(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】フレキソ印刷及びグラビア印刷用彫刻ローラ
(51)【国際特許分類】
B41F 31/26 20060101AFI20230119BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B41F31/26 Z
B41M1/30 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515049
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020049316
(87)【国際公開番号】W WO2021046288
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522086799
【氏名又は名称】ハーパー コーポレイション オブ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー、ロナルド、リー
(72)【発明者】
【氏名】ドナート、アンソニー、ジーン
(72)【発明者】
【氏名】テューフラー、ショーン、フランクリン
【テーマコード(参考)】
2C250
2H113
【Fターム(参考)】
2C250DA01
2C250DC04
2C250DC12
2C250DC14
2H113AA01
2H113AA02
2H113AA05
2H113BA01
2H113BA03
2H113DA04
(57)【要約】
印刷装置と共に使用して液体を刷版又は基材に転移するためのローラが提供される。シリンダとも呼ばれるローラは、直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンを有する彫刻面を有する。直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンは、チャネル彫刻角度に直線状チャネルと、直線状チャネル内に配置された、セルポケット配置角度にポケットを備える複数のセルとを有する。彫刻パターンと、印刷プロセスにおけるスピッティングを減少させるためにパターンを使用する方法とが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と共に使用して、刷版又は基材に液体を転移するためのローラであって、
直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンを有する彫刻面を有するシリンダを備え、
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンが、チャネル彫刻角度に直線状チャネルと、前記直線状チャネル内に配置された、セルポケット配置角度にポケットを備える複数のセルとを有する、ローラ。
【請求項2】
前記ローラが彫刻面を有する、請求項1に記載のローラ。
【請求項3】
前記彫刻面がレーザ彫刻されている、請求項1に記載のローラ。
【請求項4】
前記シリンダが、セラミック又は他の彫刻可能なコーティングもしくは材料によってコーティングされている、請求項1に記載のローラ。
【請求項5】
前記液体が、前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンの直線状チャネルを流れることが可能な粘度を有する任意の材料である、請求項1に記載のローラ。
【請求項6】
前記液体が、インク、接着剤、ニス、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載のローラ。
【請求項7】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンが、前記コーティングされたシリンダの軸方向に対して30°~150°(度)の範囲にある、請求項1に記載のローラ。
【請求項8】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンが、前記コーティングされたシリンダの軸方向に対して30°~89°又は91°~150°(度)の範囲にある、請求項1に記載のローラ。
【請求項9】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンが、六角形の基本セルプロファイルを有する、請求項1に記載のローラ。
【請求項10】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンのセルが、隔壁と、前記セルの底部に全チャネル深さの20%~80%の範囲のセル壁深さを有するポケットとを有する、請求項1に記載のローラ。
【請求項11】
前記全チャネル深さが、自由流動液体チャネル深さに前記セル壁深さを加えたものに等しい、請求項10に記載のローラ。
【請求項12】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンのセルが、隔壁と、前記セルの底部に全チャネル深さの40%~60%の範囲のセル壁深さを有するポケットとを有する、請求項9に記載のローラ。
【請求項13】
前記チャネル彫刻角度が30°~150°の範囲にある、請求項1に記載のローラ。
【請求項14】
前記チャネル彫刻角度が、30°~89°又は91°~150°(度)の範囲にある、請求項1に記載のローラ。
【請求項15】
前記セルポケット配置角度が、前記チャネル彫刻角度の20%~80%の範囲にある、請求項1に記載のローラ。
【請求項16】
前記セルポケット配置角度が、前記チャネル彫刻角度の40%~60%の範囲にある、請求項15に記載のローラ。
【請求項17】
シリンダを有するローラ用彫刻パターンであって、
チャネル彫刻角度に直線状チャネルと、セルポケット配置角度にポケットを備える複数のセルと、を有する直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンを含む、ローラ用彫刻パターン。
【請求項18】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンが、前記シリンダの軸方向に対して30°~150°(度)の範囲にある、請求項17に記載の彫刻パターン。
【請求項19】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンが、前記シリンダの軸方向に対して30°~89°又は91°~150°(度)の範囲にある、請求項17に記載の彫刻パターン。
【請求項20】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンが、六角形の基本セルプロファイルを有する、請求項17に記載の彫刻パターン。
【請求項21】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンのセルが、隔壁と、前記セルの底部に全チャネル深さの20%~80%の範囲のセル壁深さを有するポケットとを有する、請求項17に記載の彫刻パターン。
【請求項22】
前記全チャネル深さが、自由流動液体チャネル深さに前記セル壁深さを加えたものに等しい、請求項21に記載の彫刻パターン。
【請求項23】
前記直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンのセルが、隔壁と、前記セルの底部に全チャネル深さの40%~60%の範囲のセル壁深さを有するポケットとを有する、請求項17に記載の彫刻パターン。
【請求項24】
前記チャネル彫刻角度が30°~150°の範囲にある、請求項17に記載の彫刻パターン。
【請求項25】
前記チャネル彫刻角度が、30°~89°又は91°~150°(度)の範囲にある、請求項17に記載の彫刻パターン。
【請求項26】
前記セルポケット配置角度が、前記チャネル彫刻角度の20%~80%の範囲にある、請求項17に記載の彫刻パターン。
【請求項27】
前記セルポケット配置角度が、前記チャネル彫刻角度の40%~60%の範囲にある、請求項26に記載のローラ。
【請求項28】
印刷時のスピッティングを減少させるためにローラを使用する方法であって、
彫刻面を有するローラを有する印刷装置であって、前記彫刻面が、チャネル彫刻角度に直線状チャネルと、セルポケット配置角度にポケットを備える複数のセルとを有する直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンを有する、印刷装置を提供することと、
前記ローラの前記彫刻面から刷版又は基材に液体を転移することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許商標庁において、2019年9月5日に出願された米国仮特許出願第62/896264号及び2020年9月3日に出願された米国実用特許出願第17/011104号の優先権を主張する。その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、フレキソ印刷及びグラビア印刷用の彫刻パターンを有するローラに関する。
【背景技術】
【0003】
フレキソ印刷業界では、多くのオープンセルの彫刻が存在するが、インクの「フルキャリー(full carry)」と、耐モアレ性と、耐UVスピッティング性との組み合わせを提供するものはない。モアレは、画像形成された刷版スクリーンと、アニロックス(液体転移)ローラ上の彫刻されたスクリーンとがぶつかることによる干渉パターンである。「フルキャリー」とは、転移の効率を損なうことなくセルを完全に充填する能力である。UVスピッティングは、ブレード/アニロックスの接触領域から集まって問題を引き起こす重い固形物の蓄積によるものである。他のチャネル彫刻は、上記の基準の1つ又は2つを満たすことができるが、3つすべての改善策を提供するものはない。
【0004】
UVスピッティングは、フレキソ印刷及びグラビア印刷の特に厄介な態様である。アニロックスロールをインクで満たし、ドクターブレードを使用して余分なインクを削ぎ取り、一貫したインクフィルムを転移するプロセスは、フレキソ印刷の基本である。しかしながら、フレキソ印刷機にとって繰り返し発生する課題は、UVインクのスピッティングである。スピッティングは、一般に、ブレード/アニロックスの接触点の範囲からのインクの漏れとして説明することができる。ブレードを通過すると、インクはブレードの反対側に溜まる。インクは蓄積すると落下し、典型的には印刷画像上に涙滴の形状がランダムに配置される形態で、印画キズを発生させる。
【0005】
したがって、上述の欠点及び問題を克服する彫刻面を有するローラが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、フレキソ印刷及びグラビア印刷に用いられるレーザ彫刻ローラと、直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンと、それらを用いて印刷時のスピットを減少させる方法とに関する。
【0007】
本発明の一実施形態では、液体を刷版又は基材に転移するための装置と共に使用するための彫刻面を有するローラが提供される。ローラは、直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンを有する彫刻面を有するシリンダを備え、直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンは、チャネル彫刻角度に直線状チャネルと、直線状チャネル内に配置された、セルポケット配置角度にポケットを備える複数のセルとを有する。
【0008】
本発明の一実施形態では、直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンを有する刷版又は基材に液体を転移するための装置と共に使用するためのローラの表面上の彫刻パターンが提供される。直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンは、チャネル彫刻角度に直線状チャネルと、セルポケット配置角度にポケットを備える複数のセルとを有する。
【0009】
本発明の一実施形態では、印刷時のスピッティングを減少させるためにローラを使用する方法が提供される。この方法は、ローラを有する印刷装置を提供することを含み、ローラは、彫刻面を有するシリンダとも呼ばれ、彫刻面は、直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンを有しており、その直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンは、チャネル彫刻角度に直線状チャネルと、セルポケット配置角度にポケットを備える複数のセルとを有し、ローラの彫刻面から刷版又は基材に液体を転移する。
【0010】
本発明の適用可能なさらなる領域は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0011】
本発明は、詳細な説明及び必ずしも一定の縮尺ではない添付の図面から、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明によるフレキソ印刷及びグラビア印刷の用途で使用するためのローラを示す。
【
図2】本発明によるフレキソ印刷及びグラビア印刷の用途で使用するためのスリーブと呼ばれる別の種類のローラを示す。
【
図3】セル壁を有するセルと、セル壁深さとを示す。
【
図4】120度のチャネル彫刻角度及び60度のセルポケット配置角度を有する本発明による彫刻の幾何学的角度の画像を示す図である。
【
図5A】白色光画像によって描かれた60°のチャネルのクロスチャネルスライスの画像である。
【
図5B】
図5Aのチャネルのチャネル底部からのクロスチャネルセル(ポケット)壁の深さに対する全チャネル深さの関係を示すヒストグラムである。
【
図6A】白色光画像においてチャネルの真ん中を通るスライスラインの画像、並びに、全チャネル深さに対するセル(ポケット)壁深さ及び1リニアインチ当たりのセルの数を示すヒストグラムである。
【
図6B】
図6Aのチャネルの全チャネル深さに対するセル(ポケット)壁深さ及び1リニアインチ当たりのセルの数を示すヒストグラムである。
【
図7A】セラミック彫刻アニロックスローラの体積及び幾何学的特徴を測定して得られたデータから作成されたヒストグラムを有する3D画像である。
【
図8A】底部から見上げるような形でセルを見るために画像を反転させた
図7Aの3D画像である。
【
図10】60度のチャネルを有する白色光画像である。
【
図12A】クローズアップを提供するために、白色光画像において、より少ないセル上にラインが引かれている画像である。
【
図13A】白色光画像において、チャネル自体にラインが引かれている画像である。
【
図14A】白色光画像における120度のチャネル内の3つのセルラインの画像である。
【
図15A】白色光画像においてチャネルを横切って引かれたラインの第2の位置の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その用途、又は使用を限定することを決して意図するものではない。以下の説明は、本発明の実施可能な開示を提供する目的でのみ例示として本明細書に提供されるが、本発明の範囲又は実体を限定するものではない。
【0014】
図を参照すると、
図1Aは、本発明によるフレキソ印刷及びグラビア印刷の用途で使用するための彫刻ローラ100を示す。
図1Bは、
図1Aの彫刻ローラの別の図である。彫刻ローラ100は、印刷装置と共に使用されて、液体を刷版又は基材に転移する。好ましくは、ローラは、フレキソ印刷に使用されるアニロックスローラである。ローラは、さまざまな彫刻の1つ又は複数のバンドを有することができる。
【0015】
図2は、本発明によるフレキソ印刷及びグラビア印刷の用途で使用するためのスリーブと呼ばれる別のタイプの彫刻ローラ200を示す。彫刻ローラ100及び彫刻ローラ200は、彫刻面20を有する。しかしながら、彫刻ローラ100及び彫刻ローラ200は、印刷装置において異なる形で取り付けられる。彫刻ローラ100は、ジャーナルを有し、彫刻ローラ200は、内部が中空であり、中空ローラをセルフセンタリング方式で取り付けることを可能にする複数のデザインを有する。両方のタイプのローラは、本発明によるフレキソ印刷及びグラビア印刷の用途に使用することができる。
【0016】
彫刻ローラ100及び200はそれぞれ、セラミック及び他のコーティング又は材料によってコーティングされている。彫刻面は、レーザ彫刻されていることが好ましい。コーティング材料には、セラミック、金属、及び任意の他のレーザ彫刻可能な材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
彫刻面20は、複数の直線状チャネルと、各直線状チャネル内に複数のセルとを有する。彫刻面は、液体の流れを遅くする。液体は、直線状チャネルを流れることが可能な粘度を有する任意の材料である。液体の例としては、インク、接着剤、特殊効果ニスを含むニス、及びプライマーが含まれるが、これらに限定されない。セルは、好ましくは、所与の直線状チャネル内に等間隔に配置される。
図3に示すように、セルは、液体保持ウェルとして機能するセルポケットを有する。等間隔のセルの数は、用途によって異なることがあり、リニアインチ当たり10から5000セル(ポケット)の範囲であり得る。各セルは、チャネル壁よりも低く、チャネル壁に垂直な2つのクロスチャネル壁によって画定される。直線状のセルを含んだチャネル構造は、コーティングされたシリンダの軸方向に対して30°~150°(度)の範囲のパターンとして構成及び彫刻することができる。直線状のセルを含んだチャネル構造はまた、コーティングされたシリンダの軸方向に対して30°~89°及び/又は91°~150°(度)の範囲のパターンとして構成及び彫刻することができる。所与のローラに対して固定測定角度における直線状チャネルは、六角形の基本セルプロファイルを利用する。セル底部のポケットは、全チャネル深さの20%~80%の範囲のセル壁深さの隔壁で形成され、全チャネル深さの約40%~60%が好ましい。全チャネル深さは、セル壁深さに自由流動液体チャネル深さを加えたものに等しい。自由流動液体チャネルとは、セル壁の上方のチャネルの部分であるが、液体が自由に流れるチャネル内の部分を指す。自由流動液体チャネル深さ及び全チャネル深さは、本明細書の図に示すヒストグラムに示されている。
【0018】
印刷版又は基材への転移に利用可能な液体の達成可能な容積は、10億立方ミクロン/平方インチ(Billion Cubic Microns per Square Inch:BCM)で測定され、BCMの量は、リニアインチ当たりの彫刻可能なセル(ポケット)に関連しており、そのセルは、彫刻面に形成され、セルクロスチャネル壁を全チャネル深さの20%~80%の範囲に維持することができる。
【0019】
本発明では、チャネル彫刻角度とセル(ポケット)配置角度との間には関係がある。チャネル彫刻角度は、液体を捕捉し保持するためにチャネルを横切って移動する壁を有するセルと共に、30°~150°の範囲であり得る。あるいは、チャネル彫刻角度は、30°~89°及び/又は91°~150°(度)の範囲であり得る。セル(ポケット)配置角度がチャネル彫刻角度の20%~80%、好ましくは40%~60%の範囲にあるので、セル(ポケット)配置角度は、チャネル彫刻角度(30°~150°)又は(30°~89°及び/又は91°~150°)によって本質的に決定される。
【0020】
図4は、120度のチャネル彫刻角度及び60度のセルポケット配置角度を有する彫刻の幾何学的角度を示す。
図4に示す例では、チャネルの角度は、角度ベクトルとアニロックスの軸との間の差として測定された120°で示されている。
図4に示すように、クロスポイントはセルポケット(ウェル)内に位置する。
【0021】
ポケットは、セルを満たすことになる液体流の制御を可能にする。本発明の直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンは、セルが満たされるときに液体を流動させ続け、液体を印刷版又は基材に転移することによって、液体に水圧逃がしを提供する。圧力逃がしがなければ、集まった固形物は、ローラ表面から液体を計量しているドクターブレードに付着してしまう。より多くの液体がブレード縁部に蓄積し、その表面エネルギーが保持できると、「スピット」(ブレード/ローラ接触領域からインクを弾くプロセス)が刷版又は基材表面に任意に放出され、印画キズをもたらす。本発明の直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンの別の利点の中には、モアレパターンの形成(刷版又は基材とローラセル角度との間の印刷干渉)に対してスリムなプロファイルを提供するということがある。
【0022】
したがって、本発明は、セラミック又は他の彫刻可能な材料へのレーザなどによる彫刻を提供するが、転写特性を犠牲にしたり、モアレの可能性を増加させたりすることなく、UVインク及び他の液体に水圧逃がしを提供する。セルプロファイルの機能性により、UVインクのスピッティングの可能性が高まる懸念もなく、実行速度の向上が可能になる。直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンはまた、撹拌からマイクロバブルを発生しやすい接着剤及びニスの発泡を軽減させる。粒子インクのような他の印刷分野もまた、セルチャネルフロー技術の恩恵を受けることができる。
【0023】
本発明の彫刻ローラ及び彫刻パターンは、「キャリー」及び容積の目標(両方ともクローズドセルの彫刻の特性)を維持しながら、液体を運ぶ刷版又は印刷に必要な基材画像角度と干渉することなく、一貫した低いクロスチャネル壁高さと、一貫したセル底部プロファイルとを提供する。本技術とは異なって、本発明の彫刻ローラは、従来の角度付きの画像形成された印刷版又は基材へのインク及び他の液体の一貫した転移をもたらす彫刻角度に、直線状のチャネルを提供する。本発明の彫刻ローラ及び彫刻パターンの他の利点の中には、ピンホール及び不透明度の増加を伴わないフレキソ印刷及びグラビア印刷がある。刷版又は基材及び表面に応じて、本発明の彫刻ローラ及び彫刻パターンは、液体のレイダウンを助けることもできる。
【0024】
本発明の一実施形態では、印刷時のスピッティングを減少させるためにローラを使用する方法が提供される。本方法は、彫刻面を有するシリンダを備えたローラを有する印刷装置を提供することであって、彫刻面は、チャネル彫刻角度に直線状チャネルを有する直線状のセルを含んだチャネル彫刻パターンと、セルポケット配置角度にポケットを備える複数のセルとを有する印刷装置を提供することと、インク又は他の液体をローラの彫刻面から刷版又は基材に転移することとを含む。
【実施例】
【0025】
3DQCマイクロダイナミクス干渉計測定装置を使用して、本発明によるセラミック彫刻アニロックスローラの体積及び幾何学的特徴を測定した。得られたデータ及びスキャンから調製された画像及びヒストグラムを
図5A~
図15Bに示す。
【0026】
図5Aは、白色光画像によって描かれた60°のチャネルのクロスチャネルスライスの画像である。
図5Bは、
図5Aのチャネルのチャネル底部からのクロスチャネルセル(ポケット)壁深さに対する全チャネル深さの間の関係を示すヒストグラムである。チャネルに垂直なスライスがチャネルを横切るのを描いた
図5A及び
図5Bを参照すると、「チャネル頂部」と「クロスチャネルセル壁頂部」との間の差は、自由液体流動チャネルであり、「クロスチャネルセル壁頂部」と「セル(ポケット)底部」との間の差は、流れを遮断するポケットである。
【0027】
図6Aは、白色光画像におけるチャネルの真ん中を通るスライスラインの画像、並びに、全チャネル深さに対するセル(ポケット)壁深さ及び1リニアインチ当たりのセルの数を示すヒストグラムである。
図6Bは、
図6Aのチャネルの全チャネル深さに対するセル(ポケット)壁深さ及び1リニアインチ当たりのセルの数を示すヒストグラムである。
図6A及び
図6Bを参照すると、チャネルに平行なスライスがチャネル方向の中央を通るのを描くことにより、液体捕捉セル(ポケット)と、ドクターブレードが拭き取るチャネルの頂部との間の関係が示される。チャネル内のセルポケットは、ユニークである。
【0028】
図7Aは、セラミック彫刻アニロックスローラの体積及び幾何学的特徴を測定して得られたデータから作成されたヒストグラムを有する3D画像である。
図7Bは、
図7Aのヒストグラムである。軸方向のスライスを描いている
図7A及び
図7Bを参照すると、3DQCは、近似的な複合プロファイルを構築している。
【0029】
図8Aは、底部から見上げるような形でセルを見るために画像を反転させた
図7Aの3D画像である。
図8Bは、
図8Aのヒストグラムである。ローラの軸方向のスライスを描いている
図8A及び
図8Bを参照すると、3DQCは、近似的な複合プロファイルを構築している。この図では、図が下から上を見上げるものであっても、複合性は前の図と同じである。
【0030】
図9は、
図7Aの3D画像の別の図である。この図では、チャネル壁、クロスチャネルセル壁、及びセルポケットが示されている。
【0031】
図10は、60度のチャネルを有する白色光画像である。この図では、チャネル壁、クロスチャネルセル壁、及びセルポケットが示されている。
【0032】
図11Aは、白色光画像である。
図11Bは、
図11Aのヒストグラムである。
図11A及び
図11Bを参照すると、スライスラインは、セルポケットを通って引かれ、チャネル自体がローラを横切ってローラの周りを縫うようにして進むときのチャネル内の他のセルと比較したセルの全深さを示す。
【0033】
図12Aは、クローズアップを提供するために、白色光画像において、より少ないセル上にラインが引かれている画像である。
図12Bは、
図12Aのヒストグラムである。
図12A及び
図12Bを参照すると、スライスラインは、3つのセルポケットのみを通って引かれ、チャネル自体がローラを横切ってローラの周りを縫うようにして進むときのチャネル内の他のセルに対するセルの全深さ及び割合を示す。
【0034】
図13Aは、白色光画像において、チャネル自体にラインが引かれている画像である。
図13Bは、
図13Aのヒストグラムである。
図13A及び
図13Bを参照すると、
図13は、
図6Bと同様であり、スライスは、
図6Bの9つのセルポケットの代わりに7つのセルポケットを通って、チャネルに平行にチャネル方向の中央を通って描かれ、液体捕捉セル(ポケット)を異なる割合で示す。
【0035】
図14Aは、白色光画像における120度のチャネルの3つのセルラインの画像である。
図14Bは、
図14Aのヒストグラムである。
図14A及び
図14Bは、より詳細にプロファイリングすることができるように3つのセルのみを示していることを除いて、
図6Bと同じ図を示している。
【0036】
図15Aは、白色光画像においてチャネルを横切って引かれたラインの第2の位置の画像である。
図15Bは、
図15Aのヒストグラムである。
図15A及び
図15Bを参照すると、
図15Bは、
図5Bと同様であり、スライスは、7つのチャネルを通ってチャネルに対して垂直に描かれ、クロスチャネル壁とセルポケットとの間の深さの差を示す。
【0037】
他の実験は、一貫性のある制御された直線状彫刻のレーザ彫刻パラメータを決定するために実施された。バンデッド・アニロックスローラ(banded anilox roller)及びシングルバンド・アニロックスローラを使用した実際の印刷の試験が実施され、標準的な60個の六角形のクローズドセル彫刻と比較した試験に成功した。印刷された製品の比較は、30度及び非直線状チャネル彫刻に対して行われてきた。
【0038】
したがって、本発明が広範な実用性及び用途が可能であることは、当業者には容易に理解されよう。本発明の本質又は範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されたもの以外の本発明の多くの実施形態及び適応例、並びに多くの変形、修正及び同等の構成は、本発明及びその前述の説明から明らかになるか、又はそれらによって合理的に示唆される。したがって、本発明をその好ましい実施形態に関連して本明細書で詳細に説明したが、本開示は本発明の例証的かつ例示的なものに過ぎず、本発明の完全かつ実施可能な開示を提供する目的のためだけになされていることを理解されたい。前述の開示は、本発明を限定すること、又は他の様態でそのような他の実施形態、適応例、変形、修正、及び同等の構成を排除することを意図又は解釈するものではない。
【国際調査報告】