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2023-503418アンモニアの持続可能な循環のできる分枝鎖アミノ酸の結晶化方法
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  • -アンモニアの持続可能な循環のできる分枝鎖アミノ酸の結晶化方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(54)【発明の名称】アンモニアの持続可能な循環のできる分枝鎖アミノ酸の結晶化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 227/42 20060101AFI20230123BHJP
   C07C 229/08 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
C07C227/42
C07C229/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528572
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 KR2020015633
(87)【国際公開番号】W WO2021107451
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0152229
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン ウー
(72)【発明者】
【氏名】パーク,シン エ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジェ フン
(72)【発明者】
【氏名】オー,チャン ユブ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン ジョン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AD15
4H006BB31
4H006BC51
4H006BC53
4H006BE14
4H006NB13
4H006NB21
4H006NB24
(57)【要約】
アンモニアの持続可能な循環のできる分枝鎖アミノ酸の結晶化方法、及び該方法によって生産された分枝鎖アミノ酸の結晶を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液と、アンモニアとを混合し、前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液を得る段階と、
(b)前記得られた溶解液を結晶化させ、分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液を得る段階と、
(c)前記結晶化過程で生成された、水蒸気及びアンモニアを含む混合気体を得る段階と、
(d)前記得られた混合気体に由来するアンモニアを、前記(a)段階のアンモニアとして再使用する段階と、を含み、
前記(b)段階及び前記(c)段階は、同時または順次に行われる、分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項2】
前記分枝鎖アミノ酸は、L-ロイシン、L-イソロイシン及びL-バリンからなる群のうちから選択される少なくとも1つのアミノ酸である、請求項1に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項3】
前記分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液は、分枝鎖アミノ酸結晶を含む溶液または発酵液を含む、請求項1に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項4】
前記分枝鎖アミノ酸結晶を含む発酵液は、分枝鎖アミノ酸を生産する微生物を培地で培養して得られる、請求項3に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項5】
前記(a)段階において、前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液のpHは、9ないし12である、請求項1に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項6】
前記(b)段階の分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液の分枝鎖アミノ酸濃度は、(a)段階の分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液の分枝鎖アミノ酸濃度対比で、1.3ないし1.7倍である、請求項1に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項7】
前記(c)段階は、前記(b)段階の分枝鎖アミノ酸溶解液のpHが5.5ないし8.0になるまで行う、請求項1に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項8】
前記(d)段階は、前記アンモニアを蒸気状態で再使用するか、あるいは前記蒸気が圧縮または凝縮された液体状態で再使用する、請求項1に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項9】
前記(a)段階と前記(b)段階との間に、
(a-1)前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液を微細濾過し、溶解液内バイオマスを除去する段階をさらに含む、請求項1に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項10】
前記(a)段階と前記(b)段階との間に、
(a-2)前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液に活性炭を添加し、溶解液内の有色物質を除去する段階をさらに含む、請求項1に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項11】
前記(b)段階後、
(e)前記(b)段階の分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液から、分枝鎖アミノ酸結晶を分離する段階をさらに含む、請求項1に記載の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法。
【請求項12】
(a)分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液と、アンモニアとを混合し、前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液を得る段階と、
(b)前記得られた溶解液を結晶化させ、分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液を得る段階と、
(c)前記結晶化過程で生成された、水蒸気及びアンモニアを含む混合気体を得る段階と、
(d)前記得られた混合気体に由来するアンモニアを、前記(a)段階のアンモニアとして再使用する段階と、を含み、
前記(b)段階及び前記(c)段階は、同時または順次に実施される、分枝鎖アミノ酸の結晶化方法によって生産された分枝鎖アミノ酸の結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアの持続可能な循環のできる分枝鎖アミノ酸の結晶化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分枝鎖アミノ酸(BCAA:branched chain amino acid)とは、分枝がある脂肪族側鎖(aliphatic side-chain)を有するアミノ酸であり、20種のタンパク質源アミノ酸(proteinogenic amino acid)のうちには、ロイシン(leucine)、イソロイシン(isoleucine)及びバリン(valine)がそれらに該当する。タンパク質源として、分枝鎖アミノ酸は、筋肉形成に非常に重要な役割を担うために、無酸素運動中心のトレーニングを行う人々に必須な物質とされている。実際、該分枝鎖アミノ酸は、グルタミン、クレアチンなどと共に、タンパク質補充剤の次に最も多く利用されるヘルス補助剤のうち一つである。
【0003】
ところで、分枝鎖アミノ酸は、疎水性脂肪族側鎖により、純水中における溶解度が、他の親水性アミノ酸に比べて低い方である。特に、新たな発酵技術の開発による発酵液内ターゲット物質の濃度上昇は、不可欠であると見られている。すなわち、産業的発酵工程において、分枝鎖アミノ酸の溶解度以上の濃度の分枝鎖アミノ酸が発酵液内に含まれる場合、前述の製造された発酵液には、アミノ酸結晶が形成されてしまい、それは、発酵液の前処理を阻害させたり、分枝鎖アミノ酸結晶の回収率を低下させたりする要因としても作用する。従って、そのような問題点を解決するために、発酵液内または懸濁液内の分枝鎖アミノ酸の溶解度を高めることができる新たな技術が必要な実情となっている。
【0004】
また、分枝鎖アミノ酸を結晶化させる方法として使用される中和再結晶化方法などにおいては、多量のpH調節物質を必要とし、結晶化効率が低く、持続可能な循環が困難である塩廃棄物を生成し、環境的問題を引き起こすため、結晶化効率が高くありつつも、環境親和的な新たな結晶化工程の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1736654号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の一目的は、アンモニアの持続可能な循環のできる分枝鎖アミノ酸の結晶化方法を提供することである。
【0007】
本出願の他の目的は、前記方法によって生産された分枝鎖アミノ酸結晶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれ、他の説明及び実施形態にも適用されうる。すなわち、本出願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが、本出願の範疇に属する。また、以下に述される具体的な敍述により、本出願の範疇が制限されるとするものではない。
【0009】
本出願は、一態様において、(a)分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液と、アンモニアとを混合し、前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液を得る段階と、(b)前記得られた溶解液を結晶化させ、分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液を得る段階と、(c)前記結晶化過程で生成された、水蒸気及びアンモニアを含む混合気体を得る段階と、(d)前記得られた混合気体に由来するアンモニアを、前記(a)段階のアンモニアとして再使用する段階と、を含み、前記(b)段階及び前記(c)段階は、同時または順次に行われる、分枝鎖アミノ酸の結晶化方法を提供する。
【0010】
本出願の分枝鎖アミノ酸の結晶化方法について、それぞれの段階別に詳細に説明すれば、次の通りである。
【0011】
まず、本出願の方法は、分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液と、アンモニアとを混合し、分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液を得る段階を含むものでもある。
【0012】
本出願において用語「分枝鎖アミノ酸」とは、分枝がある脂肪族側鎖を有するアミノ酸を称するものであり、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群のうちから選択される少なくともいずれか1つのアミノ酸でもあり、例えば、L-ロイシン、L-イソロイシン及びL-バリンからなる群のうちから選択される少なくとも1つのアミノ酸でありうる。
【0013】
前述の段階において、アンモニアとの混合は、分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液のpHを増大させ、反応液内分枝鎖アミノ酸の溶解度を上昇させることができる。前記アンモニアにおいて、最初の工程においては、結晶化フィード(crystallization feed)を生成するために、別途のアンモニア、例えば、アンモニア水を反応液と混合するものでもあり、以後の工程においては、(c)段階から得られた混合気体に由来するアンモニアを混合するものでありうる。
【0014】
一実施形態において、分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液は、分枝鎖アミノ酸が過飽和された溶液であり、懸濁液形態でもあり、例えば、分枝鎖アミノ酸結晶を含む溶液または発酵液を含むものでもある。
【0015】
前記分枝鎖アミノ酸結晶を含む溶液は、分枝鎖アミノ酸結晶と蒸溜水とを混合した溶液でもあり、前記分枝鎖アミノ酸結晶を含む発酵液は、分枝鎖アミノ酸を生産する微生物を培地で培養して得られるものでもある。
【0016】
前記分枝鎖アミノ酸を生産する微生物は、分枝鎖アミノ酸生産能がある微生物であるならば、特別に制限がなく、例えば、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属またはエスケリキア(Escherichia)属でもあり、具体的には、コリネバクテリウムグルタミクム(Corynebacterium glutamicum)菌株、またはその変異株でもあり、一実施形態において、受託番号KCCM11662P,KCCM11248PまたはKCCM11336Pを有するコリネバクテリウムグルタミクム変異株でありうる。
【0017】
本出願において用語「培養」とは、微生物を適切に人工的に調節した環境条件において生育させることを意味する。本出願において、分枝鎖アミノ酸生成能を有する微生物を利用した分枝鎖アミノ酸生産方法は、当業界に周知されている方法を利用して遂行することができる。具体的には、前記培養は、バッチ工程、注入バッチまたは反復注入バッチ工程(fed batch or repeated fed batch process)で連続して培養することができるが、それらに制限されるものではない。
【0018】
培養に使用される培地は、適切な方式で特定菌株の要件を充足しなければならない。例えば、コリネバクテリウム属菌株に係わる培養培地は、公知されている(例えば、Manual of Methods for General Bacteriology, American Society for Bacteriology, Washington D.C., USA, 1981)。使用されうる糖源としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、澱粉、セルロースのような糖;炭水化物、大豆油、ひまわり油、ひまし油、ココナッツ油のようなオイル及び脂肪;パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸のような脂肪酸;グリセロール、エタノールのようなアルコール;酢酸のような有機酸が含まれうる。それら物質は、個別的にまたは混合物として使用されるが、それらに制限されるものではない。使用されうる窒素源としては、ペプトン、酵母抽出物、肉汁、麦芽抽出物、とうもろこし浸漬液、大豆ミール、尿素または無機化合物、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムが含まれうる。該窒素源も、個別的にまたは混合物として使用されるが、それらに制限されるものではない。使用されうるリン源としては、リン酸二水素カリウムまたはリン酸水素二カリウム、または相応するナトリウム含有塩が含まれうる。
【0019】
また、培養培地は、成長に必要な硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄のような金属塩を含むものでもある。さらには、アミノ酸及びビタミンのような必須成長物質が使用されうる。また、該培養培地に適切な前駆体が使用されうる。前述の原料は、培養過程において、培養物に適切な方式により、回分式または連続して添加されうる。しかし、それらに制限されるものではない。
【0020】
一実施形態において、前記(a)段階で得られた分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液のpHは、9ないし12でありうる。前記溶解液のpHが9以下である場合には、溶解液内に、分枝鎖アミノ酸結晶が存在し、溶解液の結晶化効率を低減させてしまう。前記分枝鎖アミノ酸溶解液のpHは、例えば、9ないし11.5、9ないし11、9ないし10.5、9ないし10.0、9、ないし9.5、9.5ないし12.0、9.5ないし11.5、9.5ないし11.0;または9.5ないし10.5、9.5ないし10、10ないし12.0、10ないし11.5、10ないし11.0;または10ないし10.5の範囲を有するものでありうるが、アミノ酸の種類、その他反応条件などにより、適切に調節可能である。
【0021】
一実施形態において、前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液は、分枝鎖アミノ酸結晶が溶解されることにより、懸濁液において、透明な溶液の形態に変化されたものでもある。
【0022】
以下、本出願の方法は、前述の得られた分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液を結晶化させ、分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液を得る段階を含むものでもある。
【0023】
前述の段階において、分枝鎖アミノ酸溶解液の結晶化は、当業界に知られた通常の技術が適用されうる。例えば、前記結晶化は、溶媒の蒸発を伴うものでもあり、結晶化工程が進められる間、温度は、60ないし90℃、60ないし85℃、60ないし80℃、60ないし75℃、60ないし70℃、60ないし65℃、70ないし90℃、70ないし85℃、70ないし80℃、70ないし75℃、75ないし90℃、75ないし85℃、または75ないし80℃でありうる。また、前記結晶化は、本出願の目的を達成するものであるならば、その構成及びその構造に制限がない結晶化装置によっても遂行される。
【0024】
前記濃縮液は、分枝鎖アミノ酸を高濃度で含んでおり、前記分枝鎖アミノ酸の濃度は、例えば、40ないし800g/L、55ないし750g/L、70ないし700g/L、85ないし650g/L、100ないし600g/L、115ないし550g/L、130ないし500g/L、145ないし450g/L、160ないし400g/L、175ないし350g/L、または190ないし300g/Lでありうるが、それは、産業化工程の規模により、適宜変更可能である。
【0025】
一実施形態において、前記濃縮液の分枝鎖アミノ酸濃度は(a)段階の分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液の分枝鎖アミノ酸濃度対比で、1.0ないし2.0倍、1.0ないし1.8倍、1.0ないし1.7倍、1.0ないし1.6倍、1.2ないし2.0倍、1.2ないし1.8倍、1.2ないし1.7倍、1.2ないし1.6倍、1.3ないし2.0倍、1.3ないし1.8倍、1.3ないし1.7倍、1.3ないし1.6倍、1.4ないし2.0倍、1.4ないし1.8倍、1.4ないし1.7倍、または1.4ないし1.6倍でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0026】
一実施形態において、前記濃縮液は、透明な分枝鎖アミノ酸溶解液の結晶化により、さらに分枝鎖アミノ酸結晶が形成されることにより、溶液の濁度が上昇し、懸濁液の形態に変化されたものでもある。
【0027】
本出願の方法は、前記結晶化過程で生成された、水蒸気及びアンモニアを含む混合気体を得る段階を含むものでもある。
【0028】
一実施形態において、前述の段階は、前述の分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液を得る段階と、同時または順次に行われるものでもあり、例えば、前述の段階を遂行することができるものであるならば、その構成及びその構造に制限がないアンモニア回収装置によっても遂行される。
【0029】
一実施形態において、前述の段階は、前記(b)段階の分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液のpHが5.5ないし8.0になるまで行うものでもあり、具体的には、前記溶解液のpHが5.5ないし7.5、5.5ないし7.0、5.5ないし6.5、6.0ないし8.0、6.0ないし7.5、6.0ないし7.0、6.0ないし6.5、6.5ないし8.0、6.5ないし7.5、6.5ないし7.0、または7.0になるまで行うものでもある。
【0030】
また、前記混合気体は、水蒸気とアンモニアとが混合されている蒸気状態の気体でもあり、前記混合気体の組成比は、水・アンモニア・分枝鎖アンモニアの気液上の平衡系に支配的な影響を受けるために、結晶化装置の内部温度及び圧力条件により、多様な分布を有することができる。
【0031】
本出願の方法は、前述の得られた混合気体に由来するアンモニアを、前記(a)段階のアンモニアとして再使用する段階を含むものでもある。
【0032】
一実施形態において、前述の段階は、前記アンモニアを蒸気状態で再使用するか、あるいは前述の蒸気が圧縮または凝縮された液体状態で再使用するものでもある。
【0033】
前述の段階に先立ち、得られた混合気体を凝縮または圧縮し、混合気体内のアンモニアを液体状態に転換させる段階をさらに含み、例えば、フリーザを使用し、混合気体を凝縮させるか、圧縮器を使用し、混合気体を圧縮するか、あるいは該フリーザと該圧縮器とを同時に使用するものでもある。また、例えば、前述の段階を遂行することができるものであるならば、その構成及びその構造に制限がない圧縮器などによっても遂行される。
【0034】
一実施形態において、前述の段階は、高濃度の分枝鎖アミノ酸濃縮液を得ることができるまで反復実施されうる。例えば、前述の段階は、2ないし50回、2ないし45回、2ないし40回、2ないし35回、2ないし30回、2ないし25回、2ないし20回、2ないし15回、2ないし10回、または2ないし5回ほど反復実施されうるが、それらに制限されるものではない。
【0035】
本出願の方法は、(c)段階で得られた混合気体に由来するアンモニアを、前記(a)段階のアンモニアとして再使用する段階を含むことにより、多量のpH調節物質を必要とせずに経済的であり、分枝鎖アミノ酸結晶化効率を向上させることができ、持続可能な循環が困難である塩廃棄物生成を減少させ、親環境的な方法としても活用される。
【0036】
また、本出願の方法は、前記(a)段階と前記(b)段階との間に、前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液を微細濾過し、溶解液内バイオマスを除去する段階をさらに含んでもよい。
【0037】
また、本出願の方法は、前記(a)段階と前記(b)段階との間に、前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液に活性炭を添加し、溶解液内有色物質を除去する段階をさらに含んでもよい。
【0038】
一実施例によれば、多数回の結晶化過程で生成されるアンモニアを、高レベルの回収率で得ることができ、前述の回収されたアンモニア、例えば、アンモニア水は、、反応液に存在する分枝鎖アミノ酸結晶を溶解させるのに再使用することができた。従って、前記方法は、別途のpH調節剤なしに、結晶化工程に基づき、持続的に、分枝鎖アミノ酸結晶を生成することができ、それにより、分枝鎖アミノ酸結晶の生産効率を向上させることができる。
【0039】
本出願の方法は、前記(b)段階後、前記(b)段階の分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液から、分枝鎖アミノ酸結晶を分離する段階をさらに含んでもよい。
【0040】
前記分枝鎖アミノ酸結晶を分離する段階は、例えば、前記(b)段階と前記(c)段階との間、前記(c)段階と前記(d)段階との間、または前記(d)段階後にもなされ、前記(c)段階または前記(d)段階と同時にもなされるが、前記(b)段階後であるならば、前記(c)段階及び前記(d)段階との順序とは係わりなく、いずれも段階においても、行うことができる。
【0041】
前述の段階において、濃縮液からの分枝鎖アミノ酸結晶の分離は、例えば、前記分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液を個液分離し、分枝鎖アミノ酸湿晶(wet crystal)を得る段階と、前記得られた湿晶を乾燥させ、分枝鎖アミノ酸結晶を得る段階を含んでもよいが、アミノ酸結晶の分離及び精製と係わる、当業界に知られた通常の技術が非制限的にも適用されえる。
【0042】
また、本出願は、他の態様として、(a)分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液と、アンモニアとを混合し、前記分枝鎖アミノ酸結晶が溶解された溶解液を得る段階と、(b)前記得られた溶解液を結晶化させ、分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液を得る段階と、(c)前記結晶化過程で生成された、水蒸気及びアンモニアを含む混合気体を得る段階と、(d)前記得られた混合気体に由来するアンモニアを、前記(a)段階のアンモニアとして再使用する段階と、を含み、前記(b)段階及び前記(c)段階は、同時または順次に行われる、分枝鎖アミノ酸の結晶化方法によって生産された分枝鎖アミノ酸結晶を提供する。
【0043】
前記分枝鎖アミノ酸の結晶化方法は、前述の通りである。
【発明の効果】
【0044】
本出願による分枝鎖アミノ酸の結晶化方法は、分枝鎖アミノ酸の溶解度上昇のために最初に添加されたアンモニアを結晶化過程から蒸気状態で得て、それを再使用することにより、分枝鎖アミノ酸結晶の生産効率を向上させることができ、多量のpH調節物質、及びさらなる中和工程が必要ではないので、生産コストが節減されうる。
【0045】
また、本出願による分枝鎖アミノ酸の結晶化方法は、さらに持続可能な循環が困難である塩廃棄物の生成を低減させ、親環境的な方法としても活用される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】溶液のpHによる分枝鎖アミノ酸の溶解度変化を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明について、実施例を介してさらに詳細に説明する。しかしながら、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではない。また、本明細書に記載されていない内容は、本出願の技術分野または類似分野における熟練者であるならば、十分に認識して類推することができるものであるので、その説明を省略する。
【実施例
【0048】
実施例1.実験材料及び実験方法
(1)実験材料
分枝鎖アミノ酸は、純度98%以上のL-バリン、L-イソロイシン及びL-ロイシン製品を使用し、前記分枝鎖アミノ酸製品としては、いずれもCJ第一製糖製品を使用した。水は、、直接製造された三次蒸溜水を使用し、26%(v/v)アンモニア水と、98%(v/v)の硫酸は、大井化金社から購入して使用した。高性能液体クロマトグラフィ(HPLC:high-performance liquid chromatograph)分析のための0.1M硝酸水溶液、0.02Mジピコリン酸水溶液は、Sigma-Aldrich(米国)から購入して使用した。
【0049】
(2)分枝鎖アミノ酸溶解液の濃度、及び分枝鎖アミノ酸結晶の純度の分析
分枝鎖アミノ酸溶解液濃度、及び分枝鎖アミノ酸結晶純度の分析は、高性能液体クロマトグラフィ(model DIONEX Ultimate 3000 system、Thermo Scientific、米国)を利用して進め、分析条件は、次の通りである:
-カラム:Hypersil gold HPLC column(Thermo Scientific、米国)
-カラム温度:40℃
-移動相:0.1wt%硫酸水溶液
-移動相速度:1.0ml/分
-感知器:蛍光検出器(fluorescence detector)
【0050】
(3)分枝鎖アミノ酸溶解液内のアンモニア濃度の分析
分枝鎖アミノ酸溶解液内アンモニア濃度分析は、イオンクロマトグラフィ(model 930 compact IC Flex、Metrohm、スイス)を利用して進行め、分析条件は、次の通りである:
-カラム:Metrosep C4-150(Metrohm、スイス)
-カラム温度:25℃
-移動相:0.7mM硝酸水溶液+1.7mMジピコリン酸水溶液
-移動相速度:1.0ml/分
【0051】
(4)分枝鎖アミノ酸の溶解度の分析
分枝鎖アミノ酸の溶解度測定は、ガラス材質の1Lジャケット反応器において進めた。1Lジャケット反応器に、蒸溜水とアンモニア水ろを多様な比率で混ぜた後、過量の分枝鎖アミノ酸結晶を添加し、それらを撹拌することにより、分枝鎖アミノ酸結晶を含む反応液を製造した。その後、反応器の内部温度を冷凍/加熱循環装置(model F35、Julabo、ドイツ)を使用し、30℃に一定に維持しながら、そのような条件を、撹拌と共に12時間以上維持した。その後、撹拌を止め、分枝鎖アミノ酸結晶がいずれも沈めば、透き通った状態の上澄み液一部を、0.45μmシリンジフィルタが装着されたシリンジサンプラに移し入れた。そのとき、当該溶液のpHを、pH測定器(model S220、Mettler Toledo、米国)を利用して測定した。当該サンプルの濃度は、定量フラスコを使用し、三次蒸溜水に希釈した後、HPLCを利用して測定した。前記上澄み液サンプルの濃度を、溶解度で想定し、溶液のpHによる分枝鎖アミノ酸の溶解度変化を確認した(図1)。その結果、溶液のpHが9以上になる時点から、分枝鎖アミノ酸の溶解度が上昇するということを確認することができた。
【0052】
実施例2.分枝鎖アミノ酸結晶を含む溶液での分離及び精製
(1)分枝鎖アミノ酸の結晶化、及びアンモニアの回収
結晶化は、各条件当たり同一工程条件で、総5回進めた。ただし、最初の結晶化工程においては、結晶化フィードを製造するために、分枝鎖アミノ酸(BCAA)結晶と蒸溜水とを混合し、製造されたBCAA結晶を含む溶液にアンモニア水を添加し、BCAA結晶を全量溶解させた。その後の回数目においては、BCAA結晶を含む反応液に、回収されたアンモニア水を添加し、BCAA結晶を溶解させた(実験群)。なお、対照群としては、アンモニア水の回収過程なしに、BCAA結晶を含む反応液に、26%(v/v)のアンモニア水を添加し、続けて98%(v/v)の硫酸でpHを7に再調整した群を使用した。
【0053】
結晶化及びアンモニアの回収は、結晶化フィードが注入される注入部、pH調節部、加熱循環器及び排出口を含む結晶化器;回収されたアンモニア水が注入される注入部、冷却循環器及び排出口を含む蒸気回収装置;及び結晶化器と蒸気回収装置との間に圧縮器を含む構造によってなる装置を使用した。具体的には、前記結晶化フィードは、最初の結晶化過程で得られた、分枝鎖アミノ酸結晶を含む濃縮液を意味し、該結晶化は、ガラス材質の20Lジャケット反応器で進め、熱交換部におけるスケーリング防止のために、ジャケットは、内部液体の体積が10Lになる地点の高さにまで設けた。該ジャケット部位は、冷凍/加熱循環装置(model F35、Julabo、ドイツ)で温度が制御される三次蒸溜水で充填され、結晶化工程が進められる間、温度は80℃に維持した。内部反応液などの撹拌は、テフロン(登録商標)材質の4-ブレードインペラ(blade impeller)でもって、回転速度調節が可能な撹拌器(model RW-20、IKA、ドイツ)を利用して進め、結晶化が進められる間、撹拌速度は、200rpmを維持した。反応器内部の圧力低下は、配管に連結された圧縮器(compressor)を利用して進め、圧縮器と結晶化器との間には、圧力調節のための電子式真空制御器(model NVC 2300-A、Eyela東京理化器械、日本)が設けられ、それらの圧力を調節した。結晶化器内部の圧力は、100mbarに維持した。アンモニア回収部は、20barまで保存可能なステンレス鋼材質の20Lジャケット圧力容器によって構成し、自体設備に供給される4℃の冷却水で冷却を進めた。このとき、アンモニアの回収は、結晶化器内部のpHが5.5ないし8.0になるまで進めた。最終濃縮液の濃度は、アンモニアが投入される前のBCAA結晶を含む反応液の濃度対比で、1.5倍になるように調節した。
【0054】
(2)分枝鎖アミノ酸の結晶の分離及び乾燥
前記最終濃縮濃度に至れば、結晶化工程を終了させ、反応器内濃縮液を、下部に配された排出配管を介して回収した。その後、前述の回収された濃縮液をコットンフィルタが装着された遠心バスケット分離器(model H-122、コクサン、日本)を使用し、2,000rpmの速度で5分間個液分離した。必要により、蒸溜水を利用し、分離初期に洗浄工程を進めた。その後、得られた湿晶(wet crystal)を、80℃のオーブン乾燥器において、重さ変化がなくなるで乾燥させ、BCAA結晶を得た。
【0055】
(3)実験結果
(3.1)L-ロイシンの結晶化及びアンモニアの回収
98%以上純度のL-ロイシン結晶でもって製造された20L懸濁液を利用し、L-ロイシンの結晶化及びアンモニア回収の実験を進めた。該実験は、総5回進め、当該実験結果において、2回目から5回目までの結晶化工程に係わる平均値を、表1に示した。30ないし200g/LのL-ロイシン濃度範囲を有する反応液を対象に、回収されたアンモニア水を添加し、前記反応液のpHを9から12の範囲に調整し、結晶の溶解を進め、その後、結晶化を進めながら、さらにアンモニア水を回収した。
【0056】
下記表1に示されているように、対照群においては、回収されたアンモニア水がなかったが、一実施例による結晶化工程においては、9ないし23%濃度のアンモニア水を、97%以上の回収率でもって確保することができ、前述の回収されたアンモニア水は、反応液内L-ロイシン結晶を溶解するのに再使用することができた。
【0057】
【表1】
【0058】
(3.2)L-イソロイシンの結晶化、及びアンモニア回収
98%以上純度のL-イソロイシン結晶で製造された20L懸濁液を利用し、L-イソロイシンの結晶化及びアンモニア回収の実験を進めた。該実験は総5回進め、当該実験結果において、2回目から5回目までの結晶化工程に係わる平均値を表2に示した。50ないし250g/LのL-イソロイシン濃度範囲を有する反応液を対象に、回収されたアンモニア水を添加し、前記反応液のpHを9から12の範囲に調整し、結晶の溶解を進め、その後、結晶化を進めながら、さらにアンモニア水を回収した。
【0059】
下記表2に示されているように、対照群においては、回収されたアンモニア水がなかったが、一実施例による結晶化工程においては、9ないし22%濃度のアンモニア水を、97%以上の回収率でもって確保することができ、前述の回収されたアンモニア水は、反応液内L-イソロイシン結晶を溶解するのに再使用することができた。
【0060】
【表2】
【0061】
(3.3)L-バリンの結晶化、及びアンモニアの回収
98%以上純度のL-バリン結晶でもって製造された20L懸濁液を利用し、L-バリンの結晶化及びアンモニア回収の実験を進めた。該実験は、総5回進め、当該実験結果において、2回目から5回目までの結晶化工程に係わる平均値を表3に示した。120ないし350g/LのL-バリン濃度範囲を有する反応液を対象に、回収されたアンモニア水を添加し、前記反応液のpHを9から12の範囲に調整し、結晶の溶解を進め、その後、結晶化を進めながら、さらにアンモニア水を回収した。
【0062】
下記表3に示されているように、対照群においては、回収されたアンモニア水がなかったが、一実施例による結晶化工程においては、13ないし23%濃度のアンモニア水を、98%以上の回収率でもって確保することができ、前述の回収されたアンモニア水は、反応液内L-バリン結晶を溶解するのに再使用することができた。
【0063】
【表3】
【0064】
実施例3.分枝鎖アミノ酸結晶を含む発酵液からの分離及び精製
(1)分枝鎖アミノ酸を含む発酵液の製造
L-ロイシンを生産する菌株であるコリネバクテリウムグルタミクム(Corynebacterium glutamicum)変異株(受託番号:KCCM11662P)、L-イソロイシンを生産する菌株であるコリネバクテリウムグルタミクム変異株(受託番号:KCCM11248P)及びL-バリンを生産する菌株であるコリネバクテリウムグルタミクム変異株(受託番号:KCCM11336P)を利用し、L-ロイシン、L-イソロイシン及びL-バリンをそれぞれ含む発酵液を製造した。
【0065】
具体的には、前培養培地40mLを、500mL振盪用三角フラスコに分注し、121℃で15分間加圧殺菌した後、各菌株を植菌し、33℃で200rpmで撹拌させながら、回転撹拌培養器で24時間培養した。その後、5L発酵槽に種培養培地3Lを充填し、121℃で30分間加圧殺菌した後、pHを7.0に調節し、前記前培養物4%を植菌し、33℃で、800rpm及び通気量0.5vvmの条件で、OD値が20になるまで培養し、種培養を行った。その後、5L発酵槽に、本培養培地2.1Lを充填し、121℃で30分間加圧殺菌した後、ブドウ糖を0.6Lずつ添加し、アンモニアガスを利用し、pHを7.0に調節した。前記種培養液を準備した本培養槽に20%に植菌し、培養温度33℃及び通気量1.0vvmの条件で溶存酸素が最小30%以上維持されるように、400ないし800rpmまで調節しながら、42時間培養し、L-ロイシン、L-イソロイシン及びL-バリンを含む各発酵液を製造した。前記培養過程に使用された前培養、種培養及び本培養の培地組成は、下記表4の通りである。
【0066】
【表4】
【0067】
(2)分枝鎖アミノ酸結晶の分離及び乾燥
BCAA結晶を含む溶液の代わりに、前述の製造されたBCAA結晶を含む発酵液を利用し、実施例2の(1)及び(2)に記載したところと同一方法により、アンモニア添加、結晶化、BCAA結晶の分離及び乾燥を行い、それと共に、アンモニア添加段階と結晶化段階との間に、下記のように微細濾過段階と粉末活性炭添加段階とをさらに進めた。
【0068】
具体的には、BCAA結晶が溶解された溶解液から、.1μm微細濾過膜が装着された微細濾過装置(model Pellicon 2、Merck、米国)を利用し、菌体のようなバイオマスを除去し、有色物質除去のために、前記透過液に、BCAA対比で、10wt%の粉末活性炭(model YL303、Yuanli、中国)を添加した後、60℃で30分間撹拌した。その後、7μm濾過膜を利用した一次真空濾過を介し、前記BCAA溶解液から活性炭を除去し、0.45μm濾過膜を利用した二次真空濾過を介し、残留活性炭をさらに除去した。
【0069】
(3)実験結果
(3.1)L-ロイシンの精製
前述の実施例3の(1)で製造された、L-ロイシン結晶を含むL-ロイシン濃度60g/Lの発酵液から、L-ロイシン精製を5回反復して行った。L-ロイシン結晶を含む発酵液20Lに、回収されたアンモニア水(ただし、最初には、アンモニア水試薬)を添加し、pHを10まで調整し、L-ロイシンを全量溶解させた後、微細濾過を介し、バイオマスを除去した。その後、微細濾過透過液に、粉末活性炭処理を進め、有色物質を分離した。その後、濾過液を対象に、濃縮結晶化を90g/Lの濃度まで進め、L-ロイシン結晶を含む濃縮液は、バスケット濾過器を利用し、個液分離した。このとき、洗浄は、L-ロイシン結晶を含む濃縮液基準で、20vol%の三次蒸溜水を利用して行った。
【0070】
その後、乾燥を介して最終回収された結晶の重さは、5回平均1.1kgであり、結晶の純度は、5回平均98.4%であった。一実施例による結晶化工程においては、13%濃度のアンモニア水を、98%以上の回収率でもって確保することができ、前述の回収されたアンモニア水は、発酵液内L-ロイシン結晶を溶解するのに再使用することができた。
【0071】
(3.2)L-イソロイシンの精製
前述の実施例3の(1)から製造された、L-イソロイシン結晶を含むL-イソロイシン濃度90g/Lの発酵液から、L-イソロイシン精製を5回反復して行った。L-イソロイシン結晶を含む発酵液20Lに、回収されたアンモニア水(ただし、最初には、アンモニア水試薬)を添加し、pHを10まで調整し、L-イソロイシンを全量溶解させた後、微細濾過を介し、バイオマスを除去した。その後、微細濾過透過液に、粉末活性炭処理を進め、有色物質を分離した。その後、濾過液を対象に、濃縮結晶化を135g/Lの濃度まで進め、L-イソロイシン結晶を含む濃縮液は、バスケット濾過器を利用し、個液分離した。このとき、洗浄は、L-イソロイシン結晶を含む濃縮液基準で、20vol%の三次蒸溜水を利用して行った。
【0072】
その後、乾燥を介して最終回収された結晶の重さは、5回平均1.7kgであり、結晶の純度は、5回平均98.6%であった。一実施例による結晶化工程においては、13%濃度のアンモニア水を、98%以上の回収率でもって確保することができ、前述の回収されたアンモニア水は、発酵液内L-イソロイシン結晶を溶解するのに再使用することができた。
【0073】
(3.3)L-バリンの精製
前述の実施例3の(1)から製造された、L-バリン結晶を含むL-バリン濃度150g/Lの発酵液から、L-バリン精製を5回反復して行った。L-バリン結晶を含む発酵液20Lに、回収されたアンモニア水(ただし、最初には、アンモニア水試薬)を添加し、pHを10まで調整し、L-バリンを全量溶解させた後、微細濾過を介し、バイオマスを除去した。その後、微細濾過透過液に、粉末活性炭処理を進め、有色物質を分離した。その後、濾過液を対象に、濃縮結晶化を225g/Lの濃度まで進め、L-バリン結晶を含む濃縮液は、バスケット濾過器を利用し、個液分離した。このとき、洗浄は、L-バリン結晶を含む濃縮液基準に、20vol%の三次蒸溜水を利用して行った。
【0074】
その後、乾燥を介して最終回収された結晶の重さは、5回平均3.0kgであり、結晶の純度は、5回平均98.4%であった。一実施例による結晶化工程においては、13%濃度のアンモニア水を、98%以上の回収率でもって確保することができ、前述の回収されたアンモニア水は、発酵液内L-バリン結晶を溶解するのに再使用することができた。
【0075】
前述の本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の当業者であるならば、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということを理解することができるであろう。従って、以上で記述された実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的ではないと理解されなければならない。
図1
【国際調査報告】