肌への塗布による吸収よりも優れ、このような皮膚再生の過程において、シワ、弾力、老化防止および傷の除去、角質脱落などの総称皮膚再生を誘導する。
【0029】
本発明の化粧料組成物において、上記カラーベースは、チタニウムジオキサイド、マイカ、ジンクオキサイド、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、トリエトキシカプリリルシラン、ウルトラマリン、ヒドロゲンジメチコンおよびジメチコンからなるものであってもよい。より具体的には、カラーベースの総重量基準で、チタニウムジオキサイド70~75重量%、マイカ8~12重量%、ジンクオキサイド7~9重量%、黄色酸化鉄3.5~4.5重量%、赤色酸化鉄1.8~2.2重量%、黒色酸化鉄0.8~1.2重量%、トリエトキシカプリリルシラン0.8~1.2重量%、ウルトラマリン0.6~0.8重量%、ヒドロゲンジメチコン0.3~0.5重量%およびジメチコン0.1~0.3重量%からなるものであってもよく、より具体的には、チタニウムジオキサイド72.7重量%、マイカ10重量%、ジンクオキサイド8重量%、黄酸化鉄4重量%、赤色酸化鉄2重量%、黒色酸化鉄1重量%、トリエトキシカプリリルシラン1重量%、ウルトラマリン0.7重量%、ヒドロゲンジメチコン0.4重量%およびジメチコン0.2重量%からなるものであってもよい。
【0030】
また、本発明の化粧料組成物において、上記カラーベースの低温高圧酵素反応は、好ましくは、カラーベースに、カラーベース重量に対して水18~22重量%を混合した後に、プロタメックス(Protamex)およびアルカラーゼ(Alcalase)を添加して、30~45℃の低温かつ50~70MPaの高圧で20~28時間の間反応させるものであってもよく、より好ましくは、カラーベースに、カラーベース重量に対して水20重量%を混合した後に、プロタメックス(Protamex)およびアルカラーゼ(Alcalase)を添加して、30~45℃の低温かつ60MPaの高圧で24時間反応させたものであってもよい。
【0031】
また、本発明の化粧料組成物において、上記混合抽出液は、好ましくは、松葉抽出液、トウニレ根抽出液、月見草抽出液、および葛根抽出液を20~30:20~30:20~30:20~30重量比率で混合した混合抽出液を1~8℃で2~5日間熟成させた後に、プロタメックス(Protamex)およびアルカラーゼ(Alcalase)を添加して、45~55℃の低温かつ50~70MPaの高圧で20~28時間反応させたものであり得、より好ましくは、松葉抽出液、トウニレ根抽出液、月見草抽出液、および葛根抽出液を25:25:25:25の重量比率で混合した混合抽出液を、1~8℃で2~5日間熟成させた後に、プロタメックス(Protamex)およびアルカラーゼ(Alcalase)を添加して、50℃の低温かつ60MPaの高圧で24時間反応させたものであり得る。
【0032】
また、本発明の化粧料組成物において、上記化粧料組成物は、プロピレングリコール、エチルヘキシルメトキシシンナメート、乳化安定剤、カプリリック/カプリックトリグリセリド、スクアラン、セチルエチルヘキサノエート、ジメチコン、アルブチン、エチルヘキシルサリチレート、フェニルトリメチコン、ジイソステアリルマレエート、ホホバ種子油、マグネシウムスルフェート、ジステアジモニウムヘクトライト、ビーズワックス、ヒドロキシアセトフェノン、パンテノール、カルシウムステアレート、香料、アロエベラ葉汁、トコフェリルアセテート、カプリリルグリコール、アラントイン、アデノシン、マンニトール、ヘキシルシンナマル、ブチルフェニルメチルプロピオナール、ナイアシンアミド、シトロネロール、リモネン、ヒト臍帯血細胞培養液、ソディウムヒアルロネート、ニコチノイルジペプチド-22および水からなる群から選択される1つ以上の材料をさらに含み得るが、これに限定されない。
【0033】
また、本発明の化粧料組成物は、好ましくは、色調化粧料に使用され、その種類としては、フェイスパウダー、コンパクト、パウダーファンデーション、ツーウェイケーキ、メークアップベース、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、アイシャドウおよびパウダーブラッシュからなる群から選択される1つの色調化粧料であり得るが、これに限定されない。
【0034】
上記化粧料組成物の製造方法は、より具体的には、化粧品組成物を、水相と油相1および2をそれぞれ区分して準備するステップ、水相にそれぞれの油相を乳化機を用いて75℃、3,000rpmでそれぞれ3分ずつホモミキシング(Homo Mixing)するステップ、それぞれの添加物を10℃ずつ下げながら順次投入かつ溶解し、20rpmで分散させるステップ、温度を35℃に下げた状態で、ヒト臍帯血細胞培養液がコーティング含浸された針状海綿骨片(スピキュール)を蒸留水とグリセリンを溶媒として、分散された添加物を準備するステップ、上記ヒト臍帯血細胞培養液がコーティング含浸されたスピキュールを蒸留水とグリセリンを溶媒として、分散された添加物を乳化機に投入してから、5分間、15rpmで分散させるステップ、分散された添加物を室温に冷却するステップ、上記添加物を2日ないし3日間熟成させるステップ、および、上記添加物の熟成期間の間、微生物、重金属、pH、粘度などのテストを行うステップを含む。
【0035】
以下、本発明を製造例および実施例により詳細に説明する。ただし、下記の製造例および実施例は、本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記の製造例および実施例に限定されるものではない。
【0036】
製造例1:酵素分解およびC18カートリッジ精製方法による海綿骨片粉末の製造
【0037】
(1)淡水で採取した海綿を水分率8%未満になるように乾燥して粉砕し、70meshフィルタで分離して海綿粉末を前処理した。前処理された海綿粉末50gにPBS Buffer(Phosphate-Buffered Saline Buffer)100mLを投入して希釈し、DTT(0.12% w/v)を使用して沈殿させた。沈殿した粉末を4℃、15分、16,200rpmで遠心分離し、遠心分離後に95℃で3分間熱変性処理した。熱変性処理してからブロメライン(Bromelain)酵素10mLを添加して、37℃で24時間分解した。この後、C18カートリッジを用いて有機物を精製し、有効成分が残っている固定相を沈殿させてから、沈殿させた粉末を電気炉に入れ、150℃で20分、350℃で30分、750℃で50分間、順次昇温させ、海綿骨片粉末100gを準備した。
【0038】
(2)ヒト臍帯血細胞培養液をmannitol、niacinamide、human cord blood cell conditioned media、sodium hyaluronateで混合したUSC 1994-FPBN粉末を1:2の重量比で蒸留水に溶解させた。
【0039】
(3)ホモミキサー(Homo Mixer)内の減圧と冷却窒素の投入を試運転し、ホモミキサーの内部の温度を20℃にセットした。上記セットしたホモミキサー内に上記(1)のステップの準備した海綿骨片粉末100gを投入して冷却窒素を投入しながら分散させた後に、ホモミキサーの内部を肉眼で確認し、円滑な分散がなされたときに、上記(2)のステップの溶解されたヒト臍帯血細胞培養液を3ml/minでスプレー噴射させた。スプレー噴射が完了した後、ミックスを維持し、ミックスは維持しつつ冷却窒素ガスは減らし、相対的に空気の量を増やして3時間室温に合わせた。さらに、噴射は停止しても、減圧とパルスは5分間維持してからミキサーの運転を停止した後、凍結乾燥した白色粉末を得て、減圧デシケーターに保管した。
【0040】
製造例2:低温高圧酵素反応カラーベース(Color Base N-30)の製造
【0041】
カラーベース(Color Base N-30)は、チタニウムジオキサイド、マイカ、ジンクオキサイド、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、ウルトラマリン、トリエトキシカプリリルシラン、ヒドロゲンジメチコン、ジメチコンを含み、表1のように配合して製造したColor Base N-30に20重量%の精製水を混合した。次に、プロタメックスおよびアルカラーゼを1:1の重量比で3g添加した。色素の安定性のために酵素反応器の温度を30~45℃に下げ、60MPaに設定した後、約24時間酵素反応を行った。
【0042】
【0043】
製造例3:低温高圧酵素反応抽出液(Extract N-30)の製造
【0044】
抽出液(Extract N-30)は、大王松葉抽出液、トウニレ根抽出液、月見草抽出液、葛根抽出液をすべて混合したものであり、配合比は下記の表2のとおりである。
【0045】
それぞれの材料に精製水を10倍(v/w)添加した後に、100~130℃で4~6時間熱水抽出した大王松葉抽出液、トウニレ根抽出液、月見草抽出液、葛根抽出液を混合して、ブリックスを4~6ブリックスに調整し、1~8℃で2~5日間熟成させた後に、プロタメックスおよびアルカラーゼを1:1の重量比で3g添加して混合した。酵素反応器の条件を50℃、60MPaに合わせて、約24時間酵素反応を行った。
【0046】
【0047】
実施例1.ファンデーション
【0048】
製造例1の酵素分解およびC18カートリッジの精製方法による海綿骨片粉末、製造例2の低温高圧酵素反応で精製されたカラーベース(Color Base N-30)、 製造例3の低温高圧酵素反応で精製された抽出液(Extract N-30)を用いて、下記の表3の配合比で配合した後に、1~8℃で72時間、低温熟成ステップを経た化粧品である。
【0049】
比較例1.ファンデーション
【0050】
製造例1の酵素分解およびC18カートリッジの精製方法による海綿骨片粉末、製造例2の低温高圧酵素反応で精製されたカラーベース(Color Base N-30)、 製造例3の低温高圧酵素反応で精製された抽出液(Extract N-30)を用いて、下記の表3の配合比で配合した後に、低温熟成ステップを経ていない化粧品である。
【0051】
比較例2.ファンデーション
【0052】
化学的な工法(塩酸に入れ、不純物を除去して乾燥する工法)で精製された海綿骨片粉末、製造例2の方法で製造し、低温高圧酵素反応を経ていないカラーベース(Color Base N-30)、製造例3の方法で製造し、低温高圧酵素反応を経ていない抽出液(Extract N-30)を用いて、下記の表3の配合比で配合した後に、低温熟成ステップを経ていない化粧品である。
【0053】
【0054】
実験例1.抽出液の細胞毒性
【0055】
HaCaT細胞は、37℃、5%のCO2条件で、10%のFBS(Fetal bovine serum)と1%のペニシリン-ストレプトマイシン(PS、Gibco)が含有されたDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)で培養した。
【0056】
上記培養したHaCaT細胞(ヒト角質形成細胞株)に24時間、それぞれの試料を濃度別に希釈して処理し、MTSアッセイ(CellTiter Aqueous One Solution Cell proliferation assay kit 3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxymethoxyphenyl)-2-(4-sulfophynyl)-2H-tetrazolium,inner salt;MTS,Promega Co.Madison,WI,USA)技法で細胞生存能を490nmでマイクロプレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,USA)で測定して試験した。
【0057】
その結果、表4に示したように、本発明の製造例3の抽出液を処理しても、何も処理していない対照群を基準として、細胞生存率(%)の変化がほとんどなく、本発明の抽出液は、細胞毒性がないことを確認した。
【0058】
【0059】
実験例2.抽出液のヒアルロン酸含有量変化の分析
【0060】
上記製造例3の方法で製造された抽出液、上記製造例3の方法で抽出液を製造し低温高圧酵素反応させていない抽出液、低温高圧酵素反応させた大王松葉単独の抽出液、低温高圧酵素反応させたトウニレ根単独の抽出液、低温高圧酵素反応させた月見草単独の抽出液、低温高圧酵素反応させた葛根単独の抽出液によりヒアルロン酸含有量を比較した。
【0061】
実験方法は、上記HaCaT細胞に24時間、それぞれの試料を処理し、紫外線(UV Crosslinker、Ultra Lum)を20mJ/cm2で30分間照射した後に、培養物の上澄液を収集し、ヒアルロン酸ELISAキット(R&D Systems、Inc.,Minneapolis,MN,USA)を用いて、ヒアルロン酸(Hyaluronic Acid)の含有量を測定した。反応物は吸光アッセイを行った。
【0062】
【0063】
その結果、表5に比較したように、紫外線照射により、ヒアルロン酸の含有量は減少したが、本発明の抽出液処理によりヒアルロン酸の含有量が増加し、処理区中では、製造例3の混合抽出液処理区がヒアルロン酸の含有量が最も増加したことを確認した。
【0064】
実験例3.肌の保湿効果試験
【0065】
実施例1と比較例1および2のファンデーションにより、肌の保湿効果を調べるために、皮膚の伝導度を測定した結果、実施例1で最も高く示された。
【0066】
【0067】
実験例4.皮膚色度の測定試験
【0068】
Chromameterを用いて、明度(皮膚の明るさ)を表すL*値を測定、評価した結果、実施例1が最も高く示された。
【0069】
【0070】
実験例5.長期保存安定性
【0071】
実施例1および比較例のファンデーション化粧品組成物を温度30±2℃/相対湿度66±5%の条件で1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月保管して、乳化状態および分散状態の分離現象を観察し、点数で評価した。
5点:良好(○)、4点:概ね良好(△~○)、3点:普通(△)、2点:やや不良(×~△)、1点:不良(×)
【0072】
【0073】
その結果、実施例1のファンデーションは、6ヶ月保管しても乳化状態が良好であり、かつ分離現象が起きず、長期保存安定性が高いことを確認できた。
【0074】
実験例6.化粧品の使用評価
【0075】
年齢25歳以上59歳以下の女性30名を対象に、顔にファンデーションを塗布した後の肌の密着感、保湿力、カバー力、保持力、カラー発色、全体的な嗜好度を評価した。0~10点で評価し、下記の評価点数は、30名の応答の平均値である(ただし、カラー発色は明るいほど10点に近い)。
【0076】
【0077】
その結果、実施例1の化粧品は、すべての項目で9点以上の高い得点を示し、使用感に優れていることを確認した。
【国際調査報告】