(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】調整可能な信号処理付きマイクロフォン
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20230120BHJP
H04R 1/06 20060101ALI20230120BHJP
H04R 1/04 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
H04R3/00 320
H04R1/06 320
H04R1/04 A
H04R1/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529700
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 US2020053485
(87)【国際公開番号】W WO2021101628
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504189151
【氏名又は名称】シュアー アクイジッション ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SHURE ACQUISITION HOLDINGS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】バルジマン、 ティモシー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン、 ソーレン クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ペッシン、 ジェームズ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シュマード、 ブレント ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サター、 レナ リンス
(72)【発明者】
【氏名】ペルコフスキー、 ライアン ジェロルド
【テーマコード(参考)】
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
5D017BD01
5D017BD02
5D017BD05
5D220BC01
5D220BC05
5D220BC08
(57)【要約】
マイクロフォンは、音を検出するためのマイクロフォン素子と、音に基づく第1のオーディオ信号を複数のデジタル信号処理(DSP)モードのうちの選択された1つに従って処理するように構成されたデジタル信号処理装置とを備えることができる。DSPモードの各々は、第1のオーディオ信号を異なるやり方で処理するためのものであってもよい。例えば、DSPモードは、話している人の距離(例えば、近くと遠く)および/または希望するトーン(例えば、ダークなトーン、ニュートラルなトーン、またはブライトなトーン)を考慮することができる。少なくともいくつかのモードは、例えば、ユーザーがマイクロフォンからの距離を変えまたは話すレベルを変えても、より一貫した音量を提供するための自動レベル制御設定を有していてもよく、それは、どのDSPが適用されているかによって、それぞれ、パラメーターのアタック、ホールド、ディケイ、最大ゲイン、または目標ゲインの特定のデフォルト(および/または調整可能)値と関連付けることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を検出するように構成されたマイクロフォン要素と、
複数のデジタル信号処理モードのうちの選択された1つに従って前記音に基づく第1のオーディオ信号を処理するように構成されたデジタル信号プロセッサーであって、前記複数のデジタル信号処理モードの各々は、前記第1のオーディオ信号を異なるやり方で処理するためのものであり、前記複数のデジタル信号処理モードのうちの前記選択された1つのパラメーターの1つ以上を目標ゲインに基づいて自動的に調整する、デジタル信号プロセッサーと、
前記複数のデジタル信号処理モードのうち前記選択された1つに従って前記第1のオーディオ信号を処理した結果のデジタル信号を出力するように構成された第1のコネクターと
を備える、マイクロフォン。
【請求項2】
前記複数のデジタル信号処理モードの各々が、マイクロフォンの位置設定とトーン設定との異なる組み合わせを含む、請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項3】
前記複数のデジタル信号処理モードの各々が、ゲイン制御設定、平均化設定、ディエッシング設定、低音設定、リミッター設定、またはオーディオ圧縮設定のうちの少なくとも1つを含む異なる設定に関連付けられる、請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項4】
前記マイクロフォンは、指向性ダイナミックマイクロフォンである、請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項5】
前記マイクロフォンの少なくとも1つの設定を手動で調整可能に構成された静電容量式タッチインターフェースを含む本体をさらに備え、前記本体は湾曲した外形を有する少なくとも一部を含み、前記静電容量式タッチインターフェースは前記湾曲した外形に適合するように湾曲している、請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項6】
前記第1のコネクターは、ユニバーサルシリアルバスコネクターである、請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項7】
前記複数のデジタル信号処理モードの各々が異なる目標ゲインと関連付けられている、請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項8】
前記第1のコネクターは、前記複数のデジタル信号処理モードのうちの前記選択された1つを示す制御信号を他の装置から受信するように構成されている、請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項9】
前記第1のコネクターは、ユニバーサルシリアルバスコネクターであり、アナログの第2の信号を受信するように構成されたXLRコネクターをさらに含み、前記マイクロフォンは、前記ユニバーサルシリアルバスコネクターを介して、前記XLRコネクターを介して受信した前記アナログの第2のオーディオ信号および前記第1のオーディオ信号の両方に基づくデジタル信号を出力するように構成されている、請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項10】
前記1つ以上のパラメーターは、アタック、ホールド、またはディケイのうち1つ以上から選択される、請求項9に記載のマイクロフォン。
【請求項11】
マイクロフォンのマイクロフォン要素によって検出された音に基づいて、第1のオーディオ信号を生成するステップと、
複数のデジタル信号処理モードから、選択されたデジタル信号処理モードを選択するステップであって、前記複数のデジタル信号処理モードの各々は、異なるやり方で前記第1のオーディオ信号を処理するためのものであるステップと、
前記選択されたデジタル信号処理モードの1つまたは複数のパラメーターを、目標ゲインに基づいて自動的に調整するステップと、
前記マイクロフォンによって、前記選択されたデジタル信号処理モードに従い、前記調整された1つまたは複数のパラメーターを用いて、前記第1のオーディオ信号のデジタル信号処理を実行するステップと、
前記マイクロフォンによって、実行される前記デジタル信号処理に基づくデジタルオーディオ信号を生成するステップと、
前記マイクロフォンの第1のコネクターを介して前記デジタルオーディオ信号を出力するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記複数のデジタル信号処理モードの各々がマイクロフォンの位置設定とトーン設定との組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数のデジタル信号処理モードの各々が、平均化設定、ディエッシング設定、低音設定、リミッター設定、またはオーディオ圧縮設定の少なくとも1つのための複数の設定と関連付けられる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のコネクターは、ユニバーサルシリアルバスコネクターを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のコネクターを介して制御信号を受信するステップをさらに含み、前記選択するステップは、前記制御信号に基づいて前記選択されたデジタル信号処理モードを選択することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記マイクロフォンの第2のコネクターを介して第2のオーディオ信号を受信するステップをさらに含み、前記デジタル信号処理を実行するステップは、前記マイクロフォンによって、前記選択されたデジタル信号処理モードに従って、前記第1のオーディオ信号および前記第2のオーディオ信号のデジタル信号処理を実行することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
第1のマイクロフォンによって、XLRコネクターを介して第2のマイクロフォンからのオーディオ信号を受信するステップと、
前記第1のマイクロフォンによって音を検出するステップと、
前記XLRコネクターを介して受信されたオーディオ信号および検出された音の両方に基づくデジタル信号をユニバーサルシリアルバスコネクターを介して出力するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
複数のデジタル信号処理モードから、選択されたデジタル信号処理モードを選択するステップ、および
前記選択されたデジタル信号処理モードに従って、前記第1のマイクロフォンで検出された前記音および前記第2のマイクロフォンからの前記オーディオ信号のデジタル信号処理を実行して、デジタル信号を生成するステップ
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
目標ゲインに基づいて、前記デジタル信号処理モードの1つまたは複数のパラメーターを調整するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記選択するステップは、前記ユニバーサルシリアルバスコネクターを介して受信された制御信号に基づいて、前記選択されたデジタル信号処理モードを選択することを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、調整可能な信号処理付きマイクロフォンに関する。
(関連出願との相互参照)
本出願は、2019年11月22日の米国仮特許出願第62/939,347号「Microphone With Adjustable Signal Processing」への優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
様々な種類のマイクロフォンには、一定の利点があるが限界もある。例えば、単一指向性(カーディオイドなど)のダイナミックマイクロフォンは、音声録音に優れている。利点としては、低音域が豊かで、ルームノイズに強いことが挙げられる。しかし、近接効果や感度の低さから、このようなマイクロフォンは、安定した結果を得るために、ユーザーが「良い」マイクロフォンの技術についてある程度の知識が必要な場合が多い。
【0003】
また、USB接続のマイクロフォンは、一般的に1本のマイクロフォンで使用するには簡単で便利であるが、同じ設定で複数のマイクロフォンを同時に使用するのはかなり難しく、不可能なこともある。
【発明の概要】
【0004】
以下は、一部の機能を簡略化してまとめたものである。この要約は、包括的な概要ではなく、主要または重要な要素を特定することを意図したものでもない。
【0005】
本明細書では、マイクロフォンの例、および本マイクロフォンの操作および実装方法について説明する。
【0006】
本マイクロフォンにはその態様により単一指向性マイクロフォン、多指向性マイクロフォン、無指向性マイクロフォン、ダイナミックマイクロフォン、単一指向性ダイナミックマイクロフォン、またはコンデンサーマイクロフォンのようなタイプを含むが、これらに限定されない。
【0007】
さらなる態様によれば、本マイクロフォンは、1つ以上のユニバーサルシリアルバス(USB)コネクターおよび/または1つ以上のXLRコネクターなどの複数のタイプの信号コネクターを含んでよく、これらは他の様々な装置(例えば、Apple Macコンピュータおよび携帯装置、Windows PCコンピュータおよび携帯装置、Android装置、XLRミキサーおよびインターフェースなど)で使用可能である。本マイクロフォンのコネクターは、1つ以上のデジタル信号コネクター(例えば、USB)および/または1つ以上のアナログ信号コネクター(例えば、XLR)で構成されてもよい。各コネクターは、入力コネクター、出力コネクター、または入力と出力の両方のコネクターとして使用できる。本マイクロフォンのユーザーは、1つ以上のコネクターを便宜的に使用して、本マイクロフォンを拡張し、複数のマイクロフォンを使用する大きなセットアップの一部とすることができる。例えば、本マイクロフォンのXLRコネクターはパッシブであってもよく、ユーザーが他のマイクロフォンのXLRコネクターからの出力を本マイクロフォンのXLRコネクターにデイジーチェーンできるように構成されてもよい。このような配置の場合、両方のマイクロフォンからの出力は、USBコネクターなど本マイクロフォンの別のコネクターを介して出力できる。
【0008】
さらなる態様によれば、USBコネクターを介してオーディオの出力を提供する回路は、信号連鎖においてプリアンプおよび/またはデジタル信号プロセッサー(DSP)を含んでいてもよい。プリアンプやDSPは低ノイズ回路であってもよい。
【0009】
さらなる態様によれば、DSPは、複数のモードのいずれかに従って、入力されるオーディオを処理することができる。複数のモードは、例えば、話している人の距離(例えば、近くと遠く)および/または希望するトーン(例えば、ダークなトーン、ニュートラルなトーン、またはブライトなトーン)を考慮してもよい。一部のモードは自動モードであってもよく、例えば、異なる音声中心のシナリオに対応するように調整することができる。より具体的には、自動モードは、例えば、複数のマイクロフォン位置シナリオ(例えば、近接シナリオと遠距離シナリオ)および/または複数のトーンシナリオ(例えば、ダークなトーン、ニュートラルなトーン、ブライトなトーン)に分割されてもよい。この2つのシナリオの組み合わせは、ユーザーが手動で設定してもよいし、DSPが自動で設定してもよい。選択されたシナリオの組み合わせに基づいて、本マイクロフォンのDSPは、スピーチアプリケーションなどの様々なオーディオアプリケーションに希望の出力オーディオ信号を提供するために、設定の1つまたは複数を調整することができる。近接モードは、例えば、近接効果やシビランスを低減するためのマルチバンド圧縮やEQ設定などを含むことができる。遠距離モードは、例えば、所定の距離(例えば12インチ以上)から単一指向性マイクロフォンを使用する際に経験するローエンドを増加させ、薄さを減少させることを目的としたマルチバンド圧縮および/またはEQ設定を含むことができる。また、選択されたトーンのシナリオに応じて、トーンの調整は、例えば、個人の好みに基づいて、ユーザーにダークまたはブライトな音を提供するために平均化を調整することができる。さらに、自動モードは、ユーザーが本マイクロフォンからの距離を変えまたは話すレベルを変えても、より安定した音量を提供するための自動レベル制御を含むことができる。
【0010】
さらなる態様によれば、複数のモードのうちの1つまたは複数の他のモードは、マニュアルモードであってもよく、これにより、ユーザーが設定の1つまたは複数に対して手動制御を行うことができる(ただし、設定のいくつかは依然として自動的に設定されてもよいし、されなくてもよい)。
【0011】
さらなる態様によれば、DSPモードは、USBコネクターなど、本マイクロフォンに接続された装置のユーザーインターフェースを介して選択されてもよい。本装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどのコンピューティング装置で構成されてもよい。この装置は、ユーザーに対してユーザーインターフェースを提示することができ、ユーザーはこのインターフェースを介して希望のDSPモードや他の任意の希望のマイクロフォン設定など、本マイクロフォンの希望の動作特性を選択することができる。
【0012】
さらなる態様によれば、本マイクロフォンはそれ自体がユーザーインターフェースを構成してもよく、ユーザーインターフェースは静電容量式タッチインターフェースから構成されてもよく、この静電容量式タッチインターフェースは湾曲型静電容量式タッチインターフェースであってもよい。このユーザーインターフェースにより、ユーザーが希望する1つ以上のマイクロフォンの設定を手動で選択することができる。
【0013】
さらなる態様によれば、本マイクロフォンは、デスクモードおよび/またはハンギングスタジオモードで取り付け可能なヨークなどのホルダーに接続されてもよい。ホルダーは、例えば、U字型であってもよい。
【0014】
さらなる態様によれば、音を検出するように構成されたマイクロフォン素子を含むマイクロフォンが提供されてもよい。本マイクロフォンは、複数のデジタル信号処理モードのうちの選択された1つに従って、音に基づく第1のオーディオ信号を処理するように構成されたデジタル信号処理装置をさらに含んでもよい。複数のデジタル信号処理モードの各々は、第1のオーディオ信号を異なるやり方で処理するためのものであってもよく、オーディオの目標ゲインまたは他の目標特性を達成するために1つまたは複数のパラメーターを自動的に調整するためのものであってもよい。
【0015】
さらなる態様によれば、マイクロフォンのマイクロフォン要素によって検出された音に基づいて第1のオーディオ信号を生成することを含む方法が実行されてもよい。本マイクロフォンは、複数のデジタル信号処理モードの中から、選択されたデジタル信号処理モードを選択してもよい。複数のデジタル信号処理モードの各々は、第1のオーディオ信号を異なる方法で処理するためのものであってもよい。また、本マイクロフォンは、オーディオの目標ゲインまたは他の目標特性を達成するために、適用されるデジタル信号処理モードの1つまたは複数のパラメーターを自動的に調整することができる。本マイクロフォンは、選択されたデジタル信号処理モードに従って、第1のオーディオ信号のデジタル信号処理をさらに実行してもよい。このようなデジタル信号処理は、第1のオーディオ信号に基づいてゲインを自動的に調整することをさらに含んでもよい。また、マイクロフォンは、デジタル信号処理の結果として、デジタルオーディオ信号を生成し、USBコネクターなどのマイクロフォンの第1のコネクターを介してデジタルオーディオ信号を出力してもよい。
【0016】
さらなる態様によれば、第1のマイクロフォンによって、XLRコネクターなどの第1のコネクターを介して第2のマイクロフォンまたは他の装置からオーディオ信号を受信することを含む方法が実行されてもよい。第1のマイクロフォンは、マイクロフォン素子を用いるなどして、音を検出してもよい。本マイクロフォンは、さらに、USBコネクターなどの第2のコネクターを介して、第1のコネクターを介して受信したオーディオ信号と検出した音の両方に基づくデジタル信号を出力することもできる。
【0017】
これらの特徴およびその他の潜在的な利点については、以下でさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
いくつかの特徴を、添付の図面において、限定ではなく、例として示す。図面上では、数字がそれに対応する要素を示している。
【0019】
【
図1A】本明細書に記載される態様に従った例示的なマイクロフォンの側面図である。
【0020】
【0021】
【
図2】本明細書に記載される態様に従って、
図1Aおよび1Bのマイクロフォンなどのマイクロフォンと1つ以上の他の装置との例示的な相互接続を示すブロック図である。
【0022】
【
図3】本明細書に記載される態様による、
図1Aおよび1Bのマイクロフォンなどの例示的なマイクロフォンの1つまたは複数の部分の例示的なブロック図を示す。
【0023】
【
図4A】本明細書に記載される態様による、
図1Aおよび1Bのマイクロフォンなどの例示的なマイクロフォンの1つまたは複数の部分の別の例示的なブロック図である。
【0024】
【0025】
【
図5】本明細書に記載される態様による、例示的なマイクロフォン(
図1Aおよび1Bのマイクロフォンなど)の1つまたは複数の部分の別の例示的なブロック図である。
【0026】
【
図6】本明細書で説明する態様による、例示的なコンピューティング装置のブロック図である。
【0027】
【
図7A】本明細書に記載される態様による、デジタル信号処理システム(DSP)の少なくとも一部を含む例示的なマイクロフォン(
図1Aおよび1Bのマイクロフォンなど)の1つまたは複数の部分の別の例示的ブロック図である。
【0028】
【
図7B】
図7Aのディエッサーと低音制御器の更なる詳細例を示すブロック図である。
【0029】
【
図8】本明細書に記載された態様により実行され得る方法の例示的なフローチャートである。
【0030】
【
図9】本明細書に記載される態様により、(
図1Aおよび1Bのマイクロフォンなどの)マイクロフォンに接続された装置によって表示され得る例示的なユーザーインターフェースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の実施例を示す。図面に示され、および/または本明細書で議論される例は非排他的であり、本開示がどのように実施され得るかについての他の例が存在することを理解する必要がある。
【0032】
図1Aおよび1Bは、それぞれ、マイクロフォン100の一例の側面図および正面図である。マイクロフォン100は、
図2、3A、3B、4、5、6A、および/または6Bに関して本明細書で説明した電子回路のいずれかなど、マイクロフォンの1つまたは複数の他の構成要素を収容することができる本体101を含んでいてもよい。マイクロフォン100は、マイクロフォン素子を覆うウインドスクリーン102をさらに含むことができる。
【0033】
本体101は、リング部103または他の部分を含んでいてもよく、その上および/または中に、ユーザーインターフェース104が配置されてもよい。ユーザーインターフェース104は、例えば、ユーザーがタッチを介して(例えば、ユーザーの指をタップおよび/またはスライドさせることによって)制御し得る静電容量式タッチインターフェースで構成されてもよい。ユーザーインターフェース104は、ユーザーインターフェース104が配置される本体101の部分の外形に適合する形状を有していてもよい。例えば、本体101の部分が湾曲している場合、ユーザーインターフェース104も本体101の部分と同じように湾曲していてもよい。
【0034】
本体101は、ヨークなどのホルダー105に接続(例えば、装着)されてもよい。ホルダーは、本マイクロフォンを机や壁など他のものに取り付けるために使用することができる。
【0035】
本体101は、コネクター106a、106bなどの1つ以上のコネクターを有していてもよい。コネクター(本明細書では一般的に1つまたは複数のコネクター106という)は、例えば、1つ以上のUSBコネクター、1つ以上のXLRコネクター、1つ以上の電源コネクター、および/または、電源、デジタルデータ(デジタルオーディオ信号を含む)、および/またはアナログオーディオ信号などの信号をマイクロフォン100の回路とやり取りするために適した他の任意のタイプのデータおよび/または電源コネクターを含むことができる。ある具体例では、コネクター106aはXLRコネクターであってもよく、コネクター106bはUSBコネクターであってもよい。
【0036】
図2は、本明細書に記載される態様による、マイクロフォン100のようなマイクロフォンと1つ以上の他の装置との例示的な相互接続を示すブロック図である。この例では、マイクロフォン100は、XLRケーブルを介して(コネクター106aを介してなど)他のXLR対応マイクロフォン201と接続されているように示されている。他のマイクロフォン201は、他のマイクロフォン201が検出した音を代表するオーディオ信号を、XLRケーブルを介してマイクロフォン100に送信することができる。マイクロフォン100は、XLRケーブル上のオーディオ信号と、マイクロフォン100のマイクロフォン素子で検出された音を代表するオーディオ信号とを組み合わせて処理してもよい。マイクロフォン素子は、ダイナミック型素子やコンデンサー型素子など、どのようなタイプのマイクロフォン素子であってもよい。
【0037】
マイクロフォン100はまた、USBケーブルを介して(例えばコネクター106bを介して)他の装置、この例では接続装置202に、接続されてもよい。装置202は、スマートフォン(例えば、iPhone(登録商標)またはAndroid携帯電話)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバなどのコンピューティング装置であってもよい。後述するように、マイクロフォン100は、デジタル信号処理システム(DSP)を含んでいてもよく、装置202は、装置202とマイクロフォン100との間に接続されたUSBケーブル上で送信される信号を介して、DSPがどのモードで動作しているかを含む、マイクロフォン100の1または複数の設定を制御するために使用されてもよい。設定情報の送信に加えて、USBケーブルは、マイクロフォン100によって、オーディオを代表するデジタル信号の送信にも使用してもよい。例えば、マイクロフォン100のDSPは、他のマイクロフォン201からXLRケーブルを介して受信したオーディオ信号と、マイクロフォン100のマイクロフォン素子が音を検出した結果のオーディオ信号の両方を処理してもよい。DSPによる処理の少なくとも一部に起因するデジタル信号は、USBケーブルを介して装置202に送信されてもよい。したがって、マイクロフォン100の(他のマイクロフォン201に接続される)XLRコネクター(パッシブであってもよい)は、ユーザーが他のマイクロフォン201のXLRコネクターからの出力をマイクロフォン100のXLRコネクターにデイジーチェーンできるように構成されてもよい。したがって、マイクロフォンのユーザーは、マイクロフォン100を拡張して、複数のマイクロフォン(この例では、マイクロフォン100および201)を使用する大きなセットアップの一部となるように、マイクロフォン100のコネクターの1つまたは複数を便宜的に使用することもできる。
【0038】
マイクロフォン100と装置202の間はUSB接続で説明したが、他のタイプの有線または無線接続を用いてもよい。例えば、マイクロフォン100と装置202との間の接続は、代わりに、WiFi接続、ブルートゥース(登録商標)接続、近距離無線接続(NFC)、および/または赤外線接続などの無線接続であってよい。接続が無線である場合、マイクロフォン100および装置202は、無線通信インターフェースを含むことができる。
【0039】
また、マイクロフォン100は、別のXLRコネクターなどの別のコネクターを介して別のXLR互換装置203などの1つ以上の他の装置に接続されてもよい。他のXLR互換装置の例としては、さらに別のマイクロフォン、ミキサー、アンプ、コンピューティング装置などを含むことができる。
【0040】
図3は、マイクロフォン100などの例示的なマイクロフォンの1つまたは複数の部分の例示的なブロック図である。図示の例では、マイクロフォン100は、1つ以上のXLRコネクター(図中「XLR出力」と表示;かつ、コネクター106aのような先に説明した1つ以上のコネクター106であってもよい)、1つ以上のマイクロフォン要素を含むことができる少なくとも1つのマイクロフォンカートリッジ、3.5mmステレオオーディオジャックコネクターなどのオーディオ出力、マイクロフォンプリアンプ、ヘッドホンアンプおよび/またはラインドライバ、容量性タッチインターフェース(これは、先に説明したユーザーインターフェース104であってもよい)、並びに1つ以上のUSBマイクロBコネクターまたは通常のUSBコネクターなど、1つまたは複数のUSBコネクター(コネクター106bのような既に説明したコネクター106のうちの1つであってもよい)を有することができる。
図3では、例として、XLR接続のいくつかの構成、いくつかの出力構成、いくつかのUSB接続の種類も特定されている。
【0041】
図4Aおよび4Bは、マイクロフォン100などの例示的なマイクロフォンの1つまたは複数の部分の別の例示的なブロック図を共に示している。図示の例では、マイクロフォン100は、オーディオサブシステム機能(本明細書では「オーディオサブシステム401」と呼ぶ)とデジタルサブシステム機能(本明細書では「デジタルサブシステム402」と呼ぶ)に論理的に分かれていると考えることもできる。
【0042】
オーディオサブシステム401は、オーディオおよびオーディオを表すデジタル信号のルーティングおよび処理を担当することができる。デジタルサブシステム402と物理的に回路部品を共有してもよいオーディオサブシステム401は、前述のマイクロフォンカートリッジ、前述の1つまたは複数のXLRコネクター、前述のオーディオジャック(ステレオヘッドフォンジャックであってもよい)、および前述のマイクロフォンプリアンプを含むフロントエンドを備えてもよい。
【0043】
オーディオサブシステムは、
図4Aおよび4Bに示すように相互接続された、増幅器(例えば、調整可能ゲイン増幅器、入力ミキサー、アナログ-デジタル変換器(ADC)、デジタル-アナログ変換器(DAC)、制御レジスタ420、I2Cインターフェースなどのデータインターフェース、シリアルI2Sインターフェース406などのオーディオインターフェースおよびDSP403などの回路をさらに含むことができる。
図4Aに示すように、オーディオ経路は、マイクロフォンカートリッジやXLRコネクターから(アナログオーディオ信号として)、入力ミキサーを経て、ADCでデジタル化され、デジタルオーディオ信号が生成され、DSPを通り、一組の増幅器を経て、最終的にDSP処理されたPCMデジタルオーディオデータとして提供され、シリアルオーディオI2Sインターフェース406を介してCODEC405によってコントローラー404(
図4B)に送信されるが、これは、例えば、システムオンチップ(SoC)として実装することが可能である。デジタルオーディオおよび/または他のデータは、I2S接続を介して双方向に(CODEC405からコントローラー404へ、および/またはコントローラー404からCODEC405へ)伝送されてもよい。
図4Aおよび
図4Bの回路はいずれも、例えばプログラマブルゲートアレイ(PGA)として実装することができる。1つまたは複数のPGAによって実現されるアンプ部品の例には、
図4Aにおいて「PGA」と表示されている。上述した回路の一部または全部は、集積回路装置であるCODEC405の一部として具体化してもよい。
【0044】
CODEC405は、オーディオ入力のための調整可能なゲインステージおよび/またはミキサーを含んでもよい。例えば、マイクロフォン入力のための示されたPGA内蔵アンプコンポーネントは、約36dBの調整可能なゲイン(「ゲイン調整」(Adj Gain))を有していてもよい。ライン入力は、調整可能なゲイン、例えば約6dBの調整可能なゲインを持つこともできる。ADCは、例えば、デュアルマイクロフォン入力、マイクロフォン入力とライン入力の組み合わせ、またはデュアルライン入力(例えば、これらの状況のそれぞれで2チャネル)を同時に受け入れ可能とすることも可能である。示されたPGA内蔵アンプコンポーネントは、マイクロフォン100の各脚を同じ入力インピーダンスとするため、両方のPGAに交差接続することができるように、可変インピーダンスを有する非反転入力を有していてもよい。
【0045】
デジタルサブシステム402は、
図4Aの回路と
図4Bの回路とを相互接続するように示されているような、1つ以上の信号線を介してアナログオーディオサブシステム401と相互接続することができる。デジタルサブシステム402は、マイクロフォン100の全体的な制御を行うことができ、1つまたは複数のプロセッサーといった構成要素を含むことができる。コントローラー404はまた、上述し、
図4Aに示される1つまたは複数のPGAを具体化することができる。
【0046】
コントローラー404は、デジタルサブシステム402およびアナログサブシステム401の他の部分と通信するための様々な信号入力および出力、例えば図に示すような入力および出力を有していてもよい。例えば、オーディオサブシステム401によって提供されるデジタルオーディオ信号は、さらなるルーティングおよび/または処理のためにコントローラー404によって受信されてもよく、その結果、処理および/またはルーティングされたデジタル信号は、その後、コントローラー404からUSBインターフェース(図中「USB IF」と表示)を介してUSBコネクター106bに渡されてもよい。したがって、オーディオサブシステム401内のオーディオ経路は、コントローラー404とUSBコネクター106bとをさらに含むことができ、最終的に、コントローラー404とUSBコネクター106との間の「データ+」および「データ-」と表示された経路を介して結果のオーディオデータを伝送することができる。また、USBコネクター106bと接続されたこれらの「データ+」「データ-」ラインは、前述のオーディオデータに加え、マイクロフォン100との間で制御信号を双方向に伝送することができる。コントローラー404は、iAPおよび標準USBオーディオエンドポイントの両方を実装するように構成することができる。搭載されたMCU407は、システム制御に使用されてもよく、iAP制御とリンクしてもよい。
【0047】
コントローラー404はまた、様々な機能を実行するための1つまたは複数のプロセッサー(MCU407など)を含むことができる。また、コントローラー404は、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体(メモリなど、MCU407の一部であっても、MCU407に接続されていてもよい)に、様々なステップを実行するための実行可能コード(例えば、ソフトウェア)を記憶してもよい。コントローラー404、または少なくともその1つ以上のプロセッサーによって実行されるとき、コードは、コントローラー404に、コードによって定義されるステップを実行させることができる。
【0048】
図4Bにも示すように、ユーザーインターフェース104は、対応するドライバ410を有する複数(例えば、7つ)の静電容量式センサ408および/または複数(例えば、21個)の表示ランプ(例えば、LED)409を含んでいてもよい。表示ランプ(および/または他の指示マーク)は、例として、
図1A中のユーザーインターフェース104上に一連の黒いドットとして示されている。ユーザーインターフェース、静電容量式センサ、および/または表示ランプは、MCU407によって制御されてもよい。MCU407は、静電容量感知コントローラー411などのコントローラーを介して静電容量式センサの制御を支援することができる。
【0049】
図5は、マイクロフォン100などの例示的なマイクロフォンの1つまたは複数の部分の別の例示的なブロック図である。このブロック図では、XLRコネクター106aへのアナログ出力/入力、ヘッドホン(HP)ジャック501へのアナログ出力、およびUSBコネクター106bへのデジタル出力の両方を含む、マイクロフォン100のオーディオ出力チェーンの例を示している。
図5は、異なる論理的および機能的観点から示されたオーディオサブシステム401およびデジタルサブシステム402の各々の少なくとも一部を含み、具体的には、オーディオサブシステム401の観点から示される。
【0050】
図7Aおよび7Bは、DSP403の少なくとも一部の詳細を含む、例示的なマイクロフォン(マイクロフォン100など)の1つまたは複数の部分の別の例示的なブロック図である。DSP403は、例えば、ハイパス/プレゼンスブーストイコライザー702および/またはモードイコライザー703などの1つまたは複数のイコライザー、ディエッサー704、低音制御器(近接効果を低減するために使用できる)705などの低音イコライザー、リミッター706、コンプレッサ707および/または自動レベルコントロール(ALC)708を含む、オーディオ処理用の1つまたは複数のモジュールを含むことができる。モジュール702~708の各々は、例えば、物理的な専用回路として、および/またはコントローラー404の一部であるプロセッサーなどの1つまたは複数のプロセッサーによって実行されるソフトウェアとして具現化することができる。
【0051】
前述したように、DSP403は、複数のモードのいずれかで動作することができる。モードのそれぞれは、モジュール702~708のいずれかまたはすべての設定の異なる組み合わせまたはサブコンビネーションに関連付けることができる。所望のDSPモード設定に従ってモジュール702~708を設定するために、これらのモジュール702~708の各々は、
図7Aにおいて「dspMode(n)」で表され、nがモード設定信号701の次元を示すことができるモード設定信号701を含む1以上の信号に従って様々な構成で動作するように制御されてもよい。例えば、モード設定信号701および/または別の信号は、nビットのデータまたはnバイトのデータを連続的に運ぶパケット(例えば、バスパケット)で提示されてもよいし、それぞれが1または複数のビットまたはバイトのデータを運ぶn本の平行導電ラインとして提示されてもよい。一例として、モード設定信号701および/または別の信号は、モジュール702~708の各々に対する設定を示すものであってもよい。例えば、モード設定信号701および/または別の信号は、モジュール702の特定の設定、モジュール703の別の特定の設定、モジュール704の別の特定の設定、モジュール705の別の特定の設定、モジュール706の別の特定の設定、モジュール707の別の特定の設定、および/またはモジュール708の別の特定の設定を示してもよい。このような設定の例については、さらに後述する。
【0052】
ディエッサー704と低音制御器705の詳細な実装例を
図7Bに示す。
【0053】
図8は、実行可能な方法のフローチャートの一例である。ステップのいくつかは、マイクロフォン(マイクロフォン100など)によって実行されてもよく、ステップの他のものは、マイクロフォンに接続された装置(装置202など)によって実行されてもよく、ステップのさらに他のものは、装置および/またはマイクロフォンのユーザーによって実行されてもよい。本方法は、特定の順序で特定のステップを示しているが、本方法は、必ずしも本明細書に記載された概念から逸脱することなく、さらにサブステップに細分化され、ステップが組み合わされ、ステップが他の順序で実行されてもよい。
【0054】
操作において、ユーザーは、機器202のUSBコネクターとマイクロフォン100のUSBコネクター106bとの間に接続されたUSBケーブルなどで、マイクロフォン100を機器202に接続することができる(
図8、ステップ801)。ユーザーはさらに、マイクロフォン101の1つまたは複数の設定を制御するように構成されたソフトウェア(例えば、アプリ)を装置202上で実行することができる(ステップ802)。例えば、ソフトウェアは、実行されると、マイクロフォン100が動作すべきDSPモードを選択するために、ユーザーが(例えば、タッチスクリーン、マウス、キーボードなどを介して)対話することができるユーザーインターフェースを装置202に表示させることができる(ステップ803)。このようなユーザーインターフェースの一例を
図9に示す。ユーザーの選択に応答して、装置202は、USBケーブルを介して、ユーザーの選択に応じた1つまたは複数のDSPモード設定を示す制御信号(データなど)を送信することができる(ステップ804)。この制御信号は、マイクロフォン100のUSBコネクター106bで受信することができる。
【0055】
次に、USBコネクター106bでの制御信号をUSBインターフェース(
図4B)で受信し、MCU407に提示して処理することができる。受信したUSB制御信号に基づいて、MCU407はモード設定データを生成することができ(ステップ805)、これは1つまたは複数の制御レジスタ420による保存のために
図4Aおよび4Bで識別される。「I2Cデータ」接続を介して送信することができる。この記憶されたモード設定データを取り出してモード設定信号701として使用することができる(ステップ806)。モード設定信号701は、
図7Aに示すように、“InputGain()”、“setBlock(Limiter)”および“setBlock(Comp)”などの他のデータも含み、または補完して、DSPモードを設定することができる(ステップ807)。モード設定信号701および/またはそのような他の信号に基づいて、DSP403は、モジュール702~708の一部または全部を構成することを含めて、マイクロフォン100によって検出された音および/または他のオーディオ信号(他のマイクロフォン201から受信したXLRオーディオ信号など)を処理するように自身を構成してもよい(ステップ808)。以下でさらに説明するように、各モードは、ユーザーが手動で、または手動介入を必要とせずにDSP403自体が自動的かつ動的に、モード内で調整可能な1つまたは複数の設定を有していてもよい(ステップ809)。ユーザーが別のDSPモードを選択した場合、
図8のプロセスは、次のDSPモードの選択のためにステップ803に戻り、プロセスの残りは必要に応じて繰り返すことができる。
【0056】
図9は、マイクロフォン100に接続された装置202など、マイクロフォンに接続された装置によって表示されることができる例示的なユーザーインターフェース900を示す。ユーザーインターフェース900は、ユーザーがステップ803のために対話するユーザーインターフェースであってもよい。しかしながら、DSPモードを選択する、またはその他の方法で設定するための他のユーザーインターフェースを代替的に使用して、ステップ803を実行することもできる。
【0057】
ユーザーインターフェース900は、例えばドロップダウンメニューを含み、装置202に接続された1つまたは複数のマイクロフォン(例えば、マイクロフォン100)を選択するために使用することができるマイクロフォン選択部901を含んでもよい。また、ユーザーインターフェース900は、自動DSPモード動作と手動DSP設定動作とを選択するために使用できる自動/手動選択部902を備えていてもよい。自動DSPモード運転では、提供された複数の所定のDSPモードからユーザーが選択し、選択されたDSPモードに従ってDSP403を構成することができる。DSP設定手動操作では、ユーザーは複数のDSP設定のそれぞれを手動で設定することができる。
【0058】
ユーザーインターフェース900は、マイクロフォン100によって検出されている音を選択的にミュートするために使用することができる、マイクロフォンミュートスイッチ904をさらに含んでもよい。ユーザーインターフェース900は、モニターミックス設定(スライダーバーなど)905をさらに含んでいてもよく、この設定は、リアルタイムモニタリング目的のために、(例えば、マイクロフォンカートリッジによって検出された音および/または別のマイクロフォンからXLRコネクター106aを介して受信した音に基づいて)マイクロフォン100出力オーディオ信号のどれだけをヘッドホンジャック501に送信するかのミックス、または比率を選ぶために使用することができる。これにより、ユーザーは処理チェーンを通して、ヘッドホンでリアルタイムにオーディオを聞くことができる。
【0059】
ユーザーインターフェース900は、マイクロフォン100が音源から(例えば、マイクロフォン100に向かって話すまたは歌う人から)使用される意図された距離(または距離範囲)を選択するために使用することができる、マイクロフォン位置設定(スライダーバーなど)906をさらに含むことができる。「6インチ以内」および「6~18インチ離れている」という特定の距離を設定候補として示したが、それ以外の距離を設定候補とすることもできる。
【0060】
ユーザーインターフェース900は、ダークなトーン、ニュートラルトーン、および/またはブライトなトーンなどの複数のトーン構成の中から選択するために使用され得るトーン設定(スライダーバーなど)907をさらに含んでもよい。
【0061】
先に説明したように、DSP403は、複数のDSPモードで動作するように構成することもできる。複数のDSPモードは、例えば、それぞれ、特定のマイクロフォン距離(例えば、6インチ以内のような近い距離対6~18インチ離れたような遠い距離)と特定のトーン(例えば、ダーク対ニュートラル対ブライト)の組み合わせとして構成することができる。このような構成であれば、複数のDSPモードは、例えば、近接-ニュートラルモード、近接-ダークモード、近接-ブライトモード、遠距離-ニュートラルモードモード、遠距離-ダークモード、および遠距離-ブライトモードの6つのDSPモードを含むことができる。
【0062】
選択されたDSPモードに基づいて、DSP403は、スピーチアプリケーションなどの様々なオーディオアプリケーションに希望する出力オーディオ信号を提供するために、設定のうちの1つ以上を調整することができる。近接モード(例えば、近接-ニュートラル、近接-ダーク、近接-ブライト)には、例えば、近接効果およびシビランスの量を減らすことを目的としたマルチバンド圧縮および/またはEQ設定を含めることができる。遠距離モード(例えば、遠距離-ニュートラル、遠距離-ダーク、遠距離-ブライト)には、例えば、所定の距離(例えば、12インチより大きい距離)から単一指向性マイクロフォンを使用するときに経験するローエンドを増加し、薄さを減少することを意図したマルチバンド圧縮(コンプレッサ・モジュール707使用)および/または平均化(EQ)設定(モード平均化モジュール702使用)を含めることができる。また、選択されたトーンのシナリオ(例えば、ニュートラル、ダーク、ブライト)に応じて、トーンの調整は、例えば、個々の好みに基づいて、ユーザーにダークまたはブライトなサウンドを提供するためにEQを調整することができる。さらに、DSPモードには、ユーザーがマイクロフォンからの距離を変えたり、話すレベルを変えたりしても、より一貫した音量を提供するための自動レベル制御(モジュール708を使用)を含めることができる。
【0063】
より具体的には、DSPモードの各々は、オーディオ設定の異なる組み合わせまたはサブコンビネーションに関連付けられてもよく、その一部または全部は、モード設定信号701によって表され、DSP403によって実装してもよい。DSPモードに関連付けることができるオーディオ設定の例には、モジュール702~708のいずれかを構成するための設定が含まれる。この設定には、例えば、自動レベル制御設定、ディエッサー設定、低音制御器設定、リミッター設定、および/またはイコライザー設定を含むことができる。それぞれの設定について、以下に説明する。
【0064】
ALC(Automatic Level Control)とは、希望する出力信号レベルに応じてアンプのゲインを調整する方法である。増幅器の入力ゲインを調整することにより、ALCモジュール708は、オーディオ出力の信号対ノイズ比を望ましい状態に維持する(例えば、最大化する)方法を提供する。自動レベル制御の設定は、例えば、複数のDSPモードのいずれが選択されているかに応じて、アタック、ホールド、ディケイ、最大ゲイン、および/または目標ゲインのパラメーターをそれぞれ特定の値に設定することができる。下記表1は、このようなALCモジュール708の設定例をまとめたものである。
【表1】
【0065】
例として、値A1~A6は約10~約50ミリ秒の範囲、値H1~H6は約1~約2秒の範囲、値D1~D6は約500~約1000ミリ秒の範囲、値MG1~MG6は約+10~約+20デシベルの範囲、値TG1~TG6は約-5~約-12デシベルの範囲、それぞれ複数のDSPモードのどれが選択されたかに依存している場合がある。上記の値の範囲は単なる例であり、使用可能な値を制限することを意図したものではなく、適切な値はマイクロフォン100の特定の特性に依存することになる。
【0066】
先に説明したように、DSPモードの一部または各々は、DSPモードの1つまたは複数のパラメーター(例えば、本明細書で説明するオーディオ設定のいずれか)を時間と共にDSPモード内で動的かつ自動的に調整(dynamic intra-mode adjustment)するようにさらに構成されてもよい。一例として、自動レベル制御設定は、所定のDSPモード内で、所定のDSPモードに関連付けられた指示された目標ゲイン(例えば、TG1~TG6のいずれか)を達成し、所定のDSPモードに関連付けられた指示された最大ゲイン(例えば、MG1~MG6のいずれか)以下に留まるように、パラメーターであるアタック、ホールドおよび/またはディケイのいずれかを動的かつ自動的に調整してもよい。DSPモードの他のパラメーターを追加的または代替的に調整して目標ゲインおよび/または自動レベル制御の最大ゲインは、近接DSPモードと比較して遠距離DSPモードでは高いレベル(例えば、高いデシベルレベル)にしておくこともできる。さらに、自動レベル制御設定には、入力が所定の閾値(例えば、約-50~約-60デシベルの範囲)以下に低下したときにゲインを一定に保つように設定されたノイズゲートが含まれ、ノイズフロアの過度のゲインを低減または回避できる可能性もある。
【0067】
ディエッシングは、録音に含まれる歯擦音定数(‘s’,‘ch’,‘z’,‘sh’)を減らすために使用される技術である。
図7Bに示すように、マルチバンドコンプレッサを使用してディエッサーモジュール704を実現してもよい。ディエッサー設定は、ディエッサーモジュール704を構成するために使用することができ、例えば、特定のエスバンド、およびディエッシングが自動的に実行されるべきパラメーターであるアタック、ディケイ、比率、および/または閾値の特定の値に設定でき、それぞれ複数のDSPモードのいずれかが選択されることに応じて設定できる。比率パラメーターは、閾値パラメーターを超えた後、入力されたオーディオ信号にどの程度の圧縮をかけるかを決めることができる圧縮パラメーターである。下記表2は、このようなデエッサーモジュール704の設定例をまとめたものである。
【表2】
【0068】
例として、値EB1~EB6は約3~約10キロヘルツの範囲の特定の周波数であってもよく、値A7~A12は約3~約100ミリ秒の範囲であってもよく、値D7~12は約50~約100ミリ秒の範囲であってもよく、値R1~R6は約1~約2の範囲であってもよく、値T1~T6は約-40~約-20デシベルの範囲であってもよい。上記の値の範囲は単なる例であり、使用可能な値を制限することを意図したものではなく、適切な値はマイクロフォン100の特定の特性に依存することになる。
【0069】
低音制御は、録音に含まれる低周波信号を動的に低減させるための技術である。
図7Bに示すように、低音制御器モジュール705は、ユーザーが指向性マイクロフォンに近づいたときの低周波の増加を滑らかにできる(近接効果としても知られている)マルチバンドコンプレッサを使用して、これを達成することができる。低音制御器設定(低音制御器モジュール705を構成することができる)は、例えば、バミングステイを自動的に実行するパラメーターであるクロスオーバー、アタック、ホールド、ディケイ、比率、および/または閾値の特定の値に設定することができる。比率パラメーターは、閾値パラメーターを超えた後に入力オーディオ信号に適用される圧縮量を決定する圧縮パラメーターであってもよい。下記表3は、このような低音制御器モジュール705の設定例をまとめたものである。
【表3】
【0070】
例として、値C1~C6は、約100~約300ヘルツの範囲であってあるいは無効であってもよく、値A13~A18は、約10~約100ミリ秒の範囲であってもよく、値H7~H12は、約10~約40ミリ秒の範囲であってもよく、値D7~D12は約50~約1000ミリ秒の範囲であってもよく、値R7~R12は約2~約3の範囲であってもよく、値T7~T12は約-20~約-35デシベルの範囲でであってもよく、それぞれ複数のDSPモードのいずれが選択されるかに応じて変化することがある。上記の値の範囲は単なる例であり、使用可能な値を制限することを意図したものではなく、適切な値はマイクロフォン100の特定の特性に依存することになる。
【0071】
リミッターモジュール706は、オーディオ信号のクリッピングを防止するために用いられるコンプレッサで構成することができる。リミッター設定(リミッターモジュール706を構成することができる)は、リミッターが自動的に実行されるべきパラメーターであるアタック、ホールド、ディケイ、および/または閾値を特定の値に設定することができる。下記表4は、このようなリミッターモジュール706の設定例をまとめたものである。
【表4】
【0072】
例として、値A19~A24は約50~約100ミリ秒の範囲であってもよく、値H13~H18は約0~約20ミリ秒の範囲であってもよく、値D13~D18は約500~約1000ミリ秒の範囲であってもよく、値T13~T18は約-2~約-5デシベルの範囲であってもよく、それぞれ複数のDSPモードのいずれかが選択されていることによって変化する。ある例では、アタック、ホールド、ディケイ、および閾値の値は、上記6つのDSPモードのすべてで同じであってもよく、他の例では、上記6つのDSPモード間で値が異なってもよい。上記の値の範囲は単なる例であり、使用可能な値を制限することを意図したものではなく、適切な値はマイクロフォン100の特定の特性に依存することになる。
【0073】
平均化とは、特定の周波数を選択的に増減させることである。増減は静的であってもよいし、時間の経過とともに(通常は比較的ゆっくりと)調整されてもよい。平均化を行うための平均化設定は、モードイコライザーモジュール703および/またはHP Presence Boost EQモジュール702(後者は高中域周波数(例えば、約4kHz~約8kHz)を強調し、1つまたは複数の周波数帯に対する平均化パラメーターを設定するために明瞭性を助けることができるもの)を構成してもよい。例えば、あるDSPモードは、特定の方法でイコライズする1つまたは複数の周波数帯域と関連付けることができる。所定のDSPモードの周波数帯域のそれぞれについて、指定された特定のフィルタリングタイプ(例えば、ハイパスフィルター、ローシェルフフィルター、またはピーキングフィルター)と、指定された特定の値のブースト/カットのおよび/またはQパラメーターが存在してもよい。
【表5】
【0074】
例として、値B1~B6は、50~100ヘルツの範囲のような低周波であってもよいし、数百または数千ヘルツの範囲のような高周波であってもよい。また、例として、T1~T6の値は、ハイパスフィルター、ローシェルフフィルター、ピーキングフィルターなどのフィルター形状を示すことができる。また、例として値BC1~BC6は、約-3~約3の範囲であってもよく、値Q1~Q6は、約0.5~約2の範囲であってもよい。上記の値の範囲は単なる例であり、使用可能な値を制限することを意図したものではなく、適切な値はマイクロフォン100の特定の特性に依存することになる。
【0075】
上記の各DSPモードは、ユーザーインターフェース900の「自動」設定902のように、制御装置202のユーザーインターフェースを介してユーザーが選択できるようにしてもよい。しかしながら、ユーザーは、代替的に、ユーザーインターフェース900の「Manual」設定902を使用して上述したパラメーターのいずれかまたはすべてを手動で設定(例えば、以前に自動的に設定された場合は上書き)してもよく、これは、ユーザーがモジュール702~708のいずれかについて任意の希望のパラメーターの値を手動で設定できるためのユーザーインターフェースを提示することになる。追加的にまたは代替的にユーザーは、ユーザーインターフェース104を介するなどして希望するDSPモードおよび/または上述した値のいずれかをマイクロフォン上で直接設定することができる場合がある。
【0076】
図6は、コンピューティング装置600の例を示すブロック図である。コンピューティング装置600は、装置202の少なくとも一部、および/またはマイクロフォン100の少なくとも一部を実装するために使用することができる。例えば、コントローラー404の一部または全部、MCU407の一部または全部、DSP403の一部または全部、および/またはその任意のサポート回路の一部または全部は、代替的にコンピューティング装置600によって実装されてもよい。コンピューティング装置600は、任意のタイプのコンピューティング装置であってよいし、単一のユニットとして、または複数の相互作用するユニットのシステムとして物理的に実装されてもよい。例えば、コンピューティング装置600は、1つまたは複数のスマートフォン、1つまたは複数のタブレットコンピュータ、1つまたは複数のラップトップコンピュータ、1つまたは複数のデスクトップコンピュータ、および/またはコンピューティング機能を有するオーディオ機器の1つまたは複数のアイテムなどから構成されてもよい。
図6のコンピューティング装置600の周りに描かれたボックスは、コンピューティング装置600を単一の物理的ユニットに制限する(例えば、単一の物理的ハウジングを有する)ことを意図していない。
【0077】
図示の例では、コンピューティング装置600は、プロセッサー601を含んでよく、それ自体は、1つまたは複数のマイクロプロセッサー、CPU、MCUなどの1つまたは複数のプロセッサーによって物理的に実装されてもよい。コンピューティング装置600は、データストレージ602をさらに備えてもよく、これは、1つまたは複数のメモリ(例えば、RAM、ROM、FLASH(登録商標)など)、ハードドライブ、リムーバブルドライブ、メモリスティックなどの非一時的であってもよい1つまたは複数のコンピュータ可読媒体として実装されてもよい。コンピューティング装置600は、ディスプレイのタッチインターフェース、マウス、キーボード、音声制御装置などの入力装置603をさらに備えてもよい。コンピューティング装置600は、表示装置605のような出力装置を制御するためのデバイスコントローラー604をさらに備えることができる。表示装置605はタッチセンシティブであってもよく、この場合、表示装置605は入力装置603を兼ねてもよい。コンピューティング装置600は、コンピューティング装置600の外部の1つ以上の装置と通信するためのデータインターフェース606をさらに備えることができる。例えば、データインターフェース606は、USBインターフェース、XLRインターフェース、および/または無線インターフェース(例えば、WiFi、ブルートゥース(登録商標)、NFC、赤外線)で構成されてもよい。別の例として、データインターフェース606は、他のマイクロフォン201のXLRインターフェース、装置202のUSBインターフェース、XLR互換装置203のXLRインターフェース、USBコネクター106bのUSBインターフェース421、および/またはXLRコネクター106aのXLRインターフェースを実装してもよい。
【0078】
データストレージ602は、プロセッサー601によって実行されると、コンピューティング装置600に様々なステップを実行させることができるコンピュータ実行可能命令を格納してもよい。例えば、マイクロフォン100の任意のプロセッサーによって実行されるとき、命令は、マイクロフォン100にステップ805~809のいずれかまたはすべてを実行させ、および/またはマイクロフォン100の他の任意の機能性を実行させることができる。別の例として、装置202の任意のプロセッサーによって実行されるとき、命令は、装置202にステップ802~804のいずれかまたはすべてを実行させ、および/または装置202の他の任意の機能を実行させることができる。
【0079】
また、データストレージ602は、他のデータを格納してもよい。例えば、データストレージ602が装置202の一部である場合、データストレージ602は、そのオペレーティングシステムおよび/またはステップ802~804を実行するソフトウェアアプリケーション、好ましいDSPモードなどのユーザー設定、ソフトウェアアプリケーションで以前に設定されたマイクロフォン(マイクロフォン100など)のリスト、通信プロトコル設定、および/または装置202の他の任意の機能性をサポートするデータなどを格納することができる。データストレージ602がマイクロフォン100の一部である場合、データストレージ602は、例えば、制御レジスタ420を備えてもよく、および/またはDSPモードの選択および設定、DSP403の他の任意の設定、通信プロトコル設定、および/またはマイクロフォン100の他の任意の機能をサポートするデータのいずれかを格納してもよい。
【0080】
以上、実施例を説明したが、これらの実施例の特徴および/またはステップは、任意の希望する方法で組み合わせ、分割、省略、再配置、修正、および/または拡張することができる。当業者であれば、様々な変更、修正、改良を容易に行うことが可能である。このような変更、修正および改良は、本明細書に明示的に記載されていないものの、本明細書の一部であり、本開示の精神および範囲に含まれることが意図されている。従って、前述の説明は例示であり、限定するものではない。
【国際調査報告】