IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ エム シー コーポレーションの特許一覧 ▶ エフエムシー アグロ シンガポール プライベート リミテッドの特許一覧

特表2023-503251(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジンを合成するためのプロセス
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジンを合成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/77 20060101AFI20230120BHJP
【FI】
C07D213/77
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527953
(86)(22)【出願日】2020-11-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 US2020061709
(87)【国際公開番号】W WO2021102393
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】62/939,119
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391022452
【氏名又は名称】エフ エム シー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】518259165
【氏名又は名称】エフエムシー アグロ シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】デヴァラジャン・チョッカリンガム
(72)【発明者】
【氏名】ヴィプル・ダダート
(72)【発明者】
【氏名】ラジュ・マハデヴ・カーラットカール
(72)【発明者】
【氏名】ジャンファ・マオ
(72)【発明者】
【氏名】パンカジクマール・ベカリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ダーメシュ・バルヴァントライ・バート
【テーマコード(参考)】
4C055
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA03
4C055BA39
4C055BA52
4C055BB17
4C055CA01
4C055CA02
4C055CA39
4C055DA01
4C055FA15
4C055FA34
4C055FA37
(57)【要約】
本明細書に記載されるのは、(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジンを合成する新規な方法である。本明細書に開示される方法によって調製された化合物は、殺虫剤として関心がもたれている特定のアントラニルアミド化合物、例えば殺虫剤のクロルアントラニリプロール及びシアントラニリプロールなどの調製に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II
【化1】

(式中、R~R10のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン及びヒドラジノから選択され;
~R10の少なくとも1つは、ヒドラジノである)
の化合物を調製する方法であって、
I)混合物であって、
A)式I
【化2】

(式中、R~Rのそれぞれは、独立して、水素及びハロゲンから選択され、
~Rの少なくとも1つは、ハロゲンである)
の化合物;
B)無機ヒドラジン誘導体;
C)触媒;
D)無機塩基又は塩;及び
E)任意選択的に、水を任意選択的に含む有機溶媒
を含む混合物を形成するステップと;
II)前記混合物を反応させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記混合物は、水を含む水性溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性溶媒は、水である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無機ヒドラジン誘導体は、水性ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ヒドラジン塩及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記無機ヒドラジン誘導体は、ヒドラジン一水和物を含む水性ヒドラジンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記無機ヒドラジン誘導体は、約1m/mを超える量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒は、相間移動触媒、有機塩基触媒及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒は、第四級アンモニウム塩、クラウンエーテル、無機塩、有機塩基及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、aliquat-336、18-クラウン-6、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びそれらの組合せから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記相間移動触媒は、aliquat-336である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記有機塩基触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン及びそれらの組合せから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、粉末化炭酸カリウム(400メッシュ)、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、モノナトリウムナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記無機塩基は、炭酸カリウムである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記塩は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ヘプタン、トルエン、n-オクタン及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物は、有機溶媒を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記式Iの化合物は、2-クロロピリジン、2,3-ジクロロピリジン、2,6-ジクロロピリジン及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記式IIの化合物は、2-ヒドラジノピリジン、(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン、(6-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記混合物を反応させる前記方法ステップは、約90℃~約115℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記混合物を反応させる前記方法ステップは、約6時間~約30時間の範囲の反応時間中に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記混合物を反応させる前記方法ステップは、約1.0332kg/cm~約5kg/cmの範囲の圧力で行われる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月22日に出願された米国仮特許出願第62/939,119号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジンを合成する新規な方法を対象とする。本明細書に開示される方法によって調製された化合物は、殺虫剤として関心がもたれている特定のアントラニルアミド化合物、例えば殺虫剤のクロルアントラニリプロール及びシアントラニリプロールなどの調製に有用である。
【背景技術】
【0003】
(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジンを製造するための従来のプロセスは、例えば、危険物、高いコスト、比較的長い方法ステップ及び複雑な操作など、いくつかの産業上の懸念の対象となっている。高価であり且つ回収困難な反応剤及び有機溶媒の使用は、望ましくない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、5-ブロモ-2-(3-クロロピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸及びその誘導体を調製するのに有用な新規な方法を提供する。従来の方法と比較した本開示の方法の有益性は、多大であり、コストの低減、混合溶媒の分離の必要性の排除、廃棄物の低減、比較的短い方法ステップ、複雑な操作の簡略化及びプロセス危険性の低減を含む。
【0005】
1つの態様では、本明細書で提供されるのは、式II
【化1】

(式中、R~R10のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン及びヒドラジノから選択され;
~R10の少なくとも1つは、ヒドラジノである)
の化合物を調製する方法であって、
I)混合物であって、
A)式I
【化2】

(式中、R~Rのそれぞれは、独立して、水素及びハロゲンから選択され、
~Rの少なくとも1つは、ハロゲンである)
の化合物;
B)無機ヒドラジン誘導体;
C)触媒;
D)無機塩基又は塩;及び
E)任意選択的に、水を任意選択的に含む有機溶媒
を含む混合物を形成するステップと;
II)混合物を反応させるステップと
を含む方法である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で使用するとき、「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」、「含有する」、「含有している」、「有する」、「有している」及び「特徴とする」という用語又はそれらの任意の他の変化形は、明示的に指示された任意の制限に従う非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、各種の要素を含む組成、混合物、プロセス又は方法は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、そのような組成、混合物、プロセス又は方法に明示的に指示されないか又は固有でない他の要素も含むことができる。
【0007】
「からなる」という移行句は、特定されていないいかなる要素、ステップ又は成分も排除する。請求項における場合、そのようなものは、通常、それに伴う不純物を除いて、引用されたもの以外の物質の包含に対して請求項を閉ざすことになる。「からなる」という語句が、前文の直後ではなく、請求項の主要部の条項に出現する場合、それは、その請求項に記載される要素のみを限定し、他の要素は、全体としてその請求項から排除されない。
【0008】
「から実質的になる」という移行句は、文言として開示されたものに加えて、物質、ステップ、特徴、成分又は要素を、これらの追加の物質、ステップ、特徴、成分又は要素が、特許請求される本発明の基本的且つ新規な特性に大きく影響しないことを条件として含む組成物又は方法を定義するために使用される。「から実質的になる」という用語は、「含む」と「からなる」との中間を占める。
【0009】
発明又はその一部が、例えば、「含む」などのオープンエンド用語を用いて定義される場合、(そうではないとの記述がない限り)その記述は、「から実質的になる」又は「からなる」の用語を使用してもそのような発明を記述すると解釈されるべきであることが容易に理解されるべきである。
【0010】
さらに、反対のことが明示的に記述されない限り、「又は」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件「A又はB」は、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)、且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)、且つBが真である(又は存在する)、及びAとBとの両方が真である(又は存在する)。
【0011】
また、本発明の要素又は成分に先行する不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、その要素又は成分の事例(すなわち出現)の数に関して非限定的であるものとする。従って、「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、1つ又は少なくとも1つを含むと読み取るべきであり、その要素又は成分のそのような単数の語形は、その数が単数を意味することが明らかでない限り、複数も含む。
【0012】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、その値のプラス又はマイナス10%を意味する。
【0013】
「ハロゲン」という用語は、単独で又は化合物の用語、例えば「ハロアルキル」中で使用される場合のいずれでも、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。さらに、例えば「ハロアルキル」のように化合物の用語中で使用される場合、前記アルキルは、同じであるか又は異なり得るハロゲン原子を用いて部分的に置換されるか又は完全に置換され得る。
【0014】
ある基が、水素であり得る置換基、例えばRを含み、次いでこの置換基を水素とした場合、これは、前記基が非置換であることと均等であると認められる。
【0015】
「ヒドラジノ」という用語は、限定しないが、ヒドラジノ結合(-HN-NH2)を含む官能基を含む。
【0016】
本発明の特定の化合物は、1つ又は複数の立体異性体として存在し得る。各種の立体異性体としては、鏡像異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体及び幾何異性体が挙げられる。当業者は、1つの立体異性体が、他の立体異性体に対して富化された場合又は他の立体異性体から分離された場合、より活性になり得、且つ/又は有益な効果を示し得ることを理解する。加えて、当業者であれば、前記立体異性体を分離、富化及び/又は選択的に調製する方法を知っている。
【0017】
本開示の実施形態は、以下を含む。
【0018】
実施形態1.式II
【化3】

(式中、R~R10のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン及びヒドラジノから選択され;
~R10の少なくとも1つは、ヒドラジノである)
の化合物を調製する方法であって、
I)混合物であって、
A)式I
【化4】

(式中、R~Rのそれぞれは、独立して、水素及びハロゲンから選択され、
~Rの少なくとも1つは、ハロゲンである)
の化合物;
B)無機ヒドラジン誘導体;
C)触媒;
D)無機塩基又は塩;及び
E)任意選択的に、水を任意選択的に含む有機溶媒
を含む混合物を形成するステップと;
II)混合物を反応させるステップと
を含む方法。
【0019】
実施形態2.混合物は、水を含む水性溶媒をさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0020】
実施形態3.水性溶媒は、水である、実施形態2に記載の方法。
【0021】
実施形態4.無機ヒドラジン誘導体は、水性ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ヒドラジン塩及びそれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の方法。
【0022】
実施形態5.無機ヒドラジン誘導体は、ヒドラジン一水和物を含む水性ヒドラジンである、実施形態4に記載の方法。
【0023】
実施形態6.無機ヒドラジン誘導体は、1m/m超、2m/m超、3m/m超、5m/m超若しくは10m/m超;又は約1m/m~約10m/m、約1m/m/~約3m/m、約2m/m/~約5m/m若しくは約3m/m/~約10m/mの量で存在する、実施形態1に記載の方法。
【0024】
実施形態7.触媒は、相間移動触媒、有機塩基触媒及びそれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の方法。
【0025】
実施形態8.触媒は、第四級アンモニウム塩、クラウンエーテル、無機塩、有機塩基及びそれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の方法。
【0026】
実施形態9.相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、aliquat-336、18-クラウン-6、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びそれらの組合せから選択される、実施形態7に記載の方法。
【0027】
実施形態10.相間移動触媒は、aliquat-336である、実施形態9に記載の方法。
【0028】
実施形態11.有機塩基触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン及びそれらの組合せから選択される、実施形態7に記載の方法。
【0029】
実施形態12.無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、粉末化炭酸カリウム(400メッシュ)、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、モノナトリウムナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド及びそれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の方法。
【0030】
実施形態13.無機塩基は、炭酸カリウム又はリン酸三カリウムである、実施形態12に記載の方法。
【0031】
実施形態14.塩は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム及びそれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の方法。
【0032】
実施形態15.有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ヘプタン、トルエン、n-オクタン及びそれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の方法。
【0033】
実施形態16.混合物は、有機溶媒を実質的に含まない、実施形態1に記載の方法。
【0034】
実施形態17.式Iの化合物は、2-クロロピリジン、2,3-ジクロロピリジン、2,6-ジクロロピリジン及びそれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の方法。
【0035】
実施形態18.式IIの化合物は、2-ヒドラジノピリジン、(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン、(6-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン及びそれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の方法。
【0036】
実施形態19.混合物を反応させる方法ステップは、約90℃~約115℃の範囲の温度で行われる、実施形態1に記載の方法。
【0037】
実施形態20.混合物を反応させる方法ステップは、約6時間~約30時間の範囲の反応時間中に行われる、実施形態1に記載の方法。
【0038】
実施形態21.混合物を反応させる方法ステップは、約1.0332kg/cm~約5kg/cmの範囲の圧力で行われる、実施形態1に記載の方法。
【0039】
1つの態様では、式IIの化合物は、スキーム1で表される方法に従って調製される。それらのR基は、本開示のいずれかの箇所で定義される。
【化5】
【0040】
この態様は、式Iの化合物、無機ヒドラジン誘導体、触媒、塩基又は塩及び任意選択的に溶媒を混合するステップと、混合物を反応させるステップとを含む。
【0041】
1つの実施形態では、混合物は、水を含む水性溶媒をさらに含む。別の実施形態では、混合物は、水をさらに含む。
【0042】
1つの実施形態では、無機ヒドラジン誘導体は、水性ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ヒドラジン塩及びそれらの組合せから選択される。1つの実施形態では、水性ヒドラジンは、ヒドラジン一水和物を含む。1つの実施形態では、無機ヒドラジン誘導体は、約30%~約64%の範囲の濃度を有する水性ヒドラジン溶液である。1つの実施形態では、無機ヒドラジン誘導体は、混合物中に1m/m超、2m/m超、3m/m超、5m/m超若しくは10m/m超;又は約1m/m~約10m/m、約1m/m/~約3m/m、約2m/m/~約5m/m若しくは約3m/m/~約10m/mの量で存在する。
【0043】
1つの実施形態では、触媒は、相間移動触媒、有機塩基触媒及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態では、触媒は、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、aliquat-336、18-クラウン-6、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びそれらの組合せから選択される相間移動触媒である。別の実施形態では、触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)及びそれらの組合せから選択される有機塩基触媒である。1つの実施形態では、触媒は、混合物中に約0.1モル%~約1モル%の量で存在する。別の実施形態では、触媒は、混合物中に約0.25モル%~約0.75モル%の量で存在する。
【0044】
1つの実施形態では、塩基は、無機塩基及び有機塩基から選択される。別の実施形態では、塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、粉末化炭酸カリウム(400メッシュ)、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、モノナトリウムナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド及びそれらの組合せから選択される無機塩基である。1つの実施形態では、塩基は、混合物中に約0.1モル%~約2モル%の量で存在する。別の実施形態では、塩基は、混合物中に約0.25モル%~約1.5モル%の量で存在する。
【0045】
1つの実施形態では、塩は、無機塩である。別の実施形態では、塩は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム及びそれらの組合せから選択される。
【0046】
1つの実施形態では、溶媒は、有機溶媒、水性溶媒及びそれらの組合せから選択される。1つの実施形態では、水性溶媒は、水を含む。別の実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ヘプタン、トルエン、n-オクタン及びそれらの組合せから選択される有機溶媒である。別の実施形態では、混合物は、有機溶媒を実質的に含まない。別の実施形態では、混合物中に有機溶媒が存在しない。
【0047】
1つの実施形態では、式Iの化合物は、2-クロロピリジン、2,3-ジクロロピリジン、2,6-ジクロロピリジン及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態では、式Iの化合物は、2-ブロモピリジン、2,3-ジブロモピリジン、2,6-ジブロモピリジン及びそれらの組合せから選択される。
【0048】
1つの実施形態では、式IIの化合物は、2-ヒドラジノピリジン、(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン、(6-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン及びそれらの組合せから選択される。
【0049】
1つの実施形態では、混合物を反応させる方法ステップは、約50℃~約200℃の範囲の温度で行われる。別の実施形態では、混合物を反応させる方法ステップは、約90℃~約115℃の範囲の温度で行われる。
【0050】
1つの実施形態では、混合物を反応させる方法ステップは、約6時間~約30時間の範囲の反応時間中に行われる。
【0051】
1つの実施形態では、混合物を反応させる方法ステップは、約1.0332kg/cm~約10kg/cmの範囲の圧力で行われる。別の実施形態では、混合物を反応させる方法ステップは、約1.0332kg/cm~約5kg/cmの範囲の圧力で行われる。
【0052】
1つの実施形態では、態様が、無機塩基及び相間移動触媒を含む混合物を含む場合、ヒドラジンの必要量が実質的に低下する。
【0053】
1つの態様では、(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジンは、スキーム2で示される方法に従って調製される。
【化6】
【0054】
1つの態様では、2-ヒドラジノピリジンは、スキーム3で示される方法に従って調製される。
【化7】
【実施例
【0055】
先の記述を使用する当業者は、さらなる労力なしに、本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。従って、以下の実施例は、単に説明のためと受け取られるべきであり、決して本開示を限定するものではない。以下の実施例のための出発物質は、必ずしも他の実施例に記述され、特定の調製操作によって調製されたものでなくてもよい。本明細書で列挙されるいずれの数値範囲も上限値から下限値までのすべての数値を含むことも理解されたい。例えば、ある範囲が「10~50」と記述される場合、それは、この指定において12~30、20~40又は30~50などの値が明示的に数えられるものとする。これらは、特定の目的のごく一例であり、本出願では、明示された下限値及び上限値を含むその範囲の数値のすべての可能な組合せが明示的に述べられると理解されたい。
【0056】
実施例1.有機溶媒なし。
243.2g(2.4m/m)のヒドラジン一水和物(100%)を300.0g(2.027モル)の2,3-ジクロロピリジン、2.1gのAliquat 336(0.25モル%、2,3-ジクロロピリジン基準で0.7%)及び98gのKCO(0.35m/m)の混合物に単一ロットの形態で25~30℃において添加した。発熱は、観察されなかった。参考として、100%ヒドラジン一水和物は、64%の水性ヒドラジンと均等である。その混合物を1時間で110~115℃に加熱し、14時間還流状態に保った。LC A%モニタリングでは、99.2%の(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン及び0.1%の2,3-ジクロロピリジンを示している。反応物質を冷却して80℃とし、300gの水を添加し、その反応物質を撹拌下でさらに冷却して25~30℃とした。そのようにして形成された沈殿物を濾過により捕集し、その物質を、1000gの水を用いて洗浄し、60℃において100~150torrの真空下で12時間かけて、恒量となるまで乾燥させた。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例2.溶媒としてのn-ブタノール。
20.3g(2.4m/m)の100%ヒドラジン一水和物を25.0g(0.169モル)の2,3-ジクロロピリジン、0.35gのAliquat 336(0.5モル%、2,3-ジクロロピリジン基準で1.4%)、88gのn-ブタノール及び16.3gのKCO(0.7m/m)の混合物に単一ロットの形態で25~30℃において添加した。発熱は、観察されなかった。参考として、100%ヒドラジン一水和物は、64%の水性ヒドラジンと均等である。その混合物を1時間で102~105℃に加熱し、30時間還流状態に保った。LC A%モニタリングでは、90.6%の(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン及び8.09%の2,3-ジクロロピリジンを示している。その反応物質を冷却して80℃とし、40gの水を添加し、その反応物質を撹拌下でさらに冷却して25~30℃とした。そのようにして形成された沈殿物を濾過により捕集し、その物質を、150gの水を用いて洗浄し、60℃において100~150torrの真空下で12時間かけて、恒量となるまで乾燥させた。
【0059】
【表2】
【0060】
実施例3.反応生成物としての2-クロロピリジン。
26.42g(2.4m/m)の64%水性ヒドラジンを25.0g(0.22モル)の2-クロロピリジン、0.35gのAliquat 336(0.4モル%、2-クロロピリジン基準で1.4%)及び21.3gのKCO(0.7m/m)の混合物に単一ロットの形態で25~30℃において添加した。発熱は、観察されなかった。参考として、100%ヒドラジン一水和物は、64%の水性ヒドラジンと均等である。その混合物を1時間で102~105℃に加熱し、21時間還流状態に保った。LC A%モニタリングでは、59.45%の2-ヒドラジノピリジン及び32.80%の2-クロロピリジンを示している。その反応物質を冷却して80℃とし、40gの水を添加し、その反応物質を撹拌下でさらに冷却して25~30℃とした。水層と有機層を分離し、その有機層を60℃、100torrの真空下で10時間かけて蒸留にかけると、2-ヒドラジノピリジン(8g、LCA%=93%)が残分として得られた。この粗反応生成物を、トルエンを用いた結晶化によりさらに精製すると、結晶の2-ヒドラジノピリジンが得られた。
【0061】
【表3】
【0062】
実施例4.塩基としてのリン酸三カリウム。
39.72g(2.4m/m)のヒドラジン一水和物(100%)を50.0g(0.331モル)の2,3-ジクロロピリジン、034gのAliquat 336(0.25モル%、2,3-ジクロロピリジン基準で0.7%)及び24.6gのKPO(0.35m/m/)の混合物に単一ロットの形態で25~30℃において添加した。45℃までの発熱が観察された。参考として、100%ヒドラジン一水和物は、64%の水性ヒドラジンと均等である。その混合物を1時間で110~120℃に加熱し、5時間還流状態に保った。LC A%モニタリングでは、98.5%の(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン及び0.1%の2,3-ジクロロピリジンを示している。その反応物質を冷却して80℃とし、50gの水を添加し、その反応物質を撹拌下でさらに冷却して25~30℃とした。そのようにして形成された沈殿物を濾過により捕集し、その物質を、165gの水を用いて洗浄し、60℃において100~150torrの真空下で12時間かけて、恒量となるまで乾燥させた。
【0063】
【表4】
【0064】
実施例5.塩基としての水酸化カリウム及びリン酸三カリウム。
33.11g(2m/m)のヒドラジン一水和物(100%)を50.0g(0.331モル)の2,3-ジクロロピリジン、0.34gのAliquat 336(0.25モル%、2,3-ジクロロピリジン基準で0.7%)、7.03gのKPO(0.1m/m)及び4.37gのKOH(0.2m/m)の混合物に単一ロットの形態で25~30℃において添加した。34~36℃までの発熱が観察された。参考として、100%ヒドラジン一水和物は、64%の水性ヒドラジンと均等である。その混合物を1時間で110~120℃に加熱した。17.48gのKOH(0.8m/m)を4つの等しいロットにおいて加熱下で2時間の間隔を空けて添加し、4つのロットを仕込んだ後、2時間還流状態に保った。LC A%モニタリングでは、98.9%の(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン及び0.1%の2,3-ジクロロピリジンを示した。その反応物質を冷却して80℃とし、50gの水を添加し、その物質を撹拌下でさらに冷却して25~30℃とした。そのようにして形成された沈殿物を濾過により捕集し、その物質を、165gの水を用いて洗浄し、60℃において100~150torrの真空下で12時間かけて、恒量となるまで乾燥させた。
【0065】
【表5】
【0066】
実施例6.塩基としての水酸化カリウムのロット毎の添加。
18.8gの85%KOH(0.7m/m)を60.0g(0.405モル)の2,3-ジクロロピリジン、0.41gのAliquat 336(2,3-ジクロロピリジン基準で0.25モル%)及び48.6g(2.4m/m)のヒドラジン一水和物(100%)の混合物にロット毎に添加した。ロット毎の添加は、20%(3.8g、0.14m/m)の水酸化カリウムを時間0に添加し、残りの水酸化カリウム(15g、0.56m/m)を8つの等しいロットにおいてそれぞれ100℃で2時間の間隔を空けて添加することにより実施した。参考として、100%ヒドラジン一水和物は、64%の水性ヒドラジンと均等である。その混合物を110~115℃で16時間保持した。LC A%モニタリングでは、99.38%の(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン及び0.635%の2,3-ジクロロピリジンを示している。その反応物質を冷却して80℃とし、60gの水を添加し、撹拌下でさらに冷却して25~30℃とした。そのようにして形成された沈殿物を濾過により捕集し、その物質を、200gの水を用いて洗浄し、60℃において100~150torrの真空下で12時間かけて、恒量となるまで乾燥させた。
【0067】
【表6】
【0068】
実施例7.塩基としての水酸化カリウム。
18.8gのKOH85%(0.70m/m)を60.0g(0.405モル)の2,3-ジクロロピリジン、0.41gのAliquat 336(2,3-ジクロロピリジン基準で0.25モル%)及び48.6g(2.4m/m)のヒドラジン一水和物(100%)の混合物に25~30℃において単一ロットの形態で添加した。そのようにして得られた混合物を1時間で110~115℃に加熱し、17時間還流状態に保った。LC A%モニタリングでは、99.4%(3-クロロ-2-ピリジル)ヒドラジン及び0%の2,3-ジクロロピリジンを示している。その反応物質を冷却して80℃とし、60gの水を添加し、次いで撹拌下でさらに冷却して25~30℃とした。そのようにして形成された沈殿物を濾過により捕集し、その物質を、200gの水を用いて洗浄し、60℃において100~150torrの真空下で12時間かけて、恒量となるまで乾燥させた。
【0069】
【表7】
【0070】
本明細書は、最良の態様を含む本開示を説明し、また任意のデバイス又はシステムの作製及び使用並びに任意の組み込まれた方法の実施を含めて、当業者が本開示を実施することを可能にするために例を使用している。本開示の特許を受けられる範囲は、請求項によって規定され、当業者に想到される他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが、請求項の文言と異ならない構成要素を有する場合又はそれらが、請求項の文言から実質的ではない差異を有する均等な構成要素を含む場合、請求項の範囲内にあるものとする。
【国際調査報告】