(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】交通事故情報を収集するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529684
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2019082181
(87)【国際公開番号】W WO2021098967
(87)【国際公開日】2021-05-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】ミン・リウ
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC27
5H181EE15
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181MB08
5H181MC17
(57)【要約】
車両(101a)のためのテレマティック制御デバイス(102a)は、車両(101a)の事故を検出するように構成される事故検出デバイスと、事故検出デバイスからの事故検出信号に応答して、ワイヤレス通信ネットワークを介してクラウドネットワークエンティティ(105)に事故情報を送信するように構成される通信インターフェースとを備える。クラウドネットワークエンティティ(105)は、1つまたは複数の車両(101a、101b)のうちの少なくとも1つから、第1の車両の事故情報をワイヤレス通信ネットワークを介して受け取る通信インターフェースを備える。通信インターフェースは、事故調停のために、事故情報を警察通信デバイス(107)にさらに提供する。警察通信デバイス(107)は、事故に含まれる1つまたは複数の車両(101a、101b)のうちの少なくとも1つの事故情報を受け取る通信インターフェースと、たとえば警察官に事故情報を表示するディスプレイとを備える。本技法は、事故情報を集めて処理することを容易にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(101a)のためのテレマティック制御デバイス(102a)であって、
前記車両(101a)の事故を検出するように構成される事故検出デバイスと、
前記事故検出デバイスからの事故検出信号に応答して、ワイヤレス通信ネットワーク(106a)を介してクラウドネットワークエンティティ(105)に事故情報を送信するように構成される通信インターフェースと
を備える、テレマティック制御デバイス(102a)。
【請求項2】
前記車両(101a)の環境の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成される画像キャプチャユニット(104a)をさらに備え、前記事故情報が、前記1つまたは複数の画像を含む、請求項1に記載のテレマティック制御デバイス(102a)。
【請求項3】
前記1つまたは複数の画像が、前記事故の前、前記事故の間、および/または前記事故の後の前記車両(101a)の環境の1つまたは複数のビデオシーケンスを含む、請求項1または2に記載のテレマティック制御デバイス(102a)。
【請求項4】
前記事故情報が、速度データ、時間データ、方向データ、位置データ、エアバッグデータ、加速度データ、または座席占有データのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のテレマティック制御デバイス(102a)。
【請求項5】
前記通信インターフェースが、前記事故検出デバイスからの前記事故検出信号に応答して、1つまたは複数のさらなる車両(101b、103a)によって得られた前記事故情報を前記クラウドネットワークエンティティ(105)に事故調停のために提供するように前記1つまたは複数のさらなる車両(101b、103a)をトリガするために、前記車両(101a)の近傍の前記1つまたは複数のさらなる車両(101b、103a)に前記事故について通知するようにさらに構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のテレマティック制御デバイス(102a)。
【請求項6】
前記通信インターフェースが、前記事故情報、特に前記1つまたは複数の画像を、暗号化された形式で前記ワイヤレス通信ネットワーク(106a)を介して前記クラウドネットワークエンティティ(105)に、事故調停のために提供するようにさらに構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のテレマティック制御デバイス(102a)。
【請求項7】
前記通信インターフェースが、前記事故検出デバイスからの前記事故検出信号に応答して、前記ワイヤレス通信ネットワーク(106a)を介してeCallネットワークエンティティにeCallを確立するようにさらに構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のテレマティック制御デバイス(102a)。
【請求項8】
前記通信インターフェースが、前記クラウドネットワークエンティティ(105)からの応答メッセージを受け取るようにさらに構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のテレマティック制御デバイス(102a)。
【請求項9】
前記応答メッセージが、音声通信、調停結果、コマンド、命令のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のテレマティック制御デバイス(102a)。
【請求項10】
1つまたは複数の車両(101a、101b)を含む事故の調停のためのクラウドネットワークエンティティ(105)であって、
前記1つまたは複数の車両(101a、101b)のうちの少なくとも1つから、第1の車両(101a)の事故情報をワイヤレス通信ネットワーク(106a)を介して受け取り、
事故調停のために前記第1の車両(101a)の前記事故情報を警察通信デバイス(107)に提供する
ように構成される通信インターフェースを備える、クラウドネットワークエンティティ(105)。
【請求項11】
前記事故情報が、前記事故に含まれる少なくとも1つの車両(101a、101b)、および/または、前記事故に含まれる前記車両(101a、101b)の近傍の1つもしくは複数のさらなる車両(103a)によってキャプチャされた複数の画像を含む、請求項10に記載のクラウドネットワークエンティティ(105)。
【請求項12】
前記クラウドネットワークエンティティ(105)が、前記複数の画像を単一の事故に割り当てるように構成される処理回路をさらに備える、請求項10または11に記載のクラウドネットワークエンティティ(105)。
【請求項13】
前記通信インターフェースが、前記1つまたは複数の車両(101a、101b)のうちの少なくとも1つから、前記車両(101a、101b)の環境の1つまたは複数の画像を受け取ることに応答して、前記車両(101a、101b)とeCallネットワークエンティティとの間に前記ワイヤレス通信ネットワーク(106a)を介してeCallを確立するようにさらに構成される、請求項10から12のいずれか一項に記載のクラウドネットワークエンティティ(105)。
【請求項14】
1つまたは複数の車両(101a、101b)を含む事故の調停のための警察通信デバイス(107)であって、
事故に含まれる前記1つまたは複数の車両(101a、101b)のうちの少なくとも1つの事故情報を受け取るように構成される通信インターフェースと、
事故調停結果に到達するため警察官に前記事故情報を表示するように構成されるディスプレイと
を備える、警察通信デバイス(107)。
【請求項15】
前記事故情報が、1つまたは複数の画像、速度データ、時間データ、方向データ、GPSデータ、エアバッグデータ、加速度データ、または座席占有データのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の警察通信デバイス(107)。
【請求項16】
前記警察官により到達された前記事故調停結果を受け取るように構成されるユーザインターフェースをさらに備える、請求項14または15に記載の警察通信デバイス(107)。
【請求項17】
前記通信インターフェースが、前記事故調停結果および/または前記事故情報をアーカイブ保管するために、前記事故調停結果をクラウドネットワークエンティティ(105)に提供するようにさらに構成される、請求項16に記載の警察通信デバイス(107)。
【請求項18】
前記通信インターフェースが、前記事故調停結果を前記事故に含まれる前記車両(101a、101b)に提供するようにさらに構成される、請求項16に記載の警察通信デバイス(107)。
【請求項19】
前記ユーザインターフェースが、前記事故を解決するために前記警察官から1つまたは複数の命令を受け取るようにさらに構成される、請求項17または18に記載の警察通信デバイス(107)。
【請求項20】
前記通信インターフェースが、前記1つまたは複数の命令を前記事故に含まれる前記車両(101a、101b)に提供するようにさらに構成される、請求項19に記載の警察通信デバイス(107)。
【請求項21】
車両(101a)のためのテレマティック制御デバイスを動作させる方法(600)であって、
前記車両(101a)の事故検出デバイスによって前記車両(101a)の事故を検出するステップ(601)と、
前記事故検出デバイスからの事故検出信号に応答して、事故調停のために事故情報をワイヤレス通信ネットワーク(106a)を介してクラウドネットワークエンティティ(105)に送信するステップ(603)と
を含む、方法(600)。
【請求項22】
1つまたは複数の車両(101a、101b)を含む事故の調停のためにクラウドネットワークエンティティ(105)を動作させる方法(700)であって、
前記1つまたは複数の車両(101a、101b)のうちの少なくとも1つから、第1の車両(101a)の事故情報をワイヤレス通信ネットワーク(106a)を介して受け取るステップ(701)と、
前記第1の車両(101a)の前記事故情報を警察通信デバイス(107)に提供するステップ(703)と
を含む、方法(700)。
【請求項23】
1つまたは複数の車両(101a、101b)を含む事故の調停のために警察通信デバイス(107)を動作させる方法(800)であって、
事故に含まれる前記1つまたは複数の車両(101a、101b)のうちの少なくとも1つの事故情報を受け取るステップ(801)と、
前記事故情報を前記警察通信デバイス(107)のディスプレイ上に表示するステップ(801)と
を含む、方法(800)。
【請求項24】
コンピュータまたはプロセッサに実行されると、前記コンピュータまたは前記プロセッサに、請求項21に記載の方法(600)、請求項22に記載の方法(700)、および/または、請求項23に記載の方法(800)を実施させる、プログラムコード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、遠距離通信に関する。より具体的には、本開示は、1つまたは複数の車両を含む事故についての情報を収集するための、遠隔制御デバイス、クラウドネットワークエンティティ、および警察通信デバイス、ならびに対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つまたは複数の車両を含む交通事故では、しばしば、警察または他の機関が、事故の場所に職員を派遣させる必要がある。その場所で、職員は、たとえば目撃者に質問することによって、事故を調査する。これらの調査結果は、事故の調停のため、特に、事故について誰に責任があるかを決定するために使用することができる。
【0003】
事故の現場における警察職員との事故の調停は、長くて面倒な手続となる場合がある。それには、たとえば、メモを取り、申告を記録し、交通の障害を取り除くことが含まれ得る。法的責任が不明確であることにもかかわらず、交通が妨げられ、迅速に障害を取り除くことが必要である場合、証拠を提供するため、または申告を行うために、複数の事故関係者を、警察署にさらに呼び出す必要がある場合がある。加えて、証拠が単に言葉で主観的に提供される場合には、調停が誤りを起こしやすい可能性がある。
【0004】
したがって、交通事故に対処するための既存のプロセスは、いくつかの欠点がある。たとえば、事故に関与する関係者は、警察が事故の場所に職員を派遣するまで待たなければならない可能性がある。メモを書き証拠が集められるまで事故に含まれる車両は動かすことができないために、交通は、かなりの間妨げられる可能性がある。さらに、事故の現場に警察または他の職員を派遣するのは費用がかかる。調停結果は、主に、目撃者の証言または簡単な現地の事故分析に基づき、両方が信頼できない傾向にある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
交通事故の調停および対処のための、改善されたデバイス、システム、および方法を提供することが本開示の目的である。
【0006】
上記および他の目的は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる実装形態は、従属請求項、説明、および図から明らかである。
【0007】
一般的に、本開示は、車両、クラウドネットワークエンティティ、および警察通信デバイスのためのテレマティック制御デバイスを提供する。これら3つのエンティティは、遠隔の交通事故の管理を実現するため、ワイヤレス通信ネットワークを介して通信するように構成される。提案される技法は、たとえば、妨げられた道路を片付けるために、信頼できる事故情報および迅速な現場の命令を提供するために、画像データおよび車両データの記録を可能にする。本技法によって、事故の現場に警察を派遣する必要を回避することができる。
【0008】
より具体的には、第1の態様によれば、本開示は、車両の事故を検出するように構成される事故検出デバイスと、事故検出デバイスからの事故検出信号を受け取ることに応答して、ワイヤレス通信ネットワークを介してクラウドネットワークエンティティに(たとえば、事故分析、特に調停のため)事故情報を送信するように構成される通信インターフェースとを備える、車両のためのテレマティック制御デバイスに関する。有利なことに、このことによって、交通事故の遠隔調停が可能になり、そのため、交通事故の現場に警察職員を派遣する必要がない。事故検出デバイスは、ユーザ、すなわち、車両の運転手および/または乗客によって手動でトリガすることができる。または、事故は、事故検出信号を発生させるため、事故検出デバイスによって自動的に検出することができる。事故検出デバイスは、たとえば、車両のエアバッグセンサ、加速度センサ、または別のタイプのセンサと結合することができる。
【0009】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、テレマティック制御デバイスは、車両の環境の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成される画像キャプチャユニットをさらに備え、事故情報が、車両の環境の1つまたは複数の画像を含む。有利なことに、このことによって、非常に正確な調停結果が可能になる。画像キャプチャユニットは、たとえば、車両のダッシュボードカメラを備えることができる。有利なことに、このことによって、車両の既に存在するハードウェアインフラストラクチャの中に、第1の態様によるテレマティック制御デバイスの容易な組込が可能になる。
【0010】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、1つまたは複数の画像は、事故の前、事故の間、および/または事故の後の車両の環境の1つまたは複数のビデオシーケンスを含む。有利なことに、このことによって、非常に正確な調停結果が可能になる。
【0011】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、通信インターフェースは、事故情報、特に1つまたは複数の画像を、暗号化された形式でワイヤレス通信ネットワークを介してクラウドネットワークエンティティに、事故調停のために提供するようにさらに構成される。有利なことに、事故情報特に1つまたは複数の画像が個人的データであると考えられる国々では、このことによって、個人的データのより良好な保護が確実になる。
【0012】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、事故情報は、車両の速度データ、時間データ、方向データ、位置データ(たとえば、全地球測位システム、GPS、データ)、エアバッグデータ、加速度データ、または座席占有データのうちの少なくとも1つを含む。有利なことに、このことによって、さらに効果的で正確な事故調停が可能になる。一実施形態では、テレマティック制御デバイスは、事故情報を得るために、1つまたは複数の好適なセンサを備える、または1つまたは複数の好適なセンサに接続される。
【0013】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、テレマティック制御デバイスの通信インターフェースは、事故検出デバイスから事故検出信号を受け取ることに応答して、1つまたは複数のさらなる車両によって得られた同様の事故情報をクラウドネットワークエンティティに提供するように1つまたは複数のさらなる車両をトリガするために、車両の近傍の1つまたは複数のさらなる車両に事故について通知するようにさらに構成される。有利なことに、このことによって、さらに効果的で正確な事故調停を実現することが可能になる。
【0014】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、テレマティック制御デバイスの通信インターフェースは、事故検出デバイスから事故検出信号を受け取ることに応答して、ワイヤレス通信ネットワークを介してeCallネットワークエンティティにeCall(緊急呼)を確立するようにさらに構成される。有利なことに、このことによって、第1の態様によるテレマティック制御デバイスにより実施される、改善した調停手続をeCall手続と効率的に結合することが可能になる。
【0015】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、テレマティック制御デバイスの通信インターフェースは、クラウドネットワークエンティティからの応答メッセージを受け取るようにさらに構成される。応答メッセージは、音声通信、調停結果、コマンド、命令のうちの少なくとも1つを含むことができる。有利なことに、このことによって、交通事故のより効率的な対処が可能になる。というのは、交通の関係者には、たとえば道路を片付けるため、遠隔で命令を与えることができるためである。
【0016】
第2の態様によれば、本開示は、1つまたは複数の車両を含む事故の調停のためのクラウドネットワークエンティティに関し、クラウドネットワークエンティティは、1つまたは複数の車両のうちの少なくとも1つから、事故情報をワイヤレス通信ネットワークを介して受け取るように構成される通信インターフェースを備え、通信インターフェースが事故調停のために車両の事故情報を警察通信デバイスに提供するようにさらに構成される。有利なことに、このことによって、交通事故の遠隔調停が可能になり、そのため、交通事故の現場に警察職員を派遣する必要がない。
【0017】
第2の態様のさらなる可能な実装形態では、事故情報は、事故に含まれる少なくとも1つの車両、および/または、事故に含まれる少なくとも1つの車両の近傍の1つもしくは複数のさらなる車両によってキャプチャされた複数の画像を含む。有利なことに、このことによって、さらに効果的で正確な事故調停を実現することが可能になる。
【0018】
第2の態様のさらなる可能な実装形態では、クラウドネットワークエンティティは、複数の画像を単一の事故に割り当てるように構成される処理回路をさらに備える。有利なことに、このことによって、クラウドネットワークエンティティが、所与の事故に関連するすべての画像および他の事故情報を、これらの画像およびデータを再び検討する必要がある場合に、統合してアーカイブ保管することが可能になる。
【0019】
第2の態様のさらなる可能な実装形態では、通信インターフェースは、1つまたは複数の車両のうちの少なくとも1つから、車両の環境の1つまたは複数の画像を受け取ることに応答して、車両とeCallネットワークエンティティとの間にワイヤレス通信ネットワークを介してeCallを確立するようにさらに構成される。有利なことに、このことによって、第2の態様によるクラウドネットワークエンティティにより実施される、改善した調停手続をeCall手続と効率的に結合することが可能になる。
【0020】
第3の態様によれば、本開示は、1つまたは複数の車両を含む事故の調停のための、たとえばモバイル警察通信デバイスといった、警察通信デバイスに関する。警察通信デバイスは、事故に含まれる1つまたは複数の車両のうちの少なくとも1つの事故情報を受け取るように構成される通信インターフェースと、事故調停結果に到達するため警察官に事故情報を表示するように構成されるディスプレイとを備える。有利なことに、このことによって、交通事故の遠隔調停が可能になり、そのため、交通事故の現場に警察職員を派遣する必要がない。
【0021】
第3の態様のさらなる可能な実装形態では、事故情報は、1つまたは複数の画像、速度データ、時間データ、方向データ、GPSデータ、エアバッグデータ、加速度データ、または座席占有データのうちの少なくとも1つを含む。有利なことに、このことによって、さらに効果的で正確な事故調停を実現することが可能になる。
【0022】
第3の態様のさらなる可能な実装形態では、警察通信デバイスは、警察官により到達された事故調停結果を受け取るように構成されるユーザインターフェースをさらに備える。有利なことに、このことによって、交通事故の効率的な遠隔管理が可能になる。
【0023】
第3の態様のさらなる可能な実装形態では、通信インターフェースは、事故調停結果および/または事故情報をアーカイブ保管するために、事故調停結果をクラウドネットワークエンティティに提供するようにさらに構成される。有利なことに、このことによって、クラウドネットワークエンティティが、所与の事故に関連する事故情報を、これらのデータを将来再び検討しなければならない場合に、調停結果と一緒に統合してアーカイブ保管することが可能になる。
【0024】
第3の態様のさらなる可能な実装形態では、通信インターフェースは、事故調停結果を事故に含まれる1つまたは複数の車両に提供するようにさらに構成される。有利なことに、このことによって、事故の迅速で効率的な対処が可能になる。
【0025】
第3の態様のさらなる可能な実装形態では、ユーザインターフェースは、事故を解決するために警察官から1つまたは複数の命令を受け取るようにさらに構成される。通信インターフェースは、事故に含まれる車両に1つまたは複数の命令を転送するためにクラウドネットワークエンティティに、または事故に含まれる車両に直接、1つまたは複数の命令を提供するようにさらに構成することができる。有利なことに、このことによって、交通事故のより効率的な対処が可能になる。というのは、交通の関係者には、たとえば道路を片付けるため、遠隔で命令を与えることができるためである。
【0026】
第4の態様によれば、本開示は、車両のためのテレマティック制御デバイスを動作させる方法に関し、方法は、車両の事故検出デバイスによって車両の事故を検出するステップと、事故検出デバイスからの事故検出信号に応答して、事故情報をワイヤレス通信ネットワークを介してクラウドネットワークエンティティに送信するステップとを含む。有利なことに、このことによって、交通事故の遠隔調停が可能になり、そのため、交通事故の現場に警察職員を派遣する必要がない。
【0027】
本開示の第4の態様による方法は、本開示の第1の態様によるテレマティック制御デバイスによって実施することができる。本開示の第4の態様による方法のさらなる特徴は、本開示の第1の態様によるテレマティック制御デバイスの機能性ならびに上記および下記に記載されるその異なる実装形態から直接もたらされる。
【0028】
第5の態様によれば、本開示は、1つまたは複数の車両を含む事故の調停のためにクラウドネットワークエンティティを動作させる方法に関し、方法は、1つまたは複数の車両のうちの少なくとも1つから、車両の事故情報をワイヤレス通信ネットワークを介して受け取るステップと、事故調停のために車両の事故情報を警察通信デバイスに提供するステップとを含む。有利なことに、このことによって、交通事故の遠隔調停が可能になり、そのため、交通事故の現場に警察職員を派遣する必要がない。
【0029】
本開示の第5の態様による方法は、本開示の第2の態様によるクラウドネットワークエンティティによって実施することができる。本開示の第5の態様による方法のさらなる特徴は、本開示の第2の態様によるクラウドネットワークエンティティの機能性ならびに上記および下記に記載されるその異なる実装形態から直接もたらされる。
【0030】
第6の態様によれば、本開示は、1つまたは複数の車両を含む事故の調停のために警察通信デバイスを動作させる方法に関し、方法は、事故に含まれる1つまたは複数の車両のうちの少なくとも1つの事故情報を受け取るステップと、(たとえば、事故を調停する警察官を助けるために、警察官に対して)警察通信デバイスのディスプレイ上に事故情報を表示するステップとを含む。有利なことに、このことによって、交通事故の遠隔調停が可能になり、そのため、交通事故の現場に警察職員を派遣する必要がない。
【0031】
本開示の第6の態様による方法は、本開示の第3の態様による警察通信デバイスによって実施することができる。本開示の第6の態様による方法のさらなる特徴は、本開示の第3の態様による警察通信デバイスの機能性ならびに上記および下記に記載されるその異なる実装形態から直接もたらされる。
【0032】
第7の態様によれば、本開示は、プログラムコードがコンピュータまたはプロセッサによって実行されると、コンピュータまたはプロセッサに、第4の態様による方法、第5の態様による方法、および/または第6の態様による方法を実施させるプログラムコードを担持する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品に関する。
【0033】
1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および下の説明中に記載される。他の特徴、目的、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0034】
本開示の以下の実施形態は、添付される図および図面を参照して、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】一実施形態によるクラウドネットワークエンティティおよび一実施形態による警察通信デバイスと通信する、一実施形態によるテレマティック制御デバイスを備える車両を含む、例示的な事故のシナリオを図示する概略図である。
【
図2】一実施形態によるクラウドネットワークエンティティおよび一実施形態による警察通信デバイスと通信する、一実施形態によるテレマティック制御デバイスを図示する概略図である。
【
図3】一実施形態によるテレマティック制御デバイス、一実施形態によるクラウドネットワークエンティティ、および一実施形態による警察通信デバイスによって実施される交通事故に対処するための様々なステップを図示する流れ図である。
【
図4】一実施形態によるテレマティック制御デバイスを備える車両と、一実施形態によるクラウドネットワークエンティティと、一実施形態による警察通信デバイスとの間の、事故のシナリオにおける信号の流れを図示する信号伝達図である。
【
図5】一実施形態によるテレマティック制御デバイスを備える車両と、一実施形態によるクラウドネットワークエンティティと、一実施形態による警察通信デバイスとの間の、事故のシナリオにおける信号の流れを図示する信号伝達図である。
【
図6】本開示の一実施形態による車両用のテレマティック制御デバイスを動作させる方法を図示する流れ図である。
【
図7】本開示の一実施形態による事故調停のためにクラウドネットワークエンティティを動作させる方法を図示する流れ図である。
【
図8】本開示の一実施形態による事故調停のために警察通信デバイスを動作させる方法を図示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、同一の参照符号は、同一または少なくとも機能的に等価な特徴を参照する。
【0037】
以下の記載では、添付図面への参照が行われる。添付図面は、本開示の一部を形成し、例として、本開示の実施形態の特定の態様、または、本開示の実施形態を使用できる特定の態様を示す。
【0038】
本開示の実施形態は、他の態様で使用することができ、図に描かれない構造的または論理的変化を含むことができることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味でとらえるべきではない。
【0039】
たとえば、記載される方法に関する開示は、その方法を実施するように構成される対応するデバイスまたはシステムにも当てはまり得ること、およびその逆も同様であることを理解されたい。
【0040】
たとえば、1つまたは複数の具体的な方法ステップが記載される場合、対応するデバイスが、1つまたは複数のユニット、たとえば機能ユニットを含み、そのような1つもしくは複数のユニットが明示的に記載されず、または図中に図示されない場合であってさえ、記載される1つまたは複数の方法ステップを実施することができる(たとえば、1つのユニットが1つもしくは複数のステップを実施する、または複数のユニットの各々が複数のステップのうちの1つもしくは複数を実施する)。
【0041】
他方で、たとえば、具体的な装置が、1つまたは複数のユニット、たとえば機能ユニットに基づいて記載される場合、対応する方法が、1つまたは複数のユニットの機能性を実施するための1つのステップを、そのような1つもしくは複数のステップが明示的に記載されず、または図中に図示されない場合であってさえ、含むことができる(たとえば、1つのステップが1つもしくは複数のユニットの機能性を実施する、または複数のステップの各々が複数のユニットのうちの1つもしくは複数の機能性を実施する)。さらに、本明細書に記載される様々な例示的な実施形態および/または態様の特徴は、別段の指定がない限り、互いに組み合わせることができることが理解される。
【0042】
図1は、2つの車両101a、101bを含む、例示的な事故のシナリオを図示する概略図である。両方の車両101a、101bは、テレマティック制御デバイスまたはユニット、TCU(テレマティックスボックスまたはTボックスとしても知られる)を備え、車両101a用のものは、TCU102aと呼ばれる。本開示の以下の実施形態では、車両101bのTCUが同じ方法で動作するように構成できることを理解した上で、車両101aのTCU102aに関して記載することになる。
【0043】
以下でより詳細に記載されるように、車両101aのTCU102aは、車両101aの事故を検出するように構成される事故検出デバイスと、事故検出デバイスからの事故検出信号を受け取ることに応答して、ワイヤレス、特にセルラ通信ネットワークを介して、事故調停のためにクラウドデータセンタ105などのクラウドネットワークエンティティに事故情報を送信するように構成される通信インターフェースとを備える。
【0044】
一実施形態によれば、事故検出デバイスは、ユーザによってたとえば手動で、または音声コマンドによってトリガすることによって、事故を検出することができる。ユーザは、車両101aの運転手または他の乗員であってよい。別の実施形態によれば、事故検出デバイスは、自動的に事故を検出するように構成される。TCU102aの事故検出デバイスは、たとえば、車両のエアバッグセンサ、加速度センサ、または別のタイプのセンサと結合することができる。ユーザが事故検出デバイスをトリガするのを可能にするため、車両のダッシュボード上に配置される緊急ボタンなどといった(たとえば、警告灯たとえば左右の方向指示器を起動させるための緊急ボタンと同様または同一の)ユーザインターフェースを設けることができる。
【0045】
車両101aのTCU102aの事故検出デバイスは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装することができる。ハードウェアは、デジタル回路、またはアナログとデジタル両方の回路を備えることができる。デジタル回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能アレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または汎用プロセッサなどといった構成要素を備えることができる。
【0046】
一実施形態では、アプリケーション検出デバイスおよび/またはTCU102aは、1つまたは複数のプロセッサ、および1つまたは複数のプロセッサに接続される非一時的メモリを備える。非一時的メモリは、1つまたは複数のプロセッサに実行されると、本明細書に記載される動作または方法を装置に実施させる、実行可能プログラムコードを担持することができる。
【0047】
依然として
図2を参照して、車両101aは、特に、車両101aの環境の1つもしくは複数の画像をキャプチャするためのダッシュボードカメラを含むカメラ104aといった、1つもしくは複数の画像キャプチャユニット(
図1にやはり示されており、そこでは、車両101aは、例として、3つのカメラを有するように示される)、車両101aの速度についてのデータを提供するための速度センサ109a、実時間クロック110a、車両101aの位置についてのデータを提供するためのGPSセンサ111aなどの位置決めセンサ、車両101aのエアバッグの状態についてのデータを提供するためのエアバッグセンサ112a、車両101aの加速度についてのデータを提供するための加速度計113a、座席占有センサ114a、および/または、他の車両センサ115aといった複数のセンサを備えることができる。これらのセンサのうちの少なくとも一部は、TCU102aの通信インターフェースによって、セルラ通信ネットワーク106aを介して、クラウドすなわちインターネット106b中に配置されたクラウドネットワークエンティティ105に送信される事故情報を提供することができる。
【0048】
一実施形態では、事故情報は、車両101aが事故の直前に速度超過していたか、していなかったかを決定するために使用することができる、事故の直前の車両101aの(速度計109aからの)速度、事故が発生した(実時間クロック110aからの)時間、事故現場および/または事故に含まれる車両101a、101bの(ナビゲーションまたは他の位置決めセンサ111aからの)位置情報、事故の重大度を評価するために使用することができる、エアバッグの(エアバッグセンサ/信号112aからの)展開状態、全開またはフルブレーキなどといった、運転手の反応を評価するために使用することができる、車両の(加速度計113aからの)加速/減速情報、事故の間の車両101a中の乗員の総数を決定するために使用することができる、車両の座席の(座席占有センサ114aからの)占有状態のうちの少なくとも1つを含むことができる。こうして、この事故情報は、特に、事故に含まれる車両101a、101bの位置、方向、および/または他の状態変数についての情報を提供することができ、これらは、事故を再構築し、したがって、正しい調停結果に到達するのに役立つ。
【0049】
図2に示される実施形態では、異なるタイプのセンサが、車両内ネットワーク108aを介してTCU102aに接続される。他の実施形態では、これらのセンサのうちの少なくとも一部は、TCU102aのそれぞれの構成要素として実装される。
図2に図示されるように、TCU102aは、たとえば、車両101aの乗員からの音声コマンドを受け取るため、および/または車両101aの乗員に車両102aの状態についての情報またはクラウドネットワークエンティティ105から受け取った情報などの情報を提供するため、車両101a中に配置されるマイクロフォン116aおよびスピーカ117aにさらに接続される。
【0050】
一実施形態によれば、カメラ104aによってキャプチャされクラウドネットワークエンティティ105に提供される1つまたは複数の画像は、事故の前、事故の間、および/または事故の後の車両101aの環境の1つまたは複数のビデオシーケンスを含む。一実施形態では、TCU102aの通信インターフェースは、事故調停のために、カメラ104aによって提供された1つまたは複数の画像を含む事故情報を、暗号化された形式でワイヤレス通信ネットワーク106aを介してクラウドネットワークエンティティ105に提供するように構成される。
【0051】
クラウドネットワークエンティティ105は、車両101aのTCU102aから(たとえば、ワイヤレス通信ネットワーク106aを介して)事故情報を受け取るように構成される通信インターフェースを備える。一実施形態によれば、事故情報は、1つまたは複数の画像を含む。クラウドネットワークエンティティ105の通信インターフェースは、事故調停のために車両101aの事故情報を1つまたは複数の警察通信デバイス107に提供するようにさらに構成される。警察通信デバイス107は、たとえば、モバイルフォン、ラップトップコンピュータ、またはデスクトップコンピュータなどの好適に構成されたハンドヘルドモバイルデバイスを備えることができる。
【0052】
一実施形態では、クラウドネットワークエンティティ105の通信インターフェースは、事故情報、特に画像/ビデオシーケンスを、
図1に示された車両101aおよび101bなどといった事故に含まれる1つより多い車両から、ならびに、車両103aなどといった事故の近傍の他の車両(ここでは、目撃者車両と呼ばれる)から受け取るように構成される。
【0053】
一実施形態では、クラウドネットワークエンティティ105は、複数の事故情報、特に様々な車両101a、101b、103aから受け取った画像/ビデオシーケンスを単一の事故として割り当て、このデータを将来アクセスするため単一の事故としてアーカイブ保管するようにさらに構成される。
【0054】
図1に示される車両103aなどといった事故に直接含まれない近傍のいずれかの車両からの事故情報を同様にクラウドネットワークエンティティ105に提供するために、事故に含まれる車両101aのTCU102aの通信インターフェースは、同様の事故情報、特に車両103aによって得られた画像/ビデオシーケンスをクラウドネットワークエンティティ105に提供するように車両103aをトリガするため、その事故検出デバイスからの事故検出信号を受け取ることに応答して、車両103aなどといった車両101aの近傍のいずれかの車両に事故について通知するようにさらに構成することができる。
【0055】
警察通信デバイス107は、事故情報、特に車両101a、ならびに、
図1に示される車両101bおよび103aなどといった事故に含まれるまたは事故を目撃したいずれかの他の車両によってキャプチャされた画像/ビデオシーケンスを受け取るように構成される通信インターフェースと、この事故情報を、たとえば警察官といった警察通信デバイス107のユーザに表示するように構成されるディスプレイとを備える。このことによって、事故直後の警察官が、事故情報、特に車両101a、101b、および103aによって提供される画像シーケンスを遠隔で検討し、
図1に示される例示的な事故のシナリオにおいて、車両101aか、または車両101bが事故を引き起こしたと決定することなどの事故調停結果に到達することが起こることが可能になる。
【0056】
一実施形態では、警察通信デバイス107は、警察官による、到達した事故調停結果を受け取るように構成される、キーボードおよび/またはマイクロフォンなどといったユーザインターフェースをさらに備える。一実施形態では、警察通信デバイス107の通信インターフェースは、将来参照するため、事故調停結果ならびに車両101、101b、および103aから集めた事故情報をアーカイブ保管するために、事故調停結果をクラウドネットワークエンティティ105に提供するようにさらに構成される。クラウドネットワークエンティティ105によってアーカイブ保管される事故情報は、同様に他の目的のために、たとえば、保険金支払いのため使用される証拠として、または、事故が発生した場所のさらなる事故を回避するために道路または設備の状態を改善するため、政府の運輸部門のための統計的事象として使用することができる。
【0057】
一実施形態では、警察通信デバイス107のユーザインターフェースは、事故を解決するために警察官から1つまたは複数の命令を受け取り、これらの命令を、クラウドネットワークエンティティ105を介して事故に含まれる車両101a、101bに提供するようにさらに構成される。そのような命令は、たとえば、道路を片付けるための、車両101a、101bの乗員に対する命令を含むことができる。追加または代替として、クラウドネットワークエンティティ105から車両101a、101bへの応答メッセージは、他のタイプの音声通信および/または調停結果自体を含むことができる。
【0058】
図1は本システムの非限定の例を表すことに留意されたい。別の実施形態では、車両101aのTCU102aは、警察通信デバイス107と通信するように構成することができ、警察通信デバイス107は、たとえば事故情報をアーカイブ保管するために使用されるクラウドネットワークエンティティ105と通信するようにさらに構成される。
【0059】
この実施形態では、車両101aのTCU102aは、たとえば、カメラ104aによって提供される1つまたは複数の画像を含む事故情報を暗号化された形式でワイヤレス通信ネットワーク106aを介して警察通信デバイス107に提供するように構成され、警察通信デバイス107は、アーカイブ保管するために、事故情報をクラウドネットワークエンティティ105に提供するように構成される。他方で、警察通信デバイス107は、車両101aのTCU102aに調停結果を提供し、アーカイブ保管のためたとえば車両101、101b、および103aから集めた事故情報を提供することができる。この方法によって、車両101aのTCU102aは、事故報告および調停の待ち時間を減らすために、警察通信デバイス107と直接通信することができる。
【0060】
以下では、
図1および/または
図2に基づいて実施形態を記載するが、
図1および/または
図2に限定されない。
【0061】
図3では、流れ図の形で、上で記載した重要な態様の一部が要約される。事故が一度発生すると(
図3のステップ301参照)、
図1に示されるような、たとえば事故に含まれる車両101a、101bおよびたとえば車両103aといった事故の近傍のいずれかの目撃者車両は、それらの事故情報をクラウドネットワークエンティティ105に提供する(
図3のステップ303参照)。
【0062】
すべての事故情報は、クラウドネットワークエンティティ105中に、場合によって暗号化および/またはカプセル化した形式でアーカイブ保管される(
図3のステップ305参照)。クラウドネットワークエンティティ105は、警察通信デバイス107に事故について通知し、事故の遠隔調停のために、収集した事故情報を提供する。
【0063】
警察官が、警察通信デバイス107を使用して事故情報を一度検討したら、彼/彼女は、調停結果ならびに事故に含まれる車両101a、101bの乗員用の何らかのコマンド/命令を警察通信デバイス107のユーザインターフェースを介して入力する(
図3のステップ307参照)。その後、本件を閉じることができる(
図3のステップ309参照)。
【0064】
図4は、事故に含まれる車両101a~101n、事故の近傍の車両103a~103m、たとえばデータセンタ105といったクラウドネットワークエンティティ、および警察通信デバイス107の間の例示的な事故のシナリオにおける信号の流れをより詳細に図示する信号伝達図を示す。
【0065】
複数の事故車両101a~101nに事故が発生すると、各事故車両は、eCallでそのサービスプロバイダに接続して、負傷者および故障車両の救助を要請することができる。これらの事故車両101a~101nが、統合された様式で管理されない異なるeCallサービスプロバイダを有する可能性があるという事実に主に基づいて、eCallは、個別に実行することができる。
【0066】
図4のステップは、以下のようである。
ステップ1:事故車両101a~101nを含んで事故が発生する。
【0067】
ステップ2:事故は、1つまたは複数の目撃者車両103a~103mによって目撃される。
【0068】
ステップ3a~3n:各事故車両101a~101nは、eCallでそのサービスプロバイダに接続し、救助を要請する。
【0069】
ステップ4a~4n:すべての事故車両101a~101nは、事故の期間に収集した、画像/ビデオデータ/証拠および/または他の車両データ、すなわち事故情報を、クラウドネットワークエンティティ、たとえばデータセンタ(DC)105に送信することができる。
【0070】
ステップ5a~5m:いずれかの目撃者車両103a~103mが事故を見て現場を通過する場合には、いずれかの目撃者車両103a~103mがビデオおよび事故関連データ、すなわち、事故情報をデータセンタ105に送信することができる。ビデオおよび事故関連データ、すなわち事故情報は、たとえば、目撃者車両103a~103mによって得られた事故のビデオ、事故の期間の目撃者車両103a~103mに対する事故車両101a~101nの位置についてのレーダおよび/またはライダデータ、ならびに、将来に目撃者車両103a~103mの運転手と警察が連絡する必要がある場合の、目撃者車両103a~103mの運転手の連絡情報を含むことができる。
【0071】
一実施形態によれば、車両データおよび/または事故関連データ、すなわち事故情報は、それぞれの車両の地理的位置情報を含むことができる。地理的位置情報によって、データセンタ105は、上で既に述べたように、データを分類して、それらを同じ事故に対して互いに近い位置に割り当てることができる。
【0072】
ステップ6a~6m:目撃者車両103a~103mが一度ビデオおよび事故関連データ、特にその連絡情報をデータセンタ105に提供したら、目撃者車両103a~103mは、事故現場を片付けるために走り去ることができる。
【0073】
ステップ7:クラウドネットワークエンティティ、たとえばデータセンタ105は、次いで、事故事例をアーカイブ保管し、警察通信デバイス107を使用して事故について警察に通知することになる。
【0074】
ステップ8~10:データセンタ105にすべての事故情報が記憶されて、警察が、次いで警察通信デバイス107を使用して、データにアクセスし(ステップ8)、事故の法的責任を判定し(ステップ9)、事故調停結果をデータセンタ105に戻して送信する(ステップ10)。
【0075】
ステップ11a~11n:警察通信デバイス107と事故車両101a~101nの間に設定された通信チャネルを使用することによって、警察は、すべての事故関係者に警察通信デバイス107を通して音声ベースのコマンドまたは命令を発して、彼らに、可能なだけ速く道路を片付け、交通を回復させるように適合させることができる。さらに、警察通信デバイス107は、事故車両101a~101nと調停結果を共有することができる。
【0076】
ステップ12:調停結果は、将来参照するために、単一の事故としてデータセンタ105の中に他の事故データ/情報と一緒にアーカイブ保管されることになる。
【0077】
ステップ13a~13n:事故車両101a~101nが、たとえば、調停結果、コマンドおよび/または命令を含む音声通信を警察通信デバイス107から一度受け取ると、事故車両101a~101nは、事故現場を片付けるために走り去ることができる。次いで事故事例を閉じることができる。
【0078】
図4に示されるような実施形態では、eCallサービスは、各々の事故関係者、すなわち、車両101a~101nによって別個に行われる。各車両101a~101nは、人的損傷または車両の損害の重大度に依存して、様々なeCallサービスを選択し、eCallを使用するかしないかそれ自体の決定を行うフレキシビリティを有する。この場合、事故の救助は、本明細書で記載される法的責任の調停とは独立したプロセスである。
【0079】
上で記載された
図4と非常に類似する、
図5に示される実施形態では、eCall機能は、中央管理され、たとえば
図1および
図2に示される事故調停システムと融合される。
【0080】
車両データが事故について報告されると、クラウドネットワークエンティティ、たとえばデータセンタ105は、必要に応じて、事故車両101a~101nとそれらそれぞれのサービスプロバイダとの間にeCallリンクを設定する助けをすることができる(
図5中のステップ5参照)。言い換えると、
図5に示される実施形態では、(
図4のステップ3a~3nのように)事故車両101a~101nは、救助要求のために、それらのサービスプロバイダに別個に連絡する必要がない。
図5に示される他のステップについて、対応する
図4の同一のステップの、上の記載に対して参照が行われる。
【0081】
事故車両101a~101nが警察通信デバイス107と直接通信する場合、警察通信デバイス107は、データセンタ105の代わりに、各事故車両のために、eCallを開始することになる。
【0082】
上で既に述べたように、
図5に示される実施形態では、eCallサービスは、たとえば
図1および
図2に図示される事故調停システムの中に組み込まれる。eCallが必要か否かは、たとえば、人的損傷または車両の損害の重大度に依存することができる。それは、乗員の生存兆候監視または車両の診断データなどといった人的損傷または車両の損害の重大度についての客観的尺度を提供するいくつかの基準にしたがって、機械によって自動的に行うことができ、または、事故のビデオを見て判断を行う人間によって行うことができる。この手法の利点は、事故関係者が彼ら自身でそれを行う必要がないことである。
【0083】
図6は、本開示の実施形態にしたがった車両101aのTCU102aを動作させる方法600を図示する流れ図である。前の図の状況にとても詳細に記載されたように、方法600は、車両の事故検出デバイスによって車両101aの事故を検出するステップ601と、事故検出デバイスからの事故検出信号に応答して、事故情報をワイヤレス通信ネットワーク106aを介してクラウドネットワークエンティティ105に送信するステップ603とを含む。
【0084】
同様に、別の実施形態では、方法は、車両の事故検出デバイスによって車両101aの事故を検出するステップ601と、事故検出デバイスからの事故検出信号に応答して、事故情報をワイヤレス通信ネットワーク106aを介して警察通信デバイス107に送信するステップ603とを含む。
【0085】
図7は、本開示の一実施形態による事故調停のためにクラウドネットワークエンティティたとえばデータセンタ105を動作させる方法700を図示する流れ図である。方法700は、車両101aから車両101aの事故情報をワイヤレス通信ネットワーク106aを介して受け取るステップ701と、事故調停のために車両101の事故情報を1つまたは複数の警察通信デバイス107に提供するステップとを含む。
【0086】
別の実施形態では、方法は、警察通信デバイス107から車両101aの事故情報を受け取るステップと、車両の事故情報をクラウドネットワークエンティティにアーカイブ保管するステップとを含むことができる。
【0087】
図8は、本開示の一実施形態による事故調停のために警察通信デバイス107を動作させる方法800を図示する流れ図である。方法800は、事故に含まれる車両101aの事故情報を受け取るステップ801と、事故調停結果に達するため警察官に対して警察通信デバイス107のディスプレイ上に事故情報を表示するステップとを含む。
【0088】
別の実施形態では、方法は、事故に含まれる車両から事故情報を受け取るステップと、事故に含まれる車両からの事故情報をクラウドネットワークエンティティ105に提供するステップとを含むことができる。
【0089】
本開示の実施形態によって、事故に関連する画像を記録し、このデータおよび/または事故情報を車両内テレマティックス接続を使用してクラウドネットワークエンティティ105に送信することが可能になる。すべてのこの情報は、交通事故の証拠として使用すること、交通規制機関が事故を迅速に遠隔で調停および対処するために使用することができる。
【0090】
したがって、本開示の実施形態によって、事故現場に警察官を派遣するのを回避することによって作業効率を改善するだけでなく、事故の迅速な対処を可能にすること、ならびに、複数の事故関係者によって提供される様々な視角から確かにアーカイブ保管された事故の証拠を用いて調停結果の正確さを増すことが可能になる。
【0091】
(必ずしも、ハードウェアまたはソフトウェアにおける個々の「ユニット」ではなくむしろ)様々な図(方法および装置)の「ブロック」(「ユニット」)は、本開示の実施形態の機能性を表しまたは記載し、したがって、装置の実施形態ならびに方法の実施形態(ユニット=ステップ)の機能または特徴を等しく記載することを、当業者なら理解するであろう。
【0092】
本出願で提供されるいくつかの実施形態では、開示されるシステム、装置、および方法を他の様式で実装できることを理解するべきである。たとえば、記載される装置の実施形態は、単に例示である。たとえば、ユニット分割は、単なる論理的機能分割であって、実際の実装形態では他の分割であってよい。たとえば、複数のユニットまたは構成要素を別のシステムへと組み合わせることまたは統合することができ、またはいくつかの特徴を無視すること、もしくは実施しないことができる。加えて、表示または議論された相互結合もしくは直接結合もしくは通信接続は、何らかのインターフェースを使用することによって実装することができる。装置またはユニット間の間接的な結合または通信接続は、電気、機械、または他の形式で実装することができる。
【0093】
別個の部分として記載されたユニットが、物理的に別個であってよく、別個でなくてよく、ユニットとして表示された部分が、物理的なユニットであってよく、物理的なユニットでなくてよく、1つの場所に配置してよく、複数のネットワークユニット上に分散してよい。ユニットのうちの一部または全部を、実施形態の解決策の目的を達成するための実際の必要性にしたがって選択することができる。
【0094】
加えて、本開示の実施形態中の機能性ユニットを1つの処理ユニットの中に統合することができ、またはユニットの各々が、単独で物理的に存在してよく、または2つ以上のユニットが1つのユニットへと統合される。
【符号の説明】
【0095】
101a 事故車両
101b 事故車両
101n 事故車両
102a TCU
103a 目撃者車両
103m 目撃者車両
104a カメラ
105 クラウドネットワークエンティティ、データセンタ
106a セルラ通信ネットワーク、ワイヤレス通信ネットワーク
106b インターネット
107 警察通信デバイス
108a 車両内ネットワーク
109a 速度センサ、速度計
110a 実時間クロック
111a GPSセンサ、位置決めセンサ
112a エアバッグセンサ
113a 加速度計
114a 座席占有センサ
115a 車両センサ
116a マイクロフォン
117a スピーカ
600 方法
700 方法
800 方法
【国際調査報告】