(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】サメ抑止装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A01M 29/24 20110101AFI20230119BHJP
A01K 91/18 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A01M29/24
A01K91/18 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527964
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 GB2020052888
(87)【国際公開番号】W WO2021094764
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522187650
【氏名又は名称】フィッシュテック マリン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FISHTEK MARINE LIMITED
【住所又は居所原語表記】Unit 1a Webbers Way Dartington Totnes, Devon TQ9 6JY (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】キベル,ベン
(72)【発明者】
【氏名】キベル,ピート
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,デイブ
【テーマコード(参考)】
2B105
2B121
【Fターム(参考)】
2B105AL03
2B105LA01
2B105LA25
2B121AA06
2B121DA02
2B121DA04
2B121EA30
2B121FA08
2B121FA13
(57)【要約】
サメ及び他の海の生物(エイなどの魚を含む)は人間の(例えば、マグロ又は刀魚のための)漁の間に網及びはえ縄から魚を略奪する(すなわち、盗む)ことが知られている。海水を流れる電流を用いて、人間の活動領域、特にダイバーの周囲からサメを抑止することが知られている。しかし、このような抑止によって必要とされる電力消費は非常に高く、小型携帯機器では禁止的である。本発明は水中の電気パルスのシーケンスを提供し、電気パルスのシーケンス中の各電気パルスは、各隣接するパルスから少なくとも3秒間隔を置いて配置される。このようにして、本発明者は、以前に可能であると考えられていたよりもはるかに低いエネルギー消費で、略奪からの効果的な抑止力を作り出すことができることを見出した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水ハウジングと、
前記ハウジング内の電源と、
前記ハウジングの第1端部で前記ハウジングの外側に配置される第1電極と、
前記ハウジングの前記第1端部に対向する前記ハウジングの第2端部において前記ハウジングの外部に配置される第2電極と、
前記電源によって電力供給され、前記第1電極と前記第2電極との間に電気パルスのシーケンスを供給するように構成され、電気パルスの前記シーケンスにおける各電気パルスは、少なくとも3秒だけ、それぞれの隣接するパルスから離される、制御装置と、
を備える、サメによる魚の略奪を減少させるための装置。
【請求項2】
前記電気パルスのシーケンスにおける各電気パルスが、少なくとも12秒だけ、それぞれの隣接するパルスから離される、請求項1に記載のサメによる魚の略奪を減少させるための装置。
【請求項3】
各電気パルスが20V~40Vの電圧を有する、請求項1又は2に記載のサメによる魚の略奪を減少させるための装置。
【請求項4】
各電気パルスが1.5ミリ秒~5ミリ秒の持続時間を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のサメによる魚の略奪を減少させるための装置。
【請求項5】
前記第2電極は、前記第1電極から8cm~20cm離間している、請求項1~4のいずれか1項に記載のサメによる魚の略奪を減少させるための装置。
【請求項6】
さらに、前記制御装置と電気的に連通し、前記ハウジングから突出するように配置された一対の水接触ピンを備え、前記ピンの突出端部間に存在する水が電気回路を完成させて装置を作動させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のサメによる魚の略奪を減少させるための装置。
【請求項7】
前記第1及び第2電極は、前記水接触ピンを含む、請求項6に記載のサメによる魚の略奪を減少させるための装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の装置を提供するステップと、
前記第1電極と前記第2電極の間に電気パルスのシーケンスを供給するステップ、電気パルスの前記シーケンスにおける各電気パルスは、少なくとも3秒だけ、それぞれの隣接するから離れている、該ステップと、
を含む、サメによる魚の略奪を減少させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、サメを抑止する(deterring)ための装置及びサメを抑止する方法に関し、排他的ではないが、特にはえ縄釣り(long line fishing)に有用である。
【背景技術】
【0002】
サメ及び他の海の生物(エイなどの魚を含む)は人間の(例えば、マグロ又は刀魚のための)漁(fishing)の間に網及びはえ縄から魚を略奪する(又は、強奪する/depredate)(すなわち、盗む)ことが知られている。
【0003】
サメなどの海洋生物種は、電気刺激を検出するための電気受容器官をもっている。サメでは、電気受容器官はロレンチーニ(又は、ローレンツィニ/Lorenzini)膨大部として知られており、これはすべての生物が作り出す電磁場を検出するために使用される。これはサメが餌を見つけるのに役立つ。
【0004】
海水を流れる電流を用いて、人間の活動領域、特にダイバーの周囲からサメを抑止する(deter)ことが知られている。しかしながら、ダイポール(又は、双極子)の周りの電場は、ダイポールからの距離の三乗の逆数(距離の二乗の逆数ではなく)と少なくとも同程度に速く減少するので、従来はサメがパルス間に接近することを効果的に阻止するために、一定の電流、又は非常に狭い間隔の(closely spaced)パルスを有することが必要であると考えられていた。
【0005】
理解され得るように、より高い電流はより大きな範囲を有し、したがって、望ましい。従って、このような抑止により必要とされる電力消費は非常に高く、小型携帯機器では禁止的(又は、法外/prohibitive)である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によれば、サメによる魚の略奪を減少させる(又は、低減する)ための装置が提供され、この装置は、防水ハウジングを備える。
【0007】
前記ハウジング内の電源と、前記ハウジングの第1端部で前記ハウジングの外部に配置される第1電極と、前記ハウジングの前記第1端部に対向する前記ハウジングの第2端部において前記ハウジングの外部に配置される第2電極と、前記電源によって電力供給され(又は、給電され/powered)、前記第1電極と前記第2電極との間に電気パルスのシーケンスを供給するように構成され、電気パルスの前記シーケンスにおける各電気パルスは、少なくとも3秒だけ、隣接する各電気パルスから間隔を空けて配置された制御装置と、を備える。
【0008】
このようにして、本発明者は、以前に可能であると考えられていたよりもはるかに低いエネルギー消費で、略奪からの効果的な抑止力を作り出すことができることを見出した。
【0009】
電気パルスのシーケンスにおける各電気パルスは、少なくとも4秒、5秒、6秒、8.5秒及び/又は12秒だけ各隣接パルスから離れてもよい。
【0010】
電気パルスのシーケンスにおける各電気パルスは、高々3秒、4秒、5秒、6秒、8.5秒及び/又は12秒だけ各隣接パルスから離れてもよい。
【0011】
各電気パルスは、1V~50V、特に10V~45V、より詳細には20V~40V、例えば約20V、25V、30V及び/又は40Vの電圧を有してもよい。
【0012】
各電気パルスは、1ミリ秒~10ミリ秒、特に1.5ミリ秒~5ミリ秒、例えば約1.5ミリ秒、3ミリ秒及び/又は5ミリ秒の持続時間を有してもよい。
【0013】
第2電極は、第1電極から5cm~30cm、特に8cm~20cm、より詳細には10cm~15cmとの間、例えば約12cm離間させることができる。
【0014】
ハウジングは、少なくとも1m、5m、10m、100m、500m、1000m及び/又は3000mの深さまで防水であってもよい。
【0015】
電源は少なくとも1つのバッテリー、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ以上の電池(又は、バッテリー)を備えることができる。電池は例えば、単三電池、単四電池、単二電池又は単一電池、又は任意の他の適切な形態の電池であってもよい。
【0016】
装置は、水中に浸漬されると作動するようにさらに構成されてもよい。
【0017】
装置は前記制御装置と電気的に連通し、ピンの突出端部間に存在する水が電気回路を完成させて装置を作動させる(activate)ようにハウジングから突出するように配置された一対の水接触ピンを更に備えることができる。ピンの突出端部間の水は塩水及び/又は海水を意味する(mean)ことができ、任意選択で淡水を含まなくてもよい。
【0018】
水接触ピンは、5mm、4mm、3mm、2mm及び/又は1mm未満だけハウジングから突出してもよい。
【0019】
それぞれの電極は、水接触ピンを含むことができる。すなわち、第1及び第2電極は水検出及びパルス発光/受信のために、二重目的であってもよい。
【0020】
水接触ピン及び/又は電極は水の侵入を防止するために、締まりばめによってハウジングを通って延びることができる。例えば、少なくとも5Nの力、特に少なくとも20N、より詳細には少なくとも30N、50N又は70Nがハウジングのそれぞれの穴(又は穴の一部)内にそれらを配置するために必要とされてもよく、代替的に及び/又は追加的に、ピンはそれぞれの穴内に接着されるか、さもなければ(例えば、ゴム管又はOリングによって)封止されてもよい。
【0021】
第1電極及び第2電極は水を通る電気伝導を最大化するために、例えば平板などのプレートを備えてもよい。
【0022】
本発明の第2態様によれば、サメによる魚の略奪を減少させる方法が提供され、この方法は先行する請求項のいずれかに記載の装置を提供するステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に電気パルスのシーケンスを供給し、電気パルスの前記シーケンスにおける各電気パルスは、少なくとも3秒だけ、隣接するパルスから間隔を置いて配置されたステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の上記及び他の特徴、特徴及び利点は、本発明の原理を例として示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるのであろう。この説明は、本発明の範囲を限定することなく、単に例示のために与えられる。以下に引用する参考図は、添付図面を参照する。
【0024】
図1は、サメを抑止するための装置の第1部分の斜視図である。
【0025】
【0026】
図3は、サメを抑止するための装置の機能状態の流れ図である。
【0027】
図4は、サメを抑止するための装置の動作構成要素のブロック図である。
【0028】
図5は、サメを抑止する装置の動作構成要素の配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は特定の図面に関して説明されるが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載された図面は、概略的なものにすぎず、非限定的なものである。各図面は、本発明の特徴のすべてを含むわけではなく、したがって、必ずしも本発明の実施形態であると見なされるべきではない。図面において、いくつかの要素のサイズは、説明の目的のために誇張され、縮尺通りに描かれていないことがある。寸法及び相対的寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に対応しない。
【0030】
さらに、説明及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は同様の要素を区別するために使用され、必ずしも時間的に、空間的に、ランキングで、又は任意の他の方法でシーケンスを説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、動作は、本明細書で説明又は図示されたものとは別の順序で可能であることを理解されたい。同様に、特定の順序で説明又は特許請求される方法ステップは、異なる順序で動作すると理解され得る。
【0031】
さらに、明細書及び特許請求の範囲における頂部、底部、上方、下方などの用語は、説明の目的のために使用され、必ずしも相対的な位置を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、動作は、本明細書で説明又は図示されたものとは別の向きで可能であることを理解されたい。
【0032】
特許請求の範囲で使用される「有する」という語は、その後に列挙される手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを排除するものではないことに留意されたい。したがって、言及されたような記載された特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を指定するものとして解釈されるべきであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ又は構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及びBを含む装置」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなる装置に限定されるべきではなく、本発明に関して、装置の関連する構成要素はA及びBのみであることを意味する。
【0033】
同様に、本明細書で使用される「接続された」という用語は、直接接続のみに限定されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。したがって、「機器Aが機器Bに接続されている」という表現の範囲は機器Aの出力が機器Bの入力に直接的に接続されている機器やシステムに限定されるものではなく、Aの出力とBの入力との間には他の機器や手段を含む経路であってもよい経路が存在することを意味する。「接続された」とは2つ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していること、又は2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働又は相互作用していることを意味し得る。例えば、無線接続が考えられる。
【0034】
本明細書全体を通して、「実施形態」又は「態様」という言及は、実施形態又は態様に関連して記載された特定の特徴、構成又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態又は態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所における「一実施形態において」、「実施形態において」又は「一態様において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態又は態様を参照しているわけではなく、別実施形態又は態様を参照することができる。さらに、本発明の任意の1つの実施形態又は態様の特定の特徴、構造又は特性は本開示から当業者には明らかなように、1つ又は複数の実施形態又は態様において、本発明の別の実施形態又は態様の任意の他の特定の特徴、構造又は特性と任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0035】
同様に、説明において、本発明の様々な特徴は開示を合理化し、様々な本発明の態様のうちの1つ又は複数の理解を助けるために、単一の実施形態、図又はそれらの説明において一緒にグループ化されることがあることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、請求項に記載された発明が各請求項に明示的に記載されたよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。さらに、任意の個々の図面又は態様の説明は、必ずしも本発明の実施形態であると見なされるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、前述の単一の開示された実施形態のすべての機能よりも少ない機能にある。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲はこの詳細な説明に明確に組み込まれ、各特許請求の範囲はそれ自体が本発明の別個の実施形態として存在する。
【0036】
さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは当業者によって理解されるように、本発明の範囲内であり、さらなる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲では、特許請求の範囲に記載された実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0037】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、この説明の理解を不明瞭にしないために、周知の方法、構造、及び技法は詳細に示されていない。
【0038】
本発明の議論では反対に述べられていない限り、パラメータの許容範囲の上限又は下限に対する代替値の開示は前記値のうちの1つが他の値よりも非常に好ましいという指示と相まって、前記代替値のうちのより好ましい値とあまり好ましくない値との間にある前記パラメータの各中間値自体が前記あまり好ましくない値よりも好ましく、また、前記あまり好ましくない値と前記中間値との間にある各値よりも好ましいという暗黙のステートメントとして解釈されるべきである。
【0039】
用語「少なくとも1つ」の使用は、特定の状況において1つのみを意味し得る。用語「いずれか」の使用は、特定の状況において「全て」及び/又は「各々」を意味し得る。
【0040】
ここで、本発明の原理を、例示的な特徴に関する少なくとも1つの図面の詳細な説明によって説明する。他の構成が基礎となる概念又は技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成され得ることは明らかであり、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
【0041】
図1は第1本体部分101を含むサメを抑止するための装置の第1部分の斜視分解図であり、該装置は、第1本体部分101に構造的剛性を提供する(圧力下でその崩壊を防止するために)ようにも作用する仕切板105によって離間して保持された2つの単三電池103を内部に保持している。一方の電池103の負極は、コイルばね導体107によって、他方の電池103の正極に接続される。
【0042】
第1本体部分101上に軸方向に配置されているのは、第1ラインコネクタ109及び第2ラインコネクタ111であり、それぞれ穴113、115を有し、これらの穴を通って釣り糸(fishing line)が接続され、装置が釣り糸に当接し、釣り糸と整列するようになっている。
【0043】
外部プレート部119と内部シャフト部120とを備える第1電極117は、第1本体部101の貫通孔121内に受け入れられている。貫通孔121を通る水の浸入は、シャフト部119の周囲の一連のOリング123によって阻止される。電線124は、第1本体部101の内部を通って、第1電極117から第1本体部の対向する端部の間を接続し、当該対向する端部には第1本体部への開口部125が見られる。
【0044】
図2は開口部125を密封するための
図1の装置の第2部分の分解斜視図であり、開口部125に挿入可能な第2本体部分127すなわちキャップを備え、その周りに一対のOリング129が設けられている。第2電極131は、第2本体部分127の一端に設けられ、キャップ127を貫通して更なる電線133まで延びる突出部を有するプレートを備える。第2電極131の周囲からの水の侵入は、一連のOリング135によって防止される。
【0045】
更なる電線133は第2電極131をコントローラ/回路基板素子137に接続し、開口部125を封止する際に、電池103及び電線124に電気的に接続される。素子137は、加圧下でのキャップの崩壊を防止するブロック139によってキャップ内のいずれかの側面で補強される。
【0046】
0
図3は、サメを抑止するための装置の機能状態の流れ図である。
【0047】
1において、装置は電源をオンに(powered on)されると(例えば、電池が挿入される)、直ちに初期化状態2に入る。これは、高出力(又は、ハイパワー)(16MHzクロック)、短期間の状態である。初期化状態2は、マイクロコントローラ内の様々なレジスタの初期化と、ユニットが動作可能であることを示すための迅速なLEDフラッシュシーケンスとを含む。
【0048】
初期化後、装置は直ちに、大体は低電力状態(31kHzクロック)であるスタンバイ(又は、待機)状態3に移行する。装置は、定期的に水、制御信号(赤外線信号など)及び電池の状態をテストする。
【0049】
水が検出されると、ユニットはアクティブ状態4に移行する。この状態は、ユニットが水中に電圧パルスを繰り返し生成する高電力状態(16MHzクロック)である。また、定期的に電池の状態をテストし、水が存在し続けているかどうかをテストする。水が検出されない場合、ユニットはスタンバイ状態3に戻る。
【0050】
スタンバイ状態3において、「x」分の期間にわたって電池の状態がOKであると見なされ、制御信号が検出されず、水が検出されないる場合、装置はスリープ状態5に入り、ここで、電力は、ウォッチドッグ(又は、監視/watchdog)・タイマのみを動作させることによって節約される。ウォッチドッグ・タイマがタイムアウトすると(ユーザが設定できる約数分の間隔で)、ユニットはウェイクアップ状態6に入り、装置は水をテストし、電池をテストする。任意選択で、ウェイクアップ状態6は制御信号のテストを可能にすることができるが、これは図示されていない。
【0051】
ウェイクアップ状態6は高出力状態(16MHzクロック)であり、好ましくは、ユニットが最初に電池の状態をテストし、OKであれば、水についてテストする。水が検出されると、装置はアクティブ状態4に入る。
【0052】
制御信号が、例えばスタンバイ状態3(又は任意選択でウェイクアップ状態6)で検出された場合、装置はセットアップ状態7に入る。
【0053】
セットアップ状態7は、入力制御信号が受信されてデコードされる高出力状態(16MHzクロック)である。次に、メモリ内の様々なパラメータが、受信された信号に従って設定される。
【0054】
例:
【0055】
モード1は、4秒離れた1.5ミリ秒の40Vパルスに対応する。
【0056】
モード2は、12秒離れた1.5ミリ秒の40Vパルスに対応する。
【0057】
モード3は、12秒離れた5ミリ秒の40Vパルスに対応する。
【0058】
モード4は、5秒離れた5ミリ秒の40Vパルスに対応する。
【0059】
モード5は、6秒離れた1.5ミリ秒の30Vパルスに対応する。
【0060】
モード6は、12秒離れた1.5ミリ秒の25Vパルスに対応する。
【0061】
モード7は、12秒離れた3ミリ秒の40Vパルスに対応する。
【0062】
モード8は、8.5秒離れた3ミリ秒の40Vパルスに対応する。
【0063】
モード9は、12秒離れた3ミリ秒の20Vパルスに対応する。
【0064】
10秒後にセットアップ状態7で制御信号が検出されない場合、装置はスタンバイ状態3に戻る。
【0065】
いずれの状態からも、寿命末期(end-of-life)の電池状態が検出されると、装置は寿命末期の状態8に入る。これは、通常無期限に持続する高電力状態(16MHzクロック)である。この状態から逃れる最も普通の方法は、電池を交換することである。電池の状態テストが定期的に実行され、電池に問題がないことが確認されると、ユニットはスタンバイ状態になる。これは、電池の状態テストが進行中であった時点で(例えば、ユニットがその端部で落下し、バッテリー接点ばねを圧縮する場合)発生する瞬間的な電池の無連絡(又は、切断/disconnection)のためにユニットが寿命末期状態に入った場合に、回復の手段を提供する。
【0066】
様々な状態を検出するためにファームウェアによって使用される電圧及び電流の閾値は、以下の通りである
【0067】
低電池(又は、バッテリー)電圧:電池電圧<2.40V
【0068】
寿命末期(end-of-life)の電池電圧:電池電圧<2.15V
【0069】
寿命末期ではない電池電圧:電池電圧>2.40V
【0070】
水検出:出力電流>625mA
【0071】
水不検出:出力電流<625mA
【0072】
短絡出力:出力電流>14.375A
【0073】
出力パルス(サメ抑止パルス又は水存在テストパルスのいずれか)を生成するすべての場合において、マイクロコントローラのハードウェアは過電流(例えば、短絡)状態を検出し、装置の損傷を回避するためにファームウェアの介入なしに直ちにパルスを切り捨てる(又は、先端を除去する/truncate)ことに留意されたい。ファームウェアは、これが各パルスの後に発生したかどうかを判定することができる。したがって、アクティブ・モード4では短絡状態が発生した場合にはステート・マシン(又は、状態マシン)によって特定の動作は行われないが、ハードウェアの介入はパルスごとに行われる。
【0074】
スタンバイ状態3からスリープ状態5に遷移するまでの時間は、スタンバイ状態の直前の状態に依存する。これらの時間は以下の通りである
【0075】
初期化状態2から:15分。
【0076】
アクティブ状態4から:2時間。
【0077】
セットアップ状態7から15分。
【0078】
寿命末期状態8から:15分。
【0079】
バッテリー電圧の低下が検出された場合(動作可能な状態が約8時間残っていることを示す)、LED表示が生成されるが、状態変化は結果として生じない。
【0080】
スタンバイは、赤外線検出器の電源がオンで、その電流消費が比較的高い唯一の状態である。したがって、スタンバイ状態の持続時間は、電池の寿命を節約するために最小限に抑えられる。スタンバイ状態での動作中のいくつかの(頻繁ではない)ポイントにおいて、動作は、機能上の理由から高出力(16MHzクロック)に戻る。
【0081】
図4は、サメを抑止するための装置の動作構成要素のブロック図である。電池201は、一定の2Vをマイクロコントローラ205に出力する電圧レギュレータ203に電力を供給する。マイクロコントローラ205は、出力電極211を駆動するトランジスタのHブリッジ209に最大40Vを出力できる電圧昇圧回路207を制御する。マイクロコントローラ205は電圧昇圧回路207によって生成された電圧フィードバックを監視し、トランジスタのHブリッジ209と直列に接続された電流感知抵抗213を介して電流フィードバックを監視する。また、トランジスタのHブリッジ209と並列に電荷蓄積キャパシタ215が設けられている。
【0082】
図5a~5eは、サメを抑止するための装置の動作構成要素のより詳細を示す。
図5aにおいて、電池P1及びP2からの入力は3つの出力、すなわち、電池電圧+VBAT、一定の+2V信号及び接地信号0Vを供給するために、電圧レギュレータU1に渡される。提供される電圧値は例示のみであり、異なる値が選択されてもよく、例えば、+VBAT電圧が2V以下である場合、電圧レギュレータは、示した値よりも低い値の定電圧信号を出力することしかできないことを理解されたい。
【0083】
図5bは+2Vラインからの入力を示しており、さらに5つの制御入力P6、P7、P8、P8及びP10が、14個の出力ピンを有するマイクロコントローラU3に渡されている。
【0084】
図5cはマイクロコントローラU3が赤外線信号を介して制御され得るように、マイクロコントローラU3のピン6及び7のIRSIG及びIRENと赤外線受信モジュールU2との接続を示す。
【0085】
図5dは電池の状態を監視するために、マイクロコントローラU3のピン10及び9のBATTST及びVBATと、
図5bからの+VBAT電池電圧との接続を示す。
【0086】
図5eは、マイクロコントローラのピン3及び5のBRIDGE1及びBRIDGE2制御信号のトランジスタのHブリッジへの接続、及びそれによって出力端子P3、P4及びP5への接続を示す。図示の回路は
図5aから、
図5dを介して、+VBATによって給電される。マイクロコントローラU3のピン8、11、12のVCURR、HVCLK、VBSTとの回路の接続も示される。
【国際調査報告】