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特表2023-503318ルルビネクテジン製剤で小細胞肺がんを処置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】ルルビネクテジン製剤で小細胞肺がんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4995 20060101AFI20230118BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230118BHJP
   C07D 515/22 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
A61K31/4995
A61P35/00
A61P11/00
A61K31/573
A61K31/4745
A61K9/19
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/26
C07D515/22 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529896
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2020065093
(87)【国際公開番号】W WO2021098992
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/063734
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19383025.4
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20382409.9
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)2019 ASCO Annual Meetingで公開された「Efficacy and safety profile of lurbinectedin in second-line SCLC patients:Results from a phase II single-agent trial」 (2)IASLC 2019 World Conference on Lung Cancer(WCLC)で公開された「Antitumor activity of single agent Lurbinectedin in patients with relapsed SCLC occurring ■30 days after last platinum dose」 (3)IASLC 20th World conference of Lung Cancerで公開された「Lurbinectedin(L) combined with Paclitaxel(P) or Irinotecan(I) in relapsed SCLC.Results from two phase Ib trials.」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (4)ESMO Congress 2019で公開された「3811-Lurbinectedin(LUR) in combination with irinotecan(IRI) in patients(pts) with advanced solid tumours」 (5)ESMO Congress 2019で公開された「Lurbinectedin in combination with Irinotecan in patients with advanced solid tumors」 (6)Cancers 2019,Vol.11,No.10,1570に公開された「Technological and Therapeutic Advances in Advanced Small Cell Lung Cancer」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (7)AACR-NCI-EORTC International Conference on Molecular Targets and Cancer Therapeuticsで公開された「Lurbinectedin down-regulates ASCL1 transcription factor in Small Cell Lung Cancer(SCLC)」 (8)ISPOR Europe 2019で公開された「Cost comparison of adverse events and treatment administration of lurbinectedin versus intravenous topotecan for relapsed small cell lung cancer in Spain and the United Kingdom」 (9)ウェブサイトに公開された「In Search of the Long-Desired ’Copernican Therapeutic Revolution’ in Small-Cell Lung Cancer」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (10)Clinical and Translational Oncology 2020,22:245-255に公開された「SEOM clinical guidelines for the treatment of small-cell lung cancer(SCLC)(2019)」 (11)データーベース上で公開された「Study Escalating Doses of PM01183 in Combination With Fixed Doxorubicin in Patients With Specific Advanced Unresectable Solid Tumors」と称する臨床試験の情報 (12)Lung Cancer:Targets and Therapy,(2020)Vol.11,pp.27-31に公開された「Orphan Drugs in Development for the Treatment of Small-Cell Lung Cancer:Emerging Data on Lurbinectedin」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (13)データーベース上で公開された「Clinical Trial of Lurbinectedin(PM01183) in Selected Advanced Solid Tumors」と称する臨床試験の情報 (14)The Lancet Oncology(2020),21(5),645-654に公開された「Lurbinectedin as a second-line treatment for patients with small-cell lung cancer;a single-arm,open label,phase 2 basket trial」 (15)The Lancet Oncology(2020)Vol.21,No.5,pp.605-607に公開された「New opportunities in a challenging disease:lurbinectedin for relapsed small-cell lung cancer」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (16)Journal of Thoracic Oncology,(April 2020)Vol.15,No.4,pp.520-540に公開された「New Approaches to SCLC Therapy:From the Laboratory to the Clinic」 (17)ウェブサイトに公開された「Lurbinectedin(LUR) in combination with Irinotecan(IRI) in patients(pts) with advanced solid tumors:Updated results from a phase Ib-II trial」 (18)データーベース上で公開された「Pharmacokinetic Study of PM01183 in Combination With Irinotecan in Patients With Selected Solid Tumors」と称する臨床試験の情報
(71)【出願人】
【識別番号】505404208
【氏名又は名称】ファルマ、マール、ソシエダード、アノニマ
【氏名又は名称原語表記】PHARMA MAR,S.A.
【住所又は居所原語表記】Poligono Industrial La Mina,Avda.de los Reyes,1,Colmenar Viejo,E-28770 Madrid,SPAIN
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピラル・カルボ
(72)【発明者】
【氏名】カルメン・カハット
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・マリア・フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】マリア・トビオ
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァドール・フディオ
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥロ・ソト
(72)【発明者】
【氏名】ピラル・ラルデッリ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】マリア・デル・マール・サルスエロ・アルバ
(72)【発明者】
【氏名】マリア・デ・ラ・コンセプシオン・ポランコ・ノアイン
(72)【発明者】
【氏名】ソニア・マンサナロ・ロペス
(72)【発明者】
【氏名】オノーリオ・ベラスコ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076DD30
4C076DD41
4C076DD67
4C076GG06
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086CB31
4C086DA10
4C086GA15
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA44
4C086MA66
4C086NA06
4C086ZA59
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
治療量のルルビネクテジンを静脈内注入により投与することによるSCLC患者の処置のための方法が提供される。他の抗がん薬、特にトポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせてルルビネクテジンを投与することによりがんを処置する方法も提供される。本発明は、悪心及び嘔吐に関する症状の効果的な制御のための抗嘔吐剤と組み合わせたルルビネクテジンの投与、より安全な投与を達成するためのルルビネクテジンの投与量の低減、並びに処置サイクル数の増加に更に関する。ルルビネクテジンの安定した凍結乾燥製剤も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程
を含み、
コルチコステロイドが、デキサメタゾン8mgの用量で、又は静脈内投与されたデキサメタゾン8mgと同等のコルチコステロイドの用量で、静脈内投与されたデキサメタゾンである、
ルルビネクテジン。
【請求項2】
転移性SCLCを含む小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、
(1)患者が少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有する場合、第1の用量3.2mg/m2のルルビネクテジンを患者に静脈内注入により投与する工程;並びに
(2)前記投与後、患者において有害反応を同定する工程であって、有害反応が、グレード2の肝毒性若しくは他の有害反応、グレード3(重度)以上の肝毒性若しくは他の有害反応、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は任意のグレードの発熱性好中球減少症(好中球数<LLN)である、工程;
(3)有害反応を同定した後で、第1の用量の21日後、又は患者の好中球数が、1500個の細胞/mm3より大きく;血小板数が、約100,000個の細胞/mm3より大きく、任意選択で、ヘモグロビンレベルが、約9g/dLより高く、肝毒性又は他の有害反応が、グレード1以下になった後のうちの遅い方の時点において、
(i)同定した有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)からなる場合、G-CSF予防的投与と共に、3週間毎に第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンを患者に投与する工程;
(ii)同定した有害反応がグレード2の肝毒性若しくは他の有害反応からなる場合、3週間毎に第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンを患者に投与する工程;又は
(iii)同定した有害反応がグレード3(重度)以上の肝毒性若しくは他の有害反応、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、若しくは任意のグレードの発熱性好中球減少症である場合、3週間毎に第1の用量と比較して低減された用量のルルビネクテジンを患者に投与する工程
を含む、ルルビネクテジン。
【請求項3】
凍結乾燥ルルビネクテジン組成物を保存する方法であって、
ルルビネクテジン4mg;有機カルボン酸由来の緩衝剤;及び二糖を含む凍結乾燥組成物を、5℃±3℃の温度で少なくとも48か月保存する工程
を含み、
凍結乾燥組成物が、水8mLで復元すると3.5~4.5のpHを有する溶液を得られるように製剤化され、
少なくとも24か月の保存後、組成物中に存在する不純物Dの量が、ルルビネクテジンの総質量の0.8%wt./wt.以下である、
方法。
【請求項4】
それを必要とする患者の充実性腫瘍、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、又は上皮卵巣がんの処置での使用のための、ルルビネクテジン、並びにSN-38及びイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤であって、前記処置が、
患者にルルビネクテジン、並びにSN-38及びイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤を処置サイクルの1日目に投与する工程
を含み;
ルルビネクテジンが、1~2.5mg/m2の用量で投与され、
トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される、
ルルビネクテジン及びトポイソメラーゼ阻害剤。
【請求項5】
イリノテカン50mg~75mg/m2と同等の用量のトポイソメラーゼ阻害剤が、処置サイクルの8日目に投与される、請求項4に規定の使用。
【請求項6】
処置サイクルが、18、19、20、21、22、23、24、又は25日サイクルである、請求項4又は請求項5に記載の使用。
【請求項7】
ルルビネクテジンが、2mg/m2の用量で投与される、請求項4から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカンであり、75mg/m2の用量で投与される、請求項4から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
処置サイクルが、21日である、請求項4から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
充実性腫瘍が、SCLC、子宮内膜癌、軟部組織肉腫、又は神経膠芽細胞腫である、請求項4から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
患者にG-CSFを投与して、前記処置の骨髄抑制効果を管理する、請求項4から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
1日目の投与後に患者が血液学的毒性を呈する場合、処置サイクルの8日目にイリノテカンの用量の投与を省略する、請求項4から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
ルルビネクテジン、有機カルボン酸、水酸化ナトリウム、及びスクロースを含む水性原液を凍結乾燥して、凍結乾燥粉末を生成する工程であって、
水性原液中のルルビネクテジンの濃度が、0.5mg/mLであり、ルルビネクテジン対スクロースの比が、ルルビネクテジン1mol対スクロース455~465molであり、凍結乾燥粉末が、水8mLで復元すると3.5~4.1のpHを有する溶液を得られるように製剤化される、工程;並びに
凍結乾燥粉末を5℃±3℃で30か月~60か月保存して、医薬組成物を生成する工程であって、
保存後、組成物中に存在する不純物Dの量が、ルルビネクテジンの総質量の0.8%wt./wt.以下である、工程
により調製される医薬組成物。
【請求項14】
ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む凍結乾燥組成物
を含み、
ルルビネクテジン及び二糖が、ルルビネクテジン1mol対二糖455~465molの比で存在し、
凍結乾燥組成物が、水8mLで復元すると3.5~4.5のpHを有する溶液を得られるように製剤化され、
凍結乾燥組成物が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt./wt.以下の値で、ルルビネクテジンの脱アセチル化から得られる分解生成物を更に含む医薬組成物。
【請求項15】
ルルビネクテジンを含む凍結乾燥製剤においてルルビネクテジンの分解を低減する方法であって、乳酸緩衝剤を、凍結乾燥製剤を調製するもととなる原液に添加する工程を含み、ルルビネクテジン対乳酸緩衝剤の得られた比が、1mol:44mol~1mol:54molであり;脱アセチル化由来のルルビネクテジン分解生成物が、5℃±3℃で少なくとも24か月又は少なくとも36か月又は少なくとも48か月又は少なくとも60か月保存する場合、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.を超えない、方法。
【請求項16】
小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、3週間毎にルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程を含み、ルルビネクテジンが、ルルビネクテジン、乳酸、及びスクロースを含む凍結乾燥製剤で提供され、ルルビネクテジン:乳酸:スクロースの比が、1mol:46mol:455mol~1mol:50mol:465molであり、製剤が、5℃±3℃で少なくとも24か月又は少なくとも36か月又は少なくとも48か月又は少なくとも60か月間、安定であり、その結果、脱アセチル化由来のルルビネクテジン分解生成物がルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.を超えない、ルルビネクテジン。
【請求項17】
バイアルに包装された、ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖
を含み、
凍結乾燥組成物の水約8mLへの溶解により、約3.5~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液が生成され、
凍結乾燥組成物が、包装される際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24か月又は約36か月又は約48か月の保存時、組成物が、約0.8%以下の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
包装された凍結乾燥組成物。
【請求項18】
バイアルに包装された、ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖
を含み、
凍結乾燥組成物の水約8mLへの溶解により、約3.8~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液が生成され、
凍結乾燥組成物が、包装される際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、包装された組成物を約25℃、相対湿度約60%で最大約1、2、3、6、9、又は12か月保存した後、組成物が、実質的に同じ量の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
包装された凍結乾燥組成物。
【請求項19】
(a)ルルビネクテジン及び有機酸の溶液を用意する工程;
(b)塩基、有機酸、及び二糖の溶液を用意する工程;
(c)工程(a)及び工程(b)の溶液を組み合わせる工程;
(d)工程(c)の溶液のpHを約3.8~約4.1に調節する工程;並びに
(e)工程(d)の溶液を凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を生成する工程
を含む方法により調製される、請求項17又は18に記載の組成物。
【請求項20】
小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、
1)ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む包装された凍結乾燥組成物を水約8mLに溶解して、約3.5~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液を生成する工程、
並びに
2)3週間毎に約2~3.2mg/m2のルルビネクテジンを、SCLCが事前の白金含有療法の後に進行している患者に静脈内注入により投与する工程
を含み、
凍結乾燥組成物が、包装時に約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24か月の保存時、組成物が、約0.8%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
ルルビネクテジン。
【請求項21】
式(I):
【化1】
のルルビネクテジンの形態Bであって、
6.2±0.2°、7.6±0.2°、9.0±0.2°、10.9±0.2°、14.9±0.2°、及び15.3±0.2°からなる群から選択される2シータ角における4個以上のピークを含むX線粉末回折パターンを呈するルルビネクテジンの形態B。
【請求項22】
X線粉末回折パターンが、6.2±0.2°、7.6±0.2°、9.0±0.2°、10.9±0.2°、14.9±0.2°、及び15.3±0.2°からなる群から選択される2シータ角における5個以上のピークを含む;並びに/又は
X線粉末回折パターンが、6.2±0.2°、7.6±0.2°、9.0±0.2°、10.9±0.2°、14.9±0.2°、及び15.3±0.2°の2シータ角におけるピークを含む;並びに/又は
X線粉末回折が、12.4±0.2°、19.2±0.2°、及び26.5±0.2°の2シータ角におけるピークを更に含む;並びに/又は
X線粉末回折が、18.4±0.2°、20.7±0.2、及び24.9±0.2°の2シータ角におけるピークを更に含む;並びに/又は
X線粉末回折が、以下:
【表1】
のピーク及び相対強度を更に含む;並びに/又は
X線粉末回折が、以下:
【表2】
のピーク及び相対強度を更に含む;並びに/又は
X線粉末回折が、以下:
【表3】
のピーク及び相対強度を更に含む;並びに/又は
X線粉末回折が、図2a若しくは図2bに示すX線粉末回折パターンのいずれか1つと実質的に同じである;並びに/又は
2928、1755、1626、1485、1456、1370、1197、1150、1088、1003、959、916、及び587の波長(cm-1)におけるピークを含むIRスペクトルにより更に特徴付けられる;並びに/又は
150℃超でのTG-FTIR分解により更に特徴付けられる;並びに/若しくは、水の消失による150℃までのTG-FTIR質量変化により特徴付けられる;並びに/若しくは、約5%未満、約4%未満、若しくは約3%未満の水の消失による150℃までのTG-FTIR質量変化により特徴付けられる;並びに/若しくは、水の、好ましくはおよそ2~3%の水の、より好ましくは2.6%の水の消失を示すTG-FTIRにより特徴付けられる;並びに/又は
分解が130℃超で開始する、DSCにより更に特徴付けられる、
請求項21に規定のルルビネクテジン。
【請求項23】
約30nC/g以下、約20nC/g以下、約10nC/g以下、約6nC/g以下、約5nC/g以下、約5±2nC/g、約4±2nC/g、約4~5nC/g、約5nC/g、若しくは約4nC/gの平均電荷密度により更に特徴付けられる;及び/又は
4.8nC/g未満、約0.7nC/g~4.8nC/g未満の間、若しくは2.4±2nC/gの電荷密度の分散により更に特徴付けられる、
請求項21又は22に記載のルルビネクテジン。
【請求項24】
少なくとも検出可能な量の結晶性ルルビネクテジン、最大で1%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で5%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で10%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で20%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で30%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で40%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で50%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で60%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で70%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で80%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で90%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で95%w/wの結晶性ルルビネクテジン、最大で98%w/wの結晶性ルルビネクテジン、又は実質的に純粋な結晶性ルルビネクテジンを含む部分結晶性ルルビネクテジンであって、
任意選択で、請求項21から23のいずれか一項に記載のルルビネクテジンの形態Bを含み、前記形態Bが、少なくとも検出可能な量の形態B、最大で1%w/wの形態B、最大で5%w/wの形態B、最大で10%w/wの形態B、最大で20%w/wの形態B、最大で30%w/wの形態B、最大で40%w/wの形態B、最大で50%w/wの形態B、最大で60%w/wの形態B、最大で70%w/wの形態B、最大で80%w/wの形態B、最大で90%w/wの形態B、最大で95%w/wの形態B、最大で98%w/wの形態B、又は実質的に純粋な形態Bとして存在しうる、
部分結晶性ルルビネクテジン。
【請求項25】
請求項24に記載の部分結晶性ルルビネクテジンを含む方法から作製される医薬組成物であって、任意選択で、凍結乾燥組成物である医薬組成物。
【請求項26】
3%以下の総含水率;並びに/又は、1%、0.5%、0.1%以下の、若しくは実質的に検出されない残留溶媒;並びに/又は、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、若しくは1.3%以下の全不純物;並びに/又は、0.8%以下の不純物D;並びに/又は、0.3%以下の任意の不特定の不純物;並びに/又は、2.0%以下の全関連物質、及び(最大)0.7%以下の任意の不特定の物質を有する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
請求項21から23のいずれか一項に記載のルルビネクテジンの形態Bの調製のための方法であって、
a)ルルビネクテジン又はそのプロトン化された形態を含む酸性水溶液を調製する工程;及び
b)得られた酸性水溶液を塩基又は緩衝剤で塩基性化して、ルルビネクテジンの形態Bを沈殿させる工程
を含む方法。
【請求項28】
ルルビネクテジン組成物の製造のための方法であって、請求項21から23のいずれか一項に記載のルルビネクテジン、又は請求項24に記載の部分結晶性ルルビネクテジンを、好ましくは出発物質として利用する方法。
【請求項29】
ルルビネクテジンを有機酸に予備溶解する工程であって、有機酸が、4未満、好ましくは3.5未満、より好ましくは3未満、又はおよそ3のpHを有する、工程;並びに
任意選択で、有機酸緩衝剤及び増量剤(例えば二糖)を含む溶液を調製して、緩衝液を形成する工程;並びに
任意選択で、溶解したルルビネクテジン溶液を緩衝液と混合して、最終的なバルク溶液を形成する工程;並びに
任意選択で、バイアルに充填する前に滅菌濾過を行う工程;並びに
任意選択で、凍結乾燥して、凍結乾燥製剤を形成する工程
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
医薬の製造での使用のための、請求項21から23のいずれか一項に記載のルルビネクテジン、又は請求項24に記載の部分結晶性ルルビネクテジン、又は請求項25若しくは26に記載の組成物、又は請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
治療量のルルビネクテジンを静脈内注入により投与することによるSCLC患者の処置のための方法が提供される。他の抗がん薬、特にトポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせてルルビネクテジンを投与することによりがんを処置する方法も提供される。本発明は、悪心及び嘔吐に関する症状の効果的な制御のための抗嘔吐剤と組み合わせたルルビネクテジンの投与、より安全な投与を達成するためのルルビネクテジンの投与量の低減、並びに処置サイクル数の増加に更に関する。ルルビネクテジンの安定した凍結乾燥製剤も提供される。
【背景技術】
【0002】
肺がんは、米国において男女ともにがんによる死亡の主な原因である。1998年、推定171,500件の新規の症例が診断され、約160,100件の死亡が本疾患に起因した。乳がん、卵巣がん、及び子宮がんを合わせたより多くの女性が肺がんで亡くなり、前立腺がんの4倍の男性が肺がんで亡くなっている。
【0003】
肺がんは、悪性(がん)細胞が肺の組織内で形成する疾患である。肺がんの2つの主要な種類は、小細胞肺がん(SCLC)及び非小細胞肺がん(NSCLC)である。SCLCは、診断時点で全ての肺がんの約13~15%のみを占めるが、より侵襲性の形態の肺がんである。SCLCでは、がん細胞は、迅速に成長し、より容易に体の他の部分に移動する、又は転移する傾向がある。その発病率は喫煙に関連し、ほぼ3分の2の患者が進行した疾患を呈し、化学療法に対する応答率は高いが、利益は長く続かない。未処置のSCLCの患者の生存期間のメジアンは、2~4か月である(Clark, 1998; Glisson, 2003; Davies, 2004)。最も一般的なレジメンは、シスプラチン又はカルボプラチン、及びエトポシドを含む。残念なことに、第一選択の化学療法に対する応答率が40~90%であるにもかかわらず、長期的な生存は珍しく、その理由として、患者が化学療法に対する耐性を発症し、再発することが挙げられる(Sundstrom, 2005; Jackman, 2005)。未処置の疾患の再発後の全体的な予想平均生存期間は、2~4か月である(Huisman, 1999)。
【0004】
処置及び生存期間は、過去20年の間、実質的に変化していない。限局期の疾患でさえ、根治的な局所療法(外科手術又は放射線療法)でほとんど治癒せず、全身化学療法(白金及びエトポシド)は、SCLCでの第一選択の処置の基礎であり続ける。
【0005】
トポテカンは、60日より長期の化学療法を行わない期間の患者の第二選択の処置に対して唯一承認された薬物である。トポテカン単独療法は、生存期間及び生活の質、並びに第二選択の状況におけるがん関連症状を改善する。或いは、ドキソルビシンベースの併用療法を投与することもでき、転帰は同様であるが、症状の制御率はわずかに低い。無反応性の患者では、標準的な療法は存在しない。アムルビシンは、新規のアントラサイクリン(anthracyline)であるが、無反応性で再発した患者で有望な活性を示した。フェーズIII試験は継続している。活性を伴う他の薬剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ベンダムスチン、及びビノレルビンを含む。
【0006】
過去数年の間、いくつかの臨床試験で、広範囲のSCLCの患者において従来の化学療法への免疫療法の追加の効果を評価している。チェックポイント阻害剤、とりわけCTLA-4及びPD-1/PD-L1阻害剤は、現在研究されている。ニボルマブ及びペムブロリズマブは、白金ベースの化学療法及び少なくとも1つの他の事前の選択の化学療法の際又はその後の疾患進行を伴う転移性SCLCの患者に対してFDAにより承認された最初の免疫療法剤であった。
【0007】
ルルビネクテジン(PM01183)は、抗新生物活性を有する合成テトラヒドロピロロ[4,3,2-de]キノリン-8(1H)-オンアルカロイド類似体である。ルルビネクテジンは、発癌性転写の選択的阻害剤であり、アポトーシスを引き起こすDNA二重鎖切断を誘発し、腫瘍の微環境を調節する。例えば、腫瘍関連マクロファージにおいて活発な転写を阻害することにより、ルルビネクテジンは、IL-6、IL-8、CCL2、及びVEGFを下方制御する。
【0008】
ルルビネクテジンは、充実性及び非充実性腫瘍の細胞株に対する非常に強力なin vitro活性、並びに乳がん、腎がん、及び卵巣がんに対するもののような、マウスにおけるいくつかの異種移植したヒト腫瘍の細胞株における著しいin vivo活性を示している。予備的臨床結果では、ルルビネクテジンが、SCLCにおける単一薬剤としての第二選択の治療剤として、活性を有することが示されている。SCLC及び他の充実性腫瘍に対する処置の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,763,615号
【特許文献2】国際出願公開PCT WO2003/014127号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】米国国立がん研究所、有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)v4.0(2009年5月28日)
【非特許文献2】医薬品規制調和国際会議のガイドライン「不純物:残留溶媒に関するガイドラインQ3C(R6)」
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
フェーズ2の臨床試験結果では、単一薬剤として投与された第二選択の薬剤としてのルルビネクテジンで、SCLC患者に対して少なくとも30%(35.2%)の全応答率が示される。充実性腫瘍患者におけるフェーズ1b-2試験からの結果では、特にSCLC、子宮内膜癌、軟部組織肉腫、及び神経膠芽細胞腫において、ルルビネクテジンとイリノテカンとの組合せの活性が示された。したがって、それを必要とする患者の、とりわけ、中でも事前の処置に応答できていない又は適切に応答できていない患者、事前の処置に応答しているが、その後に疾患の進行を経験しうる患者、及びこのような応答と続く進行を複数回有しうる患者を含む、白金含有療法又は免疫療法のような事前の療法の後にSCLCが進行している患者の、転移性SCLCを含むSCLCを処置する方法が本明細書で提供される。トポイソメラーゼ阻害剤、特にイリノテカン又はSN-38と組み合わせてルルビネクテジンを投与する、それを必要とする患者の充実性腫瘍、特にSCLC、子宮内膜癌、軟部組織肉腫、及び神経膠芽細胞腫を処置する方法も提供される。安定した凍結乾燥製剤を更に提供する。
【0012】
本明細書で提供される方法は、転移性SCLCを含むSCLCに罹患している成人患者を含む患者、特に事前の白金ベースの化学療法後に進行しているSCLC患者に、有効量のルルビネクテジンを静脈内注入により投与する工程を含む。ある特定の実施形態では、事前の免疫療法、特にカルボプラチンとエトポシドとの組合せを含むアテゾリズマブ、又はニボルマブの後に進行している転移性SCLCを含むSCLCに罹患している患者に、有効量のルルビネクテジンを静脈内注入により投与する方法が提供される。好ましくは、ルルビネクテジンは、投与に対する患者の応答に依存して、典型的には複数月の期間にわたって、多くの場合、疾患進行及び死亡まで、又は患者が許容されない毒性を経験するまで、21日(又は3週間)毎に3.2mg/m2の用量で投与される。
【0013】
ある特定の実施形態では、処置有効量のルルビネクテジンは、21日毎又は3週間毎に、3.2mg/m2の投薬レベルを使用して患者に1時間のIV注入として投与して、約85.6μg/L~133.75μg/L、好ましくは107μg/Lの平均総血漿Cmax、及び約440.8μg*h/L~688.75μg*h/L、好ましくは551μg*h/Lの平均AUC∞を達成することができる。処置により、30%超の全応答率、耐性患者集団における2.6か月のメジアン(事前の化学療法処置に対して90日未満のCFTI)、及び感受性患者集団における4.6か月のメジアン(事前の化学療法処置に対して90日以上のCFTI)を含むメジアン3.5か月(2.6か月~4.3か月の範囲)の無進行生存期間がもたらされる。9.3か月のメジアンの全生存期間(5.0か月の耐性患者集団及び11.9か月の感受性患者集団)は、本明細書に開示される方法にしたがって達成することができる。
【0014】
一実施形態では、用量低減及び/又はG-CSFの投与によりルルビネクテジン処置レジメンに関連する血液学的有害事象を管理する方法が提供される。提供される方法は、SCLC患者にルルビネクテジン製剤をIV注入により3.2mg/m2の用量で投与すること;ルルビネクテジンの投与後に、患者が、グレード3(重度)以上の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)若しくは任意の他の有害反応であるルルビネクテジン投与に関連する有害反応を経験するかを評価することに関する。次にスケジュールされた用量で、事前の用量の好ましくは3週間後、一旦、患者の好中球数が1500個の細胞/mm3超となり;血小板数が約100,000個の細胞/mm3超となり;ヘモグロビンレベルが約9g/d超となると、(i)有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症からなる場合、ある用量のG-CSF、及び以前の用量、例えば3.2mg/m2と同じである用量のルルビネクテジンを患者に投与すること、又は(ii)有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症のみではない血液学的異常である場合、事前の用量と比較して低減された、例えば事前の用量の80~85%、例えば事前の用量が3.2mg/m2である場合の2.6mg/m2である用量を投与すること。任意選択で、有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症である場合、用量は、次のスケジュールされた用量で、特に事前の用量の80~85%、例えば事前の用量が3.2mg/m2である場合の2.6mg/m2に低減することができる。
【0015】
低減された投与量のルルビネクテジンを受けた後の場合では、患者は、グレード3(重度)以上の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)若しくは任意の他の有害反応(但し、ある特定の実施形態ではグレード4の孤立性好中球減少症ではない)である有害事象を経験し、次いで、次にスケジュールされた投与量で、事前の用量の好ましくは3週間後、一旦、患者の好中球数が1500個の細胞/mm3超となり;血小板数が約100,000個の細胞/mm3超となり;ヘモグロビンレベルが約9g/d超となると、第1の低減されていない用量の60~65%である、特に2.0mg/m2(3.2mg/m2の投与量の60~65%)である、第2の低減された投与量を患者に投与する。任意選択で、低減された投与量のルルビネクテジンの投与後の有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症である場合、用量は、次のスケジュールされた用量で、特に第1の低減されていない用量の60~65%、例えば初期用量が3.2mg/m2である場合の2.6mg/m2に低減することができる。
【0016】
別の実施形態では、成人患者を含む患者における転移性SCLCを含むSCLCの処置でのルルビネクテジン投与に関連しうる血液学的毒性、骨髄抑制効果、及び/又は肝毒性を、用量低減及び/又は用量遅延により管理する方法が提供される。少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有するそれを必要とする患者に、3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを、好ましくは60分にわたる注入によって投与することにより、転移性SCLCを含むSCLCを処置する方法が提供される。更なる実施形態では、以前の用量の21日後、患者は、少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有し、3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを、好ましくは60分にわたる注入により投与される。実施形態では、患者は、ルルビネクテジンの投与前に、肝毒性をモニタリングし、肝毒性を有していない。その後の処置は、21日(3週間)間隔で、少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有し、好ましくは任意のグレード2以上の有害反応を有していない患者に投与される。
【0017】
ある特定の実施形態では、60分にわたる注入によることを含む、ルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量で投与することにより、それを必要とする患者の転移性SCLCを含むSCLCを処置し、次いで有害な血液学的若しくは肝臓の反応、又はグレード2以上である他の有害反応に対して患者をモニタリングする方法が提供される。3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを投与されている患者がグレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)又は任意の発熱性好中球減少症を呈する場合では、その後の用量のルルビネクテジンは、事前の用量の21日後、又は患者がグレード1未満の好中球減少症(少なくとも1500個の細胞/mm3)を呈する時(以前の用量を過ぎて21日より長い可能性がある)のうちの遅い方の時点まで投与されず、次いで、3週間毎に低減された用量2.6mg/m2でルルビネクテジンを投与するか、又はG-CSF予防的投与と共に、3週間毎に3.2mg/m2の用量でルルビネクテジンを投与するかのいずれかである。結局、3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを投与されている患者は、出血を伴うグレード3の血小板減少症(25,000~50,000個の血小板/mm3)又はグレード4の血小板減少症(25,000個の血小板/mm3未満)を呈し、次いで、以前の用量の21日後、又は患者が100,000個の細胞/mm3以上の血小板数を呈する時のうちの遅い方の時点まで、その後の用量のルルビネクテジンは投与されず、その後の用量は、3週間(21日)毎の低減された用量2.6mg/m2である。結局、3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを投与されている患者は、グレード2又はグレード3若しくは4のいずれかである肝毒性又は他の有害反応を呈し、次いで、以前の用量の21日後、又は患者がグレード1以下の肝毒性(若しくはグレード1以下の他の有害反応)を呈する時のうちの遅い方の時点まで、その後の用量のルルビネクテジンは投与されず、患者がグレード2の肝毒性(又は他の有害反応)を呈している場合、その後の用量は3週間(21日)毎の3.2mg/m2の用量であり、患者がグレード3又は4の肝毒性又は他の有害反応を呈している場合、その後の用量は3週間(21日)毎の低減された用量2.6mg/m2である。用量低減後、患者が、グレード4の好中球減少症、又は任意のグレードの発熱性好中球減少症、出血を伴うグレード3の血小板減少症若しくはグレード4の血小板減少症、又はグレード3若しくは4での肝毒性若しくは他の有害反応の1つを呈する場合、その後の用量は、21日、又は患者が上に詳述した通り回復している時のうちの遅い方の時点まで投与せず、その後、3週間毎に更に低減された用量2mg/m2のルルビネクテジンを投与するか、又はグレード4の好中球減少症の場合、G-CSF予防的投与と共に、事前の用量と同じ用量のルルビネクテジンを投与する。患者が、2mg/m2の用量でルルビネクテジンを許容しなくなる(即ち、ルルビネクテジン投与後にグレード4の好中球減少症、又は任意のグレードの発熱性好中球減少症、出血を伴うグレード3の血小板減少症若しくはグレード4の血小板減少症、又はグレード3若しくは4での肝毒性若しくは他の有害反応の1つを呈する)場合、又は患者が回復し、ルルビネクテジン投与に対する基準を満たすために、投与の遅延が、スケジュールされた用量を過ぎて2週間より長い(事前の用量の21日後である)場合、処置は中断される。
【0018】
2~3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを投与し、強力若しくは中程度のCYP3A阻害剤又は強力若しくは中程度のCYP3A誘発物質との共投与を避けることによりそれを必要とする患者のSCLC又は充実性腫瘍を処置する方法が提供される。ある特定の実施形態では、それを必要とする患者のSCLC又は充実性腫瘍を処置する方法であって、患者がまた中程度のCYP3A阻害剤を投与され、次いで3週間(21日)毎に、低減された用量のルルビネクテジン、例えば2.6mg/m2の用量又は2mg/m2の用量を、前記患者に投与する、方法が提供される。
【0019】
ルルビネクテジンの投与関連の(急性又は遅延相の)悪心及び/又は嘔吐の前に、抗嘔吐剤を予防的に投与する実施形態であって、2~3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、抗嘔吐剤予防的投与を投与する工程を含み、特に、抗嘔吐剤は、コルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを含む、実施形態も提供される。処置は、このような処置を必要とする患者の転移性SCLCを含むSCLC又は任意の他の充実性腫瘍に対するものでありうる。ある特定の実施形態では、コルチコステロイドは、好ましくは静脈内投与された8mgの用量、又は静脈内でのデキサメタゾン8mgと同等であるコルチコステロイドの用量でのデキサメタゾンであり、セロトニンアンタゴニストは、好ましくは静脈内投与された8mgの用量、又は静脈内投与されたオンダンセトロン8mgと同等のセロトニンアンタゴニストの用量でのオンダンセトロンである。ある特定の実施形態では、抗嘔吐剤療法は、好ましくはコルチコステロイド、セロトニンアンタゴニスト、及びメトクロプラミドを含むルルビネクテジンを投与する日、又は投与の2、3、若しくは4日後に、注入後に投与される。具体的な実施形態では、コルチコステロイドは、4mgの用量、又は4mgの経口デキサメタゾンと同等のコルチコステロイドの用量で経口投与されるデキサメタゾンであり;セロトニンアンタゴニストは、8mgの用量、又は8mgの経口オンダンセトロンと同等のセロトニンアンタゴニストで経口投与されるオンダンセトロンであり;メトクロプラミドは、10mgの用量で静脈内若しくは経口のいずれか、又は10mgの経口若しくは静脈内メトクロプラミドと同等の用量で投与され、メトクロプラミドは、8時間毎に投与される。
【0020】
本発明の一態様は、それを必要とする充実性腫瘍の患者を、トポイソメラーゼ阻害剤、特にイリノテカンと組み合わせてルルビネクテジンを投与することにより処置する方法である。特定の実施形態では、充実性腫瘍患者は、ルルビネクテジンを処置サイクルの1日目に1~2.5mg/m2の用量で、1日目及び8日目に投与される75mg/m2の用量のイリノテカンと共に投与し、イリノテカンはG-CSFと共に投与する処置レジメンで処置される。処置サイクルは、第2の処置サイクルで1~2.5mg/m2の用量のルルビネクテジンを22日目に75mg/m2の用量のイリノテカンと共に投与し、75mg/m2の用量のイリノテカンを初期の処置後の7日後、29日目に投与するように、一般に21日である。その後の処置は、3週間毎に、サイクルの1日目に投与される1~2.5mg/m2のルルビネクテジン及び75mg/m2のイリノテカン、並びにG-CSFと共に8日目に投与される75mg/m2のイリノテカンと組み合わせて一般に投与される。ある特定の実施形態では、患者が1日目の組合せ投与量に続いて血液学的毒性を呈する場合、イリノテカンの用量は8日目に投与しない。一部の実施形態では、充実性がんは、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫(ユーイング肉腫及び滑膜肉腫を含む)、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、並びに上皮卵巣がんから選択される。好ましい実施形態では、充実性腫瘍は、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫(ユーイング肉腫若しくは滑膜肉腫を含む)、又は神経膠芽細胞腫である。
【0021】
一態様では、ルルビネクテジン、有機酸由来の緩衝剤(例えば有機カルボン酸、例えば乳酸緩衝剤)、及び二糖を含むルルビネクテジンの安定した凍結乾燥製剤が提供され、製剤は、水8mLと復元した場合、3.8~4.5のpHを有する。0.5mg/mLの濃度を有する8mL中のルルビネクテジン4mgの復元に対する参照は、8.55mL中の0.47mg/mLの算出濃度に基づくことができる。
【0022】
一部の実施形態では、凍結乾燥組成物は、ルルビネクテジン4mg、乳酸22.1mg、水酸化ナトリウム5.1mg、及びスクロース800mgを含む、若しくはこれらからなる(又は、この比でこれらの成分を含む、若しくはこれらの成分からなる)。組成物は、好ましくは30mlのバイアルに包装され、水8mLで復元してルルビネクテジン0.5mg/mlを含有する溶液を得ることができる。
【0023】
一部の実施形態では、凍結乾燥組成物は、5℃±3℃で24か月若しくは36か月又はそれ以上保存することができ、その期間、ルルビネクテジンは、その治療有効性を保持し、最小限の化学分解を呈する。例えば、24か月又は36か月の保存後、組成物中に存在する不純物D(ルルビネクテジンの脱アセチル化から得られるルルビネクテジン分解生成物)の量は、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.以下である。ある特定の実施形態では、保存した製剤は、全分解生成物の2.0%、1.5%、又は1.3%(面積又はwt/wt)超を含有しない。
【0024】
ルルビネクテジン凍結乾燥製剤を保存する方法、並びに保存した安定した凍結乾燥ルルビネクテジン製剤から調製されるルルビネクテジン注入溶液の投与によりSCLC及び充実性腫瘍を処置する方法も提供される。
【0025】
本発明は、ルルビネクテジン単独で、又は更なる薬剤と組み合わせて使用する処置の方法を同定する。処置の方法について言及する場合、本発明はまた、がんの処置のための医薬の製造におけるルルビネクテジン及び/又は前記の更なる薬剤、並びに本明細書に開示されるがんの処置での使用のためのルルビネクテジン及び/又は前記の更なる薬剤も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ルルビネクテジンの形態A(バッチR05)のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図2a】ルルビネクテジンの形態Bの2つのバッチ(バッチ1924128-LT(上側)及び1924129-LT)のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図2b】バッチ1711182-2(形態B部分結晶性)15mg及びバッチP02(非晶質)15mgを水1mlと混合することにより作製されたルルビネクテジンの形態Bの、X線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。懸濁液をr.t.で24時間撹拌した。生じた固体を濾過して取り出した)。
図3】ルルビネクテジンの形態B(バッチ1711182-2)のTG-FTIRである。
図4】ルルビネクテジンの形態B(バッチ1711182-2)のDSCである。
図5】ルルビネクテジンの形態B(バッチP05)のDVSである。
図6】上から下に、ルルビネクテジンの形態A及びBの開始時1:1混合物における、水中での相平衡から6h後の、並びに水中での相平衡から24h後の、ルルビネクテジンの形態Bの多重のXRPDパターンである。(ルルビネクテジンの形態A(バッチP02)及びルルビネクテジンの形態B(バッチ1711182-2)を混合して混合物を調製した)。
図7a】ルルビネクテジンの形態A(バッチP04)のIRである。
図7b】ルルビネクテジンの形態B(バッチ1711182-2)のIRである。
図8】ファラデーケージの模式図である。
図9a】様々な量のルルビネクテジンの形態A(バッチP04)及びルルビネクテジンの形態B(バッチ1924129-LT)の静電荷(nC)の図である。
図9b】様々な量のルルビネクテジンの形態A(バッチR05)及びルルビネクテジンの形態B(バッチ1924128-LT)の静電荷(nC)の図である。
図10a】ルルビネクテジンの形態A(バッチP04)及びルルビネクテジンの形態B(バッチ1924129-LT)の電荷密度の図である。
図10b】ルルビネクテジンの形態A(バッチR05)及びルルビネクテジンの形態B(バッチ1924128-LT)の電荷密度の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
単独療法としてルルビネクテジンの投与に基づく小細胞肺がん(SCLC)の有効な処置の方法が本明細書で提供される。ルルビネクテジンとイリノテカンとの組合せの投与により充実性腫瘍を処置する方法も提供される。このような方法は、本明細書に開示される安定した凍結乾燥製剤から調製されるルルビネクテジンの投与により実行されうる。
【0028】
ルルビネクテジン
ルルビネクテジンは、合成アルカロイドであり、以下の化学構造を有するエクテイナシジン類似体である。
【0029】
【化1】
【0030】
これは、例えば、参照によりその全体を本明細書に組み込まれる米国特許第7,763,615号に記載される。ルルビネクテジンは、当該技術分野で公知の方法、例えば、国際出願公開PCT WO2003/014127号に開示されるプロセスにしたがって調製することができるが、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
本明細書で参照される任意のルルビネクテジン化合物は、水和物、溶媒和物、非晶質、及び結晶又は部分結晶形態、並びにその混合物を、このような形態が媒体中に存在する場合に表すことを意図している。加えて、本明細書で参照されるルルビネクテジン化合物は、同位体で標識された形態で存在しうる。全ての幾何学的な水和物、溶媒和物、及び本明細書で参照される化合物の同位体で標識された形態、並びにその混合物は、本発明の製剤及び方法論の範囲内と見なされる。
【0032】
本出願では、「がん」とは、腫瘍、腫瘍形成、及び悪性組織又は細胞を引き起こす任意の他の悪性疾患を含むことを意味する。
【0033】
用語「処置すること」とは、本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、このような用語が適用される疾患若しくは状態、又はこのような障害若しくは状態の1つ若しくは複数の症状を反転、緩和、又は進行阻害することを意味する。用語「処置」とは、本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「処置すること」がすぐ上で定義されるような処置する行為を指す。特に、本明細書での「処置」の又は「処置する」方法は、充実性腫瘍の1つ若しくは複数の症状を緩和する、充実性腫瘍の進行を遅延させる、充実性腫瘍患者の腫瘍サイズを縮小する、充実性腫瘍成長を阻害する、全生存期間を延長する、無進行生存期間を延長する、充実性腫瘍の転移を予防若しくは遅延させる、既存の充実性腫瘍の転移を軽減する(例えば根絶する)、既存の充実性腫瘍の転移の発生率若しくは負荷を軽減する、又は充実性腫瘍の再発を予防するのに使用することができる。
【0034】
用語「免疫療法」とは、本明細書で使用される場合、がん細胞、例えば、限定されないが、CTLA-4、PD-1、PD-L1、及びがん細胞に対する免疫応答を促進する同様の活性を有する他のもののようなチェックポイント阻害剤に結合する抗体、タンパク質、又は他の薬剤に対する免疫応答を促進すること又は免疫応答の阻害を遮断することを含む、免疫応答を調節する療法を意味する。免疫療法の例は、限定されないが、アテゾリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、セミプリマブ、デュルバルマブ、アベルマブ等を含む。
【0035】
好中球減少症、血小板減少症、肝毒性、及び他の有害反応のような有害事象のグレードは、米国国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)v4.0(2009年5月28日)に記載の基準にしたがう。一般に、グレードは、以下の通りである:グレード1:軽度;無症状又は軽度の症状;臨床又は診断上の観察のみ;介入は指示せず;グレード2:中程度;最小限、局所的、又は非侵襲の介入を指示;食事の準備等の年齢相応の補助的日常生活動作の制限;グレード3:重度、又は医学的に有意であるが即座に生命を脅かさない;入院又は入院の延長を指示;障害;着替え、排便等のような自己管理的日常生活動作の制限、寝たきりではない;グレード4:生命を脅かす結果;緊急の介入を指示;グレード5:有害事象に関する死亡。
【0036】
SCLCの処置
本発明の実施形態は、本明細書に記載のルルビネクテジンの医薬製剤を使用する1つ又は複数の処置サイクルの投薬レジメンにしたがって患者に治療有効量のルルビネクテジンを投与することにより、それに罹患する患者の転移性小細胞肺がん(SCLC)を含むSCLCを処置する方法を含む。ルルビネクテジン療法は、ある特定の実施形態では、第二選択の療法であり、よって、患者は、白金含有療法若しくは白金ベースの化学療法、及び/又は免疫-腫瘍学的療法のような療法を以前に投与され、これらに応答して疾患が進行している。好ましくは、このような処置レジメンは、SCLC患者に2.0~3.2mg/m2、好ましい実施形態では少なくとも初期用量について、3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを静脈内注入により、好ましくは1時間にわたって3週間(又は21日)毎に投与することであるが、但し、用量は、有害事象、特に本明細書に開示される血液学的異常及び肝毒性の発生に依存して低減及び/又は遅延させうる。一部の実施形態では、SCLC患者は、疾患進行又は許容されない毒性が起こる(例えば、患者が、事前の用量後5週間より長い投薬の間、基準を満たすまで回復しない、又は第2の低減された用量2.0mg/m2を許容しなくなる場合)までは、3.2mg/m2を静脈内注入により60分間にわたって3週間毎に繰返し投与される。本発明の態様では、処置により、35%又は35.2%超を含む、30%超の全応答率;2.6~4.6か月、又は2.6か月(耐性患者集団(90日未満の化学療法を行わない期間(CTFI)))~4.6か月(感受性患者集団(90日以上のCTFI))を含む、3.5か月のメジアンの無進行生存期間;並びに、9.3か月のメジアン(5.0か月の耐性患者集団(90日未満のCTFI)及び11.9か月での感受性患者集団(90日以上のCTFI))の全生存期間がもたらされる。
【0037】
様々な実施形態では、本発明は、それを必要とする患者の、とりわけ、中でも事前の処置に応答できていない又は適切に応答できていない患者、事前の処置に応答しているが、その後に疾患の進行を経験しうる患者、及びこのような応答と続く進行を複数回有しうる患者を含む、白金含有療法若しくは白金ベースの化学療法、免疫療法、又はその両方のような事前の療法の後にSCLCが進行している患者の、転移性SCLCを含むSCLCを処置するための方法を提供する。
【0038】
一部の実施形態では、本開示は、転移性SCLCを処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、白金ベースの化学療法後に疾患進行を伴う転移性SCLCの成人患者を処置するための方法を提供する。
【0039】
SCLC患者
第一選択の白金含有化学療法及び/又は免疫療法を通して応答できない又は進行する、転移性SCLCを含むSCLC患者は、「無反応性」であると見なされる。白金剤を含む初期又は「第一選択」の化学療法に最初に応答した後、90日(3か月)以内に再発/進行する患者は、「耐性」であると見なされる。初期の処置に応答するが、その後再発する患者、又は白金製剤での第一選択の療法の中断後の約91~180日(3~6か月)以内に腫瘍が進行する患者は、感受性があると見なされ、本明細書では「91~180日進行性」SCLCを有すると見なされる。最初の再発に応答する患者又は180日後に腫瘍が進行する患者は、「感受性」である。
【0040】
ルルビネクテジン療法は、第二選択の療法でありえ、SCLC患者は、カルボプラチン又はシスプラチン(白金ベースの化学療法)、及びエトポシドのような1つ又は複数の他の化学療法剤で以前に処置されている。特に、処置は、再発している、又は以前の化学療法に無反応性であるSCLC患者に好適である。一部の実施形態では、SCLC患者は、事前の白金含有療法に応答して中断した若しくは療法に適切に応答して中断した、又は事前の白金含有療法に応答していなかった。より具体的には、ルルビネクテジン療法は、SCLC患者が、ある特定の実施形態では、第一選択の白金含有化学療法、及び任意選択で放射線処置の中断後の0~90日以内、又は91~180日以内に、無反応性、耐性、又は再発/進行性である場合に使用することができる。第一選択の療法の中断後の0~90日以内又は91~180日以内に進行するSCLC患者、並びに、90日、180日以内を含む、若しくはいかなる時でもSCLCが処置に無反応性であり、進行する患者、又はSCLCが初期の処置に応答し、その後初期の処置の中断の90日、180日以内、若しくはいかなる時でも進行する患者は、無進行生存期間、全生存期間、又は応答の期間の長さの1つ又は複数を増大させるように、ルルビネクテジンで有利に処置することができる。一部の実施形態では、SCLC患者は、事前の白金含有療法の事前の投与後、少なくとも90日、少なくとも120日、少なくとも150日、又は少なくとも180日の化学療法を行わない期間を有した。具体的な実施形態では、患者は、ルルビネクテジンの投与の少なくとも30日前又は少なくとも60日前又は少なくとも90日前に白金含有療法を受けていなかった。一部の実施形態では、本開示は、事前の白金含有療法の後に進行しているSCLCの患者を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、白金ベースの化学療法後に疾患進行を伴う転移性SCLCの成人患者を処置する方法を提供する。
【0041】
ルルビネクテジン療法はまた、アテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、デュルバルマブ、若しくはその組合せのようなチェックポイント阻害剤と組み合わせた、カルボプラチン若しくはシスプラチン、及びエトポシドのような第一選択の白金ベースの化学療法に続いて、又は、ニボルマブ、若しくはアテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、若しくはデュルバルマブのような他の免疫療法での第二選択の療法に続いて投与することができる。特に、処置は、再発している、又は事前の免疫療法に無反応性であるSCLC患者に好適である。例えば、一部の実施形態では、ルルビネクテジン処置は、再発している、又は事前の第一選択のカルボプラチン/エトポシド/アテゾリズマブの併用療法、若しくは第二選択のニボルマブでの免疫療法に無反応性であるSCLC患者に好適である。一部の実施形態では、SCLC患者は、事前の免疫療法に応答して中断した若しくは療法に適切に応答して中断した、又は事前の免疫療法に応答していなかった。より具体的には、ルルビネクテジン療法は、SCLC患者が、免疫療法と組みわせた第一選択の白金含有化学療法又は第二選択のニボルマブの中断後の91~180日以内に、無反応性、耐性、感受性、又は再発/進行性であり、ある特定の実施形態では、患者が放射線処置を受けている場合に使用することができる。第一選択の免疫療法(白金含有療法との組合せを含む)又は療法後の任意の時(ある特定の実施形態では処置の90日以内若しくは180日以内を含む)の第二選択の免疫療法の中断後に進行するSCLC患者、並びに、SCLCが処置に無反応性であり(90日未満の化学療法を行わない期間を有し)、180日以内に進行する患者、又はSCLCが初期の処置に応答し、その後初期の処置の中断の180日以内に進行する患者は、無進行生存期間、全生存期間、又は応答の期間の1つ又は複数を増大させるように、ルルビネクテジンで有利に処置することができる。一部の実施形態では、SCLC患者は、事前の処置に対して、90日未満の免疫療法を含む化学療法を行わない期間を有し、他の実施形態では、SCLCは、少なくとも90日、少なくとも120日、少なくとも150日、又は少なくとも180日だが、ある特定の実施形態では120日、150日、又は180日以内の化学療法を行わない期間を有した。具体的
な実施形態では、患者は、ルルビネクテジンの投与の少なくとも30日前又は少なくとも60日前又は少なくとも90日前に、第一選択の免疫療法(白金含有療法と組み合わせた)又は第二選択の免疫療法を受けていなかった。
【0042】
本明細書に開示される処置が、このような処置を必要とする転移性SCLC患者を含むSCLC患者に投与される場合、前記処置は、抗がん効果の程度、(全)応答率、疾患進行の時間、又は生存率により測定される効果を得られることが予期される。一実施形態では、全応答率は、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、又は少なくとも60%である。一部の実施形態では、全応答率は、90日未満の化学療法を行わない期間を有する患者に対して、少なくとも11%、若しくは少なくとも20%、若しくは少なくとも25%、若しくは少なくとも30%、若しくは少なくとも35%である、又は、全応答率は、少なくとも90日の化学療法を行わない期間を有する患者に対して、少なくとも30%、若しくは少なくとも40%、若しくは少なくとも45%、若しくは少なくとも50%、若しくは少なくとも55%である。一部の実施形態では、応答の期間は、耐性患者(90日未満の化学療法を行わない期間)に対して、少なくとも5.3か月(4.1か月~6.4か月)若しくは少なくとも4.7か月(2.6か月~5.6か月)である、又は、応答の期間は、少なくとも90日の化学療法を行わない期間を有する感受性患者に対して、少なくとも6.2か月(3.5か月~7.3か月)である。
【0043】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示されるルルビネクテジンで処置したSCLC患者は、少なくとも3.5か月(2.6か月~4.3か月)の無進行生存期間を有し、耐性患者に対しては、2.6か月(1.3か月~3.9か月)の無進行生存期間を有し、感受性患者に対しては、4.6か月(2.8か月~6.5か月)の無進行生存期間を有する。他の実施形態では、本明細書に開示されるルルビネクテジンで処置したSCLC患者は、9.3か月(6.3~11.8か月)の全生存期間を有し、耐性患者に対しては、5.0か月(4.1か月~6.3か月)の全生存期間を有し、感受性患者に対しては、11.9か月(9.7か月~16.2か月)の全生存期間を有する。
【0044】
或いは、処置は、最初の化学療法に無反応性である、又は第一選択の白金含有療法を完了した90日(3か月)未満以内で進行性の、広範囲又は限定的な疾患を伴うSCLCに対する第二選択の療法でありうる。第一選択の療法の中断後(処置の30~90日以内を含むが、いかなる時でもよい)に進行するSCLC患者、並びに、SCLCが処置に無反応性であり、90日以内に進行する患者、又はSCLCが初期の処置に応答し、その後初期の処置の中断の90日以内に進行する患者は、無進行生存期間、全生存期間、又は応答の期間の1つ又は複数を増大させるように、ルルビネクテジンで有利に処置することができる。一部の実施形態では、SCLC患者は、90日未満、例えば30日未満、60日未満、又は90日未満の、事前の処置に対して化学療法を行わない期間を有した。
【0045】
様々な実施形態では、SCLC患者は、最初に白金ベースの化学療法及び免疫療法で処置されるが、白金ベースの化学療法及び免疫療法は、同時に又は連続してのいずれかで与えられ、続いて、3週間毎に3.2mg/m2を(又は血液学的毒性を呈する患者には遅延又は低減させて)投与することを含む、本明細書に開示される有効量のルルビネクテジン又はルルビネクテジン処置のサイクルを患者に投与する。例えば、一部の実施形態では、SCLC患者は、PD-L1、CTLA-4、又はPD-1を標的とする抗体を投与することを含む事前の免疫療法を受けており、抗体は、アテゾリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、デュルバルマブ、又はその組合せから選択される。一部の実施形態では、患者は、白金含有療法及びエトポシドと組み合わせてアテゾリズマブを以前に投与されている。一部の実施形態では、患者は、ニボルマブを投与されている。故に、3週間毎に3.2mg/m2で(若しくは血液学的毒性を呈する患者には遅延又は低減させて)のルルビネクテジンと共に、アテゾリズマブ(カルボプラチン及びエトポシドとの組合せを含む)、又はニボルマブで進行しているSCLC患者を処置する方法が提供される。
【0046】
一部の実施形態では、ルルビネクテジンを投与される患者は、成人である。
【0047】
処置サイクル
ルルビネクテジンを含む医薬組成物の投与は、好ましくは、静脈内注入によるものである。最大で72時間の注入時間を使用することができるが、好ましくは1~24時間、一般に約1時間である。夜間入院せずに処置を実行することが可能な短い注入時間がとりわけ望ましい。好ましい実施形態では、ルルビネクテジンは、1時間(60分)にわたって注入により投与される。
【0048】
好ましくは、ルルビネクテジンの投与は、サイクルで実施される。好ましい投与スケジュールでは、ルルビネクテジンの静脈内注入は、患者に各サイクルの初日に与えられ、患者は、サイクルの残りに回復することが可能である。各サイクルの好ましい期間は、3週間又は21日である。しかし、処置サイクルは、処置に対する患者応答に依存して、例えば、1~6日、1週間、又は2週間、又は3週間超、例えば22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35日、又はそれ以上増減することができる。ある特定の実施形態では、処置サイクルが、患者が有害事象から回復せず、ルルビネクテジン処置の血液学的基準を満たさないために2週間より長く遅延される場合、ルルビネクテジンによる処置は、中断することができる。3週間毎に1回、約1時間の静脈内注入によるルルビネクテジンの投与は、最も好ましい投与スケジュールであるが、他のプロトコールも変形形態として考案することができる。多数のサイクルを必要に応じて行うことができる。SCLCの処置の経過にわたって、1~24用量のルルビネクテジンを投与することができ、4~8用量は、典型的には、約21日(3週間)の間隔で投与される。最大で6週間、例えば3~4週間の間隔は、例えば副作用(下記に詳述される)を軽減又は管理するために処置スケジュールを修正する必要がある場合に利用することができる。がんの処置の経過にわたって、ルルビネクテジンの1~24回の処置を投与することができ、4~8回の処置は、典型的には、約21日(3週間)の間隔で投与される。一部の実施形態では、一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、患者は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24回の処置サイクルを受ける。実施形態では、ルルビネクテジンは、疾患進行若しくは許容されない毒性が起こるまでは、3週間の処置サイクルで、又は有害事象から患者が回復するのを可能にするために遅延させて、投与される。
【0049】
薬物の生物学的利用能は、体内に導入し、活性効果を有することができる場合の循環に入る薬物又は他の物質の割合として定義される。当該技術分野で周知の生物学的利用能の測定は、血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)及び濃度最大値(Cmax)を含む。Cmaxは、薬物投与後に達成される最大血漿濃度である。
【0050】
1つ又は複数の薬物動態学的パラメータによるルルビネクテジン投薬のための方法が本明細書で提供され、前記投与量の投与は、耐性、無反応性、又は進行性SCLCを処置するのに効果的である。例示的な実施形態では、1つ又は複数の薬物動態学的パラメータは、ピーク濃度(Cmax)又は曲線下面積(AUC)である。一実施形態では、3.2mg/m2のルルビネクテジンは、それを必要とするSCLC患者に1時間の注入として投与して、約107μg/Lの80%~125%以内の平均総血漿Cmax、及び約551μg*h/Lの80%~125%以内の平均AUC∞を達成する。一部の実施形態では、ルルビネクテジンは、SCLC患者に、1日のオン及び20日のオフのサイクル(1/20サイクル)で投与される。一実施形態では、投与サイクルは、1/20サイクルであり、標的平均AUC∞は、約551μg*h/Lである。一実施形態では、投与サイクルは、1/20サイクルであり、標的平均AUC∞は、約551μg*h/L±5%、約551μg*h/L±10%、約551μg*h/L±20%、又は約551μg*h/L±25%である。好ましい実施形態では、投与サイクルは、1/20サイクルであり、標的平均AUC∞は、約551μg*h/Lの80%~125%以内である。一実施形態では、投与サイクルは、1/20サイクルであり、平均標的Cmaxは、約107μg/Lである。一実施形態では、投与サイクルは、1/20サイクルであり、平均標的Cmaxは、約107μg/L±5%、約107μg/L±10%、約107μg/L±20%、又は約107μg/L±25%である。好ましい実施形態では、投与サイクルは、1/20サイクルであり、平均標的Cmaxは、約107μg/Lの80%~125%以内である。
【0051】
腎臓、肝臓、及び血液学的な障害は、SCLCで悩む患者へのルルビネクテジンの投与の前に除外する必要がある。一実施形態では、SCLCで悩む患者は、少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数、少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数、任意選択で少なくとも9g/dLのヘモグロビンレベル(必要に応じて輸血を伴う)を有すると決定されるが、第1の用量約3.2mg/m2のルルビネクテジンを投与される。別の実施形態では、SCLCで悩む患者は、30mL/分超の推定肝クリアランス、及び3×ULN未満のAST若しくはALT、又は1.5×ULN未満のビリルビン、及び30mL/分超の推定クレアチニンクリアランスを有すると決定されるが、第1の用量約3.2mg/m2のルルビネクテジンを投与される。第2の用量約3.2mg/m2のルルビネクテジンは、第1の用量の約21日後に患者に投与され、更に、血液学的、腎臓、及び肝臓のパラメータが安定し続けている場合、このレベルの投薬を継続する。特定の実施形態では、患者は、患者が少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有する場合、ある用量、特に初期用量若しくは事前の用量の3週間後のスケジュールされた用量、3.2mg/m2で、又は低減された用量のルルビネクテジンを投与される。好ましい投薬を達成するために、好ましくはルルビネクテジン約3.2mg/m2は、用量毎、例えば静脈内注入毎に投与される。ルルビネクテジンの投薬は、用量毎、例えば静脈内注入毎にルルビネクテジン約3.2mg/m2、又は以下で論じる低減されたその用量を含みうる。
【0052】
抗嘔吐剤処置
成人患者における転移性SCLCを含むSCLC及び充実性腫瘍の処置に対する最良の支持的ケアは、いくつかの一時的な処置を含む。例えば、本発明の一実施形態では、最良の支持的ケアは、1つ又は複数の、好ましくは全ての、疼痛を制御する鎮痛剤の投与、便秘の管理、並びに呼吸困難の処置、及びヘモグロビンレベル(即ち、9g/dL超)を維持するように、例えば輸血による貧血の処置を含む。
【0053】
他の実施形態では、療法は、ルルビネクテジン投与に関連する悪心及び/又は嘔吐を具体的に予防し、処置又は管理するために投与され、以下に記載される。
【0054】
化学療法剤は、その催吐性が異なる。抗嘔吐剤の予防的投与がない場合、90%超の嘔吐のリスクに関連する薬剤は、高い催吐性の化学療法と分類し、30%~90%の嘔吐のリスクに関連するものは、中程度の催吐性の化学療法と分類する。
【0055】
態様は、ルルビネクテジンで誘発される(急性又は遅延相の)悪心及び/又は嘔吐の予防及び処置の方法を含み、抗嘔吐に有効な量のセロトニンアンタゴニスト若しくはコルチコステロイド、又はその組合せは、ルルビネクテジンの投与の前に、特にルルビネクテジン投与の直前に、ルルビネクテジンの投与に伴う可能性がある悪心及び嘔吐の副作用を軽減するために、患者に投与される。好ましい実施形態は、それを必要とする患者の転移性SCLCを含むSCLCの処置、或いは患者へのルルビネクテジンの投与の副作用を軽減する処置であって、(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な1つ又は複数の抗嘔吐剤を投与する工程;並びに、(2)ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程を含む、処置である。ある特定の実施形態では、ルルビネクテジンは、単一薬剤の化学療法剤として投与される、及び/又は、ドキソルビシンと組み合わせて投与されない。他の実施形態では、患者は、イリノテカン75mg/m2と組み合わせてルルビネクテジン2mg/m2を投与する同じ日及び投与する前に、抗嘔吐剤療法を投与され、ある特定の実施形態では、処置サイクルの8日目に75mg/m2の用量のイリノテカンと共に投与されうる。
【0056】
一部の実施形態では、抗嘔吐剤は、静脈内又は経口で与えられる。1つ又は複数の抗嘔吐剤が静脈内で与えられる場合、1つ又は複数の薬剤は、ルルビネクテジンの投与の30~90分前、又はルルビネクテジンの投与の約30分前、約45分前、約60分前、約75分前、若しくは約90分前、好ましくは30若しくは60分前に投与される。1つ又は複数の抗嘔吐剤が経口で与えられる場合、1つ又は複数の薬剤は、ルルビネクテジンの投与の30~60分前、ルルビネクテジンの投与の約3時間~9時間前、又はルルビネクテジンの投与の約4時間前、約5時間前、約6時間前、約7時間前、約8時間前、若しくは約9時間前に投与される。一部の実施形態では、抗嘔吐剤は、コルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストからなり、コルチコステロイドは、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、又はメチルプレドニゾロンからなる群から選択され、セロトニンアンタゴニストは、オンダンセトロン、グラニセトロン、及びパロノセトロンからなる群から選択される。コルチコステロイドの用量は、静脈内送達されるデキサメタゾン約4mg~20mg、好ましくは静脈内送達される8mgである、又はこれらと同等である。セロトニンアンタゴニストの用量は、静脈内送達されるオンダンセトロン約8mg~16mg、好ましくは静脈内送達される8mgである、又はこれらと同等である。経口で与えられる場合、用量は、最大で24mgのオンダンセトロンと同等の用量まで増加することができる。好ましい実施形態では、予防的抗嘔吐剤は、8mgで静脈内投与されるデキサメタゾン、8mgで静脈内投与されるオンダンセトロン、又はその組合せを含む。
【0057】
一部の実施形態では、方法は、患者へのルルビネクテジンの投与後の2、3、又は4日以内、例えば、ルルビネクテジン投与後の同じ日に投与される、例えばルルビネクテジン投与後の2、3、4、5、6、7、若しくは8時間以内、及び/又はルルビネクテジン投与後の1、2、3、若しくは4日目に1つ又は複数の抗嘔吐剤を投与する工程を更に含む。ルルビネクテジン投与後に投与される1つ又は複数の抗嘔吐剤は、コルチコステロイドからなる群から選択され、コルチコステロイドは、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、及びメチルプレドニゾロン、セロトニンアンタゴニストから選択され、セロトニンアンタゴニストは、オンダンセトロン、グラニセトロン、及びパロノセトロン、及びメトクロプラミドから選択される。好ましい実施形態では、注入後の抗嘔吐剤処置は、デキサメタゾン4mg(経口)、オンダンセトロン8mg(経口)、若しくはメトクロプラミド10mg(経口若しくは注入として)、又はその組合せである。メトクロプラミドは、8時間間隔で投与されうる。一部の実施形態では、注入後の抗嘔吐剤は、静脈内投与される。一部の実施形態では、第1の用量の注入後の抗嘔吐剤は、ルルビネクテジン投与後の夜、又は1、2、3、4、5、6、7、若しくは8時間後に与えられ、注入後、最大で1、2、3、又は4日間継続する。一部の実施形態では、コルチコステロイド、例えばデキサメタゾンは、化学療法後の夜、又は1、2、3、4、5、6、7、若しくは8時間後にデキサメタゾン4mgと同等の用量で与えられ、次いで最大で1、2、3、又は4日間、1日2回与えられる。一部の実施形態では、メトクロプラミドは、最大で1、2、3、又は4日間、化学療法後に8時間毎、10~20mgの用量で経口投与される。他の実施形態では、セロトニンアンタゴニスト、例えばオンダンセトロンは、ルルビネクテジン投与後の最大で1、2、又は3日間、それぞれ12時間又は24時間毎にオンダンセトロン8mg又は16mgと同等の用量で、経口で与えられる。
【0058】
一部の実施形態では、抗嘔吐剤予防的投与及び任意選択で注入後の抗嘔吐剤処置は、ルルビネクテジン約2.0mg/m2、約2.6mg/m2、又は約3.2mg/m2を与えられるSCLC患者に静脈内注入により投与される。抗嘔吐剤予防的投与及び任意選択で注入後の抗嘔吐剤処置は、イリノテカンと組み合わせてルルビネクテジン1.0~2.0mg/m2を投与される充実性腫瘍患者に投与される。
【0059】
投与量及び用量低減
本発明の追加的な実施形態は、1日目に投薬されるルルビネクテジンに対して21日間の処置サイクルを超える(例えば、2週間超の)用量遅延の第1の用量3.2mg/m2のルルビネクテジンの投与時、SCLC患者、特に転移性SCLCの成人患者においてグレード2以上の有害事象(AE)を同定する場合での用量の修正を含む。
【0060】
一部の実施形態では、より少量のルルビネクテジンは、個々の療法に対して一般に使用される量と比較して使用される。一部の実施形態では、同じか又はそれより大きい治療効果は、個々の療法に対して一般に使用される量より少量(例えば、より低い用量又はより低頻度の投薬スケジュール)のルルビネクテジンを使用することで達成される。例えば、より少量のルルビネクテジンの使用により、ルルビネクテジン注入に関連する1つ又は複数の副作用の回数、重症度、頻度、又は期間の低減をもたらしうる。例えば、好ましい実施形態では、第1の用量の修正は、ルルビネクテジンの約3.2mg/m2から約2.6mg/m2(又は初期用量の80~85%)への用量低減であり、第2の用量の修正は、ルルビネクテジンの約2.6mg/m2から約2.0mg/m2(又は初期用量の60~65%)への用量低減である。第2の用量低減後、患者が、更なる用量低減を必要とする有害事象を経験する場合、処置を終了することができる。頻繁な若しくは長期的な(2週間超の)用量遅延を必要とする有害事象は、限定されないが、グレード3若しくはグレード4である任意の血液学的毒性、又は任意のグレード2、グレード3、若しくはグレード4の非血液学的毒性若しくは肝毒性のような有害反応を含む。グレード2、グレード3、又はグレード4の非血液学的毒性の場合では、以下のサイクルは、非血液学的パラメータがグレード1又は0に改善するまで遅延させる。2用量のルルビネクテジンの投与は、常に、少なくとも21日間、間隔を空ける。
【0061】
処置サイクルは、好中球数、血小板数、及び任意選択でヘモグロビンレベルのような血液学的パラメータが、絶対好中球数が1500個の細胞/mm3以上となり、血小板数が100,000個の細胞/mm3超となり、任意選択で、ある特定の実施形態ではヘモグロビンレベルが9g/dL以上となる(必要に応じて輸血を伴う)ように改善するまで開始しない。例えば、グレード3(重度)超の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)、又は頻繁な若しくは長期的な(2週間超の)用量遅延を必要とする任意の有害反応の第1の出現後、ルルビネクテジン用量は、3.2mg/m2から2.6mg/m2(又は初期用量の80~85%)に低減し、次のサイクルは、患者の好中球数が1500個の細胞/mm3超となり;血小板数が約100,000個の細胞/mm3超となり;ヘモグロビンレベルが約9g/dL超となるまで遅延させる。ある特定の実施形態では、同定した有害事象がグレード4の孤立性好中球減少症からなる場合、方法は、グレード4の孤立性好中球減少症を管理する予防的投与としてのある用量のG-CSF(「二次的G-CSF予防的投与」)と、その後のルルビネクテジン用量を低減するよりむしろ以前の用量と等しい用量のルルビネクテジンの患者への投与を含む。第1の用量低減後、患者が、用量低減を必要とする有害事象(グレード3(重度)超の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)、又は頻繁な若しくは長期的な(2週間超の)用量遅延を必要とする任意の有害反応)の1つに罹患する場合、一旦、患者が1500個の細胞/mm3以上の好中球、100,000個の細胞/mm3以上の血小板数、約9g/dL以上のヘモグロビンレベル(必要に応じて輸血を伴う)に回復すると、3週間後のその後の用量は、2.0mg/m2(初期用量の60~65%)に低減させる。第2の用量低減後、患者は、用量低減を必要とする有害事象を再び有し、処置を終了する。絶対好中球数が1500個の細胞/mm3以上となり、血小板数が100,000個の細胞/mm3以上となるように患者が回復しないことから、用量を2週間超、遅延させる場合、処置は終了することができる。
【0062】
同定した有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症のみではない場合、方法は、患者に低減させた用量のルルビネクテジンを投与する工程を含む。2用量のルルビネクテジンの投与は、ルルビネクテジンの用量に関わらず、少なくとも21日間、間隔を空ける必要がある。
【0063】
好ましい実施形態は、それを必要とする患者の転移性SCLCを含む小細胞肺がん(SCLC)の処置であり、(1)第1の用量3.2mg/m2のルルビネクテジンを患者に静脈内注入により投与する工程;(2)患者において有害反応を同定する工程であって、有害反応が、グレード3(重度)以上の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)、又は任意の他の有害反応からなる群から選択される、工程;並びに、(3)有害反応が同定した後で、患者の好中球数が1500個の細胞/mm3超となり;血小板数が約100,000個の細胞/mm3超となり;ヘモグロビンレベルが約9g/dL超となる後:(i)同定した有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)からなる場合、ある用量のG-CSF及び事前の用量に等しい用量のルルビネクテジンを患者に投与する工程;又は、(ii)同定した有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症のみではない場合、患者に低減された用量のルルビネクテジンを投与する工程であって、2用量のルルビネクテジンの投与が、21日、又は20~23日、又は少なくとも18、19、20、21、22、若しくは23日間、間隔を空ける、工程を含む。
【0064】
一部の実施形態では、グレード4の孤立性好中球減少症のみではない有害反応の第1の出現後、第1の用量低減は、第1の用量の80~85%である、又はグレード4の孤立性好中球減少症のみではない有害反応の第1の出現後、第1の低減された用量は、2.6mg/m2である。一部の実施形態では、グレード4の孤立性好中球減少症のみではない有害反応の第2の出現後、第2の低減された用量は、第1の用量の60~65%である、又はグレード4の孤立性好中球減少症のみではない有害反応の第2の出現後、第2の低減された用量は、2.0mg/m2であり、第2の低減された用量は、患者に投与される。ルルビネクテジンの投与は、第2の低減された用量の投与後の有害反応の同定後に中断される。
【0065】
最初の又はその後の用量のルルビネクテジンの投与の前、SCLC、特に転移性SCLCに罹患している成人患者を含む患者は、少なくとも1,500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有する。したがって、転移性SCLCを含むSCLCに対して少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有する患者を、患者が有害事象を経験する場合の用量遅延又は用量低減にしたがって、3週間毎に3.2mg/m2の用量でのルルビネクテジンの投与により処置する方法が提供される。
【0066】
方法は、転移性SCLCを含むSCLCの処置でのルルビネクテジン投与に関連しうる血液学的毒性、骨髄抑制効果、及び/又は肝毒性を、用量低減及び/又は用量遅延により管理するために提供される。用量遅延又は低減を引き起こしうる有害事象は、グレード4又は任意のグレードの発熱性好中球減少症(グレード4の好中球減少症は500個の細胞/mm3未満の好中球数である)、出血を伴うグレード3の血小板減少症又はグレード4の血小板減少症(グレード3の血小板減少症は25,000~50,000個の血小板/mm3であり、グレード4の血小板減少症は25,000個の血小板/mm3未満である)、グレード2以上の肝毒性又は他の有害反応を含む。これらの有害反応の全ての場合、その後の用量は、患者がグレード1以下の好中球減少症(1500個の細胞/mm3超)を呈し、100,000個の細胞/mm3の血小板数、又はグレード1以下である肝毒性若しくは他の有害反応を有するように患者が回復するまで遅延されうる。回復後にグレード4の好中球減少症、又は任意のグレードの発熱性好中球減少症、出血を伴うグレード3若しくはグレード4の血小板減少症、又はグレード3以上の肝毒性若しくは他の有害反応を呈する患者は、その後の処置サイクルに対して低減された用量を投与される。事前の用量が3.2mg/m2であった場合、低減された用量は2.6mg/m2であり、事前の用量が2.6mg/m2であった場合、低減された用量は3週間毎に2.0mg/m2である。患者が2.0mg/m2の用量後に用量低減を示す有害事象を経験する場合、処置は終了することができる。グレード4の好中球減少症を呈する患者に対して、その後の用量は、一旦、患者が回復すると、低減しなくてもよく、即ち、患者がG-CSF予防的投与を投与される場合、3週間毎に事前の用量と同じでありうる。グレード2の肝毒性又は他の有害反応を呈する患者に対して、その後の用量は、患者がグレード1以下の毒性に回復した後、3週間毎に事前の用量と同じである。
【0067】
したがって、少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有するそれを必要とする患者に、3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを、好ましくは60分にわたる注入によって投与することにより、転移性SCLCを含むSCLCを処置する方法が提供される。更なる実施形態では、以前の用量の21日後、患者は、少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有し、3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを、好ましくは60分にわたる注入によって投与される。実施形態では、患者は、ルルビネクテジンの投与前に、肝毒性をモニタリングし、肝毒性を有していない。その後の処置は、21日(3週間)間隔で、少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有する患者に投与される。
【0068】
ある特定の実施形態では、60分にわたる注入によることを含む、ルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量で投与することにより、それを必要とする患者の転移性SCLCを含むSCLCを処置し、次いで有害な血液学的又は肝臓の反応に対して患者をモニタリングする方法が提供される。3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを投与されている患者がグレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)又は任意の発熱性好中球減少症を呈する場合では、その後の用量のルルビネクテジンは、事前の用量の21日後、又は患者がグレード1未満の好中球減少症(少なくとも1500個の細胞/mm3)を呈する時(以前の用量を過ぎて21日より長い可能性がある)のうちの遅い方の時点まで投与されず、次いで、3週間毎に低減された用量2.6mg/m2でルルビネクテジンを投与するか、又はG-CSF予防的投与と共に、3週間毎に3.2mg/m2の用量でルルビネクテジンを投与するかのいずれかである。結局、3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンを投与されている患者は、出血を伴うグレード3の血小板減少症(25,000~50,000個の血小板/mm3)又はグレード4の血小板減少症(25,000個の血小板/mm3未満)を呈し、次いで、以前の用量の21日後、又は患者が100,000個の細胞/mm3以上の血小板数を呈する時のうちの遅い方の時点まで、その後の用量のルルビネクテジンは投与されず、その後の用量は、3週間(21日)毎の低減された用量2.6mg/m2である。結局、3.2mg/m2用量のルルビネクテジンを投与されている患者は、グレード2又はグレード3若しくは4のいずれかである肝毒性又は他の有害反応を呈し、次いで、以前の用量の21日後、又は患者がグレード1以下の肝毒性(若しくは他の有害反応)を呈する時のうちの遅い方の時点まで、その後の用量のルルビネクテジンは投与されず、患者がグレード2の肝毒性(又はグレード2の他の有害反応)を呈している場合、その後の用量は3週間毎の3.2mg/m2の用量であり、患者がグレード3又は4の肝毒性若しくは他の有害反応を呈している場合、その後の用量は3週間(21日)毎の2.6mg/m2の低減された用量である。用量低減後、患者が、グレード4の好中球減少症、又は任意のグレードの発熱性好中球減少症、出血を伴うグレード3の血小板減少症若しくはグレード4の血小板減少症、又はグレード3若しくは4での肝毒性若しくは他の有害反応の1つを呈する場合、その後の用量は、21日、又は患者が上に詳述した通り回復している時のうちの遅い方の時点まで投与せず、その後、3週間毎に更に低減された用量2mg/m2のルルビネクテジンを投与するか、又はグレード4の好中球減少症の場合、G-CSF予防的投与と共に、事前の用量と同じ用量のルルビネクテジンを投与する。患者が、2mg/m2の用量でルルビネクテジンを許容しなくなる(即ち、ルルビネクテジン投与後にグレード4の好中球減少症、又は任意のグレードの発熱性好中球減少症、出血を伴うグレード3の血小板減少症若しくはグレード4の血小板減少症、又はグレード3若しくは4での肝毒性若しくは他の有害反応の1つを呈する)場合、又は投与の遅延が、スケジュールされた用量を過ぎて2週間より長い(事前の用量の21日後である)場合、処置は中断される。
【0069】
強力又は中程度のCYP3A阻害剤との共投与は、ルルビネクテジンの全身曝露を増大させるので、CYP3A阻害剤を服用する患者には、CYP3A阻害剤を取り除かせるか、若しくはCYP3A阻害剤の服用の中止を助言するかのいずれかがなされる、又はルルビネクテジンの用量を、例えば、3.2mg/m2の用量、若しくは2.6mg/m2若しくは2.0mg/m2の用量から低減させる。CYP3A阻害剤の例は、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ジルチアゼム、イトラコナゾール、ケトコナゾール、リトナビル、ベラパミル、ゴールデンシール、及びグレープフルーツを含む。したがって、患者がCYP3A阻害剤を服用していない(薬物相互作用を避けるためにルルビネクテジン投薬に先だってCYP3A阻害剤を取り除く)場合、3週間毎にルルビネクテジン3.2mg/m2を含む用量のルルビネクテジン、又は、患者がCYP3A阻害剤も服用している場合、2.6mg/m2若しくは2.0mg/m2を含む3.2mg/m2未満の用量のルルビネクテジンの投与により、SCLC、特に転移性SCLC、又は充実性腫瘍に対して患者を処置する方法が提供される。
【0070】
強力なCYP3A誘発物質との共投与は、効能を低下させうるルルビネクテジンの全身曝露を低減する。CYP3A誘発物質の例は、フェノバルビタール、フェニトイン、リファンピシン、セントジョーンズワート、及びグルココルチコイドを含む。したがって、3週間毎にルルビネクテジン3.2mg/m2を含む用量のルルビネクテジンの投与により、SCLC、特に転移性SCLC、又は充実性腫瘍に対して患者を処置する方法が提供され、患者は、強力又は中程度のCYP3A誘発物質を服用していない。
【0071】
充実性腫瘍に対する併用療法
他の実施形態では、本発明は、がんの処置、より具体的には、充実性腫瘍、特に子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫(ユーイング肉腫及び滑膜肉腫を含む)、神経膠芽細胞腫(天幕上又は天幕内腫瘍(intratentorial tumor)を含む)、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、並びに上皮卵巣がんの処置における、ルルビネクテジンとトポイソメラーゼI及び/又はII阻害剤との組合せに関する。好ましい実施形態では、充実性腫瘍は、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫(ユーイング肉腫及び滑膜肉腫を含む)、又は神経膠芽細胞腫である。一部の実施形態では、充実性腫瘍の患者を処置する方法は、他の抗がん剤、例えばSN-38又はイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせてルルビネクテジンを1~2.5mg/m2の用量で投与する工程を含み、ルルビネクテジンは、1~2.5mg/m2、特に2.0mg/m2の用量で投与され、トポイソメラーゼ阻害剤は、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される。トポイソメラーゼI及び/又はII阻害剤の化学療法剤群は、限定されないが、トポテカン、SN-38、イリノテカン、カンプトテシン、ルビテカン、エトポシド、アムサクリン、及びテニポシドを含む。特に、好ましいのは、がん、特に充実性腫瘍の処置における、より具体的には子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫(ユーイング肉腫及び滑膜肉腫を含む)、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、並びに上皮卵巣がんの処置における、ルルビネクテジンとイリノテカンとの組合せである。
【0072】
一部の実施形態では、ルルビネクテジンは、1、1.5、2、又は2.4mg/m2の用量で投与され、トポイソメラーゼ阻害剤は、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される。好ましい実施形態では、ルルビネクテジンは、2mg/m2の用量で投与され、イリノテカンは、75mg/m2の用量で投与される。G-CSFは、組合せにより患者に投与される。
【0073】
一部の実施形態では、ルルビネクテジン及びトポイソメラーゼ阻害剤は、処置サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、方法は、G-CSFを患者に投与して、療法の骨髄抑制効果を管理する工程を更に含む。別の実施形態では、トポイソメラーゼ阻害剤は、処置サイクルの7、8、9、又は10日目に患者に更に投与される。一部の実施形態では、処置サイクルは、18、19、20、21、22、23、24、又は25日サイクルである。
【0074】
特定の実施形態では、療法の骨髄抑制効果を管理するG-CSF投与と共に、処置サイクルの1日目にある用量、特に2.0mg/m2の用量のルルビネクテジン、及び75mg/m2の用量のイリノテカンを、次いで処置サイクルの8日目に75mg/m2の用量のイリノテカンを投与することにより、それを必要とする患者の充実性腫瘍を処置する方法が提供される。処置サイクルは、その後の処置サイクルが22日目に開始するように3週間(21日)サイクルでありうる。ある特定の実施形態では、処置サイクルの1日目に投与される組合せ用量後に血液学的毒性(グレード3~4の有害事象を含む)を呈する患者は、8日目に(若しくは処置サイクルでの任意の他の時間で)イリノテカン用量を投与されえない、又は処置サイクルの8日目に若しくは処置サイクル中の任意の他の時間で低減された用量のイリノテカンを投与されうる。処置は、疾患進行又は許容されない毒性が起こるまでは、多数の処置サイクルを含みうる。特に、患者は、8、10、12、15、20、若しくは30、又はそれ以上の回数の併用処置のサイクルを含む、1、2、3、4、5、又はそれ以上の回数を投与されうる。
【0075】
特定の実施形態では、併用処置の方法により、腫瘍サイズの縮小、(特にSCLCに対して)少なくとも4.3か月、(特に子宮内膜がんに対して)少なくとも7.1か月、(特に軟部組織肉腫に対して)少なくとも2.6か月、又は(特に神経膠芽細胞腫に対して)少なくとも1.4か月のメジアンの無進行生存期間がもたらされる。
【0076】
一実施形態では、方法は、(ルルビネクテジンでのSCLCの処置に対して上に詳述される)処置サイクルの1日目に1つ又は複数の抗嘔吐剤を、及びSCLCの処置に対して本明細書に記載の注入後の抗嘔吐剤処置を投与する工程を更に含む。
【0077】
医薬組成物及び調製方法
使用することができるルルビネクテジンの医薬組成物は、静脈内投与に適した添加剤を含む、溶液、凍結乾燥組成物等を含む。
【0078】
一態様では、ルルビネクテジンは、ルルビネクテジン、有機酸由来の緩衝剤(例えば有機カルボン酸緩衝剤)、二糖、及び組成物を適切な溶媒に復元する場合に注射に適切なpHをもたらすのに十分な塩基を含む、安定した無菌的凍結乾燥生成物として供給及び保存される。
【0079】
一部の実施形態では、有機カルボン酸緩衝剤は、乳酸、酪酸、プロピオン酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルコン酸、及びα-ケトグルタル酸からなる群から選択される有機酸に由来する。一部の実施形態では、有機カルボン酸緩衝剤は、乳酸又はコハク酸から選択される有機酸に由来する。一部の実施形態では、有機カルボン酸緩衝剤は、乳酸に由来する。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝剤ではない。
【0080】
一部の実施形態では、二糖は、スクロース、トレハロース、若しくはラクトース、又はその組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、二糖はスクロースである。
【0081】
一部の実施形態では、塩基は、炭酸塩、水酸化物、炭酸水素塩、及びアンモニウム塩からなる群から選択される。特に好ましい塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、NH4OH、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、及び炭酸水素カルシウムである。一部の実施形態では、塩基は水酸化ナトリウムである。
【0082】
一部の実施形態では、復元された凍結乾燥組成物のpHは、約4である。一部の実施形態では、復元された凍結乾燥組成物のpHは、およそ約3~約5である。一部の実施形態では、復元された凍結乾燥組成物のpHは、およそ約3.5~約4.5である。一部の実施形態では、復元された凍結乾燥組成物のpHは、3.8~4.1である。
【0083】
一部の実施形態では、安定した凍結乾燥生成物は、ルルビネクテジン;乳酸;水酸化ナトリウム、及びスクロースを含み、復元された凍結乾燥組成物のpHは、3.8~4.1である。一部の実施形態では、安定した凍結乾燥生成物は、ルルビネクテジン4mg;乳酸22.1mg;水酸化ナトリウム5.1mg(又はラクテート約0.25mmolを含む);及び、スクロース800mgを含む。一部の実施形態では、安定した凍結乾燥生成物は、ルルビネクテジン4mg;乳酸22.1mg;水酸化ナトリウム5.1mg(又はラクテート約0.25mmolを含む);及び、スクロース800mgから本質的になる。
【0084】
本発明のルルビネクテジン含有製剤は、ルルビネクテジン、乳酸緩衝剤又はコハク酸緩衝剤のような有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む緩衝化バルク溶液の形態で本発明の組成物を凍結乾燥することにより作製することができる。二糖は、好ましくはスクロースである。通常、バルク溶液は、例えば、約3~5、好ましくは約3.5~4.5、より好ましくはpH3.8~4.1のpHに緩衝化される。好ましい緩衝化剤は、乳酸ナトリウム緩衝剤である。好ましい実施形態では、乳酸緩衝剤は、乳酸及び塩基、好ましくは水酸化ナトリウムのような無機の薬学的に許容される塩基を含む。
【0085】
そのため、本発明の実施形態では、ルルビネクテジン、乳酸緩衝剤又はコハク酸緩衝剤のような有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む、緩衝化された凍結乾燥組成物が提供され;緩衝剤は、復元時、復元された凍結乾燥組成物のpHが、約3~約5、約3.5~約4.5、又は3.8~4.1であるように構成される。
【0086】
本発明は、不純物生成を最小限にする一方、所望の緩衝剤においてルルビネクテジンの完全な溶解を可能にする同定した方法論を有する。実施形態では、有機酸緩衝剤の使用は、(好ましくは約1~5、約2~4.5、約3~4.5、又は約4のpHでの)有機酸緩衝剤へのルルビネクテジンの直接的な溶解と、その後の二糖、好ましくはスクロースのような増量剤の添加を可能にする。このような製剤戦略は、バルク製剤への直接的な溶解を可能にし、予備溶解の工程に対する必要性を避ける。一実施形態では、(好ましくは約1~5、約2~4.5、約3~4.5、又は約4のpHで)有機酸緩衝剤にルルビネクテジンを溶解し、その後、二糖、好ましくはスクロースのような増量剤を添加して、バルク溶液を形成することを含む、ルルビネクテジンの直接的な溶解が提供される。バルク溶液は、滅菌濾過を行うことができる。次いで、バルク溶液は、所望の用量にしたがってバイアルに充填することができる。次いで、バイアル中のバルク溶液を凍結乾燥して、凍結乾燥した緩衝化ルルビネクテジン製剤を形成することができる。次いで、凍結乾燥製剤を復元して、復元された溶液を形成することができる。復元された溶液を希釈して、注射溶液を形成することができる。好ましくは、直接的な溶解で、ルルビネクテジンは、非晶質又は実質的な非晶質である。
【0087】
本明細書で説明する通り、ルルビネクテジンは、限定された水溶解度を有する。ルルビネクテジン溶解度が、注射用水で更に希釈される、有機酸、例えば乳酸、コハク酸、クエン酸、又は酢酸由来の緩衝剤においてルルビネクテジンの濃縮した予備溶液を最初に形成することにより、バルク溶液で改善されることを見出した。次いで、二糖は、塩基性成分、例えば水酸化ナトリウム水溶液を含有する水溶液に溶解させ、pHを設定値に調節する場合、ルルビネクテジンの予備溶液及び二糖を含有する緩衝液を混合して、二糖(例えばスクロース)を含有するpH=4の有機緩衝剤においてルルビネクテジンのバルク溶液を得る。このプロセスに続いて、ルルビネクテジン濃度をバルク溶液で増加させ、バイアルの充填体積を低減させることを可能にすることができる。本発明のこれらの実施形態では、充填体積は、通常、従来の充填体積のものに対して約80%低減する。例示として、限定されないが、本発明の実施形態は、10mlのバイアル内の溶液2ml中のルルビネクテジン1mg;又は、30mlのバイアル内の溶液8ml中のルルビネクテジン4mgの充填体積を提供する。充填体積は、任意選択で、ルルビネクテジン濃度を増加させることにより、本発明の他の実施形態では、更に低減することができる。
【0088】
ルルビネクテジンを乳酸、例えば0.31Mの乳酸(25mg/mL)に溶解し、続いて溶液を注射用水で希釈して、0.1Mの乳酸中のルルビネクテジン濃縮溶液を得る工程、予備溶解したルルビネクテジンを含有する溶液を、乳酸ナトリウム緩衝剤及び二糖を含む緩衝塩溶液と混合する工程、並びに、任意選択で、pHを調節する工程を含む、バルク溶液においてルルビネクテジンの溶解度を改善するのに有用な方法が提供される。本発明の一部の例示的だが限定されない実施形態では、pH調節は、乳酸緩衝剤で達成される。
【0089】
本発明にしたがって凍結乾燥するためのバルク溶液の例示的な実施形態は、増量剤としてのスクロースと共に水酸化ナトリウム及び乳酸で、pH4で緩衝化したルルビネクテジンの溶液により提供される。
【0090】
本発明にしたがう方法論の例示的な実施形態は、以下を提供する:ルルビネクテジンは、pH約3の0.31Mの乳酸に溶解し、続いて注射用水で希釈して、pH約3の0.1Mの乳酸中の8.3mg/mLのルルビネクテジンのルルビネクテジン濃縮溶液を得る。乳酸ナトリウム緩衝塩溶液は、0.31Mの乳酸溶液を0.01Mの水酸化ナトリウム溶液と混合して、0.05Mの乳酸緩衝塩溶液を創出することにより調製する。次いで、スクロースを乳酸ナトリウム緩衝塩溶液に添加する。スクロースを含有する0.05Mの乳酸緩衝塩溶液を注射用水で希釈して、17%のスクロースを含有する0.04Mの乳酸ナトリウム緩衝剤、pH約4.2を得る。次いで、pH約3の0.1Mの乳酸中の8.3mg/mLのルルビネクテジン及び17%のスクロースを含有するpH約4.2の0.04Mの乳酸ナトリウム緩衝剤の両溶液を混合する。溶解は、継続する前に全ての工程で視覚的にチェックし、視覚的にそう理解される場合に完了と見なされる。溶液のpHをチェックし、適した酸又は塩基の低速添加により約1~約5の範囲、より好ましくは約2~約4.5の範囲、なおより好ましくは約3~約4.5の範囲、最も好ましくは約4.0のpHに値を調節する。このような酸の好ましい実施形態は乳酸であり、この場合、好ましい濃度は約0.1Mである。適した塩基は、任意選択で、pH制御のために添加する。このような塩基の好ましい実施形態は、好ましくは溶液中の水酸化ナトリウムであり、この場合、好ましい濃度は約0.1Mである。体積は、適した生体適合性流体、好ましくは注射用水の添加により最終的に調節する。得られるバルク溶液は、好ましくは、10%(w/v)のスクロースを含むpH=4の0.03Mの乳酸ナトリウム緩衝剤中にルルビネクテジン0.5mgを含む。次いで、バルク溶液は、所望の用量にしたがってバイアルに充填させる。
【0091】
実施形態では、溶解させうるルルビネクテジンは、少なくとも部分結晶性である。溶解させうるルルビネクテジンは、本明細書で記載の固体状態でありうる。結晶性ルルビネクテジン(部分結晶性ルルビネクテジンを含む)は、非晶質ルルビネクテジンより可溶性が低いことが見出される。一例として、pH4の0.03Mの乳酸ナトリウム緩衝剤への0.5mg/mLでの非晶質ルルビネクテジンの直接的な溶解は、およそ30分で完了し、部分結晶性ルルビネクテジンは、2時間で標的濃度の60~70%のみに達したが、これは更により低速な溶解速度論を有することを意味する。
【0092】
pHを低下させることで部分結晶性ルルビネクテジンの溶解速度論を加速させることが見出されている。そのため、実施形態では、濃縮したルルビネクテジン溶液は、他の添加剤を添加する前に有機酸で調製される。好ましい実施形態では、有機酸は、4未満、好ましくは3.5未満、より好ましくは3未満、又はおよそ3のpHを有する。ルルビネクテジンの最大溶解度は、有機酸である乳酸の異なるモル濃度で調査した。溶解度は高く、0.05Mの乳酸に対する7.2mg/mlから0.5Mの乳酸に対する90.4mg/mlの範囲に直線的に上昇した。好ましい実施形態では、ルルビネクテジンは、およそ0.1M~0.5M、好ましくはおよそ0.2M~0.4M、より好ましくはおよそ0.3Mの有機酸のモル濃度を有する有機酸に溶解する。例示的なモル濃度は、0.31Mの有機酸である。
【0093】
ルルビネクテジンは、高濃度の有機酸で予備溶解することができる。好ましい実施形態では、予備溶解の工程は、少なくとも30分、少なくとも60分、若しくは少なくとも90分、30~90分、60~90分、60~70分、又はおよそ60分である。溶解に続いて、予備溶解した溶液を希釈して、例えば8.3mg/mlの必要な濃度を形成することができる。希釈は、標的濃度を得るためのWFIでの1倍、2倍、3倍、又はそれ以上の希釈を含みうる。実施形態では、希釈を実行して、適切なモル濃度での所望の濃度を達成する。一例として、初期体積の2倍の有機酸を添加する3倍希釈は、0.1Mの有機酸(例えば乳酸)中の8.3mg/mLを達成することができる。
【0094】
製造の間、溶解の工程に対して限定された内用量でありえ、したがって、ルルビネクテジン溶解は、限定された有機酸で有利に達成される。そのため、モル濃度の高い有機酸を使用することで、限定された有機酸体積中で高いルルビネクテジン濃度を達成することができる。
【0095】
実施形態では、多工程の合成戦略を使用してルルビネクテジンを調製する。工程1は、上述の予備溶解の工程であって、例えば:25mg/mLで0.31Mの乳酸に部分結晶性ルルビネクテジンを予備溶解する工程、及びWFIで3倍希釈して0.1Mの乳酸中に8.3mg/mLで濃縮溶液を得る工程である。ルルビネクテジンの沈殿を避けるために、残留する添加剤は、合成する製剤に添加する場合、酸性のpHを有する必要がある。高濃度のルルビネクテジン溶液が、ルルビネクテジンの沈殿を伴わずに、5.6以下、例えば4~5.6又は4.2~5.6のpHで緩衝液と混合することができることが見出されている。そのため、工程2では、増量剤(例えば二糖)を含有する有機緩衝液は、適したpHで調製することができる。一例として、これは、スクロースを含有するおよそ4.2のpHでの0.04Mの乳酸ナトリウム緩衝剤の調製を含みうる。工程3では、工程1及び工程2由来の溶液を組み合わせて、最終的なバルク溶液を形成する。最終的なバルク溶液をWFIで調節して、最終的な標的質量を達成することができる。一例として、工程3では、pH≒3での0.1Mの乳酸中の8.3mg/mLのルルビネクテジン濃縮溶液を、スクロースを含有するpH≒4.2での0.04Mの乳酸ナトリウム緩衝剤で希釈する。最終的な質量へのWFIの調節後の最終的なバルク溶液組成は、一例として、pH=4の0.03Mの乳酸ナトリウム緩衝剤+10%(w/v)のスクロース中の0.5mg/mLのルルビネクテジンでありうる。したがって、本発明は、部分結晶性ルルビネクテジンを製剤化する合成戦略を同定する。
【0096】
一実施形態では、凍結乾燥組成物は、ルルビネクテジン4mg、スクロース800mg、乳酸22.1mg、及び水酸化ナトリウム5.1mgを含む、又はこれらからなる。一部の実施形態では、凍結乾燥組成物での質量比は、0.4%~0.6%(w/w)の活性化合物、96%~98%(w/w)のスクロース、2%~3%(w/w)の乳酸、及び0.5%~0.7%(w/w)の水酸化ナトリウムである。好ましい実施形態では、凍結乾燥組成物での質量比は、0.5%(w/w)の活性化合物、96.2%(w/w)のスクロース、2.7%(w/w)の乳酸、及び0.6%(w/w)の水酸化ナトリウムである。凍結乾燥製剤は、ルルビネクテジン4mgに対して約0.25mmolの乳酸イオンを含有する。バイアル中で8mlに復元する場合、得られる溶液は、約pH4.0(pH3.5~4.5、好ましくは3.8~4.5の範囲)で、0.5mg/mlのルルビネクテジン、0.03Mの乳酸ナトリウム緩衝剤、10%w/vのスクロースである。
【0097】
凍結乾燥した物質は、通常、定量のルルビネクテジンを含有するバイアル中に存在する。好ましくは、ルルビネクテジンの凍結乾燥組成物は、30mLのバイアルで提供される。凍結乾燥組成物中の定量のルルビネクテジンは、0.2~5mg、又は約1mg、約2mg、約3mg、若しくは約4mgでありうる。凍結乾燥組成物中の定量のルルビネクテジンは、好ましくは4mgである。凍結乾燥した実施形態では、組成物は、0.4質量%~0.6質量%のルルビネクテジンを含有し、好ましくは0.5%である。
【0098】
ルルビネクテジンが無菌的(sterile)であり、無菌的に(aseptically)バイアルに充填されることを確実にする必要がある。これは、非経口薬物にとって重要である。本発明の実施形態にしたがって、加熱又はガンマ照射による最終滅菌は、ルルビネクテジンの分解を避けるために使用しない。代わりに、本発明の実施形態にしたがって、ルルビネクテジンのバルク溶液の滅菌濾過を、無菌的なバイアル充填の前に実行する。実施形態では、フィルターは、PVDF又はPESのようなフィルターでありうる。実施形態では、フィルターは、0.2μmのフィルターでありうる。
【0099】
ルルビネクテジン医薬製剤の保存
本発明の実施形態はまた、凍結乾燥ルルビネクテジン組成物を保存する方法を提供する。ルルビネクテジンが少なくとも24か月間安定であることを確実にする必要がある。ルルビネクテジン凍結乾燥製剤は、5℃±3℃での長期的な保存後に、ルルビネクテジンがその治療有効性を保持し、最小限の化学分解を呈するように安定した保存である(例えば、分解は最小限にし、許容される許容性以内にあり;例えば、HPLC解析により決定される、ルルビネクテジンの不純物及び分解生成物のプロファイル、不純物及び分解生成物の各々の量、ルルビネクテジン含有量は、長期的な保存の前後で実質的に同じである)。
【0100】
一態様では、本開示の凍結乾燥ルルビネクテジン組成物は、組成物が長期的な時間(例えば少なくとも24か月)保存される場合、(市販のHPLCアッセイにより0.87~0.88の相対保持時間を有する)ルルビネクテジンの脱アセチル化から得られるルルビネクテジン分解生成物(「不純物D」)の量を最小限にする。一部の実施形態では、存在する不純物Dの量は、5℃±3℃での長期的な保存後、製剤中のルルビネクテジン総質量の0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、又は0.8%wt/wt未満である。不純物B、D、及びGは、以下の構造を有する。
【0101】
【化2】
【0102】
好ましい実施形態では、凍結乾燥ルルビネクテジン組成物を保存する方法は、ルルビネクテジン4mg;乳酸緩衝剤;及び二糖を含む凍結乾燥組成物を、5℃±3℃の温度で少なくとも24か月間保存する工程を含み、凍結乾燥組成物は、水8mLで復元すると3.5~4.5のpH、0.5mg/mlのルルビネクテジン濃度を有する溶液を得られるように製剤化され、少なくとも24か月の保存後、組成物中に存在する不純物Dの量は、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.以下である。一部の実施形態では、凍結乾燥ルルビネクテジン組成物は、5℃±3℃の温度で、少なくとも24か月、30か月、36か月、42か月、48か月、若しくは60か月間、又は少なくともこれらの期間の間保存し、24か月、30か月、36か月、42か月、48か月、又は60か月の保存後、組成物中に存在するルルビネクテジン分解生成物の不純物Dの量は、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.以下である。一部の実施形態では、約5℃±3℃での60か月の保存後の組成物中に存在する不純物Dの量は、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.以下、又は0.7%wt./wt.未満、0.6%wt./wt.未満、0.5%wt./wt.未満、若しくは0.4%wt./wt.未満である。一実施形態では、組成物中に存在するルルビネクテジン分解生成物の不純物Dの量は、少なくとも36か月の保存後のルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.以下である。一部の実施形態では、約5℃±3℃での24か月、30か月、又は36か月の保存後の不純物及び分解生成物の総%(%面積として)は、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、又は1.0%(%面積)以下である。一部の実施形態では、組成物中に存在する不純物Dの初期量(即ち凍結乾燥の1日目)は、ルルビネクテジン総質量の0.4%wt./wt.未満である。一部の実施形態では、組成物中に存在する不純物Dの初期量は、ルルビネクテジン総質量の少なくとも0.05%wt./wt.又は少なくとも0.1%wt./wt.である。一部の実施形態では、組成物中に存在する不純物Dの初期量は、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.以下、0.5%wt./wt.以下、又は0.1%wt./wt.以下である。一部の実施形態では、約5℃±3℃での24か月、30か月、36か月、48か月、又は60か月の保存後、安定した凍結乾燥ルルビネクテジン製剤は、ルルビネクテジンアッセイの内容物の無視できる分解、例えば、製剤が作製されるバルク溶液と比較して、ルルビネクテジン総質量の1.0%、0.5%、又は0.2%以内のルルビネクテジンの量と比較したルルビネクテジンの量の低下を示す。
【0103】
したがって、モル比52~46、54~44、50~48、52~58、又はモル比51~48を含む、約48の緩衝剤対ルルビネクテジンのモル比で有機酸由来の緩衝剤(例えば有機カルボン酸緩衝剤、例えばコハク酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、又は乳酸緩衝剤)、並びに増量剤としてのスクロースを含む、安定した凍結乾燥ルルビネクテジン製剤が提供され、水8mLで復元することで、pH3.5~4.5又はpH3.8~4.1を含む約4.0のpHを有し、ルルビネクテジンの総質量の0.8%wt/wt以下、又は0.7%wt./wt.未満、0.6%wt./wt.未満、0.5%wt./wt.未満、若しくは0.4%wt./wt.未満で不純物Dを含み、好ましくは、不純物Dは、5℃±3℃での12か月、24か月、30か月、36か月、48か月、若しくは60か月の保存;又は、25℃/60%RHでの3か月、6か月、9か月、12か月、若しくは18か月の保存;又は、40℃/60%RHでの1か月、3か月、6か月、若しくは12か月の保存後にルルビネクテジンの総質量の0.8%wt/wtより多くまで増加しない。これらの実施形態では、ルルビネクテジンは、ルルビネクテジン4mg又は1日目のアッセイによるルルビネクテジンの量の95~105%又は97~103%である。
【0104】
製剤中の不純物Dが、5℃±3℃での12か月、24か月、30か月、36か月、48か月、若しくは60か月の保存;又は、25℃/60%RHでの3か月、6か月、9か月、12か月、若しくは18か月の保存;又は、40℃/60%RHでの1か月、3か月、6か月、若しくは12か月の保存後、特に、ルルビネクテジンの量がルルビネクテジン4mg又は1日目のアッセイによるルルビネクテジンの量の95~105%又は97~103%である場合、ルルビネクテジン総質量の0.5%wt/wt、0.6%wt/wt、0.7%wt/wt、又は0.8%wt/wtを超えないように、ルルビネクテジンを含む凍結乾燥製剤において、有機酸由来の緩衝剤、好ましくは乳酸緩衝剤又はコハク酸緩衝剤を組み込むことにより凍結乾燥製剤におけるルルビネクテジンの分解を低減する方法も提供される。
【0105】
安定した凍結乾燥ルルビネクテジン製剤の保存において最小限にしうる他の不純物又は分解生成物は、市販のHPLC法の以下の相対保持時間:rrt 0.68、rrt 0.80、rrt 1.11(不純物G)、及びrrt 1.12を有する分解生成物でありうる。
【0106】
更なる実施形態では、凍結乾燥ルルビネクテジン製剤に対する総残留含水率は、3%(w/w)以下、好ましくは1.5%(w/w)以下、好ましくは1%(w/w)以下であり、好ましくは0.5~0.7%(w/w)である。
【0107】
本発明の実施形態は、凍結乾燥ルルビネクテジン組成物を含有するバイアルを含む医薬生成物を更に提供する。好ましい実施形態では、医薬生成物は、ルルビネクテジン4mg;乳酸22.1mg;水酸化ナトリウム5.1mg(又はラクテート約0.25mmolを含む);及び、スクロース800mgからなる凍結乾燥組成物を含有するバイアル;並びに、製造日から少なくとも48か月である使用期限を含むバイアルに貼り付けた標識を含む。一部の実施形態では、バイアルに貼り付けた標識は、製造日から少なくとも24か月、少なくとも30か月、少なくとも36か月、少なくとも42か月、又は少なくとも48か月である使用期限を含む。一部の実施形態では、バイアルは、30mL~50mL、例えば30mL、35mL、40mL、45mL、又は50mLのサイズを有する。好ましい実施形態では、バイアルは、30mLのバイアルである。30mLのバイアルサイズは、凍結乾燥機容量を低減することにより生産能力の低下をもたらすより大きなバイアルサイズの制限、及びサイズによる適切な抽出可能な体積の制限を克服するために最適化される。30mLのバイアルサイズは、これらの制限の両方を克服する。
【0108】
ルルビネクテジンの固体状態及びその使用
本発明にしたがう実施形態では、予備凍結乾燥したルルビネクテジンは、少なくとも一部の結晶性物質を含む。予備凍結乾燥したルルビネクテジンは、部分結晶性でありうる。部分結晶性の予備凍結乾燥したルルビネクテジンを使用することで、不純物及び/又は分解生成物のより良好な制御を含む、利点をもたらす。
【0109】
本発明は、公知の非晶質形態(以下、形態A)より典型的な薬学的処理の条件下での取扱いが容易であるルルビネクテジンの新規の固体状態を同定している。非晶質形態Aは、WO03/014127に記載の方法により得ることができる。形態Aは、その操作中に静電気的に帯電し、生産問題を引き起こす。したがって、典型的な薬学的処理の条件下での取扱いがより容易であるルルビネクテジンの形態を得る必要がある。
【0110】
本発明にしたがう実施形態では、ルルビネクテジンの新規の固体状態が提供され、以下、ルルビネクテジンの形態Bと名付ける。形態Bは、公知の形態Aと比較して有利な物理的特性を示す。例えば、形態Bは、ルルビネクテジンの既知の形態より改善された摩擦電気的特性を示す。摩擦電気的荷電は、ある特定の物質が異なる物質と摩擦を介して接触した後に帯電するプロセスである。多くの薬学的操作では、未制御の静電気が重大な生産問題を引き起こしうる。これらの問題は、製品の汚染、製品の喪失、クリーニング、及び安全性を含み、問題は、ルルビネクテジンのようなナノモルサイズの細胞傷害性薬物では悪化しうる。最も厳密なクリーンルームでさえ、静電荷は、人間、プロセス、及び設備から微粒子を引き付けるので、最小限に保たれることを確実にするために適切な測定をすることが重要である。
【0111】
形態Bは、ルルビネクテジンの公知の形態より低い平均電荷密度を示す。形態Bはまた、ルルビネクテジンの公知の形態より狭い電荷密度の分散を示す。ルルビネクテジンの形態Bは、ルルビネクテジンの公知の形態より少ない残留溶媒を有する。形態Bはまた、ルルビネクテジンの公知の形態と比較して簡素化された不純物プロファイルを有する。これらの特徴は、医薬の調製にとりわけ適している。予備凍結乾燥のルルビネクテジンは、形態Bを含みうる。形態Bの量は様々であり、結晶混合物(部分結晶)と見なされうる。他の実施形態では、結晶混合物は、他の結晶性ルルビネクテジン(例えば、形態Bではない結晶性ルルビネクテジン)を含みうる。
【0112】
更なる実施形態では、本発明は、ルルビネクテジンの形態Bを調製するための方法であって、a)ルルビネクテジン又はそのプロトン化された形態を含む酸性水溶液を調製する工程;及び、b)得られた酸性水溶液を塩基又は塩基性緩衝剤で塩基性化して、ルルビネクテジンの形態Bを沈殿させる工程を含む方法に関する。ルルビネクテジンの形態Bは、異なる物理的形態、好ましくは非晶質形態に実質的に変換されうる。形態Bを製造プロセスで使用して、凍結乾燥したバルク生成物を調製することができる。
【0113】
更なる実施形態では、本発明は、ルルビネクテジンの形態B及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。このような組成物は、予備凍結乾燥の組成物でありうる。
【0114】
更なる実施形態では、本発明は、ルルビネクテジンの形態B及び薬学的に許容される担体を使用して製造されるルルビネクテジンを含む、医薬組成物に関する。医薬組成物は、いかなる形態Bのルルビネクテジンももはや含有しえないが、組成物の製造プロセスは、1つ又は複数の工程で少なくとも一部の形態Bを利用した。更なる実施形態では、本発明は、ルルビネクテジンを含む医薬組成物の製造における使用のためのルルビネクテジンの形態Bに関する。また更なる実施形態では、本発明は、ルルビネクテジンを含む医薬組成物の製造におけるルルビネクテジンの形態Bの使用に関する。また更なる実施形態では、本発明は、医薬としての使用のためのルルビネクテジンの形態Bに関する。ここでもまた、形態Bは、最終組成物中にもはや存在しえないが、製造中に利用することはできる。
【0115】
更なる実施形態では、本発明は、医薬としての使用のためのルルビネクテジンの形態B及び薬学的に許容される担体を含む組成物に関する。更なる実施形態では、本発明は、がんを処置するための医薬としての使用のためのルルビネクテジンの形態Bに関する。更なる実施形態では、本発明は、がんを処置するための医薬としての使用のためのルルビネクテジンの形態B及び薬学的に許容される担体を含む組成物に関する。
【0116】
更なる実施形態では、本発明は、ルルビネクテジンの形態Bを、好ましくは出発物質として利用するルルビネクテジンを含む医薬組成物の製造のための方法に関する。
【0117】
更なる実施形態では、本発明はまた、がんの処置における、ルルビネクテジンの形態Bの使用、又はルルビネクテジンの形態B及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の使用に関する。更なる実施形態では、本発明はまた、がんを処置するための医薬の調製における、ルルビネクテジンの形態Bの使用、又はルルビネクテジンの形態B及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の使用に関する。本発明の他の実施形態は、処置の方法、及びこれらの方法での使用のためのルルビネクテジンの形態Bである。したがって、本発明は、がんの影響を受けた任意の哺乳動物、特にヒトを処置する方法であって、影響を受けた個体に、治療有効量のルルビネクテジンの形態B若しくはルルビネクテジンの形態B及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物;又は、ルルビネクテジンの形態Bを利用する方法から作製される医薬組成物を投与する工程を含む方法を更に提供する。
【0118】
本発明は、がんの影響を受けた任意の哺乳動物、特にヒトを処置する方法であって、影響を受けた個体に、ルルビネクテジンの形態Bを介して製造されている治療有効量のルルビネクテジンを投与する工程を含む方法を更に提供する。本発明は、がんの影響を受けた任意の哺乳動物、特にヒトを処置する方法であって、影響を受けた個体に、ルルビネクテジンの形態Bを介して製造されているルルビネクテジンを含む治療有効量の医薬組成物、及び薬学的に許容される担体を投与する工程を含む方法を更に提供する。
【0119】
更なる実施形態では、本発明は、1%、0.5%、0.1%以下の、又は実質的に検出されない残留溶媒を有するルルビネクテジンに関する。更なる実施形態では、本発明は、1.6%w/w超、又は1.7~5%w/wの含水率を有するルルビネクテジンに関する。更なる実施形態では、本発明は、5%、4%、又は3%w/w以下の含水率を有するルルビネクテジンに関する。
【0120】
ルルビネクテジンの固体状態について、本発明のアルカンは、分岐又は非分岐でありえ、約5~約10個の炭素原子を有する。1つのより好ましいクラスのアルカンは、5~9個の炭素原子を有する。なおより好ましいのは、5、6、又は7個の炭素原子を有するアルカンである。本発明の特に好ましいアルカンは、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンである。本明細書で使用される場合、用語アルカンは、別段の指示がない限り、環状及び非環状アルカンの両方を指す。
【0121】
ルルビネクテジンの固体状態について薬学的に許容される溶媒は、医薬品規制調和国際会議のガイドライン「不純物:残留溶媒に関するガイドラインQ3C(R6)」のクラス2及びクラス3に分類されるものである。
【0122】
一実施形態では、本発明は、ルルビネクテジンの形態Bに関する。
【0123】
ルルビネクテジンの形態Bは、6.2±0.2°、7.6±0.2°、9.0±0.2°、10.9±0.2°、14.9±0.2°、及び15.3±0.2°から選択される2シータ角における4個以上の特徴的なピークを含むX線粉末回折図パターンを示すことにより特徴付けることができる。或いは、形態Bは、5個以上の前記特徴的なピークを含むX線粉末回折図パターンを示すことにより特徴付けることができる。或いは、形態Bは、6個全ての前記特徴的なピークを含むX線粉末回折図パターンを示すことにより特徴付けることができる。
【0124】
特に、ルルビネクテジンの形態Bは、以下の表に示すピーク及び強度を含むX線粉末回折図パターンにより特徴付けることができる。
【0125】
【表1】
【0126】
好ましい実施形態では、更なるピークは、12.4±0.2°、19.2±0.2°、及び26.5±0.2°の2シータ角において見出すことができる。特に、ルルビネクテジンの形態Bは、以下の表に示す特徴的なピーク及び強度を含むX線粉末回折図パターンにより特徴付けることができる。
【0127】
【表2】
【0128】
より好ましい実施形態では、更なるピークは、18.4±0.2°、20.7±0.2°、及び24.9±0.2°の2シータ角において見出すことができる。特に、ルルビネクテジンの形態Bは、以下の表に示す特徴的なピーク及び強度を含むX線粉末回折図パターンにより特徴付けることができる。
【0129】
【表3】
【0130】
最も好ましい実施形態では、本発明は、図2a又は図2bに示すX線粉末回折パターンのいずれか1つと実質的に同じであるX線粉末回折パターンを呈する、ルルビネクテジンの形態Bに関する。
【0131】
加えて、ルルビネクテジンの形態Bは、2928、1755、1626、1485、1456、1370、1197、1150、1088、1003、959、916、及び587の波長におけるピークを含むIRスペクトルを示すことにより特徴付けることができる。例示的なIRスペクトルは、図7bに示す。
【0132】
加えて、ルルビネクテジンの形態Bは、150℃超のTG-FTIR分解により特徴付けることができる。或いは、又は加えて、ルルビネクテジンの形態Bは、水の消失による150℃までのTG-FTIR質量変化により特徴付けることができる。水による消失は、約5%未満、約4%未満、又は約3%未満でありうる。或いは、又は加えて、ルルビネクテジンの形態Bは、水の、好ましくはおよそ2~3質量%の水の、より好ましくは2.6質量%の水の消失を示すTG-FTIRにより特徴付けることができる。例示的なTG-FTIRは、図3に示す。
【0133】
加えて、ルルビネクテジンの形態Bは、DSCにより特徴付けることができ、分解は、130℃超で開始する。例示的なDSCサーモグラムは、図4に示す。
【0134】
一実施形態では、ルルビネクテジンの形態Bは、約30nC/g以下、約20nC/g以下、約10nC/g以下、約6nC/g以下、約5nC/g以下、約5±2nC/g、約4±2nC/g、約4~5nC/g、約5nC/g、又は約4nC/gの平均電荷密度を有する。一実施形態では、ルルビネクテジンの形態Bは、4.8nC/g未満、約0.7nC/g~4.8nC/g未満の間、又は2.4±2nC/gの電荷密度の分散を有する。一実施形態では、ルルビネクテジンの形態Bは、1.6%w/w超、又は1.7~5%w/wの含水率を有する。一実施形態では、ルルビネクテジンの形態Bは、1%、0.5%、0.1%以下の、又は実質的に検出されない残留溶媒を有する。
【0135】
本発明は、少なくとも検出可能な量の形態B、最大で1%w/wの形態B、最大で5%w/wの形態B、最大で10%w/wの形態B、最大で20%w/wの形態B、最大で30%w/wの形態B、最大で40%w/wの形態B、最大で50%w/wの形態B、最大で60%w/wの形態B、最大で70%w/wの形態B、最大で80%w/wの形態B、最大で90%w/wの形態B、最大で95%w/wの形態B、最大で98%w/wの形態B、又は実質的に純粋な形態Bを含むルルビネクテジンを包含する。一実施形態では、本明細書に記載の部分結晶性ルルビネクテジンは、少なくとも検出可能な量の形態B、最大で1%w/wの形態B、最大で5%w/wの形態B、最大で10%w/wの形態B、最大で20%w/wの形態B、最大で30%w/wの形態B、最大で40%w/wの形態B、最大で50%w/wの形態B、最大で60%w/wの形態B、最大で70%w/wの形態B、最大で80%w/wの形態B、最大で90%w/wの形態B、最大で95%w/wの形態B、最大で98%w/wの形態Bを含みうる、又は実質的に純粋な形態Bでありうる。w/wは、形態Bの状態にあるルルビネクテジンの量を意味することを意図する。そのため、純粋に一例として、50%w/wとは、ルルビネクテジンAPIが、50質量%の形態B及び50質量%の他の形態、例えば非晶質形態Aを含むことを意味する。
【0136】
一実施形態では、本発明は、ルルビネクテジンの形態Bを調製するための方法であって、
a)ルルビネクテジン又はそのプロトン化された形態を含む酸性水溶液を調製する工程;及び
b)得られた酸性水溶液を塩基又は緩衝剤で塩基性化して、ルルビネクテジンの形態Bを沈殿させる工程
を含む方法に関する。
【0137】
工程a)では、酸性水中のルルビネクテジンの溶液が提供される。このような溶液を調製するための方法の例は、限定されないが、任意の固体形態のルルビネクテジンを酸性水に溶解する工程;又は、水不混和性の有機相にルルビネクテジンを含む溶液から、酸性水にルルビネクテジンを抽出する工程を含む。好ましい実施形態では、ルルビネクテジンの酸性水溶液は、ルルビネクテジンを酸性水に溶解することにより得られる。
【0138】
任意の形態のルルビネクテジン、例えば非晶質ルルビネクテジンを使用して、結晶性ルルビネクテジンを形成することができる。酸性水中のルルビネクテジンの濃度は、約10~約50g/Lの範囲でありうる。特に好ましいのは、約15~約40g/Lの濃度であり、より好ましい濃度は、約20~約30g/Lである。酸性水中のルルビネクテジンの最も好ましい濃度は、約26g/Lである。
【0139】
酸性水の好ましいpHは、約1~約4、より好ましくは約1~約3、なおより好ましくは約1~約2の範囲でありえ、最も好ましくは約1である。酸性条件は、酸又は緩衝剤によりもたらされうる。適した薬学的に許容される酸は、塩酸、リン酸、硫酸、脂肪族及び芳香族カルボン酸のようなカルボン酸を含む。より好ましい酸は、塩酸、リン酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ安息香酸、及びクエン酸を含む。適した酸性緩衝化剤は、約1~約4のpHを提供する。適した酸性緩衝化剤の例は、限定されないが、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、アスコルビン酸緩衝剤、酒石酸/クエン酸緩衝剤、重炭酸/塩酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、及びグリシン/塩酸緩衝剤を含む。より好ましくは、酸性条件は酸によりもたらされ、最も好ましくは、酸は塩酸である。酸性水中のルルビネクテジンの溶液の好ましいpHは、約1~約4、約1~約3、又は約2~約3の範囲でありうる。
【0140】
工程b)では、得られた酸性水溶液は、過剰な塩基又は緩衝剤で処置してこれを塩基性化し、ルルビネクテジンの形態Bを沈殿させる。塩基性化は、塩基又は緩衝剤で実行することができる。得られた塩基性溶液の好ましいpHは、約8~約11、最も好ましくは約9~約11の範囲でありうる。適した薬学的に許容される塩基は、炭酸塩、水酸化物、炭酸水素塩、及びアンモニウム塩を含む。特に好ましい塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、NH4OH、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムである。適した塩基性緩衝剤は、約8~約11のpHを提供する。適した塩基性緩衝剤の例は、アンモニウム及びリン酸緩衝剤、例えばKH2PO4緩衝剤、Na2HPO4/クエン酸、及びNH4Cl-NH4OHを含む。好ましい実施形態では、塩基性化は、緩衝剤で実行され、最も好ましい実施形態では、塩基性化は、NH4Cl-NH4OH緩衝剤で実行される。
【0141】
得られたルルビネクテジンの形態Bは、濾過又は遠心分離のような単離操作、好ましくは濾過により分離することができる。更に、分離後、分離された固体は、任意の公知の方法による乾燥処置を行うことができる。沈殿物を、好ましくは真空下で、好ましくは約15~35℃の範囲、より好ましくは約20~30℃、最も好ましくは約25℃の温度で、好ましくは約10~24時間の範囲の時間、より好ましくは約16~20時間、最も好ましくは約18時間、乾燥することができる。
【0142】
好ましい実施形態では、工程a)後に得られる酸性水溶液を、薬学的に許容され、水不混和性の極性溶媒で1回又は複数回、及び薬学的に許容され、水不混和性の非極性溶媒で1回又は複数回洗浄し、その後、工程b)において過剰な塩基又は緩衝剤で処置する。
【0143】
この洗浄に適した薬学的に許容され、水不混和性の極性溶媒の例は、クロロホルム、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸メチル、1-ペンタノール、酢酸プロピル、及びジクロロメタンを含む。この洗浄用のより好ましい薬学的に許容され、水不混和性の極性溶媒は、クロロホルム、酢酸エチル、及びジクロロメタンであり、最も好ましいのはジクロロメタンである。
【0144】
この洗浄に適した好ましい薬学的に許容され、水不混和性の非極性溶媒は、C5~C7アルカン、例えばn-ヘプタン、n-ヘキサン、n-ペンタン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンを含み;最も好ましいのはn-ペンタンである。
【0145】
一実施形態では、本発明は、ルルビネクテジンの形態B及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物、又は形態Bを含むルルビネクテジンから製造される医薬組成物に関する。組成物で使用される又は組成物の製造の間に使用されるルルビネクテジンは、少なくとも検出可能な量の形態B、最大で1%w/wの形態B、最大で5%w/wの形態B、最大で10%w/wの形態B、最大で20%w/wの形態B、最大で30%w/wの形態B、最大で40%w/wの形態B、最大で50%w/wの形態B、最大で60%w/wの形態B、最大で70%w/wの形態B、最大で80%w/wの形態B、最大で90%w/wの形態B、最大で95%w/wの形態B、最大で98%w/wの形態Bを含む、又は実質的に純粋な形態Bであるルルビネクテジンを含みうる。
【0146】
本明細書に開示される部分結晶性ルルビネクテジンは、実施形態では、少なくとも検出可能な量の形態B、最大で1%w/wの形態B、最大で5%w/wの形態B、最大で10%w/wの形態B、最大で20%w/wの形態B、最大で30%w/wの形態B、最大で40%w/wの形態B、最大で50%w/wの形態B、最大で60%w/wの形態B、最大で70%w/wの形態B、最大で80%w/wの形態B、最大で90%w/wの形態B、最大で95%w/wの形態B、最大で98%w/wの形態Bを含みうる、又は実質的に純粋な形態Bでありうる。代替的な実施形態では、他の形態Bではない結晶性ルルビネクテジンは、同じw/w量で部分結晶性ルルビネクテジンを形成することができる。
【0147】
本明細書に開示される部分結晶性ルルビネクテジンは、本発明にしたがって医薬組成物を形成するのに使用されうる。したがって、実施形態では、部分結晶性ルルビネクテジンは、その後に凍結乾燥して凍結乾燥ルルビネクテジン製剤を形成するルルビネクテジンのバルク溶液の製造で使用される。部分結晶性ルルビネクテジンは、本明細書に開示される形態Bを含みうる。
【0148】
部分結晶性ルルビネクテジンは、(溶解工程とその後の凍結乾燥工程による)最終剤形に存在しえない場合でも、それにもかかわらず最終剤形の特性に影響を及ぼしうる。一例として、部分結晶性ルルビネクテジンを使用することは、分解生成物を含む全不純物を低減及び/又は簡素化することができる。特徴的な不純物プロファイルは、製造中の部分結晶性ルルビネクテジンの使用を示しうる。一実施形態にしたがって、最終的な凍結乾燥生成物中の全分解生成物は、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、又は1.3%以下(NMT: not more than)でありうる。好ましい実施形態では、全分解生成物は、1.3%NMTでありうる。更なる実施形態にしたがって、最終的な凍結乾燥生成物は、0.8%NMTの不純物Dを含む。更なる実施形態にしたがって、最終的な凍結乾燥生成物は、0.3%NMTの任意の不特定の不純物を含む。
【0149】
部分結晶性ルルビネクテジンを使用することはまた、残留溶媒を有利に制御することができる。一実施形態では、ルルビネクテジンは、0.2%以下の残留溶媒、好ましくは0.1%以下の残留溶媒、好ましくは実質的に検出されない残留溶媒を含む。
【0150】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物の製造で使用される部分結晶性ルルビネクテジンは、94.0~102.0%の範囲のアッセイ(%)及び1.0%未満の不純物レベルを有しうる。具体的な不純物及びそれらの限界は、不純物B(0.20%以下)、不純物D(0.50%以下)、及び/又は不純物G(0.50%以下)でありうる。任意の他の個々の具体的ではない不純物は、0.20%以下の限界を有しうる。
【0151】
ルルビネクテジン医薬製剤の使用
本発明は、ルルビネクテジン単独で、又は更なる薬剤と組み合わせて使用する処置のいくつかの方法を同定する。処置の方法について言及する場合、本発明はまた、がんの処置のための医薬の製造におけるルルビネクテジン及び/又は前記の更なる薬剤、並びにがんの処置での使用のためのルルビネクテジン及び/又は前記の更なる薬剤も包含する。以下の方法は、本明細書に定義される本発明の組成物を利用することができる。
【0152】
一部の実施形態では、必要とする患者のSCLCを処置する方法は、したがって、(1)患者にルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量(又は低減された用量2.6mg/m2若しくは2.0mg/m2)でルルビネクテジン注入溶液の静脈内注入により投与する工程を含み、患者に投与されるルルビネクテジン注入溶液を、復元されるルルビネクテジン4mg、乳酸緩衝剤、及び二糖を含む凍結乾燥組成物から調製して、3.8~4.5のpHで復元された溶液を形成する。好ましい実施形態では、二糖はスクロースである。好ましい実施形態では、凍結乾燥組成物は、ルルビネクテジン4mg、乳酸緩衝剤(好ましくは、ラクテート約0.25mmolを含む、乳酸22.1mg及び水酸化ナトリウム5.1mgを含む溶液から得られる)、並びに二糖(好ましくはスクロース、特にスクロース800mg)を含み、水溶液約8mLでの凍結乾燥組成物の復元は、約3.8~約4.5のpHを有する0.5mg/mLのルルビネクテジンでルルビネクテジン溶液を生成する。一部の実施形態では、ルルビネクテジン注入溶液は、復元された溶液を等張溶液で希釈することにより調製され、等張溶液は、0.9%の塩化ナトリウム溶液又は5%のデキストロース溶液である。一部の実施形態では、復元された溶液を、少なくとも100mL又は少なくとも250mLの等張溶液で希釈して、ルルビネクテジン注入溶液を調製する。一部の実施形態では、復元又は希釈の後、溶液を、復元に続いて最大で24時間(注入時間を含む)、室温(即ち約23℃)/光、又は冷蔵(5℃±3℃)条件下のいずれかで保存することができる。特定の実施形態では、ルルビネクテジンに対する不純物Dの%wt/wtは、24、48、又は72時間、室温(即ち約23℃)/光、又は冷蔵(5℃±3℃)条件下のいずれかでの復元又は希釈された溶液の保存時、0.1%、0.2%、又は0.3%wt/wtより高く増加しない。
【0153】
一部の実施形態は、医薬組成物を、それを必要とする患者、例えば第一選択の処置に対して無反応性のSCLCに罹患する患者に投与する方法であって、(1)組成物を30~36、又は48か月保存した後、バイアル中の凍結乾燥医薬組成物を復元する工程であって、凍結乾燥医薬組成物を、ルルビネクテジン、乳酸、水酸化ナトリウム、及びスクロースを、ルルビネクテジン4mg:乳酸22.1mg:水酸化ナトリウム5.1mg:スクロース800mg:水8mLの比で含む原液を凍結乾燥することにより調製する、工程;並びに、(2)復元された溶液を患者に投与する工程であって、復元された溶液を、注入溶液として患者への投与用に、100ml~250mlの体積から0.9%の塩化ナトリウム溶液又は5%のデキストロース溶液のような等張溶液で希釈しうる、工程を含む方法を提供する。
【0154】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、使用が提供される。
【0155】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)を処置するための医薬の製造におけるコルチコステロイドの使用であって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量の前記コルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、使用が提供される。
【0156】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)を処置するための医薬の製造におけるセロトニンアンタゴニストの使用であって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及び前記セロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、使用が提供される。
【0157】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記方法が、
(1)第1の用量3.2mg/m2のルルビネクテジンを患者に静脈内注入により投与する工程;並びに
(2)患者において有害反応を同定する工程であって、有害反応が、グレード3(重度)以上の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)若しくは任意の他の有害反応からなる群から選択される、工程;
(3)有害反応を同定した後で、患者の好中球数が、1500個の細胞/mm3より大きく;血小板数が、約100,000個の細胞/mm3より大きく;ヘモグロビンレベルが、約9g/dLより高くなった後:
(i)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)からなる場合、患者に、ある用量のG-CSF及び第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンを投与する工程;又は
(ii)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症のみではない場合、患者に第1の用量と比較して低減された用量のルルビネクテジンを投与する工程
を含み、
2用量のルルビネクテジンの投与が、少なくとも21日間、間隔を空ける、
使用が提供される。
【0158】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)を処置するための医薬の製造におけるG-CSFの使用であって、前記方法が、
(1)第1の用量3.2mg/m2のルルビネクテジンを患者に静脈内注入により投与する工程;並びに
(2)患者において有害反応を同定する工程であって、有害反応が、グレード3(重度)以上の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)若しくは任意の他の有害反応からなる群から選択される、工程;
(3)有害反応を同定した後で、患者の好中球数が、1500個の細胞/mm3より大きく;血小板数が、約100,000個の細胞/mm3より大きく;ヘモグロビンレベルが、約9g/dLより高くなった後:
(i)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)からなる場合、患者にある用量のG-CSF及び第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンを投与する工程;又は
(ii)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症のみではない場合、患者に第1の用量と比較して低減された用量のルルビネクテジンを投与する工程
を含み、
2用量のルルビネクテジンの投与が、少なくとも21日間、間隔を空ける、
使用が提供される。
【0159】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記方法が、
患者にルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量でルルビネクテジン注入溶液の静脈内注入により投与する工程であって、患者に投与されるルルビネクテジン注入溶液を、復元されるルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む凍結乾燥組成物から調製して、3.5~4.5のpHで復元された溶液を形成する、工程
を含む、使用が提供される。
【0160】
更なる態様では、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、又は上皮卵巣がんを処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、
患者にルルビネクテジン並びにSN-38及びイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤を処置サイクルの1日目に投与する工程
を含み、
ルルビネクテジンが、1~2.5mg/m2の用量で投与され、
トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される、
使用が提供される。
【0161】
更なる態様では、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、又は上皮卵巣がんを処置するための医薬の製造におけるSN-38及びイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤の使用であって、前記処置が、
患者にルルビネクテジン並びにSN-38及びイリノテカンから選択される前記トポイソメラーゼ阻害剤を処置サイクルの1日目に投与する工程
を含み、
ルルビネクテジンが、1~2.5mg/m2の用量で投与され、
トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される、
使用が提供される。
【0162】
更なる態様では、がんを処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、
組成物を30~60か月保存した後、バイアル中に凍結乾燥医薬組成物を復元する工程であって、
凍結乾燥医薬組成物が、ルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及びスクロースを含む原液を凍結乾燥することにより調製され、
組成物が、ルルビネクテジン1mol:スクロース二糖455~465molの比でルルビネクテジン及び二糖を含み、
凍結乾燥組成物が、水8mLで復元すると3.5~4.5のpHを有する溶液を得られるように製剤化される、工程;並びに
復元する溶液を患者に投与する工程
を含む、使用が提供される。
【0163】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、
ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程
を含み、
患者が、処置サイクルを開始する前にSCLCを処置するために免疫治療抗体を投与され、
応答の期間が、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、若しくは6か月である、又は全応答率が、少なくとも40%である、
使用が提供される。
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、
3週間毎にルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程を含み、
ルルビネクテジンが、ルルビネクテジン、乳酸由来の緩衝剤、及びスクロースを含む凍結乾燥製剤で提供され、ルルビネクテジン:乳酸:スクロースの比が、1mol:46mol:455mol~1mol:50mol:465molであり、製剤が、5℃±3℃で少なくとも24か月又は少なくとも36か月又は少なくとも48か月又は少なくとも60か月間、安定であり、その結果、脱アセチル化由来のルルビネクテジン分解生成物がルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.を超えない、
使用が提供される。
【0164】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、
1)ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む包装された凍結乾燥組成物を水約8mLに溶解して、約3.5~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液を生成する工程、
並びに
2)3週間毎に約2~3.2mg/m2のルルビネクテジンを、SCLCが事前の白金含有療法の後に進行している患者に静脈内注入により投与する工程
を含み、
凍結乾燥組成物が、包装される際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24、36、又は48か月の保存時、組成物が、約0.8%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
使用が提供される。
【0165】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)2~3.2mg/m2の用量でルルビネクテジンを患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、ルルビネクテジンが提供される。
【0166】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのコルチコステロイドであって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量の前記コルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、コルチコステロイドが提供される。
【0167】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのセロトニンアンタゴニストであって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及び前記セロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、セロトニンアンタゴニストが提供される。
【0168】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記方法が、
(1)第1の用量3.2mg/m2のルルビネクテジンを患者に静脈内注入により投与する工程;並びに
(2)患者において有害反応を同定する工程であって、有害反応が、グレード3(重度)以上の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)若しくは任意の他の有害反応からなる群から選択される、工程;
(3)有害反応を同定した後で、患者の好中球数が、1500個の細胞/mm3より大きく;血小板数が、約100,000個の細胞/mm3より大きく、ヘモグロビンレベルが、約9g/dLより高くなった後:
(i)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)からなる場合、患者にある用量のG-CSF及び第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンを投与する工程;又は
(ii)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症のみではない場合、患者に第1の用量と比較して低減された用量のルルビネクテジンを投与する工程
を含み、
2用量のルルビネクテジンの投与が、少なくとも21日間、間隔を空ける、
ルルビネクテジンが提供される。
【0169】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのG-CSFであって、前記方法が、
(1)第1の用量3.2mg/m2のルルビネクテジンを患者に静脈内注入により投与する工程;並びに
(2)患者において有害反応を同定する工程であって、有害反応が、グレード3(重度)以上の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)若しくは任意の他の有害反応からなる群から選択される、工程;
(3)有害反応を同定した後で、患者の好中球数が、1500個の細胞/mm3より大きく;血小板数が、約100,000個の細胞/mm3より大きく、ヘモグロビンレベルが、約9g/dLより高くなった後:
(i)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)からなる場合、患者にある用量のG-CSF及び第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンを投与する工程;又は
(ii)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症のみではない場合、患者に第1の用量と比較して低減された用量のルルビネクテジンを投与する工程
を含み、
2用量のルルビネクテジンの投与が、少なくとも21日間、間隔を空ける、
G-CSFが提供される。
【0170】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記方法が、
患者にルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量でルルビネクテジン注入溶液の静脈内注入により投与する工程であって、患者に投与されるルルビネクテジン注入溶液を、復元されるルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む凍結乾燥組成物から調製して、3.5~4.5のpHで復元された溶液を形成する、工程
を含む、ルルビネクテジンが提供される。
【0171】
更なる態様では、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、又は上皮卵巣がんの処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、
患者にルルビネクテジン並びにSN-38及びイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤を処置サイクルの1日目に投与する工程
を含み、
ルルビネクテジンが、1~2.5mg/m2の用量で投与され、
トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される、
ルルビネクテジンが提供される。
【0172】
更なる態様では、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、又は上皮卵巣がんの処置での使用のためのSN-38及びイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤であって、前記処置が、
患者にルルビネクテジン並びにSN-38及びイリノテカンから選択される前記トポイソメラーゼ阻害剤を処置サイクルの1日目に投与する工程
を含み、
ルルビネクテジンが、1~2.5mg/m2の用量で投与され、
トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される、
トポイソメラーゼ阻害剤が提供される。
【0173】
更なる態様では、がんの処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、
組成物を30~60か月間保存した後、バイアル中に凍結乾燥医薬組成物を復元する工程であって、
凍結乾燥医薬組成物が、ルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及びスクロースを含む原液を凍結乾燥することにより調製され、
組成物が、ルルビネクテジン1mol:スクロース455~465molの比でルルビネクテジン及び二糖を含み、
凍結乾燥組成物が、水8mLで復元すると3.5~4.5のpHを有する溶液を得られるように製剤化される、工程;並びに
復元する溶液を患者に投与する工程
を含む、ルルビネクテジンが提供される。
【0174】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、
ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程;
を含み、
患者が、処置サイクルを開始する前にSCLCを処置するために免疫治療抗体を投与され、
応答の期間が、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、若しくは6か月である、又は全応答率が、少なくとも40%である、
ルルビネクテジンが提供される。
【0175】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、
3週間毎にルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程を含み、
ルルビネクテジンが、ルルビネクテジン、乳酸、及びスクロースを含む凍結乾燥製剤で提供され、ルルビネクテジン:乳酸:スクロースの比が、1mol:46mol:455mol~1mol:50mol:465molであり、製剤が、5℃±3℃で少なくとも24か月又は少なくとも36か月又は少なくとも48か月又は少なくとも60か月間、安定であり、その結果、脱アセチル化由来のルルビネクテジン分解生成物がルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.を超えない、
ルルビネクテジンが提供される。
【0176】
更なる態様では、小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、
1)ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む包装された凍結乾燥組成物を水約8mLに溶解して、約3.5~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液を生成する工程、
並びに
2)3週間毎に約2~3.2mg/m2のルルビネクテジンを、SCLCが事前の白金含有療法の後に進行している患者に静脈内注入により投与する工程
を含み、
凍結乾燥組成物が、包装される際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24、36、又は48か月の保存時、組成物が、約0.8%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
ルルビネクテジンが提供される。
【0177】
更なる態様では、SCLC、子宮内膜癌、軟部組織肉腫、又は神経膠芽細胞腫を含む充実性腫瘍を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)2mg/m2の用量でのルルビネクテジン及び75mg/m2のイリノテカンを患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、使用が提供される。
【0178】
更なる態様では、充実性腫瘍を処置するための医薬の製造におけるコルチコステロイドの使用であって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量の前記コルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)2mg/m2の用量でのルルビネクテジン及び75mg/m2の用量でのイリノテカンを患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、使用が提供される。
【0179】
更なる態様では、SCLC、子宮内膜癌、軟部組織肉腫、又は神経膠芽細胞腫を含む充実性腫瘍を処置するための医薬の製造におけるセロトニンアンタゴニストの使用であって、前記処置が、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及び前記セロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)2mg/m2の用量でのルルビネクテジン及び75mg/m2の用量でのイリノテカンを患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、使用が提供される。
【0180】
更なる態様では、SCLC、子宮内膜癌、軟部組織肉腫、又は神経膠芽細胞腫を含む充実性腫瘍を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、
(1)2mg/m2の用量でのルルビネクテジン及び75mg/m2の用量でのイリノテカンを患者に静脈内注入により投与する工程;
(2)7日後に、イリノテカンを75mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程;並びに
(3)G-CSFを患者に投与して、投与の骨髄抑制効果を管理する工程
を含む、使用が提供される。
【0181】
更なる態様では、SCLC、子宮内膜癌、軟部組織肉腫、又は神経膠芽細胞腫を含む充実性腫瘍を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記方法が、
(1)2mg/m2の用量でのルルビネクテジン及び75mg/m2の用量でのイリノテカンを患者に静脈内注入により投与する工程;並びに
(2)前記投与後に、患者がグレード3又は4の血液学的毒性を呈するかを同定する工程;
(3)患者においてグレード3の血液学的毒性もグレード4の血液学的毒性も存在しない場合、工程1の7日後に、75mg/m2の用量のイリノテカンを患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、使用が提供される。
【0182】
更なる態様では、充実性腫瘍を処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記方法が、
患者にルルビネクテジンを2.0mg/m2の用量でルルビネクテジン注入溶液の静脈内注入により、及び75mg/m2の用量のイリノテカンを患者に静脈内注入により投与する工程であって、患者に投与されるルルビネクテジン注入溶液を、復元されるルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む凍結乾燥組成物から調製して、3.5~4.5のpHで復元された溶液を形成する、工程
を含む、使用が提供される。
【実施例
【0183】
(実施例1)
様々な緩衝剤中でのルルビネクテジンの調製
0.5mg/mLを含有するバルクルルビネクテジン溶液(最終的な体積8.55mLに基づいて算出される復元された濃度は0.47mg/mL)を、水酸化ナトリウムによりpH3、4、及び5に緩衝された、緩衝剤濃度0.02~0.05Mを有する酢酸、クエン酸、乳酸、及びコハク酸緩衝溶液中で調製した。pH=4に緩衝された乳酸含有ルルビネクテジン製剤の例が以下のTable 1(表4)に示される。
【0184】
【表4】
【0185】
(実施例2)
様々な緩衝剤中でのルルビネクテジンの溶解度
リン酸、酢酸、クエン酸、乳酸及びコハク酸緩衝剤のバルク溶液を調製して、ルルビネクテジンの最大溶解度を決定した。Table 2(表5)は、pH=4の0.02M~0.05M又は0.06~0.1M緩衝剤中でのルルビネクテジンの最大溶解度を示す。結果は、ルルビネクテジンがリン酸緩衝剤中ではあまり可溶化されなかったことを示す。結果は、緩衝剤のモル濃度が溶解度に対してあまり影響を有しないことも示唆する。
【0186】
【表5】
【0187】
(実施例3)
様々なpH値の様々な有機カルボキシ緩衝剤によるルルビネクテジン製剤の安定性
安定性及び溶解度試験を実施して、ルルビネクテジンが良好な安定性を呈するpHを決定した。Table 3(表6)は、pH3、pH4及びpH5の別の0.02M~0.05M緩衝剤中での、ルルビネクテジンの溶解度並びに不純物及び分解生成物プロファイルを示す。溶解度は、pH3及びpH4では類似であり、pH5では激減した。この溶解度の減少は、緩衝剤pHが増大するにつれての分解生成物の増大を伴う。
【0188】
【表6】
【0189】
様々な緩衝剤中でのルルビネクテジンの安定性を、25℃/60%RH条件で14日目に更に評価した。ルルビネクテジンはpH3及び4では比較的安定であるが、pH=5ではアッセイ及び純度の有意な減少が観察される(Table 4(表7))。
【0190】
【表7】
【0191】
これらの結果は、pH4.5以下のpHを有する有機カルボキシ緩衝剤が、溶液中のルルビネクテジンの濃度を増大させ、適切な安定性を維持するのに最も適切であることを示した。乳酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム緩衝剤が最も好適であると考えられた。
【0192】
(実施例4)
ストレス条件下(50℃)での、pH=4.0を有する乳酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム緩衝剤中で製剤化された凍結乾燥バイアルの安定性
2種の緩衝剤のうちのどちらがルルビネクテジンに最適であるかを決定するため、ルルビネクテジン1mg/バイアルを含有する凍結乾燥バイアルのバッチを、0.03M乳酸ナトリウムpH=4及び0.05Mクエン酸ナトリウムpH=4中で0.5mg/mLで製剤化されたルルビネクテジンを用いて、実験室規模で製造した。pH4は、pH3と比較して大きいその生理学的適合性により選択された。スクロースを、増量剤として10%(w/v)で含めた。温度(50℃)のストレス条件下での凍結乾燥生成物中の活性成分の安定性を評価した。0.05Mリン酸一カリウム緩衝剤pH=4中で製剤化された凍結乾燥バイアルも、比較のためこれらの試験に含めた。50℃での1か月後の凍結乾燥バイアルの安定性結果が、Table 5(表8)に示される。これらの条件下で現れる多数の分解生成物のため、面積0.20%以上を有するもののみが報告される。
【0193】
3種の製剤は、t=0では同等の特徴を示した。50℃での1か月間の保存後、凍結乾燥固体の外観、復元された溶液の色及びpH並びに含水率等の品質特性は改変されなかった。
【0194】
3種の組成物について、ルルビネクテジンアッセイが開始時含有量に対して有意に減少し(11%~17%)、%分解生成物が、観察された主要な差であった。乳酸ナトリウム緩衝剤又はリン酸一カリウム緩衝剤中で製剤化されたバイアルは非常に類似した挙動を示したが、クエン酸ナトリウム緩衝剤は、50℃での1か月間の保存後により多くの分解を促進した。全ての場合で、主な分解生成物は、rrt0.49~0.50(HPLC展開法)で溶出した不純物であり、クエン酸ナトリウム緩衝剤中で製剤化された凍結乾燥バイアルで有意に多かった。こちらも非常に顕著なパーセンテージで現れた他の分解生成物は、不純物D(rrt0.73~0.74)並びにrrt0.25、rrt0.28及びrrt1.09~1.10の不純物であった。
【0195】
溶解度及び安定性結果に基づくと、最適化されたルルビネクテジン製剤に最も適切な溶解媒体は、0.03M乳酸ナトリウム緩衝剤pH4であると結論付けられた。
【0196】
【表8】
【0197】
(実施例5)
凍結乾燥生成物の安定性に対するバルク溶液pHの効果
各種0.03M乳酸ナトリウム緩衝剤ルルビネクテジンバルク溶液から生成された凍結乾燥生成物4mgの安定性について試験した。バルク溶液は、増量剤として10%スクロース(w/v)を使用して、pH3.6、pH4.0及びpH4.5でルルビネクテジン0.5mg/mLの濃度を有していた(30mLガラスバイアル中8mL充填)。これらのバッチの安定性を25℃/60%RH下で評価して、pHの小さな変化が生成物の安定性に対して有意な効果を有しうるかどうかを決定した。
【0198】
25℃での6か月後の凍結乾燥バイアルの安定性結果がTable 6(表9)に示される。バッチは全て類似の挙動を示した。凍結乾燥物の外観、復元された溶液の外観、色及びpH、含水率(%)並びにアッセイ等の品質特性は一定に保たれた。合計分解生成物は有意な変化を受けなかった。
【0199】
結論として、かつ溶解度及び安定性データ、ルルビネクテジン溶液及び凍結乾燥調製物(presentation)に基づいて、0.03M乳酸ナトリウム緩衝剤pH4.0を、ルルビネクテジン調製物に最も適切な溶解媒体として選択した。
【0200】
【表9】
【0201】
(実施例6)
増量剤濃度
各種0.03M乳酸ナトリウム緩衝剤ルルビネクテジンバルク溶液から生成された凍結乾燥生成物4mgの安定性について試験した。バルク溶液は、増量剤として10%スクロース(w/v)を使用して、pH3.6、pH4.0及びpH4.5でルルビネクテジン0.5mg/mLの濃度を有していた(30mLガラスバイアル中8mL充填)。これらのバッチの安定性を25℃/60%RH下で評価して、pHの小さな変化が生成物の安定性に対して有意な効果を有しうるかどうかを決定した。
【0202】
溶解媒体を選択すると、様々な増量剤を様々な濃度でスクリーニングした:スクロース(5%、7.5%及び10%)、マンニトール(5%)、並びにスクロース及びマンニトールの組合せ(5%スクロース+2.5%マンニトール)。
【0203】
その目的のため、ルルビネクテジンのいくつかの凍結乾燥バッチを、濃度4mg/バイアルで各種濃度の様々な増量剤を組み込んで製造した。ルルビネクテジンを、0.03M乳酸ナトリウム緩衝剤pH4中に0.5mg/mLで溶解させた。バッチ組成がTable 7(表10)に詳述される。バッチを特徴付け、それらのストレス条件下での安定性を評価した(40℃/75%RH)。
【0204】
【表10】
【0205】
以下のTable 8(表11)は、40℃/75%RHで3か月間保存された後の、様々な増量剤を有する凍結乾燥バッチの安定性結果を示す。
【0206】
凍結乾燥ケーキの外観にも復元された溶液にも変化を受けず、ルルビネクテジンアッセイを維持し、分解生成物のわずかな増大しか示さなかったことから、5%スクロースとともに製剤化されたバッチが安定であり、不純物Dが、観察された主な分解生成物であった(rrt0.88HPLC工業用方法)。
【0207】
しかし、スクロース及びマンニトール混合物又はマンニトールのみとともに製剤化されたバッチは、40℃での保存中に顕著に分解した。両方の場合で、凍結乾燥ケーキの外観は、スクロースのみを有する(5%又は10%)バッチと異なっていた。5%マンニトールを含有する製剤は、ルルビネクテジンアッセイの非常に顕著な減少を受けた(公称標的の43%)。更に、%分解生成物が両方の製剤で増大した(5%マンニトールを含有する製剤で最大で57%)。マンニトールを含有する製剤中の2種の主要な分解生成物は、rrt0.67~0.68及びrrt1.06で溶出するものである)。
【0208】
【表11】
【0209】
Table 9(表12)は、ストレス条件下(40℃/75%RH)での、範囲5%~10%の様々な濃度のスクロースとともに0.03M乳酸ナトリウム緩衝剤pH=4中で製剤化された凍結乾燥バイアルの安定性の結果を示す。
【0210】
【表12】
【0211】
3種の様々な濃度のスクロースを含有するバッチは類似の挙動を示し、安定なままであった。これらは凍結乾燥ケーキの外観及びルルビネクテジンアッセイ(%)の有意な変化を受けなかった。%分解生成物のわずかな増大が観察された。特に、不純物D(rrt0.88、HPLC工業用方法)が主な分解生成物であった。スクロースのパーセンテージは、生成物の安定性にあまり影響しないが、10%スクロースが最小の分解を示した。
【0212】
結論として、スクロースは、高温での保存中のルルビネクテジン分解を防止する保護効果を示した。これらの結果に基づいて、スクロースを最も好適な増量剤として選択し、濃度10%(w/v)が適切で安定なルルビネクテジン調製物に最適な分量であった。
【0213】
(実施例7)
長期保存条件でのルルビネクテジンの安定性
長期保存(5℃±3℃)として提唱される条件での凍結乾燥ルルビネクテジン組成物(4mg)の安定性を、36か月間評価した。最悪の場合と考えられることから、高い残留含水率を有するバッチを選択した。
【0214】
生成物は、試験の36か月間安定なままであった(Table 10(表13))。品質特性はいずれも有意な変化を受けなかった。ルルビネクテジンの含有量は、最初の24か月間で解析による変動性に起因する小さな変化を受けた。合計分解生成物は、保存時間にわたって変化しなかった。報告すべきレベルで観察された関連物質は、一定かつバッチを製造するのに使用される活性成分中に存在するレベルのままであった不純物Dであった。
【0215】
【表13】
【0216】
(実施例8)
臨床試験-ルルビネクテジンによるSCLC患者の処置
本明細書で既定される難治性又は抵抗性疾患を有する、SCLCに集団で苦しむ患者に対するルルビネクテジン単独療法の臨床試験を実施した。この単群多施設非盲検フェーズ2治験では、SCLCが第一選択の白金含有化学療法(シスプラチン、カルボプラチン又はオキサリプラチン)に対して非応答性であった患者(難治性)、及びSCLCが第一選択の療法の中止から90日後以内に再発した患者(抵抗性)を含む、測定可能な疾患を有していた患者105名のコホートを、21日ごとに1時間の期間にわたって静脈内に投与される投与量3.2mg/m2のルルビネクテジンにより処置した。ルルビネクテジンは、以下で記載されるように、IV注入用の無菌の等張水溶液として用意された。
【0217】
試験母集団
病理学的に証明されたSCLC診断を有する少なくとも18歳の成人患者を、患者が、1回のみの、以前の化学療法含有処置ライン(化学療法と組み合わされた又は単独での免疫療法は認められた)による前処置;Response Criteria in Solid Tumors (RECIST1.1版)による測定可能な応答、及び試験登録前の進行の記録;並びにEastern Cooperative Oncology Group (ECOG)活動状態2以下を有していれば含めた。患者は、適切な骨髄機能(絶対好中球数、血小板数、及びヘモグロビンの臨床検査により評価)、腎臓(血清クレアチニン及びクレアチニンキナーゼにより評価)、肝臓(総ビリルビン、アルブミン、及びアミノトランスフェラーゼにより評価)を有することが求められた。以前の処置と試験開始との間の最短期間は、化学療法については3週間、免疫療法又は放射線療法については4週間、任意の試験的又は対症療法については2週間でなければならなかった。こちらも認められた脱毛症及び末梢性感覚ニューロパチー(ともにグレード2)を有する症例を除いて、以前の療法由来のグレード1以下の毒性を有する患者のみを含めた。妊娠可能年齢の女性は、試験中及び試験終了後少なくとも3か月間、適切な避妊を受けなければならなかった。
【0218】
ルルビネクテジン又はトラベクテジンを以前に投与されたことがある;5年超の間完全寛解状態にある場合を除いて、悪性疾患を以前に有したか又は同時に有する;既知のCNS併発を有する(ベースライン時点でのCNS転移のスクリーニングが義務付けられる);過去1年以内の同時の不安定な又は重篤な医学的状態(不安定狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全、心臓弁膜症、不整脈、重度の呼吸困難、又は肝炎若しくはHIV等の活動性感染症の病歴又は存在)を有する;放射線療法の切迫した必要性を有する;又は試験プロトコールに従う能力を有しないか若しくは限られた能力しか有しない場合は患者を除外した。組み入れ及び除外基準についてのより多くの詳細がTable 11(表14)で確認可能である。
【0219】
【表14】
【0220】
治験薬製剤-調製及び投与
ルルビネクテジンは、4mgバイアルとして、注入溶液用の濃度のための凍結乾燥粉末として提供された。使用前に4mgバイアルを、ルルビネクテジン0.5mg/mLを含有する溶液をもたらすように、注射用水8mLで復元した。i.v.注入として患者に投与するため、復元されたバイアルを、注入用グルコース50mg/mL(5%)溶液で、又は注入用塩化ナトリウム9mg/mL(0.9%)溶液で希釈した。全組成及びmLあたりの復元された溶液は、Table 12(表15)に示される通りであった。
【0221】
【表15】
【0222】
投与量及び投与
常に既定の注入速度で1時間にわたって、中心静脈カテーテルを介して、注入用溶液(5%グルコース又は0.9%塩化ナトリウムのいずれか)最小総体積100mLにより、又は末梢ラインを介して投与される場合は、最小総体積250mLによりルルビネクテジンを投与した。
【0223】
開始用量は3.2mg/m2であった。用量は体表面積2.0mg/m2を上限とした(例えば用量は6.4mgを超えることを認められない)。患者は、疾患の進行又は許容されない毒性が起こるまでは、3週間ごとの1日目に1時間の注入としてルルビネクテジンi.v.を投与された。1処置サイクルとして3週間を規定した。
【0224】
前投薬
患者は全て、各処置注入前に抗嘔吐剤予防的投与を受けた。これらの薬剤のi.v.製剤をこの仕様で使用した:副腎皮質ステロイド(デキサメタゾン8mg又は同等物)、セロトニンアンタゴニスト(オンダンセトロン8mg又は同等物)、経口セロトニンアンタゴニストによる長期の処置、及び2日間連続での経口デキサメタゾン。必要であれば、かつ上記に加えて、8時間ごとの経口又はi.v.メトクロプラミド(又は同等物)10mgの投与。アプレピタント及び同等薬剤は、ルルビネクテジンにより処置される患者では禁止された。
【0225】
処置継続の基準
患者がTable 13(表16)に記載される処置基準を全て満たした場合、更なる処置サイクルをq3wk(±48時間)で投与した。
【0226】
【表16】
【0227】
患者は、臨床的に必要であれば、適切なヘモグロビンレベルを増大させる/維持するため、濃厚赤血球輸血及び/又はエリスロポエチン処置を受けた。患者が次のサイクルの1日目の再処置の必要条件を満たさなかった場合、理由に関わらず、少なくとも48~72時間ごとに再評価を実施した。その場合、好適な回復まで、期日を超えて最長3週間まで処置を保留した。最長3週間の遅延後に再処置基準を満たさない患者は、治験から離脱しなければならなかった。1週間超続く処置関連有害事象による遅延において、次項で説明される規則に従って、回復に際して用量低減を実行した。
【0228】
有害反応に対する用量改変
患者は、以下のうちのいずれかを呈した場合、処置を継続した:(1)グレード3以上の処置関連非血液学的毒性。例外は、最適に処置されていないグレード3以上の吐き気及び/又は嘔吐、3日以下続くグレード3の無力症、2日以内続くか又は最適に処置されていないグレード3の下痢、急速に元に戻り、それに続く遅延につながらないグレード3の一過性のALT/AST上昇、並びに非臨床的に関連する生化学的異常であった。(2)グレード4の血小板減少症、又はグレード3以上の出血と同時のグレード3の血小板減少症。(3)グレード4の好中球減少症、任意のグレードの発熱性好中球減少症又は感染症/敗血症と関連する好中球減少症。(4)処置関連有害事象による頻繁な長期(1週間超)の投与遅延。グレード3又は4の過敏症反応を経験した患者は、試験処置を中断させた。
【0229】
体表面積に基づく用量に従って投与されたルルビネクテジンによる以前の解析により、ルルビネクテジン使用による発熱性好中球減少症の発現率が10%未満であることが示された。ゆえに、American Society of Clinical Oncology及びEuropean Society for Medical Oncologyのガイドラインに従って、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による一次予防は認められなかった(好中球減少症に対するG-CSFによる二次予防は認められた)。
【0230】
用量低減レベルが以下のTable 14(表17)に示される。
【0231】
【表17】
【0232】
患者1名あたり最大で2回の用量低減を認めた。許可された用量低減後に処置関連毒性及び/又は頻繁な投与遅延を経験することが続いた患者は、試験から離脱させた。彼らは、客観的な臨床的有用性が適切に記録されていれば、試験投薬を受け続けることができた。個々の患者について用量を低減させると、いかなる状況下でも用量を再上昇させなかった。
【0233】
有効性評価
本試験の主目的は、主要評価項目としての全応答率(ORR)に関してルルビネクテジンの抗腫瘍活性を評価することであり、副次評価項目としての応答期間(DOR)により支持された。ORRを、RECIST v1.1を使用して、標的病変として又は非標的病変(あれば)としてベースライン時点で特定された一連の測定可能な病変について評価し、好適な方法により疾患進行(PD)まで追跡した。
【0234】
ベースライン時点で、かつサイクル6又はPDのエビデンスまでは試験処置の開始から6週間ごとに、かつその後は9週間ごとに、放射線腫瘍評価(CTスキャン又はMRI)を実施した。客観的応答が観察された場合、RECIST v1.1に従って、これを応答の最初の記録の日付から少なくとも4週間後に、同じ方法により確認しなければならなかった。
【0235】
ORRを、RECIST v1.1に従って、処置の開始から、進行の日付又はそれに続く療法の開始又は患者フォローアップの終了までの、完全(CR)又は部分応答(PR)のいずれかの確認された応答を有する、評価可能な患者のパーセンテージとして規定した。最初に記録されたPD、再発、又は応答者患者における任意の原因による死亡の日付からDORを算出した。治験責任医師の評価及び独立審査委員会(IRC)による独立した評価による応答の日付、放射線的又は臨床的PDの日付、並びに死亡の日付を、適宜記載及び記録した。IRCは患者の最良応答を決定し、RECIST v1.1に従って応答の最初の記録及び進行/打ち切りの日付を指定した。
【0236】
二項評価項目(binominal endpoint)(すなわちORR、臨床的有用性)について、対応する正確な95%信頼区間とともに数及びパーセンテージを算出した。イベントまでの時間変数(OS、PFS、及びDOR)及びそれらのセットの時間推定値(すなわちPFS4/6及びOS6/12)をKaplan-Meier法に従って解析した。IA及びIRCにより評価された有効性評価項目の評価を解析及び比較した。
【0237】
薬物動態評価
処置された患者全員において、サイクル1及び2の間ルルビネクテジンの血漿PKを評価した。試料採取スケジュールがそれぞれTable 15(表18)及びTable 16(表19)に示される。
【0238】
非線形混合効果モデリング及び/又はノンコンパートメント解析を使用して、ルルビネクテジンの血漿-濃度-時間データのPK解析を実施した。
【0239】
【表18】
【0240】
【表19】
【0241】
安全性評価
ルルビネクテジンの部分又は完全注入を受けた場合、安全性について患者を評価した。米国国立がん研究所-有害事象共通毒性規準(NCI-CTCAE、v4)に従って、有害事象を全てグレード分けした。処置にわたって、かつ最後のルルビネクテジン注入(処置の終了)から最大で30日後、又は患者が新たな抗腫瘍療法を開始するまで、又は死亡の日付までのうちの、最初に発生したいずれかまで、患者の安全性プロファイルをモニタリングした。処置遅延、用量低減要求、輸血、及び処置中断の理由を試験にわたってモニタリングした。少なくともグレード1への回復若しくは症状の安定化、又は新たな抗腫瘍療法の開始のうちの、最初に発生したいずれかまで、処置関連有害事象を追跡した。
【0242】
試験評価項目
【0243】
【表20】
【0244】
統計的方法
このフェーズII治験は、IAにより評価された、RECIST v.1.1に従ってのORRに関して、ルルビネクテジンの抗腫瘍活性を評価するようにデザインされ、腫瘍評価はIRCによっても行われた。
【0245】
15%以下の患者で応答がある(p0.15未満)という帰無仮説に対し、30%以上の患者で応答がある(p0.30以上)という別の仮説を検定するため、評価可能な患者最大100名をリクルートした。標準化された検定の分散は帰無仮説に基づいた。この片側検定と関連する第I種の過誤(アルファ)は0.025であり、第II種の過誤(ベータ)は0.051である(正規近似;約0.05、正確な二項分布の場合)。ゆえに、検定力は95%である(正規近似;約95%、正確な二項分布の場合)。これらの仮定をすると、確認された応答を達成した患者の数が23以上であれば、これにより帰無仮説の棄却が可能となる。中間解析における、患者の評価可能性の判断及び各コホートにおける評価不可能な患者の交代は、治験責任医師の評価により指導された。
【0246】
試験期間
3つの試験期間内の予定された来院時点で患者を評価した:(1)前処置:ICのサイン~試験処置の最初の注入;(2)処置:試験処置の最初の注入~処置の終了;及び(3)フォローアップ:処置の終了後。もしあれば、薬物関連有害事象全ての解消若しくは安定化まで、又は新たな抗腫瘍療法の開始まで、4週間ごとに患者をフォローアップした。最初のルルビネクテジン注入後少なくとも1年間、患者をフォローアップした。最初の6か月間は2か月ごとに、その後は3か月ごとに、PD、新たな抗腫瘍療法の開始、死亡まで、又は試験日付の終了まで、PDなしに処置を完了した患者を追跡した。
【0247】
結果
SCLC患者105名を試験に登録した。患者105名全員を処置し、主要評価項目についての解析に含めた。処置された患者105名のうち、60%が男性であり、75%が白人であり、92%がECOG PS 0又は1を有し、年齢中央値は60歳であった(範囲、40~83歳;35.2%が65歳以上であった)。処置された患者105名のうち2名(1.9%)が、以前に手術を受けたことがあった(患者1名では根治的切除)。事前の放射線療法が患者75名(71.4%)に投与されていた。患者は、進行性疾患に対する、中央値で1つの事前の化学療法ラインを受けたことがあった(範囲、1~2ライン)。化学療法を行わない期間は、患者21名(21%)では30日未満、患者45名(43%)では90日未満、患者60名(57%)では90日以上であった。ベースライン時点でCNS転移を有する患者1名が含まれ、別の患者は、以前の療法ラインとしてカルボプラチンに加えてのエトポシド及びアテゾリズマブによる再負荷を有していた;これらの2症例はプロトコール逸脱と考えられたが、これらは少数であり、一次解析に含めた。
【0248】
患者1名あたり中央値4サイクルで、合計で618処置サイクルを投与し、患者46名(44%)は6サイクル以上を投与された。治験薬の相対用量強度の中央値は、計画された最高用量の97.4%であった。処置関連有害事象により、用量投与を患者23名(22%)では遅延させ、28名(26%)では低減させた(好中球減少症が、患者13名(12%)での投与遅延及び17名(16%)での低減の両方の最も一般的な原因であった)。
【0249】
SCLC患者におけるルルビネクテジンの有効性
データカットオフ時点で、フォローアップの中央値は17.1か月であった。処置された患者全員の治験責任医師の評価によれば、37名(35.2%)が、Table 17(表21)に示されるように全応答を有した。
【0250】
【表21】
【0251】
化学療法を行わない期間90日以上を有した患者(すなわち、化学療法感受性疾患を有する患者)60名の、化学療法を行わない期間(90日以上対90日未満)による、全応答についての事前に計画された解析では、27名(45.0%)が全応答を有して応答期間の中央値は6.2か月であり、一方で化学療法を行わない期間90日未満(すなわち、化学療法抵抗性疾患)を有した患者45名では、10名(22.2%)が全応答を有して応答期間の中央値は4.7か月であった。
【0252】
無進行生存期間
治験責任医師により評価された無進行生存期間の中央値は、母集団全体では3.5か月(95%CI2.6~4.3)であり、化学療法を行わない期間90日以上を有する患者では4.6か月であり、化学療法を行わない期間90日未満を有する患者では2.6か月であった。ルルビネクテジン処置を中断した患者94名のうち8名(9%)が、CNSに新たな病変を有する疾患進行を有した。ゆえにCNS転移の発現率増大は観察されなかった。
【0253】
全生存期間
37.1%(データカットオフ時点で生存していた患者105名のうち39名)の打ち切りにより、全生存期間の中央値は、母集団全体では9.3か月(95%CI6.3~11.8)、化学療法を行わない期間90日以上を有する患者では11.9か月(9.7~16.2)、化学療法を行わない期間90日未満を有する患者では5.0か月(4.1~6.3)であった。特に、化学療法を行わない期間90日以上を有する患者60名のうち29名(48%)及び化学療法を行わない期間90日未満を有する患者45名のうち7名(16%)が、第1の用量投与から1年後の時点で生存していた。
【0254】
開始時の客観的応答を有した患者37名の事後解析では、全生存期間の中央値は、母集団全体(12.6か月、95%CI10.8~15.8)及び感受性疾患を有する患者(15.8か月、10.2~到達せず)では1年を超え、抵抗性疾患を有する患者では10.9か月(10.9か月、6.3~14.0)であった。
【0255】
安全性
処置された患者105名全員が、安全性について評価可能であった(Table 18(表22))。最も一般的なグレード3~4の有害事象及び臨床検査異常(2%以上の患者における)は、貧血(患者9名[9%])、白血球減少症(30名[29%])、好中球減少症(48名[46%])、血小板減少症(7名[7%])、及び発熱性好中球減少症(5名[5%])を含む血液学的障害であり、これらのうち、発熱性好中球減少症のみを処置関連とみなした(Table 18(表22))。特に、薬物誘導性の肝傷害の症例は報告されなかった。患者105名のうち23名(22%)が、好中球減少症に対するG-CSF二次予防又は療法を受けた。重篤な処置関連有害事象が患者105名のうち11名(10%)で発生し、好中球減少症及び発熱性好中球減少症が最も一般的であった(それぞれについて患者5名[5%])。グレード3の肺炎が患者2名(2%)で報告され、これらのエピソードはグレード3の発熱性好中球減少症及びグレード4の好中球減少症と関連し、一方の患者については3日、他方の患者については13日続き、臨床的帰結なしに解消した。患者1名が臨床的帰結なしに、血管外漏出によりグレード3の皮膚潰瘍を有した。患者2名(2%)のみが、処置関連有害事象によりルルビネクテジン療法を中断した。処置関連死亡は発生しなかったが、患者105名のうち66名(63%)が疾患進行により死亡した。
【0256】
【表22】
【0257】
事前の免疫療法
以前に免疫療法を受けたことがあった患者(n=8)における応答について、事後探索的解析を行った。この群の患者由来のデータは、チェックポイント阻害剤と組み合わせた第一選択の白金含有化学療法、又はニボルマブを伴う第二選択後の、単剤ルルビネクテジンに対するより良好な応答の傾向を示した(Table 19(表23))。これは、カルボプラチン/エトポシドと組み合わせた第一選択のSCLCにおけるアテゾリズマブの最近の承認の観点から、重要な知見である。ゆえにルルビネクテジンは、免疫療法中に進行した患者における実行可能な選択肢をもたらしうる。
【0258】
【表23】
【0259】
まとめ及び結論
SCLC患者105名を登録し、ルルビネクテジンにより処置した。フォローアップの中央値は17.1か月であった(IQR6.5~25.3)。治験責任医師の評価による全応答が患者37名(35.2%;95%CI26.2~45.2)でみられた。最も一般的なグレード3~4の有害事象(因果関係に関係なく)は、血液学的異常、すなわち、貧血(患者9名[9%])、白血球減少症(30名[29%])、好中球減少症(48名[46%])、及び血小板減少症(7名[7%])であった。重篤な処置関連有害事象が患者11名(10%)で発生し、そのうち好中球減少症及び発熱性好中球減少症が最も一般的であった(それぞれにつき患者5名[5%])。処置関連死亡は報告されなかった。
【0260】
ルルビネクテジンは、全応答に関して、SCLCに対する第二選択の療法として有効であり、許容されかつ管理しやすい安全性プロファイルを有していた。ルルビネクテジンは、特に再発イベントの際にほとんど選択肢を有しないSCLC患者のための、有望な新たな処置となりうる。
【0261】
(実施例8)
臨床試験-ルルビネクテジン及びイリノテカンによる充実性がん患者の処置
充実性腫瘍に苦しむ患者に対する、イリノテカンと組み合わせたルルビネクテジンの臨床試験を実施した。進行性充実性腫瘍を有する患者における、3週間ごと(q3w)の、1日目(D)の漸増用量のルルビネクテジンに加えてのD1及びD8の既定用量のイリノテカン75mg/m2を評価するためのフェーズ1治験。標準3+3用量漸増デザインに従って患者を登録した。抗腫瘍活性シグナルが観察された適応症における有効性を探索するため、推奨用量(RD)でのフェーズIb/II拡大部分を実施した。
【0262】
試験母集団
組み入れ及び除外基準についての詳細が、Table 20(表24)で確認可能である。
【0263】
【表24A】
【0264】
【表24B】
【0265】
治験薬製剤-調製及び投与
ルルビネクテジンは、4mgバイアルとして、注入溶液用の濃度のための凍結乾燥粉末として提供された。使用前に4mgバイアルを、ルルビネクテジン0.5mg/mLを含有する溶液をもたらすように、注射用水8mLで復元した。i.v.注入として患者に投与するため、復元されたバイアルを、注入用グルコース50mg/mL(5%)溶液で、又は注入用塩化ナトリウム9mg/mL(0.9%)溶液で希釈した。全組成及びmLあたりの復元された溶液は、上記のTable 12(表15)に示される通りであった。
【0266】
イリノテカンは、40mg、100mg、又は300mgバイアルとして、注入溶液用の濃度のための凍結乾燥粉末として提供された。
【0267】
投与量及び投与
常に既定の注入速度で1時間にわたって、中心静脈カテーテルを介して、注入用溶液(5%グルコース又は0.9%塩化ナトリウムのいずれか)の最小総体積100mLにより、又は末梢ラインを介して投与される場合は、最小総体積250mLによりルルビネクテジンを投与した。
【0268】
漸増フェーズの患者(n=39)における用量レベルは、Table 21(表25)に示される通りであった。患者は、3週間ごとの1日目に1時間の注入としてルルビネクテジンi.v.並びに1及び8日目に90分間の注入としてイリノテカン、i.v.を投与された。1処置サイクルとして3週間を規定した。
【0269】
【表25】
【0270】
転帰尺度
主要転帰尺度は、(1)最大耐用量(MTD)及び(2)推奨用量(RD)であった。MTDを、評価可能な患者の3分の1以上がサイクル1においてDLTを発症する、用量漸増中に探索された最小用量として規定した。RDを、評価可能な患者の3分の1未満がサイクル1中にDLTを発症する、用量漸増中に探索された最大用量レベルとして規定した。
【0271】
副次転帰尺度は、安全性評価、ピーク血漿濃度(Cmax)、血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)、終末相半減期に基づく分布容積(Vz)、定常状態における分布容積(Vss)、クリアランス(CL)、半減期(t1/2)、抗腫瘍応答の評価(RECIST v1.1、処置の開始からPD、他の抗腫瘍療法、死亡まで、又は最後の評価可能な患者の試験への組み入れから12か月後(試験の終了)までのうちの、最初に発生したいずれかまで)、無進行生存期間(試験処置の最初の注入の日付~進行若しくは死亡の日付又は試験の終了から12か月後までのうちの、最初に発生したいずれか)、及び全生存期間(試験処置の最初の注入の日付~死亡の日付又は試験の終了から12か月後までのうちの、最初に発生したいずれか)を含んでいた。
【0272】
薬物動態評価
主要な薬物-薬物相互作用を除外することを目的として、患者はルルビネクテジン、イリノテカン、及びSN38(イリノテカンの活性代謝物)の評価のためのPK試料採取を受けた。
【0273】
安全性評価
ルルビネクテジン及びイリノテカンの部分又は完全注入を受けた場合、患者は安全性について評価された。米国国立がん研究所-有害事象共通毒性規準(NCI-CTCAE、v4)に従って、有害事象を全てグレード分けした。処置にわたって、かつ最後の試験処置投与(処置の終了)から最大で30日後、又は患者が新たな抗腫瘍療法を開始するまで、又は死亡の日付までのうちの、最初に発生したいずれかまで、患者の安全性プロファイルをモニタリングした。処置遅延、用量低減要求、輸血、及び処置中断の理由を試験にわたってモニタリングした。少なくともグレード1への回復若しくは症状の安定化、又は新たな抗腫瘍療法の開始のうちの、最初に発生したいずれかまで、処置関連有害事象を追跡した。
【0274】
結果
患者39名を、5用量レベル(DL、上記のTable 21(表25)を参照のこと)で開始時に処置し、13名を推奨用量(RD)で処置した。56%が女性であり、69%がECOG PS=1を有し、年齢中央値は58歳であり、中央値で2の、進行性疾患に対する事前の化学療法ライン(範囲、0~4)。RDを、D1のルルビネクテジン2.0mg/m2+D1及びD8 q3wのイリノテカン75mg/m2+G-CSFとして規定した。サイクル1における用量制限毒性が、最大耐用量(MTD)では2/3の評価可能な患者において、RDでは3/13の評価可能な患者において観察された。MTD及びRDにおいて、DLTで、グレード(G)3~4の好中球減少症(n=患者3名)又はG2~4の血小板減少症(n=2)により、イリノテカンD8用量が省略された。RDにおいて、一般的なG1/2毒性は、吐き気、嘔吐、疲労、下痢、食欲不振及びニューロパチーであり、G3/4血液学的異常は好中球減少症(33%)を含んでいたが、血小板減少症は含んでいなかった。
【0275】
薬物動態データ
ルルビネクテジン、イリノテカン、及びSN-38の濃度-時間データが、患者39名から入手可能である。主なPKパラメータの平均(±SD)が、ルルビネクテジン単剤、及びイリノテカン及びSN-38(Camptosarラベル)について他で報告されたパラメータとともに、以下の表に示される。
【0276】
参照PKデータとの比較可能性に基づいて、評価された3つの分析物についてのこれらのPK結果は、いかなる種類の主要な薬物-薬物相互作用も示唆せず、ゆえにルルビネクテジン及びイリノテカンの薬物組合せが、PK観点から安全に投与可能であることを示す。
【0277】
【表26】
【0278】
有効性データ
第三選択の処置としてのいくつかの症例を含む、SCLCを有する患者における有望な活性が観察された。活性のシグナルが、子宮内膜癌及び軟部肉腫(STS)及び神経膠芽腫(GBM)でも観察された。その結果、SCLC、GBM、STS、及び子宮内膜癌における有効性及び安全性を更に探索するための、RDでのフェーズII拡大。患者n=15 SCLC、n=11子宮内膜がん、n=10 STS、及びn=20 GBMを含む合計59名の患者を、RDで処置した。全ての用量での、腫瘍型ごとの有効性データが以下の表に示される。
【0279】
【表27】
【0280】
安全性
患者2名(3.4%)が、処置関連有害事象(ビリルビンG2、脱力G3)により処置を中断した。患者17名(28.8%)が用量低減を有した(低減の76%は、有害事象に関連する8日目のイリノテカン省略によるものであった)。8日目のイリノテカン注入の19.8%がRDで省略された(大部分が血液学的毒性による)。処置関連死亡は発生しなかった。RDで患者において観察された有害事象及び臨床検査異常の詳細な説明が、Table 24(表28)に示される。
【0281】
【表28】
【0282】
まとめ及び結論
RDは、充実性腫瘍における、GCS-Fを伴う、1日目のルルビネクテジン2.0mg/m2並びに1日目及び8日目q3wkのイリノテカン75mg/m2である。DLTは大部分が、血液学的毒性によるサイクル1での8日目のイリノテカン省略である。観察された主な毒性は、骨髄抑制、消化管及び疲労であった。消化管及び骨髄抑制は、予測可能かつ管理しやすかった。有望な活性がSCLCにおいて観察された。注目すべき活性が子宮内膜癌において観察され、活性の徴候がSTSにおいてみられた(特にEwing及び滑膜肉腫)。中程度の活性が神経膠芽腫患者において観察された。SCLC、子宮内膜癌及びSTS患者における拡大コホートが、各適応症に合計20名の患者を登録するため未だ継続中である。
【0283】
ルルビネクテジン固体状形態例
略語
【0284】
【表29】
【0285】
湾曲Ge-結晶モノクロメーター、Cu-Kα1線源及びステップスキャン検出器モードのMythen1K検出器を備える、透過配置でのStadi P回折計(Stoe & Cie GmbH社)を用いて、X線粉末ディフラクトグラム(XRPD)を得た。管電圧40kV、管電流40mAで、角度範囲1.5°~50.5°2-シータにおいて1ステップあたり12秒で0.02°2-シータのステップサイズを適用して、パターンを記録した。検出器ステップは1°2-シータであった。2-シータ値の代表的な精度は、約±0.2°2-シータの範囲にある。ゆえに、5.0°2-シータで現れる回折ピークは、標準的な条件下での大部分のX線回折計で、4.8~5.2 2-シータの間に現れうる。
【0286】
加熱範囲25~250℃及び加熱速度10℃/分で、N2雰囲気下で、Alるつぼ(開放又は微小な穴を有する)を使用するFT-IR Spectrometer Vector 22(Bruker社)を備えるThermo-Microbalance TG-209(Netzsch社)を用いて、TG-FTIR実験を実施した。
【0287】
加熱範囲-50~250℃及び加熱速度10又は20℃/分で、閉じたAuるつぼを使用するPerkin Elmer社DSC 7を用いて、DSC実験を実施した。
【0288】
Projekt Messtechnik SPS 11-100n複数試料水蒸気吸着分析計を用いて、DVS実験を実施した。試料は、予め規定された湿度プログラムを開始する前に、50%r.h.で平衡化することが可能であった。プログラムは、
- 50%r.h.で2h
- 50~0%r.h.(5%/h)
- 0%r.h.で5h
- 0~95%r.h(5%/h)
- 95%r.h.で5h
- 95~50%(5%/h)
- 50%r.h.で2h
であった。
【0289】
(実施例9)
ルルビネクテジンの非晶質形態Aの製造
【0290】
【化3】
【0291】
ルルビネクテジンの形態Aを、WO 03/014127に記載される手順に従って得た。ルルビネクテジンの形態AのXRPDパターンから、この形態が非晶質であることが確認された。図1を参照のこと。ルルビネクテジンの形態Aのいくつかのバッチを、この方法により製造した。それらのうちの5つの解析結果がTable 25(表30)に示される。
【0292】
【表30】
【0293】
Table 26(表31)は、形態Aルルビネクテジンのいくつかのバッチの不純物プロファイルを示す。
【0294】
【表31】
【0295】
(実施例10)
ルルビネクテジンの形態Bの製造
実施例1に記載されるように得られた未精製ルルビネクテジン(10g)を、HCl水溶液(0.1M、390mL)中に溶解させた。水溶液をCH2Cl2(2x335mL)で、及びn-ペンタン(1x335mL)で洗浄し、NH4Cl/NH4OH水溶液(NH4Cl17.5g及びNH4OH20mLを水250mLに溶解させることにより調製、68mL)で処理してルルビネクテジンの形態Bを沈殿させ、これを濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて7.5g、9.45mmol、収率81%のルルビネクテジンの形態Bをもたらした。
【0296】
ルルビネクテジンの形態Bのいくつかのバッチを、この方法により製造した。これらのうちの10個の解析結果がTable 27(表32)に示される。
【0297】
【表32】
【0298】
ルルビネクテジンの形態Aを超えるルルビネクテジンの形態Bの更なる利点は、残留溶媒が存在しないことである。
【0299】
Table 28(表33)は、ルルビネクテジンの形態Bのいくつかのバッチの不純物プロファイル(%面積)を示す。
【0300】
【表33】
【0301】
ルルビネクテジンの形態A及びBの不純物プロファイル間の比較により、ルルビネクテジンの形態Bが、ルルビネクテジンの形態Aよりも少ない不純物を一貫して呈することが明らかに示される。
【0302】
固体状態の特徴付け-ルルビネクテジンの形態Bを、XRPD、IR、TG-FTIR、DSC及びDVSにより特徴付けた。
ルルビネクテジンの形態BのいくつかのバッチのXRPDパターンから、この形態が部分結晶性(ブロードピーク、非晶質バックグラウンド)であること、及びその製造方法が再現可能であることが確認された。図2a及び図2bを参照のこと。ルルビネクテジンの形態Bの2つのバッチのXRPD角度2-シータ及びそれらの相対強度が、Table 29(表34)に示される。
【0303】
【表34】
【0304】
TG-FTIRにより、ルルビネクテジンの形態Bについての、150℃超での分解が示される。2.6%の水の放出が検出された。図3を参照のこと。
【0305】
DSCによる非晶質含有量の推定は不可能であった。分解が130℃超で始まることが観察された、図4を参照のこと。ガラス転移温度又は融点は検出されなかった。
【0306】
DVSにより、ステップを有さずかつヒステリシスをほとんど有しない連続的な水の取り込み及び放出が示される。これは、形態Bの部分非晶質特徴によるものである。試料は潮解性でない。質量変化Δm(50~96%r.h.)≒4%が観察され、ルルビネクテジンの形態Bが吸湿性であることを示した。相対湿度を再度低下させると、含水率が減少し、元の質量にほぼ戻った、図5を参照のこと。
【0307】
ルルビネクテジンの形態Bの相対的安定性-ルルビネクテジンの形態A及びB(各15mg)の1:1混合物3つを調製し、水(1mL)中に懸濁させた。6及び24時間後に試料を採取した。6及び24時間後の粉末パターンは、形態B出発物質のパターンと一致する。図6を参照のこと。相平衡後の両パターンは、より鋭いピーク及びより高いピーク分解能を示す。これらは、改善された結晶化度の表れである。非晶質含有量の定量化は、利用可能なデータでは不可能であった。
【0308】
図7aに示されるルルビネクテジンの形態Aについて、及び図7bに示されるルルビネクテジンの形態Bについて、IRスペクトルを得た。ルルビネクテジンの形態Bの3つのバッチのIRと、ルルビネクテジンの形態AのIRとの間の相関係数は、0.81~0.86で変動する。一方、ルルビネクテジンの形態AのいくつかのIRスペクトルの相関係数は、0.97~0.99で変動する。
【0309】
(実施例11)
空気中での静電荷測定
ルルビネクテジンの形態A(バッチP04及びR05)及びルルビネクテジンの形態B(バッチ1924129-LT及び1924128-LT)の2つのバッチの静電荷を、比10、15及び20cmを有する同心球のステンレス鋼で構築されるファラデーケージ(図8を参照のこと)を使用して測定した。この技法は、測定される試料(q)を内側の球(a)の内部に配置し、球(a)と別の参照導体球(b)との間に誘導される電位差を測定することで構成される。外側の球(c)は、装置を保護するために接地される。高精度電位計(Keithley 617、分解能10fC)を用いて電位差の測定を実施した。
【0310】
試料の静電荷に対する周囲湿度の影響を回避するため、制御された乾燥窒素雰囲気下で測定を実施した。静電荷の喪失を回避するため、不導体器具を使用して試料をガラスカプセル内に導入した。ガラスカプセル内での寄生静電荷(parasitic static charge)を回避するため、接地された導体チューブを介して、試料を充填したカプセルをファラデーケージに導入した。絶縁体部品の摩擦による静電荷の発生を最小限にするために、各測定におけるカプセルの導入及び取り出しを確実に一定の速度にするため、コンピュータ制御されたサーボエンジンによりカプセルの導入及び取り出しを行った。
【0311】
結果:各形態のルルビネクテジンの各バッチについて、様々な量の物質による数回の測定を実施した。カプセルに充填する前に、これらを洗浄し、レベルを補正するためこれらの残存する静電荷を測定した。各試料を5回導入及び取り出し、各導入後、可能性のあるドリフト効果を平均するために数回の連続測定を行った。図9a及び図9bは、ルルビネクテジンの形態A及びBのバッチの各対についてのそのような測定の結果をまとめた。
【0312】
測定された電荷Qは、解析された物質の量とともに増大する。ルルビネクテジンの両形態が正の静電荷を有する。ルルビネクテジンの形態Aは、ルルビネクテジンの形態Bよりも相当に大きい全静電荷を有する。直線の傾きとして電荷密度(Q/m)を得るため、データを直線回帰(図9a及び図9bの破線)に当てはめた。直線回帰の質量0mgへの外挿は、ガラスカプセルの残留静電荷を表し、Q/mの値に影響しない。この回帰及び電荷密度の分散の結果がTable 30(表35)にまとめられる。範囲は全て95%信頼度で与えられる。
【0313】
【表35】
【0314】
図10a及び図10bは、ルルビネクテジンの形態A及びBのバッチの各対についての、電荷密度の分布を示す。
【0315】
ルルビネクテジンの形態Bが、ルルビネクテジンの形態Aより1桁小さい平均電荷密度を有することが示される。摩擦帯電(triboelectrization)におけるこの差を、各形態の2つの異なるバッチを使用して実証した。
【0316】
(実施例12)
出発物質として形態Bを使用する、医薬組成物の製造のための例示的方法
ルルビネクテジンの形態Bを、濃度25mg/mlで濃乳酸溶液(0.31M)に溶解させた。次いで、この溶液を、濃度8.33mg/mlのPM01183を含有する乳酸溶液(0.1M)に注射用水(WFI)で希釈した。
【0317】
次いでこの溶液を、予め調製された、乳酸(3.7mg/ml)、水酸化ナトリウム(1.1mg/ml)及び増量剤、スクロース(167.7mg/ml)から構成されるスクロース/緩衝液(pH=4.2)に、撹拌下で添加した。必要であれば、混合溶液は乳酸溶液又は水酸化ナトリウム溶液でpH=4.0に調節される。
【0318】
次いで、バルク溶液を最終的な体積又は質量にし(密度値1.04g/ccを考慮)、最終バルク溶液(0.5mg/mlルルビネクテジン、2.76mg/ml乳酸、0.64mg/ml NaOH、100mg/mlスクロース)を生成させた。
【0319】
次いでバルク溶液を、滅菌PVDFフィルター(0.22μm)で濾過し、8ml/バイアルで30mlガラスバイアルに充填した。
【0320】
バイアルを、Table 31(表36)に詳述されるサイクルに従って凍結乾燥した。凍結乾燥後、バイアルをフリップオフシールで密封し、+5℃で保存した。
【0321】
【表36】
【0322】
本発明はその特定の実施形態を参照して詳細に記載されるが、機能的に均等の変化が本発明の範囲内であることが理解されるはずである。実際に、本明細書に示され記載されるものに加えて本発明の各種改変が、前述の明細書及び添付の図面から当業者にとって明らかとなるはずである。そのような改変は、添付の請求項(及び条項)の範囲に入ることが意図される。当業者は、通常の実験法を超えないもの、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を使用することを認識するか、又は確かめることができるものである。そのような均等物は、以下の請求項(及び条項)により包含されることが意図される。
【0323】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、各個々の刊行物、特許又は特許出願がその全体にわたって参照により本明細書に組み込まれることが具体的にかつ個々に示されるのと同じ程度に、本明細書に参照により本明細書に組み込まれる。
【0324】
本発明は、ここでは、以下の項を参照して記載される。
1. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)を処置する方法であって、
(1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程
を含む方法。
2. コルチコステロイドが、デキサメタゾン8mgの用量で、又は静脈内投与されたデキサメタゾン8mgと同等のコルチコステロイドの用量で、静脈内投与されたデキサメタゾンである、項1に記載の方法。
3. セロトニンアンタゴニストが、オンダンセトロン8mgの用量で、又は静脈内投与されたオンダンセトロン8mgと同等のセロトニンアンタゴニストの用量で、静脈内投与されたオンダンセトロンである、項1又は2に記載の方法。
4. ルルビネクテジンの患者への投与後の2、3、又は4日以内に、1つ又は複数の抗嘔吐剤を投与する工程を更に含む、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
5. ルルビネクテジン投与後に投与される1つ又は複数の抗嘔吐剤が、コルチコステロイド、セロトニンアンタゴニスト、及びメトクロプラミドから選択される、項4に記載の方法。
6. 1つ又は複数の抗嘔吐剤が、デキサメタゾン4mg、オンダンセトロン8mg、若しくはメトクロプラミド10mgの用量、又はその組合せで投与される、項5に記載の方法。
7. 患者が、ルルビネクテジンと組み合わせたドキソルビシンで処置されない、項1から6のいずれか一項に記載の方法。
8. 患者が、事前の白金含有療法又は事前の免疫療法の後に進行している、項1から7のいずれか一項に記載の方法。
9. それを必要とする患者の転移性SCLCを含む小細胞肺がん(SCLC)を処置する方法であって、
(1)患者が少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を有する場合、第1の用量3.2mg/m2のルルビネクテジンを患者に静脈内注入により投与する工程;並びに
(2)前記投与後、患者において有害反応を同定する工程であって、有害反応が、グレード2の肝毒性若しくは他の有害反応、グレード3(重度)以上の肝毒性若しくは他の有害反応、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は任意のグレードの発熱性好中球減少症(好中球数<LLN)である、工程;
(3)有害反応を同定した後で、第1の用量の21日後、又は患者の好中球数が、1500個の細胞/mm3より大きく;血小板数が、約100,000個の細胞/mm3より大きく、任意選択で、ヘモグロビンレベルが、約9g/dLより高く、肝毒性又は他の有害反応が、グレード1以下になった後のうちの遅い方の時点において、
(i)同定した有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)からなる場合、G-CSF予防的投与と共に、3週間毎に第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンを患者に投与する工程;
(ii)同定した有害反応がグレード2の肝毒性(hepatoxocity)若しくは他の有害反応からなる場合、3週間毎に第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンを患者に投与する工程;又は
(iii)同定した有害反応がグレード3(重度)以上の肝毒性若しくは他の有害反応、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、若しくは任意のグレードの発熱性好中球減少症である場合、3週間毎に患者に第1の用量と比較して低減された用量のルルビネクテジンを投与する工程
を含む方法。
10. 第1の低減された用量が、2.6mg/m2である、項9に記載の方法。
11. 患者が2.6mg/m2の低減された用量を投与した後にグレード3(重度)以上の肝毒性若しくは他の有害反応、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、又は任意のグレードの発熱性好中球減少症を経験する場合、事前の用量の投与の21日後、又は患者の好中球数が、1500個の細胞/mm3より大きく;血小板数が、約100,000個の細胞/mm3より大きく、任意選択で、ヘモグロビンレベルが、約9g/dLより高く、肝毒性又は他の有害反応が、グレード1以下になった後のうちの遅い方の時点において、3週間毎に患者に第2の低減された用量2.0mg/m2のルルビネクテジンを投与する、項10に記載の方法。
12. 第2の低減された用量の投与後に有害反応を同定した後、又は患者がスケジュールされた用量の2週間以内に少なくとも1500個の細胞/mm3の絶対好中球数及び少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数まで回復しない場合、ルルビネクテジンの投与を中断する工程を更に含む、項11に記載の方法。
13. ルルビネクテジンが、ルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸(例えば乳酸)由来の緩衝剤、及び二糖(例えばスクロース)を含み、復元される場合に3.5から4.5のpHを有する、復元された凍結乾燥製剤を希釈することにより調製される注入製剤として投与される、項9から12のいずれか一項に記載の方法。
14. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)を処置する方法であって、
患者にルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量でルルビネクテジン注入溶液の静脈内注入により投与する工程であって、患者に投与されるルルビネクテジン注入溶液を、復元されるルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む凍結乾燥組成物から調製して、3.5~4.5のpHで復元された溶液を形成する、工程
を含む方法。
15. 二糖がスクロースであり、任意選択で、組成物が、ルルビネクテジン1mol:スクロース455~465molの比で、ルルビネクテジン及びスクロースを含む、項14に記載の方法。
16. 有機カルボン酸が乳酸であり、任意選択で、組成物が、ルルビネクテジン1mol:乳酸44~54molの比で、ルルビネクテジン及び乳酸を含む、項14又は15に記載の方法。
17. pHが、3.8~4.5である、項14から16のいずれか一項に記載の方法。
18. 凍結乾燥組成物を水溶液約8mLで復元して、復元された溶液を得る、項14~17のいずれか一項に記載の方法。
19. ルルビネクテジン注入溶液が、復元された溶液を等張溶液で希釈することにより調製される、項18に記載の方法。
20. 復元された溶液を、少なくとも100mL又は少なくとも250mLの等張溶液で希釈して、ルルビネクテジン注入溶液を調製する、項14から19のいずれか一項に記載の方法。
21. 等張溶液が、0.9%の塩化ナトリウム溶液又は5%のデキストロース溶液である、項20に記載の方法。
22. 凍結乾燥組成物が、
乳酸22.1mg;
水酸化ナトリウム5.1mg;及び
スクロース800mg
を含む、
又は、凍結乾燥組成物が、スクロース800mg、ラクテート0.245mmol、及びナトリウム0.128mmolを含む、
項14から21のいずれか一項に記載の方法。
23. 凍結乾燥組成物が、30mLのバイアルで提供される、項14から22のいずれか一項に記載の方法。
24. 凍結乾燥組成物が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の値で不純物Dを含む、項14から23のいずれか一項に記載の方法。
25. 凍結乾燥組成物が、リン酸緩衝剤を含まない、項14から24のいずれか一項に記載の方法。
26. 復元された溶液又はルルビネクテジン注入溶液が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の値で不純物Dを含む、項14から25のいずれか一項に記載の方法。
27. ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程を更に含む、項14から26のいずれか一項に記載の方法。
28. コルチコステロイドが、デキサメタゾン8mgの用量で、又は静脈内投与されたデキサメタゾン8mgと同等のコルチコステロイドの用量で、静脈内投与されたデキサメタゾンである、項27に記載の方法。
29. セロトニンアンタゴニストが、オンダンセトロン8mgの用量で、又は静脈内投与されたオンダンセトロン8mgと同等のセロトニンアンタゴニストの用量で、静脈内投与されたオンダンセトロンである、項27又は28に記載の方法。
30. ルルビネクテジンの患者への投与後の2、3、又は4日以内に、1つ又は複数の抗嘔吐剤を投与する工程を更に含む、項27から29のいずれか一項に記載の方法。
31. 1つ又は複数の抗嘔吐剤が、コルチコステロイド、セロトニンアンタゴニスト、及びメトクロプラミドから選択される、項30に記載の方法。
32. 1つ又は複数の抗嘔吐剤が、デキサメタゾン4mg、オンダンセトロン8mg、若しくはメトクロプラミド10mg、又はその組合せである、項31に記載の方法。
33. G-CSFを、500個の細胞/mm3未満又は正常範囲未満の任意の値の好中球数を有すると同定され、感染/敗血症と関連する患者に投与する工程を更に含む、項14から32のいずれか一項に記載の方法。
34. 一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、患者が少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、又は24回の処置サイクルを受ける、項14から33のいずれか一項に記載の方法。
35. 全応答率が、CTFI間隔が90日未満の患者に対して少なくとも11%若しくは少なくとも20%である、又は全応答率が、CTFI間隔が90日超の患者に対して少なくとも30%若しくは少なくとも40%である、項14から34のいずれか一項に記載の方法。
36. 応答の期間が、CTFI間隔が90日未満の患者に対して少なくとも2.5か月若しくは少なくとも4.5か月である、又は応答の期間が、CTFI間隔が90日超の患者に対して少なくとも3.5か月、5か月、若しくは6か月である、項14から35のいずれか一項に記載の方法。
37. 患者が、ルルビネクテジンの投与の少なくとも30日前又は少なくとも60日前又は少なくとも90日前に白金含有療法を受けていない、項14から36のいずれか一項に記載の方法。
38. 患者が、ルルビネクテジンの投与前に白金含有療法に応じて中断した、項14から37のいずれか一項に記載の方法。
39. 患者が、以前に免疫療法を投与されている、項14から38のいずれか一項に記載の方法。
40. 免疫療法が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、又は抗PD-L1抗体である、項39に記載の方法。
41. 免疫療法が、任意選択でカルボプラチン及びエトポシドと組み合わせたアテゾリズマブ、又はニボルマブである、項40に記載の方法。
42. 患者が、免疫療法を受けた後に進行している、項39から41のいずれか一項に記載の方法。
43. 患者の推定クレアチニンクリアランスが30mL/分超であり、AST若しくはALTが3×ULN未満である、又はビリルビンが1.5×ULN未満である、項14から42のいずれか一項に記載の方法。
44. ルルビネクテジンを、患者に1時間の静脈内注入として投与して、約107μg/Lの80%~125%以内の総血漿Cmax、及び約551μg*h/Lの80%~125%以内のAUC∞を達成する、項14から43のいずれか一項に記載の方法。
45. 凍結乾燥ルルビネクテジン組成物を保存する方法であって、
ルルビネクテジン4mg;有機カルボン酸由来の緩衝剤;及び二糖を含む凍結乾燥組成物を、5℃±3℃の温度で少なくとも48か月間保存する工程
を含み、
凍結乾燥組成物が、水8mLで復元すると3.5~4.5のpHを有する溶液を得られるように製剤化され、
少なくとも24か月の保存後、組成物中に存在する不純物Dの量が、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.以下である、
方法。
46. 少なくとも48か月の保存後、組成物中に存在する不純物Dの量が、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.以下である、項45に記載の方法。
47. 凍結乾燥組成物が、ルルビネクテジン4mg;乳酸22.1mg;水酸化ナトリウム5.1mg;及びスクロース800mgを含む、又は凍結乾燥組成物が、スクロース800mg、ラクテート0.245mmol、及びナトリウム0.128mmolを含む、項45又は46に記載の方法。
48. 凍結乾燥組成物が、30mLのバイアルで保存される、項45から47のいずれか一項に記載の方法。
49. ルルビネクテジン4mg;乳酸22.1mg;水酸化ナトリウム5.1mg;及びスクロース800mgからなる凍結乾燥組成物、又はスクロース800mg、ラクテート0.245mmol、及びナトリウム0.128mmolからなる凍結乾燥組成物を含有するバイアル;
製造日から少なくとも24か月である使用期限を含む、バイアルに貼り付けた標識
を含む、医薬生成物。
50. バイアルに貼り付けた標識が、製造日から少なくとも48か月である使用期限を含む、項49に記載の医薬生成物。
51. バイアルが30mLのバイアルである、項49又は50に記載の医薬生成物。
52. 凍結乾燥組成物が、ルルビネクテジン総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の値で不純物Dを含む、項49から51のいずれか一項に記載の医薬生成物。
53. 凍結乾燥組成物が、リン酸緩衝剤を含まない、項49から52のいずれか一項に記載の医薬生成物。
54. それを必要とする患者の充実性腫瘍である子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、又は上皮卵巣がんを処置する方法であって、
患者にルルビネクテジン並びにSN-38及びイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤を処置サイクルの1日目に投与する工程
を含み、
ルルビネクテジンが、1~2.5mg/m2の用量で投与され、
トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される、
方法。
55. イリノテカン50mg~75mg/m2と同等の用量のトポイソメラーゼ阻害剤が、処置サイクルの8日目に投与される、項54に記載の方法。
56. 処置サイクルが、18、19、20、21、22、23、24、又は25日サイクルである、項54又は55に記載の方法。
57. ルルビネクテジンが、2mg/m2の用量で投与される、項54から56のいずれか一項に記載の方法。
58. トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカンであり、75mg/m2の用量で投与される、項54から57のいずれか一項に記載の方法。
59. 処置サイクルが、21日である、項54から58のいずれか一項に記載の方法。
60. 充実性腫瘍が、SCLC、子宮内膜癌、軟部組織肉腫、又は神経膠芽細胞腫である、項54から59のいずれか一項に記載の方法。
61. 患者にG-CSFを投与して、前記処置の骨髄抑制効果を管理する、項54から60のいずれか一項に記載の方法。
62. 1日目の投与後に患者が血液学的毒性を呈する場合、処置サイクルの8日目にイリノテカンの用量の投与を省略する、項54から61のいずれか一項に記載の方法。
63. 処置サイクルの1日目に1つ又は複数の抗嘔吐剤を投与する工程を更に含む、項54から62のいずれか一項に記載の方法。
64. ルルビネクテジンが、復元される場合に3.5から4.5のpHを有する、ルルビネクテジン4mg、乳酸22.1mg又はラクテート0.245mmol、水酸化ナトリウム5.1mg又はナトリウム0.128mmol、及びスクロース800mgの復元された凍結乾燥製剤を希釈することにより調製される注入製剤として投与される、項55から64のいずれか一項に記載の方法。
65. pHが、3.8~4.5である、項64に記載の方法。
66. 凍結乾燥組成物を水溶液約8mLで復元して、復元された溶液を得る、項64又は65に記載の方法。
67. ルルビネクテジン注入溶液が、復元された溶液を等張溶液で希釈することにより調製される、項66に記載の方法。
68. 復元された溶液を、少なくとも100mL又は少なくとも250mLの等張溶液で希釈して、ルルビネクテジン注入溶液を調製する、項64から67のいずれか一項に記載の方法。
69. 等張溶液が、0.9%の塩化ナトリウム溶液又は5%のデキストロース溶液である、項68に記載の方法。
70. 凍結乾燥組成物が、30mLのバイアルで提供される、項64から69のいずれか一項に記載の方法。
71. 凍結乾燥組成物が、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の値で不純物Dを含む、項64から70のいずれか一項に記載の方法。
72. 復元された溶液又はルルビネクテジン注入溶液が、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の値で不純物Dを含む、項64から71のいずれか一項に記載の方法。
73. ルルビネクテジン、有機カルボン酸、水酸化ナトリウム、及びスクロースを含む水性原液を凍結乾燥して、凍結乾燥粉末を生成する工程であって、
水性原液中のルルビネクテジンの濃度が、0.5mg/mLであり、ルルビネクテジン対スクロースの比が、ルルビネクテジン1mol対スクロース455~465molであり、凍結乾燥粉末が、水8mLで復元すると3.5~4.1のpHを有する溶液を得られるように製剤化される、工程;並びに
凍結乾燥粉末を5℃±3℃で30か月~60か月保存して、医薬組成物を生成する工程であって、
保存後、組成物中に存在する不純物Dの量が、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.以下である、工程
により調製される医薬組成物。
74. 医薬組成物を投与する方法であって、
組成物を30~60か月間保存した後、バイアル中に凍結乾燥医薬組成物を復元する工程であって、
凍結乾燥医薬組成物が、ルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及びスクロースを含む原液を凍結乾燥することにより調製され、
組成物が、ルルビネクテジン1mol:スクロース455~465molの比でルルビネクテジン及び二糖を含み、
凍結乾燥組成物が、水8mLで復元すると3.5~4.5のpHを有する溶液を得られるように製剤化される、工程;並びに
復元された溶液を患者に投与する工程
を含む方法。
75. 医薬組成物が、保存の1日目のルルビネクテジンの少なくとも95%の量であるルルビネクテジン量を含む、項74に記載の方法。
76. バイアルが30mLのバイアルである、項74又は75に記載の方法。
77. それを必要とする患者のSCLCを処置する方法であって、
ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程;
を含み、
患者が、処置サイクルを開始する前にSCLCを処置するために免疫治療抗体を投与され、
応答の期間が、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、若しくは6か月である、又は全応答率が、少なくとも40%である、
方法。
78. 免疫治療抗体が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、又は抗PD-L1抗体である、項77に記載の方法。
79. 免疫治療抗体が、アテゾリズマブ又はニボルマブである、項78に記載の方法。
80. 免疫治療抗体を、化学療法剤と同時に患者に投与する、項79に記載の方法。
81. 化学療法剤が、カルボプラチン又はエトポシドである、項80に記載の方法。
82. 免疫-発癌性治療抗体がアテゾリズマブであり、化学療法剤がカルボプラチン又はエトポシドである、項81に記載の方法。
83. 一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、処置サイクルが、18、19、20、21、22、23、24、又は25日サイクルである、項69から74のいずれか一項に記載の方法。
84. 一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、患者が少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、又は24回の処置サイクルを受ける、項77から83のいずれか一項に記載の方法。
85. 全応答率が、少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%である、項77から84のいずれか一項に記載の方法。
86. 応答の期間が、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、又は6か月である、項77から85のいずれか一項に記載の方法。
87. 患者が、ルルビネクテジンの投与の少なくとも30日前又は少なくとも60日前又は少なくとも90日前に免疫-発癌性治療抗体を受けていない、項77から86のいずれか一項に記載の方法。
88. 患者が、ルルビネクテジンの投与前に免疫-発癌性治療抗体に応じて中断した、項77から87のいずれか一項に記載の方法。
89. 免疫-発癌性治療抗体が、ルルビネクテジンと同時に投与されない、項77から87のいずれか一項に記載の方法。
90. ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む凍結乾燥組成物
を含み、
ルルビネクテジン及び二糖が、ルルビネクテジン1mol対二糖455~465molの比で存在し、
凍結乾燥組成物が、水8mLで復元すると3.5~4.5のpHを有する溶液を得られるように製剤化され、
凍結乾燥組成物が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt./wt.以下の値で、ルルビネクテジンの脱アセチル化から得られる分解生成物を更に含む
医薬組成物。
91. ルルビネクテジン及び有機酸が、ルルビネクテジン1mol対有機酸44~54molの比で存在する、項90に記載の医薬組成物。
92. バイアルが30mLのバイアルである、項90又は91に記載の医薬組成物。
93. 凍結乾燥組成物が、リン酸緩衝剤を含まない、項90から92のいずれか一項に記載の医薬組成物。
94. 有機酸由来の緩衝剤が、乳酸緩衝剤、酪酸緩衝剤、プロピオン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、アスコルビン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、マレイン酸緩衝剤、フマル酸緩衝剤、グルタミン酸緩衝剤、アスパラギン酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤、及びα-ケトグルタル酸緩衝剤から選択される、項90から93のいずれか一項に記載の医薬組成物。
95. 有機酸由来の緩衝剤が、乳酸である、項90から94のいずれか一項に記載の医薬組成物。
96. 乳酸22.1mg;水酸化ナトリウム5.1mg;及びスクロース800mgを含む、又はスクロース800mg、ラクテート0.245mmol、及びナトリウム0.128mmolを含む、項90から95のいずれか一項に記載の医薬組成物。
97. ルルビネクテジンを含む凍結乾燥製剤においてルルビネクテジンの分解を低減する方法であって、乳酸緩衝剤を、凍結乾燥製剤を調製するもととなる原液に添加する工程を含み、ルルビネクテジン対乳酸緩衝剤の得られた比が、1mol:44mol~1mol:54molであり;脱アセチル化由来のルルビネクテジン分解生成物が、5℃±3℃で少なくとも24か月又は少なくとも36か月又は少なくとも48か月又は少なくとも60か月間保存する場合、ルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.を超えない、方法。
98. スクロースを、凍結乾燥製剤を調製するもととなる原液に添加する工程を含み、ルルビネクテジン対乳酸緩衝剤の得られた比が、1mol:455mol~1mol:465molである、項97の記載の方法。
99. 凍結乾燥組成物が、リン酸緩衝剤を含有しない、項97に記載の方法。
100. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)を処置する方法であって、3週間毎にルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程を含み、ルルビネクテジンが、ルルビネクテジン、乳酸、及びスクロースを含む凍結乾燥製剤で提供され、ルルビネクテジン:乳酸:スクロースの比が、1mol:46mol:455mol~1mol:50mol:465molであり、製剤が、5℃±3℃で少なくとも24か月又は少なくとも36か月又は少なくとも48か月又は少なくとも60か月間、安定であり、その結果、脱アセチル化由来のルルビネクテジン分解生成物がルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.を超えない、方法。
101. トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン75mg/m2と同等の用量で投与され、ルルビネクテジンが、2.0mg/m2の用量で投与される、項100に記載の方法。
102. 包装された凍結乾燥組成物であって、
バイアルに包装された、ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖
を含み、
凍結乾燥組成物の水約8mLへの溶解により、約3.5~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液が生成され、
凍結乾燥組成物が、包装される際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24か月又は約36か月又は約48か月の保存時、組成物が、約0.8%以下の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
凍結乾燥組成物。
103. 包装される際、約5℃で約24か月又は約36か月又は約48か月間保存した後、実質的に同じ量の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、項102に記載の組成物。
104. 緩衝剤が、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、及び乳酸塩からなる群から選択される有機アニオンの塩である、項102又は103に記載の組成物。
105. 塩が乳酸塩である、項104に記載の組成物。
106. 二糖が、スクロース、トレハロース、ラクトース、及び2つ若しくは3つ全てのその二糖の組合せからなる群から選択される、項102から105のいずれか一項に記載の組成物。
107. 二糖がスクロースである、項106に記載の組成物。
108. ルルビネクテジン対スクロースのw/w比が約1:200である、項107に記載の組成物。
109. ルルビネクテジン4mg、乳酸22.1mg、水酸化ナトリウム5.1mg、及びスクロース800mgを含む、又は凍結乾燥組成物が、スクロース800mg、ラクテート0.245mmol、及びナトリウム0.128mmolを含む、項102から108のいずれか一項に記載の組成物。
110. 水約8mLへの溶解により、約4.0のpHを有するルルビネクテジン溶液が生成される、項102から109のいずれか一項に記載の組成物。
111. 包装された凍結乾燥組成物であって、
バイアルに包装された、ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖
を含み、
凍結乾燥組成物の水約8mLへの溶解により、約3.8~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液が生成され、
凍結乾燥組成物が、包装される際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、包装された組成物を約25℃、相対湿度約60%で最大約1、2、3、6、9、又は12か月間保存した後、組成物が、実質的に同じ量の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
凍結乾燥組成物。
112. ルルビネクテジン4mg、乳酸22.1mg、水酸化ナトリウム5.1mg、及びスクロース800mgを含む、又は凍結乾燥組成物が、スクロース800mg、ラクテート0.245mmol、及びナトリウム0.128mmolを含む、項111に記載の組成物。
113. 水約8mLへの溶解により、約4.0のpHを有するルルビネクテジン溶液が生成される、項111又は項112に記載の組成物。
114. (a)ルルビネクテジン及び有機酸の溶液を用意する工程;
(b)塩基、有機酸、及び二糖の溶液を用意する工程;
(c)工程(a)及び工程(b)の溶液を組み合わせる工程;
(d)工程(c)の溶液のpHを約3.8~約4.1に調節する工程;並びに
(e)工程(d)の溶液を凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を用意する工程
を含む方法により調製される、項102から113のいずれか一項に記載の組成物。
115. 有機酸が、クエン酸、コハク酸、乳酸、及び酢酸からなる群から選択される、項114に記載の組成物。
116. 有機酸が乳酸である、項114に記載の組成物。
117. 塩基が水酸化ナトリウムである、項114から116のいずれか一項に記載の組成物。
118. 二糖が、スクロース、トレハロース、ラクトース、及び2つ若しくは3つ全てのその二糖の組合せからなる群から選択される、項114から117のいずれか一項に記載の組成物。
119. 有機酸が乳酸であり、塩基が水酸化ナトリウムであり、二糖がスクロースである、項14から117のいずれか一項に記載の組成物。
120. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)を処置する方法であって、
1)ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む包装された凍結乾燥組成物を水約8mLに溶解して、約3.5~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液を生成する工程、
並びに
2)3週間毎に約2~3.2mg/m2のルルビネクテジンを、SCLCが事前の白金含有療法の後に進行している患者に静脈内注入により投与する工程
を含み、
凍結乾燥組成物が、包装時に約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24か月の保存時、組成物が、約0.8%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
方法。
121. 投与が、
1)ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む包装された凍結乾燥組成物を水約8mLに溶解して、約3.8~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液を生成する工程、
並びに
2)ルルビネクテジンを、それを必要とする患者に投与する工程
を含み、
凍結乾燥組成物が、包装する際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24か月の保存時、組成物が、約0.8%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
項120に記載の方法。
122. 投与前に、凍結乾燥組成物を水溶液約8mLで復元して、復元されたルルビネクテジン溶液を得る、項120又は121に記載の方法。
123. 投与前に前記復元されたルルビネクテジン溶液を、復元に続いて最大で24時間、室温又は5℃±3℃で保存し、保存後に復元されたルルビネクテジン溶液が、ルルビネクテジンの0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の不純物Dを含む、項122に記載の方法。
124. ルルビネクテジン注入溶液が、復元された溶液を等張溶液で希釈することにより調製される、項122又は123に記載の方法。
125. 復元された溶液を、少なくとも100mL又は少なくとも250mLの等張溶液で希釈して、ルルビネクテジン注入溶液を調製する、項124に記載の方法。
126. 等張溶液が、0.9%の塩化ナトリウム溶液又は5%のデキストロース溶液である、項124又は125に記載の方法。
127. ルルビネクテジン注入溶液を、凍結乾燥ルルビネクテジン製剤の復元に続いて最大で24時間、室温又は5℃±3℃で保存し、保存後に復元されたルルビネクテジン溶液が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt未満の不純物Dを含む、項120から126のいずれか一項に記載の方法。
128. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)を処置するための療法での使用のための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記医薬が、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストと組み合わせて、2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与され、予防用量が、ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に投与される、使用。
129. コルチコステロイドが、デキサメタゾン8mgの用量で、又は静脈内投与されたデキサメタゾン8mgと同等のコルチコステロイドの用量で、静脈内投与用に製剤化されたデキサメタゾンである、項128に記載の使用。
130. セロトニンアンタゴニストが、オンダンセトロン8mgの用量で、又は静脈内投与されたオンダンセトロン8mgと同等のセロトニンアンタゴニストの用量で、静脈内投与用に製剤化されたオンダンセトロンである、項128又は129に記載の使用。
131. 前記医薬が、1つ又は複数の抗嘔吐剤と組み合わせて投与され、ルルビネクテジンの患者への投与後の2、3、又は4日以内に投与される、項128から130のいずれか一項に記載の使用。
132. ルルビネクテジン投与後に投与される1つ又は複数の抗嘔吐剤が、コルチコステロイド、セロトニンアンタゴニスト、及びメトクロプラミドから選択される、項131に記載の使用。
133. 1つ又は複数の抗嘔吐剤が、デキサメタゾン4mg、オンダンセトロン8mg、若しくはメトクロプラミド10mg、又はその組合せである、項132に記載の使用。
134. 患者が、ルルビネクテジンと組み合わせたドキソルビシンで処置されない、項121から126のいずれか一項に記載の使用。
135. 患者が、事前の白金含有療法又は事前の免疫療法の後に進行している、項128から134のいずれか一項に記載の使用。
136. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)を処置するための療法での使用のための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記医薬が、第1の処置サイクルにおいて第1の用量3.2mg/m2で患者に静脈内注入により投与され、同量が、有害反応が患者で同定されない限り、その後の処置で投与され、
有害反応が、グレード3(重度)以上の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)若しくは任意の他の有害反応からなる群から選択され;
有害反応を同定した後で、患者の好中球数が、1500個の細胞/mm3より大きく;血小板数が、約100,000個の細胞/mm3より大きく;ヘモグロビンレベルが、約9g/dLより高くなった後:
(i)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)からなる場合、ある用量のG-CSFが、その後の処置サイクルでの第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンと組み合わせて投与され;又は
(ii)同定した有害反応がグレード4の孤立性好中球減少症ではない場合、第1の用量と比較して低減された用量のルルビネクテジンが、患者に投与され、
2用量のルルビネクテジンの投与が、少なくとも21日間、間隔を空ける、
使用。
137. グレード4の孤立性好中球減少症ではない有害反応の第1の出現後、第1の低減された用量が、第1の用量の80~85%である、又はグレード4の孤立性好中球減少症ではない有害反応の第1の出現後、第1の低減された用量が、2.6mg/m2である、項136に記載の使用。
138. グレード4の孤立性好中球減少症ではない有害反応の第2の出現後、第2の低減された用量が、第1の用量の60~65%である、又はグレード4の孤立性好中球減少症ではない有害反応の第2の出現後、第2の低減された用量が、2.0mg/m2であり、第2の低減された用量が、患者に投与される、項137に記載の使用。
139. ルルビネクテジンの投与が、第2の低減された用量の投与後の有害反応の同定後に中断される、項138に記載の使用。
140. 医薬が、復元される場合に3.5から4.5のpHを有する、ルルビネクテジン4mg、乳酸22.1mg又はラクテート0.245mmol、水酸化ナトリウム5.1mg又はナトリウム0.128mmol、及びスクロース800mgの復元された凍結乾燥製剤を希釈することにより調製される注入製剤として投与される、項136から139のいずれか一項に記載の使用。
141. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)を処置するための療法での使用のための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記医薬が、3.2mg/m2の用量で患者にルルビネクテジン注入溶液の静脈内注入により投与され、患者に投与されるルルビネクテジン注入溶液を、復元されるルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む凍結乾燥組成物から調製して、3.5~4.5のpHで復元された溶液を形成する、使用。
142. 二糖がスクロースであり、任意選択で、組成物が、ルルビネクテジン1mol:スクロース455~465molの比で、ルルビネクテジン及びスクロースを含む、項141に記載の使用。
143. 有機カルボン酸が乳酸であり、任意選択で、組成物が、ルルビネクテジン1mol:乳酸44~54molの比で、ルルビネクテジン及び乳酸を含む、項141又は142に記載の使用。
144. pHが、3.8~4.5である、項141から143のいずれか一項に記載の使用。
145. 凍結乾燥組成物を水溶液約8mLで復元して、復元された溶液を得る、項141~144のいずれか一項に記載の使用。
146. ルルビネクテジン注入溶液が、復元された溶液を等張溶液で希釈することにより調製される、項145に記載の使用。
147. 復元された溶液を、少なくとも100mL又は少なくとも250mLの等張溶液で希釈して、ルルビネクテジン注入溶液を調製する、項141から146のいずれか一項に記載の使用。
148. 等張溶液が、0.9%の塩化ナトリウム溶液又は5%のデキストロース溶液である、項146に記載の使用。
149. 凍結乾燥組成物が、
乳酸22.1mg;
水酸化ナトリウム5.1mg;及び
スクロース800mg
を含む、
又は、凍結乾燥組成物が、スクロース800mg、ラクテート0.245mmol、及びナトリウム0.128mmolを含む、
項141から148のいずれか一項に記載の使用。
150. 凍結乾燥組成物が、30mLのバイアルで提供される、項141から149のいずれか一項に記載の使用。
151. 凍結乾燥組成物が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の値で不純物Dを含む、項141から150のいずれか一項に記載の使用。
152. 凍結乾燥組成物が、リン酸緩衝剤を含まない、項141から151のいずれか一項に記載の使用。
153. 復元された溶液又はルルビネクテジン注入溶液が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の値で不純物Dを含む、項141から152のいずれか一項に記載の使用。
154. ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストと組み合わせて投与され、予防用量が、ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に投与される、項141から153のいずれか一項に記載の使用。
155. コルチコステロイドが、デキサメタゾン8mgの用量で、又は静脈内投与されたデキサメタゾン8mgと同等のコルチコステロイドの用量で、静脈内投与用に製剤化されたデキサメタゾンである、項154に記載の使用。
156. セロトニンアンタゴニストが、オンダンセトロン8mgの用量で、又は静脈内投与されたオンダンセトロン8mgと同等のセロトニンアンタゴニストの用量で、静脈内投与用に製剤化されたオンダンセトロンである、項154又は155に記載の使用。
157. 前記医薬が、1つ又は複数の抗嘔吐剤と組み合わせて投与され、ルルビネクテジンの患者への投与後の2、3、又は4日以内に投与される、項154から156のいずれか一項に記載の使用。
158. 1つ又は複数の抗嘔吐剤が、コルチコステロイド、セロトニンアンタゴニスト、及びメトクロプラミドから選択される、項157に記載の使用。
159. 1つ又は複数の抗嘔吐剤が、デキサメタゾン4mg、オンダンセトロン8mg、若しくはメトクロプラミド10mg、又はその組合せである、項158に記載の使用。
160. 前記医薬が、G-CSFと組み合わせて、500個の細胞/mm3未満又は正常範囲未満の任意の値の好中球数を有すると同定され、感染/敗血症と関連する患者に投与される、項141から159のいずれか一項に記載の使用。
161. 一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、患者が少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、又は24回の処置サイクルを受ける、項141から160のいずれか一項に記載の使用。
162. 全応答率が、CTFI間隔が90日未満の患者に対して少なくとも11%若しくは少なくとも20%である、又は全応答率が、CTFI間隔が90日超の患者に対して少なくとも30%若しくは少なくとも40%である、項141から161のいずれか一項に記載の使用。
163. 応答の期間が、CTFI間隔が90日未満の患者に対して少なくとも2.5か月若しくは少なくとも4.5か月である、又は応答の期間が、CTFI間隔が90日超の患者に対して少なくとも3.5か月、5か月、若しくは6か月である、項141から162のいずれか一項に記載の使用。
164. 患者が、ルルビネクテジンの投与の少なくとも30日前又は少なくとも60日前又は少なくとも90日前に白金含有療法を受けていない、項141から163のいずれか一項に記載の使用。
165. 患者が、ルルビネクテジンの投与前に白金含有療法に応じて中断した、項141から164のいずれか一項に記載の使用。
166. 患者が、以前に免疫療法を投与されている、項141から165のいずれか一項に記載の使用。
167. 免疫療法が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、又は抗PD-L1抗体である、項166に記載の使用。
168. 免疫療法が、アテゾリズマブ又はニボルマブである、項167に記載の使用。
169. 患者が、免疫療法を受けた後に進行している、項166から168のいずれか一項に記載の使用。
170. 患者の推定クレアチニンクリアランスが30mL/分超であり、AST若しくはALTが3×ULN未満である、又はビリルビンが1.5×ULN未満である、項141から169のいずれか一項に記載の使用。
171. ルルビネクテジンを、患者に1時間の静脈内注入として投与して、約107μg/Lの80%~125%以内の総血漿Cmax、及び約551μg*h/Lの80%~125%以内のAUC∞を達成する、項141から170のいずれか一項に記載の方法。
172. それを必要とする患者の子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、又は上皮卵巣がんを処置するための療法での使用のための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記医薬が、処置サイクルの1日目にSN-38及びイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせて、1~2.5mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与され、トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される、使用。
173. 処置サイクルの1日目に静脈内注入により、ルルビネクテジンが、2.0mg/m2の用量で投与され、イリノテカンが、75mg/m2の用量で投与される、項172に記載の使用。
174. 75mg/m2でのその後の用量のイリノテカンが、処置サイクルの8日目に投与される、項172又は173に記載の使用。
175. 前記処置サイクルが、21日である、項172から174のいずれか一項に記載の使用。
176. 医薬が、処置サイクルの間、G-CSFと組み合わせて投与される、項172から175のいずれか一項に記載の使用。
177. 1日目の投与後に患者が血液学的毒性を呈する場合、処置サイクルの間、その後の用量のイリノテカンを前記患者に投与しない、項172から176のいずれか一項に記載の使用。
178. 処置サイクルの1日目に1つ又は複数の抗嘔吐剤を投与する工程を更に含む、項172から177のいずれか一項に記載の使用。
179. 患者が、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、又は神経膠芽細胞腫に対して処置される、項172から178のいずれか一項に記載の使用。
180. 医薬組成物を、それを必要とする患者に投与するための凍結乾燥医薬組成物の使用であって、凍結乾燥医薬組成物が、組成物を30~60か月保存した後、バイアル中に復元され、患者に投与され、
凍結乾燥医薬組成物が、ルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及びスクロースを含む原液を凍結乾燥することにより調製され、
組成物が、ルルビネクテジン1mol:スクロース455~465molの比でルルビネクテジン及び二糖を含み、
凍結乾燥組成物が、水8mLで復元すると3.5~4.5のpHを有する溶液を得られるように製剤化される、
使用。
181. 医薬組成物が、保存の1日目のルルビネクテジンの少なくとも95%の量であるルルビネクテジン量を含む、項180に記載の使用。
182. バイアルが30mLのバイアルである、項180又は181に記載の使用。
183. それを必要とする患者のSCLCを処置するための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、
ルルビネクテジンが、2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与され;
患者が、処置サイクルを開始する前にSCLCを処置するために免疫治療抗体を投与され、
応答の期間が、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、若しくは6か月である、又は全応答率が、少なくとも40%である、
使用。
184. 免疫治療抗体が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、又は抗PD-L1抗体である、項183に記載の使用。
185. 免疫治療抗体が、アテゾリズマブ又はニボルマブである、項184に記載の使用。
186. 免疫治療抗体を、化学療法剤と同時に患者に投与する、項185に記載の使用。
187. 化学療法剤が、カルボプラチン又はエトポシドである、項186に記載の使用。
188. 免疫-発癌性治療抗体がアテゾリズマブであり、化学療法剤がカルボプラチン又はエトポシドである、項187に記載の使用。
189. 一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、処置サイクルが、18、19、20、21、22、23、24、又は25日サイクルである、項183から188のいずれか一項に記載の使用。
190. 一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、患者が少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、又は24回の処置サイクルを受ける、項183から189のいずれか一項に記載の使用。
191. 患者が、17週間にわたって5用量のルルビネクテジン、又は20週間にわたって少なくとも6用量のルルビネクテジン、又は22週間にわたって少なくとも7用量のルルビネクテジンを投与される、項183から190のいずれか一項に記載の使用。
192. 全応答率が、少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%である、項183から191のいずれか一項に記載の使用。
193. 応答の期間が、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、又は6か月である、項183から192のいずれか一項に記載の使用。
194. 患者が、ルルビネクテジンの投与の少なくとも30日前又は少なくとも60日前又は少なくとも90日前に免疫-発癌性治療抗体を受けていない、項183から193のいずれか一項に記載の使用。
195. 患者が、ルルビネクテジンの投与前に免疫-発癌性治療抗体に応じて中断した、項183から194のいずれか一項に記載の使用。
196. 免疫-発癌性治療抗体が、ルルビネクテジンと同時に投与されない、項183から195のいずれか一項に記載の使用。
197. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、ルルビネクテジンが、3週間毎に2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与され、医薬が、ルルビネクテジン、乳酸、及びスクロースを含む凍結乾燥製剤で提供され、ルルビネクテジン:乳酸:スクロースの比が、1mol:46mol:455mol~1mol:50mol:465molであり、製剤が、5℃±3℃で少なくとも24か月又は少なくとも36か月又は少なくとも48か月又は少なくとも60か月間、安定であり、その結果、脱アセチル化由来のルルビネクテジン分解生成物がルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.を超えない、使用。
198. 医薬が、イリノテカン75mg/m2と同等の用量で投与されるトポイソメラーゼ阻害剤、及び2.0mg/m2の用量で投与されるルルビネクテジンと組み合わせて使用される、項197に記載の使用。
199. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)の処置での使用のための医薬の製造に対するルルビネクテジンの使用であって、医薬が、ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む包装された凍結乾燥組成物であり、3週間毎に約2~3.2mg/m2のルルビネクテジンを、SCLCが事前の白金含有療法の後に進行している患者に静脈内注入により投与するために、水約8mLに溶解して、約3.5~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液を生成し、
凍結乾燥組成物が、包装される際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24か月又は約36か月の保存時、組成物が、約0.8%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
使用。
200. 医薬が、ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む包装された凍結乾燥組成物であり、それを必要とする患者に投与するために、水約8mLに溶解して、約3.8~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液を生成し、
凍結乾燥組成物が、包装される際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24か月又は約36か月の保存時、組成物が、約0.8%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
項128から199のいずれか一項に記載の使用。
201. 投与前に、凍結乾燥組成物を水溶液約8mLで復元して、復元されたルルビネクテジン溶液を得る、項128から200のいずれか一項に記載の使用。
202. 投与前に前記復元されたルルビネクテジン溶液を、復元に続いて最大で24時間、室温又は5℃±3℃で保存し、保存後に復元されたルルビネクテジン溶液が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の不純物Dを含む、項201に記載の使用。
203. ルルビネクテジン注入溶液が、復元された溶液を等張溶液で希釈することにより調製される、項201又は202に記載の使用。
204. 復元された溶液を、少なくとも100mL又は少なくとも250mLの等張溶液で希釈して、ルルビネクテジン注入溶液を調製する、項203に記載の使用。
205. 等張溶液が、0.9%の塩化ナトリウム溶液又は5%のデキストロース溶液である、項203又は204に記載の使用。
206. ルルビネクテジン注入溶液を、凍結乾燥ルルビネクテジン製剤の復元に続いて最大で24時間、室温又は5℃±3℃で保存し、保存後に復元されたルルビネクテジン溶液が、ルルビネクテジン総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の不純物Dを含む、項203から205のいずれか一項に記載の使用。
207. (1)ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程;並びに
(2)ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程
を含む、それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)の処置のための組成物。
208. コルチコステロイドが、デキサメタゾン8mgの用量で、又は静脈内投与されたデキサメタゾン8mgと同等のコルチコステロイドの用量で、静脈内投与されたデキサメタゾンである、項207に記載の組成物。
209. セロトニンアンタゴニストが、オンダンセトロン8mgの用量で、又は静脈内投与されたオンダンセトロン8mgと同等のセロトニンアンタゴニストの用量で、静脈内投与されたオンダンセトロンである、項207又は208に記載の組成物。
210. ルルビネクテジンの患者への投与後の2、3、又は4日以内に、1つ又は複数の抗嘔吐剤を投与する工程を更に含む、項207から209のいずれか一項に記載の組成物。
211. ルルビネクテジン投与後に投与される1つ又は複数の抗嘔吐剤が、コルチコステロイド、セロトニンアンタゴニスト、及びメトクロプラミドから選択される、項210に記載の組成物。
212. 1つ又は複数の抗嘔吐剤が、デキサメタゾン4mg、オンダンセトロン8mg、若しくはメトクロプラミド10mg、又はその組合せである、項211に記載の組成物。
213. 患者が、事前の白金含有療法又は事前の免疫療法の後に進行している、項207から212のいずれか一項に記載の組成物。
214. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)の処置のための組成物であって、
(1)第1の用量3.2mg/m2のルルビネクテジンを患者に静脈内注入により投与する工程;並びに
(2)患者において有害反応を同定する工程であって、有害反応が、グレード3(重度)以上の非血液学的毒性、グレード4の血小板減少症(25,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、輸血を必要とする出血を伴うグレード3の血小板減少症(50,000個の細胞/mm3未満の血小板数)、グレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)、又は感染/敗血症と関連する任意のグレードの好中球減少症(好中球数<LLN)若しくは任意の他の有害反応からなる群から選択される、工程;
(3)有害反応を同定した後で、患者の好中球数が、1500個の細胞/mm3より大きく;血小板数が、約100,000個の細胞/mm3より大きく、ヘモグロビンレベルが、約9g/dLより高くなった後:
(i)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)からなる場合、患者にある用量のG-CSF及び第1の用量と等しい用量のルルビネクテジンを投与する工程;又は
(ii)同定した有害反応がグレード4の好中球減少症のみではない場合、患者に第1の用量と比較して低減された用量のルルビネクテジンを投与する工程
を含み、
2用量のルルビネクテジンの投与が、少なくとも21日間、間隔を空ける、
組成物。
215. グレード4の好中球減少症のみではない有害反応の第1の出現後、第1の低減された用量が、第1の用量の80~85%である、又はグレード4の好中球減少症のみではない有害反応の第1の出現後、第1の低減された用量が、2.6mg/m2である、項214に記載の組成物。
216. グレード4の好中球減少症のみではない有害反応の第2の出現後、第2の低減された用量が、第1の用量の60~65%である、又はグレード4の好中球減少症のみではない有害反応の第2の出現後、第2の低減された用量が、2.0mg/m2であり、第2の低減された用量が、患者に投与される、項215に記載の組成物。
217. 第2の低減された用量の投与後の有害反応の同定後、ルルビネクテジンの投与を中断する工程を更に含む、項216に記載の組成物。
218. ルルビネクテジンが、復元される場合に3.5から4.5のpHを有する、ルルビネクテジン4mg、乳酸22.1mg、水酸化ナトリウム5.1mg、及びスクロース800mgの復元された凍結乾燥製剤を希釈することにより調製される注入製剤として投与される、項214から217のいずれか一項に記載の組成物。
219. 患者にルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量でルルビネクテジン注入溶液の静脈内注入により投与する工程であって、患者に投与されるルルビネクテジン注入溶液を、復元されるルルビネクテジン4mg、有機カルボン酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む凍結乾燥組成物から調製して、3.5~4.5のpHで復元された溶液を形成する、工程
を含む、それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)の処置のための組成物。
220. 二糖がスクロースであり、任意選択で、組成物が、ルルビネクテジン1mol:スクロース455~465molの比で、ルルビネクテジン及びスクロースを含む、項219に記載の組成物。
221. 有機カルボン酸が乳酸であり、任意選択で、組成物が、ルルビネクテジン1mol:乳酸44~54molの比で、ルルビネクテジン及び乳酸を含む、項219又は220に記載の組成物。
222. pHが、3.8~4.5である、項219から221のいずれか一項に記載の組成物。
223. 凍結乾燥組成物を水溶液約8mLで復元して、復元された溶液を得る、項219~222のいずれか一項に記載の組成物。
224. ルルビネクテジン注入溶液が、復元された溶液を等張溶液で希釈することにより調製される、項223に記載の組成物。
225. 復元された溶液を、少なくとも100mL又は少なくとも250mLの等張溶液で希釈して、ルルビネクテジン注入溶液を調製する、項219から224のいずれか一項に記載の組成物。
226. 等張溶液が、0.9%の塩化ナトリウム溶液又は5%のデキストロース溶液である、項225に記載の組成物。
227. 凍結乾燥組成物が、
乳酸22.1mg;
水酸化ナトリウム5.1mg;及び
スクロース800mg
を含む、項219から226のいずれか一項に記載の組成物。
228. 凍結乾燥組成物が、30mLのバイアルで提供される、項219から227のいずれか一項に記載の組成物。
229. 凍結乾燥組成物が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の値で不純物Dを含む、項219から228のいずれか一項に記載の組成物。
230. 凍結乾燥組成物が、リン酸緩衝剤を含まない、項219から229のいずれか一項に記載の組成物。
231. 復元された溶液又はルルビネクテジン注入溶液が、ルルビネクテジンの総質量に基づいて0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、又は0.4%wt/wt以下の値で不純物Dを含む、項219から230のいずれか一項に記載の組成物。
232. ルルビネクテジンを患者に投与する日及び投与する前に、ルルビネクテジンの患者への投与に関連する悪心を軽減するのに効果的な予防用量のコルチコステロイド及びセロトニンアンタゴニストを投与する工程を更に含む、項219から231のいずれか一項に記載の組成物。
233. コルチコステロイドが、デキサメタゾン8mgの用量で、又は静脈内投与されたデキサメタゾン8mgと同等のコルチコステロイドの用量で、静脈内投与されたデキサメタゾンである、項232に記載の組成物。
234. セロトニンアンタゴニストが、オンダンセトロン8mgの用量で、又は静脈内投与されたオンダンセトロン8mgと同等のセロトニンアンタゴニストの用量で、静脈内投与されたオンダンセトロンである、項232又は233に記載の組成物。
235. ルルビネクテジンの患者への投与後の2、3、又は4日以内に、1つ又は複数の抗嘔吐剤を投与する工程を更に含む、項232から234のいずれか一項に記載の組成物。
236. 1つ又は複数の抗嘔吐剤が、コルチコステロイド、セロトニンアンタゴニスト、及びメトクロプラミドから選択される、項235に記載の組成物。
237. 1つ又は複数の抗嘔吐剤が、デキサメタゾン4mg、オンダンセトロン8mg、若しくはメトクロプラミド10mg、又はその組合せである、項236に記載の組成物。
238. G-CSFを、500個の細胞/mm3未満又は正常範囲未満の任意の値の好中球数を有すると同定され、感染/敗血症と関連する患者に投与する工程を更に含む、項219から237のいずれか一項に記載の組成物。
239. 一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、患者が少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、又は24回の処置サイクルを受ける、項219から238のいずれか一項に記載の組成物。
240. 全応答率が、CTFI間隔が90日未満の患者に対して少なくとも11%若しくは少なくとも20%である、又は全応答率が、CTFI間隔が90日超の患者に対して少なくとも30%若しくは少なくとも40%である、項219から239のいずれか一項に記載の組成物。
241. 応答の期間が、CTFI間隔が90日未満の患者に対して少なくとも2.5か月若しくは少なくとも4.5か月である、又は応答の期間が、CTFI間隔が90日超の患者に対して少なくとも3.5か月、5か月、若しくは6か月である、項219から240のいずれか一項に記載の組成物。
242. 患者が、ルルビネクテジンの投与の少なくとも30日前又は少なくとも60日前又は少なくとも90日前に白金含有療法を受けていない、項219から241のいずれか一項に記載の組成物。
243. 患者が、ルルビネクテジンの投与前に白金含有療法に応じて中断した、項219から242のいずれか一項に記載の組成物。
244. 患者が、以前に免疫療法を投与されている、項219から243のいずれか一項に記載の使用。
245. 免疫療法が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、又は抗PD-L1抗体である、項244に記載の組成物。
246. 免疫療法が、アテゾリズマブ又はニボルマブである、項245に記載の組成物。
247. 患者が、免疫療法を受けた後に進行している、項244から246のいずれか一項に記載の組成物。
248. 患者の推定クレアチニンクリアランスが30mL/分超であり、AST若しくはALTが3×ULN未満である、又はビリルビンが1.5×ULN未満である、項219から247のいずれか一項に記載の組成物。
249. ルルビネクテジンを、患者に1時間の静脈内注入として投与して、約107μg/Lの80%~125%以内の総血漿Cmax、及び約551μg*h/Lの80%~125%以内のAUC∞を達成する、項219から248のいずれか一項に記載の組成物。
250. それを必要とする患者の子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、神経膠芽細胞腫、膵腺癌、中皮腫、結腸直腸癌、又は上皮卵巣がんの処置のための組成物であって、処置が、
患者にルルビネクテジン並びにSN-38及びイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤を処置サイクルの1日目に投与する工程
を含み、
ルルビネクテジンが、1~2.5mg/m2の用量で投与され、
トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン50~75mg/m2と同等の用量で投与される、
組成物。
251. 処置サイクルの1日目に静脈内注入により、ルルビネクテジンが、2.0mg/m2の用量で投与され、イリノテカンが、75mg/m2の用量で投与される、項250に記載の組成物。
252. 75mg/m2でのその後の用量のイリノテカンが、処置サイクルの8日目に投与される、項250又は251に記載の組成物。
253. 前記処置サイクルが、21日である、項250から252のいずれか一項に記載の組成物。
254. 医薬が、処置サイクルの間、G-CSFと組み合わせて投与される、項250から253のいずれか一項に記載の組成物。
255. 1日目の投与後に患者が血液学的毒性を呈する場合、処置サイクルの間、その後の用量のイリノテカンを前記患者に投与しない、項250から254のいずれか一項に記載の組成物。
256. 処置サイクルの1日目に1つ又は複数の抗嘔吐剤を投与する工程を更に含む、項250から255のいずれか一項に記載の組成物。
257. 患者が、子宮内膜がん、SCLC、軟部組織肉腫、又は神経膠芽細胞腫に対して処置される、項250から256のいずれか一項に記載の組成物。
258. それを必要とする患者のSCLCの処置のための組成物であって、
ルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程;
を含み、
患者が、処置サイクルを開始する前にSCLCを処置するために免疫治療抗体を投与され、
応答の期間が、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、若しくは6か月である、又は全応答率が、少なくとも40%である、
組成物。
259. 免疫治療抗体が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、又は抗PD-L1抗体である、項258に記載の組成物。
260. 免疫治療抗体が、アテゾリズマブ又はニボルマブである、項259に記載の組成物。
261. 免疫治療抗体を、化学療法剤と同時に患者に投与する、項260に記載の組成物。
262. 化学療法剤が、カルボプラチン又はエトポシドである、項261に記載の組成物。
263. 免疫-発癌性治療抗体がアテゾリズマブであり、化学療法剤がカルボプラチン又はエトポシドである、項262に記載の組成物。
264. 一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、処置サイクルが、18、19、20、21、22、23、24、又は25日サイクルである、項258から263のいずれか一項に記載の組成物。
265. 一用量のルルビネクテジンを処置サイクル毎に投与し、患者が少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、又は24回の処置サイクルを受ける、項258から264のいずれか一項に記載の組成物。
266. 全応答率が、少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%である、項258から264のいずれか一項に記載の組成物。
267. 応答の期間が、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、又は6か月である、項258から264のいずれか一項に記載の組成物。
268. 患者が、ルルビネクテジンの投与の少なくとも30日前又は少なくとも60日前又は少なくとも90日前に免疫-発癌性治療抗体を受けていない、項258から264のいずれか一項に記載の組成物。
269. 患者が、ルルビネクテジンの投与前に免疫-発癌性治療抗体に応じて中断した、項258から264のいずれか一項に記載の組成物。
270. 免疫-発癌性治療抗体が、ルルビネクテジンと同時に投与されない、項258から269のいずれか一項に記載の組成物。
271. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)の処置のための組成物であって、3週間毎にルルビネクテジンを2~3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程を含み、ルルビネクテジンが、ルルビネクテジン、乳酸由来の緩衝剤、及びスクロースを含む凍結乾燥製剤で提供され、ルルビネクテジン:乳酸:スクロースの比が、1mol:46mol:455mol~1mol:50mol:465molであり、製剤が、5℃±3℃で少なくとも24か月又は少なくとも36か月又は少なくとも48か月又は少なくとも60か月間、安定であり、その結果、脱アセチル化由来のルルビネクテジン分解生成物がルルビネクテジン総質量の0.8%wt./wt.を超えない、組成物。
272. それを必要とする患者の小細胞肺がん(SCLC)の処置のための組成物であって、
1)ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖を含む包装された凍結乾燥組成物を水約8mLに溶解して、約3.5~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液を生成する工程、
並びに
2)3週間毎に約2~3.2mg/m2のルルビネクテジンを、SCLCが事前の白金含有療法の後に進行している患者に静脈内注入により投与する工程
を含み、
凍結乾燥組成物が、包装される際、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含み、約5℃での約24か月の保存時、組成物が、約0.8%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
組成物。
273. 患者が、成人患者である、項1から45、54から72、74から89、100から101、及び120から272、93から94、及び113から120のいずれか一項に記載の方法、組成物、又は使用。
274. がんが、転移性SCLCである、項1から45、54から72、74から89、100から101、及び120から273のいずれか一項に記載の方法、組成物、又は使用。
275. がんが、白金ベースの化学療法後に疾患進行を伴う転移性SCLCである、項1から45、54から72、74から89、100から101、及び120から274のいずれか一項に記載の方法、組成物、又は使用。
276. それを必要とする患者のがんの処置のためのルルビネクテジンの投与に関連する有害事象を低減する方法であって、
ルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量で患者に静脈内注入により投与する工程;
患者が、好中球減少症、血小板減少症、及び肝毒性からなる群から選択される有害事象を経験するかを決定する工程;並びに
患者が好中球減少症、血小板減少症、又は肝毒性を経験する場合、用量を修正する工程
を含み、
3.2mg/m2の用量のルルビネクテジンが、用量の修正がない(即ち、正常な投与スケジュールの)場合、21日毎に投与される、
方法。
277. 投与前、患者の絶対好中球数(ANC)が、少なくとも1,500個の細胞/mm3であり、血小板数が、少なくとも100,000個の細胞/mm3である、項276に記載の方法。
278. 用量が、正常な投与スケジュールと比較してルルビネクテジンの投与を遅延させることにより修正される、項276又は277に記載の方法。
279. 用量が、正常な投与スケジュールと比較して投与されるルルビネクテジンの量を低減させることにより修正される、項276から278のいずれか一項に記載の方法。
280. 用量の修正が、21日毎に2.6mg/m2の用量でルルビネクテジンを投与する工程を含む、項279に記載の方法。
281. 用量の修正が、21日毎に2.0mg/m2の用量でルルビネクテジンを投与する工程を含む、項279に記載の方法。
282. 患者が、グレード4の好中球減少症又は任意のグレードの発熱性好中球減少症を経験する場合;用量が、患者の好中球減少症がグレード1以下となるまでルルビネクテジン処置を保留し、患者の好中球減少症がグレード1以下になると、21日毎にルルビネクテジンを2.6mg/m2の用量で投与することにより修正される、項276又は277に記載の方法。
283. 患者が、グレード4の孤立性好中球減少症(500個の細胞/mm3未満の好中球数)を経験する場合;用量が、患者の好中球減少症がグレード1以下となるまでルルビネクテジン処置を保留し、患者の好中球減少症がグレード1以下になると、G-CSF予防的投与と併用して21日毎にルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量で投与することにより修正される、項276又は277に記載の方法。
284. 患者が、出血を伴うグレード3の血小板減少症又はグレード4の血小板減少症を経験する場合;用量が、患者の血小板数が少なくとも100,000個の細胞/mm3となるまでルルビネクテジン処置を保留し、患者の血小板数が少なくとも100,000個の細胞/mm3になると、21日毎にルルビネクテジンを2.6mg/m2の用量で投与することにより修正される、項276又は277に記載の方法。
285. 患者が、グレード2の肝毒性を経験する場合、用量が、患者の肝毒性がグレード1以下となるまでルルビネクテジン処置を保留し、肝毒性がグレード1以下になると、21日毎にルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量で投与することにより修正される、項276又は277に記載の方法。
286. 患者が、グレード3以上の肝毒性を経験する場合、用量が、患者の肝毒性がグレード1以下となるまでルルビネクテジン処置を保留し、肝毒性がグレード1以下になると、21日毎にルルビネクテジンを2.6mg/m2の用量で投与することにより修正される、項276又は277に記載の方法。
287. 患者が、修正した用量で、好中球減少症、血小板減少症、及び肝毒性からなる群から選択される有害事象を経験するかを決定する工程;並びに
患者が好中球減少症、血小板減少症、又は肝毒性を経験する場合、用量を更に修正する工程
を更に含む、項282から286のいずれか一項に記載の方法。
288. 患者が、修正した用量で、グレード4の好中球減少症又は任意のグレードの発熱性好中球減少症を経験する場合;用量が、患者の好中球減少症がグレード1以下となるまでルルビネクテジン処置を保留し、患者の好中球減少症がグレード1以下になると、21日毎にルルビネクテジンを2.0mg/m2の用量で投与することにより更に修正される、項287に記載の方法。
289. 患者が、修正した用量で、出血を伴うグレード3の血小板減少症又はグレード4の血小板減少症を経験する場合;用量が、患者の血小板数が少なくとも100,000個の細胞/mm3となるまでルルビネクテジン処置を保留し、患者の血小板数が少なくとも100,000個の細胞/mm3になると、21日毎にルルビネクテジンを2.0mg/m2の用量で投与することにより更に修正される、項287に記載の方法。
290. 患者が、修正した用量で、グレード2の肝毒性を経験する場合、用量が、患者の肝毒性がグレード1以下となるまでルルビネクテジン処置を保留し、肝毒性がグレード1以下になると、21日毎にルルビネクテジンを3.2mg/m2の用量で投与することにより更に修正される、項287に記載の方法。
291. 患者が、修正した用量で、グレード3以上の肝毒性を経験する場合、用量が、患者の肝毒性がグレード1以下となるまでルルビネクテジン処置を保留し、肝毒性がグレード1以下になると、21日毎にルルビネクテジンを2.0mg/m2の用量で投与することにより更に修正される、項287に記載の方法。
292. ルルビネクテジン処置の保留が2週間を超える場合、投与を恒久的に中断する、項277から291のいずれか一項に記載の方法。
292a. グレード1以下の好中球減少症を達成するためのルルビネクテジン処置の保留が2週間を超える場合、投与を恒久的に中断する、項282、283、及び288のいずれか一項に記載の方法。
292b. 少なくとも100,000個の細胞/mm3の血小板数を達成するためのルルビネクテジン処置の保留が2週間を超える場合、投与を恒久的に中断する、項284又は289に記載の方法。
292c. グレード1以下の肝毒性を達成するためのルルビネクテジン処置の保留が2週間を超える場合、投与を恒久的に中断する、項285、286、290、及び291のいずれか一項に記載の方法。
293. 患者が2mg/m2の用量を許容することが不可能な場合、投与を恒久的に中断する、項277から291のいずれか一項に記載の方法。
294. がんが、白金ベースの化学療法後に疾患進行を伴う転移性SCLCである、277から293のいずれか一項に記載の方法。
295. それを必要とする患者のがんの処置のためのルルビネクテジンを安全に投与する方法であって、
患者がCYP3A阻害剤を投与されているかを決定する工程;並びに
患者が中程度又は強力なCYP3A阻害剤を投与される場合、CYP3A阻害剤とルルビネクテジンとの組合せによる潜在的な薬物/薬物の相互作用を警告する工程;並びに
中程度のCYP3A阻害剤とルルビネクテジンとの共投与を避けることができない場合、正常な投与スケジュールと比較して修正した用量でルルビネクテジンを投与する工程
を含む方法。
296. 警告が、強力な又は中程度のCYP3A阻害剤とルルビネクテジンとの共投与を避けるためである、項295に記載の方法。
297. 患者が、21日毎に2.6mg/m2の用量でのルルビネクテジンで、中程度のCYP3A阻害剤及びルルビネクテジンを共投与される、項295に記載の方法。
298. 患者が、21日毎に2.0mg/m2の用量で、中程度のCYP3A阻害剤及びルルビネクテジンを共投与される、項295に記載の方法。
299. ルルビネクテジン4mg、有機酸由来の緩衝剤、及び二糖
を含み、
組成物を約25℃、相対湿度約60%で最大約1、2、3、6、9、又は12か月間保存する場合、約0.8%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、
凍結乾燥組成物。
300. 組成物を約25℃、相対湿度約60%で最大約1、2、3、6、9、又は12か月間保存する場合、約0.5%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、項299に記載の凍結乾燥組成物。
301. 組成物を約25℃、相対湿度約60%で最大約1、2、3、6、9、又は12か月間保存する場合、約0.3%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、項299に記載の凍結乾燥組成物。
302. 組成物を約25℃、相対湿度約60%で最大約1、2、3、6、9、又は12か月間保存する場合、約0.1%未満の不純物D(ルルビネクテジンに基づくw/w)を含む、項299に記載の凍結乾燥組成物。
303. 有機酸が、クエン酸、コハク酸、乳酸、及び酢酸からなる群から選択される、項299から302のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
304. 有機酸が乳酸である、項303に記載の凍結乾燥組成物。
305. 二糖が、スクロース、トレハロース、ラクトース、及び2つ又は3つ全てのその二糖の組合せからなる群から選択される、項299から304のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
306. 有機酸が乳酸であり、二糖がスクロースである、項299から305のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
307. 組成物が、ルルビネクテジン4mg、乳酸22.1mg、水酸化ナトリウム5.1mg、及びスクロース800mgを含む、又は凍結乾燥組成物が、スクロース800mg、ラクテート0.245mmol、及びナトリウム0.128mmolを含む、項299から306のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
308. 凍結乾燥組成物の水約8mLへの溶解により、約3.8~約4.1のpHを有するルルビネクテジン溶液が生成される、項299から307のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
309. 水約8mLへの溶解により、約4.0のpHを有するルルビネクテジン溶液が生成される、項299から307のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
310. 水約8mLへの溶解により、0.47~0.5mg/mLのルルビネクテジンを含み、約3.5~4.5のpHを有するルルビネクテジン溶液が生成される、項299から307のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
311. バイアルに包装される、項299から310のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
311a. 30mLのバイアルに包装される、項299から311のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
312. 式(I):
【0325】
【化4】
【0326】
のルルビネクテジンの形態Bであって、
6.2±0.2°、7.6±0.2°、9.0±0.2°、10.9±0.2°、14.9±0.2°、及び15.3±0.2°からなる群から選択される2シータ角における4個以上のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する
ルルビネクテジンの形態B。
313. X線粉末回折パターンが、6.2±0.2°、7.6±0.2°、9.0±0.2°、10.9±0.2°、14.9±0.2°、及び15.3±0.2°からなる群から選択される2シータ角における5個以上のピークを含む、項312に記載のルルビネクテジン。
314. X線粉末回折パターンが、6.2±0.2°、7.6±0.2°、9.0±0.2°、10.9±0.2°、14.9±0.2°、及び15.3±0.2°の2シータ角におけるピークを含む、項312に記載のルルビネクテジン。
315. 12.4±0.2°、19.2±0.2°、及び26.5±0.2°の2シータ角におけるピークを更に含む、項312から314のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
316. 18.4±0.2°、20.7±0.2°、及び24.9±0.2°の2シータ角におけるピークを更に含む、項312から315のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
317. 以下:
【0327】
【表37】
【0328】
のピーク及び相対強度を更に含む、項312に記載のルルビネクテジン。
318. 以下:
【0329】
【表38】
【0330】
のピーク及び相対強度を更に含む、項312に記載のルルビネクテジン。
319. 以下:
【0331】
【表39】
【0332】
のピーク及び相対強度を更に含む、項312に記載のルルビネクテジン。
320. 図2a又は図2bに示すX線粉末回折パターンのいずれか1つと実質的に同じであるX線粉末回折パターンを呈する、項312から319のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
321. 2928、1755、1626、1485、1456、1370、1197、1150、1088、1003、959、916、及び587の波長(cm-1)におけるピークを含むIRスペクトルにより更に特徴付けられる、項312から320のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
322. 150℃超でのTG-FTIR分解により更に特徴付けられる;及び/又は、水の消失による150℃までのTG-FTIR質量変化により特徴付けられる;及び/又は、約5%未満、約4%未満、若しくは約3%未満の水の消失による150℃までのTG-FTIR質量変化により特徴付けられる;及び/又は、水の、好ましくはおよそ2~3%の水の、より好ましくは2.6%の水の消失を示すTG-FTIRにより特徴付けられる、項312から321のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
323. 分解が130℃超で開始する、DSCにより更に特徴付けられる、項312から322のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
324. 約30nC/g以下、約20nC/g以下、約10nC/g以下、約6nC/g以下、約5nC/g以下、約5±2nC/g、約4±2nC/g、約4~5nC/g、約5nC/g、又は約4nC/gの平均電荷密度により更に特徴付けられる、項312から323のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
325. 4.8nC/g未満、約0.7nC/g~4.8nC/g未満の間、若しくは2.4±2nC/gの電荷密度の分散により更に特徴付けられる、項312から324のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
326. 1.6%w/w超の、又は1.7~5%w/wの含水率により特徴付けられる、項312から325のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
327. 1%、0.5%、0.1%以下の、又は実質的に検出されない残留溶媒により更に特徴付けられる、項312から326のいずれか一項に記載のルルビネクテジン。
328. 部分結晶性ルルビネクテジン。
329. 項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジンの形態Bを含む、項328に記載の部分結晶性ルルビネクテジン。
330. 少なくとも検出可能な量の結晶性ルルビネクテジン、最大で1%の結晶性ルルビネクテジン、最大で5%の結晶性ルルビネクテジン、最大で10%の結晶性ルルビネクテジン、最大で20%の結晶性ルルビネクテジン、最大で30%の結晶性ルルビネクテジン、最大で40%の結晶性ルルビネクテジン、最大で50%の結晶性ルルビネクテジン、最大で60%の結晶性ルルビネクテジン、最大で70%の結晶性ルルビネクテジン、最大で80%の結晶性ルルビネクテジン、最大で90%の結晶性ルルビネクテジン、最大で95%の結晶性ルルビネクテジン、最大で98%の結晶性ルルビネクテジン、又は実質的に純粋な結晶性ルルビネクテジンを含む、項328又は329に記載の部分結晶性ルルビネクテジン。
331. 少なくとも検出可能な量の形態B、最大で1%w/wの形態B、最大で5%w/wの形態B、最大で10%w/wの形態B、最大で20%w/wの形態B、最大で30%w/wの形態B、最大で40%w/wの形態B、最大で50%w/wの形態B、最大で60%w/wの形態B、最大で70%w/wの形態B、最大で80%w/wの形態B、最大で90%w/wの形態B、最大で95%w/wの形態B、最大で98%w/wの形態B、又は実質的に純粋な形態Bを含む、項328から330のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジン。
332. 少なくとも検出可能な量の非晶質ルルビネクテジン、最大で1%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で5%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で10%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で20%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で30%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で40%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で50%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で60%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で70%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で80%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で90%w/wの非晶質ルルビネクテジン、最大で95%w/wの非晶質ルルビネクテジン、又は最大で98%w/wの非晶質ルルビネクテジンを含む、項328から331のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジン。
333. 項328から332のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジンを含む、医薬組成物又は医薬中間体。
334. 項328から332のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジンを含む方法から作製される医薬組成物。
335. 3%以下の総含水率;並びに/又は、1%、0.5%、0.1%以下の、若しくは実質的に検出されない残留溶媒;並びに/又は、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、若しくは1.3%以下の全不純物;並びに/又は、0.8%以下の不純物D;並びに/又は、0.3%以下の任意の不特定の不純物;並びに/又は、2.0%以下の全関連物質、及び(最大)0.7%以下の任意の不特定の物質を有する、項333又は項334に記載の組成物。
336. 凍結乾燥組成物である、項333から335のいずれか一項に記載の医薬組成物。
337. 項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジンの形態Bの調製のための方法であって、
a)ルルビネクテジン又はそのプロトン化された形態を含む酸性水溶液を調製する工程;及び
b)得られた酸性水溶液を塩基又は緩衝剤で塩基性化して、ルルビネクテジンの形態Bを沈殿させる工程
を含む方法。
338. ルルビネクテジンを含む酸性水溶液が、ルルビネクテジンの任意の形態を酸性水に溶解することにより調製される、項337に記載の方法。
339. 酸性水が、好ましくは0.1MのHClの水溶液である、項337に記載の方法。
340. 得られた酸性水溶液が、緩衝剤で塩基性化される、項337から339のいずれか一項に記載の方法。
341. 緩衝剤が、NH4Cl/NH4OHである、項340に記載の方法。
342. 工程a)及び工程b)の間に洗浄する工程を更に含み、酸性水溶液を、薬学的に許容され、水不混和性の極性溶媒で1回又は複数回、薬学的に許容され、水不混和性の非極性溶媒、好ましくはC5~C7アルカンで1回又は複数回洗浄する、項337から341のいずれか一項に記載の方法。
343. 酸性水溶液を、ジクロロメタンで1回又は複数回、n-ペンタンで1回又は複数回洗浄する、項342に記載の方法。
344. ルルビネクテジンの形態Bが、濾過により収集される、項337から343のいずれか一項に記載の方法。
345. ルルビネクテジンの形態Bが、真空下で乾燥される、項337から344のいずれか一項に記載の方法。
346. ルルビネクテジンの形態Bが、異なる物理的形態に変換される、項337から345のいずれか一項に記載の方法。
347. 異なる物理的形態が、非晶質である、項346に記載の方法。
348. 項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジンを含む医薬組成物及び薬学的に許容される担体。
349. 前記医薬組成物が、項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジンを介して製造される、ルルビネクテジンを含む医薬組成物及び薬学的に許容される担体。
350. ルルビネクテジン及び二糖を含む、項348又は349に記載の医薬組成物。
351. ルルビネクテジン組成物の製造のための方法であって、項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジン、又は項328から332のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジンを、好ましくは出発物質として利用する方法。
352. ルルビネクテジンを有機酸に予備溶解する工程を含む、項351に記載の方法。
353. 有機酸が、4未満、好ましくは3.5未満、より好ましくは3未満、又はおよそ3のpHを有する、項352に記載の方法。
354. 有機酸が、およそ0.1M~0.5M、好ましくはおよそ0.2M~0.4M、より好ましくはおよそ0.3M、又は0.31Mのモル濃度を有する、項352又は353に記載の方法。
355. 有機酸が、およそ0.1M~0.5M、好ましくはおよそ0.2M~0.4M、より好ましくはおよそ0.3M、又は0.31Mのモル濃度を有する、項352から354のいずれか一項に記載の方法。
356. 予備溶解の工程が、少なくとも30分、少なくとも60分、若しくは少なくとも90分、30~90分、60~90分、60~70分、又はおよそ60分である、項352から354のいずれか一項に記載の方法。
357. 溶液を注射用水(WFI)で希釈して、標的濃度を形成し;標的濃度が、任意選択で、0.1Mの有機酸中8.3mg/mLである、項352から項356のいずれか一項に記載の方法。
358. 有機酸が、コハク酸、クエン酸、酢酸、又は乳酸のようなカルボン酸、好ましくは乳酸である、項352から357のいずれか一項に記載の方法。
359. 有機酸緩衝剤及び増量剤(例えば二糖)を含む溶液を調製して、緩衝液を形成する、項351から358のいずれか一項に記載の方法。
360. 緩衝液が、約5.6以下、好ましくは約4~約5.6、又は約4.2~約5.6のpHを有する、項359に記載の方法。
361. 緩衝剤が、有機酸、好ましくは有機カルボン酸、例えば有機カルボン酸緩衝剤、例えば乳酸緩衝剤、酪酸緩衝剤、プロピオン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、アスコルビン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、マレイン酸緩衝剤、フマル酸緩衝剤、グルタミン酸緩衝剤、アスパラギン酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤、及びα-ケトグルタル酸緩衝剤に由来する、項359又は360に記載の方法。
362. 増量剤が、二糖、好ましくはスクロースである、項359から361のいずれか一項に記載の方法。
363. 溶解した項352から358のいずれか一項に記載のルルビネクテジン溶液を、項359から362のいずれか一項に記載の緩衝液と混合して、最終的なバルク溶液を形成する、項352から362のいずれか一項に記載の方法。
364. 最終的なバルク溶液をWFIで調節して、最終的な標的質量を達成する、項363に記載の方法。
365. 最終的な標的組成物が、pH=4の0.03Mの乳酸ナトリウム緩衝剤及び10%(w/v)のスクロース中に0.5mg/mLのルルビネクテジンを含む、項352から364のいずれか一項に記載の方法。
366. 項363から365のいずれか一項に記載のバルク溶液が、バイアルに充填する前に滅菌濾過を受ける、項352から365のいずれか一項に記載の方法。
367. 組成物を凍結乾燥して、凍結乾燥製剤を形成する、項351から366のいずれか一項に記載の方法。
368. 凍結乾燥組成物が、使用のために標識化される、項367に記載の方法。
369. 凍結乾燥組成物が、使用のために復元される、項367又は368に記載の方法。
370. 組成物を水8mLと復元して、3.5~4.5のpH及び0.5mg/mlのルルビネクテジン濃度を有する溶液を得る、項369に記載の方法。
371. 復元された溶液を、任意選択で0.9%の塩化ナトリウム溶液又は5%のデキストロース溶液で希釈して、注入溶液を形成し;更に任意選択で、復元された溶液を、少なくとも100mL又は少なくとも250mLで希釈して、ルルビネクテジン注入溶液を調製する、項369又は370に記載の方法。
372. 項351から371のいずれか一項に記載の方法にしたがって作製されるルルビネクテジン注入溶液。
373. 項351から370のいずれか一項に記載の方法にしたがって作製される復元された溶液。
374. 項351から368のいずれか一項に記載の方法にしたがって作製される凍結乾燥組成物。
375. 項351から366のいずれか一項に記載の方法にしたがって作製されるバルク組成物。
376. 医薬としての使用のための、項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジン、又は項328から332のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジン。
377. 医薬の製造における使用のための、項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジン、又は項328から332のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジン。
378. がんの処置用の医薬の製造における使用のための、項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジン、又は項328から332のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジン。
379. がんに影響を受けた個体を処置する方法であって、前記影響を受けた個体に、治療有効量の項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジン、又は項328から332のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジンを投与する工程を含む方法。
380. がんに影響を受けた個体を処置する方法であって、前記影響を受けた個体に、項312から327のいずれか一項に記載のルルビネクテジン、又は項328から332のいずれか一項に記載の部分結晶性ルルビネクテジンを使用して製造された治療有効量のルルビネクテジン組成物を投与する工程を含む方法。
381. 0.5mg/mLの濃度を伴う8mL中のルルビネクテジン4mgの復元に対する参照が、8.55mL中の0.47mg/mLの算出濃度に対する参照である、項1から380のいずれか一項に記載の組成物、方法、使用、又は方法。
382. 比較例を除いて、実施例を参照して実質的に上記の通り記載される、ルルビネクテジン。
383. 比較例を除いて、実施例を参照して実質的に上記の通り記載される、ルルビネクテジン組成物。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
【国際調査報告】