(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法
(51)【国際特許分類】
G02C 7/00 20060101AFI20230119BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20230119BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20230119BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20230119BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230119BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20230119BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230119BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G02C7/00
G02C7/10
B29C64/112
B29C64/314
B33Y70/00
B33Y80/00
B33Y10/00
B41J2/01 129
B41J2/01 501
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022542292
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2021050394
(87)【国際公開番号】W WO2021140248
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507062222
【氏名又は名称】カール ツァイス ヴィジョン インターナショナル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ヨアヒム ヴェイペルト
(72)【発明者】
【氏名】マシアス クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ヨエルグ プエッツ
【テーマコード(参考)】
2C056
2H006
4F213
【Fターム(参考)】
2C056FB02
2C056FB09
2C056FC01
2C056FD20
2H006BA03
2H006BA06
2H006BE05
4F213AA44
4F213AH74
4F213WA25
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL15
4F213WL22
4F213WL32
(57)【要約】
本発明は、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法及び眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法に使用可能な流体に関する。インクジェット法は、下記の方法工程:a)プリントされる基材を提供する工程と、b)工程a)からのプリントされる基材に少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素を適用する工程と、c)工程b)からの少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素を少なくとも1つの体積複合体に移行する工程と、d)工程c)からの少なくとも1つの体積複合体を少なくとも1つの均一体積複合体に移行する工程と、e)工程d)から反対の少なくとも1つの均一体積を少なくとも1つの最終体積複合体に移行する工程と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
b)工程a)からのプリントされる前記基材に、隣接して適用された及び/又は互いに相接する少なくとも2つの体積要素を適用する工程と、
c)少なくとも1つの体積複合体への変換を伴って、工程b)からの前記少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、下記工程:
d)少なくとも1つの均一体積複合体への変換を伴って、工程c)からの前記体積複合体の少なくとも1つの体積要素内の反応を開始する工程と、
e)工程d)からの前記少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの最終体積複合体への変換を伴って、前記均一体積複合体内の隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間で反応性を伝達して反応を終了する工程と、
をさらに含むことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項2】
前記反応が前記体積複合体内でまだ開始していないことを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット法。
【請求項3】
前記反応が前記均一体積複合体内でまだ十分に終了していないことを特徴とする、請求項1又は2に記載のインクジェット法。
【請求項4】
化学線を利用した又は熱エネルギーを利用した活性化の結果として前記反応が開始することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項5】
前記少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素が体積複合体に変換され、
a)x/y方向に隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素とx/y方向に形成された前記体積複合体との間で横方向に、z方向に適用された体積要素により伸長されるか、又は
b)隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素とz方向に形成された前記体積複合体との間でz方向に、x/y方向に適用された体積要素により伸長されるか、又は
c)x/y方向及びz方向に依存しない、
請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項6】
x/y方向に存在する体積複合体V又はx/y方向に存在する均一体積複合体V
hの伸長が、
a)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する均一体積複合体V
hへのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
b)x/y方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体V
hにz方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体V
h1への、x/y方向の横方向変換、及びx/y方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体V
hへのそれらの後続のインテグレーション、又は
c)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する体積複合体V
hへのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体V
h1へのz方向に適用された体積要素の同時変換、
を含み、或いはz方向に形成された体積複合体V又はz方向に形成された均一体積複合体V
hの伸長が、
d)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する均一体積複合体V
hへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
e)z方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体V
hにx,y方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体V
h1への、z方向変換、及びz方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体V
hへのそれらの後続のインテグレーション、又は
f)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する体積複合体V
hへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体V
h1へのx,y方向に適用された体積要素の同時変換、
を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項7】
体積複合体が、少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/若しくは接触から、又は少なくとも1つの体積要素及び少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/若しくは接触から生じることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項8】
前記反応が、
a)少なくとも1つの体積要素内で及び隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間で、
b)少なくとも1つの体積複合体内で、及びこの少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との反応、及び少なくとも1つの体積要素内の反応、又は、
c)互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体内で、並びに互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体間で、各場合につき、十分に終了しないとき、均一体積複合体が形成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項9】
前記反応が、
a)体積要素内で最初に十分に終了しておらず、隣接して適用された体積要素間及び/若しくは互いに相接する体積要素間の反応が十分に終了しておらず、且つ前記反応性が隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間で伝達され、又は
b)少なくとも1つの均一体積複合体内で最初に十分に終了しておらず、隣接して適用された均一体積複合体間及び/若しくは互いに相接する均一体積複合体間の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する均一体積複合体間で伝達され、又は
c)少なくとも1つの均一体積複合体内で最初に十分に終了しておらず、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する体積複合体との間の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が、前記均一体積複合体と前記隣接して適用された及び/若しくは相接する体積複合体との間で伝達され、又は
d)体積要素内で最初に十分に終了しておらず、この1つの体積要素と、隣接して適用された体積複合体及び/若しくは前記1つの体積要素に相接するものと、の間の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性がこの1つの体積要素から前記隣接して適用された及び/若しくは前記相接する体積複合体に伝達され、又は
e)少なくとも1つの均一体積複合体内で最初に十分に終了しておらず、この少なくとも1つの均一体積複合体と、少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する少なくとも1つの体積要素と、の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が、この1つの均一体積複合体から前記少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素に伝達され、又は
f)少なくとも1つの均一体積複合体内及び少なくとも1つの体積要素内で、各場合につき、最初に十分に終了しておらず、この少なくとも1つの均一体積複合体と、少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する少なくとも1つの体積要素と、の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が、この少なくとも1つの均一体積複合体と前記少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する体積要素との間で伝達され、
前記反応が、各場合につき、前記反応性の伝達後に終了する、
とき、最終体積複合体が形成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項10】
前記反応性が、
a)x/y方向に及び/又はz方向に、又は
b)x/y方向及びz方向に依存せずに、
もたらされることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程e)での前記最終体積複合体の形成後、前記基材が、前記最終体積複合体に結合された状態で残るか、又は前記最終体積複合体から分けられることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記体積要素が、ハイブリッドシステムに基づく少なくとも1つの流体を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ハイブリッドシステムが、チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステム、及び少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記体積要素が、チオール-エンシステムに基づく少なくとも1つの流体を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
流体が、インクジェット法に使用可能であり、且つ
a)少なくとも1つのチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、少なくとも1つのエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、若しくは少なくとも1つのエポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく少なくとも1つのハイブリッドシステム、又は
b)少なくとも1つのエポキシ-ポリオールシステムに基づく少なくとも光潜在性酸を含む少なくとも1つのシステム、又は
c)エポキシチオールシステム、少なくとも1つのエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステム、若しくは少なくとも1つのエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく少なくとも1つの光潜在性塩基を含む少なくとも1つのハイブリッドシステム、又は
d)少なくとも1つのチオール-エンシステム、
を含むことを特徴とする、流体。
【請求項16】
少なくとも1つの光潜在性塩基を含む前記少なくとも1つのハイブリッドシステムが、前記ハイブリッドシステムの合計重量を基準にして合計割合で0.001重量%~5.0重量%の範囲内の範囲内の前記光潜在性塩基を含むことを特徴とする、請求項15に記載の流体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法及び眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法に使用可能な流体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の割安3Dプリンティングシステムの進歩は、付加製造(AM)分野にブームをもたらした。現在、3Dプリンティングにより、プロトタイプから機能パーツに至るまで、多種多様な異なる用途向けに多くの材料を構成可能である。
【0003】
光学品の3Dプリンティングの潜在能力は、とくに個別光学品及び相対的に少数のアイテム又はバッチサイズで製造される光学品の場合には明らかである。このことがとりわけ当てはまるのは、どの着用者に対しても個別に光学補正効果が設計される眼鏡レンズの場合である。他の用途例としては、設計に関して明らかにそれほど要求の厳しくない単純イメージング光学品及び導光コンポーネントが挙げられる。
【0004】
プラスチックでは、融合堆積溶融(FDM)や選択的レーザー溶融(SLM)などのダイレクトプリンティング法が確立されており、フィラメント又は粉末の形態でサーモプラスチックが使用される。そのほか、これらの方法にはArburg GmbH+Co KG製のFreeformerシステムなどの数多くの変法が存在する。プロセス関連の理由で、これらの方法には、トラップ空気及び/又は不均一性並びに熱応力のリスクの上昇が見られるので、光学コンポーネントとりわけ眼鏡レンズの製造では、仮に使用されたとしても、使用は限られたものにすぎない。
【0005】
光学コンポーネントに対するより大きな潜在能力は、モノマー配合物の形態で使用された後に架橋により下流プロセスでのみ重合される反応性システムにより提供される。従来のステレオリソグラフィー(SLA)及び具体的露光法たとえばDLP(ディジタルライトプロセシング)と同様に、とくにインクジェット法(マルチジェットモデリング、MJM)は、ここでは重要である。インクジェットシステムでは、ピエゾ技術に基づくいわゆるドロップオンデマンド法(DoD方法)が通常使用され、キャピラリーを利用してkHz範囲内の周波数を有するピエゾアクチュエーターにより、個別ドロップレット又は体積要素が生成される。光学品コンポーネントの製造では、かかる反応性システムは、化学配合の範囲に起因して、冒頭に記載のサーモプラスチック法よりも材料設計及びプロセス構成に関するはるかに大きな選択肢を提供する。プロセススピードを増加させるために、マルチジェットアレイ及びUV硬化システムが一般に使用され、材料は、材料層の適用後に露光により硬化される。
【0006】
インクジェット法では、光学コンポーネントの製造用材料は、各々3Dイメージングから借用された「ボクセル」という用語により参照されることも多い小さな体積要素の形態で適用され、いくつかの変法では、薄層を与えるためにコーティングバーを利用して展延される。これは、通常、体積要素として固化又は硬化するので、次に続く体積要素の適用前にインターフェースが生成し、光学コンポーネントの異方性をもたらすリスクが存在する。各種理由で、硬化体積要素の表面及び体積要素の内側は、異なる材料の性質を有するので、結果として、後続体積要素へのインターフェースが生成され、ひいては固形形態の光学コンポーネントに埋め込まれる。このリスクは、とくにUV硬化システムの場合に存在する。なぜなら、表面から、すなわち、トップから及び/又はボトムから一般に硬化されるからである。
【0007】
光学コンポーネントでは、光学的性質のために均一材料を得ることが一般に必要である。そのため、光学コンポーネントの体積内に屈折率の望ましくない変動も望ましくないインターフェースも存在すべきではない。なぜなら、これは、ビーム経路の変化をもたらす可能性があるからである。これは、イメージング性能の低減、たとえば線分解能の低減として、異方光透過として、又は可視散乱として現れることがある。トラップ空気や他の汚染物などを閉じ込めることも、同様に絶対に避けるべきである。
【0008】
そのほか、インクジェット法による体積要素の慣用的適用の結果として、プリント材料には、体積要素のサイズと同程度の大きさ、すなわち、z方向に約5μm~20μm及び横方向のx/y方向に約20μm~200μmの規則的及び/又は不規則的構造が存在する。適用又はパターニングに応じて、そのほか、規則的構造さらには長距離配向が存在しうる。新たに追加された材料、たとえば、新たに追加された体積要素がコーティングバー又はローラーにより展延されて層を与える市販の方法のいくつかでは(欧州特許出願公開第1674243A2号明細書、欧州特許出願公開第1847377A2号明細書)、識別可能な層形成が観測されるおそれがあり、光学的配向及び/又は優先的方向、たとえば、層構造に平行に及びそれに直交して変動する透明度が発生するおそれもある。かかる影響は、体積要素のインテリジェントな位置決めにより低減されうるが、完全に排除するのは困難である。
【0009】
離散体積要素の適用から生じるさらなる側面は、体積要素のz方向高さの大きさ程度に表面トポグラフィーが一様でない表面及びしばしば見られるのは規則的構造である。この現象は、たとえば、具体的には、生じたギャップをプリンティングプロセスの終了時に規定の方法で相対的に小さなドロップレットで充填することにより(欧州特許出願公開第2846983A1号明細書)、又は完全で十分に厚い液状膜を適用した後で表面張力を活用してレベリングにより平滑で外見上均一な表面をもたらすことにより、低減可能である。しかしながら、光学コンポーネントの体積内に存在する可能性のあるいずれの構造も、それにより排除されない。
【0010】
米国特許出願公開第2016/0167323A1号明細書には、眼用レンズ用の付加製造法が開示されている。眼用レンズに必要とされる均一性は、個別ボクセルの粘度増加及びそれらの後続の相互拡散により製造時に確保されると言われている。個別ボクセルの粘度増加は、ここでは、こうしたボクセルが意図された部位で維持されてその選択ジオメトリーを保持する効果があると言われている。個別ボクセルの相互拡散後、均一眼用レンズが形成されると言われている。粘度は、たとえば、少なくとも1個のエポキシ基、チオエポキシ基、エポキシシラン基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ウレタン基、チオウレタン基、イソシアネート基、メルカプト基、又はアルコール基を含む少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマーと、少なくとも1種の開始剤と、を含む液状組成物の光重合又は熱重合により増加可能である。代替的に、粘度は、少なくとも1個のエポキシ基、チオエポキシ基、(メタ)アクリル酸基、又は(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマーと、少なくとも1種の開始剤と、溶媒と、を含む液状組成物の蒸発により、ボクセル形成後に増加可能である。
【0011】
米国特許出願公開第2004/0008319A1号明細書には、互いに相接するポリマーピクセルから構成された連続フィルムを含む光学エレメントが開示されている。個別ポリマーピクセルは、特定の光学的性質たとえば特定の屈折率を有すると言われている。マイクロジェット法を利用して、個別ポリマーピクセルは、レンズブランクや仕上げ眼鏡レンズなどの基材上のあらかじめ規定された部位に適用される。ここでの2つの隣接ポリマーピクセルは、混合されて単一ピクセルを与えうる。散乱効果を回避するために、ポリマーピクセルの平均サイズは、200μm未満にすべきである。
【0012】
米国特許出願公開第2005/0046957A1号明細書には、米国特許出願公開第2004/0008319A1号明細書のように光学エレメントが開示されている。マイクロジェット法を利用して基材上のあらかじめ規定された部位にポリマーピクセルとして適用されるポリマー組成物は、第1のエンモノマーと第1のチオールモノマーとを含み、それらは一体化されると1.55以上の屈折率を有する。そのほか、ポリマー組成物は、第2のエンモノマーと第2のチオールモノマーとを含み、それらは一体化される1.55以下の屈折率を有する。より高い屈折率を有するポリマー組成物とより低い屈折率を有するポリマー組成物との比は、0:100~100:0範囲内の比で変動させうる。
【0013】
米国特許出願公開第2018/354249A1号明細書には、一方の表面から他方の表面に材料を転写させる方法が開示されている。転送される材料は、チオール-アクリレート組成物、チオール-エン-アクリレート組成物、又はそれらの混合物を含むUV硬化性インクジェット組成物を少なくとも部分的に含む。米国特許出願公開第2018/354249A1号明細書は、眼鏡レンズの製造に関係しない。
【0014】
欧州特許出願公開第2093269A1号明細書には、照射下で塩基性度を呈する又は増加させる化合物が開示されている。欧州特許出願公開第2093269A1号明細書は、同様に眼鏡レンズの製造に関係しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、眼鏡レンズの光学品質に関する関連需要を満たす眼鏡レンズ、たとえば、良好なイメージング性能を有する眼鏡レンズの製造を可能にする眼鏡レンズの製造方法を提供することであった。より特定的には、同方法は、均一な屈折率又は規定の屈折率勾配を有する眼鏡レンズの製造を可能にすることである。そのほか、本発明の目的は、眼鏡レンズの製造に好適な流体を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、請求項1に記載の方法を提供することにより達成された。そのほか、この目的は、請求項15に記載の流体を提供することにより達成された。
【発明を実施するための形態】
【0017】
眼鏡レンズの製造では、その製造方法にかかわらず、構造体の形成、インターフェース、屈折率の意図せぬ変動、材料組成の意図せぬ変動、トラップ材料、並びに/又は眼鏡レンズの体積内及び/若しくは表面上の汚染物を絶対に回避すべきである。光学的に不均一な材料で作製された眼鏡レンズを着用すると、眼鏡着用者が厄介又は不快であると一般に知覚するか、又は不適合をもたらす可能性がある。光学的に不均一な材料で作製された眼鏡レンズは、そのほか、光学イメージング性能を損なう。このことがとりわけ当てはまるのは、光学的に不均一な材料が眼鏡レンズの遠用ビジュアルポイント及び/又は近用ビジュアルポイントにあるときである。DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.16によれば、遠用ビジュアルポイントとは、所与の条件下で遠方視のために使用される眼鏡レンズ上のビジュアルポイントの仮定位置のことであり、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.17によれば、近用ビジュアルポイントとは、所与の条件下で近方視のために使用される眼鏡レンズ上のビジュアルポイントの仮定位置のことである。
【0018】
眼鏡レンズとの関連で光学的に均一な材料(これ以降では「光学的に均一な材料」と呼ばれる)とは、目視評価で、とりわけ透過方式又は反射方式の目視評価で、眼鏡レンズの体積内の材料組成や屈折率のいかなる意図せぬ変動も、いかなるインターフェース、欠損、及び/若しくは構造物も、たとえば、ストリークも、並びに/又は表面上のいかなるインターフェース、欠損、及び/若しくは構造物も含まない材料を意味するものと理解される。また、光学的に均一な材料とは、目視評価で、好ましくはいかなる光散乱も及び/又は好ましくはいかなるイメージング欠陥も有していない材料も意味するものと理解される。光散乱では、小角散乱と大角散乱とは区別される。眼鏡レンズの一表面の又は体積内の小粒子による、材料組成若しくは屈折率の変動による、インターフェースによる、欠損による、及び/又は構造物による散乱に起因して主に順方向に散乱される光の部分は、小角散乱といわれる。小角散乱(画像鮮鋭度)の場合、光は、高集束の狭円錐内で散乱され、画像鮮鋭度は、2.5°未満の角度範囲で測定される。小角散乱は、好ましくは、現在は取り下げられているDIN EN167:1995、パラグラフ4.2に準拠して、眼鏡レンズの幾何中心の周りに半径1mm~3mmの範囲内で測定される。好ましくは≦0.16cd/m2/lx、より好ましくは≦0.09cd/m2/lx、最も好ましくは、≦0.05cd/m2/lxの小角散乱は、本発明との関連では散乱でないとみなされる。大角散乱の場合、光は均一に全方向に散乱される。大角散乱(ヘイズ、曇り)は、入射光ビームから平均2.5°超外れるパーセントの光の部分である。眼鏡レンズの一表面の又は体積内の材料組成若しくは屈折率の変動による、インターフェースによる、欠損による、及び/又は構造物による光の散漫散乱は、好ましくはウルブリヒト球を利用して測定される。大角散乱は、好ましくは、眼鏡レンズの幾何中心の周りの半径15mm~20mmの範囲内で補償なしでByk Gardner製のhaze-gard plus装置を用いて測定される。好ましくは≦1.01、より好ましくは≦0.98、最も好ましくは≦0.54の大角散乱は、本発明との関連では散乱でないとみなされる。光学的に均一な材料は、仮にあったとしてもヒトの眼により知覚不能な程度に光学イメージング性能を損なう。眼鏡レンズのイメージング性能は、たとえば、変調伝達関数(MTF)により記述及び決定することが可能である。
【0019】
光学的に均一な材料の客観的評価は、マークを可視化するための、好ましくは国際公開第2005/017482A1号パンフレットに記載の方法に類似し、より好ましくは国際公開第2005/017482A1号パンフレット、請求項1に記載の方法に類似する。この目的のために、照明光ビームは、好ましくは眼鏡レンズ上に方向付けられ、眼鏡レンズを通り抜け、眼鏡レンズを通り抜けた後に再帰反射体の形態の反射体で反射され、最終的に観察光ビームとしてカメラに方向付けられる。眼鏡レンズの体積内及び/又は表面上の屈折率の変動、欠損、インターフェース、構造物は、一般にビーム経路の撓みをもたらし、その結果として、反射光は、もはや再帰反射条件を満たさない。材料組成又は材料の性質の変動は、このように、たとえば、ストリーク又はシャドウとして可視化されうるとともに、一方、眼鏡レンズの体積内及び/又は表面上の欠損、インターフェース、構造物は、より明るい又はより暗い構造物として発生可能である。
【0020】
そのため、光学的に均一な材料は、材料の体積内及び/又はその表面上の構造物、インターフェース、屈折率の意図せぬ変動、材料組成の意図せぬ変動、混入物及び/又は汚染物をなんら有していない。眼鏡レンズの表面は、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.8に準拠して、眼鏡内の眼から離れる方向を向くように意図された眼鏡レンズの面である前面又は物体側面と、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.9に準拠して、眼鏡内の眼に面するように意図された眼鏡レンズの面である裏面又は眼側面と、前面と裏面との間にある縁面又は端面と、を含む。各々空気又はそれぞれの相接コーティングへのインターフェースを構成しうる眼鏡レンズの前面、裏面、及び縁面又は端面は、本発明との関連でのインターフェースでない。一実施形態では、眼鏡レンズは、一対のスマートガラスでありうる。この場合、縁面又は端面は、少なくとも部分的には、たとえば、入力表面の形態もとり、任意に光学効果を有する。その場合、これはここでのインターフェースを構成する。
【0021】
本発明との関連でのインターフェースとは、少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間に生成し、たとえば、製造プロセスの結果として、相接体積要素の少なくとも1つと比較して材料組成及び/又は材料の性質の変動を有する面のことである。また、インターフェースとは、少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積複合体間に生成し、たとえば、製造プロセスの結果として、相接体積複合体の少なくとも1つと比較して材料組成及び/又は材料の性質の変動を有する面のことでもある。そのほか、インターフェースとは、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体との間に生成し、たとえば、製造プロセスの結果として、少なくとも1つの体積要素と比較して及び/又は少なくとも1つの体積複合体と比較して材料組成及び/又は材料の性質の変動を有する面のことでもある。材料組成及び/又は材料の性質のそれぞれの変動は、たとえば、眼鏡レンズの異なる屈折率、異なる分散性若しくは異なる散乱性及び/又は吸収性で表されうる。そのため、かかるインターフェースの結果として、眼鏡レンズの体積内に少なくとも1つの望ましくない光学的性質が存在しうる。上述した体積複合体は、代替的に、均一体積複合体内の反応、これと少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素及び/又は体積複合体及び/又は均一体積複合体との反応が終了した結果としてインターフェースが生成する可能性のある均一体積複合体でありうる。また、体積複合体は、代替的に、反応性の非伝達の結果として、少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素及び/又は体積複合体及び/又は均一体積複合体に対するインターフェースが生成しうる最終体積複合体でもありうる。
【0022】
本発明との関連での構造物とは、凝集性体積要素及び/又は体積複合体及び/又は均一体積複合体及び/又は最終体積複合体及びそれらの各々の間に生成したインターフェースの構成体を意味するものと理解される。構造物は、各場合につき、眼鏡レンズの一表面の及び/又は一表面上の及び/又は体積内の規則的構造物又は不規則的構造物でありうる。そのほか、構造物とは、高次単位又は同一若しくは異なる構造物の重合せから生じる高次物を意味するものと理解される。同一又は異なる規則的構造の重合せは、たとえば、眼鏡レンズの一表面の及び/又は一表面上の及び/又は眼鏡レンズの体積内のモアレ構造物をもたらすこともある。眼鏡レンズの一表面の及び/又は一表面上の及び/又は眼鏡レンズの体積内の高次構造物は、たとえば、体積要素の交互積層適用からももたらされうる。オレンジピール効果に関係する波状物又は構造物は、眼鏡レンズの一表面に及び/又は一表面上に生成する可能性のあるさらなる例である。
【0023】
プリントされる流体がプリントされる基材に体積要素の形態で適用されるインクジェット法を利用した眼鏡レンズの付加製造では、眼鏡レンズの体積内で体積要素から生じるインターフェース及び/又は構造物は回避されるべきである。そうする考えられる一手段は、眼鏡レンズの体積内の体積要素から生じるインターフェース及び/又は構造物が生成する場合でさえも、これらが散乱などの破壊的な光学的性質をもたらさないように、及び/又はヒトの眼の分解能未満になるように、そのため、眼鏡着用者により知覚されることさえもないように、体積要素のサイズを低減することである。しかしながら、2つの制限:体積要素のプリント可能なサイズ及び得られるプリント速度が存在する。体積要素の製造モードの結果として、すなわち、たとえば、キャピラリーによりピエゾアクチュエーターを利用して、体積要素のサイズつまり体積は、物理的限界に遭遇する。工業的に利用可能なインクジェットプリントヘッドの体積要素の最小サイズは、現在約1pLであり、それは12.4μmの体積要素の直径又は10μmの縁の長さに対応する。1pLの体積要素のサイズ及び典型的には10kHzの周波数が与えられたとすれば、単一ノズルで10-5cm3の材料体積/sをプリントすることが可能である。つまり、約5cm3の体積を有する典型的な眼鏡レンズでは5×105s又は833minが必要とされる。256ノズルを有する慣用アレイを利用すると、純プリンティング時間は、3~4minに低減されるが、プリントヘッド又は基材の移動の時間、中間硬化、たとえば、中間UV硬化もまた、同様に考慮に入れなければならない。したがって、典型的には、眼鏡レンズのインクジェットプリンティングは、実験室条件下で約1hを要する。
【0024】
眼鏡レンズの体積内のインターフェース及び/又は構造物から生じる光学的影響の効果的回避は、屈折の影響の場合、1μm未満と予想されるにすぎないが、回折及び分散の影響の場合、100nmを十分に下回ると予想される。構造物サイズのかかる低減を1/10~1/100にするには、インクジェット法の体積要素のサイズを約1fL又は1aLに低減しなければならないであろう。しかしながら、これは現在市販されているインクジェットプリントヘッドでは達成することができず、加えて、ノズルの同一プリントヘッドジオメトリー及び同一数を仮定すると、プリント時間は、それぞれ103又は106倍に増加するであろう。物理的限界は、根本的であり、ドロップレット又は体素の形成の根底をなす音響学的及び流体動力学的パラメーター、とりわけ音のスピード並びにインクジェット法によりプリントされる流体のレオロジー及び表面張力から本質的に生じる。
【0025】
したがって、眼鏡レンズの体積内のインターフェース及び/又は構造物を回避するためにプリンティング法で体積要素のサイズを減少させるアプローチは、所与の理由で非生産的であるうえに、物理的状況により制限される。
【0026】
一方、体積要素のサイズの増加は、体積要素の適用速度及び粘度の両方の増加が可能であるという利点を有する可能性がある。しかしながら、体積要素のサイズの増加は、プリントされた物品の分解能が識別可能に低減されて、特定眼鏡レンズの製造に限定的影響を与えるという欠点を有するであろう。体積要素のサイズの増加は、たとえば、特定位置の各体積要素が特定の性質を有しうるインクジェット法を利用して製造される眼鏡レンズが、この眼鏡レンズに対して計算された性質を有して及び/又はこの眼鏡レンズに対して事前に規定された性質を有して所望の分解能で製造できないという制限を有する。特定の性質を有する各体積要素を特定位置に位置決めすることは、位置依存屈折率分布を有する眼鏡レンズのプリンティングの要件である。ここでの体積要素のサイズが小さくなるほど、結果的に分解能が高くなり、たとえば、こうして実現可能な勾配が急になる。たとえば、Δn=10-3/mmの屈折率勾配を達成するには、屈折率の最大差を有する2種の流体を混合すると仮定して、直径10μm程度の大きさの体積要素が必要とされる。ここでの体積要素の直径とは、基材に当たる前の飛行時の直径のことである。眼鏡レンズに対して事前に規定された位置依存性は、たとえば、適用される流体の屈折率及び組成並びに/又は眼鏡レンズの材料を含みうる。
【0027】
以上で考察されたように、体積要素のサイズの低減を促進すると、その物理的、技術的、及び経済的限界に遭遇し、体積要素のサイズの増加を促進すると、眼鏡レンズに望ましくない分解能の低減を伴うので、本発明に従って提案されるのは、プリントされる基材又は除去される支持体材料にインクジェット法を利用して適用された体積要素を最初に再び体積複合体に、さらには均一体積複合体に、次いで最終体積複合体に完全に変換することである。体積複合体は、少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素を含む。体積複合体はまた、少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体を含む。体積複合体は、少なくとも1つの体積要素並びに/又は少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体をさらに含む。体積複合体は、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触から生じる。体積複合体はまた、少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/又は接触から生じる。体積複合体は、そのほか、少なくとも1つの体積要素並びに少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/又は接触から生じる。少なくとも2つの体積要素を含む体積複合体では、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積要素間の反応は、まだ開始されていない。少なくとも2つの体積複合体を含む体積複合体では、少なくとも1つの体積複合体内の反応並びに/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体間の反応は、まだ開始されていない。少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体とを含む体積複合体では、少なくとも1つの体積要素内の反応及び/又は少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体との間の反応及び/又は少なくとも1つの体積複合体内の反応は、まだ開始されていない。
【0028】
均一体積複合体は、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積要素間の反応が十分に終了していない少なくとも1つの体積複合体を含む。均一体積複合体はまた、少なくとも1つの体積複合体内の反応並びに/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体間の反応が十分に終了していない体積複合体も含む。均一体積複合体は、そのほか、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体と間の反応並びにこの少なくとも1つの体積複合体内の反応が各場合につき十分に終了していない体積複合体も含む。少なくとも2つの体積要素を含む均一体積複合体では、そのほか、少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素間の反応性は、まだ伝達されていない。少なくとも2つの体積複合体を含む均一体積複合体では、少なくとも1つの体積複合体内の反応性及び/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体間の反応性は、まだ伝達されていない。少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つ体積複合体とを含む均一体積複合体では、そのほか、少なくとも1つの体積複合体内の反応性及び少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との間の反応性は、まだ伝達されていない。少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つ体積複合体とを含む均一体積複合体中の少なくとも1つの体積要素内の反応性も、まだ伝達されていない。少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つ体積複合体とを含む均一体積複合体では、反応性は、少なくとも1つの体積要素から少なくとも体積複合体にまだ伝達されていない。
【0029】
最終体積複合体は、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素間の反応が十分に終了した少なくとも1つの均一体積複合体を含む。最終体積複合体はまた、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応並びに少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体間の反応が十分に終了した均一体積複合体を含む。最終体積複合体は、そのほか、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体との間の反応並びに少なくとも1つの均一体積複合体内の反応が各場合につき十分に終了した均一体積複合体を含む。少なくとも2つの体積要素を含む均一体積複合体から形成された最終体積複合体では、反応性は、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された体積要素に伝達されている。少なくとも2つの均一体積複合体を含む均一体積複合体から形成された最終体積複合体では、反応性はまた、少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体に伝達されている。最終体積複合体では、反応性は、そのほか、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体に伝達されている。最終体積複合体では、反応性は、そのほか、少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された体積要素に伝達されている。
【0030】
最終体積複合体が少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体から形成される場合、これらの少なくとも2つの均一体積複合体内の反応及びこれらの少なくとも2つの均一体積複合体間の反応は、各場合につき十分に終了している。そのほか、反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体から相接する及び/又は隣接して適用された少なくとも第2の均一体積複合体に伝達されている。最終体積複合体が少なくとも1つの均一体積複合体並びに少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された体積要素から形成される場合、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応、少なくとも1つの体積要素内の反応、並びに少なくとも1つの均一体積複合体と相接する及び/又は隣接して適用された体積要素との間の反応は、各場合につき十分に終了している。反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された体積要素に又は少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された均一体積複合体にのどちらかで伝達されている。
【0031】
「体積複合体」「均一体積複合体」、及び「最終体積複合体」に関する以上の見解では、挙げられた選択肢は、単独又は組合せで、各々、体積複合体、均一体積複合体、又は最終体積複合体の形成をもたらしうる。
【0032】
隣接して適用された体積要素とは、x/y方向に互いに並行して及びz方向に互いに重ねて適用された体積要素を意味するものと理解される。隣接して適用された体積要素は、z方向に互いに重ねて又はx/y方向にオフセットして直接存在しうる。隣接して適用された体積要素とは、いずれのx/y方向にかかわらず又はいずれのz方向にかかわらずいずれかの方向に隣接して適用された体積要素を意味するものと理解される。体積要素は、規則的に又はランダム分布で隣接して適用されうる。体積要素はまた、隣接して適用された体積要素の層内で規則的に又はランダム分布で隣接して適用されうる。体積要素は、そのほか、規則的に又はランダムに分布するがそれにもかかわらず隣接して適用された体積要素の2つの層間で隣接するように隣接して適用されうる。隣接して適用された体積要素は、必要というわけではないが、間隙を空けずに互いに直接相接しうる。
【0033】
互いに相接する又は相接する体積要素とは、隣接して適用された体積要素を意味するものと理解される。隣接して適用された体積要素は、ここではいずれの所望の方向にも互いに相接及び/又は合体しうる。互いに相接する体積要素とは、そのほか、x/y方向に部分的にオーバーラップして適用された体積要素を意味するものと理解される。z方向では、互いに相接する体積要素は、互いに重ねて又はx/y方向にオフセットして直接適用されうる。互いに重ねて又はx/y方向にオフセットして直接適用された体積要素は、いずれの所望の方向にも少なくとも1つのさらなる体積要素と合体しうるか、又はいずれの所望の方向にも少なくとも1つのさらなる体積要素に接続及び/若しくは接触されうる。互いに相接する体積要素は、合体、結合、及び/又は接触後、体積要素間に間隙を有しない。体積要素のサイズ及びプリントパターンに応じて、未硬化又は部分硬化表面上の少なくとも1つの体積要素の接触角は、好ましくは、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素がオーバーラップして合体をもたらすように調整される。この目的のために、少なくとも1つの体積要素の表面張力は、好ましくは十分に小さくなるように選ばれ、典型的な値は、好ましくは<30mN/mの領域、さらに好ましくは20mN/m~25mN/mの範囲内である。
【0034】
隣接して適用された体積要素及び互いに相接又は隣接する体積要素の以上の定義は、隣接して適用された及び互いに相接する又は相接する体積複合体及び/又は均一体積複合体及び/又は最終体積複合体に同様に適用可能である。そのほか、以上の定義はまた、体積要素及び体積複合体及び/若しくは均一体積複合体及び/若しくは最終体積複合体又は体積複合体及び均一体積複合体及び/若しくは最終体積複合体が隣接して適用されるか又は互いに相接するか又は相接するときにも適用可能である。
【0035】
層とは、プリンティング表面に平面平行に存在する互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素の構成体を意味するものと理解される。ここでの体積要素は、プリントされる表面を完全に又は部分的にのみ覆いうる。
【0036】
体積要素又は体積複合体又は均一体積複合体又は最終体積複合体は、開始される又は可能な重合反応を目指して、さらなる重合反応が見られなくとも、長い反応時間にわたる場合及び/又は連続活性化の場合でさえも十分に硬化される。このことは、ここで重合反応に関与する反応性基の100%変換が存在しなければならないことを必ずしも意味するとは限らない。
【0037】
反応は、重合反応などの反応が長い反応時間にわたり継続する場合及び/又は連続活性化の場合及び/又は反応条件の再採用の場合には不完全であるとみなされる。
【0038】
平面表面がプリントされる場合、たとえば平面基材の場合、又は体積要素の平面適用層の場合、x方向は、プリントされる表面に平行なプリント方向に直交して規定される。y方向は、ここではプリント方向として定義される。そのため、y方向は、少なくとも1つのプリントヘッド又はプリントヘッド構成体が移動される方向である。プリント分解能又はプリント領域を増加させるために、そのほか、プリント方向に直交してプリントヘッド又はプリントヘッド構成体を移動することが必要でありうる。平面表面がプリントされる場合のz方向は、x及びy方向に直交する方向として定義される。プリントされる表面との関連で平面が意味するのは、この表面が巨視的範囲内にいずれの曲率も有していないということである。
【0039】
湾曲表面にプリントされる場合、たとえば、凸若しくは凹基材の場合又は凸若しくは凹基材に適用された体積要素の少なくとも1つの層の場合、x方向は、ここでも、プリントされる表面のプリント方向に直交し、プリントヘッドのノズルプレートに平行である。y方向は、ここでも、プリント方向として定義され、平面表面に関して述べた以上の見解が同様に適用可能である。湾曲表面の場合のz方向は、x,y方向により形成された平面に直交する方向として定義される。
【0040】
平面又は湾曲表面の場合のx、y、及びz方向の以上の定義は、プリントされる基材を少なくとも1つのプリントヘッド又はプリントヘッド構成体の移動に追加的又は代替的にx方向及び/又はy方向に移動することを除外するものではない。移動はまた、純粋にx又はy方向に制限されるものではなく、対角線上や回転など、2方向の重合せからなるものでありうる。移動はまた、そのほか、z方向も含みうる。
【0041】
適用された体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、次いで最終体積複合体への変換は、体積要素に起因して隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間に生じる眼鏡レンズの体積内のインターフェース及び/又は構造物を防止する。これらのインターフェース及び/又は構造物は、結果的に望ましくない光学的影響もたらす可能性がある。適用された体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への変換は、ここでは、好ましくは、横方向のx/y方向だけでなくz方向にも行われる。ここでのy方向は、インクジェット法のプリンティング方向を記述し、一方、x方向は、プリントヘッド/基材/支持体材料が横方向に移動されるステッピング方向を表す。z方向は、それらに直交して高さが蓄積される方向を規定する。適用された体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、次いで最終体積複合体への変換は、たとえば、好ましくは2次元体積複合体の形成を伴って、体積複合体が形成されるように、x/y方向に隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間で最初に横方向に行うことが可能である。続いて、x/y方向に形成された体積複合体は、z方向に適用された体積要素により伸長され、さらには均一体積複合体に、次いで最終体積複合体に変換可能である。体積複合体及び/又は均一体積複合体の形成は、たとえば、運動エネルギー及び各々z方向に生じる体積要素の時空間内の構成体により支援可能である。x/y方向に形成された体積複合体V又はx/y方向に形成された均一体積複合体Vhの伸長は、下記変形形態を含みうる。
a)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する均一体積複合体Vhへのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
b)x/y方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体Vhにz方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体Vh1への、x/y方向の横方向変換、及びx/y方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体Vhへのそれらの後続のインテグレーション、又は
c)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する体積複合体Vhへのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体Vh1へのz方向に適用された体積要素の同時変換。
【0042】
それぞれ得られた体積複合体Vは、均一体積複合体Vhに、次いで最終体積複合体に変換される。
【0043】
次いで、それぞれ得られた均一体積複合体Vhは、最終体積複合体に変換される。
【0044】
好ましくは、x/y方向に形成された体積複合体V又はx/y方向に形成された均一体積複合体Vhは、x/y方向にすでに存在する体積複合体Vへの又はx/y方向にすでに存在する均一体積複合体Vhへのz方向に適用された体積要素のインテグレーションにより伸長される。
【0045】
上述した場合a)~c)では、体積複合体V及び均一体積複合体Vhの同時存在もまた、可能である。
【0046】
代替的に、体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への適用された体積要素の変換は、隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間で最初にz方向に行うことが可能である。体積複合体及び/又は均一体積複合体のこの形成はまた、たとえば、運動エネルギー及び各々z方向に生じる体積要素の時空間内の構成体により支援可能である。続いて、z方向に形成された体積複合体は、x/y方向に適用された体積要素により伸長され、さらには均一体積複合体に、次いで最終体積複合体に変換可能である。z方向に形成された体積複合体V又はz方向に形成された均一体積複合体Vhの伸長は、ここでは、下記変形形態を含みうる。
a)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する均一体積複合体Vhへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
b)z方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体Vhにx,y方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体Vh1への、z方向変換、及びz方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体Vhへのそれらの後続のインテグレーション、又は
c)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する体積複合体Vhへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体Vh1へのx,y方向に適用された体積要素の同時変換。
【0047】
この実施形態の場合もまた、それぞれ得られた体積複合体Vは、均一体積複合体Vhに、次いで最終体積複合体に変換される。
【0048】
それぞれ得られた均一体積複合体Vhは、最終体積複合体に変換される。
【0049】
好ましくは、この実施形態では、z方向に形成された体積複合体V又はz方向に形成された均一体積複合体Vhは、z方向にすでに存在する体積複合体Vへの又はz方向にすでに存在する均一体積複合体Vhへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーションにより伸長される。
【0050】
上述した代替事例a)~c)では、体積複合体V及び均一体積複合体Vhの同時存在もまた可能である。
【0051】
さらに、代替的に、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素から体積複合体、続いて均一体積複合体への変換は、x/y方向及びz方向に同時に行うことが可能である。
【0052】
さらに、代替的に、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素から体積複合体、続いて均一体積複合体への変換は、いずれの所望の方向にも行うことが可能である。ここで「いずれの所望の方向にも」とは、適用された体積要素から体積複合体、続いて均一体積複合体への変換が、いずれのx/y方向にも依存せずに且ついずれのz方向にも依存せずに行われることを意味する。任意の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。さらに好ましくは、適用された体積要素から体積複合体、続いて均一体積複合体への変換は、いずれの所望の方向にも同時に影響を受ける。個別体積要素から出発して、これは、隣接して適用された及び/又は相接する体積要素を用いて、いずれの所望の方向にも、体積複合体に、次いで、均一体積複合体に変換可能である。次いで、均一体積複合体は、各場合につき最終体積複合体に変換される。
【0053】
体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への以上に記載の変換ではなく、少なくとも1種の体積複合体と少なくとも1種のさらなる体積複合体とを組み合わせて、均一体積複合体を、次いで最終体積複合体を与えることも可能である。こうした体積複合体の組合せは、好ましくは、ここでは単に横方向のx/y方向だけでなくz方向にも行われる。この目的に合わせて、単純化された形で、たとえば、x/y方向に互いに隣接して配置された2つの体積複合体V2及びV3を考えた場合、これらの2つの体積複合体V2及びV3は、最初に、2つの体積複合体V2及びV3のz方向の界面を介して、1つの体積複合体に、さらには均一体積複合体に、続いて最終体積複合体に変換されうる。これらの2つの体積複合体V2及びV3を互いに隣接してz方向に互いに重ねて配置した場合、これらの2つの体積複合体V2及びV3は、最初に、x/y方向の2つの体積複合体V2とV3との界面を介して、体積複合体に、さらには均一体積複合体に、続いて最終体積複合体に変換されうる。これらの2つの体積複合体V2及びV3をx/y方向に互いに並行して互いに隣接して、且つz方向に互いに重ねて完全に又は少なくとも部分的には互いに隣接して配置した場合、これらの2つの体積複合体V2及びV3は、x/y方向及びz方向の2つの体積要素間の界面を介して、体積複合体に、さらには均一体積複合体に、続いて最終体積複合体変換されうる。代替的に、少なくとも1つの体積複合体及び少なくとも1つのさらなる体積複合体から均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への変換は、x/y方向にかかわらず及び/又はz方向にかかわらず、いずれの所望の方向にも、行うことが可能である。ここでの任意の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。2つの体積複合体V2及びV3から生じる体積複合体又は均一体積複合体は、次いで、各場合につき、少なくとも1つの体積要素及び/又は少なくとも1つの体積複合体及び/又は少なくとも1つの均一体積複合体により伸長されうる。この体積複合体の又はこの均一体積複合体のこうした伸長は、x/y方向及び/又はz方向に行うことが可能である。代替的に、この体積複合体の又はこの均一体積複合体のこうした伸長は、いずれの所望の方向にも行うことが可能である。ここでの任意の方向も、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。少なくとも1つの体積要素及び/又は少なくとも1つの体積複合体及び/又は少なくとも1つの均一体積複合体によるこの体積複合体の又はこの均一体積複合体のこうした伸長は、同時に又は逐次的に行うことが可能である。
【0054】
本発明によれば、均一体積複合体は、好ましくは、少なくとも1つの体積要素内の反応及び隣接して適用された体積要素間の反応及び/又は互いに相接する体積要素間の反応が十分に終了していないときに形成される。この目的のために、たとえば、単純化された形態で、たとえば、互いに相接する及び/又は基材に隣接して適用された丁度2つの体積要素を考える。たとえば、これらは、界面などでの重合反応を利用して互いに反応可能である。重合反応が全体的に十分に終了したとき、対応する重合反応が可能であれば、これらの2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素から形成された均一体積複合体の表面は、硬化されている。たとえば、少なくとも1つのさらなる体積要素をこの硬化表面に適用した場合、簡単に言えば、硬化表面と少なくとも1つのさらなる体積要素との間では、仮に反応したとしても、識別可能に低減された重合反応が見られるにすぎない。そのため、硬化表面では、たとえば、異なる材料の性質を有してインターフェースが形成される。
【0055】
本発明によれば、均一体積複合体はまた、好ましくは、少なくとも1つの体積複合体内の反応及び少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との反応及び少なくとも1つの体積要素内の反応が各場合につき十分に終了していないときに形成される。この目的のために、たとえば、体積複合体及びさらなる体積要素は、たとえば、界面などでの重合反応を利用して互いに反応可能であると考えられる。体積複合体内の重合反応が対応する重合反応に関してできる限り十分に終了している場合、表面が硬化された均一体積複合体が得られる。この硬化表面では、簡単に言えば、それ以上重合反応が起こらないか、又はさらなる体積要素内の反応が対応する重合反応に関してできる限り十分に終了しているか否かにかかわらず、均一体積複合体とさらなる体積要素との間で識別可能に低減された重合反応が起こるにすぎない。その代わりに、この硬化表面では、たとえば、均一体積複合体とさらなる体積要素との間に、異なる材料の性質を有する望ましくないインターフェースが生成する。
【0056】
本発明によれば、均一体積複合体はまた、好ましくは、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体内の反応、及び互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体間の反応、たとえば、体積複合体A内の反応、体積複合体B内の反応、及び、体積複合体Aと体積複合体Bとの間の反応が、各場合につき、十分に終了していないときに形成される。この目的のために、たとえば、単純化された形態で、たとえば、重合反応を利用して、互いに反応可能な体積複合体A及び体積複合体Bが考えられる。体積複合体A内の重合反応が対応する重合反応に関してできる限り十分に終了している場合、表面が硬化された均一体積複合体Aが得られる。この硬化表面では、簡単に言えば、それ以上重合反応が起こらないか、又は体積複合体B内の重合反応が終了しているか否かにかかわらず、均一体積複合体Aと体積複合体Bとの間で識別可能に低減された重合反応が起こるにすぎない。その代わりに、この硬化表面では、たとえば、均一体積複合体Aと体積要素Bとの間に、異なる材料の性質を有する望ましくないインターフェースが生成する。
【0057】
体積要素、体積複合体、均一体積複合体、又は最終体積複合体の体積内に、各場合につき、各種インターフェースが見られる場合、望ましくない構造物又は異なる材料の性質を有する領域が形成される可能性もあり、さらには、これらの望ましくないインターフェース、及び体積要素、体積複合体、均一体積複合体、又は最終体積複合体は、各場合につき、光学的に不均一である。
【0058】
本発明によれば、最終体積複合体は、隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間にインターフェースが生成されないときに形成される。本発明によれば、最終体積複合体はまた、既存の体積複合体と少なくとも1つのさらなる体積要素との間又は既存の均一体積複合体と少なくとも1つのさらなる体積要素との間にインターフェースが生成されないときに形成される。本発明によれば、最終体積複合体はまた、少なくとも1つ既存の体積複合体と少なくとも1つのさらなる体積複合体との間、又は少なくとも1つの既存の均一体積複合体と少なくとも1つのさらなる体積複合体との間、又は少なくとも1つの既存の均一体積複合体と少なくとも1つのさらなる均一体積複合体との間にインターフェースが生成しないときに形成される。インターフェースが生成しないとき、材料の性質の急激な変化は、見られない。
【0059】
本発明によれば、最終体積複合体は、好ましくは、隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間で反応性が伝達されるときに形成される。反応性は、互いに相接する並びに/又はx/y方向及び/若しくはz方向に隣接して適用された体積要素間で伝達可能である。反応性は、代替的に、いずれの所望の方向にも、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素間で伝達可能である。いずれの所望の方向にもとは、方向に関して一様分布であり、優先方向をもたないことを意味する。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。反応性の伝達とは、体積要素内で開始した反応が隣接して適用された及び/又は相接する体積要素に連続することを意味する。反応性の伝達とはまた、体積要素内で開始した反応が隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間に連続することを意味する。そのほか、反応性の伝達とは、体積要素内で開始した反応が、i)隣接して適用された及び/若しくは相接する体積要素内で及び/又はii)隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間で反応が継続される前、好ましくは、その1つの体積要素内で十分に終了していないことを意味する。反応は、好ましくは使用される流体の反応性の少なくとも1つの活性化を介して、体積要素内で開始する。反応は、さらなる活性化を行わずに又は再活性化後に、隣接して適用された及び/又は相接する体積要素内で継続されうる。再活性化後、隣接して適用された及び/又は相接する体積要素内で反応を継続することが好ましい。反応性は、好ましくは、反応性がまだ伝達されていない体積要素を均一体積複合体が依然として含む限り、又は少なくとも1つのさらなる体積要素が依然として添加されている限り、体積要素から隣接して適用された及び/又は相接する体積要素に伝達される。この目的では、反応の再活性化が必要な場合が当てはまりうる。そのほか、もはや伸長されない均一体積複合体は、最終活性化に付されうるとともに、硬化が終了したら、最終体積複合体になるであろう。この目的では、簡単に言えば、たとえば、基材に適用された体積要素1を考えた場合、この体積要素1内の重合反応などの反応は、好ましくは活性化によりトリガーされる。この1つの体積要素1に隣接してさらなる体積要素2を適用した場合、反応性は、この1つの体積要素1からさらなる体積要素2に伝達される。体積要素1内で開始した反応は、第1に、体積要素2に継続され、反応はまた、第2に、体積要素1と体積要素2との間で行われる。体積要素2内の反応の継続のために、少なくとも1つの再活性化が必要とされうる。この方法では、とりわけ、体積要素1と体積要素2との反応を利用して、2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素間でのインターフェースの形成が防止される。本発明によれば、最終体積複合体はまた、好ましくは、隣接して適用された均一体積複合体間及び/又は互いに相接する均一体積複合体間で反応性が伝達されるときに形成される。反応性は、互いに相接する並びに/又はx/y方向及び/若しくはz方向に隣接して適用された均一体積複合体間で伝達可能である。反応性は、代替的に、いずれの所望の方向にも、互いに相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体間で伝達可能である。「いずれの所望の方向にも」とは、いずれの優先方向ももたずに任意の方向に一様分布することを意味する。反応性は、好ましくは、隣接して適用された均一体積複合体間及び/又は互いに相接する均一体積複合体間でz方向に伝達される。この目的では、簡単に言えば、たとえば、均一体積複合体1を考えた場合、この均一体積複合体1内の重合反応などの反応は、好ましくは活性化によりトリガーされる。この均一体積複合体1の反応性が、隣接して適用された均一体積複合体2及び/又はこの均一体積複合体1に隣接する均一体積複合体2に伝達される場合、反応は、第1に、このさらなる均一体積複合体2に継続され、反応は、第2に、均一体積複合体1と均一体積複合体2との間で行われる。均一体積複合体1内及び均一体積複合体2内の反応性は、各場合につき、1回以上活性化されうる。少なくとも2つの均一体積複合体間の反応性の伝達はまた、好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応性の伝達、たとえば、均一体積複合体内に存在する体積要素間のものを含む。少なくとも2つの均一体積複合体間の反応性の伝達は、均一体積複合体内又は少なくとも2つの均一体積複合体間のどちらでも、各場合につき、インターフェースの形成を防止する。
【0060】
本発明によれば、最終体積複合体は、好ましくは、そのほか、反応性が少なくとも1つの均一体積複合体と体積複合体との間で伝達されるとき形成される。反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積複合体との間でx/y方向の及び/又はz方向に伝達されうる。反応性は、代替的に、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積複合体との間でいずれの所望の方向にも伝達されうる。ここでの「いずれの所望の方向にも」とは、いずれの優先方向ももたずに任意の方向に一様分布することを意味する。反応性は、好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間でz方向に伝達される。この目的では、簡単に言えば、たとえば、均一体積複合体1を考えた場合、この均一体積複合体1内の重合反応などの反応は、好ましくは活性化によりトリガーされる。この均一体積複合体1の反応性が、隣接して適用された均一体積複合体2及び/又はこの均一体積複合体1に隣接する体積複合体2に伝達される場合、反応は、第1に、均一体積複合体2’が形成されるようにこのさらなる体積複合体2で開始し、反応は、第2に、ここで形成される均一体積複合体1と均一体積複合体2との間で行われる。均一体積複合体1内及び反応の開始時に均一体積複合体2’に変換された体積複合体2内の反応性は、各場合につき、少なくとも1回又は2回以上活性化可能である。少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間で反応性の伝達及びそれらから均一体積複合体への移動はまた、好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応性の伝達、たとえば、均一体積複合体中に存在する体積要素間のものを含む。少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの体積複合体との反応性の伝達は、少なくとも1つの均一体積複合体内、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つ体積複合体との間、又は少なくとも1つの体積複合体内のどれでも、各場合につき、インターフェースの形成を防止する。本発明によれば、最終体積複合体は、好ましくは、そのほか、反応性が少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの均一体積複合体との間で伝達されるとき形成される。反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する均一体積複合体及び/又は隣接して適用されたものとの間でx/y方向及び/又はz方向に伝達可能である。反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する均一体積複合体及び/又は隣接して適用されたものとの間でいずれの所望の方向にも伝達可能である。ここでの「いずれの所望の方向にも」とは、いずれの優先方向ももたずに任意の方向に一様分布することを意味する。好ましくは、反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの均一体積複合体との間でz方向に伝達される。反応性は、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの均一体積複合体に、又は反対方向に少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの体積要素に伝達可能である。この目的では、簡単に言えば、たとえば、均一体積複合体の反応性は、相接する及び/又は隣接して適用された体積要素に伝達されるが考えられる。均一体積複合体内の重合反応などの反応は、好ましくは、少なくとも1つの活性化によりトリガーされる。この均一体積複合体の反応性が相接体積要素に伝達する場合、反応は、第1に、隣接体積要素に継続され、反応はまた、第2に、均一体積複合体と体積要素との間で行われる。体積要素内の反応性は、伝達後に少なくとも1回再活性化されうる。均一体積複合体内の反応性は、少なくとも1回又は2回以上活性化されうる。少なくとも1つの均一体積複合体内の少なくとも1つの活性化はまた、好ましくは、均一体積複合体の体積要素間の反応性の伝達をもたらす。少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの体積要素への又はその逆の、少なくとも1つの均一体積複合体内の、少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との間の反応性の伝達は、インターフェースの形成を防止する。
【0061】
本発明によれば、最終体積複合体は、好ましくは、そのほか、反応性が少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体との間で伝達されるとき形成される。反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する体積複合体及び/又は隣接して適用されたものとの間でx/y方向及び/又はz方向に伝達可能である。反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体との間でいずれの所望の方向にも伝達可能である。ここでの「いずれの所望の方向にも」とは、いずれの優先方向ももたずに任意の方向に一様分布することを意味する。好ましくは、反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体との間でz方向に伝達される。反応性は、好ましくは、ここでは、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの体積複合体に伝達される。この目的では、簡単に言えば、たとえば、体積要素の反応性は、相接体積複合体に伝達されると考えられる。体積要素内の重合反応などの反応は、好ましくは、少なくとも1つの活性化によりトリガーされる。この体積要素の反応性が相接体積複合体に伝達される場合、反応は、第1に、相接体積複合体内で開始し、均一体積複合体が形成され、第2に、反応はまた、体積要素と新たに形成された均一体積複合体との間で行われる。体積要素内の反応性は、伝達後に少なくとも1回再活性化されうる。新たに形成された均一体積複合体内の反応性は、少なくとも1回又は2回以上活性化される。少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの体積複合体への反応性の伝達及びそれからの均一体積複合体への変換は、少なくとも1つの体積複合体内の又は少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との間の各場合につきインターフェースの形成を防止する。
【0062】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、体積要素内の反応が十分に終了しておらず、隣接して適用された体積要素間の反応及び/又は互いに相接する体積要素間の反応が十分に終了しておらず、反応性が隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間で伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了しているときに形成される。反応性は、隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間で、x/y方向に、z方向に、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。ここでのいずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、互いに相接して基材に隣接して適用された2つの体積要素は、たとえば、反応を利用して、たとえば、重合反応を利用して互いに反応可能であると考えられる。これらの2つの体積要素を含む最終体積複合体の形成では、より好ましくは、最初に、各体積要素内及び2つの体積要素間の各場合につき反応が十分に終了していないことが要件である。そのほか、反応性は、これらの2つの体積要素間で伝達されることがとくに好ましい。好ましくは、反応は、体積要素内で開始し、他の体積要素に伝達され、他の体積要素内に継続される。1つの体積要素から他の体積要素への反応性の伝達の結果として、反応はまた、2つの体積要素間でさらに継続される。また、「2つの体積要素間」は、好ましくは、2つの体積要素が隣接して及び/又は互いに相接して適用されて配置された少なくとも1つの界面での反応を包含する。反応はまた、体積要素の両方で開始し、体積要素間で伝達可能である。反応は、好ましくは、それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化後に体積要素内で開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、少なくとも1つの同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び/又は熱エネルギーを利用した活性化でありうる。2つの体積要素間の反応性の伝達後、少なくとも1つの再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも2つの体積要素内及び間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素の追加を行うと、インターフェースが形成されるであろう。
【0063】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応が最初に十分に終了しておらず、隣接して適用された及び/又は互いに相接する均一体積複合体間の反応が最初は十分に終了しておらず、隣接して適用された及び/又は互いに相接する均一体積複合体間で反応性が伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了するときに形成される。反応性は、隣接して適用された及び/又は互いに相接する均一体積複合体間で、x/y方向、z方向、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。ここでのいずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、2つの均一体積複合体を考えた場合、その内部及びそれらの間で、重合反応などの反応が最初に各場合につき十分に終了しておらず、反応性が1つの均一体積複合体から他の均一体積複合体に伝達されるときがとくに好ましい。反応が1つの均一体積複合体内で開始する場合、それは他の均一体積複合体に伝達され、そして前記他の均一体積複合体で継続される。1つの均一体積複合体から他の均一体積複合体への反応性の伝達の結果として、反応はまた、2つの均一体積複合体間でさらに継続される。また、「2つの均一体積複合体間」は、好ましくは、2つの均一体積複合体が隣接して及び/又は互いに相接して適用されて配置された少なくとも1つの界面での反応を包含する。反応はまた、均一体積複合体の両方で開始し、均一体積複合体間で伝達可能である。反応は、好ましくは、それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化後に均一体積複合体内で開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。均一体積複合体間の反応性の伝達後、少なくとも1つの再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも2つの均一体積複合体内及び間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又はさらなる均一体積複合体の追加を行うと、インターフェースが形成されるであろう。
【0064】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応が最初に十分に終了しておらず、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間の反応が最初は十分に終了しておらず、均一体積複合体と隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間で反応性が伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了するときに形成される。反応性は、ここでは、x/y方向、z方向、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。いずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、1つの均一体積複合体及び1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体を考えた場合、その内部及びそれらの間で、重合反応などの反応が最初に各場合につき十分に終了しておらず、まだ開始もしておらず、反応性が均一体積複合体から体積複合体に伝達されるときがとくに好ましい。好ましくは、反応は、均一体積複合体内で開始し、均一体積複合体内でまだ十分に終了していない。その場合、反応は、体積複合体に伝達され、前記体積複合体に継続される。均一体積複合体から体積複合体への反応性の伝達の結果として、反応はまた、均一体積複合体と体積複合体との間でさらに継続される。また、「均一体積複合体と体積複合体との間」は、好ましくは、均一体積複合体及び体積複合体が隣接して及び/又は相接して適用されて配置された少なくとも1つの界面での反応を包含する。反応は、好ましくは、反応性の伝達の後、それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化の後、少なくとも1つの体積複合体内で開始し、これ体積複合体は、反応がまだ十分に終了していない均一体積複合体に変換される。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、少なくとも1つの同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。均一体積複合体と体積複合体との間で反応性の伝達後、再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つ体積複合体との間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又はさらなる均一体積複合体及び/又体積複合体の追加を行うと、インターフェースが形成されるであろう。
【0065】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、体積要素内の反応が最初に十分に終了しておらず、この1つの体積要素と隣接して適用された体積複合体及び/又はこの1つの体積要素に相接する体積複合体と間の反応が十分に終了しておらず、反応性がこの1つの体積要素から隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間で伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了しているときに追加的に形成される。反応性は、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの体積複合体に、x/y方向に、z方向に、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。いずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、体積要素内の重合反応などの反応はまだ十分に終了しておらず、体積複合体内の重合反応などの反応はまだ始まっていないことを考えて、反応性が体積要素から体積複合体に伝達されるときがとくに好ましい。好ましくは、反応は、体積要素内で開始し、体積複合体に伝達され、体積複合体内に継続され、それから均一体積複合体に変換される。そのほか、反応性の伝達はまた、好ましくは、体積要素と体積複合体又は後で形成される均一体積複合体との間の通常の界面での反応の継続を包含する。反応は、好ましくは、それぞれの反応に好適な活性化後に体積要素内で開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。体積要素から体積複合体への反応性の伝達後、再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つ体積複合体との間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又は少なくとも1つのさらなる均一体積複合体及び/又は体積複合体の追加を行うと、インターフェースが形成されるであろう。本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、そのほか、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応が最初に十分に終了しておらず、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する少なくとも1つの体積要素との間の反応が最初は十分に終了しておらず、この1つの均一体積複合体から少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素に反応性が伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了するときに形成される。反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの体積要素に、x/y方向に、z方向に、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。いずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、1つの均一体積複合体及び1つの体積要素の内部及びそれらの間で重合反応などの反応が最初に各場合につき十分に終了していないことを考えて、反応性が均一体積複合体から体積要素に伝達されるときがとくに好ましい。好ましくは、体積複合体内の反応は均一体積複合体にそれらの変換で始まる、後者から体積要素まで転送され、体積要素内の継続である。反応性の伝達は、好ましくはまたそのほか、均一体積複合体と体積要素との間の通常のそのインターフェースで反応の継続を包含する。反応は好ましくは、均一体積複合体にそれらの変換を有するそれぞれの反応に好適な活性化の後の体積複合体内に開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。均一体積複合から体積要素への反応性の伝達後、再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つ体積要素との間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又は少なくとも1つのさらなる均一体積複合体及び/又は体積複合体の追加を行うと、それと共にインターフェースが形成されるであろう。
【0066】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、そのほか、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応及び少なくとも1つの体積要素内の反応が、最初に各場合につき、十分に終了しておらず、この少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する少なくとも1つの体積要素との反応が最初に十分に終了しておらず、反応性が、この少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素との間で伝達され、且つ反応性の伝達後、その反応が十分に終了しているときに形成される。反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの体積要素との間で、x/y方向に、z方向に、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。いずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、1つの均一体積複合体及び1つの体積要素の内部及びそれらの間で重合反応などの反応が最初に各場合につき十分に終了していないことを考えて、反応性が均一体積複合体から体積要素に伝達されるときがとくに好ましい。好ましくは、反応は、均一体積複合体への変換を伴って体積複合体内で及び体積要素内で開始し、そして均一体積複合体から体積要素に及び体積要素から均一体積複合体に伝達され継続される。反応性の伝達は、好ましくはまたそのほか、均一体積複合体と体積要素との間の通常のそのインターフェースで反応の継続を包含する。好ましくは、体積複合体内の反応は、それぞれの反応に好適な活性化後、それから均一体積複合体への変換を伴って開始し、体積要素内の反応は、それぞれの反応に好適な活性化後、同様に開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線、電子ビーム線、可視光などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。均一体積複合体と体積要素との間で反応性の伝達後、再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つ体積要素との間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又は少なくとも1つのさらなる均一体積複合体及び/又は体積複合体の追加を行うと、それと共にインターフェースが形成されるであろう。
【0067】
最終体積複合体の形成に対する上述したすべての変形形態に共通して、最終体積複合体では、反応は、好ましくはもはや継続されないが、十分に終了しており、反応性は、好ましくはもはや伝達されない。
【0068】
少なくとも1つの体積要素内で、均一体積複合体への変換を伴って少なくとも1つの体積複合体内で、及び/又は最終体積複合体への変換を伴って少なくとも1つの均一体積複合体内で行われる反応は、UV線などの化学線を利用して及び/又は熱エネルギーを利用して活性化可能である。反応は、好ましくはUV線を利用して活性化される。化学線、好ましくはUV線を利用した反応の活性化は、少なくとも1回行うことが可能であり、任意に繰り返される。任意に、反応の活性化は、異なる放射線(たとえば、異なる波長、強度、又は線量)を利用して少なくとも2回行うことが可能である。
【0069】
i)少なくとも2つの体積要素間で、ii)少なくとも2つの均一体積複合体間で、iii)少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体及び/又は少なくとも1つの均一体積複合体との間で、及び/又はiv)少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの体積複合体との間で行われる反応は、UV線などの化学線を利用して又は熱エネルギーを利用して活性化可能である。この場合もまた、反応は、好ましくはUV線を利用して活性化される。この場合もまた、化学線、好ましくはUV線を利用した反応の活性化は、少なくとも1回行うことが可能であり、任意に繰り返される。任意に、反応の活性化は、この場合もまた、異なるUV線を利用して少なくとも2回行うことが可能である。
【0070】
以上に記載の体積要素、体積複合体、及び均一体積複合体の内部及びそれらの間の反応の活性化は、独立して、逐次的又は同時に行うことが可能である。反応の活性化は、好ましくは同時に行われ、そのため、体積要素、体積複合体、及び均一体積複合体の内部及びそれらの間でのインターフェースの形成を防止する。
【0071】
適用された体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への変換は、適用される体積要素のサイズ減少に伴って重要性が高まりつつある。体積要素が小さくなるほど、インターフェース及びインターフェース近傍領域の体積割合の増加が有意になる。
【0072】
たとえ本発明により体積要素のサイズを無視しうるとしても、インクジェット法を利用してプリントされる基材には小さな体積要素を適用することが好ましい。小さな体積要素とは、好ましくは1pL~50pLの体積を有する、より好ましくは2pL~30pLの体積を有する体積要素を意味するものと理解される。小さな体積要素の利点の1つは、それによりより良好な分解能が利用可能になり、ひいては、たとえば、計算位置依存屈折率分布及び/又はより急勾配が利用可能になることである。
【0073】
本発明によれば、体積複合体から均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への、適用された体積要素の変換は、本発明に係る使用流体の反応性の活性化制御により達成される。本発明に係る使用流体の反応性の活性化制御は、ひいては反応のより良好な制御を可能にする。より特定的には、本発明に係る使用流体の反応、好ましくは重合がその適用後に開始する接点は、具体的にトリガー及び制御可能である。本発明に係る使用流体の適用の前、反応、好ましくは重合は、具体的活性化を行うことなく、仮に進行したとしても非常に弱く進行するにすぎない。そのため、本発明に係る使用流体は、インクジェット法に使用可能にするために十分に長い処理時間を有する。本発明に係る使用流体をインクジェット法に使用する場合、適用前に望ましくなく硬化することはない。言い換えると、インクジェットプリンターのリザーバーベッセル、コンジット、若しくはノズル、インクジェットプリントヘッド、又はプリントヘッド構成体は、適用に使用不能になるか並びに/又はコンジット及び/若しくはノズルのブロッケージをもたらすかのどれかであるいずれの流体も、好ましくはいずれの重合流体も含有していない。そのため、好ましくは、本発明に係る使用流体は、プリントヘッド、好ましくはピエゾプリントヘッドを利用して基材及び/又は体積要素層に適用できるように、高い安定性及び十分に長い処理時間を有する。好ましくは、本発明に係る使用流体の処理時間は、少なくとも1h、好ましくは少なくとも5h、より好ましくは少なくとも10hである。本発明に係る使用流体がインクジェット法の目標処理温度で少なくとも4週間にわたりなんら有意な変化を示さないとき、長期安定性が達成されている。
【0074】
米国特許出願公開第2016/0167323A1号明細書、米国特許出願公開第2004/0008319A1号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0046957A1号明細書には、隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体へ変換により、元々存在する界面間の反応及び反応性の伝達による最終体積複合体中の望ましくないインターフェースの形成を防止することがまったく開示されていない。そのほか、米国特許出願公開第2016/0167323A1号明細書、米国特許出願公開第2004/0008319A1号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0046957A1号明細書には、本発明に係る使用流体がなんら開示されていない。
【0075】
本発明に係る使用流体は、眼鏡レンズの製造を可能にし、均一な屈折率を有する眼鏡レンズの場合、好ましくはnD=1.49~1.76、さらに好ましくはnD=1.50~1.67の範囲内の屈折率を有する。ただし、屈折率は、ナトリウムD線の波長に対して報告される。眼鏡レンズが計算位置依存屈折率分布を有するものである場合、上述した範囲から反射率を実現可能である。屈折率は、好ましくは、21℃の温度で好適な光源及び好適な浸液を利用してアッベ屈折計により硬化流体に基づいて決定される。
【0076】
本発明に係る使用流体は、そのほか、nD=1.49~1.60の範囲内の屈折率に対して好ましくは40~60の範囲内、及びnD>1.60~1.76の範囲内の屈折率に対して好ましくは30~45の範囲内のアッベ数νdを有する眼鏡レンズの製造を可能にする。流体のアッベ数又は分散は、好ましくは、21℃の温度で単色光源及び好適な浸液を利用してアッベ屈折計により硬化流体に基づいて決定される。
【0077】
本発明に係る使用流体は、そのほか、好ましくは0.90g/cm3~1.50g/cm3の範囲内の密度の眼鏡レンズの製造を可能にする。ポリマーの密度は、好ましくは、置換の原理又はガスピクノメトリーを介して決定される。
【0078】
本発明に係る使用流体は、そのほか、好ましくはTg>60℃、さらに好ましくはTg>80℃、さらに好ましくはTg>100℃の軟化点を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。軟化点Tgは、好ましくは、動的機械的分析(DMA)を利用して硬化材料で決定される。
【0079】
使用流体は、そのほか、少なくとも前面及び/又は裏面の被覆後、好ましくは高耐衝撃性を有する、より好ましくは21CFR801.410に準拠したボール落下試験の要件を満たす(眼鏡レンズは、1.27mの高さからのサイズ15.87mm及び重量16.36gの鋼球の衝撃後に完全破壊されてはならない)眼鏡レンズの製造を可能にする。
【0080】
本発明に係る使用流体は、そのほか、好ましくは、色の最大ニュートラル性を有する、好ましくはG<2.0の低黄色値を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。これらの眼鏡レンズはまた、好ましくは、2年間にわたりエージング及び/又はプロセス関連黄変をなんら示さない。黄色度値は、DIN6167に準拠して決定され、標準色値X,Y,Z(
【数1】
)(式中、a=1.301及びb=1.149(D65標準イルミナント、10°法線観測者))から計算される。
【0081】
本発明に係る使用流体は、そのほか、好ましくは≦0.16cd/m2/lx、より好ましくは≦0.09cd/m2/lx、最も好ましくは≦0.05cd/m2/lxの小角散乱を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。小角散乱は、好ましくは、現在は取り下げられているDIN EN167:1995、パラグラフ4.2に準拠して、眼鏡レンズの幾何中心の周りに半径1mm~3mmの範囲内で測定される。
【0082】
本発明の流体はまた、好ましくは≦1.01、より好ましくは≦0.98、最も好ましくは≦0.54の大角散乱を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。大角散乱は、好ましくは、眼鏡レンズの幾何中心の周りの半径15mm~20mmの範囲内で補償なしでByk Gardner製のhaze-gard plus装置を用いて測定される。
【0083】
光学的に均一な眼鏡レンズとは、たとえば、屈折率、材質の性質、又は密度、眼鏡レンズの体積内のインターフェース又は他の構造物の望ましくない変動又は急激な変化、及び空気や他の不純物などのいずれかの混入物をなんら有していない眼鏡レンズを意味するものと理解される。光学的に均一な眼鏡レンズとは、イメージング性能の低減が見られない眼鏡レンズを意味するものと理解される。眼鏡レンズのイメージング性能は、たとえば、変調伝達関数(MTF)の測定により決定可能である。
【0084】
そのため、本発明に係る使用流体は、屈折率、アッベ数、密度、軟化点、耐衝撃性、色ニュートラル性、及び/又は光学的均一性に関して従来法で製造された眼鏡レンズに対応する眼鏡レンズの製造を可能にする。使用流体は、そのほか、屈折率分布及び/又はイメージング性能に関して従来法で製造された眼鏡レンズを超える眼鏡レンズの製造を可能にする。しかしながら、完成眼鏡レンズの従来の製造方法とは対照的に、本発明の方法での材料投入量は、かなり少ない。なぜなら、後者は、おそらく所望の形状を有するときでさえも、表面からの材料除去及び/又は粗縁完成眼鏡レンズの外形縁取りをなんら必要性とすることなく、完成前面、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.8に準拠して眼鏡の眼から離れる方向が意図された完成物体側面と、完成裏面、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.9に準拠して眼鏡の眼に面することが意図された完成眼側面と、を有する完成眼鏡レンズを与えることが可能であるからである。使用流体は、そのほか、計算位置依存屈折率分布を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。ここでの計算位置依存屈折率分布とは、眼鏡レンズの製造時、どの体積要素もその体積要素に対してあらかじめ決められたプリント表面上の位置に適用されることを意味する。ここでのプリント表面とは、基材、さらなる体積要素、体積複合体、及び/又は均一体積複合体のことでありうる。体積要素が適用される所定の位置は、ここでは、各場合につき製造される眼鏡レンズのうち、前面及び/又は裏面の表面トポグラフィーの表面トポグラフィーの計算から、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.2に準拠した眼鏡レンズによる分類から、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4に準拠した完成度による分類から、及び/又は、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.3に準拠した眼鏡レンズタイプによる分類から確認される。位置依存屈折率分布は、好ましくは、光学的計算プログラムたとえばZEMAX(Zemax LLC製)を利用して事前に計算され最適化される。計算では、意図される眼前の眼鏡レンズの位置、瞳孔間距離、眼鏡レンズのパントスコピックチルト、眼鏡レンズのフェイスフォーム角、及び眼鏡レンズのサイズは、好ましくは、知られていなければならない。さらに、とくに、多焦点眼鏡レンズ、二焦点眼鏡レンズ、三焦点眼鏡レンズ、可変焦点眼鏡レンズ、及び逆進眼鏡レンズの計算は、着用者の眼の回転中心と比べて眼鏡着用者の視野の物点位置を記述する物距離に基づく。
【0085】
使用流体は、半完成眼鏡レンズブランク、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.2に準拠した既光学処理面を1つのみ有するレンズブランク、又は完成眼鏡レンズ、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.6に準拠した縁処理前又は後の2つの既処理光学面を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。半完成眼鏡レンズブランクは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.3、8.4.4、及び8.4.5に準拠した単焦点半完成眼鏡レンズブランク、多焦点半完成眼鏡レンズブランク、又は累進屈折力半完成眼鏡レンズブランクの形態で製造されうる。完成眼鏡レンズは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.3.1、8.3.2、8.3.3、8.3.4、8.3.5、及び8.3.6に準拠した単焦点眼鏡レンズ、多焦点眼鏡レンズ、二焦点眼鏡レンズ、三焦点眼鏡レンズ、累進屈折力眼鏡レンズ、又は逆進屈折力眼鏡レンズの形態で製造されうる。好ましくは、本発明に係る使用流体は、完成眼鏡レンズの製造に使用される。完成眼鏡レンズは、既フォームエッジのフォームで製造されうるか、又はラフエッジ完成眼鏡レンズは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.15に準拠して最終的にはフォームエッジでありうる。
【0086】
本発明に係る使用流体は、各場合につきそれぞれのプリンティング温度で、好ましくは5mPas~20mPasの範囲内、さらに好ましくは7mPas~15mPasの範囲内、より好ましくは8mPas~11mPasの範囲内の粘度を有する。本発明に係る使用流体の粘度は、好ましくは、Malvern Instruments Ltd.製のC-VOR150レオメーターを用いて、プレート-コーン構成(1°コーン)で、1000s-1の剪断速度で、流体のそれぞれのプリンティング温度で、測定される。以上で述べた粘度範囲内では、それぞれのプリンティング温度、好ましくは30℃~80℃のプリンティング温度、より好ましくは40℃~50℃のプリンティング温度では、体積要素の安定な形成が確保される。
【0087】
本発明に係る使用流体は、各場合につき対応するプリンティング温度で、好ましくは20mN/m~40mN/mの範囲内、より好ましくは25mN/m~35mN/mの範囲内の静的表面張力を有する。
【0088】
表面張力は、好ましくは、液滴形状解析(懸滴法)用の装置を利用して、たとえばDataPhysics Instruments GmbH製のOCA20装置を用いて、25℃の温度又は対応するプリンティング温度で決定される。
【0089】
以上に述べた表面張力の範囲内では、それぞれのプリンティング温度、好ましくは40℃~50℃のプリンティング温度では、体積要素の安定な形成が確保される。
【0090】
好ましくは、本発明の流体は、好ましくは少なくとも300×300dpi、さらに好ましくは少なくとも600×600dpi、より好ましくは少なくとも1200×1200dpiの分解能を有するプリントヘッド又はプリントヘッド構成体を用いてプリントされる。
【0091】
以上の見解に基づいて、少なくとも1つのさらなる体積要素との合体、結合、湿潤、及び/又は接触により最初に体積複合体を形成し、ひいては次いで均一体積複合体に、最終的には最終体積複合体に変換される体積要素は、これ以降に明記された流体の少なくとも1つを含みうる。体積複合体又は均一体積複合体を伸長する働きをする体積要素は、同様に以下の流体の少なくとも1つを含みうる。
【0092】
下記の流体に挙げられたモノマーは、反応性成分として使用され、その場合、設定されたそれぞれの重合反応に付される。
【0093】
I ハイブリッドシステムに基づいて本発明に係る使用流体
本発明との関連でのハイブリッドシステムとは、異なる硬化反応の少なくとも2つの化学サブシステムが使用される組成を意味するものと理解される。これらのサブシステムは、重合に関して独立した独立システムとして反応しうるか、さもなければ、たとえば、個別成分が両方の硬化反応で共反応剤として生じうるという点で互いに部分的に反応しうるのどちらかである。関与する硬化反応は、たとえば、硬化機構で、硬化速度、又は架橋度に関して、同様に又は異なって進行しうる。
【0094】
I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づいて本発明に係る使用流体
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、少なくとも1つのチオール-エンシステムと少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムとの組合せである。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、好ましくはUV硬化性又は放射線硬化性である。少なくとも1つのチオール-エンシステムは、少なくとも1つのチオールモノマー及び少なくとも1つのエンモノマーを含む。少なくとも1つのチオールモノマー及び少なくとも1つのエンモノマーは、この場合、好ましくは化学量論比で又はわずかにエンモノマー過剰で、好ましくは少なくとも1つのチオールモノマーと少なくとも1つのエンモノマーとを1:1.001~1:1.10の範囲内、さらに好ましくは1:1.01~1:1.05の範囲内の化学量論比で存在する。わずかなエンモノマー過剰は、硬化流体中のチオール基のいかなる残留含有率も回避する。使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性チオールモノマーである。使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、少なくとも1つの2官能性メルカプトエステル及び/又は少なくとも1つの2官能性メルカプトチオエーテルである。使用されるエンモノマーは、好ましくは、単官能性エンモノマー又は少なくとも2官能性エンモノマーである。使用される少なくとも1つのエンモノマーは、好ましくは、少なくとも1つの単官能性又は2官能性ビニル化合物、より好ましくは少なくとも1つの単官能性若しくは2官能性ビニルエーテル及び/又は少なくとも1つの単官能性若しくは2官能性アリル化合物である。
【0095】
少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー及び/又は少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これは架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これはまた緻密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。
【0096】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるチオールモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0097】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるエンモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0098】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なる(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0099】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用されるチオールモノマーは、たとえば、グリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、グリコールジメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、ペンタエリトリトールテトラメルカプト、ジメルカプトジエチルサルファイド、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、4-メルカプトメチル-3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオール又はそれらの混合物でありうる。
【0100】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用されるエンモノマーは、たとえば、ブタン-1,4-ジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサン1,4ジメタノールジビニルエーテル、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン、それらの混合物などのビニル化合物でありうる。
【0101】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用されるエンモノマーは、たとえば、トリアリル-s-トリアジントリオン、ジアリルエーテル、アリルメタクリレート、ジアリルサルファイド、ジアリルジスルフィド、トリアリルアミン、ジアリルトリフルオロアセトアミド、それらの混合物などのアリル化合物でありうる。
【0102】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用される(メタ)アクリレートモノマーは、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ブタン-1,3-ジオールジ(メタ)アクリレート、ブタン-1,4-ジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサン-1,6-ジオールジ(メタ)アクリレート、ノナン-1,9-ジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチルペンタン-1,5-ジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-[9EO]ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-400ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン-[3EO]トリアクリレート、トリメチロールプロパン-[3PO]トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトール-[5EO]テトラ(メタ)アクリレート、トリス-[2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ビス(エチルチオ(メタ)アクリレート)サルファイド、2-(ペルフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、又はそれらの混合物でありうる。チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用されるチオ(メタ)アクリレートは、たとえば、(メタ)アクリロイルチオエタン、グリシジルチオ(メタ)アクリレート、1,2-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]エタン、1,3-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、1,2-ビス[2-(メタ)アクリロイルチオエチルチオ]-3-[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、1,4-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]ブタン、ビス[(2-(メタ)アクリロイルチオエチル]、エーテル)、1,4-ビス(アクリロイルチオメチル)ベンゼン、1,4-ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(メタ)アクリロイルチオエチルチオメチル]ベンゼン、ビス[((2-(メタ)アクリロイルチオエチル))]サルファイド、ビス(4-アクリロイルチオフェニル)サルファイド、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)サルファイド、又はそれらの混合物でありうる。
【0103】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、いずれの場合もチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは10重量%~70重量%、さらに好ましくは11重量%~60重量%、さらに好ましくは12重量%~53重量%、とりわけ好ましくは13重量%~46重量%、最も好ましくは14重量%~33重量%の範囲内の割合で少なくとも1つのチオール-エンシステムを含む。チオール-エンシステムの割合がいずれの場合もチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして<10重量%又は>70重量%である場合、チオール-エンシステムと(メタ)アクリレートシステムとの不十分な反応が見られ、十分に安定なチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの形成が見られないであろう。チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの硬化は、好ましくはUV誘起重付加により行われる。チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、UV硬化性(メタ)アクリレートモノマーに基づく市販のプリント流体とは対照的に、各場合につき空気との体積要素及び/又は体積複合体及び/又は均一体積複合体の界面で(大気)酸素による望ましくない阻害効果を伴うことなく、空気下で重合可能である。これは、不活性ガス雰囲気を提供する必要がないので、きわめて有利である。これとは対照的に、イナート条件下でのプリント流体中のUV硬化性(メタ)アクリレートモノマーの使用は、それらの反応が非常に急速に進行するという欠点を有する。プリントプロセス時、UV硬化性(メタ)アクリレートモノマーを含むプリント流体は、フリーラジカル反応の酸素阻害の結果として空気との界面で望ましくない不完全硬化を示すおそれがあり、その結果、続いて適用された体積要素は十分に結合できず、最悪の場合、製造目的の体積内に不完全硬化層を含む。イナートガスを用いて労力がかかるパージングによりフリーラジカル反応の酸素阻害を回避することが可能であるが、これは反応速度を際立って増加させ、そのためプロセスの制御が困難になる。反応速度の増加は、ひいては、個別に適用された体積要素のより速い硬化をもたらし得るので、目的の体積内でのインターフェースの形成を促進する。いずれの場合も、硬化反応が表面から、上から、及び/又は下から進行するので、UV硬化は、目的の体積内に改変表面層、さらには望ましくない勾配及び/又は不均一性をもたらす。架橋密度及び屈折率は両方とも、局所的に変動し、いずれも望ましくない。そのほか、(メタ)アクリレートモノマーを含むプリント流体から形成された目的物は、多くの場合、Tg<60℃の非常に低い軟化点及び約ne=1.49~1.56の屈折率を有する。少なくとも1.56の屈折率は、たとえば、芳香族(メタ)アクリレートモノマーを使用したときに達成可能であるが、その場合、単に低アッベ数を伴うか、又は少なくとも1つの硫黄含有(メタ)アクリレート、チオ(メタ)アクリレート、及び/又はメルカプトチオエーテルが用いられる。
【0104】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体は、1.49~1.65の屈折率neを有する眼鏡レンズの製造を可能にする。
【0105】
チオール-エンポリマーは、(メタ)アクリレートポリマーの脆性ネットワークがチオール-エンポリマーによりより可撓性になるという点で、チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中の(メタ)アクリレートポリマーの機械的性質に好影響を及ぼしうる。
【0106】
UV硬化性(メタ)アクリレートモノマーを含む印刷インクは、50mPas(25℃)未満の低粘度に起因して、通常、インクジェット法を利用して良好なプリント適性を有する。
【0107】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体は、プリンティング温度で、好ましくは50mPas未満、さらに好ましくは5mPas~20mPas範囲内、より好ましくは7mPas~12mPas範囲内、最も好ましく8mPas~9mPas範囲内の粘度を有する。上述した範囲内の粘度は、異なるプリントヘッド又はマルチノズルアレイを利用したチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの非常に良好な処理性と体積要素の固定との折衷策である。チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体粘度が上述した範囲内で低いほど、チオール-エンシステムが少なくとも1つの低粘度ビニルエーテルを含む優先度が高くなる。
【0108】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、UV硬化の過程で、チオール-エン成分の重付加は、主に(メタ)アクリレートシステムの重合と並行して進行する。得られるコポリマーの性質は、ポリ(メタ)アクリレートとチオール-エンポリマーとの組合せである。
【0109】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、好ましくは、LED光源を用いて420nm未満の波長でのUV重合により硬化される。好適なUV開始剤の例としては、ヒドロキシフェニルケトン、α-ケトエステル、及び/又はフェニルホスフィンオキシド、チオキサントンが挙げられる。
【0110】
UV重合のほか、推奨される熱後硬化は、UV照射後の重合レベルが不十分な場合でありうる。好適な熱共開始剤の例としては、ジアルキルパーオキサイド(たとえば、ジ-tert-アミルパーオキサイド)、パーオキシカーボネート(たとえば、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート)、ハイドロパーオキサイド(たとえば、クメンヒドロペルオキシド)、パーオキシエステル(たとえば、tert-ブチルペルオキシベンゾアート)が挙げられる。熱共開始剤のSADT(自己加速分解温度)は、>60℃又はプリンティング温度超にすべきである。
【0111】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの処理時間の増加は、立体障害フェノール、たとえば、チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの合計重量を基準にして0.1重量%~5重量%の量の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)の添加により達成可能である。
【0112】
ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールタイプのUV吸収剤の添加は、UV吸収剤の化学構造及びそれぞれのチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中のその濃度に依存して、350nm~400nmの範囲内のチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの吸収端をもたらす。
【0113】
(メタ)アクリレートシステムよりも優れたチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0114】
I.2. エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、少なくとも1つのエポキシチオールシステムと少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムとの組合せである。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、好ましくはUV重合性である。少なくとも1つのエポキシチオールシステムは、少なくとも1つのエポキシモノマーと少なくとも1つのチオールモノマーとを含む。使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性エポキシモノマーである。使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性チオールモノマーである。使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも1つのジグリシジルエーテルである。使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、少なくとも1つの2官能性メルカプトエステル及び/又は少なくとも1つの2官能性メルカプトチオエーテルである。
【0115】
少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー及び/又は少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーが各場合につき少なくとも2つの官能基を含む場合、これは密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これはまた緻密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。
【0116】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるエポキシモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0117】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるチオールモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0118】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なる(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0119】
エポキシチオールシステムでは、少なくとも1つのエポキシモノマーと少なくとも1つのチオールモノマーとの比は、好ましくは化学量論比である。
【0120】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、エポキシチオールシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは15重量%~85重量%の範囲内、さらに好ましくは20重量%~80重量%の範囲内、より好ましくは25重量%~60重量%の範囲内、最も好ましくは30重量%~50重量%の範囲内である。
【0121】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、及び(メタ)アクリレートシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは5重量%~65重量%の範囲内、さらに好ましくは10重量%~60重量%の範囲内、より好ましくは15重量%~50重量%の範囲内、最も好ましくは20重量%~40重量%の範囲内である。
【0122】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、たとえば、エチルグリシジルエーテル、n-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8~C10グリシジルエーテル(CAS番号68609-96-1)、C12~C14グリシジルエーテル(CAS番号68609-97-2)、クレジルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールA(2,3-グリシジルエーテルジヒドロキシプロピル)グリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタン-1,4-ジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサン1,4ジメタノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(400)ジグリシジルエーテル、ヘキサン-1,6-ジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンジルエタン、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサンでありうる。
【0123】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づいて本発明に係る使用流体」、これ以降では「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙されるチオールモノマーの少なくとも1つでありうる。エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、使用される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー又は少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーは、セクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙される(メタ)アクリレートモノマー又はチオ(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1つでありうる。(メタ)アクリレートシステムよりも優れたエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0124】
I.3 エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、少なくとも1つのエポキシシステムと少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムとの組合せである。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、好ましくはUV重合性である。少なくとも1つのエポキシシステムは、少なくとも1つのエポキシモノマーを含む。使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性エポキシモノマーである。少なくとも1つのエポキシシステムは、好ましくは、少なくとも2官能性ポリオール又は少なくとも2官能性アミン、より好ましくは少なくとも2官能性ポリオールをさらに含む。
【0125】
少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー及び/又は1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これは密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これはまた緻密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。
【0126】
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるエポキシモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0127】
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なる(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0128】
エポキシシステムが少なくとも1つのエポキシモノマーのほか少なくとも1つのポリオールを含む場合、少なくとも1つのエポキシモノマーと少なくとも1つのポリオールとのモル比は、好ましくは1.2:1~10:1の範囲内である。
【0129】
エポキシシステムが少なくとも1つのエポキシモノマーのほか少なくとも1つのポリオールを含む場合、少なくとも1つのエポキシモノマーの割合は、いずれの場合もエポキシシステムの全重量を基準にして、好ましくは65重量%~99重量%の範囲内、さらに好ましくは70重量%~98重量%の範囲内、より好ましくは75重量%~94重量%の範囲内、最も好ましくは80重量%~92重量%の範囲内である。少なくとも1つのポリオールの割合は、いずれの場合もエポキシシステムの全重量を基準にして、好ましくは1重量%~35重量%、さらに好ましくは2重量%~30重量%の範囲内、より好ましくは6重量%~25重量%の範囲内、最も好ましくは8重量%~20重量%の範囲内である。
【0130】
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、エポキシシステムの割合は、いずれの場合もエポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは15重量%~85重量%の範囲内、さらに好ましくは20重量%~80重量%の範囲内、より好ましくは30重量%~50重量%の範囲内、最も好ましくは40重量%~60重量%の範囲内である。
【0131】
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、(メタ)アクリレートシステムの割合は、いずれの場合もエポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは15重量%~85重量%の範囲内、さらに好ましくは20重量%~80重量%の範囲内、より好ましくは30重量%~50重量%の範囲内、最も好ましくは40重量%~60重量%の範囲内である。
【0132】
エポキシ-(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのエポキシモノマーは、たとえば、セクション「I.2. エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体」、これ以降では「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙されるエポキシモノマーの少なくとも1つでありうる。
【0133】
エポキシ-(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、たとえば、セクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙される(メタ)アクリレートモノマー及び/又はチオ(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1つである。
【0134】
エポキシ-(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのポリオールは、少なくとも1つの2、3、4、5、又は6官能性ポリオール又はオリゴメリックポリオールでありうる。使用される脂肪族ポリオールは、たとえば、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4ブチルグリコール、ペンタン-1,5-ジオール、プロパン-1,2,3トリオール、ヘキサン-1,2,6トリオール、ペンタエリトリトール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンでありうる。オリゴメリックポリオールは、たとえば、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールの群に由来しうる。
【0135】
(メタ)アクリレートシステムよりも優れたエポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0136】
II 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むシステムよりも優れた本発明に係る使用流体
少なくとも1つの体積要素内、少なくとも1つの体積複合体内、少なくとも1つの均一体積複合体内、隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間、並びに/又は隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積複合体間、並びに/又は隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する均一体積複合体間のそれぞれの反応の活性化制御は、好ましくは、少なくとも1つの光潜在性触媒を利用して達成される。光潜在性触媒の作用の原理は、UV及び/又はVIS領域での触媒の不活性又は際立ってより低活性の前駆体への露光による活性触媒の制御放出に基づく。少なくとも1つの活性触媒の制御放出は、この少なくとも1つの活性触媒により触媒可能な反応が所望の接点でのみ開始するという利点を提供する。これは、結果的に、少なくとも1つの触媒の不活性又は際立ってより低活性の前駆体を含む材料の処理時間が際立って増加するという効果を有する。光潜在性塩基の触媒強度の差は、たとえば、4桁まででありうる。好ましくは、少なくとも1つの触媒の不活性又は際立ってより低活性の前駆体を含む材料の処理時間は、≧10分、より好ましくは≧1時間、最も好ましくは1日超である。そのほか、少なくとも1つの触媒の不活性又は際立ってより低活性の前駆体を含む材料は、触媒前駆体に加えて少なくとも1つの光増感剤を含みうる。少なくとも1つの光潜在性触媒を含む流体はまた、直接露光されていない領域でダーク硬化又はシャドウ硬化を呈するおそれがある。
【0137】
使用される少なくとも1つの光潜在性触媒は、少なくとも1つの光潜在性塩基(PLB)及び/又は少なくとも1つの光潜在性酸でありうる。使用される少なくとも1つの光潜在性触媒は、好ましくは少なくとも1つの光潜在性塩基である。使用される少なくとも1つの光潜在性酸は、好ましくは少なくとも1つのジアリールヨードニウム塩(Ar2I+)又は少なくとも1つのトリアリールスルホニウム塩(Ar3S+)である。
【0138】
本発明に係る使用流体は、いずれの場合も本発明に係る使用流体の全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.001重量%~2重量%の範囲内、より好ましくは、0.1重量%~1.0重量%の範囲内、とりわけ好ましくは0.2重量%~0.5重量%の範囲内の少なくとも1つの光潜在性酸を含む。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性酸の使用及び異なる光潜在性酸の混合物の両方に適用可能である。
【0139】
使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、好ましくは、国際公開第03/033500A1号パンフレット又は国際公開第2008/119688A1号パンフレットに記載の光潜在性塩基化合物の少なくとも1つである。さらに好ましくは、使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の又は国際公開第2008/119688A1号パンフレット、請求項1に記載の光潜在性塩基化合物の少なくとも1つである。より好ましくは、使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の、又は国際公開第03/033500A1号パンフレット、実施例1、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンに記載の少なくとも1つの光潜在性塩基である。
【0140】
本発明に係る使用流体は、いずれの場合も本発明に係る使用流体の全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.001重量%~5.0重量%の範囲内、より好ましくは、0.1重量%~2.0重量%の範囲内、とりわけ好ましくは0.2重量%~1重量%の範囲内の少なくとも1つの光潜在性塩基を含む。少なくとも1つの光潜在性塩基を含む流体は、それぞれの硬化機構が、シャドウ硬化及び露光の場合の両方で効果的であり、そのため同一ポリマー構造が形成されるので、とくに有利なポリマー形成を有する。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性塩基の使用及び異なる光潜在性塩基の混合物の両方に適用可能である。
【0141】
II.1 少なくとも1つの光潜在性酸を含むエポキシ-ポリオールのシステムに基づく本発明に係る使用流体
光潜在性酸は、たとえば、少なくとも1つのエポキシモノマーを含む配合物で使用される。光潜在性酸の典型的代表例は、たとえば、ジアリールヨードニウム塩(Ar
2I
+)又は熱的に非常に安定なトリアリールスルホニウム塩(Ar
3S
+)である。光潜在性酸を含む配合物は、一般に酸素阻害をなんら示さず、一般に、露光されていない領域でダーク硬化もシャドウ硬化も有していない。少なくとも1つのエポキシモノマーを含む配合物の一例は、露光後にトリアリールスルホニウム塩の放出を伴ってカチオン硬化可能な以下の配合物である。
【化1】
【0142】
ポリオールとエポキシモノマーとの非触媒反応の反応速度は、非常に遅いので有意なダーク反応もシャドウ反応も進行しない。硬化反応は、たとえば、露光波長の選択、トリアリールスルホニウム塩の濃度、放射線源の強度、及び露光時間、さらには温度により影響を受けうる。
【0143】
エポキシ-ポリオールシステムは、いずれの場合もエポキシ-ポリオールシステムの全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.001重量%~2重量%の範囲内で、より好ましくは0.1重量%~1.0重量%の範囲内で、とりわけ好ましくは0.2重量%~0.5重量%の範囲内で少なくとも1つの光潜在性酸を含む。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性酸の使用及び異なる光潜在性酸の混合物の両方に適用可能である。
【0144】
II.2 少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオールシステムに基づく本発明に係る使用流体
【化2】
エポキシチオールシステムは、少なくとも1つエポキシモノマーと少なくとも1つのチオールモノマー及び/又はチオールオリゴマーとを含む。好ましくは、エポキシチオールシステムは、少なくとも1つのエポキシモノマーとして少なくとも2官能性エポキシモノマーを含む。好ましくは、エポキシチオールシステムは、少なくとも1つのチオールモノマーとして少なくとも2官能性チオールモノマーを含む。
【0145】
エポキシチオールシステムは、たとえば、セクション「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙されるエポキシモノマーの少なくとも1つを含みうる。
【0146】
エポキシチオールシステムは、たとえば、セクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙されるチオールモノマーの少なくとも1つを含みうる。
【0147】
少なくとも1つのエポキシモノマー及び少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、互いに化学量論比でエポキシチオールシステム中に存在する。
【0148】
さらに使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、好ましくは、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の又は国際公開第2008/119688A1号パンフレット、請求項1に記載の光潜在性塩基化合物の少なくとも1つである。より好ましくは、使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の、又は国際公開第03/033500A1号パンフレット、実施例1、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンに記載の少なくとも1つの光潜在性塩基である。
【0149】
エポキシチオールシステムは、いずれの場合もエポキシチオールシステムの全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.001重量%~5.0重量%の範囲内で、さらに好ましくは0.1重量%~2.0重量%の範囲内で、とりわけ好ましくは0.2重量%~1重量%の範囲内で少なくとも1つの光潜在性塩基を含む。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性塩基の使用及び異なる光潜在性塩基の混合物の両方に適用可能である。
【0150】
エポキシチオールシステムは、好ましくは、プリンティング前に直接混合される。エポキシチオールシステムが露光されるとすぐに、重合反応は、非常に有意に加速される。しかしながら、反応速度は、(メタ)アクリレートシステムと比較してかなり遅いので、隣接体積要素は簡単に均一体積複合体を形成することが可能である。特定的には、体積内の塩基の同時生成は、より均一な架橋をもたらす。酸素に対する非感受性の結果として、顕著な表面層はまったく存在しない。光潜在性塩基の具体的形態により、硬化は、露光を行わないでも又は不均一放射線分布下でも追加的に可能である。すなわち、シャドウ硬化が可能である。同一ポリマーが全体にわたり形成される。少なくとも1つのチオールモノマーの使用は、屈折率の調整性及び分散の変動性の両方を伴って高屈折率をもたらす(ne(23℃)=1.52~1.65)。そのほか、反応性は、光潜在性塩基の濃度、露光波長の選択、放射線源の強度、及び露光時間、さらには温度により影響を受けうる。
【0151】
III 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
III.1 少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムは少なくとも1つのエポキシチオールシステムと少なくとも1つのチオール/エンシステムとの組合せを含む。エポキシチオールシステムの生成は、少なくとも1つのエポキシモノマーと少なくとも1つのチオールモノマーとを必要とする。ここでの少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性エポキシモノマーを含む。さらに好ましくは、エポキシチオールシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーは、少なくとも2官能性チオールモノマーを含む。チオール/エンシステムの生成は、少なくとも1つのチオールモノマーと少なくとも1つのエンモノマーとを必要とする。好ましくは、チオール/エンシステムの生成に使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーは、少なくとも2官能性チオールモノマーを含む。さらに好ましくは、チオール/エンシステムの生成に使用可能な少なくとも1つのエンモノマーは、少なくとも2官能性エンモノマーを含む。エポキシチオールシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーは、チオール/エンシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーと同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、エポキシチオールシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーは、チオール/エンシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーと同一である。
【0152】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの生成では、使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、たとえば、セクション「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に挙げられたエポキシモノマーの少なくとも1つであり得る。
【0153】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの生成では、使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、たとえば、セクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に挙げられたチオールモノマーの少なくとも1つであり得る。
【0154】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの生成に使用されるエンモノマーは、好ましくは少なくとも1つの少なくとも単官能性ビニル化合物及び/又は少なくとも1つの少なくとも単官能性アリル化合物である。たとえば、使用される少なくとも1つのエンモノマーは、ビニル化合物及び/又はセクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に挙げられたアリル化合物の少なくとも1つでありうる。エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムでは、エポキシチオールシステム及びチオール/エンハイブリッドシステムは、好ましくは、各々化学量論比である。
【0155】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムでは、エポキシチオールシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは15重量%~55重量%の範囲内、さらに好ましくは20重量%~50重量%の範囲内、より好ましくは35重量%~45重量%の範囲内、最も好ましくは30重量%~40重量%の範囲内である。
【0156】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムでは、チオール/エンシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは2重量%~25重量%の範囲内、さらに好ましくは3重量%~22重量%の範囲内で、より好ましくは5重量%~20重量%の範囲内で、最も好ましくは8重量%~15重量%の範囲内である。
【0157】
少なくとも2つの異なるエポキシモノマーを用いてエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムを作製する場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0158】
少なくとも2つの異なるチオールモノマーを用いてエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムを作製する場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0159】
少なくとも2つの異なるエンモノマーを用いてエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムを作製する場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0160】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムは、少なくとも1つの光潜在性塩基を用いて作製される。使用される光潜在性塩基は、好ましくは、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の又は国際公開第2008/119688A1号パンフレット、請求項1に記載の光潜在性塩基化合物の少なくとも1つである。より好ましくは、使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の、又は国際公開第03/033500A1号パンフレット、実施例1、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンに記載の少なくとも1つの光潜在性塩基である。
【0161】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムは、いずれの場合もエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの全重量を基準にして合計割合で好ましくは0.01重量%~5.0重量%の範囲内、より好ましくは0.1重量%~3.0重量%の範囲内、最も好ましくは0.5重量%~2.0重量%の範囲内の少なくとも1つの光潜在性塩基を用いて作製される。合計割合で上述した範囲は、単に単一タイプの光潜在性塩基の使用及び少なくとも2つの異なる光潜在性塩基の使用の両方に適用可能である。
【0162】
好ましくは、エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムはまた、いずれの場合もエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.01重量%~2.0重量%の範囲内、より好ましくは0.1重量%~1.5重量%の範囲内、とりわけ好ましくは0.2重量%~1.0重量%の範囲内の少なくとも1つの光開始剤を用いて作製される。合計割合で上述した範囲は、単に単一タイプの光開始剤の使用及び少なくとも2つの異なる光開始剤の使用の両方に適用可能である。少なくとも1つの光開始剤は、たとえば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オン(Omnicure 1173,IGM Resins B.V.)でありうる。活性化は、好ましくは200nm~450nm範囲内、さらに好ましくは280nm~420nm、最も好ましくは365nm~405nmの範囲内で行われる。さらに好ましくは、活性化は、好ましくは0.1J/cm2~20J/cm2の範囲内、さらに好ましくは0.2J/cm2~5J/cm2の範囲内、より好ましくは0.5J/cm2~2J/cm2の範囲内の放射線量を用いて行われる。インクジェット法では、活性化は、少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素の適用後、少なくとも1つの均一体積複合体の形成後、少なくとも1つの体積複合体の形成後、及び/又は体積要素の少なくとも1つの層の適用後に行われうる。最終活性化は、好ましくは、均一体積複合体から最終体積複合体への変換のために行われる。最終活性化は、異なる波長範囲及び/又は異なる放射線量を用いて行うことが可能である。最終活性化では、熱処理は、任意に追加的に可能である。任意に、最終体積複合体は、最終的に熱処理に付されうる。
【0163】
(メタ)アクリレートシステムよりも優れたエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0164】
III.2 少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、セクション「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」にすでに記載されたように、少なくとも1つのエポキシチオールシステムと少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムとの組合せである。エポキシチオールシステムでは、少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも1つのチオールモノマーに対して化学量論比で使用される。異なるエポキシモノマー及び/又は異なるチオールモノマーをエポキシチオールシステムで使用する場合、異なるチオールモノマー及び/又は異なるエポキシモノマーは、各々、互いにいずれかの所望の重量比で使用されうる。エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、エポキシチオールシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは20重量%~80重量%の範囲内、さらに好ましくは22重量%~70重量%の範囲内、より好ましくは25重量%~60重量%の範囲内、最も好ましくは30重量%~50重量%の範囲内である。
【0165】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、及び(メタ)アクリレートシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは10重量%~60重量%の範囲内、さらに好ましくは13重量%~55重量%の範囲内、より好ましくは15重量%~50重量%の範囲内、最も好ましくは20重量%~40重量%の範囲内である。
【0166】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中の少なくとも1つの光潜在性塩基の割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは0.001重量%~5.0重量%の範囲内、さらに好ましくは0.1重量%~2.0重量%の範囲内、とりわけ好ましくは0.2重量%~1重量%の範囲内である。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性塩基の使用及び異なる光潜在性塩基の混合物の両方に適用可能である。
【0167】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムで好ましい選択肢として使用されるモノマーとの関連では、セクション「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」の詳細事項を参照されたい。エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムで好ましい選択肢として使用される光潜在性塩基との関連では、セクション「II 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むシステムに基づく本発明に係る使用材料」の詳細事項を参照されたい。
【0168】
(メタ)アクリレートシステムよりも優れたエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0169】
IV チオール-エンシステムに基づく本発明に係る使用流体
【化3】
チオール-エンシステムは、硬化機構としてチオール-エン反応を利用する。フリーラジカル開始剤により開始されるこの反応は、いずれの酸素阻害も経験しない。硫黄含有モノマーの相対的に高い割合のおかげで、結果的に、屈折率及び分散の調整性を伴って高屈折率で使用可能ある(n
e(23℃)1.50~1.65)。そのほか、硬化反応は、フリーラジカル開始剤の濃度、露光波長の選択、放射線源の強度、及び露光時間、さらには温度により影響を受けうる。
【0170】
以上のセクション「I ハイブリッドシステムに基づいて本発明に係る使用流体」、「II 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むシステムに基づく本発明に係る使用材料」、「III 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体」、及び「IV チオール-エンシステムに基づく本発明に係る使用流体」で使用される流体は、たとえば、プリントされる基材上への流体の接着を改善する、流体のプリント適性を改善する、流体の流動特性を改善するに、基材の湿潤性を改善する、処理時間を増加させる、ドロップレット形成を最適化する、及び/又は泡を回避する働きをする少なくとも1つの添加剤を任意に含みうる。代替的又は追加的に、使用流体は、UV吸収剤、光安定剤、安定化剤、殺生物剤、及び染料から選択される少なくとも1つの添加剤を任意に含みうる。
【0171】
本発明に係る使用流体は、多種多様な異なる基材に適用可能である。本発明に係る使用流体の基材への適用及び後続硬化の後、本発明に係る使用流体から得られた眼鏡レンズは、基材に結合された状態で残り、基材と一体化された完成眼鏡レンズを形成しうる。代替的に、本発明に係る使用流体は、基材への適用及び後続硬化の後、基材から分離されうるとともに、基材なしの完成眼鏡レンズを形成しうる。基材は、後者の場合、再除去される支持体材料及び/又は成形型の働きをする。
【0172】
少なくとも1つの硬化体積要素及び/又は少なくとも1つの最終体積複合体と一体化された基材が完成眼鏡レンズを形成する場合、基材は、少なくとも1つの高分子材料及び/又は少なくとも1つのミネラルガラスを含みうる。ここでの高分子材料又はミネラルガラスは、各々、レンズブランク、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.1に準拠した表面処理完了前のいずれかの状態のレンズ作製用材料のプリフォームピース、半完成眼鏡レンズ、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.2に準拠した丁度1つの既光学処理面を有するレンズブランク、又は完成眼鏡レンズ、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.6に準拠した縁処理前又は後の2つの既処理光学面を有する眼鏡レンズの形態をとりうる。半完成眼鏡レンズブランクは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.3、8.4.4、及び8.4.5に準拠した単焦点半完成眼鏡レンズブランク、多焦点半完成眼鏡レンズブランク、又は累進屈折力半完成眼鏡レンズブランクの形態をとりうる。完成眼鏡レンズは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.3.1、8.3.2、8.3.3、8.3.4、8.3.5、及び8.3.6に準拠した単焦点眼鏡レンズ、多焦点眼鏡レンズ、二焦点眼鏡レンズ、三焦点眼鏡レンズ、累進屈折力眼鏡レンズ、又は逆進屈折力眼鏡レンズの形態でありうる。基材として使用可能なレンズブランク、半完成レンズブランク、又は完成レンズは、たとえば、以下の表1に特定されるベース材料に基づきうる。
【0173】
【0174】
レンズブランクを基材として使用したとき、面の丁度1つ又は両方のどちらかに少なくとも1つの体積要素を提供可能である。2つの面の丁度1つに少なくとも1つの体積要素を提供する場合、対向面は、好ましくは、機械的処理、たとえば、機械処理及び/又は研削及び/又は旋削及び/又は研磨により、既光学処理面に変換される。
【0175】
半完成眼鏡レンズを基材として使用したとき、既光学処理面又は対向面のどちらかに少なくとも1つの体積要素を提供しうる。既光学処理面に少なくとも1つの体積要素を提供する場合、対向面は、好ましくは、機械的処理、たとえば、機械処理及び/又は研削及び/又は旋削及び/又は研磨により、既光学処理面に変換される。
【0176】
完成眼鏡レンズを基材として使用したとき、既処理光学面の丁度1つ又は両方のどちらかに少なくとも1つの体積要素を提供可能である。好ましくは、既処理光学面の丁度1つに少なくとも1つの体積要素を提供する。
【0177】
とくに好ましい選択肢は、基材として完成眼鏡レンズを用いたときに与えられる。
【0178】
中でもとくに好ましい選択肢は、基材として少なくとも1つの薄いレンズを用いたときに与えられる。薄いレンズの表面トポグラフィーは、たとえば、球状、非球状、トーリック、アトーリック、平面、又は累進であり得る。平面表面トポグラフィーを有する薄いレンズは、作製された薄いレンズのネガティブ形状及びネガティブ表面トポグラフィーを有する凸面状又は凹面状モールドシェルを利用して再造形されうる。平面表面トポグラフィーを有する薄いレンズとは、巨視的可視曲げ又は曲率を有していない薄いレンズを意味するものと理解される。好ましい選択肢は、少なくとも1つの体積要素又は少なくとも1つの最終体積複合体を薄いレンズの裏面に適用したときに与えられる。薄いレンズの裏面とは、眼鏡レンズの完成後、眼鏡フレーム内の眼に面する面のことである。薄いレンズの前面とは、眼鏡レンズの完成後、眼鏡フレーム内の眼から離れる方向を向く面のことである。
【0179】
少なくとも1つの薄いレンズは、各種ガラス組成物、たとえば、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、又はアルカリフリーホウケイ酸塩ガラスに基づきうる。少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくは、ホウケイ酸塩ガラス又はアルミノホウケイ酸塩ガラスに基づく。
【0180】
少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくは10μm~1000μmの範囲内、さらに好ましくは20μm~800μmの範囲内、さらに好ましくは30μm~500μmの範囲内、より好ましくは40μm~300μmの範囲内、最も好ましくは50μm~3000μmの範囲内の平均厚さを有する。より好ましくは少なくとも1つの薄いレンズは、100μm~250μmの範囲内の平均厚さを有する。少なくとも1つの薄いレンズの平均厚さとは、算術平均を意味するものと理解される。10μm未満の平均厚さでは、少なくとも1つの薄いレンズは、機械的に不安定すぎて少なくとも1つの薄いレンズを破壊することなくインクジェット法で基材として利用することができない。1000μm超の平均厚さでは、少なくとも1つの薄いレンズは、大きすぎる、縁厚さが厚すぎる又は中間厚が厚すぎる眼鏡レンズをもたらす可能性がある。少なくとも1つの薄いレンズの平均厚さは、好ましくは、クロマティック共焦点センサー、たとえば、Micro-Epsilon Messtechnik GmbH&Co.KG製のConfocalDT IFS2405センサー、又は、干渉法センサー、たとえばPrecitec GmbH&Co.KG製のCHRocodile2ITセンサーを用いて決定される。少なくとも1つの薄いレンズの平均厚さは、好ましくは、少なくとも1つの体積要素の適用前に少なくとも1つの薄いレンズに基づいて決定される。
【0181】
少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくは、<10nmの表面粗さRaを有する。さらに好ましくは、少なくとも1つの薄いレンズの表面粗さRaは、0.1nm~0.8nmの範囲内、より好ましくは0.3nm~0.7nmの範囲内、最も好ましくは0.4nm~0.6nmの範囲内である。表面粗さRaに対する上述した値は、各々、少なくとも1つのアンフォーム平面の薄いレンズの前面及び裏面に基づく。フォーミング後、上述した値は、フォーミングに使用される造形体に接触していない少なくとも1つの薄いレンズの表面に各々単独で適用可能である。フォーミングに使用される造形体に依存して、上述した値はまた、フォーミングに使用される造形体に接触した少なくとも1つの薄いレンズの表面に適用可能である。少なくとも1つの薄いレンズの表面粗さRaは、好ましくは白色光干渉法を利用して、好ましくはNewView7100装置(Zygo Corporation製)を用いて決定される。少なくとも1つの薄いレンズがさらに表在性不一様性を有する場合、それぞれの表面の領域分析もまた、位相測定デフレクトメトリーにより、好ましくはSpecGage装置(3D-Shape GmbH製)を用いて決定可能である。
【0182】
少なくとも1つの薄いレンズは、少なくとも1つの着色剤を含んでいてもよく着色剤を含んでいなくてもよい。少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくは、いずれの着色剤も含まない。
【0183】
さらに好ましくは、400nm~800nmの波長範囲内の着色剤を含まない少なくとも1つの薄いレンズの透過率は、≧90%、より好ましくは≧92%である。着色剤を含まない少なくとも1つの薄いレンズの透過率は、好ましくはUV/VIS分光測光器を利用して、好ましくはLAMBDA950UV/Vis/NIR Spectrophotometer(Perkin Elmer Inc.製)を用いて決定される。
【0184】
少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくはn=1.490~n=1.950の範囲内、さらに好ましくはn=1.501~n=1.799の範囲内、より好ましくはn=1.510~n=1.755の範囲内、最も好ましくはn=1.521~n=1.747の範囲内の屈折率を有する。ただし、21℃の温度での屈折率がナトリウムD線の波長に対して報告される。
【0185】
薄いレンズは、たとえば、各々Schott AG,Corning Willow Glass又はCorning Gorilla Glassから、各々Corning Inc.から、D263(登録商標)T eco、D263(登録商標)LA eco、D263(登録商標)M、AF32(登録商標)eco、SCHOTT AS87 eco、B270(登録商標)iという名称で入手可能である。
【0186】
基材は、光学補正効果を有していなくてもよい。代替的に、基材は、目視眼に対する光学補正効果及び/又は収差補正が付与されてもよい。光学補正効果とは、球面補正、非点補正、及び軸位置補正、並びに任意にベース設定プリズム補正を意味するものと理解される。この光学補正効果は、単焦点レンズの近方視又は近方視で従来から実現されている。多焦点眼鏡レンズ、二焦点眼鏡レンズ、三焦点眼鏡レンズ、可変焦点眼鏡レンズ、又は逆進眼鏡レンズの場合、遠方視及び/又は近方視に対する光学補正効果は、各場合につき、球面補正、非点補正、軸位置補正、及び任意にベース設定プリズム補正を含む。目視眼に対する収差補正は、収差補正が近方視用か遠方視用かにかかわらず、好ましくは、Werner Koeppen “Konzeption und Entwicklung von Gleitsichtglaesern”[Design and Development of Varifocal Lenses],Deutsche Optiker Zeitschrift DOZ,October 1995,pages 42-45と同様に計算される。この目的では、少なくとも1つの基材表面の表面性は、最適化プロセスで、目視眼に対して所望の収差分布が規定の許容範囲内で達成されるまで、すなわち、メリット関数が規定値未満になるまで、繰返し変動される。
【0187】
被覆される基材に目視眼に対する光学補正効果及び/又は収差補正がすでに付与されている場合、適用される少なくとも1つの体積要素は、目視眼に対する光学補正効果及び/又は収差補正を変化させる働きをしうる。
【0188】
基材が少なくとも1つの高分子材料と少なくとも1つのミネラルガラスとの両方を含む場合、ミネラルガラスは、好ましくは、薄いレンズの形態をとり、高分子材料は、好ましくは、半完成レンズブランク又は完成レンズ又は少なくとも1つのポリマー膜の形態をとる。
【0189】
基材が少なくとも1つの薄いレンズと高分子材料として少なくとも1つのポリマー膜とを含む場合、少なくとも1つのポリマー膜は、好ましくは、少なくとも2つの薄いレンズ間に配設される。少なくとも1つのポリマー膜は、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルクロライド、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレート、及び/又はそれらの混合物に基づく。少なくとも1つのポリマー膜は、たとえば、セルローストリアセテートで安定化されうる。少なくとも1つのポリマー膜は、着色又は無着色でありうる。少なくともポリマー膜と少なくとも薄いレンズとを含む基材が着色される場合、好ましくは少なくとも1つのポリマー膜が着色される。少なくとも1つのポリマー膜は、好ましくは10μm~600μmの範囲内、さらに好ましくは50μm~400μmの範囲内、最も好ましくは80μm~250μmの範囲内の平均厚さを有する。
【0190】
この実施形態では、被覆される基材が、少なくとも1つの薄いレンズと高分子材料として少なくとも1つの完成眼鏡レンズとを含む場合、少なくとも1つの薄いレンズは、完成眼鏡レンズの前面及び/又は裏面に存在しうる。好ましくは、少なくとも1つの薄いレンズは、完成眼鏡レンズの前面にあり、且つ少なくとも1つの体積要素は、完成眼鏡レンズの裏面に適用される。
【0191】
この実施形態では、被覆される基材が、少なくとも1つの薄いレンズと高分子材料として少なくとも1つの半完成眼鏡レンズ製品とを含む場合、好ましくは、最初に光学的未完成面を処理し、次いでこうして得られた完成眼鏡レンズの前面及び/又は裏面を少なくとも1つの薄いレンズに結合する。代替的に、高分子材料として半完成レンズブランクを使用する場合、少なくとも1つの薄いレンズは、既完成光学表面に結合され、光学的未完成表面が処理され、次いでこの処理表面は、少なくとも1つのさらなる薄いレンズに任意に結合される。少なくとも1つのさらなる薄いレンズへの結合は、ここでは好ましい。好ましくは、半完成レンズブランクの完成光学表面はそれについて前面である。また、光学的未完成表面はそれについて裏面である。光学的未完成面から第2の光学的完成面への変換及び少なくとも1つの薄いレンズへのその結合の代替案として、この第2の面は、第2の光学的完成面への変換前又は後、少なくとも1つの体積要素又は少なくとも1つのコーティングが提供されうる。このコーティングは、好ましくは、少なくとも1つのハードコート層、少なくとも1つの反射防止層、少なくとも1つの防曇層、少なくとも1つ電気伝導性又は電気半伝導性層、及び少なくとも1つのクリーンコート層からなる群から選択される。とくに好ましい選択肢としては、コーティングとして、少なくとも1つのハードコート層、少なくとも1つの反射防止層、及び少なくとも1つのクリーンコート層が挙げられ、その場合、少なくとも1つのハードコート層は、基材に最も近い層であり、少なくとも1つのクリーンコート層、基材から最も離れた層である。少なくとも1つの体積要素を備えた基材の表面に少なくとも1つのコーティングを提供する場合、少なくとも1つコーティングは、少なくとも1つのハードコート層、少なくとも1つの反射防止層、少なくとも1つの防曇層、少なくとも1つの電気伝導性又は電気半伝導性層、少なくとも1つのフォトクロミック層、少なくとも1つの着色膜、及び少なくとも1つのクリーンコート層からなる群から選択されうる。
【0192】
完成眼鏡レンズの前面に結合される少なくとも1つの薄いレンズは、たとえば、ガラス組成、平均厚さ、及び/又は形状に関して、完成眼鏡レンズの裏面に結合される少なくとも1つの薄いレンズと同一であっても異なっていてもよい。そのことはまた、高分子材料として、少なくとも1つの半完成レンズブランク又は少なくとも1つのポリマー膜を使用する場合にも当てはまる。半完成レンズブランクを使用する場合、光学的未完成表面は、少なくとも1つの薄いレンズへの結合前、光学的完成表面に変換される。
【0193】
光学的完成表面への、好ましくは半完成レンズブランクの前面への、又は完成光学表面の1つへの、好ましくは完成レンズの前面への、少なくとも1つの薄いレンズの結合は、好ましくは凝集性及びフォームフィッティングである。少なくとも1つの薄いレンズの裏面及び/又は半完成レンズブランク若しくは完成レンズの光学的完成前面は、少なくとも1つのコーティングが提供されうる。この少なくとも1つのコーティングは、少なくとも1つの着色膜、少なくとも1つのフォトクロミック層、及び/又は少なくとも1つの偏光層を含みうる。
【0194】
少なくとも1つのさらなる薄いレンズへの、半完成レンズブランク又は完成レンズの第2の完成光学表面の、任意の好ましい結合は、同様に、好ましくは、凝集性及びフォームフィッティングである。
【0195】
少なくとも1つの薄いレンズの前面及び/又は裏面は、各々、PVD法及び/又は湿式被覆プロセス、たとえば、ディップ又はスピンコーティングを利用して被覆可能である。湿式コーティング法により得られたコーティングの後続硬化は、熱硬化又は放射線硬化のどちらでも行うことが可能である。好ましくは、このコーティングは放射線硬化により硬化される。
【0196】
少なくとも1つの薄いレンズへの、半完成レンズブランクのそれぞれ光学的完成表面、又は完成レンズの少なくとも1つの完成光学表面、又は少なくとも1つのポリマー膜の、結合は、各場合につき、好ましくは、接着手段により行われる。接着手段は、ここでは、たとえば、プライマー又は個別成分の異なる熱膨張の補償材料としての働きをしうる。そのほか、接着剤の選択により、個別成分間に存在するいずれかの屈折率差Δneのマッチングを達成可能である。好ましくは、ここで行われるのは、単なる屈折率neのマッチングだけでなく、分散のマッチングも行われ、個別成分の屈折率変化が可視スペクトル全体にわたり同一になるようにする。使用可能な接着手段は、たとえば、独国特許出願公開第102012210185A1号明細書、国際公開第2009/056196A1号パンフレット、又は国際公開第2015/121341A1号パンフレットに記載されている。好ましくは、個別成分は、20℃~80℃の範囲、好ましくは40℃~70℃の範囲、より好ましくは45℃~65℃の範囲の温度で、国際公開第2015/121341A1号パンフレットと同様の、とりわけ国際公開第2015/121341A1号パンフレットの請求項1と同様のエポキシ樹脂のアミン触媒チオール硬化に基づく接着手段を利用して、互いに結合される。
【0197】
半完成眼鏡レンズ又は完成眼鏡レンズの既処理光学面に面する少なくとも1つの薄いレンズの表面と、既処理光学面と、の間には、少なく1つの層が存在しうる。この少なくとも1つの層は、好ましくは、この少なくとも1つの層が下に適用されているそれぞれの表面と同一の表面トポグラフィーを有する。互いに接合される2つの表面の表面トポグラフィーのわずかな差は、たとえば接着手段を利用して充填されうる。それぞれの表面のフォームフィッティング結合では、それぞれ互いに結合される成分の曲率半径は、好ましくは、1mm未満、さらに好ましくは0.03mm~≦0.8mmの範囲内、より好ましくは0.04mm~≦0.7mmの範囲内、最も好ましくは0.05mm~≦0.6mmの範囲内で互いに異なることが好ましい。
【0198】
少なくとも1つの薄いレンズ及び半完成レンズブランク又は完成レンズは、接着手段を利用して接合される前、好ましくは、同一直径及び同一曲率半径を有する。好ましくは、少なくとも1つのポリマー膜は、少なくとも1つのポリマー膜が、眼側の薄いレンズの前面及び物体側の薄いレンズの裏面を完全に覆う十分に大きな直径を有する。いかなる過剰のポリマー膜も、好ましくは切断除去される。少なくとも1つのポリマー膜が、結合される薄いレンズと同一の曲率半径をすでに有している場合、少なくとも1つのポリマー膜は、好ましくは薄いレンズと同一直径を有する。
【0199】
最終体積複合体を基材から再び分離する場合、基材への少なくとも1つの体積要素の適用前、これに、少なくとも1つの接着剤層又は少なくとも1つの分離層、たとえば、有機修飾シラン又はシロキサンの層を提供しうる。その場合、基材に眼鏡レンズの所望のコーティングが提供されうるとともに、最終体積複合体と共に基材から分離される。
【0200】
以上に記載の流体の1つを基材に適用した後、得られた最終体積複合体を基材から再び除去するか否かにかかわらず、得られた最終体積複合体は、少なくとも基材から離れる方向の表面では、いかなる機械的処理にも、たとえば機械処理及び/又は研削及び/又は旋削及び/又は研磨にも付されないことが好ましい。
【実施例】
【0201】
I 本発明の流体の製造
実施例1:チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体の製造
【0202】
【0203】
B部の成分を室温で前混合した。50体積%のA部と50体積%のB部との比で又は52.63重量%のA部と47.37重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0204】
実施例2:チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体の製造
【0205】
【0206】
流体の主成分を混合し、次いで撹拌しながら添加剤を添加合した。
【0207】
実施例3:チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体の製造
【0208】
【0209】
流体の主成分を混合し、次いで撹拌しながら添加剤を添加合した。
【0210】
実施例4:エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体の製造
【0211】
【0212】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。71.43重量%のA部と28.57重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0213】
実施例5:エポキシ(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの製造
【0214】
【0215】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。50.0重量%のA部と50.0重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。ただし、2つの反応システムの非依存性に応じて、B部の割合(アクリレート含有率)を変動させうる。
【0216】
実施例6:光潜在性塩基を含むエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの製造
【0217】
【0218】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。55.56重量%のA部と44.44重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0219】
実施例7:光潜在性塩基を含むエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの製造
【0220】
【0221】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。57.14重量%のA部と42.86重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0222】
実施例8:光潜在性塩基を含むエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの製造
【0223】
【0224】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。68.03重量%のA部と31.97重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0225】
II 本発明の流体の重合
本発明の流体の重合では、空気下で表2に列挙されるパラメーターを用いて各流体の薄膜に露光した。
【0226】
【0227】
III 本発明の流体の特徴付け
IIIa 室温での本発明の流体の安定性の決定
実施例1からの流体の安定性を決定するために、これらを空気雰囲気下、室温暗所で閉容器中に貯蔵し、規則的インターバルで流動特性を評価した。
【0228】
IIIb 本発明の流体の粘度の決定
Bohlin Instruments製のC-VOR回転式粘度計を利用して、100s-1の剪断速度のコーン-プレート構成(1°ジオメトリー)で流体の粘度を決定した。
【0229】
IIIc 本発明の流体の屈折率の決定
Bellingham & Stanley製のAbbe60/EDアッベ屈折計及び異なるスペクトルランプ(Na、Hg、Cd、He)を利用して、屈折率及び分散の決定を行った。
【0230】
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法及び眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法に使用可能な流体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の割安3Dプリンティングシステムの進歩は、付加製造(AM)分野にブームをもたらした。現在、3Dプリンティングにより、プロトタイプから機能パーツに至るまで、多種多様な異なる用途向けに多くの材料を構成可能である。
【0003】
光学品の3Dプリンティングの潜在能力は、とくに個別光学品及び相対的に少数のアイテム又はバッチサイズで製造される光学品の場合には明らかである。このことがとりわけ当てはまるのは、どの着用者に対しても個別に光学補正効果が設計される眼鏡レンズの場合である。他の用途例としては、設計に関して明らかにそれほど要求の厳しくない単純イメージング光学品及び導光コンポーネントが挙げられる。
【0004】
プラスチックでは、融合堆積溶融(FDM)や選択的レーザー溶融(SLM)などのダイレクトプリンティング法が確立されており、フィラメント又は粉末の形態でサーモプラスチックが使用される。そのほか、これらの方法にはArburg GmbH+Co KG製のFreeformerシステムなどの数多くの変法が存在する。プロセス関連の理由で、これらの方法には、トラップ空気及び/又は不均一性並びに熱応力のリスクの上昇が見られるので、光学コンポーネントとりわけ眼鏡レンズの製造では、仮に使用されたとしても、使用は限られたものにすぎない。
【0005】
光学コンポーネントに対するより大きな潜在能力は、モノマー配合物の形態で使用された後に架橋により下流プロセスでのみ重合される反応性システムにより提供される。従来のステレオリソグラフィー(SLA)及び具体的露光法たとえばDLP(ディジタルライトプロセシング)と同様に、とくにインクジェット法(マルチジェットモデリング、MJM)は、ここでは重要である。インクジェットシステムでは、ピエゾ技術に基づくいわゆるドロップオンデマンド法(DoD方法)が通常使用され、キャピラリーを利用してkHz範囲内の周波数を有するピエゾアクチュエーターにより、個別ドロップレット又は体積要素が生成される。光学品コンポーネントの製造では、かかる反応性システムは、化学配合の範囲に起因して、冒頭に記載のサーモプラスチック法よりも材料設計及びプロセス構成に関するはるかに大きな選択肢を提供する。プロセススピードを増加させるために、マルチジェットアレイ及びUV硬化システムが一般に使用され、材料は、材料層の適用後に露光により硬化される。
【0006】
インクジェット法では、光学コンポーネントの製造用材料は、各々3Dイメージングから借用された「ボクセル」という用語により参照されることも多い小さな体積要素の形態で適用され、いくつかの変法では、薄層を与えるためにコーティングバーを利用して展延される。これは、通常、体積要素として固化又は硬化するので、次に続く体積要素の適用前にインターフェースが生成し、光学コンポーネントの異方性をもたらすリスクが存在する。各種理由で、硬化体積要素の表面及び体積要素の内側は、異なる材料の性質を有するので、結果として、後続体積要素へのインターフェースが生成され、ひいては固形形態の光学コンポーネントに埋め込まれる。このリスクは、とくにUV硬化システムの場合に存在する。なぜなら、表面から、すなわち、トップから及び/又はボトムから一般に硬化されるからである。
【0007】
光学コンポーネントでは、光学的性質のために均一材料を得ることが一般に必要である。そのため、光学コンポーネントの体積内に屈折率の望ましくない変動も望ましくないインターフェースも存在すべきではない。なぜなら、これは、ビーム経路の変化をもたらす可能性があるからである。これは、イメージング性能の低減、たとえば線分解能の低減として、異方光透過として、又は可視散乱として現れることがある。トラップ空気や他の汚染物などを閉じ込めることも、同様に絶対に避けるべきである。
【0008】
そのほか、インクジェット法による体積要素の慣用的適用の結果として、プリント材料には、体積要素のサイズと同程度の大きさ、すなわち、z方向に約5μm~20μm及び横方向のx/y方向に約20μm~200μmの規則的及び/又は不規則的構造が存在する。適用又はパターニングに応じて、そのほか、規則的構造さらには長距離配向が存在しうる。新たに追加された材料、たとえば、新たに追加された体積要素がコーティングバー又はローラーにより展延されて層を与える市販の方法のいくつかでは(欧州特許出願公開第1674243A2号明細書、欧州特許出願公開第1847377A2号明細書)、識別可能な層形成が観測されるおそれがあり、光学的配向及び/又は優先的方向、たとえば、層構造に平行に及びそれに直交して変動する透明度が発生するおそれもある。かかる影響は、体積要素のインテリジェントな位置決めにより低減されうるが、完全に排除するのは困難である。
【0009】
離散体積要素の適用から生じるさらなる側面は、体積要素のz方向高さの大きさ程度に表面トポグラフィーが一様でない表面及びしばしば見られるのは規則的構造である。この現象は、たとえば、具体的には、生じたギャップをプリンティングプロセスの終了時に規定の方法で相対的に小さなドロップレットで充填することにより(欧州特許出願公開第2846983A1号明細書)、又は完全で十分に厚い液状膜を適用した後で表面張力を活用してレベリングにより平滑で外見上均一な表面をもたらすことにより、低減可能である。しかしながら、光学コンポーネントの体積内に存在する可能性のあるいずれの構造も、それにより排除されない。
【0010】
米国特許出願公開第2016/0167323A1号明細書には、眼用レンズ用の付加製造法が開示されている。眼用レンズに必要とされる均一性は、個別ボクセルの粘度増加及びそれらの後続の相互拡散により製造時に確保されると言われている。個別ボクセルの粘度増加は、ここでは、こうしたボクセルが意図された部位で維持されてその選択ジオメトリーを保持する効果があると言われている。個別ボクセルの相互拡散後、均一眼用レンズが形成されると言われている。粘度は、たとえば、少なくとも1個のエポキシ基、チオエポキシ基、エポキシシラン基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ウレタン基、チオウレタン基、イソシアネート基、メルカプト基、又はアルコール基を含む少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマーと、少なくとも1種の開始剤と、を含む液状組成物の光重合又は熱重合により増加可能である。代替的に、粘度は、少なくとも1個のエポキシ基、チオエポキシ基、(メタ)アクリル酸基、又は(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマーと、少なくとも1種の開始剤と、溶媒と、を含む液状組成物の蒸発により、ボクセル形成後に増加可能である。
【0011】
米国特許出願公開第2004/0008319A1号明細書には、互いに相接するポリマーピクセルから構成された連続フィルムを含む光学エレメントが開示されている。個別ポリマーピクセルは、特定の光学的性質たとえば特定の屈折率を有すると言われている。マイクロジェット法を利用して、個別ポリマーピクセルは、レンズブランクや仕上げ眼鏡レンズなどの基材上のあらかじめ規定された部位に適用される。ここでの2つの隣接ポリマーピクセルは、混合されて単一ピクセルを与えうる。散乱効果を回避するために、ポリマーピクセルの平均サイズは、200μm未満にすべきである。
【0012】
米国特許出願公開第2005/0046957A1号明細書には、米国特許出願公開第2004/0008319A1号明細書のように光学エレメントが開示されている。マイクロジェット法を利用して基材上のあらかじめ規定された部位にポリマーピクセルとして適用されるポリマー組成物は、第1のエンモノマーと第1のチオールモノマーとを含み、それらは一体化されると1.55以上の屈折率を有する。そのほか、ポリマー組成物は、第2のエンモノマーと第2のチオールモノマーとを含み、それらは一体化される1.55以下の屈折率を有する。より高い屈折率を有するポリマー組成物とより低い屈折率を有するポリマー組成物との比は、0:100~100:0範囲内の比で変動させうる。
【0013】
米国特許出願公開第2018/354249A1号明細書には、一方の表面から他方の表面に材料を転写させる方法が開示されている。転送される材料は、チオール-アクリレート組成物、チオール-エン-アクリレート組成物、又はそれらの混合物を含むUV硬化性インクジェット組成物を少なくとも部分的に含む。米国特許出願公開第2018/354249A1号明細書は、眼鏡レンズの製造に関係しない。
【0014】
欧州特許出願公開第2093269A1号明細書には、照射下で塩基性度を呈する又は増加させる化合物が開示されている。欧州特許出願公開第2093269A1号明細書は、同様に眼鏡レンズの製造に関係しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、眼鏡レンズの光学品質に関する関連需要を満たす眼鏡レンズ、たとえば、良好なイメージング性能を有する眼鏡レンズの製造を可能にする眼鏡レンズの製造方法を提供することであった。より特定的には、同方法は、均一な屈折率又は規定の屈折率勾配を有する眼鏡レンズの製造を可能にすることである。そのほか、本発明の目的は、眼鏡レンズの製造に好適な流体を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、請求項1、3、8、9、及び16に記載の方法を提供することにより達成された。
【発明を実施するための形態】
【0017】
眼鏡レンズの製造では、その製造方法にかかわらず、構造体の形成、インターフェース、屈折率の意図せぬ変動、材料組成の意図せぬ変動、トラップ材料、並びに/又は眼鏡レンズの体積内及び/若しくは表面上の汚染物を絶対に回避すべきである。光学的に不均一な材料で作製された眼鏡レンズを着用すると、眼鏡着用者が厄介又は不快であると一般に知覚するか、又は不適合をもたらす可能性がある。光学的に不均一な材料で作製された眼鏡レンズは、そのほか、光学イメージング性能を損なう。このことがとりわけ当てはまるのは、光学的に不均一な材料が眼鏡レンズの遠用ビジュアルポイント及び/又は近用ビジュアルポイントにあるときである。DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.16によれば、遠用ビジュアルポイントとは、所与の条件下で遠方視のために使用される眼鏡レンズ上のビジュアルポイントの仮定位置のことであり、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.17によれば、近用ビジュアルポイントとは、所与の条件下で近方視のために使用される眼鏡レンズ上のビジュアルポイントの仮定位置のことである。
【0018】
眼鏡レンズとの関連で光学的に均一な材料(これ以降では「光学的に均一な材料」と呼ばれる)とは、目視評価で、とりわけ透過方式又は反射方式の目視評価で、眼鏡レンズの体積内の材料組成や屈折率のいかなる意図せぬ変動も、いかなるインターフェース、欠損、及び/若しくは構造物も、たとえば、ストリークも、並びに/又は表面上のいかなるインターフェース、欠損、及び/若しくは構造物も含まない材料を意味するものと理解される。また、光学的に均一な材料とは、目視評価で、好ましくはいかなる光散乱も及び/又は好ましくはいかなるイメージング欠陥も有していない材料も意味するものと理解される。光散乱では、小角散乱と大角散乱とは区別される。眼鏡レンズの一表面の又は体積内の小粒子による、材料組成若しくは屈折率の変動による、インターフェースによる、欠損による、及び/又は構造物による散乱に起因して主に順方向に散乱される光の部分は、小角散乱といわれる。小角散乱(画像鮮鋭度)の場合、光は、高集束の狭円錐内で散乱され、画像鮮鋭度は、2.5°未満の角度範囲で測定される。小角散乱は、好ましくは、現在は取り下げられているDIN EN167:1995、パラグラフ4.2に準拠して、眼鏡レンズの幾何中心の周りに半径1mm~3mmの範囲内で測定される。好ましくは≦0.16cd/m2/lx、より好ましくは≦0.09cd/m2/lx、最も好ましくは、≦0.05cd/m2/lxの小角散乱は、本発明との関連では散乱でないとみなされる。大角散乱の場合、光は均一に全方向に散乱される。大角散乱(ヘイズ、曇り)は、入射光ビームから平均2.5°超外れるパーセントの光の部分である。眼鏡レンズの一表面の又は体積内の材料組成若しくは屈折率の変動による、インターフェースによる、欠損による、及び/又は構造物による光の散漫散乱は、好ましくはウルブリヒト球を利用して測定される。大角散乱は、好ましくは、眼鏡レンズの幾何中心の周りの半径15mm~20mmの範囲内で補償なしでByk Gardner製のhaze-gard plus装置を用いて測定される。好ましくは≦1.01、より好ましくは≦0.98、最も好ましくは≦0.54の大角散乱は、本発明との関連では散乱でないとみなされる。光学的に均一な材料は、仮にあったとしてもヒトの眼により知覚不能な程度に光学イメージング性能を損なう。眼鏡レンズのイメージング性能は、たとえば、変調伝達関数(MTF)により記述及び決定することが可能である。
【0019】
光学的に均一な材料の客観的評価は、マークを可視化するための、好ましくは国際公開第2005/017482A1号パンフレットに記載の方法に類似し、より好ましくは国際公開第2005/017482A1号パンフレット、請求項1に記載の方法に類似する。この目的のために、照明光ビームは、好ましくは眼鏡レンズ上に方向付けられ、眼鏡レンズを通り抜け、眼鏡レンズを通り抜けた後に再帰反射体の形態の反射体で反射され、最終的に観察光ビームとしてカメラに方向付けられる。眼鏡レンズの体積内及び/又は表面上の屈折率の変動、欠損、インターフェース、構造物は、一般にビーム経路の撓みをもたらし、その結果として、反射光は、もはや再帰反射条件を満たさない。材料組成又は材料の性質の変動は、このように、たとえば、ストリーク又はシャドウとして可視化されうるとともに、一方、眼鏡レンズの体積内及び/又は表面上の欠損、インターフェース、構造物は、より明るい又はより暗い構造物として発生可能である。
【0020】
そのため、光学的に均一な材料は、材料の体積内及び/又はその表面上の構造物、インターフェース、屈折率の意図せぬ変動、材料組成の意図せぬ変動、混入物及び/又は汚染物をなんら有していない。眼鏡レンズの表面は、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.8に準拠して、眼鏡内の眼から離れる方向を向くように意図された眼鏡レンズの面である前面又は物体側面と、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.9に準拠して、眼鏡内の眼に面するように意図された眼鏡レンズの面である裏面又は眼側面と、前面と裏面との間にある縁面又は端面と、を含む。各々空気又はそれぞれの相接コーティングへのインターフェースを構成しうる眼鏡レンズの前面、裏面、及び縁面又は端面は、本発明との関連でのインターフェースでない。一実施形態では、眼鏡レンズは、一対のスマートガラスでありうる。この場合、縁面又は端面は、少なくとも部分的には、たとえば、入力表面の形態もとり、任意に光学効果を有する。その場合、これはここでのインターフェースを構成する。
【0021】
本発明との関連でのインターフェースとは、少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間に生成し、たとえば、製造プロセスの結果として、相接体積要素の少なくとも1つと比較して材料組成及び/又は材料の性質の変動を有する面のことである。また、インターフェースとは、少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積複合体間に生成し、たとえば、製造プロセスの結果として、相接体積複合体の少なくとも1つと比較して材料組成及び/又は材料の性質の変動を有する面のことでもある。そのほか、インターフェースとは、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体との間に生成し、たとえば、製造プロセスの結果として、少なくとも1つの体積要素と比較して及び/又は少なくとも1つの体積複合体と比較して材料組成及び/又は材料の性質の変動を有する面のことでもある。材料組成及び/又は材料の性質のそれぞれの変動は、たとえば、眼鏡レンズの異なる屈折率、異なる分散性若しくは異なる散乱性及び/又は吸収性で表されうる。そのため、かかるインターフェースの結果として、眼鏡レンズの体積内に少なくとも1つの望ましくない光学的性質が存在しうる。上述した体積複合体は、代替的に、均一体積複合体内の反応、これと少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素及び/又は体積複合体及び/又は均一体積複合体との反応が終了した結果としてインターフェースが生成する可能性のある均一体積複合体でありうる。また、体積複合体は、代替的に、反応性の非伝達の結果として、少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素及び/又は体積複合体及び/又は均一体積複合体に対するインターフェースが生成しうる最終体積複合体でもありうる。
【0022】
本発明との関連での構造物とは、凝集性体積要素及び/又は体積複合体及び/又は均一体積複合体及び/又は最終体積複合体及びそれらの各々の間に生成したインターフェースの構成体を意味するものと理解される。構造物は、各場合につき、眼鏡レンズの一表面の及び/又は一表面上の及び/又は体積内の規則的構造物又は不規則的構造物でありうる。そのほか、構造物とは、高次単位又は同一若しくは異なる構造物の重合せから生じる高次物を意味するものと理解される。同一又は異なる規則的構造の重合せは、たとえば、眼鏡レンズの一表面の及び/又は一表面上の及び/又は眼鏡レンズの体積内のモアレ構造物をもたらすこともある。眼鏡レンズの一表面の及び/又は一表面上の及び/又は眼鏡レンズの体積内の高次構造物は、たとえば、体積要素の交互積層適用からももたらされうる。オレンジピール効果に関係する波状物又は構造物は、眼鏡レンズの一表面に及び/又は一表面上に生成する可能性のあるさらなる例である。
【0023】
プリントされる流体がプリントされる基材に体積要素の形態で適用されるインクジェット法を利用した眼鏡レンズの付加製造では、眼鏡レンズの体積内で体積要素から生じるインターフェース及び/又は構造物は回避されるべきである。そうする考えられる一手段は、眼鏡レンズの体積内の体積要素から生じるインターフェース及び/又は構造物が生成する場合でさえも、これらが散乱などの破壊的な光学的性質をもたらさないように、及び/又はヒトの眼の分解能未満になるように、そのため、眼鏡着用者により知覚されることさえもないように、体積要素のサイズを低減することである。しかしながら、2つの制限:体積要素のプリント可能なサイズ及び得られるプリント速度が存在する。体積要素の製造モードの結果として、すなわち、たとえば、キャピラリーによりピエゾアクチュエーターを利用して、体積要素のサイズつまり体積は、物理的限界に遭遇する。工業的に利用可能なインクジェットプリントヘッドの体積要素の最小サイズは、現在約1pLであり、それは12.4μmの体積要素の直径又は10μmの縁の長さに対応する。1pLの体積要素のサイズ及び典型的には10kHzの周波数が与えられたとすれば、単一ノズルで10-5cm3の材料体積/sをプリントすることが可能である。つまり、約5cm3の体積を有する典型的な眼鏡レンズでは5×105s又は833minが必要とされる。256ノズルを有する慣用アレイを利用すると、純プリンティング時間は、3~4minに低減されるが、プリントヘッド又は基材の移動の時間、中間硬化、たとえば、中間UV硬化もまた、同様に考慮に入れなければならない。したがって、典型的には、眼鏡レンズのインクジェットプリンティングは、実験室条件下で約1hを要する。
【0024】
眼鏡レンズの体積内のインターフェース及び/又は構造物から生じる光学的影響の効果的回避は、屈折の影響の場合、1μm未満と予想されるにすぎないが、回折及び分散の影響の場合、100nmを十分に下回ると予想される。構造物サイズのかかる低減を1/10~1/100にするには、インクジェット法の体積要素のサイズを約1fL又は1aLに低減しなければならないであろう。しかしながら、これは現在市販されているインクジェットプリントヘッドでは達成することができず、加えて、ノズルの同一プリントヘッドジオメトリー及び同一数を仮定すると、プリント時間は、それぞれ103又は106倍に増加するであろう。物理的限界は、根本的であり、ドロップレット又は体素の形成の根底をなす音響学的及び流体動力学的パラメーター、とりわけ音のスピード並びにインクジェット法によりプリントされる流体のレオロジー及び表面張力から本質的に生じる。
【0025】
したがって、眼鏡レンズの体積内のインターフェース及び/又は構造物を回避するためにプリンティング法で体積要素のサイズを減少させるアプローチは、所与の理由で非生産的であるうえに、物理的状況により制限される。
【0026】
一方、体積要素のサイズの増加は、体積要素の適用速度及び粘度の両方の増加が可能であるという利点を有する可能性がある。しかしながら、体積要素のサイズの増加は、プリントされた物品の分解能が識別可能に低減されて、特定眼鏡レンズの製造に限定的影響を与えるという欠点を有するであろう。体積要素のサイズの増加は、たとえば、特定位置の各体積要素が特定の性質を有しうるインクジェット法を利用して製造される眼鏡レンズが、この眼鏡レンズに対して計算された性質を有して及び/又はこの眼鏡レンズに対して事前に規定された性質を有して所望の分解能で製造できないという制限を有する。特定の性質を有する各体積要素を特定位置に位置決めすることは、位置依存屈折率分布を有する眼鏡レンズのプリンティングの要件である。ここでの体積要素のサイズが小さくなるほど、結果的に分解能が高くなり、たとえば、こうして実現可能な勾配が急になる。たとえば、Δn=10-3/mmの屈折率勾配を達成するには、屈折率の最大差を有する2種の流体を混合すると仮定して、直径10μm程度の大きさの体積要素が必要とされる。ここでの体積要素の直径とは、基材に当たる前の飛行時の直径のことである。眼鏡レンズに対して事前に規定された位置依存性は、たとえば、適用される流体の屈折率及び組成並びに/又は眼鏡レンズの材料を含みうる。
【0027】
以上で考察されたように、体積要素のサイズの低減を促進すると、その物理的、技術的、及び経済的限界に遭遇し、体積要素のサイズの増加を促進すると、眼鏡レンズに望ましくない分解能の低減を伴うので、本発明に従って提案されるのは、プリントされる基材又は除去される支持体材料にインクジェット法を利用して適用された体積要素を最初に再び体積複合体に、さらには均一体積複合体に、次いで最終体積複合体に完全に変換することである。体積複合体は、少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素を含む。体積複合体はまた、少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体を含む。体積複合体は、少なくとも1つの体積要素並びに/又は少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体をさらに含む。体積複合体は、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触から生じる。体積複合体はまた、少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/又は接触から生じる。体積複合体は、そのほか、少なくとも1つの体積要素並びに少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/又は接触から生じる。少なくとも2つの体積要素を含む体積複合体では、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積要素間の反応は、まだ開始されていない。少なくとも2つの体積複合体を含む体積複合体では、少なくとも1つの体積複合体内の反応並びに/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体間の反応は、まだ開始されていない。少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体とを含む体積複合体では、少なくとも1つの体積要素内の反応及び/又は少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体との間の反応及び/又は少なくとも1つの体積複合体内の反応は、まだ開始されていない。
【0028】
均一体積複合体は、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積要素間の反応が十分に終了していない少なくとも1つの体積複合体を含む。均一体積複合体はまた、少なくとも1つの体積複合体内の反応並びに/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体間の反応が十分に終了していない体積複合体も含む。均一体積複合体は、そのほか、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体と間の反応並びにこの少なくとも1つの体積複合体内の反応が各場合につき十分に終了していない体積複合体も含む。少なくとも2つの体積要素を含む均一体積複合体では、そのほか、少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素間の反応性は、まだ伝達されていない。少なくとも2つの体積複合体を含む均一体積複合体では、少なくとも1つの体積複合体内の反応性及び/又は少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体間の反応性は、まだ伝達されていない。少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つ体積複合体とを含む均一体積複合体では、そのほか、少なくとも1つの体積複合体内の反応性及び少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との間の反応性は、まだ伝達されていない。少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つ体積複合体とを含む均一体積複合体中の少なくとも1つの体積要素内の反応性も、まだ伝達されていない。少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つ体積複合体とを含む均一体積複合体では、反応性は、少なくとも1つの体積要素から少なくとも体積複合体にまだ伝達されていない。
【0029】
最終体積複合体は、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素間の反応が十分に終了した少なくとも1つの均一体積複合体を含む。最終体積複合体はまた、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応並びに少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体間の反応が十分に終了した均一体積複合体を含む。最終体積複合体は、そのほか、少なくとも1つの体積要素内の反応並びに少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体との間の反応並びに少なくとも1つの均一体積複合体内の反応が各場合につき十分に終了した均一体積複合体を含む。少なくとも2つの体積要素を含む均一体積複合体から形成された最終体積複合体では、反応性は、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された体積要素に伝達されている。少なくとも2つの均一体積複合体を含む均一体積複合体から形成された最終体積複合体では、反応性はまた、少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体に伝達されている。最終体積複合体では、反応性は、そのほか、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体に伝達されている。最終体積複合体では、反応性は、そのほか、少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された体積要素に伝達されている。
【0030】
最終体積複合体が少なくとも2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体から形成される場合、これらの少なくとも2つの均一体積複合体内の反応及びこれらの少なくとも2つの均一体積複合体間の反応は、各場合につき十分に終了している。そのほか、反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体から相接する及び/又は隣接して適用された少なくとも第2の均一体積複合体に伝達されている。最終体積複合体が少なくとも1つの均一体積複合体並びに少なくとも1つの相接する及び/又は隣接して適用された体積要素から形成される場合、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応、少なくとも1つの体積要素内の反応、並びに少なくとも1つの均一体積複合体と相接する及び/又は隣接して適用された体積要素との間の反応は、各場合につき十分に終了している。反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された体積要素に又は少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された均一体積複合体にのどちらかで伝達されている。
【0031】
「体積複合体」「均一体積複合体」、及び「最終体積複合体」に関する以上の見解では、挙げられた選択肢は、単独又は組合せで、各々、体積複合体、均一体積複合体、又は最終体積複合体の形成をもたらしうる。
【0032】
隣接して適用された体積要素とは、x/y方向に互いに並行して及びz方向に互いに重ねて適用された体積要素を意味するものと理解される。隣接して適用された体積要素は、z方向に互いに重ねて又はx/y方向にオフセットして直接存在しうる。隣接して適用された体積要素とは、いずれのx/y方向にかかわらず又はいずれのz方向にかかわらずいずれかの方向に隣接して適用された体積要素を意味するものと理解される。体積要素は、規則的に又はランダム分布で隣接して適用されうる。体積要素はまた、隣接して適用された体積要素の層内で規則的に又はランダム分布で隣接して適用されうる。体積要素は、そのほか、規則的に又はランダムに分布するがそれにもかかわらず隣接して適用された体積要素の2つの層間で隣接するように隣接して適用されうる。隣接して適用された体積要素は、必要というわけではないが、間隙を空けずに互いに直接相接しうる。
【0033】
互いに相接する又は相接する体積要素とは、隣接して適用された体積要素を意味するものと理解される。隣接して適用された体積要素は、ここではいずれの所望の方向にも互いに相接及び/又は合体しうる。互いに相接する体積要素とは、そのほか、x/y方向に部分的にオーバーラップして適用された体積要素を意味するものと理解される。z方向では、互いに相接する体積要素は、互いに重ねて又はx/y方向にオフセットして直接適用されうる。互いに重ねて又はx/y方向にオフセットして直接適用された体積要素は、いずれの所望の方向にも少なくとも1つのさらなる体積要素と合体しうるか、又はいずれの所望の方向にも少なくとも1つのさらなる体積要素に接続及び/若しくは接触されうる。互いに相接する体積要素は、合体、結合、及び/又は接触後、体積要素間に間隙を有しない。体積要素のサイズ及びプリントパターンに応じて、未硬化又は部分硬化表面上の少なくとも1つの体積要素の接触角は、好ましくは、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素がオーバーラップして合体をもたらすように調整される。この目的のために、少なくとも1つの体積要素の表面張力は、好ましくは十分に小さくなるように選ばれ、典型的な値は、好ましくは<30mN/mの領域、さらに好ましくは20mN/m~25mN/mの範囲内である。
【0034】
隣接して適用された体積要素及び互いに相接又は隣接する体積要素の以上の定義は、隣接して適用された及び互いに相接する又は相接する体積複合体及び/又は均一体積複合体及び/又は最終体積複合体に同様に適用可能である。そのほか、以上の定義はまた、体積要素及び体積複合体及び/若しくは均一体積複合体及び/若しくは最終体積複合体又は体積複合体及び均一体積複合体及び/若しくは最終体積複合体が隣接して適用されるか又は互いに相接するか又は相接するときにも適用可能である。
【0035】
層とは、プリンティング表面に平面平行に存在する互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素の構成体を意味するものと理解される。ここでの体積要素は、プリントされる表面を完全に又は部分的にのみ覆いうる。
【0036】
体積要素又は体積複合体又は均一体積複合体又は最終体積複合体は、開始される又は可能な重合反応を目指して、さらなる重合反応が見られなくとも、長い反応時間にわたる場合及び/又は連続活性化の場合でさえも十分に硬化される。このことは、ここで重合反応に関与する反応性基の100%変換が存在しなければならないことを必ずしも意味するとは限らない。
【0037】
反応は、重合反応などの反応が長い反応時間にわたり継続する場合及び/又は連続活性化の場合及び/又は反応条件の再採用の場合には不完全であるとみなされる。
【0038】
平面表面がプリントされる場合、たとえば平面基材の場合、又は体積要素の平面適用層の場合、x方向は、プリントされる表面に平行なプリント方向に直交して規定される。y方向は、ここではプリント方向として定義される。そのため、y方向は、少なくとも1つのプリントヘッド又はプリントヘッド構成体が移動される方向である。プリント分解能又はプリント領域を増加させるために、そのほか、プリント方向に直交してプリントヘッド又はプリントヘッド構成体を移動することが必要でありうる。平面表面がプリントされる場合のz方向は、x及びy方向に直交する方向として定義される。プリントされる表面との関連で平面が意味するのは、この表面が巨視的範囲内にいずれの曲率も有していないということである。
【0039】
湾曲表面にプリントされる場合、たとえば、凸若しくは凹基材の場合又は凸若しくは凹基材に適用された体積要素の少なくとも1つの層の場合、x方向は、ここでも、プリントされる表面のプリント方向に直交し、プリントヘッドのノズルプレートに平行である。y方向は、ここでも、プリント方向として定義され、平面表面に関して述べた以上の見解が同様に適用可能である。湾曲表面の場合のz方向は、x,y方向により形成された平面に直交する方向として定義される。
【0040】
平面又は湾曲表面の場合のx、y、及びz方向の以上の定義は、プリントされる基材を少なくとも1つのプリントヘッド又はプリントヘッド構成体の移動に追加的又は代替的にx方向及び/又はy方向に移動することを除外するものではない。移動はまた、純粋にx又はy方向に制限されるものではなく、対角線上や回転など、2方向の重合せからなるものでありうる。移動はまた、そのほか、z方向も含みうる。
【0041】
適用された体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、次いで最終体積複合体への変換は、体積要素に起因して隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間に生じる眼鏡レンズの体積内のインターフェース及び/又は構造物を防止する。これらのインターフェース及び/又は構造物は、結果的に望ましくない光学的影響もたらす可能性がある。適用された体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への変換は、ここでは、好ましくは、横方向のx/y方向だけでなくz方向にも行われる。ここでのy方向は、インクジェット法のプリンティング方向を記述し、一方、x方向は、プリントヘッド/基材/支持体材料が横方向に移動されるステッピング方向を表す。z方向は、それらに直交して高さが蓄積される方向を規定する。適用された体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、次いで最終体積複合体への変換は、たとえば、好ましくは2次元体積複合体の形成を伴って、体積複合体が形成されるように、x/y方向に隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間で最初に横方向に行うことが可能である。続いて、x/y方向に形成された体積複合体は、z方向に適用された体積要素により伸長され、さらには均一体積複合体に、次いで最終体積複合体に変換可能である。体積複合体及び/又は均一体積複合体の形成は、たとえば、運動エネルギー及び各々z方向に生じる体積要素の時空間内の構成体により支援可能である。x/y方向に形成された体積複合体V又はx/y方向に形成された均一体積複合体Vhの伸長は、下記変形形態を含みうる。
a)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する均一体積複合体Vhへのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
b)x/y方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体Vhにz方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体Vh1への、x/y方向の横方向変換、及びx/y方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体Vhへのそれらの後続のインテグレーション、又は
c)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する体積複合体Vhへのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体Vh1へのz方向に適用された体積要素の同時変換。
【0042】
それぞれ得られた体積複合体Vは、均一体積複合体Vhに、次いで最終体積複合体に変換される。
【0043】
次いで、それぞれ得られた均一体積複合体Vhは、最終体積複合体に変換される。
【0044】
好ましくは、x/y方向に形成された体積複合体V又はx/y方向に形成された均一体積複合体Vhは、x/y方向にすでに存在する体積複合体Vへの又はx/y方向にすでに存在する均一体積複合体Vhへのz方向に適用された体積要素のインテグレーションにより伸長される。
【0045】
上述した場合a)~c)では、体積複合体V及び均一体積複合体Vhの同時存在もまた、可能である。
【0046】
代替的に、体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への適用された体積要素の変換は、隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間で最初にz方向に行うことが可能である。体積複合体及び/又は均一体積複合体のこの形成はまた、たとえば、運動エネルギー及び各々z方向に生じる体積要素の時空間内の構成体により支援可能である。続いて、z方向に形成された体積複合体は、x/y方向に適用された体積要素により伸長され、さらには均一体積複合体に、次いで最終体積複合体に変換可能である。z方向に形成された体積複合体V又はz方向に形成された均一体積複合体Vhの伸長は、ここでは、下記変形形態を含みうる。
a)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する均一体積複合体Vhへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
b)z方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体Vhにx,y方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体Vh1への、z方向変換、及びz方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体Vhへのそれらの後続のインテグレーション、又は
c)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する体積複合体Vhへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体Vh1へのx,y方向に適用された体積要素の同時変換。
【0047】
この実施形態の場合もまた、それぞれ得られた体積複合体Vは、均一体積複合体Vhに、次いで最終体積複合体に変換される。
【0048】
それぞれ得られた均一体積複合体Vhは、最終体積複合体に変換される。
【0049】
好ましくは、この実施形態では、z方向に形成された体積複合体V又はz方向に形成された均一体積複合体Vhは、z方向にすでに存在する体積複合体Vへの又はz方向にすでに存在する均一体積複合体Vhへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーションにより伸長される。
【0050】
上述した代替事例a)~c)では、体積複合体V及び均一体積複合体Vhの同時存在もまた可能である。
【0051】
さらに、代替的に、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素から体積複合体、続いて均一体積複合体への変換は、x/y方向及びz方向に同時に行うことが可能である。
【0052】
さらに、代替的に、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素から体積複合体、続いて均一体積複合体への変換は、いずれの所望の方向にも行うことが可能である。ここで「いずれの所望の方向にも」とは、適用された体積要素から体積複合体、続いて均一体積複合体への変換が、いずれのx/y方向にも依存せずに且ついずれのz方向にも依存せずに行われることを意味する。任意の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。さらに好ましくは、適用された体積要素から体積複合体、続いて均一体積複合体への変換は、いずれの所望の方向にも同時に影響を受ける。個別体積要素から出発して、これは、隣接して適用された及び/又は相接する体積要素を用いて、いずれの所望の方向にも、体積複合体に、次いで、均一体積複合体に変換可能である。次いで、均一体積複合体は、各場合につき最終体積複合体に変換される。
【0053】
体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への以上に記載の変換ではなく、少なくとも1種の体積複合体と少なくとも1種のさらなる体積複合体とを組み合わせて、均一体積複合体を、次いで最終体積複合体を与えることも可能である。こうした体積複合体の組合せは、好ましくは、ここでは単に横方向のx/y方向だけでなくz方向にも行われる。この目的に合わせて、単純化された形で、たとえば、x/y方向に互いに隣接して配置された2つの体積複合体V2及びV3を考えた場合、これらの2つの体積複合体V2及びV3は、最初に、2つの体積複合体V2及びV3のz方向の界面を介して、1つの体積複合体に、さらには均一体積複合体に、続いて最終体積複合体に変換されうる。これらの2つの体積複合体V2及びV3を互いに隣接してz方向に互いに重ねて配置した場合、これらの2つの体積複合体V2及びV3は、最初に、x/y方向の2つの体積複合体V2とV3との界面を介して、体積複合体に、さらには均一体積複合体に、続いて最終体積複合体に変換されうる。これらの2つの体積複合体V2及びV3をx/y方向に互いに並行して互いに隣接して、且つz方向に互いに重ねて完全に又は少なくとも部分的には互いに隣接して配置した場合、これらの2つの体積複合体V2及びV3は、x/y方向及びz方向の2つの体積要素間の界面を介して、体積複合体に、さらには均一体積複合体に、続いて最終体積複合体変換されうる。代替的に、少なくとも1つの体積複合体及び少なくとも1つのさらなる体積複合体から均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への変換は、x/y方向にかかわらず及び/又はz方向にかかわらず、いずれの所望の方向にも、行うことが可能である。ここでの任意の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。2つの体積複合体V2及びV3から生じる体積複合体又は均一体積複合体は、次いで、各場合につき、少なくとも1つの体積要素及び/又は少なくとも1つの体積複合体及び/又は少なくとも1つの均一体積複合体により伸長されうる。この体積複合体の又はこの均一体積複合体のこうした伸長は、x/y方向及び/又はz方向に行うことが可能である。代替的に、この体積複合体の又はこの均一体積複合体のこうした伸長は、いずれの所望の方向にも行うことが可能である。ここでの任意の方向も、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。少なくとも1つの体積要素及び/又は少なくとも1つの体積複合体及び/又は少なくとも1つの均一体積複合体によるこの体積複合体の又はこの均一体積複合体のこうした伸長は、同時に又は逐次的に行うことが可能である。
【0054】
本発明によれば、均一体積複合体は、好ましくは、少なくとも1つの体積要素内の反応及び隣接して適用された体積要素間の反応及び/又は互いに相接する体積要素間の反応が十分に終了していないときに形成される。この目的のために、たとえば、単純化された形態で、たとえば、互いに相接する及び/又は基材に隣接して適用された丁度2つの体積要素を考える。たとえば、これらは、界面などでの重合反応を利用して互いに反応可能である。重合反応が全体的に十分に終了したとき、対応する重合反応が可能であれば、これらの2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素から形成された均一体積複合体の表面は、硬化されている。たとえば、少なくとも1つのさらなる体積要素をこの硬化表面に適用した場合、簡単に言えば、硬化表面と少なくとも1つのさらなる体積要素との間では、仮に反応したとしても、識別可能に低減された重合反応が見られるにすぎない。そのため、硬化表面では、たとえば、異なる材料の性質を有してインターフェースが形成される。
【0055】
本発明によれば、均一体積複合体はまた、好ましくは、少なくとも1つの体積複合体内の反応及び少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との反応及び少なくとも1つの体積要素内の反応が各場合につき十分に終了していないときに形成される。この目的のために、たとえば、体積複合体及びさらなる体積要素は、たとえば、界面などでの重合反応を利用して互いに反応可能であると考えられる。体積複合体内の重合反応が対応する重合反応に関してできる限り十分に終了している場合、表面が硬化された均一体積複合体が得られる。この硬化表面では、簡単に言えば、それ以上重合反応が起こらないか、又はさらなる体積要素内の反応が対応する重合反応に関してできる限り十分に終了しているか否かにかかわらず、均一体積複合体とさらなる体積要素との間で識別可能に低減された重合反応が起こるにすぎない。その代わりに、この硬化表面では、たとえば、均一体積複合体とさらなる体積要素との間に、異なる材料の性質を有する望ましくないインターフェースが生成する。
【0056】
本発明によれば、均一体積複合体はまた、好ましくは、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体内の反応、及び互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体間の反応、たとえば、体積複合体A内の反応、体積複合体B内の反応、及び、体積複合体Aと体積複合体Bとの間の反応が、各場合につき、十分に終了していないときに形成される。この目的のために、たとえば、単純化された形態で、たとえば、重合反応を利用して、互いに反応可能な体積複合体A及び体積複合体Bが考えられる。体積複合体A内の重合反応が対応する重合反応に関してできる限り十分に終了している場合、表面が硬化された均一体積複合体Aが得られる。この硬化表面では、簡単に言えば、それ以上重合反応が起こらないか、又は体積複合体B内の重合反応が終了しているか否かにかかわらず、均一体積複合体Aと体積複合体Bとの間で識別可能に低減された重合反応が起こるにすぎない。その代わりに、この硬化表面では、たとえば、均一体積複合体Aと体積要素Bとの間に、異なる材料の性質を有する望ましくないインターフェースが生成する。
【0057】
体積要素、体積複合体、均一体積複合体、又は最終体積複合体の体積内に、各場合につき、各種インターフェースが見られる場合、望ましくない構造物又は異なる材料の性質を有する領域が形成される可能性もあり、さらには、これらの望ましくないインターフェース、及び体積要素、体積複合体、均一体積複合体、又は最終体積複合体は、各場合につき、光学的に不均一である。
【0058】
本発明によれば、最終体積複合体は、隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間にインターフェースが生成されないときに形成される。本発明によれば、最終体積複合体はまた、既存の体積複合体と少なくとも1つのさらなる体積要素との間又は既存の均一体積複合体と少なくとも1つのさらなる体積要素との間にインターフェースが生成されないときに形成される。本発明によれば、最終体積複合体はまた、少なくとも1つ既存の体積複合体と少なくとも1つのさらなる体積複合体との間、又は少なくとも1つの既存の均一体積複合体と少なくとも1つのさらなる体積複合体との間、又は少なくとも1つの既存の均一体積複合体と少なくとも1つのさらなる均一体積複合体との間にインターフェースが生成しないときに形成される。インターフェースが生成しないとき、材料の性質の急激な変化は、見られない。
【0059】
本発明によれば、最終体積複合体は、好ましくは、隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間で反応性が伝達されるときに形成される。反応性は、互いに相接する並びに/又はx/y方向及び/若しくはz方向に隣接して適用された体積要素間で伝達可能である。反応性は、代替的に、いずれの所望の方向にも、互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素間で伝達可能である。いずれの所望の方向にもとは、方向に関して一様分布であり、優先方向をもたないことを意味する。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。反応性の伝達とは、体積要素内で開始した反応が隣接して適用された及び/又は相接する体積要素に連続することを意味する。反応性の伝達とはまた、体積要素内で開始した反応が隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間に連続することを意味する。そのほか、反応性の伝達とは、体積要素内で開始した反応が、i)隣接して適用された及び/若しくは相接する体積要素内で及び/又はii)隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間で反応が継続される前、好ましくは、その1つの体積要素内で十分に終了していないことを意味する。反応は、好ましくは使用される流体の反応性の少なくとも1つの活性化を介して、体積要素内で開始する。反応は、さらなる活性化を行わずに又は再活性化後に、隣接して適用された及び/又は相接する体積要素内で継続されうる。再活性化後、隣接して適用された及び/又は相接する体積要素内で反応を継続することが好ましい。反応性は、好ましくは、反応性がまだ伝達されていない体積要素を均一体積複合体が依然として含む限り、又は少なくとも1つのさらなる体積要素が依然として添加されている限り、体積要素から隣接して適用された及び/又は相接する体積要素に伝達される。この目的では、反応の再活性化が必要な場合が当てはまりうる。そのほか、もはや伸長されない均一体積複合体は、最終活性化に付されうるとともに、硬化が終了したら、最終体積複合体になるであろう。この目的では、簡単に言えば、たとえば、基材に適用された体積要素1を考えた場合、この体積要素1内の重合反応などの反応は、好ましくは活性化によりトリガーされる。この1つの体積要素1に隣接してさらなる体積要素2を適用した場合、反応性は、この1つの体積要素1からさらなる体積要素2に伝達される。体積要素1内で開始した反応は、第1に、体積要素2に継続され、反応はまた、第2に、体積要素1と体積要素2との間で行われる。体積要素2内の反応の継続のために、少なくとも1つの再活性化が必要とされうる。この方法では、とりわけ、体積要素1と体積要素2との反応を利用して、2つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積要素間でのインターフェースの形成が防止される。本発明によれば、最終体積複合体はまた、好ましくは、隣接して適用された均一体積複合体間及び/又は互いに相接する均一体積複合体間で反応性が伝達されるときに形成される。反応性は、互いに相接する並びに/又はx/y方向及び/若しくはz方向に隣接して適用された均一体積複合体間で伝達可能である。反応性は、代替的に、いずれの所望の方向にも、互いに相接する及び/又は隣接して適用された均一体積複合体間で伝達可能である。「いずれの所望の方向にも」とは、いずれの優先方向ももたずに任意の方向に一様分布することを意味する。反応性は、好ましくは、隣接して適用された均一体積複合体間及び/又は互いに相接する均一体積複合体間でz方向に伝達される。この目的では、簡単に言えば、たとえば、均一体積複合体1を考えた場合、この均一体積複合体1内の重合反応などの反応は、好ましくは活性化によりトリガーされる。この均一体積複合体1の反応性が、隣接して適用された均一体積複合体2及び/又はこの均一体積複合体1に隣接する均一体積複合体2に伝達される場合、反応は、第1に、このさらなる均一体積複合体2に継続され、反応は、第2に、均一体積複合体1と均一体積複合体2との間で行われる。均一体積複合体1内及び均一体積複合体2内の反応性は、各場合につき、1回以上活性化されうる。少なくとも2つの均一体積複合体間の反応性の伝達はまた、好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応性の伝達、たとえば、均一体積複合体内に存在する体積要素間のものを含む。少なくとも2つの均一体積複合体間の反応性の伝達は、均一体積複合体内又は少なくとも2つの均一体積複合体間のどちらでも、各場合につき、インターフェースの形成を防止する。
【0060】
本発明によれば、最終体積複合体は、好ましくは、そのほか、反応性が少なくとも1つの均一体積複合体と体積複合体との間で伝達されるとき形成される。反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積複合体との間でx/y方向の及び/又はz方向に伝達されうる。反応性は、代替的に、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積複合体との間でいずれの所望の方向にも伝達されうる。ここでの「いずれの所望の方向にも」とは、いずれの優先方向ももたずに任意の方向に一様分布することを意味する。反応性は、好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間でz方向に伝達される。この目的では、簡単に言えば、たとえば、均一体積複合体1を考えた場合、この均一体積複合体1内の重合反応などの反応は、好ましくは活性化によりトリガーされる。この均一体積複合体1の反応性が、隣接して適用された均一体積複合体2及び/又はこの均一体積複合体1に隣接する体積複合体2に伝達される場合、反応は、第1に、均一体積複合体2’が形成されるようにこのさらなる体積複合体2で開始し、反応は、第2に、ここで形成される均一体積複合体1と均一体積複合体2との間で行われる。均一体積複合体1内及び反応の開始時に均一体積複合体2’に変換された体積複合体2内の反応性は、各場合につき、少なくとも1回又は2回以上活性化可能である。少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間で反応性の伝達及びそれらから均一体積複合体への移動はまた、好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応性の伝達、たとえば、均一体積複合体中に存在する体積要素間のものを含む。少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの体積複合体との反応性の伝達は、少なくとも1つの均一体積複合体内、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つ体積複合体との間、又は少なくとも1つの体積複合体内のどれでも、各場合につき、インターフェースの形成を防止する。本発明によれば、最終体積複合体は、好ましくは、そのほか、反応性が少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの均一体積複合体との間で伝達されるとき形成される。反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する均一体積複合体及び/又は隣接して適用されたものとの間でx/y方向及び/又はz方向に伝達可能である。反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する均一体積複合体及び/又は隣接して適用されたものとの間でいずれの所望の方向にも伝達可能である。ここでの「いずれの所望の方向にも」とは、いずれの優先方向ももたずに任意の方向に一様分布することを意味する。好ましくは、反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの均一体積複合体との間でz方向に伝達される。反応性は、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの均一体積複合体に、又は反対方向に少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの体積要素に伝達可能である。この目的では、簡単に言えば、たとえば、均一体積複合体の反応性は、相接する及び/又は隣接して適用された体積要素に伝達されるが考えられる。均一体積複合体内の重合反応などの反応は、好ましくは、少なくとも1つの活性化によりトリガーされる。この均一体積複合体の反応性が相接体積要素に伝達する場合、反応は、第1に、隣接体積要素に継続され、反応はまた、第2に、均一体積複合体と体積要素との間で行われる。体積要素内の反応性は、伝達後に少なくとも1回再活性化されうる。均一体積複合体内の反応性は、少なくとも1回又は2回以上活性化されうる。少なくとも1つの均一体積複合体内の少なくとも1つの活性化はまた、好ましくは、均一体積複合体の体積要素間の反応性の伝達をもたらす。少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの体積要素への又はその逆の、少なくとも1つの均一体積複合体内の、少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との間の反応性の伝達は、インターフェースの形成を防止する。
【0061】
本発明によれば、最終体積複合体は、好ましくは、そのほか、反応性が少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体との間で伝達されるとき形成される。反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの相接する体積複合体及び/又は隣接して適用されたものとの間でx/y方向及び/又はz方向に伝達可能である。反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの互いに相接する及び/又は隣接して適用された体積複合体との間でいずれの所望の方向にも伝達可能である。ここでの「いずれの所望の方向にも」とは、いずれの優先方向ももたずに任意の方向に一様分布することを意味する。好ましくは、反応性は、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体との間でz方向に伝達される。反応性は、好ましくは、ここでは、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの体積複合体に伝達される。この目的では、簡単に言えば、たとえば、体積要素の反応性は、相接体積複合体に伝達されると考えられる。体積要素内の重合反応などの反応は、好ましくは、少なくとも1つの活性化によりトリガーされる。この体積要素の反応性が相接体積複合体に伝達される場合、反応は、第1に、相接体積複合体内で開始し、均一体積複合体が形成され、第2に、反応はまた、体積要素と新たに形成された均一体積複合体との間で行われる。体積要素内の反応性は、伝達後に少なくとも1回再活性化されうる。新たに形成された均一体積複合体内の反応性は、少なくとも1回又は2回以上活性化される。少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの体積複合体への反応性の伝達及びそれからの均一体積複合体への変換は、少なくとも1つの体積複合体内の又は少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との間の各場合につきインターフェースの形成を防止する。
【0062】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、体積要素内の反応が十分に終了しておらず、隣接して適用された体積要素間の反応及び/又は互いに相接する体積要素間の反応が十分に終了しておらず、反応性が隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間で伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了しているときに形成される。反応性は、隣接して適用された体積要素間及び/又は互いに相接する体積要素間で、x/y方向に、z方向に、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。ここでのいずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、互いに相接して基材に隣接して適用された2つの体積要素は、たとえば、反応を利用して、たとえば、重合反応を利用して互いに反応可能であると考えられる。これらの2つの体積要素を含む最終体積複合体の形成では、より好ましくは、最初に、各体積要素内及び2つの体積要素間の各場合につき反応が十分に終了していないことが要件である。そのほか、反応性は、これらの2つの体積要素間で伝達されることがとくに好ましい。好ましくは、反応は、体積要素内で開始し、他の体積要素に伝達され、他の体積要素内に継続される。1つの体積要素から他の体積要素への反応性の伝達の結果として、反応はまた、2つの体積要素間でさらに継続される。また、「2つの体積要素間」は、好ましくは、2つの体積要素が隣接して及び/又は互いに相接して適用されて配置された少なくとも1つの界面での反応を包含する。反応はまた、体積要素の両方で開始し、体積要素間で伝達可能である。反応は、好ましくは、それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化後に体積要素内で開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、少なくとも1つの同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び/又は熱エネルギーを利用した活性化でありうる。2つの体積要素間の反応性の伝達後、少なくとも1つの再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも2つの体積要素内及び間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素の追加を行うと、インターフェースが形成されるであろう。
【0063】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応が最初に十分に終了しておらず、隣接して適用された及び/又は互いに相接する均一体積複合体間の反応が最初は十分に終了しておらず、隣接して適用された及び/又は互いに相接する均一体積複合体間で反応性が伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了するときに形成される。反応性は、隣接して適用された及び/又は互いに相接する均一体積複合体間で、x/y方向、z方向、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。ここでのいずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、2つの均一体積複合体を考えた場合、その内部及びそれらの間で、重合反応などの反応が最初に各場合につき十分に終了しておらず、反応性が1つの均一体積複合体から他の均一体積複合体に伝達されるときがとくに好ましい。反応が1つの均一体積複合体内で開始する場合、それは他の均一体積複合体に伝達され、そして前記他の均一体積複合体で継続される。1つの均一体積複合体から他の均一体積複合体への反応性の伝達の結果として、反応はまた、2つの均一体積複合体間でさらに継続される。また、「2つの均一体積複合体間」は、好ましくは、2つの均一体積複合体が隣接して及び/又は互いに相接して適用されて配置された少なくとも1つの界面での反応を包含する。反応はまた、均一体積複合体の両方で開始し、均一体積複合体間で伝達可能である。反応は、好ましくは、それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化後に均一体積複合体内で開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。均一体積複合体間の反応性の伝達後、少なくとも1つの再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも2つの均一体積複合体内及び間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又はさらなる均一体積複合体の追加を行うと、インターフェースが形成されるであろう。
【0064】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応が最初に十分に終了しておらず、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間の反応が最初は十分に終了しておらず、均一体積複合体と隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間で反応性が伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了するときに形成される。反応性は、ここでは、x/y方向、z方向、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。いずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、1つの均一体積複合体及び1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体を考えた場合、その内部及びそれらの間で、重合反応などの反応が最初に各場合につき十分に終了しておらず、まだ開始もしておらず、反応性が均一体積複合体から体積複合体に伝達されるときがとくに好ましい。好ましくは、反応は、均一体積複合体内で開始し、均一体積複合体内でまだ十分に終了していない。その場合、反応は、体積複合体に伝達され、前記体積複合体に継続される。均一体積複合体から体積複合体への反応性の伝達の結果として、反応はまた、均一体積複合体と体積複合体との間でさらに継続される。また、「均一体積複合体と体積複合体との間」は、好ましくは、均一体積複合体及び体積複合体が隣接して及び/又は相接して適用されて配置された少なくとも1つの界面での反応を包含する。反応は、好ましくは、反応性の伝達の後、それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化の後、少なくとも1つの体積複合体内で開始し、これ体積複合体は、反応がまだ十分に終了していない均一体積複合体に変換される。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、少なくとも1つの同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。均一体積複合体と体積複合体との間で反応性の伝達後、再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つ体積複合体との間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又はさらなる均一体積複合体及び/又体積複合体の追加を行うと、インターフェースが形成されるであろう。
【0065】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、体積要素内の反応が最初に十分に終了しておらず、この1つの体積要素と隣接して適用された体積複合体及び/又はこの1つの体積要素に相接する体積複合体と間の反応が十分に終了しておらず、反応性がこの1つの体積要素から隣接して適用された及び/又は相接する体積複合体との間で伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了しているときに追加的に形成される。反応性は、少なくとも1つの体積要素から少なくとも1つの体積複合体に、x/y方向に、z方向に、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。いずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、体積要素内の重合反応などの反応はまだ十分に終了しておらず、体積複合体内の重合反応などの反応はまだ始まっていないことを考えて、反応性が体積要素から体積複合体に伝達されるときがとくに好ましい。好ましくは、反応は、体積要素内で開始し、体積複合体に伝達され、体積複合体内に継続され、それから均一体積複合体に変換される。そのほか、反応性の伝達はまた、好ましくは、体積要素と体積複合体又は後で形成される均一体積複合体との間の通常の界面での反応の継続を包含する。反応は、好ましくは、それぞれの反応に好適な活性化後に体積要素内で開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。体積要素から体積複合体への反応性の伝達後、再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つ体積複合体との間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又は少なくとも1つのさらなる均一体積複合体及び/又は体積複合体の追加を行うと、インターフェースが形成されるであろう。本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、そのほか、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応が最初に十分に終了しておらず、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する少なくとも1つの体積要素との間の反応が最初は十分に終了しておらず、この1つの均一体積複合体から少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素に反応性が伝達され、反応性の伝達後、反応が十分に終了するときに形成される。反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの体積要素に、x/y方向に、z方向に、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。いずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、1つの均一体積複合体及び1つの体積要素の内部及びそれらの間で重合反応などの反応が最初に各場合につき十分に終了していないことを考えて、反応性が均一体積複合体から体積要素に伝達されるときがとくに好ましい。好ましくは、体積複合体内の反応は均一体積複合体にそれらの変換で始まる、後者から体積要素まで転送され、体積要素内の継続である。反応性の伝達は、好ましくはまたそのほか、均一体積複合体と体積要素との間の通常のそのインターフェースで反応の継続を包含する。反応は好ましくは、均一体積複合体にそれらの変換を有するそれぞれの反応に好適な活性化の後の体積複合体内に開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。均一体積複合から体積要素への反応性の伝達後、再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つ体積要素との間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又は少なくとも1つのさらなる均一体積複合体及び/又は体積複合体の追加を行うと、それと共にインターフェースが形成されるであろう。
【0066】
本発明によれば、最終体積複合体は、より好ましくは、そのほか、少なくとも1つの均一体積複合体内の反応及び少なくとも1つの体積要素内の反応が、最初に各場合につき、十分に終了しておらず、この少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する少なくとも1つの体積要素との反応が最初に十分に終了しておらず、反応性が、この少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素との間で伝達され、且つ反応性の伝達後、その反応が十分に終了しているときに形成される。反応性は、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの体積要素との間で、x/y方向に、z方向に、及び/又はいずれの所望の方向にも伝達されうる。いずれの所望の方向は、好ましくは均一に分布し、いずれの優先方向ももたない。反応性は、好ましくは、z方向に伝達される。最終体積複合体の形成では、簡単に言えば、たとえば、1つの均一体積複合体及び1つの体積要素の内部及びそれらの間で重合反応などの反応が最初に各場合につき十分に終了していないことを考えて、反応性が均一体積複合体から体積要素に伝達されるときがとくに好ましい。好ましくは、反応は、均一体積複合体への変換を伴って体積複合体内で及び体積要素内で開始し、そして均一体積複合体から体積要素に及び体積要素から均一体積複合体に伝達され継続される。反応性の伝達は、好ましくはまたそのほか、均一体積複合体と体積要素との間の通常のそのインターフェースで反応の継続を包含する。好ましくは、体積複合体内の反応は、それぞれの反応に好適な活性化後、それから均一体積複合体への変換を伴って開始し、体積要素内の反応は、それぞれの反応に好適な活性化後、同様に開始する。それぞれの反応に好適な少なくとも1つの活性化は、同一活性化の繰返しであるか、又は互いに異なる活性化でありうる。互いに異なる活性化は、たとえば、UV線、電子ビーム線、可視光などの化学線を利用した活性化、及び熱エネルギーを利用した活性化でありうる。均一体積複合体と体積要素との間で反応性の伝達後、再活性化が必要とされうる。重合反応などの反応の十分な終了後、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つ体積要素との間で、硬化最終体積複合体が得られる。たとえば、この最終体積複合体に少なくとも1つのさらなる体積要素及び/又は少なくとも1つのさらなる均一体積複合体及び/又は体積複合体の追加を行うと、それと共にインターフェースが形成されるであろう。
【0067】
最終体積複合体の形成に対する上述したすべての変形形態に共通して、最終体積複合体では、反応は、好ましくはもはや継続されないが、十分に終了しており、反応性は、好ましくはもはや伝達されない。
【0068】
少なくとも1つの体積要素内で、均一体積複合体への変換を伴って少なくとも1つの体積複合体内で、及び/又は最終体積複合体への変換を伴って少なくとも1つの均一体積複合体内で行われる反応は、UV線などの化学線を利用して及び/又は熱エネルギーを利用して活性化可能である。反応は、好ましくはUV線を利用して活性化される。化学線、好ましくはUV線を利用した反応の活性化は、少なくとも1回行うことが可能であり、任意に繰り返される。任意に、反応の活性化は、異なる放射線(たとえば、異なる波長、強度、又は線量)を利用して少なくとも2回行うことが可能である。
【0069】
i)少なくとも2つの体積要素間で、ii)少なくとも2つの均一体積複合体間で、iii)少なくとも1つの体積要素と少なくとも1つの体積複合体及び/又は少なくとも1つの均一体積複合体との間で、及び/又はiv)少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの体積複合体との間で行われる反応は、UV線などの化学線を利用して又は熱エネルギーを利用して活性化可能である。この場合もまた、反応は、好ましくはUV線を利用して活性化される。この場合もまた、化学線、好ましくはUV線を利用した反応の活性化は、少なくとも1回行うことが可能であり、任意に繰り返される。任意に、反応の活性化は、この場合もまた、異なるUV線を利用して少なくとも2回行うことが可能である。
【0070】
以上に記載の体積要素、体積複合体、及び均一体積複合体の内部及びそれらの間の反応の活性化は、独立して、逐次的又は同時に行うことが可能である。反応の活性化は、好ましくは同時に行われ、そのため、体積要素、体積複合体、及び均一体積複合体の内部及びそれらの間でのインターフェースの形成を防止する。
【0071】
適用された体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への変換は、適用される体積要素のサイズ減少に伴って重要性が高まりつつある。体積要素が小さくなるほど、インターフェース及びインターフェース近傍領域の体積割合の増加が有意になる。
【0072】
たとえ本発明により体積要素のサイズを無視しうるとしても、インクジェット法を利用してプリントされる基材には小さな体積要素を適用することが好ましい。小さな体積要素とは、好ましくは1pL~50pLの体積を有する、より好ましくは2pL~30pLの体積を有する体積要素を意味するものと理解される。小さな体積要素の利点の1つは、それによりより良好な分解能が利用可能になり、ひいては、たとえば、計算位置依存屈折率分布及び/又はより急勾配が利用可能になることである。
【0073】
本発明によれば、体積複合体から均一体積複合体への、続いて最終体積複合体への、適用された体積要素の変換は、本発明に係る使用流体の反応性の活性化制御により達成される。本発明に係る使用流体の反応性の活性化制御は、ひいては反応のより良好な制御を可能にする。より特定的には、本発明に係る使用流体の反応、好ましくは重合がその適用後に開始する接点は、具体的にトリガー及び制御可能である。本発明に係る使用流体の適用の前、反応、好ましくは重合は、具体的活性化を行うことなく、仮に進行したとしても非常に弱く進行するにすぎない。そのため、本発明に係る使用流体は、インクジェット法に使用可能にするために十分に長い処理時間を有する。本発明に係る使用流体をインクジェット法に使用する場合、適用前に望ましくなく硬化することはない。言い換えると、インクジェットプリンターのリザーバーベッセル、コンジット、若しくはノズル、インクジェットプリントヘッド、又はプリントヘッド構成体は、適用に使用不能になるか並びに/又はコンジット及び/若しくはノズルのブロッケージをもたらすかのどれかであるいずれの流体も、好ましくはいずれの重合流体も含有していない。そのため、好ましくは、本発明に係る使用流体は、プリントヘッド、好ましくはピエゾプリントヘッドを利用して基材及び/又は体積要素層に適用できるように、高い安定性及び十分に長い処理時間を有する。好ましくは、本発明に係る使用流体の処理時間は、少なくとも1h、好ましくは少なくとも5h、より好ましくは少なくとも10hである。本発明に係る使用流体がインクジェット法の目標処理温度で少なくとも4週間にわたりなんら有意な変化を示さないとき、長期安定性が達成されている。
【0074】
米国特許出願公開第2016/0167323A1号明細書、米国特許出願公開第2004/0008319A1号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0046957A1号明細書には、隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素から体積複合体への、さらには均一体積複合体への、続いて最終体積複合体へ変換により、元々存在する界面間の反応及び反応性の伝達による最終体積複合体中の望ましくないインターフェースの形成を防止することがまったく開示されていない。そのほか、米国特許出願公開第2016/0167323A1号明細書、米国特許出願公開第2004/0008319A1号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0046957A1号明細書には、本発明に係る使用流体がなんら開示されていない。
【0075】
本発明に係る使用流体は、眼鏡レンズの製造を可能にし、均一な屈折率を有する眼鏡レンズの場合、好ましくはnD=1.49~1.76、さらに好ましくはnD=1.50~1.67の範囲内の屈折率を有する。ただし、屈折率は、ナトリウムD線の波長に対して報告される。眼鏡レンズが計算位置依存屈折率分布を有するものである場合、上述した範囲から反射率を実現可能である。屈折率は、好ましくは、21℃の温度で好適な光源及び好適な浸液を利用してアッベ屈折計により硬化流体に基づいて決定される。
【0076】
本発明に係る使用流体は、そのほか、nD=1.49~1.60の範囲内の屈折率に対して好ましくは40~60の範囲内、及びnD>1.60~1.76の範囲内の屈折率に対して好ましくは30~45の範囲内のアッベ数νdを有する眼鏡レンズの製造を可能にする。流体のアッベ数又は分散は、好ましくは、21℃の温度で単色光源及び好適な浸液を利用してアッベ屈折計により硬化流体に基づいて決定される。
【0077】
本発明に係る使用流体は、そのほか、好ましくは0.90g/cm3~1.50g/cm3の範囲内の密度の眼鏡レンズの製造を可能にする。ポリマーの密度は、好ましくは、置換の原理又はガスピクノメトリーを介して決定される。
【0078】
本発明に係る使用流体は、そのほか、好ましくはTg>60℃、さらに好ましくはTg>80℃、さらに好ましくはTg>100℃の軟化点を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。軟化点Tgは、好ましくは、動的機械的分析(DMA)を利用して硬化材料で決定される。
【0079】
使用流体は、そのほか、少なくとも前面及び/又は裏面の被覆後、好ましくは高耐衝撃性を有する、より好ましくは21CFR801.410に準拠したボール落下試験の要件を満たす(眼鏡レンズは、1.27mの高さからのサイズ15.87mm及び重量16.36gの鋼球の衝撃後に完全破壊されてはならない)眼鏡レンズの製造を可能にする。
【0080】
本発明に係る使用流体は、そのほか、好ましくは、色の最大ニュートラル性を有する、好ましくはG<2.0の低黄色値を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。これらの眼鏡レンズはまた、好ましくは、2年間にわたりエージング及び/又はプロセス関連黄変をなんら示さない。黄色度値は、DIN6167に準拠して決定され、標準色値X,Y,Z(
【数1】
)(式中、a=1.301及びb=1.149(D65標準イルミナント、10°法線観測者))から計算される。
【0081】
本発明に係る使用流体は、そのほか、好ましくは≦0.16cd/m2/lx、より好ましくは≦0.09cd/m2/lx、最も好ましくは≦0.05cd/m2/lxの小角散乱を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。小角散乱は、好ましくは、現在は取り下げられているDIN EN167:1995、パラグラフ4.2に準拠して、眼鏡レンズの幾何中心の周りに半径1mm~3mmの範囲内で測定される。
【0082】
本発明の流体はまた、好ましくは≦1.01、より好ましくは≦0.98、最も好ましくは≦0.54の大角散乱を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。大角散乱は、好ましくは、眼鏡レンズの幾何中心の周りの半径15mm~20mmの範囲内で補償なしでByk Gardner製のhaze-gard plus装置を用いて測定される。
【0083】
光学的に均一な眼鏡レンズとは、たとえば、屈折率、材質の性質、又は密度、眼鏡レンズの体積内のインターフェース又は他の構造物の望ましくない変動又は急激な変化、及び空気や他の不純物などのいずれかの混入物をなんら有していない眼鏡レンズを意味するものと理解される。光学的に均一な眼鏡レンズとは、イメージング性能の低減が見られない眼鏡レンズを意味するものと理解される。眼鏡レンズのイメージング性能は、たとえば、変調伝達関数(MTF)の測定により決定可能である。
【0084】
そのため、本発明に係る使用流体は、屈折率、アッベ数、密度、軟化点、耐衝撃性、色ニュートラル性、及び/又は光学的均一性に関して従来法で製造された眼鏡レンズに対応する眼鏡レンズの製造を可能にする。使用流体は、そのほか、屈折率分布及び/又はイメージング性能に関して従来法で製造された眼鏡レンズを超える眼鏡レンズの製造を可能にする。しかしながら、完成眼鏡レンズの従来の製造方法とは対照的に、本発明の方法での材料投入量は、かなり少ない。なぜなら、後者は、おそらく所望の形状を有するときでさえも、表面からの材料除去及び/又は粗縁完成眼鏡レンズの外形縁取りをなんら必要性とすることなく、完成前面、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.8に準拠して眼鏡の眼から離れる方向が意図された完成物体側面と、完成裏面、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ5.9に準拠して眼鏡の眼に面することが意図された完成眼側面と、を有する完成眼鏡レンズを与えることが可能であるからである。使用流体は、そのほか、計算位置依存屈折率分布を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。ここでの計算位置依存屈折率分布とは、眼鏡レンズの製造時、どの体積要素もその体積要素に対してあらかじめ決められたプリント表面上の位置に適用されることを意味する。ここでのプリント表面とは、基材、さらなる体積要素、体積複合体、及び/又は均一体積複合体のことでありうる。体積要素が適用される所定の位置は、ここでは、各場合につき製造される眼鏡レンズのうち、前面及び/又は裏面の表面トポグラフィーの表面トポグラフィーの計算から、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.2に準拠した眼鏡レンズによる分類から、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4に準拠した完成度による分類から、及び/又は、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.3に準拠した眼鏡レンズタイプによる分類から確認される。位置依存屈折率分布は、好ましくは、光学的計算プログラムたとえばZEMAX(Zemax LLC製)を利用して事前に計算され最適化される。計算では、意図される眼前の眼鏡レンズの位置、瞳孔間距離、眼鏡レンズのパントスコピックチルト、眼鏡レンズのフェイスフォーム角、及び眼鏡レンズのサイズは、好ましくは、知られていなければならない。さらに、とくに、多焦点眼鏡レンズ、二焦点眼鏡レンズ、三焦点眼鏡レンズ、可変焦点眼鏡レンズ、及び逆進眼鏡レンズの計算は、着用者の眼の回転中心と比べて眼鏡着用者の視野の物点位置を記述する物距離に基づく。
【0085】
使用流体は、半完成眼鏡レンズブランク、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.2に準拠した既光学処理面を1つのみ有するレンズブランク、又は完成眼鏡レンズ、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.6に準拠した縁処理前又は後の2つの既処理光学面を有する眼鏡レンズの製造を可能にする。半完成眼鏡レンズブランクは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.3、8.4.4、及び8.4.5に準拠した単焦点半完成眼鏡レンズブランク、多焦点半完成眼鏡レンズブランク、又は累進屈折力半完成眼鏡レンズブランクの形態で製造されうる。完成眼鏡レンズは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.3.1、8.3.2、8.3.3、8.3.4、8.3.5、及び8.3.6に準拠した単焦点眼鏡レンズ、多焦点眼鏡レンズ、二焦点眼鏡レンズ、三焦点眼鏡レンズ、累進屈折力眼鏡レンズ、又は逆進屈折力眼鏡レンズの形態で製造されうる。好ましくは、本発明に係る使用流体は、完成眼鏡レンズの製造に使用される。完成眼鏡レンズは、既フォームエッジのフォームで製造されうるか、又はラフエッジ完成眼鏡レンズは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.15に準拠して最終的にはフォームエッジでありうる。
【0086】
本発明に係る使用流体は、各場合につきそれぞれのプリンティング温度で、好ましくは5mPas~20mPasの範囲内、さらに好ましくは7mPas~15mPasの範囲内、より好ましくは8mPas~11mPasの範囲内の粘度を有する。本発明に係る使用流体の粘度は、好ましくは、Malvern Instruments Ltd.製のC-VOR150レオメーターを用いて、プレート-コーン構成(1°コーン)で、1000s-1の剪断速度で、流体のそれぞれのプリンティング温度で、測定される。以上で述べた粘度範囲内では、それぞれのプリンティング温度、好ましくは30℃~80℃のプリンティング温度、より好ましくは40℃~50℃のプリンティング温度では、体積要素の安定な形成が確保される。
【0087】
本発明に係る使用流体は、各場合につき対応するプリンティング温度で、好ましくは20mN/m~40mN/mの範囲内、より好ましくは25mN/m~35mN/mの範囲内の静的表面張力を有する。
【0088】
表面張力は、好ましくは、液滴形状解析(懸滴法)用の装置を利用して、たとえばDataPhysics Instruments GmbH製のOCA20装置を用いて、25℃の温度又は対応するプリンティング温度で決定される。
【0089】
以上に述べた表面張力の範囲内では、それぞれのプリンティング温度、好ましくは40℃~50℃のプリンティング温度では、体積要素の安定な形成が確保される。
【0090】
好ましくは、本発明の流体は、好ましくは少なくとも300×300dpi、さらに好ましくは少なくとも600×600dpi、より好ましくは少なくとも1200×1200dpiの分解能を有するプリントヘッド又はプリントヘッド構成体を用いてプリントされる。
【0091】
以上の見解に基づいて、少なくとも1つのさらなる体積要素との合体、結合、湿潤、及び/又は接触により最初に体積複合体を形成し、ひいては次いで均一体積複合体に、最終的には最終体積複合体に変換される体積要素は、これ以降に明記された流体の少なくとも1つを含みうる。体積複合体又は均一体積複合体を伸長する働きをする体積要素は、同様に以下の流体の少なくとも1つを含みうる。
【0092】
下記の流体に挙げられたモノマーは、反応性成分として使用され、その場合、設定されたそれぞれの重合反応に付される。
【0093】
I ハイブリッドシステムに基づいて本発明に係る使用流体
本発明との関連でのハイブリッドシステムとは、異なる硬化反応の少なくとも2つの化学サブシステムが使用される組成を意味するものと理解される。これらのサブシステムは、重合に関して独立した独立システムとして反応しうるか、さもなければ、たとえば、個別成分が両方の硬化反応で共反応剤として生じうるという点で互いに部分的に反応しうるのどちらかである。関与する硬化反応は、たとえば、硬化機構で、硬化速度、又は架橋度に関して、同様に又は異なって進行しうる。
【0094】
I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づいて本発明に係る使用流体
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、少なくとも1つのチオール-エンシステムと少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムとの組合せである。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、好ましくはUV硬化性又は放射線硬化性である。少なくとも1つのチオール-エンシステムは、少なくとも1つのチオールモノマー及び少なくとも1つのエンモノマーを含む。少なくとも1つのチオールモノマー及び少なくとも1つのエンモノマーは、この場合、好ましくは化学量論比で又はわずかにエンモノマー過剰で、好ましくは少なくとも1つのチオールモノマーと少なくとも1つのエンモノマーとを1:1.001~1:1.10の範囲内、さらに好ましくは1:1.01~1:1.05の範囲内の化学量論比で存在する。わずかなエンモノマー過剰は、硬化流体中のチオール基のいかなる残留含有率も回避する。使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性チオールモノマーである。使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、少なくとも1つの2官能性メルカプトエステル及び/又は少なくとも1つの2官能性メルカプトチオエーテルである。使用されるエンモノマーは、好ましくは、単官能性エンモノマー又は少なくとも2官能性エンモノマーである。使用される少なくとも1つのエンモノマーは、好ましくは、少なくとも1つの単官能性又は2官能性ビニル化合物、より好ましくは少なくとも1つの単官能性若しくは2官能性ビニルエーテル及び/又は少なくとも1つの単官能性若しくは2官能性アリル化合物である。
【0095】
少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー及び/又は少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これは架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これはまた緻密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。
【0096】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるチオールモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0097】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるエンモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0098】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なる(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0099】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用されるチオールモノマーは、たとえば、グリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、グリコールジメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、ペンタエリトリトールテトラメルカプト、ジメルカプトジエチルサルファイド、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、4-メルカプトメチル-3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオール又はそれらの混合物でありうる。
【0100】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用されるエンモノマーは、たとえば、ブタン-1,4-ジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサン1,4ジメタノールジビニルエーテル、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン、それらの混合物などのビニル化合物でありうる。
【0101】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用されるエンモノマーは、たとえば、トリアリル-s-トリアジントリオン、ジアリルエーテル、アリルメタクリレート、ジアリルサルファイド、ジアリルジスルフィド、トリアリルアミン、ジアリルトリフルオロアセトアミド、それらの混合物などのアリル化合物でありうる。
【0102】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用される(メタ)アクリレートモノマーは、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ブタン-1,3-ジオールジ(メタ)アクリレート、ブタン-1,4-ジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサン-1,6-ジオールジ(メタ)アクリレート、ノナン-1,9-ジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチルペンタン-1,5-ジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-[9EO]ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-400ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン-[3EO]トリアクリレート、トリメチロールプロパン-[3PO]トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトール-[5EO]テトラ(メタ)アクリレート、トリス-[2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ビス(エチルチオ(メタ)アクリレート)サルファイド、2-(ペルフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、又はそれらの混合物でありうる。チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用されるチオ(メタ)アクリレートは、たとえば、(メタ)アクリロイルチオエタン、グリシジルチオ(メタ)アクリレート、1,2-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]エタン、1,3-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、1,2-ビス[2-(メタ)アクリロイルチオエチルチオ]-3-[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、1,4-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]ブタン、ビス[(2-(メタ)アクリロイルチオエチル]、エーテル)、1,4-ビス(アクリロイルチオメチル)ベンゼン、1,4-ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(メタ)アクリロイルチオエチルチオメチル]ベンゼン、ビス[((2-(メタ)アクリロイルチオエチル))]サルファイド、ビス(4-アクリロイルチオフェニル)サルファイド、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)サルファイド、又はそれらの混合物でありうる。
【0103】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、いずれの場合もチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは10重量%~70重量%、さらに好ましくは11重量%~60重量%、さらに好ましくは12重量%~53重量%、とりわけ好ましくは13重量%~46重量%、最も好ましくは14重量%~33重量%の範囲内の割合で少なくとも1つのチオール-エンシステムを含む。チオール-エンシステムの割合がいずれの場合もチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして<10重量%又は>70重量%である場合、チオール-エンシステムと(メタ)アクリレートシステムとの不十分な反応が見られ、十分に安定なチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの形成が見られないであろう。チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの硬化は、好ましくはUV誘起重付加により行われる。チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、UV硬化性(メタ)アクリレートモノマーに基づく市販のプリント流体とは対照的に、各場合につき空気との体積要素及び/又は体積複合体及び/又は均一体積複合体の界面で(大気)酸素による望ましくない阻害効果を伴うことなく、空気下で重合可能である。これは、不活性ガス雰囲気を提供する必要がないので、きわめて有利である。これとは対照的に、イナート条件下でのプリント流体中のUV硬化性(メタ)アクリレートモノマーの使用は、それらの反応が非常に急速に進行するという欠点を有する。プリントプロセス時、UV硬化性(メタ)アクリレートモノマーを含むプリント流体は、フリーラジカル反応の酸素阻害の結果として空気との界面で望ましくない不完全硬化を示すおそれがあり、その結果、続いて適用された体積要素は十分に結合できず、最悪の場合、製造目的の体積内に不完全硬化層を含む。イナートガスを用いて労力がかかるパージングによりフリーラジカル反応の酸素阻害を回避することが可能であるが、これは反応速度を際立って増加させ、そのためプロセスの制御が困難になる。反応速度の増加は、ひいては、個別に適用された体積要素のより速い硬化をもたらし得るので、目的の体積内でのインターフェースの形成を促進する。いずれの場合も、硬化反応が表面から、上から、及び/又は下から進行するので、UV硬化は、目的の体積内に改変表面層、さらには望ましくない勾配及び/又は不均一性をもたらす。架橋密度及び屈折率は両方とも、局所的に変動し、いずれも望ましくない。そのほか、(メタ)アクリレートモノマーを含むプリント流体から形成された目的物は、多くの場合、Tg<60℃の非常に低い軟化点及び約ne=1.49~1.56の屈折率を有する。少なくとも1.56の屈折率は、たとえば、芳香族(メタ)アクリレートモノマーを使用したときに達成可能であるが、その場合、単に低アッベ数を伴うか、又は少なくとも1つの硫黄含有(メタ)アクリレート、チオ(メタ)アクリレート、及び/又はメルカプトチオエーテルが用いられる。
【0104】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体は、1.49~1.65の屈折率neを有する眼鏡レンズの製造を可能にする。
【0105】
チオール-エンポリマーは、(メタ)アクリレートポリマーの脆性ネットワークがチオール-エンポリマーによりより可撓性になるという点で、チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中の(メタ)アクリレートポリマーの機械的性質に好影響を及ぼしうる。
【0106】
UV硬化性(メタ)アクリレートモノマーを含む印刷インクは、50mPas(25℃)未満の低粘度に起因して、通常、インクジェット法を利用して良好なプリント適性を有する。
【0107】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体は、プリンティング温度で、好ましくは50mPas未満、さらに好ましくは5mPas~20mPas範囲内、より好ましくは7mPas~12mPas範囲内、最も好ましく8mPas~9mPas範囲内の粘度を有する。上述した範囲内の粘度は、異なるプリントヘッド又はマルチノズルアレイを利用したチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの非常に良好な処理性と体積要素の固定との折衷策である。チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体粘度が上述した範囲内で低いほど、チオール-エンシステムが少なくとも1つの低粘度ビニルエーテルを含む優先度が高くなる。
【0108】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、UV硬化の過程で、チオール-エン成分の重付加は、主に(メタ)アクリレートシステムの重合と並行して進行する。得られるコポリマーの性質は、ポリ(メタ)アクリレートとチオール-エンポリマーとの組合せである。
【0109】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、好ましくは、LED光源を用いて420nm未満の波長でのUV重合により硬化される。好適なUV開始剤の例としては、ヒドロキシフェニルケトン、α-ケトエステル、及び/又はフェニルホスフィンオキシド、チオキサントンが挙げられる。
【0110】
UV重合のほか、推奨される熱後硬化は、UV照射後の重合レベルが不十分な場合でありうる。好適な熱共開始剤の例としては、ジアルキルパーオキサイド(たとえば、ジ-tert-アミルパーオキサイド)、パーオキシカーボネート(たとえば、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート)、ハイドロパーオキサイド(たとえば、クメンヒドロペルオキシド)、パーオキシエステル(たとえば、tert-ブチルペルオキシベンゾアート)が挙げられる。熱共開始剤のSADT(自己加速分解温度)は、>60℃又はプリンティング温度超にすべきである。
【0111】
チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの処理時間の増加は、立体障害フェノール、たとえば、チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの合計重量を基準にして0.1重量%~5重量%の量の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)の添加により達成可能である。
【0112】
ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールタイプのUV吸収剤の添加は、UV吸収剤の化学構造及びそれぞれのチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中のその濃度に依存して、350nm~400nmの範囲内のチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの吸収端をもたらす。
【0113】
(メタ)アクリレートシステムよりも優れたチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0114】
I.2. エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、少なくとも1つのエポキシチオールシステムと少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムとの組合せである。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、好ましくはUV重合性である。少なくとも1つのエポキシチオールシステムは、少なくとも1つのエポキシモノマーと少なくとも1つのチオールモノマーとを含む。使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性エポキシモノマーである。使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性チオールモノマーである。使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも1つのジグリシジルエーテルである。使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、少なくとも1つの2官能性メルカプトエステル及び/又は少なくとも1つの2官能性メルカプトチオエーテルである。
【0115】
少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー及び/又は少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーが各場合につき少なくとも2つの官能基を含む場合、これは密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これはまた緻密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。
【0116】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるエポキシモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0117】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるチオールモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0118】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なる(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0119】
エポキシチオールシステムでは、少なくとも1つのエポキシモノマーと少なくとも1つのチオールモノマーとの比は、好ましくは化学量論比である。
【0120】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、エポキシチオールシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは15重量%~85重量%の範囲内、さらに好ましくは20重量%~80重量%の範囲内、より好ましくは25重量%~60重量%の範囲内、最も好ましくは30重量%~50重量%の範囲内である。
【0121】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、及び(メタ)アクリレートシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは5重量%~65重量%の範囲内、さらに好ましくは10重量%~60重量%の範囲内、より好ましくは15重量%~50重量%の範囲内、最も好ましくは20重量%~40重量%の範囲内である。
【0122】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中で使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、たとえば、エチルグリシジルエーテル、n-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8~C10グリシジルエーテル(CAS番号68609-96-1)、C12~C14グリシジルエーテル(CAS番号68609-97-2)、クレジルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールA(2,3-グリシジルエーテルジヒドロキシプロピル)グリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタン-1,4-ジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサン1,4ジメタノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(400)ジグリシジルエーテル、ヘキサン-1,6-ジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンジルエタン、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサンでありうる。
【0123】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づいて本発明に係る使用流体」、これ以降では「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙されるチオールモノマーの少なくとも1つでありうる。エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、使用される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー又は少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーは、セクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙される(メタ)アクリレートモノマー又はチオ(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1つでありうる。(メタ)アクリレートシステムよりも優れたエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0124】
I.3 エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、少なくとも1つのエポキシシステムと少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムとの組合せである。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、好ましくはUV重合性である。少なくとも1つのエポキシシステムは、少なくとも1つのエポキシモノマーを含む。使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性エポキシモノマーである。少なくとも1つのエポキシシステムは、好ましくは、少なくとも2官能性ポリオール又は少なくとも2官能性アミン、より好ましくは少なくとも2官能性ポリオールをさらに含む。
【0125】
少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー及び/又は1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの少なくとも1つの3官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これは密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つの単官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーでありうる。好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムは、少なくとも1つの2官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの3官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの4官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの5官能性チオ(メタ)アクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1つの6官能性チオ(メタ)アクリレートモノマーを含む。少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも2つの官能基を含む場合、これはまた緻密架橋ポリマーネットワークの形成を促進する。
【0126】
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なるエポキシモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0127】
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムが少なくとも2つの異なる(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0128】
エポキシシステムが少なくとも1つのエポキシモノマーのほか少なくとも1つのポリオールを含む場合、少なくとも1つのエポキシモノマーと少なくとも1つのポリオールとのモル比は、好ましくは1.2:1~10:1の範囲内である。
【0129】
エポキシシステムが少なくとも1つのエポキシモノマーのほか少なくとも1つのポリオールを含む場合、少なくとも1つのエポキシモノマーの割合は、いずれの場合もエポキシシステムの全重量を基準にして、好ましくは65重量%~99重量%の範囲内、さらに好ましくは70重量%~98重量%の範囲内、より好ましくは75重量%~94重量%の範囲内、最も好ましくは80重量%~92重量%の範囲内である。少なくとも1つのポリオールの割合は、いずれの場合もエポキシシステムの全重量を基準にして、好ましくは1重量%~35重量%、さらに好ましくは2重量%~30重量%の範囲内、より好ましくは6重量%~25重量%の範囲内、最も好ましくは8重量%~20重量%の範囲内である。
【0130】
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、エポキシシステムの割合は、いずれの場合もエポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは15重量%~85重量%の範囲内、さらに好ましくは20重量%~80重量%の範囲内、より好ましくは30重量%~50重量%の範囲内、最も好ましくは40重量%~60重量%の範囲内である。
【0131】
エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、(メタ)アクリレートシステムの割合は、いずれの場合もエポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは15重量%~85重量%の範囲内、さらに好ましくは20重量%~80重量%の範囲内、より好ましくは30重量%~50重量%の範囲内、最も好ましくは40重量%~60重量%の範囲内である。
【0132】
エポキシ-(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのエポキシモノマーは、たとえば、セクション「I.2. エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体」、これ以降では「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙されるエポキシモノマーの少なくとも1つでありうる。
【0133】
エポキシ-(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、たとえば、セクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙される(メタ)アクリレートモノマー及び/又はチオ(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1つである。
【0134】
エポキシ-(メタ)アクリレートシステム中に存在する少なくとも1つのポリオールは、少なくとも1つの2、3、4、5、又は6官能性ポリオール又はオリゴメリックポリオールでありうる。使用される脂肪族ポリオールは、たとえば、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4ブチルグリコール、ペンタン-1,5-ジオール、プロパン-1,2,3トリオール、ヘキサン-1,2,6トリオール、ペンタエリトリトール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンでありうる。オリゴメリックポリオールは、たとえば、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールの群に由来しうる。
【0135】
(メタ)アクリレートシステムよりも優れたエポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0136】
II 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むシステムよりも優れた本発明に係る使用流体
少なくとも1つの体積要素内、少なくとも1つの体積複合体内、少なくとも1つの均一体積複合体内、隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間、並びに/又は隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積複合体間、並びに/又は隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する均一体積複合体間のそれぞれの反応の活性化制御は、好ましくは、少なくとも1つの光潜在性触媒を利用して達成される。光潜在性触媒の作用の原理は、UV及び/又はVIS領域での触媒の不活性又は際立ってより低活性の前駆体への露光による活性触媒の制御放出に基づく。少なくとも1つの活性触媒の制御放出は、この少なくとも1つの活性触媒により触媒可能な反応が所望の接点でのみ開始するという利点を提供する。これは、結果的に、少なくとも1つの触媒の不活性又は際立ってより低活性の前駆体を含む材料の処理時間が際立って増加するという効果を有する。光潜在性塩基の触媒強度の差は、たとえば、4桁まででありうる。好ましくは、少なくとも1つの触媒の不活性又は際立ってより低活性の前駆体を含む材料の処理時間は、≧10分、より好ましくは≧1時間、最も好ましくは1日超である。そのほか、少なくとも1つの触媒の不活性又は際立ってより低活性の前駆体を含む材料は、触媒前駆体に加えて少なくとも1つの光増感剤を含みうる。少なくとも1つの光潜在性触媒を含む流体はまた、直接露光されていない領域でダーク硬化又はシャドウ硬化を呈するおそれがある。
【0137】
使用される少なくとも1つの光潜在性触媒は、少なくとも1つの光潜在性塩基(PLB)及び/又は少なくとも1つの光潜在性酸でありうる。使用される少なくとも1つの光潜在性触媒は、好ましくは少なくとも1つの光潜在性塩基である。使用される少なくとも1つの光潜在性酸は、好ましくは少なくとも1つのジアリールヨードニウム塩(Ar2I+)又は少なくとも1つのトリアリールスルホニウム塩(Ar3S+)である。
【0138】
本発明に係る使用流体は、いずれの場合も本発明に係る使用流体の全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.001重量%~2重量%の範囲内、より好ましくは、0.1重量%~1.0重量%の範囲内、とりわけ好ましくは0.2重量%~0.5重量%の範囲内の少なくとも1つの光潜在性酸を含む。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性酸の使用及び異なる光潜在性酸の混合物の両方に適用可能である。
【0139】
使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、好ましくは、国際公開第03/033500A1号パンフレット又は国際公開第2008/119688A1号パンフレットに記載の光潜在性塩基化合物の少なくとも1つである。さらに好ましくは、使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の又は国際公開第2008/119688A1号パンフレット、請求項1に記載の光潜在性塩基化合物の少なくとも1つである。より好ましくは、使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の、又は国際公開第03/033500A1号パンフレット、実施例1、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンに記載の少なくとも1つの光潜在性塩基である。
【0140】
本発明に係る使用流体は、いずれの場合も本発明に係る使用流体の全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.001重量%~5.0重量%の範囲内、より好ましくは、0.1重量%~2.0重量%の範囲内、とりわけ好ましくは0.2重量%~1重量%の範囲内の少なくとも1つの光潜在性塩基を含む。少なくとも1つの光潜在性塩基を含む流体は、それぞれの硬化機構が、シャドウ硬化及び露光の場合の両方で効果的であり、そのため同一ポリマー構造が形成されるので、とくに有利なポリマー形成を有する。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性塩基の使用及び異なる光潜在性塩基の混合物の両方に適用可能である。
【0141】
II.1 少なくとも1つの光潜在性酸を含むエポキシ-ポリオールのシステムに基づく本発明に係る使用流体
光潜在性酸は、たとえば、少なくとも1つのエポキシモノマーを含む配合物で使用される。光潜在性酸の典型的代表例は、たとえば、ジアリールヨードニウム塩(Ar
2I
+)又は熱的に非常に安定なトリアリールスルホニウム塩(Ar
3S
+)である。光潜在性酸を含む配合物は、一般に酸素阻害をなんら示さず、一般に、露光されていない領域でダーク硬化もシャドウ硬化も有していない。少なくとも1つのエポキシモノマーを含む配合物の一例は、露光後にトリアリールスルホニウム塩の放出を伴ってカチオン硬化可能な以下の配合物である。
【化1】
【0142】
ポリオールとエポキシモノマーとの非触媒反応の反応速度は、非常に遅いので有意なダーク反応もシャドウ反応も進行しない。硬化反応は、たとえば、露光波長の選択、トリアリールスルホニウム塩の濃度、放射線源の強度、及び露光時間、さらには温度により影響を受けうる。
【0143】
エポキシ-ポリオールシステムは、いずれの場合もエポキシ-ポリオールシステムの全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.001重量%~2重量%の範囲内で、より好ましくは0.1重量%~1.0重量%の範囲内で、とりわけ好ましくは0.2重量%~0.5重量%の範囲内で少なくとも1つの光潜在性酸を含む。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性酸の使用及び異なる光潜在性酸の混合物の両方に適用可能である。
【0144】
II.2 少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオールシステムに基づく本発明に係る使用流体
【化2】
エポキシチオールシステムは、少なくとも1つエポキシモノマーと少なくとも1つのチオールモノマー及び/又はチオールオリゴマーとを含む。好ましくは、エポキシチオールシステムは、少なくとも1つのエポキシモノマーとして少なくとも2官能性エポキシモノマーを含む。好ましくは、エポキシチオールシステムは、少なくとも1つのチオールモノマーとして少なくとも2官能性チオールモノマーを含む。
【0145】
エポキシチオールシステムは、たとえば、セクション「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙されるエポキシモノマーの少なくとも1つを含みうる。
【0146】
エポキシチオールシステムは、たとえば、セクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に列挙されるチオールモノマーの少なくとも1つを含みうる。
【0147】
少なくとも1つのエポキシモノマー及び少なくとも1つのチオールモノマーは、好ましくは、互いに化学量論比でエポキシチオールシステム中に存在する。
【0148】
さらに使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、好ましくは、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の又は国際公開第2008/119688A1号パンフレット、請求項1に記載の光潜在性塩基化合物の少なくとも1つである。より好ましくは、使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の、又は国際公開第03/033500A1号パンフレット、実施例1、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンに記載の少なくとも1つの光潜在性塩基である。
【0149】
エポキシチオールシステムは、いずれの場合もエポキシチオールシステムの全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.001重量%~5.0重量%の範囲内で、さらに好ましくは0.1重量%~2.0重量%の範囲内で、とりわけ好ましくは0.2重量%~1重量%の範囲内で少なくとも1つの光潜在性塩基を含む。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性塩基の使用及び異なる光潜在性塩基の混合物の両方に適用可能である。
【0150】
エポキシチオールシステムは、好ましくは、プリンティング前に直接混合される。エポキシチオールシステムが露光されるとすぐに、重合反応は、非常に有意に加速される。しかしながら、反応速度は、(メタ)アクリレートシステムと比較してかなり遅いので、隣接体積要素は簡単に均一体積複合体を形成することが可能である。特定的には、体積内の塩基の同時生成は、より均一な架橋をもたらす。酸素に対する非感受性の結果として、顕著な表面層はまったく存在しない。光潜在性塩基の具体的形態により、硬化は、露光を行わないでも又は不均一放射線分布下でも追加的に可能である。すなわち、シャドウ硬化が可能である。同一ポリマーが全体にわたり形成される。少なくとも1つのチオールモノマーの使用は、屈折率の調整性及び分散の変動性の両方を伴って高屈折率をもたらす(ne(23℃)=1.52~1.65)。そのほか、反応性は、光潜在性塩基の濃度、露光波長の選択、放射線源の強度、及び露光時間、さらには温度により影響を受けうる。
【0151】
III 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
III.1 少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムは少なくとも1つのエポキシチオールシステムと少なくとも1つのチオール/エンシステムとの組合せを含む。エポキシチオールシステムの生成は、少なくとも1つのエポキシモノマーと少なくとも1つのチオールモノマーとを必要とする。ここでの少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも2官能性エポキシモノマーを含む。さらに好ましくは、エポキシチオールシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーは、少なくとも2官能性チオールモノマーを含む。チオール/エンシステムの生成は、少なくとも1つのチオールモノマーと少なくとも1つのエンモノマーとを必要とする。好ましくは、チオール/エンシステムの生成に使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーは、少なくとも2官能性チオールモノマーを含む。さらに好ましくは、チオール/エンシステムの生成に使用可能な少なくとも1つのエンモノマーは、少なくとも2官能性エンモノマーを含む。エポキシチオールシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーは、チオール/エンシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーと同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、エポキシチオールシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーは、チオール/エンシステムに使用可能な少なくとも1つのチオールモノマーと同一である。
【0152】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの生成では、使用される少なくとも1つのエポキシモノマーは、たとえば、セクション「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に挙げられたエポキシモノマーの少なくとも1つであり得る。
【0153】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの生成では、使用される少なくとも1つのチオールモノマーは、たとえば、セクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に挙げられたチオールモノマーの少なくとも1つであり得る。
【0154】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの生成に使用されるエンモノマーは、好ましくは少なくとも1つの少なくとも単官能性ビニル化合物及び/又は少なくとも1つの少なくとも単官能性アリル化合物である。たとえば、使用される少なくとも1つのエンモノマーは、ビニル化合物及び/又はセクション「I.1 チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」に挙げられたアリル化合物の少なくとも1つでありうる。エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムでは、エポキシチオールシステム及びチオール/エンハイブリッドシステムは、好ましくは、各々化学量論比である。
【0155】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムでは、エポキシチオールシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは15重量%~55重量%の範囲内、さらに好ましくは20重量%~50重量%の範囲内、より好ましくは35重量%~45重量%の範囲内、最も好ましくは30重量%~40重量%の範囲内である。
【0156】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムでは、チオール/エンシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは2重量%~25重量%の範囲内、さらに好ましくは3重量%~22重量%の範囲内で、より好ましくは5重量%~20重量%の範囲内で、最も好ましくは8重量%~15重量%の範囲内である。
【0157】
少なくとも2つの異なるエポキシモノマーを用いてエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムを作製する場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0158】
少なくとも2つの異なるチオールモノマーを用いてエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムを作製する場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0159】
少なくとも2つの異なるエンモノマーを用いてエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムを作製する場合、これらは、互いにいずれかの所望の重量比で存在しうる。
【0160】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムは、少なくとも1つの光潜在性塩基を用いて作製される。使用される光潜在性塩基は、好ましくは、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の又は国際公開第2008/119688A1号パンフレット、請求項1に記載の光潜在性塩基化合物の少なくとも1つである。より好ましくは、使用される少なくとも1つの光潜在性塩基は、国際公開第03/033500A1号パンフレット、請求項1に記載の、又は国際公開第03/033500A1号パンフレット、実施例1、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンに記載の少なくとも1つの光潜在性塩基である。
【0161】
エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムは、いずれの場合もエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの全重量を基準にして合計割合で好ましくは0.01重量%~5.0重量%の範囲内、より好ましくは0.1重量%~3.0重量%の範囲内、最も好ましくは0.5重量%~2.0重量%の範囲内の少なくとも1つの光潜在性塩基を用いて作製される。合計割合で上述した範囲は、単に単一タイプの光潜在性塩基の使用及び少なくとも2つの異なる光潜在性塩基の使用の両方に適用可能である。
【0162】
好ましくは、エポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムはまた、いずれの場合もエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの全重量を基準にして合計割合で、好ましくは0.01重量%~2.0重量%の範囲内、より好ましくは0.1重量%~1.5重量%の範囲内、とりわけ好ましくは0.2重量%~1.0重量%の範囲内の少なくとも1つの光開始剤を用いて作製される。合計割合で上述した範囲は、単に単一タイプの光開始剤の使用及び少なくとも2つの異なる光開始剤の使用の両方に適用可能である。少なくとも1つの光開始剤は、たとえば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オン(Omnicure 1173,IGM Resins B.V.)でありうる。活性化は、好ましくは200nm~450nm範囲内、さらに好ましくは280nm~420nm、最も好ましくは365nm~405nmの範囲内で行われる。さらに好ましくは、活性化は、好ましくは0.1J/cm2~20J/cm2の範囲内、さらに好ましくは0.2J/cm2~5J/cm2の範囲内、より好ましくは0.5J/cm2~2J/cm2の範囲内の放射線量を用いて行われる。インクジェット法では、活性化は、少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素の適用後、少なくとも1つの均一体積複合体の形成後、少なくとも1つの体積複合体の形成後、及び/又は体積要素の少なくとも1つの層の適用後に行われうる。最終活性化は、好ましくは、均一体積複合体から最終体積複合体への変換のために行われる。最終活性化は、異なる波長範囲及び/又は異なる放射線量を用いて行うことが可能である。最終活性化では、熱処理は、任意に追加的に可能である。任意に、最終体積複合体は、最終的に熱処理に付されうる。
【0163】
(メタ)アクリレートシステムよりも優れたエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0164】
III.2 少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムは、セクション「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」にすでに記載されたように、少なくとも1つのエポキシチオールシステムと少なくとも1つの(メタ)アクリレートシステムとの組合せである。エポキシチオールシステムでは、少なくとも1つのエポキシモノマーは、好ましくは、少なくとも1つのチオールモノマーに対して化学量論比で使用される。異なるエポキシモノマー及び/又は異なるチオールモノマーをエポキシチオールシステムで使用する場合、異なるチオールモノマー及び/又は異なるエポキシモノマーは、各々、互いにいずれかの所望の重量比で使用されうる。エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、エポキシチオールシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは20重量%~80重量%の範囲内、さらに好ましくは22重量%~70重量%の範囲内、より好ましくは25重量%~60重量%の範囲内、最も好ましくは30重量%~50重量%の範囲内である。
【0165】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムでは、及び(メタ)アクリレートシステムの割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは10重量%~60重量%の範囲内、さらに好ましくは13重量%~55重量%の範囲内、より好ましくは15重量%~50重量%の範囲内、最も好ましくは20重量%~40重量%の範囲内である。
【0166】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム中の少なくとも1つの光潜在性塩基の割合は、いずれの場合もエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの全重量を基準にして、好ましくは0.001重量%~5.0重量%の範囲内、さらに好ましくは0.1重量%~2.0重量%の範囲内、とりわけ好ましくは0.2重量%~1重量%の範囲内である。上述した範囲は、単一タイプの光潜在性塩基の使用及び異なる光潜在性塩基の混合物の両方に適用可能である。
【0167】
エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムで好ましい選択肢として使用されるモノマーとの関連では、セクション「I.2 エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム」の詳細事項を参照されたい。エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムで好ましい選択肢として使用される光潜在性塩基との関連では、セクション「II 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むシステムに基づく本発明に係る使用材料」の詳細事項を参照されたい。
【0168】
(メタ)アクリレートシステムよりも優れたエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの利点は、体積要素間の部分的に又は完全に異なる重合機構を介して反応性を伝達できることである。同様に、(メタ)アクリレートシステムよりも高度に生成ポリマーの機械的及び熱的性質を制御することが可能である。
【0169】
IV チオール-エンシステムに基づく本発明に係る使用流体
【化3】
チオール-エンシステムは、硬化機構としてチオール-エン反応を利用する。フリーラジカル開始剤により開始されるこの反応は、いずれの酸素阻害も経験しない。硫黄含有モノマーの相対的に高い割合のおかげで、結果的に、屈折率及び分散の調整性を伴って高屈折率で使用可能ある(n
e(23℃)1.50~1.65)。そのほか、硬化反応は、フリーラジカル開始剤の濃度、露光波長の選択、放射線源の強度、及び露光時間、さらには温度により影響を受けうる。
【0170】
以上のセクション「I ハイブリッドシステムに基づいて本発明に係る使用流体」、「II 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むシステムに基づく本発明に係る使用材料」、「III 少なくとも1つの光潜在性触媒を含むハイブリッドシステムに基づく本発明に係る使用流体」、及び「IV チオール-エンシステムに基づく本発明に係る使用流体」で使用される流体は、たとえば、プリントされる基材上への流体の接着を改善する、流体のプリント適性を改善する、流体の流動特性を改善するに、基材の湿潤性を改善する、処理時間を増加させる、ドロップレット形成を最適化する、及び/又は泡を回避する働きをする少なくとも1つの添加剤を任意に含みうる。代替的又は追加的に、使用流体は、UV吸収剤、光安定剤、安定化剤、殺生物剤、及び染料から選択される少なくとも1つの添加剤を任意に含みうる。
【0171】
本発明に係る使用流体は、多種多様な異なる基材に適用可能である。本発明に係る使用流体の基材への適用及び後続硬化の後、本発明に係る使用流体から得られた眼鏡レンズは、基材に結合された状態で残り、基材と一体化された完成眼鏡レンズを形成しうる。代替的に、本発明に係る使用流体は、基材への適用及び後続硬化の後、基材から分離されうるとともに、基材なしの完成眼鏡レンズを形成しうる。基材は、後者の場合、再除去される支持体材料及び/又は成形型の働きをする。
【0172】
少なくとも1つの硬化体積要素及び/又は少なくとも1つの最終体積複合体と一体化された基材が完成眼鏡レンズを形成する場合、基材は、少なくとも1つの高分子材料及び/又は少なくとも1つのミネラルガラスを含みうる。ここでの高分子材料又はミネラルガラスは、各々、レンズブランク、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.1に準拠した表面処理完了前のいずれかの状態のレンズ作製用材料のプリフォームピース、半完成眼鏡レンズ、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.2に準拠した丁度1つの既光学処理面を有するレンズブランク、又は完成眼鏡レンズ、すなわち、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.6に準拠した縁処理前又は後の2つの既処理光学面を有する眼鏡レンズの形態をとりうる。半完成眼鏡レンズブランクは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.4.3、8.4.4、及び8.4.5に準拠した単焦点半完成眼鏡レンズブランク、多焦点半完成眼鏡レンズブランク、又は累進屈折力半完成眼鏡レンズブランクの形態をとりうる。完成眼鏡レンズは、DIN EN ISO13666:2013-10、パラグラフ8.3.1、8.3.2、8.3.3、8.3.4、8.3.5、及び8.3.6に準拠した単焦点眼鏡レンズ、多焦点眼鏡レンズ、二焦点眼鏡レンズ、三焦点眼鏡レンズ、累進屈折力眼鏡レンズ、又は逆進屈折力眼鏡レンズの形態でありうる。基材として使用可能なレンズブランク、半完成レンズブランク、又は完成レンズは、たとえば、以下の表1に特定されるベース材料に基づきうる。
【0173】
【0174】
レンズブランクを基材として使用したとき、面の丁度1つ又は両方のどちらかに少なくとも1つの体積要素を提供可能である。2つの面の丁度1つに少なくとも1つの体積要素を提供する場合、対向面は、好ましくは、機械的処理、たとえば、機械処理及び/又は研削及び/又は旋削及び/又は研磨により、既光学処理面に変換される。
【0175】
半完成眼鏡レンズを基材として使用したとき、既光学処理面又は対向面のどちらかに少なくとも1つの体積要素を提供しうる。既光学処理面に少なくとも1つの体積要素を提供する場合、対向面は、好ましくは、機械的処理、たとえば、機械処理及び/又は研削及び/又は旋削及び/又は研磨により、既光学処理面に変換される。
【0176】
完成眼鏡レンズを基材として使用したとき、既処理光学面の丁度1つ又は両方のどちらかに少なくとも1つの体積要素を提供可能である。好ましくは、既処理光学面の丁度1つに少なくとも1つの体積要素を提供する。
【0177】
とくに好ましい選択肢は、基材として完成眼鏡レンズを用いたときに与えられる。
【0178】
中でもとくに好ましい選択肢は、基材として少なくとも1つの薄いレンズを用いたときに与えられる。薄いレンズの表面トポグラフィーは、たとえば、球状、非球状、トーリック、アトーリック、平面、又は累進であり得る。平面表面トポグラフィーを有する薄いレンズは、作製された薄いレンズのネガティブ形状及びネガティブ表面トポグラフィーを有する凸面状又は凹面状モールドシェルを利用して再造形されうる。平面表面トポグラフィーを有する薄いレンズとは、巨視的可視曲げ又は曲率を有していない薄いレンズを意味するものと理解される。好ましい選択肢は、少なくとも1つの体積要素又は少なくとも1つの最終体積複合体を薄いレンズの裏面に適用したときに与えられる。薄いレンズの裏面とは、眼鏡レンズの完成後、眼鏡フレーム内の眼に面する面のことである。薄いレンズの前面とは、眼鏡レンズの完成後、眼鏡フレーム内の眼から離れる方向を向く面のことである。
【0179】
少なくとも1つの薄いレンズは、各種ガラス組成物、たとえば、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、又はアルカリフリーホウケイ酸塩ガラスに基づきうる。少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくは、ホウケイ酸塩ガラス又はアルミノホウケイ酸塩ガラスに基づく。
【0180】
少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくは10μm~1000μmの範囲内、さらに好ましくは20μm~800μmの範囲内、さらに好ましくは30μm~500μmの範囲内、より好ましくは40μm~300μmの範囲内、最も好ましくは50μm~3000μmの範囲内の平均厚さを有する。より好ましくは少なくとも1つの薄いレンズは、100μm~250μmの範囲内の平均厚さを有する。少なくとも1つの薄いレンズの平均厚さとは、算術平均を意味するものと理解される。10μm未満の平均厚さでは、少なくとも1つの薄いレンズは、機械的に不安定すぎて少なくとも1つの薄いレンズを破壊することなくインクジェット法で基材として利用することができない。1000μm超の平均厚さでは、少なくとも1つの薄いレンズは、大きすぎる、縁厚さが厚すぎる又は中間厚が厚すぎる眼鏡レンズをもたらす可能性がある。少なくとも1つの薄いレンズの平均厚さは、好ましくは、クロマティック共焦点センサー、たとえば、Micro-Epsilon Messtechnik GmbH&Co.KG製のConfocalDT IFS2405センサー、又は、干渉法センサー、たとえばPrecitec GmbH&Co.KG製のCHRocodile2ITセンサーを用いて決定される。少なくとも1つの薄いレンズの平均厚さは、好ましくは、少なくとも1つの体積要素の適用前に少なくとも1つの薄いレンズに基づいて決定される。
【0181】
少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくは、<10nmの表面粗さRaを有する。さらに好ましくは、少なくとも1つの薄いレンズの表面粗さRaは、0.1nm~0.8nmの範囲内、より好ましくは0.3nm~0.7nmの範囲内、最も好ましくは0.4nm~0.6nmの範囲内である。表面粗さRaに対する上述した値は、各々、少なくとも1つのアンフォーム平面の薄いレンズの前面及び裏面に基づく。フォーミング後、上述した値は、フォーミングに使用される造形体に接触していない少なくとも1つの薄いレンズの表面に各々単独で適用可能である。フォーミングに使用される造形体に依存して、上述した値はまた、フォーミングに使用される造形体に接触した少なくとも1つの薄いレンズの表面に適用可能である。少なくとも1つの薄いレンズの表面粗さRaは、好ましくは白色光干渉法を利用して、好ましくはNewView7100装置(Zygo Corporation製)を用いて決定される。少なくとも1つの薄いレンズがさらに表在性不一様性を有する場合、それぞれの表面の領域分析もまた、位相測定デフレクトメトリーにより、好ましくはSpecGage装置(3D-Shape GmbH製)を用いて決定可能である。
【0182】
少なくとも1つの薄いレンズは、少なくとも1つの着色剤を含んでいてもよく着色剤を含んでいなくてもよい。少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくは、いずれの着色剤も含まない。
【0183】
さらに好ましくは、400nm~800nmの波長範囲内の着色剤を含まない少なくとも1つの薄いレンズの透過率は、≧90%、より好ましくは≧92%である。着色剤を含まない少なくとも1つの薄いレンズの透過率は、好ましくはUV/VIS分光測光器を利用して、好ましくはLAMBDA950UV/Vis/NIR Spectrophotometer(Perkin Elmer Inc.製)を用いて決定される。
【0184】
少なくとも1つの薄いレンズは、好ましくはn=1.490~n=1.950の範囲内、さらに好ましくはn=1.501~n=1.799の範囲内、より好ましくはn=1.510~n=1.755の範囲内、最も好ましくはn=1.521~n=1.747の範囲内の屈折率を有する。ただし、21℃の温度での屈折率がナトリウムD線の波長に対して報告される。
【0185】
薄いレンズは、たとえば、各々Schott AG,Corning Willow Glass又はCorning Gorilla Glassから、各々Corning Inc.から、D263(登録商標)T eco、D263(登録商標)LA eco、D263(登録商標)M、AF32(登録商標)eco、SCHOTT AS87 eco、B270(登録商標)iという名称で入手可能である。
【0186】
基材は、光学補正効果を有していなくてもよい。代替的に、基材は、目視眼に対する光学補正効果及び/又は収差補正が付与されてもよい。光学補正効果とは、球面補正、非点補正、及び軸位置補正、並びに任意にベース設定プリズム補正を意味するものと理解される。この光学補正効果は、単焦点レンズの近方視又は近方視で従来から実現されている。多焦点眼鏡レンズ、二焦点眼鏡レンズ、三焦点眼鏡レンズ、可変焦点眼鏡レンズ、又は逆進眼鏡レンズの場合、遠方視及び/又は近方視に対する光学補正効果は、各場合につき、球面補正、非点補正、軸位置補正、及び任意にベース設定プリズム補正を含む。目視眼に対する収差補正は、収差補正が近方視用か遠方視用かにかかわらず、好ましくは、Werner Koeppen “Konzeption und Entwicklung von Gleitsichtglaesern”[Design and Development of Varifocal Lenses],Deutsche Optiker Zeitschrift DOZ,October 1995,pages 42-45と同様に計算される。この目的では、少なくとも1つの基材表面の表面性は、最適化プロセスで、目視眼に対して所望の収差分布が規定の許容範囲内で達成されるまで、すなわち、メリット関数が規定値未満になるまで、繰返し変動される。
【0187】
被覆される基材に目視眼に対する光学補正効果及び/又は収差補正がすでに付与されている場合、適用される少なくとも1つの体積要素は、目視眼に対する光学補正効果及び/又は収差補正を変化させる働きをしうる。
【0188】
基材が少なくとも1つの高分子材料と少なくとも1つのミネラルガラスとの両方を含む場合、ミネラルガラスは、好ましくは、薄いレンズの形態をとり、高分子材料は、好ましくは、半完成レンズブランク又は完成レンズ又は少なくとも1つのポリマー膜の形態をとる。
【0189】
基材が少なくとも1つの薄いレンズと高分子材料として少なくとも1つのポリマー膜とを含む場合、少なくとも1つのポリマー膜は、好ましくは、少なくとも2つの薄いレンズ間に配設される。少なくとも1つのポリマー膜は、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルクロライド、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレート、及び/又はそれらの混合物に基づく。少なくとも1つのポリマー膜は、たとえば、セルローストリアセテートで安定化されうる。少なくとも1つのポリマー膜は、着色又は無着色でありうる。少なくともポリマー膜と少なくとも薄いレンズとを含む基材が着色される場合、好ましくは少なくとも1つのポリマー膜が着色される。少なくとも1つのポリマー膜は、好ましくは10μm~600μmの範囲内、さらに好ましくは50μm~400μmの範囲内、最も好ましくは80μm~250μmの範囲内の平均厚さを有する。
【0190】
この実施形態では、被覆される基材が、少なくとも1つの薄いレンズと高分子材料として少なくとも1つの完成眼鏡レンズとを含む場合、少なくとも1つの薄いレンズは、完成眼鏡レンズの前面及び/又は裏面に存在しうる。好ましくは、少なくとも1つの薄いレンズは、完成眼鏡レンズの前面にあり、且つ少なくとも1つの体積要素は、完成眼鏡レンズの裏面に適用される。
【0191】
この実施形態では、被覆される基材が、少なくとも1つの薄いレンズと高分子材料として少なくとも1つの半完成眼鏡レンズ製品とを含む場合、好ましくは、最初に光学的未完成面を処理し、次いでこうして得られた完成眼鏡レンズの前面及び/又は裏面を少なくとも1つの薄いレンズに結合する。代替的に、高分子材料として半完成レンズブランクを使用する場合、少なくとも1つの薄いレンズは、既完成光学表面に結合され、光学的未完成表面が処理され、次いでこの処理表面は、少なくとも1つのさらなる薄いレンズに任意に結合される。少なくとも1つのさらなる薄いレンズへの結合は、ここでは好ましい。好ましくは、半完成レンズブランクの完成光学表面はそれについて前面である。また、光学的未完成表面はそれについて裏面である。光学的未完成面から第2の光学的完成面への変換及び少なくとも1つの薄いレンズへのその結合の代替案として、この第2の面は、第2の光学的完成面への変換前又は後、少なくとも1つの体積要素又は少なくとも1つのコーティングが提供されうる。このコーティングは、好ましくは、少なくとも1つのハードコート層、少なくとも1つの反射防止層、少なくとも1つの防曇層、少なくとも1つ電気伝導性又は電気半伝導性層、及び少なくとも1つのクリーンコート層からなる群から選択される。とくに好ましい選択肢としては、コーティングとして、少なくとも1つのハードコート層、少なくとも1つの反射防止層、及び少なくとも1つのクリーンコート層が挙げられ、その場合、少なくとも1つのハードコート層は、基材に最も近い層であり、少なくとも1つのクリーンコート層、基材から最も離れた層である。少なくとも1つの体積要素を備えた基材の表面に少なくとも1つのコーティングを提供する場合、少なくとも1つコーティングは、少なくとも1つのハードコート層、少なくとも1つの反射防止層、少なくとも1つの防曇層、少なくとも1つの電気伝導性又は電気半伝導性層、少なくとも1つのフォトクロミック層、少なくとも1つの着色膜、及び少なくとも1つのクリーンコート層からなる群から選択されうる。
【0192】
完成眼鏡レンズの前面に結合される少なくとも1つの薄いレンズは、たとえば、ガラス組成、平均厚さ、及び/又は形状に関して、完成眼鏡レンズの裏面に結合される少なくとも1つの薄いレンズと同一であっても異なっていてもよい。そのことはまた、高分子材料として、少なくとも1つの半完成レンズブランク又は少なくとも1つのポリマー膜を使用する場合にも当てはまる。半完成レンズブランクを使用する場合、光学的未完成表面は、少なくとも1つの薄いレンズへの結合前、光学的完成表面に変換される。
【0193】
光学的完成表面への、好ましくは半完成レンズブランクの前面への、又は完成光学表面の1つへの、好ましくは完成レンズの前面への、少なくとも1つの薄いレンズの結合は、好ましくは凝集性及びフォームフィッティングである。少なくとも1つの薄いレンズの裏面及び/又は半完成レンズブランク若しくは完成レンズの光学的完成前面は、少なくとも1つのコーティングが提供されうる。この少なくとも1つのコーティングは、少なくとも1つの着色膜、少なくとも1つのフォトクロミック層、及び/又は少なくとも1つの偏光層を含みうる。
【0194】
少なくとも1つのさらなる薄いレンズへの、半完成レンズブランク又は完成レンズの第2の完成光学表面の、任意の好ましい結合は、同様に、好ましくは、凝集性及びフォームフィッティングである。
【0195】
少なくとも1つの薄いレンズの前面及び/又は裏面は、各々、PVD法及び/又は湿式被覆プロセス、たとえば、ディップ又はスピンコーティングを利用して被覆可能である。湿式コーティング法により得られたコーティングの後続硬化は、熱硬化又は放射線硬化のどちらでも行うことが可能である。好ましくは、このコーティングは放射線硬化により硬化される。
【0196】
少なくとも1つの薄いレンズへの、半完成レンズブランクのそれぞれ光学的完成表面、又は完成レンズの少なくとも1つの完成光学表面、又は少なくとも1つのポリマー膜の、結合は、各場合につき、好ましくは、接着手段により行われる。接着手段は、ここでは、たとえば、プライマー又は個別成分の異なる熱膨張の補償材料としての働きをしうる。そのほか、接着剤の選択により、個別成分間に存在するいずれかの屈折率差Δneのマッチングを達成可能である。好ましくは、ここで行われるのは、単なる屈折率neのマッチングだけでなく、分散のマッチングも行われ、個別成分の屈折率変化が可視スペクトル全体にわたり同一になるようにする。使用可能な接着手段は、たとえば、独国特許出願公開第102012210185A1号明細書、国際公開第2009/056196A1号パンフレット、又は国際公開第2015/121341A1号パンフレットに記載されている。好ましくは、個別成分は、20℃~80℃の範囲、好ましくは40℃~70℃の範囲、より好ましくは45℃~65℃の範囲の温度で、国際公開第2015/121341A1号パンフレットと同様の、とりわけ国際公開第2015/121341A1号パンフレットの請求項1と同様のエポキシ樹脂のアミン触媒チオール硬化に基づく接着手段を利用して、互いに結合される。
【0197】
半完成眼鏡レンズ又は完成眼鏡レンズの既処理光学面に面する少なくとも1つの薄いレンズの表面と、既処理光学面と、の間には、少なく1つの層が存在しうる。この少なくとも1つの層は、好ましくは、この少なくとも1つの層が下に適用されているそれぞれの表面と同一の表面トポグラフィーを有する。互いに接合される2つの表面の表面トポグラフィーのわずかな差は、たとえば接着手段を利用して充填されうる。それぞれの表面のフォームフィッティング結合では、それぞれ互いに結合される成分の曲率半径は、好ましくは、1mm未満、さらに好ましくは0.03mm~≦0.8mmの範囲内、より好ましくは0.04mm~≦0.7mmの範囲内、最も好ましくは0.05mm~≦0.6mmの範囲内で互いに異なることが好ましい。
【0198】
少なくとも1つの薄いレンズ及び半完成レンズブランク又は完成レンズは、接着手段を利用して接合される前、好ましくは、同一直径及び同一曲率半径を有する。好ましくは、少なくとも1つのポリマー膜は、少なくとも1つのポリマー膜が、眼側の薄いレンズの前面及び物体側の薄いレンズの裏面を完全に覆う十分に大きな直径を有する。いかなる過剰のポリマー膜も、好ましくは切断除去される。少なくとも1つのポリマー膜が、結合される薄いレンズと同一の曲率半径をすでに有している場合、少なくとも1つのポリマー膜は、好ましくは薄いレンズと同一直径を有する。
【0199】
最終体積複合体を基材から再び分離する場合、基材への少なくとも1つの体積要素の適用前、これに、少なくとも1つの接着剤層又は少なくとも1つの分離層、たとえば、有機修飾シラン又はシロキサンの層を提供しうる。その場合、基材に眼鏡レンズの所望のコーティングが提供されうるとともに、最終体積複合体と共に基材から分離される。
【0200】
以上に記載の流体の1つを基材に適用した後、得られた最終体積複合体を基材から再び除去するか否かにかかわらず、得られた最終体積複合体は、少なくとも基材から離れる方向の表面では、いかなる機械的処理にも、たとえば機械処理及び/又は研削及び/又は旋削及び/又は研磨にも付されないことが好ましい。
【実施例】
【0201】
I 本発明の流体の製造
実施例1:チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体の製造
【0202】
【0203】
B部の成分を室温で前混合した。50体積%のA部と50体積%のB部との比で又は52.63重量%のA部と47.37重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0204】
実施例2:チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体の製造
【0205】
【0206】
流体の主成分を混合し、次いで撹拌しながら添加剤を添加合した。
【0207】
実施例3:チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体の製造
【0208】
【0209】
流体の主成分を混合し、次いで撹拌しながら添加剤を添加合した。
【0210】
実施例4:エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムに基づく流体の製造
【0211】
【0212】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。71.43重量%のA部と28.57重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0213】
実施例5:エポキシ(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの製造
【0214】
【0215】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。50.0重量%のA部と50.0重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。ただし、2つの反応システムの非依存性に応じて、B部の割合(アクリレート含有率)を変動させうる。
【0216】
実施例6:光潜在性塩基を含むエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの製造
【0217】
【0218】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。55.56重量%のA部と44.44重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0219】
実施例7:光潜在性塩基を含むエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステムの製造
【0220】
【0221】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。57.14重量%のA部と42.86重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0222】
実施例8:光潜在性塩基を含むエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムの製造
【0223】
【0224】
A部及びB部の成分を撹拌により各々室温で混合した。68.03重量%のA部と31.97重量%のB部との混合比で撹拌することにより、得られた部分をブレンドした。
【0225】
II 本発明の流体の重合
本発明の流体の重合では、空気下で表2に列挙されるパラメーターを用いて各流体の薄膜に露光した。
【0226】
【0227】
III 本発明の流体の特徴付け
IIIa 室温での本発明の流体の安定性の決定
実施例1からの流体の安定性を決定するために、これらを空気雰囲気下、室温暗所で閉容器中に貯蔵し、規則的インターバルで流動特性を評価した。
【0228】
IIIb 本発明の流体の粘度の決定
Bohlin Instruments製のC-VOR回転式粘度計を利用して、100s-1の剪断速度のコーン-プレート構成(1°ジオメトリー)で流体の粘度を決定した。
【0229】
IIIc 本発明の流体の屈折率の決定
Bellingham & Stanley製のAbbe60/EDアッベ屈折計及び異なるスペクトルランプ(Na、Hg、Cd、He)を利用して、屈折率及び分散の決定を行った。
【0230】
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
a)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
b)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
c)工程a)からの前記流体の少なくとも1つの体積要素を工程b)からの前記基材又は支持体材料に適用する工程と、
d)工程c)からの前記少なくとも1つの体積要素内で反応を活性化させる工程と、
e)工程a)からの前記流体の少なくとも1つのさらなる体積要素を工程c)からの前記少なくとも1つの体積要素に隣接して及び/又は相接して適用する工程と、
f)工程e)からの少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
g)工程e)及びf)を繰り返す工程と、
h)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
- 工程f)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って行われ、
- 工程a)からの前記流体が、
- 少なくとも1つのハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのハイブリッドシステム、又は
- 少なくとも1つのチオール-エンシステム、
に基づくことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項2】
前記反応性が、再活性化を行うことなく伝達されることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット法。
【請求項3】
少なくとも
a)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
b)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
c)工程a)からの前記流体の少なくとも2つの隣接する及び/又は互いに相接する体積要素を工程b)からの前記基材又は支持体材料に適用する工程と、
d)工程c)からの前記少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
e)前記流体の反応性を活性化する工程と、
f)工程a)からの前記流体の少なくとも1つのさらなる体積要素を適用する工程と、
g)工程f)からの前記体積要素を用いて工程d)での前記体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
h)工程f)及びg)を繰り返す工程又は工程e)、f)、及び、g)を繰り返工程と、
i)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
- 工程d)及びg)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って行われ、
- 工程a)からの前記流体が、
- 少なくとも1つのハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのハイブリッドシステム、又は
- 少なくとも1つのチオール-エンシステム、
に基づくことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項4】
前記ハイブリッドシステムが、
- 少なくとも1つのチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つのエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つのエポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項5】
少なくとも1つの光潜在性触媒を含む前記システムが、
- 少なくとも1つの光潜在性酸を含む少なくとも1つのエポキシ-ポリオールシステム、又は
- 少なくとも1つの光潜在性塩基を含む少なくとも1つのエポキシチオールシステム、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項6】
少なくとも1つの光潜在性触媒を含む前記ハイブリッドシステムが、
- 少なくとも1つの光潜在性塩基を含む少なくとも1つのエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性塩基を含む少なくとも1つのエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項7】
前記流体がチオール-エンシステムに基づくことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項8】
少なくとも
a)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
b)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
c)工程a)からの前記流体の少なくとも1つの体積要素を工程b)からの前記基材又は支持体材料に適用する工程と、
d)工程c)からの前記少なくとも1つの体積要素内で反応を活性化させる工程と、
e)工程a)からの前記流体の少なくとも1つのさらなる体積要素を工程c)からの前記少なくとも1つの体積要素に隣接して及び/又は相接して適用する工程と、
f)工程e)からの少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
g)工程e)及びf)を繰り返す工程と、
h)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
- 工程f)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って行われ、
- 工程a)からの前記流体が少なくとも1つの光潜在性触媒を含む、
ことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項9】
少なくとも
a)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
b)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
c)工程a)からの前記流体の少なくとも2つの隣接する及び/又は互いに相接する体積要素を工程b)からの前記基材又は支持体材料に適用する工程と、
d)工程c)からの前記少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
e)前記流体の反応性を活性化する工程と、
f)工程a)からの前記流体の少なくとも1つのさらなる体積要素を適用する工程と、
g)工程f)からの前記体積要素を用いて工程d)での前記体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
h)工程f)及びg)を繰り返す工程又は工程e)、f)、及び、g)を繰り返す工程と、
i)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
- 工程d)及びg)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って行われ、
- 工程a)からの前記流体が少なくとも1つの光潜在性触媒を含む、
ことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項10】
前記光潜在性触媒が、少なくとも1つの光潜在性酸又は少なくとも1つの光潜在性塩基であることを特徴とする、請求項8又は9に記載のインクジェット法。
【請求項11】
前記流体が、
- 前記流体の合計重量を基準にして合計割合で0.001重量%~2重量%の範囲内の前記少なくとも1つの光潜在性酸、
- 前記流体の合計重量を基準にして合計割合で好ましくは0.001重量%~5.0重量%の範囲内の前記少なくとも1つの光潜在性塩基、
を含むことを特徴とする、請求項10に記載のインクジェット法。
【請求項12】
前記基材が完成眼鏡レンズ又は薄いレンズであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項13】
前記活性化が、化学線を利用して及び/又は熱エネルギーを利用して行われることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項14】
前記反応性が、
- x/y方向に及び/又はz方向に、
- x/y方向及びz方向に依存せずに、
伝達されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項15】
前記少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、
- x/y方向に隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間で横方向に、
- 隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間でz方向に、又は
- x/y方向及びz方向に依存せずに、
行われることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項16】
少なくとも
a)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
b)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
c)工程a)からの前記基材又は支持体材料に工程b)からの前記流体を含む少なくとも2つの隣接する及び/又は互いに相接する体積要素を適用する工程と、
d)体積複合体への変換を伴って、工程b)からの前記少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
e)工程d)からの少なくとも1つの体積複合体内で前記流体の反応を活性化して、前記少なくとも体積複合体から前記反応がまだ十分に終了していない少なくとも1つの均一体積複合体への変換を伴って、前記反応を開始する工程と、
f)工程b)からの前記流体を含む少なくとも1つのさらなる体積要素を工程e)からの前記均一体積複合体に隣接して及び/又は相接して適用する工程と、
g)工程e)からの前記均一体積複合体の伸長を伴って、工程f)からの前記少なくとも1つのさらなる隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
h)工程f)及びg)を繰り返す工程と、
i)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
- 工程d)及びg)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って、及び前記少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの最終体積複合体への変換を伴って、行われ、
- 工程a)からの前記流体が、
- 少なくとも1つのハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのハイブリッドシステム、又は
- 少なくとも1つのチオール-エンシステム、
に基づくことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項17】
前記反応性が、再活性化を行うことなく伝達されることを特徴とする、請求項16に記載のインクジェット法。
【請求項18】
前記体積複合体内での反応がまだ開始していないことを特徴とする、請求項16又は17に記載のインクジェット法。
【請求項19】
化学線を利用した又は熱エネルギーを利用した活性化の結果として前記反応が開始することを特徴とする、請求項16~18のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項20】
前記少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素が体積複合体に変換され、
a)x/y方向に隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素とx/y方向に形成された前記体積複合体との間で横方向に、z方向に適用された体積要素により伸長されるか、又は
b)隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素とz方向に形成された前記体積複合体との間でz方向に、x/y方向に適用された体積要素により伸長されるか、又は
c)x/y方向及びz方向に依存しない、
請求項16~19のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項21】
x/y方向に存在する体積複合体V又はx/y方向に存在する均一体積複合体V
h
の伸長が、
a)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する均一体積複合体V
h
へのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
b)x/y方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体V
h
にz方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体V
h
1への、x/y方向の横方向変換、及びx/y方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体V
h
へのそれらの後続のインテグレーション、又は
c)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する体積複合体V
h
へのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体V
h
1へのz方向に適用された体積要素の同時変換、
を含み、或いはz方向に形成された体積複合体V又はz方向に形成された均一体積複合体V
h
の伸長が、
d)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する均一体積複合体V
h
へのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
e)z方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体V
h
にx,y方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体V
h
1への、z方向変換、及びz方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体V
h
へのそれらの後続のインテグレーション、又は
f)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する体積複合体V
h
へのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体V
h
1へのx,y方向に適用された体積要素の同時変換、
を含むことを特徴とする、請求項16~20のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項22】
体積複合体が、少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/若しくは接触から、又は少なくとも1つの体積要素及び少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/若しくは接触から生じることを特徴とする、請求項16~21のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項23】
前記反応が、
a)少なくとも1つの体積要素内で及び隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間で、
b)少なくとも1つの体積複合体内で、及びこの少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との反応、及び少なくとも1つの体積要素内の反応、又は、
c)互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体内で、並びに互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体間で、各場合につき、十分に終了しないとき、均一体積複合体が形成されることを特徴とする、請求項16~22のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項24】
前記反応が、
a)体積要素内で最初に十分に終了しておらず、隣接して適用された体積要素間及び/若しくは互いに相接する体積要素間の反応が十分に終了しておらず、且つ前記反応性が隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間で伝達され、又は
b)少なくとも1つの均一体積複合体内で最初に十分に終了しておらず、隣接して適用された均一体積複合体間及び/若しくは互いに相接する均一体積複合体間の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する均一体積複合体間で伝達され、又は
c)少なくとも1つの均一体積複合体内で最初に十分に終了しておらず、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する体積複合体との間の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が、前記均一体積複合体と前記隣接して適用された及び/若しくは相接する体積複合体との間で伝達され、又は
d)体積要素内で最初に十分に終了しておらず、この1つの体積要素と、隣接して適用された体積複合体及び/若しくは前記1つの体積要素に相接するものと、の間の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性がこの1つの体積要素から前記隣接して適用された及び/若しくは前記相接する体積複合体に伝達され、又は
e)少なくとも1つの均一体積複合体内で最初に十分に終了しておらず、この少なくとも1つの均一体積複合体と、少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する少なくとも1つの体積要素と、の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が、この1つの均一体積複合体から前記少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素に伝達され、又は
f)少なくとも1つの均一体積複合体内及び少なくとも1つの体積要素内で、各場合につき、最初に十分に終了しておらず、この少なくとも1つの均一体積複合体と、少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する少なくとも1つの体積要素と、の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が、この少なくとも1つの均一体積複合体と前記少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する体積要素との間で伝達され、
前記反応が、各場合につき、前記反応性の伝達後に終了する、
とき、最終体積複合体が形成されることを特徴とする、請求項16~23のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項25】
前記反応性が、
a)x/y方向に及び/又はz方向に、又は
b)x/y方向及びz方向に依存せずに、
伝達されることを特徴とする、請求項16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
工程e)での前記最終体積複合体の形成後、前記基材が、前記最終体積複合体に結合された状態で残るか、又は前記最終体積複合体から分けられることを特徴とする、請求項16~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記体積要素が、ハイブリッドシステムに基づく少なくとも1つの流体を含むことを特徴とする、請求項16~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ハイブリッドシステムが、チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステム、及び少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記体積要素が、チオール-エンシステムに基づく少なくとも1つの流体を含むことを特徴とする、請求項16~28のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
a)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
b)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
c)工程a)からの前記流体の少なくとも1つの体積要素を工程b)からの前記基材又は支持体材料に適用する工程と、
d)工程c)からの前記少なくとも1つの体積要素内で反応を活性化させる工程と、
e)工程a)からの前記流体の少なくとも1つのさらなる体積要素を工程c)からの前記少なくとも1つの体積要素に隣接して及び/又は相接して適用する工程と、
f)工程e)からの少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
g)工程e)及びf)を繰り返す工程と、
h)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
- 工程f)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って行われ、
- 工程a)からの前記流体が、
- 少なくとも1つのハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのハイブリッドシステム、又は
- 少なくとも1つのチオール-エンシステム、
に基づくことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項2】
前記反応性が、再活性化を行うことなく伝達されることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット法。
【請求項3】
少なくとも
a)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
b)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
c)工程a)からの前記流体の少なくとも2つの隣接する及び/又は互いに相接する体積要素を工程b)からの前記基材又は支持体材料に適用する工程と、
d)工程c)からの前記少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
e)前記流体の反応性を活性化する工程と、
f)工程a)からの前記流体の少なくとも1つのさらなる体積要素を適用する工程と、
g)工程f)からの前記体積要素を用いて工程d)での前記体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
h)工程f)及びg)を繰り返す工程又は工程e)、f)、及び、g)を繰り返工程と、
i)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
- 工程d)及びg)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って行われ、
- 工程a)からの前記流体が、
- 少なくとも1つのハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのハイブリッドシステム、又は
- 少なくとも1つのチオール-エンシステム、
に基づくことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項4】
前記ハイブリッドシステムが、
- 少なくとも1つのチオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つのエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つのエポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項5】
少なくとも1つの光潜在性触媒を含む前記システムが、
- 少なくとも1つの光潜在性酸を含む少なくとも1つのエポキシ-ポリオールシステム、又は
- 少なくとも1つの光潜在性塩基を含む少なくとも1つのエポキシチオールシステム、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項6】
少なくとも1つの光潜在性触媒を含む前記ハイブリッドシステムが、
- 少なくとも1つの光潜在性塩基を含む少なくとも1つのエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性塩基を含む少なくとも1つのエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項7】
前記流体がチオール-エンシステムに基づくことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項8】
少なくとも
a)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
b)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
c)工程a)からの前記流体の少なくとも1つの体積要素を工程b)からの前記基材又は支持体材料に適用する工程と、
d)工程c)からの前記少なくとも1つの体積要素内で反応を活性化させる工程と、
e)工程a)からの前記流体の少なくとも1つのさらなる体積要素を工程c)からの前記少なくとも1つの体積要素に隣接して及び/又は相接して適用する工程と、
f)工程e)からの少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
g)工程e)及びf)を繰り返す工程と、
h)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
- 工程f)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って行われ、
- 工程a)からの前記流体が少なくとも1つの光潜在性触媒を含む、
ことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項9】
少なくとも
a)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
b)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
c)工程a)からの前記流体の少なくとも2つの隣接する及び/又は互いに相接する体積要素を工程b)からの前記基材又は支持体材料に適用する工程と、
d)工程c)からの前記少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
e)前記流体の反応性を活性化する工程と、
f)工程a)からの前記流体の少なくとも1つのさらなる体積要素を適用する工程と、
g)工程f)からの前記体積要素を用いて工程d)での前記体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
h)工程f)及びg)を繰り返す工程又は工程e)、f)、及び、g)を繰り返す工程と、
i)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
-
工程g)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って行われ、
- 工程a)からの前記流体が少なくとも1つの光潜在性触媒を含む、
ことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項10】
前記光潜在性触媒が、少なくとも1つの光潜在性酸又は少なくとも1つの光潜在性塩基であることを特徴とする、請求項8又は9に記載のインクジェット法。
【請求項11】
前記流体が、
- 前記流体の合計重量を基準にして合計割合で0.001重量%~2重量%の範囲内の前記少なくとも1つの光潜在性酸、
- 前記流体の合計重量を基準にして合計割合で好ましくは0.001重量%~5.0重量%の範囲内の前記少なくとも1つの光潜在性塩基、
を含むことを特徴とする、請求項10に記載のインクジェット法。
【請求項12】
前記基材が完成眼鏡レンズ又は薄いレンズであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項13】
前記活性化が、化学線を利用して及び/又は熱エネルギーを利用して行われることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項14】
前記反応性が、
- x/y方向に及び/又はz方向に、
- x/y方向及びz方向に依存せずに、
伝達されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項15】
前記少なくとも2つの隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、
- x/y方向に隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間で横方向に、
- 隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素間でz方向に、又は
- x/y方向及びz方向に依存せずに、
行われることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項16】
少なくとも
a)プリントされる基材又は再び除去される支持体材料を提供する工程と、
b)少なくとも1つの流体を提供する工程と、
c)工程a)からの前記基材又は支持体材料に工程b)からの前記流体を含む少なくとも2つの隣接する及び/又は互いに相接する体積要素を適用する工程と、
d)体積複合体への変換を伴って、工程b)からの前記少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
e)工程d)からの少なくとも1つの体積複合体内で前記流体の反応を活性化して、前記少なくとも体積複合体から前記反応がまだ十分に終了していない少なくとも1つの均一体積複合体への変換を伴って、前記反応を開始する工程と、
f)工程b)からの前記流体を含む少なくとも1つのさらなる体積要素を工程e)からの前記均一体積複合体に隣接して及び/又は相接して適用する工程と、
g)工程e)からの前記均一体積複合体の伸長を伴って、工程f)からの前記少なくとも1つのさらなる隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素の合体、結合、湿潤、及び/又は接触を行う工程と、
h)工程f)及びg)を繰り返す工程と、
i)前記反応を終了する工程と、
を含む、眼鏡レンズを製造するためのインクジェット法であって、
-
工程g)での前記合体、結合、湿潤、及び/又は接触が、前記隣接して及び/又は互いに相接して適用された体積要素間での反応性の伝達を伴って、及び前記少なくとも1つの均一体積複合体から少なくとも1つの最終体積複合体への変換を伴って、行われ、
- 工程a)からの前記流体が、
- 少なくとも1つのハイブリッドシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのシステム、
- 少なくとも1つの光潜在性触媒を含む少なくとも1つのハイブリッドシステム、又は
- 少なくとも1つのチオール-エンシステム、
に基づくことを特徴とする、インクジェット法。
【請求項17】
前記反応性が、再活性化を行うことなく伝達されることを特徴とする、請求項16に記載のインクジェット法。
【請求項18】
前記体積複合体内での反応がまだ開始していないことを特徴とする、請求項16又は17に記載のインクジェット法。
【請求項19】
化学線を利用した又は熱エネルギーを利用した活性化の結果として前記反応が開始することを特徴とする、請求項16~18のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項20】
前記少なくとも2つの隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素が体積複合体に変換され、
a)x/y方向に隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素とx/y方向に形成された前記体積複合体との間で横方向に、z方向に適用された体積要素により伸長されるか、又は
b)隣接して適用された及び/又は互いに相接する体積要素とz方向に形成された前記体積複合体との間でz方向に、x/y方向に適用された体積要素により伸長されるか、又は
c)x/y方向及びz方向に依存しない、
請求項16~19のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項21】
x/y方向に存在する体積複合体V又はx/y方向に存在する均一体積複合体V
hの伸長が、
a)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する均一体積複合体V
hへのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
b)x/y方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体V
hにz方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体V
h1への、x/y方向の横方向変換、及びx/y方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向にすでに存在する均一体積複合体V
hへのそれらの後続のインテグレーション、又は
c)x/y方向に存在する体積複合体Vへの若しくはx/y方向に存在する体積複合体V
hへのz方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体V
h1へのz方向に適用された体積要素の同時変換、
を含み、或いはz方向に形成された体積複合体V又はz方向に形成された均一体積複合体V
hの伸長が、
d)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する均一体積複合体V
hへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、又は
e)z方向にすでに存在する体積複合体Vに若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体V
hにx,y方向に適用された体積要素から、さらなる体積複合体V1への若しくはさらなる均一体積複合体V
h1への、z方向変換、及びz方向にすでに存在する体積複合体Vへの若しくはz方向にすでに存在する均一体積複合体V
hへのそれらの後続のインテグレーション、又は
f)z方向に存在する体積複合体Vへの若しくはz方向に存在する体積複合体V
hへのx,y方向に適用された体積要素のインテグレーション、及び体積複合体V1への若しくは均一体積複合体V
h1へのx,y方向に適用された体積要素の同時変換、
を含むことを特徴とする、請求項16~20のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項22】
体積複合体が、少なくとも2つの互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/若しくは接触から、又は少なくとも1つの体積要素及び少なくとも1つの相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体の合体、結合、湿潤、及び/若しくは接触から生じることを特徴とする、請求項16~21のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項23】
前記反応が、
a)少なくとも1つの体積要素内で及び隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間で、
b)少なくとも1つの体積複合体内で、及びこの少なくとも1つの体積複合体と少なくとも1つの体積要素との反応、及び少なくとも1つの体積要素内の反応、又は、
c)互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体内で、並びに互いに相接する及び/若しくは隣接して適用された体積複合体間で、各場合につき、十分に終了しないとき、均一体積複合体が形成されることを特徴とする、請求項16~22のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項24】
前記反応が、
a)体積要素内で最初に十分に終了しておらず、隣接して適用された体積要素間及び/若しくは互いに相接する体積要素間の反応が十分に終了しておらず、且つ前記反応性が隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する体積要素間で伝達され、又は
b)少なくとも1つの均一体積複合体内で最初に十分に終了しておらず、隣接して適用された均一体積複合体間及び/若しくは互いに相接する均一体積複合体間の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が隣接して適用された及び/若しくは互いに相接する均一体積複合体間で伝達され、又は
c)少なくとも1つの均一体積複合体内で最初に十分に終了しておらず、少なくとも1つの均一体積複合体と少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する体積複合体との間の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が、前記均一体積複合体と前記隣接して適用された及び/若しくは相接する体積複合体との間で伝達され、又は
d)体積要素内で最初に十分に終了しておらず、この1つの体積要素と、隣接して適用された体積複合体及び/若しくは前記1つの体積要素に相接するものと、の間の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性がこの1つの体積要素から前記隣接して適用された及び/若しくは前記相接する体積複合体に伝達され、又は
e)少なくとも1つの均一体積複合体内で最初に十分に終了しておらず、この少なくとも1つの均一体積複合体と、少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する少なくとも1つの体積要素と、の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が、この1つの均一体積複合体から前記少なくとも1つの隣接して適用された及び/又は相接する体積要素に伝達され、又は
f)少なくとも1つの均一体積複合体内及び少なくとも1つの体積要素内で、各場合につき、最初に十分に終了しておらず、この少なくとも1つの均一体積複合体と、少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する少なくとも1つの体積要素と、の反応が最初に十分に終了しておらず、且つ前記反応性が、この少なくとも1つの均一体積複合体と前記少なくとも1つの隣接して適用された及び/若しくは相接する体積要素との間で伝達され、
前記反応が、各場合につき、前記反応性の伝達後に終了する、
とき、最終体積複合体が形成されることを特徴とする、請求項16~23のいずれか一項に記載のインクジェット法。
【請求項25】
前記反応性が、
a)x/y方向に及び/又はz方向に、又は
b)x/y方向及びz方向に依存せずに、
伝達されることを特徴とする、請求項16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
工程e)での前記最終体積複合体の形成後、前記基材が、前記最終体積複合体に結合された状態で残るか、又は前記最終体積複合体から分けられることを特徴とする、請求項16~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記体積要素が、ハイブリッドシステムに基づく少なくとも1つの流体を含むことを特徴とする、請求項16~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ハイブリッドシステムが、チオール-エン-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、エポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、エポキシ-(メタ)アクリレートハイブリッドシステム、少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-チオール/エンハイブリッドシステム、及び少なくとも1つの光潜在性塩基を含むエポキシチオール-(メタ)アクリレートハイブリッドシステムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記体積要素が、チオール-エンシステムに基づく少なくとも1つの流体を含むことを特徴とする、請求項16~28のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】