(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】異なる圧縮を有するシール
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20230120BHJP
F16L 37/04 20060101ALN20230120BHJP
【FI】
F16J15/10 U
F16J15/10 F
F16L37/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529092
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 SE2020051118
(87)【国際公開番号】W WO2021107841
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506259461
【氏名又は名称】ロックステック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】カールソン アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3J040
3J106
【Fターム(参考)】
3J040BA07
3J040CA02
3J040EA25
3J040EA41
3J040EA50
3J040FA06
3J040FA20
3J040HA21
3J040HA30
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC03
3J106BD03
3J106DA17
3J106DA30
(57)【要約】
シールは、2つの同一のシール半体1で形成される。各シール半体1は、前部継手4と、後部継手5と、前部継手4と後部継手5との間に配置された圧縮可能部と、多数のねじ7、14、18、21とを備える。前記ねじは、前部継手4、後部継手5および圧縮可能部の開口部を貫通している。圧縮可能部は、第1の材料2と、第2の材料3と、第1の材料2と第2の材料3との間に配置された中間継手6とを備える。第1の材料2、第2の材料3および中間継手6は、ねじ7、14、18、21を受け入れるための貫通開口を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの同一のシール半体(1)で形成されるシールであって、各シール半体(1)は、前部継手(4)と、後部継手(5)と、前部継手(4)と後部継手(5)との間に配置された圧縮可能部と、前部継手(4)、後部継手(5)および圧縮可能部の開口部を通る多数のねじ(7、14、18、21)とを備え、
前記圧縮可能部は、第1の材料(2)と、第2の材料(3)と、第1の材料(2)と第2の材料(3)との間に配置された中間継手(6)とを備え、第1の材料(2)、第2の材料(3)および中間継手(6)は、ねじ(7、14、18、21)を受け入れるための貫通開口を有することを特徴とする、シール。
【請求項2】
後部継手(5)および中間継手(6)を移動させる手段を有し、前記手段を操作する際に、前記手段は、前部継手(4)に対して後部継手(5)と中間継手(6)とを異なる軸方向長さに移動させ、第1の材料(2)および第2の材料(3)は異なる特性を有する、請求項1に記載のシール。
【請求項3】
第1の材料(2)および第2の材料(3)の一方は、例えば膨張性材料であるなど主に防火特性を有し、第1の材料(2)および第2の材料(3)の一方は、主にシール特性を有する、請求項2に記載のシール。
【請求項4】
後部継手(5)および中間継手(6)を移動させる手段は、ソケット(10)によって囲まれたねじ(7)を含む、請求項2または3に記載のシール。
【請求項5】
各ねじ(7)は、後部継手(5)の開口部の1つのねじ山と協働するためのねじ山(9)を有し、各ソケット(10)は、中間継手(6)の開口部の1つのねじ山と協働するための外ねじ(12)を有し、ねじ(7)とソケット(8)とは互いに独立して回転可能である、請求項4に記載のシール。
【請求項6】
ねじ(7)のねじ頭(8)がソケット(10)のソケットヘッド(11)の内部に受け入れられる、請求項4または5に記載のシール。
【請求項7】
後部継手(5)および中間継手(6)を移動させる手段は、第1のねじ山(16、19、22)および第2のねじ山(17、20、23)を有するねじ(14、18、21)を含み、各ねじ(14、18、21)の第1のねじ山(16、19、22)および第2のねじ山(17、20、23)は異なるピッチを有する、請求項2または3に記載のシール。
【請求項8】
各ねじ(14、18、21)の第1のねじ山(16、19、22)は、中間継手(6)の開口部の1つのねじ山と協働するようになっており、各ねじ(14、18、21)の第2のねじ山(17、20、23)は、後部継手(5)の開口部の1つのねじ山と協働するようになっている、請求項7に記載のシール。
【請求項9】
各ねじ(14、21)の第1のねじ山(16、22)は、第2のねじ山(17、23)よりも低いピッチを有する、請求項7または8に記載のシール。
【請求項10】
各ねじ(18)の第1のねじ山(19)は、第2のねじ山(20)よりも高いピッチを有する、請求項7または8に記載のシール。
【請求項11】
第1の材料(2)および第2の材料(3)の内側に多数の剥離可能な層(13)が配置されている、請求項1~10のいずれか1項に記載のシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる圧縮(different compressions)を有するシールに関する。ここで、シールは、異なる材料の部分を有し、この異なる部分は、異なる力で圧縮されることになっている。
【背景技術】
【0002】
ある種の仕切りの開口部を通るケーブルまたはパイプを密封するために、円筒形シールを使用することが知られている。このような円筒形シールは、圧縮可能部と、圧縮可能部の互いに反対側の端部にある継手とから構成され得る。使用時には、シールは、仕切りの開口部内のケーブルまたはパイプの周りに配置され、その後、圧縮可能部は、ねじによって互いに向けて移動される継手によって圧縮される。圧縮可能部は、軸方向に圧縮されると半径方向に内側および外側に膨張し、ケーブルまたはパイプに対して内側にシールされ、仕切りの開口部に対して外側にシールされる。
【0003】
この種のシールは、通常、仕切りの開口部に直接、または仕切りの開口部に受容されたスリーブ内に配置される。仕切り(partition)は、船舶の甲板や隔壁、キャビネットの壁、テクニカルシェルター、ジャンクションボックスまたはマシン、あるいは建物の壁、床、屋根などであり得る。
【0004】
ある種の仕切りの開口部を通過するケーブルまたはパイプのためのシールにおいて、異なる特性を有するシール材料が必要とされることがある。例えば、水圧と火災に対して同じ移行(transition)でシールすることが必要とされることがある。また、その他の特性が求められる場合もあり、その結果、異なる特性を有する材料が必要となる。しかし、このような材料は、機械的特性に大きな違いを有する場合がある。例えば、非常に多孔質の材料と高密度の材料が一緒になっているような場合である。したがって、最適に機能するために、異なるシール材料は、異なる圧縮力を必要とし、および/または、異なる圧縮力に耐え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み、本発明の1つの目的は、異なる特性を有する異なるシール材料が互いに無関係に圧縮され得るシールを提供することである。それはまた、制御された圧縮(例えば、30°ショアAと90°ショアAとの組み合わせ)で1つの単一製品に異なる特性を有する材料を組み合わせる可能性として表現され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、シールは、2つの同一のシール半体で形成される。各シール半体は、前部継手と、後部継手と、前部継手と後部継手との間に配置された圧縮可能部と、前部継手、後部継手および圧縮可能部の開口部を通る多数のねじとを備える。圧縮可能部は、第1の材料と、第2の材料と、第1の材料と第2の材料との間に配置された中間継手とを備える。第1の材料、第2の材料および中間継手は、ねじを受け入れるための貫通開口を有する。
【0007】
第1の材料と第2の材料を互いに独立して圧縮することができるために手段を配置し得る。一例では、前記手段は、後部継手に作用するねじであり、このねじは、中間継手に作用するソケットによって囲まれている。別の例では、前記手段は、後部継手と中間継手とにそれぞれ作用する異なるピッチのねじ山を有するねじである。
【0008】
本発明のさらなる目的および利点は、以下の詳細な説明を読めば当業者には明らかであろう。
【0009】
本発明は、例として、同封の図面を参照して以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明によるシールの一実施形態のシール半体の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の線A-Aに沿ってとられた断面図である。
【
図6】
図6は、シール半体の部品の第2の実施形態の
図3に対応する斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態で使用可能なねじの例である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態で使用可能なねじの例である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態で使用可能なねじの例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
異なる実施形態において同一である要素には、以下の説明において同一の参照符号を付与する。この説明で使用される「軸方向」、「半径方向」および同様の表現は、シール内に受容されるケーブルまたはパイプを考慮したものである。
【0012】
図示の実施形態では、第1の材料2および第2の材料3を備えるシール半体1が示されており、第1の材料2および第2の材料3は、ゴムなどの圧縮可能材料でできている。第2の材料3の外周側には前部継手(front fitting)4が配置され、第1の材料2の外周側には後部継手(rear fitting)5が配置されている。前部継手4と後部継手5とは、シール半体1の互いに反対側の端部に配置される。第1の材料2と第2の材料3との間には中間継手(middle fitting)6が配置される。第1の材料2および第2の材料3は、中間継手6とともにシール半体1の圧縮可能部を形成している。
【0013】
多数のねじ(screw)7が、前部継手4、第2の材料3、中間継手6および第1の材料2の開口部を通り、後部継手5のねじ付き開口部(threaded opening)で終わっている。各ねじ7は、前部継手4の外側で受けるソケットヘッドキャップの形をしたねじ頭(screw head)8と、後部継手5のねじ付き開口部の1つと共働するためのねじ山(thread)9を有する。ソケット10は、前部継手4と中間継手6との間の各ねじ7のステムの外側に配置される。各ソケット10は、図示の実施形態では六角形のソケットヘッド(socket head)11を有し、このソケットヘッド11は、ねじ頭8の外側に配置され、これを取り囲んでいる。各ソケット10は、前部継手4の開口部を通り、端部に、中間継手6のねじ開口部に受け入れられるねじ山(thread)12を有している。各ねじ7と、前記ねじ7の外側に配置されたソケット10とは、互いに対して自由に回転することができる。したがって、ねじ7の1つを操作しても対応するソケット10に影響を与えず、ソケット10の1つを操作しても対応するねじ7に影響を与えない。
【0014】
円筒形のシールは、2つのシール半体1がケーブルまたはパイプの反対側で互いに対向して配置されるように形成される。形成されたシールの前部継手4の外径は、仕切り(partition)の開口部の内径よりも大きく、その開口部に、取り付けられたシールを有するケーブルまたはパイプが受け入れられることになり、シールは仕切りの開口部を通過することを止められる。他の実施形態では、前部継手の外径は、中間継手および後部継手の外径と同じである。このような実施形態は、シールが開口部、パイプまたはスリーブの中に距離を置いて配置される場合に使用される。
【0015】
シール半体1のねじ7の回転により、後部継手5は、前部継手4に向かう方向または前部継手から離れる方向に移動される。中間継手6の位置は、ねじ7の回転によって変化しない。ソケット10の回転により、中間継手6は、前部継手4に向かう方向または前部継手から離れる方向に移動される。後部継手5の位置は、ソケット10を回転によって変化しない。後部継手5および中間継手6が前部継手4に対して移動される長さは、第1の材料2および第2の材料3がそれぞれ、軸方向の圧縮に耐える能力、および所望の機能を与えるために必要な軸方向の圧縮に依存する。
【0016】
図示の実施形態では、各シール半体1には3つのねじ7がある。当業者は、例えばシールのサイズまたは他の特性に応じて、他の数のねじ7を使用することができることを認識する。
【0017】
図示の実施形態では、シール半体1は、第1の材料2および第2の材料3の内側に多数の層13を有する。多数の前記層13は、2つのシール半体1の形成されたシールの内径を、そのような形成されたシールの内部に受け入れられるべきケーブルまたはパイプの外径に適合させるために剥離され得る。
【0018】
代替の実施形態では、各ねじ7および対応するソケット10は、1つの単一ねじ14と置き換えられる。単一ねじ14の各々は、図示の実施形態ではソケットヘッドキャップの形態であるねじ頭15を有し、そのねじ頭15は、前部継手4の外側に受け入れられる。ねじ14は、中間継手6のねじ開口部の1つと噛み合う第1のねじ山(thread)16と、後部継手5のねじ開口部の1つと噛み合う第2のねじ山(thread)17とを有する。第1のねじ山16と第2のねじ山17とのそれぞれのピッチに依存して、ねじ14を操作したときに、後側継手5と中側継手6とが前側継手4に対して異なる距離を移動し得る。
【0019】
図8~
図10では、第1のねじ山と第2のねじ山との間に異なる比率を有する3つの異なるねじが示されている。示された例の1つである
図8のねじ14では、第1のねじ山(thread)16は0.5mmのピッチを有し、第2のねじ山(thread)17はlmmのピッチを有し、これにより、ねじ14が操作されたときの、後部継手5に対する中間継手6の移動について1:2の比率を与える。したがって、この例では、ねじ12を締め付けたときに、第1の材料2が第2の材料3よりも大きく圧縮されることになる。
【0020】
図9では、lmmのピッチを有する第1のねじ山(thread)19と0.5mmのピッチを有する第2のねじ山(thread)20とを有するねじ18が示されており、ねじ18が操作されたとき、後側継手5に対する中間継手6の移動について2:1の比率を与える。したがって、この例では、ねじ18を締めたときに、第1の材料2が第2の材料3よりも小さく圧縮されることになる。
【0021】
図10では、0.5mmのピッチを有する第1のねじ山(thread)22と0.8mmのピッチを有する第2のねじ山(thread)23とを有するねじ21が示されており、ねじ21を操作したときの、後部継手5に対する中間継手6の移動について1:1.6の比率を与える。したがって、この例では、ねじ21を締め付けたときに、第1の材料2が第2の材料3よりも大きく圧縮されることになる。
【0022】
中間継手6および後部継手5の開口部のねじ山のピッチは、それぞれ、使用するねじ14、18、21の第1のねじ山16、19、22および第2のねじ山17、20、23のピッチに適合させる。当業者であれば、それぞれ、第1の材料2および第2の材料3の特性および軸方向長さに応じて、上記に示した以外のピッチを有する第1のねじ山および第2のねじ山を有するねじが選択され得ることを認識する。
【0023】
使用時には、2つのシール半体1が、仕切りの開口部を通るケーブルまたはパイプを囲んで互いに対向するように配置される。シールの内径をケーブルまたはパイプの外径に適合させるために、各シール半体1から1つまたは複数の層13を剥離し得る。次に、前部継手4の外径が仕切りの開口部の内径よりも大きい場合、後部継手5を先にして、前部継手4が仕切りと接するまで、シールを仕切りの開口部に押し込む。外径が前部継手、中間継手および後部継手について同じである実施形態については、シールを仕切りの開口部にさらに押し込み得る。その後、ねじおよび可能なソケットを締めて、第1の材料2および第2の材料3を互いに独立して圧縮する。軸方向の圧縮により、第1の材料2および第2の材料3の各々は、ケーブルまたはパイプと仕切りの開口部に対してシールするために半径方向に膨張する。この半径方向の膨張によって、シールは、仕切りの開口部にも保持される。
【国際調査報告】