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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】シイタケ由来ビタミンDの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20230119BHJP
   A23L 33/155 20160101ALI20230119BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20230119BHJP
【FI】
A23L19/00 101
A23L19/00 A
A23L33/155
A23L5/00 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548051
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2020018776
(87)【国際公開番号】W WO2021157856
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0014531
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522312838
【氏名又は名称】キム、ジョン オク
【氏名又は名称原語表記】KIM,Jeong Ok
【住所又は居所原語表記】105dong 1602ho,45,Gangnam-ro Jinju-si Gyeongsangnam-do 52728,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522418244
【氏名又は名称】エイチケイ バイオテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン オク
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ヨン レ
【テーマコード(参考)】
4B016
4B018
4B035
【Fターム(参考)】
4B016LC07
4B016LE02
4B016LG14
4B016LP01
4B016LP03
4B016LP05
4B016LP13
4B018LB03
4B018LE02
4B018MD23
4B018MD83
4B018ME14
4B018MF04
4B018MF07
4B018MF09
4B018MF14
4B035LC06
4B035LE01
4B035LG16
4B035LG39
4B035LP01
4B035LP16
4B035LP59
(57)【要約】
ビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法に関し、(1)シイタケを常温以下の温度で予備熟成する第1段階、(2)前記予備熟成したシイタケを常温の温度で本熟成する第2段階、(3)前記本熟成したシイタケを破片化(chopping)する第3段階、(4)前記破片化したシイタケにUV-Bを照射する第4段階、(5)前記UV-Bを照射したシイタケ片を熱処理する第5段階、及び(6)前記熱処理したシイタケ片を粉砕する第6段階、を含むビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法に関するものである。本発明の方法によってシイタケを製造した場合、既存の方法より60倍以上のビタミンD2含量を増加させ、有機溶媒を全く使用せずに細菌数が低く安全性が確保された完成品の製造が可能であるという利点がある。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)シイタケを常温以下の低温で予備熟成する第1段階、(2)前記予備熟成したシイタケを常温の温度で本熟成する第2段階、(3)前記本熟成したシイタケを破片化(chopping)する第3段階、(4)前記破片化したシイタケにUV-Bを照射する第4段階、(5)前記UV-Bを照射したシイタケ片を熱処理する第5段階、及び(6)前記熱処理したシイタケ片を粉砕する第6段階、を含むビタミンD2含量が増大した
ことを特徴とするシイタケの製造方法。
【請求項2】
前記予備熟成は1~8日である
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項3】
前記本熟成は1~8日である
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項4】
前記破片化したシイタケは、横、縦及び高さの長さがそれぞれ0.5~20mm以下である
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項5】
前記破片化したシイタケの水分含量が70~95重量%である
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項6】
前記UV-Bを照射することは、UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板に前記シイタケ試料を載せた状態で、80~100%の相対湿度で、1,000~3,000μW/cmの強さで、30分~180分間照射しながら、15分に1回~3回一定の時間間隔で前記シイタケを裏返す
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項7】
前記熱処理することは、40~80℃で12~48時間の間処理する
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項8】
前記方法で製造したシイタケは、360μg(14,400IU)/g以上のビタミンD2を生産する
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項9】
前記方法で製造したシイタケは、細菌数がgあたり1000以下であり、大腸菌が陰性である
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項10】
前記方法で製造したシイタケは、ベータグルカン、ポリフェノール、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、エルゴステロール、エリタデニン(eritadenine)、硫黄化合物、抗炎症物質、免疫増強物質、抗癌物質、抗ウイルス物質、抗バクテリア物質、抗カビ物質、血糖調節物質を含有する
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビタミンD含量が増大したシイタケの製造方法に関する。より詳細には、予備熟成及び本熟成段階を経たシイタケを破片化(chopping)した後、UV-Bを照射して熱処理することを特徴とするビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミン(vitamin)Dは、小腸でのカルシウムとリン酸の吸収促進、カルシウム機能の維持、骨粗鬆症の予防、ホルモンとしての役割遂行、アルツハイマー等のさまざまな疾病の予防及び治療に役立つ重要な役割をする栄養素である。現在まで発見されたビタミンDの種類はD2からD7までであり、これらのうちD2とD3が生物学的に活性が高い。
【0003】
このようなビタミンDの一日の勧奨量は、15歳以下の子供と50歳以上の女性の場合10μg(400IU)、50歳以下の成人の場合5μg(200IU)であるが、最近は室内生活の増加、粒子状物質等によるマスク着用及び紫外線遮断剤の使用により紫外線にさらされる時間が制限されるので、皮膚でのビタミンD生合成が妨げられている。特に、ビタミンDの欠乏は、成長期の子供ではくる病が発生し、更年期の女性や老人では骨軟化症(osteomalacia)が発生し、低カルシウム症、甲状腺機能不全症や骨の喪失をもたらし得る。
【0004】
食餌によって摂取できるビタミンDは、きのこ類や魚、肉類及び牛乳等に微量含有されており、特にきのこは、ビタミンD2の前駆体であるエルゴステロール(ergosterol)を多く含んでいて、エルゴステロールから合成されたビタミンD2を健康機能食品として摂取すると、これは肝臓と腎臓を経て活性ビタミンD2である1,25-hydroxyvitamin D2に転換されてビタミンD2としての多様な生理機能をする。
【0005】
市場に流通している大部分のビタミンD3は、羊毛から得たコレステロール(cholesterol)から化学的に合成したビタミンD3である。すなわち、羊毛のLanolinを有機溶媒で抽出及び精製→Cholesterol分離及び精製→7-dehydrocholesterolの化学的合成→UV照射過程を経てビタミンD3を合成するので、最終のビタミンD3製品に有機溶媒、cholesterol、不純物等が残留する可能性が高い。また、市場で流通している「酵母ビタミンD3」があるが、これは実際に酵母由来のビタミンでなく、酵母に羊毛のlanolinから合成された合成ビタミンD3を混合して製造したものである。
【0006】
マッシュルームから生産されるビタミンDは、子実体の組織が脆く、水分含量が高くて初期細菌数が1000/g以上と多いので、完成品の製造時に規格に不適合となるという問題点がある。また食餌によって供給できる食品の種類が少ないだけでなく、食品に含有されているビタミンDの含量が非常に低く食品を介した摂取は非常に制限的であるため、ビタミンDが強化された食品の開発が切実に要求されている。
【0007】
一方、きのこにUV-Bを照射して、きのこに含有されたエルゴステロールをビタミンD2に合成する方法に関して、特許文献1ないし3が提示されている(特許文献1-3:大韓民国登録特許第10-0637833号、第10-1588105号、第10-1171465号)。しかし、特許文献1ないし3の場合、きのこにUV-Bを照射してビタミンD2を増大させた利点はあるが、結果的にビタミンD2の含量がヒラタケで240μg/g未満で、シイタケでは6.93μg/gと非常に低い方であり、照射時間が長く製造費用が上昇する等の商品性及び経済性が低い問題がある。
【0008】
そこで本発明者らは、従来行われてきたきのこに紫外線を照射する条件だけでなく、ビタミンDの含量に影響を及ぼし得る前処理条件を研究し、ビタミンDの含量差を分析してビタミンDの含量が顕著に増大したきのこを製造する最適の条件を確立することにより本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-0637833号
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-1588105号
【特許文献3】大韓民国登録特許第10-1171465号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法、及びそれによるビタミンD2含量が増大したシイタケを提供することを目的とする。
【0011】
より詳細には、(1)シイタケを常温以下の温度で予備熟成する第1段階、(2)前記予備熟成したシイタケを常温の温度で本熟成する第2段階、(3)前記本熟成したシイタケを破片化(chopping)する第3段階、(4)前記破片化したシイタケにUV-Bを照射する第4段階、(5)前記UV-Bを照射したシイタケ片を熱処理する第5段階、及び(6)前記熱処理したシイタケ片を粉砕する第6段階、を含むビタミンD2含量が増大したシイタケを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような課題を解決するために、本発明は、ビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法を提供する。(1)シイタケを常温以下の温度で予備熟成する第1段階、(2)前記予備熟成したシイタケを常温の温度で本熟成する第2段階、(3)前記本熟成したシイタケを破片化(chopping)する第3段階、(4)前記破片化したシイタケにUV-Bを照射する第4段階、(5)前記UV-Bを照射したシイタケ片を熱処理する第5段階、及び(6)前記熱処理したシイタケ片を粉砕する第6段階、を含むビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法を提供する。
【0013】
さらに、本発明の前記予備熟成は1~8日であることを特徴とすることができる。
さらに、本発明の前記本熟成は1~8日であることを特徴とすることができる。
さらに、本発明の前記破片化したシイタケは、横、縦及び高さの長さがそれぞれ0.5~20mm以下であることを特徴とすることができる。
さらに、本発明の前記破片化したシイタケの水分含量が70~95重量%であることを特徴とすることができる。
【0014】
さらに、本発明の前記UV-Bを照射することは、UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板に前記シイタケ試料を載せた状態で、80~100%の相対湿度で、1,000~3,000μW/cmの強さで、30分~180分間照射しながら、15分に1回~3回一定の時間間隔で前記シイタケを裏返してやることを特徴とすることができる。
さらに、本発明の前記熱処理することは、40~80℃で12~48時間の間処理することを特徴とすることができる。
さらに、本発明の前記方法で製造したシイタケは、360μg(14,400IU)/g以上のビタミンD2を生産することを特徴とすることができる。
さらに、本発明の前記方法で製造したシイタケは、細菌数がgあたり1000以下であり、大腸菌が陰性であることを特徴とすることができる。
【0015】
さらに、本発明の前記方法で製造したシイタケは、ベータ-グルカン、ポリフェノール、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、エルゴステロール、エリタデニン(eritadenine)、硫黄化合物、抗炎症物質、免疫増強物質、抗癌物質、抗ウイルス物質、抗バクテリア物質、抗カビ物質、血糖調節物質を含有することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
上記のような本発明は、ビタミンD2含量が増大したシイタケを提供して、既存の方法より10倍~60倍以上ビタミンD2含量が顕著に増加し、有機溶媒を全く使用せずに細菌数が低く、安全性が確保された完成品の製造が可能であるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造工程を時系列で簡略に示した図である。
図2】本発明のシイタケから生産されたビタミンD2のHPLCの結果を示した図である(Agilent Technologies 1200 series;ビタミンD2、23分)。
図3】本発明のシイタケから生産されたビタミンD2と標準品のビタミンD2の比較UV spectrumの結果を示した図である(標準品のビタミンDとシイタケ由来ビタミンのD spectrum比較)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は多様な変更を加えることができ、さまざまな実施例を持ち得るところ、特定の実施例を図面に例示し詳細な説明で詳細に説明することにする。しかし、これは本発明を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含む。
【0019】
第1、第2等のように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するのに使用され得るが、該当構成要素はこのような用語によって限定されない。これらの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0020】
以下の説明において、当業者に周知著名な技術についてはその詳細な説明を省略することができる。また、本発明を説明するにおいて、関連した公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明瞭にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略することができる。また、本明細書で使用される用語(terminology)は、本発明の好ましい実施例を適切に表現するために使用された用語であって、これは使用者、運用者の意図または本発明が属する分野の慣例等によって変わり得る。
【0021】
したがって、本用語についての定義は、本明細書全般にわたった内容を土台としてなされるべきものである。明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0022】
以下、添付された図面を参照して本発明に係る好ましい一実施例を詳細に説明する。
ただし、下記の実施例及び製造例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例及び製造例によって限定されるものではない。
【0023】
<実施例>
材料および方法
以下の実施例で使用された材料および方法は下記のとおりである。
1.試料のシイタケ子実体
試料のシイタケ子実体は、韓国慶州南道晋州市金谷面で栽培した中等級製品を使用した。
【0024】
2.予冷及び熟成貯蔵庫
温度が調節(0~30℃)できる貯蔵庫で貯蔵した。
【0025】
3.UV照射箱
密閉されたステンレススチールチャンバは、上部にUV電球(280~360nm:15W)が3つ装着されており、UV電灯から10~20cm離れた所に(距離調整可能)試料を入れることができるステンレススチール板が装着されている。
【0026】
4.試料乾燥機
温度が調節(常温~100℃)できる乾燥機を使用した。
【0027】
5.ビタミンD2の分析
ビタミンD2の分析のための試料は、食品医薬品安全処のビタミンD2標準調製方法で調製し、調製した試料のビタミンD2の分析は、食品医薬品安全処の標準HPLCのsystem及び方法で分析した。分析値に対する統計は、Tukey’ multiple comparison testで検証した。同一処理内で互いに異なる英語の小文字を有する平均値は、p<0.05で有意性があることを意味する。
【0028】
<実施例1>
予備熟成の温度及び期間による破片化(chopping)した試料のビタミンD2含量
【0029】
シイタケ子実体は、収穫直後に温度が調節できる貯蔵庫で多様な温度(0、5、15、30℃)と多様な熟成期間(0、1、4、8日)の組み合わせで予備熟成した。予備熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95重量%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を破片化(chopping)して、おがくず(横×縦×高さ3mm以下)のような状態に試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で30分間照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0030】
【表1】
【0031】
その結果、表1に示すように、30℃で1日間予備熟成させた試料がビタミンD2含量が最も高かった。しかし組織が脆くなり過ぎて破片化が難しく、乾燥時に固まり現象が起き、若干の腐敗現象が起きてカビと細菌数が高くて、試料として使用するには不適合であった。
【0032】
<実施例2>
本熟成の温度及び期間による破片化(chopping)した試料のビタミンD2含量
【0033】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させた試料を、さらに温度(0、5、15、30℃)と期間(0、2、5、8日)の組み合わせで本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95重量%水分含量の子実体を選定した。本熟成したシイタケ子実体を破片化(chopping)して、おがくず(横×縦×高さ3mm以下)のような状態に試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で30分間照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0034】
【表2】
【0035】
その結果、表2に示すように、15℃で2日間本熟成させた試料がビタミンD2含量が最も高いが、最も適した貯蔵期間は2~5日であった。
【0036】
<実施例3>
破片化(Chopping)した試料のUV照射量によるビタミンD2含量
【0037】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95重量%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を破片化(chopping)して、おがくず(横×縦×高さ3mm以下)のような状態に試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き、UV量(0、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5000μW/cm)を相対湿度90~100%で30分間照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0038】
【表3】
【0039】
その結果、表3に示すように、3,000μW/cmで30分間UV照射した試料がビタミンD2含量が最も高いが、2,000~4,000μW/cmではビタミンD2生産には差がなかった。
【0040】
<実施例4>
破片化(Chopping)した試料のUV照射時間及び裏返しによるビタミンD2含量
【0041】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を破片化(chopping)して、おがくず(横×縦×高さ3mm以下)のような状態に試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で一定時間(10、30、60、120分)照射しながら、一定回数(0、1、2、3)で裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0042】
【表4】
【0043】
その結果、表4に示すように、UV2500~3000μW/cmで30分間に一回裏返した試料がビタミンD2含量が最も高かったが、2回裏返した試料でも類似のビタミンD2含量を得た。そして60分照射した試料の場合は2回裏返した試料でも類似のビタミンD2含量を得た。
【0044】
<実施例5>
破片化(Chopping)した試料のUV照射後の乾燥温度及び時間によるビタミンD2含量
【0045】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を破片化(chopping)して、おがくず(横×縦×高さ3mm以下)のような状態に試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で30分照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を一定の温度(0、20、40、60、80、100℃)で24時間熱処理し、また60℃で一定の時間(0、6、12、24、48時間)熱処理した後、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0046】
【表5】
【0047】
その結果、表5に示すように、60~80℃で24時間熱処理した試料がビタミンD2含量が最も高かった。また60℃では12時間~48時間処理するものがビタミンD2含量が高かった。
【0048】
<実施例6>
破片化(Chopping)した試料量とUV照射時間によるビタミンD2含量
【0049】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を破片化(chopping)して、おがくず(横×縦×高さ3mm以下)のような状態に試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を多様な厚さ(0.5~1.0、1~2、2~3、3~5cm)で敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で多様な時間(0、30、60、90、180分)照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0050】
【表6】
【0051】
その結果、表6に示すように、試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き30~60分間UVで照射された試料がビタミンD2含量が最も高かった。1~2cmの厚さで敷き60分UV照射した試料も、0.5~1.0cmの厚さで敷き30~60分間UV照射された試料とビタミンD2含量には差がなかった。
【0052】
<実施例7>
破片化(Chopping)した試料の水分含量によるビタミンD2含量
【0053】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、水分含量(40、50、60、70、80、90、95%)の子実体を試料として製造した。選定されたシイタケ子実体を破片化(chopping)して、おがくず(横×縦×高さ3mm以下)のような状態に試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で30分間照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0054】
【表7】
【0055】
その結果、表7に示すように、水分含量が90%の試料がビタミンD2含量が最も高かったが、水分含量が80~95%の試料ではビタミンD2含量に差がなかった。
【0056】
<実施例8>
チャンバ(Chamber)内の相対湿度による破片化(chopping)した試料のビタミンD2含量
【0057】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を破片化(chopping)して、おがくず(横×縦×高さ3mm以下)のような状態に試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き、UVを2,000~3,000μW/cm強度で多様な相対湿度(40、60、80、90、100%)で30分間照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0058】
【表8】
【0059】
その結果、表8に示すように、チャンバ(Chamber)内の相対湿度が90%の試料がビタミンD2含量が最も高かったが、相対湿度が90~100%の場合にはビタミンD2含量に差がなかった。
【0060】
<実施例9>
試料の形態及び大きさによるビタミンD2含量
【0061】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を多様な大きさ(0.5~3、3~5、5~10、10~20mm)にスライス(Slicing)、または、多様な大きさ(0.5~3、3~5、5~10、10~20mm)に破片化(chopping)して試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を300g入れ、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で30分間照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0062】
【表9】
【0063】
その結果、表9に示すように、試料を破片化やスライスしない試料では非常に低いビタミンD2が生成された。しかし0.5~3mm以下に破片化(chopping)した試料でビタミンD2含量が最も高く、3~5mm以下に破片化した試料と差がなかった。またスライスした場合、0.5~3mm以下にスライスした試料でビタミンD2含量が最も高かったが、その含量は破片化(chopping)した試料より相対的に低かった。
【0064】
<実施例10>
本熟成期間によるスライス(Slicing)した試料のビタミンD2含量
【0065】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で多様な期間(0、1、2、5、8日)の間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を3mm程度にスライス(Slicing)した試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で30分間照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0066】
【表10】
その結果、表10に示すように、2~5日間本熟成した試料がビタミンD2含量が最も高かった。
【0067】
<実施例11>
スライス(Slicing)した試料のUV照射時間及び裏返しによるビタミンD2含量
【0068】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間の間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を3mm程度にスライス(Slicing)した試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を一つずつ敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で多様な時間(0.5、1.0、5.0時間)照射しながら、多様な間隔で裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0069】
【表11】
その結果、表11に示すように、1時間UV照射し、1~2回裏返した試料がビタミンD2含量が最も高かった。
【0070】
<実施例12>
スライス(Slicing)した試料の厚さとUV照射時間によるビタミンD2含量
【0071】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間の間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を多様な大きさ(0.5~3、3~5、5~10、10~20mm)にスライス(Slicing)して試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に多様な厚さを有した試料を一つずつ敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で多様な時間(0、30、60、180分)照射しながら、30分ごとに裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0072】
【表12】
【0073】
その結果、表12に示すように、スライス(Slicing)の厚さが0.5~3mmの試料を60~180分間UV照射した試料がビタミンD2含量が最も高かった。そして3~5mmの試料の場合、60分照射した試料でビタミンD2含量が最も高く、この含量は0.5~3mmの試料を60~180分間UV照射した試料と差がなかった。
【0074】
<実施例13>
最適条件で生産したビタミンD2含量
【0075】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間の間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。選定されたシイタケ子実体を破片化(chopping)して、おがくず(横×縦×高さ3mm以下)のような状態に試料を調製した。UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板(電球から15cm離れた位置)に試料を0.5~1.0cmの厚さで敷き、UVを2,000~3,000μW/cmの強度で相対湿度90~100%で30分照射しながら、15分に一回裏返した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0076】
【表13】
その結果、表13に示すように、最適の条件で生産したビタミンD2含量は360.8±20.4μg/gと測定された。
【0077】
<実施例14>
本特許方法と既存特許(大韓民国登録特許第10-0637833号)によるビタミンD2含量の比較
【0078】
シイタケ子実体は、収穫直後に5℃の貯蔵庫で1日間予備熟成させ、さらに温度15℃で3日間の間本熟成した。本熟成したシイタケ子実体を水で洗浄し、子実体表面の水を除去し、80~95%水分含量の子実体を選定した。UVが照射された試料を60℃で24時間熱処理し、粉砕してビタミンD2分析試料として使用してビタミンD2含量を測定した。
【0079】
既存特許(特許文献1:大韓民国登録特許第10-0637833号)の方法は、照射部位はスライスされたシイタケの内側のひだ層(5mm)にUV-Bを75KJ/mで35℃で、相対湿度80%で照射した。
【0080】
【表14】
【0081】
その結果、表14に示すように、本発明の最適条件で生産したビタミンD2含量は360.8±20.4μg/gである一方、既存特許(特許文献1:大韓民国登録特許第10-0637833号)で報告されたビタミンD2含量は6.93μg/gで、本発明による場合、既存特許に比べ60倍以上ビタミンD2含量を顕著に増大させることができるものと示された。また、既存特許に記載された方法と類似にシイタケをスライス(5mm)した後UVを照射した結果、ビタミンD2含量は35.3±3.5μg/gで、本発明はこれと対比して10倍以上ビタミンD2含量を顕著に増大させることができる優れた効果がある。

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)シイタケを5℃~15℃の温度範囲で貯蔵して、予備熟成する第1段階;(2)前記予備熟成したシイタケを5℃~30℃の温度範囲で貯蔵して、本熟成する第2段階;(3)前記本熟成したシイタケを破片化(chopping)する第3段階;(4)前記破片化したシイタケをUV-Bで照射する第4段階;(5)前記UV-Bを照射したシイタケ片を熱処理する第5段階;及び(6)前記熱処理したシイタケ片を粉砕する第6段階;を含み、前記破片化したシイタケは、横、縦及び高さの長さがそれぞれ0.5~20mmで、前記熱処理は、40~80℃で12~48時間の間処理する
ことを特徴とするビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項2】
前記予備熟成する第1段階は、5℃~15℃の温度範囲で1日~8日の間貯蔵する
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項3】
前記本熟成する第2段階は、5℃~30℃の温度範囲で2日~8日の間貯蔵する
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項4】
前記破片化したシイタケの水分含量が70~95重量%である
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項5】
前記UV-Bを照射することは、UV電球が装着されたステンレススチールチャンバのステンレススチール板に前記シイタケを載せた状態で、1,000~3,000μW/cmの強さで、30分~180分間照射しながら、15分に1回~3回一定の時間間隔で前記シイタケを裏返す
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【請求項6】
前記方法で製造したシイタケは、360μg(14,400IU)/g以上のビタミンD2を生産する
請求項1に記載のビタミンD2含量が増大したシイタケの製造方法。
【国際調査報告】