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特表2023-503342光学フィルムに使用するためのポリエステルコポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】光学フィルムに使用するためのポリエステルコポリマー
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230120BHJP
   G02B 1/02 20060101ALI20230120BHJP
   G02B 1/08 20060101ALI20230120BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20230120BHJP
   G02C 7/12 20060101ALI20230120BHJP
   C08G 63/127 20060101ALI20230120BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20230120BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20230120BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20230120BHJP
   B29C 55/02 20060101ALI20230120BHJP
   G02C 7/10 20060101ALN20230120BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B1/02
G02B1/08
G02B5/02 A
G02C7/12
C08G63/127
B32B7/023
B32B27/36
B29C48/21
B29C55/02
G02C7/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530646
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 IB2020061041
(87)【国際公開番号】W WO2021105852
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】62/941,107
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ステフェン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ストヴァー,カール エー.
(72)【発明者】
【氏名】デークス,クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リウ,リチャード ユフェン
【テーマコード(参考)】
2H006
2H042
2H149
4F100
4F207
4F210
4J029
【Fターム(参考)】
2H006BE05
2H042BA02
2H042BA12
2H042BA16
2H149AA13
2H149AA23
2H149AB01
2H149BA01
2H149BA24
2H149DA13
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2H149EA22
2H149EA24
2H149FA12Y
2H149FA12Z
2H149FA61
2H149FC06
2H149FD03
2H149FD10
2H149FD25
2H149FD30
2H149FD35
2H149FD47
4F100AK01C
4F100AK41A
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4F100AL01B
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4F100BA08C
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4F100JA05B
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4J029AA03
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(57)【要約】
ポリエステルコポリマー材料は、40~51mol%の置換ナフタレート単位、例えば、ジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレート単位と、10~40mol%のエチレン単位と、10~40mol%のヘキサン単位と、を含む。ポリエステルコポリマーを使用して、共押出及び/又は共延伸によって多層光学フィルムを調製することができる。コポリエステルポリマー材料は、望ましい光学特性を有し、より低い温度での熱加工を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、それと一体的に形成されている、合計で25超に達する複数の交互のポリマーの第1の干渉層(10)及び第2の干渉層(20)を備える光学フィルム(100)であって、
前記第1の干渉層及び前記第2の干渉層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、前記第1の干渉層は、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、前記第1のスキン層は、ポリエステルを含み、前記第2のスキン層は、少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、約0.5マイクロメートル超の平均厚さを有し、
実質的に垂直な入射光(50)について、また、少なくとも約430nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲(60)内の各波長に対して、前記光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも40%の光反射率を有し、
隣接する第1の干渉層及び第2の干渉層は、それぞれの平面屈折率:
前記第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、
直交する第2の偏光状態(Py)に沿ってn1y及びn2y、
並びに前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zを有し、前記所定の波長範囲の少なくとも1つの波長(61)について:
n1xは、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.18大きく、
n1yとn1zとの間の差は、約0.10未満であり、
n2xとn2yとn2zとの間の最大差は、約0.01未満であり、
n1xとn2xとの間の差は、約0.18を超える、光学フィルム(100)。
【請求項2】
前記第1のスキン層及び前記第1の干渉層のうちの少なくとも1つは、約60℃~110℃のガラス転移温度を有し、前記第1のスキン層及び前記第1の干渉層のガラス転移温度は、互いの5℃以内であり、前記光学フィルムは、一体的に形成され、約50マイクロメートルを超える平均厚さを有し、前記複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層並びに前記第1のスキン層及び前記第2のスキン層は、共押出され、更に約190~220°Fの温度で共延伸される、請求項1の光学フィルム。
【請求項3】
各構造体が、頂部(114)で当接する反対向きの小平面(112、113)を含む、複数の構造体(111)を含む構造化フィルム(110)と、
前記構造体の前記頂部上に配置された請求項1に記載の光学フィルムと、
前記光学フィルムを前記構造体の前記頂部に接合する第1の接着剤層(120)とを備える光学積層体であって、前記光学積層体は、ASTM D790標準に従って測定したときに、約1500MPaを超える曲げ弾性率を有する、光学積層体(200)。
【請求項4】
第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、それと一体的に形成されている、合計で25超に達する複数の交互のポリマーの第1の干渉層(10)及び第2の干渉層(20)を備える光学フィルム(100)であって、
前記第1の干渉層及び前記第2の干渉層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、
前記第1のスキン層はポリエステルを含み、
前記第1の干渉層は、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、前記第1の干渉層中のジオール部分の少なくとも30重量%は、ヘキサンジオールであり、
前記第2のスキン層は、約100マイクロメートル超の平均厚さを有し、かつポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、
実質的に垂直な入射光(50)について、また、少なくとも約400nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲(60)内の各波長に対して、前記光学フィルムは、直交する第1の偏光状態(Px)及び第2の偏光状態(Py)の各々について少なくとも50%の光反射率を有し、
隣接する第1の干渉層及び第2の干渉層は、それぞれの平面屈折率:
前記第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、
前記第2の偏光状態に沿ってn1y及びn2y、
並びに前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zを有し、これにより、所定の波長範囲の少なくとも1つの波長(61)について:
n1x及びn1yの各々は、n1zよりも少なくとも0.18大きく、
n2xとn2yとn2zとの間の最大差は、約0.01未満であり、
n1xとn2xとの間の差は、約0.18を超える、光学フィルム(100)。
【請求項5】
第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、それと一体的に形成されている、25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、
前記第1のスキン層はポリエステルを含み、
前記第1のポリマー層はヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、
前記第2のスキン層は少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、
実質的に垂直な入射光(50)について、また、少なくとも約400nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲(60)内の各波長に対して、前記光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも50%の光反射率を有し、
前記光学フィルムは、ASTM D790標準に従って測定したときに、約1500MPaを超える曲げ弾性率を有する、光学フィルム(100)。
【請求項6】
第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、それと一体的に形成されている、25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、
前記第1のスキン層はポリエステルを含み、
前記第1のポリマー層はヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、
前記第2のスキン層は少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、
実質的に垂直な入射光(50)について、また、少なくとも約400nm~約600nmにわたる所定の波長範囲(60)内の各波長に対して、前記光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも50%の光反射率を有し、
前記第1のスキン層及び前記第2のスキン層は、組み合わせて、少なくとも70体積%のポリエステルを含む、光学フィルム(100)。
【請求項7】
第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共押出され、次いで約190°F~約220°Fの間の1つ以上の温度で第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共延伸される、合計で25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、前記第1のポリマー層は、ポリエステル、ヘキサンジオール、及びエチレンジオールコポリマーを含み、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層は、それぞれ約0.21を超え、約0.1未満の平面複屈折を有する、光学フィルム(100)。
【請求項8】
第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共押出され、次いで約190°F~約220°Fの間の1つ以上の温度で第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共延伸される、合計で25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層並びに前記第1のスキン層及び前記第2のスキン層は、約95℃未満のガラス転移温度を有し、前記第1のポリマー層は、約0.21を超える平面複屈折を有し、実質的に垂直な入射光について、また、約400nm~約1500nmの間の少なくとも1つの波長に対して、前記光学フィルムは、第1の偏光状態を有する前記入射光の少なくとも20%を反射する、光学フィルム(100)。
【請求項9】
第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共押出され、次いで約190°F~約220°Fの間の1つ以上の温度で第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共延伸される、合計で25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層並びに前記第1のスキン層及び前記第2のスキン層は、互いの5℃以内のガラス転移温度を有し、前記第1のポリマー層は、約0.21を超える平面複屈折を有し、実質的に垂直な入射光について、また、約400nm~約1500nmの間の少なくとも1つの波長に対して、前記光学フィルムは、第1の偏光状態を有する前記入射光の少なくとも20%を反射する、光学フィルム(100)。
【請求項10】
40~51mol%の置換ナフタレート単位と、
10~40mol%のエチレン単位と、
10~40mol%のヘキサン単位と、
を含む、コポリエステルポリマー材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、光学フィルムに使用するためのポリエステルコポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフィルムは、多種多様な適用例に使用される。ポリマーフィルムの1つの特定の用途は、光を制御する光学フィルムである。光を制御する光学フィルムの例として、所与の偏光状態又は波長範囲内の光を反射するミラー及び反射偏光子が挙げられる。このような反射フィルムは、例えば、液晶ディスプレイにおいて、輝度を高めるためにバックライトと共に使用される。ユーザとバックライトとの間に反射偏光フィルムを配置して、画像となる偏光状態を再循環させ、それによって輝度を向上させることができる。ミラーフィルムをバックライトの背後に配置して、光をユーザに向けて反射し、それによって輝度を高めることができる。偏光フィルムの別の用途は、サングラスなどの物品において、光度及びグレアを低減することである。
【0003】
偏光子又はミラーフィルムの作製に有用なポリマーの1つのタイプは、ポリエステルである。ポリエステル系偏光子の一例として、組成物の異なるポリエステル層の積層体が挙げられる。この積層体の1つの構成は、複屈折層の第1のセットと、等方性屈折率を有する層の第2のセットとを含む。層の第2のセットは、複屈折層と交互になり、光を反射するための一連のインターフェースを形成する。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、光学フィルムに使用するためのポリエステルコポリマーに関する。コポリエステルポリマー材料は、40~51mol%の置換ナフタレート単位と、10~40mol%のエチレン単位と、10~40mol%のヘキサン単位と、を含む。いくつかの実施形態では、置換ナフタレート単位は、ジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートを含む。
【0005】
ポリエステルコポリマーを使用して、共押出及び/又は共延伸によって多層光学フィルムを調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示は、本開示の様々な実施形態についての下記の詳細な説明を添付の図面と併せて考察することにより、より完全に理解され得る。
図1】本開示の多層光学フィルムの断面図である。
図2】本開示の光学積層体物品の断面図である。
図3】本開示のコポリマー中のTgとヘキサンジオールのmol%との相関を示すグラフである。
図4】本開示のコポリマー中の平面複屈折とヘキサンジオールの%との相関を示すグラフである。
【0007】
本開示は様々な修正形態及び代替形態に適用可能であるが、図面にはその特質を例として示し、また、詳細に説明する。ただし、理解されるように、本開示を、記載する特定の実施形態に限定することは意図しない。逆に、添付の特許請求の範囲に定める本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない全ての修正形態、均等物、及び代替形態を包含することを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ポリマーフィルムは、多種多様な光学適用例に使用される。ポリマーフィルムの用途の中には、所与の偏光状態又は波長範囲内の光を反射するミラー及び反射偏光子におけるものがある。このような反射フィルムは、例えば、液晶ディスプレイにおいて、輝度を高めるためにバックライトと共に使用される。ユーザとバックライトとの間に反射偏光フィルムを配置して、画像となる偏光状態を再循環させ、それによって輝度を向上させることができる。ミラーフィルムをバックライトの背後に配置して、光をユーザに向けて反射し、それによって輝度を高めることができる。偏光フィルムの別の用途は、サングラスなどの物品において、光度及びグレアを低減することである。
【0009】
偏光子又はミラーフィルムの作製に有用なポリマーの1つのタイプは、ポリエステルである。ポリエステル系偏光子の一例として、組成物の異なるポリエステル層の積層体が挙げられる。この積層体の1つの構成は、複屈折層の第1のセットと、等方性屈折率を有する層の第2のセットとを含む。層の第2のセットは、複屈折層と交互になり、光を反射するための一連のインターフェースを形成する。
【0010】
多層反射偏光子フィルムは、これらのフィルムの剛性及び取り扱い性を向上させるように機能するよう、特に多層反射偏光子フィルムの個々の層が薄く(典型的には、55~130ナノメートル)、場合によっては層が比較的少ないため、比較的厚い剛性の外層を含むことがしばしば望ましい。典型的には、比較的厚い剛性の外層は、多層反射偏光子フィルムにラミネート(laminated)される。多層反射偏光子フィルムへの外層のラミネーションには、いくつかの欠点がある。ラミネーションは、フィルム物品の形成では余分な工程なので、フィルム物品の調製に、費用及び製造時間が追加される可能性がある。また、ラミネーションによってフィルム物品に欠陥が加わる可能性がある。多くの場合、多層反射偏光子フィルムに外層を接着するには接着剤が必要であり、これもまた調製される物品に費用を追加し、接着剤層の存在は、形成された物品の光学特性に悪影響を及ぼす可能性がある。加えて、外層は、ポリカーボネート又はポリエステルなどの、フィルム物品に経費を追加する傾向のあるポリマー材料から調製される場合が多い。上述したように、形成された物品に所望の剛性を与えるために外層は比較的厚いので、外層は、形成された物品の質量の相当の部分をなす。
【0011】
ミラー及び反射偏光子フィルムなどの光学フィルムには、比較的安価なポリエステル材料を利用することが望ましい。ただし、所望の光学効果を実現し、共押出によって光学フィルムを調製するためには、ポリエステル材料には問題がある。ポリエチレンテレフタレート(PET)は、典型的な反射偏光子(RP)と共に共延伸可能ではない。典型的なRPでは、高屈折率光学系(HIO)材料は、ナフタレンジカルボキシレート(NDC)である二塩基酸のモル分率が高い(75mol%超)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はコポリエチレンナフタレート(CoPEN)である。PETをRPと共延伸する場合、要求される温度は非常に高いので(米国特許第5,882,774号によれば約137~160℃)、PETは延伸される前に結晶化する。この種の結晶化は、多くの場合、歪み誘起結晶化ではなく熱誘起結晶化と呼ばれる。この熱誘起結晶化PETは、いくつかの理由から望ましくない。熱誘起結晶化PETは、大きな結晶子の存在に起因して曇っており、テンターで延伸したときに完全に伸張する前に破断する傾向があり、また、歪み硬化PETのもつ優れた機械的特性(高弾性率及び結晶性)を有さない。反射偏光子の1次元配向のための典型的な温度は、137~160℃である(HIOがPENである米国特許第5,882,774号の例に基づく)。多層反射偏光子は、典型的には、90mol%以上のNDCから構成されるPEN又はCoPENから構成されるHIOを使用する。このHIOは、低温では破断するか、曇る。PETの典型的な1次元配向温度は95℃である(米国特許第9,664,834号を参照されたい)。したがって、RPに必要な高複屈折性を示すHIOに使用される配向温度と、低費用で剛性フィルムにとって良好な機械的特性を有するPETに使用される配向温度との間には、重複がないことは明らかである。したがって、本開示のフィルムでPETを使用することは期待されていない。
【0012】
本開示では、PET(ポリエチレンテレフタレート)のポリエステル材料から調製され、余分の外層ラミネーションが不要になるように光学的に活性なマイクロ層と共押出されるスキン層を含む、多層反射偏光子フィルムを含む光学フィルムが記載される。多層反射偏光子フィルムは、本質的に全ての光を反射する鏡様のフィルムであってもよく、又は、1つの極性の光を反射し、直交する極性の光を透過する反射偏光子フィルムであってもよい。スキン層内のポリエステル材料によって、共押出による光学フィルムの調製が可能になり、したがってラミネーションプロセスの追加の費用及び時間が回避される。加えて、比較的低コストのPET材料によって、より高価なスキン層で形成された物品と比較して、形成された物品の費用が低減する。更に、PETスキン層は、フィルムの多層部分の光学活性層と適合する延伸特性を有するため、共押出された物品を延伸させて、所望の光学特性及び物理的特性を有するフィルム物品を形成することができる。
【0013】
本明細書には、これらの光学用途に好適なポリエステル材料も開示され、ポリエステル材料は、置換ナフタレート単位、エチレン単位、及びヘキサン単位を含むコポリエステルポリマー材料である。
【0014】
以下に定義する用語については、異なる定義が「特許請求の範囲」又は本明細書中の他の箇所で与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0015】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば、2つ以上の異なるモノマーを使用して形成されるポリマー)、オリゴマー及びこれらの組み合わせ、並びに、例えば、共押出又はエステル交換などの反応によって混和性ブレンド中に形成され得るポリマー、オリゴマー、又はコポリマーを含むと理解される。別段に指示のない限り、ブロックコポリマー及びランダムコポリマーの両方が含まれる。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「ポリエステル」は、次の一般式:-C(O)O-のエステル結合を含有するポリマーを指し、式中、C(O)は、カルボニル基C=Oである。ポリエステルは、ジカルボキシレート部分(moities)(ジカルボン酸又はジカルボキシレートアルキルエステルなど)及びジオールの反応から調製される。
【0017】
用語「Tg」及び「ガラス転移温度」は、互換的に使用される。測定する場合、Tg値は、別途指示がない限り、20℃/分の走査速度で示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される。
【0018】
別段の指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用された分子量や反応条件などの成分の量や特性を表す全ての数値は、いかなる場合においても「約」という語で修飾されているものと理解されるべきである。したがって、これに反する指示のない限り、上記の本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。
【0019】
モルパーセント(mole percent)又はmol%などは、物質のモル数を組成物のモル数で除算して100を乗算したものとして、物質の濃度を指す同義語である。同様に、重量%(weight %)は、組成物中の物質の重量を組成物の総重量で除算して100を乗算したものを指す。
【0020】
端点による数値範囲の記載には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、その内容がそうでないことを明確に示さない限りは、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ポリマー」を含有する組成物への言及は、2つ以上のポリマーの混合物を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、用語「又は」は、内容が別途明示しない限り、全般的に、「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0022】
本明細書において、多層光学フィルムが開示される。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層を含む光学活性部分を含み、層の数は25超であり、光学活性部分は、第1のスキン層と第2のスキン層との間に配設され、それと一体的に形成されている。光学フィルムはまた、以下に詳細に記載されるように、追加の層を含んでもよい。
【0023】
本開示の多層ポリマーフィルムは、例えば、光学反射偏光子又はミラーとして使用されてもよい。このフィルムは、第1の干渉層及び第2の干渉層を含む交互の層、並びにスキン層などの非光学層を備えた、光学層を含む。非光学層は、典型的には、フィルム物品に保護及び剛性を提供する。第1の干渉層は、一般に、一軸配向又は二軸配向の複屈折ポリマー層である。第2の干渉層もまた、複屈折性であり、かつ、一軸配向又は二軸配向のポリマー層であってもよい。ただし、より典型的には、第2の干渉層は、配向後の第1の干渉層の屈折率のうちの少なくとも1つとは異なる等方性屈折率を有する。多層ポリマーフィルムの製造及び使用方法、並びに設計考慮事項は、例えば、米国特許第5,882,774号及び米国特許出願公開第2001/0011779(A1)号に記載されている。
【0024】
本開示の多層光学フィルム構造で使用される材料は、ポリエステル材料を含む。ポリエステルは、カルボン酸塩サブユニット及びグリコールサブユニットを含み、カルボン酸モノマー分子とグリコールモノマー分子との反応によって生成される。各カルボン酸モノマー分子は、2つ以上のカルボン酸又はエステル官能基を有し、各グリコールモノマー分子は、2つ以上のヒドロキシ官能基を有する。カルボン酸モノマー分子は、全て同一であってもよいし、又は2つ以上の異なるタイプの分子であってもよい。グリコールモノマー分子についても同様である。
【0025】
ポリエステル層のカルボン酸サブユニットを形成するのに使用する好適なカルボン酸モノマー分子としては、例えば、2,6-ナフタレンジカルボン酸及びその異性体、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロオクタンジカルボン酸、1,6-シクロヘキサンジカルボン酸及びその異性体、t-ブチルイソフタル酸、トリメリット酸、スルホン化イソフタル酸ナトリウム、4,4’-ビフェニルジカルボン酸及びその異性体、並びに、これら酸の低級アルキルエステル、例えば、メチル又はエチルエステルが挙げられる。用語「低級アルキル」は、この文脈では、C~C10の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基を指す。また、用語「ポリエステル」には、グリコールモノマー分子と炭酸のエステルとの反応から誘導されるポリカーボネート、及び、上記コモノマーから作製されたコポリエステルとポリカーボネートとのブレンドも含まれる。
【0026】
ポリエステル層のグリコールサブユニットを形成するのに用いる好適なグリコールモノマー分子としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール及びその異性体、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリシクロデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びその異性体、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ノルボルネンジオール、ビシクロオクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-ベンゼンジメタノール及びその異性体、ビスフェノールA、1,8-ジヒドロキシビフェニル及びその異性体、並びに、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが挙げられる。
【0027】
1,4-シクロヘキサンジメタノール(chdm)もまた、ガラス転移温度及び屈折率のポリマー特性に対する逆転効果により、本開示のいくつかの例示的な実施形態に有用であることが見いだされている。chdmのモル分を増加させることによって、コポリマーのガラス転移温度を上昇させながら、同時に、その屈折率を減少させることができる。具体的には、tbia及びchdmの両方を含有するコポリエステルは、それらのそれぞれの屈折率に対して比較的高いガラス転移温度を有することが見いだされた。
【0028】
現在の光学フィルム構造で使用するための最も好適なポリエステル材料の中には、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーがある。これらのポリエステルコポリマーは、現在の光学フィルム構造において特に有用である溶融加工性と光学特性との適切な組み合わせを有することが見出されている。いくつかの実施形態では、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーは、置換ナフタレンジカルボキシレート部分、エチレングリコール部分、及びヘキサンジオール部分のコポリマーである。これらのポリマーは、エチレン部分の一部がヘキサン部分によって置き換えられているPEN(ポリエチレンナフタレート)の修飾バージョンとして見ることができる。PENは、多層光学フィルムにおいて非常に有用であることが見出されている。
【0029】
典型的には、コポリマーは、コポリマーの形成を促進するために少なくとも1つの金属触媒も含有する反応混合物中で調製される。いくつかの実施形態では、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーは、55~62重量部の置換ナフタレンジカルボキシレートと、5~24重量部のヘキサンジオールと、20~35重量部のエチレングリコールと、0.3重量部未満の金属触媒と、を含む反応混合物から調製される。いくつかの実施形態では、置換ナフタレンジカルボキシレートは、ジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(NDC)を含む。
【0030】
多くの場合、ポリエステルコポリマーは、エステル結合によって連結されたコポリマー内のmol%の単位によって記載される。特に好適なヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーの例は、40~51mol%の置換ナフタレート単位と、10~40mol%のエチレン単位と、10~40mol%のヘキサン単位と、を含むものである。いくつかの実施形態では、置換ナフタレンジカルボキシレートは、ジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(NDC)を含む。
【0031】
図1は、本開示の第1の多層光学フィルム構造の断面図である。光学フィルム100は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層10及び第2の干渉層20を含み、層の数は25超である。いくつかの実施形態では、層の数は35超、又は更には100超である。交互のポリマーの第1の干渉層10及び第2の干渉層20は、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、それと一体的に形成されている。
【0032】
実質的に垂直な入射光50について、また、少なくとも約430ナノメートル(nm)~約600nmにわたる所定の波長範囲60内の各波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも40%の光反射率を有する。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲は、少なくとも約400nm~約650nmにわたる、又は少なくとも約430nm~約650nmにわたる、又は少なくとも約400nm~約600nmにわたる。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも50%、少なくとも60%、又は、更には少なくとも70%の光反射率を有する。
【0033】
第1の干渉層及び第2の干渉層の各々が、約250nm未満の平均厚さを有する。隣接する第1の干渉層及び第2の干渉層は、それぞれの平面屈折率:第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、直交する第2の偏光状態(Py)に沿ってn1y及びn2y、並びに第1の変更状態及び第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zを有する。少なくとも約430nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲60の少なくとも1つの波長61について、n1xは、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.18大きい。n1yとn1zとの間の差は、約0.10未満である。n2xとn2yとn2zとの間の最大差は、約0.01未満であり、n1xとn2xとの間の差は、約0.18を超える。
【0034】
第1の干渉層10は、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、第1のスキン層30は、ポリエステルを含み、第2のスキン層40は、少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、第2のスキン層は、約0.5マイクロメートル超の平均厚さを有する。
【0035】
第1の干渉層は、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、第1の干渉層は、置換(sustituted)ナフタレンジカルボキシレート部分、エチレングリコール部分、及びヘキサンジオール部分のコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、第1の干渉層の約95%超は、置換ナフタレンジカルボキシレート部分、エチレングリコール部分、及びヘキサンジオール部分のコポリマーである。いくつかの実施形態におけるポリエステルコポリマーは、約5重量%~約90重量%の1つ以上のジオール部分を含む。典型的には、第1の干渉層中のジオール部分の約30%~約80%はヘキサンジオールであり、残りのジオール部分はエチレングリコール部分である。いくつかの実施形態では、第1の干渉層中のジオール部分の少なくとも約40%又はジオール部分の少なくとも70%は、ヘキサンジオールである。いくつかの実施形態では、第1の干渉層のTgは、約60~約110℃である。
【0036】
第1の干渉層は、広範な厚さを有してもよい。典型的には、第1の干渉層及び第2の干渉層は、同じ厚さを有し、約(aobut)200nm未満、約150nm未満、又は40~150nmの平均厚さを有する。
【0037】
第1のスキン層はまた、ポリエステル層を含む。第1のスキン層及び第1の干渉層は、同じ組成物であってもよく、又は異なる組成物であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はPETのコポリマーを含む。PETのコポリマーは、典型的には、1,4-テレフタレート単位のいくつかを1,2-又は1,3-単位で置き換えることによって調製される。これは、ポリマーの結晶性を破壊し、融解温度を低下させる可能性がある。このようなポリマーは、多くの場合、「共PET」と称される。他の修飾PETポリマーは、エチレングリコールのいくつかを異なるグリコールで置き換えることによって修飾される。これらのポリマーは、多くの場合、グリコール修飾PETつまりPETgと称される。PETgの一例は、Eastman Chemical Company製のEASTAR COPOLYESTER GN071である。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、少なくとも50重量%のPET、少なくとも60重量%のPET、又は少なくとも約70重量%のPETを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、共PETを含む。共PETの量は、大きく異なり得る。いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、少なくとも約10重量%の共PET、少なくとも約20重量%の共PET、又は少なくとも約30重量%の共PETを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、PETgを含む。PETgの量は、大きく異なり得る。いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、少なくとも約10重量%のPETg、少なくとも約20重量%のPETg、又は少なくとも約30重量%のPETgを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、ヘキサンジオール、エチレングリコール、又はそれらの組み合わせを含むポリエステルコポリマーを含む。
【0042】
第1のスキン層は、多様な厚さ、及び、多種多様な組成物を有することができる。いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、約0.5~20マイクロメートルの平均厚さを有する。他の実施形態では、第1のスキン層は、約2マイクロメートルを超える平均厚さを有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、約60~約110℃のガラス転移温度を有する。上述したように、いくつかの実施形態では、第1の干渉は、同様のガラス転移温度範囲を有する。いくつかの実施形態では、第1の干渉層及び第1のスキン層は、互いの5℃以内であるガラス転移温度を有する。
【0044】
第2の干渉層もまた、広範な組成物及び厚さを有することができる。第2の干渉の組成物は、所望の光学効果を与えるように、第1の干渉の組成物とは異なる。いくつかの実施形態では、第2の干渉層は、ポリエステル又はコポリエステル材料の大部分を含み、他の実施形態では、第2の干渉層は、1つ以上の(メタ)アクリレート材料の大部分を含む。好適なポリエステル及びコポリエステル材料の例は、上記に記載されている。上記の材料に加えて、いくつかの実施形態では、コポリエステルは、EASTMAN Chemical Companyから市販されているNEOSTAR ELASTOMER FN007などのコポリエステルエーテルを含み、これも好適である。用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート材料とメタクリレート材料の両方を指す。アクリレート及びメタクリレートは、一般に、酸とアルコールとの反応によって調製されるアクリル酸又はメタクリル酸のエステルである。特に好適な(メタ)アクリレート材料は、MMA(メチルメタクリレート)のポリマー(PMMA)及びコポリマー(coPMMA)である。好適なcoPMMA材料の一例は、Ineos Acrylics,Inc.から市販されているPERSPEX CP63などの、75重量%のMMAと25重量%のアクリル酸エチルとのコポリマーである。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2の干渉層が含む材料は、大部分がポリエステルである。特に好適な材料は、PET及びコポリエステルエーテルなどのコポリエステルである。いくつかの実施形態では、第2の干渉層は、少なくとも80重量%のPET、少なくとも90重量%のPET、又は、更には少なくとも95重量%のPETを含む。他の実施形態では、第2の干渉層は、少なくとも80重量%のコポリエステル、少なくとも90重量%のコポリエステル、又は、少なくとも95重量%のコポリエステルを含む。
【0046】
他の実施形態では、第2の干渉層は、少なくとも1つの(メタ)アクリレートを少なくとも50重量%含む。他の実施形態では、第2の干渉層は、少なくとも60重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート、少なくとも70重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート、少なくとも80重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート、少なくとも90重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート、又は、少なくとも95重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレートを含む。いくつかの実施形態では、(メタ)アクリレートは、coPMMAを含む。これらの実施形態では、第2の干渉層は、少なくとも50重量%のcoPMMAを含む。他の実施形態では、第2の干渉層は、少なくとも60重量%のcoPMMA、少なくとも70重量%のcoPMMA、少なくとも80重量%のcoPMMA、少なくとも90重量%のcoPMMA、又は少なくとも95重量%のcoPMMAを含む。
【0047】
他の層と同様に、第2のスキン層40は、広範な材料及び広範な厚さを含み得る。第2のスキン層40は、少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、約0.5マイクロメートル超の平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、第2のスキン層の平均厚さは、約1マイクロメートル超、10マイクロメートル超、100マイクロメートル超、150マイクロメートル超、又は更には200マイクロメートル超である。いくつかの実施形態では、第2のスキン層の平均厚さは、約400マイクロメートル未満、約300マイクロメートル未満、約200マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、又は更には約30マイクロメートル未満である。いくつかの実施形態では、第2のスキン層は、少なくとも80重量%のPET、少なくとも85重量%のPET、又は、約90重量%のPETを含む。いくつかの実施形態では、第2のスキン層は、少なくとも約5重量%のPETgを更に含む。いくつかの実施形態では、第2の干渉層は、上記の第1のスキン層と同じ組成物を有する。
【0048】
本開示の多層フィルム物品はまた、図1に示すように、多様な任意選択層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、多層物品は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層と、第2のスキン層40との間に配設された第1の保護層70を更に含む。第1の保護層は、広範な材料組成を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の保護層及び第1の干渉層が実質的に同じ組成物を有する。第1の保護層は、広範な厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の保護層は、約0.5マイクロメートル~約20マイクロメートルの平均厚さを有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、多層物品は、第1のスキン層30上に、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層とは反対側に配設された光拡散層80を更に含む。光拡散層は、多種多様な厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、平均厚さは、約0.5~約12マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、光拡散層は、材料82内に分散した複数の粒子81を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、光拡散層の総体積の約40%~約65%の体積百分率を有する。いくつかの実施形態では、材料は、ポリエステル(PETg又はポリ乳酸など)及び(メタ)アクリレートを含む。
【0050】
広範な粒子が好適である。いくつかの実施形態では、粒子は、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリレートコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、粒子は、ポリスチレン又はポリスチレンコポリマーを含む。更に別の実施形態では、粒子はガラスなどの無機材料を含む。いくつかの実施形態では、粒子の平均サイズは、約1マイクロメートル~約20マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、複数の粒子のうち少なくともいくつかの粒子は、光拡散層の上面から突出する。
【0051】
上述したように、物品に取り扱い易さ及び剛性を提供するために、多層光学フィルム物品100の中に第1のスキン層及び第2のスキン層が存在する。スキン層が比較的厚いため、比較的安価な材料から調製され、これらの層が第1及び第2の干渉層と共加工可能であることが望ましい。いくつかの特定の実施形態では、多層光学フィルム100は、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、それと一体的に形成されている、25超、35超、又は更には100超に達する複数の交互のポリマーの第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20を備えている。これらの実施形態では、第1のスキン層並びに第1の干渉層及び第2の干渉層は、ポリエステルを含み、第1の干渉層は、ヘキサンジオール部分を含むコポリエステルポリマー材料を含み、第2のスキン層は、少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。第1のスキン層及び第2のスキン層は、組み合わせて、少なくとも70体積%のポリエステルを含む。実質的に垂直な入射光50について、また、少なくとも約400nm~約600nmにわたる所定の波長範囲60内の各波長に対して、多層光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも50%の光反射率を有する。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも60%の光反射率を有し、又は更には第1の偏光状態(Px)について少なくとも70%の光反射率を有する。いくつかの実施形態では、第1のスキン層及び第2のスキン層は、組み合わせて、少なくとも80体積%のポリエステルを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム物品100は、一体的に形成され、約200マイクロメートル超の平均厚さ、又は約250マイクロメートル超の平均厚さを有する。
【0053】
本開示の多層光学物品の相対剛性を説明するために、多種多様な方法を使用することができる。いくつかの実施形態では、多層光学物品は、ASTM D790試験方法に従って測定したときに、約1500MPaを超える曲げ弾性率を有する。
【0054】
いくつかの特定の実施形態では、多層光学フィルム100は、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、それと一体的に形成されている、25超に達する複数の交互のポリマーの第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20を備えており、第1のスキン層並びに第1の干渉層及び第2の干渉層は、ポリエステル組成物であり、少なくとも第1の干渉層は、ヘキサンジオール部分を含むコポリエステルポリマー材料を含む。第2のスキン層は、少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。実質的に垂直な入射光50について、また、少なくとも約400nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲60内の各波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも50%の光反射率を有し、光学フィルムは、ASTM D790標準試験方法に従って測定したときに、約1500Mpa超の曲げ弾性率を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム100は、鏡様の特性を有し、第2の偏光状態(Py)について少なくとも50%の光反射率を有する。いくつかの実施形態では、光反射率は、第2の偏光状態(Py)について少なくとも60%、又は、更には70%である。
【0056】
多層光学フィルムのいくつかの特定の実施形態では、フィルム100は、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、それと一体的に形成されている、100超に達する複数の交互のポリマーの第1の干渉層10及び第2の干渉層20を備えており、第1の干渉層及び第2の干渉層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、第1のスキン層及び干渉層は、それぞれ、ポリエステルを含む第1の組成物及び第2の組成物を有する。第2のスキン層は、少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、約100マイクロメートル超の平均厚さを有した。実質的に垂直な入射光50について、また、少なくとも約400nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲60内の各波長に対して、光学フィルムは、直交する第1の偏光状態(Px)及び第2の偏光状態(Py)の各々について少なくとも50%の光反射率を有する。隣接する第1の干渉層及び第2の干渉層は、それぞれの平面屈折率:第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、第2の偏光状態に沿ってn1y及びn2y、並びに第1の偏光状態及び第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zを有する。所定の波長範囲60の少なくとも1つの波長61について、n1xは、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.20、少なくとも0.21、少なくとも0.22、少なくとも0.23、少なくとも0.24、又は更には少なくとも0.25大きく、n1yとn1zとの間の差は、約0.08未満、又は更には0.07未満であり、いくつかの実施形態では、n1yとn1zとの間の差は、0.06以下であり、n2xとn2yとn2zとの間の最大差は、約0.01未満であり、n1xとn2xとの間の差は、約0.14を超える。
【0057】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム100は、第2の偏光状態(Py)について少なくとも60%の光透過率を有する反射偏光子である。いくつかの実施形態では、この光透過率は、第2の偏光状態(Py)について少なくとも70%、又は、更には80%である。
【0058】
本開示の多層光学フィルムは、多様な異なる方法で調製することができる。上述したように、本開示の利点は、この物品を調製するために使用できる単純で簡単明瞭な技法である。この物品を形成するための特に好適な1つの技法は、共押出である。共押出の技法は、当業者にはよく理解されている。いくつかの実施形態では、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層が共押出される。いくつかの実施形態では、第1の干渉層及び第2の干渉層並びに第1のスキン層及び第2のスキン層は、約460~550°Fの温度、いくつかの実施形態では、約500°Fの温度で共押出される。いくつかの実施形態では、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層は、更に約190~220°Fの温度で共延伸される。
【0059】
この方法では、多層光学フィルムは、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層を共押出することによって形成され、いくつかの実施形態では、光学フィルムは、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層を、更に約190~220°Fの温度で共延伸することによって更に形成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルムは、上述したように、追加の任意選択層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、多層光学フィルムは、光拡散層を更に含む。いくつかの実施形態では、光拡散層は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層と共押出される。他の実施形態では、光拡散層は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層上にコーティングされる。
【0061】
本明細書にはまた、上記の図1に記載されるものなどの多層光学フィルム物品を含む、光学積層体物品も開示される。光学積層体物品の一実施形態を、図2に示す。図2では、光学積層体200は、複数の構造体111を含む構造化フィルム110を備え、各構造体は、頂部114で当接する反対向きの小平面112、113を含み、構造体の頂部に多層光学フィルム物品100が配設されている。第1の接着剤層120が、光学フィルム100を構造体111の頂部114に接合する。この光学積層体は、ASTM D790試験方法に従って測定したときに、約1500MPaを超える曲げ弾性率を有する。いくつかの実施形態では、複数の構造体111は、図2に示すように、第1の接着剤層120内に埋め込まれている。いくつかの実施形態では、構造化フィルム110は、第1の基材115を更に含み、複数の構造体111は、第1の基材115の主表面116に配設される。
【0062】
光学積層体物品は、構造化フィルム110及び多層フィルム物品100の他に、多様な追加の層及び特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、光学積層体は、光学フィルムと第1の接着剤層との間に配置された第2の基材130と、第2の基材を多層光学フィルム物品100に接合する第2の接着剤層140とを更に含む。光学的に透明な広範な接着剤が、接着剤層120及び140としての使用に好適である。また、これらの接着材層は同じであってもよく、あるいは、異なっていてもよい。
【0063】
図1はまた、本開示の第2の多層光学フィルムミラー構造の断面図を示す。光学フィルム100は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層10及び第2の干渉層20を含み、層の数は25超である。いくつかの実施形態では、層の数は35超、又は更には100超である。交互のポリマーの第1の干渉層10及び第2の干渉層20は、各々が、250nm未満の厚さを有し、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、それと一体的に形成されている。
【0064】
第1のスキン層は、ポリエステルを含み、第1のインターフェース層は、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、第1のインターフェース層中のジオール部分の少なくとも30重量%は、ヘキサンジオールである。第2の層は、約100マイクロメートル超の平均厚さを有し、PETを含む。
【0065】
実質的に垂直な入射光50について、また、少なくとも約400nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲60内の各波長に対して、光学フィルムは、直交する第1の偏光状態(Px)及び第2の偏光状態(Py)の各々について少なくとも50%の光反射率を有する。隣接する第1の干渉層及び第2の干渉層は、それぞれの平面屈折率:第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、第2の偏光状態に沿ってn1y及びn2y、並びに第1の偏光状態及び第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zを有する。所定の波長範囲の少なくとも1つの波長61について、n1x及びn1yの各々は、n1zより少なくとも0.18大きく、n2xとn2yとn2zとの間の最大差は、約0.01未満であり、n1xとn2xとの間の差は、約0.18を超える。
【0066】
図1はまた、本開示の第3の多層光学フィルム構造の断面図を示す。光学フィルム100は、複数の交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20を含み、層の数は25超である。いくつかの実施形態では、層の数は35超、又は更には100超である。交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20は、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、それと一体的に形成されている。
【0067】
第1のスキン層は、ポリエステルを含み、第1のポリマー層は、ヘキサンジオール部分を有するコポリエステルポリマー材料を含み、第2のスキン層は、少なくとも70重量%のPETを含む。
【0068】
実質的に垂直な入射光50について、また、少なくとも約400nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲60内の各波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態(sate)(Px)について少なくとも50%の光反射率を有し、光学フィルムは、ASTM D790標準に従って測定したときに、約1500Mpa超の曲げ弾性率を有する。
【0069】
図1はまた、本開示の第4の多層光学フィルム構造の断面図を示す。光学フィルム100は、複数の交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20を含み、層の数は25超である。いくつかの実施形態では、層の数は35超、又は更には100超である。交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20は、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、それと一体的に形成されている。
【0070】
第1のスキン層は、ポリエステルを含み、第1のポリマー層は、ヘキサンジオール部分を有するコポリエステルポリマー材料を含み、第2のスキン層は、少なくとも70重量%のPETを含む。
【0071】
実質的に垂直な入射光50について、また、少なくとも400nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲60内の各波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも50%の光反射率を有する。第1のスキン層及び第2のスキン層は、組み合わせて、少なくとも70体積%のポリエステルを含む。
【0072】
図1はまた、本開示の第5の多層光学フィルム構造の断面図を示す。光学フィルム100は、複数の交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20を含み、層の数は25超である。いくつかの実施形態では、層の数は35超、又は更には100超である。交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20は、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、それと一体的に形成され、第1のスキン層30及び第2のスキン層40と共に共押出され、次いで約190°F~約220°Fの間の1つ以上の温度で共延伸される。
【0073】
第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、第1のポリマー層は、ヘキサンジオール及びエチレングリコール部分を有するポリエステルコポリマーを含む。第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、約0.21超かつ約0.01未満のそれぞれの平面複屈折を有する。
【0074】
図1はまた、本開示の第6の多層光学フィルム構造の断面図を示す。光学フィルム100は、複数の交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20を含み、層の数は25超である。いくつかの実施形態では、層の数は35超、又は更には100超である。交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20は、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、第1のスキン層30及び第2のスキン層40と共に共押出され、次いで約190°F~約220°Fの間の1つ以上の温度で共延伸される。
【0075】
第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有する。第1のポリマー層及び第2のポリマー層並びに第1のスキン層及び第2のスキン層は、約95℃未満のガラス転移温度を有し、第1のポリマー層は、約0.21超の平面複屈折を有する。
【0076】
実質的に垂直な入射光50について、また、約400nm~約1500nmにわたる少なくとも1つの波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態を有する入射光の少なくとも20%を反射する。
【0077】
図1はまた、本開示の第7の多層光学フィルム構造の断面図を示す。光学フィルム100は、複数の交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20を含み、層の数は25超である。いくつかの実施形態では、層の数は35超、又は更には100超である。交互の第1のポリマー層10及び第2のポリマー層20は、第1のスキン層30と第2のスキン層40との間に配設され、第1のスキン層30及び第2のスキン層40と共に共押出され、次いで約190°F~約220°Fの間の1つ以上の温度で共延伸される。
【0078】
第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有する。第1のポリマー層及び第2のポリマー層並びに第1のスキン層及び第2のスキン層は、互いの5℃以内であるガラス転移温度を有し、第1のポリマー層は、約0.21超の平面複屈折を有する。
【0079】
実質的に垂直な入射光50について、また、約400nm~約1500nmにわたる少なくとも1つの波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態を有する入射光の少なくとも20%を反射する。
【0080】
本開示は、以下の実施形態を含む。実施形態の中には、光学フィルムがある。実施形態1は、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、それと一体的に形成されている、合計で25超に達する複数の交互のポリマーの第1の干渉層(10)及び第2の干渉層(20)を備える光学フィルム(100)であって、第1の干渉層及び第2の干渉層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、第1の干渉層は、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、第1のスキン層は、ポリエステルを含み、第2のスキン層は、少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、約0.5マイクロメートル超の平均厚さを有し、実質的に垂直な入射光(50)について、また、少なくとも約430nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲(60)内の各波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも40%の光反射率を有し、隣接する第1の干渉層及び第2の干渉層は、それぞれの平面屈折率:第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、直交する第2の偏光状態(Py)に沿ってn1y及びn2y、並びに第1の偏光状態及び第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zを有し、所定の波長範囲の少なくとも1つの波長(61)について、n1xは、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.18大きく、n1yとn1zとの間の差は、約0.10未満であり、n2xとn2yとn2zとの間の最大差は、約0.01未満であり、n1xとn2xとの間の差は、0.18を超える、光学フィルム(100)を含む。
【0081】
実施形態2は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層が合計で35超に達する、実施形態1の光学フィルムである。
【0082】
実施形態3は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層が100超に達する、実施形態1又は2の光学フィルムである。
【0083】
実施形態4は、第1の干渉層及び第2の干渉層の各々が、約200nm未満の平均厚さを有する、実施形態1~3のいずれかの光学フィルムである。
【0084】
実施形態5は、第1の干渉層及び第2の干渉層の各々が、約150nm未満の平均厚さを有する、実施形態1~4のいずれかの光学フィルムである。
【0085】
実施形態6は、第1の干渉層及び第2の干渉層の各々が、約40nm~150nmの平均厚さを有する、実施形態1~5のいずれかの光学フィルムである。
【0086】
実施形態7は、第1の干渉層は、置換ナフタレンジカルボキシレート部分、エチレングリコール部分、及びヘキサンジオール部分のコポリマーを含む、実施形態1~6のいずれかの光学フィルムである。
【0087】
実施形態8は、第1の干渉層の約95重量%超は、置換ナフタレンジカルボキシレート部分、エチレングリコール部分、及びヘキサンジオール部分のコポリマーを含む、実施形態1~7のいずれかの光学フィルムである。
【0088】
実施形態9は、第1の干渉層中のジオール部分の約5%~約90%がヘキサンジオールである、実施形態1~8のいずれかの光学フィルムである。
【0089】
実施形態10は、第1の干渉層中のジオール部分の少なくとも約40%がヘキサンジオールである、実施形態1~9のいずれかの光学フィルムである。
【0090】
実施形態11は、第1の干渉層中のジオール部分の少なくとも約70%がヘキサンジオールである、実施形態1~10のいずれかの光学フィルムである。
【0091】
実施形態12は、第1の干渉層中のジオール部分の約30%~約80%がヘキサンジオールである、実施形態1~11のいずれかの光学フィルムである。
【0092】
実施形態13は、第1の干渉層中の残りのジオール部分がエチレングリコールである、実施形態12の光学フィルムである。
【0093】
実施形態14は、第2の干渉層が少なくとも80重量%のコポリエステルを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0094】
実施形態15は、第2の干渉層が少なくとも90重量%のコポリエステルを含む、実施形態1~14のいずれかの光学フィルムである。
【0095】
実施形態16は、実施形態1~15のいずれかの光学フィルムである。
【0096】
実施形態17は、第2の干渉層が少なくとも95重量%のコポリエステルを含む、実施形態1~16のいずれかの光学フィルムである。
【0097】
実施形態18は、第2の干渉層が少なくとも80重量%のPETgを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0098】
実施形態19は、第2の干渉層が少なくとも90重量%のPETgを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0099】
実施形態20は、第2の干渉層が少なくとも95重量%のPETgを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0100】
実施形態21は、第2の干渉層が少なくとも50重量%のアクリレートを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0101】
実施形態22は、第2の干渉層が少なくとも60重量%のアクリレートを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0102】
実施形態23は、第2の干渉層が少なくとも70重量%のアクリレートを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0103】
実施形態24は、第2の干渉層が少なくとも80重量%のアクリレートを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0104】
実施形態25は、第2の干渉層が少なくとも90重量%のアクリレートを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0105】
実施形態26は、第2の干渉層が少なくとも95重量%のアクリレートを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0106】
実施形態27は、第2の干渉層が少なくとも50重量%のcoPMMAを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0107】
実施形態28は、第2の干渉層が少なくとも60重量%のcoPMMAを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0108】
実施形態29は、第2の干渉層が少なくとも70重量%のcoPMMAを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0109】
実施形態30は、第2の干渉層が少なくとも80重量%のcoPMMAを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0110】
実施形態31は、第2の干渉層が少なくとも90重量%のcoPMMAを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0111】
実施形態32は、第2の干渉層が少なくとも95重量%のcoPMMAを含む、実施形態1~13のいずれかの光学フィルムである。
【0112】
実施形態33は、第1のスキン層及び第1の干渉層が同じ組成物を有する、実施形態1~32のいずれかの光学フィルムである。
【0113】
実施形態34は、第1のスキン層及び干渉層が異なる組成物を有する、実施形態1~32のいずれかの光学フィルムである。
【0114】
実施形態35は、第1のスキン層及び第1の干渉層のうちの少なくとも1つが、約60℃~110℃のガラス転移温度を有する、実施形態1~34のいずれかに記載の光学フィルムである。
【0115】
実施形態36は、第1のスキン層及び第1の干渉層のガラス転移温度が、互いの5℃以内である、実施形態1~35のいずれかに記載の光学フィルムである。
【0116】
実施形態37は、第1のスキン層がPETを含む、実施形態1~36のいずれかの光学フィルムである。
【0117】
実施形態38は、第1のスキン層が少なくとも約50重量%のPETを含む、実施形態1~37のいずれかの光学フィルムである。
【0118】
実施形態39は、第1のスキン層が少なくとも約60重量%のPETを含む、実施形態1~38のいずれかの光学フィルムである。
【0119】
実施形態40は、第1のスキン層が少なくとも約70重量%のPETを含む、実施形態1~39のいずれかの光学フィルムである。
【0120】
実施形態41は、第1のスキン層が共PETを含む、実施形態1~36のいずれかの光学フィルムである。
【0121】
実施形態42は、第1のスキン層が少なくとも約10重量%の共PETを含む、実施形態1~36のいずれかの光学フィルムである。
【0122】
実施形態43は、第1のスキン層が少なくとも約20重量%の共PETを含む、実施形態1~36のいずれかの光学フィルムである。
【0123】
実施形態44は、第1のスキン層が少なくとも約30重量%の共PETを含む、実施形態1~36のいずれかの光学フィルムである。
【0124】
実施形態45は、第1のスキン層がPETgを含む、実施形態1~36のいずれかの光学フィルムである。
【0125】
実施形態46は、第1のスキン層が少なくとも約10重量%のPETgを含む、実施形態1~36のいずれかの光学フィルムである。
【0126】
実施形態47は、第1のスキン層が少なくとも約20重量%のPETgを含む、実施形態1~36のいずれかの光学フィルムである。
【0127】
実施形態48は、第1のスキン層が少なくとも約30重量%のPETgを含む、実施形態1~36のいずれかの光学フィルムである。
【0128】
実施形態49は、第1のスキン層がヘキサンジオール部分を含む、実施形態1~48のいずれかの光学フィルムである。
【0129】
実施形態50は、第1のスキン層がエチレングリコール部分を含む、実施形態1~49のいずれかの光学フィルムである。
【0130】
実施形態51は、第1のスキン層及び第2の干渉層が同じ組成物を有する、実施形態1~50のいずれかの光学フィルムである。
【0131】
実施形態52は、第1のスキン層が約2マイクロメートル超の平均厚さを有する、実施形態1~51のいずれかの光学フィルムである。
【0132】
実施形態53は、第1のスキン層が約0.5~20マイクロメートルの平均厚さを有する、実施形態1~51のいずれかの光学フィルムである。
【0133】
実施形態54は、第2のスキン層が、少なくとも80重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、実施形態1~53のいずれかの光学フィルムである。
【0134】
実施形態55は、第2のスキン層が少なくとも85重量%のPETを含む、実施形態1~54のいずれかの光学フィルムである。
【0135】
実施形態56は、第2のスキン層が約90重量%のPETを含む、実施形態1~55のいずれかの光学フィルムである。
【0136】
実施形態57は、第2のスキン層が少なくとも約5重量%のPETgを更に含む、実施形態1~53のいずれかの光学フィルムである。
【0137】
実施形態58は、第2のスキン層の平均厚さが約1マイクロメートル超である、実施形態1~57のいずれかの光学フィルムである。
【0138】
実施形態59は、第2のスキン層の平均厚さが約10マイクロメートル超である、実施形態1~58のいずれかの光学フィルムである。
【0139】
実施形態60は、第2のスキン層の平均厚さが約400マイクロメートル未満である、実施形態1~59のいずれかの光学フィルムである。
【0140】
実施形態61は、第2のスキン層の平均厚さが約300マイクロメートル未満である、実施形態1~60のいずれかの光学フィルムである。
【0141】
実施形態62は、第2のスキン層の平均厚さが約200マイクロメートル未満である、実施形態1~61のいずれかの光学フィルムである。
【0142】
実施形態63は、第2のスキン層の平均厚さが約100マイクロメートル未満である、実施形態1~62のいずれかの光学フィルムである。
【0143】
実施形態64は、第2のスキン層の平均厚さが約50マイクロメートル未満である、実施形態1~62のいずれかの光学フィルムである。
【0144】
実施形態65は、第2のスキン層の平均厚さが約30マイクロメートル未満である、実施形態1~63のいずれかの光学フィルムである。
【0145】
実施形態66は、第2のスキン層の平均厚さが約100マイクロメートル超である、実施形態1~58のいずれかの光学フィルムである。
【0146】
実施形態67は、第2のスキン層の平均厚さが約150マイクロメートル超である、実施形態1~58のいずれかの光学フィルムである。
【0147】
実施形態68は、第2のスキン層の平均厚さが約200マイクロメートル超である、実施形態1~58のいずれかの光学フィルムである。
【0148】
実施形態69は、第1のスキン層及び第2のスキン層が、組み合わせて、少なくとも80体積%のポリエステルを含む、実施形態1~68のいずれかの光学フィルムである。
【0149】
実施形態70は、n1yとn1zとの間の差が約0.08よりも小さい、実施形態1~69のいずれかの光学フィルムである。
【0150】
実施形態71は、n1yとn1zとの間の差が約0.06以下である、実施形態1~69のいずれかの光学フィルムである。
【0151】
実施形態72は、n1yとn1zとの間の差が約0.07よりも小さい、実施形態1~69のいずれかの光学フィルムである。
【0152】
実施形態73は、n1xが、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.2大きい、実施形態1~72のいずれかの光学フィルムである。
【0153】
実施形態74は、n1xが、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.21大きい、実施形態1~73のいずれかの光学フィルムである。
【0154】
実施形態75は、n1xが、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.22大きい、実施形態1~74のいずれかの光学フィルムである。
【0155】
実施形態76は、n1xが、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.23大きい、実施形態1~75のいずれかの光学フィルムである。
【0156】
実施形態77は、n1xが、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.24大きい、実施形態1~76のいずれかの光学フィルムである。
【0157】
実施形態78は、n1xが、n1y及びn1zの各々よりも少なくとも0.25大きい、実施形態1~77のいずれかの光学フィルムである。
【0158】
実施形態79は、第1の偏光状態(Px)について少なくとも50%の光反射率を有する、実施形態1~78のいずれかの光学フィルムである。
【0159】
実施形態80は、第1の偏光状態(Px)について少なくとも60%の光反射率を有する、実施形態1~79のいずれかの光学フィルムである。
【0160】
実施形態81は、第1の偏光状態(Px)について少なくとも70%の光反射率を有する、実施形態1~80のいずれかの光学フィルムである。
【0161】
実施形態82は、所定の波長範囲が約430nm~約650nmにわたる、実施形態1~81のいずれかの光学フィルムである。
【0162】
実施形態83は、所定の波長範囲が約400nm~約650nmにわたる、実施形態1~81のいずれかの光学フィルムである。
【0163】
実施形態84は、第2の偏光状態について少なくとも50%の光反射率を有する、実施形態1~83のいずれかの光学フィルムである。
【0164】
実施形態85は、第2の偏光状態について少なくとも60%の光反射率を有する、実施形態1~84のいずれかの光学フィルムである。
【0165】
実施形態86は、第2の偏光状態について少なくとも70%の光反射率を有する、実施形態1~85のいずれかの光学フィルムである。
【0166】
実施形態87は、第2の偏光状態について少なくとも60%の光透過率を有する、実施形態1~83のいずれかの光学フィルムである。
【0167】
実施形態88は、第2の偏光状態について少なくとも70%の光透過率を有する、実施形態1~83のいずれかの光学フィルムである。
【0168】
実施形態89は、第2の偏光状態について少なくとも80%の光透過率を有する、実施形態1~83のいずれかの光学フィルムである。
【0169】
実施形態90は、一体的に形成され、約200マイクロメートル超の平均厚さを有する、実施形態1~89のいずれかの光学フィルムである。
【0170】
実施形態91は、一体的に形成され、約250マイクロメートル超の平均厚さを有する、実施形態1~89のいずれかの光学フィルムである。
【0171】
実施形態92は、一体的に形成され、約50マイクロメートル超の平均厚さを有する、実施形態1~89のいずれかの光学フィルムである。
【0172】
実施形態93は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層が、更に約190~220°Fの温度で共延伸される、実施形態92の光学フィルムである。
【0173】
実施形態94は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層を共押出することによって形成される、実施形態1~91のいずれかの光学フィルムである。
【0174】
実施形態95は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層を、更に約190~220°Fの温度で共延伸することによって形成される、実施形態94の光学フィルムである。
【0175】
実施形態96は、ASTM D790標準に従って測定したときに、約1500MPa超の曲げ弾性率を有する、実施形態1~95のいずれかの光学フィルムである。
【0176】
実施形態97は、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層と、第2のスキン層との間に配設された第1の保護層70を更に含む、実施形態1~96のいずれかの光学フィルムである。
【0177】
実施形態98は、第1の保護層及び第1の干渉層が、実質的に同じ組成物を有する、実施形態97の光学フィルムである。
【0178】
実施形態99は、第1の保護層が約0.5マイクロメートル~約20マイクロメートルの平均厚さを有する、実施形態97又は98の光学フィルムである。
【0179】
実施形態100は、第1のスキン層上に、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層とは反対側に配設された光拡散層(80)を更に含む、実施形態1~99のいずれかの光学フィルムである。
【0180】
実施形態101は、光拡散層が、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層と共押出される、実施形態100の光学フィルムである。
【0181】
実施形態102は、光拡散層が、複数の交互のポリマーの第1の干渉層及び第2の干渉層上にコーティングされる、実施形態100の光学フィルムである。
【0182】
実施形態103は、光拡散層が、材料(82)内に分散した複数の粒子(81)を含む、実施形態100~102のいずれかの光学フィルムである。
【0183】
実施形態104は、材料がポリエステル及びアクリレートを含む、実施形態103の光学フィルムである。
【0184】
実施形態105は、粒子がアクリレートを含む、実施形態103又は104の光学フィルムである。
【0185】
実施形態106は、粒子が無機材料を含む、実施形態103又は104の光学フィルムである。
【0186】
実施形態107は、無機材料がガラスを含む、実施形態106の光学フィルムである。
【0187】
実施形態108は、粒子がポリスチレンを含む、実施形態103又は104の光学フィルムである。
【0188】
実施形態109は、粒子が、光拡散層の総体積の約40%~約65%の体積百分率を有する、実施形態103~108のいずれかの光学フィルムである。
【0189】
実施形態110は、粒子の平均サイズが約1マイクロメートル~約20マイクロメートルである、実施形態103~109のいずれかの光学フィルムである。
【0190】
実施形態111は、複数の粒子のうち少なくともいくつかの粒子が、光拡散層の上面から突出する、実施形態103~110のいずれかの光学フィルムである。
【0191】
実施形態112は、光拡散層が約0.5~約12マイクロメートルの平均厚さを有する、実施形態100~111のいずれかの光学フィルムである。
【0192】
実施形態113は、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、それと一体的に形成されている、合計で25超に達する複数の交互のポリマーの第1の干渉層(10)及び第2の干渉層(20)を備える光学フィルム(100)であって、第1の干渉層及び第2の干渉層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、第1のスキン層はポリエステルを含み、第1の干渉層は、ヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、第1の干渉層中のジオール部分の少なくとも30重量%は、ヘキサンジオールであり、第2のスキン層は、約100マイクロメートル超の平均厚さを有し、かつポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、実質的に垂直な入射光(50)について、また、少なくとも約400nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲(60)内の各波長に対して、光学フィルムは、直交する第1の偏光状態(Px)及び第2の偏光状態(Py)の各々について少なくとも50%の光反射率を有し、隣接する第1の干渉層及び第2の干渉層は、それぞれの平面屈折率:第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、第2の偏光状態に沿ってn1y及びn2y、並びに第1の偏光状態及び第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zを有し、所定の波長範囲の少なくとも1つの波長(61)について:n1x及びn1yの各々は、n1zよりも少なくとも0.18大きく、n2xとn2yとn2zとの間の最大差は、約0.01未満であり、n1xとn2xとの間の差は、約0.18を超える、光学フィルム(100)である。
【0193】
実施形態114は、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、それと一体的に形成されている、25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、第1のスキン層はポリエステルを含み、第1のポリマー層はヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、第2のスキン層は少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、実質的に垂直な入射光(50)について、また、少なくとも約400nm~少なくとも約600nmにわたる所定の波長範囲(60)内の各波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも50%の光反射率を有し、光学フィルムは、ASTM D790標準に従って測定したときに、約1500MPaを超える曲げ弾性率を有する、光学フィルム(100)である。
【0194】
実施形態115は、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、それと一体的に形成されている、25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、第1のスキン層はポリエステルを含み、第1のポリマー層はヘキサンジオール含有ポリエステルコポリマーを含み、第2のスキン層は少なくとも70重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、実質的に垂直な入射光(50)について、また、少なくとも約400nm~約600nmにわたる所定の波長範囲(60)内の各波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態(Px)について少なくとも50%の光反射率を有し、第1のスキン層及び第2のスキン層は、組み合わせて、少なくとも70体積%のポリエステルを含む、光学フィルム(100)である。
【0195】
実施形態116は、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共押出され、次いで約190°F~約220°Fの間の1つ以上の温度で第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共延伸される、合計で25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、第1のポリマー層は、ポリエステル、ヘキサンジオール、及びエチレンジオールコポリマーを含み、第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、それぞれ約0.21を超え、約0.1未満の平面複屈折を有する、光学フィルム(100)である。
【0196】
実施形態117は、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共押出され、次いで約190°F~約220°Fの間の1つ以上の温度で第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共延伸される、合計で25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、第1のポリマー層及び第2のポリマー層並びに第1のスキン層及び第2のスキン層は、約95℃未満のガラス転移温度を有し、第1のポリマー層は、約0.21を超える平面複屈折を有し、実質的に垂直な入射光について、また、約400nm~約1500nmの間の少なくとも1つの波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態を有する入射光の少なくとも20%を反射する、光学フィルム(100)である。
【0197】
実施形態118は、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)との間に配設され、第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共押出され、次いで約190°F~約220°Fの間の1つ以上の温度で第1のスキン層(30)と第2のスキン層(40)と共延伸される、合計で25超に達する複数の交互の第1のポリマー層(10)及び第2のポリマー層(20)を備える光学フィルム(100)であって、第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約250nm未満の平均厚さを有し、第1のポリマー層及び第2のポリマー層並びに第1のスキン層及び第2のスキン層は、互いの5℃以内のガラス転移温度を有し、第1のポリマー層は、約0.21を超える平面複屈折を有し、実質的に垂直な入射光について、また、約400nm~約1500nmの間の少なくとも1つの波長に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態を有する入射光の少なくとも20%を反射する、光学フィルム(100)である。
【0198】
また、光学積層体も開示する。実施形態119は、各構造体が、頂部(114)で当接する反対向きの小平面(112、113)を含む、複数の構造体(111)を含む構造化フィルム(110)と、構造体の頂部上に配置された実施形態1~118のいずれかの光学フィルムと、光学フィルムを構造体の頂部に接合する第1の接着剤層(120)とを備える光学積層体であって、光学積層体は、ASTM D790標準に従って測定したときに、約1500MPaを超える曲げ弾性率を有する、光学積層体(200)である。
【0199】
実施形態120は、複数の構造体のうちの少なくともいくつかの構造体の頂部が第1の接着剤層に埋め込まれている、実施形態119の光学積層体である。
【0200】
実施形態121は、構造化フィルムが第1の基材(115)を更に含み、複数の構造体が第1の基材の主表面(116)上に配設されている、実施形態119又は120の光学積層体である。
【0201】
実施形態122は、光学フィルムと第1の接着剤層との間に配置された第2の基材(130)を更に含み、第2の接着剤層(140)が第2の基材を光学フィルムに接合している、実施形態119~121のいずれかの光学積層体である。
【0202】
コポリエステルポリマー材料もまた開示される。実施形態123は、
55~62重量部の置換ナフタレンジカルボキシレート部分と、
5~24重量部のヘキサンジオール部分と、
20~35重量部のエチレングリコール部分と、
0.3重量部未満の金属触媒と、を含む反応混合物の反応生成物を含むコポリエステルポリマー材料である。
【0203】
実施形態124は、置換ナフタレンジカルボキシレートが、ジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(NDC)を含む、実施形態123に記載のコポリエステルポリマー材料である。
【0204】
実施形態125は、
40~51mol%の置換ナフタレート単位と、
10~40mol%のエチレン単位と、
10~40mol%のヘキサン単位と、
を含む、コポリエステルポリマー材料である。
【実施例
【0205】
これらの実施例は、単に例示目的のみのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。本明細書の実施例及び他の箇所における全ての部、百分率、比などは、別途指示がない限り、重量に基づくものである。使用した溶媒類及び他の試薬類は、特記しない限り、Sigma-Aldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin)より入手した。以下の略語を使用する:RPM=毎分回転数、psig=1平方インチゲージ当たりのポンド、g=グラム、lb=ポンド、kPa=キロパスカル、dL=デシリットル、hrs=時間、mol%=モルパーセント。「重量%(weight%)」、「重量%(% by weight)」、及び「重量%(wt%)」という用語は区別なく使用される。
【0206】
【表1】
【0207】
試験方法
示差走査熱量測定法(DSC)によるTgの決定:
DSC(TA Instruments(New Castle,Del.)から市販されているQ2000)を使用して、材料を試験した。各組成物について、約5~10mgのサンプルを使用した。試験は、30~290℃の温度範囲で3段階の加熱-冷却-加熱の温度傾斜を含んだ。サンプルを、第1の加熱の後、290℃で3分間保持した。傾斜率は、加熱及び冷却の両方について20℃/分であった。第1の加熱スキャン及び第2の加熱スキャンの両方を分析した。
【0208】
屈折率(RI)を測定するための手順:
種々のサンプルの屈折率をMetricon Prism coupler(Metricon Corporation(Pennington,N.J.))を用いて、MD、TD、及びTM方向において測定した。MD及びTDは面内方向であり、TMはフィルム表面に対して垂直である。MD、TD、及びTMの屈折率はそれぞれ、N、N、及びNとして標識される。
【0209】
光学特性を測定するための手順:
フィルムを、BYK-Garner USAからのHazegard(登録商標)機器を使用して、透過率(T、%)、ヘイズ(H、%)、及び透明度(C、%)について試験した。透過率及びヘイズは、ASTM D-1003に従って測定した。透明度は、機器のマニュアルに記載されている試験方法に従って測定した。
【0210】
実施例1~8:
パートA:ポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマーの合成:
一連のポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマーは、表1に列挙されている成分を使用して、高温油温制御装置、オーバーヘッド分離カラム、及び真空ポンプを備えた室温のステンレス鋼10ガロン反応器へ入れ、次の手順を使用して製造された。材料を加熱し、20psig(138kPa)のN下において、125rpmで混合した。エステル交換反応を、約2時間かけて495°F(257℃)の温度まで進めた。メタノールを分離カラムを通して追い出し、受け器に回収した。ケトル内の圧力をゆっくりと大気圧まで下げ、ケトルに真空を適用し、バッチ粘度が許す限り増加させた。過剰なエチレングリコールを追い出した。約545°F(285℃)の温度及び約1mmHgの低真空で約2時間後、反応を目的のエンドポイントまで進行させた(PENの粘度0.48dL/gに相当)。次いで、ケトルを空にし、樹脂を冷却し、その後、更に評価するために小片に粉砕した。HDのmol%は、追い出した全ての過剰なジオールはEGであったという仮定に基づいて計算した。
【0211】
図3は、実施例1~8のコポリマーのTg値、並びにPEN(0mol%HD)のグラフを示す。
【0212】
【表2】
【0213】
パートB:フィルム作製
以下の方法で上記実施例1~8のこれらの樹脂を使用して一連のフィルムを製造した。ギアポンプ、並びにフィードブロック及びダイに供給されるネックチューブからなるメルトトレインに、真空付きの二軸押出機を接続した。押出機及びメルトトレインは、500°F(260℃)でメルトトレインのバルクを有する進行性温度プロファイルを利用した。樹脂を15lb/時で押し出し、100°F(37℃)のチルロールにキャストして、12ミル(305マイクロメートル)の厚さのキャストウェブフィルムを製造した。
【0214】
パートC:
フィルムの配向
次いで、キャストフィルムを、KAROラボ配向デバイスを使用して一軸配向した。各材料の配向は、典型的には、PETフィルムが配向される範囲内の様々な温度(90~110℃)で調査された。複屈折及びヘイズは、得られたフィルムで測定された。以下の表2は、配向の結果を示す。比較例1(CE-1)は、PENの値を示す。
【0215】
図4は、実施例1~8のコポリマーの平面複屈折値(N-N)をグラフで示す。
【0216】
【表3】
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】