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特表2023-502843癌を処置するために使用されるIL-15融合ペプチド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】癌を処置するために使用されるIL-15融合ペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230119BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230119BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230119BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20230119BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20230119BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230119BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230119BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20230119BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C12N15/12
C12N15/24
A61K38/20
A61P35/00
A61K47/54
A61K47/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022519139
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 GB2020052328
(87)【国際公開番号】W WO2021058973
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】1913804.9
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522115402
【氏名又は名称】プロステイト キャンサー リサーチ センター
【氏名又は名称原語表記】PROSTATE CANCER RESEARCH CENTRE
(71)【出願人】
【識別番号】500532757
【氏名又は名称】キングス カレッジ ロンドン
【氏名又は名称原語表記】KINGS COLLEGE LONDON
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルスティアン,クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】スミス,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】スモラレク,ドロタ
(72)【発明者】
【氏名】パパエバンゲロ,エフシミーア
(72)【発明者】
【氏名】ダスグプタ,プローカー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD52
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084BA36
4C084BA41
4C084DA12
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA20
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA02
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、融合ポリペプチドであって、ポリペプチドが、a.インターロイキン-15(IL-15)と、b.10から60個のアミノ酸残基の長さであり、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大するIL-15活性促進配列とを含む融合ポリペプチドを対象とする。また、融合ポリペプチドをコードする核酸、融合ポリペプチドを生成する関連方法、それを含む医薬組成物およびキットならびにその治療的使用も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、融合ポリペプチド:
a. インターロイキン-15(IL-15);および
b. IL-15活性促進配列、ここで、前記配列は: 10から60個のアミノ酸残基の長さであり;かつIL-15によるCD8+T細胞増殖を増大する。
【請求項2】
IL-15活性促進配列が、前記ポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を増大しない、請求項1に記載の融合ポリペプチド。
【請求項3】
IL-15活性促進配列が、10から55個のアミノ酸残基の長さである、請求項1または2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項4】
IL-15活性促進配列が、15から55個のアミノ酸残基の長さである、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項5】
IL-15活性促進配列が、25から55個のアミノ酸残基の長さである、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項6】
IL-15活性促進配列が、30から55個のアミノ酸残基の長さである、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項7】
IL-15活性促進配列が、42から50個のアミノ酸残基の長さである、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項8】
ポリペプチドが、N末端側IL-15活性促進配列およびC末端側IL-15活性促進配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項9】
IL-15活性促進配列が、配列番号4または9に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項10】
IL-15活性促進配列が、配列番号4または9に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項11】
IL-15活性促進配列が、配列番号4または9に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項12】
IL-15活性促進配列が、配列番号4または9に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項13】
IL-15活性促進配列が、配列番号4または9を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項14】
IL-15活性促進配列が、配列番号4または9からなる、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項15】
IL-15が、ヒトIL-15である、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項16】
IL-15が、配列番号2または3に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項17】
配列番号5、10または28に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項18】
配列番号5、10または28に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項19】
配列番号5、10または28に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項20】
配列番号5、10または28に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項21】
配列番号5、10または28を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項22】
膜結合剤が、IL-15活性促進配列にコンジュゲートされる、先行する請求項のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項23】
膜結合剤が、脂肪族アシル基を含む、請求項22に記載の融合ポリペプチド。
【請求項24】
脂肪族アシル基がミリストイルである、請求項23に記載の融合ポリペプチド。
【請求項25】
膜結合エレメントが、親水性ペプチドをさらに含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項26】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも70%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項25に記載の融合ポリペプチド。
【請求項27】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項25または26に記載の融合ポリペプチド。
【請求項28】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも90%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項29】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも95%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項25から28のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項30】
親水性ペプチドが配列番号6を含む、請求項25から29のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項31】
親水性ペプチドが配列番号6からなる、請求項25から30のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項32】
膜結合エレメントが、IL-15活性促進配列のシステイン残基またはリジン残基にコンジュゲートされる、請求項22から31のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項33】
ジスルフィド結合によってN-(α,εビス-ミリストイルリジン)SSKSPSKKDDKKPGDC(配列番号31)にコンジュゲートされる、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項34】
以下を含む融合ポリペプチド:
a. インターロイキン-15(IL-15);および
b. ペプチド、ここで、当該ペプチドは10から60個のアミノ酸残基の長さであり、配列番号4または9に対して少なくとも70%の配列同一性を有する。
【請求項35】
ペプチドが、10から55個のアミノ酸残基の長さである、請求項34に記載の融合ポリペプチド。
【請求項36】
ペプチドが、15から55個のアミノ酸残基の長さである、請求項34または35に記載の融合ポリペプチド。
【請求項37】
ペプチドが、25から55個のアミノ酸残基の長さである、請求項34から36のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項38】
ペプチドが、30から55個のアミノ酸残基の長さである、請求項34から37のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項39】
ペプチドが、42から50個のアミノ酸残基の長さである、請求項34から38のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項40】
ポリペプチドが、N末端側IL-15およびC末端側ペプチドを含む、請求項34から39のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項41】
ペプチドが、配列番号4または9に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項34から40のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項42】
ペプチドが、配列番号4または9に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項34から41のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項43】
ペプチドが、配列番号4または9に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項34から42のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項44】
ペプチドが、配列番号4または9を含む(好ましくは、配列番号4または9からなる)、請求項34から43のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項45】
IL-15がヒトIL-15である、請求項34から44のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項46】
IL-15が、配列番号2または3に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項34から45のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項47】
配列番号5、10または28に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項34から46のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項48】
配列番号5、10または28に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項34から47のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項49】
配列番号5、10または28に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項34から48のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項50】
配列番号5、10または28に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項34から49のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項51】
配列番号5、10または28を含む、請求項34から50のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項52】
膜結合剤が、ペプチドにコンジュゲートされる、請求項34から51のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項53】
膜結合剤が、脂肪族アシル基を含む、請求項52に記載の融合ポリペプチド。
【請求項54】
脂肪族アシル基がミリストイルである、請求項53に記載の融合ポリペプチド。
【請求項55】
膜結合エレメントが、親水性ペプチドをさらに含む、請求項52から54のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項56】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも70%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項55に記載の融合ポリペプチド。
【請求項57】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項55または56に記載の融合ポリペプチド。
【請求項58】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも90%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項55から57のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項59】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも95%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項55から58のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項60】
親水性ペプチドが配列番号6を含む、請求項55から59のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項61】
親水性ペプチドが配列番号6からなる、請求項55から60のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項62】
膜結合エレメントが、ペプチドのシステイン残基またはリジン残基にコンジュゲートされる、請求項52から61のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項63】
ジスルフィド結合によってN-(α,εビス-ミリストイルリジン)SSKSPSKKDDKKPGDC(配列番号31)にコンジュゲートされる、請求項34から62のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項64】
ポリペプチドが、配列番号5、10または28に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、融合ポリペプチド。
【請求項65】
IL-15が、ヒトIL-15である、請求項64に記載の融合ポリペプチド。
【請求項66】
IL-15が、配列番号2または3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項64または65に記載の融合ポリペプチド。
【請求項67】
配列番号5、10または28に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項64から66のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項68】
配列番号5、10または28に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項64から67のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項69】
配列番号 5、10または28を含むポリペプチド配列を含む、請求項64から68のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項70】
配列番号5、10または28からなる、請求項64から69のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項71】
膜結合剤が、ポリペプチドにコンジュゲートされる、請求項64から70のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項72】
膜結合剤が、脂肪族アシル基を含む、請求項71に記載の融合ポリペプチド。
【請求項73】
脂肪族アシル基がミリストイルである、請求項72に記載の融合ポリペプチド。
【請求項74】
膜結合エレメントが、親水性ペプチドをさらに含む、請求項71から73のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項75】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも70%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項74に記載の融合ポリペプチド。
【請求項76】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項74または75に記載の融合ポリペプチド。
【請求項77】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも90%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項74から76のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項78】
親水性ペプチドが、配列番号6に対して少なくとも95%の配列同一性を有するペプチド配列を含む、請求項74から77のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項79】
親水性ペプチドが配列番号6を含む、請求項74から78のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項80】
親水性ペプチドが配列番号6からなる、請求項74から79のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項81】
膜結合エレメントが、ポリペプチドのシステイン残基またはリジン残基にコンジュゲートされる、請求項71から80のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項82】
ジスルフィド結合によってN-(α,εビス-ミリストイルリジン)SSKSPSKKDDKKPGDC(配列番号31)にコンジュゲートされる、請求項64から81のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項83】
配列番号8または配列番号24に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項84】
配列番号8または配列番号24に対して少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項85】
配列番号8または配列番号24に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項86】
配列番号8または配列番号24に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項87】
配列番号8または配列番号24を含むヌクレオチド配列によってコードされる、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項88】
配列番号8または配列番号24からなるヌクレオチド配列によってコードされる、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項89】
配列番号7に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項90】
配列番号7に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項91】
配列番号7に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項92】
配列番号7に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項93】
配列番号7を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項94】
配列番号7からなる、先行する請求項のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項95】
請求項1から94のいずれか一項に記載の融合ポリペプチドをコードする核酸。
【請求項96】
配列番号8または配列番号24に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項95に記載の核酸。
【請求項97】
配列番号8または配列番号24に対して少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項95または96に記載の核酸。
【請求項98】
配列番号8または配列番号24に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項95から97のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項99】
配列番号8または配列番号24に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項95から98のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項100】
配列番号8または配列番号24を含む、請求項95から99のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項101】
配列番号8または配列番号24からなるヌクレオチド配列を含む、請求項95から100のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項102】
以下を含む、融合ポリペプチドを生成する方法:
a. 宿主細胞において請求項95から101のいずれか一項に記載の核酸配列を発現させること;および
b. 融合ポリペプチドを単離すること。
【請求項103】
請求項102に記載の方法によって得ることができる融合ポリペプチド。
【請求項104】
請求項1から94または103のいずれか一項に記載の融合ポリペプチドと、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントおよび/または塩とを含む医薬組成物。
【請求項105】
以下を含むキット:
a. 請求項1から94もしくは103のいずれか一項に記載の融合ポリペプチドまたは請求項104に記載の医薬組成物;および
b. それを使用するための(例えば、癌の処置において)使用説明書。
【請求項106】
癌の処置において使用するための、請求項1から94もしくは103のいずれか一項に記載の融合ポリペプチドまたは請求項104に記載の医薬組成物または請求項105に記載のキット。
【請求項107】
請求項1から94もしくは103のいずれか一項に記載の融合ポリペプチドまたは請求項104に記載の医薬組成物または請求項105に記載のキットを対象に投与することを含む、癌を処置する方法。
【請求項108】
癌を処置するための医薬の製造における、請求項1から94もしくは103のいずれか一項に記載の融合ポリペプチドまたは請求項104に記載の医薬組成物または請求項105に記載のキットの使用。
【請求項109】
癌が、固形腫瘍癌である、請求項106から108のいずれか一項に記載の使用のための融合ポリペプチド、医薬組成物もしくはキット、方法または使用。
【請求項110】
癌が、前立腺癌、結腸癌、乳癌、肺癌、皮膚癌、肝臓癌、骨癌、卵巣癌、膵臓癌、脳癌、頭部癌、頸部癌、リンパ腫および神経癌から選択される1つ以上のである、請求項106から109のいずれか一項に記載の使用のための融合ポリペプチド、医薬組成物もしくはキット、方法または使用。
【請求項111】
融合ポリペプチドまたは組成物が、腫瘍内に投与される、請求項106から110のいずれか一項に記載の使用のための融合ポリペプチド、医薬組成物もしくはキット、方法または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチド治療薬、例えば、癌を処置するためのポリペプチド治療薬に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、2005年の世界中の5800万人の死亡のうち760万人を占める深刻な継続中の公衆衛生上の懸念である。癌罹患率は、以来毎年増大し、2030年には1140万人を占めると予測される。
【0003】
固形腫瘍は、上記の癌のうち大部分を占める。固形腫瘍は、嚢胞または液体領域を含有しない組織の異常な塊から生じる。このような腫瘍は、良性(非癌性)である場合があるが、固形腫瘍癌との関連では、固形腫瘍は、悪性(癌性)である。固形腫瘍は、それらが構成される細胞の種類に基づいて3つの群、肉腫、癌腫およびリンパ腫に分類できる。リンパ腫は、リンパ系の腺または節において発生し、液体癌と呼ばれる白血病とは区別される。肉腫は、支持組織および結合組織、例えば、骨、腱、軟骨、筋肉および脂肪において始まる癌である。癌腫とは、上皮由来の悪性新生物または身体の内層もしくは外層の癌を指す。言い換えれば、癌腫は、上皮組織の悪性腫瘍である。癌腫は、すべての癌の症例のうち80~90%を占める。
【0004】
1つのこのような癌腫として、前立腺癌がある。前立腺の癌は、男性では最も一般的な癌であり、症例の約99%が50歳を超える男性で生じるので、年齢は重要なリスク因子である。早期前立腺癌は、通常、無症候性であるが、泌尿器機能障害症状、例えば、頻繁な/困難な/有痛性の排尿、血尿(heamturia)および夜間多尿が存在する場合もある。前立腺癌が進行するにつれ、症状は性機能障害を含む場合がある。後期前立腺癌は、癌細胞転移を伴い、一般に、骨およびリンパ節における続発性腫瘍につながる。症状は、骨の疼痛、刺痛、下肢の脱力ならびに尿および便の失禁を含み得る。前立腺癌は、前立腺特異的抗原(PSA)の検出、前立腺イメージング、デジタル直腸検査および生検を含むさまざまなスクリーニング手順によって、初期の局所的な段階で頻繁に検出される。化学療法、ホルモン療法および放射線療法後、またはその前の外科的除去が有効である場合があり、日常的な診療となっている。しかし、免疫抑制、好中球減少症および血小板増多症を含む副作用が残る可能性がある。さらに、前立腺切除術(prostectomy)を受けている前立腺癌患者の50%超において、泌尿生殖器の損傷が起こり得る。前立腺癌は、処置することが特に困難である場合があり、特に、前立腺癌微小環境は、免疫抑制的であり、従って、前立腺癌細胞の標的化および破壊での免疫系の有効性を低減する。したがって、全般的に癌を、特に、前立腺癌を処置するための改善された治療法が必要である。
【0005】
癌の処置においてインターロイキン-2(IL-2)およびインターロイキン-15(IL-15)を含むTH1サイトカインが使用されてきた。
【0006】
IL-15は、サイトカインの4αヘリックスバンドルファミリーのメンバーであり、細胞表面受容体への結合によって媒介される自然および適応免疫の両方において役割を果たす。受容体は、3つのサブユニット、IL-15受容体(IL-15R)α、IL-2Rβ(IL-15Rβ、CD122およびp75としても知られる)およびγC(CD132およびp65としても知られる)を含む。IL-15は、受容体が第1の細胞のIL-15Rαサブユニットならびに第2の細胞のIL-2RβおよびγCサブユニットから形成されるトランスで、または受容体が同一細胞上のIL-15Rαサブユニット、IL-2RβサブユニットおよびγCサブユニットから形成されるシスで機能するとわかっている。
【0007】
IL-15は、特に有効な治療薬であるとわかっているが、全身毒性を含むいくつかの不利点を伴う。したがって、有効性が改善され、それによって、より低い投与量の投与および全身毒性の低減が可能となるIL-15治療薬が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 98/02454 A
【特許文献2】WO 2011/027175 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題のうち1以上を克服する。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、インターロイキン-15をIL-15活性促進性ペプチドに融合することによって、IL-15の活性が改善されることを見い出した。理論に捉われようとは思わないが、本発明のIL-15活性促進性ペプチドは、IL-15とその受容体の間の相互作用を安定化し、任意選択で、その受容体と相互作用する(シスまたはトランス立体配置のいずれかで)際のIL-15分子のより自由な移動を提供するということが考えられる。有利なことに、これによって、癌の処置における本発明の融合ポリペプチドのより低い用量の投与が可能となり、それによって、野生型IL-15と関連する副作用、例えば、全身毒性が低減される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本発明は、融合ポリペプチド(例えば、癌を処置するための)であって、ポリペプチドが以下を含む、融合ポリペプチドを提供する:
a. インターロイキン-15(IL-15);および
b. IL-15活性促進配列、ここで、前記配列は:
10から60個の間のアミノ酸残基の長さであり;かつ
IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大する。
【0012】
本発明の融合ポリペプチドは、インターロイキン-15を含む。好ましくは、IL-15は、IL-15前駆体のシグナルペプチド(例えば、アミノ酸1~29)およびプロペプチド(例えば、アミノ酸30~48)を欠く成熟IL-15である。参照ヒトIL-15前駆体は、配列番号1として本明細書において示されている。
【0013】
IL-15は本明細書において、哺乳動物IL-15もしくはその機能的断片、例えば、ヒトIL-15もしくはその機能的断片、霊長類IL-15もしくはその機能的断片またはマウスIL-15もしくはその機能的断片であり得る。IL-15は、好ましくは、ヒトIL-15またはその機能的断片である。一実施形態では、IL-15は、配列番号2または3に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。好ましくは、IL-15は、配列番号2または3に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。より好ましくは、IL-15は、配列番号2または3に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。特に好ましい実施形態では、IL-15は、配列番号2または3を含む(より好ましくは、からなる)、より好ましくは、IL-15は、配列番号3を含む(より好ましくは、からなる)。
【0014】
IL-15は、配列番号25~27のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。一実施形態では、本発明のIL-15は、配列番号25~27のいずれか1つに対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。好ましくは、本発明のIL-15は、配列番号25~27のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。より好ましくは、本発明のIL-15は、配列番号25~27のいずれか1つを含む(より好ましくは、からなる)。
【0015】
IL-15の機能的断片は、IL-15活性を有するIL-15の末端切断物である。一実施形態では、IL-15の機能的断片は、CD8+T細胞増殖および/または分化を促進する能力を有する。一実施形態では、IL-15の機能的断片は、ナチュラルキラー(NK)細胞増殖および/または分化を促進する能力を有する。一実施形態では、IL-15の機能的断片は、B細胞増殖および/または分化を促進する能力を有する。好ましくは、Il-15の機能的断片は、CD8+T細胞増殖および/もしくは分化、ナチュラルキラー(NK)細胞増殖および/もしくは分化ならびに/またはB細胞増殖および/もしくは分化を促進する能力を有する。
【0016】
IL-15活性促進配列は、10から60の間のアミノ酸残基の長さである。IL-15活性促進配列は、好ましくは、ペプチド配列である。
【0017】
疑義を避けるために、範囲が記載される場合には、前記範囲は、その終点を形成する数を包含する。例えば、10から60個の間のアミノ酸残基の長さである配列は、10個のアミノ酸残基の長さである配列ならびに60個のアミノ酸残基の長さである配列を包含する。
【0018】
IL-15活性促進配列は、少なくとも10、11、12 13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58または59個のアミノ酸の長さであり得る。IL-15活性促進配列は、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12または11個未満のアミノ酸の長さであり得る。
【0019】
好ましくは、IL-15活性促進配列は、少なくとも32個のアミノ酸残基の長さである。
【0020】
一実施形態では、IL-15活性促進配列は、少なくとも15、20、25または30個のアミノ酸残基の長さであり、最大60、55または50個のアミノ酸残基の長さである。一実施形態では、IL-15活性促進配列は、25~55個の間のアミノ酸残基の長さである。好ましくは、IL-15活性促進配列は、40~50個のアミノ酸残基の長さである。より好ましくは、IL-15活性促進配列は、45~50個のアミノ酸残基の長さ、例えば、46個のアミノ酸残基の長さである。
【0021】
IL-15活性促進配列は、少なくとも1個のシステインまたはリジン残基を含み得る。好ましくは、IL-15活性促進配列は、少なくとも1個のシステイン残基、より好ましくは、1個のシステイン残基を含む。少なくとも1個のシステインまたはリジン残基は、活性促進性配列のN末端またはC末端に、またはその付近に(好ましくは、末端に)位置し得る(IL-15活性促進配列の一次ポリペプチド配列を指す場合)。少なくとも1個のシステインまたはリジン残基の位置は、IL-15に対するIL-15活性促進配列の位置に基づいて適宜決定できる。言い換えれば、IL-15活性促進配列が、IL-15のC末端側に位置する場合には(融合ポリペプチドの一次ポリペプチド配列を指す場合)、少なくとも1個のシステインまたはリジン残基は、活性促進性配列のC末端に、またはその付近に(好ましくは、末端に)位置する可能性があり、一方で、IL-15活性促進配列が、IL-15に対してN末端側に位置する場合には(融合ポリペプチドの一次ポリペプチド配列を指す場合)、少なくとも1個のシステインまたはリジン残基は、活性促進性配列のN末端に、またはその付近に(好ましくは、末端に)位置する可能性がある。好ましくは、少なくとも1個のシステインまたはリジン残基は、IL-15活性促進性配列のC末端に、またはその付近に(好ましくは、末端に)位置する。
【0022】
本発明のIL-15活性促進配列は、少なくともIL-15のCD8+T細胞増殖活性を促進する。言い換えれば、IL-15活性促進配列は、IL-15を含み(好ましくは、同一のIL-15ポリペプチドからなる)、IL-15活性促進配列を欠く同等のポリペプチドと比較した場合に、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大する。
【0023】
「IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大する」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において記載される「CTLL-2アッセイ」を使用してin vitroで測定されるようなCD8+T細胞増殖の増大を指す。好ましくは、増大は、本明細書において記載される「CTLL-2アッセイ」を使用してin vitroで測定されるような、CD8+T細胞増殖の統計的に有意な増大である。
【0024】
本明細書において統計的有意性は、任意の適した技術、好ましくは、一元配置分散分析または事後ニューマン-コイルス法を使用して決定できる。
【0025】
「CTLL-2アッセイ」は、以下によって実施される:
a) マウスCTLL-2細胞を、試験ペプチドに融合されたIL-15ポリペプチド(IL-15-試験ペプチド融合物)の存在下37℃で、96ウェルプレートにおいて5×105個細胞/mlの濃度(100μlの容量でウェルあたり5×104個細胞)で72時間培養すること;
b) 細胞をMTS(5-[3-(カルボキシメトキシ)フェニル]-3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム内塩)とともに3~4時間(72時間の時点で)インキュベートすること;
c) 490nmの吸光度での比色定量によって細胞数を定量化すること;
d) ステップc)において定量化されたCTLL-2細胞数を、同一条件下であるが野生型IL-15(例えば、配列番号2または3)の存在下でアッセイされている対照サンプルにおけるCTLL-2細胞数と比較すること;および
e) ここで、ステップc)において定量化されたCTLL-2細胞数が、対照サンプルにおいて定量化されたCTLL-2細胞数よりも多い(好ましくは、統計的に有意に多い)場合に、試験ペプチドは、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大させており; または、ここで、ステップc)において定量化されたCTLL-2細胞数が、対照サンプルにおいて定量化されたCTLL-2細胞数と実質的に同様である(例えば、統計的に有意な差がない、好ましくは、差がない場合)、もしくはより少ない(好ましくは、統計的に有意に少ない)場合に、試験ペプチドは、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大させていないもしくは減少させている。
【0026】
一実施形態では、IL-15-試験ペプチド融合物の0.1ng/ml~1ng/ml(好ましくは、0.2~0.5ng/ml、より好ましくは、0.2~0.4ng/ml)の濃度で、ステップc)において定量化されたCTLL-2細胞数が、対照サンプルにおいて定量化されたCTLL-2細胞数よりも多い(ここで、対照サンプルの野生型IL-15は、同一濃度で使用されている)場合に、試験ペプチドは、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大し、またはIL-15-試験ペプチド融合物の0.1ng/ml~1ng/ml(好ましくは、0.2~0.5ng/ml、より好ましくは、0.2~0.4ng/mlで)の濃度で、ステップc)において定量化されたCTLL-2細胞数が、対照サンプルにおいて定量化されたCTLL-2細胞数と実質的に同様もしくはより少ない(ここで、対照サンプルの野生型IL-15は、同一濃度で使用されている)場合に、試験ペプチドは、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大しないもしくは減少させる。
【0027】
試験ペプチドが、「CTLL-2アッセイ」によって決定されるように、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大する(好ましくは、統計的に有意に増大する)場合、前記試験ペプチドは、本発明に従うIL-15活性促進配列である。
【0028】
試験ペプチドが、「CTLL-2アッセイ」によって決定されるように、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大しない、または減少させる場合に、前記試験ペプチドは、本発明に従うIL-15活性促進配列ではない。好ましくは、試験ペプチドが、「CTLL-2アッセイ」によって決定されるようにIL-15によるCD8+T細胞増殖を統計的に有意に増大しない、または減少させる(好ましくは、統計的に有意に減少させる)場合に、前記試験ペプチドは、本発明に従うIL-15活性促進配列ではない。
【0029】
一実施形態では、IL-15によるCD8+T細胞増殖の増大は、IL-15を含み(好ましくは、同一のIL-15ポリペプチドからなる)、IL-15活性促進配列を欠く同等のポリペプチドと比較した場合、少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または120%の増大である。
【0030】
CTLL-2細胞は、LGC Standards、UKから市販されている(ATCC(登録商標)TIB-214(商標))。同様に、MTS試薬は、Promegaから市販されている(CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Cell Proliferation Assay)。
【0031】
当業者ならば、ステップd)において使用される対照が、陽性対照、例えば、配列番号5などの本明細書において例示される融合ポリペプチドであるようにCTLL-2アッセイを改変できるということは理解されよう。このような場合には、ステップc)において定量化されるCTLL-2細胞数が、対照サンプルにおいて定量化されるCTLL-2細胞数と実質的に同様である(例えば、統計的に有意な差がない、好ましくは差がない場合)またはより多い(好ましくは、統計的に有意に多い)場合、試験ペプチドは、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大すると決定される。同様に、ステップc)において定量化されるCTLL-2細胞数が、対照サンプルにおいて定量化されるCTLL-2細胞数よりも少ない(好ましくは、統計的に有意に少ない)場合、試験ペプチドは、IL-15によるCD8+T細胞増殖を増大しないと決定される。
【0032】
好ましくは、本発明のIL-15活性促進配列は、IL-15を含み(好ましくは、同一のIL-15ポリペプチドからなる)、IL-15活性促進配列を欠く同等のポリペプチドと比較した場合に、ポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を増大しない。
【0033】
「ポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を増大しない」という用語は、IL-15活性促進配列が、本明細書において記載される「細胞表面結合アッセイ」を使用して決定されるように、ポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を実質的に増大しないということを意味する。受容体は、IL15Rα、IL2Rβ、γCまたはそれらの組合せなどの野生型IL-15が結合する任意の受容体であり得る。
【0034】
一実施形態では、本明細書においてポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合の増大は、本明細書において記載される「細胞表面結合アッセイ」を使用して決定されるように、細胞表面への受容体非依存性結合を統計的に有意に増大することを意味する。
【0035】
「細胞表面結合アッセイ」は、以下によって実施される:
a) 8×106個のJurkatまたはヒツジ赤血球を、2μgの、試験ペプチドに融合されたIL-15ポリペプチド(IL-15-試験ペプチド融合)とともに、25℃で20分間インキュベートすること;
b) 細胞を、2% FCS(ウシ胎児血清)を含有するPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄すること;
c) 室温25℃で1800rpmで5分間遠心分離することおよびあらゆる上清を除去すること;
e) 細胞を、2μlのマウス抗ヒトIL-15 PEコンジュゲート型抗体とともに4℃、暗所で20分間インキュベートすること;
f) 細胞を、2% FCSを含有するPBSで洗浄すること;
g) 室温4℃で1800rpmで5分間遠心分離することおよびあらゆる上清を除去すること;
h) 細胞を、2% FCSを含有するPBSで洗浄すること;
i) 室温4℃で1800rpmで5分間遠心分離することおよびあらゆる上清を除去すること;
j) 細胞を400μlの、2%FCSを含有するPBSに再懸濁すること;
k) フローサイトメトリーによって細胞へのIL-15-試験ペプチド融合物の結合を定量化すること;
l) k)の定量化された結合を、同一条件下であるが、IL-15-試験ペプチド融合物の不在下または野生型IL-15(例えば、配列番号2または3)の存在下で(好ましくは、IL-15-試験ペプチド融合物の不在下で)アッセイされている対照サンプルにおける定量化された結合と比較すること;および
m) ここで、定量化された結合が、対照サンプルの定量化された結合と比較した場合に、実質的に同様である(例えば、統計的に有意な差がない場合、好ましくは、定量化された結合が同一である場合)またはより少ない(好ましくは、統計的に有意に少ない)場合に、試験ペプチドは、ポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を増大させておらず、または、ここで、定量化された結合が、対照サンプルの定量化された結合と比較した場合に、多い(好ましくは、統計的に有意に多い)場合に、試験ペプチドは、ポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を増大させている。
【0036】
試験ペプチドが、「細胞表面結合アッセイ」によって決定されるように、ポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を増大しない(例えば、統計的に有意に増大しない)または減少させる場合に、前記試験ペプチドは、本発明に従うIL-15活性促進配列として選択され得る。
【0037】
試験ペプチドが、「細胞表面結合アッセイ」によって決定されるようにポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を増大する(例えば、統計的に有意に増大する)場合に、前記試験ペプチドは、本発明に従うIL-15活性促進配列ではないとして拒絶され得る。
【0038】
アッセイにおいて使用するためのPEコンジュゲート型抗体は、R&D Systemsから得ることができる(カタログ番号IC2471P)。
【0039】
アッセイにおいて使用するためのヒツジ赤血球は、Antibodies-Onlineから得ることができる(カタログ番号ABIN770405)。アッセイにおいて使用するためのJurkat細胞は、LGC Standards、UKから得ることができる(ATCC(登録商標)TIB-152(商標))。
【0040】
当業者ならば、ステップl)において使用される対照が、陽性対照、例えば、配列番号5などの本明細書において例示される融合ポリペプチドであるように細胞表面結合アッセイを改変できるということは理解されよう。このような場合には、定量化された結合が、対照サンプルの定量化された結合と比較した場合に、実質的に同様である(例えば、統計的に有意な差がない場合、好ましくは、定量化された結合が同一である場合)またはより少ない(好ましくは、統計的に有意に少ない)場合、試験ペプチドは、ポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を増大しないと決定される。同様に、対照サンプルの定量化された結合と比較した場合に、定量化された結合がより多い(好ましくは、統計的に有意に多い)場合に、試験ペプチドは、ポリペプチドの細胞表面への受容体非依存性結合を増大すると決定される。
【0041】
IL-15活性促進配列は、IL-15のC末端側またはN末端側のいずれかに位置付けることができる(本発明の融合ポリペプチドの一次ポリペプチド配列を指す場合)。好ましい実施形態では、融合ポリペプチドは、N末端側IL-15活性促進配列およびC末端側IL-15活性促進配列を含む。好ましくは、IL-15活性促進配列のN末端アミノ酸残基は、本発明の融合ポリペプチドの一次ポリペプチド配列でIL-15のC末端アミノ酸残基のすぐC末端側である。
【0042】
一実施形態では、本発明のIL-15活性促進配列は、配列番号4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。一実施形態では、本発明のIL-15活性促進配列は、配列番号4に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。好ましくは、本発明のIL-15活性促進配列は、配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。より好ましくは、IL-15活性促進配列は、配列番号4を含む(より好ましくは、からなる)。
【0043】
一実施形態では、本発明のIL-15活性促進配列は、配列番号9に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。一実施形態では、本発明のIL-15活性促進配列は、配列番号9に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。好ましくは、本発明のIL-15活性促進配列は、配列番号9に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。より好ましくは、IL-15活性促進配列は、配列番号9を含む(より好ましくは、からなる)。
【0044】
本発明のIL-15活性促進配列は、配列番号4または9を含み得る(またはからなり得る)が、配列番号4を含む(またはからなる)IL-15活性促進配列が好ましい。
【0045】
一態様では、本発明は、融合ポリペプチドを提供し、ポリペプチドは、インターロイキン-15(IL-15)と、および10から60個の間のアミノ酸残基の長さであり、配列番号4または9に対して少なくとも70%の配列同一性(好ましくは、配列番号4に対して少なくとも70%の配列同一性)を有するペプチドとを含む。
【0046】
ペプチドは、少なくとも10、11、12 13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58または59個のアミノ酸の長さであり得る。ペプチドは、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12または11個未満のアミノ酸の長さであり得る。
【0047】
好ましくは、ペプチドは、少なくとも32個のアミノ酸残基の長さである。
【0048】
一実施形態では、ペプチドは、少なくとも15、20、25または30個のアミノ酸残基の長さ、最大60、55または50個のアミノ酸残基の長さである。一実施形態では、ペプチドは、25~55個の間のアミノ酸残基の長さである。好ましくは、ペプチドは、40~50個の間のアミノ酸残基の長さである。より好ましくは、ペプチドは、45~50個のアミノ酸残基の長さ、例えば、46個のアミノ酸残基の長さである。
【0049】
ペプチドは、少なくとも1個のシステインまたはリジン残基を含み得る。好ましくは、ペプチドは、少なくとも1個のシステイン残基、より好ましくは、1個のシステイン残基を含む。少なくとも1個のシステインまたはリジン残基は、ペプチドのN末端またはC末端に、またはその付近に(好ましくは、末端に)位置し得る(ペプチドの一次ポリペプチド配列を指す場合)。少なくとも1個のシステインまたはリジン残基の位置は、IL-15に対するペプチドの位置に基づいて適宜決定できる。言い換えれば、ペプチドが、IL-15のC末端側に位置する場合には(融合ポリペプチドの一次ポリペプチド配列を指す場合)、少なくとも1個のシステインまたはリジン残基は、ペプチドのC末端に、またはその付近に(好ましくは、末端に)位置する可能性があり、一方で、ペプチドが、IL-15に対してN末端側に位置する場合には(融合ポリペプチドの一次ポリペプチド配列を指す場合)、少なくとも1個のシステインまたはリジン残基は、ペプチドのN末端に、またはその付近に(好ましくは、末端に)位置する可能性がある。好ましくは、少なくとも1個のシステインまたはリジン残基は、ペプチドのC末端に、またはその付近に(好ましくは、末端に)位置する。
【0050】
本発明の融合ポリペプチドは、配列番号5に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。一実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号5に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。好ましくは、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号5に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。より好ましくは、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号5を含む(より好ましくは、からなる)。
【0051】
本発明の融合ポリペプチドは、配列番号10に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。一実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号10に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。好ましくは、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号10に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。より好ましくは、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号10を含む(より好ましくは、からなる)。
【0052】
本発明の融合ポリペプチドは、配列番号28に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。一実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号28に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。好ましくは、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号28に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む(またはからなる)。より好ましくは、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号28を含む(より好ましくは、からなる)。
【0053】
融合ポリペプチドは、配列番号5、10または28を含み得る(またはからなり得る)が、配列番号5を含む(またはからなる)融合ポリペプチドが好ましい。
【0054】
本発明のIL-15活性促進配列は、融合ポリペプチドのIL-15部分の活性に大幅に影響を及ぼすことなく、1つ以上の治療上関連する官能基をコンジュゲートすることができる好都合な足場を有利にも提供する。
【0055】
一実施形態では、IL-15活性促進配列に膜結合エレメントをコンジュゲートすることができ、それによって、受容体非依存性細胞表面結合が可能である融合ポリペプチドを提供する。したがって、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、細胞、例えば、本明細書において記載される癌細胞の膜に結合可能である。有利なことに、融合ポリペプチドが、全身効果を有するのではなく特定の位置で効果を有するように、このような融合ポリペプチドを局所投与できる。
【0056】
膜結合エレメントは、細胞膜に結合可能な任意の適した分子であり得る。このような分子は、以下のとおりに改変された「細胞表面結合アッセイ」を使用して同定できる:
a) 8×106個のJurkatまたはヒツジ赤血球を、本発明の融合ポリペプチド(例えば、配列番号5)にコンジュゲートされた推定膜結合エレメントとともに25℃で20分間インキュベートすること;
b) 細胞を、2% FCS(ウシ胎児血清)を含有するPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄すること;
c) 室温25℃で1800rpmで5分間遠心分離することおよびあらゆる上清を除去すること;
e) 細胞を、2μlのマウス抗ヒトIL-15 PEコンジュゲート型抗体とともに4℃、暗所で20分間インキュベートすること;
f) 細胞を、2% FCSを含有するPBSで洗浄すること;
g) 室温4℃で1800rpmで5分間遠心分離することおよびあらゆる上清を除去すること;
h) 細胞を、2% FCSを含有するPBSで洗浄すること;
i) 室温4℃で1800rpmで5分間遠心分離することおよびあらゆる上清を除去すること;
j) 細胞を400μlの、2%FCSを含有するPBSに再懸濁すること;
k) フローサイトメトリーによって細胞への推定膜結合エレメント融合ポリペプチドコンジュゲートの結合を定量化すること;
l) k)の定量化された結合を、同一条件下であるが、融合ポリペプチドを有し、推定膜結合エレメント(例えば、配列番号5)の不在下でアッセイされている対照サンプルにおける定量化された結合と比較すること;および
m) ここで、定量化された結合が、対照サンプルの定量化された結合と比較した場合に多い(好ましくは、統計的に有意に多い)場合に、推定膜結合エレメントが膜結合エレメントとして確認され、または、ここで、定量化された結合が、対照サンプルの定量化された結合と比較した場合に実質的に同様である(例えば、統計的に有意な差がない場合、好ましくは、定量化された結合が同一である場合)もしくは少ない(好ましくは、統計的に有意に少ない)場合に、推定膜結合エレメントが膜結合エレメントではないと確認される。
【0057】
当業者ならば、ステップl)において使用される対照が、陽性対照、例えば、配列番号7などの本明細書において例示される融合ポリペプチドであるように細胞表面結合アッセイを改変できるということは理解されよう。このような場合には、定量化された結合が、対照サンプルの定量化された結合と比較した場合に、実質的に同様である(例えば、統計的に有意な差がない場合、好ましくは、定量化された結合が同一である場合)またはより多い(好ましくは、統計的に有意に多い)場合、推定膜結合エレメントは、膜結合エレメントであると確認される。同様に、対照サンプルの定量化された結合と比較した場合に、定量化された結合がより少ない(好ましくは、統計的に有意に少ない)場合に、推定膜結合エレメントは、膜結合エレメントではないと確認される。
【0058】
適した天然に存在する膜結合エレメントは、膜相互作用を媒介するタンパク質の成分として、またはステロールもしくはスフィンゴ脂質などの膜成分として当業者に周知である。
【0059】
膜結合エレメントは、本発明の融合ポリペプチドにコンジュゲートされた場合に、前記ポリペプチドが適切なレベルの溶解度を示すことを確実にするために十分に親水性であるべきである。
【0060】
膜結合エレメントは、好ましくは、脂肪酸誘導体、例えば、脂肪酸アシル基、塩基性アミノ酸配列、公知の内在性膜タンパク質のリガンド、膜タンパク質のエピトープに対するモノクローナル抗体の相補性決定領域に由来する配列およびランダム化学またはペプチドライブラリーのスクリーニングによって同定された膜結合配列から選択される。
【0061】
公知の内在性膜タンパク質のリガンドに由来するアミノ酸配列の例として、RGD含有ペプチド、例えば、ヒト血小板膜のαIIbβ3インテグリンのリガンドであるGRGDSP(配列番号14)が挙げられる。別の例として、血小板においてGpIIb/IIIa膜タンパク質に結合するヒトフィブリノゲンアルファ鎖に由来するDGPSEILRGDFSS(配列番号15)がある。
【0062】
このような配列のさらなる例として、受容体などの膜タンパク質と、主要組織適合複合体の間の相互作用に関与すると知られているものが挙げられる。このような膜タンパク質リガンドの一例として、主要組織適合複合体クラス1タンパク質(MHC-1)に中程度の親和性で結合するとわかっている配列GNEQSFRVDLRTLLRYA(配列番号16)がある(L. Olsson et al, Proc. Natl .Acad.Sci.USA. 91, 9086-909, 1994)。このような配列のなおさらなる例は、T細胞に特異的な膜挿入アドレスを使用する。このような配列は、T細胞抗原受容体の膜貫通ヘリックスのCD3との公知の相互作用に由来する(Nature Medicine 3, 84-88,1997)。例として、配列GFRILLLKV(配列番号32)を含有するペプチド、例えば、SAAPSSGFRILLLKV(配列番号17)およびAAPSVIGFRILLLKVAG(配列番号18)がある。内在性膜タンパク質のリガンドの一例として、内在性膜タンパク質ELAM-1のリガンドとして同定されている炭水化物リガンドシアリルルイスxがある(M.L.Phillips et al, Science, 250, 1130-1132, 1990 & G.Walz et al, Ibid, 250, 1132-1135,1990)。膜タンパク質内のエピトープに対するモノクローナル抗体の相補性決定領域に由来する配列(例えば、J.W.Smith et al, J.Biol.Chem. 270, 30486-30490, 1995を参照されたい)も、ランダム化学ライブラリー、例えば、ファージディスプレイ形式で作製され、in vitroでバイオパニング操作によって(G.F.Smith and J.K.Scott, Methods in Enzymology, 217H, 228-257,1993)またはin vivoで(R.Pasqualini & E.Ruoslahti, Nature, 380, 364-366, 1996)選択されたものからの結合配列と同様に、適した膜結合エレメントである。任意選択で、pH感受性(静電スイッチ)、金属イオン結合による調節(内因性Ca2+、Zn2+および膜結合エレメント中へのイオン結合部位の組み込みを使用する)およびプロテアーゼ切断(例えば、リジンが豊富な膜結合配列のプラスミノリシスによって、プロウロキナーゼを放出し、活性化する)などの機序を使用して、膜からの条件付き解離を本発明の誘導体中に組み込んでもよい。
【0063】
一実施形態では、膜結合エレメントは、その水溶性を増大するように誘導体化されているリン脂質であり得る。例えば、リン脂質は、親水性のポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン、デキストランまたはポリサルコシンを用いて誘導体化できる。他の適したポリマーは、当業者には明らかであろう。しかし、膜結合エレメントはPEGではないことが好ましい。
【0064】
膜結合エレメントは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーまたはその類似体を含み得る(またはからなり得る)。当業者には、適したGPIアンカーおよび類似体は周知であり、例えば、Paulick MG and Bertozzi CR (Biochemistry 47: 6991-7000, 2008)に記載されている。GPIアンカーの炭水化物部分は、任意の適した糖類単量体からなる場合がある。適した糖類単量体は、炭水化物部分の長さと同様に、当業者には明らかであろう。しかし、膜結合エレメントは、GPIアンカーではないことが好ましい。
【0065】
代替実施形態では、膜結合エレメントは、細胞の外細胞膜の1つ以上の成分、例えば、リン脂質と相互作用可能であるペプチドを含み得る(またはからなり得る)。好ましくは、ペプチドは、3から25個の間のアミノ酸である。より好ましくは、ペプチドは、4から20個の間のアミノ酸である。好ましくは、ペプチドは、親水性ペプチドである。一部の実施形態では、親水性ペプチドは、少なくとも3個の荷電アミノ酸を含む。荷電アミノ酸は、リジンであり得る。一実施形態では、ペプチドは、3から8個の間のリジン残基、好ましくは、L-リジン残基を含む。適した親水性ペプチドは、配列番号6として示されている。一実施形態では、親水性ペプチドは、配列番号6に対して少なくとも70%の配列同一性を有するペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。一実施形態では、親水性ペプチドは、配列番号6に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。好ましくは、親水性ペプチドは、配列番号6に対して少なくとも95%の配列同一性を有するペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。より好ましくは、親水性ペプチドは、配列番号6を含む(より好ましくは、からなる)。親水性ペプチド中に含まれるシステイン残基は、活性化システイン、例えば(S-2-ピリジルジチオ)-C-酸であり得る。融合ポリペプチドへのコンジュゲーションの際、活性化システインは、融合ポリペプチドの対応するシステイン残基にジスルフィド結合された標準システイン残基となるように化学変化を受ける場合がある。
【0066】
ペプチドのさらなる適した例として、DGPKKKKKKSPSKSSG(配列番号19)、GSSKSPSKKKKKKPGD(配列番号20)、SPSNETPKKKKKRFSFKKSG(配列番号21)、DGPKKKKKKSPSKSSK(配列番号22)およびSKDGKKKKKKSKTK(配列番号23)を挙げることができる。
【0067】
膜結合エレメントは、細胞膜の脂質二重層コアと相互作用可能である1以上の疎水基を含み得る(またはからなり得る)。適した基は、当業者には周知である。一実施形態では、1以上の基は、脂肪酸アシル基、例えば、ミリストイル、パルミトイルまたはステアロイル基であり得る。
【0068】
本明細書における脂肪酸誘導体は、アミノC2-6アルカンチオール(C置換されていてもよい)、例えば、N-(2-ミリストイル)アミノエタンチオールまたはN-ミリストイルL-システインのC10-20脂肪酸アシル誘導体であり得る。
【0069】
適した疎水基の他の例として、長鎖脂肪族アミンおよびチオール、ステロイドおよびファルネシル誘導体が挙げられる。このアプローチは、ミリストイル-静電スイッチ(MES)の構造および機能に基づく(Thelen M et al. Nature 351 : 320-2, 1991)。一実施形態では、1つ以上の基は、イソプレノイド基、例えば、ファルネシルおよびゲラニルゲラニル残基である。ミリストイル(12のメチレン単位)は、膜への高親和性結合を可能にするには不十分な大きさまたは疎水性である。ミリストイル化ペプチドを用いる研究(例えば、R.M.Peitzsch & S.McLaughlin, Biochemistry, 32, 10436-10443, 1993))は、それらは、モデル脂質系で約10-4Mの有効な解離定数を有し、12のメチレン基のうちおよそ10が、脂質二重層中に埋め込まれているということを示した。したがって、約8~18のメチレン単位、好ましくは、10~14を有する脂肪族アシル基が適した膜結合エレメントである。適した脂肪酸誘導体の他の例として、長鎖(8~18、好ましくは、10~14メチレン)脂肪族アミンおよびチオール、ステロイドおよびファルネシル誘導体が挙げられる。
【0070】
好ましくは、本発明の膜結合エレメントは、脂肪族アシル基、より好ましくは、ミリストイルまたはその誘導体を含む。
【0071】
親水性合成ポリマーの適した例として、ポリエチレングリコール(PEG)、好ましくは、α,ω官能基付与誘導体、より好ましくは、例えば、固相合成法(アミノ基誘導体化)によって、またはチオール交換化学によってポリペプチドに連結された、400から5000ダルトンの間の分子量のα-アミノ、ω-カルボキシ-PEGが挙げられる。
【0072】
膜結合エレメントは、細胞膜の脂質二重層コアと相互作用可能である複数の基であり得る。本発明の化合物は、1以上の膜結合エレメントを含み得る。好ましくは、化合物は、1つの膜結合エレメントを含む。
【0073】
一実施形態では、膜結合エレメントは、細胞膜の脂質二重層コアと相互作用可能である1以上の疎水基と、細胞膜の脂質二重層コアと相互作用可能であるペプチド、例えば、本明細書において記載される親水性ペプチドの組合せを含む。好ましくは、前記基は、前記ペプチドのN末端側領域に、またはその付近に位置する。
【0074】
膜結合エレメントは、WO 98/02454またはWO 2011/027175(それらの両方とも参照により本明細書に組み込まれる)に開示される1以上である場合があり、WO 98/02454またはWO 2011/027175のいずれかの方法論が、調製および本発明の融合ポリペプチドへの膜結合エレメントのコンジュゲーションにおいて使用される場合がある。
【0075】
膜結合エレメントは、IL-15活性促進配列のシステイン残基またはリジン残基(好ましくは、システイン残基)にコンジュゲートできる。好ましい実施形態では、膜結合エレメントの親水性ペプチド部分を、IL-15活性促進配列のシステイン残基またはリジン残基に(好ましくは、膜結合エレメントの親水性ペプチド部分およびIL-15活性促進配列のシステインの間のジスルフィド結合によってシステイン残基に)コンジュゲートする。
【0076】
したがって、一部の実施形態では、膜結合剤にコンジュゲートされた融合ポリペプチドは、ジスルフィド結合によってポリペプチドに連結されたN-(α,εビス-ミリストイルリジン)SSKSPSKKDDKKPGDCを含み得る。膜結合剤(コンジュゲーション前)のシステインは、活性化システイン(例えば、チオピリジル化システイン)であり得る。膜結合剤は、その全文が参照により本明細書に組み込まれるHill A et al (2006), Blood, 107, 2131-2137に記載され、および/またはその教示のとおりに製造されたものであり得る。
【0077】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、膜結合エレメントの親水性ペプチド部分およびIL-15活性促進配列のシステイン残基の間のジスルフィド結合の存在を示す以下の構造(配列番号7)を有し得る:
【化1】
【0078】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、膜結合エレメントの親水性ペプチド部分およびIL-15活性促進配列のシステイン残基の間のジスルフィド結合の存在を示す以下の構造(配列番号29)を有し得る:
【化2】
【0079】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、膜結合エレメントの親水性ペプチド部分およびIL-15活性促進配列のシステイン残基の間のジスルフィド結合の存在を示す以下の構造(配列番号13)を有し得る:
【化3】
【0080】
膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号7に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。一実施形態では、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号7に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。好ましくは、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、少なくとも配列番号7を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。より好ましくは、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号7を含む(より好ましくは、からなる)。
【0081】
膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号13に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。一実施形態では、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号13に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。好ましくは、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、少なくとも配列番号13を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。より好ましくは、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号13を含む(より好ましくは、からなる)。
【0082】
膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号29に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。一実施形態では、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号29に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。好ましくは、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、少なくとも配列番号29を有するポリペプチド配列を含み得る(またはからなり得る)。より好ましくは、膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号29を含む(より好ましくは、からなる)。
【0083】
膜結合エレメントを含む融合ポリペプチドは、配列番号7、13または29を含み得る(またはからなり得る)が、配列番号7を含む(またはからなる)融合ポリペプチドが好ましい。
【0084】
一部の実施形態では、膜結合エレメントへの融合ポリペプチドのコンジュゲーションに関与するシステイン(複数可)は、修飾されたシステイン残基(好ましくは、標準システイン残基)である。修飾されたシステイン残基は、システインのアミド形態(システインアミド)を含み得る。
【0085】
本発明はまた、本発明の融合ポリペプチド(すなわち、本発明の融合ポリペプチドのタンパク質成分)をコードする核酸を提供する。核酸は、好ましくは、DNAである。
【0086】
本発明の核酸は、宿主細胞における発現のためにベクター中に含めることができる。したがって、本発明はまた、本発明の核酸を含むベクターおよび宿主細胞を提供する。ベクターは、本発明の核酸に作動可能に連結したプロモーターを含む場合があり、ターミネーターをさらに含む場合がある。
【0087】
一実施形態では、本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号8に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む(またはからなる)。一実施形態では、本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号8に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む(またはからなる)。好ましくは、本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号8に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む(またはからなる)。より好ましくは、本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号8を含む(より好ましくは、からなる)。
【0088】
一実施形態では、本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号24に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む(またはからなる)。一実施形態では、本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号24に対して少なくとも80%または90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む(またはからなる)。好ましくは、本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号24に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む(またはからなる)。より好ましくは、本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号24を含む(より好ましくは、からなる)。
【0089】
本発明の融合ポリペプチドの製造のために、任意の適した宿主細胞を使用できる。宿主細胞は、真核生物または原核生物の宿主細胞であり得る。適した真核細胞として、哺乳動物細胞(例えば、HEK293細胞またはHeLa細胞)、酵母細胞(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris))または昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス感染昆虫細胞)を挙げることができる。
【0090】
一実施形態では、宿主細胞は、例えば、エシェリキア属(Escherichia)またはバチルス属(Bacillus)の原核生物宿主細胞(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis))である。好ましくは、宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)宿主細胞である。
【0091】
好ましい実施形態では、ベクターは、以下から選択されるプロモーターを有する。
プロモーター / 誘導剤 / 通常の誘導条件
Tac(ハイブリッド) / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
AraBAD / L-アラビノース / 0.2%(0.002~0.4%)
T7-lacオペレーター / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
【0092】
別の好ましい実施形態では、ベクターは以下から選択されるプロモーターを有する。
プロモーター / 誘導剤 / 通常の誘導条件
Tac(ハイブリッド) / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
AraBAD / L-アラビノース / 0.2%(0.002~0.4%)
T7-lacオペレーター / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
T5-lacオペレーター / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
【0093】
IPTGは、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシドを指す。
【0094】
本発明の核酸分子は、当技術分野で公知の適したプロセスを使用して作製できる。一実施形態では、核酸分子は、化学合成技術を使用して作製できる。あるいは、本発明の核酸分子は、分子生物学技術を使用して作製できる。
【0095】
本発明のDNA構築物は、コンピュータで設計し、次いで、従来のDNA合成技術によって合成できる。
【0096】
上記の核酸配列情報は、使用されるべき最終宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli))発現系に従ってコドンバイアスをかけるために任意選択で修飾される。
【0097】
「ヌクレオチド配列」および「核酸」という用語は、本明細書において同意語として使用される。好ましくは、ヌクレオチド配列は、DNA配列である。
【0098】
一態様では、本発明は、融合ポリペプチドを生成する方法を対象として、方法は以下を含む:
a. 宿主細胞において本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸配列を発現させること;および
b. 融合ポリペプチドを単離すること。
【0099】
単離融合ポリペプチドは、代替ポリペプチドまたは細胞性物質を含まない場合がある、例えば、任意の代替ポリペプチドまたは細胞性物質を実質的に含まない。言い換えれば、融合ポリペプチドは、本発明の融合ポリペプチドが、存在する総ポリペプチドの少なくとも90%を構成する場合に、好ましくは、本発明の融合ポリペプチドが、存在する総ポリペプチドの少なくとも95%、98%または99%(より好ましくは、少なくとも99.9%)を構成する場合に「単離された」と考えられ得る。単離することは、当技術分野で公知の任意の適した方法、例えば、任意の適した精製方法、例えば、クロマトグラフィー法を使用して達成され得る。適した方法として、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換(例えば、陽イオンまたは陰イオン交換)クロマトグラフィーおよびイムノアフィニティークロマトグラフィーを挙げることができる。好ましくは、精製は、金属キレートクロマトグラフィー、より好ましくは、ニッケルキレートクロマトグラフィーによってである。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、精製において補助するタグ、例えば、Hisタグをさらに含む場合があり、これは、例えば、タグとポリペプチドの間に操作される切断部位、例えば、TEV切断部位によってその後除去され得る。
【0100】
関連態様では、本発明は、本発明の方法によって得ることができる融合ポリペプチドを提供する。
【0101】
「得ることができる」という用語はまた、本明細書で使用される場合、「得られた」という用語を包含する。一実施形態では、「得ることができる」という用語は、得られたを意味する。
【0102】
本発明の融合ポリペプチドは、任意の適した方法で製剤化され得る。したがって、一実施形態では、本発明は、本発明の融合ポリペプチドならびに薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントおよび/または塩を含む医薬組成物を提供する。「薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントおよび/または塩」という用語は、本明細書で使用される場合、前記対象に害を引き起こすことなく対象に投与することができる担体、賦形剤、アジュバントおよび/または塩を意味する。例えば、腫瘍内、静脈内の、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、筋肉内および/または皮下投与に適した担体、賦形剤、アジュバントおよび/または塩。一実施形態では、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントおよび/または塩は、注射用担体、賦形剤、アジュバントおよび/または塩、例えば、滅菌生理食塩水である。
【0103】
本発明の医薬組成物において使用できる薬学的に許容される賦形剤として、それだけには限らないが、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、バッファー物質、例えば、リン酸、グリセリン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウムおよび塩化ナトリウムが挙げられる。本発明の医薬組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に許容される担体またはビヒクルを含有し得る。医薬組成物は、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液として、滅菌注射用調製物の形態であり得る。この懸濁液は、適した分散剤または湿潤剤(例えば、Tween 80など)および懸濁剤を使用して当技術分野で公知の技術に従って製剤化できる。滅菌注射用調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であり得る。使用できる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、マンニトール、水、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来的に使用される。この目的のために、合成モノ-またはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を使用できる。脂肪酸、例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、特に、そのポリオキシエチル化バージョンの、天然の薬学的に許容される油、例えば、オリーブ油またはヒマシ油と同様に注射用物質の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有し得る。好ましくは、本発明の融合ポリペプチドは、水溶液中に存在する。
【0104】
組成物に添加できる他の薬学的に許容される添加剤は、当業者に周知である。
【0105】
一態様では、本発明はまた、本発明の融合ポリペプチドまたは医薬組成物およびそれを使用するための使用説明書を含むキットを提供する。適宜、使用説明書は、本明細書において記載されるような癌の処置においてそれを使用するためのものであり得る。一部の実施形態では、使用説明書はまた、適当な投与計画(例えば、本明細書において記載されるような)を詳述する。一実施形態では、使用説明書は、前立腺癌の処置における前記キットの使用のためのものである。
【0106】
本発明の融合ポリペプチドは、癌の処置において使用するために特に適している。したがって、一態様では、本発明は、癌の処置において使用するための融合ポリペプチドを提供する。本発明はまた、癌の処置のための医薬の製造における本発明の融合ポリペプチドの関連使用および対象に本発明の融合ポリペプチドを投与することを含む癌を処置する方法を提供する。医薬組成物(または他の企図される製剤)の類似の使用/方法も提供される。キットの類似の使用/方法も提供される。
【0107】
本発明の融合ポリペプチドは、癌細胞の成長、増殖および/または転移を阻害し得る。例えば、本発明の融合ポリペプチドは、癌細胞を根絶し得る、癌細胞増殖を阻害し得る、および/または癌の大きさを低減し得る。
【0108】
処置のための癌は、好ましくは、血液癌、例えば、白血病、リンパ腫および/または多発性骨髄腫ではない。
【0109】
一実施形態では、癌は、固形腫瘍癌、例えば、癌腫または肉腫である。
【0110】
固形腫瘍癌は、肉腫、例えば、骨肉腫または骨肉腫(骨)、軟骨肉腫(軟骨)、平滑筋肉腫(平滑筋)、横紋筋肉腫(骨格筋)、中皮肉腫もしくは中皮腫(体腔の膜状の内層)、線維肉腫(線維組織)、血管肉腫もしくは血管内皮腫(血管)、脂肪肉腫(脂肪組織)、神経膠腫もしくは星状細胞腫(脳に見られる神経性結合組織)、粘液肉腫(原始胚結合組織)または間葉性または混合性中胚葉性腫瘍(混合性結合組織型)であり得る。
【0111】
好ましくは、癌は癌腫である。癌腫は、腺癌(器官または腺において発生する)または扁平上皮癌(扁平上皮から生じる)であり得る。好ましくは、癌腫は腺癌である。
【0112】
あるいはまたはさらに、固形腫瘍癌は、1以上の異なる癌カテゴリーからの成分を含有する混合型のものであり得る。混合型癌のいくつかの例として、腺扁平上皮癌、混合中胚葉性腫瘍、癌肉腫および奇形癌腫が挙げられる。
【0113】
本発明に従って処置される癌(例えば、固形腫瘍癌)は、前立腺癌、結腸癌、乳癌、肺癌、皮膚癌、肝臓癌、骨癌、卵巣癌、膵臓癌、脳癌、頭部癌、頸部癌、リンパ腫および神経癌から選択される1つ以上であり得る。
【0114】
特に好ましい実施形態では、癌は前立腺癌である。前立腺癌は、腺管前立腺癌または腺房前立腺癌、好ましくは、腺管前立腺癌であり得る。
【0115】
融合ポリペプチドまたは医薬組成物は、治療上有効な量または予防上有効な量で対象に投与できる。
【0116】
「対象」および「患者」という用語は、本明細書において同意語として使用される。「対象」は、哺乳動物対象、例えば、ヒト、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコおよびウサギなどのペット)、家畜(例えば、ブタ、ヒツジ、ウシおよびヤギ)およびウマであり得る。好ましくは、「対象」は、ヒト対象である。
【0117】
「処置する」または「処置すること」という用語は、本明細書で使用される場合、予防的処置(例えば、疾患の発症を防ぐ)ならびに矯正的処置(すでに疾患を患っている対象の処置)を包含する。好ましくは、「処置する」または「処置すること」とは、本明細書で使用される場合、矯正的処置を意味する。
【0118】
「処置する」または「処置すること」という用語は、本明細書で使用される場合、障害および/またはその症状を指す。
【0119】
「治療上有効な量」は、癌(またはその症状)を処置するために対象に単独でまたは組み合わせて投与される場合に、このような障害またはその症状の処置を達成するのに十分である本発明の融合ポリペプチドまたは医薬組成物の任意の量である。
【0120】
「予防上有効な量」は、対象に単独でまたは組み合わせて投与される場合に、癌(またはその症状)の発症または再発を阻害または遅延する本発明の融合ポリペプチドまたは医薬組成物の任意の量である。一部の実施形態では、予防上有効な量は、癌の発症または再発を完全に防ぐ。発症を「阻害すること」とは、癌(またはその症状)の発症の可能性を低めることまたは発症を完全に防ぐことのいずれかを意味する。
【0121】
適当な投与量範囲は、所望の治療効果をもたらすものである(例えば、融合ポリペプチドまたは医薬組成物が、治療上または予防上有効な量で投与される場合)。
【0122】
通常の処置レジメンは、本発明の融合ポリペプチドまたは医薬組成物を対象に(例えば、静脈内にまたは皮下に)最大1mgの融合ポリペプチドの投与量で、例えば、0.1~1mgの投与量、例えば、0.2~0.5mgで投与することを含み得る。
【0123】
処置の対象は、1週間に1回、2回、3回、4回、5回または6回投与され得る。あるいは、対象は、毎日投与され得る(例えば、毎日1回または2回)。他の実施形態では、対象は、1週間にまたは2週間に1回投与され得る。好ましくは、対象は、2週間に1回投与され得る。
【0124】
当業者ならば、対象の必要性および医薬の有効性に基づいて、用量を目的に合わせることができるということは理解するであろう。例えば、医薬が高度に有効である場合、用量を低下させることができる。
【0125】
処置という用語は、処置に対する対象の応答ならびに/または癌の種類および/もしくは重症度に基づいて変わり得る。
【0126】
投与は、それだけには限らないが、腫瘍内、静脈内、動脈内、腹膜内、くも膜下腔内、筋肉内および/または皮下を含む任意の適した技術または経路によってであり得る。本発明によって種々の投与方法が企図されるが、本発明の融合ポリペプチドが腫瘍内に投与されることが特に好ましい。このような腫瘍内投与は、腫瘍内注射によって達成され得る。
【0127】
対象を、本発明の融合ポリペプチドまたは医薬組成物を種々の癌治療薬、例えば、化学療法剤または免疫療法剤と組み合わせて用いて処置できる。言い換えれば、融合ポリペプチドまたは医薬組成物は、アジュバント療法であり得る。
【0128】
本発明の種々の融合ポリペプチドと関連する実施形態は、方法、使用、キットまたは医薬組成物に等しく適用されるように意図される、逆もまた同様である。
【0129】
配列相同性
【0130】
制限するものではないが、グローバル法、ローカル法およびハイブリッド法、例えば、セグメントアプローチ法などを含むさまざまな配列アラインメント法のいずれも、同一性パーセントを決定するために使用できる。同一性パーセントを決定するためのプロトコールは、当業者の範囲内の日常的な手順である。グローバル法は、配列を分子の始まりから最後までアラインし、個々の残基対のスコアを合計することによって、およびギャップペナルティーを課すことによって最良アラインメントを決定する。限定されない方法には、例えば、CLUSTAL W、例えば、Julie D. Thompson et al., CLUSTAL W: Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting, Position-Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice, 22(22) Nucleic Acids Research 4673-4680 (1994)を参照されたい、および反復精緻化、例えば、Osamu Gotoh, Significant Improvement in Accuracy of Multiple Protein. Sequence Alignments by Iterative Refinement as Assessed by Reference to Structural Alignments, 264(4) J. Mol. Biol. 823-838 (1996)を参照されたい、が含まれる。ローカル法は、入力配列のすべてによって共有される1以上の保存されたモチーフを同定することによって配列をアラインする。限定されない方法には、例えば、Match-box、例えば、Eric Depiereux and Ernest Feytmans, Match-Box: A Fundamentally New Algorithm for the Simultaneous Alignment of Several Protein Sequences, 8(5) CABIOS 501 -509 (1992)を参照されたい、Gibbsサンプリング、例えば、C. E. Lawrence et al., Detecting Subtle Sequence Signals: A Gibbs Sampling Strategy for Multiple Alignment, 262(5131 ) Science 208-214 (1993)を参照されたい、Align-M、例えば、Ivo Van Walle et al., Align-M - A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences, 20(9) Bioinformatics:1428-1435 (2004)を参照されたい、が含まれる。
【0131】
したがって、配列同一性パーセントは、従来法によって決定される。例えば、Altschul et al., Bull. Math. Bio. 48: 603-16, 1986およびHenikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-19, 1992を参照されたい。手短には、2つのアミノ酸配列を、以下に示されるように10のギャップ開始ペナルティー、1のギャップ伸長ペナルティーおよびHenikoff and Henikoff(同書)の「blosum 62」スコアリングマトリックス(アミノ酸は、標準の一文字コードによって示される)を使用してアラインメントスコアを最適化するようにアラインする。
【0132】
2つ以上の核酸またはアミノ酸配列間の「配列同一性パーセント」は、配列によって共有される同一位置の数の関数である。したがって、同一性%は、ヌクレオチド/アミノ酸の総数によって除され、100が乗じられた同一ヌクレオチド/アミノ酸の数として算出できる。配列同一性%の算出はまた、ギャップの数および2つ以上の配列のアラインメントを最適化するために導入される必要がある各ギャップの長さを考慮し得る。2つ以上の配列間の配列比較および同一性パーセントの決定は、当業者が精通するであろう特定の数学的アルゴリズム、例えば、BLASTを使用して実施できる。
【0133】
【数1】
【0134】
次いで、同一性パーセントを以下のとおりに算出する:
【数2】
【0135】
実質的に相同なポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸置換、欠失または付加を有することを特徴とする。これらの変化は、好ましくは、保存的アミノ酸置換(以下を参照されたい)であるマイナーな性質のものおよびポリペプチドフォールディングもしくは活性に大きな影響を及ぼさない他の置換、通常1~約30個のアミノ酸の小さい欠失および小さいアミノ-もしくはカルボキシル-末端伸長、例えば、アミノ末端メチオニン残基、最大約20~25個の残基の小さいリンカーペプチドまたは親和性タグである。
【0136】
保存的アミノ酸置換
【0137】
塩基性:
アルギニン
リジン
ヒスチジン
酸性:
グルタミン酸
アスパラギン酸
極性:
グルタミン
アスパラギン
疎水性:
ロイシン
イソロイシン
バリン
芳香族:
フェニルアラニン
トリプトファン
チロシン
小さい:
グリシン
アラニン
セリン
トレオニン
メチオニン
【0138】
20個の標準アミノ酸に加えて、非標準アミノ酸(4-ヒドロキシプロリン、6-N-メチルリジン、2-アミノイソ酪酸、イソバリンおよびα-メチルセリンなど)は、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基と置換され得る。制限された数の非保存的アミノ酸、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸および非天然アミノ酸が、ポリペプチドアミノ酸残基と置換され得る。本発明のポリペプチドはまた、天然に存在しないアミノ酸残基を含み得る。
【0139】
天然に存在しないアミノ酸として、制限するものではないが、トランス-3-メチルプロリン、2,4-メタノ-プロリン、シス-4-ヒドロキシプロリン、トランス-4-ヒドロキシ-プロリン、N-メチルグリシン、アロ-トレオニン、メチル-トレオニン、ヒドロキシ-エチルシステイン、ヒドロキシエチルホモ-システイン、ニトロ-グルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、t-ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニル-アラニン、4-アザフェニル-アラニンおよび4-フルオロフェニルアラニンが挙げられる。天然に存在しないアミノ酸残基をタンパク質中に組み込むためのいくつかの方法が、当技術分野で公知である。例えば、ナンセンス突然変異が化学的アミノアシル化サプレッサーtRNAを使用して抑制されるin vitro系を使用できる。アミノ酸を合成し、tRNAをアミノアシル化する方法は、当技術分野で公知である。ナンセンス突然変異を含有するプラスミドの転写および翻訳は、大腸菌S30抽出物および市販の酵素および他の試薬を含む無細胞系において実施される。タンパク質は、クロマトグラフィーによって精製される。例えば、Robertson et al., J. Am. Chem. Soc. 113:2722, 1991、Ellman et al., Methods Enzymol. 202:301, 1991、Chung et al., Science 259:806-9, 1993およびChung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10145-9, 1993)を参照されたい。第2の方法では、翻訳は、成熟mRNAおよび化学的アミノアシル化サプレッサーtRNAのマイクロインジェクションによってアフリカツメガエル卵母細胞で実施される(Turcatti et al., J. Biol. Chem. 271:19991-8, 1996)。第3の方法内で、大腸菌細胞は、置き換えられるべき天然アミノ酸(例えば、フェニルアラニン)の不在下で、所望の天然に存在しないアミノ酸(複数可)(例えば、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニンまたは4-フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養される。天然に存在しないアミノ酸が、その天然対応物の代わりにポリペプチド中に組み込まれる。Koide et al., Biochem. 33:7470-6, 1994を参照されたい。天然に存在するアミノ酸残基をin vitro化学修飾によって天然に存在しない種に変換できる。置換の範囲をさらに拡大するために、化学修飾を部位特異的変異誘発と組み合わせることができる(Wynn and Richards, Protein Sci. 2:395-403, 1993)。
【0140】
制限された数の非保存的アミノ酸、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸および非天然アミノ酸が、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基と置換され得る。
【0141】
本発明のポリペプチド中の必須アミノ酸は、当技術分野で公知の手順、例えば、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発(Cunningham and Wells, Science 244: 1081-5, 1989)に従って同定できる。生物学的相互作用の部位はまた、推定接触部位アミノ酸の突然変異とともに核磁気共鳴、結晶学、電子回折または光親和性標識などの技術によって決定されるように、構造の物理的分析によって決定できる。例えば、de Vos et al.、Science 255:306-12, 1992、Smith et al., J. Mol. Biol. 224:899-904, 1992、Wlodaver et al., FEBS Lett. 309:59-64, 1992を参照されたい。必須アミノ酸の同一性もまた、本発明のポリペプチドの関連成分(例えば、転位置またはプロテアーゼ成分)との相同性の分析から推定できる。
【0142】
既知の突然変異誘発およびスクリーニング方法、例えば、Reidhaar-OlsonおよびSauerによって開示されたもの(Science 241:53-7, 1988)またはBowieおよびSauerによって開示されたもの(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152-6, 1989)を使用して、複数のアミノ酸置換を行い、試験することができる。手短には、これらの著者は、ポリペプチド中の2つ以上の位置を同時にランダム化し、機能的ポリペプチドを選択し、次いで、突然変異誘発されたポリペプチドをシーケンシングして、各位置で許容できる置換のスペクトラムを決定する方法を開示する。使用できる他の方法として、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al., Biochem. 30:10832-7, 1991、Ladner et al., U.S. Patent No. 5,223,409; Huse, WIPO Publication WO 92/06204)および領域特異的突然変異誘発(Derbyshire et al., Gene 46:145, 1986, Ner et al., DNA 7:127, 1988)が挙げられる。
【0143】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。Singleton, et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY, 20 ED., John Wiley and Sons, New York (1994)およびHale & Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991)は、本開示において使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供する。
【0144】
本開示は、本明細書において開示される例示的な方法および材料によって制限されず、本開示の実施形態の実施または試験において本明細書において記載されるものと同様または同等の任意の方法および材料を使用できる。数値範囲には、範囲を規定する数字が含まれる。特に断りのない限り、それぞれ、任意の核酸配列は、5’から3’配向で左から右に書かれており、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ配向で左から右に書かれている。
【0145】
本明細書において提供される見出しは、本開示の種々の態様または実施形態の制限ではない。
【0146】
アミノ酸は、アミノ酸の名称、3文字略語または1文字略語を使用して本明細書において参照される。「タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドを含む。本明細書において、「アミノ酸配列」という用語は、「ポリペプチド」という用語および/または「タンパク質」という用語と同義である。一部の例では、「アミノ酸配列」という用語は、「ペプチド」という用語と同義である。一部の例では、「アミノ酸配列」という用語は、「酵素」という用語と同義である。「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、本明細書において同義的に使用される。本開示および特許請求の範囲では、アミノ酸残基の従来の1文字および3文字コードが使用され得る。生化学的命名法に関するIUPACIUB合同委員会(JCBN)に準拠して定義されたようなアミノ酸の3文字コード。ポリペプチドは、遺伝暗号の縮重のために1つより多いヌクレオチド配列によってコードされ得るということも理解される。
【0147】
用語の他の定義が、本明細書を通じて現れる可能性がある。例示的実施形態がより詳細に記載される前に、本開示は、記載される特定の実施形態に制限されず、そのようなものとして変わり得るということが理解されるべきである。また、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるので、本明細書において使用される技術用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためであって、制限であると意図されないということも理解されるべきである。
【0148】
値の範囲が提供される場合には、各介在値もまた、文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間で具体的に開示されるということが理解される。記載された値または記載された範囲内の介在値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在する値との間のそれぞれのより小さな範囲は、本開示に包含まれる。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立して範囲に含まれるかまたは除外される場合があり、より小さな範囲にいずれかの限界が含まれる、両方の限界が含まれない、または両方の限界が含まれる各範囲もまた本開示に含まれ、記載された範囲における任意の具体的に除外される限界次第である。記載された範囲が、限界の一方または両方を含む場合には、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【0149】
本明細書でおよび添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」には、文脈で明確に別に指示しない限り、複数の指示対象が含まれるということも留意されなければならない。したがって、例えば、「融合ポリペプチド」への言及は、複数のこのような候補剤を含み、「融合ポリペプチド」への言及は、1つ以上の融合ポリペプチドおよび当業者に公知のその等価物などへの言及を含む。
【0150】
本明細書において論じられた刊行物は、単に本出願の出願日より前のその開示のために提供される。本明細書のいかなるものも、このような刊行物が、本明細書に添付される特許請求の範囲の先行技術を構成すると承認するものとして解釈されるべきではない。
【0151】
本発明の実施形態を、単に例として、以下の図面および実施例を参照して以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0152】
図1図1は、(A)種々のTh1サイトカイン(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)対照と比較した)の、末梢血単核細胞(PBMC)および前立腺癌細胞(PC3およびLNCaP)の同時培養においてナチュラルキラー(NK)細胞およびCD8T細胞を拡大増殖し、活性化する能力ならびに(B)パーフォリン発現によるNKおよびCD8T細胞の細胞傷害性能ならびにアネキシン-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)染色による腫瘍細胞のアポトーシス性および壊死性細胞死を示す図である。
図2図2は、実施例に記載されるようなCTLL-2アッセイにおいて未修飾野生型IL-15と比較した修飾IL-15(活性促進性配列を含有する)の活性を示す図である。
図3図3は、蛍光標識されたテール化合物PTL3146のゲル電気泳動と、それに続く、硝酸銀染色、ウエスタンブロット分析およびUV光可視化による、テール付加IL-15の可視化を示す図である。丸で囲まれたバンドは、主なテール付加タンパク質部分を表す。レーン4は、新規に調製された修飾IL-15を含有し、これは、銀染色および抗IL-15ウエスタンブロットで純粋である。レーンキー:1=マーカー、2、4=修飾IL-15および3=FAM標識されたテールを有する膜に固定される修飾IL-15。
図4図4は、フローサイトメトリーによる膜に固定される修飾IL-15(「テール付加Il-15」)および修飾IL-15(「非テール付加IL-15」)の細胞膜結合を示す図である、(A)30分および24時間後のJurkat細胞ならびに(B)ヒツジ赤血球。
図5図5は、修飾IL-15(「非テール付加」)対膜に固定される修飾IL-15(「テール付加」)および野生型未修飾IL-15の活性を示す図である。増殖は、n=3実験について490nmの吸光度で実施例に記載されるようなCTLL-2アッセイによって測定した。
図6図6は、IL-2(1mlあたり100ユニット)、野生型IL-15、修飾IL-15(「非テール付加IL-15」)および膜に固定される修飾IL-15(「テール付加IL-15」)(各2.5ng/ml)を用いて処置されたPBMC集団におけるNK拡大増殖の比較を示す図である。Aは、フローサイトメトリー分析からの代表的なドットブロットを示す。ドットブロットの左上の象限は、NK細胞(CD56+CD3-)を表す。Bは、試験されたIL-15ポリペプチドによるヒトNK細胞の拡大増殖を示すグラフを示す(ヒトPBMC)。対照=PBSのみ。
図7図7は、IL-2、野生型IL-15(IL-15 pep.)、修飾IL-15(「非テール付加IL-15」)および膜に固定される修飾IL-15(「テール付加IL-15」)の存在下でヒトNK細胞と同時培養されたPC3細胞の死滅を示す図である。細胞死滅は、ヨウ化プロピジウム(PI)を用いる細胞の陽性染色によって表される。n=2、*一元配置分散分析および事後試験ニューマン-コイルスによってp<0.05。対照=PBSのみ。
図8図8は、TRAMP-C2前立腺腫瘍異種移植片の成長に対するIL-15の効果を示す図である。およそ100mm3のTRAMP-C2腫瘍を有するマウスに、0および3日目に、ビヒクル(100μlのPBS、n=10)、10μgの非テール付加IL-15(n=10)またはテール付加IL-15(n=10)を腫瘍内に、または非テール付加IL-15(n=6)を腹膜内に注射した。(A)処置後14日目までの腫瘍体積。(B)処置後の処置されたマウスの生存曲線。生存エンドポイントは、腫瘍が15mmの最大直径に到達した時点とした。処置のいずれによっても副作用は引き起こされなかった。(ダネット多重比較事後検定を伴う二元配置分散分析による、*p<0.05、**p<0.01、***P<0.001)。
図9図9は、TRAMP-C2前立腺腫瘍のex vivo病理組織学的評価を示す図である。腫瘍を実験のエンドポイントで切り出し、スナップ凍結し、その後、10μmの切片で切片作製した。(a)壊死性領域および同一画像の拡大領域を示すH&E染色された切片の合成画像。(b)NK1.1(NK細胞)およびCD3抗体を用いて染色された切片からの合成画像。(c)CD8およびKLRA1(NK細胞)抗体染色された切片からの合成画像。(d)CD4抗体を用いて染色された切片からの合成画像。すべての蛍光切片中の核はDAPIを用いて染色した。
図10図10は、図9の「ビヒクル」および「テール付加IL-15」の病理組織学的評価の定量化を示す図である。a)壊死、b)CD8+染色、c)CD4+染色、d)CD3+染色およびe)NK1.1(NK細胞)染色。定量化は、各群中の少なくとも6匹の動物から得られた結果に基づいた。
図11図11は、IL-15 ELISAによって測定されるような、変動する濃度の野生型IL-15および修飾IL-15ポリペプチド配列番号28、配列番号10および配列番号12とともにインキュベートした後のCTLL-2細胞の増殖を示す図である。増殖は、490nmの吸光度でMTSアッセイによって測定した。N=2。*=配列番号28対配列番号10についてのT検定によるp<0.05。配列番号28は、すべての濃度で配列番号12および野生型IL-15に対して有意により活性である(一元配置分散分析およびチューキー検定によるp<0.05)。
図12図12は、FACs Calibur(BD Biosciences)を使用するフローサイトメトリーによって分析されるようなCTLL-2細胞へのFITC標識された配列番号28および野生型IL-15の結合を示す図である。
【0153】
配列表
【0154】
最初のMetアミノ酸残基または対応する最初のコドンが、以下の配列番号のいずれかにおいて示される場合には、前記残基/コドンは任意選択である。
【0155】
配列番号1(全長インターロイキン-15)
MRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKI
EDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANN
SLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
【0156】
配列番号2(成熟インターロイキン-15-アミノ酸49~162)
NWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIH
DTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
【0157】
配列番号3(成熟インターロイキン-15)
MNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIH
DTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
【0158】
配列番号4(活性促進性配列)
GSGSRGKSLTSKVPPTVQKPTTVNVPTTEVSPTSQKTTTHHHHHHC
【0159】
配列番号5(融合ポリペプチド)
MNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIH
DTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSGSGSRGKSLTSKVP
PTVQKPTTVNVPTTEVSPTSQKTTTHHHHHHC
【0160】
配列番号6(親水性ペプチド)
SSKSPSKKDDKKPGDC
【0161】
配列番号7(膜結合エレメントを含む融合ポリペプチド)
MNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIH
DTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSGSGSRGKSLTSKVP
PTVQKPTTVNVPTTEVSPTSQKTTTHHHHHHC*
N-(α,εビス-ミリストイルリジン)SSKSPSKKDDKKPGDC*
*は、活性促進性ペプチドと膜結合エレメントの間のジスルフィド結合の位置を示す図である。
【0162】
配列番号8(配列番号28をコードする核酸配列)
AACTGGGTGA ACGTTATCTC GGACCTGAAA AAAATCGAAG ACCTGATCCA AAGCATGCAC
ATTGACGCTA CGCTGTATAC GGAAAGCGAT GTGCATCCGT CGTGCAAAGT TACCGCGATG
AAATGTTTTC TGCTGGAACT GCAGGTCATT TCGCTGGAAA GCGGCGATGC GAGTATCCAC
GACACCGTTG AAAACCTGAT TATCCTGGCC AACAATTCCC TGAGCTCTGG CAATGTGACG
GAATCAGGTT GCAAAGAATG TGAAGAACTG GAAGAGAAAA ACATCAAAGA ATTCCTGCAG
TCTTTCGTCC ATATTGTGCA AATGTTCATC AATACGAGTG GCTCCGGTTC ACGTGGTAAA
TCTCTGACCA GTAAAGTTCC GCCGACGGTC CAAAAACCGA CCACGGTGAA CGTTCCGACC
ACCGAAGTCT CTCCGACCAG TCAGAAAACC ACCACCCACC ATCACCATCA TCATTGC
【0163】
配列番号9(活性促進性配列2)
GSGSHHHHHHC
【0164】
配列番号10(融合ポリペプチド2)
MNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSL
SSGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSGSGSHHHHHHC
【0165】
配列番号11(比較融合配列)
GSGSRGKSLTSKVPPTVQKPTTVNVPTTEVSPTSQKTTTKTTTPNAQATRSTPVSRTTKHHHHHHHC
【0166】
配列番号12(比較融合ポリペプチド)
MNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSL
SSGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSGSGSRGKSLTSKVPPTVQKPTTVNVPTTEVSPTSQK
TTTKTTTPNAQATRSTPVSRTTKHHHHHHHC
【0167】
配列番号13(膜結合エレメントを含む融合ポリペプチド2)
MNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSL
SSGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSGSGSHHHHHHC*
N-(α,εビス-ミリストイルリジン)SSKSPSKKDDKKPGDC*
*は、活性促進性ペプチドと膜結合エレメントの間のジスルフィド結合の位置を示す。
【0168】
配列番号24(配列番号28およびMetをコードする核酸配列)
ATGAACTGGGTGA ACGTTATCTC GGACCTGAAA AAAATCGAAG ACCTGATCCA AAGCATGCAC
ATTGACGCTA CGCTGTATAC GGAAAGCGAT GTGCATCCGT CGTGCAAAGT TACCGCGATG
AAATGTTTTC TGCTGGAACT GCAGGTCATT TCGCTGGAAA GCGGCGATGC GAGTATCCAC
GACACCGTTG AAAACCTGAT TATCCTGGCC AACAATTCCC TGAGCTCTGG CAATGTGACG
GAATCAGGTT GCAAAGAATG TGAAGAACTG GAAGAGAAAA ACATCAAAGA ATTCCTGCAG
TCTTTCGTCC ATATTGTGCA AATGTTCATC AATACGAGTG GCTCCGGTTC ACGTGGTAAA
TCTCTGACCA GTAAAGTTCC GCCGACGGTC CAAAAACCGA CCACGGTGAA CGTTCCGACC
ACCGAAGTCT CTCCGACCAG TCAGAAAACC ACCACCCACC ATCACCATCA TCATTGC
【0169】
配列番号25(全長インターロイキン-15バリアント)
MRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKI
EDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANN
SLSSGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
【0170】
配列番号26(成熟インターロイキン-15-アミノ酸49~162バリアント)
NWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIH
DTVENLIILANNSLSSGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
【0171】
配列番号27(成熟インターロイキン-15バリアント)
MNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIH
DTVENLIILANNSLSSGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
【0172】
配列番号28(融合ポリペプチド)
MNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIH
DTVENLIILANNSLSSGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSGSGSRGKSLTSKVPP
TVQKPTTVNVPTTEVSPTSQKTTTHHHHHHC
【0173】
配列番号29(膜結合エレメントを含む融合ポリペプチド)
MNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIH
DTVENLIILANNSLSSGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSGSGSRGKSLTSKVPP
TVQKPTTVNVPTTEVSPTSQKTTTHHHHHHC*
N-(α,εビス-ミリストイルリジン)SSKSPSKKDDKKPGDC*
*は、活性促進性ペプチドと膜結合エレメントの間のジスルフィド結合の位置を示す。
【0174】
配列番号31(膜結合エレメント)
N-(α,εビス-ミリストイルリジン)SSKSPSKKDDKKPGDC*
*は、活性促進性ペプチドと膜結合エレメントの間のジスルフィド結合の位置を示す。
【実施例
【0175】
[実施例1]
【0176】
サイトカイン選択
【0177】
非付着性PBMCを、8:1の比で照射されたPC3細胞とともに7日間培養し、ED50用量(IFNガンマ、IL-12、IL-15およびIL-21について25ng/mlおよびIL-2について100ユニット/ml)で使用されるIL-2、IFN-ガンマ、IL-12、IL-15またはIL-21を用いて刺激した。エフェクター細胞の拡大増殖を、抗CD3、CD56、CD4、CD8、CD25およびFOXP3抗体を使用して測定した。結果をFACSCaliburで分析した。NKおよびCD8T細胞の細胞傷害性能を、パーフォリンを測定することによって評価した。アポトーシス性および壊死性細胞死を、アネキシン/PIキット(Invitrogen)を使用して腫瘍細胞をアネキシン-FITCおよびヨウ化プロピジウムを用いて染色することによって評価した。
【0178】
結果は、PBMCおよび前立腺癌細胞の同時培養物において、IL-15が、NK、NKTおよびCD8T細胞の活性化および拡大増殖で他の選択されたTh1サイトカインよりも優れていることを示した(図1)。従って、IL-15を、さらなる特性決定および癌を処置するための適当な治療薬としての試験のために選択した。
【0179】
[実施例2]
【0180】
修飾IL-15(本発明の融合ポリペプチド)
【0181】
ヒトIL-15の成熟形態を、配列番号4として示される伸長されたC末端側配列に融合し、大腸菌において組換え発現させた。
【0182】
IL-15の修飾された形態を、CTLL-2アッセイを使用して試験した(Soman G, Yang X, Jiang H, et al. MTS dye based colorimetric CTLL-2 cell proliferation assay for product release and stability monitoring of Interleukin-15: Assay qualification, standardization and statistical analysis. Journal of immunological methods. 2009;348(1-2):83-94)。手短には、CTLL-2細胞(マウスCD8 T細胞株)をIL-15の存在下で増殖させた。前記細胞は、インターロイキン-2またはインターロイキン-15に対して曝露される場合にのみ増殖する。細胞を、96ウェルプレート中、1×104個細胞/mlの濃度で、さまざまな用量のIL-15の存在下で48時間培養した。48時間の時点で、MTS(5-[3-(カルボキシメトキシ)フェニル]-3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム内塩)を用いて細胞を染色し、これは、検出される細胞の数と相関していた。
【0183】
驚くべきことに、IL-15の修飾された形態は、未修飾野生型IL-15と比較した場合に改善された活性を有するとわかった(図2を参照されたい)。したがって、伸長されたC末端側配列は、IL-15活性を促進するとわかった。理論に捉われようとは思わないが、IL-15活性促進配列は、IL-15のその受容体との相互作用を安定化し、ひいては、CLL-2細胞増殖を刺激し得ると考えられる。
【0184】
[実施例3]
【0185】
膜に固定されるIL-15の調製
【0186】
修飾IL-15の治療的有用性をさらに改善しようとして、ポリペプチドを細胞膜に局在化するためのさらなる修飾を導入することを決定した。これを達成するために、細胞局所(cytotopic)修飾を使用した。この手順は、親水性に帯電したアミノ酸およびC末端活性化ジスルフィドによって連結された、疎水性の膜挿入ミリストイル基(これらの組合せは、「テール」と呼ばれる)の使用を用い、これは、後者の構造において、タンパク質またはペプチドに直接的に(遊離チオール基を介して)または間接的に(チオール化リジン残基を介して)付着される。反応は安定な両親媒性化合物を作出し、これを細胞膜のホスファチジル-セリンの豊富な領域に繋ぎ止めることができる。繋留プロセスは、2つの非共有結合相互作用、1つの疎水性なもの(ミリストイル)および1つの静電気的なもの(リジン残基に基づく)によって駆動される。したがって、このような薬剤は、それらが注射される任意の組織中に局在化できる。
【0187】
標準手順を使用して、実施例2の修飾IL-15を、テール化合物、PTL3146 N-(α,εビス-ミリストイルリジン)SSKSPSKKDDKKPGD(S-2-ピリジルジチオ)-C-酸(配列番号30)(3KDaのMW)にコンジュゲートした、穏やかな還元ステップ(100μMのTCEPとともの室温で一晩のインキュベーション)後、修飾IL-15を3:1のモル比でPTL3146とともに室温で1時間インキュベートし、それに続いて、4℃で1リットルのPBS中で一晩透析して、過剰のテールを除去した。
【0188】
フルオロフォアFAM(カルボキシフルオセイン)を用いて標識されたテールを使用する、非テール付加およびテール付加タンパク質のゲル電気泳動ならびに活性タンパク質を認識するIL-15に対する抗体を使用するウエスタンブロット分析を使用して、修飾IL-15へのテールの付着を確認した(図3)。
【0189】
[実施例4]
【0190】
細胞膜への膜に固定されるIL-15の結合の確認
【0191】
実施例3の膜に固定されるIL-15(テール付加IL-15)の細胞膜に結合する能力を試験するために、ヒツジ赤血球(red blood erythrocytes)またはJurkat細胞を使用するアッセイを用いた。これらの細胞種は、それらがIL-15に結合できる受容体またはタンパク質を有さないので選択した。これらの細胞へのテール付加IL-15の結合は、IL-15に対するフィコエリトリン(PE)標識された抗体を使用してフローサイトメトリー分析によって評価した。手短には、関連IL-15ポリペプチドを、Jurkat細胞またはヒツジ赤血球(カタログ番号ABIN770405、antibodies-online)のいずれかとともにインキュベートした。細胞を遠心分離し、4mlの、2% FCSを含有するPBSに、2×106個細胞/mlの最終濃度に再懸濁した。希釈後、細胞を、1800rpmで5分間室温で遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を、2μgのテール付加または非テール付加IL-15のいずれかとともに室温で20分間インキュベートした。細胞を2% FCSを含有するPBSで洗浄すること、それに続いて、室温で1800rpmで5分間遠心分離することによって、未結合IL-15を除去した。上清を除去し、細胞を、2μlのマウス抗ヒトIL15 PEコンジュゲート型抗体(カタログ番号IC2471P、R&D Systems)とともに4℃暗所で20分間インキュベートした。洗浄ステップを2回反復し、細胞を、400μlの、2%FCSを含有するPBSに再懸濁し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0192】
図4は、非テール付加IL-15を用いた場合、ヒツジ赤血球(b)またはJurkat細胞(a)のいずれでも結合が見られなかったことを示す。対照的に、膜に固定されるIL-15(テール付加IL-15)は、高レベルの細胞結合を示し、Jurkat細胞(b)でテール付加IL-15の30分または24時間のインキュベーションを用いて同様の結果が得られ、これは、かなりの時間、分子のテール部分によって細胞膜上に保持され得るということを示した。したがって、内部移行は遅く、かなりの細胞表面結合および活性の提示が可能となる。
【0193】
[実施例5]
【0194】
in vitroでの膜に固定されるIL-15の活性の研究
【0195】
以下のCTLL2アッセイを使用して、実施例3の膜に固定される修飾IL-15(テール付加IL-15)の活性を、実施例2の固定されない修飾IL-15(非テール付加IL-15)および未修飾野生型対照IL-15と比較した:
a) マウスCTLL-2細胞(LGC standards、UK[カタログ番号ATCC(登録商標)TIB-214(商標)])を、37℃で、テール付加IL-15、非テール付加IL-15もしくは抗体のみの存在下で、または任意のIL-15ポリペプチドもしくは抗体(未染色)の不在下で、96ウェルプレートで5×105個細胞/mlの濃度(100μlの容量でウェルあたり5×104個細胞)で72時間培養した;
b) 細胞をMTS(5-[3-(カルボキシメトキシ)フェニル]-3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム内塩)(Promega[CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution Cell Proliferation Assay])とともに3~4時間インキュベートした(72時間の時点で);および
c) 490nmの吸光度での比色定量によって細胞数を定量化した。
【0196】
図5は、実施例2の結果と一致して、固定されない修飾IL-15(非テール付加)は、野生型IL-15よりも有意により活性であったことを示す。しかし、膜に固定される修飾IL-15(テール付加)は、非テール付加または野生型のいずれよりもより活性であることが有利であった。
【0197】
テール付加IL-15の活性はまた、ヒトおよびマウスNKリンパ球を使用して確認し、これらは、テール付加および非テール付加IL-15とともにインキュベートして、増殖を誘導した。7日間培養した後、NK細胞集団をフローサイトメトリーによって分析し、テール付加IL-15は、ヒトNK細胞を拡大増殖するより大きい能力を有することを示した(**一元配置分散分析および事後試験ニューマン-コイルスによって非テール付加IL-15または野生型IL-15と比較してp<0.05、n=5)(図6)。
【0198】
[実施例6]
【0199】
修飾IL-15および膜に固定される修飾IL-15による前立腺癌細胞の死滅
【0200】
修飾IL-15(非テール付加)および膜に固定される修飾IL-15(テール付加)は両方とも、未修飾野生型(IL-15ペプチド)およびIL-2と比較した場合に、ヒト前立腺癌細胞のNK細胞媒介性死滅を有利に活性化した(図7を参照されたい)。これらのデータによって、IL-15活性促進配列を含有する(膜アンカーを有さない)修飾IL-15および膜に固定される修飾IL-15は両方とも、癌細胞、特に、前立腺癌細胞に対して有効であることが確認され、それによって、治療有効性が確認される。
【0201】
[実施例7]
【0202】
in vivoでの修飾IL-15ポリペプチドの活性の研究
【0203】
本発明の修飾IL-15ポリペプチドの、腫瘍成長を阻害する有効性を、C57BL/6マウスにおけるin vivo皮下前立腺癌モデルでさらに確認した。雄の6~8週齢のC57BL/6マウスに、滅菌PBS中の5×106個のTRAMP-C2腫瘍細胞を用いて皮下注射した。腫瘍が100mm3に到達した時点で、マウスに、滅菌PBS(ビヒクル、n=10)、修飾IL-15「非テール付加IL-15」(n=10)、膜に固定される修飾IL-15「テール付加IL-15」(n=10)を用いて腫瘍内に、または修飾IL-15「非テール付加IL-15」を用いて腹膜内に(i.p.)(n=6)注射した。腫瘍が15mmの最大直径に到達するまで、腫瘍成長を1週間に最大3回測定し、その段階で、動物を選別した。
【0204】
膜に固定された修飾されるIL-15「テール付加IL-15」および修飾IL-15「非テール付加IL-15」の腫瘍内注射は、ビヒクル注射と比較して14日目での腫瘍成長の低減(それぞれ、50%および32%)につながった。修飾IL-15「非テール付加IL-15」の腹膜内注射は、ビヒクルと比較して腫瘍成長を16%低減した(図8A)。
【0205】
膜に固定される修飾IL-15「テール付加IL-15」および修飾IL-15「非テール付加IL-15」の両方とも、生存を増大した。膜に固定される修飾IL-15「テール付加IL-15」は、ビヒクル群における17日と比較して28日に生存を有意に増大した。修飾IL-15「非テール付加IL-15」は、腫瘍内に注射された場合に25日に、および腹腔内(i.p.)注射された場合に19日に生存を増大した(図8B)。
【0206】
動物から得られた腫瘍組織の組織学的分析によって、H&E染色を用いて見られたような壊死の増大ならびにPBS群と比較した、膜に固定される修飾IL-15「テール付加IL-15」および修飾IL-15「非テール付加IL-15」を用いて処置された動物におけるNK細胞、CD4およびCD8 Tの浸潤の増大が示された(図9)。結果は、図10において提供される定量化によって見られるように、膜に固定される修飾IL-15「テール付加IL-15」について特に顕著であった。
【0207】
[実施例8]
【0208】
代替修飾IL-15ポリペプチド
【0209】
代替C末端側伸長をIL-15に融合し、CTLL-2アッセイにおいてその活性を配列番号28および野生型IL-15と比較した。
【0210】
IL-15を11個のアミノ酸の配列(配列番号9)に融合することによって第1の構築物を形成し、融合ポリペプチド配列番号10を得た。IL-15を67個のアミノ酸の配列(配列番号11)に融合することによって第2の(比較)構築物を形成し、比較融合ポリペプチド配列番号12を得た。
【0211】
融合ポリペプチドを発現させ、精製し、その後、実施例1のとおりにCTLL-2活性アッセイにおいて試験した。
【0212】
結果
【0213】
Biolegend(London UK)製のIL-15 Elisa Maxを製造業者の使用説明書に従って使用して算出されたようなタンパク質の濃度を使用してタンパク質を比較した。IL-15 Elisaは、立体構造的に正しい(すなわち、IL-15抗体によって認識される)サンプル中のIL-15を測定する。
【0214】
図11は、CTLL-2アッセイにおける配列番号10および配列番号12ならびに未修飾野生型IL-15(Peprotech、UK)と比較した配列番号28の活性を示す。配列番号28は、他の3種のタンパク質と比較して有意により活性であり、一方で、11個のアミノ酸のC末端側伸長を含有する構築物(配列番号10)も、野生型IL-15および比較構築物である配列番号12に対して改善された活性を示した。したがって11個のアミノ酸残基の配列も、IL-15活性促進配列として機能し、一方で、67個のアミノ酸残基の配列を含む融合物は、野生型IL-15のものと同様の活性を示した。
【0215】
[実施例9]
【0216】
その受容体への修飾IL-15の結合
【0217】
CTLL-2細胞への配列番号28および野生型IL-15の結合を比較するために、フルオレセインイソチオシアネートを用いてタンパク質を標識した。手短には、4mg/mlの濃度で調製された100μgのタンパク質を、200mMの炭酸バッファーpH9.3に対して2時間透析し、1mg/mlで調製されたFITC溶液を、タンパク質1μg毎に100ngの量が達成されるまでIL-15にゆっくりと添加し、次いで、IL-15を4℃でゆっくりと回転しながら2時間インキュベートした。次いで、PD10カラムを使用して、遊離FITCを結合しているFITCから分離した。タンパク質およびFITC濃度を、IL-15 ELISAおよび分光光度計でのAbs Max 495nmによって測定した。FITC標識されたタンパク質にBSAの1%溶液を添加して、コンジュゲーションを安定化した。
【0218】
10% TSTIM試薬(Thermofisher、UK)とともに培養することによってCTLL-2細胞を維持した。1mlあたり1×106個の細胞の濃度の100μlの細胞を、10% TSTIM試薬を有する96ウェルプレート中に分注し、次いで、24時間後に、細胞を0.2Mのグリシンバッファー/0.15M NaCl(pH=3)を用いて2回洗浄し、それに続いて、10分のインキュベーション時間、次いで、PBS洗浄を行った。次いで、細胞をFc Block(BD biosciences、UK)を用いて15分間ブロッキングし、次いで、0.1%ナトリウムアジドを含有するPBS中、4℃で、変動する濃度のFITCコンジュゲート型配列番号28またはFITCコンジュゲート型野生型IL-15とともにさらに30分間インキュベートした。次いで、細胞をPBSを用いて洗浄し、BD Cytofix (BD Biosciences、UK)を用いて固定化した。結合しているIL-15の蛍光強度を、FACs Caliburフローサイトメーター(BD Biosciences、UK)で測定した。
【0219】
結果は、図12に提示されており、これは、活性促進性配列をIL-15へ付加することによって、本発明の修飾IL-15は、野生型IL-15と比較した場合に、その受容体への改善された結合を示すことを示す。
【0220】
上記の明細書において記載されたすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載された方法および系の種々の改変および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に制限されるべきではないということは理解されるべきである。実際、生化学およびバイオテクノロジーまたは関連分野の当業者に明らかである本発明を実施するための記載された様式の種々の改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0221】
[図1A]
% of control (PBS) expansion: 対照(PBS)拡大増殖の%
NK cells: NK細胞
CD8 T cells: CD8 T細胞
PBMCs only: PBMCのみ
[図1B]
% of control: 対照の%
Perforin expression in NK/CD8 T cells: NK/CD8 T細胞におけるパーフォリン発現
Annexin+PI+expression: アネキシン+PI+発現
[図2]
Modified IL-15: 修飾IL-15
Wild-type IL-15: 野生型IL-15
Conc (ng/ml): 濃度(ng/ml)
[図3]
Silver nitrate staining: 硝酸銀染色
Western Blot anti-IL15 antibody: ウエスタンブロット抗IL15抗体
UV light: UV光
[図4A]
Binding after 30 mins: 30分後の結合
Count: カウント
Geo Mean: 幾何平均
PE-Anti-IL-15 Antibody: PE-抗IL-15抗体
Tailed IL-15: テール付加IL-15
Untailed IL-15: 非テール付加IL-15
Isotype control for PE antibody: PE抗体のアイソタイプ対照
Unstained: 未染色
Binding after 24 hrs: 24時間後の結合
[図4B]
Count: カウント
IL-15-PE antibody: IL-15-PE抗体
Sample Name: サンプル名
Isotype control: アイソタイプ対照
Untailed IL-15: 非テール付加IL-15
Tailed IL-15: テール付加IL-15
[図5]
Conc (ng/ml): 濃度(ng/ml)
Tailed IL-15: テール付加IL-15
Untailed IL-15: 非テール付加IL-15
Wild-type IL-15: 野生型IL-15
[図6A]
No Cytokine: サイトカインなし
Wild Type IL-15: 野生型IL-15
Untailed IL-15: 非テール付加IL-15
Tailed IL-15: テール付加IL-15
[図6B]
NK cell expression: NK細胞発現%
Control: 対照
Will-type IL-15: 野生型IL-15
untailed IL-15: 非テール付加IL-15
tailed IL-15: テール付加IL-15
[図7]
%PI expression: PI発現%
control: 対照
IL-15 pep.: IL-15調製物
untailed IL-15: 非テール付加IL-15r> tailed IL-15: テール付加IL-15
[図8A]
Tumour Volume: 腫瘍体積
Days post-treatment: 処置後日数
Vehicle: ビヒクル
Untailed IL-15: 非テール付加IL-15
Tailed IL-15: テール付加IL-15
Untailed IL-15 i.p.: 非テール付加IL-15腹腔内
[図8B]
Percent survival: 生存パーセント
Days post-treatment: 処置後日数
Vehicle: ビヒクル
Untailed IL-15 i.p.: 非テール付加IL-15腹腔内
Untailed IL-15: 非テール付加IL-15
Tailed IL-15: テール付加IL-15
[図9]
Vehicle: ビヒクル
Untailed IL-15: 非テール付加IL-15
Tailed IL-15: テール付加IL-15
[図10a]
Tumour necrotic area: 腫瘍壊死性領域
Vehicle: ビヒクル
Tailed-IL-15: テール付加IL-15
[図10b]
CD8+ stained area: CD8+染色領域
Vehicle: ビヒクル
Tailed IL-15: テール付加IL-15
[図10c]
CD4+ stained area: CD4+染色領域
Vehicle: ビヒクル
Tailed IL-15: テール付加IL-15
[図10d]
CD3+ stained area: CD3+染色領域
Vehicle: ビヒクル
Tailed IL-15: テール付加IL-15
[図10e]
NK1.1+ stained area: NK1.1+染色領域
Vehicle: ビヒクル
Tailed IL-15: テール付加IL-15
[図11]
Conc IL15 (ng/ml): 濃度IL15(ng/ml)
Wild-type IL-15: 野生型IL-15
Modified IL-15 (SEQ ID NO: 28): 修飾IL-15(配列番号28)
SEQ ID NO:12: 配列番号12
SEQ ID NO: 10: 配列番号10
[図12]
Count: カウント
Modified IL-15: 修飾IL-15
FITC-Modified IL-15: FITC-修飾IL-15
Wild-type IL-15: 野生型IL-15
FITC-Wild-type IL-15: FITC-野生型IL-15
Unstained: 未染色
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10abc
図10de
図11
図12
【配列表】
2023502843000001.app
【国際調査報告】