(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】輸送サービスにおいて乗客が利用可能なスペースを知らせるためのシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20230120BHJP
B61L 25/02 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
G06Q50/30
B61L25/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022528040
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 IB2020060700
(87)【国際公開番号】W WO2021094998
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】102019000021261
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505252296
【氏名又は名称】イタルデザイン-ジュジアーロ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】ITALDESIGN-GIUGIARO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】マルティノッティ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】レシェ,ピエルパオロ
【テーマコード(参考)】
5H161
5L049
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB20
5H161DD20
5H161FF07
5H161GG11
5H161GG16
5L049CC42
(57)【要約】
輸送システムの乗客が利用できるスペースを知らせるためのシステムが記述されており、乗客輸送システムは、乗客輸送車両(T)を備え、各車両は、それぞれの出入り口部(A1、A2)に関する乗客用の複数の既定のスペースのセクション(P1、P2)を備え、当該システムは、各輸送車両(T)に設置され乗客用の各スペースのセクション(P1、P2)における乗客数をリアルタイムで検出する第1センサ(S1)と、複数の既定の、停車駅における待合エリア(P)及び/又は停車駅におけるトランジットエリア(G)に設置され、待合エリア及び/又はトランジットエリアのそれぞれにおける人数をリアルタイムで検出する第2センサ(S2、S3)と、複数の運行時間における待合エリア及び/又はトランジットエリア(P、G)の乗客数及び混雑データのデータ履歴を格納するように適合された学習データベース(DB)と、乗客の降車流れ及び乗客の乗車流れ及び乗客が利用できるスペースを推定するように構成された処理コンプレックス(ECU)と、輸送車両のスペースのセクション(P1、P2)のそれぞれにおいて、乗客用スペースの利用可能性又は乗客用スペースの利用不可能性の合図を提供するのに適合した、乗客用のスペースの利用可能性を表示するための手段(D)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客の輸送手段(T)を備えた輸送システムの乗客に利用可能なスペースを知らせるためのシステムであって、各輸送手段は、それぞれの出入り口部(A1、A2)に関連する乗客用のスペースの複数の既定のセクション(P1、P2)を備え、及び既定領域内の輸送ネットワークにおける複数のそれぞれの停車駅間を循環するように設計されており、ここで当該システムは、
-各輸送手段(T)に搭載して設置された第1センサ手段(S1)であって、乗客用のスペースの複数のセクション(P1、P2)における乗客数をリアルタイムで検出し、検出した乗客数に従い、乗客用のスペースの複数のセクションのそれぞれにおけるそれぞれのスペース占有信号又はデータを発するように適合されている、第1センサ手段(S1)と、
-停車駅における複数の既定の待合エリア(P)に設置された第2センサ手段(S2)、及び/又は輸送ネットワークにおける停車駅への/からの複数の既定のトランジットエリア(G)に設置された第3センサ手段(S3)であって、待合エリア及び/又はトランジットエリアのそれぞれにおける人の数をリアルタイムで検出し、検出した人数に従い、対応する待合エリア及び/又はトランジットエリアにおけるそれぞれの混雑信号又はデータを発するように適合されている、第2及び/又は第3センサ手段(S2、S3)と、
-各輸送手段(T)の乗客用のスペースの既定のセクション(P1、P2)における乗客数に関するデータ、並びに、複数の既定の運行時間における停車駅からの到着時刻及び出発時刻での既定の待合エリア及び/又はトランジットエリア(P、G)の混雑データ、をそれぞれ含むデータ履歴を格納するように適合された学習データベース(DB)と、
-既定の停車駅での既定の輸送手段(T)における乗客が利用可能なスペースを推定するように構成された処理手段(ECU)であって、輸送手段(T)の乗客用のスペースのセクション(P1、P2)におけるスペース占有信号又はデータを第1センサ手段(S1)から受信するように、及び、輸送手段(T)にアクセスするために停車駅の待合及び/又はトランジットエリア(P、G)の混雑信号又はデータを第2及び/又は第3センサ手段(S2、S3)から受信するように、適合され、さらに、スペース占有信号又はデータ、混雑信号又はデータ、及び、対応するあるいは関連する運行時間におけるデータ履歴に従い、乗客用のスペースのセクション(P1、P2)のそれぞれに対する乗客の降車流れ及び乗客の乗車流れを推定するように設計され、かつ、現在のスペース占有信号又はデータ、推定された降車流れ及び推定された乗車流れに従い、乗客が利用可能な推定されたスペースを示す信号又はデータを発するように設計されている、処理手段(ECU)と、
-輸送手段(T)における乗客のためのスペースの利用可能性を表示するための手段(D)であって、乗客が利用できる推定されたスペースを示す信号又はデータを受信するように適合され、及び、乗客用のスペースのセクション(P1、P2)のそれぞれにおいて、乗客用のスペースの利用可能性の合図又は乗客用のスペースの利用不可能性の合図を提供するように適合された、手段(D)と、
-学習データベース(DB)を更新するための手段であって、輸送手段(T)の乗客用のスペースのセクション(P1、P2)における乗客数のデータ、及び、停車駅における輸送手段(T)の出発時刻及び到着時刻での停車駅における待合エリア及び/又はトランジットエリア(P、G)の混雑データ、のそれぞれをデータベースに格納するように設計された、更新するための手段と、
を備えた、システム。
【請求項2】
第1、第2、及び第3のセンサ手段(S1、S2、S3)は、出入り口(A1、A2)での乗客数を検出するように適合された監視カメラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1センサ手段(S1)は、輸送手段(T)への出入り口部(A1、A2)が閉じられた状態において乗客数を検出するように適合されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
処理手段(ECU)は、待合エリア(P)の混雑信号又はデータに従い、停車駅での乗客の乗車流れを推定するように、及び、停車駅のトランジットエリア(G)の混雑信号又はデータに従い、停車駅での乗客の降車流れを推定するように、構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
停車駅からのトランジットエリア(G)は、停車駅の待合エリア(P)からの出口通路を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
処理手段(ECU)は、停車駅に先に存在した既定数の輸送手段を参照する履歴データに従い、停車駅での乗客の降車流れを推定するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
処理手段(ECU)は、対応する又は関連する運行時間における履歴データに従い、停車駅での乗客の降車流れを推定するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
処理手段(ECU)は、輸送手段(T)の乗客用のスペースのセクション(P1、P2)におけるスペース占有信号又はデータに従い、停車駅での乗客の降車流れを推定するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
学習データベース(DB)は、輸送手段(T)の占有状態、待合エリア(P)の混雑状態、並びに、降車及び乗車の流れ、に相関する情報をさらに格納するように適合されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客輸送サービス及びシステムに関し、例えば公共輸送システム、特に、自動車車両及び列車の客車、例えば純粋に非限定的な例として鉄道車両、の循環(circulation)に基づく輸送システムに関する。
【0002】
より具体的には、本発明の主題は、請求項1における序文による、輸送システムの、例えば公共交通システムの乗客が利用できるスペースを知らせる(signaling)ためのシステムである。
【背景技術】
【0003】
一般的に、既定の領域における輸送ネットワークの1つ又は複数の都市又は郊外の輸送ラインにおける複数の停車駅間の運送では、車両又は客車の列車であろうとなかろうと、複数の輸送手段を備えた乗客輸送システムは、大量の乗客を車両/列車ごとに輸送可能にする。車両には、又は相互連絡客車あるいは分離客車の列車には、既定数の座席、及び立ち客が並ぶための既定の空きスペースが存在する。本明細書では、空きスペースは、乗客の平均サイズ及び乗客間の最適な距離に応じて、立っている乗客を収容するのに適していると考えられる予め定義された基準に従って予め決定したスペースを意味することを意図している。
【0004】
都会の鉄道列車などの列車では、空いた座席がなく立ち客を収容するための空きスペースがない、より混んでいる客車(通常、停車駅の入り口付近)、及び、いくつかの座席が空いており立ち客を収容するための空きスペースがより多い客車(通常、列車の両端で)が存在することは、珍しいことではない。複数の入口を設けた自動車車両における混雑は、出入り口部に関連した車両のセクションに乗客が不均一に分布している場合にも、不均衡になる可能性がある。
【0005】
車両又は列車に乗車する乗客は、立っているスペースがある、又は、座る必要がある人が少なくとも1つの座席を利用できる、車両又は列車の客車におけるセクションに直接アクセスできることが望ましい。しかしながら、しばしば、列車における客車が連通していない場合には、乗車後に空いたスペースあるいは空席のある客車に到達することができないかもしれず、又、乗客が混雑した客車を通り抜けねばならない場合には、それが非常に困難であるかもしれない。同じことは、長い自動車の場合にも当てはまり、乗客が混雑したセクションに乗った場合には、移動チケットを検証するための車載デバイスに到達するのが難しいかもしれない。
【0006】
従来技術において、同じ出願人からの欧州特許出願公開EP 3476690号から、輸送システムにおいて乗客が利用できるスペースを管理するためのシステムが知られており、この管理システムは、乗客輸送列車の異なる客車において、立つための空きスペースの利用可能性を、任意的に座席の利用可能性を、連続的に監視するのに適しており、かつ空きスペースを有する客車に乗客が予め向かうことを可能にするために、列車の客車への乗車を待っている乗客に上記利用可能性を合図することに適している。この合図は、表示手段によって現れ、該表示手段は、列車の客車において乗客が利用可能なスペースを示す信号又はデータを受信し、列車の既定のセクションにおける乗客用の空きスペースの利用可能性又は利用不可能性の合図を提供するのに適している。表示手段は、例えば、停車駅のプラットホームの床又は天井に一体化され、列車の客車の予想される出入り口の位置と同じ高さに配置された光源を、又は、客車の出入りドアでの、列車の客車の外壁に一体化された光源を含む。この光源は、第1又は第2の異なるモードに従って、例えば2つの異なる色、好ましくは空きスペース又は座席の利用可能性を示すために緑色、及び空きスペース又は座席の利用不可能性を示すために赤色に従って、点灯するように適合されている。
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、輸送手段の出入り口部に関連する客車又は客車のセクションにおける乗客数の情報のみに基づいて乗客が利用可能なスペースを管理するシステムは、乗客の乗車/降車に起因して、乗客が利用可能なスペースの正確な予測の必要性を満足するのが難しい。
【0008】
したがって本発明は、可能な限り正確であり、かつ輸送手段における乗客数を監視及び予測する機能を一体化した、乗客が利用可能なスペースを知らせるためのシステムを提供することを目的とする。
【0009】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する輸送システムにおいて乗客が利用可能なスペースを知らせるためのシステムによって達成される。
【0010】
特定の実施形態は、従属請求項の主題を形成し、その内容は、この明細書の不可欠な部分として理解されるべきである。
【0011】
要約すると、本発明は、乗客の降車及び乗車の流れの推定に従って、輸送システムにおいて乗客が利用できるスペースを知らせるためのシステムを提供するという原理に基づいており、上記推定は、輸送手段車中の乗客数の検出、及び停車駅の既定の待合エリアにおいて輸送手段を待っている人数の検出、並びにデータ履歴、に基づくものであり、データ履歴は、輸送手段における乗客数のデータ、及び、対応するもしくは関連する運行時間(travel time)、例えば乗客の習慣及び/又は行動が類似していると分類可能な別の日の同時間、又は同じ運行事象(travel event)もしくは条件例えば大気条件、における待合エリアの混雑データを含む。
【0012】
データ履歴は、各停車駅での輸送手段の到着時刻及び出発時刻で常に更新され、乗客の降車及び乗車の流れを推定するように設計された機械学習処理手段をトレーニングするのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、輸送手段が一時的に停止する輸送ネットワークの停車駅の概略図である。
【
図2】
図2は、利用可能なスペースを知らせるためのシステムの簡略化されたブロック図であり、このシステムが本発明の主題である。
【
図3】
図3は、本発明の主題である合図システムのプログラミング構造の実施形態を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる、その実施形態の以下の詳細な説明において、より詳細に説明される。
【0015】
図1は、純粋に概略的に、輸送システムにおいて乗客が利用できるスペースを知らせるためのシステムを示しており、このシステムは、本発明の主題である。
【0016】
輸送システムは、複数の乗客輸送手段を備え、そのそれぞれは、それぞれの出入り口部に関連した乗客用スペースの複数の既定のセクションを備える。この図は、2両の客車Cによって形成される列車などの輸送手段Tを示しており、各客車は、参照符号P1、P2によって示される、乗客用のスペースの2つのセクションを有し、これらには、対応する出入り口A1、A2を介してアクセスすることができる。一般的に、乗客用のスペースのセクションは、座席、及び/又は並んで立っている乗客用の既定の空きスペースを備えることができる。以下の説明は、純粋に例示として理解されることを意図しており、輸送手段はまた、例えば連結式車両などの単一の客車によって形成される自動車車両であってもよい。
【0017】
各輸送手段は、既定領域における輸送ネットワークの複数のそれぞれの停車駅間を循環するように設計され、
図1は、輸送手段を待つ乗客用の1つ又は複数の待合エリアを備えた停車駅の待合プラットホームPを示し、2つのトランジットエリアGを介してプラットホームに出入りすることが可能である。
【0018】
第1センサ手段S1は、各輸送手段Tに搭載して設置されており、第1センサ手段は、乗客用のスペースの複数のセクションP1、P2のそれぞれにおける乗客数をリアルタイムで検出するように適合されており、第1センサ手段は、検出された乗客数に従い、乗客用のスペースの複数のセクションのそれぞれにおいて乗客が利用できるスペースの占有を表すそれぞれの信号又はデータを発行するように適合されている。
【0019】
上記センサ手段S1は、例えば、客車内のスペースの占有及び使用を監視するように設計された、複数のビデオカメラのような、例えば監視カメラ、好ましくは利用可能なスペースの各セクションごとに1つ、客車内を撮影する手段を備え、この撮影する手段は、利用可能なスペースに関連するセクションにおけるシーンを撮影するように適合され、このシーンから、一体化された又は外部の画像認識システムがそのシーンにおける乗客数を決定することができる。
【0020】
センサ手段S1は、特に、輸送手段への出入り口部A1、A2が閉じられたとき、例えば輸送手段Tが1つの停車駅と次の停車駅との間を移動しているときなどに、乗客の数を検出するように適合されている。該検出は、輸送手段が出入り口部を閉じると直ぐに実行されるのが好ましい。
【0021】
第2センサ手段S2は、停車駅における複数の既定の待合エリアに、例えばプラットホームPに設置され、この第2センサ手段は、それぞれの上記待合エリアにおける人数をリアルタイムで検出し、検出した人数に従い待合エリアのそれぞれの混雑信号又はデータを発するように適合されている。輸送手段Tが停車駅に到着する前、混雑信号又はデータは、輸送手段に乗るのを待っている人々の数を示し、輸送手段が停車駅から出発すると、混雑信号又はデータは、行われた、輸送手段からの降車の流れを示すことができる。
【0022】
センサ手段S2はまた、例えば、プラットホームのスペースの占有及び使用を監視するように設計された、複数のビデオカメラのような、例えば監視カメラ、好ましくはプラットホームの各既定エリアごとに1つ、プラットホームを撮影する手段を備え、この撮影する手段は、プラットホームに関連するエリアにおけるシーンを撮影するように適合され、このシーンから、一体化された又は外部の画像認識システムがそのシーンにおける人々の数を決定することができる。
【0023】
センサ手段S3はまた、停車駅への/からのトランジットのエリアGに、例えばプラットホームからの必須の出口通路に沿って、設置され、このセンサ手段は、人数及び各トランジットエリアにおける流れの方向をリアルタイムで検出し、検出された人数に従いそれぞれのトランジット信号又はデータを発するように適合されている。センサ手段S1及びセンサ手段S2と同様に、センサ手段S3もまた、撮影手段として有利に設計され得る。
【0024】
図2のブロック図を参照して、当該システムは、例えば、停車駅で及び輸送手段において分散されたプロセッサのネットワークを含む処理手段ECUと、少なくとも1つの中央制御ユニットと、をさらに備え、これらは、ケーブルによって又は無線を介して相互接続され、機械学習アルゴリズム及び高度な統計モデルによって、既定の停車駅で輸送手段における乗客が利用可能なスペースを推定するように構成される。処理手段ECUは、第1センサ手段S1から、輸送手段Tの乗客用のスペースのセクションにおける利用可能なスペースの占有信号を受信し、かつ、第2センサ手段S2、S3から、輸送手段Tが向かっている停車駅の待合エリア及び/又はトランジットエリアの混雑信号を受信するように適合されている。この図は、停車駅(輸送手段が一時的に停車したときの)に設置されたセンサと表示デバイスとのセットを示している、センサ手段及び合図(signaling)デバイスのさまざまなグループを示している。ここで及び以後、「既定の停車駅で」という表現は、輸送手段が停車駅に向かうときに乗客が利用可能なスペースは、その輸送手段がその停車駅に到着するときの時刻よりも前に推定されることができるので、その輸送手段に乗るのを待っている人々に効率的な合図を提供するために、広い意味で理解されることを意図している。一実施形態では、処理手段は、すべての停車駅に分散されており、そこから、停車した輸送手段から及び停車駅自体から信号を受信し、処理手段はネットワークにおいて相互接続されており、検出された信号又は処理の結果を、輸送ラインに沿って次の停車駅へ送信する。処理手段はまた、輸送手段に搭載して分散されてもよく、そして、ここから及び停車駅から、中央ユニットと通信してもよい。あるいはまた、単一の中央ユニットに処理手段を実装して、そのために、車載用センサ手段によって検出された信号又はデータを停車駅でリピーターモジュールに向けて無線送信を提供することを可能にし、また、車載用センサ手段から受信された信号又はデータの、及びリピーターモジュールから中央ユニットへの停車駅のセンサ手段によって検出された信号又はデータの、ケーブルを介した送信を提供することを可能にする。
【0025】
有利には、輸送手段に乗るために最も容易な場所へ乗客自身が位置することができる最大の時間を乗客に与えるために、可能な限り事前に乗客に合図を提供するように、輸送手段において乗客が利用できるスペースは、輸送手段が出入り口部を閉じ、次の停車駅に向けて出発する準備をするとすぐに推定される。しかしながら、出発駅と到着駅とが十分に離れている場合、又は輸送手段の出発駅での画像の送信及び処理に問題がある場合には、輸送手段が2つの停車駅間の通過中に乗車に利用可能なスペースを推定することができる。
【0026】
学習データベースDBは、処理手段ECUにつながれており、各輸送手段における乗客用のスペースのセクションにおける乗客数のデータを、並びに、到着時刻及び停車駅からの出発時刻での、少なくとも1つの既定の運行時間における、待合エリア及び/又はトランジットエリアの混雑データのそれぞれを含むデータ履歴を、格納するように適合されている。
【0027】
学習データベースは、乗客数のデータ、及び複数の運行時間における混雑に関するデータを格納するように有利に設計されている。
【0028】
学習データベースはまた、輸送手段の占有状態、待合エリアの混雑状態、並びに、降車及び乗車の流れに関連する情報、例えば、輸送システムの使用率に影響を与える気象条件に関する情報、も格納するように適合されている。
【0029】
処理手段ECUは、対応する又は関連する運行時間におけるスペース占有信号、混雑信号、及びデータ履歴に従って、停車駅での輸送手段における乗客のためのスペースの各セクションに関する乗客の降車流れ及び乗車流れを推定するように、そして、推定された降車流れ及び推定された乗車流れに従って、乗客が利用可能な推定されたスペースを示す信号又はデータを発するように、設計されている。対応する運行時間には、例えば、その週の異なる曜日の対応する運行時間、又は異なる週の対応する運行時間、又は同じ事象の場合(同じ日であっても)が含まれる。
【0030】
処理手段ECUは、待合エリアの混雑データに従い停車駅での乗客の乗車流れを推定し、及び、停車駅のトランジットエリアの混雑データに従い停車駅での乗客の降車流れを推定するように構成されている。
【0031】
処理手段はまた、停車駅で先に存在した既定数の輸送手段を参照した履歴データに従って、及び/又は対応する又は関連の運行時間における履歴データに従って、及び/又は停車駅に到着する輸送手段における乗客用のスペースのセクションにおけるスペース占有信号又はデータに従って、停車駅での乗客の降車流れを推定するようにも構成されている。
【0032】
有利には、輸送手段の混雑と相関する、及び、ある停車駅から別の停車駅への移動と相関する、即ち、運行時間及び/又は事象だけでなく、輸送サービスの例外、気象条件、及び輸送手段の占有レベルと相関する可能性のある一般的なデータとも相関し得るデータは、学習データベースBBに格納され得る。
【0033】
輸送手段のセクションにおいて乗客が利用できる推定されたスペースを示す信号又はデータは、輸送手段のスペースの各セクションにおいて乗客のために利用可能又は利用不可能の合図を提供するために、乗客が利用可能なスペースを表示するための手段Dによって、例えば、停車駅のプラットホームへの輸送手段の出入り口部A1、A2の位置又は予想される位置と同じ高さに配置された光源によって、使用される。
【0034】
有利には、現在の好ましい実施形態では、乗客が利用できる推定されたスペースを示す信号又はデータは、3つの占有状態、つまり、輸送手段の乗客用のスペースの関連セクションが空いている又はほとんど混雑していない第1状態(したがって、表示手段の光源は緑色で点灯する)、輸送手段の乗客用のスペースの関連セクションが部分的に占有されている第2状態(したがって、表示手段の光源は黄色又はオレンジ色で点灯する)、及び、輸送手段の乗客用のスペースの関連セクションが完全に又はほぼ完全に占有されている第3状態(したがって、表示手段の光源は赤色で点灯する)、のそれぞれを表すように処理される。
【0035】
処理手段はまた、学習データベースDBを更新するための手段を有利に提供し、この更新手段は、停車駅での輸送手段の到着時刻及び出発時刻のそれぞれで、輸送手段のスペースのセクションにおける乗客数及び乗客用スペースの占有の現在のデータを、並びに、停車駅における待合エリア及び/又はトランジットエリアの混雑データを、データベースに格納するように設計されている。
【0036】
一実施形態では、乗客数は、輸送手段の出入り口部で検出され、また、乗客用のスペースの占有状態は、出入り口から離れて待っている乗客数に対して出入り口の正面で待っている乗客数に異なる重み付けを帰することによって推定することも可能である。
【0037】
図3は、モジュラアーキテクチャを備えた、本発明の主題である合図システムのプログラミング構造の一実施形態のブロック図を示している。
【0038】
参照符号100は、処理手段ECUによって実行される合図システムのメインモジュールを示し、中央ユニットに配置される。一連の構成ファイルは、メインモジュール100への入力として提供される。これらのファイルは、センサ手段S1、S2、S3を作動させるために、及び一般に外部環境と相互作用するために、必要なすべての情報を含む。構成ファイルは、監視される輸送システムの概略図、例えば、停車駅のリスト、各停車駅の地理的位置、各停車駅内のセンサ手段S2、S3の位置、及び監視される待合エリア及び/又はトランジットエリアのリストなども含む。
【0039】
一旦、メインモジュール100が初期化されると、それは、本発明の主題であるシステムを操作するために必要とされる複数の既定の従属するソフトウェアモジュールを生成する。即ち、それは、一連のプロセス及びサービスを起動し、以下のものを含む。
-通信サービスモジュール110、これは、図では全体として120で示されているセンサ手段S1、S2、S3からの、及び、図では全体として130で示されている他の可能なセンサ(例えば、レーザー走査センサ、乗降用踏み段における重量センサなど)からの信号又はデータを受け入れるように適合されている、
-メタデータ生成モジュール140、これは、停車駅及び輸送手段の外部インフラストラクチャのサービス及びAPI145にアクセスするように適合されている、
-外部要素を制御するためのモジュール150、このモジュールは、無線通信システムを介して、停車駅の表示手段Dなどの制御された外部要素160に接続されるように適合されている、
-データベース管理モジュール170、これは、学習データベースDBに接続するように適合されている、
-複数の予測モジュール、これは、機械学習統計分析アルゴリズムに基づいており、既定の運行時間における又は運行事象あるいは条件の場合における乗客の挙動を予測するためのモジュール180、輸送手段の占有状態を予測するためのモジュール190、及び、停車駅の待合エリア及び/又はトランジットエリアの混雑を予測するためのモジュール200を含む、
-監視モジュール210。
【0040】
先のソフトウェアモジュールのすべてが生成されたとき、メインモジュール100は、待機に切り替わり、特定の事象、例えば、表示デバイスの非作動化、リセット、又は制御用の命令(コマンド)などの、外部システムからの命令が発生するのを待つ。
【0041】
監視モジュール210は、輸送システムの実要素に対応するコピーで、データ処理機能で強化された仮想要素を生成し、即ち、該モジュールは、輸送システムの具体的な実要素を監視するのに使用される一連のプロセスを発生する。
図3の例では、監視モジュール210は、仮想車両要素を生成する車両モジュール300、仮想待合エリア要素を生成する待合エリアモジュール310、及び仮想トランジットエリア要素を生成するトランジットエリアモジュール320、と結びつけられている。時間の経過とともに、監視モジュール210は、発生し、生成された仮想要素に関連する関心のある事象を追跡する。
【0042】
車両モジュール300は、それぞれの操作モジュール、例えば、センサ手段S1を表すための操作モジュール400、混雑の程度を決定するための操作モジュール510、及び決定された混雑程度から輸送手段の占有を推定するための操作モジュール420、に結びつけられている。
【0043】
待合エリアモジュール310及びトランジットエリアモジュール320は、輸送手段へのそれぞれの操作モジュール、例えば、出入りドアの開状態等を検出するように適合された物体検出器操作モジュール500、センサ手段S2、S3としてそれぞれ行動する操作モジュール510、事象及び人々の挙動(例えば、異なる運行時間における、輸送手段から降りた人の量及びトランジットエリアを通る停車駅からの流出)を検出するための操作モジュール520、並びに、待合エリア及びトランジットエリアの混雑の程度をそれぞれ決定するための操作モジュール530、に関連付けられている。
【0044】
説明したいくつかのモジュールは、命令(コマンド)及び/又は情報を外部環境により交換するために互いに相互作用することができ、例えば、車両モジュール300は、制御された要素160を指揮するために、例えば停車駅における合図手段の光源のオン、オフを切り替えるために、外部要素を制御するためのモジュール150を使用してもよい。
【0045】
輸送手段のセンサS1及び待合エリアのセンサS2(又はトランジットエリアのセンサS3)を構成する撮影手段が使用できないという事象では、当該システムは、機械学習モデルを使用して自律的に動作することができ、履歴データに基づいて、次に予測モジュール180、190、200を使用して、車両の占有又は待合エリアの混雑のレベルを推定することができる。
【0046】
通信サービスモジュール110及びメタデータ生成モジュール140は、システムが動作するために必要なすべてのデータを、例えば、輸送手段の運行位置及び方向、及び、センサ手段S1、S2を構成するビデオカメラからのビデオストリームを、リアルタイムで受信するために、センサ手段S1、S2、S3、ウェブサービス及びインフラストラクチャ145のAPI、並びに、一般にすべての外部サービスと通信するように設計されている。
【0047】
データベース管理モジュール170は、格納された履歴データを取得するために、及び新しい履歴データを格納するために、処理手段ECUとデータベースBBとの間のインターフェースとして行動する。
【0048】
有利には、本発明のシステムによって、輸送システム例えば自動車又は鉄道の公共交通システムの利用者で、停車駅の待合エリアで輸送手段を待っている利用者は、混雑が少ない輸送手段のセクションに関連する出入り口部と同じ高さに自身を配置するように、輸送手段の内部で利用可能なスペースのセクションの占有レベルの視覚的合図に従って、到着する輸送手段への出入り口部と同じ高さに自身を配置することができる。
【国際調査報告】