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特表2023-503385非晶質形態の芳香族複素環式化合物を含む組成物、並びにその調製方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】非晶質形態の芳香族複素環式化合物を含む組成物、並びにその調製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/505 20060101AFI20230120BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230120BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230120BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230120BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20230120BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230120BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230120BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20230120BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230120BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
A61K31/505
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P1/04
A61P37/02
A61P25/00
A61P3/10
A61P11/06
A61P35/00
A61P35/02
A61K9/14
A61K9/16
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/14
A61K47/34
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556697
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 CN2020131736
(87)【国際公開番号】W WO2021104363
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911171553.2
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522208070
【氏名又は名称】シェンチェン チップスクリーン バイオサイエンシズ カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シーガン
(72)【発明者】
【氏名】シャン、ソン
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ジンディ
(72)【発明者】
【氏名】リュー、シャ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、チュアントン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ユー
(72)【発明者】
【氏名】デン、シンギュー
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ニン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャンフイ
(72)【発明者】
【氏名】パン、デシ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA54
4C076AA56
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC07
4C076CC16
4C076CC20
4C076CC21
4C076CC27
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD46
4C076EE02
4C076EE16
4C076EE32
4C076GG10
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086MA01
4C086MA05
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA11
4C086ZA01
4C086ZA08
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC35
(57)【要約】
非晶質形態の芳香族複素環式化合物を含む組成物、その調製方法及びその使用が開示される。具体的には、式(1)の化合物と担体を含む組成物が開示され、式(1)の化合物は非晶質形態である。この組成物は、インビボ吸収及びバイオアベイラビリティに関して価値のある特性を示し、迅速な吸収及び高いバイオアベイラビリティなどの利点を有する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物及び担体を含む組成物であって、式(1)の化合物が非晶質形態である、上記組成物。
【化1】
【請求項2】
担体が、以下から選択される1つ以上である、請求項1に記載の組成物:水溶性担体材料、難溶性担体材料、及び腸溶性担体材料;好ましくは水溶性担体材料;
好ましくは、水溶性担体材料は、ポリエチレングリコール、ポビドン、界面活性剤、ポリビニルアルコール、セルロース、カルボマー及びマンニトールからなる群から選択される;好ましくは、ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000及びポリエチレングリコール1000からなる群から選択される;好ましくは、ポビドンは、ポビドンK15、ポビドンK25、ポビドンK30、ポビドンK90及びコポビドンからなる群から選択される;好ましくは、界面活性剤は、ソルプラス(Soluplus)、ポロキサマー、ミリジ(Myrij)、ポリオキシエチレンヒマシ油、ドデシル硫酸ナトリウム、及びポリソルベート80からなる群から選択される;好ましくは、ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール、及びポビドン-ポリビニルアルコールの組成物からなる群から選択される;好ましくは、セルロースは、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される;
好ましくは、難溶性担体材料は、エチルセルロース及び脂質ベースの材料からなる群から選択される;好ましくは、脂質ベースの材料は、コレステロール、シトステロール、クエン酸トリエチル及びモノオレイン酸グリセロールからなる群から選択される;
好ましくは、腸溶性担体材料は、カルボキシメチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、コハク酸ヒプロメロース、及びポリアクリル樹脂からなる群から選択される;好ましくは、ポリアクリル樹脂は、アクリル樹脂L100から選択される。
【請求項3】
担体が、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ソルプラス(Soluplus)、フィタントリオール、モノオレイン酸グリセロール及びポロキサマーからなる群から選択される;
好ましくは、ポビドンは、ポビドンK15、ポビドンK25、ポビドンK30、ポビドンK90及びコポビドンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
式(1)の化合物の担体に対する重量比が1:2から1:20である、たとえば、1:2から1:10であり、さらに別の例では、1:2から1:6である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
式(1)の化合物を担体及び溶媒と一緒に水浴中で40℃から100℃(例えば、60℃から90℃)で加熱し、(例えば、攪拌又は超音波下で)溶解し、(例えば、ロータリーエバポレーション、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥又は超臨界流体法により)溶媒を除去して組成物を調製するステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項6】
式(1)の化合物と担体を混合し、溶融(例えば、100℃から250℃で溶融)し、均一に混合し、次に冷却して固化し、粉砕して組成物を得るステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物を含み、任意選択で、1つ又は複数の医薬賦形剤をさらに含む医薬組成物であって、好ましくは、医薬組成物は、錠剤、カプセル、顆粒又はゲルである;
好ましくは、カプセルは、ハードカプセル、ソフトカプセル、持続放出性カプセル、制御放出性カプセル又は腸溶性カプセル、好ましくはハードカプセルである;
より好ましくは、ハードカプセルの充填材料は、粉末、顆粒、マイクロタブレット又はマイクロペレット、好ましくはマイクロタブレット及びマイクロペレット、より好ましくはマイクロペレットの形態である、上記医薬組成物。
【請求項8】
マイクロペレットが、コア、薬物層、及びコーティング層を含み、薬物層は、非晶質形態の式(I)の化合物及びコポビドンを含み、式(1)の化合物のコポビドンに対する重量比は、1:2から1:10であり、ペレットコア、薬物層、及びコーティング層の重量比は(5~8):(10~15):1である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
5から200mgの単位用量を有する、請求項7又は8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物又は請求項7から9のいずれか一項に記載の医薬組成物の、疾患の治療又は予防のための医薬の製造における使用であって、疾患が、自己免疫疾患、炎症性疾患及びがんからなる群から選択される;
好ましくは、疾患が、関節リウマチ、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、I型糖尿病、アレルギー性疾患、慢性閉塞性肺疾患、喘息、白血病及びリンパ性腫瘍からなる群から選択される、上記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、CN出願番号201911171553.2及び出願日2019年11月26日の出願に基づいており、その優先権を主張する。CN出願の開示は、これにより、その全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、医薬製剤の分野、特に非晶質芳香族複素環式化合物を含む組成物、その調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼは、特定のタンパク質のリン酸化を触媒し、シグナル伝達プロセスを完了する細胞内メッセンジャー依存性酵素のクラスであり、主にチロシンプロテインキナーゼ(JAK、Src、Abl、EGFR、FGFR、PDGFRなど)、セリン/スレオニンプロテインキナーゼ(PKC、MAPK、Rhoキナーゼなど)、二重特異性プロテインキナーゼ(MAPKK)、及びホスファチジルイノシトールキナーゼ(PI3K)を含む。プロテインキナーゼによって触媒されるリン酸化/脱リン酸化プロセスは、代謝、細胞分化、細胞生存、アポトーシス、臓器形成、血管新生、免疫応答など、さまざまな細胞のさまざまな生物学的プロセスを調節することができる(Shchemelinin I.、et al.2006、Folia Biol.、52:81-100)。
【0004】
JAKキナーゼ(Janusキナーゼ、略してJAK、4つの既知のメンバーJAK3、JAK1、TYK2、JAK2を含む)は、細胞質の非レセプターチロシンプロテインキナーゼスーパーファミリーの小さなファミリーである。JAK3は骨髄及びリンパ系に分布するが、JAK1、TYK2、及びJAK2はさまざまな組織細胞に広く分布する。JAKが細胞表面のサイトカインレセプターに結合すると、レセプター結合JAKが活性化され、次にレセプターがリン酸化され、これにより、細胞質シグナルトランスデューサー及び転写活性化因子(STAT1~4、STAT5a、STAT5b、STAT6を含むSTATタンパク質)の動員応答部位が提供され、JAKはSTATタンパク質をリン酸化し、STATタンパク質は二量体化して核に移行し、遺伝子発現を調節する。この経路は、JAK/STATシグナル伝達経路である(O’Shea J.J.、et al.2013、N.Engl.J.Med.、368:161-170)。
【0005】
JAK/STATシグナル伝達経路は、インターロイキン(IL-2~7、IL-9、IL-10、IL-15、IL-21)、インターフェロン(IFN-α、IFN-β、IFN-γ)、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)、トロンボポエチン(TPO)などのさまざまなサイトカインや成長因子レセプターによって刺激されるシグナル伝達経路であり、これらは、免疫細胞及び造血幹細胞の増殖及び免疫調節の生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たす(Ghoreschi K.、et al.2009、Immunol.Rev.、228:273-287)。異なるレセプターは、JAKキナーゼの異なるサブタイプを活性化し、それによって分化した生物学的機能を達成することができる。
【0006】
CN105399685Aは、式(1)の次の化合物を開示し、
【化1】

これは、プロテインキナーゼ阻害活性を有し、自己免疫疾患、炎症性疾患又はがんの治療及び/又は予防に使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実験中に、発明者は、式(1)の化合物が低いバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)などの問題を有することを発見した。したがって、安全な治療ウィンドウ内で上記の疾患における化合物の臨床的有効性を改善するための適切な方法を模索する現実的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内容
上記の問題を解決するために、本発明者らは詳細な研究を行い、式(1)の化合物が本発明の担体に充填され、式(1)の化合物が非晶質形態である場合、化合物のバイオアベイラビリティは、適切な医薬賦形剤をさらに添加して錠剤、カプセル、顆粒、ゲル、及びソフトカプセルを調製することによって大幅に改善することができることを見出した。これにより、本発明はこれに基づいて達成される。
【0009】
したがって、本出願の1つの目的は、式(1)の化合物及び担体を含む組成物を提供することであり、ここで式(1)の化合物は、非晶質形態である。
【化2】
【0010】
本発明の別の目的は、組成物を調製するための方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、組成物を含む医薬組成物を提供することである。場合により、それは1つ又は複数の医薬賦形剤をさらに含む。
【0012】
本発明のさらなる目的は、医薬組成物を調製するための方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、自己免疫疾患、炎症性疾患又はがんの治療又は予防のための医薬の製造における組成物又は医薬組成物の使用を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、以下の技術的解決策を通じて実現される。
【0015】
本発明は式(1)の化合物を含む組成物を提供し、これは式(1)の化合物と担体とを含み、式(1)の化合物は非晶質形態である。
【0016】
「非晶質形態」又は「非晶質」という用語は、非晶質状態又は形態で存在する固体を指す。非晶質固体は分子の無秩序な配置であるため、識別可能な格子やユニットセルがなく、決定可能な長距離秩序もない。固体の固体形態の秩序は、当技術分野で知られている標準的な技術、例えば、X線粉末回折(XRPD)又は示差走査熱量測定(DSC)によって決定することができる。非晶質固体は、例えば偏光顕微鏡を使用した複屈折によって、結晶性固体と区別することもできる。本発明の組成物のDSC曲線は、鋭い特徴的なピークを有さない。そのX線粉末回折パターンの特徴は、補助材料のバックグラウンドピークを差し引いた後、式(1)の化合物の結晶特性ピークがないことである。
【0017】
いくつかの実施形態において、式(1)の化合物の結晶は、Cu-Kα放射線を使用するX線粉末回折パターンにおいて2θとして表される少なくとも以下の位置に特徴的なピークを有する:6.9±0.2、13.9±0.2、19.6±0.2、21.0±0.2及び4.6±0.2。いくつかの実施形態では、それはさらに、以下の位置に特徴的なピークを有する:16.8±0.2、18.6±0.2、22.6±0.2、24.9±0.2、及び25.2±0.2。いくつかの実施形態において、式(1)の化合物の結晶の典型的なX線粉末回折パターンが図1に示されている。
【0018】
いくつかの実施形態において、担体は、以下のうちの1つ以上から選択される:水溶性担体材料、難溶性担体材料、及び腸溶性担体材料。
【0019】
いくつかの実施形態において、水溶性担体材料は、ポリエチレングリコール、ポビドン、界面活性剤、ポリビニルアルコール、及びセルロースからなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール10000、より好ましくはポリエチレングリコール6000及びポリエチレングリコール8000からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポビドンは、ポビドンK15、ポビドンK25、ポビドンK30、ポビドンK90、コポビドン等からなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、ポビドンは、コポビドン、好ましくはコポビドンVA64である。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ソルプラス(Soluplus)、ポロキサマー、ミリジ(myrij)(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレンヒマシ油、ドデシル硫酸ナトリウム、フィタントリオール及びポリソルベート80など、好ましくはポロキサマー及びドデシル硫酸ナトリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール及びポビドン-ポリビニルアルコールの組成物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、セルロースは、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどからなる群から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態において、難溶性担体材料は、エチルセルロース及び脂質ベースの材料からなる群から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態において、脂質ベースの材料は、コレステロール、シトステロール、クエン酸トリエチル、及びモノオレイン酸グリセロールからなる群から選択される。
【0023】
腸溶性担体材料とは、水にほとんど溶けないか不溶性であるが、アルカリ性溶液には溶ける担体材料を指す。いくつかの実施形態において、腸溶性担体材料は、カルボキシメチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、コハク酸ヒプロメロース、及びポリアクリル樹脂からなる群から選択される。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態において、担体材料は、以下のうちの1つ以上から選択される水溶性担体材料である:
【0025】
ポリエチレングリコール、好ましくはポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール10000、より好ましくはポリエチレングリコール6000又はポリエチレングリコール8000;
ポビドン、好ましくはポビドンK15、ポビドンK25、ポビドンK30、ポビドンK90及びコポビドンなど、より好ましくはコポビドン、最も好ましくはコポビドンVA64;
界面活性剤、好ましくはポロキサマー、ミリジ(Myrij)、ポリオキシエチレンヒマシ油、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80など、より好ましくはポロキサマー及びドデシル硫酸ナトリウム;
ポリビニルアルコール、好ましくはポリビニルアルコール及びポビドン-ポリビニルアルコールの組成物;
セルロース、好ましくはヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど。
【0026】
いくつかの好ましい実施形態において、担体は、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ソルプラス(Soluplus)、フィタントリオール、モノオレイン酸グリセロール及びポロキサマーからなる群から選択され、ポビドンは、ポビドンK15、ポビドンK25、ポビドンK30及びポビドンK90並びにコポビドンを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、担体に対する式(1)の化合物の重量比は、1:2から1:20、たとえば、1:2から1:10、たとえば1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、又は1:10である。
【0028】
いくつかの実施形態では、担体に加えて、組成物は、溶媒、希釈剤、又は可塑剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、水、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される1つ又は複数の組み合わせであり、好ましくは、水、エタノール、ジクロロメタン及びテトラヒドロフランからなる群から選択される1つ又は複数の組み合わせであり、より好ましくは水及び/又はエタノールである。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物をマトリックス材料にさらにロードして、ペレット(マイクロペレット)を形成することができる。いくつかの実施形態では、ペレットは、ペレットコア、薬物層、及びコーティング層を含む。ここで、薬物層は、式(1)の化合物及びポビドンベースの担体材料を含み、式(1)の化合物は、非晶質タイプである。いくつかの実施形態において、ポビドンベースの担体材料は、ポビドンK15、ポビドンK25、ポビドンK30及びポビドンK90並びにコポビドンからなる群から選択され、好ましくはコポビドンである。いくつかの実施形態において、式(1)の化合物のポビドンベースの担体材料に対する重量比は、1:2から1:10、たとえば、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、又は1:10、好ましくは1:3である。いくつかの実施形態において、ペレットコア、薬物層、及びコーティング層の重量比は、(5~8):(10~15):1、例えば、20:40:3である。いくつかの実施形態では、ペレットは、ペレットコア、薬物層、及びコーティング層を含む。ここで、薬物層は、非晶質形態の式(1)の化合物及びコポビドンを含み、式(1)の化合物のコポビドンに対する重量比は1:3であり、ペレットコア、薬物層及びコーティング層の重量比は20:40:3である。ペレットコア及びコーティング層の材料の選択、並びにペレットを調製するための方法は、当技術分野で知られている。
【0030】
いくつかの実施形態では、組成物は、溶融法又は溶媒法によって調製される。
【0031】
溶融法とは、薬物を担体と均一に混合し、加熱して溶融させるか、又は、担体材料を最初に加熱して溶融させ、次に薬物をそれに添加し、混合及び溶解する方法を指す。激しく攪拌しながら、溶融物を急速に冷却して固体にするか、カプセルに直接注いで冷却し、薬剤の性質や調製した組成物に応じて室温又は適切な温度で真空乾燥するか、一定期間の後、取り出して粉砕する。
【0032】
溶媒法とは、薬物と担体を有機溶媒に一緒に溶解するか、又は有機溶媒に別々に溶解し、次いで均一に混合し、蒸発により有機溶媒を除去し、薬物と担体を同時に沈殿させ、乾燥する方法を指す。一般的に使用される有機溶媒は、エタノール、アセトンなどである。
【0033】
本出願の別の態様は、組成物を調製するための方法を提供し、これは、溶融法又は溶媒法によって組成物を調製するステップを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、溶媒法は、以下のステップを含む:
式(1)の化合物を担体及び溶媒と共に40~100℃(例えば、60~90℃)で水浴に置き、加熱し、撹拌又は超音波下で溶解し、そして溶媒を除去して(例えば、ロータリーエバポレーション、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、又は超臨界流体法などにより)組成物を調製する。
【0035】
いくつかの実施形態において、溶媒は、好ましくは、適切な温度で式(1)の化合物を完全に溶解することができる最低量で使用される。
【0036】
いくつかの実施形態では、溶融方法は、
式(1)の化合物を担体と混合し、溶融し(例えば、100~250℃で溶融)、均一に混合し、次に冷却して固化し、粉砕して組成物を得る
ステップを含む。
【0037】
薬物が溶融担体に不溶性である場合、薬物を最初に少量の適切な有機溶媒に溶解することができ、次に溶融した担体を添加し、均一に撹拌し、有機溶媒を蒸発させ、そして組成物を溶融法により低温で急速凝固によって調製する。
【0038】
別の態様では、本出願はさらに、組成物を含む医薬組成物を提供し、場合により、1つ又は複数の医薬賦形剤をさらに含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、錠剤、カプセル、顆粒又はゲルである。
【0040】
いくつかの実施形態では、カプセルは、ハードカプセル、ソフトカプセル、持続放出性カプセル、制御放出性カプセル又は腸溶性カプセル、好ましくはハードカプセルである。
【0041】
いくつかの実施形態では、ハードカプセルの充填材料は、粉末、顆粒、マイクロタブレット又はマイクロペレット、好ましくはマイクロタブレット又はマイクロペレット、より好ましくはマイクロペレットである。
【0042】
いくつかの実施形態では、マイクロペレットは、ペレットコア、薬物層、及びコーティング層を含む。ここで、薬物層は、式(1)の化合物及びポビドンベースの担体材料を含み、式(1)の化合物は、非晶質形態である。いくつかの実施形態において、ポビドンベースの担体材料は、ポビドンK15、ポビドンK25、ポビドンK30及びポビドンK90並びにコポビドンからなる群から選択され、好ましくはコポビドンである。いくつかの実施形態において、式(1)の化合物とポビドンベースの担体材料との重量比は、1:2から1:10、たとえば、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、又は1:10、好ましくは1:3である。いくつかの実施形態において、ペレットコア、薬物層、及びコーティング層の重量比は、(5~8):(10~15):1、例えば、20:40:3である。いくつかの実施形態では、マイクロペレットは、ペレットコア、薬物層、及びコーティング層を含む。ここで、薬物層は、非晶質形態の式(I)の化合物及びコポビドンを含み、式(1)の化合物のコポビドンに対する重量比は1:3であり、ペレットコア、薬物層及びコーティング層の重量比は20:40:3である。ペレットコア及びコーティング層の材料の選択、並びにマイクロペレットを調製するための方法は、当技術分野で知られている。
【0043】
医薬賦形剤とは、薬物の製造及び処方箋の製剤に使用される賦形剤と添加剤を指す。それらは、安全性の観点から合理的に評価され、医薬製剤に含まれている有効成分以外の物質である。医薬賦形剤は、賦形剤の機能を持ち、担体として機能し、安定性を向上させるだけでなく、可溶化、ハイドロトロープ可溶化、持続及び制御放出の重要な機能を持ち、薬物の品質、安全性、及び有効性に影響を与える可能性のある重要な成分である。それらの例には、溶媒、推進剤、可溶化剤、親水性剤、乳化剤、着色剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、潤滑剤、湿潤剤、浸透圧調節剤、安定剤、流動促進剤、香味剤、防腐剤、懸濁剤、コーティング材料、スパイスフレーバー、接着防止剤、キレート剤、浸透促進剤、pH調整剤、緩衝剤、可塑剤、界面活性剤、発泡剤、脱泡剤、増粘剤、封入剤、保湿剤、吸収剤、希釈剤、凝集剤及び解膠剤、ろ過助剤、放出遮断剤などが含まれる。本発明の目的を達成するために、医薬製剤のタイプに従って適切な医薬賦形剤を添加することができる。
【0044】
一般的に使用される充填剤(又は希釈剤)には、例えば、ラクトース、グルコース、アルファ化デンプン、微結晶性セルロース、デンプン、デキストリン又はマンニトールなどが含まれる。一般的に使用される結合剤(湿潤剤)には、例えば、水、エタノール、セルロース、ポビドン、デンプンシロップ、デキストリン、糖及びシロップ又は粘液などが含まれる。一般的に使用される崩壊剤には、例えば、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムヒドロキシメチルデンプンなどが含まれる。一般的に使用される潤滑剤(粘着防止剤、流動促進剤)には、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化植物油、ポリエチレングリコール、ドデシルスルホン酸ナトリウム(マグネシウム)などが含まれる。
【0045】
医薬製剤の単位用量は5~200mgである。
【0046】
本発明はまた、疾患の治療のための医薬の製造における組成物又は医薬組成物の使用を提供し、ここで、疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、及びがんからなる群から選択される。
【0047】
本出願はまた、疾患を治療する方法を提供し、これは、それを必要とする対象に、治療有効量の組成物又は医薬組成物を投与するステップを含み、疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、及びがんからなる群から選択される。
【0048】
この出願はまた、疾患の治療に使用するための組成物又は医薬組成物を提供し、ここで、疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、及びがんからなる群から選択される。
【0049】
いくつかの実施形態において、疾患は、関節リウマチ、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、I型糖尿病、アレルギー性疾患、慢性閉塞性肺疾患、喘息、白血病及びリンパ腫からなる群から選択される。
【0050】
本発明の有益な効果
既存の既知の結晶形態の式(1)の化合物と比較して、本発明によって提供される非晶質形態の式(1)の化合物を含む組成物又は医薬組成物は、以下のポジティブな効果を有する。組成物及び医薬組成物の式(1)の化合物は非晶質形態で存在し、それはインビボ吸収及びバイオアベイラビリティに関して価値のある特性を示し、そして迅速な吸収及び高いバイオアベイラビリティの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、例1で調製された式(1)の化合物のX線粉末回折パターンを示す。
図2図2は、例1で調製された式(1)の化合物のDSC吸熱遷移スペクトルを示す。
図3図3は、例3で調製された式(1)の化合物を含む組成物のDSC吸熱遷移パターンを示す。
図4図4は、例7で調製された式(1)の化合物を含む組成物のX線粉末回折パターンを示す。
図5図5は、例3、例4及び例7で調製された式(1)の化合物を含む組成物のラットPK投与試験の結果を示す。
図6図6は、ラットにおける式(1)の化合物の医薬製剤の薬物動態試験の結果を示す。
図7図7は、ビーグル犬における式(1)の化合物の医薬製剤の薬物動態試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明を実施するための具体的なモデル
本発明は、具体例と併せて、データを参照して、以下にさらに詳細に説明される。これらの例は、本発明を例示することのみを意図しており、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。すべての同様の置換及び改変は当業者には明らかであり、それらは本発明に含まれるとみなされることを特に指摘すべきである。以下の例では、詳細に説明されていない様々な手順及び方法は、当技術分野で周知の従来の方法である
【実施例
【0053】
例1:式(1)の化合物の調製
CN105399685Aの例7に開示された方法に従って、式(1)の化合物を調製し、その結晶形を検出した。結果を図1図2に示す。
X線粉末回折法:
試験ユニット:深セン、清華大学研究所分析試験センター
試験装置:X線粉末回折計(XPert3粉末、PANalytical、オランダ)
試験基準:「中国薬局方」、2015年版、パート4、一般規則0451-X線回折の2番目の方法
試験方法:適量の生成物を採取して微粉末に粉砕し、銅ターゲット実験をX線回折法(一般規則0451、粉末X線回折法)で実施した。回折データ(2θ)は3°から60°とした。
DSC示差走査熱量測定:
機器:NSTSCH NETZSCH、初期温度:40℃、終了温度:350℃、加熱速度:10℃/分。
【0054】
例2:溶媒法による式(1)の化合物を含む組成物の調製
例1で調製した式(1)の化合物1g及びポリエチレングリコール6000の16gを取り、無水エタノール100g及びアセトン100gに加え、60℃の水浴中で加熱して、式(1)の化合物とポリエチレングリコール6000を完全に溶解し、噴霧乾燥温度を100℃に設定した噴霧乾燥装置を用いて噴霧乾燥を行い、オフホワイトの固体粉末を得た。X線粉末回折分析は、拡散したバン形状のピークを示し、組成物中の式(1)の化合物は非晶質であった。
【0055】
例3:融解法による式(1)の化合物を含む組成物の調製
例1で調製した式(1)の化合物1gとポビドンK30の5gを取り、均一に混合した。式(1)の化合物とポビドンK30を、140℃の押出温度を用いてホットメルト押出しを施し、押出後、押出したストランドを急冷し、粉砕して、式(1)の化合物を含む組成物を得た。X線粉末回折分析は、組成物中の式(1)の化合物が非晶質であることを示した。そのDSC吸熱遷移スペクトルを図3に示す。
【0056】
例4:溶媒法による式(1)の化合物を含む組成物の調製
例1で調製した式(1)の化合物1g及びヒプロメロース6gを取り、無水エタノール100g及び水100gに加え、80℃で水浴中で加熱して式(1)の化合物及びヒプロメロースを完全に溶解させ、噴霧乾燥温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置を使用して噴霧乾燥を実施し、オフホワイトの固体粉末を得た。X線粉末回折分析は、組成物中の式(1)の化合物が非晶質であることを示した。
【0057】
例5:溶媒法による式(1)の化合物を含む組成物の調製
例1で調製した式(1)の化合物1g及びドデシル硫酸ナトリウム2gを取り、無水エタノール160g及び水40gに加え、90℃で水浴中で加熱して、式(1)の化合物とドデシル硫酸ナトリウムを完全に溶解し、噴霧乾燥温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置を用いて噴霧乾燥を行い、オフホワイトの固体粉末を得た。X線粉末回折分析は、組成物中の式(1)の化合物が非晶質であることを示した。
【0058】
例6:融解法による式(1)の化合物を含む組成物の調製
ポリビニルアルコール8gを取り、均一に混合し、240℃で溶融し、例1で調製した式(1)の化合物1g及びマンニトール4gを加え、撹拌して溶融し、急速に冷却して固体を形成し、これを粉砕し式(1)の化合物を含む組成物を得た。X線粉末回折分析は、組成物中の式(1)の化合物が非晶質であることを示した。
【0059】
例7:溶媒法による式(1)の化合物を含む組成物の調製
例1で調製した式(1)の化合物1g及びコポビドンVA64の3gを取り、無水エタノール160g及び水40gに加え、70℃で水浴中で加熱して、式(1)の化合物とコポビドンVA64とを完全に溶解し、大気圧で、ロータリーエバポレーション温度90℃でロータリーエバポレーション法によりロータリーエバポレーションを行い、オフホワイトの固体粉末を得た。X線粉末回折分析は、組成物中の式(1)の化合物が非晶質であることを示し、結果を図4に示した。
【0060】
例8:溶媒法による式(1)の化合物を含む組成物の調製
例1で調製した式(1)の化合物1g、エチルセルロース8g及びポビドンK25の4gを取り、無水エタノール200gに加え、70℃で水浴中で加熱して、式(1)の化合物、エチルセルロース及びポビドンK25を完全に溶解し、噴霧乾燥を100℃に設定した噴霧乾燥温度で噴霧乾燥装置を使用することにより実施して、オフホワイトの固体粉末を得た。X線粉末回折分析は、組成物中の式(1)の化合物が非晶質であることを示した。
【0061】
例9:溶媒法による式(1)の化合物を含む組成物の調製
例1で調製した式(1)の化合物1g、アクリル樹脂L100の12g、クエン酸トリエチル1.2g、及びコポビドンVA64の6.8gを取り、無水エタノール200gに加え、70℃で水浴中で加熱して、式(1)の化合物、アクリル樹脂L100及びコポビドンVA64を完全に溶解し、100℃に設定した噴霧乾燥温度で噴霧乾燥装置を使用して噴霧乾燥を行い、オフホワイトの固体粉末を得た。X線粉末回折分析は、組成物中の式(1)の化合物が非晶質であることを示した。
【0062】
試験例1:ラットにおける式(1)の化合物を含む組成物の薬物動態試験
24匹の健康なラットを選択し、グループあたり6匹のラットで、4つのグループにランダムに分け、これらはそれぞれ式(1)の化合物、例3、例4及び例7であった。実験の間、投与前にラットを一晩断食させ、投与前に眼窩から血液を採取し、血漿を分離し、これを0時間での血中濃度サンプルとした。強制経口投与溶液は、精製水で分散させることにより調製し、強制経口投与溶液の濃度は2mg/mlであり、各ラットに、それぞれ20mg/kgの用量で式(1)の化合物を投与した。投与後、血液サンプルを15分、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、及び8時間で収集し、各サンプルを約0.5ml収集し、ヘパリンナトリウムで抗凝固処理し、収集後に氷上に置き、1時間以内に遠心分離して血漿を分離した。これを後の試験のために-80℃で保存した。血漿中の薬物濃度はLC-MS/MSで測定した。試験結果を表1と図5に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
表1及び図5の試験結果によれば、例3、例4及び例7の組成物は、式(1)の化合物の活性医薬成分と比較して、式(1)の化合物のバイオアベイラビリティを有意に改善できることが分かった。
【0065】
製剤例1:式(1)の化合物のカプセル
薬物含有マイクロペレットは、流動床での層状化プロセスを使用してブランクペレットコアに薬物をロードすることによって調製され、フィルムコーティングされた後、それらを空のカプセルに充填してカプセルを調製した。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0066】
【表2】
【0067】
調製プロセス:
(1)薬物溶液の調製:式(1)の化合物とコポビドンを90%エタノール溶液に加え、加熱して80℃で溶解し、式(1)の化合物の透明な溶液を形成した。式(1)の化合物は非晶質であった。
(2)層状化プロセスによるペレットコアへの薬物のローディング:ブランクペレットコアを流動床に添加し、式(1)の化合物とコポビドンを流動層での層状化プロセスによってブランクペレットコアにコーティングして薬物含有ペレットコアを形成した。
(3)フィルムコーティング溶液の調製:フィルムコーティング用のプレミックスを秤量した精製水に加え、均一に分散するように攪拌してフィルムコーティング溶液を形成した。
(4)フィルムコーティング:薬物含有ペレットコアをフィルムコーティングのために流動床に添加し、完了後、マイクロペレットを乾燥させて水及びエタノールを除去し、式(1)の化合物のマイクロペレットを得た。
(5)カプセル充填:得られた式(1)の化合物のマイクロペレットを空のカプセルに充填して、式(1)の化合物のカプセルを調製した。
【0068】
製剤例2:式(1)の化合物のカプセル
式(1)の化合物とポビドンの組成物を噴霧乾燥法により調製し、乾式法により他の賦形剤で造粒し、次にペレット化してマイクロタブレットを形成し、それらを空のカプセルに充填して式(1)の化合物のカプセルを形成した。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0069】
【表3】
【0070】
調製プロセス:
(1)薬物含有溶液の調製:式(1)の化合物及びポビドンを90%エタノール溶液に添加し、加熱して80℃で溶解させて、式(1)の化合物の透明な溶液を形成した。
(2)噴霧乾燥:式(1)の化合物とポビドンの溶液を噴霧乾燥して、式(1)の化合物とポビドンの組成物を得た。
(3)乾式造粒:式(1)の化合物及びポビドンの組成物を、カルボキシメチルデンプンナトリウム、マンニトール及び微結晶性セルロースと均一に混合し、乾式造粒にかけて顆粒を得た。
(4)ブレンド:乾式造粒により得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムとブレンドした。
(5)ペレット化してマイクロタブレットを形成する:混合した顆粒をペレット化してマイクロタブレットを得た。
(6)フィルムコーティング:マイクロタブレットをコーティング機にロードしてフィルムコーティングを行い、次にマイクロタブレットを乾燥させて水を除去し、式(1)の化合物のマイクロタブレットを得た。
(7)カプセル充填:式(1)の化合物のマイクロタブレットを空のカプセルに充填して、式(1)の化合物のカプセルを調製した。
【0071】
製剤例3:式(1)の化合物のカプセル
薬物含有マイクロペレットを、流動床での層状化手順を使用してブランクペレットコアに薬物をロードすることによって調製し、空のカプセルに充填してカプセルを調製した。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0072】
【表4】
【0073】
調製プロセス:
(1)薬物溶液の調製:式(1)の化合物とヒプロメロースを75%エタノール溶液に加え、加熱して80℃で溶解させて式(1)の化合物の透明溶液を形成した。
(2)層状化プロセスによるペレットコアへの薬物のローディング:ブランクペレットコアを流動床に添加し、式(1)の化合物とヒプロメロースを流動層での層状化プロセスによってブランクペレットコアにコーティングして薬物含有ペレットコアを形成した。
(3)マイクロペレットの乾燥:薬物含有ペレットコアを流動床に加え、マイクロペレットを乾燥させて水及びエタノールを除去し、それにより式(1)の化合物のマイクロペレットを得た。
(4)カプセル充填:得られた式(1)の化合物のペレットを空のカプセルに充填して、式(1)の化合物のカプセルを調製した。
【0074】
製剤例4:式(1)の化合物の顆粒
式(1)の化合物及びヒドロキシプロピルセルロースの組成物を、噴霧乾燥プロセスによって調製し、他の賦形剤とともに乾式造粒して顆粒を調製し、これを空のカプセルに充填するか、又は包装した。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0075】
【表5】
【0076】
調製プロセス:
(1)薬物含有溶液の調製:式(1)の化合物及びヒドロキシプロピルセルロースを75%エタノール溶液に添加し、加熱して80℃で溶解させて、式(1)の化合物の透明な溶液を形成した。
(2)噴霧乾燥:式(1)の化合物とヒドロキシプロピルセルロースの溶液を噴霧乾燥して、式(1)の化合物とヒドロキシプロピルセルロースの組成物を得た。
(3)乾式造粒:式(1)の化合物及びヒドロキシプロピルセルロースの組成物を、カルボキシメチルセルロースナトリウム、マンニトール及び微結晶性セルロースと均一に混合し、乾式造粒にかけて顆粒を得た。
(4)ブレンド:乾式造粒により得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムとブレンドした。
(5)カプセルの充填/包装:ブレンドによって得られた顆粒は、空のカプセルで充填するか、又は包装した。
【0077】
製剤例5:式(1)の化合物の顆粒
式(1)の化合物及びソルプラス(Soluplus)(ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト共重合体)の組成物を、ホットメルト粉砕プロセスによって調製し、他の賦形剤と混合し、空のカプセルに充填するか、又は包装した。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0078】
【表6】
【0079】
調製プロセス:
(1)薬物含有溶液の調製:式(1)の化合物及びソルプラスを90%エタノール溶液に添加し、加熱して80℃で溶解させて式(1)の化合物の透明な溶液を形成した。
(2)ホットメルト粉砕:式(1)の化合物とソルプラスの溶液をホットメルト粉砕して、式(1)とソルプラスの化合物の組成物の顆粒を得た。
(3)粒子混合:式(1)の化合物とソルプラスの組成物を微粉化シリカゲルと均一に混合した。
(4)ブレンド:得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムとブレンドした。
(5)粒子充填/包装:ブレンドによって得られた顆粒を空のカプセルに充填するか、包装した。
【0080】
製剤例6:式(1)の化合物の顆粒
式(1)の化合物及びコポビドン及び他の賦形剤を流動床による造粒プロセスに供して顆粒を形成し、これを空のカプセルに充填するか又は包装した。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0081】
【表7】
【0082】
調製プロセス:
(1)薬物含有溶液の調製:式(1)の化合物及びコポビドンを90%エタノール溶液に添加し、加熱して80℃で溶解させて、式(1)の化合物の透明な溶液を形成した。
(2)流体床造粒:クロスポビドン、ラクトース、及び微結晶性セルロースを流体床に添加し、式(1)の化合物及びコポビドンの溶液をその中に噴霧して造粒し、薬物含有顆粒を調製した。
(3)ブレンド:流動床造粒によって得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムとブレンドした。
(4)顆粒の包装:ブレンドにより得られた顆粒を包装した。
【0083】
製剤例7:式(1)の化合物の錠剤
式(1)の化合物及びヒプロメロースの組成物を、噴霧乾燥プロセスによって調製し、他の賦形剤とともに乾式造粒し、次いでペレット化及びフィルムコーティングして錠剤を得た。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0084】
【表8】
【0085】
調製プロセス:
(1)薬物含有溶液の調製:式(1)の化合物及びヒプロメロースを70%エタノール溶液に添加し、加熱して80℃で溶解させて、式(1)の化合物の透明な溶液を形成した。
(2)噴霧乾燥:式(1)の化合物とヒプロメロースとの溶液を噴霧乾燥して、式(1)の化合物とヒプロメロースとの組成物を得た。
(3)乾式造粒:式(1)の化合物とヒプロメロースとの組成物を低置換ヒドロキシプロピルセルロース、マンニトール、微結晶性セルロースと均一に混合し、乾式造粒して顆粒を得た。
(4)ブレンド:乾式造粒により得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムとブレンドした。
(5)ペレット化:ブレンドによって得られた顆粒をペレット化に供して、式(1)の化合物の素錠を得た。
(6)フィルムコーティング:素錠をコーティング機に加えてフィルムコーティングを行い、次に錠剤を乾燥させて水を除去して、式(1)の化合物の錠剤を得た。
【0086】
製剤例8:式(1)の化合物の錠剤
式(1)の化合物及びコポビドン及び他の賦形剤を流動床による造粒プロセスに供して顆粒を形成し、これを処理して錠剤を形成した。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0087】
【表9】
【0088】
調製プロセス:
(1)薬物含有溶液の調製:式(1)の化合物及びコポビドンを90%エタノール溶液に添加し、加熱して80℃で溶解させて、式(1)の化合物の透明な溶液を形成した。
(2)流体床造粒:クロスポビドン、ラクトース、微結晶性セルロースを流動床に加え、式(1)の化合物とコポビドンの溶液をその中に噴霧して造粒し、薬物含有顆粒を得た。
(3)顆粒のブレンド:流動床造粒によって得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムとブレンドした。
(4)ペレット化:ブレンドにより得られた顆粒をペレット化した。
【0089】
製剤例9:式(I)の化合物のゲル
式(1)の化合物のゲルは、超音波及び攪拌プロセスによって調製された。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0090】
【表10】
【0091】
調製プロセス:
(1)薬物含有相の調製:式(1)の化合物とフィタントリオールを無水エタノール溶液に加え、加熱して80℃で溶解させて式(1)の化合物の透明な溶液を形成し、次に大気圧で80℃でロータリーエバポレーションを施して30gにした。
(2)ポロキサマー相の調製:ポロキサマーを水に加え、加熱して80℃で水浴で溶解させた。
(3)2相混合:2相がまだ熱いうちに薬物含有相をポロキサマー相にゆっくりと滴加し、攪拌しながら滴加を行い、マグネチックスターラーで3時間急速攪拌した後、超音波処理を超音波計で5分間実施した。
(4)ゲルの調製:カルボマーを混合溶液に加え、撹拌して溶解させてゲルを形成した。
(5)ボトル/チューブへのゲルの充填:調製したゲルをボトル又はチューブに充填した。
【0092】
製剤例10:式(1)の化合物のソフトカプセル
式(1)の化合物のソフトカプセル用の充填液は、ロータリーエバポレーションプロセスによって調製された。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0093】
【表11】
【0094】
調製プロセス:
(1)薬物含有溶液の調製:式(1)の化合物を無水エタノール溶液に加え、加熱して80℃で溶解させて、式(1)の化合物の透明な溶液を形成した。
(2)混合溶液の調製:モノオレイン酸グリセロールを薬物含有溶液に加えてよく混合し、次にポロキサマーを加えて加熱し、80℃で水浴で溶解させた。
(3)混合溶液のロータリーエバポレーション:混合溶液をロータリーエバポレーションさせて50mlに到達させ、それによりソフトカプセル用の充填溶液を形成した。
(5)ソフトカプセルの充填:得られたソフトカプセル用の充填液を充填して、式(1)の化合物のソフトカプセルを得た。
【0095】
製剤例11:式(1)の化合物のカプセル
薬物含有マイクロペレットは、流動床での層状化手順を使用してブランクペレットコアに薬物をロードすることにより調整し、フィルムコーティングを施し、次に空のカプセルに充填してカプセルを調製した。具体的な処方と調製プロセスは次のとおりとした。
【0096】
【表12】
【0097】
調製プロセス:
(1)薬物含有溶液の調製:コポビドンを取り、水に加え、撹拌して完全に溶解し、式(1)の化合物を取り、コポビドンの水溶液に加え、撹拌して完全に分散させ、それにより式(1)の化合物が結晶形態である、式(1)の化合物の懸濁液を形成した。
(2)層状化プロセスによるペレットコアへの薬物のローディング:ブランクペレットコアを流動床に添加し、式(1)の化合物とコポビドンを流動層との層状化プロセスによってブランクペレットコアにコーティングして薬物含有ペレットコアを形成した;
(3)フィルムコーティング溶液の調製:フィルムコーティング用のプレミックスを秤量した精製水に加え、攪拌して均一に分散させ、それによりフィルムコーティング溶液を形成した。
(4)フィルムコーティング:薬物含有ペレットコアを流動床に加えてフィルムコーティングを行い、次にマイクロペレットを乾燥させて水を除去し、それにより式(1)の化合物のマイクロペレットを得た。
(5)カプセル充填:得られた式(1)の化合物のマイクロペレットを空のカプセルに充填して、式(1)の化合物のカプセルを得た。
【0098】
試験例2:ラットにおける医薬製剤の薬物動態試験
30匹の健康なラットを選択し、グループあたり6匹のラット(雌3匹、雄3匹)の5つのグループにランダムに分け、それぞれ、式(1)の化合物、製剤例1のカプセル、製剤例4の顆粒、製剤例7の錠剤、及び製剤例10のソフトカプセルのグループであった。実験中、ラットを投与前に一晩絶食させ、投与前に眼窩から血液を採取し、血漿を分離した、これを0時間での血中濃度サンプルとした。強制経口投与溶液を、精製水で分散させることにより調製し、強制経口投与溶液の濃度は2mg/mlとし、各ラットに、それぞれ20mg/kgの用量で式(1)の化合物を投与した。投与後、血液サンプルを15分、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、及び8時間で収集し、各サンプルを約0.5ml収集し、ヘパリンナトリウムで抗凝固処理し、収集後に氷上に置き、1時間以内に遠心分離して血漿を分離し、これを後の試験のために-80℃で保存した。血漿中の薬物濃度はLC-MS/MSで測定した。試験結果を表2と図6に示した。
【0099】
【表13】
【0100】
表2及び図6の試験結果によれば、式(1)の化合物と比較して、製剤例1のカプセル、製剤例4の顆粒、製剤例7の錠剤及び製剤例10のソフトカプセルは、式(1)の化合物の吸収が著しく改善されたことを示した。
【0101】
式(1)の化合物の製剤が実際に式(1)の化合物のバイオアベイラビリティを改善できることをさらに検証するために、ビーグル犬における製剤例1のカプセルの薬物動態研究を実施した。
【0102】
試験例3:ビーグル犬における医薬製剤の薬物動態試験
9匹の健康なビーグル犬を選択し、それらを式(1)の化合物、製剤例1のカプセル、及び製剤例11のカプセルのグループに分けた。実験中、ビーグル犬は投与前に一晩絶食させ、投与前に静脈血を採取し、0時間での血中薬物濃度サンプルとして血漿を分離した。各ビーグル犬は、それぞれ式(1)の化合物100mgの用量で強制経口投与された。投与後、血液サンプルはそれぞれ15分、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間で収集した。各サンプルを約0.5ml収集し、ヘパリンナトリウムで抗凝固処理し、収集後に氷上に置き、1時間以内に遠心分離して血漿を分離し、血漿中の薬物濃度をLC-MS/MSで測定した。試験結果を表3と図7に示した。
【0103】
【表14】
【0104】
表3及び図7の試験結果によれば、製剤例1のカプセルは、ビーグル犬において良好な吸収を示すことが分かった。
【0105】
本発明の特定の実施形態が詳細に説明されてきたが、開示されたすべての教示に照らして、それらの詳細の様々な修正及び置換を行うことができ、それらのすべてが本発明の範囲に含まれることが当業者によって理解されるであろう。本発明の全範囲は、添付の特許請求の範囲及びその任意の均等物によって与えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
【表1】
【国際調査報告】