(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】電磁バンドギャップ構造物
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/14 20060101AFI20230120BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
H01Q15/14 Z
H01Q9/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529617
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2020007484
(87)【国際公開番号】W WO2021125466
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0168698
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521495699
【氏名又は名称】ディフェンス・エージェンシー・フォー・テクノロジー・アンド・クオリティ
【氏名又は名称原語表記】DEFENSE AGENCY FOR TECHNOLOGY AND QUALITY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンハン
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA04
5J020BC09
5J020BD03
5J020BD04
(57)【要約】
本出願は電磁バンドギャップ構造物、これを含む指向性アンテナおよびこの用途に関し、本出願の電磁バンドギャップ構造物およびこれを含む指向性アンテナによると、軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。また、前記電磁バンドギャップ構造物およびこれを含む指向性アンテナは航空電子装備および携帯用測定装備に使われ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;
前記基板の下部に形成され、第1面に互いに一定の間隔で配置された二つ以上の第1スリットを含む下部層;および
前記基板の上部に形成され、第1面に互いに一定の間隔で配置された二つ以上の第2スリットを含む上部層を含み、
共振構造を有し、
少なくとも一つのスリットの幅または間隔はダイポールアンテナの共振周波数波長によって決定される、電磁バンドギャップ構造物。
【請求項2】
前記二つ以上の第1スリット間の間隔は共振周波数波長の0.002以下である、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項3】
前記第1スリットは幅が共振周波数波長の0.015~0.020である、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項4】
前記第1スリットは長さが共振周波数波長の0.05~0.10である、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項5】
前記第1スリットは厚さが共振周波数波長の0.0002以下である、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項6】
前記下部層は銅、金、銀およびアルミニウムからなる群から選択された一つ以上の金属で形成された、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項7】
前記第1スリットと第2スリットは互いに重ならないように等間隔で配置される、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項8】
前記二つ以上の第2スリット間の間隔は共振周波数波長の0.002以下である、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項9】
前記第2スリットは幅が共振周波数波長の0.015~0.020である、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項10】
前記第2スリットは長さが共振周波数波長の0.05~0.10である、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項11】
前記第2スリットは厚さが共振周波数波長の0.0002以下である、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項12】
前記上部層は銅、金、銀およびアルミニウムからなる群から選択された一つ以上の金属で形成された、請求項1に記載の電磁バンドギャップ構造物。
【請求項13】
請求項1に記載された電磁バンドギャップ構造物;
前記電磁バンドギャップ構造物の下部層の第1面と離隔して備えられた第1ダイポール素子および前記電磁バンドギャップ構造物の上部層の第1面と離隔して備えられた第2ダイポール素子を有するダイポールアンテナ;および
前記ダイポールアンテナの第1ダイポール素子と第2ダイポール素子に電気的信号を印加する電源部を含む、指向性アンテナ。
【請求項14】
前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子それぞれは前記電磁バンドギャップ構造物の第1面と平行であり、第1電源線および第2電源線それぞれによって前記電源部に連結される、請求項13に記載の指向性アンテナ。
【請求項15】
前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子それぞれは、前記電磁バンドギャップ構造物の第1面と共振周波数波長の0.06以下の間隔で備えられる、請求項14に記載の指向性アンテナ。
【請求項16】
前記第1電源線および第2電源線を基準として対称となっている状態で前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子の長さの和は、共振周波数波長の0.35~0.6である、請求項14に記載の指向性アンテナ。
【請求項17】
前記ダイポールアンテナは共振周波数の帯域幅が15%以上である、請求項13に記載の指向性アンテナ。
【請求項18】
前記ダイポールアンテナは最大具現利得が2dBi以上である、請求項13に記載の指向性アンテナ。
【請求項19】
前記ダイポールアンテナは放射効率が80%以上である、請求項13に記載の指向性アンテナ。
【請求項20】
前記ダイポールアンテナは前後方放射比率が8dB以上である、請求項13に記載の指向性アンテナ。
【請求項21】
請求項13に記載された指向性アンテナを含む、航空電子装備。
【請求項22】
請求項13に記載された指向性アンテナを含む、携帯用測定装備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は電磁バンドギャップ構造物、これを含む指向性アンテナおよびこの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
指向性アンテナはラジオおよびマイクロ波帯域を活用する航空機などの無線センサシステムに広く使われる。特に、レーダー警告システムのような航空電子装備およびその支援装備は、軽量、小型の指向性アンテナの適用が必須である。一般的に広く使われるダイポールアンテナは、反射板を使うことによって全方向性放射形態を指向性放射形態に変更して使うことができるが、この場合、放射性能の確保のために放射体と反射板の間の距離が1/4波長だけ離隔しなければならないため、小型化に困難がある。
【0003】
電磁バンドギャップ(EBG)構造は周期的な金属パターンを通じて具現され、バンドギャップ周波数帯域では同位相反射特性を有すると知られている。このような特性によって、放射体をEBGの接地面に近く位置させたとしても良い放射性能を確保できる利点がある。EBG構造は特別なLCネットワークで一般化することができ、このLCネットワークを1次元または2次元で配列させて具現することができる。2次元のEBG構造を接地面に適用してその上にアンテナを適用する形状はアンテナの指向性を大きく向上させ得るが、具現が難しいという短所がある。これに反し、1次元のEBG構造を接地面に適用してその付近にアンテナを適用する形状は具現は容易であるものの、アンテナの指向性の向上には限界がある。ただし、1次元のEBG構造は軽量の小型アンテナを具現できるというさらに他の長所も有している。したがって、このような限界を改善する新しい形態の1次元のEBG構造が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の課題は、軽量および小型であり、かつ指向性が優秀な電磁バンドギャップ構造物およびこれを含む指向性アンテナを提供することである。このような、電磁バンドギャップ構造物およびこれを含む指向性アンテナは航空電子装備および携帯用測定装備に使われ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本出願のバンドギャップ構造物は、基板;前記基板の下部に形成され、第1面に互いに一定の間隔で配置された二つ以上の第1スリットを含む下部層;および前記基板の上部に形成され、第1面に互いに一定の間隔で配置された二つ以上の第2スリットを含む上部層を含み、共振構造を有し、少なくとも一つのスリットの幅または間隔はダイポールアンテナの共振周波数波長によって決定される。
【0006】
また、前記二つ以上の第1スリット間の間隔は共振周波数波長の0.002以下であり得る。
【0007】
また、前記第1スリットは幅が共振周波数波長の0.015~0.020であり得る。
【0008】
また、前記第1スリットは長さが共振周波数波長の0.05~0.10であり得る。
【0009】
また、前記第1スリットは厚さが共振周波数波長の0.0002以下であり得る。
【0010】
また、前記下部層は銅、金、銀およびアルミニウムからなる群から選択された一つ以上の金属で形成され得る。
【0011】
また、前記第1スリットと第2スリットは互いに重ならないように等間隔で配置され得る。
【0012】
また、前記二つ以上の第2スリット間の間隔は共振周波数波長の0.002以下であり得る。
【0013】
また、前記第2スリットは幅が共振周波数波長の0.015~0.020であり得る。
【0014】
また、前記第2スリットは長さが共振周波数波長の0.05~0.10であり得る。
【0015】
また、前記第2スリットは厚さが共振周波数波長の0.0002以下であり得る。
【0016】
また、前記上部層は銅、金、銀およびアルミニウムからなる群から選択された一つ以上の金属で形成され得る。
【0017】
また、本出願の指向性アンテナは、前記電磁バンドギャップ構造物;前記電磁バンドギャップ構造物の下部層の第1面と離隔して備えられた第1ダイポール素子および前記電磁バンドギャップ構造物の上部層の第1面と離隔して備えられた第2ダイポール素子を有するダイポールアンテナ;および前記ダイポールアンテナの第1ダイポール素子と第2ダイポール素子に電気的信号を印加する電源部を含む。
【0018】
また、前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子それぞれは前記電磁バンドギャップ構造物の第1面と平行であり、第1電源線および第2電源線それぞれによって前記電源部に連結され得る。
【0019】
また、前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子それぞれは、前記電磁バンドギャップ構造物の第1面と共振周波数波長の0.06以下の間隔で備えられ得る。
【0020】
また、前記第1電源線および第2電源線を基準として対称となっている状態での前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子の長さの和は、共振周波数波長の0.35~0.6であり得る。
【0021】
また、前記ダイポールアンテナは共振周波数の帯域幅が15%以上であり得る。
【0022】
また、前記ダイポールアンテナは最大具現利得が2dBi以上であり得る。
【0023】
また、前記ダイポールアンテナは放射効率が80%以上であり得る。
【0024】
また、前記ダイポールアンテナは前後方放射比率が8dB以上であり得る。
【0025】
また、本出願の航空電子装備は前記指向性アンテナを含む。
【0026】
また、本出願の携帯用測定装備は前記指向性アンテナを含む。
【発明の効果】
【0027】
本出願の電磁バンドギャップ構造物およびこれを含む指向性アンテナによると、軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。また、前記電磁バンドギャップ構造物およびこれを含む指向性アンテナは航空電子装備および携帯用測定装備に使われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本出願の一実施形態に係る電磁バンドギャップ構造物を示した図面である。
【
図2】電磁バンドギャップ構造物の第1スリットおよび第2スリットによって形成されたLC回路を説明するために、例示的に電磁バンドギャップ構造物にLC回路を示した図面である。
【
図3】電磁バンドギャップ構造物の第1スリットおよび第2スリットによって形成されたLC回路を例示的に示した図面である。
【
図4】本出願の一実施形態に係る指向性アンテナを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照で本出願の電磁バンドギャップ構造物を説明し、添付された図面は例示的なものであり、本出願の電磁バンドギャップ構造物が添付された図面に制限されるものではない。
【0030】
図1は、本出願の一実施形態に係る電磁バンドギャップ構造物を示した図面である。
図1に示した通り、本出願の電磁バンドギャップ構造物は基板1100、前記基板の下部に形成された下部層1200、前記基板の上部に形成された上部層1300を含む。前記下部層1200は第1面1210に互いに一定の間隔で配置された二つ以上の第1スリット1201を含む。また、前記上部層1300は第1面1310に互いに一定の間隔で配置された二つ以上の第2スリット1301を含む。本出願の電磁バンドギャップ構造物は前述した構造を有することによって、前記ダイポールアンテナの共振周波数および帯域幅のうちいずれか一つ以上が優秀であり、軽量および小型であり、後述するダイポールアンテナに適用して指向性が優秀であり得る。本明細書で間隔は、電磁バンドギャップ構造物の長さ方向、すなわちx軸方向を基準として測定した長さであり得る。また、本明細書で第1面はスリットによって形成されてパターン化された側面を意味する。また、本明細書で前記下部層の第1面および前記上部層の第1面は、前記下部層および上部層にそれぞれ形成され、同一の側の側面を意味する。本明細書で、「スリット(slit)」は細く長い穴を意味する。
【0031】
前記基板としては、FR4のような誘電率を有する非伝導性物質からなる基板を使うことができる。前記基板として前述した種類を使うことによって、絶縁性を示すことができる。
【0032】
また、前記電磁バンドギャップ構造物は第1スリットおよび第2スリットを含むことによって、共振構造を有する。本明細書で「共振構造」は、信号波、ポンプ波、変換波に対しては透過させ、二次調和波に対しては反射させて、外部に透過していくことができず、内部で往復または循環して共振するように構成する構造を意味する。
図2は、電磁バンドギャップ構造物の第1スリットおよび第2スリットによって形成されたLC回路を説明するために、例示的に電磁バンドギャップ構造物にLC回路を示した図面である。また、
図3は電磁バンドギャップ構造物の第1スリットおよび第2スリットによって形成されたLC回路を例示的に示した図面である。
図2および
図3に示した通り、前記電磁バンドギャップ構造物は第1スリットおよび第2スリットによってLC回路を形成することができ、前記LC回路によって共振構造を有することができる。
【0033】
前記電磁バンドギャップ構造物は、少なくとも一つのスリットの幅または間隔はダイポールアンテナの共振周波数波長によって決定される。本明細書で共振周波数は、回路に含まれるLとCによって決定される固有周波数と電源の周波数が一致すると共振現象を起こして電流または電圧が最大となる周波数を意味する。前記共振周波数は、R、L、Cの直列回路(series circuit)で起きる直列共振での共振周波数fscとR、L、Cの並列回路(parallel circuit)で起きる並列共振での共振周波数fpcは、それぞれ下記の数1および数2の数式によって計算され得る。
【0034】
【0035】
前記数1および数2の数式で、LLは第1および第2スリットの導体からなる下部層および上部側それぞれによって形成されるインダクタンスを意味し、CLは第1スリットおよび第2スリット間に形成されるキャパシタンスを意味し、Ceは第1および第2スリットそれぞれの離隔間隔によって形成されるキャパシタンスを意味する。
【0036】
前記共振周波数(fres)は前記数1および数2の数式で決定されるfscおよびfpcのうち小さい値に決定され得る。また、本明細書で「共振周波数波長」は光の速度から前記共振周波数を割った値を意味する。例えば、共振周波数が2.5GHzである場合、共振周波数波長は120mmであり得る。この場合、前記二つ以上の第1スリット間の間隔(g1)は0.0017以下であり得る。
【0037】
一つの例示において、前記二つ以上の第1スリット間の間隔(g1)は共振周波数波長の0.002以下であり得、具体的には、0.001以下であり得る。また、前記二つ以上の第1スリット間の間隔の下限は共振周波数波長の0.0001以上または0.0005以上であり得る。前記二つ以上の第1スリット間の間隔は互いに隣り合う第1スリット間の間隔を意味する。前記第1スリットは隣り合う第1スリットと前述した範囲の間隔を有することによって、本出願の電磁バンドギャップ構造物を後述するダイポールアンテナに適用した時、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0038】
また、一つの例示において、前記第1スリットの幅(w1)は共振周波数波長の0.015~0.020であり得、具体的には、0.016~0.019または0.017~0.018であり得る。前記第1スリットは前述した範囲の幅を有することによって、本出願の電磁バンドギャップ構造物を後述するダイポールアンテナに適用した時、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0039】
また、一つの例示において、前記第1スリットの長さ(l1)は共振周波数波長の0.05~0.10であり得、具体的には、0.06~0.09または0.07~0.08であり得る。前記第1スリットは前述した範囲の長さを有することによって、本出願の電磁バンドギャップ構造物を後述するダイポールアンテナに適用した時、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0040】
また、一つの例示において、前記第1スリットの厚さ(t1)は共振周波数波長の0.0002以下であり得、具体的には、0.0001以下であり得る。また、前記第1スリットの厚さの下限は0.00001以上または0.00005以上であり得る。前記第1スリットは前述した範囲の厚さを有することによって、本出願の電磁バンドギャップ構造物を後述するダイポールアンテナに適用した時、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0041】
前記下部層は導体であり得る。具体的には、前記下部層は銅、金、銀およびアルミニウムからなる群から選択された一つ以上の金属で形成され得る。前記下部層で前述した種類の金属を使うことによって、電子を移動させることができる。
【0042】
前記下部層は前記基板の上部に前述した種類の金属をプリントして形成することができる。前記プリント技法は当業界で公知となっているすべての技法を使うことができるため、特に制限されるものではない。
【0043】
前記第1スリットと第2スリットは互いに重ならないように等間隔で配置され得る。具体的には、前記第1スリットと第2スリットは高さ方向に互いに重ならないように配置され得る。前記第1スリットと第2スリットは互いに重ならないように等間隔で配置されることによって、本出願の電磁バンドギャップ構造物を後述するダイポールアンテナに適用した時、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0044】
また、一つの例示において、前記二つ以上の第2スリット間の間隔(g2)は共振周波数波長の0.002以下であり得、具体的には、0.001以下であり得る。また、前記二つ以上の第2スリット間の間隔の下限は共振周波数波長の0.0001以上または0.0005以上であり得る。前記二つ以上の第2スリット間の間隔は互いに隣り合う第2スリット間の間隔を意味する。前記第2スリットは隣り合う第2スリットと前述した範囲の間隔を有することによって、本出願の電磁バンドギャップ構造物を後述するダイポールアンテナに適用した時、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0045】
また、一つの例示において、前記第2スリットの幅(w2)は共振周波数波長の0.015~0.020であり得、具体的には、0.016~0.019または0.017~0.018であり得る。前記第2スリットは前述した範囲の幅を有することによって、本出願の電磁バンドギャップ構造物を後述するダイポールアンテナに適用した時、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0046】
また、一つの例示において、前記第2スリットの長さ(l2)は共振周波数波長の0.05~0.10であり得、具体的には、0.06~0.09または0.07~0.08であり得る。前記第2スリットは前述した範囲の長さを有することによって、本出願の電磁バンドギャップ構造物を後述するダイポールアンテナに適用した時、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0047】
また、一つの例示において、前記第2スリットの厚さ(t2)は共振周波数波長の0.0002以下であり得、具体的には、0.0001以下であり得る。また、前記第2スリットの厚さの下限は0.00001以上または0.00005以上であり得る。前記第2スリットは前述した範囲の厚さを有することによって、本出願の電磁バンドギャップ構造物を後述するダイポールアンテナに適用した時、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0048】
前記上部層は導体であり得る。具体的には、前記上部層は銅、金、銀およびアルミニウムからなる群から選択された一つ以上の金属で形成され得る。前記上部層で前述した種類の金属を使うことによって、電子を移動させることができる。
【0049】
前記上部層は前記基板の下部に前述した種類の金属をプリントして形成することができる。前記プリント技法は当業界で公知となっているすべての技法を使うことができるため、特に制限されるものではない。
【0050】
本出願はまた、指向性アンテナに関する。前記指向性アンテナは前述した電磁バンドギャップ構造物を含むものであり、後述する電磁バンドギャップ構造物に対する具体的な事項は前記電磁バンドギャップ構造物で記述した内容が同一に適用され得るため、これを省略することにする。
【0051】
図4は、本出願の一実施形態に係る指向性アンテナを示した図面である。
図4に示した通り、本出願の指向性アンテナは電磁バンドギャップ構造物4100、ダイポールアンテナ4200および電源部4300を含む。前記ダイポールアンテナは前記電磁バンドギャップ構造物の下部層の第1面と離隔して備えられた第1ダイポール素子4210および前記電磁バンドギャップ構造物の上部層の第1面と離隔して備えられた第2ダイポール素子4220を有することができる。すなわち、前記第1ダイポール素子と第2ダイポール素子は離隔して配置され得る。また、前記電源部は前記ダイポールアンテナの第1ダイポール素子と第2ダイポール素子に電気的信号を印加することができる。本出願の指向性アンテナは前述した構造を有することによって、軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。本明細書で「指向性」は、声、電波、光などの送受信において、それらの装置特性が特定の方向に強い性質を示す現象、すなわち、定められた方向に進もうとする性質を意味する。また、本明細書で、「指向性アンテナ(directional/sectorized antenna)」は、等方性アンテナ(isotropic antenna)を除いたすべてのアンテナを指し、特定の方位角にのみビームが形成されるようにしたアンテナを意味する。また、本明細書で、「等方性アンテナ」はいずれの方向にも放射強度が一定となるアンテナを意味する。本明細書で、「ダイポール(dipole)」は互いに対応する極が二つあるものを意味する。また、本明細書で、「ダイポールアンテナ(dipole antenna)」は実効アンテナの長さが2分の1波長である導線の中央部で給電して、アンテナの中央を基準として上下または左右の線上電位分布および極性が常に対称となってダイポールのように作用するアンテナを意味する。
【0052】
前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子それぞれは前記電磁バンドギャップ構造物の第1面4110と平行であり、第1電源線4310および第2電源線4320それぞれによって前記電源部に連結され得る。また、前記第1電源線および第2電源線はそれぞれは前記下部層の第1接地面1202および上部層の第1接地面1302に接地された状態であり得る。また、前記第1電源線および第2電源線それぞれは前記電磁バンドギャップ構造物の第1面と垂直となり得る。
【0053】
前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子を有するダイポールアンテナが電源部に連結されることによって、電源の供給を受けることができる。
【0054】
前記電磁バンドギャップ構造物の第1面は、前記電磁バンドギャップ構造物に含まれた前記下部層および上部層それぞれの第1スリットおよび第2スリットによってパターン化されたいずれか一つの側面であり得る。
【0055】
前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子それぞれは、前記電磁バンドギャップ構造物の第1面と共振周波数波長の0.06以下の間隔(g4)で備えられ得る。前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子それぞれは前記電磁バンドギャップ構造物の第1面と前述した間隔で備えられることによって、後述する範囲の共振周波数および/または帯域幅を有することができ、これによって軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0056】
一つの例示において、前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子は第1電源線および第2電源線を基準として対称となり得る。例えば、前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子は、第1電源線および第2電源線を基準として前記第1ダイポール素子と前記第2ダイポール素子が対称となるのであれば、第1ダイポール素子と第2ダイポール素子それぞれの長さ方向が特に制限されるものではない。これによってダイポールのように作用するダイポールアンテナを形成することができる。
【0057】
もう一つの例示において、第1電源線および第2電源線を基準として対称となっている状態で前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子の長さの和(l3)は、共振周波数波長の1/2の長さを有することができる。例えば、前記第1電源線および第2電源線を基準として対称となっている状態で前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子の長さの和(l3)は0.35~0.6であり得、具体的には、0.4~0.55または0.45~0.5であり得る。前記第1電源線および第2電源線を基準として対称となっている状態で前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子の長さの和は、前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子が対称となっている状態で前記第1電源線および第2電源線が重なるため、前記第1電源線および第2電源線の幅を除いて、前記第1ダイポール素子および第2ダイポール素子の長さを足した長さとなり得る。
【0058】
前記ダイポールアンテナは共振周波数の帯域幅が15%以上であり得る。具体的には、前記ダイポールアンテナの共振周波数の帯域幅が16%以上、17%以上または18%以上であり得る。前記ダイポールアンテナの共振周波数の帯域幅の上限は20%以下または19%以下であり得る。前記ダイポールアンテナは前述した範囲の共振周波数の帯域幅を有することによって、多様な周波数または広い周波数を使用する通信およびセンサ用として使うことができる。前記共振周波数の帯域幅は共振現象を起こす周波数範囲を意味し得る。前記ダイポールアンテナの共振周波数の帯域幅は下記の数3の数式を通じて計算され得る。
【0059】
【0060】
前記数3の数式で、fresは共振周波数であり、βfは帯域幅であり、Ceffは共振に影響を及ぼすキャパシタンスであり、LLは前述されたインダクタンスである。
【0061】
前記ダイポールアンテナの最大具現利得は2dBi以上であり得、具体的には、3dBi以上または4dBi以上であり得る。前記ダイポールアンテナの最大具現利得の上限は特に制限されるものではないが、例えば、7dBi以下、6dBi以下または5dBi以下であり得る。前記ダイポールアンテナは前述した範囲の最大具現利得を有することによって、アンテナの指向性が優秀であり得る。前記最大具現利得はアンテナの指向性を決定する指標を意味し得る。
【0062】
前記ダイポールアンテナの放射効率は80%以上であり得る。具体的には、前記ダイポールアンテナの放射効率は81%以上、82%以上、83%以上または84%以上であり得る。また、前記ダイポールアンテナの放射効率の上限は大きいほど有利であり、例えば、100%以下、95%以下、90%以下または85%以下であり得る。前記電磁バンドギャップ構造物は前述した範囲の放射効率を有するダイポールアンテナを含むことによって、軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。前記放射効率はアンテナから放射される電波の電力とアンテナに供給される電力の雨を意味し得る。
【0063】
前記ダイポールアンテナの前後方放射比率は8dB以上であり得る。具体的には、前記ダイポールアンテナの前後方放射比率は8.5dB以上、9dB以上、9.5dB以上、10dB以上または10.5dB以上であり得る。また、前記ダイポールアンテナの前後方放射比率の上限は大きいほど有利であり、例えば、13dB以下、12.5dB以下、12dB以下、11.5dB以下または11dB以下であり得る。前記ダイポールアンテナは前述した前後方放射比率を満足することによって、指向性アンテナで放射エネルギーを一方向に集中させてアンテナの効率を最大化することができ、所望しない方向への放射を抑制することができる。前記前後方放射比率は望む方向への放射利得とその反対方向への放射利得の差を意味し得る。
【0064】
本出願はまた、前記指向性アンテナの用途に関する。例示的な指向性アンテナは軽量および小型であり、かつ指向性が優秀であり得る。
【0065】
一つの例示において、前記指向性アンテナは航空電子装備に適用され得る。このような航空精子装備としては、レーダー警報システムまたは敵味方識別装置を例示することができ、前記レーダー警報システムまたは敵味方識別装置に前記指向性アンテナを含むのであれば、その構造は特に制限されない。
【0066】
もう一つの例示において、前記指向性アンテナは携帯用測定装備に適用され得る。このような携帯用測定装備としては、レーダー警報システム、敵味方識別装置、U/VHF通信装置などの検証のための地上支援装備を例示することができ、前記レーダー警報システム、敵味方識別装置、U/VHF通信装置などの検証のための地上支援装備に前記指向性アンテナを含むのであれば、その構造は特に制限されない。
【符号の説明】
【0067】
1100:基板
1200:下部層
1210:下部層の第1面
1201:第1スリット
1202:下部層の第1接地面
1300:上部層
1310:上部層の第1面
1301:第2スリット
1302:下部層の第1接地面
4100:電磁バンドギャップ構造物
4110:電磁バンドギャップ構造物の第1面
4200:ダイポールアンテナ
4210:第1ダイポール素子
4220:第2ダイポール素子
4300:電源部
4310:第1電源線
4320:第2電源線
g1:第1スリット間の間隔
w1:第1スリットの幅
l1:第1スリットの長さ
t1:第1スリットの厚さ
x:電磁バンドギャップ構造物の長さ方向
g2:第2スリット間の間隔
w2:第2スリットの幅
l2:第2スリットの長さ
t2:第2スリットの厚さ
g4:第1ダイポール素子および第2ダイポール素子それぞれと電磁バンドギャップ構造物の第1面間の間隔
l3:第1電源線および第2電源線を基準として対称となっている状態で第1ダイポール素子および第2ダイポール素子の長さの和
【国際調査報告】