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特表2023-5034083DX線画像を生成するための3DX線装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(54)【発明の名称】3DX線画像を生成するための3DX線装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20230123BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
A61B6/14 300
A61B6/03 320M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528091
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2020083700
(87)【国際公開番号】W WO2021105402
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】19212720.7
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】ウルリツィ、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】スタンニゲル、カイ
(72)【発明者】
【氏名】ブレッヒャー、ボルフ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA34
4C093DA05
4C093EA11
4C093FD12
4C093FE14
(57)【要約】
本発明は、X線検出器(2)と、X線源(3)と、コンピュータ(4)とを備える3DX線装置(1)であって、X線検出器(2)及びX線源(3)は、少なくとも185°の回転によって、移動経路(5、7)上で、記録されるオブジェクトボリューム(6)の周りを移動され、複数のX線投影画像が、異なる照射方向(8)から記録され、それによって、X線源(3)によって生成されたX線(9)が、照射方向(8)の1つにおいてオブジェクトボリューム(6)を照射し、X線検出器(2)によって取り込まれ、オブジェクトボリューム(6)の3DX線画像(10)が、再構成方法によって、記録されたX線投影画像から算出される、3DX線装置に関する。X線検出器(2)は、3DX線装置(1)の回転の中心(13)を通る中心軸(12)に対して非対称に配置され、第1のファンビーム(14)及び180°回転された対向する第2のファンビーム(17)は、重複領域(18)を形成し、少なくとも1つのX線フィルタ(21)が、重複領域(18)内側でX線量を減衰させるために、X線源(3)とオブジェクトボリューム(6)との間に配設される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検出器(2)と、X線源(3)と、コンピュータ(4)とを備える3DX線装置(1)であって、
前記X線検出器(2)及び前記X線源(3)は、少なくとも185°の回転によって移動経路(5、7)上で頭蓋顎顔面領域内の記録されるオブジェクトボリューム(6)の周りを移動され、複数のX線投影画像が異なる照射方向(8)から記録され、それによって、前記X線源(3)によって生成されたX線(9)が前記照射方向(8)の1つにおいて前記オブジェクトボリューム(6)を照射し、前記X線検出器(2)によって取り込まれ、前記オブジェクトボリューム(6)の3DX線画像(10)が再構成方法によって前記記録されたX線投影画像から算出される、3DX線装置において、
前記X線検出器(2)が前記3DX線装置(1)の回転の中心(13)を通る中心軸(12)に対して非対称に配置され、第1のファンビーム(14)及び180°回転された対向する第2のファンビーム(17)は重複領域(18)を形成し、少なくとも1つのX線フィルタ(21)が、前記重複領域(18)内側のX線量を減衰させるために前記X線源(3)と前記オブジェクトボリューム(6)との間に配設され、前記重複領域(18)内側に配設された前記X線フィルタ(21)の幅(30)とは異なる幅を有する第2のX線フィルタが、前記重複領域(18)外側の前記2つのファンビーム(14、17)の領域(19、20)内に設けられることを特徴とする、3DX線装置(1)。
【請求項2】
3DX線装置(1)は、CT装置又はDVT装置であることを特徴とする、請求項1に記載の3DX線装置(1)。
【請求項3】
前記X線フィルタ(21)の形状が、前記X線フィルタ(21)の透過曲線(34)が前記重複領域にわたって単調に減少又は増加するように選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の3DX線装置(1)。
【請求項4】
前記X線フィルタ(21)の形状が、前記回転の中心(13)に対する前記X線フィルタ(21)の透過曲線(34)が点対称であり、前記重複領域(18)の中心点(41)内で10~75%の前記X線量の減衰を呈するように選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)。
【請求項5】
前記X線フィルタ(21)の形状が、直方体形状、くさび形状(40、60、80)、階段形状(50、70)、又は重み付け曲線に適合される形状であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)。
【請求項6】
前記X線検出器(2)及び前記X線源(3)が、少なくとも360°の回転によって、移動経路(5、7)上で、記録されるオブジェクトボリューム(6)の周りを移動されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)。
【請求項7】
異なる幅及び形状の複数のX線フィルタ(71、72)が、前記重複領域(18)内側の前記X線量を減衰させるために前記X線源(3)と前記オブジェクトボリューム(6)との間に配設されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)。
【請求項8】
前記X線フィルタ(80)が、複数の層(81、82、83)から構築され、個々の層(81、82、83)が、異なるX線吸収特性を有する材料からなり、前記X線フィルタ(80)の前記個々の層(81、82、83)が、所望の透過曲線(34)が生成されるように構築されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)。
【請求項9】
前記3DX線装置(1)が、前記ファンビーム(14、17)を形成するために、前記X線源(3)と前記オブジェクトボリューム(6)との間にアパーチャ(24)を備え、前記X線フィルタ(21)が、前記アパーチャと前記X線源(3)との間、又は前記アパーチャ(24)と前記オブジェクトボリューム(6)との間に配設されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)。
【請求項10】
前記コンピュータ(4)が、前記少なくとも1つのX線フィルタ(21)による前記X線量の減衰が、前記再構成方法によって、前記3DX線画像(10)の算出に考慮されるように構成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)。
【請求項11】
前記X線フィルタ(21)が、銅又はアルミニウムで作製されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)。
【請求項12】
前記X線フィルタ(21)が、制御ユニット及び駆動ユニットによって、放射ビーム(14)に対して所望の位置に自動的に移動されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の3DX線装置(1)によって3DX線画像(10)を生成するための方法であって、X線フィルタ(21)によるX線量の減衰が、再構成方法によって、個々のX線投影画像からの前記3DX線画像(10)の算出に考慮されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検出器と、X線源と、コンピュータとを備える3DX線装置であって、X線検出器及びX線源は、少なくとも185°の回転によって、移動経路上で、記録されるオブジェクトボリュームの周りを移動され、複数のX線投影画像が、異なる照射方向から記録され、それによって、X線源によって生成されたX線が、照射方向の1つにおいてオブジェクトボリュームを照射し、X線検出器によって取り込まれ、オブジェクトボリュームの3DX線画像が、再構成方法によって、記録されたX線投影画像から算出される、3DX線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの3DX線装置及び測定方法が、現況技術から知られている。
【0003】
米国特許第8,238,522(B2)号は、たとえばX線装置において使用され得るフィルタ変更アセンブリを開示しており、このフィルタ変更アセンブリは、放射ビームを生成するために使用されることが可能であり、たとえば、前後に移動させることができる、成形フィルタを備える。フィルタ変更アセンブリはまた、たとえばビーム硬化フィルタも含み、このビーム硬化フィルタは、放射ビームのエネルギースペクトルを変更するために使用されることが可能であり、これも前後に移動させることができる。フィルタ変更アセンブリは、フィルタの少なくとも1つを選択し、選択されたフィルタを移動させるために使用され得る制御システムを含む。
【0004】
米国特許出願公開第2014/0270069(A1)号は、X線源と、X線を変更するためのコリメータと、コリメータを制御するように動作され得る電動システムとを備えるX線装置を開示している。コリメータのリーフは、X線のビーム品質を変調するように構成され得る。コリメータの個々のリーフは、異なる金属、たとえばアルミニウム、銅、又はすずなどで作製されることが可能であり、また、放射吸収が所望に応じて影響され得るように、異なる厚さを有することができる。
【0005】
米国特許出願公開第2007/0172104(A1)号は、3DX線画像の画像品質を改良するためのX線フィルタを備えたCT装置を開示している。X線フィルタは、照射されるオブジェクトの線量を低減するように働く。
【0006】
言及された方法の1つの欠点は、180°を超える回転の場合、X線装置は重複領域を2回照射するため、重複領域内側のオブジェクトはより高い線量で照射されることである。
【0007】
したがって、本発明の目的は、オブジェクトボリュームにわたって分布する均質的な線量によって3DX線画像を記録する、方法及び3DX線装置を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、X線検出器と、X線源と、コンピュータとを備える3DX線装置であって、X線検出器及びX線源は、少なくとも185°の回転によって、移動経路上で、記録されるオブジェクトボリュームの周りを移動される、3DX線装置に関する。複数のX線投影画像が、異なる照射方向から記録され、それによって、X線源によって生成されたX線が、照射方向の1つにおいてオブジェクトボリュームを照射し、X線検出器によって取り込まれる。オブジェクトボリュームの3DX線画像は、その後、再構成方法によって、記録されたX線投影画像から算出される。X線検出器は、3DX線装置の回転の中心を通る中心軸に対して左右非対称に配置され、第1のファンビーム及び180°回転された対向する第2のファンビームは、重複領域を形成する。少なくとも1つのX線フィルタが、重複領域内側のX線量を減衰させるためにX線源とオブジェクトボリュームとの間に配設され、X線量を減衰させるためのX線フィルタ又は重複領域内側に配設されたX線フィルタの幅とは異なる幅を有する第2のX線フィルタは、重複領域外側の2つのファンビームの領域内には設けられない。
【0009】
3DX線装置は、たとえばCT装置又はDVT装置であることができ、二次元X線投影画像は、異なる照射方向から生成される。回転中、X線検出器及びX線源は、オブジェクトボリュームの周りを少なくとも185°で回転される。回転中、X線検出器及びX線源は、3DX線装置の回転の中心が円形移動によって画定されるように、オブジェクトボリュームの周りで、たとえば円形又は楕円形の移動を描く。3DX線装置の中心軸は、X線源から回転の中心を通って延びる。X線検出器は、たとえば中心軸からX線検出器の第1の縁までの第1の距離が中心軸からX線検出器の第2の縁までの第2の距離より小さいように、この中心軸に対して非対称に配置される。3DX線装置は、アパーチャを備えることができ、このアパーチャは、ファンビームも中心軸に対して非対称に配置されるように、ファンビームがX線検出器のセンサ表面全体を照射するように制御される。したがって、特定の照射方向からのいずれの所与の第1のファンビームについても、180°回転された対向する第2のファンビームが存在し、それによって第1のファンビーム及び第2のファンビームは、中心軸に対して非対称に配置される。重複領域内側では、第1のファンビームと第2のファンビームの両方は、オブジェクトボリュームを照射する。X線フィルタは、したがって、重複領域内側のX線量の減衰がオブジェクトボリューム全体の内側に可能な限り均質的である線量の分布をもたらすように成形され、重複領域内側に配設される。したがって、3DX線装置の1つの利点は、左右非対称のX線検出器の配置及び重複領域内側のX線フィルタの選択及び配置により、オブジェクトボリューム全体の内側に可能な限り均質的である線量分布を達成することが可能になることである。患者に対する線量負担は、したがって、低減される。
【0010】
したがって、重複領域外側のオブジェクトボリュームの領域内には、X線量を減衰させるためのX線フィルタは配設されず、その理由は、前記領域は、重複領域の場合のように2回ではなく1回しか照射されないためである。また、重複領域の外側のこれらの領域内に、一定又は可変の幅及び一定又は可変の減衰を有する追加のX線フィルタを配設することも可能であり、それによって、X線フィルタは、オブジェクトボリューム内側の線量の進行が可能な限り均質的であるように、重複領域内側の線量を重複領域外側の値内の線量値に減衰させるように適切に成形され、重複領域内側に配設される。
【0011】
3DX線装置は、有利には、CT装置又はDVT装置であることができる。
【0012】
したがって、3DX線装置は、従来のコンピュータ断層撮影(CT)装置、又は従来のデジタルボリュームトモグラフィ(DVT)装置であることができ、それにより、本発明の3DX線装置は、説明されたX線フィルタを前記装置に装備することによって技術的努力をそれほど伴わずに、従来のCT装置又はDVT装置から生み出され得る。
【0013】
X線フィルタの形状は、有利には、X線フィルタの透過曲線が重複領域にわたって単調に減少又は増加するように選択され得る。
【0014】
X線フィルタのこの形状により、結果として、重複領域内の所望の線量低減が可能になる。
【0015】
X線フィルタの形状は、有利には、X線フィルタの透過曲線が回転の中心に対して点対称であり、重複領域の中心点でX線量の50%の減衰を有するように選択され得る。
【0016】
特に、空間的に一定又はほぼ一定の強度を有するビームローブの場合、この構成は、オブジェクトボリューム内で可能な限り均質的である線量分布を確実にする。
【0017】
X線フィルタの透過曲線は、X線フィルタの全長に沿ったX座標に依存するX線放射の透過又は減衰の関数である。したがって、X線フィルタは、透過曲線が回転の中心に対して点対称であり、重複領域の中心点でX線量の50%の減衰を有するように成形され、ファンビームに対して配設される。
【0018】
重複領域の中心点は、X線検出器上への回転の中心の投影である。
【0019】
第1のファンビームの線量及び第2の対向するファンビームの線量は、こうして、線量の合計が重複領域内側の均質的な線量進行をもたらすように合計される。
【0020】
X線フィルタの形状は、有利には、X線フィルタの透過曲線が重複領域内側で単調に、たとえば0%から100%に増加するように選択され得る。
【0021】
X線フィルタの形状は、有利には、直方体形状、くさび形状、階段形状、又は3D再構成方法の重み付け曲線に適合される形状であることができる。
【0022】
X線フィルタは、したがって、たとえば直方体形状を有することができ、それによって、透過曲線は、重複領域の全長に沿って50%のX線量の一定の減衰を有する。X線フィルタのくさび形状の場合、長さに沿ったX線フィルタの幅は、透過曲線が、たとえば、X線フィルタの長さに沿って透過の0%から100%の直線を作り出すように選択される。X線フィルタの階段形状の場合、全長に沿ったX線フィルタの幅は、透過曲線が階段式進行を有するように選択される。透過曲線は、たとえば、重複領域の中心に対して点対称に配置された、均一の階段式増加を有することができる。X線フィルタの形状は、3D再構成方法の重み付け曲線に適合させることができ、それによって、長さに沿ったX線フィルタの幅は、選択された進行を有する点対称の透過曲線が生み出されるように選択される。
【0023】
X線検出器及びX線源は、有利には、少なくとも360°の回転によって、移動経路上で、記録されるオブジェクトボリュームの周りを移動され得る。
【0024】
少なくとも360°の回転の結果、記録されるオブジェクトボリューム全体は、いずれの所与の第1の放射ビームについても第2の対向する放射ビームが存在し、重複領域内側の均質的な線量進行が作り出されるように、2回測定される。
【0025】
重複領域内側のX線量を減衰させるために、異なる幅及び形状の複数のX線フィルタが、有利には、X線源とオブジェクトボリュームとの間に配設され得る。
【0026】
個々のX線フィルタは、たとえば、X線の方向に上下に重複領域内側に配設された、2つのくさび形状X線フィルタ及び直方体X線フィルタであることができる。したがって、上下に配設されたX線フィルタもまた、所望の透過曲線を生成する。
【0027】
重複領域と第1のファンビーム及び第2の対向するファンビームの残りの領域との間の移行部において、線量進行の間欠現象が発生しないことが重要である。
【0028】
X線フィルタは、有利には、複数の層で構築されることが可能であり、個々の層は異なるX線吸収特性を有する材料からなり、それによって、X線フィルタの個々の層は、所望の透過曲線が生み出されるように構築される。
【0029】
X線フィルタは、したがって、所望の、可能であれば点対称の透過曲線が生み出されるように、異なる材料、たとえば銅又はアルミニウムなどの複数の層から構築される。X線フィルタの個々の層は、材料の異なるX線吸収特性及び個々の層の幅が所望の透過曲線を生成するように、X線ファンビームのX線に平行に配置され得る。
【0030】
3DX線装置は、有利には、ファンビームを形成するために、X線源とオブジェクトボリュームとの間にアパーチャを備えることができ、それによって、X線フィルタは、アパーチャとX線源との間、又はアパーチャとオブジェクトボリュームとの間に配設される。
【0031】
したがって、ファンビームはアパーチャによってコリメートされ、それによって、アパーチャに当たったX線は吸収される。X線フィルタは、したがって、アパーチャの前方又は後方に配設され得る。
【0032】
コンピュータは、有利には、少なくとも1つのX線フィルタによるX線量の減衰が、再構成方法によって、3DX線画像の算出に考慮されるように構成され得る。
【0033】
X線フィルタの減衰又は透過曲線は、したがって、潜在的歪み及び撮像誤差が防止されるように、3DX線画像の算出に考慮される。したがって、再構成方法による算出は、オブジェクトボリュームのそれぞれのボクセルについて、正しい、X線フィルタで減衰された線量を推測する。
【0034】
X線フィルタは、有利には、銅又はアルミニウムで作製され得る。
【0035】
銅及びアルミニウムの材料は、X線の目的とされる減衰に特に有利である。
【0036】
X線フィルタは、有利には、制御ユニット及び駆動ユニットによって、放射ビームに対する所望の位置に自動的に移動され得る。
【0037】
駆動ユニットは、たとえば、X線フィルタが制御ユニットの制御下で放射ビームに対して所望通りに配置されるように、電気モータを備えることができる。これは、たとえば、ファンビームのサイズがアパーチャの調整によって変更される場合に必要となり得る。したがって、X線フィルタは、たとえば透過曲線が点対称であり、重複領域の中心点でX線量の50%の減衰を有するように、所望の方法で放射ビームに対して配置される。
【0038】
本発明は、さらに、上記で論じられた本発明の方法によって、3DX線装置によって3DX線画像を生成するための方法に関し、それによって、X線フィルタによるX線量の減衰は、再構成方法によって、個々のX線投影画像からの3DX線画像の算出に考慮される。
【0039】
したがって、本発明の方法の1つの利点は、説明されたX線フィルタを有する上記で説明された3DX線装置を使用して、線量負担を低減して3DX線画像が記録されることである。したがって、再構成方法による算出は、オブジェクトボリュームのそれぞれのボクセルについて、X線フィルタで減衰された線量を推測する。
【0040】
本発明は、以下の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】3DX線装置のスケッチ図。
図2】X線フィルタの矩形の実施形態の図。
図3】X線フィルタのくさび形状の実施形態の図。
図4】X線フィルタの階段式の実施形態の図。
図5】X線フィルタのくさび形状の実施形態の図。
図6】2つの部分からなるX線フィルタの階段式の実施形態の図。
図7】3つの層からなるX線フィルタのくさび形状の実施形態の図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、X線検出器2と、X線源3と、コンピュータ4とを備える3DX線装置1のスケッチ図を示す。X線検出器2は、少なくとも360°の回転によって、第1の移動経路5上で、記録されるオブジェクトボリューム6の周りを時計周りに移動され、一方でX線源3は、少なくとも360°の回転によって、第2の移動経路7上で、記録されるオブジェクトボリューム6の周りを、対応する方法で移動される。回転中、複数のX線投影画像が異なる照射方向8から記録され、それによって、X線源3によって生成されたX線9が、対応する照射方向8においてオブジェクトボリューム6を照射し、X線検出器2によって取り込まれる。オブジェクトボリューム6内に配置された患者11の3DX線画像10が、その後、再構成方法によって、またコンピュータ4を使用して、異なる照射方向の記録されたX線投影画像から算出される。X線検出器2は、回転の中心13を通る3DX線装置1の中心軸12に対して左右非対称に配置される。X線9の第1のファンビーム14は、オブジェクトボリューム6を照射する。X線源3は、対向する位置15に到達するために、移動経路7に沿って180°回転される。X線検出器2も同様に対応して、X線検出器2の対向する位置16に到達するために180°回転される。対向する位置15では、X線源は、第2の対向するファンビーム17を発し、これはオブジェクトボリューム6を照射する。第1のファンビーム14及び第2のファンビーム17は、共通の重複領域18を照射する。この重複領域18は、したがって、2回測定及び照射され、それに対してオブジェクトボリューム6内側の第1のファンビーム14の第1の残りの領域19及び第2のファンビーム17の第2の残りの領域20は、1回しか照射及び記録されない。したがって、照射方向8の1つの第1のファンビーム14ごとに、対向する第2のファンビーム17及び重複領域18が存在する。異なる照射方向の重複領域18のすべてを重ね合わせることにより、重複領域18の円筒状ボリュームが作り出され、これは、平面図では、回転の中心13周りの円として示されている。同様に、異なる照射方向8のファンビーム14、17のすべてを重ね合わせることにより、オブジェクトボリューム6の円筒状ボリュームがもたらされ、これは、平面図では円として示されている。オブジェクトボリューム6の周りをX線検出器2が移動する間、30から1000のX線投影画像が、たとえば0.01°から10°の間の角度的増分で数秒ごとに記録され得る。
【0043】
重複領域18内側のX線量を減衰させるために、X線フィルタ21が、X線源3に対して、したがって第1のファンビーム14に対して固定された位置に配設される。重複領域18内側のX線量は、その結果、点線22によって示されるように、第1のファンビーム14の一部として減衰される。X線源3の回転及び対向する位置15の結果、X線フィルタ21は、対向する第2のファンビーム17の重複領域18が減衰されるように、対向する位置23に移動される。この場合、たとえば銅で作製されてもよいX線フィルタ21は、第1のファンビーム14の重複領域18内のX線量が50%減衰され、それにしたがって重複領域18内側の対向する第2のファンビーム17も50%の減衰が行われるように、直方体形状を有する。したがって、合計で100%の均質的なX線量が、重複領域18内側で達成される。ファンビーム14を生成するために、アパーチャ24がX線源3に対して固定された位置に配設され、それによって、アパーチャ24は、タングステン又は鉛で作製され得る。X線源3が回転すると、アパーチャ24もまた、第2の対向するファンビーム17を生成するために対向する位置25に移動される。
【0044】
図2は、図1の移動の方向5のX線検出器2の長さ31の関数とする、図1の中心軸12に沿ったX線フィルタ21の幅30の図を示す。X線検出器2上への投影とする、すなわちX線検出器の長さに依存するX線フィルタ21の幅30の進行は、第1の関数32内にプロットされる。この場合、ファンビーム14のX線の光子の平均エネルギーは、60keVである。X線フィルタは、銅で作製される。したがって、X線フィルタ21の幅が重複領域18内側で一定の0.5mmであり、それによって第1の残りの領域19内側にはX線フィルタは配設されないことが、第1の関数32から分かり得る。0%から100%の間の透過33が、第2のy軸にプロットされる。透過曲線34は、したがって、X線検出器2の長さ座標31に対する透過の従属性を示し、それによって、50%の減衰が重複領域内側で起こり、又はより具体的には、透過は50%であり、第1の残りの領域19内の透過は100%である。
【0045】
図3は、図2にあるような図を示し、ここでは幅30の関数32は、X線検出器2の長さ座標31に基づいて急激に降下している。X線フィルタは、その結果、くさび形状40を有する。したがって、透過曲線34は、重複領域18内側で0%から100%に線形に増加し、残りの領域19内では100%で一定のままである。重複領域18の中心点41における透過は、50%である。したがって、線形に増加する関数34は、図1の第1のファンビーム14の線量及び第2のファンビーム17の線量の追加により、100%の均質的な線量分布がもたらされるように、重複領域の中心点41に対して重複領域18内側で点対称である。
【0046】
図4は、可変の幅30を有する階段形状50を有するX線フィルタのさらなる実施形態を示し、それによって、関連する図は、X線検出器2の長さ座標に依存する幅30の階段関数32を示す。透過曲線34は、その結果、重複領域18の中心点41に対して点対称である、重複領域18内側の階段式増加を示す。残りの領域19内の透過は、100%である。重複領域の中心点41における透過は、その結果50%である。
【0047】
図5は、第2のくさび形状60を有するX線フィルタのさらなる実施形態を示し、それによって幅30は、図3のX線フィルタの場合よりも減少する。したがって、長さ座標31に依存する幅30の関数32の進行により、重複領域の中心点41に対して重複領域18内側で点対称である、増加する透過曲線34がもたらされる。重複領域18の中心点41における透過は、50%である。残りの領域19内側の透過は、100%に留まる。
【0048】
図6は、第1の部分71と、第2の部分72とを備えるX線フィルタ70のさらなる実施形態を示し、それによって、第1の部分71は、たとえばアルミニウムで作製され、第2の部分72は、たとえば銅で作製される。2つの部分71及び72の異なるX線吸収特性ならびに隣接する座標31に依存する幅30の選択された関数32により、重複領域18の中心点41に対して重複領域18内側で点対称に延びる、所望の階段式透過曲線34がもたらされる。中心点41における透過33は、50%である。
【0049】
図7は、第1の部分81と、第2の部分82と、第3の部分83とを備えるX線フィルタ80のさらなる実施形態を示し、それによって、個々の部分81、82、及び83は、照射方向8に上下に配設される。部分81、82、及び83は、異なる材料で作製され得る。したがって、長さ座標31に依存する幅30の関数32ならびに個々の材料は、重複領域18内側の透過曲線34の所望の線形進行が達成されるように選択される。重複領域18の中心点41における透過33は、50%である。
【符号の説明】
【0050】
1 3DX線装置
2 X線検出器
3 X線源
4 コンピュータ
5 移動経路
6 オブジェクトボリューム
7 第2の移動経路
8 照射方向
9 X線
10 3DX線画像
11 患者
12 中心軸
13 回転の中心
14 第1のファンビーム
15 X線源3の対向する位置
16 X線検出器2の対向する位置
17 第2の対向するファンビーム
18 重複領域
19 第1の残りの領域
20 第2の残りの領域
21 X線フィルタ
22 点線
23 X線フィルタの対向する位置
24 アパーチャ
25 X線源の対向する位置
30 X線フィルタの幅
31 X線検出器の長さ
32 第1の関数
33 透過
34 透過曲線
40 くさび形状X線フィルタ
41 重複領域の中心点
50 階段式X線フィルタ
60 第2のくさび形状X線フィルタ
70 さらなるX線フィルタ、2部分
71 X線フィルタの第1の部分
72 X線フィルタの第2の部分
80 さらなるX線部分、3部分
81 X線フィルタの第1の部分
82 X線フィルタの第2の部分
83 X線フィルタの第3の部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】