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特表2023-503138キャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】キャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システム
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/24 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
B65D81/24 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530199
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 CN2020132438
(87)【国際公開番号】W WO2021129312
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201911349190.7
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522203156
【氏名又は名称】上▲海▼明悦医▲療▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲維▼▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲瑩▼▲瑩▼
(72)【発明者】
【氏名】宗 果
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA11
3E067AB99
3E067BA01A
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA15
3E067GA19
3E067GB07
(57)【要約】
キャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムであって、前記キャリアは、組織を載せるための少なくとも1つの冷凍チャンバを有し、前記冷凍チャンバの組織との接触面に、複数の流路ガイド穴がある。前記キャリアは、真空引き装置と協働して、組織表面の余分な液体、例えば保護剤を真空によって吸い取るとともに、液体を流路ガイド穴に沿って前記冷凍チャンバから排出させることで、組織と高濃度の保護剤との長時間接触によって生じえる毒性損傷を低減することができる。また、余分な液体を排出することで、組織の冷凍保存体積を低減し、冷凍時の降温速度を高めることもできる。特に、前記真空引き装置は、密封用の被膜を組織と密着させるように前記キャリアを真空封止することもでき、これにより、液体窒素と組織との間の伝熱抵抗が低減し、同じく冷凍時の降温速度を高め、組織内に氷晶が形成されることによる組織への不可逆的な損傷を防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の冷凍保存のためのキャリアにおいて、
前記キャリアは、少なくとも1つの冷凍チャンバを有し、前記冷凍チャンバの前記組織と接触する接触面に複数の流路ガイド穴が設けられ、複数の前記流路ガイド穴は、組織の表面の液体を真空によって吸い取るとともに、前記液体を複数の前記流路ガイド穴を介して前記冷凍チャンバから排出させることを特徴とするキャリア。
【請求項2】
前記冷凍チャンバの組織と接触する前記接触面は、底面と前記底面に隣接する側面とを含み、前記側面は前記底面に対して勾配を有することを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
【請求項3】
前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面の断面形状が、U字形、半円形、または半楕円形であることを特徴とする請求項2に記載のキャリア。
【請求項4】
前記キャリアは、前記キャリアの軸方向に間隔を置いて配置される複数の前記冷凍チャンバを有することを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
【請求項5】
前記流路ガイド穴は、前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面に配置される入口と、前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面から離れる出口とを有し、前記入口の断面積は、前記出口の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
【請求項6】
前記流路ガイド穴の断面積は、前記入口から前記入口に向かって次第に減少ことを特徴とする請求項5に記載のキャリア。
【請求項7】
前記キャリアに、読み取り可能な患者情報を記載した情報記録体が配置され、前記情報記録体は二次元コードおよび/またはRFIDチップを含むことを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のキャリアと協働して組織の表面の液体を真空によって吸い取るための真空引き装置であって、
前記真空引き装置は、
キャリアを配置するための配置チャンバを有する取付台と、
前記配置チャンバと前記キャリア上の複数の前記流路ガイド穴とが連通することにより、前記キャリアに配置される前記組織の表面の液体を真空によって吸い取るための真空ポンプと、
を含むことを特徴とする真空引き装置。
【請求項9】
前記真空引き装置は、キャリアを真空封止するための被膜をさらに含み、前記被膜には開口が設けられ、前記取付台には真空封止口が設けられ、前記真空封止口は、前記開口及び前記真空ポンプにそれぞれ接続されることを特徴とする請求項8に記載の真空引き装置。
【請求項10】
前記配置チャンバの形状が、前記キャリアの形状と合わせることを特徴とする請求項8に記載の真空引き装置。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載のキャリアと、
請求項8~10のいずれか1項に記載の真空引き装置と、
を含むことを特徴とする組織冷凍保存システム。
【請求項12】
前記キャリアと前記配置チャンバとの間に配置され、前記流路ガイド穴から排出される液体を吸収するための吸水構造をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の組織冷凍保存システム。
【請求項13】
前記組織は卵巣組織であることを特徴とする請求項11または12に記載の組織冷凍保存システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、具体的にはキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムに関する。
【背景技術】
【0002】
卵巣組織の冷凍保存は、生殖補助分野および腫瘍分野において注目されている話題であり、青春期になる前の女性において、成熟した卵母細胞を生成して放射線化学療の前の生殖力保持を行うことができなく、卵巣組織の冷凍保存は、生育能力を保持するための重要な手段の1つである。卵巣組織の低温保存方法としては、主に緩速冷凍保存とガラス化冷凍保存がある。そのうち、緩速冷凍保存は、専用のルーティン温度下げ機器が必要であり、降温に要する時間が長く、操作が複雑であり、かつ降温の過程で細胞内部に氷晶が形成されて卵巣組織に不可逆的な損傷をもたらしやすいため、臨床的には卵巣組織の緩速冷凍保存の応用普及が制限される。これに比べて、ガラス化冷凍保存では、卵巣組織を高濃度の保護剤に入れ、その後、キャリアに載せて液体窒素に入れて温度を下げて保存することで、組織の急速な冷却を実現してガラス状態とすることができ、細胞内部の氷晶形成が回避される。研究により、卵巣組織がガラス化冷凍保存された後、解凍の効果は緩速冷凍保存より優れ、かつガラス化冷凍保存は操作が簡単であり、時間が短く、臨床的に良好な応用見通しがあることが示された。
【0003】
ガラス化冷凍保存において、速い降温速度および高い濃度の保護剤が必要であり、この2つの要因は互いに影響する。降温速度を高めることにより、ガラス化に必要な保護剤の濃度を低下させることができる。降温速度は、組織に残る溶液の体積、液体窒素との伝熱抵抗、キャリアの材質および厚さなどの多くの要因に関連している。従来の卵巣組織のガラス化冷凍保存のキャリアは、主に冷凍麦管、ニードリング式キャリアまたはステンレスシートなどである。そのうち、冷凍麦管では、小体積の卵巣組織のみを冷凍保存することができ、組織が細切され切断される間に卵胞が失われ、移植後のホルモン分泌の維持時間が短くなる可能性がある。常用のニードリング式冷凍キャリアでは、卵巣組織に不可逆的な機械的損傷を与え、且つ操作中に組織が針から外れやすい。ステンレスシートのキャリアに載せられた後、組織に付着した余分な溶液を除去しにくく、冷凍保存体積が大きく、冷凍時の降温速度が影響され、ガラス化に不利である。したがって、保護剤を添加した後に余分な液体を除去しないことは、冷凍速度に大きな影響を及ぼす。
【0004】
また、液体窒素中に存在する病原菌による交差感染を防止するために、封止式の冷凍保存キャリアも、臨床医学上よく使用される。従来の封止方法として、一般的にはチューブ法及び被膜法があるが、チューブ及び被膜と組織との隙間内に存在する空気は、伝熱抵抗が大きいため、組織の降温速度に影響し、組織内に氷晶が形成されて氷晶損傷が大きくなる可能性がある。また、患者の卵巣組織を採取した後、備品として複数のサンプルを冷凍保存する必要があり、市販の一般的なキャリアを使用すると、ハイスループットの冷凍保存が実現できなく、1人の患者に組織を保存するための複数のキャリアが必要であるが、キャリアの単価が高くため、冷凍保存のコストも高くなる。また、ガラス化後に組織付きのキャリアを液体窒素に置いて一括管理保存する必要もあり、この時、患者情報を手書きや印刷してキャリアの外部に貼り付く必要があるが、入手する際に情報確認が難しく、管理が不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、組織、特に卵巣組織をガラス化冷凍保存する際の降温速度を高めて、組織の内部に氷晶が形成されて組織に不可逆的な損傷が発生することを防止するキャリア、真空引き装置、および組織冷凍保存システムを提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、従来のキャリアが高価であり、ハイスループットの冷凍保存を実現できず、患者情報の管理が不便であるという問題を解決するキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明の第1態様により、組織の冷凍保存のためのキャリアが提供され、前記キャリアは、少なくとも1つの冷凍チャンバを有し、前記冷凍チャンバの前記組織と接触する接触面に複数の流路ガイド穴が設けられ、複数の前記流路ガイド穴は、組織の表面の液体を真空によって吸い取るとともに、前記液体を複数の前記流路ガイド穴を介して前記冷凍チャンバから排出させるために用いられる。
【0008】
前記冷凍チャンバの組織と接触する前記接触面は、底面と前記底面に隣接する側面とを含み、前記側面は前記底面に対して勾配を有してもよい。
【0009】
前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面の断面形状が、U字形、半円形、または半楕円形であってもよい。
【0010】
前記キャリアは、前記キャリアの軸方向に間隔を置いて配置される複数の前記冷凍チャンバを有してもよい。
【0011】
前記流路ガイド穴は、前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面に配置される入口と、前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面から離れる出口とを有し、前記入口の断面積は、前記出口の断面積よりも大きいであってもよい。
【0012】
前記流路ガイド穴の断面積は、前記入口から前記入口に向かって次第に減少してもよい。
【0013】
前記キャリアに、読み取り可能な患者情報を記載した情報記録体が配置され、前記情報記録体は二次元コードおよび/またはRFIDチップを含んでもよい。
【0014】
本発明の第2態様により、本発明のいずれか一つの技術案に記載のキャリアと協働して組織の表面の液体を真空によって吸い取るための真空引き装置が提供され、前記真空引き装置は、キャリアを配置するための配置チャンバを有する取付台と、前記配置チャンバと前記キャリア上の複数の前記流路ガイド穴とが連通することにより、前記キャリアに配置される前記組織の表面の液体を真空によって吸い取るための真空ポンプと、を含む。
【0015】
前記真空引き装置は、キャリアを真空封止するための被膜をさらに含み、前記被膜には開口が設けられ、前記取付台には真空封止口が設けられ、前記真空封止口は、前記開口及び前記真空ポンプにそれぞれ接続されてもよい。
【0016】
前記配置チャンバの形状が、前記キャリアの形状と合わせてもよい。
【0017】
本発明の第3態様により、本発明のいずれか一つの技術案に記載のキャリアと本発明のいずれか一つの技術案に記載の真空引き装置を含む組織冷凍保存システムが提供される。
【0018】
前記組織冷凍保存システムは、前記キャリアと前記配置チャンバとの間に配置され、前記流路ガイド穴から排出される液体を吸収するための吸水構造をさらに含んでもい。
【0019】
前記組織は卵巣組織であってもよい。
【0020】
従来技術と比べて、本発明のキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムは、以下の利点を有する。
【0021】
第1は、キャリアと真空引き装置と協働させることにより、真空引き装置によって、複数の流路ガイド穴を介して組織表面の余分な液体、例えば保護剤を吸い取って、余分な液体を流路ガイド穴に沿って冷凍チャンバから排出させることができる。こうすることで、組織と高濃度の保護剤との長時間接触によって生じえる毒性損傷を低減することができる。また、余分な液体を冷凍チャンバから排出することで、組織の冷凍保存体積を低減し、冷凍時の降温速度を高めることもできる。
【0022】
第2は、キャリアに情報記録体、例えばRFIDチップや二次元コードを設置することにより、正確に患者情報を記録することができるだけでなく、入手する際に素早く情報確認を行うことができ、環境温度で長時間に停留することによる組織サンプルへの潜在的な損害を回避し、患者情報の確認の二重保障も提供でき、情報エラーによる倫理的問題を回避できる。
【0023】
第3は、冷凍チャンバの組織と接触する接触面は、底面と、底面に隣接する側面とを有し、側面は、底面に対して一定の勾配を有し、すなわち、組織が配置される表面は、一定の勾配を有し、例えば、冷凍チャンバの組織と接触する接触面の断面が、U字形、半円形、または半楕円形の形状を有することができ、これにより、組織表面の液体は、自体の重力によって下方へ集まり、液体の浸出効率が向上する。
【0024】
第4は、実際の使用する際に、被膜によってキャリアを真空封止して被膜を組織に密着させ、液体窒素と組織との間の伝熱抵抗が極めて減少し、これにより、冷凍時の降温速度をさらに向上させることができ、氷晶形成の低減に寄与し、冷凍効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例に係るキャリアの立体構成の概略図である。
図2図1に示す実施例のキャリアの正面構成の概略図である。
図3】本発明の一実施例に係る真空引き装置の立体構成の概略図である。
図4図3に示す実施例の真空引き装置の正面構成の概略図である。
図5】本発明の一実施例に係る組織冷凍保存方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[符号の説明]
100:キャリア、101:手持ち部、102:RFIDチップ、:冷凍チャンバ、104:流路ガイド穴、105:二次元コード、200:真空引き装置、201:取付台、202:配置チャンバ、203:真空封止口、204:真空ポンプ。
【0027】
本発明の内容がより理解しやすいように、添付の図面及び実施例を参照して本発明をさらに説明する。しかし、本発明は、以下に記載される具体的な実施例に限定されるものではなく、当業者に周知の一般的な代替例も本発明の保護範囲内に含まれることが理解されるであろう。なお、図面はいずれも非常に簡略化された形態であり、非正確な比例を使用し、本発明の実施例の説明を容易かつ明確に支援するためのものである。
【0028】
以下の説明において、各部品に関する「上」および「下」への言及は、図面に基づいてなされ得ることが理解されるべきである。例えば、「…の下方」、「...の下」、「下の」、「上の」などの空間的用語は、図面に示される1つの部品ともう一つの部品との位置関係を容易に説明することを目的としている。図に示される向きに加えて、空間的関係用語は、使用又は動作中の装置の様々な異なる向きを含むことができる。装置は、他の方式、例えば90度回転させて、または他の向きで配置することができ、対応する説明は、それに使用される空間的関係の記述によって行われる。
【0029】
本発明を具体的に説明する前に、本発明の主要な原理と思想を説明する。背景技術で述べたように、従来技術では、卵巣組織をガラス化冷凍保存する際に降温速度が低いから、氷晶が発生しやすく、組織に不可逆的な損傷を与えるという問題がある。この技術的問題に対して、本発明の核心思想は、組織表面の余分な液体を真空によって吸い取ることにより、冷凍保存体積を低減し、冷凍時の降温速度を高めることを目的とするキャリア、真空引き装置、及び組織凍結保存システムを提供することである。余分な液体を除去した後、さらに被膜でキャリアを真空封止して密封用の被膜を組織に近接させることができ、これにより、液体窒素と組織との間の熱抵抗が低減して、冷凍時の降温速度を高め、組織内に氷晶が形成されるより組織に不可逆的な損傷を与えることを防止できる。
【0030】
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施例によるキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムについて説明する。
【0031】
図1及び図2を参照し、本発明の一実施例に係るキャリア100の立体構成の概略図及び正面構成の概略図である。図1および図2に示すように、キャリア100は、組織、特に卵巣組織を載せるための少なくとも1つの冷凍チャンバ103を有する。また、冷凍チャンバ103の組織と接触する接触面に、複数の流路ガイド穴104が設けられている。好ましくは、前記冷凍チャンバは通気性である。流路ガイド穴104は、冷凍チャンバ103の組織と接触する接触面に配置される入口と、冷凍チャンバ103の組織と接触する接触面から離れる出口とを有する。好ましくは、前記入口の断面積は、前記出口の断面積よりも大きくなり、その結果、流路ガイド穴104は、上側が広く、下側が狭い構造となる。これで、流路ガイド穴104の組織に近い側の径が大きくされて、流路ガイド穴104の組織と接触する入口部分は広くなり、これにより、接触面は大きくなって液体を広い面積で収集でき、一方、組織から離れる出口部分は狭いため、液体の排出効率を高めるのに役立つこととして理解してもよい。流路ガイド穴104の断面積は、前記入口から前記出口に向かって次第に減少してもよい。
【0032】
また、本実施例は真空引き装置200を提供し、図3及び図4に示すように、真空引き装置200の立体構成の概略図及び正面構成の概略図。真空引き装置200は、キャリア100と協働するように構成され、キャリア100を配置するための配置チャンバ202を有する取付台201を含む。配置チャンバ202内には、キャリア100の流路ガイド穴の出口に対応する吸引口が設けられるとよい。また、真空引き装置200は、真空引きのための動力機器、例えば真空ポンプ204をさらに含む。キャリア100が配置チャンバ202内に位置決められた後、前記動力機器は、配置チャンバ202の吸引口とキャリア100上の複数の流路ガイド穴104とが連通することにより、キャリアに配置された組織表面の液体を真空によって吸い取ることができる。真空ポンプ204を例に挙げて、前記真空ポンプ204は、キャリア100の底部から吸い取って、キャリア100の上下側の圧力差によって空気を流れさせることにより、キャリア100の上方の組織表面の余分な液体を連れて流路ガイド穴104を介して下方に排出させることができる。
【0033】
本実施例では、冷凍チャンバ103の組織と接触する接触面は、底面と、前記底面に隣接する側面とを含み、前記側面は、底面に対して一定の勾配を有してもよい。前記勾配の勾配比(勾配面の垂直高さと水平幅との比)は、1:3~1:1の範囲であってもよい。勾配を設けることにより、組織表面の液体が自体の重力によって下方へ集まり、液体の浸出効率が向上する。さらに、冷凍チャンバ103と組織との接触面の断面形状をU字状とすることができ、これにより、液体自体の重力によって、冷凍チャンバ103の中央凹部(例えば、接触面の底面)に液体を集中させ、液体の滲出効率を高めることができる。別の実施例では、冷凍チャンバ103の組織と接触する接触面の断面形状は、半円形や半楕円形などの規則的な形状であってもよいし、異形などの勾配を有する不規則な形状であってもよい。
【0034】
冷凍チャンバ103の数は複数であって、複数の冷凍チャンバ103はキャリア100の軸方向に間隔を置いて配置され、且つ複数の冷凍チャンバ103は互いに独立してもよい。さらに、冷凍チャンバ103は、例えば3つまたは4つである。したがって、1つのキャリア100は、複数の組織サンプルを保存することができ、これにより、ハイスループット保存が可能になる。従来の1つのキャリアは、一般的に1つの組織サンプルしか保存することができず、1人当たり/1回当たり3~4つの予備サンプルを準備する必要があり、サンプル数を保証するために、患者は、複数のキャリアを一度に購入する必要があるが、キャリアの単価は高く、総費用は高くなる。これに対して、本発明の実施例に提供されるキャリア100は、ハイスループット保存を可能にし、コストを効果的に削減し、患者情報の一括管理を容易にする。
【0035】
キャリア100に、外部から読み取り可能な患者情報を記載した情報記録体がさらに配置され、前記情報記録体は二次元コード105および/またはRFIDチップ102を含んでもよい。好ましくは、キャリア100に二次元コード105とRFIDチップ102が同時に配置され、これにより、患者情報の確認の二重保障を提供できる。具体的には、患者の情報を記録するためのRFIDチップ102は、手持ち部101内に埋め込まれ、手書きを必要とせず、インクによる潜在的な汚染の危険性を回避でき、データ記録もより正確になる。二次元コード105は、患者情報を二次記録するためのものであり、操作者のミスによる情報の誤りを減らし、また、液体窒素に入れて冷凍する前に患者情報をスキャンして読み取って、保管場所を記録するために使用でき、病院のハイスループット管理に便利である。また、二次元コードをスキャンするのにかかる時間が短く、迅速かつ効率的であるため、前記組織が冷凍される前に高濃度の保護剤と接触する時間を減らすことができ、これによって組織が受ける毒性損傷を減らし、冷凍効果を高めることができる。
【0036】
本実施例では、キャリア100は、全体として棒状を呈している。キャリア100は、対向するように設けられる頭部及び尾部を含む。前記頭部に二次元コード105が設けられ、二次元コード105は、直接印刷されてもよいし、ラベルに印刷されてからキャリア100の頭部に貼り付けられてもよい。前記尾部は、把持可能な手持ち部101である。手持ち部101にはRFIDチップ102が設けられ、冷凍チャンバ103は二次元コード105とRFIDチップ102との間に位置している。好ましくは、キャリア100の長さは、キャリア100の軸方向に順次に間隔を置いて配置され且つ互いに独立した複数の冷凍チャンバ103を設けるように、十分な長さを有する。好ましくは、キャリア100の冷凍チャンバ103を配置するための部分は薄壁構造であり、例えば、複数の冷凍チャンバ103は、断面がU字形、半円形、及び半楕円形の薄壁構造であるように構成されてもよい。本発明のキャリア100は、棒状の形状に限定されるものではなく、該設置方式は本発明の好ましい一実施例にすぎず、キャリア100は、例えば方ブロック状または丸いブロック状などの規則的な形状または不規則な形状であってもよいことを理解されたい。
【0037】
好ましくは、配置チャンバ202は、キャリア100の形状と合わせる形状であり、これにより、キャリア100の正確な位置決めが容易になり、より便利に使用することができる。本実施例では、キャリア100の断面形状がU字形であるため、配置チャンバ202の断面形状は、これに対応するU字形となり、別の実施例では、キャリア100の断面形状は、半円形または半楕円形などの規則的な形状であってもよいし、異形などの勾配を有する不規則な形状であってもよく、配置チャンバ202の断面形状はそれぞれ、これに対応して半円形または半楕円形などの規則的な形状であってもよいし、異形などの勾配を有する不規則な形状であってもよい。
【0038】
さらに、キャリア100と配置チャンバ202との間には、流路ガイド穴104から排出される液体を吸収するための吸水構造が設けられることが好ましい。前記吸水構造は、ガーゼおよび/またはスポンジを含んでもよい。実際操作の時、キャリア100の断面の大きさは、配置チャンバ202よりも僅かに小さく、具体的には、前記吸水構造とキャリア100との密着を確保して吸水効果を高めるように、配置チャンバ202の前記吸水構造が配置された後の内径は、キャリア100の外径と等しいである。配置チャンバ202の縁部には、吸水構造を固定し、吸水構造が配置チャンバ202の外に移動するのを防止するためのボス構造がさらに設けられてもよい。前記吸水構造を敷いた後、前記吸水構造によって流路ガイド穴104から排出された液体を吸い取って、真空引き装置200内に液体が堆積することを防止することができ、且つ、前記吸水構造は、組織に対する汚染を防止するように、キャリア100を配置する前に交換することができる。
【0039】
さらに、真空引き装置200には、液体窒素における複数の組織サンプルの交差感染を回避するために、キャリア100を封止するための被膜が設けられている。さらに、被膜はプラスチック膜であり、且つ被膜には開口が形成されている。さらに、真空引き装置200の取付台201に真空封止口203が設けられ、真空封止口203は、被膜の開口および真空ポンプ204にそれぞれ接続されている。使用の時、キャリア100に被膜を外嵌した後、前記被膜の開口を真空封止口203に接続し、余分な空気を除去して被膜を組織表面に密着させ、真空引きした後、前記被膜の開口をヒートシール等の手段で封止し、封止した後、キャリア100を液体窒素中に入れて降温保存する。本発明は、真空封止によって組織と液体窒素との間の空気熱抵抗を除去し、降温速度を向上させてガラス化効果を向上させることができる。
【0040】
本発明の実施例は、本実施例のキャリア100および真空引き装置200を含む組織冷凍保存システムも提供する。本発明の組織冷凍保存システムによれば、キャリア100と真空引き装置200との協働により、キャリア100に載せられる組織表面の余分な液体、例えば卵巣組織上の保護剤を除去して冷凍保存体積を減少させることができる。また、真空引き装置200を用いて保護剤が除去されたキャリア100を真空封止することにより、液体窒素と組織との間の熱抵抗を低減することができる。これから分かるように、本発明の組織冷凍保存システムは、冷凍保存体積を低減し、伝熱抵抗を低減し、降温速度を向上させることができ、且つ氷晶の形成を低減して、ガラス化冷凍保存効果を向上させることができる。
【0041】
対応的に、本発明の実施例は、組織、例えば卵巣組織を冷凍保存するために使用する組織冷凍保存方法も提供する。図5を参照すると、本発明の一実施例による組織冷凍保存方法のフローチャートが示されている。以下、図1~2に示すキャリア100及び図3~4に示す真空引き装置200を例に挙げて、本発明の組織冷凍保存方法について詳細に説明する。ここではキャリア100及び真空引き装置200を好適な実施例として説明するだけで、実際、本発明の組織冷凍保存方法を実施する装置は、キャリア100及び真空引き装置200に限定されるものではないことを理解されたい。前記組織冷凍保存方法は、
【0042】
まず、ステップS1を実行し、冷凍チャンバ103を有するキャリア100を提供し、前記冷凍チャンバ103の前記キャリアと接触する接触面に複数の流路ガイド穴104が設けられている。
【0043】
次に、ステップS2を実行し、組織を冷凍チャンバ103に配置し、真空引きステップを実行する。
【0044】
即ち、真空引き装置200によって複数の流路ガイド穴104を介して組織表面の液体を真空によって吸い取ることにより、液体を複数の流路ガイド穴104を介して冷凍チャンバ103から排出させる。
【0045】
組織表面の液体を真空引きした後、さらにキャリア100を封止し、キャリア100を液体窒素中に置いて降温保存することを含んでもよい。
【0046】
真空引き装置200は、真空ポンプ204と、配置チャンバ202を有する取付台201とを含んでもよい。真空引きの前に、前記組織冷凍保存方法は、配置用チャンバ202内に吸水構造を配置し、組織が載せられたキャリア100を配置用チャンバ202に配置することを更に含み、そして真空引きの時、真空ポンプ204によって、配置チャンバ202および複数の流路ガイド穴104を介して、組織の表面の液体を真空によって吸い取る。
【0047】
これから分かるように、ステップS2では、さらに真空ポンプ204を真空引き装置200の動力機器として使用することができ、これにより、組織表面の液体を迅速に除去することができ、且つ操作が簡単で便利である。実践から、真空ポンプ204を動力機器として使用すると、真空引き時間が10秒以内、ひいては2秒に低下しても、組織表面の液体を良好に除去できることが示されている。操作時間の短縮に伴い、冷凍前に組織と高濃度の保護剤との接触時間が少なくなり、組織に対する毒性損傷を低減することができる。また、真空引きの前に、キャリア100の下に交換可能な吸水ガーゼを敷いておくことにより、流路ガイド穴104から排出される液体を除去し、真空引き装置200内に余分な液体が堆積することを防止することができる。
【0048】
キャリア100を封止するステップは具体的に以下のとおりであってもよい。
【0049】
キャリア100を被膜内に装入し、真空引き装置200により前記被膜の開口を介して被膜内の空気を吸い取って、空気を吸い取った後、前記被膜の開口を封止する。
【0050】
この明細書では、各実施例が漸進的な方式で説明され、各実施例は、他の実施例との相違点に焦点を当てて説明され、各実施例の間で同様または類似な部分については相互に参照すればよい。
【0051】
以上のように、本発明が提供するキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムでは、組織冷凍保存の体積を減少させ、降温速度を高め、かつ氷晶が形成されることによる組織に対する不可逆的な損傷を減少させ、ガラス化冷凍保存の効果を増加させることができる。また、被膜を利用することで、液体窒素被膜と組織との間の空気熱抵抗を低減し、降温速度を向上させることができ、氷晶の形成を効果的に低減し、冷凍保存過程において組織に不可逆的な損傷が発生する確率を低減し、そしてガラス化冷凍保存効果を増加することができる。
【0052】
上記の説明は、本発明のいくつかの実施例に対する説明に過ぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではなく、当業者により上記の開示に基づいてなされた如何なる変更、修正も、特許請求の範囲の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、具体的にはキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムに関する。
【背景技術】
【0002】
卵巣組織の冷凍保存は、生殖補助分野および腫瘍分野において注目されている話題であり、青春期になる前の女性において、成熟した卵母細胞を生成して放射線化学療の前の生殖力保持を行うことができなく、卵巣組織の冷凍保存は、生育能力を保持するための重要な手段の1つである。卵巣組織の低温保存方法としては、主に緩速冷凍保存とガラス化冷凍保存がある。そのうち、緩速冷凍保存は、専用のルーティン温度下げ機器が必要であり、降温に要する時間が長く、操作が複雑であり、かつ降温の過程で細胞内部に氷晶が形成されて卵巣組織に不可逆的な損傷をもたらしやすいため、臨床的には卵巣組織の緩速冷凍保存の応用普及が制限される。これに比べて、ガラス化冷凍保存では、卵巣組織を高濃度の保護剤に入れ、その後、キャリアに載せて液体窒素に入れて温度を下げて保存することで、組織の急速な冷却を実現してガラス状態とすることができ、細胞内部の氷晶形成が回避される。研究により、ガラス化冷凍保存された卵巣組織凍後の効果は緩速冷凍保存より優れ、かつガラス化冷凍保存は操作が簡単であり、時間が短く、臨床的に良好な応用見通しがあることが示された。
【0003】
ガラス化冷凍保存において、速い降温速度および高い濃度の保護剤が必要であり、この2つの要因は互いに影響する。降温速度を高めることにより、ガラス化に必要な保護剤の濃度を低下させることができる。降温速度は、組織に残る溶液の体積、液体窒素との伝熱抵抗、キャリアの材質および厚さなどの多くの要因に関連している。従来の卵巣組織のガラス化冷凍保存のキャリアは、主に冷凍麦管、ニードリング式キャリアまたはステンレスシートなどである。そのうち、冷凍麦管では、小体積の卵巣組織のみを冷凍保存することができ、組織が細切され切断される間に卵胞が失われ、移植後のホルモン分泌の維持時間が短くなる可能性がある。常用のニードリング式冷凍キャリアでは、卵巣組織に不可逆的な機械的損傷を与え、且つ操作中に組織が針から外れやすい。ステンレスシートのキャリアに載せられた後、組織に付着した余分な溶液を除去しにくく、冷凍保存体積が大きく、冷凍時の降温速度が影響され、ガラス化に不利である。したがって、保護剤を添加した後に余分な液体を除去しないことは、冷凍速度に大きな影響を及ぼす。
【0004】
また、液体窒素中に存在する病原菌による交差感染を防止するために、封止式の冷凍保存キャリアも、臨床医学上よく使用される。従来の封止方法として、一般的にはチューブ法及び被膜法があるが、チューブまたは被膜と組織との隙間内に存在する空気は、伝熱抵抗が大きいため、組織の降温速度に影響し、組織内に氷晶が形成されて組織に対する氷晶損傷が大きくなる可能性がある。また、患者の卵巣組織を採取した後、備品として複数のサンプルを冷凍保存する必要があり、市販の一般的なキャリアを使用すると、ハイスループットの冷凍保存が実現できなく、1人の患者に組織を保存するための複数のキャリアが必要であるが、キャリアの単価が高くため、冷凍保存のコストも高くなる。また、ガラス化後に組織付きのキャリアを液体窒素に置いて一括管理保存する必要もあり、この時、患者情報を手書きや印刷してキャリアの外部に貼り付く必要があるが、入手する際に情報確認が難しく、管理が不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、組織、特に卵巣組織をガラス化冷凍保存する際の降温速度を高めて、組織の内部に氷晶が形成されて組織に不可逆的な損傷が発生することを防止するキャリア、真空引き装置、および組織冷凍保存システムを提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、従来のキャリアが高価であり、ハイスループットの冷凍保存を実現できず、患者情報の管理が不便であるという問題を解決するキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明の第1態様により、組織の冷凍保存のためのキャリアが提供され、前記キャリアは、少なくとも1つの冷凍チャンバを有し、前記キャリアに複数の流路ガイド穴が設けられ、前記流路ガイド穴は、前記冷凍チャンバの前記組織と接触する接触面の底部に位置し、複数の前記流路ガイド穴は、組織の表面の液体を真空によって吸い取るとともに、前記液体を複数の前記流路ガイド穴を介して前記冷凍チャンバから排出させるために用いられる。
【0008】
前記冷凍チャンバの組織と接触する前記接触面は、底面と前記底面に隣接する側面とを含み、前記側面は前記底面に対して勾配を有してもよい。
【0009】
前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面の断面形状が、U字形、半円形、または半楕円形であってもよい。
【0010】
前記キャリアは、前記キャリアの軸方向に間隔を置いて配置される複数の前記冷凍チャンバを有してもよい。
【0011】
前記流路ガイド穴は、前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面に配置される入口と、前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面から離れる出口とを有し、前記入口の断面積は、前記出口の断面積よりも大きいであってもよい。
【0012】
前記流路ガイド穴の断面積は、前記入口から前記入口に向かって次第に減少してもよい。
【0013】
前記キャリアに、読み取り可能な患者情報を記載した情報記録体が配置され、前記情報記録体は二次元コードおよび/またはRFIDチップを含んでもよい。
【0014】
本発明の第2態様により、本発明のいずれか一つの技術案に記載のキャリアと協働して組織の表面の液体を真空によって吸い取るための真空引き装置が提供され、前記真空引き装置は、キャリアを配置するための配置チャンバを有する取付台と、前記配置チャンバと前記キャリア上の複数の前記流路ガイド穴とが連通することにより、前記キャリアに配置される前記組織の表面の液体を真空によって吸い取るための真空ポンプと、を含む。
【0015】
前記真空引き装置は、キャリアを真空封止するための被膜をさらに含み、前記被膜には開口が設けられ、前記取付台には真空封止口が設けられ、前記真空封止口は、前記開口及び前記真空ポンプにそれぞれ接続されてもよい。
【0016】
前記配置チャンバの形状が、前記キャリアの形状と合わせてもよい。
【0017】
本発明の第3態様により、本発明のいずれか一つの技術案に記載のキャリアと本発明のいずれか一つの技術案に記載の真空引き装置を含む組織冷凍保存システムが提供される。
【0018】
前記組織冷凍保存システムは、前記キャリアと前記配置チャンバとの間に配置され、前記流路ガイド穴から排出される液体を吸収するための吸水構造をさらに含んでもい。
【0019】
前記組織は卵巣組織であってもよい。
【0020】
従来技術と比べて、本発明のキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムは、以下の利点を有する。
【0021】
第1は、キャリアと真空引き装置と協働させることにより、真空引き装置によって、複数の流路ガイド穴を介して組織表面の余分な液体、例えば保護剤を吸い取って、余分な液体を流路ガイド穴に沿って冷凍チャンバから排出させることができる。こうすることで、組織と高濃度の保護剤との長時間接触によって生じえる毒性損傷を低減することができる。また、余分な液体を冷凍チャンバから排出することで、組織の冷凍保存体積を低減し、冷凍時の降温速度を高めることもできる。
【0022】
第2は、キャリアに情報記録体、例えばRFIDチップや二次元コードを設置することにより、正確に患者情報を記録することができるだけでなく、入手する際に素早く情報確認を行うことができ、環境温度で長時間に停留することによる組織サンプルへの潜在的な損害を回避し、患者情報の確認の二重保障も提供でき、情報エラーによる倫理的問題を回避できる。
【0023】
第3は、冷凍チャンバの組織と接触する接触面は、底面と、底面に隣接する側面とを有し、側面は、底面に対して一定の勾配を有し、すなわち、組織が配置される表面は、一定の勾配を有し、例えば、冷凍チャンバの組織と接触する接触面の断面が、U字形、半円形、または半楕円形の形状を有することができ、これにより、組織表面の液体は、自体の重力によって下方へ集まり、液体の浸出効率が向上する。
【0024】
第4は、実際の使用する際に、被膜によってキャリアを真空封止して被膜を組織に密着させ、液体窒素と組織との間の伝熱抵抗が極めて減少し、これにより、冷凍時の降温速度をさらに向上させることができ、氷晶形成の低減に寄与し、冷凍効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例に係るキャリアの立体構成の概略図である。
図2図1に示す実施例のキャリアの正面構成の概略図である。
図3】本発明の一実施例に係る真空引き装置の立体構成の概略図である。
図4図3に示す実施例の真空引き装置の正面構成の概略図である。
図5】本発明の一実施例に係る組織冷凍保存方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[符号の説明]
100:キャリア、101:手持ち部、102:RFIDチップ、:冷凍チャンバ、104:流路ガイド穴、105:二次元コード、200:真空引き装置、201:取付台、202:配置チャンバ、203:真空封止口、204:真空ポンプ。
【0027】
本発明の内容がより理解しやすいように、添付の図面及び実施例を参照して本発明をさらに説明する。しかし、本発明は、以下に記載される具体的な実施例に限定されるものではなく、当業者に周知の一般的な代替例も本発明の保護範囲内に含まれることが理解されるであろう。なお、図面はいずれも非常に簡略化された形態であり、非正確な比例を使用し、本発明の実施例の説明を容易かつ明確に支援するためのものである。
【0028】
以下の説明において、各部品に関する「上」および「下」への言及は、図面に基づいてなされ得ることが理解されるべきである。例えば、「…の下方」、「...の下」、「下の」、「上の」などの空間的用語は、図面に示される1つの部品ともう一つの部品との位置関係を容易に説明することを目的としている。図に示される向きに加えて、空間的関係用語は、使用又は動作中の装置の様々な異なる向きを含むことができる。装置は、他の方式、例えば90度回転させて、または他の向きで配置することができ、対応する説明は、それに使用される空間的関係の記述によって行われる。
【0029】
本発明を具体的に説明する前に、本発明の主要な原理と思想を説明する。背景技術で述べたように、従来技術では、卵巣組織をガラス化冷凍保存する際に降温速度が低いから、氷晶が発生しやすく、組織に不可逆的な損傷を与えるという問題がある。この技術的問題に対して、本発明の核心思想は、組織表面の余分な液体を真空によって吸い取ることにより、冷凍保存体積を低減し、冷凍時の降温速度を高めることを目的とするキャリア、真空引き装置、及び組織凍結保存システムを提供することである。余分な液体を除去した後、さらに被膜でキャリアを真空封止して密封用の被膜を組織に近接させることができ、これにより、液体窒素と組織との間の熱抵抗が低減して、冷凍時の降温速度を高め、組織内に氷晶が形成されるより組織に不可逆的な損傷を与えることを防止できる。
【0030】
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施例によるキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムについて説明する。
【0031】
図1及び図2を参照し、本発明の一実施例に係るキャリア100の立体構成の概略図及び正面構成の概略図である。図1および図2に示すように、キャリア100は、組織、特に卵巣組織を載せるための少なくとも1つの冷凍チャンバ103を有する。また、前記キャリア100に複数の流路ガイド穴104が設けられ、前記流路ガイド穴104は、前記冷凍チャンバ103組織との接触面の底部に位置する。好ましくは、前記冷凍チャンバは通気性である。流路ガイド穴104は、冷凍チャンバ103の組織と接触する接触面に配置される入口と、冷凍チャンバ103の組織と接触する接触面から離れる出口とを有する。好ましくは、前記入口の断面積は、前記出口の断面積よりも大きくなり、その結果、流路ガイド穴104は、上側が広く、下側が狭い構造となる。これで、流路ガイド穴104の組織に近い側の径が大きくされて、流路ガイド穴104の組織と接触する入口部分は広くなり、これにより、接触面は大きくなって液体を広い面積で収集でき、一方、組織から離れる出口部分は狭いため、液体の排出効率を高めるのに役立つこととして理解してもよい。流路ガイド穴104の断面積は、前記入口から前記出口に向かって次第に減少してもよい。
【0032】
また、本実施例は真空引き装置200を提供し、図3及び図4に示すように、真空引き装置200の立体構成の概略図及び正面構成の概略図。真空引き装置200は、キャリア100と協働するように構成され、キャリア100を配置するための配置チャンバ202を有する取付台201を含む。配置チャンバ202内には、キャリア100の流路ガイド穴の出口に対応する吸引口が設けられるとよい。また、真空引き装置200は、真空引きのための動力機器、例えば真空ポンプ204をさらに含む。キャリア100が配置チャンバ202内に位置決められた後、前記動力機器は、配置チャンバ202の吸引口とキャリア100上の複数の流路ガイド穴104とが連通することにより、キャリアに配置された組織表面の液体を真空によって吸い取ることができる。真空ポンプ204を例に挙げて、前記真空ポンプ204は、キャリア100の底部から吸い取って、キャリア100の上下側の圧力差によって空気を流れさせることにより、キャリア100の上方の組織表面の余分な液体を連れて流路ガイド穴104を介して下方に排出させることができる。
【0033】
本実施例では、冷凍チャンバ103の組織と接触する接触面は、底面と、前記底面に隣接する側面とを含み、前記側面は、底面に対して一定の勾配を有してもよい。前記勾配の勾配比(勾配面の垂直高さと水平幅との比)は、1:3~1:1の範囲であってもよい。勾配を設けることにより、組織表面の液体が自体の重力によって下方へ集まり、液体の浸出効率が向上する。さらに、冷凍チャンバ103と組織との接触面の断面形状をU字状とすることができ、これにより、液体自体の重力によって、冷凍チャンバ103の中央凹部(例えば、接触面の底面)に液体を集中させ、液体の滲出効率を高めることができる。別の実施例では、冷凍チャンバ103の組織と接触する接触面の断面形状は、半円形や半楕円形などの規則的な形状であってもよいし、異形などの勾配を有する不規則な形状であってもよい。
【0034】
冷凍チャンバ103の数は複数であって、複数の冷凍チャンバ103はキャリア100の軸方向に間隔を置いて配置され、且つ複数の冷凍チャンバ103は互いに独立してもよい。さらに、冷凍チャンバ103は、例えば3つまたは4つである。したがって、1つのキャリア100は、複数の組織サンプルを保存することができ、これにより、ハイスループット保存が可能になる。従来の1つのキャリアは、一般的に1つの組織サンプルしか保存することができず、1人当たり/1回当たり3~4つの予備サンプルを準備する必要があり、サンプル数を保証するために、患者は、複数のキャリアを一度に購入する必要があるが、キャリアの単価は高く、総費用は高くなる。これに対して、本発明の実施例に提供されるキャリア100は、ハイスループット保存を可能にし、コストを効果的に削減し、患者情報の一括管理を容易にする。
【0035】
キャリア100に、外部から読み取り可能な患者情報を記載した情報記録体がさらに配置され、前記情報記録体は二次元コード105および/またはRFIDチップ102を含んでもよい。好ましくは、キャリア100に二次元コード105とRFIDチップ102が同時に配置され、これにより、患者情報の確認の二重保障を提供できる。具体的には、患者の情報を記録するためのRFIDチップ102は、手持ち部101内に埋め込まれ、手書きを必要とせず、インクによる潜在的な汚染の危険性を回避でき、データ記録もより正確になる。二次元コード105は、患者情報を二次記録するためのものであり、操作者のミスによる情報の誤りを減らし、また、液体窒素に入れて冷凍する前に患者情報をスキャンして読み取って、保管場所を記録するために使用でき、病院のハイスループット管理に便利である。また、二次元コードをスキャンするのにかかる時間が短く、迅速かつ効率的であるため、前記組織が冷凍される前に高濃度の保護剤と接触する時間を減らすことができ、これによって組織が受ける毒性損傷を減らし、冷凍効果を高めることができる。
【0036】
本実施例では、キャリア100は、全体として棒状を呈している。キャリア100は、対向するように設けられる頭部及び尾部を含む。前記頭部に二次元コード105が設けられ、二次元コード105は、直接印刷されてもよいし、ラベルに印刷されてからキャリア100の頭部に貼り付けられてもよい。前記尾部は、把持可能な手持ち部101である。手持ち部101にはRFIDチップ102が設けられ、冷凍チャンバ103は二次元コード105とRFIDチップ102との間に位置している。好ましくは、キャリア100の長さは、キャリア100の軸方向に順次に間隔を置いて配置され且つ互いに独立した複数の冷凍チャンバ103を設けるように、十分な長さを有する。好ましくは、キャリア100の冷凍チャンバ103を配置するための部分は薄壁構造であり、例えば、複数の冷凍チャンバ103は、断面がU字形、半円形、及び半楕円形の薄壁構造であるように構成されてもよい。本発明のキャリア100は、棒状の形状に限定されるものではなく、該設置方式は本発明の好ましい一実施例にすぎず、キャリア100は、例えば方ブロック状または丸いブロック状などの規則的な形状または不規則な形状であってもよいことを理解されたい。
【0037】
好ましくは、配置チャンバ202は、キャリア100の形状と合わせる形状であり、これにより、キャリア100の正確な位置決めが容易になり、より便利に使用することができる。本実施例では、キャリア100の断面形状がU字形であるため、配置チャンバ202の断面形状は、これに対応するU字形となり、別の実施例では、キャリア100の断面形状は、半円形または半楕円形などの規則的な形状であってもよいし、異形などの勾配を有する不規則な形状であってもよく、配置チャンバ202の断面形状はそれぞれ、これに対応して半円形または半楕円形などの規則的な形状であってもよいし、異形などの勾配を有する不規則な形状であってもよい。
【0038】
さらに、キャリア100と配置チャンバ202との間には、流路ガイド穴104から排出される液体を吸収するための吸水構造が設けられることが好ましい。前記吸水構造は、ガーゼおよび/またはスポンジを含んでもよい。実際操作の時、キャリア100の断面の大きさは、配置チャンバ202よりも僅かに小さく、具体的には、前記吸水構造とキャリア100との密着を確保して吸水効果を高めるように、配置チャンバ202の前記吸水構造が配置された後の内径は、キャリア100の外径と等しいである。配置チャンバ202の縁部には、吸水構造を固定し、吸水構造が配置チャンバ202の外に移動するのを防止するためのボス構造がさらに設けられてもよい。前記吸水構造を敷いた後、前記吸水構造によって流路ガイド穴104から排出された液体を吸い取って、真空引き装置200内に液体が堆積することを防止することができ、且つ、前記吸水構造は、組織に対する汚染を防止するように、キャリア100を配置する前に交換することができる。
【0039】
さらに、真空引き装置200には、液体窒素における複数の組織サンプルの交差感染を回避するために、キャリア100を封止するための被膜が設けられている。さらに、被膜はプラスチック膜であり、且つ被膜には開口が形成されている。さらに、真空引き装置200の取付台201に真空封止口203が設けられ、真空封止口203は、被膜の開口および真空ポンプ204にそれぞれ接続されている。使用の時、キャリア100に被膜を外嵌した後、前記被膜の開口を真空封止口203に接続し、余分な空気を除去して被膜を組織表面に密着させ、真空引きした後、前記被膜の開口をヒートシール等の手段で封止し、封止した後、キャリア100を液体窒素中に入れて降温保存する。本発明は、真空封止によって組織と液体窒素との間の空気熱抵抗を除去し、降温速度を向上させてガラス化効果を向上させることができる。
【0040】
本発明の実施例は、本実施例のキャリア100および真空引き装置200を含む組織冷凍保存システムも提供する。本発明の組織冷凍保存システムによれば、キャリア100と真空引き装置200との協働により、キャリア100に載せられる組織表面の余分な液体、例えば卵巣組織上の保護剤を除去して冷凍保存体積を減少させることができる。また、真空引き装置200を用いて保護剤が除去されたキャリア100を真空封止することにより、液体窒素と組織との間の熱抵抗を低減することができる。これから分かるように、本発明の組織冷凍保存システムは、冷凍保存体積を低減し、伝熱抵抗を低減し、降温速度を向上させることができ、且つ氷晶の形成を低減して、ガラス化冷凍保存効果を向上させることができる。
【0041】
対応的に、本発明の実施例は、組織、例えば卵巣組織を冷凍保存するために使用する組織冷凍保存方法も提供する。図5を参照すると、本発明の一実施例による組織冷凍保存方法のフローチャートが示されている。以下、図1~2に示すキャリア100及び図3~4に示す真空引き装置200を例に挙げて、本発明の組織冷凍保存方法について詳細に説明する。ここではキャリア100及び真空引き装置200を好適な実施例として説明するだけで、実際、本発明の組織冷凍保存方法を実施する装置は、キャリア100及び真空引き装置200に限定されるものではないことを理解されたい。前記組織冷凍保存方法は、
【0042】
まず、ステップS1を実行し、冷凍チャンバ103を有するキャリア100を提供し、前記キャリア100に複数の流路ガイド穴104が予め設けられ、前記流路ガイド穴104が、前記冷凍チャンバ103と組織との接触面の底部に位置する
【0043】
次に、ステップS2を実行し、組織を冷凍チャンバ103に配置し、真空引きステップを実行する。
【0044】
即ち、真空引き装置200によって複数の流路ガイド穴104を介して組織表面の液体を真空によって吸い取ることにより、液体を複数の流路ガイド穴104を介して冷凍チャンバ103から排出させる。
【0045】
組織表面の液体を真空引きした後、さらにキャリア100を封止し、キャリア100を液体窒素中に置いて降温保存することを含んでもよい。
【0046】
真空引き装置200は、真空ポンプ204と、配置チャンバ202を有する取付台201とを含んでもよい。真空引きの前に、前記組織冷凍保存方法は、配置用チャンバ202内に吸水構造を配置し、組織が載せられたキャリア100を配置用チャンバ202に配置することを更に含み、そして真空引きの時、真空ポンプ204によって、配置チャンバ202および複数の流路ガイド穴104を介して、組織の表面の液体を真空によって吸い取る。
【0047】
これから分かるように、ステップS2では、さらに真空ポンプ204を真空引き装置200の動力機器として使用することができ、これにより、組織表面の液体を迅速に除去することができ、且つ操作が簡単で便利である。実践から、真空ポンプ204を動力機器として使用すると、真空引き時間が10秒以内、ひいては2秒に低下しても、組織表面の液体を良好に除去できることが示されている。操作時間の短縮に伴い、冷凍前に組織と高濃度の保護剤との接触時間が少なくなり、組織に対する毒性損傷を低減することができる。また、真空引きの前に、キャリア100の下に交換可能な吸水ガーゼを敷いておくことにより、流路ガイド穴104から排出される液体を除去し、真空引き装置200内に余分な液体が堆積することを防止することができる。
【0048】
キャリア100を封止するステップは具体的に以下のとおりであってもよい。
【0049】
キャリア100を被膜内に装入し、真空引き装置200により前記被膜の開口を介して被膜内の空気を吸い取って、空気を吸い取った後、前記被膜の開口を封止する。
【0050】
この明細書では、各実施例が漸進的な方式で説明され、各実施例は、他の実施例との相違点に焦点を当てて説明され、各実施例の間で同様または類似な部分については相互に参照すればよい。
【0051】
以上のように、本発明が提供するキャリア、真空引き装置、及び組織冷凍保存システムでは、組織冷凍保存の体積を減少させ、降温速度を高め、かつ氷晶が形成されることによる組織に対する不可逆的な損傷を減少させ、ガラス化冷凍保存の効果を増加させることができる。また、被膜を利用することで、液体窒素被膜と組織との間の空気熱抵抗を低減し、降温速度を向上させることができ、氷晶の形成を効果的に低減し、冷凍保存過程において組織に不可逆的な損傷が発生する確率を低減し、そしてガラス化冷凍保存効果を増加することができる。
【0052】
上記の説明は、本発明のいくつかの実施例に対する説明に過ぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではなく、当業者により上記の開示に基づいてなされた如何なる変更、修正も、特許請求の範囲の保護範囲に属する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の冷凍保存のためのキャリアにおいて、
前記キャリアは、少なくとも1つの冷凍チャンバを有し、前記キャリアに複数の流路ガイド穴が設けられ、前記流路ガイド穴は、前記冷凍チャンバの前記組織と接触する接触面の底部に位置し、複数の前記流路ガイド穴は、組織の表面の液体を真空によって吸い取るとともに、前記液体を複数の前記流路ガイド穴を介して前記冷凍チャンバから排出させることを特徴とするキャリア。
【請求項2】
前記冷凍チャンバの組織と接触する前記接触面は、底面と前記底面に隣接する側面とを含み、前記側面は前記底面に対して勾配を有することを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
【請求項3】
前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面の断面形状が、U字形、半円形、または半楕円形であることを特徴とする請求項2に記載のキャリア。
【請求項4】
前記キャリアは、前記キャリアの軸方向に間隔を置いて配置される複数の前記冷凍チャンバを有することを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
【請求項5】
前記流路ガイド穴は、前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面に配置される入口と、前記冷凍チャンバの組織と接触する接触面から離れる出口とを有し、前記入口の断面積は、前記出口の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
【請求項6】
前記流路ガイド穴の断面積は、前記入口から前記入口に向かって次第に減少ことを特徴とする請求項5に記載のキャリア。
【請求項7】
前記キャリアに、読み取り可能な患者情報を記載した情報記録体が配置され、前記情報記録体は二次元コードおよび/またはRFIDチップを含むことを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のキャリアと協働して組織の表面の液体を真空によって吸い取るための真空引き装置であって、
前記真空引き装置は、
キャリアを配置するための配置チャンバを有する取付台と、
前記配置チャンバと前記キャリア上の複数の前記流路ガイド穴とが連通することにより、前記キャリアに配置される前記組織の表面の液体を真空によって吸い取るための真空ポンプと、
を含むことを特徴とする真空引き装置。
【請求項9】
前記真空引き装置は、キャリアを真空封止するための被膜をさらに含み、前記被膜には開口が設けられ、前記取付台には真空封止口が設けられ、前記真空封止口は、前記開口及び前記真空ポンプにそれぞれ接続されることを特徴とする請求項8に記載の真空引き装置。
【請求項10】
前記配置チャンバの形状が、前記キャリアの形状と合わせることを特徴とする請求項8に記載の真空引き装置。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載のキャリアと、
請求項8~10のいずれか1項に記載の真空引き装置と、
を含むことを特徴とする組織冷凍保存システム。
【請求項12】
前記キャリアと前記配置チャンバとの間に配置され、前記流路ガイド穴から排出される液体を吸収するための吸水構造をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の組織冷凍保存システム。
【請求項13】
前記組織は卵巣組織であることを特徴とする請求項11または12に記載の組織冷凍保存システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5
【国際調査報告】