(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ガス状の水素と酸素を生成する電解反応システム
(51)【国際特許分類】
C25B 9/00 20210101AFI20230119BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20230119BHJP
C25B 9/015 20210101ALI20230119BHJP
C25B 15/00 20060101ALI20230119BHJP
C25B 11/02 20210101ALI20230119BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20230119BHJP
C01B 13/02 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B15/08 302
C25B9/015
C25B15/00 302Z
C25B11/02 302
C25B1/04
C01B13/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022529812
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 AT2020060413
(87)【国際公開番号】W WO2021102494
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522200801
【氏名又は名称】アーエスアー-エネルギー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】オレクシー レブロフ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ハイダー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス アサマー
【テーマコード(参考)】
4G042
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4G042BA10
4G042BB04
4G042BC05
4K011CA05
4K011DA01
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021BC04
4K021CA05
4K021CA08
4K021CA11
4K021DA05
4K021DA10
4K021DC01
4K021DC03
4K021DC05
4K021EA05
(57)【要約】
本発明は、ガス状の水素と酸素を発生させるための電解反応システム1に関するものであって、その反応システムは電解質を収容するための反応室2、69と電極配置3を有し、その電極配置は複数のアノードとカソードの電極5、6から形成されている。互いに離隔した電極5、6の側面の間に、電解質のための少なくとも1つの流れ通路71が形成されており、その流れ通路は電極配置3内へ電解質が流入するための第1の軸線方向の端部と、電極配置3から電解質が流出するための第2の軸線方向の端部との間に延びている。少なくとも1つの流れ通路71は、少なくとも1つの第1の流れ横断面と少なくとも1つの第2の流れ横断面とを有しており、第2の流れ横断面が第1の流れ横断面よりも小さく寸法設計されており、かつ比較的小さい第2の流れ横断面が、少なくとも1つの流れ通路71の、電極配置3の第2の軸線方向の端部の近くに位置する部分セクション内に形成されている。それによって、改良された、特により効率的な電解反応システム1が得られる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状の水素と酸素を発生させる電解反応システム(1)であって、
電解質を収容するための反応室(2、69)を有し、
前記反応室(2)内の電極配置(3)を有し、前記電極配置(3)が複数のアノードの電極(5)とカソードの電極(6)から形成されており、
前記電極配置(3)が、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つより多い同軸又はほぼ同軸に配置された、管状の前記電極(5、6)によって形成されており、かつ互いに隣接して配置された管状の前記電極(5、6)の筒状の側面又は、互いに対して角度をもって方向づけされた複数の面からまとめられた側面が、互いに対して離隔して配置されており、かつ、互いに離隔して配置された前記電極(5、6)の側面の間に、電解質のための少なくとも1つの流れ通路(71)が形成されており、前記流れ通路が、前記電極配置(3)内へ電解質が流入するための第1の軸線方向の端部(78)と、前記電極配置(3)から電解質が流出するための第2の軸線方向の端部(79)との間に延びている、電解反応システム(1)において、
前記少なくとも1つの流れ通路(71)が、少なくとも1つの第1の流れ横断面(80)と少なくとも1つの第2の流れ横断面(81)とを有しており、前記第2の流れ横断面(81)が、前記第1の流れ横断面(80)よりも小さく寸法設計されており、かつ
比較的小さい前記第2の流れ横断面(81)が、前記少なくとも1つの流れ通路(71)の、前記電極配置(3)の前記第2の軸線方向の端部(79)にもっとも近い部分セクション内に形成されている、ことを特徴とする電解反応システム(1)。
【請求項2】
次第に細くなる前記流れ横断面(81)が、前記電極(5、6)の少なくとも1つのものの、前記第1の軸線方向の端部(78)から前記第2の軸線方向の端部(79)の方向に次第に、あるいは飛躍的に増大する材厚(59、60)によって形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電解反応システム。
【請求項3】
前記電極配置(3)の径方向もっとも内側と径方向もっとも外側に配置されている少なくとも1つの前記電極(5、6)の径方向内側の側面(75)及び/又は径方向外側の側面(76)が、前記電極配置(3)の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)に対して角度をもって形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解反応システム。
【請求項4】
前記電極配置(3)の径方向もっとも内側の管状の前記電極(5、6)が、その垂直の長さ(74)の全体にわたって、変化しない材厚(59)と変化しない外径とを有している、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項5】
前記電極(5、6)の少なくとも1つのものの、径方向内側の側面(75)及び/又は径方向外側の側面(76)が、円錐台の側面の形状で形成されている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項6】
次第に細くなる前記少なくとも1つの流れ通路(71)が、少なくとも2つの直接隣接する前記電極(5、6)の互いに対して角度をもって延びる長手軸線によって形成されている、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項7】
前記電極配置(3)の想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)の軸線方向において、前記電極配置(3)の上方及び/又は下方に少なくとも1つの電磁コイル(13)が配置されており、その電磁場は、電気エネルギが供給された場合に、電解質と前記電極配置(3)に作用する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項8】
前記反応室(2)が、実質的に中空筒状又は中空プリズム状のボディ形状を有し、かつその想像上の中心軸線、特に前記反応室(2)の側面が、垂直又はほぼ垂直に方向づけされている、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項9】
前記反応室(2)内に、実質的に中空筒状又は中空プリズム形状の収容容器(4)、特に電解質容器(30)が形成されており、その中に少なくとも1つの管状の前記電極配置(3)が配置されている、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項10】
電解質容器(30)又は電解質用及び少なくとも1つの前記電極配置(3)用の収容容器(4)が、上方の終端セクション内で開放して形成されており、かつその側面又は筒面が、前記反応室(2)の内側の壁面から離隔して配置されている、ことを特徴とする請求項9に記載の電解反応システム。
【請求項11】
管状の前記電極配置(3)の想像上の管軸線(56)が、実質的に想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)上に位置し、あるいは収容容器(4)及び/又は前記反応室(2)の想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)に対して等しく重なる、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項12】
少なくとも1つの前記電極配置(3)が電解質内に完全に浸漬されており、かつ少なくとも1つの電磁コイル(13、70)が同様に電解質用の通常の、あるいは最小の流体レベルの下方に位置し、あるいは少なくとも主として電解質内に浸漬されている、ことを特徴とする請求項7~11のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項13】
少なくとも1つの電磁コイル(13、70)の電磁場が、前記アノードの電極(5)と前記カソードの電極(6)を次のように、すなわち、前記アノードの電極(5)と前記カソードの電極(6)に生じる、あるいは付着するガス泡の剥離が支援されるように、機械的に振動させる、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項14】
少なくとも1つの電磁コイル(13)が上面で見て実質的に環状に形成されており、かつその中央点及び/又は中心点(15)が、前記電極配置(3)の想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)上に、あるいはその近傍に、位置する、ことを特徴とする請求項7~13のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項15】
電磁コイル(13)がトーラス形状に形成されており、かつ少なくとも1つのコイル巻き線(18)、好ましくは少なくとも2つ、特に4つが、巻きボディ(17)の円周を中心に分配して配置された、それぞれ互いに離隔して巻かれた部分巻き線(19、19’、19”、19'")を有している、ことを特徴とする請求項14に記載の電解反応システム。
【請求項16】
コイル軸線に対してそれぞれ45°だけ変位して配置され、重なり合って巻かれた3つのコイル巻き線(18、18’、18")が形成されている、ことを特徴とする請求項15に記載の電解反応システム。
【請求項17】
第1の電気エネルギ供給源(21)が、前記アノードの電極(5)と前記カソードの電極(6)に脈動するエネルギを供給するように形成されている、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項18】
他の電気エネルギ供給源(22)が、少なくとも1つの電磁コイル(13、70)に脈動するエネルギを供給するように形成されている、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項19】
前記アノードの電極(5)と前記カソードの電極(6)にエネルギを供給するための第1のエネルギ供給源(21)のエネルギ周波数と、少なくとも1つの電磁コイル(13、70)にエネルギを供給するための第2のエネルギ供給源(22)のエネルギ周波数が次のように、すなわち電解システムが少なくとも時々その共振周波数の近傍で、あるいはそれにおいて作動するように、選択されている、ことを特徴とする請求項1~18のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項20】
前記反応室(2、69)あるいは電解質を収容する収容容器(4)の下方のセクション内に、電解質を供給し、かつ/又は追加充填するための少なくとも1つの供給開口部(23)が配置されている、ことを特徴とする請求項1~19のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項21】
前記反応室(2、69)内、あるいは電解質を収容する収容容器(4)内に、電解質において乱流を発生させるため、特に電解質内に流れた、たとえば乱れた、あるいは渦巻き状の流れを構築するための、少なくとも1つの手段(24)が形成されている、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項22】
前記乱流を発生させる手段(24)が、少なくとも1つの吸い込み及び/又は排出ノズル(25)によって、好ましくは前記反応室(2、69)内へ、あるいは電解質の収容容器(4)内へ通じる、電解質のための複数の吸い込み及び/又は排出ノズル(25)によって、形成されている、ことを特徴とする請求項21に記載の電解反応システム。
【請求項23】
少なくとも1つの吸い込み及び/又は排出ノズル(25)が、前記反応室(2、69)あるいは収容容器(4)の内側の側面の近傍領域内に配置されており、かつ内側の側面に対して角度をもって配置されているので、電解質内に乱れて旋回する流れが発生可能である、ことを特徴とする請求項22に記載の電解反応システム。
【請求項24】
前記反応室(2、69)内に、電解質の最大の流体レベル(28)を制限し、あるいは定めるための溢流エッジ(27)が形成されている、ことを特徴とする請求項1~23のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項25】
電解質のための少なくとも1つの溢流エッジ(27)が、収容容器(4)の、特に垂直に方向づけされた筒軸線(31)を有する中空筒状の電解質容器(30)の、上方の画成エッジ(29)によって形成されている、ことを特徴とする請求項24に記載の電解反応システム。
【請求項26】
前記反応室(2)の底セクション内に、前記反応室(2)から溢流エッジ(27)を介して流れた電解質あるいは電解質泡を導出するための少なくとも1つの排出開口部(36)が形成されている、ことを特徴とする請求項24に記載の電解反応システム。
【請求項27】
溢流エッジ(27)を介して流れた電解質を収容容器(4)内、特に中空筒状の電解質収容容器(30)内へ戻す還流路(37)を特徴とする、請求項24に記載の電解反応システム。
【請求項28】
ガス閉鎖機構、特に発生する水素と酸素のためのサイフォン形式のガスロックを形成するために、前記反応室(2)の内部あるいは前記反応室(2)内へ通じる、電解質用の還流路(37)の内部に、溢流エッジ(27)を介して流れた電解質のための収集セクション(35)を形成する、ことを特徴とする請求項24に記載の電解反応システム。
【請求項29】
電解質の連続的又は非連続的な供給(45)と排出(46)、特に水を有する、又は水によって形成される電解質を前記反応室(2、69)内及び/又は電解質を収容する収容容器(4)内で時間に関して徐々に交換する、ことを特徴とする請求項1~28のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項30】
雰囲気の周囲圧に関して前記反応室(2)内に負圧を構築するための少なくとも1つの手段(50)、を特徴とする請求項1~29のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項31】
前記反応室(2)、特にそのガス室(26)と、内燃機関(51)、特にガソリンエンジン、ガスエンジン又はディーゼルエンジンの燃料供給部(53)、特に吸気システムとの間に流れ接続部(52)を構築することにより、前記反応室(2)内に負圧を構築する、ことを特徴とする請求項1~30のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項32】
管状の前記電極(5、6)の想像上の中心軸線(8)が、垂直に方向づけされている、ことを特徴とする請求項1~31のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項33】
管状の前記電極(5、6)の遠位の終端セクションが、それぞれ開放して形成されている、ことを特徴とする請求項1~32のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項34】
管状の前記電極(5、6)の側面(75、76)の間に、少なくとも1つの円錐台形状の間隙(57、58)が形成されており、前記間隙によって、前記アノードの電極(5)と前記カソードの電極(6)に生じ、あるいは付着するガス泡が、電解質の上方に位置するガス室(26)内へこぼれ落ちることが支援される、ことを特徴とする請求項1~33のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項35】
管状、あるいは中空プリズム形状の入れ子にされた前記電極(5,6)の間の間隔(54、55)又は間隙寸法が、外側の対の前記電極(5、6)から始まって、さらに内側の、特に中央の管軸線(56)の近傍に配置されている前記電極(5;6)あるいはこの管状の前記電極配置(3)のさらに内側に配置されている対の前記電極(5,6)に比較して、増大し、あるいは大きくなるように寸法設計されている、ことを特徴とする請求項1~34のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項36】
管状又は中空プリズム状の前記電極(5,6)の材厚が、1mm~3mmの間であるので、少なくとも1つのコイル(13)の電磁場が、管状又は中空プリズム状の前記電極(5,6)内に機械的振動を励起する、ことを特徴とする請求項7~35のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項37】
前記電極配置(3)の管状又は中空プリズム状の前記電極(5,6)の少なくとも1つが、少なくとも1つのスリット(61、62)又はその他の機械的な弱さ及び/又は強度減少を有しおり、それによって少なくとも1つの電磁コイル(13、70)の電磁場の影響を受けて機械的に強く振動することができる、ことを特徴とする請求項7~36のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項38】
少なくとも1つの電磁コイル(13)が、実質的にトーラス形状及び/又は環状に形成されており、かつ電気的に直列に接続された複数の部分巻き線(19、19’、19”、19’”)を有し、それらがそれぞれ20°と50°の間、特に25°と45°の間の周角度(63)にわたって、好ましくはコイル(13)の円周(64)の約30°にわたって延びている、ことを特徴とする請求項7~37のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項39】
直列に接続されて、環状のコイル(13)の周方向に互いに連続する部分巻き線(19、19’、19”、19’”)が、互いに対して10°~30°の間、特に15°~25°の間、好ましくは約20°の自由角度(65)を形成する、ことを特徴とする請求項38に記載の電解反応システム。
【請求項40】
互いに連続し、直列に接続されている部分巻き線(19、19’、19”、19’”)の数が、ほぼ1080°にわたってほぼ3回転の完全なリングが形成されるように、選択されている、ことを特徴とする請求項38又は39に記載の電解反応システム。
【請求項41】
部分巻き線(19、19’、19”、19’”)の周角度(63)及び部分巻き線(19、19’、19”、19’”)の間の自由角度(65)が次のように、すなわち1より多く完全に周回した後に、重なり合って巻かれた部分巻き線(19、19’、19”、19’”)の間に変位角度(66)が形成されるように、選択されている、ことを特徴とする請求項38~40のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項42】
個々の部分巻き線(19、19’、19”、19’”)が1層で巻かれており、かつ完全に1周回した後に形成される部分巻き線(19、19’、19”、19’”)が、実質的にエアギャップなしで、その下及び/又は内側に位置する部分巻き線(19、19’、19”、19’”)の上方に巻かれている、ことを特徴とする請求項38~41のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項43】
前記反応室(2,69)又は収容容器(4)の外側の側面(72)に、あるいは前記反応室(2、69)又は収容容器(4)を取り巻く誘電性の巻き支持体に、1層又は多層の、中空筒状に形成された電磁コイル(70)が取りつけられており、その電磁場は、電気エネルギが供給された場合に電解質及び前記電極配置(3)に作用する、ことを特徴とする請求項1~42のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項44】
中空筒状の電磁コイル(70)の軸線方向の長さ(73)が、前記電極配置(3)の垂直の長さ(74)に少なくともほぼ相当する、ことを特徴とする請求項43に記載の電解反応システム。
【請求項45】
電解質の流れ方向に関して、前記反応室(69)及び/又は収容容器(4)の溢流エッジ(27)の後方に、電解質のための脱ガス装置(82)が形成されている、ことを特徴とする請求項24~44のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項46】
脱ガス装置(82)が、筒軸線及び/又は垂直軸線(8)に対して径方向に延びる、電解質のための少なくとも1つの分配部材(83)によって形成されており、前記分配部材が溢流エッジ(27)を越えて流れる電解質の表面を増大させるため、あるいは分配部材(83)に電解質液体フィルムを形成するために、設けられている、ことを特徴とする請求項45に記載の電解反応システム。
【請求項47】
分配部材(83)が、前記反応室(69)及び/又は収容容器(4)のまわりに環状に配置されており、かつその径方向内側のセクションから始まってその径方向外側のセクションの方向に下方へ向かって傾斜して方向づけされている、ことを特徴とする請求項46に記載の電解反応システム。
【請求項48】
分配部材(83)が、電解質を分配して導出するために、階段状又は波形に延びる表面を有している、ことを特徴とする請求項46又は47に記載の電解反応システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項に記載されているような、ガス状の水素と酸素を生成する電解反応システムに関する。
【0002】
本発明は、具体的に、反応室内で電解プロセスを用いてガス状の水素と酸素を高効率で発生させるシステムに関するものであって、水をガス状の水素と酸素に分解するために使用される電気エネルギの最適な利用の目標が追求され、かつ達成される。さらに、本発明は、これらのガスの利用、特にエネルギ担体である水素を化学的燃焼及び/又は酸化に利用することに関する。特に水は、電解によってガス状の水素と酸素に分解され、それに続いて化学的エネルギ担体である水素が燃焼プロセスによって熱エネルギ(thermal energy)及び/又は運動エネルギに変換される。水を上述したガスに変換することは、可能な限り良好なエネルギ収支によって行われる。さらにこの電解プロセスによって比較的短いタイムスパン内で大量の電解生成されるガス状の水素と酸素が生成可能である。
【背景技術】
【0003】
このプロセスでは、発明に係る技術は、水を水素と酸素に分解するために必要とされる、使用されるかつ/又は必要な電気エネルギを削減するものであり、それによって化学的なエネルギ担体を形成する場合の可能な限り良好かつ/又は経済的にポジティブなエネルギ収支を達成し、かつ/又はガス状の燃料である水素及び/又はそれから獲得される熱エネルギ又は運動エネルギの経済的かつ同時に環境を損なわない利用を得ようとしている。
【0004】
発明に係る技術は、好ましくは自然に存在する水又は水性の電解溶液から水素ガスと酸素ガスを、特に発生された化学的エネルギ担体である水素を大容量で、あるいは技術的に面倒な中間貯蔵なしで負荷へ、特に利用装置及び/又は変換装置へ提供することを可能とする量で、発生させる目的をもって獲得された。その後、このような利用装置がこの化学的なエネルギ担体及び/又は燃料を、燃焼プロセスによってそれぞれ必要とされるエネルギ形態に、特に熱エネルギ及び/又は運動エネルギあるいはまた電気エネルギに変換する。
【0005】
発明に基づいて獲得される、水素ガスの形式のエネルギ担体、特にガス状の酸素と結合されたガス状の水素は、化石燃料を燃焼させる場合に通常発生する放出値なしで、利用及び/又はエネルギ変換を可能にする。発明に基づくシステムを利用する場合に、それぞれ所望のエネルギ形状の他には、水蒸気又は復水とその他の微量元素しか生じない。水素ガスを熱的に燃焼させる場合、特にそのエネルギを利用する場合の副産物は、既知のように化石燃料に比較して、遥かに環境にやさしい。すなわち水素の燃焼プロセスからの第1の廃棄物は、水蒸気及び/又は水だけであって、それは問題なく環境へ放出することができる。この廃棄物は、多くの他の水資源よりも純粋であり、かつ/又は、電解形成された酸素は、環境内のその他の空気よりも純粋であり、かつ/又は、凝縮されている。
【0006】
発明に係るシステムと発明に係る方法の手段は、電気分解の原理にしたがって水素を発生させる、様々な構造物とこの構造物の駆動方法による多数のテスト列と実験の結果であって、この電気分解はその物理的原理に関して一世紀以上前から知られている。
【0007】
水の電気分解は、原則的にきわめて単純な、知られている原理であって、それにおいて電解槽又は水槽内にある2つ以上の電極により、かつ特に直流の、電気エネルギを印加することにより、水がガス状の水素と酸素に分解される。このプロセスは、原則的に、新規なものではない。もちろんこの既知のプロセスは、発生されるガスの熱エネルギ及び/又は化学エネルギの利用により、かつ/又は、発生されるガスの燃焼プロセスによって後に提供されるよりも、遥かに多くの一次エネルギを分解に必要とするので、かなり効率的でない。したがってこれまでは、経済的にかなりネガティブなかつ/又は劣る、エネルギ収支しか得られなかった。他方で、電気エネルギは高い割合で化石燃料の燃焼から発生され、それによってもたらされる利点が認識できなくなるような、かつ/又は消えてしまうような、高い程度の電気エネルギが供給されなければならなかった。したがって環境技術的に見て、従来技術から知られたシステムは、すぐれた利点をもたらすことはなかった。この理由から、水素とそのエネルギ潜在能力の利用は、実際においては、価値を認められず、かつ/又はきわめて限定された適用分野でしか、価値を認められなかった。
【0008】
既知の従来技術から、電気分解装置の多数の実施形態が知られている。しかし、これらの装置のいずれも、広範囲の適用スペクトルのために使用できないことは、明らかである。たとえば自動車、電流発生器又は加熱システムのエネルギ供給のために、これらの既知の形態は、電気分解で獲得された水素及び/又は水素と酸素の混合気に基づく駆動システム及び/又は供給システムは、標準的にそもそも存在しておらず、かつ/又は、実験段階でしか見いだされないので、明らかに満足のゆくものではない。
【0009】
発明に係る技術が、特別な構造により、かつ/又は特別な手段によって、水及び/又は水をベースとする溶液からガス状の水素と酸素をそれぞれ必要な量で、すなわち大体積で、かつ/又は技術的に複雑な中間貯蔵なしで、必要に合わせて、かつ迅速な反応で、提供することを、可能にする。特に化学的なエネルギ担体を形成する場合、特に水素ガスを電気分解で獲得する場合に、経済的にポジティブなエネルギ収支が得られ、かつ一次エネルギの使用を減少させて化学的エネルギの発生が保証される。水素と酸素の放出のない燃焼から獲得される、最終的に生成可能な熱ネルギ(thermal energy)及び/又は熱エネルギ(heat energy)は、きわめて多面的に利用可能である。たとえばオーブン、グリル、ヒーター、空調設備及び電流発生器などの、家事又は工業におけるほぼ全ての器具が、この化学的エネルギによって駆動可能であり、かつ電気エネルギ、運動エネルギ及び/又は熱エネルギへの変換、あるいはその他のエネルギ形態への変換がもたらされる。さらに水素と酸素は、ほぼ全ての従来の内燃機関の駆動に使用することができる。
【0010】
電気分解技術、特に発明に係る電気分解反応システムは、水素と酸素からなる化学エネルギ及び/又は熱エネルギ及び/又は熱エネルギの利用のチャンスを提供するが、今日一般的な化石燃料の燃焼により生じるように、環境に著しく負荷を掛けることはない。
【0011】
このような技術は、モータを駆動し、電流を発生させ、加熱目的などの、これまで知られている多くのシステムよりも、安全である。これらのシステムは、駆動のためにそれぞれ燃料を必要とし、その燃料はタンク及び/又は配管システム内に含まれている。これらのコンポーネント内に、比較できないほど大量の燃焼エネルギが保管され、かつ/又は貯蔵されている。実際において繰り返し発生する障害場合において、このことは比較的しばしば重大な問題をもたらす。特に可燃物及び/又は燃料を直接貯蔵することによって、一部予測できない結果が引き起こされる。この種の障害場合は、大体において比較的重大であり、かつ/又は比較的大きい技術的手間をかけてある程度支配できるものである。
【0012】
本発明に係るシステムにおいては、比較的わずかな、特にきわめて少量の燃焼可能なガスのみがシステム内に貯蔵される。タンク内及び/又は管内の唯一のストックは、比較的問題とならない水性の溶液の形式で、あるいは純粋な水の形式で行われ、その水は化学的かつ/又は環境的に問題なく、かつもちろん不燃である。さらに、生成プロセスに、特に反応室に、簡単なやり方で、確実かつ安価な、有効な安全装置を対応づけることができる。本発明に係る、特に反応の迅速な、かつ/又は性能のよい電気分解システムは、比較的わずかなガス量をストックすれば済むことを、可能にする。特に、多くの場合において、反応室と配管システムを有する貯蔵器容積及び/又はバッファ容積で充分である。それによって電気分解システム及び/又はエネルギ変換するための記載の装置は、容易に支配可能であり、かつ本発明に係るシステムは、きわめて安全であると分類される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、改良された電気分解の反応システムを提供することである。特に水又は水性の溶液をガス状の水素と酸素に分解する電気分解システムが希求され、そのシステムは、供給される電気エネルギ量及び生成され、かつ/又は変換された化学的かつ/又は熱的又は運動的エネルギ量に関する高い能率及び/又は高い効率を有している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のこの課題は、請求項1の特徴に基づく電解反応システムによって解決される。
【0015】
請求項1の特徴によって生じる驚くべき利点は、この種の電解反応システムによって、供給される電気エネルギと得られる化学エネルギとの間の良好な比率が得られることにある。これは特に、電極配置と、電極配置の電極によって定められる流れ通路との間の構造的組み合わせ及び技術的相互作用によって得られ、その流れ通路は電解質の流れ方向に関して少なくとも1つの箇所で次第に細くなり、かつ/又はより狭くなる。流れ通路内で加速される電解質の互いに重畳する振動により、かつ/又は電極配置の電場からなる組み合わされた作用によって、水素及び/又は酸素あるいはしかるべき混合気を良好な効率で得るために、最適な前提が形成される。
【0016】
驚くべき、効果的な相互作用は、特に、電解プロセスの間に生じるガス泡、特にそれぞれの水素泡と酸素泡が、改良され、かつ/又は促進されて電解質表面から剥離することにある。さらに、電解質からのそれぞれのガスのより短い脱ガス時間が得られる。それに伴って、提供される電解質、及び/又はその有効な面が、それぞれ変換プロセスのために最大に提供され、かつ常に電解質との可能な限り強力な接触が存在する。特に電極と電解質の間のガス境界層は、可能な限り小さく維持され、かつ/又は可能な限り迅速に解体される。
【0017】
特に有用な相互作用効果は、流れ方向に沿って次第に大きくなる数及び/又は密度で生じ、特に上方へ向かって次第に多くなり、かつ/又は電解質内により激しく累積して存在する、ガス泡が、比較的迅速かつ/又はより強力に電解質の表面から除去されることにある。というのはガス泡は、流れ速度が次第に速くなるにつれて、互いに隣接する電極表面の間の少なくとも1つの間隙及び/又は流れ通路から導出されるからである。この効果は、少なくとも1つの請求項に基づいて形成された流れ通路によって、特に電極の形状及び/又は方向づけによって、得られる。それに続いて、強力な剥離により、かつ/又は生じる水素及び/又は酸素ガス泡の除去が次第に加速されることによって、電極配置内、及び/又は電解質内の電流密度がより統一的かつ/又はより均一になり、それによって効果的な電解プロセス及び/又は反応システムの高いパフォーマンスを達成することができる。したがって、少なくとも1つの次第に細くなる流れ通路内で電解質の、流出領域の方向に増大する流れ速度が、ガス泡の剥離強度に、ガス泡の搬出速度に、そして電極配置内及び/又は電解質内で得られる電流密度に、ポジティブな作用を有する。
【0018】
特に電解質内にあるガス成分の搬出が支援され、かつ/又は促進されるので、電解プロセスの効率及び/又は有効性が、可能な限り高く維持される。それによって全体として、改良された電解反応システムが形成され、その反応システムは比較的短いプロセス時間内で、大量の電解により獲得されたガス状の水素と酸素を提供する。それに加えて、本発明に係る電解システムは、比較的好ましいコストで構築することができ、したがって高い経済性を有し、かつ/又は実際に合った利用を可能とする。
【0019】
以下の、及び先行する効果及び/又は作用の記載は、例としての記載と考えるべきであり、必ずしも完全を要求するものではない。さらに、それぞれ記載の効果の全てが、発生する必要はない。さらに、上述した効果及び/又は作用の記載は、重みづけを受けるものではなく、様々な関係の説明は、部分的には確率が高いとみなすべきである。一部、説明可能な現象及び/又は相互作用は存在せず、その技術的背景は一般的な専門家にとって明らかではなく、かつ/又は説明が難しいものである。しかるべき結果は、一部は、多数の実験列に基づき、かつ電解システムのパラメータの経験的な変化に基づいている。
【0020】
請求項2に記載の形態によって、次第に細くなる流れ通路は機械的に頑丈に構築することができる。さらにそれによって、電解反応システムの可能な限り簡単な設置が得られ、かつ/又は可能な限り簡単な構造が形成され、それによってその生産費を比較的小さく抑えることができる。
【0021】
請求項3に記載の可能な実施形態も、効果的である。それによって、少なくとも1つの流れ通路内にはっきりとした先細りを得ることができる。内側又は外側の側面のみが電極配置の中心軸線に対し、かつ/又は筒軸線かつ/又は垂直軸線に対して傾斜していれば、充分であり得る。流れ通路の径方向内側の画成面も径方向外側の画成面も、筒軸線かつ/又は垂直軸線に対して角度をもって延びており、かつ/又は垂直軸線に対して角度をもって方向づけされていると、流れ通路のノズル状の先細りは、比較的強く形成することができる。この場合において、流れ通路のアノードの画成面もカソードの画成面も筒軸線かつ/又は垂直軸線に対して角度をもって延びる。さらにそれによって、電極の側面の傾斜が比較的小さい場合に、比較的強く先細りになる流れ通路を形成することができる。これが、電極のカソード及び/又はアノードの作用面からの水素泡の剥離も酸素泡の剥離も支援する。
【0022】
請求項4に記載の形態も、効果的である。それによって、電極配置及びその結果として電解システムの、できるだけコストのかからない製造を支援することができ、それによって取り立てて言うほどの、性能の損失をもたらすことはない。
【0023】
請求項5に記載の好ましい展開によれば、流れ技術的に好ましい、出力最適化された電極配置を構築することができる。さらに、特に鋳造及び/又は旋盤作業などの製造方法が利用される場合に、可能な限りコストのかからない製造が得られる。
【0024】
請求項6に記載の手段も、効果的である。流れ方向に沿って先細りする、かつ/又は狭くなる、電解質のための流れ通路は、より簡単であるが、それにもかかわらずより効果的である。直接隣接する電極及び/又は電極配置の間の定められた角度位置及び/又は方向づけによるやり方も、効果的に実現することができる。
【0025】
請求項7に記載の好ましい手段によれば、想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線の軸線方向において、電極配置の上方及び/又は下方に、少なくとも1つの電磁コイルが配置されており、その電磁場は、電気エネルギが供給された場合に、電解質と電極配置に作用する。それによって電流密度が増大し、それに伴って電解プロセスの効率が支援される。さらに、それによって電極と電解質の最小限の揺動及び/又は振動を発生させることができ、それが特に電極に付着したガス泡の強力な剥離に基づき、かつ/又は電解質の強力な脱ガスに基づいて、電解プロセスを支援することができる。
【0026】
さらに、請求項8に定められているように、少なくとも1つの反応室が、実質的に中空筒状又は中空プリズム状のボディ形状を有することができ、かつその想像上の中心軸線、特に反応室の側面は、垂直又はほぼ垂直に方向づけされている。それによって、電解質内及び集まるガスのための空間セクション内に、定められ、かつ/又は方向づけされた流れを得るために、流れ技術的に好ましいボディ形状と方向づけが得られる。それによってさらに、比較的高い性能を有する、比較的コンパクトに構築された電解反応室が得られる。
【0027】
請求項9に記載されるような、展開によれば、反応室が実質的に中空筒状又は中空プリズム形状の収容容器を有することができ、その中に少なくとも1つの管状又は代替的にスター形状の電極配置が配置されている。それによって容器内容器の配置が存在し、それが電解プロセスの性能を同様に支援する。特にそれによって、電解質収容と電極収容のための容器と、これらの容器を包囲する、上述したコンポーネントの収容と生じるガスが累積するための容器配置及び/又は室配置への分割がもたらされる。
【0028】
さらに、請求項10に記載の形態も設けることができ、それにおいて電解質のため、及び少なくとも1つの電極配置のための収容容器は、上方の終端セクションにおいて開放して形成されており、かつその側面及び/又は筒面は、反応室の内側の壁面から離隔して配置されている。それによってできるだけ大きい脱ガス横断面が存在し、それが可能な限り短い脱ガス時間と可能な限り強力な脱ガスに寄与する。さらに、電解質のための収容容器が形成され、それが電解質液及び/又は場合によっては生じる電解質泡のための邪魔されない、かつ/又はきわめてスムーズな溢流を提供する。この種の電解質泡は、通常、電解質液上に、特に電解質槽の表面に形成されて、一部は、電解質内のガス成分の脱ガスを阻止する。電解質槽における泡のクラウンを連続的に崩壊させ、かつ/又は回避することによって(これは特にそれを簡単に導出することによって得ることができる)、システムの効率を可能な限り高く維持することができる。
【0029】
さらに、請求項に基づく手段によって、好ましいやり方で、定められた電解質循環を形成することが、比較的簡単に可能である。特に電解質液は、収容容器に対して連続的又は非連続的に供給及び搬出することができ、電解質液の余分な量は、収容容器の上方の端縁を介して滝のように再び流出することができ、かつ場合によっては浄化及び/又は冷却及び/又は再生プロセス後に、収容容器及び/又は電解質容器へ再び供給することができる。したがって、それによって、簡単なやり方で、電解質液の再循環を行うことができ、それによって特に強力かつ迅速な脱ガスが得られる。特にそれによって、反応容器及び/又は収容容器が形成され、それにおいて電解プロセスによってもたらされる電解質の膨張及び/又は体積増大は、収容容器の溢流エッジを介して簡単に補償しかつ/又は調整することができる。代替的又はそれと組み合わせて、連続的又は非連続的な電解質供給によって収容容器内に生じる電解質液の過剰量を定められたように電解質容器から再び流出させて、好ましい実施変形例にしたがって新たに収容容器へ供給することができる。さらにそれによって、収容容器の外壁及び/又は内壁を介して、ある種の「電解質勾配」が生じる。この電解質流出及び/又は電解質落下は、電解質のための収容容器が中空筒状あるいは多重の中空筒状のボディ形状を有し、特にカスケードとして形成されており、かつ/又は同軸に入り組んだ収容容器を有していることによって、収容容器の外側面において、かつ/又は収容容器の中央の内側の壁セクションにおいて、行うことができる。
【0030】
請求項11に記載の手段によっても、流れ技術的に好ましい形態が形成され、それが電解反応システムの効率及び/又は反応時間を改良する。
【0031】
請求項12及び/又は13に記載の手段も、特に効果的である。というのは、それによって特に良好な電解質作用が得られ、かつ/又は可能な限り強力な技術的相互作用が構築されるからである。特に、少なくとも1つの電磁コイルの電磁場が、特に強力に電極配置及び電解質に作用し、かつそれによって電解プロセスにおける伸展及び/又は効率を改良することができる。したがって一方で、少なくとも1つの電磁コイルの電磁場が分解プロセスに効果的に作用する。さらに、少なくとも1つの電磁コイル内に生じる機械的振動も、可能な限り直接に電解質及び/又は電極配置へ導入される。それによって電解質からのガス泡の剥離プロセス及び/又は電解質からの脱ガスプロセスが改良かつ/又は促進される。上述した効果は、電解反応室の改良、特に効率及び/又は性能の向上を伴う。
【0032】
さらに、請求項14に記載の展開も、効果的である。というのは、電磁コイルが電磁場を構築し、その電磁場が電解プロセスに効果的に作用し、特にその効率を向上させるからである。特にそれによって、電極配置にこのコイルの電磁場が比較的緊密かつ比較的均一に供給され、それが脈動する場及び/又は交番場を発生させる。電磁場は、電極配置及び/又は反応室の垂直軸線及び/又は中心軸線を中心に循環し、その軸線はさらに、実質的に環状に形成されたコイルのコア及び/又は中心を通って延びている。
【0033】
請求項15もしくは16に記載の形態は、電磁コイルの好ましい、かつ/又は特に有効な実施形態を記載している。それによって、電解反応室の有効性及び/又は全出力を効果的に調節することができる。
【0034】
請求項17に記載の手段も、それによって水分子がそれぞれのガスに、すなわち水素と酸素に、高効率に分離されるので、効果的である。
【0035】
請求項18に記載の形態も、それによって電解プロセスが支援され、かつ/又は遥かに効率的に構成されるので、特に効果的である。電磁コイルの脈動するエネルギ供給によって、コイルが周期的又は非周期的にオフにされ、それによってその磁場が少なくとも部分的に、あるいは完全に崩壊し、かつ逆の極性又は方向づけを有する、遥かに強い磁場が作動される。それに続いて、エネルギ供給の新しい能動化が、遥かに強い場を作動させる。というのは、互いに連続する場が、最大の場強さに達するまで、各パルスと少なくとも部分的に加算及び/又は累積されるからである。
【0036】
請求項19に記載の形態も、効果的である。というのは、それによって電極配置の電極が交代する磁場に基づいて付加的に振動されて、それが、付着しているガス泡の、よりスムーズな剥離をもたらすからである。好ましい実施形態によれば、磁場、特に少なくとも1つの電磁コイルの電気エネルギ供給は、電極配置の電場に比較して、かつ/又は電極配置のためのエネルギ供給に比較して、比較的低周波に寸法設計されている。好ましいことが明らかにされている寸法設計によれば、電磁コイルのための比較的低周波のエネルギ供給と、電極配置のための比較的高周波のエネルギ供給との間の比率は、約1:1000である。
【0037】
請求項20に記載の形態も特に効果的である。というのは、それによって電解質液内の剥離プロセス及び/又は脱ガスプロセスが改良され、かつ/又は促進されるからである。特にそれによって、再循環が構築され、かつ/又は流れが形成され、その流れによって電極表面からガス泡がより良好に、特に比較的根本的及び迅速に剥離される。さらに、電解質液内にあるガス泡に関して、電解質液の上方に位置するガス室内への脱ガスプロセスが支援される。反応室及び/又は収容容器の下方のセクション内の電解質の供給及び/又は再充填は、周期的、非周期的及び/又は必要に応じて行われる。重要なことは、この供給及び/又は再充填によって電解質内に再循環及び/又は流れが構築されることである。
【0038】
上述した好ましい効果及び/又は技術的作用は、独立して、あるいはそれらと組み合わせて、請求項21に記載の手段によっても得られる。電解質において乱流を生成させるため、かつ/又は電解質内に流れを構築するための手段は、電解質自体によって、かつ/又はガス状の媒体、たとえば空気又は窒素の添加によっても、達成することができる。好ましいやり方で、たとえば周囲空気又は窒素などの、その他の不燃のガスを供給する場合に、電気分解によって発生される水素ガスの燃焼値を調整し、特に低下させることができる。したがってこのように電解質内へ不燃性のガスを直接混合することにより、一方で電解質内に乱流及び/又は流れが形成され、他方では電気分解によって形成された水素ガスの燃焼値もしくは燃焼速度が低下される。それによって、電気分解によって発生されるガス及び/又は混合ガスのエネルギ量及び/又は爆発性、特に燃焼速度を、比較的問題なく、かつ簡単にほぼ標準的な燃焼機械内で使用できる水準に低下させることができる。さらに、後段の使用のためにガスの最適な混合を準備することができる。
【0039】
請求項22に記載の展開も、効果的である。というのは、それによってある種のスプレイ効果及び/又は拡散効果が得られ、それが電解質内に可能な限り均一で緊密な流れ分配をもたらすからである。特にそれによって、電解質内にあるガス泡に関して、及び/又は電極に付着しているガス泡に関して、可能な限り完全で均一な脱ガスがもたらされる。さらにそれによって、定められた電解体積当たりの異ガス密度、特に電解質内へ吹き込まれ、かつ/又は投入されたガスの量割合が小さく抑えられ、かつ/又は均質化され、それによって電解出力が高く維持される。
【0040】
流体からの脱ガス時間を短縮し、かつ電解質と電極プレートとの間の接触を強化するための他の実施形態が、請求項23に記載の手段によって得られる。特にそれによって、比較的小さい技術的手間と可能な限り低いコストをもって、乱れる流れ、特に電解質の旋回する、かつ/又はねじ形状に上方へ延びる流れをもたらすことができる。
【0041】
また、請求項24に記載の手段によっても、電解反応システムの脱ガス効果及び脱ガス出力が改良される。特に、電解質液が連続的又は非連続的に溢流エッジを越えて流れる場合に、ある種の電解質勾配及び/又は「滝」が形成され、すでに上でも説明してあるように、その滝によって強力かつ/又は性能のよい脱ガス手段が形成されている。このような電解質の溢流及び/又は乗り越えは、電解質液を強制的に供給し、かつ/又は、追加充填することによってもたらすことができ、かつ/又は、電解プロセスの間の電解質液の体積膨張によってもたらされ、かつ/又は、導入され、あるいは共に定めることができる。
【0042】
構造的かつ/又は構成的に簡単な溢流エッジは、請求項25に記載の手段によって形成されている。さらに、それによって比較的均質かつ/又は一様の電解質溢流が形成されるので、できるだけ強力な脱ガス及び/又は電解質液と電解質液内に含まれるガス及び/又はガス泡との間の分離が得られる。これが特に、電解質液の比較的大面積の広がりによって可能になる。
【0043】
しかしまた、請求項26に記載の形態も、それによって常に強力な脱ガス及び/又は充分に大きいガス室が提供されるので、効果的である。さらに、反応室内の過圧の発生及び/又は定められた圧力値の超過を回避することができる。特にそれによって、電気分解に基づく電解質液の膨張が、電解質液を定められたように導出することにより補償され、あるいは少なくともほぼ補償されるので、反応室の内部に所定の圧力水準が維持される。特にそれによって反応室の内部に定められた脱ガス体積が維持され、かつ/又は反応室のガス室内で定められたガス圧を越えない。
【0044】
請求項27に記載の形態も、それによって、溢流する、かつ/又は導出される電解質内に含まれるガス成分が、システム内に保持されたままとなり、したがってほぼ失われないので、効果的である。さらに、電解質を戻すことによって、電解質容器内に乱流及び/又は流れが構築され、それによって液状の電解質からのガス成分の流出及び/又は分離が改良かつ/又は促進される。
【0045】
請求項28に記載の手段によって、簡単ではあるが、確実なやり方で、特に反応室の上方のセクション内に集まる水素ガスが、電解質排出を介して吸い出され、あるいは導出されることが、阻止される。特にそれによって、電気分解で得られた水素ガスが電解液のための排出及び/又は供給を介して導出され、かつ/又は電解質のための冷却循環内へ達することが、阻止される。したがって電気分解によって生成された水素ガス及び/又は水素と酸素の混合気は、水素ガス及び/又は酸素ガスのそれぞれの購買者及び/又は使用者のために提供される。したがって、水素ガスが、そのために設けられているガス出口領域とは異なる通路及び/又は異なる領域内へ導出されることが、技術的に簡単ではあるが、効率的に阻止され、かつ/又は減少されるので、より高い安全要請も考慮される。
【0046】
さらに、請求項29に記載の手段は、それによって電解質液内に再循環が得られ、それが脱ガスプロセスを促進し、かつ/又は改良するので、特に効果的である。他の重要な利点は、それに伴って電解質液の簡単な調整が生じることにある。特にそれによって、簡単なやり方で、電解質液のための冷却及び/又は温度制限を得ることができる。このような冷却プロセスは、比較的わずかなエネルギの供給によってもたらされる。というのは、通常の周囲温度は、通常、電解質液を電解プロセスにとって好ましい温度水準に、かつ/又は満足のゆく温度領域内に維持するのに、充分だからである。好ましい温度領域は、電解質液が60℃未満の温度領域内、好ましくは20℃~50℃の間、特に28℃~43℃の間に維持される場合に、存在する。
【0047】
展開によれば、反応室の、特に電解質のための収容容器の、底セクションもしくはケーシングセクション内に、少なくとも1つの通過開口部、特に分配して配置された複数の通過開口部を、反応室内へ、特に電解質のための収容容器内へ導入すべき周囲空気のため、かつ/又は電解質内へ吹き込むべきガス状の窒素のために、形成することができる。一方で、それによって電解質液の冷却及び/又は乱流が得られ、かつそれに伴って電解質液内で電気分解によって生成されたガス成分に関して、脱ガス速度及び/又は脱ガス効率が増大される。しかし他方では、電解反応システム内のガス混合物の燃焼値及び/又はエネルギ値の簡単な調整も得られる。特に、周囲空気及び/又はガス状の窒素の供給される量をしかるべく調整することによって、そのエネルギ量及び/又は燃焼値特にその燃焼速度を次のように、すなわち通常の負荷内で、たとえば内燃機関又は暖房装置内で、問題のない燃焼が可能であるように、調節することができる。したがって供給されたガスは、二重の効果及び/又は多重作用を得ることができ、合計効果は驚くほど高い正の程度を有する。
【0048】
請求項30に記載の手段も、効果的である。それによっても、驚くほど簡単かつ効果的かつ/又は効率的なやり方で、電解反応システムの性能が向上する。特にそれによって、発生し、かつ/又は遊離する水素ガス及び/又はガス状の酸素の量を改良することができる。これは、促進された脱ガス及び/又はガス泡の強力な分離に起因する。
【0049】
他の好ましい形態が、請求項31に記載されている。それによって、多重利用が得られ、かつ/又は好ましい適用が形成される。特にそれによって、負荷又はそのユニット、たとえば負圧ポンプ又は燃焼室用のチャージ装置(たとえばターボチャージャー)によって構築される負圧が、電解反応システム内で脱ガス及び/又はガス剥離を支援し、かつ/又は促進するためにも、利用される。それぞれの負荷により、かつ/又はその燃料供給部によって構築される、それぞれの負圧は、従来技術から知られた任意の調整手段によって、最適と見なされる所定の領域内で維持することができる。
【0050】
好ましい実施形態は、請求項32及び/又は33に記載の手段によっても得られる。特にそれによって、好ましい流れが形成され、かつ/又は電解質内に定められた流れ方向が構築され、その流れ方向は電極の下方の終端セクションから始まって、上方の終端セクションの方向に延びている。
【0051】
請求項34に記載の手段によって、特に、電極配置の下方の電解質の流れの速度が比較的低い場合に、電極の間のセクション内で電解質液の加速が形成される。したがってベンチュリ効果が得られ、それに伴って個々の電極の間の流れ速度の上昇が得られる。それによっても、剥離出力、特に単位時間あたりの剥離率、そしてガス泡の剥離及び/又は分離の強度も改良される。
【0052】
請求項35に記載の手段も、特に効果的である。特に、互いに入れ子に配置された電極のこの種の多重配置によって、比較的コンパクトな構造体積において、高められた電解出力が得られる。さらにそれによって、個々の電極対の間の電場がそれぞれわずかに異なる特性を有し、それが高効率の電解プロセスに役立つので、多層のコンデンサ効果が得られる。
【0053】
さらに内側に位置する管状電極が互いに対して次第に大きくなる間隔を有しているので、様々な電極対の間にそれぞれ存在するギャップ体積の少なくとも部分的な補償が具現化される。特にそれによって、外側に位置する電極間のギャップ体積を、中央及び/又はさらに内側に位置する電極対の間のギャップ体積に比較して、等しく、あるいはほぼ等しく形成することができる。経験的な実験によって、それによって高い電解出力が得られることが、明らかにされている。
【0054】
さらに、請求項36に記載の手段も、効果的である。というのは、それによって電極配置の少なくとも個々の電極の比較的低い電気的出力によって、かつ/又は比較的小さい磁場強さによって、機械的振動を強制することができるからである。特にそれによって、簡単なやり方で、剥離効率及び/又は脱ガス速度が増大され、かつそれに伴って電解反応システムの性能が全体として向上する。
【0055】
さらに、請求項37に記載の手段も効果的である。というのはそれによって、電磁場強さが比較的弱い場合でも、電極配置の少なくとも個々の電極において比較的強力な機械的振動を発生させることができるからである。さらにそれによって、流れ通路及び/又は溢流通路が形成され、それが電解質液からのガス泡の放出を付加的に改良する。
【0056】
請求項38に記載の手段も、効果的である。というのはそれによって、比較的強い、かつ/又は激しい電磁場が存在するゾーンが定められ、かつ、この場の強度が比較的小さい、他のゾーンが形成されるからである。これら不均質な、すなわち円周に関して増大及び減少する場強さが、電解反応システムの有効性及び/又は出力全体に、しかるべくポジティブに作用する。
【0057】
請求項39に記載の手段によって、部分巻き線の巻き線の延びとそれらの間に位置する巻き線のない空間との間の好ましい比率が形成される。特にそれによって、電磁コイルの円周にわたって分配された好ましい数の部分巻き線が形成される。
【0058】
請求項40に記載の手段も、効果的である。というのはそれによって、電解プロセスを好ましいやり方で調節し、かつ/又は促進するために充分な場強さ及び/又は充分に強い磁場が形成されるからである。
【0059】
請求項41に記載の手段も、効果的である。というのはそれによって、磁場強さ及び/又は磁束密度が変化し、かつ/又はトーラス形状のコイルの周方向に、交互に上昇及び下降するからである。これが、電解質の、特に水分子の、原子との間の結合力の無効化にポジティブに作用し、それによって記載の反応システムの電解出力が改良される。
【0060】
そして、請求項42に記載の手段が効果的である。というのはそれによって、磁場線が集中した形状で電極配置と電解質に作用することができるからである。
【0061】
さらに、請求項43に記載の技術的手段を設けることができる。好ましくは、それによって電極配置及び/又はその電極が、電磁コイルのための磁気コアの、特に金属コアの特性を有し、かつ/又は満たす。収容室及び/又は内側の反応室を通って流れる磁束が、時間的変化を受けて、したがって電極に、かつ/又はその中に電磁誘導をもたらす。個々の電極は、径方向に異なる直径位置に配置されているので、様々な電位が構築され、それが電解プロセスを支援することができる。
【0062】
請求項44に記載の形態も効果的である。というのはそれによって、電極配置と、電極配置の外側に巻き付く中空筒状のコイルとの間に可能な限り強力な電磁的相互作用を構築することができるからである。
【0063】
好ましい展開が、請求項45にも記載されている。それによって、電解質の可能な限り強力な脱ガスがもたらされ、その脱ガス装置が特に電極配置の貫流に連続して、効果的に位置決めされている。それによって電解反応システムの有効性及び/又は性能を、付加的に向上させることができる。
【0064】
脱ガス装置の好ましい形態が、請求項46に記載されている。それによって簡単であるが有効なやり方で、比較的薄い流体フィルム及び/又は平面的に分配された電解質層を構築することができ、それによって電解質からのガス泡の剥離が支援される。その脱ガス装置は、構造的に簡単かつそれに伴って、好ましいコストで実装することができる。さらに、電解質は重力作用によって下方へ流出することができるので、脱ガス装置を駆動するために特別なエネルギ供給は不要である。
【0065】
請求項47に記載の展開によれば、収容容器及び/又は電解質容器の周セクション全体を利用して、それによって電解質の可能な限り強力な脱ガスをもたらすことが、可能である。
【0066】
請求項48に記載のさらなる手段によって、電解質のための複数の増大及び減少する勾配セクションを形成することができ、それが電解質の充分な混合をもたらし、かつそのようにして脱ガス装置の脱ガス作用を付加的に改良することができる。
【0067】
本発明をさらによく理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
【0068】
図は、それぞれ著しく簡略化した図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】
図1は、複数の技術的実施可能性及び/又は展開可能性を明らかにする、電解反応システムの実施形態の原理を示している。
【
図2】
図2は、電解反応システムの第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、スター形状に拡がったプレート形状の電極を有する電極配置を示す上面図である。
【
図4】
図4は、横断面においてくさび形状又はセクター形状に形成されたプレート状の電極を有する、スター形状の電極配置の他の実施形態を示す上面図である。
【
図5】
図5は、電解反応システム内で使用されるような、電磁コイルの実施形態を示している。
【
図6】
図6は、電解反応システムの他の実施形態を示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線にしたがって切断された、
図6に基づく電解反応システムを示している。
【
図8】
図8は、電解反応システムの内部の電極配置の他の実施形態を示す上面図である。
【
図9】
図9は、電解反応システム内で使用することができるような、電磁コイルの他の実施形態を示している。
【
図10】
図10は、電解反応システムの他の実施形態を示している。
【
図11】
図11は、互いに対して角度をつけて、かつ/又は傾斜して方向づけされた電極面を有する、管状に形成された電極を有する、電極配置を簡略化した垂直断面で示している。
【発明を実施するための形態】
【0070】
最初に記録しておくが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号及び/又は同一の構成部分名称が設けられており、説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号及び/又は同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従って移し替えることができる。また、説明内で選択される、たとえば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置記載は位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。さらに、図示され、かつ説明される様々な実施例からなる個別特徴または特徴の組合せも、それ自体自立した、進歩的または発明に基づく解決を表すことができる。
【0071】
具体的な説明内の値領域についての全ての記載は、その任意の部分領域と全ての部分領域を共に含むものであって、たとえば記載1~10は、下限の1と上限の10から始まる全ての部分領域、すなわち下限の1またはそれ以上で始まり、上限の10またはそれ以下で終了する、たとえば1~1.7、または3.2~8.1、あるいは5.5~10の全ての部分領域、を共に含んでいるものとする。
【0072】
図1には、電解反応システム1の実施形態が、その原理的な技術的構造に関して図式的に示されている。その中で示される手段の全てが発明対象に数えられるものではないことを、はっきりとさせておく。もちろん、
図1に示される形態の手段及び/又は方法の手段の個々のものは、以下で説明される実施例にも移し替えることができる。
【0073】
示される電解反応システムは、電気分解方法を適用することによりガス状の水素と酸素を発生させるために用いられる。特に電解反応システム1を用いて、その駆動の間に電解質、特に水又は水性の電解質、特に水とその導電性を高める、たとえば硫酸などの添加物からなる混合物が、電解プロセスによってガス状の水素とガス状の酸素に分解され、かつ/又は適切な混合気に変換される。
【0074】
それ自体知られているように、この種の電解反応システム1は、水性の、かつ/又は水ベースの電解質を収容し、かつ/又はストックするための少なくとも1つの反応室2と少なくとも1つの電極配置3とを有しており、その電極配置は複数のアノード電極とカソード電極から形成されている。
【0075】
反応室2は、好ましくは、実質的に中空筒状の収容容器4から形成されており、その中に少なくとも1つの電極配置3が配置されている。第1の実施形態によれば、この電極配置3は、スター形状に拡がった複数のプレート形状の電極5、6から形成されている。互いに隣接する電極プレート5、6は、交互にカソードとアノードを形成している。互いに連続するカソードとアノードを形成するために、個々の電極5、6の互いに交互に連続する極は、電解システムにおいて知られている。スター形状に広がったプレート形状の電極5、6の代わりに、他の実施形態によれば、中空ボディ形状の、特にプリズム状の電極及び/又は管状の電極を使用することも可能であって、これについては以下で説明する。
【0076】
スター形状に広がった、及び/又はビーム形状に延びる電極プレート5、6を有する、この実施形態において、電極配置3の想像上の扇子軸線7は、実質的に想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線8上で、及び/又は収容容器4の筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して実質的に等しく重なって方向づけされ、かつ/又は位置決めされており、これについては
図2と3を共に見ると明らかである。個々のプレート形状の電極5、6は、垂直に方向づけされており、すなわち個々の電極5、6のフラット側が壁状に方向づけされており、かつ互いに対して0.5mm~15mmの、好ましくは1mm~5mmの比較的狭い間隔で離隔している。プレート形状の電極5、6の厚みは、0.1mm~5mm、好ましくは約1mmである。
【0077】
図3からもっともよくわかるように、スター形状及び/又は扇子形状の電極配置3の電極5、6の間には、変化する間隔9、9’が存在している。直接隣接する電極5、6の間のこの変化する間隔9、9’は、個々のプレート形状の電極5、6がこの電極配置3の共通の想像上の扇子軸線7に関してスター形状及び/又は扇子形状に延びることから生じる。特に個々の電極プレート5、6は、共通の垂直の扇子軸線7から始まって、扇子軸線7に対して径方向に延びている。したがって上面で見て(
図3を参照)電極5、6はV字形状に方向づけされている。したがって直接隣接する電極プレート5、6の間には、それぞれ広がり角度10、特にいわゆる中心点角度及び/又は角度寸法αが存在し、それは、
図3からはっきりと読み取ることができるように、扇子軸線7を中心に円形及び/又はビーム形状に配置された電極プレート5、6の対の数に依存している。それぞれの電極プレート5、6のこのスター形状の配置とそれから生じる、扇子軸線7からの距離に依存して変化する間隔9、9’によって、電解プロセスの効率が支援される。特に、隣接する電極プレート5、6の間の変化する間隔9、9’により、かつ/又は定められた広がり角度10によって、電解質の様々な水品質及び/又は様々な導電性をよりよく考慮することができる。特に種々の水品質及び/又は徐々に変動し、あるいは変化し続ける水品質が存在する場合、かつ/又はその導電性が異なる場合でも、より効率の高い、かつ/又は性能のよい電解プロセスが実施可能である。すなわち、記載のスター形状の形態は、変化する水品質に関して、かつ/又は変化する導電性に関して、あるいはその他の、電解プロセスが続き、かつ/又は伸展する間に変化する物理的特性に関して、比較的不感である。さらにこの手段によって、電解生成物、特に水素と酸素の、電極配置3からの脱ガスが助長され、かつ/又は支援される。これが、定められた期間内でより高い効率及び/又はより高い電解性能をもたらす。実際の形態によれば、隣接する電極5、6の間に形成される間隔9は、扇子軸線7に最も近い終端セクション内で約0.6mm、そして扇子軸線7とは逆の終端セクション内で約4mmである。
【0078】
上面で見て、スター形状の電極配置3は、その周境界に関して好ましくは円形に形成されている。しかし多角形の輪郭も、考えられる。特に好ましい形態によれば、スター形状及び/又は扇子形状の電極配置3は、上面で見て円形に形成されており、これが
図3からもっともよくわかる。特に扇子軸線7を環状に囲んで、筒状あるいは管状のあいた場所11を形成することができ、それは、電解質によって完全に満たすことができ、かつ/又は少なくとも部分的に、余分な、かつ/又は溢流する電解液又は電解質泡用の、流出空間として、かつ/又は溢流通路あるいは排出通路として機能することができ、これについては後にさらに詳しく説明する。すなわち、個々の電極プレート5、6は、好ましくは定められた径方向の間隔12を維持しながら、扇子軸線7を中心に広がって、かつ/又は互いに連続するように配置されており、かつ扇子軸線7に対して径方向に方位づけされており、これについては
図3からもっともよくわかる。全体として見て、このように形成された電極配置3は、実質的に中空筒状のボディを形成し、これについては
図2と3を共に見ると明らかである。この中空筒状の電極ボディは、薄板状に積層されているが、互いに離隔して異なるように極性を定められた複数の電極プレート5、6を有しており、それらが共通の筒軸線及び/又は扇子軸線7を中心に馬勒状及び/又はビーム形状に延びている。個々のプレート形状の電極5、6は、上面で見て大体において、スター形状の電極配置3の、扇子軸線7から出る仮想のビームを表している。
【0079】
個々の電極プレート5、6は、プレート電極の互いに対向するフラット側に関して、統一的かつ/又は変化しない厚み及び/又は奥行きを有している。プレート形状の電極5、6を形成する代わりに、電極配置3を上面で見て、実質的に円セクター形状の電極5、6、特に円セクター形状のアノードとカソードを形成することも、可能であって、その例が
図4に図式的に示されている。
【0080】
上面及び/又は横断面において円セクター形状に形成されたこれらの電極5、6は、同様に共通の扇子軸線7を中心に配置されている。個々の円セクター形状の電極5、6は、好ましくは扇子軸線7に対して径方向の間隔12で配置されている。この場合にも、横断面において-
図4に基づく-円セクター形状及び/又はほぼ円セクター形状の電極プレート5、6のスター形状及び/又は扇子形状の配置が設けられている。したがってこの電極配置3も、想像及び/又は仮想の扇子軸線7を環状に取り巻いて好ましくは筒状及び/又は管状のあいた場所11が設けられているので、実質的に中空筒状のボディ形状を有している。しかし、
図3に示す実施例とは異なり、隣接する電極5、6の間の間隔9は、扇子軸線7に対する異なる径方向の間隔に関して一定又はほぼ一定であり、これは、
図4から読み取ることができる。
【0081】
想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線8の軸線方向において、すなわち収容容器4の垂直軸線の方向において、好ましくは少なくとも、形態に基づいてスター形状に形成されている、電極配置3の上方及び/又は下方に、少なくとも1つの電磁コイル13が配置されている。電気エネルギの供給によって、この電磁コイル13により構築される電磁場が、反応室2内の電解質と電極配置3に作用する。すなわちコイル13は、電磁場の磁場線が電解質及び電極配置3のアノードとカソードの電極5、6も横断し、かつ/又は影響を与えるように、配置され、かつ/又は寸法設計されている。
【0082】
好ましくは、少なくとも1つの電極配置3は、電解質内へ完全に浸漬されており、その電解質は好ましくは水又は水性の溶液によって形成されている。しかし好ましくは、少なくとも1つの電磁コイル13も、電解質のための通常の、かつ/又は最小の流体レベル14の下方に配置されている。すなわち、好ましくは電磁コイル13も、電磁場を形成するために、少なくとも主として、好ましくは完全に、電解質内へ浸漬されている。これは、一方で電解質を、かつ他方で少なくとも間接的にアノードとカソードの電極5、6も、振動させ、かつ/又は高周波で振動させ、それによって電極5、6についた気泡を剥がし、かつ液状の電解質から水素泡及び/又は酸素泡の脱ガスを支援し、かつ/又は加速させるために、重要である。特に少なくとも1つのコイル13の電磁場が、電極配置3のアノードとカソードの電極5、6を機械的に振動させて、アノードとカソードに生じるガス泡、特にそれぞれの酸素泡と水素泡を剥がすことを支援する。さらに、少なくとも1つの電磁コイル13の電磁場は、電気分解プロセスのイオン化と強化かつ/又は徹底をもたらす。
【0083】
アノードとカソードの電極5、6は、強磁性の、特に磁場によって調節可能な材料、たとえば鉄を含む材料及び/又は貴金属、たとえばいわゆるNirosta金属又はその他の錆びない鋼からなる。比較的小さい振幅を有する、電磁コイル13の高周波の機械的な振動によって、電極5、6におけるガスの剥離が強化かつ/又は促進される。それに伴って電極5、6の有効な面が電解質に対して可能な限り高く保持されるので、電解プロセス及び/又は電極5、6の電極面の効率及び/又は生産性が高く維持され、かつ/又は最大にされる。これが、電解プロセスを加速し、かつ/又はそれによって分解プロセスが定められた期間に関して改良され、かつ/又は最大にされる。すなわちそれによって、電解反応システム1の電解能力及び/又は分解能力を改良し、かつ/又は増大させることができる。特に上述した手段によって、単位時間あたり行われる変換作業及び/又は分解作業が増大されるので、比較的小容積の、かつ/又はコンパクトに構成された反応システム1によっても、水素ガスと酸素ガスにおいて、及び/又はしかるべき混合気に関して、高い放出出力が得られる。したがって記載の電解反応システム1は、高い反応性及び/又は反応迅速性を有する。少なくとも部分的に電解質内に浸漬された電磁コイル13は、一方でイオン化をもたらし、他方では電解質及び/又は電極5、6のための振動発生器として機能するので、シナジー効果を提供する。
【0084】
好ましい代替案及び/又は展開によれば、少なくとも1つの電磁コイル13の上方に、複数のアノードとカソードの電極5、6からなる他の電極配置3’が配置されている。電磁コイル13の上方に配置されている、この他の電極配置3’も、反応室2の内部で好ましくは完全に、特に可能な限り完全に、液状の、特に水性の電解質内に浸漬されている。
【0085】
図1に例として図式的かつ/又は原理的に示唆されるように、エネルギを供給された電磁コイル13の電磁場は、下方及び/又は上方に配置されている電極配置3、3’の電極5、6へ振動するように作用し、かつ/又はエネルギ供給された電磁コイル13は電解質にも振動をもって作用するので、電極5、6からのガス泡の剥離及び/又は電解質内のガス泡移送が支援され、かつ/又は強化される。
【0086】
代替的に、電磁コイル13を電極配置3の下方に形成し、特に反応室2及び/又は電解質を収容する収容容器4の底セクション内に配置することも、考えられる。
【0087】
好ましくは、電極配置3は、反応室2の底セクション及び/又は底プレートに対して垂直の間隔で配置されている。それによって電極配置3の下方に定められた電解質体積が存在し、かつ/又はそれによって電極配置の下方に所定の電解質量が集まり、かつ電極配置3の下方の底近くに流れ通路を形成することができる。電極配置3の下方で筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して軸線方向に位置決めされた電磁コイル13’は、好ましくは同様に反応室2の底セクションに対して離隔しており、それによって電極配置3の内部で電解質内に底セクションから始まって上へ向かう方向に、特に電解反応室1のガス室への方向へ流れを構築することが可能になる。
【0088】
図1と5を共に見ると明らかなように、好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの電磁コイル13が上面で見て実質的に環状に形成されている。このトーラス形状の電磁コイル13の中心点及び/又は中央点は、収容容器4の筒軸線及び/又は垂直軸線8上又はその近傍に、かつ/又は電極配置3の扇子軸線7上又はその近傍に位置する。すなわちコイル12の実質的にディスク形状の中心平面16は筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して横方向、特に直角に、及び/又は扇子軸線7に対して直角に方向づけされており、これは、
図1からもっともよくわかる。
【0089】
好ましくは、コイル13の巻きボディ17は、環状及び/又はトーラス形状に形成されている。この巻きボディ17は、好ましくは磁化できない材料、特にプラスチックなどから形成されている。すなわち電磁コイル13は、好ましくは鉄芯なしで形成されており、特にエアコイルとして形成されている。この巻きボディ17は、少なくとも1つのコイル巻き線18を支持しており、そのコイル巻き線は、複数の巻き、特に百又は千の巻きからなり、それらが巻きボディ17を中心に巻かれている。しかし、巻きボディ17を形成する代わりに、少なくとも1つのコイル巻き線18を自己支持するように形成し、すなわち巻きボディ17なしで成形し、したがってほぼ自己安定するように形成することも可能である。
【0090】
コイル巻き線18の個々の巻きは、環状のコイル13に対して径方向に、及び/又は実質的に径方向に、方向づけされている。特に個々の巻きは、隆起部形状の巻きボディ17を中心に円形及び/又はリール形状に延びており、これは、
図5からもっともよくわかる。好ましい実施形態によれば、巻きボディ17及び/又はコイル13の円周のまわりに分配して配置された、それぞれ互いに離隔して巻かれた4つの部分巻き線19、19’、19”、19’”が形成されている。個々の部分巻き線19-19’”は、直列に接続されている。好ましくは個々の部分巻き線19-19’”の間に巻き間隔20、20’、20”が形成されている。
【0091】
好ましい展開によれば、コイル軸線及び/又は中心点線及び/又は中央点15に対してそれぞれ45°だけ変位して配置され、重なりあって巻かれた3つのコイル巻き線が形成されている。特にそれによって、少なくとも3層のコイル巻き線18が形成され、その巻き間隔20、20’、20”は、トーラス形状のコイル13の円周方向に互いに連続して、かつ/又は互いに変位して、形成されている。
【0092】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの電磁コイル13が電極配置3と荷重を除去するように結合され、かつ/又は電極配置3に対して荷重を除去するように支持されている。すなわち、少なくとも1つの電磁コイル13は、たとえば反応室2とは直接結合されておらず、むしろ電極配置3とできるだけ直接機械的に結合されている。それによって電極配置3への可能な限り強力な振動伝達が得られる。
図2に示す形態において、電磁コイル13は中空円錐状及び/又は漏斗形状の保持部材内に収容されており、その保持部材が電極配置3の上側に支持されている。したがって電磁コイル13の機械的揺動及び/又は振動が電極配置3へ、そしてその逆に、伝達される。
図6、7に示す実施形態において、少なくとも1つの電磁コイル13がクリップ形状の支持装置及び/又は保持装置を介して電極配置3の上側に荷重を除去するように固定され、かつ/又は支持されている。
【0093】
電極5、6は、好ましいやり方で、電解質槽内で自由に振動できるように、保持され、かつ/又は支承されている。そのためには、片側の、かつ/又は舌形状の保持及び/又は支承が効果的である。代替的に、
図2に例として示されるように、電極5、6を電極5、6の最大2つの互いに対向する端縁セクションにおいて保持することが、考えられる。
【0094】
電極配置3の個々のアノードとカソードの電極5、6は、それ自体知られたやり方で、第1の電気エネルギ供給源21から電気エネルギを供給される。この第1のエネルギ供給源21は、好ましくはアノードとカソードの電極5、6に脈動するエネルギを供給するように形成されている。
【0095】
少なくとも1つの電磁コイル13は、他の電気エネルギ供給源22から電気エネルギを供給される。好ましくは他の電気エネルギ供給源22は、少なくとも1つの電磁コイル13に脈動するようにエネルギを供給するために形成されている。
【0096】
第1のエネルギ供給源21と第2のエネルギ供給源22は、電極5、6及び/又はコイル13に、好ましくはそれぞれ、可変の振幅高さ及び個々の電圧パルス及び/又は電流パルスの間の定められたパルス休止を有する脈動する直流電圧を供給する。エネルギ供給源21、22は、従来技術から長きにわたって知られているように、好ましくは電気エネルギ変換器によって、特にコンバータ回路によって、かつ/又は信号発生器によって形成されている。それぞれのエネルギ供給源21、22は、公共の電流供給網から、あるいは好ましくは直流電圧源から、特にたとえばアキュムレータなどの、電気化学的電圧源から、電気エネルギを供給される。好ましくはエネルギ供給源21、22のための電気エネルギ供給源は、アキュムレータによって、特に12V及び/又は24Vの端子電圧を有する、少なくとも1つの鉛アキュムレータから形成されている。特にエネルギ供給源は、自動車の12V/24Vのワイヤリングシステムによって形成することができる。
【0097】
好ましい手段によれば、アノードとカソードの電極5、6にエネルギを供給するための第1のエネルギ供給源21のエネルギ周波数は、少なくとも1つの電磁コイル13にエネルギを供給するための第2のエネルギ供給源22のエネルギ周波数に比較して、電解反応システム1が少なくとも時々その共振周波数の近くで、あるいはその共振周波数において作動するように、選択されている。第1のエネルギ供給源21と他のエネルギ供給源22のそれぞれのエネルギ周波数は、互いに同調されており、それによって電解システムが共振状態又はほぼ共振状態で作動し、かつ電解質がガス状の水素と酸素に高効率かつ/又はきわめて有効に化学分解される。それによって特に、アノードとカソードの電極5、6からそれぞれのガス泡が剥がれる程度及び/又は効率が著しく影響を受ける。特に反応室2内の電場及び/又は電磁場の作用によってまず、電解の分解プロセスが支援され、かつ/又は促進される。他方で、電解質内かつ/又は金属の、特に強磁性の電極5、6内に力及び/又は振動を電磁的結合することによって、振動及び/又は揺動が発生され、それがガスの剥離とそれに伴って分解プロセス及び/又は分裂プロセスを支援する。
【0098】
アノードとカソードの電極5、6に供給するための第1のエネルギ供給源21のパルス周波数は、少なくとも1つの電磁コイル13に供給するための第2のエネルギ供給源22よりも多数倍高い。第1のエネルギ供給源21の供給周波数は、第2のエネルギ供給源22の供給周波数に比較して、少なくとも百倍から一万倍あるいは十万倍、好ましくは約千倍となる。したがって電極配置3のための電気エネルギ供給と少なくとも1つの電磁コイル13のための電気エネルギ供給との間の周波数比は、好ましくは約1000:1である。たとえば、コイル13用のエネルギ周波数は約30Hであって、アノードとカソードの電極5、6用のエネルギ周波数は、約30kHzである。もちろん、エネルギ供給源21、22において他のベース値及び/又は周波数値を調節し、かつ/又は発生させることもできる。
【0099】
アノードとカソードの電極5、6に供給するための第1のエネルギ供給源21の電圧レベルは、数100Vとすることができる。
【0100】
それぞれの電圧値及び/又は周波数値は、まず、反応室2の内部のそれぞれのコンポーネントの構造的配置及び幾何学的寸法に依存し、かつ経験的かつ/又は当業者の技量の枠内でそれぞれ調整し、かつ/又は適合させることができる。
【0101】
好ましい実施形態によれば、反応室2の、特に電解質体積及び/又は電解質用の収容容器4の、下方のセクション内に、電解質液を充填し、かつ/又は連続的又は非連続的に追加充填するための少なくとも1つの供給開口部23が配置されている。下方のセクション内、特に電解質槽の底セクション内で供給され、かつ/又は供給可能な電解質によって、電解質液の乱流及び/又は旋回が発生し、それによって好ましいやり方で、アノードとカソードの電極5、6に着いたガス泡の剥離が支援され、かつ/又は促進される。
【0102】
その代わりに、あるいはそれと組み合わせて、反応室2内に、特に電解質用の収容容器4内に、電解質において乱流を生成させるための、特に電解質内に流れ、たとえば乱流を構築するための、少なくとも1つの手段24を形成することができる。この乱流発生手段24は、従来技術から知られた、液体槽内に流れ及び/又は乱流を発生させるための、任意の手段によって形成することができる。好ましい実施形態において、電解質において乱流を発生させるための手段24は、反応室内へ通じる、電解質のための吸い込み及び/又は排出ノズル25によって形成されている。好ましくは、電解質のための複数の吸い込み及び/又は排出ノズル25が設けられており、それらは好ましくは電解質のための収容容器4に対応づけられている。所望の乱流及び/又はそれぞれの乱流力の分配にしたがってこの吸い込み及び/又は排出ノズル25の数は、それぞれの要請の枠内で著しく変化することができる。これらの吸い込み及び/又は排出ノズル25の直径にしたがって、この種の吸い込み及び/又は排出ノズル25の少なくとも2つ又は百であっても、好ましくは電解質のための収容容器4の底領域内に形成することができる。好ましい展開によれば、複数の吸い込み及び/又は排出ノズル25の少なくとも個々の作用軸線は、底セクションに対して傾斜して形成されている。特に吸い込み及び/又は排出ノズル25の作用軸線は、電解質槽内に密接した乱流及び/又は広く達する流れを構築するために、反応室2の筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して角度をもって方向づけすることができ、その流れがアノードとカソード電極5、6から、かつ/又は電解質の内部から、水素泡及び/又は酸素泡を上へ向かう方向に、脱ガスゾーンへ、特に反応室2のガス室26へ移送することを支援する。
【0103】
電解質内に液体投入及び/又はガス投入によって形成される乱流及び/又は流れの代わりに、電解質において乱流を発生させる手段24を、電解液内へ浸漬される少なくとも1つの撹拌器具によって形成することも、もちろん可能である。好ましい手段によれば、電解質内に流れを必然的に生じさせる手段24は、収容容器4及び/又は反応室2の筒軸線及び/又は垂直軸線8を中心にほぼ螺旋形状の流れが構築されるように、形成されており、この螺旋形状の流れの増殖方向は電解質の底セクションから始まって電解質槽の表面へ向かう方向に延びている。
【0104】
好ましい実施形態によれば、反応室2内に少なくとも1つの溢流エッジ27が設けられており、その溢流エッジは電解質の最大流体レベル28を制限するために形成されている。好ましい実施形態によれば、この少なくとも1つの溢流エッジ27は、中空筒状及び/又は中空プリズム状の電解質容器30の画成エッジ29によって形成されている。この電解質容器30は、好ましくは垂直に方向づけされた筒軸線31を有し、その筒軸線が好ましくは反応室2の筒軸線及び/又は垂直軸線8と重なり、かつ/又は少なくともほぼ重なる。少なくとも1つの溢流エッジ27は、電解質容器30の上方の画成エッジ29の代わりに、あるいはそれに加えて、電解質容器30の側面内の少なくとも1つの孔あるいはその他の切り通しによって形成することができる。しかし好ましくは、電解質容器30の上方のセクションは、できるだけ開放しており、特に横断面全体にわたって開放して形成されており、それによって電解プロセスの間に大体において生じる泡、特に電解質上に形成されるクラウン状の泡を良好に除去し、かつ/又は運び去ることも支援される。特に流体レベル及び/又は電解質レベルが、溢流エッジ27と同じ高さにある場合に、電解質の泡32が効率的に運び去られる。電解質の最初の充填レベル33は、好ましくは溢流エッジ27の少し下方に位置する。アクティブな電解プロセスの間、特に、電解質内の泡の形成によって電解質体積がはっきりと認識可能に上昇する。すなわち、電解反応システム1の駆動の間、反応室2内、特に収容容器4及び/又は電解質容器30内の電解質レベルが上昇する。したがって電解質のための最初の充填レベル33は、好ましくは電解質容器30の溢流エッジ27の下方に定められる。いずれにしても溢流エッジ27は、電解質容器30内の最大可能な電解質レベルを定める。この最大の電解質レベルに達し、かつ/又は越えた場合に、電解質泡及び/又は泡のクラウンが効率的に運びさられる。
【0105】
図示される実施例によれば、泡32及び/又は泡のクラウンあるいは溢流する、かつ/又は余剰の電解質液の運び去りは、電解質容器30の中心領域から始まって外側へ向かう方向に、特に垂直軸線及び/又は筒軸線8、31に対して径方向に行われる。代替的又は組み合わせる実施形態によれば、破線で示唆されるように、泡32及び/又は少なくとも1つの溢流エッジ27を越えて流れる電解質を、電解質容器30の中心領域内に配置されている排出通路34内へ運び去ることも可能である。この中心にある、かつ/又は中央に配置された排出通路34内で、あふれ出た電解質及び/又は溢流エッジ27’を溢流した電解質泡が下方へ向かう方向に導かれて、好ましくは再び電解質容器30内へ送り込まれ、これについては以下で詳細に説明する。
【0106】
好ましくは反応室2の底セクション内に、溢流エッジ27を越えて流れた電解質又は電解質の泡のための収集セクション35が形成されている。この収集セクション35は、反応室2の所定の垂直の高さにわたって延びており、かつ電解により獲得されたガスが、反応室2からの電解質の管理された運び出しに用いられる排出開口部36から流出することを阻止し、かつ/又は減少させる。この収集セクション35は、反応室2の底セクション内の所定の電解質レベルによって、あるいはその他のサイフォン形式のガスロックによって形成することができる。この収集セクション35及び/又はそれに応じた液体サイフォンによって、特に、反応室2が可能な限り気密に閉鎖され、かつ/又は底近くの電解質用の排出開口部36を介しての水素ガスと酸素ガスの流出又は吸い出しが阻止される。したがって溢流エッジ27を越えて流れた電解質液及び/又は分離された電解質泡のための、例としてのサイフォン形式の収集セクション35は、排出開口部36を比較的気密に閉鎖し、それに対して少なくとも1つの排出開口部26を介して反応室2からの電解質液の管理された運び出しは可能である。特に、収集セクション35の内部に所定の流体レベルが存在し、かつ/又は構築されて、それによって充分に気密のガスロックが得られることが、保証されている。
【0107】
収集セクション35内の流体レベルは、好ましくは、電解質容器30の内部の電解質のための通常の充填レベル33よりも低い。収集セクション35は、表示によれば、電解質容器30を環状に囲んで形成することができ、あるいは余分の電解質を中央に配置されている排出通路34内へ中央で導入する場合には、電解質容器30の中央領域内に設けることができ、これが、破線で示される実施変形例を用いて示されている。もちろんその代わりに、電解質液用の少なくとも1つの収集セクション35を用いて、電解質泡及び/又は電解質液を分離して脱ガスするために、外側と内側を組みあせた収集、あるいはカスケード状の電解質収集を実施することも可能である。
【0108】
好ましくは、収容容器4及び/又は電解質容器30の溢流エッジ27を越えて流れた電解質割合のための、他の少なくとも1つの還流路37が設けられる。この還流路37を用いて、中空筒状及び/又は中空プリズム状の電解質容器30内へ、かつ/又は反応室2内への電解質の少なくとも1回の再投入が行われる。好ましくは電解質の還流路37のための少なくとも1つの導管の内部に、液体タンク38、特に水容器39が設けられており、その中に所定量の電解質、特に水の形式の液状の電解質がストックされ、かつ/又は一時的に保持される。この液体タンク38から始まって反応室2の内部の電解プロセスに連続的又は非連続的に電解質液が供給される。少なくとも1つの還流路37が、ほぼ液体タンク38を通り、かつ/又はそれを介して延びている。すなわち還流路37は、一方で、液体タンク38内へ連通し、かつ還流路37は液体タンク38から始まって再び反応室2の方向へ続いており、それによって収容容器4及び/又は電解質容器30内の電解質の液に関して供給及び/又は追加供給が行われる。反応室2と液体タンク38及び/又は水容器39との間のこの電解質循環41は、水力学の視点において内燃機関用の燃料供給システムの送りと還流に比較可能である。
【0109】
還流路37内に、残渣、特に電解質内及び/又は電解処理された水内の不純物を濾過するための少なくとも1つのフィルタ装置40を配置することができる。アクティブな、かつ/又は強制された水循環及び/又は電解質循環41を構築するために、還流路37内かつ/又は電解質用の供給導管内に、反応室2に関して少なくとも1つの流体ポンプ42を組み込むことができる。還流路37が電解質用の冷却装置43としても用いられ、かつ/又は冷却装置43を有していると、効果的である。この冷却装置43は、還流路37の導管接続によりそれ自体として、かつ/又は付加的な熱交換器により、特に、たとえば冷却フィンなどの、空気液体交換器によって、形成することができる。これらの熱交換器44及び/又は冷却フィンは、配管内に、かつ/又は液体タンク38及び/又は水容器39に形成することができる。好ましい実施形態によれば、電解質の温度が20℃と60℃の間の領域内、特に28℃と50℃の間の領域内、好ましくは35℃~43℃に維持されるように、冷却装置43が寸法設計され、かつ/又は還流路37が定められている。特に少なくとも最後に挙げた、電解質の温度領域内で、最適化された、かつ/又は比較的効率的な電解プロセスが行われる。特にこの温度領域内では、比較的わずかな量及び/又は出力の電気エネルギしか必要とされない。もちろん冷却装置43は、従来技術からの多数の形態において知られているように、他のパッシブ及び/又はアクティブに作用する冷却装置によって、形成することもできる。
【0110】
したがって好ましい実施形態によれば、電解反応システム1は、電解質のための連続的又は非連続的な供給45と排出46を有している。特にこの電解質の供給45と排出46によって、反応室2内、及び/又はその電解質容器30内で電解質を有する水又は水によって形成される電解質の時間に関する徐々の交換及び/又は追加充填が行われ、もしくは構築される。好ましくは、それ自体閉成された電解質循環41が構築されており、その中に液体タンク38と少なくとも1つの流体ポンプ42が組み込まれている。
【0111】
展開する好ましい手段によれば、好ましくは反応室2の底セクション内、かつ/又はケーシング領域内に、反応室2内へ、特に電解質のための収容容器4内へ導入すべき周囲空気48のための少なくとも1つの通過開口部47が形成されている。それに対して代替的又は付加的に、収容容器4内、特に電解質容器30内へ窒素あるいはその他の不燃のガスを供給するためにも、少なくとも1つの通過開口部47を設けることができる。この少なくとも1つの通過開口部47は、直接電解質槽内へ連通しており、その電解質槽は反応システム1の駆動の間、反応室2内、特に電解質容器30内にある。好ましくは電解質容器30の底セクション及び/又ケーシング領域内に分配して配置された複数の通過開口部47が、周囲空気48及び/又は窒素のために形成されている。特に電解質内への周囲空気及び/又は窒素の直接的な供給及び/又は導入が行われるので、電解質内に液体及び/又は気体の混合物と流れ及び/又は乱流が生じる。場合によっては調整手段49、特に弁配置又はその種のものを設けることができ、それが、周囲空気48及び/又は窒素の、電解質内へ流入する量及び/又は圧力を調整するように形成されている。好ましくは、周囲空気48及び/又は窒素あるいはその他の不燃のガスのこの投入は、圧力下で行われる。すなわち周囲空気48又は窒素は、電解質内へアクティブに吹き込まれる。場合によっては、反応室2内に負圧を構築することによって、たとえば空気などの、しかるべきガス又は混合気を吸い込むことも可能である。上述した通過開口部47(これによって周囲空気48及び/又は窒素が直接電解質内へ吹き込まれ、かつ/又は投入される)を通して、まず、電極配置3に付着している酸素泡及び/又は窒素泡の剥離が支援される。さらに、このように電解質内へ空気及び/又は窒素を投入することによって、電解質の乱流及び/又は混合を得ることもできる。これは、電解出力に課して、特に電解反応システム1の性能に関して、ポジティブに作用する。
【0112】
好ましくは、通過開口部47の多重配置が設けられており、それらを介して空気及び/又は窒素が電解質用の収容容器4内へ所望に分配して投入される。好ましい実施形態によれば、これらの通過開口部47は、反応室2の底セクション内に、特に電極配置の下方に、位置決めされている。
【0113】
展開する好ましい手段によれば、電解反応システム1に、反応室2の内部に、特にそのガス室26内に、負圧を構築するための少なくとも1つの手段50が対応づけられている。この負圧は、雰囲気の周囲圧に関するものである。すなわち、負圧を発生させる手段50は、反応室2の内部に、特にガス室26内に、定められた負圧状況を発生させる。第1の実施形態によれば、この手段50は、負圧ポンプによって形成することができる。好ましい実施形態によれば、負圧を構築するためのこの手段50は、反応室2に接続された、化学的エネルギ担体である水素用の負荷によって形成されている。好ましい実施形態によれば、内燃機関51により、特にガソリンエンジン、ガスエンジン又はディーゼルエンジンによって形成されている、この負荷は、水素の化学的エネルギを、熱エネルギを遊離させながら運動エネルギに変換する。負荷は、もちろん任意の加熱システム又は電流を発生させるジェネレータシステムによっても形成することができる。したがって好ましい実施形態によれば、反応室2内に負圧を構築することは、反応室2、特にそのガス室26と、水素と酸素の混合気の化学エネルギを熱エネルギ及び/又は運動エネルギに変換するための内燃機関51又はその他の燃焼システムの燃料供給部53、特に吸い込み通路、との間に流れ接続部52を形成することによって、行われる。またそれによって、脱ガス出力を電解質と電極配置3に関して高め、電解反応システム1の得ることのできる電解能力が向上する。
【0114】
図6、7には、ガス状の水素と酸素を形成するための電解反応システム1の他の実施形態が示されている。この実施形態は、本発明に係る反応システム1のそれ自体自立した実施形態である。先行する図におけるのと同一の参照符号及び/又は構成部品名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図についての詳細な説明を参照するよう指示し、もしくは参照する。はっきりとさせておくが、これらの図に示される特徴及び/又は構造的手段の全てが、本発明に係る反応システム1の絶対的に必要な構成部品を表すものではない。さらに先行する図に基づく特徴を有する特徴の組み合わせは、本発明に係る実施形態を表すことができる。
【0115】
この電解反応システム1も、たとえば水、水性の溶液又は導電性を高める添加物と結合された水混合物などの、電解質を収容するような反応室2を有している。反応室2内には、さらに、少なくとも1つの電極配置3が配置されており、その電極配置が複数のアノードとカソードの電極5、6から形成されている。この実施形態において電極配置3は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つより多い、互いに同軸又はほぼ同軸に入れ子に配置された管状の電極5、6によって形成されている。図示される実施例において5つの同軸に配置され、互いに入れ子に重なり合った、特に互いに入れ子に挿入された、管状の電極5、6が形成されている。これに関連して指摘しておくが、円形及び/又は円環形状あるいは楕円形の横断面を有する電極5、6が好ましい。しかし、中空筒状のボディ形状を有する管状の電極5、6の代わりに、プリズム状のボディ形状、特に方形、矩形又はその他の多角形の横断面を有する管状の電極5、6を設けることが可能であるのも、もちろんである。個々の電極5、6は、電解反応システム1内で好ましくは交互に、かつ/又は互いに連続してそれぞれアノードとカソードを形成する。
【0116】
互いに隣接して配置された管状の電極5、6の、筒状又は、互いに対して角度をもって方向づけされた多数の面をまとめたプリズム形状の、側面は、互いに対して離隔して形成されている。特にそれぞれの電極5、6のそれぞれの筒面及び/又は側面の間、特に内側面と外側面の間に、定められた間隔54及び/又は55が形成されている。好ましい手段によれば、管状又は中空プリズム形状の互いに入り組んだ電極5、6の間の間隔54又は間隙寸法は、外側の対の電極から始まって、さらに内側の、特に中央の管軸線56の近くに配置された電極5、6又は管状の電極配置3のさらに内側に配置された対の電極5、6に比較して、増大するように、あるいは大きくなるように、寸法設計されている。すなわち、電極配置3の中心に存在する、管状及び/又は中空プリズム形状の電極配置3の間隔55は、好ましくは、外側の対の電極5、6の間、及び/又は、内側の電極5、6を包囲する外側の対の電極5、6の間の間隔54よりも、大きく寸法設計されている。
【0117】
管状の電極5、6の個々の想像上の管軸線56は、好ましくは垂直に方向づけされている。管状の電極5、6の遠位の終端セクションは、それぞれ開放して形成されている。好ましくは、個々の管状の電極5、6は、その長さ及び/又は高さに関して一定の横断面積を有している。
【0118】
管状及び/又は中空プリズム形状の電極5、6の側面又は筒面の間に、少なくとも1つのほぼ中空筒状あるいはプリズム形状の間隙57、58が形成されている。電極配置3の様々な電極5、6の間の少なくとも1つの間隙57、58を通って、ガス泡のこぼれ落ちが可能にされ、かつ/又は支援される。特にそれによって、電解プロセスの間にアノードとカソードの電極5、6に付着しかつ/又は生じるガス泡は、電解質の上方にあるガス室26内へ効率的に導出することができる。ある種の吸い込み作用が効力を発し、それが電解質からのガス泡のこぼれ落ちを支援する。この効果が、電極配置3の下方にある電解質体積により、かつ管状の電極配置3の内部のベンチュリ効果によって増強される。
【0119】
特に、隣接する電極5、6の間の少なくとも1つのほぼ中空筒状あるいはプリズム形状の間隙57、58によって、ガス泡のためのある種の煙突作用が得られ、したがってそのこぼれ落ち速度及び/又は脱ガス出力が向上する。電極及び/又は電極対5、6のカスケード及び/又は多重配置によって、この効果が付加的に増大する。
【0120】
想像上の中央の管軸線56に関して、少なくとも管状の電極配置の上方に、上ですでに記載されているように、少なくとも1つの電磁コイル13が配置されている。重要なのは、この電磁コイル13にエネルギ供給された場合に生じる、かつ/又は構築される、好ましくは交代する、かつ/又は脈動する電磁場が電解質に、そして電極配置にも作用することである。特に、充分な強度を有する磁場線が電極配置3も、電解反応システム1内の電解質体積も横切る。電極配置3の上方に位置する電磁コイル13の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、電極配置3の下方にも少なくとも1つの電磁コイル13を形成することができる。
【0121】
特に、少なくとも1つの電磁コイル13によって、電極配置3が機械的に揺動かつ/又は振動され、それが電解質からのガスの小泡のこぼれ落ちを支援し、かつ/又は促進する。さらに、特に電磁コイル13の電場が電解変換プロセス及び/又は分解プロセスにもポジティブに作用する。
【0122】
好ましい実施形態によれば、電解反応システム1の反応室2は、実質的に中空筒状あるいは中空プリズム状のボディ形状を有している。反応室2の想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線8は、特に側面は、
図6又は
図2の例から明らかなように、垂直又は少なくともほぼ垂直に方向づけされている。
【0123】
さらに、
図2と6からもっともよくわかるように、反応室2が実質的に中空筒状あるいは中空プリズム状の収容容器4を備えかつ/又は有しており、その中に少なくとも1つのスター形状あるいは管状の電極配置3が配置されていると、適切である。
図1、2に示す実施形態によれば、電解質のため、かつ少なくとも1つの電極配置3のための収容容器4は、上方の終端セクション内で開放して形成されている。さらにその側面及び/又は筒面は、反応室2の内側の壁面から離隔して形成されており、これは
図1からもっともよくわかる。それによって、簡単なやり方で、上述した分離及び/又は収集セクション35が構築される。好ましい手段によれば、スター形状の電極配置3の想像上の扇子軸線7及び/又は管状の電極配置の想像上の管軸線56は、実質的に想像上の筒軸線8上に、あるいは収容容器4及び/又は反応室2の想像上の筒軸線8に対して等しく重なり合って、位置決めされており、これについては特に
図1と6の表示から読み取ることができる。
【0124】
図8には、電極配置3の他の原理的な表示が図式的に示されている。収容容器4及び/又は反応室2は中空筒状、特に横断面において円形に、形成されている。破線で示される、代替的な実施形態によれば、反応室2及び/又は収容容器4は、その他の中空プリズム状のボディ形状、特に角張った横断面形状も有することができるが、面取りした角部及び/又はエッジ領域が効果的である。反応室2の内部に、複数の電極配置3、3’が設けられている。特に、管状電極の束が形成されており、個々の電極対5、6は、電解質用の収容容器4の内部に分配して配置されている。特に、収容容器4の中心に、第1の電極配置3が形成されており、かつこの中央の電極配置を円形に取り囲んで複数の他の電極配置3’が円形に位置決めされている。電極形状の混合形式も同様に可能である。たとえば、横断面において円形の管状電極5、6と横断面において角のある、たとえば四角形状の管状電極5、6を組み合わせて、収容容器4の内部により高いパッキング密度を得ることができる。
【0125】
管状及び/又は中空プリズム形状の電極5、6を寸法設計する場合に、その強度値が所定の上限値を可能な限り越えないことに留意すると、効果的である。特に電極5、6の材厚59、60は、少なくとも1つのコイル13の電磁場が電極配置3及び/又は少なくとも個々の電極5、6の機械的振動の励起をもたらすように、定めなければならない。電極5、6は、電気的に導通する、特に強磁性の材料から形成されているので、少なくとも1つのコイル13の交番電磁場及び/又は電磁的に脈動する場は振動及び/又は揺動を励起する効果を有する。それによって電解質からのガスの小泡の剥離の効率及び/又はガス泡のこぼれ落ち能力が支援される。特にそれぞれの電極5、6の材料弾性及び/又は材厚59、60は、電磁コイル13から始まって可能な限り強力な振動励起が得られるように、選択されなければならない。
【0126】
好ましい展開によれば、剥離プロセスを強化するために、少なくとも1つのプレート形状の電極5、6-
図1-又は少なくとも1つの管状あるいは中空プリズム状の電極5、6-
図6-は、少なくとも1つのスリット61、62及び/又は複数の切り通し又は穿孔を有することができる。特にそれぞれの電極5、6は、少なくとも1つの機械的に弱いところ及び/又は強度の減少、たとえばスリット61、62又は切り通しまたは材料切り抜き及び/又は材料削減を有し、それによって少なくとも1つの電磁コイル13の電磁場の影響を受けて、機械的に著しく振動する。この手段も、水素調達の性能に関して、電解反応システム1の能力及び/又は反応時間を高める。しかし、電極5、6のための強力な、かつ/又はできるだけ損失のない振動励起は、荷重を除去する支持によって、特に少なくとも1つの電磁コイル13と電極配置3の少なくとも1つの電極5、6との間の可能な限り堅固な機械的結合によっても、得られる。この機械的結合及び/又は保持装置は、好ましくは電気的に絶縁するように形成されている。
【0127】
請求項によれば、電極配置3は、互いに同軸に入れ子にされた管状の電極の少なくとも1つの束から形成されている。それによって最適な電解能力が得られる。
しかしまた、従来技術から知られたその他の電極配置によって、たとえばプレート形状の電極のカスケード配置及び/又は列配置によって、同様な作用及び/又は効果を得ることも、考えられるので、請求項に基づく電極配置を無条件に強制するものではない。特に、他の種類の電極配置においては、比較的わずかな能力及び/又は効率の損失だけは、予測しなければならない。
【0128】
図9には、先行する表示に基づく電解反応システム1において好ましいやり方で使用することができるような、少なくとも1つの電磁コイル13の他の実施形態が示されている。したがって電磁コイル13のこの実施形態は、先行する特徴と組み合わせて、好ましい電解反応システム1とすることができる。以下の章において、先行する図におけるのと同じ部分には同じ参照符号及び/又は構成部品名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図における詳細な説明を参照するよう指示し、もしくは参照する。
【0129】
図式的に示す電磁コイル13は、
図5に示す実施形態に対する代替案であって、好ましくは、
図1、2及び6に示すような、先行する形態と同様に、スター形状又は管状の電極配置3の上方及び/又は下方に配置されているので、電気エネルギの供給によるその電磁場は、まず、電解質に、そして電極配置3に作用する。
【0130】
したがって少なくとも1つは設けられている、電磁コイル13は、実質的にトーラス形状又は環状に形成されており、コイルは、電気的に直列に接続された複数の部分巻き線19、19’、19”、19’”を有している。電磁コイル13の個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”は、それぞれ周角度63にわたって延びており、その周角度は完全な円周64の一部であって、すなわちトーラス形状の電磁コイル13の角度360℃の角度部分である。直列に接続された個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”の周角度63は、コイル13の完全な円周64に関して典型的に20°~50°の間、特に25°と45°の間、好ましくは約30°である。
【0131】
直列に接続されて、環状のコイル13の周方向に連続する部分巻き線19、19’、19”、19’”は、互いに対して自由角度65を形成し、その自由角度は上述した巻き間隔20、20’、20”、20’”に相当する。この自由角度65の内部で、直接互いに連続する部分巻き線19、19’、19”、19’”の間には、電磁巻き線は形成されておらず、電磁巻きボディのない、大体において空白間隔が設けられている。互いに連続して直列に接続されている部分巻き線19、19’、19”、19’”の間のこの自由角度65は、好ましくは10°~30°の間、特に15°~25°の間、好ましくは約20°である。この自由角度65もしくはそれに応じた巻き間隔20、20’、20”、29’”は、電磁コイル13の間にゾーンを形成し、そのゾーン内では、電磁コイル13の、互いに直列に連続する部分巻き線19、19’、19”、19’”が配置され、かつ/又は位置決めされているゾーン内とは異なる電磁状況が支配している。個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”の間の、自由角度65によって定められる、巻き線のない自由空間は、電磁コイル13によって構築された、かつ/又は構築可能な電磁場の内部に多様性を生じさせ、その多様性が電解反応システム1内の電解プロセスを支援する。
【0132】
電磁コイル13によって生成され、かつ/又は生成可能な電磁場の特に好ましい構築は、個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”の周角度63と個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”の間の自由角度65が次のように、すなわち完全に1周よりも多く回った後、すなわち360°の巻き線の延びを越えた後に、互いに重ねて巻かれた部分巻き線19、19’、19”、19’”の間に変位角度66が形成されるように、選択されている場合に、得られる。すなわちそれによって、環状及び/又はトーラス状のコイル13を中心とする第1の周回の部分巻き線19、19’、19”、19’”は、部分巻き線19、19’、19”、19’”からなる第2のリング及び/又は各リングの部分巻き線19、19’、19”、19’”に対して変位角度66だけ変位している。したがって環状のコイル13の周方向に互いに重なり合った部分巻き線19、19’、19”、19’”は、常に互いに対して変位し、かつ/又はずれているので、好ましくは、重なり合って巻かれた部分巻き線19、19’、19”、19’”の間に100%の重なりは存在しない。
【0133】
好ましい実施形態によれば、互いに連続して直列に接続された部分巻き線19、19’、19”、19’”の数は次のように、すなわちほぼ3回の完全な周回が形成されるように、すなわち直列に接続されている部分巻き線19、19’、19”、19’”が、環状及び/又はトーラス状のコイル13の約1080°にわたって延びるように、選択されている。
【0134】
好ましい実施形態によれば、個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”は1層で巻かれており、完全に一周した後に形成される部分巻き線19、19’、19”、19’”は、それなりの変位角度66を有するが、実質的にエアギャップなしで、その下側及び/又は内側に位置する部分巻き線19、19’、19”、19’”の上方に巻かれている。
【0135】
電磁コイル13は、好ましくはコアレスで、特に電磁的に作用するコアなしで、形成されている。特に電磁コイル13は、エアコイルとして形成されているので、生成された電磁場は高い程度で電解質と電極3に作用し、したがって電解反応システム1内の物理的及び化学的シーケンスに高い程度で影響を与える。
【0136】
部分巻き線19、19’、19”、19’”は、複数の巻き線から、特に絶縁された導体、特に塗装絶縁された銅ワイヤからなるダース、百又は千の巻き線からなる。したがって互いに直列に接続されて、互いに離隔した部分巻き線19、19’、19”、19’”からなる、好ましくは2層、特に3層で形成された電磁コイル13は、第1のコイル接続端67と第2のコイル接続端68を有し、それらの間に、円形に延びる、互いに離隔した部分巻き線19、19’、19”、19’”が形成されている。これらのコイル接続端67、68を介して、先行する説明で示されているように、電磁コイル13が電気エネルギ供給源22と接続される。その結果として、外側の部分巻き線19、19’、19”、19’”の直径は、環状及び/又はトーラス形状の電磁コイル13の内側の部分巻き線19、19’、19”、19’”の直径よりも大きい。
【0137】
直接互いに連続する部分巻き線19、19’、19”、19’”の間の、図式的に示される電気的接続ブラケットの代わりに、個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”を中断なしに、かつ/又はつながり合うように、特に一体的な電気的導体から巻くことも、もちろん可能であるので、それらの間に位置する少なくともいくつかの接続ブラケットは不要になる。
【0138】
図10は、電解反応システム1の他の実施例を示している。先行する、すでに説明されているコンポーネントについては、同一の参照符号もしくは構成部品名称が使用されており、かつ先行する説明部分を意味にしたがって、同一の参照符号を有する同じコンポーネントへ移し替えることができる。
【0139】
この電解反応システム1も、ガス状の水素と酸素を高効率で発生させるように設計されている。反応システムは、電解質を収容するための内側の反応室69、複数のアノードとカソードの電極5、6を備えた電極配置3、少なくとも2つの電磁コイル13、70及び電解質循環41を有しており、その電解質循環は、電解質を再循環させるため、かつ電解質を流れ技術的に電極配置を通して案内するために、設けられている。電極配置3を通る電解質の流れは、少なくとも1つの流体ポンプ42によって支援され、かつ/又はもたらされる。特に少なくとも1つの流体ポンプ42によって、電解反応システム1内の電解質の循環、及び/又は電極配置3の電極5、6によって定められる、少なくとも1つの流れ通路71内の強制的に形成される流れが得られる。
【0140】
電極5、6及び、電極配置3の上方及び/又は下方に位置決めされている、環状の電磁コイル13は、好ましくは筒状の、内側の反応室69内にある。他の電磁コイル70は、中空筒状に形成されており、かつ電解質容器30の外側の側面72に取りつけられており、好ましくは直接かつ/又は間隙なしに側面72上に巻かれている。垂直方向に上方へ向かって開放した電解質容器30が、内側の反応室69を画成する。中空筒状の電磁コイル70は、電極配置3の垂直の長さ74にほぼ相当する、軸線方向の長さ及び/又は高さ73を有している。垂直に方向づけされた電磁コイル70は、好ましくは、電極5、6の垂直の長さ全体74に沿って設置されている。反応システム1の上述した全ての部分は、外側の反応室2内に収容されている。
【0141】
電解反応システム1の効率の改良は、電極5、6の特殊な形態及び/又は方向づけにより、それぞれの電極配置3と、電極配置3の上方及び/又は下方及び電極配置3を中心とする外側に配置された電磁コイル13、70の脈動する電磁場との間の構造的組み合わせと技術的相互作用により、かつ電解質の方向づけされた流れによって、得られる。
【0142】
電極配置3は、複数の環状、特に中空筒状の電極5、6を有しており、それらは変化しない、あるいは様々な、径方向の間隔54、55をもって同軸に互いに入れ子に配置されている。電極配置3の中心及び/又は筒軸線及び/又は垂直軸線8は、好ましくは電解質容器30の筒軸線31と重なる。径方向において直接隣接する電極5、6は、電気的に互いに絶縁されており、かつ/又は電解質の導電性に関して電気的に互いに結合されている。電極5、6の材厚59、60は、できるだけ小さく抑えられている。限定するファクターは、電極5、6の間の短絡を阻止するために、構造の充分な構造的強度である。筒状の電極5、6の材厚59、60は、たとえば1mm~3mmの領域内にある。
【0143】
電極5、6は、その下方のセクションにおいて反応室69内に電気的に絶縁して固定されている。それらの電極は、上方のセクション内で同様に、電気的に絶縁する挿入片によって保持し、かつ/又は互いに対して支持することができる。流れ通路71、及び/又は、直接隣接する電極5、6の間の、横断面において環状の間隙57、58は、最小に維持されなければならない。直接隣接する電極5、6の間の径方向の間隔54、55は、1mmと3mmの間の領域内とすることができる。
【0144】
電極5、6の材料は、良好な磁気特性と平均的又は低い過電位とを有する金属又は合金であって、それは、ガス形成反応を改良するための触媒として用いることもできる。たとえば、高いニッケル含有量を有する錆びない鋼を使用することができる。
【0145】
電流供給ユニット及び/又はエネルギ供給源21が、電極5、6へ直流電流又は脈動する電流を供給し、ガス発生反応の高い速度を維持するために、隣接する電極5、6の間に充分な電位が発生される。脈動する電流は、好ましくは1kHと200kHzの間の周波数領域内で供給される。
【0146】
電解反応システム1の好ましい形態は、電極5、6が管状、特に中空筒の形状で形成されており、少なくとも1つの電極5、6の径方向内側の側面75と径方向外側の側面76が、互いに対して少なくともあらかじめ定められた角度77で傾斜していることにあって、それが
図11に例として示されている。
図11の表示は、電極配置3を通る垂直断面を示している。
【0147】
特に、互いに隣接して配置された管状の電極5、6の筒状の側面75、76あるいは互いに対して角度をもって方向づけされた多数の面から構成される側面が、互いに対して離隔して配置されており、かつ電極5、6の互いに離隔した側面75、76の間に、電解質のための少なくとも1つの流れ通路71が形成されていると、効果的である。この種の流れ通路71は、電極配置3内へ電解質が流入するための第1の軸線方向の端部78と、電極配置3から電解質が流出するための第2の軸線方向の端部79との間に延びている。重要なのは、少なくとも1つの流れ通路71が少なくとも1つの第1の流れ通路横断面80と少なくとも1つの第2の流れ通路横断面81とを有しており、第2の流れ横断面81が第1の流れ横断面80よりも小さく寸法設計されており、かつ比較的小さい第2の流れ横断面81が、少なくとも1つの流れ通路71の、電極配置3の第2の軸線方向の端部78に最も近い部分セクション内に形成されていることである。
【0148】
図示される実施例において、少なくとも1つの流れ通路71の比較的小さい第2の流れ横断面81及び/又は一般的に最小の流れ横断面81は、電極配置3の第2の軸線方向の端部79に直接形成されている。少なくとも1つの流れ通路71は、電極配置3の第1の軸線方向の端部78と第2の軸線方向の端部79の間に連続的に細くなる、かつ/又はノズル形状に延びる流れ横断面80、81を有している。特に少なくとも1つの流れ通路71は、電極配置3を通る縦断面内で、
図11に例として示すように、くさび形状に尖る画成輪郭を有している。それによって、可能な限り合理的かつ経済的な、電極配置3の形成が可能になる。さらに、希求される、電解質に対する加速作用が確実に得られる。
【0149】
電極5、6の少なくとも1つ又はその各々は、その上面及び/又は側面75、76、したがって径方向内側側面75又は径方向外側の側面76が、垂直に対してあらかじめ定められた角度77で傾斜した側及び/又は側面75、76を有するように、形成することができる。すなわち場合によって、管状の電極5,6の軸線方向下方の端部の内径が、管状の電極5、6の軸線方向上方の端部の内径に対して、所定の比率及び/又は寸法において、大きいように定められている。代替的に、管状の電極5、6の軸線方向下方の端部の外径は、管状の電極5、6の軸線方向上方の端部の外径よりも、所定の比率及び/又は寸法において小さいように定めることができる。この構造に基づいて、隣接する電極5、6の側面の間の、内部に電解質が存在する、少なくとも1つの流れ通路71及び/又は間隙57、58は、変化する、かつ/又は上方へ向かって減少する、流れ横断面80、81を有している。それによって電極配置3は、可能な限り単純かつコスト的に好ましいが、それにもかかわらずより高い機能性で構築することができる。好ましくは、直接隣接する電極配置5、6の間の少なくとも1つの間隙57、58は、電極配置3の下方及び/又は第1の軸線方向の端部78の領域内で、最大かつ/又はより大きく、かつ上方及び/又は第2の軸線方向の端部79の領域内で最小かつ/又はより小さい。
図11に関して:S1/S2<1、S3/S4<1が成立する。
【0150】
代替的な実施形態によれば、少なくとも1つの電極5、6の径方向内側の側面75も、径方向外側の側面76も、垂直に対して統一的又は異なる角度77で傾斜して形成することができる。特に、電極配置3の径方向内側と径方向外側の電極5、6の間に配置されている、少なくとも1つの電極5、6の径方向内側の側面75と径方向外側の側面76は、中心軸線に対し、かつ/又は電極配置の筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して角度をもって、かつ/又は傾斜して形成することができる。
【0151】
したがって径方向内側の側面75及び/又は径方向外側の側面76が、電極5、6の少なくとも1つに、及び/又は少なくとも1つから、円錐台の側面の形式で形成されていると、効果的である。
【0152】
さらに、直接隣接する電極5、6の側面75、76の間で次第に狭くなる流れ横断面81は、電極配置3の第1の軸線方向の端部78から第2の軸線方向の端部79の方向に連続的又は飛躍的に増大する、少なくとも1つの電極5、6の材厚59、60によって形成することができる。
【0153】
図11に示す実施例によれば、電極配置3の径方向もっとも内側の管状の電極5及び/又は6は、その軸線方向の全長にわたって変化しない材厚と変化しない外径とを有することも、できる。同じことが、径方向外側の電極5及び/又は6についても言える。
【0154】
少なくとも1つの電極5、6の、上述した円錐状及び/又は中空円錐状の形状付与の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、電解質の流れ方向に細くなる、少なくとも1つの流れ通路71を、互いに対して角度をもって、かつ/又は傾斜して方向づけされた、直接隣接する電極5、6及び/又は電極対によって形成し、かつ/又は強化することも、可能である。特に、少なくとも1つのノズル状に作用する流れ通路71を、少なくとも2つの直接隣接する電極5、6の、互いに対して角度をもって、かつ/又は傾斜して延びる長手軸線によって形成することができ、特に電極5、6の直接隣接する表面の鋭角の方向づけ及び/又は方位づけを介して実現することもできる。長手軸線というのは、電極5、6の、流れ方向及び/又は流れ通路71の長手方向を向いた軸線である。
【0155】
電極5、6の形状及び/又は方向づけに基づいて、反応室2内の電解質の上方へ向かう典型的に乱れた流れが促進される。その速度は連続的に増大し、それによって電極5、6の表面からのガス泡の分離の強さが増大する。それによって電極5、6の効率的に有効な面積が増大し、かつ/又は可能な限り大きく維持され、かつオーム抵抗及び/又は電圧降下が減少し、それによって電解プロセスが改良される。
【0156】
電解質は、好ましくは連続的に圧力を受けて内側の反応室69の底セクション内及び/又は電極配置3の底セクション内に供給される。循環して移動する電解質のための少なくとも1つの供給開口部23は、内側の反応室69の内側の表面近傍に配置することができ、かつ内側の反応室69の表面に対して鋭角で配置することができる。それによって電解質は、方向づけされた、特に乱れて旋回する、コイル形状に上方へ延びる流れの特性を獲得する。
【0157】
電解質は、一部は、電極5、6の間でほぼ螺旋形状に流れ、内側の反応室69の底セクションから始まってその上方の端縁の方向へ立ち上がり、電極5、6からのガス泡の剥離を支援し、かつ促進する。少なくとも1つの電磁コイル13、70の磁場と組み合わされて、方向づけされた電解質流は、電解質内の付加的なイオン流を誘導し、そのイオン流がより高い電流密度とプロセスの強化をもたらす。
【0158】
少なくとも1つの流体ポンプ42を含む、アクティブな電解質循環41によって、電解質が好ましくは連続的又は非連続的に、内側の反応室69の、特に電解質容器30の、上方の溢流エッジ27及び/又は画成エッジ29を越えて流れることも、もたらされる。それによって、一種の「電解質の滝」が生じ、それが電解質の脱ガスを支援する。
【0159】
電解質の脱ガスを強化するために、内側の反応室69の外側面に、少なくとも1つの脱ガス装置82を設置及び/又は形成することができ、これが
図10に図式的に示されている。特に、電解質の流れ方向に関して、収容容器4の溢流エッジ27の後方に電解質のための脱ガス装置82を設けることができる。
【0160】
脱ガス装置82は、リブつきの表面を有する多段のカスケードの列を有することができ、それが、電解質液を薄い層にしてしかるべく拡大された表面にわたって分配し、かつそのようにして強力かつ効率的な脱ガスを保証することを、可能にする。好ましい実施形態によれば、脱ガス装置82は、筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して径方向に延びる、電解質のための少なくとも1つの分配部材83によって形成することができ、その分配部材83は、溢流エッジ27を越えて流れる電解質の表面を増大させるため、あるいは分配部材83に比較的薄い電解質液フィルムを形成するために、設けられている。分配部材83は、収容容器4及び/又は電解質容器30を中心に環状に配置することができ、かつその径方向内側のセクションから始まってその径方向外側のセクションの方向に下方へ向かって傾斜して方向づけすることができるので、ガスを含んだ電解質が下方へ向かう方向に、特に収集セクション35内へ、重力に基づいて流出することが保証されている。
【0161】
脱ガス装置82と、負荷又はそのユニット、たとえば真空ポンプ又は燃焼室によって構築される負圧とからなる組み合わせが、電解質泡及び/又は電解質内に含まれるガスを強力に除去し、それによって負荷、たとえば内燃機関51へ供給されるガス量が増大し、かつ電解質のオーム抵抗が減少される。それによって事実上のセル電圧が減少され、かつプロセスのエネルギ収支が改良される。電解質からのそれぞれのガスのより短い遊離時間が達成されるので、電極5、6及びその有効な表面が電解プロセスに最高程度で提供される。
【0162】
脱ガスプロセスの後に、電解質は内側の中空室内へ、及び/又は、外側の反応室2の収集セクション35内へ達して、少なくとも1つの排出開口部36を通って再び電解質容器30内へ戻る。これが、電解質のリザーブ体積を有する流体タンク43及び場合によっては、フィルタ装置40を介在させて、行われる。流体タンク43のリザーブ体積から電解質が再循環ポンプ42と少なくとも1つの導管接続された還流路37を使用して、あらかじめ定められた圧力のもとで電解質容器30内及び/又は電極配置3に戻される。
【0163】
電磁コイル13及び/又は部分巻き線19-19’”のセット(
図5及び/又は9)が、電極配置5、6の上方及び/又は下方に配置されている。垂直に方向づけされた、中空筒状に形成されている電磁コイル70は、誘電材料から形成された内側の反応室69の筒状の表面上に、あるいは誘電性の中空筒状のコア上に巻かれ、そのコアは筒軸線及び/又は垂直軸線8の軸線方向において内側の反応室69のまわりに配置されている。電磁コイル13、70は、電解反応システム1の駆動の間、好ましくは電解質内に完全に浸漬されている。
【0164】
以下、
図5及び/又は9に示す電磁ユニットを参照する:電極5、6の上方かつ-選択肢として-電極5、6の下方にある、電磁コイル13及び/又はその部分巻き線19-19’”(
図5及び/又は9)は、共通の誘電性のリングコア上に巻かれている。部分巻き線19-19’”は、隣接する部分巻き線19-19’”の間の好ましくは20度の間隙及び/又は巻き間隔20-20”をもって直列に接続されている。各部分巻き線19-19’”は、単位長さ及び/又は単位周あたり最大の巻き数をもって、しっかりと隙間なしに巻かれている。部分巻き線19-19’”は、層状に構築されている。各部分巻き線19-19’”は、奇数の巻き層を有している。
【0165】
電磁コイル13及び/又はその部分巻き線19-19’”は、電流供給源及び/又はエネルギ供給源22に接続されており、それが1Hz~100Hzの領域内の脈動するエネルギを供給する。電磁コイル13及び/又はその部分巻き線19-19’”の電磁場は、電解質と電極配置3に、それらが電気エネルギにさらされた場合に、作用し、それによって電解プロセスの電流密度とそれに伴って効率が上昇する。
【0166】
駆動の間、少なくとも1つの電磁コイル13及び/又はその部分巻き線19-19’”が、脈動する不均一な磁場を発生させる。互いに隣接する部分巻き線19-19’”の磁場は、エアギャップ内及び/又は部分巻き線19-19’”の間の巻き間隔20-20”の内部で重畳され、それによってその強さが増大する。移動する電解質と結びついた、脈動する磁場は、電解質内にイオンの付加的な運動を誘導し、それが電極5、6の間により高い電流密度をもたらし、かつガス形成プロセスの効率を高める。
【0167】
脈動する電磁場は、電極5、6のマイクロ振動も導入し、電解質内にショック波を発生させ、それが電極5、6からガス泡を強力に除去し、かつそれによって電極5、6における過電位及び/又は過電圧を減少させる。すなわち、もたらされた過電圧エネルギは、通常、熱として失われ、したがって物質代謝には寄与しない。
【0168】
垂直の中空筒状のコイル70は、誘電材料からなる内側の反応室69の筒状表面上に取りつけられている。中空筒状のコイル70の垂直の高さは、電極5、6の垂直の高さと同じ領域内にある。脈動するエネルギ供給は、1~100Hzの周波数領域内で作動する、網部分によって保証される。
【0169】
垂直の電磁コイル70の駆動の間に、電極5、6はこのコイル70の金属コアの特性を得る。内側の反応室69を通って流れる磁束が時間と共に変化して、したがって電極5、6に電磁誘導をもたらす。電極5、6は、電気的に互いに絶縁されており、かつ径方向において異なる直径上に位置しているので、それらは異なる電位も有し、それによって電極5、6の間に電位差が生じ、それが電解プロセスを増強する。さらに、中空筒状の電磁コイル70の電磁場と環状の1つ(複数)のコイル13の電磁場との相互作用の領域内では、シナジー効果も得られ、それが上述した効果を増強する。
【0170】
上方/下方の電磁コイル13と垂直の電磁コイル70の磁場が、引っ張り力を誘導し、それが電解質内のガス泡に作用して、電解質表面からの泡の剥離を支援する。泡の剥離速度が加速される。剥離速度の上昇が、電極5、6の表面上の泡の滞留時間を減少させて、泡カバーを減少させ、それによって電極5、6の過電位及び/又は過電圧が減少して、ガス生成の効率が改良される。中間時間において、電極表面上の絶縁する泡層におけるオーム抵抗及び/又は電圧降下の減少が得られる。
【0171】
電磁コイル13、70の電磁場とローカルな電流密度との相互作用が、付加的な電解質流を誘導し、それが水素ガスと酸素ガスの形成に影響を与える。増大された電流密度が、より少ないエネルギ需要において、より多くの水素生成をもたらす。磁気的に誘導された流れが、拡散層厚を減少させて、電解質内の物質移送を改良する。脈動する不均一な磁場と移動する電解質の相互作用が、電解質の磁気静水圧的な対流をもたらし、それによって電解プロセスの効率を改良し、かつエネルギ消費を削減することができる。
【0172】
実施例は、可能な実施変形例を示しており、ここに記録しておくが、本発明は具体的に示された実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であり、これらの変形可能性はこの発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この技術分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。したがって、図示されかつ記載された実施変形例の個々の詳細の組み合わせによって可能となる、全ての考え得る実施変形例も、保護範囲に共に含まれる。
【0173】
形式的に最後に指摘しておくが、電解反応システム1の構造をよりよく理解するために、この反応システム及び/又はその構成部分は、一部縮尺どおりではない、かつ/又は拡大及び/又は縮小して示されている。
【0174】
独自の進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0175】
特に、
図1;2;3;4;5;6;7;8;9;10;11に示される個々の実施例は、独自の進歩的解決の対象を形成することができる。これに関する本発明に係る課題と解決は、これらの図の詳細説明から読み取ることができる。
【符号の説明】
【0176】
1 反応システム
2 反応室
3 電極配置
3’ 電極配置
4 収容容器
5 電極(アノード)
6 電極(カソード)
7 扇子軸線
8 筒軸線及び/又は垂直軸線
9 間隔
9’ 間隔
10 広がり角度
11 あいた場所
12 径方向の間隔
13 電磁コイル
14 流体レベル(最小)
15 中心点
16 中央平面
17 巻きボディ
18 コイル巻き線
19 部分巻き線
19’ 部分巻き線
19” 部分巻き線
19'” 部分巻き線
20 巻き間隔
20’ 巻き間隔
20” 巻き間隔
21 エネルギ供給源
22 エネルギ供給源
23 供給開口部
24 手段(乱流)
25 吸い込み及び/又は排出ノズル
26 ガス室
27 溢流エッジ
28 流体レベル(最大)
29 画成エッジ
30 電解質容器
31 筒軸線
32 泡
33 充填レベル
34 排出通路
35 収集セクション
36 排出開口部
37 還流路
38 液体タンク
39 水容器
40 フィルタ装置
41 電解質循環
42 流体ポンプ
43 冷却装置
44 熱交換器
45 供給
46 排出
47 通過開口部
48 周囲空気
49 調整手段
50 手段(負圧発生)
51 内燃機関
52 接続部
53 燃料供給部
54 間隔
55 間隔
56 管軸線
57 間隙
58 間隙
59 材厚
60 材厚
61 スリット
62 スリット
63 周角度
64 円周
65 自由角度
66 変位角度
67 コイル接続端
68 コイル接続端
69 内側の反応室
70 中空筒コイル
71 流れ通路
72 外側の側面
73 軸線方向高さ
74 垂直の長さ
75 内側の側面
76 外側の側面
77 角度
78 第1の軸線方向端部
79 第2の軸線方向端部
80 第1の流れ横断面
81 第2の流れ横断面
82 脱ガス装置
83 分配部材
【手続補正書】
【提出日】2021-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項に記載されているような、ガス状の水素と酸素を生成する電解反応システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際公開第2011/131868号)は、水性の媒体からガス状の水素と酸素を発生させる電解装置を開示している。この電解装置は、漏斗形状又は円錐台形状に形成された電極を有しており、それらの電極は垂直軸線に関して同軸に配置されている。電極の互いに向き合った側面の間に、円錐形状の電解質収容室を形成するために、垂直方向に関して一定の変化しない間隙幅が形成されている。
【0003】
特許文献2(ロシア国特許発明第2227817号明細書)、特許文献3(米国特許出願公開第2010/320083号明細書)及び特許文献4(米国特許第4113601号明細書)は、同様に、漏斗状又は円錐台形状の電極を有する電解装置を開示しており、それらの電極は共通の垂直軸線に対して同軸に配置されており、かつ互いに入れ子に重ねられている。隣接する電極の側面の間の間隙幅は、同様に一定に形成されている。
【0004】
特許文献5(国際公開第2018/124643号)は、発生される水素が水内に溶解されることにより、水素水を形成する装置を記載している。水素水を形成するこの装置は、水素を水に溶かすための、垂直方向に上から下へ次第に細くなる流れ通路を備えた電解質容器を有している。水素は、装置へ供給された原水を電気分解部分内で電気分解することによって発生される。電気分解部分は、イオン交換メンブレン、内部で酸化反応が発生する、第1の電極部分及び第2の電極部分を有し、第2の電極部分は第1の電極部分とは異なる極性を有し、かつ還元反応を発生させる。さらにEDLC形成電極部分が形成されており、それが、上から下へ向かって細くなる間隙を有する電解質容器内に、電気分解部分の第2の電極側から距離をおいて配置されており、かつ、第2の電極部分とEDLC形成電極部分との間の電気分解を阻止する領域の内部の第2の電極部分の電位よりも低い電位を有している。したがって水素と酸素を発生させるための水の電気分解は、装置の第1のセクション内で行われ、かつ発生した水素を水に溶かすことは、垂直方向に上から下へ細くなる流れ通路内で実施され、その流れ通路は水素と水をさらによく混合するために、さらに、変化するピッチを有する螺旋形状の部材を有することができる。
【0005】
特許文献6(ロシア国特許発明第2253700号明細書)と特許文献7(米国特許第3990962号明細書)は、中空筒状の、互いに同軸に入れ子にされた電極を有する他の電気分解装置を開示している。
【0006】
特許文献8(国際公開第2011/038432号)は、中空筒状の、互いに入れ子にされた電極を有する電気分解装置を記載しており、この電極配置の上方/下方の軸線方向の終端セクション内に、少なくとも1つの電磁コイルが形成されている。この少なくとも1つの電磁コイルは、電極表面に付着したガス泡の剥離を支援するために設けられている。
【0007】
特許文献9(米国特許出願公開第2004/108203号明細書)は、水を水素と酸素に変換するための電気分解装置を開示している。この電気分解装置は電磁コイルを有しており、その電磁場が、電極からのガス泡の剥離を支援しようとしている。
【0008】
本発明は、具体的に、反応室内で電解プロセスを用いてガス状の水素と酸素を高効率で発生させるシステムに関するものであって、水をガス状の水素と酸素に分解するために使用される電気エネルギの最適な利用の目標が追求され、かつ達成される。さらに、本発明は、これらのガスの利用、特にエネルギ担体である水素を化学的燃焼及び/又は酸化に利用することに関する。特に水は、電解によってガス状の水素と酸素に分解され、それに続いて化学的エネルギ担体である水素が燃焼プロセスによって熱エネルギ(thermal energy)及び/又は運動エネルギに変換される。水を上述したガスに変換することは、可能な限り良好なエネルギ収支によって行われる。さらにこの電解プロセスによって比較的短いタイムスパン内で大量の電解生成されるガス状の水素と酸素が生成可能である。
【0009】
このプロセスでは、発明に係る技術は、水を水素と酸素に分解するために必要とされる、使用されるかつ/又は必要な電気エネルギを削減するものであり、それによって化学的なエネルギ担体を形成する場合の可能な限り良好かつ/又は経済的にポジティブなエネルギ収支を達成し、かつ/又はガス状の燃料である水素及び/又はそれから獲得される熱エネルギ又は運動エネルギの経済的かつ同時に環境を損なわない利用を得ようとしている。
【0010】
発明に係る技術は、好ましくは自然に存在する水又は水性の電解溶液から水素ガスと酸素ガスを、特に発生された化学的エネルギ担体である水素を大容量で、あるいは技術的に面倒な中間貯蔵なしで負荷へ、特に利用装置及び/又は変換装置へ提供することを可能とする量で、発生させる目的をもって獲得された。その後、このような利用装置がこの化学的なエネルギ担体及び/又は燃料を、燃焼プロセスによってそれぞれ必要とされるエネルギ形態に、特に熱エネルギ及び/又は運動エネルギあるいはまた電気エネルギに変換する。
【0011】
発明に基づいて獲得される、水素ガスの形式のエネルギ担体、特にガス状の酸素と結合されたガス状の水素は、化石燃料を燃焼させる場合に通常発生する放出値なしで、利用及び/又はエネルギ変換を可能にする。発明に基づくシステムを利用する場合に、それぞれ所望のエネルギ形状の他には、水蒸気又は復水とその他の微量元素しか生じない。水素ガスを熱的に燃焼させる場合、特にそのエネルギを利用する場合の副産物は、既知のように化石燃料に比較して、遥かに環境にやさしい。すなわち水素の燃焼プロセスからの第1の廃棄物は、水蒸気及び/又は水だけであって、それは問題なく環境へ放出することができる。この廃棄物は、多くの他の水資源よりも純粋であり、かつ/又は、電解形成された酸素は、環境内のその他の空気よりも純粋であり、かつ/又は、凝縮されている。
【0012】
発明に係るシステムと発明に係る方法の手段は、電気分解の原理にしたがって水素を発生させる、様々な構造物とこの構造物の駆動方法による多数のテスト列と実験の結果であって、この電気分解はその物理的原理に関して一世紀以上前から知られている。
【0013】
水の電気分解は、原則的にきわめて単純な、知られている原理であって、それにおいて電解槽又は水槽内にある2つ以上の電極により、かつ特に直流の、電気エネルギを印加することにより、水がガス状の水素と酸素に分解される。このプロセスは、原則的に、新規なものではない。もちろんこの既知のプロセスは、発生されるガスの熱エネルギ及び/又は化学エネルギの利用により、かつ/又は、発生されるガスの燃焼プロセスによって後に提供されるよりも、遥かに多くの一次エネルギを分解に必要とするので、かなり効率的でない。したがってこれまでは、経済的にかなりネガティブなかつ/又は劣る、エネルギ収支しか得られなかった。他方で、電気エネルギは高い割合で化石燃料の燃焼から発生され、それによってもたらされる利点が認識できなくなるような、かつ/又は消えてしまうような、高い程度の電気エネルギが供給されなければならなかった。したがって環境技術的に見て、従来技術から知られたシステムは、すぐれた利点をもたらすことはなかった。この理由から、水素とそのエネルギ潜在能力の利用は、実際においては、価値を認められず、かつ/又はきわめて限定された適用分野でしか、価値を認められなかった。
【0014】
既知の従来技術から、電気分解装置の多数の実施形態が知られている。しかし、これらの装置のいずれも、広範囲の適用スペクトルのために使用できないことは、明らかである。たとえば自動車、電流発生器又は加熱システムのエネルギ供給のために、これらの既知の形態は、電気分解で獲得された水素及び/又は水素と酸素の混合気に基づく駆動システム及び/又は供給システムは、標準的にそもそも存在しておらず、かつ/又は、実験段階でしか見いだされないので、明らかに満足のゆくものではない。
【0015】
発明に係る技術が、特別な構造により、かつ/又は特別な手段によって、水及び/又は水をベースとする溶液からガス状の水素と酸素をそれぞれ必要な量で、すなわち大体積で、かつ/又は技術的に複雑な中間貯蔵なしで、必要に合わせて、かつ迅速な反応で、提供することを、可能にする。特に化学的なエネルギ担体を形成する場合、特に水素ガスを電気分解で獲得する場合に、経済的にポジティブなエネルギ収支が得られ、かつ一次エネルギの使用を減少させて化学的エネルギの発生が保証される。水素と酸素の放出のない燃焼から獲得される、最終的に生成可能な熱ネルギ(thermal energy)及び/又は熱エネルギ(heat energy)は、きわめて多面的に利用可能である。たとえばオーブン、グリル、ヒーター、空調設備及び電流発生器などの、家事又は工業におけるほぼ全ての器具が、この化学的エネルギによって駆動可能であり、かつ電気エネルギ、運動エネルギ及び/又は熱エネルギへの変換、あるいはその他のエネルギ形態への変換がもたらされる。さらに水素と酸素は、ほぼ全ての従来の内燃機関の駆動に使用することができる。
【0016】
電気分解技術、特に発明に係る電気分解反応システムは、水素と酸素からなる化学エネルギ及び/又は熱エネルギ及び/又は熱エネルギの利用のチャンスを提供するが、今日一般的な化石燃料の燃焼により生じるように、環境に著しく負荷を掛けることはない。
【0017】
このような技術は、モータを駆動し、電流を発生させ、加熱目的などの、これまで知られている多くのシステムよりも、安全である。これらのシステムは、駆動のためにそれぞれ燃料を必要とし、その燃料はタンク及び/又は配管システム内に含まれている。これらのコンポーネント内に、比較できないほど大量の燃焼エネルギが保管され、かつ/又は貯蔵されている。実際において繰り返し発生する障害場合において、このことは比較的しばしば重大な問題をもたらす。特に可燃物及び/又は燃料を直接貯蔵することによって、一部予測できない結果が引き起こされる。この種の障害場合は、大体において比較的重大であり、かつ/又は比較的大きい技術的手間をかけてある程度支配できるものである。
【0018】
本発明に係るシステムにおいては、比較的わずかな、特にきわめて少量の燃焼可能なガスのみがシステム内に貯蔵される。タンク内及び/又は管内の唯一のストックは、比較的問題とならない水性の溶液の形式で、あるいは純粋な水の形式で行われ、その水は化学的かつ/又は環境的に問題なく、かつもちろん不燃である。さらに、生成プロセスに、特に反応室に、簡単なやり方で、確実かつ安価な、有効な安全装置を対応づけることができる。本発明に係る、特に反応の迅速な、かつ/又は性能のよい電気分解システムは、比較的わずかなガス量をストックすれば済むことを、可能にする。特に、多くの場合において、反応室と配管システムを有する貯蔵器容積及び/又はバッファ容積で充分である。それによって電気分解システム及び/又はエネルギ変換するための記載の装置は、容易に支配可能であり、かつ本発明に係るシステムは、きわめて安全であると分類される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2011/131868号
【特許文献2】ロシア国特許発明第2227817号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/320083号明細書
【特許文献4】米国特許第4113601号明細書
【特許文献5】国際公開第2018/124643号
【特許文献6】ロシア国特許発明第2253700号明細書
【特許文献7】米国特許第3990962号明細書
【特許文献8】国際公開第2011/038432号
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/108203号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、改良された電気分解の反応システムを提供することである。特に水又は水性の溶液をガス状の水素と酸素に分解する電気分解システムが希求され、そのシステムは、供給される電気エネルギ量及び生成され、かつ/又は変換された化学的かつ/又は熱的又は運動的エネルギ量に関する高い能率及び/又は高い効率を有している。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明のこの課題は、請求項1の特徴に基づく電解反応システムによって解決される。
【0022】
請求項1の特徴によって生じる驚くべき利点は、この種の電解反応システムによって、供給される電気エネルギと得られる化学エネルギとの間の良好な比率が得られることにある。これは特に、電極配置と、電極配置の電極によって定められる流れ通路との間の構造的組み合わせ及び技術的相互作用によって得られ、その流れ通路は電解質の流れ方向に関して少なくとも1つの箇所で次第に細くなり、かつ/又はより狭くなる。流れ通路内で加速される電解質の互いに重畳する振動により、かつ/又は電極配置の電場からなる組み合わされた作用によって、水素及び/又は酸素あるいはしかるべき混合気を良好な効率で得るために、最適な前提が形成される。
【0023】
驚くべき、効果的な相互作用は、特に、電解プロセスの間に生じるガス泡、特にそれぞれの水素泡と酸素泡が、改良され、かつ/又は促進されて電解質表面から剥離することにある。さらに、電解質からのそれぞれのガスのより短い脱ガス時間が得られる。それに伴って、提供される電解質、及び/又はその有効な面が、それぞれ変換プロセスのために最大に提供され、かつ常に電解質との可能な限り強力な接触が存在する。特に電極と電解質の間のガス境界層は、可能な限り小さく維持され、かつ/又は可能な限り迅速に解体される。
【0024】
特に有用な相互作用効果は、流れ方向に沿って次第に大きくなる数及び/又は密度で生じ、特に上方へ向かって次第に多くなり、かつ/又は電解質内により激しく累積して存在する、ガス泡が、比較的迅速かつ/又はより強力に電解質の表面から除去されることにある。というのはガス泡は、流れ速度が次第に速くなるにつれて、互いに隣接する電極表面の間の少なくとも1つの間隙及び/又は流れ通路から導出されるからである。この効果は、少なくとも1つの請求項に基づいて形成された流れ通路によって、特に電極の形状及び/又は方向づけによって、得られる。それに続いて、強力な剥離により、かつ/又は生じる水素及び/又は酸素ガス泡の除去が次第に加速されることによって、電極配置内、及び/又は電解質内の電流密度がより統一的かつ/又はより均一になり、それによって効果的な電解プロセス及び/又は反応システムの高いパフォーマンスを達成することができる。したがって、少なくとも1つの次第に細くなる流れ通路内で電解質の、流出領域の方向に増大する流れ速度が、ガス泡の剥離強度に、ガス泡の搬出速度に、そして電極配置内及び/又は電解質内で得られる電流密度に、ポジティブな作用を有する。
【0025】
特に電解質内にあるガス成分の搬出が支援され、かつ/又は促進されるので、電解プロセスの効率及び/又は有効性が、可能な限り高く維持される。それによって全体として、改良された電解反応システムが形成され、その反応システムは比較的短いプロセス時間内で、大量の電解により獲得されたガス状の水素と酸素を提供する。それに加えて、本発明に係る電解システムは、比較的好ましいコストで構築することができ、したがって高い経済性を有し、かつ/又は実際に合った利用を可能とする。
【0026】
以下の、及び先行する効果及び/又は作用の記載は、例としての記載と考えるべきであり、必ずしも完全を要求するものではない。さらに、それぞれ記載の効果の全てが、発生する必要はない。さらに、上述した効果及び/又は作用の記載は、重みづけを受けるものではなく、様々な関係の説明は、部分的には確率が高いとみなすべきである。一部、説明可能な現象及び/又は相互作用は存在せず、その技術的背景は一般的な専門家にとって明らかではなく、かつ/又は説明が難しいものである。しかるべき結果は、一部は、多数の実験列に基づき、かつ電解システムのパラメータの経験的な変化に基づいている。
【0027】
請求項2に記載の形態によって、次第に細くなる流れ通路は機械的に頑丈に構築することができる。さらにそれによって、電解反応システムの可能な限り簡単な設置が得られ、かつ/又は可能な限り簡単な構造が形成され、それによってその生産費を比較的小さく抑えることができる。
【0028】
請求項3に記載の可能な実施形態も、効果的である。それによって、少なくとも1つの流れ通路内にはっきりとした先細りを得ることができる。内側又は外側の側面のみが電極配置の中心軸線に対し、かつ/又は筒軸線かつ/又は垂直軸線に対して傾斜していれば、充分であり得る。流れ通路の径方向内側の画成面も径方向外側の画成面も、筒軸線かつ/又は垂直軸線に対して角度をもって延びており、かつ/又は垂直軸線に対して角度をもって方向づけされていると、流れ通路のノズル状の先細りは、比較的強く形成することができる。この場合において、流れ通路のアノードの画成面もカソードの画成面も筒軸線かつ/又は垂直軸線に対して角度をもって延びる。さらにそれによって、電極の側面の傾斜が比較的小さい場合に、比較的強く先細りになる流れ通路を形成することができる。これが、電極のカソード及び/又はアノードの作用面からの水素泡の剥離も酸素泡の剥離も支援する。
【0029】
請求項4に記載の形態も、効果的である。それによって、電極配置及びその結果として電解システムの、できるだけコストのかからない製造を支援することができ、それによって取り立てて言うほどの、性能の損失をもたらすことはない。
【0030】
請求項5に記載の好ましい展開によれば、流れ技術的に好ましい、出力最適化された電極配置を構築することができる。さらに、特に鋳造及び/又は旋盤作業などの製造方法が利用される場合に、可能な限りコストのかからない製造が得られる。
【0031】
請求項6に記載の手段も、効果的である。流れ方向に沿って先細りする、かつ/又は狭くなる、電解質のための流れ通路は、より簡単であるが、それにもかかわらずより効果的である。直接隣接する電極及び/又は電極配置の間の定められた角度位置及び/又は方向づけによるやり方も、効果的に実現することができる。
【0032】
請求項7に記載の好ましい手段によれば、想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線の軸線方向において、電極配置の上方及び/又は下方に、少なくとも1つの電磁コイルが配置されており、その電磁場は、電気エネルギが供給された場合に、電解質と電極配置に作用する。それによって電流密度が増大し、それに伴って電解プロセスの効率が支援される。さらに、それによって電極と電解質の最小限の揺動及び/又は振動を発生させることができ、それが特に電極に付着したガス泡の強力な剥離に基づき、かつ/又は電解質の強力な脱ガスに基づいて、電解プロセスを支援することができる。
【0033】
さらに、少なくとも1つの反応室が、実質的に中空筒状又は中空プリズム状のボディ形状を有することができ、かつその想像上の中心軸線、特に反応室の側面は、垂直又はほぼ垂直に方向づけされている。それによって、電解質内及び集まるガスのための空間セクション内に、定められ、かつ/又は方向づけされた流れを得るために、流れ技術的に好ましいボディ形状と方向づけが得られる。それによってさらに、比較的高い性能を有する、比較的コンパクトに構築された電解反応室が得られる。
【0034】
請求項8に記載されるような、展開によれば、反応室が実質的に中空筒状又は中空プリズム形状の収容容器を有することができ、その中に少なくとも1つの管状又は代替的にスター形状の電極配置が配置されている。それによって容器内容器の配置が存在し、それが電解プロセスの性能を同様に支援する。特にそれによって、電解質収容と電極収容のための容器と、これらの容器を包囲する、上述したコンポーネントの収容と生じるガスが累積するための容器配置及び/又は室配置への分割がもたらされる。
【0035】
さらに、請求項9に記載の形態も設けることができ、それにおいて電解質のため、及び少なくとも1つの電極配置のための収容容器は、上方の終端セクションにおいて開放して形成されており、かつその側面及び/又は筒面は、反応室の内側の壁面から離隔して配置されている。それによってできるだけ大きい脱ガス横断面が存在し、それが可能な限り短い脱ガス時間と可能な限り強力な脱ガスに寄与する。さらに、電解質のための収容容器が形成され、それが電解質液及び/又は場合によっては生じる電解質泡のための邪魔されない、かつ/又はきわめてスムーズな溢流を提供する。この種の電解質泡は、通常、電解質液上に、特に電解質槽の表面に形成されて、一部は、電解質内のガス成分の脱ガスを阻止する。電解質槽における泡のクラウンを連続的に崩壊させ、かつ/又は回避することによって(これは特にそれを簡単に導出することによって得ることができる)、システムの効率を可能な限り高く維持することができる。
【0036】
さらに、請求項に基づく手段によって、好ましいやり方で、定められた電解質循環を形成することが、比較的簡単に可能である。特に電解質液は、収容容器に対して連続的又は非連続的に供給及び搬出することができ、電解質液の余分な量は、収容容器の上方の端縁を介して滝のように再び流出することができ、かつ場合によっては浄化及び/又は冷却及び/又は再生プロセス後に、収容容器及び/又は電解質容器へ再び供給することができる。したがって、それによって、簡単なやり方で、電解質液の再循環を行うことができ、それによって特に強力かつ迅速な脱ガスが得られる。特にそれによって、反応容器及び/又は収容容器が形成され、それにおいて電解プロセスによってもたらされる電解質の膨張及び/又は体積増大は、収容容器の溢流エッジを介して簡単に補償しかつ/又は調整することができる。代替的又はそれと組み合わせて、連続的又は非連続的な電解質供給によって収容容器内に生じる電解質液の過剰量を定められたように電解質容器から再び流出させて、好ましい実施変形例にしたがって新たに収容容器へ供給することができる。さらにそれによって、収容容器の外壁及び/又は内壁を介して、ある種の「電解質勾配」が生じる。この電解質流出及び/又は電解質落下は、電解質のための収容容器が中空筒状あるいは多重の中空筒状のボディ形状を有し、特にカスケードとして形成されており、かつ/又は同軸に入り組んだ収容容器を有していることによって、収容容器の外側面において、かつ/又は収容容器の中央の内側の壁セクションにおいて、行うことができる。
【0037】
請求項10に記載の手段によっても、流れ技術的に好ましい形態が形成され、それが電解反応システムの効率及び/又は反応時間を改良する。
【0038】
請求項11及び/又は12に記載の手段も、特に効果的である。というのは、それによって特に良好な電解質作用が得られ、かつ/又は可能な限り強力な技術的相互作用が構築されるからである。特に、少なくとも1つの電磁コイルの電磁場が、特に強力に電極配置及び電解質に作用し、かつそれによって電解プロセスにおける伸展及び/又は効率を改良することができる。したがって一方で、少なくとも1つの電磁コイルの電磁場が分解プロセスに効果的に作用する。さらに、少なくとも1つの電磁コイル内に生じる機械的振動も、可能な限り直接に電解質及び/又は電極配置へ導入される。それによって電解質からのガス泡の剥離プロセス及び/又は電解質からの脱ガスプロセスが改良かつ/又は促進される。上述した効果は、電解反応室の改良、特に効率及び/又は性能の向上を伴う。
【0039】
さらに、請求項13に記載の展開も、効果的である。というのは、電磁コイルが電磁場を構築し、その電磁場が電解プロセスに効果的に作用し、特にその効率を向上させるからである。特にそれによって、電極配置にこのコイルの電磁場が比較的緊密かつ比較的均一に供給され、それが脈動する場及び/又は交番場を発生させる。電磁場は、電極配置及び/又は反応室の垂直軸線及び/又は中心軸線を中心に循環し、その軸線はさらに、実質的に環状に形成されたコイルのコア及び/又は中心を通って延びている。
【0040】
請求項14に記載の形態は、電磁コイルの好ましい、かつ/又は特に有効な実施形態を記載している。それによって、電解反応室の有効性及び/又は全出力を効果的に調節することができる。
【0041】
請求項15に記載の形態も特に効果的である。というのは、それによって電解質液内の剥離プロセス及び/又は脱ガスプロセスが改良され、かつ/又は促進されるからである。特にそれによって、再循環が構築され、かつ/又は流れが形成され、その流れによって電極表面からガス泡がより良好に、特に比較的根本的及び迅速に剥離される。さらに、電解質液内にあるガス泡に関して、電解質液の上方に位置するガス室内への脱ガスプロセスが支援される。反応室及び/又は収容容器の下方のセクション内の電解質の供給及び/又は再充填は、周期的、非周期的及び/又は必要に応じて行われる。重要なことは、この供給及び/又は再充填によって電解質内に再循環及び/又は流れが構築されることである。
【0042】
上述した好ましい効果及び/又は技術的作用は、独立して、あるいはそれらと組み合わせて、請求項16に記載の手段によっても得られる。電解質において乱流を生成させるため、かつ/又は電解質内に流れを構築するための手段は、電解質自体によって、かつ/又はガス状の媒体、たとえば空気又は窒素の添加によっても、達成することができる。好ましいやり方で、たとえば周囲空気又は窒素などの、その他の不燃のガスを供給する場合に、電気分解によって発生される水素ガスの燃焼値を調整し、特に低下させることができる。したがってこのように電解質内へ不燃性のガスを直接混合することにより、一方で電解質内に乱流及び/又は流れが形成され、他方では電気分解によって形成された水素ガスの燃焼値もしくは燃焼速度が低下される。それによって、電気分解によって発生されるガス及び/又は混合ガスのエネルギ量及び/又は爆発性、特に燃焼速度を、比較的問題なく、かつ簡単にほぼ標準的な燃焼機械内で使用できる水準に低下させることができる。さらに、後段の使用のためにガスの最適な混合を準備することができる。
【0043】
請求項17に記載の展開も、効果的である。というのは、それによってある種のスプレイ効果及び/又は拡散効果が得られ、それが電解質内に可能な限り均一で緊密な流れ分配をもたらすからである。特にそれによって、電解質内にあるガス泡に関して、及び/又は電極に付着しているガス泡に関して、可能な限り完全で均一な脱ガスがもたらされる。さらにそれによって、定められた電解体積当たりの異ガス密度、特に電解質内へ吹き込まれ、かつ/又は投入されたガスの量割合が小さく抑えられ、かつ/又は均質化され、それによって電解出力が高く維持される。
【0044】
流体からの脱ガス時間を短縮し、かつ電解質と電極プレートとの間の接触を強化するための他の実施形態が、請求項18に記載の手段によって得られる。特にそれによって、比較的小さい技術的手間と可能な限り低いコストをもって、乱れる流れ、特に電解質の旋回する、かつ/又はねじ形状に上方へ延びる流れをもたらすことができる。
【0045】
また、請求項19に記載の手段によっても、電解反応システムの脱ガス効果及び脱ガス出力が改良される。特に、電解質液が連続的又は非連続的に溢流エッジを越えて流れる場合に、ある種の電解質勾配及び/又は「滝」が形成され、すでに上でも説明してあるように、その滝によって強力かつ/又は性能のよい脱ガス手段が形成されている。このような電解質の溢流及び/又は乗り越えは、電解質液を強制的に供給し、かつ/又は、追加充填することによってもたらすことができ、かつ/又は、電解プロセスの間の電解質液の体積膨張によってもたらされ、かつ/又は、導入され、あるいは共に定めることができる。
【0046】
構造的かつ/又は構成的に簡単な溢流エッジは、請求項20に記載の手段によって形成されている。さらに、それによって比較的均質かつ/又は一様の電解質溢流が形成されるので、できるだけ強力な脱ガス及び/又は電解質液と電解質液内に含まれるガス及び/又はガス泡との間の分離が得られる。これが特に、電解質液の比較的大面積の広がりによって可能になる。
【0047】
しかしまた、請求項21に記載の形態も、それによって常に強力な脱ガス及び/又は充分に大きいガス室が提供されるので、効果的である。さらに、反応室内の過圧の発生及び/又は定められた圧力値の超過を回避することができる。特にそれによって、電気分解に基づく電解質液の膨張が、電解質液を定められたように導出することにより補償され、あるいは少なくともほぼ補償されるので、反応室の内部に所定の圧力水準が維持される。特にそれによって反応室の内部に定められた脱ガス体積が維持され、かつ/又は反応室のガス室内で定められたガス圧を越えない。
【0048】
請求項22に記載の形態も、それによって、溢流する、かつ/又は導出される電解質内に含まれるガス成分が、システム内に保持されたままとなり、したがってほぼ失われないので、効果的である。さらに、電解質を戻すことによって、電解質容器内に乱流及び/又は流れが構築され、それによって液状の電解質からのガス成分の流出及び/又は分離が改良かつ/又は促進される。
【0049】
請求項23に記載の手段によって、簡単ではあるが、確実なやり方で、特に反応室の上方のセクション内に集まる水素ガスが、電解質排出を介して吸い出され、あるいは導出されることが、阻止される。特にそれによって、電気分解で得られた水素ガスが電解液のための排出及び/又は供給を介して導出され、かつ/又は電解質のための冷却循環内へ達することが、阻止される。したがって電気分解によって生成された水素ガス及び/又は水素と酸素の混合気は、水素ガス及び/又は酸素ガスのそれぞれの購買者及び/又は使用者のために提供される。したがって、水素ガスが、そのために設けられているガス出口領域とは異なる通路及び/又は異なる領域内へ導出されることが、技術的に簡単ではあるが、効率的に阻止され、かつ/又は減少されるので、より高い安全要請も考慮される。
【0050】
さらに、請求項24に記載の手段は、それによって電解質液内に再循環が得られ、それが脱ガスプロセスを促進し、かつ/又は改良するので、特に効果的である。他の重要な利点は、それに伴って電解質液の簡単な調整が生じることにある。特にそれによって、簡単なやり方で、電解質液のための冷却及び/又は温度制限を得ることができる。このような冷却プロセスは、比較的わずかなエネルギの供給によってもたらされる。というのは、通常の周囲温度は、通常、電解質液を電解プロセスにとって好ましい温度水準に、かつ/又は満足のゆく温度領域内に維持するのに、充分だからである。好ましい温度領域は、電解質液が60℃未満の温度領域内、好ましくは20℃~50℃の間、特に28℃~43℃の間に維持される場合に、存在する。
【0051】
展開によれば、反応室の、特に電解質のための収容容器の、底セクションもしくはケーシングセクション内に、少なくとも1つの通過開口部、特に分配して配置された複数の通過開口部を、反応室内へ、特に電解質のための収容容器内へ導入すべき周囲空気のため、かつ/又は電解質内へ吹き込むべきガス状の窒素のために、形成することができる。一方で、それによって電解質液の冷却及び/又は乱流が得られ、かつそれに伴って電解質液内で電気分解によって生成されたガス成分に関して、脱ガス速度及び/又は脱ガス効率が増大される。しかし他方では、電解反応システム内のガス混合物の燃焼値及び/又はエネルギ値の簡単な調整も得られる。特に、周囲空気及び/又はガス状の窒素の供給される量をしかるべく調整することによって、そのエネルギ量及び/又は燃焼値特にその燃焼速度を次のように、すなわち通常の負荷内で、たとえば内燃機関又は暖房装置内で、問題のない燃焼が可能であるように、調節することができる。したがって供給されたガスは、二重の効果及び/又は多重作用を得ることができ、合計効果は驚くほど高い正の程度を有する。
【0052】
他の好ましい形態が、請求項25に記載されている。それによって、多重利用が得られ、かつ/又は好ましい適用が形成される。特にそれによって、負荷又はそのユニット、たとえば負圧ポンプ又は燃焼室用のチャージ装置(たとえばターボチャージャー)によって構築される負圧が、電解反応システム内で脱ガス及び/又はガス剥離を支援し、かつ/又は促進するためにも、利用される。それぞれの負荷により、かつ/又はその燃料供給部によって構築される、それぞれの負圧は、従来技術から知られた任意の調整手段によって、最適と見なされる所定の領域内で維持することができる。
【0053】
請求項26に記載の手段も、効果的である。というのはそれによって、比較的強い、かつ/又は激しい電磁場が存在するゾーンが定められ、かつ、この場の強度が比較的小さい、他のゾーンが形成されるからである。これら不均質な、すなわち円周に関して増大及び減少する場強さが、電解反応システムの有効性及び/又は出力全体に、しかるべくポジティブに作用する。
【0054】
さらに、請求項27に記載の技術的手段を設けることができる。好ましくは、それによって電極配置及び/又はその電極が、電磁コイルのための磁気コアの、特に金属コアの特性を有し、かつ/又は満たす。収容室及び/又は内側の反応室を通って流れる磁束が、時間的変化を受けて、したがって電極に、かつ/又はその中に電磁誘導をもたらす。個々の電極は、径方向に異なる直径位置に配置されているので、様々な電位が構築され、それが電解プロセスを支援することができる。
【0055】
請求項28に記載の形態も効果的である。というのはそれによって、電極配置と、電極配置の外側に巻き付く中空筒状のコイルとの間に可能な限り強力な電磁的相互作用を構築することができるからである。
【0056】
好ましい展開が、請求項29にも記載されている。それによって、電解質の可能な限り強力な脱ガスがもたらされ、その脱ガス装置が特に電極配置の貫流に連続して、効果的に位置決めされている。それによって電解反応システムの有効性及び/又は性能を、付加的に向上させることができる。
【0057】
脱ガス装置の好ましい形態が、請求項30に記載されている。それによって簡単であるが有効なやり方で、比較的薄い流体フィルム及び/又は平面的に分配された電解質層を構築することができ、それによって電解質からのガス泡の剥離が支援される。その脱ガス装置は、構造的に簡単かつそれに伴って、好ましいコストで実装することができる。さらに、電解質は重力作用によって下方へ流出することができるので、脱ガス装置を駆動するために特別なエネルギ供給は不要である。
【0058】
請求項31に記載の展開によれば、収容容器及び/又は電解質容器の周セクション全体を利用して、それによって電解質の可能な限り強力な脱ガスをもたらすことが、可能である。
【0059】
請求項32に記載のさらなる手段によって、電解質のための複数の増大及び減少する勾配セクションを形成することができ、それが電解質の充分な混合をもたらし、かつそのようにして脱ガス装置の脱ガス作用を付加的に改良することができる。
【0060】
本発明をさらによく理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
図1-10に示す実施形態は、発明に係る形態を表していない。
【0061】
図は、それぞれ著しく簡略化した図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、複数の技術的実施可能性及び/又は展開可能性を明らかにする、電解反応システムの実施形態の原理を示している。
【
図2】
図2は、電解反応システムの第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、スター形状に拡がったプレート形状の電極を有する電極配置を示す上面図である。
【
図4】
図4は、横断面においてくさび形状又はセクター形状に形成されたプレート状の電極を有する、スター形状の電極配置の他の実施形態を示す上面図である。
【
図5】
図5は、電解反応システム内で使用されるような、電磁コイルの実施形態を示している。
【
図6】
図6は、電解反応システムの他の実施形態を示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線にしたがって切断された、
図6に基づく電解反応システムを示している。
【
図8】
図8は、電解反応システムの内部の電極配置の他の実施形態を示す上面図である。
【
図9】
図9は、電解反応システム内で使用することができるような、電磁コイルの他の実施形態を示している。
【
図10】
図10は、電解反応システムの他の実施形態を示している。
【
図11】
図11は、互いに対して角度をつけて、かつ/又は傾斜して方向づけされた電極面を有する、管状に形成された電極を有する、電極配置を簡略化した垂直断面で示している。
【発明を実施するための形態】
【0063】
最初に記録しておくが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号及び/又は同一の構成部分名称が設けられており、説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号及び/又は同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従って移し替えることができる。また、説明内で選択される、たとえば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置記載は位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。さらに、図示され、かつ説明される様々な実施例からなる個別特徴または特徴の組合せも、それ自体自立した、進歩的または発明に基づく解決を表すことができる。
【0064】
具体的な説明内の値領域についての全ての記載は、その任意の部分領域と全ての部分領域を共に含むものであって、たとえば記載1~10は、下限の1と上限の10から始まる全ての部分領域、すなわち下限の1またはそれ以上で始まり、上限の10またはそれ以下で終了する、たとえば1~1.7、または3.2~8.1、あるいは5.5~10の全ての部分領域、を共に含んでいるものとする。
【0065】
図1には、電解反応システム1の実施形態が、その原理的な技術的構造に関して図式的に示されている。その中で示される手段の全てが発明対象に数えられるものではないことを、はっきりとさせておく。もちろん、
図1に示される形態の手段及び/又は方法の手段の個々のものは、以下で説明される実施例にも移し替えることができる。
【0066】
示される電解反応システムは、電気分解方法を適用することによりガス状の水素と酸素を発生させるために用いられる。特に電解反応システム1を用いて、その駆動の間に電解質、特に水又は水性の電解質、特に水とその導電性を高める、たとえば硫酸などの添加物からなる混合物が、電解プロセスによってガス状の水素とガス状の酸素に分解され、かつ/又は適切な混合気に変換される。
【0067】
それ自体知られているように、この種の電解反応システム1は、水性の、かつ/又は水ベースの電解質を収容し、かつ/又はストックするための少なくとも1つの反応室2と少なくとも1つの電極配置3とを有しており、その電極配置は複数のアノード電極とカソード電極から形成されている。
【0068】
反応室2は、好ましくは、実質的に中空筒状の収容容器4から形成されており、その中に少なくとも1つの電極配置3が配置されている。第1の実施形態によれば、この電極配置3は、スター形状に拡がった複数のプレート形状の電極5、6から形成されている。互いに隣接する電極プレート5、6は、交互にカソードとアノードを形成している。互いに連続するカソードとアノードを形成するために、個々の電極5、6の互いに交互に連続する極は、電解システムにおいて知られている。スター形状に広がったプレート形状の電極5、6の代わりに、他の実施形態によれば、中空ボディ形状の、特にプリズム状の電極及び/又は管状の電極を使用することも可能であって、これについては以下で説明する。
【0069】
スター形状に広がった、及び/又はビーム形状に延びる電極プレート5、6を有する、この実施形態において、電極配置3の想像上の扇子軸線7は、実質的に想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線8上で、及び/又は収容容器4の筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して実質的に等しく重なって方向づけされ、かつ/又は位置決めされており、これについては
図2と3を共に見ると明らかである。個々のプレート形状の電極5、6は、垂直に方向づけされており、すなわち個々の電極5、6のフラット側が壁状に方向づけされており、かつ互いに対して0.5mm~15mmの、好ましくは1mm~5mmの比較的狭い間隔で離隔している。プレート形状の電極5、6の厚みは、0.1mm~5mm、好ましくは約1mmである。
【0070】
図3からもっともよくわかるように、スター形状及び/又は扇子形状の電極配置3の電極5、6の間には、変化する間隔9、9’が存在している。直接隣接する電極5、6の間のこの変化する間隔9、9’は、個々のプレート形状の電極5、6がこの電極配置3の共通の想像上の扇子軸線7に関してスター形状及び/又は扇子形状に延びることから生じる。特に個々の電極プレート5、6は、共通の垂直の扇子軸線7から始まって、扇子軸線7に対して径方向に延びている。したがって上面で見て(
図3を参照)電極5、6はV字形状に方向づけされている。したがって直接隣接する電極プレート5、6の間には、それぞれ広がり角度10、特にいわゆる中心点角度及び/又は角度寸法αが存在し、それは、
図3からはっきりと読み取ることができるように、扇子軸線7を中心に円形及び/又はビーム形状に配置された電極プレート5、6の対の数に依存している。それぞれの電極プレート5、6のこのスター形状の配置とそれから生じる、扇子軸線7からの距離に依存して変化する間隔9、9’によって、電解プロセスの効率が支援される。特に、隣接する電極プレート5、6の間の変化する間隔9、9’により、かつ/又は定められた広がり角度10によって、電解質の様々な水品質及び/又は様々な導電性をよりよく考慮することができる。特に種々の水品質及び/又は徐々に変動し、あるいは変化し続ける水品質が存在する場合、かつ/又はその導電性が異なる場合でも、より効率の高い、かつ/又は性能のよい電解プロセスが実施可能である。すなわち、記載のスター形状の形態は、変化する水品質に関して、かつ/又は変化する導電性に関して、あるいはその他の、電解プロセスが続き、かつ/又は伸展する間に変化する物理的特性に関して、比較的不感である。さらにこの手段によって、電解生成物、特に水素と酸素の、電極配置3からの脱ガスが助長され、かつ/又は支援される。これが、定められた期間内でより高い効率及び/又はより高い電解性能をもたらす。実際の形態によれば、隣接する電極5、6の間に形成される間隔9は、扇子軸線7に最も近い終端セクション内で約0.6mm、そして扇子軸線7とは逆の終端セクション内で約4mmである。
【0071】
上面で見て、スター形状の電極配置3は、その周境界に関して好ましくは円形に形成されている。しかし多角形の輪郭も、考えられる。特に好ましい形態によれば、スター形状及び/又は扇子形状の電極配置3は、上面で見て円形に形成されており、これが
図3からもっともよくわかる。特に扇子軸線7を環状に囲んで、筒状あるいは管状のあいた場所11を形成することができ、それは、電解質によって完全に満たすことができ、かつ/又は少なくとも部分的に、余分な、かつ/又は溢流する電解液又は電解質泡用の、流出空間として、かつ/又は溢流通路あるいは排出通路として機能することができ、これについては後にさらに詳しく説明する。すなわち、個々の電極プレート5、6は、好ましくは定められた径方向の間隔12を維持しながら、扇子軸線7を中心に広がって、かつ/又は互いに連続するように配置されており、かつ扇子軸線7に対して径方向に方位づけされており、これについては
図3からもっともよくわかる。全体として見て、このように形成された電極配置3は、実質的に中空筒状のボディを形成し、これについては
図2と3を共に見ると明らかである。この中空筒状の電極ボディは、薄板状に積層されているが、互いに離隔して異なるように極性を定められた複数の電極プレート5、6を有しており、それらが共通の筒軸線及び/又は扇子軸線7を中心に馬勒状及び/又はビーム形状に延びている。個々のプレート形状の電極5、6は、上面で見て大体において、スター形状の電極配置3の、扇子軸線7から出る仮想のビームを表している。
【0072】
個々の電極プレート5、6は、プレート電極の互いに対向するフラット側に関して、統一的かつ/又は変化しない厚み及び/又は奥行きを有している。プレート形状の電極5、6を形成する代わりに、電極配置3を上面で見て、実質的に円セクター形状の電極5、6、特に円セクター形状のアノードとカソードを形成することも、可能であって、その例が
図4に図式的に示されている。
【0073】
上面及び/又は横断面において円セクター形状に形成されたこれらの電極5、6は、同様に共通の扇子軸線7を中心に配置されている。個々の円セクター形状の電極5、6は、好ましくは扇子軸線7に対して径方向の間隔12で配置されている。この場合にも、横断面において-
図4に基づく-円セクター形状及び/又はほぼ円セクター形状の電極プレート5、6のスター形状及び/又は扇子形状の配置が設けられている。したがってこの電極配置3も、想像及び/又は仮想の扇子軸線7を環状に取り巻いて好ましくは筒状及び/又は管状のあいた場所11が設けられているので、実質的に中空筒状のボディ形状を有している。しかし、
図3に示す実施例とは異なり、隣接する電極5、6の間の間隔9は、扇子軸線7に対する異なる径方向の間隔に関して一定又はほぼ一定であり、これは、
図4から読み取ることができる。
【0074】
想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線8の軸線方向において、すなわち収容容器4の垂直軸線の方向において、好ましくは少なくとも、形態に基づいてスター形状に形成されている、電極配置3の上方及び/又は下方に、少なくとも1つの電磁コイル13が配置されている。電気エネルギの供給によって、この電磁コイル13により構築される電磁場が、反応室2内の電解質と電極配置3に作用する。すなわちコイル13は、電磁場の磁場線が電解質及び電極配置3のアノードとカソードの電極5、6も横断し、かつ/又は影響を与えるように、配置され、かつ/又は寸法設計されている。
【0075】
好ましくは、少なくとも1つの電極配置3は、電解質内へ完全に浸漬されており、その電解質は好ましくは水又は水性の溶液によって形成されている。しかし好ましくは、少なくとも1つの電磁コイル13も、電解質のための通常の、かつ/又は最小の流体レベル14の下方に配置されている。すなわち、好ましくは電磁コイル13も、電磁場を形成するために、少なくとも主として、好ましくは完全に、電解質内へ浸漬されている。これは、一方で電解質を、かつ他方で少なくとも間接的にアノードとカソードの電極5、6も、振動させ、かつ/又は高周波で振動させ、それによって電極5、6についた気泡を剥がし、かつ液状の電解質から水素泡及び/又は酸素泡の脱ガスを支援し、かつ/又は加速させるために、重要である。特に少なくとも1つのコイル13の電磁場が、電極配置3のアノードとカソードの電極5、6を機械的に振動させて、アノードとカソードに生じるガス泡、特にそれぞれの酸素泡と水素泡を剥がすことを支援する。さらに、少なくとも1つの電磁コイル13の電磁場は、電気分解プロセスのイオン化と強化かつ/又は徹底をもたらす。
【0076】
アノードとカソードの電極5、6は、強磁性の、特に磁場によって調節可能な材料、たとえば鉄を含む材料及び/又は貴金属、たとえばいわゆるNirosta金属又はその他の錆びない鋼からなる。比較的小さい振幅を有する、電磁コイル13の高周波の機械的な振動によって、電極5、6におけるガスの剥離が強化かつ/又は促進される。それに伴って電極5、6の有効な面が電解質に対して可能な限り高く保持されるので、電解プロセス及び/又は電極5、6の電極面の効率及び/又は生産性が高く維持され、かつ/又は最大にされる。これが、電解プロセスを加速し、かつ/又はそれによって分解プロセスが定められた期間に関して改良され、かつ/又は最大にされる。すなわちそれによって、電解反応システム1の電解能力及び/又は分解能力を改良し、かつ/又は増大させることができる。特に上述した手段によって、単位時間あたり行われる変換作業及び/又は分解作業が増大されるので、比較的小容積の、かつ/又はコンパクトに構成された反応システム1によっても、水素ガスと酸素ガスにおいて、及び/又はしかるべき混合気に関して、高い放出出力が得られる。したがって記載の電解反応システム1は、高い反応性及び/又は反応迅速性を有する。少なくとも部分的に電解質内に浸漬された電磁コイル13は、一方でイオン化をもたらし、他方では電解質及び/又は電極5、6のための振動発生器として機能するので、シナジー効果を提供する。
【0077】
好ましい代替案及び/又は展開によれば、少なくとも1つの電磁コイル13の上方に、複数のアノードとカソードの電極5、6からなる他の電極配置3’が配置されている。電磁コイル13の上方に配置されている、この他の電極配置3’も、反応室2の内部で好ましくは完全に、特に可能な限り完全に、液状の、特に水性の電解質内に浸漬されている。
【0078】
図1に例として図式的かつ/又は原理的に示唆されるように、エネルギを供給された電磁コイル13の電磁場は、下方及び/又は上方に配置されている電極配置3、3’の電極5、6へ振動するように作用し、かつ/又はエネルギ供給された電磁コイル13は電解質にも振動をもって作用するので、電極5、6からのガス泡の剥離及び/又は電解質内のガス泡移送が支援され、かつ/又は強化される。
【0079】
代替的に、電磁コイル13を電極配置3の下方に形成し、特に反応室2及び/又は電解質を収容する収容容器4の底セクション内に配置することも、考えられる。
【0080】
好ましくは、電極配置3は、反応室2の底セクション及び/又は底プレートに対して垂直の間隔で配置されている。それによって電極配置3の下方に定められた電解質体積が存在し、かつ/又はそれによって電極配置の下方に所定の電解質量が集まり、かつ電極配置3の下方の底近くに流れ通路を形成することができる。電極配置3の下方で筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して軸線方向に位置決めされた電磁コイル13’は、好ましくは同様に反応室2の底セクションに対して離隔しており、それによって電極配置3の内部で電解質内に底セクションから始まって上へ向かう方向に、特に電解反応室1のガス室への方向へ流れを構築することが可能になる。
【0081】
図1と5を共に見ると明らかなように、好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの電磁コイル13が上面で見て実質的に環状に形成されている。このトーラス形状の電磁コイル13の中心点及び/又は中央点は、収容容器4の筒軸線及び/又は垂直軸線8上又はその近傍に、かつ/又は電極配置3の扇子軸線7上又はその近傍に位置する。すなわちコイル12の実質的にディスク形状の中心平面16は筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して横方向、特に直角に、及び/又は扇子軸線7に対して直角に方向づけされており、これは、
図1からもっともよくわかる。
【0082】
好ましくは、コイル13の巻きボディ17は、環状及び/又はトーラス形状に形成されている。この巻きボディ17は、好ましくは磁化できない材料、特にプラスチックなどから形成されている。すなわち電磁コイル13は、好ましくは鉄芯なしで形成されており、特にエアコイルとして形成されている。この巻きボディ17は、少なくとも1つのコイル巻き線18を支持しており、そのコイル巻き線は、複数の巻き、特に百又は千の巻きからなり、それらが巻きボディ17を中心に巻かれている。しかし、巻きボディ17を形成する代わりに、少なくとも1つのコイル巻き線18を自己支持するように形成し、すなわち巻きボディ17なしで成形し、したがってほぼ自己安定するように形成することも可能である。
【0083】
コイル巻き線18の個々の巻きは、環状のコイル13に対して径方向に、及び/又は実質的に径方向に、方向づけされている。特に個々の巻きは、隆起部形状の巻きボディ17を中心に円形及び/又はリール形状に延びており、これは、
図5からもっともよくわかる。好ましい実施形態によれば、巻きボディ17及び/又はコイル13の円周のまわりに分配して配置された、それぞれ互いに離隔して巻かれた4つの部分巻き線19、19’、19”、19’”が形成されている。個々の部分巻き線19-19’”は、直列に接続されている。好ましくは個々の部分巻き線19-19’”の間に巻き間隔20、20’、20”が形成されている。
【0084】
好ましい展開によれば、コイル軸線及び/又は中心点線及び/又は中央点15に対してそれぞれ45°だけ変位して配置され、重なりあって巻かれた3つのコイル巻き線が形成されている。特にそれによって、少なくとも3層のコイル巻き線18が形成され、その巻き間隔20、20’、20”は、トーラス形状のコイル13の円周方向に互いに連続して、かつ/又は互いに変位して、形成されている。
【0085】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの電磁コイル13が電極配置3と荷重を除去するように結合され、かつ/又は電極配置3に対して荷重を除去するように支持されている。すなわち、少なくとも1つの電磁コイル13は、たとえば反応室2とは直接結合されておらず、むしろ電極配置3とできるだけ直接機械的に結合されている。それによって電極配置3への可能な限り強力な振動伝達が得られる。
図2に示す形態において、電磁コイル13は中空円錐状及び/又は漏斗形状の保持部材内に収容されており、その保持部材が電極配置3の上側に支持されている。したがって電磁コイル13の機械的揺動及び/又は振動が電極配置3へ、そしてその逆に、伝達される。
図6、7に示す実施形態において、少なくとも1つの電磁コイル13がクリップ形状の支持装置及び/又は保持装置を介して電極配置3の上側に荷重を除去するように固定され、かつ/又は支持されている。
【0086】
電極5、6は、好ましいやり方で、電解質槽内で自由に振動できるように、保持され、かつ/又は支承されている。そのためには、片側の、かつ/又は舌形状の保持及び/又は支承が効果的である。代替的に、
図2に例として示されるように、電極5、6を電極5、6の最大2つの互いに対向する端縁セクションにおいて保持することが、考えられる。
【0087】
電極配置3の個々のアノードとカソードの電極5、6は、それ自体知られたやり方で、第1の電気エネルギ供給源21から電気エネルギを供給される。この第1のエネルギ供給源21は、好ましくはアノードとカソードの電極5、6に脈動するエネルギを供給するように形成されている。
【0088】
少なくとも1つの電磁コイル13は、他の電気エネルギ供給源22から電気エネルギを供給される。好ましくは他の電気エネルギ供給源22は、少なくとも1つの電磁コイル13に脈動するようにエネルギを供給するために形成されている。
【0089】
第1のエネルギ供給源21と第2のエネルギ供給源22は、電極5、6及び/又はコイル13に、好ましくはそれぞれ、可変の振幅高さ及び個々の電圧パルス及び/又は電流パルスの間の定められたパルス休止を有する脈動する直流電圧を供給する。エネルギ供給源21、22は、従来技術から長きにわたって知られているように、好ましくは電気エネルギ変換器によって、特にコンバータ回路によって、かつ/又は信号発生器によって形成されている。それぞれのエネルギ供給源21、22は、公共の電流供給網から、あるいは好ましくは直流電圧源から、特にたとえばアキュムレータなどの、電気化学的電圧源から、電気エネルギを供給される。好ましくはエネルギ供給源21、22のための電気エネルギ供給源は、アキュムレータによって、特に12V及び/又は24Vの端子電圧を有する、少なくとも1つの鉛アキュムレータから形成されている。特にエネルギ供給源は、自動車の12V/24Vのワイヤリングシステムによって形成することができる。
【0090】
好ましい手段によれば、アノードとカソードの電極5、6にエネルギを供給するための第1のエネルギ供給源21のエネルギ周波数は、少なくとも1つの電磁コイル13にエネルギを供給するための第2のエネルギ供給源22のエネルギ周波数に比較して、電解反応システム1が少なくとも時々その共振周波数の近くで、あるいはその共振周波数において作動するように、選択されている。第1のエネルギ供給源21と他のエネルギ供給源22のそれぞれのエネルギ周波数は、互いに同調されており、それによって電解システムが共振状態又はほぼ共振状態で作動し、かつ電解質がガス状の水素と酸素に高効率かつ/又はきわめて有効に化学分解される。それによって特に、アノードとカソードの電極5、6からそれぞれのガス泡が剥がれる程度及び/又は効率が著しく影響を受ける。特に反応室2内の電場及び/又は電磁場の作用によってまず、電解の分解プロセスが支援され、かつ/又は促進される。他方で、電解質内かつ/又は金属の、特に強磁性の電極5、6内に力及び/又は振動を電磁的結合することによって、振動及び/又は揺動が発生され、それがガスの剥離とそれに伴って分解プロセス及び/又は分裂プロセスを支援する。
【0091】
アノードとカソードの電極5、6に供給するための第1のエネルギ供給源21のパルス周波数は、少なくとも1つの電磁コイル13に供給するための第2のエネルギ供給源22よりも多数倍高い。第1のエネルギ供給源21の供給周波数は、第2のエネルギ供給源22の供給周波数に比較して、少なくとも百倍から一万倍あるいは十万倍、好ましくは約千倍となる。したがって電極配置3のための電気エネルギ供給と少なくとも1つの電磁コイル13のための電気エネルギ供給との間の周波数比は、好ましくは約1000:1である。たとえば、コイル13用のエネルギ周波数は約30Hであって、アノードとカソードの電極5、6用のエネルギ周波数は、約30kHzである。もちろん、エネルギ供給源21、22において他のベース値及び/又は周波数値を調節し、かつ/又は発生させることもできる。
【0092】
アノードとカソードの電極5、6に供給するための第1のエネルギ供給源21の電圧レベルは、数100Vとすることができる。
【0093】
それぞれの電圧値及び/又は周波数値は、まず、反応室2の内部のそれぞれのコンポーネントの構造的配置及び幾何学的寸法に依存し、かつ経験的かつ/又は当業者の技量の枠内でそれぞれ調整し、かつ/又は適合させることができる。
【0094】
好ましい実施形態によれば、反応室2の、特に電解質体積及び/又は電解質用の収容容器4の、下方のセクション内に、電解質液を充填し、かつ/又は連続的又は非連続的に追加充填するための少なくとも1つの供給開口部23が配置されている。下方のセクション内、特に電解質槽の底セクション内で供給され、かつ/又は供給可能な電解質によって、電解質液の乱流及び/又は旋回が発生し、それによって好ましいやり方で、アノードとカソードの電極5、6に着いたガス泡の剥離が支援され、かつ/又は促進される。
【0095】
その代わりに、あるいはそれと組み合わせて、反応室2内に、特に電解質用の収容容器4内に、電解質において乱流を生成させるための、特に電解質内に流れ、たとえば乱流を構築するための、少なくとも1つの手段24を形成することができる。この乱流発生手段24は、従来技術から知られた、液体槽内に流れ及び/又は乱流を発生させるための、任意の手段によって形成することができる。好ましい実施形態において、電解質において乱流を発生させるための手段24は、反応室内へ通じる、電解質のための吸い込み及び/又は排出ノズル25によって形成されている。好ましくは、電解質のための複数の吸い込み及び/又は排出ノズル25が設けられており、それらは好ましくは電解質のための収容容器4に対応づけられている。所望の乱流及び/又はそれぞれの乱流力の分配にしたがってこの吸い込み及び/又は排出ノズル25の数は、それぞれの要請の枠内で著しく変化することができる。これらの吸い込み及び/又は排出ノズル25の直径にしたがって、この種の吸い込み及び/又は排出ノズル25の少なくとも2つ又は百であっても、好ましくは電解質のための収容容器4の底領域内に形成することができる。好ましい展開によれば、複数の吸い込み及び/又は排出ノズル25の少なくとも個々の作用軸線は、底セクションに対して傾斜して形成されている。特に吸い込み及び/又は排出ノズル25の作用軸線は、電解質槽内に密接した乱流及び/又は広く達する流れを構築するために、反応室2の筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して角度をもって方向づけすることができ、その流れがアノードとカソード電極5、6から、かつ/又は電解質の内部から、水素泡及び/又は酸素泡を上へ向かう方向に、脱ガスゾーンへ、特に反応室2のガス室26へ移送することを支援する。
【0096】
電解質内に液体投入及び/又はガス投入によって形成される乱流及び/又は流れの代わりに、電解質において乱流を発生させる手段24を、電解液内へ浸漬される少なくとも1つの撹拌器具によって形成することも、もちろん可能である。好ましい手段によれば、電解質内に流れを必然的に生じさせる手段24は、収容容器4及び/又は反応室2の筒軸線及び/又は垂直軸線8を中心にほぼ螺旋形状の流れが構築されるように、形成されており、この螺旋形状の流れの増殖方向は電解質の底セクションから始まって電解質槽の表面へ向かう方向に延びている。
【0097】
好ましい実施形態によれば、反応室2内に少なくとも1つの溢流エッジ27が設けられており、その溢流エッジは電解質の最大流体レベル28を制限するために形成されている。好ましい実施形態によれば、この少なくとも1つの溢流エッジ27は、中空筒状及び/又は中空プリズム状の電解質容器30の画成エッジ29によって形成されている。この電解質容器30は、好ましくは垂直に方向づけされた筒軸線31を有し、その筒軸線が好ましくは反応室2の筒軸線及び/又は垂直軸線8と重なり、かつ/又は少なくともほぼ重なる。少なくとも1つの溢流エッジ27は、電解質容器30の上方の画成エッジ29の代わりに、あるいはそれに加えて、電解質容器30の側面内の少なくとも1つの孔あるいはその他の切り通しによって形成することができる。しかし好ましくは、電解質容器30の上方のセクションは、できるだけ開放しており、特に横断面全体にわたって開放して形成されており、それによって電解プロセスの間に大体において生じる泡、特に電解質上に形成されるクラウン状の泡を良好に除去し、かつ/又は運び去ることも支援される。特に流体レベル及び/又は電解質レベルが、溢流エッジ27と同じ高さにある場合に、電解質の泡32が効率的に運び去られる。電解質の最初の充填レベル33は、好ましくは溢流エッジ27の少し下方に位置する。アクティブな電解プロセスの間、特に、電解質内の泡の形成によって電解質体積がはっきりと認識可能に上昇する。すなわち、電解反応システム1の駆動の間、反応室2内、特に収容容器4及び/又は電解質容器30内の電解質レベルが上昇する。したがって電解質のための最初の充填レベル33は、好ましくは電解質容器30の溢流エッジ27の下方に定められる。いずれにしても溢流エッジ27は、電解質容器30内の最大可能な電解質レベルを定める。この最大の電解質レベルに達し、かつ/又は越えた場合に、電解質泡及び/又は泡のクラウンが効率的に運びさられる。
【0098】
図示される実施例によれば、泡32及び/又は泡のクラウンあるいは溢流する、かつ/又は余剰の電解質液の運び去りは、電解質容器30の中心領域から始まって外側へ向かう方向に、特に垂直軸線及び/又は筒軸線8、31に対して径方向に行われる。代替的又は組み合わせる実施形態によれば、破線で示唆されるように、泡32及び/又は少なくとも1つの溢流エッジ27を越えて流れる電解質を、電解質容器30の中心領域内に配置されている排出通路34内へ運び去ることも可能である。この中心にある、かつ/又は中央に配置された排出通路34内で、あふれ出た電解質及び/又は溢流エッジ27’を溢流した電解質泡が下方へ向かう方向に導かれて、好ましくは再び電解質容器30内へ送り込まれ、これについては以下で詳細に説明する。
【0099】
好ましくは反応室2の底セクション内に、溢流エッジ27を越えて流れた電解質又は電解質の泡のための収集セクション35が形成されている。この収集セクション35は、反応室2の所定の垂直の高さにわたって延びており、かつ電解により獲得されたガスが、反応室2からの電解質の管理された運び出しに用いられる排出開口部36から流出することを阻止し、かつ/又は減少させる。この収集セクション35は、反応室2の底セクション内の所定の電解質レベルによって、あるいはその他のサイフォン形式のガスロックによって形成することができる。この収集セクション35及び/又はそれに応じた液体サイフォンによって、特に、反応室2が可能な限り気密に閉鎖され、かつ/又は底近くの電解質用の排出開口部36を介しての水素ガスと酸素ガスの流出又は吸い出しが阻止される。したがって溢流エッジ27を越えて流れた電解質液及び/又は分離された電解質泡のための、例としてのサイフォン形式の収集セクション35は、排出開口部36を比較的気密に閉鎖し、それに対して少なくとも1つの排出開口部26を介して反応室2からの電解質液の管理された運び出しは可能である。特に、収集セクション35の内部に所定の流体レベルが存在し、かつ/又は構築されて、それによって充分に気密のガスロックが得られることが、保証されている。
【0100】
収集セクション35内の流体レベルは、好ましくは、電解質容器30の内部の電解質のための通常の充填レベル33よりも低い。収集セクション35は、表示によれば、電解質容器30を環状に囲んで形成することができ、あるいは余分の電解質を中央に配置されている排出通路34内へ中央で導入する場合には、電解質容器30の中央領域内に設けることができ、これが、破線で示される実施変形例を用いて示されている。もちろんその代わりに、電解質液用の少なくとも1つの収集セクション35を用いて、電解質泡及び/又は電解質液を分離して脱ガスするために、外側と内側を組みあせた収集、あるいはカスケード状の電解質収集を実施することも可能である。
【0101】
好ましくは、収容容器4及び/又は電解質容器30の溢流エッジ27を越えて流れた電解質割合のための、他の少なくとも1つの還流路37が設けられる。この還流路37を用いて、中空筒状及び/又は中空プリズム状の電解質容器30内へ、かつ/又は反応室2内への電解質の少なくとも1回の再投入が行われる。好ましくは電解質の還流路37のための少なくとも1つの導管の内部に、液体タンク38、特に水容器39が設けられており、その中に所定量の電解質、特に水の形式の液状の電解質がストックされ、かつ/又は一時的に保持される。この液体タンク38から始まって反応室2の内部の電解プロセスに連続的又は非連続的に電解質液が供給される。少なくとも1つの還流路37が、ほぼ液体タンク38を通り、かつ/又はそれを介して延びている。すなわち還流路37は、一方で、液体タンク38内へ連通し、かつ還流路37は液体タンク38から始まって再び反応室2の方向へ続いており、それによって収容容器4及び/又は電解質容器30内の電解質の液に関して供給及び/又は追加供給が行われる。反応室2と液体タンク38及び/又は水容器39との間のこの電解質循環41は、水力学の視点において内燃機関用の燃料供給システムの送りと還流に比較可能である。
【0102】
還流路37内に、残渣、特に電解質内及び/又は電解処理された水内の不純物を濾過するための少なくとも1つのフィルタ装置40を配置することができる。アクティブな、かつ/又は強制された水循環及び/又は電解質循環41を構築するために、還流路37内かつ/又は電解質用の供給導管内に、反応室2に関して少なくとも1つの流体ポンプ42を組み込むことができる。還流路37が電解質用の冷却装置43としても用いられ、かつ/又は冷却装置43を有していると、効果的である。この冷却装置43は、還流路37の導管接続によりそれ自体として、かつ/又は付加的な熱交換器により、特に、たとえば冷却フィンなどの、空気液体交換器によって、形成することができる。これらの熱交換器44及び/又は冷却フィンは、配管内に、かつ/又は液体タンク38及び/又は水容器39に形成することができる。好ましい実施形態によれば、電解質の温度が20℃と60℃の間の領域内、特に28℃と50℃の間の領域内、好ましくは35℃~43℃に維持されるように、冷却装置43が寸法設計され、かつ/又は還流路37が定められている。特に少なくとも最後に挙げた、電解質の温度領域内で、最適化された、かつ/又は比較的効率的な電解プロセスが行われる。特にこの温度領域内では、比較的わずかな量及び/又は出力の電気エネルギしか必要とされない。もちろん冷却装置43は、従来技術からの多数の形態において知られているように、他のパッシブ及び/又はアクティブに作用する冷却装置によって、形成することもできる。
【0103】
したがって好ましい実施形態によれば、電解反応システム1は、電解質のための連続的又は非連続的な供給45と排出46を有している。特にこの電解質の供給45と排出46によって、反応室2内、及び/又はその電解質容器30内で電解質を有する水又は水によって形成される電解質の時間に関する徐々の交換及び/又は追加充填が行われ、もしくは構築される。好ましくは、それ自体閉成された電解質循環41が構築されており、その中に液体タンク38と少なくとも1つの流体ポンプ42が組み込まれている。
【0104】
展開する好ましい手段によれば、好ましくは反応室2の底セクション内、かつ/又はケーシング領域内に、反応室2内へ、特に電解質のための収容容器4内へ導入すべき周囲空気48のための少なくとも1つの通過開口部47が形成されている。それに対して代替的又は付加的に、収容容器4内、特に電解質容器30内へ窒素あるいはその他の不燃のガスを供給するためにも、少なくとも1つの通過開口部47を設けることができる。この少なくとも1つの通過開口部47は、直接電解質槽内へ連通しており、その電解質槽は反応システム1の駆動の間、反応室2内、特に電解質容器30内にある。好ましくは電解質容器30の底セクション及び/又ケーシング領域内に分配して配置された複数の通過開口部47が、周囲空気48及び/又は窒素のために形成されている。特に電解質内への周囲空気及び/又は窒素の直接的な供給及び/又は導入が行われるので、電解質内に液体及び/又は気体の混合物と流れ及び/又は乱流が生じる。場合によっては調整手段49、特に弁配置又はその種のものを設けることができ、それが、周囲空気48及び/又は窒素の、電解質内へ流入する量及び/又は圧力を調整するように形成されている。好ましくは、周囲空気48及び/又は窒素あるいはその他の不燃のガスのこの投入は、圧力下で行われる。すなわち周囲空気48又は窒素は、電解質内へアクティブに吹き込まれる。場合によっては、反応室2内に負圧を構築することによって、たとえば空気などの、しかるべきガス又は混合気を吸い込むことも可能である。上述した通過開口部47(これによって周囲空気48及び/又は窒素が直接電解質内へ吹き込まれ、かつ/又は投入される)を通して、まず、電極配置3に付着している酸素泡及び/又は窒素泡の剥離が支援される。さらに、このように電解質内へ空気及び/又は窒素を投入することによって、電解質の乱流及び/又は混合を得ることもできる。これは、電解出力に課して、特に電解反応システム1の性能に関して、ポジティブに作用する。
【0105】
好ましくは、通過開口部47の多重配置が設けられており、それらを介して空気及び/又は窒素が電解質用の収容容器4内へ所望に分配して投入される。好ましい実施形態によれば、これらの通過開口部47は、反応室2の底セクション内に、特に電極配置の下方に、位置決めされている。
【0106】
展開する好ましい手段によれば、電解反応システム1に、反応室2の内部に、特にそのガス室26内に、負圧を構築するための少なくとも1つの手段50が対応づけられている。この負圧は、雰囲気の周囲圧に関するものである。すなわち、負圧を発生させる手段50は、反応室2の内部に、特にガス室26内に、定められた負圧状況を発生させる。第1の実施形態によれば、この手段50は、負圧ポンプによって形成することができる。好ましい実施形態によれば、負圧を構築するためのこの手段50は、反応室2に接続された、化学的エネルギ担体である水素用の負荷によって形成されている。好ましい実施形態によれば、内燃機関51により、特にガソリンエンジン、ガスエンジン又はディーゼルエンジンによって形成されている、この負荷は、水素の化学的エネルギを、熱エネルギを遊離させながら運動エネルギに変換する。負荷は、もちろん任意の加熱システム又は電流を発生させるジェネレータシステムによっても形成することができる。したがって好ましい実施形態によれば、反応室2内に負圧を構築することは、反応室2、特にそのガス室26と、水素と酸素の混合気の化学エネルギを熱エネルギ及び/又は運動エネルギに変換するための内燃機関51又はその他の燃焼システムの燃料供給部53、特に吸い込み通路、との間に流れ接続部52を形成することによって、行われる。またそれによって、脱ガス出力を電解質と電極配置3に関して高め、電解反応システム1の得ることのできる電解能力が向上する。
【0107】
図6、7には、ガス状の水素と酸素を形成するための電解反応システム1の他の実施形態が示されている。この実施形態は、本発明に係る反応システム1のそれ自体自立した実施形態である。先行する図におけるのと同一の参照符号及び/又は構成部品名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図についての詳細な説明を参照するよう指示し、もしくは参照する。はっきりとさせておくが、これらの図に示される特徴及び/又は構造的手段の全てが、本発明に係る反応システム1の絶対的に必要な構成部品を表すものではない。さらに先行する図に基づく特徴を有する特徴の組み合わせは、本発明に係る実施形態を表すことができる。
【0108】
この電解反応システム1も、たとえば水、水性の溶液又は導電性を高める添加物と結合された水混合物などの、電解質を収容するような反応室2を有している。反応室2内には、さらに、少なくとも1つの電極配置3が配置されており、その電極配置が複数のアノードとカソードの電極5、6から形成されている。この実施形態において電極配置3は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つより多い、互いに同軸又はほぼ同軸に入れ子に配置された管状の電極5、6によって形成されている。図示される実施例において5つの同軸に配置され、互いに入れ子に重なり合った、特に互いに入れ子に挿入された、管状の電極5、6が形成されている。これに関連して指摘しておくが、円形及び/又は円環形状あるいは楕円形の横断面を有する電極5、6が好ましい。しかし、中空筒状のボディ形状を有する管状の電極5、6の代わりに、プリズム状のボディ形状、特に方形、矩形又はその他の多角形の横断面を有する管状の電極5、6を設けることが可能であるのも、もちろんである。個々の電極5、6は、電解反応システム1内で好ましくは交互に、かつ/又は互いに連続してそれぞれアノードとカソードを形成する。
【0109】
互いに隣接して配置された管状の電極5、6の、筒状又は、互いに対して角度をもって方向づけされた多数の面をまとめたプリズム形状の、側面は、互いに対して離隔して形成されている。特にそれぞれの電極5、6のそれぞれの筒面及び/又は側面の間、特に内側面と外側面の間に、定められた間隔54及び/又は55が形成されている。好ましい手段によれば、管状又は中空プリズム形状の互いに入り組んだ電極5、6の間の間隔54又は間隙寸法は、外側の対の電極から始まって、さらに内側の、特に中央の管軸線56の近くに配置された電極5、6又は管状の電極配置3のさらに内側に配置された対の電極5、6に比較して、増大するように、あるいは大きくなるように、寸法設計されている。すなわち、電極配置3の中心に存在する、管状及び/又は中空プリズム形状の電極配置3の間隔55は、好ましくは、外側の対の電極5、6の間、及び/又は、内側の電極5、6を包囲する外側の対の電極5、6の間の間隔54よりも、大きく寸法設計されている。
【0110】
管状の電極5、6の個々の想像上の管軸線56は、好ましくは垂直に方向づけされている。管状の電極5、6の遠位の終端セクションは、それぞれ開放して形成されている。好ましくは、個々の管状の電極5、6は、その長さ及び/又は高さに関して一定の横断面積を有している。
【0111】
管状及び/又は中空プリズム形状の電極5、6の側面又は筒面の間に、少なくとも1つのほぼ中空筒状あるいはプリズム形状の間隙57、58が形成されている。電極配置3の様々な電極5、6の間の少なくとも1つの間隙57、58を通って、ガス泡のこぼれ落ちが可能にされ、かつ/又は支援される。特にそれによって、電解プロセスの間にアノードとカソードの電極5、6に付着しかつ/又は生じるガス泡は、電解質の上方にあるガス室26内へ効率的に導出することができる。ある種の吸い込み作用が効力を発し、それが電解質からのガス泡のこぼれ落ちを支援する。この効果が、電極配置3の下方にある電解質体積により、かつ管状の電極配置3の内部のベンチュリ効果によって増強される。
【0112】
特に、隣接する電極5、6の間の少なくとも1つのほぼ中空筒状あるいはプリズム形状の間隙57、58によって、ガス泡のためのある種の煙突作用が得られ、したがってそのこぼれ落ち速度及び/又は脱ガス出力が向上する。電極及び/又は電極対5、6のカスケード及び/又は多重配置によって、この効果が付加的に増大する。
【0113】
想像上の中央の管軸線56に関して、少なくとも管状の電極配置の上方に、上ですでに記載されているように、少なくとも1つの電磁コイル13が配置されている。重要なのは、この電磁コイル13にエネルギ供給された場合に生じる、かつ/又は構築される、好ましくは交代する、かつ/又は脈動する電磁場が電解質に、そして電極配置にも作用することである。特に、充分な強度を有する磁場線が電極配置3も、電解反応システム1内の電解質体積も横切る。電極配置3の上方に位置する電磁コイル13の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、電極配置3の下方にも少なくとも1つの電磁コイル13を形成することができる。
【0114】
特に、少なくとも1つの電磁コイル13によって、電極配置3が機械的に揺動かつ/又は振動され、それが電解質からのガスの小泡のこぼれ落ちを支援し、かつ/又は促進する。さらに、特に電磁コイル13の電場が電解変換プロセス及び/又は分解プロセスにもポジティブに作用する。
【0115】
好ましい実施形態によれば、電解反応システム1の反応室2は、実質的に中空筒状あるいは中空プリズム状のボディ形状を有している。反応室2の想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線8は、特に側面は、
図6又は
図2の例から明らかなように、垂直又は少なくともほぼ垂直に方向づけされている。
【0116】
さらに、
図2と6からもっともよくわかるように、反応室2が実質的に中空筒状あるいは中空プリズム状の収容容器4を備えかつ/又は有しており、その中に少なくとも1つのスター形状あるいは管状の電極配置3が配置されていると、適切である。
図1、2に示す実施形態によれば、電解質のため、かつ少なくとも1つの電極配置3のための収容容器4は、上方の終端セクション内で開放して形成されている。さらにその側面及び/又は筒面は、反応室2の内側の壁面から離隔して形成されており、これは
図1からもっともよくわかる。それによって、簡単なやり方で、上述した分離及び/又は収集セクション35が構築される。好ましい手段によれば、スター形状の電極配置3の想像上の扇子軸線7及び/又は管状の電極配置の想像上の管軸線56は、実質的に想像上の筒軸線8上に、あるいは収容容器4及び/又は反応室2の想像上の筒軸線8に対して等しく重なり合って、位置決めされており、これについては特に
図1と6の表示から読み取ることができる。
【0117】
図8には、電極配置3の他の原理的な表示が図式的に示されている。収容容器4及び/又は反応室2は中空筒状、特に横断面において円形に、形成されている。破線で示される、代替的な実施形態によれば、反応室2及び/又は収容容器4は、その他の中空プリズム状のボディ形状、特に角張った横断面形状も有することができるが、面取りした角部及び/又はエッジ領域が効果的である。反応室2の内部に、複数の電極配置3、3’が設けられている。特に、管状電極の束が形成されており、個々の電極対5、6は、電解質用の収容容器4の内部に分配して配置されている。特に、収容容器4の中心に、第1の電極配置3が形成されており、かつこの中央の電極配置を円形に取り囲んで複数の他の電極配置3’が円形に位置決めされている。電極形状の混合形式も同様に可能である。たとえば、横断面において円形の管状電極5、6と横断面において角のある、たとえば四角形状の管状電極5、6を組み合わせて、収容容器4の内部により高いパッキング密度を得ることができる。
【0118】
管状及び/又は中空プリズム形状の電極5、6を寸法設計する場合に、その強度値が所定の上限値を可能な限り越えないことに留意すると、効果的である。特に電極5、6の材厚59、60は、少なくとも1つのコイル13の電磁場が電極配置3及び/又は少なくとも個々の電極5、6の機械的振動の励起をもたらすように、定めなければならない。電極5、6は、電気的に導通する、特に強磁性の材料から形成されているので、少なくとも1つのコイル13の交番電磁場及び/又は電磁的に脈動する場は振動及び/又は揺動を励起する効果を有する。それによって電解質からのガスの小泡の剥離の効率及び/又はガス泡のこぼれ落ち能力が支援される。特にそれぞれの電極5、6の材料弾性及び/又は材厚59、60は、電磁コイル13から始まって可能な限り強力な振動励起が得られるように、選択されなければならない。
【0119】
好ましい展開によれば、剥離プロセスを強化するために、少なくとも1つのプレート形状の電極5、6-
図1-又は少なくとも1つの管状あるいは中空プリズム状の電極5、6-
図6-は、少なくとも1つのスリット61、62及び/又は複数の切り通し又は穿孔を有することができる。特にそれぞれの電極5、6は、少なくとも1つの機械的に弱いところ及び/又は強度の減少、たとえばスリット61、62又は切り通しまたは材料切り抜き及び/又は材料削減を有し、それによって少なくとも1つの電磁コイル13の電磁場の影響を受けて、機械的に著しく振動する。この手段も、水素調達の性能に関して、電解反応システム1の能力及び/又は反応時間を高める。しかし、電極5、6のための強力な、かつ/又はできるだけ損失のない振動励起は、荷重を除去する支持によって、特に少なくとも1つの電磁コイル13と電極配置3の少なくとも1つの電極5、6との間の可能な限り堅固な機械的結合によっても、得られる。この機械的結合及び/又は保持装置は、好ましくは電気的に絶縁するように形成されている。
【0120】
請求項によれば、電極配置3は、互いに同軸に入れ子にされた管状の電極の少なくとも1つの束から形成されている。それによって最適な電解能力が得られる。
しかしまた、従来技術から知られたその他の電極配置によって、たとえばプレート形状の電極のカスケード配置及び/又は列配置によって、同様な作用及び/又は効果を得ることも、考えられるので、請求項に基づく電極配置を無条件に強制するものではない。特に、他の種類の電極配置においては、比較的わずかな能力及び/又は効率の損失だけは、予測しなければならない。
【0121】
図9には、先行する表示に基づく電解反応システム1において好ましいやり方で使用することができるような、少なくとも1つの電磁コイル13の他の実施形態が示されている。したがって電磁コイル13のこの実施形態は、先行する特徴と組み合わせて、好ましい電解反応システム1とすることができる。以下の章において、先行する図におけるのと同じ部分には同じ参照符号及び/又は構成部品名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図における詳細な説明を参照するよう指示し、もしくは参照する。
【0122】
図式的に示す電磁コイル13は、
図5に示す実施形態に対する代替案であって、好ましくは、
図1、2及び6に示すような、先行する形態と同様に、スター形状又は管状の電極配置3の上方及び/又は下方に配置されているので、電気エネルギの供給によるその電磁場は、まず、電解質に、そして電極配置3に作用する。
【0123】
したがって少なくとも1つは設けられている、電磁コイル13は、実質的にトーラス形状又は環状に形成されており、コイルは、電気的に直列に接続された複数の部分巻き線19、19’、19”、19’”を有している。電磁コイル13の個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”は、それぞれ周角度63にわたって延びており、その周角度は完全な円周64の一部であって、すなわちトーラス形状の電磁コイル13の角度360℃の角度部分である。直列に接続された個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”の周角度63は、コイル13の完全な円周64に関して典型的に20°~50°の間、特に25°と45°の間、好ましくは約30°である。
【0124】
直列に接続されて、環状のコイル13の周方向に連続する部分巻き線19、19’、19”、19’”は、互いに対して自由角度65を形成し、その自由角度は上述した巻き間隔20、20’、20”、20’”に相当する。この自由角度65の内部で、直接互いに連続する部分巻き線19、19’、19”、19’”の間には、電磁巻き線は形成されておらず、電磁巻きボディのない、大体において空白間隔が設けられている。互いに連続して直列に接続されている部分巻き線19、19’、19”、19’”の間のこの自由角度65は、好ましくは10°~30°の間、特に15°~25°の間、好ましくは約20°である。この自由角度65もしくはそれに応じた巻き間隔20、20’、20”、29’”は、電磁コイル13の間にゾーンを形成し、そのゾーン内では、電磁コイル13の、互いに直列に連続する部分巻き線19、19’、19”、19’”が配置され、かつ/又は位置決めされているゾーン内とは異なる電磁状況が支配している。個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”の間の、自由角度65によって定められる、巻き線のない自由空間は、電磁コイル13によって構築された、かつ/又は構築可能な電磁場の内部に多様性を生じさせ、その多様性が電解反応システム1内の電解プロセスを支援する。
【0125】
電磁コイル13によって生成され、かつ/又は生成可能な電磁場の特に好ましい構築は、個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”の周角度63と個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”の間の自由角度65が次のように、すなわち完全に1周よりも多く回った後、すなわち360°の巻き線の延びを越えた後に、互いに重ねて巻かれた部分巻き線19、19’、19”、19’”の間に変位角度66が形成されるように、選択されている場合に、得られる。すなわちそれによって、環状及び/又はトーラス状のコイル13を中心とする第1の周回の部分巻き線19、19’、19”、19’”は、部分巻き線19、19’、19”、19’”からなる第2のリング及び/又は各リングの部分巻き線19、19’、19”、19’”に対して変位角度66だけ変位している。したがって環状のコイル13の周方向に互いに重なり合った部分巻き線19、19’、19”、19’”は、常に互いに対して変位し、かつ/又はずれているので、好ましくは、重なり合って巻かれた部分巻き線19、19’、19”、19’”の間に100%の重なりは存在しない。
【0126】
好ましい実施形態によれば、互いに連続して直列に接続された部分巻き線19、19’、19”、19’”の数は次のように、すなわちほぼ3回の完全な周回が形成されるように、すなわち直列に接続されている部分巻き線19、19’、19”、19’”が、環状及び/又はトーラス状のコイル13の約1080°にわたって延びるように、選択されている。
【0127】
好ましい実施形態によれば、個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”は1層で巻かれており、完全に一周した後に形成される部分巻き線19、19’、19”、19’”は、それなりの変位角度66を有するが、実質的にエアギャップなしで、その下側及び/又は内側に位置する部分巻き線19、19’、19”、19’”の上方に巻かれている。
【0128】
電磁コイル13は、好ましくはコアレスで、特に電磁的に作用するコアなしで、形成されている。特に電磁コイル13は、エアコイルとして形成されているので、生成された電磁場は高い程度で電解質と電極3に作用し、したがって電解反応システム1内の物理的及び化学的シーケンスに高い程度で影響を与える。
【0129】
部分巻き線19、19’、19”、19’”は、複数の巻き線から、特に絶縁された導体、特に塗装絶縁された銅ワイヤからなるダース、百又は千の巻き線からなる。したがって互いに直列に接続されて、互いに離隔した部分巻き線19、19’、19”、19’”からなる、好ましくは2層、特に3層で形成された電磁コイル13は、第1のコイル接続端67と第2のコイル接続端68を有し、それらの間に、円形に延びる、互いに離隔した部分巻き線19、19’、19”、19’”が形成されている。これらのコイル接続端67、68を介して、先行する説明で示されているように、電磁コイル13が電気エネルギ供給源22と接続される。その結果として、外側の部分巻き線19、19’、19”、19’”の直径は、環状及び/又はトーラス形状の電磁コイル13の内側の部分巻き線19、19’、19”、19’”の直径よりも大きい。
【0130】
直接互いに連続する部分巻き線19、19’、19”、19’”の間の、図式的に示される電気的接続ブラケットの代わりに、個々の部分巻き線19、19’、19”、19’”を中断なしに、かつ/又はつながり合うように、特に一体的な電気的導体から巻くことも、もちろん可能であるので、それらの間に位置する少なくともいくつかの接続ブラケットは不要になる。
【0131】
図10は、電解反応システム1の他の実施例を示している。先行する、すでに説明されているコンポーネントについては、同一の参照符号もしくは構成部品名称が使用されており、かつ先行する説明部分を意味にしたがって、同一の参照符号を有する同じコンポーネントへ移し替えることができる。
【0132】
この電解反応システム1も、ガス状の水素と酸素を高効率で発生させるように設計されている。反応システムは、電解質を収容するための内側の反応室69、複数のアノードとカソードの電極5、6を備えた電極配置3、少なくとも2つの電磁コイル13、70及び電解質循環41を有しており、その電解質循環は、電解質を再循環させるため、かつ電解質を流れ技術的に電極配置を通して案内するために、設けられている。電極配置3を通る電解質の流れは、少なくとも1つの流体ポンプ42によって支援され、かつ/又はもたらされる。特に少なくとも1つの流体ポンプ42によって、電解反応システム1内の電解質の循環、及び/又は電極配置3の電極5、6によって定められる、少なくとも1つの流れ通路71内の強制的に形成される流れが得られる。
【0133】
電極5、6及び、電極配置3の上方及び/又は下方に位置決めされている、環状の電磁コイル13は、好ましくは筒状の、内側の反応室69内にある。他の電磁コイル70は、中空筒状に形成されており、かつ電解質容器30の外側の側面72に取りつけられており、好ましくは直接かつ/又は間隙なしに側面72上に巻かれている。垂直方向に上方へ向かって開放した電解質容器30が、内側の反応室69を画成する。中空筒状の電磁コイル70は、電極配置3の垂直の長さ74にほぼ相当する、軸線方向の長さ及び/又は高さ73を有している。垂直に方向づけされた電磁コイル70は、好ましくは、電極5、6の垂直の長さ全体74に沿って設置されている。反応システム1の上述した全ての部分は、外側の反応室2内に収容されている。
【0134】
電解反応システム1の効率の改良は、電極5、6の特殊な形態及び/又は方向づけにより、それぞれの電極配置3と、電極配置3の上方及び/又は下方及び電極配置3を中心とする外側に配置された電磁コイル13、70の脈動する電磁場との間の構造的組み合わせと技術的相互作用により、かつ電解質の方向づけされた流れによって、得られる。
【0135】
電極配置3は、複数の環状、特に中空筒状の電極5、6を有しており、それらは変化しない、あるいは様々な、径方向の間隔54、55をもって同軸に互いに入れ子に配置されている。電極配置3の中心及び/又は筒軸線及び/又は垂直軸線8は、好ましくは電解質容器30の筒軸線31と重なる。径方向において直接隣接する電極5、6は、電気的に互いに絶縁されており、かつ/又は電解質の導電性に関して電気的に互いに結合されている。電極5、6の材厚59、60は、できるだけ小さく抑えられている。限定するファクターは、電極5、6の間の短絡を阻止するために、構造の充分な構造的強度である。筒状の電極5、6の材厚59、60は、たとえば1mm~3mmの領域内にある。
【0136】
電極5、6は、その下方のセクションにおいて反応室69内に電気的に絶縁して固定されている。それらの電極は、上方のセクション内で同様に、電気的に絶縁する挿入片によって保持し、かつ/又は互いに対して支持することができる。流れ通路71、及び/又は、直接隣接する電極5、6の間の、横断面において環状の間隙57、58は、最小に維持されなければならない。直接隣接する電極5、6の間の径方向の間隔54、55は、1mmと3mmの間の領域内とすることができる。
【0137】
電極5、6の材料は、良好な磁気特性と平均的又は低い過電位とを有する金属又は合金であって、それは、ガス形成反応を改良するための触媒として用いることもできる。たとえば、高いニッケル含有量を有する錆びない鋼を使用することができる。
【0138】
電流供給ユニット及び/又はエネルギ供給源21が、電極5、6へ直流電流又は脈動する電流を供給し、ガス発生反応の高い速度を維持するために、隣接する電極5、6の間に充分な電位が発生される。脈動する電流は、好ましくは1kHと200kHzの間の周波数領域内で供給される。
【0139】
電解反応システム1の好ましい形態は、電極5、6が管状、特に中空筒の形状で形成されており、少なくとも1つの電極5、6の径方向内側の側面75と径方向外側の側面76が、互いに対して少なくともあらかじめ定められた角度77で傾斜していることにあって、それが
図11に例として示されている。
図11の表示は、電極配置3を通る垂直断面を示している。
【0140】
特に、互いに隣接して配置された管状の電極5、6の筒状の側面75、76あるいは互いに対して角度をもって方向づけされた多数の面から構成される側面が、互いに対して離隔して配置されており、かつ電極5、6の互いに離隔した側面75、76の間に、電解質のための少なくとも1つの流れ通路71が形成されていると、効果的である。この種の流れ通路71は、電極配置3内へ電解質が流入するための第1の軸線方向の端部78と、電極配置3から電解質が流出するための第2の軸線方向の端部79との間に延びている。重要なのは、少なくとも1つの流れ通路71が少なくとも1つの第1の流れ通路横断面80と少なくとも1つの第2の流れ通路横断面81とを有しており、第2の流れ横断面81が第1の流れ横断面80よりも小さく寸法設計されており、かつ比較的小さい第2の流れ横断面81が、少なくとも1つの流れ通路71の、電極配置3の第2の軸線方向の端部78に最も近い部分セクション内に形成されていることである。
【0141】
図示される実施例において、少なくとも1つの流れ通路71の比較的小さい第2の流れ横断面81及び/又は一般的に最小の流れ横断面81は、電極配置3の第2の軸線方向の端部79に直接形成されている。少なくとも1つの流れ通路71は、電極配置3の第1の軸線方向の端部78と第2の軸線方向の端部79の間に連続的に細くなる、かつ/又はノズル形状に延びる流れ横断面80、81を有している。特に少なくとも1つの流れ通路71は、電極配置3を通る縦断面内で、
図11に例として示すように、くさび形状に尖る画成輪郭を有している。それによって、可能な限り合理的かつ経済的な、電極配置3の形成が可能になる。さらに、希求される、電解質に対する加速作用が確実に得られる。
【0142】
電極5、6の少なくとも1つ又はその各々は、その上面及び/又は側面75、76、したがって径方向内側側面75又は径方向外側の側面76が、垂直に対してあらかじめ定められた角度77で傾斜した側及び/又は側面75、76を有するように、形成することができる。すなわち場合によって、管状の電極5,6の軸線方向下方の端部の内径が、管状の電極5、6の軸線方向上方の端部の内径に対して、所定の比率及び/又は寸法において、大きいように定められている。代替的に、管状の電極5、6の軸線方向下方の端部の外径は、管状の電極5、6の軸線方向上方の端部の外径よりも、所定の比率及び/又は寸法において小さいように定めることができる。この構造に基づいて、隣接する電極5、6の側面の間の、内部に電解質が存在する、少なくとも1つの流れ通路71及び/又は間隙57、58は、変化する、かつ/又は上方へ向かって減少する、流れ横断面80、81を有している。それによって電極配置3は、可能な限り単純かつコスト的に好ましいが、それにもかかわらずより高い機能性で構築することができる。好ましくは、直接隣接する電極配置5、6の間の少なくとも1つの間隙57、58は、電極配置3の下方及び/又は第1の軸線方向の端部78の領域内で、最大かつ/又はより大きく、かつ上方及び/又は第2の軸線方向の端部79の領域内で最小かつ/又はより小さい。
図11に関して:S1/S2<1、S3/S4<1が成立する。
【0143】
代替的な実施形態によれば、少なくとも1つの電極5、6の径方向内側の側面75も、径方向外側の側面76も、垂直に対して統一的又は異なる角度77で傾斜して形成することができる。特に、電極配置3の径方向内側と径方向外側の電極5、6の間に配置されている、少なくとも1つの電極5、6の径方向内側の側面75と径方向外側の側面76は、中心軸線に対し、かつ/又は電極配置の筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して角度をもって、かつ/又は傾斜して形成することができる。
【0144】
したがって径方向内側の側面75及び/又は径方向外側の側面76が、電極5、6の少なくとも1つに、及び/又は少なくとも1つから、円錐台の側面の形式で形成されていると、効果的である。
【0145】
さらに、直接隣接する電極5、6の側面75、76の間で次第に狭くなる流れ横断面81は、電極配置3の第1の軸線方向の端部78から第2の軸線方向の端部79の方向に連続的又は飛躍的に増大する、少なくとも1つの電極5、6の材厚59、60によって形成することができる。
【0146】
図11に示す実施例によれば、電極配置3の径方向もっとも内側の管状の電極5及び/又は6は、その軸線方向の全長にわたって変化しない材厚と変化しない外径とを有することも、できる。同じことが、径方向外側の電極5及び/又は6についても言える。
【0147】
少なくとも1つの電極5、6の、上述した円錐状及び/又は中空円錐状の形状付与の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、電解質の流れ方向に細くなる、少なくとも1つの流れ通路71を、互いに対して角度をもって、かつ/又は傾斜して方向づけされた、直接隣接する電極5、6及び/又は電極対によって形成し、かつ/又は強化することも、可能である。特に、少なくとも1つのノズル状に作用する流れ通路71を、少なくとも2つの直接隣接する電極5、6の、互いに対して角度をもって、かつ/又は傾斜して延びる長手軸線によって形成することができ、特に電極5、6の直接隣接する表面の鋭角の方向づけ及び/又は方位づけを介して実現することもできる。長手軸線というのは、電極5、6の、流れ方向及び/又は流れ通路71の長手方向を向いた軸線である。
【0148】
電極5、6の形状及び/又は方向づけに基づいて、反応室2内の電解質の上方へ向かう典型的に乱れた流れが促進される。その速度は連続的に増大し、それによって電極5、6の表面からのガス泡の分離の強さが増大する。それによって電極5、6の効率的に有効な面積が増大し、かつ/又は可能な限り大きく維持され、かつオーム抵抗及び/又は電圧降下が減少し、それによって電解プロセスが改良される。
【0149】
電解質は、好ましくは連続的に圧力を受けて内側の反応室69の底セクション内及び/又は電極配置3の底セクション内に供給される。循環して移動する電解質のための少なくとも1つの供給開口部23は、内側の反応室69の内側の表面近傍に配置することができ、かつ内側の反応室69の表面に対して鋭角で配置することができる。それによって電解質は、方向づけされた、特に乱れて旋回する、コイル形状に上方へ延びる流れの特性を獲得する。
【0150】
電解質は、一部は、電極5、6の間でほぼ螺旋形状に流れ、内側の反応室69の底セクションから始まってその上方の端縁の方向へ立ち上がり、電極5、6からのガス泡の剥離を支援し、かつ促進する。少なくとも1つの電磁コイル13、70の磁場と組み合わされて、方向づけされた電解質流は、電解質内の付加的なイオン流を誘導し、そのイオン流がより高い電流密度とプロセスの強化をもたらす。
【0151】
少なくとも1つの流体ポンプ42を含む、アクティブな電解質循環41によって、電解質が好ましくは連続的又は非連続的に、内側の反応室69の、特に電解質容器30の、上方の溢流エッジ27及び/又は画成エッジ29を越えて流れることも、もたらされる。それによって、一種の「電解質の滝」が生じ、それが電解質の脱ガスを支援する。
【0152】
電解質の脱ガスを強化するために、内側の反応室69の外側面に、少なくとも1つの脱ガス装置82を設置及び/又は形成することができ、これが
図10に図式的に示されている。特に、電解質の流れ方向に関して、収容容器4の溢流エッジ27の後方に電解質のための脱ガス装置82を設けることができる。
【0153】
脱ガス装置82は、リブつきの表面を有する多段のカスケードの列を有することができ、それが、電解質液を薄い層にしてしかるべく拡大された表面にわたって分配し、かつそのようにして強力かつ効率的な脱ガスを保証することを、可能にする。好ましい実施形態によれば、脱ガス装置82は、筒軸線及び/又は垂直軸線8に対して径方向に延びる、電解質のための少なくとも1つの分配部材83によって形成することができ、その分配部材83は、溢流エッジ27を越えて流れる電解質の表面を増大させるため、あるいは分配部材83に比較的薄い電解質液フィルムを形成するために、設けられている。分配部材83は、収容容器4及び/又は電解質容器30を中心に環状に配置することができ、かつその径方向内側のセクションから始まってその径方向外側のセクションの方向に下方へ向かって傾斜して方向づけすることができるので、ガスを含んだ電解質が下方へ向かう方向に、特に収集セクション35内へ、重力に基づいて流出することが保証されている。
【0154】
脱ガス装置82と、負荷又はそのユニット、たとえば真空ポンプ又は燃焼室によって構築される負圧とからなる組み合わせが、電解質泡及び/又は電解質内に含まれるガスを強力に除去し、それによって負荷、たとえば内燃機関51へ供給されるガス量が増大し、かつ電解質のオーム抵抗が減少される。それによって事実上のセル電圧が減少され、かつプロセスのエネルギ収支が改良される。電解質からのそれぞれのガスのより短い遊離時間が達成されるので、電極5、6及びその有効な表面が電解プロセスに最高程度で提供される。
【0155】
脱ガスプロセスの後に、電解質は内側の中空室内へ、及び/又は、外側の反応室2の収集セクション35内へ達して、少なくとも1つの排出開口部36を通って再び電解質容器30内へ戻る。これが、電解質のリザーブ体積を有する流体タンク43及び場合によっては、フィルタ装置40を介在させて、行われる。流体タンク43のリザーブ体積から電解質が再循環ポンプ42と少なくとも1つの導管接続された還流路37を使用して、あらかじめ定められた圧力のもとで電解質容器30内及び/又は電極配置3に戻される。
【0156】
電磁コイル13及び/又は部分巻き線19-19’”のセット(
図5及び/又は9)が、電極配置5、6の上方及び/又は下方に配置されている。垂直に方向づけされた、中空筒状に形成されている電磁コイル70は、誘電材料から形成された内側の反応室69の筒状の表面上に、あるいは誘電性の中空筒状のコア上に巻かれ、そのコアは筒軸線及び/又は垂直軸線8の軸線方向において内側の反応室69のまわりに配置されている。電磁コイル13、70は、電解反応システム1の駆動の間、好ましくは電解質内に完全に浸漬されている。
【0157】
以下、
図5及び/又は9に示す電磁ユニットを参照する:電極5、6の上方かつ-選択肢として-電極5、6の下方にある、電磁コイル13及び/又はその部分巻き線19-19’”(
図5及び/又は9)は、共通の誘電性のリングコア上に巻かれている。部分巻き線19-19’”は、隣接する部分巻き線19-19’”の間の好ましくは20度の間隙及び/又は巻き間隔20-20”をもって直列に接続されている。各部分巻き線19-19’”は、単位長さ及び/又は単位周あたり最大の巻き数をもって、しっかりと隙間なしに巻かれている。部分巻き線19-19’”は、層状に構築されている。各部分巻き線19-19’”は、奇数の巻き層を有している。
【0158】
電磁コイル13及び/又はその部分巻き線19-19’”は、電流供給源及び/又はエネルギ供給源22に接続されており、それが1Hz~100Hzの領域内の脈動するエネルギを供給する。電磁コイル13及び/又はその部分巻き線19-19’”の電磁場は、電解質と電極配置3に、それらが電気エネルギにさらされた場合に、作用し、それによって電解プロセスの電流密度とそれに伴って効率が上昇する。
【0159】
駆動の間、少なくとも1つの電磁コイル13及び/又はその部分巻き線19-19’”が、脈動する不均一な磁場を発生させる。互いに隣接する部分巻き線19-19’”の磁場は、エアギャップ内及び/又は部分巻き線19-19’”の間の巻き間隔20-20”の内部で重畳され、それによってその強さが増大する。移動する電解質と結びついた、脈動する磁場は、電解質内にイオンの付加的な運動を誘導し、それが電極5、6の間により高い電流密度をもたらし、かつガス形成プロセスの効率を高める。
【0160】
脈動する電磁場は、電極5、6のマイクロ振動も導入し、電解質内にショック波を発生させ、それが電極5、6からガス泡を強力に除去し、かつそれによって電極5、6における過電位及び/又は過電圧を減少させる。すなわち、もたらされた過電圧エネルギは、通常、熱として失われ、したがって物質代謝には寄与しない。
【0161】
垂直の中空筒状のコイル70は、誘電材料からなる内側の反応室69の筒状表面上に取りつけられている。中空筒状のコイル70の垂直の高さは、電極5、6の垂直の高さと同じ領域内にある。脈動するエネルギ供給は、1~100Hzの周波数領域内で作動する、網部分によって保証される。
【0162】
垂直の電磁コイル70の駆動の間に、電極5、6はこのコイル70の金属コアの特性を得る。内側の反応室69を通って流れる磁束が時間と共に変化して、したがって電極5、6に電磁誘導をもたらす。電極5、6は、電気的に互いに絶縁されており、かつ径方向において異なる直径上に位置しているので、それらは異なる電位も有し、それによって電極5、6の間に電位差が生じ、それが電解プロセスを増強する。さらに、中空筒状の電磁コイル70の電磁場と環状の1つ(複数)のコイル13の電磁場との相互作用の領域内では、シナジー効果も得られ、それが上述した効果を増強する。
【0163】
上方/下方の電磁コイル13と垂直の電磁コイル70の磁場が、引っ張り力を誘導し、それが電解質内のガス泡に作用して、電解質表面からの泡の剥離を支援する。泡の剥離速度が加速される。剥離速度の上昇が、電極5、6の表面上の泡の滞留時間を減少させて、泡カバーを減少させ、それによって電極5、6の過電位及び/又は過電圧が減少して、ガス生成の効率が改良される。中間時間において、電極表面上の絶縁する泡層におけるオーム抵抗及び/又は電圧降下の減少が得られる。
【0164】
電磁コイル13、70の電磁場とローカルな電流密度との相互作用が、付加的な電解質流を誘導し、それが水素ガスと酸素ガスの形成に影響を与える。増大された電流密度が、より少ないエネルギ需要において、より多くの水素生成をもたらす。磁気的に誘導された流れが、拡散層厚を減少させて、電解質内の物質移送を改良する。脈動する不均一な磁場と移動する電解質の相互作用が、電解質の磁気静水圧的な対流をもたらし、それによって電解プロセスの効率を改良し、かつエネルギ消費を削減することができる。
【0165】
実施例は、可能な実施変形例を示しており、ここに記録しておくが、本発明は具体的に示された実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であり、これらの変形可能性はこの発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この技術分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。したがって、図示されかつ記載された実施変形例の個々の詳細の組み合わせによって可能となる、全ての考え得る実施変形例も、保護範囲に共に含まれる。
【0166】
形式的に最後に指摘しておくが、電解反応システム1の構造をよりよく理解するために、この反応システム及び/又はその構成部分は、一部縮尺どおりではない、かつ/又は拡大及び/又は縮小して示されている。
【0167】
独自の進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0168】
特に、
図1;2;3;4;5;6;7;8;9;10;11に示される個々の実施例は、独自の進歩的解決の対象を形成することができる。これに関する本発明に係る課題と解決は、これらの図の詳細説明から読み取ることができる。
【符号の説明】
【0169】
1 反応システム
2 反応室
3 電極配置
3’ 電極配置
4 収容容器
5 電極(アノード)
6 電極(カソード)
7 扇子軸線
8 筒軸線及び/又は垂直軸線
9 間隔
9’ 間隔
10 広がり角度
11 あいた場所
12 径方向の間隔
13 電磁コイル
14 流体レベル(最小)
15 中心点
16 中央平面
17 巻きボディ
18 コイル巻き線
19 部分巻き線
19’ 部分巻き線
19” 部分巻き線
19'” 部分巻き線
20 巻き間隔
20’ 巻き間隔
20” 巻き間隔
21 エネルギ供給源
22 エネルギ供給源
23 供給開口部
24 手段(乱流)
25 吸い込み及び/又は排出ノズル
26 ガス室
27 溢流エッジ
28 流体レベル(最大)
29 画成エッジ
30 電解質容器
31 筒軸線
32 泡
33 充填レベル
34 排出通路
35 収集セクション
36 排出開口部
37 還流路
38 液体タンク
39 水容器
40 フィルタ装置
41 電解質循環
42 流体ポンプ
43 冷却装置
44 熱交換器
45 供給
46 排出
47 通過開口部
48 周囲空気
49 調整手段
50 手段(負圧発生)
51 内燃機関
52 接続部
53 燃料供給部
54 間隔
55 間隔
56 管軸線
57 間隙
58 間隙
59 材厚
60 材厚
61 スリット
62 スリット
63 周角度
64 円周
65 自由角度
66 変位角度
67 コイル接続端
68 コイル接続端
69 内側の反応室
70 中空筒コイル
71 流れ通路
72 外側の側面
73 軸線方向高さ
74 垂直の長さ
75 内側の側面
76 外側の側面
77 角度
78 第1の軸線方向端部
79 第2の軸線方向端部
80 第1の流れ横断面
81 第2の流れ横断面
82 脱ガス装置
83 分配部材
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状の水素と酸素を発生させる電解反応システム(1)であって、
電解質を収容するための反応室(2、69)を有し、
前記反応室(2)内の電極配置(3)を有し、前記電極配置(3)が複数のアノードの電極(5)とカソードの電極(6)から形成されており、
前記電極配置(3)が
、同軸又はほぼ同軸に配置された、管状の前記電極(5、6)によって形成されており、かつ互いに隣接して配置された管状の前記電極(5、6)の筒状の側面又は、互いに対して角度をもって方向づけされた複数の面からまとめられた側面が、
少なくとも1つの間隙(57、58)によって互いに対して離隔して配置されており、かつ、互いに離隔して配置された前記電極(5、6)の側面の間に、電解質のための少なくとも1つの流れ通路(71)が形成されており、前記流れ通路が、前記電極配置(3)内へ電解質が流入するための第1の軸線方向の端部(78)と、前記電極配置(3)から電解質が流出するための第2の軸線方向の端部(79)との間に延びて
おり、
前記少なくとも1つの流れ通路(71)が、少なくとも1つの第1の流れ横断面(80)と少なくとも1つの第2の流れ横断面(81)とを有しており、前記第2の流れ横断面(81)が、前記第1の流れ横断面(80)よりも小さく寸法設計されており、かつ
比較的小さい前記第2の流れ横断面(81)が、前記少なくとも1つの流れ通路(71)の、前記電極配置(3)の前記第2の軸線方向の端部(79)にもっとも
近くに位置する部分セクション内に形成されている、
電解反応システム(1)において、
直接隣接する前記電極(5、6)の間の前記少なくとも1つの間隙(57、58)が、前記電極配置(3)の垂直方向において下方の第1の軸線方向の端部(78)の領域内で最大であり、あるいは前記電極配置(3)の垂直方向において上方の前記第2の軸線方向の端部(79)の領域内におけるよりも大きく、かつ前記少なくとも1つの間隙(57、58)が前記電極配置(3)の垂直方向において上方の前記第2の軸線方向の端部(79)の領域内で、最小又はより小さいことを特徴とする電解反応システム(1)。
【請求項2】
次第に細くなる前記流れ横断面(81)が、前記電極(5、6)の少なくとも1つのものの、前記第1の軸線方向の端部(78)から前記第2の軸線方向の端部(79)の方向に次第に、あるいは飛躍的に増大する材厚(59、60)によって形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電解反応システム。
【請求項3】
前記電極配置(3)の径方向もっとも内側と径方向もっとも外側に配置されている少なくとも1つの前記電極(5、6)の径方向内側の側面(75)及び/又は径方向外側の側面(76)が、前記電極配置(3)の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)に対して
傾斜して形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解反応システム。
【請求項4】
前記電極配置(3)の径方向もっとも内側の管状の前記電極(5、6)が、その垂直の長さ(74)の全体にわたって、変化しない材厚(59)と変化しない外径とを有している、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項5】
前記電極(5、6)の少なくとも1つのものの、径方向内側の側面(75)及び/又は径方向外側の側面(76)が、円錐台の側面の形状で形成されている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項6】
次第に細くなる前記少なくとも1つの流れ通路(71)が、少なくとも2つの直接隣接する前記電極(5、6)の互いに対して
傾斜し角度をもって延びる長手軸線によって形成されている、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項7】
前記電極配置(3)の想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)の軸線方向において、前記電極配置(3)の上方及び/又は下方に少なくとも1つの電磁コイル(13)が配置されており、その電磁場は、電気エネルギが供給された場合に、電解質と前記電極配置(3)に作用する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項8】
前記反応室(2)内に、実質的に中空筒状又は中空プリズム形状の収容容器(4)、特に電解質容器(30)が形成されており、その中に少なくとも1つの管状の前記電極配置(3)が配置されている、ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項9】
電解質容器(30)又は電解質用及び少なくとも1つの前記電極配置(3)用の収容容器(4)が、上方の終端セクション内で開放して形成されており、かつその側面又は筒面が、前記反応室(2)の内側の壁面から離隔して配置されている、ことを特徴とする請求項
8に記載の電解反応システム。
【請求項10】
管状の前記電極配置(3)の想像上の管軸線(56)が、実質的に想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)上に位置し、あるいは収容容器(4)及び/又は前記反応室(2)の想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)に対して等しく重なる、ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項11】
少なくとも1つの前記電極配置(3)が電解質内に完全に浸漬されており、かつ少なくとも1つの電磁コイル(13、70)が同様に電解質用の通常の、あるいは最小の流体レベルの下方に位置し、あるいは少なくとも主として電解質内に浸漬されている、ことを特徴とする請求項7~1
0のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項12】
少なくとも1つの電磁コイル(13、70)の電磁場が、前記アノードの電極(5)と前記カソードの電極(6)を次のように、すなわち、前記アノードの電極(5)と前記カソードの電極(6)に生じる、あるいは付着するガス泡の剥離が支援されるように、機械的に振動させる、ことを特徴とする請求項7~1
1のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項13】
少なくとも1つの電磁コイル(13)が上面で見て実質的に環状に形成されており、かつその中央点及び/又は中心点(15)が、前記電極配置(3)の想像上の筒軸線及び/又は垂直軸線(8)上に、あるいはその近傍に、位置する、ことを特徴とする請求項7~1
2のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項14】
電磁コイル(13)がトーラス形状に形成されており、かつ少なくとも1つのコイル巻き線(18)、好ましくは少なくとも2つ、特に4つが、巻きボディ(17)の円周を中心に分配して配置された、それぞれ互いに離隔して巻かれた部分巻き線(19、19’、19”、19'")を有している、ことを特徴とする請求項1
3に記載の電解反応システム。
【請求項15】
前記反応室(2、69)あるいは電解質を収容する収容容器(4)の下方のセクション内に、電解質を供給し、かつ/又は追加充填するための少なくとも1つの供給開口部(23)が配置されている、ことを特徴とする請求項1~1
4のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項16】
前記反応室(2、69)内、あるいは電解質を収容する収容容器(4)内に、電解質において乱流を発生させるため、特に電解質内に流れた、たとえば乱れた、あるいは渦巻き状の流れを構築するための、少なくとも1つの手段(24)が形成されている、ことを特徴とする請求項1~
15のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項17】
前記乱流を発生させる手段(24)が、少なくとも1つの吸い込み及び/又は排出ノズル(25)によって、好ましくは前記反応室(2、69)内へ、あるいは電解質の収容容器(4)内へ通じる、電解質のための複数の吸い込み及び/又は排出ノズル(25)によって、形成されている、ことを特徴とする請求項
16に記載の電解反応システム。
【請求項18】
少なくとも1つの吸い込み及び/又は排出ノズル(25)が、前記反応室(2、69)あるいは収容容器(4)の内側の側面の近傍領域内に配置されており、かつ内側の側面に対して角度をもって配置されているので、電解質内に乱れて旋回する流れが発生可能である、ことを特徴とする請求項
17に記載の電解反応システム。
【請求項19】
前記反応室(2、69)内に、電解質の最大の流体レベル(28)を制限し、あるいは定めるための溢流エッジ(27)が形成されている、ことを特徴とする請求項1~
18のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項20】
電解質のための少なくとも1つの溢流エッジ(27)が、収容容器(4)の、特に垂直に方向づけされた筒軸線(31)を有する中空筒状の電解質容器(30)の、上方の画成エッジ(29)によって形成されている、ことを特徴とする請求項
19に記載の電解反応システム。
【請求項21】
前記反応室(2)の底セクション内に、前記反応室(2)から溢流エッジ(27)を介して流れた電解質あるいは電解質泡を導出するための少なくとも1つの排出開口部(36)が形成されている、ことを特徴とする請求項
19に記載の電解反応システム。
【請求項22】
溢流エッジ(27)を介して流れた電解質を収容容器(4)内、特に中空筒状の電解質収容容器(30)内へ戻す還流路(37)を特徴とする、請求項
19に記載の電解反応システム。
【請求項23】
ガス閉鎖機構、特に発生する水素と酸素のためのサイフォン形式のガスロックを形成するために、前記反応室(2)の内部あるいは前記反応室(2)内へ通じる、電解質用の還流路(37)の内部に、溢流エッジ(27)を介して流れた電解質のための収集セクション(35)を形成する、ことを特徴とする請求項
19に記載の電解反応システム。
【請求項24】
電解質の連続的又は非連続的な供給(45)と排出(46)、特に水を有する、又は水によって形成される電解質を前記反応室(2、69)内及び/又は電解質を収容する収容容器(4)内で時間に関して徐々に交換する、ことを特徴とする請求項1~2
3のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項25】
前記反応室(2)、特にそのガス室(26)と、内燃機関(51)、特にガソリンエンジン、ガスエンジン又はディーゼルエンジンの燃料供給部(53)、特に吸気システムとの間に流れ接続部(52)を構築することにより、前記反応室(2)内に負圧を構築する、ことを特徴とする請求項1~
24のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項26】
少なくとも1つの電磁コイル(13)が、実質的にトーラス形状及び/又は環状に形成されており、かつ電気的に直列に接続された複数の部分巻き線(19、19’、19”、19’”)を有し、それらがそれぞれ20°と50°の間、特に25°と45°の間の周角度(63)にわたって、好ましくはコイル(13)の円周(64)の約30°にわたって延びている、ことを特徴とする請求項7~
25のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項27】
前記反応室(2,69)又は収容容器(4)の外側の側面(72)に、あるいは前記反応室(2、69)又は収容容器(4)を取り巻く誘電性の巻き支持体に、1層又は多層の、中空筒状に形成された電磁コイル(70)が取りつけられており、その電磁場は、電気エネルギが供給された場合に電解質及び前記電極配置(3)に作用する、ことを特徴とする請求項1~
26のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項28】
中空筒状の電磁コイル(70)の軸線方向の長さ(73)が、前記電極配置(3)の垂直の長さ(74)に少なくともほぼ相当する、ことを特徴とする請求項
27に記載の電解反応システム。
【請求項29】
電解質の流れ方向に関して、前記反応室(69)及び/又は収容容器(4)の溢流エッジ(27)の後方に、電解質のための脱ガス装置(82)が形成されている、ことを特徴とする請求項
19~
28のいずれか1項に記載の電解反応システム。
【請求項30】
脱ガス装置(82)が、筒軸線及び/又は垂直軸線(8)に対して径方向に延びる、電解質のための少なくとも1つの分配部材(83)によって形成されており、前記分配部材が溢流エッジ(27)を越えて流れる電解質の表面を増大させるため、あるいは分配部材(83)に電解質液体フィルムを形成するために、設けられている、ことを特徴とする請求項
29に記載の電解反応システム。
【請求項31】
分配部材(83)が、前記反応室(69)及び/又は収容容器(4)のまわりに環状に配置されており、かつその径方向内側のセクションから始まってその径方向外側のセクションの方向に下方へ向かって傾斜して方向づけされている、ことを特徴とする請求項
30に記載の電解反応システム。
【請求項32】
分配部材(83)が、電解質を分配して導出するために、階段状又は波形に延びる表面を有している、ことを特徴とする請求項
30又は
31に記載の電解反応システム。
【国際調査報告】