(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】アミロイド沈着物を標的化するための修飾免疫グロブリン
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20230119BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230119BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20230119BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20230119BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230119BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230119BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230119BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230119BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230119BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230119BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230119BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230119BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230119BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230119BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C07K16/18
C07K14/47
C12N15/12
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 Y
A61P25/28
A61K47/68
A61K38/16
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528305
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 US2020060596
(87)【国際公開番号】W WO2021097360
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504326686
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション
(71)【出願人】
【識別番号】522189850
【氏名又は名称】アトララス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・エス・ウォール
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エス・フォスター
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー・ガズリー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA19
4C084BA23
4C084CA59
4C084DC50
4C084NA14
4C084ZA15
4C084ZA16
4C085AA13
4C085AA16
4C085AA21
4C085AA34
4C085BB31
4C085BB36
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045BA70
4H045BA71
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本明細書において、抗体に連結されたアミロイド反応性ペプチドを含む修飾免疫グロブリン、ならびにヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体、及び抗体-ペプチド融合タンパク質が提供される。また、修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することによって、アミロイド系疾患を治療する方法も本明細書に提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾免疫グロブリンであって、
アミロイド反応性ペプチドと、
ヒトアミロイド原線維に結合するIg抗体またはその機能的断片と、を含み、前記Ig抗体またはその機能的断片が、重鎖と軽鎖とを含み、前記ペプチド及び前記Ig抗体またはその機能的断片が、前記Ig軽鎖のN末端及び/または前記Ig重鎖のN末端及び/またはC末端で一緒に連結される、前記修飾免疫グロブリン。
【請求項2】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号1~14に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項3】
前記アミロイド反応性ペプチド及び前記Ig抗体またはその機能的断片が、前記Ig軽鎖のN末端または前記Ig重鎖のN末端で一緒に連結される、請求項1または2に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項4】
前記修飾免疫グロブリンが、前記アミロイド反応性ペプチドと前記Ig抗体またはその機能的断片との間にスペーサー配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項5】
前記修飾免疫グロブリンが、少なくとも2つのアミロイド反応性ペプチドを含み、前記アミロイド反応性ペプチドが、同じペプチドまたは異なるペプチドである、請求項1~4のいずれかに記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項6】
前記Ig抗体またはその機能的断片が、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、
前記VLが、配列番号20に記載のCDRL1、配列番号21に記載のCDRL2、及び配列番号22に記載のCDRL3を含み、
前記VHが、配列番号17に記載のCDRH1、配列番号18に記載のCDRH2、配列番号19に記載のCDRH3を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項7】
前記Ig抗体またはその機能的断片が、キメラ抗体またはその機能的断片である、請求項6に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項8】
前記Ig抗体またはその機能的断片が、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、
a)前記VLが、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むか、または
b)前記VLが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、
c)前記VLが、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項9】
前記Ig抗体またはその機能的断片が、ヒトフレームワーク配列を含む、請求項1~6及び8のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項10】
前記Ig抗体が、ヒトFc領域を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項11】
前記修飾免疫グロブリンが、ヒト化されている、請求項1~6、8、及び10のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項12】
前記修飾免疫グロブリンが、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ4、Alλ1、またはATTR原線維に結合する、請求項1~11のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項13】
アミロイド反応性ペプチドに融合されたヒトアミロイド原線維に結合する抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質であって、前記抗体が、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含む、前記抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項14】
前記VLが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、請求項13に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項15】
前記抗体が、キメラ抗体またはヒト化抗体である、請求項13または14に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項16】
a)前記VLが、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むか、または
b)前記VLが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、
c)前記VLが、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、請求項13に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項17】
前記VLが、
a.位置36のTyr、
b.位置37のLeu、
c.位置46のLeu、
d.位置85のLeu、及び
e.位置87のPhe、からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含み、
前記VHが、
a.位置37のVal、
b.位置48のLeu、
c.位置67のLeu、
d.位置68のSer、
e.位置71のLys、
f.位置76のSer、
g.位置78のVal、
h.位置79のLeu、
i.位置80のPhe、
j.位置89のThr、
k.位置93のVal、及び
l.位置94のThr、からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含み、
アミノ酸位置が、Kabatの付番システムに従って番号付けされる、請求項14または16に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質
【請求項18】
前記VLが、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含み、前記VHが、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含む、請求項17に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項19】
前記VLが、位置46にLeu及び位置87にPheを含み、前記VHが、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含む、請求項17に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項20】
前記VLが、配列番号32~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項21】
前記VHが、配列番号43~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含む、請求項17または20に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項22】
前記VLが、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含み、前記VHが、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項23】
前記VLが、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、前記VHが、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項24】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号1~14に記載のアミノ酸配列を含む、請求項13~23のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項25】
前記アミロイド反応性ペプチドが、前記VLのN末端または前記VHのN末端に融合される、請求項13~24のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項26】
前記アミロイド反応性ペプチドが、スペーサーによって前記VLのN末端に融合される、または前記VHのN末端に融合される、請求項25に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項27】
前記スペーサーが、ペプチドスペーサーである、請求項26に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項28】
前記スペーサーが、アミノ酸配列GGGYSを含む、請求項27に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項29】
前記抗体-ペプチド融合タンパク質が、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ4、Alλ1、またはATTR原線維に結合する、請求項13~28のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合。
【請求項30】
請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン、または請求項13~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質を含む、医薬組成物。
【請求項31】
請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン、または請求項13~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする、核酸(複数可)。
【請求項32】
請求項31に記載の核酸(複数可)を含む、ベクター。
【請求項33】
請求項32に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項34】
修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を作製する方法であって、前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする前記ベクターの発現に好適な条件下で、請求項33に記載の宿主細胞を培養することと、前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質を回収することと、を含む、前記方法。
【請求項35】
アミロイド関連障害を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンまたは請求項13~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項36】
前記アミロイド関連障害が、アミロイドーシスである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記アミロイド関連障害が、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記対象が、ヒトである、請求項35~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
クリアランスのためにアミロイド沈着物を標的化する方法であって、アミロイド沈着物を、請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン、または請求項13~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させることを含む、前記方法。
【請求項40】
前記アミロイド沈着物が、除去される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記アミロイド沈着物が、前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質によってオプソニン化される、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
クリアランスのためにアミロイド沈着物を標的化する方法であって、アミロイド沈着物を、請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン、または請求項13~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させることを含む、前記方法。
【請求項43】
クリアランスのために前記アミロイド沈着物を標的化することが、前記アミロイド沈着物のクリアランスをもたらす、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
クリアランスが、前記アミロイド沈着物のオプソニン化から生じる、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質における前記アミロイド反応性ペプチドの半減期が、前記アミロイド反応性ペプチド単独と比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれ以上増加する、請求項42~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
修飾免疫グロブリンを生成する方法であって、
第1の発現ベクター及び第2の発現ベクターを提供することであって、
前記第1の発現ベクターが、Ig抗体軽鎖またはその機能的断片をコードする第1の核酸配列を含み、
前記第2の発現ベクターが、Ig抗体重鎖またはその機能的断片をコードする第2の核酸配列を含み、
前記第1の発現ベクター及び/または前記第2の発現ベクターが、第1のペプチドをコードする第3の核酸配列を含み、前記第3の核酸配列が、前記第1の核酸配列及び/または前記第2の核酸配列に隣接して位置する、前記提供することと、
前記第1及び前記第2の発現ベクターを細胞に挿入することであって、前記細胞における前記第1及び前記第2の発現ベクターの発現が、前記第1のペプチドに連結される免疫グロブリンをもたらす、前記挿入することと、を含む、前記方法。
【請求項47】
前記第1の発現ベクター及び/または前記第2の発現ベクターが、第2のペプチドをコードする第4の核酸配列を含み、前記第4の核酸配列が、前記第1の核酸配列及び/または前記第2の核酸配列に隣接して位置する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞における前記第1及び前記第2の発現ベクターの発現が、前記第1のペプチド及び前記第2のペプチドに連結される免疫グロブリンをもたらす、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
スペーサー核酸配列が、前記第3の核酸配列と前記第1の核酸配列及び/または前記第2の第1の核酸配列との間に位置する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
アミロイド系疾患に罹患しているか、またはそれに罹患していると疑われる対象を治療する方法であって、
a)前記対象がアミロイド沈着物を有するかどうかを、
i)前記対象に、請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンまたは請求項13~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することであって、前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質が、検出可能な標識を含む、前記投与すること、及び
ii)前記検出可能な標識に関連するシグナルが、前記対象から検出され得るかどうかを判定すること、によって判定することと、
b)前記シグナルが検出された場合、前記対象にアミロイドーシス治療を施すことと、を含む、前記方法。
【請求項51】
シグナルが検出されない場合、アミロイド沈着物のその後の発生について、前記対象を監視する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記シグナルの強度を決定することと、前記シグナルを閾値と比較することと、をさらに含み、前記閾値を超えた場合、前記対象がアミロイド沈着物を有すると判定される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記アミロイドーシス治療が、前記対象に、請求項1~12のいずれかに記載の修飾免疫グロブリンまたは請求項13~29のいずれかに記載の抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することを含む、請求項50~52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質の投与が、前記対象における前記アミロイド沈着物のクリアランスをもたらす、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
対象におけるアミロイド沈着物を特定する方法であって、前記対象に、請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンまたは請求項13~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することであって、前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質が、検出可能な標識を含む、前記投与することと、前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体ペプチド融合タンパク質からのシグナルを検出することと、を含む、前記方法。
【請求項56】
前記対象が、アミロイドを含まないか、または意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、もしくは1つ以上の関連する形質細胞疾患を患っていると判定される、請求項50~55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
リガンドを検出する方法であって、
前記リガンドを、請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンまたは請求項1~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させることであって、前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質が、検出可能な標識を含み、前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質の前記ペプチドが、前記リガンドに対する結合親和性を有する、前記接触させることと、
前記検出可能な標識からのシグナルを判定し、それによって、前記リガンドを検出することと、を含む、前記方法。
【請求項58】
ヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体であって、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、
前記VLが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、
前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、
前記VLが、
a.位置36のTyr、
b.位置37のLeu、
c.位置46のLeu、
d.位置85のLeu、及び
e.位置87のPhe、からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含み、
前記VHが、
a.位置37のVal、
b.位置48のLeu、
c.位置67のLeu、
d.位置68のSer、
e.位置71のLys、
f.位置76のSer、
g.位置78のVal、
h.位置79のLeu、
i.位置80のPhe、
j.位置89のThr、
k.位置93のVal、及び
l.位置94のThr、
からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含み、
アミノ酸位置が、Kabatの付番システムに従って番号付けされる、前記ヒト化抗体。
【請求項59】
前記VLが、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含み、前記VHが、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含む、請求項58に記載のヒト化抗体。
【請求項60】
前記VLが、位置46にLeu及び位置87にPheを含み、前記VHが、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含む、請求項58に記載のヒト化抗体。
【請求項61】
前記VLが、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含む、請求項58に記載のヒト化抗体。
【請求項62】
前記VHが、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含む、請求項58または61に記載のヒト化抗体。
【請求項63】
前記VLが、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含み、前記VHが、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む、請求項58に記載のヒト化抗体。
【請求項64】
前記VLが、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、前記VHが、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む、請求項58に記載のヒト化抗体。
【請求項65】
ヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体であって、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、
a)前記VLが、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むか、または
b)前記VLが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、前記ヒト化抗体。
【請求項66】
VLが、
a.位置36のTyr、
b.位置37のLeu、
c.位置46のLeu、
d.位置85のLeu、及び
e.位置87のPhe、
からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含み、
前記VHが、
a.位置37のVal、
b.位置48のLeu、
c.位置67のLeu、
d.位置68のSer、
e.位置71のLys、
f.位置76のSer、
g.位置78のVal、
h.位置79のLeu、
i.位置80のPhe、
j.位置89のThr、
k.位置93のVal、及び
l.位置94のThr、
からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含み、
アミノ酸位置が、Kabatの付番システムに従って番号付けされる、請求項65に記載のヒト化抗体。
【請求項67】
前記抗体が、全長抗体、Fab断片、またはscFvである、請求項58~66のいずれか1項に記載のヒト化抗体。
【請求項68】
前記抗体が、Fc領域を含む、請求項58~66のいずれか1項に記載のヒト化抗体。
【請求項69】
前記Fc領域が、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプである、請求項68に記載のヒト化抗体。
【請求項70】
前記ヒト化抗体が、検出可能な標識にコンジュゲートされる、請求項58~69のいずれか1項に記載のヒト化抗体。
【請求項71】
前記ヒト化抗体が、rVλ6Wil原線維、Per125 wtATTR抽出物、KEN hATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及び/またはTAL ALκ肝臓抽出物に結合する、請求項58~70のいずれか1項に記載のヒト化抗体。
【請求項72】
前記ヒト化抗体が、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ4、Alλ1、またはATTR原線維に結合する、請求項58~71のいずれか1項に記載のヒト化抗体。
【請求項73】
請求項58~72のいずれか1項に記載のヒト化抗体を含む、医薬組成物。
【請求項74】
請求項58~73のいずれか1項に記載のヒト化抗体をコードする、核酸(複数可)。
【請求項75】
請求項74に記載の核酸(複数可)を含む、ベクター。
【請求項76】
請求項75に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項77】
前記ヒト化抗体をコードする前記ベクターの発現に好適な条件下で、請求項76に記載の宿主細胞を培養することと、前記ヒト化抗体を回収することと、を含む、ヒト化抗体を作製する方法。
【請求項78】
アミロイド関連障害を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、有効量の請求項58~73のいずれか1項に記載のヒト化抗体を投与することを含む、前記方法。
【請求項79】
前記アミロイド関連障害が、アミロイドーシスである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記アミロイド関連障害が、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記対象が、ヒトである、請求項78~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
アミロイド系疾患に罹患しているか、またはそれに罹患していると疑われる対象を治療する方法であって、
前記対象がアミロイド沈着物を有するかどうかを、
請求項58~73のいずれか1項に記載のヒト化抗体を検出可能に標識すること、
前記対象に前記ヒト化抗体を投与すること、
前記検出可能な標識に関連するシグナルが、前記対象から検出され得るかどうかを判定すること、によって判定することと、及び
前記シグナルが検出された場合、前記対象にアミロイドーシス治療を施すことと、を含む、前記方法。
【請求項83】
シグナルが検出されない場合、アミロイド沈着物のその後の発生について、前記対象を監視する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記シグナルの強度を決定することと、前記シグナルを閾値と比較することと、をさらに含み、前記閾値を超えた場合、前記対象がアミロイド沈着物を有すると判定される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記アミロイドーシス治療が、前記対象に、請求項58~73のいずれか1項に記載のヒト化抗体を投与することを含む、請求項82~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
対象におけるアミロイド沈着物を特定する方法であって、請求項58~73のいずれか1項に記載のヒト化抗体を検出可能に標識することと、前記対象に前記ヒト化抗体を投与することと、前記ヒト化抗体からのシグナルを検出することと、を含む、前記方法。
【請求項87】
前記対象が、アミロイドを含まないか、または意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、もしくは1つ以上の関連する形質細胞疾患を患っていると判定される、請求項82~86のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質が、検出可能な標識にコンジュゲートされる、請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンまたは請求項13~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項89】
前記修飾免疫グロブリンまたは前記抗体-ペプチド融合タンパク質が、前記アミロイド反応性ペプチドのN末端側にあるスペーサーを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン、または、請求項13~29のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項90】
a)前記VLが、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号73に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、請求項16に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項91】
前記VLが、位置46にLeu及び位置87にPheを含み、前記VHが、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含む、請求項90に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項92】
前記VLが、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み、前記VHが、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む、請求項90に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項93】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号1~14からなる群に記載のアミノ酸配列を含む、請求項90~92のいずれか1項に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質。
【請求項94】
a)前記VLが、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号73に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、請求項65に記載のヒト化抗体。
【請求項95】
前記VLが、位置46にLeu及び位置87にPheを含み、前記VHが、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含む、請求項94に記載のヒト化抗体。
【請求項96】
前記VLが、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み、前記VHが、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む、請求項94に記載のヒト化抗体。
【請求項97】
a)前記VLが、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、前記VHが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号73に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、請求項8に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項98】
前記VLが、位置46にLeu及び位置87にPheを含み、前記VHが、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含む、請求項97に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項99】
前記VLが、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み、前記VHが、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む、請求項97に記載の修飾免疫グロブリン。
【請求項100】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号1~14からなる群に記載のアミノ酸配列を含む、請求項97~99のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月15日に出願された米国仮出願第62/936,002号、及び2020年9月4日に出願された米国仮出願第63/074,912号の優先権を主張し、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの次の提出物の内容は、その全体において参照により本明細書に援用される:コンピュータ可読形態(CRF)の配列表(ファイル名:165992000140SEQLIST.TXT、記録日:2020年11月12日、サイズ:52KB)。
【0003】
本出願は、アミロイド沈着物を標的とするための修飾免疫グロブリン、ヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体、及び抗体-ペプチド融合タンパク質、ならびにそれらを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
アミロイドーシスは、タンパク質性原線維及びヘパラン硫酸プロテオグリカンが重要な器官及び組織に凝集及び沈着することを特徴とする致命的なタンパク質フォールディング障害である(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。アミロイドの絶え間ない蓄積は、必ず臓器機能障害及び重篤な罹患または死亡につながる。沈着物は、アルツハイマー病、ハンチントン病、もしくはプリオン病の患者のように脳性であり得るか、または軽鎖(AL)アミロイドーシス及び2型糖尿病の患者のように末梢性であり得る。局所性または全身性へのさらなるサブグループ化は、それぞれ、前駆体タンパク質が局所的に(沈着部位で)産生されるか、または血流中で循環し、遠隔の解剖学的部位で沈着するかを示す(非特許文献5)。アミロイドはあらゆる臓器や組織に影響を与える可能性があるが、家族性または散発性の末梢アミロイド疾患の患者では、腎臓、膵臓、肝臓、脾臓、神経組織、心臓が主要な沈着部位を構成する。アルツハイマー病は現在400万人以上のアメリカ人に影響を与えており、この数値は2050年までに1600万人以上に増加すると推定されている。これは、アミロイドーシスの最も一般的な形態であり、社会経済的に最も大きな影響を与えている。対照的に、末梢性(または全身性)アミロイドーシスは難病(orphan disorder)であるが、米国だけで年間5,000人以上の新規患者を占める。
【0005】
これらのうち、主要な末梢性アミロイドーシスは、軽鎖関連(AL)アミロイドーシスであり、これは、免疫グロブリン軽鎖タンパク質からなる原線維の沈着をもたらす散発的なモノクローナル形質細胞異常症である。ALは全末梢アミロイド症例の約3分の2を占め、米国では年間10万人当たり約1.4人の発症率(計算値)を有し、急性リンパ球性白血病及び慢性骨髄性白血病に匹敵する(非特許文献6)。ALは、関連する形質細胞異常多発性骨髄腫の5分の1と一般的なものであるが、部分的には、臓器破壊の急速な進行性、効果的な抗アミロイド治療薬の欠如、及び臓器不全が生じる前に疾患を効果的に診断できないことに起因して、生存期間中央値がわずか13.2ヶ月であり、より破壊的であると言える。診断時から10年以上生存する患者は、全AL患者の5%未満である(非特許文献7)。さらに、心ALアミロイドーシス患者の生存期間中央値は、5ヶ月未満である。
【0006】
ATTRは、全身性アミロイドーシスの形態である。ATTRアミロイドーシスを有する患者の25%は、診断から24ヶ月以内に死亡する(非特許文献8)。現在の療法では、臓器損傷を防止することはできない。ATTRアミロイドーシスは、トランスサイレチン(transtheryretin)(TTR)原線維によって引き起こされる。トランスサイレチンは、肝臓によって作られるタンパク質であり、血中の甲状腺ホルモン及びビタミンAを運ぶのを助ける。通常、TTRは、4つの一本鎖モノマーからなる四量体である。遺伝性ATTRアミロイドーシスでは、TTR遺伝子変異は、タンパク質を不安定化させ、四量体の単量体への解離を引き起こし、それがアミロイド原線維に凝集すると考えられている。野生型ATTRアミロイドーシスでは、正常TTRタンパク質が不安定になり、ミスフォールディングし、アミロイド原線維を形成する。
【0007】
次いで、これらのアミロイド原線維は、全身の複数の臓器に蓄積する。例えば、手首では、手根管と呼ばれる狭い経路に蓄積する。これは、手根管症候群を引き起こし、手や腕がしびれてひりひりすることがある。脊柱管では、脊柱の狭小化(脊柱管狭窄)が引き起こされる可能性がある。心臓では、心不全及び/または心房細動と呼ばれる不規則な心拍が引き起こされる可能性がある。
【0008】
米国における末梢性アミロイドーシスの別の一般的な形態は、炎症関連(AA)アミロイドーシスであり、これは、関節炎、結核、家族性地中海熱などの慢性炎症性障害に関連する。AAの発症率は、ヨーロッパの特定の地域で最大であり、その頻度は、民族間で変化する(非特許文献9)。家族性地中海熱が蔓延し、治療されていない地域では、AAの発症率が100%であり得る。ヨーロッパでは、デンマークで実施された剖検研究に基づいて、AAの発症率は0.86%と推定されているが(非特許文献10)、リウマチまたは乾癬性関節炎の患者では、AAの発症率は26%と高くなり得る。このような高い有病率は、疾患をより早く検出するためのスクリーニングプログラムを必要とし得る。アミロイドの沈着は、アミロイド原線維の前駆体である血清アミロイドタンパク質A(sAA)の血漿濃度の持続的な増加と関連付けられる(非特許文献11)。AAは、沈着する前駆体タンパク質の種類において、ALとは異なるが、双方は、線維形成及び沈着の関連する共通の機構的な特徴を共有する(非特許文献12、非特許文献13)。
【0009】
アミロイドの病因が十分に確立されている障害に加えて、アミロイドの構造的特性及び着色特性を有する線維性沈着物は、他の症候群において特定されているが、それらの疾患状態との関連性はまだ確立されていない。例えば、2型糖尿病において、膵島アミロイド前駆体タンパク質(IAPP)は、ランゲルハンス島にアミロイドとして沈着する(非特許文献14)。IAPPの凝集は、膵臓細胞に毒性のあるオリゴマー構造をもたらす(非特許文献15)。したがって、1型糖尿病患者におけるIAPPアミロイドの形成が、β細胞の破壊に寄与し、インスリン依存への移行を先導することが示唆されている(非特許文献16)。別の例では、アポリポタンパク質A-Iから構成されるアミロイド原線維を含有するプラークは、アテローム硬化性頸動脈を有する患者の半分以上において特定されている(非特許文献17、非特許文献18)。これらの原線維の沈着は、高齢の患者ではより一般的であったが、apoA-Iは、間違いなく、プラーク発生の初期に存在する(非特許文献19)。最後の例として、Apo-A-Iアミロイドは、膝関節置換手術を受けた患者から得られた膝関節半月板においても最近同定され、関節の物理的劣化に寄与し得る(非特許文献20)。
【0010】
合計で、29種類を超えるタンパク質が、アミロイド沈着物中の原線維の構成要素として化学的または血清学的に同定されている。疾患を鑑別し、治療を決定し、予後を確立するのは、これらのタンパク質の性質である。アミロイド原線維は、臨床的に不均一な疾患群と関連しており、構造的に異なり、機能的に多様な前駆体タンパク質から形成され得るが、沈着物自体は、原線維構造、原線維エピトープ、及びヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)を含む類似の付属分子の発生を含む、顕著に類似したいくつかの特徴を共有する。アミロイドは、不均一な複合体であり、これには、原線維に加えて、グリコサミノグリカン(GAG)、特に、パールカンHSPGが含まれる(非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23、非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26)。
図1に、アミロイド及びアミロイド関連障害の部分的なリストを示す。
【0011】
これまで、臓器機能の回復を促進し、予後の改善をもたらし得るアミロイド沈着物を除去するための最も効果的な治療的介入は、免疫療法の手段としてのアミロイド反応性抗体の使用を伴う。アミロイド関連疾患のためのいくつかの免疫療法(抗体)が開発されており、ALアミロイドーシスの治療のためのモノクローナル抗体11-1F4、ALアミロイドーシスの患者のためのNEOD001、アミロイドーシスのためのGSK2398852(抗SAPモノクローナル抗体)、アルツハイマー病のためのソラネズマブ、アルツハイマー病のための静脈内IgG(IVIG)、及びアルツハイマー病のためのバピニューズマブが挙げられる。これらのアプローチの各々は、限界があるか、後期臨床試験(第2/3相)で主要な結果を満たしていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Merlini,G.et al.(2003)N.Engl.J.Med.349,583-596
【非特許文献2】Merlini,G.et al.(2004)J.Intern.Med.255,159-178
【非特許文献3】De Lorenzi,E.et al.(2004)Curr.Med.Chem.11,1065-1084
【非特許文献4】Merlini,G.(2004)Neth.J.Med.62,104-105
【非特許文献5】Westermark,P.et al.(2007)Amyloid.14,179-183
【非特許文献6】Group,U.S.C.S.W.(2007)United States Cancer Statistics:1999-2003 Incidence and Mortality Web-Based Report,U.S.Department of Health and Human Services Centers for Disease Control and Prevention National Cancer Institute,Atlanta
【非特許文献7】Comenzo,R.L.et al.(2002)Blood 99,4276-4282
【非特許文献8】Gertz and Dispenzieri JAMA 324(1)79-89(2002)
【非特許文献9】Buck,F.S.et al.(1989)Mod.Pathol.2,372-377
【非特許文献10】Lofberg,H.et al.(1987)Acta pathologica,microbiologica,et immunologica Scandinavica 95,297-302
【非特許文献11】Rocken,C.et al.(2002)Virchows Arch.440,111-122
【非特許文献12】Rocken,C.et al.(2006)J.Pathol.210,478-487
【非特許文献13】Rocken,C.et al.(2001)Am.J.Pathol.158,1029-1038
【非特許文献14】Jaikaran,E.T.et al.(2001)Biochim.Biophys.Acta 1537,179-203
【非特許文献15】Lin,C.Y.et al.(2007)Diabetes 56,1324-1332
【非特許文献16】Jaikaran,E.T.et al.(2001)Biochim.Biophys.Acta 1537,179-203
【非特許文献17】Westermark,P.et al.(1995)Am.J.Pathol.147,1186-1192
【非特許文献18】Mucchiano,G.I.et al.(2001)J.Pathol.193,270-275
【非特許文献19】Vollmer,E.et al.(1991)Virchows Arch.A.Pathol.Anat.Histopathol.419,79-88
【非特許文献20】Solomon,A.et al.(2006)Arthritis Rheum.54,3545-3550
【非特許文献21】Ancsin,J.B.(2003)Amyloid 10,67-79
【非特許文献22】Ailles,L.et al.(1993)Lab.Invest.69,443-448
【非特許文献23】Kisilevsky,R.(1994)Mol.Neurobiol.9,23-24
【非特許文献24】Kisilevsky,R.(1990)Lab.Invest.63,589-591
【非特許文献25】Snow,A.D.et al.(1987)Lab.Invest.56,120-123
【非特許文献26】Li,J.P.et al.(2005)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102,6473-6477
【発明の概要】
【0013】
ヒトアミロイド原線維に結合する抗体またはその機能体に連結されたアミロイド反応性ペプチドを含む修飾免疫グロブリン及び抗体-ペプチド融合タンパク質が、本明細書に提供される。本明細書に提供される修飾免疫グロブリン及び抗体-ペプチド融合タンパク質は、抗体及びアミロイド反応性ペプチドがヒトアミロイド原線維に結合することによって、ヒトアミロイド原線維に対して予想外に高い親和性を示す。一部の実施形態では、ペプチドは、アミロイド沈着物をクリアするための抗体の増強された活性を提供する。特に、抗体Fcは、例えば、オプソニン化によって、アミロイド原線維及び沈着物を貪食及びクリアすることができるマクロファージを動員し、アミロイド反応性ペプチドは、多様なアミロイド原線維及びヘパラン硫酸グリコサミノグリカンに結合することができる。驚くべきことに、N末端アミロイド反応性ペプチドにコンジュゲートされたヒト化抗アミロイド抗体は、アミロイド繊維に結合するキメラ抗体よりも有意に優れたオプソニン化を提供する。さらに、VH9/VL4などの特定のヒト化抗体は、マウス抗体またはキメラ抗体のいずれかよりも高い親和性でアミロイド原線維に結合する。
【0014】
アミロイドーシスを検出及び治療する方法、または本明細書に提供される修飾免疫グロブリンを使用する方法も、本明細書に提供される。
【0015】
さらに、修飾免疫グロブリンをコードする核酸が本明細書に提供される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。一部の実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞である。
【0016】
一態様では、本発明は、アミロイド反応性ペプチドと、ヒトアミロイド原線維に結合するIg抗体またはその機能的断片とを含む、修飾免疫グロブリンを提供し、Ig抗体またはその機能的断片は、重鎖と軽鎖とを含み、ペプチド及びIg抗体またはその機能的断片は、Ig軽鎖のN末端、及び/またはIg重鎖のN末端及び/またはC末端で一緒に連結される。
【0017】
一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~14に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0018】
一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチド及びIg抗体またはその機能的断片は、Ig軽鎖のN末端で一緒に連結される。
【0019】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、アミロイド反応性ペプチドとIg抗体またはその機能的断片との間にスペーサー配列を含む。
【0020】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、少なくとも2つのアミロイド反応性ペプチドを含み、アミロイド反応性ペプチドは、同じペプチドまたは異なるペプチドである。
【0021】
一部の実施形態では、Ig抗体またはその機能的断片は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のCDRL1、配列番号21に記載のCDRL2、及び配列番号22に記載のCDRL3を含み、VHは、配列番号17に記載のCDRH1、配列番号18に記載のCDRH2、配列番号19に記載のCDRH3を含む。
【0022】
一部の実施形態では、Ig抗体またはその機能的断片は、キメラ抗体またはその機能的断片である。
【0023】
一部の実施形態では、Ig抗体またはその機能的断片は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、a)VLは、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むか、またはb)VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0024】
一部の実施形態では、Ig抗体またはその機能的断片は、ヒトフレームワーク配列を含む。
【0025】
一部の実施形態では、Ig抗体は、ヒトFc領域を含む。
【0026】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、少なくとも2つのアミロイド反応性ペプチドを含み、ペプチドは、同じペプチドまたは異なるペプチドである。
【0027】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ4、Alλ1、またはATTR原線維に結合する。
【0028】
別の態様では、アミロイド反応性ペプチドに融合されたヒトアミロイド原線維に結合する抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質が本明細書に提供され、抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含む。
【0029】
一部の実施形態では、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0030】
一部の実施形態では、抗体はキメラ抗体である。
【0031】
一部の実施形態では、a)VLは、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むか、またはb)VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むか、またはc)VLは、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0032】
一部の実施形態では、VLは、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号73に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0033】
一部の実施形態では、VLは、位置46にLeu、及び位置87にPheを含み、VHは、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含む。
【0034】
一部の実施形態では、VLは、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む。
【0035】
一部の実施形態では、VLは、以下からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む:位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPhe。一部の実施形態では、VHは、以下からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む:位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置76にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThr(アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って付番される)。
【0036】
一部の実施形態では、VLは、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含み、VHは、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含む。
【0037】
一部の実施形態では、VLは、位置46にLeu、及び位置87にPheを含み、VHは、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含む。
【0038】
一部の実施形態では、VLは、配列番号32~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含む。
【0039】
一部の実施形態では、VHは、配列番号43~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含む。
【0040】
一部の実施形態では、VLは、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む。
【0041】
一部の実施形態では、VLは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む。
【0042】
一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~14に記載のアミノ酸配列を含む。
【0043】
一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、VLまたはVHのN末端に融合される。
【0044】
一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、スペーサーによってVLまたはVHのN末端に融合される。一部の実施形態では、スペーサーは、ペプチドスペーサーである。一部の実施形態では、スペーサーは、アミノ酸配列GGGYSを含む。
【0045】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ4、Alλ1、またはATTR原線維に結合する。
【0046】
別の態様では、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を含む薬学的組成物が本明細書に提供される。
【0047】
別の態様では、修飾免疫グロブリン及び抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする核酸(複数可)が本明細書に提供される。別の態様では、核酸(複数可)を含むベクターが本明細書に提供される。別の態様では、ベクターを含む宿主細胞が本明細書に提供される。
【0048】
別の態様では、本発明は、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を作製する方法を提供し、段落[0045]に記載の宿主細胞を、培修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質をコードするベクターの発現に好適な条件下で培養することと、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を回収することと、を含む。
【0049】
別の態様では、本発明は、アミロイド関連障害を有する対象を治療する方法を提供し、対象に、有効量の修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することを含む。
【0050】
一部の実施形態では、アミロイド関連障害は、アミロイドーシスである。
【0051】
一部の実施形態では、アミロイド関連障害は、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される。
【0052】
一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0053】
別の態様では、本発明は、クリアランスのためにアミロイド沈着物を標的化する方法を提供し、アミロイド沈着物を、本明細書に提供される修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させることを含む。一部の実施形態では、アミロイド沈着物が除去される。一部の実施形態では、アミロイド沈着物は、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質によってオプソニン化される。
【0054】
別の態様では、アミロイド沈着物を修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させることを含む、クリアランスのためにアミロイド沈着物を標的化する方法が本明細書に提供される。
【0055】
一部の実施形態では、クリアランスのためにアミロイド沈着物を標的化することは、アミロイド沈着物のクリアランスをもたらす。
【0056】
一部の実施形態では、クリアランスは、アミロイド沈着物のオプソニン化から生じる。
【0057】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質におけるアミロイド反応性ペプチドの半減期は、アミロイド反応性ペプチド単独と比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれ以上増加する。
【0058】
別の態様では、修飾免疫グロブリンを生成する方法が本明細書に提供され、当該方法は、第1の発現ベクター及び第2の発現ベクターを提供することであって、第1の発現ベクターが、Ig抗体軽鎖またはその機能的断片をコードする第1の核酸配列を含み、第2の発現ベクターが、Ig抗体重鎖またはその機能的断片をコードする第2の核酸配列を含み、第1の発現ベクター及び/または第2の発現ベクターが、第1のペプチドをコードする第3の核酸配列を含み、第3の核酸配列が、第1の核酸配列及び/または第2の核酸配列に隣接して位置する、提供することと、第1の発現ベクター及び第2の発現ベクターを細胞に挿入することであって、細胞における第1の発現ベクター及び第2の発現ベクターの発現が、第1のペプチドに連結される免疫グロブリンをもたらす、挿入することと、を含む。
【0059】
一部の実施形態では、第1の発現ベクター及び/または第2の発現ベクターは、第2のペプチドをコードする第4の核酸配列を含み、第4の核酸配列は、第1の核酸配列及び/または第2の核酸配列に隣接して位置する。
【0060】
一部の実施形態では、細胞における第1の発現ベクター及び第2の発現ベクターの発現は、第1のペプチド及び第2のペプチドに連結される免疫グロブリンをもたらす。
【0061】
一部の実施形態では、スペーサー核酸配列は、第3の核酸配列と第1の核酸配列及び/または第2の第1の核酸配列との間に位置する。
【0062】
別の態様では、本発明は、アミロイド系疾患に罹患している対象、またはアミロイド系疾患に罹患していると疑われる対象を治療する方法を提供し、i)対象に、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することであって、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合が、検出可能な標識を含む、投与することと、ii)検出可能な標識に関連するシグナルが対象から検出され得るかどうかを判定することと、b)シグナルが検出された場合、対象に、アミロイドーシス治療を施すことと、を含む。
【0063】
一部の実施形態では、シグナルが検出されなかった場合、本方法は、アミロイド沈着物のその後の発生について、対象を監視することをさらに含む。
【0064】
一部の実施形態では、本方法は、シグナルの強度を決定することと、シグナルを閾値と比較することと、をさらに含み、閾値を超えると、対象は、アミロイド沈着物を有すると判定される。
【0065】
一部の実施形態では、アミロイドーシス治療は、対象に、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することを含む。
【0066】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質の投与は、対象におけるアミロイド沈着物のクリアランスをもたらす。
【0067】
別の態様では、本発明は、対象におけるアミロイド沈着物を特定する方法を提供し、対象に、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することであって、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合が、検出可能な標識を含む、投与することと、修飾免疫グロブリンまたは抗体ペプチド融合タンパク質からのシグナルを検出することと、を含む。
【0068】
一部の実施形態では、対象は、アミロイドを含まないか、または意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、もしくは1つ以上の関連する形質細胞疾患を患っていると判定される。
【0069】
別の態様では、本発明は、リガンドを検出する方法を提供し、段落のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合を検出可能に標識することであって、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質のペプチドが、リガンドに対する結合親和性を有する、標識することと、リガンドを修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させることと、検出可能な標識からのシグナルを決定し、それによって、リガンドを検出することと、を含む。
【0070】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンまたは抗体ペプチド融合タンパク質は、検出可能な標識にコンジュゲートされる。
【0071】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質は、アミロイド反応性ペプチドのN末端側にあるスペーサーを含む。
【0072】
一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、抗体のVHのN末端に連結される。
【0073】
一態様では、ヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体が本明細書に提供され、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、VLは、以下からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含み:位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPhe、VHは、以下からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む:位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置76にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThr(ここで、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って付番される)。
【0074】
一部の実施形態では、VLは、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含み、VHは、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含む。
【0075】
一部の実施形態では、VLは、位置46にLeu、及び位置87にPheを含み、VHは、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含む。
【0076】
一部の実施形態では、VLは、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含む。
【0077】
一部の実施形態では、VHは、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含む。
【0078】
一部の実施形態では、VLは、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む。
【0079】
一部の実施形態では、VLは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む。
【0080】
別の態様では、ヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体が本明細書に提供され、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、a)VLは、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むか、またはb)VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むか、またはc)VLは、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0081】
一部の実施形態では、VLは、以下からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む:位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPhe、VHは、以下からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む:位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置76にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThr(ここで、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って付番される)。
【0082】
一部の実施形態では、抗体は、全長抗体、Fab断片、またはscFvである。
【0083】
一部の実施形態では、抗体は、Fc領域を含む。
【0084】
一部の実施形態では、Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプのFc領域である。
【0085】
一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、検出可能な標識にコンジュゲートされる。
【0086】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、rVλ6Wil原線維、Per125 wtATTR抽出物、KEN hATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及び/またはTAL ALκ肝臓抽出物に結合する。
【0087】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ4、Alλ1、またはATTR原線維に結合する。
【0088】
別の態様では、ヒト化抗体を含む薬学的組成物が本発明に提供される。別の態様では、本発明は、ヒト化抗体をコードする核酸(複数可)を提供する。別の態様では、核酸(複数可)を含むベクターが本明細書に提供される。別の態様では、ベクターを含む宿主細胞が本明細書に提供される。
【0089】
別の態様では、本発明は、ヒト化抗体を作製する方法を提供し、ヒト化抗体をコードするベクターの発現に好適な条件下で、段落[0088]に記載の宿主細胞を培養することと、ヒト化抗体を回収することと、を含む。
【0090】
別の態様では、本発明は、アミロイド関連障害を有する対象を治療する方法を提供し、対象に、有効量のヒト化抗体を投与することを含む。一部の実施形態では、アミロイド関連障害は、アミロイドーシスである。一部の実施形態では、アミロイド関連障害は、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0091】
別の態様では、本発明は、アミロイド系疾患に罹患しているか、またはそれに罹患していると疑われる対象を治療する方法を提供し、当該方法は、ヒト化抗体を検出可能に標識すること、対象にヒト化抗体を投与すること、検出可能な標識に関連するシグナルが対象から検出され得るかどうかを判定すること、によって、対象がアミロイド沈着物を有するかどうかを判定することと、シグナルが検出された場合、対象にアミロイドーシス治療を施すことと、を含む。
【0092】
一部の実施形態では、シグナルが検出されなかった場合、本方法は、アミロイド沈着物のその後の発生について、対象を監視することをさらに含む。
【0093】
一部の実施形態では、本方法は、シグナルの強度を決定することと、シグナルを閾値と比較することと、をさらに含み、閾値を超えると、対象がアミロイド沈着物を有すると判定される。一部の実施形態では、アミロイドーシス治療は、対象にヒト化抗体を投与することを含む。
【0094】
別の態様では、本発明は、対象におけるアミロイド沈着物を特定する方法を提供し、ヒト化抗体を検出可能に標識することと、対象にヒト化抗体を投与することと、ヒト化抗体からのシグナルを検出することと、を含む。
【0095】
一部の実施形態では、対象は、アミロイドを含まないか、または意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、もしくは1つ以上の関連する形質細胞疾患を患っていると判定される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図1】アミロイド及びアミロイド関連障害の部分的なリストを示す。
【
図2】Ig-ペプチド融合物の概略図である。パネルAは、Ig軽鎖のN末端に融合されたペプチドp5(配列番号1)の概略図を示す。パネルBは、Ig-ペプチド融合物を示し、ペプチドp5(配列番号1)に融合された2つのIg軽鎖を有するIg構造を示している。
【
図3】アミロイド沈着物をクリアするためのIg-ペプチド融合物(縮尺通りではない)の、提案された作用様式の概略図を示す。Ig-ペプチドは、アミロイド原線維(または、ヘパラン硫酸グリコサミノグリカン)とのペプチド相互作用を通してアミロイドに結合し、これがマクロファージを動員し、次いで、アミロイドを破壊するために飲み込む(貪食する)。
【
図4】SDS-PAGEゲル電気泳動後の
125I-Igp5のオートラジオグラフを示す。非還元条件下では、タンパク質は単一のIgとして泳動され、還元された場合、重鎖及び軽鎖-p5を含み、インタクトなIg分子と一致することが示された。
【
図5】注射後20時間におけるAAアミロイドマウス(AA)及び健常なアミロイド不含マウス(WT)における
125I-Igp5の生体内分布を示す。
【
図6】Igp5の注射後20時間におけるAAマウス及び健常な野生型対照における
125I-Igp5のSPECT/CT画像を示し、AAマウスのアミロイドを含む肝臓及び脾臓における取り込み、ならびにWT動物における試薬の長い血液プール半減期を示す。H、心臓;L、肝臓;S、脾臓。赤色/黄色は、
125I-Igp5の存在を示す。
【
図7】ヒトTHP1単球/マクロファージの存在下におけるpHrodo赤色標識rVλ6Wil原線維のインビトロでの貪食を示す。蛍光強度の増加は、マクロファージのファゴリソソームの低pH環境における標識アミロイド基質の存在を示す。MOPC 31cは、原線維との反応性を有しないマウスモノクローナル抗体対照である。
【
図8】SDS-PAGEゲル電気泳動後の
125I-Igp5のオートラジオグラフを示す。Igp5を組織培養上清から精製し、
125Iで放射標識し、対照としてマウス11-1F4(IgG1κ)を使用して、SDS-PAGEによって、生成物を特徴付けた。タンパク質を、還元条件(Red.)及び非還元条件(NR)の両方下で分析した。
【
図9】多様なアミロイド関連基質への
125I-Igp5の結合を示す。パネルAは、
125I-m11-1F4及び
125I-Igp5の、κ4-ペプチドでコーティングされたビーズまたはrVλ6Wil原線維への結合を示す。
125I-m11-1F4は、κ4-ペプチドでコーティングされたビーズに結合するが、rVλ6Wil原線維には結合せず、一方、
125I-Igp5は、両方の基質に結合する。パネルBは、
125I-Igp5及びm11-1F4の、多様な合成アミロイド原線維及びアミロイド抽出物への結合の定量化を示す。パネルCは、
125I-Igp5及び
125I-p5の基質への結合の間の相関を示す。
125I-Igp5の多様な合成アミロイド原線維及びアミロイド抽出物への結合は、m11-1F4と比較して大幅に増強され、反応性は、p5ペプチド単独のものと相関しており、結合が、ペプチドによって駆動されることを示す。
【
図10】様々な組織のミクロオートラジオグラフィー(ARG)分析及びコンゴレッド染色を示す。パネルAは、マウスにおける肝脾AAアミロイド、ならびに他の組織のアミロイド結合における
125I-Igp5の保持を示す。ARG及びコンゴレッド染色は、マウスにおける肝脾AAアミロイド、ならびに他の組織のアミロイド結合における
125I-Igp5の特異的保持を示す。パネルBは、アミロイド不含組織のARG分析の結果を示す。健常(WT)マウスにおいて、アミロイド不含組織との特異的な反応性は観察されず、特定された
125I-Igp5の供給源は、血液プールのみであった。
【
図11A】mIgG-p5の概略図を示す。左から右へ、mIgG-p5のC末端からN末端への領域を図示し、Ig軽鎖配列(「IgLC」、220アミノ酸)、スペーサー配列、ペプチドp5(31アミノ酸)、スペーサー配列、及びN末端分泌リーダー配列が含まれる。
【
図11B】mIgG-p5の領域のアミノ酸配列を示し、左から右へ、Ig軽鎖のN末端(アミノ酸残基DVVMTQTP(配列番号82)から始まる)、p5ペプチドのC末端のスペーサー配列(アミノ酸残基VTPTV(配列番号24))、ペプチドp5(アミノ酸残基KAQKAQAKQAKQAQKAQKAQAKQAKQ(配列番号1))、及びN末端のスペーサー配列(アミノ酸残基AQAGQAGQAQGGGYS(配列番号23))が含まれる。C末端からN末端へ、アミノ酸配列が示されている。
【
図11C】Ig軽鎖のN末端に融合されたペプチドp5の提案された構造モデルを示す。
【
図11D】SDS-PAGEゲル電気泳動後の
125I標識mIgG-p5、
125I-m11-1F4、及び
125I-p5のオートラジオグラフを示す。各タンパク質は、非還元(「NR」)または還元(「R」)条件下の、全長抗体(「Ig」)、重鎖(「HC」)、軽鎖(「LC」)、及びペプチドp5の相対的な位置が示されている。
【
図11E】野生型アミロイド不含マウスにおける、
125I-mIgG-p5を注射して24、48、または72時間後の
125I標識mIgG-p5の生体内分布を示す。y軸は、組織1g当たりの注射用量の割合としての生体内分布のレベルを示し、組織の種類は、x軸上に示されている。
【
図11F】AAアミロイドーシス(主に肝臓及び脾臓)を有するマウスにおける、
125I-mIgG-p5を注射して24、48、または72時間後の
125I標識mIgG-p5の生体内分布を示す。y軸は、組織1g当たりの注射用量の割合としての生体内分布のレベルを示し、組織の種類は、x軸上に示されている。
【
図11G】注射24時間後の、AAアミロイドーシスを有するマウスにおける
125I標識mIg-p5を示すマイクロオートグラフィー画像を示す。24時間を黒色で示し、48時間を濃い灰色で示し、72時間を薄い灰色で示した。
【
図12】親マウス抗体m11-1F4の注釈付きVH(上、配列番号15)及びVL(下、配列番号16)のアミノ酸配列を示す。CDRはボックスで示され、正準フレームワーク領域の残基は、下線が引かれ、VH-VL界面の残基は、太字及び斜体で示されている。
【
図13A】合成rVλ6Wil軽鎖アミロイド様原線維への、キメラ(c)11-1F4、及びヒト化バリアント、VH10/VL4、VH9/VL4、VH8/VL4、VH7/VL4、またはVH6/VL3の結合を測定する、ユーロピウム結合免疫吸着アッセイ(EuLISA)からのデータを示す。
【
図13B】rVλ6Wil原線維への70%純粋なVH6/VL3-p5(6-3-p5)、65%純粋なVH6/VL3-p5R(6-3-p5R)、c11-1F4、またはVH6/VL3の結合を測定するEuLISAからのデータを示す。
【
図13C】rVλ6Wil原線維、Per125 wtATTR抽出物、Ken ATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、またはTAL ALκ肝臓抽出物へのVH9/VL/4-p5Rの結合を測定するEuLISAからのデータを示す。
【
図13D】rVλ6Wil原線維、Per125 wtATTR抽出物、Ken ATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、またはTAL ALκ肝臓抽出物へのVH9/VL/4-p5の結合を測定するEuLISAからのデータを示す。
【
図13E】rVλ6Wil原線維へのc11-1F4、m11-1F4、またはVH9/VL4の結合を測定するEuLISAからのデータを示す。
【
図13F】Sno ATTR抽出物(濃い灰色の円)またはKen ATTR抽出物(薄い灰色の円)へのVH6/VL3-p5の結合、及びSno ATTR抽出物(黒色の正方形)へのc11-1F4の結合を測定するEuLISAからのデータを示す。
【
図13G】Per125 wtATTR(灰色の円、ラベルを参照)、Sno ATTR抽出物(濃い灰色の円)、またはKen ATTR抽出物(薄い灰色の円)へのVH6/VL3-p5Rの結合、及びSno ATTR抽出物(黒い正方形)へのc11-1F4の結合を測定するEuLISAからのデータを示す。x軸に、モノクローナル抗体の対数変換モル濃度(-log(M))を示し、y軸に、結合のレベル(フェムトモル ユウロピウム)を示す。
【
図14】プルダウンアッセイにおいて組織から得られた、rVλ6Wilアミロイド様原線維及びヒトアミロイド抽出物への
125I-mIgp5結合の結果を示す。y軸は、結合した
125I-mIgG-p5の割合を示し、各試料の結合の割合は、ヒストグラムのバーの上に示されている。x軸は、試験したアミロイド抽出物の種類を示し、左から右へ、rVλ6Wil原線維(71%結合)、SNO遺伝性(h)ATTR(12%結合)、KEN hATTR(15%結合)、Per125 wtATTR(31%結合)、Per253野生型(wt)ATTR(17%結合)、ALκ HIG抽出物(10%結合)、ALκ TAL抽出物(37%結合)、ALλ SHI抽出物(34%結合)、及びALλ TYL抽出物(21%結合)が含まれる。エラーバーは、標準偏差を表す。
【
図15A】x軸上で左から右へ示されるように、ヒトTHP-1マクロファージ単独による、またはヒト(h)IgG対照、ch11-1F4、muIgp5(expiHEK293細胞株で産生)、VH6/VL3-p5、もしくはVH6/VL3-p5Rの存在下での、pHrodo赤色標識rVλ6Wil原線維の取り込みを示す。y軸は、rVλ6Wil原線維の取り込みのレベル(蛍光単位で測定)を示し、エラーバーは、標準偏差を表す。
【
図15B】x軸上で左から右へ示されるように、THP-1単独、またはともにhIgG対照、c11-1F4、mIgp5、VH9/VL4-p5、もしくはVH9/VL4-p5Rの存在下での、マクロファージによるpHrodo赤色標識rVλ6Wil原線維の貪食を示す。y軸は、貪食のレベル(蛍光単位)を示し、エラーバーは、標準偏差を表す。
【
図15C】x軸上で左から右へ示されるように、hIgG対照、5μgのリツキサン(陰性対照としてのキメラmAb)、5μgのc11-1F4、5μgのVH6/VL3、5μgのVH9/VL4、VH6/VL3-p5R、またはVH6/VL3-p5の存在下での、マクロファージによるpHrodo赤色標識rVλ6Wil原線維の貪食を示す。y軸は、貪食(pHrodo蛍光)のレベルを示し、エラーバーは、標準偏差を表す。
【
図16】野生型(「WT」)マウスに静脈内投与された
125I標識VH9/VL4抗体の薬物動態(PK)分析を示す。x軸は、投与後の時間を時間で示し、y軸は、血中放射能のレベルを1分間当たりのカウント(「cpm」)で示す。曲線への適合は、二重指数関数的減衰方程式を使用する。
【
図17A】WTアミロイド不含マウスにおける
125I-VH9/VL4-p5の生体内分布を示す。x軸は、左から右へ、筋肉、肝臓、膵臓、脾臓、左腎臓、右腎臓、胃、上部腸管、下部腸管、心臓、肺、及び血液を含むサンプリングされた臓器を示し、y軸は、組織1グラム当たりの注射用量の割合として、生体内分布レベルを示す。
【
図17B】WTアミロイド不含マウスにおける
125I-VH9/VL4-p5Rの生体内分布を示す。x軸は、左から右へ、筋肉、肝臓、膵臓、脾臓、左腎臓、右腎臓、胃、上部腸管、下部腸管、心臓、肺、及び血液を含むサンプリングされた臓器を示し、y軸は、組織1グラム当たりの注射用量の割合として、生体内分布レベルを示す。
【
図18】マウス血漿中のVH6/VL3-p5の安定性を測定するペプチド捕捉ELISAからのデータを示す。100nMのVH6/VL3-p5を、4℃のPBS(最も濃い灰色)、37℃のPBS(中低度の濃い灰色の円)、37℃のEDTA抗凝固血漿(中低度の薄い灰色の円)、または37℃のヘパリン抗凝固血漿(最も薄い灰色の円)のいずれかに添加した。x軸は、投与後の時間を日数で示し、y軸は、リガンドに結合する抗体を吸光度単位(「au」)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0097】
アミロイドに結合する修飾免疫グロブリンが本明細書に提供される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、ペプチド-Ig融合物である。
【0098】
I.定義
特に明記しない限り、技術用語は、従来の用法に従って使用される。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin,Genes IX,Jones and Bartlet出版,2008(ISBN 0763752223)、Kendrew et al.(eds.),The Encyclopedia of Molecular Biology,Blackwell Science Ltd.出版,1994(ISBN 0632021829)、及びRobert A.Meyers(ed.),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,VCH Publishers,Inc.出版,1995(ISBN 9780471185710)、ならびに他の同様の参考文献に見出すことができる。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明らかにそうではないことが示されていない限り、単数形ならびに複数形の両方を指す。「例えば(e.g.)」という略語は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、非限定的な例を示すために本明細書で使用される。したがって、「例えば(e.g.)」という略語は、「例えば(for example)」という用語と同義である。本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」という用語は、「含む(includes)」を意味する。
【0099】
本明細書において、範囲は、「約」ある特定の値から、及び/または「約」別の特定の値まで、として表現することができる。かかる範囲が表現された場合、別の態様は、範囲の一方の特定の値から、及び/または範囲の他方の特定の値まで、を含む。範囲の各々のエンドポイントは、他のエンドポイントとの関係において、及び他のエンドポイントとは独立して、の両方で重要であることがさらに理解されるであろう。同様に、値が近似値として表現される場合、先行する「約」の使用によって、特定の値が別の態様を形成することが理解されるであろう。特定の例示的な実施形態では、「約」という用語は、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均の2標準偏差以内であると理解される。約は、記載の値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内であると理解され得る。文脈から別途明確でない限り、本明細書に提供されるすべての数値は、約という用語によって修飾され得る。さらに、「例」、「例示的な」、または「例示される」などの本明細書で使用される用語は、選好を示すことを意味するものではなく、むしろ、その後に論じられる態様が、提示された態様の単なる一例であることを説明するものである。
【0100】
核酸またはポリペプチドに対して与えられるすべての塩基のサイズまたはアミノ酸のサイズ、及びすべての分子量または分子質量の値は、おおよその値であり、説明のために提供されることをさらに理解されたい。本明細書に記載のものと同様または同等の方法及び材料が、本開示の実施または試験に使用され得るが、好適な方法及び材料を以下に記載する。矛盾する場合、用語の説明を含めて、本明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び実施例は例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0101】
本開示の様々な実施形態の概説を容易にするために、特定の用語の以下の説明が提供される。
【0102】
投与:選択された経路による対象への組成物の導入。例えば、選択された経路が静脈内である場合、組成物を対象の静脈に導入することによって、組成物が投与される。一部の実施例では、対象に、ペプチドが投与される。
【0103】
アミロイド、アミロイド沈着物、アミロイド原線維、及びアミロイド線維という用語は、特定の構造的特徴を共有する不溶性の線維状タンパク質の凝集体を指す。タンパク質凝集体は、例えば、いくつかの異なるタンパク質のいずれかの凝集によって形成され、繊維軸に垂直に積み重ねられたβシートの規則正しい配置からなる三次構造を有する。Sunde et al.,J.Mol.Biol.(1997)273:729-39を参照されたい。臓器中にアミロイドが異常に蓄積すると、アミロイドーシスにつながる可能性がある。それらの発生は多様であるが、すべてのアミロイドは、コンゴレッドなどの特定の色素で染色され、染色後の偏光で特徴的な赤緑色の複屈折外観を有するという点で、共通の形態学的特性を有する。アミロイドはまた、共通の超微細構造的特徴及び共通のX線回折及び赤外スペクトルを共有する。
【0104】
アミロイドーシスは、アミロイドの存在(例えば、アミロイド沈着物の存在)を特徴とする病理学的状態または疾患を指す。「アミロイド疾患」または「アミロイドーシス」は、アミロイド原線維の形成、沈着、蓄積、または持続に関連する疾患である。かかる疾患には、限定されないが、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、及び脳βアミロイド血管症が含まれる。他のアミロイド疾患、例えば、全身性AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス、及びII型糖尿病のIAPPアミロイドーシスも、アミロイド疾患である。
【0105】
アミロイド原性とは、アミロイド沈着物を産生すること、または産生する傾向があることを指す。例えば、特定の可溶性モノマータンパク質は、大規模な立体構造変化を起こし、それらの凝集を非常に規則正しい、分枝のない8~10nm幅の原線維へと導き、最終的にアミロイド凝集体の形成をもたらし得る。例えば、ヒトでは、30種類を超えるタンパク質が、アミロイド沈着物(またはアミロイド)を形成することが見出されている。免疫グロブリン軽鎖などの多様なタンパク質のクラス内のすべてタンパク質がアミロイドを形成することができるわけではなく、すなわち、一部のタンパク質は、非アミロイド原性であり、つまり、アミロイドを形成する傾向がない。しかしながら、このクラスの他のタンパク質は、アミロイド沈着物を形成することができ、したがって、アミロイド原性である。さらに、軽鎖タンパク質のクラス内の一部は、アミロイド原線維を形成する容易さに基づいて、他のものよりも「アミロイド原性」であるとみなされ得る。特定の軽鎖タンパク質は、患者またはインビトロでアミロイド原線維を容易に形成することができないため、非アミロイド原性または低アミロイド原性とみなされる。
【0106】
動物:生きている多細胞脊椎動物、例えば、哺乳類及び鳥類を含むカテゴリー。哺乳動物という用語は、ヒト及び非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、「対象」という用語は、ヒト対象及び獣医学的対象の両方を含む。一部の実施例では、対象は、アミロイド疾患に罹患している対象などの対象である。
【0107】
クリアランス:「クリアする」または「クリアランス」という用語は、測定可能な程度で低減または除去することを指す。例えば、本明細書に記載されるアミロイド沈着物のクリアランスは、測定可能または識別可能な程度まで沈着物を低減または除去することに関する。クリアランスは、100%の除去をもたらす場合があるが、100%除去する必要はない。むしろ、クリアランスは、100%未満の除去(例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、またはそれ以上の除去)をもたらし得る。
【0108】
コンジュゲート:本明細書で使用される場合、「コンジュゲート」という用語は、2つ以上の材料の結合または連結の生成物を指し、得られる生成物は、少なくとも2つのドメインなどの少なくとも2つの異なる要素を有する。結合される材料は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。かかる結合は、1つ以上の連結基を介してもよい。「タンパク質コンジュゲート」は、例えば、2つ以上のアミノ酸配列のカップリングから生じる。2つのタンパク質のコンジュゲートは、例えば、個々に連結されたタンパク質の各々に対応するドメインを有する単一のタンパク質をもたらす。
【0109】
抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、及びヘテロ免疫グロブリン(モノクローナル抗体が好ましい)のクラスに属する一本鎖、二本鎖、及び多鎖のタンパク質ならびに糖タンパク質を指し、これらの免疫グロブリンの合成バリアント及び遺伝子操作バリアントも含まれる。「抗体断片」には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、ならびに所望の標的エピトープ(複数可)に対する特異性を有する抗体の任意の部分が含まれる。「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンによって産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に既知の方法によって(例えば、骨髄腫細胞と免疫脾細胞との融合物から、ハイブリッドの抗体形成細胞を作製することによって)、産生される。
【0110】
エピトープとは、抗体によって認識される抗原上の部位を指し、抗体のアミノ酸配列の特異性によって決定される。エピトープは、抗原決定基とも呼ばれる。例えば、エピトープは、特定の抗体によって認識される組換えタンパク質の一部であってもよい。さらに、エピトープは、立体構造エピトープ及び直鎖状エピトープであり得る。
【0111】
キメラ抗体は、典型的には異なる種のものである2つの異なる抗体に由来する配列を含む抗体を指す。最も典型的には、キメラ抗体は、ヒト抗体断片とマウス抗体断片と(概して、ヒト定常領域とマウス可変領域と)を含む。
【0112】
ヒト化抗体は、非ヒト抗体(典型的には、マウス)に由来する抗体、及び親抗体の抗原結合特性を保持または実質的に保持するが、ヒトにおける免疫原性が低いヒト抗体を指す。
【0113】
相補性決定領域またはCDRは、天然免疫グロブリン結合部位の天然Fv領域の結合親和性と特異性とを一緒に定義するアミノ酸配列を指す。免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖は、各々、3つのCDRを有し、それぞれ、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、及びH-CDR1、H-CDR2、H-CDR3と称される。定義により、軽鎖のCDRは、位置24及び34の残基(L-CDR1)、位置50及び56の残基(L-CDR2)、位置89及び97の残基(L-CDR3)によって境界が定められ、重鎖のCDRは、位置31及び35bの残基(H-CDR1)、位置50及び65の残基(H-CDR2)、位置95及び102の残基(H-CDR3)によって境界が定められる(Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Edition,Department of Health and Human Services,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda(NIH Publication No.91-3242)によって描写された付番規則を使用)。
【0114】
フレームワーク領域は、CDR間に挿入されたアミノ酸配列を指す。抗体のこれらの部分は、抗原結合のために、CDRを適切な配向で保持する役割を果たす。
【0115】
特異性決定残基またはSDRは、抗原接触に直接関与する免疫グロブリンのアミノ酸残基を指す。
【0116】
定常領域は、エフェクター機能を付与する抗体分子の一部分を指す。本発明において、バリアント抗体は、ヒト免疫グロブリンに由来する定常領域を含む。重鎖定常領域は、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミューの5つのアイソタイプのうちのいずれかから選択することができる。様々なサブクラスの重鎖(例えば、重鎖のIgGサブクラス)は、異なるエフェクター機能を担う。したがって、所望の重鎖定常領域を選択することによって、所望のエフェクター機能を有するヒト化抗体を産生することができる。軽鎖定常領域は、カッパ型またはラムダ型(好ましくは、カッパ型)であり得る。
【0117】
有効量または治療有効量:障害もしくは疾患のいずれかの症状及び/または根本的な原因を、防止、治療(予防を含む)、軽減、及び/または緩和するために(例えば、アミロイドーシスを防止、抑制するために)十分である薬剤の量。一部の実施形態では、「有効量」は、疾患の症状を低減または除去するのに十分である。有効量は、1回以上投与することができる。例えば、有効量のペプチドは、アミロイドに結合するのに十分な量である。ペプチドは、例えば、体重1kg当たり約1μg超~約30mg/kgの量で非経口投与される場合に有効であり得る。
【0118】
発現制御配列:作動可能に連結された異種核酸配列の発現を調節する核酸配列。発現制御配列は、発現制御配列が核酸配列の転写及び適切な翻訳を制御及び調節する場合、核酸配列に作動可能に連結される。したがって、発現制御配列は、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(ATG)、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAの適切な翻訳を可能にするためのその遺伝子の正しいリーディングフレームの維持、及び終止コドンを含み得る。「制御配列」という用語は、少なくとも、その存在が発現に影響を及ぼし得る構成要素を含み、また、その存在が有利である追加の構成要素(例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列)も含み得ることが意図される。発現制御配列は、プロモーターを含むことができる。
【0119】
プロモーターは、転写を誘導するのに十分な最小の配列である。また、プロモーター依存性の遺伝子発現を、細胞型特異的、組織特異的、または外部シグナルもしくは薬剤によって誘導可能なものにするのに十分であるプロモーターエレメントも含まれ、かかるエレメントは、遺伝子の5’領域または3’領域に位置し得る。構成的プロモーター及び誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitter et ah,Methods in Enzymology 153:516-544,1987を参照されたい)。例えば、細菌システムにおけるクローニングの場合、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-lacハイブリッドプロモーター)などの誘導性プロモーターを使用することができる。一実施形態では、哺乳動物細胞システムにおけるクローニングの場合、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、レトロウイルス長鎖末端反復、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を使用することができる。組換えDNAまたは合成技術によって生成されるプロモーターも、核酸配列の転写を提供するために使用することができる。ポリヌクレオチドを、宿主の挿入された遺伝子配列の効率的な転写を促進する、プロモーター配列を含む発現ベクターに挿入することができる。発現ベクターは、典型的には、複製起点、プロモーター、ならびに形質転換細胞の表現型の選択を可能にする特定の核酸配列を含む。
【0120】
抑制:測定可能な程度で低減すること。抑制は、例えば、測定される態様の機能の完全な喪失または完全な停止を必要としない。例えば、プラークの形成を抑制することは、プラークのさらなる成長を停止すること、プラークのさらなる成長を減速すること、またはプラークのサイズを減少させることを意味し得る。
【0121】
疾患の抑制または治療:疾患または状態の完全な発症を抑制すること(例えば、アミロイドーシスを抑制すること)。「治療」は、疾患または病理学的状態が発症し始めた後の、徴候または症状を改善する治療的介入を指す。「緩和する」という用語は、疾患または病理学的状態に関して、治療の任意の観察可能な有益な効果を指す。有益な効果は、例えば、感受性のある対象における疾患の臨床症状の発症の遅延、疾患の一部またはすべての臨床症状の重症度の低減、疾患の進行の遅延、対象の全体的な健康状態または幸福度の改善、または特定の疾患に特異的である当該技術分野で周知の他のパラメータによって証明され得る。「予防的」治療は、病態を発症するリスクを低減する目的で、疾患の徴候を示さないか、または初期の徴候のみを示す対象に投与される治療である。
【0122】
アミロイド沈着物の形成に関して、「抑制」は、対照と比較した場合など、アミロイド沈着物の形成における減少の防止を指す。例えば、抑制は、対照と比較した場合、アミロイド沈着物の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、またはそれ以上の減少をもたらし得る。
【0123】
標識は、別の分子に直接的または間接的にコンジュゲートされ、その分子の検出を容易にする任意の検出可能な化合物または組成物を指す。標識の特定の非限定的な例としては、蛍光タグ、化学発光タグ、ハプテン、酵素結合、及び放射性同位体が挙げられる。「検出可能に標識される」タンパク質は、例えば、タンパク質の存在が、タンパク質と関連付けられた標識によって決定され得ることを意味する。
【0124】
単離された:「単離された」生物学的成分、例えば、ペプチド(例えば、本明細書に開示されるペプチドのうちの1つ以上)、細胞、核酸、または血清試料は、その成分が天然に存在する生物の細胞の他の生物学的成分(例えば、他の染色体及び染色体外のDNA及びRNA、ならびにタンパク質)から実質的に分離され、別個に産生され、または精製されている。したがって、「単離」された核酸、ペプチド、及びタンパク質は、標準的な精製方法によって精製された核酸及びタンパク質を含む。この用語はまた、細胞における組換え発現によって調製された核酸、ペプチド、及びタンパク質、ならびに化学的に合成されたペプチド及び核酸を包含する。「単離された」または「精製された」という用語は、絶対的な純粋性を必要とせず、むしろ、相対的な用語として意図されている。したがって、例えば、単離されたペプチド調製物は、ペプチドまたはタンパク質が、細胞内のその天然環境にあるものよりも濃縮されている。好ましくは、調製物は、タンパク質またはペプチドが、調製物の全ペプチドまたは全タンパク質の含有量の少なくとも50%(例えば、ペプチドまたはタンパク質濃度の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはさらに少なくとも99%)を表すように精製される。
【0125】
連結する:本明細書で使用される場合、「連結する(join)」、「連結された(joined)」、「連結する(link)」、または「連結された(linked)」という用語は、タンパク質及び/またはタンパク質ドメインを機能的に接続するための当該技術分野で既知の任意の方法を指す。例えば、1つのタンパク質ドメインは、例えば、組換え融合タンパク質において、介在する配列またはドメインの有無にかかわらず、共有結合を介して別のタンパク質ドメインに連結され得る。また、連結されたとは、例えば、配列が一緒に発現されるように、2つの核酸配列を同じ核酸鎖に一緒に配置するなど、2つの配列を一緒に組み込むことも含む。
【0126】
核酸:ホスホジエステル結合を介して連結されたヌクレオチド単位(リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、関連する天然に存在する構造バリアント、及びそれらの天然に存在しない合成類似体)、関連する天然に存在する構造バリアント、及びそれらの天然に存在しない合成類似体からなるポリマー。したがって、この用語は、ヌクレオチド及びそれらの間の連結が、例えば、限定されないが、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)などの、天然に存在しない合成類似体を含むヌクレオチドポリマーを含む。かかるポリヌクレオチドは、例えば、自動化されたDNAシンセサイザーを使用して合成され得る。「オリゴヌクレオチド」という用語は、典型的には、概して約50ヌクレオチド以下の短いポリヌクレオチドを指す。ヌクレオチド配列がDNA配列(すなわち、A、T、G、C)によって表される場合、「T」が「U」に置き換わるRNA配列(すなわち、A、U、G、C)もこれに含まれることが理解されるであろう。
【0127】
ヌクレオチドには、糖に連結された塩基(例えば、ピリミジン、プリン、もしくはその合成類似体)、またはアミノ酸に連結された塩基(例えば、ペプチド核酸(PNA))を含むモノマーが含まれるが、これらに限定されない。ヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの中の1つのモノマーである。ヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチドの塩基の配列を指す。
【0128】
ヌクレオチド配列を説明するために、従来の表記が本明細書で使用される:一本鎖ヌクレオチド配列の左端は、5’末端であり、二本鎖ヌクレオチド配列の左方向は、5’方向と称される。新生RNA転写物への5’から3’へのヌクレオチドの付加の方向は、転写方向と称される。mRNAと同じ配列を有するDNA鎖は「コード鎖」と呼ばれ、そのDNAから転写されたmRNAと同じ配列を有し、RNA転写物の5’末端に対して5’に位置するDNA鎖上の配列は「上流配列」と呼ばれる。RNAと同じ配列を持ち、コードRNA転写物の3’末端に対して3’にあるDNA鎖上の配列は、「下流配列」と呼ばれる。
【0129】
cDNAは、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかの、mRNAに相補的または同一であるDNAを指す。
【0130】
コードするとは、ポリヌクレオチド(例えば、遺伝子、cDNA、またはmRNA)におけるヌクレオチドの特定の配列の固有の特性を指し、ヌクレオチド(例えば、rRNA、tRNA、及びmRNA)の定義された配列、またはアミノ酸の定義された配列、ならびにそれらから得られる生物学的特性のいずれかを有する他のポリマー及び巨大分子の生物学的プロセスにおける合成のためのテンプレートとして機能する。したがって、遺伝子は、その遺伝子によって産生されるmRNAの転写及び翻訳が、細胞または他の生物学的システムにおいてタンパク質を産生する場合、タンパク質をコードする。遺伝子またはcDNAのコード鎖(そのヌクレオチド配列は、mRNA配列と同一であり、通常、配列表に提供される)及び非コード鎖(転写のための鋳型として使用される)の両方が、その遺伝子またはcDNAのタンパク質もしくは他の産物をコードすると称され得る。別途指定されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに縮重したバージョンであり、同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質及びRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含み得る。
【0131】
組換え核酸とは、天然に一緒に連結されていないヌクレオチド配列を有する核酸を指す。これには、核酸ベクター(例えば、アデノウイルスベクター)が含まれ、好適な宿主細胞を形質転換するために使用され得る増幅または構築された核酸を含む。組換え核酸を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」と称される。次いで、遺伝子を組換え宿主細胞で発現させて、「組換えポリペプチド」などを産生する。組換え核酸は、非コード機能(プロモーター、複製起点、リボソーム結合部位など)も担うことができる。第1の配列は、配列が第1の配列であるポリヌクレオチドが、配列が第2の配列であるポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする場合、第2の配列に関して「アンチセンス」である。
【0132】
薬学的に許容される担体:使用する薬学的に許容される担体は、従来のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences,by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,PA,19th Edition(1995)には、本明細書に開示される融合タンパク質の薬学的送達に好適な組成物及び製剤が記載されている。
【0133】
一般に、担体の性質は、用いられる特定の投与様式に依存することになる。例えば、非経口製剤は、通常、薬学的及び生理学的に許容される流体(例えば、ビヒクルとして、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなど)を含む注射可能な流体を含む。固体組成物(例えば、粉末、丸剤、錠剤、またはカプセルの形態)の場合、従来の非毒性固体担体は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される薬学的組成物は、少量の非毒性補助物質(例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤、及びpH緩衝剤など)など、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含むことができる。
【0134】
ポリペプチド:モノマーがアミノ酸残基であり、アミド結合を介して一緒に連結されたポリマー。アミノ酸がαアミノ酸である場合、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれかを使用することができる(L-異性体が好ましい)。本明細書で使用される「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、任意のアミノ酸配列を包含し、糖タンパク質などの修飾配列を含むことが意図されている。「ポリペプチド」という用語は、具体的には、天然に存在するタンパク質、ならびに組換えもしくは合成によって産生されるものを包含することが意図されている。いくつかの実施例では、ペプチドは、本明細書に開示されるペプチドのうちの1つ以上である。
【0135】
精製された:「精製された」という用語は、絶対的な純粋性を必要とせず、むしろ、相対的な用語として意図されている。したがって、例えば、精製されたタンパク質調製物は、参照されるタンパク質が、細胞または産生反応チャンバ内(適宜)におけるその天然環境でのタンパク質よりも純粋であるものである。
【0136】
組換え:組換え核酸は、天然に存在しない配列を有するか、または配列の2つの別様で分離されたセグメントの人工的な組み合わせによって作製される配列を有するものである。この人工的な組み合わせは、多くの場合、化学合成によって、またはより一般的には、核酸の単離されたセグメントの人工的な操作によって(例えば、遺伝子工学技術によって)達成される。
【0137】
配列同一性:2つの核酸配列間または2つのアミノ酸配列間の類似性は、配列間の類似性の観点から表され、配列同一性と呼ばれる。配列同一性は、同一性(または類似性もしくは相同性)のパーセンテージの観点から頻繁に測定され、パーセンテージが高いほど、2つの配列がより類似している。
【0138】
比較のための配列の整列方法は、当該技術分野で周知である。様々なプログラム及び整列アルゴリズムについては、Smith&Waterman Adv.Appl.Math.2:482,1981、Needleman&Wunsch J.Mol.Biol.48:443,1970、Pearson&Lipman Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444,1988、Higgins&Sharp Gene 73:237-244,1988、Higgins&Sharp CABIOS 5:151-153,1989、Corpet et al.Nuc.Acids Res.16,10881-90,1988、Huang et al.Computer Appls.In the Biosciences 8,155-65,1992、及びPearson et al.Meth.Mol.Bio.24,307-31,1994.Altschul et al.(J.Mol.Biol.215:403-410,1990)に記載されており、配列整列法及び相同性計算の詳細な考察が提示されている。
【0139】
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al.J.Mol.Biol.215:403-410,1990)は、National Center for Biotechnology Information(NCBI,Bethesda,MD)を含むいくつかのソースから入手可能であり、配列解析プログラムであるblastp、blastn、blastx、tblastn、及びtblastxに関連して使用するために、インターネット上で利用可能である。
【0140】
作動可能に連結された:第1の核酸配列は、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係を持って配置されるとき、第2の核酸配列と作動可能に連結される。例えば、プロモーターは、そのプロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結される。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は、同じリーディングフレームにおいて隣接しており、必要な場合、2つのタンパク質コード領域を繋ぐためのものである。
【0141】
薬剤:対象または細胞に適切に投与された場合、所望の治療効果または予防効果を誘発することができる化合物または組成物。
【0142】
ベクター:宿主細胞に導入され、それによって、形質転換された宿主細胞を産生する核酸分子。組換えDNAベクターは、組換えDNAを有するベクターである。ベクターは、宿主細胞においてそれを複製させる核酸配列、例えば、複製起点を含むことができる。ベクターはまた、当該技術分野で既知の1つ以上の選択可能なマーカーの遺伝子及び他の遺伝要素を含むことができる。ウイルスベクターは、1つ以上のウイルスに由来する少なくともいくつかの核酸配列を有する組換えDNAベクターである。ベクターという用語には、プラスミド、直鎖状核酸分子、ならびにアデノウイルスベクター及びアデノウイルス全体にわたって記載されているものが含まれる。
【0143】
対象は、脊椎動物を指す。脊椎動物は、哺乳動物(例えば、ヒト)であり得る。対象は、ヒト患者であり得る。対象は、疾患もしくは状態に罹患しているか、またはそれに罹患していると疑われる患者であり得、治療もしくは診断を必要とし得るか、または疾患もしくは状態の進行について監視を必要とし得る。患者はまた、有効性について監視する必要がある療法治療中であってもよい。一部の例示的な実施形態では、対象は、アミロイドーシス(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病、もしくはプリオン病)、または末梢性アミロイドーシス(軽鎖(AL)アミロイドーシス及び2型糖尿病の患者に見られる)を患っている対象を含む。
【0144】
治療することまたは治療という用語は、疾患または病理学的状態が発症し始めた後の徴候または症状を緩和する治療的介入を指す。「緩和する」という用語は、疾患または病理学的状態に関して、治療の任意の観察可能な有益な効果を指す。有益な効果は、例えば、感受性のある対象における疾患の臨床症状の発症の遅延、疾患の一部またはすべての臨床症状の重症度の低減、疾患の進行の遅延、対象の全体的な健康状態または幸福度の改善、または特定の疾患に特異的である当該技術分野で周知の他のパラメータによって証明され得る。「予防的」治療は、病態を発症するリスクを低減する目的で、疾患の徴候を示さないか、または初期の徴候のみを示す対象に投与される治療である。
【0145】
好ましくは、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。「保存的アミノ酸置換」という用語は、類似した側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり、脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びスレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、及びヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、及びアスパラギン-グルタミンである。
【0146】
本明細書で論じられるように、抗体または免疫グロブリン分子のアミノ酸配列のわずかな変動は、本開示に包含されるものとして企図されるが、ただし、そのアミノ酸配列の変動が、少なくとも75%、より好ましくは、少なくとも80%、90%、95%、及び、最も好ましくは、99%を維持することを条件とする。具体的には、保存的アミノ酸置換が企図される。保存的置換は、それらの側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。遺伝的にコードされたアミノ酸は、一般に、以下のファミリーに分類される:(1)酸性アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸であり、(2)塩基性アミノ酸は、リジン、アルギニン、ヒスチジンであり、(3)非極性アミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンであり、(4)無電荷極性アミノ酸は、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンである。親水性アミノ酸としては、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、及びスレオニンが挙げられる。疎水性アミノ酸としては、アラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、及びバリンが挙げられる。アミノ酸の他のファミリーとしては、(i)脂肪族ヒドロキシファミリーであるセリン及びスレオニン、(ii)アミド含有ファミリーであるアスパラギン及びグルタミン、(iii)脂肪族ファミリーであるアラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシン、ならびに(iv)芳香族ファミリーであるフェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンが挙げられる。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの、アスパラギン酸のグルタミン酸との、スレオニンのセリンとの単独の置換、またはアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸との類似した置換は、特に、置換がフレームワーク部位内のアミノ酸に関与しない場合、結果として得られる分子の結合または特性に対して大きな影響を有さないと予想することが妥当である。アミノ酸変化が機能性ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の特異的活性をアッセイすることによって容易に決定することができる。本明細書において、アッセイが詳細に説明される。抗体または免疫グロブリン分子の断片または類似体は、当業者によって容易に調製され得る。好ましい断片または類似体のアミノ末端及びカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近で生じる。構造的及び機能的ドメインは、ヌクレオチド及び/またはアミノ酸配列データを公的または専有配列データベースと比較することによって特定することができる。好ましくは、構造及び/または機能が既知の他のタンパク質内で生じる、配列モチーフまたは予想されるタンパク質立体構造ドメインを特定するために、コンピュータ化された比較方法が使用される。既知の三次元構造へと折り畳まれるタンパク質配列を特定するための方法は、既知である(Bowie et al.Science 253:164(1991))。したがって、前述の例は、当業者が、本発明に従って構造的及び機能的ドメインを定義するために使用することができる配列モチーフ及び構造的立体構造を認識できることを実証する。
【0147】
好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減するもの、(2)酸化に対する感受性を低減するもの、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させるもの、(4)結合親和性を変化させるもの、(4)かかる類似体の他の物理化学的特性または機能的特性を与えるか、修飾するものである。類似体は、天然に存在するペプチド配列以外の、ある配列の様々な変異タンパク質を含み得る。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(好ましくは、保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列において(好ましくは、分子間接触を形成するドメイン(複数可)の外部のポリペプチドの部分において)行われてもよい。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特徴を実質的には変化させない(例えば、置換アミノ酸は、親配列において生じるヘリックスを破壊する傾向も、親配列を特徴付ける他の種類の二次構造を破壊する傾向もない)。当該技術分野で認識されているポリペプチドの二次構造及び三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1984))、Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze,eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991))、及びThornton et al.Nature 354:105(1991)に記載されている。
【0148】
VHにおけるCDR1を除いて、CDRは、一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRはまた、抗原に接触する残基である、「特異性決定残基」または「SDR」も含む。SDRは、短縮型(abbreviated)CDRまたはa-CDRと呼ばれるCDRの領域内に含まれる。例示的なCDR(a-CDR-L1、a-CDR-L2、a-CDR-L3、a-CDR-H1、a-CDR-H2、及びa-CDR-H3)は、アミノ酸残基31~34(L1)、50~55(L2)、89~96(L3)、31~35B(H1)、50~58(H2)、及び95~102(H3)で生じる(Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい)。
【0149】
「フレームワーク」または「FR」は、CDR残基以外の可変ドメインの残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、以下の4つのFRドメインからなる:FR1、FR2、FR3、及びFR4。したがって、CDR配列及びFR配列は、一般に、以下のVH(またはVL)の配列で現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4、またはFR1-CDR-H1(L1)-FR2-CDR-H2(L2)-FR3-CDR3-H3(L3)-FR4。
【0150】
II.修飾免疫グロブリン及び抗体-ペプチド融合タンパク質
A.修飾免疫グロブリン
特定の例示的な実施形態では、アミロイドを標的とする修飾免疫グロブリンが提供される。かかる修飾免疫グロブリンとしては、例えば、アミロイド反応性ペプチドが挙げられ、これは、例えば、断片、抗原結合(Fab)領域におけるIg軽鎖タンパク質のN末端の伸長を介して、または重鎖のC末端を介して、免疫グロブリン(Ig)に連結され、それによって、ペプチド-Ig融合物が形成される。修飾免疫グロブリンを使用して、例えば、対象に修飾免疫グロブリンを投与することなどによって、アミロイドーシスに罹患している対象を治療することができる。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、アミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む融合タンパク質である。
【0151】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、抗体11-1F4の1、2、3、4、5、または6個のCDRを含む抗体を含む。一部の実施形態では、抗体は、抗体11-1F4のVH及び/またはVLを含む。一部の実施形態では、抗体は、抗体11-1F4の重鎖及び/または軽鎖を含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0152】
特定の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、抗体を含み、抗体は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHを含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0153】
特定の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、抗体を含み、抗体は、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLを含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0154】
一実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体を含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0155】
別の態様では、修飾免疫グロブリンは抗体を含み、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLと、を含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。
【0156】
別の態様では、修飾免疫グロブリンは、抗体を含み、抗体は、配列番号15に記載の配列を有するVHのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3と、配列番号16に記載の配列を有するVLのVL CDR1、VL CDR2、及びVLとを含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。
【0157】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含む抗体を含み、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、C末端リジン残基を含まない配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLと、を含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0158】
別の態様では、修飾免疫グロブリンは、アミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、抗体の軽鎖のN末端または重鎖のC末端に連結される。一部の実施形態では、抗体はまた、ペプチドと軽鎖のN末端または重鎖のC末端との間のスペーサーアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、軽鎖のN末端に連結される。一部の実施形態では、ペプチドは、重鎖のN末端に連結される。
【0159】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含み、重鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含み、重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含み、重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0160】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0161】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含む抗体を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。
【0162】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含む抗体を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、ペプチドは、N末端で軽鎖に連結される。
【0163】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含む抗体を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、ペプチドは、N末端で軽鎖に連結される。
【0164】
一部の実施形態では、本明細書に記載の修飾免疫グロブリンは、アミロイド沈着物またはアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、アミロイドの1つ以上のアミロイド原性ペプチドに結合する。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンによって結合されるアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様原線維もしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)を含む。他の実施形態では、修飾免疫グロブリンによって結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β2-マイクログロブリン(Aβ2M)、トランスサイレチンバリアント(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノーゲンAバリアント(AFib)、シスタチンバリアント(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房ナトリウム利尿因子(AANF)、またはIAAP、ALκ4、Alλ1、他のアミロイド原性ペプチドを含む。修飾免疫グロブリンによって結合されるアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片、またはタンパク質ドメインであってもよい。一部の実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイド原線維は、組換えアミロイド原性タンパク質を含む。一部の実施形態では、アミロイドは、疾患の病理の一部である。
【0165】
当業者が理解するように、抗原結合断片(またはFab領域)は、標的抗原と自然に相互作用する抗体の頭部である。Fab領域の構成要素は、例えば、抗体が特定のリガンドに結合し、その相互作用を通して、免疫系をさらに活性化することを可能にする。IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMの抗体アイソタイプについて、Igは、2つのタンパク質である重鎖及び軽鎖からなり、対で相互作用して、2つの重鎖と2つの軽鎖とを含むインタクトなIgを形成する。重鎖と軽鎖の両方とも、可変ドメイン及び定常ドメインにさらに分割される(Fab機能領域を含む軽可変ドメイン及び重可変ドメイン、ならびに細胞の受容体及び補体と相互作用する断片結晶性(Fc)ドメインを形成する重鎖)。IgのFc領域は、高度に保存されたN-グリコシル化部位を有する。
【0166】
特定の例示的な実施形態では、以下の表1に示されるペプチドのうちの1つ以上は、軽鎖タンパク質のN末端または重鎖のC末端を介してIg抗体またはその機能的断片に連結され得、それによって、修飾免疫グロブリンが形成される。すなわち、表1において以下に特定された配列のいずれかを、Ig抗体またはその機能的断片の重鎖または軽鎖に独立してまたは同時に連結させて、ペプチド-Igコンジュゲートを形成することができる。例えば、アミロイド反応性ペプチドのうちの2つは、アミロイド反応性ペプチドのアミノ酸配列をIg軽鎖タンパク質のN末端に連結することによって、単一のIg抗体と連結することができる。
【表1】
【0167】
いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、ペプチド-Igコンジュゲートのペプチドドメインは、対象に投与された場合、修飾免疫グロブリンをアミロイド沈着物に標的化すると考えられる。次いで、Fcドメインは、アミロイドの位置で免疫応答を引き起こし、それによって、オプソニン化などによるアミロイドの除去をもたらす。加えて、修飾免疫グロブリンは、アミロイド反応性ペプチド単独よりも長い半減期を有すると考えられる。例えば、ヒトにおけるIgGの循環半減期は、およそ21日であり、一方、ヒトにおけるアミロイド反応性ペプチド単独の半減期は、およそ11時間である。したがって、Igは、循環中の修飾免疫グロブリンの半減期を増強する。特定の例示的な実施形態では、アミロイド沈着物を修飾免疫グロブリンと接触させると、アミロイド沈着物をアミロイド反応性ペプチド単独と接触させるのと比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれ以上増加した半減期がもたらされる。したがって、修飾免疫グロブリンは、対象に投与された場合、アミロイド沈着の位置において免疫刺激効果をより長く発揮することができ、それによって、アミロイド沈着の位置における免疫応答を増加させる。
【0168】
一部の実施形態では、本明細書に記載の修飾免疫グロブリンペプチドのアミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~14のうちのいずれか1つとして記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、またはそれ以上同一(例えば、配列番号1~14のうちのいずれか1つとして記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一)であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、Ig抗体またはその機能的断片に結合したアミロイド反応性ペプチドは、約10~約55個のアミノ酸を含むか、またはそれからなり得る。本発明のアミロイド反応性ペプチドは、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55個のアミノ酸を含むか、またはそれらからなり得る。そのようなペプチドは、例えば、国際特許出願第WO2016032949号に記載されている(その全体が本明細書に援用される)。
【0169】
Ig抗体またはその断片に結合したアミロイド反応性ペプチドの全部または一部を形成するアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、翻訳後修飾アミノ酸、酵素的に合成されたアミノ酸、誘導体化アミノ酸、アミノ酸を模倣するように設計された構築物または構造などの立体異性体及び修飾であり得る。本発明のペプチドを形成するアミノ酸は、天然に存在するタンパク質に見られる20個の共通のアミノ酸のうちの1つ以上、または修飾アミノ酸及び非通常のアミノ酸のうちの1つ以上であり得る。修飾免疫グロブリンは、当業者に既知の任意の技術(化学合成または標準的な分子生物学的技術を使用した組換え手段を含む)によって作製され得る。
【0170】
特定の例示的な実施形態では、組換えDNA技術を用いて、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列をクローニングし、Ig軽鎖に融合し、発現ベクターに挿入し、適切な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクションし、発現に好適な条件下で培養することができる(実施例を参照されたい)。次いで、ペプチド-Ig軽鎖融合物を単離する。有利には、当業者が本開示を鑑みて理解するように、本明細書に記載の方法を使用して、任意のペプチド配列をIg抗体に連結することができる。すなわち、アミロイド反応性ペプチドは、Ig抗体に連結されたペプチドの例として使用されるが、ペプチドをIg抗体に(例えば、Ig軽鎖タンパク質のN末端に、及び/またはIg重鎖タンパク質のN末端及び/またはC末端に)連結する方法は、ペプチドをIg抗体に連結するために、様々な異なるペプチドに対して使用され得る。
【0171】
特定の例示的な実施形態では、複数の同じまたは異なるペプチドは、単一のIg抗体またはその機能的断片に連結され得る。例えば、第1の発現ベクターは、ペプチドAをコードする核酸配列と一体化される軽鎖核酸配列を含むことができ、ペプチドAが軽鎖タンパク質のN末端に連結されて発現されるように、ペプチドAの核酸配列がベクターに配置される。さらに、第2の発現ベクターは、ペプチドBをコードする核酸配列と一体化される重鎖核酸配列を含むことができ、ペプチドBが軽鎖タンパク質のN末端に連結されて発現されるように、ペプチドBの核酸配列がベクターに配置される。
【0172】
かかる例示的な実施形態では、両方の発現ベクターが同じ細胞内で発現される場合、得られるIgタンパク質は、各軽鎖のN末端に1つのペプチドA配列(合計2つのペプチドA)を有することができ、重鎖のN末端にペプチドBを有することができる。特定の例示的な実施形態では、ベクターは、C末端にペプチドCを含むことができ、それによって、2つのペプチドA配列(各軽鎖に1つ)、重鎖のN末端にペプチドB配列、及び重鎖のC末端に連結されたペプチドC配列を有する抗体が得られる。したがって、当業者は本開示に基づいて理解するであろうが、発現ベクターは、同じまたは異なるタンパク質の組み合わせを有するように、免疫グロブリンを修飾するために調整され得る。アミロイド反応性ペプチドを使用する特定の例として、修飾免疫グロブリンは、2つのp5タンパク質配列(配列番号1)、すなわち、各軽鎖のN末端に1つ、を含み得る。他の例示的な実施形態では、免疫グロブリンに連結されたペプチドは、リガンドに対する親和性を有し得、したがって、リガンドを検出するために使用することができる。
【0173】
特定の例示的な実施形態では、修飾免疫グロブリンは、単離または精製によって得ることができる。タンパク質精製技術は、あるレベルでは、細胞、組織、または臓器を、ペプチド及び非ペプチド画分に均質化及び粗分画することを伴う。他のタンパク質精製技術としては、例えば、硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコール(PEG)、抗体などによる沈殿、または熱変性による沈殿、続いて、遠心分離、クロマトグラフィーステップ(例えば、イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシルアパタイト、及び親和性クロマトグラフィー)、等電点電気泳動、ゲル電気泳動、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ならびにこれらの技術及び他の技術との組み合わせが挙げられる。
【0174】
様々なクロマトグラフィー技術には、限定されないが、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、及び逆相クロマトグラフィーが含まれる。ペプチドを精製する特に効率的な方法は、高速性能液体クロマトグラフィー(FPLC)または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)である。特定の例示的な実施形態では、Fcドメインは、GGGYSリンカー配列(配列番号27)を介してアミロイド反応性ペプチドに連結され得る。
【0175】
特定の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、軽鎖のN末端または重鎖のC末端とアミロイド反応性ペプチドとの間に、アミノ酸のスペーサー配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチド-Igコンジュゲートは、ペプチドのN末端と、試薬を発現する細胞由来のIgペプチドの分泌に必要なリーダー配列との間に、アミノ酸のスペーサー配列を含み得る。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、約3~約55個のアミノ酸を含むか、またはそれからなり得る。本発明のスペーサーペプチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55個のアミノ酸を含むか、またはそれからなり得る。本明細書で使用される場合、核酸配列またはアミノ酸配列が配列において互いに近接している場合、核酸配列またはアミノ酸配列は、別の核酸配列またはアミノ酸配列に「隣接している」。例えば、2つの核酸配列は、本明細書に記載されるように、互いに隣接していてもよいが、それでも介在スペーサー配列を含むことができる。
【0176】
B.抗体-ペプチド融合タンパク質
また、アミロイドを標的とする抗体-ペプチド融合タンパク質も本明細書に提供される。かかる抗体-ペプチド融合タンパク質としては、例えば、アミロイド反応性ペプチドが挙げられ、これは、例えば、断片、抗原結合(Fab)領域におけるIg軽鎖タンパク質のN末端の伸長を介して、または重鎖のC末端を介して、免疫グロブリン(Ig)に連結され、それによって、ペプチド-Ig融合物が形成される。抗体-ペプチド融合タンパク質を使用して、例えば、対象に抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することなどによって、アミロイドーシスに罹患している対象を治療することができる。
【0177】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表3に示されるように、抗体の1、2、3、4、5、または6個のCDRを含む抗体を含む。
【0178】
特定の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、抗体を含み、抗体は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHを含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0179】
特定の実施形態では抗体-ペプチド融合タンパク質は、抗体を含み、抗体は、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLを含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0180】
一実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHと、を含む抗体を含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0181】
別の態様では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、抗体を含み、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLと、を含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。
【0182】
別の態様では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、抗体を含み、抗体は、配列番号15に記載の配列を有するVHのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3と、配列番号16に記載の配列を有するVLのVL CDR1、VL CDR2、及びVLとを含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。
【0183】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含む抗体を含み、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、C末端リジン残基を含まない配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLと、を含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0184】
別の態様では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、アミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、抗体の軽鎖のN末端または重鎖のC末端に連結される。一部の実施形態では、抗体はまた、ペプチドと軽鎖のN末端または重鎖のC末端との間のスペーサーアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、軽鎖のN末端に連結される。
【0185】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含み、重鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含み、重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含み、重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0186】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、抗体を含み、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0187】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含む抗体を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。
【0188】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含む抗体を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、ペプチドは、N末端で軽鎖に連結される。
【0189】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、抗体を含み、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、ペプチドは、N末端で軽鎖に連結される。
【0190】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質は、アミロイド沈着物またはアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、アミロイドの1つ以上のアミロイド原性ペプチドに結合する。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質によって結合されるアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様原線維もしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)を含む。他の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質によって結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β2-マイクログロブリン(Aβ2M)、トランスサイレチンバリアント(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノーゲンAバリアント(AFib)、シスタチンバリアント(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房ナトリウム利尿因子(AANF)、またはIAAP、ALκ4、Alλ1、他のアミロイド原性ペプチドを含む。抗体-ペプチド融合タンパク質によって結合されるアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片、またはタンパク質ドメインであってもよい。一部の実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイド原線維は、組換えアミロイド原性タンパク質を含む。一部の実施形態では、アミロイドは、疾患の病理の一部である。
【0191】
一部の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、アミロイド軽鎖の原線維に特異的に結合する。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様原線維もしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)などの様々なアミロイド原線維に結合する。他の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質によって結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β2-マイクログロブリン(Aβ2M)、トランスサイレチンバリアント(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノーゲンAバリアント(AFib)、シスタチンバリアント(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房ナトリウム利尿因子(AANF)、またはIAAP、ALκ4、Alλ1、他のアミロイド原性ペプチドを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、ヘパラン硫酸グリコサミノグリカンに結合する。
【0192】
当業者が理解するように、抗原結合断片(またはFab領域)は、標的抗原と自然に相互作用する抗体の頭部である。Fab領域の構成要素は、例えば、抗体が特定のリガンドに結合し、その相互作用を通して、免疫系をさらに活性化することを可能にする。IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMの抗体アイソタイプについて、Igは、2つのタンパク質である重鎖及び軽鎖からなり、対で相互作用して、2つの重鎖と2つの軽鎖とを含むインタクトなIgを形成する。重鎖と軽鎖の両方とも、可変ドメイン及び定常ドメインにさらに分割される(Fab機能領域を含む軽可変ドメイン及び重可変ドメイン、ならびに細胞の受容体及び補体と相互作用する断片結晶性(Fc)ドメインを形成する重鎖)。IgのFc領域は、高度に保存されたN-グリコシル化部位を有する。
【0193】
特定の例示的な実施形態では、以下の表1に示されるペプチドのうちの1つ以上は、軽鎖タンパク質のN末端または重鎖のC末端を介してIg抗体またはその機能的断片に連結され得、それによって、抗体-ペプチド融合タンパク質が形成される。すなわち、表1において以下に特定された配列のいずれかを、Ig抗体またはその機能的断片の重鎖または軽鎖に独立してまたは同時に連結させて、ペプチド-Igコンジュゲートを形成することができる。例えば、アミロイド反応性ペプチドのうちの2つは、アミロイド反応性ペプチドのアミノ酸配列をIg軽鎖タンパク質のN末端に連結することによって、単一のIg抗体と連結することができる。
【0194】
いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、ペプチド-Igコンジュゲートのペプチドドメインは、対象に投与された場合、抗体-ペプチド融合タンパク質をアミロイド沈着物に標的化すると考えられる。次いで、Fcドメインは、アミロイドの部位で免疫応答を引き起こし、それによって、オプソニン化などによるアミロイドの除去をもたらす。加えて、抗体-ペプチド融合タンパク質は、アミロイド反応性ペプチド単独よりも長い半減期を有すると考えられる。例えば、ヒトにおけるIgGの循環半減期は、およそ21日であり、一方、ヒトにおけるアミロイド反応性ペプチド単独の半減期は、およそ11時間である。したがって、Igは、循環中の抗体-ペプチド融合タンパク質の半減期を増強する。特定の例の実施形態では、アミロイド沈着物を抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させると、アミロイド沈着物をアミロイド反応性ペプチド単独と接触させるのと比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれ以上増加した半減期がもたらされる。したがって、抗体-ペプチド融合タンパク質は、対象に投与された場合、アミロイド沈着部位において免疫刺激効果をより長く発揮することができ、それによって、アミロイド沈着部位における免疫応答を増加させる。
【0195】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~14のうちのいずれか1つとして記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、またはそれ以上同一(例えば、配列番号1~14のうちのいずれか1つとして記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一)であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、Ig抗体またはその機能的断片に結合したアミロイド反応性ペプチドは、約10~約55個のアミノ酸を含むか、またはそれからなり得る。本発明のアミロイド反応性ペプチドは、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55個のアミノ酸を含むか、またはそれらからなり得る。そのようなペプチドは、例えば、国際特許出願第WO2016032949号に記載されている(その全体が本明細書に援用される)。
【0196】
Ig抗体またはその断片に結合したアミロイド反応性ペプチドの全部または一部を形成するアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、翻訳後修飾アミノ酸、酵素的に合成されたアミノ酸、誘導体化アミノ酸、アミノ酸を模倣するように設計された構築物または構造などの立体異性体及び修飾であり得る。本発明のペプチドを形成するアミノ酸は、天然に存在するタンパク質に見られる20個の共通のアミノ酸のうちの1つ以上、または修飾アミノ酸及び非通常のアミノ酸のうちの1つ以上であり得る。抗体-ペプチド融合タンパク質は、当業者に既知の任意の技術(化学合成または標準的な分子生物学的技術を使用した組換え手段を含む)によって作製され得る。
【0197】
特定の例示的な実施形態では、組換えDNA技術を用いて、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列をクローニングし、Ig軽鎖に融合し、発現ベクターに挿入し、適切な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクションし、発現に好適な条件下で培養することができる(実施例を参照されたい)。次いで、ペプチド-Ig軽鎖融合物を単離する。有利には、当業者が本開示を鑑みて理解するように、本明細書に記載の方法を使用して、任意のペプチド配列をIg抗体に連結することができる。すなわち、アミロイド反応性ペプチドは、Ig抗体に連結されたペプチドの例として使用されるが、ペプチドをIg抗体に(例えば、Ig軽鎖タンパク質のN末端に、及び/またはIg重鎖タンパク質のN末端及び/またはC末端に)連結する方法は、ペプチドをIg抗体に連結するために、様々な異なるペプチドに対して使用され得る。
【0198】
特定の例示的な実施形態では、複数の同じまたは異なるペプチドは、単一のIg抗体またはその機能的断片に連結され得る。例えば、第1の発現ベクターは、ペプチドAをコードする核酸配列と一体化される軽鎖核酸配列を含むことができ、ペプチドAが軽鎖タンパク質のN末端に連結されて発現されるように、ペプチドAの核酸配列がベクターに配置される。さらに、第2の発現ベクターは、ペプチドBをコードする核酸配列と一体化される重鎖核酸配列を含むことができ、ペプチドBが軽鎖タンパク質のN末端に連結されて発現されるように、ペプチドBの核酸配列がベクターに配置される。
【0199】
かかる例示的な実施形態では、両方の発現ベクターが同じ細胞内で発現される場合、得られるIgタンパク質は、各軽鎖のN末端に1つのペプチドA配列(合計2つのペプチドA)を有することができ、重鎖のN末端にペプチドBを有することができる。特定の例示的な実施形態では、ベクターは、C末端にペプチドCを含むことができ、それによって、2つのペプチドA配列(各軽鎖に1つ)、重鎖のN末端にペプチドB配列、及び重鎖のC末端に連結されたペプチドC配列を有する抗体が得られる。したがって、当業者は本開示に基づいて理解するであろうが、発現ベクターは、同じまたは異なるタンパク質の組み合わせを有するように、免疫グロブリンを修飾するために調整され得る。アミロイド反応性ペプチドを使用する特定の例として、抗体-ペプチド融合タンパク質は、2つのp5タンパク質配列(配列番号1)、すなわち、各軽鎖のN末端に1つ、を含み得る。他の例示的な実施形態では、免疫グロブリンに連結されたペプチドは、リガンドに対する親和性を有し得、したがって、リガンドを検出するために使用することができる。
【0200】
特定の例示的な実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、単離または精製によって得ることができる。タンパク質精製技術は、あるレベルでは、細胞、組織、または臓器を、ペプチド及び非ペプチド画分に均質化及び粗分画することを伴う。他のタンパク質精製技術としては、例えば、硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコール(PEG)、抗体などによる沈殿、または熱変性による沈殿、続いて、遠心分離、クロマトグラフィーステップ(例えば、イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシルアパタイト、及び親和性クロマトグラフィー)、等電点電気泳動、ゲル電気泳動、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ならびにこれらの技術及び他の技術との組み合わせが挙げられる。
【0201】
様々なクロマトグラフィー技術には、限定されないが、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、及び逆相クロマトグラフィーが含まれる。ペプチドを精製する特に効率的な方法は、高速性能液体クロマトグラフィー(FPLC)または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)である。特定の例示的な実施形態では、Fcドメインは、GGGYSリンカー配列(配列番号27)を介してアミロイド反応性ペプチドに連結され得る。
【0202】
特定の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、軽鎖のN末端または重鎖のC末端とアミロイド反応性ペプチドとの間に、アミノ酸のスペーサー配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチド-Igコンジュゲートは、ペプチドのN末端と、試薬を発現する細胞由来のIgペプチドの分泌に必要なリーダー配列との間に、アミノ酸のスペーサー配列を含み得る。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、約3~約55個のアミノ酸を含むか、またはそれからなり得る。本発明のスペーサーペプチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55個のアミノ酸を含むか、またはそれからなり得る。本明細書で使用される場合、核酸配列またはアミノ酸配列が配列において互いに近接している場合、核酸配列またはアミノ酸配列は、別の核酸配列またはアミノ酸配列に「隣接している」。例えば、2つの核酸配列は、本明細書に記載されるように、互いに隣接していてもよいが、それでも介在スペーサー配列を含むことができる。
【0203】
III.ヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体
ヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体が本明細書に提供される。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、マウス抗体の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域(VL)と重鎖可変領域(VH)とを含む。一部の実施形態では、VH及び/またはVLは、ヒトVH及び/またはVL配列(例えば、「ヒトアクセプター配列」)に由来する。一部の実施形態では、VH及び/またはVLは、例えば、VH及び/またはVLのフレームワーク領域において、アミノ酸置換を含む。
【0204】
A.ヒト化抗体
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表3に示されるように、抗体の1、2、3、4、5、または6個のCDRを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号15に記載の配列を有するVHのCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3と、配列番号16に記載の配列を有するVLのCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、CDR-L1、CDR-L2、及び、CDR-L3と、を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する、表3に示される抗体の1、2、3、4、5、または6個のCDRを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号15に記載の配列を有するVHのCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3と、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号16に記載の配列を有するVLのCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3と、を含む。
【0205】
一部の実施形態では、ヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLはフレームワーク領域(FR)を含み、VHはフレームワーク領域(FR)を含む。一部の実施形態では、フレームワーク領域は、FR1、FR2、FR3、またはFR4である。一部の実施形態では、VLは、FR1、FR2、FR3、及びFR4を含む。一部の実施形態では、VLは、N末端からC末端へ、FR1、CDR-L1、FR2、CDR-L2、FR3、CDR-L3、及びFR4を含む。一部の実施形態では、VHは、FR1、FR2、FR3、またはFR4を含む。一部の実施形態では、VHは、N末端からC末端へ、FR1、CDR-H1、FR2、CDR-H2、FR3、CDR-H3、及びFR4を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、移植CDR(例えば、配列番号32または配列番号43)を有するヒトアクセプター配列と比較して、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、またはFR4)の1つ以上の位置にアミノ酸置換を含むVL及び/またはVHを含む。
【0206】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、FR2にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、FR2におけるアミノ酸置換は、位置36のアミノ酸置換、位置37のアミノ酸置換、及び位置46のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、FR2におけるアミノ酸置換は、位置36のTyr、位置37のLeu、及び位置46のLeuからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0207】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、FR3にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、FR3におけるアミノ酸置換は、位置85のアミノ酸置換、及び位置87のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、FR3におけるアミノ酸置換は、位置85のLeu、及び位置87のPheからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0208】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、FR2にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、FR2におけるアミノ酸置換は、位置37のアミノ酸置換、及び位置48のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、FR2におけるアミノ酸置換は、位置37のVal及び位置48のLeuからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0209】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、FR3にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、FR3におけるアミノ酸置換は、位置67のアミノ酸置換、位置48のアミノ酸置換、位置71のアミノ酸置換、位置76のアミノ酸置換、位置78のアミノ酸置換、位置79のアミノ酸置換、位置80のアミノ酸置換、位置89のアミノ酸置換、位置93のアミノ酸置換、及び位置94のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、FR3におけるアミノ酸置換は、位置67のLeu、位置48のSer、位置71のLys、位置76のSer、位置78のVal、位置79のLeu、位置80のPhe、位置89のThr、位置93のVal、及び位置94のThrからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0210】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸置換を含むVLを含み、アミノ酸位置は、配列番号32のN末端から始めて順次番号付けされる。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置33にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置34にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置41にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置42にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置51にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置90にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置92にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Aに示されるように、VL1と比較して、1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸置換を含むVLを含む。
【0211】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVLを含み、アミノ酸位置は、配列番号32の番号付けによるVLのN末端から始めて番号付けされる。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置33にSer、Gln、Glu、His、またはAlaを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置34にAlaまたはValを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置41にTyrを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置42にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置51にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置90にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置92にPheを含むVLを含む。
【0212】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含み、アミノ酸位置は、VHのN末端から始めて番号付けされる。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置37にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置48にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置67にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置68にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置71にLysを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置76にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置78にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置79にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置80にPheを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置92にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置96にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Thr位置97を含むVHを含む。
【0213】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVLを含み、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置36にTyrを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置37にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置46にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置85にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置87にPheを含むVLを含む。
【0214】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVLを含み、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置36にTyr及び位置37にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含むVLを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLを含む。
【0215】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含み、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置37にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置48にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置67にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置68にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置71にLysを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置76にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置78にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置79にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置80にPheを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置89にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置93にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置94にThrを含むVHを含む。
【0216】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含み、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置37にVal及び位置48にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置67にLeu、位置68にSer、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、及び位置68にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置37にVal、位置48にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置71にLys、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置71にLys、位置76にSer、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置76にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。
【0217】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含むVLと、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHと、を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含むVHと、を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHと、を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置71にLys、位置76にSer、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHと、を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置71にLys、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal及び位置94にThrを含むVHと、を含む。
【0218】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Aに示されるVLのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Aに示されるVL2、VL3、VL4、VL4-N33S、VL4-N33Q、VL4-N33E、VL4-N33A、VL4-N33H、VL4-G34A、またはVL4-G34Vからなる群から選択されるVLを含む。一部の実施形態では、VLは、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含む。
【0219】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Bに示されるVHのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Bに示されるVH2、VH3、VH4、VH5、VH6、VH7、VH8、VH9、VH10、VH9-D54S、VH9-D54Q、VH9-D54E、VH9-D54A、VH9-D54H、VH9-G55A、VH9-G55V、VH9-M64V、VH9-M64I、VH9-M64L、またはVH9-M64Aからなる群から選択されるVHを含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含む。
【0220】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH9のVHと、を含む。一部の実施形態では、VLは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む。
【0221】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Aに示されるVL3のVLと、表6Bに示されるVH6のVHと、を含む。一部の実施形態では、VLは、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む。
【0222】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH10のVHと、を含む。一部の実施形態では、VLは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH8のVHと、を含む。一部の実施形態では、VLは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH7のVHと、を含む。一部の実施形態では、VLは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号69に記載のアミノ酸配列を含む。
【0223】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、全長抗体、Fab断片、またはscFvである。
【0224】
CDR置換を有するヒト化抗体
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、1つ以上のCDR置換を含む。一部の実施形態では、CDR置換は、CDR-L1内にある。一部の実施形態では、CDR置換はCDR-H2内にある。
【0225】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、位置36のTyr、位置37のLeu、位置46のLeu、位置85のLeu、及び位置87のPheからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含むVLを含み、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、以下からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含む:位置37のVal、位置48のLeu、位置67のLeu、位置68のSer、位置71のLys、位置76のSer、位置78のVal、位置79のLeu、位置80のPhe、位置89のThr、位置93のVal、位置94のThr(アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる)。
【0226】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号68に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号69に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0227】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号73に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号74に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号75に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号76に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号77に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号78に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号79に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0228】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表6C及び/または表6Dに示される抗体の1、2、3、4、5、または6個のCDRを含む。
【0229】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号53~63に記載の配列を有するVHのCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号36~42に記載の配列を有するVLのCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む。
【0230】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、CDR-L1にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、CDR-L1におけるアミノ酸置換は、位置28のアミノ酸置換及び位置29のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-L1におけるアミノ酸置換は、位置28のSer、Gln、Glu、His、またはAlaからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-L1におけるアミノ酸置換は、位置29のAlaまたはValからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0231】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、CDR-H2にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、CDR-H2におけるアミノ酸置換は、位置54、位置55、または位置64のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-H2におけるアミノ酸置換は、位置54のSer、Gln、Glu、Ala、またはHisからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-H2におけるアミノ酸置換は、位置55のAlaまたはValからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-H2におけるアミノ酸置換は、位置64のVal、Ile、Leu、またはAlaからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0232】
B.ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質
アミロイド反応性ペプチドに融合されたヒトアミロイド原線維に結合するヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質も本明細書に提供される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、本明細書に記載されるヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、上述のヒト化抗体のうちのいずれか1つである。
【0233】
特定の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、軽鎖可変領域(VL)と重鎖可変領域(VH)とを含むヒト化抗体を含み、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、表3に示されるように、抗体の1、2、3、4、5、または6個のCDRを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号15に記載の配列を有するVHのCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3と、配列番号16に記載の配列を有するVLのCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、CDR-L1、CDR-L2、及び、CDR-L3と、を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖可変領域(VL)と重鎖可変領域(VH)とを含み、VLは、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する、表3に示される抗体の1、2、3、4、5、または6個のCDRを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号15に記載の配列を有するVHのCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3と、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号16に記載の配列を有するVLのCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3と、を含む。
【0234】
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、を含む。
【0235】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、FR2におけるアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、FR2におけるアミノ酸置換は、位置36のアミノ酸置換、位置37のアミノ酸置換、及び位置46のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、FR2におけるアミノ酸置換は、位置36のTyr、位置37のLeu、及び位置46のLeuからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0236】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、FR3におけるアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、FR3におけるアミノ酸置換は、位置85のアミノ酸置換、及び位置87のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、FR3におけるアミノ酸置換は、位置85のLeu、及び位置87のPheからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0237】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、FR2におけるアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、FR2におけるアミノ酸置換は、位置37のアミノ酸置換、及び位置48のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、FR2におけるアミノ酸置換は、位置37のVal及び位置48のLeuからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0238】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、FR3におけるアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、FR3におけるアミノ酸置換は、位置67のアミノ酸置換、位置48のアミノ酸置換、位置71のアミノ酸置換、位置71のアミノ酸置換、位置76のアミノ酸置換、位置78のアミノ酸置換、位置79のアミノ酸置換、位置80のアミノ酸置換、位置89のアミノ酸置換、位置93のアミノ酸置換、及び位置94のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、FR3におけるアミノ酸置換は、位置67のLeu、位置48のSer、位置71のLys、位置76のSer、位置78のVal、位置79のLeu、位置80のPhe、位置89のThr、位置93のVal、及び位置94のThrからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0239】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸置換を含むVLを含み、アミノ酸位置は、配列番号32のN末端から始めて番号付けされる。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置33にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置34にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置41にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置42にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置51にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置90にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置92にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、表6Aに示されるように、VL1と比較して、1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸置換を含むVLを含む。
【0240】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸置換を含むVHを含み、アミノ酸位置は、配列番号43のN末端から始めて番号付けされる。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置37にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置48にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置67にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置68にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置71にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置76にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置78にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置79にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置80にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置92にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置96にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置97にアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、表6Bに示されるように、VH1と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含むVHを含む。
【0241】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物はヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVLを含み、アミノ酸位置は、VLのN末端から始めて番号付けされる。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置33にSer、Gln、Glu、His、またはAlaを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置34にAlaまたはValを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置41にTyrを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置42にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置51にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置90にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置92にPheを含むVLを含む。
【0242】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物はヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含み、アミノ酸位置は、VHのN末端から始めて番号付けされる。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置37にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置48にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置67にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置68にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置71にLysを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置76にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置78にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置79にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置80にPheを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置92にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置96にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置97にThrを含むVHを含む。
【0243】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸置換を含むVLを含み、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置36にTyrを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置37にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置46にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置85にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置87にPheを含むVLを含む。
【0244】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVLを含み、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置36にTyr及び位置37にLeuを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLを含む。
【0245】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含み、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置37にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置48にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置67にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置68にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置71にLysを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置76にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置78にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置79にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合物は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置80にPheを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置89にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置93にValを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置94にThrを含むVHを含む。
【0246】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含み、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置37にVal及び位置48にLeuを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置67にLeu、位置68にSer、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、及び位置68にSerを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置37にVal、位置48にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置71にLys、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置71にLys、位置76にSer、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含むVHを含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置76にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含む。
【0247】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含むVLと、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHと、を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含むVHと、を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置76にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHと、を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置71にLys、位置76にSer、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHと、を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置71にLys、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHと、を含む。
【0248】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表6Aに示されるVLのアミノ酸配列を含むヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、抗体ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、表6Aに示されるVL2、VL3、VL4、VL4-N33S、VL4-N33Q、VL4-N33E、VL4-N33A、VL4-N33H、VL4-G34A、またはVL4-G34Vからなる群から選択されるVLを含む。一部の実施形態では、VLは、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含む。
【0249】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表6Bに示されるVHのアミノ酸配列を含むヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、表6Bに示されるVH2、VH3、VH4、VH5、VH6、VH7、VH8、VH9、VH10、VH9-D54S、VH9-D54Q、VH9-D54E、VH9-D54A、VH9-D54H、VH9-G55A、VH9-G55V、VH9-M64V、VH9-M64I、VH9-M64L、またはVH9-M64Aからなる群から選択されるVHを含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含む。
【0250】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH9のVHと、を含むヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むVHと、を含むヒト化抗体を含む。
【0251】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表6Aに示されるVL3のVLと、表6Bに示されるVH6のVHと、を含むヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むVHと、を含むヒト化抗体を含む。
【0252】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH10のVHと、を含むヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むVHと、を含むヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH8のVHと、を含むヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むVHと、を含むヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH7のVHと、を含むヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号69に記載のアミノ酸配列を含むVHと、を含むヒト化抗体を含む。
【0253】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、アミロイド反応性ペプチドを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、表1に示されるペプチドのうちの1つ以上を含む。特定の一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、正に帯電している。
【0254】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、軽鎖を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、軽鎖のN末端に融合される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒト化抗体を含み、ヒト化抗体は、軽鎖を含み、アミロイド反応性ペプチドは、リンカーによって軽鎖のN末端に融合される。一部の実施形態では、リンカーは、ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列GGGYSを含む。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、無荷電である。
【0255】
一部の実施形態では、以下の表1に示されるペプチドのうちの1つ以上は、軽鎖タンパク質のN末端または重鎖のC末端を介してヒト化抗体またはその機能的断片に結合され得、それによって、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質を形成する。すなわち、表1において特定される以下の配列のうちのいずれかは、ヒト化抗体またはその機能的断片の重鎖もしくは軽鎖に、独立してまたは同時に連結されて、抗体-ペプチド融合タンパク質を形成することができる。例えば、アミロイド反応性ペプチドのアミノ酸配列を、ヒト化抗体の軽鎖のN末端に連結することによって、アミロイド反応性ペプチドのうちの2つを、単一のIg抗体と連結することができる。
【0256】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、軽鎖を含み、N末端からC末端へ、アミロイド反応性ペプチド及び軽鎖を含む。一部の実施形態では、軽鎖は、N末端からC末端へ、VL及びCL1を含む。一部の実施形態では、VLは、本明細書に記載のVLのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、重鎖を含み、N末端からC末端へ、VH、CH1、CH2、及びCH3を含む。一部の実施形態では、VHは、本明細書に記載のVHのうちのいずれか1つである。
【0257】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、軽鎖を含み、N末端からC末端へ、アミロイド反応性ペプチド、スペーサーペプチド、及び軽鎖を含む。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、配列番号27のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖は、N末端からC末端へ、VL及びCL1を含む。一部の実施形態では、VLは、本明細書に記載のVLのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、重鎖を含み、N末端からC末端へ、VH、CH1、CH2、及びCH3を含む。
【0258】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、N末端からC末端へ、分泌型リーダーペプチド、第1のスペーサーペプチド、アミロイド反応性ペプチド、第2のスペーサーペプチド、及び軽鎖を含む。一部の実施形態では、第1のスペーサーペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のスペーサーペプチドは、配列番号27のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のスペーサーペプチドは、配列番号24のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖は、N末端からC末端へ、VL及びCL1を含む。一部の実施形態では、VLは、本明細書に記載のVLのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、重鎖を含み、N末端からC末端へ、VH、CH1、CH2、及びCH3を含む。一部の実施形態では、VHは、本明細書に記載のVHのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、VHは、本明細書に記載のVHのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、
図11Aまたは
図11Bに図示される構造を含む。
【0259】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、軽鎖のN末端とアミロイド反応性ペプチドとの間に、アミノ酸のスペーサー配列を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、ペプチドのN末端と、抗体-ペプチド融合タンパク質を発現する細胞からの抗体-ペプチド融合タンパク質の分泌に必要なリーダー配列との間に、アミノ酸のスペーサー配列を含む。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、可撓性スペーサーペプチドである。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、帯電していない。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、グリシン・セリンリンカーである。一部の実施形態では、スペーサーペプチドはグリシン・セリンリンカーを含む。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、約3~約55個のアミノ酸を含むかまたはそれからなる。本発明のスペーサーペプチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55個のアミノ酸を含むか、またはそれからなり得る。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、50、100、または155個のアミノ酸長である(これらの値間の任意の値または範囲を含む)。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、15個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、配列番号24のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、スペーサーペプチドは、配列番号27のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、アミロイド反応性ペプチドと抗体との間に、スペーサーを含まない。
【0260】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸を含むVLを含む軽鎖とを含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、C末端リジン残基を含まない配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVLとを含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸を含むVLを含む軽鎖とを含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、C末端リジン残基を含まない配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸を含むVLとを含むヒト化抗体を含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸を含むVLを含む軽鎖とを含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、C末端リジン残基を含まない配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸を含むVLとを含むヒト化抗体を含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0261】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含むヒト化抗体を含み、重鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含むヒト化抗体を含み、重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含むヒト化抗体を含み、重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含むヒト化抗体を含み、重鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含むヒト化抗体を含み、重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含むヒト化抗体を含み、重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含むヒト化抗体を含み、重鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含むヒト化抗体を含み、重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含むヒト化抗体を含み、重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0262】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0263】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。
【0264】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、ペプチドは、N末端で軽鎖に連結される。
【0265】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、ペプチドは、N末端で軽鎖に連結される。
【0266】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。
【0267】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、ペプチドは、N末端で軽鎖に連結される。
【0268】
一部の実施形態では、抗体-ペプチド融合タンパク質は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含むヒト化抗体を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、ペプチドは、N末端で軽鎖に連結される。
【0269】
C.ヒト化抗体及びヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質
一部の実施形態では、本開示のヒト化抗体またはヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fcは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプのFcである。一部の実施形態では、ヒト化抗体またはヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質は、Fc媒介性抗体エフェクター機能を促進する。一部の実施形態では、ヒト化抗体またはヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質は、抗体依存性細胞貪食を促進する。
【0270】
一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約100、10、1、0.1、0.01μM未満である解離定数(Kd)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、または100μM(これらの値の間の任意の値または範囲を含む)である解離定数(Kd)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、500、100、10、または1nM未満である解離定数(Kd)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、250、500、750、1000、2000、または2200nM未満である解離定数(Kd)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、250、500、750、1000、2000、または2200nM(これらの値の間の任意の値または範囲を含む)である解離定数(Kd)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約40~50nMである解離定数(Kd)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、40~50nMである解離定数(Kd)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、50nM未満である解離定数(Kd)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、c11-1F4がヒトアミロイド原線維に結合するKd未満である解離定数(Kd)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。
【0271】
一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約0.01、0.1、または1μM未満である抗体の半最大結合濃度(EC50)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10μM(これらの値の間の任意の値または範囲を含む)である抗体の半最大結合濃度(EC50)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約1、10、100、または1000nM未満である抗体の半最大結合濃度(EC50)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、100、250、500、750、または1000nM(これらの値間の任意の値または範囲を含む)である抗体の半最大結合濃度(EC50)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約17nM、7nM、16nM、75nM、または95nMである抗体の半最大結合濃度(EC50)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、約10nM、20nM、80nMまたは100nM未満である抗体の半最大結合濃度(EC50)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒトアミロイド原線維に結合するc11-1F4のEC50未満である抗体の半最大結合濃度(EC50)で、ヒトアミロイド原線維に結合する。
【0272】
解離定数及びEC
50を計算する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、表面プラズモン共鳴及びEuLISAを含む(例えば、実施例、表7、及び
図13A~13Gを参照されたい)。一部の実施形態では、解離定数は、例えば、表面プラズモン共鳴を使用して、Len(1-22)モノマーペプチドへの結合を測定することによって決定される。一部の実施形態では、EC
50は、EuLISAを使用して決定される。一部の実施形態では、EC
50は、rVλ6Wil原線維、Per125 wtATTR抽出物、Ken ATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、またはTAL ALκ肝臓抽出物への結合レベルを測定するために、EuLISAを使用して決定される。
【0273】
一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、検出可能な標識にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、検出可能な標識は、放射性核種(例えば、I-125、I-123、I-131、Zr-89、Tc-99m、Cu-64、Br-76、F-18)、酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ)、ビオチン、及びフルオロフォアなどからなる群から選択される。タンパク質を検出可能に標識するための当該技術分野における既知の任意の手段を、本明細書に記載の方法とともに使用するために、使用及び/または適合させることができる。例えば、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、放射性同位体で放射標識され得るか、または蛍光タグもしくは化学発光タグで標識され得る。例示的な放射性同位体としては、例えば、18F、111In、99mTc、ならびに123I及び125Iが挙げられる。これら及び他の放射性同位体は、例えば、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質の軽鎖タンパク質に共有結合されたDTPAまたはDOTAなどのキレート剤の使用を伴うかまたは伴わない場合がある周知の化学を使用して、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質に結合することができる。例示的な蛍光タグまたは化学発光タグとしては、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、Alexa色素、及びルシフェラーゼが挙げられ、これらは、リジン、システイン、グルタミン酸、及びアスパラギン酸側鎖との反応によって、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質にコンジュゲートされ得る。一例の実施形態では、標識は、使用されるタグに適した励起波長及び発光波長を使用して、蛍光マイクロプレートリーダー、または蛍光光度計を使用して検出される。放射標識は、例えば、放射性放出の種類に応じてガンマカウンターまたはシンチレーションカウンターを使用して、特定の放射性核種の正確な検出に好適なエネルギーウィンドウを使用することによって、検出することができる。しかしながら、放射性同位体を検出するための任意の他の好適な技術も、標識を検出するために使用することができる。一部の実施形態では、検出可能な標識は、125Iである。
【0274】
一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、rVλ6Wil原線維、Per125 wtATTR抽出物、KEN hATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及び/またはTAL ALκ肝臓抽出物に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、アミロイド沈着物またはアミロイド原線維に結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、アミロイドの1つ以上のアミロイド原性ペプチドに結合する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質によって結合されるアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様原線維もしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)を含む。他の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質によって結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β2-マイクログロブリン(Aβ2M)、トランスサイレチンバリアント(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノーゲンAバリアント(AFib)、シスタチンバリアント(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房ナトリウム利尿因子(AANF)、またはIAAP、ALκ4、Alλ1、他のアミロイド原性ペプチドを含む。ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質よって結合されるアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片、またはタンパク質ドメインであってもよい。一部の実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイド原線維は、組換えアミロイド原性タンパク質を含む。一部の実施形態では、アミロイドは、疾患の病理の一部である。
【0275】
一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質のヒトアミロイドへの結合は、ヒトアミロイド原線維の貪食を促進する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒトアミロイド原線維をオプソニン化する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、rVλ6Wil原線維をオプソニン化する。一部の実施形態では、ヒトアミロイド原線維を、マクロファージの存在下で、本開示のヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させることで、マクロファージによるヒトアミロイド原線維の取り込みが促進される。一部の実施形態では、ヒトアミロイド原線維を、マクロファージの存在下で、本開示のヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させることで、ヒトアミロイド原線維のオプソニン化が促進される。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質のヒトアミロイドへの結合は、対照抗体(例えば、mIgp5及び/またはc11-1F4)と同等またはそれよりも高い程度に、ヒトアミロイド原線維の貪食を促進する。一部の実施形態では、ヒト化抗体またはヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質は、抗体依存性細胞貪食を促進する。
【0276】
本明細書に記載の修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質のうちのいずれかを含む薬学的組成物も、本明細書に提供される。一部の実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0277】
IV.診断及び検出方法
特定の例示的な実施形態では、修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、及び抗体-ペプチド融合タンパク質は、様々な薬剤で標識して、例えば、融合ペプチドを精製した後で、インビボ及びインビトロアッセイにおけるそれらの検出が可能になり得る。限定されないが、これには、放射性核種(例えば、I-125、I-123、I-131、Zr-89、Tc-99m、Cu-64、Br-76、F-18)、酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ)、ビオチン、及びフルオロフォアなどが含まれる。タンパク質を検出可能に標識するための当該技術分野における既知の任意の手段を、本明細書に記載の方法とともに使用するために、使用及び/または適合させることができる。例えば、Ig抗体もしくはその断片、及び/またはアミロイド反応性ペプチドは、放射性同位体で放射標識することができるか、または蛍光タグもしくは化学発光タグで標識することができる。例示的な放射性同位体としては、例えば、18F、111In、99mTc、ならびに123I及び125Iが挙げられる。これら及び他の放射性同位体は、例えば、Ig抗体の軽鎖タンパク質に共有結合されたDTPAまたはDOTAなどのキレート剤の使用を伴うかまたは伴わない場合がある周知の化学を使用して、単離された免疫グロブリン軽鎖に結合することができる。例示的な蛍光タグまたは化学発光タグとしては、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、Alexa色素、及びルシフェラーゼが挙げられ、これらは、リジン、システイン、グルタミン酸、及びアスパラギン酸側鎖との反応によって、タンパク質にコンジュゲートされ得る。一例の実施形態では、標識は、使用されるタグに適した励起波長及び発光波長を使用して、蛍光マイクロプレートリーダー、または蛍光光度計を使用して検出される。放射標識は、例えば、放射性放出の種類に応じてガンマカウンターまたはシンチレーションカウンターを使用して、特定の放射性核種の正確な検出に好適なエネルギーウィンドウを使用することによって、検出することができる。しかしながら、放射性同位体を検出するための任意の他の好適な技術も、標識を検出するために使用することができる。
【0278】
アミロイドーシスに関して、例えば、そのような標識を使用して、アミロイドの存在を診断し、アミロイドタンパク質の負荷を決定し、特定の対象において修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、もしくは抗体-ペプチド融合タンパク質がアミロイドに結合する能力を監視し、アミロイドーシスの進行を監視し、及び/またはアミロイド治療(対象への修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質の投与に関連する治療を含む)に対する対象の応答を監視することができる。例えば、アミロイド反応性ペプチド、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質を含む修飾免疫グロブリンを、本明細書に記載の検出可能な標識で標識し、その後、アミロイド系疾患(例えば、アミロイドーシス、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、または関連する形質細胞疾患)に罹患しているか、またはそれに罹患していると疑われる対象に投与する。その後、対象は、例えば、検出可能に標識された免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質の存在を検出するために、画像診断され得る。
【0279】
特定の例示的な実施形態では、検出可能に標識された修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質からのシグナルは、定量化することができ、それによって、対象におけるアミロイド沈着のレベルの指標を提供する。例えば、シグナル強度は、標準的なシグナル閾値と比較することでき、閾値以上ではアミロイドーシスが存在するが、閾値以下ではアミロイドーシスが存在しないか、または低レベルである。対象は、アミロイドを有すると診断される場合があり、その場合、化学療法、コルチコステロイド薬(レナリドミドまたはサリドマイド)、及び/またはボルテゾミブ(Velcade)などの治療が施され得る。追加的に、または代替的に、本明細書に記載の修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質は、本明細書に記載のように、対象を治療するために、対象に投与され得る。特定の例示的な実施形態では、対象は、低アミロイド負荷、中アミロイド負荷、または高アミロイド負荷などの1つ以上の群に階層化され、次いで、それに応じて治療され得る。治療の進行を監視するために、対象に、検出可能に標識された修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質を再投与し、したがって、それらのアミロイド負荷を再評価することができる。
【0280】
V.治療の方法
A.修飾免疫グロブリンを使用する方法
特定の例示的な実施形態では、アミロイドーシスを有する対象を治療する方法が本明細書に提供される。例えば、対象に、有効量の本明細書に記載される修飾免疫グロブリンが投与され、それによって、対象が治療されるか、またはアミロイド沈着物の画像診断が可能になる。特定の例示的な態様では、対象におけるアミロイド沈着物をクリアするための方法が提供される。本方法は、例えば、アミロイドーシスを有する対象を選択し、対象に、有効量の本明細書に記載される修飾免疫グロブリンを投与することを含む。修飾免疫グロブリンとしては、例えば、Ig抗体またはその断片の軽鎖タンパク質のN末端もしくは重鎖のC末端を介して、Ig抗体またはその断片に連結される、アミロイド沈着物に結合するアミロイド反応性ペプチドが挙げられる。アミロイド反応性Ig融合ペプチドの投与により、アミロイドのクリアランスがもたらされ、それによって、対象が治療される。
【0281】
一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、個体におけるアミロイドに結合する。一部の実施形態では、アミロイド沈着物は、疾患の病理に寄与し得る。他の実施形態では、アミロイド沈着物は、個体におけるアミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患を示し得る。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、アミロイドーシスを有する個体において、アミロイドに結合する。一部の実施形態では、アミロイドーシスは、肝臓、心臓、または中枢神経系などの特定の組織または臓器系に局在する。他の実施形態では、アミロイドーシスは、全身性アミロイドーシスである。一部の実施形態では、アミロイドーシスは、家族性アミロイドーシスである。他の実施形態では、アミロイドーシスは、散発性アミロイドーシスである。一部の実施形態では、アミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患は、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、AHアミロイドーシス、Aβアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス、ならびにII型糖尿病のIAPPアミロイドーシス、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、脳βアミロイド血管症、海綿状脳症、甲状腺腫瘍、パーキンソン病、レビー小体型認知症、タウオパシー、ハンチントン病、老人性全身性アミロイドーシス、家族性血液透析、老人性全身老化、加齢性下垂体障害、医原性症候群、海綿状脳症、反応性慢性炎症、甲状腺腫瘍、骨髄腫、または他の形態のがんである。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、正常な老化に関連するアミロイドに結合する。他の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、対象におけるアミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患の診断、治療、または予後において使用される。
【0282】
特定の例示的な実施形態では、アミロイドーシスに罹患している対象の診断及び治療の両方のための方法が提供される。かかる方法は、対象に、アミロイド反応性ペプチドを含む検出可能に標識された修飾免疫グロブリンを投与することと、標識された修飾免疫グロブリンを投与することに基づいて、対象がアミロイドーシスを患っていると判定することと、を含む。次に、有効量のアミロイド治療薬を対象に投与することができる。例えば、有効量のアミロイド反応性ペプチドを含む1つ以上の修飾免疫グロブリンを投与することができる。
【0283】
一部の実施形態では、対象は、霊長類、ウシ、げっ歯類、またはブタなどの哺乳動物である。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0284】
B.ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質を使用する方法
アミロイド関連障害を有する対象を治療する方法も本明細書に提供され、対象に、有効量の本開示のヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することを含む。
【0285】
一部の実施形態では、アミロイド関連障害は、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、α-シヌクレイン、au、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される。一部の実施形態では、アミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患は、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、AHアミロイドーシス、Aβアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス、ならびにII型糖尿病のIAPPアミロイドーシス、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、脳βアミロイド血管症、海綿状脳症、甲状腺腫瘍、パーキンソン病、レビー小体型認知症、タウオパシー、ハンチントン病、老人性全身性アミロイドーシス、家族性血液透析、老人性全身老化、加齢性下垂体障害、医原性症候群、海綿状脳症、反応性慢性炎症、甲状腺腫瘍、骨髄腫、または他の形態のがんである。一部の実施形態では、アミロイド関連障害は、全身性アミロイドーシスである。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、正常な老化に関連するアミロイドに結合する。他の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、対象におけるアミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患の診断、治療、または予後において使用される。
【0286】
また、クリアランスのためにアミロイド沈着物を標的とする方法も本明細書に提供される。一部の実施形態では、本方法は、アミロイド沈着物を、本開示のヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質と接触させることを含む。一部の実施形態では、アミロイド沈着物が除去される。一部の実施形態では、アミロイド沈着物がクリアされる。一部の実施形態では、アミロイド沈着物は、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質によってオプソニン化される。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質のヒトアミロイド原線維への結合は、ヒトアミロイド原線維の貪食及びアミロイド沈着物の除去を促進する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、ヒトアミロイド原線維をオプソニン化し、それによって、アミロイド沈着物を除去する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、rVλ6Wil原線維をオプソニン化する。一部の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質のヒトアミロイド原線維への結合は、ヒトアミロイド原線維の貪食及び/またはオプソニン化を、対照抗体(例えば、mIgp5及び/またはc11-1F4)と同等またはそれよりも高い程度に促進する。
【0287】
一部の実施形態では、アミロイド関連障害を治療する方法が本明細書に提供され、検出可能な標識にコンジュゲートされた修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を投与すること、標識を検出すること、及び、シグナルが検出された場合、対象にアミロイドーシス治療を施すことを含む。一部の実施形態では、検出可能な標識は、放射標識である。一部の実施形態では、検出可能な標識は、I125、Tc99標識である。一部の実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識である。一部の実施形態では、検出可能な標識は、酵素標識である。一部の実施形態では、標識は、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼである。標識は、化学部分(例えば、ビオチン)をさらに含み、これは、特定の同族の検出可能な部分(例えば、標識されたアビジン)への結合を介して検出され得る。一部の実施形態では、アミロイド沈着物は、対象の肝臓、脾臓、または血液において特定される。一部の実施形態では、アミロイドーシス治療は、本明細書に提供される修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を含む。
【0288】
また、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質を投与することを含む、対象におけるアミロイド沈着物を特定する方法も本明細書に提供され、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質は、検出可能な標識にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、本方法は、修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質からのシグナルを検出することを含む。一部の実施形態では、検出可能な標識は、放射標識である。一部の実施形態では、検出可能な標識は、I125、Tc99標識である。一部の実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識である。一部の実施形態では、検出可能な標識は、酵素標識である。一部の実施形態では、標識は、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼである。標識は、化学部分(例えば、ビオチン)をさらに含み、これは、特定の同族の検出可能な部分(例えば、標識されたアビジン)への結合を介して検出され得る。一部の実施形態では、アミロイド沈着物は、対象の肝臓、脾臓、または血液において特定される。
【0289】
一部の実施形態では、リガンドを検出する方法が本明細書に提供され、リガンドを、検出可能な標識にコンジュゲートされた修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合物と接触させることと、検出可能な標識からのシグナルを決定することと、を含む。一部の実施形態では、検出可能な標識は、放射標識である。一部の実施形態では、検出可能な標識は、I125、Tc99標識である。一部の実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識である。一部の実施形態では、検出可能な標識は、酵素標識である。一部の実施形態では、標識は、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼである。標識は、化学部分(例えば、ビオチン)をさらに含み、これは、特定の同族の検出可能な部分(例えば、標識されたアビジン)への結合を介して検出され得る。一部の実施形態では、接触は、インビトロである。一部の実施形態では、接触は、インビボである。
【0290】
VI.核酸、ベクター、宿主細胞、及び抗体の作製方法
A.修飾免疫グロブリンまたは抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする核酸
修飾免疫グロブリンをコードする核酸も本明細書に提供される。一部の実施形態では、核酸は、本明細書に記載の修飾免疫グロブリンのうちのいずれかをコードする。
【0291】
一部の実施形態では、核酸は、抗体11-1F4のVH及び/またはVLを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、抗体11-1F4の重鎖及び/または軽鎖を含む抗体をコードし、抗体は、ペプチドに連結される。
【0292】
特定の実施形態では、核酸は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、抗体は、ペプチドに連結される。
【0293】
特定の実施形態では、核酸は、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、抗体は、ペプチドに連結される。
【0294】
一実施形態では、核酸は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、抗体は、ペプチドに連結される。
【0295】
別の態様では、核酸は、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLとを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。
【0296】
別の態様では、核酸は、配列番号15に記載の配列を有するVHのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3と、配列番号16に記載の配列を有するVLのVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3とを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む。
【0297】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンは、C末端リジン残基を含まない配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む抗体を含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0298】
別の態様では、核酸は、上記の提供された実施形態のうちのいずれかのVHと、上記の提供された実施形態のうちのいずれかのVLとを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、抗体は、ペプチドに連結される。
【0299】
一部の実施形態では、核酸は、アミロイド反応性ペプチドに連結された抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された軽鎖を含む抗体をコードする。一部の実施形態では、ペプチドは、抗体の軽鎖のN末端または重鎖のC末端に連結される。一部の実施形態では、核酸は、ペプチドと抗体軽鎖のN末端または重鎖のC末端との間のスペーサーアミノ酸配列も含む抗体をコードする。一部の実施形態では、ペプチドは、抗体軽鎖のN末端に連結される。
【0300】
一部の実施形態では、核酸は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結された配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結された配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結された配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体をコードする。
【0301】
一部の実施形態では、核酸は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結された配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結された配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結された配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体をコードする。
【0302】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。
【0303】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0304】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含む抗体を含む修飾免疫グロブリンをコードし、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0305】
また、抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする核酸(複数可)も本明細書に提供される。一部の実施形態では、核酸は、本明細書に記載の抗体-ペプチド融合タンパク質のうちのいずれかをコードする。
【0306】
特定の実施形態では、核酸は、抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、抗体は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHを含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0307】
特定の実施形態では、核酸は、抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、抗体は、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLを含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0308】
一実施形態では、核酸は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、抗体は、ペプチドに連結される。
【0309】
別の態様では、核酸は、抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLと、を含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。
【0310】
別の態様では、核酸は、抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、抗体は、配列番号15に記載の配列を有するVHのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3と、配列番号16に記載の配列を有するVLのVL CDR1、VL CDR2、及びVLとを含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。
【0311】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、C末端リジン残基を含まない配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、抗体は、ペプチドに連結される。
【0312】
別の態様では、核酸は、アミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、核酸は、表1に列挙されるアミノ酸配列のうちのいずれかを含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号1のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミロイド反応性ペプチドに連結された抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、ペプチドは、抗体の軽鎖のN末端または重鎖のC末端に連結される。一部の実施形態では、抗体はまた、ペプチドと軽鎖のN末端または重鎖のC末端との間のスペーサーアミノ酸配列を含む。
【0313】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、重鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0314】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0315】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。
【0316】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0317】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖とを含む抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0318】
B.ヒト化抗体またはヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする核酸
また、本開示のヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする核酸(複数可)も本明細書に提供される。ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質は、本明細書に記載されるヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質のいずれかであり得る。
【0319】
一部の実施形態では、核酸は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含むヒト化抗体をコードし、VLは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、VHは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。一部の実施形態では、核酸は、表3に示されるように、抗体の1、2、3、4、5、または6個のCDRを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号15に記載の配列を有するVHのCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3と、配列番号16に記載の配列を有するVLのCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、CDR-L1、CDR-L2、及び、CDR-L3と、を含むヒト化抗体をコードする。
【0320】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体をコードし、ヒト化抗体は、1つ以上のCDR置換を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号64~70に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、を含む。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体をコードし、ヒト化抗体は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号71~81に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHと、を含む。
【0321】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードし、アミノ酸位置は、配列番号32のN末端から始めて順次番号付けされる。一部の実施形態では、核酸は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置33にアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置34にアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置41にアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置42にアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置51にアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置90にアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、位置92にアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと比較して、1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体をコードし、表6Aに示されるように、VL1と比較して、1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸置換を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。
【0322】
一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードし、アミノ酸位置は、配列番号43のN末端から始めて番号付けされる。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置37にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置48にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置67にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置68にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置71にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置76にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置78にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置79にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置80にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置92にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置96にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、位置97にアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、表6Bに示されるように、VH1と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。
【0323】
一部の実施形態では、核酸は、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVLを含むヒト化抗体をコードし、アミノ酸位置は、VLのN末端から始めて番号付けされる。一部の実施形態では、核酸は、位置33にSer、Gln、Glu、His、またはAlaを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置34にAlaまたはValを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置41にTyrを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置42にLeuを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置51にLeuを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置90にLeuを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置92にPheを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。
【0324】
一部の実施形態では、核酸は、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含むヒト化抗体をコードし、アミノ酸位置は、VHのN末端から始めて番号付けされる。一部の実施形態では、核酸は、位置37にValを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置48にLeuを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置67にLeuを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置68にSerを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置71にLysを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置76にSerを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置78にValを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置79にLeuを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置80にPheを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置92にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置96にValを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置97にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。
【0325】
一部の実施形態では、核酸は、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVLを含むヒト化抗体をコードし、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、核酸は、位置36にTyrを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置37にLeuを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置46にLeuを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置85にLeuを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置87にPheを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。
【0326】
一部の実施形態では、核酸は、VLの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVLを含むヒト化抗体をコードし、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、核酸は、位置36にTyr及び位置37にLeuを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置46にLeu、位置87にPheを含むVLを含むヒト化抗体をコードする。
【0327】
一部の実施形態では、核酸は、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含むヒト化抗体をコードし、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、核酸は、位置37にValを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置48にLeuを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置67にLeuを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置68にSerを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置71にLysを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置76にSerを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置78にValを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置79にLeuを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置80にPheを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置89にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置93にValを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置94にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。
【0328】
一部の実施形態では、核酸は、VHの1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸残基を含むVHを含むヒト化抗体をコードし、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、核酸は、位置37にVal、位置48にLeuを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置67にLeu、位置68にSer、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、及び位置68にSerを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置37にVal、位置48にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置37のVal、位置48のLeu、位置67のLeu、位置68のSer、位置71のLys、位置89のThr、位置93のVal、及び位置94のThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置71にLys、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置71にLys、位置76にSer、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置76にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHを含むヒト化抗体をコードする。
【0329】
一部の実施形態では、核酸は、位置36にTyr、位置37にLeu、位置46にLeu、位置85にLeu、及び位置87にPheを含むVLと、位置37にVal、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置89にThr、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置48にLeu、位置96にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置80にPhe、及び位置94にThrを含むVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置48にLeu、位置67にLeu、位置68にSer、位置71にLys、位置76にSer、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置71にLys、位置76にSer、位置93にVal、及び位置94にThrを含むVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、位置46にLeu及び位置87にPheを含むVLと、位置71にLys、位置78にVal、位置79にLeu、位置93にVal及び位置94にThrを含むVHとを含むヒト化抗体をコードする。
【0330】
一部の実施形態では、核酸は、表6Aに示されるVLのアミノ酸配列を含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、表6Aに示されるVL2、VL3、VL4、VL4-N33S、VL4-N33Q、VL4-N33E、VL4-N33A、VL4-N33H、VL4-G34A、またはVL4-G34Vからなる群から選択されるVLを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVLを含むヒト化抗体をコードする。
【0331】
一部の実施形態では、核酸は、表6Bに示されるVHのアミノ酸配列を含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、表6Bに示されるVH2、VH3、VH4、VH5、VH6、VH7、VH8、VH9、VH10、VH9-D54S、VH9-D54Q、VH9-D54E、VH9-D54A、VH9-D54H、VH9-G55A、VH9-G55V、VH9-M64V、VH9-M64I、VH9-M64L、またはVH9-M64Aからなる群から選択されるVHを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含むヒト化抗体をコードする。
【0332】
一部の実施形態では、核酸は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH9のVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むVHとを含むヒト化抗体をコードする。
【0333】
一部の実施形態では、核酸は、表6Aに示されるVL3のVLと、表6Bに示されるVH6のVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むVHとを含むヒト化抗体をコードする。
【0334】
一部の実施形態では、核酸は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH10のVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH8のVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、核酸は、表6Aに示されるVL4のVLと、表6Bに示されるVH7のVHとを含むヒト化抗体をコードする。一部の実施形態では、VLは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、VHは、配列番号69に記載のアミノ酸配列を含む。
【0335】
また、本開示のヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする核酸(複数可)も本明細書に提供される。一部の実施形態では、核酸は、本開示のヒト化抗体のうちのいずれか1つを含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする。
【0336】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、C末端リジン残基を含まない配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVLとを含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、C末端リジン残基を含まない配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸を含むVLと、を含み、抗体は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、C末端リジン残基を含まない配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸を含むVLと、を含み、抗体は、ペプチドに連結される。
【0337】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含み、重鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含み、重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号44~63からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含み、重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含み、重鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含み、重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含み、重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含み、重鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含み、重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖を含み、重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0338】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号33~42からなる群に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0339】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。
【0340】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0341】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0342】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、表1のアミノ酸配列のうちのいずれかを含むペプチドに連結される。
【0343】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0344】
一部の実施形態では、核酸は、ヒト化抗体を含む抗体-ペプチド融合タンパク質をコードし、ヒト化抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHを含む重鎖と、配列番号34のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖と、を含み、軽鎖は、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに連結される。
【0345】
C.ベクター、宿主細胞
一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸は、1つ以上のベクターにある。例えば、一部の実施形態では、修飾免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖を含むベクターが本明細書に提供され、軽鎖は、ペプチドに連結される。一部の実施形態では、ペプチドに連結された重鎖及び軽鎖は、異なるベクターにある。
【0346】
一部の実施形態では、ベクターは、本開示のヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする核酸(複数可)を含む。
【0347】
抗体産生の場合、ペプチド発現ベクターに連結される重鎖及び軽鎖は、当該技術分野で既知の適切な産生細胞株に導入され得る。発現ベクターの導入は、エレクトロポレーションを介した同時トランスフェクションまたは当該技術分野で利用可能な任意の他の好適な形質転換技術によって達成され得る。次いで、抗体産生細胞株を選択し、増殖させ、抗体を精製することができる。次いで、精製された抗体を、SDS-PAGEなどの標準的な技術によって分析することができる。
【0348】
また、宿主細胞も提供され、本明細書に記載の修飾免疫グロブリンのうちのいずれかをコードする核酸を含む。抗体コードベクターのクローニングまたは発現にとって好適な宿主細胞には、本明細書に記載の原核生物細胞または真核生物細胞が含まれる。例えば、修飾免疫グロブリンは、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合、細菌で産生され得る。細菌中での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。(また、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254(E.coliにおける抗体断片の発現についての説明)も参照されたい)。発現後、ペプチドに連結された抗体は、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離され得、さらに精製され得る。
【0349】
一部の実施形態では、宿主細胞は、本開示のヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質をコードする核酸(複数可)を含むベクターを含む。
【0350】
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞及び昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウイルス株が同定されており、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクション用に、昆虫細胞と併せて使用され得る。
【0351】
植物細胞培養物も、宿主細胞として利用され得る。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号も参照されたい(トランスジェニック植物で抗体を生産するためのPLANTIBODIES(商標)技術について説明されている)。
【0352】
脊椎動物細胞も、宿主として使用されて良い。例えば、懸濁液中で増殖するように適合された哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例としては、SV40によって形質転換されたサル腎臓CVl株(COS-7)、ヒト胎児腎臓細胞株(293または293細胞、例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977))、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるTM4細胞)、サル腎臓細胞(CVl)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(HepG2)、マウス乳房腫瘍(MMT060562)、TRI細胞(例えば、Mather et al.,Annals NY.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載)、MRC5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳類宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびに骨髄腫細胞株(Y0、NS0、及びSp2/0など)が挙げられる。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0353】
D.抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質を作製するための方法
また、本開示の修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質を作製する方法も本明細書に提供される。一部の実施形態では、本方法は、修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質をコードするベクターの発現に好適な条件下で、本開示の宿主細胞を培養することと、修飾免疫グロブリン、ヒト化抗体、または抗体-ペプチド融合タンパク質を回収することと、を含む。
【0354】
VII.マウス抗体をヒト化する方法
マウス抗体をヒト化する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、マウス抗体は、軽鎖可変領域(VL)と、重鎖可変領域(VH)と、を含み、VLは、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含み、VHは、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3を含み、VH及びVLは、1つ以上のフレームワーク残基を含む。一部の実施形態では、マウス抗体のCDR-L1は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、マウス抗体のCDR-L2は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含み、マウス抗体のCDR-L3は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含み、マウス抗体のCDR-H1は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含み、マウス抗体のCDR-H2は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、マウス抗体のCDR-H3は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、マウス抗体は、表3に示されるように、抗体11-1F4の1、2、3、4、5、または6つのCDRを含む。一部の実施形態では、マウス抗体は、配列番号15に記載の配列を有するVHのCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3と、配列番号16に記載の配列を有するVLのCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、CDR-L1、CDR-L2、及び、CDR-L3と、を含む。
【0355】
一部の実施形態では、マウス抗体をヒト化する方法は、i.マウス抗体のモデル化された構造を得るために、相同性モデリングを行うことと、ii.マウス抗体のモデル化された構造におけるフレームワーク残基の溶媒アクセス可能表面積を計算することと、iii.フレームワーク残基が埋もれた残基であるかどうかを判定することであって、埋もれた残基が、約15%未満の溶媒可達表面積を有する残基であるかどうかを判定する、判定することと、iv.ヒトVH及びVLを提供することと、v.マウス抗体のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3を、それぞれ、ヒトVH及びVLに導入し、それによって、移植された抗体を生成することと、vi.移植抗体の位置に復帰変異を導入することであって、復帰変異の位置が埋もれた残基である、導入することと、を含む。一部の実施形態では、ステップviが繰り返される。一部の実施形態では、ステップviは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回行われる。
【0356】
一部の実施形態では、復帰変異の位置は、CDRに近接している。一部の実施形態では、復帰変異の位置は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のアミノ酸残基によって、CDRから分離されている。一部の実施形態では、復帰変異の位置は、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10オングストローム以下(その間の任意の範囲または値を含む)によって、CDRから分離されている。
【0357】
一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVLに導入され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVLに導入され、復帰変異は、位置36にTyrを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVLに導入され、復帰変異は、位置37にLeuを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVLに導入され、復帰変異は、位置46にLeuを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVLに導入され、復帰変異は、位置85にLeuを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVLに導入され、復帰変異は、位置87にPheを含む。
【0358】
一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置37にValを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置48にLeuを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置67にLeuを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置68にSerを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置71にLysを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置76にSerを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置78にValを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置79にLeuを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置80にPheを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置89にThrを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置93にValを含む。一部の実施形態では、復帰変異は、ヒトVHに導入され、復帰変異は、位置94にThrを含む。
【0359】
一部の実施形態では、本方法は、移植抗体のCDRに1つ以上のアミノ酸置換を導入することをさらに含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、移植抗体のVLと比較して、CDR-L1にアミノ酸置換を含むVLを含む。一部の実施形態では、CDR-L1におけるアミノ酸置換は、位置28のアミノ酸置換及び位置29のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-L1におけるアミノ酸置換は、位置28のSer、Gln、Glu、His、またはAlaからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-L1におけるアミノ酸置換は、位置29のAlaまたはValからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、移植抗体のVHと比較して、CDR-H2におけるアミノ酸置換を含むVHを含む。一部の実施形態では、CDR-H2におけるアミノ酸置換は、位置54、位置55、または位置64のアミノ酸置換からなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-H2におけるアミノ酸置換は、位置54のSer、Gln、Glu、Ala、またはHisからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-H2におけるアミノ酸置換は、位置55のAlaまたはValからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。一部の実施形態では、CDR-H2におけるアミノ酸置換は、位置64のVal、Ile、Leu、またはAlaからなる群から選択され、アミノ酸位置は、Kabatの付番システムに従って番号付けされる。
【0360】
実施形態
実施形態1.修飾免疫グロブリンであって、
アミロイド反応性ペプチドであって、配列番号1~14に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、前記アミロイド反応性ペプチドと、
Ig抗体またはその機能的断片と、を含む、前記修飾免疫グロブリン。
【0361】
実施形態2.前記アミロイド反応性ペプチド及び前記Ig抗体またはその機能的断片が、前記Ig軽鎖タンパク質のN末端または前記Ig重鎖タンパク質のC末端で一緒に連結される、実施形態1に記載の修飾免疫グロブリン。
【0362】
実施形態3.前記修飾免疫グロブリンが、前記アミロイド反応性ペプチドと前記Ig抗体またはその機能的断片との間にスペーサー配列を含む、実施形態1または2に記載の修飾免疫グロブリン。
【0363】
実施形態4.前記修飾免疫グロブリンが、少なくとも2つのアミロイド反応性ペプチドを含み、前記アミロイド反応性ペプチドが、同じペプチドまたは異なるペプチドである、実施形態1~3のいずれかに記載の修飾免疫グロブリン。
【0364】
実施形態5.アミロイドーシスに罹患している対象を治療する方法であって、対象に、有効量の実施形態1~4のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンを投与することを含む、前記方法。
【0365】
実施形態6.クリアランスのためにアミロイド沈着物を標的化する方法であって、アミロイド沈着物を、実施形態1~4のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンと接触させることを含む、前記方法。
【0366】
実施形態7.クリアランスのために前記アミロイド沈着物を標的化することが、前記アミロイド沈着物のクリアランスをもたらす、実施形態6に記載の方法。
【0367】
実施形態8.クリアランスが、前記アミロイド沈着物のオプソニン化から生じる、実施形態6または7に記載の方法。
【0368】
実施形態9.前記Ig抗体またはその機能的断片に連結された前記アミロイド反応性ペプチドが、AA、AL、AH、ATTR、Aβ2M、ALect2、野生型、TTR、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALect2、Afib、ACys、ACal、AMedin、AIAPP、APro、AIns、APrP、またはAβを含む1つ以上のアミロイド沈着物型に結合する、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
【0369】
実施形態10.前記アミロイド沈着物を、前記Ig抗体またはその機能的断片に連結された前記アミロイド反応性ペプチドと接触させると、前記アミロイド反応性ペプチド単独と比較して、アミロイド反応性Igp5コンジュゲートの半減期が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれ以上増加する、実施形態6~8のいずれかに記載の方法。
【0370】
実施形態11.修飾免疫グロブリンであって、
ペプチドと、
Ig抗体またはその機能的断片と、を含み、前記ペプチド及びIg抗体またはその機能的断片が、Ig軽鎖タンパク質のN末端及び/またはIg重鎖タンパク質のN末端及び/またはC末端で一緒に連結される、前記修飾免疫グロブリン。
【0371】
実施形態12.前記修飾免疫グロブリンが、前記ペプチドと前記Ig抗体またはその機能的断片との間にスペーサー配列を含む、実施形態11に記載の修飾免疫グロブリン。
【0372】
実施形態13.前記修飾免疫グロブリンが、少なくとも2つのペプチドを含み、ペプチドが、同じペプチドまたは異なるペプチドである、実施形態1~3のいずれかに記載の修飾免疫グロブリン。
【0373】
実施形態14.修飾免疫グロブリンを生成する方法であって、
第1の発現ベクター及び第2の発現ベクターを提供することであって、
前記第1の発現ベクターが、Ig抗体軽鎖またはその機能的断片をコードする第1の核酸配列を含み、
前記第2の発現ベクターが、Ig抗体重鎖またはその機能的断片をコードする第2の核酸配列を含み、
前記第1の発現ベクター及び/または前記第2の発現ベクターが、第1のペプチドをコードする第3の核酸配列を含み、前記第3の核酸配列が、前記第1の核酸配列及び/または前記第2の核酸配列に隣接して位置する、前記提供することと、
前記第1及び前記第2の発現ベクターを細胞に挿入することであって、前記細胞における前記第1及び前記第2の発現ベクターの発現が、前記第1のペプチドに連結される免疫グロブリンをもたらす、前記挿入することと、を含む、前記方法。
【0374】
実施形態15.前記第1の発現ベクター及び/または前記第2の発現ベクターが、第2のペプチドをコードする第4の核酸配列を含み、前記第4の核酸配列が、前記第1の核酸配列及び/または前記第2の核酸配列に隣接して位置する、実施形態14に記載の方法。
【0375】
実施形態16.前記細胞における前記第1及び前記第2の発現ベクターの発現が、前記第1のペプチド及び前記第2のペプチドに連結される免疫グロブリンをもたらす、実施形態15に記載の方法。
【0376】
実施形態17.スペーサー核酸配列が、前記第3の核酸配列と前記第1の核酸配列及び/または前記第2の第1の核酸配列との間に位置する、実施形態14に記載の方法。
【0377】
実施形態18.前記第1のペプチドが、配列番号1~14に記載のアミノ酸のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態14に記載の方法。
【0378】
実施形態19.実施形態14~19のいずれかに記載の方法によって産生される、修飾免疫グロブリン。
【0379】
実施形態20.アミロイド系疾患に罹患しているか、またはそれに罹患していると疑われる対象を治療する方法であって、
前記対象がアミロイド沈着物を有するかどうかを、
実施形態1~4のいずれかに記載の修飾免疫グロブリンを検出可能に標識することと、
前記対象に、前記修飾免疫グロブリンを投与することと、
前記検出可能な標識に関連するシグナルが、前記対象から検出され得るかどうかを判定することと、によって判定し、
前記シグナルが検出された場合、前記対象にアミロイドーシス治療を施すことと、を含む、前記方法。
【0380】
実施形態21.シグナルが検出されない場合、アミロイド沈着物のその後の発生について、前記対象を監視する、実施形態20に記載の方法。
【0381】
実施形態22.前記シグナルの強度を決定することと、前記シグナルを閾値と比較することと、をさらに含み、前記閾値を超えた場合、前記対象がアミロイド沈着物を有すると判定される、実施形態21に記載の方法。
【0382】
実施形態23.前記アミロイドーシス治療が、前記対象に、請求項1~4のいずれかに記載の修飾免疫グロブリンを投与することを含む、実施形態20~22のいずれかに記載の方法。
【0383】
実施形態24.前記修飾免疫グロブリンの投与が、前記対象における前記アミロイド沈着物のクリアランスをもたらす、実施形態23に記載の方法。
【0384】
実施形態25.実施形態1~4のいずれかに記載の修飾免疫グロブリンを検出可能に標識することと、前記対象に前記修飾免疫グロブリンを投与することと、前記修飾免疫グロブリンからのシグナルを検出することと、を含む、対象におけるアミロイド沈着物を特定する方法。
【0385】
実施形態26.前記対象が、アミロイドを含まないか、または意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、もしくは1つ以上の関連する形質細胞疾患を患っていると判定される、実施形態20~25のいずれかに記載の方法。
【0386】
実施形態27.リガンドを検出する方法であって、
実施形態11~13のいずれかに記載の修飾免疫グロブリンを検出可能に標識することであって、前記修飾免疫グロブリンの前記ペプチドが、前記リガンドに対する結合親和性を有する、前記標識することと、
前記リガンドを前記修飾免疫グロブリンと接触させることと、
前記検出可能な標識からシグナルを決定し、それによって、前記リガンドを検出することと、を含む、前記方法。
【0387】
実施形態28.修飾免疫グロブリンであって、
アミロイド反応性ペプチドであって、配列番号1~14に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む、前記アミロイド反応性ペプチドと、
抗体またはその免疫学的に活性な断片であって、前記抗体が、配列番号17に記載のCDRH1、配列番号18に記載のCDRH2、配列番号19に記載のCDRH3を含む、重鎖可変ドメインと、
配列番号20に記載のCDRL1、配列番号21に記載のCDRL2、及び配列番号22に記載のCDRL3を含む軽鎖可変ドメインと、を含む、前記断片と、を含む、前記修飾免疫グロブリン。
【0388】
実施形態29.前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号1または配列番号2を含む、請求項28に記載の修飾免疫グロブリン。
【0389】
実施形態30.前記アミロイド反応性ペプチドが、前記抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性な断片のN末端に連結される、実施形態28または29に記載の修飾免疫グロブリン。
【0390】
実施形態31.前記アミロイド反応性ペプチドが、リンカーによって、前記抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性な断片のN末端に連結される、実施形態28~30のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【0391】
実施形態32.前記抗体またはその免疫学的に活性な断片が、Fc領域を含む、実施形態28~31のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【0392】
実施形態33.前記抗体が、キメラまたはヒト化である、実施形態28~32のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【0393】
実施形態34.前記抗体が、ヒトフレームワーク配列を含む、実施形態28~32のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【0394】
実施形態35.対象におけるアミロイドーシスを治療する方法であって、それを必要とする対象に、実施形態28~34のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンを投与することを含む、前記方法。
【0395】
実施形態36.前記修飾免疫グロブリンをコードする1つ以上の核酸で宿主細胞を形質転換することと、前記修飾免疫グロブリンを産生するための条件下で前記細胞を培養することと、を含む、実施形態28~34のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンを産生する方法。
【0396】
実施形態37.前記修飾免疫グロブリンが、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ4、Alλ1、またはATTR原線維に結合する、実施形態1~4、11~13、または28~34のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリン。
【0397】
実施形態38.実施形態1~4、11~13、または28~34のいずれか1項に記載の修飾免疫グロブリンをコードする、核酸。
【0398】
実施形態39.実施形態38に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【0399】
実施形態40.前記宿主細胞が、CHO細胞である、請求項39に記載の宿主細胞。
【実施例】
【0400】
以下の実施例は本発明をさらに説明するが、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示及び当業者の一般的なレベルに照らして、以下の実施例は例示的なものに過ぎず、多数の変更、修正、及び改変が、本開示の主題の範囲から逸脱することなく用いられ得ることが理解されるであろう。添付の図面は、本開示の明細書及び説明の不可欠な部分として考慮されることを意図する。
【0401】
本明細書で使用される場合、以下の略称が適用される:eq(当量)、M(モル濃度)、μM(マイクロモル濃度)、N(規定)、モル(モル)、mmol(ミリモル)、μmol(マイクロモル)、nmol(ナノモル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、kg(キログラム)、μg(マイクログラム)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、μl(マイクロリットル)、cm(センチメートル)、mm(ミリメートル)、μm(マイクロメートル)、nm(ナノメートル)、℃。(摂氏温度)、h(時間)、min(分)、sec(秒)、msec(ミリ秒)。
【0402】
実施例1.アミロイド沈着物の標的化及び除去のための、アミロイド親和性(amyloidophilic)ペプチドに融合された免疫グロブリンの生成及び使用。
序論:免疫グロブリン-ペプチド融合構築物は、別のタンパク質またはペプチドを組み込んだIgからなる合成生体分子である。Igは、目的のペプチドに2つの大きな利点:第1に、Igと新生児Fc受容体との相互作用に起因するアミロイド反応性ペプチドの血漿中半減期の増強、及び第2に、膜結合Fc受容体及び補体の結合による相互作用を介して、エフェクター免疫細胞を関与及び活性化させる能力、を付与する。アミロイド沈着物の標的化及び除去(例えば、クリアリング)のための融合ペプチド抗体を生成するために、ペプチドアミノ酸配列及びスペーサーエレメントをIg軽鎖タンパク質のN末端に連結することによって、合成アミロイド親和性ペプチドp5(配列番号1)をマウスIgG2aと組み込むマウスIg-ペプチド融合構築物を合成した(
図2)。
【0403】
本開示に基づいて当業者は理解するであろうが、本構築物は、本明細書に記載されるように、本発明者らが開発または提案した任意の数のアミロイド反応性ペプチドと、任意の数のスペーサー配列とを含むことができる(表1のものを含む;WO2016032949も参照されたい)。マウスIgp5融合物をHEK293T/17細胞において生成し、インビトロ結合及び貪食アッセイのパネルを使用して原理証明データを生成するために使用し、アミロイドーシスのマウスモデルを使用して、全身性アミロイド沈着物と局在することが示されている。まとめると、これらのデータは、Ig-ペプチド融合物が、(1)複数の形態のアミロイド沈着物に結合することができること、(2)インビボでアミロイドに特異的に結合することができること、及び(3)培養マクロファージアッセイシステムを使用して、インビトロでアミロイド抽出物及び合成原線維をオプソニン化することができること、を示す。本発明者らは、Ig-ペプチド融合が、アミロイド反応性ペプチドを介して、すべてのアミロイド沈着物に見られる過剰硫酸化ヘパラン硫酸プロテオグリカン及び/またはタンパク質原線維に結合すると予測する。次いで、Fc領域は、補体を固定し、Fc受容体を発現するマクロファージ及び他の細胞を関与させることができ、次いで、アミロイドを除去することができる。
図3に、このプロセスの概略図を示す。
【0404】
材料及び方法:Igp5重鎖構築物については、マウスIgG2a重鎖のCH2(定常重鎖ドメイン2)及びCH3(定常重鎖ドメイン3)ドメインをコードするpFUSE-mIgG2A-Fcベクターは、InvivoGen(San Diego,CA)から購入した。マウス11-1F4 Igの配列に由来するマウス重鎖VH(可変重鎖)及びCH1(定常重鎖ドメイン1)ドメインのcDNAを合成し(Genscript,Piscataway,NJ)、5’分泌リーダー及びFc領域のCH2/CH3ドメインをインフレームでベクターにクローニングした。Igp5軽鎖構築物については、5’分泌リーダー、15アミノ酸の5’スペーサー(配列番号23)、及び5アミノ酸の3’スペーサー(配列番号24)、続いて、マウス11-1F4のVL(可変軽鎖)及びCL(定常軽鎖)領域をコードする配列を有するペプチドp5(配列番号1)のcDNAを合成し(Genscript)、pcDNA3.1-Hygro(+)ベクターにクローニングした。Igp5軽鎖構築物のアミノ酸配列は、配列番号25に提供される。ベクターを、Ig枯渇血清を含む培地中で培養したHEK293T/17細胞株に、一過的にトランスフェクトした。分泌されたIgp5を、プロテインAコンジュゲートマトリックスを使用して、培地から精製した。精製されたIgp5と合成アミロイド原線維との結合は、プルダウンアッセイを使用することによって実証した。インビボでのマウスAAアミロイドとの反応性は、ヨウ素-125(125I)標識Igp5を使用したミクロオートラジオグラフィー、組織生体内分布測定、及び小動物SPECT/CTイメージングによって評価した。合成原線維のIgp5媒介性貪食を、定量的pHrodo-red蛍光アッセイにおいて、THP-1ヒトマクロファージ細胞を使用して、インビトロで測定した。
【0405】
結果:Fcp5融合物は、約1~4μg/mLの培養培地で、両方のHEK細胞株で発現した。プルダウンアッセイについては、Igp5を、
125Iで標識した。還元条件及び非還元条件を使用したゲル電気泳動を使用して、Igp5構築物で、重鎖及び軽鎖の両方の存在が示された(
図4)。
【0406】
プルダウンアッセイを使用して、
125I-Igp5が、組換えアミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質からなる合成原線維に結合することが示された(rVλ6Wil、表2)。反応性は、原線維ペレット中の放射標識物質の存在によって明らかように、70%超であった。
【表2】
【0407】
AAアミロイドを有するマウスにおいて、
125I-Igp5は、組織生体内分布測定によって証明されるように、肝臓及び脾臓におけるアミロイド沈着物(これらのマウスにおける最大アミロイド沈着部位)に特異的に結合した(
図5)。注目すべきことに、健常なアミロイド不含マウスでは、これらの臓器において
125Igp5の保持はなかった(
図5)。ミクロオートラジオグラフィーは、すべての臓器及び組織のより少ないアミロイド沈着物への取り込みを明らかにした(図示せず)。AAマウス及び健常なアミロイド不含対照のSPECT/CTイメージングは、IV注射の20時間後、
125I-Igp5がAAマウスの肝臓及び脾臓に取り込まれたことを確認したが、WTマウスでは、明らかなように、血液プールのみに取り込まれた(
図6)。
【0408】
最後に、Igp5は、インビトロにおけるpHrodoグリーンで標識された合成軽鎖アミロイド原線維の貪食を効果的に媒介した(
図7)。
【0409】
考察:本発明者らは、これらのデータに基づいて、機能的ペプチドをIg軽鎖のN末端で融合することによって、リガンド結合特性が増強された機能的Ig分子を生成することが可能であることを実証した。さらに、本発明者らのデータは、アミロイド反応性ペプチドをIg軽鎖に融合することによって、Ig-ペプチド融合物を生成することができることを示し、これは、インビトロ及びインビボでアミロイドに特異的に結合することができ、かつオプソニン化試薬として機能し、マクロファージによるアミロイドの取り込みを増強することができる。Igp5融合物、または他のアミロイド親和性ペプチドを使用する同様の構築物は、免疫学的に活性な生体分子(Ig)をアミロイド沈着物に標的化するための新規の試薬を提供し、それによって、免疫系の細胞(マクロファージ及び好中球)による患者におけるアミロイドのクリアランスが迅速化され得る。これらの試薬は、汎アミロイド反応性を提供し、すべてではないにしても、多くのアミロイド疾患の形態を有する患者に利益をもたらすことができる。さらに、これらの試薬は、適切な放射性核種で標識した場合、SPECT、PETイメージングによる患者におけるアミロイド沈着物の検出に使用することができ、非標識Ig-ペプチド融合物試薬を使用して、療法への応答の監視または療法前の患者の階層化に使用することができる。
【0410】
実施例2.Ig-ペプチド融合物のアミロイド原線維への結合。
この実施例は、多様なアミロイド関連基質へのIgp5の結合を示す。この実施例はまた、マウス組織におけるペプチド-Ig融合物の例を示す。
【0411】
材料及び方法
ペプチドp5に融合されたIgκ LC配列を含むペプチド-Ig融合物を、ベクターで発現させた。IgG1可変ドメイン、IgG1のCH1ドメイン、及びIgG2aのCH2及びCH3ドメインを含むIgHC配列を、第2のベクター系で発現させた。ベクターを、HEK293T/17細胞に共トランスフェクトし、プロテインAコンジュゲートビーズを使用して、Ig産物を単離した。Igp5及びIg対照を、125Iで放射標識し、ゲル電気泳動によって分析した。プルダウンアッセイを使用して、125I-Igp5及びIg対照と合成アミロイド原線維及びアミロイド抽出物との結合を評価した。125I-Igp5を、組織での保持を評価するために、健常(WT)マウス及び重度の全身性血清アルブミンタンパク質A(AA)アミロイドーシスを有する(H2/IL-6トランスジェニック)マウスに静脈内注射した。次いで、125I-Igp5の組織局在を、ミクロオートラジオグラフィー(ARG)によって評価した。
【0412】
結果
Igp5を、HEK細胞内で一過的に発現させ、プロテインAビーズを使用して細胞培養上清から精製し、
125Iで放射線標識して予備分析した。
125I標識Igp5を、還元条件下及び非還元条件下の両方で、SDS-PAGEによって分析した。マウス11-1F4(IgG1κ)をIg対照として使用した。比較として、p5ペプチド単独も分析した。
図8は、精製された
125I-Igp5のSDS-PAGE分析の結果を示す。精製されたIgp5は、ゲル電気泳動後、重鎖及び軽鎖の両方を有するインタクトなIgとして現れた。
【0413】
合成アミロイド原線維及びアミロイド抽出物への
125I-Igp5及びIg対照の結合を、プルダウンアッセイを使用して評価した。
図9に示されるように、
125I-Igp5は、多様なアミロイド関連基質に結合する。
125I-m11-1F4は、κ4-ペプチドでコーティングされたビーズに結合したが、rVλ6Wil原線維には結合せず、一方、
125I-Igp5は、両方の基質に結合した。
125I-Igp5は、rVλ6Wil及びAβ(1-40)アミロイド様原線維に約64%結合した(対照Ig、マウス11-1F4よりも21倍高い)。アミロイド抽出物への結合も10~30倍高く、
125I-p5のものと正の相関があった(r=0.9、p=0.01)。多様な合成アミロイド原線維及びアミロイド抽出物への
125I-Igp5の結合は、m11-1F4と比較して、大幅に増強され、その反応性は、p5ペプチド単独のものと相関し、結合がペプチドによって引き起こされていることを示す。
【0414】
インビボでのIgP5の保持を評価するために、
125I-Igp5を、健常(WT)マウス及び重度の全身性血清アルブミンタンパク質A(AA)アミロイドーシスを有する(H2/IL-6トランスジェニック)マウスに静脈内注射した。様々な組織にわたる
125I-Igp5の局在を、ミクロオートラジオグラフィー(ARG)によって評価した。コンゴレッド染色を使用して、アミロイド沈着物を染色した。
図10のパネルAに示されるように、ARG及びコンゴレッド染色は、マウスにおける肝脾AAアミロイド、ならびに他の組織において結合するアミロイドにおける、
125I-Igp5の特異的保持を示す。
図10のパネルBに示されるように、WTマウスにおいて、アミロイド不含組織との特異的反応性は観察されず、血液プールが、唯一特定された
125I-Igp5の検出源である。
【0415】
これらの結果は、Igp5が、多くの形態のアミロイドに結合し、インビボでアミロイドを特異的に標的化することを示す。
【0416】
実施例3.抗アミロイド抗体のヒト化
以下の実施例は、ヒト化抗アミロイド抗体の生成を説明する。
【0417】
材料及び方法
親抗体及びペプチドのアミノ酸配列
マウス抗体m11-1F4を親抗体として使用して、ヒト化抗体を生成した。軽鎖のN末端で融合されたペプチドp5を有する親マウス抗体は、「mIgG-p5」と命名された。N末端からC末端へ、mIgG-p5軽鎖は、アミノ酸スペーサー配列に融合された分泌リーダー配列、p5ペプチド配列、別のアミノ酸スペーサー配列、及び抗体軽鎖を含む(
図11A及び
図11Bを参照されたい)。
【0418】
p5のアミノ酸配列は、配列番号1に記載されている(表1を参照されたい)。
【0419】
抗体のヒト化
以下のようにヒト化抗体を作製した。まず、m11-1F4の可変ドメイン配列を解析した。相補性決定領域(CDR)、超可変ループ、及びフレームワーク領域(FR)を同定した。m11-1F4の相補性決定領域のアミノ酸配列を、以下の表3に示す。CDR、FR、及びVH-VL界面における残基のアミノ酸配列も、
図12に示す。
【表3】
【0420】
次に、相同性モデリングを行って、マウス抗体のモデリングされた構造を得た。相同モデルは、カスタマイズされたビルド相同モデルのプロトコルを使用して構築された。ジスルフィド架橋を特定し、連結した。離散最適化タンパク質エネルギー(DOPE)法を使用して、ループを最適化した。
【0421】
フレームワーク残基の溶媒可達表面積を計算した。この結果に基づいて、埋設されたフレームワーク残基を特定した。溶媒可達表面積が15%未満であった残基を、埋設残基とみなした。
【0422】
次に、マウス対応物に最も高い配列同一性を共有したVH及びVL配列の各々について1つのヒトアクセプターを選択した(表4A~4Bを参照されたい)。マウス抗体のCDRをヒトアクセプターのフレームワークに直接移植し、いかなる逆変異も含まない移植抗体の配列を得た。これらの配列は、「VH1」及び「VL1」と称される(以下の表6A~6Bを参照されたい)。
【表4】
【表5】
【0423】
次に、ステップ5で特定された重要な残基を、移植されたVH1及びVL1ならびにマウスVH及びVLの配列において比較した。移植及びマウス抗体フレームワーク配列(すなわち、推定復帰変異部位)において異なるすべての重要な残基を特定した。
【0424】
次に、1つ以上の復帰変異を、以下のガイドラインに従って、段階的な様式で、移植抗体配列に組み込んだ:(1)免疫応答を誘発する可能性が低い埋もれた残基を復帰変異について選択し、(2)CDRにも近接している埋もれた残基を優先度の高い復帰変異について選択し、(3)他の埋もれたFR残基を優先度の低い復帰変異について選択した。
【0425】
最後に、追加の変異を、VHまたはVLのN末端から数えて、ヒト化重鎖可変領域VH9のCDRの残基D54、G55、またはM64、及びヒト化軽鎖可変領域VL4のCDRの残基N33またはG34に導入した。これらの変異を、翻訳後修飾の部位を除去するように設計し、以下の表6A~6Bに列挙する。
【0426】
表面プラズモン共鳴(SPR)
ヒト化抗アミロイド抗体がVκ4Len(1-22)(「Len(1-22)モノマー」)モノマーペプチド(m11-1F4抗体の天然リガンド)に結合する親和性を、Biacore 8K表面プラズモン共鳴(SPR)システムを用いて測定した。親抗体m11-1F4は、変性カッパ4軽鎖タンパク質のN末端に存在するエピトープに結合する。Len(1-22)モノマーは、国際出願第PCT/US2017/015905号に記載されているように、このエピトープを含むペプチドである。追加の変異を有するVH9及びVL4のバージョンを含む、ヒト化重鎖領域VH9及びヒト化軽鎖VL4を組み込んだ抗アミロイド抗体の結合親和性を試験した(表5)。
【0427】
すべてのSPRデータは、Biacore 8K評価ソフトウェア(バージョン1.1)を使用して処理した。各サイクルにおけるフローセル1及び緩衝液のブランク注入を応答単位の減算のための二重参照として使用した。SPR実験の追加の実験条件が、以下の表3に提供される。
【表6】
【0428】
結果
ヒト化VH及びVL配列を有する抗体は、m11-1F4に由来した。ヒト化VL配列を、VL1~VL4と命名し、ヒト化VH配列をVH1~VH10と命名した。ヒト化VH及びVL領域のアミノ酸配列を、以下の表6A~6Bに提供する。表6A~6Bにおいて、CDR配列を下線で示し、VL4及びVH9に導入された復帰変異残基及びさらなる変異を太字及び斜体で示す。VL4及びVH9に導入されたさらなる変異は、表6A及び6BのIgGの列に列挙されている。これらの変異は、VLまたはVHのN末端を基準にして番号付けされている。修飾CDRを有するVL4及びVH9のバリアントを生成し、これらのCDR配列を、VL4及びVH9と比較して、表6C及び6Dに提示する。
【表7】
【表8-1】
【表8-2】
【表9】
【表10】
【0429】
ヒト化及び親VL配列のアミノ酸配列同一性を、配列整列によって比較した。112残基のVL配列のうち、VL4は、m11-1F4に対して91.1%の同一性を有し、VL3は、m11-1F4に対して93.8%の同一性を有し、VL3は、VL4に対して98.1%の同一性を有した。
【0430】
ヒト化抗アミロイド抗体の結合親和性
表7は、ヒト化抗アミロイド抗体のLen(1-22)モノマーペプチドへの結合を測定するSPRアッセイの結果を提供する。具体的には、ヒト化VH9及びVL4配列は、表7の「リガンド」の列に示されるように、追加のアミノ酸置換の有無で試験した。
【表11】
【0431】
実施例4.ペプチドp5に融合された抗アミロイド抗体のアミロイド原線維及び細胞抽出物への結合
以下の実施例は、ヒト化抗アミロイド抗体がアミロイド原線維及びヒトAL及びATTRアミロイド抽出物と結合する能力を試験する、酵素結合免疫吸着アッセイ及びプルダウン実験を記載する。
【0432】
材料及び方法
試験した抗アミロイド抗体
実施例3に記載のように、ヒト化抗アミロイド抗体を使用した。加えて、リジン(「p5」)またはアルギニン(「p5R」)残基を有するペプチドp5のバリアントを、軽鎖のN末端に融合し、VH6/VL3-p5、VH6/VL3-p5R、VH9/VL4-p5、及びVH9/VL4-p5Rを生成した。p5Rのアミノ酸配列は、配列番号2に記載されている(表1を参照されたい)。
【0433】
ユウロピウム結合免疫吸着アッセイ(EuLISA)
ユウロピウム結合免疫吸着アッセイ(EuLISA)を実施するために、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に0.83μMで、rVλ6Wil原線維の懸濁液(超音波処理)を調製した。原線維を、各ウェルに50μLを添加することによって、96ウェルマイクロプレートのウェル上にコーティングした。プレートを、37℃で一晩乾燥させた。マイクロプレートのウェルを、スーパーブロック(Thermofisher)(SB)を200μL/ウェルで添加することによってブロッキングし、37℃で1時間放置した。一次(試験)抗体(すなわち、ヒト化抗体)を添加し、100μL/ウェルを使用して、1μMから始まる1:2の希釈系列で、SB+0.05%Tween20(SBT)中で調製した。次いで、プレートを、37℃で1時間インキュベートした。洗浄ステップ(PBS+0.05%Tween20を使用してプレートを3回洗浄した)後、二次抗体を、100μL/ウェルで、SBT中のビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(Sigma)の1:3000希釈液として添加した。プレートを37℃で1時間インキュベートした。さらなる洗浄ステップの後、100μL/ウェルの、SBT中のユウロピウム/ストレプトアビジン(Perkin Elmer)の1:1000希釈液を添加した。プレートを、37℃で1時間インキュベートした。最終洗浄ステップ後、100μL/ウェルのユウロピウム増強溶液(Perkin Elmer)を添加した。時間分解蛍光発光を、マイクロプレートリーダー(Wallac)を使用して検出した。
【0434】
プルダウン結合アッセイ
rVλ6Wilから合成アミロイド原線維を調製するために、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、0.01%(w/v)NaN3(pH7.5)中に1mg/mLのモノマーを含む1mLの容量を、0.2mmポアサイズのフィルターを通して濾過し、15mL円錐形ポリプロピレンチューブ(BD BioSciences,Bedford,MA)に添加し、反応混合物が不透明になるまで、37℃、225rpmで45°の角度で3~5日間振盪した。
【0435】
精製ヒトアミロイド組織抽出物は、Pras et al.に記載されている水浮遊法を変更なしで使用して、軽鎖アミロイドーシス(AL)またはトランスサイレチン関連アミロイドーシス(ATTR)を有する患者からの剖検由来組織を使用して調製した(Pras,M.et al.J Clin Invest.1968 Apr;47(4):924-933)。水洗中に単離された精製アミロイド材料、及びアミロイドリッチペレットを回収し、凍結乾燥して、使用するまで室温で保管した。
【0436】
プルダウンアッセイの場合、25マイクロリットルの1mg/mLのAL抽出物、または合成rVλ6Wil可変ドメイン原線維(Wall,J.et al.Biochemistry 38(1999)14101-14108)を、0.5mL微量遠心チューブ中で、21,000×gで5分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを、200μLの0.05%Tween-20を含むPBS(PBST)に再懸濁した。125I-p5+14(約100,000カウント/分(CPM);約5ngのペプチド)ストックの1:100希釈液10マイクロリットルを、懸濁液に加えた。混合物を、室温で1時間回転させた。次いで、試料を15,000×gで10分間、2回遠心分離した。各ステップ後、上清及びペレットを分離し、各ステップにおける放射能を、1分間の収集でCobraIIγカウンター(Perkin Elmer)を使用して測定した。ペレットに結合した125I-p5+14の割合(%)を、以下のように決定した:
ペレットのCPM/(ペレットのCPM+上清のCPM)×100
【0437】
結果
EuLISA
ヒト化抗アミロイド抗体がrVλ6Wil原線維に結合する能力をEuLISAによって試験した(
図13A)。
図13Aに提示されるそのデータに基づいて、c11-1F4は、約72nMのEC
50値で結合し、VH10/VL4は、17nMのEC
50値で結合し、VH9/VL4は、7nMのEC
50値で結合し、VH8/VL4は、16nMのEC
50値で結合し、VH7/VL4は、75nMのEC
50値で結合し、VH6/VL3は、95nMのEC
50値で結合した。VH9/VL4は、c11-1F4と比較して、増加した結合を示した(
図13A)。VH9/VL4抗体は、VH6/VL3よりも大きな程度でアミロイド原線維に結合した(
図13A)。さらなる開発には、VH9/VL4及びVH6/VL3を選択した。
【0438】
図13Bに示されるように、ペプチドp5及びp5Rを、VH6/VL3の軽鎖のN末端に付加すると、rVλ6Wil原線維への結合が約30倍増加した(EC
50に基づく)。
図13Bに提示されるそのデータに基づいて、VH6/VL3-p5は、3nMのEC
50値で結合し、VH6/VL3-p5Rは、3nMのEC
50値で結合し、c11-1F4は、約100nMのEC
50値で結合し、VH6/VL3は、95nMのEC
50値で結合した。
【0439】
概して、p5のアルギニンバリアント(p5R)を有するバリアントは、p5バリアントよりも優れていた(
図13C及び
図13D)。この結果は、ペプチド単独の以前の研究と一致した(Wall,J.S.et al.PLoS One.2013 Jun 4;8(6):e66181)。
【0440】
図13Eに示されるように、VH9/VL4は、rVλ6Wil原線維に対して、マウス親抗体と同じ反応性を有した。
【0441】
図13E及び
図13Fに示されるように、VH6/VL3-p5及びVH6/VL3-p5Rの両方とも、hATTRアミロイド抽出物への結合を示した。
図13E及び
図13Fのデータに基づいて、VH6/VL3-p5は、50nMのEC
50値でSno hATTR抽出物に結合し、90nMのEC
50値でKen ATTR抽出物に結合し、VH6/VL3-p5Rは、47nMのEC
50値でSno ATTR抽出物に結合し、70nMのEC
50値でKen ATTR抽出物に結合し、85nMのEC
50値でPer125 wtATTRに結合した。
【0442】
以下の表8は、ELISAの結果を提供し、mIgp5、hIgG1、c11-1F4、m11-1F4、VH6/VL3-p5、VH9/VL4-p5、及びVH9/VL4-p5Rが、rVλ6Wil原線維、Per125 wtATTR抽出物、KEN hATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及びTAL ALκ肝臓抽出物に結合する能力を測定した。抗体及び基質の各組み合わせについて、アッセイにおける対数変換EC50、EC50、及び結合の最大レベルが示されている。「na」とラベルされた条件は、試験されなかった。
【0443】
表8に示されるように、p5またはp5Rに融合されたヒト化抗アミロイド抗体は、様々なアミロイド原線維及びアミロイド抽出物に結合することができた。VH6/VL3-p5、VH9/VL4-p5、及びVH9/VL4-p5Rは、m11-1F4及びすべての他の対照抗体よりも高い親和性(EC
50測定に基づく)で、試験したすべての原線維及び抽出物に結合した。VH9/VL4-p5Rは、概して、VH9/VL4-p5よりも低いEC
50を示し、VH9/VL4-p5は、概して、VH6/VL3-p5よりも低いEC
50を示した。
【表12-1】
【表12-2】
【0444】
プルダウン実験
免疫沈降基質に対する抗アミロイド抗体の能力を調べた。mIgG-p5は、プルダウンアッセイにおいて、Wil原線維及びアミロイド抽出物への優れた結合をもたらした(
図14)。
【0445】
下記の表9に示されるように、基質をプルダウンするVH9/VL4親及びバリアントの能力は、mIgp5と比較して、有意に低下した。表9では、示される値は、パーセント結合であり、データのない細胞は、試験されなかった抗体/基質の組み合わせを表す。
【表13】
【0446】
実施例5.ペプチドp5に融合された抗アミロイド抗体及びエクスビボ貪食
以下の実施例は、ヒト化抗アミロイド抗体がオプソニンとして作用する能力を試験する実験を説明する。具体的には、抗アミロイド抗体の存在下におけるアミロイド原線維のエクスビボ貪食のレベルを測定した。
【0447】
材料及び方法
エクスビボ貪食
固相Wil原線維の取り込みのアッセイの場合、24ウェル組織培養プレートを、室温で2時間、I型ラットコラーゲン(20mMの酢酸中に75μg/ml、0.4ml)でコーティングし、0.5mlのPBSで洗浄し、4℃で、0.5mlのPBS中で一晩、20μg/ウェルのpHrodoレッド標識rVλ6原線維(30%標識画分)でコーティングする。ウェルを0.5mlのPBSで洗浄し、0.5mlの無血清フェノールレッド不含RPMI1640を添加する。抗体オプソニンを5μg/ウェルで添加し、続いて、無血清フェノールレッド不含RPMI1640中のRAW264.7または非誘導THP-1細胞(0.5mlに1.2×106個の細胞)を即座に添加して、37℃で4時間インキュベーションする。取り込みを測定する場合、各ウェルからの細胞を、黒色プラスチック/透明底96ウェルマイクロプレート(Corning)の3連のウェルに移して、BioTek SynergyHT-1マイクロプレートリーダーにおいて、ウェルスキャニングモードで、励起530/25nm及び発光645/40nmで蛍光測定する。1mlの培地単独でインキュベートしたウェルからのバックグラウンド測定値を減算して、相対蛍光単位を得る。
【0448】
結果
アミロイド原線維のオプソニンとして作用する(すなわち、アミロイド原線維の貪食を促進する)ヒト化抗アミロイド抗体の能力を試験した。
【0449】
VH9/VL4-p5及びVH9/VL4-p5Rは、VH6/VL3-p5及びVH6/VL3-p5Rよりも優れたrVλ6Wil原線維の取り込みを促進し、これは上記のELISA結合データの差と一致した(
図15A及び
図15Bを参照)。
図15Cに示されるように、ペプチドを含まないVH9/VL4は、p5またはp5Rが結合したVH6/VL3とほぼ同等であり、ペプチドを含まないVH6/VL3よりも何倍も優れていた。
【0450】
VH9/VL4単独は、c11-1F4よりも優れたオプソニンであった(
図15B)。
【0451】
VH6/VL3-p5及びVH6/VL3-p5Rは、mIgp5に対して同等レベルの原線維の取り込みを促進し、c11-1F4よりも優れた性能を示した(
図15A)。VH9/VL4-p5及びVH9/VL4-p5Rも、mIgp5に対して同等レベルの原線維の取り込みを促進し、c11-1F4よりも優れた性能を示した(
図15B)。
【0452】
驚くべきことに、p5またはp5Rペプチドにコンジュゲートされたヒト化抗アミロイド抗体は、c11-1F4よりも有意に優れたオプソニン化をもたらした。
【0453】
実施例6.野生型マウスにおけるVH9/VL4の薬物動態測定
以下の実施例は、野生型マウスに投与されるVH9/VL4の薬物動態の評価を説明する。
【0454】
材料及び方法
VH9/VL4投与
VH9/VL4を125Iで標識し、野生型マウスに投与した。
【0455】
結果
125I標識VH9/VL4を野生型マウスに投与し、存在する
125I標識VH9/VL4のレベルを経時的に測定した(
図16)。
【0456】
曲線に線形の除去成分(
図16のより大きな点)を当てはめることによって、半減期を(-0.693/-傾き)として計算した:t
1/2=173.5時間(7日)。
【0457】
曲線全体(
図16の点線の小さい点)を二重指数関数的減衰に当てはめることによって、半減期を(-0.693/-k
2)として計算した:t
1/2=86.6h(3.6日)。
【0458】
実施例7.野生型マウスにおけるVH9/VL4の生体内分布
以下の実施例は、野生型マウスに投与されるp5またはp5RにコンジュゲートされたVH9/VL4の生体内分布の評価を説明する。
【0459】
材料及び方法
野生型マウスに、VH9/VL4-p5またはVH9/VL4-p5Rを投与し、注射して48時間後に、筋肉、肝臓、膵臓、脾臓、左右の腎臓、胃、上部腸管、下部腸管、心臓、肺、及び血液に存在する抗体のレベルを測定した(
図17A及び
図17B)。
【0460】
結果
野生型マウスにおけるVH9/VL4-p5(
図17A)またはVH9/VL4-p5R(
図17B)の特異的な蓄積の証拠はなかった。48時間での高い血中プールは、親IgGの薬物動態推定値と一致していた。高レベルの肺の活性は、安楽死中の血液浸潤に起因していた。
【0461】
実施例8.ペプチドの完全性及び血漿中安定性の検証
以下の実施例は、p5及びp5Rにコンジュゲートされたヒト化抗アミロイド抗体の完全性及び血漿中安定性を評価するためのSDS-PAGE及びペプチド捕捉ELISA実験を説明する。
【0462】
材料及び方法
ペプチド捕捉ELISA
ペプチド捕捉ELISAを行って、マウスの血漿中のVH6/VL3-p5の安定性を測定した。4℃でPBS、37℃でPBS、37℃でEDTA血漿、または37℃でヘパリン血漿のいずれかに、100nMのVH6/VL3-p5を添加し(
図18)、存在するインタクトなVH6/VL3-p5の量を、72時間にわたって測定した。VH6/VL3-p5を、抗ヒトFc反応抗体を使用して捕捉し、ビオチン化抗ペプチドp5 mAbを使用して検出した。シグナルを、ストレプトアビジンコンジュゲートHRPOを使用して検出し、プレートリーダーを使用して定量化した。
【0463】
結果
加えて、抗ペプチドp5モノクローナル抗体の結合及びヘパリン結合の試験は、ペプチドがIgG上に存在することを示した(データ図示せず)。
【0464】
マウス血漿中安定性アッセイにおいて、VH6/VL3-p5のレベルは、新鮮なマウス血漿中で、72時間にわたって変化しなかった(
図18)。
【0465】
配列
すべてのポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に示されている。すべてのポリペプチド配列は、N末端からC末端方向に示されている。
11-1F4 VH配列(配列番号15)
【化1】
11-1F4 VL配列(配列番号16)
【化2】
11-1F4 CDR-H1配列(配列番号17)
GFSLSSYGVS
11-1F4 CDR-H2配列(配列番号18)
VIWGDGSTNYHPNLMS
11-1F4 CDR-H3配列(配列番号19)
LDY
11-1F4 CDR-L1配列(配列番号20)
RSSQSLVHRNGNTYLH
11-1F4 CDR-L2配列(配列番号21)
KVSNRFS
11-1F4 CDR-L3配列(配列番号22)
FQTTYVPNT
5’スペーサー配列(配列番号23)
AQAGQAGQAQGGGYS
3’スペーサー配列(配列番号24)
VTPTV
Igp5軽鎖構築物(配列番号25)
AQAGQAGQAQGGGYSKAQKAQAKQAKQAQKAQKAQAKQAKQVTPTVDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHRNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGLYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
p5-3’スペーサー-11-1F4 VL配列(配列番号26)
KAQKAQAKQAKQAQKAQKAQAKQAKQVTPTVDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHRNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGLYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
リンカー配列(配列番号27)
GGGYS
IGKV2-30*02-ヒト生殖系列配列(配列番号28)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHSDGNTYLNWFQQRPGQSPRRLIYKVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQGTHWPP
ヒトVLアクセプター配列(配列番号29)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHSDGNTYLNWFQQRPGQSPRRLIYKVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
IGHV4-4*08-ヒト生殖系列配列(配列番号30)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISSYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIYTSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR
ヒトVLアクセプター配列(配列番号31)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISSYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIYTSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARLDYWGQGTSVTVSS
VL1(配列番号32)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRNGNTYLHWFQQRPGQSPRRLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL2(配列番号33)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRNGNTYLHWYLQRPGQSPRRLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL3(配列番号34)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRNGNTYLHWYLQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGLYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL4(配列番号35)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRNGNTYLHWFQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL4-N33S(配列番号36)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRSGNTYLHWFQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL4-N33Q(配列番号37)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRQGNTYLHWFQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL4-N33E(配列番号38)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHREGNTYLHWFQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL4-N33A(配列番号39)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRAGNTYLHWFQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL4-N33H(配列番号40)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRHGNTYLHWFQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL4-G34A(配列番号41)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRAGNTYLHWFQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VL4-G34V(配列番号42)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHRVGNTYLHWFQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCFQTTYVPNTFGGGTKLEIK
VH1(配列番号43)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWIGVIWGDGSTNYHPNLMSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARLDYWGQGTSVTVSS
VH2(配列番号44)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWVRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLMSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARLDYWGQGTSVTVSS
VH3(配列番号45)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWIGVIWGDGSTNYHPNLMSRLSISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTATYYCVTLDYWGQGTSVTVSS
VH4(配列番号46)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWVRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLMSRLSISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARLDYWGQGTSVTVSS
VH5(配列番号47)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWVRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLMSRLSISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCVTLDYWGQGTSVTVSS
VH6(配列番号48)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWVRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLMSRLSISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTATYYCVTLDYWGQGTSVTVSS
VH7(配列番号49)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWIGVIWGDGSTNYHPNLMSRVTISKDTSKNQVLLKLSSVTAADTAVYYCVTLDYWGQGTSVTVSS
VH8(配列番号50)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWIGVIWGDGSTNYHPNLMSRVTISKDTSKSQFSLKLSSVTAADTAVYYCVTLDYWGQGTSVTVSS
VH9(配列番号51)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLMSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH10(配列番号52)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLMSRLSISKDTSKSQVLLKLSSVTAADTAVYYCVTLDYWGQGTSVTVSS
VH9-D54S(配列番号53)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGSGSTNYHPNLMSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-D54Q(配列番号54)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGQGSTNYHPNLMSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-D54E(配列番号55)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGEGSTNYHPNLMSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-D54A(配列番号56)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGAGSTNYHPNLMSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-D54H(配列番号57)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGHGSTNYHPNLMSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-G55A(配列番号58)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGDASTNYHPNLMSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-G55V(配列番号59)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGDVSTNYHPNLMSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-M64V(配列番号60)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLVSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-M64I(配列番号61)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLISRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-M64L(配列番号62)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLLSRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VH9-M64A(配列番号63)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLSSYGVSWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGSTNYHPNLASRVTISVDTSKSQVLFKLSSVTAADTAVYYCATLDYWGQGTSVTVSS
VL4-N33S CDR-L1(配列番号64)
RSSQSLVHRSGNTYLH
VL4-N33Q CDR-L1(配列番号65)
RSSQSLVHRQGNTYLH
VL4-N33E CDR-L1(配列番号66)
RSSQSLVHREGNTYLH
VL4-N33A CDR-L1(配列番号67)
RSSQSLVHRAGNTYLH
VL4-N33H CDR-L1(配列番号68)
RSSQSLVHRHGNTYLH
VL4-G34A CDR-L1(配列番号69)
RSSQSLVHRAGNTYLH
VL4-G34V CDR-L1(配列番号70)
RSSQSLVHRVGNTYLH
VH9-D54S CDR-H2(配列番号71)
VIWGSGSTNYHPNLMS
VH9-D54Q CDR-H2(配列番号72)
VIWGQGSTNYHPNLMS
VH9-D54E CDR-H2(配列番号73)
VIWGEGSTNYHPNLMS
VH9-D54A CDR-H2(配列番号74)
VIWGAGSTNYHPNLMS
VH9-D54H CDR-H2(配列番号75)
VIWGHGSTNYHPNLMS
VH9-G55A CDR-H2(配列番号76)
VIWGDASTNYHPNLMS
VH9-G55V CDR-H2(配列番号77)
VIWGDVSTNYHPNLMS
VH9-M64V CDR-H2(配列番号78)
VIWGDGSTNYHPNLVS
VH9-M64I CDR-H2(配列番号79)
VIWGDGSTNYHPNLIS
VH9-M64L CDR-H2(配列番号80)
VIWGDGSTNYHPNLLS
VH9-M64A CDR-H2(配列番号81)
VIWGDGSTNYHPNLAS
Ig軽鎖のN末端(配列番号82)
DVVMTQTP
【配列表】
【国際調査報告】