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特表2023-503340ポペットバルブを有するマルチシリンダ内燃エンジン用の位相調整装置を備えたカムシャフト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】ポペットバルブを有するマルチシリンダ内燃エンジン用の位相調整装置を備えたカムシャフト
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/344 20060101AFI20230120BHJP
   F01L 1/053 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
F01L1/344
F01L1/053
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530323
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 IB2020061170
(87)【国際公開番号】W WO2021105915
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】102019000022284
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515217546
【氏名又は名称】ピアッジオ エ チ.ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】マリオッティ ウォルター
【テーマコード(参考)】
3G016
3G018
【Fターム(参考)】
3G016AA02
3G016AA08
3G016BA03
3G016BA06
3G018AB11
3G018AB17
3G018BA33
3G018DA74
3G018GA02
3G018GA18
(57)【要約】
ポペットバルブVRF1を有するマルチシリンダ内燃エンジン用のカムシャフトC1は、第1の回転軸に対して回転可能な本体10と、第1のディスク11と、本体10に対して第1のディスク11のタイミングを変化させる油圧式手段と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポペットバルブを有するマルチシリンダ内燃エンジン用のカムシャフト(C1)であって、第1の回転軸に対して回転可能な本体(10)と、第1のディスク(11)と、前記本体(10)に対して前記第1のディスク(11)のタイミングを変化させる手段と、を含み、
前記本体(10)は、加圧流体のための回路を規定するように成形され、
前記カムシャフト(C1)は、前記加圧流体によって動作して、それぞれの並進方向に沿って並進するように適合された第1の推力手段(20)および第2の推力手段(30)を含み、前記第1の推力手段(20)および第2の推力手段(30)は、前記第1のディスク(11)の第1の相手部(111)および第2の相手部(112)に、それぞれ推力で係合するように適合され、
前記第1の推力手段(20)による前記第1の相手部(111)との、および前記第2の推力手段(30)による前記第2の相手部(112)との、それぞれ推力による係合の結果として、前記第1のディスク(11)は、第1の回転軸(R-R)に対して、第1の回転方向および前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向にそれぞれ回転し、したがって、前記第1のディスク(11)と前記本体(10)との間の相対角度が変化し、
前記本体は、加圧流体を収集する内部空洞(101)と、前記内部空洞(101)を出る加圧流体を前記第1の推力手段(20)および第2の推力手段(30)に向けて輸送する第1のパイプ(103)とを含み、第1の位置と第2の位置との間で移動可能なスイッチ(200)が前記第1のパイプ(103)に収容され、前記スイッチ(200)が前記第1の位置にあるとき、前記第2の推力手段(30)は、前記加圧流体により動作して、前記第2の相手部(112)に推力で係合し、一方、前記スイッチ(200)が前記第2の位置にあるとき、前記第1の推力手段(20)は、前記加圧流体により動作して、前記第1の相手部(111)に推力で係合し、
前記スイッチ(200)は、前記本体(10)の角速度に応じて、遠心力により半径方向に沿って前記第1の回転軸へ並進可能である、カムシャフト(C1)。
【請求項2】
前記本体は、前記内部空洞(101)を外部と連通させる第2のパイプ(102)を含む、請求項1に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項3】
第1の弾性コントラスト手段(300)が前記第1のパイプ(103)に収容され、前記第1の弾性コントラスト手段(300)は、前記スイッチ(200)の前記第1の位置から前記第2の位置への並進切換が前記第1の弾性コントラスト手段(300)により発揮される弾性抵抗に抗して実行されるように、そして前記スイッチ(200)の前記第2の位置から前記第1の位置への並進切換が前記第1の弾性コントラスト手段(300)により発揮される弾性推力によって促進されるように配置される、請求項1に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項4】
前記スイッチ(200)は、スライドバルブを含み、前記第1の推力手段(20)および第2の推力手段(30)は、各々前記第1のパイプ(103)と流体連通する第3のパイプ(104)および第4のパイプ(105)に、それぞれ収容され、前記スライドバルブ(200)は、前記第1の位置にあるとき、前記第1のパイプ(103)と前記第3のパイプ(104)とが連通して、前記第1のパイプ(103)から前記第3のパイプ(104)への、および前記第3のパイプ(104)から前記第1のパイプ(103)への油圧流体の流れを可能にする閉回路を規定する一方、前記第1のパイプ(103)と前記第4のパイプ(105)とが連通して、前記第1のパイプ(103)から前記第4のパイプ(105)への前記油圧流体の流れのみを可能にするブラインド回路を規定するように成形され、前記スライドバルブ(200)は、前記第2の位置にあるとき、前記第1のパイプ(103)と前記第3のパイプ(104)とが連通して、前記第1のパイプ(103)から前記第3のパイプ(104)への前記油圧流体の流れのみを可能にするブラインド回路を規定する一方、前記第1のパイプ(103)と前記第4のパイプ(105)とが連通して、前記第1のパイプ(103)から前記第4のパイプ(105)への、および前記第4のパイプ(105)から前記第1のパイプ(103)への前記油圧流体の流れを可能にする閉回路を規定するように成形される、請求項1~3のいずれか1項に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項5】
前記スライドバルブ(200)は、第1の貫通孔(201)および第2の貫通孔(202)を備えた実質的に円筒状の中空体を含み、前記第1の貫通孔(201)および第2の貫通孔(202)は、前記中空体の外壁に設けられて前記中空体の内部と前記中空体の外部とを接続する、請求項4に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項6】
前記第3のパイプ(104)と前記第4のパイプ(105)とは、第1の補助パイプ(1041)および第2の補助パイプ(1042)と、第3の補助パイプ(1051)および第4の補助パイプ(1052)と、をそれぞれ含み、前記スライドバルブ(200)が前記第1の位置にある状態で、前記第1の補助パイプ(1041)および前記第2の補助パイプ(1042)は、前記第1の貫通孔(201)および前記第1のパイプ(103)とそれぞれ連通し、前記第2の貫通孔(202)は、前記第3の補助パイプ(1051)と連通する一方、前記第4の補助パイプ(1052)と前記第1のパイプ(103)との連通は、前記中空体の側壁によって遮断され、前記スライドバルブ(200)が前記第2の位置にある状態で、前記第3の補助パイプ(1051)および前記第4の補助パイプ(1052)は、前記第2の貫通孔(202)および前記第1のパイプ(103)とそれぞれ連通し、前記第1の貫通孔(201)は、前記第1の補助パイプ(1041)と連通する一方、前記第2の補助パイプ(1042)と前記第1のパイプ(103)との連通は、前記中空体の側壁によって遮断される、請求項5に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項7】
前記第1の推力手段(20)および第2の推力手段(30)は、前記第3のパイプ(104)および前記第4のパイプ(105)にそれぞれ収容された第1のピストン(20)および第2のピストン(30)を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項8】
第2の弾性コントラスト手段(400)および第3の弾性コントラスト手段(500)が前記第3のパイプ(104)および前記第4のパイプ(105)にそれぞれ収容され、前記第1のピストン(20)および前記第2のピストン(30)による前記第1の相手部(111)および前記第2の相手部(112)それぞれへの推力に基づく係合は、前記第2の弾性コントラスト手段(400)および前記第3の弾性コントラスト手段(500)により発揮される弾性抵抗によってそれぞれ対比される、請求項7に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項9】
実質的に円筒状の中空インサート(600)が前記本体(10)の内部に収容され、前記中空インサート(600)の内部空洞(601)は、前記本体(10)の内部空洞(101)と連通し、前記中空インサート(600)は、その外壁に設けられて、前記第2のパイプ(102)を前記中空インサート(600)の内部空洞(601)と連通させるように配置された貫通孔(602)を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項10】
第1の逆止バルブ(102d)が前記第2のパイプ(102)に収容される、請求項1~9のいずれか1項に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項11】
第2の逆止バルブ(20NR)および第3の逆止バルブ(30NR)が前記第1の補助パイプ(1041)および前記第3の補助パイプ(1051)の内部にそれぞれ収容される、請求項6~10のいずれか1項に記載のカムシャフト(C1)。
【請求項12】
乗用サドルを備えた自動車用内燃エンジンであって、ドライブシャフトと、請求項1~11のいずれか1項に記載の少なくとも1つのカムシャフト(C1)と、を含み、前記第1の回転軸に対する前記本体(10)の回転により、1つ以上のサクションバルブまたはディスチャージバルブが動作し、前記エンジンは、前記ドライブシャフトの回転により少なくとも1つの第1のカムシャフトの前記本体(10)が回転するように前記ドライブシャフトと前記カムシャフトの前記第1のディスク(11)との間に挿入された駆動手段をさらに含む、内燃エンジン。
【請求項13】
少なくとも1つの前記カムシャフトの前記第1のディスク(11)は、駆動チェーンまたはベルトによって前記ドライブシャフトに運動学的に接続される、請求項12に記載の内燃エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に乗用サドルを備えた車両用の、ポペットバルブを有するマルチシリンダ内燃エンジンを製造する分野に属し、この車両は、一般に、主に人々の輸送を目的とする、2輪、3輪または4輪のオートバイ(motorcycle)または自動車(motor vehicle)を意味することを意図する。特に、本発明は、複数の前記バルブ(サクションまたはディスチャージ)を制御するカムシャフトと、前記カムシャフトの位相、すなわち、ドライブシャフトに対する前記バルブの位相を変更する装置とが設けられた前述のタイプのエンジンを製造する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、乗用サドルを備えた車両用の内燃エンジンは、ドライブシャフトを備え、ドライブシャフトの回転は、対応するシリンダの燃焼室内のピストンの運動によって引き起こされる。エンジンは、混合気を燃焼室内に導入する1つ以上のサクションバルブと、燃焼ガスを排出する1つ以上のディスチャージバルブとを同様に備える。サクションバルブおよびディスチャージバルブは、通常、ギア、ベルトまたはチェーンを備えた分配システム(distribution system)によりドライブシャフトに機械的に接続されたそれぞれのカムシャフトによって制御される。したがって、分配システムにより、カムシャフトの回転運動はドライブシャフトの回転によって生じ、カムシャフトはドライブシャフトと同期する。
【0003】
「タイミング(timing)」という用語は、通常、ピストンの所定の位置を基準にして、サクションバルブとディスチャージバルブの開閉が発生する瞬間を意味する。特に、タイミングを定義するために、下死点(BDC;bottom dead center)に関して開バルブ進角(または遅角)(advance (or delay) angle of opening)が考慮され、上死点(UDC;upper dead center)に関して閉バルブ進角(または遅角)(advance (or delay) angle of closing)が考慮される。進角とは、バルブが完全に開/閉位置に到達し、バルブの移動が終了する瞬間によって定義される。したがって、進角の値は、バルブがその開動作(全閉状態から)または閉動作(全開状態から)を開始する瞬間となる。
【0004】
一定の時間間隔に、すなわち、ドライブシャフトの特定の回転角度の間に、サクションバルブとディスチャージバルブが同時に開放していることも同様に知られている。この範囲は、「交差角」と呼ばれ、排気ガスが燃焼室から迅速に出て、新たなガスの吸込を増やすことができる吸込を含むステップである。したがって、サクションバルブとディスチャージバルブのタイミングは、交差角の値の要因となる。
【0005】
ドライブシャフトの回転速度に応じて、交差角の値がさまざまな利点をもたらすことも同様に知られている。交差角の値を高くすると、高速時の性能は向上するが、低速時に非効率的な燃焼に加えてエンジンの効率が低下するため、排気ガスが増加する。これに対して、交差角が完全に抑えられる場合、エンジンは高い回転速度で効率が低下する。
【0006】
上記に関して、サクションバルブおよび/またはディスチャージバルブのタイミングを変化させ、すなわち、回転速度に応じてバルブの交差角の値を変化させるさまざまな技術的解決策が提案されている。
【0007】
特許文献1には、これら技術的解決策のうちの1つが記載されている。具体的には、特許文献1には、分配システムがDOHC(double overhead camshaft)タイプであり、サクションバルブを制御するためのカムシャフトと、ディスチャージバルブを制御するためのカムシャフトとを備え、この2つのカムシャフトがエンジンヘッドの上方に配置されるエンジンが記載されている。分配システムは、ドライブシャフトと一体になる駆動歯車を備える。3つのホイール(駆動ホイールと従動ホイール)は、駆動ベルトによって接続される。各従動ホイールは、ホイール自体に対するカムシャフトの相対回転を可能にするように、各従動ホイールの端部に近接する対応するカムシャフトに取り付けられる。
【0008】
上述した分配システムにより、ドライブシャフトの回転は、対応するカムシャフトに取り付けられた対応する従動ホイールに伝達され、可動機械部品に作用する遠心力により、上記機械部品が運動するようになるため、カムシャフトが従動ホイールに対して回転し、対応するバルブのタイミングが変更される。
【0009】
上述した技術的解決策と類似する技術的解決策は、特許文献2、特許文献3および特許文献4にも記載されている。
【0010】
プリセット機能の実現にかかわらず、上記技術的解決策およびその概念的に類似する他の技術的解決策は、いくつかの欠点を有する。主な欠点は、位相変化を実現するために相互作用する部品を特徴付ける複雑さに関連する。
【0011】
特に、これら既知の解決策は、従動ホイールとカムシャフトとの間に挿入されたより多くのボール(球形)部品を使用し、その結果、分配システムによって駆動される従動ホイールと、従動カムシャフトに固定された案内要素との両方の長くて面倒な処理をもたらす。
【0012】
さらに、ボール自体の表面のプロファイルも時間に影響を与え、したがって、位相変更装置を形成する2つの部品の処理コストに影響を与えることを考慮しなければならず、ボールは、従動ホイールに対する案内要素の軸方向運動の確保を目的とする湾曲プロファイルを有する。
【0013】
説明された解決策の別の制限は、位相変更機能がトラックの形状、サイズ、および駆動要素の数に厳密に依存するということに関連する。したがって、このような機能を変更する場合、実際に、位相変更装置の部品(分配システムによって駆動される従動ホイール、および従動シャフトに固定された案内要素)を、便利に構成され、異なる位相変化を実現できる他の部品と交換する必要がある。実際に、既知の解決策を用いて位相変更機能を変更するには、位相変更装置の部品の異なる設計が必要であるため、非常に面倒な操作になる。
【0014】
公知技術に係るカムシャフトのさらなる例は、特許文献5に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第9719381号明細書
【特許文献2】特開2010-031785号公報
【特許文献3】特開2009-185656号公報
【特許文献4】特許第5724669号公報
【特許文献5】米国特許第5497738号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の根本的な主な課題は、特に乗用サドルを備えた車両用の、特にポペットバルブを有するマルチシリンダ内燃エンジン用のカムシャフトを提供することにより、位相変更装置を備えた既知タイプのカムシャフトの上述した欠点を克服するかまたは少なくとも改善することができることである。この課題の範囲において、本発明の第1の目的は、比較的抑えられた数の駆動要素を必要とする位相変更装置が設けられたカムシャフトを提供することである。本発明の他の目的は、油圧式、すなわち、油圧油などの加圧流体によって提供されるエネルギーの利用に基づく位相変更装置を備えた前述タイプのカムシャフトを提供することである。
【0017】
特に本発明の目的は、タイミング変更装置が信頼でき、競争力のあるコストで製造されやすい前述タイプのカムシャフトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、第1の回転軸に対して回転可能であり、加圧流体のための回路を規定するように成形された本体を含むカムシャフトを提供することによって、前述の要約された目的を効果的に達成できる一般的な考察から生じたものであり、前記カムシャフトは、第1の従動ディスク(例えば、前記カムシャフトに固定されている)と、前記従動ディスクと前記本体との間の相対角度(タイミング)を変化させるように前記従動ディスクを前記本体に対して回転させる手段とを含み、前記相対角度の変化は、前記加圧流体の作用によって並進して前記従動ディスクのそれぞれの相手部に対して推力を作用させるように適合された推力手段によって実現される。
【0019】
上記考察に基づいて、従来技術における位相変更装置において認められた欠点を克服すること、および/または前述の要約された目的をさらに達成することを目的として、本発明は、請求項1に記載のポペットバルブを有するマルチシリンダ内燃エンジン用のカムシャフトに関するものであり、本発明の実施形態は、従属請求項によって規定される。
【0020】
記載された実施形態によれば、カムシャフトは、第1の回転軸に対して回転可能な本体と、第1のディスクと、前記本体に対して前記ディスクのタイミングを変化させる手段と、を含み、前記本体は、加圧流体のための回路を規定するように成形され、前記本体に対して前記第1のディスクのタイミングを変化させる手段は、前記加圧流体によって動作して、対応する並進方向に沿って並進するように適合された第1の推力手段および第2の推力手段を含み、前記第1、第2の推力手段は、前記第1のディスクの第1の相手部および第2の相手部にそれぞれ推力で係合するように適合され、前記第1の推力手段による前記第1の相手部との、および前記第2の推力手段による前記第2の相手部との、それぞれ推力に基づく係合の結果として、前記第1のディスクは、第1の回転軸に対して、第1の回転方向および前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向にそれぞれ回転することにより、前記第1のディスクと前記本体との間の相対角度が変化する。
【0021】
記載された実施形態によれば、前記本体は、加圧流体を収集する内部空洞と、前記内部空洞を外部と連通させるパイプと、前記内部空洞を出る加圧流体を前記第1の推力手段および前記第2の推力手段に向けて輸送するさらなるパイプとを含み、スイッチは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に前記さらなるパイプに収容され、前記スイッチが前記第1の位置にあるとき、前記第2の推力手段は、前記加圧流体によって動作し、推力で前記第2の相手部に係合し、一方、前記スイッチが前記第2の位置にあるとき、前記第1の推力手段は、前記加圧流体によって動作し、推力で前記第1の相手部に係合する。
【0022】
記載された実施形態によれば、前記スイッチは、前記本体の角速度に応じて、遠心力によって半径方向に沿って前記第1の回転軸へ並進可能である。
【0023】
一実施形態によれば、第1の弾性コントラスト手段は、前記さらなるパイプに収容されるとともに、前記スイッチの前記第1の位置から前記第2の位置への並進切換が前記第1の弾性コントラスト手段により発揮される弾性抵抗に抗して実行され、かつ前記スイッチの前記第2の位置から前記第1の位置への並進切換が前記第1の弾性コントラスト手段により発揮される弾性推力によって促進されるように配置される。
【0024】
記載された実施形態によれば、前記スイッチは、スライドバルブを含み、前記第1の推力手段および前記第2の推力手段は、各々前記さらなるパイプと流体連通する第3のパイプと第4のパイプにそれぞれ収容され、前記スライドバルブは、前記第1の位置にあるとき、前記さらなるパイプと前記第3のパイプが連通して、前記さらなるパイプから前記第3のパイプへの、および前記第3のパイプから前記さらなるパイプへの油圧流体の流れを可能にする閉回路を規定する一方、前記さらなるパイプと前記第4のパイプが連通して、前記さらなるパイプから前記第4のパイプへの前記油圧流体の流れのみを可能にするブラインド回路を規定するように成形され、前記スライドバルブは、前記第2の位置にあるとき、前記さらなるパイプと前記第3のパイプが連通して、前記さらなるパイプから前記第3のパイプへの前記油圧流体の流れのみを可能にするブラインド回路を規定する一方、前記さらなるパイプと前記第4のパイプが連通して、前記さらなるパイプから前記第4のパイプへの、および前記第4のパイプから前記さらなるパイプへの前記油圧流体の流れを可能にする閉回路を規定するように成形される。
【0025】
記載された実施形態によれば、前記スライドバルブは、第1の貫通孔および第2の貫通孔を備えた実質的に円筒状の中空体を含み、前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔は、前記中空体の外壁に形成されて前記中空体の内部と前記中空体の外部を接続する。
【0026】
一実施形態によれば、前記第3のパイプと前記第4のパイプは、それぞれ、第1の補助パイプおよび第2の補助パイプと、第3の補助パイプおよび第4の補助パイプとを含み、前記スライドバルブが前記第1の位置にある状態で、前記第1の補助パイプおよび前記第2の補助パイプは、前記第1の貫通孔および前記第1のパイプとそれぞれ連通し、前記第2の貫通孔は、前記第3の補助パイプと連通する一方、前記第4の補助パイプと前記第1のパイプの連通は、前記中空体の側壁によって遮断され、前記スライドバルブが前記第2の位置にある状態で、前記第3の補助パイプおよび前記第4の補助パイプは、前記第2の貫通孔および前記第1のパイプとそれぞれ連通し、前記第1の貫通孔は、前記第1の補助パイプと連通する一方、前記第2の補助パイプと前記第1のパイプの連通は、前記中空体の側壁によって遮断される。
【0027】
記載された実施形態によれば、前記第1、第2の推力手段は、前記第3のパイプおよび前記第4のパイプにそれぞれ収容された第1のピストンおよび第2のピストンを含む。
【0028】
記載された実施形態によれば、第2の弾性コントラスト手段および第3の弾性コントラスト手段が前記第3のパイプおよび前記第4のパイプにそれぞれ収容され、前記第1のピストンおよび前記第2のピストンによる前記第1の相手部および前記第2の相手部それぞれへの推力に基づく係合は、前記第2の弾性コントラスト手段および前記第3の弾性コントラスト手段により発揮される弾性抵抗によってそれぞれ対比される。
【0029】
一実施形態によれば、実質的に円筒状の中空インサートが前記本体の内部に収容され、前記中空インサートの内部空洞は、前記本体の内部空洞と連通し、前記中空インサートは、その外壁に形成されて前記第2のパイプをその内部空洞と連通させるように配置された貫通孔を含む。
【0030】
記載された実施形態によれば、第1の逆止バルブが前記第2のパイプの内部に収容される。
【0031】
一実施形態によれば、第2の逆止バルブおよび第3の逆止バルブが前記第1の補助パイプおよび前記第3の補助パイプの内部にそれぞれ収容される。
【0032】
本発明はまた、特に乗用サドルを備えた自動車用の内燃エンジンに関し、前記内燃エンジンは、ドライブシャフトと、本発明の1つ以上の実施形態に記載の少なくとも1つのカムシャフトと、を含み、前記第1の回転軸に対する前記本体の回転により、1つ以上のサクションバルブまたはディスチャージバルブが動作し、前記エンジンは、前記ドライブシャフトの回転により前記少なくとも1つの第1のカムシャフトの本体が回転するように前記ドライブシャフトと前記カムシャフトの前記第1のディスクとの間に挿入された駆動手段をさらに含む。
【0033】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのカムシャフトの前記第1のディスクは、駆動チェーンまたはベルトによって前記ドライブシャフトに運動学的に接続される。本発明の可能なさらなる実施形態は、特許請求の範囲によって規定される。
【0034】
本発明は、図面に示される実施形態の以下の詳細な説明により、さらに明らかにされる。さらに、本発明は、以下に記載され、図面に示される実施形態に限定されない。それに対して、以下に記載され、当業者には明らかである、添付図面に示されるこれらの実施形態の変形は、いずれも本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1a図1aは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトが設けられたエンジンの部品のグループの概略的斜視図を示す。
図1b図1bは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトが設けられたエンジンの部品のグループの側面図を示す。
図1c図1cは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトが設けられたエンジンの部品のグループの部分縦断側面図を示す。
図1d図1dは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトが設けられたエンジンの部品のグループの上からの部分断面図を示す。
図2a図2aは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの分解斜視図を示す。
図2b図2bは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの分解斜視図を示す。
図2c図2cは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの分解斜視図を示す。
図3a図3aは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの縦方向側面図を示す。
図3b図3bは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの横方向側面図を示す。
図3c図3cは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの横断面図を示す。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの複数の構成部品の斜視図を示す。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの縦断側面部を示す。
図6a図6aは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの横断面図を示す。
図6b図6bは、本発明の一実施形態に係るカムシャフトの横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、特に乗用サドルを備えた車両用の、ポペットバルブを備えたマルチシリンダ内燃エンジンに実装される場合に特に有利な適用を見出すため、本発明を、前述のタイプのエンジンに特に関連して以下に説明する。
【0037】
しかしながら、本発明の可能な適用は、前述タイプのエンジンに限定されない。それどころか、本発明は、従動ディスクおよび/またはドライバなどの要素と、前記従動ディスクおよび/またはドライバによって回転される本体との間の位相変化を必要とするすべての場合に適用可能である。図1a~図1dは、燃焼エンジンの構成部品、特に、第1のカムシャフトC1、第2のカムシャフトC2、前記第1のカムシャフトC1によりおよび前記第2のカムシャフトC2によりそれぞれ動作する第1のポペットバルブVF1および第2のポペットバルブVF2を示す。カムシャフトC1は、ピニオンP1とドライブシャフト(不図示)との間に延びる分配ベルトCDによって回転され、一方、カムシャフトC2は、シャフトC1によって回転され、目的に応じて、歯付きディスク11は、シャフトC2と一体になる第2のピニオンP2に係合する。以下に詳細に説明するように、シャフトC1は、シャフトC1の本体10に対して、したがって第1のピニオンP1と第2のピニオンP2に対してもディスク11のタイミングを変化させる手段を備え、前述の構成部品間のタイミングを変化させると、ドライブシャフトとポペットバルブVF1およびVF2との間のタイミングが変化する。
【0038】
したがって、以下に、本発明の一実施形態に係るカムシャフト、およびタイミングを変化させる相対的手段を説明する。
【0039】
図面に示されるように、カムシャフトC1は、加圧流体(例えば、油圧油)の通過を可能にするように適合された実質的に円筒状の内部空洞101を規定する本体10を備え、この目的のため、主要素10は、本発明の目的には必須ではなく簡潔のために詳細に説明されない方法にしたがって、空洞101が油圧システム(例えば、オートバイの油圧システム)と連通できるように成形される。
【0040】
図1を参照して前述した方法にしたがって、(内部空洞101の対称軸と実質的に一致する)軸R-Rに対して回転するように適合された本体または主要素10は、また、円盤状部10Dを規定するように成形され、円盤状部10Dの外縁にディスク11が非剛性的に固定され、それに対して、ディスク11は、円盤状部10Dに対して軸R-Rを中心に回転可能であり、以下に詳細に明らかにされる方法に従うディスク11の円盤状部10Dに対する回転により、ディスク11と円盤状部10Dとの間(ひいては、ディスク11と本体10との間)の相対角度が変化し、前記相対角度は、それぞれディスク11の2つの参照部(例えば、2つのノッチ)と円盤状部10Dとの間の軸R-R上の交点との角度として理解される。特に、円盤状部10Dは、第2のパイプ102、第1のパイプ103、第3のパイプ104および第4のパイプ105を規定するように成形され、第2のパイプ102は、中空連通要素102c(空洞101と反対の端部には、逆止バルブ102dが配置される)によって内部空洞101と連通し、また、第1のパイプ103は、油圧流体を収集して、空洞101から以下に詳細に説明される推力手段に向けて輸送するために空洞101と連通する。
【0041】
この目的のために、実質的に円筒状の中空インサート600が空洞101の内部に第2のパイプ102に(対応して)配置され、前記中空インサート600は、その実質的に円筒状の外壁に設けられた貫通孔602を備え、中空連通要素102cは、予想通りに貫通孔602を通って、中空インサート600の内部601を、したがって内部空洞101を第2のパイプ102と連通させるように延びる。インサート600の外面は、直径が等しく、かつ空洞101の直径と実質的に等しい2つの先端肩部604と、直径が2つの先端肩部604の直径よりも小さい中間部603とを規定するように成形され、貫通孔602が中間部603に形成される。最後に、2つの肩部604の各々は、シール要素、例えば、ガスケット、Oリング、または類似および/または同等のシール要素が収容された溝を有する。
【0042】
また、図示のように、例えば図5に示されるように、より小さい直径を有する中間部603は、第1のパイプ103と連通し、したがって、加圧流体は、要素102cによってインサート600の内部601から第2のパイプ102へ、そして第2のパイプ102からインサート600の中間部603へ輸送され、ひいては中間部603によって収集されて第1のパイプ103へ輸送される。
【0043】
スイッチ200も、前記第1のパイプ103に収容され、図面に示される本発明の非限定的な実施形態において、スイッチ200は、小さな中空シリンダの形状で作られ、いずれも前記スイッチ200の外壁に設けられた第1の貫通孔201および第2の貫通孔202を備え、第1の貫通孔201および第2の貫通孔202は、前記スイッチ200の位置に応じて、前記スイッチの内部を外部、特に第3のパイプ104または第4のパイプ105とそれぞれ連通させる(以下の説明を参照)。実際に、スイッチ200は、実質的に半径方向に沿って、特に、空洞101から離れるようにおよび空洞101に近づくように第1のパイプ103の内部で並進可能であり、空洞101から離れるスイッチ200の並進は、スイッチ200に収容されたばね300の弾性抵抗に抗して実行され、一方、空洞101に近づく並進は、ばね300の弾性応答によって促進される。
【0044】
図6a、図6bに詳細に示されるように、第3のパイプ104は、第1の補助パイプ1041および第2の補助パイプ1042によって第1のパイプ103と連通し、実質的に同じように、第4のパイプ105は、第3の補助パイプ1051および第4の補助パイプ1052によって第1のパイプ103と連通する。
【0045】
さらに、図6a、図6bに詳細に示されるように、第1の推力手段20および第2の推力手段30は、第3のパイプ104および第4のパイプ105にそれぞれ収容され、前記第1の推力手段および第2の推力手段は実質的に類似するため、簡潔のために、以下、第1の推力手段20を説明する。
【0046】
図示のように、第1の推力手段20は、中空ピストンの形で作られ、その内部空間は、逆止バルブ20NRが配置された貫通口20Aによって外部と連通し、コイルばね400が中空ピストン20の内部に配置される。
【0047】
ピストン20も、実質的に半径方向に沿って、特に、第1のパイプ103から離れるようにおよび第1のパイプ103に近づくように第3のパイプ104の内部で並進可能であり、逆止バルブ20NRの開放と、それに続く第1のパイプ103から離れるピストン20の並進とは、ばね400の弾性抵抗に抗して実行され、一方、バルブ20NRの閉鎖と、第1のパイプ103に近づくピストン20の並進とは、ばね400の弾性応答によって促進される。
【0048】
最後に、ディスク11は、両方とも前記ディスク11の中心に向けて延びて、第1のピストン20による推力および第2のピストン30による推力でそれぞれ係合するように適合された第1の相手部および第2の相手部112を含むことが指摘される。
【0049】
図に示される、本発明の実施形態に係るカムシャフトC1の動作モードは、以下のように要約することができる。
【0050】
本体10の空洞101へと移行する加圧流体は、要素102cを通って第2のパイプ102へと流れ、第2のパイプ102からインサート600の中間部603へと流れ、次いで中間部603から第1のパイプ103へと流れる(前述した説明を参照)。
【0051】
ドライブシャフトの回転により生成される本体10の回転は、スイッチ200に作用する遠心力を引き起こす。しかしながら、低速では、遠心力は、ばね300の抵抗を克服するのに十分ではなく、スイッチ200は、図6aの位置、すなわち、空洞101に最も近い端部停止位置に配置されたままである。
【0052】
この位置では、前記第1のパイプ103から前記第3のパイプ104への、および前記第3のパイプ104から前記第1のパイプ103への前記油圧流体の流れを可能にする閉回路を規定するように、前記第1のパイプ103と前記第3のパイプ104とが連通し、一方、前記第1のパイプ103から前記第4のパイプ105への前記油圧流体の流れのみを可能にするブラインド回路を規定するように、前記第1のパイプ103と前記第4のパイプ105とが連通する。
【0053】
実際に、スイッチ200(スライドバルブとも呼ばれる)が前記第1の端部停止位置にある状態で、前記第1の補助パイプ1041および前記第2の補助パイプ1042は、前記貫通孔201および前記第1のパイプ103とそれぞれ連通し、したがって、第1のパイプ103と第3のパイプ104との間の加圧流体の循環は、ピストン20に推力を及ぼさず、したがって、ピストン20は、第1の相手部111に対する推力の作用をもたらさないが、これに反して、第1のパイプ103に向けて自由に並進する。これに対して、スイッチまたはスライドバルブ200が前記第1の端部停止位置(図6aを参照)にある状態で、前記第2の貫通孔202は前記第3の補助パイプ1051と連通し、一方、前記第4の補助パイプ1052と前記第1のパイプ103との連通は、スイッチ200の側壁によって遮断される。この場合、第3の補助パイプ1051に流入する流体の圧力により、逆止バルブ30NRは開放され、ピストン30は第1のパイプ103から離れるように並進し、したがって、ピストン30は、相手部112に対する推力を作用させ、ピストン30による相手部112への推力により、ディスク11は、円盤状部10Dに対して第1の回転方向(図に関して時計回り)に回転し、したがって、ディスク11と円盤状部10Dとの間のタイミングおよび/または相対角度は変更される。
【0054】
しかしながら、ドライブシャフトひいては本体10の回転速度の増加に伴い、スイッチ200に作用する遠心力は、ばね300の抵抗を克服するまで増加し、所定の回転速度(ばね300の抵抗に依存する)で、スイッチ200は、図6bの第2の端部停止位置に到達するまで、空洞101から離れるように並進する。
【0055】
スイッチ200が前記第2の端部停止位置にある状態で、前記第1のパイプ103から前記第3のパイプ104への前記油圧流体の流れのみを可能にするブラインド回路を規定するように、前記第1のパイプ103と前記第3のパイプ104とが連通し、一方、前記第1のパイプ103から前記第4のパイプ105への、および前記第4のパイプ105から前記第1のパイプ103への前記油圧流体の流れを可能にする閉回路を規定するように、前記第1のパイプ103と前記第4のパイプ105とが連通する。実際に、この場合、前記第3の補助パイプ1051および前記第4の補助パイプ1052は、前記第2の貫通孔202および前記第1のパイプ103とそれぞれ連通し、前記第1の貫通孔201は前記第1の補助パイプ1041と連通し、これに対して、前記第2の補助パイプ1042と前記第1のパイプ103との連通は、前記スイッチ200の側壁によって遮断される。
【0056】
第1のパイプ103と第4のパイプ105との間の油圧流体の循環は、ピストン30を第1のパイプ103から離れるように並進させず、ピストン30は、相手部112に対する推力の作用をもたらさないが、これに反して、第1のパイプ103に向けて自由に並進する。
【0057】
これに対して、第1の補助パイプ1041に流入する流体の圧力により、逆止バルブ20NRは開放され、ピストン20は第1のパイプ103から離れるように並進し、したがって、ピストン20は、相手部111に対して推力を作用し、ピストン20による相手部111への推力により、ディスク11は、円盤状部10Dに対して第2の回転方向(この場合、図に関して反時計回り)に回転し、したがって、ディスク11と円盤状部10Dとの間のタイミングおよび/または相対角度は新たに変更される。
【0058】
したがって、本発明が従来技術による解決策に存在する欠点および/または短所を克服して、前述した目的の達成を可能にすることは、図面に示される本発明の実施形態の詳細な説明によって実証されている。
【0059】
例えば、本発明は、従来技術における、位相変更装置を備えたカムシャフトにおいて認められた欠点を克服するかまたは少なくとも改善することができる、特に乗用サドルを備えた車両用の、特にポペットバルブを有するマルチシリンダ内燃エンジン用のカムシャフトを提供する。特に、本発明によれば、比較的抑えられた数の駆動要素を必要とする位相変更装置を備えた油圧式カムシャフトが提供されるため、油圧油などの加圧流体によって提供されるエネルギーの利用に基づいて、本発明に係る、タイミングを変化させる装置は、信頼でき、競争力のあるコストで製造されやすい。
【0060】
本発明は、図面に示される実施形態の説明によって明らかにされているが、本発明は、以上で記載され、図面に示される実施形態に限定されない。それに対して、当業者には明らかである、以上で記載され、図面に示される実施形態の変形は、いずれも本発明の範囲内にある。本発明の範囲は、実際、添付された特許請求の範囲によって規定される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】