(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】ケラチン繊維のコンディショニング剤としてのベタイン誘導体の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20230120BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230120BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230120BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/06
A61Q5/12
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529661
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 FR2020052013
(87)【国際公開番号】W WO2021099715
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519221268
【氏名又は名称】サーファクトグリーン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランシス・ガレ
(72)【発明者】
【氏名】フレディー・ペセル
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・ルーセル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC062
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC272
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC772
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD152
4C083AD222
4C083AD242
4C083AD352
4C083AD662
4C083BB53
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD31
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための方法に関し、ケラチン繊維に、化粧品として許容される媒体中に、14から24の炭素原子を含むグリシンベタインの少なくとも1つのエステルまたはアミド塩を含む界面活性剤組成物を含む、エマルション形態の化粧品組成物を局所適用する工程を含む。本発明はまた、以上に定義される界面活性剤組成物の、ケラチン繊維のコンディショニング剤としての使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法であって、化粧品として許容される媒体中に、式(1):X
n-[(CH
3)
3N
+-CH
2-COZ-R]
n(式中、Zは酸素原子又は-NH基を示し、Rは14から24の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、Xは有機又は無機アニオンであり、nは1又は2に等しい)の少なくとも1つのグリシンベタイン誘導体を含む界面活性剤組成物を含む、エマルション形態の化粧品組成物をケラチン繊維に局所適用する工程を含み、前記界面活性剤組成物がアルキルポリグリコシドを含まないことが理解される、方法。
【請求項2】
R基が、以下の基:ミリスチル(C14:0)、セチル(C16:0)、パルミトレイル(C16:1)、ステアリル(C18:0)、オレイル(C18:1)、リノレイル(C18:2)、リノレニル(C18:3)、アラキジル(C20:0)、アラキドニル(C20:4)、ベヘニル(C22:0)、2-ヘキシルデシル、2-オクチルドデシル、及び2-デシルテトラデシルから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xアニオンが、クロライド、サルフェート、ペルクロレート、アルキルサルフェートイオン、特にデシルサルフェートまたはラウリルサルフェート、アリールスルホネートイオン、特にベンゼンスルホネートまたはパラトルエンスルホネート、アルキルスルホネートイオン、特にトリフレート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、デシルスルホネート、ラウリルスルホネート、またはカンファスルホネート、あるいはスルホサクシネートイオンから、好ましくは、アルキルスルホネート及びアリールスルホネートから、より詳しくは、メタンスルホネート、トリフレート、パラ-トルエンスルホネート、及びカンファスルホネートイオンから選択され、さらに好適には、Xはメタンスルホネートまたはエタンスルホネートイオンであり、さらにより好適には、Xはエタンスルホネートイオンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
界面活性剤組成物が、以下の成分:
(a)式(1):X
n-[(CH
3)
3N
+-CH
2-COO-R]
n(式中、Rは14から24の炭素原子、好ましくは18から22の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基である)の少なくとも1つのグリシンベタインエステル塩、
(b)式R-OHの少なくとも1つの脂肪アルコール、
(c)式XHの有機酸または無機酸、及び
(d)式X
n-[(CH
3)
3N
+-CH
2-COOH]
n(式中、Xは有機又は無機アニオンであり、nは1又は2に等しい)のグリシンベタイン塩
を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
界面活性剤組成物が、
(a)15~45質量%、好ましくは20~30質量%、より好ましくは25~30質量%のグリシンベタインエステル塩、
(b)55~80質量%、例えば60~65質量%または65~70質量%または70~80質量%の脂肪アルコール、
(c)0~5質量%、例えば0~1質量%の有機酸または無機酸、
(d)0~3質量%、例えば0~1質量%のグリシンベタイン塩、
(e)0~15質量%、例えば2~10質量%のジアルキルエーテル、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
界面活性剤組成物が、以下の成分:
(a)式(1):X
n-[(CH
3)
3N
+-CH
2-CONH-R]
n(式中、Rは14から24の炭素原子、好ましくは16から22の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基である)の1つ以上のグリシンベタインアミド塩、
(b)式(2):X
n-[NH
3
+R]
n(式中、Rは14から24の炭素原子、好ましくは16から22の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基である)の1つ以上のアルキルアンモニウム塩、
(c)式(3):X
n-[(CH
3)
3N
+-CH
2-COOR']
n(式中、R’は4から8の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基である)の1つ以上のグリシンベタインエステル塩、及び
(d)式(4):(CH
3)
3N
+-CH
2-COO
-(式中、Xは有機または無機アニオンであり、nは1または2に等しい)のグリシンベタイン
を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
界面活性剤組成物が、少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、または少なくとも99質量%のグリシンベタイン誘導体を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ケラチン繊維が、毛髪、髭、及び眉毛から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、弱った、且つ/又は損傷した毛髪、例えば、化学的又は機械的処理、特に、染色、漂白、パーマネントウェーブ、又はストレートパーマによって、あるいはブラッシングによって弱った、且つ/又は損傷した毛髪に適用されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ケラチン繊維の櫛通り性及び/又は柔らかさ及び/又はしなやかさ及び/又は扱いやすさ及び/又は光沢の改善、並びに/あるいはこれらを滑らかにすること、並びに/あるいはこれらの水和、並びに/あるいはその静電気の低減を企図することを特徴とする、請求項1から9いずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記化粧品組成物を、予め洗浄し濯いだ毛髪に適用することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
式(1):X
n-[(CH
3)
3N
+-CH
2-COZ-R]
n(式中、Zは酸素原子又は-NH基を示し、Rは14から24の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、Xは有機又は無機アニオンであり、nは1又は2に等しい)の少なくとも1つのグリシンベタイン誘導体を含む界面活性剤組成物の、ケラチン繊維コンディショニング剤としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維コンディショニング剤としての、14から24の炭素原子を含む少なくとも1つのグリシンベタインエステルもしくはアミド塩を含む界面活性剤組成物の使用に関する。本発明はまた、ケラチン繊維をコンディショニングするための方法であって、化粧品として許容される媒体中に、以上に定義される界面活性剤組成物を含むエマルション形態の化粧品組成物を、ケラチン繊維に局所適用する工程を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲因子の作用下で、あるいは機械的及び/又は化学的処理、例えば、染色、漂白及びパーマネントウェーブの作用下で、様々な程度に敏感化され、特に損傷し、且つ/または脆化した毛髪が、しばしば解きにくく、扱いやすさに欠け、そのスタイリング及びその成形が特に困難であることは周知である。毛髪はまた、その表面が損傷している可能性があり、しかるに光の反射がより不均一である可能性があることから、光沢を欠く可能性がある。
【0003】
これらの欠点を克服するために、毛髪をコンディショニングすることができるヘアトリートメントを利用することが一般的である。これらのヘアケア組成物は、コンディショニングシャンプー又はヘアコンディショナーであってよく、これらは、毛髪繊維が多少によらず繰り返しさらされる様々な処理又は攻撃因子によってもたらされる、有害又は望ましからぬ効果を修復又は制限することを主目的とするコンディショニング剤を含む、ヘアジェルまたはローション又は多少によらずのり濃厚なクリームの形態であって良い。
【0004】
コンディショニング剤として、カチオン性ポリマー及び/又はカチオン性界面活性剤を含む毛髪処理組成物が、既に提案されている。これらの化合物は、毛髪に付着し、繊維の状態及びその美容特性も改善することを可能にする。
【0005】
しかしながら、これらの化合物の一定数は、完全に環境に良いとは言えない。したがって、環境毒性が低いか又は環境毒性でなく、毛髪の十分な、または従来技術の組成物と比較してより優れたコンディショニングを可能にする、化粧品組成物の開発が求められている。
【0006】
本出願人は、ここに、予想通りかつ驚くべきことに、所定のグリシンベタイン誘導体が、毛髪に有利なコンディショニング特性を付与できることを発見した。これらの組成物は、特に、毛髪のもつれ解け及び滑らかさ、並びにそのしなやかさを改善することを可能にし;頭髪の成形はより容易になり、毛髪の感触は非常に快適で流動的となる。これらの化合物はまた、別のケラチン繊維、特に髭にも同様の特性を付与することができる。
【0007】
化粧品分野では、グリシンベタインエステルもしくはアミド塩またはこれらを含む界面活性剤組成物が、消臭剤におけるこれらの使用(WO2015/003968)または酸性水性ベースの泡シャンプーにおけるこれらの使用(WO2005/121291)について既に記載されている。文献WO2015/078890は、さらに、第1工程において、グリシンベタインを、1~6の炭素原子を含む式R1-OHのアルコールと反応させ、次に、より長い鎖を有する式R2-OHのアルコールと、糖ヘミアセタールの存在下で反応させることによって得られる界面活性剤組成物を開示している。この2工程のプロセスにより、長鎖のグリシンベタインエステル塩の他に、最大6の炭素原子を含むより短い鎖を有する対応のエステルを、常に15質量%より大きい割合で含み、さらにカチオン化アルキルポリグリコシドも含む、複合界面活性剤組成物が生じる。得られる組成物は、特にヘアケア製品、特にもつれ解きスプレーの調製に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2015/003968
【特許文献2】WO2005/121291
【特許文献3】WO2015/078890
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、本出願人の知る限り、毛髪のもつれ解けを容易にするために長鎖グリシンベタインエステルもしくはアミド塩を使用することは提案されておらず、これらの化合物をエマルションの形態であるケラチン繊維コンディショニング製品において使用することも提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの主題は、ケラチン繊維コンディショニング剤としての、式(1):Xn-[(CH3)3N+-CH2-COZ-R]n(式中、Zは酸素原子又は-NH基を示し、Rは14から24の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、Xは有機又は無機アニオンであり、nは1又は2に等しい)の少なくとも1つのグリシンベタイン誘導体を含む界面活性剤組成物の使用である。
【0011】
本発明の別の主題は、ケラチン繊維をコンディショニングする方法であって、化粧品として許容される媒体中に、以上に定義した界面活性剤組成物を含む、エマルション形態の化粧品組成物を、ケラチン繊維に局所適用する工程を含み、前記界面活性剤組成物がアルキルポリグリコシドを含まないことが理解される。
【0012】
本発明は、ケラチン繊維のコンディショニングのための、長鎖グリシンベタインエステルもしくはアミド塩である少なくとも1つのグリシンベタイン誘導体に基づく界面活性剤組成物の応用に関する。これら2種類のグリシンベタイン誘導体、及びその調製方法について、これよりさらに詳細に説明する。
【0013】
グリシンベタインエステル塩
グリシンベタインエステル塩は、以下の連続工程:
(1)グリシンベタインまたはその塩を、14から24の炭素原子を含む少なくとも1つの飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の脂肪アルコールと、有機酸または無機酸の存在下で反応させる工程、
(2)反応媒体を20℃から90℃の温度に冷却する工程、及び
(3)かくして得られた界面活性剤組成物を回収する工程
を含む方法に従って得ることができる。
【0014】
本方法の第一工程は、グリシンベタイン、またはトリメチルグリシンのエステル化である。グリシンベタインは、植物由来のものでも合成のものでもよい。グリシンベタインが双性イオン形態であること(カルボキシレート官能の存在)に鑑みて、有機酸または無機酸を用いる事前のプロトン化が必要である。酸は、特に無機酸、例えば、塩酸、硫酸、過ハロゲン化水素酸、例えば過塩素酸、及びこれらの混合物から選択してよい。変形として、有機酸、例えばアルキル硫酸、例えば、デシル硫酸またはラウリル硫酸;アリールスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸;アルキルスルホン酸、例えばトリフリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、デシルスルホン酸、ラウリルスルホン酸、またはカンファスルホン酸;スルホコハク酸;及びこれらの混合物から選択してもよい。ルイス酸もまた使用することができる。好ましくは、アルキルスルホン酸、特に、易生分解性であることに鑑みてエタンスルホン酸、またはメタンスルホン酸である。
【0015】
エステル化の際、塩析したベタインの酸官能を脂肪アルコールと反応させて、塩形態のグリシンベタインエステルを生成させる。「脂肪アルコール」なる語は、14~24の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状(好ましくは直鎖状)のアルコールを意味する。こうした脂肪アルコールの例は、以下からなる群:ミリスチルアルコール(C14:0)、セチルアルコール(C16:0)、パルミトレイルアルコール(C16:1)、ステアリルアルコール(C18:0)、オレイルアルコール(C18:1)、リノレイルアルコール(C18:2)、リノレニルアルコール(C18:3)、アラキジルアルコール(C20:0)、アラキドニルアルコール(C20:4)、ベヘニルアルコール(C22:0)、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-デシルテトラデカノール、及びこれらの混合物より選択してよい。使用可能な脂肪アルコール混合物は、1つ以上の植物油から、特に、例えば、大豆油、オリーブ油、ひまわり油、コーン油、パーム油、ココナッツ油、綿実油、亜麻仁油、小麦胚芽油、ベニバナ油、または菜種油から製造することができる。
【0016】
本発明によれば、18~22の炭素原子を含む1つ以上のアルコール、より好ましくはこうした脂肪アルコールの混合物を使用することが好ましい。
【0017】
エステル化反応は、一般に、溶媒の非存在下で行われる。反応中に生成する水は、さらに、反応混合物中のグリシンベタインの可溶化に寄与する。
【0018】
この反応の実施のために、例えば0.8から6.0当量、好ましくは0.8から2当量、例えば0.9から1.0当量、または変形として、1.1から1.8当量、この場合は優先的に1.2から1.6当量、より好適には1.3から1.5当量の脂肪アルコール、または第2の変形として、4.0から6.0当量、この場合は優先的に4.5から5.5当量、より好適には4.8から5.2当量の脂肪アルコールを使用してよい。
【0019】
さらに、有利には、1.01から3.0当量、好ましくは1.5から2.0当量、例えば1.5から1.9当量、優先的には1.5から1.7モル当量の有機酸または無機酸、あるいは変形として(好ましくは上記第2の変形では)1.02から1.08当量、この場合は優先的に1.03から1.07当量、さらに好適にはグリシンベタイン1当量当たり1.04から1.06モル当量の有機酸または無機酸が使用される。エステル化は、例えば120℃から180℃、好ましくは150℃から180℃の範囲の温度で実施される。反応は、大気圧下、または好ましくは減圧下、例えば10~600mbarの圧力で実施してよい。一般に、圧力は、使用される脂肪アルコールの鎖長が長いほど、比例して低くなる。次いで、反応混合物を20℃から90℃の温度に冷却する。
【0020】
次に、かくして得られた界面活性剤組成物が回収され、前記組成物は、式Xn-[(CH3)3N+-CH2-COO-R]n(式中、Xは有機又は無機アニオンであり、Rはエステル化反応に使用されるR-OH脂肪アルコールに対応するアルキル基であり、nは1又は2に等しい)の少なくとも1つのグリシンベタインエステル塩を含む。
【0021】
Xアニオンは、この方法の第一工程で使用される酸から誘導され、したがって、特に、クロライド、サルフェート、ペルクロレート、アルキルサルフェートイオン、特にデシルサルフェートまたはラウリルサルフェート、アリールスルホネートイオン、特にベンゼンスルホネートまたはパラトルエンスルホネート、アルキルスルホネートイオン、特にトリフレート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、デシルスルホネート、ラウリルスルホネート、またはカンファスルホネート、あるいはスルホサクシネートイオンであってよい。本発明によれば、Xは、アルキルスルホネート及びアリールスルホネートから、特に、メタンスルホネート、トリフレート、パラ-トルエンスルホネート、及びカンファスルホネートイオンから選択されることが好ましい。有利にはメタンスルホネートまたはエタンスルホネートイオンであり、より優先的にはエタンスルホネートイオンである。
【0022】
R基は、それ自体、以下の基:ミリスチル(C14:0)、セチル(C16:0)、パルミトレイル(C16:1)、ステアリル(C18:0)、オレイル(C18: 1)、リノレイル(C18:2)、リノレニル(C18:3)、アラキジル(C20:0)、アラキドニル(C20:4)、ベヘニル(C22:0)、2-ヘキシルデシル、2-オクチルドデシル、及び2-デシルテトラデシルから選択してよい。
【0023】
エステル化反応に数種の脂肪アルコールを使用する場合は、本発明によって得られる界面活性剤組成物が、数種のグリシンベタインエステル塩を含むことになる旨が明確に理解される。したがって、「グリシンベタインエステル塩」なる表現は、本明細書の文脈において、特記のない限り、1つ以上の塩を指すものとして理解されるべきである。
【0024】
上述の方法は、より正確には、以下の成分:
(a)式(1):Xn-[(CH3)3N+-CH2-COO-R]n(式中、Rは14から24の炭素原子、好ましくは18から22の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基である)の少なくとも1つのグリシンベタインエステル塩、
(b)式R-OHの少なくとも1つの脂肪アルコール、
(c)式XHの有機酸または無機酸、
(d)式Xn-[(CH3)3N+-CH2-COOH]nのグリシンベタイン塩、及び
(e)任意の、式R-O-R(式中、Xは有機または無機のアニオンであり、nは1または2に等しい)の少なくとも1つのジアルキルエーテル
を含む界面活性剤組成物を得ることを可能にする。
【0025】
この界面活性剤組成物は、本発明においてそのまま使用することができる。この場合、一般に、15~85質量%のグリシンベタインエステル塩を含む。
【0026】
第一の変形では、界面活性剤組成物は、
(a)65~85質量%、好ましくは70~80質量%のグリシンベタインエステル塩、
(b)1~20質量%、例えば1~9質量%または10~20質量%の、脂肪アルコール、
(c)1~20質量%、例えば5~15質量%の、有機酸または無機酸、
(d)1~20質量%、例えば2~15質量%のグリシンベタイン塩、
(e)0~15質量%、例えば2~10質量%のジアルキルエーテル
を含む。
【0027】
好ましい第二の変形では、界面活性剤組成物は以下を含む。
(a)15重量%から45重量%、好ましくは20重量%から30重量%、より好ましくは25重量%から30重量%のグリシンベタインエステル塩。
(b)55重量%から80重量%、例えば60%から65%または65%から70%または70%から80重量%の脂肪アルコール、である。
(c)0から5重量%、例えば0から1重量%の有機酸または無機酸。
(d)0から3重量%、例えば0から1重量%のグリシンベタイン塩
(e)0~15重量%、例えば2~10重量%のジアルキルエーテル。
【0028】
この組成物は、上述の方法を使用して得ることができ、この方法は、グリシンベタイン1当量あたり、4~6当量の脂肪アルコール及び1.02~1.08当量の範囲の酸の量を使用する。得られる組成物は、アルコールに富んで酸の含有量が少なく、第一の変形によって1.1~1.8当量の脂肪アルコール及び1.5~2.0当量の酸を使用して得られる組成物と比較して、いくつかの利点を有する。具体的には、組成物中に存在する酸の量がより少ないため、その自然さが増大し、界面活性剤組成物の配合中に添加すべきpH補正剤の量を低減させることができるが、このpH補正剤とは、それ自体、エマルションの安定性及びケラチン繊維に付与される所定の特性に負の影響を与え得るものである。界面活性剤組成物の性能はまた、その含む残留アルコールの量の増加によって改善される。
【0029】
優先的には、グリシンベタインエステル塩の脂肪アルコールに対する質量比は、20:80から30:70の間である。
【0030】
有利には、界面活性剤組成物は、上記成分(a)~(e)以外のいかなる構成要素も含まない。変形として、上記方法は、この組成物中に存在するグリシンベタインエステル塩を単離する、追加の工程を含んでよく、これは本発明ではそのまま使用してよい。後者の場合、本発明によって使用される界面活性剤組成物は、少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、または少なくとも99質量%のグリシンベタイン誘導体を含むこととなろう。
【0031】
グリシンベタインアミド塩
これらのグリシンベタイン誘導体は、以下の連続工程:
(1)グリシンベタイン又はその塩を、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状のC4-C8アルコールと、有機酸又は無機酸の存在下、例えば100℃~180℃の範囲の温度及び減圧下で、反応させる工程、
(2)反応媒体を20℃から80℃の温度に冷却する工程、
(3)14から24の炭素原子を含む1つ以上のアルキルアミンを添加する工程、
(4)残留アルコールを除去する工程、及び
(5)かくして得られた界面活性剤組成物を回収する工程
を含む方法に従って調製することができる。
【0032】
この方法の第一工程は、グリシンベタインのエステル化反応からなり、これは、1つ以上の直鎖状及び/または分枝状のC4-C8アルコールを、上述のものから選択してよい酸の存在下で使用すること以外は、グリシンベタインエステルの製造と同様の方法で実施することができる。こうしたアルコールの例には、ブタノール、ペンタノール、3-メチルブタン-1-オール(またはイソアミルアルコール)、フーゼルアルコール(ペンタノール、2-メチルブタン-1-オール、及び3-メチルブタン-1-オールの混合物)、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、及びこれらの混合物が含まれる。「ブタノール」なる語は、本明細書において、n-ブタノール、イソブタノール、及びsec-ブタノールを意味すると同等に理解される。ブタノール、より詳細にはn-ブタノール、またヘキサノールは、本発明における使用に好ましく、ヘキサノールが特に好ましい。この反応は、一般的に溶媒の非存在下で行われ、使用されるアルコールは反応物と媒体との両方を構成する。反応中に生成する水もまた、反応混合物中のグリシンベタインの可溶化に寄与する。一般的に、グリシンベタイン1当量あたり、1.1~20当量、例えば2~4当量の直鎖状または分枝状のC4-C8アルコール、及び1.0~1.5当量のスルホン酸、例えば1.0~1.2当量、優先的に1.1当量のスルホン酸を使用することが可能である。エステル化は、100℃から180℃、優先的に100℃から160℃、より優先的に120℃から150℃、または130℃から160℃の温度で、大気圧下または減圧下で、実施してよい。
【0033】
エステル化反応の生成物は、任意に処理して、形成されたグリシンベタインエステルの塩を、反応媒体から分離してもよい。そのためには、例えば、反応媒体を濾過することができ、これによってアルコールに可溶な上述の塩化エステルを、可溶でない他の成分から分離することが可能となる。
【0034】
次に、反応媒体または単離されたエステルのいずれかに添加するのは、1つ以上のC14-C24アルキルアミンである。こうしたアミンの例は、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ドコサニルアミン、エイコサニルアミン、及びこれらの混合物である。本発明によれば、16から22の炭素原子を含む1つ以上のアミン、より好ましくはこうしたアミンの混合物を使用することが好ましい。
【0035】
この工程では、アルキルアミンは、有利には溶融状態で使用される。添加されるアルキルアミンの量は、例えば、最初に使用されるグリシンベタイン1当量あたり0.9~1.5当量、好ましくは1.0~1.2当量を占めてよい。このアミノリシス反応は、典型的には、50℃から180℃、好ましくは120℃から140℃の温度で、減圧下、例えば1~30mbarの圧力下で実施される。アミノリシス反応と同時に、アルコールは、減圧下での蒸留により除去される。アミノリシス反応及び蒸留は、1時間から7時間、特に3時間から5時間に亘って実施される。
かくして得られた界面活性剤組成物は、その後回収される。
【0036】
この方法によって、以下:
(a)式(1):Xn-[(CH3)3N+-CH2-CONH-R]n(式中、Rは14から24の炭素原子、好ましくは16から22の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基である)の1つ以上のグリシンベタインアミド塩、
(b)式(2):Xn-[NH3
+R] n(式中、Rは14から24の炭素原子、好ましくは16から22の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基である)の1つ以上のアルキルアンモニウム塩、
(c)式(3):Xn-[(CH3)3N+-CH2-COOR']n(式中、R’は4から8の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基である)の1つ以上のグリシンベタインエステル塩、及び
(d)式(4):(CH3)3N+-CH2-COO-(式中、Xは有機または無機アニオンであり、nは1または2に等しい)のグリシンベタイン
を含む界面活性剤組成物を得ることができる。
【0037】
この界面活性剤組成物は、本発明においてそのまま使用してよい。この場合、この組成物は、一般的に、60~98質量%、例えば70~80質量%のグリシンベタインアミド塩を含む。界面活性剤組成物の全質量に対して、構成成分(b)は0~25質量%、例えば15~20質量%、構成成分(c)は0~15質量%、例えば5~10質量%、構成成分(d)は0~5質量%を占めてよい。有利には、この界面活性剤組成物は、上記の成分(a)~(d)以外のいかなる構成要素も含まない。変形として、上記方法は、この組成物中に存在するグリシンベタインアミド塩を単離する追加工程を含んでもよく、これは本発明においてそのまま使用してよい。後者の場合、本発明に従って使用される界面活性剤組成物は、少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、または少なくとも99質量%のグリシンベタイン誘導体を含むことになる。
【0038】
いずれにせよ、以上に定義されるグリシンベタインエステルもしくはアミド塩を含む界面活性剤組成物は、カチオン化または非カチオン化アルキルポリグリコシドを含まず、且つ/または、エステルの場合(Z=O)には、さらに、式(1’)Xn-[(CH3)3N+-CH2-COO-R]n(式中、R eは、1から6の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、Xは有機または無機アニオンであり、nは1または2に等しい)のグリシンベタイン誘導体を含まないことが好ましい。
【0039】
好ましい一実施形態では、本発明による界面活性剤組成物は、ISO-16128規格に従って計算された、少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、または少なくとも99質量%の天然由来の成分を含む。
【0040】
化粧品組成物
本発明の実施のためには、上述の界面活性剤組成物を含むエマルション形態の化粧品組成物を使用する。このエマルションは、液体または半液体のコンシステンシー、クリームまたはバームタイプの柔らかなコンシステンシー、またはスティックタイプの固形コンシステンシーを有していてよい。これは、水中油型(O/W)、グリセロール中油型、油中水型(W/O)、グリセロール中水型、または多相(例えばW/O/W)型であってよい。このエマルションは、優先的には水中油型である。これは、一般に、1~8質量%、優先的には1~4質量%の、本発明に従って使用されるグリシンベタイン誘導体を含む。
【0041】
この化粧品組成物は、特に、チューブ、ポンプディスペンサーボトル、又はジャー中に実装してよい。変形として、これは、蒸発させた形態の組成物を確実に適用するために、エアゾール容器に実装されてもよい。後者の場合、化粧品組成物は、好ましくは、少なくとも1つの推進剤を含む。
【0042】
本発明に従って使用される化粧品組成物は、化粧品として許容される媒体、すなわち、ケラチン繊維及び皮膚、特に毛髪及び頭皮に適合性であり、ケラチン繊維への適用後に皮膚又は頭皮の刺激、あるいは別の望ましからぬ効果を生じない媒体を含む。
【0043】
この化粧品組成物は、水、C1-C4アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、又はn-ブタノール、ポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール、並びにこれらの混合物から選択される1つ以上の化粧品として許容される水溶性溶媒を含む、水性相を含む。変形として、これは、水と1つ以上の上述の溶媒との混合物を含んでよい。好ましくは、この化粧品組成物は、組成物の全質量に対して、5~95質量%の間、好ましくは10~90質量%の間、例えば40~85質量%の間、特に50~80質量%の間の全水分含有量を有する。この組成物のpHは、一般的に、3から9、好ましくは3から7、優先的には3.5から6、さらに好適には3.5から5まで変化する。前記pHは、この範囲内で、例えば以下:グルコン酸ナトリウム又はカルシウム、乳酸ナトリウム、グリシン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及び乳酸/乳酸ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウム、及びグルコン酸/グルコン酸ナトリウム緩衝溶液から選択される少なくとも1つのpH調整剤を用いて調整してよい。
【0044】
これは、少なくとも1つの脂肪物質を含む少なくとも1つの脂肪相をさらに含んでエマルションを形成する。好ましくは、脂肪物質は、油、ペースト状脂肪物質、ワックス、及びこれらの混合物から選択される。「油」なる語は、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)で液体であり、25℃の水中に少なくとも1質量%の割合で導入された場合に、水に全く溶解しないか、または水に導入された油の質量に対して10質量%未満までは溶解する化合物を意味すると理解される。「ペースト状脂肪物質」なる語は、可逆的な固体/液体状態変化を示し、固体状態で異方性の結晶組織を有し、23℃の温度で、液体画分と固体画分を含む脂肪物質、例えば植物バターを意味すると理解される。「ワックス」なる語は、本明細書の文脈では、25℃で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を示し、示差走査熱量測定(DSC)により測定された、一般的に30℃から160℃、好ましくは50℃から90℃の融点を有する脂肪物質を意味する。
【0045】
好ましくは、本発明に従って使用される化粧品組成物は、少なくとも1つの油を含む。油の例として、特に、脂肪アルコール、脂肪エステル、植物又は鉱物起源の炭化水素、トリグリセリド及びこれらを含む植物油、並びにこれらの混合物を挙げることができる。脂肪アルコールとしては、特に分枝状及び/又は不飽和のC10-C20脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール及びオレイルアルコールを挙げることができる。脂肪エステルの例は、以下:C2-C10(好ましくはC6-C10)飽和直鎖状酸とC10-C18(好ましくはC10-C14)飽和直鎖状モノアルコールとのモノエステル及びポリエステル、C10-C20飽和直鎖状酸とC3-C20(好ましくはC3-C10)分枝状または不飽和のモノアルコールとのモノエステル及びポリエステル、C5-C20分枝状または不飽和の酸とC5-C20分枝状または不飽和のモノアルコールとのモノエステル及びポリエステルより選択される酸とモノアルコールとのエステルである。こうした脂肪エステルの例は、特に、ココカプレートとカプリレートとの混合物、マカダミア酸エチル、シアバターエチルエステル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソアミル、ノナン酸セトステアリル、カプリル酸プロピルヘプチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、及びセバシン酸ジイソアミルである。
【0046】
炭化水素としては、スクワラン(C30)、特にオリーブ油から抽出されたかまたは生合成による植物スクワラン、及びヘミスクワラン(C15)を挙げることができる。トリグリセリドの例は、C6-C12脂肪酸のトリグリセリド、例えばカプリル酸及びカプリン酸のトリグリセリド、並びにトリヘプタノインである。植物油の例は、特に、小麦胚芽油、ヒマワリ油、アルガン油、ハイビスカス油、コリアンダー油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、へーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシの実油、カボチャ油、ゴマ油、マロウ油、ブラックカラント油、月見草油、ラベンダー油、ボラージ油、キビ油、大麦油、キヌア油、ライ麦油、紅花油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油、マスクローズ油、エキウム油、カメリナ油、又は椿油である。
【0047】
脂肪物質は、化粧品組成物の全質量に対して、1~30質量%、好ましくは5~25質量%、優先的には10~20質量%を占めてよい。
【0048】
本発明に従って使用される化粧品組成物はまた、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、日焼け止め、活性剤、例えばビタミン、ふけ防止剤、抗脂漏剤、脱毛防止剤及び/または毛髪成長促進剤、抗酸化剤、真珠光沢剤及び/または乳白剤、顔料、充填剤、金属イオン封鎖剤、非増粘性ポリマー、例えばアミノシリコーン及び/またはカチオン性ポリマー、香料、保存料、及びこれらの混合物から特に選択される少なくとも1つの標準化粧品成分を含んでいてよい。
【0049】
この組成物に使用することのできる有機酸は、7以下、好ましくは6以下、特に1~6、好ましくは2~5の範囲のpKaを有する。好ましい実施形態によれば、有機酸は、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの混合物から選択される。特に、有機酸は、α-及びβ-ヒドロキシ酸、例えば乳酸、クエン酸、グリコール酸、サリチル酸、リンゴ酸、酒石酸、及びこれらの混合物から選択され、より優先的にはクエン酸または乳酸である。
【0050】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルカルボニルイセチオン酸塩、例えば、INCI名でココイルイセチオン酸ナトリウム及びココイルメチルイセチオン酸ナトリウムとされるもの、乳酸(lactylic acid)塩、例えばラウロイル乳酸ナトリウム、N-アシルアミノ酸塩、例えばラウロイルグリシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルタウリン酸ナトリウム、及びオリーブ油脂肪酸グルタミン酸ナトリウム、アニオン性硫酸塩界面活性剤、特にアルキル硫酸塩、特にココ硫酸ナトリウム及びラウロイル硫酸カリウム、C8-C14アルキルエーテル硫酸アルキル塩、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム、カルボン酸塩の形態の石鹸、特にオリーブ油脂肪酸ナトリウム及びパルミチン酸ナトリウム;及びアルキルエーテルカルボン酸系界面活性剤、例えばラウリルエーテルカルボン酸またはラウリルエーテルカルボン酸ナトリウムから選択される。
【0051】
化粧品組成物に使用される非イオン性界面活性剤は、優先的に、以下:1から100モルのエチレンオキシド、好ましくは2から50、特に2から40モルのエチレンオキシドを含み、好ましくは1または2の脂肪鎖を含む、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のオキシエチレン化C8からC40アルコール、1から100、好ましくは2から50molのエチレンオキシドを含む、飽和または不飽和のオキシエチレン化植物油、(C8-C30)アルキル(ポリ)グルコシドであって、任意にオキシアルキレン化され(0から10EO)、1から15のグルコース単位を含むもの、ショ糖エステル、例えばショ糖ステアレート及びショ糖ジステアレート、モノグリセロール化またはポリグリセロール化C8~C40アルコールであって、1~50モルのグリセロール、好ましくは1~10モルのグリセロールを含むもの、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のオキシアルキレン化C8~C30脂肪酸アミド、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC8~C30酸とポリエチレングリコールとのエステル、好ましくは、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC8~C30酸とソルビトールとのオキシエチレン化エステル、並びにこれらの混合物から選択される。
【0052】
本発明で使用される化粧品組成物に使用される両性界面活性剤、好ましくは非シリコーン界面活性剤は、特に、任意に四級化された第二級又は第三級脂肪族アミン誘導体であって、脂肪族基が8から22の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状鎖であるものであってよく、前記アミン誘導体は少なくとも一つのアニオン性基、例えばカルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、またはホスホネート基を含む。特に、(C8-C20)アルキルベタイン、(C8-C20)アルキルスルホベタイン、(C8-C20)アルキルアミド(C3-C8)アルキルベタイン、及び(C8-C20)アルキルアミド(C6-C8)アルキルスルホベタインを挙げてよい。
【0053】
グリシンベタイン誘導体に加えて任意に使用されるカチオン性界面活性剤は、任意に、ポリオキシアルキレン化された第一級、第二級、または第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0054】
増粘剤は、セルロース増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース;天然由来のゴム、例えば、タラガム(カエサルピニアスピノサガム)及びグアーガム及びその誘導体、例えばヒドロキシプロピルグアー及びグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド、微生物由来のゴム、例えばキサンタンガム及びスクレログルカンガム;合成増粘剤、例えばアクリル酸またはアクリルアミドプロパンスルホン酸の架橋ホモポリマー;または非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性の会合性ポリマーから選択してよい。増粘性ポリマーとして使用できるカチオン性ポリマーの中では、特に、ポリアミン、ポリ(アミノアミド)、及びポリ(第四級アンモニウム)タイプのポリマー、特にカチオン性セルロース、カチオン性グアーゴム、並びにジメチルジアリルアンモニウムハライドのホモポリマー又はコポリマーを挙げてよい。
【0055】
本発明による組成物に含まれ得る活性剤の例は、ヒアルロン酸ナトリウム、トコフェロール及びその誘導体、例えば酢酸トコフェロール、パンテノール、セリン、グリセロール、アルギニン、セラミド、例えば2-オレアミド-1,3-オクタデカンジオール、ヒドロキシプロピルスターチホスフェート、及びこれらの混合物であり、このリストは限定的なものではない。ヘアコンディショニング剤、例えばシリコーン、特にジメチコン及びアモジメチコンもまた、挙げることができる。
【0056】
方法/使用
本発明に従って使用される化粧品組成物は、ケラチン繊維のためのケア製品、特に毛髪のトリートメントを企図したコンディショナー又はヘアマスクの形態である。特に、これは、弱った、且つ/又は損傷した毛髪、例えば、化学的又は機械的処理、特に、染色、漂白、パーマネントウェーブ、又はストレートパーマによって、あるいはブラッシングによって弱った、且つ/又は損傷した毛髪のトリートメントを企図しており、よって好ましくは前記毛髪に適用される。またこれは、トリートメントクリームシャンプー、特に抗脂漏性又は抗ふけシャンプーとして使用することもできる。この組成物は、リンス製品またはリンス不要の製品を構成することができる。これは一般に、起泡特性を有しない。この組成物はまた、染色、漂白、パーマネントウェーブ、またはストレートパーマなどの前または後、あるいはパーマネントウェーブまたはストレート処置の2工程の間に適用される、リンスアウト製品の形態であってもよい。
【0057】
変形として、本発明による化粧品組成物は、髭ケア製品の形態であってよい。
【0058】
本発明は、より具体的には、ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法に関し、この方法は、ケラチン繊維に、上述のエマルションの形態の化粧品組成物を、局所適用する工程を含む。「ケラチン繊維」なる語は、頭髪及び体毛、特に髭及び眉毛を意味すると理解される。本発明による組成物を適用してよい毛髪の種類には、白人、アフリカ人、及びアジア人が含まれる。これらは、多少によらず巻き毛であっても、縮れ毛であってもよい。「コンディショニング」なる語は、本明細書の文脈では、ケラチン繊維の櫛通り性、もつれ解け、柔らかさ、しなやかさ、光沢、及び扱いやすさから選択される、少なくとも1つの特性の改善を意味すると理解される。好ましくは、ケラチン繊維のコンディショニングは、その清浄化を含まない。したがって、本発明による組成物は、一般的にシャンプーは構成しない。
【0059】
前記組成物は、乾いた又は濡れた毛髪に、好ましくは濡れた又は湿った毛髪、すなわち、予め洗浄して濯いだ毛髪に適用してよい。一実施態様によれば、本発明による方法は、有効量の化粧品組成物を毛髪に適用する工程、任意に毛髪に揉みこむ(kneading)工程、任意に組成物を毛髪表面に残す工程、及び濯ぐ工程である。毛髪表面の組成物の放置時間は、数秒から15分の間、好ましくは30秒から5分の間であってよい。組成物は、一般的に水で濯ぐ。毛髪を乾燥させる任意の工程を実施してもよい。別の実施態様では、本発明による方法は、有効量の化粧品組成物を毛髪に適用する工程、任意に毛髪に揉みこむ工程、任意に組成物を毛髪表面に残す工程、及び濯ぎなしに任意に乾燥させる工程である。
この方法は、特に、ケラチン繊維の櫛通り性及び/又は柔らかさ及び/又はしなやかさ及び/又は扱いやすさ及び/又は光沢を改善し、且つ/又は、これらを滑らかにし、且つ/又はこれらを水和させ、且つ/又はその静電気を低減することを企図している。これは、一般的に、ケラチン繊維の清浄化には適さないか、または清浄化を企図していない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】
図1は、水と、参照界面活性剤、本発明によるグリシンベタインエステル塩の混合物、及び本発明によるグリシンベタインアミド塩の混合物をそれぞれ含む組成物とで処理した毛束の櫛通り性を示す図である。
【
図2】
図2は、参照界面活性剤、本発明によるグリシンベタインエステル塩の混合物、及び本発明によるグリシンベタインアミド塩の混合物をそれぞれ含む組成物を用いて処理した毛束の柔らかさを、市販のヘアデタングラーと比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、純粋に例示目的で与えられ、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを企図しない、以下の実施例に照らして、より良く理解されるであろう。
【0062】
実施例1:グリシンベタインエステル塩をベースとする界面活性剤組成物の合成
メタンスルホン酸塩の合成
グリシンベタイン(1.0当量)とC18からC22脂肪アルコールの混合物(1.4当量)を反応器に導入する。混合物の設定温度は170℃に設定され、圧力は60mbarの値に低減される。圧力及び温度の設定値に達したところで、70%メタンスルホン酸溶液(1.6当量)を反応混合物に添加する。添加が完了すると同時に設定温度を150℃にし、圧力は30mbarに維持する。酸の導入開始から5時間後、反応混合物を80℃に冷却し、次いで生成物を回収し、室温に冷却し、以下の成分:
【表1】
を含む本発明による界面活性剤組成物を構成する。
【0063】
エタンスルホン酸塩の合成
グリシンベタイン(1.0当量)とC18からC22脂肪アルコールの混合物(5.0当量)を反応器に導入する。混合物の設定温度は170℃に設定され、圧力は60mbarの値に低減される。圧力及び温度の設定値に達したところで、70%エタンスルホン酸溶液(1.05当量)を反応混合物に添加する。添加が完了すると同時に設定温度を150℃にし、圧力は30mbarに維持する。酸の導入開始から6時間後、反応混合物を80℃に冷却し、次いで生成物を回収し、室温に冷却し、以下の成分:
【表2】
を含む本発明による界面活性剤組成物を構成する。
【0064】
実施例2:グリシンベタインアミド塩をベースとする界面活性剤組成物の合成
メタンスルホン酸塩の合成
グリシンベタイン(1.0当量)、ブタノール(3.0当量)、及び70%メタンスルホン酸溶液(1.1当量)を、コンデンサーを取り付けた反応器に導入する。この混合物を大気圧下で140℃に加熱する。3時間反応させた後、ブタノールを満たしたディーン・スタークトラップを反応器に取り付ける。水-ブタノール共沸物の蒸留が初めから十分に起こることから、混合物は大気圧のままにする。さらに3時間反応させた後、水-ブタノール共沸物の蒸留速度が低下したところで、圧力を700mbarまで低減させて、水の除去を促進し、且つ平衡のグリシンベタインブチルエステル側へのシフトを可能にする。転化率は、1H NMR分析によってモニターする。
【0065】
NMR法では、CDCl3/CD3OD混合物(1/1、v/v)に溶解させた試料の1Hスペクトルを取得し、3.31ppmにおけるメタノールシグナルを基準とする。その後、様々な化合物の特性シグナルを積分し:MsOGBOBu(4.35ppm、s、2H)、MsOGB(4.28ppm、s、2H)、ブタノール(3.53ppm、t、2H)、メタンスルホネート(2.74ppm、s、3H)、ジブチルエーテル(3.40ppm、t、4H)、ここで、 XOGBOBuとは生成したグリシンベタインエステルスルホネート塩を示し、XOGBとは生成したグリシンベタインスルホネートを示す。メタンスルホネートの特性シグナルは、媒体中に存在するメタンスルホン酸と、グリシンベタインとブチルベタイネートメシレートとの対イオンであるメタンスルホネート(MsOGBOBu)との両方を考慮したものである。
【0066】
反応の転化率は、以下の計算:
【数1】
による積分値で求められ、ここで、
ηは転化率であり、
Iiは化合物iの特性シグナルの積分値である。
【0067】
エステル化反応の転化率が96%に達したところで、反応混合物を60℃まで冷却する。この冷却段階において、ディーン・スターク装置を蒸留装置に置き換え、反応器を減圧下に置いて、反応混合物中のブタノールの一部及び微量の残留水を除去する。混合物が60℃になったところで、予め融解させておいたC16-C22脂肪アミン(1.1当量)の混合物を添加する。その後、反応混合物を減圧下で150℃に加熱する。圧力は10mbarまで徐々に低減させる。ブタノールを全て(約4時間)蒸留した後、反応混合物を回収し、以下の成分:
【表3】
を含む、本発明による界面活性剤組成物を構成する。
【0068】
エタンスルホン酸塩の合成
グリシンベタイン(1.0当量)及びヘキサノール(3.0当量)を、ヘキサノールを満たしたディーン・スタークトラップを取り付けた反応器に導入する。反応器の蓋には、70%エタンスルホン酸溶液(1.1当量)を入れた等圧滴下漏斗が固定されている。混合物を攪拌し、600mbarの減圧下で150℃に加熱する。反応条件に達したところで、70%エタンスルホン酸溶液を反応混合物に徐々に導入する。添加が完了したところで、圧力が400mbarに達するまで徐々に減圧して、水の除去を促進し、且つ平衡のグリシンベタインエステル側へのシフトを可能にする。転化率は、1H NMR分析によってモニターする。
【0069】
NMR法では、CDCl3/CD3OD混合物(1/1、v/v)に溶解させた試料の1Hスペクトルを取得し、3.31ppmにおけるメタノールシグナルを基準とする。その後、様々な化合物の特性シグナルを積分し:EsOGBOC6(4.35ppm、s、2H)、EsOGB(4.28ppm、s、2H)、ヘキサノール(3.53ppm、t、2H)、エタンスルホネート(2.82ppm、q、3H)、ジヘキシルエーテル(3.40ppm、t、4H)、ここで、XOGBOC6とは生成したグリシンベタインエステルスルホネート塩を示し、XOGBとは生成したグリシンベタインスルホネートを示す。エタンスルホネートの特性シグナルは、媒体中に存在するエタンスルホン酸、及びグリシンベタインとヘキシルエシレートとの対イオンであるエタンスルホネート(EsOGBOC6)の両方を考慮したものである。
【0070】
反応の転化率は、以下の計算:
【数2】
による積分値で求められ、ここで、
ηは転化率であり、
Iiは化合物iの特性シグナルの積分値である。
【0071】
エステル化反応の転化率が96%に達したところで、反応混合物を80℃まで冷却する。この冷却段階において、ディーン・スターク装置を蒸留装置に置き換え、反応器を減圧下に置いて、反応混合物中のヘキサノールの一部及び微量の残留水を除去する。混合物が80℃になったところで、予め融解させておいたC16-C22脂肪アミン(1.1当量)の混合物を添加する。その後、反応混合物を減圧下で150℃に加熱する。圧力は徐々に5mbarまで低減させる。ヘキサノールを全て(約4時間)蒸留した後、反応混合物を回収し、以下の成分:
【表4】
を含む、本発明による界面活性剤組成物を構成する。
【0072】
実施例3:もつれ解き試験(官能試験)
毛束のもつれ解きのための比較試験を、コンディショニング剤として、本発明によるC18からC22グリシンベタインエステル塩の混合物とC16からC22グリシンベタインアミド塩の混合物とのいずれか、又はコンディショニング剤、すなわち塩化ベヘントリモニウム(EVONIK製のVarisoft(登録商標)BT85)を含む、水中脂肪アルコールエマルションを使用して、実施した。
【0073】
グリシンベタインエステル及びアミド塩は、それぞれ、実施例1の表1及び実施例2の表3に示される組成に対応するものであった。
これらのエマルションは、以下の組成:
セチルアルコール 6.00%~10.00%*
コンディショニング剤(活性物質として) 3.00%
防腐剤 0.60%
緩衝液 pH4.0~5.0とする適量
脱塩水 100.00%とする適量
を有していた。
*粘度が7000から22,000mPa.s(LV4、20rpm、20℃)となる量
これらのエマルションは、いずれも不透明な粘性クリームの外観を有していた。
さらに、対照として水道水(硬度30°F、温度:37℃)を使用した。
【0074】
毛髪2束をあらかじめ湿らせた後に絞り、最後に手のひらで15回こすり合わせて毛髪を絡ませた。その後、1gの各製品を、湿らせた2本の毛束のうち一方に塗布し、毛束の全長に亘って8回マッサージして製品を適切に行き渡らせた。3分間の放置時間の後、毛束を水道水で濯ぎ、手で絞った。これらを平らな面に置いた後、櫛で引っ掛かりなく梳かすことのできる毛束を得るまでに要する櫛梳きの回数を測定した。この手順を、1製品につき3回、3つの異なる毛束で繰り返した。水道水(30°F)では試験を1回のみ行った。
【0075】
この試験の結果を
図1に示す。この図から明らかなように、本発明によるグリシンベタインエステル塩は、参照界面活性剤と同等の性能を提供する。しかしながら、このグリシンベタイン誘導体は、参照界面活性剤よりも生分解性が高く、100%バイオベースであり、その合成方法はより環境に良いものである。グリシンベタインアミド塩は、エステル塩に比べ、より優れた効果を有する。
【0076】
次に、かくして得られた毛束の柔らかさの官能分析を、訓練されたパネルによって、上述と同様にではあるが、カチオン性コンディショニング剤(塩化ベヘントリモニウム)を同量含み、且つ上記のエマルションと同一pH及び実質的に同一粘度を有する、市販のもつれ解き製品(Elseve(登録商標)Total Repair Rapid Restore)で処理した毛束と比較して実施した。
【0077】
この評価結果を
図2に示す。この図に示されるように、グリシンベタインエステル塩を含む本発明による化粧品組成物で処理した毛束は、参照界面活性剤を含む組成物で処理したものより、さらには市販のもつれ解き剤で処理したものよりも、格段に柔らかいと認識される。
【0078】
追加の試験を、同一条件下で、実施例1の表2に示される界面活性剤組成物を用いて実施した。すべての結果は、下の表にまとめる。
【表5】
この界面活性剤組成物の性能は、同様の界面活性剤組成物であるが、より少量の脂肪アルコール及びより多量の酸の存在下で調製されたものよりも、格段に優れている。
【0079】
実施例4:もつれ解き試験(機械的試験)
材料及び方法
櫛を備えたDiastron(登録商標)Fibra One機を使用して、毛束を最後まで梳かすために要する仕事(ジュール)を測定する。
そのためには、漂白した白人の毛髪の平らに整えた毛束(3.5g、28cm)5本を、まず1mlのラウリルエーテル硫酸ナトリウム溶液(28%の活性物質)で洗浄する。毛束は、両手で20回こすり合わせた後、1分30秒間水中で濯ぐ。この洗浄を2回繰り返した後、余分な水分を、2本の指で毛束を3回絞ることによって除去する。
前記機械は、以下:
開始位置: 75mm
櫛梳き長さ: 200mm
速度: 2000mm/分
のように調節する。
各毛束について3回の測定を実施し、すなわち、各濯ぎ工程の後に1回測定し、その後3回の測定の平均を算出する。
【0080】
次に、同じコンディショナートリートメント(0.5ml)を5つの毛束の片側に塗布し、製品を2本の指で10回広げた後、毛束の反対側に塗布(0.5ml)し、2本の指で10回広げる。その後、毛束をそれぞれ水道水で16秒間(8秒毎に面を変えて)濯ぐ。余分な水分を、2本の指に挟んで同一の力で3回絞ることによって除去する。その後、毛束を、再び上述のDiastron(登録商標)で試験する。次に、2回連続して濯ぎ(水道水に10秒間あてた後に余分な水分を2本の指に挟んで3回絞る)を行い、それぞれの濯ぎ後に再びDiastron(登録商標)に送る。得られる3回の測定の平均を算出する。
【0081】
各毛束について、毛束のもつれ解きに要する力の減少率(%)を以下の式:
D=(WT-Wo)/100(式中、WTは処理後に測定される仕事であり、Woは処理前に測定される仕事である)を用いて決定する。5つの毛束について得られた減少率(%)の平均DMを算出する。
【0082】
試験したコンディショナー製品は以下:
1)約1質量%のグリシンベタインエステル及び3質量%のC18-22アルコールを含有する、実施例2による界面活性剤組成物、
2)1質量%の非イオン性界面活性剤(ステアリン酸ソルビタン)及び3質量%のC18-22アルコールを含有する、比較用界面活性剤組成物、
3)カチオン性界面活性剤としての1質量%の塩化ベヘントリモニウム及び3質量%のC18-22アルコールを含有する比較用界面活性剤組成物、
4)カチオン性界面活性剤としての1質量%の塩化セトリモニウム及び3質量%のC18-22アルコールを含む比較用界面活性剤組成物、
の通りであり、ここで、「C18-22アルコール」は、18から22の炭素原子を含む脂肪アルコールの混合物(BASF製のStenol(登録商標)1822A)を示す。
【0083】
結果
上述の試験の結果を、以下の表6にまとめる。
【表6】
【0084】
この表に示されるように、本発明による製品(製品1)は、処理された毛束にもつれ解けやすさをもたらし、これは、毛束を梳くための仕事に測定される減少によって表される。この減少は、もつれ解き製品に従来使用されている非生分解性カチオン性界面活性剤(製品3)を用いて得られるものと同程度であり、本発明による製品よりも低い生分解性を有する市販カチオン性界面活性剤(製品4)を用いて得られるものよりも高い。本発明による製品の性能は、非イオン性界面活性剤(製品2)を用いて得られるものよりも、さらに格段に良好である。
【0085】
実施例5:製剤
数種の製品が、本発明による界面活性剤組成物を用いて、それぞれパルミチル(GBE C16:0又はGBA C16:0)、ステアリル(GBE C18:0又はGBA C18:0)、アラキジル(GBE C20:0又はGBA C20:0)、またはベヘニル(GBE C22:0またはGBA C22:0)エステルもしくはアミド塩またはこれらの混合物、より詳細には、本発明の第二の変形による、少なくとも55質量%の脂肪アルコールを含むエステルに基づいて調製可能である。
こうした製品の例は以下に示され、大文字の成分はそのINCI名として識別される。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【国際調査報告】