IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アドバンスド バクテリアル サイエンシズ リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-尿酸除去のための組成および方法 図1
  • 特表-尿酸除去のための組成および方法 図2
  • 特表-尿酸除去のための組成および方法 図3
  • 特表-尿酸除去のための組成および方法 図4
  • 特表-尿酸除去のための組成および方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】尿酸除去のための組成および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20230120BHJP
   C02F 5/00 20230101ALI20230120BHJP
   C02F 5/10 20230101ALI20230120BHJP
   C02F 5/08 20230101ALI20230120BHJP
【FI】
C12N1/20 F
C02F5/00 620Z
C02F5/10 610
C02F5/08 B
C02F5/10
C12N1/20 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530250
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 GB2020052970
(87)【国際公開番号】W WO2021105653
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】1917248.5
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522203868
【氏名又は名称】アドバンスド バクテリアル サイエンシズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ホールドブルック
(72)【発明者】
【氏名】ロバート バーチ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA30X
4B065AC05
4B065AC20
4B065BB03
4B065BB06
4B065BB40
4B065BC02
4B065BD11
4B065CA55
(57)【要約】
本発明は、(a)10~20重量%の酸性化細菌、(b)30~40重量%の酸化剤、(c)5~15重量%の有機酸および(d)1~10重量%のキレート剤を含む組成物に関する。本発明はまた、組成物を廃棄物パイプに挿入するステップを含む、廃棄物パイプから尿酸を除去する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)10~20重量%の酸性化細菌、
(b)30~40重量%の酸化剤、
(c)5~15重量%の有機酸、および
(d)1~10重量%のキレート剤
を含む、組成物。
【請求項2】
前記酸性化細菌が、ラクトバチルス細菌を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸性化細菌が、ラクトバチルス プランタルムを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
13~17重量%の量の酸性化細菌を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸性化細菌が、凍結乾燥されている、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
33~37重量%の量の酸化剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸化剤が、炭酸ナトリウムおよび/または過炭酸ナトリウムを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
10~20重量%の炭酸ナトリウムおよび15~25重量%の過炭酸ナトリウムを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
8~12重量%の量の前記有機酸を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記有機酸がクエン酸を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
3~7重量%の量の前記キレート剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記キレート剤が、L-グルタミン酸N,N-二酢酸を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が粉末である、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
先行請求項のいずれか一項に記載の組成物を廃棄物パイプに挿入するステップを含む、廃棄物パイプから尿酸を除去する方法。
【請求項15】
前記廃棄物パイプが、小便器廃棄物パイプである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小便器廃棄物パイプからの尿酸の除去に有用な組成物ならびにそのような組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公共の建物、オフィスなどへの清掃サービスの提供は、非常に競争の激しい産業である。したがって、コスト削減が継続的に求められている。コストと水の消費量を削減した1つの方法は、男性用洗面所の従来の小便器を低水流または水なしの小便器に置き換えることである。
【0003】
低水流および水なしの小便器の問題は、使用する水の量の減少によって、小便器の廃棄物パイプに尿酸が蓄積することである。そしてこれによって、廃棄物パイプに望ましくない臭いと閉塞が生ずる場合がある。図1図2は、小便器廃棄物パイプに尿酸が蓄積する2つの例を示している。
【0004】
小便器廃棄物パイプの閉塞は、一般に、以下の2つの主な成分を含む。
(i)体内を通過したヒト尿酸廃棄物を含む有機成分(約30重量%)、および
(ii)鉱物スケールを含む無機成分(約70重量%)、
そのスケールは、ストルバイト、炭酸カルシウムおよびアパタイトを主に含む。
【0005】
この問題に対処するために、洗浄サービス会社は、ますます腐食性の化学物質を使用して、閉塞を取り除く。しかし、そのような化学物質の使用は、環境と社会的責任の両方の観点から望ましくない。
【0006】
尿酸閉塞に対処するための改良された組成物および方法が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、
(a)10~20重量%の酸性化細菌、
(b)30~40重量%の酸化剤、
(c)5~15重量%の有機酸、および
(d)1~10重量%のキレート剤
を含む組成物に関する。
【0008】
驚くべきことに、本発明者らは、有機廃棄物が酸性化細菌の食物源であるため、酸性化細菌が有機廃棄物を消化できることを発見した。この消化は、環境が細菌の培養、発芽、複製および消化に最適化されている限り起こる。これは、本発明において、酸化剤の含有を通じて組成物内に酸素を導入することによって達成することができる。無機成分は、有機酸とキレート剤を含めることで除去できる。このようにして、本発明は、無毒の化学物質も使用し、したがって環境に優しい効果的な製品を提供することを目指す。
【0009】
本発明の組成物は、以下の2つの利点を提供することを目指す。
(i)消化-組成物は、小便器廃棄物パイプに存在するレガシー尿酸の蓄積を消化することができる。
(ii)予防-組成物は、尿が小便器に入るときに、尿中の尿酸を消化して柔らかくすることができる。
【0010】
特に、組成物は、固体、より具体的には粉末または顆粒であってもよい。
【0011】
より具体的には、酸性化細菌は、非病原性であってもよい。特に、酸性化細菌は、少なくとも部分的に脱水され得る。例えば、酸性化細菌は、凍結乾燥され得る。より具体的には、酸性化細菌は、バチルス細菌またはラクトバチルス細菌を含み得る。特に、バチルス細菌またはラクトバチルス細菌は、ラクトバチルス プランタルム、ラクトバチルス アシドフィルス、ラクトバチルス ラクティス、および/またはバチルス サブチリスを含み得る。より具体的には、細菌は、ラクトバチルス プランタルムを含み得る。より具体的には、酸性化細菌は、10~20重量%、さらにより具体的には13~17重量%、より具体的には約15重量%の量で存在し得る。
【0012】
より具体的には、組成物は、ラクトースを含み得る。特に、組成物は、10~20重量%、より具体的には13~17重量%、さらにより具体的には約15重量%の量のラクトースを含み得る。
【0013】
特に、組成物は、グルコースおよび/またはデキストロースを含み得る。より具体的には、組成物は、10~20重量%、さらにより具体的には13~17重量%、さらにより具体的には約15重量%の量のグルコースおよび/またはデキストロースを含み得る。
【0014】
より具体的には、組成物は、8~12重量%、さらにより具体的には約10重量%の量の有機酸を含み得る。特に、有機酸は、クエン酸および/または乳酸であり得る。
【0015】
より具体的には、組成物は、33~37重量%、さらにより具体的には約35重量%の量の酸化剤を含み得る。特に、酸化剤は、炭酸ナトリウムおよび/または過炭酸ナトリウムを含む。より具体的には、酸化剤は、10~20重量%の炭酸ナトリウムと15~25重量%の過炭酸ナトリウム、さらにより具体的には13~17重量%の炭酸ナトリウムと18~22重量%の過炭酸ナトリウム、より具体的には約15重量%の炭酸ナトリウムと約20重量%の過炭酸ナトリウムの組合せであり得る。
【0016】
より具体的には、組成物は、キレート剤を含み得る。特に、組成物は、3~7重量%、より具体的には約5重量%の量のキレート剤を含み得る。特に、キレート剤は、EDTA、ジカルボキシメチルアラニン三ナトリウム、ポリアスパラギン酸および/またはL-グルタミン酸N,N-二酢酸であり得る。より具体的には、キレート剤は、L-グルタミン酸N,N-二酢酸であり得る。
【0017】
特に、組成物は、生分解性色素を含み得る。より具体的には、組成物は、1~5重量%、さらにより具体的には約3重量%の量の生分解性色素を含み得る。より具体的には、組成物は、香料、さらにより具体的には2重量%以下の量の香料を含み得る。
【0018】
組成物の非細菌成分は、閉塞の無機成分を分解し、酸性化細菌のために捕捉された栄養素を放出するのを助けると理解されている。
【0019】
本発明はまた、上述の組成物を廃棄物パイプに挿入するステップを含む、廃棄物パイプ、より具体的には小便器廃棄物パイプから尿酸を除去する方法に関する。
【0020】
本発明は、本発明の請求の範囲を限定することを意図していない、以下の図を参照することによってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、小便器廃棄物パイプにおける尿酸蓄積の第1の例を示す。
図2図2は、小便器廃棄物パイプにおける尿酸蓄積の第2の例を示す。
図3図3は、対照サンプルと比較した、本発明の組成物の尿酸閉塞分解の棒グラフを示す。
図4図4は、排尿の水力作用を考慮した場合に発生する尿酸における分解をテストするために使用される実験装置を示す。
図5図5は、図4の装置を利用した、対照サンプルと比較した、本発明の組成物の尿酸閉塞分解の棒グラフを示す。
【実施例
【0022】
例1
以下の成分を以下に記載する量でブレンドすることによって本発明による組成物を調製した。
15重量% ラクトバチルス プランタルム
15重量% ラクトース
15重量% グルコース
15重量% 炭酸ナトリウム
20重量% 過炭酸ナトリウム
10重量% クエン酸、
5重量% L-グルタミン酸N,N-二酢酸
3重量% 生分解性色素
2重量% 香料
【0023】
尿酸閉塞のサンプルを秤量し、30mlの使い捨て尿サンプルポットで一晩(30℃)乾燥させた。本発明による組成物1グラムを、水10mlとともに加えた。対照サンプルも調製し、これには、製品を含まない10mlの水を加えた。各処理(本発明または対照)を3回繰り返した。処理を一晩放置し、翌日、固形尿酸スケールの通過を妨げる細かいメッシュを通して水を排出した。実験後、サンプルを一晩(30℃)乾燥させ、秤量した。
【0024】
図3は、開始重量と比較した、処理後の尿酸サンプルにおける重量減少のパーセンテージを示している。本発明は、尿酸を分解する能力(「ABS」とラベル付けしたサンプル、35重量%~52重量%)を示したのに対し、水の添加(すなわち、対照サンプル)は、5重量%~12重量%しか分解しなかった。
【0025】
例2
尿酸閉塞のサンプルを秤量し、60mlの使い捨てプラスチックポット内で8時間(60℃)乾燥させた。次に、そのサンプルを、男性用小便器の配管を真似て設計した実験装置に配置した(図4を参照)。例1の組成物1グラムを加え、尿酸閉塞と本発明の組成物の組合せに50mlの水を滴下して、水分を与えた。これを一晩放置した。対照サンプルでは、製品を加えずに尿酸閉塞に水を滴下した。翌日、排尿シミュレーションマシンを60回実行して、実際の環境で閉塞が発生する水力を真似た。その実験を3日間毎日実行した。実験後、サンプルを8時間(60℃)乾燥させ、秤量した。
【0026】
図5は、開始重量と比較した、処理後の尿酸サンプルにおける重量減少のパーセンテージを示している。本発明は、尿酸を分解する能力(「ABS」とラベル付けしたサンプル、15重量%~30重量%)を示したのに対し、水の添加(すなわち、対照サンプル)は、7重量%~12重量%しか分解しなかった。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】