(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】カルバメート化合物を含む経口用医薬組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/41 20060101AFI20230119BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20230119BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230119BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230119BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20230119BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230119BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A61K31/41
A61K9/14
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/44
A61K9/20
A61K9/28
A61K9/48
A61P25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529517
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2020016427
(87)【国際公開番号】W WO2021101295
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0151556
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511206696
【氏名又は名称】エスケー バイオファーマスティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジヘ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ソヨン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA43
4C076AA44
4C076AA53
4C076AA54
4C076AA56
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD01F
4C076DD26C
4C076DD27A
4C076DD27C
4C076DD28C
4C076DD29C
4C076DD38A
4C076DD41C
4C076DD47C
4C076DD67A
4C076EE16B
4C076EE23C
4C076EE30A
4C076EE31A
4C076EE31B
4C076EE31C
4C076EE32B
4C076EE33B
4C076EE38A
4C076EE38B
4C076EE38C
4C076EE48C
4C076EE52C
4C076EE53C
4C076FF16
4C076FF26
4C076FF33
4C076FF68
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC62
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA10
4C086ZA06
(57)【要約】
本発明は、有効成分として式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を含む経口用医薬組成物及びその製造方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として下記式(1)
【化1】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ、
A
1及びA
2の一つはCHであり、他の一つはNである。)
で示されるカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物の粒子;及び
薬学的に許容される担体;
を含み、ここで、前記有効成分粒子の粒径d(0.9)が、300μm未満である、経口用医薬組成物。
【請求項2】
前記有効成分粒子の粒径d(0.9)が、250μm以下である、請求項1に記載の経口用医薬組成物。
【請求項3】
前記有効成分粒子の粒径d(0.9)が、150μm以下である、請求項1に記載の経口用医薬組成物。
【請求項4】
前記有効成分が、5mg~400mgの量で含まれる、請求項1~3のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
【請求項5】
前記薬学的に許容される担体が、希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
【請求項6】
前記薬学的に許容される担体が、界面活性剤をさらに含む、請求項5に記載の経口用医薬組成物。
【請求項7】
前記希釈剤が、コーンスターチ、ゼラチン化(pr-gelatinized)デンプン、ジャガイモデンプン、小麦粉デンプン、餅米デンプン、サツマイモデンプン、タピオカデンプン、米デンプン、蜜ロウコーンスターチ、スクロース、ラクトース無水物、ラクトース水和物、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、エリトリトール、合成ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシプロピルデンプン、微結晶セルロース及び結晶セルロースからなる群から選ばれる1種以上である、請求項5又は6に記載の経口用医薬組成物。
【請求項8】
前記崩壊剤が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ラクトース無水物、ラクトース水和物、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロース及びその薬学的に許容される塩、ヒドロキシプロピルセルロース、コーンスターチ、及びクロスカルメロース及びその薬学的に許容される塩からなる群から選ばれる1種以上である、請求項5~7のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
【請求項9】
前記潤滑剤が、二酸化ケイ素、コロイド状無水シリカ、三ケイ酸マグネシウム、三塩基性リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、粉末セルロース、デンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、鉱油、水素化植物油、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸からなる群から選ばれる1種以上である、請求項5~8のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
【請求項10】
医薬組成物の全重量に基づいて、前記有効成分5重量%~35重量%、前記希釈剤55重量%~90重量%、前記崩壊剤2重量%~6重量%及び前記潤滑剤0.1重量%~4重量%を含む、請求項5~9のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
【請求項11】
前記有効成分が、下記式(2)
【化2】
(2)
で示されるカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である、請求項1~10のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
【請求項12】
圧縮錠剤、多重圧縮錠剤、糖衣錠、フィルムコーティング錠、硬質カプセル又は軟質カプセル形態である、請求項1~11のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
【請求項13】
有効成分として下記式(1)
【化3】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ、
A
1及びA
2の一つはCHであり、他の一つはNである。)
で示されるカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物の粒子を薬学的に許容される担体と混合し、打錠する工程を含み、
ここで、前記有効成分粒子の粒径d(0.9)が、300μm未満である、経口用医薬組成物の製造方法。
【請求項14】
前記有効成分と薬学的に許容される担体との混合が、直接混合打錠によって行われる、請求項13に記載の経口用医薬組成物の製造方法。
【請求項15】
前記有効成分粒子の粒径d(0.9)が、250μm以下である、請求項13又は14に記載の経口用医薬組成物の製造方法。
【請求項16】
前記経口用医薬組成物内に前記有効成分が、5mg~400mgの量で含まれる、請求項13~15のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物の製造方法。
【請求項17】
前記薬学的に許容される担体が、希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤からなる群から選ばれる1種以上である、請求項13~16のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物の製造方法。
【請求項18】
前記薬学的に許容される担体が、界面活性剤をさらに含む、請求項17に記載の経口用医薬組成物の製造方法。
【請求項19】
前記有効成分が、下記式(2)
【化4】
(2)
で示されるカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である、請求項13~18のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物の製造方法。
【請求項20】
前記経口用医薬組成物が、圧縮錠剤、多重圧縮錠剤、糖衣錠、フィルムコーティング錠、硬質カプセル又は軟質カプセル形態である、請求項13~19のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分として下記式(1)
【化1】
(1)
(式中、R
1、R
2、A
1及びA
2は、本明細書で定義されているものと同義である。)
で示されるカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を含む経口用医薬組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記式(1)
【化2】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ、
A
1及びA
2の一つはCHであり、他の一つはNである。)
で示されるカルバメート化合物(カルバミン酸アリール-2-テトラゾリルエチルエステル)及びその製造方法は、特許文献1、2及び3に詳細に記載されており、それらの前記文献は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0003】
前記式(1)のカルバメート化合物の特定の例は、下記式(2)
【化3】
(2)
で示されるカルバメート化合物(カルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル)が挙げられる。
【0004】
前記式(2)のカルバメート化合物は、中枢神経系疾患に使用される効果的な抗てんかん剤として知られているが、それを人体に適用するための具体的な経口投与用製剤に関する研究は開示されていない。薬物を人体に適用するためには、製剤の設計が不可欠である。薬として効果を発揮するためには、錠剤、カプセル剤、注射剤、軟こう剤などの特定の製剤化が必要である。
【0005】
前記化合物を投与して薬理学的活性を得る場合には、その効果が早く現れることが求められ、長期間にわたって投与を繰り返すことにより、血中の有効成分の均一な濃度を確保することに適しなければならない。迅速な効果を得るためには、注射用製剤が適切かもしれないが、投与経路により使用が制限されるという短所がある。このように、この目的を達成するための新規の経口用固形製剤を開発するための需要が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/112685号公報
【特許文献2】国際公開第2010/150946号公報
【特許文献3】国際公開第2011/046380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生体内pH範囲(pH1.2~6.8)における前記式(1)のカルバメート化合物の溶解度(1.8~2.0mg/mL)は、12.5~400mgの有効成分を有する錠剤の吸収を制限しない(BCS; Amidon, G.L. et al., Pharmaceutical research, 12: 413-420 (1995))。また、前記用量に基づいて、前記化合物の粒子サイズは、投与単位の均一性に有意な影響を与えるとは予測されない。むしろ、微粉化は、医薬品有効成分の流動性及び安定性に直接影響し、それによって含量の均一性及び含量に影響を与えるため、投与単位の均一性の目的には推奨されない。
【0008】
しかし、本発明者らは、前記式(1)のカルバメート化合物は、高い溶解度にも関わらず、溶解速度が可変的であることを見出した。製剤の溶解速度は、迅速且つ一貫した治療効果及び品質管理に必要な条件である。さらに、溶解速度が変動する場合、製剤の品質管理に問題を引き起こす可能性がある。従って、本発明者らは、そのような問題を解決するために研究を繰り返して行った。
【0009】
一方、一般に、粒子の微粉化は、薬物の流動性及び安定性に直接的な影響を及ぼし、それによって製剤の含量の均一性及び含量に影響を与える可能性があるため、採用されない。しかし、繰り返し研究を通じて、本発明者らは、微粉化によってその製剤に含まれる前記式(1)のカルバメート化合物の粒子の平均粒子サイズを制御することによって優れた溶出速度を一貫して達成する製剤を考案した。即ち、本発明は、当業者が、前記式(1)のカルバメート化合物の溶解速度を微粉化によって調節できることを容易に想像できなかったという点で驚くべきことである。
【0010】
従って、本発明の目的は、前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を有効成分として含む経口投与用医薬組成物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、有効成分として下記式(1)
【化4】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ、
A
1及びA
2の一つはCHであり、他の一つはNである。)
で示されるカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物の粒子;及び
薬学的に許容される担体;
を含み、ここで、前記有効成分粒子の粒径d(0.9)が、300μm未満である経口用医薬組成物が提供される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、有効成分として前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物の粒子を薬学的に許容される担体と混合し、打錠する工程を含み、ここで、前記有効成分粒子の粒径d(0.9)が、300μm未満である経口用医薬組成物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、優れた崩壊力及び迅速な溶出速度を達成することにより、迅速且つ一貫した治療効果を示す経口用固形製剤を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1~5及び比較例1~3の溶出試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用されるすべての技術用語は、別段の定義がない限り、本発明の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書には好ましい方法及びサンプルが記載されているが、類似又は同等のものも本発明の範囲に含まれる。
【0016】
本願明細書全体で使用されるすべての数字表示(例えば、pH、温度、時間、濃度、d(0.9)及びd(0.5))は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾され得ることを理解しなければならない。本発明の説明において、「約」という用語が使用される場合、百分率を基準にして、±10%、±5%、±2%、又は±1%を意味する場合がある。一実施形態において、それは、±5%、±2%、又は±1%を意味してもよい。例えば、「約5」は、4.5~5.5、4.75~5.25、4.9~5.1、又は4.95及び5.05の間の任意の値を含むことを意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「粒子」という用語は、粒子が単独で存在するか凝集して存在するかにかかわらず、個々の薬物物質粒子を意味する。すなわち、式(1)のカルバメート化合物を含む本発明の医薬組成物は、300μm以上の粒径d(0.9)を有する凝集物を含有していてもよい。しかし、前記凝集物を構成する主な薬物粒子の粒径d(0.9)が、それぞれ300μm未満、250μm以下、200μm以下、150μm以下、130μm以下又は100μm以下である場合、凝集物自体は本発明に定義された粒子サイズ条件を満たし、その組成物は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0018】
本明細書において、式(1)のカルバメート化合物の粒子に関して、粒径d(0.9)、粒径d(0.5)などの粒子サイズへの言及は、サンプル中のすべての式(1)のカルバメート化合物の粒子の平均が、粒子の形態が球形であるという仮定に基づいて、特定の直径に等しい直径を有する球形粒子に対して計算された体積以下の推定体積を有することを意味する。粒子サイズ分布は、当業者に周知であり、以下に開示及び論じられるようなレーザー光散乱技法によって測定することができる。本発明の一実施形態において、式(1)のカルバメート化合物の粒子サイズは、マルバーン粒子サイズ分析器を使用して測定された。
【0019】
本明細書で使用される場合、「d(0.9)」は、粒子体積の90%が特定の直径d範囲の直径を有することを意味する。具体的には、小さい粒径の粒子から累積して体積分布の累積度数が90%に達する点の粒径d(0.9)が特定直径dの範囲内にあるということを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「d(0.5)」は、粒子体積の50%が特定直径d範囲の直径を有することを意味する。具体的には、小さい粒径の粒子から累積して体積分布の累積度数が50%に達する点の粒径((0.5)が特定直径dの範囲内にあることを意味する。
【0021】
本発明は、下記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を含有する経口用医薬組成物及びその製造方法を提供する。
【0022】
以下に記載される本発明に関するすべての具体的な内容は、本発明の経口用医薬組成物ならびにその製造方法に明確に適用することができる。
【化5】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ、
A
1及びA
2の一つはCHであり、他の一つはNである。)
【0023】
本発明において、前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物は、小さい粒径の粒子から累積して体積分布の累積度数が90%に達する点の粒径d(0.9)が、300μm未満である粒径分布を有し、より具体的には、粒径d(0.9)が、250μm以下、200μm以下、150μm以下、130μm以下又は100μm以下である粒径分布を有することができる。前記粒径d(0.9)の下限は、特に限定されなく、例えば、0μm超過、30μm以上、又は50μm以上であってもよいが、これに限定されない。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物は、小さい粒径の粒子から累積して体積分布の累積度数が50%に達する点の粒径d(0.5)が5~80μmの範囲内であってもよく、より具体的には、粒径d(0.5)が、7~70μm、10~60μm又は15~50μmの範囲内であってもよい。
【0025】
本発明の医薬組成物は、この技術分野で知られている任意の固形製剤であってもよい。具体的には、前記固形製剤は、錠剤又はカプセル剤の形態であってもよく、より具体的に、圧縮錠剤、多重圧縮錠剤、糖衣錠、フィルムコーティング錠、硬質カプセル又は軟質カプセルの形態であってもよい。好ましくは、固形製剤は、錠剤の形態、特に圧縮錠剤又はフィルムコーティング錠の形態であってもよいが、それに限定されない。
【0026】
本発明による経口用固形製剤は、インビトロ溶解について試験される場合、以下のような溶解基準を好ましく示す。すなわち、経口用固形製剤は、81重量%を超える量の薬物が30分以内に溶解する溶解特性を示す。好ましくは、経口用固形製剤は、85重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは91重量%以上の薬物が30分以内に溶解する溶解特性を示す。
【0027】
従来、溶解試験の結果は、所定の数、通常は6つの投与形態(例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁液又は他の投与形態)にわたる平均として確立されている。溶解試験は通常、消化管で観察されるpH範囲(1~7.4)に緩衝され、生理学的に適切な状態を維持するために37℃(±1℃)に調節された水性媒質で行われる。試験される投与形態が錠剤である場合、錠剤の溶解速度をテストするために、通常50~75rpmで回転するパドルが使用される。溶解した式(1)のカルバメート化合物の量は、HPLCによって通常的に決定することができる。溶解試験は品質管理ツールとして機能する。
【0028】
一実施形態において、本発明の経口用医薬組成物は、前記有効成分(すなわち、前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物)を5mg~400mgの投与量範囲で含有することができる。より具体的には、前記有効成分は、12.5mg、25mg、50mg、100mg、150mg又は200mgの投与量で含有することができる。
【0029】
一実施形態において、本発明の経口用固形医薬組成物が錠剤である場合、前記錠剤は、式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物と薬学的に許容される添加剤を直接混合するか、又は乾式/湿式顆粒打錠法によって製造することができる。
【0030】
一実施形態において、前記薬学的に許容される担体は、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤及びそれらの任意の組合わせからなる群から選ぶことができるが、これらに限定されない。
【0031】
一実施形態では、前記薬学的に許容される担体は、界面活性剤をさらに含むことができる。
【0032】
一実施形態において、前記希釈剤は、コーンスターチ、ゼラチン化(pre-gelatinized)デンプン、ジャガイモデンプン、小麦粉デンプン、餅米デンプン、サツマイモデンプン、タピオカデンプン、米デンプン、蜜ロウコーンスターチ、スクロース、ラクトース無水物、ラクトース水和物、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、エリトリトール、合成ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシプロピルデンプン、微結晶セルロース及び結晶セルロースからなる群から選ばれる1種以上であってもよい。具体的には、ラクトース水和物、合成ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシプロピルデンプン、微結晶セルロース及び結晶セルロースからなる群から選ばれる1種以上であってもよい。より具体的には、ラクトース水和物及び微結晶セルロースからなる群から選ばれる1種以上であってもよいが、これらに限定されない。また、一実施形態では、第1の希釈剤としては、微結晶セルロースを使用することができ、第2の希釈剤としてはラクトースを使用することができる。
【0033】
一実施形態において、前記崩壊剤は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ラクトース無水物、ラクトース水和物、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロース及びその薬学的に許容される塩、ヒドロキシプロピルセルロース、コーンスターチ、及びクロスカルメロース及びその薬学的に許容される塩からなる群から選ばれる1種以上であってもよい。具体的には、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロース及びその薬学的に許容される塩、ヒドロキシプロピルセルロース、コーンスターチ、及びクロスカルメロース及びその薬学的に許容される塩からなる群から選ばれる1種以上であってもよい。より具体的には、デンプングリコール酸ナトリウムであってもよいが、これらに限定されない。
【0034】
一実施形態において、前記潤滑剤は、二酸化ケイ素、コロイド状無水シリカ、三ケイ酸マグネシウム、三塩基性リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、粉末セルロース、デンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、鉱油、水素化植物油、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸からなる群から選ばれる1種以上であってもよく、より具体的には、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム又はこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0035】
一実施形態において、前記界面活性剤は、ポリソルベート80、オレオイルマクロゴールグリセリド、リノレオイル、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド、ポリオキシグリセリド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポルリビニピロルリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上であってもよい。具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上であってもよい。より具体的には、ラウリル硫酸ナトリウムであってもよいが、これらに限定されない。
【0036】
一実施形態において、本発明の経口用医薬組成物は、直接混合打錠(直接粉末圧縮法、direct compression)によって製造される場合、以下の成分を含むことができる。
【0037】
組成物全重量に基づいて、前記有効成分5重量%~35重量%、前記希釈剤55重量%~90重量%、前記崩壊剤2重量%~6重量%及び前記潤滑剤0.1重量%~4重量%。
別の一実施形態において、本発明の経口用医薬組成物は、直接混合打錠によって製造される場合、以下の成分を含むことができる:
組成物全重量に基づいて、前記有効成分10重量%~30重量%、前記希釈剤65重量%~85重量%、前記崩壊剤3重量%~5重量%及び前記潤滑剤0.3重量%~1重量%。
【0038】
本発明の医薬組成物は、前記成分に加えて、結合剤、フィルムコーティング剤、着色剤、芳香剤、甘味剤、香味剤、防腐剤などの成分を本発明の目的を損なわない範囲内で含むことができる。
【0039】
一実施形態において、本発明による医薬組成物がフィルムコーティング錠の形態である場合、医薬組成物はフィルムコーティング剤を含むことができる。通常的に、フィルムコーティング剤は、当該医薬組成物の全重量に基づいて、2重量%~4重量%の量で含まれてもよく、これは、フィルム形成剤、可塑剤、潤滑剤及び任意に一つ以上の顔料を含む。以下に説明するように、フィルムコ 本発明において、好ましい有効成分は、下記式(2)
【化6】
(2)
で示されるカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である。
【0040】
さらに、本発明は、有効成分として前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物の粒子を薬学的に許容される担体と混合し、打錠する工程を含み、ここで、前記有効成分粒子の下位90%の平均粒子サイズd(0.9)が、300μm未満である、経口用医薬組成物の製造方法を提供する。
【0041】
前記打錠は、この技術分野で知られている任意の方法に従って行うことができ、好ましくは直接混合打錠であってもよい。
【0042】
前記方法によって製造される経口用医薬組成物は、形状、例えば、円形、楕円形、長方形、矩形、円筒形又は他の適合した形状であってもよい。また、有効成分の濃度に応じてサイズを変更する場合がある。
【0043】
一実施形態において、本発明による医薬組成物が、コーティング錠の形態である場合、打錠後、コーティングする工程をさらに含むことができる。具体的には、前記コーティング錠は、フィルムコーティング錠であってもよく、通常的に、フィルムコーティング剤は、当該医薬組成物の全重量に基づいて2重量%~4重量%の量で含まれてもよい。フィルムコーティング剤は、フィルム形成剤、可塑剤、重滑剤及び任意に一つ以上の顔料を含むことができる。前記フィルムコーティング剤は、Opadryなどの従来のフィルムコーティング剤を使用することができる。
【0044】
本発明によって提供される医薬組成物は、中枢神経系疾患の予防又は治療するために使用することができる。
【0045】
一実施形態において、前記中枢神経系疾患は、不安、鬱病、痙攣(convulsion)、てんかん、片頭痛、双極性障害、薬物乱用、喫煙、ADHD、肥満、睡眠障害、脳卒中、神経障害性疼痛、認知障害、神経変性及び筋痙攣から選ばれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」及び「予防(prevention)」という用語は、疾患の可能性を低減又は排除することを意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、疾患及び/又はこれに付随する症状を完全に又は部分的に排除することを意味する。
【0047】
以下、本発明について、実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、1つ以上の実施形態を説明することのみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図しない。コーティング錠は、直接混合打錠後に、コーティング工程をさらに行うことによって製造することができる。前記フィルムコーティング剤は、通常のフィルムコーティング剤、例えば、Opadry(登録商標)を使用することができる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「d(0.9)」は、粒子体積の90%が特定の直径d範囲の直径を有することを意味する。具体的には、小さい粒径の粒子から累積して体積分布の累積度数が90%に達する点の粒径d(0.9)が特定直径dの範囲内にあるということを意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「d(0.5)」は、粒子体積の50%が特定直径d範囲の直径を有することを意味する。具体的には、小さい粒径の粒子から累積して体積分布の累積度数が50%に達する点の粒径((0.5)が特定直径dの範囲内にあることを意味する。
【0050】
本発明は、下記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を含有する経口用医薬組成物及びその製造方法を提供する。
【0051】
以下に記載される本発明に関するすべての具体的な内容は、本発明の経口用医薬組成物ならびにその製造方法に明確に適用することができる。
【0052】
【化7】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ、
A
1及びA
2の一つはCHであり、他の一つはNである。)
【0053】
本発明において、前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物は、小さい粒径の粒子から累積して体積分布の累積度数が90%に達する点の粒径d(0.9)が、300μm未満である粒径分布を有し、より具体的には、粒径d(0.9)が、250μm以下、200μm以下、150μm以下、130μm以下又は100μm以下である粒径分布を有することができる。前記粒径d(0.9)の下限は、特に限定されなく、例えば、0μm超過、30μm以上、又は50μm以上であってもよいが、これに限定されない。
【0054】
本発明の一実施形態において、前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物は、小さい粒径の粒子から累積して体積分布の累積度数が50%に達する点の粒径d(0.5)が5~80μmの範囲内であってもよく、より具体的には、粒径d(0.5)が、7~70μm、10~60μm又は15~50μmの範囲内であってもよい。
【0055】
本発明の医薬組成物は、この技術分野で知られている任意の固形製剤であってもよい。具体的には、前記固形製剤は、錠剤又はカプセル剤の形態であってもよく、より具体的に、圧縮錠剤、多重圧縮錠剤、糖衣錠、フィルムコーティング錠、硬質カプセル又は軟質カプセルの形態であってもよい。好ましくは、固形製剤は、錠剤の形態、特に圧縮錠剤又はフィルムコーティング錠の形態であってもよいが、それに限定されない。
【0056】
本発明による経口用固形製剤は、インビトロ溶解について試験される場合、以下のような溶解基準を好ましく示す。すなわち、経口用固形製剤は、81重量%を超える量の薬物が30分以内に溶解する溶解特性を示す。好ましくは、経口用固形製剤は、85重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは91重量%以上の薬物が30分以内に溶解する溶解特性を示す。
【0057】
従来、溶解試験の結果は、所定の数、通常は6つの投与形態(例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁液又は他の投与形態)にわたる平均として確立されている。溶解試験は通常、消化管で観察されるpH範囲(1~7.4)に緩衝され、生理学的に適切な状態を維持するために37℃(±1℃)に調節された水性媒質で行われる。試験される投与形態が錠剤である場合、錠剤の溶解速度をテストするために、通常50~75rpmで回転するパドルが使用される。溶解した式(1)のカルバメート化合物の量は、HPLCによって通常的に決定することができる。溶解試験は品質管理ツールとして機能する。
【0058】
一実施形態において、本発明の経口用医薬組成物は、前記有効成分(すなわち、前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物)を5mg~400mgの投与量範囲で含有することができる。より具体的には、前記有効成分は、12.5mg、25mg、50mg、100mg、150mg又は200mgの投与量で含有することができる。
【0059】
一実施形態において、本発明の経口用固形医薬組成物が錠剤である場合、前記錠剤は、式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物と薬学的に許容される添加剤を直接混合するか、又は乾式/湿式顆粒打錠法によって製造することができる。
【0060】
一実施形態において、前記薬学的に許容される担体は、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤及びそれらの任意の組合わせからなる群から選ぶことができるが、これらに限定されない。
【0061】
一実施形態では、前記薬学的に許容される担体は、界面活性剤をさらに含むことができる。
【実施例】
【0062】
製造例1:
試験化合物((R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル)の製造
カルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル(前記式(2)のカルバメート化合物)を国際特許公開番号WO2010/150946号の製造例50に記載された方法に従って製造した。
【0063】
実施例1~5及び比較例1~3:
直接打錠法による試験化合物含有経口製剤の製造
下の表1にされる組成と含量に従って、該当成分を混合して打錠した(直接混合打錠)。その後、錠剤は、従来の錠剤のコーティング方法に従ってコーティング剤でフィルムコーティングした。
【0064】
【0065】
試験例1:
溶出試験
溶出試験は、以下の条件下で、米国薬局方に従って前記実施例1~5及び比較例1~3で製造された固形製剤に対して行った。
<溶出条件>
溶出液:0.01Nの塩酸水溶液、900mL
装置:Apparatus II(パドル法)、75rpm
温度:37℃
前記溶出率の結果を下記表2及び
図1に示した。
試験開始から10、20、30、45及び60分後、サンプルを取り出し、215nmでのHPLCにより試験化合物について分析した。
【表2】
【国際調査報告】