(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】反射屈折顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20230119BHJP
G02B 21/04 20060101ALI20230119BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230119BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230119BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/04
G03B15/00 U
G03B17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525937
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 US2020038111
(87)【国際公開番号】W WO2021101592
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502352427
【氏名又は名称】ハワード ヒューズ メディカル インスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,フィリップ ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】フリッキンジャー,ダニエル アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ベンクアン
【テーマコード(参考)】
2H052
2H087
2H100
【Fターム(参考)】
2H052AA07
2H052AA09
2H052AB02
2H052AB06
2H052AC15
2H052AC18
2H052AC20
2H052AC27
2H052AC34
2H052AF02
2H052AF14
2H087KA01
2H087KA09
2H087TA01
2H087TA03
2H087UA09
2H100BB05
2H100CC01
(57)【要約】
光学顕微鏡装置は、サンプル位置を調べるように構成されたサンプルインタロゲーションシステムと、サンプルインタロゲーションシステムによって調べられることによってサンプルから出力された光を集光するように構成された集光システムと、を備える。集光システムは、サンプル位置を通る撮像軸に沿って配置されたミラーと、少なくとも1つがマルチプレット光学レンズである、撮像軸に沿って配置された複数の光学レンズを備える光学レンズ系と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタロゲーション体積内のサンプル位置を通る撮像軸に沿って配置されたミラーと、
少なくとも1つがマルチプレット光学レンズである、前記撮像軸に沿って配置された複数の光学レンズを備える光学レンズ系と、
前記インタロゲーション体積の外部にあり、前記サンプル位置から発せられ前記ミラー及び前記光学レンズ系により集光された光を検出する検出システムと、
を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記光学レンズ系の前記光学レンズが、あらゆる光学面にわたって、通常動作における全ての光線がレンズ面法線に対して35°から40°の範囲内の空気中における最大出口角を有するように配置されている、請求項1の撮像装置。
【請求項3】
前記検出システムが、前記サンプル位置から発せられた前記光を前記光検出システムの開口数の回折限界で撮像する、請求項1の撮像装置。
【請求項4】
前記インタロゲーション体積内の前記サンプル位置にサンプルを維持するサンプル装置をさらに備える、請求項1の撮像装置。
【請求項5】
前記マルチプレット光学レンズが、ダブレットレンズ又はトリプレットレンズである、請求項1の撮像装置。
【請求項6】
複数の光学レンズが、マルチプレット光学レンズである、請求項1の撮像装置。
【請求項7】
前記ミラー及び前記光学レンズ系が、回折制限されており、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野を有する集光装置を構成する、請求項1の撮像装置。
【請求項8】
前記ミラー及び前記光学レンズ系が、回折制限されている集光装置を構成し、
前記サンプル位置と、前記光学レンズ系の要素又は前記ミラーと、の間の作動距離が少なくとも20ミリメートルであり、
前記ミラー及び前記光学レンズ系の前記光学レンズのそれぞれが、球面である、請求項1の撮像装置。
【請求項9】
前記ミラー及び前記光学レンズ系が、前記サンプル位置から発せられた400から800ナノメートルの範囲内の波長を有する光に対して、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野について、少なくとも0.8、少なくとも0.9、又は少なくとも1.0の開口数を有する集光装置を構成する、請求項1の撮像装置。
【請求項10】
前記ミラー及び前記光学レンズ系が、81から90%の光透過効率で500から800ナノメートルの範囲内の波長を有する光に対して回折制限されている集光装置を構成する、請求項1の撮像装置。
【請求項11】
前記ミラー及び前記光学レンズ系が、500から700ナノメートルの波長範囲、700から800ナノメートルの波長範囲、又は450から500ナノメートルの波長範囲にわたって同時にアクロマートな集光装置を構成する、請求項1の撮像装置。
【請求項12】
前記ミラー及び前記光学レンズ系が、回折制限されており、少なくとも100平方ミリメートルのエタンデュを有する集光装置を構成する、請求項1の撮像装置。
【請求項13】
前記光学レンズ系が、複数のシングレット光学レンズ、複数のダブレット光学レンズ、及び少なくとも1つのトリプレット光学レンズを備える、請求項1の撮像装置。
【請求項14】
前記ミラーが、前記サンプル位置の表面の画像とモノセントリックなミラーであり、
全視野における前記ミラーの光学面に対する主光線の最大入射角が、2°、3°、又は4°である、請求項1の撮像装置。
【請求項15】
前記ミラー及び前記光学レンズ系が、視野依存収差を0.09ウェーブの二重平均平方根波面誤差未満に小さくする集光装置を構成する、請求項1の撮像装置。
【請求項16】
前記光学レンズ系が、前記サンプル位置の前記ミラーの反対側にある複数のマルチプレットレンズと、前記サンプル位置の前記サンプル位置と前記ミラーに挟まれた側にある少なくとも1つのシングレットレンズと、を備える、請求項1の撮像装置。
【請求項17】
前記検出システムが、前記サンプル位置から発せられた前記光を、前記光について推測することなく検出する、請求項1の撮像装置。
【請求項18】
前記光学レンズ系の前記光学レンズ及び前記ミラーのそれぞれが、球面である、請求項1の撮像装置。
【請求項19】
前記光学レンズ系の1つ以上の前記光学レンズの軸位置がオフセットされることによって、前記サンプル位置にあるサンプルの屈折率の変化により引き起こされた収差を調整する、請求項18の撮像装置。
【請求項20】
前記ミラー及び前記光学レンズ系が、前記撮像軸に対して垂直な方向に沿って光学的にアクセス可能なサンプル位置を提供する集光装置を構成する、請求項1の撮像装置。
【請求項21】
前記集光装置が、前記サンプル位置にある前記サンプルの表面に対する少なくとも0.4、少なくとも0.5、又は少なくとも0.6の開口数で前記サンプル位置への光学的アクセスを与える、前記サンプル位置にある前記サンプルの両側に位置する前記光学レンズのそれぞれの作動距離及び曲率を有する、請求項20の撮像装置。
【請求項22】
サンプルを撮像するための撮像装置であって、
サンプル位置を通る撮像軸に沿って配置されたミラーと、
少なくとも1つがマルチプレット光学レンズである、前記撮像軸に沿って配置された複数の光学レンズを備える光学レンズ系と、を備え、
前記ミラー及び前記光学レンズ系の前記光学レンズが、前記サンプル位置の両側に前記撮像軸に沿って位置している、撮像装置。
【請求項23】
前記光学レンズ系の前記光学レンズが、光があらゆる光学面にわたって、空気中において35°から40°の範囲内の最大発散角を有するように配置されている、請求項22の撮像装置。
【請求項24】
サンプルを撮像するための検出装置であって、
サンプル位置を通る撮像軸に沿って配置されたミラーと、
少なくとも1つがマルチプレット光学レンズである、前記撮像軸に沿って配置された複数の光学レンズを備える光学レンズ系と、
インタロゲーション体積を画定し、前記インタロゲーション体積内の前記サンプル位置にサンプルを収容するサンプル装置であって、前記光学レンズ系の1つ以上の光学レンズにより少なくとも部分的に封じ込められた液浸流体を含むサンプル装置と、を備え、
前記ミラー及び前記光学レンズ系の前記光学レンズが、前記サンプル位置の両側に位置している、検出装置。
【請求項25】
前記液浸流体が、1.0から1.7の屈折率を有する、請求項24の検出装置。
【請求項26】
前記液浸流体と前記サンプル位置に配置された前記サンプルとが、同じ屈折率を有する、請求項24の検出装置。
【請求項27】
前記サンプル装置が、前記サンプル位置にあるサンプルを並進移動及び/又は回転移動させる1つ以上の並進ステージ及び回転ステージをさらに備える、請求項24の検出装置。
【請求項28】
サンプル位置を調べるサンプルインタロゲーションシステムと、
前記サンプルインタロゲーションシステムにより調べられることによって、サンプルから出力される光を集光する集光システムであって、
前記サンプル位置を通る撮像軸に沿って配置されたミラーと、
少なくとも1つがマルチプレット光学レンズである、前記撮像軸に沿って配置された複数の光学レンズを備える光学レンズ系と、を備える、集光システムと、
を備える、光学顕微鏡装置。
【請求項29】
前記サンプルインタロゲーションシステムが、前記サンプル位置に向けられる1つ以上の光ビームを生成する光学インタロゲーションシステムである、請求項28の光学顕微鏡装置。
【請求項30】
前記光学インタロゲーションシステムにより生成された前記1つ以上の光ビームが、前記ミラーによって前記サンプル位置に向けられる、請求項29の光学顕微鏡装置。
【請求項31】
前記光学インタロゲーションシステムにより生成された前記1つ以上の光ビームが、前記ミラーと相互作用することなく、前記撮像軸に対して垂直な方向に沿って前記サンプル位置に向けられる、請求項29の光学顕微鏡装置。
【請求項32】
前記光学インタロゲーションシステムが、前記サンプル位置にある前記サンプルの表面に対する少なくとも0.4、少なくとも0.5、又は少なくとも0.6の開口数で前記サンプル位置への光学的アクセスを与える、前記サンプル位置にある前記サンプルの両側に位置する前記光学レンズのそれぞれの作動距離及び曲率を有する、請求項31の光学顕微鏡装置。
【請求項33】
前記集光システムから集光された前記光を受光する検出システムをさらに備える、請求項28の光学顕微鏡装置。
【請求項34】
前記検出システムがデータを取得する速度が、少なくとも毎秒1.0×10
10ボクセルである、請求項33の光学顕微鏡装置。
【請求項35】
前記検出システムが、ナイキストサンプリングを用いて、前記サンプル位置にある体積が400立方ミリメートルより大きいサンプルを、120分未満の時間で0.3ミクロン×0.3ミクロン×0.5ミクロンの空間分解能で撮像する、請求項33の光学顕微鏡装置。
【請求項36】
前記集光システムが、前記サンプル位置にある1.0から1.7の屈折率を有するサンプルからの光を集光する、請求項28の光学顕微鏡装置。
【請求項37】
前記集光システムが、前記サンプル位置にある400立方ミリメートルより大きい物理的体積又は400平方ミリメートルより大きい表面積を有するサンプルからの光を集光する、請求項28の光学顕微鏡装置。
【請求項38】
前記サンプルインタロゲーションシステム及び前記集光システムと通信し、前記サンプルインタロゲーションシステム及び前記集光システムの電気特性及び光学特性を調整する制御システムをさらに備える、請求項28の光学顕微鏡装置。
【請求項39】
前記集光システムから集光された前記光を受光する検出システムをさらに備えており、
前記制御システムが、前記検出システムと通信し、前記集光システムから集光された前記光からサンプルの画像を、前記サンプルが前記サンプルインタロゲーションシステムによって調べられることによって形成する、請求項38の光学顕微鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年11月22日に出願されたCATADIOPTRIC MICROSCOPYと題する米国出願第62/939,380号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、反射屈折設計を含む光学又は光顕微鏡法に関する。
【背景技術】
【0003】
光顕微鏡法とは、高時空間分解能で生物試料(サンプル)をインタロゲートするために使用される技術である。光顕微鏡は、生命科学全般に使用され、その設計及び機能は大幅に異なる可能性がある。光顕微鏡は、集光して試料の像を形成する対物レンズを備える。
【発明の概要】
【0004】
一部の一般的な態様では、撮像装置が、インタロゲーション体積内のサンプル位置を通る撮像軸に沿って配置されたミラーと、少なくとも1つがマルチプレット光学レンズである、撮像軸に沿って配置された複数の光学レンズを備える光学レンズ系と、インタロゲーション体積の外部にあり、サンプル位置から発せられ、ミラー及び光学レンズ系により集光された光を検出するように構成された検出システムと、を備える。
【0005】
実施形態は以下の特徴の1つ以上を備えることができる。例えば、光学レンズ系の光学レンズは、あらゆる光学面にわたって、通常動作における全ての光線が、レンズ面法線に対して35°~40°の範囲内の空気中における最大出口角を有するように配置することができる。
【0006】
検出システムは、サンプル位置から発せられた光を光検出システムの開口数の回折限界で撮像することができる。
【0007】
撮像装置は、インタロゲーション体積内のサンプル位置にサンプルを維持するように構成されたサンプル装置を備えることもできる。
【0008】
マルチプレット光学レンズはダブレット又はトリプレットである可能性がある。複数の光学レンズは、マルチプレット光学レンズである可能性がある。
【0009】
ミラー及び光学レンズ系は、回折制限されており、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野を有する集光装置を構成することができる。
【0010】
モノセントリックミラー及び光学レンズ系は、回折制限されている集光装置を構成することができ、サンプル位置と、光学レンズ系の要素又はミラーと、の間の作動距離が少なくとも20ミリメートルである可能性があり、ミラー及び光学レンズ系の光学レンズのそれぞれは球面である可能性がある。ミラー及び光学レンズ系は、サンプル位置から発せられた400~800ナノメートルの範囲内の波長を有する光に対して、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野について、少なくとも0.8、少なくとも0.9、又は少なくとも1.0の開口数を有する集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、81~90%の光透過効率で500~800ナノメートルの範囲内の波長を有する光に対して回折制限されている集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、500から700ナノメートルの波長範囲、700から800ナノメートルの波長範囲、又は450から500ナノメートルの波長範囲にわたって同時にアクロマートな集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、回折制限されており、少なくとも100平方ミリメートルのエタンデュを有する集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、視野依存収差を0.09ウェーブの二重平均平方根波面誤差未満に小さくするように構成された集光装置を構成することができる。
【0011】
光学レンズ系は、複数のシングレット光学レンズ、複数のダブレット光学レンズ、及び少なくとも1つのトリプレット光学レンズを備えることができる。
【0012】
ミラーは、サンプル位置の表面の画像とモノセントリックなミラーである可能性があり、全視野におけるミラーの光学面に対する主光線の最大入射角は2°、3°、又は4°である可能性がある。
【0013】
光学レンズ系は、サンプル位置のミラーの反対側にある複数のマルチプレットレンズと、サンプル位置のサンプル位置とミラーに挟まれた側にある少なくとも1つのシングレットレンズと、を備えることができる。
【0014】
検出システムは、サンプル位置から発せられた光を、光について推測することなく検出することができる。
【0015】
光学レンズ系の光学レンズ及びミラーのそれぞれは球面である可能性がある。光学レンズ系の1つ以上の光学レンズの軸位置をオフセットすることによって、サンプル位置にあるサンプルの屈折率の変化により引き起こされた収差を調整することができる。
【0016】
ミラー及び光学レンズ系は、撮像軸に対して垂直な方向に沿って光学的にアクセス可能なサンプル位置を提供するように構成された集光装置を構成することができる。集光装置は、サンプル位置にあるサンプルの表面に対する少なくとも0.4、少なくとも0.5、又は少なくとも0.6の開口数でサンプル位置への光学的アクセスを与える、サンプル位置にあるサンプルの両側に位置する光学レンズのそれぞれの作動距離及び曲率を有することができる。
【0017】
他の一般的な態様では、撮像装置がサンプルを撮像するように構成されている。撮像装置は、サンプル位置を通る撮像軸に沿って配置されたミラーと、少なくとも1つがマルチプレット光学レンズである、撮像軸に沿って配置された複数の光学レンズを備える光学レンズ系とを備える。ミラー及び光学レンズ系の光学レンズは、サンプル位置の両側に撮像軸に沿って位置している。
【0018】
実施形態は以下の特徴の1つ以上を備えることができる。例えば、光学レンズ系の光学レンズは、光があらゆる光学面にわたって、空気中において35°~40°の範囲内の最大発散角を有するように配置することができる。
【0019】
マルチプレット光学レンズはダブレット又はトリプレットレンズである可能性がある。複数の光学レンズは、マルチプレット光学レンズである可能性がある。
【0020】
ミラー及び光学レンズ系は、回折制限されており、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野を有する集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、回折制限された集光装置を構成することができ、サンプル位置と、光学レンズ系のいずれかの要素又はミラーと、の間の作動距離が少なくとも20ミリメートル(mm)である可能性があり、ミラー及び光学レンズ系の光学レンズのそれぞれは球面である可能性がある。ミラー及び光学レンズ系は、サンプル位置から発せられた400~800ナノメートルの範囲内の波長を有する光に対して、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野について、少なくとも0.8、少なくとも0.9、又は少なくとも1.0の開口数を有する集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、81~90%の光透過効率で500~800ナノメートルの範囲内の波長を有する光に対して回折制限されている集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、500~700ナノメートルの波長範囲、700~800ナノメートルの波長範囲、又は450~500ナノメートルの波長範囲にわたってアクロマートな集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、回折制限されており、少なくとも100平方ミリメートルのエタンデュを有する集光装置を構成することができる。
【0021】
光学レンズ系は、複数のシングレット光学レンズ、複数のダブレット光学レンズ、及び少なくとも1つのトリプレット光学レンズを備えることができる。
【0022】
ミラーは、サンプル位置の表面の画像とモノセントリックなミラーである可能性があり、全視野におけるミラーの光学面に対する主光線の最大入射角は2°、3°、又は4°である可能性がある。
【0023】
ミラー及び光学レンズ系は、視野依存収差を0.09ウェーブの二重平均平方根波面誤差未満に小さくするように構成された集光装置を構成することができる。
【0024】
光学レンズ系は、サンプル位置のミラーと反対側にある複数のマルチプレットレンズと、サンプル位置のサンプル位置とミラーに挟まれた側にある少なくとも1つのシングレットレンズと、を備えることができる。
【0025】
光学レンズ系の光学レンズ及びミラーのそれぞれは球面である可能性がある。
【0026】
光学レンズ系の1つ以上の光学レンズの軸位置をオフセットすることによって、サンプル位置にあるサンプルの屈折率の変化により引き起こされた収差を調整することができる。
【0027】
ミラー及び光学レンズ系は、撮像軸に対して垂直な方向に沿って光学的にアクセス可能なサンプル位置を提供するように構成された集光装置を構成することができる。集光装置は、サンプル位置にあるサンプルの表面に対する少なくとも0.4、少なくとも0.5、又は少なくとも0.6の開口数でサンプル位置への光学的アクセスを与える、サンプル位置にあるサンプルの両側に位置する光学レンズのそれぞれの作動距離及び曲率を有することができる。
【0028】
他の一般的な態様では、検出装置がサンプルを撮像するように構成されている。検出装置は、サンプル位置を通る撮像軸に沿って配置されたミラーと、少なくとも1つがマルチプレット光学レンズである、撮像軸に沿って配置された複数の光学レンズを備える光学レンズ系と、インタロゲーション体積を画定し、インタロゲーション体積内のサンプル位置にサンプルを収容するように構成されたサンプル装置と、を備える。サンプル装置は、光学レンズ系の1つ以上の光学レンズにより少なくとも部分的に封じ込められた液浸流体を含む。ミラー及び光学レンズ系の光学レンズは、サンプル位置の両側に位置している。
【0029】
実施形態は以下の特徴の1つ以上を備えることができる。例えば、液浸流体は1.0~1.7の屈折率を有することができる。液浸流体とサンプル位置に配置されたサンプルとは同じ屈折率を有することができる。
【0030】
光学レンズ系の光学レンズは、光が空気中であらゆる光学面にわたって35°~40°の範囲内の最大発散角を有するように配置することができる。
【0031】
マルチプレット光学レンズはダブレット又はトリプレットレンズである可能性がある。複数の光学レンズは、マルチプレット光学レンズである可能性がある。
【0032】
ミラー及び光学レンズ系は、回折制限されており、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野を有する集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、回折制限された集光装置を構成することができ、サンプル位置と、光学レンズ系のいずれかの要素又はミラーと、の間の作動距離が少なくとも20ミリメートル(mm)である可能性があり、ミラー及び光学レンズ系の光学レンズのそれぞれは球面である可能性がある。
【0033】
ミラー及び光学レンズ系は、サンプル位置から発せられた400~800ナノメートルの範囲内の波長を有する光に対する、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野について、少なくとも0.8、少なくとも0.9、又は少なくとも1.0の開口数を有する集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、81~90%の光透過効率で500~800ナノメートルの範囲内の波長を有する光に対して回折制限された集光装置を構成することができる。ミラー及び光学レンズ系は、500~700ナノメートルの波長範囲、700~800ナノメートルの波長範囲、又は450~500ナノメートルの波長範囲にわたってアクロマートな集光装置を構成することができる。
【0034】
ミラー及び光学レンズ系は、回折制限されており、少なくとも100平方ミリメートルのエタンデュを有する集光装置を構成することができる。
【0035】
光学レンズ系は、複数のシングレット光学レンズ、複数のダブレット光学レンズ、及び少なくとも1つのトリプレット光学レンズを備えることができる。
【0036】
ミラーは、サンプル位置の表面の画像とモノセントリックなミラーである可能性があり、全視野におけるミラーの光学面に対する主光線の最大入射角は2°、3°、又は4°である可能性がある。
【0037】
ミラー及び光学レンズ系は、視野依存収差を0.09ウェーブの二重平均平方根波面誤差未満に小さくするように構成された集光装置を構成することができる。
【0038】
光学レンズ系は、サンプル位置のミラーと反対側にある複数のマルチプレットレンズと、サンプル位置のサンプル位置とミラーに挟まれた側にある少なくとも1つのシングレットレンズと、を備えることができる。
【0039】
光学レンズ系の光学レンズ及びミラーのそれぞれは球面である可能性がある。
【0040】
光学レンズ系の1つ以上の光学レンズの軸位置をオフセットすることによって、サンプル位置にあるサンプルの屈折率の変化により引き起こされた収差を調整することができる。
【0041】
サンプル装置は、サンプル位置にあるサンプルを並進移動及び/又は回転移動させるように構成された1つ以上の並進ステージ及び回転ステージをさらに備えることができる。
【0042】
ミラー及び光学レンズ系は、撮像軸に対して垂直な方向に沿って光学的にアクセス可能なサンプル位置を提供するように構成された集光装置を構成することができる。集光装置は、サンプル位置にあるサンプルの表面に対する少なくとも0.4、少なくとも0.5、又は少なくとも0.6の開口数でサンプル位置への光学的アクセスを与える、サンプル位置にあるサンプルの両側に位置する光学レンズのそれぞれの作動距離及び曲率を有することができる。
【0043】
他の一般的な態様では、光学顕微鏡装置が、サンプル位置を調べるように構成されたサンプルインタロゲーションシステムと、サンプルインタロゲーションシステムにより調べられることによりサンプルから出力される光を集光するように構成された集光システムと、を備える。集光システムは、サンプル位置を通る撮像軸に沿って配置されたミラーと、少なくとも1つがマルチプレット光学レンズである、撮像軸に沿って配置された複数の光学レンズを備える光学レンズ系と、を備える。
【0044】
実施形態は以下の特徴の1つ以上を備えることができる。例えば、サンプルインタロゲーションシステムは、サンプル位置に向けられる複数の励起光ビームを生成することができる。サンプルインタロゲーションシステムは、サンプル位置に向けられる1つ以上の光ビームを生成するように構成された光学インタロゲーションシステムである可能性がある。光学インタロゲーションシステムにより生成される1つ以上の光ビームは、ミラーによってサンプル位置に向けることができる。光学インタロゲーションシステムにより生成される1つ以上の光ビームは、ミラーと相互作用することなく撮像軸に対して垂直な方向に沿ってサンプル位置に向けることができる。光学インタロゲーションシステムは、サンプル位置にあるサンプルの表面に対する少なくとも0.4、少なくとも0.5、又は少なくとも0.6の開口数でサンプル位置への光学的アクセスを与える、サンプル位置にあるサンプルの両側に位置する光学レンズのそれぞれの作動距離及び曲率を有することができる。
【0045】
光学顕微鏡は、集光システムから集光した光を受光するように構成されている検出システムを備えることもできる。検出システムがデータを取得する速度は、少なくとも毎秒1.0×1010ボクセルである可能性がある。検出システムは、ナイキストサンプリングを用いて、サンプル位置にある体積が400立方ミリメートルより大きいサンプルを、120分未満の時間で0.3ミクロン×0.3ミクロン×0.5ミクロンの空間分解能で撮像することができる。
【0046】
集光システムは、サンプル位置にある1.0~1.7の屈折率を有するサンプルからの光を集光するように構成することができる。
【0047】
集光システムは、サンプル位置にある400立方ミリメートルより大きい物理的体積又は400平方ミリメートルより大きい表面積を有するサンプルからの光を集光するように構成することができる。
【0048】
光学顕微鏡装置は、サンプルインタロゲーションシステム及び集光システムと通信し、サンプルインタロゲーションシステム及び集光システムの電気特性及び光学特性を調整するように構成された制御システムを備えることもできる。光学顕微鏡装置は、集光システムから集光した光を受光するように構成されている検出システムを備えることができる。制御システムは、検出システムと通信することができ、集光システムから集光した光からサンプルの画像を、サンプルがサンプルインタロゲーションシステムによって調べられることによって形成するように構成することができる。
【0049】
光学レンズ系の光学レンズ及びミラーのそれぞれは球面である可能性がある。
【0050】
光学レンズ系の1つ以上の光学レンズの軸位置を撮像軸からオフセットすることによって、サンプル位置にあるサンプルの屈折率の変化により引き起こされた収差を調整することができる。
【0051】
撮像装置は、(高分解能光顕微鏡法をさらに促進する)回折制限されたアクロマート設計を提供する。また、撮像装置は液浸媒体、すなわち顕微鏡検査で使用する生物試料が通常維持されるべき媒体の種類と協働する。撮像装置は、1つのミラーが組み込まれ、(蛍光撮像にとって重要な)かなりの程度まで無色化するのに必要とされる自由度を依然として提供しながら、非常に大きい開口数及び視野サイズを有する反射屈折光学系を提供する。撮像装置は、光パワーの大部分が、像面及び光学系絞りとモノセントリックな状態又はこれに近い状態にあるミラー素子によってもたらされる、すなわち主光線がミラー素子の表面にほぼ垂直である反射屈折光学系である。主光線は、以下でより詳細に考察するように、中心で光学系絞りと交差する物体内の全ての点からの一組の撮像光線である。これは、そうでなければかかる大きなエタンデュ及び光パワーで動作する屈折面を伴うであろう視野依存収差を劇的に減少させる働きをする。撮像装置は、色収差を補正し像面を平らにできる非モノセントリックなレンズ素子も備える。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】反射屈折型であり、少なくとも1つの反射光学素子を備える集光装置を備える撮像装置の光学ブロック図である。
【
図2】完全にモノセントリックな撮像システムの例である屈折集光装置の光学ブロック図である。
【
図3】
図1の撮像装置、サンプル装置及びインタロゲーションシステムを備えるある実施形態の光学ブロック図である。
【
図4】
図1の撮像装置並びに制御システム及びインタロゲーションシステムのある実施形態を含む光学顕微鏡のブロック図である。
【
図5】光装置及び光学構成を備え、複数の湾曲非対称ベッセル様励起(CABLE)ビームのビームアレイを生成しスキャンする、
図4のインタロゲーションシステムのある実施形態のブロック図である。
【
図6】
図1の撮像装置のある実施形態の光学ブロック図である。
【
図7】
図1の集光装置のある実施形態の光学ブロック図である。
【
図8】
図1の撮像装置、及びインタロゲーションシステムを備えるある実施形態の光学ブロック図である。
【
図9A】
図8のインタロゲーションシステムが反射光学素子によりサンプル位置に向けられた1つ以上の光ビームを生成する実施形態の光学的特徴を示す概略図である。
【
図9B】
図8のインタロゲーションシステムが反射光学素子と相互作用することなくサンプル位置に向けられた1つ以上の光ビームを生成する実施形態の光学的特徴を示す概略図である。
【
図10】サンプル位置に対して配置された6個のレンズを含む光学レンズ系を備える
図1の集光装置のある実施形態の光学ブロック図である。
【
図11A】使用されたシミュレートされたバンドパスフィルタカットオフ波長及びサンプル位置にあるサンプル内に存在し得る各フルオロフォアのピーク発光波長を示す表である。
【
図11B】サンプル位置がある異なる組成の液浸流体の屈折率及びアッベ数の値を示す表である。
【
図12A】異なる撮像条件下で計算されたストレール比のグラフである(ここで、色は異なる視野位置に対応する:青/薄い青-0mm、緑-3.4mm、赤-4.9mm、ピンク-6mm)。
【
図13A】より広い波長範囲にわたるストレール比評価のグラフである。
【
図14A】撮像装置のチャンバ内に画定されたインタロゲーション体積内にサンプル位置にあるサンプルを維持するように構成されたサンプル装置であって、サンプルが固定されるサンプルホルダを備え、サンプルを保持するサンプルホルダがチャンバの外部にあるサンプル装置の実施形態の斜視図である。
【
図14B】サンプルを含むサンプルホルダがチャンバに挿入される、
図14Aのサンプル装置の斜視図である。
【
図15】サンプル位置にあるサンプルに向けられるプローブである複数の湾曲光シートを生成又は作成するように設計された
図5のインタロゲーションシステムのある実施形態の光学ブロック図である。
【
図16A】
図15のインタロゲーションシステムのCABLEビーム発生システムのある実施形態の光学ブロック図である。
【
図16B】
図16AのCABLEビーム発生システム内の空間光変調器に適用される位相パターンのある実施形態を示す光学ブロック図である。
【
図17】
図15のインタロゲーションシステムのビーム多重化システムのある実施形態の光学ブロック図である。
【
図18A】
図15のインタロゲーションシステムのビーム操作システムのある実施形態の光学ブロック図である。
【
図18C】
図18Bのビーム操作システムのビーム操作サブシステムのある実施形態の斜視図である。
【
図19】
図15のインタロゲーションシステムの照明装置のある実施形態の光学ブロック図である。
【
図20】検出システムのある実施形態を示す、
図1の撮像装置のある実施形態の光学ブロック図である。
【
図21】
図1、3、4、6、7、8の撮像装置及び/又は
図4のインタロゲーションシステムのいずれか1つを使用して、
図4の光学顕微鏡により実行される手順のフローチャートである。
【
図22】光学面のラベルが
図23に与えられ、正の軸方向が右に向かうものである、光学処方箋のある実施形態の表である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1を参照すると、撮像装置100が示されている。撮像装置100は反射屈折型の集光装置101を備えている。つまり集光装置101は、インタロゲーション体積115内のサンプル位置110を通る撮像軸IAに沿って配置された少なくとも1つの屈折光学素子及び少なくとも1つの反射光学素子を備えている。したがって、集光装置101は反射屈折光学構成を使用して光を収集して成形する。撮像軸IAはデカルト座標系X、Y、ZのZ軸に沿って延びる。撮像装置100は、Z軸に関して回転対称であり、X、Y、及びZ方向のそれぞれに延在するように設計することができる。サンプル位置110は、撮像装置100により撮像されるサンプルを収容するように構成されている。サンプルはX、Y、及びZ方向の1つ以上に沿った広がりを有することができる。
【0054】
反射光学素子は、インタロゲーション体積115の第1の側Z1に撮像軸IAに沿って配置されたミラー105である。以下の実施形態では、ミラー105は正の光パワーを有し、収束しているため、撮像軸IAから横方向又は半径方向に延在するときにサンプル位置110に向かって湾曲する反射面を有する。集光装置の正の光パワーの大部分(例えばほとんど)は、ミラー105によって与えられる。インタロゲーション体積115の第1の側Z1は、正のZ軸に沿ってインタロゲーション体積115から離れて延在する側である。
【0055】
屈折光学素子は、サンプル位置110及びミラー105と光学的に相互作用する光学レンズ系120である。光学レンズ系120は、インタロゲーション体積115の第1の側Z1に1つ以上のコンポーネントを、負のZ軸に沿ってインタロゲーション体積115から離れて延在する側であるインタロゲーション体積115の第2の側Z2に1つ以上のコンポーネントを備えることができる。ミラー105及び光学レンズ系120は、回折制限され、直径が少なくとも8ミリメートル(mm)、少なくとも10mm、又は少なくとも12mmの視野を有する集光装置101を構成する。
【0056】
一部の実施形態では、サンプル位置110と、光学レンズ系120のいずれかの要素又はミラー105と、の間の作動距離が少なくとも20mmである。一部の実施形態では、ミラー105及び光学レンズ系120内の光学レンズのそれぞれは球面である。また、集光装置101には非球面が必要とされない。
【0057】
さまざまな実施形態では、集光装置101は、サンプル位置110から発せられた400~800ナノメートル(nm)の範囲内の波長を有する光に対する、直径が少なくとも8mm、少なくとも10mm、又は少なくとも12mmの視野(FOV)について、少なくとも0.8、少なくとも0.9、又は少なくとも1.0の開口数(NA)を有する。一部の実施形態では、集光装置101は、81~90%の光透過効率で500~800nmの範囲内の波長を有する光に対して回折制限されている。
【0058】
光学レンズ系120は、第1及び第2の側Z1、Z2の1つ以上に撮像軸IAに沿って配置された複数の光学レンズを含む。光学レンズ系120の光学レンズの少なくとも1つはマルチプレット光学レンズ121である。また、光学レンズ系120には2つ以上のマルチプレット光学レンズ121がある可能性がある。各マルチプレット光学レンズ121は、ダブレットレンズ又はトリプレットレンズである可能性がある。例えば光学レンズ系120は、以下でより詳細に考察するように、複数のシングレット光学レンズ、複数のダブレット光学レンズ、及び少なくとも1つのトリプレット光学レンズを含むことができる。光学レンズ系120内の光学レンズは、レンズ系120内のあらゆる光学面にわたって、通常動作中の全ての光線が、各レンズの面法線に対して30°~45°又は35°~40°の範囲内の、空気中における最大出口角を有するように配置することができる。
【0059】
光学レンズ系120の光学レンズの1つ以上及びミラー105は、撮像軸IAに沿って移動可能及び/又は調整可能である可能性がある。ミラー105及び光学レンズ系120内のレンズのこの軸方向移動は、高精度再循環玉軸受軌道を使用して達成することができる。
【0060】
撮像装置100は、インタロゲーション体積115の外部にある検出システム125も備える。検出システム125は、サンプル位置110から発せられ、集光装置101、すなわちミラー105及び光学レンズ系120により集光された光126を検出するように構成されている。光126は、サンプル位置110にあるサンプルから発せられた蛍光である可能性がある。検出システム125は、サンプル位置110にあるサンプルから発せられた光126を集光装置101の開口数の回折限界で撮像するように構成されている。
【0061】
撮像装置100は、サンプル内の大きい体積の高分解能撮像を可能にし、さらにサンプルに関する新しいタイプの実験及び観察が実行されることを可能にする。例えば、撮像装置100は、細胞内分解能を有し、物理的切断を必要としない大きな化学的に透明化又は拡大された組織及び器官の高速撮像(例えば、マウス脳全体の高分解能構造撮像)、大型モデル生物(マウスなど)におけるニューロン活動の全脳ライブ撮像、又は自由に行動し相互作用する動物群の単一細胞レベルでの同時撮像(例えば、相互作用するゼブラフィッシュ稚魚又はショウジョウバエのグループにおける全ての個体にわたる同時全脳撮像)を可能にする。
【0062】
撮像装置100は、光ベースの像形成のための、本明細書に記載の反射屈折型の集光装置101を備えるため、伝統的な対物レンズの根本的な制約を回避する。具体的には、ミラー105は伝統的な対物レンズに取って代わる。伝統的な対物レンズと異なり、ミラー105は、(高開口数を提供することによる)高空間分解能と大きな視野へのアクセスの両方を提供することができる。したがって、集光装置101は両方のパラメータに対して高い性能を同時に達成する。これは、エタンデュが大きくなるにつれて光学収差及び誤差のスケーリング則が集光装置101に与える影響が小さくなるためである。
【0063】
伝統的な対物レンズの光学収差から生じる従来のスケーリング制約は集光装置101において克服することができ、その結果、これまでよりもはるかに大きい視野にわたって高い開口数が可能になる。例えば、撮像装置100は、サンプルインタロゲーション体積115が水の場合に1.0の開口数、12ミリメートル(mm)の視野、25mmの作動距離、及び81~90%の光透過効率で500~715ナノメートル(nm)に対する回折限界性能を提供することができる。開口数が0.47で視野が6mmのメゾレンズなどの最先端の光学系と比較して、撮像装置100は、(装置100により同時に伝送される分解可能な素子の数として定量化される)光学スループットを18倍向上させる。
【0064】
また、撮像装置100は検出システム125内の1つ以上のカメラの速度によって制限されず、また撮像装置100はかかる大きな視野を有しているため、例えば視野全体にわたって画像取得を並列化するカメラアレイを用いた検出プロセスの多重化を通じて大きい試料の撮像の劇的な高速化の機会も提供される。少なくとも毎秒1.0×10
10ボクセル、場合によっては毎秒1.4×10
10の撮像速度を提供する、10個のsCMOSカメラから構成されるカメラアレイを使用する撮像装置100の実施形態が、
図8及び10に関して以下で考察される。
【0065】
上述のように、ミラー105は、集光装置101の正の光パワーの非常に大きな部分を提供する。ミラー105はモノセントリックである可能性がある。つまり、サンプル位置110で撮像される物体(すなわちサンプル又は試料)の表面及び光学系絞りSSとモノセントリック又はほぼモノセントリックな状態で配置されている。別な言い方をすれば、ミラー105は視野対称であり、物体(サンプル)の視野点から発する一組の光線が、他の視野点から来る一組の光線と同様にミラーと相互作用することを意味する、又はミラー105はほぼ視野対称であり、この状態からのわずかなずれを示す可能性がある。光学系絞りSSは、軸上の物点から装置101を通過する(光126からの)光線の立体角を物理的に制限する、集光装置101内の開口絞り又はレンズリングと定義することができる。したがって、光学系絞りSSは、光126から検出システム125に形成される画像の輝度を制限する。光学系絞りSSは開口絞りである可能性がある、又は光学レンズ系120内の1つのレンズの表面にある可能性がある。
【0066】
一般に、完全にモノセントリックな光学系は、物体面及び像面を含むあらゆる光学面が光学系絞りに位置する共通の曲率中心を共有する系である。集光装置101は、完全にモノセントリックな又はほぼモノセントリックな光学系である可能性がある。考察及び比較によって、屈折型集光装置202を使用する完全にモノセントリックな撮像システムの例が
図2に示されている。
図1の集光装置101と異なり、屈折型集光装置202は、物体空間OSと撮像空間ISの間に配置された回折光学素子R1、R2のみを備える。光学系の主光線CRが(光学素子R1、R2のそれぞれの)あらゆる光学面に垂直入射するという事実に一致する、フィールド変数に関する光学系の対称性に起因して、光学系の視野依存収差は全くない。そのような光学系には球面収差及び軸方向色収差のみが存在する可能性があり、フィールド自体のサイズは、視野依存収差によって通常の方法で制限されるわけではなく、90度の画角で有効幅ゼロを与える光学系絞りの余弦短縮によって、又は半球であることを逸脱する、絞りの両側における光学面の重なりによって制限される。
【0067】
光学系の1つの重要な指標はそのエタンデュである。(撮像装置100が組み込まれ得る)顕微鏡などの従来の光学系の場合、エタンデュは、視野(FOV)の面積掛けるそのFOVで利用可能な開口数(NA)の二乗に等しい。光は大きな収差を有する光学系内を伝搬することによって、光エネルギーの単純な伝送又は回折制限されない撮像に寄与することができる。しかしながら、基本的な目標が(サンプル位置110にある)サンプルの高品質かつ高分解能の画像の取得である光顕微鏡法では、回折制限撮像が重要である及び/又は必要とされる可能性があるため、エタンデュを計算する際に、それに応じて低い収差で伝送され得るFOV及びNAのみが考慮される。撮像装置100が回折制限されており、問題になっているエタンデュが回折制限されたエタンデュであると仮定した場合、撮像装置100のエタンデュは、所与の光の波長について、装置100内を伝送され得る個別に分解可能な画素(リセル)の数に比例する。
【0068】
検出システム125は1つ以上のデジタルイメージセンサ(又はカメラ)を使用する。各センサ、又はセンサアレイは、人間の目及び従来の対物レンズのサポートされているリセルよりも多いピクセルを有することができる。したがって、検出システム125において特定のサンプルを撮像するのに望まれる分解能のレベルに合うより高いエタンデュを有する集光装置101(及び撮像装置100)を開発することは有利である可能性がある。撮像装置100は、従来の顕微鏡対物レンズで得られていたよりも高いエタンデュを提供するように設計される。
【0069】
また、全ての収差が光126の波長の小さな割合に保持される光学系を設計することは、エタンデュが大きくなるにつれてますます困難になる。屈折型であり(レンズ面における光屈折のみを利用する)、高分解能撮像に必要な大きい開口数をサポートする顕微鏡対物レンズにおいて、ある狭い条件を満たすレンズ面のみを高出力先端素子(一般にはレンズの正のパワーの大部分に寄与する第1~第4正メニスカスレンズ)に利用することができる。例えば、1つの条件はアプラナティック条件であり、別の条件はコンセントリック条件である。(周辺光線の傾きの光線周囲の屈折率に対する比がレンズ面にわたって一定である)アプラナティック条件では、球面収差、コマ収差、又は非点収差を導入することなく、大きな光学面のパワーが可能であるが、これは物体面がレンズ材料と同じ屈折率に浸されている場合にのみ可能である。(周辺光線の表面における入射角がゼロの)コンセントリック条件では、球面収差やコマ収差が導入されないが、光パワーも不可能である。高いNAの屈折型顕微鏡対物レンズでは、1つ以上のアプラナティック面、又はほぼアプラナティックな表面が先端素子に使用され、通常は1つ以上のほぼコンセントリックな表面も先端素子に使用される。これらの条件は、典型的な屈折型対物レンズのそれを上回るエタンデュのレベルで、例えばエタンデュが6.2mm2のメゾレンズで機能することができるが、それはレンズ寸法の大幅な物理的な拡大、及び要素数の増加という犠牲や不便の上に可能である。
【0070】
撮像装置100は、扱いにくいレンズのサイズ及び数を必要とせずにエタンデュのより劇的な増加を達成することによって、代替的な、効果的な高エタンデュの光学設計戦略を提供する。
【0071】
図3を参照すると、一部の実施形態では、撮像装置100は、サンプル装置330及びインタロゲーションシステム340を追加的に備える撮像装置300である。次にこれらのそれぞれを説明する。
【0072】
サンプル装置330は、サンプル335をインタロゲーション体積115内のサンプル位置110に維持するように構成されている。サンプル装置330は、保持デバイス、並びに(保持デバイスをインタロゲーション体積115内で又はインタロゲーション体積115の内外に並進移動及び回転移動させることにより)サンプル335の並進及び/又は回転をそれぞれ可能にする1つ以上の並進及び/又は回転ステージ(
図14A及び14Bの運動ステージ1439など)を備えることができる。保持デバイスは、サンプル335をインタロゲーション体積115内のサンプル位置110に保持する。保持デバイスは、サンプル335を取り囲む液浸流体、又はサンプル335を収容し、かつサンプル335をさまざまな角度から撮像できるようにするデバイスを含むことができる。
図14A及び14Bを参照して、サンプル装置330のある実施形態を説明する。
【0073】
インタロゲーションシステム340は、具体的にはサンプル335がサンプル位置110に置かれている間に、サンプル位置110を調べるように構成されている。特に、インタロゲーションシステム340は、集光装置101によって集光された後、検出システム125において検出又は感知される光126をサンプル335に出力させるように、サンプル335に作用しこれと相互作用する。したがって、インタロゲーションシステム340は、サンプル位置に向けられる、励起光学又は光ビームなどの1つ以上のプローブを生成することができる。例えば、広視野照明、ライトシート照明、又は(多)点スキャニングをインタロゲーションシステム340において利用することができる。ライトシート照明を使用する実施形態は、
図15~19を参照して以下で考察される。インタロゲーションシステム340の実施形態は、
図9A、9B、14A、14B、及び15~19を参照して説明される。
【0074】
図4を参照すると、撮像装置100は、光学顕微鏡450内の撮像装置400として実施することができる。光学顕微鏡450は、制御システム455、インタロゲーションシステム440、及び撮像装置400を備える。インタロゲーションシステム440は、撮像装置400内のサンプル位置110に向けられる1つ以上のプローブ440pを生成する光装置442及び光学構成444を備える。
【0075】
撮像装置400は、(集光装置101を介して)蛍光を集光し、この光を検出システム125内のカメラに向け、(サンプル装置330内のサンプル位置決めサブシステムを使用して)体積撮像のためにサンプルを並進移動させる。検出システム125は、それぞれが複数(例えば6個)の蛍光フィルタを収容する複数のフィルタホイールから構成される(
図14A及び14Bに示すような)フィルタホイールアレイFAと、サンプル位置110にあるサンプルの高速な並列撮像のための複数のカメラ(例えばC14120-20P(浜松、日本)などのsCMOSカメラ)から構成されるカメラアレイとを備えることができる。フィルタホイールアレイのフィルタホイールの数は、カメラアレイのカメラの数に一致する。
【0076】
制御システム455は、主制御装置456、制御電子回路457、及び画像取得モジュール458を備える。制御システムは、光装置442及び光学構成444、並びに撮像装置400内のコンポーネントを含む、光学顕微鏡450の全ての光学、電気、及び機械コンポーネントを操作する。例えば、制御システム455は、空間光変調器1660(
図16A)、ガルバノメータスキャナGS(
図18C)、光学構成442内の並進及び回転ステージ、並びに撮像装置400内のフィルタホイール及びカメラを制御するように構成することができる。
【0077】
主制御装置456のこれらのコンポーネントの1つ以上は、1つ以上の出力デバイス(例えばモニタ又はプリンタ)、キーボード、マウス、タッチディスプレイ、又はマイクロホンなどの1つ以上のユーザ入力インターフェイス、特定のタスクを実行するための特殊なワークステーションを含む1つ以上の処理ユニット、メモリ(例えばランダムアクセスメモリや読み取り専用メモリや仮想メモリなど)、及びハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、又は光ディスクなどの1つ以上のストレージデバイスといったハードウェアを備えることができる。処理ユニットは、スタンドアロンのプロセッサである可能性がある、又は独自のワークステーションなどのサブコンピュータである可能性がある。制御システム455は、一部の機能が1つのコンピュータに割り当てられる又は配置される一方、他の機能がもう1つのコンピュータに割り当てられる又は配置される分散型アーキテクチャを有することができる。
【0078】
主制御装置456は、光学顕微鏡450の全ての電気部品及び光学部品を調整する。主制御装置456は、光学顕微鏡450の特徴を調整及び制御するLabVIEW制御ソフトウェアを実行するコンピュータを備えることができる。
【0079】
一部の実施例では、主制御装置456は、オペレーティングシステム(Windows10など)及びLabVIEW顕微鏡制御ソフトウェアを実行するサーバである。LabVIEWソフトウェアは光学顕微鏡450の全てのコンポーネントを調整して、撮像ワークフローを実行し同期画像取得を確実にする。より具体的には、主制御装置456は、制御電子回路457に制御コマンドを送信して、インタロゲーションシステム440の光装置442及び光学構成442並びに撮像装置400に適切な駆動及びトリガ信号を発生させる。主制御装置456はまた、画像取得モジュール458内の画像取得ノードに(例えばEthernetによって)コマンドを送信して、検出システム125内のカメラと関連するパラメータを設定し、検出システム125における画像取得を開始及び/又は停止する。
【0080】
画像取得モジュール458は、検出システム125からの画像データを取得すること及び保存することを含む撮像ワークフローを実行するように構成されている。画像取得モジュール458からの出力は主制御装置456に供給され、画像取得モジュール458と主制御装置456の間の通信は有線又は無線である可能性がある。画像取得モジュール458は、LabVIEW画像取得ソフトウェアを実行する、それぞれが画像取得用のCoaXPressケーブルにより撮像装置100内(例えば検出システム125内)の1台のカメラに接続されている複数の画像取得ノードで動作することができる。例えば
図15~19を参照して以下で考察するように、検出システム125は10個のイメージングサブシステム又は検出器を備えることができ、この場合、画像取得モジュール458は10個の画像取得ノードで動作することができる。全ての画像取得ノードは、Ethernet通信によって(主制御装置456の)主制御コンピュータに接続されて、主制御装置456の主制御コンピュータから画像取得コマンドを受信することもできる。
【0081】
画像取得ノードは、(検出システム125内の)各専用カメラを操作し、主制御装置456が与える指示に従ってデータを取得して一時的に記憶する役割を果たしている。より具体的には、画像取得ノードは主制御装置456からコマンドを受信して、露光時間、エリアモード、関心のあるエリアなどを含むカメラパラメータを設定し、これに基づいて接続された各カメラを設定することになる。画像取得ノードはまた、画像取得を開始するためのコマンドを主制御装置456から受信した後、取得プロセスを開始し、開始トリガ信号を待機するようにカメラを設定することになる。カメラは制御電子回路457から開始トリガ信号を受信すると、画像取得を同期して開始することになる。画像取得ノードは、現在進行中の取得を中断するコマンドを受信することもでき、このコマンドを受信したときは直ちに取得を停止することになる。
【0082】
制御電子回路457は、ガルバノメータスキャナ、フィルタホイール、並進ステージ、及びカメラを含むがこれらに限定されない、インタロゲーションシステム440及び撮像装置400内の個別のコンポーネントのための制御信号を発生させ同期させるように構成されている。制御電子回路457は、主制御装置456に接続される筐体と、全てが筐体内に取り付けられるいくつかのアナログ入力カード及びアナログ出力カードと、シリアルインターフェイスカードとを備える。
【0083】
制御電子回路457は、主制御装置456のPCIeスロットの1つに取り付けられたリモートコントローラカード(例えば、National Instruments社のPCIe-8381)により主制御装置456に接続されている筐体(例えば、National Instruments社のPXIe-1078)に実装することができる。筐体内に3つのデータ収集カード、すなわち64個のアナログ出力(AO)チャネルを提供する2つのPXIe-6738収集カード(National Instruments社)と、32個のアナログ入力(AI)チャネルを提供する1つのPXIe-6363収集カード(National Instruments社)とを取り付けることができる。主制御装置456により操作されて、PXIe-6738収集カードは、アナログ電圧信号を発生させて、ビーム操作システム547(
図5)内のガルバノメータスキャナGSa、GSbを駆動し、プローブ836(
図8)のレーザ強度を変調する。PXIe-6738収集カードはまた、TTL又はLVCMOS信号を発生させて、カメラ、ステージ及びフィルタホイールを同期させ、インタロゲーションシステム440内でレーザをイネーブル/ディセーブルする。1つのシリアルインターフェイスカード(National Instruments社のPXIe8430/8)を筐体内に取り付けて、光装置442及び運動ステージを含むデバイスを制御するのに使用される8個のRS-232通信ポートを提供することができる。
【0084】
上述のように、インタロゲーションシステム440は、撮像装置400内のサンプル位置110に向けられた1つ以上のプローブ440pを生成する光装置442及び光学構成444を備える。インタロゲーションシステム440内の照明光学系の視野は、撮像装置400内の検出光学系の視野に一致するため、検出システム125で撮像され得る部分はいずれもインタロゲーションシステム440で照明することができる。
【0085】
一部の実施形態では、
図5に示すようにインタロゲーションシステム440は、光装置442及び光学構成544を備えるインタロゲーションシステム540として実施される。インタロゲーションシステム540は、複数(例えば10個)の湾曲非対称ベッセル様励起(CABLE)ビームのビームアレイを生成しスキャンする。光学構成544は、CABLEビーム発生システム545、ビーム多重化システム546、ビーム操作システム547、及び照明構成548(カスタムチューブレンズ及び/又は対物レンズを含み得る)を備える。他の実施形態では、ガウシアンビームを使用して光装置442の出力からスキャンされたレーザ光シートを生成することが可能である場合がある。
【0086】
撮像装置400に関連する特徴が次に考察され、その後にインタロゲーションシステム540の考察が続く。
【0087】
図6を参照すると、撮像装置100の実施形態600が示されている。撮像装置600は、複数の光学レンズを含む光学レンズ系620を備える。この実施形態では、光学レンズ系620は2つの光学レンズ620_1及び621_1のみを含む。他の実施形態では、光学レンズ系620は3つ以上の光学レンズを含むことができる。光学レンズは撮像軸IAに沿って配置されている。光学レンズのうちの少なくとも1つはマルチプレット光学レンズである。この実施形態では、レンズ621_1はマルチプレットレンズとして表されている。光学レンズ系620には、2つ以上のマルチプレットレンズがある可能性がある。撮像装置600は、インタロゲーション体積115の外部にある検出システム125も備える。検出システム125は、サンプル位置110から発せられ、ミラー105及び光学レンズ系620により集光された光626を検出するように構成されている。光626の一部の光線が参考のため破線で示されている。
【0088】
光学レンズ系620の光学レンズは、あらゆる光学面にわたって、通常動作における全ての光線626の空気中における最大出口角がレンズ面の法線に対して35°~40°の範囲内になるように配置される。ここで光線626の出口角は、光線626が光学レンズを出るときにその光学レンズ(例えば光学レンズ620_1及び621_1)の面法線となす角度である。マルチプレット光学レンズ621_1はダブレットレンズ又はトリプレットレンズである可能性がある。
【0089】
検出システム125は、サンプル位置110から発せられた光626を撮像装置100の開口数の回折限界で撮像する。ミラー105及び光学レンズ系620は、回折制限されており、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野を有する集光装置を構成する。
【0090】
サンプル位置110と光学レンズ系620のいずれかの要素又はミラー105との間の作動距離は少なくとも20ミリメートル(mm)であり、ミラー105及び光学レンズ系620の光学レンズ620_1、621_1のそれぞれは球面である。これは、ミラー105及び光学レンズ620_1、621_1のそれぞれにおいて光626と相互作用する表面が球形を有することを意味する。作動距離は、サンプルに焦点が合っているときの最も近い光学素子からサンプルの最も近い表面までの有効距離とみなすことができる。
【0091】
集光装置601は、サンプル位置110から発せられた400~800ナノメートルの範囲内の波長を有する光626に対する、直径が少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、又は少なくとも12ミリメートルの視野について、少なくとも0.8、少なくとも0.9、又は少なくとも1.0の開口数を有する。集光装置601は、81~90%の光透過効率で500~800ナノメートルの範囲内の波長を有する光に対して回折制限されている。集光装置601は、500~700ナノメートルの波長範囲、700~800ナノメートルの波長範囲、又は450~500ナノメートルの波長範囲にわたって同時にアクロマートである可能性がある。集光装置601は少なくとも100平方ミリメートルのエタンデュを有することができる。
【0092】
ミラー105は、サンプル位置110にあるサンプルから発せられた光626と相互作用する光学的反射面105Sを有する曲面ミラーである。ミラー105は、サンプル位置110の表面の画像とモノセントリック又はほぼモノセントリックである可能性がある。全視野におけるミラー105の光学面に対する(
図2に関して考察され、
図10にも示される)主光線の最大入射角は2°、3°、又は4°である。
【0093】
集光装置601は、視野依存収差を0.2、0.1、0.09、又は0.07ウェーブの二重平均平方根波面誤差未満に小さくするように構成されている。
【0094】
検出システム125は、サンプル位置110から発せられた光626を、光626について推測することなく検出する。検出システム125は、それぞれが多色検出を可能にするために特定の波長範囲を検出することに特化された複数の検出チャネルを備えることができる。
【0095】
光学レンズ系620の光学レンズ620_1、621_1の1つ以上の軸位置は、集光装置601の他の光学レンズ及びコンポーネントからオフセットされ、これによって、例えばインタロゲーション体積115内の液浸流体又はサンプル位置110にあるサンプルの屈折率の変化により引き起こされる収差を調整することができる。光学レンズの軸位置は光学レンズの位置を撮像軸IAに沿って調整することによってオフセットされる。このようにして撮像装置600は、顕微鏡を新しい実験の開始時に新しい試料に適応させるように構成されている。例えば、インタロゲーション体積115内に保持されている液浸流体(例えば液浸流体718又は液浸流体1418)が、別の実験に対する1つの実験中にわずかに異なる化学組成を有することができる。例えば、液浸流体中の成分の1つの濃度が変化することがあり、次いでこの変化が液浸流体の光学特性を変化させ、光626の光学経路を変化させる。光学経路のこの変化を補償するために、レンズはこれに応じて移動することができる。別の例として、サンプル335は実験ごとに変化する可能性がある、又はサンプル335自体が単一実験においてその体積に沿って変化する可能性がある。光学特性が時間の関数として変化する可能性もある。すなわち、例えば液浸流体中の一部の水が蒸発する場合、これによって液浸流体中の一部の化学成分の濃度が上昇する(これによって経時的に屈折率が上昇する)可能性がある。制御システム455は、実験中にこれらの変化をモニタすることができ、撮像中に変化を補償することができる。
【0096】
集光装置601は、撮像軸IAに対して垂直な方向に沿って光学的にアクセス可能なサンプル位置110を提供するように構成されている。例えば集光装置601は、サンプル位置110の両側に十分に大きな作動距離を有し、サンプル位置110に対向する光学面(サンプル位置に対向する光学レンズ620_1、621_1の光学面)は、少なくとも0.4、少なくとも0.5、又は少なくとも0.6の開口数でサンプル位置110への光学的アクセスを可能にするのに十分小さい曲率を有する。
【0097】
集光装置601の光学素子の1つ以上は、かかるコンポーネントの位置を調整する/並進移動させる/回転移動させるために制御システム455の制御電子回路457により制御される、並進及び/又は回転ステージTRS1、TRS2、TRS3上に配置することができる。
【0098】
一部の実施形態では、
図7及び10に示すように、ミラー105及び光学レンズ系620の光学レンズは、撮像軸IAに沿ってサンプル位置110の両側に位置することができる。
【0099】
図7を参照すると、撮像装置700の一部である集光装置701が、サンプル位置110に配置されたサンプル735を、サンプル735から発せられる光726を集光し、この集光した光を検出システム125に向けることによって撮像するように構成されている。集光装置701は、サンプル位置110を通る撮像軸IAに沿って配置されたミラー105を備える。集光装置701は光学レンズ系720を備える。集光装置701は、インタロゲーション体積731を画定し、インタロゲーション体積731内のサンプル位置110にサンプル735を収容するように構成されたサンプル装置730も備える。サンプル装置730は、光学レンズ系720の1つ以上の光学レンズ720_1により少なくとも部分的に封じ込められた液浸流体718を含む。液浸流体718は1.0~1.7の屈折率を有することができる。液浸流体718及びサンプル位置110に配置されたサンプル735は同じ屈折率を有することができる。
【0100】
図8を参照すると、(光学顕微鏡の一部である)撮像装置800が、サンプル位置110を調べるように構成されたインタロゲーションシステム840を備える。インタロゲーションシステム840は、サンプル位置110に向かう複数の励起光(光学)ビームを生成するように構成することができる。これらの励起光ビームは、サンプル位置110にあるサンプル835内のフルオロフォア又は他の分子を励起する役割を果たし、かかるフルオロフォア又は他の分子は撮像装置800により集光される光826を発する。このため、撮像装置800は、サンプル位置110にあるサンプル835から出力された、インタロゲーションシステム840からの1つ以上のプローブ836により調べられたサンプル835の結果である光826を集光するように構成された集光装置801を備える。集光装置801は、以上で考察したように、サンプル位置110を通る撮像軸IAに沿って配置されたミラー105と、撮像軸IAに沿って配置された複数の光学レンズ820_1、821_1を有する光学レンズ系820とを備える。
【0101】
一部の実施形態では、インタロゲーションシステム840は、サンプル位置110に向かう1つ以上の光ビームをプローブ836として生成するように構成された光学インタロゲーションシステムである。
【0102】
一部の実施形態では、
図9Aに示すように、インタロゲーションシステム840により生成された1つ以上の光ビーム836は、ミラー105によってサンプル位置110にあるサンプル835に向けられる。例えば、光ビーム836はミラー105の光学的反射面105Sで反射した後、サンプル位置110に向かうことができる。光ビーム836とサンプル835との相互作用によってサンプル835から蛍光826が発せられ、蛍光826は集光装置801によって集光される。
【0103】
他の実施形態では、
図9Bに示すように、インタロゲーションシステム840により生成された1つ以上の光ビーム836は、撮像軸IAと平行でない(例えば垂直な)方向に沿ってサンプル位置110にあるサンプル835に向けられる。これらの実施形態では、光ビーム836はミラー105と相互作用することなくサンプル位置110に進む。光ビーム836とサンプル835との相互作用によってサンプル835から蛍光826が発せられ、蛍光826は集光装置801によって集光される。
【0104】
図8を再度参照すると、撮像装置800は、
図1に示した検出システム125のような、集光装置801から集光された光826を受光するように構成された検出システム825を備えることもできる。検出システム825がデータを取得する速度は、少なくとも毎秒1×10
10ボクセルである可能性がある。検出システム825は、サンプル位置110にある体積が100、200、300、又は400立方ミリメートルより大きいサンプル835を、120分未満の時間で0.3ミクロン×0.3ミクロン×0.5ミクロンと同等かそれ以上の空間分解能で撮像することができる。検出システム825はナイキストサンプリングを使用することができる。
【0105】
制御システム455は、インタロゲーションシステム840及び集光装置801と通信することができる。制御システム455は、インタロゲーションシステム840及び集光装置801の電気及び光学特性を調整するように構成されている。制御システム455はまた、検出システム825と通信することができ、サンプル835がインタロゲーションシステム840により調べられることによって、集光装置801により集光された光826からサンプルの画像を形成するように構成することができる。
【0106】
図10を参照すると、他の実施形態では、集光装置1001がサンプル位置1010に配置されたサンプル1035を撮像するように構成されている。集光装置1001は複数のレンズを有する光学レンズ系1020を備える。光学レンズ系1020は、サンプル位置1010のサンプル位置1010に対してミラー1005の反対側に位置する側にある複数のマルチプレットレンズと、サンプル位置1010のサンプル位置1010とミラー105に挟まれた側に位置する少なくとも1つのシングレットレンズとを備える。光学レンズ系1020は、6個のレンズ1020_1、1020_2、1021_1、1021_2、1021_3、1021_4を備え、レンズ1021_1、1021_2、1021_3、1021_4はマルチプレットレンズである。
【0107】
(シングレットである)レンズ1020_1は、サンプル位置1010のサンプル位置1010とミラー1005に挟まれた側に位置する。レンズ1021_1は、サンプル位置1010のレンズ1020_1とは反対側にあるダブレットレンズである。レンズ1020_1と1021_1とはインタロゲーション体積1015を画定する。レンズ1021_2はトリプレットレンズであり、レンズ1021_3はダブルレンズであり、レンズ1021_4はトリプレットレンズである。(検出システム125への経路上の集光装置1001内の最後のレンズである)レンズ1020_2はシングレットである。
【0108】
集光装置1001はインタロゲーション体積1015を画定するチャンバ1017も備える。サンプル1035はインタロゲーション体積1015内のサンプル位置1010で受け取られる。一部の実施形態では、チャンバ1017の1つ以上の壁1019がインタロゲーション体積1015内に液浸流体1018を保持する。液浸流体1018はまた、光学レンズ系1020のレンズ1020_1及び1021_1によって部分的に封じ込めることができる。チャンバ壁1019とレンズ1021_1の間に、チャンバ壁1019とレンズ1021_1とのいくらかの相対移動を可能にする可撓性シール1031が形成される。液浸流体1018は1.0~1.7の屈折率を有することができる。液浸流体1018とサンプル位置1010に配置されたサンプル1035とは同じ屈折率を有することができる。
【0109】
集光装置1001は
図1の撮像装置100に実装することができる。かかる構成では、撮像装置100は公称的に回折制限され、500~715ナノメートル(nm)の波長範囲にわたってアクロマートであり、その回折制限された開口数が1.0でFOVが直径12mmであるため、113mm
2のエタンデュを有する。公称設計を用いれば(つまり、製造公差による性能損失がなければ)、アッベ分解能限界における個別に分解可能な画素の数は、510nmで2.2×10
9個になるであろう。
【0110】
一部の実施形態では、集光装置1001は、視野が12mmで作動距離が25mmの特注設計のNA1.0ミラーベース対物レンズである。集光装置1001は、屈折率が1.33~1.34の撮像媒体及びサンプル用に設計することができる。大きい視野は次の2つの利点を提供する:(1)物理的切断又はサンプルの側方並進移動を必要とせずに、最大12mm×12mm×25mmの大きいサンプル1035を撮像できること、及び(2)撮像速度を向上させるために複数のカメラを使用してサンプル1035の異なる部分を同時に撮像できること。(集光装置101、601、701、801、1001のいずれかが実装される)撮像装置100は、毎秒1.4×1010ボクセルの速度で撮像することができ、結果としてマウス脳の平均サイズに相当する物理的寸法12mm×8mm×6mmを有するサンプル1035を、0.3μm×0.3μm×0.5μmの空間分解能でナイキストサンプリングを用いてわずか2時間で撮像する。
【0111】
集光装置101、601、701、801、又は1001が実装されている撮像装置100は、液浸流体1018で満たされた(装置1001内にチャンバ壁1019と、レンズ1020_1及び1021_1とにより画定された)チャンバ1017内のプローブ像面から検出システム125の少し離れた検出像面に光を伝達する高開口数有限共役型撮像システムである。チャンバ1017内のプローブ像面は、1つ以上の光ビーム836のジオメトリによって決定され、焦点面ジオメトリの形状によって決定される。チャンバ1017内のプローブ像面は、
図15~19を参照して以下で説明されるCABLEビームを使用して1つ以上の光ビーム836を生成する場合には曲面である可能性がある。検出システム125における検出像面は、サンプル位置110における焦点面と共役な検出器空間内の1つ以上の像面である。検出像面は完全に平らである、又は他の実施形態では湾曲している可能性がある。像を像面に記録するのにカメラチップのアレイを使用することができ、像面が湾曲している場合は、平らなカメラチップの湾曲したアレイを使用することができる。
【0112】
一部の実施形態では、液浸流体1018は水、又はさまざまな塩及び緩衝剤を含む水であり、NAは1.0であり、サンプル側の視野は直径12mmであり、倍率は35xである結果として、420mm直径の像面が得られる。集光装置1001により集光及び撮像される光は、サンプル1035を出るとまずは液浸流体チャンバの壁の1つをなすレンズ1020_1を横切り、次に凹面ミラー1005に衝突する前に小さなエアギャップを横断する。凹面ミラー1005は、集光装置1001の正の光パワーの大部分を提供し、光学系絞りSSとほぼモノセントリックに配置されている。このほぼモノセントリックであることによって、集光された光1026の主光線CRは、ミラー1005への入射角がゼロに近いため、ミラー1005から生じる全ての視野依存収差は当然のことながら小さい。
【0113】
ミラー1005から反射した後、撮像された光1026は再びレンズ1020_1を横切り、インタロゲーション体積1015に再び入る。逆方向に通過し、光1026の一部はサンプル1035によって閉塞される、又は常軌を逸する(薄い又は透明性の高いサンプル1035の場合)。しかしながら、インタロゲーション体積1015を通過する光1026のビームサイズが大きいため、サンプル1035により閉塞される光1026の量は少ない。例えば一部の実施形態では、他の方法で撮像される光の5%未満、3%未満、2%未満、又は約1.4%がサンプル1035によって閉塞される。
【0114】
次いで、撮像された光1026は液浸チャンバのもう1つの壁をなすレンズ1021_1に入る。レンズ1021_1の後、光は、撮像された光1026が既に受けた波面収差及び色収差を補正する機能を果たす4つの追加のレンズ1021_2、1021_3、1021_4、及び1020_2を横切る。次いでレンズ1020_2を出た光1026は、撮像装置100内の検出システム125の像面に向かって進む。
【0115】
液浸流体チャンバ1017の存在、及び集光装置1001を無色化することの必要性によって、一般に液浸液を用いた正のパワーの撮像解決策がほとんどなく、一般に軸色をなくすのに必要な自由度を欠いているように見える、完全にモノセントリックな撮像解決策の存在が不可能になる可能性がある。ミラー1005に存在するモノセントリズムからの小さなずれ、レンズ1020_1におけるより大きなずれ、及びレンズ1021_1の浸漬面ISにおける大きなずれは、レンズ1021_2、1021_3、1021_4、1020_2の補正動作を必要とし、ミラー1005に見られるモノセントリズムからの小さなずれ自体は、光学設計中に通常行われる収差の最小化のために光学系の全てを一緒に同時に最適化した結果である。
【0116】
集光装置1001における光学系絞りSSは、レンズ1021_2の表面に位置する。他の実施形態では、可変サイズの絞りがこの場所の近くに位置する可能性がある。アクセサリウィンドウ/フィルタ1022が光学系絞りSSの近くに位置する。ウィンドウ1022は、望ましくない光(蛍光顕微鏡検査法における励起光など)のための干渉又は吸収フィルタとして使用される可能性がある。
【0117】
図3に示すように、一部の実施形態では、レンズ1020_2を出た後、光126は環境ウィンドウ322を通過する。検出システム125は、液浸流体1018を通過する撮像光の経路長が長いため、液浸流体1018の屈折率に非常に敏感である。また、水などの流体は、温度によって屈折率がかなり大きい変動を経験する傾向がある。したがって、液浸流体1018の温度及び温度勾配は、検出システム125内の光学部品が温度と湿度が調節されたチャンバ(
図3に示されていない)に収容されることを要求するように制御することができる。環境ウィンドウ322は、この温度と湿度が調節されたチャンバの内部を外部(lab空間の外側)から分離する。
【0118】
検出システム125の液浸流体1018の屈折率に対する感度の第2の結果は、液浸流体1018の組成の小さな変化が、検出システム125における撮像性能に些細でない影響を及ぼす可能性があることである。異なるサンプル調製には最適なクリアリング及び撮像性能のための異なる浸漬用組成物が必要となるため、液浸流体1018にいくらかの変動性を許容することが望ましい。例えば、拡大組織の異なる調製は、水の屈折率を1.333(d線、587nm)から1.343に高め得る、さまざまな量のリン酸又は生理食塩水クエン酸ナトリウム緩衝剤の存在下で最適に撮像することができ、この変化は検出システム125の設計によって大きい可能性がある。この設計におけるこれらの変化に対応するために、ミラー1005、レンズ1021_1及び1021_2(セット)、及びレンズ1021_3は、液浸流体1018の組成に応じて(撮像軸IAに沿って)軸方向に少し移動するように構成されており、収差バランスの小さい変化を通じた回折制限された性能の回復が可能になる。
【0119】
集光装置1001の光学設計を最適化するのに使用され得る1つの撮像基準は、いくつかの異なる変数についての二乗平均平方根光路差(RMS OPD)である。第1の変数は視野位置である。第2の変数はフルオロフォア変数である。具体的には、4つの異なる例示的なフルオロフォア、すなわちeGFP、mOrange、mCherry、及びmPlumの重み付けされた帯域幅について色性能が別々に評価される。
図11Aは、使用されたシミュレートされたバンドパスフィルタカットオフ波長及び各フルオロフォアのピーク発光波長を示している。
【0120】
第3の変数は、水、リン酸緩衝食塩水(1xPBS)、及び2つの異なる濃度の生理食塩水クエン酸ナトリウム緩衝剤(2xSSC及び5xSSC)などの液浸流体1018の異なる組成物の屈折率を使用して性能が評価された液浸流体1018の組成である。これらの液浸流体1018の屈折率は、0.0001よりも良好な正確性で特注の屈折計を使用して、ある波長範囲(例えば波長範囲435~715nm)内の複数(例えば13個)の波長で測定することができる。このデータは光学設計ソフトウェアZemax OpticStudioに入力して、これらの材料を光学設計に使用することができる。
図11Bは、d線におけるこれらの緩衝剤の屈折率及びアッベ数の値を示している。公称的に構築された光学系性能の最終的評価は、Zemax OpticStudioを使用していくつかの撮像条件下でホイヘンスストレール比を計算することによって行うことができる。
図12A及び12Bは、公称光学系設計の結果を示している。全てのストレール比は、6mm視野でeGFP及び5xSSC撮像媒体を使用する条件を除いて、回折制限された性能を定義する通常の0.8カットオフ以上の性能を示す。
【0121】
ミラー1005、レンズ1021_1及び1021_2、並びにレンズ1021_3の軸位置は、異なるフルオロフォア間ではなく、撮像媒体間を移動することができる。つまり、複数の励起ビーム及びカメラが色に関して多重化され同時に使用されると仮定すると、複数のフルオロフォアを用いる回折制限された同時撮像が可能である。最適化の間、異なるフルオロフォアが別々に評価されるが、集光装置1001は、均等に重み付けされているより大きな波長範囲にわたって上手く機能することができる。
図13A及び13Bは、これらの波長条件下での結果を示している。最終的に、500nm未満の波長では最適化が行われなかったが、回折限界又はその近くにおける集光装置1001の性能が、液浸流体1018の補償器(ミラー1005、レンズ1021_1及び1021_2、並びにレンズ1021_3)がこれらの波長に対応するように(波長500~715nmにおけるそれらの位置に対して)移動できる限りにおいて、435nmまでの発光波長を有するフルオロフォアについて可能であり、やや小さなバンドパス幅が使用される(20~40nm)ことは分かった。
【0122】
図14A及び14Bを参照すると、サンプル装置330の実施形態1430が示されている。サンプル装置1430は、チャンバ1417内に画定されたインタロゲーション体積1415内のサンプル位置1410にサンプル1435を維持するように構成されている。サンプル装置1430は、サンプルが固定されるサンプルホルダ1437を備えることができる。サンプル1435は、生体試料、又は化学的に固定、透明化及び/若しくは拡大された試料である可能性があり、サンプルホルダ1437上又はその内部に配置される。チャンバ1417の内部は液浸流体1418で満たされている。液浸流体1418は、1.33~1.34の屈折率を有することができる、及び/又はサンプル1435の屈折率と一致することができる。
【0123】
サンプル装置1430は、サンプルホルダ1437が固定される位置決めシステム1438も備える。位置決めシステム143・BR>Wは、サンプルホルダ1437に固定された運動(例えば並進及び/又は回転)ステージ1439であって、サンプルホルダ1430をX軸と平行な方向に沿って移動させるように構成された運動ステージ1439を備える。運動ステージ1439は、サンプルホルダ1437をY軸及びZ軸の1つ以上に沿って又はYZ平面内の方向に沿って移動させる、及び/又はサンプルホルダ1437をX軸、Y軸、又はZ軸のいずれかの周りに回転させるように構成することもできる。位置決めシステム1438(及び運動ステージ1439)は、制御システム455と通信し、液浸流体1418へのサンプルホルダ1437(及びサンプル1435)の挿入を制御し、サンプル1435を集光装置101の撮像焦点面に対して位置決めすることができる。
【0124】
チャンバ1417は、インタロゲーション体積1415とチャンバ1417の外部の間を光が通過することを可能にする、光学的に透明なポートを備えるように設計されている。サンプル位置1410に対する第1の側Z1にポートが配置され、この第1の側Z1にあるポートは(ミラー105の実施形態である)ミラー1405に隣接している。サンプル位置1410に対する第2の側Z2にポートが配置され、この第2の側Z2にあるポートは、第2の側Z2に配置されている光学レンズ系1420の一部分1420pに隣接している。
【0125】
チャンバ1417の側面にインタロゲーションポート1433が配置されている。インタロゲーションポート1433は、撮像軸IAと平行でない(例えば垂直な)方向に沿ってサンプル位置1410にあるサンプル1435に向けられる、インタロゲーションシステム840により生成された1つ以上の光ビーム836のための光学経路を提供する。これらの実施形態では、光ビーム836はミラー1405と相互作用することなくサンプル位置1410へ進む。
【0126】
1つ以上の光ビーム836が10個の湾曲非対称ベッセル様励起(CABLE)光ビームIBoの一セットである、以下で考察される実施形態では、インタロゲーションポート1433は、CABLEビームIBoのサンプル1435への光学的アクセスを可能にするのに十分に大きい。
【0127】
再度
図5を参照すると、インタロゲーションシステム540は、光装置442と、CABLEビーム発生システム545、ビーム多重化システム546、ビーム操作システム547、及び照明構成548(カスタムチューブレンズ及び/又は対物レンズを含み得る)を備えた光学構成544とを備える。インタロゲーションシステム540の実施形態1540が、
図15に関して次に考察される。インタロゲーションシステム1540は、サンプル位置110にあるサンプルに向けられるプローブ836である複数(例えば10個)の湾曲した光シートを生成又は作成するように設計されている。
【0128】
インタロゲーションシステム1540は、湾曲非対称ベッセル様励起(CABLE)ビームを生成し、単一ビームを単軸に沿って配置された10個のビームに多重化し、10個のビームをサンプル位置110にあるサンプルに誘導し、サンプルにビームをスキャンする。インタロゲーションシステム1540は、さまざまな波長のレーザ光を出力する光源と、光源の出力にあり光源が生成した光ビームを拡大する光学部品とを備えた光装置1542を備える。インタロゲーションシステム1540は、CABLEビーム発生システム1545、ビーム多重化システム1546、ビーム操作システム1547、及びビームをサンプル位置110にあるサンプルに誘導するための光学部品(チューブレンズ及び対物レンズなど)を備えた照明構成1548を備える。インタロゲーションシステム1540のこれらの特徴のそれぞれは次に考察される。
【0129】
光装置1542内の光源は、高出力レーザシステム(例えば、ドイツのOmicron-Laserage社製のHP Lightengineなど)である可能性がある。このレーザシステムは、それぞれが異なる波長を有する複数(例えば6個)の個別の高出力レーザユニットを備える。例えば、波長はそれぞれ488nm、532nm、560nm、592nm、631nm、及び670nmである可能性がある。出力レーザパワーは、例えば488nmレーザが500mW、全ての他のレーザが1000mWである可能性がある。各レーザビームの強度は、それぞれの関連する音響光学変調器(AOM)によって変調することができる。6個のレーザからの光ビームは、全てのレーザビームが同じ出口ポートからレーザシステムを出るように、ダイクロイックミラーを使用して結合される。レーザシステムからの出力光ビームは高出力光ファイバに結合することができる。光ファイバを出た後、ビームはCABLEビーム発生システム1545に提供される前に、コリメータ及びビームエキスパンダによって平行にされ拡大される。
【0130】
CABLEビーム発生システム1545によってCABLEビームを生成することができる。CABLEビームは、(ミラー105により決定された)集光装置101の対物レンズの焦点面の曲率に一致する曲線軌道を有する。CABLEビームは非常に長く(700μm)かつ(CABLEビームの中心ピークにおいて)非常に薄い(0.6μm)ため、検出システム125内の撮像エリアを十分に活用しながら(例えば、検出システム125において使用され得るsCMOSカメラは大きいチップサイズを有する)、高分解能撮像を可能にする。
【0131】
ベッセル様光シート照明方式は欠点を伴う可能性がある。ベッセル様ビームのサイドローブが、画像コントラストを大幅に下げる顕著な蛍光バックグラウンドを生成する可能性がある。この問題を解決するために、特定の方向に沿って抑制されたサイドローブを有する非対称ベッセル様ビームを生成する方法が、次に考察されるように実行される。
【0132】
図16Aを参照すると、CABLEビーム発生システム1545は、空間光変調器1660、4-fシステムをなす一対のアクロマートレンズ(第1のレンズ1661及び第2の1662)、第1のレンズ1661の前方焦点面にあるリングアパーチャ1663、及び空間光変調器1660からの光を第1のレンズ1661に方向転換するミラー1664を備える。空間光変調器1660は、位相限定空間光変調器(例えばMeadowlark社製のSLM MSP1920-0635-HSP8など)である可能性がある。位相パターンが空間光変調器1660によって適用される。レーザビームは空間光変調器1660に向けられ、(ミラー1664によって)第1のレンズ1661への経路上に回折される。次いで光は、リング形状の内側のみ光を透過するリングアパーチャ1663によってフィルタリングされる。次いで光は、第2のレンズ1662を通過した後にCABLEビームをなす。
【0133】
具体的には、
図16Bを参照すると、空間光変調器1660に適用された位相パターンは、先端角度θが湾曲したベッセル様ビームを発生させる位相パターンに与えられた対向する2つの三角形から構成されるマスク1660mの役割を果たす。マスク1660mを適用した後、空間光変調器1660のマスク領域から反射された光が、第1のレンズ1661によってアパーチャ1663の位置にある単一スポット1663sに合焦する一方、空間光変調器1660の非マスク領域から発生する回折光が、第1のレンズ1661によってリングパターン1663rに合焦する。リングアパーチャ1663は、空間光変調器1660のマスク領域からの光を遮断し、空間光変調器1660の非マスク領域からの光を透過する。第2のレンズ1662を通過した後、光は方向が抑制されたサイドローブを有するCABLEビームをなす。
【0134】
図17を参照すると、ビーム多重化システム1546は、アクロマート半波長板1765、偏光感度を有するビームスプリッタ(PBS)1766、複数の無偏光50:50ビームスプリッタ(そのうちの1つが1767と表示されている)、及び複数のミラー(そのうちの1つが1768と表示されている)から構成されている。これらの光学コンポーネントは、1つの照明ビームIBを、強度が等しく1列に沿って等間隔の10個の照明ビームIBo(ここでoは1~10の整数である)に分割するように配置されている。さらに、各ビームはガラスと空気中を同じ距離だけ進むことによって、ビームIBoの波面は、多重化システムを出るときに同じ平面内に位置している。
【0135】
図17に示すように、偏光レーザビームIBはまずアクロマート半波長板1765を通過し、続いてPBS1766がある。半波長板1765を回転させることによって、PBS1766が生成する2つの出力ビームの強度を一致させることができる。PBS1766によってビームが2つに分割された後、3つのミラー1768がPBS1766の周りに配置されて、光路長を同一に保ちながら両ビームを前方方向に向ける。次いで各ビームは次の分割段階に入る。(
図17の紙面に対する)第1の分割段階から生じる上方ビームについて、50:50ビームスプリッタ1767を使用してビームを同じ強度の2つのビームに分割する。3つのミラー1768がビームスプリッタ1767の周りに配置されて、全てのビームの光路長を同一に維持しながらビームを前方方向に向ける。次いで分割ビームは、同様の光学アーキテクチャを用いる次の2つの分割段階に進む。最終段階のビームスプリッタ1767及びミラー1768は、ビーム間の距離を維持できるように前の段階のものよりも小さい。このジオメトリによって、インタロゲーションシステム440及び撮像装置400の視野内に多くの照明ビーム(この場合は10個)の生成が可能になる。具体的には、照明ビームは、インタロゲーションシステム440及び撮像装置400(例えばミラー105及び照明構成1548)の対物レンズの視野内に同時に存在する。(
図17の紙面に対する)第1の分割段階から生じる下方ビームについて、ミラー1768及びビームスプリッタ1767は、ビームが分割システムの上部からの対応物と同じ距離だけガラスと空気中を進むように配置されている。
【0136】
図18A及び18Bを参照すると、ビーム操作システム1547は、10個のビーム操作サブシステム1870-oから構成されている(ここでoは1~10の整数である)。各ビーム操作サブシステム1870-oは、ビーム多重化システム1546から各照明ビームIBoを受け取る。このサブシステム1870-oのアレイは、10個のビームIBoをスキャンし、ビームIBoを対物レンズの焦点面の曲率に一致する曲面上に配置するのに使用される。
【0137】
図18Cを参照すると、各サブシステム1870-oは、2つのレンズ1871a、1871b、2つのガルバノメータスキャナ、第1の二軸ガルバノメータスキャナGSa及び第2の二軸ガルバノメータスキャナGSbから構成される。第1の二軸ガルバノメータスキャナGSaは、(x軸に沿って配置された)ガルバノメータスキャナGSax及び(y軸に沿って配置された)ガルバノメータスキャナGSayを備え、第2のガルバノメータスキャナGSbは、(x軸に沿って配置された)ガルバノメータスキャナGSbx及び(y軸に沿って配置された)ガルバノメータスキャナGSbyを備える。各二軸ガルバノメータスキャナGSは、例えばCambridge Technology社のモデル6SD12380又は6SD12381である可能性がある。照明ビームIBoはまず第1の二軸ガルバノメータスキャナGSaによってピボット回転する。第1のレンズ1871aは、第1のレンズ1871aの後方焦点面が第1の二軸ガルバノメータスキャナGSaのx及びyスキャンミラー間の幾何学中心に位置するように第1の二軸ガルバノメータスキャナGSaの後ろに配置される。第2の二軸ガルバノメータスキャナGSbは、第1のレンズ1871aの前方焦点面が第2の二軸ガルバノメータスキャナGSbのyスキャンミラーの中心と一致するように配置される。第2のレンズ1871bは、第2のレンズ1871bの後方焦点面が第2の二軸ガルバノメータスキャナGSbのyスキャンミラーの中心と一致するように第2の二軸ガルバノメータスキャナGSbの後ろに配置される。したがって、第2のレンズ1871bは、第2の二軸ガルバノメータスキャナGSbによりもたらされるビームのピボット回転運動を横方向及び軸方向ビームシフトに変換する。
【0138】
図18A及び18Bに戻って参照すると、10個の同一のビーム操作サブシステム1870-oが並んで配置されている。サブシステム1870-o間の相対間隔は、10個の照明ビームIBoを操作するための完全なビーム操作システム1547を構築するために、5センチメートル未満、例えば約25ミリメートル(mm)である可能性がある。10個のビームIBoが全て検出対物レンズ(つまり、ミラー105)の湾曲した焦点面上に確実に位置するように、各ビーム操作サブシステム1870-oの各第2の二軸ガルバノメータスキャナGSbのxスキャンミラーは、各ビームを湾曲した焦点面上に配置するのに必要な距離だけビームIBoを上方にシフトさせる特定の角度まで回転する。
【0139】
図19を参照すると、照明構成1548は、協働して10個の照明ビームIBoをサンプル位置110にあるサンプル上に結像する、カスタムチューブレンズ1973及びカスタムインタロゲーション対物レンズ1974を備える。照明構成1548の出力は、1つ以上のプローブ(又は1つ以上の光ビーム)836(例えば
図9A及び9Bに示されている)である。インタロゲーション対物レンズ1974は、CABLEビームと関連するリングアパーチャ1663r内に回折制限された性能を提供するように設計されている。インタロゲーション対物レンズ1974は、一部の実施形態では、NA0.4、視野12mm、及び作動距離90mmを有することができる。
【0140】
図20を参照すると、一部の実施形態では、(検出システム125における)像視野はサブFOV(FOV-o、ここでoは1~10の整数である)に分割することができ、複数のデジタル撮像センサによる撮像が行われる。
図20の検出システム2025は、x次元の平面又は線に沿ってFOVの一端から他端に広がる、全ての撮像チップの全幅が全FOVの幅の3分の1よりわずかに大きい、10個のカメラ2075-o(ここでoは1~10の整数である)を備える。カメラ2075-0のそれぞれは1つのCABLEビームIBoにより照明された視野を撮像し、各カメラ2075-oは対応する発光フィルタ2076-oを有する(ここでoは1~10の整数である)。各発光フィルタ2076-oは、各サブFOVにわたる光の入射角が各フィルタ2076-o上で最小限に抑えられる又はできるだけ減少するように、他のものとは異なるように回転する。
【0141】
3次元では、カメラアレイ2075-oは、筐体幅の撮像チップ幅に対する比が大きい市販のカメラを使用する場合に適切なサブFOV間隔を空けるように折り畳みミラーを使用して3つのセクションに分割することができる。
【0142】
図20に示す設計においてカメラ2075oの撮像センサによりカバーされる光学的に利用可能な全検出FOVは、検出システム2025全体のFOVの一部である可能性がある。例えば、全てのカメラ2075oからの利用可能な全検出FOVは、検出システム2025全体のFOVの2~5%である可能性がある。さまざまな照明方式及び/又はより経済的かつ効率的に(おそらくカスタム)パッケージされた撮像センサが、利用可能な検出FOVのかなり多くの使用を可能にすることができる。
【0143】
図14A及び14Bを再度参照すると、光学顕微鏡450及び撮像装置100は、幅広い種類のサンプル又は試料1435を撮像するために使用することができる。比較的透明で1.33~1.34の屈折率を有する試料が一般に非常に優れた画質を提供することができる。この領域の生体サンプルの一例は、マウス脳の拡大した切片などの、(拡張顕微鏡プロトコルを用いた)拡大した生体組織である。拡大後、脳又は脳切片はサンプルホルダ1437に取り付けられる。一部の実施形態では、インタロゲーション体積1415は、拡大したサンプル1435を撮像するのに適した(液浸流体1418である)透明な水溶液で満たされている。サンプル1435は、液浸流体1418内に下げられ、x並進ステージを使用してミラー1405の撮像焦点面に対して位置決めされる。
【0144】
画像を取得する前に、再度
図4を参照すると、光学顕微鏡450は、サンプル位置1410に対するプローブビーム836の位置及び角度を最適化する(
図9A及び9B)こと、及び光学系を撮像チャンバ1417内の液浸流体1418の正確な屈折率に適合させることによって、サンプル1435及び液浸流体1418と最適に協働するように調整することができる。プローブビーム836の位置及び角度を最適化するために、検出システム125によって画像が取得され、これらの画像と関連する品質メトリクスを計算及び評価することができる。これらの測定結果に基づいて、ピボット及びスキャンガルバノメータスキャナGSa、GSbに最適なオフセット電圧を計算及び適用することができる。このプロセスは、画質が最適である(又は許容可能な値の範囲内にある)とみなされるまで繰り返すことができる。同様に、撮像チャンバ1417内の液浸流体1418の屈折率に適合するように、検出システム125によって画像を取得することができ、これらの画像と関連する品質メトリクスを計算及び評価することができる。これらの測定結果に基づいて、光学レンズ系120のレンズ群(レンズ)に取り付けられた並進ステージに最適なオフセット位置を計算し、そして適用する。このプロセスは、画質が最適である(又は許容可能な範囲内にある)とみなされるまで繰り返すことができる。
【0145】
図21を参照すると、
図4の光学顕微鏡450によって、撮像装置100、300、400、600、700、800及び/又はインタロゲーションシステム440を使用して手順2180を実行することができる。
【0146】
光学顕微鏡450の電源を入れると、初めに主制御装置456と、例えば空間光変調器1660(
図16A)、並進及び/又は回転ステージ(運動ステージ1439又は並進/回転ステージTRS1、TRS2、TRS3など)、及びフィルタホイール(フィルタアレイFAで使用可能で、撮像装置100内に配置可能なものなど)を含む顕微鏡内の他の電子部品との間の通信を確立する初期化ステップを主制御装置456上で実行することができる。並進及び/又は回転ステージ並びにフィルタホイール/フィルタアレイFAは、初めは初期化ステップの間ホームポジションに設定することができる。データ取得ノード上では、これらのノードとこれらに関連するカメラの間の通信を確立する初期化ステップも実行される。検出システム125内の1つ以上のカメラはデフォルト取得パラメータで初期化される。初期化後、光学顕微鏡450は動作態勢になる。
【0147】
手順2180は、インタロゲーションシステム1540の実施形態に基づいて、光学顕微鏡450の画像取得ワークフローを説明する。サンプル735、835、1035、1435全体を、サンプル内のサブ体積の反復取得によって撮像することができる。各サブ体積のサイズは、カメラチップのサイズ及び撮像装置100内の検出光学系の倍率によって定めることができる。1つの特定の実施形態では、各サブ体積のサイズは408μm×723μm×Σμmである。パラメータΣは(検出光学系の作動距離の範囲内で)柔軟であり、ユーザによって決定される。(
図20の実施形態に示すような)10個のカメラを使用して、10個のサブ体積を同時に取得することができる。
【0148】
画像取得を開始するために、光学顕微鏡450の仕様が設定される(2181)。例えば、インタロゲーションシステム1540において要求されたレーザライン又はカラーが活性化され、対応する発光フィルタはフィルタホイールFAによって回転して所定位置に着き、空間光変調器1660は対応する位相パターンで更新される。所望の励起波長を有するレーザビームがオンになる。平行レーザ光が拡大され、CABLEビーム発生システム1545によってCABLEビームIBoに変換される。CABLEビームIBoの曲率は、検出対物レンズ(ミラー105)の焦点面の曲率と一致するように調整される。次いでIBoビームは、ビーム多重化システム1546によって、強度が一致し、1列に沿って配置される10個のビームに分割される。分割ビームは、ビーム操作システム1547によって検出対物レンズ(ミラー105)の焦点面の曲率と一致する曲率を有する曲面上に位置決めされる。ビームIBoはサンプル内に導かれ、湾曲した焦点面内でスキャンされて10個の湾曲した光シートを生成する。
【0149】
10個の照明ビームIBo/836をそれぞれの開始位置に移動させ(2182)、次いでビームIBo/836を鋸歯状入力波形を用いて(検出システム125内のカメラのフレームレートに適合した)120Hzの繰り返し率でスキャンする。一方、サンプルはzステージを使用して一定速度で並進移動させ、画像が同時に取得される(2183)。例えば発せられた蛍光は、検出対物レンズ105によって集光され、レーザ光(プローブ836からの光)を除去し蛍光のみを保持するように、各カメラ2075-oの前にある適切な蛍光フィルタ2076-oによってフィルタリングされる。カメラが光シートモードで操作されることによって、カメラチップにわたってスキャンされるアクティブエリアのライン伝搬速度は照明ビームIBoのスキャン速度と一致する。カメラ2075-oが捉えた画像は、保存及び後処理のために対応する画像取得ノードに送られる。
【0150】
多色撮像が望まれる場合(2184)は、仕様が調整される(2185)。具体的には、現在アクティブなレーザライン又はカラーがディセーブルされ、次の所要のレーザライン又はカラーが活性化され、1つ以上のフィルタホイールが回転することによってアクティブなレーザラインに対応するようにフィルタを切り替える。これに応じて空間光変調器1660における位相パターンは更新され、同じ一セットのサブ体積が再び撮像される(2183)。10個のサブ体積の撮像が終了すると、サンプル735、835、1035、1435はx、y、又はzに沿って並進移動して(2186)、次の10個のサブ体積の一セットを撮像する(2183)。この手順は、サンプル735、835、1035、1435全体の体積の撮像が完了するまで継続する(2187)。多視点撮像が望まれる場合(2188)、サンプル735、835、1035、1435は回転ステージを使用して特定の角度だけ回転され(2189)、撮像プロセスはステップ2182において繰り返される。
【0151】
図22は、光学面のラベルが
図23に示され、正の軸方向がページの右側に向かう例示的な光学的処方を提供する。
【0152】
体積画像取得では、サンプルはzステージによって一定速度で並進移動される。多色撮像では、アクティブなレーザビームは、第1のレーザビームを非活性化し、異なる波長を発するレーザユニットを活性化することによって異なる色に切り替わり、対応する蛍光フィルタはフィルタホイールによって選択され、これに応じて空間光変調器1660における位相パターンが調整される(
図16A)。次いで同じサンプル体積は、zステージを並進移動させることによって第2のレーザ波長を使用して再び撮像される。代替的に、サンプル体積がz軸に沿って1回だけスキャンされるように、レーザビームを像面ごとに切り替えることもできる。任意選択で、回転ステージを用いてサンプルを異なる向きに回転させ、サンプル体積の1つの視像の取得が完了した後にサンプル体積を再撮像することによって多視点画像取得を促進する。
【国際調査報告】