(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】リストレット締結デバイス
(51)【国際特許分類】
A44C 5/14 20060101AFI20230120BHJP
G04B 37/16 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
A44C5/14 B
G04B37/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512335
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2020079249
(87)【国際公開番号】W WO2021099041
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506059942
【氏名又は名称】カルティエ インターナショナル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100196449
【氏名又は名称】湯澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】メラドゥ,アントニオ
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、リストレットを時計ケース(60)に締結するためのデバイスに関し、当該デバイスは、
-リストレットの端部本体(10A;10B)と、
-枢動部(21)を備え、かつ枢動部(21)が、例えばケース(60)のホーンのボア内で、ケース(60)と係合するように配置されている係合位置と、枢動部(21)が、端部本体(10A;10B)をケース(60)から解放することができるように、ケース(60)から外れるように配置されている格納位置と、の間で移動可能であるように、端部本体(10A;10B)内に取り付けられている、少なくとも1つの可動締結要素(20)と、
-端部本体(10A;10B)上で回転するように可動的に取り付けられている、レバー(30;30B;30C)と、
-レバー(30;30B;30C)と係合しており、レバー(30;30B;30C)の回転中に、可動締結要素(20)を係合位置から格納位置に切り替える、少なくとも1つの可動カム(22)と、
を備え、
-デバイスが、前記可動カム(22)に面して、端部本体(10A;10B)上に固定的に取り付けられた、少なくとも1つの静的カム(40)を備え、その回転中に可動カム(22)に軸方向の運動を課し、
-可動カム(22)が、可動締結要素(20)上に直接形成されており、レバー(30;30B;30C)と静的カム(40)との間に配置されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リストレットを時計ケース(60)に締結するためのデバイスであって、
-前記リストレットの端部本体(10A;10B)と、
-枢動部(21)を備え、かつ前記枢動部(21)が、例えば前記ケース(60)のホーンのボア内で、前記ケース(60)と係合するように配置されている係合位置と、前記枢動部(21)が、前記端部本体(10A;10B)を前記ケース(60)から解放することができるように、前記ケース(60)から外れるように配置されている格納位置と、の間で移動可能であるように、前記端部本体(10A;10B)内に取り付けられている、少なくとも1つの可動締結要素(20)と、
-前記端部本体(10A;10B)上で回転するように可動的に取り付けられている、レバー(30;30B;30C)と、
-前記レバー(30;30B;30C)と係合しており、前記レバー(30;30B;30C)の回転中に、前記可動締結要素(20)を前記係合位置から前記格納位置に切り替える、少なくとも1つの可動カム(22)と、
を備え、
-前記デバイスが、前記可動カム(22)に面して、前記端部本体(10A;10B)上に固定的に取り付けられた、少なくとも1つの静的カム(40)を備え、その回転中に前記可動カム(22)に軸方向の運動を課し、
-前記可動カム(22)が、前記可動締結要素(20)上に直接形成されており、前記レバー(30;30B;30C)と前記静的カム(40)との間に配置されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記可動締結要素(20)が、摺動枢動接続で前記端部本体(10A;10B)内に取り付けられている、請求項1に記載の締結デバイス。
【請求項3】
前記可動締結要素(20)が、摺動接続において前記レバー(30;30B;30C)と係合し、好ましくは、前記可動締結要素(20)が、前記レバー(30;30B;30C)の溝(33)内に係合するスタッド(23)を備え、より好ましくは、前記可動締結要素(20)が、前記レバー(30;30B;30C)の溝(33)内に各々係合する、2つのスタッド(23)を備える、請求項1又は2に記載の締結デバイス。
【請求項4】
前記静的カム(40)が、圧迫によって前記端部本体(10A;10B)内に押し込まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の締結デバイス。
【請求項5】
前記静的カム(40)が、前記静的カム(40)と前記端部本体(10A;10B)との間の事前定義された角度方向を画定するように、前記端部本体(10A;10B)と係合するように配置された、放射状アウトグロース(43)などの角度インデックス手段を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の締結デバイス。
【請求項6】
-前記レバー(30;30B;30C)が、
-前記可動締結要素(20)が前記係合位置にある初期静止位置と、
-前記可動締結要素(20)が前記格納位置にある作動位置との間で移動可能であり、
-前記端部本体(10A;10B)が、
-前記レバー(30;30B;30C)を前記初期静止位置で収納するように配置されている、ハウジング(12)、及び
-前記レバー(30;30B;30C)の最大作動位置を画定するように配置されている、止め具を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の締結デバイス。
【請求項7】
前記可動締結要素(20)上に前記係合位置に向かって押す力をもたらすように配置されている、ばね(50)などの戻り手段を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の締結デバイス。
【請求項8】
-前記可動カム(22)及び前記静的カム(40)のうちの一方が、ノッチ(24)などの静止部分を備えたカムトラックを有し、
-前記可動カム(22)及び前記静的カム(40)のうちの他方が、上部(44)又は突起を備えるカムトラックを有し、
前記可動締結要素(20)が、前記上部(44)又は前記突起が前記静止部分と係合するか、又は前記静止部分の水準に位置決めされたときに、前記係合位置にある、請求項1~7のいずれか一項に記載の締結デバイス。
【請求項9】
前記静止部分がカムスロープに隣接しており、それにより、前記戻り手段が、前記可動締結要素(20)が前記係合位置にあり、前記レバー(30;30B;30C)が前記初期静止位置にある、安定した位置に維持する、請求項7及び6に従属する請求項8に記載の締結デバイス。
【請求項10】
前記可動締結要素(20)の前記枢動部(21)が、前記静的カム(40)を通過する、請求項1~9のいずれか一項に記載の締結デバイス。
【請求項11】
前記枢動部(21)が、前記静的カム(40)内に、枢動接続で取り付けられている、請求項10に記載の締結デバイス。
【請求項12】
-2つの可動締結要素(20)と、
-2つの静的カム(40)と、を備え、
●前記2つの可動締結要素(20)が、前記レバー(30;30B;30C)の両側に配置されており、
●前記2つの静的カム(40)が、各々、前記端部本体(10A;10B)の側面上に固定的に取り付けられており、
●各可動締結要素(20)の前記枢動部(21)が、
○各可動締結要素(20)が前記係合位置にあるときは、例えば前記ケース(60)のホーンのボア内で、前記ケース(60)と係合できるように、前記静的カム(40)及び/又は前記端部本体(10A;10B)から突出するように、かつ
○各可動締結要素(20)が前記格納位置にあるときは、前記静的カム(40)内及び/又は前記端部本体(10A;10B)に格納されて、前記端部本体(10A;10B)を前記ケース(60)から解放するように、各々、静的カム(40)を通過する、請求項1~11のいずれか一項に記載の締結デバイス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの締結デバイスを備える、時計用リストレット。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの締結デバイスを備える、腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、時計などの時間を計る装置上にリストレットを締結することを目的とした、リストレット締結デバイスに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
リストレット締結デバイスは、文献CH713218A1、EP2047766A2、又はJP4754249B2などに提示されている、従来技術において知られている。これらのデバイスでは、可動要素を時計ケースのホーンに設置されているハウジングに収めることができる。ただし、これらのシステムには特に、複雑な部品を製造する必要があるという欠点があり、さらにケースのラグに応じてサイズを変更する必要がある。
【0003】
本発明の1つの目的は、上述の従来技術の文献の欠点を克服することであり、特に、まず第一に、リストレットを例えば時計ケースに締結するためのデバイスを提案することであり、それにより、製造をより複雑にすることなく、ある程度まで、締結デバイス及び/又はリストレットの要素の標準化を提供することを可能にする。
【0004】
そのため、本発明の第1の態様は、リストレットを時計ケースに締結するためのデバイスに関し、当該デバイスは、
-リストレットの端部本体と、
-枢動部を備え、かつ枢動部が、例えばケースのホーンのボア内で、ケースと係合するように配置されている係合位置と、枢動部が、端部本体をケースから解放することができるように、ケースから外れるように配置されている格納位置と、の間で移動可能であるように、端部本体内に取り付けられている、少なくとも1つの可動締結要素と、
-端部本体上で回転するように可動的に取り付けられている、レバーと、
-レバーと係合しており、レバーの回転中に、可動締結要素を係合位置から格納位置に切り替える、少なくとも1つの可動カムと、
を備え、
-デバイスが、可動カムに面して、端部本体上に固定的に取り付けられた、少なくとも1つの静的カムを備え、その回転中に可動カムに軸方向の運動を課し、
-可動カムが、可動締結要素上に直接形成されており、レバーと静的カムとの間に配置されていることを特徴とする。
【0005】
上記の実装態様による締結デバイスは、手軽又は可逆的な締結デバイスである。時計のケースの枢動部を係合又は外すためには、端部本体を締結又は締結解除するように、追加の工具を使用せずに、レバーを作動させれば実際十分である。さらに、可動カムは締結要素上に直接形成されており、それによって、レバー上へのカムの提供が回避され、レバーの製造が簡素化され、そのため標準化の可能性を提示する。実際、異なる幅を有する別のケースモデルに締結デバイスを適合させる場合には、レバーの幅のみを修正するように提供することができる。
【0006】
有利なことに、可動締結要素は、摺動枢動接続で端部本体内に取り付けられる。
【0007】
有利なことに、可動締結要素は、摺動接続においてレバーと係合し、好ましくは、可動締結要素は、レバーの溝内に係合するスタッドを備え、より好ましくは、可動締結要素は、レバーの溝内に各々係合する、2つのスタッドを備える。特に、スタッドは、締結要素の円筒上に、互いに180°で配置されている。
【0008】
有利なことに、静的カムは、圧迫によって端部本体内に押し込まれる。
【0009】
有利なことに、静的カムは、静的カムと端部本体との間の事前定義された角度方向を画定するように、端部本体と係合するように配置された、放射状アウトグロースなどの角度インデックス手段を備える。
【0010】
有利なことに、レバーは、
-可動締結要素が係合位置にある初期静止位置と、
-可動締結要素が格納位置にある作動位置と、の間で移動可能である。
【0011】
有利なことに、端部本体は、
-レバーを初期静止位置で収納するように配置されている、ハウジング、及び
-レバーの最大作動位置を画定するように配置されている、止め具を備える。
【0012】
有利なことに、締結デバイスは、可動締結要素上に係合位置に向かって押す力をもたらすように配置されている、ばねなどの戻り手段を備える。
【0013】
有利なことに、可動カム及び静的カムのうちの一方は、ノッチなどの静止部分を備えたカムトラックを有し、可動カム及び静的カムのうちの他方は、上部又は突起を備えるカムトラックを有し、可動締結要素は、上部又は突起が静止部分と係合するか、又は静止部分のレベルに位置決めされたときに、係合位置にある。
【0014】
有利なことに、静止部分はカムスロープに隣接しており、それにより、戻り手段が、可動締結要素が係合位置にあり、レバーが初期静止位置にある、安定した位置に維持する。
【0015】
有利なことに、可動締結要素の枢動部は、静的カムを通過する。
【0016】
有利なことに、枢動部は、静的カムのピボット接続に取り付けられている。
【0017】
有利なことに、締結デバイスは、
-2つの可動締結要素と、
-2つの静的カムと、を備え、
ここで、
●2つの可動締結要素は、レバーの両側に配置されており、
●2つの静的カムは、各々、端部本体の側面上に固定的に取り付けられており、
●各可動締結要素の枢動部は、
○各可動締結要素が係合位置にあるときは、例えばケースのホーンのボア内で、ケースと係合できるように、静的カム及び/又は端部本体から突出するように、かつ
○各可動締結要素が格納位置にあるときは、静的カム内及び/又は端部本体に格納されて、端部本体をケースから解放するように、各々、静的カムを通過する。
【0018】
本発明の第2の態様は、第1の態様による少なくとも1つの締結デバイスを備える、時計用リストレットに関する。
【0019】
本発明の第3の態様は、第1の態様による少なくとも1つの締結デバイスを備える、腕時計に関する。
【0020】
本発明の他の特徴及び有利な点は、非限定的な例として与えられ、添付の図面によって示される、本発明の一実施形態の以下の詳細な説明を読むと、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明による締結デバイスの、第1の実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の締結デバイスの締結要素及び静的カムの、斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の締結デバイスの、静的カムを用いて締結する要素と係合しているレバーの、斜視図である。
【
図4】
図4は、締結要素が、リストレット端部本体を時計ケースに締結するための係合位置にある状態の、
図1の締結デバイスの断面図である。
【
図5】
図5は、締結要素が、時計ケースからリストレット端部本体を解放するための格納位置にある状態の、
図1の締結デバイスの断面図である。
【
図6】
図6は、
図1の締結デバイスのレバーに対する1つの代替例に従って作製されたレバーを備える、締結デバイスの第2の実施形態を示す。
【
図7】
図7は、第3の実施形態による締結デバイスを示す。
【
図8】
図8は、可撓性リストレットに統合された、
図7の締結デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態によるリストレット締結デバイスを示している。この実施形態による締結デバイスは、特に、リストレットの端部本体10A内、及び端部本体10A上で回転するように連結されたレバー30内に取り付けられた、2つの締結要素20を備える。この第1の実施形態では、端部本体10Aは、典型的には、リンクリストレットの端部リンクであり、すなわち、互いに連結した複数のリンクを備える。
【0023】
さらに、
図4に示すように、2つの静的カム40が、端部本体10Aの各側面上に設けられており、ばね50が、レバー30のボア32内で、単に締結要素20の一部として、2つの締結要素20の間に取り付けられている。
【0024】
概して、締結デバイスは、2つの締結要素20を、時計のケース60(右側にのみ細い一点鎖線で示している)に対して端部本体10Aが解放されている、格納位置(
図5)と、締結要素を介して、端部本体10Aが時計のケース60(やはり右側にのみ細い一点鎖線で示している)に締結されている、係合位置(
図4)との間を、移動させるように提供される。
【0025】
実際、締結要素20は、端部本体内に格納されることができ(
図5)、又は枢動部21を端部本体10Aに対して突出又は飛び出させておくことができる(
図4)。
【0026】
詳細に、
図2に示すように、各締結要素20は、枢動部21、2つの可動カムトラックを備える可動カム22、ガイド部26、スタッド23、及び自由端25を備える。2つの可動カムトラックすなわち可動カム22は、180°反対側にあるノッチ24によって分離されている。
【0027】
各締結要素20に面して、静的カム40が端部本体10A内に固定的に取り付けられるように提供され、静的カム40は各々、ベース41、2つの静的カムトラック42、及び別の場合はウィングと呼ばれ得るアウトグロース43を備える。各静的カム40は、圧迫によって端部本体10Aのボア11内に固定的に取り付けられるか、又は押し込まれ、アウトグロース43は、静的カム40を端部本体10Aに対して角度を付けて位置決めすることを可能にする。
【0028】
図2は、締結要素20と静的カム40との間の特定の角度位置を示しており、静的カムトラック42の上部44は、締結要素20のノッチ24と位置合わせされている。この位置において、及びばね50の影響下で、可動カムトラックすなわち可動カム22と静的カムトラック42とが互いに入れ子になり、
図4によく示しているように、枢動部21が静的カム40を通過して、枢動部21はそのままとなりそこから突出することが理解される。
【0029】
図2から始めて、締結要素20が90°枢動する場合、上部44は、可動カムトラックすなわち可動カム22の上部に面することとなり、その結果、締結要素20は、枢動部21が静的カム40に入るという結果を伴い、静的カム40から離れて移動することとなり、
図5に示すように、そこから突き出ない。
【0030】
この運動学は、レバー30上にユーザによってもたらされる作用によって可能になる。したがって、後者は、
図1、特に
図3に見ることができる、溝33を備えたボア32を備える。締結要素20のスタッド23は、溝33に係合しており、したがってこれらの2つの部品間の接続は、
図3の両矢印によって示すように、摺動接続である。
【0031】
その結果、レバー30が端部本体10A上で回転するように可動的に取り付けられるため、レバー30の回転はまた、静的カム40に各々面している締結要素20を回転で駆動することとなる。ばね50によってもたらされる力により、可動カムトラックすなわち可動カム22と静的カムトラック42とが協調して、相対的な回転運動により、各締結要素20のレバー30内の軸方向の運動を引き起こすこととなる。
【0032】
図1に示すように、端部本体10Aは、レバー30が、締結要素20が係合位置にある、
図4に対応する初期静止位置にあるときに、レバー30を収容することができるハウジング12を有する。したがって、この位置では、ばね50は、静的カムトラック42の上部44が締結要素20のノッチ24と位置合わせされた状態で、締結要素20を圧迫する。
【0033】
この位置を離れるには、ばね50にバイアスをかける必要があるため、この位置は安定した静止位置である。言い換えれば、締結要素20のノッチ24と位置合わせされた静的カムトラック42の上部44の係合により、ばね50は、レバー30を初期静止位置に維持する。
【0034】
機構を作動させるために、ユーザは、レバー30の自由端31に働きかけ、レバー30をハウジング12から外に枢動させ、例えば90°回転後、レバー30を端部本体に接する機械的接合状態にすることができる。したがって、静的カムトラック42の上部44は、可動カムトラックすなわち可動カム22の上部に面するように作製されており、これにより、締結要素20がレバー30に「入り」、それらを格納する。枢動部21は端部本体10Aに対してもはや突出していないため、ユーザは、端部本体を時計ケース60から締結解除して解放することができる。
【0035】
図4及び
図5に明確に示しているように、レバー30は、締結要素20及び静的カム40を介して、端部本体10A上で回転するように取り付けられていることが分かる。実際、各締結要素20は、レバー30のボア32内に取り付けられたガイド部26を有し、各締結要素20の枢動部21は、各静的カム40のボア内に取り付けられており、これらは圧迫によって端部本体10A内に押し込まれる。
【0036】
図6は、レバー30Bを備えた第2の実施形態(第1の実施形態の製造変形)を示しており、レバー30Bは、依然としてボア32を備えるが、2つの溝33を備えており、そのため、締結要素20Bは2つの180°反対側にあるスタッド23を有することができる。締結デバイスのうちの残りのすべては、
図1の締結デバイスと同一であり、これについては再度説明しない。
【0037】
図7は、例えば革又はポリマーで作製された、円筒形の外形を有し、可撓性リストレットの端部内に統合されるインサートを形成することができる端部本体10Bを備えた、締結デバイスの第3の実施形態を示している。
【0038】
端部本体10Bは、第1の実施形態と同一の静的カム40及び締結要素20(
図7及び
図8は静的カム40から飛び出ている枢動部21を示している)を収納する内部ボアを有し、静的カム40は、締結要素20及びばね(見えない)を閉じ込めるように、端部本体10B中の各側面上への圧迫によって押し込まれる。
【0039】
第1の実施形態と同様に、端部本体10Bは、レバー30Cが内部に位置決めされている中央ハウジングを有し、レバー30Cは、端部本体10Bに対して締結要素20及び静的カムを介して回転するように取り付けられている(取り付けは、上記の
図4及び
図5の取り付けと同一である)。
【0040】
端部本体10Bは、この第3の実施形態では、可撓性リストレット100の端部内に統合されるインサートを形成する。
図8に示すように、端部本体10Bは、当業者に知られている結合タイプ又は縫製タイプの技術によって、可撓性リストレット100の端部に取り付けられている。ユーザがレバー30Cを作動させてレバー30Cを枢動させ、可撓性リストレット100を時計ケースに対して締結解除する/締結することを可能にするために、レバー30Cのための中央通路スロットもまた、可撓性リストレット100の端部に設けられている。
【0041】
静的カム40は、締結要素20が可動カムトラックすなわち可動カム22を埋め込む、圧迫により端部本体内に押し込まれるインサートであり、そのためこれらの要素はすべて、異なるサイズ又は特殊な外形のリストレットに容易に使用できる、独立した部品であり、それによって、これらの要素を複数のモデルに使用できると考えられる。したがって、機械加工される最も複雑な部品は、ケースのラグの寸法に関係なく同一であり、静的カム40及び締結要素20は同一である。特定の幅固有の構成要素は、端部本体10B、内部ばね、及びレバー30Cであり、これらは、機械加工がそれほど複雑ではない部品である。したがって、最も複雑な部品の製造プロセス又は設定は変更されない。
【0042】
さらに、これら2つの部品間の枢動接続は、締結デバイス自体によって提供されるため、取り付けについては、レバー30、30B、30Cを端部本体10A又は10B上に事前に固定する必要はなく、製造がより速い。特に、端部本体の各側面上で、静的カム40は、圧迫によって(又は圧力ばめによって)端部本体10A又は10B内に押し込まれ、また締結要素20の枢動部21を受容しかつガイドする貫通穴を備える。各締結要素20はまた、レバー30、30B、又は30Cのボア32内に収容されたガイド部26を含み、その結果、各ガイド要素20は、端部本体10A又は10Bとレバー30、30B、又は30Cとの間の機械的接続を提供する。
【0043】
添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される本発明の様々な実施形態に対して、当業者にとって明らかな様々な修正及び/又は改善を行うことができることが理解されよう。特に、端部本体上への各静的カムのきつく又は押し込まれる取り付けが参照されるが、例えば、ねじ込み又は弾性インターロック(クリッピング)による取り付けが想定され得る。
【国際調査報告】