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特表2023-503301直腸がんの術前化学放射線標準治療反応予測および治療後の予後予測のための組成物および標準治療後の予後が非常に悪い患者を予測する方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】直腸がんの術前化学放射線標準治療反応予測および治療後の予後予測のための組成物および標準治療後の予後が非常に悪い患者を予測する方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6851 20180101AFI20230120BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230120BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230120BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230120BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20230120BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20230120BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
C12Q1/6851 Z ZNA
C12N15/11 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
C12M1/34 F
C07K14/47
G01N33/50 P
G01N33/68
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529667
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2020016526
(87)【国際公開番号】W WO2021101339
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0149594
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517227297
【氏名又は名称】ノヴォミクス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ソンミュン・ペク
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ソ・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ポーグ-ゲイル・キャサリン
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
2G045FB01
2G045FB02
2G045FB03
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4B029AA23
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4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA51
(57)【要約】
本発明は、第1分子亜型またはこれから転写および翻訳されるタンパク質を含む、がん患者の予後予測用バイオマーカー組成物に関する。また、本発明は、第2分子亜型またはこれから転写および翻訳されるタンパク質をさらに含む、がん患者の予後予測用バイオマーカー組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルを測定する製剤を含み、
前記第1分子亜型は、PMP2、AGTR1、PLCXD3、TCEAL6、ANKRD1およびARHGAP26-AS1から選ばれた1種以上の遺伝子を含むものであり、
前記第2分子亜型は、PGP、SLC26A3、HIST1H4C、RUVBL2、RAB19、HIST2H2ACおよびSNORD69から選ばれた1種以上の遺伝子を含むものである、がん患者に抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のための組成物。
【請求項2】
前記第1分子亜型は、AADACL2、ABCA6、ABCA8、ABCA9、ABCB5、ABI3BP、ACADL、ACSM5、ACTG2、ADAMTS9-AS1、ADAMTS9-AS2、ADAMTSL3、ADCYAP1R1、ADGRB3、ADH1B、ADIPOQ、ADRA1A、AFF3、AGTR1、AICDA、ALB、ANGPTL1、ANGPTL5、ANGPTL7、ANK2、ANKS1B、ANXA8L1、APOA2、APOB、APOC3、AQP4、AQP8、ARPP21、ART4、ASB5、ASPA、ASTN1、ATCAY、ATP1A2、ATP2B2、ATP2B3、AVPR1B、B3GALT5-AS1、BCHE、BEST4、BHMT2、BLOC1S5-TXNDC5、BMP3、BRINP3、BVES、BVES-AS1、C14orf180、C1QTNF7、C7、C8orf88、CA1、CA2、CA7、CACNA2D1、CADM2、CADM3、CALN1、CARTPT、CASQ2、CAVIN2、CCBE1、CCDC144B、CCDC158、CCDC160、CCDC169、CCN5、CD300LG、CDH10、CDH19、CDKN2B-AS1、CDO1、CHRDL1、CHRM2、CHST9、CIDEA、CILP、CLCA4、CLCNKB、CLDN8、CLEC3B、CLEC4M、CLVS2、CMA1、CNGA3、CNN1、CNR1、CNTN1、CNTN2、CNTNAP4、COL19A1、CP、CPEB1、CPXM2、CR2、CRP、CTNNA3、CTSG、CYP1B1、DAO、DCLK1、DDR2、DES、DHRS7C、DIRAS2、DPP6、DPT、EBF2、ECRG4、ELAVL4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、ERICH3、EVX2、FABP4、FAM106A、FAM133A、FAM135B、FAM180B、FDCSP、FGF10、FGF13-AS1、FGF14、FGFBP2、FGG、FGL1、FHL1、FILIP1、FLNC、FMO2、FRMD6-AS2、FRMPD4、FUT9、GABRA5、GABRG2、GALR1、GAP43、GAS1RR、GC、GCG、GDF6、GFRA1、GNAO1、GPM6A、GPR119、GPR12、GPRACR、GRIA2、GRIN2A、GTF2IP1、GUCA2B、HAND1、HAND2、HAND2-AS1、HEPACAM、HP、HPCAL4、HRG、HRK、HSPB8、HTR2B、IGSF10、IGSF11、IRX6、ISM1、KCNA1、KCNB1、KCNC2、KCNK2、KCNMA1、KCNMB1、KCNQ5、KCNT2、KCTD8、KERA、KHDRBS2、KIAA0408、KIF1A、KRT222、KRT24、KRTAP13-2、LCN10、LDB3、LEP、LGI1、LIFR、LINC00504、LINC00507、LINC00682、LINC00924、LINC01266、LINC01352、LINC01474、LINC01505、LINC01697、LINC01798、LINC01829、LINC02015、LINC02023、LINC02185、LINC02268、LINC02408、LINC02544、LIX1、LMO3、LMOD1、LOC100506289、LOC101928731、LOC102724050、LOC107986321、LOC283856、LOC440434、LOC729558、LONRF2、LRAT、LRCH2、LRRC3B、LRRC4C、LRRTM4、LVRN、LYVE1、MAB21L1、MAB21L2、MAGEE2、MAMDC2、MAPK4、MASP1、MEF2C-AS1、MEOX2、METTL24、MFAP5、MGAT4C、MGP、MICU3、MIR133A1HG、MIR8071-1、MMRN1、MORN5、MPPED2、MRGPRE、MS4A1、MS4A12、MSRB3、MUSK、MYH11、MYH2、MYLK、MYO3A、MYOC、MYOCD、MYOM1、MYOT、MYT1L、NALCN、NAP1L2、NBEA、NECAB1、NEFL、NEFM、NEGR1、NETO1、NEUROD1、NEXMIF、NEXN、NGB、NIBAN1、NLGN1、NOS1、NOVA1、NPR3、NPTX1、NPY2R、NRG3、NRK、NRSN1、NRXN1、NSG2、NTNG1、NTRK3、NUDT10、OGN、OLFM3、OMD、OTOP2、OTOP3、P2RX2、P2RY12、PAK3、PAPPA2、PCDH10、PCDH11X、PCDH9、PCOLCE2、PCP4L1、PCSK2、PDZRN4、PEG3、PENK、PGM5、PGM5-AS1、PGM5P4-AS1、PGR、PHOX2B、PI16、PIK3C2G、PIRT、PKHD1L1、PLAAT5、PLCXD3、PLD5、PLIN1、PLIN4、PLN、PLP1、PMP2、POPDC2、POU3F4、PPP1R1A、PRDM6、PRELP、PRG4、PRIMA1、PROKR1、PTCHD1、PTGIS、PTPRQ、PTPRZ1、PYGM、PYY、RANBP3L、RBFOX3、RBM20、RELN、RERGL、RGS13、RGS22、RIC3、RIMS4、RNF150、RNF180、RORB、RSPO2、SCARA5、SCGN、SCN2B、SCN7A、SCN9A、SCNN1G、SCRG1、SEMA3E、SERTM1、SERTM2、SFRP1、SFRP2、SFTPA1、SGCG、SHISAL1、SLC13A5、SLC17A8、SLC30A10、SLC4A4、SLC5A7、SLC6A2、SLC7A14、SLIT2、SLITRK2、SLITRK3、SLITRK4、SMIM28、SMYD1、SNAP25、SNAP91、SORCS1、SORCS3、SPHKAP、SPIB、SPOCK3、SST、ST8SIA3、STMN2、STMN4、STON1-GTF2A1L、STUM、SV2B、SYNM、SYNPO2、SYT10、SYT4、SYT6、TACR1、TAFA4、TCEAL2、TCEAL5、TCF23、TENM1、THBS4、TLL1、TMEFF2、TMEM100、TMEM35A、TMIGD1、TMOD1、TNNT3、TNS1、TNXB、TRARG1、TRDN、UGT2B10、UGT2B4、UNC80、VEGFD、VGLL3、VIT、VSTM2A、VXN、WSCD2、XKR4、ZBTB16、ZDHHC22、ZFHX4、ZMAT4、ZNF385B、ZNF676、ZNF728からなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含むものである、組成物。
【請求項3】
前記第2分子亜型は、ADAT3、ANP32D、BHLHA9、BOD1L2、C4orf48、CCDC85B、CDH16、CLMAT3、CSNK1A1L、CTU1、DBET、DDC-AS1、DEFA5、EIF3IP1、FAM173A、FEZF2、FOXI3、FRMD8P1、GALR3、GJD3、GPR25、HBA1、HES4、HIST1H4A、HIST1H4L、HLA-L、IGFBP7-AS1、ITLN2、KCNE1B、LCN15、LKAAEAR1、LOC101927795、LOC101927972、LOC101928372、LOC344967、LRRC26、MAGEA10、MESP1、MIR203A、MIR324、MIR3661、MIR4449、MIR4479、MIR4665、MIR4737、MIR4767、MIR6807、MIR6858、MIR6891、MIR8075、NACA2、NOXO1、ONECUT3、PCSK1N、PDF、PITPNM2-AS1、PNMA5、PRR7、PRSS2、PRSS56、PTGER1、PTTG3P、REG3A、RNA5S9、RNU4-1、RNU5A-1、RNU5B-1、RNU5E-1、RNU6ATAC、RNY1、RPL29P2、RPRML、SBF1P1、SHISAL2B、SKOR2、SLC32A1、SMARCA5-AS1、SMCR5、SNHG25、SNORA36A、SNORD30、SNORD38A、SNORD3B-2、SNORD41、SNORD48、TMEM160、TMEM238、TPGS1、TRAPPC5、UBE2NL、WBP11P1、ZAR1からなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗がん治療は、化学治療、放射線治療、外科的手術的治療またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記抗がん治療は、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記がんは、直腸がんである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を含む、抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のためのキット。
【請求項8】
前記キットは、RT-PCRキット、DNAチップキット、ELISAキット、タンパク質チップキット、ラピッド(rapid)キットまたはMRM(Multiple reaction monitoring)キットである、請求項7に記載の抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のためのキット。
【請求項9】
第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子またはこれによってコード化されるタンパク質を含み、
前記第1分子亜型は、PMP2、AGTR1、PLCXD3、TCEAL6、ANKRD1およびARHGAP26-AS1から選ばれた1種以上の遺伝子を含むものであり、
前記第2分子亜型は、PGP、SLC26A3、HIST1H4C、RUVBL2、RAB19、HIST2H2ACおよびSNORD69から選ばれた1種以上の遺伝子を含むものである、がん患者に対する抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のためのバイオマーカー組成物。
【請求項10】
目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルを測定する段階を含み、
前記第1分子亜型は、PMP2、AGTR1、PLCXD3、TCEAL6、ANKRD1およびARHGAP26-AS1から選ばれた1種以上の遺伝子を含むものであり、
前記第2分子亜型は、PGP、SLC26A3、HIST1H4C、RUVBL2、RAB19、HIST2H2ACおよびSNORD69から選ばれた1種以上の遺伝子を含むものである、抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のためのための情報提供方法。
【請求項11】
前記第1分子亜型は、AADACL2、ABCA6、ABCA8、ABCA9、ABCB5、ABI3BP、ACADL、ACSM5、ACTG2、ADAMTS9-AS1、ADAMTS9-AS2、ADAMTSL3、ADCYAP1R1、ADGRB3、ADH1B、ADIPOQ、ADRA1A、AFF3、AGTR1、AICDA、ALB、ANGPTL1、ANGPTL5、ANGPTL7、ANK2、ANKS1B、ANXA8L1、APOA2、APOB、APOC3、AQP4、AQP8、ARPP21、ART4、ASB5、ASPA、ASTN1、ATCAY、ATP1A2、ATP2B2、ATP2B3、AVPR1B、B3GALT5-AS1、BCHE、BEST4、BHMT2、BLOC1S5-TXNDC5、BMP3、BRINP3、BVES、BVES-AS1、C14orf180、C1QTNF7、C7、C8orf88、CA1、CA2、CA7、CACNA2D1、CADM2、CADM3、CALN1、CARTPT、CASQ2、CAVIN2、CCBE1、CCDC144B、CCDC158、CCDC160、CCDC169、CCN5、CD300LG、CDH10、CDH19、CDKN2B-AS1、CDO1、CHRDL1、CHRM2、CHST9、CIDEA、CILP、CLCA4、CLCNKB、CLDN8、CLEC3B、CLEC4M、CLVS2、CMA1、CNGA3、CNN1、CNR1、CNTN1、CNTN2、CNTNAP4、COL19A1、CP、CPEB1、CPXM2、CR2、CRP、CTNNA3、CTSG、CYP1B1、DAO、DCLK1、DDR2、DES、DHRS7C、DIRAS2、DPP6、DPT、EBF2、ECRG4、ELAVL4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、ERICH3、EVX2、FABP4、FAM106A、FAM133A、FAM135B、FAM180B、FDCSP、FGF10、FGF13-AS1、FGF14、FGFBP2、FGG、FGL1、FHL1、FILIP1、FLNC、FMO2、FRMD6-AS2、FRMPD4、FUT9、GABRA5、GABRG2、GALR1、GAP43、GAS1RR、GC、GCG、GDF6、GFRA1、GNAO1、GPM6A、GPR119、GPR12、GPRACR、GRIA2、GRIN2A、GTF2IP1、GUCA2B、HAND1、HAND2、HAND2-AS1、HEPACAM、HP、HPCAL4、HRG、HRK、HSPB8、HTR2B、IGSF10、IGSF11、IRX6、ISM1、KCNA1、KCNB1、KCNC2、KCNK2、KCNMA1、KCNMB1、KCNQ5、KCNT2、KCTD8、KERA、KHDRBS2、KIAA0408、KIF1A、KRT222、KRT24、KRTAP13-2、LCN10、LDB3、LEP、LGI1、LIFR、LINC00504、LINC00507、LINC00682、LINC00924、LINC01266、LINC01352、LINC01474、LINC01505、LINC01697、LINC01798、LINC01829、LINC02015、LINC02023、LINC02185、LINC02268、LINC02408、LINC02544、LIX1、LMO3、LMOD1、LOC100506289、LOC101928731、LOC102724050、LOC107986321、LOC283856、LOC440434、LOC729558、LONRF2、LRAT、LRCH2、LRRC3B、LRRC4C、LRRTM4、LVRN、LYVE1、MAB21L1、MAB21L2、MAGEE2、MAMDC2、MAPK4、MASP1、MEF2C-AS1、MEOX2、METTL24、MFAP5、MGAT4C、MGP、MICU3、MIR133A1HG、MIR8071-1、MMRN1、MORN5、MPPED2、MRGPRE、MS4A1、MS4A12、MSRB3、MUSK、MYH11、MYH2、MYLK、MYO3A、MYOC、MYOCD、MYOM1、MYOT、MYT1L、NALCN、NAP1L2、NBEA、NECAB1、NEFL、NEFM、NEGR1、NETO1、NEUROD1、NEXMIF、NEXN、NGB、NIBAN1、NLGN1、NOS1、NOVA1、NPR3、NPTX1、NPY2R、NRG3、NRK、NRSN1、NRXN1、NSG2、NTNG1、NTRK3、NUDT10、OGN、OLFM3、OMD、OTOP2、OTOP3、P2RX2、P2RY12、PAK3、PAPPA2、PCDH10、PCDH11X、PCDH9、PCOLCE2、PCP4L1、PCSK2、PDZRN4、PEG3、PENK、PGM5、PGM5-AS1、PGM5P4-AS1、PGR、PHOX2B、PI16、PIK3C2G、PIRT、PKHD1L1、PLAAT5、PLCXD3、PLD5、PLIN1、PLIN4、PLN、PLP1、PMP2、POPDC2、POU3F4、PPP1R1A、PRDM6、PRELP、PRG4、PRIMA1、PROKR1、PTCHD1、PTGIS、PTPRQ、PTPRZ1、PYGM、PYY、RANBP3L、RBFOX3、RBM20、RELN、RERGL、RGS13、RGS22、RIC3、RIMS4、RNF150、RNF180、RORB、RSPO2、SCARA5、SCGN、SCN2B、SCN7A、SCN9A、SCNN1G、SCRG1、SEMA3E、SERTM1、SERTM2、SFRP1、SFRP2、SFTPA1、SGCG、SHISAL1、SLC13A5、SLC17A8、SLC30A10、SLC4A4、SLC5A7、SLC6A2、SLC7A14、SLIT2、SLITRK2、SLITRK3、SLITRK4、SMIM28、SMYD1、SNAP25、SNAP91、SORCS1、SORCS3、SPHKAP、SPIB、SPOCK3、SST、ST8SIA3、STMN2、STMN4、STON1-GTF2A1L、STUM、SV2B、SYNM、SYNPO2、SYT10、SYT4、SYT6、TACR1、TAFA4、TCEAL2、TCEAL5、TCF23、TENM1、THBS4、TLL1、TMEFF2、TMEM100、TMEM35A、TMIGD1、TMOD1、TNNT3、TNS1、TNXB、TRARG1、TRDN、UGT2B10、UGT2B4、UNC80、VEGFD、VGLL3、VIT、VSTM2A、VXN、WSCD2、XKR4、ZBTB16、ZDHHC22、ZFHX4、ZMAT4、ZNF385B、ZNF676、ZNF728からなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含むものである、請求項10に記載の情報提供方法。
【請求項12】
前記第2分子亜型は、ADAT3、ANP32D、BHLHA9、BOD1L2、C4orf48、CCDC85B、CDH16、CLMAT3、CSNK1A1L、CTU1、DBET、DDC-AS1、DEFA5、EIF3IP1、FAM173A、FEZF2、FOXI3、FRMD8P1、GALR3、GJD3、GPR25、HBA1、HES4、HIST1H4A、HIST1H4L、HLA-L、IGFBP7-AS1、ITLN2、KCNE1B、LCN15、LKAAEAR1、LOC101927795、LOC101927972、LOC101928372、LOC344967、LRRC26、MAGEA10、MESP1、MIR203A、MIR324、MIR3661、MIR4449、MIR4479、MIR4665、MIR4737、MIR4767、MIR6807、MIR6858、MIR6891、MIR8075、NACA2、NOXO1、ONECUT3、PCSK1N、PDF、PITPNM2-AS1、PNMA5、PRR7、PRSS2、PRSS56、PTGER1、PTTG3P、REG3A、RNA5S9、RNU4-1、RNU5A-1、RNU5B-1、RNU5E-1、RNU6ATAC、RNY1、RPL29P2、RPRML、SBF1P1、SHISAL2B、SKOR2、SLC32A1、SMARCA5-AS1、SMCR5、SNHG25、SNORA36A、SNORD30、SNORD38A、SNORD3B-2、SNORD41、SNORD48、TMEM160、TMEM238、TPGS1、TRAPPC5、UBE2NL、WBP11P1、ZAR1からなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含むものである、請求項10に記載の情報提供方法。
【請求項13】
前記抗がん治療は、化学治療、放射線治療、手術的治療またはこれらの組み合わせである、請求項10に記載の情報提供方法。
【請求項14】
前記抗がん治療は、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療である、請求項10に記載の情報提供方法。
【請求項15】
前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型が発現したり、発現レベルが対照群に比べて高い場合、前記抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後が悪いものと予測する、請求項10に記載の情報提供方法。
【請求項16】
前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第2分子亜型が発現したり、発現レベルが対照群に比べて高い場合、前記抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後が良いものと予測する、請求項10に記載の情報提供方法。
【請求項17】
前記個体のTNM病期、年齢、性別、寛解判定の有無またはこれらが組み合わせられた情報を確認する段階をさらに含む、請求項10に記載の情報提供方法。
【請求項18】
前記個体の第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT3またはT4段階である場合、抗がん治療後の予後が悪いものと予測する、請求項17に記載の情報提供方法。
【請求項19】
前記個体の第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がN1またはN2段階である場合、抗がん治療後の予後が悪いものと予測する、請求項17に記載の情報提供方法。
【請求項20】
前記個体の第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、抗がん治療後に完全寛解の判定を受けた場合、抗がん治療後の予後が良いものと予測する、請求項17に記載の情報提供方法。
【請求項21】
前記個体の第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT0、T1またはT2段階である場合、抗がん治療後の予後が良いものと予測する、請求項17に記載の情報提供方法。
【請求項22】
前記個体の第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がN0段階である場合、抗がん治療後の予後が良いものと予測する、請求項17に記載の情報提供方法。
【請求項23】
前記がんは、乳がん、子宮がん、食道がん、胃がん、脳がん、直腸がん、大腸がん、肺がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮頸がん、腎臓がん、血液がん、すい臓がん、前立腺がん、睾丸がん、喉頭がん、口腔がん、頭頸部がん、甲状腺がん、肝がん、膀胱がん、骨肉腫、リンパ腫および白血病からなる群から選ばれた1種以上のがんである、請求項10に記載の情報提供方法。
【請求項24】
目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルを測定する測定部と、
前記発現レベルから前記個体に対する抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後予測情報および全体術前化学療法対象患者選別のための情報を提供する演算部と、を含み、
前記第1分子亜型は、PMP2、AGTR1、PLCXD3、TCEAL6、ANKRD1、ARHGAP26-AS1およびTCEAL6から選ばれた1種以上の遺伝子を含むものであり、
前記第2分子亜型は、PGP、SLC26A3、HIST1H4C、RUVBL2、RAB19、HIST2H2ACおよびSNORD69から選ばれた1種以上の遺伝子を含むものである、抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者選別のための装置。
【請求項25】
前記抗がん治療は、化学治療、放射線治療、手術的治療またはこれらの組み合わせである、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記抗がん治療は、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療である、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記個体のTNM病期、年齢、性別、寛解判定の有無またはこれらが組合わせられたものが入力される入力部をさらに含む、請求項24に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直腸がんの術前化学放射線治療の反応性または治療後の予後を予測するための組成物およびこれを利用した予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直腸がん(rectal cancer)は、腸に発生するがんのうち最も多いが、早期発見および早期治療が容易で、治癒率が高い。直腸がんは、中年期以降に発病率が高い。発生母地としては、直腸ポリープが挙げられる。症状は、直腸カタール症状と似ており、悪臭が出る膿粘血便がみられる。粘液排出と排便後にも頻繁な便意がある。また、直腸の狭窄症状としては、直腸と肛門周囲の重圧感、頑固な便秘、 ウサギの糞のような便、便注の細小化があり、さらに進行すると、括約筋の閉鎖不全によって失禁することになる。
【0003】
指診すると、直腸内にでこぼした丈夫な腫瘍が触る。直腸鏡で直接腫瘍を見て試験切除をして検鏡すると、確診を得ることができる。直腸壁に限定されている発生初期に手術をすると、手術成績はきわめて良好である。根治手術不能の場合には、人工肛門を作ってそこへ排便させ、局所にはラジウムなどの高圧放射線などを照射する。このような治療によって10年ほど生存する場合もある。
【0004】
直腸がんと大腸がん(colon cancer)は、形態学的類似性にもかかわらず、その治療方式が異なっている。大腸がんは、治療手術後に補助化学療法で治療されるが、直腸がんは、手術前に化学放射線治療で治療され、次に、治療手術が引き続く。
【0005】
大腸がんの分子亜型分類器は、腫瘍塊り内の間質組織の量によって大きく決定されるので、結腸がん亜型分類器は、一般的に、小さい前処理生検標本により診断される直腸がんには適用できない。すなわち、大腸がんは、遺伝子発現パターンに基づいて4個の分子亜型に分類され、CMS4分子亜型の場合、予後が悪く、従来の抗がん剤に耐性があることが証明されたが、CMS4分子亜型は、がん組織内線維芽細胞の割合によって決定されるので、治療前に小さい生検組織を用いて診断後、手術をせずに、すぐに治療する直腸がんの場合には、線維芽細胞の割合を知ることができないので、大腸がんの分子亜型分類方法の適用が不可能である。
【0006】
したがって、直腸がんは、大腸がんとは異なる、直腸がん固有の手術前の化学放射線療法に対する反応、再発率および生存率などに対する臨床的有用性を提供するバイオマーカーが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後を正確かつ簡便に予測できるバイオマーカー組成物を提供しようとする。
【0008】
本発明の他の目的は、抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後を正確かつ簡便に予測できる予後予測用組成物を提供しようとする。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後を正確かつ簡便に予測できるキットを提供しようとする。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後を正確かつ簡便に予測できる情報提供方法を提供しようとする。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後を予測できる装置に関する。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、直腸がん治療の開始前に診断目的で施行する生検を用いて確保されたがん組織の分析を通じて全体術前化学療法(total neoadjuvant therapy)の対象群を鑑別するバイオマーカー組成物に関する。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、直腸がん治療の開始前に診断目的で施行する生検を用いて確保されたがん組織の分析を通じて全体術前化学療法(total neoadjuvant therapy)の対象群を鑑別する組成物に関する。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、直腸がん治療の開始前に診断目的で施行する生検を用いて確保されたがん組織の分析を通じて全体術前化学療法(total neoadjuvant therapy)の対象群を鑑別するキットに関する。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、直腸がん治療の開始前に診断目的で施行する生検を用いて確保されたがん組織の分析を通じて全体術前化学療法(total neoadjuvant therapy)の対象群を鑑別する装置に関する。
【0016】
しかしながら、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、以下の記載から当該技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下、本願に記載された多様な具体例が図面を参照として記載される。下記説明において、本発明の完全な理解のために、多様な特異的詳細事項、例えば、特異的形態、組成物および工程などが記載されている。しかしながら、特定の具体例は、これらの特異的詳細事項のうち一つ以上なく、または他の公知の方法および形態とともに実行できる。他の例において、公知の工程および製造技術は、本発明を不要に曖昧にしないようにするために、特定の詳細事項として記載されない。「一つの具体例」または「具体例」に対する本明細書全体を通した参照は、具体例と関連して記載された特別な特徴、形態、組成または特性が本発明の一つ以上の具体例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる多様な位置で表現された「一つの具体例」または「具体例」の状況は、必ず本発明の同じ具体例を示すものではない。さらに、特別な特徴、形態、組成、または特性は、一つ以上の具体例でいかなる好適な方法で組み合わせられる。
【0018】
本発明内特別な定義がなければ、本明細書に使用されたすべての科学的および技術的な用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって通常的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0019】
本発明の一具現例によれば、第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子またはこれによってコード化されるタンパク質を含む、がん患者に対する抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のためのバイオマーカー組成物に関する。
【0020】
本発明において、前記第1分子亜型は、PMP2、AGTR1、PLCXD3、TCEAL6、ANKRD1およびARHGAP26-AS1から選ばれた1種以上の遺伝子を含んでもよい。
【0021】
本発明において前記「PMP2」遺伝子は、ミエリンP2タンパク質(Myelin P2 protein;PMP2)をコード化する遺伝子であり、前記ミエリンP2タンパク質は、P2の構成成分である末梢神経系(PNS)髄鞘と中枢神経系(CNS)のミエリンの成分である。前記P2は、構造的タンパク質として髄鞘膜を安定化させるものと考えられ、シュワン細胞で脂質輸送の役割をすることができる。本発明において、前記ミエリンP2タンパク質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0022】
本発明において前記「AGTR1」遺伝子は、アンギオテンシンII受容体タイプ1(Angiotensin II receptor type 1;AGTR1)タンパク質をコード化する遺伝子であり、前記アンギオテンシンII受容体タイプ1タンパク質は、最も特徴的なアンギオテンシン受容体であり、血管収縮効果があり、アルドステロン分泌を調節する。本発明において、前記アンギオテンシンII受容体タイプ1タンパク質は、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0023】
本発明において、前記「PLCXD3」遺伝子は、ホスファチジルイノシトールに特異的なホスホリパーゼCの1を含むXドメインであり、PAR(pseudoautosomal領域)に存在し、PI-PLC Xドメイン含有タンパク質3(PI-PLC X domain-containing protein 3;PLCXD3)をコード化する遺伝子である。本発明において、前記PI-PLC Xドメイン含有タンパク質3は、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0024】
本発明において前記「TCEAL6」遺伝子は、前記転写伸長因子A(SII)様6またはアンキリン反復ドメイン含有タンパク質1(Transcription elongation factor A(SII)-like 6;TCEAL6)をコード化し、転写調節に関与することができる。本発明において、前記転写伸長因子A(SII)様6またはアンキリン反復ドメイン含有タンパク質1は、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0025】
本発明において前記「ANKRD1」遺伝子は、アンキリン反復ドメイン含有タンパク質1(Ankyrin repeat domain-containing protein 1;ANKRD1)をコード化し、心臓および骨格筋で高度に発現し、ストレス条件下で発現レベルが高まる。本発明において、前記アンキリン反復ドメイン含有タンパク質1は、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0026】
本発明において前記「ARHGAP26-AS1」遺伝子は、lncRNAクラスと関連があるRNA遺伝子であり、配列番号6で表されるものであってもよいが、これに限定されない。
【0027】
本発明の一例において、前記第1分子亜型は、GTF2IP1、TBC1D3L、BLOC1S5-TXNDC5、MIR4477B、HIST2H3C、HNRNPA1P33、CTAGE8、GOLGA8K、KRT222、LOC440434、C10orf131、PGM5-AS1、ACADL、PGM5P3-AS1、LOC101929607、KIAA0408、PLGLB2、ZNF676、KIAA2022、SEMA3E、PLCXD3、NLGN1、SLITRK4、GAS1RR、TCEAL2、LOC642131、LONRF2、GRIN2A、ADAMTS9-AS1、LOC644838、LOC100507387、FAM35BP、EPHA6、MIR186、LINC01266、FAM47E-STBD1、LINC01489、TVP23C-CDRT4、FAM133A、NEXN、LGI1、OR7E12P、MIR3911、MYH8、ZNF728、BCHE、CCDC144B、LINC01537、LOC101928509、KCTD8、LOC100507073、ARHGEF18、BVES-AS1、LINGO2、SCN7A、GRIA2、LINC00504、LINC01352、MIR133A1HG、SCN9A、HLX-AS1、LOC100506289、FILIP1、MEIS1-AS2、FGF13-AS1、HCG23、PLN、RANBP3L、SPOCK3、PCDH10、LCN10、COL25A1、MEF2C-AS1、ATP2B2、CDH19、ADIPOQ、CRP、ALB、OTOP2、MYOC、FGL1、ATP1A2、CHRM2、PCSK2、SLITRK3、GPM6A、HAND2-AS1、RIMS4、NRXN1、PDZRN4、KRT24、ANGPTL1、TRARG1、MYH11、CASQ2、NGB、LOC101928731、KCNA1、SLC5A7、PMP2、CTNNA3、OGN、SYT4、FABP4、ADH1B、ADCYAP1R1、PI16、GCG、HP、CADM2、MYH2、CLVS2、MAMDC2、FRMPD4、CA1、FAM180B、CMA1、SERTM1、KCNB1、NEXMIF、GC、PLP1、APCS、SLC17A8、ANGPTL7、SYNM、PHOX2B、AGTR1、C7、ST8SIA3、LMO3、LDB3、RERGL、ASB5、SGCG、OTOP3、CCBE1、BMP3、HAND1、CADM3、SYNPO2、TMIGD1、NPTX1、ABCA8、NEFL、PLIN4、CD300LG、LEP、MORN5、ECRG4、SFRP1、SLC7A14、SCN2B、FMO2、SORCS1、CLCA4、OMD、VEGFD、STMN4、PTPRZ1、AQP4、SMYD1、SCRG1、ADGRB3、TMEFF2、CNR1、CIDEA、CNTN1、DPP6、HAND2、TCEAL5、FRMD6-AS2、SMIM28、SYT10、NOS1、PLD5、TNNT3、ABCA9、EPHA7、GALR1、RSPO2、NPY2R、CHRDL1、APOC3、FUT9、PRIMA1、LINC00924、TNXB、LOC102724050、NTNG1、CNGA3、AQP8、PGM5、ASTN1、RNF150、ADAMTSL3、LYVE1、ZDHHC22、LRRTM4、RBFOX3、ABCA6、NECAB1、FGG、NEFM、APOB、RIC3、VSTM2A、OLFM3、CILP、LINC00682、NIBAN1、LMOD1、MYOT、ABI3BP、PPP1R1A、WSCD2、FDCSP、HSPB8、KHDRBS2、NSG2、PKHD1L1、CHST9、ZMAT4、POU3F4、LIX1、MUSK、NRK、PGR、AADACL2、CLDN8、ADAMTS9-AS2、METTL24、NRSN1、LOC729558、SCGN、BEST4、SLITRK2、RELN、NPR3、CCN5、CDH10、CA7、LINC02268、SPIB、ABCB5、CNTNAP4、PTCHD1、UGT2B4、ANKS1B、LINC01829、DPT、MGAT4C、MYT1L、CPEB1、ERICH3、SORCS3、CYP1B1、LINC02023、SALL3、ANK2、PRELP、ART4、PIRT、MYLK、C1QTNF7、LINC01798、DCLK1、DES、KCNC2、CNN1、BRINP3、FAM135B、PYY、GAP43、NAP1L2、ACSM5、THBS4、HTR2B、PYGM、IGSF10、TAFA4、KRTAP13-2、VIT、LRAT、LRRC3B、TMOD1、EPHA5、IRX6、PCDH11X、SLC4A4、HRK、RBM20、LOC283856、LINC00507、ZBTB16、PRG4、APOA2、ASPA、ANXA8L1、CLCNKB、SERTM2、GABRG2、SLC6A2、ZFHX4、MMRN1、STUM、PCOLCE2、DIRAS2、XKR4、SFTPA1、GNAO1、LVRN、DAO、TMEM100、ANGPTL5、LINC01505、SST、HEPACAM、KCNK2、HRG、MFAP5、LINC02544、RORB、FGF14、CP、MIR8071-1、NEUROD1、MYOCD、CNTN2、SCARA5、CAVIN2、LRRC4C、TCF23、MS4A12、C14orf180、PCDH9、PENK、CARTPT、HPCAL4、ZNF716、PCP4L1、CLEC3B、MYOM1、CCDC160、CA2、GFRA1、LOC107986321、LOC101928134、FHL1、NALCN、MAS1L、MS4A1、PEG3、SFTPC、POPDC2、GPRACR、SLIT2、TRDN、LINC02185、SCNN1G、SNAP25、MAGEB2、ACTG2、MEOX2、C8orf88、ATP2B3、TNS1、GPR119、ZNF385B、SFRP2、KCNQ5、KCNMA1、STON1-GTF2A1L、LIFR、ELAVL4、ADRA1A、ATCAY、LINC01474、FGF10、PIK3C2G、SLC13A5、NUDT10、CCDC169、STMN2、AVPR1B、MAB21L1、MASP1、LINC02408、VXN、PGM5P4-AS1、SNAP91、LRCH2、ISM1、NOVA1、NEGR1、SPHKAP、LINC01697、SHISAL1、CDKN2B-AS1、CR2、MYO3A、AFF3、MROH2B、P2RX2、KIF1A、LINC02015、IGSF11、SV2B、ARPP21、SYT6、GABRA5、EVX2、COL19A1、FGFBP2、FAM106A、VGLL3、KCNT2、PTGIS、EBF2、CTSG、CACNA2D1、B3GALT5-AS1、GUCA2B、UNC80、NETO1、GPR12、LOC105378318、PLIN1、RGS22、SLC30A10、TMEM35A、TACR1、AICDA、MSRB3、NRG3、PLAAT5、CT45A10、LINC01446、TLL1、CLEC4M、DDR2、MAB21L2、MPPED2、CALN1、MICU3、BVES、LOC107986400、DHRS7C、KERA、MAPK4、CDO1、PROKR1、PAPPA2、KCNMB1、P2RY12、MAGEE2、FLNC、GDF6、NBEA、BHMT2、CPXM2、NTRK3、TENM1、RNF180、MRGPRE、CCDC158、PRDM6、RGS13、PAK3、MGP、UGT2B10およびPTPRQからなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本発明の他の例において、前記第1分子亜型は、ACADL、ADAMTS9-AS1、ARHGEF18、BCHE、BLOC1S5-TXNDC5、BVES-AS1、C10orf131、CCDC144B、CDH19、CTAGE8、EPHA6、FAM133A、FAM35BP、FAM47E-STBD1、FILIP1、GAS1RR、GOLGA8K、GRIA2、GRIN2A、GTF2IP1、HCG23、HIST2H3C、HLX-AS1、HNRNPA1P33、KCTD8、KIAA0408、KIAA2022、KRT222、LGI1、LINC00504、LINC01266、LINC01352、LINC01489、LINC01537、LINGO2、LOC100507073、LOC100507387、LOC101928509、LOC101929607、LOC440434、LOC642131、LOC644838、LONRF2、MEIS1-AS2、MIR133A1HG、MIR186、MIR3911、MIR4477B、MYH8、NEXN、NLGN1、OR7E12P、PCDH10、PGM5-AS1、PGM5P3-AS1、PLCXD3、PLGLB2、PLN、RANBP3L、SCN7A、SCN9A、SEMA3E、SLITRK4、SYT4、TBC1D3L、TCEAL2、TVP23C-CDRT4、ZNF676、ZNF728からなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明のさらに他の一例において、前記第1分子亜型は、AADACL2、ABCA6、ABCA8、ABCA9、ABCB5、ABI3BP、ACADL、ACSM5、ACTG2、ADAMTS9-AS1、ADAMTS9-AS2、ADAMTSL3、ADCYAP1R1、ADGRB3、ADH1B、ADIPOQ、ADRA1A、AFF3、AGTR1、AICDA、ALB、ANGPTL1、ANGPTL5、ANGPTL7、ANK2、ANKS1B、ANXA8L1、APOA2、APOB、APOC3、AQP4、AQP8、ARPP21、ART4、ASB5、ASPA、ASTN1、ATCAY、ATP1A2、ATP2B2、ATP2B3、AVPR1B、B3GALT5-AS1、BCHE、BEST4、BHMT2、BLOC1S5-TXNDC5、BMP3、BRINP3、BVES、BVES-AS1、C14orf180、C1QTNF7、C7、C8orf88、CA1、CA2、CA7、CACNA2D1、CADM2、CADM3、CALN1、CARTPT、CASQ2、CAVIN2、CCBE1、CCDC144B、CCDC158、CCDC160、CCDC169、CCN5、CD300LG、CDH10、CDH19、CDKN2B-AS1、CDO1、CHRDL1、CHRM2、CHST9、CIDEA、CILP、CLCA4、CLCNKB、CLDN8、CLEC3B、CLEC4M、CLVS2、CMA1、CNGA3、CNN1、CNR1、CNTN1、CNTN2、CNTNAP4、COL19A1、CP、CPEB1、CPXM2、CR2、CRP、CTNNA3、CTSG、CYP1B1、DAO、DCLK1、DDR2、DES、DHRS7C、DIRAS2、DPP6、DPT、EBF2、ECRG4、ELAVL4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、ERICH3、EVX2、FABP4、FAM106A、FAM133A、FAM135B、FAM180B、FDCSP、FGF10、FGF13-AS1、FGF14、FGFBP2、FGG、FGL1、FHL1、FILIP1、FLNC、FMO2、FRMD6-AS2、FRMPD4、FUT9、GABRA5、GABRG2、GALR1、GAP43、GAS1RR、GC、GCG、GDF6、GFRA1、GNAO1、GPM6A、GPR119、GPR12、GPRACR、GRIA2、GRIN2A、GTF2IP1、GUCA2B、HAND1、HAND2、HAND2-AS1、HEPACAM、HP、HPCAL4、HRG、HRK、HSPB8、HTR2B、IGSF10、IGSF11、IRX6、ISM1、KCNA1、KCNB1、KCNC2、KCNK2、KCNMA1、KCNMB1、KCNQ5、KCNT2、KCTD8、KERA、KHDRBS2、KIAA0408、KIF1A、KRT222、KRT24、KRTAP13-2、LCN10、LDB3、LEP、LGI1、LIFR、LINC00504、LINC00507、LINC00682、LINC00924、LINC01266、LINC01352、LINC01474、LINC01505、LINC01697、LINC01798、LINC01829、LINC02015、LINC02023、LINC02185、LINC02268、LINC02408、LINC02544、LIX1、LMO3、LMOD1、LOC100506289、LOC101928731、LOC102724050、LOC107986321、LOC283856、LOC440434、LOC729558、LONRF2、LRAT、LRCH2、LRRC3B、LRRC4C、LRRTM4、LVRN、LYVE1、MAB21L1、MAB21L2、MAGEE2、MAMDC2、MAPK4、MASP1、MEF2C-AS1、MEOX2、METTL24、MFAP5、MGAT4C、MGP、MICU3、MIR133A1HG、MIR8071-1、MMRN1、MORN5、MPPED2、MRGPRE、MS4A1、MS4A12、MSRB3、MUSK、MYH11、MYH2、MYLK、MYO3A、MYOC、MYOCD、MYOM1、MYOT、MYT1L、NALCN、NAP1L2、NBEA、NECAB1、NEFL、NEFM、NEGR1、NETO1、NEUROD1、NEXMIF、NEXN、NGB、NIBAN1、NLGN1、NOS1、NOVA1、NPR3、NPTX1、NPY2R、NRG3、NRK、NRSN1、NRXN1、NSG2、NTNG1、NTRK3、NUDT10、OGN、OLFM3、OMD、OTOP2、OTOP3、P2RX2、P2RY12、PAK3、PAPPA2、PCDH10、PCDH11X、PCDH9、PCOLCE2、PCP4L1、PCSK2、PDZRN4、PEG3、PENK、PGM5、PGM5-AS1、PGM5P4-AS1、PGR、PHOX2B、PI16、PIK3C2G、PIRT、PKHD1L1、PLAAT5、PLCXD3、PLD5、PLIN1、PLIN4、PLN、PLP1、PMP2、POPDC2、POU3F4、PPP1R1A、PRDM6、PRELP、PRG4、PRIMA1、PROKR1、PTCHD1、PTGIS、PTPRQ、PTPRZ1、PYGM、PYY、RANBP3L、RBFOX3、RBM20、RELN、RERGL、RGS13、RGS22、RIC3、RIMS4、RNF150、RNF180、RORB、RSPO2、SCARA5、SCGN、SCN2B、SCN7A、SCN9A、SCNN1G、SCRG1、SEMA3E、SERTM1、SERTM2、SFRP1、SFRP2、SFTPA1、SGCG、SHISAL1、SLC13A5、SLC17A8、SLC30A10、SLC4A4、SLC5A7、SLC6A2、SLC7A14、SLIT2、SLITRK2、SLITRK3、SLITRK4、SMIM28、SMYD1、SNAP25、SNAP91、SORCS1、SORCS3、SPHKAP、SPIB、SPOCK3、SST、ST8SIA3、STMN2、STMN4、STON1-GTF2A1L、STUM、SV2B、SYNM、SYNPO2、SYT10、SYT4、SYT6、TACR1、TAFA4、TCEAL2、TCEAL5、TCF23、TENM1、THBS4、TLL1、TMEFF2、TMEM100、TMEM35A、TMIGD1、TMOD1、TNNT3、TNS1、TNXB、TRARG1、TRDN、UGT2B10、UGT2B4、UNC80、VEGFD、VGLL3、VIT、VSTM2A、VXN、WSCD2、XKR4、ZBTB16、ZDHHC22、ZFHX4、ZMAT4、ZNF385B、ZNF676、ZNF728からなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明において、前記第2分子亜型は、PGP、SLC26A3、HIST1H4C、RUVBL2、RAB19、HIST2H2ACおよびSNORD69から選ばれた1種以上の遺伝子を含んでもよい。
【0031】
本発明において前記「PGP」遺伝子は、P-糖タンパク質1(P-glycoprotein 1;PGP)をコード化する遺伝子であり、前記P-糖タンパク質1は、多剤耐性タンパク質1(MDR1)、ATP結合カセットサブファミリーBメンバー1(ABCB1)または分化クラスター243(CD243)とも知られており、細胞外に多くの異物をポンピングする細胞膜の重要なタンパク質ないし広い基質特異度を有するATP依存的流出ポンプである。本発明において、前記P-糖タンパク質1は、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0032】
本発明において前記「SLC26A3」遺伝子は、塩素型陰イオン交換体(Chloride anion exchanger、down-regulated in adenoma;DRA)をコード化し、前記塩素型陰イオン交換体は、SAT系陰イオン交換体であり、腸粘膜で硫酸塩およびその他陰イオンを輸送する。本発明において、前記塩素型陰イオン交換体は、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0033】
本発明において前記「HIST1H4C」遺伝子は、ヒストンH4(Histone H4)をイントロンなしでコード化し、前記ヒストンH4は、ヒストン8量体を形成する4つの核心ヒストンであるH1、H2、H3、H4のうち一つを形成する。本発明において、前記ヒストンH4は、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0034】
本発明において前記「RAB19」遺伝子は、RuB-1様2(RuvB-like 2)タンパク質をコード化し、バクテリアRubB遺伝子の同族体である。本発明において、前記RuB-1様2タンパク質は、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0035】
本発明において前記「HIST2H2AC」遺伝子は、ヒストンH2Aタイプ2-C(Histone H2A type 2-C;HIST2H2AC)をコード化し、前記ヒストンH2Aタイプ2-Cタンパク質は、ヒストン8量体を形成する4つの核心ヒストンであるH1、H2、H3、H4のうち一つを形成し、リンカーヒストンH1は、ヌクレオソーム間のリンカーDNAと相互作用し、染色質を高次構造に圧縮する機能をする。本発明において、前記ヒストンH2Aタイプ2-Cは、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるものであってもよいが、これに限定されない。
【0036】
本発明において前記「SNORD69」は、snoRNAのC/D系に属し、マウスMBII-210のヒトorthologueである。
【0037】
本発明の一例において、前記第2分子亜型は、TMEM160、TRAPPC5、FEZF2、SNHG25、C4orf48、SNORD38A、PRR7、EIF3IP1、MIR3661、LOC440311、SNORD30、PDF、TPGS1、CTU1、FAM173A、遺伝子、PRSS2、MIR6807、SPRR2E、ADAT3、HIST1H4L、CDH16、GALR3、DEFA5、FOXI3、SMCR5、LIN28B、MESP1、MIR203A、RAET1E-AS1、ANP32D、BOD1L2、SMARCA5-AS1、RNU4-1、RNU5E-1、CCDC85B、ONECUT3、FAM230C、DBET、UBE2NL、MIR4479、CSNK1A1L、BHLHA9、PITPNM2-AS1、SNORA36A、PRSS56、SPRR2G、MAGEA10、GPR25、SLC32A1、LOC101927972、LKAAEAR1、CT83、HES4、TMEM238、RPRML、SNORD41、PTGER1、ITLN2、WBP11P1、MIR324、RNU5A-1、HLA-L、PNMA5、MIR6891、MT4、MIR6858、HIST1H4A、SHISAL2B、LOC101928372、RNU6ATAC、SKOR2、MIR4737、NACA2、FRMD8P1、REG3A、LOC101927795、MIR4767、RNU5B-1、DDC-AS1、PCSK1N、SNORD3B-2、LOC344967、SNORD48、ZAR1、MIR4665、RPL29P2、RNY1、PTTG3P、GJD3、SBF1P1、CLMAT3、KCNE1B、LRRC26、LCN15、HBA1、IGFBP7-AS1、MIR4449、MIR8075、NOXO1およびRNA5S9からなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明の他の例において、前記第2分子亜型は、C4orf48、CTU1、EIF3IP1、FAM173A、FEZF2、LOC440311、MIR3661、NOXO1、PDF、PRR7、SNHG25、SNORD30、SNORD38A、TMEM160、TPGS1、TRAPPC5からなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明のさらに他の例において、前記第2分子亜型は、ADAT3、ANP32D、BHLHA9、BOD1L2、C4orf48、CCDC85B、CDH16、CLMAT3、CSNK1A1L、CTU1、DBET、DDC-AS1、DEFA5、EIF3IP1、FAM173A、FEZF2、FOXI3、FRMD8P1、GALR3、GJD3、GPR25、HBA1、HES4、HIST1H4A、HIST1H4L、HLA-L、IGFBP7-AS1、ITLN2、KCNE1B、LCN15、LKAAEAR1、LOC101927795、LOC101927972、LOC101928372、LOC344967、LRRC26、MAGEA10、MESP1、MIR203A、MIR324、MIR3661、MIR4449、MIR4479、MIR4665、MIR4737、MIR4767、MIR6807、MIR6858、MIR6891、MIR8075、NACA2、NOXO1、ONECUT3、PCSK1N、PDF、PITPNM2-AS1、PNMA5、PRR7、PRSS2、PRSS56、PTGER1、PTTG3P、REG3A、RNA5S9、RNU4-1、RNU5A-1、RNU5B-1、RNU5E-1、RNU6ATAC、RNY1、RPL29P2、RPRML、SBF1P1、SHISAL2B、SKOR2、SLC32A1、SMARCA5-AS1、SMCR5、SNHG25、SNORA36A、SNORD30、SNORD38A、SNORD3B-2、SNORD41、SNORD48、TMEM160、TMEM238、TPGS1、TRAPPC5、UBE2NL、WBP11P1、ZAR1からなる群から選ばれた1種以上の遺伝子をさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本発明において、前記抗がん治療は、化学治療、放射線治療、外科的手術治療またはこれらの組み合わせであってもよく、好ましくは、前記化学治療または放射線治療は、術前抗がん治療であってもよく、より好ましくは、術前化学放射線標準治療であるか、または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0041】
本発明において「術前抗がん治療」は、完治目的の局所手術治療または放射線治療施行前に実施する抗がん治療である。前記術前抗がん治療は、周辺部位にがんが進行されて手術で完全に切除することが不可能な患者を対象として主に実施され、原発腫瘍のサイズと範囲を減らして、大腸がん、直腸がん、頭頸部腫瘍、骨肉腫、肛門がん、乳がんなどにおいて手術範囲を縮小させて主要臓器を保存することができる。
【0042】
本発明において前記「化学治療」は、CTXとも言い、標準化された化学療法の一部であり、一つ以上の抗がん剤を使用するがん治療タイプであり、治療目的に与えられたり、生命を延長したり、症状を減らすことを目標にすることができる。
【0043】
本発明において前記「放射線治療」は、高エネルギー放射線を用いてがん細胞を殺す治療であり、外部放射線治療、近接放射線治療などがありえるが、これらに限定されず、前記放射線とは、エネルギーが空間を通じて伝播される現象または伝播を媒介する物質であれば、限定されずに、含まれ得る。
【0044】
本発明において前記「治療反応性」とは、個体、好ましくは、がん患者の個体に対して治療の有効性の程度を指す。例えば、がん患者の治療に関連して使用されるとき、用語「増加した反応性」または「良い反応性」は、当該分野において公知となった任意の方法を用いて測定された場合、治療の有効性において増加を指すことができる。さらに他の例として、治療に対するがん患者の反応は、完全または部分反応によって特性糾明されることができる。さらに他の例として、治療に対するがん患者の増加した反応性は、全体生存率、無疾患生存、目的反応速度、腫瘍進行まで時間、無進行生存または治療失敗まで時間によって特性糾明されることができる。
【0045】
本発明の「予後」とは、病気の経過および死亡または生存の結果をあらかじめ予測する行為をいい、「予後予測」は、病気の経過および死亡または生存の結果をあらかじめ予測する行為をいう。前記予後または予後予測とは、疾患の経過が患者の生理的または環境的状態によって変わることができ、このような患者の状態を総合的に考慮して治療前/後の病気の経過を予測するすべての行為を意味すると解釈できる。また、前記予後は、がんの組織内移住および浸潤、他の組織への転移および病気に起因した死亡などの病の経過および完治の有無を意味し得る。本発明の目的上、前記予後は、直腸がん患者の病の経過または生存予後を意味する。本発明の目的上、前記予後は、前転移性、転移性がん状態の同定、がんの段階決定または治療に対するがんの治療反応性決定を判定することに該当するものでありうるが、これらに限定されない。
【0046】
本発明において、前記予後は、前記抗がん治療後、完全寛解、再発、転移または死亡の有無でありうる。
【0047】
本発明の一例において、前記予後は、前記抗がん治療で、好ましくは、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後3年内遠隔転移の発生の有無または60%以上の死亡率を示す場合でありうるが、これに限定されるものではない。
【0048】
本発明の他の一例において、前記予後は、前記抗がん治療で、好ましくは、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療結果、完全寛解の判定を受けた後3年内遠隔転移の発生の有無または60%以上の死亡率を示す場合でありうるが、これに限定されるものではない。
【0049】
本発明において「完全寛解(complete pathological response;pCR)」とは、術前化学放射線治療後に施行した全置手術を通じて除去された直腸組織の病理検査時にがん細胞が発見されない場合を意味する。
【0050】
本発明において「バイオマーカー」とは、体内細胞や血管、タンパク質、DNA、RNA、代謝物質などを用いて体内変化を判別できる生物学的指標であり、米国国立保健院(NIH)は、前記バイオマーカーを正常な生物学的過程、病気進行状況、治療方法に対する薬物の反応性を客観的に測定し評価しうる指標と定義した。すなわち、特定病気やがんの場合、正常または病的な状態を区分できたり、治療反応を予測でき、これを客観的に測定できる標識子を意味する。したがって、バイオマーカーは、正常な生物学的過程、病気進行状況、治療方法に対する薬物の反応性を客観的に測定し評価しうる役割をしなければならない。活用度によって薬物ターゲットの存在を確認するターゲットマーカー、病の有無を診断する診断マーカー、特定薬物に対する反応群と非反応群を区別できる予想マーカー、薬物治療効果をモニタリングできる代理標識子マーカー、病気の予後を知らせる予後バイオマーカーなどが存在する。
【0051】
本発明において「腫瘍」または「がん」は、細胞周期が調節されなくて細胞分裂を継続する病気であり、発生部位によってがん腫(Carcinoma)と肉腫(Sarcoma)に分けられる。がん腫(Carcinoma)は、粘膜、皮膚のような上皮性細胞で発生した悪性腫瘍を意味し、肉腫(Sarcoma)は、筋肉、結合組織、骨、軟骨、血管などの非上皮性細胞で発生した悪性腫瘍を意味する。
【0052】
本発明において前記がんは、乳がん、子宮がん、食道がん、胃がん、脳がん、直腸がん、大腸がん、肺がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮頸がん、腎臓がん、血液がん、すい臓がん、前立腺がん、睾丸がん、喉頭がん、口腔がん、頭頸部がん、甲状腺がん、肝がん、膀胱がん、骨肉腫、リンパ腫および白血病からなる群から選ばれた1種以上のがんであってもよく、好ましくは、直腸がんでありうる。
【0053】
本発明の他の具現例によれば、第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルを測定する製剤を含む、がん患者に対する抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のための組成物に関する。
【0054】
本発明において前記第1分子亜型および第2分子亜型に関する記載は、前記バイオマーカー組成物に記載された内容と重複していて、明細書の過度な複雑を避けるために、その記載を省略する。
【0055】
本発明において「発現」または「発現レベル」は、転写および翻訳を含んでもよい。発現レベルの増加は、例えば、ポリペプチドをコード化する遺伝子の数の増加、遺伝子の転写の増加(例えば、構成的プロモーターの制御下に遺伝子を配置することによって)、遺伝子の翻訳の増加、競合遺伝子のノックアウトまたはこれらおよび/または他の方法の組み合わせを含む多数の方法によることができ、発現の減少は、遺伝子数の減少、遺伝子の転写の減少、競合遺伝子の発現などによることができる。また、前記第1分子亜型または第2分子亜型の発現レベルは、比較遺伝子の発現レベルと比較して正規化させることができる。
【0056】
本発明において前記第1分子亜型および第2分子亜型から選ばれた1種以上のタンパク質の発現レベルを測定する製剤は、前記タンパク質に特異的に結合する抗体、オリゴペプチド、リガンド、PNA(peptide nucleic acid)およびアプタマー(aptamer)からなる群から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0057】
本発明において前記「抗体」は、抗原と特異的に結合して抗原-抗体反応を起こす物質を示す。本発明の目的上、抗体は、前記タンパク質それぞれに対して特異的に結合する抗体を意味する。本発明の抗体は、多クローン抗体、単クローン抗体および組換え抗体を全て含む。前記抗体は、当業界において広く公知となった技術を用いて容易に製造できる。例えば、多クローン抗体は、前記タンパク質の抗原を動物に注射し、動物から採血して抗体を含む血清を収得する過程を含む当業界において広く公知となった方法によって生産できる。このような多クローン抗体は、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、サル、ウマ、ブタ、ウシ、イヌなどの任意の動物から製造できる。また、単クローン抗体は、当業界において広く公知となったハイブリドーマ法(hybridoma method;KohlerおよびMilstein(1976)European Journal of Immunology 6:511-519参照)、またはファージ抗体ライブラリー技術(Clackson et al,Nature,352:624-628,1991;Marks et al,J.Mol.Biol.,222:58,1-597,1991参照)を用いて製造できる。前記方法で製造された抗体は、ゲル電気泳動、透析、塩沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなどの方法を用いて分離、精製できる。また、本発明の抗体は、2個の全長の軽鎖および2個の全長の重鎖を有する完全な形態だけでなく、抗体分子の機能的な断片を含む。抗体分子の機能的な断片とは、少なくとも抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab’)、F(ab’)2およびFvなどがある。
【0058】
本発明において前記「オリゴペプチド」は、ペプチドとして2~20個のアミノ酸で構成され、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドおよびペンタペプチドを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本発明において前記「PNA(Peptide Nucleic Acid)」は、人工的に合成された、DNAまたはRNAに似た重合体を示し、1991年にデンマークのコペンハーゲン大学校のNielsen、Egholm、BergとBuchardt教授によって初めて紹介された。DNAは、リン酸-リボース糖骨格を有するのに対し、PNAは、ペプチド結合により連結された反復N-(2-アミノエチル)-グリシン骨格を有し、これによって、DNAまたはRNAに対する結合力と安定性が大きく増加して、分子生物学、診断分析およびアンチセンス治療法に使用されている。PNAは、文献[Nielsen PE,Egholm M,Berg RH、Buchardt O(December 1991)。“Sequence-selective recognition of DNA by strand displacement with a thymine-substituted polyamide”.Science 254(5037):1497-1500]に詳細に開示されている。
【0060】
本発明において前記「アプタマー」は、オリゴ核酸またはペプチド分子であり、アプタマーの一般的な内容は、文献[Bock LC et al.,Nature 355(6360):5646(1992);Hoppe-Seyler F,Butz K “Peptide aptamers:powerful new tools for molecular medicine”.J Mol Med.78(8):42630(2000);Cohen BA、Colas P,Brent R.“An artificial cell-cycle inhibitor isolated from a combinatorial library”.Proc Natl Acad Sci USA.95(24):142727(1998)]に詳細に開示されている。
【0061】
本発明において、前記第1分子亜型および第2分子亜型の発現レベルを測定する製剤は、RNAシーケンシング(RNAseq)または前記遺伝子に特異的に結合するプライマー、プローブおよびアンチセンスヌクレオチドからなる群から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0062】
本発明において前記「プライマー」は、標的遺伝子配列を認知する断片であり、正方向および逆方向のプライマーペアを含むが、好ましくは、特異度および感度を有する分析結果を提供するプライマーペアである。プライマーの核酸配列が試料内存在する非標的配列と一致しない配列であるから、相補的なプライマー結合部位を含有する標的遺伝子配列だけを増幅し、非特異的増幅を誘発しないプライマーであるとき、高い特異度が付与されることができる。
【0063】
本発明において前記「プローブ」とは、試料内の検出しようとする標的物質と特異的に結合できる物質を意味し、前記結合を通じて特異的に試料内の標的物質の存在を確認できる物質を意味する。プローブの種類は、当業界において通常的に使用される物質であり、限定されないが、好ましくは、PNA(peptide nucleic acid)、LNA(locked nucleic acid)、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、RNAまたはDNAであってもよく、最も好ましくは、PNAである。より具体的に、前記プローブは、バイオ物質であり、生物に由来したり、これに似たものまたは生体外で製造されたものを含み、例えば、酵素、タンパク質、抗体、微生物、動・植物細胞および器官、神経細胞、DNA、およびRNAであってもよく、DNAは、cDNA、ゲノムDNA、オリゴヌクレオチドを含み、RNAは、ゲノムRNA、mRNA、オリゴヌクレオチドを含み、タンパク質の例としては、抗体、抗原、酵素、ペプチドなどを含んでもよい。
【0064】
本発明において前記「LNA(Locked nucleic acids)」とは、2’-O,4’-Cメチレンブリッジを含む核酸アナログを意味する[J Weiler,J Hunziker and J Hall Gene Therapy(2006)13,496.502]。LNAヌクレオシドは、DNAとRNAの一般的核酸塩基を含み、Watson-Crick塩基ペア規則によって塩基ペアを形成できる。しかしながら、メチレンブリッジによる分子の「locking」に起因して、LNAは、Watson-Crick結合で理想的形状を形成しないことになる。LNAがDNAまたはRNAオリゴヌクレオチドに含まれると、LNAは、より迅速に相補的ヌクレオチド鎖とペアを成して二重らせんの安全性を高めることができる。本発明において前記「アンチセンス」は、アンチセンスオリゴマーがワッソン-クリック塩基対の形成によってRNA内の標的配列とハイブリダイゼーションされて、標的配列内で典型的にmRNAとRNA:オリゴマーヘテロ二量体の形成を許容する、ヌクレオチド塩基の配列およびサブユニット間バックボーンを有するオリゴマーを意味する。オリゴマーは、標的配列に対する正確な配列相補性または疑似相補性を有することができる。
【0065】
本発明による前記第1分子亜型および第2分子亜型に該当する遺伝子の配列情報は知られているので、当業者なら、これを基に前記遺伝子に特異的に結合するプライマー、プローブまたはアンチセンスヌクレオチドを容易にデザインすることができ、また、特定デザインがなくとも、一般的なRNAシーケンシング方法を通じて定量分析が可能である。
【0066】
本発明において、前記抗がん治療は、化学治療、放射線治療、外科的手術的治療またはこれらの組み合わせであってもよく、好ましくは、前記化学治療または放射線治療は、術前抗がん治療であってもよく、より好ましくは、術前化学放射線標準治療であるか、または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本発明の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後における生存率を予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0068】
本発明の他の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後における完全寛解の有無を予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0069】
本発明のさらに他の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後におけるがんの再発の有無を予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0070】
本発明のさらに他の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後にがんの転移の有無を予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0071】
本発明のさらに他の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後3年以内遠隔転移発生の有無または死亡率が60%以上であるか否かを予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0072】
本発明のさらに他の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療結果、完全寛解の判定を受けた後3年以内遠隔転移発生の有無または死亡率が60%以上であるか否かを予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0073】
本発明において前記がんは、乳がん、子宮がん、食道がん、胃がん、脳がん、直腸がん、大腸がん、肺がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮頸がん、腎臓がん、血液がん、すい臓がん、前立腺がん、睾丸がん、喉頭がん、口腔がん、頭頸部がん、甲状腺がん、肝がん、膀胱がん、骨肉腫、リンパ腫および白血病からなる群から選ばれた1種以上のがんであってもよく、好ましくは、直腸がんでありうる。
【0074】
本発明のさらに他の具現例によれば、本発明の組成物を含むがん患者に対する抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のためのキットに関する。
【0075】
本発明において「キット」は、バイオマーカー成分に特異的に結合するプローブまたは抗体を検出可能な標識で標識して、バイオマーカーの発現レベルを評価できるツールをいう。プローブまたは抗体と関連して検出可能な物質を基質との反応によって直接的に標識するものだけでなく、直接的に標識された他の試薬との反応性による発色する標識体が接合された間接的標識も含む。前記標識体と発色反応する発色基質溶液、洗浄液およびその他他の溶液などを含んでもよく、使用される試薬成分を含んで製作できる。本発明においてキットは、RT-PCRを行うために必要な必須要素を含むキットであってもよく、マーカー遺伝子に対する特異的なそれぞれのプライマーペアの他にも、テストチューブ、反応緩衝液、デオキシヌクレオチド(dNTPs)、Taq-重合酵素、逆転写酵素、DNase、RNase阻害剤、滅菌水などを含んでもよい。また、キットは、DNAチップを行うために必要な必須要素を含む予後予測用遺伝子を検出するためのキットでありうる。DNAチップキットは、遺伝子またはその断片に該当するcDNAがプローブで付着している基板を含み、基板は、定量対照群遺伝子またはその断片に該当するcDNAを含んでもよい。本発明のキットは、当業界において公知となっているものであれば、これらに限定されない。
【0076】
本発明において前記キットは、RT-PCRキット、DNAチップキット、ELISAキット、タンパク質チップキット、ラピッド(rapid)キットまたはMRM(Multiple reaction monitoring)キットでありうる。
【0077】
本発明の前記キットは、分析方法に適した一種類またはそれ以上の他の構成成分組成物、溶液または装置をさらに含んでもよい。例えば、本発明において前記キットは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を行うために必要な必須要素をさらに含んでもよい。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応キットは、マーカータンパク質をコード化する遺伝子に対して特異的なプライマーペアを含む。プライマーは、前記遺伝子の核酸配列に特異的な配列を有するヌクレオチドであり、約7bp~50bpの長さ、より好ましくは、約10bp~30bpの長さを有することができる。また、対照群遺伝子の核酸配列に特異的なプライマーを含んでもよい。その他、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応キットは、テストチューブまたは他の適切な容器、反応緩衝液(pHおよびマグネシウム濃度は多様)、デオキシヌクレオチド(dNTPs)、Taq-ポリメラーゼおよび逆転写酵素のような酵素、DNase、RNase阻害剤DEPC-水(DEPC-water)、滅菌水などを含んでもよい。
【0078】
また、本発明の前記キットは、DNAチップを行うために必要な必須要素を含んでもよい。DNAチップキットは、遺伝子またはその断片に該当するcDNAまたはオリゴヌクレオチド(oligonucleotide)が付着している基板、および蛍光標識プローブを製作するための試薬、製剤、酵素などを含んでもよい。また、基板は、対照群遺伝子またはその断片に該当するcDNAまたはオリゴヌクレオチドを含んでもよい。
【0079】
また、本発明の前記キットは、ELISAを行うために必要な必須要素を含んでもよい。ELISAキットは、前記タンパク質に対して特異的な抗体を含む。抗体は、マーカータンパク質に対する特異度および親和性が高く、他のタンパク質に対する交差反応性が殆どない抗体であり、単クローン抗体、多クローン抗体または組換え抗体である。また、ELISAキットは、対照群タンパク質に特異的な抗体を含んでもよい。その他、ELISAキットは、結合された抗体を検出できる試薬、例えば、標識された2次抗体、発色団(chromophores)、酵素(例:抗体とコンジュゲートされる)およびその基質または抗体と結合できる他の物質などを含んでもよい。
【0080】
本発明の前記キットにおいて抗原-抗体結合反応のための固定体としては、ニトロセルロース膜、PVDF膜、ポリビニル(polyvinyl)樹脂またはポリスチレン(polystyrene)樹脂で合成されたウェルプレート(Well plate)、ガラスからなるスライドガラスなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
また、本発明の前記キットにおいて2次抗体の標識体は、発色反応をする通常の発色剤が好ましく、HRP(horseradish peroxidase)、塩基性脱リン酸化酵素(alkaline phosphatase)、コロイドゴールド(coloid gold)、FITC(ポリL-リシン-フルオレセインイソチオシアネート)、RITC(ローダミン-B-イソチオシアネート)などの蛍光物質(fluorescein)および色素(dye)などの標識体が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
また、本発明の前記キットにおいて発色を誘導するための発色基質は、発色反応をする標識体によって使用することが好ましく、TMB(3,3’ ,5,5’-テトラメチルベンジジン)、ABTS[2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)]、OPD(o-フェニレンジアミン)などが使用できる。この際、発色基質は、緩衝溶液(0.1M NaAc、pH5.5)に溶解した状態で提供されることがより好ましい。TMBのような発色基質は、二次抗体接合体の標識体に使用されたHRPにより分解されて、発色沈殿物を生成し、この発色沈殿物の沈殿程度を目視で確認することによって、前記マーカータンパク質の存在有無を検出する。
【0083】
本発明の前記キットにおいて洗浄液は、リン酸塩緩衝溶液、NaClおよびツイン20(Tween 20)を含むことが好ましく、0.02Mリン酸塩緩衝溶液、0.13M NaCl、および0.05%ツイン20で構成された緩衝溶液(PBST)がより好ましい。洗浄液は、抗原-抗体結合反応後、抗原-抗体結合体に2次抗体を反応させた後、適量を固定体に添加して3~6回洗浄する。反応停止溶液は、硫酸溶液(H2SO4)が好ましく使用できる。
【0084】
本発明の一例において、前記キットを用いて抗がん治療に対する感受性程度または治療反応性、そして前記治療後の予後、病期、がん転移可能性、再発可能性または生存率などを診断できる。
【0085】
本発明において前記がんは、乳がん、子宮がん、食道がん、胃がん、脳がん、直腸がん、大腸がん、肺がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮頸がん、腎臓がん、血液がん、すい臓がん、前立腺がん、睾丸がん、喉頭がん、口腔がん、頭頸部がん、甲状腺がん、肝がん、膀胱がん、骨肉腫、リンパ腫および白血病からなる群から選ばれた1種以上のがんであってもよく、好ましくは、直腸がんでありうる。
【0086】
本発明のさらに他の具現例によれば、目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルを測定する段階を含む抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のための情報提供方法に関する。
【0087】
本発明において前記「個体」とは、がんが発病したり、発病可能性が高い個体であり、前記抗がん治療を受けた個体ないしがん患者であってもよく、哺乳動物を全部含んでもよい。ここで、前記哺乳動物の例としては、ヒト、非ヒト霊長類、例えばチンパンジー、他の類人猿または猿種;畜産動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;飼育動物、例えば、ウサギ、イヌまたはネコ;実験動物、例えば、げっ歯類、例えば、ラット、マウスまたはギニアピッグなどを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0088】
本発明において前記「生物学的試料」は、個体から得られたり、個体に由来した任意の物質、生物学的体液、組織または細胞を意味するものであり、例えば、全血(whole blood)、白血球(leukocytes)、末梢血液単核細胞(peripheral blood mononuclear cells)、白血球軟層(buffy coat)、血漿(plasma)、血清(serum)、喀痰(sputum)、涙(tears)、粘液(mucus)、洗鼻液(nasal washes)、鼻腔吸引物(nasal aspirate)、呼吸(breath)、尿(urine)、精液(semen)、唾液(saliva)、腹腔洗浄液(peritoneal washings)、腹水(ascites)、嚢胞液(cystic fluid)、脳脊髄膜液(meningeal fluid)、羊水(amniotic fluid)、腺液(glandular fluid)、すい臓液(pancreatic fluid)、リンパ液(lymph fluid)、胸水(pleural fluid)、乳頭吸引物(nipple aspirate)、気管支吸引物(bronchial aspirate)、滑液(synovial fluid)、関節吸引物(joint aspirate)、器官分泌物(organ secretions)、細胞(cell)、細胞抽出物(cell extract)または脳脊髄液(cerebrospinal fluid)を含んでもよいが、好ましくは、治療を始める前に個体から得られたがん組織を意味する。
【0089】
本発明において前記第1分子亜型および第2分子亜型に関する記載は、前記バイオマーカー組成物に記載された内容と重複していて、明細書の過度な複雑を避けるためにその記載を省略する。
【0090】
本発明において前記第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子の発現レベルを測定する製剤は、前記遺伝子に特異的に結合するプライマー、プローブおよびアンチセンスヌクレオチドからなる群から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0091】
本発明において、前記第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子発現レベルの測定は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、競合逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(Competitive RT-PCR)、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(Real-time RT-PCR)、RNaseプロテクションアッセイ(RPA;RNase protection assay)、ノーザンブロッティング(Northern blotting)またはDNAチップによることができる。
【0092】
本発明において前記第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子によってコード化されるタンパク質の発現レベルを測定する製剤は、前記タンパク質に特異的に結合する抗体、オリゴペプチド、リガンド、PNA(peptide nucleic acid)およびアプタマー(aptamer)からなる群から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0093】
本発明の情報提供方法において抗体、オリゴペプチド、リガンド、PNA(peptide nucleic acid)、アプタマー(aptamer)などに関する記載は、上記で記載された内容と重複していて、明細書の過度な複雑を避けるために、以下では、その詳細な記載を省略する。
【0094】
本発明において前記第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子によってコード化されるタンパク質発現レベルの測定は、タンパク質チップ分析、免疫測定法、リガンドバインディングアッセイ、MALDI-TOF(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、SELDI-TOF(Sulface Enhanced Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、補体固定分析法、2次元電気泳動分析、液体クロマトグラフィー-質量分析(liquid chromatography-Mass Spectrometry、LC-MS)、LC-MS/MS(liquid chromatography-Mass Spectrometry/ Mass Spectrometry)、ウェスタンブロッティングまたはELISA(enzyme linked immunosorbentassay)により行われ得る。
【0095】
本発明において、前記抗がん治療は、化学治療、放射線治療、外科的手術治療またはこれらの組み合わせであってもよく、好ましくは、前記化学治療または放射線治療は、術前抗がん治療であってもよく、より好ましくは、術前化学放射線標準治療であるか、または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0096】
本発明の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後の生存率を予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0097】
本発明の他の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後における完全寛解の有無を予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0098】
本発明のさらに他の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後におけるがんの再発の有無を予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0099】
本発明のさらに他の一例において、前記予後予測は、前記抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後におけるがんの転移の有無を予測するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0100】
本発明のさらに他の一例において、前記予後が悪いと予測することは、前記術前化学放射線標準治療結果、完全寛解の判定を受けた後3年内に前記遠隔転移および死亡率が60%以上である場合に該当するものでありうる。
【0101】
本発明において、前記個体のTNM病期、年齢、性別、寛解判定の有無またはこれらが組み合わせられた情報を確認する段階をさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0102】
本発明において、前記「TNM病期」は、悪性腫瘍のTNM分類は、がんの拡散程度を分類するために世界的に認められた標準であり、腫瘍またはがんの解剖学的程度を分類する体系である。前記TNM病期で、Tは、一次腫瘍のサイズと周辺組織を侵したか否かを示し、Nは、近所リンパ節関連性を示し、Mは、遠隔転移を示す。
【0103】
本発明において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質が発現したり、発現レベルが対照群に比べて高い場合、前記抗がん治療の治療反応性が低いものと予測できる。例えば、第1分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルが対照群に比べて高い場合、術前化学放射線標準治療の治療反応性または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療の治療反応性が低いものと予測できる。
【0104】
本発明において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型が発現したり、発現レベルが対照群に比べて高い場合、前記抗がん治療後の予後が悪いものと予測できる。例えば、第1分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルが対照群に比べて高い場合、術前化学放射線標準治療後の予後または術前化学放射線標準治療を行った後の外科的手術治療後における予後が悪いものと予測でき、具体的には、生存率が低いか、再発確率が高いか、転移確率が高いものと予測できるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
本発明の一例において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において測定された第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後に完全寛解の判定を受けなかった場合、予後が悪いものと予測できる。
【0106】
本発明の他の一例において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT3またはT4段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療を行った後の外科的手術治療後における予後が悪いものと予測できる。
【0107】
本発明のさらに他の一例において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がN1またはN2段階の場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または外科的手術後予後が悪いものと予測できる。
【0108】
本発明のさらに他の一例において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT3またはT4段階であり、N1またはN2段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または外科的手術後の予後が悪いものと予測できる。
【0109】
一方、本発明の一例において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において測定された第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後に完全寛解の判定を受けなかった場合、予後が良いものと予測できる。
【0110】
本発明の他の一例において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において測定された第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後に完全寛解の判定を受けた場合、抗がん治療後の予後が良いものと予測できる。
【0111】
本発明の他の一例において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT0、T1またはT2段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療を行った後の外科的手術治療後における予後が良いものと予測できる。
【0112】
本発明のさらに他の一例において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がN0段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または外科的手術後の予後が良いものと予測できる。
【0113】
本発明のさらに他の一例において、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT0、T1、T2段階であり、N0段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または外科的手術後の予後が悪いものと予測できる。
【0114】
本発明において、前記「対照群」は、正常個体における前記第1分子亜型または第2分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルであるか、がんが発病したり、発病可能性が高い個体、特に、がんの診断を受けた個体における当該遺伝子またはタンパク質の発現レベルの平均値または中央値であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0115】
本発明において、第1分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルが対照群に比べて高い場合、抗がん治療を実施する段階をさらに含んでもよい。前記抗がん治療は、化学治療であってもよいが、これに限定されない。
【0116】
本発明において、第2分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルが対照群に比べて高い場合、および完全寛解の判定にならない場合、抗がん治療を実施する段階をさらに含んでもよい。前記抗がん治療は、化学治療であってもよいが、これに限定されない。
【0117】
本発明において、前記がんは、乳がん、子宮がん、食道がん、胃がん、脳がん、直腸がん、大腸がん、肺がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮頸がん、腎臓がん、血液がん、すい臓がん、前立腺がん、睾丸がん、喉頭がん、口腔がん、頭頸部がん、甲状腺がん、肝がん、膀胱がん、骨肉腫、リンパ腫および白血病からなる群から選ばれた1種以上のがんであってもよく、好ましくは、直腸がんでありうる。
【0118】
本発明のさらに他の具現例によれば、目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルを測定する測定部と、前記第1分子亜型および第2分子亜型のうち少なくとも一つの遺伝子またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルから前記個体に対する抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後予測情報を提供する演算部と、を含む、抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のための装置に関する。
【0119】
本発明において、前記個体、生物学的試料および発現レベル測定に関する記載は、前記抗がん治療の治療反応性予測、抗がん治療後の予後予測または抗がん治療前の術前化学療法対象患者鑑別のための組成物および情報提供方法に記載された内容と重複していて、明細書の過度な複雑を避けるために、その記載を省略する。
【0120】
また、本発明において、前記第1分子亜型および第2分子亜型に関する記載は、前記バイオマーカー組成物に記載された内容と重複していて、明細書の過度な複雑を避けるために、その記載を省略する。
【0121】
本発明において、前記抗がん治療は、化学治療、放射線治療、外科的手術治療またはこれらの組み合わせであってもよく、好ましくは、前記化学治療または放射線治療は、術前抗がん治療であってもよく、より好ましくは、術前化学放射線標準治療であるか、または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0122】
本発明の一例において、前記予後が悪いと予測することは、前記術前化学放射線標準治療結果、完全寛解の判定を受けた後3年内前記遠隔転移および死亡率が60%以上である場合に該当するものでありうる。
【0123】
本発明において、前記予後予測情報を出力する出力部をさらに含んでもよいが、これに限定されない。前記出力部は、装置に情報を出力できるものであれば、限定なしに含まれ、前記装置は、ウェブページ、アプリケーションなどに情報を出力するものであれば、限定されずに含まれ、例えば、コンピューティングデバイス、モバイルデバイス、サーバーなどを含んでもよい。
【0124】
本発明において、前記個体のTNM病期、年齢、性別、寛解判定の有無またはこれらの組み合わせられた情報が入力される入力部をさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0125】
本発明において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質が発現したり、発現レベルが対照群に比べて高い場合、前記抗がん治療の治療反応性が低いものと予測でき、例えば、第1分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルが対照群に比べて高い場合、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療の治療反応性が低いものと予測できる。
【0126】
本発明において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型が発現したり、発現レベルが対照群に比べて高い場合、前記抗がん治療後の予後が悪いものと予測できる。例えば、第1分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルが対照群に比べて高い場合、術前化学放射線標準治療後に予後または術前化学放射線標準治療を行った後の外科的手術治療後における予後が悪いものと予測でき、具体的には、生存率が低いか、再発確率が高いか、転移確率が高いものと予測できるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
本発明の一例において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において測定された第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後に完全寛解の判定を受けなかった場合、予後が悪いものと予測できる。
【0128】
本発明の他の一例において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT3またはT4段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療を行った後の外科的手術治療後における予後が悪いものと予測できる。
【0129】
本発明のさらに他の一例において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がN1またはN2段階の場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または外科的手術後予後が悪いものと予測できる。
【0130】
本発明のさらに他の一例において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第1分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT3またはT4段階であり、N1またはN2段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または外科的手術後の予後が悪いものと予測できる。
【0131】
一方、本発明の一例において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において測定された第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後に完全寛解の判定を受けなかった場合、予後が良いものと予測できる。
【0132】
本発明の他の一例において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において測定された第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療後に完全寛解判定を受けた場合、抗がん治療後の予後が良いものと予測できる。
【0133】
本発明の他の一例において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT0、T1またはT2段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または術前化学放射線標準治療を行った後の外科的手術治療後における予後が良いものと予測できる。
【0134】
本発明のさらに他の一例において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がN0段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または外科的手術後予後が良いものと予測できる。
【0135】
本発明のさらに他の一例において、前記演算部は、前記目的とする個体から分離した生物学的試料において第2分子亜型発現レベルが対照群に比べて高く、前記個体のTNM病期がT0、T1、T2段階であり、N0段階である場合、抗がん治療、好ましくは、術前化学放射線標準治療または外科的手術後の予後が悪いものと予測できる。
【0136】
本発明において、前記対照群は、正常個体における前記第1分子亜型または第2分子亜型またはこれによってコード化されるタンパク質の発現レベルであるか、がんが発病したり、発病可能性が高い個体、特に、がんの診断を受けた個体における当該遺伝子の発現レベルの平均値であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0137】
本発明において前記がんは、乳がん、子宮がん、食道がん、胃がん、脳がん、直腸がん、大腸がん、肺がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮頸がん、腎臓がん、血液がん、すい臓がん、前立腺がん、睾丸がん、喉頭がん、口腔がん、頭頸部がん、甲状腺がん、肝がん、膀胱がん、骨肉腫、リンパ腫および白血病からなる群から選ばれた1種以上のがんであってもよく、好ましくは、直腸がんでありうる。
【発明の効果】
【0138】
本発明による場合、がん患者、特に直腸がん患者に対する抗がん治療で、好ましくは、術前化学放射線治療または外科的手術の治療反応性や前記治療後の予後を予測でき、予測された予後によって適切な治療またはモニタリング計画をたてることができるメリットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
図1】本発明の準備例2による、本研究設計の流れを示すフローチャートである。
図2】本発明の準備例7による、2~5個のrankで非負値行列因子分解(Non-negative matrix factorization;NMF)を利用したTCGA直腸がんデータ分析結果を示す図である。
図3】本発明の準備例7による、2~5個のrankで非負値行列因子分解を行うことによって、TCGA直腸がんデータを分析した結果をコンセンサスクラスタリング(consensus clustering)で示す図である。
図4】本発明の準備例8による、Gene set enrichment analysis結果、1番分子亜型が上皮間葉移行(epithelial mesenchymal transition、EMT)およびがん幹細胞の性格を有することを示す図である。
図5】本発明の準備例9による、直腸がん固有分子亜型と大腸がん分子亜型の差異を調べるために行った遺伝子群エンリッチメント解析結果を表示した図であり、1番分子亜型が幹細胞の特徴を有することを示す図である。
図6】本発明の実験例1による、一次に選択された遺伝子群によって分類された亜型による延世がん病院直腸がん患者230人の無病生存率(Disease-free survival;DFS)を示す図である。
図7】本発明の一実施例による、二次に選択された遺伝子群によって分類された亜型による患者の無病生存率(Disease-free survival;DFS)を示す図である。
図8】本発明の実験例2による、分子亜型による直腸がん患者の無病生存率(DFS)の差異を示す図である。
図9】本発明の実験例2による、寛解判定の有無による直腸がん患者の生存率(OS)の差異を示す図である。
図10】本発明の実験例4による、N段階による直腸がん患者の無病生存率の差異を示す図である。
図11】本発明の実験例4による、分子亜型およびN段階による直腸がん患者の無病生存率の差異を示す図である。
図12】本発明の実験例4による、N段階による直腸がん患者の生存率の差異を示す図である。
図13】本発明の実験例4による、分子亜型およびN段階による直腸がん患者の生存率の差異を示す図である。
図14】本発明の実験例5による、CMS分子亜型の直腸がん患者の無病生存率予後予測能力を示す図である。
図15】本発明の実験例5による、CRIS分子亜型の直腸がん予後予測能力を示す図である。
図16】本発明の実施例1による、第1分子亜型および第2分子亜型および患者の病理特性による直腸がん治療プロトコルを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0140】
本発明の一目的は、抗がん治療の治療反応性または抗がん治療後の予後を正確かつ簡便に予測できるバイオマーカー組成物を提供しようとする。
【発明を実施するための形態】
【0141】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明しようとする。これら実施例は、ただ本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明だろう。
【0142】
実施例
[準備例1]研究コホート
直腸がん特異分子亜型分類器を開発するために、The Cancer Genome Atlasプロジェクトでダウンロードした177人の直腸がん患者から公開的に利用可能なRNAseqデータおよび延世がん病院の230人の直腸がんの事例で構成された検証コホートのRNAseqデータからなる合計2個の臨床コホートを使用した。
【0143】
[準備例2]研究設計
図1は、本研究設計の概略的な流れを示すフローチャートである。
【0144】
直腸がん固有の分子亜型を発見するために、非負値行列因子分解(Non-negative matrix factorization;NMF)を使用し、同定された亜型の間で相異に発現した遺伝子をDEseq2パッケージを使用して確認した。DEseq2データの遺伝子群エンリッチメント解析(gene set enrichment analysis)に基づいて、本発明者らは、化学療法および予後に対する反応を予測するにあたって、分子亜型の役割に対する臨床仮設を樹立し、延世がん病院で診断および治療された直腸がん230件で前向きに試験が行われた。延世がん病院の直腸がん患者群を分子亜型に分類するために、DESeq2分析時に2倍以上発現量が異なり、p-valueが10-5未満の遺伝子522個を用いて分子亜型分類遺伝子リストを構成した。また、発見された分子亜型に対する最適な分類遺伝子リストを開発するために、Microarrayの予測分析(Prediction Analysis of Microarray)を使用した。
【0145】
[準備例3]検証コホート
直腸がん患者の予後を予測するために、1995年から2012年まで延世がんセンター(ソウル、韓国)で直腸腺がん患者の病歴を検討した結果、264件を確認し、包含基準は、1)事前放射線治療(preop-CRT)に引き続いて全腸間膜切除術(total mesenteric excision;TME)で処理し、2)ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)前処理生検標本を使用可能な場合を含む。3)患者が不完全なCRT、転移性疾患または緩和治療を受けた場合を除いた。
【0146】
CRTは、3Dコンフォーマル技法を使用して週5回180cGyの25個の分画で骨盤に伝達された合計45Gyで構成され、540cGyのブースト放射線療法が3分割に与えられた。使用された同時化学療法は、ロイコボリンまたはゲムシタビンと結合した5-フルオルウラシルであった。TMEは、CRT完了後、6~8週に行われた。フルオルウラシル基盤の事後放射線治療(postop-CRT)は、手術後に病理学的検査がpCRを報告しない限り、提供された。
【0147】
手術後に、患者は、初めて3年間3ヶ月間隔で、次に2年間6ヶ月間隔で、以後、毎年追跡した。日常的な監視には、身体検査、内視鏡検査、血清がん胚芽抗原、胸部および腹部骨盤CTスキャン、毒性評価が含まれた。再発が疑われる場合、さらなる評価のために、組織学的確認、MRIまたはFDG-PETを行った。骨盤内再発は、局所再発と定義され、他の再発は、遠距離再発と定義された。
【0148】
[準備例4]RNAseqおよび品質管理
RNAは、Qiagen AllPrep DNA/RNA FFPEキット(Qiagen、Valencia、CA、USA)を使用して264例のホルマリン固定後にパラフィン包埋された生検組織から抽出された。使用可能な組織の量によって1~17個の厚さ5ミクロンの組織切片から腫瘍が豊富な領域を抽出した。RNA濃度は、蛍光分析(Qubit RNA Assay kit、ThermoFisher Scientific、USA)を通じて定量化された。RNAseqは、製造社の指針によってIon Protonプラットフォームを使用して行われた。34件は、データ品質が良くないため、分析から除外された。
【0149】
[準備例5]RNAseqデータおよび遺伝子セットエンリッチメント解析
遺伝子発現値は、Ensembl GRCh37遺伝子モデルと共にHT-seqを使用して定量化された。カウントデータは、DESeq分散安定化変換(VST)で正規化された。ケースは、DESeq2から派生した522分類子遺伝子テンプレートと共に最近接鋳型予測(Nearest Template Prediction)を使用して前記NMF派生固有下位タイプにそれぞれ割り当てられた。また、大腸がんと直腸がん(colorecal cancer;CRC)のコンセンサス分子下位タイプ(Consensus molecular subtypes;CMS)パッケージの遺伝子セットエンリッチメント解析機能「CMSgsa」および「fgsea」パッケージを活用して大腸がんおよびがん関連遺伝子セットのエンリッチメント解析を行った。
【0150】
[準備例6]固有亜型による臨床結果の統計分析
すべての統計分析は、R統計プログラミング環境バージョン3.6.3およびR Studioバージョン1.2.5033を使用して行われた。一次評価の基準は、手術日から最初の局所または遠い再発事件、死亡または検閲された場合、最後の後続措置までの期間で定義された無病生存率(DFS)であった。二次評価の変数には、遠距離無再発生存率(DRFS)、局所無再発生存率(LRFS)および全体生存率(OS)が含まれた。LRFSおよびDRFS分析のために、データは、競争イベント時点に検閲された。OSは、手術日から死亡日までの期間、または検閲された場合には、最後の後続措置で定義された。生存分析のために、R生存パッケージを使用した。Survminerおよびggplot2パッケージは、Kaplan Meierプロットを生成するのに使用された。Kaplan-Meier方法を使用して固有下位タイプ間の生存差異を比較し、ログ順位テストでテストした。DFSおよびOSと関連した要因は、Cox比例危険回帰分析で分析された。0.05未満の両面P値は、統計的に有意なものと見なされた。対数尤度比と相関指数(C-index)を使用して各予後モデルの相対的正確度を評価した。
【0151】
[準備例7]TCGA-READコホートからのRNAseqデータを利用した直腸がん分子亜型の発見
図2は、非負値行列因子分解(Non-negative matrix factorization;NMF)を利用したTCGA直腸がんデータ分析結果指標を示す図である。
【0152】
図3は、2~5個のrankで非負値行列因子分解の実行時にコンセンサスクラスタリング(consensus clustering)結果を示す図である。
【0153】
Cancer Genome Atlasプロジェクトで177個の直腸がんサンプルのRNAseqデータ(TCGA-READ.htseq_fpkm-uq.tsv)をダウンロードした。Rパッケージ「NMF」を使用して最上のサブタイプ数を識別するために、2から5までの順位で非負値行列因子分解(Non-negative matrix factorization)分析を行った。コンセンサスクラスタリング(consensus clustering)を通じて発見したコフェネティック指標(cophenetic index)とシルエットは、直腸がんを二つの分子亜型に分けることが最善の選択になると提案する。
【0154】
[準備例8]直腸がんの二つの固有分子亜型の性質
図4は、発見された二つの分子亜型に対する遺伝子群エンリッチメント解析結果を表示した図である。
【0155】
発見された二つの分子亜型の生物学的性格を調べるために、Rの「fgsea」パッケージおよび「CMSgsa」パッケージを使用して遺伝子群エンリッチメント解析を行うことによって、二つの亜型(下位タイプ)間に大きく異なる生物学的経路を識別した。図4のように、がんの特徴的な経路のうち、第1分子亜型は、上皮間葉移行(epithelial mesenchymal transition;EMT)経路および幹細胞特異遺伝子発現が相対的に豊富であるが、第2分子亜型は、MYCターゲット、細胞分裂、酸化的リン酸化およびDNA復旧経路遺伝子の発現が相対的に豊富である。
【0156】
[準備例9]直腸がん固有分子亜型と大腸がん分子亜型の差異
図5は、直腸がん固有分子亜型と大腸がん分子亜型の差異を調べるために行った遺伝子群エンリッチメント解析結果をヒートマップ(heat map)で表示した図である。
【0157】
この間、直腸がんは、大腸がんの一部と判断して、大腸がんの分子亜型分類に直腸がんを含ませてきた。大腸がんの分子亜型は、グローバルコンセンサスによって4個の分子亜型、すなわち、Consensus Molecular Subtype(CMS)1~4番に分類する。CMS4分子亜型は、予後が悪く、上皮間葉移行経路遺伝子が活性化していて、これは、私たちが発見した第1分子亜型と同一である可能性がある。したがって、私たちは、TCGA-READ RNAseqデータをCMScallerパッケージを用いてCMS分子亜型に分類し、私たちが発見した二つの分子亜型との相関関係を検討した。第1分子亜型の58.8%だけがCMS4に分類され、第2分子亜型のうち17.5%がCMS4に分類されて、統計的に有意な相関関係を示すが、一致してはいない。
【0158】
【表1】
【0159】
CMS4と第1分子亜型間の差異を理解するために、2つの分類法を通じて8個に分類された直腸がんに対して「CMScaller」パッケージの「CMSgsa」機能を用いて遺伝子群エンリッチメント解析を行った結果、図5に示されたように、CMS4分子亜型に分類された直腸がんのうち直腸がん固有第1分子亜型は、第2分子亜型とEMT関連遺伝子の発現が似ていたが、幹細胞に発現する遺伝子群の発現が増加しており、反対に、MYC、DNA修復(DNA repair)、細胞周期(cell cycle)、すなわち細胞分裂に関連した遺伝子群の発現が減少していることを発見した。このような結果は、私たちが発見した直腸がん固有分子亜型が、大腸がん分子亜型と十分に差異点があることを証明する。
【0160】
また、このようなデータを基盤に、私たちは、第1分子亜型が第2分子亜型に比較してさらに悪い予後および手術前の化学放射線療法に対する低い反応性と関連があると仮定した。
【0161】
[準備例10]新しく発見された分子亜型に対する分類器開発(1)
図5は、予測分析マイクロアレイRパッケージ(Prediction Analysis of Microarray R package;PAMr)を用いて2個の分子亜型を分類できる85個の最適な遺伝子を示す図である。
【0162】
新しく発見された分子亜型タイプに対する分類器を開発するために、予測分析マイクロアレイRパッケージ(Prediction Analysis of Microarray R package;PAMr)を活用した。分析のために、臨界値6とprop-selected-in-cv臨界値0.6を使用した。参考として、臨界値とprop-selected-in-cv臨界値を変更しても、選択した遺伝子数と分類器の最終性能に影響を与えるが、最上位分類器遺伝子は同一に維持され、臨床性能は、p値の一部変化に似ている。この分析結果、一次に表2のように亜型分類のための鋳型として94個の遺伝子が選択された。下記表2の分子亜型項目において、1は第1分子亜型を、2は第2分子亜型を意味する。
【0163】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0164】
表2から分かるように、一次選択された第1分子亜型に相対的に過発現する分類遺伝子は、ACADL、ADAMTS9-AS1、ARHGEF18、BCHE、BLOC1S5-TXNDC5、BVES-AS1、C10orf131、CCDC144B、CDH19、CTAGE8、EPHA6、FAM133A、FAM35BP、FAM47E-STBD1、FILIP1、GAS1RR、GOLGA8K、GRIA2、GRIN2A、GTF2IP1、HCG23、HIST2H3C、HLX-AS1、HNRNPA1P33、KCTD8、KIAA0408、KIAA2022、KRT222、LGI1、LINC00504、LINC01266、LINC01352、LINC01489、LINC01537、LINGO2、LOC100507073、LOC100507387、LOC101928509、LOC101929607、LOC440434、LOC642131、LOC644838、LONRF2、MEIS1-AS2、MIR133A1HG、MIR186、MIR3911、MIR4477B、MYH8、NEXN、NLGN1、OR7E12P、PCDH10、PGM5-AS1、PGM5P3-AS1、PLCXD3、PLGLB2、PLN、RANBP3L、SCN7A、SCN9A、SEMA3E、SLITRK4、SYT4、TBC1D3L、TCEAL2、TVP23C-CDRT4、ZNF676、ZNF728である。
【0165】
一方、一次選択された第2分子亜型に相対的に過発現する分類遺伝子は、C4orf48、CTU1、EIF3IP1、FAM173A、FEZF2、LOC440311、MIR3661、NOXO1、PDF、PRR7、SNHG25、SNORD30、SNORD38A、TMEM160、TPGS1、TRAPPC5である。
【0166】
RNAseq方法を使用して遺伝子発現を分析する場合、多くの遺伝子の発現量を同時に測定可能なので、94個の遺伝子パネルより多い遺伝子で構成されたパネル適用が可能である。Rにおいて「DEseq2」パッケージを使用して二つの亜型の間で差等的に発現した遺伝子を確認した。p<10-7の統計的有意性レベルで二つの分子亜型間に差等的に発現した4877個の遺伝子が存在した。4877個の遺伝子のうち、いろいろな方法で一部の遺伝子を選択して組み合わせて、分子亜型分類器の開発が可能であり、一例として、表3のように二つの分子亜型間の発現量の差異が2倍以上となる遺伝子522個を鋳型として選択して分類が可能である。下記表3の分子亜型項目において、1は第1分子亜型を、2は第2分子亜型を意味する。
【0167】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【0168】
表3から分かるように、二次選択された第1分子亜型は、AADACL2、ABCA6、ABCA8、ABCA9、ABCB5、ABI3BP、ACADL、ACSM5、ACTG2、ADAMTS9-AS1、ADAMTS9-AS2、ADAMTSL3、ADCYAP1R1、ADGRB3、ADH1B、ADIPOQ、ADRA1A、AFF3、AGTR1、AICDA、ALB、ANGPTL1、ANGPTL5、ANGPTL7、ANK2、ANKS1B、ANXA8L1、APOA2、APOB、APOC3、AQP4、AQP8、ARPP21、ART4、ASB5、ASPA、ASTN1、ATCAY、ATP1A2、ATP2B2、ATP2B3、AVPR1B、B3GALT5-AS1、BCHE、BEST4、BHMT2、BLOC1S5-TXNDC5、BMP3、BRINP3、BVES、BVES-AS1、C14orf180、C1QTNF7、C7、C8orf88、CA1、CA2、CA7、CACNA2D1、CADM2、CADM3、CALN1、CARTPT、CASQ2、CAVIN2、CCBE1、CCDC144B、CCDC158、CCDC160、CCDC169、CCN5、CD300LG、CDH10、CDH19、CDKN2B-AS1、CDO1、CHRDL1、CHRM2、CHST9、CIDEA、CILP、CLCA4、CLCNKB、CLDN8、CLEC3B、CLEC4M、CLVS2、CMA1、CNGA3、CNN1、CNR1、CNTN1、CNTN2、CNTNAP4、COL19A1、CP、CPEB1、CPXM2、CR2、CRP、CTNNA3、CTSG、CYP1B1、DAO、DCLK1、DDR2、DES、DHRS7C、DIRAS2、DPP6、DPT、EBF2、ECRG4、ELAVL4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、ERICH3、EVX2、FABP4、FAM106A、FAM133A、FAM135B、FAM180B、FDCSP、FGF10、FGF13-AS1、FGF14、FGFBP2、FGG、FGL1、FHL1、FILIP1、FLNC、FMO2、FRMD6-AS2、FRMPD4、FUT9、GABRA5、GABRG2、GALR1、GAP43、GAS1RR、GC、GCG、GDF6、GFRA1、GNAO1、GPM6A、GPR119、GPR12、GPRACR、GRIA2、GRIN2A、GTF2IP1、GUCA2B、HAND1、HAND2、HAND2-AS1、HEPACAM、HP、HPCAL4、HRG、HRK、HSPB8、HTR2B、IGSF10、IGSF11、IRX6、ISM1、KCNA1、KCNB1、KCNC2、KCNK2、KCNMA1、KCNMB1、KCNQ5、KCNT2、KCTD8、KERA、KHDRBS2、KIAA0408、KIF1A、KRT222、KRT24、KRTAP13-2、LCN10、LDB3、LEP、LGI1、LIFR、LINC00504、LINC00507、LINC00682、LINC00924、LINC01266、LINC01352、LINC01474、LINC01505、LINC01697、LINC01798、LINC01829、LINC02015、LINC02023、LINC02185、LINC02268、LINC02408、LINC02544、LIX1、LMO3、LMOD1、LOC100506289、LOC101928731、LOC102724050、LOC107986321、LOC283856、LOC440434、LOC729558、LONRF2、LRAT、LRCH2、LRRC3B、LRRC4C、LRRTM4、LVRN、LYVE1、MAB21L1、MAB21L2、MAGEE2、MAMDC2、MAPK4、MASP1、MEF2C-AS1、MEOX2、METTL24、MFAP5、MGAT4C、MGP、MICU3、MIR133A1HG、MIR8071-1、MMRN1、MORN5、MPPED2、MRGPRE、MS4A1、MS4A12、MSRB3、MUSK、MYH11、MYH2、MYLK、MYO3A、MYOC、MYOCD、MYOM1、MYOT、MYT1L、NALCN、NAP1L2、NBEA、NECAB1、NEFL、NEFM、NEGR1、NETO1、NEUROD1、NEXMIF、NEXN、NGB、NIBAN1、NLGN1、NOS1、NOVA1、NPR3、NPTX1、NPY2R、NRG3、NRK、NRSN1、NRXN1、NSG2、NTNG1、NTRK3、NUDT10、OGN、OLFM3、OMD、OTOP2、OTOP3、P2RX2、P2RY12、PAK3、PAPPA2、PCDH10、PCDH11X、PCDH9、PCOLCE2、PCP4L1、PCSK2、PDZRN4、PEG3、PENK、PGM5、PGM5-AS1、PGM5P4-AS1、PGR、PHOX2B、PI16、PIK3C2G、PIRT、PKHD1L1、PLAAT5、PLCXD3、PLD5、PLIN1、PLIN4、PLN、PLP1、PMP2、POPDC2、POU3F4、PPP1R1A、PRDM6、PRELP、PRG4、PRIMA1、PROKR1、PTCHD1、PTGIS、PTPRQ、PTPRZ1、PYGM、PYY、RANBP3L、RBFOX3、RBM20、RELN、RERGL、RGS13、RGS22、RIC3、RIMS4、RNF150、RNF180、RORB、RSPO2、SCARA5、SCGN、SCN2B、SCN7A、SCN9A、SCNN1G、SCRG1、SEMA3E、SERTM1、SERTM2、SFRP1、SFRP2、SFTPA1、SGCG、SHISAL1、SLC13A5、SLC17A8、SLC30A10、SLC4A4、SLC5A7、SLC6A2、SLC7A14、SLIT2、SLITRK2、SLITRK3、SLITRK4、SMIM28、SMYD1、SNAP25、SNAP91、SORCS1、SORCS3、SPHKAP、SPIB、SPOCK3、SST、ST8SIA3、STMN2、STMN4、STON1-GTF2A1L、STUM、SV2B、SYNM、SYNPO2、SYT10、SYT4、SYT6、TACR1、TAFA4、TCEAL2、TCEAL5、TCF23、TENM1、THBS4、TLL1、TMEFF2、TMEM100、TMEM35A、TMIGD1、TMOD1、TNNT3、TNS1、TNXB、TRARG1、TRDN、UGT2B10、UGT2B4、UNC80、VEGFD、VGLL3、VIT、VSTM2A、VXN、WSCD2、XKR4、ZBTB16、ZDHHC22、ZFHX4、ZMAT4、ZNF385B、ZNF676、ZNF728である。
【0169】
一方、二次選択された第2分子亜型は、ADAT3、ANP32D、BHLHA9、BOD1L2、C4orf48、CCDC85B、CDH16、CLMAT3、CSNK1A1L、CTU1、DBET、DDC-AS1、DEFA5、EIF3IP1、FAM173A、FEZF2、FOXI3、FRMD8P1、GALR3、GJD3、GPR25、HBA1、HES4、HIST1H4A、HIST1H4L、HLA-L、IGFBP7-AS1、ITLN2、KCNE1B、LCN15、LKAAEAR1、LOC101927795、LOC101927972、LOC101928372、LOC344967、LRRC26、MAGEA10、MESP1、MIR203A、MIR324、MIR3661、MIR4449、MIR4479、MIR4665、MIR4737、MIR4767、MIR6807、MIR6858、MIR6891、MIR8075、NACA2、NOXO1、ONECUT3、PCSK1N、PDF、PITPNM2-AS1、PNMA5、PRR7、PRSS2、PRSS56、PTGER1、PTTG3P、REG3A、RNA5S9、RNU4-1、RNU5A-1、RNU5B-1、RNU5E-1、RNU6ATAC、RNY1、RPL29P2、RPRML、SBF1P1、SHISAL2B、SKOR2、SLC32A1、SMARCA5-AS1、SMCR5、SNHG25、SNORA36A、SNORD30、SNORD38A、SNORD3B-2、SNORD41、SNORD48、TMEM160、TMEM238、TPGS1、TRAPPC5、UBE2NL、WBP11P1、ZAR1である。
【0170】
注目すべきことは、分類器の遺伝子鋳型は、類似遺伝子、miRNAおよびノンコーディング遺伝子を含むが、これは、一般的にこのようなタイプの分析から除外されるので、強力な亜型分類器が今まで報告されていない理由を説明できる。
【0171】
[準備例11]新しく発見された分子亜型に対する分類器開発(2)
分類器遺伝子鋳型の他の可能なバージョンを確認するために、PAM分析に使用された臨界値によって、類似した主要寄与遺伝子を有する若干異なる鋳型遺伝子リストを探した。このような鋳型遺伝子は、類似した臨床的有用性と共に使用できる。表4~表7は、それぞれ一次または二次選択された遺伝子鋳型を代替できる鋳型である。下記表4~表7の分子亜型項目において、1は第1分子亜型を、2は第2分子亜型を意味する。
【0172】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0173】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【0174】
【表6-1】
【表6-2】
【0175】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【0176】
[準備例12]新しく発見された分子亜型に対する分類器開発(3)
また、下記表8は、第1分子亜型を、表9は、第2分子亜型に該当する遺伝子亜型を代替できる鋳型である。
【0177】
【表8-1】
【表8-2】
【0178】
【表9】
【0179】
[実験例1]新しく開発された分子亜型分類器の臨床的有用性検証(1)
図6および図7は、本発明の一実施例による、延世がん病院の230人の直腸がん患者のRNAseq分類データを示す図である。
【0180】
延世がん病院で治療した230人の直腸がん患者の前処理生検標本を分類するために、最近接鋳型予測(Nearest Template Prediction;NTP)方法を使用した。下記の表9は、一次に選択された94個の遺伝子群によって分類された分子亜型と手術前の化学放射線療法に対する反応の関連性を示すものである。
【0181】
【表10】
【0182】
一次に選択された94個の遺伝子群をNTP方法で適用して直腸がん患者230人を分類した。113人は、信ぴょう性あるように分類され(false discovery rate<0.2)、97人は、正確な分類が不可能であった。分類可能な115人のうち、第1分子亜型の完全寛解率は、15.4%(39人のうち6人)である反面、第2分子亜型の完全寛解率は、35.1%(74人のうち26人)と2倍以上高かった(chi-squared=3.98、p=0.046)。
【0183】
図6は、一次に選択された遺伝子群によって分類された亜型による患者の無病生存率(Disease-free survival;DFS)を示す図である。低い完全寛解率との関連性から予想されるように、第1分子亜型(prediction=1)の場合、第2分子亜型(prediction=2)よりさらに悪いDFSと関連していた(p=0.0023)。
【0184】
下記の表11は、二次に選択された522個の遺伝子群によって分類された亜型と手術前の化学放射線療法に対する反応の関連性を示すものである。
【0185】
【表11】
【0186】
二次に選択された522個の遺伝子群をNTP方法で適用して直腸がん患者230人を分類した。186人は、信ぴょう性あるように分類され(false discovery rate<0.2)、44人は、正確な分類が不可能であった。分類可能な186人のうち第1分子亜型の完全寛解率は、9.5%(63人のうち6人)である反面、第2分子亜型の完全寛解率は、36.6%(123人のうち45人)と2倍以上高かった(chi-squared=14.0、p=0.0002)。
【0187】
図7は、本発明の一実施例による、二次に選択された遺伝子群によって分類された亜型による患者の無病生存率(Disease-free survival;DFS)を示す図である。低い完全寛解率との関連性から予想されるように、第1分子亜型(prediction=1)の場合、第2分子亜型(prediction=2)よりさらに悪いDFSと関連していた(p=0.0015)。
【0188】
[実験例2]新しく開発された分子亜型分類器の臨床的有用性検証(2)
手術前の化学放射線療法後、手術時に前記表8の第1分子亜型および前記表9の第2分子亜型による直腸がん予後予測能力を確認して、図8(無病生存率)および図9(生存率)のように示した。ただし、前記検証は、全体患者コホート(N=230)に対して実施した。
【0189】
図8および図9に示されたように、第1分子亜型に該当する場合、第2分子亜型に該当する場合より手術前の化学放射線療法後の手術時に無病生存率および生存率が低いことを確認したところ、図8および図9の分子亜型を確認する場合、直腸がん治療後に予後予測能力に優れていることが分かった。
【0190】
[実験例3]分子亜型および病理学的特性による治療開始前の直腸がん患者の予後予測能力の確認
直腸がんの診断は、小さい組織生検を利用した病理検査およびCT-MRIなど放射線診断法によって行われるので、治療の開始前に患者の予後を予測することは容易ではない。表12は、治療の開始前に施行または測定できる候補予後因子を対象に施行した単変数および多変数分析(multivariate analysis)結果を表示したものである。cN_stageは、臨床的に判断したリンパ節転移程度、cT_stageは、臨床的に判断した腫瘍のサイズ程度である。表12で、ORは、オッズ比、CIは、信頼区間を意味する。
【0191】
分析結果は、明確に分子亜型だけが治療開始前の患者の予後を予測できることを示す(p<0.001)。これは、分子亜型に臨床的に非常に重要な意味を付与する。最近、直腸がんの治療は、手術前にすべての可能な治療を施行するtotal neoadjuvant therapy(TNT)方法へ転換中にある。この場合、予測される患者の予後によって異なる治療剤を考慮できる。すなわち、第1分子亜型の場合、より少し強力な治療を考慮できるので、分子亜型は、開発中の新薬臨床試験の対象群を判別するのに重要な役割をすることができる。
【0192】
【表12】
【0193】
[実験例4]分子亜型および病理学的特性による術前化学放射線治療後の直腸がん患者の予後予測能力の確認
表13は、直腸がん患者の術前化学放射線治療および手術後に患者の予後を判断するために使用できる候補因子と分子亜型間の相関関係を調査した結果である。分子亜型は、治療後にがんのサイズ程度(ypT stage)、完全寛解の有無(pCR)とは統計的に有意に関係関係があるが(第1分子亜型の場合、サイズが大きく、完全寛解率が低い)、リンパ節転移程度(ypN stage)、患者の年齢および性別とは関係がないことを示す。
【0194】
【表13】
【0195】
表14は、直腸がん患者の術前化学放射線治療および手術後に患者の予後を判断するために使用できる候補因子に対して単変数および多変数統計分析を施行した結果を表示した。
【0196】
【表14】
【0197】
表14から分かるように、単変数分析では、治療後にがんのサイズ程度(ypT stage)、リンパ節転移程度(ypN stage)、完全寛解の有無(pCR)、そして分子亜型が全て統計的に有意に無病生存率(DFS)および生存率(OS)を予測することが分かる。しかしながら、多変数分析結果を見ると、ypN stageと分子亜型だけが有意であることを示す。すなわち、ypN stageと分子亜型は、それぞれ独立して、無病生存率に影響を与えるので、二つの因子を一緒に使用したとき、最も正確に予後を予測できることを示唆する。これを証明するために、ypN stageと分子亜型による無病生存率および生存率をKaplan Meierプロットで調査した。
【0198】
図10は、治療後に手術時に発見されたリンパ節転移の有無(ypN stage)による無病生存率(DFS)を分析したKaplan-Meierプロットである。
【0199】
図11は、治療後に手術時に発見されたリンパ節転移の有無(ypN stage)および分子亜型による無病生存率(DFS)を分析したKaplan-Meierプロットである。
【0200】
図12は、治療後に手術時に発見されたリンパ節転移の有無(ypN stage)による生存率(OS)を分析したKaplan-Meierプロットである。
【0201】
図13は、治療後に手術時に発見されたリンパ節転移の有無(ypN stage)および分子亜型による生存率(OS)を分析したKaplan-Meierプロットである。
【0202】
図11および図13に示されたように、ypN stageと分子亜型を一緒に使用する場合、図10および図12においてypN stageだけを使用することより、標準術前化学放射線治療にもかかわらず、きわめて再発率が高く(3年以内に60%以上再発)、生存率が低い患者群をあらかじめ予測できる。このような患者は、手術後または術前化学放射線治療後に手術前に標準治療以外の他の治療剤を試みてみる必要があるので、新薬臨床試験対象群として重要である。
【0203】
[実験例5]従来開発されたCMS分子亜型分類器の直腸がん予測能力の調査
その一方で、従来の大腸がんおよび直腸がん(CRC)予後予測のための分子亜型であるCMS亜型およびCRIS分類器の直腸がん予測能力を調査するために、CMScallerパッケージで提供する分類子遺伝子テンプレートと共にNTPを使用して、直腸がんコホートでCMS分子亜型を使用する場合、無再発生存率(DFS)、全体生存率(OS)を図14に示し、CRIS分子亜型を使用する場合、無再発生存率(DFS)、全体生存率(OS)を図15に示した。
【0204】
図14および図15に示されたように、CMSとCRISがいずれも臨床評価変数と統計的に有意な関連性を示さなかった。具体的に、CMS分子亜型の該当の有無による直腸がん患者の生存率(DFSおよびOS)は、大きな差異がないので、直腸がん患者に対する予後予測能力が統計的に有意でなかった(P=0.12)。また、CRIS分子亜型の該当の有無による直腸がん患者の生存率(DFSおよびOS)も、大きな差異がないので、直腸がん患者に対する予後予測能力も、統計的に有意でなかった(P=0.77)。
【0205】
[実施例1]分子亜型および病理学的特性による直腸がん治療プロトコル
前記実験例1~4を基に、第1分子亜型および第2分子亜型による直腸がん予後予測方法を図16に示した。
【0206】
図16に示されたように、従来、術前化学放射線標準治療後の外科的手術治療後に完全寛解(pCR)と判定された場合、これ以上治療をしなかったが、本発明による第1分子亜型(subtype 1)および第2分子亜型(subtype 2)による分類後、(1)第2分子亜型に該当し、治療後に完全寛解と判定された場合、これ以上治療を進行せず、(2)第2分子亜型に該当し、完全寛解と判定されない場合、さらなる化学治療を実施し、(3)第1分子亜型に該当する場合、完全寛解の判定と関連なく持続的な化学治療を実施するプロトコルを確立することができた。
【0207】
以上、本発明の特定部分を詳細に記述したところ、当業界における通常の知識を有する者にとってこのような具体的な技術は、単に好ましい具現例に過ぎず、これに本発明の範囲が限定されるものではない点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物によって定義されるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本発明は、直腸がんの術前化学放射線治療の反応性または治療後の予後を予測するための組成物およびこれを利用した予測方法に関する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【配列表】
2023503301000001.app
【国際調査報告】