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特表2023-502903バイオテクノロジー液体を濾過するためのフィルタモジュールの使用、及びバイオテクノロジー液体の濾過のためのフィルタモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】バイオテクノロジー液体を濾過するためのフィルタモジュールの使用、及びバイオテクノロジー液体の濾過のためのフィルタモジュール
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/18 20060101AFI20230119BHJP
   A61M 60/113 20210101ALI20230119BHJP
   A61M 60/232 20210101ALI20230119BHJP
   A61M 60/37 20210101ALI20230119BHJP
   A61M 60/462 20210101ALI20230119BHJP
   A61M 60/82 20210101ALI20230119BHJP
【FI】
A61M1/18 517
A61M60/113
A61M60/232
A61M60/37
A61M60/462
A61M60/82
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527168
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2020081082
(87)【国際公開番号】W WO2021094185
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】19208713.8
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】518361044
【氏名又は名称】ユニシテ エーファウ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ハイデ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ニコリッチ デヤン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077BB02
4C077CC03
4C077CC04
4C077DD08
4C077EE01
4C077LL05
4C077NN20
(57)【要約】
汚染のリスクが低く、同時に最適な流れプロファイルを達成できるバイオテクノロジー濾過のための設備を作成するために、本発明は、フィルタハウジング(110)において、中空糸(114)のバンドルを有するフィルタと、バイオテクノロジー製造プロセスのための遠心ポンプロータ(132)とを備えたフィルタモジュール(100)の使用と、フィルタハウジング(110)を提案し、中空糸(114)のバンドルを有するフィルタハウジング(110)において配置されたフィルタと、を含むバイオテクノロジー液体Lの濾過のためのフィルタモジュール(100)を提案し、中空糸(114)の内部に流体接続されるようにフィルタハウジング(110)において配置された遠心ポンプローター(132)であって、遠心ポンプローター(132)は、上記ポンプが中空糸(114)を通して液体Lを供給できるように磁気駆動することができ、フィルタの中空糸(114)の内部に流体接続された、濾過される生体用液体Lを供給するための第1のポート(102)と、フィルタの中空糸(114)の内部に流体接続された、濾過される生体用液体Lを運び出すための第2のポート(104)と、中空糸(114)の外部に流体接続され、分離した廃液を運び出すための第3のポート(107)と、を備える遠心ポンプローター(132)を提案し、また、駆動ユニットに結合できるフィルタモジュール(100)と、フィルタモジュール(100)の遠心ポンプローター(132)を磁気駆動するための駆動ユニットであって、フィルタモジュール(100)が駆動モジュールに結合されたときに、磁気手段によって遠心ポンプローター(132)を駆動及び支持するための動的磁場を生成できる駆動ユニットと、を備える濾過装置(1100、1200、1300)を提案する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタハウジング(110)内の、中空糸(114)のバンドルを有するフィルタと、遠心ポンプローター(132)とを有する、バイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュール(100)の使用。
【請求項2】
前記方法が濾過法である、請求項1に記載のバイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュール(100)の使用。
【請求項3】
前記方法が、接線フロー濾過(TFF)法である、請求項2に記載のバイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュール(100)の使用。
【請求項4】
前記方法が、バイオテクノロジー液体(L)中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための方法である、請求項3に記載のバイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュール(100)の使用。
【請求項5】
前記方法が、バイオテクノロジー液体(L)中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための接線フロー濾過(TFF)法である、請求項4に記載のバイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュール(100)の使用。
【請求項6】
バイオテクノロジー液体(L)の濾過のためのフィルタモジュール(100)であって、
a.フィルタハウジング(110)と、
b.前記フィルタハウジング(110)内に配置され中空糸(114)のバンドルを有するフィルタと、
c.中空糸(114)の内部に流体接続されるように前記フィルタハウジング(110)に配置された遠心ポンプローター(132)であって、前記バイオテクノロジー液体(L)を前記中空糸(114)に通過させることができるように磁気駆動される遠心ポンプロータ(132)と、
d.濾過される前記バイオテクノロジー液体(L)を供給するための第1のポート(102)であって、前記フィルタの中空糸(114)の内部に流体接続された第1のポート(102)と、
e.濾過される前記バイオテクノロジー液体(L)を除去するための第2のポート(104)であって、前記フィルタの中空糸(114)の内部に流体接続された第2のポート(102)と、
f.析出された廃液を除去するための第3のポート(107)であって、前記中空糸(114)の外部に流体接続されている、の第3のポート(107)と、
を備えている、フィルタモジュール(100)。
【請求項7】
前記遠心ポンプローター(132)が、前記フィルタの長手方向軸上で流体的に下流又は上流に配置されている、請求項6に記載のフィルタモジュール(100)。
【請求項8】
前記遠心ポンプローター(132)の動作に関連する遠心ポンプローター(132)の軸が、前記フィルタの長手方向軸線上にある、請求項7に記載のフィルタモジュール(100)。
【請求項9】
前記フィルタが、血液透析用のダイアライザである、請求項6から8の1項に記載のフィルタモジュール(100)。
【請求項10】
前記遠心ポンプローター(132)が、磁気浮上によって支持される方法で作動及び/又は駆動できるように永久磁石を備えている、請求項6から9の1項に記載のフィルタモジュール(100)。
【請求項11】
前記ハウジング(110)が、液体(L)が前記フィルタの前記長手方向軸に垂直に前記ハウジング(110)に流入することができ且つ前記長手方向軸に平行に前記遠心ポンプロータ(132)上に流れるように偏向することができるように、前記遠心ポンプロータ(132)への液体(L)の入口流路を定める第1のエンドキャップ(120)を有する、請求項6から10の1項に記載のフィルタモジュール(100)。
【請求項12】
前記入口流路は、前記液体(L)が前記遠心ポンプローター(132)の中空中心部(131)に流入するように設計されている、請求項11に記載のフィルタモジュール(100)。
【請求項13】
前記遠心ポンプロータ(132)及び前記第1のエンドキャップ(120)は、前記液体(L)が前記遠心ポンプローター(132)から前記フィルタの長手方向軸に垂直に遠心方向に流出でき、その後、前記遠心ポンプローター(132)が回転したときに、前記フィルタの長手方向軸に平行に流れて前記フィルタの中空糸(114)に流入するように偏向されるように液体路を定める、請求項11及び12の何れかに記載のフィルタモジュール(100)。
【請求項14】
濾過装置(1100、1200、1300)であって、
a.駆動ユニットに結合することができる、請求項6から13の1項に記載のフィルタモジュール(100)と、
b.前記フィルタモジュール(100)の前記遠心ポンプローター(132)を磁気駆動するための駆動ユニットであって、前記フィルタモジュール(100)が前記駆動モジュールに結合されたときに、前記遠心ポンプローター(132)を磁気駆動し且つ磁気的に支持するための動的磁場を発生することができる駆動ユニットと、
を備える、濾過装置(1100、1200、1300)。
【請求項15】
バイオテクノロジー液体(L)中の生体高分子及び/又は生体微細構造の濃縮又は濾過のためのバイオテクノロジー濾過方法のため、請求項6から13の1項に記載のフィルタモジュール(100)又は請求項14に記載の濾過装置(1100、1200、1300)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタモジュールの使用、及びバイオテクノロジー液体の濾過のためのフィルタモジュール、並びにこのようなフィルタモジュールを有する濾過装置に関する。
【0002】
バイオテクノロジー液体を処理するためのバイオテクノロジー方法は、従来技術から知られており、例えば、TFF(接線フロー濾過)法によってバイオテクノロジー液体を精製又は処理するための方法が知られている。後者では、透析と同様に、基質液が循環され、ポンプによって、中空繊維膜モジュールを通して複数回搬送される。基質液の一部と小分子もまた、膜を通過して濾過生成物側に送られる。濾過生成物とは、膜を通過した物質に与えられる名称である。濾過生成物側は、バイオテクノロジーの一次液体が中空糸の内部に搬送されるときの中空糸の外側である。すなわち、回路内に残り中空糸の膜を通過しない液体部分の体積は減少する。この液体部分を保持液と呼ぶ。従って、保持液の体積が減少するということは、体積が減少して精製されるバイオテクノロジー材料が、小分子が除去されて保持液側に残ることを意味する。言い換えると、濾過生成物が析出すると、保持液中の所望の構成成分の濃度が増加する。
【0003】
好ましい実施形態において本発明の主題であるこの種のTFF法は、例えば、WO2017/117585A1から知られている。
【0004】
更に、ポンプヘッドの内部に回転構成要素を有し、搬送される媒体が上記構成要素の回転によって同伴されて、これによって回転状態となる、遠心ポンプ及び遠心ポンプを備えたポンプ装置が知られている。回転運動の結果、求心力(回転基準系では遠心力として表わされる)が、搬送の同伴媒体に作用する。搬送される媒体がこのような遠心ポンプの内部に回転軸の近くを通過すると、回転に伴う遠心力によって外側に押し出され、これにより搬送され、すなわちポンプ送給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/117585 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
公知のバイオテクノロジー濾過方法及び濾過装置における問題は、濾過のための流れ図又は流れ回路を設定する際に、ポンプとフィルタが相互に接続されているため、デッドスペース又は渦が発生する縁部が形成され、流れプロファイルに悪影響を与え、汚染の危険点を構成することである。ポンプとフィルタの接続には、通常は機械的なインターフェースが必要である。この目的のために、通常はフランジが使用される。また、遠心ポンプロータとフィルタとの間にラインセクションが追加された装置も知られている。このような接続では、遠心ポンプロータとフィルタの間に少なくとも2つのインターフェース、例えばフランジが存在し、上記のような欠点がある。言い換えると、これは、汚染の侵入箇所が2つあり、これに応じて衛生状態が低下し、液体のデッドスペースが更に増えることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の目的は、汚染のリスクが低く、同時に最適な流れプロファイルを達成できるバイオテクノロジー濾過の可能性を提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1に記載のバイオテクノロジー製造方法のための、中空糸のバンドルを有するフィルタ及び遠心ポンプロータをフィルタハウジングにおいて有するフィルタモジュールの使用によって達成される。この目的はまた、請求項6に記載のバイオテクノロジー液体の濾過のためのフィルタモジュール、及び請求項14に記載の濾過装置によって達成される。
【0009】
フィルタハウジングにおいて、中空糸のバンドルを有するフィルタと、遠心ポンプロータとを有する、バイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュールの使用が開示される。
【0010】
また、ハウジングと、ハウジング内に配置された、中空糸のバンドルを有するフィルタと、中空糸の内部に流体接続されるようにハウジング内に配置された遠心ポンプロータであって、遠心ポンプロータは、液体を中空糸に通過させることができるように磁気駆動することができる、遠心ポンプロータと、濾過すべきバイオ液を供給するための第1のポートであって、上記フィルタの中空糸の内部に流体接続された第1のポートと、濾過すべきバイオ液を除去するための第2のポートであって、上記フィルタの中空糸の内部に流体接続された第2のポートと、析出された廃液を除去するための第3のポートであって、中空糸の外部に流体接続された第3のポートと、を有する、バイオテクノロジー液体の濾過用のフィルタモジュールが開示される。
【0011】
本発明の一態様によれば、このようなフィルタモジュールは、特にバイオテクノロジー濾過法、特に接線フロー濾過(TFF)法、バイオテクノロジー液体中の細胞外小胞の濾過又は濃縮のための方法、又はバイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃度のための接線フロー濾過(TFF)法に使用することができる。
【0012】
フィルタハウジングにおいて中空糸のバンドルを有するフィルタと、遠心ポンプロータとを有する、バイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュールであって、遠心ポンプロータが配置されたハウジングと、中空糸のバンドルを有してハウジング内に配置されたフィルタと、を有するフィルタモジュールのこの使用は、遠心ポンプロータとフィルタとの間の接続のための機械的インターフェースが存在しないので、特に有利に衛生度の向上及び汚染の低減を可能にする。
【0013】
本発明による使用において、フィルタの繊維バンドルの繊維は、好ましくは、地表に対して垂直に、すなわち局所重力の方向に平行に配向され、遠心ポンプロータは、ポンプの動作中に液体が上方に流れるように、バンドルの長手軸上にバンドルの同軸方向下方に配置される。遠心ポンプロータとフィルタ繊維の垂直配置は、液体中に存在する何らかの貯留ガスが、浮力によって及び同時にポンプによって発生する液体流によって上方に運ばれるという利点をもたらす。このようなガス貯留は望ましくない。フィルタの繊維は、好ましくは、遠心ポンプロータの回転軸に平行に配置される。遠心ポンプロータは、この場合、フィルタの下流に配置される。フィルタは、好ましくは、装置が直立する平面に対して遠心ポンプロータの上方に位置する。言い換えると、液体は、遠心ポンプロータからフィルタへ、重力方向とは逆方向にポンプ送給される。このことは、特に、液体の流れ方向によって支援されて、気泡が重力と反対に上方に上昇するという利点を有する。
【0014】
遠心ポンプロータは、好ましくは、磁気浮上によって支持され且つ磁気駆動可能なインペラロータである。このような設計では、遠心ポンプロータの支持及び駆動は、完全に磁気的なものである。従って、機械的軸受は存在しない。従って、遠心ポンプロータとシャフト又はアクスルとの機械的軸受の場合のように、摩擦力による局所的な熱源も存在しない。このため、遠心ポンプロータと接触するバイオテクノロジー液体への損傷が軽減されるという利点がある。結局は、バイオテクノロジー液体の大部分は、熱によって損傷を受ける。
【0015】
本発明によるフィルタにおいて、繊維のバンドルは、繊維が互いに平行に延びるように配置される。繊維は起伏を有することができ、又は直線とすることができる。繊維が起伏を有する場合であっても、巨視的に見ればほぼ直線的に延びている。フィルタの長手軸は、バンドルの繊維と平行に延びている。バンドルが繊維の円筒状配列に相当する場合、長手方向軸は円筒の回転軸と等しくなる。本発明による濾過装置のフィルタハウジングは、それに応じて細長く、その長手方向は、このようなバンドルの長手方向軸に沿って延びている。
【0016】
繊維バンドルの各中空繊維は、その内部にキャビティを定める。繊維の内部のキャビティと繊維の外部との間には、繊維の壁が存在する。壁は、好ましくは膜である。膜は、好ましくは多孔質である。中空糸のバンドルからフィルタが形成される場合、繊維の膜がフィルタの膜を形成する。
【0017】
本出願の一態様によれば、中空糸のバンドルを有するフィルタと、遠心ポンプロータとをフィルタハウジングにおいて有するフィルタモジュールのバイオテクノロジー製造方法での使用、及びバイオテクノロジー液体の濾過のためのフィルタモジュール又は濾過装置に関して、フィルタモジュールのフィルタは、好ましくは、100~1000kDaの排除限界、すなわち分子量カットオフ(MWCO)を有している。例えばこの範囲の排除限界は、特に有利にバイオテクノロジーの製造方法又はバイオテクノロジーの濾過方法を許容する。言い換えると、この好ましい場合、フィルタの膜は、100~1000kDaの範囲内の排除限界を有する。
【0018】
本出願の関連において、フィルタモジュールの使用、フィルタモジュール及び濾過装置は、生体液体及びバイオテクノロジー液体に関して理解されるものとする。バイオ技術は、バイオテクノロジーの短縮形とみなされ、従って、意味は同じである。生体液体とバイオテクノロジー液体の区別は一般に確立されていないため、どちらも生物学的構成成分を有する液体とみなされる。バイオ技術は、バイオテクノロジーの短縮形であり、意味は同じである。
【0019】
フィルタハウジング、中空糸のバンドルを有するフィルタ、及び遠心ポンプロータを有するバイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュールの使用において、及びハウジング、中空糸の束を有するフィルタ、及びハウジング内に配置された遠心ポンプローターを有するバイオテクノロジー液体の濾過のためのフィルタモジュールにおいては、フィルタハウジング上に少なくとも3つのポートがあり、これらのポートを通してバイオテクノロジー液体又は析出された廃液が導かれることは、本出願の関連において不可欠である。少なくとも2つのポートは、フィルタの繊維バンドルの中空糸の内部に流体接続され、少なくとも1つのポートは、フィルタの繊維バンドルの中空糸の内部から流体的に分離されているが、同時に繊維バンドルの中空糸の外部に流体接続されている。内部に接続された少なくとも2つのポートは、繊維の反対側の端部に配置されるように配置されている。言い換えると、繊維バンドルを通って液体が一方向に流れる場合、内部に接続された一方のポートは繊維バンドルの上流に位置し、内部に接続された他方のポートは繊維バンドルの下流に位置する。これは、中空糸の内部に接続された2つのポートが、内部を繊維に沿って液体が流れることを許容する役割を果たすために必要である。第3のポートは、繊維の外部に流体接続されているが、内部には接続されていない。このポートは、繊維の外側から液体を除去する役割を果たす。バイオテクノロジーの製造方法で使用する場合、繊維を通過した液体は通常、廃液とみなされる。目的は、この液体をバイオテクノロジー液体から除去し、これによって後者を濃縮することである。繊維を通過した液体は、濾過生成物とも呼ばれる。濾過生成物は、フィルタハウジングに配置された第3のポートを介して除去することができる。この第3のポートは、第1のエンドキャップ、第2のエンドキャップ、又は中間部分に配置することができる。この第3のポートは、フィルタの繊維バンドルの繊維の外部に流体接続され、同時に、繊維バンドルの中空糸の内部に直接的且つ完全には流体接続されず、代わりに、中空繊維の壁、すなわち膜によって繊維バンドルの中空糸の内部から分離されることが必須である。
【0020】
遠心ポンプロータは、好ましくは、インペラである。すなわち、遠心ポンプは、放射状にポンプ送給するポンプホイールを備え、このポンプホイールがインペラとして構成される。ポンプホイールはまた、ポンプの稼働ホイールとも呼ばれる。インペラは、好ましくは、中空の中心部を有して構成することができる。例えば、このようなインペラは、実質的にディスク状であり、ポンプホイールの回転運動中に、搬送されるべきポンプ媒体を同伴する実質的に半径方向に延びるブレードを有することができる。すなわち、第1のディスクがベースを形成し、その上にブレードが配置される。言い換えると、ブレードは、第1のディスクの上に直立している。第1のディスク平面から離れたブレードの端部は、第1のディスクと平行に配置された更なるディスクに接続することができる。任意選択的に、従って、第2のディスクは、第1のディスクから反対側のブレードの端部を接続することができ、すなわち、これらは閉鎖部を形成することができる。第2のディスクは、第1のディスクと平行であり、ブレードは、2つのディスクの間にある。2つのディスクが互いに平行に配置された実施形態は、ブレードが配置された1つのディスクのみを有する実施形態と全く同様に考えられ、ディスクから離れたブレードの端部は自由である。このようなディスクの第1の変形例は、中央クリアランスを有し、すなわち、ほぼリング状である。このようなディスクの代替的な変形例は、円形ディスクとして構成され、すなわち、中央クリアランスを有していない。
【0021】
本出願では、中空の中心部を有するインペラは、ブレードが回転軸の範囲まで中心に延びておらず、代わりに、インペラの回転軸における及び/又は回転軸の直ぐ周りの巨視的に知覚できる領域はブレードがないことを意味すると理解される。しかしながら、中空の中心部はまた、例えば中実のシリンダのような中実の三次元物体で満たされていない。その代わりに、中心部は中空であり、ポンプ送給される液体が、中空中心部を通って流動できるようになっている。例えばアクスル又は軸のような中実体が、厳密にポンプホイールの回転軸上に位置することも考えられる。この場合、中空中心部は、中実体とブレードとの間の回転軸の周りに中心的に横たわる領域、すなわち、ポンプ送給される液体が自由に流れることができる領域である。次いで、中空中心部は、例えば、実質的に有限のジャケット厚さを有するシリンダジャケットとして構成することができる。
【0022】
好ましい実施形態では、フィルタモジュールのハウジングは、開口部を有する内側支持プレートを有し、この開口部は、遠心ポンプロータが回転に設定されたときに、遠心ポンプロータから開口部を通ってフィルタの繊維に液体が流れるように遠心ポンプロータとフィルタバンドルの間に配置されている。
【0023】
本出願発明の一態様によれば、遠心ポンプロータとフィルタモジュールの繊維バンドルは、同軸上に配置される。これにより、遠心ポンプロータを通って繊維バンドルの中空糸の内部への液体の特に対称的な流れが可能になる。このような状況では、液体の逆平行の同軸の流れがあるセクションにおいて存在することになる。液体は、遠心ポンプロータの回転軸と一致する繊維バンドルの長手方向軸上で遠心ポンプロータ上に流れ、遠心ポンプロータを出た後、繊維バンドルと平行で逆方向性に流れるように偏向される。繊維バンドルは、好ましくは、巨視的なレベルでほぼ円筒形である。遠心ポンプロータは、この対称的な流れの配置によって、流体圧的に安定する。これにより、遠心ポンプロータの潜在的なフラッタリングが最小限に抑えられる。遠心ポンプロータのフラッタリングは、バイオテクノロジー液体の損傷につながる可能性がある。従って、バイオテクノロジー液体への損傷の可能性も回避される。特に磁気浮上によって支持される遠心ポンプロータの場合、本出願の更なる態様によれば、偏心軸受モーメントがあまり発生しない、又は偏心軸受モーメントがあまり強くないという利点も存在する。従って、遠心ポンプロータを駆動し支持するためには、それほど強くない磁界で十分である。あまり強くない磁場は、ひいては、駆動ユニットの磁気交番磁界の発生装置において、より少ないエネルギー及び/又はより少ない電流が必要とされることを意味する。
【0024】
本出願の関連において、フィルタモジュール又はフィルタモジュールを有する濾過装置に関して、磁気浮上によって支持される遠心ポンプロータは、フィルタハウジングに配置され、フィルタモジュールが濾過装置に結合される場合にのみ、完全に機能する遠心ポンプを形成されることを定めることができ、濾過装置の駆動ユニットが動的磁場によって遠心ポンプロータを駆動でき、及び/又は磁気浮上によってこれを支持できるようにする。言い換えると、駆動ユニットとフィルタモジュールが結合されていない場合、機能ポンプは形成されない。遠心ポンプロータは、それ自体では、完全な機能的ポンプではない。同様に、遠心ポンプロータを持たない濾過装置の駆動ユニットは、完全な機能的ポンプではない。
【0025】
バイオテクノロジーの製造方法は、濾過とすることができる。バイオテクノロジー方法による濾過では、例えば、バイオテクノロジー液体が濾過、精製又は調整される。
【0026】
本出願の関連では、バイオテクノロジー液体は、生体液体としても理解されるものとする。従って、例えば、生体液体は、バイオテクノロジー方法によってバイオテクノロジー液体になることができる。従って、本出願の関連において、バイオテクノロジー方法のためのフィルタモジュールの使用が言及される場合、これは、方法の出発液体がバイオテクノロジー液体又は生体液体である方法をカバーするものとして理解されたい。同様に、本出願の関連において、「バイオテクノロジー液体の濾過のためのフィルタモジュール」という表現は、「生体液体の濾過のためのフィルタモジュール」をも意味すると理解されたい。液体が濾過される場合、液体構成成分の一部は、フィルタを通過する。その結果、フィルタを通過しない液体の構成成分は濃縮される。液体のどの構成成分が望ましいかに応じて、このような方法はまた、液体構成成分の精製に相当する。濾過、濃縮、精製又は調整される生物学的又はバイオテクノロジー液体は、例えば、細胞の上清、血清又は血漿などの血液成分、又は尿であるか、又はこれらを含む液体である。
【0027】
本出願発明の一態様は、生体高分子及び生体微細構造の濾過又は濃縮方法に関する。バイオテクノロジー液体中に存在し、精製、濃縮又は濾過されるべき生物学的物質は、生体高分子及び生体内微細構造である。特に、これらは、以下の物質、すなわち、抗体、抗体結合体、抗体フラグメント結合体、ウイルス粒子、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、プラスミド、ワクチン、細胞外小胞、リポソーム、セクレトム、凝固因子及びアルブミンの1又は2以上のとすることができる。本出願の関連において、細胞外小胞は、エキソソーム及び/又はマイクロベシクル及び/又はアポトーシス小体である。本出願の関連において、使用は、細胞培養の上清から得られる、又は細胞培養の上清である生物学的又はバイオテクノロジー液体のバイオテクノロジー的製造方法又は濾過方法に対するものである。
【0028】
本発明によれば、目的は、好ましくは、精製すべき物質、例えばベシクルを可能な限り高い濃度に、すなわち可能な限り少量の液体で達成することである。例えば、9リットルのバッチが、本発明に従って、約100mlの体積に減少することが考えられ、これは、精製される物質の密度又は濃度の対応する増加をもたらす。
【0029】
基質について、すなわち液体についても、細胞上清以外の液体、例えば、血清又は血漿を使用することが可能である。
治療方法、例えば透析における本発明の使用も考えられ、本発明によってカバーされる。
【0030】
本発明による、バイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュールの使用の好ましい実施形態では、本方法は、濾過方法である。
【0031】
本発明による、バイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュールの使用の好ましい実施形態では、本方法は、接線フロー濾過(TFF)方法である。
【0032】
本発明による、バイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュールの使用の好ましい実施形態では、本方法は、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための方法である。
【0033】
本発明による、バイオテクノロジー製造方法のためのフィルタモジュールの使用の好ましい実施形態では、本方法は、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための接線フロー濾過(TFF)方法である。
【0034】
本発明によるフィルタモジュールの好ましい実施形態では、遠心ポンプロータは、フィルタの長手方向軸上の下流又は上流に流体的に配置される。一態様によれば、このようなフィルタモジュールは、特にバイオテクノロジー濾過法、特に接線フロー濾過(TFF)法、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための方法、又はバイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃度のための接線フロー濾過法(TFF)にて使用することができる。
【0035】
本発明によるフィルタモジュールの好ましい実施形態では、遠心ポンプロータの動作に関連する遠心ポンプロータの軸は、フィルタの長手方向軸上に存在する。一態様によれば、このようなフィルタモジュールは、特にバイオテクノロジー濾過方法、特に接線フロー濾過(TFF)方法、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外ベシクルの濾過又は濃縮のための方法、又はバイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外ベシクルの濾過又は濃度のための接線フロー濾過(TFF)方法にて使用されることができる。
【0036】
本発明によるフィルタモジュールの好ましい実施形態では、フィルタは、血液透析用のダイアライザである。これにより、特に有利には、フィルタが圧力差に対してより堅牢になる。一態様によれば、このようなフィルタモジュールは、特にバイオテクノロジー濾過法、特に接線フロー濾過(TFF)法、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための方法、或いは、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための接線フロー濾過(TFF)法に使用することができる。
【0037】
本発明によるフィルタモジュールの好ましい実施形態では、遠心ポンプロータは、磁気浮上によって支持される方法で動作及び/又は駆動できるように、永久磁石を備えている。磁気浮上による支持は、特に有利には、機械的軸受の省略を可能にし、従って、搬送される液体に近接する熱源の省略を可能にする。従って、搬送される液体に対する潜在的な熱損傷を回避することが可能である。一態様によれば、このようなフィルタモジュールは、特にバイオテクノロジー濾過方法、特に接線フロー濾過(TFF)方法、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための方法、又はバイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃度のための接線フロー濾過(TFF)方法に使用することが可能である。
【0038】
本発明によるフィルタモジュールの好ましい実施形態では、ハウジングは、液体Lがフィルタの長手方向軸に垂直にハウジングに流入し、遠心ポンプロータの長手方向軸に平行に遠心ポンプロータ上に流れるように偏向され得るように、遠心ポンプロータへの液体Lの流入流路を定める第1のエンドキャップを有する。一態様によれば、このようなフィルタモジュールは、特にバイオテクノロジー濾過方法、特に接線フロー濾過(TFF)方法、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための方法、又はバイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃度のための接線フロー濾過(TFF)方法に対して使用されることが可能である。
【0039】
本発明によるフィルタモジュールの好ましい実施形態では、ハウジングは、液体Lがフィルタの長手方向軸に垂直にハウジングに流入し、長手方向軸に平行に遠心ポンプロータ上に流れるように偏向され得るように、遠心ポンプロータへの液体の入口流路を定める第1のエンドキャップを有し、入口流路は、遠心ポンプロータの中心に液体が流入するように設計されている。一態様によれば、このようなフィルタモジュールは、特にバイオテクノロジー濾過方法、特に接線フロー濾過(TFF)方法、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための方法、又はバイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃度のための接線フロー濾過(TFF)方法に使用することができる。
【0040】
本発明によるフィルタモジュールの好ましい実施形態では、ハウジングは、液体がフィルタの長手方向軸に垂直にハウジングに流入し、長手方向軸に平行に遠心ポンプロータ上に流れるように偏向することができるように、遠心ポンプロータへの液体Lの流入流路を定める第1のエンドキャップを有し、遠心ポンプロータ及びエンドキャップは、液体が遠心ポンプロータからフィルタの長手方向軸に垂直に遠心方向に流出し、その後遠心ポンプロータが回転したときにフィルタの長手方向軸に平行に流れて、フィルタの繊維に流入するように偏向されることができるように流路を定めることができる。発展形として、入口流路は更に、液体が遠心ポンプロータの中心に流入するように設計することができる。一態様によれば、このようなフィルタモジュールは、特にバイオテクノロジー濾過方法、特に接線フロー濾過(TFF)方法、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外ベシクルの濾過又は濃縮方法、又はバイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外ベシクルの濾過又は濃度のための接線フロー濾過(TFF)方法に使用することができる。
【0041】
好ましい実施形態において、本発明による濾過装置は、駆動ユニットに結合することができる本発明によるフィルタモジュールと、フィルタモジュールの遠心ポンプロータを磁気駆動するための駆動ユニットとを備え、この駆動ユニットは、フィルタモジュールが駆動モジュールに結合されたときに遠心ポンプロータを磁気駆動して磁気的に支持するための動的磁場を発生することが可能である。濾過装置の動作中、フィルタモジュールは、駆動ユニットに結合され、駆動ユニットは、フィルタモジュールの遠心ポンプロータを磁気駆動し、及び/又は浮上によって磁気的に支持する動的磁界を生成する。一態様によれば、このような濾過装置は、特にバイオテクノロジー濾過方法、特に接線流濾過(TFF)方法、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃縮のための方法、又はバイオテクノロジー液体中の生体高分子及び生体微細構造、特に細胞外小胞の濾過又は濃度のための接線流濾過(TFF)方法に使用することができる。
【0042】
本発明による使用の好ましい実施形態では、本発明によるフィルタモジュール又は本発明による濾過装置は、バイオテクノロジー液体中の生体高分子及び/又は生体微細構造を濃縮又は濾過するためのバイオテクノロジー濾過方法に使用される。生体高分子及び/又は生体微小構造体は、好ましくは、抗体、抗体結合体、抗体フラグメント結合体、ウイルス粒子、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、プラスミド、ワクチン、細胞外小胞、リポソーム、セクレトム、凝固因子及びアルブミンなどの1又は2以上の物質である。細胞外小胞は、例えば、エキソソーム及び/又はマイクロベシクル及び/又はアポトーシス小体である。
【0043】
この時点で、単数形は、その可能性はあるものの、必ずしも要素のうちの1つを厳密に指すものではなく、その代わりに、複数の要素を指定することもあることに留意されたい。同様に、複数形の使用は単数形の当該要素の存在も含み、逆に、単数形は当該要素の複数を対象とすることもある。
【0044】
本発明の更なる詳細及び利点について、図面に示される例示的な実施形態を参照してより詳細に説明する。
【0045】
以下、図面を参照しながら、本発明の装置及び方法を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】(第1の実施形態において)バイオテクノロジー液体の濾過に使用するための本発明によるフィルタモジュールの概略図である。
図2】本発明によるフィルタモジュールの例示的な実施形態の第1のエンドキャップの領域を通る断面図である。
図3図2と同じ配置を示すが、透視図では、開口部を有するオプションの内側支持プレートが追加で第1のエンドキャップに見られる、斜視図を示す。
図4】本発明による遠心ポンプロータの例示的な実施形態である。
図5】本発明による、フィルタハウジングにおいて、中空糸のバンドルを有するフィルタ、及び遠心ポンプロータを有するフィルタモジュールの、バイオテクノロジーの製造方法のための使用において採用される、本発明による濾過装置の例示的な実施形態のフロー図である。
図6】濾過装置が濾過生成物ポートの下流に追加のポンプを有している、フィルタモジュールのフィルタが血液透析用の既知のダイアライザのように構成されている本発明による濾過装置の特定の実施形態のフロー図である。
図7】更にオプションの逆止弁が、濾過生成物除去用ポートで追加ポンプの下流に配置されている、図6からのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図中、同一又は類似の要素には、同一の参照符号を付すことができる。
【0048】
図1は、第1のエンドキャップ120、第2のエンドキャップ140、及びエンドキャップの間の中間部112を備えたハウジング110を有する、バイオテクノロジー液体Lの濾過のためのフィルタモジュール100を示している。中空繊維のバンドル114は、その長手軸が第1のエンドキャップ120からハウジングの中間部分112を通って第2のエンドキャップ140まで延びるようにここに配置される。第1のエンドキャップ120は、遠心ポンプロータハウジング130を有し、そこに遠心ポンプロータ132、好ましくはインペラが配置される。更に、第1のエンドキャップ120に配置されるのは、第1のポート102であり、これは、濾過されるべきバイオテクノロジー液体を供給する役割を果たし、また、フィルタの中空糸114の内部に流体接続されている。第2のエンドキャップ140に配置されるのは、濾過されるべきバイオテクノロジー液体Lを除去するための第2のポート104であり、このポート104は、同様に、フィルタの中空糸114の内部に流体接続されている。装置がバイオテクノロジー液体Lの濾過のために使用されているときには、遠心ポンプロータ132が回転し、第1のポート102から流入するバイオテクノロジー液体Lを繊維バンドルの繊維114の内部のキャビティにポンプ送給する。液体Lの一部は、繊維の壁を通って繊維の外部に出る。繊維を通過した液体、通常は廃棄物とみなされる液体、すなわち濾過生成物は、フィルタハウジング110に配置された第3のポート107を介して除去することができる。この第3のポート107は、第1のエンドキャップ120上(107aで示す)、第2のエンドキャップ140上(図示せず)、又は中間部112上(例えば107bで示す)に配置することが可能である。図1は、第3のポート107を配置できる場所として2つの選択肢を示しているが、図示のポートのうち1つだけが必要である。2つの第3のポート107a、107bの描写から、これが本出願に必要であることを推論することはできない。むしろ、これは、異なる可能性を説明するのに役立つ。この第3のポート107の重要な態様は、フィルタの繊維バンドル114の繊維の外部に流体接続されていると同時に、繊維バンドルの中空糸の内部から膜によって分離されていることである。第2のエンドキャップ140において、繊維壁を通過せず内部に残ったバイオテクノロジー液体の部分、すなわち保持液は、再び繊維バンドルを離れ、第2のポート104を通してフィルタモジュールから取り出すことができる。バイオテクノロジー濾過の過程で、バイオテクノロジー液体は、典型的には、バイオテクノロジー液体L中の所望の濃度を達成するために、フィルタモジュール100を数回通過しなければならない。従って、既知のバイオテクノロジー濾過の配置では、ポンプとリザーバを備えた回路が、液体がフィルタモジュールを通して数回ポンプ搬送され得るように形成されることが多い。この種の回路は、図1には示されていないが、図5図6及び図7に示されている。
【0049】
図2は、本発明によるフィルタモジュール100の例示的な実施形態の第1のエンドキャップ120の領域を通る断面図である。ここでの目的は、液体Lのための入口流路が形成されるように、第1のエンドキャップ120及び遠心ポンプロータハウジング130の領域において、フィルタモジュール100を例示的にどのように設計することができるかを説明することであり、それによれば、液体Lは、フィルタ114の長手軸に垂直なハウジング110に流入することができるが、しかしながら、その後、中空繊維のバンドル114の長手軸に平行に、従ってフィルタモジュール100に流れるように偏向させることが可能である。ここで、参照符号115は、ハウジング110内の繊維バンドルの繊維114を固定するための手段を示している。血液透析用のダイアライザの場合、これには、ポッティング(potting)と呼ばれるものを含むことができる。更に、図2に示す実施形態は、液体Lが遠心ポンプロータ132の中心に流入することができるように設計されている。更に、図2に示す実施形態は、遠心ポンプロータ132、遠心ポンプロータハウジング130及びエンドキャップ120が、液体経路を定め、液体Lが遠心ポンプロータ132からフィルタの長手軸に垂直に遠心方向に流出し、遠心ポンプロータ132から下流で繊維114に流入する前に、遠心ポンプロータ132が回転さいたときにフィルタ114の長手軸に平行に流れるように偏向させるよう設計されている。第1のエンドキャップ120、遠心ポンプロータ132、及び遠心ポンプロータハウジング130の領域におけるフィルタハウジング110の全体的な機械的構成は、一断面において、同軸及び反平行であると記述できる流路をもたらし、図の向きでは、遠心ポンプロータの内部又は中空中心は、上方から下方へ垂直方向に流れを受けることができ、ポンプ送液Lは、遠心ポンプロータ132が回転するときに遠心ポンプロータ132から半径方向外方へ運ばれ、図の向きでは、その後フィルタの繊維バンドルの中空糸114へ垂直上方に流れることができるように偏向される。遠心ポンプロータ132の軸上では、遠心ポンプロータ132の入口側の液体は、遠心ポンプロータ132の軸線に対して同軸且つ環状に中心下方に流れ、遠心ポンプロータ132の出口側の液体は、垂直に上方に流れる。遠心ポンプロータと繊維バンドルの中空糸114の垂直配置は、液体L内に存在する気体の貯留物が浮力によって上方に運び去られると同時に、ポンプの遠心ポンプロータ132によって生成される液体流によって運ばれるという利点を与える。遠心ポンプロータ132と繊維バンドルの上述の同軸配置は、繊維バンドルの中空糸114の内部への遠心ポンプロータ132を通る液体Lの特に対称的な流れを可能にする。図2から分かるように、このような状況では、液体の反平行、同軸の流れが幾つかのセクションにおいて存在する。液体は、遠心ポンプロータの回転軸と一致する繊維バンドルの長手方向軸上で遠心ポンプロータ上に流れ、遠心ポンプロータを出た後、繊維バンドルと平行で逆方向に流れるように偏向される。繊維バンドルは、好ましくは、巨視的なレベルでほぼ円筒形である。遠心ポンプロータは、この対称的な流れの配置によって、流体圧的に安定する。これにより、遠心ポンプロータの潜在的なフラッタリングが最小限に抑えられる。遠心ポンプロータのフラッタリングは、バイオテクノロジー液体の損傷につながる可能性がある。従って、バイオテクノロジー液体への潜在的な損傷も回避される。特に磁気浮上によって支持される遠心ポンプロータの場合、偏心軸受モーメントがあまり発生しない、又は偏心軸受モーメントがあまり強くないという利点もある。従って、遠心ポンプロータの駆動及び支持には、それほど強くない磁界で十分である。あまり強くない磁場は、駆動ユニットの磁気交番磁界の発生装置において、より少ないエネルギー及び/又はより少ない電流が必要とされることを意味する。遠心ポンプロータ132の実質的に環状の流出領域128における流れの伝導を改善するために、オプションの内側支持プレート121を第1のエンドキャップ120に設けることができる。中空繊維114の繊維バンドルと第1のエンドキャップ120の壁又はオプションのポッティング115との間にオプションのシール170を設けることができる。
【0050】
図3は、図2と同じ配置を斜視図で示したものである。開口部123は、ここでは更に、第1のエンドキャップ120内のオプションの内側支持プレート121に見られ、この開口部123は、遠心ポンプロータ132が回転設定されたときに液体Lが遠心ポンプロータ132から開口部123を通って流れ、次にフィルタの繊維114に流れるように遠心ポンプロータ132とフィルタバンドル114の間に配置されている。矢印は、遠心ポンプロータが回転しているときのバイオ液Lの流れを示す。例えば、遠心ポンプロータ132は、ディスク133の中央開口134から、その回転軸上の遠心ポンプロータ132の中央キャビティに液体が供給されるような流れになる。
【0051】
図4は、本発明による遠心ポンプロータの例示的な実施形態である。これは、中空の中心を有するインペラロータの形態をとっている。この図は、遠心ポンプロータのブレード135がどのように、例えば螺旋状に、曲げることができることを例示している。ブレードは2つのディスクの間に配置され、図中の下側のディスクは、遠心ポンプロータに配置された永久磁石136に隣接し、上側のディスク133は、ポンプ搬送される液体が遠心ポンプロータ132の中空中心に流入できる中央開口部134を有している。
【0052】
図5は、本発明による濾過装置1100の一実施形態のフロー図を概略的に示したものである。フィルタモジュール100の他に、例えば、流出口300と、液体Lのリザーバ200がある。濾過装置1100は、濾過又は精製されるべきバイオテクノロジー液体Lのための回路として設定される。この図は、遠心ポンプロータ132を備えたポンプを有し、回路内で循環するバイオテクノロジー液体Lのためのリザーバを有する回路として形成されたバイオテクノロジー濾過配置1100を示し、濾過される液体Lは、フィルタモジュール100を介して複数回ポンプ搬送することができる。点線は、遠心ポンプロータと中空糸114のバンドルを有するフィルタとが、共通のフィルタハウジング110に配置されていることを示す。遠心ポンプロータ132が永久磁石を有するので、フィルタモジュール100が結合されることができ、遠心ポンプロータ132を磁気駆動及び/又は浮上させることによって磁気的に支持できる動的磁場を生成することができる駆動ユニットが図示されていない。
【0053】
図6は、本発明による濾過装置1200の特定の実施形態の流れ図を概略的に示している。ここで、フィルタモジュール100のフィルタは、血液透析用の公知のダイアライザのように構成されている。バイオテクノロジー濾過装置において一般的に使用される種類のフィルタと比較して、ダイアライザは、特に有利に、圧力差に関してより安定な繊維配置を有し、繊維114は、外径との関係で、より小さい繊維内径を有する。これは、中空繊維膜の増加した安定性を提供する。更に、透析器の繊維114は、典型的にはより短く、これもまた安定性の増加をもたらす。濾過収率に関して、短い繊維114と厚い膜壁とを補償するために、ダイアライザはより多くの繊維114を有する。フィルタモジュール100におけるフィルタとしてのダイアライザの使用を通じて、繊維114の内側/外側の圧力差に関する安定性の向上から、中空繊維114の外側に流体接続されている析出された廃液の除去のためのポート107に接続されるように、追加のポンプ400を配置することが可能である。ポンプ送給方向は、濾過生成物が繊維114の外側から吸引されるように選択される。追加のポンプ400が公知の濾過装置で動作された場合、このような配置は、膜が損傷することにつながる。特に有利には、濾過生成物除去用ポート107におけるこの追加ポンプ400の配置は、追加ポンプ400がない場合よりも、濃縮されるべきバイオテクノロジー液体Lの少ない通過で、定められた濃縮を達成することを可能にするという効果を有する。一方では、定義された濃度に到達するのに必要な時間は、このように特に有利に減少する。他方、特定の利点は、バイオテクノロジー液体Lがフィルタを通過する回数が少なく、従って、損傷を受けにくいことである。バイオテクノロジー液体がフィルタを通過する回数が多ければ多いほど、潜在的な損傷は大きくなる。この配置の更なる利点は、追加のポンプ400が、濃縮されるバイオテクノロジー液体Lに追加の損傷を与えないことであり、追加ポンプ400は、廃棄物である濾過生成物にのみ接触する。
【0054】
図7は、図6の濾過装置1300に、追加ポンプ400の下流側の濾過生成物除去用ポート107に、オプションで逆止弁500を追加配置したフロー図である。逆止弁500は、追加ポンプ400と流出口300との間の濾過生成物ライン上に配置される。このオプションに基づいて、追加の逆止弁500によって、フィルタの膜における圧力比は、特に有利には、追加のポンプ400との相互作用において、調整することができる。この目的のために、逆止弁500は、追加ポンプ400から適切に選択された最小圧力がかかると開くものが使用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】