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特表2023-502999低分子を捕捉するための高分子組成物
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  • 特表-低分子を捕捉するための高分子組成物 図1
  • 特表-低分子を捕捉するための高分子組成物 図2A
  • 特表-低分子を捕捉するための高分子組成物 図2B
  • 特表-低分子を捕捉するための高分子組成物 図3
  • 特表-低分子を捕捉するための高分子組成物 図4
  • 特表-低分子を捕捉するための高分子組成物 図5
  • 特表-低分子を捕捉するための高分子組成物 図6A
  • 特表-低分子を捕捉するための高分子組成物 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】低分子を捕捉するための高分子組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 12/14 20060101AFI20230119BHJP
   A61K 31/765 20060101ALI20230119BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20230119BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230119BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20230119BHJP
   A61M 1/28 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
C08F12/14
A61K31/765
A61L31/04 110
A61P13/12
A61M1/16 190
A61M1/28 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528618
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2020082895
(87)【国際公開番号】W WO2021099577
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】19210947.8
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522193031
【氏名又は名称】シュティヒティング フォーア デ テヒニッシェ ヴェテンシャッペン
【氏名又は名称原語表記】STICHTING VOOR DE TECHNISCHE WETENSCHAPPEN
(71)【出願人】
【識別番号】516236056
【氏名又は名称】ウニヴェルシテイト ユトレヒト ホールディング ベー.フェー.
(71)【出願人】
【識別番号】506362417
【氏名又は名称】ユーエムシー ユトレヒト ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スマクマン, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ヘニンク, ヴィルヘルムス エバーハードゥス
(72)【発明者】
【氏名】ヘリツェン, カリン ヘラルダ フレデリカ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ヤコブス アドリアヌス ヴィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ノストラム, コルネリュス, フランシスカス
【テーマコード(参考)】
4C077
4C081
4C086
4J100
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077AA06
4C077BB01
4C077BB03
4C077EE03
4C077GG14
4C077MM04
4C077NN20
4C077PP07
4C081AC15
4C081CA031
4C081CC05
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086FA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA11
4C086MA70
4C086NA14
4C086ZA81
4J100AB02Q
4J100AB03Q
4J100AB07P
4J100AB07Q
4J100AB16Q
4J100AJ02Q
4J100AL03Q
4J100AL09Q
4J100AM02Q
4J100AM17Q
4J100AM19Q
4J100AM21Q
4J100AP01Q
4J100AP02Q
4J100AS02Q
4J100BA03P
4J100BA03Q
4J100BA12P
4J100BA13P
4J100BA14P
4J100BA29Q
4J100BA30Q
4J100BA31Q
4J100BA56Q
4J100BA58Q
4J100BB01P
4J100BB03P
4J100BC59P
4J100CA04
4J100CA05
4J100EA05
4J100FA21
4J100JA15
4J100JA51
(57)【要約】
本発明は、フェニルグリオキサールアルデヒド誘導体を含む高分子組成物を調製する方法に関する。本発明はまた、高分子組成物自体、およびこの高分子組成物を使用する方法に関する。高分子組成物は、例えば溶液から小分子を除去するために、小分子との継続反応を行うのに有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェニルグリオキサールアルデヒド(PGA)型吸着剤を製造する方法であって、
i) 一般式(I)のモノマーを提供する工程;
【化1】

ここで、Qは、Hまたは-CHであり;
、hおよびhは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)または-N(C1-6炭化水素)から選択され;またはhおよびhが一緒になって=Oを形成し;またはhおよびhは一緒になって-o-(C1-4炭化水素)-o-を形成し、ここでoおよびoは独立してO、S、NH、またはN(C1-4炭化水素)であり;且つ
Xは、O、SまたはNHであり;
ii) 提供されたモノマーを重合させてポリマーを得る工程;および
iii) PGA型モノマーではない一般式(I)の重合モノマーをPGA型モノマーに変換する工程
を含む、方法。
【請求項2】
一般式(I)のモノマーが、
1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、
2-ブロモ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、
2-クロロ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、
1-(4-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、1-(3-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、
2,2-ジヒドロキシ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2,2-ジヒドロキシ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2,2-ジヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、および2,2-ジヒドロキシ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン
から選択されるモノマーを含み、
好ましくは、一般式(I)のモノマーは、少なくとも1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、または2-ブロモ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オンを含み、
より好ましくは、一般式(I)のモノマーは、少なくとも1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンまたは2-ブロモ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンを含み、
最も好ましくは、モノマーは1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モノマーが、一般式(II-p)のモノマーである、請求項1に記載の方法。
【化2】

[式中、h、h、およびhは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)、または-N(C1-6炭化水素)から選択され;またはhおよびhが一緒になって=Oを形成し;またはhおよびhは一緒になって-o-(C1-4炭化水素)-o-を形成し、ここで、oおよびoは独立してO、S、NH、またはN(C1-4炭化水素)である。]
【請求項4】
コモノマーが、一般式(I)のモノマーと共に提供され、前記コモノマーが、好ましくは、スチレン、イソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ビニルベンゼンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシルエチル 2-メチルプロパ-2-エノエート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル 2-メチルプロパ-2-エノエート、2-ヒドロキシルエチルプロパ-2-エノエート、2-ヒドロキシプロピル プロパ-2-エノエート、N-(2-ヒドロキシルエチル)メタアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタアクリルアミド(HPMA)、N-(2-ヒドロキシルエチル)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、テレケリックN,N’-アルキレンビスアクリルアミド、例えばN,N’-メチレンビスアクリルアミド(NMAA)、N-イソプロピルアクリルアミド(NIpAM)、ジビニルスルホン、ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルスルホンアミド、N-アルキルビニルスルホンアミド、例えばN-メチルビニルスルホンアミド、およびN,N-ジアルキルビニルスルホンアミド、例えばN,N-ジメチルビニルスルホンアミドからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーが、重合後または重合中に架橋される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程iii)における変換が
a) 任意選択のハロゲン化、好ましくはハロゲン化水素酸を使用するハロゲン化;および
b) 酸化、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)を使用した酸化
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程iii)において、一般式(I)のモノマーの30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、または100%がPGA型モノマーに変換される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法であって
QはHであり;および/または
およびhは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、および-O(C1-4炭化水素)から選択され;または一緒になって=Oを形成し;好ましくは、hおよびhは両方ともHであるか、または両方とも-OHであるか、または一緒になって=Oを形成し;および/または
はHであり;および/または
XはOである,方法。
【請求項9】
前記吸着剤が、吸着剤1グラム当たり1.60mmol超の尿素の尿素捕捉能を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるPGA型吸着剤。
【請求項10】
前記重合モノマーの少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%がPGA型モノマーである、請求項9に記載のPGA型吸着剤。
【請求項11】
請求項9または10に記載のPGA型吸着剤および薬学的に許容可能な賦形剤を含む、組成物。
【請求項12】
医薬として使用するための、好ましくは尿素の蓄積に関連する疾患または状態の処置における使用のための、請求項9または10に記載のPGA型吸着剤、または請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
流体から求核性老廃物溶質を除去するための方法であって、
i) 求核性老廃物溶質を含む流体を提供する工程;および
iia) 前記流体を、請求項9若しくは10に記載のPGA型吸着剤、または請求項11に記載の組成物と接触させる工程、または代替的に
iib) 膜を通して前記流体を透析流体と接触させる工程であって、前記透析流体が、請求項9もしくは10に記載のPGA型吸着剤、または請求項11に記載の組成物と接触している工程;および
iii) 任意選択的に、流体を回収する工程
を含む、方法。
【請求項14】
請求項9または10に記載のPGA型吸着剤を含むか、または請求項11に記載の組成物を含む、透析デバイスにおいて使用するためのカートリッジ。
【請求項15】
請求項9または10に記載のPGA型吸着剤、請求項11に記載の組成物、または請求項14に記載のカートリッジを含む、透析装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の属する技術分野]
本発明は、フェニルグリオキサールアルデヒド誘導体を含む高分子組成物を調製する方法に関する。本発明はまた、高分子組成物自体、およびこの高分子組成物を使用する方法に関する。高分子組成物は、例えば溶液から小分子を除去するために、小分子との継続反応を行うのに有用である。
【0002】
[背景技術]
末期腎疾患(ESKD)または重篤な急性腎不全を有する患者は、腎機能を置換するために、透析(血液透析またはHDまたは腹膜透析またはPDのいずれか)を受ける。生命を救うものであるが、従来の透析には大きな欠点がある。この処理は時間がかかり、老廃物分子および過剰な水の除去は不十分であり、生活の質の低下、深刻な健康問題および高い死亡率(年間15-20%)に大きく寄与する。治療コストは非常に高い。
【0003】
透析において、患者流体は、一般に、透析流体に対して透析され、次いで、透析流体は廃棄される。より少量の使用を可能にするために、透析流体を再生することが望ましい。小型化の努力において、患者流体は、透析液と呼ばれる比較的少量の透析流体に対して透析される。このプロセスの間、患者流体からの老廃物溶質は、拡散および/または対流によって、しばしば半透膜のような膜を通って透析液に向かって移動する。老廃物溶質が後に透析液から除去される場合、再使用することができ、これは透析液の再生と呼ばれる。透析液の効率的な再生は、大量の透析流体の必要性を減少させ、透析をより実際的に実施し、資源依存性を減少させ、そして老廃物流を減少させる。
【0004】
小型の人工腎臓装置は、腎代替療法における大きな躍進となる。世界中で、透析患者の数は3400000人と推定されている(www.fresenius.com/media_library/Fresenius_Annual_Report_2018.pdfを参照)。現在、透析患者の約89%が、HD技術をセンター(>96%)または在宅(<4%)で使用している(ERA-EDTA Registry Annual Report 2017を参照されたい)。センターHDは、病院への長い頻繁な訪問(週に約3回、セッション当たり4時間)を必要とするが、在宅用HDは、より高い柔軟性および自律性を提供する。しかしながら、在宅用HDは、依然として、かさばった透析機械および透析流体の大量尿素捕捉能(1回の処置当たり少なくとも20L)またはかさばった固定式水精製システムを必要とする。固定された水尿素捕捉能または大量の透析流体の尿素捕捉能に依存しない、ユーザフレンドリな軽量HD装置は、患者の可動性を増加させ、患者が社会生活において活動的なままであり、自由に移動することを可能にする。
【0005】
標準的な週3回のHDによる水バランスおよび尿毒症毒素レベルの透析処置の間における大きな変動は、連続的またはより頻繁なHDによって減弱され得、これは、患者の転帰を改善し得る(Nesrallah 2012; Ting 2003; Susantitaphong 2012)。より自由な食事が許容される。有意なコスト削減は、透析担当者および関連するインフラストラクチャの必要性の減少、より少ない投薬、および減少した合併症に起因するより少ない入院によって達成される。
【0006】
PDは、現在、透析患者の約11%によって使用されている(Fresenius 2018 年次報告参照)。PDは、HDとは対照的に、連続的に透析する機会を提供するが、この技術は、いくつかの主要な欠点を有する:尿毒症毒素除去が低い(Evenpoel 2006)、交換操作は時間がかかり、腹膜の感染(腹膜炎)の高い発生率および膜不全のため技術失敗率が高い(技術的生存期間中央値は3.7年)(Perl 2012)。低い透析効率は、主に、滞留中の血漿と腹膜透析液との間の濃度勾配の急速な消散に起因し、それによって、溶質輸送を制限する(Gotch 2001)。透析液を連続的に再生し、それによって血漿透析液濃度勾配を維持する小型PD装置は、PD効率を大幅に高める。これは、時間のかかる交換の数の減少を可能にする一方で、老廃物溶質除去をなお改善する。加えて、接続の数を低減することは、汚染の危険性を低減し、腹膜炎率を低下させるであろう(Piraino 2010; De Fijter, 1991)。小型PD装置による連続的なグルコース注入は、従来のPDにおいて適用されるような非常に高い毒性グルコース濃度を回避することによって、腹膜の機能的劣化を減少させる(Gotch 2001)。従来のPDにおける技術的失敗の2つの主要な原因(再発性感染および腹膜の機能的損失)を防ぐことによって、小型人工腎臓は、技術的生存を有意に延長する。
【0007】
したがって、病院外で透析を提供する、ユーザフレンドリな装着型または携帯型透析装置は、透析患者にとって大きな飛躍を示し、患者の生活の質を著しく向上させる。この装置は、連続的またはより頻繁な透析を可能にし、これは、老廃物溶質および過剰な流体の除去を改善し、従って、患者の健康を改善する。固定された水尿素捕捉能から独立した小型化された設計は、患者に自由度と自律性を提供する。
【0008】
近年、いくつかの有機老廃物溶質および老廃物イオンを適切に除去する小型プロトタイプ透析装置が構築されている。しかしながら、今までのところ、真に装着可能な割合まで小型化することを可能にする尿素除去のための適切な戦略は存在せず、これは、小型人工腎臓装置の成功した実現のための主な障害の1つである。尿素は、毎日の生産が最も高い老廃物溶質(窒素代謝の主要な老廃物生成物)であり、高血漿濃度で毒性効果を発揮する。しかし、尿素は捕捉しにくく、反応性が低い。
【0009】
DE2305186A1/US3933753Aは、は、ポリスチレン様足場がグリオキサール部分を含むように後修飾され、組成物中のモノマー当たり0.72のグリオキサール部分の変換に達する高分子組成物を開示している。この組成物は最大1mmol/gの尿素を捕捉し、臨床的に関連性のないアニリンの除去により適していることが示された。この材料はUS4012317に記載されるようにさらに開発されたが、尿素捕捉レベルは同等のレベルのままであった。WO2004078797A1は、1.5mmol/gの尿素捕捉能に達する類似のケトアルデヒド材料を開示している。
【0010】
EP121275A1/US4897200Aは、6工程の合成順序で重合スチレン組成物から形成されるニンヒドリン型吸着剤を開示している。臨床関連尿素濃度において、8時間で1.2mmol/g乾燥吸着剤の尿素捕捉能が示された。しかしながら、効果的な小型化のためには、より高い尿素捕捉能が必要とされる。WO2019110557は、2mmol/gを超える尿素捕捉能を有するニンヒドリン型吸着剤を開示している。
【0011】
US4178241Aは、パラ-チオ、パラ-ニトロ、またはパラ-アミノ部分を有するポリスチレン型吸着剤を開示している。チオ部分については、尿素の捕捉は再び約1.5mmol/gであることが示された。他の官能基はあまり良好に機能しなかった。一方、クレアチニンは、各官能基について、正常な成人の毎日の産生の90%を十分に超えて捕捉することが示された。
【0012】
WO2017116515A1は、透析液からの尿素分離を改善するための帯電膜の使用を開示しており、分離された尿素の電気酸化の使用を示唆している。この方法の欠点は、反応性酸素種が副生成物として生成されることである。
【0013】
WO2011102807A1は、エポキシド被覆基材を開示している。エポキシドは、溶液から溶質を回収するために使用することができる。それらはまた、尿素の処理を助けるウレアーゼ酵素を固定化するために使用される。ウレアーゼ酵素の欠点は、環境因子に対するそれらの感受性、それらの高価で面倒な製造、およびアンモニウムがそれらの反応によって生成され、それが次にリン酸ジルコニウムなどの毒性物質を含む陽イオン交換体を使用する除去を必要とするという事実である。WO2016126596は、非常に異なる基質、すなわち還元酸化グラフェンを使用する。高い尿素捕捉能が示されたが、捕捉された尿素は初期尿素濃度の15%未満に相当した。
【0014】
改善された人工腎臓装置の開発を可能にするために、透析液中に成分を浸出する危険性なしに、そして有害な副生成物を生成することなく、より多量の尿素を捕捉する、容易に調製される吸着剤についての継続的な必要性が存在する。
【0015】
[発明の要旨]
本発明は、フェニルグリオキサールアルデヒド(PGA)型吸着剤を製造する方法であって、i)一般式(I)のモノマーを提供する工程;
【化1】

ここで、Qは、Hまたは-CHであり;h、hおよびhは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)または-N(C1-6炭化水素)から選択され;またはhおよびhが一緒になって=Oを形成し;またはhおよびhは一緒になって-o-(C1-4炭化水素)-o-を形成し、ここでoおよびoは独立してO、S、NH、またはN(C1-4炭化水素)であり;且つXは、O、SまたはNHであり;その後ii)提供されたモノマーを重合させてポリマーを得る工程;およびiii)PGA型モノマーではない一般式(I)の重合モノマーをPGA型モノマーに変換する工程を含む、方法を提供する。一般式(I)のモノマーは、好ましくは、1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、1-(4-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、1-(3-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、2,2-ジヒドロキシ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2,2-ジヒドロキシ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2,2-ジヒドロキシ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2,2-ジヒドロキシ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2,2-ジヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、および2,2-ジヒドロキシ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オンから選択されるモノマーを含む。好ましくは、コモノマーは一般式(I)のモノマーと共に提供される。好ましくは、ポリマーは重合後または重合中に架橋される。工程iii)における変換は、好ましくは、a)ハロゲン化、好ましくはハロゲン化水素酸を使用するハロゲン化;またはb)酸化、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)を使用した酸化から選択される工程を含む。好ましくは、工程iii)において、一般式(I)のモノマーの30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、または100%がPGA型モノマーに変換される。好ましくは、QはHである;および/またはhおよびhは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、および-O(C1-4炭化水素)から選択され;または一緒になって=Oを形成し;好ましくは、hおよびhは両方ともHであるか、または両方とも-OHであるか、または一緒になって=Oを形成し;および/またはhがHであり;および/またはXはOである。
【0016】
本発明はまた、本方法によって得ることができるPGA型吸着剤であって、吸着剤1グラム当たり1.60mmol超の尿素の尿素捕捉能を有する吸着剤を提供する。好ましくは、重合モノマーの少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%がPGA型モノマーである。本発明はまた、PGA型吸着剤および薬学的に許容可能な賦形剤を含む組成物を提供する。吸着剤および組成物は、医薬として使用するため、好ましくは尿素の蓄積に関連する疾患または状態の治療に使用するためのものであり得る。
【0017】
本発明はまた、流体から求核性老廃物溶質を除去するための方法を提供し、この方法は、i)求核性老廃物溶質を含む流体を提供する工程、およびiia)この流体を、本発明のPGA型吸着剤または上記で定義された組成物と接触させる工程、あるいはiib)この流体を、膜を通して透析流体と接触させる工程(ここで、この透析流体は、クレーム9または10で定義されるPGA型吸着剤またはクレーム11で定義される組成物と接触している)、およびiii)必要に応じて、この流体を回収する工程を包含する。
【0018】
本発明はさらに、上記で定義されるPGA型吸着剤を含むか、または上記で定義される組成物を含む、透析装置において使用するためのカートリッジを提供する。上記で定義されるPGA型吸着剤、上記で定義される組成物、または上記で定義されるカートリッジを含む透析装置もまた提供される。
【0019】
[実施形態の説明]
本発明は、求核性老廃物溶質に対する容量が増大した改良フェニルグリオキサールアルデヒド(PGA)型吸着剤を提供しようとするものである。吸着剤は、標的物質を捕捉する材料であり、この場合、吸着剤は、尿素などの求核剤を捕捉する。本発明者らは、高い尿素捕捉能および速い結合動態を有する高分子ジカルボニル化合物を発明し、この材料を吸着剤としての使用に適したものにした。改善された吸着剤は、吸着剤カートリッジの小型化を可能にし、したがって小型人工腎臓装置に向けた重要なステップである。
【0020】
吸着剤は、尿素の除去のための(血液)透析において有利に使用され得、ここで、血液は、少量の透析流体から血液を分離する半透膜のような膜を通過して導かれる。それはまた、腹膜透析において、腹膜透析液から尿素を除去するために、または腹膜透析液の再生のために、例えば、透析液の(連続的な)再生を伴う連続流(またはタイダルフロー)腹膜透析において使用され得る。次いで、吸着剤は、尿素などの求核性老廃物溶質を捕捉し、その結果、これらの溶質の半透膜上への拡散が継続され、飽和により減速しない。
【0021】
効果的な尿素除去は、透析物再生を成功させるために重要であるので、本発明の目的は、例えば、吸着剤が装填されたカートリッジを作製することによって、小型人工腎臓装置における適用に適した、高い捕捉能を有する吸着剤を提供することである。本発明の吸着剤は、既知のPGA型吸着剤よりも高い捕捉能を有する。実施例4で実証されるように、本発明の吸着剤は、吸着剤1グラム当たり少なくとも1.8mmolの尿素を捕捉することができ、より多く捕捉することができる。既知の方法に従って調製された吸着剤(すなわちWO2004078797A1のそれ)は約1.4mmol/グラムを捕捉する(WO2004078797は1.5mmol/グラムを報告している)。本発明の別の目的は、そのような改善された吸着剤を、好ましくは低コストの反応物を使用することによって費用効果の高い方法で製造するための方法を提供することであり、したがって、医療のコストの低減を可能にする。本発明の別の目的は、そのような吸着剤、組成物またはカートリッジを使用して、尿素または生物製剤などの求核性溶質を溶液から除去する方法を提供することである。
【0022】
本発明者らは、驚くべきことに、前駆体モノマーを重合させ、続いてこれらの重合した前駆体モノマーをPGAモノマーに変換することによって、改善されたPGA型吸着剤を形成できることを見出した。最新技術では、PGAはスチレンに基づいて形成される。本発明は、ビニルフェニルエタン-1-オン(VPE、1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンおよびp-アシルスチレンとしても知られる)、ビニルフェニルエタン-1,2-ジオン、またはそれらの(ヘミ)アセタールなどの、PGAにより構造的に近いモノマーを使用する。驚くべきことに、本発明の方法によって形成される吸着剤は、尿素を捕捉するための改善された能力を有し、したがって、それらの使用のための改善された方法を可能にする。重要な改良点は、製造された吸着剤の吸着容量の増加にある。
【0023】
本発明者らは、驚くべきことに、改善されたPGA型吸着剤が、スチレンよりもPGAによく似ている前駆体モノマーを使用することによって得られ得ることを見出した。本発明の一部として、適切な前駆体モノマーのファミリーが見出された。したがって、第1の態様において、本発明は、PGA型吸着剤を製造するための方法であって、
i) 一般式(I)のモノマーを提供する工程;
【化2】

ここで、Qは、Hまたは-CHであり;
、hおよびhは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)または-N(C1-6炭化水素)から選択され;またはhおよびhが一緒になって=Oを形成し;またはhおよびhは一緒になって-o-(C1-4炭化水素)-o-を形成し、ここでoおよびoは独立してO、S、NH、またはN(C1-4炭化水素)であり;且つ
Xは、O、SまたはNHであり;
ii)提供されたモノマーを重合させてポリマーを得る工程;および
iii)PGA型モノマーではない一般式(I)の重合モノマーをPGA型モノマーに変換する工程
を含む、方法を提供する。
【0024】
以下、このような方法を本発明の製造方法と称する。本発明の製造方法によって得られるPGA型吸着剤は、以下、本発明のPGA型吸着剤と称される。
【0025】
PGA型吸着剤
吸着剤は、他の物質を結合、吸収、または吸着するように設計された材料である。求核性老廃物溶質を結合するための吸着剤は、当該分野で公知であり、そして血液透析装置における使用について既に記載されている(EP121275A1)。本発明の文脈において、吸着剤は、溶解または部分的に溶解することができる固体、懸濁固体、コロイド懸濁液、凝集体、樹脂、またはポリマーである高分子組成物である。それは求核性老廃物溶質を結合することができ、その後、吸着剤を混合物から回収することができる。結合は、共有結合、または静電相互作用もしくは疎水性相互作用によるような非共有結合であり得る。好ましくは、吸着剤、特に本発明のPGA型吸着剤による求核性老廃物溶質の結合は、共有結合である。
【0026】
PGA型吸着剤は、PGA型部分を含む吸着剤である。PGAは、フェニルグリオキサールアルデヒドまたは1-フェニルエタン-1,2-ジオンまたはフェニルオキサールアルデヒドである。PGA型部分は、芳香環または芳香環系に結合した、好ましくはフェニル部分または置換フェニル部分(例えば、ポリマー骨格で置換された)に結合した、好ましくは2個のみの炭素原子を有する短い脂肪族構造であることが好ましく、2個のビシナルカルボニル基(またはその水和物)を特徴とする。グリオキサールアルデヒドおよびその水和物は互いに容易に変換され、PGAへの言及は一般にその水和物への言及も伴うことを理解されたい。一般に、グリオキサールアルデヒドの水和物は非乾燥環境中で生成され、グリオキサールアルデヒドは加熱によって脱水することができる。水性環境では、両方の種は一般に平衡状態で共存する。PGA型部分の好ましい例は、オルト-オキサールアルデヒドフェニル、メタ-オキサールアルデヒドフェニル、およびパラ-オキサールアルデヒドフェニル、ならびにそれらの水和物からなる群から選択され、ここで、フェニル環は、必要に応じてさらに置換され得る。いくつかの実施形態において、PGA型部分は、オルト-オキサールアルデヒドフェニルおよびメタ-オキサールアルデヒドフェニルからなる群から選択される。他の実施形態において、PGA型部分は、オルト-オキサールアルデヒドフェニルおよびパラ-オキサールアルデヒドフェニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PGA型部分は、メタ-オキサールアルデヒドフェニルおよびパラ-オキサールアルデヒドフェニルからなる群から選択される。最も好ましくは、PGA型部分はパラである。
【0027】
本発明のPGA型吸着剤は、求核性老廃物溶質を捕捉するのに好適であり、高容量で捕捉する。これらの溶質は、吸着剤に含まれるPGA様部分と反応する。したがって、第2の態様において、本発明は、本発明の製造方法によって得ることができる本発明のPGA型吸着剤を提供し、ここで、吸着剤は、吸着剤1グラム当たり1.60mmol超、好ましくは1.80mmol超、より好ましくは2.00mmol超の尿素の尿素捕捉能を有する。
【0028】
尿素は、その極性および水素結合形成に関与する性能のために、水中(400mg/ml)、ならびにメタノール、エタノールおよびグリセロールなどのプロトン性有機溶媒中で高度に可溶性である、小さな高度に極性の分子である。生化学における尿素の役割は必須であり、肥料用の窒素源、およびポリマー前駆体等として、工業的に重要な分子であるが、尿素を流体溶液から除去することがしばしば重要である。
【0029】
本発明の製造方法は、尿素などの求核性老廃物溶質を捕捉する驚くほど高い能力を有するPGA型吸着剤をもたらす。尿素は一般に、脱水されたPGA型吸着剤と反応する(図1参照)。理論に束縛されることを望むものではないが、前駆体モノマーのPGA型モノマーへのより効率的な変換が、この結合能の増加に寄与すると推測される。この態様の好ましい実施形態において、本発明は、吸着剤が吸着剤1グラム当たり1.51mmol超の尿素の尿素捕捉能を有する、本発明のPGA型吸着剤を提供する。この態様のより好ましい実施形態において、本発明は、吸着剤が吸着剤1グラム当たり1.60mmol超の尿素の尿素捕捉能を有する、本発明のPGA型吸着剤を提供する。この態様のさらに好ましい実施形態では、本発明は、本発明のPGA型吸着剤を提供し、ここで、吸着剤は、吸着剤1グラム当たり1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.85、1.90、1.95、2.00、2.05、2.10、2.15、2.20、2.25、2.30、2.35、2.40、2.45、2.50、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9超の尿素の尿素捕捉能を有し、より好ましくは、吸着剤は、吸着剤1グラム当たり1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.00、2.05、2.10、2.15、2.20、2.25、2.30、2.35、2.40、2.45、2.50、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、または4.9mmol超の尿素の尿素捕捉能を有し、さらにより好ましくは、吸着剤は、吸着剤1グラム当たり1.80、1.90、2.00、2.10、2.20、2.25、2.30、2.35、2.40、2.45、2.50、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、または4.9mmol超の尿素の尿素捕捉能を有し、さらにより好ましくは、吸着剤は、2.00超、さらにより好ましくは2.20超、さらにより好ましくは2.40、2.45、2.50、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、または4.9mmol超の尿素/吸着剤1グラム超、例えば2.5または2.6mmol超の尿素/吸着剤1グラムの尿素捕捉能を有する。あるいは、吸着剤は、参照吸着剤のものよりも1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9または5倍高い尿素捕捉能を有し、ここで参照吸着剤は、好ましくは、WO2004/078797の実験9に記載されている吸着剤であり、当該刊行物の実験16において、当該刊行物の最も高い尿素取り込み(すなわち、吸着剤1グラム当たり90mgの尿素)を有すると報告されている。この態様において、本発明はまた、本発明のPGA型吸着剤を提供し、吸着剤は、吸着剤1グラム当たり1.8mmol超、好ましくは2mmol超の尿素、またはより好ましくは吸着剤1グラム当たり2.1mmol超の尿素の尿素捕捉能を有し、これは、人工腎臓装置または(血液)透析装置の小型化に特に好適である。
【0030】
これに関連して、尿素捕捉能は、好ましくは最大尿素捕捉能であり、これは好ましくは、約70℃で約24時間、溶液(約30mMなど)中の過剰の尿素との吸着剤のインキュベーション後に決定することができる能力である。捕捉尿素の量は、吸着剤に捕捉された尿素の量を直接分析することによって、または吸着剤への曝露前後の溶液中に存在する尿素の量の差を分析することによって、または捕捉尿素を解離させることによって吸着剤を再生し、続いて放出された尿素の量を決定することによって決定することができる。尿素濃度は、例えばWO2004078797A1に記載されている元素分析などの当技術分野で公知の任意の方法によって決定することができる。あるいは、ウレアーゼ酵素によって放出されるアンモニアの量は、尿素濃度を間接的に定量するために使用され得る。あるいは、約4%(w:v)の4-(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドおよび4%(v:v)硫酸を無水エタノール中に含有するPAB試薬溶液を、WO2016126596A1に記載されているように、予め調製した検量線を使用する尿素反応付加物のUV-VIS分析(422nm)に使用することができる。尿素濃度を決定するための様々な、使用説明書を含むキットが市販されている。
【0031】
本発明のPGA型吸着剤において、好ましくは、重合モノマーの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%がPGA型モノマーである。本発明の好ましいPGA型吸着剤は、重合モノマーの少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%がPGA型モノマーであるPGA型吸着剤である。本発明のさらに好ましいPGA型吸着剤において、重合モノマーの少なくとも50%および多くとも90%がPGA型モノマーである。より好ましい実施形態では、重合モノマーの55%~90%がPGA型モノマーである。さらにより好ましい実施形態では、重合モノマーの70%~90%がPGA型モノマーである。最も好ましい実施形態では、重合モノマーの70%~80%がPGA型モノマーである。PGA型モノマーの量は、好ましくは、重合中に使用された一般式(I)のモノマーの量として報告される。あるいは、PGA型モノマーの量は、実施例に例示されるように、当該分野で公知の従来の技術(例えば、固体NMRまたはIR分光法)を使用して評価され得る。
【0032】
この態様の特定の実施形態において、本発明は、重合モノマーの100%がPGA型モノマーである、本発明のPGA型吸着剤を提供する。このようなポリマーは、経口投与のための組成物または薬学的組成物におけるような、樹脂の外側での使用に特に適切である。
【0033】
好ましい実施形態において、本発明のPGA型吸着剤は、重合が懸濁重合である本発明の製造方法によって得ることができる。好ましい実施形態では、本発明のPGA型吸着剤は、最大50%、好ましくは最大35%、より好ましくは最大25%、さらにより好ましくは最大20%、最も好ましくは最大10%の架橋モノマーが使用される本発明の製造方法によって得ることができる。
【0034】
本発明のPGA型吸着剤は、本発明の製造方法によって得ることができ、したがって、本発明の方法について記載されたコモノマーおよび架橋剤を含むことができる。
【0035】
製造方法
上述のように、本発明の第1の態様は、
i) 一般式(I)のモノマーを提供する工程;
【化3】

ここで、Qは、Hまたは-CHであり;
、hおよびhは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)または-N(C1-6炭化水素)から選択され;またはhおよびhが一緒になって=Oを形成し;またはhおよびhは一緒になって-o-(C1-4炭化水素)-o-を形成し、ここでoおよびoは独立してO、S、NH、またはN(C1-4炭化水素)であり;且つ
Xは、O、SまたはNHであり;
ii)提供されたモノマーを重合させてポリマーを得る工程;および
iii)PGA型モノマーではない一般式(I)の重合モノマーをPGA型モノマーに変換する工程
を含む、方法を提供する。
【0036】
工程i)-モノマーの提供
工程i)において、モノマーが提供される。モノマーは、実施例に例示されるような従来の技術を使用して合成され得るか、または商業的尿素捕捉能源から調達され得る。モノマーは、既にPGA型部分を有していてもよく、または後続の反応工程を介してPGA型モノマーを有するモノマーに変換されてもよい。変換を必要とするそのようなモノマーは、本明細書では前駆体モノマーと呼ばれる。好ましくは、前駆体モノマーは、1、2、3または4反応工程で、より好ましくは1、2または3反応工程で、さらにより好ましくは1または2反応工程で、最も好ましくは1反応工程でPGA型部分を含むモノマーに変換され得る。一般式(I)のモノマーは、PGA型部分を有するモノマーおよび前駆体モノマーの両方を包含するので、一般式(I)のモノマーは、0、1、2、3または4反応工程、より好ましくは0、1、2または3反応工程、さらにより好ましくは0、1または2反応工程、最も好ましくは0または1反応工程で、PGA型部分を含むモノマーに変換され得ることが好ましい。反応および反応工程は、本明細書中の工程iii)を詳述するセクションにおいて後に定義される。
【0037】
モノマーは、ビニル(Qが-Hである場合)またはメチルビニル(Qが-CHである場合)部分である重合のためのハンドルを特徴とする。ビニルはエテニルとも呼ばれ、メチルビニルはイソプロペニルとも呼ばれ、その中心炭素原子で結合したプロペニルと解釈されるべきである。Qを含むこの部分は、工程iii)の変換後に、PGA型部分の芳香族部分である環に連結される。それは、PGA型部分のオルト位、メタ位またはパラ位にあり得る。好ましいモノマーは、一般式(I-p)または(I-m)であり、その中で(I-p)がより好ましい。本発明によるより疎水性の低いまたはより柔軟なPGA型吸着剤が所望される場合、Qが-Hである一般式(I)のモノマーを使用することが好ましく、その理由は、これが、得られるポリマーのより柔軟でより脂肪族的に嵩高い骨格をもたらすからである。
【0038】
モノマーはさらに、-C(=X)-C(h)(h)(h)部分を特徴とし、これは、モノマーが工程iii)においてPGA型部分に容易かつ効率的に変換されることを可能にするか、または既にPGA型部分を形成している。当業者は、原子の原子価を理解し、一般式(I)のモノマーがそのような原子価に適合することを理解する。
【0039】
Xは、O、SまたはNHであり;ここで、Xは、ケトン、チオン(チオケトン)またはイミン(ケタミン)を形成する。好ましい実施形態では、XはSまたはNHである。他の好ましい実施形態において、XはSまたはOである。他の好ましい実施形態では、XはOまたはNHである。他の好ましい実施形態において、XはSである。他の好ましい実施形態では、XはNHである。最も好ましくは、XはOである。
【0040】
、hおよびhは、一般式(I)のPGA型モノマーまたは前駆体モノマーの残りを形成する。それらは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、NH(C1-6炭化水素)、またはN(C1-6炭化水素)から選択され;hおよびhが一緒になって=Oを形成し;hおよびhは一緒になって-o-(C1-4炭化水素)-o-を形成し、式中、oおよびoは独立してO、S、NH、またはN(C1-4炭化水素)である。これは、PGA型モノマーを形成するか(例えば、hおよびhが一緒て=Oを形成する場合、およびhがHであり、XがOである場合)か、または本明細書中で後に記載されるようにPGA型モノマーに容易に変換され得る前駆体を形成するかのいずれかである。
【0041】
、hおよびhのそれぞれがHを形成する場合、それらは、それらが結合している炭素原子と一緒に-CH部分を形成する。これは、炭素原子が酸化されてPGA型部分を形成する場合に有利であり得る。好ましい実施形態では、h、h、およびhのそれぞれは、同じタイプの部分、好ましくはHまたはハロゲン、より好ましくはHを形成する。
【0042】
およびhが両方とも-OHであり、hがHである場合、結果は、グリオキサールアルデヒドのジェミナル-ジオールとしても知られる水和物であるPGA型部分である。このような基は、水和物が脱水によってPGA型部分に変換される場合に有利であり得る。好ましい実施形態において、hおよびhは同じ部分であるか、または一緒になって単一の部分を形成する。他の好ましい実施形態において、hおよびhは一緒になって、単一の部分を形成する。これらのいずれについても、hは、好ましくはHまたはハロゲン、より好ましくはHである。これらのいずれについても、hおよびhは、一緒になって単一の部分を形成しない場合、好ましくは-OHまたはハロゲンであり、より好ましくは-OHである。他の好ましい実施形態において、hおよびhは一緒になって単一の部分を形成しない。
【0043】
、hおよびhのいずれかが-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)または-N(C1-6炭化水素)を形成する場合、得られる部分は加水分解されて-OHを生じるか、または生産的部分の場合は=Oを生じ得る。-O(C1-6炭化水素)は、アセタールまたはヘミアセタールの形成に寄与し得る。-S(C1-6炭化水素)は、チオケタールまたはヘミチオケタールの形成に寄与することができ、-NH(C1-6炭化水素)および-N(C1-6炭化水素)の両方は、アミナールまたはヘミアミナールの形成に寄与することができる。したがって、h、hおよびhの少なくとも1つが-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)または-N(C1-6炭化水素)を形成する場合、h、hおよびhの少なくとも1つの他のものが-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)、-N(C1-6炭化水素)または-OH、好ましくは-OHを形成することが好ましい。好ましい実施形態において、h、h、およびhのうちの少なくとも1つが、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)、または-N(C1-6炭化水素)を形成する場合、h、h、およびhのうちの第2のものもまた、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)、または-N(C1-6炭化水素)を形成する。
【0044】
本明細書で使用される場合、C1-6炭化水素は、1~6個の炭素原子を有する炭化水素である。文脈から明らかであるように、それは、メチル部分のような単一のラジカル、または示されるような2つの部分の間に架橋を形成するビラジカルであり得る。それは、直鎖または分枝鎖であり得、それは、飽和または不飽和であり得、そしてそれは、必要に応じて、ヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)によって遮断または置換され得るか、あるいはメチルまたはフェニルによって置換され得る。C1-6炭化水素の好ましい実施形態は、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-6シクロアルキル、C3-6ヘテロシクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールである。C1-6炭化水素のより好ましい実施形態は、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-6シクロアルキル、およびCアリールである。好ましい実施形態において、C1-6は、炭化水素の最も長い内部鎖中の炭素原子の数を示す。他の好ましい実施形態では、それは炭化水素中の炭素原子の総数を示す。好ましい実施形態において、C1-6炭化水素は、C1-4、より好ましくはC1-3、より好ましくはC1-2である。当業者は、適切な炭化水素を選択することができる。適切なC1-6炭化水素の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル(n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、およびイソブチルを含む)、ペンチル、シクロペンチル、イミダゾリル、フェニル、フリル、テトラヒドロフリル、およびシクロヘキシルである。C1-6炭化水素の2つの例が同じ原子に結合している場合、それらは前記原子と一緒になって環状構造、好ましくは3~8員環状構造を形成することができる。C1-4炭化水素の例は、好ましくはC1-3またはC1-2、あるいは好ましくはC2-3、最も好ましくはCである。2つの部分を連結する炭化水素(すなわちそれは末端ではない)は、好ましくは、少なくとも-CHCH-などのC炭化水素である。-o-(C1-4炭化水素)-o-について、好ましい実施形態は、-o-C(フェニル)-o-である。
【0045】
上記は、hおよびhが一緒になって-o-(C1-4炭化水素)-o-(式中、oおよびoは独立してO、S、NHまたはN(C1-4炭化水素)である)を形成することもできるという事実に反映される。これは、例えば、PGA型モノマーの前駆体のためのジオール保護基の存在を可能にする。例として、oおよびoの両方がOであり、結合炭化水素が-CHCH-である場合、hおよびhは、アセタール保護PGA型モノマーを効果的に形成する。好ましい実施形態において、oおよびoは同じである。好ましい実施形態において、oおよびoは、O、S、またはNHから選択される。より好ましい実施形態において、oおよびoは、OまたはSから選択され、最も好ましくはoおよびoはOである。oおよびoを連結するC1-4炭化水素は、好ましくはC1-3部分、より好ましくはC部分、最も好ましくは-CHCH-である。N(C1-4炭化水素)中に存在する場合、それは好ましくはメチル、エチルまたは(イソ)プロピル、より好ましくはメチルまたはエチル、最も好ましくはメチルである。
【0046】
好ましい実施形態において、hおよびhは一緒になって、-o-(C1-4炭化水素)-o-を形成し、ここで、oおよびoは、独立して、O、S、NH、またはN(C1-4炭化水素)である。より好ましくは、hおよびhは一緒になって-o-(C1-4炭化水素)-o-を形成し、ここでoおよびoは独立してO、SまたはNHである。さらにより好ましくは、hおよびhは一緒になって-O-(C1-4炭化水素)-O-を形成する。さらにより好ましくは、hおよびhは一緒になって-o-(C2-4炭化水素)-o-を形成し、ここでoおよびoは独立してO、SまたはNHである。さらにより好ましくは、hおよびhは一緒になって-0-(C2-3炭化水素)-O-を形成する。
【0047】
、hおよびhのいずれもが一緒になって上記のような単一の部分を形成しない場合、以下が好ましい実施形態である:h、hおよびhは、各々独立して、ハロゲン、-OH、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)または-N(C1-6炭化水素)から;または、H、-OH、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)、もしくは-N(C1-6炭化水素)から;またはH、ハロゲン、-O(C1-6炭化水素)、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)もしくは-N(C1-6炭化水素)から;またはH、ハロゲン、-OH、-S(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)、もしくは-N(C1-6炭化水素)から;またはH、ハロゲン、-OH、-O(C1-6炭化水素)、-NH(C1-6炭化水素)、もしくは-N(C1-6炭化水素)から;またはH、ハロゲン、-OH、-O(C1-6炭化水素)、もしくは-S(C1-6炭化水素)から;またはH、ハロゲン、もしくは-OHから;またはH、ハロゲン、-OH、もしくは-O(C1-6炭化水素)から;またはHもしくはハロゲンから;またはHもしくは-OHから;または-OHもしくはハロゲンから選択される。
【0048】
一般式(I)のモノマー中のハロゲンは、好ましくはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、より好ましくは塩素、臭素またはヨウ素、さらにより好ましくは臭素またはヨウ素、最も好ましくは臭素である。
【0049】
一般式(I)の好ましいモノマーにおいて
QはHであり、および/または
およびhは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、および-O(C1-4炭化水素)から選択され;または一緒になって=Oを形成し;好ましくは、hおよびhは両方ともHであるか、または両方とも-OHであるか、または一緒になって=Oを形成し;および/または
はHであり;および/または
XはOである。
【0050】
一般式(I)の他の好ましいモノマーにおいて、QはHであり;且つhおよびhは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-OH、および-O(C1-4炭化水素)から選択され;または一緒になって=Oを形成し;好ましくは、hおよびhは両方ともHであるか、または両方とも-OHであるか、または一緒になって=Oを形成し;hはHであり;XはOである。一般式(I)の他の好ましいモノマーにおいて、QはHであり;hおよびhは両方ともHであるか、または両方とも-OHであるか、または一緒になって=Oを形成し;および/またはhがHであり;および/またはXはOである。
【0051】
一般式(I)のモノマーは、以下に示すような一般式(Io)、一般式(Ih)、一般式(I-Ac)、一般式(I-PGA)、または一般式(I-PGAH)のものであり得る。
【表A】
【0052】
好ましい実施形態では、一般式(I)のモノマーは一般式(Io)のものであり、式中、Qは-Hまたは-CHであり、hおよびhおよびhは上記で定義した通りである。一般式(Io)のモノマーは、本明細書ではケトン型モノマーと呼ばれる。
【0053】
好ましい実施形態では、一般式(I)のモノマーは一般式(Ih)のものであり、式中、Qは-Hまたは-CHであり、hおよびhは上記で定義した通りであるがHではなく、好ましくはhおよびhは一緒になって単一部分を形成するか、または両方とも同じであるがHではなく、より好ましくは一緒になって単一部分を形成するか、または両方ともハロゲンまたは-OHであり、最も好ましくは両方とも-OHである。一般式(Ih)のモノマーは、これらのモノマーがPGA型部分のアセタールとして特に有用であるため、本明細書ではケタール型モノマーと呼ばれる。
【0054】
好ましい実施形態において、一般式(I)のモノマーは、Qが-Hまたは-CHである一般式(I-Ac)のモノマーである。一般式(I-Ac)のモノマーは、これらのモノマーがビニルフェニルエタン-1-オン類似体として特に有用であるため、本明細書ではVPE型モノマーと呼ばれる。
【0055】
好ましい実施形態では、一般式(I)のモノマーは、Qが-Hまたは-CHである一般式(I-PGA)または(I-PGAH)、好ましくは(I-PGA)のモノマーである。これらのモノマーは、本明細書ではPGA型モノマーと呼ばれる。他の好ましい実施形態では、モノマーは一般式(II-p)または(II-m)であり、そのうち(II-p)が好ましい。
【0056】
一般式(I)の好ましいモノマーを以下に示し、名称を構造の下に示す。
【表B】
【0057】
この態様の好ましい実施形態では、一般式(I)のモノマーは、
1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、
2-ブロモ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、
2-クロロ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、2-クロロ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、
1-(4-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、1-(3-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1,2-ジオン、
2,2-ジヒドロキシ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2,2-ジヒドロキシ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2,2-ジヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オンおよび2,2-ジヒドロキシ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン
から選択される少なくとも1つのモノマーを含む。
【0058】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、一般式(I)の少なくとも1つのモノマーが、少なくとも1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン、2-ブロモ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン、または2-ブロモ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オンを含む、またはそれらのイソプロペニル類似体から任意選択で選択される、本発明の製造方法を提供する。
【0059】
より好ましい実施形態において、本発明は、一般式(I)のモノマーが、1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンもしくは2-ブロモ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンであるか、またはそれらのイソプロペニル類似体から任意に選択される、本発明の製造方法を提供する。
【0060】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、一般式(I)のモノマーが1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンまたはそのイソプロペニル類似体である、本発明の製造方法を提供する。
【0061】
一般式(I)のモノマーの提供は、一般式(I)のモノマーの混合物の提供を必要とし得ることが特に想定される。好ましくは、そのような混合物中に存在する化合物は、Qを含む部分のそれらの結合位置においてのみ異なる。そのため:
1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンまたは1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オンのいずれか1つが提供される場合、好ましくはこれらのモノマーのそれぞれの混合物も提供することができ;
1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン、1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オンのいずれか1つを提供する場合、好ましくはこれらのモノマーのそれぞれの混合物も提供することができ;
同様に、2-ブロモ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンおよび2-ブロモ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン;2-ブロモ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オンおよび2-ブロモ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン;2-クロロ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンおよび2-クロロ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン;2-クロロ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オンおよび2-クロロ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オン;1-(4-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオンおよび1-(3-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオン;1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1,2-ジオンおよび1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1,2-ジオン;2,2-ジヒドロキシ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンおよび2,2-ジヒドロキシ-1-(3-エテニルフェニル)エタン-1-オン;2,2-ジヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オンおよび2,2-ジヒドロキシ-1-(3-イソプロペニルフェニル)エタン-1-オンの対についても同じことが当てはまる。
【0062】
同じことが上記のいずれかのイソプロペニル類似体にも当てはまる。種々のモノマーの合成の利用可能性に起因して、イソプロペニル類似体およびエテニル類似体が混合物として提供されることはありそうになく、これらは異なる反応物を必要とする。
【0063】
工程ii)-重合
工程ii)では、工程i)で準備したモノマーを重合させてポリマーを得る。ポリマーは、高分子から構成される物質であり、ここで高分子は、高い相対分子量の分子であり、その構造は、低い相対分子量の分子から実際にまたは概念的に誘導される単位の複数の繰り返しを本質的に含む。ポリマーは、1つのタイプのモノマーから構成される単鎖であり得、ポリマーはまた、多くの異なるモノマーから構成される大きな架橋ネットワークであり得る。当技術分野で知られているように、重合は、モノマーからポリマーを形成するプロセスである。
【0064】
重合は、Qを含む部分を介して起こり、当技術分野で公知の任意の方法を介することができる(例えば、S. M. Ashraf “A Laboratory Manual ofPolymers” I. K. International Pvt Ltd, 8 dec. 2008参照)。一般式(I)のものなどのビニルまたはメチルビニル型モノマーを重合するための好適な方法は、ラジカル重合、結合挿入重合およびイオン重合である。イオン重合の例は、アニオン重合およびカチオン重合である。結合挿入重合の例は、Ziegler-Natta重合である。ラジカル重合の例は、フリーラジカル重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、およびラジカル付加開裂連鎖移動重合(RAFT)である。非混和性溶媒を使用する懸濁重合は、粒状吸着剤をもたらすことができるので好ましい方法である。当業者は、そのような重合を実施する方法を知っている。
【0065】
溶媒は不活性溶媒として存在することもできる。これらは、好ましくは溶解不活性溶媒である。文脈に応じて、不活性溶媒は不活性溶媒の混合物であってもよい。不活性溶媒は、生成された吸着剤の多孔度に影響を及ぼし得る。不活性溶媒はポロゲンと呼ぶこともできる。より極性の不活性溶媒は、多孔度の増加をもたらすことができる。より極性の低い不活性溶媒は、より高密度の吸着剤をもたらすことができる。より極性の高い不活性溶媒は、得られる吸着剤の機械的安定性を低下させる可能性がある。より極性の低い不活性溶媒は、得られる吸着剤においてより高い機械的安定性をもたらすことができる。したがって、不活性溶媒は、好ましくは、望ましい多孔性と望ましい機械的安定性とを組み合わせた極性を有する。
【0066】
適切な不活性溶媒は当技術分野で公知である。-ペンタン、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、フラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、イソパラフィン脂肪族炭化水素、例えばShellSolTD(CAS 64761-65-7; 欧州用ShellChemicals製品コード:Q7411)またはShellSolT(CAS64761-65-7; 欧州のShell Chemicals製品コード:Q7412)、またはそれらの混合物である。好ましい不活性溶媒は、ペンタン、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、フラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ShellSolTD、ShellSolT、またはそれらの混合物である。より好ましい不活性溶媒は、ペンタン、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ShellSolTD、ShellSolT、またはそれらの混合物である。さらにより好ましい不活性溶媒は、へプタン、トルエン、ニトロベンゼン、ShellSolTD、場合によりニトロメタン、またはそれらの混合物である。トルエンが最も好ましい。
【0067】
不活性溶媒の混合物は、特定の極性が望まれる場合に好都合であり、例えば、より多孔性が望まれる場合、より高い極性を有する不活性溶媒が選択されるべきである。不活性溶媒の適切な混合物の例は、トルエン:ニトロメタン、トルエン:ニトロベンゼン、トルエン:ヘプタン、トルエン:ShellSolTDである。不活性溶媒の好ましい混合物はトルエン:ニトロベンゼン(1:1);トルエン:ヘプタン(1:4);トルエン:ヘプタン(1:1);トルエン:ShellSolTD(1:4)である。不活性溶媒のより好ましい混合物は、トルエン:ニトロベンゼン(1:1);トルエン:ヘプタン(1:4);トルエン:ヘプタン(1:1)である。
【0068】
好ましい実施形態において、不活性溶媒または不活性溶媒の混合物は、ニトロベンゼンよりも極性が高くない、および/またはヘプタンよりも極性が低くない。より好ましい実施形態において、不活性溶媒または不活性溶媒の混合物は、ニトロベンゼンよりも極性が高くなく、ヘプタンよりも極性が低くない。さらにより好ましい実施形態において、不活性溶媒または不活性溶媒の混合物は、ニトロベンゼンよりも極性が高くなく、および/またはヘプタン:トルエン(4:1)よりも極性が低くない。最も好ましい実施形態において、不活性溶媒または不活性溶媒の混合物は、ニトロベンゼンよりも極性が高くなく、および/またはヘプタン:トルエン(4:1)よりも極性が低くない。極性は、好ましくは、不活性溶媒の平均極性または不活性溶媒の混合物の平均極性を指す。それは、例えば、Katritzky et al., Chem. Rev. (2004) DOI: 10.1021/cr020750mに記載されているものなどの公知の任意の方法で決定することができる。
【0069】
本発明の製造方法では、工程ii)は、ラジカル重合、より好ましくはフリーラジカル重合を使用して、提供されたモノマーを重合してポリマーを得ることを伴うことが好ましい。これは、フリーラジカル重合のプロセスが容易に実施され、複雑なセットアップまたは条件を必要としないからである。フリーラジカル重合のための適切な開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、フタル酸ジシクロヘキシルとの過酸化ベンゾイルブレンド、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)、過酸化ジ-tert-ブチル、過酸化アセトン、過酸化メチルエチルケトン、および過硫酸ナトリウムまたは過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムなどのペルオキソ二硫酸塩である。水性系については、AIBNおよび/またはペルオキシ二硫酸塩、特に過硫酸カリウムが好ましい。懸濁重合のために好ましい開始剤は、過酸化ベンゾイルおよび/またはフタル酸ジシクロヘキシルとの過酸化ベンゾイルブレンドである。
【0070】
重合中、一般式(I)ではないコモノマーも存在することができる。コモノマーは、工程i)で提供されるモノマーと同じ混合物中で工程ii)の重合を受けるさらなるモノマーであり、コモノマーは、得られるポリマー中に共有結合的に組み込まれる。そのような得られたポリマーは、しばしばコポリマーと呼ばれるが、明確にするために、本明細書では、コポリマーも参照できるかどうかを文脈から明らかにする場合には、ポリマー自体のみを参照する。本発明の文脈において、2つのクラスのコモノマー:親水性コモノマーおよび架橋性コモノマーが特に適切である。
【0071】
好ましい実施形態において、本発明は、コモノマーが一般式(I)のモノマーと共に提供され、コモノマーが好ましくはスチレン、イソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ビニルベンゼンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、アクリロニトリル、2-ヒドロキシルエチル2-メチルプロパ-2-エノエート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル2-メチルプロパ-2-エノエート(enotate)、2-ヒドロキシルエチルプロパ-2-エノエート、2-ヒドロキシプロピル プロパ-2-エノエート(enotate)、N-(2-ヒドロキシルエチル)メタアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタアクリルアミド(HPMA)、N-(2-ヒドロキシルエチル)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、テレケリックN,N’-アルキレンビスアクリルアミド、例えばN,N’-メチレンビスアクリルアミド(NMAA)、N-イソプロピルアクリルアミド(NIpAM)、ジビニルスルホン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルスルホンアミド、N-アルキルビニルスルホンアミド、例えばN-メチルビニルスルホンアミド、およびN,N-ジアルキルビニルスルホンアミド、例えばN,N-ジメチルビニルスルホンアミドからなる群から選択される、本発明の製造方法を提供する。より好ましい実施形態において、本発明は、コモノマーが一般式(I)のモノマーと共に提供され、コモノマーが、ジビニルベンゼン、ビニルベンゼンスルホン酸、アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、ビニルスルホンアミド、N-アルキルビニルスルホンアミドN,N-ジアルキルビニルスルホンアミド、および2-ヒドロキシエチル2-メチルプロパ-2-エノエート(HEMA)からなる群から選択される、本発明の製造方法を提供する。さらにより好ましくは、コモノマーは、ジビニルベンゼンおよびビニルベンゼンスルホン酸からなる群から選択される。最も好ましくは、ジビニルベンゼンおよびビニルベンゼンスルホン酸の両方が、一般式(I)のモノマーと共に提供される。
【0072】
本発明の文脈において、ジビニルベンゼンは、1,2-ジエテニルベンゼン、1,3-ジエテニルベンゼン、もしくは1,4-ジエテニルベンゼン、またはそれらの混合物のいずれかであり得る。1,4-ジエテニルベンゼンまたは1,4-ジエテニルベンゼンを含む混合物は、より広い架橋を提供し、得られるポリマーの溶媒透過性を改善するので好ましい。
【0073】
本発明の文脈において、ビニルベンゼンスルホン酸は、2-ビニルベンゼンスルホン酸、3-ビニルベンゼンスルホン酸、もしくは4-ビニルベンゼンスルホン酸、またはそれらの混合物のいずれかであり得る。4-ビニルベンゼンスルホン酸は、その望ましい重合動態のために好ましい。ビニルベンゼンスルホン酸は、ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはカルシウム(ビニルベンゼンスルホン酸)などの塩として提供することができる。ビニルベンゼンスルホン酸の塩の提供は、このコモノマーの溶解度を改善することができ、重合が水性媒体または他の高極性媒体中で行われる場合に特に適している。
【0074】
架橋吸着剤については、少なくとも1つの架橋コモノマーが一般式(I)のモノマーと共に提供されることが好ましい。架橋コモノマーは、一般に、重合反応に関与することができる2つ以上の反応性部分を有する。好ましくは、そのような架橋コモノマーは、ジビニルベンゼン、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(NMAA)などのテレケリックN,N’-アルキレンビスアクリルアミド、ジビニルスルホン、およびブタジエンからなる群から選択され、好ましくはジビニルベンゼンが一般式(I)のモノマーと共に提供される。あるいは、ポリマーは、工程ii)の重合後に、例えばポリマー鎖を互いに、場合によりコモノマーの側鎖を介して反応させることによって架橋することができる。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、ポリマーが重合後または重合中に架橋される、本発明の製造方法を提供する。好ましくは、ポリマーは重合中に架橋され、より好ましくは架橋コモノマーを使用して架橋される。
【0075】
本発明の文脈において、架橋の量は、工程ii)の間に重合混合物中に存在した架橋コモノマーの量として定義される。より多量の架橋は、より高密度の吸着剤をもたらす。より少ない量の架橋は、より多孔性またはよりマクロ多孔性の吸着剤をもたらす。好ましくは、多くとも10%の架橋コモノマーが使用される。より好ましくは、最大で5%の架橋コモノマーが使用される。さらにより好ましくは、架橋吸着剤について、0.1%~5%の架橋コモノマーが使用され、より好ましくは0.2%~4%の架橋コモノマーが使用され、さらにより好ましくは0.4%~4%の架橋コモノマーが使用され、最も好ましくは0.8%~3%の架橋コモノマーが使用され、例えば、約1%~約2%、または約2%である。
【0076】
好ましい実施形態では、80%未満の架橋コモノマーが使用される。より好ましい実施形態では、67%未満の架橋コモノマーが使用される。非常に好ましい実施形態では、50%未満の架橋コモノマーが使用される。最も好ましい実施形態では、10%未満の架橋コモノマーが使用される。したがって、好ましい実施形態では、1%~10%の架橋コモノマーが使用される。より好ましい実施形態では、2%~10%の架橋コモノマーが使用される。さらにより好ましい実施形態では、2%~8%の架橋コモノマーが使用される。さらにより好ましい実施形態では、2%~7%の架橋コモノマーが使用される。最も好ましい実施形態では、3%~6%の架橋コモノマーが使用される。
【0077】
親水性コモノマーを含む吸着剤は、本明細書では親水性吸着剤と呼ばれる。親水性コモノマーは、水性溶媒が吸着剤をより容易に透過することを可能にし、その結果、求核性老廃物溶質は、同様により容易に吸着剤を透過することができる。これは、吸着剤の内部も求核性老廃物溶質の結合に関与することを可能にする。親水性コモノマーは、一般に、PGA型部分が結合し得る様式で求核性老廃物溶質を結合し得ないので、バランスが存在する。従って、親水性コモノマー含有量の増加は、PGA型部分をより有効にするが、それらの数を減少させる。
【0078】
親水性吸着剤については、少なくとも1つの親水性コモノマーが一般式(I)のモノマーと共に提供されることが好ましい。好ましくは、そのような親水性コモノマーは、ビニルベンゼンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシルエチル2-メチルプロパ-2-エノエート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル2-メチルプロパ-2-エノエート(enotate)、2-ヒドロキシルエチルプロパ-2-エノエート、2-ヒドロキシプロピル プロパ-2-エノエート(enotate)、N-(2-ヒドロキシルエチル)メタアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタアクリルアミド(HPMA)、N-(2-ヒドロキシルエチル)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、およびN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)、より好ましくはビニルベンゼンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2-ヒドロキシルエチル2-メチルプロパ-2-エノエート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル2-メチルプロパ-2-エノエート(enotate)、2-ヒドロキシルエチルプロパ-2-エノエート、2-ヒドロキシプロピル プロパ-2-エノエート(enotate)、N-(2-ヒドロキシルエチル)メタアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタアクリルアミド(HPMA)、N-(2-ヒドロキシルエチル)アクリルアミド、およびN-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミドからなる群から選択され、より好ましくは、ビニルベンゼンスルホン酸が、一般式(I)のモノマーと共に提供される。当業者は、メチルメタクリレートなどのいくつかのコモノマーが、それらのエステルの加水分解によって親水性になるように容易に後修飾され得ることを理解するであろう。好ましくは、最大60%の親水性コモノマーが存在する。より好ましくは、最大で50%の親水性コモノマーが存在する。さらにより好ましくは、親水性吸着剤に関して、0%~50%の親水性コモノマーが存在し、より好ましくは0%~40%の親水性コモノマーが存在し、さらにより好ましくは5%~40%の親水性コモノマーが存在し、さらにより好ましくは10%~35%の親水性コモノマーが存在し、さらにより好ましくは15%~35%の親水性コモノマーが存在し、最も好ましくは20%~30%の親水性コモノマー、例えば約25%が存在する。
【0079】
工程iii)-前駆体モノマーの変換
工程ii)で得られたポリマーは、一般式(I)のモノマーを含有し、これらのモノマーは、既にPGA型モノマーではない前駆体モノマーであり得る。工程iii)において、工程ii)で得られたポリマーに含まれる前駆体モノマーは、変換反応を実施することによってPGA型モノマーに変換される。変換反応は、1、2、または3工程を含み得る。好ましい実施形態において、本発明は、工程iii)が、PGA型モノマーではない一般式(I)の重合モノマーを、1つ、2つ、または3つの反応工程を用いて、好ましくは1つまたは2つの反応工程を用いて、より好ましくは1つの反応工程を用いて、PGA型モノマーに変換することを含む、本発明の製造方法を提供する。一般式(I)のモノマーが既にPGA型部分を含む場合、一般式(I)の他のモノマーが存在しないならば、工程iii)は事実上存在しない。
【0080】
一般式(I)のものなどの分子を変換するための一般的な方法は当技術分野において公知であり、当業者は、一般式(I)の任意の特定のモノマーをPGA型モノマーに変換するためにどの反応が好適であるかを選択することができる。変換反応は、一般式(I)のどのモノマーが変換されるかに依存する。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、工程iii)において、以下からなる群から選択される工程を含む変換反応が使用される、本発明の製造方法を提供する。
a) 好ましくはハロゲン化水素酸またはBr、Cl、もしくはIを使用した、ハロゲン化;
b) 好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)またはアセト酢酸エチルまたはSeOなどの酸化物を使用した、酸化;
c) 好ましくは水性環境中で約80℃に加熱することによる、加水分解。
【0081】
好ましい酸化方法は、DMSOおよび塩化オキサリルおよび塩基、例えばトリメチルアミンなどのトリアルキルアミンを使用するSwern酸化;例えば、Dess-Martinペルヨージナンを使用するDess-Martin酸化;例えば、N-クロロスクシンイミドなどのN-ハロスクシンイミド、およびジメチルスルフィド、ならびに塩基、例えば、トリメチルアミンなどのトリアルキルアミンを使用するCorey-Kim酸化; 例えば、アルミニウムイソプロポキシドおよび任意に多価ヨウ素種を使用するOppenauer酸化;例えばDMSOおよび塩化オキサリルおよび塩基、例えばトリメチルアミンなどのトリアルキルアミンを使用するか、またはハロゲン化後に続くときは塩基を省略するKornblum酸化;ヨウ素種のようなハロゲン種を使用する、好ましくは多価ヨウ素種を使用する酸化;SeO、OsO、またはMnOなどの酸化物を使用する直接酸化(Jong et al.,2019,ACS Omega,DOI:10.1021/acsomega.9b01177参照);Marminon et al.(2015,DOI:10.1016/j.tetlet.2015.02.086)に記載されるように、SeO、OsO、またはMnOのような酸化物を使用する補助直接酸化である。非常に好ましい酸化方法は、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはアセト酢酸エチル、およびHBr、HIまたはHClなどのハロゲン化水素酸を使用する、好ましくはDMSOおよびHBrなどのハロゲン化水素酸を使用する、ハロゲン化に続くKornblum酸化である。
【0082】
ハロゲン化は、当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。好ましい方法は、Br、ClもしくはIまたはN-ハロスクシンイミド(例えば、N-ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミドもしくはN-ヨードスクシンイミド)またはハロゲン化水素酸を、必要に応じてDMSOの存在下で使用する。好ましい実施形態において、ハロゲン化は、Br、ClまたはIを使用して行われる。他の好ましい実施形態では、ハロゲン化は、N-ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミドまたはN-ヨードスクシンイミドなどのN-ハロスクシンイミドを使用して行われる。ハロゲン化はまた、有利には、DMSO中でハロゲン化水素酸を使用して行うことができ、これにより、Kornblum酸化によるワンポットでのその後の酸化が可能になる。
【0083】
加水分解は、ケタール、チオケタール、アミナール、およびそれらのヘミ改変体の加水分解のための任意の公知の方法を使用して行われ得る。加水分解の好ましい方法は、水性環境中で、好ましくは触媒量の酸の存在下で、約80℃に加熱することによる。加水分解は、好ましくは塩基性環境ではない。
【0084】
より好ましくは、工程iii)において、以下からなる群から選択される工程を含む変換反応が使用される。
a) 好ましくはDMSO中のハロゲン化水素酸を約80℃で使用する、ハロゲン化;
b) 好ましくは約80℃でジメチルスルホキシド(DMSO)で使用する、酸化;および
c) 好ましくは水性環境中で、より好ましくは触媒酸の存在下で約80℃に加熱することによる、加水分解。
【0085】
最も好ましくは、上記の工程a)およびb)が含まれる。これは、(I-Ac)型モノマーに特に有用である。当業者は、上記の様々な工程が機構的工程であり、例えば、分子状ジハロゲン、ハロゲン化水素酸、またはN-ハロゲン-スクシンイミドなどのハロゲン源の存在下、80℃でDMSOを使用して酸化を行うことによって同時に行うことができ、ハロゲン化および酸化の両方をもたらすことを理解するであろう。
【0086】
特に、一般式(I-PGA)または(I-PGAH)のモノマーは、それらが既にPGA型部分を含むため、一般に変換を必要としない。一般式(I-PGAH)のモノマーを脱水して一般式(I-PGA)のモノマーを形成することができ、一般式(I-PGA)のモノマーを水和して一般式(I-PGAH)のモノマーを形成することができる。そのような脱水は、好ましくは乾燥溶媒中での、より好ましくは60または80または100℃を超えるような上昇した温度でのインキュベーションを介する。水和は、水の存在下で、好ましくは周囲条件で自発的に起こる。
【0087】
特に、一般式(I-Ac)のモノマーは、一般に、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびHCl、HBr、またはHIなどのハロゲン化水素酸を使用して、単一ポット中で2工程でPGA型モノマーに首尾よく変換される。このような反応において、アセチル部分は最初にハロゲン化され、その後、DMSOによって酸化される。例えば、重合VPEがこの反応において使用される場合、このワンポット反応は、PGA型吸着剤を直接もたらす。そのような変換後、吸着剤は、好ましくは水などで洗浄され、より好ましくは洗浄液のpHがpH5~9の範囲になるまで洗浄される。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、工程i)が一般式(I-Ac)のモノマーの提供を含み、工程iii)が、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびハロゲン化水素酸を使用して、好ましくはDMSOおよびHBrなどのハロゲン化水素酸を使用して、一般式(I-Ac)の重合モノマーをPGA型モノマーに変換することを含む、本発明の製造方法を提供する。
【0088】
特に、hおよびhの少なくとも1つがハロゲンである一般式(Ih)のモノマーは、一般に、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)を使用して、単一の酸化工程でPGA型モノマーに首尾よく変換される。これは、ハロゲン化を省略した上述の一般式(I-Ac)の変換に類似している。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、工程i)が、hおよびhの少なくとも1つがハロゲンである一般式(Ih)のモノマーの提供を含み、工程iii)が、ジメチルスルホキシド(DMSO)を使用して、一般式(Ih)の重合モノマーをPGA型モノマーに変換することを含む、本発明の製造方法を提供する。あるいは、hおよびhが一緒になって単一の部分(ケタールなど)を形成するか、または(ヘミ)ケタール、(ヘミ)チオケタール、もしくは(ヘミ)アミナールを形成する一般式(Ih)のモノマーは、80℃などの高温での加水分解を使用して、好ましくは約1体積%酢酸などの触媒酸を使用して、PGA型モノマーに変換することができる。
【0089】
好ましい実施形態では、本発明は、工程iii)において、一般式(I)のモノマーの30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%超または100%がPGA型モノマーに変換される、本発明の製造方法を提供する。より好ましい実施形態において、本発明は、工程iii)において、一般式(I)のモノマーの55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%超、または100%がPGA型モノマーに変換される、本発明の製造方法を提供する。さらにより好ましい実施形態において、本発明は、工程iii)において、一般式(I)のモノマーの55%~100%がPGA型モノマーに変換される、本発明の製造方法を提供する。最も好ましい実施形態において、本発明は、工程iii)において、一般式(I)のモノマーの55%~90%がPGA型モノマーに変換される、本発明の製造方法を提供する。
【0090】
本発明の特定の実施形態では、工程iii)において、一般式(I)のモノマーの0%がPGA型モノマーに変換される。これは特に、一般式(I)の全ての重合されたモノマーが既にPGA型モノマーである場合である。
【0091】
組成物および他の製品
本発明の第3の態様において、本発明は、本発明のPGA型吸着剤および薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を提供する。以下、このような組成物を本発明の組成物と称する。このような組成物は、好ましくは薬学的組成物である。
【0092】
本発明の組成物および医薬組成物は、当技術分野で周知の方法によって製造することができる。例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、捕捉または凍結乾燥プロセスによって、リポソーム製剤、コアセルベート、水中油型エマルジョン、ナノ粒子/マイクロ粒子粉末、または任意の他の形状もしくは形態をもたらし得る。従って、本発明に従って使用するための組成物は、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つ以上の生理学的に許容可能なキャリアを使用して、従来の様式で処方され得る。適切な処方は、選択される投与経路に依存する。
【0093】
経口および非経口投与が使用され得、ここで、本発明の化合物または組成物は、本発明の化合物または組成物を当該分野で周知の薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせることによって、または本発明の化合物または組成物を食品添加物として使用することによって、容易に処方され得る。そのような戦略は、本発明の化合物または組成物を、治療される被検体による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化することを可能にする。経口使用のための調製物または薬理学的調製物は、固体賦形剤を使用して作製され得、必要に応じて、得られた混合物を粉砕し、そして所望される場合、適切な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを得る。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)のような崩壊剤が添加され得る。さらに、共製剤は、当該分野で公知の取り込み増強剤を用いて作製され得る。
【0094】
あるいは、組成物の1つ以上の成分は、使用前に適切なビヒクル(例えば、発熱物質を含まない滅菌水)を用いて構成するための粉末形態であり得る。組成物の成分は別々に提供されてもよい。
【0095】
本発明の組成物または医薬組成物はまた、適切な固体またはゲル相担体または賦形剤を含んでもよい。そのような担体または賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
本発明の医薬組成物はまた、急性腎不全または末期腎疾患(ESKD)などの、尿素の蓄積または尿素の不適切なクリアランスに関連する疾患または状態の処置のための、さらなる薬学的に活性な物質、好ましくはさらなる薬学的に活性な物質を含み得る。
【0097】
本発明の組成物または本発明のPGA型吸着剤は、腹膜透析または血液透析などの腎代替療法において有利に使用することができる。このような使用中、吸着剤または組成物は、一般に、(血液)透析装置または例えば腹膜透析装置に交換可能に挿入することができるカートリッジまたは膜に存在する。したがって、本発明は、本発明のPGA型吸着剤を含むか、または本発明の組成物を含む、透析装置において使用するためのカートリッジを提供する。そのような透析装置は、血液透析装置または腹膜透析における腹膜透析液の再生のための装置であり得る。したがって、本発明は、本発明のPGA型吸着剤を含むか、または本発明の組成物を含む、透析装置において使用するための膜を提供する。そのような透析装置は、血液透析装置または腹膜透析における腹膜透析液の再生のための装置であり得る。したがって、本発明は、本発明のPGA型吸着剤、本発明の組成物、または本発明のカートリッジを含む透析装置を提供する。そのような透析装置は、血液透析装置または腹膜透析における腹膜透析液の再生のための装置であり得る。
【0098】
カートリッジ、膜または透析装置に含まれる本発明のPGA型吸着剤または本発明の組成物に加えて、そのようなカートリッジ、膜および透析装置は、当技術分野において公知である。特定の実施形態では、カートリッジは使い捨てカートリッジである。特定の実施形態では、カートリッジは再生可能なカートリッジである。カートリッジはカセットと呼ぶこともできる。カートリッジは、様々な異なるタイプの構成要素と共に使用され、様々な方法で配置されるように適合可能であることが好ましい。カートリッジは、さらなる吸着剤を含んでもよい。求核性老廃物溶質を除去することによって、カートリッジは、透析中に使用される透析液および/または濾液を少なくとも部分的に再生する。カートリッジは、流体入口および流体出口を有する本体を含むことが好ましい。カートリッジの内部は、入口から内部に入る流体が吸着剤を通って流れ、続いて出口を通って流れるように構成され配置されることが好ましい。
【0099】
透析装置において使用するための膜は、好ましくは半透過性である。それはシート状であり、壁または壁の一部として作用することによって2つの容積を分離することができる。それは、2つの容積を接続する繊維束の形態であり得る。非常に好適な繊維束は、WO2006019293A1に記載されており、同軸に配置された複数の多孔質層を有する中空または中実繊維の束が記載されている。そのような束において、層の1つは、膜を通って流れる流体に十分にアクセス可能な官能化または活性粒子を含むことができる。本発明の好ましい実施形態では、本発明のPGA型吸着剤は、繊維が複数の同心層を有する繊維の束などの膜に含まれ、好ましくはそのような繊維の層の1つに含まれ、好ましくは膜を通過する流体または膜を通過する流体と接触するように構成され、好ましくは前記流体中の求核性老廃物溶質を捕捉するようにさらに構成される。そのような膜は、組み合わされた膜および吸着剤として作用することができ、さらなる小型化を可能にする。
【0100】
透析装置は閉鎖された無菌システムである。それは、1つまたは2つの流体回路を備える。それは、通常、2つの回路、すなわち、血液または腹膜透析液等の被検体の流体がそれを通して流動するように配置される流体回路である、いわゆる患者ループと、透析液および/または濾液等の透析流体が上述のようにカートリッジを通して循環される、いわゆる再生ループとを備える。この2つの回路は、(半透過性)膜によって互いに分離され、この膜を通って、老廃物溶質が被験体の流体から透析流体中に拡散または通過し得る。透析装置の周囲の環境からの空気、水分、病原体、および流体は、流体回路に入ることができない。透析システムは、流体(例えば、限外濾過液)および空気が、制御された状況下でこれらの流体回路を出るかまたは入ることのみを可能にする。
【0101】
医療用途
第4の態様において、本発明は、本発明のPGA型吸着剤および本発明の組成物の医学的使用を提供する。したがって、この態様は、医薬として使用するための、好ましくは尿素の蓄積または尿素の不適切なクリアランスに関連する疾患または状態の治療において使用するための、本発明のPGA型吸着剤または本発明の組成物を提供する。このような吸着剤または組成物は、本明細書では本発明に従って使用するための生成物と呼ばれる。
【0102】
この態様の特定の実施形態では、本発明は、アンモニアの蓄積またはアンモニアの不適切なクリアランスに関連する疾患または状態の治療において使用するための医薬として使用するための、本発明のPGA型吸着剤または本発明の組成物を提供する。この態様のさらなる特定の実施形態において、本発明は、医薬として使用するための本発明のPGA型吸着剤または本発明の組成物を提供し、ここで、PGA型吸着剤は、尿素を捕捉するためのものである。この態様のさらなる特定の実施形態において、本発明は、医薬として使用するための、本発明のPGA型吸着剤または本発明の組成物を提供し、ここで、PGA型吸着剤は、アンモニアを捕捉するためのものである。
【0103】
疾患または状態の処置は、疾患もしくは状態またはその症状の改善、抑制、予防、遅延、治癒または予防であり得、好ましくは、疾患または状態の症状の抑制であるものとする。腎不全の場合には、尿素は蓄積、または十分に除去されない可能性がある。尿素の蓄積または尿素の不適切なクリアランスに関連する疾患または状態の例は、末期腎疾患(ESKD);重度急性腎不全;例えば、胃腸出血による尿素の肝臓産生の増加;例えば、大手術または筋肉破壊を伴う極度の飢餓などの外傷によるタンパク質異化の増加;例えば、うっ血性心不全、ショック、重篤な下痢などの腎臓灌流低下の任意の原因による、尿素の腎臓再吸収の増加;利尿作用のための尿素注入による、テトラサイクリンまたはコルチコステロイドでの処置などの尿素産生の増加をもたらす薬物療法による医原性状態;慢性腎不全;および尿流出閉塞である。
【0104】
本発明の使用のための生成物は、それを必要とする被検体に投与することができ、本発明の使用のための生成物が被検体中の求核性老廃物溶質に捕捉することを可能にする。そのような投与は、好ましくは有効量の投与である。そのような方法における他の吸着剤の使用は、当技術分野において公知である(Gardner et al., Appl Biochem Biotechnol. 1984;10:27-40.)。
【0105】
投与は、当該分野で公知の方法を介して、好ましくは当該分野で公知の任意の処方物(例えば、カプセル、丸剤、ロゼンジ、ゲルカプセル、プッシュフィットカプセル、制御放出処方物)中での経口摂取を介して、または浣腸剤もしくは坐剤としての直腸投与を介してであり得る。1週間に1回、1週間に6、5、4、3、2、1回、毎日、1日2回、または1日3回、または1日4回であり得る。
【0106】
本発明の使用のための生成物は、処置方法における使用に適切である。そのような治療方法は、被検体、好ましくはそれを必要とする被検体に、ある量、好ましくは有効量の本発明の使用のための生成物を投与する工程を含む方法であり得る。
【0107】
透析治療に関して、本発明は、腎不全を処置するための種々の異なる透析治療において使用され得る。透析治療は、この用語または同様の用語が本明細書を通して使用される場合、疾患または状態に罹患している被験体から老廃物、毒素および過剰な水を除去するための任意のおよび全ての形態の治療を含み、そして包含することを意味する。血液透析、血液濾過および血液透析濾過などの血液治療は、間欠的治療と、持続的腎代替療法(CRRT)に使用される持続的治療との両方を含む。連続療法としては、例えば、緩徐連続限外濾過(SCUF)、連続静静脈血液濾過(CVVH)、連続静静脈血液透析(CVVHD)、連続静静脈血液透析濾過(CVVHDF)、連続動静脈血液濾過(CAVH)、連続動静脈血液透析(CAVHD)、連続動静脈血液透析濾過(CAVHDF)、連続限外濾過周期間欠血液透析などが挙げられる。本発明はまた、例えば、連続携行式腹膜透析、自動腹膜透析、タイダル腹膜透析、断続的腹膜透析、連続フロー腹膜透析、フロースルー腹膜透析などを含む腹膜透析の間に使用され得る。さらに、本発明は、ある実施形態において、急性または慢性の腎不全または疾患を有する被験体に対して透析治療を提供する方法において利用され得るが、本発明はまた、例えば、緊急治療室の設定において、急性透析の必要性のために使用され得ることが理解されるべきである。しかし、本発明の組成物は、透析に加えて、種々の異なる適用(生理学的および非生理学的)で効果的に利用され得ることが理解されるべきである。
【0108】
使用方法
本発明のPGA型吸着剤は、求核性溶質、好ましくは求核性老廃物溶質を捕捉するのに驚くほど有効である。第5の態様において、本発明は、流体から求核性老廃物溶質を除去する方法であって、
i) 求核性老廃物溶質を含む流体を提供する工程;
iia) 前記流体を、本発明のPGA型吸着剤、または本発明の組成物、または本発明のカートリッジと接触させる工程、または代替的に
iib) 前記流体を、膜を通して透析流体と接触させる工程であって、前記透析流体が、本発明のPGA型吸着剤、または本発明の組成物、または本発明のカートリッジと接触している工程;および
iii) 任意選択的に、流体を回収する工程
を含む方法を提供する。
【0109】
以下、このような方法を本発明の捕捉方法と称する。本方法は、求核性老廃物溶質を含む流体の尿素捕捉能が流体の連続流の尿素捕捉能による連続プロセスであり得る。そのような場合、好ましくは、工程iii)は任意ではなく、連続的にも行われる。本発明の結合方法は、常に、工程i)、工程ii)(工程iia)または工程iib)のいずれか1つ)、および任意に工程iii)を含む。
【0110】
求核性老廃物溶質は、求核性である溶解物質であり、その除去が望ましい。例えば、ヒト血液では、尿素は老廃物溶質である。飲料水として意図される未精製の水において、ほとんどの有機求核試薬は老廃物溶質である。求核性老廃物溶質の例は、アンモニア、尿素、クレアチニン、および小分子有機アミン、チオール、またはアルコールである。化学結合特性は、本発明のPGA型吸着剤を、生理学的条件および/または非生理学的条件に曝される様々な異なる用途によく適したものにする。一実施形態において、本発明のPGA型吸着剤は、血液、腹膜透析液、ならびに/または血液を透析および/もしくは濾過するために使用される溶液、例えば透析液および/もしくは濾液から、代謝老廃物、例えば尿素、クレアチニン、尿酸および/または他のもの、例えば尿毒症毒素、生物学的物質、タンパク質性物質などを除去するために使用することができる。本明細書の他の箇所に記載されるようなその関連性に起因して、非常に好ましい求核性老廃物溶質は尿素およびアンモニアである。好ましい実施形態では、求核性老廃物溶質はアンモニアである。他の好ましい実施形態では、求核性老廃物溶質は尿素である。
【0111】
工程i)において、求核性老廃物溶質を含む流体が提供される。これは、精製されるべき廃水であり得、精製されるべき廃溶媒であり得るが、被験体由来の(身体)流体(例えば、血液または腹膜透析液)でもあり得る。工程i)の流体が被検体からの流体である場合、それは好ましくは血液または腹膜透析液であり、最も好ましくは血液であり、好ましくは被検体から以前に得られた流体である。
【0112】
工程ii)では、2つの選択肢が存在する。1つの選択肢である工程iia)では、流体自体を、本発明のPGA型吸着剤、本発明の組成物、または本発明の膜もしくはカートリッジと直接接触させる。工程iia)は、溶媒の精製に、または老廃物溶質の除去後の消費または医療目的を意図しない流体に非常に適している。工程iib)は、透析流体および/または濾液を使用することによって、工程i)で提供された流体から結合吸着剤を分離する。工程iib)は、薬学的溶液から、または被験体から得られた流体(例えば、被験体の体液)からの求核性老廃物溶質の除去に特に適している。接触は、好ましくは24時間、12時間、6時間、4時間、3時間、2時間、60分、50分、40分、30分、20分、15分、10分、9分、8分、7分、6分、5分、4分、3分、2分もしくは1分、またはそれ未満続く。接触はまた、吸着剤を通過する連続流中であってもよく、その場合、除去された老廃物溶質の総量がより関連する。
【0113】
工程iib)で使用するための膜は、好ましくは半透膜である。これらは当該分野で公知であり、例えば、従来の(血液)透析装置中に存在する半透膜であり得る。上記のような本発明の膜を使用することもできる。透析流体は当技術分野において公知であり、超純水から生理学的緩衝液までの範囲であり得る。透析流体の非限定的な例は、既知量の、例えば、Na、K、Ca、Mg、Cl、アセテート、HCO、およびグルコースを含む培地(例えば、MDN Netherlands GmbH(Neubrandenburg,Germany)またはBaxter(Deerfield,Illinois,USA)またはDirinco B.V.(Oss,the Netherlands)から入手可能なもの)である。
【0114】
任意である工程iii)において、流体は回収される。本発明のPGA型吸着剤は、流体がそれを通って流れ、それを透過することができるように、多孔質、マクロ多孔質、または水性媒体中で膨潤性であることが多い。吸着剤と接触した流体の回収は、濾過、遠心分離、または吸着剤を含むカートリッジの除去によって容易に達成される。流体の回収は、そのさらなる処理、または被験体へのその戻りを可能にする。この態様内の好ましい実施形態では、流体は回収される。
【0115】
好ましくは、流体が工程iii)で回収される場合、関連する生理学的パラメータがその後分析され、適切な場合に調整される。例は、イオン濃度、浸透圧、pH、特にNa濃度、Ca濃度、およびMg濃度である。したがって、好ましい工程iii)は、流体を回収する工程であり、その後、流体pH、流体ナトリウム濃度、流体マグネシウム濃度、および流体カルシウム濃度のうちの少なくとも1つが決定され、任意選択で基準値に調整される。好ましい基準値は、流体の種類に対応する生理学的値である。調整は、当技術分野で知られている任意の適切な方法で行うことができる。調整は、基準値からの偏差が検出されたときに実行されることが好ましい。
【0116】
結合方法の好ましい実施形態では、吸着剤1グラム当たり少なくとも1.40、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.85、1.90、1.95、2.00、2.05、2.10、2.15、2.20、2.25、2.30、2.35、2.40、2.45、2.50、好ましくは、吸着剤1グラム当たり少なくとも1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、より好ましくは少なくとも1.60、更により好ましくは少なくとも1.80、最も好ましくは少なくとも2.10、2.15、2.20、2.25、2.30、2.35、2.40、2.45、または2.50mmolの求核性老廃物溶質が除去される。この除去は、好ましくは、工程i)で提供される流体からの特定の求核性老廃物溶質の初期濃度の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%またはそれ以上の除去、より好ましくは少なくとも50%またはそれ以上の除去を伴った。
【0117】
一般的な定義
本明細書および特許請求の範囲において、「含む(to comprise)」という動詞およびその活用形は、その非限定的な意味で使用されて、その単語に続く項目が含まれるが、具体的に言及されていない項目は除外されないことを意味する。さらに、不定冠詞「a」または「an」による要素への言及は、その要素が1つしか存在しないことを文脈が明確に要求しない限り、その要素が2つ以上存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」または「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。「約」または「およそ」という用語は、数値(例えば約10)に関連して使用される場合、「約」または「およそ」を意味する。は、好ましくは、値が、その値の5%前後の所与の値であり得ることを意味する。
【0118】
本発明において提供される分子は、必要に応じて置換され得る。適切な任意の置換は、ハロゲンによる-Hの置換である。好ましいハロゲンはF、Cl、BrおよびIである。さらなる適切な任意の置換は、-NH、-OH、=O、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルケン、ハロアルケン、アルキン、ハロアルキン、およびシクロアルキルによる1つ以上の-Hの置換である。アルキル基は一般式C2n+1を有し、あるいは直鎖または分岐鎖であってもよい。非置換アルキル基はまた、環状部分を含み得、従って、付随する一般式C2n-1を有する。必要に応じて、アルキル基は、本明細書中でさらに特定される1つ以上の置換基によって置換される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル、t-ブチル、1-ヘキシル、1-ドデシルなどが挙げられる。
【0119】
特に明記しない限り、-Hは、C-C12アルキル基、C-C12アルケニル基、C-C12アルキニル基、C-C12シクロアルキル基、C-C12シクロアルケニル基、C-C12シクロアルキニル基、C-C12アルコキシ基、C-C12アルケニルオキシ基、C-C12アルキニルオキシ基、C-C12シクロアルキルオキシ基、ハロゲン、アミノ基、オキソおよびシリル基であって、シリル基は、式(RSi-(式中、Rは、独立して、C-C12アルキル基、C-C12アルケニル基、C-C12アルキニル基、C-C12シクロアルキル基、C-C12アルコキシ基、C-C12アルケニルオキシ基、C-C12アルキニルオキシ基およびC-C12シクロアルキルオキシ基(ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基およびシクロアルキルオキシ基は、任意で置換されアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基およびシクロアルコキシ基は、O、NおよびSからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子によって中断されていてもよい)。
【0120】
構造式または化学名がキラル中心を有すると当業者によって理解されているが、キラリティーが示されていない場合、各キラル中心について、ラセミ混合物、純粋なR鏡像異性体、および純粋なS鏡像異性体のいずれかの3つ全てが個々に参照される。2つの部分が一緒になって結合を形成すると言われる場合、これは、これらの部分が原子として存在しないこと、および原子価のコンプライアンスが置換電子結合によって満たされることを意味する。これはすべて当技術分野で知られている。
【0121】
物質のパラメータが本発明の文脈において議論される場合は常に、他に特定されない限り、パラメータは、生理学的条件下で決定されるか、測定されるか、または明らかにされると仮定される。生理学的条件は、当業者に公知であり、水性溶媒系、大気圧、6~8のpH値、室温~約37℃(約20℃~約40℃)の範囲の温度、および適切な濃度の緩衝塩または他の成分を含む。電荷はしばしば平衡に関連することが理解される。電荷を有するまたは保有すると言われる部分は、そのような電荷を有さないまたは保有しないよりも頻繁にそのような電荷を有するまたは保有する状態で見出される部分である。したがって、当業者によって理解されるように、本開示において荷電していると示される原子は、特定の条件下で非荷電であり得、中性部分は、特定の条件下で荷電し得る。
【0122】
本発明の文脈において、評価されるパラメータの減少または増加は、そのパラメータに対応する値の少なくとも5%の変化を意味する。より好ましくは、値の減少または増加は、少なくとも10%、さらにより好ましくは少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、または100%の変化を意味する。この後者の場合、パラメータに関連する検出可能な値がもはや存在しない場合があり得る。
【0123】
本明細書に記載される薬剤としての物質の使用は、薬剤の製造における前記物質の使用として解釈することもできる。同様に、物質が処置のためにまたは医薬として使用される場合は常に、それはまた、処置のための医薬の製造のために使用され得る。使用のための生成物は、処置の方法における使用に適切である。
【0124】
本明細書全体を通して、混合物中のモノマーおよびコモノマーの量を表すために百分率が使用される場合、別段の記載がない限り、または文脈から明らかに明白でない限り、モル百分率が意図される。本出願を通して、(血液)透析は、血液透析および透析の両方をいう。一般に、透析装置は、本明細書に記載される任意のタイプの透析装置を指すことができる。
【0125】
以上、いくつかの例示的な実施形態を参照して本発明を説明した。いくつかの部分または要素の修正および代替実装形態が可能であり、添付の特許請求の範囲で定義される保護の範囲に含まれる。文献および特許文献の全ての引用は、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
図1】PGA/PGAH誘導体と尿素との反応。PGA型吸着剤の場合、Rはポリマー骨格であり得る。
図2A】スチレンからのPGA型吸着剤の合成。R=任意の架橋剤、R=未変性スチレン、R=転化反応の副生成物。
図2B】前駆体モノマー(VPE)からのPGA型吸着剤の合成。R=任意の架橋剤、R=変換反応の任意の副生成物。
図3】HBrおよびDMSOを用いたPS-AcまたはpVPEの酸化。PGA=フェニルグリオキサールアルデヒド、PGAH=フェニルグリオキサールアルデヒド水和物、PGOA=フェニルグリオキシル酸。
図4】pVPEの酸化時間の関数としてのpVPEビーズ(表2、エントリー2)の尿素捕捉能。酸化条件:DMSO(5.0mL)および48%HBr水溶液(1.45mL)中のpVPE(500mg)を、テフロン(登録商標)ブレード撹拌機を用いて80℃で4~12時間撹拌した。時点毎に±150mgのビーズを懸濁液から取り出し、尿素捕捉について試験した。
図5】PGAH、PS-AC-Ox@尿素、pVPE-Ox-(4)@尿素およびPGAHと尿素の2:1付加生成物のIRスペクトル。3’aとして示される付加物を、Jong, J. A. W. et al., ACS Omega 2019, 4 (7), 11928-11937に記載されるように合成した。
図6A】時間におけるPS-Ac-OxおよびpVPE-Ox-(4)の尿素捕捉。mmol尿素/g吸着剤で表す。
図6B】相対的尿素捕捉(最大捕捉能のパーセンテージ)。条件:37℃のPBS中30mM尿素溶液中の吸着剤(10mg/mL)(N=4)。三角形はpVPE-Oxを表し、四角形はPS-Ac-Oxを表す。
【0127】
[実施例]
<実施例1- 材料および方法>
1.1 NMR、UVおよびIR分光法
NMRスペクトルは、室温(RT)でBBIプローブを用いてBruker 600 MHzで記録した。残留溶媒シグナルを内部標準として使用した(CDClについて、1H:δ7.26 ppm、13C(1H):δ77.16 ppm)。化学シフト(δ)はppmで示し、カップリング定数(J)はヘルツ(Hz)で示す。共鳴は、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、bs(ブロードシングレット)およびm(マルチプレット)またはそれらの組み合わせとして報告される。UV吸収スペクトルは、Greiner Bio-One(Alphen aan de Rijn,the Netherlands)から入手したUV-Star Microplate 96ウェルを使用して、BMG LABTECHSpectroStar Nanoプレートリーダーで3回記録した。赤外(IR)スペクトルは、PerkinElmer ATRU Spectrum 2を用いてそのまま記録した。
【0128】
1.2 擬一次速度定数の決定
【化4】

PGAH(1a)および2つのPGAH誘導体(1bおよび1c)(0.3mmol、1.0当量)を、PBS:ジメチルスルホキシド(DMSO)の1:1v/v混合物(10mL)に溶解した。尿素(901mg、15mmol、50当量)をPGAH溶液に溶解し、続いて50℃で磁気撹拌した。反応混合物からの試料(50μL)を異なる時点で採取し、1:1v/v DMSO:PBS(500または700μL)で10(1a)または15(1bおよび1c)倍に希釈し、続いて同じ溶媒混合物を使用してさらに10倍に希釈した(したがって、それぞれ最終100または150倍希釈となる)。100倍または150倍に希釈した試料中のPGAH(誘導体)1a~cの濃度をUV分光法(1a、1bおよび1cについてそれぞれ260、263および270nm)によって測定した。1:1(v/v)DMSO:PBS中のPGAH(誘導体)(30mM)のストック溶液から、PBS:DMSOの1:1 v/v混合物中の希釈系列(最終濃度は0.030~0.360mMで変化させた)を用いて検量線を作成した。PGAH類似体のkPFO値は、log[PGAH]対時間のプロットの傾きから決定した。
【0129】
1.3 水中の10%ポリメタクリル酸ナトリウム塩溶液の調製
機械的撹拌機を備えたガラス反応器中で、80℃に加熱し30分間撹拌することによって、ポリメタクリル酸(10グラム)を水(84mL)に溶解した。次に、50%NaOH水溶液(2.67mL;68mmolのNaOH)溶液を加え、同じ温度で60分間撹拌を続けた。得られた粘性溶液をファルコンチューブに移し、懸濁重合における水相の増粘剤として後で使用するために4℃で保存した。
【0130】
1.4 スチレンの懸濁重合
スチレンの懸濁重合について、本発明者らは、本質的に、Jong (Jong, G. J. D. Ion exchangers from poly(aminostyrene) and ethyleneimine. 1971)に記載の方法を使用した。しかし、ヘキサンおよびポリアクリル酸ナトリウム塩の代わりにShellSolTDおよびポリ(メタクリル酸)ナトリウム塩溶液を使用した。
詳細な手順は以下の通りであった:水相を、NaCl(340mg)、ポリ(メタクリル酸)ナトリウム塩溶液(8.32gの10%水溶液)およびCaHPO(3.06g)を、テフロン(登録商標)ブレードスターラーを備えたガラス反応器中の水(540mL)に添加することによって調製した。水相を室温で30分間撹拌し、pHは6.9であった。有機相を、ビーカー中でスチレン(229mL、2.0mol)、ShellSolTD(276mL)およびトルエン(27mL)を混合することにより調製した。次に、55%工業的純度ジビニルベンゼン(DVB)(13mL、50mmol、2.5mol%)およびフタル酸ジシクロヘキシルとの50%過酸化ベンゾイルブレンド(6.0g、12.4mmol、0.6mol%)を有機相に添加し、開始剤が溶解し、室温(RT)で均質な溶液が形成されるまで撹拌した。続いて、有機相を180rpmで連続的に機械的に撹拌しながらガラス反応器中の水相に添加し、それによってo/wエマルションが形成され、窒素ガスで20分間フラッシングすることによって酸素を除去した。次に、エマルジョンを、機械的撹拌下、油浴中、73℃で16時間加熱した。得られた懸濁液を室温まで冷却し、ふるい(カットオフ200μm、Veco B.V.)に注ぎ、アセトンおよび水で洗浄した。白色ビーズを回収し、真空下でP上で乾燥させ、216gのポリスチレン(PS)ビーズを得た。TGA分析は、約14%の揮発物が存在することを示し、約186グラム(86%)の固体材料の収率を示した。
このようにして、マクロ多孔質ポリスチレンビーズ(PS)を、機械的撹拌機を備えた円筒形反応器中でスチレンと低含有量のジビニルベンゼン(DVB、2.5%)との懸濁共重合によって合成した。トルエンとShellSolTD(登録商標)の混合物(9:91v/v)を非溶媒和ポロゲンとして使用し、球状ビーズを97%の収率で得た。光学顕微鏡で測定したビーズの平均直径は0.49±0.18mmであった。走査型電子顕微鏡(SEM)分析は、細孔がビーズの表面上にはっきりと見えることを示した。窒素物理吸着によって決定されたビーズの表面積(SBET)および細孔容積は、それぞれ36.3m/gおよび0.32mL/gであった。細孔容積対細孔直径のプロットは、材料中に存在する細孔が主に50~100nmの範囲にあることを示し、得られたビーズが実際にマクロ多孔性であることを実証した。
【0131】
1.5 ポリスチレンのFriedel-Craftsアセチル化
テフロン(登録商標)ブレード撹拌機を備えたガラス反応器中で、PSビーズ(80.9g、0.77mol芳香族基、1.0当量)を、機械的撹拌下で30分間、1,2-ジクロロエタン(DCE、750mL)中で膨潤させた。無水AlCl(156g、1.17mol、1.5当量)を懸濁液に15分間かけて少しずつ(3~5グラム)加えた。全てのAlClを添加した後、塩化アセチル(66mL、0.94mol、1.2当量)をゆっくりと添加し、懸濁液を油浴中で50℃に5時間加熱し、その後、HClガスの形成(芳香族基と塩化アセチルとの反応によって引き起こされる)を停止させた。懸濁液を室温に冷却し、その後、懸濁液を濾過した(カットオフ200μm)。残渣を氷浴中0℃で500mLの6MHCl溶液に懸濁し、30分間撹拌してアルミニウム塩を除去した。この工程を2回繰り返した。懸濁液を濾過し(カットオフ200μm、Veco B.V.)、濾液のpHが>5になるまでアセトンおよび水で洗浄した。残渣を真空下でP上で乾燥させ、アセチル化ポリスチレン(PS-Ac、71.6g)を得た。
【0132】
1.6 アセチル化ポリスチレンのハロゲン化およびKurnblum酸化
テフロン(登録商標)ブレード撹拌機を備えたガラス反応器中で、PS-Acビーズ(60.0g)をDMSO(600mL、8.45mol)中で連続撹拌下で30分間膨潤させ、その後、48%HBr水溶液(175mL、1.55mol)をゆっくりと添加した。反応器の出口の1つを、形成されたMeSの流出を可能にする針を含むセプタムでキャップした。懸濁液を80℃で8時間撹拌し、その後、反応混合物を濾過した(カットオフ200μm、Veco B.V.)。濾液のpHが>5になるまで、残渣を水で洗浄した。残渣を真空下でP上で乾燥させ、PS-Ac-Ox(55.2グラム)を得た。
【0133】
1.7 吸着剤粒子の走査型電子顕微鏡分析
ビーズの形態を走査型電子顕微鏡(SEM, Phenom, FEI Company, the Netherlands)によって分析した。乾燥したビーズを、両面接着テープを用いて直径12mmのアルミニウム試験片スタブ(Agar Scientific Ltd., England)上に移した。分析の前に、真空下でイオンコーターを用いてビーズを白金で被覆した。5kV電子ビームを用いて試料を画像化した。
【0134】
1.8 光学顕微鏡によるビーズの大きさの測定
ビーズの直径を、デジタルカメラ(Nikon DS-2MvカメラおよびNikon DS-U1デジタルアダプター、4×倍率)およびNIS-elements basic research softwarepackageを備えたサイズ較正されたNikon eclipse TE2000-U顕微鏡を利用する光学顕微鏡を使用して測定した。ビーズの画像を乾燥状態で撮影し、30個の任意のビーズについて、ビーズの外周上の3点を同定して、プログラムによる円直径の計算を可能にした。平均直径および標準偏差を報告する。
【0135】
1.9 異なるビーズの定量的 13 C固体NMR分析
固体13C NMR測定のために、ビーズを粉砕し、マジック角回転(MAS)固体NMR分析用の3.2mmローターに移した。試料の分析は、AVANCE-IIIコンソールを備えたBruker 700MHzワイドボア磁石またはBruker 400MHz分光計のいずれかで行った。スペクトルは、室温(298K)で、10~14 kHzのマジックアングルスピニング(Magic Angle Spinning)(MAS)周波数を用いて記録し、スピニング側波帯とのシグナルの重複を最小にするように選択した。13C直接励起スペクトルについては、30°パルスを、55kHzおよび80kHz SPINAL64の場強度で適用した。Hデカップリングを取得中に適用した。各サンプルについての13C T1緩和時間を、逆回復を使用して決定し、そして2T1に設定した異なるサンプルについての繰り返し時間を確立するために使用した。1秒の非常に短い緩和時間を示したpVPE-Ox-(4)試料を除いて、他の試料については、T1は40~80秒で変化した。NMRスペクトルを200Hzのラインブロードニングで処理し、Bruker Topspin3.5で分析した。
【0136】
1.10 窒素物理吸着を用いたビーズの表面積の測定
物理吸着等温線を、MicromeriticsTristar 3000およびTriStar II Plus装置を用いて-196℃で測定した。分析の前に、試料を室温で16時間真空乾燥した。Brunauer-Emmett-Teller(BET)法を使用してビーズの表面積を決定し、p/p=0.995で吸着されたNの量から全細孔容積を導いた。Barrett-Joyner-Halenda(BJH)分析を使用して、Harkins-Jura厚さ曲線を用いて試料の細孔径/容積分布を決定した。圧力の上昇に伴う多孔質ポリマービーズの収縮および細孔の崩壊、ならびにその後の圧力の低下に伴う膨張のため、デッドボリュームの補正は不正確であり、デフォルトでは、試料の固体画分は圧力によって体積が変化しないと仮定されている。デッドボリュームはp/p≒0で決定され、測定中一定であると仮定されたので、デフォルトデッドボリューム補正等温線は、圧力の増加と共にわずかに減少し、これは物理的に意味がない。相対偏差は、pVPE-Oxのような、測定管中の低表面積(<5m/g)および高い材料容積関数について最大である。この変形、すなわち圧力によるデッドボリュームの変化の補正を、線形膨潤関数(Vadjusted = a・(p/p0)+Voriginal)(ここで、aは、p/p≒0における材料の容積に対する膨潤係数を表す。)によってこれらの等温線に、dV/d(p/p)>0までの全ての圧力で達成されるまで、適用した。aの値は1.2~7.2であり、これらの材料の著しい変形を示した。pVPE-OxビーズのSBET表面積は、圧力の関数としてこれらの体積変化について補正した等温線から計算した。
【0137】
1.11 尿素捕捉の決定
吸着剤ビーズ(15mg)を、Eppendorfチューブ中のPBS中の尿素溶液(1.5mL、30mM)で分散させた。試料を回転装置上の37℃のオーブンに入れた。1、2、4、8、16および24時間後、各時点につき2本のエッペンドルフチューブを取り、ビーズを沈降させ、上清を除去した。最大捕捉能力を決定するために、吸着剤ビーズ(バイアル当たり50mg)を、2つのガラスバイアル中でPBS中の尿素溶液(5mL、30または50mM)と共に70℃で24時間インキュベートし、その後、ビーズを沈降させ、上清中の尿素濃度を、AU5800ルーチン化学分析器(Beckman Coulter,Brea,CA)で、尿素濃度に比例する比色(570nm)生成物をもたらす共役酵素反応を使用して決定した。
【0138】
1.12 モノマーおよびビーズの熱分析
サーモグラフ分析(TGA)を以下のように行った。白金パン中で、ビーズを10℃/分の速度で加熱した。ランプ加熱中の重量損失(およびそれによる分解温度)をTA Instruments TGA Q50で測定した。異なる試料の異なる示差走査熱量測定(DSC)分析を以下のように行った。開放アルミニウムパン中で、モノマーまたはビーズを-50℃から250℃まで10℃/分の速度で加熱し、熱流をモニターした。次に、試料を250℃から-50℃に急冷し、続いて10℃/分の速度で250℃に再び加熱した。Tgまたは融点は、TA instruments Discovery DSCを用いて決定した。ビーズについては、第1の実験中に残留溶媒が蒸発したので、第2の実験の結果を報告する。単量体(VPE)については、第1の実験の事象を報告する。
【0139】
<実施例2- モノマーの提供>
2.1 一般式(I)のモノマーの設計
最初に、本発明者らは、フェニルグリオキサールアルデヒド水和物(PGAH)型吸着剤の反応性が適切な置換基によって増大され得るかどうかを調査した。尿素とパラ-メチル-PGAH(1b)(電子供与基(EDG)を有するPGAH誘導体)およびパラ-ニトロ-PGAH(1c)(電子吸引基(EWG)を有するPGAH誘導体)との反応動態を分析し、尿素を有する非置換PGAH(1a)の動態と比較した。ニンヒドリン類似体と尿素との反応に対する置換基の影響については、EDGの位置が、ニンヒドリン誘導体と尿素との全体的な反応性に対して限界効果を有することが見出されているので、メタ位上の置換基は調査しなかった(Jong, J. A. W. et al., ChemistrySelect 2018, 3 (4), 1224-1229)。
過剰(50当量)の尿素を使用して、1:2尿素-PGA付加物の形成を制限した。尿素濃度はPGAH濃度よりもはるかに高いので、その濃度はほぼ一定のままであり、したがって擬一次条件が有効であり、反応速度(-d[PGAH]/dt)をPGAH濃度のみに依存させる。PGAH(およびその誘導体)と尿素との反応の擬一次速度論を、UV分光法を使用して時間における1a~cの濃度を決定することによって分析した。PBSのみにおける1bおよび1cの溶解度が非常に低いため、この反応のための溶媒は、1:1(v/v)PBS/DMSO混合物とした。擬一次速度定数(kPFO)は、log(e)で割ったPGAH-(誘導体)濃度対時間の対数のプロットにおける負の傾きに対応し、表1に報告する。これは、NO置換基を有しないPGA類似体が好ましいことを示す。
【0140】
【表1】
【0141】
2.2 一般式(I)のモノマーを提供するための一般的方法
モノマーは、入手可能な場合には商業的尿素捕捉能業者から購入することができ、または化学合成によって調製することができる。このためには、スチレンまたはイソプロペニルベンゼンまたは一般に市販されている他の誘導体から出発するアシル化反応が適している。エチニルベンゼンは、三重結合の部分水素化によるアシル化後にビニル類似体を得ることができる別の適切な出発物質である。
【0142】
2.3 p-(ビニルフェニル)エテノン(VPE)の合成
【化5】

3つ口丸底フラスコ中で、p-(エチニルフェニル)エテノン(10.0g、69.4mmol)をEtOH(350mL)に懸濁し、Lindlar触媒(300mg、3重量%)を添加した。空気をHで置き換え、懸濁液を室温で2~16時間撹拌した。変換をモニターするために(これにより、VPEのアルカンへの過剰還元を防止するために)、試料を反応混合物から頻繁に採取し、減圧下でEtOHを蒸発させた後、変換をH-NMR(CDCl)によって決定した。>90%変換後、H充填バルーンを除去し、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物をCHClに再溶解し、Hyflo上での濾過により精製した。濾液を減圧下で濃縮して、粗VPEを黄色液体として収率99%(10.1g、69.0mmol)で得た。融点29℃、融解エンタルピー90.6J/g。1H-NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 7.92 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.48 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.75 (dd, J =17.6 Hz, 10.9 Hz, 1H), 5.87 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 5.39 (d, J = 10.9 Hz, 1H),2.59 (s, 3H).
【0143】
2.4 2-ブロモ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンの合成
【化6】

丸底フラスコ中で、p-(エチニルフェニル)ブロモ-エテノン(15.5g、69.4mmol)をEtOH(350mL)に懸濁し、Lindlar触媒(300mg、3重量%)を添加する。空気をHで置換し、次いで懸濁液を室温で2~16時間撹拌する。さらに実施例2.3に記載の手順に従って、粗前駆体モノマーを黄色/褐色がかった液体として得ることができる。
【0144】
2.5 2,2-ジヒドロキシ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンの合成
【化7】

VPE(146mg、1.0mmol、1.0当量)を、マグネチックスターラーを備えたマイクロ波管中でジオキサン(3mL)およびHO(0.3mL)の10:1混合物に溶解する。二酸化セレン(2.0mmol、2.0当量)を加え、管を密封する。二酸化セレンが完全に溶解するまで混合物を激しく振盪し、管をマイクロ波中に置き、180℃で5分間加熱する。粗反応混合物をシリカに含浸させ、シリカ(EtOAc:ヘキサン)で精製して、純粋な2,2-ジヒドロキシ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンを得る。
【0145】
2.6 1-(4-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオンの合成
【化8】

2,2-ジヒドロキシ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オンを、真空下でP上で一晩乾燥させて、1-(4-エテニルフェニル)エタン-1,2-ジオンを得る。
【0146】
2.7 (4-エテニルフェニル)(2-ジオキソラニル)メタノンの合成
【化9】

2,2-ジヒドロキシ-1-(4-エテニルフェニル)エタン-1-オン(1mmol、1当量)をエチレングリコールおよび1体積%AcOH(5mL)に溶解し、室温で一晩撹拌する。次いで、CHClを加え、混合物を分液漏斗に移す。有機層を水で3回洗浄して、エチレングリコールおよびAcOHを除去する。次いで、有機層を濃縮して、(4-エテニルフェニル)(2-ジオキソラニル)メタノンを得る。
【0147】
<実施例3-重合>
一般的な重合方法
一般式(I)のモノマーの重合は、イオン重合(アニオン性、カチオン性)、フリーラジカル重合、または制御ラジカル重合(RAFT、ATRP)などの任意の公知の重合方法を使用して行うことができる。任意の十分に不活性な溶解溶媒を使用することができる。懸濁重合は、粒状材料をもたらすことができるので、魅力的な方法である。架橋された吸着剤が所望される場合、最大10%までの架橋剤(例えば、ジビニルベンゼンまたはブタジエン)が、重合前にモノマー混合物に添加され得る。当業者は、一般に2つ以上の重合性部分を有する好適な架橋剤を選択することができる。約0.5%~約4%の架橋剤を使用すると良好な結果が得られた。より親水性の吸着剤が所望される場合、親水性コモノマー(例えば、ビニルベンゼンスルホン酸またはアクリル酸)が、重合前にモノマー混合物に添加され得る。当業者は、一般に単一の重合性部分を有し、カルボン酸またはスルホン酸などの非常に極性の高い基も含む好適な親水性コモノマーを選択することができる。吸着剤の多分散性はあまり重要ではないので、例えば一晩反応させることによって重合を完了させることが効率的である。これは、高いモノマー経済性を達成し、反応モニタリングの必要性を低減する。精製は、メタノールなどの未反応物質が溶解する任意の溶媒中での沈殿によって行うことができる。あるいは、重合混合物を粗混合物として変換に使用することができる。
【0148】
3.1 一般的な溶液重合法
モノマー(0.5mmol)をEtOH(2~10mL)に溶解し、ジビニルベンゼン(1~4当量)およびAIBN(1~3mol%)を添加した。フラスコを密閉し、溶液に窒素を20分間吹き込んだ。溶液を60℃に24時間加熱した。混合物を室温まで冷却させ、遠心分離し、上清を除去した。得られた吸着剤を洗浄し、EtOHで3回遠心分離し、最後の回は水で洗浄した。遠心分離後、ポリマーを真空下でP上で一晩乾燥させた。
【0149】
3.2 一般的な懸濁重合法
NaCl(10.5mg)、ポリアクリル酸ナトリウム塩(468mgの水中10重量%ゲル)、およびCa(PO(86mg)を、機械的撹拌機を備えたガラス反応器中の水(15mL)に添加し、30分間撹拌した。モノマー(15mmol)、ポロゲン(2~3mLの非水混和性液体)、80%ジビニルベンゼン(1~6mol%)およびジシクロヘキシルフタレート(1mol%)との50%過酸化ベンゾイルブレンドを別々に混合し、開始剤を溶解させた後、水相に添加した。エマルジョンが得られるまで、混合物をメカニカルスターラーで撹拌した。ガラス反応器中で空気を窒素で置換した。混合物を73℃で16時間撹拌し、その後、懸濁液を200μmフィルターで濾過した。残留物中の得られた粉末またはビーズをアセトンおよび水で洗浄し、真空下でP上で乾燥させた。
【0150】
3.3 ポリ[(p-ビニルフェニル)エテノン])-コ-(ジビニルベンゼン)]の調製
ポリスチレンビーズの調製についての手順と同じ手順を、いくつかの小さな改変を伴って使用した。簡潔には、水相を、NaCl(11mg)、ポリメタクリル酸ナトリウム塩溶液(452mgの水中10%ゲル)およびCaHPO(84mg)を水(15mL)に添加することによって調製した。有機相は、VPE(2.1g、14.4mmol、2mL)、ポロゲン(2.9mL、組成は表2を参照)、80%工業グレードDVB(3~6mol%)およびフタル酸ジシクロヘキシルとの50%ベンゾイルペルオキシドブレンド(174mg、0.36mmol、2.5mol%)から構成された。混合および重合(「スチレンの懸濁重合」と同じ手順に従った)後、得られた懸濁液を室温まで冷却し、フィルター(カットオフ200μm、Veco B.V.)上に注いだ。残渣をアセトンおよび水で洗浄し、最後に真空下でP上で乾燥させて、pVPE(1.1~1.9グラム、収率52~90%)を得た。
【0151】
【表2】
【0152】
<実施例4-重合されたモノマーの変換>
一般式(I)のモノマーの変換のための一般的方法
表3は、一般式(I)の異なるモノマーについての適切な変換方法を示す。精製は、メタノールなどの未反応物質が溶解する任意の溶媒中での沈殿によって行うことができる。
【表3】
【0153】
4.1 ポリ-VPEに基づくPGA型吸着剤の調製
実施例3.3で得られた異なる混合物をPGA型吸着剤に変換した。変換前のVPE型材料について、pVPEのハロゲン化およびKurnblum酸化を用いて変換を行った。アセチル化ポリスチレンビーズのハロゲン化およびKurnblum酸化についての手順と同じ手順を12時間使用し(実施例1.6を参照のこと)、バッチあたり600mgのPVPEにダウンスケールした。洗浄後、606mgの黄色ビーズ(pVPE-Ox)を得た。
こうして、pVPEビーズ中のアセチル芳香族基をハロゲン化し、続いてワンポット手順でKornblum酸化によってPGAH基に変換した。最も高いPGA/PGAH密度を得るためのこれらの酸化条件についての最適な反応時間を確立するために、ビーズを異なる時点で反応混合物から採取し、それらの尿素捕捉能を決定した(実施例4を参照のこと)。ビーズの尿素捕捉能は、最初の8時間の間の酸化時間と共に2mmol/gを超えて増加し、アセチル基のPGAH/PGAへの酸化の成功を実証した。比較のために、アセチル化PSビーズの酸化(前駆体モノマーを使用しない)は、この結合能力を達成し得なかった(実施例4を参照のこと)。
より長い反応時間では、捕捉能は減少した。8時間の酸化後に得られた吸着剤のIR分析(図5)は、1675cm-1に単一のカルボニルピークを示し、1740cm-1に小さなショルダーピークを有したが、48時間の酸化後に得られた吸着剤は、1675cm-1および1740cm-1に2つのカルボニルピークを示した。これは、おそらく過酸化によるものである(図3参照)。8時間試料における1740cm-1でのショルダーピークは、PGA/PGAHのPGOAへの過酸化が最初の8時間の間に既に起こったが、アセチル基のPGA/PGAH基への酸化よりも遅いことを示す。この過酸化を回避するために、HBrの存在を減少させるか、または反応時間を短縮することが望ましい。酸化のための、反応時間は、好ましくは最大32時間、より好ましくは最大24時間、さらにより好ましくは最大16時間、最も好ましくは最大約8時間である。
【0154】
4.2 ポリ(VPE-Br)に基づくPGA型吸着剤の調製
本質的に、この物質はハロゲン化を必要とせずにポリ-VPEとして扱うことができる。上記の一般的な懸濁重合法によって得られたポリマー樹脂(500mg)をDMSO中で膨潤させ、メカニカルスターラーで撹拌する。トリメチルアミンをDMSO-酸化のための塩基として使用し、これは懸濁液を80℃に8時間加熱して行う。実施例1.6と同様に洗浄を行い、その後、PGA型吸着剤を得る。
【0155】
4.3 ポリ(保護されたPGA)に基づくPGA型吸着剤の調製
本質的に、重合した(4-エテニルフェニル)(2-ジオキソラニル)メタノンであるこの物質(実施例2.7参照)は、保護されたPGA型吸着剤、すなわち、グリオキサール部分がアセタール保護されているPGA型吸着剤である。樹脂をTHF中で膨潤させ、その後、触媒酢酸および5体積%の水を添加して、グリオキサール部分を脱保護する。溶媒を2回濾過し、その後、新しいバッチのTHF、水および酢酸を添加する。次いで、吸着剤を水で2回洗浄し、実施例1.6に記載されるように乾燥させて、PGA型溶媒を得る。
【0156】
<実施例5-吸着剤の分析>
尿素捕捉能を決定するための一般的方法
吸着剤(10mgまたは15mg)を、1.5mL微量遠心チューブ(Eppendorf、各時点について個々のチューブ)中の尿素富化PBS(30mM、1mLまたは1.5mL)中に懸濁し、37℃で設定時間置いた。吸着剤をチューブ中で遠心沈降させ(従来の卓上遠心機で12.000rpm、5分間)、市販のウレアーゼアッセイ(DiaSys Diagnostic Systems GmbH,Holzheim,Germanyで購入した尿素CTFS**比色試験)を使用して上清中の尿素濃度を決定した。簡潔に言えば、この試験は、尿素濃度に比例する濃度の比色(570nm)生成物をもたらす、共役酵素反応を介して尿素濃度を決定する。最大尿素捕捉能を決定するために、試料を70℃で24時間置き、尿素濃度を上清中で決定した。
別の方法では、吸着剤(15mg)を、1.5mLEppendorf中の尿素のPBS溶液(1.5mL、30mMまたは50mM)に懸濁し、70℃の回転オーブンに入れた。24時間後、試料を室温まで冷却し、標準的なウレアーゼアッセイによって上清中の尿素濃度を決定した(70℃で24時間維持した尿素ストック溶液を陰性対照として使用した)。吸着剤の尿素捕捉能は、吸着剤の上清と対照溶液の尿素濃度の差に基づいて計算した。
【0157】
5.1 スチレンから誘導されたビーズの分析
PS型吸着剤を定量13C-固体NMRによって分析して、Ps-Ac-Ox中のPGAH基の量を定量化した。PS-Acの13C-NMRスペクトルで検出されたアセチル基のCHピークは消失しており、全てのアセチル基が変換されたことが示された。水和物炭素ピーク(80~100ppm)の下の面積を、芳香族ピーク(110~160ppm)および脂肪族ピーク(10~50ppm)の下の面積と比較すると、芳香族基の約40%(したがってアセチル基の約67%)がPGAH基に変換されたことが示された。加えて、PGOAからのカルボン酸カルボニルピークに帰属される165ppm付近の小さなピークが検出された。
PS-Acビーズを60グラムスケールで8時間酸化し、得られたビーズ(Ps-Ac-Ox)をSEM、光学顕微鏡および窒素物理吸着によって特徴付けた。PS-Ac-Oxは、PSおよびPS-Acと同様のサイズ(0.54±0.11mm)、表面積(37.0m/g)および細孔容積および細孔サイズ/容積分布を示した。これは、おそらく反応温度(80℃)がPS-AcビーズおよびPS-Ac-Oxビーズの両方のガラス転移温度(Tg)より低く(乾燥ビーズのTgはそれぞれ184℃、>230℃であったため)、酸化反応がマクロ多孔性に影響を及ぼさず、ビーズを劣化させないことを確認する。13C-NMRによる吸着剤のPGAH含有量は、小規模で調製した吸着剤と同様であった。Ps-Ac-Oxの尿素捕捉能は1.4mmol/gであった。表4は、これらの吸着剤の特性を示す。
【表4】
【0158】
5.2 前駆体モノマーに由来するビーズの分析
表2、エントリー2(SBET<0.05m/g)およびエントリー4(SBET=2.0m/g)のビーズを変換のために選択した。低表面積のビーズ(エントリー2)を、PS-Acに適用したのと同じ条件下で4~12時間酸化した。得られた酸化pVPEビーズ(pVPE-Ox-(2))の尿素捕捉能は1.8~2.2mmol/gであり、そのうち最も高い捕捉能(2.2mmol/g)は12時間の酸化後に得られた(図4参照)。したがって、最も高い表面積を有するpVPEビーズ(エントリー4)を12時間酸化し、これらのビーズ(pVPE-Ox-(4))の尿素捕捉能は1.8mmol/gであった。窒素物理吸着によって決定されたpVPE-Ox-(4)の表面積は、対応するpVPEビーズの表面積(1.9対2.0m/g)と同様であったが、これは、酸化反応の反応温度(80℃)がpVPEビーズのTg(147℃)よりもはるかに低く、したがってビーズがこれらの酸化反応条件下で寸法安定性を維持するからである可能性が最も高い。
VPE系材料は、スチレン系材料よりも高い尿素捕捉能を示したが、これは、アセチル基の密度の増加、したがって酸化後のより高いPGAH含有量のためであり得る(1.4対1.8~2.2mmol/g)。驚くべきことに、pVPEビーズの表面積は尿素捕捉能に影響を及ぼさなかった(pVPE-Ox-(2)およびpVPE-Ox-(4)についてそれぞれ1.8~2.2および1.8mmol/g)。これは、マクロ多孔性を有さない材料においてもPGAH基が尿素に対してアクセス可能であることを示しており、これはおそらく、極性および親水性カルボニル基並びに任意選択的にPGOAのカルボン酸基に起因して、吸着剤が水中でわずかだが十分な程度に膨潤するためである(図3)。加えて、尿素を捕捉すると、ビーズはより親水性になり、水および尿素への接近可能性をさらに高め、それによって尿素結合動態をさらに改善する。光学顕微鏡法によって決定されたpVPE-Ox-(4)ビーズの平均サイズは、pVPEビーズのものよりわずかに大きかった(それぞれ0.77±0.20および0.61±0.23mm)。窒素物理吸着実験中のビーズの膨潤/脱膨潤のために、これらの材料の細孔/体積分布は決定されなかった。pVPE-Ox-(4)および対応するpVPEビーズをSEMによって分析したところ、中空であるように見えた(真空下で乾燥後に収縮し、これは重合反応中のコア-シェル相分離を示唆している)。
pVPE-Ox-(2)およびpVPE-Ox-(4)中のPGAH基の密度を決定するために、これらの物質を13C固体NMR分光法によって分析した。水和物ピーク積分(80~100ppm)と骨格ピーク積分(10~50ppm)との比較は、pVPE-Ox-(2)およびpVPE-Ox-(4)の両方について約50%のPGAH含有量を実証し、これは、スチレン経路の代わりにVPEを使用してより高いPGAH含有量(それぞれ約50および約40%)が得られることを確認する。
【0159】
5.3 尿素結合挙動の分析
約50%がPGAH基で官能化されたpVPE-Ox吸着剤ビーズは、約2mmol/gの尿素捕捉能を有することが分かった。しかしながら、100%官能化吸着剤は、モノマーの分子量(178g/mol)に基づいて5.5mmol/gのPGAH基(3%の架橋剤を含む)を含有し、これは、約50%のPGAH基を有する吸着剤が、最大で2.8mmol/gの尿素捕捉能を有することを意味する。PGAH基で官能化された吸着剤の実際の尿素捕捉能が、尿素とPGAHとの1:1反応に基づく理論的尿素捕捉能よりも低い理由は2つある。第1に、PGAH基のいくつかは、尿素に接近できないかもしれない。第2に、PGAHは尿素と1:1および2:1の両方の比で反応することができ(図5の構造3’a参照)、したがって、PGAHが尿素と2:1の比で反応すると、1つの潜在的結合部位が失われる。13C-NMR分光法による、吸着剤1グラム当たり約2mmolの尿素を有するビーズ中のアクセス不可能な、したがって未反応のPGAH基の定量化は、未反応のPGAHおよび反応したPGAHがスペクトルの同じ領域にシグナルを生じさせるため、不可能である。したがって、尿素と反応した吸着剤ビーズ(PS-AC-Ox@尿素およびpVPE-Ox-(4)@尿素)を、PGAH、ならびにPGAHおよび尿素の2:1付加物(3’a)と共に、IR分光法で分析した(図5)。PGAHは、1700cm-1に明確なケトン-カルボニル伸縮振動を示し、1210cm-1にC-O伸縮振動を示す。しかしながら、これらのピークは、PS-Ac-Ox@尿素およびpVPE-Ox-(4)@尿素のIRスペクトルにおいてより低い強度を有し、主カルボニルピークは明らかにシフトしている(1700~1740cm-1)。これらの観察に基づいて、PGAH基の大部分は実際に尿素との反応に利用可能であり、反応したと結論付けられる。これは、表面積が尿素捕捉能に影響を与えないという観察と一致する。さらに、PS-AC-Ox@尿素およびpVPE-Ox-(4)@尿素のIRスペクトルは、単離された2:1付加生成物3’aのIRスペクトルにより類似している。3’aの1650~1800cm-1の領域におけるカルボニル伸縮振動から生じるいくつかのピークは、PS-AC-Ox@尿素およびpVPE-Ox-(4)@尿素のスペクトルにも存在する。したがって、1:1 PGAH:尿素付加物と第2のPGA基との反応が吸着剤ビーズ中で少なくともある程度起こると結論付けることができ、吸着剤の尿素捕捉能(約2.0mmol/g)と実際のPGAH含有量に基づく理論的能力(2.8mmol/g)との間の違いを説明する。
2つの異なる種類のPGA型吸着剤の尿素結合の動態を、それらをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の30mM尿素溶液中で37℃、透析液の再生を代表する条件でインキュベートすることによって調査した。尿素捕捉は、異なる時点で溶液中の尿素濃度を測定することによって決定した(図6A)。PS-Ac-Ox吸着剤は、24時間後に0.5~0.6mmol/gの捕捉しか示さなかった。吸着剤pVPE-Ox-(4)は、8時間で1グラム当たり0.5~0.6mmolを既に捕捉しており、24時間後に0.8~0.9mmol/gに増加し、その最大捕捉能の約50%に達した。図6Bは、両方の材料が24時間後に最大捕捉能の約45%に達したことを示す。
【0160】
5.4 様々な吸着剤の最大結合能
最大尿素捕捉能を、PS型または前駆体型のいずれかの異なる吸着剤について決定した。表5は、静的条件下、70℃で24時間、PBS中の尿素溶液(10mg/mL)中の吸着剤ビーズの尿素捕捉能を示す。
【表5】
【0161】
5.5 結論
フェニルグリオキサールアルデヒド水和物(PGAH)基を含有するPGA型吸着剤ビーズは、懸濁重合を使用して前駆体モノマーを介して、続いて前駆体のPGAへのモノマー変換(ここでは酸化)を介して首尾よく調製された。VPE経路は、スチレンを使用する既知の経路よりも性能が優れており、また、1つの重合後修飾工程を節約し、重要なことに、より高いPGAH含有量(PS型吸着剤に対して約50%対約40%)および付随してより高い結合能(PS型吸着剤に対して1.8mmol/g超対1.4mmol/g)を有する吸着剤をもたらす。
VPE型吸着剤中のPGAH基の接近可能性は、材料の表面積に依存せず、これはおそらくビーズがわずかに膨潤するためであろう。模擬透析液からの尿素吸着動態は、37℃で8時間後に捕捉能の約30%に達することを示した。開発された最良の吸着剤(pVPE-Ox-(4))は、8時間で約0.5~0.6mmol/gに結合し、これは、約700グラムのこのPGAH型吸着剤が、8時間の透析セッション中に400mmolの末期腎疾患患者の毎日の尿素生成を除去するために必要とされることを実証する。
【0162】
[参考文献]
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図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】