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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】作業用車両コンポーネント
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/14 20060101AFI20230120BHJP
   B62D 55/08 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
B62D55/14 Z
B62D55/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531360
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 IB2020061213
(87)【国際公開番号】W WO2021105941
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】102019000022563
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521485771
【氏名又は名称】イタルトラクトル イテエメ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モレッティ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】カリア、ユースタキオ
(57)【要約】
本発明は、作業用車両コンポーネント10であって、コンポーネント10の中に得られた、延長軸Aを有し、また、側壁13によって範囲が定められた空洞12と、コンポーネント10の外部表面11に置かれた空洞12のための開口14と、空洞12の中に収納され、また、空洞12のための開口14に置かれた第1の軸方向の端部16cを備えた摩耗センサ16と、摩耗センサ16の第1の軸方向の端部16cと整列した第1の軸方向の端部22aと共に空洞12に挿入された支持ボディ22とを備える作業用車両コンポーネント10を説明する。支持ボディ22は空洞12の側壁13に接続され、且つ、空洞12の側壁13に拘束され、また、摩耗センサ16は支持ボディ22に物理的に接続され、且つ、少なくとも軸方向に支持ボディ22に拘束される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用車両コンポーネント(10)であって、
前記コンポーネント(10)の中に得られた、延長軸(A)を有し、また、少なくとも1つの側壁(13)によって半径方向に範囲が定められた空洞(12)と、前記コンポーネント(10)の外部表面(11)に置かれた前記空洞(12)のための開口(14)と、
前記空洞(12)の中に収納され、また、前記空洞(12)のための前記開口(14)に置かれた第1の軸方向の端部(16c)を備えた摩耗センサ(16)と、
前記摩耗センサ(16)の前記第1の軸方向の端部(16c)と整列した第1の軸方向の端部(22a)と共に前記空洞(12)に挿入された支持ボディ(22)と
を備え、
前記支持ボディ(22)が前記空洞(12)の前記側壁(13)に物理的に接続され、且つ、少なくとも軸方向に前記空洞(12)の前記側壁(13)に拘束され、前記摩耗センサ(16)が前記支持ボディ(22)に物理的に接続され、且つ、少なくとも軸方向に前記支持ボディ(22)に拘束される、作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項2】
前記摩耗センサ(16)が、基板(21)及び前記基板(21)によって支持された少なくとも1つの電気回路(17)を備え、前記摩耗センサ(16)が、すり減って、摩耗の程度に応じて前記少なくとも1つの電気回路(17)の測定可能電気特性を修正するように構成することができる測定部分(16a)を備える、請求項1に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項3】
前記支持ボディ(22)が、軸方向に、前記摩耗センサ(16)の前記測定部分(16a)の軸方向の長さに少なくとも等しい長さにわたって展開する、請求項2に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項4】
前記支持ボディ(22)が、所定の半径方向の平面に沿って得られる、前記同じ所定の半径方向の平面に沿って得られるセクション上の前記空洞(12)の断面積の少なくとも30%の面積を有するセクションを有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項5】
前記摩耗センサ(16)の前記基板(21)及び前記少なくとも1つの電気回路(17)が前記空洞(12)の前記側壁(13)と直接接触しない、請求項2から4までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項6】
前記支持ボディ(22)の体積が前記空洞(12)の体積の少なくとも15%に等しい、請求項1から5までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項7】
前記支持ボディ(22)が、接着剤を使用して前記空洞(12)の前記側壁(13)に拘束される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項8】
前記支持ボディ(22)が金属でできている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項9】
前記支持ボディ(22)が塑性材料でできている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項10】
前記支持ボディ(22)及び前記コンポーネント(10)が同じ材料でできている、請求項1から9までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項11】
前記支持ボディ(22)を構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、前記空洞(12)を取り囲んでいる前記コンポーネント(10)の材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの比率が0.15以上であり、前記支持ボディ(22)及び前記コンポーネント(10)の局在塑性変形に対するレジスタンスが、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で、ISO 6506-1:2015に従って測定され、或いは前記支持ボディ(22)を構成している材料の極限引張り強さが、前記空洞(12)を取り囲んでいる前記コンポーネント(10)の材料の極限引張り強さの15%以上であり、金属材料の極限引張り強さがISO 6892-1:2016に従って測定され、塑性材料又はポリマー材料の極限引張り強さがISO 527-1:2019に従って測定される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項12】
前記摩耗センサ(16)が可撓性印刷回路(FPC)である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項13】
前記支持ボディ(22)が前記摩耗センサ(16)のための収納シート(23)を備え、前記摩耗センサ(16)が前記収納シート(23)に拘束される、請求項1から12までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【請求項14】
前記摩耗センサ(16)が前記支持ボディ(22)の中に埋め込まれる、請求項1から6までのいずれか一項に記載の作業用車両コンポーネント(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土工機械、採掘機械、解体機械、等々などの作業用車両のコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなタイプの機械は、通常、でこぼこした、或いは緩んでいることがしばしばである地面の上で機械を移動させることができるよう、下部構造として知られている運動構造の上に搭載される。
【0003】
下部構造は、典型的には、互いに間隔を隔てた、平行に配置され、且つ、トルクを受け取って地面に伝達するように構成された2本のチェーン・アセンブリを備えている。
【0004】
個々のチェーン・アセンブリは複数の下部構造コンポーネントを備えており、これらの下部構造コンポーネントは、通常、張力ユニットに動作接続された駆動輪及びアイドラー・ホイールの上に閉ループ・チェーンを備えている。下部構造コンポーネントは、駆動輪とアイドラー・ホイールの間に、運動中のチェーンを案内し、且つ、機械によって伝達される荷重を吸収するように構成された複数のローラをさらに備えている。
【0005】
チェーンは、通常、複数のリンクを備えており、個々のリンクは、通常、互いに対向している一対のプレートを備えている。これらのリンクは、通常、ピン及びブッシュによって相互接続されている。個々のピンは、通常、プレートの上に提供された孔に挿入され、2つのリンクを互いに接続している。ブッシュは、通常、リンクのプレートを互いに隔ててピンを外部環境から保護するために、また、駆動輪及びアイドラー・ホイールをかみ合わせるために、ピンの外側に半径方向に置かれている。リンク上には、通常、シューが取り付けられ、地面と直接接触するこのシューは、牽引力を地面に放ち、また、機械と地面の間の接触表面を広くする働きをしている。使用されるシューのタイプは、機械が動作する地面、機械が動作する環境条件、及び機械製造者によって提案される仕様によって決まる。
【0006】
下部構造は、通常、機械の総重量及び機械エンジンによって地面に伝達される大きい動力の両方、また、機械が動作する地面の構成及び組成のため、極めて損傷的な動作条件にさらされる。
【0007】
したがって、バケット、リッパー、ローダ、バケット歯、ローダ歯及びリッパー歯などの作業用機械の他のコンポーネントと同様、下部構造コンポーネントは、コンポーネント自体の損傷及び摩耗の原因になり得る高い機械応力にさらされる。
【0008】
摩耗は、その適切な動作を保証するための作業用機械のコンポーネントの修理介入又は交換を実施するための機械ダウンタイムの理由の1つである。
【0009】
本出願人は、機械ダウンタイムを適切に計画することにより、製造の点で機械の性能を最適化することができることを検証した。詳細には、本出願人は、作業用機械の製造性能を最適化するためには、摩耗現象によって機械が壊れ、したがって強制的な突然の停止をもたらす前に、作業用機械を停止させて、コンポーネントの修理介入又は交換を実施すべきであることを検証した。また、本出願人は、それと同時に、作業用機械の製造性能を最適化しても、総機械ダウンタイムは不当に長くなり得るため、事実上、妥協されない、或いは実行破壊に近いコンポーネントの修理又は交換のための機械ダウンタイムを予測することはできないことを同じく検証した。
【0010】
本出願人は、作業用機械の1つ又は複数のコンポーネントの過剰な摩耗による破壊を予測することができ、また、まだ適切に動作しているコンポーネントを交換又は修理しなければならないのを防止することができるようにするためには、コンポーネントの、又はしかしながら摩耗に最もさらされているコンポーネントの、現在の摩耗状態を知ることができることが重要であろうことに注目した。
【0011】
本出願人は、コンポーネントの摩耗の速度に関する統計的考察を利用して、機械及びコンポーネントのタイプ毎に、また、機械の動作状態のタイプ毎に、個々のコンポーネントの平均動作寿命(機械の動作時間の点で)を知ることにより、作業用機械コンポーネントの摩耗の状態を予測することが可能であり得るという仮説を立てた。
【0012】
しかしながら本出願人は、重要なデータを獲得することができるようにするために、また、個々のコンポーネントの摩耗の状態を効果的に予測することができるようにするために考慮すべき、相互に関連していることがしばしばである変数が多過ぎるため、このような統計的考察は信頼できないことを検証した。
【0013】
したがって、本出願人は、破壊を効果的に予測することができ、また、それと同時に、機械の適切な動作を保証するために必要な機械ダウンタイムを最短にすることができるようにするために、作業用機械の1つ又は複数のコンポーネントの摩耗の状態の直接的な測値を有することができるようにすることが適切であることを認識した。
【0014】
その目的のために、本出願人は、資格のある職員による、コンポーネントに対する視覚チェック又は機器チェックを介して、コンポーネントの摩耗の状態に対する周期検査の実施を試行した。
【0015】
本出願人は、このような周期検査には、明らかに安全上の理由で機械の動作に対する中断が必要であり、したがって限られてはいるが、検査を実施するために必要な機械ダウンタイムが必要であることを検証した。
【0016】
さらに、本出願人の経験によれば、コンポーネント、例えば下部構造コンポーネントに対する視覚チェック又は機器チェックの実施は必ずしも可能ではなく、それは、そのようなコンポーネントが直接到達可能ではないことがあり(例えばローラの内側のピン又は要素の場合など)、或いはそれらが泥、ごみ、等々(機械が動作する典型的な環境では極めてしばしば存在する)で覆われていることがあるからである。
【0017】
文書米国特許出願公開第2015/0081166号は、摩耗関連情報を測定するように構成されたプローブを有するセンサ・デバイスを備えた下部構造コンポーネントに対する摩耗を監視するためのシステムを記載している。プローブは、プローブの変化と関連してレジスタンス値がすり減るプローブとして構成された1つ又は複数の抵抗体を有するレジスタンスであってもよい。レジスタンス値の変化は、摩耗によって下部構造コンポーネントから除去された材料の量と関連している。プローブは、下部構造コンポーネントの近傍又は下部構造コンポーネントと接触して置かれる。
【0018】
本出願人の名前の文書WO2019/097556は、下部構造コンポーネント上のシートの準備を教示しており、シートは外側に向かって開き、消耗可能変換器を受け取るように構成されている。変換器は、基板によって支持され、並列に結合される複数の離散要素を備える電気回路の存在を想定している。変換器は、その端部が下部構造コンポーネントの外部表面と整列して配置され、したがって変換器は、下部構造コンポーネントの摩耗と同じ摩耗にさらされる。
【0019】
本出願人は、米国特許出願公開第2015/0081166号及びWO2019/097556に記載されているシステムなどのシステムは、下部構造コンポーネントの摩耗の現在の状態に関する指示を提供することができることを信じている。
【0020】
しかしながら本出願人は、作業用機械コンポーネントの摩耗の状態に関する有効な指示を有するためには、摩耗センサが、常に、摩耗の状態が監視されるコンポーネントの表面と実質的に整列していることを保証することが必要であることを見出した。
【0021】
したがって、本出願人は、摩耗センサと摩耗の状態が監視される作業用機械コンポーネントの表面との間の、不変で、且つ、実質的な整列を保証することができるようにすることが有利であり得ることを認識した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0081166号
【特許文献2】WO2019/097556
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Association Connecting Electronics Industries(IPC(1996)IPC-T-50:Terms and Definitions for Interconnecting and Packaging Electronic Circuits,Revision F(June 1996),IPC,Northbrook,IL)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
したがって、本発明は、作業用機械コンポーネントであって、コンポーネントの中に得られた、延長軸を有し、また、少なくとも1つの側壁によって半径方向に範囲が定められた空洞と、コンポーネントの外部表面に置かれた空洞のための開口と、空洞の中に収納され、また、空洞のための開口に置かれた第1の軸方向の端部を備えた摩耗センサと、摩耗センサの第1の軸方向の端部と整列した第1の軸方向の端部と共に空洞に挿入された支持ボディとを備え、支持ボディが空洞の側壁に物理的に接続され、且つ、少なくとも軸方向に空洞の側壁に拘束され、摩耗センサが支持ボディに物理的に接続され、且つ、少なくとも軸方向に支持ボディに拘束される、作業用機械コンポーネントに関する。
【0025】
コンポーネントの外部表面に置かれている空洞のための開口に置かれている摩耗センサの第1の軸方向の端部は、コンポーネントが動作する作業表面と接触している(このような作業表面は、例えば地面又は別のコンポーネントである)。この方法によれば、コンポーネントの外部表面から材料を除去し、したがって、このような外部表面を軸方向に低くすることになるコンポーネントの摩耗を摩耗センサによって識別することができる。
【0026】
本出願人は、作業表面によって摩耗センサ(作業表面と接触している)に加えられる力は摩耗センサを損傷し得ることを検証した。
【0027】
本出願人は、摩耗センサの軸方向の端部と整列した第1の軸方向の端部を有する支持ボディを提供することにより、作業表面が摩耗センサに伝達して摩耗センサを損傷し得る力が支持ボディによって遮断される(少なくとも部分的に)ことを認識した。したがって摩耗センサのあらゆる可能破壊を予期することができる。支持ボディを空洞の側壁に物理的に接続することにより、空洞に対する支持ボディの可能な移動を防止することができ、また、作業表面によって支持ボディに加えられる力を少なくとも部分的に支持ボディからコンポーネントへ伝達することができる。したがって摩耗センサを支持ボディに物理的に接続し、且つ、摩耗センサを軸方向に支持ボディに拘束することにより、摩耗センサを空洞の内側の所定の位置に維持することができ、詳細には摩耗センサの第1の軸方向の端部を空洞のための開口、したがってコンポーネントの外部表面に維持することができる。
【0028】
そのようにすることにより、摩耗センサが常に実質的にコンポーネントの外部表面と整列することを保証することができ、したがってコンポーネントの現在の摩耗の程度を高い信頼性で識別することができる。
【0029】
「作業用機械コンポーネント」又は「コンポーネント」という用語は、コンポーネント自体を摩耗させることになり得る荷重、応力及び歪みにさらされる作業用機械のコンポーネントを意味している。作業用機械コンポーネントの実例は、バケット、リッパー、ローダ、バケットの歯、ローダの歯、リッパー歯、下部構造コンポーネントである。
【0030】
「下部構造コンポーネント」という用語は、下部構造の駆動輪、アイドラー・ホイール、ピン、ブッシュ、リンク、リンク・プレート、ローラ、シューのうちの任意のコンポーネントを意味している。
【0031】
コンポーネントの中の空洞は延長軸を有しており、空洞はこの延長軸に沿って形成されている。このような延長軸は、空洞が実質的に円筒の形をしている場合、空洞の対称の軸と一致し得る。
【0032】
「軸方向」、「軸方向に」、「半径方向」及び「半径方向に」という用語は、摩耗の状態が監視されるコンポーネントを参照して使用されている。
【0033】
詳細には、「軸方向」及び「軸方向に」という用語は、コンポーネントの中の空洞の延長軸に対して実質的に平行の方向に配置され/測定される、或いは展開している基準/サイズとして意味されている。
【0034】
「半径方向」及び「半径方向に」という用語は、コンポーネントの中の空洞の延長軸に対して実質的に直角の方向に配置され/測定される、或いは展開している基準/サイズ、及びこのような延長軸に対して直角の平面に存在している基準/サイズを意味している。
【0035】
「半径方向に内側/外側」という用語は、空洞の前記延長軸により近い位置又は前記延長軸からより離れた位置をそれぞれ意味している。
【0036】
「軸方向に内側/外側」という用語は、コンポーネントの中の空洞のための開口により近い位置又は開口からより離れた位置をそれぞれ意味している。
【0037】
「センサ」という用語は、測定されるシステムと直接相互作用するデバイス、即ちプロセス変数を測定可能な信号に変換する測定チェーンの第1の要素を意味している。
【0038】
「摩耗」という用語は、ボディの表面からの材料の漸進的な損失を意味している。コンポーネントを参照している場合、「摩耗」という用語は、コンポーネントの表面からの材料の漸進的な損失を意味している。
【0039】
「機械的特性」という表現は、ボディ又は構造を参照している場合、機械的レジスタンス(静的応力に耐える能力として定義される)、弾性エネルギー(動的応力に耐える能力として定義される)、硬さ(局在塑性変形に対するレジスタンスとして定義される)、疲労レジスタンス(周期的応力に耐える能力として定義される)のうちの少なくとも1つを意味している。
【0040】
本発明は、以下で説明される好ましい特徴のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0041】
摩耗センサは、同じく半径方向に支持ボディに拘束されることが好ましい。
【0042】
摩耗センサは、1つの基板及び該基板によって支持された少なくとも1つの電気回路を備えていることが好ましく、摩耗センサは、すり減って、摩耗の程度に応じて少なくとも1つの電気回路の測定可能電気特性を修正するように構成することができる測定部分を備えている。
【0043】
この方法によれば、空洞のための開口に置かれた摩耗センサの軸方向の端部は、コンポーネントが摩耗するにつれて徐々に材料を失う。これは、コンポーネントが摩耗すると、コンポーネントの外部表面が半径方向に低くなり、したがって空洞開口が半径方向に低くなることによるものである。空洞開口の低下には、摩耗センサの測定部分を露出させる傾向があり、この測定部分も同じく摩耗にさらされる。支持ボディも同じく摩耗にさらされ、空洞開口が半径方向に低くなるにつれて材料を失う。
【0044】
摩耗センサからの材料の漸進的損失によって電気回路の測定可能な電気特性が変化し、それによりこのような電気特性の読値から、センサから失われた材料の量を決定することができる。
【0045】
電気回路の測定可能な電気特性は、例えば、個別に考慮される、或いは組み合せて考慮される電気レジスタンス、電気キャパシティ又はインダクタンスであってもよい。
【0046】
基板は、例えば基板自体の上に彫り込まれた、或いはマークされた導電トラックを介して、電気回路の様々な電気コンポーネントを互いに相互接続する機能を有している。
【0047】
支持ボディの機械的特性は、摩耗センサの基板の機械的特性と異なることが好ましい。
【0048】
摩耗センサは可撓性印刷回路(FPC:flexible printed circuit)であることが好ましい。
【0049】
可撓性印刷回路は、Association Connecting Electronics Industries(IPC(1996)IPC-T-50:Terms and Definitions for Interconnecting and Packaging Electronic Circuits,Revision F(June 1996),IPC,Northbrook,IL)によって提供されている定義によれば、印刷回路、及び可撓性カバー層を有する、或いは有さない可撓性ベース材料を使用しているコンポーネントの線図による構造である。
【0050】
可撓性ベース材料は摩耗センサの基板を作り出している。
【0051】
本出願人は、可撓性印刷回路を使用して摩耗センサを構築することにより、作業表面から摩耗センサへ伝達されるあらゆる力が印刷回路の変形によって直ちに補償されることになることを見出した。それにより摩耗センサの破壊及び摩耗センサ全体の軸方向の変位の両方を防止することができる。
【0052】
実際、本出願人は、可撓性印刷回路を使用して摩耗センサを構築することにより、作業表面によって伝達された力にさらされた場合に、このような力が相殺されるまで摩耗センサが湾曲する(第1の軸方向の端部で)ことを認識した。湾曲している間、摩耗センサは作業表面との接触を失うことはなく、したがってその機能を実施し続ける。さらに、摩耗センサの第1の端部の湾曲は、作業表面によって伝達された力が摩耗センサを支持ボディに対して軸方向に変位させる傾向を防止する。
【0053】
基板を構築するために使用することができる材料の実例は、ポリイミド、ポリエチレン・ナフタレート、ポリエチレン・テラフラテート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル、フルオロポリマーである。
【0054】
基板は膜の形態であることが好ましい。
【0055】
摩耗センサの基板が構築される材料は、支持ボディが構築される材料とは異なっていることが好ましい。
【0056】
支持ボディは、軸方向に、摩耗センサの測定部分の軸方向の長さに少なくとも等しい長さにわたって展開していることが好ましい。
【0057】
この方法によれば、支持ボディは、少なくとも摩耗するように構成されたセンサの部分全体にわたって、摩耗センサ上でその機能を実施することができる。
【0058】
摩耗センサの基板及び少なくとも1つの電気回路は、空洞の側壁と直接接触しないことが好ましい。
【0059】
この方法によれば、コンポーネントが空洞の側壁にもたらす何らかの歪みが摩耗センサに直接及ぶことはない。
【0060】
支持ボディは、所定の半径方向の平面に沿って得られる、同じ所定の半径方向の平面に沿って得られるセクション上の空洞の断面積の約30%以上の面積を有するセクションを有していることが好ましい。
【0061】
支持ボディは、所定の半径方向の平面に沿って得られる、同じ所定の半径方向の平面に沿って得られるセクション上の空洞の断面積の約50%以上の面積を有するセクションを有していることが好ましい。
【0062】
支持ボディは、所定の半径方向の平面に沿って得られる、同じ所定の半径方向の平面に沿って得られるセクション上の空洞の断面積の約75%以上の面積を有するセクションを有していることが好ましい。
【0063】
支持ボディは、所定の半径方向の平面に沿って得られる、同じ所定の半径方向の平面に沿って得られるセクション上の空洞の断面積の約90%以上の面積を有するセクションを有していることが好ましい。
【0064】
空洞の側壁と摩耗センサの間に、支持ボディの少なくとも一部が挿入されることが好ましい。
【0065】
この方法によれば、コンポーネントが空洞の側壁にもたらす何らかの歪みは支持ボディにもたらされ、摩耗センサに及ぶことはない。
【0066】
摩耗センサの軸方向の延長部分全体に沿って、空洞の側壁と摩耗センサの間に、支持ボディの少なくとも一部が挿入されることが好ましい。
【0067】
支持ボディを構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの間の比率は0.15以上であり、支持ボディ及びコンポーネントの局在塑性変形に対するレジスタンスは、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で測定されることが好ましく、或いは支持ボディを構成している材料の極限引張り強さは、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの極限引張り強さの15%以上であることが好ましい。
【0068】
Brinellスケールによる硬さの測定に使用することができる試験条件の実例は、規格ISO 6506-1:2015に見出すことができる。
【0069】
材料の集中塑性変形に対するレジスタンスは材料の硬さである。
【0070】
支持ボディ(又はコンポーネント)の硬さを、Brinellスケールで、コンポーネント(又は支持ボディ)の硬さを測定するための試験条件と全く同じ試験条件を使用して測定することができないか、或いはBrinellスケールを使用して支持ボディ又はコンポーネントの硬さを正確に決定することが不可能である場合、2つの硬さを比較するために、支持ボディを構成している材料の極限引張り強さと、コンポーネントを構成している材料の極限引張り強さとの間の比率を参照することが好ましい。
【0071】
金属材料に対する極限引張り強さは、規格ISO 6892-1:2016に従って決定されることが好ましい。塑性材料又はポリマー材料に対する極限引張り強さは、規格ISO 527-1:2019に従って決定されることが好ましい。
【0072】
本出願人は、コンポーネントの中の空洞の開口の縁には、恐らくコンポーネントと作業表面の間で伝達される力のために、空洞の軸に向かって半径方向に塑性的に変形する傾向があり得ることを検証した。このような変形には、とりわけコンポーネントが既にある程度摩耗している場合、空洞開口を閉じる傾向がある。空洞開口のこの閉鎖又は部分的な閉鎖は、コンポーネントが摩耗する際に材料を失うその機能を摩耗センサが実施するのを妨害し得る。
【0073】
本出願人は、支持ボディを構成している材料の硬さと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の硬さとの間の比率が、上で特定した間隔に含まれている空洞内に支持ボディを準備することは、空洞開口の縁の前記変形に対して相違を示し得ることを見出した。
【0074】
詳細には、本出願人は、支持ボディの硬さを増すことにより、開口の縁の半径方向の塑性変形が小さくなることを見出した。
【0075】
しかしながら、本出願人は、支持ボディの硬さとコンポーネントの硬さとの間の所定の比率を超えないことが適切であり得ることを見出した。実際、本出願人は、コンポーネントの硬さに対して支持ボディの硬さが硬すぎると、支持ボディをコンポーネントの外部表面を越えて軸方向に露出させ得ること(コンポーネントの外部表面に対してより少ない摩耗にさらし得ること)を見出した。これは、支持ボディを破壊することになり得る高すぎる荷重に支持ボディを露出することになり得る。
【0076】
支持ボディを構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの間の比率は0.30以上であり、支持ボディ及びコンポーネントの局在塑性変形に対するレジスタンスは、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で測定されることが好ましく、或いは支持ボディを構成している材料の極限引張り強さは、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの極限引張り強さの30%以上であることが好ましい。
【0077】
支持ボディを構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの間の比率は1.5以下であり、支持ボディ及びコンポーネントの局在塑性変形に対するレジスタンスは、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で測定されることが好ましく、或いは支持ボディを構成している材料の極限引張り強さは、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの極限引張り強さの150%以上であることが好ましい。
【0078】
支持ボディを構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの間の比率は0.50以上であり、支持ボディ及びコンポーネントの局在塑性変形に対するレジスタンスは、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で測定されることが好ましく、或いは支持ボディを構成している材料の極限引張り強さは、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの極限引張り強さの50%以上であることが好ましい。
【0079】
支持ボディを構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの間の比率は1.30以下であり、支持ボディ及びコンポーネントの局在塑性変形に対するレジスタンスは、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で測定されることが好ましく、或いは支持ボディを構成している材料の極限引張り強さは、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの極限引張り強さの130%以上であることが好ましい。
【0080】
支持ボディを構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの間の比率は0.75以上であり、支持ボディ及びコンポーネントの局在塑性変形に対するレジスタンスは、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で測定されることが好ましく、或いは支持ボディを構成している材料の極限引張り強さは、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの極限引張り強さの75%以上であることが好ましい。
【0081】
支持ボディを構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの間の比率は1.10以下であり、支持ボディ及びコンポーネントの局在塑性変形に対するレジスタンスは、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で測定されることが好ましく、或いは支持ボディを構成している材料の極限引張り強さは、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの極限引張り強さの110%以上であることが好ましい。
【0082】
支持ボディを構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの間の比率は0.90以上であり、支持ボディ及びコンポーネントの局在塑性変形に対するレジスタンスは、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で測定されることが好ましく、或いは支持ボディを構成している材料の極限引張り強さは、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの極限引張り強さの90%以上であることが好ましい。
【0083】
支持ボディを構成している材料の局在塑性変形に対するレジスタンスと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の局在塑性変形に対するレジスタンスとの間の比率は1に等しく、支持ボディ及びコンポーネントの局在塑性変形に対するレジスタンスは、Brinellスケールを使用して、全く同じ試験条件で測定されることが好ましく、或いは支持ボディを構成している材料の極限引張り強さは、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの極限引張り強さの100%以上であることが好ましい。
【0084】
支持ボディは金属でできていることが好ましい。支持ボディを構築するために使用することができる金属の実例は、鋼、ステンレス鋼、青銅、黄銅、鋳鉄、アルミニウム合金である。この方法によれば、支持ボディを構成している材料の硬さと、空洞を取り囲んでいるコンポーネントの材料の硬さとの間の比率は、上で特定した間隔内である。
【0085】
支持ボディ及びコンポーネントは同じ材料でできていることが好ましい。
【0086】
本発明のいくつかの実施例では、支持ボディは、例えば脂肪族ポリアミド(ナイロン及びertalonなど)及び芳香族ポリアミド(ケブラーなど)などのポリマー材料でできていてもよい。
【0087】
本出願人は、ポリマー材料でできた支持ボディは、空洞開口の縁の塑性変形を防止するために金属材料でできている支持ボディよりも有効性に劣るが、ポリマー材料でできた支持ボディによって摩耗センサにもたらされる振動性歪みは、金属材料でできた支持ボディほどではないことを見出した。
【0088】
実際、本出願人は、コンポーネントの正規の使用中、支持ボディは、望ましくない振動を支持ボディに生成し得る動的荷重にさらされる(静的荷重と共に)ことを見出した。
【0089】
ポリマー材料でできた支持ボディを提供することによってこのような振動を減衰させることができ、振動が摩耗センサに直接伝わることはない。この方法によれば、摩耗センサの歪みが小さくなり、したがって破壊の可能性が小さくなる。
【0090】
また、本出願人は、支持ボディを構築している材料に無関係に、支持ボディが空洞を占める度合いが増すと、開口縁の半径方向の塑性変形が小さくなることを同じく見出した。
【0091】
支持ボディの体積は空洞の体積の少なくとも15%に等しいことが好ましい。
【0092】
支持ボディの体積は空洞の体積の少なくとも30%に等しいことが好ましい。
【0093】
支持ボディの体積は空洞の体積の少なくとも50%に等しいことが好ましい。
【0094】
支持ボディの体積は空洞の体積の少なくとも75%に等しいことが好ましい。
【0095】
支持ボディの体積は空洞の体積の少なくとも90%に等しいことが好ましい。
【0096】
支持ボディの体積は空洞の体積の少なくとも95%に等しいことが好ましい。
【0097】
支持ボディは、接着剤を使用して空洞の側壁に拘束されることが好ましい。使用することができるのりの実例は、熱に耐え、また、例えば製品Elantas ADH 50.50などの化学薬品に耐える二液型エポキシ・チキソトロピーのりである。
【0098】
この場合、支持ボディは、半径方向に隙間を残して空洞内に挿入されることが好ましい。
【0099】
支持ボディと空洞の間の半径方向の隙間の範囲は2ミリメートル未満であることが好ましい。
【0100】
支持ボディと空洞の間の半径方向の隙間の範囲は1.5ミリメートル未満であることが好ましい。
【0101】
支持ボディと空洞の間の半径方向の隙間の範囲は1.0ミリメートル未満であることが好ましい。
【0102】
支持ボディと空洞の間の半径方向の隙間の範囲は0.5ミリメートル未満であることが好ましい。
【0103】
支持ボディと空洞の間の半径方向の隙間は、半径方向に互いに反対側の2つの位置の間で支持ボディが半径方向に変位し、支持ボディのその個々の位置で空洞の側壁と接触することを意味している。
【0104】
別法としては、支持ボディは機械的干渉で空洞に挿入される。言い換えると、少なくとも1つの半径方向の平面に沿った、支持ボディの半径方向の最大寸法は、空洞の半径方向の最小寸法より大きいことが好ましい。
【0105】
空洞内における支持ボディの機械的干渉による結合は、支持ボディと空洞の間のあらゆる相対移動を防止する。
【0106】
支持ボディは摩耗センサのための収納シートを備え、摩耗センサはこの収納シートに拘束されることが好ましい。
【0107】
この方法によれば、とりわけ支持ボディが機械的干渉によって空洞に挿入される場合、支持ボディを空洞内に位置決めしている間に摩耗センサが損傷することはない。
【0108】
摩耗センサは支持ボディの中に埋め込まれることが好ましい。
【0109】
この方法によれば、支持ボディは、鋳造によって、摩耗センサが既にその中に位置決めされている空洞に挿入されることができる。
【0110】
いくつかの実施例では、支持ボディは電気絶縁材料でできている。
【0111】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる、本発明の好ましい実施例についての以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1】本発明による作業用機械のコンポーネントの部品の略斜視断面図である。
図2】他の部品をより良好に強調するためにいくつかの部品が除去された、図1のコンポーネントの細部の拡大図である。
図3】他の部品をより良好に強調するためにいくつかの部品が除去された、図1のコンポーネントの細部の拡大図である。
図4】本発明によるコンポーネントのいくつかの細部の略斜視図である。
図5】本発明によるコンポーネントのいくつかの細部の略斜視図である。
図6】本発明によるコンポーネントの部分断面図である。
図7】本発明によるコンポーネントの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
図1を参照すると、10は、本発明によるコンポーネント全体を示している。
【0114】
添付の図に示されている作業用機械コンポーネント10は下部構造コンポーネントであり、以下では、作業用機械コンポーネントの実例として、この下部構造コンポーネントを参照する。下部構造コンポーネント10は、例えば下部構造の駆動輪、アイドラー・ホイール、ピン、ブッシュ、リンク、リンク・プレート、ローラ又はシューであってもよい。
【0115】
図6は、下部構造コンポーネント10がシューである実例を示したものであり、一方、図7は、下部構造コンポーネント10が駆動輪である実例を示したものである。
【0116】
図1に示されているように、下部構造コンポーネント10は、例えば別の下部構造コンポーネントの外部表面又は地面であってもよい作業表面(図示せず)と相互作用することが意図された外部表面11を備えている。
【0117】
図6の実例では、作業表面はキャタピラが移動する地面であり、一方、図7の実例では、作業表面は別の下部構造コンポーネントであり、詳細にはチェーンのブッシュである。
【0118】
いずれの場合においても、下部構造コンポーネント10の外部表面11は、摩耗の状態が監視される表面である。
【0119】
下部構造コンポーネント10の中には、側壁13によって範囲が定められた空洞12が得られている(図2により良好に示されている)。空洞12は、例えばボーリングによって得ることができ、実質的に円筒状の形を有している(添付の図に示されている実例の場合のように)。図には示されていない他の実施例では、空洞12の形は、多角形基底を有するストレート・プリズム、多角形基底を有する傾斜プリズム又は切頭ピラミッドであってもよい。空洞12は、その軸方向の延長に沿って一定の半径方向のセクションを有することができ、或いはその軸方向の延長に沿って面積又は形が異なる半径方向のセクションを有することができる。
【0120】
いずれの場合においても、空洞12は、空洞12のための入口セクションを画定している外部表面11に面している開口14を有している。空洞12は延長軸Aを有しており、空洞自体はこの延長軸Aに沿って展開している。延長軸Aは開口14と交差し、下部構造コンポーネント10の内側に向かって、空洞12の第1の軸方向の端部12aから、該第1の12aの反対側の第2の軸方向の端部12bまでの深さにわたって展開している。実質的に円筒形の空洞(図2に示されているように)の場合、延長軸Aは空洞12の対称の軸と一致している。
【0121】
空洞12はブラインドであってもよく、また、第2の軸方向の端部12bで閉じることも可能であり、或いは下部構造コンポーネント10内の通路15に接続された側面13に沿って得られた開口12cを有することができる(図1図2及び図3の実例で概略的に示されているように)。他の実施例では、空洞13は、第2の軸方向の端部12bで開くことも可能である(図6に示されているように)。
【0122】
下部構造コンポーネント10は、空洞12に挿入された摩耗センサ16をさらに備えている(図4により良好に示されている)。
【0123】
摩耗センサ16は可撓性印刷回路(FPC)であり、可撓性印刷回路(FPC)は、複数の電気コンポーネント18を備えた電気回路17を備えており、電気コンポーネント18の各々は、所定の測定可能電気特性を有している。
【0124】
可撓性印刷回路はフォトリソグラフィ技術を使用して構築されるか、或いは約0.1ミリメートルの厚さの銅の条片を可撓性誘電ポリマー材料の2つの膜の間に積層させることによって構築される。ポリマー材料で構築されるこれらの膜は、例えばPET又はポリイミドでできていてもよい。ポリマー材料で構築された膜は、積層プロセスの間に熱硬化する接着剤がコーティングされる。
【0125】
一実例として、5センチメートルの長さを有する、本発明による可撓性印刷回路は曲げることができ、それにより全く破壊することなく、また、全く塑性変形することなくオーバラップする、印刷回路の互いに反対側の2つの端部を作ることができる。
【0126】
摩耗センサ16は、摩耗センサ16の摩耗に従って電気回路17の電気コンポーネント18のシーケンスを解くように構成されている。
【0127】
電気コンポーネント18は摩耗センサ16の測定部分16aに置かれている。センサ16の検出部分16bは測定部分16aの下方に軸方向に置かれている。検出部分16bは、摩耗センサ16から来る電気信号を処理し、又は条件付けるデバイス20に接続されるようになされた電気回路17の結合端子19を備えている(図6及び図7に概略的に示されている)。デバイス20は、例えば、摩耗センサ16からの入力電気信号を受け取り、且つ、入力電気信号が変化すると変化する出力信号を生成する変換器であってもよい。デバイス20は、下部構造コンポーネントの通路15を通っている導電体20aを介して電気回路17の結合端子19に接続することができる(図1に概略的に示されているように)。他の実施例(例えば図6に示されているような)では、デバイス20は空洞12の下方に軸方向に置くことができる。図には示されていない他の実施例では、デバイス20は空洞13の内側に収納することができる。
【0128】
電気コンポーネント18は、本発明の好ましい実施例では、互いに並列に、電気回路17に沿って等距離で接続された抵抗体である。図3に概略的に示されているように、電気コンポーネント18は軸方向に沿って連続しており、したがって摩耗センサ16の摩耗が進行するにつれて、電気回路から徐々に連続的に除去される。電気回路17の結合端子19における電気レジスタンスを測定することにより、摩耗センサ16上に依然として存在している抵抗体18の数を確立することができ、したがって摩耗センサ16の軸方向の長さを決定することができる。
【0129】
摩耗センサ16は電気回路17が印刷されているか、或いはスクリーンが印刷されており、また、コンポーネント18が置かれている基板21(図3及び図4)をさらに備えている。
【0130】
下部構造コンポーネント10は、空洞12の内側に置かれた摩耗センサ16のための支持ボディ22をさらに備えている。支持ボディ22は空洞12の内側に配置されており、したがって空洞12の開口14で摩耗センサ16と対向している。
【0131】
支持ボディ22は、第1の軸方向の端部22a、該第1の軸方向の端部22aの反対側の第2の軸方向の端部22b、及び第1の22aと第2の軸方向の端部22bの間を展開している中央部分22cを備えている。
【0132】
本発明の実施例では、支持ボディ22上の、少なくとも空洞12が得られた部分は、下部構造コンポーネント10の機械的特性と同様の機械的特性を有する材料でできている。
【0133】
一実例として、下部構造コンポーネント10は、耐摩耗性鋼、例えば炭素含有量が少ない(0.2質量%と0.45質量%の間からなる)鋼でできていてもよい。極限引張り強さは約1450Mpaと約1930MPaの間からなる。硬さは約420HWB 10/3000と530HBW 10/3000の間からなる。使用することができる鋼の実例は、平均炭素含有量が37MnB4又は25MnB5タイプのホウ素鋼である。
【0134】
支持ボディ22は、下部構造コンポーネント10と同じ材料でできていてもよい。
【0135】
別の実施例では、支持ボディは、約650Mpaと約800Mpaの間の極限引張り強さ、及び約200HBW 10/3000と約270HBW 10/3000の間からなる硬さを有するステンレス鋼でできていてもよい。
【0136】
この最後の実施例では、支持ボディ22の硬さと下部構造コンポーネント10の硬さとの間の比率は、約0.38と約0.64の間からなっている。支持ボディ22の極限引張り強さと下部構造コンポーネント10の極限引張り強さとの間の比率は、約0.34と約0.55の間からなっている。
【0137】
他の実施例では、支持ボディ22は、例えば54MPaと61MPaの間からなる極限引張り強さを有するErtalon PA6又はPA66などの熱可塑性材料でできている。
【0138】
この場合、支持ボディ22の材料は、下部構造コンポーネントの材料と同様の機械的特性を有していない。
【0139】
支持ボディ22は、摩耗センサ16を受け取るように構成された収納シート23(図5)を備えている。
【0140】
摩耗センサ16が収納シート23に挿入されると、図4に示されているように、摩耗センサ16の第1の軸方向の端部16cが支持ボディ22の第1の軸方向の端部22aと軸方向に整列する。
【0141】
摩耗センサ16の検出部分16bは、支持ボディ22の第2の軸方向の端部22bで収納シート23に収納されている。
【0142】
本発明の好ましい実施例では、摩耗センサ16は、接着材を使用して収納シート23の中に保持される。
【0143】
支持ボディ22は、支持ボディ22を取り囲み、且つ、空洞12の側壁13に粘着する膜を接着材が形成することができるよう、最小ではあるが、半径方向の隙間を残して空洞12に挿入されるように構成されている。支持ボディ22と空洞12の間でアクティブである接着剤と共に支持ボディ22が空洞12に挿入されると、支持ボディ22は空洞12の側壁13に堅固に拘束され、空洞12に対して軸方向に、或いは半径方向に全く移動することができなくなる。
【0144】
他の実施例では、支持ボディ22は機械的干渉で空洞12に挿入される。
【0145】
支持ボディ22が機械的干渉で空洞12に挿入されると、支持ボディ22は、2つの接触線に少なくとも沿って空洞12の側壁13と接触する。言い換えると、支持ボディ22は、半径方向の平面に沿った支持ボディの任意のセクションが空洞12の側壁13との少なくとも2つの接触点を有する形を有している。
【0146】
機械的干渉の程度が適切でない場合、空洞12に挿入する前に、支持ボディ22を接着材で少なくとも部分的にコーティングすることができる。
【0147】
本発明の好ましい実施例では、支持ボディ22の形は、支持ボディ22が空洞12に挿入されると、空洞12の少なくとも85%が支持ボディ22によって占有される形になっている。
【0148】
収納シート23は、摩耗センサ16が収納シート23に挿入されると、摩耗センサ16が支持ボディ22の半径方向の寸法からはみ出るのを防止する寸法を有しており、それにより支持ボディ22を空洞12に挿入している間、摩耗センサ16が損傷するのを防止している。
【0149】
言い換えると、摩耗センサ16が収納シート23に挿入されると、空洞12の側壁13は摩耗センサ16と接触しない。
【0150】
図5に示されている実施例では、収納シート23は底壁24及び2つの側壁25を備えている。側壁25は、底壁25から半径方向に遠ざかる方向に展開し、支持ボディ22の半径方向に外側の側面26に接合されている。底壁25は、支持ボディ22の半径方向に外側の側面26に対して、半径方向により内側である。図4及び図5に示されているように、収納シート23は、支持ボディ22の半径方向に外側の側壁26で開いている。
【0151】
支持ボディ22の第2の軸方向の端部22bでは、収納シートの底壁25は、摩耗センサ16の検出部分16bの位置決めを容易にするために、半径方向により内側に支持ボディの中に置かれている。
【0152】
図5の実例で示されているように、支持ボディは、収納シート23によって掘り出される実質的に円筒状の形を有している。支持ボディ22が空洞12に挿入されると、空洞12は、収納シート23によって囲まれた体積を除き、支持ボディ22によって完全に占有される。
【0153】
図3に概略的に示されている支持ボディ22の他の実施例では、収納シート23は支持ボディ22の内側に得ることができ、支持ボディ22の半径方向に外側の側面26では開いていない。これらの実施例では、支持ボディ22は、空洞12の内側に置かれた摩耗センサ16と共に空洞12の内側に直接鋳造される熱硬化塑性材料でできていることが好ましい。この場合、支持ボディ22は完全に空洞12を占有する。
【0154】
以上、本発明について、本発明のいくつかの好ましい実施例を参照して説明した。上で説明したこれらの実施例には、依然として以下の特許請求の範囲によって定義されている本発明の保護の範囲内を維持している様々な修正を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】