(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】リチウム電池用難燃剤
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20230119BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20230119BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20230119BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230119BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/0569
H01M10/0568
H01M10/052
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528993
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020060941
(87)【国際公開番号】W WO2021101921
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594066006
【氏名又は名称】アルベマール コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グー,ヂォンシン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ツェー-チョン
(72)【発明者】
【氏名】ベルツ,ザッシャ・ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,マーク・ティモシー
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029CJ08
5H029HJ01
(57)【要約】
本発明は、1つ以上の臭素化難燃剤を含むリチウム電池用の非水系電解質溶液を提供する。非水系電解質溶液は、a)液体電解質媒体と、b)リチウム含有塩と、c)少なくとも1つの臭素化難燃剤とを含む。臭素化難燃剤は、電解質溶液中に難燃量で存在する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池用の非水系電解質溶液であって、前記溶液が、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)難燃量の、A)トリブロモエチレンもしくはトリブロモネオペンチルアルコール、またはB)a)重量比が約0.75:1~約3:1の1,2-ジブロモエタンとトリブロモエチレンとの難燃剤混合物、もしくはb)重量比が0.75:1~約2.25:1のトリブロモエチレンと2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンとの難燃剤混合物と
を含む、前記非水系電解質溶液。
【請求項2】
iii)が、
トリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し4wt%超である、または
トリブロモネオペンチルアルコールであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し10wt%超である、
請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
iii)がトリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し15wt%超である、請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
iii)が、難燃剤混合物であり、かつ
1,2-ジブロモエタン及びトリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約6wt%以上である、または
トリブロモエチレン及び2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約4wt%以上である、
請求項1に記載の溶液。
【請求項5】
前記難燃剤混合物が1,2-ジブロモエタン及びトリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約20wt%以上である、請求項1に記載の溶液。
【請求項6】
2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンをさらに含み、臭素化難燃剤がトリブロモエチレンであり、トリブロモエチレン:2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンの重量比が約0.75:1~約2:1であり、難燃性分子の前記難燃量が、前記非水系電解質溶液の総重量に対し約4wt%以上である、請求項1に記載の溶液。
【請求項7】
前記液体電解質媒体が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、もしくはこれらの混合物である、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウムもしくはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項1~6のいずれかに記載の溶液。
【請求項8】
iii)がトリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールであり、前記溶液が、
iv)以下から選択される少なくとも1つの電気化学的添加剤:
a)3~約6個の炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約5個の炭素原子及び1~約4個のフッ素原子を含むフッ素含有飽和環状カーボ
ネート、
c)3~約9個の炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約12個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェート、
e)3~約8個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員、7員、または8員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、ならびに
j)前述のいずれか2つ以上の混合物
をさらに含む、請求項1に記載の溶液。
【請求項9】
前記電気化学的添加剤が、
a)3~約4個の炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約4個の炭素原子及び1~約2個のフッ素原子を含むフッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3~約6個の炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約9個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェート、
e)3~約4個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環を有し、2~約4個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、g)5員環を有し、2~約4個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、h)6員または7員環を有し、2~約4個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、ならびに
j)前述のいずれか2つ以上の混合物
から選択される、請求項8に記載の溶液。
【請求項10】
前記電気化学的添加剤が、
a)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約12wt%の不飽和環状カーボネート、
b)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約15wt%のフッ素含有飽和環状カーボネート
c)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.1wt%~約5wt%のトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約5wt%のトリヒドロカルビルホスフェート、
e)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.25wt%~約5wt%の環状スルトン、
f)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約5wt%の飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.25wt%~約5wt%の飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約5wt%の環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約5wt%の別のリチウム含有塩、及び
j)前述のいずれか2つ以上の混合物
から選択される、請求項8または9に記載の溶液。
【請求項11】
前記電気化学的添加剤が、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、環状スルトン、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、または別のリチウム含有塩である、請求項8~10のいずれかに記載の溶液。
【請求項12】
前記電気化学的添加剤が、それぞれ、前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%の飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、約0.5wt%~約4wt%の環状スルトン、約0.2wt%~約3wt%のトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、または約1wt%~約4wt%の別のリチウム含有塩である、請求項8に記載の溶液。
【請求項13】
前記電気化学的添加剤が、ビニレンカーボネート、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、またはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項8または12に記載の溶液。
【請求項14】
各電気化学的添加剤が他の電気化学的添加剤と共に使用されない、請求項12または13に記載の溶液。
【請求項15】
前記電気化学的添加剤が、ビニレンカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェート、1-プロパン-1,3-スルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシド、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物から選択される、請求項8~10のいずれかに記載の溶液。
【請求項16】
前記電気化学的添加剤が、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約3wt%のビニレンカーボネート、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約8wt%~約11wt%のビニレンカーボネート、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約15wt%の4-フルオロエチレンカーボネート、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.2wt%~約3wt%のトリス(トリメチルシリル)ホスファイト、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約5wt%のトリアリルホスフェート、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約4wt%の1,3-プロパンスルトンまたは1,3-プロペンスルトン、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%の1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%の1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%の1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシド、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%のビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及び
これらのいずれか2つ以上の混合物
から選択される、請求項15に記載の溶液。
【請求項17】
前記電気化学的添加剤が、ビニレンカーボネート、1-プロパン-1,3-スルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、及びビス(オキサラト)ホウ酸リチウムから選択される、請求項15または16に記載の溶液。
【請求項18】
前記電気化学的添加剤が、それぞれ、前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約4wt%の1-プロパン-1,3-スルトン、約0.5wt%~約4wt%の1-プロペン-1,3-スルトン、約1wt%~約4wt%の1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、及び約1wt%~約4wt%のビス(オキサラト)ホウ酸リチウムから選択される、請求項15に記載の溶液。
【請求項19】
各電気化学的添加剤が他の電気化学的添加剤と共に使用されない、請求項17または18に記載の溶液。
【請求項20】
正極と、負極と、請求項1~19のいずれかに記載の非水系電解質溶液とを含む、非水系リチウム電池。
【請求項21】
リチウム電池用の非水系電解質溶液を作製する方法であって、前記方法が、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)難燃量の、A)トリブロモエチレンもしくはトリブロモネオペンチルアルコール、またはB)a)重量比が約0.75:1~約3:1の1,2-ジブロモエタンとトリブロモエチレンとの難燃剤混合物、もしくはb)重量比が0.75:1~約2.25:1のトリブロモエチレンと2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンとの難燃剤混合物と
を含む構成要素を合わせることを含む、前記方法。
【請求項22】
iii)がトリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールであり、前記構成要素が、
iv)以下から選択される少なくとも1つの電気化学的添加剤:
a)3~約6個の炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約5個の炭素原子及び1~約4個のフッ素原子を含むフッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3~約9個の炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約12個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェート、
e)3~約8個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員、7員、または8員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、ならびに
j)前述のいずれか2つ以上の混合物
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記電気化学的添加剤が、ビニレンカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェート、1-プロパン-1,3-スルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、1,3,2-ジオキサチオラン2
-オキシド、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシド、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
iii)が、
トリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し4wt%超である、または
トリブロモネオペンチルアルコールであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し10wt%超である、
請求項21に記載の方法。
【請求項25】
iii)がトリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し15wt%超である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
iii)が難燃剤混合物であり、かつ
1,2-ジブロモエタン及びトリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約6wt%以上である、または
トリブロモエチレン及び2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約4wt%以上である、
請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記難燃剤混合物が1,2-ジブロモエタン及びトリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約20wt%以上である、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記液体電解質媒体が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、もしくはこれらの混合物である、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウムもしくはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項21または22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池用難燃剤に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池の安全性に影響を及ぼす構成要素の1つは、リチウム含有電解質溶液で可燃性の溶剤が使用されていることである。電解質溶液に難燃剤を含めることが、可燃性を軽減する1つの方法である。難燃剤が電解質溶液の好適な構成要素であるためには、電解質溶液への可溶性に加えて、電池運用範囲での電気化学的安定性と、電池性能への悪影響が最小限であることとが必要となる。電池性能への悪影響としては、導電性の低下、及び/または活性物質に対する化学的不安定性を挙げることができる。
【0003】
所望されるのは、可燃性を効果的に抑制できると共に、合理的なコストでリチウムイオン電池の電気化学的性能への影響を最小限に抑える難燃剤である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、少なくとも1つの臭素化難燃剤を含むリチウム電池用の非水系電解質溶液を提供する。臭素化難燃剤(複数可)が存在する場合、少なくとも実験室条件下では、このような非水系電解質溶液での発火が消える。
【0005】
本発明の1つの実施形態は、リチウム電池用の非水系電解質溶液であり、当該溶液は、I)液体電解質媒体と、ii)リチウム含有塩と、iii)難燃量の、A)トリブロモエチレンもしくはトリブロモノペンチルアルコール、またはB)a)重量比が約0.75:1~約3:1の1,2ジブロモエタン及びトリブロモエチレンの混合物、もしくはb)重量比が0.75:1~約2.25:1のトリブロモエチレン及び2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンの混合物とを含む。
【0006】
難燃量で存在する物質がA)トリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールである場合、任意選択で、iv)少なくとも1つの電気化学的添加剤であって、a)3~約6個の炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、b)3~約5個の炭素原子及び1~約4個のフッ素原子を含むフッ素含有飽和環状カーボネート、c)3~約9個の炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、d)3~約12個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェート、e)3~約8個の炭素原子を含む環状スルトン、f)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、g)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、h)6員、7員、または8員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、i)別のリチウム含有塩、及びj)前述のいずれか2つ以上の混合物から選択される、電気化学的添加剤が存在する。
【0007】
本発明のこれら及び他の実施形態及び特徴は、後述の説明及び添付の特許請求の範囲からさらに明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では、「電解質溶液」という表現は、「非水系電解質溶液」という表現と互換的に使用される。
【0009】
液体電解質媒体は、リチウム電池で使用されるリチウム電解質溶液用の液体電解質媒体
を典型的に形成する1つ以上の溶媒を含み、当該溶媒は、極性及び非プロトン性であり、電気化学的サイクルに対し安定しており、好ましくは低粘性である。このような溶媒には、通常、非環状炭酸エステル、環状炭酸エステル、エーテル、イオウ含有化合物、及びホウ酸のエステルが含まれる。
【0010】
本発明の実施において液体電解質媒体を形成することができる溶媒としては、エチレンカーボネート(1,3-ジオキソラン-2-オン)、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジオキソラン、ジメトキシエタン(グリム)、テトラヒドロフラン、メタンスルホニルクロリド、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド(エチレンサルファイト)、1,3-プロピレングリコールホウ酸エステル、及び前述のいずれか2つ以上の混合物が挙げられる。
【0011】
好ましい溶媒としては、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましいのは、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物であり、特に、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネートの体積比が約20:80~約40:60、より好ましくは約25:75~約35:65の範囲の混合物である。
【0012】
本発明の実施において好適なリチウム含有塩としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、硝酸リチウム、チオシアン酸リチウム、アルミン酸リチウム、テトラクロロアルミン酸リチウム、テトラフルオロアルミン酸リチウム。テトラフェニルホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、ヘキサフルオロアンチモン酸リチウム、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、アルキル基の炭素原子が1~6個のアルキル炭酸リチウム、メチルスルホン酸リチウム、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム、ペンタフルオロエチルスルホン酸リチウム、ペンタフルオロフェニルスルホン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、リチウム(エチルスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、及び前述のいずれか2つ以上の混合物が挙げられる。好ましいリチウム含有塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム及びビス(オキサラト)ホウ酸リチウムが挙げられる。
【0013】
電解質溶液中のリチウム含有塩の典型的な濃度は、約0.1M~約2.5Mの範囲、好ましくは約0.5M~約2M、より好ましくは約0.75M~約1.75M、さらに好ましくは約0.95M~約1.5Mの範囲内にある。複数のリチウム含有塩がリチウム含有電解質を形成する場合の濃度は、電解質溶液中に存在する全てのリチウム含有塩の総濃度を指す。
【0014】
電解液は、リチウム塩に加えて他の塩を含んでもよいが、このような他の塩(複数可)が、所望の用途における電池の性能または電解質溶液の難燃性のいずれかを実質的に低下させない場合に限る。リチウム塩以外の好適な電解質としては、他のアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、及びセシウム塩、ならびにアルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、及びバリウム塩が挙げられる。いくつかの態様において、非水系電解質溶液中の塩は、1つ以上のリチウム塩のみである。
【0015】
電解質溶液中に存在してもよい好適なアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、硝酸ナト
リウム、チオシアン酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、テトラクロロアルミン酸ナトリウム、テトラフルオロアルミン酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、及びヘキサフルオロリン酸ナトリウム)、ならびにカリウム塩(例えば、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸カリウム、硝酸カリウム、チオシアン酸カリウム、アルミン酸カリウム、テトラクロロアルミン酸カリウム、テトラフルオロアルミン酸カリウム、テトラフェニルホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、及びヘキサフルオロリン酸カリウム)が挙げられる。
【0016】
電解質溶液中に存在してもよい好適なアルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、チオシアン酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、テトラクロロアルミン酸マグネシウム、テトラフルオロアルミン酸マグネシウム、テトラフェニルホウ酸マグネシウム、テトラフルオロホウ酸マグネシウム、及びヘキサフルオロリン酸マグネシウム)、ならびにカルシウム塩(例えば、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、過塩素酸カルシウム、硝酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、テトラクロロアルミン酸カルシウム、テトラフルオロアルミン酸カルシウム、テトラフェニルホウ酸カルシウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、ヘキサフルオロリン酸カルシウム)が挙げられる。
【0017】
本発明の実施において、難燃剤は非水系電解質溶液の液体媒体と混和性である(「混和性」とは、難燃剤が電解質溶液から分離した相を形成していないことを意味する)。より具体的には、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含む30wt%のエチレンカーボネートと70wt%のエチルメチルカーボネートとの混合物において、難燃剤が、振とう機で24時間振とうした後に単相を形成し、振とうを停止した後に分離相を形成せず、非水系電解質溶液から沈殿せず、懸濁液またはスラリーを形成する場合、この難燃剤は混和性である。臭素化難燃剤は、非水系電解質溶液の他の構成要素の沈殿、または懸濁液もしくはスラリーの形成を引き起こさないことが推奨され、かつ好ましい。
【0018】
本発明の実施において、2つ以上の臭素化難燃剤の混合物を使用することができる。臭素化難燃剤の混合物において、一方の構成要素は1,2-ジブロモエタンであり、他方の構成要素はトリブロモエチレンである。混合物において、1,2-ジブロモエタン:トリブロモエチレンの重量比は、約0.75:1~約3:1の範囲内、より好ましくは約1:1~約3:1、さらに好ましくは約1:1~約2.5:1の範囲内にある。
【0019】
2つ以上の臭素化難燃剤の混合物において、難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し難燃性分子約6wt%以上であり、ここで、この量は、特に1,2-ジブロモエタン:トリブロモエチレンの重量比が約0.75:1~約1.25:1の範囲内にある場合の非水系電解質溶液中の臭素化難燃剤の総量を指す。他の実施形態において、難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し難燃性分子約20wt%以上であり、ここで、この量は、特に、1,2-ジブロモエタン:トリブロモエチレンの重量比が約2:1~約2.5:1の範囲内にある場合の非水系電解質溶液中の臭素化難燃剤の総量を指す。
【0020】
電解質溶液には、所望に応じて1つ以上の非臭素化難燃剤を含めることができる。このような他の難燃剤とは、一般的には、フッ素化シクロトリホスフィニン誘導体、例えば、2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニン及び2-エトキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロトリホスフィニンのことである。好ましい非臭素化難燃剤は、2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンである。
【0021】
非臭素化難燃剤との混合物において、臭素化難燃剤はトリブロモエチレンであり、非臭素化難燃剤は2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンである。これらの非臭素化難燃剤との混合物において、トリブロモエチレンと2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンの重量比は約0.75:1~約2.25:1、好ましくは約0.75:1~約2:1、より好ましくは約0.9:1~約1.5:1である。
【0022】
非臭素化難燃剤を使用する場合、難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し難燃性分子約4wt%以上であり、ここで、この量は、非水系電解質溶液中の臭素化難燃剤及び非臭素化難燃剤の総量を指す。好ましい実施形態において、特に、トリブロモエチレン:2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンの重量比が約0.75:1~約1.25:1の範囲内、または約1.5:1~約2:1の範囲内にある場合、難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し難燃性分子約4wt%以上である。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの電気化学的添加剤が、トリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールと共に非水系電解質溶液に含まれる。
【0024】
本発明の実施において、非水系電解質溶液における難燃量とは、溶液が後述の修正版水平UL-94試験に合格する程度に十分な難燃剤が存在することを意味する。好ましい難燃剤は、後述の熱乱用試験にも合格する。難燃剤及びその組合せが異なれば、難燃量も異なる。トリブロモエチレンの場合、難燃量は、通常、難燃性分子約4wt%超、好ましくは難燃性分子約6wt%以上、より好ましくは難燃性分子約8wt%以上である。より好ましくは、トリブロモエチレンの難燃量は、難燃性分子約8wt%~約10wt%である。いくつかの実施形態において、トリブロモエチレンの場合、難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、好ましくは難燃性分子約10wt%以上であり、他の実施形態においては、非水系電解質溶液の総重量に対し、好ましくは難燃性分子約15wt%以上である。トリブロモネオペンチルアルコールの場合、難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し難燃性分子約10wt%超、好ましくは難燃性分子約15wt%超である。
【0025】
非水系電解質溶液における臭素含量の観点からの難燃量(後述の修正版水平UL-94試験に合格する量)は、難燃剤がトリブロモエチレンである場合、通常、非水系電解質溶液の総重量に対し臭素(原子)約5wt%以上である。難燃剤がトリブロモネオペンチルアルコールの場合、臭素含量の観点からの難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、通常、臭素(原子)約8wt%以上である。
【0026】
いくつかの実施形態において、トリブロモエチレンの難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し臭素(原子)約5.4wt%以上である。好ましくは、トリブロモエチレンの場合、臭素含量の観点からの難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し臭素(原子)約7wt%以上、好ましくは約9wt%以上である。
【0027】
他の実施形態において、トリブロモネオペンチルアルコールの難燃量は、非水系電解質溶液の総重量に対し臭素(原子)約9wt%以上であり、好ましくは、非水系電解質溶液の総重量に対し臭素(原子)約10wt%以上、より好ましくは約12wt%以上である。
【0028】
本発明の実施において、電気化学的添加剤は、非水系電解質溶液の液体媒体に可溶であるか、または混和性である。液体形態である電気化学的添加剤は、非水系電解質溶液の液
体媒体と混和性である。ここで、「混和性」とは、電気化学的添加剤が電解質溶液から分離相を形成しないことを意味する。より具体的には、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含む30wt%のエチレンカーボネートと70wt%のエチルメチルカーボネートとの混合物において、電気化学的添加剤が、振とう機で24時間振とうした後に単相を形成し、振とうを停止した後に分離相を形成せず、非水系電解質溶液から沈殿せず、懸濁液またはスラリーを形成する場合、この電気化学的添加剤は混和性である。
【0029】
「可溶性」という用語は、通常、固体形態の電気化学的添加剤に使用され、電気化学的添加剤がひとたび溶解すると、非水系電解質溶液から沈殿したり、懸濁液またはスラリーを形成したりしないことを示す。より具体的には、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含む30wt%のエチレンカーボネートと70wt%のエチルメチルカーボネートとの混合物において、電気化学的添加剤が、振とう機で24時間振とうした後に溶解し、振とうを停止した後に沈殿物も懸濁液もスラリーも形成されない場合、この電気化学的添加剤は可溶性である。電気化学的添加剤は、非水系電解質溶液の他の構成要素の沈殿、または懸濁液もしくはスラリーの形成を引き起こさないことが推奨され、かつ好ましい。
【0030】
臭素化難燃剤、電気化学的添加剤、及びこれらの混合物は、概して電気化学的サイクルに対し安定しており、好ましくは粘性が低く、及び/または非水系電解質溶液の粘性を著しく高めない。
【0031】
様々な実施形態において、電気化学的添加剤は、a)3~約4個の炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、b)3~約4個の炭素原子及び1~約2個のフッ素原子を含むフッ素含有飽和環状カーボネート、c)3~約6個の炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、d)3~約9個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェート、e)3~約4個の炭素原子を含む環状スルトン、f)5員環を有し、2~約4個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、g)5員環を有し、2~約4個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、h)6員または7員環を有し、2~約4個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、i)別のリチウム含有塩、及びj)前述のいずれか2つ以上の混合物から選択される。
【0032】
他の実施形態において、電気化学的添加剤は、a)不飽和環状カーボネート約0.5wt%~約12wt%(非水系電解質溶液の総重量に対する量)、b)フッ素含有飽和環状カーボネート約0.5wt%~15wt%(非水系電解質溶液の総重量に対する量)、c)トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト約0.1wt%~約5wt%(非水系電解質溶液の総重量に対する量)、d)トリヒドロカルビルホスフェート約0.5wt%~約5wt%(非水系電解質溶液の総重量に対する量)、e)環状スルトン約0.25wt%~約5wt%(非水系電解質溶液の総重量に対する量)、f)飽和環状ヒドロカルビルサルファイト約0.5wt%~約5wt%(非水系電解質溶液の総重量に対する量)、g)飽和環状ヒドロカルビルサルフェート約0.25wt%~約5wt%(非水系電解質溶液の総重量に対する量)、h)環状ジオキサジチオポリオキシド化合物約0.5wt%~約5wt%(非水系電解質溶液の総重量に対する量)、i)別のリチウム含有塩約0.5wt%~約5wt%(非水系電解質溶液の総重量に対する量)、及びj)前述のいずれか2つ以上の混合物から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、電気化学的添加剤は、3~約6個の炭素原子、好ましくは3~約4個の炭素原子を含む不飽和環状カーボネートである。好適な不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート(1,3-ジオキソール-2-オン)、4-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン、及び4,5-ジメチル-1,3-ジオキソール-2-オンが挙げられ、ビニレンカーボネートが好ましい不飽和環状カーボネートである。不飽和環状カーボネートの量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、好ましくは約0.5
wt%~約12wt%であり、より好ましくは約0.5wt%~約3wt%または約8wt%~約11wt%である。
【0034】
電気化学的添加剤が、3~約5個の炭素原子、好ましくは3~約4個の炭素原子と、1~約4個のフッ素原子、好ましくは1~約2個のフッ素原子とを含むフッ素含有飽和環状カーボネートである場合、好適なフッ素含有飽和環状カーボネートとしては、4-フルオロエチレンカーボネート及び4,5-ジフルオロエチレンカーボネートが挙げられる。好ましくは、フッ素含有飽和環状カーボネートは4-フルオロ-エチレンカーボネートである。フッ素含有飽和環状カーボネートの量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、好ましくは約0.5wt%~約15wt%であり、より好ましくは約5wt%~約12wt%である。
【0035】
トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト電気化学的添加剤は、3~約9個の炭素原子、好ましくは約3~約6個の炭素原子を含み、トリヒドロカルビルシリル基は同じでも異なってもよい。好適なトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトとしては、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、ビス(トリメチルシリル)(トリエチルシリル)ホスファイト、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、ビス(トリメチルシリル)(トリ-n-プロピルシリル)ホスファイト、及びトリス(トリ-n-プロピルシリル)ホスファイトが挙げられ、トリス(トリメチルシリル)ホスファイトが好ましいトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトである。トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトの量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、好ましくは約0.1wt%~約5wt%、より好ましくは約0.15wt%~約4wt%、さらに好ましくは約0.2wt%~約3wt%である。
【0036】
いくつかの実施形態において、電気化学的添加剤は、3~約12個の炭素原子、好ましくは3~約9個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェートである。ヒドロカルビル基は飽和でも不飽和でもよく、トリヒドロカルビルホスフェート中のヒドロカルビル基は同じでも異なってもよい。好適なトリヒドロカルビルホスフェートとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、トリ-n-プロピルホスフェート、トリアリルホスフェート、トリビニルホスフェートが挙げられ、トリアリルホスフェートが好ましいトリヒドロカルビルホスフェートである。トリヒドロカルビルホスフェートの量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、通常約0.5wt%~約5wt%、好ましくは約1wt%~約5wt%、より好ましくは約2wt%~約4wt%である。
【0037】
電気化学的添加剤が3~約8個の炭素原子、好ましくは3~約4個の炭素原子を含む環状スルトンである場合、好適な環状スルトンとしては、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、1,3-ブタンスルトン(5-メチル-1,2-オキサチオラン2,2-ジオキシド)、2,4-ブタンスルトン(3-メチル-1,2-オキサチオラン2,2-ジオキシド)、1,4-ブタンスルトン(1,2-オキサチアン2,2-ジオキシド)、2-ヒドロキシ-アルファ-トルエンスルホン酸スルトン(3H-1,2-ベンゾオキサチオール2,2-ジオキシド)、及び1,8-ナフトスルトンが挙げられる。好ましい環状スルトンとしては、1,3-プロパンスルトン及び1,3-プロペンスルトンが挙げられる。環状スルトンの量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、好ましくは約0.25wt%~約5wt%、より好ましくは約0.5wt%~約4wt%である。
【0038】
飽和環状ヒドロカルビルサルファイト電気化学的添加剤は、2~約6個の炭素原子、好ましくは2~約4個の炭素原子を含み、5員または6員環、好ましくは5員環を有する。環上に1つ以上の置換基、例えば、メチル基またはエチル基、好ましくは1つ以上のメチル基が存在してもよいが、環上に置換基が存在しないことがより好ましい。好適な飽和環
状ヒドロカルビルサルファイトとしては、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド(1,2-エチレンサルファイト)、1,2-プロパンジオールサルファイト(1,2-プロピレンサルファイト)、4,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド、1,3,2-ジオキサチアン2-オキシド、4-メチル-1,3-ジオキサチアン2-オキシド(1,3-ブチレンサルファイト)が挙げられる。好ましい環状ヒドロカルビルサルファイトとしては、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシドが挙げられる。環状ヒドロカルビルサルファイトの量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、好ましくは約0.5wt%~約5wt%、より好ましくは約1wt%~約4wt%である。
【0039】
いくつかの実施形態において、電気化学的添加剤は、2~約6個の炭素原子、好ましくは2~約4個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルフェートであり、5員環または6員環、好ましくは5員環を有する。環上に1つ以上の置換基、例えば、メチル基またはエチル基、好ましくは1つ以上のメチル基が存在してもよいが、環上に置換基が存在しないことがより好ましい。好適な飽和環状ヒドロカルビルサルフェートとしては、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド(1,2-エチレンサルフェート)、1,3,2-ジオキサチアン2,2-ジオキシド(1,3-プロピレンサルフェート)、4-メチル-1,3,2-ジオキサチアン2,2-ジオキシド(1,3-ブチレンサルフェート)、及び5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサチアン2,2-ジオキシドが挙げられる。飽和環状ヒドロカルビルサルフェートの量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、好ましくは約0.25wt%~約5wt%、より好ましくは約1wt%~約4wt%である。
【0040】
電気化学的添加剤が環状ジオキサジチオポリオキシド化合物である場合、環状ジオキサジチオポリオキシド化合物は、2~約6個の炭素原子、好ましくは2~約4個の炭素原子を含み、6員、7員、または8員環を有する。好ましくは、環状ジオキサジチオポリオキシド化合物は、2~約4個の炭素原子を含み、6員または7員環を有する。環上に1つ以上の置換基、例えば、メチル基またはエチル基、好ましくは1つ以上のメチル基が存在してもよいが、環上に置換基が存在しないことがより好ましい。好適な環状ジオキサジチオポリオキシド化合物としては、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシド、1,5,2,4-ジオキサジチエパン2,2,4,4-テトラオキシド(シクロジソン)、3-メチル-1,5,2,4-ジオキサジチエパン2,2,4,4-テトラオキシド、及び1,5,2,4-ジオキサジチオカン2,2,4,4-テトラオキシドが挙げられ、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシドが好ましい。環状ジオキサジチオポリオキシド化合物の量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、好ましくは約0.5wt%~約5wt%、より好ましくは約1wt%~約4wt%である。
【0041】
「別のリチウム含有塩」及び「他のリチウム含有塩」という表現は、電解質溶液の調製に使用されるリチウム塩が少なくとも2つ存在することを示す。電気化学的添加剤が別のリチウム含有塩である場合、電気化学的添加剤の量は、好ましくは、非水系電解質溶液の総重量に対し約0.5wt%~約5wt%である。好適なリチウム含有塩としては、上記に挙げた全てのリチウム含有塩が挙げられ、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウムが好ましい。
【0042】
前述の電気化学的添加剤のいずれか2つ以上の混合物(同じタイプの異なる電気化学的添加剤及び/または異なるタイプの電気化学的添加剤を含む)を使用することができる。電気化学的添加剤の混合物を使用する場合、電気化学的添加剤の合計量は、非水系電解質溶液の総重量に対し約0.25wt%~約5wt%である。不飽和環状カーボネートと飽和環状ヒドロカルビルサルファイトとの混合物、または環状スルトンと、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトと、環状ジオキサジチオポリオキシド化合物との混合物が好ましい。
【0043】
好ましいタイプの電気化学的添加剤としては、特に他の電気化学的添加剤と共に使用しない場合、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、環状スルトン、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、及び別のリチウム含有塩が挙げられる。より好ましくは、それぞれ非水系電解質溶液の総重量に対し、飽和環状ヒドロカルビルサルフェートの量は約1wt%~約4wt%であり、環状スルトンの量は約0.5wt%~約4wt%であり、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトの量は約0.2wt%~約3wt%であり、別のリチウム含有塩の量は約1wt%~約4wt%である。
【0044】
他の実施形態において、電気化学的添加剤は、ビニレンカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェート、1-プロパン-1,3-スルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシド、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、及びこれらのうちの任意の2つ以上の混合物から選択される。電気化学的添加剤は、好ましくはビニレンカーボネート、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1-プロパン-1,3-スルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、またはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムが挙げられ、より好ましくは1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1-プロペン-1,3-スルトン、またはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムが挙げられる。より好ましい電気化学的添加剤は、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド及びビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである。これらの量及び好ましさについては上述の通りである。
【0045】
前述の電気化学的添加剤のいずれか2つ以上の混合物を使用することができる。電気化学的添加剤の混合物を使用する場合、電気化学的添加剤の合計量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、約0.25wt%~約5wt%である。
【0046】
リチウム電池用の電解質溶液にしばしば含まれる追加的な成分も、本発明の電解質溶液に存在することができる。このような追加的な成分としては、スクシノニトリル及びシラザン化合物(例えば、ヘキサメチルジシラザン)がある。典型的には、任意選択の成分の量は、非水系電解質溶液の総重量に対し、約1wt%~約5wt%の範囲内、好ましくは約2wt%~約4wt%の範囲内にある。
【0047】
本発明の別の実施形態は、リチウム電池用の非水系電解質溶液を生産するための方法を提供する。当該方法は、i)液体電解質媒体と、ii)リチウム含有塩と、iii)トリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールと、任意選択でiv)上述の少なくとも1つの電気化学的添加剤とを含む構成要素を合わせることを含む。トリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールは、電解質溶液中に難燃量で存在する。成分は任意の順番で合わせることができるが、全ての構成要素を液状電解質媒体に添加することが好ましい。また、任意選択の成分も液体電解質媒体に添加することが好ましい。液体電解質媒体、リチウム含有塩、難燃剤、電気化学的添加剤(複数可)、及び各構成要素の量の特徴及び好ましさについては上述の通りである。
【0048】
電気化学的添加剤が使用される本発明のいくつかの好ましい実施形態において、電気化学的添加剤は、ビニレンカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェート、1-プロパン-1,3-スルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシド、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、ヘキサフルオロリ
ン酸リチウム、及びこれらのうちの任意の2つ以上の混合物から選択される。
【0049】
本発明のまた別の実施形態は、リチウム電池用の非水系電解質溶液を生産するための方法を提供する。当該方法は、i)液体電解質媒体と、ii)リチウム含有塩と、iii)難燃量のa)重量比が約0.75:1~約3:1の1,2ジブロモエタン及びトリブロモエチレンの混合物、もしくはb)重量比が0.75:1~約2.25:1のトリブロモエチレン及び2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンの混合物とを含む構成要素を合わせることを含む。液体電解質媒体、リチウム含有塩、難燃剤、及び各構成要素の量の特徴及び好ましさについては上述の通りである。
【0050】
1つ以上の臭素化難燃剤を含む本発明の非水系電解質溶液は、典型的には、正極と、負極と、非水系電解質溶液とを含む非水系リチウム電池で使用される。非水系リチウム電池は、負極と正極との間(任意選択でセパレーターを有する)に非水系電解質溶液を注入することによって得ることができる。
【0051】
以下の実施例は、説明のために提示されるものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0052】
実施例1~4において、修正版水平UL-94試験を実施した。この修正版水平UL-94試験は、既知の公表された水平UL-94試験に非常に類似するものである。これについては、例えば、Otsuki,M.et al.“Flame-Retardant
Additives for Lithium-Ion Batteries.” Lithium-Ion Batteries. Ed.M.Yoshio et al.New York,Springer,2009,275-289を参照。修正版UL-94試験は以下のように行った。
円形のガラス繊維芯から芯をカットし、切り口を滑らかにし、次いで芯表面のほこり及び粒子を取り除いた。試験の前に、芯を120℃で20時間乾燥した。芯の長さは5±0.1インチ(12.7±0.25cm)であった。
試験を行う各試験片をドライボックス内の4オンス(120mL)ガラス瓶内で、所望量の難燃剤及び(存在する場合)電気化学的添加剤を所望量のプレーンな電解質溶液と合わせることによって調製した。例えば、8wt%の臭素化難燃剤、2wt%の電気化学的添加剤、及び90wt%の電解質溶液を合わせて、難燃剤(複数可)を含む電解質溶液を形成した。難燃剤と合わせる前のプレーンな電解質溶液は4オンス(120mL)ガラス瓶に入っており、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(重量比3:7)中1.2MのLiPF6が含まれていた。各芯を電解質溶液に30分間浸漬した。
各試験片を電解質溶液から取り出し、滴下しなくなるまで電解質溶液の上で保持し、次いで4オンス(120mL)ガラス瓶に入れ、電解質溶液の蒸発を防ぐためにキャップを閉めた。
バーナーに点火し、20±1mmの高さの青い炎が出るように調整した。
試験片を4オンス(120mL)のガラス瓶から取り出し、試験片を金属の支持固定具の上に水平位置で置き、芯の一端を固定した。
換気扇が回っていた場合は、試験のために停止した。
水平な芯に45±2度の角度で炎を向けた。バーナーチューブのあるバーナーの場合、これを遂行する1つの方法は、バーナーチューブの中心軸を水平から45±2度の角度で試験片の端に向かって傾けることであった。
炎を試験片の自由端に30±1秒間、その位置を変えずに適用し、30±1秒後、または試験片の燃焼前面が1インチ(2.54cm)の位置に達したらすぐバーナーを除去した。
試験炎の除去後も試験片が燃え続けた場合、炎が消えるまでの時間、または燃焼前面(炎
)が1インチ(2.54cm)の印から4インチ(10.16cm)の印まで移動するまでの時間のいずれかを秒単位で記録した。
【0053】
バーナーを除去したときに炎が消えた場合、試験片を「不燃性」とみなした。炎が1インチ(2.54cm)の印に達する前に消えた場合、試験片を「難燃性」とみなした。炎が4インチ(10.16cm)の印に達する前に消えた場合、試験片を「自己消火性」とみなした。
【0054】
修正版水平UL-94試験の各結果は、3回実行した平均値とする。
【0055】
実施例1
トリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールのいずれかを含むいくつかの非水系電解質溶液を、上述のように調製し、上述の修正型UL-94試験に供した。結果を以下の表1に要約する。上述のように、報告された数値は3回の実行による平均値である。
【表1】
実施例2
【0056】
臭素化難燃剤の混合物を含むいくつかの非水系電解質溶液を、上述のように調製し、上述の修正型UL-94試験に供した。結果を以下の表2に要約する。上述のように、報告された数値は3回の実行による平均値である。
【表2】
【0057】
実施例3
難燃剤の混合物を含むいくつかの非水系電解質溶液を、上述のように調製し、上述の修正型UL-94試験に供した。結果を以下の表3に要約する。上述のように、報告された数値は3回の実行による平均値である。
【表3】
【0058】
実施例4
コイン電池においても、臭素化難燃剤を含むいくつかの非水系電解質溶液の試験を実施した。所望量の難燃剤を含む非水系電解質溶液を用いてボタン電池を組み立てた。次いで、コイン電池を、CV部分においてC/50の電流カットオフでC/5で4.2VまでCCCV充電し、C/5で3.0VまでCC放電する電気化学的サイクルに供した。
【0059】
1つの試料は、難燃剤を含まない非水系電解質溶液であり、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(重量比3:7)中1.2MのLiPF
6が含まれていた。残りの試料は、電解質溶液中に所望量の難燃剤が含まれ、いくつかの溶液には難燃剤に加えて添加剤も含まれていた。結果を以下の表4に要約する。クーロン効率の誤差範囲は約±0.5%~約±1.0%とする。表4で報告された結果は、複数の電池の平均値である。「複数の電池」とは、通常2~3個の電池を意味する。
【表4】
【0060】
実施例5
非水系電解質溶液のさらなる可燃性試験をSandia National Laboratoriesで実施した。この熱乱用試験では、乱用条件下の電解質が不燃性を示す必要のある条件、詳細には発火源との組合せでベントする電池にさらに近似させて行った。試験は、18650サイズの電池におよそ5mLの非水系電解質溶液を充填し、電池を典型的なセルヘッダーアセンブリで圧着し、火花配線点火源をセルヘッダーのおよそ2インチ上の固定位置で用いて電解質を含む電池を5℃/分の固定速度で加熱することにより、行った。約200℃で電池がベントを開始し、高温の電解質溶液がエアロゾル化した。これを火花配線点火源に曝露した。各試料の発火をモニターし、発火しない場合は合格、発火した場合は不合格とみなした。
【0061】
1つの試料は、難燃剤を含まない非水系電解質溶液であり、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(重量比3:7)中1.2MのLiPF
6が含まれていた。残りの試料は、電解質溶液中に所望量の難燃剤が含まれていた。結果を以下の表5に要約する。
【表5】
【0062】
さらなる実施形態としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0063】
A.リチウム電池用の非水系電解質溶液であって、
a)液体電解質媒体と、
b)リチウム含有塩と、
c)難燃量の臭素化難燃剤であって、トリブロモエチレン及びトリブロモネオペンチルアルコールから選択される、前記臭素化難燃剤と
を含む、前記溶液。
【0064】
B.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し4wt%超であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモエチレンである、Aに記載の溶液。
【0065】
C.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し6wt%超であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモエチレンである、Aに記載の溶液。
【0066】
D.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し8wt%超であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモエチレンである、Aに記載の溶液。
【0067】
E.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約8wt%~約10wt%であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモエチレンである、請求項1記載の溶液。
【0068】
F.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し10wt%超であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモエチレンである、Aに記載の溶液。
【0069】
G.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し10wt%超であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモネオペンチルアルコールである、Aに記載の溶液。
【0070】
H.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し15wt%超である、Aに記載の溶液。
【0071】
I.前記液体電解質媒体がエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、もしくはこれらの混合物である、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウムもしくはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、A~Dのいずれかに記載の溶液。
【0072】
J.正極と、負極と、A~Iのいずれかに記載の非水系電解質溶液とを含む、非水系リチウム電池。
【0073】
K.リチウム電池用の非水系電解質溶液を生産するための方法であって、
a)液体電解質媒体と、
b)リチウム含有塩と、
c)難燃量の臭素化難燃剤であって、トリブロモエチレン及びトリブロモネオペンチルアルコールから選択される、前記臭素化難燃剤と
を含む構成要素を合わせることを含む、前記方法。
【0074】
L.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し4wt%超であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモエチレンである、Kに記載の方法。
【0075】
M.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し6wt%超であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモエチレンである、Kに記載の方法。
【0076】
N.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し8wt%超であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモエチレンである、Kに記載の方法。
【0077】
O.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約8wt%~約10wt%であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモエチレンである、Kに記載の方法。
【0078】
P.前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し10wt%超であり、前記臭素化難燃剤がトリブロモネオペンチルアルコールである、Kに記載の方法。
【0079】
Q.前記液体電解質媒体が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、もしくはこれらの混合物である、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウムもしくはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、Kに記載の方法。
【0080】
R.前記液体電解質媒体がエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、もしくはこれらの混合物である、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウムもしくはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、K~Qのいずれかに記載の方法。
【0081】
本明細書またはこの請求項の任意の箇所で化学名または化学式で言及されている構成要素は、単数で言及されているか複数で言及されているにかかわらず、化学名または化学タイプによって言及されている別の物質(例えば、別の構成要素、溶媒など)と接触する前に存在するものとして識別される。このような変化、変換、及び/または反応は、本開示に従って呼び出された条件下で指定された構成要素を一緒にすることからの自然な結果であるため、得られる混合物または溶液に(存在する場合)どのような化学変化、変換、及び/または反応が生じるかは重要ではない。したがって、構成要素は、所望の操作の実施に関連してまたは所望の組成物を形成する際に一緒になる成分として識別される。また、以下の請求項で、物質、構成要素、及び/または成分に現在形(「~を含む」、「~である」など)で言及することがあっても、これは、本開示に従って1つ以上の他の物質、構成要素、及び/または成分と最初に接触、ブレンド、または混合される直前の時点で存在した物質、構成要素、または成分に対する言及である。したがって、物質、構成要素、または成分が、本開示及び化学者の通常の技量によって接触、ブレンド、または混合の操作が行われた場合、途中の化学反応または変換によって元の同一性を失った可能性があるという事実は、実際的な懸念事項とはならない。
【0082】
本発明は、本明細書に記載の材料及び/または手順を含む場合も、それからなる場合も、またはそれから本質的になる場合もある。
【0083】
本明細書で使用する場合、本発明の組成物中の成分の量を変更する、または本発明の方法で用いられる「約」という用語は、例えば、実世界で濃縮物または使用溶液を作製するために使用される典型的な測定及び液体処理手順、このような手順における偶発的なエラー、組成物の作製または方法の実施に用いられる成分の製造、供給源、または純度の相違、などによって生じ得る数値的量の変動性を指す。また、約という用語は、特定の初期混合物から得られる組成物の平衡条件の相違によって異なる量も包含する。「約」という用語で修飾されているかどうかにかかわらず、請求項は、その量の等価物を含む。
【0084】
別の方法で明示的に示され得る場合以外において、本明細書で使用する場合、「a」または「an」という冠詞は、その冠詞が言及する単一の要素に説明または請求を限定するようには意図されておらず、限定的に解釈されるべきではない。むしろ本明細書で使用する場合、「a」または「an」という冠詞は、本文で別の内容が明示的に示されない限り、1つ以上のこのような要素を網羅するように意図されている。
【0085】
本発明は、その実施においてかなりのバリエーションが可能である。そのため、以上の説明は、本発明を上記に提示された特定の例示に限定するように意図されておらず、限定的に解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池用の非水系電解質溶液であって、前記溶液が、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)難燃量の、A)トリブロモエチレンもしくはトリブロモネオペンチルアルコール
であって、前記難燃量が、トリブロモエチレンについては前記溶液の総重量に対し4wt%超、トリブロモネオペンチルアルコールについては前記溶液の総重量に対し10wt%超である、前記トリブロモエチレンもしくは前記トリブロモネオペンチルアルコール、またはB)a)重量比が約0.75:1~約3:1の1,2-ジブロモエタンとトリブロモエチレンとの難燃剤混合物、もしくはb)重量比が0.75:1~約2.25:1のトリブロモエチレンと2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンとの難燃剤混合物と
を含む、前記非水系電解質溶液。
【請求項2】
iii)がトリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し15wt%超である、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
iii)が、難燃剤混合物であり、かつ
1,2-ジブロモエタン及びトリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約6wt%以上である、または
トリブロモエチレン及び2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約4wt%以上である、
請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
前記難燃剤混合物が1,2-ジブロモエタン及びトリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約20wt%以上である、請求項1に記載の溶液。
【請求項5】
2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンをさらに含み、臭素化難燃剤がトリブロモエチレンで
あり、トリブロモエチレン:2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンの重量比が約0.75:1~約2:1であり、難燃性分子の前記難燃量が、前記非水系電解質溶液の総重量に対し約4wt%以上である、請求項1に記載の溶液。
【請求項6】
前記液体電解質媒体が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、もしくはこれらの混合物である、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウムもしくはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項1~
5のいずれかに記載の溶液。
【請求項7】
iii)がトリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールであり、前記溶液が、
iv)以下から選択される少なくとも1つの電気化学的添加剤:
a)3~約6個の炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約5個の炭素原子及び1~約4個のフッ素原子を含むフッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3~約9個の炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約12個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェート、
e)3~約8個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員、7員、または8員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、ならびに
j)前述のいずれか2つ以上の混合物
をさらに含む、請求項1に記載の溶液。
【請求項8】
前記電気化学的添加剤が、
a)3~約4個の炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約4個の炭素原子及び1~約2個のフッ素原子を含むフッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3~約6個の炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約9個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェート、
e)3~約4個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環を有し、2~約4個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、g)5員環を有し、2~約4個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、h)6員または7員環を有し、2~約4個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、ならびに
j)前述のいずれか2つ以上の混合物
から選択される、請求項
7に記載の溶液。
【請求項9】
前記電気化学的添加剤が、
a)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約12wt%の不飽和環状カーボネート、
b)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約15wt%のフッ素含有飽和環状カーボネート
c)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.1wt%~約5wt%のトリス(ト
リヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約5wt%のトリヒドロカルビルホスフェート、
e)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.25wt%~約5wt%の環状スルトン、
f)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約5wt%の飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.25wt%~約5wt%の飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約5wt%の環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約5wt%の別のリチウム含有塩、及び
j)前述のいずれか2つ以上の混合物
から選択される、請求項
7または
8に記載の溶液。
【請求項10】
前記電気化学的添加剤が、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、環状スルトン、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、または別のリチウム含有塩である、請求項
7~
9のいずれかに記載の溶液。
【請求項11】
前記電気化学的添加剤が、それぞれ、前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%の飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、約0.5wt%~約4wt%の環状スルトン、約0.2wt%~約3wt%のトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、または約1wt%~約4wt%の別のリチウム含有塩である、請求項
7に記載の溶液。
【請求項12】
前記電気化学的添加剤が、ビニレンカーボネート、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、またはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項
7または
11に記載の溶液。
【請求項13】
各電気化学的添加剤が他の電気化学的添加剤と共に使用されない、請求項
11または
12に記載の溶液。
【請求項14】
前記電気化学的添加剤が、ビニレンカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェート、1-プロパン-1,3-スルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシド、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物から選択される、請求項
7~
9のいずれかに記載の溶液。
【請求項15】
前記電気化学的添加剤が、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約3wt%のビニレンカーボネート、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約8wt%~約11wt%のビニレンカーボネート、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約15wt%の4-フルオロエチレンカーボネート、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.2wt%~約3wt%のトリス(トリメ
チルシリル)ホスファイト、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約5wt%のトリアリルホスフェート、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約4wt%の1,3-プロパンスルトンまたは1,3-プロペンスルトン、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%の1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%の1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%の1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシド、
前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約1wt%~約4wt%のビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及び
これらのいずれか2つ以上の混合物
から選択される、請求項
14に記載の溶液。
【請求項16】
前記電気化学的添加剤が、ビニレンカーボネート、1-プロパン-1,3-スルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、及びビス(オキサラト)ホウ酸リチウムから選択される、請求項
14または
15に記載の溶液。
【請求項17】
前記電気化学的添加剤が、それぞれ、前記非水系電解質溶液の総重量に対して、約0.5wt%~約4wt%の1-プロパン-1,3-スルトン、約0.5wt%~約4wt%の1-プロペン-1,3-スルトン、約1wt%~約4wt%の1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、及び約1wt%~約4wt%のビス(オキサラト)ホウ酸リチウムから選択される、請求項
14に記載の溶液。
【請求項18】
各電気化学的添加剤が他の電気化学的添加剤と共に使用されない、請求項
16または
17に記載の溶液。
【請求項19】
正極と、負極と、請求項1~
18のいずれかに記載の非水系電解質溶液とを含む、非水系リチウム電池。
【請求項20】
リチウム電池用の非水系電解質溶液を作製する方法であって、前記方法が、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)難燃量の、A)トリブロモエチレンもしくは
トリブロモネオペンチルアルコールであって、前記難燃量が、トリブロモエチレンについては前記溶液の総重量に対し4wt%超、トリブロモネオペンチルアルコールについては前記溶液の総重量に対し10wt%超である、前記トリブロモエチレンもしくは前記トリブロモネオペンチルアルコール、またはB)a)重量比が約0.75:1~約3:1の1,2-ジブロモエタンとトリブロモエチレンとの難燃剤混合物、もしくはb)重量比が0.75:1~約2.25:1のトリブロモエチレンと2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンとの難燃剤混合物と
を含む構成要素を合わせることを含む、前記方法。
【請求項21】
iii)がトリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールであり、前記構成要素が、
iv)以下から選択される少なくとも1つの電気化学的添加剤:
a)3~約6個の炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約5個の炭素原子及び1~約4個のフッ素原子を含むフッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3~約9個の炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約12個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェート、
e)3~約8個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員または6員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員、7員、または8員環を有し、2~約6個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、ならびに
j)前述のいずれか2つ以上の混合物
をさらに含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記電気化学的添加剤が、ビニレンカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェート、1-プロパン-1,3-スルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトロキシド、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物から選択される、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
iii)がトリブロモエチレンまたはトリブロモネオペンチルアルコールであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し15wt%超である、請求項
20に記載の方法。
【請求項24】
iii)が難燃剤混合物であり、かつ
1,2-ジブロモエタン及びトリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約6wt%以上である、または
トリブロモエチレン及び2-フェノキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5トリアザトリホスフィニンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約4wt%以上である、
請求項
20に記載の方法。
【請求項25】
前記難燃剤混合物が1,2-ジブロモエタン及びトリブロモエチレンであり、前記難燃量が、前記溶液の総重量に対し約20wt%以上である、請求項
20に記載の方法。
【請求項26】
前記液体電解質媒体が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、もしくはこれらの混合物である、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウムもしくはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項
20または
21に記載の方法。
【国際調査報告】