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特表2023-503046ポンペ病およびリソソーム障害を処置するための肝臓特異的プロモーターを含む治療用アデノ随伴ウイルス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ポンペ病およびリソソーム障害を処置するための肝臓特異的プロモーターを含む治療用アデノ随伴ウイルス
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20230119BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230119BHJP
   C12N 15/56 20060101ALI20230119BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230119BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230119BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230119BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230119BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230119BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230119BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230119BHJP
   A61K 38/47 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N15/12 ZNA
C12N15/56
C12N15/62 Z
A61K35/76
A61P21/00
A61P9/00
A61P11/00
A61K48/00
A61K31/7088
A61K38/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529007
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 US2020061223
(87)【国際公開番号】W WO2021102107
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】62/937,583
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/937,556
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/023,570
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】520375033
【氏名又は名称】アスクレピオス バイオファーマシューティカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】イグレシアス, フアン マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】トレチャコヴァ, アンナ
(72)【発明者】
【氏名】オカラガン, マイケル ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ, アキッレ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084BA44
4C084CA18
4C084CA33
4C084DC22
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZA59
4C084ZA94
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA94
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA55
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA36
4C087ZA59
4C087ZA94
(57)【要約】
肝臓特異的プロモーター(LSP)に動作可能に連結された、リソソームタンパク質、例えば、酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチド、ならびに必要に応じてシグナルペプチドおよび/または必要に応じて標的配列、例えば、IGF2標的化ペプチドをコードする異種核酸を含むrAVVゲノムを含む組換えAAV(rAAV)ベクターであって、GAAポリペプチドが肝臓から分泌され、リソソームを標的にするのを可能にする、rAAVベクター。特定の実施形態は、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードし、肝臓分泌シグナルペプチド、およびカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)またはIGF2受容体に結合するIGF2標的化ポリペプチドを有し、GAAポリペプチドのリソソームへの適当な細胞内局在化を可能にする、組換えAAV(rAAV)ベクターに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのゲノム中に、
a.5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに
b.前記5’および3’ITRの間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする異種核酸配列であって、前記異種核酸が、
i.CRM_SP0412(配列番号86)もしくはSP0412(配列番号91)、または配列番号86もしくは配列番号91に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、
ii.SP0422(配列番号92)、または配列番号92に対して少なくとも60%の活性を有するその機能的バリアントもしくは機能的断片、
iii.CRM_SP0239(配列番号87)もしくはSP0239(配列番号93)もしくはSP0238-UTR(配列番号147)、または配列番号87、配列番号93もしくは配列番号147に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
iv.CRM_SP0265(SP0131_A1)(配列番号88)もしくはSP0265(LVR_SP0131_A1)(配列番号94)もしくはSP0265-UTR(配列番号146)、または配列番号88、配列番号94もしくは配列番号146に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
v.CRM_SP0240(配列番号89)もしくはSP0240(配列番号95)もしくはSP0240-UTR(配列番号148)、または配列番号89、配列番号95もしくは配列番号148に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
vi.CRM_SP0246(配列番号90)もしくはSP0246(配列番号96)もしくはSP0246-UTR(配列番号149)、または配列番号90、配列番号96もしくは配列番号149に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片
のいずれか1つから選択される肝臓特異的プロモーターに動作可能に連結されている、異種核酸配列
を含む組換えアデノウイルス随伴(AAV)ベクター。
【請求項2】
前記異種核酸配列が、前記GAAポリペプチドに融合された分泌シグナルを含む融合タンパク質をコードするか、または前記GAAポリペプチドに融合された標的化ペプチドを含む融合ポリペプチドをコードするか、または前記GAAポリペプチドに融合された分泌シグナルおよび標的化ペプチドを含む融合タンパク質をコードする、請求項1に記載の組換えAAVベクター。
【請求項3】
前記AAVゲノムが、5’から3’への方向に、
a.5’ITR、
b.肝臓特異的プロモーター配列、
c.イントロン配列、
d.分泌シグナルペプチドをコードする核酸、
e.IGF2標的化ペプチドをコードする核酸、
f.アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、
g.ポリA配列、および
h.3’ITR
を含む、請求項2に記載の組換えAAVベクター。
【請求項4】
前記分泌シグナルペプチドをコードする核酸が、AATシグナルペプチド、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、GAAリーダー配列、IL-2 wtリーダー配列、改変IL-2リーダー配列、IL2(1-3)リーダー配列、IgGリーダー配列、AATリーダー配列、または分泌シグナル活性を有するそれらの活性断片のいずれかから選択されるシグナル配列をコードする、請求項1~3のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項5】
前記IGF2標的化ペプチドが、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)もしくはIGF2受容体と結合する、請求項1~3のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項6】
前記IGF2標的化ペプチドが、配列番号5を含むか、またはIGF2受容体と結合する配列番号5における少なくとも1つのアミノ改変を含む、請求項5に記載の組換えAAVベクター。
【請求項7】
配列番号5における前記少なくとも1つのアミノ改変が、V43Mアミノ酸改変(配列番号8または配列番号9)、またはΔ2~7(配列番号6)、またはΔ1~7(配列番号7)である、請求項6に記載の組換えAAVベクター。
【請求項8】
前記核酸配列が、野生型GAAポリペプチド、または改変GAAポリペプチドをコードする、請求項1または2に記載の組換えAAVベクター。
【請求項9】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、ヒトGAA遺伝子、またはヒトコドン最適化GAA遺伝子(coGAA)、または改変GAA核酸配列である、請求項1~8のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項10】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、(i)in vivoでの増強された発現のためのコドン最適化、(ii)CpGアイランドの低減、(iii)STOP配列の改変、(iv)代替リーディングフレームの低減、および(v)自然免疫応答の低減のいずれか1つまたは複数のために配列番号11から改変されている、請求項1~9のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項11】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、配列番号10のH201L、H199R、またはR233Hから選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つすべてのアミノ酸改変を含むGAAポリペプチドをコードする、請求項1~10のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項12】
コードされた前記融合ポリペプチドが、前記GAAポリペプチドのアミノ末端および前記IGF2標的化ペプチドのC末端に位置する少なくとも1個のアミノ酸のためのヌクレオチド配列を含むスペーサーをさらに含む、請求項1~11のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項13】
前記IGF2標的化ペプチドをコードする核酸および前記GAAポリペプチドをコードする核酸の間に位置する少なくとも1個のアミノ酸のスペーサーをコードする核酸をさらに含む、請求項12に記載の組換えAAVベクター。
【請求項14】
前記GAA遺伝子をコードする核酸の3’および前記3’ITR配列の5’に位置する少なくとも1つのポリA配列をさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項15】
前記異種核酸配列が、前記GAAポリペプチドをコードする核酸の3’および前記3’ITR配列の5’に位置する、コラーゲン安定性(CS)配列、または3’UTR配列、またはCSおよび3’UTR配列をさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項16】
前記GAAポリペプチドをコードする核酸および前記ポリA配列の間に位置する、コラーゲン安定性(CS)配列、または3’UTR配列、またはCSおよび3’UTR配列をコードする核酸をさらに含む、請求項1~15に記載の組換えAAVベクター。
【請求項17】
分泌シグナルペプチドをコードする配列の5’および前記プロモーターの3’に位置するイントロン配列をさらに含む、請求項1~16のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項18】
前記イントロン配列が、MVM配列、またはHBB2配列、またはSV40配列を含む、請求項17に記載の組換えAAVベクター。
【請求項19】
前記ITRが、挿入、欠失、または置換を含む、請求項1~18のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項20】
前記ITRにおける1つまたは複数のCpGアイランドが除去されている、請求項19に記載の組換えAAVベクター。
【請求項21】
a.前記分泌シグナルペプチドをコードする核酸が、
AATシグナルペプチド(例えば、配列番号17)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号17~22と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)(例えば、配列番号18~21)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号18~21と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
同族GAAシグナルペプチド(配列番号175)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号175と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
hIGF2シグナルペプチド(例えば、配列番号22)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号22と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
IgG1リーダーペプチド(配列番号177)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号177と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
wtIL2リーダーペプチド(配列番号179)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号179と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
変異型IL2リーダーペプチド(配列番号181)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号181と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸
からなる群のいずれかから選択され;
b.前記GAAポリペプチドをコードする核酸が、配列番号11、配列番号72もしくは配列番号182、または配列番号11、配列番号72もしくは配列番号182と少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有する核酸配列からなる群のいずれかから選択される、
請求項1~20のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項22】
前記IGF2標的化ペプチドが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、または配列番号9のいずれかから選択される、請求項1~21のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項23】
前記IGF2標的化ペプチドをコードする核酸が、分泌シグナルペプチドをコードする核酸および前記アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸の間に位置する、請求項1~22のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項24】
キメラAAVベクター、ハプロイドAAVベクター、ハイブリッドAAVベクター、またはポリプロイドAAVベクターである、請求項1~23のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項25】
合理的ハプロイドベクター、モザイクAAVベクター、化学修飾AAVベクター、または任意のAAV血清型由来のAAVベクターである、請求項1~24のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項26】
AAVXL32ベクター、AAVXL32.1ベクター、AAV8ベクター、または少なくとも1つのAAV8カプシドタンパク質を含むハプロイドAAV8ベクターからなる群から選択される、請求項1~25のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項27】
血清型がAAV3bである、請求項1~26のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項28】
前記AAV3b血清型が、265D、549A、Q263Yのいずれかから選択されるカプシドタンパク質における1つまたは複数の変異を含む、請求項27に記載の組換えAAVベクター。
【請求項29】
前記AAV3b血清型が、AAV3b265D、AAV3b265D549A、AAV3b549AもしくはAAV3bQ263Y、またはAAV3bSASTGのいずれかから選択される、請求項28に記載の組換えAAVベクター。
【請求項30】
そのゲノム中に、
a.5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに
b.前記5’および3’ITRの間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする異種核酸配列であって、前記異種核酸が、肝臓特異的プロモーターに動作可能に連結されており、前記肝臓特異的プロモーターが、
i.CRM_SP0412(配列番号86)もしくはSP0412(配列番号91)、または配列番号86もしくは配列番号91に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、
ii.SP0422(配列番号92)、または配列番号92に対して少なくとも60%の活性を有するその機能的バリアントもしくは機能的断片、
iii.CRM_SP0239(配列番号87)もしくはSP0239(配列番号93)もしくはSP0238-UTR(配列番号147)、または配列番号87、配列番号93もしくは配列番号147に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
iv.CRM_SP0265(SP0131_A1)(配列番号88)もしくはSP0265(LVR_SP0131_A1)(配列番号94)もしくはSP0265-UTR(配列番号146)、または配列番号88、配列番号94もしくは配列番号146に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
v.CRM_SP0240(配列番号89)もしくはSP0240(配列番号95)もしくはSP0240-UTR(配列番号148)、または配列番号89、配列番号95もしくは配列番号148に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;あるいは
vi.CRM_SP0246(配列番号90)もしくはSP0246(配列番号96)もしくはSP0246-UTR(配列番号149)、または配列番号90、配列番号96もしくは配列番号149に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片
のいずれかから選択される、異種核酸配列
を含む組換えアデノウイルス随伴(AAV)ベクターであって、
血清型AAV3、AAV3b、AAV8から選択されるカプシドタンパク質を含む、
組換えAAVベクター。
【請求項31】
前記GAAポリペプチドをコードする前記異種核酸配列が、前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸の5’に位置する分泌シグナルペプチドをコードする核酸をさらに含む、請求項30に記載の組換えAAVベクター。
【請求項32】
前記GAAポリペプチドをコードする前記異種核酸配列が、分泌シグナルペプチドをコードする前記核酸および前記アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする前記核酸の間に位置する標的化ペプチドをコードする核酸をさらに含む、請求項31に記載の組換えAAVベクター。
【請求項33】
前記AAVゲノムが、5’から3’への方向に、
a.5’ITR、
b.肝臓特異的プロモーター配列、
c.イントロン配列、
d.分泌シグナルペプチドをコードする核酸、
e.アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、
f.ポリA配列、および
g.3’ITR
を含む、請求項30に記載の組換えAAVベクター。
【請求項34】
前記AAVゲノムが、5’から3’への方向に、
a.5’ITR、
b.肝臓特異的プロモーター配列、
c.イントロン配列、
d.標的化ペプチドをコードする核酸、
e.アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、
f.ポリA配列、および
g.3’ITR
を含む、請求項30に記載の組換えAAVベクター。
【請求項35】
前記分泌シグナルペプチドが、AATシグナルペプチド、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、GAAリーダー配列、IL-2 wtリーダー配列、改変IL-2リーダー配列、IL2(1-3)リーダー配列、IgGリーダー配列、AATリーダー配列、または分泌シグナル活性を有するそれらの活性断片、または分泌シグナル活性を有するそれらの活性断片のいずれかから選択される、請求項30~34のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項36】
前記標的化ペプチドが、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)もしくはIGF2受容体と結合するIGF2標的化ペプチド配列、またはそれらの機能的バリアントのいずれかから選択される、請求項30~35のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項37】
前記IGF2標的化ペプチドが、配列番号5を含むか、または前記CI-MPR受容体との結合に影響を与えない、もしくは少なくとも1つの血清IGF結合タンパク質(IGFBP)との結合を減少させる配列番号5における少なくとも1つのアミノ改変を含むか、または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項36に記載の組換えAAVベクター。
【請求項38】
前記核酸配列が、配列番号10の野生型GAAポリペプチド、または改変GAAポリペプチドをコードする、請求項30~37に記載の組換えAAVベクター。
【請求項39】
前記核酸配列が、配列番号10のH201L、H199R、またはR233Hから選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つすべてのアミノ酸改変を含むGAAポリペプチドをコードする、請求項30~38に記載の組換えAAVベクター。
【請求項40】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、ヒトGAA遺伝子、またはヒトコドン最適化GAA遺伝子(coGAA)、または改変GAA核酸配列である、請求項30~39のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項41】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、CpGアイランドを低減するようにコドン最適化されている、請求項30~40のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項42】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、自然免疫応答を低減するように、またはCpGアイランドを低減するように、または自然免疫応答を低減し、かつ自然免疫応答を低減するように、コドン最適化されている、請求項30~41のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項43】
前記イントロン配列が、MVM配列またはHBB2配列を含む、請求項30~42のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項44】
前記ITRが、挿入、欠失もしくは置換を含むか、または前記CpGアイランドのいずれか1つもしくは複数が、除去されている、請求項30~43のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項45】
AAVXL32、またはAAVXL32.1、またはAAV8、または少なくとも1つのAAV8カプシドタンパク質を含むハプロイドAAV8ベクターである、請求項44に記載の組換えAAVベクター。
【請求項46】
a.前記分泌シグナルペプチドをコードする核酸が、
AATシグナルペプチド(例えば、配列番号17)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号17~22と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)(例えば、配列番号18~21)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号18~21と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
同族GAAシグナルペプチド(配列番号175)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号175と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
hIGF2シグナルペプチド(例えば、配列番号22)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号22と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
IgG1リーダーペプチド(配列番号177)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号177と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
wtIL2リーダーペプチド(配列番号179)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号179と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸;
変異型IL2リーダーペプチド(配列番号181)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片、例えば、配列番号181と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸
からなる群のいずれかから選択され;
b.前記GAAポリペプチドをコードする核酸が、配列番号11、配列番号72もしくは配列番号182、または配列番号11、配列番号72もしくは配列番号182と少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有する核酸配列からなる群のいずれかから選択されるか、あるいは配列番号10のH201L、H199R、またはR233Hから選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つすべてのアミノ酸改変を有する前記GAAポリペプチドをコードする核酸配列である、
請求項30~45のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項47】
前記IGF2標的化ペプチドが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、または配列番号9のいずれかから選択される、請求項30~46のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項48】
前記IGF2標的化ペプチドが、配列番号8もしくは配列番号9、またはそれらと少なくとも85%の配列同一性を有する機能的バリアントである、請求項30~47のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
【請求項49】
薬学的に許容される担体中に前の請求項のいずれか一項に記載の組換えAAVベクターを含む医薬組成物。
【請求項50】
GAAポリペプチドをコードする核酸配列に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーターを含む核酸配列であって、前記肝臓特異的プロモーターが以下の肝臓特異的プロモーターのいずれか1つから選択され、前記肝臓特異的プロモーターが、
i.CRM_SP0412(配列番号86)もしくはSP0412(配列番号91)、または配列番号86もしくは配列番号91に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、または
ii.SP0422(配列番号92)、または配列番号92に対して少なくとも60%の活性を有するその機能的バリアントもしくは機能的断片、
iii.CRM_SP0239(配列番号87)もしくはSP0239(配列番号93)もしくはSP0238-UTR(配列番号147)、または配列番号87、配列番号93もしくは配列番号147に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
iv.CRM_SP0265(SP0131_A1)(配列番号88)もしくはSP0265(LVR_SP0131_A1)(配列番号94)もしくはSP0265-UTR(配列番号146)、または配列番号88、配列番号94もしくは配列番号146に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
v.CRM_SP0240(配列番号89)もしくはSP0240(配列番号95)もしくはSP0240-UTR(配列番号148)、または配列番号89、配列番号95もしくは配列番号148に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;あるいは
vi.CRM_SP0246(配列番号90)もしくはSP0246(配列番号96)もしくはSP0246-UTR(配列番号149)、または配列番号90、配列番号96もしくは配列番号149に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片
のいずれかから選択される、
核酸配列。
【請求項51】
組換えアデノウイルス随伴(AAV)ベクターゲノムのための核酸配列であって、
a.5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)核酸配列、ならびに
b.前記5’および3’ITR配列の間に位置する、分泌シグナルペプチドおよびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする異種核酸配列であって、前記異種核酸配列が、肝臓特異的プロモーターに動作可能に連結されており、前記肝臓特異的プロモーターが、
i.SP0422(配列番号92)、または配列番号92に対して少なくとも60%の活性を有するその機能的バリアントもしくは機能的断片、
ii.CRM_SP0239(配列番号87)もしくはSP0239(配列番号93)もしくはSP0238-UTR(配列番号147)、または配列番号87、配列番号93もしくは配列番号147に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
iii.CRM_SP0265(SP0131_A1)(配列番号88)もしくはSP0265(LVR_SP0131_A1)(配列番号94)もしくはSP0265-UTR(配列番号146)、または配列番号88、配列番号94もしくは配列番号146に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
iv.CRM_SP0240(配列番号89)もしくはSP0240(配列番号95)もしくはSP0240-UTR(配列番号148)、または配列番号89、配列番号95もしくは配列番号148に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;あるいは
v.CRM_SP0246(配列番号90)もしくはSP0246(配列番号96)もしくはSP0246-UTR(配列番号149)、または配列番号90、配列番号96もしくは配列番号149に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片
の肝臓特異的プロモーターのいずれか1つから選択される、異種核酸配列
を含む、核酸配列。
【請求項52】
前記GAAポリペプチドをコードする異種核酸配列が、前記分泌シグナルペプチドおよび前記アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドの間に位置するIGF2標的化ペプチドをさらに含む、請求項50または51に記載の核酸配列。
【請求項53】
前記分泌シグナルをコードする核酸が、配列番号17、22~26、177、179、181、またはそれらと少なくとも85%の配列同一性を有する核酸のいずれかから選択される、請求項50~52に記載の核酸配列。
【請求項54】
前記IGF2標的化ペプチドをコードする核酸が、配列番号2(IGF2-Δ2~7)、配列番号3(IGF2-Δ1~7)もしくは配列番号4(IGF2 V43M)、またはそれらと少なくとも85%の配列同一性を有する核酸のいずれかから選択される、請求項50に記載の核酸配列。
【請求項55】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、ヒトGAA遺伝子、またはヒトコドン最適化GAA遺伝子(coGAA)、または改変GAA核酸配列である、請求項50~54に記載の核酸配列。
【請求項56】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、(i)in vivoでの増強された発現のためのコドン最適化、(ii)CpGアイランドの低減、(iii)STOP配列の改変、(iv)代替リーディングフレームの低減、および(v)自然免疫応答の低減のいずれか1つまたは複数のために配列番号11から改変されている、請求項55に記載の核酸配列。
【請求項57】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、CpGアイランドを低減するように、もしくは自然免疫応答を低減するように、もしくはCpGアイランドを低減し、かつ自然免疫応答を低減するように、および/またはin vivoでの増強された発現のために、コドン最適化されている、請求項55に記載の核酸配列。
【請求項58】
前記GAAポリペプチドをコードする前記核酸配列が、in vivoでの増強された発現のためにコドン最適化されている、請求項50~57に記載の核酸配列。
【請求項59】
前記GAAポリペプチドをコードする核酸が、配列番号11(全長hGAA)、配列番号55(Dwight cDNA)、配列番号56(hGAA Δ1~66)、または配列番号82(mod_hGAA)、または配列番号182、それらと少なくとも80%、85%、90%、95%、もしくは98%の同一性を有する核酸配列のいずれかから選択される、請求項50~58に記載の核酸配列。
【請求項60】
前記GAAポリペプチドをコードする核酸が、配列番号74(コドン最適化1)、配列番号75(コドン最適化2)、配列番号76(コドン最適化3)、および配列番号82(mod_hGAA)、それらと少なくとも80%、85%、90%、95%、または98%の同一性を有する核酸配列のいずれかから選択される、請求項50~58に記載の核酸配列。
【請求項61】
前記核酸が、配列番号10のH201L、H199R、またはR233Hから選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つすべてのアミノ酸改変を含むGAAポリペプチドをコードする、請求項50~58に記載の核酸配列。
【請求項62】
グリコーゲン貯蔵障害II型(GSD II、ポンペ病、酸性マルターゼ欠損症)を有するか、またはアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドにおける欠損を有する対象を処置するための方法であって、先の請求項のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター、またはrAAVゲノムまたは核酸配列のいずれかを前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項63】
GAAポリペプチドが、前記対象の肝臓から分泌され、分泌されたGAAの骨格筋組織、心筋組織、横隔膜筋組織、またはそれらの組合せによる取り込みがあり、前記分泌されたGAAの取り込みが、前記組織中のリソソームグリコーゲン貯蔵の低減をもたらす、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記対象に投与する前記ステップが、筋肉内、皮下、脊髄内、大槽内、髄腔内、静脈内の投与のいずれかから選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記組換えAAVベクターが、キメラAAVベクター、ハプロイドAAVベクター、ハイブリッドAAVベクター、またはポリプロイドAAVベクターである、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記組換えAAVベクターが、合理的ハプロイドベクター、モザイクAAVベクター、化学修飾AAVベクター、または任意のAAV血清型由来のAAVベクターである、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記組換えAAVベクターが、AAVXL32ベクター、またはAAVXL32.1ベクター、またはAAV8ベクター、または少なくとも1つのAAV8カプシドタンパク質を含むハプロイドAAV8ベクターである、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記組換えAAVベクターがAAV8ベクターである、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
リソソーム蓄積症(LSD)を有する対象を処置するための方法であって、先の請求項のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター、またはrAAVゲノムまたは核酸配列のいずれかを前記対象に投与するステップを含み、前記AAVベクターが、表5Bまたは表6Bにおける任意のポリペプチドから選択されるポリペプチドを発現する、方法。
【請求項70】
前記リソソーム蓄積症(LSD)が、表5Aまたは表6Aにリストされるもののいずれかから選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記組換えAAVベクターが、キメラAAVベクター、ハプロイドAAVベクター、ハイブリッドAAVベクター、またはポリプロイドAAVベクターである、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記組換えAAVベクターが、合理的ハプロイドベクター、モザイクAAVベクター、化学修飾AAVベクター、または任意のAAV血清型由来のAAVベクターである、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記組換えAAVベクターが、AAVXL32ベクター、またはAAVXL32.1ベクター、またはAAV8ベクター、または少なくとも1つのAAV8カプシドタンパク質を含むハプロイドAAV8ベクターである、請求項69に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本発明は、2019年11月19日に出願された米国仮出願第62/937,556号および2019年11月19日に出願された米国仮出願第62/937,583号、ならびに2020年5月12日に出願された米国仮出願第63/023,570号の米国特許法第119条(e)の利益を主張し、それぞれの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含む。2020年11月17日に作成された前記ASCIIコピーは、046192-096600WOPT SL.txtという名称であり、840,179バイトのサイズである。
【0003】
発明の分野
本発明は、例えば、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドなどのリソソーム酵素の標的化移行のためのアデノ随伴ウイルス(AAV)粒子、ビリオンおよびベクター、ならびに例えばポンペ病などのリソソーム蓄積症およびリソソーム蓄積障害の処置のための使用の方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
40種を超えるリソソーム蓄積症(LSD)は、直接的または間接的に、リソソームにおける1つまたは複数のリソソーム酵素の非存在によって引き起こされる。LSDのための酵素補充療法が、積極的に推進されている。療法は、一般に、LSDタンパク質が、M6P依存性の様式で、各種の細胞型のリソソームに取り込まれ、送達されることを必要とする。1つの可能性のあるアプローチは、LSDタンパク質を精製すること、およびM6Pによる炭水化物部分が組み込まれるようにそれを改変することを含む。この改変された材料は、細胞表面上のM6P受容体との相互作用に起因して、未改変LSDタンパク質よりも効率的に細胞によって取り込まれ得る。
【0005】
酵素療法の代替または補助として、GSD-IIを処置するための遺伝子治療アプローチの実現可能性が調べられている(Amalfitano, A., et al., (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:8861-8866、Ding, E., et al. (2002) Mol. Ther. 5:436-446、Fraites, T. J., et al., (2002) Mol. Ther. 5:571-578、Tsujino, S., et al. (1998) Hum. Gene Ther. 9:1609-1616)。
【0006】
しかしながら、遺伝子、特に、リソソーム蓄積症の処置のためのリソソームタンパク質および酵素のウイルスまたはAAV送達は課題がある。通常、哺乳動物のリソソーム酵素は、サイトゾル中で合成され、ERを通過し、そこでそれらは、N連結された高マンノース型炭水化物でグリコシル化される。ゴルジでは、高マンノース炭水化物は、これらのタンパク質をリソソームに標的化するマンノース-6-リン酸(M6P)の付加によって、リソソームタンパク質上で改変される。M6P改変タンパク質は、2つのM6P受容体のいずれかとの相互作用を介して、リソソームに送達される。しかしながら、酵素補充療法において使用される組換え的に産生されたタンパク質は、多くの場合、それらをリソソームに標的化するために必要なM6Pの付加を欠き、したがって、多くの場合、高用量の患者に投与される組換え的に産生された酵素および/または頻繁な注入を必要とする。
【0007】
酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)は、マルトースおよびグリコーゲンの外側の分枝を含む他の直鎖状オリゴ糖においてアルファ1-4連結を加水分解し、それによりリソソーム中の過剰のグリコーゲンを分解する、リソソーム酵素である(Hirschhorn et al. (2001) in The Metabolic and Molecular Basis of Inherited Disease, Scriver, et al., eds. (2001), McGraw-Hill: New York, p. 3389-3420)。他の哺乳動物のリソソーム酵素と同様に、GAAは、サイトゾル中で合成され、ERを通過し、そこでそれは、N連結された高マンノース型炭水化物でグリコシル化される。ゴルジでは、高マンノース炭水化物は、これらのタンパク質をリソソームに標的化するマンノース-6-リン酸(M6P)の付加によって、リソソームタンパク質上で改変される。M6P改変タンパク質は、2つのM6P受容体のいずれかとの相互作用を介して、リソソームに送達される。改変の最も好ましい形態は、2つのM6Pが高マンノース炭水化物に付加される場合である。
【0008】
リソソームにおける不十分なGAA活性は、酸性マルターゼ欠損症(AMD)、グリコーゲン貯蔵障害II型(GSDII)、糖原病II型、またはGAA欠損症としても公知の疾患であるポンペ病をもたらす。酵素活性の減少は、GAAをコードする遺伝子における各種のミスセンス変異およびナンセンス変異に起因して起こる。その結果として、グリコーゲンは、ポンペ病を有する患者において、すべての細胞のリソソームに蓄積する。特に、グリコーゲン蓄積は、心筋および骨格筋、肝臓、ならびに他の組織のリソソームにおいて最も顕著である。蓄積したグリコーゲンは、最終的に、筋肉の機能を損なう。ポンペ病の最も重度の形態では、心肺機能不全に起因して、2歳より前に死亡が起こる。
【0009】
ポンペ病の有効な処置についての必要性が存在する。ポンペのための酵素補充治療学は、組換えGAAタンパク質が投与され、対象における筋肉および肝臓の細胞によって取り込まれ、その後、M6P依存性の様式でそれらの細胞中のリソソームに輸送されることを必要とする。しかしながら、酵素療法は、重度の小児型GSD IIに対して妥当な効力を実証しているが、GAA酵素療法の利益は、頻繁な注入についての必要性、および組換えhGAAタンパク質に対する阻害剤または中和抗体の対象における発生によって限定されている(Amalfitano, A., et al. (2001) Genet. In Med. 3:132-138)。
【0010】
遺伝子治療は、ウイルスを使用して、遺伝性障害を治癒するだけでなく、後天性の変性疾患の長期の非侵襲的処置も容易にする可能性を有する。1つの遺伝子治療ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)である。AAVそれ自身は、効率的な複製のためにヘルパーウイルスを必要とする非病原性依存性パルボウイルスである。AAVは、その安全性および単純性のために、遺伝子治療のためのウイルスベクターとして用いられている。AAVは、分裂細胞および非分裂細胞の両方を形質導入することができる、広い宿主および細胞型向性を有する。
【0011】
しかしながら、GAAポリペプチドのAAV送達は、肝臓における十分な発現および/またはリソソームへの送達の達成に関していくつかの課題を有し、患者は、糖血症の経験を報告している。
特に、ヒト対象では、GAAポリペプチドをコードするrAAVベクターの投与は、細胞における非特異的なアップデートに起因して、低血糖を経験するか、または高血糖になっている幾人もの患者をもたらしている(例えば、Byrne et al., A study on the safety and efficacy of Reveglucosidease alfa in patients with late-onset Pompe disease; Orphanet J. of Rare diseases; 2017; 12: 144を参照されたい)。
したがって、例えば、GAAの改変を含む、リソソームポリペプチド欠損症を処置するために、in vitroおよびin vivoで、GAAなどのリソソームポリペプチドを生成する改善された方法についての当技術分野における必要性が存在する。また、GAAポリペプチドの過剰発現による任意の副作用の低減を助け、低血糖の危険性の低減させるために、肝臓からの分泌の改善、およびGAAのリソソームへの標的化の改善についての必要性が存在する。さらに、GAAおよび他のリソソームポリペプチドの罹患した組織および臓器への全身送達をもたらす方法についての必要性が存在する。特に、任意の可能性のある副作用を低減しながら、GAAタンパク質を対象に投与するため、およびGAAタンパク質を患者のリソソームに標的化するためのより効率的な方法についての必要性が残されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Amalfitano, A., et al., (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:8861-8866
【非特許文献2】Ding, E., et al. (2002) Mol. Ther. 5:436-446、Fraites, T. J., et al., (2002) Mol. Ther. 5:571-578
【非特許文献3】Tsujino, S., et al. (1998) Hum. Gene Ther. 9:1609-1616)
【非特許文献4】Hirschhorn et al. (2001) in The Metabolic and Molecular Basis of Inherited Disease, Scriver, et al., eds. (2001), McGraw-Hill: New York, p. 3389-3420
【非特許文献5】Amalfitano, A., et al. (2001) Genet. In Med. 3:132-138
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本明細書に記載される技術は、一般に、例えば、限定されるものではないが、ポンペ病などのリソソーム蓄積症およびリソソーム蓄積障害の処置のための遺伝子治療構築物、方法、および組成物に関する。より詳細には、本技術は、リソソーム酵素、例えば、GAAポリペプチドを対象に送達するため、より詳細には、リソソームに標的化され、肝臓細胞から分泌される、リソソーム酵素、例えば、GAAポリペプチドを対象の肝臓に送達するために構成されたアデノ随伴(AAV)ビリオンに関する。
【0014】
特に、例えば、例示的な例としてrAAVベクターを使用する標的化ウイルスベクターが本明細書に記載され、これは、逆位末端反復(ITR)、プロモーター、異種遺伝子、ポリAテイル、およびリソソーム蓄積症を処置する使用のための潜在的な他の調節エレメント、例えば、本明細書の表5Aまたは表6Aにリストされるものを含有するヌクレオチド配列を含み、異種遺伝子は、例えば、GAAなどのリソソーム酵素であり、ベクター、例えば、rAAVは、治療有効用量で患者に投与することができ、これは異種リソソーム酵素遺伝子の発現、および疾患、例えば、ポンペ病の処置のために、適切な組織および/または臓器に送達される。
【0015】
本発明の態様は、下記に記載される例示的な利点を生じさせる構築および使用におけるある特定の利益を教示する。
【0016】
したがって、特定の実施形態では、逆位末端反復(ITR)、ならびにITRの間に位置する、肝臓特異的プロモーター(LSP)、酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)タンパク質をコードする異種核酸配列、ポリAテイル、および潜在的にポンペ病を処置する使用のための他の調節エレメントを含有するヌクレオチド配列を含むrAAVベクターが本明細書に記載され、GAAタンパク質を発現するrAAVは、患者に治療有効用量で投与することができ、これは、ポンペ病を有する対象の処置のためのGAAタンパク質をコードする異種遺伝子の発現のために、適切な組織および/または臓器に送達される。
【0017】
より具体的には、AAVビリオンまたはゲノムは、リソソームタンパク質、例えば、GAAタンパク質が、肝臓において優先的に発現するのを可能にする、本明細書の表4にリストされる任意のプロモーター、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片から選択されるLSP、あるいは配列番号86、91~96もしくは146~150から選択される任意のLSP、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片を含む。一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、肝臓においてhGAAタンパク質を優先的に発現しながら、目的の別の組織、例えば、筋肉、またはCNS、または筋肉およびCNSの組織において、ある程度hGAAを発現することもできる。一部の実施形態では、発現されたリソソーム酵素、例えば、GAAタンパク質は、GAAタンパク質をリソソームに標的化する、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチドなどの標的化配列とのGAA融合タンパク質として構成され得るか、および/またはシグナルペプチド(SP)と融合され得、GAAタンパク質は、肝臓においてrAAVゲノムによって発現され、そこでこれは、哺乳動物細胞、特に、筋肉細胞のリソソームによって分泌および取り込まれる。
【0018】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターは、そのゲノム中に、5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに5’および3’ITRの間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする異種核酸配列に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター(LSP)を含み、肝臓特異的プロモーター(LSP)は、配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)、もしくは配列番号92(SP0422)、配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP0265、SP131_A1も指す)、配列番号95(SP0240)、もしくは配列番号96(SP0246)、もしくは配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、もしくは配列番号150(SP0131-A1-UTR)、またはそれらの機能的断片もしくはバリアント、あるいは配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSP、またはそれらの機能的断片もしくはバリアントからリストされる任意のプロモーターから選択される核酸配列を含む。一部の実施形態では、GAAポリペプチドは、IGF2標的化配列またはシグナル配列のいずれにも融合されていない。一部の実施形態では、GAAポリペプチドは、本明細書に開示されるシグナル配列、および/または本明細書に開示されるIGF2標的化配列に融合されている。
【0019】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターは、そのゲノム中に、5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに5’および3’ITRの間に位置する、(i)分泌シグナルペプチドおよび/またはIGF2標的化ペプチド、ならびに(ii)アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする異種核酸配列に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター(LSP)を含み、肝臓特異的プロモーター(LSP)は、本明細書の表4にリストされる任意のプロモーター、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、あるいは配列番号86、91~96もしくは146~150から選択される任意のLSP、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片から選択される。
【0020】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターは、そのゲノム中に、5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに5’および3’ITRの間に位置する、(i)分泌シグナルペプチド(リーダーペプチドとも称される)、および(ii)アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含み、異種核酸は、本明細書の表4にリストされる任意のプロモーター、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、あるいは配列番号86、91~96もしくは146~150から選択される任意のLSP、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、あるいは本明細書の表4から選択される任意のLSP、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片から選択される肝臓特異的プロモーター(LSP)に動作可能に連結されている。例示的なリーダー配列としては、限定されるものではないが、本明細書に開示される、生得的GAAリーダー配列、AAT配列、IL2(1-3)、IL2リーダー配列(IL2 wt)、改変IL2リーダー配列(IL2 mut)、フィブロネクチン(FN1)シグナル配列もしくはIgGリーダー配列、またはそれらの機能的バリアントが挙げられる。一部の実施形態では、AAVベクターは、LSPおよびリーダー配列の間に位置するコザック配列を含む。
【0021】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターは、そのゲノム中に、5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに5’および3’ITRの間に位置する、(i)IGF2標的化ペプチド、および(ii)アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含み、異種核酸は、本明細書の表4にリストされる任意のプロモーター、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、あるいは配列番号86、91~96もしくは146~150から選択される任意のLSP、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片から選択される肝臓特異的プロモーター(LSP)に動作可能に連結されている。
【0022】
さらなる実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターは、そのゲノム中に、5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに5’および3’ITRの間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする異種核酸配列(すなわち、GAAポリペプチドは異種シグナルペプチド(または、リーダー配列)に融合されても、本明細書に記載されるIGF2標的化配列に融合されてもいない)を含み、異種核酸は、本明細書の表4にリストされる任意のプロモーター、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、あるいは配列番号86、91~96もしくは146~150から選択される任意のLSP、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片から選択される肝臓特異的プロモーター(LSP)に動作可能に連結されている。
【0023】
一部の実施形態では、rAAVベクターは、肝臓特異的カプシド、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2019/241324に開示されるXL32およびXL32.1から選択される肝臓特異的カプシドを含む。一部の実施形態では、rAAVベクターは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2019/241324に開示されるAAVXL32もしくはAAVXL32.1、またはAAV8ベクター、または少なくとも1つのAAV8カプシドタンパク質(例えば、VP1、VP2またはVP3の少なくとも1つがAAV8血清型由来である)を含むハプロイドAAVベクターであり、一部の実施形態では、AAVベクターは、少なくとも2つのAAV8カプシドタンパク質を含むハプロイドAAVベクターである。一部の実施形態では、AAVベクターは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるWO2019241324A1または国際特許出願第PCT/US2019/036676号に開示されるカプシドを含む。一部の実施形態では、AAVベクターは、WO2019241324A1に開示される配列番号1~3のいずれか1つのヌクレオチド配列または(b)WO2019241324A1に開示される配列番号4~6のいずれか1つをコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%同一である核酸AAVカプシドコード配列によってコードされるカプシドを含む。一部の実施形態では、AAVカプシドは、本発明のAAVベクターゲノムおよびAAVカプシドを含むAAV粒子と一緒に、WO2019241324A1に開示される配列番号4~6のいずれか1つと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、rAAVベクターは、AAVベクターが肝臓細胞を形質導入するように、カプシドタンパク質を含み、一部の実施形態では、rAAVベクターは、AAVベクターが筋肉および肝臓の細胞を形質導入するように、カプシドタンパク質を含む。
【0024】
方法および組成物における使用のために包含される例示的なLSPは、SP0412(配列番号91)またはその機能的バリアントである。代替の実施形態では、LSPは、配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)、もしくは配列番号92(SP0422)、配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP0265、SP131_A1も指す)、配列番号95(SP0240)、もしくは配列番号96(SP0246)、もしくは配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、もしくは配列番号150(SP0131-A1-UTR)、またはそれらの機能的断片もしくはバリアントのいずれかから選択することができる。
【0025】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、AATシグナルペプチド、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、GAAシグナルペプチド、生得的GAAリーダー配列、AAT配列、IL2(1-3)、IL2リーダー配列(IL2 wt)、改変IL2リーダー配列(IL2 mut)もしくはIgGリーダー配列、または分泌シグナル活性を有するそれらの機能的バリアントのいずれかから選択される。
【0026】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドは、GAAポリペプチドのN末端でIGF2標的化ペプチドに連結されている。一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、ヒト酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチド(配列番号10)のアミノ酸70のN末端に連結されているか(すなわち、ヒト酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドの残基70~952のN末端に連結されている)、または配列番号10のアミノ酸70~952と少なくとも85%の配列同一性のGAAポリペプチドに連結されている。代替の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、ヒト酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチド(配列番号10)のアミノ酸40のN末端に連結されているか(すなわち、ヒト酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドの残基40~952のN末端に連結されている)、または配列番号10のアミノ酸40~952と少なくとも85%の配列同一性のGAAポリペプチドに連結されている。本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、GAAポリペプチドは、野生型GAA核酸配列(例えば、配列番号11または配列番号72)によってコードされるか、または例えば、in vivoでの発現の増加、CpGアイランドの低減、および/もしくは対象における自然免疫応答の低減のいずれか1つのためにコドン最適化されたGAA核酸配列であり得る。例示的なコドン最適化GAA核酸配列は、限定されるものではないが、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、および配列番号182が挙げられる。
【0027】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、肝臓特異的プロモーター(LSP)を含み、例えば、限定されるものではないが、肝臓特異的プロモーターは、本明細書の表4におけるいずれかまたはそれらの機能的バリアントから選択される。方法および組成物における使用のために包含される例示的なLSPとしては、SP0412およびその機能的バリアントが挙げられる。代替の実施形態では、LSPは、本明細書に開示される、SP0422、SP0131A1、SP0239、SP0240もしくはSP0246、またはそれらの機能的バリアントのいずれかから選択される核酸配列を含むことができる。例えば、肝臓特異的プロモーターは、配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)もしくは配列番号92(SP0422)、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片のいずれかから選択される核酸配列を含むことができる。代替の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP131_A1とも呼ばれるSP0265)、配列番号95(SP0240)、または配列番号96(SP0246)、または配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、または配列番号150(SP0131-A1-UTR)のいずれかから選択される核酸配列を含むことができる。本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターとしては、参照によりその全体が本明細書に包含される仮出願第62,937,556号の表4Aまたは4Bに以前に開示されている、肝臓特異的シス調節エレメント(CRE)、合成肝臓特異的シス調節モジュール(CRM)、または配列番号270~341(ミニマルLSP、これはCRMを含み得る)もしくは配列番号342~430(例示的な合成LSP)のいずれかから選択されるプロモーター配列を含む合成肝臓特異的プロモーター、あるいはそれらの機能的断片もしくは機能的バリアントが挙げられる。これらの肝臓特異的プロモーターエレメントとしては、ミニマル肝臓特異的プロモーター(例えば、配列番号86、270~341を参照されたい)、または肝臓特異的近位プロモーター(例えば、配列番号91~96、146~150および342~430を参照されたい)が挙げられ得る。例えば、配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)もしくは配列番号92(SP0422)、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片。
【0028】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、肝臓特異的プロモーター(LSP)を含み、例えば、限定されるものではないが、肝臓特異的プロモーターは、配列番号86、91~96、146~150、370~430、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片のいずれかから選択される。
【0029】
例えば、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーターの機能的バリアントもしくは機能的断片、あるいは配列番号86、91~96、もしくは146~150、もしくは370~430から選択される任意のLSP、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片は、元の未改変参照配列と、少なくとも約75%の配列同一性、または少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、およびまた対応する未改変プロモーター配列の少なくとも35%のプロモーター活性、または少なくとも約45%のプロモーター活性、または少なくとも約50%のプロモーター活性、または少なくとも約60%のプロモーター活性、または少なくとも約75%のプロモーター活性、または少なくとも約80%のプロモーター活性、または少なくとも約85%のプロモーター活性、または少なくとも約90%のプロモーター活性、または少なくとも約95%のプロモーター活性を有する。
【0030】
例えば、配列番号92(SP0422)または配列番号91(SP0412)の機能的バリアントまたは機能的断片は、それぞれ、配列番号92もしくは配列番号91と少なくとも約75%の配列同一性、または配列番号92もしくは配列番号91と少なくとも約80%の配列同一性、配列番号92もしくは配列番号91と少なくとも約90%の配列同一性、配列番号92もしくは配列番号91と少なくとも約95%の配列同一性、配列番号92もしくは配列番号91と少なくとも約98%の配列同一性、または元の未改変配列を有し、かつ配列番号92もしくは配列番号91の対応する未改変プロモーター配列の少なくとも35%のプロモーター活性、または少なくとも約45%のプロモーター活性、または少なくとも約50%のプロモーター活性、または少なくとも約60%のプロモーター活性、または少なくとも約75%のプロモーター活性、または少なくとも約80%のプロモーター活性、または少なくとも約85%のプロモーター活性、または少なくとも約90%のプロモーター活性、または少なくとも約95%のプロモーター活性も有する。
【0031】
機能的断片は、非切断型プロモーターの少なくとも35%、または少なくとも約45%、または少なくとも約50%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%を有するプロモーターの一部分である。一部の実施形態では、機能的断片は、未改変プロモーター配列の連続部分を含む。TTR(配列番号431)は、例示的なLSPとして本明細書の実施例に開示されているが、当業者は、TTRプロモーター(配列番号431)を、本明細書の表4にリストされる肝臓特異的プロモーターのいずれか1つまたは複数、例えば、少なくとも配列番号92(SP0422)もしくは配列番号91(SP0412)、または配列番号92(SP0422)もしくは配列番号91(SP0412)の機能的バリアントもしくは断片を含む核酸配列、あるいは配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP131_A1)、配列番号95(SP0240)、配列番号96(SP0246)、または配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)もしくは配列番号150(SP0131-A1-UTR)のいずれかを含む核酸配列、あるいは配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意の配列、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片で置き換えることができる。一部の実施形態では、LSPは、肝臓においてhGAAタンパク質を優先的に発現しながら、目的の別の組織、例えば、筋肉、またはCNS、または筋肉およびCNSの組織において、ある程度hGAAを発現することもできる。
【0032】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、本明細書に開示される野生型GAAポリペプチド(wtGAA)または改変GAAポリペプチドをコードする異種核酸配列を含み、GAAポリペプチドの1個または複数のアミノ酸は、改変されている、例えば、H199R、R223H、H201L改変である。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、ヒトGAA遺伝子、またはヒトコドン最適化GAA遺伝子(coGAA)、またはH199R、R223H、H201Lから選択される改変の1つもしくは複数を含む改変GAAポリペプチドをコードするコドン最適化されている改変GAA核酸配列である、GAAポリペプチドをコードする異種核酸配列を含む。本明細書に開示される方法および組成物のすべての態様では、GAAポリペプチドをコードする核酸配列は、in vivoでの増強された発現、CpGアイランドを低減するように、または自然免疫応答を低減するようにのいずれか1つまたは複数のためにコドン最適化されている。本明細書に開示される方法および組成物のすべての態様では、GAAポリペプチドをコードする核酸配列は、CpGアイランドを低減するように、および自然免疫応答を低減するようにコドン最適化されている。一部の実施形態では、野生型GAAポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号182に開示され、かつ本明細書に記載される改変を含む。
【0033】
本明細書の技術の別の態様は、本明細書に開示される組換えAAVベクター組成物のいずれか、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0034】
本明細書の技術の別の態様は、以下の順序で、5’ITR、H199R、R223H、H201Lから選択される改変の1つまたは複数を含む改変GAAポリペプチドをコードする核酸を含む核酸配列に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター(LSP)、および3’ITRを含む核酸配列を含む組成物に関する。一態様では、核酸配列は、必要に応じて、LSPおよびGAAポリペプチドをコードする核酸の間に位置するリーダー配列(または、シグナル配列)をコードする核酸配列をさらに含み、リーダー配列は、本明細書に開示される、生得的GAAリーダー配列、AAT配列、IL2(1-3)、IL2リーダー配列(IL2 wt)、改変IL2リーダー配列(IL2 mut)、フィブロネクチン(FN1)もしくはIgGリーダー配列、またはそれらの機能的バリアントのいずれかから選択される。一部の実施形態では、核酸配列は、必要に応じて、LSPおよびリーダー配列の間に位置するコザック配列をさらに含む。一部の実施形態では、核酸配列は、必要に応じて、リーダー配列およびGAAポリペプチドをコードする核酸の間に位置するIGF2標的化ペプチドをさらに含む。一部の実施形態では、核酸配列は、必要に応じて、GAAポリペプチドをコードする核酸およびポリA配列の3’に位置する3’UTRをさらに含む。一部の実施形態では、核酸配列は、必要に応じて、LSPの3’およびGAAポリペプチドをコードする核酸の5’に、好ましくは、LSPおよびコザック配列の間にイントロン配列をさらに含む。rAAVベクターまたはrAAVゲノムのための例示的な構築物を図5A~5Gに示す。
【0035】
本明細書の技術の別の態様は、5’ITR、H199R、R223H、H201Lから選択される改変の1つまたは複数を含む改変GAAポリペプチドをコードする核酸配列に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター(LSP)、ポリA配列、および3’ITR配列を含む核酸配列を含む組成物であって、ポリA配列が、全長または切断型ポリAシグナル配列であり得る、組成物に関する。本明細書の技術の別の態様は、5’ITR、H199R、R223H、H201Lから選択される改変の1つまたは複数を含む改変GAAポリペプチドをコードする核酸配列に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター(LSP)、全長ポリA配列、末端反復配列、および3’ITR配列を含む核酸配列を含む組成物であって、核酸が、AAV P5プロモーター配列を欠く、組成物に関する。
【0036】
本明細書の技術の別の態様は、以下の順序で、(a)分泌シグナルペプチドをコードする核酸、(b)IGF2標的化ペプチドをコードする核酸、および(c)GAAポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター(LSP)を含む核酸配列を含む組成物に関する。
【0037】
本明細書の技術の別の態様は、組換えアデノウイルス随伴(rAAV)ベクターゲノムに対する核酸配列を含む組成物であって、核酸配列が、(a)5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)核酸配列、ならびに(b)5’および3’ITR配列の間に位置する、分泌シグナルペプチドおよびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする異種核酸配列を含み、異種核酸が、上記に記載される肝臓特異的プロモーターに動作可能に連結されている、組成物に関する。例示的な肝臓特異的プロモーターは、SP0412もしくはSP0422、またはそれらの機能的バリアントである。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物における使用のための肝臓特異的プロモーターとしては、肝臓特異的シス調節エレメント(CRE)、合成肝臓特異的シス調節モジュール(CRM)、または本明細書の表4に開示される合成肝臓特異的プロモーターが挙げられる。
【0038】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、核酸配列は、GAAポリペプチドをコードする異種核酸配列を含み、核酸配列は、ヒトGAA遺伝子、またはヒトコドン最適化GAA遺伝子(coGAA)、または改変GAA核酸配列である。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、核酸配列は、in vivoでの増強された発現、CpGアイランドを低減するように、または自然免疫応答を低減するようにのいずれか1つまたは複数のために、コドン最適化された(coGAA)GAA遺伝子である異種核酸配列を含む。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、核酸配列は、CpGアイランドを低減するように、および自然免疫応答を低減するようにコドン最適化された(coGAA)GAA遺伝子である異種核酸配列を含む。
【0039】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、核酸配列は、配列番号11(全長hGAA)、配列番号55(Dwight cDNA)、配列番号56(hGAA Δ1~66)もしくは配列番号182(modGAA、H199R、R223H)、または配列番号170(modGAA;H199R、R223H)、配列番号171(modGAA;H199R、R223H、H201L)のアミノ酸配列を有するGAAポリペプチドをコードする核酸配列、または配列番号11、55、56もしくは182のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性であるGAAポリペプチドをコードする核酸配列のいずれかから選択されるGAAポリペプチドをコードする異種核酸配列を含む。
【0040】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、核酸配列は、GAAポリペプチドをコードする異種核酸配列を含み、GAAポリペプチドをコードする核酸は、配列番号74(コドン最適化1)、配列番号75(コドン最適化2)、および配列番号76(コドン最適化3)、もしくは配列番号182(modGAA、H199R、R223H)、または配列番号74、75、76もしくは182のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列のいずれかから選択される。
【0041】
本明細書の技術の別の態様は、疾患を処置するための方法における本明細書に開示されるrAAVおよび核酸組成物の使用に関する。特に、本明細書の技術の一態様は、グリコーゲン貯蔵障害II型(GSD II、ポンペ病、酸性マルターゼ欠損症)を有するか、またはアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチド中に欠損を有する対象を処置するための方法における、本明細書に開示されるrAAVベクター組成物および核酸組成物の使用であって、方法が、本明細書に開示される組換えAAVベクター、またはrAAVゲノムまたは核酸配列のいずれかを対象に投与するステップを含む、使用に関する。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、発現されたGAAポリペプチドは、対象の肝臓から分泌され、骨格筋組織、心筋組織、横隔膜筋組織、またはそれらの組合せによって分泌されたGAAの取り込みがあり、分泌されたGAAの取り込みは、組織中のリソソームグリコーゲン貯蔵の低減をもたらす。開示される方法における一部の実施形態では、組換えAAVベクター、またはrAAVゲノムまたは核酸配列は、任意の好適な投与方法、例えば、限定されるものではないが、筋肉内、皮下、脊髄内、大槽内、髄腔内、静脈内の投与のいずれかから選択される投与方法によって対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、本明細書に開示される方法において使用することができる。
【0042】
本明細書の技術の別の態様は、本明細書に開示される、rAAV組成物、rAAVゲノム組成物、または核酸組成物のいずれか1つまたは複数を含む細胞に関する。一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞、または非ヒト細胞の哺乳動物細胞、または昆虫細胞である。
【0043】
本明細書の技術の別の態様は、本明細書に開示される、rAAV組成物、rAAVゲノム組成物、または核酸組成物のいずれか1つまたは複数を含む宿主動物に関する。一部の実施形態では、宿主動物は、哺乳動物、非ヒト哺乳動物、またはヒトである。
【0044】
本明細書の技術の別の態様は、本明細書に開示される、rAAV組成物、rAAVゲノム組成物、または核酸組成物のいずれか1つまたは複数を含む少なくとも1つの細胞を含む宿主動物に関する。一部の実施形態では、そのような改変細胞を含む宿主動物は、哺乳動物、非ヒト哺乳動物、またはヒトである。
【0045】
一部の実施形態では、本明細書に開示される、rAAVベクター、rAAVゲノムをコードする核酸、および薬学的に許容される担体を含む医薬製剤が本明細書に開示される。
【0046】
本発明の態様は、下記に記載される例示的な利点を生じさせる構築および使用におけるある特定の利益を教示する。本発明の態様の他の特徴および利点は、例として、本発明の態様の原理を図示する添付の図面と併せて解釈される、以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【0047】
本出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を伴う本特許出願公開の写しは、請求および必要な手数料の支払いによって、庁によって提供されるであろう。添付の図面は、本発明の態様を図示する。そのような図面では、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、少なくとも1つの実施形態による、全血において測定された、ディプロイドゲノム1つあたりのベクターゲノムのy軸、ならびに異なるAAV血清型のAAV3b、AAV3ST、AAV8およびAAV9のx軸を図示するグラフである。
【0049】
図2図2は、少なくとも1つの実施形態による、肝臓の左葉、中葉、および右葉において測定された、ディプロイドゲノム1つあたりのベクターゲノムのy軸、ならびに異なるAAV血清型のAAV3b、AAV3ST、AAV8およびAAV9のx軸を図示するグラフである。
【0050】
図3-1】図3A~3Bは、本明細書に開示される方法および組成物において有用なrAAVベクターの産生のための例示的なプラスミドである。図3Aは、少なくとも1つの実施形態による、産生細胞系、例えば、pro-10細胞系におけるrAAVベクターの産生のためのpAAV-LSPhGAAプラスミドのプラスミドマップの図示であり、プラスミドは、5’ITR、LSP、hGAA核酸配列、3’UTR、ポリA配列、および3’ITRを含み、ITRは、AAV2由来である。図3Bは、図3Aのプラスミドマップの図示のより詳細なマップを示す。
図3-2】図3A~3Bは、本明細書に開示される方法および組成物において有用なrAAVベクターの産生のための例示的なプラスミドである。図3Aは、少なくとも1つの実施形態による、産生細胞系、例えば、pro-10細胞系におけるrAAVベクターの産生のためのpAAV-LSPhGAAプラスミドのプラスミドマップの図示であり、プラスミドは、5’ITR、LSP、hGAA核酸配列、3’UTR、ポリA配列、および3’ITRを含み、ITRは、AAV2由来である。図3Bは、図3Aのプラスミドマップの図示のより詳細なマップを示す。
【0051】
図4-1】図4A~4Gは、発現する例示的なリソソームタンパク質としてhGAAを使用する、標的化ペプチドを有する本明細書に開示されるrAAVゲノムのための例示的な核酸構築物の図示である。図4Aは、5’ITR、分泌シグナルペプチド(SS)、標的化ペプチド(TP)およびヒトGAA(hGAA)ポリペプチドをコードする異種核酸に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター(LSP)、ならびに3’ITRを含む、rAAVゲノムのための核酸構築物を示す。図4Bは、図4Aと同じエレメントを含み、hGAAポリペプチドの3’および3’-ITRの5’に少なくとも1つのポリAシグナルを追加で含む、本明細書に開示されるrAAVゲノムのための例示的な核酸構築物を示す。図4Cは、プロモーターの3’にイントロン配列を含むことを除いて、図4Bと同じエレメントを含む、本明細書に開示されるrAAVゲノムのための例示的な核酸構築物を示す。図4Dは、hGAAポリペプチド核酸配列の3’およびポリA配列の前に位置するコラーゲン安定性(CS)配列および/または3’UTR配列を含むことを除いて、図4Cと同じエレメントを含む、本明細書に開示されるrAAVゲノムのための例示的な核酸構築物を示す。図4Eは、hGAAポリペプチドをコードする核酸および標的化ペプチド(TP)、例えば、IGF2標的化ペプチドをコードする核酸の間に位置する少なくとも1個のアミノ酸のスペーサーをコードする核酸も含むことを除いて、図4Dと同じエレメントを含む、本明細書に開示されるrAAVゲノムのための例示的な核酸構築物を示す。図4Fは、図4Eと同じエレメントを含む、本明細書に開示されるrAAVゲノムのための例示的な核酸構築物を示し、ここで、プロモーターが肝臓プロモーターであり、イントロン配列が、MVMまたはHBB2イントロン配列から選択され、分泌シグナルペプチドが、FN1シグナルペプチド(例えば、hFN1、ratFN1)、AATシグナルペプチドまたはhGAAシグナルペプチドのいずれかから選択され、標的化ペプチドが、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチドであり、少なくともポリA配列が、hGHpAまたはsynPAポリA配列から選択される。図4Gは、IGF2標的化ペプチドが、配列番号2(IGF2 Δ2~7)、配列番号3(IGF2 Δ1~7)または配列番号4(IGF2 V43M)から選択される核酸配列である場合を除いて、図4Fと同じエレメントを含む、本明細書に開示されるrAAVゲノムのための例示的な核酸構築物を示す。
図4-2】同上。
【0052】
図5-1】図5A~5Gは、rAAVゲノムのための例示的な核酸構築物を示す。図5Aは、5’ITR、hGAAポリペプチドをコードする核酸に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター、ポリA配列(例えば、hGHpA、synPA、RBGまたはSV40ポリA配列のいずれか1つまたは複数)、および3’ITRを含む例示的なrAAVゲノムの概略図である。図5Bは、5’ITR、シグナル分泌ペプチド(例えば、FN1、AATまたは同族GAAシグナルペプチド、IL2、mutIL2、IgGのいずれかから選択される)をコードする核酸に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター、ヒトGAAポリペプチドおよびポリA配列をコードする核酸、ならびに3’ITRを含む例示的なrAAVゲノムの概略図である。図5Cは、5’ITR、イントロン配列(例えば、MVM、SV40またはHBB2イントロン配列)に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーター、シグナル分泌ペプチド(例えば、FN1、AATまたは同族GAAシグナルペプチド、IL2、mutIL2、IgGのいずれかから選択される)をコードする核酸、ヒトGAAポリペプチドおよびポリA配列をコードする核酸、ならびに3’ITRを含む例示的なrAAVゲノムの概略図である。図5Dは、GAAをコードする核酸の3’および少なくとも1つのポリA配列(例えば、hGHpAおよび/またはsynPAポリA配列)の間に位置するコラーゲン安定性(CS)配列または3’UTRを含む、図5Cと類似の構築物の概略図である。一部の実施形態では、構築物は、本明細書に開示されるCS配列および3UTR配列の両方を含む。一部の実施形態では、CS配列は、本明細書に開示される3’UTR配列によって置き換えることができる。図5A~5Dでは、例示的な肝臓特異的プロモーターは、本明細書の表4に開示されるもののいずれかから選択することができ、限定されるものではないが、配列番号86、91~96もしくは146~150、または配列番号86、91~96もしくは146~150と少なくとも85%の配列同一性を有する配列を含む。図5Eは、ポンペ病を処置するための本明細書に開示される方法および組成物において有用なAAVベクターの一実施形態の概略図であり、5’ITRおよび3’ITR配列の間に隣接して、5’から3’への方向に、LSPプロモーター、コザック配列、シグナル配列(図5Eではリーダー配列と称される)、hGAAをコードする核酸、およびポリA配列を含む核酸を含む。一部の実施形態では、リーダー配列は、生得的GAAリーダー配列、IL2リーダー配列(IL2 wt)、改変IL2リーダー配列(IL2 mut)もしくはIgGリーダー配列、またはそれらの機能的バリアントのいずれかから選択することができ、hGAA配列は、コンセンサスhGAA核酸配列、または少なくともH201L変異もしくは本明細書に開示される他の改変(例えば、H199R、R223H)を有するhGAA核酸から選択することができる。図5Fは、ポンペ病を処置するための本明細書に開示される方法および組成物において有用なAAVベクターの別の実施形態の概略図であり、5’から3’への方向に、肝臓特異的プロモーター、イントロン配列、コザック配列、シグナル配列(リーダー配列とも称される)、IGF2標的化ペプチド配列(図5Fでは「GILT」と称される)、hGAAをコードする核酸、必要に応じて3’UTR配列、およびポリA配列を含み、例えば、プロモーターを、本明細書に開示される任意のLSP、例えば、高発現レベルのLSP(LSP-H)、中発現レベルのLSP(LSP-M)、または低発現LSP(LSP-L)などの異なる発現のレベルを有するLSPから選択することができ、イントロン配列を、HBB2、MVM、SV40、および他のイントロン配列から選択することができ、リーダー配列を、生得的GAAリーダー配列、AAT配列(図5FではA1ATと称される)、IL2(1-3)、IL2リーダー配列(IL2 wt)、改変IL2リーダー配列(IL2 mut)、フィブロネクチン(FN1、図5Fでは、FBNと称される)もしくはIgGリーダー配列、またはそれらの機能的バリアントのいずれかから選択することができ、IGF2標的化ペプチド配列が、本明細書に記載されるIGF2標的化ペプチド、例えば、WT IGF2(配列番号1)、Δ2~7、V43M(配列番号9)、Δ2~7V43M、またはそれらの機能的バリアントのいずれかから選択され、hGAA核酸配列が、例えばC1~10で、少なくともH201L変異、および/または本明細書に開示される他の改変(例えば、H199R、R223H)も必要に応じて含むことができ本明細書に開示されるようにコドン最適化され、ポリA配列が、例えば、RBGまたはSV40ポリAから選択される、異なる実施形態を示す。LSP-H、M-LSPおよびLSP-Lと指定されるLSPは、肝臓において主におよび優先的にhGAAを発現するが、1つまたは複数の他の組織、例えば、筋肉においてhGAAを発現することができる、肝臓特異的プロモーターを表す。そのようなLSPは、全身性の分泌のための肝臓における発現、および筋肉細胞による取り込み、ならびに筋肉組織におけるいくらかの発現を可能にする。図5Gは、ポンペ病を処置するための本明細書に開示される方法および組成物において有用なAAVベクター構築物の異なる実施形態の概略図を示し、構築物1(上パネル)は、5’から3’への方向に、5’ITR、AAV P5プロモーター、肝臓特異的プロモーター(LSP)、hGAA核酸配列、切断型ポリA配列(t-pA)、および3’ITRを含むrAAVベクター構築物を示し、構築物2(下パネル)は、P5 AAVプロモーター断片が除去されている例示的なrAAVベクター構築物を示し、構築物は、5’から3’への方向に、5’ITR、肝臓特異的プロモーター(LSP)、hGAA核酸配列、全長ポリA配列(fl-pA)、アンチセンス方向性のターミネーター配列、および3’ITR(センス方向性)を含む。
図5-2】同上。
図5-3】同上。
図5-4】同上。
【0053】
図6図6は、本明細書に開示されるrAAVゲノムを作製するためのギブソンクローニング技法の図示を示す。特に、トリプルライゲーションを行って、3つの核酸配列のブロックを一緒にライゲートし、次いで、これを、プロモーター、例えば、肝臓特異的プロモーターならびに5’および3’ITRを有するベクターにクローニングして、rAAVゲノムを作製することができる。ギブソンクローニング方法論を使用して、以下のrAAVゲノムを作製した:配列番号57(AAT-V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号58(ratFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号59(hFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号60(AAT-IGF2Δ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号61(FN1rat-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号62(hFN1-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69))。
【0054】
図7図7は、核酸配列ブロック(1、2および3)のギブソンクローニングを使用する、AAT-V43M-wtGAA(デルタ1~69aa)を含む配列番号57の例示的なrAAVゲノムの作製を示す。当業者は、TTR肝臓プロモーターを、限定されるものではないが、配列番号86、91~96、146~150、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片のいずれかから選択されるプロモーターを含む、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーターのいずれかで容易に置き換えることができる。また、AAT-V43M-wtGAA(デルタ1~69aa)ベクターにおいて示されるのは、IGF2(V43M)標的化ペプチドをコードする核酸配列の3’、およびwtGAA(Δ1~69)酵素をコードする核酸の5’に位置する3アミノ酸(3aa)のスペーサー核酸配列(配列番号31として例示的な3aa配列「G-A-P」を示す)、ならびにポリA配列の3’および3’ITR配列の5’に位置するスタッファー核酸配列(図8では、「スペーサー」配列と称される)の場所である。
【0055】
図8図8は、核酸配列ブロック(8、2および3)のギブソンクローニングを使用する、hFN1-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69)を含む配列番号62のrAAVゲノムの作製を示す。当業者は、TTR肝臓プロモーターを、限定されるものではないが、配列番号86、91~96、146~150、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片のいずれかから選択されるプロモーターを含む、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーターのいずれかで容易に置き換えることができる。また、hFN1-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69)ベクターにおいて示されるのは、IGFΔ2~7標的化ペプチドをコードする核酸配列の3’、およびwtGAA(Δ1~69)酵素をコードする核酸の5’に位置する3アミノ酸(3aa)のスペーサー核酸配列(配列番号31として例示的な3aa配列「G-A-P」を示す)、ならびにポリA配列の3’および3’ITR配列の5’に位置するスタッファー核酸配列(図13では、「スペーサー」配列と称される)の場所である。
【0056】
図9-1】図9A~9Fは、野生型GAAを発現するrAAVゲノムの例示的な構築物の概略図を示す。図9Aは、候補1_AAT_hIGF2-V43M_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号79)の例示的なrAAVゲノム構築物の概略図を示す。図9Bは、候補2_FIBrat_hIGF2-V43M_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号80)の例示的なrAAVゲノム構築物の概略図を示す。図9Cは、候補3_FIBhum_hIGF2-V43M_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号81)の例示的なrAAVゲノム構築物の概略図を示す。図9Dは、候補4_AAT_GILT_wtGAA_del1-69__Stuffer.V02(配列番号82)の例示的なrAAVゲノム構築物の概略図を示す。図9Eは、候補5_FIBrat_GILT_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号83)の例示的なrAAVゲノム構築物の概略図を示す。図9Fは、候補6_FIBhum_GILT_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号84)の例示的なrAAVゲノム構築物の概略図を示す。当業者は、図9A~9Fに示されるTTR肝臓プロモーターを、任意のLPS、例えば、限定されるものではないが、配列番号86、91~96または146~150のいずれかから選択されるプロモーターを含む、本明細書の表4に開示される任意の肝臓特異的プロモーターと容易に置き換えることができる。また、TTRプロモーターは、hGAAポリペプチドを肝臓において優先的に、また目的の少なくとも1つの他の組織、例えば、筋肉またはCNSにおいて発現することができるLSPと置き換えることができ、一部の実施形態では、TTRプロモーターは、hGAAポリペプチドを肝臓、ならびに筋肉およびCNSの組織において優先的に発現することができるLSPと置き換えることができる。一部の実施形態では、発現されたリソソーム酵素、例えば、GAAタンパク質は、GAAタンパク質をリソソームに標的化する、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチドなどの標的化配列とのGAA融合タンパク質として構成され得るか、および/またはシグナルペプチド(SP)と融合され得、GAAタンパク質は、肝臓においてrAAVゲノムによって発現され、そこでこれは、哺乳動物細胞、特に、筋肉細胞のリソソームによって分泌および取り込まれる。 これらは例示の目的のみのための例示的な構築物であるので、wtGAA配列を本明細書に開示されるコドン最適化配列、または本明細書に開示されるように、CpGアイランドを低減するように、および/もしくは自然免疫を低減するように改変されたGAA配列で容易に置換することもできる(図11Bを参照されたい)。
【0057】
図9-2】同上。
図9-3】同上。
【0058】
図10図10は、例示的な肝臓特異的プロモーターSP0244およびSP0239によって駆動されるマウスにおける平均in vivoルシフェラーゼ発現を示す。発現レベルを、平均生物発光強度の全光束として示す(1秒あたりの光子)。エラーバーは、平均の標準誤差である。動物が食塩水のみを注射される場合(n=10)、ルシフェラーゼ生物発光は検出されない。動物が、LP1プロモーターに作動可能に連結されたルシフェラーゼを含む構築物を注射される場合(n=9)、ルシフェラーゼ生物発光が検出される。例示的な肝臓特異的プロモーターの活性を試験するために、動物に、SP0244プロモーター(n=8)およびSP0239プロモーター(n=10)に作動可能に連結されたルシフェラーゼを含む同等の構築物を注射する。プロモーターSP0244およびSP0239は、対照のLP1よりも高いin vivoでのルシフェラーゼ発現を示した。
【0059】
図11-1】図11A~11Dは、GAAポリペプチドをコードする核酸配列に対する例示的な改変、およびin vivoでAAVによるGAAタンパク質発現について最適化するための核酸構築物を示す。図11Aは、本明細書に開示される肝臓特異的プロモーター、例えば、表4のLSPに動作可能に連結された野生型GAA(wtGAA)ヌクレオチド配列の概略図を示し、代替リーディングフレームを、矢印によって、および3つのCpGアイランドを示す。図11Bは、CpGアイランドを除去するためのGAAをコードする核酸配列に対するより詳細な改変を示す、図11Aに類似する概略図を示す。図11Cは、(i)代替リーディングフレームを低減するように、(ii)CpGアイランドの数、および(iii)最適なコザック配列についての改変を含ませるように改変されている配列番号182のwtGAA核酸配列に対する改変を示す。図11Dは、代替リーディングフレームを低減するため、CpGアイランドの数、および最適なコザック配列についての改変のための、GAAポリペプチドをコードする核酸配列における改変を示す別の概略図である。
図11-2】同上。
図11-3】同上。
図11-4】同上。
【0060】
図12図12は、肝臓特異的プロモーター下でGAAを発現するためのLSPを含む例示的なrAAV構築物の概略図を示す。LSPは、スタッファー配列ありまたはなしで、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーターのいずれかから選択することができる。
【0061】
図13図13A~13Bは、Huh7細胞およびHEPG2細胞における肝臓特異的プロモーターSP0412およびSP0422を含む構築物からのGAA発現を示す。図13Aは、Huh7細胞における肝臓特異的プロモーターSP0412(配列番号91)およびSP0422(配列番号92)を含む構築物からのGAA発現のウエスタンブロットを示す。図13Aは、プロモーター412(配列番号91)および422(配列番号92)を使用するhGAAの発現が、「LSP SS」と称されるLP1プロモーター(配列番号432)を使用する発現と比較して、Huh7細胞において、有意に高いhGAAの発現をもたらすことを示す。図13Bは、HEPG2細胞における肝臓特異的プロモーターSP0412(配列番号91)およびSP0422(配列番号92)を含む構築物からのGAA発現のウエスタンブロットを示す。GAAポリペプチドは、以下のプラスミドを使用して作製されたrAAVから発現された:LSP NEW(配列番号160)、412 NEW(配列番号159)、TTR NEW(配列番号155)、LSP ss(LP-1を伴うAAV)、412 TTR、422スタッファー(配列番号158)、422 TTR、412スタッファー(配列番号156)。図13Bは、プロモーター412(配列番号91)および422(配列番号92)を使用するhGAAの発現が、「LSP SS」と称されるLP1プロモーター(配列番号432)を使用する発現と比較して、HepG2細胞において、有意に高いhGAAの発現をもたらすことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
上記に記載した図面は、以下の説明において詳細にさらに定義される、その例示的な実施形態の少なくとも1つにおける本発明の態様を図示する。異なる図面において同じ数字によって参照される本発明の特徴、要素および態様は、1つまたは複数の実施形態による、同じ、同等の、または類似した特徴、要素または態様を表す。
【0063】
詳細な説明
本明細書に記載される開示は、一般に、GAAポリペプチドなどのリソソームタンパク質を対象に送達するための、遺伝子治療のためのrAAVゲノムのための組換えAAV(rAAV)ベクターおよび構築物に関する。特に、本明細書に記載される技術は、一般に、肝臓において発現され、哺乳動物細胞、例えば、ヒトの心筋肉細胞および骨格筋肉細胞のリソソームに効果的に標的化される、リソソームタンパク質、例えば、GAAポリペプチドを生成するためのrAAVベクターまたはrAAVゲノムに関する。例えば、本技術は、肝臓細胞を形質導入するためのrAAVベクターに関し、形質導入された肝臓細胞は、GAAポリペプチドを分泌し、分泌されたGAAポリペプチドは、骨格筋組織、心筋組織、横隔膜筋組織、またはそれらの組合せにおいてリソソームに標的化される。
【0064】
したがって、本明細書に記載される技術の一態様は、細胞、例えば、肝臓細胞からより効果的に分泌され、次いで、哺乳動物細胞、例えば、ヒトの心筋肉細胞および骨格筋肉細胞のリソソームに標的化される、リソソームタンパク質、例えば、GAAまたは改変GAAを生成するために使用することができるrAAVゲノムを含むrAAVベクターを提供する。
【0065】
特に、一部の実施形態では、リソソームタンパク質、例えば、GAAポリペプチドは、それ自身によって発現される。一部の実施形態では、リソソームタンパク質は、リソソームタンパク質、例えば、GAAポリペプチドの肝臓からの分泌を促進する少なくともシグナルペプチドを含む融合タンパク質として発現される。一部の実施形態では、GAAポリペプチドまたは改変GAAは、GAAポリペプチドの肝臓からの分泌を促進する少なくともシグナルペプチド、ならびに哺乳動物細胞、例えば、筋肉細胞、例えば、ヒトの心筋肉細胞および骨格筋肉細胞においてリソソームへの効果的な標的化を可能にする標的化配列も含む融合タンパク質として発現される。一部の実施形態では、標的化ペプチドは、本明細書に記載されるIGF2標的化ペプチドである。
【0066】
本明細書に記載される技術の一態様は、ポンペ病などの疾患を処置する使用のための、さらに、ポンペ病の処置のための、逆位末端反復(ITR)、肝臓特異的プロモーター、異種遺伝子、ポリAテイル、および潜在的に他の調節エレメントを含有するヌクレオチド配列を含むrAAVベクターであって、異種遺伝子がGAAであり、rAAV GAAが、異種遺伝子の発現および疾患の処置のために、適切な組織および/または臓器に送達される治療有効用量で、患者に投与され得る、rAAVベクターに関する。
【0067】
本明細書に記載される技術の一態様は、そのゲノム中に、5’から3’への方向に、以下:5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに5’および3’ITRの間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含むrAAVベクターであって、異種核酸が、肝臓特異的プロモーター、例えば、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーター、またはそれらの機能的バリアントに動作可能に連結されている、rAAVベクターに関する。本明細書に記載される技術の別の態様は、そのゲノム中に、5’から3’への方向に、以下:5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに5’および3’ITRの間に位置する、分泌シグナルペプチド(SS)をコードする異種核酸配列、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸配列を含むrAAVベクターであって、異種核酸が、肝臓特異的プロモーター、例えば、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーター、またはそれらの機能的バリアントに動作可能に連結されている、rAAVベクターに関する。
【0068】
本明細書に記載される技術の一態様は、そのゲノム中に、5’から3’への方向に、以下:5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに5’および3’ITRの間に位置する、(i)分泌シグナルペプチド(SS)、(ii)IGF2標的化ペプチド、および(iii)アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含むrAAVベクターであって、異種核酸が、肝臓特異的プロモーター、例えば、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーター、またはそれらの機能的バリアントに動作可能に連結されている、rAAVベクターに関する。
【0069】
本明細書に記載される技術のすべての実施形態のすべての態様では、肝臓特異的プロモーターは、リソソームタンパク質、例えば、hGAAポリペプチドを、肝臓において優先的に発現する。本明細書に記載される技術のすべての実施形態のすべての態様では、肝臓特異的プロモーターは、リソソームタンパク質、例えば、hGAAポリペプチドを、肝臓、および目的の少なくとも1つの他の組織、例えば、筋肉またはCNSにおいて優先的に発現し、一部の実施形態では、LSPは、hGAAポリペプチドを肝臓、ならびに筋肉およびCNSの組織において優先的に発現することができるLSPと置き換えることができる。本明細書に記載される技術のすべての実施形態のすべての態様では、AAVベクターが筋肉を標的にする少なくとも1つのカプシドタンパク質を含む、一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、別のプロモーター、例えば、筋肉プロモーターと置き換えることができる。
【0070】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、AATシグナルペプチド、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、GAAシグナルペプチド、または分泌シグナル活性を有するそれらの活性断片のいずれかから選択される。
【0071】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるrAAVベクターは、任意の血清型由来である。一部の実施形態では、rAAVベクターは、限定されるものではないが、AAV3b265Dビリオン、AAV3b265D549Aビリオン、AAV3b549Aビリオン、AAV3bQ263Yビリオン、またはAAV3bSASTGビリオン(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシドを含むビリオン)を含むAAV3b血清型である。一部の実施形態では、rAAVベクターは、肝臓特異的カプシド、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2019/241324に開示されるXL32およびXL32.1から選択される肝臓特異的カプシドを含む。一部の実施形態では、rAAVベクターは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2019/241324に開示されるAAVXL32またはAAVXL32.1である。一部の実施形態では、rAAVベクターは、rAAV8ベクター、またはAAV8由来の少なくとも1つのカプシドタンパク質(すなわち、VP1、VP2またはVP3のいずれか1つまたは複数はAAV8またはそのキメラタンパク質由来である)を含むハプロイドrAAVベクターである。一部の実施形態では、AAVベクターは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるWO2019241324A1または国際特許出願第PCT/US2019/036676号に開示されるカプシドを含む。一部の実施形態では、AAVベクターは、WO2019241324A1に開示される配列番号1~3のいずれか1つのヌクレオチド配列または(b)WO2019241324A1に開示される配列番号4~6のいずれか1つをコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%同一である核酸AAVカプシドコード配列によってコードされるカプシドを含む。一部の実施形態では、AAVカプシドは、本発明のAAVベクターゲノムおよびAAVカプシドを含むAAV粒子と一緒に、WO2019241324A1に開示される配列番号4~6のいずれか1つと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、rAAVベクターは、AAVベクターが肝臓細胞を形質導入するように、カプシドタンパク質を含み、一部の実施形態では、rAAVベクターは、AAVベクターが筋肉および肝臓の細胞を形質導入するように、カプシドタンパク質を含む。rAAVが、筋肉細胞の形質導入を可能にするカプシドタンパク質を含む、そのような実施形態では、LSPは、別のプロモーター、例えば、筋肉プロモーター、または肝臓細胞および筋肉細胞においてタンパク質を発現するプロモーターと置き換えることができる。
I.定義
【0072】
以下の用語を、本明細書での説明および添付の特許請求の範囲において使用する。
【0073】
本発明を記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される「a」、「an」、「the」という用語および類似する言及は、本明細書で他に指示されないか、または文脈によって明白に矛盾しない限り、単数および複数の両方に及ぶと解釈されるべきである。さらに、特定された要素についての「第1の」、「第2の」、「第3の」などの順序の指示は、要素間を区別するために使用され、そのような要素の必要な数または限定的な数を示すものでも、意味するものでもなく、他に具体的に記述されない限り、そのような要素の特定の位置または順序を示すものではない。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書で他に指示されないか、または文脈によって他に明白に矛盾しない限り、任意の好適な順序で行うことができる。本明細書に提供されるありとあらゆる例または例示的な言語(例えば、「など(such as)」)の使用は、本発明をより明らかにすることを単に意図しており、他の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲に対する限定をもたらすものではない。本明細書中の言語は、本発明の実施に必須の任意の特許請求の範囲に記載されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0074】
さらに、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、測定可能な値、例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の長さ、用量、時間、温度などの量を指す場合、指定された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、またはさらに±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0075】
また、本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連するリストされる項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組合せ、ならびに代替的に解釈される場合(「または」)の組合せの欠如を指し、包含する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲の範囲が、特許請求の範囲において列挙された指定された材料またはステップ、および特許請求の範囲に記載される発明の「基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えないもの」を包含すると解釈されるべきであることを意味する。In re Herz、537 F.2d 549、551~52、190 USPQ 461,463(CCPA 1976)(原文における強調)を参照されたい;MPEP§2111.03も参照されたい。そのため、「から本質的になる」という用語は、本発明の特許請求の範囲で使用される場合、「含む」と等価であると解釈することは意図しない。文脈が他に指示しない限り、特に、本明細書に記載される本発明のさまざまな特色を、任意の組合せで使用することができることが意図される。
【0077】
また、本発明は、本発明の一部の実施形態では、本明細書に記述される任意の特色または特色の組合せを、排除または省略することができることも企図する。
【0078】
さらに例示するため、例えば、特定のアミノ酸を、A、G、I、Lおよび/またはVから選択することができることを本明細書が示す場合、この言語は、アミノ酸を、これらのアミノ酸の任意のサブセット、例えば、A、G、IまたはL;A、G、IまたはV;AまたはG;Lのみ;などから、それぞれのそのような下位組合せが本明細書に明確に記述されているかのように、選択することができることも示す。また、そのような言語は、指定されたアミノ酸の1個または複数が(例えば、否定的な条件付けによって)放棄され得ることも示す。例えば、特定の実施形態では、それぞれのそのような可能な放棄が本明細書に明確に記述されているかのように、アミノ酸は、AでもGでもIでもない;Aではない;GでもVでもない;などである。
【0079】
「パルボウイルス」という用語は、本明細書で使用される場合、自律複製性のパルボウイルスおよびディペンドウイルスを含むParvoviridae科を包含する。自律性パルボウイルスとしては、パルボウイルス属、エリスロウイルス属、デンソウイルス属、イテラウイルス属、およびコントラウイルス属のメンバーが挙げられる。例示的な自律性パルボウイルスとしては、限定されるものではないが、マウスの微小ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、ニワトリパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、H1パルボウイルス、ノバリケンパルボウイルス、B19ウイルス、および現在公知であるか、または後で発見される任意の他の自律性パルボウイルスが挙げられる。他の自律性パルボウイルスは、当業者に公知である。例えば、BERNARD N. FIELDS et al., VIROLOGY, volume 2, chapter 69 (4th ed., Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。
【0080】
本明細書で使用される場合、「アデノ随伴ウイルス」(AAV)という用語は、限定されるものではないが、1型AAV、2型AAV、3型AAV(3A型および3B型を含む)、4型AAV、5型AAV、6型AAV、7型AAV、8型AAV、9型AAV、10型AAV、11型AAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、および現在公知であるか、または後で発見される任意の他のAAVを含む。例えば、BERNARD N. FIELDS et al., VIROLOGY, volume 2, chapter 69 (4th ed., Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。いくつかの比較的新しいAAV血清型およびクレードが特定されている(例えば、Gao et al., (2004) J. Virology 78:6381-6388;Moris et al., (2004) Virology 33-:375- 383;ならびに2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号に開示される表1、ならびに国際出願のWO2020/102645およびWO2020/102667の表1も参照されたく、それらのそれぞれは、それらの全体が本明細書に組み込まれる)。
【0081】
AAVおよび自律性パルボウイルスのさまざまな血清型のゲノム配列、ならびにネイティブ逆位末端反復(ITR)、Repタンパク質、およびカプシドサブユニットの配列は、当技術分野において公知である。そのような配列は、文献、またはGenBankなどの公開データベースにおいて見出され得る。例えば、GenBank受託番号NC_002077、NC_001401、NC_001729、NC_001863、NC_001829、NC_001862、NC_000883、NC_001701、NC_001510、NC_006152、NC_006261、AF063497、U89790、AF043303、AF028705、AF028704、J02275、J01901、J02275、X01457、AF288061、AH009962、AY028226、AY028223、NC_001358、NC_001540、AF513851、AF513852、AY530579を参照されたく;それらの開示は、パルボウイルスならびにAAVの核酸配列およびアミノ酸配列を教示するため、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、Srivistava et al., (1983) J Virology 45:555;Chiarini et al., (1998) J. Virology 71:6823;Chiarini et al., (1999) J. Virology 73:1309;Bantel-Schaal et al., (1999) J. Virology 73:939;Xiao et al., (1999) J. Virology 73:3994;Muramatsu et al., (1996) Virology 221:208;Shade et al., (1986) J. Viral. 58:921;Gao et al., (2002) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 99:11854;Morris et al., (2004) Virology 33-:375- 383;国際特許公開のWO00/28061、WO99/61601、WO98/11244;および米国特許第6,156,303号も参照されたく;それらの開示は、パルボウイルスならびにAAVの核酸配列およびアミノ酸配列を教示するため、参照により本明細書に組み込まれる。2019年11月19日に出願された第62,937,556号に開示される表1および表5、または国際出願のWO2020/102645およびWO2020/102667に開示される表1も参照されたく、それらのそれぞれは、それらの全体が本明細書に組み込まれる。自律性パルボウイルスおよびAAVのカプシド構造は、BERNARD N. FIELDS et al., VIROLOGY, volume 2, chapters 69 & 70 (4th ed., Lippincott-Raven Publishers)に、より詳細に記載されている。AAV2(Xie et al., (2002) Proc. Nat. Acad. Sci. 99:10405-10)、AAV4(Padron et al., (2005) J. Viral. 79: 5047-58)、AAV5(Walters et al., (2004) J. Viral. 78: 3361-71)、およびCPV(Xie et al., (1996) J. Mal. Biol. 6:497-520およびTsao et al., (1991) Science 251: 1456-64)の結晶構造の記載も参照されたい。
【0082】
「向性」という用語は、本明細書で使用される場合、ウイルスがある特定の細胞または組織に優先的に入り、必要に応じて、それに続いて、細胞においてウイルスゲノムによって運ばれる配列の発現(例えば、転写、および必要に応じて、翻訳)、例えば、組換えウイルスについて、目的の異種核酸の発現が起こることを指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、「全身向性」および「全身形質導入」(および等価な用語)は、本発明のウイルスカプシドまたはウイルスベクターが、身体全体にわたる組織(例えば、脳、肺、骨格筋、心臓、肝臓、腎臓および/または膵臓)に対する向性を示し、および/またはそれらを形質導入することを示す。本発明の実施形態では、中枢神経系(例えば、脳、ニューロン細胞など)の全身形質導入が観察される。他の実施形態では、心筋組織の全身形質導入が達成される。
【0084】
本明細書で使用される場合、「選択的向性」または「特異的向性」は、ある特定の標的細胞および/もしくはある特定の組織へのウイルスベクターの送達、ならびに/またはそれらの特異的な形質導入を意味する。
【0085】
他に示されない限り、「効率的な形質導入」または「効率的な向性」または類似する用語は、好適な対照を参照することによって決定することができる(例えば、それぞれ、対照の形質導入または向性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、500%、またはそれよりも高い)。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、肝臓細胞および筋肉細胞を効率的に形質導入するか、またはそれらに対する効率的な向性を有する。好適な対照は、所望の向性および/または形質導入プロファイルを含む、各種の因子に依存するであろう。
【0086】
同様に、ウイルスが標的組織に対して「効率的に形質導入されない」もしくは「効率的な向性を有さない」かどうか、または類似する用語は、好適な対照を参照することによって決定することができる。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、腎臓、生殖腺および/または胚細胞に対して効率的に形質導入されない(すなわち、効率的な向性を有さない)。特定の実施形態では、組織(例えば、腎臓)の形質導入(例えば、望ましくない形質導入)は、所望の標的組織(例えば、肝臓、骨格筋、横隔膜筋、心筋および/または中枢神経系の細胞)の形質導入のレベルの、20%またはそれよりも低い、10%またはそれよりも低い、5%またはそれよりも低い、1%またはそれよりも低い、0.1%またはそれよりも低い。
【0087】
本発明の一部の実施形態では、本発明のカプシドを含むAAV粒子は、30のある特定の組織/細胞の効率的な形質導入、およびその形質導入が望ましくないある特定の組織/細胞の極めて低レベルの形質導入(例えば、低減した形質導入)の複数の表現型を実証することができる。
【0088】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、他に指示されない限り、ペプチドおよびタンパク質の両方を包含する。
【0089】
「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド塩基の配列であり、RNA、DNAまたはDNA-RNAハイブリッド配列(天然に存在するヌクレオチドおよび天然に存在しないヌクレオチドの両方を含む)であり得るが、代表的な実施形態では、一本鎖または二本鎖DNA配列のいずれかである。
【0090】
「異種ヌクレオチド配列」および「異種核酸分子」という用語は、本明細書で互換的に使用され、ウイルス中に天然に存在しない核酸配列を指す。一般に、異種核酸分子または異種ヌクレオチド配列は、目的の(例えば、細胞および/または対象に送達するための)ポリペプチドおよび/または非翻訳RNAをコードするオープンリーディングフレームを含む。
【0091】
「キメラ核酸」は、融合ポリペプチドをコードするために、共有結合的に一緒に連結された2つまたはそれよりも多くの核酸配列を含む。核酸は、DNA、RNA、またはそれらのハイブリッドであり得る。
【0092】
「融合ポリペプチド」という用語は、典型的には、ペプチド結合によって、共有結合的に一緒に連結された2つまたはそれよりも多くのポリペプチドを含む。
【0093】
本明細書で使用される場合、「単離された」ポリヌクレオチド(例えば、「単離されたDNA」または「単離されたRNA」)は、天然に存在する生物体またはウイルスの他の構成成分、例えば、ポリヌクレオチドに関連して一般に見出される、細胞もしくはウイルスの構造成分、または他のポリペプチドもしくは核酸の少なくとも一部から少なくとも部分的に分離されたポリヌクレオチドを意味する。代表的な実施形態では、「単離された」ヌクレオチドは、出発材料と比較して、少なくとも約10倍、100倍、1000倍、10,000倍、またはそれよりも高く富化される。
【0094】
同様に、「単離された」ポリペプチドは、天然に存在する生物体またはウイルスの他の構成成分、例えば、ポリペプチドに関連して一般に見出される、細胞もしくはウイルスの構造成分、または他のポリペプチドもしくは核酸の少なくとも一部から少なくとも部分的に分離されたポリペプチドを意味する。代表的な実施形態では、「単離された」ポリペプチドは、出発材料と比較して、少なくとも約10倍、100倍、1000倍、10,000倍、またはそれよりも高く富化される。
【0095】
「単離された細胞」は、その天然状態において通常関連する他の構成成分から分離された細胞を指す。例えば、単離された細胞は、培養培地中の細胞、および/または本発明の薬学的に許容される担体中の細胞であり得る。そのため、単離された細胞は、対象に送達され得るか、および/または対象に導入され得る。一部の実施形態では、単離された細胞は、対象から取り出され、ex vivoで本明細書に記載されるようにして操作され、次いで、対象へ戻される細胞であり得る。
【0096】
ビリオンの集団は、本明細書に記載される方法のいずれかによって作製することができる。一実施形態では、集団は、少なくとも101ビリオンである。一実施形態では、集団は、少なくとも102ビリオン、少なくとも103ビリオン、少なくとも104ビリオン、少なくとも105ビリオン、少なくとも106ビリオン、少なくとも107ビリオン、少なくとも108ビリオン、少なくとも109ビリオン、少なくとも1010ビリオン、少なくとも1011ビリオン、少なくとも1012ビリオン、少なくとも1013ビリオン、少なくとも1014ビリオン、少なくとも1015ビリオン、少なくとも1016ビリオン、または少なくとも1017ビリオンである。ビリオンの集団は、不均一であり得るか、または均一(例えば、実質的に均一または完全に均一)であり得る。
【0097】
「実質的に均一な集団」は、この用語が本明細書で使用される場合、夾雑物のビリオン(同一ではないもの)がほとんどない~まったくない、ほぼ同一であるビリオンの集団を指す。実質的に均一な集団は、少なくとも90%の同一のビリオン(例えば、所望のビリオン)であり、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%の同一のビリオンであり得る。
【0098】
完全に均一であるビリオンの集団は、同一のビリオンのみを含有する。
【0099】
本明細書で使用される場合、ウイルスベクターまたはウイルス粒子またはウイルス粒子の集団を「単離する」または「精製する」(または文法上の等価物)とは、ウイルスベクターまたはウイルス粒子またはウイルス粒子の集団が、出発材料中の他の構成成分の少なくとも一部から少なくとも部分的に分離されることを意味する。代表的な実施形態では、「単離された」または「精製された」ウイルスベクターまたはウイルス粒子またはウイルス粒子の集団は、出発材料と比較して、少なくとも約10倍、100倍、1000倍、10,000倍、またはそれより高く富化される。
【0100】
他に示されない限り、「効率的な形質導入」または「効率的な向性」または類似する用語は、好適な対照を参照することによって決定することができる(例えば、それぞれ、対照の形質導入または向性の少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、500%、またはそれよりも高い)。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、ニューロン細胞および心筋細胞を効率的に形質導入するか、またはそれらに対する効率的な向性を有する。好適な対照は、所望の向性および/または形質導入プロファイルを含む、各種の因子に依存するであろう。
【0101】
「治療用ポリペプチド」は、細胞または対象におけるタンパク質の非存在または欠乏から生じる症状を軽減し、低減し、防止し、遅延させ、および/または安定化することができるポリペプチドであるか、ならびに/あるいはそうでなければ、対象に、利益、例えば、疾患の症状を低減もしくは排除するための酵素補充、または移植片生存可能性の改善、または免疫応答の誘導を付与するポリペプチドである。
【0102】
「異種ヌクレオチド配列」および「異種核酸分子」という用語は、本明細書で互換的に使用され、ウイルス中に天然に存在しない核酸配列を指す。一般に、異種核酸分子または異種ヌクレオチド配列は、目的の(例えば、細胞および/または対象に送達するための)ポリペプチドおよび/または非翻訳RNA、例えば、GAAポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む。
【0103】
本明細書で使用される場合、「ウイルスベクター」、「ベクター」または「遺伝子送達ベクター」という用語は、核酸送達媒体として機能し、ビリオン内にパッケージングされたベクターゲノム(例えば、ウイルスDNA[vDNA])を含むウイルス(例えば、AAV)粒子を指す。あるいは、一部の文脈では、「ベクター」という用語は、ベクターゲノム/vDNA単独を指すために使用されることがある。
【0104】
「rAAVベクターゲノム」または「rAAVゲノム」は、1つまたは複数の異種核酸配列を含むAAVゲノム(すなわち、vDNA)である。rAAVベクターは、一般に、ウイルスを生成するために、逆位末端反復(TR)のみをシスで必要とする。すべての他のウイルス配列は、重要ではなく、トランスで供給され得る(Muzyczka, (1992) Curr. Topics Microbial. Immunol. 158:97)。典型的には、rAAVベクターゲノムは、ベクターによって効率的にパッケージングされ得る導入遺伝子のサイズを最大化にするために、1つまたは複数のTR配列のみを保持するであろう。構造タンパク質および非構造タンパク質のコード配列は、(例えば、プラスミドなどのベクターから、またはパッケージング細胞への配列の安定的な組み込みによって)トランスで提供され得る。本発明の実施形態では、rAAVベクターゲノムは、少なくとも1つのITR配列(例えば、AAV TR配列)、必要に応じて、2つのITR(例えば、2つのAAV TR)を含み、それらは、典型的には、ベクターゲノムの5’および3’末端に存在し、異種核酸に隣接しているが、それらと連続している必要はない。TRは、同じまたは互いに異なり得る。
【0105】
「末端反復」または「TR」という用語は、ヘアピン構造を形成し、逆位末端反復(すなわち、所望の機能、例えば、複製、ウイルスパッケージング、組み込み、および/またはプロウイルスレスキューなどを媒介するITR)として機能する、任意のウイルス末端反復配列または合成配列を含む。TRは、AAV TRまたは非AAV TRであり得る。例えば、他のパルボウイルス(例えば、イヌパルボウイルス(CPV)、マウスパルボウイルス(MVM)、ヒトパルボウイルスB-19)のもの、または任意の他の好適なウイルス配列(例えば、SV40複製開始点としての機能を果たすSV40ヘアピン)などの非AAV TR配列を、TRとして使用することができ、それらは、短縮化、置換、欠失、挿入および/または付加によってさらに改変され得る。さらに、TRは、Samulskiらの米国特許第5,478,745号に記載される「ダブルD配列」などの部分的にまたは完全に合成のものであり得る。
【0106】
「AAV逆位末端反復」または「AAV ITR」を含む「AAV末端反復」または「AAV TR」は、限定されるものではないが、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12、または現在公知であるか、もしくは後で発見される任意の他のAAVを含む、任意のAAV由来であり得る。AAV末端反復は、末端反復が、所望の機能、例えば、複製、ウイルスパッケージング、組み込みおよび/またはプロウイルスレスキューなどを媒介する限り、ネイティブ末端反復配列を有する必要はない(例えば、ネイティブAAV TRまたはAAV ITR配列は、挿入、欠失、短縮化および/またはミスセンス変異によって変更されてもよい)。
【0107】
AAVタンパク質VP1、VP2およびVP3は、正20面体対称のAAVカプシドを形成するために、一緒に相互作用するカプシドタンパク質である。VP1.5は、米国公開第2014/0037585号に記載されるAAVカプシドタンパク質である。
【0108】
本発明のウイルスベクターは、さらに、(例えば、定方向の向性を有する)「標的化」ウイルスベクター、ならびに/または国際特許公開のWO00/28004およびChao et al., (2000) Molecular Therapy 2:619に記載される「ハイブリッド」パルボウイルス(すなわち、ウイルスTRおよびウイルスカプシドが異なるパルボウイルス由来であるもの)であり得る。
【0109】
本発明のウイルスベクターは、さらに、国際特許公開のWO01/92551(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される二重鎖パルボウイルス粒子であり得る。そのため、一部の実施形態では、二本鎖(二重鎖)ゲノムは、本発明のウイルスカプシドにパッケージングされ得る。
【0110】
さらに、ウイルスカプシドまたはゲノムエレメントは、挿入、欠失および/または置換を含む他の改変を含有することができる。
【0111】
「キメラ」カプシドタンパク質は、本明細書で使用される場合、野生型と比べて、カプシドタンパク質のアミノ酸配列中の1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)のアミノ酸残基の置換、ならびに野生型と比べて、アミノ酸配列中の1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)のアミノ酸残基の挿入および/または欠失によって改変されているAAVカプシドタンパク質(例えば、VP1、VP2またはVP3のいずれか1つまたは複数)を意味する。一部の実施形態では、あるAAV血清型由来の完全なまたは部分的なドメイン、機能的領域、エピトープなどは、任意の組合せで、異なるAAV血清型の対応する野生型のドメイン、機能的領域、エピトープなどと置き換えて、本発明のキメラカプシドタンパク質を生成することができる。キメラカプシドタンパク質の生成は、当技術分野において周知のプロトコールに従って行うことができ、本発明のカプシドに含まれ得る、著しい数のキメラカプシドタンパク質が、文献および本明細書に記載されている。
【0112】
本明細書で使用される場合、「ハプロイドAAV」という用語は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる国際出願のWO2018/170310または米国出願のUS2018/037149に記載されるAAVを意味するものとする。一部の実施形態では、ビリオンの集団は、ビリオン粒子が構築され得るハプロイドAAV集団であり、AAVカプシドタンパク質のVP1、VP2およびVP3からなる群からの少なくとも1つのウイルスタンパク質は、他のウイルスタンパク質の少なくとも1つと異なり、AAVゲノムを封入することができるビリオン粒子を形成するために必要である。存在するそれぞれのウイルスタンパク質(VP1、VP2および/またはVP3)について、そのタンパク質は同じ種類(例えば、すべてAAV2 VP1)である。一例では、ウイルスタンパク質の少なくとも1つはキメラウイルスタンパク質であり、他の2つのウイルスタンパク質の少なくとも1つはキメラではない。一実施形態では、VP1およびVP2はキメラであり、VP3のみがキメラではない。例えば、キメラAAV2/8(AAV2のN末端およびAAV8のC末端)由来のVP1/VP2から構成されるウイルス粒子のみが、AAV2由来のVP3とのみ対形成したか、またはキメラVP1/VP2 28m-2P3(VP3開始コドンの成熟なしのAAV8由来のN末端およびAAV2由来のC末端)のみが、AAV2由来のVP3のみと対形成した。別の実施形態では、VP3のみがキメラであり、VP1およびVP2はキメラではない。別の実施形態では、ウイルスタンパク質の少なくとも1つは、完全に異なる血清型由来である。例えば、キメラVP1/VP2 28m-2P3のみが、AAV3のみに由来するVP3と対形成した。別の例では、キメラは存在しない。
【0113】
「ハイブリッド」AAVベクターまたはパルボウイルスという用語は、ウイルスのTRまたはITRおよびウイルスカプシドが異なるパルボウイルス由来である、rAAVベクターを指す。ハイブリッドベクターは、国際特許公開のWO00/28004およびChao et al., (2000) Molecular Therapy 2:619に記載されている。例えば、ハイブリッドAAVベクターは、典型的には、アデノウイルスの複製およびパッケージングのために十分なアデノウイルス5’および3’シスITR配列(すなわち、アデノウイルス末端反復およびPAC配列)を含む。
【0114】
「ポリプロイドAAV」という用語は、2つまたはそれよりも多くのAAV血清型由来のカプシドから構成され、例えば、より高い形質導入のために個々の血清型からの利点を取ることができるが、ある特定の実施形態では、親由来の向性を排除する、AAVベクターを指す。
【0115】
「GAA」または「GAAポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、成熟(約76または約67kDa)および前駆体(例えば、約110kDa)GAAだけでなく、生物学的機能を保持する(すなわち、上記に定義されるように、ネイティブGAAタンパク質の少なくとも1つの生物活性を有する、例えば、グリコーゲンを加水分解することができる)改変された(例えば、短縮化された、または挿入、欠失および/もしくは置換によって変異された)GAAタンパク質またはそれらの断片、およびGAAバリアント(例えば、Kunita et al., (1997) Biochemica et Biophysica Acta 1362:269によって記載されるGAA II;GAA多形体およびSNPは、Hirschhorn, R. and Reuser, A. J. (2001) in The Metabolic and Molecular Basis for Inherited Disease (Scriver, C. R., Beaudet. A. L., Sly, W. S. & Valle, D. Eds.), pp. 3389-3419, McGraw-Hill, New York, see pages 3403-3405によって記載されており;その全体が参照により本明細書にそれぞれ組み込まれる)を包含する。当技術分野において公知の任意のGAAコード配列が使用されてもよく、例えば、図8および9のコード配列;GenBank受託番号NM_00152、ならびにHoefsloot et al., (1988) EMBO J. 7:1697およびVan Hove et al., (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:65(ヒト)、GenBank受託番号NM_008064(マウス)、ならびにKunita et al., (1997) Biochemica et Biophysics Acta 1362:269(ウズラ)を参照されたく;それらの開示は、GAAのコード配列および非コード配列のそれらの教示のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
「カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)」、「M6P/IGF-II受容体」、「CI-MPR/IGF-II受容体」、「IGF-II受容体」もしくは「IGF2受容体」という用語、またはそれらの略語は、本明細書で互換的に使用され、M6PおよびIGF-IIの両方と結合する細胞受容体を指す。
【0117】
「標的化配列」とも称される「標的化ペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の細胞内コンパートメント、例えば、哺乳動物リソソームを標的にするペプチドを指すことが意図される。本明細書における使用のために包含される標的化ペプチドは、マンノース-6-リン酸非依存性であるリソソーム標的化ペプチドである。例示的な標的化配列は、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチドである。
【0118】
「IGF2標的化配列」または「IGF2リーダー配列」と併せて使用される「IGF2配列」、および「IGF2標的化ペプチド」という用語は、本明細書で互換的に使用され、細胞の表面上でCI-MBRに結合するIGF2ポリペプチドの配列を指す。特に、IGF2配列は、配列番号5のIGF2取り込み配列の一部を含むか、または配列番号5のアミノ酸に改変を含むペプチドである。IGF2標的化ペプチドは、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPRまたはCA-M6P受容体)の反復11~12、反復11、またはアミノ酸1508~1566から本質的になる受容体ドメインに結合するペプチド配列を指す。
【0119】
「リーダー配列」という用語は、本明細書で「分泌シグナル配列」もしくは「シグナル配列」もしくは「シグナルペプチド」という用語、またはそれらの変形と互換的に使用され、ネイティブポリペプチドで見られる分泌のレベルと比較して、作動可能に連結されたポリペプチド(例えば、GAAペプチドまたはIGF2-GAA融合タンパク質)の細胞からの分泌を増強するように機能する(上記に定義される通り)アミノ酸配列を指すことが意図される。上記に定義されるように、「増強された」分泌とは、細胞から分泌される細胞によって合成されたリソソームポリペプチドの相対割合が増加することを意味し、分泌されたタンパク質の絶対量も増加することは必要ではない。本発明の特定の実施形態では、GAAポリペプチドの本質的にすべて(すなわち、少なくとも95%、97%、98%、99%、またはそれよりも高い)が分泌される。しかしながら、分泌のレベルがネイティブGAAポリペプチドと比較して増強される限り、GAAポリペプチドの本質的にすべてまたはさらには大部分が分泌されることは必要ではない。例示的なリーダー配列としては、限定されるものではないが、本明細書に開示される、生得的GAAリーダー配列(同族GAAリーダー配列も指す)、AAT配列、IL2(1-3)、IL2リーダー配列(IL2 wt)、改変IL2リーダー配列(IL2 mut)、フィブロネクチン(FN1;FBNとも称される)もしくはIgGリーダー配列、またはそれらの機能的バリアントが挙げられる。
【0120】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、任意の天然に存在するアミノ酸、それらの改変型、および合成アミノ酸を包含する。天然に存在する左旋性(L-)アミノ酸は、その全体が本明細書に組み込まれる米国公開第2018/0371496号の表2に開示されている。あるいは、アミノ酸は、改変アミノ酸残基(非限定的な例は、米国公開の米国公開第2018/0371496号の表4に示される)であり得るか、および/または翻訳後修飾(例えば、アセチル化、アミド化、ホルミル化、ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化または硫酸化)によって修飾されたアミノ酸であり得る。さらに、天然に存在しないアミノ酸は、Wang et al., Annu Rev Biophys Biomol Struct. 35:225-49 (2006)によって記載される「非天然」アミノ酸であり得る。これらの非天然アミノ酸は、目的の分子をAAVカプシドタンパク質に化学的に連結するために有利に使用することができる。
【0121】
さらに例示するために、例えば、特定のアミノ酸が、A、G、I、Lおよび/またはVから選択することができることを本明細書が示す場合、この言語は、アミノ酸を、これらのアミノ酸の任意のサブセット、例えば、A、G、IまたはL;A、G、IまたはV;AまたはG;Lのみ;などから、それぞれのそのような下位組合せが本明細書に明確に記述されているかのように、選択することができることも示す。また、そのような言語は、指定されたアミノ酸の1個または複数が(例えば、否定的な条件付けによって)放棄され得ることも示す。例えば、特定の実施形態では、それぞれのそのような可能な放棄が本明細書に明確に記述されているかのように、アミノ酸は、AでもGでもIでもない;Aではない;GでもVでもない;などである。
【0122】
「シス調節エレメント」または「CRE」という用語は、当業者に周知の用語であり、隣接する遺伝子(すなわち、シスの)の転写を調節またはモジュレートすることができる、エンハンサー、プロモーター、インスレーターまたはサイレンサーなどの核酸配列を意味する。CREは、それらが調節する遺伝子の近辺で見出される。CREは、典型的には、転写因子(TF)に結合することによって遺伝子の転写を調節する、すなわち、それらは、TF結合部位(TFBS)を含む。単一のTFは、多くのCREに結合してもよく、そのため、多くの遺伝子の発現を制御してもよい(多面作用)。CREは、通常、常にではないが、それらが調節する遺伝子の転写開始部位(TSS)の上流に位置する。「エンハンサー」は、それらが作動可能に会合する遺伝子の転写を増強する(すなわち、上方調節する)CREであり、それらが調節する遺伝子のイントロンの上流、下流、およびさらにその内で見出すことができる。複数のエンハンサーが、1つの遺伝子の転写を調節するように、協調した方法で作用することができる。この文脈における「サイレンサー」は、リプレッサーと呼ばれるTFと結合するCREに関し、これは、遺伝子の転写を防止または下方調節するように作用する。「サイレンサー」という用語はまた、メッセンジャーRNAの3’非翻訳領域中の領域を指すこともでき、これは、mRNA分子の翻訳を抑制するタンパク質と結合するが、この使用は、CREの記載におけるその使用と異なる。一般に、本発明のCREは、肝臓特異的エンハンサー(多くの場合、肝臓特異的CRE、または肝臓特異的CREエンハンサーなどと称される)である。本文脈では、CREが、転写開始部位(TSS)から1500ヌクレオチドまたはそれよりも短い、より好ましくは、TSSから1000ヌクレオチドまたはそれよりも短い、より好ましくは、TSSから500ヌクレオチドまたはそれよりも短い、好適には、TSSから250、200、150もしくは100ヌクレオチドまたはそれよりも短い位置にあることが好ましい。本発明のCREは、好ましくは、比較的短い長さ、好ましくは、100ヌクレオチドまたはそれよりも短い長さであり、例えば、それらは、90、80、70、60ヌクレオチドまたはそれよりも短い長さであってもよい。
【0123】
「シス調節モジュール」または「CRM」という用語は、2つまたはそれよりも多くのCREから構成される機能的モジュールを意味し、本発明では、CREは、典型的には、肝臓特異的エンハンサーである。そのため、本出願では、CRMは、典型的には、複数の肝臓特異的エンハンサーCREを含む。典型的には、CRM内の複数のCREは、CREが作動可能に会合する遺伝子の転写を増強するように、一緒に(例えば、加えてまたは相乗的に)作用する。CRM内のCREを、シャッフルする(すなわち、整理し直す)、反転させる(すなわち、方向性を逆転させる)、およびCRM内のCREの間隔を変更するための保存可能な範囲が存在する。したがって、本発明のCRMの機能的バリアントは、参照されるCRMのバリアントを含み、それら内のCREが、シャッフルおよび/もしくは反転されているか、ならびに/またはCRE間の間隔が変更されている。
【0124】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」という語句は、一般に、転写を起こすために必要である、すなわち、転写を開始する、転写される核酸配列の上流に位置するDNAの領域を指す。プロモーターは、それらの制御下で、コード配列の転写の適当な活性化または抑制を可能にする。プロモーターは、典型的には、複数のTFが認識し、それと結合する、特異的配列を含有する。TFは、プロモーター配列に結合し、遺伝子のコード領域からRNAを合成する酵素であるRNAポリメラーゼの動員をもたらす。非常に多くのプロモーターが当技術分野において公知である。
【0125】
「合成プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、天然で生じないプロモーターに関する。本文脈では、これは、典型的には、ミニマル(またはコア)プロモーターまたは肝臓特異的近位プロモーターに作動可能に連結された本発明の合成CREおよび/またはCRMを含む。本発明のCREおよび/またはCRMは、プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の肝臓特異的転写を増強する働きをする。合成プロモーターの部分は、天然に存在していてもよいが(例えば、ミニマルプロモーター、またはプロモーター中の1つもしくは複数のCRE)、完全に実体としての合成プロモーターは、天然に存在しない。
【0126】
本明細書で使用される場合、「ミニマルプロモーター」(「コアプロモーター」としても公知)は、それ自身によって不活性または大部分が不活性であるが、他の転写調節エレメントと組み合わされた場合に転写を媒介することができる、短いDNAセグメントを指す。ミニマムプロモーター配列は、原核生物および真核生物の遺伝子を含む、さまざまな異なる供給源に由来することができる。ミニマルプロモーターの例は、上記で議論され、ドーパミンベータ-ヒドロキシラーゼ遺伝子ミニマムプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子ミニマムプロモーター(CMV-MP)、およびヘルペスチミジンキナーゼミニマルプロモーター(MinTK)が挙げられる。ミニマルプロモーターは、典型的には、転写開始部位(TSS)および直ぐ上流のエレメント、RNAポリメラーゼIIのための結合部位、ならびに基本転写因子結合部位(多くの場合、TATAボックス)を含む。
【0127】
本明細書で使用される場合、「近位プロモーター」は、一次調節エレメントを含有する傾向がある遺伝子の上流の近位配列をプラスしたミニマルプロモーターに関する。これは、多くの場合、TSSの上流のおよそ250塩基対に広がり、特異的TFBSを含む。本場合では、近位プロモーターは、好適には、本発明の1つまたは複数のCREまたはCRMと組み合わせることができる天然に存在する肝臓特異的近位プロモーターである。しかしながら、近位プロモーターは合成であり得る。
【0128】
本発明の文脈におけるシス調節エレメント(CRE)、シス調節モジュール(CRM)、プロモーターまたは他の核酸配列の「機能的バリアント」は、参照配列と、例えば、肝臓特異的シス調節エンハンサーエレメント、肝臓特異的シス調節モジュール、または肝臓特異的プロモーターと同じ方法で機能する能力を保持する参照配列のバリアントである。そのような機能的バリアントのための代替用語は、「生物学的等価体」または「等価体」を含む。
【0129】
肝臓特異的エンハンサーとして機能する所与のシス調節エレメントの能力は、参照配列に結合する同じ肝臓特異的転写因子(TF)と結合する配列の能力によって主に決定されることが認識されるであろう。したがって、ほとんどの場合では、シス調節エレメントの機能的バリアントは、参照シス調節エレメントと同じTFに対するTFBSを含有するであろう。必須ではないが、機能的バリアントの転写因子結合部位(TFBS)が、参照シス調節エレメントと同じ相対位置(すなわち、順序)であることが好ましい。必須ではないが、機能的バリアントのTFBSが、参照配列と同じ方向性であることも好ましい(TFBSが、一部の場合では、例えば、参照配列中の配列に相対した逆の相補体として、逆の方向性で存在し得ることに留意されたい)。必須ではないが、機能的バリアントのTFBSが、参照配列と同じ鎖にあることも好ましい。そのため、好ましい実施形態では、機能的バリアントは、同じTFについてのTFBSを、参照配列と同じ順序、同じ方向性および同じ鎖上に含む。TFBS間にある配列(一部の場合では、スペーサー配列などと称される)が、シス調節エレメントの機能にあまり重要ではないことも認識されるであろう。そのような配列は、典型的には、かなり変更することができ、それらの長さを変更することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、間隔(すなわち、隣接TFBS間の距離)は、それが参照配列中にあるので、機能的バリアント中で実質的に同じである(例えば、それは、20を超えて、好ましくは、10%を超えて、変更されず、より好ましくは、それは同じである)。一部の場合では、シス調節エンハンサーエレメントの機能的バリアントが、逆の方向性で存在することができること、例えば、それが、上記に記載されるシス調節エンハンサーエレメントの逆の相補体、またはそれらのバリアントであり得ることが明らかであろう。
【0130】
機能的バリアントおよび参照配列の間の配列同一性のレベルはまた、指標または保持された機能性であり得る。シス調節エレメントのTFBSにおける高レベルの配列同一性は、一般に、スペーサー配列における配列同一性よりも重要なものである(配列の任意の保存についてのわずかな要件がある、または要件がない場合)。しかしながら、さらにTFBS内では、機能的TFBSの配列がコンセンサス配列と厳密に一致する必要がないことを考えると、かなりの程度の配列の変形が適合され得ることが認識されるであろう。
【0131】
所与の機能的バリアントにおいてTFBSに結合する1つまたは複数のTFの能力は、限定されるものではないが、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)、結合アッセイ、クロマチン免疫沈降(ChIP)およびChIPシークエンシング(ChIP-seq)を含む、当技術分野において公知の任意の関連する手段によって決定することができる。好ましい実施形態では、所与の機能的バリアントと結合する1つまたは複数のTFの能力は、EMSAによって決定される。EMSAを行う方法は当技術分野において周知である。好適なアプローチは、上記で引用したSambrook et al.に記載されている。この手順を記載する多くの関連する論文、例えば、Hellman and Fried, Nat Protoc. 2007; 2(8): 1849-1861が利用可能である。
【0132】
「肝臓特異的」または「肝臓特異的発現」という用語は、プロモーターに関する場合、他の組織(例えば、脾臓、筋肉、心臓、肺および脳)と比較して、優先的または主な方法で、肝臓における(または肝臓に由来する細胞における)遺伝子の発現を増強または駆動する、シス調節エレメント、シス調節モジュールまたはプロモーターの能力を指す。遺伝子の発現は、mRNAまたはタンパク質の形態であり得る。一部の実施形態では、肝臓特異的発現は、他の(すなわち、非肝臓)組織または細胞においてごくわずかな発現が存在する、すなわち、発現が非常に肝臓特異的であるようなものである。一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、肝臓において優先的に発現を駆動するが、これは、より低いレベルで、目的の別の組織、例えば、筋肉において、遺伝子の発現を駆動することもできる。
【0133】
肝臓特異的シス調節エンハンサーエレメントとして機能するシス調節エレメントの能力は、当業者によって容易に評価することができる。当業者は、したがって、上記で列挙された特異的シス調節エレメントの任意のバリアントが機能的のままである(すなわち、それが、上記に定義される機能的バリアントである)かどうかを容易に決定することができる。例えば、評価される任意の所与のシス調節エレメントを、ミニマルプロモーターに作動可能に連結することができ(例えば、CMV-MPの上流に設置される)、遺伝子(典型的には、レポーター遺伝子)の肝臓特異的発現を駆動するシス調節エレメントの能力が測定される。あるいは、シス調節エンハンサーエレメントのバリアントは、参照シス調節エンハンサーエレメントの代わりに合成肝臓特異的プロモーターに置換することができ、前記改変プロモーターによって駆動される肝臓特異的発現に対する効果を、決定し、未改変形態と比較することができる。同様に、肝臓特異的発現を駆動するシス調節モジュールまたはプロモーターの能力は、当業者によって容易に評価することができる(例えば、下記の実施例に記載される通り)。参照プロモーターのバリアントによって駆動される遺伝子の発現レベルは、参照配列によって駆動される発現レベルと比較することができる。バリアントプロモーターによって駆動される肝臓特異的発現レベルが、参照プロモーターによって駆動される発現レベルの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%である、一部の実施形態では、これは、バリアントが機能的のままであると言うことができる。好適な核酸構築物、および肝臓特異的発現の増強を評価するためのレポーターアッセイは、容易に構築することができ、下記に記述される例は、好適な方法論を与える。
【0134】
遺伝子(例えば、治療用遺伝子またはレポーター遺伝子)の発現が、肝臓に由来する細胞において優先的または主に起こる、肝臓特異性を特定することができる。優先的または主な発現は、例えば、発現のレベルが、細胞の他の種類(すなわち、肝臓に由来しない細胞)におけるよりも肝臓に由来する細胞において有意に高い場合に定義することができる。例えば、肝臓に由来する細胞における発現は、好適には、非肝臓細胞よりも少なくとも5倍高く、好ましくは、非肝臓細胞よりも少なくとも10倍高く、これは、一部の場合では、50倍またはそれよりも高くあり得る。便宜上、肝臓特異的発現は、好適には、腎臓に由来する細胞系(例えば、HEK-293)、子宮頸部組織に由来する細胞系(例えば、HeLa)および/または肺に由来する細胞系(例えば、A549)における発現レベルと比較する、肝細胞系(例えば、Huh7および/またはHepG2細胞などの肝臓に由来する細胞系)または肝臓初代細胞における発現レベルの比較を介して実証することができる。
【0135】
本発明の合成肝臓特異的プロモーターは、好ましくは、対象の肝臓において発現を促進するため、例えば、導入遺伝子、好ましくは、治療用導入遺伝子の肝臓特異的発現を駆動するために、好適である。一部の実施形態では、本発明の肝臓特異的プロモーターは、配列番号432のLP1プロモーターよりも少なくとも1.5倍高い、好ましくは、LP1プロモーターよりも2倍高い、より好ましくは、LP1プロモーターよりも3倍高い、さらにより好ましくは、LP1プロモーター(配列番号432)よりも5倍高いレベルで肝臓特異的導入遺伝子の発現を促進するために好適である。そのような発現は、好適には、肝臓に由来する細胞、例えば、Huh7および/もしくはHepG2細胞、または初代肝臓細胞(好適には、初代ヒト肝細胞)において決定される。一部の実施形態では、本発明の合成肝臓特異的プロモーターは、肝臓に由来しない細胞(例えば、HEK-293、HeLaおよび/またはA549細胞)において、LP1プロモーター(配列番号432)の3分の2以下のレベルで遺伝子発現を促進するために好適である。
【0136】
本発明の好ましい合成肝臓特異的プロモーターは、肝臓特異的導入遺伝子の発現を促進するために好適であり、TBGプロモーター(配列番号435)の活性の少なくとも15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%または400%である肝臓細胞における活性を有する。
【0137】
本発明の合成肝臓特異的プロモーターは、好ましくは、肝臓に由来する細胞において配列番号433のCMV-IEプロモーターよりも少なくとも1.5倍高いレベルで、好ましくは、肝臓に由来する細胞(例えば、HEK-293、HeLaおよび/またはA549細胞)において、CMVプロモーターよりも少なくとも2倍高いレベルで肝臓特異的発現を促進するために好適である。本明細書に開示される合成肝臓特異的プロモーターは、肝臓における高、中および低発現を指すLSP-H、LSP-MおよびLSP-Lプロモーターであり得、一部の実施形態では、LSP-H、LSP-MおよびLSP-Lは、肝臓においてタンパク質を優先的または主に発現することができるが、1つまたは複数の他の組織、例えば、筋肉および/または脳において、タンパク質を発現することもできる。本明細書に開示されるそのようなLSP-H、LSP-MおよびLSP-Lプロモーターは、肝臓において、少なくとも90%、または少なくとも80%、または少なくとも70%、または少なくとも60%、または少なくとも50%のタンパク質を優先的に発現することができ、別の組織、例えば、筋肉組織において、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%を発現することもできる。一部の実施形態では、例えば、ポンペ病またはリソソーム病の処置のために、本明細書に開示される方法および組成物において有用なLSP-H、LSP-MおよびLSP-Lプロモーターは、肝臓において、優先的または主な方法で遺伝子発現を駆動または増強するが、筋肉組織において少なくとも一部のタンパク質を発現することもできる。
【0138】
「同一性」および「同一」などの用語は、2つのポリマー分子間、例えば、2つのDNA分子間などの2つの核酸分子間の配列類似性を指す。配列アライメントおよび配列同一性の決定は、例えば、Altschul et al. 1990 (J Mol Biol 215: 403-10)によって元々は記載されている基本的なローカルアライメント検索ツール(BLAST)、例えば、Tatusova and Madden 1999 (FEMS Microbiol Lett 174: 247-250)によって記載されている「Blast2配列」アルゴリズムを使用して行うことができる。
【0139】
「合成」という用語は、本明細書で使用される場合、天然に存在しない核酸分子を意味する。本発明の合成核酸発現構築物は、人工的に、典型的には、組換え技術によって、生成される。そのような合成核酸は、天然に存在する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロン、および他のそのような調節配列)を含有していてもよいが、それらは、天然に存在しない状況に存在する。例えば、合成遺伝子(または遺伝子の部分)は、典型的には、天然では連続しない1つもしくは複数の核酸配列を含有するか(キメラ配列)か、ならびに/または置換、挿入および欠失、ならびにそれらの組合せを包含し得る。
【0140】
「スペーサー配列」または「スペーサー」は、本明細書で使用される場合、2つの機能的核酸配列を分離する核酸配列である。これは、機能的核酸配列(例えば、シス調節エレメント)が所望により機能するのを防止しないという条件で、本質的に任意の配列を有し得る(例えば、これは、それが、サイレンサー配列を含み、所望の転写因子の結合を防止する場合などに起こり得る)。典型的には、これは、隣接する機能的核酸配列を互いから離すためにのみ存在するので、非機能的である。
【0141】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、当技術分野と一致し、医薬組成物の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害でないことを意味する。
【0142】
「処置する」、「処置すること」または「の処置」という用語(およびそれらの文法的変形)とは、対象の状態の重症度を低減する、少なくとも部分的に改善する、もしくは安定させること、および/または少なくとも1つの臨床症状のある程度の軽減、緩和、減少もしくは安定化が達成されること、および/または疾患もしくは障害の進行の遅延が存在することを意味する。
【0143】
「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語(およびそれらの文法的変形)は、本発明の方法の非存在下で起こるであろうことと比べて、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症状の開始の予防および/もしくは遅延、ならびに/または疾患、障害および/もしくは臨床症状の開始の重症度の低減を指す。予防は、完全、例えば、疾患、障害および/または臨床症状の完全に非存在であり得る。予防はまた、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症状の出現、ならびに/または開始の重症度が、本発明の非存在下で起こるであろうものよりも実質的に少ないような、部分的であり得る。
【0144】
「処置有効」量は、本明細書で使用される場合、いくらかの改善または利益を対象に提供するために十分な量である。言い換えると、「処置有効」量は、対象における少なくとも1つの臨床症状のいくらかの軽減、緩和、減少、または安定化を提供する量である。当業者は、いくらかの利益が対象に提供される限り、治療効果は完全または治癒的である必要がないことを認識するであろう。
【0145】
「予防有効」量は、本明細書で使用される場合、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症状の開始を予防するため、および/もしくは遅延させるため、ならびに/または本発明の方法の非存在下で起こるであろうものと比べて、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症状の開始の重症度を低減するため、および/もしくは遅延させるために十分な量である。当業者は、いくらかの予防的利益が対象に提供される限り、予防のレベルは完全である必要がないことを認識するであろう。
【0146】
「治療有効量」という語句および類似の語句は、例えば、肝臓において治療用遺伝子を発現する、および血漿に分泌する、所望の特異的な薬理学的効果を提供する、対象における用量または血漿濃度を意味する。そのような投薬量が、当業者によって治療有効量であると見なされたとしても、治療有効量は、本明細書に記載される状態を処置するのに常に有効ではないことがあることが協調される。治療有効量は、投与の経路および剤形、対象の年齢および体重、ならびに/または処置される疾患もしくは状態に基づいて変更され得る。
【0147】
「個体」、「対象」および「患者」という用語は、互換的に使用され、処置を必要とする疾患または状態を有する任意の個々の対象を指す。本開示の目的のために、対象は、霊長類、好ましくは、ヒト、または別の哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヤギ、もしくはウシなどであり得る。
【0148】
発現される目的の遺伝子を含むDNAベクターを含む、AAVまたはAAVの態様に関連するか、それらを開示するか、またはそれらを記載する、参照のために本明細書に組み込まれる追加の特許は、米国特許第6,491,907号;同第7,229,823号;同第7,790,154号;同第7,201898号;同第7,071,172号;同第7,892,809号;同第7,867,484号;同第8,889,641号;同第9,169,494号;同第9,169,492号;同第9,441,206号;同第9,409,953号;および同第9,447,433号;同第9,592,247号;および同第9,737,618号である。
II.rAAVゲノムエレメント
【0149】
本明細書に開示されるように、本技術の一態様は、カプシド、およびそのカプシド内の「rAAVベクターゲノム」と称されるヌクレオチド配列を含むrAAVベクターに関する。rAAVベクターゲノム(「rAAVゲノム」とも称される)は、限定されるものではないが、2つの逆位末端反復(ITR、例えば、5’-ITRおよび3’-ITR)、ならびにITRの間に位置する、プロモーター、異種遺伝子およびポリAテイルを含む追加エレメントを含む、複数のエレメントを含む。
【0150】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムは、5’ITRおよび3’ITR配列、ならびに5’ITRおよび3’ITRの間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸をコードする異種核酸に動作可能に連結されたプロモーター、例えば、本明細書に開示される肝臓特異的プロモーター配列を含み、異種核酸配列は、必要に応じて、以下のエレメント:イントロン配列、分泌シグナルペプチドをコードする核酸、IGF2標的化ペプチドをコードする核酸、およびポリA配列の1つまたは複数をさらに含むことができる。
【0151】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムは、5’ITRおよび3’ITR配列、ならびに5’ITRおよび3’ITRの間に位置する、分泌ペプチドをコードする異種核酸およびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸(すなわち、異種核酸は、シグナルペプチド-GAAポリペプチドを含むGAA融合ポリペプチドをコードする)に動作可能に連結されたプロモーターを含み、rAAVゲノムは、必要に応じて、イントロン配列、コラーゲン安定性(CS)配列、ポリAテイル、および少なくとも1アミノ酸のスペーサーをコードする核酸の1つまたは複数をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムは、5’ITRおよび3’ITR配列、ならびに5’ITRおよび3’ITRの間に位置する、分泌ペプチド(例えば、FN1、AATまたはGAAシグナルペプチド)をコードする異種核酸およびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸に動作可能に連結された本明細書に開示される肝臓特異的プロモーターを含み、rAAVゲノムは、必要に応じて、イントロン配列(例えば、MVMまたはHBB2イントロン配列)、コラーゲン安定性(CS)配列、ポリAテイル、および少なくとも1アミノ酸のスペーサーをコードする核酸の1つまたは複数をさらに含む。
【0152】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムは、5’ITRおよび3’ITR配列、ならびに5’ITRおよび3’ITRの間に位置する、分泌ペプチド、標的化ペプチドおよびGAAポリペプチドをコードする異種核酸(すなわち、異種核酸は、シグナルペプチド-標的化配列-GAAポリペプチドを含むGAA融合ポリペプチドをコードする)に動作可能に連結されたプロモーターを含み、標的化ペプチドは、本明細書に記載されるIGF2標的化ペプチドであり、rAAVゲノムは、必要に応じて、イントロン配列、コラーゲン安定性(CS)配列、ポリAテイル、および少なくとも1アミノ酸のスペーサーをコードする核酸の1つまたは複数をさらに含むことができる。
【0153】
rAAVゲノム中のエレメントのそれぞれは本明細書で議論される。
A.アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチド
【0154】
アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドは、グリコシドヒドロラーゼ(hydrolyases)のファミリー31のメンバーである。ヒトGAAは、110kDalの前駆体として合成される(Wisselaar et al. (1993) J. Biol. Chem. 268(3): 2223-31)。酵素の成熟型は、70および76kDalの単量体の混合物である(Wisselaar et al. (1993) J. Biol. Chem. 268(3): 2223-31)。前駆体酵素は、7つの可能性のあるグリコシル化部位を有し、これらの4つが、成熟酵素において保持される(Wisselaar et al. (1993) J. Biol. Chem. 268(3): 2223-31)。成熟酵素を産生するタンパク質分解切断事象は、後期エンドソームまたはリソソームにおいて起こる(Wisselaar et al. (1993) J. Biol. Chem. 268(3): 2223-31)。
【0155】
rAAVベクターゲノムは、例えば、ヒトGAAのアミノ酸残基40~952もしくは70~952、またはアミノ酸残基40~790もしくは70~790などのより小さな部分を含み得るGAAポリペプチドをコードすることができる。
【0156】
一実施形態では、GAAポリペプチドは、IGF2標的化配列に融合され得る。一部の実施形態では、IGF2標的化配列は、ヒトGAAポリペプチドの、アミノ酸40、またはアミノ酸70、またはアミノ酸40もしくは70の1つもしくは2つの位置内のアミノ酸に融合されている。一部の実施形態では、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチドは、細胞外受容体のためのリガンドであり、例えば、IGF2標的化ペプチドは、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)またはIGF2受容体に結合する。
【0157】
C末端の160アミノ酸は、70および76kDalの成熟GAAポリペプチド種に存在しない。しかしながら、GAA活性の完全な喪失をもたらすある特定のポンペ対立遺伝子、例えば、Val949Aspは、この領域にマッピングされている(Becker et al. (1998) J. Hum. Genet. 62:991)。この変異体の表現型は、タンパク質のC末端部分が、70または76kDalの種の一部ではないが、タンパク質の機能において重要な役割を果たすことを示す。タンパク質のC末端部分は、プロセシングの間にタンパク質の残りから切断されるが、主要な種と会合したままであることも報告されている(Moreland et al. (Nov. 1, 2004) J. Biol. Chem., Manuscript 404008200)。したがって、C末端残基は、タンパク質の触媒活性において直接的な役割を果たすことができ、および/またはタンパク質のN末端部分の適当なフォールディングの促進に関与し得る。
【0158】
ネイティブGAA遺伝子は、シグナル配列および隣接する推定上の膜貫通ドメイン、3つのジスルフィド連結を含有する約45アミノ酸のシステインリッチドメインであるトレフォイルドメイン(PFAM PF00088)(Thim (1989) FEBS Lett. 250:85)、70/76kDalの成熟ポリペプチドによって定義されるドメイン、およびC末端ドメインを保有する前駆体ポリペプチドをコードする。トレフォイルドメインおよびC末端ドメインは両方とも、機能的GAAの産生のために必要であること、ならびにC末端ドメインがタンパク質フォールディングの間にトレフォイルドメインと相互作用し、恐らく、トレフォイルドメインにおける適切なジスルフィド結合形成を促進する可能性があることが報告されている。
【0159】
GAAポリペプチドは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,962,313号および同第6,537,785号に記載されている。当業者は、分泌シグナルペプチド(SS)、または代わりに標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)を融合することができるGAAの特定の位置を認識することができる。したがって、一態様では、本発明は、SPまたはIGF2標的化ペプチドが、配列番号10のヒトGAA、または配列番号170~174の改変GAAタンパク質、またはそれらの一部分のアミノ酸40、68、69、70、71、72、779、787、789、790、791、792、793、または796に融合されている、GAA融合タンパク質に関する。
【0160】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、AAVによって発現されるヒトGAAタンパク質は、配列番号10のアミノ酸、またはその断片もしくはバリアント、例えば、配列番号10の残基40、68、69、70、71、72、779、787、789、790、791、792、793、もしくは796で開始するヒトGAAタンパク質を含む。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、AAVによって発現されるヒトGAAタンパク質は、配列番号10のアミノ酸、または配列番号10と少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%同一のタンパク質を含む。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、AAVによって発現されるヒトGAAタンパク質は、配列番号10の残基40、68、69、70、71、72、779、787、789、790、791、792、793、もしくは796で開始するヒトGAAタンパク質、またはそれらと少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%同一のタンパク質であるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、AAVによって発現されるヒトGAAタンパク質は、配列番号170(modGAA;H199R、R223H)もしくは配列番号171(modGAA;H199R、R223H、H201L)のいずれかの残基40、68、69、70、71、72、779、787、789、790、791、792、793、もしくは796で開始するアミノ酸、またはそれらと少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%同一のタンパク質を含む。
【0161】
一部の実施形態では、当業者は、分泌シグナルペプチド(SS)、または代わりに標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)を融合することができるGAAの特定の位置を認識することができる。例えば、その全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願のWO2018046774A1は、分泌シグナルペプチド(SS)、または代わりに、標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)を付着させることができる切断型GAAポリペプチドを開示している。シグナルペプチドまたはIGF2標的化ペプチドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号および2019年11月15日に出願された国際出願のWO2020/102667に開示されるGAA切断型タンパク質のアミノ酸で開始する、任意の切断型GAAポリペプチドまたは切断型改変GAAポリペプチドに付着させることができる。
【0162】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるrAAVゲノムによってコードされるGAA融合ポリペプチドは、例えば、ヒトGAAのアミノ酸残基40~952もしくは残基70~952、またはアミノ酸残基40~790もしくは70~790などのより小さな部分を含むことができる。一実施形態では、分泌シグナルペプチド(SS)または標的化ペプチド、例えば、IGF2標的化ペプチドは、アミノ酸40、またはアミノ酸70、またはアミノ酸40もしくは70の1つもしくは2つの位置内のアミノ酸に融合されている。
【0163】
一部の実施形態では、分泌シグナルペプチド(SS)およびGAAポリペプチド、ならびに必要に応じてIGF2標的化ペプチドを含む融合タンパク質(すなわち、SS-GAA融合ポリペプチド、またはSS-IGF2-GAA融合タンパク質)は、ヒト酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)(配列番号10)のアミノ酸残基40~952または残基70~952を含む。一部の実施形態では、GAAポリペプチドのN末端は、SSのC末端に付着しており、一部の実施形態では、GAAポリペプチドのN末端は、IGF2標的化ペプチドのC末端に付着しており、IGF2標的化ペプチドのN末端は、分泌シグナルペプチドのC末端に付着している。
(i)改変GAA(modGAA)
【0164】
一部の実施形態では、GAAタンパク質は、参照によりそれらの全体が両方とも本明細書に組み込まれるUS2014/0186326およびMoreland et al., Gene, 2012; 491 (25-30)に開示されているH201Lバリアントを含む。特に、アミノ酸201位のヒスチジン(His)を、ロイシン(L)残基に変更して、76kDのGAAプレタンパク質の70kDの成熟GAAタンパク質への迅速なプロセシングを可能にする。
【0165】
特に、一部の実施形態では、本明細書に開示される融合タンパク質は、N末端の70kDaのプロセシング部位またはその近くで増加した疎水性をもたらすアミノ酸の改変を有する、配列番号10のGAAポリペプチドを含む。一部の例では、GAAペプチドは、配列番号10の190~209位に相当する1個または複数のアミノ酸で改変される。さらなる実施形態では、ポリペプチドは、配列番号10の195~209位に相当する1個または複数のアミノ酸で改変される。さらなる実施形態では、改変は、配列番号10のアミノ酸200~204位に相当する1個または複数のアミノ酸においてである。ある特定の実施形態では、改変は、配列番号10の201位に相当するアミノ酸においてである。さらなる実施形態では、改変は、1個または複数のアミノ酸のより高い疎水性のアミノ酸による置換である。他の実施形態では、改変は、1個または複数の疎水性アミノ酸の挿入である。またさらなる実施形態では、疎水性アミノ酸は、ロイシンおよびチロシン、またはロイシンもしくはチロシンの保存的アミノ酸から選択される。
【0166】
ある特定の実施形態では、GAAは、少なくとも1個のアミノ酸をより疎水性のアミノ酸で置換することによって、N末端の70kDaのプロセシング部位またはその近くで、その疎水性を増加させるように改変される。一部の実施形態では、置換は、N末端の70kDaのプロセシング部位の上流または下流の5アミノ酸以内で行われ得る。ある特定の例では、アミノ酸置換は、配列番号10の195~209位に相当するアミノ酸で行われ得る。他の例では、アミノ酸置換は、配列番号10の200~204位に相当するアミノ酸で行われ得る。さらなる実施形態では、改変ヒトGAAは、配列番号10のアミノ酸201位に相当する位置に疎水性アミノ酸を含有する。一部の実施形態では、GAAは、N末端の70kDaのプロセシング部位またはその近くに、1個または複数の疎水性アミノ酸を挿入することによって改変される。追加の改変は、N末端の70kDaのプロセシング部位またはその近くにおける1個または複数のアミノ酸の欠失を含む。
【0167】
ある特定の実施形態では、N末端の70kDaのプロセシング部位の2つ以上の位置に、またはN末端の70kDaのプロセシング部位の5アミノ酸以内に、疎水性アミノ酸(天然または合成)を含有する改変ヒトGAAが提供される。一実施形態では、改変されたアミノ酸の1つは、配列番号10のアミノ酸201に相当する位置においてである。
【0168】
さまざまな実施形態では、疎水性アミノ酸は、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、システインまたはアラニンから選択される。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸は、ロイシンまたはチロシンである。一部の実施形態では、改変ヒトGAAは、疎水性の特性を示す合成または非天然のアミノ酸を含有する。一般に、置換されたアミノ酸は、野生型アミノ酸よりも疎水性であり、したがって、N末端の70kDaのプロセシング部位またはその近くで、疎水性が増加する。
【0169】
例示的な一実施形態では、改変GAAは、配列番号10のアミノ酸201に相当する位置にロイシンを有する。別の実施形態では、改変GAAは、配列番号10のアミノ酸201に相当する位置にチロシンを有する。
【0170】
一部の実施形態では、改変ヒトGAAタンパク質は、配列番号10のアミノ酸199位でのHis(H)のアルギニン(R)への(H199R)改変(GAA(H199R)、または配列番号10のアミノ酸223位でのアルギニン(R)のヒスチジン(H)への(R223H)改変(GAA(R223H)を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態では、改変ヒトGAAタンパク質は、配列番号10のアミノ酸199位でのHis(H)のアルギニン(R)への(H199R)改変、および配列番号10のアミノ酸223位でのアルギニン(R)のヒスチジン(H)への(R223H)改変(GAA(H199R-R223H)を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態では、改変ヒトGAAタンパク質は、配列番号170、あるいはH199RもしくはR223Hの少なくとも1つの改変、またはその両方を有する、配列番号170の少なくとも500、550、600、650、700、750、800、850、または900アミノ酸と少なくとも80%、90%、95%、または99%の相同性のバリアントを含む。一部の実施形態では、GAAの同族リーダー配列(すなわち、配列番号175、または配列番号170のアミノ酸1~27)は、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチド、または配列番号176のリーダー配列、またはIL2野生型リーダーペプチド(配列番号178)、改変IL2リーダーペプチド(配列番号180)、または配列番号176、178もしくは180と少なくとも90%の配列同一性のリーダーペプチドで置き換えられる。
【0171】
一部の実施形態では、改変ヒトGAAタンパク質は、配列番号171、またはH210Lの改変を少なくとも含む、配列番号171の少なくとも500、550、600、650、700、750、800、850、もしくは900アミノ酸と少なくとも80%、90%、95%、もしくは99%の相同性のバリアントを含む。一部の実施形態では、GAAの同族リーダー配列(すなわち、配列番号175、または配列番号171のアミノ酸1~27)は、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチド、または配列番号176のリーダー配列、またはIL2野生型リーダーペプチド(配列番号178)、改変IL2リーダーペプチド(配列番号180)、または配列番号176、178もしくは180と少なくとも90%の配列同一性のリーダーペプチドで置き換えられる。
【0172】
一部の実施形態では、改変ヒトGAAタンパク質は、配列番号10のH199R、R223H、もしくはH201Lから選択される少なくとも1つの改変を有するポリペプチド、またはこれらの改変の少なくとも1つを有する、配列番号10の少なくとも500、550、600、650、700、750、800、850、もしくは900アミノ酸と少なくとも80%、90%、95%、もしくは99%の相同性のバリアントを含む。一部の実施形態では、改変ヒトGAAタンパク質は、配列番号10のH199R、R223H、もしくはH201Lから選択される少なくとも2つの改変を含むポリペプチド、またはこれらの改変の少なくとも2つを有する、配列番号10の少なくとも500、550、600、650、700、750、800、850、もしくは900アミノ酸と少なくとも80%、90%、95%、もしくは99%の相同性のバリアントを含む。一部の実施形態では、改変ヒトGAAタンパク質は、配列番号10のH199R、R223H、およびH201Lの3つの改変を有するポリペプチド(GAA-H199R-H201L-R223H)、またはこれらの3つの改変を有する、配列番号10の少なくとも500、550、600、650、700、750、800、850、もしくは900アミノ酸と少なくとも80%、90%、95%、もしくは99%の相同性のバリアントを含む。
【0173】
ある特定の実施形態では、配列番号10の少なくとも500、550、600、650、700、750、800、850、もしくは900アミノ酸と少なくとも80%、90%、95%、もしくは99%の相同性を有する改変ヒトGAAであって、N末端の70kDaのプロセシング部位においてより疎水性のアミノ酸で置換された少なくとも1個のアミノ酸を有する、改変ヒトGAAが提供される。
【0174】
一部の実施形態では、改変ヒトGAAの少なくとも50%が、20、30または40時間以内に、リソソームにおいて70kDaの形態にプロセシングされる。またさらなる実施形態では、改変ヒトGAAの実質的にすべてが、55、65または75時間以内に、リソソームにおいて70kDaの形態にプロセシングされる。
【0175】
ある特定の実施形態では、本発明の改変ヒトGAAは、70kDaの成熟形態、またはその対応するバリアントへのそのより迅速なタンパク質分解プロセシングによって特定することができる。他の実施形態では、本明細書に記載される改変ヒトGAAは、ネイティブヒトGAAのタンパク質分解プロセシングの間に生成しない82kDaの中間ポリペプチドの生成によって特定することができる。さらなる実施形態では、改変ヒトGAAは、未改変ヒトGAAのタンパク質分解プロセシングの間に生成する76kDaの中間ポリペプチドの非存在によって特定することができる。
【0176】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号10または配列番号170~171の少なくとも500アミノ酸と少なくとも80%の同一性を有する。一部の例では、ポリペプチドは、配列番号10または配列番号170~171の少なくとも500アミノ酸と少なくとも90%の同一性を有する。他の例では、ポリペプチドは、配列番号10または配列番号170~171の少なくとも500アミノ酸と少なくとも95%の同一性を有する。
【0177】
ある特定の実施形態では、アミノ酸201に疎水性残基への改変、例えば、H201L改変を有するGAAポリペプチドは、未改変ヒト酸性アルファ-グルコシダーゼタンパク質と比較した場合に、より迅速なリソソームのプロテアーゼプロセシングを示す。一部の実施形態では、GAAプレポリペプチドの少なくとも50%が、発現の20時間以内に70kDaの成熟GAA形態に、タンパク質分解的にプロセシングされる。他の実施形態では、GAAプレポリペプチドの実質的にすべてが、発現の55時間以内に70kDaの成熟GAA形態に、タンパク質分解的にプロセシングされる。
【0178】
一部の実施形態では、配列番号10のアミノ酸1~27の同族GAAリーダーペプチド(すなわち、MGVRHPPCSHRLLAVCALVSLATAALL、配列番号175)は、異なるシグナルペプチド(リーダーペプチド)で置き換えられる。例えば、GAAの同族リーダーペプチド(配列番号175)は、(i)配列番号177の核酸配列によってコードされるMEFGLSWVFLVALLKGVQCE(配列番号176)のアミノ酸配列を有するIgG1リーダーペプチド(本明細書では、「201リーダーペプチド」または「201lp」と称される)、(ii)配列番号179の核酸配列によってコードされるwtIL2 lp:MYRMQLLSCIALSLALVTNS(配列番号178)、または(iii)配列番号181の核酸配列によってコードされるmutIL2 lp:MYRMQLLLLIALSLALVTNS(配列番号180)のいずれかで置き換えられ得る。一部の実施形態では、同族GAAリーダーペプチド(配列番号175)は存在したままであり、追加のシグナルペプチド、例えば、シグナルペプチドのAAT、FN1、配列番号177の核酸配列によってコードされるMEFGLSWVFLVALLKGVQCE(配列番号176)のアミノ酸配列を有するIgG1リーダーペプチド(本明細書では、「201リーダーペプチド」または「201lp」と称される)、(ii)配列番号179の核酸配列によってコードされるwtIL2 lp:MYRMQLLSCIALSLALVTNS(配列番号178)、または(iii)配列番号181の核酸配列によってコードされるmutIL2 lp:MYRMQLLLLIALSLALVTNS(配列番号180)のいずれか1つまたは複数が追加される。
【0179】
一部の実施形態では、GAAは、N連結グリコシル化部位、O連結グリコシル化部位、またはそれらの両方などのグリコシル化部位を付加または除去するように改変される。ある特定の実施形態では、グリコシル化部位の付加または除去は、N末端欠失、C末端欠失、内部欠失、ランダム点変異誘発、または部位特異的変異誘発によって達成される。一部の実施形態では、例示的なGAA改変は、1つもしくは複数のアスパラギン(Asn)残基の付加、またはアスパラギン(Asn)残基を生じる1つもしくは複数の変異、または1つもしくは複数のアスパラギン(Asn)残基の欠失を含む。ある特定の実施形態では、GAAに存在するすべてまたは一部のN連結および/またはO連結グリコシル化部位が変異される。一部の実施形態では、GAA改変は、GAAの生物活性、物理的構造および/または基質結合可能性に付随する情報を与えるであろう。
(ii)GAAをコードする核酸
【0180】
一部の実施形態では、rAAVゲノムは、GAAポリペプチド全体(例えば、N末端/触媒ドメインおよびC末端ドメイン)をコードする異種核酸配列を含み、これは、異種シグナル配列または標的化ペプチドに融合されていない。
【0181】
一部の実施形態では、rAAVゲノムは、GAAポリペプチド全体(例えば、N末端/触媒ドメインおよびC末端ドメイン)をコードするGAA核酸配列の3’末端にインフレームで融合された、分泌シグナルペプチドまたはIGF2標的化ペプチドをコードする異種核酸配列を含む。例えば、分泌シグナルペプチドまたはIGF2標的化ペプチドをコードする異種核酸配列は、70kDaおよび76kDaのGAAポリペプチドをコードするGAA核酸配列の3’末端にインフレームで融合されており、そのような両方のポリペプチドは、rAAVベクターが哺乳動物細胞を形質導入する場合に、rAAVゲノムから発現される。一部の実施形態では、GAA核酸の発現は、rAAVゲノム中の2つのプロモーターによって、またはバイシストロニックな構築物の発現を駆動する1つのプロモーターによって駆動され得る。
【0182】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、rAAVベクターは、野生型GAA核酸配列、例えば、配列番号11、または配列番号72、または配列番号182である、GAAタンパク質をコードする核酸配列を含む。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、rAAVベクターは、(i)in vivoでの増強された発現、(ii)CpGアイランドを低減させるように、(iii)自然免疫応答を低減させるようにのいずれか1つまたは複数のためにコドン最適化されたGAA核酸配列である、GAAタンパク質をコードする核酸配列を含む。本明細書に開示される方法およびrAAV組成物における使用のために包含される例示的なコドン最適化GAA核配列は、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、もしくは配列番号182、または配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、もしくは配列番号182と少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有する核酸配列のいずれかから選択することができる。
【0183】
加えて、一部の実施形態では、本明細書に開示される方法およびrAAV組成物における使用のために包含されるGAA核酸配列は、以下の改変:(i)少なくとも1つ、または2つ、または一部の場合では、すべての代替リーディングフレームの除去、(ii)1つまたは複数のCpGアイランドの除去、(iii)コザック配列の改変、(iv)翻訳ターミネーター配列の改変、ならびに(v)プロモーターおよびコザック配列の間のスペーサーの除去の少なくとも1つまたは複数でさらに改変される。
【0184】
例えば、一部の実施形態では、rAAV組成物は、配列番号182のhGAAヌクレオチド配列、または配列番号182と少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、配列番号182は、GAAについての野生型核酸配列と比較して、表1Aに示される以下のエレメントを含む。
【0185】
【表1A】
【0186】
一部の実施形態では、rAAV組成物は、配列番号182のhGAAヌクレオチド配列、または配列番号182と少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、hGAAヌクレオチド配列は、3つの潜在的な炎症誘発性CpGモチーフおよびいくつかの代替リーディングフレーム(ARF)を排除する一連の点変異で改変されており、配列番号182は、GAAについての野生型核酸配列と比較して、表1Bに示される以下の点変異を含み、表1Bにおける番号付けは、GAA開始コドンATG中の「A」が最初のヌクレオチドであると仮定する。
【0187】
【表1B】
【0188】
一部の実施形態では、配列番号182中の同族リーダーペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号182のヌクレオチド1~81)は、201lp、wtIL2 lpまたはmutIL2 lpのいずれかをコードする核酸配列によって置き換えることができる。したがって、一部の実施形態では、配列番号182の核残基1~81(GAAの同族リーダーペプチドをコードする)は、配列番号177(201lp)、配列番号179(wtIL2 lp)もしくは配列番号181(mutIL2 lp)の核酸配列、または配列番号177、179もしくは181と少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有する核酸配列によって置き換えることができる。
【0189】
一部の実施形態では、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、配列番号170(同族GAAシグナル配列、およびH199R、R223H改変を有するGAAポリペプチド)、または配列番号171(同族GAAシグナル配列、およびH199R、H201L、R223H改変を有するGAAポリペプチド)を含むGAAポリペプチドをコードする異種核酸配列を含む。配列番号170のGAAポリペプチドは、配列番号182の核酸配列によってコードされる。したがって、一部の実施形態では、rAAVベクターは、H199R、R223H改変を含む改変GAAポリペプチドをコードする配列番号182の核酸を含む。配列番号171のGAAポリペプチドは、配列番号182の塩基対(bp)667~669が、CACからUUA、UUG、CUU、CUC、CUA、CUGのいずれかに変更されているか(ヒスチジン(H)からロイシン(L)へのアミノ酸変更を生じる);または配列番号182のbp668が、AからUに変更されている、配列番号182の核酸配列によってコードされる。したがって、一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp667~669が、CACからUUA、UUG、CUU、CUC、CUA、CUGのいずれかに変更されているか(ヒスチジン(H)からロイシン(L)にアミノ酸を変更する);または配列番号182のbp668が、AからUに変更されている、配列番号182の核酸を含み、これは、H199R、H201LおよびR223H改変を含む改変GAAポリペプチドをコードする。
【0190】
一部の実施形態では、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、配列番号172(同族シグナルペプチドが、IgGシグナル配列、およびH199R、R223H改変で置き換えられているGAAポリペプチド)、または配列番号173(同族シグナルペプチドが、wtIL2シグナル配列、およびH199R、R223H改変で置き換えられているGAAポリペプチド)、配列番号174(同族シグナルペプチドが、mutIL3シグナル配列、およびH199R、R223H改変で置き換えられているGAAポリペプチド)のいずれかから選択されるGAAポリペプチドをコードする異種核酸配列を含む。
【0191】
一部の実施形態では、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、配列番号182のbp1~81が、配列番号177(IgGシグナル配列)の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号172のGAAポリペプチド(H199R、R223H改変を有するIgGリーダー-GAA)をコードする。一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp668が、AからUに変更されており、配列番号182のbp1~81が、配列番号177(IgGシグナルペプチド)の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号172のGAAポリペプチド(H199R、H201L、およびR223H改変を有するIgGリーダー-GAA)をコードする。
【0192】
一部の実施形態では、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、配列番号182のbp1~81が、配列番号179(wt IL2シグナルペプチド)の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号173のGAAポリペプチド(H199R、R223H改変を有するwt IL2シグナルペプチド-GAA)をコードする。一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp668が、AからUに変更されており、配列番号182のbp1~81が、配列番号179(wt IL2シグナルペプチド)の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号173のGAAポリペプチド(H199R、H201L、およびR223H改変を有するwt IL2シグナルペプチド-GAA)をコードする。
【0193】
一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp1~81が、配列番号181(mutIL2シグナルペプチド)の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号174のGAAポリペプチド(H199R、R223H改変を有するmutIL2シグナルペプチド-GAA)をコードする。一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp668が、AからUに変更されており、配列番号182のbp1~81が、配列番号181(mut IL2シグナルペプチド)の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号174のGAAポリペプチド(H199R、H201L、およびR223H改変を有するmut IL2シグナルペプチド-GAA)をコードする。
【0194】
GAAのC末端ドメインは、活性GAAを発生させるために、70/76kDal種と併せてトランスで機能する。触媒ドメインおよびC末端ドメインの間の境界は、ファミリー31のヒドロラーゼのほとんどのメンバーに存在せず、かつGAA中に4つの連続するプロリン残基を含有する、18アミノ酸未満の短い領域におけるその存在に基づいて、約アミノ酸残基791であると思われる。成熟種に関連するC末端ドメインが、アミノ酸残基792において開始することが報告されている(Moreland et al. (Nov. 1, 2004) J. Biol. Chem., Manuscript 404008200)。したがって、一部の実施形態では、GAA核酸配列は、C末端ドメインを除いて、GAAポリペプチド全体をコードする。そのため、そのような実施形態では、rAAVベクターは、別々のポリペプチドとしてGAAのC末端ドメインを発現する哺乳動物細胞を形質導入するために使用することができる。
B.分泌シグナルペプチド
【0195】
ネイティブGAAシグナルペプチドは、ERにおいて切断されず、それによって、ネイティブGAAポリペプチドは、ERにおいて膜に結合している(Tsuji et al. (1987) Biochem. Int. 15(5):945-952)。GAAの膜会合の破壊は、内因性GAAシグナルペプチド(および必要に応じて、隣接する配列)を、GAAのための代用のシグナルペプチドで置き換えることによって達成することができる。
【0196】
したがって、代表的な実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターおよびrAAVゲノムは、標的細胞に移入され、内因性GAAシグナルペプチドの代わりに分泌シグナルペプチドをコードする異種核酸配列に付着した、GAAポリペプチドをコードする異種核酸をさらに含む。異種核酸は、転写および翻訳の際に、GAAポリペプチドと作動可能に会合した(例えば、その分泌を指図する)分泌シグナル配列を含有する融合ポリペプチドが産生するように、分泌シグナルペプチドをコードするセグメントと動作可能に会合している。
【0197】
一部の実施形態では、AAVベクターは、内因性GAAシグナルペプチド(例えば、配列番号10のアミノ酸1~27(「生得的GAA」または「同族GAA」シグナルペプチドとも称される))を含むGAAポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、AAVベクターは、内因性GAAシグナルペプチド(例えば、配列番号10のアミノ酸1~27(「生得的GAA」または「同族GAA」シグナルペプチドとも称される))および追加の異種(非ネイティブ)シグナル配列を含むGAAポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、GAAのアミノ酸1~27の内因性シグナルペプチドを欠くGAAポリペプチドは、分泌シグナルに融合されている。本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、分泌シグナルは、GAAポリペプチド、または融合ポリペプチド、例えば、IGF2標的化ペプチド-GAA融合ポリペプチドの肝臓細胞から血液への分泌を支援する一般的な目的を果たし、血液中で、本明細書に記載されるように、哺乳動物細胞、例えば、ヒトの心筋肉細胞および骨格筋肉細胞のリソソームに移動し、標的にすることができる。一部の実施形態では、異種分泌シグナルは、AATシグナルペプチド、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、GAAシグナルペプチド、または分泌シグナル活性を有するAAT、FN1もしくはGAAシグナルペプチドの活性断片のいずれかから選択される。
【0198】
一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、目的のポリペプチドに対して異種(すなわち、外来性または外因性)である。例えば、異種分泌シグナルペプチドは、フィブロネクチン分泌シグナルペプチドであり、目的のポリペプチドは、フィブロネクチンではない。一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、AATシグナルペプチド、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、または分泌シグナル活性を有するAAT、FN1もしくはGAAシグナルペプチドの活性断片のいずれかから選択される。代替の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、GAAに対して異種ではない、すなわち、シグナルペプチドは、GAAシグナルペプチド(すなわち、ネイティブGAAポリペプチドの残基1~27)である。
【0199】
一部の実施形態では、配列番号10のアミノ酸1~27の同族GAAシグナルペプチド(すなわち、MGVRHPPCSHRLLAVCALVSLATAALL、配列番号175)は、異なるまたは異種リーダーペプチドで置き換えられる。例えば、GAAの同族リーダーペプチド(配列番号175)は、(i)配列番号177の核酸配列によってコードされるMEFGLSWVFLVALLKGVQCE(配列番号176)のアミノ酸配列を有するIgG1リーダーペプチド(本明細書では、「201リーダーペプチド」または「201lp」と称される)、(ii)配列番号179の核酸配列によってコードされるwtIL2 lp:MYRMQLLSCIALSLALVTNS(配列番号178)、もしくは(iii)配列番号181の核酸配列によってコードされるmutIL2 lp:MYRMQLLLLIALSLALVTNS(配列番号180)、または配列番号176、178もしくは180のいずれかと少なくとも90%の配列同一性を有するリーダーペプチドから選択される異種シグナルペプチドのいずれかで置き換えられ得る。
【0200】
一般に、分泌シグナルペプチドは、融合ポリペプチドのアミノ末端(N末端)に存在する(すなわち、分泌シグナルペプチドをコードする核酸セグメントは、本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムにおいて、GAAペプチドまたはGAA融合ペプチドをコードする異種核酸の5’に存在する)。あるいは、分泌シグナルが、それらと動作可能に会合しており、細胞からの(GAAポリペプチドからのシグナルペプチドの切断による、または切断なしのいずれかで)目的のGAAポリペプチドまたはGAA融合ポリペプチドの分泌を指図する限り、分泌シグナルは、カルボキシ末端に存在していてもよく、またはGAAポリペプチドもしくはGAA融合ポリペプチド(例えば、IGF2-GAA融合ポリペプチド)内に埋め込まれていてもよい。
【0201】
分泌シグナルは、分泌経路に標的化されるGAAポリペプチドまたはGAA融合ポリペプチドと動作可能に会合している。言い換えると、分泌シグナルは、GAAポリペプチドまたはGAA融合ポリペプチドが、分泌シグナルペプチドの非存在下よりも高いレベルで(すなわち、より多量に)細胞から分泌されるように、GAAポリペプチドと動作可能に会合している。一般に、典型的には、シグナルペプチドが付着される場合に、分泌シグナルペプチドの付着の非存在下と比較して、(単独のおよび/またはシグナルペプチドと融合した)GAAポリペプチドまたはIGF2-GAA融合ポリペプチドの少なくとも約20%、30%、40%、50%、70%、80%、85%、90%、95%、またはそれより多くが、細胞から分泌される。他の実施形態では、(単独のおよび/または融合ポリペプチドの形態の)検出可能なポリペプチドの本質的にすべてが、細胞から分泌される。
【0202】
「細胞から分泌される」という語句により、ポリペプチドは、限定されるものではないが、間質腔、血液、リンパ、脳脊髄液、腎尿細管、気道(例えば、肺胞、細気管支、気管支、鼻腔など)、胃腸管(例えば、食道、胃、小腸、結腸など)、眼の硝子体液、および蝸牛内リンパなどを含む、細胞外の任意のコンパートメント(例えば、体液または空間)へ分泌され得る。
【0203】
一実施形態では、rAAVゲノムは、GAA融合ポリペプチドに融合された分泌シグナルペプチド(SP)をコードする異種核酸を含み、GAA融合ポリペプチドは、GAAポリペプチドに融合された標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)を含む。本明細書で使用される場合、GAAは、上記に記載される改変GAAも指す。したがって、本明細書に開示されるシグナルペプチドは、本明細書に記載されるように、rAAVベクターで形質導入されるか、またはrAAVゲノムを含む細胞からの、GAAポリペプチドまたはIGF2-GAA融合ポリペプチドの分泌の効力を増加させる。
【0204】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムは、5’ITRおよび3’ITR配列、ならびに5’ITRおよび3’ITRの間に位置する、分泌ペプチドをコードする異種核酸およびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸に動作可能に連結されたプロモーターを含む(すなわち、異種核酸は、シグナルペプチド-GAAポリペプチドを含むGAA融合ポリペプチドをコードする)。
【0205】
代替の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムは、5’ITRおよび3’ITR配列、ならびに5’ITRおよび3’ITRの間に位置する、分泌ペプチドをコードする異種核酸およびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)融合ポリペプチドをコードする核酸に動作可能に連結されたプロモーターを含み、融合タンパク質は、IGF2標的化ペプチドおよびGAAポリペプチドを含む(すなわち、異種核酸は、シグナルペプチド-IGF2-GAAポリペプチドを含むGAA融合ポリペプチドをコードする)。
【0206】
一般に、分泌シグナルペプチドは、小胞体内で切断され、一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、分泌前にGAAポリペプチドから切断される。しかしながら、細胞からのGAAポリペプチドまたはIGF2-GAA融合ポリペプチドの分泌が増強され、GAAポリペプチドが機能的である限り、分泌シグナルペプチドが切断されることは必要でない。そのため、一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、部分的にまたは完全に保持される。
【0207】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムまたは単離された核酸は、分泌シグナルペプチドに作動可能に連結されたGAAポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする核酸を含み、キメラポリペプチドは、rAAVベクターで形質導入された細胞から発現および産生され、GAAポリペプチドは、細胞から分泌される。GAAポリペプチドまたはGAA融合ポリペプチド(例えば、IGF2-GAA融合ポリペプチド)は、分泌シグナルペプチドのすべてまたは一部の切断後に分泌され得る。あるいは、GAAポリペプチドまたはGAA融合ポリペプチド(例えば、IGF2-GAA融合ポリペプチド)は、分泌シグナルペプチドを保持することができる(すなわち、分泌シグナルは切断されない)。そのため、この文脈では、「GAAポリペプチドまたはGAA融合ポリペプチド」は、分泌ペプチドを含むキメラポリペプチドであり得る。
【0208】
本発明の分泌シグナル配列は、それらが目的のポリペプチドを分泌経路へ向かわせる限り、任意の特定の長さに限定されない。代表的な実施形態では、シグナルペプチドは、少なくとも約6、8、10、12、15、20、25、30、もしくは35アミノ酸長、最大で約40、50、60、75、もしくは100アミノ酸の長さ、またはそれよりも長い。
【0209】
本明細書に開示されるrAAVゲノムによって、およびrAAVベクターにおいてコードされる分泌シグナルペプチドは、天然に存在する分泌シグナル配列またはその改変を含むこと、それらから本質的になること、またはそれらからなることができる。多数の分泌タンパク質および細胞からの分泌を指図する配列が、当技術分野において公知であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,873,868号に開示されている。例示的な分泌タンパク質(およびそれらの分泌シグナル)としては、限定されるものではないが、エリスロポエチン、凝固第IX因子、シスタチン、ラクトトランスフェリン、血漿プロテアーゼC1阻害剤、アポリポタンパク質(例えば、APO A、C、E)、MCP-1、α-2-HS-糖タンパク質、α-1-ミクログロブリン、補体(例えば、C1Q、C3)、ビトロネクチン、リンホトキシン-α、アズロシジン、VIP、メタロプロテイナーゼ阻害剤2、グリピカン-1、膵臓ホルモン、クラスタリン、肝細胞成長因子、インスリン、α-1-アンチキモトリプシン、成長ホルモン、IV型コラゲナーゼ、グアニリン、プロパージン、プロエンケファリンA、インヒビンβ(例えば、A鎖)、プレアルブミン、アンギオゲニン(angiocenin)、ルトロピン(例えば、β鎖)、インスリン様成長因子結合タンパク質1および2、プロアクチベーターポリペプチド、フィブリノーゲン(例えば、β鎖)、胃トリアシルグリセロールリパーゼ、ミッドカイン、好中球デフェンシン1、2、および3、α-1-アンチトリプシン、マトリックスgla-タンパク質、α-トリプターゼ、胆汁酸塩活性化リパーゼ、キモトリプシノーゲンB、エラスチン、IGラムダ鎖V領域、血小板因子4バリアント、クロモグラニンA、WNT-1プロトオンコジーンタンパク質、オンコスタチンM、β-ネオエンドルフィン-ダイノルフィン、フォンヴィルブランド因子、血漿セリンプロテアーゼ阻害剤、血清アミロイドAタンパク質、ナイドジェン、フィブロネクチン、レンニン、オステオネクチン、ヒスタチン3、ホスホリパーゼA2、軟骨基質タンパク質、GM-CSF、マトリリシン、神経内分泌タンパク質7B2、胎盤タンパク質11、ゲルゾリン、M-CSF、トランスコバラミンI、ラクターゼ-フロリジンヒドロラーゼ、エラスターゼ2B、ペプシノゲンA、MIP 1-β、プロラクチン、トリプシノーゲンII、ガストリン放出ペプチドII、心房性ナトリウム利尿因子、分泌アルカリホスファターゼ、膵臓α-アミラーゼ、セクレトグラニンI、β-カゼイン、セロトランスフェリン、組織因子経路阻害剤、フォリトロピンβ鎖、凝固第XII因子、成長ホルモン放出因子、前立腺精漿タンパク質、インターロイキン(例えば、2、3、4、5、9、11)、インヒビン(例えば、アルファ鎖)、アンギオテンシノゲン、サイログロブリン、IG重鎖または軽鎖、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1、リゾチームC、プラスミノーゲン活性化因子、アンチロイコプロテイナーゼ1、スタテリン、フィブリン-1、アイソフォームB、ウロモジュリン、チロキシン結合グロブリン、アキソニン-1、子宮内膜α-2グロブリン、インターフェロン(例えば、アルファ、ベータ、ガンマ)、β-2-ミクログロブリン、プロコレシストキニン、プロガストリクシン、前立腺酸性ホスファターゼ、骨シアロタンパク質II、コリパーゼ、アルツハイマー病アミロイドA4タンパク質、PDGF(例えば、AまたはB鎖)、凝固第V因子、トリアシルグリセロールリパーゼ、ハプトグロビン(haptoglobuin)-2、コルチコステロイド結合グロブリン、トリアシルグリセロールリパーゼ、プロレラキシンH2、ホリスタチン1および2、血小板糖タンパク質IX、GCSF、VEGF、ヘパリンコファクターII、アンチトロンビン-III、白血病抑制因子、間質コラゲナーゼ、プレイオトロフィン、小誘導性サイトカインA1、メラニン凝集ホルモン、アンジオテンシン変換酵素、膵臓トリプシン阻害剤、凝固第VIII因子、α-フェトプロテイン、α-ラクトアルブミン、セノゲリン(senogelin)II、カッパカゼイン、グルカゴン、サイロトロピンベータ鎖、トランスコバラミンII、トロンボスポンジン1、副甲状腺ホルモン、バソプレシンコペプチン、組織因子、モチリン、MPIF-1、キニノーゲン、神経内分泌コンバターゼ2、幹細胞因子プロコラーゲンα1鎖、血漿カリクレイン、ケラチノサイト成長因子、ならびに任意の他の分泌ホルモン、成長因子、サイトカイン、酵素、凝固因子、乳タンパク質、免疫グロブリン鎖などが挙げられる。
【0210】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムによって、およびrAAVベクターにおいてコードされる他の分泌シグナルペプチドは、限定されるものではないが、プレプロ-カテプシンL(例えば、GenBank受託番号KHRTL、NP_037288;NP_034114、AAB81616、AAA39984、P07154、CAA68691;それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、およびプレプロ-アルファ2型コラーゲン(例えば、GenBank受託番号CAA98969、CAA26320、CGHU2S、NP_000080、BAA25383、P08123;それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、ならびにそれらの対立遺伝子の変形、改変および機能的断片(フィブロネクチン分泌シグナル配列に関して上記で議論された通り)から選択することができる。例示的な分泌シグナル配列としては、プレプロカテプシンLについて(Rattus norvegicus、MTPLLLLAVLCLGTALA[配列番号27];受託番号CAA68691)、およびプレプロ-アルファ2型コラーゲンについて(Homo sapiens、MLSFVDTRTLLLLAVTLCLATC[配列番号28];受託番号CAA98969)、挙げられる。プレプロカテプシンLおよびプレプロ-アルファ2型コラーゲン由来の全長分泌シグナル配列、またはそれらの機能的断片(フィブロネクチン分泌シグナル配列に関して上記で議論された通り)を含むより長いアミノ酸配列も包含される。
【0211】
一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、肝臓細胞によって産生される分泌ポリペプチドにその一部または全体が由来する。一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、さらに、全体または一部が合成または人工であり得る。合成または人工の分泌シグナルペプチドは、当技術分野において公知であり、例えば、Barash et al., "Human secretory signal peptide description by hidden Markov model and generation of a strong artificial signal peptide for secreted protein expression," Biochem. Biophys. Res. Comm. 294:835-42 (2002)を参照されたく、その開示はその全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、人工分泌シグナル:MWWRLWWLLLLLLLLWPMVWA(配列番号29)、または1、2、3、4、もしくは5つのアミノ酸置換(必要に応じて、保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換は当技術分野において公知である)を有するその変形を含むか、それから本質的になるか、あるいはそれからなる。
【0212】
本明細書に開示される方法および組成物における使用のための例示的なシグナルペプチドは、表2に開示される任意のシグナルペプチド、またはそれらの機能的バリアントから選択することができる。例示的なシグナルペプチドは、フィブロネクチン(FN1)またはAATである。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、rAAVベクター組成物は、分泌シグナルペプチドをコードする核酸、例えば、AATシグナルペプチド(例えば、配列番号17)、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)(例えば、配列番号18~21)、GAAシグナルペプチド、hIGF2シグナルペプチド(配列番号22)、または分泌シグナル活性を有するそれらの活性断片から選択される分泌シグナルペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号17~22と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸を含む。
【0213】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、分泌シグナルをコードする核酸は、配列番号17、81~21、22~26、または配列番号17もしくは22~26のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列のいずれかから選択される。
【0214】
一部の実施形態では、FN1またはAATシグナルペプチドを、肝臓で発現したタンパク質に対するシグナルペプチド、または2019年11月19日に出願された第62,937,556号、もしくは2019年11月15日に出願された第PCT/US19/61653号に開示されるシグナルペプチドを含む任意のシグナルペプチドで容易に置換することができる。
【0215】
フィブロネクチン分泌シグナルペプチド:
【0216】
一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、フィブロネクチン分泌シグナルペプチドであり、この用語は、天然に存在する配列の改変(下記でより詳細に記載される通り)を含む。
【0217】
一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、フィブロネクチンシグナルペプチド、例えば、ヒトフィブロネクチンのシグナル配列、またはラットフィブロネクチン由来のシグナル配列である。本明細書に記載されるrAAVゲノムおよびrAAVベクターにおける使用のために包含されるフィブロネクチン(FN1)シグナル配列および改変FN1シグナルペプチドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,071,172号、および2019年11月19日に出願された仮出願第62/937,556号の表3に開示されている。例示的なフィブロネクチン分泌シグナル配列の例としては、限定されるものではないが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,071,172号の表1にリストされるものが挙げられる。
【0218】
【表2】
【0219】
Rattus norvegicusのフィブロネクチン分泌シグナル配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は、GenBank受託番号X15906(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に見出される。また別の例示的な配列として、ヒトフィブロネクチン1、転写物バリアント1の分泌シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列(受託番号NM_002026、ヌクレオチド268~345;受託番号NM_002026の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。別の例示的な分泌シグナル配列は、Xenopus laevisフィブロネクチンタンパク質の分泌シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコードされる(受託番号M77820、ヌクレオチド98~190;受託番号M77820の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0220】
別の実施形態では、フィブロネクチンシグナル配列(FN1、ヌクレオチド208~303、5’-ATG CTC AGG GGT CCG GGA CCC GGG CGG CTG CTG CTG CTA GCA GTC CTG TGC CTG GGG ACA TCG GTG CGC TGC ACC GAA ACC GGG AAG AGC AAG AGG-3’、配列番号23)は、ラットフィブロネクチンmRNA配列(Genbank受託番号X15906)に由来し、以下のペプチドシグナル配列:Met Leu Arg Gly Pro Gly Pro Gly Arg Leu Leu Leu Leu Ala Val Leu Cys Leu Gly Thr Ser Val Arg Cys Thr Glu Thr Gly Lys Ser Lys Arg(配列番号18)をコードする。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片(例えば、FN1シグナルペプチドは、配列番号18~21のいずれかの配列、または配列番号18~21のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する)である分泌シグナルペプチドをコードする異種核酸配列を含み、異種核酸配列は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9のいずれかから選択されるIGF2標的化ペプチド、または配列番号5~9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドをコードする。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、AATシグナルペプチド、または分泌シグナル活性を有するその活性断片(例えば、AATシグナルペプチドは、配列番号17の配列、または配列番号17と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する)である分泌シグナルペプチドをコードする異種核酸配列を含み、異種核酸配列は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9のいずれかから選択されるIGF2標的化ペプチド、または配列番号5~9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドをコードする。
【0221】
当業者は、分泌シグナル配列が、ペプチダーゼ切断部位(上矢印によって特定される)のC末端側のアミノ酸の1、2、3、4、5、もしくは6個すべて、またはそれよりも多くをコードし得ることを認識するであろう(例えば、表2における配列番号19および24を参照されたい)。当業者は、切断部位のカルボキシ末端側における追加のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6個、またはそれよりも多くのアミノ酸)が、分泌シグナル配列に含まれ得ることを認識するであろう。
【0222】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、5’ITRおよび3’ITRの間に位置する、分泌シグナルペプチドをコードする異種核酸配列、およびhGAAポリペプチドをコードする核酸を含むか、またはそれらからなり、シグナル配列をコードする核酸配列は、AATシグナルペプチド(例えば、配列番号17)、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)(例えば、配列番号18~21)、同族GAAシグナルペプチド(配列番号175)、hIGF2シグナルペプチド(例えば、配列番号22)、IgG1リーダーペプチド(配列番号177)、wtIL2リーダーペプチド(配列番号179)、変異型IL2リーダーペプチド(配列番号181)、または分泌シグナル活性を有するそれらの活性断片、例えば、配列番号17~22、175、177、179もしくは181と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸のいずれかから選択され、シグナルペプチドをコードする核酸は、本明細書に開示されるhGAAポリペプチドをコードする核酸の5’に位置し、シグナル配列およびhGAAポリペプチドをコードする核酸は、表4において本明細書に開示される任意のLSP、またはそれらの機能的バリアントに動作可能に連結されている。
【0223】
本発明の実施形態では、機能的断片は、本明細書に具体的に開示される配列と比較して、少なくとも約50%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い分泌シグナル活性を有するか、またはさらに、より高い分泌シグナル活性のレベルを有する。
【0224】
ペプチダーゼ切断部位
【0225】
一部の実施形態では、1つまたは複数の外因性ペプチダーゼ切断部位が、分泌シグナルペプチド-GAA融合ポリペプチドに、例えば、分泌シグナルペプチドおよびGAAポリペプチドの間に挿入され得る。特定の実施形態では、自己プロテアーゼ(例えば、口蹄疫ウイルス2A自己プロテアーゼ)が、分泌シグナルペプチドおよびGAAポリペプチドまたはIGF2-GAA融合ポリペプチドの間に挿入される。他の実施形態では、外因性プロテアーゼの付加によって制御され得るプロテアーゼ認識部位が用いられる(例えば、トリプシンのためのLys-Arg認識部位、Aspergillus KEX2様プロテアーゼのLys-Arg認識部位、メタロプロテアーゼのための認識部位、セリンプロテアーゼのための認識部位など)。ネイティブプロテアーゼ部位を欠失または不活性化するGAAポリペプチドの改変は、本明細書に包含され、2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号、および2019年11月15日に出願された国際出願第PCT/US19/61653号に開示されている。
C.IGF2標的化ペプチド配列
【0226】
一実施形態では、rAAVゲノムは、GAAポリペプチドに融合された標的化ペプチド(TP)をコードする異種核酸を含む。一部の実施形態では、標的化ペプチドは、細胞外受容体のためのリガンドであり、標的化ペプチドは、標的細胞の表面上の受容体の細胞外ドメインと結合し、受容体の内部移行の際に、ヒトリソソームにおけるポリペプチドの局在化を可能にする。一実施形態では、標的化ペプチドは、カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体と結合することができるウロキナーゼ型プラスミノーゲン受容体部分を含む。一部の実施形態では、標的化ペプチドは、IGF2標的化ペプチドの1つまたは複数のアミノ酸配列が組み込まれる。
【0227】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチドは、細胞外受容体のためのリガンドの少なくとも一部を含み、例えば、IGF2標的化ペプチドは、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)またはIGF2受容体に結合する。
【0228】
IGF2はまた、別名;11番染色体オープンリーディングフレーム43、インスリン様成長因子2、IGF-II、FLJ44734;IGF2、ソマトメジンA、およびプレプチンによって公知である。野生型ヒトIGF2配列のmRNAは、
GCTTACCGCCCCAGTGAGACCCTGTGCGGCGGGGAGCTGGTGGACACCCTCCAGTTCGTCTGTGGGGACCGCGGCTTCTACTTCAGCAGGCCCGCAAGCCGTGTGAGCCGTCGCAGCCGTGGCATCGTTGAGGAGTGCTGTTTCCGCAGCTGTGACCTGGCCCTCCTGGAGACGTACTGTGCTACCCCCGCCAAGTCCGAG(配列番号1)に相当する。全長IGF2タンパク質(IGF2標的化配列を含む)は、NM_000612.6の核酸配列によってコードされ、全長IGF2タンパク質NP_000603.1をコードする。
【0229】
成熟ヒトIGF2標的化ペプチドは下記に示される:
A Y R P S E T L C G G E L V D T L Q F V C G D R G F Y F S R P A S R V S R R S R G I V E E C C F R S C D L A L L E T Y C A T P A K S E(配列番号5)。
【0230】
ヒトIGF2のコード配列はまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,492,388号(例えば、図2を参照されたい)に開示されている。IGF2タンパク質は、アミノ末端の24アミノ酸シグナルペプチドおよび89アミノ酸カルボキシ末端領域を有するプレプロタンパク質として合成され、その両方が翻訳後に除去され、O'Dell et al. (1998) Int. J. Biochem Cell Biol. 30(7):767-71に概説される。成熟タンパク質は67アミノ酸である。成熟IGF2のLeishmaniaコドン最適化バージョンは、米国特許第8,492,388号(例えば、第8,492,388号の図3を参照されたい)に開示されている(Langford et al. (1992) Exp. Parasitol. 74(3):360-1)。成熟ポリペプチドのアミノ酸1~7もしくは2~7の欠失(Δ1~7)、残基27のチロシンからロイシンへの変更(Y27L)、または両方の変異(Δ1~7,Y27L、またはΔ2~7,Y27L)を含有する追加カセットを、下記に記載されるように、所望の受容体のみに対する特異性を有するIGF-2カセットを生成するために作製した。したがって、一部の実施形態では、野生型、Y27L、Δ1~7、Δ2~7およびY27L-Δ1~7、Y27L-Δ2~7、V43M、Y27L-V43M、Y27L-Δ1~7-V43M、Y27L-Δ2~7-V43M IGF2バリアントのいずれかから選択され得るIGF2標的化配列が、本明細書の使用のために包含される。
【0231】
本明細書の方法および組成物における使用のための例示的なIGF2標的化ペプチドは、2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号、および2019年11月15日に出願された国際出願第PCT/US19/61653号、および2019年11月15日に出願された国際出願第PCT/US19/61701号に開示されており、それらのそれぞれは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0232】
一部の実施形態では、本明細書の方法および組成物における使用のためのIGF2標的化ペプチドは、その全体が本明細書に組み込まれる米国出願第2019/0343968号に開示される、E6R、F26S、Y27L、V43L、F48T、R495、S50I、A54R、L55R、K65Rのいずれか1つまたは複数の改変を有することができる。一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、E6R、F26S、Y27L、V43L、F48T、R495、S50I、A54R、L55R、およびK65Rから選択される1つまたは複数の改変に加えて、V43Mの改変を有する。一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、E6R、F26S、Y27L、V43L、F48T、R495、S50I、A54R、L55R、およびK65Rから選択される1つまたは複数の改変に加えて、Δ1~7またはΔ2~7改変を有する。一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、Δ1~7またはΔ2~7改変、V43M改変、ならびにE6R、F26S、Y27L、V43L、F48T、R495、S50I、A54R、L55R、およびK65Rから選択される1つまたは複数の改変を有する。
【0233】
特定の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、翻訳開始がアミノ酸43で始まるように、バリンがmetに改変されているバリン43での改変(V43M)を含む。標的化ペプチドまたはIGF2標的化ペプチドとしての本明細書の使用のために包含されるV43Mの改変を有するIGF2標的化ペプチドは、カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体と結合する。代替の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、IGF2のデルタ1~42であり、V43はMetに変更される(すなわち、IGF2-Δ1~42(配列番号8)またはIGF2-V43M(配列番号9)。
【0234】
一部の実施形態では、rAAVゲノムは、IGF2-GAA融合タンパク質をコードする核酸を含み、成熟IGF2標的化ペプチド(配列番号5)、もしくはIGF2標的化ペプチドバリアント(例えば、配列番号6(IGF2-Δ2~7);配列番号7(IGF2-Δ1~7);配列番号8(IGF2--Δ1~42)、配列番号9(IGF2-V43M))、または配列番号5~9と少なくとも85%、もしくは90%、もしくは95%の配列同一性を有する配列をコードする核酸は、GAAタンパク質をコードする核酸の5’末端に融合されて、各種の細胞型によって取り込まれ、リソソームに輸送され得る、融合タンパク質(例えば、IGF2-GAA融合ポリペプチド)が作出される。あるいは、前駆体IGF2ポリペプチドをコードする核酸は、GAA遺伝子の3’末端に融合され得、前駆体は、哺乳動物細胞において切断されて、成熟IGF2ポリペプチドを生じるカルボキシ末端部分を含むが、IGF2標的化ペプチドは、好ましくは、除かれる(または、GAA遺伝子の5’末端に移される)。この方法は、タンパク質が単離されたら、さらなる修飾を行う必要がないので、グリコシル化を含む方法に対して、単純性および費用対効果を含む多数の利点を有する。
【0235】
一部の実施形態では、本明細書の使用のために包含されるIGF2標的化ペプチドは、参照によりそれらの全体が本明細書にそれぞれ組み込まれる米国特許第7,785,856号および同第9,873,868号に記載されている。
(i)IGF2の欠失変異体:
【0236】
一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2019年11月15日に出願された国際出願第PCT/US19/61701号に開示されるように、改変または切断型IGF2標的化ペプチド(IGF2の欠失変異体とも称される)である。例えば、一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、V43M改変を含み、アミノ酸1~42からの1個または複数のアミノ酸の任意の欠失も含む。例えば、本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、V43Mを含み、配列番号5のΔ1~3、Δ1~4、Δ1~5、Δ1~6、Δ1~8、Δ1~9、Δ1~10、Δ1~11、Δ1~12、Δ1~13、Δ1~14、Δ1~15、Δ1~16、Δ1~17、Δ1~18、Δ1~19、Δ1~20、Δ1~21、Δ1~22、Δ1~23、Δ1~24、Δ1~25、Δ1~26、Δ1~27、Δ1~28、Δ1~29、Δ1~30、Δ1~31、Δ1~32、Δ1~33、Δ1~34、Δ1~35、Δ1~36、Δ1~37、Δ1~38、Δ1~39、Δ1~40、Δ1~41、またはΔ1~42のいずれかから選択される1つまたは複数の欠失をさらに含み、配列番号5の残基43はメチオニンである(V43M)。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、V43Mを含み、Δ1~7欠失をさらに含む(IGF2-Δ1~7,V43M)。
【0237】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、リソソームのIGF2標的化ペプチドは、配列番号5のΔ2~3、Δ2~4、Δ2~5、Δ2~6、Δ2~8、Δ2~9、Δ2~10、Δ2~11、Δ2~12、Δ2~13、Δ2~14、Δ2~15、Δ2~16、Δ2~17、Δ2~18、Δ2~19、Δ2~20、Δ2~21、Δ2~22、Δ2~23、Δ2~24、Δ2~25、Δ2~26、Δ2~27、Δ2~28、Δ2~29、Δ2~30、Δ2~31、Δ2~32、Δ2~33、Δ2~34、Δ2~35、Δ2~36、Δ2~37、Δ2~38、Δ2~39、Δ2~40、Δ2~41、またはΔ2~42のいずれかから選択される1つまたは複数の改変をさらに含み、配列番号5の残基43はメチオニンである(V43M)。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、V43Mを含み、Δ2~7欠失をさらに含む(IGF2-Δ2~7,V43M)。
【0238】
一部の実施形態では、GAAポリペプチドへの融合のためのIGF2標的化ペプチドは、IGF2のアミノ酸8~28および41~61を含むことができる。一部の実施形態では、アミノ酸のこれらのストレッチは、直接接合され得るか、またはリンカーによって分離され得る。あるいは、アミノ酸8~28および41~61は、別々のポリペプチド鎖に提供することができる。一部の実施形態では、IGF2のアミノ酸8~28またはその保存的置換バリアントは、GAAポリペプチドに融合されて、rAVVベクターからIGF2-GAA融合タンパク質を発現し得、別々のrAAVベクターは、IGF2アミノ酸41~61またはその保存的置換バリアントを発現し得る。
【0239】
IGF2標的化ペプチドの適当な提示およびフォールディングを容易にするために、IGF2タンパク質のより長い部分を使用することができる。例えば、アミノ酸残基1~67、1~87、または前駆体型全体を含むIGF2標的化ペプチドを使用することができる。
【0240】
一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、以下のいずれかのIGF2標的化ペプチドをコードする核酸配列である:配列番号5の野生型成熟ヒトインスリン様成長因子II(IGF2)の残基8~67が続く残基1(すなわち、配列番号6;すなわち、IGF2-デルタ2~7);配列番号5の野生型成熟ヒトインスリン様成長因子II(IGF2)の残基8~67(すなわち、配列番号7;IGF2-デルタ1~7)、または配列番号5の野生型成熟ヒトインスリン様成長因子II(IGF2)の残基43~67(すなわち、IGF2-V43M(配列番号9)またはIGF-デルタ1~42(配列番号8))。
【0241】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、配列番号2(すなわち、IGF2-デルタ2~7);配列番号3(すなわち、IGF2-デルタ1~7)、もしくは配列番号4(すなわち、IGF2-V43M)、またはそれらと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性の配列のいずれかを含む任意の核酸配列から選択される核酸配列である。
【0242】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、IGF2(V43M)配列は、配列番号65(IGF2Δ2~7V43M)、または配列番号65と少なくとも85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは96%、もしくは97%、もしくは98%、もしくは99%、もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、あるいは配列番号66(IGFΔ1~7V43M)、または配列番号66と少なくとも85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは96%、もしくは97%、もしくは98%、もしくは99%、もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列のいずれかのIGF2(V43M)配列をコードする核酸配列である。
【表3】
【0243】
一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドの適当な提示およびフォールディングを容易にするために、IGF2タンパク質のより長い部分を使用することができる。例えば、アミノ酸残基1~67、1~87、または前駆体型全体を含むIGF2標的化ペプチドを使用することができる。
【0244】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVは、分泌シグナルペプチド(SP)およびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドの間に位置するIGF2標的化ペプチドをさらに含むシグナルペプチド-GAA(SP-GAA)融合ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含む。
【0245】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)またはIGF2受容体と結合するIGF2標的化ペプチドをコードする異種核酸配列を含み、例えば、異種核酸配列は、配列番号5のアミノ酸配列を有するIGF2標的化ペプチドをコードするか、またはIGF2受容体に結合する配列番号5に少なくとも1つのアミノ改変を含む。一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、配列番号5における少なくとも1つのアミノ改変が、V43Mアミノ酸改変(配列番号8または配列番号9)、もしくはΔ2~7(配列番号6)、もしくはΔ1~7(配列番号7)であるか、または配列番号5~9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドである、IGF2標的化ペプチドをコードする異種核酸配列を含む。
【0246】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドをコードする核酸は、配列番号2(IGF2-Δ2~7)、配列番号3(IGF2-Δ1~7)、もしくは配列番号4(IGF2 V43M)、または配列番号2、3、もしくは4のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列のいずれかから選択される。
【0247】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、配列番号5の野生型成熟ヒトインスリン様成長因子II(IGF2)の残基8~67が続く残基1(すなわち、IGF2-デルタ2~7またはIGF2Δ2~7;これは配列番号6に相当する);配列番号5の野生型成熟ヒトインスリン様成長因子II(IGF2)の残基8~67(すなわち、IGF2-デルタ1~7またはIGF2Δ1~7、これは配列番号7に相当する)、または配列番号5の野生型成熟ヒトインスリン様成長因子II(IGF2)の残基43~67(すなわち、IGF2デルタ1~42またはIGF2Δ1~42、これは配列番号8に相当する)のいずれかをコードする核酸配列である。本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、アミノ酸残基43の改変を有する核酸配列であり、例えば、残基43は、開始コドン、例えば、IGF2-V43Mに改変される(配列番号9に相当する)。
【0248】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、配列番号2(すなわち、IGF2-デルタ2~7);配列番号3(すなわち、IGF2-デルタ1~7)、または配列番号4(すなわち、IGF2-V43M)のいずれかを含む核酸配列である。
【0249】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、GAAポリペプチドおよびIGF2標的化ペプチドを含む融合タンパク質は、野生型成熟ヒトインスリン様成長因子II(IGF2)(配列番号5)の残基8~67が続く残基1を含む(すなわち、成熟ヒトIGF2(配列番号5)の残基2~7は存在しない)IGF2標的化ペプチドに付着されるヒト酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチド(配列番号10)のアミノ酸残基40~952または残基70~952を含み、IGF2標的化ペプチドは、ヒトGAA(配列番号10)のアミノ酸残基70に連結される。
【0250】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、GAAポリペプチドおよびIGF2標的化ペプチドを含む融合タンパク質は、野生型成熟ヒトインスリン様成長因子II(IGF2)(配列番号5)の残基8~67を含む(すなわち、成熟ヒトIGF2の残基1~7(すなわち、Y R P S E T;配列番号63)は存在しない)IGF2標的化ペプチドに付着されるヒト酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチド(配列番号10)のアミノ酸残基40~952または残基70~952を含み、IGF2標的化ペプチドは、ヒトGAA(配列番号10)のアミノ酸残基70に連結される。
【0251】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、GAAポリペプチドおよびIGF2標的化ペプチドを含む融合タンパク質は、野生型成熟ヒトインスリン様成長因子II(IGF2)(配列番号5)の残基43~67を含む(成熟ヒトIGF2(配列番号5)の残基1~42は存在しない)改変IGF2標的化ペプチドに付着されるヒト酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)(配列番号10)のアミノ酸残基40~952または残基70~952を含み、IGF2標的化ペプチドは、ヒトGAA(配列番号10)のアミノ酸残基70に連結される。
【0252】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、IGF2ペプチドをコードする異種核酸配列を含み、IGF2ペプチド配列は、配列番号8もしくは配列番号9、または配列番号8もしくは9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドである。
(ii)改変IGF2標的化ペプチドおよびIGF2相同体
【0253】
一部の実施形態では、IGF2をコードする核酸は、IGFBPに対するそれらの親和性を減少させるように、および/またはIGF-I受容体への結合に対する親和性を減少させ、それによって、融合したGAA-ポリペプチドのリソソームへの標的化を増加させ、生物学的利用率を増加させるために、改変することができる。
【0254】
IGF2標的化ペプチドは、好ましくは、M6P受容体を特異的に標的にし、結合する。CI-MPR/M6P受容体と高い親和性で結合するが、もはや他の2つの受容体と認識可能な親和性で結合しないタンパク質をもたらす、IGF2ポリペプチドに変異を有するIGF2標的化ペプチドが特に有用である。
【0255】
IGF2(V43M)標的化ペプチドは、好ましくは、M6P受容体を特異的に標的にする。CI-MPR/M6P受容体と高い親和性で結合するが、もはや他の2つの受容体と認識可能な親和性で結合しないタンパク質をもたらす、IGF2ポリペプチドに変異を有するIGF2(V43M)標的化ペプチドが特に有用である。
【0256】
IGF2(V43M)標的化ペプチドは、IGF2構築物の隔離を回避するために、血清IGF結合タンパク質(IGFBP)(Baxter (2000) Am. J. Physiol Endocrinol Metab. 278(6):967-76)およびIGF-I受容体との結合を最小化するように、改変することもできる。いくつかの研究が、IGF結合タンパク質との結合のために必要なIGF-1およびIGF2の残基を突き止めた。これらの残基において変異を有する構築物は、M6P/IGF2受容体との高親和性結合の保持について、およびIGF結合タンパク質に対する低減した親和性についてスクリーニングすることができる。例えば、IGF2のPhe 26をSerで置き換えることは、M6P/IGF2受容体との結合に対する効果なしで、IGF2のIGFBP-1およびIGFBP-6に対する親和性を低減することが報告されている(Bach et al. (1993) J. Biol. Chem. 268(13):9246-54)。Phe 19についてのSerおよびGlu 9についてのLysなどの他の置換も、有利であり得る。IGF2で高度に保存されているIGF-Iの領域における類似の変異は、別々に、または組み合わせて、IGF-BP結合の大きな減少をもたらす(Magee et al. (1999) Biochemistry 38(48): 15863-70)。
【0257】
IGF2標的化ペプチドは、IGF2構築物の隔離を回避するために、血清IGF結合タンパク質(IGFBP)およびIGF-I受容体との結合を最小化するように、改変することもできる。
【0258】
一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、フューリン抵抗性、すなわち、Arg-X-X-Arg切断部位を認識するフューリンプロテアーゼによる分解に対して抵抗性であるよう改変される。そのようなIGF2標的化ペプチドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国出願第2012/0213762号に開示されている。一部の実施形態では、本明細書に記載されるrAAVゲノムにおける使用のためのフューリン抵抗性IGF2標的化ペプチドは、配列番号5(wt IGF2標的化ペプチド)のアミノ酸30~40(例えば、31~40、32~40、33~40、34~40、30~39、31~39、32~39、34~37、32~39、33~39、34~39、35~39、36~39、37~40、34~40)に対応する領域内に、任意の他のアミノ酸での置換または欠失であり得る変異を含有する。例えば、34位における置換は、第1の切断部位のフューリン認識に影響を与え得る。それぞれの認識部位内の1個または複数の追加のアミノ酸の挿入は、一方または両方のフューリン切断部位を消失させ得る。縮重位置における残基の1個または複数の欠失も、両方のフューリン切断部位を消失させ得る。
【0259】
一部の実施形態では、フューリン抵抗性IGF2標的化ペプチドは、配列番号5のArg37(R37)またはArg40(R40)に対応する位置にアミノ酸置換を含有する。一部の実施形態では、フューリン抵抗性IGF2標的化ペプチドは、配列番号5のArg37またはArg40位にLys(K)またはAla(A)の置換を含有する。37位および40位の両方におけるLysおよび/もしくはAla変異の組合せ、またはLys(K)もしくはAla(A)以外のアミノ酸の置換を含む他の置換が可能である。一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAVVゲノムにおける使用のために包含されるIGF2標的化ペプチドは、IGFΔ2~7-K37、またはIGFΔ2~7-K40、またはIGFΔ1~7-K37、またはIGFΔ1~7-K40であり、IGF2標的化ペプチドが、それぞれ、aa2~7または1~7の欠失、および37位のArg(R)残基のリシンへの改変(すなわち、R37K改変)またはR40Kを有することを示す。一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAVVゲノムにおける使用のために包含されるIGF2標的化ペプチドは、IGFΔ2~7-K37-K40またはIGFΔ1~7-R37K-R40Kであり、IGF2標的化ペプチドが、残基2~7または残基1~7の欠失、ならびに37位および40位のR残基のリシン(lysinines)への改変(R37KおよびR40K)を有することを示す。一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAVVゲノムにおける使用のために包含されるIGF2標的化ペプチドは、IGFΔ2~7-R37A、またはIGFΔ2~7-R40A、またはIGFΔ1~7-R37A、またはIGFΔ1~7-R40A、IGFΔ2~7-R37A-R40A、またはIGFΔ1~7-R37A-R40Aのいずれかから選択される。本明細書に開示されるrAVVゲノムにおける使用のために包含されるIGF2標的化ペプチドのための例示的な構築物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国出願第2012/0213762号に開示されている。
【0260】
一部の実施形態では、本発明のために好適なフューリン抵抗性IGF2標的化ペプチドは、追加の変異を含有していてもよい。例えば、配列番号5の残基の最大で30%またはそれよりも多くが、変更されていてもよい(例えば、最大で1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、またはそれよりも多くの残基が変更されていてもよい)。そのため、本発明のために好適なフューリン抵抗性IGF2変異タンパク質は、配列番号5と少なくとも70%、例えば、少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%同一のアミノ酸配列を有していてもよい。
【0261】
また、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチドの使用は、IGF2標的化ペプチドが、リソソームを標的にする部分としてM6Pを置き換えるので、当技術分野において、グリコシル化非依存性リソソーム標的(GILT)とも称される。GILT技術の詳細は、米国出願公開第2003/0082176号、同第2004/0006008号、同第2004/0005309号、同第2003/0072761号、同第2005/0281805号、同第2005/0244400号、および国際公開のWO03/032913、WO03/032727、WO02/087510、WO03/102583、WO2005/078077に記載されており、それらのすべての開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0262】
本明細書に開示される方法および組成物における使用のためのIGF2標的化ペプチドのアミノ酸配列に対する他の改変は、2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号、および2019年11月15日に出願されたPCT出願第PCT/US19/61653号に開示されており、それらは両方とも、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0263】
IGF2は、比較的高い親和性でIGF2/M6PおよびIGF-I受容体に結合し、より低い親和性でインスリン受容体に結合する。IGF2の残基48~50(Phe Arg Ser)のインスリン由来の対応する残基(Thr Ser Ile)での置換、または残基54~55(Ala Leu)のIGF-I由来の対応する残基(Arg Arg)での置換は、IGF2/M6P受容体への結合を減少させるが、IGF-Iおよびインスリン受容体への結合の保持をもたらす(Sakano et al. (1991) J. Biol. Chem. 266(31):20626-35)。
【0264】
IGF2は、カチオン非依存性M6P受容体の反復11と結合する。実際に、反復11のみがカチオン非依存性M6P受容体の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインに融合されたミニ受容体は、(全長受容体の親和性のおよそ10分の1の親和性で)IGF2と結合し、IGF2の内部移行およびリソソームへの送達を媒介することができる(Grimme et al. (2000) J. Biol. Chem. 275(43):33697-33703)。M6P受容体のドメイン11の構造は公知である(Protein Data Baseの登録名1GP0および1GP3;Brown et al. (2002) EMBO J. 21(5):1054-1062)。推定上のIGF2結合部位は、IGF2の疎水性アミノ酸と相互作用すると考えられる疎水性ポケットであり;IGF2の候補アミノ酸は、ロイシン8、フェニルアラニン48、アラニン54、およびロイシン55を含む。反復11は、IGF2結合のために十分であるが、カチオン非依存性M6P受容体のより大きな部分(例えば、反復10~13または1~15)を含む構築物は、一般に、より大きな親和性および増加したpH依存性でIGF2と結合する(例えば、Linnell et al. (2001) J. Biol. Chem. 276(26):23986-23991を参照されたい)。
【0265】
IGF2残基Tyr 27のLeuでの置換、またはSer 26のPheでの置換は、それぞれ、94分の1、56分の1、および4分の1に、IGF-I受容体に対するIGF2の親和性を減少させる(Torres et al. (1995) J. Mol. Biol. 248(2):385-401)。ヒトIGF2の残基1~7の欠失は、ヒトIGF-I受容体に対する親和性の30分の1への減少をもたらし、同時に、ラットIGF2受容体に対する親和性の12倍の増加をもたらした(Hashimoto et al. (1995) J. Biol. Chem. 270(30):18013-8)。IGF2のC末端(残基62~67)の短縮化はまた、IGF-I受容体に対するIGF2の親和性を5分の1にするように見える(Roth et al. (1991) Biochem. Biophys. Res. Commun. 181(2):907-14)。
【0266】
IGF2残基フェニルアラニン26のセリンでの置換は、IGFBP1~5との結合を5~75分の1に低減する(Bach et al. (1993) J. Biol. Chem. 268(13):9246-54)。IGF2残基48~50のトレオニン-セリン-イソロイシンでの置き換えは、IGFBPの大部分との結合を100分の1より少なく低減し(Bach et al. (1993) J. Biol. Chem. 268(13):9246-54);しかしながら、これらの残基は、カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体との結合にも重要である。IGF-I受容体との結合を破壊するY27L置換は、IGFBP3および酸不安定サブユニットとの三重複合体の形成を妨げ(Hashimoto et al. (1997) J. Biol. Chem. 272(44):27936-42);この三重複合体は、循環中のIGF2の大部分を占める(Yu et al. (1999) J. Clin. Lab Anal. 13(4):166-72)。IGF2の最初の6残基の欠失も、IGFBP結合を妨げる(Luthi et al. (1992) Eur. J. Biochem. 205(2):483-90)。
【0267】
IGF-IのIGFBPとの相互作用についての研究は、追加的に、フェニルアラニン16に対するセリンの置換が、二次構造には影響を与えないが、IGFBP結合を40~300分の1の間に減少させることを明らかにした(Magee et al. (1999) Biochemistry 38(48):15863-70)。グルタミン酸9のリシンへの変更も、IGFBP結合の有意な減少をもたらした。さらに、二重変異体リシン9/セリン16は、IGFBPに対する最低の親和性を示した。IGF-IおよびIGF2のこの領域の間の配列の保存は、類似する変異がIGF2において作られる場合に、類似する効果が観察されるであろうことを示唆する(グルタミン酸12リシン/フェニルアラニン19セリン)。
【0268】
一部の実施形態では、IGF2(V43M)配列は、少なくともアミノ酸48~55、少なくともアミノ酸8~28および41~61、もしくは少なくともアミノ酸8~87、またはカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体と結合するそれらの配列バリアント(例えば、R68A)もしくはそれらの短縮型(例えば、62位からC末端が短縮されたもの)を含む。
【0269】
本発明の別の実施形態では、標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)をコードするrAAVゲノムは、70/76kDalの成熟ポリペプチドおよびC末端ドメインとの接合部、例えば、791位において、ネイティブGAAコード配列に挿入される。これは、単一のキメラポリペプチドを作出する。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)の直ぐ下流に挿入され得る。
【0270】
一実施形態では、本明細書に定義される、標的化ペプチド、例えば、IGF2標的化ペプチドは、GAAポリペプチドのN末端またはC末端に直接融合されている。別の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、スペーサーによって、GAAポリペプチドのN末端またはC末端に融合されている。具体的な一実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、10~25アミノ酸のスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。別の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、グリシン残基を含むスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。
【0271】
一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、少なくとも1、2または3個のアミノ酸のスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。一部の実施形態では、スペーサーは、アミノ酸GAPもしくはGly-Ala-Pro(配列番号31)、またはそれらと少なくとも50%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、スペーサーは、GGG、もしくはGA、もしくは、AP、もしくはGP、またはそれらのバリアントである。一部の実施形態では、スペーサーは、核酸GGC GCG CCG(配列番号30)によってコードされる。
【0272】
一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、ヘリックス構造を含むスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。別の具体的な実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、配列GGGTVGDDDDK(配列番号35)と少なくとも50%同一のスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号31(配列番号30の核酸によってコードされる)である。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、もしくは配列番号35、またはそれらと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性の配列のいずれかから選択される。
(iii)カチオン非依存性M6P受容体(CI-MPR)に結合する代替標的化ペプチド
【0273】
一部の実施形態では、標的化ペプチドは、リソソーム標的化ペプチドもしくはタンパク質、またはマンノース-6-リン酸非依存的な方法で、カチオン非依存性M6P/IGF2受容体(CI-MPR)に結合する本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチド以外の他の部分である。CI-MPRは、標的化ペプチドとして使用することができる少なくとも3つの異なるリガンドのための結合部位も含有する。本明細書に開示されるように、IGF2リガンドは、主に、反復11との相互作用を通して、pH7.4または約pH7.4で、約14nMの解離定数でCI-MPRに結合する。CI-MPRは、高分子量O-グリコシル化IGF2形態と結合することができる。したがって、一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、O-グリコシル化を含むように、転写後に改変され得る。
【0274】
代替の実施形態では、CI-MPRに結合する標的化ペプチドは、レチノイン酸である。レチノイン酸は、2.5nMの解離定数で受容体に結合する。レチノイン酸によるカチオン非依存性M6P受容体の親和性光標識は、IGF2またはM6Pの受容体との結合を妨げず、レチノイン酸が受容体上の異なる部位と結合することを示す。レチノイン酸の受容体との結合は、細胞質小胞中の受容体のより高い蓄積により、受容体の細胞内分布を変更し、M6P修飾β-グルクロニダーゼの取り込みも増強する。レチノイン酸は、カチオン非依存性M6P受容体に結合する能力を妨げることなく、それを治療剤に連結するために使用することができる光活性化可能部分を有する。
【0275】
ウロキナーゼ型プラスミノーゲン受容体(uPAR)も、9μMの解離定数でCI-MPRと結合する。uPARは、ほとんどの細胞型の表面上のGPIで固定された受容体であり、そこで接着分子として、プラスミノーゲンおよびTGF-βのタンパク質分解活性化において機能する。uPARのCI-M6P受容体との結合は、それをリソソームに標的化し、それによって、その活性をモジュレートする。そのため、カチオン非依存性M6P受容体と結合する能力がある、uPARの細胞外ドメインまたはそれらの一部分の治療剤への融合は、その薬剤に対してリソソームへの標的化を可能にする。
D.GAAポリペプチドのスペーサーおよび融合接合部
【0276】
GAAが、分泌シグナルペプチドとの融合タンパク質(例えば、SS-GAA融合ポリペプチド)、または標的化ペプチドとの融合タンパク質(すなわち、SS-IGF2-GAAポリペプチド二重融合ポリペプチド)として発現される場合、シグナルペプチドまたはIGF2標的化ペプチドは、GAAポリペプチドに直接融合され得るか、またはリンカーによってGAAポリペプチドから分離され得る。アミノ酸リンカー(本明細書では、「スペーサー」とも称される)は、天然タンパク質のその位置に出現するもの以外の1個または複数のアミノ酸を組み込む。スペーサーは、一般に、フレキシブルであるように、または2つのタンパク質部分の間にa-ヘリックスのなどの構造を挿入するように、設計することができる。
【0277】
したがって、本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、IGF2-GAA融合ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含み、IGF2-GAA融合タンパク質は、GAAポリペプチドのN末端およびIGF2標的化ペプチドのC末端に位置する、少なくとも1アミノ酸長のヌクレオチド配列を含むスペーサーをさらに含む。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、IGF2標的化ペプチドをコードする核酸およびGAAポリペプチドをコードする核酸の間に位置する少なくとも1アミノ酸のスペーサーをコードする核酸を含む異種核酸配列を含む。
【0278】
一実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、GAAポリペプチドのN末端またはC末端に直接融合されている。別の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、スペーサーによって、GAAポリペプチドのN末端またはC末端に融合されている。具体的な一実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、10~25アミノ酸のスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。別の具体的な実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、グリシン残基を含むスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。別の具体的な実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、ヘリックス構造を含むスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。別の具体的な実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、配列GGGTVGDDDDK(配列番号35)と少なくとも50%同一のスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。
【0279】
一部の実施形態では、スペーサーまたはリンカーは、比較的短くあり得る、例えば、少なくとも1、2、3、4、もしくは5アミノ酸、または例えば、配列Gly-Ala-Pro(配列番号31)もしくはGly-Gly-Gly-Gly-Gly-Pro(配列番号32)であり得るか、あるいはより長くあり得る、例えば、5~10アミノ酸長、または10~25アミノ酸長であり得る。例えば、配列(GGGGS(配列番号33))の3~4コピーのフレキシブルな反復リンカー、および配列(EAAAK(配列番号34))の2~5コピーのa-ヘリックス反復リンカーが、記載されている(Arai et al. (2004) Proteins: Structure, Function and Bioinformatics 57:829-838)。
【0280】
別のリンカーのGGGTVGDDDDK(配列番号35)の使用も、IGF2融合タンパク質の文脈において、報告されており(DiFalco et al. (1997) Biochem. J. 326:407-413)、使用のために包含される。ヒト血清タンパク質のa-ヘリックス部分が組み込まれているリンカーは、リンカー領域の免疫原性を最小化するために使用することができる。
【0281】
一部の実施形態では、スペーサーは、アミノ酸GAPまたはGly-Ala-Pro(配列番号31)を含むアミノ酸スペーサーをコードする核酸GGC GCG CCG(配列番号30)によってコードされる。
【0282】
シグナルペプチド(SS-GAA融合タンパク質を作製するため)または標的化ペプチド(例えば、SP-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドを作製するため)のいずれかと融合させるためのGAAポリペプチド中の融合接合部の部位は、融合タンパク質中のそれぞれのポリペプチドの適当なフォールディングおよび活性を促進するため、ならびにGAAポリペプチドからのシグナルペプチドの早熟分離を防止するために、注意して選択されるべきである。
【0283】
一部の実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、ヘリックス構造を含むスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。別の具体的な実施形態では、IGF2標的化ペプチドは、配列GGGTVGDDDDK(配列番号35)と少なくとも50%同一のスペーサーによって、GAAポリペプチドに融合されている。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号31(配列番号30の核酸によってコードされる)である。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、もしくは配列番号35のいずれかから選択される。
【0284】
IGF2-GAA融合タンパク質を作出するための4つの例示的な戦略を作成することができ、これは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる2019年11月19日に出願された仮出願第62,937,556号および2019年11月15日に出願された第PCT/US19/61653号に開示されている。
【0285】
一部の実施形態では、標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)は、実施例において本明細書に記載されるように、タンパク質の発現、GAAタンパク質の触媒活性、およびIGF2標的化ペプチドによる適当な標的化を可能にする位置であるGAAのアミノ酸40またはアミノ酸70に、直接またはスペーサーによって融合され得る。あるいは、標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)は、成熟ポリペプチドからGAAのC末端ドメインを分離する切断部位またはその近くで融合され得る。これは、内部標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)を有するGAAタンパク質の合成を可能にし、これは、必要に応じて、切断部位の配置に応じて、標的化ドメインから成熟ポリペプチドまたはC末端ドメインを自由にするために切断され得る。あるいは、成熟ポリペプチドは、発現構築物のオープンリーディングフレームにC末端配列を組み込むことなく、約791位での融合タンパク質として合成され得る。
【0286】
IGF2標的化ペプチドのフォールディングを容易にするために、融合接合部に隣接するGAAアミノ酸残基を改変することができる。例えば、GAAシステイン残基は、標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)の適当なフォールディングを妨げ得ることが可能であるので、末端GAAシステイン952を、欠失またはセリンと置換して、C末端標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)を適合させることができる。標的化ペプチド(例えば、IGF2標的化ペプチド)を、最後のCys952の直前で融合させることもできる。最後のCys952のセリンへの変異と併せて、最後から2番目のcys938をプロリンに変更することができる。
E.CS配列
【0287】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、GAAポリペプチドをコードする核酸の3’および3’ITR配列の5’に位置するコラーゲン安定性(CS)配列をさらに含む異種核酸配列を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムは、GAA遺伝子の3’およびポリAシグナルの5’に設置されるコラーゲン安定性配列(CSまたはCSS)を必要に応じて含み得る異種核酸配列を含む。一部の実施形態では、CS配列は、本明細書に開示される3’UTR配列によって置き換えることができる。
【0288】
例示的なコラーゲン安定性配列は、CCCAGCCCACTTTTCCCCAA(配列番号65)、またはそれと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性の配列を含む。例示的なコラーゲン安定性配列は、P S P L F P(配列番号66)のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有することができる。CS配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるHolick and Liebhaber, Proc. Nat. Acad. Sci. 94: 2410-2414, 1997(例えば、図3、5205頁を参照されたい)に開示されている。
F.プロモーター
【0289】
一部の実施形態では、適切なレベルのGAA発現を達成するために、rAAV遺伝子型は、肝臓特異的プロモーター(LSP)を含む。LSPは、肝臓において動作可能に連結された遺伝子の発現を可能にし、一部の実施形態では、誘導性LSPであり得る。実施形態では、LSPは、上流の5’に位置し、GAAタンパク質をコードする異種核酸配列に動作可能に連結されている。例示的な肝臓特異的プロモーターは、本明細書に開示され、例えば、配列番号86、91~96もしくは146~150を含むLSP、またはそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、あるいは本明細書の表4にリストされる任意のLSP、またはそれらの機能的断片もしくは機能的バリアントが挙げられる。本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターとしては、肝臓特異的シス調節エレメント(CRE)、合成肝臓特異的シス調節モジュール(CRM)、または本明細書の表4に開示される配列番号270~341(CRMを有するミニマルLSP)もしくは配列番号342~430(合成肝臓特異的近位プロモーター)のいずれかから選択される合成肝臓特異的プロモーターが挙げられる。一部の実施形態では、rAAVベクターゲノムは、1つまたは複数の構成的プロモーター、例えば、ウイルスプロモーター、または転写の促進において一般に活性である哺乳動物遺伝子由来のプロモーターを含むことができる。
(i)合成肝臓特異的プロモーター
【0290】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、プロモーターは、肝臓特異的プロモーターであり、限定されるものではないが、本明細書に開示される表4にリストされるもの、もしくはそれらの機能的バリアント、ならびに/または2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号の表4Aおよび4Bから選択されるいずれか、もしくはそれらの機能的バリアントを含むプロモーターから選択され得る。
【0291】
トランスチレチンプロモーター(TTR)(配列番号431)およびSP0412(配列番号91)およびSP0422(配列番号92)は、本明細書および実施例において例示的な肝臓特異的プロモーターとして使用され(実施例1、12および13を参照されたい)、当業者は、TTRを、本明細書の表4に開示される任意の肝臓特異的プロモーター、もしくはその機能的バリアント、ならびに/または2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号の表4Aおよび4Bから選択されるいずれか、もしくはそれらの機能的バリアントで容易に置き換えることができる。肝臓特異的プロモーターは、肝臓特異的シス調節エレメント(CRE)、合成肝臓特異的シス調節モジュール(CRM)、もしくは本明細書、2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号の表4Aおよび4Bに開示される合成肝臓特異的プロモーター、またはそれらの機能的バリアントを含むことができる。
【0292】
表4は、例示的な肝臓特異的プロモーターを示す。本明細書に開示される比較的小さなサイズの肝臓特異的プロモーターは、それがベクターの最小量のペイロードを取り入れるので、有利である。これは、LSPが、AAV系ベクターなどの限定された能力を有するベクターにおいて使用される場合に、特に重要である。
【0293】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
(ii)肝臓特異的プロモーターの機能的バリアント
【0294】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物において有用な合成肝臓特異的プロモーターは、本明細書で定義されるように、二特異性プロモーターまたは三特異性プロモーターである。実例として、肝臓二特異性プロモーターは、肝臓、および1つの他の組織、例えば、筋肉において活性である。加えて、肝臓二特異性プロモーターの別の実例は、肝臓、および1つの他の組織、例えば、脳において活性である。肝臓三特異性プロモーターの実例として、肝臓、および2つの他の組織、例えば、筋肉および脳において活性である。加えて、肝臓三特異性プロモーターの別の実例は、肝臓、および2つの他の組織、例えば、腎臓および筋肉などにおいて活性である。
【0295】
一部の実施形態では、配列番号86、91~96、146~150、270~430のいずれかと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%同一である合成肝臓特異的プロモーターは、肝臓において優先的に活性である供給源調節核酸配列を含み、第2の細胞または組織の種類、例えば、筋肉またはCNSにおいて、より低い程度で活性でもある(例えば、総発現の<50%、または約49~40%、または約39~30%、または約29~20%、または約19~10%、または<10%)。
【0296】
一部の実施形態では、プロモーターは、シス調節エレメント(CRE)のCRE0051(配列番号97)およびCRE0042(配列番号104)、またはそれらの機能的バリアントの組合せを含む合成肝臓特異的プロモーターである。それらの機能的バリアントは、それらと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。典型的には、CREは、プロモーターエレメントに作動可能に連結されている。一部の好ましい実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、前記CREまたはその機能的バリアントを、CRE0051(配列番号97)、CRE0042(配列番号104)、および次いでプロモーターエレメントの順序で含む(順序は、当技術分野において慣習であるように、上流から下流への方向で与えられる)。
【0297】
プロモーターエレメントは、任意の好適な近位プロモーターまたはミニマルプロモーターであり得る。一部の実施形態では、プロモーターエレメントはミニマルプロモーターである。プロモーターが近位プロモーターである場合、一般に、近位プロモーターが肝臓特異的であることが好ましい。
【0298】
一部の好ましい実施形態では、プロモーターエレメントは、CRE0059(配列番号110)またはその機能的バリアントである。CRE0059は、下記でさらに議論されるように、近位プロモーターである。
【0299】
そのため、一実施形態では、プロモーターは、以下の調節エレメント:CRE0051(配列番号97)、CRE0042(配列番号104)およびCRE0059(配列番号110)、またはそれらの機能的バリアントを含む。
【0300】
CRE0051(配列番号97)の機能的バリアントは、CRE0051から変更されているが、肝臓特異的CREとしての活性を実質的に保持する配列を有する調節エレメントである。必須の転写因子(TF)に結合し、発現を増強するその能力を保持しながら、CREの配列を変更することが可能であることが当業者に認識されるであろう。機能的バリアントは、それらがCREを実質的に非機能的にしないという条件で、参照CREと比較して、置換、欠失および/または挿入を含むことができる。
【0301】
一部の実施形態では、CRE0051の機能的バリアントは、プロモーター中でCRE0051の代わりに置換された場合に、その活性を実質的に保持するCREと見なすことができる。例えば、CRE0051の代わりに置換されたCRE0051の機能的バリアントを含む肝臓プロモーターは、好ましくは、その活性の80%、より好ましくは、その活性の90%、より好ましくは、その活性の95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する。例えば、例としてプロモーターSP0412(配列番号91)を考慮すれば、SP0412中のCRE0051は、CRE0051の機能的バリアントで置き換えることができ、プロモーターは、その活性を実質的に保持する。活性の保持は、同等の条件下で、参照プロモーターの制御下で好適なレポーターの発現を、置換されたCREを含むそうでなければ同一のプロモーターと比較することによって、評価することができる。
【0302】
一部の実施形態では、CRE0051の機能的バリアントは、CRE0051と同じ肝臓特異的TFのための転写因子結合部位(TFBS)を含む。それらが存在する順序でリストされる、CRE0051中に存在する肝臓特異的TFBSは、HNF1(配列番号98)、HNF4(配列番号99)、HNF3(配列番号100)、HNF1’(配列番号101)およびHNF3’(配列番号102)であり、表5を参照されたい。したがって、CRE0051の機能的バリアントは、好ましくは、これらのTFBSのすべてを含む。好ましくは、それらは、それらがCRE0051中に存在するのと同じ順序、すなわち、HNF1(配列番号98)、HNF4(配列番号99)、HNF3(配列番号100)、HNF1’(配列番号101)およびHNF3’(配列番号102)の順序で存在する。シス調節エレメントが、プロモーターおよび遺伝子と会合する場合、この順序は、好ましくは、上流から下流への方向(すなわち、転写開始部位(TSS)の遠位からTSSの近位への方向)と考えられる。スペーサー配列が、隣接するTFBSの間に提供されてもよい。一部の実施形態では、TFBSは、それらが、機能的のままであるという条件で、好適には、重複していてもよく、すなわち、重複している配列は両方とも、発現を調節するために必要な程度にそれらのそれぞれのTFと結合することが可能である。
【0303】
一部の実施形態では、CRE0051(配列番号97)の機能的バリアントは、以下のTFBS配列:GTTAATTTTTAAA(HNF1)(配列番号98)、GTGGCCCTTGG(HNF4)(配列番号99)、TGTTTGC(HNF3)(配列番号100)、TGGTTAATAATCTCA(HNF1’)(配列番号101)、次いでACAAACA(HNF3)(配列番号102)、それらと相補的な配列、またはそれらのそれぞれのTFに結合する能力を維持するこれらのTFBS配列の機能的バリアントを含む。これらは、CRE0051と同じ順序、すなわち、それらが上記で示された順序で存在していてもよい。TFBSに関連する配列可変性が存在すること、および所与のTFBSについて、典型的にはコンセンサス配列が存在すること、それらから、いくらかの逸脱度が、典型的には存在することは当技術分野において周知である。TFBSにおいて生じる変形についてのさらなる情報は、位置特異的重み行列(PWM)を使用して図示することができ、これは、所与のヌクレオチドが、典型的には、コンセンサス配列中の所与の場所で見出される頻度を表す。TFコンセンサス配列および関連するPWMの詳細は、例えば、JasparまたはTransfacデータベース(http://jaspar.genereg.net/およびhttp://gene-regulation.com/pub/databases.html)に見出すことができる。この情報は、当業者が、CREの機能性を保持し、一部の場合では、さらに増加させる方法で、CREの任意の所与のTFBSにおいて配列を改変することを可能にする。
【0304】
一部の実施形態では、CRE0051の機能的バリアントは、配列:
【0305】
GTTAATTTTTAAA-Na-GTGGCCCTTGG-Nb-TGTTTGC-Nc-TGGTTAATAATCTCA-Nd-ACAAACA(配列番号103)、またはそれと少なくとも70%、80%、90%、95%、もしくは99%同一である配列を含み、Na、Nb、Nc、およびNdは、必要に応じたスペーサー配列を表す。存在する場合、Naは、必要に応じて、10~26ヌクレオチド、好ましくは、14~22ヌクレオチド、より好ましくは、18ヌクレオチドの長さを有する。存在する場合、Nbは、必要に応じて、8~22ヌクレオチド、好ましくは、12~20ヌクレオチド、より好ましくは、16ヌクレオチドの長さを有する。存在する場合、Ncは、必要に応じて、1~10ヌクレオチド、好ましくは、1~5ヌクレオチド、より好ましくは、2ヌクレオチドの長さを有する。存在する場合、Ndは、好適には、1~13ヌクレオチドの長さ、好ましくは、2~9ヌクレオチド長、より好ましくは、5ヌクレオチド長を有する。
【0306】
一部の実施形態では、CREは、配列番号98~102、またはそれらの機能的バリアントからなる。
【0307】
CREまたはその機能的バリアントが、二本鎖ポリヌクレオチドのいずれかの鎖に提供され得、かついずれかの方向性で提供され得ることに留意されたい。そのため、配列番号97~102、またはそれらの機能的バリアントの相補配列および逆相補配列は、本発明の範囲内である。配列番号97もしくは103、またはそれらの機能的バリアントによる配列を含む一本鎖核酸も、本発明の範囲内である。
【0308】
一部の実施形態では、CRE0051(配列番号97)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または100もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。
【0309】
一部の実施形態では、CRE0042(配列番号104)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または100もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。その機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0310】
CRE0042(配列番号104)の機能的バリアントは、CRE0042から変更されているが、肝臓特異的CREとしてのそれらの活性を実質的に保持する配列を有する調節エレメントである。必須の転写因子(TF)に結合し、発現を増強するその能力を保持しながら、CREの配列を変更することが可能であることが当業者に認識されるであろう。機能的バリアントは、それらがCREを実質的に非機能的にしないという条件で、参照CREと比較して、置換、欠失および/または挿入を含むことができる。
【0311】
一部の実施形態では、CRE0042(配列番号104)の機能的バリアントは、プロモーター中でCRE0042の代わりに置換された場合に、その活性を実質的に保持するCREと見なすことができる。例えば、CRE0042の代わりに置換されたCRE0042の機能的バリアントを含むプロモーターは、好ましくは、その活性の80%、より好ましくは、その活性の90%、より好ましくは、その活性の95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する(CRE0042(配列番号104)を含む参照プロモーターと比較して)。例えば、例としてプロモーターSP0412を考慮すれば、SP412(配列番号91)中のCRE0042(配列番号104)は、CRE0042の機能的バリアントで置き換えることができ、プロモーターは、その活性を実質的に保持する。活性の保持は、同等の条件下で、参照プロモーターの制御下で好適なレポーターの発現を、置換されたCREを含むそうでなければ同一のプロモーターと比較することによって、評価することができる。
【0312】
一部の実施形態では、CRE0042(配列番号104)の機能的バリアントは、CRE0042と同じ肝臓特異的TFのためのTFBSを含むことが好ましい。それらが存在する順序でリストされる、CRE0042中に存在する肝臓特異的TFBSは、HNF-3(配列番号106)、C/EBP(配列番号107)、HNF-4(配列番号108)およびC/EBP’(配列番号109)である。したがって、CRE0042の機能的バリアントは、好ましくは、これらのTFBSのすべてを含む。好ましくは、それらは、それらがCRE0042中に存在するのと同じ順序、すなわち、HNF-3、C/EBP、HNF-4、および次いでC/EBPの順序で存在する。シス調節エレメントが、プロモーターおよび遺伝子と会合する場合、この順序は、好ましくは、上流から下流への方向(すなわち、転写開始部位(TSS)の遠位からTSSの近位への方向)と考えられる。スペーサー配列が、隣接するTFBSの間に提供されてもよい。一部の実施形態では、TFBSは、それらが、機能的のままであるという条件で、好適には、重複していてもよく、すなわち、重複している配列は両方とも、それらのそれぞれのTFと結合することが可能である。
【0313】
一部の実施形態では、CRE042(配列番号104)の機能的バリアントは、以下のTFBS配列:GTTCAAACATG(HNF-3)(配列番号106)、CTAATACTCTG(C/EBP)(配列番号107)、TGCAAGGGTCAT(HNF-4)(配列番号108)、およびTTACTCAACA(C/EBP)(配列番号109)、ならびにそれらと相補的な配列、またはそれらのそれぞれのTFに結合する能力を維持するこれらのTFBS配列の機能的バリアントを含む。これらは、CRE0042と同じ順序、すなわち、それらが上記で示された順序で存在していてもよい。上記で議論されるように、TFBSに関連する配列可変性が存在すること、および所与のTFBSについて、典型的にはコンセンサス配列が存在すること、それらから、いくらかの逸脱度が、典型的には存在することは当技術分野において周知である。
【0314】
本発明の一部の実施形態では、CRE0042の機能的バリアントは、配列:
【0315】
GTTCAAACATG-Na-CTAATACTCTG-Nb-TGCAAGGGTCAT-Nc-TTACTCAACA(配列番号105)、またはそれと少なくとも70%、80%、90%、95%、もしくは99%同一である配列を含み、Na、Nb、およびNcは、必要に応じたスペーサー配列を表す。存在する場合、Naは、必要に応じて、1~10ヌクレオチド、好ましくは、1~5ヌクレオチド、より好ましくは、2ヌクレオチドの長さを有する。存在する場合、Nbは、必要に応じて、1~10ヌクレオチド、好ましくは、2~6ヌクレオチド、より好ましくは、4ヌクレオチドの長さを有する。存在する場合、Ncは、必要に応じて、8~23ヌクレオチド、好ましくは、10~20ヌクレオチド、より好ましくは、15ヌクレオチドの長さを有する。
【0316】
本発明の一部の実施形態では、シス調節エンハンサーエレメントは、CRE0042(配列番号104)またはその機能的バリアントからなる。
【0317】
CREまたはその機能的バリアントが、二本鎖ポリヌクレオチドのいずれかの鎖に提供され得、かついずれかの方向性で提供され得ることに留意されたい。そのため、配列番号104もしくは105、またはそれらの機能的バリアントの相補配列および逆相補配列は、本発明の範囲内である。配列番号104もしくは105、またはそれらの機能的バリアントによる配列を含む一本鎖核酸も、本発明の範囲内である。
一部の実施形態では、CRE0042(配列番号104)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、100もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または80もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。
【0318】
一部の実施形態では、CRE0059(配列番号110)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または100もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。その機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0319】
上記で議論されるように、CRE0059(配列番号110)の機能的バリアントは、肝臓特異的プロモーターエレメントとして作用するCRE00059の能力を実質的に保持する。例えば、CRE0059の機能的バリアントが肝臓特異的プロモーターSP0412に置換される場合、改変プロモーターは、SP0412(配列番号91)の活性の少なくとも80%、より好ましくは、その活性の少なくとも90%、より好ましくは、その活性の少なくとも95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する。好適には、CRE0059の機能的バリアントは、配列番号110と少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%の同一性を有する配列を含む。
【0320】
CRE0059は、近位プロモーターであり、TSSの上流に、肝臓特異的TF、すなわち、HNF1のためのTFBSを含む。したがって、CRE0059の機能的バリアントは、好ましくは、TSSの上流にHNF1のためのTFBSを含む。
【0321】
一部の実施形態では、CRE0059の機能的バリアントは、配列番号110と少なくとも70%同一(好ましくは、配列番号110と少なくとも80%、90%、95%、または99%同一)である配列を含み、これは、HNF1(配列番号111)のためのTFBSを含有し、HNF1のための前記TFBSの下流に、配列番号112と少なくとも80%、90%、95%、または完全に同一であるTSS配列(p1@SERPINA1またはp1@AFPと称される)を含有する。
【0322】
一部の実施形態では、CRE0059の機能的バリアントは、配列番号110と少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%の同一性を有する配列を含み、これは、24~36位またはその近くに、HNF1のための配列番号111を含むTFBSをさらに含み、73~93位またはその近くに、配列番号112と少なくとも80%、90%、95%、または完全に同一であるTSS配列を含み、位置は、配列番号110を参照して番号付けされる。本文脈において、そこまたはその近く(at or near)は、好適には、配列番号110を参照して列挙された位置の10、5、4、3、2、または1ヌクレオチド以内を意味する。好適なTFBS配列は、配列番号111および配列番号112であるが、代替のTFBS配列を使用することができる。
【0323】
一部の実施形態では、CRE0059(配列番号110)もしくはそれらの機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるプロモーターエレメントは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、110もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または95もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。
【0324】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物において有用な肝臓特異的プロモーターは、配列番号91、もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。配列番号91による配列を有するプロモーターは、SP0412と称される。SP0412プロモーターは、一部の実施形態では、特に好ましい。このプロモーターは、強力であることが見出されており、また非常に短く、これは、状況次第で有利である。
a.SP0265(SP131A1としても公知)およびそのバリアント
【0325】
一部の実施形態では、プロモーターは、CREのCRE0051(配列番号97)、CRE0058(配列番号113)、CRE0065(配列番号117)、およびCRE0066(配列番号122)、またはそれらの機能的バリアントの組合せを含む合成肝臓特異的プロモーターである。典型的には、CREは、プロモーターエレメントに作動可能に連結されている。一部の好ましい実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、前記CREまたはその機能的バリアントを、CRE0051、CRE0058、CRE0065、CRE0066、および次いでプロモーターエレメントの順序で含む(上流から下流への方向)。
【0326】
プロモーターエレメントは、任意の好適な近位プロモーターまたはミニマルプロモーターであり得る。一部の好ましい実施形態では、プロモーターエレメントはミニマルプロモーターである。プロモーターが近位プロモーターである場合、一般に、近位プロモーターが肝臓特異的であることが好ましい。
【0327】
一部の好ましい実施形態では、プロモーターエレメントは、CRE0052(G6PCとも称される)(配列番号126)である。CRE0052は、ミニマルプロモーター(コアプロモーターとも称される)である。
【0328】
一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、以下の調節エレメント(またはその機能的バリアント):CRE0051、CRE0058、CRE0065、CRE0066、次いでCRE0052(配列番号126)を含む。
CRE0051(配列番号97)の配列およびそのバリアントは、上記に示される。
【0329】
一部の実施形態では、CRE0058(配列番号113)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、100もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または80もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。その機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0330】
CRE0058(配列番号113)の機能的バリアントは、CRE0058から変更されているが、肝臓特異的CREとしてのそれらの活性を実質的に保持する配列を有する調節エレメントである。必須のTFに結合し、発現を増強するその能力を保持しながら、CREの配列を変更することが可能であることが当業者に認識されるであろう。機能的バリアントは、それらがCREを非機能的にしないという条件で、参照CREと比較して、置換、欠失および/または挿入を含むことができる。
【0331】
一部の実施形態では、CRE0058(配列番号113)の機能的バリアントは、プロモーター中でCRE0058の代わりに置換された場合に、その活性を実質的に保持するCREと見なすことができる。例えば、CRE0058の代わりに置換されたCRE0058の機能的バリアントを含むプロモーターは、好ましくは、その活性の80%、より好ましくは、その活性の90%、より好ましくは、その活性の95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する(CRE0058(配列番号113)を含む参照プロモーターと比較して)。例えば、例としてプロモーターSP0265(配列番号94)を考慮すれば、SP0265中のCRE0058は、CRE0058の機能的バリアントで置き換えることができ、プロモーターは、その活性を実質的に保持する。活性の保持は、同等の条件下で、参照プロモーターの制御下で好適なレポーターの発現を、置換されたCREを含むそうでなければ同一のプロモーターと比較することによって、評価することができる。
【0332】
一部の実施形態では、CRE0058(配列番号113)の機能的バリアントは、CRE0058と同じ肝臓特異的転写因子(TF)のための転写因子結合部位(TFBS)を含むことが好ましい。それらが存在する順序でリストされる、CRE0058中に存在する肝臓特異的TFBSは、HNF4(配列番号115)およびc/EBP(配列番号116)である。したがって、CRE0058の機能的バリアントは、好ましくは、これらのTFBSのすべてを含む。好ましくは、それらは、それらがCRE0058中に存在するのと同じ順序、すなわち、HNF4、次いでc/EBPの順序で存在する。CREが、プロモーターおよび遺伝子と会合する場合、この順序は、好ましくは、上流からへ下流の方向(すなわち、転写開始部位(TSS)の遠位からTSSの近位への方向)と考えられる。スペーサー配列が、隣接するTFBSの間に提供されてもよい。一部の実施形態では、TFBSは、それらが、機能的のままであるという条件で、好適には、重複していてもよく、すなわち、重複している配列は両方とも、それらのそれぞれのTFと結合することが可能である。
【0333】
一部の実施形態では、CRE0058(配列番号113)の機能的バリアントは、以下のTFBS配列:CGCCCTTTGGACC(HNF4)(配列番号115)およびGACCTTTTGCAATCCTGG(c/EBP)(配列番号116)、それらと相補的な配列、またはそれらのそれぞれのTFに結合する能力を維持するこれらのTFBS配列の機能的バリアントを含む。これらは、CRE0058と同じ順序、すなわち、それらが上記で示された順序で存在していてもよい。上記で議論されるように、TFBSに関連する配列可変性が存在すること、および所与のTFBSについて、典型的にはコンセンサス配列が存在すること、それらから、いくらかの逸脱度が、典型的には存在することは当技術分野において周知である。
【0334】
一部の実施形態では、CRE0058の機能的バリアントは、配列:GCGCCCTTTGGACCTTTTGCAATCCTGG(配列番号114)、またはそれと少なくとも70%、80%、90%、95%、もしくは99%同一である配列を含む。
一部の実施形態では、CREは、配列番号113もしくは114、またはそれらの機能的バリアントからなる。
【0335】
CREまたはその機能的バリアントが、二本鎖ポリヌクレオチドのいずれかの鎖に提供され得、かついずれかの方向性で提供され得ることに留意されたい。そのため、配列番号113もしくは114、またはそれらの機能的バリアントの相補配列および逆相補配列は、本発明の範囲内である。配列番号113もしくは114、またはそれらの機能的バリアントによる配列を含む一本鎖核酸も、本発明の範囲内である。
【0336】
一部の実施形態では、CRE0058もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、120もしくはそれよりも短いヌクレオチド、80もしくはそれよりも短いヌクレオチド、60もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または40もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。
【0337】
一部の実施形態では、CRE0065(配列番号117)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、100もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または80もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。その機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0338】
CRE0065(配列番号117)の機能的バリアントは、CRE0065から変更され得るが、肝臓特異的CREとしてのそれらの活性を実質的に保持する配列を有する調節エレメントである。必須のTFに結合し、発現を増強するその能力を保持しながら、CREの配列を変更することが可能であることが当業者に認識されるであろう。機能的バリアントは、それらがCREを非機能的にしないという条件で、参照CREと比較して、置換、欠失および/または挿入を含むことができる。
【0339】
一部の実施形態では、CRE0065の機能的バリアントは、プロモーター中でCRE0065の代わりに置換された場合に、その活性を実質的に保持するCREと見なすことができる。例えば、CRE0065の代わりに置換されたCRE0065の機能的バリアントを含むプロモーターは、好ましくは、その活性の80%、より好ましくは、その活性の90%、より好ましくは、その活性の95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する(CRE0065を含む参照プロモーターと比較して)。例えば、例としてプロモーターSP0265(配列番号94)を考慮すれば、SP0265中のCRE0065は、CRE0065の機能的バリアントで置き換えることができ、プロモーターは、その活性を実質的に保持する。活性の保持は、同等の条件下で、参照プロモーターの制御下で好適なレポーターの発現を、置換されたCREを含むそうでなければ同一のプロモーターと比較することによって、評価することができる。
【0340】
一部の実施形態では、CRE0065の機能的バリアントは、CRE0065と同じ肝臓特異的TFのためのTFBSを含むことが好ましい。それらが存在する順序でリストされる、CRE0065中に存在する肝臓特異的TFBSは、RXRアルファ(配列番号119)、HNF3(配列番号120)およびHNF3(配列番号121)である。したがって、CRE0065の機能的バリアントは、好ましくは、これらのTFBSのすべてを含む。好ましくは、それらは、それらがCRE0065中に存在するのと同じ順序、すなわち、RXRアルファ、HNF3、次いでHNF3の順序で存在する。シス調節エレメントが、プロモーターおよび遺伝子と会合する場合、この順序は、好ましくは、上流から下流への方向(すなわち、転写開始部位(TSS)の遠位からTSSの近位への方向)と考えられる。スペーサー配列が、隣接するTFBSの間に提供されてもよい。一部の実施形態では、TFBSは、それらが、機能的のままであるという条件で、好適には、重複していてもよく、すなわち、重複している配列は両方とも、それらのそれぞれのTFと結合することが可能である。
【0341】
一部の実施形態では、CRE0065の機能的バリアントは、以下のTFBS配列:ACTGAACCCTTGACCCCTGCCCT(RXRアルファ)(配列番号119)、CTGTTTGCCC(HNF3)(配列番号120)、およびCTATTTGCCC(HNF3)(配列番号121)、それらと相補的な配列、またはそれらのそれぞれのTFに結合する能力を維持するこれらのTFBS配列の機能的バリアントを含む。これらは、CRE0065と同じ順序、すなわち、それらが上記で示された順序で存在していてもよい。上記で議論されるように、TFBSに関連する配列可変性が存在すること、および所与のTFBSについて、典型的にはコンセンサス配列が存在すること、それらから、いくらかの逸脱度が、典型的には存在することは当技術分野において周知である。
【0342】
一部の実施形態では、CRE0065の機能的バリアントは、配列:
【0343】
ACTGAACCCTTGACCCCT-Na-CTGTTTGCCC-Nb-TATTTGCCC(配列番号118)、またはそれと少なくとも70%、80%、90%、95%、もしくは99%同一である配列を含み、NaおよびNbは、必要に応じたスペーサー配列を表す。存在する場合、Naは、必要に応じて、14~30ヌクレオチド、好ましくは、18~26ヌクレオチド、より好ましくは、22ヌクレオチドの長さを有する。存在する場合、Nbは、必要に応じて、1~10ヌクレオチド、好ましくは、2~6ヌクレオチド、より好ましくは、4ヌクレオチドの長さを有する。一部の実施形態では、CREは、配列番号117もしくは118、またはそれらの機能的バリアントからなる。
【0344】
CREまたはその機能的バリアントが、二本鎖ポリヌクレオチドのいずれかの鎖に提供され得、かついずれかの方向性で提供され得ることに留意されたい。そのため、配列番号117もしくは118、またはそれらの機能的バリアントの相補配列および逆相補配列は、本発明の範囲内である。配列番号117もしくは118、またはそれらの機能的バリアントによる配列を含む一本鎖核酸も、本発明の範囲内である。
【0345】
一部の好ましい実施形態では、CRE0065もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、90もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または72もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。
【0346】
一部の実施形態では、CRE0066(配列番号122)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、100もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または80もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。その機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0347】
CRE0066(配列番号122)の機能的バリアントは、CRE0066から変更されているが、肝臓特異的CREとしてのそれらの活性を実質的に保持する配列を有する調節エレメントである。必須のTFに結合し、発現を増強するその能力を保持しながら、CREの配列を変更することが可能であることが当業者に認識されるであろう。機能的バリアントは、それらがCREを非機能的にしないという条件で、参照CREと比較して、置換、欠失および/または挿入を含むことができる。
【0348】
一部の実施形態では、CRE0066の機能的バリアントは、プロモーター中でCRE0066の代わりに置換された場合に、その活性を実質的に保持するCREと見なすことができる。例えば、CRE0066の代わりに置換されたCRE0066の機能的バリアントを含むプロモーターは、好ましくは、その活性の80%、より好ましくは、その活性の90%、より好ましくは、その活性の95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する(CRE0066(配列番号122)を含む参照プロモーターと比較して)。例えば、例としてプロモーターSP0265(配列番号94)を考慮すれば、SP0265中のCRE0066は、CRE0066の機能的バリアントで置き換えることができ、プロモーターは、その活性を実質的に保持する。活性の保持は、同等の条件下で、参照プロモーターの制御下で好適なレポーターの発現を、置換されたCREを含むそうでなければ同一のプロモーターと比較することによって、評価することができる。
【0349】
一部の実施形態では、CRE0066の機能的バリアントは、CRE0066と同じ肝臓特異的転写因子(TF)のための転写因子結合部位(TFBS)を含む。それらが存在する順序でリストされる、CRE0066中に存在する肝臓特異的TFBSは、HNF4G(配列番号124)およびFOS::JUN(配列番号125)である。したがって、CRE0066の機能的バリアントは、好ましくは、これらのTFBSのすべてを含む。好ましくは、それらは、それらがCRE0066中に存在するのと同じ順序、すなわち、HNF4G、次いでFOS::JUNの順序で存在する。シス調節エレメントが、プロモーターおよび遺伝子と会合する場合、この順序は、好ましくは、上流から下流への方向(すなわち、転写開始部位(TSS)の遠位からTSSの近位への方向)と考えられる。スペーサー配列が、隣接するTFBSの間に提供されてもよい。一部の実施形態では、TFBSは、それらが、機能的のままであるという条件で、好適には、重複していてもよく、すなわち、重複している配列は両方とも、それらのそれぞれのTFと結合することが可能である。
【0350】
一部の実施形態では、CRE0066(配列番号122)の機能的バリアントは、以下のTFBS配列:GCAGGGCAAAGTGCA(HNF4G)(配列番号124)およびGATGACTCAG(FOS::JUN)(配列番号125)、それらと相補的な配列、またはそれらのそれぞれのTFに結合する能力を維持するこれらのTFBS配列の機能的バリアントを含む。これらは、CRE0066と同じ順序、すなわち、それらが上記で示された順序で存在していてもよい。上記で議論されるように、TFBSに関連する配列可変性が存在すること、および所与のTFBSについて、典型的にはコンセンサス配列が存在すること、それらから、いくらかの逸脱度が、典型的には存在することは当技術分野において周知である。
【0351】
一部の実施形態では、CRE0066(配列番号122)の機能的バリアントは、配列:GCAGGGCAAAGTGCA-Na-GATGACTCAG(配列番号123)、またはそれと少なくとも70%、80%、90%、95%、もしくは99%同一である配列を含み、Naは、必要に応じたスペーサー配列を表す。存在する場合、Naは、必要に応じて、10~28ヌクレオチド、好ましくは、14~24ヌクレオチド、より好ましくは、19ヌクレオチドの長さを有する。
一部の実施形態では、CREは、CRE0066、またはその機能的バリアントからなる。
【0352】
CREまたはその機能的バリアントが、二本鎖ポリヌクレオチドのいずれかの鎖に提供され得、かついずれかの方向性で提供され得ることに留意されたい。そのため、配列番号122もしくは123、またはそれらの機能的バリアントの相補配列および逆相補配列は、本発明の範囲内である。配列番号122もしくは123、またはそれらの機能的バリアントによる配列を含む一本鎖核酸も、本発明の範囲内である。
【0353】
一部の好ましい実施形態では、CRE0066もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、100もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または87もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。
【0354】
一部の実施形態では、プロモーターは、プロモーターエレメントCRE0052(G6PCとも称される)(配列番号126)、またはその機能的バリアントもしくは機能的断片を含む。その機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0355】
CRE0052(配列番号126)の機能的バリアントは、肝臓特異的プロモーターエレメントとして作用するCRE0052の能力を実質的に保持する。例えば、CRE0052の機能的バリアントが肝臓特異的プロモーターSP0265に置換される場合、改変プロモーターは、SP0265の活性の少なくとも80%、より好ましくは、その活性の少なくとも90%、より好ましくは、その活性の少なくとも95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する。
【0356】
一実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、配列番号94またはその機能的バリアントを含む。一部の実施形態では、機能的バリアントは、配列番号94と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。配列番号94による配列を有するプロモーターは、SP0265(SP131A1またはLVR 131_A1としても公知)と称される。配列番号94を含むか、またはそれからなるプロモーターは、一部の実施形態では、特に好ましい。
【0357】
一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、配列番号94であり、以下の構成成分:CRE0051(配列番号97)、CRE0058(配列番号113)、CRE0065(配列番号117)、CRE0066(配列番号122)、CRE0052(配列番号126)、またはそれらと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有し得る、配列番号97、113、117、122、もしくは126の機能的バリアントを含む。
b.SP0239およびそのバリアント
【0358】
一部の実施形態では、プロモーターは、以下のCRE:CRE0018(配列番号151)、CRE0051(配列番号97)、CRE0058(配列番号113)、CRE0065(配列番号117)、およびCRE0066(配列番号122)、またはそれらの機能的バリアントを含む合成肝臓特異的プロモーターである。典型的には、CREは、プロモーターエレメントに作動可能に連結されている。一部の好ましい実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、前記CREまたはその機能的バリアントを、CRE0018、CRE0051、CRE0058、CRE0065、CRE0066、および次いでプロモーターエレメントの順序で含む(上流から下流への方向)。
【0359】
プロモーターエレメントは、任意の好適な近位プロモーターまたはミニマルプロモーターであり得る。一部の好ましい実施形態では、プロモーターエレメントは、CRE0052(G6PCとも称される)である。CRE0052は、ミニマルプロモーター(コアプロモーターとも称される)である。
【0360】
一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、以下のエレメント(またはその機能的バリアント):CRE0018、CRE0051、CRE0058、CRE0065、CRE0066、および次いでCRE0052を含む。
【0361】
CRE0051、CRE0058、CRE0065、およびCRE0066、ならびにプロモーターエレメントCRE0052の配列、ならびにそれらの機能的バリアントは、上記に示される。
【0362】
CRE0018は、配列番号151の配列、またはその機能的バリアントもしくは機能的断片を有する。その機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0363】
CRE0018(配列番号151)の機能的バリアントは、CRE0018から変更されているが、肝臓特異的CREとしてのそれらの活性を実質的に保持する配列を有する調節エレメントである。必須のTFに結合し、発現を増強するその能力を保持しながら、CREの配列を変更することが可能であることが当業者に認識されるであろう。機能的バリアントは、それらがCREを実質的に非機能的にしないという条件で、参照CREと比較して、置換、欠失および/または挿入を含むことができる。
【0364】
一部の実施形態では、CRE0018の機能的バリアントは、プロモーター中でCRE0018の代わりに置換された場合に、その活性を実質的に保持するCREと見なすことができる。例えば、CRE0018の代わりに置換されたCRE0018の機能的バリアントを含むプロモーターは、好ましくは、その活性の80%、より好ましくは、その活性の90%、より好ましくは、その活性の95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する(CRE0018を含む参照プロモーターと比較して)。例えば、例としてプロモーターSP0239を考慮すれば、SP0239中のCRE0018は、CRE0018の機能的バリアントで置き換えることができ、プロモーターは、その活性を実質的に保持する。活性の保持は、同等の条件下で、参照プロモーターの制御下で好適なレポーターの発現を、置換されたCREを含むそうでなければ同一のプロモーターと比較することによって、評価することができる。
【0365】
一部の実施形態では、CRE0018の機能的バリアントは、CRE0018と同じ肝臓特異的TFのためのTFBSを含む。それらが存在する順序でリストされる、CRE0018中に存在する肝臓特異的TFBSは、IRF(配列番号129)、NF1(配列番号130)、HNF3(配列番号131)、HBLF(配列番号132)、RXRa(配列番号133)、EF-C(配列番号134)、NF1(配列番号135)、およびc/EBP(配列番号136)である。したがって、CRE0018の機能的バリアントは、好ましくは、これらのTFBSのすべてを含む。好ましくは、それらは、それらがCRE0018中に存在するのと同じ順序、すなわち、IRF、NF1、HNF3、HBLF、RXRa、EF-C、NF1、および次いでc/EBPの順序で存在する。CREが、プロモーターおよび遺伝子と会合する場合、この順序は、好ましくは、上流から下流への方向(すなわち、転写開始部位(TSS)の遠位からTSSの近位への方向)と考えられる。スペーサー配列が、隣接するTFBSの間に提供されてもよい。一部の実施形態では、TFBSは、それらが、機能的のままであるという条件で、好適には、重複していてもよく、すなわち、重複している配列は両方とも、それらのそれぞれのTFと結合することが可能である。
【0366】
一部の実施形態では、CRE0018の機能的バリアントは、以下のTFBS配列:CTTTCACTTTC(IRF)(配列番号129)、TCGCCAA(NF1)(配列番号130)、TGTGTAAACA(HNF3)(配列番号131)、TGTAAACAATA(HBLF)(配列番号132)、CTGAACCTTTACCC(RXRa)(配列番号133)、GTTGCCCGGCAAC(EF-C)(配列番号134)、CAGGTCTGTGCCAAG(NF1)(配列番号135)、TGCCAAGTGTTTG(c/EBP)(配列番号136)、それらと相補的な配列、または配列番号129~136のそれらのそれぞれのTFに結合する能力を維持するこれらのTFBS配列の機能的バリアントを含む。これらは、CRE0018と同じ順序、すなわち、それらが上記で示された順序で存在していてもよい。上記で議論されるように、TFBSに関連する配列可変性が存在すること、および所与のTFBSについて、典型的にはコンセンサス配列が存在すること、それらから、いくらかの逸脱度が、典型的には存在することは当技術分野において周知である。
【0367】
本発明の一部の実施形態では、CRE0018の機能的バリアントは、配列:CTTTCACTTTCTCGCCAA-Na-TGTGTAAACAATA-Nb-CTGAACCTTTACCC-Nc-GTTGCCCGGCAAC-Nd-CAGGTCTGTGCCAAGTGTTTG(配列番号128)、またはそれと少なくとも70%、80%、90%、95%、もしくは99%同一である配列を含み、Na、Nb、Nc、およびNdは、必要に応じたスペーサー配列を表す。存在する場合、Naは、必要に応じて、10~20ヌクレオチド、好ましくは、13~17ヌクレオチド、より好ましくは、15ヌクレオチドの長さを有する。存在する場合、Nbは、必要に応じて、1~10ヌクレオチド、好ましくは、1~5ヌクレオチド、より好ましくは、1ヌクレオチドの長さを有する。存在する場合、Ncは、必要に応じて、1~10ヌクレオチド、好ましくは、1~5ヌクレオチド、より好ましくは、1ヌクレオチドの長さを有する。存在する場合、Ndは、好適には、1~10ヌクレオチドの長さ、好ましくは、2~8ヌクレオチド長、より好ましくは、3ヌクレオチド長を有する。
【0368】
本発明の一部の実施形態では、CREは、配列番号127もしくは128、またはそれらの機能的バリアントからなる。
【0369】
CREまたはその機能的バリアントが、二本鎖ポリヌクレオチドのいずれかの鎖に提供され得、かついずれかの方向性で提供され得ることに留意されたい。そのため、配列番号128もしくは129、またはそれらの機能的バリアントの相補配列および逆相補配列は、本発明の範囲内である。配列番号128もしくは129、またはそれらの機能的バリアントによる配列を含む一本鎖核酸も、本発明の範囲内である。
【0370】
一部の実施形態では、CRE0018(配列番号151)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなるCREは、200もしくはそれよりも短いヌクレオチド、150もしくはそれよりも短いヌクレオチド、125もしくはそれよりも短いヌクレオチド、または103もしくはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有する。
【0371】
一実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、配列番号93もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。配列番号93による配列を有するプロモーターは、SP0239と称される。SP0239の機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有することができる。
【0372】
したがって、一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、SP0239(配列番号93)であり、以下の構成成分:CRE0018(配列番号151)、CRE0051(配列番号97)、CRE0058(配列番号113)、CRE0065(配列番号117)、およびCRE0066(配列番号122)、およびCRE0052(配列番号126)、またはそれらと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有し得る機能的バリアントを含む。
c.SP0240およびそのバリアント
【0373】
一部の実施形態では、プロモーターは、プロモーターエレメントに作動可能に連結されたCRE0018を含む合成肝臓特異的プロモーターである。一部の好ましい実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、CRE0018、または直ぐ上流のプロモーターエレメントを含む。
【0374】
プロモーターエレメントは、任意の好適な近位プロモーターまたはミニマルプロモーターであり得る。一部の好ましい実施形態では、プロモーターエレメントは、CRE0006(配列番号137)である。CRE0006は、肝臓特異的近位プロモーターである。
【0375】
一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、以下のエレメント(またはその機能的バリアント):CRE0018、および次いでCRE0006を含む。
【0376】
CRE0018の配列およびそのバリアントは、上記に示される。
【0377】
CRE0006は、近位プロモーターであり、TSSの上流に、肝臓特異的TFのためのTFBSを含む。リストされる順序でCRE0006中に存在する肝臓特異的TFBSは、HNF4(配列番号138)、RXRa(配列番号139)、HNF4(配列番号140)、c/EBP(配列番号141)、およびHNF3(配列番号142)、ならびに必要に応じてp1@VTN(配列番号143)である。したがって、CRE0006の機能的バリアントは、好ましくは、これらのTFBSを含む。好ましくは、それらは、それらがCRE0006中に存在するのと同じ順序、すなわち、HNF4、c/EBP、HNF3、およびHNF3の順序で存在する。一部の実施形態では、TFBSは、それらが、機能的のままであるという条件で、重複しており、すなわち、重複している配列は両方とも、それらのそれぞれのTFと結合することが可能である。
【0378】
p1@VTN(配列番号143)は、遺伝子発現のCap分析(CAGE)によって決定されるCRE0006中の転写開始部位(TSS)を表す。
【0379】
一部の実施形態では、CRE0006の機能的バリアントは、配列番号137と少なくとも70%同一(好ましくは、配列番号25と少なくとも80%、90%、95%、または99%同一)である配列を含み、これは、HNF4、RXRa、HNF4、c/EBP、およびHNF3のためのTFBSを含有し、好ましくは、前記TFBSの下流に、HNF4、RXRa、HNF4、c/EBP、およびHNF3のためのTFBSと少なくとも80%、90%、95%、または完全に同一であるTSS配列を含有する。
【0380】
一部の実施形態では、CRE0006の機能的バリアントは、配列番号137と少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%の同一性を有し、以下のTFBS:25~37位またはその近くにHNF4(配列番号138);73~83位またはその近くにRXRa(配列番号139);74~86位またはその近くにHNF4(配列番号140);123~136位またはその近くにc/EBP(配列番号141);および129~137位またはその近くにHNF3(配列番号142)をさらに含み、かつ166~196位またはその近くに配列番号143と少なくとも80%、90%、95%、または完全に同一であるTSS配列を含む配列を含み、位置は、配列番号137を参照して番号付けされる。本文脈において、そこまたはその近く(at or near)は、好適には、配列番号137を参照して列挙された位置の10、5、4、3、2、または1ヌクレオチド以内を意味する。好適なTFBS配列は、配列番号138~142であるが、代替のTFBS配列を使用することができる。
【0381】
一実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、配列番号95もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。配列番号95による配列を有するプロモーターは、SP0240と称される。SP0240の機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有することができる。
d.SP0246およびそのバリアント
【0382】
一部の実施形態では、プロモーターは、以下のCRE:CRE0051、CRE0058、およびCRE0065、またはそれらの機能的バリアントを含む合成肝臓特異的プロモーターである。典型的には、CREは、プロモーターエレメントに作動可能に連結されている。一部の好ましい実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、前記CREまたはその機能的バリアントを、CRE0051、CRE0058、およびCRE0065、ならびに次いで、プロモーターエレメントの順序で含む(上流から下流への方向)。
【0383】
プロモーターエレメントは、任意の好適な近位プロモーターまたはミニマルプロモーターであり得る。一部の好ましい実施形態では、プロモーターエレメントは、CRE0052(G6PCとも称される)である。CRE0052は、ミニマルプロモーター(コアプロモーターとも称される)である。
【0384】
一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、以下のエレメント(またはその機能的バリアント):CRE0051、CRE0058、CRE0065、および次いでCRE0052を含む。CRE0051、CRE0058、CRE0065、およびプロモーターエレメントCRE0052の配列、ならびにそれらの機能的バリアントは、上記に示される。
【0385】
一実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、配列番号96もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。配列番号96による配列を有するプロモーターは、SP0246と称される。SP0246の機能的バリアントは、配列番号96と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有することができる。
e.SP0131およびそのバリアント
【0386】
一部の実施形態では、プロモーターは、以下のCRE:CRE0058、CRE0065、およびCRE0066、またはそれらの機能的バリアントを含む合成肝臓特異的プロモーターである。典型的には、CREは、プロモーターエレメントに作動可能に連結されている。一部の好ましい実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、前記CREまたはその機能的バリアントを、CRE0058、CRE0065、CRE0066、および次いでプロモーターエレメントの順序で含む(上流から下流への方向)。
【0387】
プロモーターエレメントは、任意の好適な近位プロモーターまたはミニマルプロモーターであり得る。一部の好ましい実施形態では、プロモーターエレメントは、CRE0052(G6PCとも称される)である。CRE0052は、ミニマルプロモーター(コアプロモーターとも称される)である。
【0388】
CRE0058、CRE0065、およびCRE0066、ならびにプロモーターエレメントCRE0052の配列、ならびにそれらの機能的バリアントは、上記に示される。
【0389】
配列番号141またはその機能的バリアント。配列番号141による配列を有するプロモーターは、SP0131と称される。SP0131の機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有することができる。
f.複合プロモーター:
【0390】
一部の実施形態では、上記に示される肝臓特異的プロモーターは、1つまたは複数の追加の調節配列に作動可能に連結されている。追加の調節配列は、例えば、追加の調節配列が作動可能に連結されていない肝臓特異的プロモーターと比較して、発現を増強することができる。一般に、追加の調節配列は、肝臓特異的プロモーターの特異性を実質的に低減しないことが好ましい。
【0391】
例えば、肝臓特異的プロモーターは、UTR(例えば、5’および/または3’UTR)、イントロンなどをコードする配列に作動可能に連結され得る。
【0392】
一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、UTR、例えば、5’UTRをコードする配列に作動可能に連結されている。5’UTRは、遺伝子発現を調節し得るさまざまなエレメントを含有することができる。天然遺伝子中の5’UTRは、転写開始部位で始まり、コード領域の開始コドンの1ヌクレオチド前で終わる。本明細書で指す5’UTRが、天然に存在する5’UTR全体であり得るか、または天然に存在する5’UTRの一部分であり得ることに留意すべきである。5’UTRはまた、部分的または全体的に合成であり得る。真核生物では、5’UTRは、およそ150ntの中位長さを有するが、一部の場合では、それらは、相当長くあり得る。5’UTR中で見出され得る調節配列としては、限定されるものではないが、
mRNAの安定性または翻訳に影響を与え得るタンパク質のための結合部位;
リボスイッチ;
翻訳開始を促進または阻害する配列;ならびに
遺伝子発現およびmRNA排出の調節のための連結されている5’UTR内のイントロン
が挙げられる。
【0393】
一部の実施形態では、上記に示される肝臓特異的プロモーターは、CMVの主な即時型遺伝子(CMV-IE遺伝子)に由来する5’UTRをコードする配列に作動可能に連結されている。例えば、CMV-IE遺伝子由来の5’UTRは、好適には、CMV-IE遺伝子エクソン1、およびCMV-IE遺伝子エクソン1、またはそれらの部分を含む。一部の場合では、プロモーターエレメントは、5’UTRへの連結を考慮して、改変されていてもよく、例えば、プロモーターエレメント中の転写開始部位(TSS)の下流の配列を除去する(例えば、5’UTRで置き換える)ことができる。
【0394】
CMV-IE 5’UTRは、参照により本明細書に組み込まれるSimari, et al., Molecular Medicine 4: 700-706, 1998 "Requirements for Enhanced Transgene Expression by Untranslated Sequences from the Human Cytomegalovirus Immediate-Early Gene"に記載されている。Simari, et al.において議論されたCMV-IE 5’UTR配列のバリアントは、参照により組み込まれるWO2002/031137にも示されており、そこで開示されている調節配列を使用することもできる。プロモーターと組み合わせて使用することができる他のUTRは、当技術分野において、例えば、参照により組み込まれるLeppek, K., Das, R. & Barna, M. "Functional 5' UTR mRNA structures in eukaryotic translation regulation and how to find them". Nat Rev Mol Cell Biol 19, 158-174 (2018)において公知である。
【0395】
一部の実施形態では、5’UTRをコードする配列は、配列番号145またはその機能的バリアントを含む。一部の実施形態では、機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。配列番号145は、CMV-IE 5’UTRをコードする。
【0396】
一部の実施形態では、5’UTRは、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸モチーフ、例えば、産生したmRNAにおいてコザック配列を定義する配列を含む。例えば、一部の実施形態では、5’UTRをコードする配列は、その3’末端またはその近くに配列モチーフGCCACC(配列番号153)を含む。他のコザック配列または他のタンパク質翻訳開始部位は、当技術分野において公知であるように(例えば、Marilyn Kozak, "Point Mutations Define a Sequence Flanking the AUG Initiator Codon That Modulates Translation by Eukaryotic Ribosomes" Cell, Vol. 44, 283-292, January 31, 1986;Marilyn Kozak "At Least Six Nucleotides Preceding the AUG Initiator Codon Enhance Translation in Mammalian Cells" J. Mol. Rid. (1987) 196, 947-950;Marilyn Kozak "An analysis of 5'-noncoding sequences from 699 vertebrate messenger RNAs" Nucleic Acids Research. Vol. 15 (20) 1987、それらのすべてが、参照により本明細書に組み込まれる)、使用することができる。タンパク質翻訳開始部位(例えば、コザック配列)は、好ましくは、開始コドンに直ぐ隣接して設置される。
【0397】
一部の実施形態では、5’UTRをコードする配列は、配列番号438またはその機能的バリアントを含む。一部の実施形態では、機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。この5’UTRは、CMV-IE 5’UTRの3’末端にコザック配列を定義する配列番号153の6ヌクレオチドを含む。
【0398】
一部の実施形態では、上記で議論されるSP0412プロモーターまたはそのバリアントは、5’UTRをコードする配列に連結されて、複合プロモーター/5’UTR調節構築物を提供する。本明細書では、そのような複合プロモーター/5’UTR構築物は、単に「複合プロモーター」、または一部の場合では、簡潔さのために、単に「プロモーター」と称することがある。
【0399】
一部の実施形態では、複合プロモーターは、配列番号92もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、機能的バリアントは、配列番号92と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0400】
この複合プロモーターは、CMV-IE遺伝子由来の5’UTR(配列番号145)をコードする配列、および上記で議論されたGCCACC(配列番号153)のコザック配列に作動可能に連結されたSP0412を含む。この(複合)プロモーターは、SP0422(配列番号92)と称される。SP0422は、一部の実施形態では、好ましい肝臓特異的プロモーターである。上記で議論されるように、5’UTRは、好適には、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸モチーフ、例えば、コザック配列を定義する配列を含む。上記の配列では、5’UTRは、その3’末端に配列モチーフGCCACC(配列番号153)を含むが、この配列モチーフは除くことができるか、または代替配列を使用することができる。
【0401】
一部の実施形態では、上記で議論されるSP0265プロモーターまたはそのバリアントは、5’UTRをコードする配列に連結されて、複合プロモーター(SP0236-5UTR)を提供する。
【0402】
一部の実施形態では、複合プロモーターは、配列番号146もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、機能的バリアントは、配列番号146と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0403】
この複合プロモーターは、CMV-IE遺伝子由来の5’UTR(配列番号145)、およびGCCACC(配列番号153)のコザック配列に作動可能に連結されたSP0265(配列番号94)を含む。この(複合)プロモーターは、SP0420と称される。このプロモーターでは、CRE0052プロモーターエレメント中のTSSの下流の短い配列が、CMV-IE由来の5’UTRからの配列で置き換えられている。そのため、このプロモーターは、実際には、CRE0052に対する改変を有し、それによって、一部の配列が除去されている、SP0265のマイナーなバリアントを含む。一部の実施形態では、SP0420が好ましい。上記で議論されるように、5’UTRは、好適には、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸モチーフ、例えば、コザック配列を定義する配列を含む。上記の配列では、5’UTRは、その3’末端に配列モチーフGCCACC(配列番号153)を含むが、この配列モチーフは除くことができるか、または代替配列を使用することができる。
【0404】
一部の実施形態では、上記で議論されるSP0239プロモーターまたはそのバリアントは、5’UTRをコードする配列に連結されて、複合プロモーター(SP0239-UTR)を提供する。
【0405】
一部の実施形態では、複合プロモーターは、配列番号147もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、機能的バリアントは、配列番号147と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0406】
この複合プロモーター/5’UTR構築物は、CMV-IE遺伝子由来の5’UTR、およびGCCACC(配列番号153)のコザック配列に作動可能に連結されたSP0239を含む。この(複合)プロモーターは、SP0421と称される。再び、このプロモーターでは、CRE0052プロモーターエレメント中のTSSの下流の短い配列が、CMV-IE由来の5’UTRからの配列で置き換えられている。そのため、このプロモーターは、実際には、CRE0052に対する改変を有し、それによって、一部の配列が除去されている、SP0239のマイナーなバリアントを含む。一部の実施形態では、SP0421が好ましい。上記で議論されるように、5’UTRは、好適には、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸モチーフ、例えば、コザック配列を定義する配列を含む。上記の配列では、5’UTRは、その3’末端に配列モチーフGCCACC(配列番号153)を含むが、この配列モチーフは除くことができるか、または代替配列を使用することができる。
【0407】
一部の実施形態では、上記で議論されるSP0240プロモーターまたはそのバリアントは、5’UTRをコードする配列に連結されて、複合プロモーターを提供する。
【0408】
一部の実施形態では、複合プロモーターは、配列番号148もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0409】
この複合プロモーター/5’UTR構築物は、CMV-IE遺伝子由来の5’UTR、およびGCCACC(配列番号153)のコザック配列に作動可能に連結されたSP0240を含む。この(複合)プロモーターは、SP0240-UTRと称される。再び、このプロモーターでは、CRE0006プロモーターエレメント中のTSSの下流の短い配列が、CMV-IE由来の5’UTRからの配列で置き換えられている。そのため、このプロモーターは、実際には、CRE0006に対する改変を有し、それによって、一部の配列が除去されている、SP0240のマイナーなバリアントを含む。一部の実施形態では、SP0240-UTRが好ましい。上記で議論されるように、5’UTRは、好適には、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸モチーフ、例えば、コザック配列を定義する配列を含む。上記の配列では、5’UTRは、その3’末端に配列モチーフGCCACC(配列番号153)を含むが、この配列モチーフは除くことができるか、または代替配列を使用することができる。
【0410】
一部の実施形態では、上記で議論されるSP0246プロモーターまたはそのバリアントは、5’UTRをコードする配列に連結されて、複合プロモーターを提供する。
【0411】
一部の実施形態では、複合プロモーターは、配列番号149(SP0246-UTR)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0412】
この複合プロモーター/5’UTR構築物は、CMV-IE遺伝子由来の5’UTR、およびGCCACC(配列番号153)のコザック配列に作動可能に連結されたSP0246を含む。この(複合)プロモーターは、SP0246-UTRと称される。再び、このプロモーターでは、CRE0052プロモーターエレメント中のTSSの下流の短い配列が、CMV-IE由来の5’UTRからの配列で置き換えられている。そのため、このプロモーターは、実際には、CRE0052に対する改変を有し、それによって、一部の配列が除去されている、SP0246のマイナーなバリアントを含む。一部の実施形態では、SP0246-UTRが好ましい。上記で議論されるように、5’UTRは、好適には、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸モチーフ、例えば、コザック配列を定義する配列を含む。上記の配列では、5’UTRは、その3’末端に配列モチーフGCCACC(配列番号153)を含むが、この配列モチーフは除くことができるか、または代替配列を使用することができる。
【0413】
一部の実施形態では、上記で議論されるSP0131_A1プロモーターまたはそのバリアントは、5’UTRをコードする配列に連結されて、複合プロモーターを提供する。
【0414】
一部の実施形態では、複合プロモーターは、配列番号150(SP0131 A1-UTR)もしくはその機能的バリアントを含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、機能的バリアントは、それと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を有していてもよい。
【0415】
この複合プロモーター/5’UTR構築物は、CMV-IE遺伝子由来の5’UTR、およびGCCACC(配列番号153)のコザック配列に作動可能に連結されたSP0131を含む。この(複合)プロモーターは、SP0131-UTRと称される。再び、このプロモーターでは、CRE0052プロモーターエレメント中のTSSの下流の短い配列が、CMV-IE由来の5’UTRからの配列で置き換えられている。そのため、このプロモーターは、実際には、CRE0052に対する改変を有し、それによって、一部の配列が除去されている、SP0131のマイナーなバリアントを含む。一部の実施形態では、SP0131-UTRが好ましい。上記で議論されるように、5’UTRは、好適には、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸モチーフ、例えば、コザック配列を定義する配列を含む。上記の配列では、5’UTRは、その3’末端に配列モチーフGCCACC(配列番号153)を含むが、この配列モチーフは除くことができるか、または代替配列を使用することができる。
【0416】
一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、SP0412(配列番号91)であり、以下の構成成分:CRE0051(配列番号97)、CRE0067(配列番号152)、CRE0059(配列番号110)、およびコザック配列(配列番号153)、またはそれらと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有し得る機能的バリアントを含む。
【0417】
一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、SP0422(配列番号9)であり、以下の構成成分:CRE0051(配列番号97)、CRE0067(配列番号152)、CRE0059(配列番号110)、CMV-IE 5’UTR(配列番号153)、およびコザック配列(配列番号153)、またはそれらと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有し得る機能的バリアントを含む。
(iii)合成肝臓特異的プロモーターの機能的バリアント
【0418】
一部の実施形態では、肝臓特異的プロモーターの機能的バリアントは、プロモーター中で参照プロモーターエレメントの代わりに置換された場合に、その活性を実質的に保持するプロモーターエレメントと見なすことができる。例えば、肝臓特異的プロモーターの機能的バリアントは、本明細書の表4における所与のプロモーターの機能的バリアント、あるいは配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)、もしくは配列番号92(SP0422)、配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP0265、SP131_A1も指す)、配列番号95(SP0240)、もしくは配列番号96(SP0246)、もしくは配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、もしくは配列番号150(SP0131-A1-UTR)からリストされる任意のプロモーター、またはそれらの機能的断片もしくはバリアント、あるいは配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSP、またはそれらの機能的断片もしくはバリアントを含み、機能的バリアントまたは機能的断片は、好ましくは、未変更のプロモーターの活性の少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%、または少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、より好ましくは、その活性の少なくとも90%、より好ましくは、その活性の少なくとも95%、さらにより好ましくは、活性の100%を保持する(未改変プロモーターエレメントを含む未変更のプロモーター配列と比較して)。肝臓特異的プロモーターの活性を評価するための好適なアッセイは、本明細書に、例えば、実施例12および13に開示される。
【0419】
一部の実施形態では、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーター、または配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)、もしくは配列番号92(SP0422)、配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP0265、SP131_A1も指す)、配列番号95(SP0240)、もしくは配列番号96(SP0246)、もしくは配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、もしくは配列番号150(SP0131-A1-UTR)からリストされる任意のプロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSPの機能的バリアントまたは機能的断片は、元の未改変配列と少なくとも約75%の配列同一性、または少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性を有し、かつ対応する未改変プロモーター配列の少なくとも35%のプロモーター活性、または少なくとも約45%のプロモーター活性、または少なくとも約50%のプロモーター活性、または少なくとも約60%のプロモーター活性、または少なくとも約75%のプロモーター活性、または少なくとも約80%のプロモーター活性、または少なくとも約85%のプロモーター活性、または少なくとも約90%のプロモーター活性、または少なくとも約95%のプロモーター活性も有する。
【0420】
例えば、配列番号258(SP0412)または配列番号92(SP0422)の機能的バリアントまたは機能的断片は、それぞれ、配列番号91(SP0412)もしくは配列番号92(SP0422)と少なくとも約75%の配列同一性、または配列番号91(SP0412)もしくは配列番号92(SP0422)と少なくとも約80%の配列同一性、配列番号91(SP0412)もしくは配列番号92(SP0422)と少なくとも約90%の配列同一性、配列番号91(SP0412)もしくは配列番号92(SP0422)と少なくとも約95%の配列同一性、配列番号91(SP0412)もしくは配列番号92(SP0422)と少なくとも約98%の配列同一性、または元の未改変配列を有し、かつ配列番号91(SP0412)もしくは配列番号92(SP0422)の対応する未改変プロモーター配列の少なくとも35%のプロモーター活性、または少なくとも約45%のプロモーター活性、または少なくとも約50%のプロモーター活性、または少なくとも約60%のプロモーター活性、または少なくとも約75%のプロモーター活性、または少なくとも約80%のプロモーター活性、または少なくとも約85%のプロモーター活性、または少なくとも約90%のプロモーター活性、または少なくとも約95%のプロモーター活性も有する。
【0421】
一部の実施形態では、本明細書に開示される肝臓特異的プロモーターの機能的バリアントは、未改変プロモーター配列と著しい配列同一性のレベルを保持する。好適には、機能的バリアントは、未改変プロモーター配列と少なくとも60%同一、より好ましくは、未改変肝臓特異的プロモーター配列と少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%同一である配列を含む。
【0422】
一部の実施形態では、本明細書に開示される肝臓特異的プロモーターの機能的断片は、未改変プロモーター配列と著しい配列同一性のレベルを保持する。好適な機能的断片は、未改変プロモーター配列と少なくとも60%同一、より好ましくは、未改変肝臓特異的プロモーター配列と少なくとも70%、80%、90%、95%、または99%同一である配列を含む。
【0423】
一部の実施形態では、プロモーターエレメントの機能的バリアントは、プロモーター中で参照プロモーターエレメントの代わりに置換された場合に、その活性を実質的に保持するプロモーターエレメントと見なすことができる。例えば、所与のプロモーターエレメントの機能的バリアントを含む肝臓特異的プロモーターは、好ましくは、その活性の少なくとも80%、より好ましくは、その活性の少なくとも90%、より好ましくは、その活性の少なくとも95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する(未改変プロモーターエレメントを含む参照プロモーターと比較して)。肝臓特異的プロモーターの活性を評価するための好適なアッセイは、本明細書に、例えば、実施例12および13に開示される。
【0424】
本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSPの配列を、活性の実質的な喪失を引き起こすことなく、変更することができることに留意すべきである。そのため、下記で議論される肝臓特異的プロモーターの機能的バリアントは、肝臓特異的プロモーターの活性に著しく害を及ぼす改変を回避するという条件で、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSPの配列を改変することによって調製することができる。本開示に提供される情報を考慮して、機能的バリアントを提供するための、本明細書の表4に開示される肝臓特異的プロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSPの改変は、複雑でない。また、本開示は、任意の所与の肝臓特異的プロモーターバリアントの機能性を簡単に評価するための方法論を提供する。それぞれの肝臓特異的プロモーターについての機能的バリアントは下記で議論される。
【0425】
本発明の一部の実施形態では、合成肝臓特異的プロモーターは、配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)、もしくは配列番号92(SP0422)、配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP0265、SP131_A1も指す)、配列番号95(SP0240)、もしくは配列番号96(SP0246)、もしくは配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、もしくは配列番号150(SP0131-A1-UTR)からリストされる任意のプロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSP、あるいはそれらのいずれかの機能的バリアントからなる群からの配列を含む。好適には、前記肝臓特異的プロモーターのいずれかの機能的バリアントは、参照合成肝臓特異的プロモーターと少なくとも70%同一、より好ましくは、参照合成肝臓特異的プロモーターと少なくとも80%、90%、95%、または99%同一である配列を含む。
【0426】
一部の実施形態では、その機能的バリアントは、好適には、表4にリストされる配列のいずれか1つと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または99%同一である配列を含み得る。加えて、または代わりに、表4にリストされる配列のいずれか1つの機能的バリアントは、好適には、参照配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含む。表4にリストされる配列のいずれか1つの機能的バリアントは、そこで提供される配列の1つまたは複数が、上記に定義されるその機能的バリアントで置き換えられているか、および/またはそこで提供される配列の順序が変更されている、バリアントを含む。
【0427】
一部の実施形態では、表4にリストされる肝臓特異的プロモーター配列のいずれか1つの機能的バリアントは、少なくとも1つまたは複数のヌクレオチドが置換され、それがその活性を実質的に保持する場合に、肝臓特異的プロモーターと見なすことができる。例えば、表4にリストされる肝臓特異的プロモーター配列のいずれか1つの機能的バリアントを含む肝臓特異的プロモーターは、好ましくは、その活性の80%、より好ましくは、その活性の90%、より好ましくは、その活性の95%、さらにより好ましくは、その活性の100%を保持する(参照プロモーター配列と比較して)。例えば、LSPが例としてSP0412(配列番号91)を含む核酸配列を含む場合、SP0412(例えば、配列番号91)中のヌクレオチドの一部分を、その機能的バリアントで置き換えることができ、肝臓特異的SP0412プロモーターは、その活性を実質的に保持する。活性の保持は、同等の条件下で、参照プロモーターの制御下で好適なレポーターの発現を、置換された核酸を含むそうでなければ同一のプロモーターと比較することによって、評価することができる。肝臓特異的プロモーターの活性を評価するための好適なアッセイは、本明細書に、例えば、実施例12および13に開示される。
【0428】
本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書の表4に開示される合成肝臓特異的プロモーター、または配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)、もしくは配列番号92(SP0422)、配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP0265、SP131_A1も指す)、配列番号95(SP0240)、もしくは配列番号96(SP0246)、もしくは配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、もしくは配列番号150(SP0131-A1-UTR)からリストされる任意のプロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSPは、700、600、500、450、400、350、300、250、もしくは200、もしくは150、またはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有するそれらの機能的バリアントである。
【0429】
本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書の表4に開示される合成肝臓特異的プロモーター、配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)、もしくは配列番号92(SP0422)、配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP0265、SP131_A1も指す)、配列番号95(SP0240)、もしくは配列番号96(SP0246)、もしくは配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、もしくは配列番号150(SP0131-A1-UTR)からリストされる任意のプロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSPは、ミニマルプロモーターに作動可能に連結された合成肝臓特異的シス調節エレメント(CRE)またはシス調節モジュール(CRM)を含む。本発明における使用のための好適なミニマルプロモーターの例としては、限定されるものではないが、CMV-ミニマルプロモーター、MinTkミニマルプロモーター、およびLVR_CRE0052_G6PCミニマルプロモーター(配列番号126)が挙げられる。特定の実施形態では、ミニマルプロモーターは、配列番号145の配列、配列番号145と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または99%同一である配列を含むCMV-IEプロモーターである。本明細書に開示される方法および組成物における使用のためのCMV-IEを含む例示的なプロモーターは、限定されるものではないが、配列番号92(SP0422)、配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、または配列番号150(SP0131-A1-UTR)から選択することができる。
【0430】
本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書の表4に開示される合成肝臓特異的プロモーター、例えば、配列番号86(CRM 0412)、配列番号91(SP0412)、もしくは配列番号92(SP0422)、配列番号93(SP0239)、配列番号94(SP0265、SP131_A1も指す)、配列番号95(SP0240)、もしくは配列番号96(SP0246)、もしくは配列番号146(SP0265-UTR)、配列番号147(SP0239-UTR)、配列番号148(SP0240-UTR)、配列番号149(SP0246-UTR)、もしくは配列番号150(SP0131-A1-UTR)からリストされる任意のプロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSPは、LP-1プロモーター(配列番号432)と比べて、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも500%、少なくとも1000%、またはそれよりも高く、対象の肝臓または肝臓細胞において、遺伝子の発現を増加させることが可能である。
【0431】
本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書の表4に開示される合成肝臓特異的プロモーター、または配列番号86、91~96、146~150から選択される任意のLSPプロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSP、合成肝臓特異的プロモーターは、肝臓特異的な導入遺伝子の発現を促進することが可能であり、TTRプロモーター(配列番号431)の活性の少なくとも15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、または400%である肝臓細胞における活性を有する。
【0432】
本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書の表4に開示される合成肝臓特異的プロモーター、または配列番号86、91~96、146~150から選択される任意のLSPプロモーター、または配列番号270~341もしくは342~430から選択される任意のLSP、合成肝臓特異的プロモーターは、肝臓特異的な導入遺伝子の発現を促進することが可能であり、TBGプロモーター(配列番号435)の活性の少なくとも15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、または400%である肝臓細胞における活性を有する。
G.イントロン配列
【0433】
一部の実施形態では、rAAV遺伝子型は、プロモーター配列の3’および分泌シグナルペプチドの5’に位置するイントロン配列を含む。イントロン配列は、mRNA安定性、核からのmRNA輸送、ならびに/または発現されたGAA融合ポリペプチド(例えば、SS-GAA融合ポリペプチドもしくはSS-IGF2-GAAポリペプチド)の発現および/もしくは調節の1つまたは複数を増加させる働きをする。代替の実施形態では、rAAV遺伝子型は、イントロン配列を含まない。
【0434】
一部の実施形態では、イントロン配列は、MVMイントロン配列、例えば、限定されるものではないが、配列番号13のイントロン配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有する核酸配列である。
【0435】
一部の実施形態では、イントロン配列は、HBB2イントロン配列、例えば、限定されるものではないが、配列番号14のイントロン配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有する核酸配列である。
【0436】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、分泌シグナルペプチドをコードする配列の5’およびプロモーターの3’に位置するイントロン配列をさらに含む異種核酸配列を含む。一部の実施形態では、イントロン配列は、MVM配列、またはHBB2配列を含み、MVM配列は、配列番号13の核酸配列、または配列番号13と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列を含み、HBB2配列は、配列番号14の核酸配列、または配列番号14と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列を含む。
【0437】
一部の実施形態では、rAAV遺伝子型は、ヒトベータグロビンb2(またはHBB2)イントロン、FIXイントロン、ニワトリベータグロビンイントロン、およびSV40イントロンからなる群において選択されるイントロン配列を含む。一部の実施形態では、イントロンは、必要に応じて、改変HBB2イントロン(例えば、WO2018046774A1の配列番号17を参照されたい)、改変FIXイントロン(例えば、WO2018046774A1の配列番号19を参照されたい)、もしくは改変ニワトリベータグロビンイントロン(例えば、WO2018046774A1の配列番号21を参照されたい)、または参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるWO2015/162302に開示される改変HBB2もしくはFIXイントロンなどの改変イントロンである。
H.ポリA
【0438】
一部の実施形態では、rAAVベクターゲノムは、一実施形態では、GAA融合ポリペプチド(例えば、SS-GAA融合ポリペプチドまたはSS-IGF2-GAAポリペプチド)をコードする異種核酸遺伝子の3’および下流に位置する少なくとも1つのポリAテイルを含む。一部の実施形態では、ポリAシグナルは、本明細書に定義される安定性配列またはCS配列の3’である。限定されるものではないが、hGHポリA、synpAポリAなどを含む任意のポリA配列を使用することができる。一部の実施形態では、ポリAは、合成ポリA配列である。一部の実施形態では、rAAVベクターゲノムは、2つのポリAテイル、例えば、hGHポリA配列および別のポリA配列を含み、スペーサー核酸配列は、2つのポリA配列の間に位置する。一部の実施形態では、rAAVゲノムは、GAA融合ポリペプチド(例えば、SS-GAA融合ポリペプチドまたはSS-IGF2-GAAポリペプチド)をコードする核酸の3’、または代わりに、CS配列の3’に、以下のエレメントを含む;第1のポリA配列、(100~400bpの間または約250bpの)スペーサー核酸配列、第2のポリA配列、スペーサー核酸配列、および3’ITR。一部の実施形態では、第1および第2のポリA配列は、hGHポリA配列であり、一部の実施形態では、第1および第2のポリA配列は、合成ポリA配列である。一部の実施形態では、第1のポリA配列がhGHポリA配列であり、第2のポリA配列が合成配列であるか、またはその逆である、すなわち、代替の実施形態では、第1のポリA配列が合成ポリA配列であり、第2のポリA配列がhGHポリA配列である。例示的なポリA配列は、例えば、配列番号15(hGHポリA配列)、または配列番号15と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有するポリA核酸配列である。一部の実施形態では、使用のために包含されるhGHポリ配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAnderson et al. J. Biol. Chem 264(14); 8222-8229, 1989(例えば、8223頁、第2欄、第1段落を参照されたい)に記載されている。
【0439】
一部の実施形態では、ポリAテイルは、一実施形態ではGAAである異種遺伝子に対する転写物を含むrAAVベクターゲノムから転写されるRNA転写物を安定化するように操作され得、代替の実施形態では、ポリAテイルは、不安定なエレメントを含むよう操作され得る。
【0440】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、GAA遺伝子をコードする核酸の3’および3’ITR配列の5’に位置する少なくとも1つのポリA配列を含む。一部の実施形態では、ポリAは、全長ポリA(fl-ポリA)配列である。一部の実施形態では、ポリAは、切断型ポリA配列であり、例えば、図5Gを参照されたい。
【0441】
実施形態では、ポリAテイルは、ポリAテイルの長さを変更することによって、不安定なエレメントになるよう操作され得る。実施形態では、ポリAテイルは、長く、または短くされ得る。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、GAA 3’UTR(配列番号85)または3’UTR(配列番号77)を含む。
【0442】
別の実施形態では、不安定なエレメントは、異種遺伝子をコードする、miRNAが結合するRNA転写物をサイレンシングする(翻訳を抑制し、分解を促進する)能力を有するマイクロRNA(miRNA)である。実施形態では、ポリAテイル内のシード領域の付加または欠失は、GAAタンパク質または改変GAAポリペプチドなどのタンパク質の発現を増加または減少させることができる。
【0443】
別の実施形態では、シード領域は、異種遺伝子およびポリAテイルの間に位置する3’非翻訳領域に操作することもできる。さらなる実施形態では、不安定化剤は、siRNAであり得る。siRNAのコード領域が、rAAVベクターゲノムに含まれ得、一般に、ポリAテイルの3’の下流に位置する。
【0444】
本明細書に開示される方法および組成物のすべての態様では、rAAVゲノムは、スタッファーDNA核配列も含んでいてもよい。例示的なスタッファーDNA配列は、配列番号71、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有する核酸配列である。図7~8および図9A~9Eに示されるように、スタッファー配列は、例えば、ポリAテイルの3に位置し、3’ITR配列の5’に位置する。一部の実施形態では、スタッファーDNA配列は、逆の方向性の合成ポリアデニル化シグナルを含む。
【0445】
一部の実施形態では、スタッファー核酸配列(「スペーサー」核酸断片とも称される、図7~8を参照されたい)は、ポリA配列および3’ITRの間に位置することができる(すなわち、スタッファー核酸配列は、ポリA配列の3’および3’ITRの5’に位置する)(例えば、図7~8を参照されたい)。そのようなスタッファー核酸配列は、約30bp、50pb、75bp、100bp、150bp、200bp、250bp、300bp、または300bp超であり得る。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、スタッファー核酸断片は、20~50bp、50~100bp、100~200bp、200~300bp、300~500bpの間であるか、または20~500bpの間の任意の整数である。例示的なスタッファー(またはスペーサー)核酸配列は、配列番号16、配列番号71、もしくは配列番号78、または配列番号16、もしくは配列番号71、もしくは配列番号78と少なくとも約70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%同一の核酸配列を含む。
I.AAV ITR
【0446】
本明細書に開示されるrAAVゲノムはAAV ITRを含み、これは、望ましい特徴を有し、ITRが組み込まれたベクターの活性およびそれに対する細胞応答をモジュレートするように設計され得る。別の実施形態では、AAV ITRは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,447433号に記述されるように、望ましい特徴を有し、1つまたは2つの合成ITRを含むベクターの活性およびそれに対する細胞応答を操作するように設計され得る、合成AAV ITRである。
【0447】
別の実施形態では、ITRは、天然に存在するITR、例えば、AAV2由来のITR2と比べて、改変された転写活性を示す。ITR2配列は、本質的に、プロモーター活性を有することが公知である。それは、本質的に、ポリ(A)配列に類似している終止活性も有する。本発明の最小の機能的ITRは、ITR2と比べて減少したレベルであるが、実施例に示されるように、転写活性を示す。そのため、一部の実施形態では、ITRは、転写について機能的である。他の実施形態では、ITRは、転写について欠陥がある。ある特定の実施形態では、ITRは、転写インスレーターとして作用することができ、例えば、ベクターが宿主染色体へ組み込まれる時に、ベクターに存在するトランスジェニックカセットの転写を防止する。
【0448】
本発明の一態様は、少なくとも1つの合成AAV ITRを含むrAAVベクターゲノムに関し、ITR中の1つまたは複数の転写因子結合部位のヌクレオチド配列は、ITR2などの天然に存在するAAV ITRの配列と比べて、欠失および/または置換されている。一部の実施形態では、それは、1つまたは複数の転写因子結合部位が欠失および/または置換されている最小の機能的ITRである。一部の実施形態では、少なくとも1つの転写因子結合部位、例えば、少なくとも5つもしくはそれよりも多く、または10もしくはそれよりも多くの転写因子結合部位、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21の転写因子結合部位が、欠失および/または置換されている。
【0449】
別の実施形態である、本明細書に記載されるrAAVベクターゲノムを含むrAAVベクターは、少なくとも1つの合成AAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、典型的には、ITR中の転写開始部位またはその近くで生じる1つまたは複数のCpGアイランド(シトシン塩基の直後にグアニン塩基が続き(CpG)、そこでは、そのような配置中のシトシンはメチル化される傾向がある)は、欠失および/または置換されている。実施形態では、CpGアイランドの欠失または数の低減は、rAAVベクターの免疫原性を低減することができる。これは、CpGアイランドで生じる、rAAVベクターDNA配列とのTLR-9の結合の低減または完全な阻害に起因する。CpGモチーフのメチル化が転写サイレンシングをもたらすことも周知である。ITR中のCpGモチーフの除去は、TLR-9認識の減少および/またはメチル化の減少、ならびにしたがって、導入遺伝子サイレンシングの減少をもたらすと予想される。一部の実施形態では、それは、1つまたは複数のCpGアイランドが欠失および/または置換されている最小の機能的ITRである。実施形態では、AAV ITR2は、16のCpGアイランドを含有することが公知であり、その1つもしくは複数、または16すべてが欠失され得る。
【0450】
一部の実施形態では、少なくとも1つのCpGモチーフ、例えば、少なくとも4つもしくはそれよりも多く、または8つもしくはそれよりも多くのCpGモチーフ、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のCpGモチーフが、欠失および/または置換されている。
【0451】
別の実施形態では、合成ITRは、表7にリストされるヌクレオチド配列の1つを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。他の実施形態では、合成ITRは、表7にリストされるヌクレオチド配列のいずれか1つと少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるヌクレオチド配列を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、ITRは、図1において改変ITR配列を開示するSamulski et al., 1983, Cell, 33; 135-143(「Samulski et al, 1983」を指し、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の図1に開示されている配列である。一部の実施形態では、ITR配列は、Samulski et al, 1993に開示される図1におけるITR配列の1つと少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるヌクレオチド配列を含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、ITRは、Samulski et al, 1983に開示される図1の中央パネルに開示されるpSM609右のITR配列(9bpを欠く)と少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくは99.5%同一であるヌクレオチド配列を含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、ITRは、配列番号441~444のいずれかのITR配列と少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくは99.5%同一であるヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ITR配列、例えば、右ITR(または、3’ITR)は、配列番号442、または配列番号442と少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくは99.5%同一であるヌクレオチド配列である。一部の実施形態では、ITR配列、例えば、左ITR(または、5’ITR)は、配列番号441、または配列番号441と少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくは99.5%同一であるヌクレオチド配列である。
【0452】
【表7-1】
【表7-2】
J.例示的なrAAVゲノムエレメント:
(i)AAV-LVR412
【0453】
一部の実施形態では、rAAVは、そのゲノム中に、5’から3’への方向に、5’AAV2-ITR(配列番号161)、スタッファーDNA(配列番号162)、SP0412 LSP(配列番号91)、Glucのためのコザック配列(配列番号153)、GAAポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号182)、3’UTR(配列番号77)、ポリA配列(配列番号164)、3’AAV-ITR配列(配列番号165)を含む構築物を含む。例示的な構築物は、配列番号154(LVR412_AskBioEU)として示される。配列番号161および165のITR配列を、異なるAAV血清型についての任意のITR配列、または配列番号441~444のいずれかから選択されるITRと容易に変更することができるだけでなく、配列番号77および配列番号164の代わりに、それぞれ、異なるUTR配列またはポリA配列を使用することができる。
【0454】
一部の実施形態では、rAAVは、そのゲノム中に、5’から3’への方向に、5’AAV2-ITR(配列番号161)、スタッファーDNA(配列番号162)、SP0412 LSP(配列番号91)、GAAポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号182)、3’UTR(配列番号77)、ポリA配列(配列番号166)、3’AAV-ITR配列(配列番号165)を含む構築物を含む。例示的な構築物は、配列番号155(ssAAV_LVR412WT-hGAA_AskBio_CHATHAM_Backbone_Ask)として示される。配列番号161および165のITR配列を、異なるAAV血清型についての任意のITR配列、または配列番号441~444のいずれかから選択されるITRと容易に変更することができるだけでなく、配列番号77および配列番号164の代わりに、それぞれ、異なるUTR配列またはポリA配列を使用することができる。
【0455】
AAV2-LVP422:
【0456】
一部の実施形態では、rAAVは、そのゲノム中に、5’から3’への方向に、5’AAV2-ITR(配列番号161)、スタッファーDNA、SP0422 LSP(配列番号92)、Glucのためのコザック配列(配列番号153)、GAAポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号55)、コラーゲン安定性配列(配列番号65)、ポリA配列(配列番号164)、3’AAV-ITR配列(配列番号165)を含む構築物を含む。例示的な構築物は、配列番号156(LVR412スタッファー)として示される。配列番号161および165のITR配列を、異なるAAV血清型についての任意のITR配列、または配列番号441~444のいずれかから選択されるITRと容易に変更することができるだけでなく、配列番号65および配列番号164の代わりに、それぞれ、異なるコラーゲン安定性配列またはポリA配列を使用することができる。
【0457】
一部の実施形態では、rAAVは、そのゲノム中に、5’から3’への方向に、5’AAV2-ITR(配列番号161)、スタッファーDNA、SP0422 LSP(配列番号92)、Glucのためのコザック配列(配列番号153)、GAAポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号182)、3’UTR配列(配列番号77)、必要に応じてAATAA停止シグナルを含むポリA配列(配列番号164)、3’AAV-ITR配列(配列番号165)を含む構築物を含む。例示的な構築物は、配列番号157(LVR422AskBio EU構築物)として示される。配列番号161および165のITR配列を、異なるAAV血清型についての任意のITR配列、または配列番号441~444のいずれかから選択されるITRと容易に変更することができるだけでなく、配列番号77および配列番号164の代わりに、それぞれ、異なるUTR配列またはポリA配列を使用することができる。
【0458】
配列番号160、159、155、158、156のrAAVゲノム中のITR配列を、異なるAAV血清型についての任意のITR配列、または配列番号441~444のITRと容易に変更することができるだけでなく、本明細書に開示されるように、異なるUTR配列またはポリA配列を使用することができる。
【0459】
一部の実施形態では、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、配列番号170(同族GAAシグナル配列、およびH199R、R223H改変を有するGAAポリペプチド)、または配列番号171(同族GAAシグナル配列、ならびにH199R、H201L、およびR223H改変を有するGAAポリペプチド)を含むGAAポリペプチドをコードする異種核酸配列を含む。配列番号170のGAAポリペプチドは、配列番号182の核酸配列によってコードされる。したがって、一部の実施形態では、rAAVベクターは、H199R、R223H改変を含む改変GAAポリペプチドをコードする配列番号182の核酸を含む。配列番号171のGAAポリペプチドは、配列番号182の塩基対(bp)667~669が、CACからUUA、UUG、CUU、CUC、CUA、CUGのいずれかに変更されているか(ヒスチジン(H)からロイシン(L)へのアミノ酸変更を生じる);または配列番号182のbp668が、AからUに変更される(ヒスチジン(H)からロイシン(L)へのアミノ酸変更をもたらす)、配列番号182の核酸配列によってコードされる。したがって、一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp667~669が、CACからUUA、UUG、CUU、CUC、CUA、CUGのいずれかに変更されているか;または配列番号182のbp668が、AからUに変更されている、配列番号182の核酸を含み、これは、H199R、H201LおよびR223H改変を含む改変GAAポリペプチドをコードする。
【0460】
一部の実施形態では、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、配列番号172(同族シグナルペプチドが、IgGシグナル配列およびH199R、R223H改変で置き換えられているGAAポリペプチド)もしくは配列番号172と少なくとも85%の配列同一性の配列、または配列番号173(同族シグナルペプチドが、wtIL2シグナル配列、ならびにH199RおよびR223H改変で置き換えられているGAAポリペプチド)もしくは配列番号173と少なくとも85%の配列同一性の配列、または配列番号174(同族シグナルペプチドが、mutIL3シグナル配列、ならびにH199RおよびR223H改変で置き換えられているGAAポリペプチド)もしくは配列番号174と少なくとも85%の配列同一性の配列のいずれかから選択されるGAAポリペプチドをコードする異種核酸配列を含む。
【0461】
一部の実施形態では、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、配列番号182のbp1~81が、配列番号177(IgGシグナル配列)の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号172のGAAポリペプチド(H199RおよびR223H改変を有するIgGリーダー-GAA)をコードする。一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp668が、AからUに変更されており、配列番号182のbp1~81が、配列番号177(IgGシグナルペプチド)またはそれと少なくとも85%の配列同一性の配列の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号172のGAAポリペプチド(H199R、H201L、およびR223H改変を有するIgGリーダー-GAA)をコードする。
【0462】
一部の実施形態では、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、配列番号182のbp1~81が、配列番号179(wt IL2シグナルペプチド)またはそれと少なくとも85%の配列同一性の配列の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号173のGAAポリペプチド(H199R、R223H改変を有するwt IL2シグナルペプチド-GAA)をコードする。一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp668が、AからUに変更されており、配列番号182のbp1~81が、配列番号179(wt IL2シグナルペプチド)またはそれと少なくとも85%の配列同一性の配列の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号173のGAAポリペプチド(H199R、H201L、R223H改変を有するwt IL2シグナルペプチド-GAA)をコードする。
【0463】
一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp1~81が、配列番号181(mutIL2シグナルペプチド)またはそれと少なくとも85%の配列同一性の配列の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号174のGAAポリペプチド(H199R、R223H改変を有するmutIL2シグナルペプチド-GAA)をコードする。一部の実施形態では、rAAVベクターは、配列番号182のbp668が、AからUに変更されており、配列番号182のbp1~81が、配列番号181(mut IL2シグナルペプチド)またはそれと少なくとも85%の配列同一性の配列の核酸で置き換えられている、配列番号182を含む異種核酸配列を含み、これは、配列番号174のGAAポリペプチド(H199R、H201LおよびR223H改変を有するmut IL2シグナルペプチド-GAA)をコードする。
III.ベクターおよびビリオン
【0464】
一実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクター(rAAVビリオンとも称される)は、カプシドタンパク質、およびカプシドタンパク質中にrAAVゲノムを含む。ポンペ病を処置するために使用されるrAAVビリオンのrAAVカプシドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2019年11月19日に出願された第62,937,556号に開示される表1にリストされたもののいずれか、またはそれらの任意の組合せである。
【0465】
一実施形態では、ポンペ病を処置するために使用されるrAAVビリオンのrAAVカプシドは、それらのそれぞれが、それらの全体が本明細書に組み込まれる国際出願のWO2020/102645およびWO2020/102667に開示される表1にリストされるもののいずれかである。一実施形態では、ポンペ病を処置するために使用されるrAAVビリオンのrAAVカプシドは、AAV8カプシドである。一実施形態では、rAAVベクターはrAAV8ベクターである。
【0466】
一実施形態では、本明細書に開示されるAAVベクター(rAAVビリオンとも称される)は、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれるWO2019/241324に開示されるもののいずれかからのカプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、rAAVベクターは、肝臓特異的カプシド、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2019/241324に開示されるXL32およびXL32.1から選択される肝臓特異的カプシドを含む。一部の実施形態では、rAAVベクターは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2019/241324に開示されるAAVXL32またはAAVXL32.1である。
【0467】
本明細書に記載されるrAAVベクターにおいてAAVカプシドとして使用され得る例示的なキメラまたはバリアントのカプシドタンパク質は、その参照において本明細書に具体的に組み込まれる2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号からの表2から選択することができ、あるいは野生型カプシドタンパク質、および/または現在公知であるか、もしくは後で特定され、本明細書にそれぞれ組み込まれる、他のキメラもしくはバリアントのカプシドタンパク質との任意の組合せで使用することができる。一部の実施形態では、使用のために包含されるrAAVベクターは、キメラベクター、例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる第9,012,224号およびUS7,892,809に開示されるキメラベクターである。
【0468】
一部の実施形態では、rAAVベクターは、米国出願のUS2018/0371496および第PCT/US18/22725号に開示されるハプロイドrAAVベクター、または、例えば、2018年7月31日に出願された第PCT/US2018/044632号および米国出願第16/151,110号に開示されるポリプロイドrAAVベクターであり、それらのそれぞれは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、rAAVベクターは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる第9,012,224号およびWO2017/106236に開示されるrAAV3ベクターである。
【0469】
特定の実施形態では、rAAVは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2019/241324に開示されるAAVXL32またはAAVXL32.1 AAVベクターである。一部の実施形態では、rAAVベクターは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるWO2019241324A1または国際特許出願第PCT/US2019/036676号に開示されるカプシドを含む。一部の実施形態では、AAVベクターは、AAV8ベクター、またはAAV8カプシドタンパク質を含む合理的ハプロイドである。一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、キメラAAVベクター、ハプロイドAAVベクター、ハイブリッドAAVベクター、またはポリプロイドAAVベクターである。一部の実施形態では、組換えAAVベクターは、合理的ハプロイドベクター、モザイクAAVベクター、化学修飾AAVベクター、または任意のAAV血清型由来、例えば、それらのそれぞれが、それらの全体が本明細書に組み込まれる国際出願のWO2020/102645およびWO2020/102667に開示される表1に開示される任意のAAV血清型由来のAAVベクターである。
【0470】
一部の実施形態では、AAVベクターは、WO2019241324A1に開示される配列番号1~3のいずれか1つのヌクレオチド配列または(b)WO2019241324A1に開示される配列番号4~6のいずれか1つをコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%同一である核酸AAVカプシドコード配列によってコードされるカプシドを含む。一部の実施形態では、AAVカプシドは、本発明のAAVベクターゲノムおよびAAVカプシドを含むAAV粒子と一緒に、WO2019241324A1に開示される配列番号4~6のいずれか1つと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。
【0471】
一実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターは、野生型カプシドタンパク質および/あるいは現在公知であるか、もしくは後で特定される他のキメラまたはバリアントのカプシドタンパク質との任意の組合せで本発明のAAVカプシドに組み込まれ得るキメラまたはバリアントのカプシドタンパク質を記載している、USPTOによって発行された特許および公開出願の包袋にリストされた以下の生物学的配列ファイルのいずれかに関連するカプシドタンパク質を含む(指示目的のために、11486254は米国特許出願第11/486,254号に対応し、他の生物学的配列ファイルも同様の方法で読み取られるべきである):11486254、11932017、12172121、12302206、12308959、12679144、13036343、13121532、13172915、13583920、13668120、13673351、13679684、14006954、14149953、14192101、14194538、14225821、14468108、14516544、14603469、14680836、14695644、14878703、14956934、15191357、15284164、15368570、15371188、15493744、15503120、15660906、および15675677。
【0472】
実施形態では、本発明のAAVカプシドタンパク質およびウイルスカプシドは、それらが、例えば、参照により組み込まれる国際特許公開のWO00/28004に記載される、別のウイルス、必要に応じて、別のパルボウイルスまたはAAVに由来するカプシドサブユニットのすべてまたは一部分を含み得るという点で、キメラであり得る。一部の実施形態では、rAAVベクターゲノムは、本明細書に組み込まれる米国特許第8,784,799号に記載される一本鎖または単量体二重鎖である。
【0473】
さらなる実施形態として、本発明のAAVカプシドタンパク質およびウイルスカプシドは、それらが、参照により組み込まれる米国出願のUS2018/0371496に記載される単一AAVカプシド中にVP1、VP2、およびVP3 AAV血清型の異なる組合せを含み得るという点で、ポリプロイド(ハプロイドとも称される)であり得る。
【0474】
実施形態では、本明細書に開示されるポンペ病の処置において有用なrAAVベクターは、AAV3bカプシドである。使用のために包含されるAAV3bカプシドは、第2017/106236号、および第9,012,224号、および第7,892,809号、ならびに2019年11月15日に出願された国際出願第PCT/US19/61653号、ならびに国際出願のWO2020/102645およびWO2020/102667に記載されており、それらのそれぞれは、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0475】
一部の実施形態では、AAV3bカプシドは配列番号44を含む。実施形態では、ポンペ病の処置において使用されるAAVカプシドは、配列番号44に記述されるAAVカプシドの全部または一部に由来する改変AAVカプシドであり得る。一部の実施形態では、配列番号44に記述されるAAV3bカプシド由来のアミノ酸は、異なるAAV血清型の別のカプシド由来のアミノ酸であり得るか、またはそれと置換されており、置換されたアミノ酸および/または挿入されたアミノ酸は、任意のAAV血清型由来であり得、天然に存在するか、または部分的もしくは完全に合成のアミノ酸のいずれかを含み得る。
【0476】
別の実施形態では、ポンペ病の処置において使用されるAAVカプシドは、AAV3b265Dカプシドである。この特定の実施形態では、AAV3b265Dカプシドは、AAV3bカプシドのアミノ酸G265のD265との置き換えを介した、AAV3bカプシドの2フォールド軸ループのアミノ酸配列における改変を含む。一部の実施形態では、AAV3b265Dカプシドは配列番号46を含む。しかしながら、本発明の改変ウイルスカプシドは、配列番号46に記述されるAAVカプシドに限定されない。一部の実施形態では、配列番号46に記述されるAAV3b265D由来のアミノ酸は、異なる血清型のAAVからのカプシド由来のアミノ酸であり得るか、またはそれと置換されており、置換されたアミノ酸および/または挿入されたアミノ酸は、任意のAAV血清型由来であり得、天然に存在するか、または部分的もしくは完全に合成のアミノ酸のいずれかを含み得る。
【0477】
別の実施形態では、本明細書に開示されるポンペ病の処置において有用なrAAVベクターは、AAV3b265D549Aカプシドである。この特定の実施形態では、AAV3b265D549Aカプシドは、AAV3bカプシドのアミノ酸G265のD265との置き換え、およびAAV3bカプシドのアミノ酸T549のA549との置き換えを介した、AAV3bカプシドの2フォールド軸ループのアミノ酸配列における改変を含む。一部の実施形態では、AAV3b265D549Aカプシドは配列番号50を含む。しかしながら、本発明の改変ウイルスカプシドは、配列番号50に記述されるAAVカプシドに限定されない。一部の実施形態では、配列番号50に記述されるAAV3b265D549A由来のアミノ酸は、異なる血清型のAAVからのカプシド由来のアミノ酸であり得るか、またはそれと置換されており、置換されたアミノ酸および/または挿入されたアミノ酸は、任意のAAV血清型由来であり得、天然に存在するか、または部分的もしくは完全に合成のアミノ酸のいずれかを含み得る。一部の実施形態では、AAV3bSASTG(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)に由来するアミノ酸は、異なる血清型のAAVからのカプシド由来のアミノ酸であり得るか、またはそれと置換されており、置換されたアミノ酸および/または挿入されたアミノ酸は、任意のAAV血清型由来であり得、天然に存在するか、または部分的もしくは完全に合成のアミノ酸のいずれかを含み得る。
【0478】
別の実施形態では、本明細書に開示されるポンペ病の処置において有用なrAAVベクターは、AAV3b549Aカプシドである。この特定の実施形態では、AAV3b549Aカプシドは、AAV3bカプシドのアミノ酸T549のA549との置き換えを介した、AAV3bカプシドの2フォールド軸ループのアミノ酸配列における改変を含む。一部の実施形態では、AAV3b549Aカプシドは配列番号52を含む。しかしながら、本発明の改変ウイルスカプシドは、配列番号52に記述されるAAVカプシドに限定されない。一部の実施形態では、配列番号52に記述されるAAV3b549A由来のアミノ酸は、異なる血清型のAAVからのカプシド由来のアミノ酸であり得るか、またはそれと置換されており、置換されたアミノ酸および/または挿入されたアミノ酸は、任意のAAV血清型由来であり得、天然に存在するか、または部分的もしくは完全に合成のアミノ酸のいずれかを含み得る。
【0479】
別の実施形態では、本明細書に開示されるポンペ病の処置において有用なrAAVベクターは、AAV3bQ263Yカプシドである。この特定の実施形態では、AAV3bQ263Yカプシドは、AAV3bカプシドのアミノ酸Q263のY263との置き換えを介した、AAV3bカプシドの2フォールド軸ループのアミノ酸配列における改変を含む。一部の実施形態では、AAV3b549Aカプシドは配列番号54を含む。しかしながら、本発明の改変ウイルスカプシドは、配列番号54に記述されるAAVカプシドに限定されない。一部の実施形態では、配列番号54に記述されるAAV3bQ263Y由来のアミノ酸は、異なる血清型のAAVからのカプシド由来のアミノ酸であり得るか、またはそれと置換されており、置換されたアミノ酸および/または挿入されたアミノ酸は、任意のAAV血清型由来であり得、天然に存在するか、または部分的もしくは完全に合成のアミノ酸のいずれかを含み得る。
【0480】
別の実施形態では、本明細書に開示されるポンペ病の処置において有用なrAAVベクターは、AAV3bSASTG血清型であるか、またはAAV3bSASTGカプシドを含む。この特定の実施形態では、AAV3bSASTGカプシドは、SASTG変異を含むようなアミノ酸配列における改変を含み、特に、AAV3bカプシドは、AAV2 Q263A/T265サブバリアントに似るように、AAV3bカプシド中の類似する位置においてこれらの改変を導入することによって、改変された(参照によりそれらの全体が本明細書に両方とも組み込まれる、Messina EL, et al., Adeno-associated viral vectors based on serotype 3b use components of the fibroblast growth factor receptor signaling complex for efficient transduction. Hum. Gene Ther. 2012 Oct: 23(10):1031-4、Piacentino III, Valentino, et al. "X-linked inhibitor of apoptosis protein-mediated attenuation of apoptosis, using a novel cardiac-enhanced adeno-associated viral vector." Human gene therapy 23.6 (2012): 635-646に開示される通り)。したがって、一部の実施形態では、本明細書に開示されるポンペ病の処置において有用なrAAVベクターは、AAV3bSASTG血清型であるか、またはAAV3b Q263A/T265カプシドを含むAAV3bSASTGカプシドを含む。一部の実施形態では、AAV3bSASTG由来のアミノ酸は、異なる血清型のAAVからのカプシド由来のアミノ酸であり得るか、またはそれと置換されており、置換されたアミノ酸および/または挿入されたアミノ酸は、任意のAAV血清型由来であり得、天然に存在するか、または部分的もしくは完全に合成のアミノ酸のいずれかを含み得る。
【0481】
細胞へのそれらの導入を容易にするために、本発明において有用なrAAVベクターゲノムは、(1)発現される異種配列(一実施形態では、GAAポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)、ならびに(2)異種遺伝子の組み込みおよび発現を容易にするウイルス配列エレメントを含む組換え核酸構築物である。ウイルス配列エレメントは、DNAの複製およびAAVカプシドへのパッケージングのための、シスで必要なAAVベクターゲノムの配列(例えば、機能的ITR)を含んでいてもよい。実施形態では、異種遺伝子は、ポンペ病を患っている患者におけるGAA欠損を直すために有用であるGAAをコードする。実施形態では、そのようなrAAVベクターゲノムはまた、マーカーまたはレポーター遺伝子を含有していてもよい。実施形態では、rAAVベクターゲノムは、その全部または一部が置き換えられたか、または欠失した、AAV3b野生型(WT)シス遺伝子の1つまたは複数を有し得るが、機能的隣接ITR配列を保持し得る。
【0482】
一実施形態では、ポンペ病の処置において有用な本明細書に開示されるrAAVベクターは、AAV3bカプシドによって被包された本明細書に開示されるrAAVゲノムを含む。一部の実施形態では、ポンペ病の処置において有用な本明細書に開示されるrAAVベクターは、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、またはAAV3bSASTG(すなわち、Q263A/T265)カプシドから選択される任意のAAV3bカプシドによって被包された本明細書に開示されるrAAVゲノムを含む。
【0483】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターは、AAV_LVR412_EU(配列番号154)、ssAAV_LVR412WT-hGAA_AskBio_CHATHAM(配列番号155)、AAV-LVR412Stuffer(配列番号156)、AAV_LVR422_EU(配列番号157)、AAV-LVR422_Stuffer(配列番号158)、ssAAV_LVR412_WT-hGAA CHATHAM(配列番号159)、ssAAV_LSP_WT-hGAA-CHATHAM(配列番号160)、またはそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%、もしくは98%の同一性を有する核酸配列のいずれかの核酸配列を含む。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、配列番号154~160のいずれかの核酸配列を含むrAAVベクターは、本明細書に開示される改変GAA核酸配列によって置き換えられたwtGAA配列を有することができる。
【0484】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターは、配列番号57(AAT-V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号58(ratFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号59(hFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号60(AAT-IGF2Δ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号61(FN1rat-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号62(hFN1-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69))、またはそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%、もしくは98%の同一性を有する核酸配列のいずれかの核酸配列を含む。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、rAAVベクターは、AAT_hIGF2-V43M_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号79);FIBrat_hIGF2-V43M_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号80);FIBhum_hIGF2-V43M_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号81);AAT_GILT_wtGAA_del1-69__Stuffer.V02(配列番号82);FIBrat_GILT_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号83);FIBhum_GILT_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02(配列番号84)、またはそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%、もしくは98%の同一性を有する核酸配列のいずれかの核酸配列を含む。
【0485】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターは、AAV_LVR412_EU(配列番号154)、ssAAV_LVR412WT-hGAA_AskBio_CHATHAM(配列番号155)、AAV-LVR412Stuffer(配列番号156)、AAV_LVR422_EU(配列番号157)、AAV-LVR422_Stuffer(配列番号158)、ssAAV_LVR412_WT-hGAA CHATHAM(配列番号159)、ssAAV_LSP_WT-hGAA-CHATHAM(配列番号160)、またはそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%、もしくは98%の同一性を有する核酸配列のいずれかの核酸配列を含む。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、配列番号154~160のいずれかの核酸配列を含むrAAVベクターは、本明細書に開示される改変GAA核酸配列によって置き換えられたwtGAA配列を有することができる。
IV.最適化されたrAAVベクターゲノム
【0486】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、最適化されたrAAVベクターゲノムは、本明細書に開示されるエレメントのいずれかから、プロモーターをコードする核酸配列、ITR、ポリAテイル、異種遺伝子の発現を増加または減少させることができるエレメント、および一実施形態では、in vivoでのGAAタンパク質の発現のためにコドン最適化された核酸配列(すなわち、coGAAまたはコドン最適化GAA)、および必要に応じて、免疫原性を低減する1つまたは複数のエレメントを含む任意の組合せで、作出される。そのような最適化されたrAAVベクターゲノムは、rAAVベクターゲノムが形質導入および発現される組織および細胞に対する向性を有する任意のAAVカプシドとともに使用することができる。
【0487】
一部の実施形態では、rAAVゲノムは、本明細書に開示される肝臓特異的プロモーターの上流に通常位置するAAV P5プロモーターを欠く。通常は、P5プロモーターは、AAV複製の間に、AAV rep/capタンパク質の発現を制御する。一部の実施形態では、このP5プロモーター断片は、本明細書に開示されるrAAVベクター中に存在し、これは、予測される転写因子結合部位、例えば、環状AMP応答エレメント結合タンパク質3(CREB3)を含有し、小胞体(ER)/ゴルジストレス(Sampieri 2019)、活性化転写因子2(ATF2)によって活性化され得、ストレス応答にも関与し(Watson 2017)、核内受容体サブファミリー1グループIメンバー2(NR1I2)(プレグナンX受容体[PXR]としても公知)は、肝臓において富化されることが公知であり、プレグナンステロイド、リファンピン、およびデキサメタゾン(NR1I2_HGNC)を含む他の分子によって活性化される(Xing 2020)。したがって、一部の実施形態では、rAAVゲノム中のAAV P5プロモーターの断片は、GAAカセットの意図される性能に影響を与えることなく、除去される。一部の実施形態では、rAAVベクターは、ポリAシグナルおよび3’ITRの間に位置するRNAポリメラーゼII終止配列も含む。例示的な末端配列は、2つの終止コドンを導入し、1つの制限部位(例えば、XhoI)をTAGに置き換える配列番号439であり、hGAAの最後のコードアミノ酸の直ぐ下流に位置し、3’UTRの直ぐ上流に位置する。
AAV3bカプシド改変
【0488】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターにおける使用のためのAAV3bカプシドは、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、またはそれらの両方が、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるNienaber et al., Hum. Gen Ther, 2012, 23(10); 1031-42およびPiacentino III, Valentino, et al. "X-linked inhibitor of apoptosis protein-mediated attenuation of apoptosis, using a novel cardiac-enhanced adeno-associated viral vector." Human gene therapy 23.6 (2012): 635-646に開示されるAAV3bSASTGカプシド(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)のいずれかと、例えば、約75%~約100%、約80%~約100%、約85%~約100%、約90%~約100%、約95%~約100%、約75%~約99%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%、約95%~約99%、約75%~約97%、約80%~約97%、約85%~約97%、約90%~約97%、または約95%~約97%の範囲のアミノ酸同一性を有する。この実施形態のまた他の態様では、AAV3bに由来するAAVは、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、Nienaber et al., Hum. Gen Ther, 2012, 23(10); 1031-42およびPiacentino III, Valentino, et al. "X-linked inhibitor of apoptosis protein-mediated attenuation of apoptosis, using a novel cardiac-enhanced adeno-associated viral vector." Human gene therapy 23.6 (2012): 635-646に開示されるAAV3bSASTGカプシド(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)についてのアミノ酸配列のいずれかと、例えば、約75%~約100%、約80%~約100%、約85%~約100%、約90%~約100%、約95%~約100%、約75%~約99%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%、約95%~約99%、約75%~約97%、約80%~約97%、約85%~約97%、約90%~約97%、または約95%~約97%の範囲のアミノ酸同一性を有するが、カプシドは、依然として機能的に活性なAAVタンパク質である。
【0489】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、AAV血清型(例えば、AAV3b)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるMessina EL, et al., Adeno-associated viral vectors based on serotype 3b use components of the fibroblast growth factor receptor signaling complex for efficient transduction. Hum. Gene Ther. 2012 Oct: 23(10):1031-42に記載されるSASTG変異を含む。
【0490】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターにおける使用のためのAAV3bカプシドは、例えば、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、もしくはAAV3bSASTGカプシド(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)(Nienaber et al., Hum. Gen Ther, 2012, 23(10); 1031-42に開示される通り)についてのアミノ酸配列のいずれかと比べて、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50個の連続するアミノ酸の欠失、付加、および/もしくは置換;またはAAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、AAV3bSASTGカプシド(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)(Nienaber et al., Hum. Gen Ther, 2012, 23(10); 1031-42に開示される通り)についてのアミノ酸配列のいずれかと比べて、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50個の連続するアミノ酸の欠失、付加、および/もしくは置換を有する。また別の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターにおける使用のためのAAV3bカプシドは、例えば、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、もしくはAAV3bSASTGカプシド(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)(Nienaber et al., Hum. Gen Ther, 2012, 23(10); 1031-42に開示される通り)についてのアミノ酸配列のいずれかと比べて、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50個の連続するアミノ酸の欠失、付加、および/もしくは置換;またはAAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、もしくはAAV3bSASTGカプシド(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)(Nienaber et al., Hum. Gen Ther, 2012, 23(10); 1031-42に開示される通り)についてのアミノ酸配列のいずれかと比べて、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50個の連続するアミノ酸の欠失、付加、および/もしくは置換を有するが、依然として機能的に活性なAAVである。
【0491】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターにおける使用のためのAAV3bカプシドは、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、AAV3bSASTGカプシド(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)(Nienaber et al., Hum. Gen Ther, 2012, 23(10); 1031-42に開示される通り)についてのアミノ酸配列のいずれかと、例えば、約75%~約100%、約80%~約100%、約85%~約100%、約90%~約100%、約95%~約100%、約75%~約99%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%、約95%~約99%、約75%~約97%、約80%~約97%、約85%~約97%、約90%~約97%、または約95%~約97%の範囲のアミノ酸同一性を有する。またさらなる実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターにおける使用のためのAAV3bカプシドは、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、AAV3bSASTGカプシド(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)(Nienaber et al., Hum. Gen Ther, 2012, 23(10); 1031-42に開示される通り)についてのアミノ酸配列のいずれかと、例えば、約75%~約100%、約80%~約100%、約85%~約100%、約90%~約100%、約95%~約100%、約75%~約99%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%、約95%~約99%、約75%~約97%、約80%~約97%、約85%~約97%、約90%~約97%、または約95%~約97%の範囲のアミノ酸同一性を有するが、依然として機能的に活性なAAVである。
V.処置の方法
A.ポンペ病
【0492】
本明細書に開示されるGAAタンパク質を発現する組換えAAVは、ポンペ病および他のグリコーゲン貯蔵障害(GSD)を処置するための方法において使用することができる。ポンペ病は、エネルギーのために使用される糖の貯蔵形態であるグリコーゲンを分解するために必要な酵素の酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)の欠損によって引き起こされるまれな遺伝性障害である。ポンペ病は、グリコーゲン貯蔵障害II型、GSD II、II型グリコーゲン貯蔵障害、糖原病II型、酸性マルターゼ欠損症、アルファ-1,4-グルコシダーゼ欠損症、びまん性糖原性心臓肥大、および全身性糖原病の心臓型としても公知である。グリコーゲンの集積は、身体全体にわたる進行性の筋力低下(ミオパチー)を引き起こし、さまざまな身体組織、特に、心臓、骨格筋、肝臓、呼吸器、および神経系に影響を与える。
【0493】
ポンペ病の主な臨床症状は、疾患開始の年齢および残ったGAA活性に応じて広く変わり得る。残ったGAA活性は、グリコーゲン蓄積の量および組織分布の両方だけでなく、疾患の重症度とも相関する。小児期に開始するポンペ病(正常なGAA活性の1%未満)は、最も重度の形態であり、筋緊張低下、全身性の筋力低下、および肥大型心筋症、ならびに心臓および他の筋肉組織における大量のグリコーゲン蓄積によって特徴付けられる。通常、心肺機能不全に起因して、生後1年以内に死亡が起こる。若年期に開始する(正常なGAA活性の1~10%)および成人で開始する(正常なGAA活性の10~40%)ポンペ病は、開始の年齢、臨床所見、および疾患進行におけるより大きな変動を伴って、臨床的により不均一である。若年期および成人で開始するポンペ病は、一般に、重度の心臓関与の欠如、より遅い開始の年齢、およびより遅い疾患進行によって特徴付けられるが、最終的な呼吸器または手足の筋肉の関与は、著しい病的状態および死亡率をもたらす。平均余命は変動し得るが、一般に、呼吸不全に起因して死亡が起こる。
【0494】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、ポンペ病を処置するために好適なGAA酵素としては、野生型ヒトGAA、または直鎖状のオリゴ糖のα1-4結合を切断する能力を保持するその断片もしくは配列バリアントが挙げられる。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、GAAタンパク質は、野生型GAA核酸配列、例えば、配列番号11または配列番号72によってコードされる。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、GAAタンパク質は、例えば、(1)in vivoでの増強された発現、(2)CpGアイランドを低減させるように、または(3)自然免疫応答を低減させるようにのいずれか1つまたは複数のためにコドン最適化されたGAA核酸配列によってコードされる。本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、GAAタンパク質は、コドン最適化GAA核配列、例えば、配列番号73、配列番号74、配列番号75および配列番号76、もしくは配列番号182、または配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、もしくは配列番号182と少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有する核酸配列のいずれかから選択される任意の核酸配列によってコードされる。
【0495】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、本明細書に記載されるrAAVベクターは、対象の肝臓を形質導入し、hGAAポリペプチドが、融合したIGF2配列の支援により、細胞に取り込まれ、リソソームへ輸送される、患者の組織を灌流する血液にhGAAポリペプチドを分泌し、そこで、酵素が、酵素欠損に起因するリソソームに蓄積した材料を排除するために作用する。リソソーム酵素補充療法が有効であるためには、治療用酵素は、蓄積の欠乏が現れている組織における適切な細胞中のリソソームに送達されなければならない。
B.ex vivoでの細胞におけるGAAレベルのモジュレート
【0496】
本明細書に記載される核酸、ベクター、およびビリオンは、細胞においてGAAのレベルをモジュレートするために使用することができる。方法は、2つのAAV ITRの間に挿入されたGAAをコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含む組成物を細胞に投与するステップを含む。細胞は、本発明の核酸が投与され得る任意の動物由来であり得る。GAA欠損症を有する対象由来の哺乳動物細胞(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ヤギなど)は、本発明における使用のための典型的な標的細胞である。一部の実施形態では、細胞は、肝臓細胞、または心筋細胞(myocardial cell)、例えば、心筋細胞(myocardiocyte)である。
【0497】
実施形態では、rAAVベクターで形質導入された細胞のex vivo送達が、本明細書に開示される。さらなる実施形態では、ex vivo遺伝子送達は、本明細書に開示されるrAAVベクターで形質導入された細胞を、宿主に戻して移植するために使用され得る。さらなる実施形態では、ex vivo幹細胞(例えば、間葉系幹細胞)療法は、本明細書に開示されるrAAVベクターで形質導入された細胞を、宿主に戻して移植するために使用され得る。別の実施形態では、好適なex vivoのプロトコールは、いくつかのステップを含み得る。
【0498】
一部の実施形態では、標的組織(例えば、筋肉、肝臓組織)のセグメントは、対象から回収され得、本明細書に記載されるrAAVベクターを使用して、GAAをコードする核酸を宿主の細胞に形質導入し得る。次いで、これらの遺伝子改変された細胞は、宿主に戻して移植され得る。静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、または標的組織へのその位置での注射を含むいくつかのアプローチが、宿主への細胞の再導入のために使用され得る。本明細書に記載されるrAAVベクターで形質導入または感染された改変ex vivo細胞のマイクロカプセル化は、本発明内で使用され得る別の技法である。自己および同種の細胞移植が、本発明に従って使用され得る。
【0499】
また別の実施形態では、対象におけるGAAの欠損を処置する方法であって、薬学的に許容される担体中で、治療有効量で本明細書に開示されるGAAを発現する細胞を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書に開示される。一部の実施形態では、対象はヒトである。
C.対象におけるGAA活性の増加
【0500】
本明細書に記載される核酸、ベクター、およびビリオンは、対象、例えば、ヒト対象、またはポンペ病を有する対象もしくはポンペ病を有する危険性がある対象において、機能的GAAポリペプチドのレベルをモジュレートするために使用することができる。方法は、2つのAAV ITRの間に挿入されたGAAをコードする異種核酸を含む本明細書に記載されるrAAVゲノムを含むrAAVベクターを含む組成物を対象に投与するステップを含み、hGAAは、本明細書に記載されるシグナルペプチド、および必要に応じて、本明細書に開示されるIGF2標的化ペプチドに連結されている。対象は、任意の動物であり得、例えば、哺乳動物(例えば、人間、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ヤギなど)は、好適な対象である。本発明の方法および組成物は、特に、GAA欠損ヒト対象に適用可能である。
【0501】
さらにまた、本明細書に記載される核酸、ベクター、およびビリオンは、任意の好適な方法によって、任意の好適な製剤で、人間を含む動物に投与され得る。例えば、本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムは、例えば、所望の投与の経路および標的にされる組織に応じて、経口、直腸、経粘膜、鼻腔内、吸入(例えばエアロゾルを介した)、頬側(例えば、舌下)、経膣、髄腔内、眼内、経皮、子宮内(または、卵内)、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内[骨格筋、横隔膜筋、および/または心筋への投与を含む]、皮内、胸膜内、大脳内、および関節内)、局所(例えば、皮膚および気道表面を含む粘膜表面の両方に、ならびに経皮投与)、リンパ内など、ならびに組織もしくは臓器への直接注射(例えば、肝臓、骨格筋、心筋、横隔膜筋、または脳に)、または他の非経口経路による投与を通して、動物に直接導入することができる
【0502】
一部の実施形態では、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、肝臓特異的プロモーターの制御下またはそれに動作可能に連結されたGAAをコードする核酸配列を含むので、本明細書に開示される方法および組成物は、静脈内または筋肉内注射を介して投与することができ、rAAVベクターまたはrAAVゲノムは、肝臓に移動し、GAAタンパク質を発現する。
【0503】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、筋肉への投与は、静脈内投与、動脈内投与、および/または腹腔内投与を含む任意の好適な方法によってであり得る。投与の例示的な機序としては、経口、直腸、経粘膜、鼻腔内、吸入(例えばエアロゾルを介した)、頬側(例えば、舌下)、経膣、髄腔内、眼内、経皮、子宮内(または、卵内)、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内[骨格筋、横隔膜筋、および/または心筋への投与を含む]、皮内、胸膜内、大脳内、および関節内)、局所(例えば、皮膚および気道表面を含む粘膜表面の両方に、ならびに経皮投与)、リンパ内など、ならびに組織または臓器への直接注射(例えば、肝臓、骨格筋、心筋、横隔膜筋、または脳に)が挙げられる。任意の所与の場合における最も好適な経路は、処置および/または予防される状態の性質および重症度に、ならびに使用される特定のベクターの性質に依存するであろう。
【0504】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、本発明による骨格筋への投与は、限定されるものではないが、手足(例えば、上腕、前腕、大腿、および/または下腿)、背部、頸部、頭部(例えば、舌)、胸部、腹部、骨盤/会陰、ならびに/または指の骨格筋への投与を含む。注射され得る好適な骨格筋は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号に開示されている。
【0505】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、対象の骨格筋、肝臓、横隔膜、肋骨、および/または心筋肉細胞に投与される。例えば、従来の注射器および針を、rAAVビリオン懸濁液を動物に注射するために使用することができる。注射によるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムの非経口投与は、例えば、ボーラス注射または連続注入によって行うことができる。注射用製剤は、単位剤形で、例えば、アンプル、または保存剤が添加された複数回用量の容器に提示され得る。組成物は、油性または水性の媒体中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤などの薬学的製剤のための薬剤を含有していてもよい。あるいは、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、使用前の好適な媒体、例えば、無菌のパイロジェンフリーの水による構成のための粉末形態であり得る(例えば、凍結乾燥され得る)。
【0506】
特定の実施形態では、2回以上の投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回など、またはそれよりも多くの投与)を、さまざまな間隔、例えば、時間単位、日単位、週単位、月単位、年単位などの期間にわたって、遺伝子発現の所望のレベルを達成するために用いてもよい。投薬は、単一投薬量、または累積的(連続投薬)であり得、当業者によって容易に決定することができる。例えば、疾患または障害の処置は、有効用量の本明細書に開示される医薬組成物ウイルスベクターの1回投与を含み得る。あるいは、疾患または障害の処置は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、数日ごとに1回、または週に1回などのある範囲の期間にわたって行われる、有効用量のウイルスベクターの複数回投与を含み得る。
【0507】
投与のタイミングは、個体の症状の重症度などの因子に応じて、個体ごとに変わり得る。例えば、有効用量の本明細書に開示されるウイルスベクターは、無期限で、または個体がもはや治療を必要としなくなるまで、6か月ごとに1回、個体に投与することができる。当業者は、個体の状態を、処置の経過の間中、モニタリングすることができること、および投与される本明細書に開示されるウイルスベクターの有効量をそれに従って調整することができることを認識するであろう。
【0508】
注射物質は、液状の溶液もしくは懸濁液、注射前に液体中の溶液もしくは懸濁液のために好適な固体の形態、またはエマルジョンとしてのいずれかの従来の形態で調製され得る。あるいは、全身よりもむしろ局所的な方法、例えば、デポーまたは持続放出製剤で、本発明のウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドを投与してもよい。さらに、ウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドは、外科的に植込み可能なマトリックスに付着させて、送達することができる(例えば、米国特許公開第US-2004-0013645-Al号に記載される通り)。本明細書に開示されるウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドは、任意の好適な手段によって、必要に応じて、対象が吸入するウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドから構成される吸入可能粒子のエアロゾル懸濁液を投与することによって、対象の肺に投与することができる。吸入可能粒子は、液体または固体であり得る。当業者に公知であるように、ウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドを含む液体粒子のエアロゾルは、圧力で駆動するエアロゾル噴霧器または超音波噴霧器などの任意の好適な手段によって生成され得る。例えば、米国特許第4,501,729号を参照されたい。ウイルスベクターおよび/またはカプシドを含む固体粒子のエアロゾルは、薬学分野において公知の技法によって、任意の固体粒子医薬エアロゾル発生器で同様に生成され得る。
【0509】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、本明細書に開示されるrAAVベクターを溶解させるために十分な量の溶媒、エマルジョン、または他の希釈剤中で製剤化することができる。この実施形態の他の態様では、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、本明細書において、例えば、約90%(v/v)未満、約80%(v/v)未満、約70%(v/v)未満、約65%(v/v)未満、約60%(v/v)未満、約55%(v/v)未満、約50%(v/v)未満、約45%(v/v)未満、約40%(v/v)未満、約35%(v/v)未満、約30%(v/v)未満、約25%(v/v)未満、約20%(v/v)未満、約15%(v/v)未満、約10%(v/v)未満、約5%(v/v)未満、または約1%(v/v)未満の量の溶媒、エマルジョン、または希釈剤中で製剤化され得る。他の態様では、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、例えば、約1%(v/v)~90%(v/v)、約1%(v/v)~70%(v/v)、約1%(v/v)~60%(v/v)、約1%(v/v)~50%(v/v)、約1%(v/v)~40%(v/v)、約1%(v/v)~30%(v/v)、約1%(v/v)~20%(v/v)、約1%(v/v)~10%(v/v)、約2%(v/v)~50%(v/v)、約2%(v/v)~40%(v/v)、約2%(v/v)~30%(v/v)、約2%(v/v)~20%(v/v)、約2%(v/v)~10%(v/v)、約4%(v/v)~50%(v/v)、約4%(v/v)~40%(v/v)、約4%(v/v)~30%(v/v)、約4%(v/v)~20%(v/v)、約4%(v/v)~10%(v/v)、約6%(v/v)~50%(v/v)、約6%(v/v)~40%(v/v)、約6%(v/v)~30%(v/v)、約6%(v/v)~20%(v/v)、約6%(v/v)~10%(v/v)、約8%(v/v)~50%(v/v)、約8%(v/v)~40%(v/v)、約8%(v/v)~30%(v/v)、約8%(v/v)~20%(v/v)、約8%(v/v)~15%(v/v)、または約8%(v/v)~12%(v/v)の範囲の量の溶媒、エマルジョン、または他の希釈剤を含み得る。
【0510】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、任意の血清型の、例えば、限定されるものではないが、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)、またはAAV3bSASTGカプシド(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)から選択される任意のAAV3bカプシドによって被包された、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、治療有効量の治療用化合物を含むことができる。実施形態では、本明細書で使用される場合、限定されないが、「有効量」という用語は、「治療有効量」、「有効用量」、または「治療有効用量」と同義である。実施形態では、ポンペ病を処置するための本明細書に開示される治療用化合物の有効性は、限定されないが、ポンペ病に関連する1つまたは複数の臨床症状および/または生理学的指標に基づいて、個体における改善を観察することによって決定することができる。実施形態では、ポンペ病に関連する症状の改善は、同時的治療の必要性の低減によって示され得る。
【0511】
本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムの送達を容易にするために、それを担体または賦形剤と混合することができる。使用され得る担体および賦形剤としては、生理食塩水(特に、滅菌されたパイロジェンフリーの生理食塩水)、塩類緩衝液(例えば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、および重炭酸緩衝液)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、およびグリセロールが挙げられる。USPグレードの担体および賦形剤は、ヒト対象へのビリオンの送達のために特に有用である。
【0512】
以前に記載された製剤に加えて、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、デポー調製物として製剤化することもできる。そのような長時間作用型製剤は、埋め込み(例えば、皮下または筋肉内)によって、またはIM注射によって投与され得る。そのため、例えば、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、好適なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂で、あるいは難溶性誘導体として、製剤化され得る。
【0513】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、方法は、対象におけるGAAの欠損に起因するポンペ病を処置することを対象とし、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、ポンペ病を患っている患者に投与され、投与後、GAAが肝臓における細胞から分泌され、骨格筋組織、心筋組織、横隔膜筋組織、またはそれらの組合せにおいて、分泌されたGAAの細胞による取り込みがあり、分泌されたGAAの取り込みは、組織におけるリソソームグリコーゲン貯蔵の低減をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、カプシドに被包されており、例えば、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)から選択される任意のAAV3bカプシドによって被包されている。
【0514】
特定の実施形態では、1用量あたり少なくとも約10~約10個の細胞または少なくとも約10~約10個の細胞が、薬学的に許容される担体中で投与される。さらなる実施形態では、対象に投与されるウイルスベクターおよび/またはカプシドの投薬量は、投与の機序、処置および/または予防される疾患または状態、個々の対象の状態、特定のウイルスベクターまたはカプシド、送達される核酸などに依存し、日常的な方法で決定することができる。治療効果を達成するための例示的な用量は、少なくとも約10、10、10、10、10、1010、1011、1012、10、1014、1015形質導入単位、必要に応じて、約10~1013形質導入単位の力価である。
【0515】
別の態様では、GAAをコードする核酸を細胞に投与する方法であって、核酸が細胞に導入され、GAAを産生するよう発現される条件下で、細胞を本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムと接触させるステップを含む、方法が本明細書に開示される。一部の実施形態では、細胞は培養細胞である。一部の実施形態では、細胞はin vivoでの細胞である。一部の実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、GAAをコードする核酸を細胞に投与する方法は、細胞培養培地に分泌されたGAAを収集するステップをさらに含む。
D.哺乳動物における運動ニューロン機能の増加
【0516】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、ポンペ病および/または不十分なGAAレベルを有する哺乳動物において横隔神経活性を増加させるための組成物および方法において有用である。例えば、本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムは、例えば、カプシドに被包された、例えば、AAV3bカプシド(配列番号44);AAV3b265Dカプシド(配列番号46)、AAV3b ST(S663V+T492V)カプシド(配列番号48)、AAV3b265D549Aカプシド(配列番号50);AAV3b549Aカプシド(配列番号52);AAV3bQ263Yカプシド(配列番号54)から選択される任意のAAV3bカプシドによって被包されたrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムを、中枢神経系(例えば、ニューロン)に投与することができる。別の実施形態では、GAAをコードする本明細書に開示されるrAAVベクターおよび/またはrAAVゲノムの横隔膜(または他の筋肉)から横隔神経または他の運動ニューロンへの逆行輸送は、ポンペ病の生化学的および生理学的な是正をもたらすことができる。これらの同じ原理を、他の神経変性疾患に適用することができる。
【0517】
実施形態では、表1に記載される任意の血清型、例えば、AAV8もしくはAAV3、またはAAV3b(限定されるものではないが、AAV3b血清型のAAV3b265D、AAV3b265D549A、AAV3b549A、AAV3bQ263Y、AAV3bSASTG(すなわち、Q263A/T265変異を含むAAV3bカプシド)血清型を含む)のrAAV GAA構築物は、(i)脚、躯幹、および/または腕を含む、患者の下肢における衰弱の感覚、(ii)息切れ、つらいエクササイズ、肺感染症、脊椎における大きな湾曲、睡眠中の呼吸困難、肝肥大、舌肥大、および/または関節のこわばり、(iii)ポンペ病を患っている患者における、症状のいずれか1つまたは複数を、同じ処置を受けていない患者と比較して、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減することができる。この実施形態の他の態様では、任意の血清型のAAV GAAは、(i)脚、躯幹、および/または腕を含む、患者の下肢における衰弱の感覚、(ii)息切れ、つらいエクササイズ、肺感染症、脊椎における大きな湾曲、睡眠中の呼吸困難、肝肥大、舌肥大、および/または関節のこわばり、(iii)ポンペ病を患っている患者における、症状のいずれか1つまたは複数を、同じ処置を受けていない患者と比較して、例えば、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減することができる。
【0518】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、ポンペ病に関連する少なくとも1つの症状、またはポンペ病に関連する少なくとも1つの有害な副作用を、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減し、ポンペ病に関連する少なくとも1つの症状、または少なくとも1つの有害な副作用の重症度を、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減する。別の実施形態では、ポンペ病に関連する少なくとも1つの症状、またはポンペ病に関連する少なくとも1つの有害な副作用を、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減する。
E.免疫抑制
【0519】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムを投与される対象は、免疫抑制剤も投与される。AAVを投与される患者の免疫応答の免疫抑制をもたらすためのさまざまな方法が、公知である。当技術分野において公知の方法は、プロテアソーム阻害剤などの免疫抑制剤を患者に投与するステップを含む。例えば、それらの両方が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,169,492号および米国特許出願第15/796,137号に開示される当技術分野において公知の1つのそのようなプロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブである。別の実施形態では、免疫抑制剤は、ポリクローナル、モノクローナル、scfv、または、例えば、抗体産生細胞の排除もしくは抑制を通して、免疫応答を抑制することができる他の抗体由来分子を含む抗体であり得る。さらなる実施形態では、免疫抑制エレメントは、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)であり得る。そのような実施形態では、shRNAのコード領域を、rAAVカセットに含め、一般に、ポリAテイルの下流の3’に位置させる。shRNAは、サイトカイン、成長因子(トランスフォーミング成長因子β1およびβ2、TNF、ならびに公に公知の他のものを含む)などの免疫刺激剤の発現を低減または排除するために標的にされ得る。
VI.他のリソソーム酵素によるGAAの置き換え
【0520】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物のいずれかでは、GAAポリペプチドをコードする核酸配列を、リソソーム酵素の核酸配列と置換することができる。本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムによる発現に好適なリソソーム酵素は、哺乳動物のリソソーム中で蓄積した物質を低減することができるか、または1つもしくは複数のリソソーム蓄積症の症状をレスキューもしくは回復させることができる任意の酵素を含む。好適なリソソーム酵素は、野生型または改変リソソーム酵素の両方を含み、組換え方法もしくは合成方法を使用して生成することができ、または天然源から精製することができる。例示的なリソソーム酵素を表5Aまたは表6Aにリストする。
【0521】
【表5A-1】
【表5A-2】
【0522】
本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、1つの特に好ましいリソソーム酵素は、グルコセレブロシダーゼであり、これは、現在、Genzymeによって組換え的に産生および製造され、ゴーシェ病のための酵素補充療法において使用されている。現在、組換え酵素は、マクロファージ系列の細胞に特異的なタンパク質を標的化する露出したマンノース残基を用いて調製される。1型ゴーシェ患者における主な病理は、グルコセレブロシドを蓄積するマクロファージに起因するが、他の細胞型にグルコセレブロシダーゼを送達することに治療上の利点が存在し得る。本発明を使用してグルコセレブロシダーゼをリソソームに標的化することで、薬剤を複数の細胞型に標的化し、他の調製物と比較して治療上の利点を有し得る。本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書に開示される方法において処置されるリソソーム病は、ポンペではない。本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態では、標的化ベクターまたはrAAVベクターにおいて核酸によってコードされるリソソーム酵素は、GAAではない。
【0523】
本発明の方法および組成物は、任意の治療剤を産生するため、およびそれを細胞内コンパートメントに送達するために有用であるが、本発明は、代謝性疾患を処置するための遺伝子産物を送達するために特に有用である。
【0524】
一部の実施形態では、リソソーム蓄積症(LSD)を処置するためのリソソーム酵素は、表5Aに示される。一部の実施形態では、リソソーム酵素は、ゴルジまたはERの欠乏に関連し、これは、表6Aに示される。好ましい実施形態では、本明細書に記載されるリソソーム酵素をコードするウイルスベクターは、同じリソソーム酵素遺伝子の欠乏を患っている患者に送達される。代替の実施形態では、リソソーム酵素遺伝子の機能的配列または種バリアントが使用される。さらなる実施形態では、リソソーム酵素遺伝子の欠乏をレスキューすることができる異なる酵素をコードする遺伝子は、本発明の方法に従う。
【0525】
【表6A】
【0526】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、標的化ベクターまたはrAAVは、表5Bまたは表6Bにおける配列のいずれかのタンパク質を発現する。
【0527】
【表5B-1】
【表5B-2】
【表5B-3】
【表5B-4】
【0528】
【表6B】
VII.投与
【0529】
一部の実施形態では、本明細書に記載される技術は、本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムを、リソソーム病またはリソソーム障害を有する対象に、例えば、ポンペ病を有する対象に投与するための方法および組成物に関する。一部の実施形態では、方法は、rAAVベクターを含むrAAVベクターの均一な集団を含む組成物を投与するステップを含み、rAAVベクターは、AAV3もしくはAAV8ベクター、または本明細書に開示されるAAV3もしくはAAV8由来の少なくとも1つのカプシドタンパク質を含むハプロイドrAAVベクターである。一部の実施形態では、対象は、本明細書に開示される異なるrAAVベクターのカクテル、例えば、肝臓細胞を標的化または形質導入するrAAVベクター、および筋肉細胞を標的化または形質導入するrAAVベクターを含む組成物を投与される。例示的な実施形態では、対象は、本明細書に開示される2つまたはそれよりも多くの異なるrAAVベクターのカクテルを含む組成物、例えば、本明細書に開示されるAAV3ベクターおよびAAV8ベクターを含む組成物を投与され、それぞれのAAVベクターは、本明細書に開示されるLSPに動作可能に連結されたGAAポリペプチドをコードする核酸を含む。
【0530】
一部の実施形態では、対象は、例えば、同じ時、またはその後に、本明細書に開示される2つまたはそれよりも多くの異なるrAAVベクターを同時投与される。例示的な目的だけのために、対象は、肝臓細胞を標的化または形質導入するrAAVベクターを含む組成物を投与され得、対象は、筋肉細胞を標的化または形質導入するrAAVベクターを含む組成物も同時投与される。例示的な実施形態では、対象は、本明細書に開示されるrAAVベクターを含む組成物、例えば、本明細書に開示されるLSPに動作可能に連結されたGAAポリペプチドをコードする核酸を含む本明細書に開示されるAAV3ベクターまたはそのバリアントを含む組成物を同時投与され、対象は、本明細書に開示される異なるrAAVベクターを含む組成物、例えば、本明細書に開示されるLSPに動作可能に連結されたGAAポリペプチドをコードする核酸を含むAAV8ベクターもしくはハプロイドAAVベクターを含む組成物も同時投与され、または代わりにLSPは、異なるプロモーター、例えば、筋肉特異的プロモーターで置き換えられる。
【0531】
対象に投与される本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムの投薬量は、投与の機序、処置および/または予防されるポンペ病または他の状態の重症度、個々の対象の状態、特定のウイルスベクターまたはカプシド、ならびに送達される核酸などに依存し、日常的な方法で決定することができる。治療効果を達成するための例示的な用量は、少なくとも約10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015形質導入単位、必要に応じて、約10~1013形質導入単位の力価である。
【0532】
さらなる実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムの対象への投与は、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、またはそれよりも長い循環半減期を有するGAAタンパク質の産生をもたらす。
【0533】
実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムの対象への投与の期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、またはそれよりも長い。さらなる実施形態では、投与が停止される間の期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、またはそれよりも長い。
【0534】
別の実施形態では、ポンペ病の処置のための本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムの投与は、例えば、少なくとも0.5ポンド、少なくとも1ポンド、少なくとも1.5ポンド、少なくとも2ポンド、少なくとも2.5ポンド、少なくとも3ポンド、少なくとも3.5ポンド、少なくとも4ポンド、少なくとも4.5ポンド、少なくとも5ポンド、少なくとも5.5ポンド、少なくとも6ポンド、少なくとも6.5ポンド、少なくとも7ポンド、少なくとも7.5ポンド、少なくとも8ポンド、少なくとも8.5ポンド、少なくとも9ポンド、少なくとも9.5ポンド、少なくとも10ポンド、少なくとも10.5ポンド、少なくとも11ポンド、少なくとも11.5ポンド、少なくとも12ポンド、少なくとも12.5ポンド、少なくとも13ポンド、少なくとも13.5ポンド、少なくとも14ポンド、少なくとも14.5ポンド、少なくとも15ポンド、少なくとも20ポンド、少なくとも25ポンド、少なくとも30ポンド、少なくとも50ポンドの体重の増加をもたらす。
【0535】
別の実施形態では、ポンペ病の処置のための本明細書に開示される任意の血清型のAAV GAAは、例えば、0.5ポンド~50ポンド、0.5ポンド~30ポンド、0.5ポンド~25ポンド、0.5ポンド~20ポンド、0.5ポンド~15ポンド、0.5ポンド~10ポンド、0.5ポンド~7.5ポンド、0.5ポンド~5ポンド、1ポンド~15ポンド、1ポンド~10ポンド、1ポンド~7.5ポンド、1ポンド~5ポンド、2ポンド~10ポンド、2ポンド~7.5ポンドの体重の増加をもたらす。
A.医薬組成物
[001]
本明細書に開示される投与の方法における使用のための本明細書に開示されるrAAVベクターは、薬学的に許容される賦形剤、すなわち、1つまたは複数の薬学的に許容される担体物質および/または添加物、例えば、緩衝液、担体、賦形剤、安定化剤などと、医薬組成物に製剤化することができる。医薬組成物は、キットの形態で提供されてもよい。本明細書に開示される投与の方法における使用のための本明細書に開示されるrAAVベクターを含む医薬組成物、およびその使用は、当技術分野において公知である。
[002]
したがって、本発明のさらなる態様は、本明細書に開示される投与の方法における使用のための本明細書に開示されるrAAVベクターを含む医薬組成物を提供する。本開示による医薬組成物中の活性成分(例えば、本明細書に開示されるrAAVベクター)、薬学的に許容される賦形剤、および/または任意の追加成分の相対量は、処置される対象のアイデンティティー、サイズ、および/または状態に応じて、ならびに組成物が投与される経路にさらに応じて、変わり得る。例えば、組成物は、0.1パーセント~99パーセント(w/w)の間の活性成分を含んでいてもよい。例として、組成物は、0.1パーセント~100パーセントの間、例えば、5~50パーセントの間、1~30パーセントの間、5~80パーセントの間、少なくとも80パーセント(w/w)の活性成分を含んでいてもよい。
[003]
医薬組成物は、(1)安定性を増加させる;(2)細胞のトランスフェクションもしくは形質導入を増加させる;(3)ペイロードの持続放出もしくは遅延放出を可能にする;(4)生体内分布を変更する(例えば、特異的な組織または細胞型にウイルス粒子を標的化する);(5)コードされるタンパク質の翻訳を増加させる;(6)コードされるタンパク質の放出プロファイルを変更する、ならびに/または(7)本発明のペイロードの調節可能な発現を可能にするために、1つまたは複数の賦形剤または希釈剤を使用して、製剤化することができる。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも95パーセント、少なくとも96パーセント、少なくとも97パーセント、少なくとも98パーセント、少なくとも99パーセント、または100パーセント純粋であり得る。一部の実施形態では、賦形剤は、ヒト用の使用のため、および獣医学的使用のために承認されている。一部の実施形態では、賦形剤は、米国食品医薬品局によって承認されていてもよい。一部の実施形態では、賦形剤は、医薬グレードのものであり得る。一部の実施形態では、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、および/または国際薬局方の基準を満たし得る。本明細書で使用される場合、賦形剤としては、限定されるものではないが、特定の所望の剤形に適するような、ありとあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体媒体、分散もしくは懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤、または乳化剤、保存剤などが挙げられる。医薬組成物を製剤化するためのさまざまな賦形剤および組成物を調製するための技法は、当技術分野において公知である(その全体が参照により本明細書に組み込まれるRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21 st Edition, A. R. Gennaro, Lippincott, Williams and Wilkins, Baltimore, MD, 2006を参照されたい)。例えば、任意の望ましくない生物学的効果を生じる、またはそうでなければ医薬組成物の任意の他の構成成分と有害な方法で相互作用することによって、任意の従来の賦形剤媒体が物質またはその誘導体と適合し得ない場合を除いて、従来の賦形剤媒体の使用は、本開示の範囲内で企図され得る。
[004]
本明細書に開示される投与の方法における使用のための本明細書に開示されるrAAVベクターは、1つまたは複数の他の治療剤、予防剤、研究剤、または診断剤と組み合わせて使用されてもよい。「と組み合わせて」とは、薬剤が、同じ時に投与されなければならないか、および/または一緒の送達のために製剤化されなければならないことを意味することを意図するものではないが、これらの送達の方法は、本発明の範囲内である。組成物は、1つもしくは複数の他の所望の治療薬もしくは医療手順と同時的に、その前に、またはその後に投与することができる。一部の実施形態では、1つの処置(例えば、遺伝子治療ベクター)の送達は、第2の送達(例えば、1つまたは複数の治療薬)が開始する時に、依然として起こっており、その結果、投与に関して重複が存在する。これは、本明細書では、「同時」または「同時的送達」と称される場合がある。他の実施形態では、1つの処置の送達は、他の処置の送達を開始する前に終わる。いずれかの場合の一部の実施形態では、処置は、併用投与のために、より有効である。例えば、第2の処置は、より有効である、例えば、同等の効果が、少ない第2の処置で見られる、もしくは第2の処置が、第2の処置が第1の処置の非存在で投与される場合に見られるよりも、高い程度で症状を低減する、または類似の状況が第1の処置で見られる。一部の実施形態では、送達は、症状または障害に関する他のパラメーターの低減が、他のものの非存在下で送達された1つの処置で観察されるであろうものよりも大きいようなものである。2つの処置の効果は、部分的に相加的、全体的に相加的、または相加的よりも高くあり得る。送達は、送達される第1の処置の効果が、第2が送達される場合に、依然として検出可能であるようなものであり得る。本明細書に記載される組成物、および少なくとも1つの追加治療は、同時に、同じもしくは別々の組成物で、または逐次的に、投与することができる。逐次的投与のために、本明細書に記載される遺伝子治療ベクターを、最初に投与することができ、1つもしくは複数の治療薬を2番目に投与することができ、または投与の順序を逆転することができる。遺伝子治療ベクター、および1つまたは複数の治療薬は、活動性の障害の期間の間、または寛解もしくは活動性が低い疾患の期間の間に投与することができる。遺伝子治療ベクターは、別の処置の前、処置と同時的に、処置後、または障害の寛解の間に投与することができる。
[005]
組合せで投与される場合、本明細書に開示される投与の方法における使用のための本明細書に開示されるrAAVベクター、および1つもしくは複数の治療薬(例えば、第2または第3の治療薬)、またはすべては、個々に、例えば、単剤療法として、それぞれ使用される量または投薬量よりも高い、それよりも低い、または同じ、量または用量で投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される投与の方法における使用のための本明細書に開示されるrAAVベクター、および1つもしくは複数の治療薬(例えば、第2または第3の薬剤)、またはすべての投与される量または投薬量は、個々にそれぞれ使用される量または投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%)。他の実施形態では、所望の効果(例えば、心臓血管疾患または心臓疾患の処置)をもたらす、本明細書に開示される投与の方法における使用のための本明細書に開示されるrAAVベクター、および1つもしくは複数の治療薬(例えば、第2または第3の薬剤)、またはすべての量または投薬量は、同じ治療効果を達成するために個々にそれぞれ必要な量または投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低い)。
[006]
一部の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターの投与の方法は、本明細書に開示されるrAVVベクターを、単独で、または追加薬剤、例えば、本明細書に開示される免疫モジュレーターと組み合わせて、送達することができる。
B.免疫モジュレーター:
【0536】
一部の実施形態では、リソソーム病、例えば、ポンペを処置するための、本明細書に記載されるAAVベクターおよびAAVゲノムを使用する方法および組成物は、免疫モジュレーターを投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、免疫モジュレーターは、rAAVベクターの投与の時に、rAAVベクターの投与の前に、またはrAAVベクターの投与の後に投与することができる。
【0537】
一部の実施形態では、免疫モジュレーターは、IdeS、IdeZ、IdeS/Z、Endo S、またはそれらの機能的バリアントなどの免疫グロブリンを分解する酵素である。そのような免疫グロブリンを分解する酵素およびそれらの使用の参照の非限定的な例は、US7,666,582、US8,133,483、US20180037962、US20180023070、US20170209550、US8,889,128、WO2010/057626、US9,707,279、US8,323,908、US20190345533、US20190262434、およびWO2020/016318に記載されており、それらのそれぞれは、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0538】
一部の実施形態では、免疫モジュレーターはプロテアソーム阻害剤である。ある特定の態様では、プロテアソーム阻害剤はボルテゾミブである。実施形態の一部の態様では、免疫モジュレーターは、ボルテゾミブ、および抗CD20抗体のリツキシマブを含む。実施形態の他の態様では、免疫モジュレーターは、ボルテゾミブ、リツキシマブ、メトトレキサート、および静脈内ガンマグロブリンを含む。プロテアソーム阻害剤、ならびにリツキシマブ、メトトレキサートおよび静脈内ガンマグロブリンとのそれらの組合せを開示するそのような参照の非限定的な例は、US10,028,993、US9,592,247、およびUS8,809,282に記載されており、それらのそれぞれは、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0539】
代替の実施形態では、免疫モジュレーターは、NF-kB経路の阻害剤である。実施形態のある特定の態様では、免疫モジュレーターは、ラパマイシン、または機能的バリアントである。US10,071,114、US20160067228、US20160074531、US20160074532、US20190076458、US10,046,064に記載されるラパマイシンおよびその使用を開示する参照の非限定的な例は、それらの全体が組み込まれる。実施形態の他の態様では、免疫モジュレーターは、免疫抑制薬を含む合成ナノキャリアである。免疫抑制薬、合成ナノキャリアにカップリングされた免疫抑制薬、ラパマイシンを含む合成ナノキャリア、および/または寛容原性合成ナノキャリア、それらの用量、投与、ならびに使用の参照の非限定的な例は、US20150320728、US20180193482、US20190142974、US20150328333、US20160243253、US10,039,822、US20190076522、US20160022650、US10,441,651、US10,420,835、US20150320870、US2014035636、US10,434,088、US10,335,395、US20200069659、US10,357,483、US20140335186、US10,668,053、US10,357,482、US20160128986、US20160128987、US20200038462、US20200038463に記載されており、それらのそれぞれは、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0540】
一部の実施形態では、免疫モジュレーターは、US20200038463、米国特許第9,006,254号に開示されるように、ラパマイシンを含む合成ナノキャリア(ImmTOR(商標)ナノ粒子)(Kishimoto, et al., 2016, Nat Nanotechnol, 11(10): 890-899;Maldonado, et al., 2015, PNAS, 112(2): E156-165)であり、それらのそれぞれは、その全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、免疫モジュレーターは、操作された細胞、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2017192786に開示されるSQZ技術を使用して改変された免疫細胞である。
【0541】
一部の実施形態では、免疫モジュレーターは、ポリICLC、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA-51、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PEPTEL、ベクター系、PLGA微小粒子、レシキモド、SRL172、ビロソームおよび他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、ベータ-グルカン、Pam3Cys、ならびにAquilaのQS21 stimulonからなる群から選択される。別のさらなる実施形態では、免疫モジュレーターまたはアジュバントは、ポリICLCである。
【0542】
一部の実施形態では、免疫モジュレーターは、クロロキン(TLRシグナル伝達阻害剤)および2-アミノプリン(PKR阻害剤)などの細胞における自然免疫応答を阻害する小分子であり、本明細書に開示される少なくとも1つのrAAVを含む組成物と組み合わせて投与することもできる。市販のTLRシグナル伝達阻害剤のいくつかの非限定的な例としては、BX795、クロロキン、CLI-095、OxPAPC、ポリミキシンB、およびラパマイシン(すべてINVIVOGEN(商標)から購入可能)が挙げられる。加えて、2-アミノプリン、BX795、クロロキン、およびH-89などのパターン認識受容体(PRR)の阻害剤(自然免疫シグナル伝達に関与する)も、本明細書に開示されるin vivoタンパク質発現のために、本明細書に開示される少なくとも1つのrAAVベクターを含む組成物および方法において使用することができる。
【0543】
一部の実施形態では、rAAVベクターは、NLRX1などの自然免疫の負の調節因子をコードすることもできる。したがって、一部の実施形態では、rAAVベクターは、必要に応じて、NLRX1、NS1、NS3/4A、もしくはA46Rの1つもしくは複数、またはそれらの任意の組合せをコードすることもできる。加えて、一部の実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのrAAVベクターを含む組成物は、組織または対象によって生じる自然免疫応答を回避するために、自然免疫系の阻害剤をコードする合成改変RNAを含むこともできる。
【0544】
一部の実施形態では、本明細書に開示される投与方法における使用のための免疫モジュレーターは、免疫抑制剤である。本明細書で使用される場合、「免疫抑制薬または免疫抑制剤」という用語は、正常な免疫機能を阻害または妨げる医薬品を含むことを意図する。本明細書に開示される方法に好適な免疫抑制剤の例としては、T細胞/B細胞共刺激経路を阻害する薬剤、例えば、米国特許公開第2002/0182211号に開示されるCTLA4およびB7経路を介してT細胞およびB細胞のカップリングを妨げる薬剤が挙げられる。一実施形態では、免疫抑制剤はシクロスポリンAである。他の例としては、ミコフェノール酸モフェチル(myophenylate mofetil)、ラパマイシン(rapamicin)、および抗胸腺細胞グロブリンが挙げられる。一実施形態では、免疫抑制薬は、本明細書に開示される少なくとも1つのrAAVベクターを含む組成物中で投与されるか、または別々の組成物中であるが、本明細書に開示される投与の方法に従って、少なくとも1つのrAAVベクターを含む組成物の投与と同時に、もしくはその前に、もしくはその後に投与することができる。免疫抑制薬は、投与の経路に適合する製剤で投与され、所望の治療効果を達成するのに十分な投薬量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫抑制薬は、本明細書に開示されるrAAVベクターに対する耐性を誘導するのに十分な時間、一時的に投与される。
【0545】
本明細書に開示される方法および組成物の任意の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVベクターまたはrAAVゲノムを投与される対象は、免疫抑制剤も投与される。AAVを投与される患者の免疫応答の免疫抑制をもたらすためのさまざまな方法が、公知である。当技術分野において公知の方法は、プロテアソーム阻害剤などの免疫抑制剤を患者に投与するステップを含む。例えば、それらの両方が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,169,492号および米国特許出願第15/796,137号に開示される当技術分野において公知の1つのそのようなプロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブである。一部の実施形態では、免疫抑制剤は、ポリクローナル、モノクローナル、scfv、または、例えば、抗体産生細胞の排除もしくは抑制を通して、免疫応答を抑制することができる他の抗体由来分子を含む抗体であり得る。さらなる実施形態では、免疫抑制エレメントは、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)であり得る。そのような実施形態では、shRNAのコード領域を、rAAVカセットに含め、一般に、ポリAテイルの下流の3’に位置させる。shRNAは、サイトカイン、成長因子(トランスフォーミング成長因子β1およびβ2、TNF、ならびに公に公知の他のものを含む)などの免疫刺激剤の発現を低減または排除するために標的にされ得る。
【0546】
そのような免疫モジュレート剤の使用は、何か月および/または何年にもわたって、複数の投薬(例えば、複数回投与)を使用する能力を容易にする。これは、下記で議論される複数の薬剤、例えば、複数の遺伝子をコードするrAAVベクター、または対象への複数回投与を使用することを可能にする。
【0547】
本明細書に開示される技術の組成物および方法のすべての態様を、以下の番号付けられた項のいずれか1つまたは複数において定義することができる。
1.そのゲノム中に、(a)5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに(b)5’および3’ITRの間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする異種核酸配列であって、異種核酸が、肝臓特異的プロモーターに動作可能に連結されている、異種核酸配列を含む組換えアデノウイルス随伴(AAV)ベクター。
2.GAAポリペプチドをコードする異種核酸配列が、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸の5’に位置するシグナルペプチドをさらに含むか、またはGAAポリペプチドをコードする異種核酸配列が、GAAポリペプチドのN末端にIGF2標的化ペプチドをさらに含む、項1に記載の組換えAAVベクター。
3.GAAポリペプチドをコードする異種核酸配列が、分泌シグナルペプチドおよびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドの間に位置するIGF2標的化ペプチドをさらに含むか、またはGAAポリペプチドをコードする異種核酸配列が、GAAポリペプチドのN末端にIGF2標的化ペプチドをさらに含む、項1に記載の組換えAAVベクター。
4.AAVゲノムが、5’から3’への方向に、(a)5’ITR、(b)肝臓特異的プロモーター配列、(c)イントロン配列、(d)分泌シグナルペプチドをコードする核酸、(e)アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、(f)ポリA配列、および(g)3’ITRを含む、項1~3のいずれかに記載の組換えAAVベクター。一部の実施形態では、イントロン配列(c)は存在しない。
5.AAVゲノムが、5’から3’への方向に、(a)5’ITR、(b)肝臓特異的プロモーター配列、(c)イントロン配列、(d)IGF2標的化ペプチドをコードする核酸、(e)アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、(f)ポリA配列、および(g)3’ITRを含む、項1~3のいずれかに記載の組換えAAVベクター。一部の実施形態では、イントロン配列(c)は存在しない。
6.AAVゲノムが、5’から3’への方向に、(a)5’ITR、(b)肝臓特異的プロモーター配列、(c)イントロン配列、(d)分泌シグナルペプチドをコードする核酸、(e)IGF2標的化ペプチドをコードする核酸、(f)アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、(g)ポリA配列、および(h)3’ITRを含む、項1~6のいずれかに記載の組換えAAVベクター。一部の実施形態では、イントロン配列は存在しない。
7.分泌シグナルペプチドが、AATシグナルペプチド、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、GAAシグナルペプチド、または分泌シグナル活性を有するそれらの活性断片から選択される、項1~6のいずれかに記載の組換えAAVベクター。例えば、分泌シグナルペプチドをコードする核酸は、AATシグナルペプチド(例えば、配列番号17)、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)(例えば、配列番号18~21)、同族GAAシグナルペプチド(配列番号175)、hIGF2シグナルペプチド(例えば、配列番号22)、IgG1リーダーペプチド(配列番号177)、wtIL2リーダーペプチド(配列番号179)、変異型IL2リーダーペプチド(配列番号181)、または分泌シグナル活性を有するそれらの活性断片、例えば、配列番号17~22、175、177、179もしくは181と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸から選択することができる。
8.IGF2標的化ペプチドが、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)またはIGF2受容体と結合する、項1~7のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
9.IGF2標的化ペプチドが、配列番号5を含むか、あるいはCI-MPR受容体との結合に影響を与えないか、または1つもしくは複数のIGF結合タンパク質(IGFBP、例えば、IGFBP1~6)とのその結合を低減させる、配列番号5における少なくとも1つのアミノ改変を含む、項1~5のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
10.配列番号5における少なくとも1つのアミノ改変が、V43Mアミノ酸改変(配列番号8または配列番号9)、またはΔ2~7(配列番号6)、またはΔ1~7(配列番号7)である、項1~9のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
11.肝臓特異的プロモーターが、本明細書の表4、または2019年11月19日に出願された仮出願第62,937,556号の表4Aもしくは4Bにリストされた配列のいずれかのプロモーター、あるいはそれらの機能的バリアントまたはそれらの機能的断片である、項1~10のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
12.肝臓特異的プロモーターが、CRM_SP0412(配列番号86)もしくはSP0412(配列番号91)、または配列番号86もしくは配列番号91に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片を含む、項1~10のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
13.肝臓特異的プロモーターが、(i)SP0422(配列番号92)、または配列番号92に対して少なくとも60%の活性を有するその機能的バリアントもしくは機能的断片;(ii)CRM_SP0239(配列番号87)もしくはSP0239(配列番号93)もしくはSP0238-UTR(配列番号147)、または配列番号87、配列番号93もしくは配列番号147に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;(iii)CRM_SP0265(SP0131_A1)(配列番号88)もしくはSP0265(LVR_SP0131_A1)(配列番号94)もしくはSP0265-UTR(配列番号146)、または配列番号88、配列番号94もしくは配列番号146に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;(iv)CRM_SP0240(配列番号89)もしくはSP0240(配列番号95)もしくはSP0240-UTR(配列番号148)、または配列番号89、配列番号95もしくは配列番号148に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;(v)CRM_SP0246(配列番号90)もしくはSP0246(配列番号96)もしくはSP0246-UTR(配列番号149)、または配列番号90、配列番号96もしくは配列番号149に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片のいずれかから選択される、項1~12のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
14.核酸配列が、野生型GAAポリペプチドまたは改変GAAポリペプチドをコードする、項1~13のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
15.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、ヒトGAA遺伝子、またはヒトコドン最適化GAA遺伝子(coGAA)、または改変GAA核酸配列である、項1~14のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
16.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、in vivoでの増強された発現のためにコドン最適化されている、項1~15のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
17.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、CpGアイランドを低減するようにコドン最適化されている、項1~16のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
18.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、自然免疫応答を低減するように、またはCpGアイランドを低減するように、または自然免疫応答を低減し、かつ自然免疫応答を低減するように、コドン最適化されている、項1~17のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
19.核酸配列が、配列番号10のH201L、H199R、またはR233Hから選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つすべてのアミノ酸改変を含むGAAポリペプチドをコードする、項1~18のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
20.コードされたポリペプチドが、GAAポリペプチドのアミノ末端およびIGF2標的化ペプチドのC末端に位置する少なくとも1個のアミノ酸に対するヌクレオチド配列を含むスペーサーをさらに含む、項1~19のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
21.IGF2標的化ペプチドをコードする核酸およびGAAポリペプチドをコードする核酸の間に位置する少なくとも1個のアミノ酸のスペーサーをコードする核酸をさらに含む、項1~20のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
22.GAA遺伝子をコードする核酸の3’および3’ITR配列の5’に位置する少なくとも1つのポリA配列をさらに含む、項1~21のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
23.異種核酸配列が、GAAポリペプチドをコードする核酸の3’および3’ITR配列の5’に位置するコラーゲン安定性(CS)配列をさらに含む、項1~22のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
24.GAAポリペプチドをコードする核酸およびポリA配列の間に位置するコラーゲン安定性(CS)配列をコードする核酸さらに含む、項1~23のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
25.分泌シグナルペプチドをコードする配列の5’およびプロモーターの3’に位置するイントロン配列をさらに含む、項1~24のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
26.イントロン配列が、MVM配列、SV40配列、またはHBB2配列を含み、MVM配列が、配列番号13の核酸配列、または配列番号13と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列を含み、HBB2配列が、配列番号14の核酸配列、または配列番号14と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列を含む、項1~25のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
27.ITRが、挿入、欠失、または置換を含む、項1~26のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
28.ITRにおける1つまたは複数のCpGアイランドが除去されている、項1~27のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
29.a.異種核酸配列が、
1.フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片(例えば、FN1シグナルペプチドは、配列番号18~21のいずれかの配列、または配列番号18~21のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する)、
2.AATシグナルペプチド(例えば、配列番号17)、または配列番号17のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
3.hIGF2シグナルペプチド(例えば、配列番号22)、または配列番号22のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
4.IgG1リーダーペプチド(配列番号177)、または配列番号177のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
5.wtIL2リーダーペプチド(配列番号179)、または配列番号179のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
6.変異型IL2リーダーペプチド(配列番号181)、または配列番号181のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列
から選択される分泌シグナルペプチドをコードし、
b.異種核酸配列が、配列番号11、配列番号72もしくは配列番号182、または配列番号11、配列番号72もしくは配列番号182と少なくとも60%、もしくは70%、もしくは80%、85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有する核酸配列からなる群のいずれかから選択されるGAAポリペプチドをコードし、および必要に応じて、核酸配列が、配列番号10のH201L、H199R、またはR233Hから選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つすべてのアミノ酸改変を有するGAAポリペプチドをコードする、
項1~28のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
30.異種核酸が、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9のいずれかから選択されるIGF2標的化ペプチド、または配列番号5~9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドもコードする、項29に記載の組換えAAVベクター。
31.コードされた分泌シグナルペプチドが、AATシグナルペプチド、または分泌シグナル活性を有するその活性断片であり(例えば、AATシグナルペプチドは、配列番号17の配列、または配列番号17と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する)、異種核酸配列が、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9のいずれかから選択されるIGF2標的化ペプチド、または配列番号5~9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドをコードする、項1~30のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
32.IGF2標的化ペプチドが、配列番号8もしくは配列番号9、または配列番号8もしくは9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドである、項1~31のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
33.キメラAAVベクター、ハプロイドAAVベクター、ハイブリッドAAVベクター、ポリプロイドAAVベクター、合理的ハプロイドベクター、モザイクAAVベクター、化学修飾AAVベクター、または任意のAAV血清型、例えば、国際出願のWO2020/102645およびWO2020/102667に開示される表1にリストされる任意の血清型由来のAAVベクターのいずれかから選択される、項1~32のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
34.2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号の表1、もしくは国際出願のWO2020/102645およびWO2020/102667にリストされたもの、またはおよびそれらの任意の組合せからなる群中のいずれかのAAV血清型から選択されるカプシドタンパク質を含む、項1~33のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
35.AAV3ベクター、AAVXL32ベクター、AAVXL32.1ベクター、AAV8ベクター、または少なくとも1つのAAV8カプシドタンパク質を含むハプロイドAAV8ベクターからなる群からの血清型から選択される、項1~34のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
36.AAV3b血清型が、265D、549A、Q263Yのいずれかから選択されるカプシドタンパク質における1つまたは複数の変異を含む、項1~35のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
37.AAV3b血清型が、AAV3b265D、AAV3b265D549A、AAV3b549AもしくはAAV3bQ263Y、またはAAV3bSASTGのいずれかから選択される、項1~36のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
38.そのゲノム中に、
a.5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)配列、ならびに
b.5’および3’ITRの間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする異種核酸配列であって、異種核酸が、肝臓特異的プロモーターに動作可能に連結されている、異種核酸配列
を含む組換えアデノウイルス随伴(AAV)ベクターであって、
AAV8血清型またはAAV3b血清型のカプシドタンパク質を含む、組換えAAVベクター。
39.GAAポリペプチドが、GAAポリペプチドのN末端に位置する分泌シグナルペプチドをさらに含む、項38に記載の組換えAAVベクター。
40.GAAポリペプチドをコードする異種核酸配列が、GAAポリペプチドのN末端に位置するか、または分泌シグナルペプチドおよびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドの間に位置するIGF2標的化ペプチドをさらに含む、項38~39に記載の組換えAAVベクター。
41.AAVゲノムが、5’から3’への方向に、5’ITR、肝臓特異的プロモーター配列、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、ポリA配列、および3’ITRを含む、項38に記載の組換えAAVベクター。
42.AAVゲノムが、5’から3’への方向に、5’ITR、肝臓特異的プロモーター配列、分泌シグナルペプチドをコードする核酸、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、ポリA配列、および3’ITRを含む、項38に記載の組換えAAVベクター。
43.AAVゲノムが、5’から3’への方向に、5’ITR、肝臓特異的プロモーター配列、イントロン配列、分泌シグナルペプチドをコードする核酸、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、ポリA配列、および3’ITRを含む、項38に記載の組換えAAVベクター。
44.AAVゲノムが、5’から3’への方向に、5’ITR、肝臓特異的プロモーター配列、イントロン配列、分泌シグナルペプチドをコードする核酸、IGF2標的化ペプチドをコードする核酸、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、ポリA配列、および3’ITRを含む、項38に記載の組換えAAVベクター。
45.AAVゲノムが、5’から3’への方向に、5’ITR、肝臓特異的プロモーター配列、イントロン配列、分泌シグナルペプチドをコードする核酸、IGF2標的化ペプチドをコードする核酸、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸、3’ITR配列、ポリA配列、および3’ITRを含む、項38に記載の組換えAAVベクター。
46.分泌シグナルペプチドが、AATシグナルペプチド(例えば、配列番号17)、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)(例えば、配列番号18~21)、同族GAAシグナルペプチド(配列番号175)、hIGF2シグナルペプチド(例えば、配列番号22)、IgG1リーダーペプチド(配列番号177)、wtIL2リーダーペプチド(配列番号179)、変異型IL2リーダーペプチド(配列番号181)、または分泌シグナル活性を有するそれらの活性断片、例えば、配列番号17~22、175、177、179もしくは181と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸から選択することができる分泌シグナルペプチドをコードする核酸から選択される、項34~47のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
47.IGF2標的化ペプチドが、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)またはIGF2受容体と結合する、項38~46のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
48.IGF2標的化ペプチドが、配列番号5を含むか、あるいはIGF2受容体との結合に影響を与えないか、またはIGF結合タンパク質IGFBP1~6のうちの1つもしくは複数とのその結合を低減させる、配列番号5における少なくとも1つのアミノ改変を含む、項38~47のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
49.配列番号5における少なくとも1つのアミノ改変が、V43Mアミノ酸改変(配列番号8または配列番号9)、またはΔ2~7(配列番号6)、またはΔ1~7(配列番号7)である、項48に記載の組換えAAVベクター。
50.肝臓特異的プロモーターが、表4、または2019年11月19日に出願された仮出願第62,937,556号の表4Aもしくは4Bにリストされた配列のいずれか、あるいはそれらの機能的バリアントまたは機能的断片から選択される、項38~49のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
51.肝臓特異的プロモーターが、CRM_SP0412(配列番号86)もしくはSP0412(配列番号91)、または配列番号86もしくは配列番号91に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片のいずれかから選択される、項38~50のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
52.肝臓特異的プロモーターが、(i)SP0422(配列番号92)、または配列番号92に対して少なくとも60%の活性を有するその機能的バリアントもしくは機能的断片;(ii)CRM_SP0239(配列番号87)もしくはSP0239(配列番号93)もしくはSP0238-UTR(配列番号147)、または配列番号87、配列番号93もしくは配列番号147に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;(iii)CRM_SP0265(SP0131_A1)(配列番号88)もしくはSP0265(LVR_SP0131_A1)(配列番号94)もしくはSP0265-UTR(配列番号146)、または配列番号88、配列番号94もしくは配列番号146に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;(iv)CRM_SP0240(配列番号89)もしくはSP0240(配列番号95)もしくはSP0240-UTR(配列番号148)、または配列番号89、配列番号95もしくは配列番号148に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;(v)CRM_SP0246(配列番号90)もしくはSP0246(配列番号96)もしくはSP0246-UTR(配列番号149)、または配列番号90、配列番号96もしくは配列番号149に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片のいずれかから選択される、項38~50のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
53.核酸配列が、野生型GAAポリペプチドまたは改変GAAポリペプチドをコードする、項38~52に記載の組換えAAVベクター。
54.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、ヒトGAA遺伝子、またはヒトコドン最適化GAA遺伝子(coGAA)、または改変GAA核酸配列である、項38~53のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
55.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、in vivoでの増強された発現のためにコドン最適化されている、項38~54のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
56.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、CpGアイランドを低減するようにコドン最適化されている、項38~55のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
57.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、自然免疫応答を低減するように、またはCpGアイランドを低減するように、または自然免疫応答を低減し、かつCpGアイランドを低減するように、コドン最適化されている、項38~56のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
58.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、配列番号10のH201L、H199R、またはR233Hから選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つすべてのアミノ酸改変を含むGAAポリペプチドをコードする、項38~57のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
59.イントロン配列が、MVM、HBB2、またはSV40イントロン配列から選択され、MVM配列が、配列番号13の核酸配列、または配列番号13と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列を含み、HBB2配列が、配列番号14の核酸配列、または配列番号14と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列を含む、項38~58のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
60.ITRが、挿入、欠失、または置換を含む、項38~59のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
61.ITRにおける1つまたは複数のCpGアイランドが除去されている、項60に記載の組換えAAVベクター。
62.3’ITRが、配列番号442、または配列番号442と少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくは99.5%同一であるヌクレオチド配列を含むか、あるいはそれらからなり、5’ITRが、配列番号441、または配列番号441と少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくは99.5%同一であるヌクレオチド配列を含むか、あるいはそれらからなる、項38~61のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
63.3’ITRが、配列番号165、または配列番号165と少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくは99.5%同一であるヌクレオチド配列を含むか、あるいはそれらからなり、5’ITRが、配列番号161、または配列番号161と少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくは99.5%同一であるヌクレオチド配列を含むか、あるいはそれらからなる、項38~61のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
64.分泌シグナルペプチドが、フィブロネクチンシグナルペプチド(FN1)、または分泌シグナル活性を有するその活性断片であり(例えば、FN1シグナルペプチドは、配列番号18~21のいずれかの配列、または配列番号18~21のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する)、異種核酸配列が、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9のいずれかから選択されるIGF2標的化ペプチド、または配列番号5~9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドをコードする、項38~63のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
65.コードされた分泌シグナルペプチドが、AATシグナルペプチド、または分泌シグナル活性を有するその活性断片であり(例えば、AATシグナルペプチドは、配列番号17の配列、または配列番号17と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する)、異種核酸配列が、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9のいずれかから選択されるIGF2標的化ペプチド、または配列番号5~9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドをコードする、項38~64のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
66.IGF2標的化ペプチドが、配列番号8もしくは配列番号9、または配列番号8もしくは9と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性を有するIGF2ペプチドである、項38~65のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
67.肝臓特異的プロモーターが、CRM_SP0412(配列番号86)もしくはSP0412(配列番号91)、または配列番号86もしくは配列番号91に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片である、項38~66のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
68.肝臓特異的プロモーターが、SP0422(配列番号92)、または配列番号92に対して少なくとも60%の活性を有するその機能的バリアントもしくは機能的断片である、項38~66のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
69.肝臓特異的プロモーターが、CRM_SP0239(配列番号87)もしくはSP0239(配列番号93)もしくはSP0238-UTR(配列番号147)、または配列番号87、配列番号93もしくは配列番号147に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片である、項38~66のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
70.肝臓特異的プロモーターが、CRM_SP0265(SP0131_A1)(配列番号88)もしくはSP0265(LVR_SP0131_A1)(配列番号94)もしくはSP0265-UTR(配列番号146)、または配列番号88、配列番号94もしくは配列番号146に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片である、項38~66のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
71.肝臓特異的プロモーターが、CRM_SP0240(配列番号89)もしくはSP0240(配列番号95)もしくはSP0240-UTR(配列番号148)、または配列番号89、配列番号95もしくは配列番号148に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片である、項38~66のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
72.肝臓特異的プロモーターが、CRM_SP0246(配列番号90)もしくはSP0246(配列番号96)もしくはSP0246-UTR(配列番号149)、または配列番号90、配列番号96もしくは配列番号149に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片である、項38~66のいずれかに記載の組換えAAVベクター。
73.薬学的に許容される担体中に前の項のいずれか一項に記載の組換えAAVベクターを含む医薬組成物。
74.異種核酸配列に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーターであって、異種核酸配列がGAAポリペプチドをコードする、肝臓特異的プロモーター
を含む核酸配列であって、肝臓特異的プロモーターが、表4、または2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号の表4Aもしくは表4Bに開示される配列、あるいはそれらの機能的バリアントまたは機能的断片のいずれか1つから選択される、核酸配列。
75.異種核酸配列が、以下の順序で、分泌シグナルペプチドをコードする核酸、およびGAAポリペプチドをコードする核酸を含む、項74に記載の核酸配列。
76.異種核酸配列が、以下の順序で、分泌シグナルペプチドをコードする核酸、IGF2標的化ペプチドをコードする核酸、およびGAAポリペプチドをコードする核酸を含む、項74に記載の核酸配列。
77.a.5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)核酸配列、ならびに
b.5’および3’ITR配列の間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする異種核酸配列であって、異種核酸が、肝臓特異的プロモーターに動作可能に連結されている、異種核酸配列
を含む組換えアデノウイルス随伴(rAAV)ベクターゲノムのための核酸配列であって、肝臓特異的プロモーターが、表4、または2019年11月19日に出願された米国仮出願第62,937,556号の表4Aもしくは表4Bに開示される配列、あるいはそれらの機能的バリアントまたは機能的断片のいずれか1つから選択される、核酸配列。
78.核酸配列が、分泌シグナルおよびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする、項75に記載の核酸配列。
79.核酸配列が、分泌シグナル、IGF2標的化ペプチドおよびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする、項75に記載の核酸配列。
80.GAAポリペプチドをコードする核酸を含む核酸配列に動作可能に連結された肝臓特異的プロモーターを含む異種核酸配列であって、肝臓特異的プロモーターが、
i.CRM_SP0412(配列番号86)もしくはSP0412(配列番号91)、または配列番号86もしくは配列番号91に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、
ii.SP0422(配列番号92)、または配列番号92に対して少なくとも60%の活性を有するその機能的バリアントもしくは機能的断片、
iii.CRM_SP0239(配列番号87)もしくはSP0239(配列番号93)もしくはSP0238-UTR(配列番号147)、または配列番号87、配列番号93もしくは配列番号147に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
iv.CRM_SP0265(SP0131_A1)(配列番号88)もしくはSP0265(LVR_SP0131_A1)(配列番号94)もしくはSP0265-UTR(配列番号146)、または配列番号88、配列番号94もしくは配列番号146に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
v.CRM_SP0240(配列番号89)もしくはSP0240(配列番号95)もしくはSP0240-UTR(配列番号148)、または配列番号89、配列番号95もしくは配列番号148に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;あるいは
vi.CRM_SP0246(配列番号90)もしくはSP0246(配列番号96)もしくはSP0246-UTR(配列番号149)、または配列番号90、配列番号96もしくは配列番号149に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片
のいずれかから選択される、
核酸配列。
81.異種核酸配列が、以下の順序で、分泌シグナルをコードする核酸、およびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸を含む、項80に記載の核酸配列。
82.異種核酸配列が、以下の順序で、分泌シグナルをコードする核酸、IGF2標的化ペプチドをコードする核酸配列、およびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドをコードする核酸を含む、項75に記載の核酸配列。
83.組換えアデノウイルス随伴(AAV)ベクターゲノムのための核酸配列であって、(a)5’および3’AAV逆位末端反復(ITR)核酸配列、ならびに(b)5’および3’ITR配列の間に位置する、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする、または分泌シグナルペプチドおよびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする異種核酸配列であって、異種核酸が、肝臓特異的プロモーターに動作可能に連結されており、肝臓特異的プロモーターが、
i.CRM_SP0412(配列番号86)もしくはSP0412(配列番号91)、または配列番号86もしくは配列番号91に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片、または
ii.SP0422(配列番号92)、または配列番号92に対して少なくとも60%の活性を有するその機能的バリアントもしくは機能的断片、
iii.CRM_SP0239(配列番号87)もしくはSP0239(配列番号93)もしくはSP0238-UTR(配列番号147)、または配列番号87、配列番号93もしくは配列番号147に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
iv.CRM_SP0265(SP0131_A1)(配列番号88)もしくはSP0265(LVR_SP0131_A1)(配列番号94)もしくはSP0265-UTR(配列番号146)、または配列番号88、配列番号94もしくは配列番号146に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;
v.CRM_SP0240(配列番号89)もしくはSP0240(配列番号95)もしくはSP0240-UTR(配列番号148)、または配列番号89、配列番号95もしくは配列番号148に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片;あるいは
vi.CRM_SP0246(配列番号90)もしくはSP0246(配列番号96)もしくはSP0246-UTR(配列番号149)、または配列番号90、配列番号96もしくは配列番号149に対して少なくとも60%の活性を有するそれらの機能的バリアントもしくは機能的断片
のいずれか1つから選択される、異種核酸配列
を含む、核酸配列。
84.GAAポリペプチドまたは融合ポリペプチドをコードする異種核酸配列が、分泌シグナルペプチドおよびアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドの間に位置するIGF2標的化ペプチドをさらに含む、項74~83のいずれかに記載の核酸配列。
85.分泌シグナルをコードする核酸が、配列番号17、22~26、175、177、179、もしくは181、または配列番号17、もしくは22~26、もしくは175、177、179、もしくは181のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列のいずれかから選択される、項74~84のいずれかに記載の核酸配列。
86.IGF2標的化ペプチドをコードする核酸が、配列番号2(IGF2-Δ2~7)、配列番号3(IGF2-Δ1~7)もしくは配列番号4(IGF2 V43M)、または配列番号2、3または4と少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列のいずれかから選択される、項74~85のいずれかに記載の核酸配列。
87.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、ヒトGAA遺伝子、またはヒトコドン最適化GAA遺伝子(coGAA)、または改変GAA核酸配列である、項74~86のいずれかに記載の核酸配列。
88.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、in vivoでの増強された発現のためにコドン最適化されている、項74~87のいずれかに記載の核酸配列。
89.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、CpGアイランドを低減するようにコドン最適化されている、項74~88のいずれかに記載の核酸配列。
90.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、自然免疫応答を低減するように、またはCpGアイランドを低減するように、または自然免疫応答を低減し、かつCpGアイランドを低減するように、コドン最適化されている、項74~89のいずれかに記載の核酸配列。
91.GAAポリペプチドをコードする核酸配列が、配列番号10のH201L改変を含むGAAポリペプチドをコードする、項74~90のいずれかに記載の核酸配列。
92.GAAポリペプチドをコードする核酸が、配列番号11(全長hGAA)、配列番号55(Dwight cDNA)、配列番号56(hGAA Δ1~66)、または配列番号11、55もしくは56のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列のいずれかから選択される、項74~91のいずれかに記載の核酸配列。
93.GAAポリペプチドをコードする核酸が、配列番号74(コドン最適化1)、配列番号75(コドン最適化2)、および配列番号76(コドン最適化3)、または配列番号74、75もしくは76のいずれかと少なくとも約75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは98%、もしくは99%の配列同一性の核酸配列のいずれかから選択される、項74~92に記載の核酸配列。
94.核酸が、配列番号57(AAT-V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号58(ratFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号59(hFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号60(AAT-IGF2Δ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号61(FN1rat-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号62(hFN1-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69))、配列番号79(AAT_hIGF2-V43M_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02);配列番号80(FIBrat_hIGF2-V43M_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02);配列番号81(FIBhum_hIGF2-V43M_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02);配列番号82(AAT_GILT_wtGAA_del1-69__Stuffer.V02);配列番号83(FIBrat_GILT_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02);配列番号84(FIBhum_GILT_wtGAA_del1-69_Stuffer.V02)、または配列番号57、58、59、60、61、62、79、80、81、82、83、もしくは84と少なくとも80%、85%、90%、95%、もしくは98%の同一性を有する核酸配列のいずれかから選択される、項74~93に記載の核酸配列。
95.グリコーゲン貯蔵障害II型(GSD II、ポンペ病、酸性マルターゼ欠損症)を有するか、またはアルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドにおける欠損を有する対象を処置するための方法であって、先の項1~95のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター、またはrAAVゲノムまたは核酸配列のいずれかを前記対象に投与するステップを含む、方法。
96.GAAポリペプチドが、対象の肝臓から分泌され、分泌されたGAAの骨格筋組織、心筋組織、横隔膜筋組織、またはそれらの組合せによる取り込みがあり、前記分泌されたGAAの取り込みが、前記組織中のリソソームグリコーゲン貯蔵の低減をもたらす、項95に記載の方法。
97.対象に投与するステップが、筋肉内、皮下、脊髄内、大槽内、髄腔内、静脈内の投与のいずれかから選択される、項95~96のいずれかに記載の方法。
98.組換えAAVベクターが、キメラAAVベクター、ハプロイドAAVベクター、ハイブリッドAAVベクター、またはポリプロイドAAVベクターである、項95~97のいずれかに記載の方法。
99.組換えAAVベクターが、合理的ハプロイドベクター、モザイクAAVベクター、化学修飾AAVベクター、または任意のAAV血清型由来のAAVベクターである、項95~97のいずれかに記載の方法。
100.組換えAAVベクターが、AAVXL32ベクター、またはAAVXL32.1ベクター、またはAAV8ベクター、または少なくとも1つのAAV8カプシドタンパク質を含むハプロイドAAV8ベクターである、項95~97のいずれかに記載の方法。
101.組換えAAVベクターがAAV8ベクターである、項100に記載の方法。
102.リソソーム蓄積症(LSD)を有する対象を処置するための方法であって、先の項のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター、またはrAAVゲノムまたは核酸配列のいずれかを前記対象に投与するステップを含み、AAVベクターが、表5Bまたは表6Bにおける任意のポリペプチドから選択されるポリペプチドを発現する、方法。
103.リソソーム蓄積症(LSD)が、表5Aまたは表6Aにリストされるもののいずれかから選択される、項102に記載の方法。
104.組換えAAVベクターが、キメラAAVベクター、ハプロイドAAVベクター、ハイブリッドAAVベクター、またはポリプロイドAAVベクターである、項102に記載の方法。
105.組換えAAVベクターが、合理的ハプロイドベクター、モザイクAAVベクター、化学修飾AAVベクター、または任意のAAV血清型由来のAAVベクターである、項102に記載の方法。
106.組換えAAVベクターが、AAVXL32ベクター、またはAAVXL32.1ベクター、またはAAV8ベクター、または少なくとも1つのAAV8カプシドタンパク質を含むハプロイドAAV8ベクターである、項102に記載の方法。
107.項74~94のいずれかに記載の核酸配列を含む細胞。
108.ヒト細胞である、項107に記載の細胞。
109.非ヒト細胞の哺乳動物細胞である、項107~108のいずれかに記載の細胞。
110.昆虫細胞である、項107~109のいずれかに記載の細胞。
111.項1~72のいずれかに記載の組換えAAVベクターを含む細胞。
112.項1~72のいずれかに記載の組換えAAVベクターを含む宿主動物。
113.哺乳動物である、項112に記載の宿主動物。
114.非ヒト哺乳動物である、項112または113に記載の宿主動物。
115.ヒトである、項113に記載の宿主動物。
116.項95~101のいずれかに記載の方法における使用のための項73に記載の医薬組成物。
117.項107~111のいずれかに記載の細胞を含む宿主動物。
118.項1~72のいずれかに記載の組換えAAVベクターを含む宿主動物。
119.哺乳動物である、項118に記載の宿主動物。
120.非ヒト哺乳動物である、項118~119に記載の宿主動物。
121.ヒトである、項119に記載の宿主動物。
【実施例
【0548】
以下の非限定的な実施例は、ここで企図される代表的な実施形態のより完全な理解を容易にするために、例示的な目的のためだけに提供される。これらの実施例は、AAVビリオンおよびrAAVベクターが用いられ得るすべての可能な状況の単なるサブセットであることが意図される。したがって、これらの実施例は、AAVビリオンおよびrAAVベクターならびに/またはそれらの方法および使用に関連するものを含む本明細書に記載される実施形態のいずれかを限定するものと解釈されるべきではない。最終的に、AAVビリオンおよびベクターは、遺伝子送達が望まれる事実上任意の状況において用いられ得る。
(実施例1)
rAAVゲノムの構築
【0549】
多数のrAAVゲノムを、ギブソンクローニング方法論を使用して構築した。以下のrAAVゲノムを作製した:AAV_LVR412_EU(配列番号154)、ssAAV_LVR412WT-hGAA_AskBio_CHATHAM(配列番号155)、AAV-LVR412Stuffer(配列番号156)、AAV_LVR422_EU(配列番号157)、AAV-LVR422_Stuffer(配列番号158)、ssAAV_LVR412_WT-hGAA CHATHAM(配列番号159)、ssAAV_LSP_WT-hGAA-CHATHAM(配列番号160)、配列番号57(AAT-V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号58(ratFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号59(hFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号60(AAT-IGF2Δ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号61(FN1rat-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号62(hFN1-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69))。一部のrAAVベクターはwtGAAポリペプチドをコードする核酸配列を含むが、wtGAAを本明細書に開示される改変GAA核酸配列をコードする核酸配列で容易に置き換えることができる。
【0550】
ギブソンクローニングは、核酸配列のブロック(例えば、3つのブロック)を一緒にクローニングすることを含む。一般的なプロトコールは、以下の通りである:以下の試薬(i)Gibson Assembly Master Mix(エキソヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、緩衝液)、(ii)15~25bpの相同末端を有するDNAインサート(ブロック1~3)(図6を参照されたい)、(iii)最も外側のDNAインサートに15~25bpの相同末端を有する線状化DNA骨格(図6を参照されたい)を単一管反応に組み合わせる。反応物を、50℃で15~60分間インキュベートする。反応混合物を、コンピテント細胞に形質転換し、カナマイシン寒天プレート上に蒔く。完全にアセンブリーされたプラスミドDNAのミニプレップを、制限酵素消化および/またはコロニーPCR分析を介してスクリーニングし、DNA配列決定分析によって検証する。検証されたクローンを、マキシプレップ生成のために拡大増殖させ、アデノウイルスヘルパー、XX680 Kan、および適切なRep/Capヘルパーと一緒にrAAV産生細胞系に一過性トランスフェクトして、rAAVを生成する。図6は、例示的なrAAVゲノムを作製するためのクローニング核ブロックを示す。
【0551】
図7~9は、wtGAA(Δ1~69)が例示的なGAA酵素であることを示すが、この核酸配列は、in vivoでの増強された発現のため、および/もしくは免疫応答を低減するように、および/もしくはCpGアイランドを低減するようにコドン最適化されているか、ならびに/またはH201L改変を有するGAAをコードする核酸配列で当業者によって容易に置き換えることができる。したがって、図9A~9Eは、野生型GAA(wtGAA)を有する例示的な構築物を示すが、wtGAAをコードする核酸を本明細書に開示される改変GAA核酸配列をコードする核酸配列、例えば、配列番号182で容易に置き換えることができる。図7~8に例示されたクローニングブロックに示されるものは、IGF2(V43M)またはIGFΔ2~7標的化ペプチドをコードする核酸配列の3’、およびGAA酵素をコードする核酸の5’に位置する3アミノ酸(3aa)のスペーサー核酸配列、ならびにポリA配列の3’および3’ITR配列の5’に位置するスタッファー核酸配列のスタッファー配列(図7~8において「スペーサー」配列と称される)のrAAVゲノムの作製である。
(実施例2)
rAAVベクターの作製
【0552】
rAAVゲノムを、rAAV産生細胞系を使用して、カプシドにパッケージングして、rAAVベクターを作製した。rAAVベクター構築の原理の証明のためにのみ、使用したカプシドはAAV3bカプシドであった。
【0553】
rAAV産生細胞系におけるrAAVの作製:三重トランスフェクション技法を使用して、懸濁rAAV産生細胞株においてrAAVを作製し、これは臨床グレードのベクターを作製するためにスケールアップすることができる。あるいは、異なるプラスミド、例えば、1)pXX680-adヘルパー、ならびに2)pXR3 RepおよびCap、ならびに3)導入遺伝子プラスミド(ITR-導入遺伝子-ITR)を使用することができる。
【0554】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,441,206号に記載される方法に従って、rAAV産生細胞系を使用して、実施例1で作製したrAAVゲノムを使用して、rAVVベクターを作製する。特に、rAAVベクターまたはrAAVビリオンは、(a)rAAV産生細胞系にAAV発現系を提供するステップ;(b)AAV粒子が産生される条件下で細胞を培養するステップ;および(c)必要に応じて、AAV粒子を単離するステップを含む方法を使用して、産生される。プラスミドの三重トランスフェクションの比およびトランスフェクションカクテル体積は、rAAVベクター産生のための最適のプラスミド比を決定するためにXX680、AAV rep/capヘルパー、およびTRプラスミドのプラスミド比を変えることによって最適化することができる。
【0555】
一部の例では、細胞は、AAV粒子が産生される条件下、懸濁液中で培養される。別の実施形態では、細胞は、動物構成成分を含まない条件下で培養される。動物構成成分を含まない培地は、rAAV産生細胞系と適合する任意の動物構成成分を含まない培地(例えば、無血清培地)であり得る。例としては、限定されないが、SFM4Transfx-293(Hyclone)、Ex-Cell 293(JRH Biosciences)、LC-SFM(Invitrogen)、およびPro293-S(Lonza)が挙げられる。AAV粒子の複製およびパッケージングのために十分な条件は、例えば、本明細書に記載されるrAAVゲノムの複製、およびAAVカプシドへのカプシド形成のために十分なAAV配列(例えば、AAV rep配列およびAAV cap配列)、ならびにアデノウイルスおよび/またはヘルペスウイルス由来のヘルパー配列の存在であり得る。
【0556】
プラスミド骨格由来の細菌DNA配列は、TLR9とのその相互作用により自然免疫系の活性化をもたらす組換えAAVベクターの製造の間に、AAVカプシドにパッケージングされ得る(Akira, 2006;Chadeuf, 2005;Wright, 2014)。さまざまな技術を使用して、組換えAAV調製物中のプラスミド骨格配列、例えば、スケーラビリティを制限するミニサークルを排除することができる(Schnodt, 2016)。プラスミド骨格において細菌DNA配列を回避するための別の方法は、閉鎖末端の線状二重鎖DNAを使用することであり、これは、限定されるものではないが、組換えAAVベクターの特異的製造のためのイヌの骨型DNA(dbDNA(商標))を含むある範囲のDNA複製技術を含む。dbDNA(商標)などの閉鎖末端の線状二重鎖DNAを使用することは、細菌骨格を排除し、ワクチンおよびレンチウイルスを生成するために使用されており(Walters et al, 2014;Scott et al, 2015;Karda et al, 2019)、DNAワクチン開発者によりTLR9応答を引き起こすことができないことが示された。
【0557】
したがって、代替の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物における使用のためのrAAVベクターの作製は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国出願第2018/0037943号およびKarbowniczek et al., Bioinsights, 2017に開示されるように、限定されるものではないが、イヌの骨型技術(dbDNA(商標))を含む閉鎖末端の線状二重鎖DNAを使用して行うことができる。簡潔には、閉鎖末端の線状二重鎖DNA技術を使用するAAV産生のためのプラスミドは、ITR、プロモーター、および56bpのパリンドロームプロテロメラーゼ認識配列に隣接している目的の遺伝子、例えば、本明細書に開示されるGAAを含むことができる。プラスミドは変性され、Phi29 DNAポリメラーゼおよび適切なプライマーの存在下、Phi29はローリングサークル増幅(RCA)を開始し、元の構築物の二本鎖鎖状体(cancatameric)反復を作出する。プロテロメラーゼが添加されると、パリンドロームプロテロメラーゼ認識配列の結合が起こり、開裂-接合反応が起こって、単量体の二本鎖(ds)の線状の共有結合的に閉鎖されたDNA構築物をもたらす。一般的な制限酵素の添加は、望ましくないDNAプラスミド骨格配列およびエキソヌクレアーゼ活性による消化を除去し、サイズ分画して、ITR、プロモーター、および目的の遺伝子をコードするdbDNA配列を単離することができるdbDNAをもたらす。dbDNA(商標)技術などの閉鎖末端の線状二重鎖DNAを使用するrAAVベクターの作製のための例示的なプラスミドは、以下の5’から3’への方向で、5’-プロテロメラーゼRS、5’ITR、LSPプロモーター、hGAA、3’UTR、hGHポリ(A)、3’ITR、3’-プロテロメラーゼRS(センス鎖)を含み、センス鎖は、鎖(ds)の線状の共有結合的に閉鎖されたDNA構築物に対する相補的アンチセンス鎖に連結されている。本明細書に開示される方法および組成物における使用のためのAAVベクターの製造のための出発材料としての閉鎖末端の線状二重鎖DNA、例えば、イヌの骨型DNA(dbDNA(商標))の使用は、産物に対してToll様受容体9(TLR9)応答を引き起こすことができないAAVベクターを含有するプラスミドを増殖させるために使用される細菌骨格を排除する。製造のための閉鎖末端の線状二重鎖DNA技術の使用は、ポンペ病を有する患者における1.6E13vg/kgの用量で観察される肝臓酵素の上昇についての危険性をさらに低減する。
(実施例3)
rAAVベクターの評価
【0558】
全血クリアランス。図1は、3×1012vg/kgの異なるAAV血清型(AAV3b、AAV3ST、AAV8、AAV9)を3kgの血清反応陰性の雄マカクに静脈内注射した実験に由来する結果を示す。マカクを、異なるAAV血清型の投与の60日後に安楽死させた。ベクターゲノムを全血において検索し、結果は、AAV3bは、1週間以内に除去され、犠牲時に検出不可であったが、AAV8およびAAV9は、マカクが犠牲にされた時に全血中でまだ検出可能であったことを示した。
【0559】
肝臓特異的ベクター効力:図2は、3×1012vg/kgの異なるAAV血清型(AAV3b、AAV3ST、AAV8、AAV9)を3kgの血清反応陰性の雄マカクに静脈内注射した実験に由来する結果を示す。マカクを、異なるAAV血清型の投与の60日後に安楽死させた。ベクターゲノムを、マカクのそれぞれからの3つの肝葉のそれぞれにおいて定量化した。定量限界は、0.002vg/dgであった。図2に提示された結果に基づいて、AAV3bは、強力な肝臓ベクターであることが見出された。AAV3bは、AAV8よりも肝臓特異的であり、AAV9よりも迅速に血液から除去される。AAV3ST変異体は、任意の有意な有益な効果を提供しなかった。
(実施例4)
上清へのGAAの分泌の測定およびGAA取り込みアッセイ
【0560】
上清におけるGAAの測定。
【0561】
したがって、実施例1において作製されたrAAVゲノムを、GAAポリペプチドの上清への分泌について試験する。上清におけるGAAの測定を、Kikuchi et al.(Kikuchi, Tateki, et al. "Clinical and metabolic correction of Pompe disease by enzyme therapy in acid maltase-deficient quail." The Journal of clinical investigation 101.4 (1998): 827-833.)に記載されるようにして、4-メチル-ウンベリフェリル-アルファ-D-グルコシド(4-MU)基質を使用して評価することができる(4-MUアッセイ)。
【0562】
簡潔には、rAAV産生細胞系を、rAAVゲノムのAAV_LVR412_EU(配列番号154)、ssAAV_LVR412WT-hGAA_AskBio_CHATHAM(配列番号155)、AAV-LVR412Stuffer(配列番号156)、AAV_LVR422_EU(配列番号157)、AAV-LVR422_Stuffer(配列番号158)、ssAAV_LVR412_WT-hGAA CHATHAM(配列番号159)、ssAAV_LSP_WT-hGAA-CHATHAM(配列番号160)、配列番号57(AAT-V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号58(ratFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号59(hFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号60(AAT-IGF2Δ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号61(FN1rat-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号62(hFN1-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69))でトランスフェクトすることができる。GAA活性を、24時間にわたって、初期活性(t=0)の%に基づいて測定する。試料を、0、3、6、および24時間に、蛍光発生基質である4-MU-α-グルコースの加水分解に基づいて、GAA酵素活性についてアッセイした。GAA活性を、初期活性の%、すなわち、残存活性として表した。
【0563】
あるいは、回収後、培養上清を、HICクロマトグラフィーによって部分的に精製した。すべての試料を、電気泳動前にPNGaseで処理した。細胞によるGAAポリペプチドの発現を、SDS-PAGEおよび免疫ブロットを使用して評価することができる。
【0564】
GAA取り込みアッセイおよび組織におけるGAAの取り込みの測定。
【0565】
次に、実施例1および2において作製されたrAAVゲノムを、細胞への取り込み活性の保持について試験する。例えば、rAAV産生細胞系を、rAAVゲノムのAAV_LVR412_EU(配列番号154)、ssAAV_LVR412WT-hGAA_AskBio_CHATHAM(配列番号155)、AAV-LVR412Stuffer(配列番号156)、AAV_LVR422_EU(配列番号157)、AAV-LVR422_Stuffer(配列番号158)、ssAAV_LVR412_WT-hGAA CHATHAM(配列番号159)、ssAAV_LSP_WT-hGAA-CHATHAM(配列番号160)、配列番号57(AAT-V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号58(ratFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号59(hFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号60(AAT-IGF2Δ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号61(FN1rat-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号62(hFN1-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69))でトランスフェクトすることができる。
【0566】
哺乳動物細胞へのrhGAAの取り込みを評価し得る4-MUアッセイ(上記に記載の通り)は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる米国特許出願のUS2009/0117091A1に記載されている。実施例1および2において作製されたrAAVベクターまたはrAAVゲノムを、123mMの酢酸ナトリウムpH4.0を10mMの4-メチルウンベリフェリルα-D-グルコシダーゼ基質(Sigma、カタログ番号M-9766)とともに含有する20μlの反応混合物中でインキュベートする。反応物を、37℃で1時間インキュベートし、267mMの炭酸ナトリウム、427mMのグリシンを含有する200μlの緩衝液、pH10.7で停止した。蛍光を、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて355nmの励起および460nmのフィルターで測定し、4-メチルウンベリフェロン(Sigma、カタログ番号M1381)に由来する標準曲線と比較した。1 GAA 4 MU単位は、1ナノモルの4-メチルウンベリフェロン加水分解/時間として定義される。線維芽細胞における例示的なrAAVゲノム、例えば、AAV_LVR412_EU(配列番号154)、ssAAV_LVR412WT-hGAA_AskBio_CHATHAM(配列番号155)、AAV-LVR412Stuffer(配列番号156)、AAV_LVR422_EU(配列番号157)、AAV-LVR422_Stuffer(配列番号158)、ssAAV_LVR412_WT-hGAA CHATHAM(配列番号159)、ssAAV_LSP_WT-hGAA-CHATHAM(配列番号160)、配列番号57(AAT-V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号58(ratFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号59(hFN1-IGF2V43M-wtGAA(デルタ1~69aa));配列番号60(AAT-IGF2Δ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号61(FN1rat-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69));配列番号62(hFN1-IGFΔ2~7-wtGAA(デルタ1~69))の特異的活性を評価する。IGF2-GAA融合ポリペプチドおよび/またはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドの酵素活性を評価し、GAA(wtGAA)ポリペプチドそれ自身(すなわち、異種シグナルペプチドまたはIGF2標的化ペプチドなし)と比較する。
【0567】
細胞に基づく取り込みアッセイを、IGF2タグ化GAAまたは非タグ化GAAの標的細胞に入る能力を実証するために行うこともできる。ラットL6筋芽細胞を、取り込みの24時間前に、24ウェルプレートにおいて、1ウェルあたり1×105個の細胞の密度で蒔く。実験の開始時に、培地を細胞から除去し、実施例1および2において作製されたrAAVベクターを含有する0.5mlの取り込み培地で置き換える。取り込みの特異性を実証するために、一部のウェルは、競合剤のM6P(5mMの最終濃度)および/またはIGF2(18μg/mlの最終濃度)を追加で含有していた。18時間後、培地を細胞から吸引し、細胞をPBSで4回洗浄する。次いで、細胞を200μlのCelLytic MTM溶解緩衝液で溶解する。溶解物を、4 MU基質を使用して、上記に記載されるようにして、GAA活性についてアッセイする。タンパク質を、Pierce BCATMタンパク質アッセイキットを使用して決定する。
【0568】
典型的な取り込み実験は、CHO細胞において行われるが、他の細胞系および筋芽細胞細胞系を使用することができる。GAAポリペプチドのラットL6筋芽細胞への取り込みは、大過剰モル濃度のM6Pの添加によって実質的には影響を受けないと予想される一方、取り込みは、過剰のIGF2によって有意に消滅すると予想される。対照的に、wtGAAの取り込みは、過剰のM6Pの添加によって有意に消滅するが、IGF2による競合によっては実質的に影響を受けないと予想される。加えて、IGF2V43M-wtGAAおよびIGFデルタ2~7wtGAAの取り込みは、過剰のIGF2によって有意に影響を受けないと予想される。
(実施例5)
ラットL6筋芽細胞におけるGAAの半減期
【0569】
取り込み実験を、ラットL6筋芽細胞において、実施例1および2において生成されたrAAVベクターを用いて、上記に記載されるようにして(実施例3および4を参照されたい)、行った。18時間後、rAAVベクターでトランスフェクトされた細胞から培地を吸引し、細胞をPBSで4回洗浄した。この時点で、二連のウェルを溶解し(時間0)、溶解物を-80℃で凍結させた。その後それぞれの日に、二連のウェルを溶解し、分析のために保管した。14日後、溶解物のすべてを、GAA活性についてアッセイして、半減期を評価し、および細胞の内部の時点で、IGF2タグ化GAA酵素が非タグ化GAAと類似する動力学で持続しているかを評価した。
(実施例6)
取り込み後のGAAのプロセシング
【0570】
哺乳動物GAAは、典型的には、Moreland et al. (2005) J. Biol. Chem., 280:6780-6791およびそこに含有される参照文献によって記載されるように、リソソームにおいて逐次的なタンパク質分解プロセシングを受ける。プロセシングされたタンパク質は、70kDa、20kDa、10kDaのペプチド、およびいくつかのより小さいペプチドのパターンを生じさせる。IGF2-GAA融合ポリペプチドおよび/またはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドが、非タグ化GAAと類似してプロセシングされるかどうかを決定するために、上記の取り込み実験からの溶解物のアリコートを、70kDaのIGF2ペプチドおよびIGF2タグを有するより大きな中間体を認識するモノクローナル抗体を使用して、ウエスタンブロットによって分析した。この実験において特定されたポリペプチドの類似のプロファイルは、細胞に入ると、IGF2標的化ペプチドが失われ、IGF2-GAAポリペプチドが、非タグ化GAAと類似してプロセシングされることを示し、これは、IGF2標的化ペプチドが、細胞の内部にある時に、GAAの挙動に対してほとんどまたは全く影響を与えないことを実証する。
(実姉例7)
薬物動態
【0571】
rAAVベクターによって産生されたIGF2-GAA融合ポリペプチドおよび/またはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドの薬物動態を、野生型129マウスにおいて測定することができる。129マウスに、実施例1および2において作製されたrAAVベクターを注射する。血清試料を、注射前、ならびに注射の15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後、4時間後および8時間後に採取する。次いで、動物を犠牲にする。血清試料を、定量的ウエスタンブロットによってアッセイする。IGF2-GAA融合ポリペプチドまたはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドを発現するrAAVベクター由来のGAAについての半減期を、IGF2融合GAAポリペプチドが、過度に迅速に循環から除去されるかを決定するために評価する。
(実施例8)
GAAの組織半減期
【0572】
この実験の目的は、rAAVベクターから発現したIGF2-GAA融合ポリペプチドまたはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドが、その標的組織に到達したら、GAA活性が失われる速度を決定することであった。ポンペマウスモデルにおいて、MYOZYME(登録商標)は、さまざまな筋肉組織において約6~7日の組織半減期を有すると思われる(Application Number 125141/0 to the Center for Drug Evaluation and Research and Center for Biologics Evaluation and Research, Pharmacology Reviews)。
【0573】
ポンペマウス(Raben (1998) JBC, 273:19086-19092に記載されるポンペマウスモデル6neo/6neo、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に、実施例1および2において作製されたrAAVベクターを頸静脈に注射する。次いで、マウスを、注射の1日後、5日後、10日後、および15日後に犠牲にする。組織試料を、標準的な手順に従って、均質化し、GAA活性を測定した。IGF2-GAA融合ポリペプチドおよび/またはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドならびに非タグ化GAAからのGAA活性の組織半減期を、異なる組織(例えば、四頭筋組織;心臓組織;横隔膜組織;および肝臓組織)における減衰曲線から計算し、それぞれの組織における半減期を計算する。これを、ポンペマウスの細胞の内部の時点で、本明細書に記載されるrAAVベクターから発現したIGF2-GAA融合ポリペプチドおよび/またはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドが、非タグ化GAAと類似する動力学で持続するように見えるかを決定するために、ラットL6筋芽細胞における半減期と比較することができる。さらにまた、IGF2-GAA融合ポリペプチドおよび/またはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドの減衰動力学の知識は、適切な投薬間隔の設計を助けることができる。
(実施例9)
IGF2-GAA融合ポリペプチドおよび/またはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドのC2C12マウス筋芽細胞のリソソームへの取り込み
【0574】
ポリリシンでコーティングされたスライド(BD Biosciences)上で成長したC2C12マウス筋芽細胞を、実施例1および2において生成されたrAAVベクターで形質導入する。次いで、細胞を洗浄した後、細胞を1時間成長培地中でインキュベートし、次いで、D-PBSで4回洗浄した後、室温で15分間メタノールで固定する。以下のインキュベーションは、すべて室温であり、D-PBS中での3回の洗浄によってそれぞれ分けられた。スライドを、0.1%のtriton X-100で15分間透過処理し、次いで、ブロッキング緩衝液(D-PBS中に10%の熱失活ウマ血清(Invitrogen))でブロッキングする。スライドを、一次マウスモノクローナル抗GAA抗体3A6-1F2(ブロッキング緩衝液中1:5,000)とともに、次いで、二次ウサギ抗マウスIgG AF594コンジュゲート抗体(Invitrogen A11032、ブロッキング緩衝液中1:200)とともにインキュベートする。FITCコンジュゲートラット抗マウスLAMP-1(BD Pharmingen 553793、ブロッキング緩衝液中1:50)をインキュベートする。スライドを、DAPIを含有するマウンティング溶液(Invitrogen)でマウントし、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、およびDAPIフィルター(Chroma Technology)を備えたNikon Eclipse 80i顕微鏡で調査する。画像を、MetaMorphソフトウェア(Universal Imaging)によって制御された測光Cascadeカメラでキャプチャーし、Photoshop(登録商標)ソフトウェア(Adobe)を使用して統合することができる。抗GAA抗体によって検出されたシグナルの、リソソームマーカーのLAMP1に対する抗体によって検出されたシグナルとの共局在化を評価して、IGF2タグ化GAAがリソソームに送達されることを実証することができる。
(実施例10)
ポンペマウスモデルにおけるrAAVベクターの処置およびポンペ病理学の逆転の評価
【0575】
実施例1において作製されたrAAVベクターを、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPeng et al.,. "Reveglucosidase alfa (BMN 701), an IGF2-Tagged rhAcid α-Glucosidase, Improves Respiratory Functional Parameters in a Murine Model of Pompe Disease." Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 360.2 (2017): 313-323)に記載された方法に従って、ポンペマウスモデルにおいて評価することができる。
【0576】
任意のポンペマウスモデルを使用して、ポンペ病の処置におけるrAAVベクターの効果を評価することができる。1つのポンペマウスモデルは、破壊GAAマウスモデルを記載しているRaben et al., JBC, 1998; 273(30); 19086-19092に記載されており、疾患の小児型および成人型の両方の重要な特色を再現する。他の例では、ポンペマウスモデル(Sidman et al., 2008)を使用することができるだけでなく、破壊された酸性αグルコシダーゼ遺伝子を有するマウスの系統(B6;129-GAAtm1Rabn/J;Pompe)(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)を使用することができる。ポンペマウスは、ヒト成人ポンペ病と同じ細胞特徴および臨床的特徴を発生する(Raben et al., 1998)。動物は、12時間の明/暗周期で維持され、新鮮な水および標準的なげっ歯類用飼料を自由に提供される。
【0577】
4.5~5か月齢のポンペマウスに、本明細書に記載されるrAAVベクターを投与し、投与後に4週間またはそれより長い間、グリコーゲンクリアランスについて評価することができる。肉眼評価の後、心臓(左室)、四頭筋、横隔膜、腰筋、およびヒラメ筋を収集し、秤量し、液体窒素中で瞬間凍結させ、-60~-90℃で保管した後、グリコーゲンに由来するグルコースの定量分析を行った。筋肉を、セラミックスフェアを使用して、氷上で、緩衝液(0.2MのNaOAc/0.5%のNP40)中で均質化した。アミログルコシダーゼを、37℃で澄明化された溶解物に添加して、ペルオキシダーゼ-グルコースオキシダーゼ酵素反応系(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を使用して、その後の比色定量検出(430nm、SpectraMax;Molecular Devices、Sunnyvale、CA)のためにグリコーゲンをグルコースに消化した。対の試料を、アミログルコシダーゼなしでも測定して、回収時にグリコーゲン型でなかった内因性組織グルコースについて補正する。グルコース値を、6点標準曲線から外挿した。測定されたグルコース濃度(mg/ml)は、試料のグリコーゲン濃度に比例し、均質化ステップ(組織1グラムあたり5μlの緩衝液を添加)のために調整することによって、mgグリコーゲン/g組織に変換される。
【0578】
個々のマウス筋肉グリコーゲンレベルに対する本明細書に記載されるrAAVベクターの効果を、Phoenix-WinNonlin classic PDモデリング(Phoenix buildバージョン6.4;Certara,L.P.、Princeton、NJ)を使用して評価することができる。結果を、心臓、横隔膜、四頭筋、腰筋、およびヒラメ筋におけるhGAAについて、得ることができる。薬物動態学的分析のために、WTマウスに、実施例1において作製されたrAAVベクターを投与し、血液試料を、投薬前、投薬の0.083時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、および4時間後に、末端心穿刺として収集することができる。血漿hGAA濃度を、100ng/mlのLOQを用いるブリッジング電気化学発光方法を使用して定量化することができる。簡潔には、0.5μg/mlのルテニウム標識抗rhGAA(アフィニティ精製されたヤギポリクローナル)および0.5μg/mlのビオチン標識抗IGF2(MAB792;R&D Systems、Minneapolis、MN)を、緩衝液[Starting Block T20(PBS);ThermoFisher Scientific、Sunnyvale、CA]で1:10に希釈されたK2EDTA血漿試料と合わせ、1時間インキュベートした後、ブロッキングされたストレプトアビジンアッセイプレート(Meso Scale Diagnostics、Rockville、MD)に移すことができる。30分のインキュベーション後、プレートを洗浄し、1×Read Buffer T(Meso Scale Diagnostics)を添加し、電気化学発光シグナルを、SECTOR Imager 2400(Meso Scale Diagnostics)において読み取った。hGAA濃度を標準曲線から外挿することができる。
【0579】
あるいは、心臓および横隔膜の組織ホモジネートを回収し、rhGAA活性を蛍光発生基質(4-MUG)を使用して測定することができる。
【0580】
本明細書の実施例1および2において作製されたrAAVベクターを使用して産生したGAAポリペプチドの治療効果を、in vivoで、wt GAAと比較することができる。研究を行って、実施例1に開示されるrAAVベクターの能力を、ポンペマウスにおいて骨格筋組織からグリコーゲンを除去するための非タグ化wt GAAを発現するものと比較することができる(例えば、ポンペマウスモデル6neo/6neo動物を使用した(Raben (1998) JBC 273:19086-19092))。ポンペマウスの群(5頭/群)は、wt GAAもしくは実施例1において作製されたrAAVベクターの2用量の1つ、または媒体のIV注射を受けた。5頭の未処置動物を、対照として使用し、生理食塩水溶液の毎週の注射を4回受けることができる。動物は、2、3および4回目の注射の1時間前に、経口ジフェンヒドラミン(diphenhydromine)5mg/kgを受ける。マウスを注射の1週間後に犠牲にし、組織(横隔膜、心臓、肺、肝臓、ヒラメ筋、四頭筋、腓腹筋、TA、EDL、舌)を、組織学的分析および生化学的分析のために回収する。組織ホモジネート中のグリコーゲン含有量を、A.nigerアミログルコシダーゼおよびAmplex Red Glucoseアッセイキットを使用して測定し、GAA酵素レベルを、標準的な手順を使用して、異なる組織ホモジネートにおいて評価することができる。
【0581】
組織ホモジネート中のグリコーゲン含有量を、Zhu et al. (2005) Biochem J., 389:619-628によって本質的に記載されるようにして、A.nigerアミログルコシダーゼおよびAmplex(登録商標)Red Glucoseアッセイキット(Invitrogen)を使用して測定することができる。
【0582】
本明細書に記載され、実施例1および2の方法によって生成されたrAAVベクターss-IGF2-GAA rAAVは、IGF2-GAA rAAV(すなわち、分泌シグナル配列なし)と比較して、ポンペマウスモデルにおいて、より高い分泌とそれに続く筋肉への取り込み、およびより大きい治療効果を有すると予想され、これは、wtGAA rAAVベクター(すなわち、異種分泌シグナルおよびIGF2標的化ペプチドのいずれもなし)および/またはMYOZYME(登録商標)より大きいと予想される。例えば、H201L変異を有するGAAを含む、本明細書に開示される改変GAAを含むrAAVベクターは、未改変GAA、例えば、wtGAAを含むrAAVよりもポンペマウスモデルにおいて治療的により有効であるとさらに予想される。確立されたポンペモデルを考えると、これらの結果は、臨床に翻訳され、ポンペ病の処置のための治療効果と相関すると予想される。
(実施例11)
in vivoでのグリコーゲンのクリアランス
【0583】
この実験の目的は、実施例1および2において生成されたIGF2-GAA融合ポリペプチドおよび/またはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドを発現するrAAVベクターの単回注射の後にポンペマウスの心臓組織からグリコーゲンが除去される速度を決定することである。
【0584】
ポンペマウス(Raben (1998) JBC, 273:19086-19092に記載されるポンペマウスモデル6neo/6neo、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に、実施例1および2において生成されたものを発現するrAAVベクターを頸静脈に注射する。マウスを、注射の1日後、5日後、10日後、および15日後に犠牲にした。心臓組織試料を、標準的な手順に従って均質化し、グリコーゲン含有量について分析する。これらの組織ホモジネート中のグリコーゲン含有量を、Zhu et al. (2005) Biochem J., 389:619-628によって本質的に記載されるようにして、A.nigerアミログルコシダーゼおよびAmplex(登録商標)Red Glucoseアッセイキット(Invitrogen)を使用して測定する。マウス由来の心臓組織の評価は、グリコーゲン含有量の小さな変化のみが最小のクリアランスを示すであろう、本明細書に記載されるIGF2標的化ペプチドおよび/またはSSにGAAが融合されていないrAAVを投与されたマウスと比較して、実施例1および2において生成されたIGF2-GAA融合ポリペプチドおよび/またはSS-IGF2-GAA二重融合ポリペプチドを発現するrAAVベクターを投与されたマウスにおいて、グリコーゲンのほぼ完全なクリアランスがあるかを決定することができる。
(実施例12)
例示的な肝臓特異的プロモーター
【0585】
本明細書の表4から選択されるか、または本明細書の表4に開示されるものから選択される例示的な肝臓特異的プロモーターを、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にクローニングし、続いてSV40後期ポリAシグナルを、pUC19と本質的に同一の性質を有する骨格を有するベクターにクローニングした。特に、プロモーターSP0412およびSP0422を評価する実験は、rAAVの作製のために構築物にクローニングした。プラスミドのDNA調製物を、Huh7(肝細胞癌細胞系)、HeLa(子宮頸がんに由来する不死化細胞系)またはHEK293(ヒト胚腎臓細胞)のいずれかにトランスフェクトして、転写活性を評価した。Huh-7細胞はJCRB細胞バンク(JCRB0403)から供給され、HeLaおよびHEK293はECACC細胞バンクから供給された。すべての細胞系は、細胞バンクの推奨に従って、成長および維持した。
【0586】
トランスフェクションを、48ウェルプレートにおいて、FuGene HDトランスフェクション試薬(Promega 番号E2311)を使用して、1:1.1のDNA:FuGene HDの比で、三連で行った。ルシフェラーゼ活性を、トランスフェクションの24時間後に測定した。細胞を、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、100μlのPassive溶解緩衝液(Promega 番号E194A)に溶解し、-80℃で終夜保管した。ルシフェラーゼ活性を、Luciferase Reporter 1000アッセイシステム(Promega 番号E4550)を使用して、製造者のガイドラインに従って、10μlの溶解物中で、96ウェル平底白色マイクロプレートのFluoroNuncプレート(ThermoFisher 番号236105)を使用して定量化し、発光を、FLUOstar Omegaプレートリーダー(BMG Labtech)機器において定量化した。
【0587】
上記のルシフェラーゼ方法は、当技術分野において通常のものであり、類似の技法が、文献、例えば、Alam and Cook, "Reporter Genes: Application to the Study of Mammalian Gene Transcription", ANALYTICAL BIOCHEMISTRY 188,245-254 (1990)に広範囲にわたって記載されている。
【0588】
データ
【0589】
使用される例示的な肝臓特異的プロモーターの配列を、本明細書の表4に示す。これらの合成肝臓特異的プロモーターの肝臓細胞中で発現を駆動する能力を、遍在性のCMV_IEおよびCBAプロモーターに対して、また公知の肝臓特異的プロモーターLP1に対して、基準に従って評価した。本発明による合成プロモーターはすべて、Huh7細胞において、LP1プロモーターよりも高い活性を示した(データは示さない)。これらのプロモーターを、非肝臓由来のHEK293およびHeLa細胞においてカウンタースクリーニングした場合、それらは、遍在的に活性なプロモーターのCMV_IEおよびCBAと比較して、ごくわずかな活性を示した(データは示さない)。
【0590】
肝臓特異的プロモーター(すなわち、表4に提示されたすべてのプロモーター)の活性も、本質的に上記に記載される材料および方法を使用して、Huh7細胞において試験した。しかしながら、この場合では、肝臓特異的プロモーターの活性は、TBGがLP1よりも高く、より一貫したin vitro発現を有することが見出されていたので、プロモーターTBG(配列番号435)の活性と比較した。TBGが、極めて強力な肝臓特異的プロモーターであり、したがって、TBGよりも低い発現を示すプロモーターは、依然として、極めて有用であり得ることに留意すべきである。特に、TBGよりも短いが、依然として高レベルの活性(例えば、配列番号435のTBGの活性の15%、より好ましくは、25%、50%もしくは75%、またはそれよりも高い)を実証する、表4に開示される肝臓特異的プロモーターまたはそれらの機能的バリアントは、特に興味深い。
【0591】
肝臓細胞に対する肝臓特異的プロモーターの特異性も、実施例2に記載される材料および方法を使用して、非肝臓HEK293細胞を使用して試験した。肝臓特異的プロモーターの活性を、CMV-IE(配列番号433)の活性と比較して表す(TBGおよびLP1は肝臓特異的であり、したがって、HEK293細胞において特に活性ではない)。HEK293細胞において試験された肝臓特異的プロモーターの特異性を示すグラフにおける「相対活性」は、CMV-IEの活性に対する比として表される名付けられたプロモーターの活性であり、1は、CMV-IEプロモーター(配列番号433)と同じ活性であり、1より高いのは、CMV-IEと比較してより高い活性であり、1より低いのは、配列番号433のCMV-IEプロモーターと比較してより低い活性である。
(実施例13)
in vivoでの例示的な肝臓特異的プロモーターからの発現
【0592】
ある特定の肝臓特異的プロモーターを、in vivoでの評価のために、例示的な肝臓特異的プロモーターとして選択した。特に、ミニマルプロモーターのCRM_SP0239(配列番号87)およびCRM_SP0412(配列番号86)、ならびに合成肝臓特異的プロモーターのSP0239(配列番号93)、SP0412(配列番号91)およびSP0422(配列番号92)を、in vivoで評価した(図10および図13A~13Bを参照されたい)。
【0593】
AAV産生:
本発明によるプロモーターのサブセットの活性をin vivoで試験した。この研究に含まれる合成プロモーターは、SP0239、SP0244、SP0412、および陽性対照のLP1であった。使用されるレポーター遺伝子は、fLUC-T2A-EGFP、すなわち、T2Aシグナル(二方向自己切断ペプチド)を介してmEGFP(変異型緑色蛍光タンパク質)に融合されたfLUC(ホタルルシフェラーゼ)であった。pAAV_SYNP_Luc-T2A-GFPデスティネーションベクターは、ZsGreen1レポーターがLuc-T2A-GFPデュアルレポーターによって置き換えられたpAAV ZsGreen1(Clontechから購入)に由来する。すべてのDNAプラスミドは、製造者の説明書に従って、QIAGEN Plasmid Megaキット(Qiagen番号12181、ドイツ)を使用して調製した。
【0594】
rAAV産生細胞系を、培養ディッシュにおいて培養し、組織培養物を、ダルベッコ改変イーグル培地、高グルコース、10%(v/v)のウシ胎仔血清(Sigma番号F7524、英国)が補充されたGlutaMAX補充(Gibco(Life Technologies)番号61965-059、英国)中、145mm(Greiner Bio-One Ltd 番号639160、英国)で処理し、37℃および5%のCOでインキュベートした。細胞培養のための他の試薬はInvitrogen-英国から購入し、プラスチック製品はLife Technologiesから購入した。
【0595】
この研究で使用されたすべてのAAVベクターを、AAV9カプシドにシュードタイプ化した。rAAV産生細胞系を、レポーター遺伝子がウイルス増殖を可能にするヘルパー機能をコードするプラスミド(pDG9)と並行して異なるプロモーターによって制御されたプラスミドで共トランスフェクトした。rAAV産生細胞系を、(1ug/ul)のストック濃度のポリエチレンイミン(PEI)(Sigma-Aldrich番号764604、英国)を使用し、1:3のモル比(DNA:PEI)を使用して、トランスフェクトした。
【0596】
AAVの精製およびタイトレーション:
72時間のトランスフェクション後、細胞を溶解し、粗溶解物を、濾過し、次いでPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV樹脂(Thermo Scientific、番号A36739)を含有するHPLCカラムによって、AKTAprime plus(高速液体クロマトグラフィー-HPLCシステム(GE Healthcare、番号11001313))を使用して、精製した。
【0597】
ベクターゲノムの数を、QuantStudio(商標)3システムリアルタイムPCR(Thermo Fisher Scientific、英国)において、Luna(登録商標)汎用qPCR Master Mix(NEB番号M3003、英国)の製造者の説明書に従って、フォワードプライマー(ACGCTGGGCTACTTGATC-配列番号445)、リバースプライマー(CGAGGAGGAGCTATTCTTG-配列番号446)およびプローブ(TTTCGGGTCGTGCTCATG-配列番号447)による、LUCカセットを標的とするqPCRタイトレーションによって決定し、データをQuantStudioの設計および分析ソフトウェアV1.4.1によって分析した。
【0598】
動物手順:
【0599】
非近交系の6週齢のCD1雄マウスをCharles River-英国から購入した。それらを、隔離所で1週間保ち、次いで、それらの閉鎖された換気ケージに移し、最小の疾患設備において維持した。それらを、5頭のマウス/ケージでケージに入れ、自由に食事および水を与えて、それらの体重に対して正規化した。新たに収容されたマウスは、任意の実験を行う前に、順応のためにさらに1週間与えられた。この研究は、法定の内務省の勧告;規制、倫理およびライセンス手順;ならびに動物(科学的手順)法1986の下で、University College Londonの組織ガイドラインに従って、実施した。
【0600】
動物注射:
【0601】
AAVを、温かいチャンバー(Thermo Fisher Scientific、英国)において、医療用空気(21%の酸素)(Abbotts Laboratories、英国)中に供給された2%~4%のイソフルランで麻酔された8週齢の若年成人雄CD1マウスに投与した。マウスに、インスリンシリンジ:27 G 1/2インチ、1.0ml(Fisher Scientific、英国)を使用して、側尾静脈に、静脈内注射した。それぞれのマウスは、200μlの生理的食塩水溶液の最終体積で、マウス1頭あたり8E+10のAAVウイルスゲノムのAAVベクター用量で注射される。次いで、マウスを通常の温度に戻した後、それらのケージに戻した。
【0602】
生物発光イメージング
【0603】
マウスを、毎週の全身生物発光イメージングに付した。適切な場合には、マウスは、医療用空気(21%の酸素)中に供給された2%~4%のイソフルランで麻酔され、インスリンシリンジ(Fisher Scientific、英国)を使用して、15mg/mLのD-ルシフェリンカリウム塩(Syd Labs 番号MB000102、米国)の300μlの腹腔内注射を受けた。D-ルシフェリンストックを生理的食塩水(Gibco 番号14190-094、英国)中で調製した。マウスを、1秒~10秒の間、冷却された電荷結合素子カメラ(IVIS Lumina II machine、Perkin Elmer、英国)を使用して、5分後に画像化した。目的の領域(ROI)を、IVIS Lumina Living image 4.5.5(Perkin Elmer)を使用して測定し、1ステラジアンあたり1平方センチメートルあたり1秒あたりの光子(光子/秒/cm/sr)として表した。
【0604】
データ
【0605】
この研究の結果を図10に示す。結果を、それぞれの群のすべての試験された動物について、ルシフェラーゼ生物発光強度の平均、全光束(1秒あたりの光子)として表す。エラーバーは、平均の標準誤差である。群「食塩水」(n=10)では、動物は、食塩水のみを注射され、ルシフェラーゼ生物発光は検出されない。この群は、陰性対照であり、プロモーターに作動可能に連結されたルシフェラーゼが注射されない場合に、ルシフェラーゼ生物発光が検出されないことを示す。群「LP1」(n=9)では、動物は、LP1プロモーター(配列番号432)に作動可能に連結されたルシフェラーゼを注射され、ルシフェラーゼ生物発光が検出される。この群は、陽性対照であり、ルシフェラーゼが、LP1プロモーターの制御下で発現され、検出することができることを示す。
【0606】
本発明による肝臓特異的プロモーターの活性を試験するために、動物に、作動可能に連結された2つのプロモーター下のルシフェラーゼを含む構築物を注射した。群「SP0244」(n=8)では、ルシフェラーゼはSP0244プロモーターに作動可能に連結されている。群「SP0239」(n=10)では、ルシフェラーゼはSP0239プロモーター(配列番号93)に作動可能に連結されている。
【0607】
図10から見ることができるように、発現は、汎用の肝臓特異的プロモーター「LP1」(配列番号432)よりも高い生物発光強度によって示されるように、プロモーター「SP0244」(配列番号366)および「SP0239」(配列番号93)から最も高かった。したがって、プロモーターSP0244およびSP0239はin vivoで高い活性を示し、それらの活性はLP1の活性よりも高い。
【0608】
図13Aおよび13Bでは、GAAの発現が、Huh7細胞およびHEPH2細胞において、細胞内に、異なるLSP;LSP NEW(配列番号160);412 NEW(配列番号159);TTR NEW(配列番号155);412-TTR、422スタッファー(配列番号158);422 TTR;412スタッファー(配列番号156)を含む異なるrAAVベクターから検出され、hGAAが、SP0412およびSP0422プロモーターを使用して、著しいレベルでrAAVから発現され得ることを実証した。さらにまた、図13Aおよび13Bに示されるように、上記のAAVベクターのいずれかによるGAA発現は、汎用の肝臓特異的プロモーターを含むAAVベクターからのGAAの発現よりも有意に高い。重要なことには、図13Aおよび13Bは、プロモーター412(配列番号91)および422(配列番号92)を含むrAAVベクターからのhGAAの発現が、図13Aおよび13Bにおいて「LSP SS」と称されるLP1プロモーター(配列番号432)を含むrAAVからのhGAA発現のレベルと比較して、Huh7およびHepG2細胞において、高いhGAAの発現をもたらすことを示す。
【0609】
この実験は、実施例12において得られたin vitroの結果が、in vivoでの著しいGAAタンパク質発現により達成することができることを実証、確認する。異なる強度を有する肝臓特異的プロモーターの範囲を、本明細書に開示される方法および組成物において使用することができ、これは、疾患、例えば、ポンペ病の処置のための治療的背景において、所望のレベルの肝臓特異的発現を提供するために非常に有用であり得る。
(実施例14)
ポンペ患者の臨床研究
【0610】
3人の対象の2つのコホートにそれぞれ、LOPDを有する成人対象を採用した臨床研究ACT-CS101においてrAAV-LSP-hGAAを投薬した。コホート1の対象は、1.6E12vg/kgを受け、コホート2の対象は、1.6E13vg/kgを受けた。すべての対象は、酵素補充療法(ERT)(アルグルコシダーゼアルファ[LUMIZYME(登録商標)])から離脱し;コホート1の対象は、rAAV-LSP-hGAA投与後6か月間ERTに留まったが、コホート2の対象は、rAAV-LSP-hGAA投与の時にERTから離脱した。AAV8-LSPhGAAについての構築物を図3Bに示し、これは、AAV2 ITRを含む感染性の非複製組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型8ベクター(vecto)であるか、カプシド8および別のカプシドタンパク質、例えば、AAV2由来のカプシドタンパク質を含むハプロイドAAVベクター(例えば、AAV2/8-LSPhGAA)であり、ヒト酸性アルファ-グルコシダーゼ(hGAA)を発現する。
【0611】
予備データは、2020年6月1日の時点で、優先報告ルールを満たした重篤な有害事象がないことを示す。報告された有害事象は、ほとんどが予想/予期されたものであり、軽度から中程度の重症度で、一時的および可逆的であった。
【0612】
コホート1は、1.6E12vg/kgを受け、これは、3人の対象すべてによって十分に許容され、そのすべてが、現在投薬後12か月に達し、生検データが間もなく利用可能である。アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)またはアラニントランスアミナーゼ(ALT)の上昇は、コホート1(1.6E12vg/kg)に登録されたいずれの対象においても観察されなかった。すべての対象は、60mg/日で開始する4週間のプレドニゾン、続いて漸減レジメン(5mg/週で11週間)による免疫予防を受けた。コホート1における対象は、カプシドまたは酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)に対する陽性の酵素結合免疫吸着スポット(ELISPOT)反応性を示さなかった。すべての対象は、それらのそれぞれのベースライン値を上回る血清GAA濃度を示したが、しかしながら、血清GAA濃度は、経時的に減少している。ERTによるレスキューを受ける必要がある対象はいなかった。
【0613】
コホート2は、1.6E13vg/kgを受けた(2019年の8月中旬、9月中旬および10月初旬に投薬)。ASTおよびALTの無症候性の上昇が、46日目(004)、41日目(005)および55日目(006)に開始して、コホート2におけるすべての対象において観察された。すべての対象は、60mg/日で開始するプレドニゾンによる免疫予防を受けたが、しかしながら、すべての対象は、ASTおよびALTの上昇に応答して、プレドニゾンの増大する用量を受けた。2人の対象(004および005)はIVメチルプレドニゾロンを受けた。コホート2における2人の対象は、CTCAEグレード3の検査の上昇を有していた。対象004は、1回のALTのグレード3の上昇(348U/L;ULN=63;5×ULN=315)、および1回のASTのグレード3の上昇(222U/L;ULN=41;5×ULN=205)を経験した。グレード3の上昇は両方とも、同じ日に起こり、治験責任医師によって、ACTUS-101に関連して確実に/ほぼ確実に考慮された。対象5は、1回のガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)のグレード3の上昇(311U/L;ULN=50;5×ULN=250)を経験し、これを、治験責任医師は、より確実にはプレドニゾンであるが、場合によりACTUS-101に関連して考慮した。すべてのグレード3の上昇は、一時的および無症候性であった。対象004は、グレード3の検査の上昇後10日以内に肝生検を受け、その結果は、軽度で、非特異性炎症を示した。この対象はまた、24週目に脂肪腫を報告し、これは、高い長期のステロイド投与の結果であると考えられ、その後、次第に小さくなった。すべての対象は、陽性であるが、AAV8カプシドに対する異なるレベルのELISPOT T細胞応答を示し、これは、注目される肝臓酵素の変化の時間内で、常に一致するわけではない。
【0614】
分析的比較可能性研究を実施して、AAV8-LSPhGAAの同一性、強度、品質、純度もしくは効力に対する提案された製造変更の効果またはその欠如を決定した。
【0615】
AAV8-LSPhGAAの分析的比較可能性は、方法の標準作業手順(SOP)の下でAbsorption Systems Boston,LLC(ASB、Medford、MA)で行われた適格なin vitro効力アッセイを使用して評価することができ、これは、参照標準に対するAAV8-LSPhGAA試験試料の効力の決定のためのin vitroアッセイである。簡潔には、96ウェルのHuH-7細胞培養プレートフォーマット(ヒト肝細胞系、Sekisui XenoTech、カタログ番号JCRB0403)における6日のアッセイを行い、9点希釈スキームを使用してAAV8-LSPhGAAで形質導入し、96±2時間インキュベートし、その後、GAAを、4-MUバイオアッセイによって細胞上清中で測定する。相対効力を、PLAソフトウェア3.0(Stegmann Systems)を使用して、平行線アッセイモデルで計算する。
【0616】
用量範囲研究:
【0617】
GAAノックアウト(KO)マウスにおける用量範囲研究を、AAV8-LSPhGAAの薬力学的効果を裏付けるために、使用した。雄および雌のGAA KOポンペマウス(B6;129-Gaatm1Rabn/J、ストック番号004154、6neo)に、8~12週齢(改変1は、機関からのフィードバックの9~12週間前に提案された)で、尾静脈(静脈内)注射(ボーラス)によって注射する。最小限の6頭の雄(M)および6頭の雌(F)を、Han et al(2017および2019)に基づいて、2E11、2E12および2E13vg/kgで投薬される試験生成物(AAV8-LSPhGAA)の1つを受けるように無作為に割り当てられ、対照群は、製剤の緩衝液のみ(媒体)を受ける。動物は、8週間追跡され、次いで、組織および血液の収集のために犠牲にされる。実験群および対照群は、操作者に盲検のままである。
【0618】
生存中モニタリングは、死亡についての毎日のチェックからなる。瀕死の動物は研究から除かれる(肉眼的剖検実験および組織病理のための組織試料採取が行われた)。血清GAAを、投薬8週間後の終了まで、すべての群で2週間ごとに測定する。
【0619】
剖検での測定および組織収集は、肝臓、心臓、四頭筋、前脛骨筋、横隔膜、脳、ヒラメ筋、腎臓、脾臓、肺、ならびに(1)最終体重、(2)肝臓および心臓についての臓器重量、(3)血清(GAA活性)および抗GAA抗体(ADA)のその後の測定のための-20℃での保管、(4)いくつかの断片にバラバラにされる、肝臓、心臓、ヒラメ筋、四頭筋、前脛骨筋、舌、横隔膜、脳を含む他の臨床測定を含む。追加の測定は、定量化アッセイによって測定される、(4)血清および組織におけるGAA活性、ならびに組織中のグリコーゲン含有量を含む(組織は、液体窒素中で瞬間凍結され、-80℃で保管される)。それぞれの指定された組織の約50mgの標的を、それぞれのアッセイ、ならびに(5)上記に示される組織におけるヘマトキシリン(Haemotoxylin)およびエオシン(H&E)染色、ならびに剖検で観察される任意の肉眼的病変についての10%の中性緩衝ホルマリンで固定された組織病理学的検査分析のために収集する。組織の小区分を、必要によりグリコーゲン染色(過ヨウ素酸-シッフ染色-PAS)、抗GAA抗体応答(ADA)を測定することによる導入遺伝子産物に対する免疫応答の評価、ディプロイドゲノム決定1つあたりのベクターゲノムコピー数に対する総DNA-vg/ugのDNA(液体窒素中で瞬間凍結され、次いで-80℃で保管)のために、グルタルアルデヒド中で固定する。
【0620】
有意差が、以下の測定:1.すべての収集された組織における認定獣医病理学者による組織病理学(安全性);2. 0.80~1.25(80~125%)の間のAAV8-LSPhGAAの改変AAVベクターの相対活性による心臓、横隔膜および四頭筋におけるGAA活性およびグリコーゲン含有量(効力);3. 0.80~1.25(80~125%)の間のAAV8-LSPhGAAの改変AAVベクターの相対生体内分布による収集された組織中のDNA1ugあたりのベクターゲノムDNA(生体内分布);4.抗GAA ADAの変化なしにより観察されなければ、GAA KOマウスにおける用量範囲研究は、AAV8-LSPhGAA、および本明細書の開示により改変された改変AAVベクター(例えば、異なるLSP、hGAA配列の最適化)の間のin vivo比較可能性を裏付ける。
【0621】
本発明を、いくつかの具体的な実施形態と併せて記載および図示したが、当業者には、本明細書に図示され、記載され、特許請求の範囲に記載される本発明の原理から逸脱することなく、変形および改変を行ってもよいことが認識されるであろう。本発明は、それらの精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化され得る。記載される実施形態は、あらゆる点で、実例であって、限定的ではないと考えられる。
【0622】
最後に、本明細書に示され、記載される本発明の例示的な実施形態に関して、AAV(アデノ随伴ウイルス)ウイルスビリオンを含むゲノム構築物は、AAVベクターの送達のために開示され、構成されることが認識されるであろう。本発明の原理は、示され、記載されたものを越えるいくつかの構成で実施され得るので、本発明は、例示的な実施形態によって決して限定されるものではないが、一般に、AAV(アデノ随伴ウイルス)ウイルスビリオン装置を含むゲノム構築物を対象とし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そうするための多数の形態をとることができることが理解されるべきである。
【0623】
本発明のある特定の実施形態が、本発明を行うための本発明者らに公知の最良の形態を含んで、本明細書に記載される。当然ながら、これらの記載される実施形態における変形は、先述の説明を読む際に当業者に明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形を必要により用いることを予想し、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されたもの以外で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙された主題のすべての改変および等価物を含む。また、それらのすべての可能な変形における上記に記載される実施形態の任意の組合せは、本明細書で他に指示されるか、または文脈によって明白に他に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0624】
本発明の代替の実施形態、要素、またはステップのグループ化は、限定として解釈されるべきではない。それぞれの群のメンバーは、個々に、または本明細書に開示される他の群のメンバーとの任意の組み合わせで、言及され、かつ特許請求の範囲に記載され得る。群の1つまたは複数のメンバーが、便宜上および/または特許性の理由のために、群に含まれてもよく、または群から削除されてもよいことが予期される。任意のそのような包含または削除が起こる場合、本明細書は、改変された群を含有し、そのため、添付される特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を充足すると見なされる。
【0625】
他に指示されない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される、特徴、項目、量、パラメーター、性質、用語などを表すすべての数は、すべての例において「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、そのように条件付けされた特徴、項目、量、パラメーター、性質、または用語が、述べられた特徴、項目、量、パラメーター、性質、または用語の値の上下プラスまたはマイナス10パーセントの範囲を包含することを意味する。したがって、逆のことが示されない限り、本明細書および添付される特許請求の範囲に記述される数的パラメーターは、変動し得る近似値である。少なくとも、また特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではないが、それぞれの数的指標は、報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。本発明の広い範囲を記述する数的な範囲および値は近似値であるにも関わらず、具体例において記述された数的な範囲および値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、数的な範囲または値は、本質的に、それらのそれぞれの試験測定値においてに見出される標準偏差に必然的に起因するある特定の誤差を含有する。本明細書における数的な値の範囲の列挙は、その範囲内にあるそれぞれ別々の数値を個々に言及する簡便な方法としての機能を果たすことが単に意図される。本明細書で他に指示されない限り、数的な範囲のそれぞれの個々の値は、本明細書に個々に列挙されたかのように、本明細書中に組み込まれる。同様に、本明細書で使用される場合、逆のことが示されない限り、「実質的に」という用語は、そのように条件付けされた特徴、項目、量、パラメーター、性質、または用語の近似値を示すことが意図される程度の用語であり、当業者によって理解および解釈され得る範囲を包含する。
【0626】
「であってもよい(may)」または「ことができる(can)」という用語の使用は、実施形態または実施形態の態様に関して、「でなくてもよい(may not)」または「ことができない(cannot)」という代替の意味も有する。そのため、本明細書が、実施形態または実施形態の態様が、本発明の主題の一部として含まれていてもよく、または含まれることができることを開示する場合、否定的限定または排他的条件も明確に意味し、実施形態または実施形態の態様が、本発明の主題の一部として含まれていなくてもよいか、または含まれることができないことを意味する。同様の方法で、「必要に応じて」という用語の使用は、実施形態または実施形態の態様に関して、そのような実施形態または実施形態の態様が、本発明の主題の一部として含まれていてもよく、または本発明の主題の一部として含まれていなくてもよいことを意味する。そのような否定的限定または排他的条件が適用されるかどうかは、否定的限定または排他的条件が、特許請求の範囲に記載される主題において列挙されるかどうかに基づくであろう。
【0627】
特許請求の範囲において使用される場合、出願されたもの、または補正によって追加されたものにかかわらず、「含む(comprising)」というオープンエンドの移行句は(「含む(including)」、「含有する(containing)」、および「有する(having)」などのそれらの等価なオープンエンドの移行句と一緒に)、単独で、または列挙されていない主題と組み合わせて、明示的に列挙される要素、限定、ステップ、および/または特色をすべて包含し;名付けられた要素、限定、および/または特色は必須であるが、他の名付けられていない要素、限定、および/または特色が追加されてもよく、かつ特許請求の範囲の範囲内の構築物を依然として形成してもよい。本明細書に開示される具体的な実施形態は、「含む」の代わりに、または補正として、「からなる」または「から本質的になる」というクローズドエンドの移行句を使用して、特許請求の範囲においてさらに限定されることがある。特許請求の範囲において使用される場合、出願されたもの、または補正によって追加されたものにかかわらず、「からなる」というクローズドエンドの移行句は、特許請求の範囲に明示的に列挙されない任意の要素、限定、ステップ、または特色を排除する。「から本質的になる」というクローズドエンドの移行句は、明示的に列挙される要素、限定、ステップ、および/または特色、ならびに特許請求の範囲に記載される主題の基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えない任意の他の要素、限定、ステップ、および/または特色に、特許請求の範囲の範囲を限定する。したがって、「含む」というオープンエンドの移行句の意味は、具体的に列挙された要素、限定、ステップ、および/または特色だけでなく、任意の必要に応じた追加の指定されていないものもすべて包含するものとして定義される。「からなる」というクローズドエンドの移行句の意味は、特許請求の範囲に具体的に列挙された要素、限定、ステップ、および/または特色のみを含むとして定義される一方、「から本質的になる」というクローズドエンドの移行句の意味は、特許請求の範囲に具体的に列挙された要素、限定、ステップ、および/または特色、ならびに特許請求の範囲に記載される主題の基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えない要素、限定、ステップ、および/または特色のみを含むとして定義される。したがって、「含む」というオープンエンドの移行句は(それらの等価なオープンエンドの移行句と一緒に)、「からなる」または「から本質的になる」というクローズドエンドの移行句によって指定された特許請求の範囲に記載される主題を、限定的な場合として、その意味内に含む。そのため、「含む」という語句を用いて本明細書に記載されるか、またはそのように特許請求の範囲に記載される実施形態は、「から本質的になる」および「からなる」という語句について、本明細書において、明示的または本質的に明確に記載され、可能にされ、支持される。
【0628】
本発明の態様を、少なくとも1つの例示的な実施形態に関して記載したが、本発明がそれらに限定されないことは、当業者によって明白に理解されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲と併せてのみ解釈されるべきであり、ここで、本発明者らが、特許請求の範囲に記載される主題が本発明であると考えることが明白にされる。
参照
【0629】
限定されるものではないが、特許および特許出願ならびに国際特許出願を含む、本明細書および実施例において開示される参照は、参照によりそれらの全体が本明細書にすべて組み込まれる。
【0630】
本明細書において参照および特定された特許、特許公開ならびに他の刊行物はすべて、例えば、本発明に関連して使用される可能性があるそのような刊行物に記載された組成物および方法論を記載および開示する目的のために、参照によりそれらの全体が本明細書に個々におよび明示的に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためにもっぱら提供される。これに関して、本発明者らが、先行発明または任意の他の理由によりそのような開示に先行する権利がないという自白として解釈されるべきではない。これらの文書の日付についての陳述またはこれらの文書の内容についての表明はすべて、本出願人らに利用可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さについての任意の承認を構成するものではない。
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【国際調査報告】