(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】抗B7-H3モノクローナル抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230119BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230119BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230119BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230119BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230119BHJP
C12N 5/12 20060101ALI20230119BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230119BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230119BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230119BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230119BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230119BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230119BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230119BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230119BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20230119BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230119BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230119BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230119BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230119BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230119BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230119BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230119BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N15/12
C12N5/0783
C12N5/12
C12N5/10
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C07K19/00
C07K16/46
C07K16/28
C12P21/08
C12Q1/04
A61K39/395 N
A61P35/00
A61K45/00 101
A61P43/00 121
A61K35/17 Z
A61K47/68
A61K48/00
G01N33/574 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528591
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 US2020061050
(87)【国際公開番号】W WO2021101991
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ピウニカ-ワームズ デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ギャモン セス
(72)【発明者】
【氏名】ピサネスキ フェデリカ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
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4B063QX02
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4C076CC27
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4C076EE56
4C084AA13
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE01
4C087AA02
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA42
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
B7-H3を標的とする抗体、抗体-薬物コンジュゲート、またはキメラ抗原受容体などの薬剤が本明細書に提供される。その必要がある患者に、有効量のB7-H3標的指向剤を投与する段階を含む、がんを治療する方法が提供される。がんが増加したレベルのB7-H3を発現している場合、患者は治療のために選択され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MIL33B抗体からのVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、前記MIL33B抗体からのVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む、モノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項2】
配列番号7に由来するVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号8に由来するVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む、請求項1に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項3】
配列番号1を含むVHCDR1アミノ酸配列、配列番号2を含むVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号3を含むVHCDR3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)と、配列番号4を含むVLCDRlアミノ酸配列、配列番号5を含むVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6を含むVLCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)とを含む、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項4】
配列番号11を含むVHCDR1アミノ酸配列、配列番号12を含むVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号13を含むVHCDR3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)と、配列番号14を含むVLCDRlアミノ酸配列、配列番号15を含むVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号16を含むVLCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)とを含む、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項5】
配列番号17を含むVHCDR1アミノ酸配列、配列番号18を含むVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号19を含むVHCDR3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)と、配列番号20を含むVLCDRlアミノ酸配列、配列番号21を含むVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6を含むVLCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)とを含む、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項6】
配列番号17を含むVHCDR1アミノ酸配列、配列番号18を含むVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号19を含むVHCDR3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)と、配列番号4を含むVLCDRlアミノ酸配列、配列番号5を含むVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6を含むVLCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)とを含む、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項7】
配列番号7に対して少なくとも70%、80%、または90%の同一性を有する重鎖可変配列と、配列番号8に対して少なくとも70%、80%、または90%の同一性を有する軽鎖可変配列とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項8】
配列番号7に対して少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変配列と、配列番号8に対して少なくとも95%の同一性を有する軽鎖可変配列とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項9】
配列番号7に記載の配列を有する重鎖可変配列と、配列番号8に記載の配列を有する軽鎖可変配列とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項10】
前記抗体が、B7-H3に結合することができる、請求項1~9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項11】
ヒト化抗体である、請求項1~10のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項12】
前記抗体断片が、一価scFv(単鎖断片可変)抗体、二価scFv、Fab断片、F(ab’)
2断片、F(ab’)
3断片、Fv断片、または単鎖抗体である、請求項1~11のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項13】
前記抗体が、キメラ抗体、二重特異性抗体、またはBiTEである、請求項1~12のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項14】
前記抗体が、IgG抗体もしくは組換えIgG抗体または抗体断片である、請求項1~13のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片と同じエピトープに対する結合について競合する、モノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体によって認識されるB7-H3上のエピトープに結合する、モノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項17】
前記抗体が、イメージング剤、細胞傷害性剤、金属、もしくは放射性部分にコンジュゲートまたは融合されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項18】
前記イメージング剤が、フルオロフォアである、請求項17に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項19】
前記放射性部分が、Zr-89、Cu-64、F-18、Y-90、Lu-177、At-211、Ac-225、またはPb-212である、請求項17に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項20】
前記抗体が、免疫コンジュゲートである、請求項1~16のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項21】
前記抗体が、フラジェリンまたはフラジェリン誘導体にコンジュゲートされている、請求項20に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項22】
前記抗体が、抗体-薬物コンジュゲートである、請求項1~16のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
【請求項23】
請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体分子の抗体重鎖および/または軽鎖可変領域をコードする、単離された核酸。
【請求項24】
配列番号9に対して少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項23に記載の単離された核酸。
【請求項25】
配列番号10に対して少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項23に記載の単離された核酸。
【請求項26】
請求項23~25のいずれか一項に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項27】
請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片をコードする核酸を含む、ハイブリドーマまたは操作された細胞。
【請求項28】
請求項23~25のいずれか一項に記載の核酸を含む、ハイブリドーマまたは操作された細胞。
【請求項29】
請求項1~18のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片を作製する方法であって、請求項27もしくは28に記載のハイブリドーマまたは操作された細胞を、前記抗体の発現を可能にする条件下で培養する段階と、任意で、前記抗体を培養物から単離する段階とを含む、方法。
【請求項30】
請求項1~22のいずれか一項に記載の1つ以上の抗体または抗体断片を含む、医薬製剤。
【請求項31】
がんを有する患者を治療する方法であって、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片の有効量を投与する段階を含む、方法。
【請求項32】
前記がんが、健常組織と比較して上昇したレベルのB7-H3を発現すると判定されている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記がんが、腎臓がん、膵臓がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、膀胱がん、黒色腫、前立腺がん、乳がん、神経膠腫、リンパ腫、または神経外胚葉がんである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも第2の抗がん療法を施す段階をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の抗がん療法が、化学療法、標的抗がん療法、免疫療法、放射線療法、放射線免疫療法、光線療法、遺伝子療法、手術、ホルモン療法、エピジェネティック調節、抗血管新生療法、またはサイトカイン療法である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記患者が、以前に、免疫チェックポイント阻害剤に応答できなかった、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記患者が、再発している、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
MIL33B抗体からのVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、前記MIL33B抗体からのVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む抗原結合ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)タンパク質。
【請求項39】
前記抗原結合ドメインが、配列番号7に由来するVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号8に由来するVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む、請求項38に記載のCAR。
【請求項40】
前記抗原結合ドメインが、以下:
配列番号1を含むVHCDR1アミノ酸配列、配列番号2を含むVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号3を含むVHCDR3アミノ酸配列を有する、重鎖可変領域(VH)、ならびに配列番号4を含むVLCDRlアミノ酸配列、配列番号5を含むVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6を含むVLCDR3アミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域(VL)
の通りに重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項38または39に記載のCAR。
【請求項41】
前記抗原結合ドメインが、以下:
配列番号11を含むVHCDR1アミノ酸配列、配列番号12を含むVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号13を含むVHCDR3アミノ酸配列を有する、重鎖可変領域(VH)、ならびに配列番号14を含むVLCDRlアミノ酸配列、配列番号15を含むVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号16を含むVLCDR3アミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域(VL)
の通りに重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項38または39に記載のCAR。
【請求項42】
前記抗原結合ドメインが、以下:
配列番号17を含むVHCDR1アミノ酸配列、配列番号18を含むVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号19を含むVHCDR3アミノ酸配列を有する、重鎖可変領域(VH)、ならびに配列番号20を含むVLCDRlアミノ酸配列、配列番号21を含むVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6を含むVLCDR3アミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域(VL)
の通りに重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項38または39に記載のCAR。
【請求項43】
前記抗原結合ドメインが、以下:
配列番号17を含むVHCDR1アミノ酸配列、配列番号18を含むVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号19を含むVHCDR3アミノ酸配列を有する、重鎖可変領域(VH)、ならびに配列番号4を含むVLCDRlアミノ酸配列、配列番号5を含むVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6を含むVLCDR3アミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域(VL)
の通りに重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項38または39に記載のCAR。
【請求項44】
前記抗原結合ドメインが、配列番号7に対して少なくとも70%、80%、または90%の同一性を有する重鎖可変配列と、配列番号8に対して少なくとも70%、80%、または90%の同一性を有する軽鎖可変配列とを含む、請求項38~43のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項45】
前記抗原結合ドメインが、配列番号7に対して少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変配列と、配列番号8に対して少なくとも95%の同一性を有する軽鎖可変配列とを含む、請求項38~43のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項46】
前記抗原結合ドメインが、配列番号7に記載の配列を有する重鎖可変配列と、配列番号8に記載の配列を有する軽鎖可変配列とを含む、請求項38~43のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項47】
前記抗原結合ドメインが、B7-H3に結合することができる、請求項38~46のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項48】
前記抗原結合ドメインが、ヒト化抗原結合ドメインである、請求項38~47のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項49】
ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項38~48のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項50】
前記ヒンジドメインが、CD8aヒンジドメインまたはIgG4ヒンジドメインである、請求項49に記載のCAR。
【請求項51】
前記膜貫通ドメインが、CD8a膜貫通ドメインまたはCD28膜貫通ドメインである、請求項49に記載のCAR。
【請求項52】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3z細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項49に記載のCAR。
【請求項53】
請求項38~52のいずれか一項に記載のCARをコードする、核酸分子。
【請求項54】
前記CARをコードする配列が、発現制御配列に動作可能に連結されている、請求項53に記載の核酸分子。
【請求項55】
発現ベクターとしてさらに規定される、請求項53に記載の核酸分子。
【請求項56】
請求項38~52のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸分子を含む、操作された細胞。
【請求項57】
T細胞である、請求項56に記載の細胞。
【請求項58】
NK細胞である、請求項56に記載の細胞。
【請求項59】
前記核酸が、前記細胞のゲノムに組み込まれている、請求項56に記載の細胞。
【請求項60】
ヒト細胞である、請求項56に記載の細胞。
【請求項61】
請求項56~61のいずれか一項に記載の細胞の集団を、薬学的に許容される担体中に含む、医薬組成物。
【請求項62】
その必要があるヒト患者においてがんを治療する方法であって、前記患者に、請求項56~61のいずれか一項に記載の1つ以上の細胞を含む細胞療法の抗腫瘍有効量を投与する段階を含む、方法。
【請求項63】
前記細胞が、同種異系細胞である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記細胞が、自己細胞である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記細胞が、前記対象に対してHLA適合である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記がんが、健常組織と比較して上昇したレベルのB7-H3を発現すると判定されている、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記がんが、腎臓がん、膵臓がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、膀胱がん、黒色腫、前立腺がん、乳がん、神経膠腫、リンパ腫、または神経外胚葉がんである、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
少なくとも第2の抗がん療法を施す段階をさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
前記第2の抗がん療法が、化学療法、分子標的療法、免疫療法、放射線療法、放射線免疫療法、光線療法、遺伝子療法、手術、ホルモン療法、エピジェネティック調節、抗血管新生療法、またはサイトカイン療法である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記患者が、以前に、免疫チェックポイント阻害剤に応答できなかった、請求項62に記載の方法。
【請求項71】
前記患者が、再発している、請求項62に記載の方法。
【請求項72】
患者を、B7-H3を発現するがんを有すると診断する方法であって、前記方法が、前記患者から得られたがん組織を請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片と接触させる段階と、前記組織との前記抗体または抗体断片の結合を検出する段階とを含み、前記抗体または抗体断片が前記組織に結合する場合、前記患者が、B7-H3を発現するがんを有すると診断される、方法。
【請求項73】
検出する段階が、ELISA、免疫ブロッティング、免疫組織化学、マルチスペクトル蛍光サイトメトリーイメージング、FACS、マスサイトメトリー(CyTOF)、イメージングマスサイトメトリー(IMC)、光学イメージング、PETイメージング、SPECTイメージング、またはMRIを実施することを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
B7-H3を発現するがんを有すると診断された前記患者に、請求項1~25のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗体断片の有効量、または請求項60~65のいずれか一項に記載の1つ以上の細胞を含む細胞療法の有効量を投与する段階をさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
抗B7-H3抗体による治療のために、がんを有する患者を選択する方法であって、(a)前記がんがB7-H3を発現しているかどうかを判定する段階と、(b)B7-H3が前記がんによって発現されている場合に、前記患者を治療のために選択する段階とを含む、方法。
【請求項76】
段階(a)が、(i)前記患者から生体試料を得る、または得ていることと、(ii)B7-H3が前記がんにおいて発現されているかどうかを判定するために、前記生体試料についてアッセイを実施する、または実施していることとを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
選択された前記患者に、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗体断片の有効量、または請求項60~65のいずれか一項に記載の1つ以上の細胞を含む細胞療法の有効量を投与する段階をさらに含む、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
B7-H3が前記がんにおいて発現されているかどうかが、前記試料中のB7-H3タンパク質を検出することによって判定される、請求項75または76に記載の方法。
【請求項79】
前記タンパク質が、マスサイトメトリー、イメージングマスサイトメトリー、ウェスタンブロット、FACS、免疫組織化学、ELISA、RIA、光学イメージング、PETイメージング、SPECTイメージング、またはMRIによって検出される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記タンパク質が、前記がんの試料を、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体と接触させることによって検出される、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
細胞の表面上、組織中、器官中、または生体試料中のB7-H3の存在を検出するための方法であって、(a)前記細胞、組織、器官、または生体試料を、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体と接触させる段階と、(b)前記細胞、組織、器官、または試料と結合した前記抗体の存在を検出する段階とを含む、方法。
【請求項82】
前記接触させる段階および検出する段階が、インビトロである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記接触させる段階が、インビボであり、かつ前記検出する段階が、インビトロである、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記イメージング剤が、フルオロフォアまたは発色団である、請求項82または83に記載の方法。
【請求項85】
前記接触させる段階および検出する段階が、インビボである、請求項81に記載の方法。
【請求項86】
前記イメージング剤が、放射性核種または造影剤である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記検出が、PET、SPECT、光学、MRI、または超偏極MRIによるものである、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記検出が、超偏極MRIによるものであり、検出可能な標識が、Si-29ナノ粒子である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
蛍光ガイド手術を実施する方法であって、(a)請求項18に記載の抗体を含む組成物を、前記抗体が所与の手術部位に蓄積するのに十分な条件下および時間にわたって患者に投与する段階と、(b)蛍光部分からの発光を引き起こすために、前記手術部位を励起光で照射する段階と、(c)前記励起光による励起時に蛍光を発する領域についての外科的切除を実施する段階とを含む、方法。
【請求項90】
対象におけるがんの治療に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体分子または請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項91】
対象におけるがんを治療するための医薬の製造における、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体分子または請求項30に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月18日に出願された米国仮出願第62/936,783号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表への参照
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる配列表を含む。当該ASCIIコピーは、2020年11月4日に作成され、UTFCP1481WO_ST25.txtと名付けられ、サイズは6.9キロバイトである。
【背景技術】
【0003】
1.分野
本発明は、全般的には、医学、免疫学、およびがん生物学の分野に関する。より具体的には、B7-H3を標的とする抗体およびそれらの使用方法に関する。
【0004】
2.関連技術の記載
エフェクターT細胞上の内因性免疫チェックポイントの減衰を通じて宿主免疫系を利用することは、選択された固形腫瘍患者において劇的かつ持続的な腫瘍応答をもたらしている(Sharma et al.,2011)。CTLA-4、PD-1、およびPD-L1を標的とするものなどの共阻害性T細胞シグナルをブロックする抗体は、転移性黒色腫、RCC、NSCLC、および卵巣がんを含む、本来ならば致命的であろう様々な固形がんを有する患者の10~30%において客観的奏効率を示しており、単剤療法および併用臨床試験として多くの有望な免疫チェックポイント療法(ICT)が進行中である。しかしながら、毒性副作用がかなりあり、一方、多くの患者がICTに耐性であり、そのため、治療目的のために免疫チェックポイントをブロックするための新規手段が必要である。
【発明の概要】
【0005】
概要
一実施形態において、モノクローナル抗体または抗体断片が本明細書に提供され、抗体または抗体断片は、MIL33B抗体からのVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、MIL33B抗体からのVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
【0006】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号7に由来するVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号8に由来するVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、B7-H3に結合することができる。
【0007】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号1のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号2のVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号3のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号4のVLCDRlアミノ酸配列、配列番号5のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
【0008】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号11のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号12のVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号13のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号14のVLCDRlアミノ酸配列、配列番号15のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号16のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
【0009】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号17のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号18のVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号19のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号20のVLCDRlアミノ酸配列、配列番号21のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
【0010】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号17のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号18のVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号19のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号4のVLCDRlアミノ酸配列、配列番号5のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
【0011】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号7に対して少なくとも70%、80%、または90%の同一性を有する重鎖可変配列と、配列番号8に対して少なくとも70%、80%、または90%の同一性を有する軽鎖可変配列とを含む。いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号7に対して少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変配列と、配列番号8に対して少なくとも95%の同一性を有する軽鎖可変配列とを含む。いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号7に記載の配列を有する重鎖可変配列と、配列番号8に記載の配列を有する軽鎖可変配列とを含む。
【0012】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、ヒト化される。いくつかの態様において、抗体断片は、一価scFv(単鎖断片可変)抗体、二価scFv’、Fab断片、F(ab’)2断片、F(ab’)3断片、Fv断片、または単鎖抗体である。いくつかの態様において、抗体は、キメラ抗体、二重特異性抗体、またはBiTEである。いくつかの態様において、抗体は、IgG抗体もしくは組換えIgG抗体または抗体断片である。
【0013】
一実施形態において、本実施形態のうちのいずれか1つによるモノクローナル抗体または抗体断片と同じエピトープに対する結合について競合するモノクローナル抗体または抗体断片が本明細書に提供される。
【0014】
一実施形態において、本実施形態のうちのいずれか1つの抗体によって認識されるB7-H3上のエピトープに結合するモノクローナル抗体または抗体断片が本明細書に提供される。
【0015】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、イメージング剤、細胞傷害性剤、金属、もしくは放射性部分にコンジュゲートまたは融合される。いくつかの態様において、イメージング剤は、フルオロフォアである。いくつかの態様において、放射性部分は、Zr-89、Cu-64、F-18、Y-90、Lu-177、At-211、Ac-225、またはPb-212である。
【0016】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、免疫コンジュゲートである。いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、フラジェリンまたはフラジェリン誘導体にコンジュゲートされる。
【0017】
いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、抗体-薬物コンジュゲートである。
【0018】
一実施形態において、本実施形態のうちのいずれかの抗体分子の抗体重鎖および/または軽鎖可変領域をコードする単離された核酸が本明細書に提供される。いくつかの態様において、核酸は、配列番号9と少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、核酸は、配列番号10と少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0019】
一実施形態において、明細書において提供されるのは、本実施形態のうちのいずれか1つの核酸を含む発現ベクターである。
【0020】
一実施形態において、本実施形態のうちのいずれか1つの抗体または抗体断片をコードする核酸を含むハイブリドーマまたは操作された細胞が本明細書に提供される。
【0021】
一実施形態において、本実施形態のうちのいずれか1つのモノクローナル抗体または抗体断片を作製する方法が本明細書に提供され、本方法は、抗体の発現を可能にする条件下で、本実施形態のハイブリドーマまたは操作された細胞を培養する段階と、任意で、抗体を培養物から単離する段階とを含む。
【0022】
一実施形態において、本実施形態のうちのいずれか1つの1つ以上の抗体または抗体断片を含む医薬製剤が本明細書に提供される。
【0023】
一実施形態において、がんを有する患者を治療する方法が本明細書に提供され、本方法は、本実施形態のうちのいずれか1つの抗体または抗体断片の有効量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、がんは、健常な組織と比較して上昇したレベルのB7-H3を発現すると判定されている。いくつかの態様において、がんは、腎臓がん、膵臓がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、膀胱がん、黒色腫、前立腺がん、乳がん、神経膠腫、リンパ腫、または神経外胚葉がんである。いくつかの態様において、本方法は、少なくとも第2の抗がん療法を施す段階をさらに含む。特定の態様において、第2の抗がん療法は、化学療法、標的抗がん療法、免疫療法、放射線療法、放射線免疫療法、光線療法、遺伝子療法、手術、ホルモン療法、エピジェネティック調節、抗血管新生療法、またはサイトカイン療法である。いくつかの態様において、患者は、以前に、免疫チェックポイント阻害剤に応答できなかった。いくつかの態様において、患者は、再発している。
【0024】
一実施形態において、MIL33B抗体からのVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、MIL33B抗体からのVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む抗原結合ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)タンパク質が、本明細書に提供される。
【0025】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、配列番号7に由来するVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号8に由来するVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
【0026】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、以下の通りに重鎖および軽鎖CDR配列を含む:配列番号1のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号2のVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号3のVHCDR3アミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH)、ならびに配列番号4のVLCDRlアミノ酸配列、配列番号5のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6のVLCDR3アミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(VL)。
【0027】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、以下の通りに重鎖および軽鎖CDR配列を含む:配列番号11のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号12のVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号13のVHCDR3アミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH)、ならびに配列番号14のVLCDRlアミノ酸配列、配列番号15のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号16のVLCDR3アミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(VL)。
【0028】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、以下の通りに重鎖および軽鎖CDR配列を含む:配列番号17のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号18のVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号19のVHCDR3アミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH)、ならびに配列番号20のVLCDRlアミノ酸配列、配列番号21のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6のVLCDR3アミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(VL)。
【0029】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、以下の通りに重鎖および軽鎖CDR配列を含む:配列番号17のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号18のVHCDR2アミノ酸配列、および配列番号19のVHCDR3アミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH)、ならびに配列番号4のVLCDRlアミノ酸配列、配列番号5のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6のVLCDR3アミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(VL)。
【0030】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、B7-H3に結合することができる。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、ヒト化抗原結合ドメインである。
【0031】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、配列番号7に対して少なくとも70%、80%、または90%の同一性を有する重鎖可変配列と、配列番号8に対して少なくとも70%、80%、または90%の同一性を有する軽鎖可変配列とを含む。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、配列番号7に対して少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変配列と、配列番号8に対して少なくとも95%の同一性を有する軽鎖可変配列とを含む。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、配列番号7による配列を有する重鎖可変配列と、配列番号8による配列を有する軽鎖可変配列とを含む。
【0032】
いくつかの態様において、CARタンパク質は、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、ヒンジドメインは、CD8aヒンジドメインまたはIgG4ヒンジドメインである。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8a膜貫通ドメインまたはCD28膜貫通ドメインである。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3z細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0033】
一実施形態において、本実施形態のうちのいずれか1つのCARをコードする核酸分子が本明細書に提供される。いくつかの態様において、CARをコードする配列は、発現制御配列に動作可能に連結される。いくつかの態様において、核酸は、発現ベクターとしてさらに規定される。
【0034】
一実施形態において、本実施形態のうちのいずれか1つのキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸分子を含む操作された細胞が本明細書に提供される。いくつかの態様において、細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、細胞は、NK細胞である。いくつかの態様において、核酸は、細胞のゲノムに組み込まれている。いくつかの態様において、細胞は、ヒト細胞である。
【0035】
一実施形態において、本実施形態のうちのいずれか1つによる細胞集団を、薬学的に許容される担体中に含む、医薬組成物が本明細書に提供される。
【0036】
一実施形態において、その必要があるヒト患者においてがんを治療する方法が本明細書に提供され、患者に、本実施形態のうちのいずれか1つによる1つ以上の細胞を含む細胞療法の抗腫瘍有効量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、細胞は、同種異系細胞である。いくつかの態様において、細胞は、自己細胞である。いくつかの態様において、細胞は、対象に対してHLA適合である。いくつかの態様において、がんは、健常な組織と比較して上昇したレベルのB7-H3を発現すると判定されている。いくつかの態様において、がんは、腎臓がん、膵臓がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、膀胱がん、黒色腫、前立腺がん、乳がん、神経膠腫、リンパ腫、または神経外胚葉がんである。
【0037】
いくつかの態様において、本方法は、少なくとも第2の抗がん療法を施す段階をさらに含む。いくつかの態様において、第2の抗がん療法は、化学療法、分子標的療法、免疫療法、放射線療法、放射線免疫療法、光線療法、遺伝子療法、手術、ホルモン療法、エピジェネティック調節、抗血管新生療法、またはサイトカイン療法である。いくつかの態様において、患者は、以前に、免疫チェックポイント阻害剤に応答できなかった。いくつかの態様において、患者は、再発している。
【0038】
一実施形態において、患者を、B7-H3を発現するがんを有すると診断する方法が本明細書に提供され、本方法は、患者から得られたがん組織を、本実施形態のうちのいずれか1つの抗体または抗体断片と接触させる段階と、組織に対する抗体または抗体断片の結合を検出する段階とを含み、抗体または抗体断片が組織に結合する場合、患者は、B7-H3を発現するがんを有すると診断される。いくつかの態様において、検出する段階は、ELISA、免疫ブロッティング、免疫組織化学、マルチスペクトル蛍光サイトメトリーイメージング、FACS、マスサイトメトリー(CyTOF)、イメージングマスサイトメトリー(IMC)、光学イメージング、PETイメージング、SPECTイメージング、またはMRIを実施することを含む。いくつかの態様において、本方法は、B7-H3を発現するがんを有すると診断された患者に、本実施形態のうちのいずれか1つによる抗体もしくは抗体断片の有効量、または1つ以上の細胞を含む細胞療法の有効量を投与する段階をさらに含む。
【0039】
一実施形態において、抗B7-H3抗体による治療のために、がんを有する患者を選択する方法が本明細書に提供され、本方法は、(a)がんがB7-H3を発現しているかどうかを判定する段階と、(b)B7-H3ががんによって発現されている場合に、患者を治療のために選択する段階とを含む。いくつかの態様において、段階(a)は、(i)患者から生体試料を得る、または得ていることと、(ii)B7-H3ががんにおいて発現されているかどうかを判定するために、生体試料についてアッセイを実施する、または実施していることとを含む。いくつかの態様において、本方法は、選択された患者に、本実施形態のうちのいずれか1つによる抗体もしくは抗体断片の有効量、または1つ以上の細胞を含む細胞療法の有効量を投与する段階をさらに含む。
【0040】
いくつかの態様において、B7-H3ががんにおいて発現されているかどうかが、試料中のB7-H3タンパク質を検出することによって判定される。いくつかの態様において、タンパク質は、マスサイトメトリー、イメージングマスサイトメトリー、ウェスタンブロット、FACS、免疫組織化学、ELISA、RIA、光学イメージング、PETイメージング、SPECTイメージング、またはMRIによって検出される。いくつかの態様において、タンパク質は、がんの試料を、本実施形態のうちのいずれか1つの抗体と接触させることによって検出される。
【0041】
一実施形態において、細胞の表面上、組織内、器官内、または生体試料中のB7-H3の存在を検出するための方法が本明細書に提供され、本方法は、(a)細胞、組織、器官、または生体試料を、本実施形態のうちのいずれか1つの抗体と接触させる段階と、(b)細胞、組織、器官、または試料と結合した抗体の存在を検出する段階とを含む。いくつかの態様において、接触させる段階および検出する段階は、インビトロである。いくつかの態様において、接触させる段階は、インビボであり、検出する段階は、インビトロである。特定の態様において、イメージング剤は、フルオロフォアまたは発色団である。いくつかの態様において、接触させる段階および検出する段階はインビボである。特定の態様において、イメージング剤は、放射性核種である。特定の態様において、検出は、PET、SPECT、MRI、または超偏極MRIによるものである。特定の態様において、検出は、超偏極MRIによるものであり、検出可能な標識は、Si-29ナノ粒子である。
【0042】
一実施形態において、蛍光ガイド手術を実施する方法が本明細書に提供され、本方法は、(a)本実施形態の抗体コンジュゲートを含む組成物を、抗体が所与の手術部位に蓄積するのに十分な条件下および時間にわたって患者に投与する段階と、(b)蛍光部分からの発光を引き起こすために、手術部位を励起光で照射する段階と、(c)励起光による励起時に蛍光を発する領域についての外科的切除を実施する段階とを含む。
【0043】
一実施形態において、対象におけるがんを治療する際に使用するための、本実施形態のうちのいずれか1つの抗体分子または医薬組成物が本明細書に提供される。
【0044】
一実施形態において、対象におけるがんを治療するための医薬の製造における、本実施形態のうちのいずれか1つの抗体分子または医薬組成物の使用が、本明細書に提供される。
【0045】
本明細書で使用される場合、特定の成分に関して「本質的に無含有」は、特定の成分のいずれも、組成物に意図的に製剤化されておらず、かつ/または汚染物質としてのみ、もしくは微量でのみ存在することを意味するために本明細書で使用される。組成物の任意の意図しない汚染から生じる特定の成分の総量は、したがって0.05%を十分下回り、好ましくは0.01%を下回る。最も好ましいのは、特定の成分の量が、標準的な分析方法を用いて検出することができない組成物である。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つ以上を意味し得る。本明細書において請求項で使用されるとき、「含む」という単語と組み合わせて使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語は、1つまたは1を超えるを意味し得る。
【0047】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替のみを指すように明示的に示されないか、または代替が互いに排他的ではない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、代替のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。本明細書で使用される場合、「別の」は、少なくとも第2のもの以上を意味し得る。
【0048】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、デバイスにおける誤差の固有の変動、値を決定するために使用される方法、試験対象間に存在する変動、または記載された値の10%以内の値を含むことを示すために使用される。
【0049】
本発明の他の目的、特性、および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、詳細な記載および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しながら、例示としてのみ与えられ、本発明の趣旨および範囲内の種々の変更および修正が、この詳細な記載から当業者に明らかになることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つ以上を参照することによってよりよく理解され得る。
【0051】
【
図1】ヒト4Ig-B7-H3およびマウス2Ig-B7-H3に対するMIL33Bの結合に関するELISA。
【
図2】ヒト4Ig-B7-H3に対するMIL33Bの結合例。解離定数Kdは、バイオレイヤー干渉法(Octet)アッセイを利用して決定した。MIL33Bを光学センサーの表面に捕捉した。次いで、表面を分析物の溶液中に配置し、結合を示す相転移を経時的に測定した。次いで、プローブを分析物無添加の溶液に移動させ、オフバウンドの時間経過を測定した。このサイクルを複数の分析物濃度で繰り返し、Kdを、抗体との分析物結合の濃度および時間依存性の全体的カーブフィッティングから計算した。
【
図3】種々の細胞株におけるヒト4Ig-B7-H3およびマウス2Ig-B7-H3発現のウェスタンブロット。
【
図4A】
図4A~C。4Ig-B7-H3および/または2Ig-B7-H3を発現する細胞に対するAlexa594標識MIL33BおよびAlexa594標識アイソタイプ対照IgG2aの結合。
図4Aは、ネイティブ4Ig-B7-H3を発現するヒトHeLaおよびHCT116細胞からの高いシグナルを示す。細胞の自己蛍光または標識IgG2aからの低いバックグラウンド蛍光に留意されたい。さらに、Alexa594標識MIL33Bをモル過剰な非標識MIL33Bの存在下で添加すると、細胞蛍光がバックグラウンドに低減され、特異性が示される。
図4Bは、中度のネイティブ2Ig-B7-H3を発現し、ヒト4Ig-B7-H3または空ベクター対照を発現するように操作されたネズミ4T1細胞を示す。
図4Cは、2Ig-B7-H3を発現するネズミPan02細胞を示す。
【
図5】ウェスタンブロットによって確認される、MIL33Bの、フラジェリンとのコンジュゲーション、およびヒト4Ig-B7-H3との結合に関するその親和性分析。
【
図6】
図6A~D。フラジェリン-コンジュゲート化MIL33BによるNF-κBの誘導。
図6Aは、κB-RE
5-IκBα-Flucレポーターを示す。
図6Bは、IκBα-FlucレポーターのTNF-α誘導性(時間=0)損失からの光産生の初期損失、続いて、IκBα-FlucのκB応答エレメント(RE
5)誘導性再合成からの光産生の増加を示す。MIL33B単独は、NF-κBシグナル伝達を活性化しない。
図6Cは、光産生の初期損失に続いて、フラジェリンおよびフラジェリン-コンジュゲート化MIL33Bを用いた処理後に、IκBα-Flucの再合成を駆動するκB応答エレメント(RE
5)からの光生成の増加を示す。
図6Dは、刺激の4時間後にフラジェリン-コンジュゲート化MIL33Bおよび様々な濃度のフラジェリン単独によって誘発されたIκBα-Fluc媒介性光子束のレベルを示す。1.8nMのフラジェリンおよび18.2nMのMIL33B-フラジェリンコンジュゲートとの間にシグナル等価性がある。
【
図7】DFOにコンジュゲートされ、
89Zrで放射性標識されたアイソタイプ対照IgG2aと比較したDFOにコンジュゲートされ、
89Zrで放射性標識されたMIL33Bを使用したPETイメージングによる、ヒト4Ig-B7-H3またはベクター対照を発現する4T1ネズミ乳房腫瘍およびB16F10ネズミ黒色腫腫瘍のインビボでの検出。最大強度投影(MIP)としての冠状PET画像(左パネル)、ならびに放射性標識MIL33Bまたはアイソタイプ対照抗体(中央および右パネル)の注射後24時間および72時間における体積分析(%ID/cc)を示す。中央パネルおよび右パネルにおいて、各対の列で、左側の列はMIL33Bを表し、右側の列はIgG2aを表す。
【
図8】MIL33B単剤療法または未処置の対照(PBSビヒクル)で処置した4Ig-B7-H3を発現するネズミB16F10腫瘍を担持するマウスの生存曲線(上部)および腫瘍成長曲線(下部)。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
B7-H3は、多くの腫瘍細胞の表面、ならびに腫瘍微小血管系に発現される共阻害性リガンドである(Suh et al.,2003、Zang et al.,2007、Wang et al.,2012)。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のエフェクター機能を能動的に阻害するか、または調節T細胞の生成を誘導すると考えられ、これらすべてが免疫応答を下方調節する(Pardoll,2012)。CTLA-4およびB7-H3は、ともに広範囲CD28/B7ファミリーのメンバーであるが、CTLA-4およびB7-H3は、非重複性機能を有し、動物モデルで行われた試験は、2つの経路が免疫調節において異なる役割を果たすことを示唆する(Zang et al.,2007、Wang et al.,2012)。
【0053】
B7-H3タンパク質は、ほとんどの腫瘍細胞型ならびに腫瘍関連血管系で発現される(Seaman et al.,2017)。例えば、B7-H3は、腎臓、膵臓、結腸直腸、非小細胞肺、卵巣、膀胱、黒色腫、および神経外胚葉のがん(Loo et al.,2012)、ならびに前立腺がん細胞(Zang et al.,2007、Koenig,2014)で過剰発現され、治療および画像化のためにB7-H3を標的とする広範な適用可能性を指し示す。例えば、限局性疾患を有する患者803名からの前立腺切除術標本では、前立腺腫瘍の大部分(93%)がB7-H3を発現した(Zang et al.,2007)。さらに、B7-H3(および/またはB7-H4、別の共阻害性リガンド)の高いレベルの発現は、臨床的な失敗(転移)および7年以内の死亡のより高いリスクと関連付けられ、これらの分子を、抗腫瘍免疫応答を抑制するように作用する阻害性免疫チェックポイントとして含意した(Zang et al.,2007、Zang et al.,2003)。加えて、腎臓、黒色腫、膠芽腫、甲状腺、および膵臓がんは、IHCによってB7-H3について最大99%の陽性染色を示す(Koenig,2014)。最も重要なのは、正常ヒト組織中では限られたB7-H3タンパク質が存在することである(Koenig,2014、Zang et al.,2003)。B7-H3は、がん細胞の表面およびがん脈管系で高度に発現されるが、正常組織では発現されず、B7-H3は、抗がん免疫療法、陽電子放出断層撮影(PET)および免疫-PETイメージング、ならびに二官能性コンジュゲート薬物療法のための優れた標的を提供する。
【0054】
既知の抗B7-H3抗体は、ヒトのみまたはマウスB7-H3のみに対して適度なナノモル親和性を示す[PMID:22894780、PMID:26487718、PMID:28399408、PMID:22615450]。これらの抗体は、ヒト4Ig-B7-H3およびヒト2Ig-B7-H3に対して高い相同性およびドメイン同一性を示すネズミ2Ig-B7-H3を有する正常マウスで開発されている。したがって、自己抗原に対する胸腺誘導性耐性は、一般的なC57Bl6系統などの正常なマウス系統で発見できるエピトープのレパートリーを制限し得る。さらに、B7-H3は、B7ファミリーの他のパラログと有意な相同性を有し、正常またはB7-H3ノックアウトマウスのいずれにおいても発見できる高親和性エピトープのアクセス可能性をさらに制限する。
【0055】
ヒトのみの親和性は、明らかに、臨床的置き換えおよび所望の治療使用にとって十分であるが、ヒトのみの抗体はネズミエピトープを認識できないため、前臨床ネズミモデルを実施することを困難または不可能にする。免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の今の時代では、これは特に問題となり、ネズミ代理活性抗体の使用を必要とする。他方、ネズミエピトープのみを認識する抗体は、適切なネズミモデルにおける前臨床分析を可能にするが、ヒトへの置き換えを妨げる。理想的なモノクローナル抗体は、ヒトおよびネズミ標的の両方に共通するエピトープ、この場合はB7-H3に対して高い親和性を示すであろう。
【0056】
したがって、ヒト4Ig-B7-H3(ピコモル)およびマウス2Ig-B7-H3(ナノモル)に対して高い二重種親和性を有するモノクローナル抗体MIL33Bが本明細書に提供される。MIL33Bは、破壊された耐性を有する系統である免疫化New Zealand Black/White(NZBWF1/J)マウスから開発された。MIL33B抗体は、ヒト4Ig-B7-H3に対する任意の公表または市販されている抗体よりも高い親和性を有する。腫瘍およびヒト免疫系での中度の豊富な標的について、親和性は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、抗体薬物コンジュゲート(ADC)療法、放射線療法、および画像化などの免疫反応プロセスを最大化するために重要であり、特に競合するリガンドの局所濃度が高い場合に、連結された生物学の機能的阻害のために常に有益である。市販されている抗体、例えば、ch8H9 mAb(Ahmed et al.,2015)およびMacrogenics(Loo et al.,2012)について公開されているKd値はすべて>5nM(または5,000pM)であり、MIL33Bでの>25倍の親和性の利点を表す。MIL33B抗体は、少なくとも、免疫療法、併用免疫チェックポイント療法、抗体コンジュゲート、抗体ベースの放射線治療剤、抗体ベースのPET/SPECTイメージング剤、抗体ベースのインビトロ診断において使用することができる。
【0057】
I.定義
本明細書で使用される「核酸」、「核酸配列」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、または他の文法的等価物は、互いに共有結合した、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはそれらの類似体のいずれかの少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。ポリヌクレオチドは、例えば、20、50、100、200、300、500、1000、2000、3000、5000、7000、10,000などを含む任意の長さのポリマーである。本明細書に記載のポリヌクレオチドは一般にホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、少なくとも1つの異なる連結、例えば、ホスホロアミデート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはO-メチルホスホロアミダイト連結、ならびにペプチド核酸骨格および連結を有し得る核酸類似体が含まれる。天然に存在するポリヌクレオチドと類似体との混合物を作製することができ、代替的に、異なるポリヌクレオチド類似体の混合物、および天然に存在するポリヌクレオチドと類似体との混合物を作製することができる。遺伝子または遺伝子断片、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、cRNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマーは、ポリヌクレオチドの非限定的な例である。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識成分とのコンジュゲーションによるなど、重合後にさらに修飾され得る。本用語はまた、二本鎖分子および一本鎖分子の両方を含む。別段の指定または要求がない限り、用語ポリヌクレオチドは、二本鎖形態と、二本鎖形態を構成することが知られているかまたは予想される2つの相補的な一本鎖形態の各々と、の両方を包含する。ポリヌクレオチドは、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、およびポリヌクレオチドがRNAであるときにチミンがウラシル(U)の特異的な配列で構成される。したがって、「ポリヌクレオチド配列」という用語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベットの表現である。特に示されない限り、特定のポリヌクレオチド配列はまた、その保存的改変バリアント(例えば、縮重コドン置換)および相補的配列ならびに明示的に示される配列を暗黙的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの第3の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換される配列を生成することによって達成され得る。
【0058】
本明細書で使用される「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指す。これらの用語はまた、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマー、改変残基を含むもの、および非天然アミノ酸ポリマーにも適用される。本例において、「ポリペプチド」という用語は、抗体またはその断片を包含する。
【0059】
本明細書で使用される組換え核酸技術、微生物学、免疫学、抗体工学、ならびに分子および細胞生物学の分野で使用される他の用語は、当業者によって一般に理解されるであろう。
【0060】
II.抗体および抗体の修飾
表1~3に示すように、重鎖および軽鎖からのクローン対相補性決定領域(CDR)を有するモノクローナル抗体が本明細書に提供される。かかる抗体は、本明細書に記載の方法を使用して産生され得る。
【0061】
本発明のモノクローナル抗体はいくつかの適用を有し、B7-H3を検出する際に使用する診断キットの作製、ならびにB7-H3のレベルの増加に関連する疾患を治療するための適用が含まれる。これらの文脈では、かかる抗体を診断剤または治療剤に結び付け、それらを競合アッセイにおける捕捉剤または競合剤として使用するか、またはそれらに結合される追加の薬剤を伴わずにそれらを個別的に使用し得る。抗体は、以下でさらに説明されるように、変異、または修飾され得る。抗体を調製および特徴付けるための方法は当該技術分野で周知である(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988、米国特許第4,196,265号を参照されたい)。
【0062】
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する、少なくとも1つの抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される場合、本用語は、インタクトのポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけでなく、それらの断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fd、Fd’、単鎖抗体(ScFv)、ダイアボディ、線状抗体など)、それらの変異体、天然に存在するバリアント、必要な特異性の抗原認識部位を有する抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、および必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成も包含する。
【0063】
「単離された抗体」は、その自然環境の成分から分離および/または回収されているものである。その自然環境の汚染成分は、抗体の診断的または治療的使用を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。特定の例では、抗体は、(1)ローリー法によって決定されるときに重量で95%超の抗体、最も具体的には重量で99%超まで、あるいは(2)クマシーブルーもしくは銀染色を使用した還元または非還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで、精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないときに、組換え細胞内のインサイチュでの抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製段階によって調製される。
【0064】
基本的な4鎖抗体ユニットは、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。本明細書で使用される「重鎖」という用語は、そのアミノ末端領域を通して、免疫グロブリン軽鎖と会合する、より大きな免疫グロブリンサブユニットを指す。重鎖は、可変領域(VH)および定常領域(CH)を含む。定常領域は、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3ドメインをさらに含む。IgE、IgM、およびIgYの場合、重鎖は、CH4ドメインを含むが、ヒンジドメインを有さない。当業者は、重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)として分類され、それらの中にいくつかのサブクラス(例えば、γ1~γ4、α1~α2)を有することを理解するであろう。抗体の「クラス」を、それぞれIgG、IgM、IgA IgD、またはIgEとして決定するのは、この鎖の性質である。免疫グロブリンのサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1などは、十分に特徴付けられており、機能的な特殊化を付与することが知られている。
【0065】
本明細書で使用される「軽鎖」という用語は、重鎖のアミノ末端領域と会合する、より小さい免疫グロブリンサブユニットを指す。重鎖と同様に、軽鎖は、可変領域(VL)および定常領域(CL)を含む。軽鎖は、それらの定常ドメイン(CL)のアミノ酸配列に基づいて、カッパまたはラムダ(κ、λ)のいずれかに分類される。これらの対は、様々な重鎖のうちのいずれかの対と会合して、免疫グロブリン分子を形成することができる。また軽鎖の意味には、カッパ定常領域(C-カッパ)に連結されたラムダ可変領域(V-ラムダ)またはラムダ定常領域(C-ラムダ)に連結されたカッパ可変領域(V-カッパ)を有する軽鎖も包含される。
【0066】
例えば、IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドとともに5つの塩基性ヘテロ四量体ユニットからなり、したがって、10個の抗原結合部位を含有するが、一方、分泌型IgA抗体は、重合して、J鎖とともに2~5個の塩基性4鎖ユニットを含む多価集合体を形成することができる。IgGの場合、4鎖ユニットは、概して、約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に連結され、2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結されている。各H鎖およびL鎖はまた、規則的に間隔をあけた鎖内ジスルフィド架橋を有する。各H鎖は、N末端に可変領域(VH)、続いてアルファ鎖およびガンマ鎖の各々について3つの定常ドメイン(CH)、ならびにミューおよびアイソタイプにおける4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変領域(VL)、続いてその他端に定常ドメイン(CL)を有する。VLはVHと整列し、CLは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域との間に界面を形成すると考えられている。VHとVLとの対形成は、一緒に単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造および特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th edition,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.),Appleton & Lange,Norwalk,Conn.,1994,71ページおよびChapter 6を参照されたい。
【0067】
抗体の「可変領域」は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を、単独または組み合わせのいずれかで指す。「可変」という用語は、可変領域の特定のセグメントが、抗体間で配列が大きく異なるという事実を指す。軽鎖(VL)および重鎖(VH)部分の両方の可変領域が、抗原結合を媒介し、特定の抗体のその特定の抗原に対する特異性を定める。しかしながら、可変性は、可変領域の全体にわたって均一に分布していない。代わりに、可変領域は、相補性決定領域(CDR)または超可変領域と称される極可変性のより短い領域によって区切られる、フレームワーク領域(FR)と称される比較的不変の区間からなる。ネイティブ重鎖および軽鎖の可変領域は各々が、主にベータシート構造の形をとり、3つのCDRによって接続され、ベータシート構造を接続するが、場合によってはその一部を形成するループを形成する、4つのFRを含む。CDRは、抗原の形状を補完し、抗原に対する抗体の親和性および特異性を決定する。VLおよびVHの両方に6つのCDRが存在する。各鎖のCDRは、FRに近接して一緒に保持され、他の鎖からのCDRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照されたい)。
【0068】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」という用語は、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、「相補性決定領域」または「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、Kabat付番システムに従って付番された場合、VLにおける約24~34(L1)、50~56(L2)、および89~97(L3)残基周辺、ならびにVHにおける約31~35(H1)、50~65(H2)、および95~102(H3)の周辺、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、および/または「超可変ループ」からのこれらの残基(例えば、Chothia付番システムに従って付番される場合、VLにおける24~34(L1)、50~56(L2)、および89~97(L3)残基、ならびにVHにおける26~32(H1)、52~56(H2)、および95~101(H3)、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))、および/または「超可変ループ」/CDRからのこれらの残基(例えば、IMGT付番システムに従って付番される場合、VLにおける27~38(L1)、56~65(L2)、および105~120(L3)残基、ならびにVHにおける27~38(H1)、56~65(H2)、および105~120(H3)、Lefranc,M.P.et al.Nucl.Acids Res.27:209-212(1999),Ruiz,M.et al.Nucl.Acids Res.28:219-221(2000))を含む。任意で、抗体は、AHo、Honneger,A.and Plunkthun,A.J.Mol.Biol.309:657-670(2001)に従って付番される場合、VLにおける28、36(L1)、63、74~75(L2)、および123(L3)、ならびにVsubHにおける28、36(H1)、63、74~75(H2)、および123(H3)の地点のうちの1つ以上で対称的な挿入を有する。本明細書で使用される場合、CDRは、これらの付番アプローチのうちのいずれかによって、またはアプローチの組み合わせによって、または他の望ましいアプローチによって定義されるCDRを指し得る。加えて、高度に保存されたコア、境界、および超可変領域の新規定義が使用され得る。
【0069】
抗体の「定常領域」は、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を、単独または組み合わせのいずれかで指す。軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2、またはCH3もしくはIgMおよびIgEの場合にCH4)の定常領域は、分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合、補体結合などの重要な生物学的特性を付与する。慣例により、定常領域ドメインの付番は、それらが抗体の抗原結合部位またはアミノ末端からより遠位になるにつれて増加する。定常領域は、抗体の、抗原との結合に直接的には含まれないが、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、抗体依存性好中球食作用(ADNP)、および抗体依存性補体沈着(ADCD)における抗体の関与など、様々なエフェクター機能を示す。
【0070】
抗体は、抗体断片であり得る。「抗体断片」は、インタクト抗体の一部分のみを含み、一般的にインタクト抗体の抗原結合部位を含み、したがって、抗原に結合する能力を保持する。本定義によって包含される抗体断片の例には、(i)VL、CL、VH、およびCH1ドメインを有するFab断片、(ii)CH1ドメインのC末端に1つ以上のシステイン残基を有するFab断片である、Fab’断片、(iii)VHおよびCH1ドメインを有するFd断片、(iv)VHおよびCH1ドメインならびにCH1ドメインのC末端に1つ以上のシステイン残基を有するFd’断片、(v)単一抗体のVLおよびVHドメインを有するFv断片、(vi)VHドメインからなるdAb断片、(vii)単離されたCDR領域、(viii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab’断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片、(ix)単鎖抗体分子(例えば、単鎖Fv、scFv)、(x)同じポリペプチド鎖に軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する「ダイアボディ」、(xi)相補性軽鎖ポリペプチドとともに、一対の抗原結合領域を形成する、一対の直列Fdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む「線状抗体」、が含まれる。
【0071】
抗体は、キメラ抗体であり得る。「キメラ抗体」は、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列の各々のうちの1つの部分が、特定の種に由来するか、または特定のクラスに属する抗体における対応する配列に相同であるが、一方、鎖の残りのセグメントが、別の対応する配列に相同である抗体を指す。例えば、キメラ抗体は、非ヒトドナーからの抗原結合配列を、異種の非ヒト、ヒト、またはヒト化配列(例えば、フレームワークおよび/または定常ドメイン配列)に移植接合して含む抗体であり得る。典型的には、これらのキメラ抗体では、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、1つの種の哺乳類に由来する抗体の可変領域を模倣するが、定常部分は、別の種に由来する抗体の配列に相同的である。例えば、モノクローナル抗体の軽鎖および重鎖定常ドメインをヒト起源の類似ドメインで置き換える方法が開発されており、外来抗体の可変領域はそのままである。代替的に、「完全にヒトの」モノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子で遺伝子導入されたマウスにおいて産生される。また、げっ歯類、例えばマウス、およびヒトのアミノ酸配列の両方を有する抗体可変ドメインを組換えで構築することによって、モノクローナル抗体の可変ドメインを、よりヒト形態に変換する方法も開発されている。「ヒト化」モノクローナル抗体では、超可変CDRのみがマウスモノクローナル抗体に由来し、フレームワークおよび定常領域は、ヒトアミノ酸配列に由来する(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,091,513号および同第6,881,557号を参照されたい)。げっ歯類に固有である抗体におけるアミノ酸配列を、ヒト抗体の対応する位置に認められるアミノ酸配列で置き換えることは、治療使用中の有害な免疫反応の可能性を低下させると考えられる。抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞はまた、遺伝子変異または他の変化に供され得、ハイブリドーマによって産生される抗体の結合特異性を変更し得るか、またはし得ない。
【0072】
A.モノクローナル抗体
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る自然に発生する可能性がある変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一抗原部位に対して指向される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原における単一決定基に対して指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体によって混入されずに合成され得ることで、有利である。修飾語「モノクローナル」は、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本開示において有用なモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)によって最初に報告されているハイブリドーマ方法論によって調製され得るか、あるいは感染もしくは免疫に応答する抗原特異的B細胞、抗原特異的形質芽細胞の単一細胞選別、またはバルク選別された抗原特異的収集における単一細胞からの連結した重鎖および軽鎖の捕捉の後に、細菌、真核生物の動物もしくは植物細胞における組換えDNA法を使用して作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。モノクローナル抗体は、例えば、Clackson et al.,Nature,,352:624-628(1991)およびMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)に記載の技法を使用してファージ抗体ライブラリーから単離し得る。
【0073】
ヒト化、キメラ、および完全にヒトを含む、様々なタイプのモノクローナル抗体を産生するための方法は、当該技術分野で既知であり、高度に予測可能である。例えば、以下の米国特許および特許出願は、かかる方法を可能にする説明を提供する。米国特許出願第2004/0126828号および同第2002/0172677号、ならびに米国特許出願第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,196,265号、同第4,275,149号、同第4,277,437号、同第4,366,241号、同第4,469,797号、同第4,472,509号、同第4,606,855号、同第4,703,003号、同第4,742,159号、同第4,767,720号、同第4,816,567号、同第4,867,973号、同第4,938,948号、同第4,946,778号、同第5,021,236号、同第5,164,296号、同第5,196,066号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,420,253号、同第5,565,332号、同第5,571,698号、同第5,627,052号、同第5,656,434号、同第5,770,376号、同第5,789,208号、同第5,821,337号、同第5,844,091号、同第5,858,657号、同第5,861,155号、同第5,871,907号、同第5,969,108号、同第6,054,297号、同第6,165,464号、同第6,365,157号、同第6,406,867号、同第6,709,659号、同第6,709,873号、同第6,753,407号、同第6,814,965号、同第6,849,259号、同第6,861,572号、同第6,875,434号、および同第6,891,024号であり、各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
B.単鎖抗体
単鎖可変断片(scFv)は、短いリンカーと一緒に連結された、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変領域の融合物である。このキメラ分子は、定常領域の除去およびリンカーペプチドの導入にもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。この修飾は、通常、特異性は無変化のままである。scFvは、ハイブリドーマまたはB細胞に由来するサブクローニングした重鎖および軽鎖から直接的に作製することができる。単鎖可変断片は、完全な抗体分子に認められる定常Fc領域を欠き、したがって、抗体を精製するために使用される共通結合部位(例えば、タンパク質A/G)を欠く。これらの断片は、プロテインLがカッパ軽鎖の可変領域と相互作用するため、プロテインLを使用してしばしば精製/固定することができる。
【0075】
フレキシブルリンカーは、概して、アラニン、セリン、およびグリシンなどのラセン-およびターン-促進性アミノ酸残基からなる。しかしながら、他の残基も同様に機能することができる。例えば、リンカーは、VHC末端の2残基後にプロリン残基、ならびに他の位置に多数のアルギニンおよびプロリンを有し得る。
【0076】
単鎖抗体はまた、非ペプチドリンカーまたは化学的単位を使用して受容体の軽鎖と重鎖とを結合することによって作製され得る。一般に、軽鎖および重鎖は、異なる細胞内で産生され、精製され、その後、適切な方式で一緒に連結される(すなわち、重鎖のN末端が、適切な化学架橋を介して軽鎖のC末端に結合される)。
【0077】
架橋試薬は、2つの異なる分子、例えば、安定化剤および凝固剤の官能基を結び付ける分子ブリッジを形成するために使用される。しかしながら、同じ類似体の二量体もしくは多量体、または異なる類似体からなるヘテロマー複合体を作製できることが企図される。2つの異なる化合物を段階的に連結するために、不必要なホモポリマー形成を排除するヘテロ二官能性架橋剤を使用することができる。
【0078】
例示的なヘテロ二官能性架橋剤は、2つの反応性基を含有し、1つは、一級アミン基(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド)と反応し、他は、チオール基(例えば、ピリジルジスルフィド、マレイミド、ハロゲンなど)と反応する。一級アミン反応性基を介して、架橋剤は、1つのタンパク質(例えば、選択された抗体または断片)のリジン残基と反応し得、チオール反応性基を介して、第1のタンパク質にすでに結合している架橋剤は、他のタンパク質(例えば、選択剤)のシステイン残基(遊離スルフヒドリル基)と反応する。
【0079】
血液中で合理的な安定性を有する架橋剤が用いられることが好ましい。標的指向剤および治療/予防剤をコンジュゲートするために良好に用いることができる多数の種類のジスルフィド結合含有リンカーが知られている。立体障害されるジスルフィド結合を含有するリンカーは、インビボでより大きな安定性をもたらし、作用部位に到達する前に標的指向ペプチドの放出を防止することが証明され得る。したがって、これらのリンカーは、連結剤の一グループである。
【0080】
例えば、SMPTは、隣接するベンゼン環およびメチル基によって「立体障害される」ジスルフィド結合を含有する二官能性架橋剤である。ジスルフィド結合の立体障害は、組織および血液に存在し得るグルタチオンなどのチオレートアニオンによる攻撃から結合を保護する機能を果たし、それによって結合した薬剤が標的部位に送達される前のコンジュゲートの脱離を防止するのに役立つと考えられている。SMPT架橋試薬は、他の多くの既知の架橋試薬と同様に、システインのSHまたは一級アミン(例えば、リジンのイプシロンアミノ基)などの官能基を架橋する能力を与える。架橋剤の別の可能なタイプには、スルホスクシンイミジル-2-(p-アジドサリチルアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオネートなどの切断可能なジスルフィド結合を含有するヘテロ二官能性光反応性フェニルアジドが含まれる。N-ヒドロキシ-スクシンイミジル基は、一級アミノ基と反応し、フェニルアジド(光分解時)は、任意のアミノ酸残基と非選択的に反応する。
【0081】
阻害性架橋剤に加えて、非阻害性リンカーもまた、本明細書に従って用いることができる。保護されたジスルフィドを含有または生成すると考えられない他の有用な架橋剤には、SATA、SPDP、および2-イミノチオランが含まれる。かかる架橋剤の使用は、当技術分野で十分理解されている。フレキシブルリンカーも使用され得る。
【0082】
米国特許第4,680,338号は、アミン含有ポリマーおよび/またはタンパク質とのリガンドのコンジュゲートを作製するために有用な二官能性リンカーを記載しており、特に、キレート剤、薬物、酵素、検出可能な標識などとの抗体コンジュゲートを形成するために有用である。米国特許第5,141,648号および同第5,563,250号は、様々な穏やかな条件下で切断可能である不安定な結合を含有する切断可能なコンジュゲートを開示している。このリンカーは、関心対象の薬剤が、リンカーに直接結合され得て、活性薬剤の放出をもたらす切断を伴う際に特に有用である。特定の使用は、抗体などのタンパク質、または薬物に遊離アミノまたは遊離スルフヒドリル基を加えることを含む。
【0083】
米国特許第5,856,456号は、融合タンパク質、例えば、単鎖抗体を作製するためにポリペプチド構成成分を接続する際に使用するためのペプチドリンカーを提供する。リンカーは、長さが最大約50アミノ酸であり、荷電アミノ酸(好ましくはアルギニンまたはリジン)、続いてプロリンの少なくとも1つの存在を含有し、より高い安定性および低下した凝集を特徴とする。米国特許第5,880,270号は、様々な免疫診断用および分離用技法に有用なアミノオキシ含有リンカーを開示している。
【0084】
C.二重特異性および多重特異性抗体
抗体は、二重特異性または多重特異性であり得る。「二重特異性抗体」は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、単一抗原の2つの異なるエピトープに結合し得る。他のかかる抗体は、第1の抗原結合部位を第2の抗原の結合部位と組み合わせ得る。代替的に、抗原特異的アームは、T細胞受容体分子(例えば、CD3)などの白血球上のトリガー分子、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcガンマRIII(CD16)などのIgGのFc受容体(FcγR)に結合するアームと組み合わせて、細胞防御機構を感染細胞に集中させ、局在化し得る。二重特異性抗体はまた、細胞傷害性剤を感染細胞に局在化するために使用され得る。これらの抗体は、抗原結合アームおよび細胞傷害性剤(例えば、サポリン、抗インターフェロンα、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサート、または放射性同位体ハプテン)に結合するアームを有する。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製することができる。Takiら(2015)は、二重特異性抗B7-H3/抗CD3抗体を報告している。
【0085】
二重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野で知られている。全長二重特異性抗体の従来の産生は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づいており、2つの鎖は異なる特異性を有する。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の非選択組み合わせのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10個の異なる抗体分子の可能性のある混合物を産生し、そのうちの1つのみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、通常、アフィニティークロマトグラフィー段階によって行われ、かなり煩雑であり、産生収率は低い。
【0086】
別のアプローチによれば、所望の結合特異性を有する抗体可変領域(抗体-抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。好ましくは、融合物は、Ig重鎖定常ドメインを伴うものであり、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含む。融合物のうちの少なくとも1つに存在する、軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、および必要に応じて免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、好適な宿主細胞に共遺伝子導入される。これは、構築物で使用される3つのポリペプチド鎖の不等比が所望の二重特異性抗体の最適収率を提供する場合に、3つのポリペプチド断片の相互比率を調整する際により大きな柔軟性を提供する。しかしながら、等しい比率での少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高収率をもたらすとき、または比率が所望の鎖の組み合わせの収率に有意な効果を有さないとき、2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を単一の発現ベクターに挿入することが可能である。
【0087】
二重特異性抗体は、一方のアームにおける第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアームにおけるハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)から構成され得る。この不斉構造は、二重特異性分子の半分のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が、分離の容易な方法を提供し、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二重特異性化合物の分離を容易にする。このアプローチは、WO94/04690に開示されている。二重特異性抗体を生成するためのさらなる詳細について、例えば、Suresh et al.,Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照されたい。
【0088】
米国特許第5,731,168号に記載される別のアプローチによれば、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の割合を最大化することができる。好ましい界面は、CH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面からの1つ以上の小さなアミノ酸側鎖が、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えられる。大きな側鎖と同一または類似のサイズの代償的な「空洞」が、大きなアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えば、アラニンまたはスレオニン)と置き換えることによって、第2の抗体分子の界面に作成される。これは、ホモ二量体などの他の望ましくない最終生成物よりもヘテロ二量体の収率を増加させるための機構を提供する。
【0089】
二重特異性抗体には、架橋化または「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲートにおける抗体の一方は、アビジンに、他方はビオチンに結合することができる。かかる抗体は、例えば、免疫系細胞を望ましくない細胞に向けることが提唱されている(米国特許第4,676,980号)。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の都合の良い架橋法を使用して作製され得る。好適な架橋剤は、当技術分野で周知であり、いくつかの架橋技法とともに、米国特許第4,676,980号に開示されている。
【0090】
抗体断片から二重特異性抗体を生成するための技法も、文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を使用して調製することができる。Brennan et al.,Science,229:81(1985)は、インタクト抗体をタンパク質分解によって切断して、F(ab’)2断片を生成する手順を報告している。これらの断片は、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元され、隣接ジチオールを安定化し、分子間ジスルフィド形成を防止する。次いで、生成されたFab’断片をチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換する。次いで、Fab’-TNB誘導体のうちの1つは、メルカプトエチルアミンによる還元によってFab’-チオールに再変換され、等モル量の他のFab’-TNB誘導体と混合して、二重特異性抗体を形成する。産生される二重特異性抗体を、酵素の選択的固定化のための薬剤として使用することができる。
【0091】
大腸菌(E.coli)からのFab’-SH断片の直接回収を促進する技法が存在し、二重特異性抗体を形成するために化学的に結合することができる。Shalaby et al.,J.Exp.Med.,175:217-225(1992)は、ヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子の産生を報告している。各Fab’断片を大腸菌から別々に分泌させ、インビトロで直接的な化学カップリングに供し、二重特異性抗体を形成した。このように形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体および正常ヒトT細胞を過剰発現する細胞に結合することができ、同様にヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を引き起こすことができた。
【0092】
組換え細胞培養物から直接的に二重特異性抗体断片を作製および単離するための様々な技法も報告されている(Merchant et al.、Nat.Biotechnol.16,677-681(1998))。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生されている(Kostelny et al.J.Immunol.,148(5):1547-1553,1992)。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に連結した。抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元して単量体を形成し、次いで再酸化して抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法はまた、抗体ホモ二量体の産生に利用することができる。Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)によって報告された「ダイアボディ」は、二重特異性抗体断片を作製するための代替機構を提供してきている。断片は、同じ鎖上で2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーによってVLに接続されるVHを含む。したがって、1つの断片のVHおよびVLドメインは、別の断片の相補的なVLおよびVHドメインと対形成させられ、それによって2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体の使用によって二重特異性抗体断片を作製するための別の戦略もまた報告されている。Gruber et al.J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい。
【0093】
二重特異性または多重特異性抗体は、DOCK-AND-LOCK(商標)(DNL(商標))複合体として形成され得る(例えば、米国特許第7,521,056号、同第7,527,787号、同第7,534,866号、同第7,550,143号、および同第7,666,400号を参照されたい)。一般に、本技法は、cAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)の調節(R)サブユニットの二量体化およびドッキングドメイン(DDD)配列と、様々なAKAPタンパク質のうちのいずれかに由来するアンカードメイン(AD)配列との間で生じる特異的および高親和性結合相互作用を利用する(Baillie et al.,FEBS Letters.2005;579:3264、Wong and Scott,Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2004;5:959)。DDDおよびADペプチドは、任意のタンパク質、ペプチド、または他の分子に結合され得る。DDD配列は自発的に二量体化し、AD配列に結合するため、本技法は、DDDまたはAD配列に結合し得る任意の選択された分子間の複合体の形成を可能にする。
【0094】
2つを超える結合価を有する抗体が企図される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる(Tutt et al.,J.Immunol.147:60,1991、Xu et al.,Science,358(6359):85-90,2017)。抗体はまた、受容体の二量体化または多量体化を可能にする配列または部分を含み得る。かかる配列には、J鎖と結合して多量体の形成を可能にする、IgAに由来する配列が含まれる。別の多量体化ドメインは、Gal4二量体化ドメインである。
【0095】
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞によって、二価抗体よりも速く内在化(および/または異化)され得る。本開示の抗体は、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(例えば、四価抗体)であることができ、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に産生することができる。多価抗体は、二量体化ドメインと、3つ以上の抗原結合部位とを含むことができる。好ましい二量体化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれらからなる)。このシナリオでは、抗体は、Fc領域と、Fc領域に対してアミノ末端の3つ以上の抗原結合部位とを含む。多価抗体は、3~約8つ、例えば、4つの抗原結合部位を含み得る(またはそれらからなり得る)。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは2つのポリペプチド鎖)を含み、ポリペプチド鎖は、2つ以上の可変領域を含む。例えば、ポリペプチド鎖は、VD1-(X1).sub.n-VD2-(X2)n-Fcを含み得、VD1は、第1の可変領域であり、VD2は、第2の可変領域であり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、nは0または1である。例えば、ポリペプチド鎖は、VH-CH1-フレキシブルリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖、またはVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含み得る。本明細書における多価抗体は、少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変領域ポリペプチドをさらに含み得る。本明細書における多価抗体は、例えば、約2~約8つの軽鎖可変領域ポリペプチドを含み得る。本明細書で企図される軽鎖可変領域ポリペプチドは、軽鎖可変領域を含み、任意で、CLドメインをさらに含む。
【0096】
電荷修飾は、多重特異性抗体の文脈において特に有用であり、Fab分子におけるアミノ酸置換は、非マッチング重鎖(ベンス・ジョーンズ型副生成物)との軽鎖の誤対合を結果として低下させ、これは、それらの結合アームのうちの1つ(または2つを超える抗原結合Fab分子を含む分子の場合にそれを超える)におけるVH/VL交換を伴うFabベースの二重/多重特異性抗原結合分子の産生において生じることができる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開第2015/150447号、特にそこにおける実施例も参照されたい)。
【0097】
D.BiTE
二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))は、宿主の免疫系、より具体的にはT細胞の細胞傷害活性を、標的疾患細胞に指向する人工二重特異性モノクローナル抗体である。BiTEは、約55キロダルトンの単一ペプチド鎖で、異なる抗体の2つの単鎖可変断片(scFv)、または4つの異なる遺伝子からのアミノ酸配列からなる融合タンパク質である。一方のscFvはCD3受容体を介してT細胞に結合し、他方は特定の分子を介して感染細胞に結合する。
【0098】
他の二重特異性抗体と同様に、かつ通常のモノクローナル抗体とは異なり、BiTEは、T細胞と標的細胞との間に連結を形成する。これにより、T細胞は、MHCIまたは共刺激分子の存在とは無関係に、パーフォリンおよびグランザイムのようなタンパク質を産生することによって、標的細胞に細胞傷害活性を発揮する。これらのタンパク質は標的細胞に侵入し、アポトーシスを開始する。この作用は、感染細胞に対するT細胞攻撃中に観察される生理学的プロセスを模倣する。
【0099】
E.抗体コンジュゲート
本開示の抗体は、少なくとも1つの薬剤に連結して抗体コンジュゲートを形成し得る。コンジュゲートは、例えば、別のタンパク質性、炭水化物、脂質、または混合した部分分子にコンジュゲートされた抗体であることができる。かかる抗体コンジュゲートは、抗体を1つ以上のポリマーに連結することを含む修飾を含むが、これらに限定されない。例えば、抗体は、1つ以上の水溶性ポリマーに連結され得る。水溶性ポリマーとの連結は、抗体が生理的環境などの水性環境で沈殿する可能性を低下させる。当業者は、ポリマー/抗体コンジュゲートが患者の治療に使用されるか、かつその場合、抗体の薬理学的プロファイル(例えば、半減期、投与量、活性、抗原性、および/または他の因子)を含むが、これらに限定されない考慮事項に基づいて、好適な水溶性ポリマーを選択することができる。
【0100】
診断剤または治療剤としての抗体分子の効能を増加させるために、少なくとも1つの所望の分子もしくは部分を連結または共有結合または複合体化することが通常である。かかる分子または部分は、少なくとも1つのエフェクターまたはレポーター分子であり得るが、これに限定されない。エフェクター分子は、所望の活性、例えば、細胞傷害活性を有する分子を含む。抗体に結合されているエフェクター分子の非限定的な例には、毒素、抗腫瘍剤、治療用酵素、放射性核種、抗ウイルス剤、キレート剤、サイトカイン、成長因子、およびオリゴ-またはポリヌクレオチドが含まれる。対照的に、レポーター分子は、アッセイを使用して検出され得る任意の部分として定義される。抗体にコンジュゲートされているレポーター分子の非限定的な例には、酵素、放射性標識、ハプテン、蛍光標識、リン光分子、化学発光分子、発色団、光親和性分子、着色粒子またはリガンド、酵素(例えば、比色反応または蛍光反応または生物発光反応を触媒する)、基質、ビオチンなどの固体マトリックスが含まれる。抗体は、これらの標識のうちのいずれかの1、2、またはそれ以上を含み得る。
【0101】
抗体コンジュゲートを使用して、細胞傷害性剤を標的細胞に送達し得る。このタイプの細胞傷害性剤は、抗体媒介性細胞傷害性を改善し得、例えば、細胞死を直接的または間接的に刺激するサイトカイン、放射性同位元素、化学療法薬(プロドラッグを含む)、細菌毒素(例えば、シュードモナス外毒素、ジフテリア毒素など)、植物毒素(例えば、リシン、ゲロニンなど)、化学的コンジュゲート(例えば、マイタンシノイド毒素、カリケアミシンなど)、放射性コンジュゲート、酵素コンジュゲート(例えば、RNアーゼコンジュゲート、グランザイム抗体指向性酵素/プロドラッグ療法)などのような部分が含まれる。
【0102】
抗体コンジュゲートはまた、診断剤としても使用される。抗体診断は、概して、様々な免疫アッセイなどのインビトロ診断で使用するためのものと、一般に「抗体指向性イメージング」として知られるインビボ診断プロトコルで使用するためのものと、の2つのクラスに分類される。多くの適切なイメージング剤は、抗体へのそれらの結合方法と同様に当該技術分野で既知である(例えば、米国特許第5,021,236号、同第4,938,948号、および同第4,472,509号を参照されたい)。使用されるイメージング部分は、常磁性イオン、放射性同位体、蛍光色素、NMR検出可能物質、MR超偏極分子、標的指向性超音波バブル、およびX線イメージング剤であることができる。
【0103】
コンジュゲートとして使用が企図される常磁性イオンには、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、および/またはエルビウム(III)が含まれ、ガドリニウムが特に好ましい。X線イメージングなどの他の文脈で有用なイオンには、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、およびビスマス(III)が含まれるが、これらに限定されない。代替の有用な同位体は、炭素-13およびシリカ-29などの超偏極MRIに使用される同位体である。
【0104】
コンジュゲートまたは共有結合としてイメージングおよび放射線療法における使用のために企図される放射性同位体には、アスタチン-211、アクチニウム-225、炭素-14、ビスマス-212、クロム-51、塩素-36、コバルト-57、コバルト-58、銅-64、銅-67、Eu-152、フッ素-18、ガリウム-68、ガリウム-67、金-198、水素-3、ヨウ素-123、ヨウ素-125、ヨウ素-131、インジウム-111、鉄-52、鉄-59、鉛-212、ルテチウム-177、リン-32、レニウム-186、レニウム-188、ルビジウム-82、ロジウム-99、セレン-75、硫黄-35、サマリウム-153、ストロンチウム-92、ストロンチウム-89、タリウム-201、トリウム-227、テクネチウム-94m、テクネチウム-99m、イットリウム-86、イットリウム-90、ジルコニウム-86、および/またはジルコニウム-89[PMID:29545378、PMID:8679266]が含まれる。F-18、Zr-89、およびCu-64は、しばしばPETイメージングのために好ましい。Lu-177、At-211、およびYt-90は、しばしば放射線療法のために好ましい。本開示の放射性標識されたモノクローナル抗体および抗体断片は、当該技術分野で周知の方法に従って生成され得る。例えば、モノクローナル抗体は、ヨウ化ナトリウムおよび/またはヨウ化カリウム、ならびに次亜塩素酸ナトリウムなどの化学酸化剤、またはラクトペルオキシダーゼなどの酵素酸化剤との接触によってヨウ素化することができる。本開示によるモノクローナル抗体は、例えば、亜鉛溶液で過テクネチウム酸塩を還元し、還元されたテクネチウムをセファデックスカラム上にキレート化し、抗体をこのカラムに加えることによる、リガンド交換プロセスによってテクネチウム-99mで標識され得る。代替的に、例えば、過テクネチウム、SNCl2などの還元剤、フタル酸ナトリウム-カリウム溶液などの緩衝溶液、および抗体をインキュベートすることによる、直接的な標識技法が使用され得る。抗体に金属イオンとして存在する放射性同位元素を結合するためにしばしば使用されるキレート剤を組み込む中間官能基は、ジエチレン-トリアミン-五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン-四酢酸(EDTA)、単量体またはデンドリマー1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、デエフェロキサミン(DFO)、または1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジノン誘導体(例えば、3,4,3-LI(1,2-HOPO)またはHOPO)である。
【0105】
例示的な投与レジメンは、米国特許第5,595,721号および同第6,015,542号に認めることができ、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、放射性標識抗体は、高量の放射能を送達するように設計された単回用量で投与され得る。かかる方法では、200cGyを超える放射線測定用量が患者の全身に送達されることが企図される。この「高線量」方法では、骨髄移植、または患者の造血機能を再構築するいくつかの他の手段が必要とされる。
【0106】
放射線標識抗体の治療用量が投与され得るが、患者が受ける放射線測定用量は、骨髄に対する毒性が顕著ではないレベルに限定され、骨髄移植または他の手段による造血機能の再構築は必要とされない。この方法における有効な用量の範囲は、25~200cGy、好ましくは25~150cGyを患者の全身に送達するものである。
【0107】
代替的に、治療用量の標識抗体の投与に対して、大量の非標識抗体が患者に投与され得る。この治療用量は、5~500cGy、好ましくは25~150cGyの放射線測定用量を患者の全身に送達するために作製することができる。
【0108】
トレーサー標識量の抗体を患者に投与し、続いて、患者における抗体の分布をイメージングし得る。イメージング後、放射線標識抗体の治療レジメンを投与し、患者の全身に25~500cGy、好ましくは25~150cGyの放射線測定用量を送達するように設計する。
【0109】
上記の用量は、単回投与に限定される。かかる投与は繰り返され得、したがって、患者は、イメージングおよび療法の過程にわたってより高い総蓄積用量を受け得る。
【0110】
一例として、全身におよそ500cGyを提供する放射能量は、約825mCiのI-131であると見積もられる。投与される放射能量は、選択される同位体に部分的に依存する。I-131を使用する治療レジメンでは、5~1500mCiが用いられ得、好ましい量は5~800mCiであり、5~250mCiが最も好ましい。Y-90療法では、1~200mCi量の放射能が適切であると考えられ、好ましい量は1~150mCiであり、1~100mCiが最も好ましい。投与される放射能の量から組織線量を推定する好ましい手段は、予測線量測定の推定値を得るために、イメージングまたはトレーサー用量を用いた他の薬物動態レジメンを実施することである。
【0111】
全身に対する200~600cGy(またはそれ以上)の範囲の「高線量」プロトコルは、典型的には、骨髄が毒性のために放射線投与量が制限される組織であるため、骨髄置換プロトコルの支持を必要とする。好ましい線量は、全身に対する15~150cGyの範囲であり、最も好ましい範囲は40~120cGyである。かかる「低線量」プロトコルを使用すると、骨髄に対する毒性ははるかに低く、本発明者らは、完全な寛解が骨髄置換療法を必要とせずに達成されることを認めている。
【0112】
診断投与および治療投与のいずれかまたは両方は、非標識抗体の「前用量」を先行することができる。イメージングおよび療法の両方における前投与の効果は、患者間で異なることが認められている。一般的に、一連の診断イメージング投与は、増加させた前用量の非標識抗体を使用して実施することが好ましい。次いで、全身用量に対する腫瘍用量の最善比を提供する前用量を、放射免疫療法用量の投与の前に使用する。
【0113】
コンジュゲートとしての使用のために企図される蛍光標識には、Alexa350、Alexa430、AMCA、BODIPY630/650、BODIPY650/665、BODIPY-FL、BODIPY-R6G、BODIPY-TMR、BODIPY-TRX、カスケードブルー、Cy3、Cy5,6-FAM、フルオレセインイソチオシアネート、HEX、6-JOE、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、REG、ローダミングリーン、ローダミンレッド、レノグラフィン、ROX、TAMRA、TET、テトラメチルローダミン、および/またはテキサスレッドが含まれる。
【0114】
本開示で企図される追加のタイプの抗体は、主にインビトロでの使用について意図されるものであり、抗体は、発色性基質との接触時に着色生成物を生成する第2の結合リガンドおよび/または酵素(酵素タグ)に連結される。好適な酵素の例には、ウレアーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、(セイヨウワサビ)水素ペルオキシダーゼまたはグルコースオキシダーゼが含まれる。好ましい第2の結合リガンドは、ビオチンならびにアビジンおよびストレプトアビジン化合物である。
【0115】
抗体のそのコンジュゲート部分への結合またはコンジュゲーションに関するいくつかの方法が当該技術分野で知られている。いくつかの結合方法には、例えば、ジエチレン-トリアミン-五酢酸無水物(DTPA)、エチレン-ジアミン-四酢酸、単量体もしくはデンドリマー1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、DFO、HOPO、N-クロロ-p-トルエンスルホンアミド、および/または抗体に結合されたテトラクロロ-3α-6α-ジフェニルグリコウリル-3(米国特許第4,472,509号および同第4,938,948号)などの有機キレート剤を用いる金属キレート錯体の使用が含まれる。モノクローナル抗体はまた、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩などのカップリング剤の存在下で酵素と反応させ得る。フルオレセインマーカーとのコンジュゲートは、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアネートとの反応によって調製される。米国特許第4,938,948号において、乳房腫瘍のイメージングが、モノクローナル抗体を使用して達成され、検出可能なイメージング部分は、メチル-p-ヒドロキシベンズイミデートまたはN-スクシンイミジル-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのリンカーを使用して、抗体に結合される。
【0116】
抗体への分子の部位特異的結合の別の既知の方法は、抗体とハプテンベースの親和性標識との反応を含む。本質的に、ハプテンベースの親和性標識は、抗原結合部位におけるアミノ酸と反応し、それによってこの部位を破壊し、特異的抗原反応をブロックする。しかしながら、これは、抗体コンジュゲートによる抗原結合の喪失をもたらすため、有利ではない場合がある。
【0117】
アジド基を含有する分子もまた、低強度紫外線によって生成される反応性ニトレン中間体を介してタンパク質との共有結合を形成するために使用され得る。特に、プリンヌクレオチドの2-および8-アジド類似体を、部位特異的光プローブとして使用して、粗細胞抽出物中のヌクレオチド結合タンパク質を特定している。2-および8-アジドヌクレオチドはまた、精製されたタンパク質のヌクレオチド結合ドメインをマッピングするために使用されており、抗体結合剤として使用され得る。
【0118】
抗体結合部位を変化させない反応条件を使用して、免疫グロブリンのFc領域にスルフヒドリル基を選択的に導入することによる免疫グロブリンの誘導体化も企図される。この方法に従って生成される抗体コンジュゲートが開示され、改善された寿命、特異性、および感受性を示す(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,196,066号)。レポーターまたはエフェクター分子が、Fc領域における炭水化物残基にコンジュゲートされる、エフェクターまたはレポーター分子の部位特異的結合もまた、文献に開示されている。このアプローチは、現在臨床評価中の診断的および治療的に有望な抗体を生成することが報告されている。
【0119】
F.抗体薬物コンジュゲート
抗体薬物コンジュゲート、すなわちADCは、疾患を有する人々の治療のための標的指向療法として設計された新規クラスの高度に強力なバイオ医薬品である。ADCは、生物学的に活性な細胞傷害性/抗ウイルス性ペイロードまたは薬物に、不安定な結合を有する安定な化学リンカーを介して連結された抗体(全mAbまたはscFvなどの抗体断片)で構成される複合体分子である。抗体薬物コンジュゲートは、生体コンジュゲートおよび免疫コンジュゲートの例である。
【0120】
モノクローナル抗体の独自の標的指向能力を、細胞傷害性薬物のがん殺滅能力と組み合わせることによって、抗体-薬物コンジュゲートは、健常な組織と疾患組織との間の感受性の高い識別を可能にする。これは、従来の全身的アプローチとは対照的に、抗体-薬物コンジュゲートが疾患細胞を標的として攻撃し、それによって健常な細胞がより深刻な影響を受けないことを意味する。
【0121】
ADCベースの抗腫瘍療法の開発において、抗がん剤(例えば、細胞毒(cell toxin)または細胞毒(cytotoxin))は、特定の細胞マーカー(例えば、理想的には、疾患細胞中または上にのみ認められるタンパク質)を特異的に標的とする抗体に結合される。抗体は、体内のこれらのタンパク質を標的とし、疾患細胞の表面にそれら自体を結合する。抗体と標的タンパク質(抗原)との間の生化学的反応は、標的細胞におけるシグナルを誘導し、次いで細胞毒とともに抗体を吸収または内在化する。ADCが内在化された後、細胞傷害性剤が放出され、細胞を殺滅するか、または細胞複製を損なわせる。他の場合には、リンカーは、標的細胞または初期エンドソームの表面で切断可能であり、そのため、完全な内在化は必要とされない。この標的指向化のために、理想的には、薬物は、他の薬剤よりも低い副作用を有し、広い治療域を得る。
【0122】
抗体と細胞傷害性剤との間の安定した連結は、ADCの重要な態様である。リンカーは、ジスルフィド、ヒドラゾン、もしくはペプチド(切断性)、またはチオエーテル(非切断性)を含む化学モチーフに基づいており、細胞傷害性剤の標的細胞への分布および送達を制御する。切断性および非切断性タイプのリンカーは、前臨床および臨床試験において安全であることが証明されている。ブレンツキシマブベドチンは、合成抗腫瘍剤である強力で高い毒性の抗微小管剤モノメチルアウリスタチンE、すなわちMMAEをヒト特異的CD30陽性悪性細胞に送達する、酵素感受性切断性リンカーを含む。その高い毒性のために、チューブリンの重合化をブロックすることによって細胞分裂を阻害するMMAEは、単剤化学療法剤として使用することができない。しかしながら、抗CD30モノクローナル抗体(cAC10、腫瘍壊死因子またはTNF受容体の細胞膜タンパク質)に連結したMMAEの組み合わせは、細胞外液中で安定であり、カテプシンによって切断可能であり、かつ治療に安全であることを証明した。他の承認されたADCであるトラスツズマブエムタンシンは、安定した非切断性リンカーによって結合された、メイタンシンの誘導体である微小管形成阻害剤メルタンシン(DM-1)と、抗体トラスツズマブ(Herceptin(登録商標)/Genentech/Roche)との組み合わせである。
【0123】
より優れてかつより安定したリンカーの利用可能性は、化学結合の機能を変化させている。切断性または非切断性であるリンカーのタイプは、細胞傷害性(例えば、抗がん)剤に特定の特性を与える。例えば、非切断性リンカーは、薬物を細胞内に維持する。結果として、抗体、リンカー、および細胞毒性剤の全体が標的細胞に侵入し、抗体はアミノ酸のレベルに分解される。生じる複合体-アミノ酸、リンカー、および細胞傷害性剤-は、直ちに活性薬物となる。対照的に、切断性リンカーは、宿主細胞中または細胞上で酵素によって触媒され、それによって細胞傷害性剤を放出する。リンカー切断のために一般的に使用される機構は、プロテアーゼ感受性、pH感受性、およびグルタチオン感受性である。
【0124】
別のタイプの切断性リンカーは、細胞傷害性剤と切断部位との間にさらなる分子を追加する。このリンカー技術は、研究者が、切断動態を変化させることを心配することなく、より柔軟性を有するADCを作製することを可能にする。研究者はまた、エドマン分解に基づいたペプチド切断の新規方法を開発している。ADCの開発における将来の方向には、安定性および治療指数、ならびにα放出免疫コンジュゲートおよび抗体コンジュゲート化ナノ粒子をさらに改善するための部位特異的コンジュゲーション(TDC)の開発も含まれる。
【0125】
G.イントラボディ
特定の実施形態において、抗体は、細胞内部での作用に好適な組換え抗体であり、かかる抗体は、「イントラボディ」として知られている。これらの抗体は、例えば、細胞内タンパク質輸送を変化させること、酵素機能を妨害すること、およびタンパク質-タンパク質またはタンパク質-DNA相互作用をブロッキングすることによってなど、様々な機構によって標的の機能を妨害し得る。多くの点で、それらの構造は、上記で考察した単鎖および単一ドメイン抗体の構造を模倣するかまたはそれと類似している。実際、単一転写物/単一鎖は、標的細胞における細胞内発現を可能にし、また細胞膜を横断するタンパク質輸送をより実現可能にする重要な特徴である。しかしながら、追加の機能が必要とされる。イントラボディが必要とし得る追加の特徴は、細胞内標的指向化のためのシグナルである。細胞質、核、ミトコンドリア、およびERなどの細胞下領域にイントラボディ(または他のタンパク質)を標的とすることができるベクターが設計されており、市販されている(Invitrogen Corp.)。
【0126】
イントラボディ治療薬の実施に影響を与える2つの主要な問題は、細胞/組織標的指向化を含む送達および安定性である。送達に関して、組織指向性送達、細胞型特異的プロモーターの使用、ウイルスベースの送達、細胞透過性/膜移動性ペプチドの使用、およびエクソソームを使用した送達などの様々なアプローチが用いられている。1つの送達手段は、その全体が参照により組み込まれている米国特許出願公開第2018/0177727号に教示されているように、脂質ベースのナノ粒子、またはエクソソームの使用を含む。安定性に関して、アプローチは、一般に、ファージディスプレイを伴い、コンセンサス配列の配列成熟もしくは開発を伴い得る方法を含む、力ずくによるスクリーニングか、または挿入安定化配列(例えば、Fc領域、シャペロンタンパク質配列、ロイシンジッパー)およびジスルフィド置換/修飾などのより指向性の高い修飾のいずれかである。
【0127】
H.抗体の産生および精製
モノクローナル抗体を生成するための方法は、概して、ポリクローナル抗体の調製方法と同じラインに沿って開始する。これらの両方法における第1の段階は、適切な宿主の免疫化である。当技術分野で周知であるように、免疫化のための所与の組成物は、その免疫原性において変化し得る。したがって、ペプチドまたはポリペプチド免疫原を担体に結合することによって達成され得るような、宿主免疫系を増強することがしばしば必要である。例示的かつ好ましい担体は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(BSA)である。卵白アルブミン、マウス血清アルブミン、またはウサギ血清アルブミンなどの他のアルブミンも担体として使用することができる。ポリペプチドを担体タンパク質にコンジュゲートするための手段は、当該技術分野で既知であり、グルタルアルデヒド、m-マレイミドベンコイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボジイミド、およびビス-ビアゾ化ベンジジンが含まれる。当該技術分野においても周知であるように、特定の免疫原組成物の免疫原性は、免疫応答の非特異的刺激剤の使用によって増強することができ、アジュバントとして知られている。動物における例示的かつ好ましいアジュバントには、完全フロイントアジュバント(死滅したマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)を含有する免疫応答の非特異的刺激剤)、不完全フロイントアジュバント、および水酸化アルミニウムアジュバントが含まれ、ヒトでは、アラム(alum)、CpG、MFP59、および免疫刺激分子の組み合わせ(「アジュバントシステム」、例えば、AS01またはAS03)が含まれる。抗原特異的B細胞を誘導するための接種の追加の実験形態が可能であり、ナノ粒子ワクチン、または物理的送達系(脂質ナノ粒子または金微粒子銃ビーズ上など)においてDNAまたはRNA遺伝子として送達される遺伝子コード抗原が含まれ、針、遺伝子銃、または経皮的エレクトロポレーションデバイスによって送達される。抗原遺伝子はまた、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、もしくはアルファウイルスレプリコン、または代替的にウイルス様粒子などの複製の能力があるかまたは欠損したウイルスベクターによってコードされるように担持することができる。
【0128】
抗体産生細胞と骨髄腫細胞とのハイブリッドを生成するための方法は、通常、細胞膜の融合を促進する1つまたは複数の薬剤(化学的または電気的)の存在下で、体細胞と骨髄腫細胞を2:1の比率で混合することを含むが、その比率は、約20:1~約1:1で変化し得る。場合によっては、初期段階としてエプスタインバーウイルス(EBV)を用いたヒトB細胞の形質転換が、B細胞のサイズを増大させ、比較的大きなサイズの骨髄腫細胞との融合を増強する。EBVによる形質転換効率は、形質転換培地にCpGおよびChk2阻害剤を使用することによって高められる。代替的に、ヒトB細胞は、IL-21およびTNFスーパーファミリーのII型メンバーであるヒトB細胞活性化因子(BAFF)などの追加の可溶性因子を含有する培地中で、CD40リガンド(CD154)を発現する形質導入した細胞株との共培養によって活性化することができる。センダイウイルスまたはポリエチレングリコール(PEG)を使用した融合方法も知られている。電気的に誘導した融合法の使用も適切である。融合手順は通常、約1×10-6~1×10-8の低周波数で生存可能なハイブリッドを生成するが、最適化された手順に用いて、融合効率を200個に1個近くまで達成することができる。しかしながら、比較的低い融合効率は、生存している融合ハイブリッドが、選択的培地中で培養することによって、親の注入細胞(特に、通常は無限に分裂し続けるであろう注入骨髄腫細胞)から分化するため、問題を提起しない。選択培地は、一般的に、組織培養培地中のヌクレオチドの新規合成をブロックする薬剤を含有するものである。例示的かつ好ましい薬剤は、アミノプテリン、メトトレキサート、およびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキサートは、プリンおよびピリミジンの両方の新規合成をブロックするが、アザセリンはプリン合成のみをブロックする。アミノプテリンまたはメトトレキサートが使用される場合、培地は、ヌクレオチドの供給源として、ヒポキサンチンおよびチミジンで補充される(HAT培地)。アザセリンが使用される場合、培地は、ヒポキサンチンで補充される。B細胞源がEBV形質転換ヒトB細胞株である場合、ウアバインを追加して、骨髄腫に融合していないEBV形質転換細胞株を排除する。
【0129】
好ましい選択培地は、HATまたはウアバイン添加したHATである。ヌクレオチドサルベージ経路を操作できる細胞のみがHAT培地中に生存することができる。骨髄腫細胞は、サルベージ経路の主要な酵素、例えば、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)を欠損しており、それらは生存することができない。B細胞は、この経路を操作することができるが、培養における限定された寿命を有し、一般的に約2週間以内に死滅する。したがって、選択培地中で生存できる唯一の細胞は、骨髄腫およびB細胞から形成されるこれらのハイブリッドである。融合に使用されるB細胞の供給源が、EBV形質転換B細胞の系統である場合、ここでのように、ウアバインがまた、EBV形質転換B細胞が薬物殺滅の影響を受け易いように、ハイブリッドの薬物選択に使用され得、使用される骨髄腫パートナーは、ウアバイン耐性であるように選択される。
【0130】
培養は、特定のハイブリドーマが選択されるハイブリドーマの集団を提供する。典型的には、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタープレートにおける単一クローン希釈によって細胞を培養することと、続いて個々のクローン上清(約2~3週間後)を所望の反応性について試験することと、によって実施される。アッセイは、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、細胞傷害性アッセイ、プラークアッセイ ドット免疫結合アッセイなど、感度が高く、単純かつ迅速であるべきである。次いで、選択されたハイブリドーマを、連続的に希釈するか、またはフローサイトメトリー選別によって単一細胞選別し、個々の抗体産生細胞株にクローニングし、次いでクローンを無制限に増殖させて、モノクローナル抗体を提供することができる。細胞株は、2つの基本的な方法でモノクローナル抗体産生のために利用され得る。ハイブリドーマの試料は、動物(例えば、マウス)に注射(しばしば腹腔内に)され得る。任意で、動物は、注射の前に、炭化水素、特にプリスタン(テトラメチルペンタデカン)などの油でプライミングする。ヒトハイブリドーマがこの方法で使用される場合、腫瘍拒絶を防止するために、SCIDマウスなどの免疫不全マウスに注射することが最適である。注射された動物は、融合細胞ハイブリッドによって産生される特異的モノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発達させる。次に、血清または腹水などの動物の体液を採取して、モノクローナル抗体を高濃度で提供することができる。個々の細胞株はまたインビトロで培養することができ、モノクローナル抗体は、高濃度で容易に得ることができる培養培地中に自然に分泌される。代替的に、ヒトハイブリドーマ細胞株をインビトロで使用して、免疫グロブリンを細胞上清中に産生することができる。細胞株は、無血清培地中での増殖に順応させて、高純度のヒトモノクローナル免疫グロブリンを回収する能力を最適化することができる。
【0131】
ハイブリドーマを培養し、次いで細胞を溶解し、総RNAを抽出し得る。ランダム六量体をRTとともに使用して、RNAのcDNAコピーを生成し、次いで、全ヒト可変遺伝子配列を増幅することが期待されるPCRプライマーのマルチプレックス混合物を使用してPCRを実施し得る。PCR産物は、pGEM-T Easyベクターにクローニングし、次いで標準的なベクタープライマーを使用した自動DNA配列決定によって配列決定することができる。結合および中和のアッセイは、ハイブリドーマ上清から収集し、プロテインGカラムを使用したFPLCによって精製した抗体を使用して実施し得る。
【0132】
組換え全長IgG抗体は、重鎖および軽鎖FvDNAをクローニングベクターからIgGプラスミドベクターにサブクローニングすることによって生成することができ、293(例えば、Freestyle)細胞またはCHO細胞にトランスフェクトし、抗体は、293またはCHO細胞上清から収集および精製することができる。他の適切な宿主細胞系には、大腸菌などの細菌、昆虫細胞(S2、Sf9、Sf29、High Five)、植物細胞(例えば、ヒト様グリカンのための操作を伴うかまたは伴わない、タバコ)、藻類、または様々な非ヒトトランスジェニック関連でマウス、ラット、ヤギ、もしくはウシなどが含まれる。
【0133】
抗体をコードする核酸の発現は、その後の抗体精製の目的、および宿主の免疫化の両方について企図される。抗体コード配列は、ネイティブRNAまたは修飾RNAなどのRNAであることができる。修飾RNAは、mRNAに増加した安定性および低い免疫原性を付与する特定の化学修飾が企図され、それによって、治療における重要なタンパク質の発現を促進する。例えば、N1-メチル-プソイドウリジン(N1mψ)は、翻訳能力に関して、いくつかの他のヌクレオシド修飾およびそれらの組み合わせよりも優れている。翻訳の免疫/eIF2αリン酸化依存性阻害をオフに切り換えることに加えて、組み込まれたN1mψヌクレオチドは、リボソーム休止およびmRNAの密度を増加させることによって、翻訳プロセスの動態を劇的に変化させる。修飾mRNAのリボソーム負荷の増加は、同じmRNAでのリボソーム再循環または新規リボソーム動員のいずれかを有利にすることによって、それらをより許容的に開始させる。かかる修飾は、RNAによる接種後にインビボでの抗体発現を高めるために使用することができる。ネイティブまたは修飾に関わらず、RNAは、ネイキッドRNAとして、または脂質ナノ粒子などの送達ビヒクル中で送達され得る。
【0134】
代替的に、抗体をコードするDNAは、同じ目的のために用いられ得る。DNAは、それが設計される宿主細胞において活性なプロモーターを含む発現カセットに含まれる。発現カセットは、従来のプラスミドまたはミニベクターなどの複製可能なベクターに効果的に含まれる。ベクターには、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびレンチウイルスなどのウイルスベクターを含むベクターが企図される。VEEウイルスまたはシンドビスウイルスに基づくアルファウイルスレプリコンなどの、抗体遺伝子をコードするレプリコンも企図される。かかるベクターの送達は、筋肉内、皮下、もしくは皮内経路を通る針によって、またはインビボ発現が所望される場合に経皮的電気穿孔によって実施することができる。
【0135】
代替的に、分子クローニングアプローチを使用して、モノクローナル抗体を生成し得る。関心対象の抗原で標識された単一のB細胞は、常磁性ビーズ選択またはフローサイトメトリー選別を使用して物理的に選別することができ、次いでRNAは、単一の細胞から単離して、抗体遺伝子をRT-PCRによって増幅することができる。代替的に、抗原特異的なバルク選別した細胞の集団は、微小胞、ならびに重鎖および軽鎖アンプリコンの物理的結合、または小胞からの重鎖および軽鎖遺伝子の共通バーコーディングを使用して、単一細胞から回収された一致する重鎖および軽鎖可変遺伝子に分離することができる。単一細胞からの一致した重鎖および軽鎖遺伝子はまた、細胞ごとに1つのバーコードで転写産物をマーキングするためのRT-PCRプライマーおよびバーコードを有する細胞貫通性ナノ粒子で細胞を処理することによって、抗原特異的B細胞の集団から得ることができる。抗体可変遺伝子はまた、ハイブリドーマ株、およびRT-PCRによって得られ、免疫グロブリン発現ベクターにクローニングされた抗体遺伝子のRNA抽出によって単離することができる。代替的に、組み合わせ免疫グロブリンファージミドライブラリーを、細胞株から単離されたRNAから調製し、適切な抗体を発現するファージミドを、ウイルス抗原を使用してパニングすることによって選択する。従来のハイブリドーマ技法を超えるこのアプローチの利点は、およそ104倍の抗体が1回だけで産生およびスクリーニングできること、ならびに適切な抗体を見つける機会をさらに増加させるH鎖およびL鎖の組み合わせによって、新しい特異性が生成されることである。
【0136】
本開示において有用な抗体の産生を教示する、各々が参照により本明細書に組み込まれる他の米国特許には、組み合わせアプローチを使用したキメラ抗体の産生を記載する米国特許第5,565,332号、組換え免疫グロブリン調製物を記載する米国特許第4,816,567号、および抗体治療剤コンジュゲートを記載する米国特許第4,867,973号が含まれる。
【0137】
任意の手段によって産生されるモノクローナル抗体は、必要に応じて、濾過、遠心分離、およびFPLCまたは親和性クロマトグラフィーなどの様々なクロマトグラフィー法を使用して精製し得る。本開示のモノクローナル抗体の断片は、精製されたモノクローナル抗体から、ペプシンもしくはパパインなどの酵素による消化を含む方法によって、かつ/または化学的還元によるジスルフィド結合の切断によって得ることができる。代替的に、本開示によって包含されるモノクローナル抗体断片は、自動ペプチドシンセサイザーを使用して合成することができる。
【0138】
本開示の抗体は、精製され得る。本明細書で使用される場合、「精製された」という用語は、他の成分から単離可能な組成物を指すように意図され、タンパク質は、その天然に獲得可能な状態と比較して任意の程度まで精製される。したがって、精製されたタンパク質はまた、それが天然に存在し得る環境から遊離したタンパク質も指す。「実質的に精製された」という用語が使用される場合、この指定は、タンパク質またはペプチドが、組成物中のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、またはそれを超えて構成するなど、組成物の主成分を形成する組成物を指す。
【0139】
タンパク質精製技法は、当業者に周知である。これらの技法には、細胞環境のポリペプチドおよび非ポリペプチド画分への粗画分化が、一レベルで含まれる。ポリペプチドを他のタンパク質から分離した後、関心対象のポリペプチドをクロマトグラフィーおよび電気泳動技法を使用してさらに精製して、部分的または完全な精製(または均質性への精製)を達成し得る。純粋なペプチドの調製に特に好適な分析方法は、イオン交換クロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動である。タンパク質精製のための他の方法には、硫酸アンモニウム、PEG、抗体などを用いるか、または熱変性による沈殿、それに続く遠心分離;ゲル濾過、逆相、ヒドロキシルアパタイト、および親和性クロマトグラフィー;ならびにかかる技法および他の技法の組み合わせが含まれる。
【0140】
本開示の抗体を精製する際に、原核生物または真核生物の発現系においてポリペプチドを発現させ、変性化条件を使用してタンパク質を抽出することが望ましい場合がある。ポリペプチドは、ポリペプチドのタグ化部分に結合する親和性カラムを使用して、他の細胞成分から精製され得る。当該技術分野で一般に知られているように、様々な精製段階を実施する順序が変更され得、特定の段階が省略され得、それでも実質的に精製されたタンパク質またはペプチドの調製のための好適な方法をもたらすと考えられる。
【0141】
一般に、完全抗体は、抗体のFc部分に結合する薬剤(すなわち、プロテインA)を利用して画分される。代替的に、抗原を使用して、適切な抗体を同時に精製および選択することができる。かかる方法は、多くの場合、カラム、フィルター、またはビーズなどの支持体に結合した選択剤を利用する。抗体は、支持体に結合され、汚染物質が除去され(例えば、洗い流され)、抗体は、条件(塩、熱など)を加えることによって放出される。
【0142】
タンパク質またはペプチドの精製度を定量するための様々な方法は、本開示の観点から当業者に知られるであろう。これらには、例えば、活性画分の比活性を決定すること、またはSDS/PAGE分析によって画分内のポリペプチドの量を評価することが含まれる。画分の純度を評価する別の方法は、画分の比活性を計算し、それを初期抽出物の比活性と比較し、純度の程度を計算することである。活性の量を表すために使用される実際の単位は、もちろん、精製に続くように選択される特定のアッセイ技法、ならびに発現されたタンパク質またはペプチドが検出可能な活性を示すか否かに依存するであろう。
【0143】
ポリペプチドの移動は、SDS/PAGEの異なる条件で、時に有意に変化し得ることが知られている。したがって、異なる電気泳動条件下では、精製または部分的に精製された発現産物の見かけの分子量が変化し得ることが理解されるであろう。
【0144】
I.抗体の改変
抗体の配列は、発現の改善、交差反応性の改善、またはオフターゲット結合の減少などの様々な理由で改変され得る。改変抗体は、標準的な分子生物学的技法による発現、またはポリペプチドの化学合成を含む、当業者に既知の任意の技法によって作製され得る。
【0145】
例えば、抗体分子に保存的変化を導入するなどの改変を行うことが望み得る。かかる変更を行う際、アミノ酸の疎水性親水性指標が考慮され得る。タンパク質に相互作用的生物学的機能を付与する際の疎水性親水性アミノ酸指標の重要性は、当該技術分野で一般に理解されている(Kyte and Doolittle,1982)。アミノ酸の相対的疎水性親水性特性が、結果として生じたタンパク質の二次構造に寄与し、次いで、タンパク質と、他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用を定めることが認められている。
【0146】
類似したアミノ酸の置換は、親水性に基づいて有効に行うことができる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,554,101号は、タンパク質の最大の局所平均親水性が、その隣接アミノ酸の親水性によって支配されるとき、タンパク質の生物学的特性と相関することを述べている。米国特許第4,554,101号において詳細に記載されているように、親水性値がアミノ酸残基に割り当てられており、塩基性アミノ酸:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、およびヒスチジン(-0.5);酸性アミノ酸:アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、アスパラギン(+0.2)、およびグルタミン(+0.2)、親水性の非イオン性アミノ酸:セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、およびスレオニン(-0.4)、硫黄含有アミノ酸:システイン(-1.0)およびメチオニン(-1.3)、疎水性の非芳香族アミノ酸:バリン(-1.5)、ロイシン(-1.8)、イソロイシン(-1.8)、プロリン(-0.5±1)、アラニン(-0.5)、およびグリシン(0)、疎水性の芳香族アミノ酸:トリプトファン(-3.4)、フェニルアラニン(-2.5)、およびチロシン(-2.3)である。
【0147】
アミノ酸は、類似の親水性を有し、生物学的または免疫学的に改変されたタンパク質を生じる別のアミノ酸で置換することができる。かかる変更において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるものが特に好ましく、±0.5以内であるものがさらに特に好ましい。
【0148】
アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づいている。前述の様々な特性を考慮した例示的な置換が当業者に周知であり、アルギニンとリジン、グルタミン酸とアスパラギン酸、セリンとスレオニン、グルタミンとアスパラギン、ならびにバリンとロイシンとイソロイシンが含まれる。
【0149】
本開示はまた、アイソタイプ改変を企図する。Fc領域を改変して異なるアイソタイプを有することによって、異なる機能を達成することができる。例えば、IgG1に変更することは、抗体依存性細胞傷害性を増加させることができ、クラスAに切り換えることは、組織分布を改善することができ、クラスMに切り換えることは、結合価を改善することができる。
【0150】
例えば、C1q結合および/またはFcγR結合を改変し、それによってCDC活性および/またはADCC活性を変更させることによって、変化したエフェクター機能を有する抗体のFc領域を設計することができる。「エフェクター機能」は、(例えば、対象において)生物学的活性を活性化または減少させることに関与する。エフェクター機能の例には、C1q結合、補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)の下方調節などが含まれるが、これらに限定されない。かかるエフェクター機能は、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することが必要とされ得、様々なアッセイ(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる。
【0151】
例えば、改善したC1q結合および改善したFcγRIII結合(例えば、改善したADCC活性および改善したCDC活性の両方を有する)を有する抗体のバリアントFc領域を生成することができる。代替的に、エフェクター機能が低下または除去されることが望まれる場合、バリアントFc領域は、低下したCDC活性および/または低下したADCC活性で操作することができる。他の実施形態において、これらの活性のうちの1つのみが増加され得、任意で、同様に他の活性が低下され得る(例えば、向上したADCC活性を有するが、低下したCDC活性を有するFc領域バリアントを生成し、その逆もある)。
【0152】
単離されたモノクローナル抗体、またはその抗原結合断片は、シアル酸、ガラクトース、またはフコースを有さない実質的に均質なグリカンを含有し得る。上述の実質的に均質なグリカンは、重鎖定常領域に共有結合され得る。
【0153】
モノクローナル抗体は、新たなFcグリコシル化パターンを有し得る。Fc領域のグリコシル化は、典型的には、N結合またはO結合のいずれかである。N結合は、炭水化物部分とアスパラギン残基の側鎖との結合を指す。O結合グリコシル化は、糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つと、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンとの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも使用され得る。炭水化物部分とアスパラギン側鎖ペプチド配列との酵素的結合の認識配列は、アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-スレオニンであり、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を生じる。
【0154】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに認められる1つ以上のグリコシル化部位を欠失させること、および/またはポリペプチドに存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することによって改変され得る。抗体のFc領域へのグリコシル化部位の付加は、(N結合グリコシル化部位について)上記のトリペプチド配列のうちの1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変更することによって好都合に達成される。例示的なグリコシル化バリアントは、重鎖の残基Asn297のアミノ酸置換を有する。変更はまた、(O結合グリコシル化部位について)元のポリペプチドの配列に1つ以上のセリンまたはスレオニン残基を付加するか、またはそれらによる置換によって行われ得る。さらに、Asn297のAlaへの変化によって、グリコシル化部位のうちの1つを除去することができる。
【0155】
単離されたモノクローナル抗体、またはその抗原結合断片は、GNGNまたはG1/G2糖形態によって表される実質的に均質な組成物中に存在し得、実質的に均質なGNGN糖形態を有さず、G0、G1F、G2F、GNF、GNGNF、またはGNGNFXを含有する糖形態と比較して、FcガンマRIおよびFcガンマRIIIに対する増加した結合親和性を示す。Fcグリコシル化は、治療用mAbの抗ウイルス特性および抗がん特性において重要な役割を果たす。コアフコースの除去は、ナチュラルキラー(NK)細胞によって媒介されるmAbのADCC活性を劇的に改善するが、多形核細胞(PMN)のADCC活性に反対の効果を有するように思われる。
【0156】
単離されたモノクローナル抗体、またはその抗原結合断片は、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)を発現する細胞で発現され得、それによってGnTIIIがGlcNAcを抗体に付加する。かかる方式で抗体を産生するための方法が、WO/9954342およびWO/03011878に提供される。細胞株は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)などのゲノム編集技術を使用して、グリコシル化などの特定の翻訳後修飾を増強または低下または排除するように変更することができる。例えば、CRISPR技術を使用して、モノクローナル抗体を発現するために使用される293またはCHO細胞におけるグリコシル化酵素をコードする遺伝子を排除することができる。
【0157】
ヒトB細胞から得られる抗体可変遺伝子配列を操作して、それらの製造可能性および安全性を増強することが可能である。潜在的なタンパク質配列傾向は、以下を含む部位に関連付けられる配列モチーフを探索することによって特定することができる。
1)非対合Cys残基、
2)N結合グリコシル化、
3)Asn脱アミド化、
4)Asp異性化、
5)SYE切断、
6)Met酸化、
7)Trp酸化、
8)N末端グルタミン酸、
9)インテグリン結合、
10)CD11c/CD18結合、または
11)断片化
かかるモチーフは、抗体をコードするcDNAを含む合成遺伝子を変更することによって排除することができる。
【0158】
抗体は、溶解性を高めるように操作することができる。例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびセリンなどのいくつかの親水性残基は、アスパラギン、グルタミン、スレオニン、リジン、およびアルギニンなどの他の親水性残基よりもタンパク質溶解性に有意に有利に寄与する。
【0159】
血液ドナーからのヒトB細胞のB細胞レパートリーのディープ配列決定が、広範囲にわたって実施されている。ヒト抗体レパートリーのかなりの部分に関する配列情報は、健常なヒトで一般的な抗体配列特徴の統計的評価を容易にする。ヒト組換え抗体可変遺伝子参照データベースにおける抗体配列特徴に関する知識により、抗体配列の「ヒト類似性」(HL)の位置特異度を推定することができる。HLは、治療用抗体またはワクチンとしての抗体などの臨床使用における抗体の開発に有用であることが示されている。目標は、抗体薬物の有効性の著しい低下につながるか、または深刻な健康への影響を誘発し得る抗体の潜在的な有害作用および抗抗体免疫応答を低減するために、抗体のヒト類似性を増加させることである。合計で約4億個の配列の3名の健常なヒト血液ドナーの複合抗体レパートリーの抗体特性を評価し、抗体の超可変領域に焦点を当てた新たな「相対的ヒト類似性」(rHL)スコアを作成することができる。rHLスコアは、ヒト(正のスコア)と非ヒト配列(負のスコア)を容易に区別することを可能にする。抗体は、ヒトレパートリーでは一般的ではない残基を排除するように操作することができる。
【0160】
J.抗体の特徴付け
本開示による抗体は、第1の例において、それらの結合特異性によって定義され得る。当業者は、当業者に周知の技法を使用して所与の抗体の結合特異性/親和性を評価することによって、かかる抗体が本請求の範囲内に含まれるかを決定することができる。例えば、所与の抗体が結合するエピトープは、抗原分子内に位置する3個以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個)のアミノ酸の単一の連続配列(例えば、ドメイン内の線状エピトープ)からなり得る。代替的に、エピトープは、抗原分子内に位置する複数の非連続アミノ酸(またはアミノ酸配列)(例えば、立体構造エピトープ)からなり得る。
【0161】
当業者に既知の様々な技法を使用して、抗体がポリペプチドまたはタンパク質内の「1つ以上のアミノ酸と相互作用する」か決定することができる。例示的な技法には、例えば、Antibodies,Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)に記載されるものなど、定型的なクロスブロッキングアッセイが含まれる。クロスブロッキングは、ELISA、バイオレイヤー干渉法、または表面プラズモン共鳴などの様々な結合アッセイで測定することができる。他の方法には、アラニンスキャニング変異分析、ペプチドブロット分析(Reineke(2004)Methods Mol.Biol.248:443-63)、ペプチド切断分析、高分解能電子顕微鏡法で単一粒子再構築、cryoEM、または断層撮影を使用した顕微鏡法、結晶学的試験、およびNMR分析が含まれる。加えて、エピトープ切除、エピトープ抽出、および抗原の化学修飾などの方法を用いることができる(Tomer(2000)Prot.Sci.9:487-496)。抗体が相互作用するポリペプチド内のアミノ酸を特定するために使用することができる別の方法は、質量分析によって検出される水素/重水素交換である。一般的にいえば、水素/重水素交換法は、関心対象のタンパク質を重水素標識した後、抗体を重水素標識タンパク質と結合させることを含む。次に、タンパク質/抗体複合体を水に移し、抗体複合体によって保護されているアミノ酸内の交換可能なプロトンは、界面の一部ではないアミノ酸内の交換可能なプロトンよりも遅い速度で、重水素から水素への逆交換を受ける。結果として、タンパク質/抗体界面の一部を形成するアミノ酸は、重水素を保持し得るため、界面に含まれないアミノ酸と比較して、比較的高い質量を示す。抗体の解離後、標的タンパク質をプロテアーゼ切断および質量分析に供し、それによって、抗体が相互作用する特異的アミノ酸に対応する重水素標識残基を明らかにする。例えば、Ehring(1999)Analytical Biochemistry 267:252-259、Engen and Smith(2001)Anal.Chem.73:256A-265Aを参照されたい。
【0162】
「エピトープ」という用語は、B細胞および/またはT細胞が応答する抗原上の部位を指す。B細胞エピトープは、連続したアミノ酸、またはタンパク質の三次フォールディングによって並置された不連続のアミノ酸の両方から形成され得る。連続したアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露の際に保持されるが、一方、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒による処理で失われる。エピトープは、典型的には、固有の空間的立体構造内に、少なくとも3個、より一般的には、少なくとも5個、または8~10個のアミノ酸を含む。
【0163】
修飾支援プロファイリング(MAP)は、抗原構造ベース抗体プロファイリング(ASAP)としても知られており、化学的または酵素的に修飾された抗原表面に対する各抗体の結合プロファイルの類似性に従って、同じ抗原に対して指向される多数のモノクローナル抗体を分類する方法である(参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれるUS2004/0101920を参照されたい)。各カテゴリは、別のカテゴリによって表されるエピトープと明らかに異なるか、または部分的に重複するいずれかの独自のエピトープを反映し得る。この技術は、遺伝的に同一の抗体の迅速なフィルタリングを可能にし、それによって特徴付けで遺伝的に異なる抗体に焦点を当てることができる。ハイブリドーマスクリーニングに適用される場合、MAPは、所望の特徴を有するモノクローナル抗体を産生する希少なハイブリドーマクローンの同定を容易にし得る。MAPを使用して、本開示の抗体を、異なるエピトープに結合する抗体群に分類し得る。
【0164】
本開示は、同じエピトープ、またはエピトープの一部に結合し得る抗体を含む。抗体が、参照抗体と同じエピトープに結合するか、または参照抗体と結合について競合するかは、当技術分野で既知の定型的方法を使用して容易に決定することができる。例えば、試験抗体が参照と同じエピトープに結合するか決定するために、参照抗体を、飽和条件下で標的に結合させる。次に、標的分子に結合する試験抗体の能力を評価する。試験抗体が、参照抗体との飽和結合後の標的分子に結合することができる場合、試験抗体は、参照抗体とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。他方、試験抗体が、参照抗体との飽和結合後の標的分子に結合することができない場合、試験抗体は、参照抗体によって結合されるエピトープと同じエピトープに結合し得る。
【0165】
別の態様において、抗体は、さらなる「フレームワーク」領域を含む、それらの可変配列によって定義され得る。これらは、完全可変領域を表す表4に提供される。さらに、抗体配列は、任意で以下でより詳細に考察される方法を使用して、これらの配列から変化し得る。例えば、核酸配列は、上記に示されるものから、(a)可変領域が、軽鎖および重鎖の定常ドメインから分離され得るか、(b)核酸が上記に示されるものから変化するが、それによってコードされる残基に影響を及ぼさないか、(c)核酸が、上記に示されるものから所与の割合、例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%相同性によって変化し得るか、(d)核酸が、上記に示されるものから、約50℃~約70℃の温度で約0.02M~約0.15MのNaClによって提供されるような、低塩および/または高温条件によって例示されるような高ストリンジェント条件下でハイブリダイズする能力によって変化し得るか、(e)アミノ酸が、上記に記載されるものから所与の割合、例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の相同性によって変化し得るか、または(f)アミノ酸が、上記に示されるものから、保存的置換を可能にすることによって変化し得る、という点で変化し得る。
【0166】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を比較する場合、2つの配列は、以下に記載されるように、最大一致のために整列させたときに、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が同じである場合、「同一である」と言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、配列類似性の局所領域を特定および比較するために、比較幅にわたって配列を比較することによって行われる。本明細書で使用される「比較幅」は、2つの配列を最適に整列させた後に配列が同数の連続した位置の参照配列と比較され得る、少なくとも約20個の連続した位置、通常30~約75個、40~約50個のセグメントを指す。
【0167】
比較のための配列の最適な整列は、バイオインフォマティクスソフトウェア(DNASTAR,Inc.,Madison,Wis.)のLasergeneセット内のMegalignプログラムを、デフォルトパラメータを使用して実施し得る。代替的に、比較のための配列の最適な整列は、Smith and Waterman(1981)Add.APL.Math2:482の局所同一性アルゴリズムによって,Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同一整列アルゴリズムによって、Pearson and Lipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:2444の同一性のための探索方法によって、これらのアルゴリズム(the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,Wis.)におけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)のコンピュータ化した実行によって、または精査によって実施し得る。
【0168】
配列同一性パーセントおよび配列類似性を決定するのに好適なアルゴリズムの1つの特定の例は、BLASTおよびBLAST2.0であり、それぞれAltschul et al.(1977)Nucl.Acids Res.25:3389-3402およびAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410に記載されている。BLASTおよびBLAST2.0は、例えば本明細書に記載のパラメータとともに使用して、本開示のポリヌクレオチドおよびポリペプチドについて配列同一性パーセントを決定することができる。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通して公表されている。抗体配列の再配列化性質および各遺伝子の可変長は、単一抗体配列について複数回のBLAST探索を必要とする。また、異なる遺伝子のマニュアル組み立ては困難であり、エラーが発生しやすい。配列解析ツールIgBLAST(ncbi.nlm.nih.gov/igblast/でのworld-wide-web)は、生殖系列V、D、およびJ遺伝子とのマッチング、再配列接合における詳細、IgVドメインフレームワーク領域の描写、ならびに相補性決定領域を特定する。IgBLASTは、ヌクレオチド配列またはタンパク質配列を分析することができ、配列をバッチで処理することができ、生殖細胞系遺伝子データベースおよび他の配列データベースに対する探索を同時に可能にして、おそらく最良のマッチング生殖細胞系V遺伝子が欠ける可能性を最小限に抑えることができる。
【0169】
1つのアプローチでは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20個の位置の比較幅にわたって2つの最適に整列された配列を比較することによって決定され、比較幅におけるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適整列のために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、20パーセント以下、通常5~15パーセント、または10~12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列で発生する位置の数を決定して、マッチングした位置の数を得、マッチングした位置の数を参照配列における位置の総数で除し(すなわち、幅サイズ)、結果に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0170】
さらに抗体を定義する別の方法は、本明細書に提供される抗体およびそれらの抗原結合断片のいずれかの「誘導体」としてである。誘導体抗体または抗体断片は、特定の化学切断、アセチル化、製剤化、チュニカマイシンの代謝合成が含まれるがこれらに限定されない、当業者に既知の技法を使用した化学修飾によって修飾され得る。一実施形態において、抗体誘導体は、親抗体と類似または同一の機能を有する。別の実施形態において、抗体誘導体は、親抗体と比較して変化した活性を示す。例えば、誘導体抗体(またはその断片)は、親抗体よりもそのエピトープに強固に結合するか、またはタンパク質分解に耐性であることができる。
【0171】
「誘導体」という用語は、抗原に免疫特異的に結合するが、「親」(または野生型)分子と比較して、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれを超えるアミノ酸置換、付加、欠失、または修飾を含む抗体あるいはその抗原結合断片を指す。かかるアミノ酸置換または付加は、天然に存在する(すなわち、DNAコードされた)か、または非天然に存在するアミノ酸残基を導入し得る。「誘導体」という用語は、例えば、変更されたCH1、ヒンジ、CH2、CH3、またはCH4領域を有し、そのため例えば、増強されたか、もしくは損なわれたエフェクターまたは結合特徴を示すバリアントFc領域を有する抗体を形成するバリアントを包含する。「誘導体」という用語は、さらに、非アミノ酸修飾、例えば、グリコシル化(例えば、変更されたマンノース、2-N-アセチルグルコサミン、ガラクトース、フコース、グルコース、シアル酸、5-N-アセチルノイラミン酸、5-グリコールノイラミン酸などの内容物を有する)、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基よる誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドもしくは他のタンパク質に結合などされ得るアミノ酸を包含する。いくつかの実施形態において、変更された炭水化物修飾は、抗体の可溶化、抗体の細胞内輸送および分泌の促進、抗体組み立ての促進、立体構造の完全性、ならびに抗体媒介性エフェクター機能のうちの1つ以上を調節する。特定の実施形態において、変更した炭水化物修飾は、炭水化物修飾を欠く抗体と比較して、抗体媒介性エフェクター機能を増強する。抗体媒介性エフェクター機能の変化をもたらす炭水化物修飾は、当技術分野で周知である。
【0172】
抗体の生物物理的特性を決定することができる。上昇した温度を使用して抗体を展開し、見かけの平均融解温度を使用して相対的安定性を決定することができる。示差走査熱量測定(DSC)は、分子の熱容量Cp(それを加温するのに必要な熱/度)を温度の関数として測定する。DSCを使用して、抗体の熱安定性を試験することができる。mAbに関するDSCデータは、それが時々mAb構造内の個々のドメインの展開を分解し、サーモグラムに最大3つのピーク(Fab、CH2、およびCH3ドメインの展開から)を生じるため、特に興味深い。典型的には、Fabドメインの展開は、最強のピークを生じる。Fc部分のDSCプロファイルおよび相対的安定性は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4サブクラスにおける特徴的な差異を示す(Garber and Demarest,Biochem.Biophys.Res.Commun.355,751-757,2007)。また、円二色性(CD)を使用して見かけの平均融解温度を決定することができ、CD分光計を用いて実施される。遠UV CDスペクトルは、抗体について、0.5nmの増分で200~260nmの範囲で測定される。最終スペクトルは、20回の蓄積の平均として決定することができる。残基楕円率値は、バックグラウンド減算後に計算することができる。抗体(0.1mg/mL)の熱展開は、25~95℃および1℃/分の加熱速度から235nmでモニタリングすることができる。動的光散乱(DLS)を使用して、凝集の傾向を評価することができる。DLSを使用して、タンパク質を含む様々な粒子のサイズを特徴付ける。系がサイズで分散していない場合、粒子の平均有効直径を決定することができる。この測定は、粒子コアのサイズ、表面構造のサイズ、および粒子濃度に依存する。DLSは本質的に粒子による散乱光強度の変動を測定するため、粒子の拡散係数を決定することができる。市販のDLA装置のDLSソフトウェアは、粒子集団を異なる直径で表示する。安定性試験は、DLSを使用して好都合に行うことができる。試料のDLS測定は、粒子の流体力学的半径が増加するか決定することによって、粒子が経時的に、または温度変化とともに凝集するかを示すことができる。粒子が凝集する場合、より大きな半径を有する粒子の大きな集団が示される。温度に依存する安定性は、その位置で温度を制御することによって分析することができる。キャピラリー電気泳動(CE)技法は、抗体の安定性の特徴を決定するための実証された方法論を含む。iCEアプローチを使用して、脱アミド化、C末端リジン、シアリル化、酸化、グリコシル化、およびタンパク質のpIに変化をもたらすことができるタンパク質への任意の他の変更に起因する抗体タンパク質電荷バリアントを解決することができる。発現された抗体タンパク質の各々は、Protein Simple Maurice装置を使用して、キャピラリーカラム(cIEF)内のハイスループットな遊離溶液等電点(IEF)によって評価することができる。全カラムUV吸収検出は、等電点(pIs)に焦点を当てた分子のリアルタイムモニタリングのために30秒ごとに実施することができる。このアプローチは、従来のゲルIEFの高い分解能を、カラムベースの分離に認められる定量化および自動化の利点と組み合わせており、可動化段階の必要性を排除している。本技法は、発現された抗体について、同一性、純度、および不均一性プロファイルの再現性のある定量的分析をもたらす。結果は、吸光度およびネイティブ蛍光検出モードの両方で、ならびに0.7μg/mLまでの検出感度で、抗体における電荷不均一性および分子サイズを特定する。
【0173】
抗体配列の固有溶解度スコアを決定することができる。固有溶解度スコアは、CamSol Intrinsic(Sormanni et al.J,Mol Biol 427,478-490,2015)を使用して計算することができる。ScFvなどの各抗体断片のHCDR3における残基95~102(Kabat付番)におけるアミノ酸配列は、オンラインプログラムを介して評価して、溶解度スコアを計算することができる。また、実験室技法を用いて溶解度を決定することもできる。様々な技法が存在し、溶液が飽和して溶解限界に達するまでの凍結乾燥タンパク質の溶液への添加、または好適な分子量カットオフを有するマイクロコンセントレーターにおける限外濾過による濃縮が含まれる。最も単純な方法は、硫酸アンモニウムを使用したタンパク質沈殿を含む方法を使用してタンパク質溶解度を測定する、非晶質沈殿の誘導である(Trevino et al.,J Mol Biol,366:449-460,2007)。硫酸アンモニウム沈殿によって、相対溶解度値に関する迅速かつ正確な情報が得られる。硫酸アンモニウム沈殿は、十分定義された水相および固相を有する沈殿溶液を生成し、比較的少量のタンパク質を必要とする。硫酸アンモニウムによる非晶質沈殿の誘導を使用して実施される溶解度測定も、異なるpH値で容易に行うことができる。タンパク質の溶解度は、pHに大きく依存し、pHは、溶解度に影響を与える最も重要な外因性因子であると考えられる。
【0174】
一般に、自己反応性クローンは、負の選択によって個体発生の際に排除されるべきであると考えられるが、自己反応性を有する多くの天然に存在するヒト抗体が成熟レパートリーに残存し、自己反応性が病原体に対する多くの抗体の抗ウイルス機能を増強し得ることが明らかになってきている。初期B細胞発達期間中の抗体におけるHCDR3ループは、多くの場合、正電荷が豊富であり、自己反応パターンを示すことが注目されている(Wardemann et al.Science,301,1374-1377,2003)。所与の抗体を自己反応性について、顕微鏡検査(付着したHeLaまたはHEp-2上皮細胞を使用する)およびフローサイトメトリー細胞表面染色(懸濁液ジャーカットT細胞および293Sヒト胚性腎臓細胞を使用する)においてヒト起源細胞への結合のレベルを評価することによって試験することができる。自己反応性はまた、組織アレイにおける組織への結合の評価を使用して調査することもできる。
【0175】
III.キメラ抗原受容体
キメラ抗原受容体(CAR)分子は、組換え融合タンパク質であり、抗原に結合する能力と、殺滅、増殖、およびサイトカイン産生において遺伝子改変免疫エフェクター細胞を活性化するために、その細胞質尾部に存在する免疫受容体活性化モチーフ(ITAM)を介して活性化シグナルを伝達する尿力と、のそれらの両方の能力によって際立っている。抗原結合部分を利用する受容体構築物(例えば、単鎖抗体(scFv)から生成される)は、HLA非依存的方式で標的細胞表面上のネイティブ抗原に結合するという点で「普遍的」であるという追加の利点を与える。
【0176】
本明細書に記載のCARの実施形態は、細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、および抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインを含む抗原特異的CARポリペプチドをコードする核酸を含む。CARは、1つ以上の抗原間の共有空間からなるエピトープを認識し得る。任意で、CARは、膜貫通ドメインと抗原結合ドメインとの間に配置されるヒンジドメインを含むことができる。CARは、CARの発現を細胞表面に導くシグナルペプチドをさらに含み得る。例えば、CARは、GM-CSFからのシグナルペプチドを含み得る。CARはまた、膜結合サイトカインと共発現されて、持続性を向上させ得る。例えば、CARは、膜結合IL-15と共発現され得る。
【0177】
CARのドメインの配置およびドメインに使用される特定の配列に応じて、CARを発現する免疫エフェクター細胞は、標的細胞に対して異なるレベルの活性を有し得る。異なるCAR配列を免疫エフェクター細胞に導入して、操作された細胞を生成し、操作された細胞は上昇したSRCで選択され、選択された細胞は、最大の治療効能を有すると予測されるCAR構築物を特定するために活性について試験され得る。
【0178】
キメラ抗原受容体は、当該技術分野で既知の任意の手段によって作製することができるが、好ましくは、組換えDNA技法を使用して作製される。キメラ抗原受容体のいくつかの領域をコードする核酸配列を調製し、分子クローニングの標準技法(ゲノムライブラリースクリーニング、PCR、プライマー補助ライゲーション、酵母および細菌からのscFvライブラリー、部位特異的変異誘発など)によって完全なコード配列に組み立てることができる。得られるコード領域を発現ベクターに挿入し、T細胞またはNK細胞などの好適な発現宿主同種または自己免疫エフェクター細胞を形質転換するために使用することができる。
【0179】
キメラ構築物は、ネイキッドDNAとして、または好適なベクター中で免疫エフェクター細胞内に導入され得る。ネイキッドDNAを使用したエレクトロポレーションによって細胞を安定的にトランスフェクトする方法は当該技術分野で知られている。例えば、米国特許第6,410,319号を参照されたい。ネイキッドDNAは、一般に、発現のための適切な方向でプラスミド発現ベクターに含まれる、キメラ受容体をコードするDNAを指す。代替的に、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクター)を使用して、キメラ構築物を免疫エフェクター細胞に導入することができる。本発明の方法による使用のために好適なベクターは、免疫エフェクター細胞において非複製的である。ウイルスに基づく多数のベクターが知られており、細胞内に維持されるウイルスのコピー数は、例えば、HIV、SV40、EBV、HSV、またはBPVに基づくベクターなど、細胞の生存能力を維持するのに十分な低いものである。
【0180】
A.抗原結合ドメイン
抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体の相補性決定領域、モノクローナル抗体の可変領域、および/またはそれらの抗原結合断片を含み得る。抗原結合領域またはドメインは、特定のマウス、ヒト、またはヒト化モノクローナル抗体に由来する単鎖可変断片(scFv)のVHおよびVL鎖の断片を含み得る。断片はまた、抗原特異的抗体のいくつもの異なる抗原結合ドメインであることができる。断片は、ヒト細胞での発現におけるヒトコドン使用のために最適化される配列によってコードされる抗原特異的scFvであり得る。特定の態様において、CARのVHおよびVLドメインは、ホイットローリンカーなどのリンカー配列によって分離される。
【0181】
プロトタイプCARは、膜貫通ドメインおよび1つ以上の細胞質シグナル伝達ドメイン(例えば、共刺激ドメインおよびシグナル伝達ドメイン)に結合した、1つのモノクローナル抗体(mAb)に由来するVHおよびVLドメインを含むscFvをコードする。したがって、CARは、B7-H3に結合する抗体のLCDR1~3配列およびHCDR1~3配列を含み得る。しかしながら、さらなる態様において、関心対象の抗原に結合するより多くの抗体のうちの2つが特定され、CARは、(1)抗原に結合する第1の抗体のHCDR1-3配列と、(2)抗原に結合する第2の抗体のLCDR1-3配列とを含んで構築される。2つの異なる抗原結合抗体からのHCDRおよびLCDR配列を含むかかるCARは、抗原の特定の立体構造(例えば、正常組織に対してがん細胞と優先的に会合する立体構造)に優先的に結合する利点を有し得る。
【0182】
代替的に、CARは、異なるmAbに由来するVHおよびVL鎖を使用して操作して、CAR+免疫エフェクター細胞のパネルを生成し得る。CARの抗原結合ドメインは、第1の抗体のLCDR1~3配列と、第2の抗体のHCDR1~3配列と、の任意の組み合わせを含み得る。
【0183】
B.ヒンジドメイン
CARポリペプチドは、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置するヒンジドメインを含み得る。いくつかの例では、ヒンジドメインはCARポリペプチドに含まれ、抗原結合ドメインと細胞表面との間に十分な距離を提供し得るか、または抗原結合もしくはCAR修飾免疫エフェクター細胞のエフェクター機能に悪影響を及ぼし得る立体障害の可能性を緩和し得る。ヒンジドメインは、FcγR2aまたはFcγR1aなどのFc受容体に結合する配列を含み得る。例えば、ヒンジ配列は、Fc受容体に結合するヒト免疫グロブリン(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、またはIgE)からのFcドメインを含み得る。
【0184】
CARヒンジドメインは、ヒト免疫グロブリン(Ig)定常領域またはIgヒンジを含むその一部に由来し得るか、またはヒトCD8α膜貫通ドメインおよびCD8a-ヒンジ領域に由来し得る。CARヒンジドメインは、抗体アイソタイプIgG4のヒンジ-CH2-CH3領域を含み得る。ヒンジドメイン(および/またはCAR)は、野生型ヒトIgG4 CH2およびCH3配列を含まなくてもよい。点変異が抗体重鎖CH2ドメインに導入されて、グリコシル化およびCAR修飾免疫エフェクター細胞の非特異的Fcγ受容体結合を低下させ得る。
【0185】
CARヒンジドメインは、野生型Ig Fcドメインと比較して、Fc-レセプター結合を低下させる少なくとも1つの変異を含むIg Fcドメインを含み得る。例えば、CARヒンジドメインは、野生型IgG4-Fcドメインと比較して、Fc-受容体結合を低下させる少なくとも1つの変異を含むIgG4-Fcドメインを含むことができる。CARヒンジドメインは、野生型IgG4-Fc配列に対して、L235および/またはN297に対応する位置に変異(アミノ酸欠失または置換など)を有するIgG4-Fcドメインを含み得る。例えば、CARヒンジドメインは、野生型IgG4-Fc配列に対して、L235Eおよび/またはN297Q変異を有するIgG4-Fcドメインを含むことができる。CARヒンジドメインは、R、H、K、D、E、S、T、N、もしくはQなどの親水性であるか、またはDなどの「E」と類似の特性を有するアミノ酸でL235位置にアミノ酸置換を有するIgG4-Fcドメインを含み得る。CARヒンジドメインは、SまたはTなどの「Q」に類似の特性を有するアミノ酸でN297位にアミノ酸置換を有するIgG4-Fcドメインを含み得る。
【0186】
ヒンジドメインは、IgG4ヒンジドメイン、CD8aヒンジドメイン、CD28ヒンジドメイン、または操作されたヒンジドメインに対して約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含み得る。
【0187】
C.膜貫通ドメイン
抗原特異的細胞外ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインによって連結され得る。膜貫通ドメインの一部として使用することができるポリペプチド配列には、ヒトCD4膜貫通ドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、膜貫通ヒトCD3ζドメイン、システイン変異ヒトCD3ζドメイン、またはCD16、CD8、およびエリスロポエチン受容体などの他のヒト膜貫通シグナル伝達タンパク質からの他の膜貫通ドメインが含まれるが、これらに限定されない。例えば、膜貫通ドメインは、参照により本明細書にともに組み込まれる、米国特許公開第2014/0274909号(例えば、CD8および/またはCD28膜貫通ドメイン)または米国特許第8,906,682号(例えば、CD8α膜貫通ドメイン)に提供される配列のうちの1つと少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含み得る。膜貫通領域は、T細胞受容体のアルファ、ベータ、またはゼータ鎖、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来し得る(すなわち、それらのうちの少なくとも膜貫通領域を含む)。特定の態様において、膜貫通ドメインは、CD8a膜貫通ドメインまたはCD28膜貫通ドメインに対して85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であることができる。
【0188】
D.細胞内シグナル伝達ドメイン
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CARを発現するように操作された免疫細胞の正常なエフェクター機能のうちの少なくとも1つの活性化に関与する。「エフェクター機能」という用語は、分化した細胞の特殊化機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、サイトカインの分泌を含む細胞溶解活性またはヘルパー活性であり得る。ナイーブ、メモリー、またはメモリー型T細胞におけるエフェクター機能は、抗原依存性増殖を含む。したがって、「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、特殊化機能を行うように細胞を誘導するタンパク質の部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインは、ネイティブ受容体の細胞内シグナル伝達ドメインに由来し得る。かかるネイティブ受容体の例には、T細胞受容体のゼータ鎖、またはその相同体のうちのいずれか(例えば、エータ、デルタ、ガンマ、またはイプシロン)、MB1鎖、B29、Fc RIII、Fc RI、ならびにCD3ζとCD28、CD27、4-1BB/CD137、ICOS/CD278、IL-2Rβ/CD122、IL-2Rα/CD132、DAP10、DAP12、CD40、OX40/CD134などのシグナル伝達分子の組み合わせ、ならびにそれらの組み合わせ、同様に他の類似の分子および断片が含まれる。活性化タンパク質のファミリーの他のメンバーの細胞内シグナル伝達部分を使用することができる。
【0189】
細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用い得るが、多くの場合、細胞内ポリペプチド全体を使用することは必要ではない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分が使用可能である範囲まで、かかる切断部分は、それが依然としてエフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクト鎖の代わりに使用することができる。したがって、「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、CARが標的に結合すると、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分を含むことを意味する。1つまたは複数の細胞質ドメインが、いわゆる第3世代CARとして用いられ得、相加的または相乗的効果のために一緒に融合された少なくとも2つまたは3つのシグナル伝達ドメインを有し、例えば、CD28および4-1BBをCAR構築物に組み合わせることができる。特定の態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ細胞内ドメイン、CD28細胞内ドメイン、CD137細胞内ドメイン、または4-1BB細胞内ドメインに融合されたCD28細胞内ドメインを含むドメインに対して、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む。
【0190】
E.免疫エフェクター細胞
免疫エフェクター細胞は、T細胞(例えば、調節T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはガンマ-デルタT細胞)、ナチュラルキラー(NK)細胞、不変NK細胞、またはNKT細胞であり得る。また、免疫エフェクター細胞を産生および操作する方法、ならびに細胞が自己または同種異系であり得る養子細胞療法のために細胞を使用および投与する方法が、本明細書に提供される。したがって、免疫エフェクター細胞は、例えば、がん細胞を標的とするなどの免疫療法として使用され得る。
【0191】
免疫エフェクター細胞は、対象、特にヒト対象から単離され得る。免疫エフェクター細胞は、特定の疾患もしくは状態を有すことが疑われる対象、特定の疾患もしくは状態に対する素因を有することが疑われる対象、特定の疾患もしくは状態のために療法を受けている対象、健常なボランティアもしくは健常なドナーである対象などの関心対象の対象、または血液バンクから得ることができる。免疫エフェクター細胞は、血液、臍帯血、脾臓、胸腺、リンパ節、骨髄、外科的処置中に除去および/または曝露される組織、ならびに生検処置を介して得られる組織を含むがこれらに限定されない、それらが対象に存在する任意の組織または器官から収集、豊富化、および/または精製することができる。単離された免疫エフェクター細胞は、直接使用され得るか、または凍結などによって一定期間保存することができる。
【0192】
免疫エフェクター細胞が豊富化、単離、および/または精製される組織/器官は、生存および非生存の両対象から単離され得、非生存対象は、器官ドナーである。臍帯血から単離される免疫エフェクター細胞は、CD4またはCD8陽性T細胞抑制によって測定されるように、増強された免疫調節能力を有し得る。免疫エフェクター細胞は、増強された免疫調節能力のために、プールされた血液、特にプールされた臍帯血から単離され得る。プールされた血液は、3、4、5、6、7、8、9、10例、またはそれを超える供給源(例えば、ドナー対象)など、2例以上の供給源からのものであり得る。
【0193】
免疫細胞集団は、療法を必要とする対象、または免疫エフェクター細胞活性の低下に関連する疾患に罹患している対象から得ることができる。したがって、細胞は、療法を必要とする対象にとって自己由来である。代替的に、免疫エフェクター細胞集団は、ドナー、好ましくは同種異系ドナーから得ることができる。同種異系ドナー細胞は、ヒト白血球抗原(HLA)適合性であってもなくてもよい。対象適合性にするために、同種異系細胞を処理して、免疫原性を低下させることができる。
【0194】
1.T細胞
免疫エフェクター細胞は、T細胞であり得る。T細胞は、血液、骨髄、リンパ、臍帯、またはリンパ器官に由来し得る。T細胞は、ヒトT細胞であり得る。T細胞は、典型的には、対象から直接単離されたか、かつ/または対象から単離されて凍結された細胞などの初代細胞である。細胞は、機能、活性化状態、成熟度、分化の可能性、拡張、再循環、局在化、持続能、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化の程度によって定義されるものなどの、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびそれらのサブ集団などのT細胞または他の細胞型の1つ以上のサブセットを含み得る。治療される対象に関して、細胞は、同種異系および/または自己であり得る。既製技術では、細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞などの多分化能性および/または多能性細胞に由来し得る。
【0195】
T細胞のサブタイプおよびサブ集団(例えば、CD4+および/またはCD8+T細胞)の中でも、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞、およびそれらのサブタイプであり、例えば、幹細胞メモリーT(TSCM)、中央メモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または末端分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連不変T(MAIT)細胞、天然および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、およびデルタ/ガンマT細胞である。
【0196】
T細胞集団のうちの1つ以上は、表面マーカーなどの特定のマーカーについて陽性であるか、もしくは特定のマーカーについて陰性である細胞が豊富化され得るか、または枯渇され得る。いくつかの例では、かかるマーカーは、特定のT細胞集団(例えば、非メモリー細胞)に存在しないか、または比較的低レベルで発現されるが、特定の他のT細胞集団(例えば、メモリー細胞)に存在するか、または比較的高いレベルで発現されるものである。
【0197】
T細胞は、PBMC試料から、CD14などのB細胞、単球細胞、または他の白血球細胞などの非T細胞で発現されるマーカーの陰性選択によって分離され得る。いくつかの態様において、CD4+またはCD8+選択段階を使用して、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離する。かかるCD4+およびCD8+集団は、1つ以上のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞サブ集団で発現されているか、もしくは比較的高い程度に発現されるマーカーについて陽性または陰性の選択によってサブ集団にさらに選別することができる。
【0198】
CD8+T細胞は、それぞれのサブ集団と会合する表面抗原に基づいた陽性または陰性の選択などによって、ナイーブ、中央メモリー、エフェクターメモリー、および/または中央メモリー幹細胞をさらに豊富化または枯渇させることができる。中央メモリーT(TCM)細胞の豊富化は、投与後の長期生存、拡張、および/または生着を改善するなどの効能を増加させるために実行され得、いくつかの態様において、かかるサブ集団において特に頑強である。
【0199】
T細胞は、自己T細胞であり得る。この方法では、腫瘍試料を患者から得て、単一細胞懸濁液を得る。単一細胞懸濁液は、任意の好適な手段、例えば、機械的に(例えば、gentleMACS(商標)Dissociator,Miltenyi Biotec,Auburn,Calif.を使用して腫瘍を脱凝集させる)または酵素的に(例えば、コラゲナーゼまたはDNアーゼ)得ることができる。腫瘍酵素消化物の単一細胞懸濁液を、インターロイキン-2(IL-2)中で培養する。細胞は、密集(例えば、約2×106個のリンパ球)まで、例えば、約5~約21日、好ましくは約10~約14日培養する。
【0200】
培養したT細胞をプールし、急速に拡張することができる。急速な拡張は、約10~約14日の期間にわたって、少なくとも約50倍(例えば、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍、またはそれを超える)の抗原特異的T細胞数の増加を提供する。より好ましくは、急速な拡張は、約10~約14日の期間にわたって、少なくとも約200倍(例えば、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、またはそれを超える)の増加を提供する。
【0201】
拡張は、当該技術分野で既知のいくつかの方法のうちのいずれかによって達成さすることができる。例えば、T細胞は、非特異的T細胞受容体刺激を使用して、フィーダーリンパ球、およびインターロイキン-2(IL-2)またはインターロイキン-15(IL-15)のいずれかの存在下で、好ましくはIL-2添加で、急速に拡張させることができる。非特異的T細胞受容体刺激は、約30ng/mlのOKT3、マウスモノクローナル抗CD3抗体(Ortho-McNeil(登録商標),Raritan,N.J.から入手可能)を含むことができる。代替的に、T細胞は、300IU/mlのIL-2またはIL-15などのT細胞増殖因子の存在下で、好ましくはIL-2の添加で、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)結合ペプチドなどのベクターから任意で発現することができる、がんの1つ以上の抗原(エピトープなどのその抗原性部分、または細胞を含む)を伴うインビトロでの末梢血単核細胞(PBMC)の刺激によって急速に拡張させることができる。インビトロ誘導性T細胞は、HLA-A2発現性抗原提示細胞をパルス化したがんの同じ抗原で再刺激することによって急速に拡張される。代替的に、T細胞は、例えば、照射された自己リンパ球または照射されたHLA-A2+同種異系リンパ球およびIL-2で再刺激することができる。
【0202】
自己T細胞は、自己T細胞の増殖および活性化を促進するT細胞増殖因子を発現するように改変することができる。好適なT細胞増殖因子には、例えば、インターロイキン(IL)-2、IL-7、IL-15、およびIL-12が含まれる。好適な改変方法は当該技術分野で知られている。例えば、Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,3rded.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.2001およびAusubel et al.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons,NY,1994を参照されたい。特定の態様において、改変された自己T細胞は、T細胞成長因子を高いレベルで発現する。IL-12の配列などのT細胞増殖因子コード配列は、プロモーターと同様に当該技術分野で容易に入手可能であり、T細胞増殖因子コード配列とのその操作可能な結合は、高いレベルの発現を促進する。
【0203】
2.NK細胞
免疫エフェクター細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞であり得る。ナチュラルキラー(NK)細胞は、様々な腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、ならびに骨髄および胸腺におけるいくつかの正常細胞に対する自然細胞傷害性を有するリンパ球の亜集団である。NK細胞は、形質転換細胞およびウイルス感染細胞に対する初期先天性免疫応答の重要なエフェクターである。NK細胞は、ヒト末梢血中のリンパ球の約10%を構成する。リンパ球をインターロイキン2(IL-2)の存在下で培養すると、強い細胞傷害性反応性が発生する。NK細胞は、それらの大きなサイズおよびそれらの細胞質における特徴的なアズール顆粒の存在のため、大型顆粒リンパ球として知られるエフェクター細胞である。NK細胞は、骨髄、リンパ節、脾臓、扁桃腺、および胸腺で分化して成熟する。NK細胞は、ヒトにおいて、CD16、CD56、およびCD8などの特定の表面マーカーによって検出することができる。NK細胞は、T細胞抗原受容体、汎TマーカーCD3、または表面免疫グロブリンB細胞受容体を発現しない。
【0204】
NK細胞の刺激は、細胞表面活性化受容体および阻害性受容体に由来するシグナルのクロストークを通して達成される。NK細胞の活性化状態は、生殖細胞系コードされた多くの活性化受容体および阻害性受容体から受容される細胞内シグナルのバランスによって調節される。NK細胞が異常細胞(例えば、腫瘍細胞またはウイルス感染細胞)に遭遇し、活性化シグナルが優勢な場合、NK細胞は、パーフォリンを含有する細胞溶解性顆粒およびグランザイムの指示された分泌、または死ドメイン含有受容体の結合を通じて、標的細胞のアポトーシスを迅速に誘導することができる。活性化されたNK細胞はまた、インターフェロン-γ、腫瘍壊死因子-α、および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)などのI型サイトカインを分泌することができ、先天性および適応性の両免疫細胞、ならびに他のサイトカインを活性化する。初期先天性免疫応答におけるNK細胞によるこれらの可溶性因子の産生は、他の造血細胞の動員および機能に著しく影響する。また、物理的接触およびサイトカインの産生を通じて、NK細胞は、免疫応答を促進または抑制するために、樹状細胞および好中球との調節クロストークネットワークにおいて中心的な役割を演じる。
【0205】
NK細胞は、当技術分野で周知の方法によって、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、非刺激性白血球アフェレーシス生成物(PBSC)、ヒト胚性幹細胞(hESC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、骨髄、または臍帯血から引き出され得る。特定の態様において、NK細胞は、単離され、エクスビボで拡張される。例えば、CB単核細胞は、フィコール密度勾配遠心分離によって単離され、IL-2および人工抗原提示細胞(aAPC)とともにバイオリアクターで培養され得る。7日後、細胞培養は、CD3を発現するいずれの細胞も枯渇させ得、さらに7日間再培養し得る。細胞を再びCD3枯渇させて、CD56+/CD3-細胞またはNK細胞の割合を決定するように特徴付けし得る。他の方法において、臍帯CBを使用して、CD34+細胞の単離、SCF、IL-7、IL-15、およびIL-2を含有する培地中で培養することによるCD56+/CD3-細胞への分化によって、NK細胞を引き出し得る。
【0206】
F.免疫エフェクター細胞の操作
免疫エフェクター細胞(例えば、自己または同種異系T細胞(例えば、調節T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはガンマ-デルタT細胞)、NK細胞、不変NK細胞、またはNKT細胞)は、キメラ抗原受容体(CAR)などの抗原受容体を発現するように遺伝子操作され得る。例えば、宿主細胞(例えば、自己または同種異系T細胞)は、B7-H3に対する抗原特異性を有するCARを発現するように改変され得る。特定の実施形態において、NK細胞は、CARを発現するように操作される。異なる抗原に対するなどの複数のCARを、T細胞またはNK細胞などの単一細胞型に付加し得る。
【0207】
細胞は、1つ以上の抗原受容体をコードする遺伝子操作を介して導入される1つ以上の核酸、およびかかる核酸の遺伝子操作された生成物を含み得る。核酸は、異種であり得、すなわち、例えば、遺伝子操作されている細胞および/またはかかる細胞が由来する生物において通常見出されない、別の生物または細胞から得られるものなど、細胞または細胞から得られる試料には通常存在しない。核酸は、天然には認められない核酸(例えば、キメラ)など、天然に存在し得ない。
【0208】
IV.医薬製剤
本開示は、B7-H3を選択的に標的とする抗体を含む医薬組成物を提供する。かかる組成物は、予防的または治療的に有効な量の抗体またはその断片、および薬学的に許容される担体を含む。また、CARを発現する免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物および製剤が、本明細書に提供される。
【0209】
「薬学的または薬理学的に許容される」という語句は、必要に応じて、ヒトなどの動物に投与されるときに、有害反応、アレルギー反応、または他の不都合な反応を生じない分子実体および組成物を指す。抗体または追加の活性成分を含む医薬組成物の調製は、本開示の観点から当業者に既知であろう。さらに、動物(例えば、ヒト)投与のために、調製物は、生物学的基準のFDA局(FDA Office of Biological Standards)によって要求されるように無菌性、発熱性、一般的安全性、および純度基準を満たすべきであることが理解されるであろう。
【0210】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、あらゆる水性溶媒(例えば、水、アルコール/水溶液、生理食塩水、非経口ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム、リンゲルデキストロースなど)、非水性溶媒(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステル)、分散媒、コーティング剤、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗細菌または抗真菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガス)、等張剤、吸収遅延剤、塩、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素、流体および栄養補給剤、かかる類似の材料およびそれらの組み合わせが含まれ、当業者には既知であろう。医薬組成物中の様々な成分のpHおよび正確な濃度は、周知のパラメータに従って調整される。
【0211】
活性成分は、非経口投与用に製剤化することができ、例えば、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮下、またはさらには腹腔内の経路を介した注射用に製剤化することができる。典型的には、かかる組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製することができ、注射前に液体の添加で溶液または懸濁液を調製する使用のために好適な固体形態も調製することができ、調製物はまた、乳化することができる。
【0212】
本実施形態の治療用組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして、注射可能な組成物の形態で有利に投与され、注射前に液体で溶液または懸濁液のために好適な固体形態も調製され得る。これらの調製物はまた、乳化され得る。
【0213】
注射使用のために好適な医薬形態には、無菌水溶液または分散液と、セサミ油、ピーナッツ油、またはプロピレングリコール水溶液を含む製剤と、無菌注射用溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末と、が含まれる。すべての場合において、形態は無菌でなければならず、容易に注射し得る程度まで流動性でなければならない。また、製造および保存の条件下で安定しているべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。
【0214】
タンパク質性組成物は、中性または塩の形態に製剤化され得る。薬学的に許容される塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が含まれ、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸で形成される。遊離カルボキシル基で形成される塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することができる。
【0215】
医薬組成物は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒を含むことができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合に必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物作用の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの種々の抗菌剤および抗真菌剤によってもたらすことができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に使用することによってもたらすことができる。
【0216】
所望な場合、組成物はまた、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放性製剤などの形態をとることができる。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含むことができる。好適な医薬品の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。かかる組成物は、予防的または治療的に有効な量の抗体またはその断片を、好ましくは精製形態で、患者への適切な投与のための形態を提供するように好適な量の担体とともに含有する。
【0217】
抗体の受動的移送は、一般に、静脈内または筋肉内注射の使用を伴う。抗体の形態は、モノクローナル抗体とすることができる。かかる免疫は、概して短期間のみ持続し、過敏反応および特に非ヒト起源のガンマグロブリンからの血清病の潜在的リスクもある。抗体は、注射に好適である、すなわち、無菌および注射可能である、担体に製剤化される。
【0218】
一般に、本開示の組成物の成分は、別々に、または単位剤形で一緒に混合されて、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密閉容器内の乾燥した凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給される。組成物が注入によって投与される場合、それは、無菌の医薬品グレードの水または生理食塩水を収容する注入ボトルで分配することができる。組成物が注射によって投与される場合、注射用無菌水または生理食塩水のアンプルが提供され、それによって成分を投与前に混合することができる。
【0219】
特定の実施形態において、医薬組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の活性成分を含み得る。他の実施形態において、活性成分は、単位の重量の約2%~約75%、または例えば、約25%~約60%、およびその中で引き出すことができる任意の範囲を含み得る。
【0220】
「単位用量」または「投与量」という用語は、対象での使用に好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、その投与、すなわち、適切な経路および治療レジメンと関連して上述される所望の応答を生じるように計算された所定量の治療組成物を含有する。投与される量は、治療の数および単位用量の両方に応じて、所望される効果に依存する。患者または対象に投与される本実施形態の組成物の実際の投与量は、対象の体重、年齢、健康、および性別、治療される疾患のタイプ、疾患浸透の程度、前もってのまたは同時の治療介入、患者の特発性疾患、投与経路、ならびに特定の治療物質の効力、安定性、および毒性などの物理的および生理学的要因によって決定することができる。例えば、用量はまた、投与当たり約1μg/kg/体重~約1000mg/kg/体重(このかかる範囲は間にある用量を含む)、またはこれら超、およびその中で引き出すことができる任意の範囲を含み得る。本明細書に列挙される数値から引き出すことができる範囲の非限定的な例では、約5μg/kg/体重~約100mg/kg/体重、約5μg/kg/体重~約500mg/kg/体重などの範囲を投与することができる。投与に責任のある開業医は、いずれにせよ、組成物中の活性成分の濃度および個々の対象における適切な用量を決定する。
【0221】
V.治療方法
本実施形態の特定の態様は、腎臓、膵臓、結腸直腸、非小細胞肺、卵巣、膀胱、黒色腫、前立腺、および神経外胚葉のがんなどの、B7-H3のレベルの上昇に関連する疾患もしくは障害を予防または治療するために使用することができる。B7-H3の機能は、任意の好適な薬物によって低下され得る。好ましくは、かかる物質は、抗B7-H3抗体、抗B7-H3抗体-薬物コンジュゲート、B7-H3特異的CAR T細胞、またはB7-H3特異的CAR NK細胞である。
【0222】
「治療」および「治療すること」は、疾患または健康関連状態の治療的利益を得る目的のために、対象への治療剤の投与もしくは適用、または対象に対する処置もしくはモダリティの実施を指す。例えば、治療は、単独で、あるいは化学療法、免疫療法、もしくは放射線療法、手術の実施、またはそれらの任意の組み合わせの投与との組み合わせのいずれかで、B7-H3を標的とする抗体の薬学的有効量の投与を含み得る。
【0223】
本明細書で使用される「対象」という用語は、目的の方法が実施される任意の個体または患者を指す。一般に、対象はヒトであるが、当業者には理解されるように、対象は動物であり得る。したがって、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットを含む)、ネコ、イヌ、ウサギ、家畜(ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどを含む)、および霊長類(サル、チンパンジー、オランウータン、およびゴリラを含む)などの哺乳動物を含む他の動物が、対象の定義内に含まれる。
【0224】
本出願全体を通して使用される「治療的利益」または「治療的に有効な」という用語は、この状態の医学的治療に関して対象の健康を促進または増強する任意のものを指す。これには、疾患の徴候または症状の頻度もしくは重症度の低減が含まれるが、これらに限定されない。例えば、がんの治療は、例えば、腫瘍のサイズの低下、腫瘍の侵襲性の低下、がんの増殖速度の低下、または転移の防止を含み得る。がんの治療はまた、がんを有する対象の生存を延長することを指し得る。
【0225】
本明細書で使用される「がん」という用語は、固形腫瘍、転移性がん、または非転移性がんを説明するために使用され得る。特定の実施形態において、がんは、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、十二指腸、小腸、大腸、結腸、直腸、肛門、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮に起因し得る。
【0226】
がんは、具体的には、以下の組織型:新生物、悪性;がん腫;がん腫、未分化;巨大および紡錘細胞がん;小細胞がん;乳頭がん;扁平上皮がん;リンパ上皮がん;基底細胞がん;毛様体がん;移行上皮がん;乳頭状移行上皮がん;腺がん;ガストリノーマ、悪性;胆管がん;肝細胞がん;肝細胞がんと胆管がんの組み合わせ;小柱腺がん;アデノイド嚢胞がん;腺腫性ポリープの腺がん;腺がん、家族性大腸腺腫症;固形がん;カルチノイド腫瘍、悪性;鰓-歯茎腺がん;乳頭腺がん;色素嫌性がん;好酸性がん;好酸性腺がん;好塩基球がん;明細胞腺がん;顆粒細胞がん;濾胞性腺がん;乳頭状および濾胞性腺がん;非被包性硬化性がん;副腎皮質がん;子宮内膜がん;皮膚付属器がん;アポクリン腺がん;皮脂腺がん;子宮頸部腺がん;粘表皮がん;嚢胞腺がん;乳頭状嚢胞腺がん;乳頭状漿液性嚢胞腺がん;粘液性嚢胞腺がん;粘液性腺がん;印環細胞がん;浸潤性乳管がん;髄様がん;小葉がん;炎症性がん;パジェット病、乳房;腺細胞がん;腺扁平上皮がん;扁平上皮化生を伴う腺がん;胸腺腫、悪性;卵巣間質腫瘍、悪性;莢膜、悪性;顆粒膜細胞腫、悪性;アンドロブラストーマ、悪性;セルトリ細胞がん;ライディッヒ細胞腫瘍、悪性;脂質細胞腫瘍、悪性;傍神経節腫、悪性;乳腺外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;血管球血管肉腫;悪性黒色腫;無色素性黒色腫;表在性黒色腫;巨大な色素性母斑における悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胚性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質性肉腫;混合腫瘍、悪性;ミュラー混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;がん肉腫;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胚性がん;奇形腫、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛がん;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管周囲細胞腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍皮質骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨の巨大細胞腫瘍;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮歯牙肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫瘍、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣腫;星状細胞腫;原形質星状細胞腫;原線維性星状細胞腫;アストロブラストーマ;膠芽腫;乏突起膠腫;乏突起芽細胞腫;原始神経外胚葉;小脳肉腫;神経節神経芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅覚神経原性腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキンリンパ腫;傍肉芽腫;悪性リンパ腫、小さなリンパ球;悪性リンパ腫、大細胞、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性;菌状息肉腫;その他の特定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄性白血病;好塩基性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄性肉腫;ならびに有毛細胞白血病のものであり得るが、これらに限定されない。それにもかかわらず、本発明はまた、非がん性疾患(例えば、真菌感染症、細菌感染症、ウイルス感染症、神経変性疾患、および/または遺伝性障害)を治療するために使用され得ることも認識される。
【0227】
特定の実施形態において、本実施形態の組成物および方法は、B7-H3に対する抗体または抗体断片を、化学療法または免疫療法などの第2または追加の療法と組み合わせて含む。かかる療法は、B7-H3の上昇に関連する任意の疾患の治療に適用することができる。例えば、疾患は、がんであり得る。
【0228】
併用療法を含む方法および組成物は、治療的または保護的効果を高め、かつ/または別の抗がんもしくは抗過剰増殖療法の治療効果を増加させる。治療的および予防的方法ならびに組成物は、がん細胞の殺滅および/または細胞の過剰増殖の阻害などの所望の効果を達成するのに有効な組み合わせ量で提供することができる。このプロセスは、細胞を抗体または抗体断片および第2の療法の両方と接触させることを含み得る。組織、腫瘍、または細胞は、1つ以上の薬剤(すなわち、抗体もしくは抗体断片または抗がん剤)を含む1つ以上の組成物または薬理学的製剤と接触させることができるか、あるいは組織、腫瘍、および/または細胞を2つ以上の異なる組成物もしくは製剤と接触させることによって接触させることができ、1つの組成物は、1)抗体もしくは抗体断片、2)抗がん剤、または3)抗体もしくは抗体断片および抗がん剤の両方を提供する。また、かかる併用療法は、化学療法、放射線療法、外科療法、免疫療法、または放射線免疫療法と併用して使用できることが企図される。
【0229】
細胞に適用される場合の「接触した」および「曝露した」という用語は、本明細書において、治療用構築物および化学療法剤または放射線治療剤が標的細胞に送達されるか、または標的細胞と直接並置されるプロセスを説明するために使用される。細胞の殺滅を達成するために、例えば、両方の薬剤は、細胞を殺滅するか、または細胞が分裂するのを防ぐために有効な混合した量で細胞に送達される。
【0230】
抗体は、抗がん治療の前、期間中、後、または様々な組み合わせで投与され得る。投与は、同時から数分まで、数日まで、数週までの範囲の間隔であり得る。抗体または抗体断片が、抗がん剤とは別に患者に提供される実施形態において、一般に、各送達の時期の間にほとんどの期間が満了しないことを確実にして、それによって、2つの化合物が、依然として、患者に対して有利に組み合わされた効果を発揮することができる。かかる例では、患者に抗体療法および抗がん療法を、互いに約12~24または72時間以内、より具体的には互いに約6~12時間以内に提供し得ることが企図される。いくつかの状況では、それぞれの投与の間に、数日(2、3、4、5、6、または7)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8)が経過する場合、治療期間を大幅に延長することが望ましい場合がある。
【0231】
特定の実施形態において、治療の経過は、1~90日またはそれを超えて継続する(このような範囲は、間にある日数を含む)。1つの薬剤が、1日目~90日目の任意の日(このような範囲は、間にある日を含む)またはそれらの任意の組み合わせで与えられ得、別の薬剤が、1日目~90日目の任意の日(このような範囲は、間にある日を含む)またはそれらの任意の組み合わせで与えられ得ることが企図される。1日(24時間の期間)以内に、患者に、薬剤の1つまたは複数の投与が与えられ得る。さらに、治療の経過後、抗がん剤治療が投与されない期間があることが企図される。この期間は、患者の予後、強度、健康などの状態に応じて、1~7日、および/または1~5週、および/または1~12ヶ月またはそれを超えて(このような範囲は、間にある日数を含む)継続することができる。治療サイクルは必要に応じて繰り返されることが予想される。
【0232】
様々な組み合わせが用いられ得る。下記の例では、抗体療法は「A」であり、抗がん療法は「B」である。
【0233】
患者への本実施形態の任意の化合物または療法の投与は、薬剤の毒性がもしあれば考慮に入れ、かかる化合物の投与のための一般的なプロトコルに従う。したがって、いくつかの実施形態において、併用療法に起因する毒性をモニタリングする段階が存在する。
【0234】
A.化学療法
多種多様な化学療法剤が、本実施形態に従って使用され得る。「化学療法」という用語は、がんを治療する薬物の使用を指す。「化学療法剤」は、がんの治療に投与される化合物または組成物を意味するために使用される。これらの薬剤または薬物は、例えば、それらが細胞周期に影響を及ぼすか、かつどのステージで影響を及ぼすかなど、細胞内でのそれらの活性方式によって分類される。代替的に、薬剤は、DNAを直接架橋し、DNAにインターカレートし、核酸合成に影響を与えることによって染色体異常および分裂異常を誘発するその能力に基づいて特徴付けられ得る。代替的に、薬剤は、細胞内の特定の酵素活性を阻害し得、例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、リパーゼ、メチルトランスフェラーゼ、エチルトランスフェラーゼ、ジオキシゲナーゼを阻害するか、代替的に、薬剤は、ホルモン活性をブロックするか、シグナル伝達を阻害するか、遺伝子発現を変更するか、アポトーシスを誘発するか、または血管新生を阻害し得、代替的に薬剤は、がんワクチンもしくは遺伝子治療を含み得る。
【0235】
化学療法剤の例には、チオテパおよびシクロスホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、ウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、およびトリメチルオロメラミンを含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンとブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジ口イン;スポンジタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、およびウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムヌスチンなどのニトロソウレア;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1);ダイネミシンAを含むダイネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;ネオカルジノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラルニシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラルマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシンなどのマイトマイシン;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、プテロプテリン、およびトリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、およびチオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、およびフロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストトラクトンなどのアンドロゲン;ミトタンおよびトリロスタンなどの抗副腎;フロリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシンおよびアンサミトシンなどのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’、2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、アンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチンなどの白金配位錯体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸;イリノテカン(例:CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルヒロニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビエン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質タンスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナ、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が含まれる。
【0236】
代替的に、様々な分子標的治療剤のうちのいずれかを、本実施形態に従って使用し得る。例には、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、PARP1/2阻害剤、血管新生阻害剤、ホルモン遮断剤、遺伝子発現調節剤、エピジェネティック修飾剤、およびシグナル伝達阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0237】
B.放射線療法
DNA損傷を引き起こし、広く使用されてきた他の要因には、γ線、X線、および/または腫瘍細胞への放射性同位元素の誘導送達として一般に知られているものが含まれる。マイクロ波、プロトンビーム照射(米国特許第5,760,395号および同第4,870,287号)、および紫外線照射など、他の形式のDNA損傷要因も企図される。これらの要因のすべてが、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の組み立ておよび維持に対して広範囲の損傷を与える可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(3~4週間)での50~200レントゲンの1日線量から、2000~6000レントゲンの単回線量までに及ぶ。放射性同位元素の線量範囲は広範に変動し、同位元素の半減期、放出される放射線の強度および種類、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。
【0238】
C.免疫療法
当業者は、免疫療法が、実施形態の方法と組み合わせて、または併用して使用され得ることを理解するであろう。がん治療の文脈において、免疫療法は一般に、免疫エフェクター細胞および分子を使用して、がん細胞を標的とし、破壊することに依存する。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))がかかる例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上のいくつかのマーカーに特異的な抗体であり得る。抗体単独で治療のエフェクターとして機能し得るか、または他の細胞を動員して実際に細胞殺滅に影響を及ぼし得る。抗体はまた、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)にコンジュゲートされ得、単に標的指向剤として機能し得る。代替的に、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的のいずれかで相互作用する表面分子を有するリンパ球であり得る。様々なエフェクター細胞には、細胞傷害性T細胞およびNK細胞が含まれる。
【0239】
免疫療法の一態様において、腫瘍細胞は、標的とされ易い、すなわち、他の細胞の大部分には存在しない、いくつかのマーカーを有さなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのうちのいずれかが、本実施形態の文脈において標的指向化に適し得る。一般的な腫瘍マーカーには、CD20、がん胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erbB、およびp155が含まれる。免疫療法の代替的な態様は、抗がん効果を免疫刺激効果と組み合わせることである。免疫刺激分子はまた、IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、ガンマ-IFN、ケモカイン、例えばMIP-1、MCP-1、IL-8など、および成長因子、例えばFLT3リガンドを含んで存在する。
【0240】
現在調査中または使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバント、例えば、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼン、および芳香族化合物(米国特許第5,801,005号および同第5,739,169号、Hui and Hashimoto,1998、Christodoulides et al.,1998)、サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、β、およびγ、IL-1、GM-CSF、およびTNF(Bukowski et al.,1998、Davidson et al.,1998、Hellstrand et al.,1998)、遺伝子療法、例えば、TNF、IL-1、IL-2、およびp53(Qin et al.,1998、Austin-Ward and Villaseca,1998、米国特許第5,830,880号および同第5,846,945号)、ならびにモノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、および抗p185(Hollander,2012、Hanibuchi et al.,1998、米国特許第5,824,311号)である。代替的に、腫瘍細胞上で「私を食べないでください」シグナル(CD24)をブロックすることは、別の戦略を表す[PMID:31367043]。1つ以上の抗がん療法を、本明細書に記載の抗体療法とともに用い得ることが企図される。
【0241】
いくつかの実施形態において、免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤であり得る。免疫チェックポイントは、シグナル(例えば、共刺激分子)を大きくするか、またはシグナルを小さくするかのいずれかである。免疫チェックポイント遮断によって標的とされ得る免疫チェックポイントタンパク質には、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3(CD276としても知られる)、BおよびTリンパ球減衰物質(BTLA)、CCL5、CD27、CD38、CD8A、CMKLR1、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、CD152としても知られる)、CXCL9、CXCR5、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連タンパク質(GITR)、HLA-DRB1、ICOS(CD278としても知られる)、HLA-DQA1、HLA-E、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)、キラー免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3、CD223としても知られる)、Merチロシンキナーゼ(MerTK)、NKG7、OX40(CD134としても知られる)、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1、CD274としても知られる)、PDCD1LG2、PSMB10、STAT1、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、ならびにT細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA、C10orf54としても知られる)が含まれる。特に、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1軸および/またはCTLA-4を標的とする。
【0242】
免疫チェックポイント阻害剤は、小分子などの薬物、リガンドもしくは受容体の組換え形態、またはヒト抗体などの抗体であり得る(例えば、国際特許公開第2015/016718号、Pardoll,Nat Rev Cancer,12(4):252-264,2012、いずれも参照により本明細書に組み込まれる)。免疫チェックポイントタンパク質またはその類似体の既知の阻害剤が使用され得、特に、抗体のキメラ化、ヒト化、またはヒト形態が使用され得る。当業者であれば分かるように、代替的および/または同義の名称が、本開示で言及される特定の抗体について使用され得る。かかる代替的および/または同義の名は、本開示の文脈において互換的である。例えば、ランブロリズマブは、MK-3475およびペムブロリズマブの代替的および同義の名称でも知られている。
【0243】
いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1とそのリガンド結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-1リガンド結合パートナーは、PD-L1および/またはPD-L2である。別の実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-L1結合パートナーは、PD-1および/またはB7-1である。別の実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-L2結合パートナーは、PD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドであり得る。例示的な抗体は、米国特許第8,735,553号、同第8,354,509号、および同第8,008,449号に記載されており、これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で提供される方法における使用のための他のPD-1軸アンタゴニストは、米国特許出願公開第2014/0294898号、同第2014/022021号、および同第2011/0008369号に記載されるなど、当該技術分野において知られており、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0244】
いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびCT-011からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD-L1またはPD-L2の細胞外部分またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、AMP-224である。ニボルマブは、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても知られており、WO2006/121168に記載される抗PD-1抗体である。ペムブロリズマブは、MK-3475、Merck3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、およびSCH-900475としても知られており、WO2009/114335に記載される抗PD-1抗体である。CT-011は、hBATまたはhBAT-1としても知られており、WO2009/101611に記載される抗PD-1抗体である。AMP-224は、B7-DCIgとしても知られており、WO2010/027827およびWO2011/066342に記載されるPD-L2-Fc融合可溶性受容体である。
【0245】
本明細書で提供される方法において標的とされ得る別の免疫チェックポイントタンパク質は、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)であり、CD152としても知られている。ヒトCTLA-4の完全なcDNA配列は、Genbank登録番号L15006を有する。CTLA-4は、T細胞の表面に認められ、抗原提示細胞の表面でCD80またはCD86に結合したときに「オフ」切り換えとして作用する。CTLA-4は、T細胞共刺激タンパク質であるCD28に類似しており、両分子は、抗原提示細胞で、それぞれB7-1およびB7-2とも呼ばれるCD80およびCD86に結合する。CTLA-4は阻害性シグナルをT細胞に伝達するが、CD28は刺激性シグナルを伝達する。細胞内CTLA-4はまた調節性T細胞にも認められ、それらの機能に重要であり得る。T細胞受容体およびCD28を介したT細胞活性化は、B7分子の阻害性受容体であるCTLA-4の発現の増加をもたらす。
【0246】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。本方法における使用のために好適な抗ヒトCTLA-4抗体(またはそれに由来するVHおよび/もしくはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。代替的に、当該技術分野で認識されている抗CTLA-4抗体を使用することができる。例えば、米国特許第8,119,129号、PCT公開第01/14424号、同第98/42752号、同第00/37504号(CP675,206、トレメリムマブとしても知られ、以前はチシリムマブとして知られている)、米国特許第6,207,156号、Hurwitz et al.(1998)Proc Natl Acad Sci USA,95(17):10067-10071、Camacho et al.(2004)J Clin Oncology,22(145):Abstract No.2505(抗体CP-675206)、およびMokyr et al.(1998)Cancer Res,58:5301-5304に開示される抗CTLA-4抗体を、本明細書に開示される方法に使用することができる。前述の刊行物の各々の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。CTLA-4との結合についてこれらの技術分野で認識されている抗体のうちのいずれかと競合する抗体も使用することができる。例えば、ヒト化CTLA-4抗体は、国際特許出願第2001/014424号、同第2000/037504号、および米国特許第8,017,114号に記載されており、すべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0247】
例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、およびYervoy(登録商標)としても知られている)またはその抗原結合断片およびそれらのバリアントである(例えば、WO01/14424を参照されたい)。他の実施形態において、抗体は、イピリムマブの重鎖および軽鎖のCDRまたはVRを含む。したがって、一実施形態において、抗体は、イピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメイン、ならびにイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、CTLA-4上の、上記抗体と同じエピトープと結合について競合し、かつ/または該エピトープに結合する。別の実施形態において、抗体は、上記抗体に対して少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、イピリムマブと少なくとも約90%、95%、または99%の可変領域同一性)を有する。CTLA-4を調節するための他の分子には、すべて参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5844905号、同第5885796号、ならびに国際特許出願第1995/001994号および同第1998/042752号に記載されるようなCTLA-4リガンドおよび受容体、ならびに参照により本明細書に組み込まれている米国特許第8329867号に記載されるなどのイムノアドヘシンが含まれる。
【0248】
本明細書で提供される方法において標的とすることができる別の免疫チェックポイントタンパク質は、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)であり、CD223としても知られている。ヒトLAG-3の完全なタンパク質配列は、Genbank登録番号NP-002277を有する。LAG-3は、活性化T細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、および形質細胞様樹状細胞の表面に認められる。LAG-3は、抗原提示細胞の表面でMHCクラスIIに結合したとき、「オフ」切り換えとして機能する。LAG-3の阻害は、エフェクターT細胞および阻害剤制御性T細胞の両方を活性化する。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗LAG-3抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。本方法における使用のために好適な抗ヒトLAG-3抗体(またはそれに由来するVHおよび/もしくはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。代替的に、当該技術分野で認識されている抗LAG-3抗体を使用することができる。例示的な抗LAG-3抗体は、レラトリマブ(BMS-986016としても知られている)またはその抗原結合断片およびそれらのバリアントである(例えば、WO2015/116539を参照されたい)。他の例示的な抗LAG-3抗体には、TSR-033(例えば、WO2018/201096を参照されたい)、MK-4280、およびREGN3767が含まれる。MGD013は、WO2017/019846に記載される抗LAG-3/PD-1二重特異性抗体である。FS118は、WO2017/220569に記載される抗LAG-3/PD-L1二重特異性抗体である。
【0249】
本明細書で提供される方法において標的とすることができる別の免疫チェックポイントタンパク質は、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)であり、C10orf54としても知られている。ヒトVISTAの完全なタンパク質配列は、Genbank登録番号NP_071436を有する。VISTAは白血球に認められ、T細胞エフェクター機能を阻害する。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗VISTA3抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。本方法における使用のために好適な抗VISTA抗体(またはそれに由来するVHおよび/もしくはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。代替的に、当該技術分野で認識されている抗VISTA抗体を使用することができる。例示的な抗VISTA抗体は、JNJ-61610588(オンバチリマブとしても知られている)である(例えば、WO2015/097536、WO2016/207717、WO2017/137830、WO2017/175058を参照されたい)。VISTAはまた、PD-L1およびVISTAの両方を選択的に標的とする小分子CA-170で阻害することができる(例えば、WO2015/033299、WO2015/033301を参照されたい)。
【0250】
本明細書で提供される方法で標的とすることができる免疫機能を有する別の代謝タンパク質は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)である。ヒトIDOの完全なタンパク質配列は、Genbank登録番号NP_002155を有する。一部の実施形態において、免疫阻害剤は、小分子IDO阻害剤である。例示的な小分子には、BMS-986205、エパカドスタット(INCB24360)、およびナボキシモド(GDC-0919)が含まれる。
【0251】
本明細書で提供される方法で標的とすることができる別の免疫チェックポイントタンパク質は、CD38である。ヒトCD38の完全なタンパク質配列は、Genbank登録番号NP_001766を有する。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CD38抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。本方法における使用のために好適な抗CD38抗体(またはそれに由来するVHおよび/もしくはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。代替的に、当該技術分野で認識されている抗CD38抗体を使用することができる。例示的な抗CD38抗体は、ダラツムマブである(例えば、米国特許第7,829,673号を参照されたい)。
【0252】
本明細書で提供される方法で標的とすることができる別の免疫チェックポイントタンパク質はICOSであり、CD278としても知られている。ヒトICOSの完全なタンパク質配列は、Genbank登録番号NP_036224を有する。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗ICOS抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。本方法における使用のために好適な抗ICOS抗体(またはそれに由来するVHおよび/もしくはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。代替的に、当該技術分野で認識されている抗ICOS抗体を使用することができる。例示的な抗ICOS抗体には、JTX-2011(例えば、WO2016/154177、WO2018/187191を参照されたい)およびGSK3359609(例えば、WO2016/059602を参照されたい)が含まれる。
【0253】
本明細書に提供される方法で標的とすることができる別の免疫チェックポイントタンパク質は、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)である。ヒトTIGITの完全なタンパク質配列は、Genbank登録番号NP_776160を有する。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗TIGIT抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。本方法における使用のために好適な抗TIGIT抗体(またはそれに由来するVHおよび/もしくはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。代替的に、当該技術分野で認識されている抗TIGIT抗体を使用することができる。例示的な抗TIGIT抗体は、MK-7684である(例えば、WO2017/030823、WO2016/028656を参照されたい)。
【0254】
本明細書で提供される方法で標的とすることができる別の免疫チェックポイントタンパク質はOX40であり、CD134としても知られている。ヒトOX40の完全なタンパク質配列は、Genbank登録番号NP_003318を有する。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗OX40抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。本方法における使用のために好適な抗OX40抗体(またはそれに由来するVHおよび/もしくはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。代替的に、当該技術分野で認識されている抗OX40抗体を使用することができる。例示的な抗OX40抗体は、PF-04518600である(例えば、WO2017/130076を参照されたい)。ATOR-1015は、CTLA4およびOX40を標的とする二重特異性抗体である(例えば、WO2017/182672、WO2018/091740、WO2018/202649、WO2018/002339を参照されたい)。
【0255】
本明細書で提供される方法において標的とすることができる別の免疫チェックポイントタンパク質は、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連タンパク質(GITR)であり、TNFRSF18およびAITRとしても知られている。ヒトGITRの完全なタンパク質配列は、Genbank登録番号NP_004186を有する。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗GITR抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。本方法における使用のために好適な抗ヒトGITR抗体(またはそれに由来するVHおよび/もしくはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。代替的に、当該技術分野で認識されている抗GITR抗体を使用することができる。例示的な抗GITR抗体は、TRX518である(例えば、WO2006/105021を参照されたい)。
【0256】
いくつかの実施形態において、免疫療法は、養子免疫療法であることができ、エクスビボで生成される自己抗原特異的T細胞の移入を含む。養子免疫療法に使用されるT細胞は、抗原特異的T細胞の拡張、または遺伝子操作によるT細胞の再指示のいずれかによって生成することができる(Park,Rosenberg et al.2011)。腫瘍特異的T細胞の単離および移行は、黒色腫を治療する際に成功することが示されている。T細胞における新規の特異性は、トランスジェニックT細胞受容体またはキメラ抗原受容体(CAR)の遺伝子導入を通じて生成することに成功している(Jena,Dotti et al.2010)。CARは、単一の融合分子における1つ以上のシグナル伝達ドメインに関連する標的指向部分からなる合成受容体である。一般に、CARの結合部分は、フレキシブルリンカーによって接合されたモノクローナル抗体の軽鎖および可変断片を含む、単鎖抗体(scFv)の抗原結合ドメインからなる。受容体またはリガンドドメインに基づく結合部分もまた、成功裏に使用されている。第1世代のCARにおけるシグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの細胞質領域またはFc受容体ガンマ鎖に由来する。CARは、リンパ腫および固形腫瘍を含む様々な悪性腫瘍からの腫瘍細胞の表面で発現される抗原に対してT細胞を再指示することを成功裏に可能にしている(Jena,Dotti et al.2010)。
【0257】
一実施形態において、本出願は、がんの治療のための併用療法を提供し、併用療法は、養子T細胞療法およびチェックポイント阻害剤を含む。一態様において、養子T細胞療法は、自己および/または同種異系T細胞を含む。別の態様において、自己および/または同種異系T細胞は、腫瘍抗原を標的とする。
【0258】
D.手術
がんを有する患者のおよそ60%は、予防的、診断的、病期診断的、治癒的、および緩和的手術を含む、いくつかの種類の手術を受ける。治癒的手術は、がん性組織の全部または一部が物理的に除去され、切除され、かつ/または破壊される摘出を含み、本実施形態の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、および/または代替療法などの他の療法と合わせて使用され得る。腫瘍摘出とは、腫瘍の少なくとも一部を物理的に除去することを指す。腫瘍摘出に加えて、手術による治療には、レーザー手術、凍結手術、電気手術、および顕微鏡下手術(モース術)が含まれる。
【0259】
がん性細胞、組織、または腫瘍の一部またはすべての切除で、体内に空洞が形成され得る。治療は、追加の抗がん療法による灌流、直接注射、またはその部位への局所適用によって達成され得る。かかる治療は、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日ごと、または1、2、3、4、および5週間ごと、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12か月ごとに繰り返され得る。これらの治療は、同様に様々な投与量であり得る。
【0260】
E.他の薬剤
他の薬剤を本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用して、治療の治療効能を改善し得ることが企図される。これらの追加薬剤には、細胞表面受容体およびGAP結合の上方調節に影響を及ぼす薬剤、細胞増殖抑制剤および分化剤、細胞接着阻害剤、アポトーシス誘導物質に対する過剰増殖性細胞の感受性を高める薬剤、または他の生物学的薬剤が含まれる。GAP結合の数を増加させることによる細胞間シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖性細胞集団に対する抗過剰増殖効果を増加させる。他の実施形態において、細胞増殖抑制剤または分化剤は、本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用して、治療の抗過剰増殖効能を改善することができる。細胞接着阻害剤は、本実施形態の効能を改善することが企図される。細胞接着阻害剤の例は、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンである。さらに、抗体c225などのアポトーシスに対する過剰増殖細胞の感受性を増加させる他の薬剤を、本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用して治療効能が改善できることが企図される。
【0261】
VI.検出方法
いくつかの態様において、本開示は、B7-H3の発現を検出するための免疫検出方法に関する。多種多様なアッセイ形式がタンパク質生成物を検出するために企図され、いくつかを挙げると、免疫組織化学、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫放射定量アッセイ、蛍光免疫アッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、ドットブロッティング、FACS分析、マスサイトメトリー(CyTOF)、イメージングマスサイトメトリー(IMC)、およびウェスタンブロットが含まれる。様々な有用な免疫検出方法の段階は、科学文献に記載されている。一般に、免疫結合方法は、試料を得ることと、試料を検出されるタンパク質に特異的な抗体と、場合によって、免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で、接触させることとを含む。一般に、免疫複合体形成の検出は、当該技術分野において周知であり、多数のアプローチの適用によって達成され得る。これらの方法は、概して、放射性、金属性、蛍光性、生物学的、および酵素的タグのいずれかなどの標識またはマーカーの検出に基づいている。検出方法は、CyTOFまたはIMCなどのエクスビボでのイメージングを含み得る。代替的に、検出方法は、PETまたはSPECTイメージングなどのインビボでのイメージングを含み得る。もちろん、当該技術分野で既知であるように、第2の抗体および/またはビオチン/アビジンリガンド結合配置などの第2の結合リガンドの使用を通じて、さらなる利点を見出し得る。
【0262】
検出に用いられる抗体は、それ自体が、検出可能な標識に結合され得、次いで、この標識は簡単に検出され、それによって、組成物中の一次免疫複合体の量を決定することを可能にする。代替的に、一次免疫複合体内で結合するようになる第1の抗体は、抗体に対する結合親和性を有する第2の結合リガンドによって検出され得る。これらの場合、第2の結合リガンドは、検出可能な標識に結合され得る。第2の結合リガンドは、しばしばそれ自体抗体であり、したがって、「二次」抗体と呼ばれ得る。一次免疫複合体は、二次免疫複合体の形成を可能にするのに十分な有効な条件下および期間で、標識され第2の結合リガンドまたは抗体と接触させる。次に、二次免疫複合体を一般的に洗浄して、非特異的に結合した標識されたいずれの第2の抗体またはリガンドを除去し、次いで二次免疫複合体中に残存する標識を検出する。
【0263】
いくつかの態様において、本開示は、本開示の化合物および組成物を使用したイメージングの方法を提供する。いくつかの実施形態において、イメージングは陽電子放出断層撮影である。陽電子放出断層撮影(PET)イメージングは、陽電子放出放射性同位元素の放出から2つの同時の高エネルギー光子を検出することに基づいている。PETイメージングは、放射性トレーサーのインビボ濃度の非常に高い感度および正確な評価において比類がない。PETイメージングは、腫瘍学的、心臓血管学的、および神経学的適用のための重要な臨床モダリティとして広く採用されてきている。PETイメージングはまた、前臨床試験において、特に疾患のネズミモデルおよび他の小動物モデルを調査するために、重要なツールになってきている。
【0264】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、本発明によって提供される検出方法に好適な任意の試料を指す。試料は、検出または単離に好適な材料を含む任意の試料であり得る。試料源には、血液、胸膜液、腹膜液、尿、唾液、悪性腹水、気管支肺洗浄液、滑液、および気管支洗浄液が含まれる。一態様において、試料は、例えば、全血またはその任意の画分もしくは成分を含む血液試料である。本発明による使用のために好適である血液試料は、静脈、動脈、末梢、組織、臍帯などの血液細胞またはその成分を含む既知の任意の源から抽出され得る。例えば、試料は、周知であり定型的な臨床方法(例えば、全血を採取および処理するための手順)を使用して得られ、処理され得る。一態様において、例示的な試料は、がんを有する対象から採取された末梢血であり得る。いくつかの態様において、生体試料は、複数の細胞を含む。特定の態様において、生体試料は、新鮮かまたは凍結した組織を含む。特定の態様において、生体試料は、ホルマリン固定しパラフィン包埋した組織を含む。いくつかの態様において、生体試料は、組織生検、細針吸引物、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、糞便、唾液、循環腫瘍細胞、エクソソーム、または吸引物、および汗などの体分泌物である。いくつかの態様において、生体試料は、細胞フリーDNAを含有する。
【0265】
VII.製剤および投与経路
別の態様において、診断評価および/または治療を必要とする患者への投与のために、放射性医薬製剤(放射性医薬調製物、放射性医薬組成物、放射性医薬品、または放射性医薬製品とも称される)は、指示された投与経路に適切な1つ以上の賦形剤および/または薬物担体とともに製剤化された、診断または治療有効量の本明細書に開示の放射性標識化合物を含む。
【0266】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される放射性標識化合物は、ヒトおよび/もしくは獣医対象の診断評価または治療に受入れられる手段で製剤化される。いくつかの実施形態において、製剤は、本明細書に開示される放射性標識化合物のうちの1つ以上を、以下の賦形剤:ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ならびに/もしくはポリビニルアルコールの1つ以上と混合または組み合わせることを含む。いくつかの実施形態において、化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、および/もしくは様々な緩衝液に溶解またはスラリー化され得る。いくつかの実施形態において医薬製剤は、滅菌などの薬学的操作に供され得、かつ/または保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、脂質などのカプセル化剤、デンドリマー、ポリマー、アルブミンなどのタンパク質、核酸、および緩衝剤などの薬物担体ならびに/もしくは賦形剤を含有し得る。
【0267】
放射性医薬製剤は、注射(例えば、皮下、静脈内、腫瘍内、および腹腔内)などの様々な方法によって投与され得る。投与経路に応じて、本明細書に開示の放射標識化合物は、適切な担体、例えば、リポソーム、または希釈剤中で患者に投与され得る。薬学的に許容される希釈剤には、生理食塩水および水性緩衝溶液が含まれる。リポソームには、水中油中水CGFエマルション、ならびに従来のリポソームが含まれる。本明細書に開示の放射性標識化合物はまた、非経口、腹腔内、腫瘍内、脊髄内、または脳内によって投与され得る。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中、ならびに油中で調製することができる。通常の保存および使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含有し得る。
【0268】
注射使用に好適な放射性医薬組成物には、無菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および無菌注射用溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末が含まれる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの様々な抗菌剤および抗真菌剤によって達成することができる。多くの場合、本組成物において、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはマンニトールおよびソルビトールなどの多価アルコールを含むことが好ましい。注射用組成物の延長吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0269】
いくつかの実施形態において、投与の容易さおよび投与量の均一性のために非経口組成物を投与単位形態で製剤化することが有利であり得る。本明細書で使用される投与単位形態は、治療される患者のために単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位が、必要な薬学的担体と関連して所望のイメージング効果を生じるように計算された所定量の放射性医薬品を含有する。いくつかの実施形態において、本開示の投与単位形態における仕様は、(a)放射性医薬品の特有の特性および達成される特定のイメージング効果、ならびに(b)患者のイメージングのためにかかる放射性医薬品を配合する当該技術分野に固有の制限によって規定され、かつそれらに直接的に依存する。いくつかの実施形態において、活性化合物は、患者における免疫活性のPET画像を生成するのに十分な有効投与量で投与される。例えば、化合物の効能は、ヒトまたは別の動物における免疫活性をイメージングする効能を予測し得る動物モデル系において評価することができる。
【0270】
VIII.キット
本実施形態の様々な態様において、治療剤および/または他の治療剤ならびに送達剤を含有するキットが想定される。いくつかの実施形態において、キットは、実施形態の療法を調製および/または投与するために提供される。キットは、本実施形態の医薬組成物のうちのいずれかを含有する1つ以上の密封バイアルを含み得る。キットは、例えば、少なくとも1つのB7-H3抗体またはB7-H3特異的CAR構築物、ならびに実施形態の成分を調製し、製剤化し、かつ/または投与するか、あるいは本発明の方法の1つ以上の段階を実施するための試薬を含み得る。いくつかの実施形態において、キットはまた、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、シリンジ、ボトル、またはチューブなどのキットの成分と反応しない容器である好適な容器を含み得る。容器は、プラスチックまたはガラスなどの滅菌可能な材料から作製され得る。
【0271】
キットは、本明細書に示される方法の手順の段階を概説する説明書をさらに含み得、本明細書に記載されているか、または当業者に知られている実質的に同じ手順に従う。取扱説明書情報は、コンピュータを使用して実行されるとき、薬学的に有効な量の治療剤を送達する現実的または仮想的な手順の表示を引き起こす機械読み取り可能な取扱説明書を含む、コンピュータ読み取り可能な媒体内に存在し得る。
【実施例】
【0272】
IX.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技法が、本発明の実施において十分に機能するために発明者によって発見された技法を表し、したがって、その実施のための好ましいモードを構成すると考えることができることが当業者によって理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される具体的な実施形態において多数の変更を行うことが可能であり、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、なおも同様または類似の結果が得られることを理解されたい。
【0273】
実施例1 B7-H3を標的とする治療用抗体の生成
New Zealand Black/White F1ハイブリッドマウス(NZBWF1/J,Jackson Labs、ストック番号100008)を使用して、B7-H3に対する抗体を生成した。NZBWマウスは、ヒト全身性エリテマトーデスに類似する自己免疫疾患のモデルとして広く使用され、上昇したレベルの免疫グロブリン、抗核抗体、抗胸腺細胞抗体、および重度の進行性糸球体腎炎をもたらす。これらの自己免疫特性は、自己寛容性の欠陥から生じる。ここで、NZBWF1/J系統における自己抗原に対する破壊された耐性は、ネズミおよびヒトB7-H3の両方を発現する細胞を含む適切な供給源で動物にワクチン接種することによって利用され、B7-H3エピトープまたはバイオシミラーに対する候補ネズミ自己抗体は、宿主免疫プロセシングによって排除されない。したがって、ヒト(外来)およびネズミ(自己)エピトープの両方に反応する高親和性モノクローナル抗体が血清から回収される確率が高められた。
【0274】
ネズミL細胞(ATCC)を、ヒト4Ig-B7-H3(GeneCopoeia,Inc.)をコードするカスタムレンチウイルスによる形質導入によって、ネイティブネズミ2Ig-B7-H3に加えて、ヒト4Ig-B7-H3を細胞表面で発現するように操作した。NZBWF1/Jマウスへの全細胞10×106個/接種の6回の接種は、1,440個のハイブリドーマクローンを得た。スクリーニングでは、標準ELISA免疫スクリーニングによって4Ig-B7-H3L細胞に結合することが認められる14個の候補ハイブリドーマ細胞株が得られた。これらの候補のうち、HeLa細胞(高いレベルのヒト4Ig-B7-H3を発現する)に対する上清の二次試験によって、1個の高親和性候補が得られた。拡張および抗体精製後、バイオレイヤー干渉法によるさらなる解析によって、ヒト4Ig-B7-H3に対するpM親和性およびネズミ2Ig-B7-H3に対するnM親和性を有する候補として、MIL33Bの発見および特徴付けが得られた。
【0275】
MIL33Bハイブリドーマペレットを凍結し、重鎖および軽鎖の両方の超可変領域の配列決定のために、配列決定コア施設(Vanderbilt Sequencing Center,Nashville,TN)に送った。MIL33Bのアイソタイプは、IgG2aであることが決定されている。MIL33B抗体の相補性決定領域(CDR)および可変領域が、表1~3に提供される。
【0276】
(表1)IMGT/DomainGapAlign(Ehrenmann et al.,2010、Ehrenmann & Lefranc,2011)によって予測されるMIL33B抗体の可変配列のCDR
【0277】
(表2)Paratome(Kunik et al.,2012a、Kunik et al.,2012b)によって予測されるMIL33B抗体の可変配列のCDR
【0278】
(表3)Chothiaによって予測されるMIL33B抗体の可変配列のCDR
【0279】
(表4)MIL33B可変領域におけるタンパク質配列
【0280】
(表5)MIL33B可変領域におけるヌクレオチド配列
【0281】
実施例2 MIL33Bは、ヒト4Ig-B7-H3にpM親和性で結合する
ヒト4Ig-B7-H3およびマウス2Ig-B7-H3に対するMIL33Bのインビトロ結合親和性を、ELISAによって評価した。ヒト4Ig-B7-H3およびネズミ2Ig-B7-H3の細胞外ドメインを購入し、96ウェルプレートに加えた。次に、プレートを様々な濃度の精製されたMIL33Bとともにインキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、吸光度測定を通して抗体結合について評価した。この実験は、MIL33Bの3つの独立した作製および精製について完了した。各ロットの各曲線についてEC50を計算し、プロットした(対数プロット)(
図1)。MIL33Bは、ヒト4Ig-B7-H3に対するピコモル親和性およびマウス2Ig-B7-H3に対するナノモル親和性を有する。
【0282】
実施例3 MIL33Bはヒト4Ig-B7-H3に選択的に結合する
示されるB7ファミリータンパク質の細胞外ドメインは、R & D Systemsから購入した。すべてのタンパク質は、純粋で機能的な両方であることがベンダーによって検証された。Kd値は、捕捉バイオレイヤー干渉法(Octet,Molecular Devices)を「親和性」モードで利用して決定し、このときMIL33B抗体はプローブの先端に捕捉し、異なる濃度の標的細胞外ドメインを含有する溶液中に配置した。Kd、Kd誤差、およびR
2値を表6に報告する。MIL33Bの、ヒト4Ig-B7-H3との結合のフィッティング図の例を
図2に示す。これらのデータは、MIL33Bが4Ig-B7-H3に、他のB7ファミリーメンバーよりも少なくとも1000倍良好に結合することを示す。
【0283】
(表6)MIL33Bの、様々なB7ファミリーメンバーとの結合
【0284】
実施例4 蛍光標識されたMIL33Bは、アイソタイプ対照と比較して、B7-H3発現細胞に選択的に結合する
Alexa594フルオロフォアで標識したMIL33Bを生細胞免疫蛍光顕微鏡に使用して、腫瘍細胞で発現されたヒトおよびネズミB7-H3の両方に選択的なブロック可能な結合を実証した。ネズミ乳房腫瘍である4T1細胞(ATCC)に、レンチウイルス構築物を使用して、ヒト4Ig-B7-H3または空のベクターを安定に形質導入した。子宮頸がん(HeLa)または結腸直腸がん(HCT116)など、B7-H3を発現することが知られているヒト固形腫瘍で内因的に認められるものと一致するレベルの4Ig-B7-H3発現を示した細胞を選択した(
図3)。これらの操作された細胞は、関連するモデルを提供する。
【0285】
MIL33Bまたはアイソタイプ対照IgG2aを、市販されているキット(Life Technologies)を利用してAlexa594フルオロフォアを用いて1mg/mLで標識し、サイズ排除カラムを介して精製した。得られた生成物をMIL33B-A594またはIgG2a-A594と称した。標識収率は、UV/Vis分光法によって定量した。
【0286】
ヒト4Ig-B7-H3を発現する細胞を、標識したMIL33B(1μg/mL)またはネズミアイソタイプ対照IgG2a(1μg/mL)のいずれかと単独で、37℃で1時間インキュベートした。ブロッキング実験は、1μg/mLのMIL33B-A594を添加する前に、50μg/mLの非標識MIL33Bで細胞をインキュベートすることによって行った。細胞を洗浄し、蛍光顕微鏡法(TiE,Nikon)によってイメージングした。抗体結合(赤色)を核染色(青色)と共記載した(
図4AおよびB)。
【0287】
ネズミ2Ig-B7-H3を発現することが知られているネズミ起源の膵臓腫瘍であるPan02細胞を、100μg/mLのMIL33B-A594を使用してMIL33B-A594で同様にイメージングし、ヒト4Ig-B7-H3からネズミ2Ig-B7-H3へのKdの約100倍のシフトが反映された(
図4C)。
【0288】
実施例5 フラジェリンコンジュゲート化MIL33Bは、TLR5を介してNF-κB経路を誘導する
TLR5アゴニストであるフラジェリンにコンジュゲートされたMIL33Bは、nM結合親和性を維持し、生細胞アッセイにおいてTLR5を介してNF-κBなどの炎症性経路を誘導することができた。
【0289】
精製されたフラジェリン(InvivoGen)を、市販のリンカーキットを介してMIL33Bにコンジュゲートした(図を参照)。コンジュゲーションは、UV-Vis分光法によって検証され、デュアルウェスタンブロットによって、抗体の>90%がより高い分子量の種にコンジュゲートされ、その種もフラジェリンを含有していることが確証された(
図5)。親和性の喪失が、抗体のリガンドとのコンジュゲーションで予想される。抗体の初期pM親和性に起因して、コンジュゲートは、フラジェリンにコンジュゲートした後も、ELISAによって決定されるとき、ヒト4Ig-B7-H3に対して36nMのEC50を維持した(
図5、右パネル)。
【0290】
内因性ヒト4Ig-B7-H3およびフラジェリンのネイティブ同族受容体であるTLR5を発現するHCT116細胞に、κB-RE
5-IκBα-Flucレポーターを安定に形質導入した。この細胞株は、光産生の喪失によって読み出されるIκBα-ルシフェラーゼ(IκBα-Fluc)融合タンパク質の初期分解によるIKKの活性化と、κB応答エレメント(RE
5)からの光産生の二次的増加によって読み出されるIκBα-Flucの再合成によるNF-κB転写標的のその後の活性化と、の両方の試験を可能にする(
図6A~B)。MIL33B-flgnコンジュゲートは、1.8nMの精製フラジェリンと同様の応答能力で、TLR5を介してNF-κBの活性化を18.2nMで誘発することができた(
図6C~D)。したがって、MIL33Bコンジュゲートは、免疫刺激物質の腫瘍微小環境への腫瘍特異的送達に使用することができる。
【0291】
実施例6 MIL33B mAbをDFOとコンジュゲートし、89Zrで放射性標識して、PETイメージングによって同系動物腫瘍モデルにおけるヒト4Ig-B7-H3の腫瘍発現を選択的に検出することができる
MIL33Bを、B7-H3を発現する腫瘍のPETイメージングのためにZr-89で放射性標識し、2つの異なる免疫能のある同系ネズミ腫瘍モデルにおいて頑強なシグナル対ノイズ比を示した。
【0292】
MIL33B(青色)またはIgG2aアイソタイプ対照(赤色)抗体を、標準的なコンジュゲーション法を使用して、DFOとコンジュゲートした。MIL33B-DFOまたはIgG2a-DFOは、89Zrとともに酢酸緩衝液(pH7)中で1時間インキュベートすることによって放射性標識し、サイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。標識は、放射性-TLCによって確証された。
【0293】
ヒト4Ig-B7-H3または陰性ベクター(
図3のウェスタンブロットを参照)を発現する皮下4T1腫瘍を有する免疫能のあるマウスを利用した。4T1腫瘍はまた、低いが検出可能なレベルのネズミ2Igを有する(
図3のウェスタンブロットを参照)。マウスは、約30μCiの放射性標識MIL33B抗体またはIgG2a対照抗体で静脈内注射し、専用の小型動物PET/SPECT/CTスキャナ(Albira,Bruker Corp)で注射後24時間および72時間にイメージングした。同様に、B16F10細胞を、ヒト4Ig-B7-H3または空のベクターで形質導入した。これらの細胞は、4T1腫瘍よりも少ない内因性ネズミ2Ig-B7H3を有する。MIL33Bは、ヒト4Ig-B7-H3を発現する腫瘍との結合についてアイソタイプ対照よりも定性的および定量的の両方で優れており、それらの低いバックグラウンドネズミ2Ig-B7-H3発現レベルから予測されるように、陰性ベクターについて結合の正しいランク順序を与えた(
図7)。
【0294】
実施例7 MIL33B mAb単剤治療は、攻撃的なICT耐性ヒト化B16F10腫瘍を治癒した
MIL33B抗体の投与(i.p.)は、高度にICT耐性な同系ネズミ乳がんモデルにおいて、単剤免疫療法剤としての治療的可能性を実証した。
【0295】
ネズミB16F10黒色腫腫瘍は、非炎症性「コールド」腫瘍型を表し、抗PD-1および抗CTLA-4の両方で治療した場合に、併用免疫チェックポイント療法(ICT)に耐性であることが知られている。内因性レベルのヒトB7-H3を発現するように操作されたヒト化B16F10腫瘍(上記のとおり)は、1回の移植当たり10,000個の細胞を使用して免疫能力のあるC57Bl6マウスに皮下に移植された。腫瘍接種後3日目、6日目、および9日目に、それぞれPBS単独(n=5、i.p.)、または200μg、100μg、および100μg/匹のMIL33B(n=10、i.p.)のいずれかでマウスを処置した。次いで、マウスを接種後150日目まで追跡した。最大腫瘍軸が>1.5cmであったとき、腫瘍潰瘍が>3mmであったとき、またはマウスが独立した獣医スタッフによって判定された瀕死状態であったとき、マウスを安楽死させた。全生存曲線および個々の腫瘍増殖曲線を
図8に示す。
【0296】
本明細書に開示され特許請求されるすべての方法は、本開示に照らして過度の実験を行うことなく作製され、実行することができる。本発明の組成物および方法は好ましい実施形態の観点から記載されているが、本発明の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、変形が本明細書に記載される方法および方法の段階または一連の段階に適用され得ることは当業者には明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的に両方に関連する特定の薬剤が、本明細書に記載の薬剤の代わりに置換され得、同じまたは類似の結果が達成されることは明らかであろう。当業者に明らかなかかる類似の代替および修正はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲、および概念内にあると見なされる。
【0297】
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書に示されるものに補足的である例示的な手順的または他の詳細を提供する範囲で、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】